(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-12
(54)【発明の名称】多段階生化学分析のための分析構造
(51)【国際特許分類】
G01N 35/08 20060101AFI20230502BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N37/00 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567797
(86)(22)【出願日】2021-05-26
(85)【翻訳文提出日】2022-11-08
(86)【国際出願番号】 US2021034276
(87)【国際公開番号】W WO2021242874
(87)【国際公開日】2021-12-02
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515116467
【氏名又は名称】トキタエ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン,ケイトリン イー.
(72)【発明者】
【氏名】ビショップ,ジョシュア デイビス
(72)【発明者】
【氏名】ケイト,デイビッド マイケル
(72)【発明者】
【氏名】グラント,ベンジャミン デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】フィン,トアン
(72)【発明者】
【氏名】マダン,ダミアン
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058DA07
2G058EA14
2G058GA01
(57)【要約】
実施形態は、少なくとも1つの流体ウェルおよび少なくとも1つの毛細管弁を用いた生化学分析のための、単回使用の使い捨てカセット内の分析装置を含む。ユーザは液体試薬をカセットに同時に添加するが、毛細管弁は、分析内の多孔質シートの移動と組み合わさって、異なる時間に分析へ液体試薬を添加する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析装置であって、カセットと、分析構成要素のセットと、を含み、
前記カセットは、上部構成要素と、下部構成要素と、を含み、
前記上部構成要素は、流体ウェルと、毛細管弁と、機械的停止領域の頂部セクションと、機械的圧縮領域の頂部セクションと、可視化開口部と、を有し、
前記下部構成要素は、前記機械的停止領域の底部部分と、前記機械的圧縮領域の底部部分と、を有し、
前記分析構成要素のセットは、
第1の端部および第2の端部を有する多孔質シートと、
前記多孔質シートの前記第2の端部と接触しているウィッキング材料と、
前記多孔質シートの頂部表面を前記毛細管弁の開口部に近接するように移動させるために湿潤時に十分に膨張するサイズ、形状および位置の、圧縮された材料と、
を含むことを特徴とする、分析装置。
【請求項2】
前記カセットの前記上部構成要素および前記カセットの前記下部構成要素は、互いに嵌合して、前記分析構成要素のセットを囲む前記カセットを形成することを特徴とする、請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記流体ウェルは、前記カセット内において、
前記多孔質シートの前記第1の端部の頂部表面に近接して配置された開口部を含むことを特徴とする、請求項1に記載の分析装置。
【請求項4】
前記毛細管弁は、前記カセット内において、
開口部であって、前記開口部と前記多孔質シートの前記頂部表面との間に間隙を有するように、前記多孔質シートの頂部表面と位置合わせされて配置された開口部を含むことを特徴とする、請求項1に記載の分析装置。
【請求項5】
前記機械的停止領域の前記頂部セクションは、前記カセット内において、
端部であって、前記端部と前記多孔質シートの前記頂部表面との間に間隙を有するように、前記第2の端部に近接する前記多孔質シートの前記頂部表面と位置合わせされて配置された端部を含むことを特徴とする、請求項1に記載の分析装置。
【請求項6】
前記カセット内において、
前記機械的圧縮領域の前記頂部セクションは前記ウィッキング材料の頂部表面に近接して配置され、
前記機械的圧縮領域の前記底部部分は前記ウィッキング材料の底部表面に近接して配置されることを特徴とする、請求項1に記載の分析装置。
【請求項7】
前記ウィッキング材料は前記多孔質シートの前記第2の端部の頂部表面および底部表面の両方に近接して配置され、
前記機械的圧縮領域は前記ウィッキング材料に近接して配置されることを特徴とする、請求項1に記載の分析装置。
【請求項8】
前記圧縮された材料は前記多孔質シートの前記底部表面に近接して配置され、前記ウィッキング材料と接触し、
前記分析装置はさらに、前記多孔質シートの前記底部表面と前記圧縮された材料との間に支持材料を含むことを特徴とする、請求項1に記載の分析装置。
【請求項9】
前記分析構成要素のセットが、外走式イムノアッセイ製造技術に適合する並列配置で配置されることを特徴とする、請求項1に記載の分析装置。
【請求項10】
前記カセットの前記頂部構成要素はさらに、前記カセット内において、前記多孔質シートの前記第1の端部の頂部表面に近接して配置された開口部を含む第2の流体ウェルを含むことを特徴とする、請求項1に記載の分析装置。
【請求項11】
分析装置であって、カセットと、分析構成要素のセットと、を含み、
前記カセットは、上部構成要素と、下部構成要素と、を含み、
前記上部構成要素は、流体ウェルと、毛細管弁と、機械的停止領域の頂部セクションと、機械的圧縮領域の頂部セクションと、可視化開口部と、を有し、
前記下部構成要素は、前記機械的停止領域の底部部分と、前記機械的圧縮領域の底部部分と、を有し、
前記分析構成要素のセットは、
第1の端部および第2の端部を有する第1の多孔質シートと、第1の端部および第2の端部を有する第2の多孔質シートと、であって、前記第1の多孔質シートの前記第2の端部が前記第2の多孔質シートの前記第1の端部と接触している、第1の多孔質シートおよび第2の多孔質シートと、
前記第2の多孔質シートの前記第2の端部と接触しているウィッキング材料と、
前記多孔質シートの頂部表面を前記毛細管弁の開口部に近接するように移動させるために湿潤時に十分に膨張するサイズ、形状および位置の、圧縮された材料と、
を含むことを特徴とする、分析装置。
【請求項12】
前記カセットの前記上部構成要素および前記カセットの前記下部構成要素は、互いに嵌合して、前記分析構成要素のセットを囲む前記カセットを形成することを特徴とする、請求項11に記載の分析装置。
【請求項13】
前記流体ウェルは、前記カセット内において、
前記第1の多孔質シートの前記第1の端部の頂部表面に近接して配置された開口部を含むことを特徴とする、請求項11に記載の分析装置。
【請求項14】
前記毛細管弁は、前記カセット内において、
開口部であって、前記開口部と前記第1の多孔質シートまたは前記第2の多孔質シートの前記頂部表面との間に間隙を有するように、前記第1の多孔質シートまたは前記第2の多孔質シートのいずれかの頂部表面と位置合わせされて配置された開口部を含むことを特徴とする、請求項11に記載の分析装置。
【請求項15】
前記機械的停止領域の前記頂部セクションは、前記カセット内において、
端部であって、前記端部と前記多孔質シートの前記頂部表面との間に間隙を有するように、前記第2の端部に近接する前記第1の多孔質シートの前記頂部表面と位置合わせされて配置された端部を含むことを特徴とする、請求項11に記載の分析装置。
【請求項16】
前記カセット内において、
前記機械的圧縮領域の前記頂部セクションは前記ウィッキング材料の頂部表面に近接して配置され、
前記機械的圧縮領域の前記底部部分は前記ウィッキング材料の底部表面に近接して配置されることを特徴とする、請求項11に記載の分析装置。
【請求項17】
前記ウィッキング材料は前記第2の多孔質シートの前記第2の端部の頂部表面および底部表面の両方に近接して配置され、
前記機械的圧縮領域は前記ウィッキング材料に近接して配置されることを特徴とする、請求項11に記載の分析装置。
【請求項18】
前記圧縮された材料は前記第2の多孔質シートの前記底部表面に近接して配置され、前記ウィッキング材料と接触し、
前記分析装置はさらに、前記第2の多孔質シートの前記底部表面と前記圧縮された材料との間に支持材料を含むことを特徴とする、請求項11に記載の分析装置。
【請求項19】
前記分析構成要素のセットが、外走式イムノアッセイ製造技術に適合する並列配置で配置されることを特徴とする、請求項11に記載の分析装置。
【請求項20】
前記カセットの前記頂部構成要素はさらに、前記カセット内において、前記第1の多孔質シートの前記第1の端部の頂部表面に近接して配置された開口部を含む第2の流体ウェルを含むことを特徴とする、請求項11に記載の分析装置。
【請求項21】
分析装置であって、カセットと、分析構成要素のセットと、を含み、
前記カセットは、上部構成要素と、下部構成要素と、を含み、
前記上部構成要素は、流体ウェルと、毛細管弁と、機械的停止領域の頂部セクションと、機械的圧縮領域の頂部セクションと、可視化開口部と、を有し、
前記下部構成要素は、前記機械的停止領域の底部部分と、前記機械的圧縮領域の底部部分と、を有し、
前記分析構成要素のセットは、
第1の端部および第2の端部を有する第1の多孔質シートと、第1の端部および第2の端部を有する第2の多孔質シートと、第1の端部および第2の端部を有する第3の多孔質シートと、であって、前記第2の多孔質シートが前記第1の多孔質シートの前記第2の端部および前記第3の多孔質シートの前記第1の端部を覆っている、第1の多孔質シート、第2の多孔質シートおよび第3の多孔質シートと、
前記第3の多孔質シートの前記第2の端部と接触しているウィッキング材料と、
前記第2の多孔質シートの頂部表面を前記毛細管弁の開口部に近接するように移動させるために湿潤時に十分に膨張するサイズ、形状および位置の、圧縮された材料と、
を含むことを特徴とする、分析装置。
【請求項22】
