(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-15
(54)【発明の名称】繊維、同繊維で形成された複合材料、および同複合材料を形成する方法
(51)【国際特許分類】
D01F 8/06 20060101AFI20230508BHJP
D04H 1/4382 20120101ALI20230508BHJP
【FI】
D01F8/06
D04H1/4382
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022524172
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(85)【翻訳文提出日】2022-06-21
(86)【国際出願番号】 US2020062839
(87)【国際公開番号】W WO2021113327
(87)【国際公開日】2021-06-10
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516371379
【氏名又は名称】ファイバービジョンズ リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142572
【氏名又は名称】水内 龍介
(72)【発明者】
【氏名】スタール ソーレン
(72)【発明者】
【氏名】クリント ソーレン
(72)【発明者】
【氏名】デサイ プラシャント
【テーマコード(参考)】
4L041
4L047
【Fターム(参考)】
4L041BA21
4L041BD11
4L041CA36
4L041CA38
4L041CA40
4L047AA14
4L047AA16
4L047AA21
4L047AA23
4L047AA26
4L047AA27
4L047AA28
4L047AA29
4L047AB02
(57)【要約】
代表的な繊維は、マトリックスを形成する低融点ポリオレフィン材料と、重合体または共重合体の粒子としてマトリックスに懸濁した重合体または共重合体であって、重合体または共重合体の粒子が、低融点ポリオレフィン材料に比べて高硬度かつ高剛性を示す重合体または共重合体とを包含し、重合体または共重合体は、低融点ポリオレフィン材料に対し非混合性を有する繊維。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維であって、
前記繊維が、
マトリックスを形成する低融点ポリオレフィン材料と、
重合体または共重合体の粒子として前記マトリックスに懸濁した前記重合体または共重合体であって、前記重合体または共重合体の前記粒子が、前記低融点ポリオレフィン材料に比べて高硬度かつ高剛性を示す重合体または共重合体と
を含み、
前記重合体または共重合体は、前記低融点ポリオレフィンに対し非混合性を有する、繊維。
【請求項2】
前記繊維は、押し出された繊維である、請求項1に記載の繊維。
【請求項3】
前記重合体または共重合体は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリラクチド、ポリアミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、およびアクリロニトリル・ブタジエン・スチレンからなる群のうちの1つ以上から選択される、請求項1に記載の繊維。
【請求項4】
前記マトリックスに懸濁した前記重合体または共重合体は、前記低融点ポリオレフィンの1%~25%の間の重量である、請求項1に記載の繊維。
【請求項5】
前記繊維は、二成分繊維である、請求項1に記載の繊維。
【請求項6】
前記二成分繊維は、コアおよびシースを有し、かつ
前記シースは、前記低融点ポリオレフィン材料および前記マトリックスに懸濁した前記重合体または共重合体から形成される、請求項5に記載の繊維。
【請求項7】
前記マトリックスに懸濁した前記重合体または共重合体は、前記低融点ポリオレフィン材料の1%~25%の間の重量である、請求項5に記載の繊維。
【請求項8】
接着促進剤をさらに含む、請求項1に記載の繊維。
【請求項9】
複合材料であって、
前記複合材料が、
基材と、
前記基材に結合される複数の繊維であって、前記複数の繊維の各々は、
マトリックスを形成する低融点ポリオレフィン材料と、
重合体または共重合体の粒子として前記マトリックスに懸濁した前記重合体または共重合体であって、前記重合体または共重合体の前記粒子が、前記低融点ポリオレフィン材料に比べて高硬度かつ高剛性を示し、前記重合体または共重合体が、前記低融点ポリオレフィンに対し非混合性を有する重合体または共重合体と
を含む、複数の繊維と
を含む、複合材料。
【請求項10】
前記複数の繊維の各々は、押し出された繊維である、請求項9に記載の複合材料。
【請求項11】
前記複数の繊維は、溶融結合により前記基材と結合される、請求項9に記載の複合材料。
【請求項12】
前記低融点ポリオレフィン材料と前記マトリックスに懸濁した前記重合体または共重合体の両方を溶融して、前記溶融結合を形成する、請求項11に記載の複合材料。
【請求項13】
複合材料を形成する方法であって、
前記方法が、
複数の繊維を提供することであって、前記複数の繊維の各々は、
マトリックスを形成する低融点ポリオレフィン材料と、
重合体または共重合体の粒子として前記マトリックスに懸濁した前記重合体または共重合体であって、前記重合体または共重合体の前記粒子が、前記低融点ポリオレフィン材料に比べて高硬度かつ高剛性を示し、前記重合体または共重合体が、前記低融点ポリオレフィンに対し非混合性を有する重合体または共重合体と
を含む、複数の繊維を提供することと、
基材を提供することと、
前記複数の繊維の前記低融点ポリオレフィン材料を溶融して、前記複数の繊維を前記基材に結合させることと、
前記低融点ポリオレフィン材料および前記基材を冷却して、前記複合材料を凝固させること
を含む、方法。
【請求項14】
前記複数の繊維を提供することは、
前記低融点ポリオレフィン材料と前記重合体または共重合体とを混合して、混合物を形成することと、
前記混合物の前記低融点ポリオレフィン材料および前記重合体または共重合体を溶融することと、
前記混合物を押し出して、前記繊維を形成すること
