IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハルドール・トプサー・アクチエゼルスカベットの特許一覧

特表2023-519742プロセスオフガス中のNOxおよび一酸化二窒素の除去のための方法
<>
  • 特表-プロセスオフガス中のNOxおよび一酸化二窒素の除去のための方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-12
(54)【発明の名称】プロセスオフガス中のNOxおよび一酸化二窒素の除去のための方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/86 20060101AFI20230502BHJP
   B01D 53/90 20060101ALI20230502BHJP
   B01J 23/76 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
B01D53/86 222
B01D53/90 ZAB
B01D53/86 228
B01J23/76 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559806
(86)(22)【出願日】2021-03-29
(85)【翻訳文提出日】2022-10-14
(86)【国際出願番号】 EP2021058101
(87)【国際公開番号】W WO2021198150
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】PA202000371
(32)【優先日】2020-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000282
【氏名又は名称】トプソー・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ミュンスタ-スヴェンスン・イェーヌス・イミール
【テーマコード(参考)】
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
4D148AA06
4D148AA07
4D148AA08
4D148AA13
4D148AA18
4D148AB01
4D148AB02
4D148AB03
4D148AC04
4D148BA03Y
4D148BA07Y
4D148BA11Y
4D148BA14Y
4D148BA16Y
4D148BA23Y
4D148BA26Y
4D148BA27Y
4D148BA28Y
4D148BA30Y
4D148BA31Y
4D148BA34Y
4D148BA35Y
4D148BA36Y
4D148BA37Y
4D148BA38Y
4D148BA41Y
4D148BB01
4D148BB02
4D148BB16
4D148CC32
4D148CC47
4D148CC61
4D148DA03
4D148DA06
4D148DA07
4G169AA02
4G169BA20A
4G169BA20B
4G169BB06A
4G169BB06B
4G169BC16A
4G169BC16B
4G169BC67A
4G169BC67B
4G169BD02A
4G169BD02B
4G169CA03
4G169CA08
4G169CA13
4G169EC24
(57)【要約】
本発明は、プロセスオフガスに含まれるNOx(NO、NO)および亜酸化窒素(NO)を除去するための改良された方法に関し、
当該方法は、
(a)プロセスオフガス中にある量のNOx還元剤を添加するステップ;
(b)第1段階において、還元剤と混合されたプロセスオフガスを、還元剤によるNOxの選択的触媒還元において活性な触媒に通し、亜酸化窒素および残留量の還元剤を含む流出ガスを提供するステップ;および
(c)第2段階において、コバルト化合物を含み、亜酸化窒素の分解および残留量の還元剤の酸化に活性を有する触媒に、流出ガスを通するステップを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスオフガスに含まれるNOx(NO、NO)および亜酸化窒素(NO)を除去するための方法であって、
(a)プロセスオフガス中にある量のNOx還元剤を添加するステップ;
(b)第1段階において、還元剤と混合されたプロセスオフガスを、前記還元剤によるNOxの選択的触媒還元に活性な触媒に通し、亜酸化窒素および残留量の還元剤を含む流出ガスを提供するステップ;および
(c)第2段階において、前記ガスをコバルト化合物を含む触媒に通過させることにより、残留量の還元剤を酸化させ、亜酸化窒素を分解するステップ
を含む方法。
【請求項2】
還元剤がアンモニアまたはその前駆体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
コバルト化合物がコバルトスピネルである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
コバルト化合物を含む触媒を、ナトリウム(Na)、カリウム(K)および/またはセシウム(Cs)によって促進する、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