前記カセットの前記上部構成要素および前記カセットの前記下部構成要素は、互いに嵌合して、前記分析構成要素のセットを囲む前記カセットを形成することを特徴とする、請求項21に記載の分析装置。
【請求項23】
前記流体ウェルが、前記カセット内の前記第1の多孔質シートの前記第1の端部の頂部表面に近接して配置された開口部を含むことを特徴とする、請求項21に記載の分析装置。
【請求項24】
前記毛細管弁は、前記カセット内において、
開口部であって、前記開口部と前記第2の多孔質シートの前記頂部表面との間に間隙を有するように、前記第2の多孔質シートの頂部表面と位置合わせされて配置された開口部を含むことを特徴とする、請求項21に記載の分析装置。
【請求項25】
前記機械的停止領域の前記頂部セクションは、前記カセット内において、
端部であって、前記端部と前記第2の多孔質シートの前記頂部表面との間に間隙を有するように、前記第2の端部に近接する前記第2の多孔質シートの前記頂部表面と位置合わせされて配置された端部を含むことを特徴とする、請求項21に記載の分析装置。
【請求項26】
前記カセット内において、
前記機械的圧縮領域の前記頂部セクションは前記ウィッキング材料の頂部表面に近接して配置され、
前記機械的圧縮領域の前記底部部分は前記ウィッキング材料の底部表面に近接して配置されることを特徴とする、請求項21に記載の分析装置。
【請求項27】
さらに、前記第1の多孔質シートと前記第2の多孔質シートとの間に配置された防湿層を含むことを特徴とする、請求項21に記載の分析装置。
【請求項28】
さらに、前記第1の多孔質シートと、前記第3の多孔質シートと、前記第2の多孔質シートとの間に配置された防湿層を含むことを特徴とする、請求項21に記載の分析装置。
【請求項29】
前記ウィッキング材料は前記第3の多孔質シートの前記第2の端部の頂部表面および底部表面の両方に近接して配置され、
前記機械的圧縮領域は前記ウィッキング材料に近接して配置されることを特徴とする、請求項21に記載の分析装置。
【請求項30】
前記圧縮された材料は前記第3の多孔質材料の前記底部表面に近接して配置され、前記ウィッキング材料と接触し、
前記分析装置はさらに、前記第3の多孔質材料の前記底部表面と前記圧縮された材料との間に支持材料を含むことを特徴とする、請求項21に記載の分析装置。
【請求項31】
前記分析構成要素のセットが、外走式イムノアッセイ製造技術に適合する並列配置で配置されることを特徴とする、請求項21に記載の分析装置。
【請求項32】
前記カセットの前記頂部構成要素はさらに、前記カセット内において、前記第1の多孔質シートの前記第1の端部の頂部表面に近接して配置された開口部を含む第2の流体ウェルを含むことを特徴とする、請求項21に記載の分析装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
出願データシート(ADS)が本出願の出願日に提出されている場合、それは参照により本明細書に組み込まれる。35 U.S.C§119、120、121、または365(c)に基づいて優先権を主張されるADS上の出願、およびそのような出願のすべての親、祖父母、祖父母などの出願もまた、そのような主題と矛盾しない範囲で、それらの出願および参照により組み込まれる任意の資料においてなされる優先権主張を含めて、参照により組み込まれる。
【0002】
〔関連出願の相互参照〕
本願は、次に掲げる出願(「優先権出願」)がある場合、それから最も早く利用可能な出願日の利益を主張する(例えば、優先権出願のすべての親、祖父母、祖父母等の出願について、仮特許出願または仮特許出願についての35 USC §119(e)に基づく利益を主張する)。
【0003】
〔優先権出願〕
優先権出願のすべての主題はそのような主題が本明細書と矛盾しない限り、参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
上記の出願の一覧がADSを介して提供される一覧と一致しない場合、出願人は、ADSの国内給付/国内ステージ情報部に現れる各出願および本出願の優先出願部に現れる各出願に対して優先権を主張する意図がある。
【0005】
優先権主張により優先権主張に関連するすべての主題事項(直接的または間接的に)は、優先権主張および本出願の出願日時点で参照により本明細書に組み込まれている主題事項を含み、そのような主題事項が本明細書と矛盾しない限り、参照により本明細書に組み込まれる。
【0006】
〔サマリー〕
分析装置は、カセットと、カセット内の分析構成要素のセット(一組の分析構成要素)とを含む。分析構成要素およびカセットは、分析の実施中に機能的相互作用のために配置される。いくつかの実施形態では、分析構成要素が外走式製造技術に適合するように直線的に配置される。
【0007】
いくつかの実施形態では、カセットは、上部構成要素と、下部構成要素と、を含み、上部構成要素は、流体ウェルと、毛細管弁と、機械的停止領域の頂部セクションと、機械的圧縮領域の頂部セクションと、可視化開口部と、を有し、下部構成要素は、機械的停止領域の底部部分と、機械的圧縮領域の底部部分と、を有する。いくつかの実施形態では、カセットは、カセット内において、多孔質シートの第1の端部の頂部表面に近接して配置された開口部を含む第2の流体ウェルを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、カセット内の分析構成要素のセットは、第1の端部および第2の端部を有する多孔質シートと、多孔質シートの第2の端部と接触しているウィッキング材料と、多孔質シートの頂部表面を毛細管弁の開口部に近接するように移動させるために湿潤時に十分に膨張するサイズ、形状および位置の、圧縮された材料と、を含む。いくつかの実施形態では、カセット内の分析構成要素のセットは、第1の端部および第2の端部を有する第1の多孔質シートと、第1の端部および第2の端部を有する第2の多孔質シートと、であって、第1の多孔質シートの第2の端部が第2の多孔質シートの第1の端部と接触している、第1の多孔質シートおよび第2の多孔質シートと、第2の多孔質シートの第2の端部と接触しているウィッキング材料と、多孔質シートの頂部表面を毛細管弁の開口部に近接するように移動させるために湿潤時に十分に膨張するサイズ、形状および位置の、圧縮された材料と、を含む。いくつかの実施形態では、カセット内の分析構成要素のセットは、第1の端部および第2の端部を有する第1の多孔質シートと、第1の端部および第2の端部を有する第2の多孔質シートと、第1の端部および第2の端部を有する第3の多孔質シートと、であって、第2の多孔質シートが第1の多孔質シートの第2の端部および第3の多孔質シートの第1の端部を覆っている、第1の多孔質シート、第2の多孔質シートおよび第3の多孔質シートと、第3の多孔質シートの第2の端部と接触しているウィッキング材料と、第2の多孔質シートの頂部表面を毛細管弁の開口部に近接するように移動させるために湿潤時に十分に膨張するサイズ、形状および位置の、圧縮された材料と、を含む。
【0009】
前述の概要は、例示に過ぎず、決して限定することを意図するものではない。上述の例示的な態様、実施形態、および特徴に加えて、さらなる態様、実施形態、および特徴が、図面および以下の詳細な説明を参照することによって明らかになるであろう。
【0010】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、分析装置のカセットの頂部表面の外観図である。
【0011】
図2は、カセットおよび内部分析構成要素の断面図である。
【0012】
図3は、カセットおよび内部分析構成要素のいくつかの特徴の断面図である。
【0013】
図4は、カセットおよび内部分析構成要素のいくつかの特徴の断面図である。
【0014】
図5は、カセットおよび内部分析構成要素のいくつかの特徴の断面図である。
【0015】
図6は、カセットおよび内部分析構成要素のいくつかの特徴の断面図である。
【0016】
図7は、カセットおよび内部分析構成要素のいくつかの特徴の断面図である。
【0017】
図8は、カセットおよび内部分析構成要素のいくつかの特徴の断面図である。
【0018】
図9は、分析装置のカセットの頂部表面の外観図である。
【0019】
図10は、カセットおよび内部分析構成要素の断面図である。
【0020】
図11は、カセットおよび内部分析構成要素のいくつかの特徴の断面図である。
【0021】
図12は、カセットおよび内部分析構成要素のいくつかの特徴の断面図である。
【0022】
図13は、カセットおよび内部分析構成要素のいくつかの特徴の断面図である。
【0023】
図14は、カセットおよび内部分析構成要素のいくつかの特徴の断面図である。
【0024】
図15は、カセットおよび内部分析構成要素のいくつかの特徴の断面図である。
【0025】
図16は、カセットおよび内部分析構成要素のいくつかの特徴の断面図である。
【0026】
【0027】
【0028】
〔詳細な説明〕
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付の図面を参照する。図面では文脈上別段の指示がない限り、同様の符号は典型的には類似の構成要素を識別する。詳細な説明に記載される例示的な実施形態、図面、および特許請求の範囲は、限定することを意味するものではない。本明細書に提示される主題の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用され得、他の変更が行われ得る。
【0029】
