(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-12
(54)【発明の名称】自律車両を除菌するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/24 20060101AFI20230502BHJP
A61L 2/10 20060101ALI20230502BHJP
A61L 2/16 20060101ALI20230502BHJP
A61L 2/04 20060101ALI20230502BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
A61L2/24
A61L2/10
A61L2/16
A61L2/04
B08B3/02 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558404
(86)(22)【出願日】2021-03-16
(85)【翻訳文提出日】2022-09-27
(86)【国際出願番号】 US2021022477
(87)【国際公開番号】W WO2021206869
(87)【国際公開日】2021-10-14
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520011234
【氏名又は名称】ニューロ・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】NURO INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラティ・ベンジャミン・バヌ
(72)【発明者】
【氏名】ゲン・クン
(72)【発明者】
【氏名】カーダサキス・ピーター・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ウー・スティーブン・イエウェン
(72)【発明者】
【氏名】キム・ロバート・ジョン・コン
【テーマコード(参考)】
3B201
4C058
【Fターム(参考)】
3B201AA47
3B201AB53
3B201BB82
3B201BB92
3B201BC01
4C058AA23
4C058BB06
4C058BB07
4C058EE03
4C058JJ01
4C058KK02
4C058KK26
4C058KK28
(57)【要約】
【解決手段】一態様によると、車両(101)が、第1コンパートメント(102)と、システムと、第1除菌装置(344)と、を備える。第1コンパートメント(102)は、空間を規定する複数の壁を有しており、システムは、車両(101)が自律的に移動することを可能にするよう構成されている。システムは、第1コンパートメント(102)に動力を供給するよう構成されている動力システム(332)を備える。第1除菌装置(344)は、少なくとも第1除菌構成要素を備え、少なくとも第1除菌構成要素は、第1コンパートメント(102)に備えられており、第1除菌装置(344)は、複数の壁と空間とを除菌するために作動されるよう構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両であって、
空間を規定する複数の壁を有する第1コンパートメントと、
前記車両が自律的に移動することを可能にするよう構成されているシステムであって、前記第1コンパートメントに動力を供給するよう構成されている動力システムを備えるシステムと、
少なくとも第1除菌構成要素を備える第1除菌装置とを備え、前記少なくとも第1除菌構成要素は、前記第1コンパートメントに備えられており、前記第1除菌装置は、前記複数の壁と前記空間とを除菌するために作動されるよう構成されている、車両。
【請求項2】
請求項1に記載の車両であって、前記第1コンパートメントは、前記空間内で少なくとも1つの物品を運ぶよう構成され、前記除菌装置は、さらに、前記少なくとも1つの物品を除菌すると同時に前記複数の壁と前記空間とを除菌するよう構成されている、車両。
【請求項3】
請求項1に記載の車両であって、前記第1除菌装置は、加熱装置であり、前記第1除菌構成要素は、少なくとも華氏約250度の温度の熱を供給するよう構成されている熱源である、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車両であって、前記第1除菌装置は、紫外線(UV)装置であり、前記第1除菌構成要素は、第1UV源である、車両。
【請求項5】
請求項4に記載の車両であって、前記複数の壁は、第1壁を含み、前記第1UV源は、前記第1壁に取り付けられている、車両。
【請求項6】
請求項5に記載の車両であって、前記複数の壁は、第2壁を含み、前記第2壁は、反射面を備え、前記第1UV源は、前記反射面で反射する波を生成するよう構成されている、車両。
【請求項7】
請求項6に記載の車両であって、前記第2壁は、前記空間へのアクセスを可能にするよう構成されているドアであり、前記ドアは、前記波が前記ドアを通過することを防ぐシールドを備える、車両。
【請求項8】
請求項5に記載の車両であって、前記第1UV源は、UVC源であり、前記UVC源は、約200ナノメートル(nm)~約300nmの間の波長を有する波を生成するよう構成されている、車両。
【請求項9】
請求項5に記載の車両であって、前記複数の壁は、第2壁を含み、前記UV装置は、さらに、第2UV源を備え、前記第2UV源は、前記第2壁に取り付けられている、車両。
【請求項10】
請求項1に記載の車両であって、前記第1除菌装置は、化学除菌装置であり、前記第1除菌構成要素は、浄化流体を前記空間内に分配するよう構成されているディスペンサである、車両。
【請求項11】
請求項1に記載の車両であって、前記第1除菌装置は、熱除菌および化学除菌を含む群より選択された少なくとも1つの除菌を提供するよう構成されており、
前記車両は、さらに、
前記複数の壁と前記空間とを除菌するために紫外線(UV)除菌を提供するよう構成されている第2除菌装置を備える、車両。
【請求項12】
請求項1に記載の車両であって、さらに、
外面と、
前記外面を浄化するよう構成されている浄化装置と、
を備える、車両。
【請求項13】
請求項1に記載の車両であって、さらに、
滅菌膜を備え、
前記滅菌膜は、前記複数の壁の内の少なくとも1つの壁に結合されている、車両。
【請求項14】
請求項1に記載の車両であって、前記複数の壁は、コンパートメントインサートに備えられており、前記コンパートメントインサートは、前記第1コンパートメント内で運ばれ、前記コンパートメントから動力を取得するよう構成されている、車両。
【請求項15】
車両であって、
シャシと、
前記車両を自律的に動作させるよう構成され、前記シャシ上に搭載されているシステムと、
前記シャシ上に搭載されている前記第1コンパートメントであって、空間を規定する複数の壁を有する第1コンパートメントと、前記複数の壁は、第1壁および第2壁を含み、前記第1コンパートメントは、前記空間内で物品を運ぶよう構成され、
少なくとも1つの紫外線(UV)光源を備えている第1除菌装置とを備え、前記少なくとも1つのUV光源は、前記第1壁に結合され、前記第2壁へ方向付けられた第1UV光波を生成するよう構成され、前記第1除菌装置は、さらに、UV除菌を提供するために前記少なくとも1つのUV光源を作動させするよう構成されているロジック装置を備える、車両。
【請求項16】
請求項15に記載の車両であって、前記第2壁は、ドアであり、前記ドアは、前記第2壁へ方向付けられた前記第1UV光波を反射するよう構成されている反射面を備える、車両。
【請求項17】
請求項15に記載の車両であって、前記複数の壁は、さらに、第3壁、第4壁、第5壁、および、第6壁を含み、前記少なくとも1つのUV光源は、前記第1壁に結合されている第1UV光源と、前記第3壁に結合されている第2UV光源と、前記第4壁に結合されている第3UV光源と、前記第5壁に結合されている第4UV光源と、前記第6壁に結合されている第5UV光源と、を含む、車両。
【請求項18】
請求項17に記載の車両であって、前記第1UV光源、前記第2UV光源、前記第3UV光源、前記第4UV光源、および、前記第5UV光源は、前記第1UV光波を含む複数のUV光波を放射するよう構成されているUV発光ダイオード(LED)であり、前記複数のUV光波は各々、約200ナノメートル(nm)~約300nmの間の範囲の波長を有する、車両。
【請求項19】
請求項15に記載の車両であって、前記第1壁は、ドアであり、
前記車両は、さらに、
前記ドアが閉位置にあることを判定するよう構成されているセンサを備え、
前記ドアが閉位置にある時、前記センサは、前記UV除菌を始動させる指示を前記ロジック装置に提供し、前記ドアが閉位置にある時、前記センサは、前記UV除菌を始動させない指示を前記ロジック装置に提供する、車両。
【請求項20】
方法であって、
車両上のコンパートメントが浄化されるべき時を判定し、前記車両は、少なくとも第1浄化装置を備え、前記第1浄化装置は、前記コンパートメントを浄化するために浄化処理を実行するよう構成されており、前記第1浄化装置は、少なくとも1つの紫外線(UV)光源を備え、
前記コンパートメントが浄化されるべきであると判定された時に、前記浄化処理のための少なくとも1つのパラメータを決定し、
前記コンパートメントが浄化されるべきであると判定された時に、前記車両が浄化される条件にあるか否かを判定し、
前記車両が浄化される条件にあると判定された時に、前記浄化処理を開始するために前記第1浄化装置を作動させ、
前記浄化処理を開始した後、前記コンパートメントが所望の浄化レベルになったか否かを判定し、
前記コンパートメントが前記所望の浄化レベルにないと判定された時に、前記浄化処理を継続し、
前記コンパートメントが前記所望の浄化レベルになったと判定された時に、前記浄化処理を終了するために前記第1浄化装置を停止させること、
を備える、方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、前記第1浄化装置を作動させること、前記少なくとも1つのUV光源を作動させることを含み、前記少なくとも1つのUV光源を作動させることは、約200ナノメートル(nm)~約300(nm)の範囲の波長を有する光波を前記UV光源に生成させる、方法。
【請求項22】
請求項20に記載の方法であって、前記コンパートメントは、顧客へ配達される物品を収容し、前記浄化処理は、前記物品を浄化させ、前記少なくとも1つのパラメータは、前記顧客によって提供された入力に基づいて決定される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本願は、米国特許法第120条の下、2021年3月15日出願の「METHODS AND APPARATUS FOR SANITIZING AN AUTONOMOUS VEHICLE」と題する米国特許出願第17/201,327号に基づく優先権の利益を主張し、米国特許法第119条の下、2020年4月6日出願の「METHODS AND APPARATUS FOR UTILIZING AN AUTONOMOUS VEHICLE WHEN A SHELTER-IN-PLACE ORDER IS IN EFFECT」と題する米国仮特許出願第63/006,067号に基づく優先権の利益を主張し、各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、自律車両の利用に関する。より具体的には、本開示は、生物学的脅威が存在する時に、自律車両と、自律車両によって輸送されている内容物とのための浄化機能を提供することに関する。
【背景技術】
【0003】
いくつかの状況において、人々が、必要な物品を手に入れ、または、必要なサービスを受けるために、家を離れることが、実際的ではなく、望ましくなく、または、可能でない場合がある。例えば、世界的なパンデミックなどの危機の最中に、屋内退避またはステイホームの命令が出されている時、人々は、商品を調達しおよび/またはサービスを受けるために家を離れることができず、または、離れたくないことがある。
【0004】
必要な物品の配達を安全に受け取ることができれば、人々は、屋内退避または在宅のままでいることが可能になりうる。一般に、パンデミック中には、人々は、屋内退避を続けることができ、生物学的脅威が存在しうる場所にあえて出かけるのを避けることができれば、より安全であると感じうる。生物学的脅威(例えば、ウイルス感染)が起こりうる場所を避けることにより、個人が、生物学的脅威に屈する(例えば、ウイルスに感染する)ことから自身を守ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
添付の図面を参照して行う以下の詳細な説明から、本開示を容易に理解することができる。
【0006】
【
図1】一実施形態に従って、自律車両フリートを示す図。
【0007】
【
図2】一実施形態に従って、自律車両の側面を示す図。
【0008】
【
図3】一実施形態に従って、自律車両を示すブロック図。
【0009】
【
図4】一実施形態に従って、配達中に物品を殺菌する方法を示す処理フローチャート。
【0010】
【
図5】一実施形態に従って、車両を殺菌する方法を示す処理フローチャート。
【0011】
