(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-15
(54)【発明の名称】二次元拡大型導光光学素子を含む光学システム
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20230508BHJP
G02B 6/00 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B6/00 301
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547791
(86)(22)【出願日】2021-04-05
(85)【翻訳文提出日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 IL2021050382
(87)【国際公開番号】W WO2021205439
(87)【国際公開日】2021-10-14
(32)【優先日】2020-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518105275
【氏名又は名称】ルーマス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヨチェイ・ダンジガー
(72)【発明者】
【氏名】エラド・シャーリン
【テーマコード(参考)】
2H038
2H199
【Fターム(参考)】
2H038BA06
2H199CA24
2H199CA34
2H199CA47
2H199CA50
2H199CA54
2H199CA67
2H199CA86
(57)【要約】
光学システムは、画像プロジェクタからのコリメート画像を、導光光学素子(LOE)内で第1および第2の方向に伝搬させ、その後、対応する部分反射内面の第1および第2のセットによって反射させるために、外部結合光学配置に向ける、少なくとも2つの反射器を有する画像方向転換配置を含む。第1の方向に伝搬するコリメート画像の右側に隣接する視野(FOV)の一部は、部分反射内面のセットのうちの1つの平面、または主要外面に平行な平面と交差し、それによってユーザの目に到達しない視野の領域内で、コリメート画像の一部の自己重複が形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの目で見るために眼球運動ボックスに画像を向けるための光学システムであって、
(a)左側から右側まで、および上部から下部までの視野角、ならびに伝搬の方向を示す前記視野に対して中央にある主光線を有するコリメート画像に対応する照明を投影する画像プロジェクタと、
(b)透明な材料から形成され、第1および第2の相互に平行な主要外面を有する導光光学素子(LOE)と、
(c)前記コリメート画像が前記LOE内で内部反射によって第1の方向に伝搬するように、前記LOE内で前記第1の方向に照明の一部を方向転換するように配備された少なくとも第1の反射体、および前記コリメート画像が前記LOE内で内部反射によって第2の方向に伝搬するように、前記LOE内で照明の一部を前記第2の方向に方向転換するように配備された少なくとも第2の反射体を備える画像方向転換配置と、
(d)前記LOEに関連付けられ、前記LOE内で伝搬する照明を前記眼球運動ボックスに向かって外方に偏向するように構成された外部結合光学配置と、
(e)前記LOE内の部分反射内面の複数のセットであって、前記複数のセットが、前記第1の方向に伝搬する前記照明を前記外部結合光学配置に向かって方向転換するために配備された相互に平行な部分反射内面の第1のセット、および前記第2の方向に伝搬する照明を前記外部結合光学配置に向かって方向転換するために部分反射内面の前記第1のセットに非平行に配備された相互に平行な部分反射内面の第2のセットを含む、部分反射内面の複数のセットと、を備え、
前記第1の方向に方向転換され、前記部分反射内面の第1のセットによって方向転換された前記照明の前記部分が、前記眼球運動ボックスに前記視野の少なくとも左側を提供し、前記第1の方向に伝搬する前記コリメート画像の前記右側に隣接する前記視野の一部が、前記部分反射内面のセットのうちの1つの平面または前記主要外面に平行な平面と交差し、それによって、前記眼球運動ボックスに到達しない前記視野の領域に、前記コリメート画像の一部の自己重複が形成される、光学システム。
【請求項2】