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記混合物を押し出すことは、前記混合物をコアの周りで押し出すことを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記溶融は、前記複数の繊維の前記重合体または共重合体を溶融して、前記複数の繊維を前記基材に結合することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記溶融の前かつ前記重合体または共重合体のガラス転移点未満の温度の間に、
前記複数の繊維を開繊することと、
前記複数の繊維を前記基材上に配置すること
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の繊維を開繊することと、
前記複数の繊維を前記基材上に積層して、積層物を形成すること
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記基材を提供することは、基材成分を提供することを含み、かつ
前記方法は、
前記基材成分および前記複数の繊維を開繊することと、
前記基材成分と前記複数の繊維とを混合して、ウェブを形成すること
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記基材成分は、基材繊維である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記基材成分および前記複数の繊維を圧縮することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年12月3日に出願された、米国仮出願第62/942,819号の利益を主張し、上記関連出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、合成繊維および合成繊維で形成された複合材料に関する。
【背景技術】
【0003】
持続可能性の観点から、天然材料を含む熱可塑性マトリックス複合物が望ましい。複合物は、カーディング、ウィービング、ニッティング、インタミングリング、ウェットレイド、エアレイド、エアレイなどの複数の技術を用いて熱可塑性繊維で作ることができる。熱可塑性物質は、熱可塑性繊維を加熱することにより凝固させることができる。熱可塑性物質と天然材料との均質かつ密接な配合物を形成するために、熱可塑性物質は、複合加工法によって必要に応じて加工する必要がある。これは、様々な参照文献に記載されている(例えば、Thermoplastics and Thermoplastic Composites(ISBN13:9780080489803)(特許文献1)、Wood-Plastic Composites(ISBN13:9780470165928)(特許文献2)、およびComposite Nonwoven Materials:Structure,Properties and Applications(ISBN13:9780857097750))(特許文献3)。一般に、混合物において熱可塑性物質を分散させ、熱可塑性材料間の摩擦を軽減することが望ましい。
【0004】
結合を最適化させ、かつ必要な合成フィラメント量および繊維量を最小化するために、開繊性が非常に重要である。したがって、合成フィラメントが互いに巻きついたり干渉したりしないように、合成繊維の表面を、フィラメント間の相互作用において摩擦をできる限り軽減し、かつできる限り硬くすることが望ましい場合が多い。合成フィラメントが互いに巻きついたり干渉したりすると、分離が妨げられるであろう。これは、比較的高い融点および結晶化度を有する従来の熱可塑性結合剤を使用することによって達成できる。例えば、融点が約130度で、二成分繊維のシース材料として、または単成分繊維の単独の成分として使用される高密度ポリエチレン(HDPE)は、繊維に十分な剛性および硬度を与え、十分な開繊性を提供できる。しかしながら、天然物質は、従来の熱可塑性複合物とともに昇温で使用されると、劣化し、揮発性有機化合物(VOCs)を生成しやすい。
【0005】
VOCsを減らす1つの解決法として、より低い融点の熱可塑性結合剤を使用することが挙げられる。例えば、中密度ポリエチレン(MEPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、または超低密度ポリエチレン(ULDPE)などの等級分けされたより低い融点のポリエチレンを使用できる。しかしながら、これらの熱可塑性結合剤は、より柔らかく、材料摩擦が多くなる傾向があるため、繊維の表面に存在するときに開繊性が妨げられる。
【0006】
米国特許出願公開第5,994,244A号(特許文献4)および欧州特許出願公開第1,350,869A1号(特許文献5)に記載されるように、個々のフィラメントと繊維との間の接触および摩擦を軽減するために、無機粒子を低融点ポリオレフィンに混合できる。米国特許出願公開第5,994,244A(特許文献4)によると、二酸化チタン、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、タルクまたは同様のものなどの無機粒子は、フィラメントの表面を露出させ、フィラメント間の接触を軽減する凸凹を生成する。しかしながら、無機粒子が存在することにより、低融点ポリオレフィンの接着力および繊維の接着力が低下する。さらに、重合体の表面に凹凸かつ鋭利な表面を有する硬質の無機粒子が存在することにより、製造において表面が摩滅し、摩耗が増加することにより、メンテナンスの増加および部品の交換頻度の増加につながる可能性がある。さらに、無機粒子は、付与される色および/または繊維の密度を増加させるため、望ましくない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】Thermoplastics and Thermoplastic Composites(ISBN13:9780080489803)
【特許文献2】Wood-Plastic Composites(ISBN13:9780470165928)
【特許文献3】Composite Nonwoven Materials:Structure,Properties and Applications(ISBN13:9780857097750))
【特許文献4】米国特許出願公開第5,994,244A号
【特許文献5】欧州特許出願公開第1,350,869A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
