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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-12
(54)【発明の名称】イオン伝導性層およびその形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 1/06 20060101AFI20230502BHJP
   C08J 9/26 20060101ALI20230502BHJP
   C08J 9/28 20060101ALI20230502BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20230502BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20230502BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
H01B1/06 A
C08J9/26 CER
C08J9/26 CEZ
C08J9/28 101
H01M10/0562
H01M4/13
H01M4/62 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022563150
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(85)【翻訳文提出日】2022-10-18
(86)【国際出願番号】 US2021028912
(87)【国際公開番号】W WO2021217045
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】63/014,231
(32)【優先日】2020-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593150863
【氏名又は名称】サン-ゴバン セラミックス アンド プラスティクス,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】SAINT-GOBAIN CERAMICS AND PLASTICS, INC.
【住所又は居所原語表記】One New Bond Street, Worcester, MA 01615, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ルオファン
(72)【発明者】
【氏名】高木 裕登
(72)【発明者】
【氏名】マッガーン、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ウスペンスキー、ウラジミール
(72)【発明者】
【氏名】アサット、ゴーラブ
(72)【発明者】
【氏名】リー、チュアンピン
【テーマコード(参考)】
4F074
5G301
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
4F074AA12A
4F074AA13A
4F074AA26
4F074AA73A
4F074AC13
4F074CB03
4F074CB14
4F074CB17
4F074CB47
4F074DA49
5G301CD01
5H029AJ06
5H029AL12
5H029AM12
5H029DJ09
5H029DJ13
5H029EJ07
5H029EJ12
5H029HJ00
5H029HJ01
5H029HJ02
5H029HJ07
5H029HJ20
5H050AA12
5H050BA16
5H050CB12
5H050DA02
5H050DA11
5H050DA13
5H050EA15
5H050EA23
5H050EA24
5H050EA28
5H050HA00
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA07
5H050HA17
(57)【要約】
イオン伝導性層は、ハロゲン化物系材料などの吸湿性イオン伝導性材料を含むことができる。実施形態において、イオン伝導性層は、有機材料、ハロゲン化アンモニウム、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体イオン伝導性層の少なくとも一部に連続して延在する第1の相であって、該第1の相がハロゲン化物系材料を含むイオン伝導性材料を含む、第1の相;および
バインダー材料を含む有機材料を含む第二相であって、バインダー材料が:
最大10のHLB値;
最大20%の反応性値;または
その組み合わせ、
を含む、第二相;
を含む、固体イオン伝導性層。
【請求項2】
バインダー材料が、ポリ塩化ビニル、ポリ(アクリロニトリル)、水素化ニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリビニルピロリドン、ポリイソブチレン、ポリ(フッ化ビニリデン)、パラフィンワックス、ポリエチレン、ポリジメチルシロキサン、ポリ(エチレンオキシド)またはこれらのいかなる組み合わせを含む、請求項1に記載の固体イオン伝導性層。
【請求項3】
バインダー材料がシロキサンを含む、請求項1に記載の固体イオン伝導性層。
【請求項4】
バインダー材料が、水素化ニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリイソブチレン、またはそれらのいかなる組み合わせを含む、請求項1に記載の固体イオン伝導性層。
【請求項5】
ハロゲン化物系材料が、式M3-δ(Mek+3-δ+k*fで表され、-3≦δ<3、0≦f≦1、kはMeの価数、2≦k<6、MはLiを含むアルカリ金属元素を含み、MはMと異なる金属元素を含み、Xはハロゲンを含む、請求項1から4いずれか1項に記載の固体イオン伝導性層。
【請求項6】
イオン伝導性材料が、ハロゲン化物系材料と複合化したハロゲン化アンモニウムである、請求項1~4のいずれか1項に記載の固体イオン伝導性層。
【請求項7】
イオン伝導度が少なくとも0.05mS/cm、少なくとも0.1mS/cm、少なくとも0.15mS/cm、0.2mS/cm、または少なくとも0.3mS/cmである、請求項1~4のいずれか1項に記載の固体イオン伝導性層。
【請求項8】
バインダー材料が、最大11%の反応性値、最大7%のHLB値、またはそれらの組み合わせを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の固体イオン伝導性層。
【請求項9】
固体イオン伝導性層の総重量に対して、バインダー材料を0.1wt%以上10wt%以下含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の固体イオン伝導性層。
【請求項10】
固体イオン伝導性層がテープ状である、請求項1~4のいずれか1項に記載の固体イオン伝導性層。
【請求項11】
ハロゲン化物系材料と有機材料とを含む固体イオン伝導性材料を含む組成物であって、
有機材料が、ペンテン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、シクロウンデカン、シクロドデカン、ジブロモメタン、ジクロルメタンまたはそれらのいかなる組み合わせを含む溶剤を含んでいる、前記の組成物。
【請求項12】
組成物の総重量に対して、少なくとも1wt%~最大60wt%の溶媒と、少なくとも20wt%~最大90wt%の固体イオン伝導性材料を含み、組成物がスラリーである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
ハロゲン化物系材料が、M3-δ(Mek+3-δ+k*fで表され、-3≦δ<3、0≦f≦1、kはMeの原子価、2≦k<6、MはLiを含むアルカリ金属元素を含み、MeはMと異なる金属元素を含み、Xはハロゲンを含む、請求項11又は12に記載の組成物。
【請求項14】
イオン伝導性材料がハロゲン化物系材料と複合化したハロゲン化アンモニウムを含む、請求項11または12に記載の組成物。
【請求項15】
有機材料が、多くとも10のHLB値、多くとも20%の反応性値、またはそれらのいかなる組み合わせを有するバインダー材料を含む、請求項11または12に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
以下、イオン伝導性層、イオン伝導性層を含むデバイス、およびその形成方法に関し、特に、固体イオン伝導性層、これを含むデバイス、およびその形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
背景技術
固体リチウム電池は、リチウム金属負極を用いることで、従来のリチウムイオン電池に比べてエネルギー密度が高く、充電時間が短く、安全性の高い電池として期待されている。固体電解質は、リチウム金属負極の性能向上に役立つことが実証されている。
【発明の概要】
【0003】
業界では、性能を向上させた固体電池の需要が続いている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図面の簡単な説明
本開示は、添付図面を参照することによって、よりよく理解され、その多数の特徴および利点が当業者に明らかにされ得る。
図1図1は、本明細書の一実施形態に係るイオン伝導性層の断面を示す説明図を含む。
図2図2は、本明細書の別の実施形態に係るイオン伝導性層の断面図を含む。
図3図3は、本明細書の別の実施形態に係るイオン伝導性層の断面図を含む。
図4図4Aは、本明細書の別の実施形態に係るイオン伝導性層の水平断面の説明図を含む。図4Bは、実施形態に係るイオン伝導性層の一部の微細構造を示す説明図を含む。
図5図5は、本明細書の別の実施形態に係るイオン伝導性層の断面図を含む。
図6図6は、本明細書の一実施形態による副層を含むイオン伝導性層の断面図を含む。
図7図7は、本明細書の別の実施形態による副層を含むイオン伝導性層の断面説明図を含む。
図8図8は、本明細書の一実施形態に係る方法の説明図を含む。
図9図9は、本明細書の実施形態に係る電気化学ユニットの断面説明図を含む。
図10図10は、本明細書の別の実施形態に係る電気化学ユニットの断面図を含む。
図11図11は、本明細書の一実施形態による多層構造の断面図を含む。
図12図12は、本明細書の別の実施形態に係る電気化学ユニットの断面図を含む。
図13図13は、実施形態による例示的な固体イオン伝導性層の断面のSEM画像を含む。
図14図14は、実施形態による別の例示的な固体イオン伝導性層の断面の一部のSEM画像を含む。
図15図15は、本明細書の実施形態によるサンプルのXRDパターンを含む説明図を含む。
図16図16は、本明細書の実施形態によるサンプルのXRDパターンを含む説明図を含む。
図17図17は、本明細書の実施形態によるサンプルのXRDパターンを含む説明図を含む。
図18図18は、本明細書の実施形態によるサンプルのXRDパターンを含む説明図を含む。
図19図19は、本明細書の実施形態による例示的な固体イオン伝導性層のイオン伝導度を例示するグラフを含む。
【0005】
当業者は、図中の要素は、単純化及び明確化のために図示されており、必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解する。例えば、図中のいくつかの要素の寸法は、本発明の実施形態の理解を向上させるために、他の要素に対して誇張され得る。異なる図面における同じ参照符号の使用は、類似または同一の項目を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
好ましい実施形態の詳細な説明
以下の説明は、図と組み合わせて、本明細書に開示された教示を理解するのに役立つように提供される。以下の議論は、本教示の特定の実装および実施形態に焦点を当てる。この焦点は、教示を説明するのを助けるために提供され、教示の範囲または適用性を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0007】
本明細書で使用される場合、用語「含む」、「含み」、「包含する」、「有する」、「有し」、又はそれらの他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図している。例えば、特徴のリストから構成されるプロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの特徴のみに限定されるものではなく、明示的にリストされていない他の特徴、またはそのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有の特徴を含むことが可能である。さらに、明示的に反対を表明しない限り、「または」は包括的な「または」を指し、排他的な「または」を指さない。例えば、条件AまたはBは、以下のいずれか1つによって満たされる。Aは真(または存在)であり、Bは偽(または存在しない)、Aは偽(または存在しない)であり、Bは真(または存在)、AおよびBの両方が真(または存在)である。
【0008】
「1つ」または「1個」の使用は、本明細書に記載される要素および構成要素を説明するために採用される。これは、単に便宜上、および本発明の範囲の一般的な感覚を与えるために行われるものである。本明細書は、そうでないことが明らかでない限り、1つ、または少なくとも1つを含むように読まれるべきであり、単数形は複数形も含み、またはその逆もまた然りである。
【0009】
特に定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における通常の技術者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。材料、方法、および例は、例示に過ぎず、限定することを意図していない。
【0010】
本明細書の実施形態は、無機固体イオン伝導性材料と有機材料とを含む層に関するものである。層は、フィルム、テープ、シート等の形態であってもよい。特に、層は、イオン伝導性層であってもよく、特に、固体イオン伝導性層であってもよい。例えば、イオン伝導性層は、少なくとも0.05mS/cm以上のイオン伝導性を有することができる。イオン伝導性層は、吸湿性イオン伝導性材料、特に、ハロゲン化物系材料を含むことができる。特定の実施態様において、イオン伝導性材料は、リチウムイオン伝導性を有することができる。実施形態において、イオン伝導性層は多孔質であり、イオン伝導性層の特性及び/又は性能の向上を促進することができる特定の細孔構造特徴を有することができる。別の実施形態では、イオン伝導性層は、イオン伝導性層の特性及び/又は性能の改善を促進することができる特定の有機材料を含んでもよい。例えば、イオン伝導性層は、改善されたイオン電流抵抗、細孔構造、互換性(相溶性)、柔軟性、化学的安定性、電気化学的安定性、又はそれらの任意の組合せを有することができる。
【0011】
実施形態は、さらに、イオン伝導性層を形成する方法に関する。この方法は、制御された厚さ、多孔性、及び/又は改善された特性を有する固体イオン伝導性層の形成を可能にすることができる。特に、本方法は、吸湿性イオン伝導性材料、より詳細にはハロゲン化物系材料を含む固体イオン伝導性層の改良された形成を可能にすることができる。本方法は、吸湿性イオン伝導性材料、バインダー材料、及び任意に細孔形成材料を含むグリーン層をテープキャストすることを含むことができる。本明細書で使用される場合、グリーン層は、未完成のイオン伝導性層を指すことを意図しており、グリーン層を最終的に形成されたイオン伝導性層に変換するために少なくとも1以上の工程が必要である。そのような工程には、硬化、加熱、焼結、冷却、乾燥、プレス、成形、鋳造、打ち抜き、またはそれらのいかなる組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されるものではない。
【0012】
実施形態において、イオン伝導性層は、電気化学デバイスの構成要素とすることができる。例えば、イオン伝導性層は、固体電解質層とすることができる。別の例では、イオン伝導性層は、混合イオン伝導率及び電子伝導率を有する、電極層などの複合層とすることができる。さらに別の例では、陽極、陰極、又はその両方が、イオン伝導性層を含むことができる。特定の実施態様において、電気化学デバイスは、固体電池を含むことができる。より特定の例では、固体電池は、固体リチウム電池を含むことができる。
【0013】
実施形態において、イオン伝導性層は、吸湿性材料を含むイオン伝導性材料を含むことができる。特定の実施態様では、イオン伝導性材料は、リチウムイオン伝導性を有することができる。一態様において、吸湿性材料は、ハロゲン化物系材料を含むことができる。別の態様では、吸湿性材料は、硫化物系材料を含むことができる。さらに別の態様では、吸湿性材料は、オキシハライド、ハロゲン化水酸化物、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0014】
実施形態において、イオン伝導性層は、M3-δ(Mek+3-δ+k*f(式I)を含むハロゲン化物系材料を含むことができる。-3≦δ<3;kはMeの原子価;2≦k<6;及び0≦f≦1である。特定の態様において、ハロゲン化物系材料は、M3-δMek+3-δ+k(式II)で表すことができ、ここで、-0.95≦δ≦0.95である。