前記第2の方向に方向転換され、かつ前記部分反射内面の第2のセットによって方向転換された前記照明の前記一部が、前記視野の少なくとも右側を前記眼球運動ボックスに提供し、前記第2の方向に伝搬する前記コリメート画像の前記左側に隣接する前記視野の一部が、前記部分反射内面のセットのうちの1つの平面または前記主要外面に平行な平面と交差し、それによって、前記眼球運動ボックスに到達しない前記視野の領域内の前記コリメート画像の一部の自己重複が形成される、請求項1に記載の光学システム。
【請求項3】
前記画像方向転換配置が、前記第1の反射器および前記第2の反射器を提供する前記LOEの外部の反射プリズムを備える、請求項1に記載の光学システム。
【請求項4】
第1の反射器が、前記LOEの内部であり、前記部分反射内面の第1のセットに平行である反射面であり、前記第2の反射器が、前記LOEの内部であり、前記部分反射内面の第2のセットに平行である反射面である、請求項1に記載の光学システム。
【請求項5】
前記部分反射内面の第1のセットおよび前記部分反射内面の第2のセットが、前記LOEの少なくとも1つの領域内で重複関係にある、請求項1に記載の光学システム。
【請求項6】
前記部分反射内面の第1のセットおよび前記部分反射内面の第2のセットが各々、前記LOEの前記主要外面に対して斜角である、請求項1に記載の光学システム。
【請求項7】
前記第1の方向に伝播する前記コリメート画像の前記右側に隣接する前記視野の一部が、前記部分反射内面の第2のセットの平面と交差する、請求項1に記載の光学システム。
【請求項8】
前記第1の方向に伝播する前記コリメート画像の前記右側に隣接する前記視野の一部が、前記主要外面に平行な前記平面と交差する、請求項1に記載の光学システム。
【請求項9】
前記外部結合光学配置が、前記第1のセットおよび前記第2のセットの両方に非平行な相互に平行な部分反射内面の第3のセットを備え、前記相互に平行な部分反射内面の第3のセットが、前記LOEの前記主要外面に対して斜角である、請求項1に記載の光学システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学システムに関するものであり、具体的には、光学的開口拡大を達成するための導光光学素子(LOE)を含む光学システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
多くのニアアイ表示システムは、ユーザの眼の前に配置された透明な導光光学素子(LOE)または「導波路」を含み、これは、内部反射によってLOE内で画像を伝達し、次いで、好適な出力結合メカニズムによってユーザの眼に向けて画像を外部結合する。出力結合メカニズムは、埋め込み型部分反射器または「ファセット」に基づいてもよく、または回折素子を使用してもよい。以下の説明は、主にファセットベースの外部結合構成に言及する。
【0003】
画像プロジェクタの光学的開口の二次元拡大を達成するための様々なLOE構成は、米国特許第10,551,544号およびPCT特許出願公開第WO2020/049542A1号に開示されており、両方とも本出願とともに譲渡されている。これらの例では、部分反射ファセットの第1のセットは、LOEに注入された画像を第1の方向から第2の方向へ方向転換するように徐々に反射し、一方で開口拡大の第1の寸法を達成し、部分反射ファセットの第2のセットは、方向転換された画像を徐々に外部結合し、一方で開口拡大の第2の寸法を達成する。
【0004】
このような構成を大きな視野で実装する場合、LOE内を伝播する画像のすべての光線が、臨界角よりも大きい入射角でLOEの主要面に衝突しなければならないという要件によって、使用可能な角度の範囲が一端で制限される。他端において、LOE内の画像の画角がLOEの中心平面と交差する場合、画像の特定の光線は、共役画像の光線として重複し(すなわち、同じ方向になり)、画像のその部分の破損をもたらす。ファセットの平面と交差する画像フィールドの任意の部分が、画像の隣接領域上への反射によって破損されるため、LOE内の部分反射面(「ファセット」)の平面によって追加の制限が課される。これらの検討事項は、二次元開口拡大のためのLOEの設計を複雑にし、表示可能な画像の画角に制限を課す。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、ユーザの目で見るために画像照明を眼球運動ボックスに向けるための光学システムである。
【0006】