本明細書に記載される技術は、液体試料中の1つ以上の分析対象物の診断またはスクリーニング検出のための単回使用生化学分析に関する。このタイプの技術は、側方流動(lateral flow)試験、または側方流動分析(「LFA」)と呼ばれる分析を含む。いくつかの実施形態においては、この分析は、側方流動免疫クロマトグラフィック分析である。これらの分析は一般に、ユーザによる最小限の操作で、単純で携帯可能なフォーマットで診断情報またはスクリーニング情報を提供するように設計される。フォーマットの1つの利点は、最小限の訓練または指示を有する人によって実施され得ることが多い、使い捨て構成要素を用いた、操作が簡単な携帯型試験である。一般に、これらの分析は乾燥分析構造への液体試料の添加を必要とし、いくつかの分析は、分析への緩衝剤または溶媒流体の添加をさらに含む。しかしながら、分析の一般的な適用性および頑丈さの点からは、ユーザによる工程や操作の必要性を最小限にする分析が好ましい。ユーザからの介入を最小限にすることは、ユーザが分析当たりの時間がほとんどないハイスループット状況での使用を意図した分析において、および、ユーザが分析工程または手順において、知識や経験があるとは予想されない状況において、特に重要であり得る。いくつかの実施形態では、分析装置は、低リソース設定での使用のために設計される。
【0030】
本明細書に記載される分析は、分析内に特徴を組み込むことによって既存の分析技術を改善し、ユーザが必要とする追加の操作および/または工程を最小限に抑えて、分析への試薬の段階的添加を可能にするように設計される。特に、本明細書に記載の構造は、ユーザが複数の流体、緩衝剤、および/または試薬の添加を待機したりその時間を決めたりすることを必要とすることなく、分析の開始後の所定の時間に、分析に複数の流体、緩衝剤、および/または液体試薬を添加することを提供する。実施形態に応じて、分析は、選択された材料のタイプ、材料の厚さ、および、材料同士の相対位置や分析内の材料の相対位置などの要素に起因して、様々な時間および状態に較正され得る。本明細書に記載される分析はまた、関連する低コストおよび製造効率を伴って、外走式製造システムと適合することが想定される。
【0031】
本明細書に記載の分析装置の実施形態で実施することができる分析タイプには、生化学分析、酵素分析、酸化還元化学反応に基づく分析、および核酸増幅を含む分析が含まれる。特定の分析の実施形態は、本明細書に記載の特徴によって実施することができる分析の工程または段階におけるタイミング遅延の要件を含む。タイミング遅延要件は分析の実施形態に依存するが、5分~1時間の間で長さが変化することが予想される。分析の第1の工程または段階は緩衝剤ウェルへの第1の緩衝剤の添加を用いて実施することができ、試薬流体は、実施される分析装置の構造に応じて、5分~1時間の間の時間、ユーザによるさらなる操作なしに、毛細管弁内の分析構造への添加から遅延させることができる。分析の工程または段階の間の異なる時間遅延は、分析装置に対する、以下のものを含む修正によって達成することができる:毛細管弁の下部開口部と多孔質材料の近くの表面との間の間隙のサイズ;ウィッキング材料の長さ;ウィッキング材料の流体分散特性;多孔質材料の長さ;多孔質材料の流体分散特性;および、液体取り込みの速度、分析装置内の位置、および/または、圧縮された材料の膨張特性。分析装置の特徴選択に応じて、流体ウェルから分析内への流体の添加と、その後の、毛細管弁から分析内への流体の添加との間のタイミングは、ユーザによる追加の介入なしに、5分~1時間の間の差で生じ得る。
【0032】
分析装置は、分析装置の使用のための意図された環境に応じて、例えば、意図された使用事例のための期待される湿度および温度に応じて、特徴を伴って、記載されるように改変され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるものなどの分析装置は、モバイルヘルスケアワーカーによる使用、緊急事態における使用、および遠隔健康出先機関または診療所のケア(世話、介護、看護、保護、養護、介抱、介助、監督)の時点(point of care)における使用を含む、低リソース設定での使用を意図される。いくつかの意図された使用事例において、分析装置は、気候制御された建物において一般的に予想されるよりも高いまたは低い温度および湿度条件を有する、気候制御されていない条件において使用される。特定の実施形態において、意図された使用事例の環境および分析特性に対するそれらの効果を補償するために、分析装置の特徴を修正することができる。
【0033】
図1は、分析装置の態様を示す。
図1に示される分析装置100は、ユーザが分析の開始時に装置を見ることができるような、トップダウンの視点から示される。分析装置は、内部分析構成要素の周りの外部シェルとして形成されるカセット105を含む。
図1では、分析装置100のカセット105の頂部の表面が見えている。本明細書の例示および説明のために、分析装置100は、第1の端部110および第2の端部120を有するように示されている。カセット105の長軸に平行な長軸を有するように配置される分析装置100の構成要素は、一貫した方位説明のために、本明細書では、第1の端部および第2の端部を有するものとして同様に説明される。第1の端部110に近接(隣接)(adjacent)して、カセット105内に形成された流体ウェル130がある。流体ウェル130は、流体ウェル130内に下部開口部135を含む。流体ウェル130は、開口部135を通ってカセット105の内部内の分析構成要素まで液体が流れるのを可能にするサイズおよび形状である。分析装置はまた、カセット105内に形成された毛細管弁140を含む。毛細管弁140は、カセット105の内部内に配置された下部開口部145を含む。分析装置100は、カセット105内に可視化開口部150を含む。
図1の視点では、可視化開口部150は、第2の端部120に最も近い、カセット105の頂部の開口部である。
【0034】
カセットは、本明細書で使用される場合、分析の他の構成要素を囲む、耐久性のあるケーシングまたはシェル(外郭構造)(shell)を指す。カセットは、内部構成要素を囲み、内部構成要素を互いにおよびカセットに対して所定の位置に固定し、また、ユーザによる試薬の添加および分析結果の検出のためのウェルおよび開口部などの分析の構造的特徴を提供する。カセットは、耐久性、重量およびコストなどの考慮事項のために選択された材料から製造することができる。カセットは、例えば、プラスチック材料から形成することができる。いくつかの実施形態では、カセット材料は、機能性毛細管弁を形成するために、表面に特定の化学的特性を有する。例えば、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、またはポリカーボネート(PC)からカセットを形成することができる。カセットは、他の分析構成要素を囲むサイズおよび形状である。カセットは、内部の特徴同様、流体ウェル、毛細管弁、および可視化開口部のサイズ、形状および位置などの、他の分析構成要素に対する適切なサイズ、形状および位置の特徴を有するように形成される。いくつかの実施形態では、カセットは、完全なカセットに互いに嵌合するサイズおよび形状の2つの部品から形成される。いくつかの実施形態では、カセットは、完全なカセットを形成するために互いに嵌合するサイズおよび形状の3つ以上の部品から形成される。
【0035】
図2は分析装置の内部の態様を示すために、分析装置100を断面図で示す。
図1に関して
図2に示される図は、
図1の視点において、第1の端部110における位置Aから第2の端部120における位置Bまでの断面図を示す。
図2に示されるカセット105は、完全なカセット105を形成するように互いに嵌合する、頂部構成要素200と底部構成要素205とを含む。底部構成要素205の下部壁275における外部表面は、テーブルまたはカウンターなどの表面上での分析装置100の安定した配置のために、平面状である。カセット105の頂部構成要素200は、カセット材料から形成された、流体ウェル130と、毛細管弁140と、可視化開口部150とを含む。
【0036】
流体ウェル130はカセット105と一体であり、カセットの残りの部分と同じ材料、または適合性のある材料から一体的に形成することができる。材料は、例えば、それらのカセット構造への製造性、耐久性、重さ、および費用を含む基準に基づいて選択することができる。流体ウェルはカセットの外部表面に頂部開口部を含み、ユーザが試薬液体、例えば試料液体および/または緩衝液を流体ウェルに添加することを可能にするサイズおよび形状の頂部開口部を含む。
図1の実施形態の流体ウェル130は、カセット105の第1の端部110に近接して配置されている。流体ウェル130は、カセット105の内部内に配置された下部開口部135を含む。流体ウェルの下部開口部は、開口部から流体を受け取るように配置された多孔質シートの表面に近接して配置されている。
図2に示す実施形態では、流体ウェル130の下部開口部135は、第1の多孔質シート220の平面に近接して配置されている。使用中、流体は、ユーザによって流体ウェル130に添加され、下部開口部135を通って第1の多孔質シート220内に流れる。流体ウェルは、分析機能のために十分な体積の流体を、流体ウェルの下部開口部に近接する多孔質シートの表面に運ぶ、サイズおよび形状である。流体ウェルのサイズ、形状および位置は、実施形態に応じて変化する。
図2に示される実施形態では、流体ウェル130は、実質的に円錐形である。
【0037】
毛細管弁140はカセット105と一体であり、カセットの残りの部分と同じ材料、または適合性のある材料から一体的に形成することができる。材料は、例えば、それらの表面-化学的相互作用、特定の幾何学的形状に対する接触角、カセット構造への製造性、耐久性、重さおよび費用を含む基準に基づいて選択することができる。毛細管弁140は、ユーザが毛細管弁140に試薬液体を添加することを可能にするサイズ、形状、および位置の開口部をカセット105の表面に含む。毛細管弁は、間隙によって下部開口部から隔てられた多孔質シートの表面と位置合わせされて配置された下部開口部を含む。
図2に示す実施形態では、下部開口部145は、下部開口部145と第3の多孔質シート235の頂部表面との間に間隙Aを有して配置されている。毛細管弁は、多孔質シートの頂部表面が毛細管弁の下部開口部に近接する位置に移動するまで、ウェルの内部内に十分な体積の液体を保持する、サイズ、形状、組成および位置である。毛細管弁のサイズ、形状、組成および位置は、具体的な分析の実施形態に依存する。
【0038】
