(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-12
(54)【発明の名称】ダイナモメータテストベンチ用ホイール負荷アセンブリ及びダイナモメータテストベンチ
(51)【国際特許分類】
G01M 17/007 20060101AFI20230502BHJP
【FI】
G01M17/007 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559677
(86)(22)【出願日】2021-03-16
(85)【翻訳文提出日】2022-10-27
(86)【国際出願番号】 IB2021052166
(87)【国際公開番号】W WO2021198823
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】102020000006577
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521259127
【氏名又は名称】ブレンボ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】BREMBO S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】ベニニ,クラウディオ
(57)【要約】
ダイナモメータ・テストベンチ(1)用のホイール負荷アセンブリ(5)は、
- ベース(12)上に組み立てることができる支持構造(17);
- ホイールサスペンション部(3)に結合可能なベアリング本体(96)に剛性的に接続可能な第1の適用ブラケット(19)、支持構造(17)に接続された第1の反力支持体(20)、第1の反力支持体(20)と第1の適用ブラケット(19)の間に接続された第1の力伝達コネクタ(21)、および第1の力伝達コネクタ(21)に作動的に接続され第1の垂直負荷方向(23)に負荷を与える第1の負荷装置(22)を有する縦負荷デバイス(18);
- 軸受本体(96)に剛性的に連結可能であり、ひいてはホイールサスペンション部(3)に連結可能な第2の適用ブラケット(25)と、支持構造(17)に連結された第2の反力支持体(26)と、第2の反力支持体(26)と第2の適用ブラケット(25)との間に連結された第2の力伝達コネクタ(27)とを有する縦方向負荷装置(24)と ならびに、第2の力伝達コネクタ(27)に作動的に接続され、第1の垂直負荷方向(23)に横切る第2の縦負荷方向(29)およびホイールサスペンション部(3)のホイール回転軸(40)に第2の力伝達コネクタ(27)に負荷を加える第2の負荷装置(28);
- 軸受本体(96)に剛性的に連結可能であり、その結果、ホイールサスペンション部(3)に連結可能である第3の適用ブラケット(31)と、支持構造(17)に連結された第3の反応支持体(32)と、第3の反応支持体(32)と第3の適用ブラケット(31)との間に連結された第3の力伝達コネクタ(33)とを有する横負荷装置(30)であること。を備えるとともに、ホイール回転軸(40)に平行で、第1の垂直負荷方向(23)および第2の縦負荷方向(29)に横切る第3の横負荷方向(35)に第3の力伝達コネクタ(33)を負荷する第3の負荷装置(34)を備え;縦方向、縦方向、および横方向の負荷装置が、縦方向、縦方向、および横方向の力の印加点の位置を調整するためのそれぞれの調整装置を構成している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動的試験に供されるホイールサスペンション部(3)を固定するための支持構造(2)と、前記ホイールサスペンション部(3)に力(6、7、8)を加えるためのホイール負荷アセンブリ(5)とを有するタイプのダイナモメータ試験台(1)用のホイール負荷アセンブリ(5)であって、前記ホイール負荷アセンブリ(5)は、
ベース(12)上に組み立てることができる支持構造(17)と、
垂直負荷装置(18)であって、
特にベアリング本体(96)によって前記ホイールサスペンション部(3)に接続可能な第1の適用ブラケット(19)と、
前記支持構造(17)に接続された第1の反力支持体(20)と、
前記第1の反力支持体(20)と前記第1の適用ブラケット(19)の間に接続された第1の力伝達コネクタ(21)と、
前記第1の力伝達コネクタ(21)と作動的に接続されて、前記第1の力伝達コネクタ(21)を第1の垂直負荷方向(23)に負荷する第1の負荷装置(22)と、を有する垂直負荷装置(18)と、
縦負荷装置(24)であって、
特に前記ベアリング本体(96)によって、前記ホイールサスペンション部(3)に接続可能な第2の適用ブラケット(25)と、
前記支持構造(17)に接続された第2の反力支持体(26)と、
前記第2の反力支持体(26)と前記第2の適用ブラケット(25)の間に接続された第2の力伝達コネクタ(27)と、
前記第2の力伝達コネクタ(27)と作動的に接続され、前記第1の垂直負荷方向(23)と前記車輪サスペンション部(3)のホイール回転軸(40)とを横切る第2の縦負荷方向(29)に向けて前記第2の力伝達コネクタ(27)に負荷する第2の負荷装置(28)と、を有する縦負荷装置(24)と、
横負荷装置(30)であって、
特に前記ベアリング本体(96)によって、前記ホイールサスペンション部(3)に接続可能な第3の適用ブラケット(31)と、
前記支持構造(17)に接続された第3の反力支持体(32)と、
前記第3の反力支持体(32)と前記第3の適用ブラケット(31)との間に接続された第3の力伝達コネクタ(33)と、
前記第3の力伝達コネクタ(33)を、前記ホイール回転軸(40)に平行で、前記第1の垂直負荷方向(23)および前記第2の縦負荷方向(29)を横切る第3の横負荷方向(35)に向けて負荷する第3の負荷装置(34)と、を有する横負荷装置(30)とを有し、