【0015】
Mは、Li、Na、Rb、Cs、K、またはそれらのいかなる組み合わせを含むアルカリ金属元素を含むことができる。特定の例では、Mは、Liを含むことができる。ある例では、Mは、Liと別のアルカリ金属元素を含むことができる。別の例では、Mは、Liから成ることができる。別の例では、Mは、Li、Na、Cs、Rb、およびKのうちの少なくとも1つから成ることができ、特定の例では、Mは、Li、ならびにCsおよびNaのうちの少なくとも1つから成ることができる。
【0016】
Meは、2価の元素、3価の元素、4価の元素、5価の元素、6価の元素、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。Meが元素の組み合わせである場合、kは元素の合計原子価の平均値であり得る。例えば、Meが3価の元素をxモル、4価の元素をyモル含む場合、k=(3x+4y)/(x+y)である。Meが3価の元素と4価の元素を等モル量含む場合、k=3.5である。より具体的な例では、kは3または4または5であってもよい。
【0017】
Meのさらなる例は、Mg、Ca、Sr、及び/又はBaなどのアルカリ土類元素、Znなどの第12族元素、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。本開示で指摘された元素群に関して、2018年12月1日に公開されたIUPAC元素周期表を参照する。
【0018】
Xは、ハロゲンを含むことができる。例えば、Xは、Br、Cl、I、及びFのうちの1つ以上を含むことができ、例えば、Xは、Cl、Br、又はそれらの組合せを含むことができる。別の例では、XはFを含むことができる。例では、Xは、ハロゲンに加えてアニオン基を含むことができる。そのようなアニオン基は、アミド(-NH)、水酸化物(-OH)、-BF、-BH(水素化ホウ素)、またはそれらの組合せを含むことができる。アニオン基は、不純物またはドーパントとして含まれることができる。特定の態様において、Xは、1つ以上のハロゲン、または1つ以上のハロゲンとアニオン基の組合せから成ることができる。特定の態様において、Xは、ハロゲン元素から成ることができる。例えば、Xは、Cl、Br、またはそれらの組み合わせから成ることができる。さらに別の例では、Xは、Cl、Br、F、およびIのうちの2つ以上から成ることができ、さらなる例では、Xは、Fから成ることができる。
【0019】
別の例では、Meは、1つ以上の3価の元素を含むことができる。例えば、Meは、In及び/又はAlなどの13族元素、3族元素、Sc、Y、及び/又はランタノイドなどの希土類元素、又はそれらの任意の組合せを含むことが可能である。さらに別の例では、Meは、4族元素(すなわち、Zrおよび/またはHf)などの1つまたは複数の4価の元素、Sn、5族元素(すなわち、Nb、および/またはTa)などの1つまたは複数の5価の元素、Bi、またはこれらのいかなる組み合わせを含むことが可能である。特定の例では、Meは、希土類元素、例えば、Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tm、Gd、Tb、Dy、Ho、Lu、又はこれらのいかなる組み合わせを含むことができる。
【0020】
特定の態様において、ハロゲン化物系材料は、(Li1-dNa)LiREX(式III)を含むことができ、ここで、REは1以上の希土類元素であり、0≦d<1である。REの特定の例は、Y、Gd、Er、またはそれらの組み合わせを含むことができる。例えば、REはYから成ることができ、別の特定の例では、REはYと少なくとも1つの他の希土類元素から成ることができる。
【0021】
別の特定の態様において、ハロゲン化物系材料は、Li RE1-Z(式IV)を含んでもよく、ここで、0<Z≦1、REはY以外の1つまたは複数の希土類元素である。
【0022】
ハロゲン化物系イオン伝導性材料の特定の例としては、下記のものを含み得る:
Li3YBr6, Li3YCl6, Li3(Al, Ga, In)X6, (Li0.5,Na0.5)2LiYCl6, Li3YBr6, Li2.5Y0.5Zr0.5Cl6, Li3Y0.95Sm0.05Br3Cl3, Li3Y0.9Sm0.1Br3Cl3, Li3YBr3Cl3, Li3Y0.9Er0.1Br3Cl3, Li3Y0.9Lu0.1Br3Cl3, Li3Y0.9Tb0.1Br3Cl3, Li3Y0.95Bi0.05Br6, Li3Y0.9Dy0.1Br3Cl3, Li3Y0.9Eu0.1Br3Cl3, Li3.1Y0.9Ba0.1Br6, Li2.8Y0.9Ta0.1Br2Cl2I2, Li3.2Y0.9Sr0.2Br6, LiCsCl2, Li3YCl3Br3等、またはその組み合わせ。
【0023】
実施形態において、固体イオン伝導性層は、NHCl、NHBr、またはそれらの組み合わせなどのハロゲン化アンモニウムを含むことができる。一態様において、緻密なイオン伝導性材料は、ハロゲン化アンモニウムの存在によって改善された性能を有することができる。例えば、ハロゲン化アンモニウムは、ハロゲン化物系材料のような吸湿性材料のドーパントであってもよい。別の例では、ハロゲン化アンモニウムは、イオン伝導性材料のイオン伝導性を向上させることができる。別の態様では、ハロゲン化アンモニウムは、固体イオン伝導性層を形成する工程から固体イオン伝導性層内に残留する残渣質であってもよい。一例として、ハロゲン化アンモニウムは、出発材料に孔形成材料として添加され、除去されて、改善された孔特性を有する固体イオン伝導性層を形成するための細孔が形成されてもよい。例示的な細孔特性は、細孔率、平均細孔径、細孔形状、細孔配向、アスペクト比、細孔径分布、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0024】
特定の態様において、ハロゲン化アンモニウムは、イオン伝導性層の改善された形成および性能を促進するために、吸湿性材料と複合化(錯体化)されてもよい。例示的な実施態様において、ハロゲン化アンモニウムは、ハロゲン化アンモニウムがハロゲン化物系材料と複合化され得るように、ハロゲン化物系材料を形成するプロセスにおいて原料として使用され得る。ハロゲン化アンモニウムのその後の昇華は、イオン伝導性層の改善された細孔特性の形成を促進することができる。
【0025】
実施形態において、ハロゲン化アンモニウムは、固体イオン伝導性層の改善された特性及び性能を促進することができる含有量でイオン伝導性層中に存在することができる。一態様において、イオン伝導性層は、固体イオン伝導性層の総体積に対して、最大で18vol%、15vol%、10vol%、8vol%、最大で5vol%、最大で3vol%、最大で1vol%、または最大で0.5vol%のような、最大で20vol%のハロゲン化アンモニウムを含むことができる。さらなる態様において、イオン伝導性層は、固体イオン伝導性層の総体積fに対して少なくとも0.05vol%、少なくとも0.1vol%、少なくとも0.vol%、少なくとも0.5vol%、少なくとも1vol%、または少なくとも1.5vol%のハロゲン化アンモニウムを含んでもよい。ハロゲン化アンモニウムの含有量は、本明細書で指摘した最小及び最大の割合のいずれかを含んでもよいことが理解される。
【0026】
別の例では、ハロゲン化アンモニウムの含有量は、イオン伝導性層の総重量に対して多くても10wt%、例えば多くても8wt%、多くても5wt%、多くても3wt%、多くても1.5wt%、多くても0.5wt%、又は多くても0.2wt%であっても良い。さらに別の例では、ハロゲン化アンモニウムの含有量は、イオン伝導性層の総重量に対して少なくとも0.01wt%、例えば、イオン伝導性層の総重量に対して少なくとも0.1wt%、少なくとも0.2wt%、少なくとも0.3wt%、又は少なくとも0.5wt%であってもよい。さらに、ハロゲン化アンモニウムの含有量は、本明細書で指摘した最小及び最大の割合のいずれかを含んでもよい。
【0027】
少なくとも1つの非限定的な実施形態において、イオン伝導性層は、ハロゲン化アンモニウムを本質的に含まない場合がある。
【0028】
別の実施形態では、吸湿性材料は、反ペロブスカイト結晶構造を有するハロゲン化リチウム、オキシハロゲン化リチウム、ハロゲン化水酸化リチウム、またはそれらの組合せを含むことができる。例えば、吸湿性材料は、Li3-xx/2OA1-zA’、ここでAおよびA’はF、Cl、Br、またはIなどのAサイトハロゲンである。特定の例は、LiOCl、LiOBr、LiO(Cl,Br)(例えば、LiOCl0.5Br0.5)、LiOHX(例えば、LiOHCl及びLiOHBr)等を挙げることができる。
【0029】
別の実施形態では、イオン伝導性材料は、硫化物系材料を含むことができる。硫化物系材料は、非晶質相、結晶相、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。硫化物系材料の特定の例としては、xLi2S-yP2S5(LPS)、例えば0.67LiS-0.33P、80LiS-20P、75LiS-25P、70LiS-30Pなど、LiS-Xを含むことができるが、これらに限定されない。ここでXは、下記の少なくとも一つの硫化物を示す:SiS,GeS,B、例えば0.50LiS-0.50GeS,LiI-LiS-SiS、例えば0.40LiI-0.36LiS-0.24SiSなど、0.05LiSiO-0.57LiS-0.38SiS,LiPO-LiS-SiS,例えば0.01LiPO-0.63LiS-0.36SiSなど、LiI-LiS-B,例えば0.44LiI-0.30LiS-0.26Bなど,LiI-LiS-P,例えば0.45LiI-0.37LiS-0.18Pなど、a-LiPS,LGPS(例えば、Li10GeP12)、LPSCl(例えば、LiPSCl)、LPSBr(例えば、LiPSBr)、LSPSCl(例えば、Li9.54Si1.74P1.44S11.7Cl0.3)、Li10.35[Sn0.27Si1.08]P1.65S12、またはそれらの任意の組合せ。
【0030】
さらなる実施形態において、固体イオン伝導性層は、固体イオン伝導性層の改善された形成及び特性及び/又は性能を促進することができるイオン伝導性材料の特定の含有量を含むことができる。一態様では、固体イオン伝導性層は、固体イオン伝導性層の総重量に対して少なくとも15vol%のイオン伝導性材料、例えばイオン伝導性層の総体積に対して少なくとも20vol%、少なくとも25vol%、少なくとも30vol%、少なくとも35vol%、少なくとも45vol%、少なくとも50vol%、少なくとも55vol%、又は少なくとも60vol%を含むことができる。別の態様では、固体イオン伝導性層は、固体イオン伝導性層の総体積に対して、イオン伝導性材料の最大95vol%、例えば、最大90vol%、最大85vol%、最大80vol%、最大75vol%、最大70vol%、最大65vol%、最大60vol%、最大55vol%、又は最大50vol%を含むことができる。別の態様では、イオン伝導性材料は、本明細書で指摘した最小及び最大のパーセントのいずれかを含む範囲の含有量であり得る。
【0031】
実施形態において、イオン伝導性層は、固体イオン伝導性層の改善された形成及び改善された性能を容易にすることができる有機材料を含むことができる。例えば、有機材料は、改善された特性を有する固体イオン伝導性層の形成を促進することができる。特性は、細孔特性、厚さ、イオン伝導度、電子伝導度、電極活物質の濡れ性、相溶性、柔軟性、化学的安定性、電気化学的安定性、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。別の例では、有機材料は、多孔質イオン伝導性層の改善された細孔特性の形成を促進してもよい。一態様において、有機材料は、1つ以上のバインダー材料、溶媒、またはそれらの組合せを含んでもよい。
【0032】
実施形態において、固体イオン伝導性層は、イオン伝導性材料と反応性のない有機材料を含むことができる。例えば、有機材料は、イオン伝導性層を形成するプロセスにおいて、固体イオン伝導性層が適用される動作条件において、又はその両方において、イオン伝導性材料に対して非反応性のままであることができる。別の例では、固体イオン伝導性材料を形成する過程において、有機材料は、イオン伝導性材料の組成、イオン伝導性、又はその両方にほとんど又は全く悪影響を及ぼさないことができる。
【0033】
特定の態様において、有機材料は、固体イオン伝導性層の改善された形成及び改善された特性を促進することができる特定の反応性値を有することができる。一例では、有機材料は、最大18%、最大15%、最大12%、または最大10%など、最大20%または20%未満の反応性値を有することができる。さらなる例では、有機材料は、最大9%、最大8%、最大7%、最大6%、最大5%、最大4%、最大3%、または最大2%のような、10%未満の反応度値を有することができる。別の例では、有機材料は、少なくとも0.01%、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.5%、少なくとも0.8%、または少なくとも1%のように、0%または0%を超える反応度数を有することが可能である。さらに、反応性値は、本明細書に記された最小及び最大パーセンテージのいずれかを含む範囲とすることができる。例えば、有機材料は、最大で2%までの反応度値を有することができる。特定の実施態様において、有機材料は、LiYBrを含むハロゲン化物系材料、または層状結晶構造、より詳細には単斜晶系結晶構造などのLiYBrと同様の結晶構造を含むハロゲン化物系材料に対して20%未満の反応性値を有することが可能である。別の特定の実施態様では、有機材料は、LiYClを含むハロゲン化物系材料、またはLiYClと同様の結晶構造、例えば六方晶系または三角晶系の結晶構造を含むハロゲン化物系材料に対して10%未満の反応度を有することができる。
【0034】
反応性値は、以下のように決定することができる。イオン伝導性材料に対する有機材料の反応性値は、固体のイオン伝導性材料と有機材料とを10:90の重量%比で混合し、混合物を不活性雰囲気中で100℃以下、例えば20℃~60℃に少なくとも12時間、最大24時間保つことによって試験することができる。X線回折分析を行い、イオン伝導性材料の特徴的なピークの変化や、試験前後での他のピークの変化など、XRDパターンの変化を検出することができる。例えば、変化としては、特性ピークの消失、特性ピークの強度の変化、固体イオン伝導性材料の特定の不純物や分解・劣化生成物の特性ピークの強度の変化、またはそれらの組み合わせなどを挙げることができる。
【0035】
特に、有機溶媒の反応性値は、以下のように試験して決定することができる。溶媒を固体イオン伝導性材料と重量パーセント比90:10で混合することができ、ここで固体イオン伝導性材料は混合物の総重量に対して10wt%で混合物中に存在し、溶媒は混合物の総重量に対して90wt%で混合物中に存在する。少なくとも12時間、24時間以下の間混合した後、残りの溶媒を100℃までの温度で乾燥または蒸発させることができる。溶媒を完全に除去した後、乾燥した固体材料を回収し、カプトンフィルム窓を有するガス密閉サンプルホルダーに封入して、25~80度2θのX線回折(XRD)分析を、ステップサイズ7.5度、ステップ時間120秒で実施することが可能である。すべての試験は、HO含有量<1ppmの乾燥環境で行うことができる。
【0036】
溶媒材料の反応度は、乾燥固体材料のXRDパターンに基づいて、RV=[B/A]×100%の式で求めることができ、Aは固体イオン伝導性材料の特性ピークの強度を示し、Bは固体イオン伝導性材料の代表的分解生成物の特性ピークの強度を示している。代表的な分解生成物は、リチウムとイオン伝導性材料の主要アニオン原子を含む2元系であってもよい。例えば、ハロゲン化リチウムは、本明細書の実施形態に係るハロゲン化物系材料の代表的な分解生成物とすることができる。したがって、Aをハロゲン化物系材料の特性ピークとすることができ、Bをハロゲン化リチウムの特性ピークとすることができる。図18を参照すると、AおよびBは、LiYBrを有する有機材料の反応性値を試験するためのXRDパターンを、元のLiYBrのXRDパターンと比較して示す。LiYBrの特性XRDピークは通常31度~32.2度の2シータ間で現れ、LiBrの特性ピークが27.9~28.5度2のシータ間で現れている。LiYClの特性ピークは40.5度から41.5度の2シータ間に、LiClは34.5度から35.5度の2シータ間にある。溶媒を除去して残った乾燥固体材料のXRDパターンが、イオン伝導性材料の代表的な分解生成物、例えばハロゲン化物系材料で溶媒試験を行った場合のハロゲン化リチウムの特性ピークを含まず、Aが0でない場合、溶媒の反応度値は0と判断することができ、乾燥固体材料のXRDパターンがイオン伝導性材料の特性ピークを含まない場合は不定と判断することができる。また、溶媒と混合した後にイオン伝導性物質が完全に分解した場合、溶媒の反応性は不定とみなすことができる。
【0037】