分析装置に含まれる毛細管弁のサイズ、形状、材料および位置は、実施形態および特定の分析が作動するために必要な液体の生化学的要件に依存する。毛細管弁は、毛細管弁内に流体を保持するために、特定の、幾何学的形状および/または毛細管弁の内部内の分析流体との表面化学的相互作用のいずれかを含むマイクロチャネルを形成する。いくつかの実施形態では、毛細管弁は、形状変化に起因して、下部開口部に急な端部を有する円形管として成形される。Young-Laplace方程式の変化を使用して、下部開口部における流体平衡圧力を計算することができ、したがって、多孔質シートの表面が間隙を横切って毛細管弁の下部開口部に近接する位置に移動して多孔質シート内への流体流(流体の流れ、流体流動)を可能にするまで流体を毛細管弁の内部内に維持するのに必要な条件を計算することができる。下部開口部における直径、内部体積、および接触角は、所与の実施形態の毛細管弁のサイズおよび形状を決定するために計算することができる。例えば、以下を参照されたい:Cho et al., “How the capillary burst microvalve works,” J. Colloid Interface Sci., vol. 306, no. 2, pp. 379-385, Feb. 2007;Roy et al., “High performance of cyclic olefin copolymer-based capillary electrophoretic chips,” ACS Appl. Mater. Interfaces, vol. 5, no. 12, pp. 5683-5689, Jun. 2013;および、Rymuszka et al., “Wettability and thermal analysis of hydrophobic poly(methyl methacrylate)/silica nanocomposites,” Adsorpt. Sci. Technol., vol. 35, no. 5-6, pp. 560-571, Jun. 2017;その各々は、参照により本明細書に組み入れられる。Accu Dyne Test(2020年5月19日アクセス版)からオンラインで利用可能な“Critical Surface Tension and Contact Angle with Water for Various Polymers (sort by contact angle)”も参照されたい。
【0039】
実施形態に応じて、毛細管弁の下部開口部と、多孔質シートの頂部表面との間の間隙のサイズは、2mm~5cmである。標準的なカセット内に嵌合するために、間隙のサイズは一般に、2mm~1cmであることが意図される。いくつかの実施形態では、間隙のサイズは、特定の分析および/または意図される使用状況によって必要とされるときには、1cmを超える。一般に、より大きな間隙は、流体ウェルを通って移動する流体と、毛細管弁から分析への流体の添加との間に、より長い遅延を生成する。予期される遅延時間を有する分析装置、実施される生化学分析の段階または工程によって必要に応じて製造することができる。
【0040】
分析の実施中には、ユーザは、開始時に、分析装置の流体ウェルおよび毛細管弁に適切な液体を添加することができる。流体ウェルに添加された液体は、ウェル(縦穴)(well)の下部開口部を通って、近接する多孔質シートに急速に流れ、さらに、分析の内部を通って流れる。毛細管弁に添加される液体は、分析開始時に添加することができるが、初めのうちは間隙によって毛細管弁の下部開口部から隔てられていた多孔質シートの上部表面が、下部開口部に近接するように移動する、開始時よりも後の時点までは、毛細管弁の内部内に保持され、当該開始時よりも後の時点に、液体は、下部開口部を通って流れ、次いで、近接する多孔質シート内に流れる。したがって、ユーザは、分析装置を監視したり、分析開始時後に、予め事前設定された時間間隔で第2の緩衝剤または試薬液体を添加したりする必要がない。使用の容易さは、特に、ユーザが複数の競合タスクを有する状況、および/またはユーザが最小限の訓練しか受けていないか、または同様の分析手順をほとんど経験していない状況において、分析装置の操作性を改善することが想定される。
【0041】
カセット105は、カセット105の頂部構成要素200に可視化開口部150を含む。可視化開口部150は、ユーザが、分析結果の読み出しとして、分析装置構造内の多孔質材料の色変化などの視覚的変化を見ることを可能にするように配置される。可視化開口部は、分析中に表面に色または他の視覚的変化を生成する試薬を含む多孔質シートの頂部表面と位置合わせされる。例えば、
図2の実施形態は、第2の多孔質シート145の頂部表面が、可視化開口部150と位置合わせされ、表面に添加された試薬280を含むことを示している。試薬は、例えば、特異的分析の生化学によって必要とされるような、抗体、タンパク質、および/または核酸を含むことができる。いくつかの実施形態では、可視化開口部は、携帯電話カメラなどのカメラ装置とインターフェースで連結するサイズおよび形状である。いくつかの実施形態では、可視化開口部は、分析リーダー装置とインターフェースで連結するサイズおよび形状である。
図2に示す実施形態の可視化開口部150は、装置の第2の端部120に近接して配置されており、ユーザが可視化開口部150に近接する第2の多孔質シート245の表面の変化を可視化することができるようなサイズや形状である。
【0042】
図2は、第1の多孔質シート220と、第2の多孔質シート245の第1の端部が第1の多孔質シート220の第2の端部に近接するように配置された第2の多孔質シート245とを含む、分析装置100の実施形態を示す。第3の多孔質シート235は、第1の多孔質シート220の第2の端部および第2の多孔質シート245の第1の端部を覆う。第3の多孔質シート235の下に防湿層(防水層、吸湿防止材、湿気バリア)(moisture barrier)230が配置され、したがって、第3の多孔質シート235の下部表面は第1の多孔質シート220の頂部表面に接触しない。実施形態に応じて、防湿層は、薄いプラスチックシート、マイラーまたは金属膜などの材料から製造することができる。いくつかの実施形態では、防湿層は、近接する多孔質シートに対して防湿層を固定するための接着剤を含むことができる。防湿層230は、第2の多孔質シート245が第2の多孔質シート245の第2の端部で第3の多孔質シート235に接触するように配置される。第3の多孔質シート235は、可視化開口部150に近接しない位置で第2の多孔質シート245を覆い、したがって、第2の多孔質シート245の表面は、可視化開口部150の下にある。
【0043】
本明細書で使用される多孔質シートは、内部構造内の液体の流れを可能にする実質的に平面のシート構造として形成される材料を含む。例えば、いくつかの実施形態では、多孔質シートは、グラスファイバー材料またはニトロセルロース材料を含むことができる。多孔質シートは、分析装置によって実行される生化学分析のための試薬、例えば、埋め込まれた(embedded)、塩、抗体複合体および/または核酸を含む試薬を含むことができる。多孔質シートは、抗体またはアプタマーなどの1つまたは複数のタイプの結合タンパク質を含むことができる。いくつかの実施形態では、多孔質シートは、酵素(例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ、またはアルカリホスファターゼ)、3,3-ジアミノベンゼデン(DAB)などの現像試薬、または銀増強試薬などの、乾燥形態の視覚的増幅試薬を含む。いくつかの実施形態では、核酸増幅反応のための試薬を、1つまたは複数の多孔質シートに貯蔵することができる。核酸増幅反応のための試薬には、DNAポリメラーゼなどの酵素、ならびに、既知の配列の核酸(例えば特異的増幅分析のためのプライマーおよび/またはプローブ)が含まれる。多孔質シートはまた、トレハロースまたはスクロースなどの糖などの安定化剤、および、ウシ血清アルブミン(BSA)またはカゼインなどのタンパク質ブロッカーを含むことができる。複数の多孔質シートを含む実施形態では、多孔質材料の毛細管圧(毛管圧、毛管圧力、毛細管圧力)(capillary pressure)は、期待される液体流路を通って、増加するかまたは維持されるべきである。例えば、第1の多孔質シートは、第2の多孔質シートよりも小さい毛細管圧を有することができる。例えば、第2の多孔質シートは、第3の多孔質シートよりも小さい毛細管圧を有することができる。多孔質シートは、親水性である材料から製造されるべきであり、または、多孔質シートは、シートが親水性になるように処理され得る。
【0044】
分析装置は、分析装置の第2の端部において多孔質シートの第2の端部と接触するウィッキング(毛細管吸引)(毛細管作用で液体を吸引する・吸収する・吸い込む)(wicking)材料を含む。
図2に示す実施形態では、分析装置100は、互いに物理的に接触する2つの部分からなるウィッキング材料を含む。ウィッキング材料の第1の部分260は、第3の多孔質シート235の第2の端部と接触する第1の端部を有する。ウィッキング材料の第1の部分260の第2の端部はウィッキング材料の第2の部分265と接触しており、その結果、ウィッキング材料の第1の部分260および第2の部分265の組み合わされた端部は、第3の多孔質シート235の第2の端部の周りに巻き付く。ウィッキング材料の第2の部分265に近接して、第3の多孔質シート235の下に、圧縮された材料(compressed material)250が配置される。
【0045】
ウィッキング材料は、本明細書で使用される場合、分析装置内の分析構成要素を通って流れる液体を吸収することができる材料を含む。ウィッキング材料は、ウィッキング材料と接触している、近接する多孔質シートの毛細管圧よりも、大きい毛細管圧を有する。例えば、ウィッキング材料は、セルロース材料を含むことできる。いくつかの実施形態では、ウィッキング材料は、多孔質シートおよび支持材料の第2の端部の周りに巻き付くことができる材料の単一片である。ウィッキング材料の長さは、特定の実施形態に依存し、分析の工程または段階の間の時間遅延のために必要に応じて調整することができる。