前記第1の適用ブラケット(19)は、前記第1の適用ブラケット(19)が使用位置にある状態で、前記ホイール回転軸(40)と平行な第1の軸方向調整方向(37)に沿って、前記第1の適用ブラケット(19)の前記第1の伝達コネクタ(21)との接続位置を調整するための第1の調整装置(36)を備え、
前記第2の適用ブラケット(25)は、前記第2の適用ブラケット(25)が使用位置にある状態で、前記ホイール回転軸(40)と平行な第2の軸方向(39)に沿って、前記第2の適用ブラケット(25)の前記第2の伝達コネクタ(27)との接続位置を調整するための第2の調整装置(38)を備え、
前記第3の適用ブラケット(31)は、前記第3の適用ブラケット(31)が使用位置にある状態で、前記第3の伝達コネクタ(33)との接続位置を第3の垂直調整方向(42)に沿って調整するための第3の調整装置(41)を備えている、請求項1に記載の適用ブラケット(31)を備えている、ホイール負荷アセンブリ(5)。
【請求項2】
前記支持構造(17)は、
主フレーム(48)であって、
2つの直立部(47)と、
前記2つの直立部(47)の上端(52)を連結する上部クロスビーム(51)と、
前記テストベンチ(1)のベース(12)に前記主フレーム(48)の軸方向(55)に調整可能に連結するために、前記2つの直立部(47)の下端(49)に形成された1つまたは複数の連結部(50)を有する主フレーム(48)と、
軸方向(55)において前記主フレーム(48)から間隔をおいて配置された補助フレーム(58)であって、
前記ベース(12)上の前記補助フレーム(58)の接続のための接続ビーム(59)であって、前記接続が取り外し可能で軸方向(55)に調整可能である接続ビーム(59)と、
前記接続ビーム(59)から上に延びる中央直立部(92)とを含む補助フレーム(58)と備えており、
前記補助フレーム(58)が、前記主フレーム(48)の高さの半分以下である高さを有するとともに、前記主フレーム(48)の重量の半分以下である重量を有し、
前記垂直負荷装置(18)が前記上部クロスビーム(51)に接続され、
前記縦負荷装置(24)が前記主フレーム(48)の前記2つの直立部(47)の1つに接続され、
前記横負荷装置(30)が前記補助フレーム(58)の前記中央直立部(92)に接続されている、請求項1に記載のホイール負荷アセンブリ(5)。
【請求項3】
前記第1の適用ブラケット(19)は、
第1の調整プレート(61)であって、
使用時に前記軸方向(55)に延びる第1のガイドプロフィール(62)を形成し、前記第1のガイドプロフィール(62)に沿ってスライド可能に位置決めおよびロック可能な第1のスライド(63)が結合されている、第1の調整プレート(61)と
第1の適用アーム(64)であって、
前記第1の調整プレート(61)から突出し、自由端が前記ホイールサスペンション部(3)に結合された前記ベアリング本体(96)に接続可能な第1の締結座(65)を形成する第1の適用アーム(64)とを有する、請求項1または2に記載のホイール負荷アセンブリ(5)。
【請求項4】
前記第1の調整プレート(61)が第1の目盛スケール(69)を有し、
前記第1のスライド(63)が、前記第1の目盛スケール(69)に隣接するマーキングまたは基準縁を有する、請求項3に記載のホイール負荷アセンブリ(5)。
【請求項5】
前記第1の適用アーム(64)が、前記軸方向(55)に対向し、前記ホイール負荷アセンブリ(5)の内側(45)に向かう凹溝(66)を形成している、請求項3に記載のホイール負荷アセンブリ(5)。
【請求項6】
前記第1の力伝達コネクタ(21)は、第1のロードセル(67)を備え且つ前記第1のスライド(63)に接続されるタイロッドを有する、請求項3に記載のホイール負荷アセンブリ(5)。
【請求項7】
前記第1の負荷装置(22)は、
第1のアクチュエータ(68)と、
ねじとナットを有する張力調整装置(68')と、
前記第1の反力支持体(20)と前記第1の伝達コネクタ(21)との間に接続され、静的または動的な垂直負荷を発生させるダンパ(68'')とを有する、請求項1から6のいずれかに記載のホイール負荷アセンブリ(5)。
【請求項8】
前記第2の適用ブラケット(25)が、
使用時に前記軸方向(55)に延びる第2のガイドプロフィール(71)を形成する第2の調整プレート(70)であって、前記第2のガイドプロフィール(71)に沿ってスライド可能に位置決めおよびロック可能な第2のスライド(72)が結合されている、第2の調整プレート(70)と、
前記第2の調整プレート(70)から突出し、自由端が前記ホイールサスペンション部(3)に結合された前記ベアリング本体(96)に接続可能な第2の締結座(74)を形成する第2の適用アーム(73)と、を備える請求項1から7のいずれかに記載のホイール負荷アセンブリ(5)。
【請求項9】
前記第2の調整プレート(70)が第2の目盛スケール(75)を有し、
前記第2のスライド(72)が、第2の目盛スケール(75)に隣接するマーキングまたは基準縁を有する、請求項8に記載のホイール負荷アセンブリ(5)。
【請求項10】
前記第2の適用アーム(73)が、前記軸方向(55)で前記ホイール負荷アセンブリ(5)の前記内側(45)に向かって面する凹溝(76)を形成している、請求項8に記載のホイール負荷アセンブリ(5)。
【請求項11】
前記第2の力伝達コネクタ(27)は、第2のロードセル(77)を備え且つ前記第2のスライド(72)に関節式に連結されたプッシュプルバーを有する、請求項1から10のいずれかに記載のホイール負荷アセンブリ(5)。
【請求項12】
前記第2の負荷装置(28)が
前記第2の力伝達コネクタ(27)に一体化されたねじとナットによる張力調整装置(78)と、
第2のアクチュエータ(79)とを有し、
静的または動的な縦方向負荷を発生させる請求項1から11のいずれかに記載のホイール負荷アセンブリ(5)。
【請求項13】
前記支持構造(17)に対する前記第2の反力支持体(26)の位置が高さ調整可能である、請求項1から12のいずれかに記載のホイール負荷アセンブリ(5)。
【請求項14】
前記第3の適用ブラケット(31)が、
