(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-12
(54)【発明の名称】リチウムイオン二次電池およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0585 20100101AFI20230502BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20230502BHJP
H01M 50/186 20210101ALI20230502BHJP
H01M 50/198 20210101ALI20230502BHJP
H01M 50/191 20210101ALI20230502BHJP
H01M 50/193 20210101ALI20230502BHJP
H01M 50/197 20210101ALI20230502BHJP
H01M 50/548 20210101ALI20230502BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20230502BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M50/184 A
H01M50/186
H01M50/198
H01M50/191
H01M50/193
H01M50/197
H01M50/548 101
H01M10/052
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559537
(86)(22)【出願日】2021-03-23
(85)【翻訳文提出日】2022-11-25
(86)【国際出願番号】 IB2021052375
(87)【国際公開番号】W WO2021198843
(87)【国際公開日】2021-10-07
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514110783
【氏名又は名称】アイ テン
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ギャバン,ファビアン
【テーマコード(参考)】
5H011
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011EE04
5H011FF01
5H011HH02
5H011HH09
5H011KK00
5H029AJ03
5H029AJ04
5H029AJ12
5H029AJ14
5H029BJ04
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5H029CJ22
5H029CJ30
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5H029DJ05
5H029DJ16
5H029EJ01
5H029EJ05
5H029EJ12
5H029HJ00
5H029HJ04
5H029HJ12
5H029HJ20
5H043AA04
5H043AA19
5H043BA19
5H043CA04
5H043CA13
5H043CA22
5H043DA03
5H043DA08
5H043HA04D
5H043HA22D
5H043HA36D
5H043JA13D
5H043JA15D
5H043JA19D
5H043KA01D
5H043KA22D
5H043KA35D
5H043KA44D
5H043KA45D
5H043LA02
5H043LA21D
5H043LA22D
5H043LA24D
(57)【要約】
リチウムイオン電池は、陽極、電解質および陰極によって形成され、スタックを画定する少なくとも1つの単位セルを含み、該スタックおよび電池は、6つの面である互いに対向する2つの端面と、互いに対向する2つの横方向面と、互いに対向する2つの縦方向面とを有し、電池の第1の縦方向面が少なくとも1つの陽極接続ゾーンを含み、電池の第2の縦方向面が少なくとも1つの陰極接続ゾーンを含み、陽極接続ゾーンと陰極接続ゾーンとが横方向に互いに対向しており、電池の第1の縦方向において、各陽極層、各電解質材料層または電解質を含浸している各セパレータ層、各陰極層および各陰極集電基板層から各陽極集電基板が突出し、かつ、第1の縦方向とは反対の、電池の第2の縦方向において、各陽極層、各電解質材料層または電解質を含浸している各セパレータ層、各陰極層および各陽極集電基板層から各陰極集電基板が突出していることを特徴とする。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの単位セル(100)を含む電池(1000)であって、
各単位セル(100)は、陽極集電基板(10)、陽極層(20)、少なくとも1つの電解質材料層(30)および/または電解質を含浸している少なくとも1つのセパレータ層(31)、陰極層(50)および陰極集電基板(40)を連続的に含み、
前記電池が複数の単位セル(100、100’、100’’)を含む場合、前記単位セル(100、100’、100’’)の1つが他の下に配置され、すなわち前記電池の主面に対する正面方向(ZZ)に従って重ね合わされ、好ましくは、
o前記陽極集電基板(10)は、2つの隣接する単位セル(100、100’、100’’)の陽極集電基板(10)であり、かつ、
o前記陰極集電基板(40)は、2つの隣接する単位セル(100、100’、100’’)の陰極集電基板(40)であるように配置され、
前記少なくとも1つの単位セルまたは前記単位セル(100、100’、100’’)は、スタック(I)を画定し、
前記スタック(I)および前記電池は、6つの面、すなわち、
-互いに対向する、特に互いに平行な2つのいわゆる端面(F1、F2)であって、前記1つまたは複数の陽極集電基板(10)、前記1つまたは複数の陽極層(20)、前記1つもしくは複数の電解質材料層(30)または電解質を含浸している前記1つもしくは複数のセパレータ層(31)、前記1つまたは複数の陰極層(50)、および前記1つまたは複数の陰極集電基板(40)に概して平行な2つの端面(F1、F2)と、
-互いに対向する、特に互いに平行な2つのいわゆる横方向面(F3、F5)と、
-互いに対向する、特に互いに平行な2つのいわゆる縦方向面(F4、F6)とを有し、
前記電池の第1の縦方向面(F6)が少なくとも1つの陽極接続ゾーン(1002)を含み、前記電池の第2の縦方向面(F4)が少なくとも1つの陰極接続ゾーン(1006)を含み、前記陽極接続ゾーン(1002)と陰極接続ゾーン(1006)とが横方向に互いに対向しており、
-前記電池の第1の縦方向(XX’)において、各陽極層(20)、各電解質材料層(30)または電解質を含浸している各セパレータ層(31)、各陰極層(50)および各陰極集電基板層(40)から各陽極集電基板(10)が突出し、かつ、
-前記第1の縦方向(XX’)とは反対の、前記電池の第2の縦方向(XX’’)において、各陽極層(20)、各電解質材料層(30)または電解質を含浸している各セパレータ層(31)、各陰極層(50)および各陽極集電基板層(10)から各陰極集電基板(40)が突出していることを特徴とする、電池。
【請求項2】
各陽極集電基板(10)が第1の端面(DY
a)から突出し、この第1の面が、各陽極層、各電解質材料層または各セパレータ層、各陰極層および各陰極集電基板層の第1の縦方向端部によって画定されていることを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項3】
各陰極集電基板(40)が第2の端面(DY’
a)から突出し、この第2の面が、各陽極層、各電解質材料層または各セパレータ層、各陰極層および各陽極集電基板層の第2の縦方向端部によって画定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電池。
【請求項4】
前記スタック(I)の外周部の少なくとも一部を覆う封止材を含み、前記封止材が、10
-5g/m
2・d未満の水蒸気透過率(WVTR)を有する少なくとも1つの不浸透性カバー層を含み、この封止材が、少なくとも前記電解質材料層(30)および/または電解質を含浸している前記セパレータ層(31)と、各縦方向面(F4、F6)で直接接触していることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電池。
【請求項5】
前記封止材は、各縦方向面(F4、F6)において、前記陽極層、前記陰極層および前記突出していない集電基板とも直接接触していることを特徴とする、請求項4に記載の電池。
【請求項6】
前記封止材は、電気的絶縁性を有し、この封止材の導電率が有利には10
e-11S.m
-1未満、特に10
e-12S.m
-1未満であることを特徴とする請求項4または5に記載の電池。
【請求項7】
前記封止材(95)は、前記スタックの端面(F1、F2)、前記横方向面(F3、F5)および前記縦方向面(F4、F6)の少なくとも一部を覆い、
-前記電池の第1の縦方向(XX’)において、各陽極層(20)、各電解質材料層(30)または各セパレータ層(31)、各陰極層(50)および各陰極集電基板層(40)から突出している各陽極集電基板(10)の各陽極端(1002’)のみが第1の縦方向面(F6)と同一平面上にあり、かつ、
-前記電池の第2の縦方向(XX’’)において、各陽極層(20)、各電解質材料層(30)または各セパレータ層(31)、各陰極層(50)および各陽極集電基板層(20)から突出している各陰極集電基板(40)の各陰極端(1006’)のみが第2の縦方向面(F4)と同一平面上にあり、前記第2の縦方向面(F4)が前記第1の縦方向面(F6)と好ましくは対向かつ平行しており、
各陽極端(1002’)が陽極接続ゾーン(1002)を画定し、各陰極端(1006’)が陰極接続ゾーン(1006)を画定していることを特徴とする、請求項4から6のいずれか一項に記載の電池。
【請求項8】
前記封止材(95)は、
-任意選択で、好ましくはパリレン、パリレンF、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコン、ポリアミド、ゾルゲルシリカ、有機シリカおよび/またはそれらの混合物の中から選択され、前記スタック(I)の外周部の少なくとも一部上に堆積されている第1のカバー層と、
-任意選択で、前記スタック(I)の外周部の少なくとも一部上または前記第1のカバー層上に原子層堆積法により堆積されている、電気的絶縁材料からなる第2のカバー層と、
-好ましくは10
-5g/m
2・d未満の水蒸気透過率(WVTR)を有し、セラミック材料および/または低融点ガラス、好ましくは600℃未満の融点を有するガラスから成り、前記スタック(I)の外周部の少なくとも一部上または前記第1のカバー層上に堆積されている少なくとも第3の不浸透性カバー層と、を含み、
前記第2のカバー層が存在する場合に、
-前記第2のカバー層と前記第3のカバー層との連続をz回繰り返し、ここでz≧1であり、少なくとも前記第3のカバー層の外周部上に堆積させることができ、
-前記封止材の最後の層が、不浸透性カバー層であり、好ましくは10
-5g/m
2・d未満の水蒸気透過率(WVTR)を有し、セラミック材料および/または低融点ガラスから成ることを特徴とする、請求項4から7のいずれか一項に記載の電池。
【請求項9】
陽極コンタクト部材(97’)および陰極コンタクト部材(97’’)が、前記スタック(I)と外部導電性要素との間に電気的接触を生じさせ、
少なくとも前記陽極接続ゾーン(1002)、好ましくは少なくとも前記陽極接続ゾーン(1002)を含む前記第1の縦方向面(F6)が前記陽極コンタクト部材(97’)によって覆われ、かつ、
少なくとも前記陰極接続ゾーン(1006)、好ましくは少なくとも前記陰極接続ゾーン(1006)を含む前記第2の縦方向面(F4)が前記陰極コンタクト部材(97’’)によって覆われていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の電池。
【請求項10】
前記陽極コンタクト部材(97’)および陰極コンタクト部材(97’’)の各々が、
-少なくとも前記陽極接続ゾーン(1002)および少なくとも前記陰極接続ゾーン(1006)上に、好ましくは少なくとも前記陽極接続ゾーン(1002)を含む前記第1の縦方向面(F6)上および少なくとも前記陰極接続ゾーン(1006)を含む前記第2の縦方向面(F4)上に配置され、導電性粒子を充填した材料、好ましくは導電性粒子を充填した高分子樹脂および/またはゾルゲル法によって得られた材料、より好ましくは黒鉛を充填した高分子樹脂を含む第1の電気接続層と、
-導電性粒子を充填した前記第1の材料層上に配置されている金属箔を含む第2の電気接続層と、を含むことを特徴とする請求項9に記載の電池。
【請求項11】
少なくとも1つの陽極接続ゾーン(1002)を含む前記第1の縦方向面(F6)と、各陽極層(20)、各電解質材料層(30)および/または各セパレータ層(31)、各陰極層(50)および各陰極集電基板層(40)の前記第1の縦方向端部によって画定される前記第1の端面(DY
a)との間の最小距離(Dca)が0.01mmと0.5mmとの間に含まれ、かつ/または、
少なくとも1つの陰極接続ゾーン(1006)を含む前記第2の縦方向面(F4)と、各陽極層(20)、各電解質材料層(30)および/または各セパレータ層(31)、各陰極層(50)および各陽極集電基板層(10)の前記第2の縦方向端部によって画定される前記第2の端面(DY’
a)との間の最小距離(Dcc)が0.01mmと0.5mmとの間に含まれていることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の電池。
【請求項12】
少なくとも1つの電池(1000)を製造するための方法であって、
各電池は、少なくとも1つの単位セル(100)を含み、