本発明の実施形態の教示によれば、ユーザの目で見るために眼球運動ボックスに画像を向けるための光学システムであって、(a)左側から右側まで、および上部から下部までの視野角、および伝搬の方向を示す視野に対して中央にある主光線を有するコリメート画像に対応する照明を投影する画像プロジェクタと、(b)透明な材料から形成され、第1および第2の相互に平行な主要外面を有する導光光学素子(LOE)と、(c)コリメート画像がLOE内で内部反射によって第1の方向に伝搬するように、LOE内で第1の方向に照明の一部を方向転換するように配備された少なくとも第1の反射体、およびコリメート画像がLOE内で内部反射によって第2の方向に伝搬するように、LOE内で照明の一部を第2の方向に方向転換するように配備された少なくとも第2の反射体を備える画像方向転換配置と、(d)LOEに関連付けられ、LOE内で伝搬する照明を眼球運動ボックスに向かって外方に偏向するために構成された外部結合光学配置と、(e)LOE内の部分反射内面の複数のセットであって、複数のセットが、第1の方向に伝搬する照明を外部結合光学配置に向かって方向転換するために配備された相互に平行な部分反射内面の第1のセット、および第2の方向に伝搬する照明を外部結合光学配置に向かって方向転換するために部分反射内面の第1のセットに非平行に配備された相互に平行な部分反射内面の第2のセットを含む、部分反射内面の複数のセットと、を備え、第1の方向に方向転換され、部分反射内面の第1のセットによって方向転換された照明の部分は、眼球運動ボックスに視野の少なくとも左側を提供し、第1の方向に伝搬するコリメート画像の右側に隣接する視野の一部は、部分反射内面のセットのうちの1つの平面または主要外面に平行な平面と交差し、それによって、眼球運動ボックスに到達しない視野の領域に、コリメート画像の一部の自己重複が形成される、光学システムが提供される。
【0007】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、第2の方向に方向転換され、かつ部分反射内面の第2のセットによって方向転換された照明の一部は、視野の少なくとも右側を眼球運動ボックスに提供し、第2の方向に伝搬するコリメート画像の左側に隣接する視野の一部は、部分反射内面のセットのうちの1つの平面または主要外面に平行な平面と交差し、それによって、眼球運動ボックスに到達しない視野の領域内のコリメート画像の一部の自己重複を形成する。
【0008】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、画像方向転換配置は、第1の反射器および第2の反射器を提供する、LOEの外部である反射プリズムを備える。
【0009】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、第1の反射器は、LOEの内部であり、部分反射内面の第1のセットに平行である反射面であり、第2の反射器は、LOEの内部であり、部分反射内面の第2のセットに平行である反射面である。
【0010】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、部分反射内面の第1のセットおよび部分反射内面の第2のセットは、LOEの少なくとも1つの領域内で重複関係にある。
【0011】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、部分反射内面の第1のセットおよび部分反射内面の第2のセットは各々、LOEの主要外面に対して斜角である。
【0012】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、第1の方向に伝播するコリメート画像の右側に隣接する視野の一部は、部分反射内面の第2のセットの平面と交差する。
【0013】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、第1の方向に伝播するコリメート画像の右側に隣接する視野の一部は、主要外面に平行な平面と交差する。
【0014】
本発明の実施形態のさらなる特徴によれば、外部結合光学配置は、第1のセットおよび第2のセットの両方に非平行な相互に平行な部分反射内面の第3のセットを備え、相互に平行な部分反射内面の第3のセットは、LOEの主要外面に対して斜角である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
発明を、添付の図面を参照して、実施例としてのみ本明細書に記載する。
【