使用時に前記垂直方向(57)に延びる第3のガイドプロフィール(81)を形成する第3の調整プレート(80)であって、前記第3のガイドプロフィール(81)に沿ってスライド可能に位置決めおよびロック可能な第3のスライド(82)が結合されている、第3の調整プレート(80)と、
前記第3の調整プレート(80)から突出し、自由端が前記ホイールサスペンション部(3)に結合された前記ベアリング本体(96)に接続可能な第3の締結座(83)を形成する第3の適用アーム(84)と、を備える請求項1から13のいずれかに記載のホイール負荷アセンブリ(5)。
【請求項15】
前記第3の調整プレート(80)が第3の目盛(85)を有し、
前記第3のスライド(82)が、前記第3の目盛(85)に隣接するマーキングまたは基準縁を有する、請求項14に記載のホイール負荷アセンブリ(5)。
【請求項16】
前記第3の伝達コネクタ(33)が、第3のロードセル(86)を備え且つ前記第3のスライド(82)に関節式に接続されたプッシュプルバーを有する、請求項1から15のいずれかに記載のホイールロードアセンブリ(5)。
【請求項17】
前記第3の負荷装置(34)が、
前記第3の力伝達コネクタ(33)に組み込まれたねじとナットねじの張力調整装置(87)と、
第3のアクチュエータ(88)とを有し、
静的または動的な横方向負荷を発生させる、請求項1から16のいずれかに記載のホイール負荷アセンブリ(5)。
【請求項18】
前記第3の反力支持体(32)が、前記支持構造(17)に対する前記第3の力伝達コネクタ(33)の前記接続位置の前記垂直方向(57)における調整のための第4の調整装置(41')を形成する、請求項1から17のいずれかに記載のホイール負荷アセンブリ(5)。
【請求項19】
前記支持構造(17)に対する前記第3の反力支持体(32)の位置が、前記縦方向(56)に調整可能である、請求項1から18のいずれかに記載のホイール負荷アセンブリ(5)。
【請求項20】
前記第1の負荷装置、前記第2の負荷装置、および前記第3の負荷装置のうちの1つ以上と、場合によっては前記ホイールサスペンション部(3)の前記ブレーキ(10)と接続され、電子制御システム(90)のメモリ(91)に読み込みまたは格納される動力学的試験プログラムに依存してそれを制御するように構成される電子制御システム(90)を備える、請求項のいずれかに記載のホイール負荷アセンブリ(5)。
【請求項21】
請求項1から20のいずれかに記載のホイール負荷アセンブリ(5)を含むダイナモメータテストベンチ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ、ブレーキ-ホイールハブアセンブリまたはブレーキホイールハブサスペンションアセンブリ(以下、簡単のために「ホイールサスペンションの一部」と称する)の機械的および音響的挙動、いわゆるNVH挙動(ノイズ、振動、ハーシュネス)を特徴付ける実験試験を実施するためのダイナモメータテストベンチ用ホイール負荷アセンブリおよびダイナモメータテストベンチに関するものである。
【0002】
また、慣性ダイナモメータテストベンチを用いた騒音、振動の測定及びそれらに起因する不快感(NVH)の主観的評価を目的としたブレーキテストは、自動車産業における最も一般的なラボ試験の1つである。
【背景技術】
【0003】
ダイナモメータテストベンチは、シミュレーションの詳細に従って、以下のものを支持するように構成された支持構造(いわゆる「固定フレーム」)を有するものとして知られている。
【0004】
ブレーキディスク及び関連するキャリパ又はドラム及び関連するブレーキシュー、又は
【0005】
ブレーキディスク及び関連するキャリパ又はドラム及び関連するブレーキシュー、その軸受を有するホイールハブ及びサスペンションのスタブ軸、並びに場合によってはダストシールド、又は
【0006】
ブレーキディスク、関連するキャリパ又はドラム及び関連するブレーキシュー、その軸受を有するホイールハブ及びサスペンションのスタブアクスル、サスペンションのスプリングダンパセンブリ、及び場合によりダストシールド、又は
【0007】
ブレーキディスク及び関連するキャリパ又はドラム及び関連するブレーキシュー、その軸受を有するホイールハブ及びサスペンションのスタブアクスル、サスペンションのスプリングダンパセンブリ、ステアリング機構の少なくとも一部、及び場合によりダストシールド、及び場合により車両の「コーナー」の更なる構成要素、以下、簡単のために「ホイールサスペンションの一部」と称する。
【0008】
ハブ支持構造は、車両の慣性をシミュレートするためのフライホイールをさらに含む。
【0009】
支持構造(「固定フレーム」)に加えて、公知のダイナモメータテストベンチは、ホイールサスペンションの部分に作用し得る所定の負荷を強制的に又はシミュレートするためのホイール負荷アセンブリ、いわゆる「WLU」(ホイール負荷ユニット)を含んで構成されている。
【0010】
この目的のために、利用可能な(そして支持構造に取り付けられた)車両のハードウェアの詳細に従って、制動力(縦方向-軸X)から生じる負荷、高速及び/又は低速の操舵状況(横方向-軸Y)から生じる負荷、車両の重量及び制動若しくは曲線又は両方(縦方向-軸Z)によって生じる車両の重量移動による垂直力、を加える様々なアプローチ及びシステムが公知である。
【0011】
公知のホイール負荷アセンブリは、一般に、強度、位置、所望の方向で想定され、実施されるダイナモ実験テストに最も適した負荷のそれぞれを加えるように構成されてはいない。
【0012】
さらに、公知技術のホイール負荷アセンブリは、実際の車両に関して異なる幾何学的形状と様々なレベルの忠実度を有するホイールサスペンションの部分に対して実験試験を実施するための十分な汎用性または構成性を有していない。例えば、以下の種類の負荷のうちの1つまたは複数を用いて試験を実施することが望ましい。
【0013】
試験の全期間中、1つ又は複数の方向で一定の負荷。
【0014】
特定の制動事象、例えば駐車操作を模擬するために、一定負荷から更なる一定負荷への変更。
【0015】