場合によっては、元のイオン伝導性材料のXRDパターンに、代表的な分解生成物の特徴的なピークが含まれることがある。例えば、ハロゲン化物系材料は、不純物としてハロゲン化リチウムを含んでいてもよい。それらの場合、元のイオン伝導性材料のXRDパターンを用いて、RI、ここでRI=[b/a]×100%、bは分解生成物の特性ピークの強度、aはイオン伝導性材料の特性ピークの強度を表すとすることができる。溶媒の反応性値(RV)は、RV=RIDS-RI、式中、RIDS=[B/A]×100%、Bは溶媒除去後の乾燥固体物質の分解生成物の特性ピークの強度、Aはイオン伝導性物質の特性ピークの強度、で求めることができる。
【0038】
可溶性有機バインダーの反応性値は、以下のように試験して決定することができる。反応性値0を有する溶媒を試験に使用することができる。バインダー、イオン伝導性材料及び溶媒は、10:10:80の重量%比で混合することができ、バインダーは混合物の総重量に対して混合物中に10wt%存在し、溶媒は混合物の総重量に対して80wt%存在し、イオン伝導性材料は混合物の総重量に対して10wt%存在する。少なくとも12時間、最大24時間混合した後、混合物を乾燥させて、100℃以下の温度で残存する溶媒を除去してもよい。バインダーとイオン伝導性材料の乾燥した固体混合物は、XRD測定のためにカプトンフィルム窓付きの気密サンプルホルダーに集められ、密封され得る。試験全体は、HO含有量<1ppmの乾燥環境で行うことができる。XRD分析は、X線回折装置を用いて、25から80度の2シータで、ステップサイズ7.5℃、ステップ時間120秒率で行うことができる。
【0039】
可溶性バインダーの反応度は、溶媒の反応度を決定するために本明細書の実施形態で説明したのと同じ式を用いて、同様の方法で決定することができる。
【0040】
不溶性有機バインダーの反応性値は、以下のように試験して決定することができる。バインダーが反応性値0を有する溶媒に溶解しない場合、イオン伝導性材料と不溶性バインダーを、イオン伝導性材料と不溶性バインダーの合計重量に対してイオン伝導性材料と不溶性バインダーのそれぞれが50wt%で混合物に存在する50:50の重量%比率で混合することができる。この混合物を加熱して、バインダーを液状に溶かすことができる。バインダーが完全に溶融した後、混合は少なくとも1時間から最大12時間まで続けることができる。混合後、バインダーとイオン伝導性材料の混合物を冷却固化させ、XRD分析を行うためにカプトンフィルム窓付きのガス密閉サンプルホルダーに回収・密封する。試験全体は、HO含有量<1ppmの乾燥環境で行うことができる。XRD分析は、X線回折装置を用いて、25~80度2シータ、ステップサイズ7.5℃、ステップ時間120秒率で実施することができる。
【0041】
不溶性バインダーの反応性値は、溶媒の反応性値を決定するための本明細書の実施形態に記載されるのと同じ式を用いて、同様の方法で決定することができる。
【0042】
ある態様において、有機材料は、固体イオン伝導性層の改善された形成及び改善された特性を促進し得る特定の水分吸収率(以下、「MAR」と称する)を有し得る。一例では、有機材料は、最大1.0wt%、例えば最大0.8wt%、最大0.5wt%、最大0.3wt%、または最大0.1wt%のMARを有することが可能である。別の例では、有機材料は、0wt%または少なくとも0.01wt%または少なくとも0.03wt%のMARを有し得る。さらなる例では、有機材料は、本明細書に記された最小及び最大パーセントのいずれかを含む範囲内のMARを有することができる。例えば、有機材料は、最大0.3wt%のMARを有することができる。
【0043】
MARは、以下のように試験して決定することができる。所定の寸法を有する有機材料の試験片を蒸留水中に置くか、又は23℃~60℃の湿った空気(すなわち、相対湿度50%)に24時間曝すことができる。吸湿率は、式、MAR=[(WAE-WBE)/WBE]×100%で求めることができ、ここで、WBEは乾燥した試料の重量、WAEは水または湿度の高い空気にさらす前の試料の重量である。試料は、オーブンで乾燥させた後、デシケーターに入れて冷却することができる。冷却後に直ちに試料を秤量してWBEを得る。また、ASTM D570 や ISO 62に従ってMARを測定することもできる。
【0044】
ある態様において、有機材料は、疎水性部分、親油性部分、又はそれらの組み合わせを有することができる。特定の態様において、有機材料は、固体イオン伝導性層の改善された形成及び改善された特性を促進し得る特定の親水性-親油性バランス(以下「HLB」と称する)値を有することができる。別の特定の態様において、異なるHLB値を有する有機溶媒及び有機バインダー材料は、イオン伝導性層を形成するために使用され得る。一例において、有機材料は、HLB値が多くとも10、例えば多くとも9.6、多くとも9、多くとも8.8、多くとも8.2、多くとも7.6、多くとも7.3、多くとも7、多くとも6.6、多くとも6、多くとも5.6、多くとも5、多くとも4.8、多くとも4.2、多くとも4、多くとも3.8、多くとも3.3、多くとも2.6、多くとも2.2、多くとも1.5、多くとも1、多くとも0.5又は多くとも0.1である。別の例では、有機材料は0以上のHLB値、例えば少なくとも0.001、少なくとも0.005、少なくとも0.01、少なくとも0.05、少なくとも0.08、または少なくとも0.1を有することが可能である。特定の例では、有機材料は0というHLB値を有することができる。さらなる例では、有機材料は、本明細書に記された最小値および最大値のいずれかを含む範囲内のHLB値を有することができる。例えば、有機材料は、最大4のHLB値を有することができる。別の例では、有機溶媒は、有機バインダー材料のHLB値より低いHLB値を有することができる。より特定の実施態様では、溶媒は0のHLB値を有することができる。別のより特定の実施態様では、有機バインダー材料は0または0より大きい、例えば10までまたは10より小さいHLB値を有することができる。
【0045】
HLB値は、式、HLB=20×M/Mを使用してGrifinの数学的方法に従って決定することができ、ここでMは有機材料の親水性部分の分子質量であり、Mは有機材料全体の分子質量である。理解を助けるために、0から20のHLBの例示的な尺度を用いると、HLB値0は完全に親油性/疎水性の分子に対応し、値20は完全に親水性/疎水性の分子に対応することができる。
【0046】
例示的な親水性基としては、N(第3級アミン)、-COOH(カルボキシル)、-O-(エーテル)、-OH(ヒドロキシル)、-COO-(エステル)、C=O(カルボニル)、またはそれらの任意の組合せが挙げられ得る。例示的な親油性基としては、-C≡N(ニトリル)、-CH(メチル)、=CH(メチレン)、-CH-、-CH=、-C(フェニル基)、-F(フルオロ基)、-Cl(クロロ基)、またはこれらのいかなる組み合わせが挙げられ得る。
【0047】
実施形態では、有機材料は、固体イオン伝導性層の改善された形成、特性及び/又は性能を促進することができる特定の誘電率を有することができる。一態様において、有機材料は、最大35、例えば最大33、最大31、最大29、最大26、最大23、最大20、最大19、最大17、最大15、最大13、最大12、最大11、最大10などの誘電率を有することができる。別の態様では、有機材料は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、または少なくとも5のような、少なくとも0.5の誘電率を有してよい。さらに、有機材料は、本明細書で指摘した最小値及び最大値のいずれかを含む範囲の誘電率を含んでもよい。
【0048】
特定の実施形態では、有機材料は、特定のHLB値、特定の反応性値、特定の誘電率、またはそれらのいかなる組み合わせを含んでもよい。一態様では、有機材料は、0というHLB値、多くとも20%という反応性値、多くとも35という誘電率、またはそれらのいかなる組み合わせを有する溶媒材料を含んでもよい。特定の態様において、有機材料は、0というHLB値、20%未満という反応性値、および最大でも12という誘電率を含む溶媒を含んでもよい。有機溶媒のより具体的な例は、ヘプタン、シクロヘキサン、ジブロモメタン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0049】
さらなる態様において、有機材料は、特定のHLB値、特定の反応性値、またはそれらのいかなる組み合わせを含むバインダー材料を含んでもよい。例えば、有機バインダー材料は、10未満のHLB値及び20%未満の反応性値を含んでもよい。別の例では、有機バインダー材料は、10未満のHLB値および10%未満の反応性値を含んでもよい。有機バインダーのより具体的な例としては、水素化ニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリイソブチレン、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(アクリロニトリル)、パラフィンワックス、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ(エチレンオキシド)、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタクリル酸メチル)またはそれらの任意の組合せを挙げることができる。
【0050】
ある態様において、有機材料は、熱硬化性、熱可塑性、またはそれらのいかなる組み合わせなどのポリマーを含むことができる。
【0051】
有機材料の特定の例は、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ塩化ビニル、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(ジメチシロキサン)、ポリ[ビス(メトキシエトキシ)-ホスファゼン]、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンカーボネート、ポリカプロラクトン、ポリ(トリメチレンカーボネート)、パラフィンワックスを含む群から選ばれる少なくとも一つのポリマーを含みうる。ポリイソブチレン、ポリビニルピロリドン、水素化ニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリウレタン。ポリスチレン、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(フッ化ビニリデン)-コ-ヘキサフルオロプロピレン、ポリ(アクリロニトリル-コ-ブタジエン)、ポリ(スチレン-ブタジエン-スチレン)、およびスチレン-エチレン-ブチレン-スチレンを挙げることができる。より具体的な例では、有機材料は、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ塩化ビニル、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(ジメチシロキサン)、ポリ[ビス(メトキシエトキシ)-ホスファゼン]、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンカーボネート、ポリカプロラクトン、ポリ(炭酸トリメチレン)を含む群より選ばれた1以上の高分子であってよい。パラフィンワックス、ポリイソブチレン、ポリビニルピロリドン、水素化ニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリウレタン。ポリスチレン、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(フッ化ビニリデン)-co-ヘキサフルオロプロピレン、ポリ(アクリロニトリル-co-ブタジエン)、ポリ(スチレン-ブタジエン-スチレン)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンなど。
【0052】
別の特定の例では、有機材料は、シリコーンを含むバインダー材料を含むことができる。シリコーンの例としては、液状シリコーンゴムを挙げることができる。特定の例では、有機材料は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ビニル末端PDMS、ヒドリド官能性シロキサン、メチルヒドロシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。さらなる実施態様において、イオン伝導性層を形成するためのシリコーン材料と共に触媒を使用することができる。触媒の特定の例は、白金、白金複合、またはそれらの組合せを含むことができる。特定の実施態様において、触媒は、キシレンなどの溶媒材料中であってもよい。特定の実施態様において、触媒は、キシレン中の白金の複合を含むことができる。
【0053】
図1を参照すると、バインダー材料などの有機材料104とイオン伝導性材料102とを含む、例示的なイオン伝導性層100の断面図が図示されている。導電性材料102は、図示されているように三角形の断面形状を有する粒子、又は異なる形状を有する粒子を含み得ることが理解されよう。例えば、イオン伝導性粒子は、球、立方体、及び/又はプリズムなどの規則的な形状、又は不規則な形状、又はそれらの任意の組合せを有することができる。別の例では、粒子は、円、楕円、多角形、又はそれらのいかなる組み合わせを含む断面形状を有していてもよい。
【0054】
実施形態において、イオン伝導性層は、イオン伝導性層の改善された形成及び性能を促進することができる有機材料の特定の含有量を含むことができる。例えば、イオン伝導性層は、イオン伝導性層の総体積に対して少なくとも1vol%の有機材料、例えば、少なくとも2vol%、少なくとも5vol%、少なくとも10vol%、少なくとも15vol%、少なくとも20vol%、少なくとも25vol%、少なくとも30vol%、少なくとも35vol%、少なくとも40vol%、少なくとも45vol%、又は少なくとも50vol%、を含むことができる。別の例では、イオン伝導性層は、イオン伝導性層の総体積に対して最大50vol%の有機材料を含んでもよく、例えば、イオン伝導性層の総体積に対して最大48vol%、最大45vol%、最大40vol%、最大36vol%、最大30vol%、最大25vol%、最大20vol%、最大15vol%、又は最大10vol%であっても良い。さらに、有機材料の含有量は、本明細書で指摘した最小及び最大の割合のいずれかを含む範囲であってもよい。少なくとも1つの非限定的な実施形態において、イオン伝導性層は、有機材料を本質的に含まないものであってよい。
【0055】
実施形態において、イオン伝導性層は、有機材料中に分散されたリチウム塩をさらに含むことができる。リチウム塩は、イオン伝導性層のイオン伝導性の向上を促進し得る。リチウム塩の例としては、LiPF6, LiClO4, LiBF4, LiAsF6, LiTf, LiSA, LiFSI, LiTFSI, LiBETI, LiCTFSI, LiBOB, LiTDI, LiPDI, LiDCTA, LiB(CN)4, LiSbF6, LiSO3CF3, LiN(SO2CF3)2, LiN(SO2C2F5)2, LiN(SO2CF3)(SO2C4F9), LiC(SO2CF3)3またはそれらの組合せが挙げられるが、それらに限られるわけではない。特定の実施態様において、有機材料は、1つ以上のリチウム塩の担体として高分子電解質材料を含むことができる。例示的な高分子電解質材料は、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ塩化ビニル、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(ジメチシロキサン)、ポリ[ビス(メトキシエトキシ)-ホスファゼン]、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリ(トリメチレンカーボネート)またはこれらのいかなる組み合わせなどを含むことができる。リチウム塩は、高分子電解質材料の1つ以上の実体と錯形成することによってキレートを形成することができる。特定の実施態様において、固体イオン伝導性層は、ハロゲン化物系材料などの固体イオン伝導性材料によって形成される第1の相と、リチウム塩と複合化した高分子電解質材料を含む第2の相とを含んでもよい。
【0056】
図2を参照すると、リチウムイオン伝導性材料202、有機材料206、及び立方体、八面体、及び針、棒、又はそれらのいかなる組み合わせなどの細長い形状などの異なる形状を有するハロゲン化アンモニウム粒子204を含む、例示的なイオン伝導性層200の断面図が示されている。別の例では、リチウムイオン伝導性層200は、細長い形状などの同じ形状、または任意の2つの形状の組み合わせを有するハロゲン化アンモニウム粒子を含んでもよい。別の例では、ハロゲン化アンモニウムは、球形状、別の幾何学的形状、または3次元形状を有することができる。少なくとも1つの実施形態において、固体イオン伝導性層は、ハロゲン化アンモニウムを本質的に含まなくてもよい。
【0057】