各単位セル(100)は、陽極集電基板(10)、陽極層(20)、少なくとも1つの電解質材料層(30)および/または電解質を含浸している少なくとも1つのセパレータ層(31)、陰極層(50)および陰極集電基板(40)を連続的に含み、
前記電池(1000)が複数の単位セル(100、100’、100’’)を含む場合、前記単位セル(100、100’、100’’)の1つが他の下に配置され、すなわち前記電池の主面に対する正面方向(ZZ)に従って重ね合わされ、好ましくは、
o前記陽極集電基板(10)は、2つの隣接する単位セル(100、100’)の陽極集電基板(10)であり、かつ、
o前記陰極集電基板(40)は、2つの隣接する単位セル(100、100’)の陰極集電基板(40)であるように配置され、
前記少なくとも1つの単位セル(100)または前記単位セル(100、100’、100’’)は、スタック(I)を画定し、
前記スタック(I)および前記電池(1000)は、6つの面、すなわち、
-互いに対向する、特に互いに平行な2つのいわゆる端面(F1、F2)であって、前記1つまたは複数の陽極集電基板(10)、前記1つまたは複数の陽極層(20)、前記1つもしくは複数の電解質材料層(30)または電解質を含浸している前記1つもしくは複数のセパレータ層(31)、前記1つまたは複数の陰極層(50)、および前記1つまたは複数の陰極集電基板(40)に概して平行な2つの端面(F1、F2)と、
-互いに対向する、特に互いに平行な2つのいわゆる横方向面(F3、F5)と、
-互いに対向する、特に互いに平行な2つのいわゆる縦方向面(F4、F6)とを有し、
前記電池の第1の縦方向面(F6)が少なくとも1つの陽極接続ゾーン(1002)を含み、前記電池の第2の縦方向面(F4)が少なくとも1つの陰極接続ゾーン(1006)を含み、前記陽極接続ゾーン(1002)と陰極接続ゾーン(1006)とが横方向に互いに対向しており、
-前記電池の第1の縦方向(XX’)において、各陽極層(20)、各電解質材料層(30)または電解質を含浸している各セパレータ層(31)、各陰極層(50)および各陰極集電基板層(40)から各陽極集電基板(10)が突出し、かつ、
-前記第1の縦方向(XX’)とは反対の、前記電池の第2の縦方向(XX’’)において、各陽極層(20)、各電解質材料層(30)または電解質を含浸している各セパレータ層(31)、各陰極層(50)および各陽極集電基板層(10)から各陰極集電基板(40)が突出している電池において、
(i)溝(80)、非被覆ゾーン(82)、および陽極層(20)や任意選択で電解質材料層(30)またはセパレータ層(31)による被覆ゾーン(81)を有する少なくとも1つの陽極集電基板箔(10)(以下、陽極箔(2e)と称する)を供給するステップと、
(ii)溝(70)、非被覆ゾーン(72)、および陰極層(50)や任意選択で電解質材料層(30)またはセパレータ層(31)による被覆ゾーン(71)を有する少なくとも1つの陰極集電基板箔(40)(以下、陰極箔(5e)と称する)を供給するステップと、
(iii)溝(80)、非被覆ゾーン(82)および被覆ゾーン(81)を有する少なくとも1つの陽極箔(2e)と、溝(70)、非被覆ゾーン(72)および被覆ゾーン(71)を有する少なくとも1つの陰極箔(5e)とを交互に積層しているスタック(I)を製造するステップであって、陽極集電基板(10)、陽極層(20)、少なくとも1つの電解質材料層(30)またはセパレータ層(31)、陰極層(50)、および陰極集電基板(40)を連続的に含む少なくとも1つの単位セルを得るように、
o前記電池の第1の縦方向(XX’)において、各陽極層(20)、各電解質材料層(30)および/または各セパレータ層(31)、各陰極層(50)および各陰極集電基板層(40)から各陽極集電基板(10)が突出し、かつ、
o前記第1の縦方向(XX’)とは反対の、前記電池の第2の縦方向(XX’’)において、各陽極層(20)、各電解質材料層(31)および/または各セパレータ層(31)、各陰極層(50)および各陽極集電基板層(10)から各陰極集電基板(40)が突出しているようにスタック(I)を製造するステップと、
(iv)連結スタックを形成するように、ステップ(iii)で得られた交互の箔である前記スタック(I)を熱処理および/または機械的圧縮するステップと、
(v)任意選択で、前記連結スタックから形成された電池(1000)の所定の行(L
n)を、少なくとも1つの他の行(L
n-1、L
n+1)から分離させる第1の対の切断(DXn、DX’n)を行うステップと、
(vi)任意選択で、ステップ(iv)で得られた前記連結スタック、またはステップ(v)を実施した場合のステップ(v)で得られた電池(1000)の前記行(L
n)に、リチウム塩を含む液体電解質またはイオン液体などのリチウムイオンを運ぶ相を含浸させ、前記セパレータ層(31)が電解質により含浸されるようにするステップと、
(vii)第2の対の切断(DY
n、DY’
n)を行うステップであって、
-前記電池の前記第1の縦方向(XX’)において、各陽極層(20)、各電解質材料層(30)または各セパレータ層(31)、各陰極層(50)および各陰極集電基板層(40)から突出し、少なくとも1つの陽極接続ゾーン(1002)を画定している各陽極端(1002’)と、
-前記電池の前記第2の縦方向(XX’’)において、各陽極層(20)、各電解質材料層(30)または各セパレータ層(31)、各陰極層(50)および各陽極集電基板層(10)から突出し、少なくとも1つの陰極接続ゾーン(1006)を画定している各陰極端(1006’)とを露出させ、
前記第2の対の切断(DY
n、DY’
n)により、ステップ(v)を実施した場合、電池(1000)の前記行(L
n)から形成される少なくとも1つの他の電池から、所定の電池を分離することができるステップと、を含む電池製造方法。
【請求項13】
ステップ(vi)を実施する場合はステップ(vi)の後に、または、
ステップ(vi)を実施せず、ステップ(v)を実施する場合はステップ(v)の後に、または、
ステップ(vi)および(v)を実施しない場合、ステップ(iv)の後、かつ、ステップ(vii)の前に、
前記連結スタックまたは電池の前記行(L
n)を封止化するステップ(viii)を実施し、好ましくは、前記スタック(I)または電池の前記行(L
n)の前記外周部の少なくとも一部を、好ましくは、前記スタックの前記端面(F1、F2)または電池の前記行(L
n)の前記端面(FF1、FF2)、横方向面(F3、F5、FF3、FF5)および縦方向面(F4、F6、FF4、FF6)の少なくとも一部を、封止材(95)によって覆い、
o前記電池の第1の縦方向(XX’)において、各陽極層(20)、各電解質材料層(30)または各セパレータ層(31)、各陰極層(50)および各陰極集電基板層(40)から突出している各陽極集電基板(10)の各陽極端(1002’)のみが第1の縦方向面(F6、FF6)と同一平面上にあり、かつ、
o前記電池の第2の縦方向(XX’’)において、各陽極層(20)、各電解質材料層(30)または各セパレータ層(31)、各陰極層(50)および各陽極集電基板層(20)から突出している各陰極集電基板(40)の各陰極端(1006’)のみが第2の縦方向面(F4、FF4)と同一平面上にあり、前記第2の縦方向面(F4、FF4)が前記第1の縦方向面(F6、FF6)と好ましくは対向かつ平行しており、
各陽極端(1002’)が陽極接続ゾーン(1002)を画定し、各陰極端(1006’)が陰極接続ゾーン(1006)を画定し、
前記封止材(95)は、好ましくは、
-任意選択で、好ましくはパリレン、パリレンF、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコン、ポリアミド、ゾルゲルシリカ、有機シリカおよび/またはそれらの混合物の中から選択され、前記スタック(I)または電池(1000)の前記行(L
n)の前記外周部の少なくとも一部上に堆積されている少なくとも1つの第1のカバー層と、
-任意選択で、電気的絶縁材料からなる第2のカバー層であって、
-前記スタック(I)もしくは電池(1000)の前記行(L
n)の外周部の少なくとも一部上
-または前記第1のカバー層上に、原子層堆積法により堆積されている第2のカバー層と、
-好ましくは10
-5g/m
2・d未満の水蒸気透過率(WVTR)を有し、セラミック材料および/または低融点ガラス、好ましくは600℃未満の融点を有するガラスから成り、前記スタック(I)もしくは電池(1000)の前記行(L
n)の外周部の少なくとも一部上または前記第1のカバー層上に堆積されている少なくとも1つの第3の不浸透性カバー層と、を含み、
少なくとも1つの第2のカバー層と少なくとも1つの第3のカバー層との連続をz回繰り返し、ここでz≧1であり、少なくとも前記第3のカバー層の外周部上に堆積させ、前記封止材の最後の層が、不浸透性カバー層であり、好ましくは10
-5g/m
2・d未満の水蒸気透過率(WVTR)を有し、セラミック材料および/または低融点ガラスから成ることを特徴とする、請求項13に記載の電池製造方法。
【請求項14】
ステップ(vii)の後に、少なくとも前記陽極接続ゾーン(1002)、好ましくは少なくとも前記陽極接続ゾーン(1002)を含む少なくとも前記第1の縦方向面(F6)が前記スタック(I)と外部導電性要素との間に電気的接触を生じさせることができる陽極コンタクト部材(97’)によって覆われ、かつ、
少なくとも前記陰極接続ゾーン(1006)、好ましくは少なくとも前記陰極接続ゾーン(1006)を含む前記第2の縦方向面(F4)が前記スタック(I)と外部導電性要素との間の電気的接触を生じさせることができる陰極コンタクト部材(97’’)によって覆われており、
前記陽極コンタクト部材(97’)および陰極コンタクト部材(97’’)の前記製造は、
-少なくとも前記陽極接続ゾーン(1002)および少なくとも陰極接続ゾーン(1006)上に、好ましくは少なくとも前記陽極接続ゾーン(1002)を含む前記第1の縦方向面(F6)上および少なくとも前記陰極接続ゾーン(1006)を含む前記第2の縦方向面(F4)上に、導電性粒子を充填した材料でできた第1の電気接続層を堆積させるステップであって、前記第1の層が好ましくは導電性粒子を充填した高分子樹脂および/またはゾルゲル法で得られた材料からなるステップと、
-任意選択で、前記第1の層が導電性粒子を充填した高分子樹脂および/またはゾルゲル法によって得られた材料からなる場合、乾燥ステップの後に、前記高分子樹脂および/または前記ゾルゲル法によって得られた材料を重合させるステップと、
-前記第1の層上に、前記第1の電気接続層上に配置される金属箔を含む第2の電気接続層を堆積させるステップと、
-任意選択で、前記第2の電気接続層上に、導電性インクを含む第3の電気接続層を堆積させるステップとを含むことを特徴とする、請求項12または13に記載の電池製造方法。
【請求項15】
実施する場合のステップ(v)で、および/またはステップ(vii)で実施する前記切断を、レーザーアブレーションによって行う、好ましくは、実施する場合のステップ(v)、および/またはステップ(vii)で行う前記切断のすべてを、レーザーによって行うことを特徴とする請求項12から14のいずれか一項に記載の電池製造方法。
【請求項16】
少なくとも1つの単位セル、特に単一の単位セル(600)によって形成されたスタックを含む電池(1500)であって、各単位セルは、陽極集電基板(510)、陽極層(520)、少なくとも1つの電解質材料層(530)および/または電解質を含浸している少なくとも1つのセパレータ層(531)、陰極層(550)および陰極集電基板(540)を連続的に含み、
前記スタックおよび前記電池は、6つの面、すなわち、
-前記層および前記集電基板に対して概して平行で、互いに対向する2つのいわゆる端面(F1、F2)と、
-陽極および陰極接続ゾーンをそれぞれ含む、互いに対向する2つのいわゆる縦方向面(F4、F6)と、
-互いに対向する2つのいわゆる横方向面と、を有し、
-前記スタックの反対側の端面に設けられた2つの電気的接続部材(560、570)をさらに含み、各電気的接続部材の第1の端部(562、572)が前記縦方向(XX)において前記スタックのそれぞれの縦方向面(F4、F6)を超えて突出していることを特徴とする電池。
【請求項17】
接続部材(560)の前記第1の端部(562)は、第1の縦方向面(F4)を超えて第1の方向に突出する一方、他の接続部材(570)の前記第1の端部(572)は、他の縦方向面(F6)から反対方向に突出していることを特徴とする、請求項16に記載の電池。
【請求項18】
前記2つの接続部材(660、670)の前記第1の端部(662、672)は、1つの同一縦方向面(F4)を超えて、同一方向に突出していることを特徴とする、請求項16に記載の電池。
【請求項19】
各電気的接続部材は、特に導電性接着剤によって、それぞれの集電基板に取り付けられていることを特徴とする、請求項16から18のいずれか一項に記載の電池。
【請求項20】
前記集電基板はいずれも、前記陽極、陰極およびセパレータ層と同様に、前記スタックの前記縦方向面を超えて突出していないことを特徴とする、請求項16から19のいずれか一項に記載の電池。
【請求項21】
各電気的接続部材は、前記突出している端部の反対側で前記スタックとの肩部(564、574)を画定することを特徴とする、請求項16から20いずれか一項に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の分野に関し、より詳細には、リチウムイオン電池に関する。本発明は、より長い寿命を与える新規なアーキテクチャを有するリチウムイオン電池に関するものである。本発明は、さらに、そのような電池を製造するための新規な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(先行技術)