繊維、同繊維で形成された複合材料、および同複合材料を形成する方法を提供する。この点について、繊維の例示的な一実施形態は、マトリックスを形成する低融点ポリオレフィン材料と、重合体または共重合体の粒子としてマトリックスに懸濁した前記重合体または共重合体であって、前記重合体または共重合体の粒子が、前記低融点ポリオレフィン材料に比べて高硬度かつ高剛性を示す重合体または共重合体とを含み、前記重合体または共重合体は、前記低融点ポリオレフィン材料に対し非混合性を有する。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記低融点ポリオレフィン材料は、前記繊維の前記外面の少なくとも一部に沿って露出している。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記重合体または共重合体は、前記繊維の前記外面の少なくとも一部に沿って露出している。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記繊維は、押し出された繊維である。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記重合体または共重合体は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリラクチド、ポリアミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、およびアクリロニトリル・ブタジエン・スチレンからなる群のうちの1つ以上から選択される。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記重合体または共重合体は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリラクチド、およびポリアミドからなる群のうちの1つ以上から選択される。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記重合体または共重合体は、ポリラクチドである。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記マトリックスに懸濁した前記重合体または共重合体は、前記低融点ポリオレフィンの1%~25%の間の重量である。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記繊維は、二成分繊維である。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記二成分繊維は、コアおよびシースを有する。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記シースは、前記低融点ポリオレフィン材料および前記マトリックスに懸濁した前記重合体または共重合体から形成される。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記コアは、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、コポリプロピレン、およびポリエステルテレフタレートからなる群のうちの1つ以上から形成される。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記コアは、ポリプロピレンから形成される。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記マトリックスに懸濁した前記重合体または共重合体は、前記低融点ポリオレフィン材料の1%~25%の間の重量である。
【0022】
複合材料の例示的な一実施形態は、基材と、前記基材に結合される複数の繊維とを含み、前記複数の繊維の各々は、マトリックスを形成する低融点ポリオレフィン材料と、重合体または共重合体の粒子として、前記マトリックスに懸濁した前記重合体または共重合体とを含み、前記重合体または共重合体の前記粒子が、前記低融点ポリオレフィン材料に比べて高硬度かつ高剛性を示し、前記重合体または共重合体が、前記低融点ポリオレフィンに対し非混合性を有する。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記複数の繊維の各々は、押し出された繊維である。
【0024】
いくつかの実施形態では、前記低融点ポリオレフィン材料は、前記繊維の前記外面の少なくとも一部に沿って露出している。
【0025】
いくつかの実施形態では、前記重合体または共重合体は、前記複数の繊維の各々の外面の少なくとも一部に沿って露出している。
【0026】
いくつかの実施形態では、前記複数の繊維は、溶融結合によって前記基材に結合される。
【0027】
いくつかの実施形態では、前記低融点ポリオレフィン材料と前記マトリックスに懸濁した前記重合体または共重合体の両方を溶融して、前記溶融結合を形成する。
【0028】
複合材料を形成する方法の例示的な一実施形態は、複数の繊維を提供することであって、前記複数の繊維の各々は、マトリックスを形成する低融点ポリオレフィン材料と、重合体または共重合体の粒子として、前記マトリックスに懸濁した前記重合体または共重合体であって、前記重合体または共重合体の前記粒子が、前記低融点ポリオレフィン材料に比べて高硬度かつ高剛性を示し、前記重合体または共重合体が、前記低融点ポリオレフィンに対し非混合性を有する重合体または共重合体とを含む、複数の繊維を提供することと、基材を提供することと、前記複数の繊維の前記低融点ポリオレフィン材料を溶融して、前記複数の繊維を前記基材に結合させることと、前記低融点ポリオレフィン材料および前記基材を冷却して、前記複合材料を凝固させることを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、前記複数の繊維を提供することは、前記低融点ポリオレフィン材料と前記重合体または共重合体とを混合して、混合物を形成することと、前記混合物の前記低融点ポリオレフィン材料および前記重合体または共重合体を溶融することと、前記混合物を押し出して、前記繊維を形成することを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、前記混合物を押し出すことは、前記混合物をコアの周りで押し出すことを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、