【
図6A】一実施形態に従って、第1物品浄化システム(例えば、
図3の物品浄化システム344a)を示すブロック図。
【0012】
【
図6B】一実施形態に従って、第2物品浄化システム(例えば、
図3の物品浄化システム344a)を示すブロック図。
【0013】
【
図6C】一実施形態に従って、第3物品浄化システム(例えば、
図3の物品浄化システム344a)を示すブロック図。
【0014】
【
図7】一実施形態に従って、車両浄化システム(例えば、
図3の車両浄化システム344b)を示すブロック図。
【0015】
【
図8A】一実施形態に従って、コンパートメントへのアクセスを可能にするためにフリート管理システムによって利用される非接触コンパートメントアクセス装置を備えた配達車両を示す図。
【0016】
【
図8B】一実施形態に従って、非接触コンパートメントアクセス装置が顧客および/またはフリート管理システム(例えば、
図8Aのフリート管理システム866)によって利用されるよう構成されている配達車両(例えば、
図8Aの配達車両801)を示す図。
【0017】
【
図9】一実施形態に従って、2以上の殺菌および/または浄化処理を用いて車両を殺菌および/または浄化する第1方法を示す処理フローチャート。
【0018】
【
図10】一実施形態に従って、2以上の殺菌および/または浄化処理を用いて車両を殺菌および/または浄化する第2方法を示す処理フローチャート。
【0019】
【
図11A】一実施形態に従って、自律車両のコンパートメントを示す図。
【0020】
【
図11B】一実施形態に従って、UV源を備えたコンパートメント(例えば、
図11Aのコンパートメント1102)の壁を示す図。
【0021】
【
図11C】一実施形態に従って、反射面(鏡面など)を備えたコンパートメント(例えば、
図11Aのコンパートメント1102)の壁を示す図。
【0022】
【
図11D】一実施形態に従って、UV源(例えば、
図11BのUV源1176)からの波が鏡面(例えば、鏡面)で反射することを可能にするよう構成されているコンパートメント(例えば、
図11Aのコンパートメント1102)の壁を示す側断面図。
【0023】
【
図11E】一実施形態に従って、浄化物質を分配するよう構成されているディスペンサを備えたコンパートメント(例えば、
図11Aのコンパートメント1102)の壁を示す図。
【0024】
【
図11F】一実施形態に従って、滅菌膜を備えたコンパートメント(例えば、
図11Aのコンパートメント1102)の壁を示す図。
【0025】
【
図12】一実施形態に従って、コンパートメントインサートを収容するよう構成されているコンパートメントを備えた車両を示す図。
【0026】
【
図13A】一実施形態に従って、コンパートメントインサート(例えば、
図12のコンパートメントインサート1284)を示す図。
【0027】
【
図13B】一実施形態に従って、動力インターフェース、通信インターフェース、および、機械的インターフェースを備えたコンパートメントインサート(例えば、
図12のコンパートメントインサート1284)の壁を示す図。
【0028】
【
図13C】一実施形態に従って、ドア開口インターフェースを備えたコンパートメントインサート(例えば、
図12および
図13Aのコンパートメントインサート1284)の壁を示す図。
【0029】
【
図14A】一実施形態に従って、UV除菌を用いて、車両のコンパートメント、または、車両のコンパートメント内のコンパートメントインサートを除菌する方法を示す処理フローチャート。
【
図14B】一実施形態に従って、UV除菌を用いて、車両のコンパートメント、または、車両のコンパートメント内のコンパートメントインサートを除菌する方法を示す処理フローチャート。
【0030】
【
図15】一実施形態に従って、車両のコンパートメント内でUV除菌を提供するよう構成されている車両を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
概要
例えば、人々が居住地を離れることが望ましくなくまたは不可能である場合に、自律配達車両が、配達を容易にするために配備されてよい。配達車両は、実質的に受領者が受け取り時に物品の殺菌に関して心配する必要なしに、配達物を安全に受け取ることができるように、配達物に含まれる物品を殺菌または他の方法で浄化してよい。かかる配達車両は、物品を収容するよう構成されているコンパートメントも殺菌してよい。
【0032】
一実施形態によると、車両は、第1コンパートメントと、システムと、第1除菌装置と、を備える。第1コンパートメントは、空間を規定する複数の壁を有しており、システムは、車両が自律的に移動することを可能にするよう構成されている。システムは、第1コンパートメントに動力を供給するよう構成されている動力システムを備える。第1除菌装置は、少なくとも第1除菌構成要素を備え、少なくとも第1除菌構成要素は、第1コンパートメントに備えられており、ここで、第1除菌装置は、複数の壁と空間とを除菌するために作動されるよう構成されている。
【0033】
別の実施形態によると、車両は、空間を規定する複数の壁を有する第1コンパートメントと、第1除菌装置と、を備える。複数の壁は、第1壁および第2壁を含み、第1コンパートメントは、空間内で物品を運ぶよう構成されている。第1除菌装置は、少なくとも1つの紫外線(UV)光源を備え、少なくとも1つのUV光源は、第1壁に結合され、第2壁へ方向付けられた第1UV光波を生成するよう構成され、第1除菌装置は、さらに、UV除菌を提供するために少なくとも1つのUV光源を作動させるよう構成されているロジック装置を備える。
【0034】
さらに別の実施形態によると、方法は、車両上のコンパートメントが浄化されるべき時を判定することを備え、車両は、少なくとも第1浄化装置を備え、第1浄化装置は、コンパートメントを浄化するために浄化処理を実行するよう構成されており、ここで、第1浄化装置は、少なくとも1つのUV光源を備える。方法は、さらに、コンパートメントが浄化されるべきであると判定された時に、浄化処理のための少なくとも1つのパラメータを決定し、コンパートメントが浄化されるべきであると判定された時に、車両が浄化される条件にあるか否かを判定し、車両が浄化される条件にあると判定された時に、浄化処理を開始するために第1浄化装置を作動させることを備える。浄化処理を開始した後、コンパートメントが所望の浄化レベルになったか判定される。浄化処理は、コンパートメントが所望の浄化レベルにないと判定された時には継続され、浄化処理は、コンパートメントが所望の浄化レベルになったと判定された時に完了する。
【0035】
説明
自律配達車両が、商品を配達するだけでなく、配達される商品の受領者を効果的に保護するように商品を配達するために利用されうる状況が起こりうる。例えば、病気または疾患の蔓延を防ぐために、人々が屋内退避またはステイホームすることを要求されるパンデミックの間に、自律配達車両は、人々が、他の人と物理的に接触する必要なしに、商品が汚染されていない確信を持って、商品を受け取ることを可能にする方法で、自宅にいる人々に商品を配達できる。他の人との物理的な接触を避けることで、例えば、ソーシャルディスタンスガイドラインに従うことが可能になり、ひいては、パンデミック中であってもそうでなくても病気または疾患の蔓延を遅らせうる。ウイルスなどの汚染物質を除去または不活性化するために、受け取られる商品を浄化すれば、病気または疾患の蔓延をさらに遅らせることができる。
【0036】
自律車両で輸送される物品を殺菌、除菌、除染、滅菌、および/または、その他の方法で浄化することを可能にする機構を自律車両に提供することで、商品が「安全」である(例えば、ウイルスなどの汚染物質で覆われていない確信を顧客に与えることができる。一実施形態において、自律車両が顧客の所在地に到着した時、顧客は、接触のない方法で、または、実質的に自律車両へ物理的に触れることなしに、自律車両から商品を引き取ることを許されうる。自律車両へ物理的に触れることなしに商品または物品を引き取ることができるので、さらに、顧客は、配達プロセス全体が安全であり、比較的高いリスクで汚染物質に暴露されることがないと、より確信することができる。
【0037】
自律車両(自律配達車両など)は、一般に、車両フリート全体の一部として動作しうる。まず
図1を参照して、自律車両フリートについて一実施形態に従って説明する。自律車両フリート100は、複数の自律車両101すなわちロボット車両を含む。自律車両101は、一般に、貨物、物品、および/または、商品を輸送および/または配達するよう構成されている。自律車両101は、完全自律車両および/または半自律車両であってよい。一般に、各自律車両101は、介入なしに(例えば、人的介入なしに)或る期間にわたって制御された方法で移動できる車両であってよい。後に詳述するように、各自律車両101は、動力システムと、推進または輸送システムと、ナビゲーションモジュールと、制御システムまたはコントローラと、通信システムと、プロセッサと、センサシステムと、を備えてよい。
【0038】
自律車両フリート100内の自律車両101の派遣は、フリート管理モジュール(図示せず)によって調整されてよい。フリート管理モジュールは、非構造化開放環境または閉鎖環境内で商品またはサービスを輸送、配達、および/または、回収するために自律車両101を派遣してよい。
【0039】
図2は、一実施形態に従って、自律車両(例えば、
図1の自律車両101の1つ)の側面を示す図である。自律車両101は、図に示すように、陸上走行用に構成されている車両である。典型的には、自律車両101は、車体またはシャシ(例えば、フレーム)ならびに輸送機構(例えば、車輪)など、物理的な車両構成要素を備える。一実施形態において、自律車両101は、相対的に狭くてよく(例えば、約2~約5フィート(約0.61~約1.52メートル)の幅)、比較的軽量で、安定のために比較的低重心であってよい。自律車両101は、約1マイル~約45マイル毎時(mph)(約1.6~約72.4km/h)の間(例えば、約25マイル毎時(約40.2km/h))の作業スピードまたは速度の範囲を有するよう構成されていてよい。いくつかの実施形態において、自律車両101は、約30~約90mph(約48.3~約144.8km/h)の間の範囲の実質的に最大のスピードまたは速度を有してよい。
【0040】
自律車両101は、複数のコンパートメント102を備える。コンパートメント102は、1または複数の顧客、小売業者、および/または、販売業者など、1または複数の実体に割り当てられてよい。コンパートメント102は、一般に、貨物、物品、および/または、商品を収容するよう構成されてよく、コンパートメント102の内部が特定の目的に向けて構成される(例えば、医学的検査の実行をサポートするよう構成される)ことを可能にするモジュラーインサート(図示せず)を受け入れるよう構成されてよい。典型的には、コンパートメント102は、セキュリティ保護されたコンパートメントであってよい。コンパートメント102の数は様々であってよいことを理解されたい。すなわち、2つのコンパートメント102が図示されているが、自律車両101は、2つのコンパートメント102を備えることに限定されない。一実施形態において、コンパートメント102は各々、コンパートメント102内での、もしくは、電力および/またはコマンドおよびデータを提供されうる任意のインサート(図示せず)への、動力接続およびデータ接続を提供する接続部(図示せず)を備える。
【0041】
図3は、一実施形態に従って、自律車両(例えば、
図1の自律車両101)を示すブロック図である。自律車両101は、プロセッサ304と、推進システム308と、ナビゲーションシステム312と、センサシステム324と、動力システム332と、制御システム336と、通信システム340と、除菌/浄化システム344と、を備える。プロセッサ304、推進システム308、ナビゲーションシステム312、センサシステム324、動力システム332、通信システム340、および、除菌/浄化システム344はすべて、自律車両101のシャシまたは車体に結合され、または、シャシまたは車体によって他の方法で運ばれている。
【0042】
プロセッサ304は、推進システム308、ナビゲーションシステム312、センサシステム324、動力システム332、および、制御システム336など、様々な構成要素へ命令を送信し、様々な構成要素から命令を受信し、もしくは、様々な構成要素のための命令を送受信するよう構成されている。推進システム308すなわち輸送システムは、自律車両101を移動(例えば、駆動)させるよう構成されている。例えば、自律車両101が、多輪自動車構成、ならびに、ステアリングシステム、ブレーキシステム、および、エンジンを備えるよう構成されている場合、推進システム308は、エンジン、車輪、ステアリングシステム、および、ブレーキシステムを協働的に駆動させるよう構成されていてよい。一般に、推進システム308は、推進エンジン、車輪、無限軌道、翼、ロータ、ブロワ、ロケット、プロペラ、ブレーキなどを備えた駆動システムとして構成されうる。推進エンジンは、ガスエンジン、タービンエンジン、電気モータ、および/または、ハイブリッドガス/電気エンジンであってよい。
【0043】