充電可能な全固体リチウムイオン電池が知られている。国際公開第2016/001584号(I-TEN)には、陽極層および電解質層で連続的に覆われた導電性基板からなる陽極箔、および陰極層および電解質層で連続的に覆われた導電性基板からなる陰極箔から作られるリチウムイオン電池が記載されており、これらの箔は堆積工程前または後に、U形パターンに切断されている。これらの箔を交互に積層して、複数の単位セルからなるスタック(積層体)を形成する。陽極および陰極箔の切断パターンは、陰極と陽極との積層が横方向にずれるように「ヘッド・トゥ・テール」構成で配置されている。積層工程の後、スタックおよびスタック内の空洞に厚さ約10ミクロンの厚膜封止材を堆積させる。これにより、まず切断面における構造体の剛性を確保し、次に電池セルを大気から保護する。スタックが製造され、封止されると、切断面に沿って切断され、単位電池が得られ、電池の陽極接続ゾーンと陰極接続ゾーンとがそれぞれの切断面に露出する。この切断の際に、封止材が引きちぎられ、電池の不浸透性封止が破壊されることがある。また、これらの陽極および陰極の接続ゾーンが外から見える場合には、終端(すなわち、電気的コンタクト)を追加することが知られている。
【0003】
この公知の解決策には、ある欠点があることが明らかになった。より具体的には、電極の位置、特に多層電池の電極の端部の近接性と切断部のクリーン性とに依存して、通常は、潜行性短絡の形態で端部に漏れ電流の現れることがある。この潜行性短絡によって、電池の周囲や陽極および陰極の接続部付近に封止材を使用しているにもかかわらず、電池の性能が低下する。さらに、電池上の封止材の不満足な堆積が、特に、電池の端部における電極の横方向オフセットによって生じた空間で、時折観察される。
【0004】
スズキによって出願された米国特許出願公開第2018/212210号明細書は、複数の単位セルを含む電池を最初に開示する。得られたスタックは、樹脂を介在させた金属筐体内に配置される。これにより、セルは機械的に固定され、動作中に移動することがない。また、この樹脂は、特に衝撃や振動の際に、セルが金属筐体と接触することによって生じる短絡の危険性を防止する。
【0005】
最後に、松下電器が出願した特開2007-005279号公報を引用する。この文献は、焼結によって得られる全固体電池を開示している。この電池は、したがって、電解質材料も、そのような電解質を含浸しているセパレータの層をも含んでいない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術の前述の欠点を少なくとも部分的に克服し、特に、高エネルギー密度および高出力密度を有する再充電可能なリチウムイオン電池を得ることを目的とするものである。
【0007】
特に、高エネルギー密度および高出力密度を有するリチウムイオン二次電池の生産量を増加させ、より効率的な封止体をより低コストで製造することを目的とする。
【0008】
特に、潜行性短絡や偶発的短絡のリスクを低減し、自己放電率の低い電池を製造することができる方法を提案することを目的とする。
【0009】
特に、非常に長い寿命を持つ電池を、簡単で、信頼性が高く、かつ、迅速に製造する方法を提案することを目的とする。
【0010】
さらに、簡単、迅速、かつ、費用対効果の高い電池の製造方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の目的)
本発明は、まず、少なくとも1つの単位セルを含み、各単位セルが、陽極集電基板、陽極層、少なくとも1つの電解質材料層および/または電解質を含浸させた少なくとも1つのセパレータ層、陰極層、および陰極集電基板を連続的に含む電池に関するものであって、
電池が複数の単位セルを含む場合、該単位セルの1つが他の下に配置され、すなわち、電池の主面に対する正面方向に従って重ね合わされ、好ましくは、以下のように、配置されている。すなわち、
o陽極集電基板は、2つの隣接する単位セルの陽極集電基板であり、かつ、
o陰極集電基板は、2つの隣接する単位セルの陰極集電基板であり、
少なくとも1つの単位セルまたは上記単位セルは、スタックを画定し、
該スタックおよび電池は、6つの面、すなわち、
-互いに対向する、特に互いに平行な2つのいわゆる端面であって、1つまたは複数の陽極集電基板、1つまたは複数の陽極層、1つもしくは複数の電解質材料層または電解質を含浸させた1つもしくは複数のセパレータ層、1つまたは複数の陰極層、および1つまたは複数の陰極集電基板に概して平行な2つの端面と、
-互いに対向する、特に互いに平行な2つのいわゆる横方向面と、
-互いに対向する、特に互いに平行な2つのいわゆる縦方向面とを有し、
電池の第1の縦方向面が少なくとも1つの陽極接続ゾーンを含み、電池の第2の縦方向面が少なくとも1つの陰極接続ゾーンを含み、前記陽極接続ゾーンと陰極接続ゾーンとが横方向に互いに対向していることが理解されており、以下を特徴とする。
-電池の第1の縦方向において、各陽極層、各電解質材料層または電解質を含浸している各セパレータ層、各陰極層、および各陰極集電基板層から各陽極集電基板が突出し、かつ、
-第1の縦方向とは反対の、電池の第2の縦方向において、各陽極層、各電解質材料層または電解質を含浸している各セパレータ層、各陰極層、および各陽極集電基板層から各陰極集電基板が突出している。
【0012】
具体的な一実施形態では、
-各陽極集電基板が第1の端面から突出し、この第1の面が、各陽極層、各電解質材料層または各セパレータ層、各陰極層および各陰極集電基板層の第1の縦方向端部によって画定され、かつ/または、
-各陰極集電基板が第2の端面から突出し、この第2の面が、各陽極層、各電解質材料層または各セパレータ層、各陰極層および各陽極集電基板層の第2の縦方向端部によって画定されている。
【0013】
本発明の特に有利な実施形態によれば、本発明による電池は、スタックの外周部の少なくとも一部を覆う封止材を含み、該封止材が、10-5g/m2・d未満の水蒸気透過率(WVTR)を有する少なくとも1つの不浸透性カバー層を含み、この封止材が、少なくとも電解質材料層および/または電解質を含浸させたセパレータ層と、各縦方向面で直接接触している。好ましくは、封止材は、各縦方向面において、陽極層、陰極層および突出していない集電基板とも直接接触している。
【0014】
有利には、封止材は電気的絶縁性を有し、この封止材の導電率が有利には10e-11S.m-1未満、特に10e-12S.m-1未満である。
【0015】
有利には、各陽極端が陽極接続ゾーンを画定し、各陰極端が陰極接続ゾーンを画定することを理解した上で、封止材は、スタックの外周部の少なくとも一部を覆い、該封止材は、スタックの端面、横方向面、および縦方向面の少なくとも一部を覆い、
-電池の第1の縦方向において、各陽極層、各電解質材料層または各セパレータ層、各陰極層、および各陰極集電基板層から突出している各陽極集電基板の各陽極端のみが第1の縦方向面と同一平面上にあり、かつ、
-電池の第2の縦方向において、各陽極層、各電解質材料層または各セパレータ層、各陰極層、および各陽極集電基板層から突出している各陰極集電基板の各陰極端のみが第2の縦方向面と同一平面上にあり、第2の縦方向面が第1の縦方向面と好ましくは対向かつ平行している。
【0016】
本発明のさらに別の態様によれば、封止材は、
-任意選択で、好ましくはパリレン、パリレンF、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコン、ポリアミド、ゾルゲルシリカ、有機シリカおよび/またはそれらの混合物の中から選択され、スタックの外周部の少なくとも一部上に堆積されている第1のカバー層と、
-任意選択で、スタックの外周部の少なくとも一部上または第1のカバー層上に原子層堆積法により堆積されている、電気的絶縁材料からなる第2のカバー層と、
-好ましくは10-5g/m2・d未満の水蒸気透過率(WVTR)を有し、セラミック材料および/または低融点ガラス、好ましくは600℃未満の融点を有するガラスから成り、スタックの外周部の少なくとも一部上または第1のカバー層上に堆積されている少なくとも第3の不浸透性カバー層と、を含み、
第2のカバー層が存在する場合に、理解の通り、
-第2のカバー層と第3のカバー層との連続をz回繰り返し、ここでz≧1であり、少なくとも第3のカバー層の外周部上に堆積させることができ、
-封止材の最後の層が、不浸透性カバー層であり、好ましくは10-5g/m2・d未満の水蒸気透過率(WVTR)を有し、セラミック材料および/または低融点ガラスから成る。
【0017】
本発明のさらに別の態様によれば、少なくとも陽極接続ゾーン、好ましくは少なくとも陽極接続ゾーンを含む第1の縦方向面が陽極コンタクト部材によって覆われ、かつ、少なくとも陰極接続ゾーン、好ましくは少なくとも陰極接続ゾーンを含む第2の縦方向面が陰極コンタクト部材によって覆われている。
【0018】
上記陽極および陰極コンタクト部材により、スタックと外部導電性要素との間の電気的接触を生じさせることができるという理解である。
【0019】
本発明のさらに別の態様によれば、陽極コンタクト部材および陰極コンタクト部材の各々が、
-少なくとも陽極接続ゾーンおよび少なくとも陰極接続ゾーン上に、好ましくは少なくとも陽極接続ゾーンを含む第1の縦方向面上および少なくとも陰極接続ゾーンを含む第2の縦方向面上に配置された第1の電気接続層であって、
この第1層が導電性粒子を充填した材料、好ましくは導電性粒子を充填した高分子樹脂および/またはゾルゲル法によって得られた材料、より好ましくは黒鉛を充填した高分子樹脂を含むものと、
-導電性粒子を充填した第1の材料層上に配置されている金属箔を含む第2の電気接続層と、を含む。
【0020】
本発明のさらに別の態様によれば、少なくとも1つの陽極接続ゾーンを含む第1の縦方向面と、各陽極層、各電解質材料層および/または各セパレータ層、各陰極層および各陰極集電基板層の第1の縦方向端部によって画定される第1の端面との間の最小距離が0.01mmと0.5mmとの間に含まれ、かつ/または、
少なくとも1つの陰極接続ゾーンを含む第2の縦方向面と、各陽極層、各電解質材料層および/または各セパレータ層、各陰極層および各陽極集電基材層の第2の縦方向端部によって画定される第2の端面との最小距離が0.01mmと0.5mmとの間に含まれている。
【0021】
本発明は、さらに、少なくとも1つの電池を製造するための方法に関する。
【0022】
各電池は、少なくとも1つの単位セルを含み、
各単位セルは、陽極集電基板、陽極層、少なくとも1つの電解質材料層および/または電解質を含浸している少なくとも1つのセパレータ層、陰極層、および陰極集電基板を連続的に含み、
電池が複数の単位セルを含む場合、単位セルの1つが他の下に配置され、すなわち、電池の主面に対する正面方向に従って重ね合わされ、好ましくは、
o陽極集電基板は、2つの隣接する単位セルの陽極集電基板であり、かつ、
o陰極集電基板は、2つの隣接する単位セルの陰極集電基板であるように配置され、
少なくとも1つの単位セルまたは上記単位セルは、スタックを画定し、
該スタックおよび電池は、6つの面、すなわち、
-互いに対向する、特に互いに平行な2つのいわゆる端面であって、1つまたは複数の陽極集電基板、1つまたは複数の陽極層、1つもしくは複数の電解質材料層または電解質を含浸させた1つもしくは複数のセパレータ層、1つまたは複数の陰極層、および1つまたは複数の陰極集電基板に概して平行な2つの端面と、
-互いに対向する、特に互いに平行な2つのいわゆる横方向面と、
-互いに対向する、特に互いに平行な2つのいわゆる縦方向面とを有し、
電池の第1の縦方向面が少なくとも1つの陽極接続ゾーンを含み、電池の第2の縦方向面が少なくとも1つの陰極接続ゾーンを含み、陽極接続ゾーンと陰極接続ゾーンとが横方向に互いに対向していることが理解されており、その結果、
-電池の第1の縦方向において、各陽極層、各電解質材料層または電解質を含浸している各セパレータ層、各陰極層および各陰極集電基板層から各陽極集電基板が突出し、かつ、
-第1の縦方向とは反対の、電池の第2の縦方向において、各陽極層、各電解質材料層または電解質を含浸している各セパレータ層、各陰極層および各陽極集電基板層から各陰極集電基板が突出している電池の製造方法であって、
溝、非被覆ゾーン、および陽極層や任意選択で電解質材料層またはセパレータ層による被覆ゾーンを有する少なくとも1つの陽極集電基板箔(以下、陽極箔と称する)を供給する第1のステップと、
溝、非被覆ゾーン、および陰極層や任意選択で電解質材料層またはセパレータ層による被覆ゾーンを有する少なくとも1つの陰極集電基板箔(以下、陰極箔と称する)を供給する第2のステップと、
溝、非被覆ゾーンおよび被覆ゾーンを有する少なくとも1つの陽極箔と、溝、非被覆ゾーンおよび被覆ゾーンを有する少なくとも1つの陰極箔とを交互に積層しているスタックを製造する第3のステップであって、陽極集電基板、陽極層、少なくとも1つの電解質材料層またはセパレータ層、陰極層、および陰極集電基板を連続的に含む少なくとも1つの単位セルを得るように、
o電池の第1の縦方向において、各陽極層、各電解質材料層および/または各セパレータ層、各陰極層および各陰極集電基板層から各陽極集電基板が突出し、かつ、
o第1の縦方向とは反対の、電池の第2の縦方向において、各陽極層、各電解質材料層および/または各セパレータ層、各陰極層および各陽極集電基板層から各陰極集電基板が突出しているようにスタックを製造する第3のステップと、
連結スタックを形成するように、第3のステップで得られた交互の箔であるスタックを熱処理および/または機械的圧縮する第4のステップと、
任意選択で、連結スタックから形成された電池の所定の行を、少なくとも1つの他の行から分離させる第1の対の切断を行う第5のステップと、
任意選択で、第4のステップで得られた連結スタックまたはこの第5のステップを実施した場合の第5のステップで得られた電池の行に、リチウム塩を含む液体電解質またはイオン液体などのリチウムイオンを運ぶ相を含浸させ、セパレータ層が電解質により含浸されるようにする第6のステップと、
任意選択で、第2の対の切断を行って、