図1A】導光光学素子(LOE)を使用して実装され、本発明の第1の態様の教示に従って構築され、動作可能であり、それぞれトップダウン構成および側注構成を示す光学システムの概略等角図である。
【
図1B】導光光学素子(LOE)を使用して実装され、本発明の第1の態様の教示に従って構築され、動作可能であり、それぞれトップダウン構成および側注構成を示す光学システムの概略等角図である。
【
図2A】ユーザの目によって観察される画像の視野(FOV)を例示する概略等角図である。
【
図2B】FOVの左端および右端が眼球運動ボックス(EMB)に提供される、LOEの領域を例示する概略上面図である。
【
図2C】
図2Bと同様の図であり、EMBに到達せず、したがって、本発明の態様によれば、破損することが許容され得る、LOEの領域から投影された視野の端部を追加的に例示する。
【
図3A】視野の右側(図の上部)および左側(図の下部)を提供する代替光路の反射のシーケンスを例示する、角度空間の概略図のシーケンスである。
【
図3B(1)】それぞれ、LOEの右側および左側からの投影像の高品質部分および破損部分の概略上面図であり、投影像の高品質部分のみがEMBに到達する。
【
図3B(2)】それぞれ、LOEの右側および左側からの投影像の高品質部分および破損部分の概略上面図であり、投影像の高品質部分のみがEMBに到達する。
【
図3C-3D】それぞれ、物理空間における
図3Aの光路を例示する、一連の概略正面図および側面図である。
【
図3E】
図3Aに例示される反射のシーケンスの3次元の角度表現であり、
図3Eは、反射のシーケンスを例示する矢印を含み、一方で
図3Fは、破損を受ける各画像の領域を示す。
【
図3F】
図3Aに例示される反射のシーケンスの3次元の角度表現であり、
図3Eは、反射のシーケンスを例示する矢印を含み、一方で
図3Fは、破損を受ける各画像の領域を示す。
【
図5A】本発明のさらなる代替の実施態様のための
図3Eおよび
図3Fと同様の三次元角度表現である。
【
図5B】本発明のさらなる代替の実施態様のための
図3Eおよび
図3Fと同様の三次元角度表現である。
【
図6】本発明の実施形態の教示による、LOEの3つの代替実施態様のためのそれぞれの構成要素および組み立てられた構造全体の概略表現である。
【
図7】本発明の実施形態の教示による、LOEの3つの代替実施態様のためのそれぞれの構成要素および組み立てられた構造全体の概略表現である。
【
図8】本発明の実施形態の教示による、LOEの3つの代替実施態様のためのそれぞれの構成要素および組み立てられた構造全体の概略表現である。
【
図9】本発明の実施態様のための部分反射内面(ファセット)に対する反射率の角度依存性を例示し、LOE内に伝播する様々な画像の角度範囲も例示するグラフである。
【
図10】内部結合された画像の中央下方への注入を例示する、
図1A~
図8のLOEの実施態様の概略正面図である。
【
図11A】内部結合された画像の垂直注入を行う場合の実施態様を例示する、
図10に類似する図である。
【
図11B】2つの方向に投影された画像を内部結合するための画像方向転換配置の第1および第2の実施態様を示す、
図11Aの線XI~XIに沿った概略断面図である。
【
図11C】2つの方向に投影された画像を内部結合するための画像方向転換配置の第1および第2の実施態様を示す、
図11Aの線XI~XIに沿った概略断面図である。
【
図12A】内部結合された画像の上方注入を行う場合の実施態様を例示する、
図10に類似する図である。
【
図12B】上方向に投影された像の内部結合のための第1および第2の実施態様を示す、
図12Aの線XII-XIIに沿った概略断面図である。
【
図12C】上方向に投影された像の内部結合のための第1および第2の実施態様を示す、
図12Aの線XII-XIIに沿った概略断面図である。
【
図13A】LOEの主要外面に垂直な部分反射内面の第1のセットおよび第2のセットを採用した、本発明のさらなる実施態様の概略角度表現である。
【0016】
好ましい実施形態の説明
本発明は、ユーザの目で見るために画像照明を眼球運動ボックスに向けるための光学システムである。
【0017】
本発明による光学システムの原理および動作は、図面および添付の説明を参照することによってより良く理解することができる。
【0018】