ナビゲーションシステム312は、経路を通してならびに/もしくは非構造化開放環境または閉鎖環境内で自律車両101をナビゲートするために、推進システム308を制御してよい。ナビゲーションシステム312は、デジタルマップ、ストリートビュー写真、および、グローバルポジショニングシステム(GPS)ポイント、の内の少なくとも1つを含んでよい。マップが、例えば、ナビゲーションシステム312が自律車両101に環境内を進ませることを可能にするために、センサシステム324に含まれるセンサと連携して用いられてよい。
【0044】
センサシステム324は、例えば、LiDAR、レーダ、超音波センサ、マイク、高度計、および/または、カメラなど、任意のセンサを備える。センサシステム324は、一般に、自律車両101が安全に進み、自律車両101の近くに物体があるのを特定することを可能にするオンボードセンサを備える。一実施形態において、センサシステム324は、駆動機構の性能、駆動系の性能、および/または、動力システムのレベルを監視する推進システムセンサを備えてよい。センサシステム324は、知覚システムの一部であってよい。
【0045】
動力システム332は、自律車両101に動力を供給するよう構成されている。動力は、電力、ガス動力、または、任意のその他の適切な動力(例えば、太陽光発電またはバッテリ電力)として供給されてよい。一実施形態において、動力システム332は、主電源と、主要電源が十分な電力を供給できない時に、自律車両101の様々な構成要素に給電しおよび/または一般的に自律車両101に電力を供給するよう機能しうる補助電源と、を備えてよい。
【0046】
通信システム340は、自律車両101が、自律車両101を遠隔で制御することを可能にするフリート管理システム(図示せず)と、例えば、無線で、通信することを可能にする。通信システム340は、一般に、データを取得または受信し、データを格納し、データをフリート管理システムへおよび/またはフリート100の中の自律車両101へ送信または提供する。データは、スケジュールされた要求または注文に関する情報、オンデマンドの要求または注文に関する情報、ならびに/もしくは、例えば、予測される需要に応じて、自律車両101が自身を再配置する必要性に関する情報、を含みうるが、これらに限定されない。
【0047】
除菌/浄化システム344は、一般に、車両101を除菌、殺菌、滅菌、清浄化、除染、および/または、浄化すると共に、車両101で運ばれている物品(例えば、
図2に示すようにコンパートメント102内に収容されている物品)を浄化するよう構成されている。車両101で運ばれている物品を浄化する時に、除菌/浄化システム344は、さらに、コンパートメント102の内部と、コンパートメント102内のインサート(物品を保持するインサートなど)とを浄化してもよいことを理解されたい。除菌/浄化システム344は、物品浄化システム344aおよび車両浄化システム344bを備えてよい。除菌/浄化システム344は、動力システム332から(例えば、動力システム332に含まれるバッテリから)動力を引き出してよく、または、除菌/浄化システム344は、実質的に専用の電源(専用バッテリなど)を備えてもよい。
【0048】
物品浄化システム344aは、車両101のコンパートメントで輸送される物品または商品を浄化するよう構成されている。物品浄化システム344aは、一実施形態において、顧客へ配達されている物品と、物品を保持するよう構成されているモジュラーインサート、物品の積み込みおよび/または荷降ろしを容易にするよう構成されている機械構成要素、などを含むがこれらに限定されない車両101のコンパートメント内の機構と、を殺菌するよう構成されていてよい。物品浄化システム344aは、紫外線(UV)、熱、および/または、薬剤を用いて、物品を殺菌するよう構成されていてよい。
【0049】
車両浄化システム344bは、車両101(例えば、車両101の外面)を浄化するよう構成されている。一実施形態において、車両浄化システム344bは、水または浄化流体を保持するリザーバと、ノズルなどのディスペンサ機構と、ワイパー機構と、を備えてよい。車両浄化システム344bは、さらに、車両101のコンパートメントの内部を含むがこれに限定されない車両101の内面を浄化するよう構成されてもよいことを理解されたい。
【0050】
いくつかの実施形態において、制御システム336は、プロセッサ304と協働して、センサシステム324からのデータ(例えば、結果)に基づいて、自律車両101が安全に進むことのできる場所を判定し、自律車両101の近くにある物体の存在を判定してよい。換言すると、制御システム336は、プロセッサ304と協働して、自律車両101がそのすぐ周辺の範囲内で何をしてよいのかを効果的に判定してよい。制御システム336は、プロセッサ304と協働して、基本的に、自律車両101を駆動または輸送する一環として、動力システム332およびナビゲーションシステム312を制御してよい。さらに、制御システム336は、プロセッサ304および通信システム340と協働して、通信モジュール340を介して、他の自律車両101、管理サーバ、グローバルポジショニングサーバ(GPS)、パーソナルコンピュータ、遠隔操作システム、スマートフォン、または、任意のコンピュータデバイスと、データをやり取りしてよい。一般に、制御システム336は、少なくとも、プロセッサ304、推進システム308、ナビゲーションシステム312、センサシステム324、および、動力システム332と協働して、車両101が自律的に動作することを可能にしてよい。すなわち、自律車両101は、推進システム308、ナビゲーションシステム312、センサシステム324、動力システム332、および、制御システム336によって提供される機能の少なくとも一部を効果的に含む自律システムの利用を通して自律的に動作できる。推進システム308、ナビゲーションシステム312、センサシステム324、動力システム332、および、制御システム336の構成要素は、自律走行または半自律走行を容易にするために自律車両101の周囲の環境のモデルを生成しうる知覚システムを効果的に形成してよい。
【0051】
当業者によって理解されるように、自律車両101は、自律的に動作する時、一般に、自律システムの制御下で、動作(例えば、運転)しうる。すなわち、自律車両101は、自律モードにある時、一般に、運転手またはリモートオペレータが自律車両を制御することなしに動作できる。一実施形態において、自律車両101は、半自律モードまたは完全自律モードで動作してよい。自律車両101は、半自律モードで動作している時、時々自律的に動作してよく、それ以外の時には運転手またはリモートオペレータの制御下で動作してよい。自律車両101は、完全自律モードで動作している時、典型的には、実質的に自律システムの制御下でのみ動作する。
【0052】
自律車両101のコンパートメントで運ばれまたは輸送される物品を殺菌または別の方法で浄化できることで、物品が顧客によって受け取られる前に物品から汚染物質を除去することが可能になる。
図4は、一実施形態に従って、配達中に物品を殺菌する方法を示す処理フローチャートである。配達中に物品を殺菌する方法400は、車両(例えば、自律車両)が配達場所へ配達される物品を取得する工程405で始まる。物品は、車両のコンパートメントに受け取られてよい。
【0053】
物品がコンパートメントで受け取られると、殺菌または浄化処理が、物品を殺菌または他の方法で浄化するために、工程409で開始される。殺菌または浄化処理は、いくつかの例において、物品がコンパートメントで受け取られた時にいつでも開始されてよい。かかる処理は、例えば、物品がコンパートメント内に配置されてコンパートメントのドアが閉じられた時に、実質的に自動で開始されてよく、もしくは、例えば、顧客がフリート管理システムへまたは実質的に直接車両へ要求を送信した時に、物品を注文した顧客の要求で開始されてもよい。この処理は、車両に関連する1または複数のセンサを用いて、物品が車両のコンパートメント内に配置されているか否かを確かめる工程を含んでよいが、これに限定されない。さらに、殺菌または浄化処理は、車両が物品を取得した時から、車両が配達場所に到着した時に顧客によって物品が受け取られる準備ができるまでの間の実質的に任意の時点に開始されてよい。一実施形態において、殺菌または浄化処理は、車両が供給元の目的地から配達場所へ移動している間に行われる。
【0054】
物品は、工程413で殺菌処理によって殺菌される。一般に、殺菌処理は、物品、ひいては、物品が収容されているコンパートメントの少なくとも一部が、殺菌、除菌、除染、滅菌、清浄化、および/または、別の方法で浄化されることを可能にする任意の適切な処理であってよい。処理は、殺菌能力を提供するのに適した任意の波長の波(UVスペクトル中の光など)の印加を含む処理、熱の印加を含む処理、ならびに/もしくは、薬剤(殺菌剤または浄化剤など)の適用を含む処理、を含んでよいが、これらに限定されない。
【0055】
工程417において、殺菌処理が完了する。すなわち、工程417で、物品は、所望のレベルまで殺菌または浄化される。所望のレベルを決定する要因は、多様でありうる。例えば、物品は、殺菌処理に関連する時間、UV光の強度、物品に印加された熱の量、および/または、物品に関連する汚染物質または病原体のレベル、に基づいて殺菌されたと見なされてよい。一実施形態において、センサが、車両のコンパートメント内に配置され、病原体レベルを検出するよう構成されていてよい。かかるセンサは、物品がコンパートメント内に置かれている時の病原体レベルを検出してよく、病原体レベルは、所望のレベルまで到達するのに必要な殺菌または浄化の量、もしくは、殺菌処理または浄化処理が必要が否か、を決定するために用いられてよい。
【0056】
任意選択的な工程421で、殺菌処理の完了の通知が提供されてもよい。かかる通知は、顧客の注文した物品が殺菌または浄化されたことを顧客に通知するために、実質的に直接顧客へ、または、フリート管理システムへ提供されてよい。一実施形態において、殺菌された物品に関連する汚染物質レベルまたは病原体レベルの測定は、殺菌処理の前後に行われてよく、通知は、測定値を特定する報告を含んでよい。
【0057】
工程417からまたは任意選択的な工程421から、処理フローは、殺菌済みの物品が配達場所で車両上のコンパートメントから取り出される工程425へ進む。換言すると、殺菌済みの物品は、顧客へ配達される。殺菌済みの物品が顧客へ配達された後、配達中に物品を殺菌する方法は完了する。
【0058】
上述のように、殺菌処理は、実質的に自動であってよく、すなわち、デフォルトとして要求されると仮定されてよいが、顧客が、殺菌処理を要求するタスクを課せられてもよい。例えば、顧客が、殺菌処理をアクティブにするために、顧客ポータル(オンライン顧客ポータルなど)にアクセスし、または、特定の番号へテキストを送信してよい。一実施形態において、殺菌処理の進行中に顧客がカメラからの動画または静止画のフィードを見ることを可能にするために、少なくとも1つのカメラが、車両のコンパートメント内に設置されてよい。あるいは、顧客が殺菌処理を要求する代わりに、物品の小売業者または販売業者が、殺菌処理を要求してもよい。物品の供給者が殺菌処理を要求した時に、供給者および/または顧客は、殺菌処理に関する通知を受信してよい。
【0059】
車両自体が汚染物質または病原体を運びうる可能性を減らすために、定期的に、または、各配達の完了後に、配達車両を殺菌または除菌することが望ましい可能性がある。配達車両の殺菌は、一般に、車両の配達コンパートメントの表面および/または車両の外面を殺菌することを含むが、これに限定されない。次に、
図5を参照しつつ、車両を殺菌する方法について、一実施形態に従って説明する。車両を殺菌する方法500は、車両が殺菌または浄化を必要とすると判定される工程505で始まる。車両は、任意の適切なメトリックを用いて、殺菌または浄化を必要としているものとして識別されてよい。適切なメトリックは、センサを用いて測定された車両の外装に存在する汚染物質レベル、最も最近の殺菌処理から経過した時間、最も最近の殺菌処理以来なされた配達の回数、最も最近の殺菌処理以来車両のサービスを受けた顧客の数、などを含むが、これらに限定されない。車両全体が工程505で殺菌または浄化されてよいが、いくつかの実施形態において、車両の様々な部分が、浄化に向けて特定され、その後に浄化されてもよい。例えば、コンパートメントのドアが浄化されてよく、車両上の顧客インターフェーススクリーンが浄化されてよく、および/または、車両上のフロントガラスが浄化されてよい。
【0060】
車両が殺菌処理または浄化処理から恩恵を受けると判定された後、任意選択的な工程507で、車両が殺菌または浄化されてよいか否かが確認される。例えば、車両は、車両の近くに立っている人がいる場合、車両の外面の浄化が実行されてよい状況にはないと判定されうる。また、車両は、コンパートメントへのドアが開いている時、および/または、車両の近くに人が立っている時、車両のコンパートメントがUV光源を用いて殺菌されてよい状況にはないと判定されうる。車両が殺菌または浄化されてよいか否かを確認する工程は、移動するよう近くの人に警告することによって、および/または、コンパートメントのドアを閉じることによって、車両を殺菌または浄化する準備を行う工程を含んでよいが、これに限定されない。