【0046】
本明細書で使用される圧縮された材料は、実質的に湿っているときよりも実質的に乾燥しているときのサイズが小さい材料を含み、その結果、圧縮された材料は、分析装置内で膨張し、分析装置の他の構成要素を移動させる。圧縮された材料は、液体を保持していない場合にはサイズが小さくなり、液体を保持している場合にはサイズが大きくなる。例えば、実施形態に応じて、圧縮された材料は、圧縮されたセルローススポンジ、ハイドロゲル、または十分に吸収性のポリマーを含むことができる。圧縮された材料の膨張特性は具体的な実施形態に対して選択することができ、例えば、圧縮された材料の特定の時間帯におけるサイズ変化および/または最大限のサイズ変化を選択することができる。
【0047】
分析装置100は、カセット105内の分析構成要素の互いに対する位置を維持するための特徴を含む。分析構成要素の位置は、本明細書に記載されるように、分析の機能に必要である。支持材料225は、第1の多孔質シート220、第2の多孔質シート245、第3の多孔質シート235、および防湿層230の下にある。支持材料225は、例えば、可撓性を有するプラスチックシートまたは湿気(水分)(moisture)不透過性カードであってもよい。支持材料は、支持材料を、近接する多孔質シートおよびウィッキング材料に固定するための接着剤を含むことができる。
図2に示される実施形態では、カセット105の頂部構成要素200は、可視化開口部150の第2の端部に近接する頂部構成要素200の内部表面から突出する機械的ピボット215を含む。機械的ピボット215の遠位端は、ウィッキング材料260の第1の端部においてウィッキング材料260の頂部表面に近接して配置され、その結果、機械的ピボット215はウィッキング材料の相対位置を固定する。圧縮された材料250は、機械的ピボット215から分析装置105の第1の端部110と位置合わせされた位置に第1の端部を有する。したがって、圧縮された材料250は、液体を吸収した後、装置の第1の端部110に向かって膨張する。
【0048】
カセット105の第2の端部120において、頂部構成要素200は、カセット105の頂部構成要素200の頂部内部表面とウィッキング材料260の頂部表面との間に配置される頂部機械的圧縮突起270を含む。底部構成要素205は、底部構成要素205の内部表面とウィッキング材料265の下部表面との間に配置される、対応する底部機械的圧縮突起255を含む。組み合わされた機械的圧縮突起270、255は、ウィッキング材料260、265をカセット105の内部内の所定の位置に固定する。
【0049】
カセット105の頂部構成要素200は、第3の多孔質シート235の第2の端部の頂部表面に向かって頂部内部表面から下方に突出する頂部機械的ピボット210を含む。機械的ピボット210の遠位端と第3の多孔質シート235の表面との間には、間隙Bがある。対応する下部機械的ピボット240は、底部構成要素205の内部表面から上方に突出する。分析装置の使用中、圧縮された材料は、分析試薬から液体を吸収した後に膨張する。その結果生じる膨張は、支持材料225および多孔質シート220、245、235を、カセットの底部構成要素205から離れて、頂部構成要素200に向かって押す。上部機械的ピボット210の下部表面は、実質的に機械的ピボット210の第1の端部にある第3の多孔質シート235が、毛細管弁140の下部開口部145に近接するように移動し、毛細管弁140の内部から第3の多孔質シート245内への流体流を可能にするように、この移動を制御する。その結果生じる効果は分析装置内の分析内への第2の流体流であり、この第2の流体流は、ユーザによるさらなる介入なしに、分析の開始後の所定の期間に生じる。
【0050】
いくつかの実施形態では、分析装置は、本明細書に記載の1つの多孔質シート、2つの多孔質シート、または3つの多孔質シートを含むことができる。同様に、実施形態に応じて、分析装置は、単一の流体ウェルおよび単一の毛細管弁、または2つの流体ウェルおよび単一の毛細管弁を含むことができる。いくつかの実施形態は、複数の毛細管弁を含む。多孔質シート、流体ウェル、および毛細管弁の数、サイズ、位置、および組成の選択は、特定の分析実施および意図される使用事例の生化学的要件に依存する。
【0051】
いくつかの実施形態では、分析装置は、カセットと、分析構成要素のセットと、を含み、前記カセットは、上部構成要素と、下部構成要素と、を含み、前記上部構成要素は、流体ウェルと、毛細管弁と、機械的停止領域の頂部セクションと、機械的圧縮領域の頂部セクションと、可視化開口部と、を有し、前記下部構成要素は、前記機械的停止領域の底部部分と、前記機械的圧縮領域の底部部分と、を有し、前記分析構成要素のセットは、第1の端部および第2の端部を有する多孔質シートと、前記多孔質シートの前記第2の端部と接触しているウィッキング材料と、前記多孔質シートの頂部表面を前記毛細管弁の開口部に近接するように移動させるために湿潤時に十分に膨張するサイズ、形状および位置の、圧縮された材料と、を含む。
【0052】
図3は、分析装置100の態様を示す。
図3は、いくつかの構成要素のみが示された分析装置の簡略化されたバージョンを示す。例えば、より明確な提示のために、カセットシェルは、
図3に示される図から大部分が除去されている。カセットの下部壁275が文脈のために描かれている。
【0053】
図3は、ユーザが試料流体300を流体ウェル130に添加し、試薬流体305を毛細管弁140に添加した直後の時点における、分析の開始時の分析装置100の態様を示す。生化学分析に応じて、試料流体は、試験用の試料および緩衝溶液および/またはさらなる試薬を含むことができる。毛細管弁内の試薬流体は、生化学分析の後続の部分に必要な試薬を含むことができる。いくつかの実施形態では、試料流体および/または試薬流体は、リン酸緩衝生理食塩水、ホウ酸塩またはトリスHCLなどの、分析のための緩衝試薬を含む水溶液であり得る。いくつかの実施形態では、試料流体および/または試薬流体は、ウシ血清アルブミン(BSA)またはカゼインなどの1つまたは複数のブロッキング剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、試料流体および/または試薬流体は、トリトンX-100、トゥイーン20、またはトゥイーン80などの界面活性剤を含むことができる。
【0054】
図3に示される実施形態では、分析は、単一の多孔質シート310を含む。多孔質シート310の下には、支持材料225がある。試料流体300は、第1の端部付近の多孔質シート内の色勾配で示されるように、ユーザによる添加の直後に、流体ウェル130の下部開口部135を通って多孔質シート310内に移動する。毛細管弁140内の試薬流体305は、分析の開始時に直ちには下部開口部145を通って移動せず、最初は毛細管弁140内に維持される。間隙Aは、下部開口部145を多孔質シート310から隔てる。圧縮された材料250は多孔質シート310の底部表面に近接してウィッキング材料265と接触して配置され、一方、支持材料225は、多孔質シート310の底部表面と圧縮された材料250との間に配置される。
【0055】
図4は、
図3に示されるような分析装置100を利用する分析の、開始時よりも後の時点を示す。
図4は、試料流体が流体ウェル130の内部から下部開口部135を通って、多孔質シート310の長さに沿ってウィッキング材料260、265内に移動した時点を示す。流体は、ウィッキング材料260、265から、圧縮された材料250内に移動している。流体の取り込みは、圧縮された材料250を膨張させ、圧縮された材料250は、カセットの下部壁275に対してウィッキング材料265の下部セクションから支持材料225を上方に押し、支持材料225を上方に移動させる。この移動は頂部表面上の機械的ピボット210によって制約され、間隙Cは、下部機械的ピボット240と支持材料225の下部表面との間に開口している。ウィッキング材料260、265は、カセットの機械的圧縮突起270、255と所定の位置に固定される。カセット内で、機械的圧縮領域の頂部セクション270はウィッキング材料260の頂部表面に近接して配置され、機械的圧縮領域の底部部分255はウィッキング材料265の底部表面に近接して配置される。多孔質シート310は、その頂部表面が毛細管弁140の下部開口部145に近接して配置されるような点まで移動しており、その結果、毛細管弁140内にあった試薬流体(
図3参照)は、下部開口部145を通って多孔質シート310下部開口部に移動している。このようにして、試薬流体は、(例えば
図3に示されるように)ユーザによって緩衝流体および試薬流体の両方を分析に最初に添加した後の、或る時期に、多孔質シートに供給される。分析装置の視覚的出力は、可視化開口部150を通してユーザによって見ることができる。
【0056】
流体ウェルおよび毛細管弁から分析の多孔質シート内に通る流体の相対的タイミングは、特定の分析実施形態の必要性に対して調整することができる。例えば、多孔質シートの長さ、厚さ、および材料組成は、既知の流体流動特性(fluid flow characteristics)を用いて選択することができ、ある体積の試料流体が流体ウェルから多孔質シートの第2の端部に移動する時間の量は、特定の分析に対して計算および調整することができる。同様に、ウィッキング材料の吸収度特性、サイズ、形状、および位置は、流体がウィッキング材料を通過して圧縮された材料内に入るのに要する時間の量を変化させるように調整することができる。加えて、圧縮された材料の組成、サイズ、形状および位置は、特定の時間および膨張速度に対して調整することができる。例えば、様々な実施形態は、5分~60分(1時間)の間の分析の工程または段階の間の遅延を含むことができる。例えば、シグナル増強剤として西洋ワサビペルオキシダーゼおよびジアミノベンジジンを使用する分析実施形態は、分析の段階間に15分間の遅延を必要とし得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、分析装置は、カセットと、分析構成要素のセットと、を含み、前記カセットは、上部構成要素と、下部構成要素と、を含み、前記上部構成要素は、流体ウェルと、毛細管弁と、機械的停止領域の頂部セクションと、機械的圧縮領域の頂部セクションと、可視化開口部と、を有し、前記下部構成要素は、前記機械的停止領域の底部部分と、前記機械的圧縮領域の底部部分と、を有し、前記分析構成要素のセットは、第1の端部および第2の端部を有する第1の多孔質シートと、第1の端部および第2の端部を有する第2の多孔質シートと、であって、前記第1の多孔質シートの前記第2の端部が前記第2の多孔質シートの前記第1の端部と接触している、第1の多孔質シートおよび第2の多孔質シートと、前記第2の多孔質シートの前記第2の端部と接触しているウィッキング材料と、前記多孔質シートの頂部表面を前記毛細管弁の開口部に近接するように移動させるために湿潤時に十分に膨張するサイズ、形状および位置の、圧縮された材料と、を含む。