-電池の第1の縦方向において、各陽極層、各電解質材料層または各セパレータ層、各陰極層および各陰極集電基板層から突出し、少なくとも1つの陽極接続ゾーンを画定している各陽極端と、
-電池の第2の縦方向において、各陽極層、各電解質材料層または各セパレータ層、各陰極層および各陽極集電基板層から突出し、少なくとも1つの陰極接続ゾーンを画定している各陰極端とを露出させる第7のステップであって、
第2の対の切断により、第5のステップを実施した場合、電池の行から形成される少なくとも1つの他の電池から、所定の電池を分離することができる第7のステップと、を含む。
【0023】
この方法の1つの具体的な実施形態において、第6ステップの後(第6ステップを実施する場合)、または第6ステップを実施しない場合、第5ステップの後(第5ステップを実施する場合)、または第6ステップおよび第5ステップを実施しない場合、第4ステップの後、かつ、第7ステップの前に、連結スタックまたは電池の行を封止化する第8のステップを実施する。各陽極端が陽極接続ゾーンを画定し、各陰極端が陰極接続ゾーンを画定することを理解した上で、好ましくはスタックまたは電池の行の外周部の少なくとも一部を、好ましくはスタックまたは電池の行の端面、横方向面および縦方向面の少なくとも一部を、封止材によって覆い、
o電池の第1の縦方向において、各陽極層、各電解質材料層または各セパレータ層、各陰極層および各陰極集電基板層から突出している各陽極集電基板の各陽極端のみが第1の縦方向面と同一平面上にあり、かつ、
o電池の第2の縦方向において、各陽極層、各電解質材料層または各セパレータ層、各陰極層および各陽極集電基板層から突出している各陰極集電基板の各陰極端のみが第2の縦方向面と同一平面上にあり、第2の縦方向面が第1の縦方向面と好ましくは対向かつ平行している。
【0024】
封止材は、好ましくは、
-任意選択で、好ましくはパリレン、パリレンF、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコン、ポリアミド、ゾルゲルシリカ、有機シリカおよび/またはそれらの混合物の中から選択され、スタックまたは電池の行の外周部の少なくとも一部上に堆積されている少なくとも1つの第1のカバー層と、
-任意選択で、電気的絶縁材料からなる第2のカバー層であって、
-スタックもしくは電池の行の外周部の少なくとも一部上
-または第1のカバー層上に、原子層堆積法により堆積されている第2のカバー層と、
-好ましくは10-5g/m2・d未満の水蒸気透過率(WVTR)を有し、セラミック材料および/または低融点ガラス、好ましくは600℃未満の融点を有するガラスから成り、スタックもしくは電池の行の外周部の少なくとも一部上または第1のカバー層上に堆積されている少なくとも第3の不浸透性カバー層と、を含み、
少なくとも1つの第2のカバー層と少なくとも1つの第3のカバー層との連続をz回繰り返し、ここでz≧1であり、少なくとも第3のカバー層の外周部上に堆積させ、封止材の最後の層が、不浸透性カバー層であり、好ましくは10-5g/m2・d未満の水蒸気透過率(WVTR)を有し、セラミック材料および/または低融点ガラスから成ることを理解した上で、この方法を用いる。
【0025】
上記と組み合わせることができる本発明による方法の別の具体的な実施形態では、第7ステップの後、少なくとも陽極接続ゾーン、好ましくは少なくとも陽極接続ゾーンを含む少なくとも第1の縦方向面を、スタックと外部導電要素との間の電気的接触を生じさせることができる陽極コンタクト部材によって覆っている。
【0026】
そして、少なくとも陰極接続ゾーン、好ましくは少なくとも陰極接続ゾーンを含む少なくとも第2の縦方向面を、スタックと外部導電性要素との間の電気的接触を生じさせることができる陰極コンタクト部材によって覆っている。
【0027】
陽極コンタクト部材および陰極コンタクト部材の製造は、
-少なくとも陽極接続ゾーン上および少なくとも陰極接続ゾーン上に、好ましくは少なくとも陽極接続ゾーンを含む少なくとも第1の縦方向面上および少なくとも陰極接続ゾーンを含む少なくとも第2の縦方向面上に、導電性粒子を充填した材料からなる第1の電気接続層を堆積させるステップであって、第1の層が好ましくは導電性粒子を充填した高分子樹脂および/またはゾルゲル法によって得られた材料からなるステップと、
-任意選択で、第1の層が導電性粒子を充填した高分子樹脂および/またはゾルゲル法によって得られた材料からなる場合、乾燥ステップの後に、高分子樹脂および/またはゾルゲル法によって得られた材料を重合させるステップと、
-第1の層上に、第1の電気接続層上に配置される金属箔を含む第2の電気接続層を堆積させるステップと、
-任意選択で、第2の電気接続層上に、導電性インクを含む第3の電気接続層を堆積させるステップと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
非限定的な例として与えられている添付の図は、本発明の異なる態様および実施形態を示すものである。
【0029】
【
図1】本発明の電池製造方法によるスタックの形成を意図した陽極箔および陰極箔の斜視図であり、これらの陽極箔および陰極箔は、非被覆ゾーン、被覆ゾーン、および溝を含む単位体を有する。
【
図2】
図1における箔の1つ、特に陽極箔を示す正面図である。
【
図3】本発明による、または本発明の代替実施形態による陽極箔に作られた、以下「除去領域」という用語で称する非被覆ゾーン、被覆ゾーン、および溝からなる単位体を拡大して示す正面図である。
【
図4】隣接する箔に設けられたこれらの単位体の非被覆ゾーンまたは除去領域、被覆ゾーンおよび溝を、やはり拡大して示す斜視図である。
【
図5】先の図のスタックに設けられた異なる単位体に実施する切断ステップを示す俯瞰図である。
【
図6】単位体に実施した切断を拡大して示す俯瞰図である。
【
図7】
図6に示す切断線VII-VIIに沿った断面図であり、本発明による、または本発明の代替実施形態による陽極および陰極単位体のスタックを示し、これらの単位体の各々は、非被覆ゾーン、被覆ゾーンおよび溝から構成されている。
【
図8】
図6に示す切断線VII-VIIに沿った断面図であり、封止材で封止化された単位体のスタックを示す。
【
図9】特に、先の図に示した方法に従って得ることができる、封止材を含む本発明による電池を示す、切断線VII-VIIに沿った断面図である。
【
図10】特に、先の図に示した方法に従って得ることができる、封止材を含む本発明による電池を示す斜視図である。
【
図11】特に、先の図に示した方法に従って得ることができる、封止材およびコンタクト部材を含む本発明による電池を示す、切断線VII-VIIに沿った断面図である。
【
図13】本発明の代替実施形態による箔の1つである、特に陽極除去領域が単一の除去ストリップの形態で作られている陽極箔を示す、正面図である。
【
図14】本発明の代替実施形態によるスタックに設けられた異なる単位体に実施する切断ステップを示す俯瞰図である。
【
図15】本発明の代替実施形態によるスタックに設けられた異なる単位体に実施する切断ステップを示し、この代替実施形態によって得られた電池を示す俯瞰図である。
【
図16】本発明による電池の行を示す俯瞰図である。
【
図17】特に先の図に示した方法に従って得ることができる封止材を含む、本発明による電池の行を示す斜視図である。
【
図18】本発明の別の実施形態による電池を製造するための連続するステップの1つを示す正面図であり、この電池は、単一セルを含み、各集電体がタブを形成している。
【
図19】本発明の別の実施形態による電池を製造するための連続するステップの1つを示す正面図であり、この電池は、単一セルを含み、各集電体がタブを形成している。
【
図20】本発明の別の実施形態による電池を製造するための連続するステップの1つを示す正面図であり、この電池は、単一セルを含み、各集電体がタブを形成している。
【
図21】
図8のものと同様の正面図であり、
図8のものに対する代替実施形態による電池を示す図である。
【
図22】金属グリッド型電気接続支持体を用いた、本発明のさらに別の実施形態による電池を製造するための連続するステップの1つを示す、
図18から
図21までのものと同様の正面図の1つである。
【
図23】金属グリッド型電気接続支持体を用いた、本発明のさらに別の実施形態による電池を製造するための連続するステップの1つを示す、
図18から
図21までのものと同様の正面図の1つである。
【
図24】金属グリッド型電気接続支持体を用いた、本発明のさらに別の実施形態による電池を製造するための連続するステップの1つを示す、
図18から
図21までのものと同様の正面図の1つである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本電池には、原則として次のような幾何学的符号が付されている。
【0031】
ZZは、いわゆる正面方向、すなわち種々の積層された層の平面に垂直な方向を意味する。
【0032】
XXは、いわゆる縦方向を意味し、積層された層の平面に含まれ、上から見たときの、すなわち正面方向における、これらの層の最大寸法に平行な方向である。
【0033】
YYは、いわゆる横方向または横断方向で、積層された層の平面に含まれ、上から見たときの、これらの層の最小寸法に平行な方向を意味する。
【0034】
また、原則として、これらの3つの方向のそれぞれに関連する2つの向きを、
図10に示す箔の平面を基準として与えている。
【0035】
したがって、
図10に示す箔の平面を基準として、右向きおよび左向きの方向をXX方向と関連付け、前方および後方の方向をYY方向と関連付け、上方および下方の方向をZZ方向と関連付けている。
【0036】
また、原則として、
図10に示す箔の平面を基準として、右から左に向く第1の縦方向XX’と、第1の縦方向XX’とは反対の、すなわち左から右に向く第2の縦方向XX’’とを定義している。
図10に示す箔の平面を再び参照して、前方から後方へ向く第1の横方向YY’と、第1の横方向とは反対の第2の横方向YY’’と、上から下へ向く第1の正面方向ZZ’と、第1の正面方向とは反対の第2の正面方向ZZ’’とを定義している。
【0037】
本発明による方法は、まず、交互に配置された箔のスタックIを製造するステップを含み、これらの箔は、本明細書において、当面のケースに応じて「陽極箔」または「陰極箔」と称される。以下、より詳細に見るように、各陽極箔は複数の電池の陽極を形成することを意図しており、各陰極箔は複数の電池の陰極を形成することを意図している。
図1の例では、単位体を有する2枚の陰極箔5eと、単位体を有する2枚の陽極箔2eとが示されている。実際には、より多くの箔によってこのスタックが形成され、通常は10~1000個ある。単位体を有する陰極箔5eの数は、使用される単位体を有する陽極箔2eの数と同一であり、反対極性の交互する箔のスタックIを構成する。
【0038】
有利な一実施形態では、これらの箔の各々は、その4つの端部に穿孔7を有し、これらの穿孔7が重ね合わされると、以下にさらに詳細に説明されるように、これらの箔の陰極の全てと陽極の全てが本発明に従う配置となる(
図1、2、3を参照)。箔の4つの端部におけるこれらの穿孔7は、任意の適切な手段によって、特に製造後の陽極および陰極箔上、または陽極および陰極箔の製造前の基板箔10、40上に作ることができる。
【0039】
各陽極箔は、陽極材料の活性層20(以下、陽極層20と称する)で少なくとも一部が被覆された陽極集電基板10を含んでいる。各陰極箔は、陰極材料の活性層50(以下、陰極層50と称する)で少なくとも一部が被覆された陰極集電基板40を含んでいる。これらの各活性層は、固体とすることができ、より詳細には、緻密性または多孔性を有する。さらに、反対極性の2つの活性層間のいかなる電気的接触も防止するために、活性層で予め被覆されたこれらの集電基板のうちの少なくとも1つの活性層上に、電解質層30または電解質を後から含浸させたセパレータ層31が、反対の活性層と接触して配置されている。電解質層30またはセパレータ層31は、陽極層20上および/または陰極層50上に配置することができ、電解質層30またはセパレータ層31は、それを含む陽極箔および/または陰極箔の一体的部分を形成している。
【0040】
有利には、陽極集電基板10またはそれぞれの陰極集電基板40の2つの面は、陽極層20またはそれぞれの陰極層50で少なくとも部分的に被覆され、任意選択として、陽極層20上またはそれぞれの陰極層50上に配置されている電解質層30またはセパレータ層31で被覆されている。このような場合、陽極集電基板10またはそれぞれの陰極集電基板40は、2つの隣接する単位セル100、100’に対する集電体として作用する。これらの基板を電池に用いることで、高エネルギー密度および高出力密度を有する二次電池の生産量を増加させることができる。
【0041】
陽極箔の1つの機械的構造について、他の陽極箔が同一の構造を有することを理解した上で、本明細書において説明する。さらに、以下において見られるように、陰極箔は、陽極箔と同様の構造を有する。
【0042】
図2に示すように、単位体60、60’を有する陽極箔2eは、四角形状、実質的に正方形の形状を有する。それは、いわゆる穿孔された中央ゾーン4を区画し、そこでは、以下に説明する単位体が作られている。これらの単位体の位置決めに関して、箔のいわゆる横方向または横断方向YYを定義し、これらの単位体の横方向の向きに対応させるとともに、いわゆる箔の方向YYに垂直な水平方向XXを定義する。中央ゾーン4は、固体の、すなわち単位体がない周辺フレーム6によって縁取られている。このフレームの機能は、特に、各箔の容易な取り扱いを保証することである。
【0043】
単位体60、60’は、1つが他の下に配置された行L
1~L
yと、互いに隣接して配置された列R
1~R
xに分配されている。非限定的な例として、表面実装デバイス型(以下、SMDと称する)のマイクロ電池の製造の範囲内で、使用される陽極および陰極箔は、100mm×100mmのウェハとすることができる。これらの箔の行数は10~500、列数は10~500を含むのが一般的である。所望の電池容量の関数として、その寸法を変えることができ、それに応じて陰極および陽極箔あたりの行および列の数を調整することができる。使用する陰極箔および陽極箔の寸法は、要件に応じて変更することができる。