【0061】
車両が殺菌または浄化処理から恩恵を受けると判定されると、任意選択的に、車両が殺菌または浄化されるのに適切であると確認された場合に、殺菌処理が、工程509で開始される。殺菌処理は、
図7を参照して後に論じるように、浄化溶液および機械式ディスペンス装置の利用を含んでよい。殺菌処理は、殺菌の必要性の判定に基づいて、実質的に自動で開始されてよく、または、殺菌処理は、例えばフリート管理システムを通して、実質的に手動で開始されてもよい。工程513で、車両は、殺菌処理によって殺菌される。殺菌処理は、1または複数の異なる方法を含んでよい。例えば、或る方法が、車両のコンパートメントを殺菌するために用いられてよく、別の方法が、車両の外面を殺菌するために用いられてよい。殺菌処理は工程517で完了し、殺菌処理が完了すると、車両を殺菌する方法は完了する。
【0062】
図3に関して上述したように、除菌/浄化システム344は、一般に、物品浄化システム344aおよび車両浄化システム344bを備えてよい。
図6A~
図6Cを参照しつつ、物品浄化システム344aの例について説明し、
図7を参照しつつ、車両浄化システム344bの例について説明する。
【0063】
図6Aは、一実施形態に従って、第1物品浄化システム(例えば、
図3の物品浄化システム344a)を示すブロック図である。第1浄化システム344a’が、
図2および
図3に関して上述したように、車両のコンパートメント(自律車両101のコンパートメント102など)内に実質的に組み込まれていてよい。あるいは、第1浄化システム344a’は、コンパートメント内に着脱可能に配置されたインサートとして構成されてもよい。
【0064】
第1浄化システム344a’は、車両から動力を引き出すよう構成されている動力接続652を備えてよく、それは、車両上の動力ポートに接続されてよい。第1浄化システム344a’は、さらに、車両からデータを取得し車両へデータを提供するよう構成されているデータ接続654を備えてよく、それは、車両上のデータポートに接続されてよい。
【0065】
UV源装置656が、第1浄化システム344a’に備えられており、一般に、物品(第1浄化システム344a’も収容している車両のコンパートメント内に配置された物品など)を殺菌するUV光を供給する。UV源装置656は、例えば、UV滅菌ワンド、1または複数のUV光源、UV滅菌ボックス、UV滅菌オーブン、および/または、UV滅菌チャンバを備えてよい。一般に、UV源装置656は、UV光を放射するよう構成されている任意の適切な構成要素であってよい。UV源装置656は、さらに、UV光を放射する時、UV光を放射する期間、および/または、UV光を放射する量の制御を可能にするコントローラを備えてよい。
【0066】
UV源装置656は、病原体(細菌およびウイルスなど)を実質的に殺菌または不活性化するのに適した波長のUV光を供給するよう構成されていてよい。病原体を殺菌または不活性化するために用いられるUV波の波長は、殺菌または不活性化される病原体のタイプを含むがこれに限定されない要因に応じて、多様でありうる。一実施形態において、UV源装置656は、UVC源であってよく、UVC源によって放射される光の波長は、約200ナノメートル(nm)~約300nmの間(例えば、約222nm)であってよい。
【0067】
図6Bは、一実施形態に従って、第2物品浄化システム(例えば、
図3の物品浄化システム344a)を示すブロック図である。第2浄化システム344a’’が、車両のコンパートメント内に実質的に組み込まれていてよく、あるいは、コンパートメント内に着脱可能に配置されたインサートとして代替的に構成されてもよい。第2浄化システム344a’’は、動力接続652および/またはデータ接続654を備えてよい。
【0068】
熱源装置658が、第2浄化システム344a’’に備えられており、一般に、物品を殺菌またはその他の方法で浄化するのに十分な温度および量の熱を供給する。熱源装置658は、協働的に熱を生成する化学物質の混合物を含む熱源、電気ヒータ、ガスヒータ、スチーム滅菌器(オートクレーブなど)、および/または、同様のもの、を含むがこれらに限定されない任意の適切な熱源を備えてよい。熱源装置658は、さらに、熱が印加される時、熱を印加する期間、および/または、熱を印加する量を制御するために用いられてよいコントローラを備えてよい。一実施形態において、熱源装置658は、コンパートメントまたは空間の中で加熱空気の拡散を円滑にするよう構成されているファンを備えてよい。
【0069】
第2浄化システム344a’’は、オートクレーブとして構成されてよい。第2浄化システム344a’’がオートクレーブである場合、熱源装置658は、物品を殺菌または別の方法で物品を浄化するために、スチームを生成してスチーム滅菌を実行するよう構成されてよい。第2浄化システム344a’’がオートクレーブである場合、第2浄化システム344a’’内の温度は、スチーム滅菌を可能にする任意の適切な温度であってよい。例えば、温度は、華氏約250度(F)(121℃)以上であってよい。一実施形態において、温度は、約275度F(135℃)未満であってよい。スチーム滅菌などの殺菌処理の実行中に、第2浄化システム344a’’は、所定の期間にわたって適切な温度を維持するよう構成されてよいことを理解されたい。かかる所定の期間は、多様であってよく、第2浄化システム344a’’によって維持される温度、殺菌されている物品のタイプ、および/または、殺菌されている物品のサイズ、を含むがこれらに限定されない要因に依存しうる。
【0070】
一実施形態において、熱源装置658は、副産物として熱を生成する車両内の熱源であってもよい。例えば、車両上のシステム(冷蔵システムなど)が、冷却を提供する際に熱を生成しうる。かかる生成された熱は、第2浄化システム344a’’で用いられてよい。
【0071】
図6Cは、一実施形態に従って、第3物品浄化システム(例えば、
図3の物品浄化システム344a)を示すブロック図である。第2浄化システム344a’’が、車両のコンパートメント内に実質的に組み込まれていてよく、あるいは、コンパートメント内に着脱可能に配置されたインサートとして代替的に構成されてもよい。第3浄化システム344a’’’は、動力接続652および/またはデータ接続654を備えてよい。
【0072】
薬剤装置660が、第3浄化システム344a’’’に備えられており、薬剤リザーバ660aおよび薬剤分配機構660bを備える。薬剤リザーバ660aは、化学溶液(例えば、浄化流体または殺菌流体を形成する薬剤)を収容するよう構成されている。かかる化学溶液は、アルコール、除菌剤、石けん、塩化アンモニウム、および/または、過酸化水素を含みうるが、これらに限定されない。薬剤分配機構660bは、薬剤リザーバ660aの内容物が、物品を殺菌または浄化するために分散または他の方法で適用されることを可能にする任意の適切な機構であってよい。適切な機構は、ノズル装置、スプリンクラー装置、スプレー装置、および/または、ポンプ装置を含むが、これらに限定されない。一実施形態において、スプレー装置は、化学溶液からなるミストをスプレーするよう構成されていてよい。薬剤装置660は、さらに、薬剤分配機構660bが作動される時、薬剤分配機構660bをアクティブに維持する期間、および/または、分散させる薬剤の量を制御するために用いられてよいコントローラを備えてよい。
【0073】
薬剤装置660は、任意選択的な収集機構660cを備えてもよい。任意選択的な収集機構660cは、薬剤が分配された後に薬剤を収集するよう構成されていてよい。例えば、薬剤分配機構660bによって分散された薬剤が表面を殺菌または浄化するために表面に接触した後、薬剤は、任意選択的な収集機構660cによって収集されてよい。薬剤を収集することにより、薬剤は、車両のコンパートメント内に実質的に溜まりまたは別の方法で集積することを防止される。任意選択的な収集機構660cは、タンクまたはリザーバとして構成されてよい。あるいは、収集機構660cは、ドレーンを備えてもよい。かかるドレーンは、第3浄化システム344a’’’の外部にある(例えば、そのシステムの一部ではないが接続されている)リザーバへ薬剤を流すよう構成されていてよい。
【0074】
図7は、一実施形態に従って、車両浄化システム(例えば、
図3の車両浄化システム344b)を示すブロック図である。車両浄化システム344bは、動力接続752およびデータ接続754を備えてよい。説明されている実施形態において、車両浄化システム344bは、車両の表面を浄化するために用いられてよい流体を収容するよう構成されている流体リザーバ762aと、流体を分配するよう構成されている流体分配機構762bとを有する機械装置762を備える。機械装置762は、車両上(例えば、車両の外面上)の実質的にどこに配置されてもよい。機械装置762が、車両の少なくとも1つの外面上に配置されている場合、外面上に存在する汚染物質が、表面から除去されうる。流体リザーバ762aは、殺菌溶液、または、浄化のために用いられてよい任意のその他の溶液を収容してよい。流体分配機構762bは、殺菌溶液を流体リザーバ762aから取り出して殺菌溶液を分散させる機構を備えてよい。殺菌溶液を分散させることは、殺菌処理全体の一部として、車両の外装上に殺菌溶液をスプレーし、ワイパーまたはスクイージーを作動させることを含んでよいが、これに限定されない。一般に、機械装置762は、さらに、殺菌溶液の分配および流体分配機構762bの作動を制御するコントローラを備えてよい。
【0075】
機械装置762は、車両を浄化するために、流体または液体をスプレーすることに限定されない。流体リザーバ762aは、一実施形態において、空気を含んでいてもよく、その場合、流体分配機構762bは、車両を浄化するために車両の表面上に空気を吹き付けるファンまたはその他のエアブロワを備えてよいことを理解されたい。
【0076】
一実施形態において、流体分配機構762bによって分配された流体は、車両の表面が浄化された後に収集されてもよい。流体が蒸発せず、気化せず、および/または、車両の周囲の環境に分散されない場合、車両は、機械装置762の任意選択的な収集機構762cによって収集されてよい。任意選択的な収集機構762cは、殺菌処理または浄化処理の一部として、分配または分散された流体(殺菌溶液など)を収集して保持するよう構成されているチャネル、チューブ、ダクト、タンク、および/または、リザーバを備えてよいが、これらに限定されない。
【0077】
配達車両を浄化し、配達車両によって配達される物品を殺菌することで、顧客が物品に存在する汚染物質を心配する必要なしに、物品を顧客へ安全に配達することが可能になりうる。顧客をさらに安心させるために、配達車両は、顧客が、実質的に車両へ物理的に触れることなしに、配達車両のコンパートメントから物品を引き取ることができるように構成されてよい。すなわち、顧客と配達車両との間の物理的な接触が、実質的に最小化されうる。例えば、配達車両のコンパートメントのドアが、自動的に開いてもよいし、車両へ物理的に触れることなしに顧客が取る動作によって開くようトリガされてもよい。
【0078】
次に、
図8Aを参照しつつ、顧客が車両のコンパートメントにアクセスすることを可能にするためにフリート管理システムによって利用される非接触コンパートメントアクセス装置を備えた配達車両について、一実施形態に従って説明する。車両801は、自律車両であってよく、配達中の物品872が収容されうる少なくとも1つのコンパートメント802を備える。
【0079】
コンパートメント802は、非接触的にアクセスされるよう構成されている。すなわち、顧客は、車両801と物理的に接触する必要なしに、コンパートメント802にアクセスして物品872を引き取ることができる。非接触コンパートメントアクセス装置864は、車両801の一部であってよく、コンパートメント802を開かせる(例えば、コンパートメント802のドアをロック解除して開かせる)ために、フリート管理システム866と通信するよう構成されていてよい。フリート管理システム866は、一般に、配達を調整し、車両801などの車両のフリートによってなされる配達をサポートするよう構成されていてよい。フリート管理システム866は、一実施形態において、車両801が物品872の配達を完了させる準備ができていると判定してよく、コンパートメント802を開く命令を効果的に提供するために、非接触コンパートメントアクセス装置864と通信してよい。フリート管理システム866からの命令を受信すると、非接触コンパートメントアクセス装置864は、コンパートメントを開かせてよい(例えば、コンパートメント802のドアをロック解除して開かせてよい)。当業者によって理解されるように、車両801がフリート管理システム866と通信することを可能にするために、任意の適切なタイプの通信が用いられてよい。例えば、セルラー通信、Wi-Fi通信、Bluetooth通信、および/または、3G/4G/5G通信などの無線通信が用いられてよい。
【0080】
一実施形態において、顧客は、車両801へ物理的に触れることなしに、実質的に直接コンパートメント802を開かせてよい。