実施形態において、イオン伝導性層は、緻密な層を含むことができる。一態様において、イオン伝導性層は、イオン伝導性層の総体積に対して最大10vol%の空隙率を有することができる。例えば、イオン伝導性層は、イオン伝導性層の総体積に対して、最大で9vol%、最大で8vol%、最大で7vol%、最大で6vol%、最大で5vol%、最大で4vol%、最大で3vol%、最大で2vol%、または最大で1vol%の多孔性を含むことが可能である。別の例では、イオン伝導性層は、イオン伝導性層の総体積に対して少なくとも0.05vol%の空隙率、例えば少なくとも0.1vol%、少なくとも0.5vol%、又は少なくとも1vol%を含んでもよい。さらに、イオン伝導性層の多孔度は、本明細書で指摘した最小及び最大のパーセントのいずれかを含む範囲とすることができる。別の態様では、イオン伝導性層は、理論密度の90%を超える密度を含むことができる。例えば、密度は、理論密度の少なくとも92%、例えば少なくとも94%、又は少なくとも96%とすることができる。別の例では、イオン伝導性層は、理論密度の最大99.99%、例えば、理論密度の最大99%の密度を有することができる。さらに、イオン伝導性層の密度は、本明細書で指摘した最小及び最大のパーセントのいずれかを含む範囲にあることができる。特定の実施態様において、イオン伝導性層は、電気化学デバイスにおけるセパレータ、例えば電解質などの緻密な層であり得る。
【0058】
図13は、本明細書の実施形態による例示的な高密度イオン伝導性層の断面のSEM画像を含む。イオン伝導性層は、ハロゲン化物材料1303及び有機バインダー材料1301を含む。図示された例では、ハロゲン化物材料は一般式LiYBrで表すことができ、有機バインダー材料は水素化ニトリルブタジエンゴム(本開示では「HNBR」とも称される)である。
【0059】
実施形態において、イオン伝導性層は、多孔質層を含むことができる。さらなる態様において、イオン伝導性層は、イオン伝導性層の改善された形成及び性能を容易にすることができる特定の多孔性を含むことができる。例えば、多孔質率は、多孔質層の総体積に対して少なくとも1vol%、例えば、少なくとも2vol%、少なくとも5vol%、少なくとも10vol%、少なくとも15vol%、少なくとも20vol%、少なくとも30vol%、少なくとも35vol%、であることができる。少なくとも40vol%、少なくとも45vol%、少なくとも50vol%、少なくとも55vol%、少なくとも60vol%、少なくとも65vol%、少なくとも70vol%、少なくとも75vol%、または少なくとも80vol%がイオン伝導性層の総体積である。別の例では、多孔質層の総体積に対して、細孔率は、イオン伝導性層の総体積に対して、多くとも75vol%、多くとも70vol%、多くとも65vol%、多くとも60vol%、多くとも55vol%、多くとも50vol%、多くとも45vol%、多くとも40vol%、多くとも35vol%、多くとも30vol%、多くとも25vol%、多くとも20vol%、多くとも15vol%、あるいは多くとも10vol%となり得る。さらに、イオン伝導性層は、本明細書で指摘した最小及び最大の割合のいずれかを含む範囲の空隙率を含むことができる。
【0060】
ある態様において、イオン伝導性層は、閉じた細孔、相互接続された細孔などの開放細孔、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。例えば、細孔の大部分は、開放細孔を含むことができる。例えば、細孔の少なくとも60%は、細孔の少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%など、開放細孔を含むことができる。特定の例では、細孔率の95%又は本質的に全ての細孔が開放細孔であり得る。
【0061】
別の態様では、イオン伝導性層は、イオン伝導性層の総体積に対して少なくとも20vol%の開放細孔、例えば、イオン伝導性層の総体積に対して少なくとも25vol%、少なくとも28vol%、少なくとも30vol%、少なくとも35vol%、少なくとも40vol%、少なくとも45vol%、少なくとも50vol%、少なくとも55vol%、少なくとも60vol%、少なくとも65vol%、少なくとも70vol%、少なくとも75vol%、又は少なくとも80vol%などを含むことができる。別の例では、開放細孔は、イオン伝導性層の総体積に対して、多くとも90vol%、例えば、多くとも75vol%、多くとも70vol%、多くとも65vol%、多くとも60vol%、多くとも55vol%、多くとも50vol%、多くとも45vol%、多くとも40vol%、多くとも35vol%、多くとも30vol%、多くとも25vol%、多くとも20vol%、多くとも15vol%、または多くとも10vol%の内容であり得る。さらに、イオン伝導性層は、本明細書で指摘した最小及び最大の割合のいずれかを含む範囲の開孔の含有量を含むことができる。
【0062】
別の態様では、イオン伝導性層は、閉じた細孔を含むことができる。例えば、多孔質の少なくとも60%は、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%など、閉じた細孔を含むことができる。特定の例では、細孔率の95%又は本質的に全ての細孔が、閉じた細孔であり得る。
【0063】
さらなる態様において、イオン伝導性層は、イオン伝導性層の総体積に対して、最大50vol%の閉じた細孔、例えば、最大40vol%、最大30vol%、最大20vol%、最大10vol%、または最大5vol%の閉じた細孔を含むことができる。別の例では、閉じた細孔は、イオン伝導性層の総体積に対して少なくとも0.5vol%、少なくとも1vol%、少なくともvol%、少なくともvol%、少なくともvol%、または少なくとも5vol%の含有率であり得る。さらに、イオン伝導性層は、本明細書で指摘した最小及び最大の割合のいずれかを含む範囲の閉じた細孔の含有量を含むことができる。
【0064】
実施形態において、イオン伝導性層は、特定の平均細孔径、D10、D50、及び/又はD90などの特定の細孔径分布、特定の細孔形状、特定の長さ、特定の幅、特定の平均縦横比、特定の細孔分布、特定の多孔度、特定の開放多孔度、特定の閉鎖多孔度又はそれらのいかなる組み合わせなど(ただしこれだけに限らない)1又は複数の細孔特性を含むことができる。イオン伝導性層の1つ以上の他の特徴と組み合わせた1つ以上の特定の細孔特性は、イオン伝導性層の形成と性能を向上させることが期待される。
【0065】
特定の実施態様では、イオン伝導性層は、多孔質層であり得る。実施態様において、イオン伝導性層は、イオン伝導性層の改善された形成及び性能を容易にすることができる特定の形状を有する細孔を含むことができる。一態様において、イオン伝導性層は、細長い細孔を含むことができる。例えば、細孔は、蛇行細孔、針状細孔、多角柱状細孔、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。特定の例では、細孔は、細長い形状及び多角形の断面を有することができる。別の特定の例では、細孔は針状細孔を含むことができ、針状細孔の少なくとも一部は連結することができる。別の態様において、イオン伝導性層は、球状細孔、立方体状細孔、八面体状細孔などの多面体状細孔、六面体状細孔、3次元構造を有する細孔、又はそれらのいかなる組み合わせを含むことができる。特定の例では、イオン伝導性層は、八面体形状の細孔、立方体形状の細孔、針状の細孔、棒状の細孔、またはそれらのいかなる組み合わせを含む細孔を含むことができる。
【0066】
さらなる態様において、固体イオン伝導性層は、長さ:幅の特定の平均アスペクト比を有する細孔を含むことができる。一例では、平均アスペクト比は、少なくとも1又は1より大きく、例えば、少なくとも1.2、少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも2.3、少なくとも2.5、少なくとも2.8、又は少なくとも3であり得、別の例では、平均アスペクト比は最大30、最大25、最大22、最大20、最大15、最大12、最大10、最大8、最大5又は最大4であり得、また、最大4は最大5、最大10、最大5、最大5、最大4である。さらに、細孔は、本明細書で指摘した最小値及び最大値のいずれかを含む範囲のアスペクト比を有することができる。
【0067】
図3を参照すると、例示的なイオン伝導性層300は、イオン伝導性材料302、有機材料304、及びハロゲン化アンモニウム306を含むことができる。イオン伝導性層は、孔312、314、316、及び318をさらに含む。細孔312は、球状であり得る。細孔314は、立方体であり得る。細孔316は、八面体状であり得る。孔318は、細長いものとすることができる。本明細書の実施形態で説明するように、細長い細孔は、1より大きいアスペクト比を有する細孔を指すことを意図している。一例では、イオン伝導性層300は、孔312~318とは異なる形状を有する細孔を有することが可能である。別の例では、イオン伝導性層300は、細孔312~318のいずれかの形状など、実質的に同じ形状を有する細孔を有することができる。別の例では、イオン伝導性層300は、細孔312~318のうちの任意の2つ又は3つの形状を有する細孔を含むことができる。更なる例では、イオン伝導性層300は、細孔312~318のいずれかを本質的に含まないことができる。特定の例において、イオン伝導性層300は、有機材料304を本質的に含まないことができる。別の特定の例では、イオン伝導性層は、ハロゲン化アンモニウム306を本質的に含まないことができる。さらなる例では、イオン伝導性材料は、ハロゲン化アンモニウムドープされたハロゲン化物材料を含むことができる。
【0068】
図4Aは、イオン伝導性材料402及び細孔404を含む例示的なイオン伝導性層400の断面のイラストを含む。図示されているように、イオン伝導性層400のバルク内では、イオン伝導性材料402はフレークの形状であることができ、細長い細孔404はフレーク402の間に延在することができる。細孔404は細長い形状を有することができ、細長い方向は、断面の平面に沿ってなど水平に、断面の平面に向かってなど垂直に、及び/又は断面の平面と鋭角又は鈍角を形成する方向に延在することができる。特定の例では、孔404は、多角形の断面を有する円筒形の形状を有し得る。別の特定の例では、細孔404の少なくともいくつかは、イオン伝導性層400のバルクの少なくとも一部を通して3次元的に延びて相互接続されることができる。別の特定の例では、フレーク402の少なくともいくつかは、相互接続ネットワークを形成することができ、少なくともいくつかのフレークは、ネットワークの少なくとも一部を通って延在する細長い細孔404によって分離されている。より特定の例では、イオン伝導性層400のバルクは、相互接続フレーク402のネットワークを含むことができ、細長い細孔404は、フレーク402の間に延在することができる。別のより特定の例では、相互接続フレーク402は、互いに結合され得る。特定の実施態様において、イオン伝導性層400は、イオン伝導性及び電子伝導性を有する複合層を形成するための足場又はフレームであってもよい。
【0069】
図4Bは、イオン伝導性層400における例示的な細孔404の図解を含む。細孔414は、複数のフレーク412によって画定され、三角形などの多角形の断面を有することができる。図4Bに図示されるように、細孔404は、垂直方向に延びることができる。特定の例では、細孔404は、イオン伝導性層の主要面に実質的に垂直である方向に延在することができる。図3を参照すると、主要面は、厚さtがその間に延びる上面及び下面の何れかであり得る。
【0070】
図14は、別の実施形態による基板1410上にキャストされた例示的な固体イオン伝導性層1400の断面の一部のSEM画像を含む。固体イオン伝導性層1400は、有機バインダー材料1401と、フレーク又はシートの形状の固体イオン伝導性材料1402と、孔1403及び1404を含む細孔と、を含む。細孔は、固体イオン伝導性材料1402によって少なくとも部分的に画定されてもよい。例えば、細孔1403は、有機バインダー材料1401と固体イオン伝導性材料1402とによって画定されてもよい。細孔1404などの少なくとも一部の他の細孔は、固体イオン伝導性材料1402によって画定されてもよい。
【0071】
実施形態において、イオン伝導性層400は、主要面の1つと特定の角度を形成する伸長方向における配向を有する細長い細孔を含むことができる。例えば、細孔の伸長方向とイオン伝導性層の上部主要面又は下部主要面とが形成する直角の最大±30度以内、最大±20度以内、最大±10度以内、又は最大±5度以内に細孔の少なくとも30%又は少なくとも40%又は少なくとも50%又は少なくとも60%又は少なくとも70%が配向される。
【0072】
実施形態では、細長い細孔404は、特定の幅、特定の長さ、又はそれらの組み合わせを有することができる。一態様では、細長い細孔の幅は、少なくとも0.1μm、少なくとも0.3μm、少なくとも0.5μm、少なくとも0.8μm、少なくとも1μm、少なくとも1.5μm、又は少なくとも2μmであり得る。別の態様では、幅は、最大20μm、最大15μm、最大10μm、最大8μm、最大5μm、最大4.5μm、最大4μm、最大3.5μm、最大3μm、または少なくとも2.5μmとすることができる。さらに、幅は、本明細書で指摘した最小値および最大値のいずれかを含む範囲にすることができる。三角形の断面を例にとると、幅は三角形の最大の高さとすることができる。正方形または長方形の断面では、幅は正方形または長方形の長さとすることができる。4辺以上を持つ多角形の断面では、幅は多角形の最大の対角線距離とすることができる。
【0073】
さらなる態様において、細長い細孔は、少なくとも0.5μm、少なくとも0.8μm、少なくとも1μm、少なくとも2μm、少なくとも5μm、少なくとも8μm、少なくとも10μm、少なくとも15μm、少なくとも20μm、少なくとも30μm、少なくとも40μm、少なくとも50μm又は少なくとも60μmの長さを有することができる。別の態様では、細長い細孔の長さは、最大100μm、例えば、最大90μm、最大80μm、最大70μm、最大60μm、最大50μm、または最大40μmとすることができる。さらに、細長い細孔は、本明細書で指摘した最小値及び最大値のいずれかを含む範囲内の長さを有することができる。本明細書で指摘したように、細長い細孔の幅及び長さは、それぞれ少なくとも100個の細長い細孔の幅及び長さの平均値であることを意図している。
【0074】
別の実施形態では、イオン伝導性層は、イオン伝導性層の改善された形成及び性能を促進することができる特定のうねり度を有する細孔を含むことができる。特定の態様において、多孔質テープのうねり度(主要面に垂直)は、多くても1.2、または多くても1.5、または多くても2、または多くても3である。本明細書で使用するように、うねり度、τは、以下の式で定義することができ、Lは多孔質層を通る幾何学的流路の平均長さで、Lは多孔質層の厚さである。
【数L】
【0075】
うねり度は、3次元形状測定法を用いて決定することができる。3次元形状は、集束イオンビーム走査型電子顕微鏡(FIB-SEM)法、マイクロコンピュータトモグラフィー(micro-CT)、ナノコンピュータトモグラフィー(nano-CT)により求めることができる。L、多孔質層を通る幾何学的な流路の平均長さは、代表的な領域の連通孔の中心線の長さを測定し、それらを平均することによって得ることができる。
【0076】
うねり度は、有効二成分拡散率を用いて決定することもできる。多孔質層を通過する物質AおよびBの実効的な二成分拡散率:
【数D】

は、気体拡散率測定によって調べることができる。
【数D】

は次のように表すことができる。
【数De】

ここで、Vは空隙率の体積%である。τはうねり度である。DA-BはAとBの二成分拡散率(多孔質構造に依存しない)である。DA-Bは、下記のChapman-Enskoggモデルで求めることができる:
【数DH】

ここで、M、MはA、Bの分子量、pは全圧、Ωは衝突積分、σA-Bは衝突直径である。
【0077】
実施形態において、イオン伝導性層は、イオン伝導性層の改善された形成及び性能を容易にすることができる特定の厚さを有するフレーク404を含むことができる。一態様では、フレーク404は、少なくとも0.1μm、少なくとも0.3μm、少なくとも0.5μm、少なくとも0.8μm、少なくとも1μm、少なくとも2μm、少なくとも4μm、又は少なくとも5μmの厚さを有することができる。別の態様では、フレーク404は、最大20μm、最大18μm、最大15μm、最大12μm、最大10μm、最大9μm、最大8μm、最大6μm、または最大5μmの厚さを有することが可能である。さらに、フレーク404は、本明細書で指摘した最小値及び最大値のいずれかを含む範囲の厚さを含むことができる。本明細書で使用されるように、厚さは、少なくとも20枚のフレークの平均厚さを指すことが意図されている。
【0078】
図5を参照すると、例示的なイオン伝導性層500は、イオン伝導性材料502、有機材料504、ハロゲン化アンモニウム508、及び孔506を含むことができる。