図2に示すように、隣接する2つの行は、材料ブリッジ8によって分離することができ、その高さH
8は、0.05mmから5mmの間を含む。隣接する2つの列は、材料ストリップ9によって分離することができ、その幅L
9は、0.05mmから5mmの間を含む。陽極および陰極箔のこれらの材料ブリッジ8およびストリップ9は、これらの箔を容易に取り扱うための十分な機械的剛性を与える。
【0044】
単位体60、60’、60’’は、以下に詳述するように、除去領域、すなわち非被覆ゾーン72、82、被覆ゾーン71、81、および溝70、80を含む。好ましくはI字形であるこれらの溝70、80は、貫通しており、すなわち、箔の上下の対向する面においてそれぞれ開口している。これらの溝70、80は、好ましくは四角形状であり、実質的に長方形タイプである。これらの溝70、80は、それ自体既知の方法で、化学エッチング、電鋳、レーザー切断、マイクロ穿孔またはスタンピングによって、陽極または陰極材料の堆積の前に、集電基板上に直接製造することが可能である。また、これらの溝70、80を、
-陽極または陰極材料層で少なくとも部分的に被覆された集電基板上、または、
-電解質層もしくはセパレータ層で被覆された陽極または陰極材料層で少なくとも部分的に被覆された集電基板上、すなわち陽極箔または陰極箔上
に作ることも可能である。
【0045】
このような少なくとも部分的に被覆された基板に溝70、80を作る場合、溝70、80は、それ自体既知の方法で、例えばレーザー切断(またはレーザーアブレーション)、フェムト秒レーザー切断、マイクロ穿孔またはスタンピングによって作ることができる。全ての陰極箔に作られた溝70は、互いに重ね合わされている。全ての陽極箔に作られた溝80は、互いに重ね合わされている。
【0046】
ここで、
図3に示すような単位体60の1つを説明するが、陽極箔の単位体60、60’の全ては同一であり、陰極箔の単位体60、60’’の全ては同一であると理解されよう。
【0047】
【0048】
各単位体60、60’、60’’は、好ましくはI字形である貫通溝80、70と、除去領域、すなわち非被覆ゾーン82、72と、被覆ゾーン81、71とを含む。
【0049】
陽極単位体60’の被覆ゾーン81は、陽極層20によって覆われている、または陽極層20および電解質層30もしくはセパレータ層31によって覆われている陽極箔のゾーンを意味すると理解される。陽極単位体60’の除去領域または非被覆ゾーン82は、陽極層20によって覆われていない、または陽極層20および電解質層30もしくはセパレータ層31によって覆われていない陽極箔のゾーンを意味すると理解される。
【0050】
陽極除去領域82は、いかなる電解質材料またはセパレータもなく、いかなる陽極材料もないゾーンである。陽極箔上に生成されるとき、これらの陽極除去領域82は、任意の電解質材料またはセパレータ、任意の陽極材料の堆積を除去または防止し、陽極集電基板10の少なくとも一部を残すような方法で作成される。その結果、電池の第1の縦方向XX’において、各陽極集電基板10は、各陽極層20、および各電解質材料層30または電解質を含浸している各セパレータ層31から突出する。集電基板が陽極層20で完全に覆われ、陽極層20それ自体が電解質層30またはセパレータ層31で任意選択により覆われている場合、陽極層20または電解質層30もしくはセパレータ層31で被覆された陽極層20を局所的に除去するために、レーザーアブレーションによって陽極除去領域82を生成することが可能である。陽極除去領域82はまた、それ自体既知の方法で、集電基板の局所的なスロットダイ被覆によって製造することができる。集電基板の局所的なスロットダイ被覆は、基板上で、特に陽極層20の局所的な堆積を可能にし、任意選択でその後同一方法に従って電解質層30またはセパレータ層31で陽極層20を覆うことができる。基板の移動方向に対称性を有する基板上のスロットダイ被覆により、非被覆ゾーン82を基板上に直接残すことが可能になるので、陽極箔上の単位体を製造するための方法におけるステップ数が減少する。
【0051】
同一単位体60、60’、60’’の、一方の除去領域82、72と他方の溝80、70とは、YHで示される単位体60、60’、60’’の中心線に対して、俯瞰的に見たときに互いに対称的である。
【0052】
各陽極除去領域82は、各陰極溝70の続きに生成され、各陰極除去領域72は、各陽極溝80の続きに生成されている。
【0053】
以下、溝80、被覆ゾーン81および除去領域82を製造した後に得られる陽極箔を、単位体を有する陽極箔2eと称する。
【0054】
以下の参照を用いる。
-H80は陽極溝全体の高さであり、通常、0.25mm以上10mm以下を含む。
-L80はその幅であり、通常、0.25mm以上10mm以下を含む。
-H82は各陽極除去領域の高さであり、通常、0.25mm以上10mm以下を含む。
-L82は各陽極除去領域の幅であり、通常、0.25mm以上10mm以下を含む。
【0055】
同様に、各陰極箔も、陽極単位体60、60’と等しい量の、陰極単位体60、60’’を異なる行および列で提供される。
【0056】
特に
図4に示すように、各陰極単位体60’’の構造は、各陽極単位体60’の構造と実質的に同様であり、すなわちこの陰極単位体60’’は、除去領域または非被覆ゾーン72、被覆ゾーン71および溝70からなる。
【0057】
陰極単位体60’’の除去領域または非被覆ゾーン72は、陰極層50によって覆われていない、または陰極層50および電解質層30もしくはセパレータ層31によって覆われていない陰極箔5eのゾーンを意味すると理解される。
【0058】
陰極単位体60’’の被覆ゾーン81は、陰極箔5eのうち、陰極層50によって被覆されているゾーン、または陰極層50および電解質層30もしくはセパレータ層31によって被覆されているゾーンを意味すると理解される。
【0059】
陰極除去領域72の寸法は、陽極溝80の寸法と同一であり、同様に、陽極除去領域82の寸法は、陰極溝70の寸法と同様である。
【0060】
俯瞰すると、陰極除去領域72は陽極溝80の上に重ね合わされ、陽極除去領域82は陰極溝70の上に重ね合わされている。
【0061】
陽極単位体60’と陰極単位体60’’との単位体の違いは、一方では、陰極除去領域72と陽極除去領域82とが互いに相対的に反転していることだけである。他方、陰極溝70と陽極溝80とは、互いに相対的に反転している。このように、俯瞰すると、各陽極除去領域82は、各陰極溝70の続きに生成され、各陰極除去領域72は、各陽極溝80の続きに生成されている。
【0062】
陰極除去領域72は、いかなる電解質材料またはセパレータもなく、いかなる陰極材料もないゾーンである。陰極箔上に生成されるとき、これらの陰極除去領域72は、任意の電解質材料またはセパレータ、任意の陰極材料の堆積を除去または防止し、陽極集電基板10の少なくとも一部を残すような方法で作成される。その結果、第1の縦方向XX’と反対側の電池の第2の縦方向XX’’において、各陰極集電基板40は、各陰極層50、および各電解質材料層30または電解質を含浸している各セパレータ層31から突出する。集電基板が陰極層50で完全に覆われ、陰極層50それ自体が電解質層30またはセパレータ層31で任意選択により覆われている場合、陰極層50または電解質層30もしくはセパレータ層31で被覆された陰極層50を局所的に除去するために、レーザーアブレーションによって陰極除去領域72を生成することが可能である。陰極除去領域72はまた、集電基板の局所的なスロットダイ被覆によって製造することができる。集電基板の局所的なスロットダイ被覆は、基板上で、特に陰極層50の局所的な堆積を可能にし、任意選択でその後同一方法に従って電解質層30またはセパレータ層31で陰極層50を覆うことができる。基板の移動方向に対称性を有する基板上のスロットダイ被覆により、非被覆ゾーン72を基板上に直接残すことが可能になるので、陰極箔上の単位体を製造するための方法におけるステップ数が減少する。
【0063】
以下、溝70、被覆ゾーン71および除去領域72を製造した後に得られる陰極箔を、単位体を有する陰極箔5eと称する。
【0064】
次に、単位体を有する少なくとも1つの陽極箔2eと単位体5eを有する少なくとも1つの陰極箔とを交互に積層しているスタックIを、少なくとも1つの単位セルを得るように製造し、それぞれの単位セルは、陽極集電基板10、陽極層20、電解質材料層30または電解質を含浸しているもしくは後から含浸させたセパレータ層31、陰極層50および陰極集電基板40を連続的に含んでいる。
【0065】
スタックIは、溝80、非被覆ゾーン82および被覆ゾーン81を有する少なくとも1つの陽極箔2eと、溝70、非被覆ゾーン72および被覆ゾーン71を有する少なくとも1つの陰極箔5eとの交互配置を含んでいる。こうして、陽極集電基板10、陽極層20、電解質材料層30および/またはセパレータ層31、陰極層50、および陰極集電基板40を連続的に含む、少なくとも1つの単位セル100が得られる。
【0066】
このスタックIは、以下のように製造される。
-電池の第1の縦方向XX’において、各陽極集電基板10は、各陽極層20、電解質材料層30および/またはセパレータ層31の各層、各陰極層50および各陰極集電基板層40から突出し、かつ、
-前記第1の縦方向XX’と反対の前記電池の第2の縦方向XX’’において、各陰極集電基板40が、各陽極層20、電解質材料層30および/またはセパレータ層31の各層、各陰極層50および各陽極集電基板層10から突出している。
【0067】
前記電池が複数の単位セル100、100’、100’’からなる場合、前記単位セル100、100’、100’’は、
図10に示すように、電池の主面に対する正面方向ZZに従って一つが他の下に配置され、すなわち重ね合わされ、好ましくは、以下のようにされる。
o陽極集電基板10は、隣接する2つの単位セル100、100’、100’’の陽極集電基板10であり、ここで、
o陰極集電基板40は、2つの隣接する単位セル100、100’、100’’の陰極集電基板40である。
【0068】
本明細書に記載されたスタックは、その全体的な機械的安定性を確保するステップにかけられることが想定されている。これらのステップは、それ自体既知であり、特に、異なる層をホットプレスすることを含む。後述するように、このように連結されたスタックにより、行数Yと列数Xとの積に等しい数の個別の電池を形成することが可能になる。
【0069】
この目的のために、
図5を参照して、3つの行L
n-1~L
n+1および3つの列R
n-1~R
n+1を示している。本発明に従い、またスタックIが単位体の複数の行、すなわち少なくとも2つの行(以下では電池行L
nとも称する)を含むとき、
図16および17に示すように、前記連結スタックから形成された電池の少なくとも1つの他の行L
n-1、L
n+1から電池1000の所定の行L
nを分離するために第1の対の切断DX
n、DX’
nが行われる。貫通するように行われる、すなわちスタックの高さ全体を通って延びる各切断は、それ自体既知の方法で行われる。非限定的な例としては、鋸引きによる切断、特に立方体への切断、ギロチン切断またはレーザー切断が挙げられる。さらに、電池を形成しないスタック内の箔のゾーン90は実線の塗りつぶしで示されているのに対し、溝の容積は空白のままであり、除去領域のそれは灰色である。
【0070】
図5の単位体60、60’のうちの1つの拡大図である
図6に特に示すように、各切断は、電池の縦方向、第1の縦方向XX’または第2の縦方向XX’’に、かたよりのない状態で行われる。切断DX
nおよびDX’
nは、好ましくは互いに平行であり、単位体60、60’、60’’の溝80、70および除去領域72、82の整列の両方に対して垂直になされることが好ましい。
【0071】
図5に戻ると、各最終電池は、前部および後部に、好ましくは互いに平行な2つの切断DX
nおよびDX’
nによって、また、右および左に、好ましくは互いに平行な第2の対の切断DY
nおよびDY’
nによって区切られている。
【0072】
この
図5では、切断線D
nおよびD’
nに沿って、ならびに切断線DY
nおよびDY’
nに沿って一旦切断された電池1000がハッチングで示されている。
【0073】
これらの条件下で、この
図6を参照して、非限定的な例の形態で、以下の参照に留意されたい。
-少なくとも1つの陽極接続ゾーン1002を含む電池の第1の縦方向面F6と第1の端面DY
aとの間の最小距離に対応する距離Dca。この距離Dcaは、0.01mmと0.05mmとの間を含み、この距離DcaはL
82/L
70以下であることが理解されよう。
-少なくとも1つの陰極接続ゾーン1006を含む電池の第2の縦方向面F4と第2の端面DY’
aとの間の最小距離に対応する距離Dcc。この距離Dccは、0.01mmと0.05mmとの間を含み、この距離Dccは、L
72/L
80以下であることが理解されよう。
【0074】
図7は、電池を貫通して延びる切断線VII-VIIによる断面図である。
図7は、単位体を有する2つの陽極箔2eと、単位体を有する2つの陰極箔5eとが交互に配置されている様子を示している。同図において、以下の参照数字が与えられている。すなわち、
図6および本発明の有利な一実施形態による隣接する単位セルにも示したような、単位体60、60’の溝70、80、被覆ゾーン71、81および除去領域72、82である。
【0075】
単位体を有する陽極箔2eは、陽極層20で被覆された陽極集電基板10を含み、それ自体は、任意選択により電解質層30または電解質を後から含浸させたセパレータ層31で被覆されている。単位体を有する各陰極箔5eは、陰極材料の活性層50で被覆された陰極集電基板40を含み、それ自体は、任意選択により電解質層30または電解質を後から含浸させたセパレータ層31で被覆されている。反対極性の2つの活性層間、すなわち陽極層20と陰極層50との間のいなかる電気的接触も防止するために、少なくとも1つの電解質層30および/または電解質を含浸しているもしくは後から含浸させたセパレータ層31の少なくとも1つが配置されている。