前記溶融は、前記複数の繊維の前記重合体または共重合体を溶融して、前記複数の繊維を前記基材に結合することをさらに含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、前記溶融の前、および前記重合体または共重合体のガラス転移点未満の温度の間に、前記方法は、前記複数の繊維を開繊することと、前記複数の繊維を前記基材上に配置することをさらに含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、前記方法は、前記複数の繊維を開繊することと、前記複数の繊維を前記基材上に積層して、積層物を形成することをさらに含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、前記基材を提供することは、基材成分を提供することを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、前記方法は、前記基材成分および前記複数の繊維を開繊することと、前記基材成分および前記複数の繊維を混合して、ウェブを形成することをさらに含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、前記基材成分は、基材繊維である。
【0037】
いくつかの実施形態では、前記方法は、前記基材成分および前記複数の繊維を圧縮することをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0038】
以下の詳細な説明を添付の図面と併用して参照することによって、本開示のより完全な理解が得られる。図面において、同様の参照数字は、いくつかの図の全体にわたって対応する部品を示す。
【0039】
【
図3】繊維を形成するための例示的な方法のフローチャートである。
【
図4】複合材料を形成するための例示的な方法のフローチャートである。
【
図5】代表的な温度プロファイルに関連して複合材料を形成するための例示的な方法を示す模式図である。
【
図6】異なる添加剤を用いて調合された繊維サンプルを示す表である。
【
図7】繊維質量で測定された開繊性テストの結果を示すグラフである。
【
図8】含有率対繊維質量で測定された別の開繊性テストの結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
様々な繊維、同繊維で形成された複合材料、および同複合材料を形成する方法は、マトリックスを形成する低融点ポリオレフィン材料およびマトリックスに懸濁した重合体または共重合体の使用を含む。本開示において使用されるように、低融点ポリオレフィン材料は、融点が150度未満のポリオレフィンである。なお、本開示で使用されるように、「重合体または共重合体」における「または」は包括的な意味で使用され、用途によって重合体、共重合体、または重合体と共重合体の両方が使用されてもよい。重合体または共重合体は低融点ポリオレフィンに対し非混合性を有することから、重合体または共重合体は、重合体または共重合体の粒子としてマトリックスに懸濁する。これらの粒子は、低融点ポリオレフィン材料に比べて高硬度、高剛性を示す。したがって、当該繊維は、低融点ポリオレフィンから形成された(すなわち、重合体または共重合体を含まない)類似の寸法の繊維の表面可塑性に比べて、低い表面柔軟性を示す場合がある。さらに、重合体または共重合体は、繊維の外面の少なくとも一部に沿って露出しているため、繊維の開繊性をさらに高める可能性がある。特に、開繊性は、繊維の互いの分離しやすさの度合を示す。誤解を避けるために、繊維は、ステープル、フィラメントとすることができ、またはスパンメルト工程によって形成され得る。
【0041】
繊維100の一例を
図1および
図2に示す。図示されるように、繊維100は、コア102とシース104とを包含する二成分繊維である。シース104は、マトリックスを形成する低融点ポリオレフィン材料およびマトリックスに懸濁した重合体または共重合体から形成される。具体的には、シース104は、重合体または共重合体の粒子を含む(例えば、粒子106、108)。例えば、粒子106は、低融点ポリオレフィン材料内に埋め込まれ、かつ低融点ポリオレフィン材料によって包囲される。本例では、粒子108は、シース104の外面110に露出している。このように構成される場合、低融点ポリオレフィン材料は、繊維100の外面の少なくとも一部に沿って露出している。なお、いくつかの実施形態において、重合体または共重合体の粒子のいずれも外面に露出していなくてもよい。また、繊維100において、低融点ポリオレフィンは、繊維の全質量の少なくとも20%を占める。
【0042】
図1および
図2は二成分繊維を示しているが、他の様々な構成(単成分繊維など)が使用されてもよい。さらに、繊維100は50/50のコアとシースの二成分繊維として一般的に示されているが、二成分繊維の他の様々な構成が使用されてもよい。例として、20/80、偏心、および三葉形など、その他のコアおよびシースの構成が使用されてもよい。あるいは、他にも様々なサイドバイサイド構成、傾斜構成、およびマイクロデニール構成が使用されてもよい。
【0043】
いくつかの繊維において、コアは、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、コポリプロピレン、またはポリエステルテレフタレートのうち1つ以上から形成されてもよく、いくつかの応用例では、ポリプロピレンが好ましい(例えば、Handbook of Fiber Chemistry (ISBN13:9781420015270)参照)。さらに、いくつかの繊維において、重合体または共重合体は、ポリエステル、ポリラクチド、またはポリアミド由来のものであってもよい。例として、いくつかの繊維において、重合体または共重合体は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリラクチド、ポリアミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、またはアクリロニトリル・ブタジエン・スチレンのうちの1つ以上から形成されてもよい。いくつかの応用例では、重合体または共重合体は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリラクチド、およびポリアミドのうちの1つ以上から形成されることが好ましい。また、他の応用例では、重合体または共重合体は、ポリラクチドから形成されることが最も好ましい。