【0079】
実施形態において、イオン伝導性層は、特定の平均細孔径D50を含むことができる。例えば、イオン伝導性層は、少なくとも50nm、少なくとも80nm、少なくとも100nm、少なくとも200nm、少なくとも300nm、少なくとも400nm、少なくとも500nm、少なくとも600nm、少なくとも700nmのD50を含むことができる。少なくとも800nm、少なくとも900nm、少なくとも1ミクロン、少なくとも2ミクロン、少なくとも3ミクロン、少なくとも5ミクロン、少なくとも10ミクロン、少なくとも30ミクロン、少なくとも50ミクロン、少なくとも100ミクロン、または少なくとも200ミクロンでなければならない。別の例では、イオン伝導性層は、最大300ミクロン、例えば、最大200ミクロン、最大150ミクロン、最大100ミクロン、最大80ミクロン、最大70ミクロン、多くとも65ミクロン、例えば多くとも60ミクロン、多くとも55ミクロン、多くとも50ミクロン、多くとも40ミクロン、多くとも30ミクロン、多くとも10ミクロン、多くとも5ミクロン、多くとも3ミクロン、または多くとも1ミクロンのD50を含み得る。さらに、イオン伝導性層は、本明細書で指摘した最小値及び最大値のいずれかを含む範囲のD50を含むことができる。例示的な特定の実施態様において、D50は、100nmから50ミクロンの範囲であってもよい。別の特定の例では、D50、0.5ミクロンから5ミクロンの範囲であってもよい。実質的に球状の形状を有する細孔については、細孔サイズは、断面における細孔の直径を指すことができる。非球形の形状を有する細孔の場合、細孔サイズは、断面における細孔の長さなどの最大の寸法を指すことができる。
【0080】
本開示において、平均孔径は、ASTM規格E112 Standard Test Methods for Determining Average Grain Sizeを使用して測定することができる。本体の断面画像は、日立マイクロスコープで60倍の倍率で観察された。孔の長さを決定するマクロは、画像上に等間隔に6本の線を引き、その線のうち孔と交差する領域を決定することを含むことに基づく結晶サイズを測定する技術に従う。細孔と交差する線の領域が測定される。このプロセスを、接着した研磨体の部分の7つの異なる画像について繰り返した。すべての画像を分析した後、値を平均して平均細孔径を算出した。さらに、平均細孔径への言及は、平均細孔径を指すこともできることが理解されよう。
【0081】
図3に簡単に目を向けると、図示されているように、細孔312は実質的に球状であり得る。特定の例では、細孔312、は、固体イオン伝導性層を形成するプロセスにおける有機材料の除去に起因し得る。別の特定の例では、図3に図示された細孔314~318、及び図に図示された細孔404は、図3に図示された細孔314~318、及び図に図示された細孔404と同じである。4A及び4Bは、イオン伝導性層を形成するプロセスにおけるハロゲン化アンモニウムの除去から生じてもよい。別の実施形態では、ハロゲン化アンモニウムの昇華から生じた細孔は、球形状、不規則な形状、または別の形状を有していてもよい。
【0082】
実施形態において、固体イオン伝導性層は、第1のタイプの多孔質及び第2のタイプの多孔質を含むことができ、第1及び第2のタイプの多孔質は、細孔形状、細孔サイズ、細孔サイズ分布、細孔構造、縦横比、又はそれらのいかなる組み合わせを含む1つ又は複数の異なる細孔特性を含むことができる。特定の態様において、第1のタイプの多孔性は、非球形形状を有する細孔を含むことができる。別の特定の態様において、第1のタイプの多孔性は、ハロゲン化アンモニウムの除去に起因する細孔を含むことができる。例えば、第1のタイプの細孔は、図に図示された細孔404を含むことができる。4A及び4B、孔314、孔316、図3に図示された孔318、又はそれらの組合せ。特定の実施態様では、第1のタイプの細孔は、図に図示された細孔404から本質的に構成され得る。4A及び4Bである。別の態様では、第2のタイプの多孔性は、図3に図示された孔312のような球状の細孔を含むことができる。別の態様において、第2のタイプの多孔性は、有機材料の除去によって形成された細孔を含むことができる。
【0083】
実施形態において、固体イオン伝導性層は、固体イオン伝導性層の改善された形成及び機能を促進することができる第1のタイプの多孔性の特定の含有量を含むことができる。一態様において、第1のタイプの多孔性は、イオン伝導性層の総体積に対して少なくとも10vol%、少なくとも15vol%、少なくとも20vol%、少なくとも25vol%、少なくとも30vol%、少なくとも40vol%、少なくとも50vol%、少なくとも55vol%、少なくとも60vol%、少なくとも70vol%、少なくとも80vol%、又は少なくとも90vol%を構成し得る。さらなる態様において、第1のタイプの多孔性は、イオン伝導性層の総体積に対して、多くとも95vol%、多くとも90vol%、多くとも80vol%、多くとも70vol%、多くとも60vol%、多くとも50vol%、多くとも40vol%、多くとも30vol%、または多くとも20vol%を占め得る。特定の態様において、固体イオン伝導性層は、本明細書に記された最小及び最大のパーセントのいずれかを含む範囲において、第1のタイプの空隙の含有量を含むことができる。
【0084】
さらなる態様では、第1のタイプの多孔性は、開放細孔、閉じた細孔、またはそれらの組み合わせを含むことができる。別の特定の態様では、第1のタイプの多孔質は、本質的に開放細孔から構成され得る。別の態様では、第1のタイプの多孔質は、平均細孔径に関して本明細書の実施形態で指摘される任意の値を含む平均細孔径を有することができる。
【0085】
別の例では、固体イオン伝導性層は、細孔312、不規則な形状を有する細孔、又はその両方を含む第2のタイプの多孔質から本質的に構成され得る。特定の例では、第2のタイプの多孔性は、球状の細孔、不規則な形状の細孔、又はそれらの組み合わせから本質的に構成され得る。図4及び図5を参照すると4及び5を参照すると、固体イオン伝導性層400及び500は、それぞれ球状の細孔406及び506を含む。
【0086】
さらなる態様において、第2のタイプの細孔は、開放細孔、閉鎖細孔、又はそれらの組合せを含むことができる。一例では、細孔の第2のタイプの多孔性の大部分は、開放細孔を含むことができ、より詳細には、第2のタイプの多孔性は、本質的に開放細孔で構成されることができる。別の例では、第2のタイプの細孔の大部分は、閉じた細孔を含むことができ、より詳細には、第2のタイプの細孔は、本質的に閉じた細孔から成ることができる。別の態様において、第1のタイプの多孔性は、平均細孔径に関して本明細書の実施形態で指摘される任意の値を含む平均細孔径を有することができる。
【0087】
別の態様では、固体イオン伝導性層は、互いに接続された細長い細孔を含む相互接続された細孔を含むことができる。さらなる態様において、固体イオン伝導性層は、球状細孔のような別の形状を有する細孔に接続された細長い細孔を含む相互接続された細孔を含むことができる。
【0088】
実施形態において、固体イオン伝導性層は、イオン伝導性材料を含む第1の相と、有機材料を含む第2の相とを含むことができる。第1相は、固体イオン伝導性層の少なくとも一部について連続的に延在することができる。特定の例では、第1相は、固体イオン伝導性層の厚さを通って延びることができる。特定の実施形態では、固体イオン伝導性層は、固体イオン伝導性層の少なくとも一部のために延びる複数の第1相を含むことができ、複数の第1相の少なくとも一部は、互いに分離することができる。別の実施形態では、固体イオン伝導性層は、イオン伝導性材料を含む相と有機材料を含む相とを含む不均質な相を含むことができる。
【0089】
実施形態において、多層構造は、複数のイオン伝導性層を含むことができ、複数のイオン伝導性層の少なくともいくつかは、本明細書の実施形態で説明される特徴のいずれかを含むことができる。実施形態において、複数のイオン伝導性層は、同じ又は異なる特徴を含むことができる。例えば、複数のイオン伝導性層は、イオン伝導性材料の種類及び/又は含有量、密度、多孔性、有機材料の種類及び/又は含有量、又はそれらのいかなる組み合わせを含む少なくとも1つの特徴によって互いに異なってもよい。別の例では、複数のイオン伝導性層は、同じリチウムイオン伝導性材料を含むが、密度又は多孔度が異なっていてもよい。特定の例では、多層構造は、第1の高密度イオン伝導性層と第2の多孔質イオン伝導性層とを含むことができる。特定の例では、多孔質イオン伝導性層は、3次元構造化することができる。
【0090】
図6は、特定の実施形態による例示的な多層構造600の断面図を含み、3次元構造を有する緻密なイオン伝導性層610及び多孔質イオン伝導性層620を含む。層610は、ハロゲン化リチウム導電材料、又は特定の例では、式1で表されるリチウム導電材料などのイオン伝導性材料612を含むことができる。層620は、同じ又は異なるイオン伝導性材料622及び細孔626を含むことができる。別の例では、副層620は、ハロゲン化アンモニウム、有機材料、またはそれらの組み合わせを含むことができる。特定の例では、層620は、本明細書の実施形態で指摘される含有量でハロゲン化アンモニウムを含んでもよい。例示的な用途において、緻密層610は電解質であってよく、多孔質層620は固体リチウム電池の電極層のための足場または基幹構造であってよい。
【0091】
実施形態において、イオン伝導性層は、混合イオン伝導性と電子伝導性を有するような複合層とすることができる。一態様において、複合層は、電子伝導性材料を含むことができる。一例において、電子伝導性材料は、活性電極材料、電子伝導性添加剤、又はそれらの組み合わせを含むことができる。特定の例では、電極材料は、活性なカソード材料を含むことができる。例示的なカソード材料は、リチウム含有酸化物、遷移金属フッ化物、ポリアニオン材料、フッ素化ポリアニオン材料、遷移金属硫化物、遷移金属オキシフルオリド、遷移金属オキシスルフィド、遷移金属オキシナイトライド、またはこれらの任意の組合せを含むことができる。特定の例示的な正極材料は、LiCoO2, LiFePO4, Li(NiCoAl)O2, LiCoO2, LiMnPO4, LiMn2O4, LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2, 又はそれらのいかなる組み合わせを含んでもよい。別の特定の例では、複合層は、イオン伝導性層上に配置された金属コーティングを含むことができる。金属コーティングは、リチウムまたはリチウムアロイ、グラファイト、カーボンナノチューブ、またはそれらのいかなる組み合わせなどの活性アノード材料を含むことができる。
【0092】
特定の実施形態では、多層構造は、第1のイオン伝導性層と、混合イオン及び電子伝導性を有する第2の複合層とを含むことができる。図7を参照すると、例示的な多層構造700は、イオン伝導性材料712を含むイオン伝導性層710と、イオン伝導性材料722及び電子伝導性材料730を含む複合層720を含むことができる。例示的な電子伝導性材料は、LiCoO、LiMn、またはそれらの組み合わせなどの、リチウム含有遷移金属酸化物を含むことができる。別の特定の例では、電子伝導性材料は、リチウム金属またはリチウム含有アロイを含むことができる。一例では、層720は、ハロゲン化アンモニウム、有機材料、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0093】
層720は、下地層710に重なり、直接接触することができる。イオン伝導性材料712及び722は、同じであっても異なっていてもよい。
【0094】
特定の実装では、層710は電解質であってもよく、層720は、イオン伝導性材料及び活性正極材料を含む複合正極層、又はイオン伝導性材料及び負極材料を含む複合負極層であってもよい。多層構造体700は、固体リチウム電池などの電気化学デバイスの一部であってもよい。
【0095】
実施形態では、イオン伝導性層は、イオン伝導性層の改善された形成及び性能を容易にすることができる特定の厚さを有することができる。図1図7を参照すると、イオン伝導性層は、厚さtを含むことができる。から7を参照すると、イオン伝導性層は厚さtを含むことができ、一例では、厚さ「t」は、最大800ミクロン、最大600ミクロン、最大400ミクロン、最大200ミクロン、又は最大100ミクロンなどの最大1mmとすることができる。別の例では、厚さ「t」は、少なくとも1ミクロン、例えば、少なくとも5ミクロン、又は少なくとも10ミクロンとすることができる。イオン伝導性層は、そこに記された最小値と最大値のいずれかを含む範囲の厚さ「t」を有し得ることが理解される。
【0096】
図に示されるように6及び7、層610及び710は、厚さ「t1」を有することができ、副層620及び720は、厚さ「t2」を有することができる。厚さ「t1」及び「t2」は、イオン伝導性層の厚さ「t」に関連して本明細書の実施形態で指摘される任意の厚さ値を含むことができる。一態様において、厚み「t2」は、少なくとも厚み「t1」であってよい。例えば、厚さ「t2」は、少なくとも5ミクロンであってよく、最大で1mmであってよい。別の態様では、厚さ「t1」は、5ミクロンから100ミクロンの範囲内であってよい。さらなる態様において、厚さ「t2」は「t1」と異なることができる。さらに別の態様では、厚さ「t2」は、最大でも厚さ「t1」であってもよい。
【0097】
実施形態では、イオン伝導性材料は、イオン伝導性層の性能向上を促進することができる特定のイオン伝導率を含むことができる。一態様において、イオン伝導度は、少なくとも0.1mS/cm、例えば、少なくとも0.3mS/cm、少なくとも0.5mS/cm、少なくとも1mS/cm、少なくとも1.2mS/cm、少なくとも1.5mS/cm、少なくとも1.7mS/cm、または少なくとも1.9mS/cmであっても良い。別の態様では、イオン伝導度は、多くとも50mS/cm、多くとも40mS/cm、多くとも35mS/cm、多くとも30mS/cm、多くとも20mS/cm、多くとも15mS/cm、多くとも10mS/cm、多くとも8mS/cm、多くともmS/cm、多くとも5mS/cm、多くともmS/cm、多くとも2.8mS/cm、多くとも2.5mS/cm、多くとも2.mS/cm、または多くともmS/cmとすることができる。さらに、イオン伝導度は、本明細書に記された最小値および最大値のいずれかを含む範囲にあることができる。本明細書の実施形態で記したリチウムイオン伝導度は、室温(すなわち、20℃~25℃)で、活性化エネルギーが0.2eV及び0.5eVの範囲で決定することができる。
【0098】
図8を参照すると、イオン伝導性層800を形成するプロセスは、ブロック802で開始することができ、リチウムイオン伝導性材料を含む混合物を形成する。一態様では、混合物は、溶媒、結合剤、及び任意に、分散剤、可塑剤、均質化剤、及び/又は細孔形成材料を含むこともできる。混合物の成分は、イオン伝導性材料と反応しない場合がある。
【0099】
いくつかの実施態様では、混合物は、リチウム塩、有機イオン伝導性材料、及び/又は活性正極材料若しくは活性負極材料などの電子伝導性材料をさらに含んでもよい。リチウムイオン伝導性材料及び電子伝導性材料を混合することによって、リチウムイオンの電荷移動及び電子伝導の反応サイトを改善することができ、イオン伝導性層(例えば、正極及び/又は負極)の界面抵抗及び循環性の改善を促進することができる。
【0100】
成分は、均質な混合物を形成するための任意の適切な順序で添加してもよく、混合を促進するためにミキサーのような混合補助剤を使用してもよい。
【0101】
実施形態において、イオン伝導性材料は、溶媒と混合して懸濁液又はスラリーを形成することができる。特定の態様において、溶媒は、本明細書の実施形態で指摘するように、HLB値、反応性値、又はそれらの組合せを有することができる。例示的な溶媒は、トルエン、ペンテン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロドデカン、シクロウンデカン、ジメチルサルファイド、ジブロモタン、ジクロルメタン、o-クロロトルエン、o-ジクロロベンゼンまたはこれらの任意の組合せを含むことができる。
【0102】
イオン伝導性層の改善された形成及び性能を促進するために、1つ又は複数のバインダーをスラリー中に混合することができる。バインダーは、本明細書の実施形態に記載されているように、HLB値、反応性値、MAR、又はそれらの組合せを有することができる。例示的なバインダーは、パラフィンワックス、ポリプロピレンカーボネート、ポリイソブチレン、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリエチレングリコール、水素化ニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ(酸化プロピレン)、塩化ビニル、ポリ(フッ化ビニリデン)を含む群より選ばれた1以上の材料でありえる。ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ[ビス(メトキシエトキシ)ホスファゼン]、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリ(エチレンオキシド)、トリメチレンカーボネート。ポリスチレン、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(フッ化ビニリデン)-co-ヘキサフルオロプロピレン、ポリ(アクリロニトリル-co-ブタジエン)、ポリ(スチレン-ブタジエン-スチレン)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンなどが挙げられる。混合物には任意成分が添加されてもよい。実施形態において、混合物は、コロイド懸濁液に形成されてもよい。