コバルト化合物を含む触媒が、Zn、Cu、Ni、Fe、Mn、V、Al、および/または、Tiを含む請求項1~4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
亜酸化窒素の一部をステップ(b)において分解する、請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
NOxの選択的触媒還元に活性な触媒が金属交換ゼオライトを含み、当該金属がFe、Co、Ni、Cu、Mn、ZnもしくはPdまたはそれらの混合物を含む、請求項1~6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
金属交換ゼオライトが、MFI、BEA、FER、MOR、FAU、CHA、AEI、ERIおよび/またはLTAからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
金属交換ゼオライトがFe-BEAである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
NOxの選択的触媒還元に活性な触媒が、酸化バナジウムおよび酸化チタンを含む、請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
NOxの選択的触媒還元に活性な触媒および/またはコバルト化合物を含む触媒がモノリス形状である、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
NOx選択的触媒還元に活性な触媒および/またはコバルト化合物を含む触媒が2層以上積層して配置されている、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスオフガス中のNOx(NOおよびNO)および亜酸化窒素(一酸化二窒素、NO)を複合的に除去するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
NOxは既知の汚染物質であり、粒子状物質の形成とオゾンの生成に寄与している。NOは強力な温室効果ガスであるため、CO市場がある地域ではコストとなる。この両方の物質の排出は通常、規制されている。したがって、NOxとNOの除去は、可能な限りコスト効率良く行う必要がある。
【0003】
硝酸製造は、NOxとNOの排出が知られている産業である。さらに、硝酸製造においては、触媒反応器下流のコールドスポットで硝酸アンモニウムが生成されるリスクがあるため、NOxからのアンモニア(NH)のスリップおよびNOの除去に対して非常に厳しい要件が課されることもある。スリップ要件は通常5ppm、または3ppm、あるいは2ppmまで下げられる。
【0004】
硝酸(HNO)は、主に肥料や火薬の製造に使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
硝酸は通常、ドイツの化学者ウィルヘルム・オストワルトにちなんだオストワルトプロセスで製造される。このプロセスでは、アンモニア(NH)が一酸化窒素(NO)に酸化される。しかし、NHからNOへの酸化は100%選択的ではなく、目的のNOとともに一酸化二窒素(NO)も一定量生成される。この一酸化窒素は酸化されて二酸化窒素(NO)となり、水に吸収されて硝酸となる。このプロセスにおいては加圧され、オフガスはNOxとNOを含むが、それ以外は非常にクリーンである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書中で使用される用語「NOx」とは、亜酸化窒素以外の窒素酸化物を意味する。
【0007】
酸化条件、すなわちNH燃焼への優勢な圧力、温度および流入速度、ならびに触媒の種類および経時変化状態に応じて、1トンのHNO当たり約4~15kgのNOが典型的に形成されるであろう。この結果、プロセスオフガス中のNO濃度は、一般的に約500~2000ppm体積となる。
【0008】
アンモニアの酸化で生成されたNOは、水中における二酸化窒素(NO)の吸収中においては吸収されず、硝酸を生成する。さらに、すべてのNOxを硝酸に変換することは実行不可能である。したがって、HNO製造プロセスのオフガスとともにNOxおよびNOが排出される。
【0009】
NOxは、典型的には、還元剤としてのアンモニアと窒素および水との反応を通じて、既知の選択的触媒還元(SCR)プロセスによって除去される。
【0010】
SCRで使用するための適切な触媒は当技術分野で知られており、典型的には酸化バナジウムおよび酸化チタンを含む。最も典型的には、二酸化チタンに担持された五酸化バナジウムである。このような触媒は、潜在的に、酸化モリブデンまたは酸化タングステンも含む。
【0011】
吸収塔の下流に設置されたNOxの残留量を低減するためのDeNOxステージは、一般にNOの含有量の低減をもたらさないので、NOは最終的に大気中に放出される。
【0012】