【0044】
いくつかの繊維において、マトリックスに懸濁した重合体または共重合体は、低融点ポリオレフィン材料の1~25%の重量である。いくつかの繊維において、マトリックスに懸濁した重合体または共重合体は、低融点ポリオレフィン材料の少なくとも2%の重量であることが好ましい。さらに、または代替として、マトリックスに懸濁した重合体または共重合体は、低融点ポリオレフィン材料の最大15%の重量あることが好ましい。いくつかの繊維において、マトリックスに懸濁した重合体または共重合体は、低融点ポリオレフィン材料の7%~13%の間の重量であることが最も好ましい。
【0045】
望ましい特徴を有する繊維(
図1および
図2の繊維100など)を提供するために、
図3に示されるような方法を行ってもよい。
図3に示されるように、方法300は、低融点ポリオレフィン材料と重合体または共重合体とを混合して、混合物を形成すること(ブロック302)を含む。次に、混合物を溶融させ(ブロック304)、その後、押し出して、繊維を形成する(ブロック306)。いくつかの応用例では、押し出し工程は、混合物をコアの周りで押し出して、二成分繊維を形成することを含んでも良い。特に、繊維を形成する方法は、連続フィラメントから繊維を形成する切断段階を含んでもよい。いくつかの応用例では、タイターが0.5~50デシテックス/フィラメントの範囲の連続熱可塑性フィラメント、直径が0.05~1.0mmのモノフィラメント、またはタイターが0.5~50デシテックス/フィラメントかつ繊維長が0.5mm~150mmのステープルカット繊維が提供される。
【0046】
押し出し工程中、重合体または共重合体は、低融点ポリオレフィン材料のマトリックスに懸濁したコロイド状粒子に分解され、材料の非相溶性により相分離が起きる(例えば、Specific Interactions and the Miscibility of Polymer Blends(ISBN13:9780877628231)およびThe Physics of Polymers:Concepts for Understanding Their Structures and Behaviour (ISBN13:9783540632030)参照)。フィラメントに押し出され、溶融相が冷却されると、懸濁した粒子は、マトリックスに固定される。当該粒子により、柔らかく低密度なマトリックスの全体に亘って、高硬度かつ高密度の領域が生成される。当該粒子により、繊維の表面柔軟性が低下し、外面の見掛け硬度が上昇するため、ウェットまたはドライな状態での開繊工程において繊維が絡まったり干渉したりするリスクを軽減する。いくつかの応用例では、結合を目的とする低融点ポリオレフィン材料の熱可塑性溶融相は、基材との親和性および結合の向上を目的とした接着促進剤または結合剤も含むことができる(例えば、Wood-Plastic Composites(ISBN13:9780470165928)参照)。いくつかの応用例では、無水マレイン酸、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、エポキシド、および/または酢酸ビニルなど、様々な接着促進剤を使用してもよい。
【0047】
上述のように、繊維は、複合材料を形成するために使用されてもよい。この点について、複合材料を形成する例示的な方法が
図4に示されている。
図4に示されるように、方法400は、複数の繊維を提供することを含む(ブロック402)。具体的には、複数の繊維の各々は、マトリックスを形成する低融点ポリオレフィン材料およびマトリックスに懸濁した重合体または共重合体の粒子を包含する。ブロック404において、基材が提供される。用途に応じて、とりわけ、繊維および基板を層に配置して、ラミネート構造を形成する、またはインターミングル構成に配置して、ウェブを形成するなど、様々に配置してもよい。ブロック406に記載されるように、複数の繊維の低融点ポリオレフィン材料を溶融して、複数の繊維を基板に結合させる。なお、いくつかの応用例では、低融点ポリオレフィン材料とマトリックスに懸濁した重合体または共重合体の両方を溶融して、基材との溶融結合を形成する。その後、408に記載されるように、繊維の材料および基板を冷却して、複合材料を凝固させる。
【0048】
上述の繊維は、連続フィラメントの形状とすることができる。特に、補強繊維および熱可塑性結合剤が最初は連続フィラメントである複合物製造工程がある。フィラメントヤーンを結合して、テープヤーンまたはコミングルヤーンを形成する。このテープヤーンまたはコミングルヤーンは、ウィービング、ブレイディングなどを介して3次元の複合形状に変化することができる。このような工程では、フィラメントヤーンの表面摩擦が低いことが求められる。米国特許第10265885B2、国際出願公開番号2018229136A1、および国際出願公開番号2019162324A1に記載されているような工程では、フィラメントヤーンは、広がって、補強ヤーンと結合ヤーンとの間の密接な接触を形成する。これにより、結合剤のフィラメントが容易に分離可能であることが求められる。補強繊維は、結合剤のヤーンよりも融点が高い繊維を備えたいずれの繊維であってもよい。例えば、ガラス繊維および炭素繊維が通常使用される。ビスコースからなるフィラメントまたはリヨセルフィラメントヤーンは、再生可能資源の補強繊維として使用可能である。
【0049】
また、複合材料の製造における基本的工程段階が
図5に示されている。これらは、例えば、エアレイド、エアレイ、およびウェットレイドなど、数多くの処理技術を代表するものであってもよい。
図5に示されるように、方法500は、開繊502から始まる。この開繊502は、繊維の絡まりを軽減し、かつ望ましい繊維の分散を提供するために空気または水などで、繊維を開繊することを含む。504では、開繊された繊維は、基材成分と混合され、その後、506で繊維と基材成分との混合物が形成される。なお、接着への悪影響を避けるために、502~506は、繊維の重合体または共重合体のガラス転移点よりも低い温度(例えば、周囲温度)で行われる。このような温度で繊維を処理することにより、繊維の硬度および剛性が維持され、繊維の干渉が軽減される。例えば、50度よりも高い、好ましくは60度よりも高いガラス転移点を有する重合体または共重合体を使用してもよい。
【0050】