【0103】
一部の実施態様では、細孔形成材料が混合物に含まれ得る。実施形態では、細孔形成材料は、有機材料、無機材料、又はそれらの組み合わせを含むことができる。特定の実施態様において、細孔形成材料は、NHBr、NHCl、NHI、NHF、またはそれらの組み合わせなどのハロゲン化アンモニウムを含むことができる。実施態様において、ハロゲン化アンモニウムは、イオン伝導性層中に細孔を形成するために昇華され得る。特定の実施態様において、細孔形成材料は、ハロゲン化アンモニウムを含むことができる。一態様では、ハロゲン化アンモニウム粒子は、本明細書の実施形態で説明した細孔の形状と類似の形状を有することができる。別の態様では、ハロゲン化アンモニウムは、特定の細孔特性を有する細孔を形成するためにイオン伝導性材料と複合化することができる。
【0104】
別の実施態様では、ハロゲン化アンモニウム以外の細孔形成材料が使用され得る。特定の実施態様では、細孔形成材料の蒸発を行い、細孔を形成することができる。従来、カーボンブラック、グラファイト、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、デンプン、テオブロミンなどの細孔形成剤は、酸化性環境において燃焼させて細孔を形成する。有機細孔形成剤を燃焼除去すると、水蒸気が放出されることがあり、水蒸気はハロゲン化物系材料などの吸湿性イオン伝導性材料の劣化を引き起こすことがあるため、吸湿性イオン伝導性材料には適さないプロセスであることがある。劣化により、イオン伝導度の低い化合物および/または分子が形成される可能性がある。例えば、水蒸気によるハロゲン化物系材料の劣化は、ハロゲン化物系材料の水和物、単純な金属ハロゲン化物、金属オキソハライド、およびHなどのイオン伝導度の低い化合物を形成し、吸湿性イオン伝導性材料のイオン伝導度に悪影響を及ぼすことがある。さらに、ハロゲン化物系材料は、Oと反応し、イオン伝導性が悪いかほとんどない傾向にある金属酸化物やハロゲンを形成することがある。
【0105】
場合によっては、有機細孔形成材料の蒸発により、炭化水素、チャー、グラファイト、またはそれらの組み合わせなど、多孔質イオン伝導性層中に残留し得る誘導体が生じることがある。そのような有機細孔形成剤は、それらの誘導体を含まない多孔質イオン伝導性層を形成するためには好ましくない場合がある。
【0106】
実施形態において、混合物は、混合物の総重量に対して、少なくとも1wt%~最大60wt%の有機材料を含むことができる。別の実施形態では、混合物は、混合物の総重量に対して少なくとも1wt%~最大で60wt%のハロゲン化アンモニウムを含むことができる。別の実施形態において、混合物は、混合物の総重量に対して少なくとも20wt%~最大90wt%のイオン伝導性材料を含むことができる。さらに別の実施形態では、混合物は、混合物の総重量に対して少なくとも2wt%~最大で60wt%の溶媒を含むことができる。
【0107】
プロセス800は、ブロック804に継続してもよい。例では、緑色層を形成することは、混合物を鋳造、コーティング、印刷、バインダー噴射、押し出し、圧縮、カレンダー、プレス、またはそれらのいかなる組み合わせによって処理することを含むことができる。特定の例では、グリーン層は、テープ又はフィルムの形態とすることができる。グリーン層は、本明細書の実施態様で指摘される任意の厚さを含むことができる。特定の実施態様において、緑色イオン伝導性層を形成することは、ドクターブレードまたはナイフコーティングのようなテープキャスティングを含むことができる。テープキャスティングは、乾燥状態、例えばドライルーム又はグローブボックス内で実施することができる。別の特定の実施態様では、緑色層は、混合物を押し出してフィルムまたはテープを形成することによって形成することができる。特定の実施態様において、テープキャスティングは、グリーン層が本明細書の実施態様において指摘される任意の値を有する改善された厚さを含み得るような方法で実施することができる。イオン伝導性層の改善された厚さは、イオン電流抵抗を改善するのに役立ち得る。
【0108】
別の態様では、緑色イオン伝導性層を形成することは、複数の緑色下地層を形成することを含んでもよい。例えば、第1の緑色層が形成され、第1の緑色層の上に第2の緑色層が形成されてもよい。第1緑色層は、混合物を含むことができる。第2の緑色層は、ブロック802の混合物中のイオン伝導性材料と同じであっても異なっていてもよいイオン伝導性材料を含んでもよい。例示的な実装では、テープキャスティングは、各緑色層を形成するために使用されてもよい。特定の実施態様では、緑色層は別々に形成され、その後積層されてもよい。あるいは、テープキャスティングは、グリーン層を同時に形成するために実行されてもよい。特定の実施態様において、ロールツーロール堆積は、グリーン層のスタックを同時に鋳造するために実行されてもよい。別の例では、第1のグリーン層及び/又は第2のグリーン層の上に追加のグリーン層が形成されてもよい。別の例では、複数の層を共押し出しして、多層構造を形成することができる。
【0109】
プロセス800は、ブロック806に続いて、イオン伝導性層を形成することができる。実施形態では、グリーン層からイオン伝導性層を形成することは、グリーン層を乾燥させることを含み得る。乾燥は、室温で、又は熱の適用で実施されてもよい。いくつかの実施形態では、乾燥した層は、緻密な固体イオン伝導性層であってよい。
【0110】
別の実施形態では、イオン伝導性層を形成することは、緑色層を加熱することを含んでもよい。いくつかの例では、加熱は乾燥した層まで行われてもよい。さらなる例では、グリーン層を加熱することにより、リチウムイオン伝導性材料の結晶性及び/又は接続性の向上が促進される場合がある。
【0111】
ある態様において、グリーン層を加熱することは、1つ以上のバインダー材料を除去することを含むことができる。特定の態様において、加熱は、1つ以上のバインダー材料を蒸発させることを含むことができる。そのようなバインダー材料は、パラフィンワックス、ポリプロピレンカーボネート、ポリイソブチレン、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ塩化ビニル、ポリ(アクリロニトリル)、ポリエチレンカーボネート、又はそれらの組み合わせを含む群から選択される1つ以上の材料を含むことができる。さらなる例では、バインダー材料の除去は、水のような水分子を生成することなく行うことができる。特定の例では、加熱は、1つ以上の特定の細孔構造特性を有する多孔質イオン伝導性層の形成を促進することができる加熱温度及び/又は加熱時間を含むことができる。例示的な加熱温度は、バインダー材料の蒸発温度を含むことができる。別の例では、加熱温度は、30℃~400℃を含むことができる。更なる例では、加熱時間は2分~24時間を含むことができる。バインダー材料の除去後に、多孔質イオン伝導性層が形成されてもよい。
【0112】
別の態様では、グリーン層の加熱は、緻密なイオン伝導性層の形成を促進することができる温度で実施することができる。いくつかの実施態様では、加熱は、バインダー材料を除去すると同時に、比較的低い圧力下で、緻密なイオン伝導性層が形成され得るようにイオン伝導性材料を軟化させるために実行することができる。特に、グリーン層を加熱する際に、グリーン層に圧力を加えることも可能である。例えば、バインダー材料を蒸発させることは、グリーン層に圧力を加えることと同時に行われてもよい。別の例では、圧力は0.1MPa~100MPaであってよい。
【0113】
別の態様では、緑色層を加熱することは、ハロゲン化アンモニウムを昇華させることを含んでもよい。いくつかの態様において、緑色層は、ハロゲン化アンモニウムの昇華及び多孔質イオン伝導性材料の形成を促進することができる温度で加熱されてもよい。例えば、NHBrの昇華は、緑色層を396℃以上に加熱することによって予め行うことができる。NHClの昇華は、緑色層を338℃以上に加熱することによって行うことができる。
【0114】
別の態様では、グリーン層の加熱は、バインダー材料を蒸発させ、細孔形成材料を昇華させて多孔質イオン伝導性層を形成するために行ってもよい。別の例として、ポリイソブチレンを窒素下で260℃に加熱し、蒸発させることができる。
【0115】
特定の実施態様では、グリーン層の加熱は、リチウムイオン伝導性材料と反応し得る中間生成物が形成されないように、制御された方法で行うことができる。例えば、加熱温度は、HOの形成を防ぐのに役立つように、1つ以上のバインダを焼き切らないように制御することができる。別の態様では、孔の形成を可能にし、孔を画定するイオン伝導性材料の水和相の形成を回避するのに役立つように、加熱を実施することができる。例えば、イオン伝導性材料の総重量に対して少なくとも少なくとも90wt%、又は少なくとも95wt%、又は少なくとも99wt%は、水和相を有しない。別の例では、イオン伝導性材料の総重量に対して、イオン伝導性材料の多くとも10wt%、または多くとも5wt%、または多くとも1wt%が、水和相を含むことができる。さらに、イオン伝導性材料は、本明細書で指摘した最小及び最大のパーセントのいずれかを含む含有量で水和相を含むことができる。特定の例において、イオン伝導性材料は、水和相を本質的に含まないことができる。
【0116】
図9は、陽極904と陰極906との間に配置された電解質902を含む電気化学ユニット900の断面図の説明図を含む。実施形態では、電解質902は、本明細書の実施形態で指摘したイオン伝導性層を含むことができる。陽極904は、リチウム含有陽極材料を含む多孔質層であってもよい。特定の例では、陽極904は、リチウムから構成されてもよい。陰極906は、陰極材料を含む多孔質層であってもよい。例示的な実施態様では、電解質902、陽極904、及び陰極906は、テープキャストによって別々に形成され、一軸プレスなどのプレス工程を介して積層され、電気化学ユニット900を形成してもよい。別の例示的な実施態様では、電解質902、陽極904、及び陰極906を含むグリーン多層構造は、同時多層ロールツーロール技術を用いることにより形成されてもよい。別の実施態様では、電解質902、陽極904、及び陰極906の少なくとも1つ又は2つ又は各々が、本明細書の実施態様で指摘したイオン伝導性層を含むことができる。
【0117】
図10は、図7に図示された多層構造700とアノード1004を含む電気化学ユニット1000の断面図を含む。層710は、電気化学ユニット1000の電解質であってもよく、層720は、カソードであってもよい。例示的な実施態様では、電気化学ユニットの構成要素は、テープキャスティングなどによって別々に形成され、積層されて最終的な電気化学ユニットを形成してもよい。他の実施態様では、グリーンユニットを形成するためにグリーン層を同時に鋳造することが利用され得る。
【0118】
図11は、図6に図示されたイオン伝導性層600及び陰極1106を含む多層構造1100の断面説明図を含む。多層構造体の層は、別々に形成され、積層されて多層構造体を形成してもよい。あるいは、グリーン多層構造体は、グリーン層のスタックを同時に鋳造し、乾燥及び/又は加熱して多層構造体を形成してもよい。
【0119】
例示的な実施態様では、陽極材料は、図12に示されるように、三次元構造化された陽極1204、電解質610、及び陰極1206を含む電気化学ユニット1200を形成するために層620上に配置され得る。アノード1204は、層620及びアノード材料1214を含むことができる。
【0120】
実施形態では、固体イオン伝導性層は、イオン伝導率が、少なくとも0.05mS/cm、少なくとも0.08mS/cm、少なくとも0.10mS/cm、少なくとも0.15mS/cm、少なくとも0.18mS/cm、少なくとも0.2mS/cm、少なくとも0.25mS/cm、少なくとも0.28mS/cm、少なくとも0.3mS/cm、少なくとも0.34mS/cm、少なくとも0.38mS/cm、少なくとも0.4mS/cm、少なくとも0.5mS/cm、又は少なくとも0.6mS/cmの範囲である。別の実施形態では、固体イオン伝導性層は、多くとも25mS/cm、多くとも22mS/cm、多くとも20mS/cm、多くとも18mS/cmのイオン伝導率を含むことができる。多くとも16mS/cm、多くとも13mS/cm、多くとも10mS/cm、多くとも9mS/cm、多くとも7mS/cm、多くとも6mS/cm、多くとも5mS/cm、多くとも3mS/cm、多くとも2mS/cm、または多くとも1mS/cmである。さらに、固体イオン伝導性層は、本明細書で指摘した最小値および最大値のいずれかを含む範囲のイオン伝導率を含むことができる。
【0121】
イオン伝導性層のイオン伝導率は、以下のように測定することができる。イオン伝導性層から15mmのサンプルを打ち抜き、伝導率を測定するために、ステンレス鋼プランジャーを備えたテフロン(登録商標)ダイに入れることができる。試料を10MPaの圧力で圧縮し、インピーダンス測定により試料間の抵抗値を測定することができる。試験終了後、試料を取り出し、厚さを測定することができる。伝導率は、以下の式で算出できる。
【数1】
【0122】
多くの異なる態様と実施形態が可能である。それらの態様および実施形態のいくつかが本明細書に記載されている。本明細書を読んだ後、当業者は、それらの態様および実施形態が例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないことを理解するであろう。実施形態は、以下に列挙するような実施形態のうちのいずれか1つ以上に従うものであってもよい。
【0123】
実施形態
実施形態1.下記を含む、固体イオン伝導性層:
吸湿性材料を含むイオン伝導性材料;
イオン伝導性層の総体積に対して少なくとも10vol%の空隙率;および
残留NHXの含有量(Xはハロゲンを含む)。
実施形態2.固体イオン伝導性層であって、吸湿性材料を含むイオン伝導性材料と、固体イオン伝導性層のバルク内に、複数の薄片の間に延びる少なくとも1つの細長い細孔と、を含み、複数の薄片は、吸湿性材料を含むことを特徴とする固体イオン伝導性層。
実施形態3.固体イオン伝導性層であって、固体イオン伝導性層の少なくとも一部に連続して延在する第1相であって、吸湿性材料を含むイオン伝導性材料を含む第1相と、HLB値が最大10、反応値が最大20、吸湿率が最大1wt%、又はそれらのいかなる組み合わせを含む有機材料を含む第2相とを含むことを特徴とする固体イオン伝導性層。
実施形態4.混合物を含むグリーン層を形成することを含む方法であって、混合物が:混合物の総重量に対して少なくとも50wt%の含有量のイオン伝導性材料であって、イオン伝導性材料が吸湿性材料を含むもの;及びバインダー材料又はNH4Xの少なくとも1つ(Xはハロゲンを含み、バインダー材料が:多くとも10のHLB値、多くとも20%の反応値、多くとも1wt%の水分吸収率;あるいはそれらのいかなる組み合わせを含むもの)を含む、ことを特徴とする、方法。
実施形態5.最大1mm、最大800ミクロン、最大600ミクロン、最大400ミクロン、最大200ミクロン、または最大100ミクロンの厚さを含む、実施形態1から3のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性層。
実施形態6.最大100ミクロンの厚さを含む、実施形態1から3のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性層。
実施形態7.少なくとも1ミクロン、少なくとも5ミクロン、または少なくとも10ミクロンの厚さを含む、実施形態1から3のいずれか1項に記載の固体イオン伝導性層。
実施形態8.イオン伝導性材料は、固体イオン伝導性層の総体積に対して少なくとも50vol%であり、固体イオン伝導性層の総体積に対して最大90vol%である、実施形態1から3のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性層。
実施形態9.固体イオン伝導性層は、少なくとも0.1μm、少なくとも0.3μm、少なくとも0.5μm、少なくとも0.8μm、少なくとも1μm、少なくとも1.5μm、または少なくとも2μmの幅を有する細長い細孔を含む、実施形態1~3のいずれか1項に記載の固体イオン伝導性層。
実施形態10.幅が、最大20μm、最大15μm、最大10μm、最大8μm、最大5μm、最大4.5μm、最大4μm、最大3.5μm、最大3μm、又は少なくとも2.5μmであり得る、実施形態9の固体イオン伝導性層。