OはCOの約300倍の影響を有する温室効果ガスであり、硝酸プラントはこれらのガスの工業プロセスにおける単一の最大の発生源であり、NOは成層圏のオゾンを分解し、温室効果に大きく寄与している。したがって、環境保護上の理由から、硝酸製造および他の工業プロセスにおけるNOx排出とともにNO排出を低減する問題に対する技術的解決策の必要性が高まっている。
【0013】
硝酸工場から排出されるNOを低減する既知の方法として、以下の3つのグループに大別される:
【0014】
第1の方法:第1にNOが生成されないようにする。そのためには、NOの生成を抑えるために白金ガーゼを改良する必要がある。アンモニア酸化触媒として、代替材料を使用することができる。例えば、金属酸化物は、副生成物であるNOを大量に発生させないが、NOの生成に対する選択性が低いという欠点がある。
【0015】
第2の方法:アンモニア酸化ガーゼの出口と吸収塔の入口の間において、一度生成されたNOを除去する。第2の方法では、温度が最も高くなるガーゼの直後が選択位置である。多くのの技術においては、緩んだ状態で、または耐熱ワイヤーでできたケージに封入された、ペレットの形の触媒が使用され、一部ではハニカムが使用されている。
【0016】
第3の方法:NOは、NとOへの触媒分解または化学還元剤による触媒還元によって、吸収塔の下流でプロセスオフガスから除去される。三次排ガス処理設備の最適な位置は、典型的には、吸収塔の下流で最も温度が高く、膨張タービンのすぐ上流である。既知の解決策としては、圧力損失を許容レベルに保つために、触媒床を放射状または水平方向に流れるように配置された、鉄ゼオライトを含むペレット触媒を使用する。この場合、一般的に大型の反応器が必要となる。
【0017】
既知の三次触媒ユニットは、通常、2つのベッドを採用している。大量のNOを除去した後、還元剤を添加する第1のベッドと、NOxと残りのNOを除去するための第2のベッドである。その結果、2つの放射状流動ベッドと還元剤の内添を有する非常に大型で複雑な反応器が必要となる。本発明により、NOxおよびNOの除去は、より単純でより小さい反応器で達成され、それにより全体的な複雑さとコストを低減する。
【0018】
公知の三次触媒ユニットは、NOxおよびNOの除去を組み合わせた1つのベッドのみを有することもでき、そこでは、還元剤が三次反応器の上流に添加される。十分な混合は、公知の静止型ミキサーの使用、または単に十分な混合長さによって達成される。
【0019】
Oの低放出とNHの低スリップを得るためには、ガス中のNHの高効率混合と、反応を可能にするためのより大きな触媒容積が必要である。
【0020】
放射状または水平方向の流れを有する反応器においては、本発明のような異なるタイプの触媒を有するボトム層を作ることは不可能である。半径方向または水平方向の流れを持つ反応器では、それは別のベッドにしなければならず、反応器に大きなサイズとコストを追加することになる。
【0021】
典型的には、NOは、鉄ゼオライトを含む触媒ペレットによって、硝酸テールガス中に除去される。
【0022】
アンモニア還元剤のスリップは、下流またはスタック内のコールドスポットにおける硝酸アンモニウムが生成される可能性があるため、硝酸製造における安全リスクとなる。そのため、アンモニアスリップに対する要件は通常、非常に厳しいものとなる。
【0023】
還元剤として炭化水素を使用するプロセス(工程)は、一般的に活性が低いため、COなどの部分燃焼生成物とともに、使用した炭化水素が大きくスリップすることになる。このようなプロセスで還元剤として頻繁に使用されるメタンは、それ自体が強力な温室効果ガスであるため、NO排出量の削減をある程度相殺するものである。一酸化炭素は有毒ガスであり、その排出は望ましくない
【0024】
Oの排出を抑え、還元剤の低スリップとするためには、ガス中に還元剤を効率よく混合することと、反応を生じさせるために触媒の容量を大きくすることが必要となる。
【0025】
還元剤としてアンモニアを使用する場合、NOの分解反応を効果的に行い、アンモニア5ppm未満のスリップを得るためには、反応器内に触媒を大量に追加する必要がある。
【0026】
コバルトを含む触媒が、NOの分解とアンモニアの酸化に非常に有効であることを見出した。
【0027】
この触媒には、以下のような利点を有する。
【0028】
NOxを除去するための典型的なSCR設備では、特に硝酸製造のような低いアンモニアスリップが重要な用途では、アンモニアは化学量論量ぎりぎりで添加される。
【0029】
コバルトを含む触媒は、DeNOxのSCRプロセスで使用される還元剤の酸化効率が高いため、還元剤を処理ガス中のNOx含有量で要求される化学量論よりやや多い量で処理ガス中に第1段階で添加することができる。
【0030】
プロセスガス中のNOxの含有量に応じた化学量論よりも多い量の還元剤を添加することは、NOx除去に必要な触媒量を減少させることができることを意味する。
【0031】
より多い量の還元剤の添加は、NOxの実質的に完全な除去をもたらす。
【0032】
上記の利点に基づき、さらなる利点は、還元剤とプロセスガスとの広範な混合をより少なくすることができることである。アンモニアのような還元剤のスリップが非常に少なく、NOxの除去率が高くする必要がある場合、還元剤が少なすぎる、または多すぎる領域を避けるために、還元剤をガスに非常に完全に混合しなければならない。還元剤が少なすぎるとNOxの除去率が低下し、多すぎると還元剤がスリップしてしまう。このような混合は、高価な静止型ミキサーを必要とし、プロセスの圧力損失を増加させる。