【0058】
図5は、分析装置100の態様を示し、いくつかの特徴は、明瞭性を向上させるために除去されている。分析装置は、分析装置の第1の端部110に対応する第1の端部および、第2の端部を有する第1の多孔質シート500を含む。第1の多孔質シート500は、第2の多孔質シート505と直線状の配列で配置される。第1の多孔質シート500の第2の端部は、第2の多孔質シート505の第1の端部と接触している。第1の多孔質シートは、第2の多孔質シートの毛細管圧以下の毛細管圧を有する。支持材料225は、第1の多孔質シート500および第2の多孔質シート505の両方の下に配置される。カセットの内部から内側に突出する機械的ピボット210、240は、第1の多孔質シート500および第2の多孔質シート505が互いに接触する接合部に近接して配置される。間隙Bは、頂部機械的ピボット210の下部端部と、第1の多孔質シート500の頂部表面および第2の多孔質シート505との間に配置される。
図3と同様に、
図5に示される時点で、試料流体300は、流体ウェル130に添加されたばかりであり、流体ウェル130の下部開口部135を通って第1の多孔質シートの第1の端部内に移動している。試料流体300の流体流は、多孔質シート500の第1の端部から第2の端部まで第1の多孔質シート500の長さに沿っており、第2の多孔質シート505の第1の端部で第2の多孔質シート505内に移動する。試薬流体305は、毛細管弁140内に維持され、毛細管弁140の下部開口部145と第1の多孔質シート500の頂部表面との間に間隙Aを有する。可視化開口部150は、第2の多孔質シート505の上方に配置される。
【0059】
図6は、分析の開始時よりも後の時点における、
図5に示されるものと同様の分析装置100を示す。試料流体は第1の多孔質シート500内に移動し、第1の多孔質シート500の長さに沿って第2の端部まで移動し、第2の多孔質シート505の第1の端部内に移動している。試料流体は第2の多孔質シート505の長さに沿って第2の端部まで移動し、ウィッキング材料260、265内に入っている。試料流体は、ウィッキング材料260、265から、圧縮された材料250内に移動し、圧縮された材料250を膨張させる。この膨張により、支持材料225が上方に押され(圧迫、押圧)(press)、支持材料225が第1の多孔質シート500および第2の多孔質シート505を上方に(例えばカセットの下部壁275から離れるように)移動させる。頂部機械的ピボット210の端部は、第1の多孔質シート500と第2の多孔質シート505との間の接合部と接触し、シートを相対位置に保持する。新しい間隙Cは、支持材料225の下部表面と下部機械的ピボット240との間に開口している。毛細管弁140の下部開口部145は第1の多孔質シート500の頂部表面に近接した位置にあるので、試薬流体は下部開口部145を通って第1の多孔質シート500内に移動している。そこから、試薬流体は、第1の多孔質シート500を通ってその第2の端部まで、そして、第2の多孔質シート505の第1の端部内へと、試料流体と同様の流体経路をたどる。試薬流体は、その後、分析操作の一部として、第2の多孔質シート中に存在する生化学的成分と反応することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、分析装置は、カセットと、分析構成要素のセットと、を含み、前記カセットは、上部構成要素と、下部構成要素と、を含み、前記上部構成要素は、流体ウェルと、毛細管弁と、機械的停止領域の頂部セクションと、機械的圧縮領域の頂部セクションと、可視化開口部と、を有し、前記下部構成要素は、前記機械的停止領域の底部部分と、前記機械的圧縮領域の底部部分と、を有し、前記分析構成要素のセットは、第1の端部および第2の端部を有する第1の多孔質シートと、第1の端部および第2の端部を有する第2の多孔質シートと、第1の端部および第2の端部を有する第3の多孔質シートと、であって、前記第2の多孔質シートが前記第1の多孔質シートの前記第2の端部および前記第3の多孔質シートの前記第1の端部を覆っている、第1の多孔質シート、第2の多孔質シートおよび第3の多孔質シートと、前記第3の多孔質シートの前記第2の端部と接触しているウィッキング材料と、前記第2の多孔質シートの頂部表面を前記毛細管弁の開口部に近接するように移動させるために湿潤時に十分に膨張するサイズ、形状および位置の、圧縮された材料と、を含む。
【0061】
図7は分析装置100の態様を示し、いくつかの特徴は、説明のために除去されている。装置100は
図2に示されるものと同様であり、カセットシェルは、説明のためにほとんど除去されている。分析装置100は、第1の多孔質シート220、第2の多孔質シート245、および、第1の多孔質シート220と第2の多孔質シート245とを部分的に覆う第3の多孔質シート235を含む。第3の多孔質シート235と第1の多孔質シート220との間に、防湿層230が配置される。防湿層230はまた、第1の多孔質シート220と第2の多孔質シート245とに接触する接合部の上に配置されており、第1の多孔質シート220と第2の多孔質シート245とを、それらを覆っている第3の多孔質シート235から隔てる。第3の多孔質シート235の第2の端部は、防湿層230の第2の端部を越えて延在し、機械的ピボット210、240と位置合わせされた位置で第2の多孔質シート245の頂部表面と接触する。
図7に示される分析装置100は、流体ウェル130に添加される試料流体300を有する。試料流体300は、流体ウェル130の下部開口部135を通って、第1の多孔質シート220内の色勾配によって示されるように、第1の多孔質シート220内に移動している。流体は、第1の多孔質シート220の第1の端部から、第1の多孔質シート220の第2の端部に向かって移動している。流体は、第1の多孔質シート220と第2の多孔質シート245との間の接合部を横切って、ウィッキング材料260、265内に、さらに圧縮された材料250内に移動する。第2の多孔質シートの毛細管圧は、第3の多孔質シートの毛細管圧よりも大きく、第2の多孔質シートから第3の多孔質シートへの流体の移動を抑制する。試薬流体305は、流体ウェル130への試料流体300と同様の時点に、毛細管弁140に添加された。試薬流体305は、毛細管弁140内に維持される。
【0062】
図8は、分析の開始時よりも後の時点における、
図7に示されるものと同様の分析装置100を示す。試料流体は、
図7に関して説明したように、圧縮された材料250内に移動し、圧縮された材料250を支持材料225に対して上方に膨張させる。これは、第3の多孔質シート235の第2の端部を上方に移動させて機械的ピボット210の下部表面に接触させ、下部機械的ピボット240の頂部表面と支持材料225の下部表面との間に間隙Cを残す。ここで、毛細管弁140の下部開口部145は第3の多孔質シート235の第1の端部の頂部表面に近接し、試薬流体は、第3の多孔質シート235内に移動している。第3の多孔質シート235の毛細管圧は第2の多孔質シート245の毛細管圧以下であるので、流体は第2の多孔質シート245内に流れ込み、第2の多孔質シート245内で生化学反応を生じる。その結果生じる、第2の多孔質シート245の視覚的変化は、可視化開口部150を通してユーザに見える。
【0063】
図9は、分析の実施中にユーザによって見られ得るような、トップダウンの視点からの分析装置100を示す。分析装置100はカセット105を含み、方位の目的のために第1の端部110および第2の端部120が記されている。分析装置100は第1の流体ウェル130を含み、第1の流体ウェル130は、分析装置100の内部の特徴と位置合わせされてカセットの内部内に配置された下部開口部135を有する。分析装置100は第2の流体ウェル900を含み、第2の流体ウェル900は、分析装置100の内部の特徴と位置合わせされてカセットの内部内に配置された下部開口部905を有する。また、カセットの内部内に配置された下部開口部145を有する毛細管弁140が、分析装置100の内部の特徴と位置合わせされて見える。分析装置100は、分析の内部の特徴と位置合わせされる可視化開口部150を含む。
【0064】
図10は、断面図において、
図9に示されるものと同様の分析装置100を示す。
図10の分析装置は
図9に対するおよそAからBの断面図である。第1の流体ウェル130は装置100の第1の端部110に近接して配置され、第1の流体ウェル130の下部開口部135は、カセット内の第1の多孔質シート220の第1の端部の上部表面に近接して配置される。分析装置100は、第1の流体ウェル130よりも装置の第2の端部120に近い位置に第2の流体ウェル900を含む。第2の流体ウェル900は、第1の多孔質シート220の上部表面に近接して配置された下部開口部905を含む。毛細管弁140は第3の多孔質シート235の頂部表面と位置合わせされた下部開口部145を有し、毛細管弁140は、下部開口部145と第3の多孔質シート235の頂部表面との間に間隙Aを有する。可視化開口部150は、第2の多孔質シート245の頂部表面と位置合わせされて配置される。第2の多孔質シート245は、可視化開口部150と位置合わせされて上部表面に添加された試薬1000を含む。分析の実施中、試薬1000は、例えば、分析の他の生化学的成分を固定して、分析のユーザに見える色変化を生成することができる。例えば、試薬1000は、抗体、アプタマー、核酸および/またはタンパク質を含むことができる。例えば、抗体は、完全抗体、IgG、IgM、または、Fc、Fab、Fvもしくは類似の抗体断片などの抗体断片を含むことができる。