特定の操縦をシミュレートするために、制動事象の間にかける動的負荷。
【0016】
特定の負荷の振幅及び周波数を選択する可能性を有する、例えばカーブ、路面の粗さに起因する実時間での(所与のモデル近似レベルを有する)路面負荷変動を刺激するための動的な負荷。
【0017】
公知の支持構造、及び公知のホイール負荷アセンブリは、車輪懸架の部分の支持及び負荷のための特定の幾何学的条件に毎回適合される金属フレーム構造を有する。この適合は、少なくとも部分的に手作業で行われ、望ましくないほど長い時間を必要とする。
【0018】
公知のホイール負荷アセンブリはまた、望ましくないほど重く、その重量は、境界条件、特に実験試験及びNVH解析の対象となるホイールサスペンションの部分のモード応答に影響を及ぼし、変化させる。
【0019】
さらに、横方向の力の適用には適しているが、公知のホイール負荷アセンブリは、ブレーキによって適用される動的作用と同期した縦方向(長手方向)の力を適用することができない。
【0020】
公知のホイール負荷アセンブリのさらなる欠点は、車輪懸架の異なる部分のタイプ及び寸法への適合を可能にするための調整機能がないことである。
【発明の概要】
【0021】
従って、本発明の目的は、公知技術を参照して説明した欠点の少なくともいくつかを回避するような特徴を有するダイナモメータテストベンチ用ホイール負荷アセンブリ及びダイナモメータテストベンチを提供することである。
【0022】
一般的な目的の範囲内で、本発明の特定の目的は、ホイールサスペンションの部分において、フライホイールによる車両の慣性のシミュレーションと組み合わせて動的縦負荷を適用し、必要に応じて電気モータによって寄与し、及び/又は車両に作用する横力をシミュレーションするために同期した又は独立した横負荷に係るような特徴を有するホイール負荷アセンブリを提供することである。
【0023】
本発明のさらなる特定の目的は、より軽量な構造を有するホイール負荷アセンブリを提供し、セット試験構成全体を変更することなくブレーキ部品の迅速な交換を可能にするために、ブレーキ部品へのアクセスを容易にすることである。
【0024】
本発明のさらなる具体的な目的は、制動事象中の車両の応力をできるだけ現実的にシミュ縦方向の力を加えるような特徴を有するホイール負荷アセンブリを提供することにある。
【0025】
本発明のさらなる特定の目的は、ブレーキの動力学的作用と設定および同期させることができる力-時間曲線に従ってホイールハブに動的縦方向および/または横方向および/または垂直方向の力を加えるような特徴を有するホイール負荷アセンブリを提供することにある。
【0026】
本発明のさらなる具体的な目的は、例えば、異なるタイヤの使用を再現する目的で、より現実的に、ホイールリムの様々なオフセットの位置(リムオフセット位置又はリムET位置)及び/又は様々なホイール半径を模擬するために、試験の開始時に幅広い柔軟性をもって力の適用点の調整及びその固定を可能にするような特徴を有するホイール負荷アセンブリを提供することである。
【0027】
そのモジュール式再構成と、個々の構成要素の再配置、除去、および交換を容易かつモジュール式に行えるように構成されたホイール負荷アセンブリを提供することが、本発明のさらに具体的な目的である。
【0028】
本発明の目的の少なくともいくつかは、請求項1によるホイール負荷アセンブリによって達成される。従属請求項は、有利で好ましい実施形態に関するものである。
【0029】
本発明をよりよく理解し、その利点を理解するために、例示的かつ非限定的な実施形態の説明を、図面を参照しながら以下に提供する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、一実施形態によるダイナモメータテストベンチの透視図である。
【
図2】
図2は、ダイナモメータテストベンチの制御システムとその操作ユニットの一部との相互作用を図式的に示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態によるダイナモメータテストベンチのホイール負荷アセンブリの透視図であり、ダイナモメータ試験が実施される車輪支持体の一部を示す図である。
【
図4】
図4は、
図3のホイール負荷アセンブリの透視図であり、車輪支持体の一部が取り除かれている。
【
図5】
図5は、実施形態による、ホイール負荷アセンブリの個々の負荷装置の透視図である。
【
図6】
図6は、
図5におけるホイール負荷アセンブリの個々の負荷装置のさらなる透視図である。
【
図7】
図7は、実施形態によるホイール負荷アセンブリの垂直負荷装置の詳細を示す透視図である。
【
図8】
図8は、実施形態によるホイール負荷アセンブリの縦方向負荷装置の詳細を示す透視図である。
【
図9】
図9は、実施形態によるホイール負荷アセンブリの縦方向負荷装置の詳細を示す透視図である。
【
図10】
図10は、実施形態によるホイール負荷アセンブリの横方向負荷装置の詳細を示す透視図である。
【
図11】
図11は、実施形態によるホイール負荷アセンブリの横方向負荷装置の詳細を示す透視図である。
【
図12】
図12は、実施形態によるホイール負荷アセンブリの横方向負荷装置の詳細を示す透視図である。
【
図13】
図13は、実施形態による、動的な力を加えるためのアクチュエータを有するホイール負荷アセンブリの透視図である。
【
図14】
図14は、実施形態による、動的な力を加えるためのアクチュエータを有するホイール負荷アセンブリの透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
ダイナモメータテストベンチ1の説明
【0032】
ダイナモメータテストベンチ1は、以下の構成を有する。
【0033】
車両(図示せず)のサスペンション-ホイールハブ-ブレーキユニット(「コーナー」)の少なくともホイールサスペンション部3を静止状態で支持するための支持構造2、および/または
【0034】