図7は、陽極集電基板10、陽極層20、少なくとも1つの電解質材料層30または電解質を含浸しているもしくは後から含浸させたセパレータ層31、陰極層50、および陰極集電基板40を連続的に含む単位セル100を示している。
【0076】
有利には、単位セル100’の陽極集電基板10は、隣接する単位セル100’’の陽極集電基板10と隣接させることができる。同様に、単位セル100の陰極集電基板40は、隣接する単位セル100’の陰極集電基板40と隣接させることができる。
【0077】
有利な一実施形態では、特に
図7に示すように、陽極集電基板10、それぞれの陰極集電基板40は、2つの隣接する単位セルのための集電体として機能することが可能である。本明細書で説明するように、陽極集電基板10またはそれぞれの陰極集電基板40の2つの面は、陽極層20またはそれぞれの陰極層50で、任意選択により陽極層20上またはそれぞれの陰極層50上に配置された電解質層30もしくはセパレータ層31で被覆されている。これにより、電池の生産量を増加させることができる。
【0078】
図7に示すように、単位体を有する各陽極箔2eおよび単位体を有する各陰極箔5eは、各陰極除去領域72が各陽極溝80の続きになり、各陽極除去領域82が各陰極溝70の続きになるように配置されている。
【0079】
第1の縦方向XX’において、各陽極集電基板10は、第1の端面DYaから突出しており、この第1の面は、各陽極層20、各電解質材料層30または各セパレータ層31、各陰極層50および各陰極集電基板層40の第1の縦方向端部により画定されている。
【0080】
前記第1の縦方向XX’と反対の電池の第2縦方向XX’’において、各陰極集電基板40は、各陽極層20、各電解質材料層30または電解質を含浸しているもしくは後から含浸させた各セパレータ層31、各陰極層50および各陽極集電基板層10から突出している。
【0081】
これは、電池の横方向端部における短絡の存在を防止し、漏れ電流を防止し、陽極接続ゾーン1002および陰極接続ゾーン1006における電気的接触を容易にするため、本発明の特に有利な特徴である。
【0082】
断面図から、陰極除去領域72は陽極溝80の上に重ね合わされ、陽極除去領域82は陰極溝70の上に重ね合わされている。
【0083】
有利には、単位体を有する陽極箔2eおよび単位体を有する陰極箔5eのスタックを製造した後、スタックIは、熱および/または機械的処理(この処理は、圧力および高温の同時適用からなる熱圧着処理であり得る)により連結される。電池を組み立てることを可能にするスタックの熱処理は、有利には、50℃と500℃との間を含む温度で、好ましくは350℃以下の温度で行われる。組み立てられる、単位体を有する陽極箔2eおよび単位体を有する陰極箔5eのスタックの機械的圧縮は、10MPaと100MPaとの間を含む圧力で、好ましくは20MPaと50MPaとの間を含む圧力で実施される。
【0084】
電池を作成する層の連結スタックの製造は、以上説明したとおりである。次に、スタックIが複数の行、すなわち単位体の少なくとも2つの行(以下、電池行L
nとも称する)を含むとき、連結スタックから形成された電池の少なくとも1つの他の行L
n-1、L
n+1から電池1000の所定の行L
nを分離するために第1の対の切断DX
n、DX’
nを行うことができる。貫通するように行われる、すなわちスタックの高さ全体を通って延びる各切断は、本明細書で説明したように、それ自体既知の方法で行われる。
図17に示すように、電池線L
nは、6つの面、すなわち、
-互いに対向する、特に互いに平行な2つのいわゆる端面FF1、FF2であって、1つまたは複数の陽極集電基板10、1つまたは複数の陽極層20、1つもしくは複数の電解質材料層30または電解質を含浸している1つもしくは複数のセパレータ層31、1つまたは複数の陰極層50、および1つまたは複数の陰極集電基板40に概して平行なものと、
-電池1000の横方向面F3、F5に平行な、互いに対向する、特に互いに平行な2つのいわゆる横方向面FF3、FF5と、
-電池1000の縦方向面F4、F6に平行な、互いに対向する、特に互いに平行な2つのいわゆる縦方向面FF4、FF6と、を有する。
【0085】
電解質ホストマトリックスとしてセパレータを使用する場合、初期スタックIが電池Lnの複数の行を含み、上記連結スタックから形成した電池(1000)の少なくとも1つの他の行(Ln-1、Ln+1)から、電池(1000)の所定の行(Ln)を分離するための第1の対の切断(DXn、DX’n)を行うと、先に得られた連結スタックまたは電池1000の行Lnの含浸が可能である。先に得られた連結スタックまたは電池1000の行Lnの含浸は、上記セパレータ(31)が電解質で含浸されるように、リチウム塩を含む液体電解質またはイオン液体などのリチウムイオンを運ぶ相により生成することができる。
【0086】
任意選択でリチウムイオンを運ぶ相で含浸された連結スタックIを製造した後、このスタックまたは電池1000の行L
nは、
図8に示すように、大気からの電池のセルの保護を保証するために、封止材95を堆積させることによって封止化される。封止材は、有利には、バリア層としての機能を果たすために、化学的に安定であり、高温に耐えることができ、大気に対して不透過性でなければならない。
【0087】
スタックは、以下を含む封止材で覆うことができる。
-任意選択で、好ましくはパリレン、パリレンF、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコン、ポリアミド、ゾルゲルシリカ、有機シリカおよび/またはそれらの混合物の中から選択され、陽極箔および陰極箔のスタック上に堆積されている緻密かつ絶縁性の第1のカバー層と、
-任意選択で、陽極箔および陰極箔のスタック上または上記第1のカバー層上に原子層堆積法により堆積されている、電気的絶縁材料からなる第2のカバー層と、
-特に有利な態様では、好ましくは10-5g/m2・d未満の水蒸気透過率(WVTR)を有し、セラミック材料および/または低融点ガラス、好ましくは600℃未満の融点を有するガラスから成り、陽極箔および陰極箔のスタックの外周部上または第1のカバー層上に堆積されている少なくとも第3の不浸透性カバー層と、である。
【0088】
少なくとも1つの第2のカバー層と少なくとも1つの第3のカバー層とのこの連続をz回繰り返し、ここでz≧1であり、少なくとも第3のカバー層の外周部上に堆積させることができ、封止材の最後の層が、不浸透カバー層であり、好ましくは10-5g/m2・d未満の水蒸気透過率(WVTR)を有し、セラミック材料および/または低融点ガラスから成ることを理解して、このようにすることができる。
【0089】
この連続はz回繰り返すことができ、ここでz≧1である。これはバリア効果を持ち、zの値が大きくなるにつれてバリア効果が増加する。
【0090】
その結果、剛性の高い不浸透性の封止化が得られ、特に、封止材とコンタクト部材との間の界面(
図11の界面Aを参照)での水蒸気の通過を防止することができる。
【0091】
本発明の目的のために、不浸透性層は、10-5g/m2・d未満の水蒸気透過率(WVTR)を有すると画定される。水蒸気透過率は、米国特許第7624621号明細書の目的であり、また、Thin Solid Films 6+550 (2014)85-89頁に掲載された、A.Mortier等による出版物「Structural properties of ultraviolet cured polysilazane gas barrier layers on polymer substrates」に説明されている方法を使用して測定することが可能である。
【0092】
通常は、任意選択である第1のカバー層は、以下からなる群から選択される。すなわち、シリコン(例えば含浸によって、またはヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)からのプラズマ強化化学気相成長によって堆積されたもの)、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリパラキシリレン(パリレンとしてよく知られているポリ(p-キシリレン))、および/またはこれらの混合物である。第1のカバー層が堆積されると、電池の敏感な素子をその環境から保護する。第1のカバー層の厚さは、好ましくは、0.5μmと3μmとの間を含んでいる。
【0093】
この第1のカバー層は、電池の電解質層および電極層に空隙がある場合に特に有用であり、平坦化層として作用し、バリア効果も有する。例えば、この第1の層は、層の表面に開口して微孔性を有する表面を覆って、そこへのアクセスを遮断することが可能である。
【0094】
この第1のカバー層では、パリレンの異なる変種を使用することができる。パリレンC、パリレンD、パリレンN(CAS1633-22-3)、パリレンF、またはパリレンC、D、Nおよび/もしくはFの混合物を使用することが可能である。パリレンは、高い熱力学的安定性と、優れた耐溶剤性と、非常に低い透過性とを有する誘電性の透明半結晶性材料である。また、パリレンはバリア性を有している。本発明の範囲内では、パリレンFが好ましい。
【0095】
この第1のカバー層は、有利には、化学気相成長法(CVD)により電池のスタックの表面上に堆積された気体状モノマーの凝縮から得られ、その結果、スタックのアクセス可能な全表面がコンフォーマルに、薄く、均一に覆われることになる。この第1のカバー層は、有利には剛性が高く、可撓性を有する表面と見なすことができない。
【0096】
第2のカバー層は、任意選択であるが、電気的絶縁材料、好ましくは無機材料によって形成される。これは、原子層堆積法(ALD)、PECVD、HDPCVD(高密度プラズマ化学気相成長法)、ICPCVD(誘導結合プラズマ化学気相成長法)によって堆積され、第1のカバー層で先に覆われたスタックのアクセス可能な表面のすべてのコンフォーマルな被覆を得るために行われる。ALDで成膜された層は機械的に非常に壊れやすく、その保護的な役割を果たすためには剛性の高い支持面を必要とする。可撓性を有する表面に壊れやすい層を堆積させると、亀裂が生じ、この保護層の完全性が失われることになる。さらに、ALDで成膜された層の成長は、基板の性質に影響される。異なる化学的性質のゾーンを有する基板上にALDによって成膜された層は、成長が不均一になり、この保護層の完全性を失わせる可能性がある。この理由から、この任意の第2の層は、存在する場合、好ましくは、任意選択である第1の層を支持し、これにより、化学的に均質に成長した基板が保証される。
【0097】
ALD堆積技術は、完全に不浸透かつコンフォーマルな方法で高い粗さを有する表面を覆うのに特によく適している。これらの技術は、穴のような欠陥のない均一な層(いわゆる「ピンホールが無い」層)の製造を可能にし、非常に優れたバリアとなる。その水蒸気透過率(WVTR)は極めて低い。水蒸気透過率(WVTR)は、封止材の水蒸気透過率を評価するために用いられる。WVTRが低いほど、封止材の不浸透性は高くなる。この第2の層の厚さは、有利には、所望の気体不浸透性レベル、すなわち所望のWVTRの関数として選択され、特にALD、PECVD、HDPCVDおよびICPCVDの中から選択される、使用する堆積技術に依存する。
【0098】
上記第2のカバー層は、例えばAl2O3またはTa2O5タイプの酸化物、窒化物、リン酸塩、酸窒化物またはシロキサンの形態のセラミック材料、ガラス質材料またはガラスセラミック材料で作ることができる。この第2のカバー層の厚さは、好ましくは10nmと15μmとの間、好ましくは10nmと50nmの間を有する。
【0099】
第1のカバー層上にALD、PECVD、HDPCVD(高密度プラズマ化学気相成長)またはICPCVD(誘導結合プラズマ化学気相成長)によって堆積されたこの第2のカバー層は、第1に、構造を不浸透にすること、すなわち物体内部に水が移動するのを防ぐことを可能にし、第2に、パリレンFからなることが好ましい第1のカバー層を大気、特に空気および湿気から保護し、かつ熱曝露から保護して、その劣化を防止することが可能である。このように、この第2のカバー層は、封止化された電池の寿命を向上させる。
【0100】
第2のカバー層は、第1のカバー層が堆積されていない場合、陽極箔および陰極箔のスタック上に直接堆積させることも可能である。
【0101】
第3のカバー層は不浸透性を有さなければならず、好ましくは10-5g/m2・d未満の水蒸気透過率(WVTR)を有している。この第3のカバー層は、セラミック材料および/または低融点ガラス、好ましくは600℃未満の融点を有するガラスによって形成され、陽極箔および陰極箔のスタックの外周部または第1のカバー層に堆積される。この第3の層に使用されるセラミックおよび/またはガラス材料は、有利には、以下の中から選択される。
-低融点ガラス(通常は600℃より高い)、好ましくはSiO2-B2O3およびBi2O3-B2O3、ZnO-Bi2O3-B2O3、TeO2-V2O5、PbO-SiO2と、
-酸化物、窒化物、酸窒化物、SixNy、SiO2、SiON、非晶質シリコン、SiCなどと、である。
【0102】
これらのガラスは、モールドまたはディップ被覆によって堆積させることができる。
【0103】
セラミック材料は、有利にはPECVD、好ましくは低温のHDPCVDまたはICPCVDによって堆積される。これらの方法により、良好な不浸透性を有する層を堆積させることが可能である。
【0104】
本明細書で上述したように、本発明による電池は、有利には、連続した層の形態で製造される封止材を含む。これにより、電池のすべての面において、非常に不浸透性の高い封止が得られる。さらに、この封止化は、全体の寸法が非常に小さいので、マイクロ電池の製造に必要な小型化を可能にする。