【0065】
図11は、単一の多孔質シート310と、第1の流体ウェル130および第2の流体ウェル900の両方とを組み込んだ分析装置100の態様を示す。カセットの下部壁275は参照のために示されているが、カセットの大部分は明確にするために
図11の図から除去されている。
図11は第1の端部110および第2の端部120を有する分析装置100を示し、分析装置100は、第1の端部110に近接して配置された第1の流体ウェル130と、第1のウェル130に対して第2の端部位置にある第2の流体ウェル900とを有する。毛細管弁140は、第1の流体ウェル130および第2の流体ウェル900に対して、カセットの第2の端部120の側にある。図示された時点では、ユーザは、第1の流体300を第1の流体ウェル130に添加し、第2の流体1100を第2の流体ウェル900に添加している。第1の流体および第2の流体は、特定の分析に応じて、分析試薬および試験される試料を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1のウェルを使用して液体試料を分析に添加することができ、第2のウェルを使用して緩衝液を分析に添加することができる。いくつかの実施形態では、カセットの外部表面に適切に標識された第1のウェルおよび第2のウェルを有することが有用であり得、例えば、明瞭さおよび使用の容易さのために「試料」および「緩衝剤」である。第1の流体300および第2の流体900はそれぞれ、第1の流体ウェル130および第2の流体ウェル900の下部開口部135、905を通って移動し、多孔質シート310内に流入する。これは、
図11に示される多孔質シート310の色勾配によって可視化される。第1の流体および第2の流体は、装置内に組み込まれる特定の分析の生化学によって所望されるように、多孔質シート内で混合する。多孔質シート310はウィッキング材料260、265よりも小さい毛細管圧を有し、これによって、分析進行の持続時間にわたって多孔質シート310を通してウィッキング材料内に流体が引き込まれる。
【0066】
図11に示される段階において、試薬流体305は、ユーザによって毛細管弁140に添加され、毛細管弁140内内に保持される。毛細管弁140の下部開口部145は、下部開口部145と多孔質シート310の頂部表面との間に間隙Aを有して配置される。上部機械的ピボット210の下部表面と多孔質シート310の頂部表面との間には間隙Bが存在する。
【0067】
図12は、分析進行における開始時よりも後の時点における、
図11に示されるものと同様の分析装置100の態様を示す。
図12を見ると、第1の流体300および第2の流体900は、それぞれ、第1の流体ウェル130および第2の流体ウェル900の下部開口部135、905を通って、多孔質シート310内に完全に移動している。この流体は、多孔質シート310内の色勾配で示されている。流体は、その中の色勾配によって示されるように、ウィッキング材料260、265内に移動し、さらに圧縮された材料250内に移動している。圧縮された材料250は、膨張し、カセットの下部壁275に対して配置されたウィッキング材料265から支持材料225および多孔質シート310を上方に押し、支持材料225および多孔質シート310を上方に移動させる。多孔質シート310および支持材料225の上方への移動は、上部機械的ピボット210の下部表面によって抑制される。それと対応して、間隙Cは、支持材料225の下部表面と下部機械的ピボット240との間に開口している。このとき、毛細管弁140の下部開口部145は、多孔質シート310の上部表面に近接して配置される。毛細管弁140内に保持された試薬流体は、下部開口部145を通って多孔質シート内に移動し、多孔質シート内の第1の流体および第2の流体と混合する。この流体の混合物は多孔質シート310を通って第2の端部120に向かって流れ、その結果生じる、分析の結果を示す色変化は、可視化開口部510を通してユーザによって可視化することができる。
【0068】
図13は、分析装置100の態様を示す。分析装置100は、互いに対して直線的に位置合わせされた第1の多孔質シート500および第2の多孔質シート505を含む。第1の多孔質シート500は、第2の多孔質シート505よりも毛細管圧が小さい。第2の多孔質シート505は、ウィッキング材料260、265よりも小さい毛細管圧を有する。結果として、流体流は、分析装置100の第1の端部110から第2の端部120に移動する。
図13に示される時点で、ユーザは、分析に適した流体を第1の流体ウェル130、第2の流体ウェル900、および毛細管弁140に添加している。第1の流体ウェル130および第2の流体ウェル900内の流体300、1100は、それぞれの下部開口部135、905を通って第1の多孔質シート500内に流れている。
図13は、第1の多孔質シート500内の色勾配で、この流体流を示す。試薬流体305は、ユーザによって毛細管弁140に添加され、毛細管弁140内に保持されている。毛細管弁140の下部開口部145は、下部開口部145と第1の多孔質シート500の頂部表面との間に間隙Aを有して配置される。上部機械的ピボット210の下部表面と第1の多孔質シート500の頂部表面との間には、第1の多孔質シート500の第2の端部に近接する位置に間隙Bが存在する。可視化開口部150は、ユーザが第2の多孔質シート505上の分析の結果を検出することができる位置で、第2の多孔質シート505の頂部表面の上方に配置される。
【0069】
図14は、分析中の分析装置100の態様を示し、分析装置100は、分析進行の開始時よりも後の時点における、
図13に示されるものと同様のものである。第1の流体ウェル130および第2の流体ウェル900内にあった流体は、第1の多孔質シート500内の色勾配によって示されるように、流体ウェル130、900のそれぞれの下部開口部135、905を通って第1の多孔質シート500内に移動している。流体は、多孔質シート500内で混合され、第2の多孔質シート505内の色勾配によって示されるように、第1の多孔質シート500の第2の端部における接合部を通って、第2の多孔質シート505の第1の端部内に移動している。流体は、生化学分析に特異的なように、第1の多孔質シートおよび第2の多孔質シートの両方に埋め込まれた試薬と混合されている。流体は、ウィッキング材料260、265内に移動し、さらに圧縮された材料250内に移動している。圧縮された材料250は流体の添加によって膨張し、下部ウィッキング材料265およびカセットの近接する下部壁275に対して上方に押している。この圧力は、支持材料225を上方に押し上げ、それに対応して、第1の多孔質シート500および第2の多孔質シート510を上方に押し上げている。第1の多孔質シート500の上部表面は毛細管弁140の下部開口部145に近接して移動しており、毛細管弁140内にあった試薬流体は、近接する第1の多孔質シート500内に移動している。これは、分析装置内の多段階生化学分析の進行の一部としての、第1の流体、第2の流体、および多孔質シート中に存在していた試薬の既存の混合物と、試薬流体との混合をもたらす。流体と試薬との混合物は、第2の多孔質シート505内に流入し、生化学分析の結果として、可視化開口部150を通してユーザによって検出可能な視覚的変化を生成する。
【0070】
図15は、第1の多孔質シート220、第2の多孔質シート245および第3の多孔質シート235、ならびに第1の流体ウェル130および第2の流体ウェル900の両方を含む分析装置100の特徴を示す。カセットの下部壁275が示されているが、カセットの大部分は明確にするために
図15の図から除去されている。第3の多孔質シート235は、第1の多孔質シート220と第2の多孔質シート245との間の接合部を含めて、第1の多孔質シート220の第2の端部と第2の多孔質シート245の第1の端部とを部分的に覆う。第3の多孔質シート235の下部表面と第1の多孔質シート220の頂部表面との間に、防湿層230が配置され、防湿層230は、第1の多孔質シート220と第3の多孔質シート235との間の直接的な流体移動を防止する。第3の多孔質シート245の第2の端部は防湿層130の第2の端部を越えて延在し、その結果、第3の多孔質シートの第2の端部は、第2の多孔質シート245の第1の端部の付近の位置で第2の多孔質シート245に接触する。第1の多孔質シートの毛細管圧は第2の多孔質シートの毛細管圧よりも小さいので、流体は第1の多孔質シートから第2の多孔質シートに流れる傾向がある。第3の多孔質シートの毛細管圧も第2の多孔質シートの毛細管圧よりも小さいので、流体はまた、第3の多孔質シートから第3の多孔質シート内に流れる傾向がある。ウィッキング材料の毛細管圧は、第3の多孔質シートの毛細管圧よりも小さく、その結果、流体が第3の多孔質シートを通ってウィッキング材料内に移動する傾向をもたらす。
【0071】
図15は、ユーザが第1の流体300を第1の流体ウェル130に添加し、第2の流体1100を第2の流体ウェル900に添加した直後の時点で示される。流体300、1100は、第1の多孔質シート220内の色勾配によって示されるように、第1の流体ウェル130および第2の流体ウェル900のそれぞれの下部開口部135、905を通って第1の多孔質シート220内に移動している。流体は、実施される特定の生化学分析によって必要とされるように、第1の多孔質シート内で、互いに混合し、また、第1の多孔質シート内に貯蔵された任意の乾燥試薬とも混合する。試薬流体305は、毛細管弁140に添加され、毛細管弁140内に保持されている。間隙Aは、毛細管弁140の下部開口部145と第3の多孔質シート235の表面との間に配置される。間隙Bは、機械的ピボット210の頂部セクションと、第2の多孔質シート245の頂部表面と接触する第3の多孔質シート235の第2の端部との間に存在する。