前置きとして、本発明の特定の態様は、導光光学素子(LOE)を介して、画像照明をユーザの目で見るための眼球運動ボックス(EMB)に向けるための光学システムに関する。光学システムは、仮想現実ディスプレイまたはより好ましくは拡張現実ディスプレイであってもよい、ヘッドアップディスプレイ、最も好ましくはニアアイディスプレイの目的のために、光学的開口拡大を提供する。光学システムは、好ましくは、入力光学開口の2段階の拡大を提供し、第1の拡大は、相互に平行な部分反射面(「ファセット」)の2つの別個のセットを使用して達成され、各セットは、目に提示される全体的な視野(FOV)の(同一ではないが、好ましくは、重複している)異なる部分を渡す。
【0019】
典型的ではあるが、限定されない実施形態(
図1Aおよび
図1B)では、光学システムは、LOEに統合されているファセットの2つのセットに画像照明を提供する単一の画像プロジェクタ(「POD」)を採用する。一般論として、
図1Aおよび
図1Bは、少なくとも1つの内部結合領域内へ注入された画像照明を、ユーザの目によって見るために眼球運動ボックスへ向けるための光学システムを示す。光学システムは、透明材料から形成された導光光学素子(LOE)112を含み、第1の配向を有する平面の相互に平行な部分反射面(「ファセット」)の第1のセット、および第1の配向に対して非平行な第2の配向を有する平面の相互に平行な部分反射面(「ファセット」)の第2のセットを包含する第1の領域116を含む。(ファセットは、
図1Aおよび
図1Bには見えないが、以下の図面に概略的に例示される。)LOEはまた、第1の配向および第2の配向の各々に非平行な第3の配向を有する、平面の相互に平行な部分反射面(または「ファセット」、また、「外部結合面」とも称される)の第3のセットを包含する第2の領域118を含む。LOEは、部分反射面の第1、第2、および第3のセットがすべて主要外面の間に位置するように、第1および第2の領域にわたって延在する相互に平行な主要外面のセットによって境界付けられる。
【0020】
部分反射面の第3のセットは、第1の領域から第2の領域への主要外面での内部反射によってLOE内を伝搬する画像照明の一部が、LOEからユーザの目で見るための眼球運動ボックスに向かって外部結合されるように、主要外面に対して斜角にある。あるいは、ファセットの第3のセットの代わりに、回折光学素子を第2の領域118で使用して、画像照明を眼球運動ボックスに向けて漸進的に外部結合することができる。同様に、内部反射によって第1の領域116内を伝搬するように、画像照明をプロジェクタ114からLOE内に結合するために、回折光学素子を使用することができる。
【0021】
部分反射面の第1および第2のセットの各々は、少なくとも1つの内部結合領域からの主要外面での内部反射によってLOE内を伝搬する画像照明の一部が第2の領域に向かって偏向されるように、配向される。
【0022】
最も好ましくは、ファセットの第1および第2のセットの各々は、視野全体の別個の部分の開口拡大を考慮する。具体的には、部分反射面の第1のセットが、好ましくは、画像の視野の第1の部分を第2の領域に向かって偏向させ、部分反射面の第2のセットは、画像の視野の第2の部分を第2の領域に向かって偏向させ、視野の第1および第2の部分が組み合わさり、FOVの第1および第2の部分の各々よりも大きい連続的な組み合わされた視野を提供する。FOVの2つの部分は、好ましくは、FOV全体の2つの側面(左右または上下であるが、任意で「左」および「右」と以下に称する)にほぼ対応するが、中心視野が眼球運動ボックスにわたって完全かつ連続的に広がることを確実にするために、中心領域が十分に重なるように、ディスプレイが設計されている観察者の瞳孔の許容可能な位置範囲に対応する。
【0023】
本発明の例示的な実装形態は、LOE112を採用する、概して110と示されるニアアイディスプレイの形態を想定している。コンパクトな画像プロジェクタ(または「POD」)114は、画像をLOE112(「導波路」、「基板」、または「スラブ」と、同じ意味で称される)内に注入するように、光学的に結合され、LOE112内で、画像光は、平面の主要外面での内部反射によって一次元に捕捉される。光は、部分反射面の第1のセットおよび第2のセット(言い換えれば、「ファセット」と称される)に衝突し、ファセットの各セットは、画像光の伝搬方向に対して斜めに傾斜し、連続する各ファセットは、画像光の一部分を偏向方向へ偏向させ、基板内の内部反射によって捕捉/誘導される。これらのファセットの第1および第2のセットは、
図1A~
図1Bには個別に例示されていないが、116と示されるLOEの第1の領域に位置する。この連続ファセットにおける部分反射は、第1の次元の光学的開口拡大を達成する。