図8Bは、一実施形態に従って、非接触コンパートメントアクセス装置864が顧客および/またはフリート管理システム866によって利用されるよう構成されている配達車両801を示す図である。顧客868は、スマートフォン、携帯電話、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、または、デスクトップコンピュータなどの顧客デバイス870を有していてよく、デバイス870を用いて、コンパートメント802へのアクセスを提供するために、非接触コンパートメントアクセス装置864へ実質的に直接指示してよい。デバイス870は、車両801と、セルラー通信、Wi-Fi通信、Bluetooth通信、および/または、3G/4G/5Gで接続してよい。例えば、デバイス870は、コンパートメント802がアクセス可能になるようにするテキストを送信してもよいし、デバイス870は、顧客868がコンパートメント802の開放を効果的に制御することを可能にするアプリケーションまたはウェブインターフェースにアクセスするために用いられてもよい。いくつかの実施形態において、顧客868は、物品872またはより一般的にはコンパートメント802へのアクセスを許可される前に、自身のアイデンティティを証明するために、承認または認証処理を受けることを求められてもよいことを理解されたい。
【0081】
あるいは、デバイス870は、例えば、セルラー通信、Wi-Fi通信、Bluetooth通信、および/または、3G/4G/5G通信などの通信を用いて、フリート管理システム866と通信してもよい。フリート管理システム866は、デバイス870がフリート管理システム866と通信すると、コンパートメント802へのアクセスを提供するために、車両801と実質的に直接通信してよい。
【0082】
一実施形態において、非接触コンパートメントアクセス装置864は、顧客868の物理的な動作に基づいて、コンパートメント802へのアクセスを提供するよう構成されてもよい。非接触コンパートメントアクセス装置864は、顧客868がコンパートメント802へアクセスすることを可能にするよう構成されている少なくとも1つのセンサを備えてよい。適切なセンサは、モーションセンサ、カメラ、RFIDリーダ、および/または、マイクを含むが、これらに限定されない。モーションセンサは、顧客868がコンパートメント802をアクセス可能にするための動作を行っていることを感知してよく、例えば、顧客868は、モーションセンサに向かって手を振ってもよいし、モーションセンサの下で足を蹴ってもよい。顧客868のアイデンティティを確認し、顧客868が車両801の近くにいると判定された時に、コンパートメント802へのドアを開くために、カメラが用いられてよい。顧客868の所有するIDカードまたはバッジをスキャンし、IDカードまたはバッジの認証後にコンパートメント802へのアクセスを可能にするために、RFIDリーダが用いられてよい。また、顧客868が自身のスマートフォンを提示した時に、コンパートメント802へのドアを開くために、NFC技術が用いられてもよい。顧客868からの音声コマンド(音声パスワードなど)を拾うために、マイクが用いられてよい。コンパートメント802のドアを開かせるために、テキストまたはSMSメッセージが顧客868によって送信されてもよいし、オンライン顧客ポータルが顧客868によって用いられてもよい。
【0083】
一部の車両は、車両に関連する表面を殺菌または浄化するために2以上の殺菌処理または浄化処理を利用できてもよい。例えば、自律車両は、コンパートメントを除菌するために熱およびUV光の両方を利用するよう構成されてよい。さらに、かかる自律車両は、車両の表面を除菌するために化学殺菌剤をさらに利用するよう構成されてもよい。
図9を参照しつつ、2以上の殺菌処理および/または浄化処理を用いて車両を殺菌および/または浄化する方法について、一実施形態に従って説明する。少なくとも熱およびUV光を用いて殺菌または浄化されるよう構成されている車両を殺菌する方法905は、車両が殺菌および/または浄化の対象であることが決定される工程909で始まる。すなわち、車両が殺菌および/または浄化されるべきであることが特定される。かかる特定は、例えば、コンパートメントが汚染されていることを検知した時、または、配達の完了時に、車両によってなされてよく、もしくは、かかる特定は、車両の派遣に関与するフリート管理システムを通してなされてもよい。一実施形態において、顧客に物品を輸送するよう構成されているコンパートメントの殺菌を顧客が要求した時に、車両が殺菌および/または浄化の対象であると決定されてもよい。別の実施形態において、車両に積載された(例えば、車両のコンパートメントに入れられた)物品が殺菌および/または浄化される時に、車両が殺菌および/または浄化の対象であると決定されてもよい。
【0084】
車両が殺菌および/または浄化の対象であると決定されると、任意選択的な工程913で、車両が殺菌および/または浄化の可能な状態にあることが確認されてよい。車両が殺菌および/または浄化可能であることを確認する工程は、車両付近に人間または物体が存在するか否かを特定する工程、車両付近の誰かまたは何かに車両から離れるよう促す工程、車両コンパートメントのドアが実質的に閉位置にあることを確認する工程、車両が殺菌および/または浄化を実行するのに十分なリソースを有することを確認する工程、ならびに/もしくは、車両が安全に殺菌および/または浄化されうる物理的位置に存在することを確認する工程を含んでよいが、これらに限定されない。車両が殺菌および/または浄化可能であることを確認する工程は、一般に、例えば、コンパートメントドアを閉めることによって、ならびに、車両の近くに人間または物体が存在しないことを確認することによって、車両を実質的に殺菌および/または消毒できる状態にする工程を含んでよい。
【0085】
工程909からまたは任意選択的な工程913から、処理フローは、熱源が車両上のコンパートメントを殺菌するために作動される工程917へ進む。例えば、オートクレーブが、コンパートメント内の表面を殺菌するために熱を供給するよう作動されてよい。あるいは、車両上のHVAC(暖房、換気、および、空調)システムが、コンパートメント内の表面を殺菌するのに十分な熱をコンパートメント内に供給するために作動されてもよい。
【0086】
工程921において、工程917で開始された熱殺菌処理が完了する。熱殺菌処理が完了した後、任意選択的な工程925で、車両が殺菌および/または浄化を継続可能であることが確認される。例えば、任意選択的な工程925で、車両の近くに存在して、車両によって放射される任意のUV波の悪影響を受けうる人および/または物体が存在するか否かが判定されてよい。さらに、任意選択的な工程925で、車両は、コンパートメント内の温度がUV殺菌処理を実行するのに適切な温度範囲内にあること、および/または、熱殺菌処理中に生成された任意のスチームが実質的に浄化されたことを確認してよい。
【0087】
工程921からまたは任意選択的な工程925から、処理フローは、車両のコンパートメント内のUV源がコンパートメント内の表面を殺菌するために作動される工程929へ進む。工程929で開始されたUV殺菌処理は、工程933で完了する。1つの適切なUV殺菌処理について、
図14Aおよび
図14Bを参照しつつ、後に論じる。
【0088】
UV殺菌処理が完了すると、任意選択的な工程937で、外部浄化機構が、車両の少なくとも1つの外面を浄化するために実行されてよい。外部浄化機構を作動させる工程は、浄化流体を車両によって車両の外面上にスプレーさせる工程、車両に車両の外面へ熱を印加させる工程、および/または、車両に車両の外面へ空気を吹き付けまたは別の方法で向けさせる工程を含んでよいが、これらに限定されない。工程933におけるUV殺菌処理の完了時、または、任意選択的な工程937における外部浄化処理の完了時に、少なくとも熱およびUV光を用いて殺菌または浄化されるよう構成されている車両を殺菌する方法は完了する。
【0089】
車両が、2以上の浄化機構を備えるよう構成されている場合に、備えられている機構の1つが、殺菌および/または浄化のために薬剤または流体を利用してよい。例えば、ウイルスなどの汚染物質が、コンパートメント内で熱および/またはUV波を用いて不活性化された後に、(不活性ではあるが)汚染物質がコンパートメント内に存在しなくなるように、汚染物質を実質的に洗い流すことが望ましい場合がある。
図10は、一実施形態に従って、薬剤または流体が利用される2以上の殺菌および/または浄化処理を用いて車両を殺菌および/または浄化する方法を示す処理フローチャートである。薬剤および/または流体浄化方法を含む2以上の方法を用いて殺菌または浄化されるよう構成されている車両を殺菌する方法1005は、車両が殺菌および/または浄化の対象であることが決定される工程1009で始まる。
【0090】
車両が殺菌および/または浄化の対象であると決定されると、任意選択的な工程1013で、車両が殺菌および/または浄化の可能な状態にあることが確認されてよい。工程1009からまたは任意選択的な工程1013から、処理フローは、熱源および/またはUV源が車両上のコンパートメントを殺菌するために作動されうる工程1017へ進む。例えば、オートクレーブが、コンパートメント内の表面を殺菌するために熱を供給するよう作動されてよく、または、UV光が作動されてもよい。2以上の供給源が作動される場合、供給源は、実質的に順次に、または、実質的に並行して、作動されてよい。
【0091】
工程1021において、工程1017で開始された熱および/またはUV殺菌処理が完了する。熱および/またはUV殺菌処理が完了した後、任意選択的な工程1025で、車両が殺菌および/または浄化を継続可能であることが確認される。
【0092】
工程1021からまたは任意選択的な工程1025から、処理フローは、車両のコンパートメント内の薬剤分配システム(例えば、薬剤を利用する殺菌または浄化システム)がコンパートメント内の表面を殺菌するために作動される工程1029へ進む。薬剤分配システムは、熱および/またはUV波を用いて実質的に不活性化された汚染物質を効果的に洗い流すために薬剤を分配するよう構成されていてよい。薬剤は、アルコール、漂白剤、過酸化水素、塩化ベンザルコニウム、および/または、水などの殺菌溶液を含みうるが、これらに限定されない。薬剤は、流体、蒸気、および/または、固体(例えば、微粒子の形態)として分配または分散されてよいことを理解されたい。工程1029で開始された薬剤および/または流体殺菌処理は、工程1033で完了する。
【0093】
薬剤および/または流体殺菌処理が完了すると、任意選択的な工程1037で、外部浄化機構が、車両の少なくとも1つの外面を浄化するために実行されてよい。工程1033における薬剤および/または流体殺菌処理の完了時、または、任意選択的な工程1037における外部浄化処理の完了時に、薬剤および/または流体浄化方法を含む2以上の方法を用いて殺菌または浄化されるよう構成されている車両を殺菌する方法は完了する。
【0094】
車両に搭載されたコンパートメントの除菌、殺菌、および/または、浄化を容易にする様々なシステムが、コンパートメント内に配置されてよい。かかるシステムの構成要素は、コンパートメント内の内部空間が、除菌、殺菌、および/または、浄化されうるように、コンパートメントの壁に組み込まれまたは取り付けられてよい。さらに、構成要素は、コンパートメント内で運ばれる物品の除菌、殺菌、および/または、浄化を容易にしうる。
【0095】
いくつかの車両は、複数のタイプの除菌方法をサポートしうる内部空間を有してよい。例えば、車両は、UV除菌および熱除菌の両方をサポートするコンパートメントを有してよい。2以上のタイプの除菌がサポートされる場合、どのタイプの除菌を利用するかの選択は、除菌される物体のタイプ、除菌される物体の形状、除菌される物体のサイズ、除菌される物体の表面品質、望ましい除菌の量、車両の外部環境の周囲温度、除菌に関連するタイミング、および、除菌に関連する安全性、を含むがこれらに限定されない様々な異なる要因に基づいてよい。不規則形状の物体は、例えば、UV除菌に関連するUV光が、物体のしわ、くぼみなどを除菌できない場合があるので、熱除菌から恩恵を受けうる。一部の物体は、熱除菌に適しうるが、特定の食品など一部の物体は、熱除菌に適していない場合がある。
【0096】
車両の外部の周囲温度が比較的高い時、車両が過熱されうるため、熱除菌の利用は適切でない場合がある。あるいは、車両の外部の周囲温度が比較的低い時、除菌温度に到達するために、バッテリから比較的多量のエネルギを熱除菌のために消費しうることから、車両の走行距離に悪影響を与えうるので、熱除菌の利用は適切でない場合がある。例えば、車両が移動中である時に、或る除菌方法が利用のために選択されてよく、車両の過熱を実質的に防止するために、車両が実質的に静止している時に、別の殺菌方法が利用のために選択されてよい。
【0097】
一実施形態において、除菌処理が完了するのに適切な時間の長さが、どのタイプの除菌処理を実行するかを決定する際に考慮されてよい。滅菌温度に到達するのに適切な時間の長さ、または、UV光が比較的確実に物品を消毒するのに適切な時間長さが、実現不可能な場合がある(例えば、長すぎる)。したがって、除菌処理は、除菌が完了するのに掛かりうる時間の長さに少なくとも部分的に基づいて選択されてよい。
【0098】