ホイールサスペンション部3にシミュレーション力6、7、8と、例えばホイールサスペンション部3のディスクブレーキまたはドラムブレーキによって、ブレーキ10を操作することによって発生し得る制動トルク9を、ホイールサスペンション部3に加えるためのホイール負荷アセンブリ5(WLU)。ブレーキ10、ダイナモメータベンチのフライホイール及び/又はモータの動作は後述する。
【0035】
実施形態によれば、支持構造2およびホイール負荷アセンブリ5は、単一のダイナモメータテストベンチ1上に組み立てられてもよく、またはそれらは、ブレーキ10または一般に車輪サスペンション部3の試験を実施するために一緒に配置され使用される2つの別々のテストベンチに属するものであってもよい。
【0036】
ダイナモメータテストベンチ1は、テストベンチ1に取り付けられたホイールサスペンション部3のホイールハブ43のホイール回転軸40に平行な軸方向55と、軸方向55に対して水平かつ垂直であり、車両の案内方向に実質的に対応する縦方向(長手方向)56と、軸方向55および縦方向56に垂直な垂直方向57とを画定する。
【0037】
同様に、また、支持構造2およびホイール負荷アセンブリ5は、同じ軸方向、縦方向、および垂直方向の幾何学的軸または方向を画定している。
【0038】
説明の続きにおいて、「縦方向(長手方向)」、「軸方向」、「垂直方向」という用語で示される力の方向、調整、配向、または移動の指示は、特に指定しない限り、前述の縦方向56、軸方向55、垂直方向57、またはこれらに平行な方向を指す。
【0039】
支持構造2の説明
【0040】
実施形態によれば、支持構造2は、テストベンチ1のベース12に取り付けられた壁又はベースフレーム11と、ホイールサスペンション部3を(例えばねじによって)固定するための、高さ及び/又は水平方向において場合によっては調整可能な1つ又は複数の部分又は接続ブラケット13とから成ることができる。
【0041】
有利には、ベース12上のベースフレーム11の位置も、例えば、ベースフレーム11とベース12に形成されたガイド及び調整チャネル15の両方に係合する複数の連結部材14の解放可能及びロック可能な係合によって、調整可能である。
【0042】
ベース12は、軸方向55に延びる、2つの水平な、好ましくは平行な、レールまたは細長いベースプロファイルから構成されてもよい。2つの縦方向ベースプロファイルの各々は、それ自身のガイド及び調整チャネル15、有利には、細長いベースプロファイルの上面に形成され、逆さ「T」字型の断面を有するチャネル15を形成してもよい。
【0043】
支持構造2には、車両の慣性を模擬するためのフライホイールモータ16に動作上接続され、それによって回転操作可能なフライホイール4が関連付けられることがある。フライホイールは、順番にサスペンションアセンブリ3に接続されるベアリング本体96に接続されてもよく、または、サスペンションアセンブリ3に直接接続されてもよい。
【0044】
ホイール負荷アセンブリ5の説明
【0045】
一実施形態によれば、ホイール負荷アセンブリ5は、以下を備える。
【0046】
ベース、例えばベース12上に組み立てられた、又は組み立てられることができる支持構造17と、
【0047】
ホイール負荷アセンブリ5に属するベアリング本体96に硬く連結可能な、さらにそれがホイールサスペンション部3に連結可能な第1の適用ブラケット19と、支持構造17に接続された第1のリアクションサポート20と、第1のリアクションサポート20と第1の適用ブラケット19とに接続された第1の力伝達コネクタ21と、第1の垂直負荷方向23に向けて第1の力伝達コネクタ21に負荷(牽引力及び/又は圧縮力)を加えるために第1の力伝達コネクタ21に動作上接続された第1の負荷装置22を含む垂直負荷装置18と、
【0048】
ベアリング本体96に硬く連結可能な、さらにそれがホイールサスペンション部3に連結可能な第2の適用ブラケット25と、第2のリアクションサポート26と第2の適用ブラケット25との間に接続された第2の力伝達コネクタ27と、第1の垂直負荷方向23とホイールサスペンション部3(のホイールハブ43の)ホイール回転軸40を(好ましくは垂直に)横断する第2の(好ましくは水平)縦負荷方向29に向けて第2の力伝達コネクタ27に負荷(牽引力及び/又は圧縮力)を加えるために第2の力伝達コネクタ27に動作上接続された第2の負荷装置28を含む縦負荷装置24と、
【0049】
ベアリング本体96に硬く連結可能な、さらにそれがホイールサスペンション部3に連結可能な第3の適用ブラケット31と、支持構造17に接続された第3のリアクションサポート32と、第3のリアクションサポート32と第3の適用ブラケット31との間に接続された第3の力伝達コネクタ33と、回転軸40に平行で且つ第1の垂直負荷方向23と第2の縦負荷方向29を横断する(好ましくはそれらに直交する)第3の横負荷方向35に向けて第3の力伝達コネクタ33に負荷(牽引力及び/又は圧縮力)を加える第3の負荷装置34を備える。
【0050】
本発明の一態様によれば、
【0051】
第1の適用ブラケット19は、第1の適用ブラケット19が使用位置にある状態で、ホイール回転軸40に平行な第1の(水平)軸方向調整方向37に沿って第1の伝達コネクタ21との接続位置を調整するための第1の調整装置36を有する。
【0052】
第2の適用ブラケット25は、第2の適用ブラケット25が使用位置にある状態で、ホイール回転軸40に平行な第2の(水平)軸調整方向39に沿って第2の適用ブラケット25と第2の伝達コネクタ27との接続位置を調整するための第2の調整装置38を有する。
【0053】
第3の適用ブラケット31は、第3の適用ブラケット31が使用位置にある状態で、第3の伝達コネクタ33との接続位置を第3の垂直調整方向42に沿って調整するための第3の調整装置41を有する。
【0054】
ホイール負荷アセンブリ5のこの構成により、フライホイールによる車両の慣性のシミュレーションと組み合わせて、及び/又は車両に作用する横方向の力をシミュレートするために、係る同期した又は独立した横負荷と組み合わせて、ホイールサスペンション部3上に動的縦負荷を加えることができる。