【0024】
領域116に位置する部分反射面の第1および第2のセットは、基板内の全反射(TIR)によって捕捉された第1の伝搬方向から、同じく基板内のTIRによって捕捉された第2の伝搬方向に画像照明を偏向させる。この連続ファセットにおける部分反射は、第1の次元の光学的開口拡大を達成する。
【0025】
次いで、偏向された画像照明は、隣接する別個の基板として、または単一の基板の延長部として実装され得る第2の基板領域118に入り、その中では、外部結合光学配置(部分反射ファセットまたは回折光学素子のいずれかのさらなるセット)が、眼球運動ボックス(EMB)として画定される領域内に位置する観察者の眼に向かって、ある割合の画像照明を次第に外部結合し、それによって、光学的開口拡大の第2の寸法が達成される。デバイス全体は、各眼に対して別々に実装されてもよく、好ましくは、各LOE12がユーザの対応する眼に対向する状態で、ユーザの頭部に対して支持される。ここに示されたような1つの特に好ましい選択肢では、支持構成は、ユーザの耳に対してデバイスを支持するための側部120を有する眼鏡フレームとして実装される。ヘッドバンド、サンバイザ、またはヘルメットから吊り下げられたデバイスを含むがそれらに限定されない、他の形態の支持構成も使用され得る。
【0026】
本明細書では、図面および特許請求の範囲において、LOEの第1の領域の一般的な延伸方向において水平(
図1A)または垂直(
図1B)に延伸するX軸、およびそれに垂直に、すなわち
図1Aでは垂直に、
図1Bでは水平に、延伸するY軸が参照される。
【0027】
非常に大まかに言えば、LOE112の第1の領域116は、X方向の開口拡大を達成すると見なされ得、一方で、第2のLOE、またはLOE112の第2の領域118は、Y方向の開口拡大を達成する。視野の異なる部分が伝搬する角方向の広がりの詳細については、以下でより正確に説明する。
図1Aに示されたような配向は、LOEの主部(第2の領域)に入る画像照明が上縁部から入る「トップダウン」実装態様と見なされ得、
図1Bに示された配向は、ここではY軸と称される軸が水平に展開されている、「側注」実装態様と見なされ得ることに留意されたい。残りの図面では、本発明の特定の実施形態の様々な特徴は、
図1Aと同様の「トップダウン」方向のコンテクストで示される。しかしながら、これらの特徴のすべては、側注実装態様にも等しく適用可能であり、それもまた発明の範囲内にあることが理解されるべきである。特定の場合では、他の中間配向も適用可能であり、明示的に除外される場合を除き、本発明の範囲内に含まれる。プレゼンテーションの簡潔さおよび明確さのために、別個のファセットの第1および第2のセットによって提供される表示画像の2つの側面は、以下で、X方向の端部に対応して「左」および「右」と称されるが、上述のように、「左」および「右」は、デバイスの最終的な配備配向における水平分離に必ずしも対応しない。
【0028】
本発明の好ましいが非限定的な実施例の第1のセットでは、前述のファセットの第1および第2のセットは、基板の主要外面に直交している。この場合、注入画像と、領域116内を伝搬するときに内部反射を受けるその共役体との両方が、偏向され、偏向方向に伝搬する共役画像となる。好ましいが非限定的な例の代替セットでは、部分反射面の第1および第2のセットは、LOEの主要外面に対して斜めに角度付けられている。後者の場合、注入画像またはその共役体のいずれかが、LOE内を伝搬する所望の偏向画像を形成し、一方で、他の反射は、例えば、反射が必要とされない画像によって提示される入射角範囲に対してそれらを比較的透明にする角度選択的コーティングをファセットに採用することによって、最小化され得る。
【0029】
本発明のデバイスで採用されるPODは、好ましくは、コリメート画像、すなわち、各画像画素の光が、画素位置に対応する角方向で、無限遠にコリメートされた平行ビームである画像を生成するように構成される。したがって、画像照明は、二次元の視野角に対応する角範囲に及ぶ。この画角は、
図2Aに概略的に表され、ここでは、ユーザの目は、左側「L」から右側「R」、および上縁「T」から下縁「B」に延在する視野、この場合は矩形を観察する。代表的な伝搬方向は、主光線「C」に対応する中心方向とみなされる。
【0030】