508では、形成された繊維と基材成分との混合物を、混合物を昇温まで加熱して、繊維を溶融させ、任意に混合物を圧縮するなどして、凝固(または結合)する(例えば、Nonwovens:Process,Structure,Properties and Applications(ISBN13:9781315341347)、Handbook of Nonwovens(ISBN13:9781845691998)、およびComposite Nonwoven Materials:Structure,Properties and Applications(ISBN13:9780857097750)参照)。共重合体が柔らかく、部分的または完全に溶融するガラス転移点よりも高い温度では、重合体粒子または共重合体粒子は、無機粒子に比べて結合工程において干渉度が低い。さらに、硬質な無機粒子に起因する摩耗を避けることができるため、製造機器のメンテナンスの必要性が低下する。510では、仕上げが行われる。仕上げには、凝固/結合したウェブを冷却して、複合物を形成することが含まれる。
【0051】
エアレイド工程の場合では、上記の一般工程に次の工程が含まれていてもよい。特に、天然繊維および合成繊維が開繊され、空気と混合され、次に、形成工程に搬送されてもよい。形成工程では、混合物は、静的または動的スクリーンを通過して、移動ベルトまたはワイヤ上にウェブが形成される。次に、ウェブは、熱結合および水流交絡などの様々なアプローチにより凝固させることができる。エアレイド工程で使用される一般的な基材材料(または基材成分)として、微細な綿または木由来の浄化または精製されたセルロース繊維が挙げられる。ガラス繊維のような、無機基材材料はまた、エアレイドのウェブ形成工程に使用されてもよい。エアレイド工程によって形成されたウェブは、例えば、女性用ケアまたはおむつのコア、タオル、ナプキン紙、および食品包装用のミートパッドなど、比較的平らなシート状の2次元製品であることが多い。
【0052】
エアレイド工程と類似のエアレイ工程では、繊維は、開繊され、気流で混合される。しかしながら、空気による最初の開繊の後、繊維は、さらに、スパイクフォーマー、スパイクローラーなどによるせん断加工を受け、これにより、材料がさらに混合され配合される。この後、ウェブを搬送ベルトまたはワイヤに搬送して、大抵は、熱結合によって凝固させる。エアレイ工程の主な利点は、長繊維、および粗く硬質な基材材料を扱うその能力である。この基材材料を、一般的なエアレイド工程では、スクリーンを通して供給できないであろう。一般的なエアレイ工程の設計により、粗い木質繊維、かんなくず、麻、亜麻などのようなセルロース系構造とともに精製度の低い基材、または繊維くず、再生炭素繊維などのようなリサイクル材料または再生材料を扱う際に、基材材料を強固にする。
【0053】
エアレイ工程において形成されるウェブは通常、エアレイド工程において形成されるウェブに比べて、より厚く、より3次元形状を示す。これらには、木質繊維から作られる断熱板または合成熱可塑性繊維と結合されたリサイクル用紙のような製品が含まれる。合成繊維および天然繊維の板は、加圧され、加熱および冷却サイクルに曝され、合成相が溶融し、基材間の気孔および隙間を埋めるようにする。冷却されると、合成相は、固体の状態に戻り、加圧解除されたときに板の圧縮形状を固定させる。この工程を2次元または3次元形状のいずれかを有する、高密度複合材料を製造するために使用できる。非天然基材の一例としては、熱結合のために構成された繊維と配合された再生炭素繊維屑であってもよい。材料を厚みのあるウェブに形成し、次に、昇温下で圧縮して、3次元形状を有する高密度のパネルを形成する。ニードルパンチは、エアレイ工程において、熱結合に替わる凝固方法を提供してもよい。
【0054】
ウェットレイド工程では、空気よりも水を分散媒体として使用する。エアレイド工程のように、基材は一般に、微細な精製されたセルロース繊維であり、合成繊維と配合することができる。しかしながら、ガラス繊維もまた、ウェットレイド工程において基材として使用されることが知られている。次に、基材材料の水スラリーと合成繊維は、移動形成ベルト上またはワイヤ上で噴射され得る。移動形成ベルトまたはワイヤは、水を透過させることができる。その後、ウェブを乾燥し、熱結合して、平板状の材料を形成する。一般に、形成のためにウェットレイド工程を使用する製品として、ティーペーパー、コーヒーフィルター、電池セパレーター、エアフィルター、多種多様な用紙などが挙げられる。
【0055】
カーディング工程は、純粋な機械的工程であり、ニードルローラーの一式によって天然繊維と合成繊維のもつれをほどき、配合し、インターミングルして、機械の移動方向に配列された繊維を有する連続したウェブを形成する。基材材料は一般に、合成繊維と配合可能な木綿、ウール、またはビスコースが含むが、現代のカーディングにより形成された不織布において、通常は、天然材料を含まない合成繊維のみが使用されている。カーディングによりウェブが形成された後、様々な方法により凝固可能である。様々な方法には、例えば、エアスルーオーブンまたはカレンダリングによる熱結合、水流交絡処理、あるいはニードルパンチが含まれる。カーディング工程から生成された不織布は一般に、おしぼりのような製品に使用され、おむつおよび衛生用品用に様々な成分を構成している。
実施例
【0056】
シース・コアの割合が65重量%~35重量%であり、カット長が6mmの1.7デシテックスの一連の二成分繊維を製造する。繊維の分散能力および結合能力に対する添加剤の影響を評価するために、低融点シース材料は、LLDPE自体、または一定の割合のcoPLA(すなわち、ポリ乳酸の共重合体)もしくはPLAを有するLLDPEのいずれかである。二成分繊維のコアは、ポリプロピレン(PP)またはcoPPであり、フィラメントの表面に施されるスピン仕上げの種類および基準は、同一である。同じタイター、シース・コアの比率、カット長を有し、コア材料としてPPを使用するが、シース材料としてHDPEを使用した繊維を、エアレイドテストにおける分散性評価の参照繊維として使用する。このテストは、繊維間の表面摩擦および開繊性に高感度である。
【0057】
エアレイドの分散性および開繊性をテストするための機器は、繊維カット長6mm用に49ヘルツで回転する垂直の2枚羽攪拌機を有するドラムを含む。ドラムの底に、粗いスクリーンが備えられ、これにより、分離された繊維が攪拌機下のメッシュから落下することができる。粗いスクリーンから落下するルース繊維は、微細なメッシュスクリーンを有するドローアで捉えられる。ドローアは、繊維の検査および評価のために開放可能である。微細なメッシュスクリーンは、形成スクリーンとして機能し、粗いスクリーンは、エアレイド機の形成ドラムをシミュレーションする。