【0055】
第2の調整装置38により、ブレーキング事象中の車両のストレスをできるだけ現実的にシミュレートするために、ブレーキトルクの印加と組み合わせて、ホイールハブ43の中央部に縦方向の力を正確に印加することができる。
【0056】
さらに、第1の調整装置36、第2の調整装置38、第3の41調整装置によれば、例えば、ホイールのリムの軸方向オフセット位置(リムオフセット位置またはリムET位置)および/またはホイールの半径方向寸法の変動を、ホイールの異なるホイールサイズおよび/またはホイールの異なる半径方向圧縮強度をシミュレートすることによって、力のアプリケーションポイント6,7,8が個々に、そしてカーブにおけるブレーキング中に横方向の力が加わる位置(の変動)を、できるだけリアルにシミュレートできる。
【0057】
支持構造17の詳細な説明
【0058】
実施形態によれば、支持構造17は、ブリッジ又はフレームの形をした主フレーム48を有する。主フレーム48は、軸方向55に開口した中間開口44の周囲に部分的に延在し、使用中は支持構造2に対向し且つ乗物の内側に対応するホイール負荷アセンブリ5の内側45と、使用中は支持構造2とは反対側に向き且つ乗物の外側に対応するホイール負荷アセンブリ5の外側46との両方から自由にアクセスできる。
【0059】
主フレーム48は、2つの、好ましくは垂直なアップライト(直立部)47と、2つのアップライト47の上端52を接続する、上部の好ましくは水平なクロスビーム51と、主フレーム48をベース12に接続するためにアップライト47の下端49に形成された1又は複数の接続部分50とを含んでよい。
【0060】
ベース12上の主フレーム48の接続は、好ましくは、例えば、接続部分50とベース12に形成されたガイド及び調整チャネル15の両方に係合する複数の接続部材53の解放可能かつロック可能な係合によって、調整可能である。
【0061】
ベース12上の主フレーム48の位置調整は、軸方向55に行われる。ベース12に対する、したがって支持構造2に対する支持構造17の位置の調整は、第1の調整装置36の調整および第2の調整装置38の調整とともに、すべて軸方向55において行われ、これにより、ホイールのリムの軸方向オフセット位置(リムオフセット位置またはリムET)に正確に対応するホイールハブ43からの軸方向距離において、垂直力8および縦方向力6の適用、さらには実際の負荷条件の真のシミュレーションが可能になる。
【0062】
主フレーム48は、アップライト47の下端49を連結する下側の、好ましくは水平なクロスビーム54をさらに含んでいてもよく、これにより、前述のフレーム状の構成が完成し、主フレーム48に剛性が高められる。主フレーム48全体は、好ましくは、垂直で軸方向55に直交するフレーム平面を画定する。
【0063】
縦方向負荷装置18、特に第1のリアクションサポート20は、上部クロスビーム51に接続されている。縦方向の負荷装置24、特に第2のリアクション・サポート26は、直立部47の1つに接続されている。縦方向負荷装置24を搭載する直立部47の選択は、ホイールサスペンション部3の構成要素の体積に依存し、したがって使用時の柔軟性を高めることができる。
【0064】
支持構造17は、補助フレーム58をさらに含んでいてもよい。補助フレーム58は、主フレーム17から軸方向55に、好ましくは支持構造17の内側45に、すなわち、主フレーム48とテストベンチ1の支持構造2との間に間隔をあけており、特に第3のリアクションサポート32を支持している。
【0065】
補助フレーム58は、主フレーム48の高さの半分未満である高さを有するとともに、好ましくは主フレーム48の重量の半分未満である重量を有する。
【0066】
補助フレーム58は、補助フレーム58をベース12に接続するための接続ビーム59と、接続ビーム59から上方に延び、第3のリアクションサポート32を支持または形成する中央直立部92とを含んでいてもよい。
【0067】
ベース12上の補助フレーム58の接続は、例えば、接続ビーム59とベース12に形成されたガイド及び調整チャネル15の両方に係合する複数の接続部材60の解放可能かつロック可能な係合によって、好ましくは軸方向55に、取り外し可能かつ好ましく調整可能である。 補助フレーム58の軸方向摺動により、設定されたリム軸方向オフセット値(ET)に従って、負荷の適用箇所を調整することがさらに可能である。
【0068】
支持構造17を、フレーム形状の主フレーム48と、はるかに小型で軽量な補助フレーム58とに分割したことにより、補助フレーム58のみをアンマウントして取り外すことで、支持構造2と主フレーム48との間の空間、すなわちホイールサスペンション部3がある空間へのアクセスを迅速かつ容易に解放することができる。
【0069】
このように構成された支持構造17は、単一のフレームとして構成するよりも軽量であり、ブレーキ10の構成要素へのアクセスを容易にして、セットされたダイナモテストの構成全体を変更することなくブレーキ10の構成要素を迅速に交換できるようにするようなものである。
【0070】
垂直負荷装置18の詳細な説明
【0071】
一実施形態によれば、第1の適用ブラケット19は、第1の調整プレート61と第1の適用プレート64を有し、角ばった形状を有する。
【0072】
第1の調整プレート61は、使用時に軸方向55に延びる第1のガイドプロフィール62を形成し、第1のガイドプロフィール62に沿ってスライド可能に位置決め可能かつ(例えばロックねじによって)ロック可能な第1のスライド63が結合される。
【0073】
第1の適用プレート64は、第1の調整プレート61から斜めに突出し、その自由端が、軸受本体96に接続可能な第1の締結座65(例えば穿孔プロファイル、場合によっては「L」-または「U」-形の断面を有する)を形成している。
【0074】
有利には、第1の調整プレート61は第1の目盛69を有する。第1のスライド63は、第1の目盛69に隣接してマーキングまたは基準縁を有し、位置の正確な調整、例えば垂直力8の軸方向オフセットの連続的な調整、例えば+60mmと-100mmの間の範囲での調整を容易にする。