除菌処理の選択時に安全性が考慮される場合、人間が浄化される領域にアクセスしうるシナリオが存在しうる。人間が領域にアクセスしうる場合、例えば、内部容積を露出するためにコンパートメントを容易に開くことができる場合、UV除菌は、人間への損傷の機会を減らすために実質的に回避されてよい。ただし、コンパートメントドアが開いたことが感知された時、または、コンパートメントドアの近くに人間が検出された時、UV源および/または熱源への動力を実質的に遮断することによって、人間への損傷の可能性を減らすための対策が取られてもよいことを理解されたい。
【0099】
図11Aは、一実施形態に従って、自律車両のコンパートメントを示す図である。車両のコンパートメント1102は、一般に、容積すなわち空間を効果的に規定する側面または壁1102a~fによって規定されてよい。コンパートメント1102は、説明の簡単のために、三次元の略長方形の物体として表現されている。
【0100】
コンパートメントの壁1102a~fは、前壁1102a、後壁1102b、上壁すなわち天井1102c、底壁すなわち底面1102d、第1側壁1102e、および、第2側壁1102fを含む。一実施形態において、前壁1102aは、コンパートメント1102の内部容積へのアクセスを可能にするために、開閉および/または解錠・施錠が可能であるドアであってよい。
【0101】
1または複数の壁1102a~fが、壁1102a~fと、壁1102a~fによって規定されている空間内の物品とを除菌、殺菌、および/または、浄化することを可能にする構成要素を支持してよい。例えば、UV源(UV電球および/またはUV発光ダイオード(LED)など)が、1または複数の壁1102a~f上に支持されてよい。
図11Bに示すように、後壁1176が、UV源1176を支持してよい。一実施形態において、UV源1176は、波が汚染物質に当たった時にウイルスなどの汚染物質を不活性化しうるUV波を放射するよう構成されていてよい。UV源1176は、専用バッター(例えば、実質的にUV源1176のみに給電するバッテリなど)によって給電されてよく、または、UV源1176は、コンパートメント1102を一部として含む車両の動力システムによって給電されてもよい。
【0102】
壁1102a~fは、UV源(UV源1176など)の利用を円滑にする反射面(例えば、鏡面または箔面)を備えてよい。UV源1176によって放射された波は、反射面に当たって反射し、それにより、波が基本的にさらなる空間に広がることを可能にしうる。前壁1102aは、
図11Cに示すように、反射面1178を備える。反射面1178は、図に示すように、コンパートメント1102の内側を向いた前壁1102aの面に配置され、UV源1176によって放射されるUV波を反射するよう構成されている。
【0103】
図11Dは、一実施形態に従って、壁1102a、1102bを示す側断面図である。UV源1176が作動されると、ビーム1180aが、UV源1176によって、放射または他の方法で生成されてよい。ビーム1180aは、コンパートメント1108内の空間を横切り、反射ビーム1180bとして反射面1178から反射してよく、反射ビーム1180bは、壁1102bに向かって方向付けられてよい。一実施形態において、壁1102bも、反射面(図示せず)を備えてよい。ビーム1180aおよび反射ビーム1180bがコンパートメント1102内を通過する時、ビーム1180aおよびビーム1180bは、ウイルスなどの汚染物質を不活性化させることによって、コンパートメント1102を効果的に除菌、殺菌、および/または、浄化しうる。UV源1176は、一般に、複数のビームを放射してよく、ビームの波長は様々であってよいことを理解されたい。一実施形態において、反射面1178は、ビーム1180aが壁1102aを通過するのを妨害または別の方法で防止しうるシールドであってよい。例えば、反射面1178は、アルミニウムから形成されてよく、壁1102aを通してのUVの漏れを低減しつつ、コンパートメント1102内の波またはビームを反射しうる。
【0104】
コンパートメント1102は、コンパートメント1102内に分配または分散されうる材料を用いて、除菌、殺菌、および/または、浄化されるよう構成されていてよい。かかる材料は、浄化溶液であってよい。一実施形態において、材料のディスペンサが、コンパートメント1102全体への材料の分配を容易にするために、天井1102cに支持されていてよい。
図11Eは、一実施形態に従って、浄化物質を分配するよう構成されているディスペンサを支持する天井1102cを示す図である。ディスペンサ1187は、浄化物質を保持するリザーバ(図示せず)に接続されていてよく、コンパートメント1102の内部容積に面する天井1102cの表面上に支持されていてよい。ディスペンサ1187は、作動されると、浄化物質をコンパートメント1102内に分配させうる。ディスペンサ1187は、少なくとも1つのノズル(例えば、スプリンクラーノズル、ミスターノズル、および/または、ホースノズルなど)を備えてよいディスペンサ1187は、滴下分配システム、および/または、例えば、浄化物質が気体、スチーム、および/または、蒸気である場合などに、気体分配システム、を備えるよう構成されてもよい。
【0105】
前述したように、壁1102a~fの表面は、コンパートメント1102の除菌、殺菌、および/または、浄化を容易にする材料で被覆されていてよい。材料が付着または他の方法で施されてよい壁1102a~fの表面は、一般に、汚染されうる表面(例えば、コンパートメント1102内の空間を実質的に規定する壁1102a~fの表面)である。1または複数の壁1102a~fが、鏡面などの反射面を有してよい。その他の材料が、反射材料に加えてまたはその代わりに、壁1102a~fに塗布されてもよいことを理解されたい。例えば、滅菌膜が、1または複数の壁1102a~fに塗布されてよい。
図11Fは、一実施形態に従って、抗菌膜などの滅菌膜を備えた底壁1102dを示す図である。滅菌膜1182が、底面1102dの内側、すなわち、実質的にコンパートメント1102の内側にある底面1102dの側に塗布または他の方法で結合されていてよい。底面1102dは、一般に、コンパートメント1102に入れて輸送される物品が置かれる面であってよい。滅菌膜1182は、細菌などの汚染物質が活性を持ちまたは生存し続けることを実質的に防止しうる。一実施形態において、滅菌膜1182は、銅および/または銀を含むがこれらに限定されない材料から形成されてよい。滅菌膜1182は、銅注入材料および/または銀注入材料を用いて抗菌パッドとして形成されてよい。滅菌膜1182は、一般に、シート状またはロール状の膜として形成されてよいが、滅菌膜1182は、シート状またはロール状の膜として形成されることに限定されず、例えば、滅菌膜1182は、膜上に溶射されてもよいことを理解されたい。一実施形態において、滅菌膜1182は、底面1102dに効果的に含浸されてもよいし、底壁1102dと一体的に形成されてもよい。
【0106】
図11A~Fのコンパートメント1102などのコンパートメントに、コンパートメント1102を除菌、殺菌、および/または、浄化することを可能にするシステムが提供されてよいが、一部のコンパートメントは、コンパートメントインサートの利用をサポートしてもよい。コンパートメントインサートは、コンパートメントの構成を可能にするモジュールであってよい。
図12は、一実施形態に従って、コンパートメントインサートを収容するよう構成されているコンパートメントを備えた車両を示す図である。車両1201は、自律配達車両であってよく、コンパートメント1202を備える。各コンパートメント1202は、コンパートメントインサート1284を収容しうる。コンパートメントインサート1284は、多様であってよく、冷却および加熱を含むがこれらに限定されない機能を提供しうる。コンパートメントインサート1284を利用することで、車両を特定の目的に向けて効果的に構成することが可能になる。
【0107】
コンパートメントインサート1284は、一実施形態において、除菌、殺菌、および/または、浄化の機能を提供するよう構成されていてよい。すなわち、コンパートメントインサート1284は、それらの内部および/またはコンパートメントインサート1284内に入れて運ばれる物品を除菌、殺菌、および/または、浄化するよう構成されていてよい。除菌、殺菌、および/または、浄化の機能を提供するためにコンパートメントインサート1284を利用することで、必要に応じて、かかる機能を車両1201から効果的に取り除き、車両1201に追加することが可能になる。換言すると、コンパートメントインサート1284は、一般に、車両1201を構成可能にすることができる。
【0108】
図13Aは、一実施形態に従って、コンパートメントインサート(例えば、
図12のコンパートメントインサート1284)を示す図である。コンパートメントインサート1284は、壁1284a~fを備える。コンパートメントインサートの壁1284a~fは、前壁1284a、後壁1284b、上壁すなわち天井1284c、底壁すなわち底面1284d、第1側壁1284e、および、第2側壁1284fを含む。前壁1284aは、コンパートメントインサート1284の内部容積へのアクセスを可能にするために、開閉および/または解錠・施錠が可能であるドアまたはカバーであってよい。
【0109】
図11A~Fに関して上述した壁と同様に、1または複数の壁1284a~fが、壁1284a~fと、壁1284a~fによって規定されている空間内の物品とを除菌、殺菌、および/または、浄化することを可能にする構成要素を支持してよい。すなわち、壁1284a~fは、UV殺菌および浄化溶液を提供するよう構成されている構成要素を備えてよいが、これらに限定されない。一実施形態において、壁1284a~fは、コンパートメントインサート1284内に熱を供給するよう構成されている熱源を支持するよう構成されてよい。
【0110】
コンパートメントインサート1284は、コンパートメントインサート1284が挿入されるコンパートメントを介して車両と相互作用するよう構成されていてよい(例えば、
図12の車両1201およびコンパートメント1202)。例えば、コンパートメントインサート1284は、除菌、殺菌、および/または、浄化システムの作動を可能にするための動力を引き出すために、車両と相互作用するよう構成されてよい。
【0111】
一実施形態において、コンパートメントインサート1284は、車両と通信するよう構成されている。すなわち、コンパートメントインサート1284は、「スマート」コンパートメントインサートであってよい。コンパートメントインサート1284と、コンパートメント(
図12のコンパートメント1202など)との間のインターフェースは、機械的インターフェース、動力インターフェース、および/または、通信インターフェースであってよい。
図13Bは、一実施形態に従って、動力インターフェース、通信インターフェース、および、機械的インターフェースを備えた側壁1284fを示す図である。側壁1284fは、車両から動力を引き出すよう構成されている動力コネクタ1386aを備えてよい。かかる動力は、電力すなわちバッテリ電力であってよい。コンパートメントインサート1284が専用バッテリを備える場合、動力コネクタ1286aは任意選択的であってよいことを理解されたい。側壁1284fは、さらに、通信インターフェース1386bを備える。通信インターフェース1386bは、有線通信および/または無線通信をサポートするよう構成されていてよい。例えば、通信インターフェース1386bは、車両上の通信バスへ実質的に接続するよう構成されてよく、もしくは、通信インターフェース1386bは、Bluetooth通信、Wi-Fi通信、LTE通信、および/または、無線3G/4G/5G通信などの通信に従事するよう構成されてもよい。側壁1284fは、さらに、コンパートメントインサート1284がコンパートメント(
図12Bのコンパートメント1202など)へ機械的に結合されることを可能にするよう構成されている機械的インターフェース1386cを備える。
【0112】
一実施形態において、コンパートメントインサート1284の領域は、「高頻度接触」領域、すなわち、人が触れまたは他の方法で物理的に接触する可能性が比較的高くなりうる領域、であると考えられうる。例えば、コンパートメントインサート壁1284aがドアである場合、コンパートメントインサート壁1284aは、コンパートメントインサート1284に物品を置きまたはコンパートメントインサート1284から物品を取り出す人が触れうるドアハンドルを備えうる。
図133に示すように、ドア開口インターフェース1388(例えば、ドアハンドル)が、前部コンパートメントインサート壁1284aの一部として備えられてよい。ドア開口インターフェース1388は、前部コンパートメントインサート壁1284aに結合された機構であってもよいし、前部コンパートメントインサート壁1284aに一体化された部分であってもよい。比較的高頻度の接触領域(ドア開口インターフェース1388など)に対しては、ドア開口インターフェース1388に触れる可能性のある人のために汚染物質からの保護を実質的に高めるために、滅菌材料または滅菌膜1382が塗布されてよい。
【0113】