【0058】
5グラムの繊維を秤量し、微細なメッシュスクリーン(US標準Mesh8)で上端が密閉されたプレキシガラスシリンダーの7バーの圧縮空気で事前に開繊する。微細なスクリーンにより、空気は通過できるが、繊維は通過できない。繊維は圧縮空気(およそ7バー)で事前に開繊され、事前に開繊された繊維はプレキシガラスシリンダーから攪拌機ドラムに搬送される。攪拌機は、20秒間49ヘルツで回転し、その後、粗いスクリーンで落下した繊維を検査することができ、留まった繊維は集められて、質量を判定することができる。
図6は、エアレイド分散テストに使用されるサンプルの構成を示し、
図7は、エアレイド分散テストの結果を示す。
【0059】
サンプル番号1のテストは、溶融した繊維が非常に少なく、繊維がよく分散したことを示し、繊維は、容易に分離する。これに対し、サンプル番号2のテストは、溶融した繊維の量が目立ち、繊維の分散性が非常に低いことを示す。溶融した繊維は、手で分離することがやや難しい。しかしながら、サンプル番号3、4、および5のテストは、サンプル番号1の結果と同様に、溶融した繊維が非常に少なく、繊維がよく分散したことを示し、繊維は、容易に分離する。
【0060】
ドローアから集められた繊維の質量が
図7に示されている。
図7は、攪拌下で、サンプル番号2に比べて、サンプル番号1、3、4、および5は、より個別化された繊維を有し、著しく分離している。したがって、サンプル番号1、3、4、および5は、より高い分離性および開繊性を示す。
【0061】
このテストは、coPLAまたはPLAを二成分繊維のLLDPEのシース材料に加えることにより、エアレイド工程における開繊能力および分散能力を、シース材料としてHDPEを有する標準的な二成分繊維と同様にまで大幅に向上させることを証明している。LLDPE重合体のマトリックスに分散剤が存在しない場合、シース材料としてLLDPEを有する二成分繊維は、分散性および分離能力が非常に低いことを示す。
【0062】
図8は、含有率対繊維質量で測定された他の開繊性テストの結果を示すグラフである。
【0063】
なお、上記の公開された特許、特許公報、および参照文献(例えば、書籍および出版物)は、全て、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0064】
なお、添付の図面および上記発明を実施するための形態において様々な実施形態が示されているが、本開示は、開示された実施形態に限定されず、本開示の要旨を逸脱することのない範囲内で部品および要素の再配置、変形、および代替が可能であることを理解されたい。さらに、提示される作用のメカニズムは、起こり得る作用様式の理解を可能にするためにのみ記載されたものであり、限定と見なされるべきではない。
【符号の説明】
【0065】
100 繊維
102 コア
104 シース
106 粒子
108 粒子
110 外面
【手続補正書】
【提出日】2021-05-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維であって、
前記繊維が、
マトリックスを形成する低融点ポリオレフィン材料と、
重合体または共重合体の粒子として前記マトリックスに懸濁した前記重合体または共重合体であって、前記重合体または共重合体の前記粒子が、前記低融点ポリオレフィン材料に比べて高硬度かつ高剛性を示す重合体または共重合体と
を含み、
前記重合体または共重合体は、前記低融点ポリオレフィンに対し非混合性を有し、
かつ
前記重合体または共重合体は、前記繊維の外面の少なくとも一部に沿って露出しているこ
とにより、前記外面の硬度を、前記低融点ポリオレフィン材料によって提供される硬度よ
りも高める、繊維。
【請求項9】
複合材料であって、
前記複合材料が、
基材と、
前記基材に結合される複数の繊維であって、前記複数の繊維の各々は、
マトリックスを形成する低融点ポリオレフィン材料と、
重合体または共重合体の粒子として前記マトリックスに懸濁した前記重合体または共重合体であって、前記重合体または共重合体の前記粒子が、前記低融点ポリオレフィン材料に比べて高硬度かつ高剛性を示し、前記重合体または共重合体が、前記低融点ポリオレフィンに対し非混合性を有し、
かつ前記複数の繊維の各々において、前記重合体または共
重合体が、前記複数の繊維の各々の外面の少なくとも一部に沿って露出している重合体または共重合体と
を含む、複数の繊維と
を含む、複合材料。
【請求項13】
複合材料を形成する方法であって、
前記方法が、
複数の繊維を提供することであって、前記複数の繊維の各々は、
マトリックスを形成する低融点ポリオレフィン材料と、
重合体または共重合体の粒子として前記マトリックスに懸濁した前記重合体または共重合体であって、前記重合体または共重合体の前記粒子が、前記低融点ポリオレフィン材料に比べて高硬度かつ高剛性を示し、前記重合体または共重合体が、前記低融点ポリオレフィンに対し非混合性を有し、
かつ前記複数の繊維の各々において、前記重合体または共
重合体が、前記複数の繊維の各々の外面の少なくとも一部に沿って露出している重合体または共重合体と
を含む、複数の繊維を提供することと、
基材を提供することと、
前記複数の繊維の前記低融点ポリオレフィン材料を溶融して、前記複数の繊維を前記基材に結合させることと、
前記低融点ポリオレフィン材料および前記基材を冷却して、前記複合材料を凝固させること
を含む、方法。
【請求項22】
前記繊維は、少なくとも1グラムの質量の開繊性を示す、請求項1に記載の繊維。
【請求項23】
前記重合体または共重合体は、0.5mm~150mmの長さを示す複数の繊維として提
供される、請求項4に記載の繊維。
【請求項24】
前記低融点ポリオレフィン材料と前記重合体または共重合体とを混合することは、前記重
合体または共重合体を0.5mm~150mmの長さを示す複数の繊維として提供するこ
とを含む、請求項14に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二成分繊維であって、
前記二成分繊維が、
コアおよびシースと、
マトリックスを形成する低融点ポリオレフィン材料と、