【0075】
第1の調整プレート61と第1の適用アーム64は一緒に、ホイール負荷アセンブリ5と試験を受けるホイールサスペンション部3との間の空間の干渉を避けるために、軸方向55でホイール負荷アセンブリ5の内側面45に向いた凹状の溝66を形成する。
【0076】
第1の力伝達コネクタ21は、第1のロードセル67を備え、第1のスライド63に、好ましくは関節式に接続されたタイロッドを備えていてもよい。
【0077】
第1の負荷装置22は、第1の反力支持体20と第1の伝達コネクタ21との間に接続された、例えば流体力学的、特に油圧の、シリンダ-ピストンユニットまたは電気アクチュエータのような第1のアクチュエータ68を備えていてもよい。
【0078】
代替的に、第1の負荷装置22は、第1の力伝達コネクタ21に組み込まれたねじとナットの張力調整装置68'、または垂直方向に予圧、場合によってはクッション性のある力を発生するためのダンパ68''を備えていてもよい。
【0079】
第1の負荷装置22は、例えばほぼ静的または動的な垂直負荷を発生させるように構成されてもよい。
【0080】
ダイナモメータ試験中の一定の静的垂直負荷8は、例えば、500ニュートンから7000ニュートンの間の範囲であってよい。ブレーキシミュレーション中の、ブレーキ10の作動(例えば、1000bar/s)と一致する垂直力8の動的変動は、+1000ニュートンから-1000ニュートンの間の範囲内である。
【0081】
縦方向負荷装置24の詳細な説明
【0082】
一実施形態によれば、第2の適用ブラケット25は、第2の調整プレート70と第2の適用アーム73を有し、角ばった形状を有する。
【0083】
第2の適用ブラケット25は、使用時に軸方向55に延びる第2のガイドプロフィール71を形成し、第2のガイドプロフィール71に沿ってスライド可能に位置決めされかつロック可能(例えばロックねじによって)な第2のスライド72が結合される。
【0084】
第2の適用アーム73は、第2の調整プレート70から斜めに突出し、その自由端が、軸受本体96に接続可能な第2の締結座74(例えば穿孔プロファイル、場合によっては「L」-または「U」-形の断面を有する)を形成する。
【0085】
有利には、第2の調整プレート70は第2の目盛75を有する。第2のスライド72は、第2の目盛75に隣接してマーキングまたは基準縁を有し、正確な位置調整、例えば+60mmと-100mmの間の範囲での縦方向負荷6の軸方向オフセットの連続的な調整を容易にしている。
【0086】
第2の調整プレート70と第2の適用アーム73は、共に、ホイール負荷アセンブリ5の内側45に向かって軸方向55に向く凹溝76を形成し、ホイール負荷アセンブリ5とダイナモテスト中のホイールサスペンション部3との間の空間の干渉を回避することができる。
【0087】
第2の力伝達コネクタ27は、プッシュプルバーを備えていてもよい。プッシュプルバーは、第2のロードセル77を備え、第2のスライド72に、好ましくは関節式に接続された、1つまたは複数のセグメントを有する。
【0088】
第2の負荷装置28は、第2の力伝達コネクタ27に組み込まれたねじとナットの張力調整装置78を備えていてもよい。
【0089】
あるいは、第2の負荷装置28は、第2の反力支持体26と第2の力伝達コネクタ27との間に接続された、例えば流体-力学的、特に油圧式の、シリンダ-ピストンユニットまたは電気アクチュエータのような、第2のアクチュエータ79を備えていてもよい。
【0090】
第2の負荷装置28は、ほぼ静的な縦方向応力又は動的な縦方向応力を発生するように構成されてもよい。ダイナモメータ試験中の一定の静的縦負荷6は、例えば、ゼロ、又は-6000ニュートンから+6000ニュートンの間の範囲であってもよい。ブレーキシミュレーション中で、ブレーキ10の作動(例えば、1000bar/s)と一致する縦負荷6の動的変動は、+6000ニュートンから-6000ニュートンまでの範囲、好ましくは+4000ニュートンから-4000ニュートンまでの範囲、絶対最大値は6000ニュートンまで、あるいはそれ以上であってよい。
【0091】
縦方向56における第2のアクチュエータ79の最大ストロークは、有利には、ホイール回転軸40(車輪軸)とテストベンチ1との間のミスアライメントの危険を回避するために、最大5mmまたは10mmに制限される。
【0092】
さらなる実施形態によれば、支持構造17に対する第2の反力支持体26の位置は、高さが調整可能である。
【0093】
横方向負荷装置30の詳細な説明
【0094】
一実施形態によれば、第3の適用ブラケット31は、細長い形状を有し、第3の調整プレート80と第3の適用アーム84を有する。
【0095】
第3の調整プレート80、使用時に垂直方向57に延びる第3のガイドプロフィール81を形成する。第3のガイドプロフィール81には、第3のスライド82が結合される。第3のスライド82は、第3のガイドプロフィール81に沿ってスライド可能に位置決め可能かつ(例えばロックねじによって)ロック可能である。
【0096】
第3の適用アーム84は、第3の調整プレート80に接続されて平行に延びる。第3の適用アーム84の自由端は、軸受本体96に接続可能な第3の締結座83(例えば孔あきプロファイル、場合によっては「L」型又は「U」型断面を有する)を形成している。
【0097】
有利には、第3の調整プレート80は第3の目盛85を有する。第3のスライド82は、位置の正確な調整、例えば横負荷7の適用の垂直下向きオフセット(これは車輪径を模擬する)の連続調整を容易にするために、第3の目盛85に隣接するマーキング又は基準エッジを有する。
【0098】
第3の伝達コネクタ33は、第3のロードセル86を備え、第3のスライド82に、好ましくは関節式に接続された、1つまたは複数のセグメントを有するプッシュプルバーから構成されてもよい。
【0099】