上述のように、UV除菌または殺菌処理は、1または複数のUV源またはUV光源を利用してよい。かかるUV源は、車両のコンパートメント内に配置されてもよいし、車両のコンパートメントに配置されうるコンパートメントインサート内に配置されてもよい。
図14Aおよび
図14Bは、一実施形態に従って、UV除菌を用いて、車両のコンパートメント、または、車両のコンパートメント内のコンパートメントインサートを除菌する方法を示す処理フローチャートである。コンパートメントまたはコンパートメントインサートにUV除菌を提供する方法1405は、車両が除菌(すなわち、UV除菌を用いた除菌処理)の対象として識別される工程1409で始まる。かかる車両を識別する工程は、小売業者または販売者がUV除菌を要求したと判定する工程、顧客がUV除菌を要求したと判定する工程、コンパートメントまたはコンパートメントインサート内の汚染レベルまたは病原体レベルが少なくともUV除菌を実行する閾値にあると判定する工程、スケジュールが車両にUV除菌を施す予定であることを示していると判定する工程、ならびに/もしくは、各配達の前または後に車両がUV除菌を受けることを決定する工程、を含むが、これらに限定されない。
【0114】
車両が、UV除菌処理の対象として識別されると、工程1413で、コンパートメントドア(例えば、コンパートメント上のドアおよび/またはコンパートメントインサート上のドア)が閉じられまたは他の方法で固定されていることが効果的に確認される。UV波は人間に悪影響を与えうるので、コンパートメントドアが閉じられていることを確認する工程は、車両の近くの任意の人間が影響を受ける可能性を低減する。一実施形態において、コンパートメントドアは、UV除菌処理が行われている時、車両の近くに存在しうる人間にさらなる保護を提供するために遮蔽されてよい。
【0115】
工程1413から、処理フローは、コンパートメントまたはコンパートメントインサート内の条件がUV除菌の実行に適切であることが実質的に確認される工程1417に進む。一実施形態において、コンパートメントまたはコンパートメントインサートは、コンパートメント内にスチームまたは結露がある場合に、UV除菌の条件にないと判定されてよい。コンパートメントまたはコンパートメントインサートがUV除菌の条件にないことが確認された場合、基本的にコンパートメントまたはコンパートメントインサートをUV除菌の条件にするための軽減対策が取られてよいことを理解されたい。例えば、コンパートメントにスチームまたは結露がある場合、スチームまたは結露は、UV除菌を実行するための条件にするためにコンパートメントから除去されてよい。
【0116】
任意選択的な工程1421で、車両の周囲の条件がUV除菌に適切であることが確認されてよい。車両の周囲の条件がUV消毒に適切であることを確認する工程は、一般に、車両から特定の範囲内に人間がいないことを確認する工程、および/または、車両の近くにUV除菌処理に悪影響を及ぼしうる物体がないことを確認する工程、を含むが、これらに限定されない。車両は、車両から特定の範囲内に人間を検出した場合、UV除菌に適切な条件を確実にするために、人間によって取得されうるメッセージを放送してよく、および/または、人間が特定の範囲から出て行くのを待ってよい。
【0117】
工程1417からまたは任意選択的な工程1421から、処理フローは、UV除菌のためのパラメータが特定および設定される工程1425に進む。UV除菌のためのパラメータは、車両に関連するデフォルトパラメータであってよい。あるいは、パラメータは、販売者および/または顧客によって設定または他の方法で指定されてもよい。一実施形態において、パラメータは、コンパートメントまたはコンパートメントインサート内で測定された汚染物質レベル(例えば、病原体レベル)に基づいて設定されてよい。パラメータは、作動させるUV源の数、作動させるUV源の位置、UV除菌処理の持続時間すなわち時間の長さ、所望の除菌レベルまたは浄化レベル、ならびに/もしくは、UV源の所望の強度または波長、を含んでよいが、これらに限定されない。所望の除菌レベルまたは浄化レベルは、コンパートメント内で検出される特定の汚染物質の量または割合であってよい。所望の除菌レベルは、病原体の増殖率を含むがこれに限定されない要因に基づいて異なってよい。所望の除菌レベルは、病原体の指数関数的な増殖率が特定の時間内に特定の閾値に達することを実質的に防止しうる検出病原体の割合(例えば、約0.1%未満)として指定されてよく、例えば、病原体が約2時間以内に1立方メートル当たり約25%未満を占めうる。一実施形態において、パラメータは、車両との通信に利用されうるスマートフォンアプリケーションまたはオンラインアプリケーションを用いて、販売者または顧客から取得されてよい。
【0118】
工程1425でパラメータが特定および設定された後、少なくとも1つのUV源が、コンパートメントまたはコンパートメントインサートを除菌するために作動される。少なくとも1つのUV源を作動させる工程は、一般に、工程1425で特定および設定されたパラメータに基づいて少なくとも1つのUV源を作動させることを含む。UV源は、例えば、短波長UVランプまたはUV LED(例えば、UVC LED)のようなUV光源など、任意の適切なUV源であってよい。かかるUV源は、約200nm~約500nm(例えば、約222nm~約254nm)の範囲のUV波を放射してよい。
【0119】
工程1433で、UV除菌が、少なくとも1つの作動されたUV源を用いて実行される。UV除菌が実行されている時、その処理は監視されてよい。処理を監視する工程は、コンパートメントまたはコンパートメントインサート内の条件を監視するためにセンサ読み取り値を取得する工程、UV波が生成されているか否かを判定する工程、および/または、UV除菌処理が妨害されたか否かを判定する工程、を含んでよいが、これらに限定されない。
【0120】
UV除菌が完了したか否かの判定が工程1437でなされる。すなわち、UV除菌の結果としてコンパートメントまたはコンパートメントインサートが除菌されたか否かが判定される。一実施形態において、かかる判定は、例えば、電力の喪失またはコンパートメントドアの開放などによって、UV除菌が途中で終了したか否かを判定することを含んでよい。
【0121】
UV除菌が完了していないと工程1437で判定された場合、処理フローは、UV除菌が継続する工程1433に戻る。あるいは、UV除菌が完了したと工程1437で判定された場合、工程1441で、少なくとも1つのUV源が停止される。少なくとも1つのUV源が停止されると、UV除菌完了の通知が、工程1445で任意選択的に提供されてよい。すなわち、任意選択的な工程1445で、車両は、フリート管理システム、販売者、および/または、顧客に、UV除菌が完了したことを通知してよい。すべての作動中のUV源を停止させ、任意選択的にUV除菌完了を通知すると、コンパートメントまたはコンパートメントインサートにUV除菌を提供する方法は完了する。
【0122】
コンパートメントまたはコンパートメントインサートの中に、もしくは、より一般的には、UV除菌処理を受ける車両上の空間の中に、1または複数のUV源が、様々な構成で取り付けられてよい。例えば、1または複数のUV源は、コンパートメントの各壁に取り付けられてよい。UV源の構成または向きは、コンパートメント内の対象となる特定の位置への照射を最適化するように選択されてよい。UV源は、機械構成要素、接着剤、および/または、磁石を用いて取り付けられてよい。UV源への電力は、1または複数の専用バッテリによって、もしくは、車両上の一般的な電源から、供給されてよい。
【0123】
一実施形態において、コンパートメントは、およそ5個のUV源を備えてよく、各UV源は、コンパートメントへのドアを備えた壁を除いて、コンパートメントの内壁に取り付けられる。5個のUV源は、各々がUV LEDのアレイであってもよいし、5個のUV電球であってもよい。UVビームがコンパートメント内で比較的均一に分配されうるように、さらなるUV源が、コンパートメントの内壁に(例えば、コンパートメントの端に)取り付けられてもよいことを理解されたい。一般に、コンパートメント内に取り付けられるUV源の数は、コンパートメントの幾何形状に応じて異なってよい。すなわち、UV源の数は、5個に限定されず、5個より少ないまたは多いUV源を備えてもよい。
【0124】
一般に、UV源の数、および、UV源の取り付けに関連する幾何形状は、UV源が全体として、除菌される実質的にすべての表面への見通し線または反射見通し線を有することを実質的に保証するように選択されてよい。一実施形態において、コンパートメントが開かれた時に、コンパートメント内の顧客の商品への実質的にクリアな見通しを顧客に提供するために、UV源は、コンパートメントの上部内面上およびドア内面上に配置されてよい。
【0125】
図15は、一実施形態に従って、車両のコンパートメント内でUV除菌を提供するよう構成されている車両を示すブロック図である。車両1501は、自律配達車両または自律乗用車であってよく、コンパートメント1502を備える。車両1501は、さらに、動力システム1540、通信システム1542、および、センサシステム1524など、
図3に示したようなシステムを備える。動力システム1540、通信システム1542、および、センサシステム1524は、コンパートメント1502、ならびに/もしくは、コンパートメント1502内の構成要素またはコンパートメント1502と他の方法で関連している構成要素、に接続されていてよい。一般に、車両1501は、シャシまたはフレーム1506を備えており、コンパートメント1502、動力システム1540、通信システム1542、および、センサシステム1524は、シャシ1506上に搭載または支持されていてよい。
【0126】
コンパートメント1502は、前壁またはドア1502aと、およそ5個のさらなる壁1502b~fと、を備える。一般に、コンパートメント1502内の保管空間すなわち容積は、実質的に、ドア1502aおよび壁1502b~fによって規定されている。ドア1502aおよび壁1502b~fの内の1または複数が、反射面を備えてよい。
【0127】
ドア1502aは、ドア1502aが開位置にあるのかまたは閉位置にあるのかを判定するよう構成されていてよいドアセンサ1590を備えてよい。ドア1502aが開位置にある時、UV除菌は開始されえないことを理解されたい。UV除菌は、ドア1502aが閉位置にあるとドアセンサ1590が検出した時に行われうる。ドアセンサ1590は、センサシステム1524の一部として備えられてもよいし、UV除菌システムの一部であってもよい。一実施形態において、ドア1502aは、任意選択的なシールド1598を備える。
【0128】
1または複数のUV源1576が、壁1502b~fに結合され、または、壁1502b~fと一体化されている。一実施形態において、各壁1502b~fは、その上に少なくとも1つのUV源1576が取り付けられていてよい。UV源1576は、UV LED、UV LEDのアレイ、および/または、UV電球を含みうるが、これらに限定されない。UV源1576によって生成されたUV波は、ドア1502aおよび壁1502b~f(例えば、ドア1502aおよび壁1502b~fの反射面)で反射してよい。任意選択的なシールド1598は、UV波がドア1502aを通過するのを実質的に防止しうる。
【0129】
UV源1576は、UV源1576を損傷から保護するカバー1594(例えば、保護カバー)を有してよい。例えば、カバー1594は、薬剤、液体、熱、湿気、スチーム、および/または、結露から、UV源を保護するために、UV源1576を覆ってまたはその上に配置されてよい。一般に、カバー1594は、UV波(UV光波など)が通過しうる材料から形成されてよい。コンパートメント1502が熱を用いて殺菌または浄化されるよう構成されている場合、カバー1594は、熱から生じるスチームまたは結露からUV源1576を保護してよい。
【0130】
コンパートメント1502は、コンパートメント1502内の条件を検出しうる検出器装置1592を備える。例えば、検出器装置1592は、コンパートメント1502内の病原体レベルを検出するよう構成されている病原体検出センサを備えてよい。病原体検出センサは、例えば、UV除菌の開始時、UV除菌中、および、UV除菌後など、実質的に任意の時に、コンパートメント1502内の病原体レベルを測定してよい。検出器配置1592は、さらに、水分レベルセンサ、温度計、湿度センサ、重量センサ、マイク、および/または、カメラを備えてもよいが、これらに限定されない。
【0131】
検出器装置1592は、UV除菌に用いるパラメータを決定する際にロジック装置1592によって利用されうる情報を提供するために、ロジック装置1596と通信するよう構成されている。例えば、病原体検出センサがコンパートメント1502内で特定の病原体レベルを検出した場合に、ロジック装置1596は、病原体レベルを許容レベルまで低下させるのに適切でありうるUV除菌の持続時間を決定してよい。ロジック装置1596は、車両1501に搭載されているように図示されているが、ロジック装置1596は、一部のロジックが車両1501に搭載される一方で、他のロジックが、例えば、外部サーバ上にホストされるなど、実質的にリモートにあるように、分散されてもよいことを理解されたい。ロジック装置1596は、ハードウェアロジックおよび/またはソフトウェアロジックを備えてよく、さらに、ドアセンサ1590からのデータを用いて、UV除菌を開始する時およびUV除菌を終了する時を決定してよい。例えば、ドア1502aが閉じられているとドアセンサ1590によって検出された時、ロジック装置1596は、UV除菌を開始してよい。一方、ドア1502aがUV除菌の実行時に開いたと検出された時、ロジック装置1596は、UV除菌を終了してよい。