【0105】
以上の封止材の説明は、スズキが出願した米国特許出願公開第2018/212210号明細書の開示と比較すると、その技術的効果とともに大きな相違点を示している。この先行技術の電池では、セルと接触する樹脂は、不浸透性封止機能を果たしていない。より具体的には、この樹脂は、本明細書で説明した透過性機能を有していない。
【0106】
さらに、スズキによって出願されたこの文書は、固体電池に関するものである。逆に、本発明による電池は、完全な固体でないことも可能である。そのような場合、この電池の縦方向の端部は、「開放」型である。特に
図9に示すように、不浸透性封止材は、有利には、電解質層30またはセパレータ層31の端部と、反対側の縦方向面F4およびF6で直接接触して配置される。その結果、この封止材は、層30、それぞれの層31の孔を「閉じる」ことができ、これにより、特に、セル内部のナノ閉じ込め電解質を満足に保持することができる。図示しない代替の実施形態では、この封止材は、他の層と接触しないように提供することができる。しかしながら、この封止化では、スタックの反対側の縦方向面において、突出している基板を除く、セルの全ての構成要素と直接接触するのが好ましい。
【0107】
さらに、本発明による電池の封止材は、有利には電気的絶縁性を有している。本発明の目的のために、このことは、この封止材の導電率が、有利には10e-11S.m-1未満、特に10e-12S.m-1未満であることを意味する。このような特徴は、短絡を回避すると同時に、ピックアンドプレース型の電子部品装着機との互換性のために、反対側の正負の接続をやり直すことができるので、有利である。この特徴は、スズキが出願した前述の特許文献1の開示と比較することができ、そこでは、金属性の外部筐体によって不浸透性が提供されている。
【0108】
このようにして被覆されたスタックは、次に、
図9に示すように、陽極接続ゾーン1002および陰極接続ゾーン1006が露出し、単位電池が得られるように、切断線DY
nおよびDY’
nに沿って任意の適切な手段によって切断される。
【0109】
図9および
図10に示すように、切断線DY
nおよびDY’
nに沿った、連結および封止スタックにおける切断は、以下のように行われる。
-各陽極集電基板10の各陽極端1002’のみが、第1の端面DY
aから突出し、この第1の面は、電池の第1の縦方向XX’において、各陽極層20、各電解質材料層30および/または各セパレータ層31、各陰極層50および各陰極集電基板層40の第1の縦方向端部によって画定され、かつ、第1の縦方向面F6と同一平面上にあり、かつ、以下のように行われる。
-各陰極集電基板40の各陰極端1006’のみが、第2の端面(DY’
a)から突出し、この第2の面は、電池の第2の縦方向XX’’において、各陽極層20、各電解質材料層30および/または各セパレータ層31、各陰極層50および各陽極集電基板層10の第2の縦方向端部によって画定され、かつ、第2の縦方向面F4と同一平面上にあり、上記第2の縦方向面F4が第1の縦方向面F6と好ましく対向かつ平行している。なお、各陽極端1002’が陽極接続ゾーン1002を画定し、各陰極端1006’が陰極接続ゾーン1006を画定するとの理解である。
【0110】
コンタクト部材97、97’、97’’(電気コンタクト)は、陰極接続ゾーン1006またはそれぞれの陽極接続ゾーン1002が外から見える場所に追加されている。これらのコンタクトゾーンは、好ましくは、電流を集めるために電池のスタックの反対側に配置されている(横方向の集電器)。コンタクト部材97、97’、97’’は、少なくとも陰極接続ゾーン1006上および少なくとも陽極接続ゾーン1002上に、好ましくは少なくとも陰極接続ゾーン1006を含む被覆切断スタックの面上および少なくとも陽極接続ゾーン1002を含む被覆切断スタックの面上に配置されている(
図11を参照のこと)。
【0111】
したがって、少なくとも陽極接続ゾーン1002、好ましくは少なくとも陽極接続ゾーン1002を含む第1の縦方向面F6、より好ましくは少なくとも陽極接続ゾーン1002とこの第1の縦方向面F6に隣接する面F1、F2、F3、F5の端部97’aとを含む第1の縦方向面F6は、スタックIと外部の導電性要素との間に電気的接触を生じさせることができる陽極コンタクト部材97’によって覆われている。さらに、少なくとも陰極接続ゾーン1006、好ましくは少なくとも陰極接続ゾーン1006を含む第2の縦方向面F4、より好ましくは少なくとも陰極接続ゾーン1006とこの第2の縦方向面F4に隣接する面F1、F2、F3、F5の端部97’’aとを含む第2の縦方向面F4は、スタックIと外部の導電性要素との間の電気的接触を生じさせることができる陰極コンタクト部材97’’によって覆われている。
【0112】
好ましくは、コンタクト部材97、97’、97’’は、陰極接続ゾーン1006および陽極接続ゾーン1002の近傍において、導電性粒子を充填した材料、好ましくは導電性粒子を充填した、高分子樹脂および/またはゾルゲル法によって得られた材料、より好ましくは黒鉛を充填した高分子樹脂からなる第1の電気接続層、および第1の層上に配置された金属箔からなる第2の層を連続的に含む積層体Iを含む。
【0113】
第1の電気接続層は、電気回路に熱的および/または振動的な応力が加わったときに、電気的な接触が切れることなく、接続部に「可撓性」を持たせながら、後続の第2の電気接続層を固定することが可能である。
【0114】
第2の電気接続層は、金属箔である。この第2の電気接続層は、湿気に対する持続的な保護を電池に提供するために使用される。一般に、所定の厚さの材料に対して、金属は、セラミックベースのフィルムよりも不浸透性が高く、一般に水分子の通過に対してあまり不浸透性を有しないポリマーベースのフィルムよりもさらに不浸透性の高いフィルムを製造することを可能にする。コンタクト部材でのWVTRを減少させることにより、電池の暦年寿命を増加させることができる。
【0115】
有利には、導電性インクからなる第3の電気接続層を第2の電気接続層上に堆積させることができ、その目的は、WVTRを減少させ、電池の寿命を増加させることである。
【0116】
このコンタクト部材97、97’、97’’により、両端部のそれぞれで正と負とを交互に電気的に接続することができる。これらのコンタクト部材97、97’、97’’は、異なる電池要素間の電気的接続を並列に行うことを可能にする。この目的のために、陽極接続ゾーンのみが一端部で突出し、陰極接続ゾーンは別端部で利用可能である。
【0117】
国際公開第2016/001584号には、電池2000のセルを大気から保護するための封止材295で封止化された、陽極箔と陰極箔とが交互に積層され横方向にオフセットされた複数の単位セルからなるスタック(
図12参照)が記載されている。露出した陽極接続ゾーン2002および陰極接続ゾーン2006のを有する単位電池を得るためのこれらの封止スタックの切断は、電極および封止材の交互の連続を通過する切断面に沿って行われる。先行技術の電池の電極と封止材との間の密度の差に起因して、この切断面に沿って切断すると、切断面の近傍で封止材が引き裂かれ、したがって短絡を生じるリスクが生じる。国際公開第2016/001584号では、封止の際に、U字型の切断部を有する箔のスタックの間隙を封止層が埋めている。これらの間隙に挿入されたこの封止層は厚く、スタックにあまりよく接着しないので、この結果、封止材2095がその後の切断中に引き裂かれるリスクがある。
【0118】
本発明によれば、このリスクは、以下のような単位体を担持する箔の使用によって除去される。
-第1の縦方向XX’において、各陽極集電基板10は、第1の端面DYaから突出し、この第1の面は、各陽極層20、各電解質材料層30または各セパレータ層31、各陰極層50および各陰極集電基板層40の第1の縦方向端部によって画定されており、かつ、
-上記第1の縦方向XX’と反対の電池の第2の縦方向XX’’において、各陰極集電基板40は、各陽極層20、各電解質材料層30または電解質を含浸しているもしくは後から含浸させた各セパレータ層31、各陰極層50および各陽極集電基板層10から突出している。
【0119】
単位体のホットプレス機械構造は、陽極箔と陰極箔とが交互に重ね合わされているため、切断部近傍の剛性が極めて高い。このような剛性の高い構造を用いるとともに、単位体を有する箔を用いることにより、切断時の欠陥の数を減らし、切断速度を向上させ、ひいては電池の生産量を向上させることができる。
【0120】
本発明によれば、切断部DY’n、DYnは、単位体を有する陽極箔2eと、同密度の単位体を有する陰極箔5eとを介して行われるため、より高品質でクリーンな切断を行うことができる。さらに、切断面DY’n、DYnの近傍に、第1の縦方向XX’において、陽極材、電解質、電解質を含浸しているまたは含浸させていないセパレータ、陰極、陰極集電基板の一切ない陽極集電基板10が存在するとともに、第2縦方向XX’’において、陽極材、電解質、電解質を含浸しているまたは含浸させていないセパレータ、陰極、陽極集電基板の一切ない陰極集電基板40が存在するので、接続ゾーン1002、1006における短絡および漏れ電流のリスクを防止し、かつ電気的接触を容易にすることができる。陽極接続ゾーン1002と陰極接続ゾーン1006とは、好ましくは、横方向に互いに対向している。
【0121】
本発明による電池の独特な構造は、電池の縦方向面F4、F6における短絡の存在を防止し、漏れ電流を防止し、陽極接続ゾーン1002および陰極接続ゾーン1006において電気的接触を行うことを容易にする。より具体的には、陽極および陰極接続ゾーンを含む電池の縦方向面F4、F6に電極材料および電解質材料が存在しないことにより、リチウムイオンの横方向の漏れを防ぎ、電池のバランス調整を容易にする。すなわち、第1および第2の端面DY
a、DY’
aで区切られ、互いに接触する電極の有効面は、
図7~
図10に示すとおり実質的に同一である。
【0122】
代替案として、また、
図5および
図16に示すように、本発明に従った電池1000’を得ることができる。これらの電池1000’は、電池の中心C
1000を通る正面軸ZZに平行な軸である軸Z
1000を中心に180°回転させた電池1000に相当する。電池1000と1000’は、同一寸法を有することができる。電池1000および1000’は、互いに同一または異なる縦方向の寸法を有することができる。電池1000および1000’を同一スタックで生産することにより、材料の端材90を最小限に抑えながら、電池の生産量を最適化することができる。
【0123】
本発明による電池は、本発明の異なる代替実施形態による単位体から製造することができる。非限定的な例では、
図13に示すように、単位体の被覆ゾーン71、81は、基板の移動方向に対称性を有する集電基板40、10上にスロットダイ被覆によって製造することができる。これにより、非被覆ゾーン72、82を直接基板上に残すことができるので、陽極箔および陰極箔上の単位体を製造する方法の工程数を削減することができる。同一列Rの各単位体の除去領域が共通化され、除去ストリップ82’を形成することができる(
図13および
図14を参照)。
【0124】
図15に示すように、本発明およびこの同一代替実施形態によれば、追加の電池1000’を得ることができる。これらの電池1000’は、電池の中心C
1000を通る正面方向ZZに平行な軸である軸Z
1000を中心に180°回転させた電池1000に相当する。電池1000および1000’を同一スタックで生産することにより、材料の端材90を最小限に抑えながら、電池の生産量を最適化することができる。
【0125】
図示しない代替実施形態では、列Rnの各単位体の除去領域は、同一列Rnの各単位体に共通する除去ストリップから製造することができ、したがって、材料の端材90の存在を防止しながら、電池の生産量を最適化することができる。交互する箔のスタックの中央部4は、このように、本発明による電池を製造するために完全に使用される。
【0126】
図18から
図20は、本発明のさらなる実施形態を示している。これらの図において、第1の実施形態のものと類似する任意の構成要素には、300だけ増分された同一の参照数字が付されている。
【0127】
図20に示す電池1300は、特に、封止材395によって覆われた単一の単位セル400を含むという点で、本明細書の1000と異なる。この単一セルは、
図20において上から下に向かって、連続的に以下を含んでいる。すなわち、
-陽極集電基板310と、
-陽極層320と、
-電解質で含浸されたセパレータ層331(これは、本明細書に記載されているような電解質材料層で置き換えることができる)と、
-陰極層350と、
-陰極集電基板340と、を含んでいる。
【0128】
この
図18を参照すると、セルの異なる構成要素は、まず、互いの上に配置される。このアーキテクチャは、一般に、基板上の局所的な堆積によって得られる。集電体の一部は、堆積によって覆われていない。反対側の端面F1、F2上に設けられた集電基板310、340は、その反対側の端部が反対側の縦方向面F4、F6上の他の層から突出するように配置されている。そして、
図19に示すように、これらの構成要素は、封止材395によって覆われている。
【0129】
そして、この
図19に示す縦線392、393に沿って、切断が行われる。
図20に示すように、前述の切断により、それぞれの集電基板310、340の端部311、341が露出する。これらの端部は、縦方向XXに突出する封止材395のゾーン394および396によって、2つの反対方向に覆われていることに留意されたい。
【0130】
図21は、本発明のさらに別の実施形態を示している。これらの図において、第1の実施形態のものと類似する任意の構成要素には、400だけ増分された同一の参照数字が付されている。
【0131】
この