【0033】
第2段階のコバルト化合物を含む触媒が還元剤の酸化に活性である場合、第1触媒ベッドに還元剤が多すぎる領域があることは、あまり重要ではない。これは、還元剤がプロセスガスにあまり混合されなくてもよいことを意味する。混合効率が低いと、第1段階で同じレベルのNOx除去を達成するために、還元剤の投与量を若干多くする必要がある。しかし、第1段階の還元剤からのいずれのスリップも第2段階で酸化されるため、問題は生じない。
【0034】
さらに、ガス中のNOを除去するために、特に低温において、還元剤、例えば、NHや炭化水素などを必要とするプロセスと比較して、本発明ではNHの消費量が少なく、および/または炭化水素の消費もない利点がある。本発明では、第1段階でNHを用いていくらかのNOを除去することができるが、これは全NOのごく一部である。特に低温では、NOの除去のほとんどは第2段階で行われ、コバルトを含む触媒がNOを除去するために還元剤を必要としない。還元剤の消費量が少なければ、作業コストの節約につながる。
【0035】
したがって、本発明は、プロセスオフガスに含まれるNOx(NO、NO)および亜酸化窒素(NO)を除去するための改良された方法を提供し、
当該方法は、
(a)プロセスオフガス中にある量のNOx還元剤を添加するステップ;
(b)第1段階において、還元剤と混合されたプロセスオフガスを、前記還元剤によるNOxの選択的触媒還元において活性な触媒に通し、亜酸化窒素および残留量の還元剤を含む流出ガスを提供するステップ;および
(c)第2段階において、コバルト化合物を含み、亜酸化窒素の分解および残留量の還元剤の酸化に活性を有する触媒に、流出ガスを通するステップを含む。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明で使用するための好ましい還元剤は、アンモニアまたはその前駆体を含む。
【図面の簡単な説明】
【0037】
触媒を含むコバルト化合物と接触した酸化アンモニアの高効率は、添付図面に示すように、コバルト化合物がコバルトスピネルの場合に得られ、ここで、図1は、カリウムで促進したコバルトスピネルおよびコバルト-アルミナスピネルの150~650℃の温度でのアンモニア変換を示すものである。
【0038】
したがって、本発明の実施形態において、コバルト化合物は、コバルトスピネルを含む。
【0039】
一実施形態において、コバルト化合物は、アルカリ化合物、例えば、ナトリウム(Na)、カリウム(K)および/またはセシウム(Cs)などで促進される。
【0040】
一実施形態において、触媒を含むコバルト化合物は、さらに、金属(複数可)、例えば、Zn、Cu、Ni、Fe、Mn、V、Alおよび/またはTiを含む。
【0041】
「NOxの除去」および「亜酸化窒素(NO)の除去」という用語は、たとえ微量のNOxおよびNOがプロセスオフガス中にまだ含まれ得るとしても、NOxおよびNOの量を実質的に減少させるものとして理解されるべきである。
【0042】
好ましくは、NOの一部は、本発明による方法の第1段階において除去することができる。
【0043】
本発明の実施形態において、NOxの選択的触媒還元において活性な触媒は、同じ還元剤を用いて亜酸化窒素を除去する際にも活性である。
【0044】
それによって、第1段階は、この還元剤が亜酸化窒素との反応によっても消費され得るので、還元剤のスリップが実質なく(10ppm未満)と共に、NOxの実質的に完全な除去しつつ操業することが可能である。これはさらに、亜酸化窒素と反応することができる触媒ベッドの一部において、NOx反応の化学量論的過剰として還元剤を混合する必要性がさらに少ないことを意味する。そのような場合、還元剤の若干高い投与量が必要とされる。そのような還元剤は、アンモニア(NH)またはその前駆体であることができる。
【0045】
本発明の実施形態において、NOの50%未満が第1段階で除去される。
【0046】
本発明の一実施形態において、NOxの選択的触媒還元に活性な触媒は、金属交換されたゼオライトを含み、ここで、金属は、Fe、Co、Ni、Cu、Mn、ZnもしくはPdまたはこれらの混合物を含む。
【0047】
好ましくは、金属交換されたゼオライトは、MFI、BEA、FER、MOR、FAU、CHA、AEI、ERIおよび/またはLTAからなる群から選択される。
【0048】
最も好ましい金属交換されたゼオライトは、Fe-BEAである。
【0049】
実施形態において、NOxの選択的触媒還元において活性な触媒は、V、Cu、Mn、Pd、Ptの酸化物またはそれらの混合物から選択される。
【0050】
別の実施形態では、NOxの選択的触媒還元に活性な触媒および/またはコバルト化合物を含む触媒は、モノリス状である。
【0051】
「モノリス形状の触媒」という用語は、触媒活性材料を含むかまたはコーティングされたモノリス形状またはハニカム形状として理解されるべきである。
【0052】
モノリス形状の触媒は、好ましくは、反応器(複数可)内で1つ以上の層に整然と配列される。