【0132】
一般に、ロジック装置1596は、UV除菌に関してセンサシステム1524によって提供された情報またはデータを利用してよい。例えば、センサシステム1524に含まれているカメラは、ロジック装置1596が、車両1501の近くに人間が存在するか否かを判定し、UV除菌を開始する前に、車両1501から離れるよう任意の近くの人間への警告を行わせることを可能にするデータを提供しうる。ロジック装置1596は、通信システム1542を利用して、車両の近くの人間と通信してよい。
【0133】
UV源1576は、専用電源(例えば、バッテリ)を備えてよいが、UV源1576は、その代わりに、動力システム1540から動力(例えば、電力)を引き出してもよい。ロジック装置1596、検出器装置1592、および、ドアセンサ1590は、動力システム1540から動力を取得してよいことを理解されたい。
【0134】
一実施形態において、ドア1502a、壁1520b~f、検出器装置1592、および、ロジック装置1596は、コンパートメント1502内で運ばれるコンパートメントインサートの一部であってもよい。したがって、UV除菌は、コンパートメント1502内に配置されたコンパートメントインサートによって提供されてもよい。
【0135】
いくつかの実施形態のみが本開示に記載されているが、本開示は、本開示の精神または範囲から逸脱することなしに多くのその他の具体的な形態で実施されうることを理解されたい。例えば、
図4に関して上述したように、自律車両のコンパートメント内に配置される物品は、配達前、配達途中、および/または、配達時に、殺菌、除菌、滅菌、清浄化、および/または、別の方法で浄化されてよい。物品を配達する文脈で、物品を殺菌、除菌、滅菌、清浄化、および/または、別の方法で浄化する代わりに、自律車両は、物品を配達せずに物品を除染するために用いられてもよい。すなわち、自律車両のコンパートメントは、実質的にオンデマンドでオートクレーブまたは滅菌用のコンパートメントとして機能しうる。一実施形態において、顧客は、純粋に、自律車両の滅菌コンパートメントを利用して顧客の所有物を滅菌することを可能にするために、顧客の場所に自律車両を呼び出してもよい。
【0136】
表面の除菌および殺菌の観点で記載されている方法は、一般に、表面の浄化に関連してもよいことを理解されたい。すなわち、除菌および殺菌は、浄化を意味してもよく、一方、浄化は、本開示の範囲の精神から逸脱することなしに除菌および殺菌を意味してもよい。さらに、表面の除菌、殺菌、および/または、浄化は、一般に、表面の浄化、洗浄、清浄化、除染、燻蒸消毒、汚染除去、および/または、滅菌を意味してもよい。
【0137】
コンパートメント内に配置された物品の殺菌、除菌、滅菌、および/または、浄化を実行できるコンパートメントを備えた車両が、コンパートメントの機能のために用いられてもよい。例えば、車両は、医療ツールなどの物品を殺菌できるように、野戦病院で、または、医療処置が実行される遠隔の場所(例えば、野外)で、用いられてよい。同様に、医学的検査を実施および/または実行しうる構成要素を運ぶ車両が、野戦病院で、または、医療処置が実行される遠隔の場所で、利用されてよい。
【0138】
上述した方法およびシステムは、一般に、屋内退避命令またはステイホーム命令の文脈で説明されているが、方法およびシステムは、パンデミックのような危機の間に利用されることに限定されないことを理解されたい。例えば、パンデミックが起きていない時でも、顧客は、自身の配達品が殺菌または他の方法で浄化されることを要求できてよい。
【0139】
自律車両によって配達(または、より一般的には、輸送)される物品を殺菌または他の方法で浄化する能力は、物品が(例えば、COVID-19などのウイルスで)汚染されている可能性が比較的高い場合に利用されることに限定されない。換言すると、配達または輸送される物品は、物品が殺菌または浄化の機能を持つ自律車両に積載されている時にはいつでも、殺菌または他の方法で浄化されることが可能である。顧客が、注文した物品の殺菌または浄化を要求してよく、もしくは、殺菌または浄化は、顧客が物品を注文し、物品が自律配達車両のコンパートメント内に配置されると、実質的に自動でなされてもよい。
【0140】
自律車両は、一実施形態において、屋内退避またはステイホームまたは抑制が実施されている時に監視または見張り用の車両として用いられてもよい。例えば、自律車両は、居住者が家にいることを示す高温のエリアが家の中に存在するか否かを判定するために家などの場所をスキャンする際に用いられてよいオンボード熱センサを有してよい。かかる熱センサは、熱センサの近くの任意の人物が熱を出しているか否かを判定する診断ツールとして用いられてもよい。一実施形態において、車両が自律的に動作することを可能にするために用いられるセンサは、公衆衛生を監視する目的など監視目的で利用されてもよい。
【0141】
いくつかの例において、自律車両にさらなる電力容量を提供することが必要になりうる。例えば、
図3の除菌/浄化システム344に給電するために、専用電源を提供することが望ましい場合がある。さらなる電力は、自律車両のコンパートメント内に配置されたバッテリパックなどの電源によって提供されてよい。
【0142】
図3の除菌/浄化システム344が熱源を備える場合、熱源を用いてすべての物品を浄化することが可能ではない場合がある。一部の物品は、例えば、熱の印加を含む浄化処理に適していない場合がある。熱の印加に耐えるのに適していない物品は、その他の浄化機構を利用する車両を用いて配達されてよい。ただし、熱を用いて物品を浄化が不可能であり、その他の浄化機構を持つ車両が利用可能でない場合、物品が浄化されていないことを物品の配達先に警告してよいことを理解されたい。
【0143】
顧客が非接触で配達車両のコンパートメントにアクセスすることについて、車両管理システムとの通信によって一部の例で実現されると記載されている。一実施形態において、配達車両が遠隔操作によって制御されている場合に、リモートオペレータは、本開示の精神または範囲から逸脱することなく、顧客が配達物を受け取る準備ができていることを確認した時に車両のコンパートメントのドアを開けてよい。
【0144】
自律車両は、その周囲環境、もしくは、自律車両の近くに位置する人または物体に、殺菌剤などの物質を実質的にスプレーまたはシャワーすることを可能にするよう構成されてもよい。すなわち、ノズルまたはスプリンクラーシステムが、殺菌剤またはその他の流体(水または防虫剤など)を供給するために、自律車両に設置されてよい。例えば、人が病原体で覆われないようにするために、殺菌剤がその人に噴霧されてよい。自律車両から周囲環境へ流体を供給できる能力は、消臭剤、香水、および、コロンなど、他の流体の供給に拡張されてもよい。流体の分配を容易にするために、
図7を参照して上述したシステム344bと同様のシステムが用いられてよい。例えば、
図7のシステム344bは、基本的に、流体分配機構が、車両ではなく、車両の近くの人または物体に実質的にスプレーするように変形されてよい。
【0145】
上述したように、車両の殺菌コンパートメントは、殺菌機能を提供するためにオートクレーブとして用いられてもよい。かかる殺菌機能は、例えば、使用済みの医療用マスクを安全に再利用するためにマスクを殺菌するよう構成されてよい。
【0146】
一実施形態において、殺菌または浄化が行われた後、病原体検出センサは、病原体レベルが高すぎるままである(例えば、約0.1%超である)と判定する場合がある。UV除菌処理などの殺菌処理が完了した後に病原体レベルが閾値を超えている場合、殺菌処理は、許容できる病原体レベルに達するまで効果的に繰り返されてよい。あるいは、或るタイプの殺菌または浄化処理が完了した後に病原体レベルが閾値レベルを超えたままである場合、別の殺菌または浄化処理が開始されてもよい。
【0147】
滅菌材料または滅菌膜は、車両の高頻度接触領域(例えば、コンパートメントのハンドルまたはコンパートメントインサートのハンドルなど)に塗布されると上述されている。抗菌材料などの滅菌材料は、車両の高頻度接触領域、もしくは、コンパートメントまたはコンパートメントインサートに関連する表面、に塗布されることに限定されない。例えば、滅菌材料または滅菌膜は、車両の外面に塗布されてもよい。
【0148】
除菌処理は、車両が、例えば、販売者から購入者へ、または、小売業者から顧客へ、移動している時に実行されてよい。車両が目的地に向かっている間に除菌処理が実行される場合、車両が目的地に到着した時に完了するタイミングで除菌処理が実行されてよい。あるいは、除菌処理は、物品を配達している車両が意図された目的地に到着した時に、物品が除菌され、車両から取り出される状態になるように、実質的にタイミングを取られてもよい。例えば、物品が熱を利用して除菌される場合、車両が意図された目的地に到着した時に物品が周囲温度に達するように完了するタイミングで熱除菌処理が実行されてよい。一実施形態において、車両が走行している間に車両の空のコンパートメントを除菌するために除菌処理が実行される場合、除菌処理は、車両が意図された目的地に到着した時に、コンパートメントが、周囲温度になり、ならびに/もしくは、スチーム、結露、および/または、除菌剤の適用によって湿っていないように、タイミングを設定されてよい。
【0149】
一般に、車両は、コンパートメントを除菌するよう構成されている2以上の除菌システムを実質的に装備されてよいが、一部の車両は、単一の除菌システムを備えてもよい。車両が単一の除菌システムを備える場合、その除菌システムは、除菌システムが効果的な除菌を提供する状況またはシナリオの割合に基づいて選択されてよい。選択された除菌システムが所望よりも効果が低い可能性がある状況に実質的に対処するために、複数の作動方法が実装されてよいことを理解されたい。
【0150】
コンパートメントが形成される材料(例えば、コンパートメントドアが形成される材料)は、抗菌性を有するよう構成されてよい。同様に、コンパートメントインサートが形成される材料も、抗菌性であってよい。例えば、コンパートメントドアおよび/またはコンパートメントインサートは、銅および/または銀を含む材料から形成されてよい。
【0151】
自律車両は、一般に、陸上車両、すなわち、陸上で推進または輸送されるよう構成されている車両、として記載されている。いくつかの実施形態において、自律車両は、本開示の精神または範囲から逸脱することなしに、水上走行、ホバー走行、および/または、空中飛行用に構成されてもよいことを理解されたい。さらに、自律車両が一般に配達車両として記載されているが、上述の方法は、乗客を輸送するよう構成されている自律車両または実質的に任意のその他の車両に適用されてもよい。
【0152】
実施形態は、実行された時に上述の様々な方法および処理を実行するよう動作可能である有形すなわち持続性の媒体の中に具現化されたハードウェア、ファームウェア、および/または、ソフトウェアロジックとして実施されてよい。すなわち、ロジックは、物理的な装置、モジュール、または、構成要素として具現化されてよい。例えば、
図3に関して上述した自律車両のシステムは、有形の媒体上に具現化されたハードウェア、ファームウェア、および/または、ソフトウェアを含んでよい。有形の媒体は、実施形態に関連する方法および機能を実行するために、例えばプロセッサまたはコンピュータシステム全体によって、実行されてよいロジックまたはコンピュータプログラムコードを格納できる実質的に任意のコンピュータ読み取り可能媒体であってよい。かかるコンピュータ読み取り可能媒体は、物理的なストレージおよび/またはメモリデバイスを含みうるが、これらに限定されない。実行可能なロジックは、コードデバイス、コンピュータプログラムコード、および/または、実行可能なコンピュータコマンドまたは命令を含みうるが、これらに限定されない。
【0153】
コンピュータ読み取り可能媒体またはマシン読み取り可能媒体は、一時的な実施形態および/または非一時的な施形態(例えば、信号、または、搬送波内に具現化された信号)を含みうることを理解されたい。すなわち、コンピュータ読み取り可能媒体は、非一時的な有形の媒体および一時的な伝搬信号に関連していてよい。
【0154】
本開示の方法に関連する工程は、非常に多様でありうる。工程は、本開示の範囲の精神から逸脱することなしに、追加、削除、変更、組みあわせ、および、並べ替えされてもよい。例えば、除菌、殺菌、または、浄化処理の全体が、2以上の方法を含む場合に、第1方法が適用された後に適切な浄化レベルに達しているか否かを判定するために、測定が行われてよく、適切な浄化レベルにすでに実質的に達している場合、第2方法は必要ではないと判定されてよい。したがって、上述した例は、例示的なものであって、限定的なものではないとみなされ、これらの例は、本明細書に示した詳細に限定されず、添付の特許請求の範囲の範囲内で変形されてもよい。
【国際調査報告】