重合体または共重合体の粒子として前記マトリックスに懸濁した前記重合体または共重合体であって、前記重合体または共重合体の前記粒子が、前記低融点ポリオレフィン材料に比べて高硬度かつ高剛性を示す重合体または共重合体と
を含み、
前記シースは、前記低融点ポリオレフィン材料および前記マトリックスに懸濁した前記重合体または共重合体から形成され、
前記重合体または共重合体は、前記低融点ポリオレフィンに対し非混合性を有し、かつ
前記重合体または共重合体は、
前記二成分繊維の外面の少なくとも一部に沿って露出していることにより、前記外面の硬度を、前記低融点ポリオレフィン材料によって提供される硬度よりも高める、
二成分繊維。
【請求項2】
前記重合体または共重合体は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリラクチド、ポリアミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、およびアクリロニトリル・ブタジエン・スチレンからなる群のうちの1つ以上から選択される、請求項1に記載の
二成分繊維。
【請求項3】
前記マトリックスに懸濁した前記重合体または共重合体は、前記低融点ポリオレフィン材料の1%~25%の間の重量である、請求項
1に記載の
二成分繊維。
【請求項4】
前記低融点ポリオレフィン材料に添加される接着促進剤をさらに含む、請求項1に記載の
二成分繊維。
【請求項5】
複合材料であって、
前記複合材料が、
基材と、
前記基材に結合される複数の
二成分繊維であって、前記複数の
二成分繊維の各々は、
コアおよびシースと、
マトリックスを形成する低融点ポリオレフィン材料と、
重合体または共重合体の粒子として前記マトリックスに懸濁した前記重合体または共重合体であって、前記重合体または共重合体の前記粒子が、前記低融点ポリオレフィン材料に比べて高硬度かつ高剛性を示し、前記重合体または共重合体が、前記低融点ポリオレフィン材料に対し非混合性を有する重合体または共重合体と
を含み、
前記複数の二成分繊維の各々において、前記シースは、前記低融点ポリオレフィン材料から形成され、前記重合体または共重合体は、前記マトリックスに懸濁し、かつ前記重合体または共重合体は、前記複数の
二成分繊維の各々の外面の少なくとも一部に沿って露出している複数の
二成分繊維と
を含む、複合材料。
【請求項6】
前記複数の
二成分繊維は、溶融結合により前記基材と結合される、請求項
5に記載の複合材料。
【請求項7】
前記低融点ポリオレフィン材料と前記マトリックスに懸濁した前記重合体または共重合体の両方を溶融して、前記溶融結合を形成する、請求項
6に記載の複合材料。
【請求項8】
複合材料を形成する方法であって、
前記方法が、
複数の
二成分繊維を提供することであって、前記複数の
二成分繊維の各々は、
コアおよびシースと、
マトリックスを形成する低融点ポリオレフィン材料と、
重合体または共重合体の粒子として前記マトリックスに懸濁した前記重合体または共重合体であって、前記重合体または共重合体の前記粒子が、前記低融点ポリオレフィン材料に比べて高硬度かつ高剛性を示し、前記重合体または共重合体が、前記低融点ポリオレフィンに対し非混合性を有する重合体または共重合体と
を含み、
前記複数の二成分繊維の各々において、前記シースは、前記低融点ポリオレフィン材料から形成され、前記重合体または共重合体は、前記マトリックスに懸濁し、かつ前記重合体または共重合体は、前記複数の
二成分繊維の各々の外面の少なくとも一部に沿って露出している複数の
二成分繊維を提供することと、
基材を提供することと、
前記複数の二成分繊維の前記低融点ポリオレフィン材料を溶融して、前記複数の二成分繊維を前記基材に結合させることと、
前記低融点ポリオレフィン材料および前記基材を冷却して、前記複合材料を凝固させること
を含む、方法。
【請求項9】
前記複数の
二成分繊維を提供することは、
前記低融点ポリオレフィン材料と前記重合体または共重合体とを混合して、混合物を形成することと、
前記混合物の前記低融点ポリオレフィン材料および前記重合体または共重合体を溶融することと、
前記混合物を押し出して、前記
二成分繊維を形成すること
を含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記溶融は、前記複数の
二成分繊維の前記重合体または共重合体を溶融して、前記複数の
二成分繊維を前記基材に結合することを含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項11】
前記溶融の前かつ前記重合体または共重合体のガラス転移点未満の温度の間に、
前記複数の
二成分繊維を開繊することと、
前記複数の
二成分繊維を前記基材上に配置すること
をさらに含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の
二成分繊維を開繊することと、
前記複数の
二成分繊維を前記基材上に積層して、積層物を形成すること
をさらに含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項13】
前記基材を提供することは、基材成分を提供することを含み、かつ
前記方法は、
前記基材成分および前記複数の
二成分繊維を開繊することと、
前記基材成分と前記複数の
二成分繊維とを混合して、ウェブを形成すること
をさらに含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項14】
前記基材成分は、基材繊維である、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記基材成分および前記複数の
二成分繊維を圧縮することをさらに含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記
二成分繊維は、少なくとも1グラムの質量の開繊性を示す、請求項1に記載の
二成分繊維。
【請求項17】
前記二成分繊維は、0.5mm~150mm
の長さを示す、請求項3に記載の二成分繊維。
【請求項18】
前記複数の二成分繊維を提供することは、0.5mm~150mmの長さ
の前記複数の
二成分繊維を提供することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
前記低融点ポリオレフィン材料は、前記二成分繊維の全質量の少なくとも20%である、請求項1に記載の二成分繊維。
【国際調査報告】