【0124】
実施形態11.細長い細孔は、少なくとも0.5μm、少なくとも0.8μm、少なくとも1μm、少なくとも2μm、少なくとも5μm、少なくとも8μm、少なくとも10μm、少なくとも15μm、少なくとも20μm、少なくとも30μm、少なくとも40μm、少なくとも50μm、又は少なくとも60μmの長さを有することができる、実施形態9又は10の固体イオン伝導性層。
実施形態12.長さが最大100μm、例えば最大90μm、最大80μm、最大70μm、最大60μm、最大50μm、又は最大40μmであり得る、実施形態11の固体イオン伝導性層。
実施形態13.固体イオン伝導性層のバルク内に相互接続フレークのネットワークを含み、フレークが吸湿性材料を含み、ネットワークの少なくとも一部を通して伸びる細長い細孔を有する、実施形態1から3のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性層。
実施形態14.フレークが、少なくとも0.1μm、少なくとも0.3μm、少なくとも0.5μm、少なくとも0.8μm、少なくとも1μm、少なくとも2μm、少なくとも4μm、または少なくとも5μmの厚さを含む、実施形態13の固体イオン伝導性層。
実施形態15.フレークが、最大20μm、最大18μm、最大15μm、最大12μm、最大10μm、最大9μm、最大8μm、最大6μm、または最大5μmの厚さを含む、実施形態13または14の固体イオン伝導性層。
実施形態16.細長い細孔の少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%が、イオン伝導性層の主要な表面と90±30度の角度を形成する伸長方向を有する、実施形態13から15のいずれか1項に記載の固体イオン伝導性層。
実施形態17.細長い細孔は、最大1.2、または最大1.5、または最大2、または最大3のうねり度を含む、実施形態13から15のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性層。
実施形態18.蛇行孔、針状孔、棒状孔、球状孔、立方体状孔、八面体状孔、三次元状孔、またはそれらのいかなる組み合わせを含む細孔を含み、孔の少なくとも一部が相互に連結している、実施形態1~17のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性層。
実施形態19.少なくとも50nm、少なくとも100nm、少なくとも200nm、少なくとも300nm、少なくとも400nm、少なくとも500nm、少なくとも600nm、少なくとも700nm、少なくとも800nm、少なくとも900nm、少なくとも1ミクロン、少なくとも2ミクロン、少なくとも3ミクロン、少なくとも5ミクロン、少なくとも10ミクロン又は少なくとも30ミクロンの平均孔径を含む、実施形態1~3及び18のいずれか1つの固体イオン伝導性層。
実施形態20.平均孔径が、最大80ミクロン、最大70ミクロン、最大65ミクロン、例えば最大60ミクロン、最大55ミクロン、最大50ミクロン、最大45ミクロン、最大40ミクロン、最大30ミクロン、最大20ミクロン、または最大15ミクロンである、実施形態19の固体イオン伝導性層。
【0125】
実施形態21.水素化ニトリルブタジエンゴム、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ビニリデンフルオライド)、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ[ビス(メトキシエトキシド)-ホスファゼン]、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトン、およびポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(ビニリデンフロライド)-コ-ヘキサフルオロプロピレン、ポリ(アクリロニトリル-コブタジエン)、およびスチレン-エチレン-ブチレン-スチレンまたはそれらの組み合わせを含むポリマーを含む、実施形態1から20までのいずれか1つの固体イオン伝導性層。
実施形態22.固体イオン伝導性層の総体積に対して少なくとも5vol%、少なくとも10vol%、少なくとも20vol%、少なくとも30vol%、少なくとも50vol%、少なくとも60vol%、または少なくとも70vol%の細孔率を含む、実施形態1から21のいずれか1項に記載の固体イオン伝導性層。
実施形態23.固体イオン伝導性層の総体積に対して、最大80vol%、最大70vol%、最大60vol%、最大50vol%、最大40vol%、または最大30vol%の細孔率を含む、実施形態1~22のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性層。
実施形態24.高分子電解質材料をさらに含む、実施形態1~23のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性層。
実施形態25.高分子電解質材料が、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ塩化ビニル、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(ジメチシロキサン)、ポリ[ビス(メトキシエトキシ)-ホスファゼン]、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトン及びポリ(トリメチレンカーボネート)を含む、実施形態24に記載の固体イオン伝導性層。
実施形態26.LiPF6, LiClO4, LiBF4, LiAsF6, LiTf, LiSA, LiFSI, LiTFSI, LiBETI, LiCTFSI, LiBOB, LiTDI, LiPDI, LiDCTA, LiB(CN)4, LiSbF6, LiSO3CF3, LiN(SO2CF3)2, LiN(SO2C2F5)2, LiN(SO2CF3)(SO2C4F9), LiC(SO2CF3)3, 又はその組み合わせを含むリチウム塩をさらに含む、実施形態24または25の固体イオン伝導性層。
実施形態27.活性電極材料をさらに含む、実施形態1から26のいずれか1項に記載の固体イオン伝導性層。
実施形態28.活性電極材料が活性正極材料を含み、活性正極材料がLiCoO2, LiFePO4, LiMnPO4, LiMn2O4, LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2, 又はそれらの組み合わせを含む酸化物を含む、実施形態27の固体イオン伝導性層であって、活性電極材料は活性正極材料を含む。
実施形態29.第1相は、固体イオン伝導性層の厚さを通って延びている、実施形態3に記載の固体イオン伝導性層。
実施形態30.実施形態1~29のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性層の上に、電極層を含む、多層構造体。
【0126】
実施形態31.以下を含む多層構造体る:
ハロゲン化物系材料を含むイオン伝導性材料を含む固体電解質層;および、実施形態1~29のいずれか1つに記載のイオン伝導性層。
実施形態32.実施形態1~29のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性層を含む、電気化学ユニット。
実施形態33.固体イオン伝導性層の総体積に対して最大で10vol%の空隙率を含む、実施形態3に記載の固体イオン伝導性層。
実施形態34.緑色層がテープの形態である、実施形態4に記載の方法。
実施形態35.20℃~400℃の温度でグリーン層から固体イオン伝導性層を形成することをさらに含む、実施形態4または31に記載の方法。
実施形態36.固体イオン伝導性層を形成するためにグリーン層を乾燥させることをさらに含む、実施形態4、34、及び35のいずれか1つに記載の方法。
実施形態37.固体イオン伝導性層を形成するための多孔性を誘導するためにハロゲン化アンモニウムを昇華させることをさらに含み、多孔性が、開放細孔、閉じた細孔、またはそれらの組み合わせを含む細孔を含む、実施形態4および34から36のいずれか1つに記載の方法。
実施形態38.固体イオン伝導性層を形成するための多孔性を誘導するために少なくとも1つのバインダーを蒸発させることをさらに含み、多孔性は、開放細孔、閉じた細孔、またはそれらの組み合わせを含む細孔を含む、実施形態4及び34から37のいずれか1つに記載の方法。
実施形態39.緑色層が第1の緑色層である、実施形態4及び34から38のいずれか1つに記載の方法であって、方法は、第1の緑色層の上に第2の緑色層を形成することを更に含む、方法。
実施形態40.第1の緑色層の形成と第2の緑色層の形成とを同時に行う、実施形態39に記載の方法。
【0127】
実施形態41.第1の緑色層と第2の緑色層とを積層することを含む、実施形態39に記載の方法。
実施形態42.第2の緑色層から緻密な層を形成することを含む、実施形態39から41のいずれか1つに記載の方法。
実施形態43.ポリマーが、最高10、最高9、最高8、最高7、最高6、最高5、最高4.6、最高4.2、最高4、最高3.5、最高3、最高2.5、最高2、最高1、最高0.5、または最高0.1のHLB値を含む、実施形態3から42のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性層又は方法。
実施形態44.ポリマーが、最大1.0wt%、例えば最大0.8wt%、最大0.5wt%、最大0.3wt%、又は最大0.1wt%の水分吸収率を有する、実施形態3から42までのいずれか1つの固体イオン伝導性層又は方法。
実施形態45.ポリマーが、最大20%、最大18%、最大16%、最大14%、最大12%、最大10%、例えば最大9%、最大8%、最大7%、最大6%、最大5%、最大4%、最大3%、又は最大2%の反応度を有する、実施形態3~42のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性層又は方法。
実施形態46.バインダーが、パラフィンワックス、ポリプロピレンカーボネート、ポリイソブチレン、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリエチレングリコール、水素化ニトリルブタジエンゴム、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ塩化ビニル、ポリ(アクリロニトリル)、ポリエチレンカーボネート、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリプロピレンオキサイド、ポリフッ化ビニリデン、ポリジメチルシロキサン、ポリ[ビス(メトキシエトキシエトキシ)-ホスファゼン]、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトン。およびポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(フッ化ビニリデン)-co-ヘキサフルオロプロピレン、ポリ(アクリロニトリル-co-ブタジエン)、ポリ(スチレンブタジエン-スチレン)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンなどを含む群より選択されるポリマーを含む実施形態3又は4に記載の固体イオン伝導性層又は方法。
実施形態47.吸湿性材料と、有機材料およびハロゲン化アンモニウムの少なくとも1つとを含む固体イオン伝導性材料を含む組成物であって、有機材料は、多くとも10のHLB値、多くとも20%の反応性値、多くとも1.0wt%のMAR、またはそれらの組み合わせを有する、組成物。
実施形態48.有機材料が、パラフィンワックス、ポリプロピレンカーボネート、ポリイソブチレン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、水素化ニトリルブタジエンゴム、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ塩化ビニル、ポリ(アクリロニトリル)、ポリエチレンカーボネート、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ[ビス(メトキシエトキシエトキシド)-ホスファゼン]、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトンおよびポリ(トリメチレンカーボネイト)。ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(フッ化ビニリデン)-co-ヘキサフルオロプロピレン、ポリ(アクリロニトリル-co-ブタジエン)、ポリ(スチレンブタジエン-スチレン)、ポリ(メタクリル酸メチル)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンなどを含む群より選択されるポリマーを含む実施形態47の組成物。
実施形態49.実施形態47及び48のいずれか1つに記載の組成物と、0のHLB値、最大で20%の反応性値、又はそれらの組み合わせを含む溶媒と、を含む、スラリー。
実施形態50.溶媒が、トルエン、ペンテン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、シクロウンデカン、シクロドセカン、硫化ジメチル、ジブロモメタン、ジクロロメタン、o-クロロトルエン、o-ジクロロベンゼン、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態49の組成物。
【0128】
実施形態51.組成物の総重量に対して少なくとも1wt%~最大60wt%の有機材料を含む、実施形態47から50のいずれか1つに記載の組成物またはスラリー。
実施形態52.組成物の総重量に対して少なくとも1wt%~最大60wt%のハロゲン化アンモニウムを含む、実施形態47から51のいずれか1つに記載の組成物またはスラリー。
実施形態53.組成物の総重量に対して少なくとも20wt%~最大90wt%のイオン伝導性材料を含む、実施形態47から52のいずれか1つに記載の組成物またはスラリー。
実施形態54.組成物の総重量に対して少なくとも2wt%~最大60wt%の溶媒を含む、実施形態49から53のいずれか1つに記載のスラリー。
実施形態55.スラリーがコロイド懸濁液である、実施形態49から53のいずれか1つに記載のスラリー。
実施形態56.吸湿性材料が、ハロゲン化物系材料、硫化物系材料、オキシハロゲン化リチウム、ハロゲン化水酸化リチウム、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態1から3のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性層、方法、スラリー、または組成物。
実施形態57.ハロゲン化物系材料が、M3-δ(Mek+3-δ+k*fで表され得る、実施形態56の固体イオン伝導性層、方法、スラリー、または組成物。ここで、-3≦δ<3、0≦f<1、kはMeの原子価、2≦k<6、Mはアルカリ金属元素を含む、MeはMと異なる金属元素を含む、Xはハロゲンを含む。
実施形態58.イオン伝導性材料が、LiOCl、Li3OBr、Li3O(Cl、Br)、Li3OCl0.5Br0.5、Li2OFX、LiOHCl、LiOHBr、またはそれらの組み合わせから成る、実施形態56の固体イオン伝導性層、方法、または組成物。
実施形態59.硫化物が、下記のものを含む、実施形態56の固体イオン伝導性層、方法、スラリー、または組成物:xLi2S-yP2S5 (LPS)、例えば、0.67Li2S-0.33P2S5, 80Li2S-20P2S5, 75Li2S-25P2S5, または 70Li2S-30P2S5, Li2S-X, ここで、Xは少なくとも1つの下記の硫化物を示し:SiS2, GeS2, and B2S3, 例えば、0.50Li2S-0.50GeS2, LiI-Li2S-SiS2、例えば、0.40LiI-0.36Li2S-0.24SiS2, 0.05Li4SiO4-0.57Li2S-0.38SiS2, Li3PO4-Li2S-SiS2、例えば、0.01Li3PO4-0.63Li2S-0.36SiS2, LiI-Li2S-B2S3、例えば、0.44LiI-0.30Li2S-0.26B2S3, LiI-Li2S-P2S5、例えば、0.45LiI-0.37Li2S-0.18P2S5, a-Li3PS4, Li10GeP2S12, Li6PS5Cl, Li6PS5Br, Li9.54Si1.74P1.44S11.7Cl0.3, Li10.35[Sn0.27Si1.08]P1.65S12又はそれらの任意の組合せ。
実施形態60.イオン伝導性材料が、少なくとも0.1mS/cm、少なくとも0.5mS/cm、少なくとも1mS/cm、少なくとも1.5mS/cm、または少なくとも2mS/cmのバルクでのイオン伝導度を含む、実施形態1から59のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性層、方法、スラリー、または組成物。