図21の電池1400は、電池1000と同様に、正面方向ZZにおいて一つが他の下に配置された複数の単位セル500を含んでいる。この電池1000とは対照的に、この電池1400は、本明細書で直前に説明した395と同様の封止材495を有している。特に、この封止材495は、方向XXに突出している複数のゾーン494および496を有する。電池1300と同様に、これらのゾーン494、496は、
図21において縦の点線および破線で示される切断492、493をすることによって形成される。これらの切断は、異なる集電基板410、440に属する端部411、441を露出させている。
【0132】
【0133】
電池1300と同様に、
図24に示す電池1500は、封止材595によって覆われた単一の単位セル600を含む。この単一セルは、
図24において上から下に向かって、連続的に以下を含む。すなわち、
-陽極集電基板510と、
-陽極層520と、
-電解質で含浸されたセパレータ層531(これは、本明細書に記載されているような電解質材料層で置き換えることができる)と、
-陰極層550と、
-陰極集電基板540と、を含んでいる。
【0134】
ただし、この電池1500は、電池1300とは異なり、まず、縦方向XXにおいて、集電基板510および540が他の層から突出していない点で異なっている。さらに、この電池1500は、セル600の反対側の端面に設けられた2つの追加部材、すなわち電気的接続部材560および570を含んでいる。これらの接続部材の各々は、特に互いに同一であり、通常は300μm未満、好ましくは100μm未満の厚さを有している。
【0135】
各接続部材は、有利には、導電性材料、特に金属材料で作られている。特に、アルミニウム、銅、またはステンレス鋼が挙げられる。溶接性を向上させるために、これらの材料は、金、ニッケルまたはスズの薄層で被覆することができる。
【0136】
次に、一方の接続部材560と集電体510との間、他方の接続部材570と集電体540との間の取付手段について説明する。これらの取付手段は、通常は、導電性接着剤、特にグラファイト接着剤、または銅もしくはアルミニウム金属ナノ粒子を帯電させた接着剤によって形成される。この導電性接着剤層は
図24には示されていないが、0.1マイクロメートルから数マイクロメートルの厚さを通常有する。あるいは、この導電性接着剤層は、溶接で置き換えることも可能である。
【0137】
図22に示すように、各接続部材560、570は、それぞれの集電基板510、540上に縦方向にオフセットして配置されている。より正確には、これらの接続部材の第1の端部は、セルの縦方向面F4、F6から2つの反対方向に突出するタブ562、572を画定している。さらに、これらのタブに対向するその端部において、各接続部材は、それぞれの肩部564、574を画定するように、セルから後退させられている。有利な任意選択の機能であるこの配置は、接続部材を他の層から視覚的に区別することを容易にする。
【0138】
接続部材を含むセル600は、次に、封止材で覆われる。
図23に示すように、まず、セルの縦方向および横方向の面ならびに肩部564および574が部分的な封止材595’で覆われる。
図24を参照すると、次に、接続部材の端面が覆われて、最終的な封止材595が形成される。最後に、図示しないが、
図19の切断392、393と同様の切断が行われる。これにより、接続部材の端部566、576が露出する。この例では、封止材は、2つの連続するステップで提供されるが、1つのステップでも提供できることを理解されたい。
【0139】
図25は、
図22から
図24に示したものの代替実施形態を示す。この
図25において、
図22から
図24に示したものと同様の構成要素には、100だけ増分された同一の参照数字が付されている。本明細書に示すように、電気的接続部材560、570は、縦方向において、セルから2つの反対方向に突出している。対照的に、
図25に示す電池1600の電気的接続部材660および670は、両方とも同一方向、すなわちこの図では右側に突出している。
【0140】
図18~
図20および
図22~
図25に示す実施形態には、具体的な利点が存在する。より具体的には、それらは、高エネルギー密度を必要とする特定の用途によく適している「単一セル」型の電池に関するものである。さらに、このようなアーキテクチャは、封止化動作を容易にする。
【0141】
最後に、
図22から
図25に示す実施形態は、特定の利点も有する電気的接続部材の使用に関するものである。これにより、この集電基板の表面全体が電極材料によって被覆され得るといった、基板上の局所的な堆積の必要性を回避することができる。横方向のオフセットが接続部材において生成されるので、特に
図18、
図19、
図20の実施形態の場合のように、集電体上に局所的な堆積を行う必要はもはやない。
【0142】
図22~25のこれらの実施形態を参照して、本発明は、さらに、少なくとも1つの単位セル、特に単一の単位セル(600)によって形成されたスタックを含む電池(1500)に関し、各単位セルは、陽極集電基板(510)、陽極層(520)、少なくとも1つの電解質材料層(530)および/または電解質を含浸している少なくとも1つのセパレータ層(531)、陰極層(550)および陰極集電基板(540)を連続的に含み、
該スタックおよび電池は、6つの面、すなわち、
-上記層および上記集電基板に対して概して平行で、互いに対向する2つのいわゆる端面(F1、F2)と、
-陽極および陰極接続ゾーンをそれぞれ含む、互いに対向する2つのいわゆる縦方向面(F4、F6)と、
-互いに対向する2つのいわゆる横方向面と、を有し、
上記スタックの反対側の端面に設けられた2つの電気的接続部材(560、570)をさらに含み、各電気的接続部材の第1の端部(562、572)が上記縦方向(XX)において上記スタックのそれぞれの縦方向面(F4、F6)を超えて突出していることを特徴とする。
【0143】
本発明のこの追加的な目的に従ったこの電池の他の特徴によれば、
-接続部材(560)の第1の端部(562)は、第1の方向に、第1の縦方向面(F4)を超えて突出する一方、他の接続部材(570)の第1の端部(572)は、他の縦方向面(F6)から反対方向に突出している。
-2つの接続部材(660、670)の第1の端部(662、672)は、1つの同一縦方向面(F4)を超えて、同一方向に突出している。
-各電気的接続部材は、特に導電性接着剤によって、それぞれの集電基板に取り付けられている。
-集電基板はいずれも、陽極、陰極およびセパレータ層と同様に、スタックの縦方向面を超えて突出していない。
-各電気的接続部材は、突出している端部の反対側でスタックとの肩部(564、574)を画定する。
【0144】
本発明による方法は、全固体電池、すなわち、電極および電解質が固体であり、固相に含浸されたものであっても液相を含まない電池の製造に特に適応している。
【0145】
本発明による方法は、電解質を含浸している少なくとも1つのセパレータ31を含む、準固体状態と考えられる電池の製造に特に適応している。セパレータは、好ましくは、
-30%より大きい、好ましくは35%~50%、より好ましくは40%~50%を含む、好ましくはメソポーラスである気孔率と、
-平均直径D50が50nm未満である細孔と、
を有する多孔質無機物層である。
【0146】
セパレータの厚さは、有利には10μm未満、好ましくは2.5μmと4.5μmとの間を含み、その特性を弱めることなく電池の最終厚を削減することができる。セパレータの孔は、電解質、好ましくはリチウム塩を含む液体電解質またはイオン液体のようなリチウムイオンを運ぶ相で含浸されている。多孔質部、特にメソポーラス部に「ナノ閉じ込め」または「ナノ捕捉」された液体は、もはや抜け出すことができない。それは、本明細書で「メソポーラス構造への吸収」と称する現象(リチウムイオン電池の文脈では文献に記載されていないようである)によって拘束され、電池を真空中に置いたとしても、もはや抜け出すことができない。このように、この電池は、準固体電池であると考えられる。
【0147】
本発明による電池は、リチウムイオンマイクロ電池、リチウムイオンミニ電池、または高出力リチウムイオン電池とすることができる。特に、約1mAh以下の容量を有するように(一般に「マイクロ電池」として知られている)、約1mAhより大きく約1Ahまでの電力を有するように(一般に「ミニ電池」として知られている)、または約1Ahより大きい容量を有するように(一般に「高出力電池」として知られている)、設計および寸法を決定することができる。一般的に、マイクロ電池は、マイクロエレクトロニクスの製造方法と互換性を有するように設計される。
【0148】
これら3つの電力範囲の各電池について、以下のものを製造することができる。
-「固体」の層を有するタイプであって、すなわち、含浸された液体またはペースト相(上記液体またはペースト相は、電解質として作用することができるリチウムイオン伝導性媒体であり得る)を有しないもの、
-または、メソポーラス「固体」の層を有するタイプであって、液体またはペースト相(典型的にはリチウムイオン伝導性媒体)が含浸されており、この液体またはペースト相は層内に自然に浸透してそこからもはや出てこないため、層は準固体と見なすことができるもの、
-または、含浸多孔質層(すなわち、液体またはペースト相を含浸させることができる開放孔のネットワークを有する層であり、これらの層は湿潤特性を有する)を有するもの、である。
【符号の説明】
【0149】
図および本明細書では、以下の符号を使用する。
1000、1000’ 本発明による電池
1002 陽極接続ゾーン
1002’ 各陽極集電基板の陽極端
1006 陰極接続ゾーン
1006’ 各陰極集電基板の陰極端
100、100’、100’’ 単位セル
10 陽極集電基板
20 陽極層
30 電解質材料層/電解質層
31 電解質を含浸している、または後から含浸させたセパレータ層/セパレータ層
40 陰極集電基板
50 陰極層
60 単位体
60’ 陽極単位体
60’’ 陰極単位体
70 陰極箔のI型溝、陰極溝
H70 I形陰極溝70の全高
L70 I形陰極溝70の全幅
71 陰極箔の被覆ゾーン
72 陰極箔の除去領域/非被覆ゾーン/陰極除去領域
L72 陰極箔の除去領域/非被覆ゾーン72の全幅
H72 陰極箔の除去領域/非被覆ゾーン72の全高
L71 陰極箔の被覆ゾーンの全幅
80 陽極箔のI字溝、陽極溝
H80 I形陽極溝80の全高
L80 I形陽極溝80の全幅
81 陽極箔の被覆ゾーン
82 陽極箔の除去領域/非被覆ゾーン/陽極除去領域
82’ 除去ストリップ
L81 陽極箔の被覆ゾーンの全幅
H81 陽極箔の被覆ゾーンの全高
L82 除去領域/非被覆ゾーン82の全幅
H82 除去領域/非被覆ゾーン82の全高
90 材料の端材
95 封止材
97 コンタクト部材
97’ 陽極コンタクト部材
97’a 縦方向面F6に隣接する面F1、F2、F3、F5の端部を覆う陽極コンタクト部材ピン
97’’ 陰極コンタクト部材
97’’a 縦方向面F4に隣接する面F1、F2、F3、F5の端部を覆う陰極コンタクト部材用ピン
Dca 少なくとも1つの陽極接続ゾーン(1002)を含む電池1000の第1の縦方向面(F6)と第1の端面DYaとの間の最小距離
Dcc 少なくとも1つの陰極接続ゾーン(1006)を含む電池1000の第2の縦方向面(F4)と第2の端面DY’aとの間の最小距離
Dca’ 少なくとも1つの陽極接続ゾーンを含む電池1000’の第1の縦方向面と、各陽極層、各電解質材料層または各セパレータ層、各陰極層および各陰極集電基板層の第1の縦方向端部によって画定される第1の端面との間の最小距離
Dcc’ 少なくとも1つの陰極接続ゾーンを含む電池1000’の第2の縦方向面と、各陽極層、各電解質材料層または各セパレータ層、各陰極層および各陽極集電基板層の第1の縦方向端部によって画定される第2の端面との間の最小距離
l1000 電池の幅
L1000 電池の長さ
C1000 電池1000の中心
Z1000 電池の正面方向ZZに平行で電池1000の中心C1000を通過する軸
R1000 電池1000のZ1000を中心とした回転
I 電極層(陽極または陰極)と、電解質箔または電解質を含浸しているもしくは後から含浸させたセパレータ箔とで被覆されている基板箔のスタック/少なくとも1つの単位セルのスタック
2e 単位体を有する陽極箔
5e 単位体を有する陰極箔
4 単位体を有する陽極箔の穿孔された中央ゾーン
6 単位体を有する陽極箔の外周フレーム
7 基板、陽極、陰極、電解質または電解質を含浸しているもしくは後から含浸させたセパレータの箔の4つの端に存在する穿孔
8 2つの行の間の材料ブリッジ
H8 ブリッジ高
9 2つの列の間の材料ストリップ
L9 ストリップ幅
XX スタック/電池の縦方向または水平方向
YY スタック/電池の横方向または横断方向
ZZ スタック/電池の正面方向
L、Ln、Ln-1、Ln+1 単位体/電池の行
R、Rn、Rn-1、Rn+1 単位体の列
DYn-1、DY’n-1、DYn、DY’n、DYn+1、DY’n+1 切断部
DXn-1、DX’n-1、DXn、DX’n、DXn+1、DX’n+1 切断部
DYa 各陽極層、各電解質材料層または各セパレータ層、各陰極層および各陰極集電基板層の第1の縦方向端部によって画定される電池の第1の端面
DY’a 各陽極層、各電解質材料層または各セパレータ層、各陰極層および各陽極集電基材層の第2の縦方向端部によって画定される電池の第2の端面
2000 従来技術による電池
200、200’、200’’ 先行技術による電池の単位セル
2002 先行技術による電池の陽極接続ゾーン
2006 先行技術による電池の陰極接続ゾーン
295 先行技術による電池の封止材
YH 単位体の横方向中心線
F1、F2 スタック(I)/電池(1000)の端面
F3、F5 スタック(I)/電池(1000)の横方向面
F4、F6 スタック(I)/電池(1000)の縦方向面
FF1、FF2 電池の行(Ln)の端面
FF3、FF5 電池の行(Ln)の横方向面
FF4、FF6 電池の行(Ln)の横方向面
【国際調査報告】