【0053】
モノリス形状の触媒は、軸流反応器の設計を可能にし、同時に、ペレット触媒を用いた半径方向流反応器の設計と比較して、低い圧力損失を提供する。
【0054】
別の好ましい実施形態においては、第1および/または第2のモノリス形状の触媒は、1つ以上のスタック層で反応器の内部に配置される。
【0055】
本発明は、その具体的な実施形態の以下の詳細な説明において、さらに議論される。
【0056】
一実施形態において、NOxはNO反応に対する阻害剤であるため、還元剤の添加は、第2段階において最も低い総NOx濃度を与えるように操作される。第2段階におけるNH酸化からのNOxに対する選択性は100%より低いので、最適なNH投与量は、化学量論よりわずかに上である。触媒ステップの前のガス中のアンモニアの混合度合いも、最適なNH投与量に役割を果たす。
【0057】
本発明の実施形態における方法は、吸収塔の下流の硝酸工程において、プロセスオフガスの再加熱後、エキスパンダー(拡張機)の前に行われる。アンモニアは、オフガスに注入され混合される。アンモニアと混合されたオフガスは、二酸化チタン、酸化バナジウム、および酸化タングステンを含む触媒が設置された第1段の反応器に入る。第1段階においては、周知のSCR反応に従ってNOxがアンモニアと反応する。第1段階の触媒量とアンモニア添加量は、オフガス中のNOxの含有量が体積比で約5~10ppmのNOxスリップに、かつ、第1段階からの流出ガス中のアンモニアスリップが5~10ppmに大幅に減少するように調整される。
【0058】
流出ガスは、その後、カリウムで促進されたコバルトスピネルを含む触媒の第2段階に入る。
【0059】
第2段階においては、NHは窒素(N)、NOxおよびNOの組合せに酸化される。触媒は、不活性窒素に対して高い選択性を有するか、または、第2段階の触媒によって再び除去することができるNOに対して選択性を有するコバルト化合物を含む触媒が好ましい。NOxに対する選択性は、NOxがNO分解反応を阻害するため、好ましくない。
【0060】
第2段階においては、NOは促進されたコバルトスピネルと接触することで、以下の反応に従って分解される。
2NO→2N+O
【0061】
NHは酸化され、窒素(N)、NOx、NOの組み合わせとなる。NHの酸化により生成したNOは、促進されたコバルトスピネル触媒と接触することにより分解される。
【0062】
第1段階からのNOx排出量は非常に少なく、第1段階から第2段階へのNHスリップも非常に低いレベルに保たれているため、第2段階でのNHの酸化によって生成されるNOxは、選択性が低下してもNOx排出量が限定されるだけであり、排出上の問題にはならない。NOxは、促進されたコバルトスピネル触媒のNO分解反応を阻害し、それによって活性を低下させることになる。そのため、第2段階でのNOx生成は最小限に抑える必要がある。
【0063】
温度は、通常300~550℃の範囲である。圧力は、典型的には4~12bargの範囲であるが、より高くても低くてもよい。より高い圧力は、第1段階におけるNOx変換の活性を増加させ、それは第2段階におけるNHおよびNO変換を増加させる。
【0064】
本明細書で既に述べたように、その後、第1段階からアンモニアスリップの大部分を除去することによって、アンモニアのプロセスオフガスとの混合に対する要件が著しく低減される。
【0065】
本発明の実施形態による方法によれば、吸収塔の下流の硝酸プロセスにおいて、プロセスオフガスの再加熱の後、エキスパンダーの前に行われる。アンモニアは、オフガスに注入され、混合される。アンモニアと混合されたオフガスは、Fe-BEAゼオライトを含む触媒が設置された第1段階の反応器に入る。第1段階では、周知のSCR反応に従って、NOxがアンモニアと反応する。しかし、鉄ゼオライト触媒は、下記に従うNHを用いてNOを分解する反応にも活性である。
3NO+2NH→4N+3H
【0066】
この反応は、NOxを除去するSCR反応よりも遅い。しかし、これはNOx反応に必要な量よりも多くのNHを投入することができ、この過剰なNHがNOを分解するために使われることを意味する。第1段階の触媒量とアンモニア添加量は、第1段階から来るガスが本質的にNOxを含まず、第1段階からの流出ガス中に体積比で20ppm未満または10ppm未満または5ppm未満の低いNHスリップとなるように調整される。
【0067】
第1ベッドでのNO反応に活性な触媒、触媒量およびNH添加の間の最適な選択は、NOxおよびNOの初期濃度、ガス温度および圧力、NHの注入システムおよびNOxおよびNOの必要な転換率によって支配されている。水(HO)および酸素(O)濃度も、異なる反応としてHOおよびOに対して異なる感度を有するため、最適な選択に影響を与える。
【0068】
一実施形態においては、第1段階のNOxの選択的触媒還元に活性なモノリス触媒は、第2段階におけるコバルト化合物を含むモノリス触媒の上に直接積み重ねられる。これにより、1つのマンホールアクセスおよび積層された触媒のための1つの支持グリッドのみで、単純な軸流反応器を利用することができ、反応器の圧力損失は依然として低いままである。
図1
【国際調査報告】