【0072】
図16は、分析の実施中の分析装置100の態様を示す。
図16に示される分析装置100は、分析の開始時よりも後の段階における、
図15に示されるものと同様である。第1の流体ウェル130および第2の流体ウェル900内にあった流体は、流体ウェル130、900のそれぞれの下部開口部135、905を通って第1の多孔質シート220内に移動している。流体は、第1の多孔質シート220に沿って第1の端部から第2の端部に移動しており、第2の多孔質シート235内に入っている。さらに流体はウィッキング材料260、265内に移動しており、さらに圧縮された材料250内に移動している。圧縮された材料250は膨張しており、支持材料225、ひいては多孔質シート220、235、245の上方への移動を引き起こす。この移動は、第3の多孔質シート235の第2の端部の頂部表面に対する機械的ピボット210の頂部部分の遠位端によって制限される。第3の多孔質シート235の頂部表面は毛細管弁140の下部開口部145と近接するように移動しており、毛細管弁140内にあった試薬流体は、第3の多孔質シート235内に移動している。次いで、試薬流体は、第3の多孔質シート235から第2の多孔質シート245内に移動しており、多孔質シート220、235、245のうちの1つの中に最初に貯蔵された成分、ならびに、第1の流体、第2の流体および試薬流体中の成分を含めて、第2の多孔質シート245内の分析成分と混合されている。生化学分析結果を示す第2の多孔質シート245の視覚的変化は、可視化開口部150を通してユーザによって見ることができる。
【0073】
〔実施例:毛細管弁および自己作動式エレベータバルブによって可能にされる側方流動分析(LFA)におけるシグナル増幅〕
側方流動分析(LFA)は、リソースが限られている設定で最も広く使用されている診断装置のいくつかである。しかしながら、それらは、分析性能を大幅に高めることができる、複数の時間遅延工程を必要とする化学反応を容易には支持しない。この欠点に対処するために、本発明者らは、多段階分析を自動化するために、膨張材料の液体活性化を毛細管弁と組み合わせた新規LFA設計を開発した。この設計は、最小限のユーザ介入を可能にし、使用および解釈が容易であり、スケールで製造される外走式(オープンリール式)(reel to reel)であり得るので、従来のLFAの全体的な単純さを維持する点で独特である。
【0074】
側方流動分析(LFA)はその低コスト、および計装されていない形式のため、様々な用途におけるケア時点での試験を可能にした診断技術であり、最小限の訓練を受けた人員によって動作可能である(E. B. Bahadir および M. K. Sezginturk, “Lateral flow assays: Principles, designs and labels,” TrAC - Trends in Analytical Chemistry, vol. 82. Elsevier B.V., pp. 286-306, September 2016、本書は参照により本明細書に組み込まれる)。典型的なLFAは、乾燥試薬を貯蔵し、流動を駆動し、目的の標的を結合/標識する、一連の多孔質材料を含む;一般的なフォーマットは、数十年間ほとんど変化しないままである。フォーマットの特定の局面における改良には、新しいクラスの結合要素、より高感度の標識、より良好な試薬放出または安定性を有する新しい材料、および改良された製造方法が含まれる(J. H. Soh, H. M. Chan, および J. Y. Ying, “Strategies for developing sensitive and specific nanoparticle-based lateral flow assays as point-of-care diagnostic device,” Nano Today, vol. 30. Elsevier B.V., p. 100831, February 2020、本書は参照により本明細書に組み込まれる)。しかし、LFAフォーマットはケア時点でのイムノアッセイの広範な流通を可能にするが、それは、診断性能を向上させるが操作の複雑さを増加させる、より高度な化学反応および分析(例えば、酵素化学反応、酸化還元化学反応および核酸増幅)に対する支持を制限する。種々の強化されたLFAは、疎水性障壁(バリア)、溶解要素、および膨張する弁といった新しい操作要素の使用で実証されている(E. Fu および C. Downs, “Progress in the development and integration of fluid flow control tools in paper microfluidics,” Lab on a Chip, vol. 17, no. 4. Royal Society of Chemistry, pp. 614-628, February 2017、本書は参照により本明細書に組み込まれる)。しかしながら、今日まで、そのような解決策は、既存のスケール製造と互換性がなく、したがって、特にコストおよび流通に関して、LFAフォーマットのすべての利点を活用することができるわけではない。
【0075】
これらの制限に対処するために、本発明者らは、多段階分析を自動化するために、エレベータ弁と呼ばれる膨張材料の液体活性化を毛細管弁と組み合わせた新規LFAを開発した。LFAを通って膨張材料内への流れは、カセット内の毛細管弁と接触するようにLFA位置を上昇させる。本発明者らは最初に、このスイッチング機構が再現可能であることを検証し、次いで、本発明者らは、スイッチタイミングがLFAのウィッキングパッド材料の長さおよび材料選択を通して調整可能であることを実証した。インライン設計は、外走式スケールの製造、およびネットワークジオメトリの変化による多段階分析の調整を可能にする。
【0076】
全ての装置は、ニトロセルロース試験膜(Sartorius CN95)から製造された第2の多孔質シート、両面テープ(3M)によって分離された2つのガラス繊維サンプル/コンジュゲートパッド(Ahlstrom 8951)を利用する第1および第3の多孔質シート、および60mm接着バッキングカード(DCN)の上のウィッキング材料を用いて組み立てられた紙ネットワーク、ならびに、底面上の両面テープによって接着された、圧縮されたスポンジ(S&S Worldwide、Sponge Ums)およびより多くのウィッキングパッドを使用した。
図10に示す集合体で、Kinematic Matrixギロチンカッター上で、より大きな集合体から個々の4mmのストリップを切断する。初期のベンチ試験では、調整可能なはんだ付けジグ内のネットワークの上方に保持されたピペットチップを使用した。カセット試験では、SolidWorks(Dassault Systemes)で設計された3D印刷プロトタイプカセット(VeroClear on Stratasys J750)を使用した。本発明者らの主要な頑丈さ測定基準は、「活性化までの時間」であり、これは、手動工程と自動化された液体添加工程との間の時間であった。
【0077】
この研究の目的は、従来のLFAと同じくらい容易に操作および製造することができる紙ネットワークにおいて、より感度の高い分析をフォーマットすることであった。紙とプラスチックのマイクロ流体工学の研究に基づいて、
図15と
図16に示す設計を実施した。この分析装置は、紙のネットワークを特定の時間にカセット内の毛細管弁と接触するように切り替える。このスイッチは、例えば、LFA信号を増幅する第2の試薬セットを送達する。単純な幾何学的調整により、設計者は活性化までの時間を調整することができる。これらの試験からの実験データを
図18に示し、時間遅延をX軸に分で示し、使用した特定のウィッキング材料の長さをY軸にmmで示す。結果の最良適合線が示される。
図18は例えば、6mmおよび13mmの長さのウィッキング材料が、10分離れた遅延時間で分析の第2の工程を活性化することを示す。さらに、ウィッキング材料の材料選択は、時間遅延期間を変化させた。
図17に、種々の材料の試験結果を示す。
図17は、Ahlstrom 243、GE CF4、GE CF6、およびMillipore CO83からなるウィッキング材料からの試験データを右から左までの列に示している。これらの材料選択およびサイズ調整によって設定される遅延は、様々なタイミング要件を有する広範囲の(少なくとも)2工程分析の統合に対応する。
【0078】
様々な態様および実施形態が本明細書に開示されてきたが、他の態様および実施形態が当業者には明らかであろう。本明細書に開示される様々な態様および実施形態は例示を目的とするものであり、限定することを意図するものではなく、真の範囲および趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【
図1】分析装置のカセットの頂部表面の外観図である。
【
図2】カセットおよび内部分析構成要素の断面図である。
【
図3】カセットおよび内部分析構成要素のいくつかの特徴の断面図である。
【
図4】カセットおよび内部分析構成要素のいくつかの特徴の断面図である。
【
図5】カセットおよび内部分析構成要素のいくつかの特徴の断面図である。
【
図6】カセットおよび内部分析構成要素のいくつかの特徴の断面図である。
【
図7】カセットおよび内部分析構成要素のいくつかの特徴の断面図である。
【
図8】カセットおよび内部分析構成要素のいくつかの特徴の断面図である。
【
図9】分析装置のカセットの頂部表面の外観図である。
【
図10】カセットおよび内部分析構成要素の断面図である。
【
図11】カセットおよび内部分析構成要素のいくつかの特徴の断面図である。
【
図12】カセットおよび内部分析構成要素のいくつかの特徴の断面図である。
【
図13】カセットおよび内部分析構成要素のいくつかの特徴の断面図である。
【
図14】カセットおよび内部分析構成要素のいくつかの特徴の断面図である。
【
図15】カセットおよび内部分析構成要素のいくつかの特徴の断面図である。
【
図16】カセットおよび内部分析構成要素のいくつかの特徴の断面図である。
【国際調査報告】