第3の負荷装置34は、第3の力伝達コネクタ33に組み込まれたねじとナットの張力調整装置87を備えていてもよい。
【0100】
あるいは、第3の負荷装置34は、第3のリアクションサポート32と第3の力伝達コネクタ33との間に接続された、例えば流体力学的、特に油圧式の、シリンダ-ピストンユニットまたは電気アクチュエータのような、第3のアクチュエータ88を備えていてもよい。
【0101】
第3の負荷装置34は、ほぼ静的な横方向応力又は動的な横方向応力を発生させるように構成されてもよい。ダイナモメータ試験中の一定の静的横負荷7は、例えば、ゼロ、または+6000ニュートンから-6000ニュートンの範囲、好ましくは-4000ニュートンから+4000ニュートンの範囲であってもよい。カーブシミュレーションにおける制動中の横力7の動的変動は、+6000ニュートンから-6000ニュートンの間の範囲、好ましくは+4000ニュートンから-4000ニュートンの間であってよく、絶対最大値は6000ニュートンまで、あるいはそれ以上であってもよい。第3のアクチュエータ88の作動周波数は、例えば、最大5Hzであってよい。
【0102】
ホイールサスペンション部3(車輪軸)のホイール回転軸40とテストベンチ1との間のミスアライメントの危険を回避するために、縦方向56における第3のアクチュエータ88の最大ストロークが有利には最大5mmに制限される。
【0103】
さらなる実施形態によれば、支持構造17に対する第3の反力支持体32の位置は、縦方向56に、好ましくは高さに調整可能である。
【0104】
横負荷装置30は、第3の反力支持体32、より一般的には支持構造17に対する第3の伝達コネクタ33の接続位置を、前述の第3の垂直調整方向42に平行な第4の調整方向42'で調整するための第4の装置41'を含んでいてもよい。
【0105】
この目的のために、支持構造17を有する第3のリアクションサポート32は、垂直方向57に延びる第4のガイドプロフィール81'を形成し、この第4のガイドプロフィール81'に沿ってスライド可能に配置され、ロック可能な第4のスライド82'が連結される。第3の反力支持体32または第4のガイドプロフィール81'は第4の目盛85'を有する。第4のスライド82'は、位置の正確な調整、特に横負荷7の適用の垂直下向きオフセット(これは車輪直径を模擬する)の連続調整を容易にし、同時に横力7をホイール回転軸40と平行に維持するために、第4目盛85'に隣接してマーキングまたは基準縁を有する。
【0106】
一実施形態によれば、例えば補助フレーム58と主フレーム48との間に所定の容積を生じさせ得る第3のアクチュエータ88が存在する場合、補助フレーム58は支持構造17の外側46に配置されてもよい。この場合、ホイール負荷アセンブリ5と試験中のホイールサスペンション部3との間の空間の干渉を避けるために、第3の適用ブラケット31は、軸方向55に負荷アセンブリ5の内側45に向かう凹溝89を形成してもよい。
【0107】
縦方向、縦方向、横方向の負荷装置の構成により、ホイール負荷アセンブリ5は、その汎用性のあるモジュール式の再構成と、個々の構成要素の再配置、取り外し、交換を容易かつモジュール式に行うことができる。
【0108】
ベアリング本体96の説明
【0109】
一実施形態によれば、第1の適用ブラケット19、第2の適用ブラケット25および第3の適用ブラケット31、又はより正確には、第1の締結座65、第2の締結座74および第3の締結座83は、負荷アセンブリ5に属するがホイールサスペンション部3に接続可能な軸受本体96の対応する第1の接続面97、第2の接続面98及び第3の接続面99に、組み合わされるか又は例えばねじによって組み立てられる。これにより、第1の適用ブラケット19、第2の適用ブラケット25および第3の適用ブラケット31に対してホイール回転軸40を中心とするホイールハブ43および/またはブレーキ10のディスクブレーキの回転を可能にし、したがって回転速度およびエンジンからブレーキディスクへのトルクの伝達を可能にする。
【0110】
軸受本体96と、第1の適用ブラケット19、第2の適用ブラケット25および第3の適用ブラケット31とを予め組み立てて、ホイールサスペンション部3に連結可能な軸受ユニットを形成してもよい。
【0111】
電子制御装置90の説明
【0112】
一実施形態によれば、ダイナモメータテストベンチ1又はホイール負荷アセンブリ5は、第1のアクチュエータ68、第2のアクチュエータ79、第3のアクチュエータ88の1つ又は複数又は全てと、場合によってはホイールサスペンション部3のブレーキ10と、また場合によっては第1のロードセル、第2のロードセル及び第3のロードセルの1つ、いくつか又は全てと接続された電子制御システム90を備え、ユーザによってアップロードまたはプログラムされ得るか、または電子制御システム90のメモリ91に記憶されるダイナモテストプログラムに応じて、第1のアクチュエータ68、第2のアクチュエータ79、第3のアクチュエータ88のアクチュエータ、および場合によってはブレーキ10の1つまたは複数またはすべてを独立かつ選択的に、または協調かつ同期して制御するために構成される。
【0113】
電子制御システム90は、例えば、プロセッサ93、メモリ91、ユーザインタフェース94(モニタ、キーボード)、場合によっては、無線および有線信号通信インタフェース95を有するコンピュータを備えていてもよい。第1のアクチュエータ68、第2のアクチュエータ79、第3のアクチュエータ88および電子制御システム90は、ブレーキ10の動力学的作用と設定および同期させることができる力-時間曲線に従って、動的な長軸方向の力6および/または横方向の力7および/または縦方向の力8をホイールサスペンション部3に加えることができるようにする。
【0114】
明らかに、当業者は、偶発的かつ特定のニーズを満たすために、ダイナモメータテストベンチ1および本発明によるホイール負荷アセンブリ5に対してさらなる変更および変形を行うことができるが、これらはすべて、以下の請求項によって定義される本発明の保護範囲から逸脱しないようにする。
【国際調査報告】