【0129】
実施形態61.イオン伝導性材料が、バルクでのイオン伝導度が最大50mS/cm、多くとも40mS/cm、多くとも35mS/cm、多くとも30mS/cm、多くとも20mS/cm、多くとも15mS/cm、多くとも10mS/cm、多くとも8mS/cm、多くとも6mS/cm、多くとも5mS/cm、多くとも3mS/cm、多くとも2.8mS/cm、多くとも2.5mS/cm、、多くとも2.2mS/cm、、多くとも2mS/cmである、実施形態1から60のいずれか1つに記載の固体イオン伝導性層、方法、スラリー、又は組成物。
実施形態62.実施形態47~55のいずれか1つに記載の組成物又はスラリーを含む、テープ。
【0130】

例1
スラリーは、表1に記された組成を有するように形成することができる。このスラリーは、本明細書の実施形態に記載されるような緻密なイオン伝導性層を形成するために使用することができる。
【表1】
【0131】
例2
例示的なイオン伝導性材料は、本明細書の実施形態に従って、以下の表2に記された組成を有するように形成することができる。
【表2】
【0132】
例3
例示的な多孔質イオン伝導性材料は、以下の表3に記された組成物を用いて形成することができ、NHXは、本明細書の実施形態に記載されるように多孔性を誘導するために除去することができる。
【表3】
【0133】
例4
本明細書の実施形態に従って、表4に記された組成物を用いて陰極複合体層を形成することができる。
【表4】
【0134】
例5
以下の表5に含まれる各有機溶媒材料をLiYBr粉末と混合し、本明細書の実施形態に記載の方法で溶媒の反応性値をテストした。本明細書の実施形態において決定されたHLB値および溶媒の誘電率もまた含まれる。
【表5】
【0135】
図15は、LiYBr粉末のXRDパターンと、本明細書の実施形態に記載されているようにキシレン及びジクロロメタンの反応値について試験された後のLiYBrのXRDパターンを含む図解である。同様のXRDパターンは、キシレンまたはジクロロメタンが、LiYBrの分解を引き起こさないことを示している。
【0136】
図16は、LiYBr粉末のXRDパターン、及び本明細書の実施形態に記載されるように1,4-ジオキサン、炭酸ジメチル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、及びアセトニトリルの反応性を試験した後のLiYBrのXRDパターンを含む説明図である。LiBrピークの出現とLiYBrの特性ピークの強度の低下は、LiYBrの著しい分解を示す。
【0137】
例6
以下の表6に含まれる各バインダー材料をLiYBr粉末と混合し、本明細書の実施形態に記載の方法でバインダーの反応性値をテストした。バインダーのHLB値および誘電率もまた含まれる。
【表6】
【0138】
PVAとPCは、LiYBrの粉末と混合した場合,LiYBrの著しい分解を引き起こした。XRD分析は実施できなかった。
【0139】
図17は、LiYBr粉末のXRDパターンと、ポリ(アクリロニトリル)、水素化ニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリ(メタクリル酸メチル)、およびポリビニルピロリドンの反応性値を試験した後のLiYBrのXRDパターンを含む図解を含むものである。同様のXRDパターンから、ポリビニルピロリドンを除くバインダー材料は、LiYBrの分解を引き起こさないことがわかる。さらに図18に示すように、ポリビニルピロリドンによるLiYBr粉末の分解は大きくなく、ポリビニルピロリドンの反応性値は11%と判定された。
【0140】
例7
さらに、化学的適合性のあるバインダーを用いて、テープキャスティングによる固体イオン伝導性層の形成について試験を行った。
【0141】
バインダー材料であるポリイソブチレン、スチレンブタジエンゴム、水素化ニトリルブタジエンゴム、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)を化学的に適合した溶剤材料であるトルエンにあらかじめ溶解し、LiYBr粉を混ぜ合わせた。すべての試料は乾燥した不活性環境下で保管され、取り扱われた。混合を容易にするために、振動式ミルジャーとメディアを使用した。振動ミル装置で周波数30Hzで20分間運転する際に、ミルジャーを密閉した。粉砕後、粉砕ジャーはグローブボックスに戻し、さらなる試料の取り扱いに備えた。
【0142】
LiYBr粉末をあらかじめ溶解したPEVAと混合しても、分散液やスラリーが形成されないことが確認された。
【0143】
予備溶解したPIB、SBR、HNBRをLiYBr粉末と混合したときに形成される分散体。混合物の組成は表7に含まれている。混合物のテープキャスティングは,ドクターブレードを用いて薄いアルミホイル上に行った。このテープは,クラックが発生しないように,熱を加えずに乾燥させた。
【表7】
【0144】
SBRをバインダーとして形成されたイオン伝導性層は、HNBRやPIBで形成された層と比較して相対的に多くの細孔を含んでおり、SBRはLiYBr粉体の付着性または濡れ性が低い可能性を示していることが走査電子顕微鏡(SEM)での断面分析で確認された。
【0145】
テープのイオン伝導度を以下のように測定し、図19に含めた。乾燥したテープキャストから15mmの試料を打ち抜き、伝導率を測定するために、ステンレス鋼プランジャーを備えたテフロン(登録商標)ダイに配置した。このサンプルを10MPaの圧力で圧縮し、サンプル間の抵抗値をインピーダンス測定により測定した。試験終了後、試料を取り出し、厚さを測定した。伝導率は、以下の式で算出した。
【数1】
【0146】
バインダーの圧縮性は、テープの導電性を試験する前と後のテープの厚さの変化によって決定され、表8に含まれる。圧縮性は、式、CPress=[(T-T)/T100%で求めることができ、CPressはバインダー材料の圧縮性を、Tはイオン伝導度試験前のテープの厚さを、Tはイオン伝導度試験後のテープの厚さを表している。
【表8】
【0147】
例8
下記表9の各バインダー材料を、固体イオン伝導性層形成用LiYBr粉末と混合した。
【0148】
PVC粉末と可塑剤であるフタル酸ジイソノニル(DINP)を、混合物の総重量に対して、PVCが40wt%、DINPが60wt%含まれるように混合した。次に、PVCとDINPの混合物を、LiYBr粉末と混合した。ここで、LiYBr粉末は混合物の合計に対して60wt%であり、PVCとDINPの混合物は40wt%である。LiYBr粉末をPVCとDINPに混合すると、混合物の粘度が著しく増加することが分かった。LiYBrとDINPの混合物のXRD分析では、LiYBrの分解が少なく、臭化リチウム(LiBr)の形成が低いことが示唆された。DINPの反応性値は10%未満であり、LiYBrと化学的に適合すると考えられる。LiYBrとPVCの混合物のXRD分析では、PVCがLiYBrと化学的に適合することが示唆された。
【表9】
【0149】
シリコーン・エポキシは,シリコーン99wt%:B(Cの重量比で触媒と予備混合した。次に,このプレミックスとLiYBrを,プレミックスが70wt%,LiYBrが30wt%になるように混合し,プレミックスとLiYBrの合計で30wt%になるように混合した。なお,シリコーンエポキシと触媒B(CおよびLiYBr粉末の混合物は,シリコーンエポキシの硬化条件である120℃,30分では完全硬化できず,触媒の量を増やすと完全硬化できないことが分かった。
【0150】
シリコーンハイコンシステンシーゴム(HCR)(Nouryon Silicone Gum RB6-0902)と触媒である過酸化物を、シリコーンHCR97wt%:過酸化物3wt%の重量比で予備混合した。次に、この予備混合物とLiYBrを、予備混合物が70wt%、L3YBr6が30wt%となるように混合し、予備混合物とLiYBrの合計で、L3YBr6が30wt%になるように混合した。また,シリコーンHCRと触媒である過酸化物(Nouryon Peroxide PD-50-S-PS)とLiYBrの混合粉末は完全に硬化することができず,シリコーンHCR,過酸化物およびLiYBrの混合物のXRDパターンではLiBrの特性ピークを示しており,LiYBrの分解が示唆されている。
【0151】
シリコンと触媒であるSn(Nusil RT フォームシリコーン R-2370) の予備混合物をLiYBrと混合した。この混合物は完全には硬化せず,混合物のXRD分析からLiYBrの分解が示唆されることがわかった。
【0152】
シリコンとPt触媒の予備混合物(Nusil RT フォームシリコン R-2360)とLiYBrを予備混合物の50wt%の重量比にて混合した: 50 wt% of Li3YBr6。この混合物のXRD分析から,LiYBrの分解はなく,シリコンとPt触媒は化学的に相溶していることがわかった。この混合物中のPtの含有量は,シリコンの重量に対して50ppmである.この混合物は完全に硬化させることができなかった。さらなる分析により、LiYBrの粉末に含まれる不純物、臭化アンモニウムが硬化に影響を与える可能性があることが示された。シリコン、Pt触媒、LiYBrの混合物に、Ptを400~5000ppm追加添加し、Pt量を600ppm以上にすると、20℃から70℃の温度で硬化させることができた。
【0153】
例9
【表10】
【0154】
固体イオン伝導性層は、表10に記した成分を含むバインダー材料とハロゲン化物イオン伝導性材料を用いて形成する。バインダー材料は、バインダーとハロゲン化物イオン伝導性材料との重量比が、0.1wt%:99.9wt%、0.5wt%:99.5wt%、1wt%:99wt%、1.5wt%:98.5wt%、2wt%:98wt%、3wt%:97wt%、4wt%:96wt%、5wt%:95wt%、6wt%:94wt%、7wt%:93wt%、8wt%:92wt%、9wt%:91wt%、10wt%:90wt%で混合されて、イオン伝導性層を形成する。
【0155】
本開示は、当技術分野からの逸脱を表す。本明細書の実施形態のイオン伝導性層は、改善された厚さ、特定の細孔特性、及び組成を有することができ、これらの一部又は全部を他の特徴と組み合わせることによって、イオン伝導性層の改善された性能を促進することができる。イオン伝導性層は、改善されたイオン電流抵抗及び/又はリチウムイオン伝導性を有することが期待される。本明細書の実施形態に記されたプロセスは、イオン伝導性層の厚さ、細孔率、細孔特性、及び組成に対する改善された制御を可能にし得る。プロセスは、ハロゲン化物を含むリチウムイオン伝導性材料を含むイオン伝導性層を形成するために特に好適であり得る。特定のバインダー及び細孔形成材料の使用及び他のプロセスの特徴と組み合わせた加熱の制御は、ハロゲン化物を含むリチウムイオン伝導性材料を含むイオン伝導性層の改良された形成を可能にし得る。
【0156】
イオン伝導性層は、固体リチウム電池の用途に適し、固体リチウム電池の性能向上を促進することが期待できる。
【0157】
利点、他の利点、及び問題に対する解決策を、特定の実施形態に関して上述してきた。しかしながら、利点、利点、問題に対する解決策、及び任意の利点、利点、又は解決策を生じさせるか又はより顕著にする可能性のある任意の特徴(複数可)は、任意の又は全ての請求項の重要、必須、又は必須の特徴として解釈されるべきではない。本明細書において、1つ以上の成分を含む材料への言及は、材料が特定された1つ以上の成分から本質的になる少なくとも1つの実施形態を含むと解釈することができる。本質的に成る」という用語は、特定されたこれらの材料を含む組成物を含み、材料の特性を著しく変化させない少数含有量(例えば、不純物含有量)以外の他の全ての材料を除外するものと解釈されるであろう。さらに、又は代替的に、特定の非限定的な実施形態において、本明細書で特定される組成物のいずれかは、明示的に開示されていない材料を本質的に含まない可能性がある。本明細書の実施形態は、材料内の特定の成分の含有量の範囲を含み、所定の材料内の成分の含有量は合計100%であることが理解されよう。
【0158】
本明細書に記載された実施形態の明細書及び図解は、様々な実施形態の構造の一般的な理解を提供することを意図している。本明細書及び図解は、本明細書に記載された構造又は方法を使用する装置及びシステムの要素及び特徴の全ての網羅的及び包括的な説明として機能することを意図していない。別々の実施形態はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよく、逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明される様々な特徴はまた、別々にまたは任意のサブコンビネーションで提供されてもよい。さらに、範囲内に記載された値への言及は、その範囲内の各値およびすべての値を含む。他の多くの実施形態は、本明細書を読んだ後に初めて当業者に明らかになる場合がある。他の実施形態は、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的置換、論理的置換、または別の変更を行うことができるように、本開示から使用され、導出されてもよい。したがって、本開示は、制限的ではなく例示的なものとみなされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2023-01-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体イオン伝導性層の少なくとも一部に連続して延在する第の相であって、該第の相がハロゲン化物系材料を含むイオン伝導性材料を含み、前記ハロゲン化物系材料が、式M 3-δ (Me k+ 3-δ+k*f で表され、-3≦δ<3、0≦f≦1、kはMeの価数、2≦k<6、MはLiを含むアルカリ金属元素を含み、MeはMと異なる金属元素を含み、Xはハロゲンを含む、第の相;および
バインダー材料を含む有機材料を含む第二相であって、前記バインダー材料が:
最大10のHLB値;
最大20%の反応性値;または
その組み合わせ、
を含む、第二相;
を含む、固体イオン伝導性層。
【請求項2】
前記バインダー材料が、ポリ塩化ビニル、ポリ(アクリロニトリル)、水素化ニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリビニルピロリドン、ポリイソブチレン、ポリ(フッ化ビニリデン)、パラフィンワックス、ポリエチレン、ポリジメチルシロキサン、ポリ(エチレンオキシド)またはこれらのいかなる組み合わせを含む、請求項1に記載の固体イオン伝導性層。
【請求項3】
前記バインダー材料がポリイソブチレンを含む、請求項1に記載の固体イオン伝導性層。
【請求項4】
前記バインダー材料が、水素化ニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリイソブチレン、またはそれらのいかなる組み合わせを含む、請求項1に記載の固体イオン伝導性層。
【請求項5】
前記固体イオン伝導性層が活性カソード材料を含む、請求項1記載の固体イオン伝導性層。
【請求項6】
前記固体イオン伝導性層のバルク内に相互接続フレークのネットワークを含み、前記フレークが、前記ハロゲン化物系材料を含み、前記ネットワークの少なくとも一部を通して延びる細孔を有する、請求項1記載の固体イオン伝導性層。
【請求項7】
イオン伝導度が、なくとも0.15mS/cmある、請求項1記載の固体イオン伝導性層。
【請求項8】
前記バインダー材料が、の反応性値、のHLB値、または両方を有する、請求項1記載の固体イオン伝導性層。
【請求項9】
前記固体イオン伝導性層の総重量に対して、前記バインダー材料を0.1wt%以上10wt%以下含む、請求項1記載の固体イオン伝導性層。
【請求項10】
前記固体イオン伝導性層がテープ状である、請求項1記載の固体イオン伝導性層。
【請求項11】
固体イオン伝導性層の少なくとも一部に連続して延在する第一の相であって、該第一の相がハロゲン化物系材料を含むイオン伝導性材料を含み、前記ハロゲン化物系材料が、式M 3-δ (Me k+ 3-δ+k*f で表され、-3≦δ<3、0≦f≦1、kはMeの価数、2≦k<6、MはLiを含むアルカリ金属元素を含み、MeはMと異なる金属元素を含み、Xはハロゲンを含み、前記イオン伝導性材料が前記ハロゲン化物系材料と複合化したハロゲン化アンモニウムを含む、第一の相;および
バインダー材料を含む有機材料を含む第二相であって、前記バインダー材料が:
最大10のHLB値;
最大20%の反応性値;または
その組み合わせ、
を含む、第二相;
を含む、固体イオン伝導性層。
【請求項12】
活性電極材料をさらに含む、請求項11に記載の固体イオン伝導性層。
【請求項13】
前記固体イオン伝導性層の総重量に対して、前記バインダー材料を0.1wt%以上10wt%以下含む、請求項11に記載の固体イオン伝導性層。
【請求項14】
前記バインダー材料が、0のHLB値、0の反応性値、または両方を有する、請求項11に記載の固体イオン伝導性層。
【請求項15】
前記固体イオン伝導性層の総体積に対して、前記イオン伝導性材料を50vol%以上90vol%以下含む、請求項11に記載の固体イオン伝導性層。
【国際調査報告】