画像プロジェクタ114は、典型的にはLCOSチップなどの空間光変調器を照明するために配備された、少なくとも1つの光源を含む。空間光変調器は、画像の各画素の投影強度を変調し、それによって、画像を生成する。あるいは、画像プロジェクタは、レーザ光源からの照明をプロジェクタの画像平面にわたって走査しながら、ビームの強度を画素ごとに運動と同期して変化させ、それによって各ピクセルに対して所望の強度を投影する、典型的には1つ以上の高速走査ミラーを用いて実装される走査配置を含み得る。どちらの場合も、無限遠にコリメートされる出力投影画像を生成するために、コリメート光学システムが設けられる。上記構成要素のいくつかまたはすべては、典型的には、当技術分野で周知であるように、1つ以上の偏光ビームスプリッタ(PBS)キューブまたは他のプリズム構成の表面上に配置される。
【0031】
LOE112への画像プロジェクタ114の光学結合は、例えば、斜角の付いた入力面を有する結合プリズムを介して、または反射結合配置を介して、LOEの側縁および/または主要外面の1つを介するなどして、任意の好適な光学結合によって達成されてもよい。あるいは、画像を基板内に結合するために、回折光学素子(DOE)を使用することができる。内部結合構成の詳細は、以下の特定の実施例で指定される以外は、典型的には本発明にとって重要ではなく、それ以外はここでは概略的にしか示されていない。
【0032】
ニアアイディスプレイ110は、典型的には小さな搭載電池(図示せず)または何らかの他の好適な電源からの電力を採用して、典型的には画像プロジェクタ114を作動させるためのコントローラ122を含む、様々な追加の構成要素を含むことが理解されよう。コントローラ122は、当技術分野ですべて周知であるように、画像プロジェクタを駆動するための少なくとも1つのプロセッサまたは処理回路などのすべての必要な電子部品を含むことが理解されよう。
【0033】
ここで
図2Bの上面図を参照すると、EMB4に到達する投影画像の右端は、「A」で示されるLOE2の領域から生じるが、EMB4に到達する投影画像の左端は、LOEの領域「B」から生じることに留意されたい。EMBは、光学システムが画像の全FOVを提供するために必要な目の位置の範囲を示す。本発明の態様は、この観察を利用して、EMB4に到達せず、したがって、ユーザによって観察される画像の品質に影響を与えない、
図2Cにおいて6とラベル付けされたような領域における投影画像の部分的破損を許容する。
【0034】
したがって、本発明の一態様によれば、プロジェクタ114からの画像が、部分反射面の第1および/または第2のセットに向かって方向転換される方法に、特定の意義がある。具体的には、本発明のこの態様によれば、光学システムは、コリメート画像が、LOE内の内部反射によって第1の方向で部分反射内面の第1のセットに向かって伝搬するように、LOE内で第1の方向に画像照明の一部を方向転換するように配備された少なくとも第1の反射器、およびコリメート画像が、LOE内で内部反射によって第2の方向に部分反射内面の第2のセットに向かって伝搬するようにLOE内で第2の方向に照明の一部を方向転換するように配備された少なくとも第2の反射器を含む画像方向転換配置をさらに備える。第1の方向に伝搬するコリメート画像の右側に隣接する視野の一部は、部分反射内面のセットのうちの1つの平面、または主要外面に平行な平面と交差し、それによってコリメート画像の一部の自己重複が形成される。しかしながら、部分反射面の第1のセットは、画像の左側を眼球運動ボックスに提供するため、この自己重複により、眼球運動ボックスに到達しない視野の領域内の画像が破損する。
【0035】
好ましくは、視野の右側に対して、反対の配置が使用される。具体的には、第2の方向に伝搬するコリメート画像の左側に隣接する視野の一部は、部分反射内面のセットのうちの1つの平面、または主要外面に平行な平面と交差し、それによってコリメート画像の一部の自己重複が形成される。しかしながら、部分反射面の第2のセットは、画像の右側を眼球運動ボックスに提供するため、この自己重複により、眼球運動ボックスに到達しない視野の領域内の画像が破損する。方向転換配置の具体例、および眼球運動ボックスに到達しない画像の特定の領域への対応する影響を以下に提示する。
【0036】
ここで
図3A~
図3Dを参照すると、これらは、本発明の非限定的な実施例による大型FOVの二次元開口拡大を概略的に示す。
図3Aは、角度空間におけるプロセスを例示し、一方で
図3B(1)~
図3Dは、実空間における等価プロセスを例示する。
【0037】
図3Aの表現は、球面座標がデカルト座標で描写される角度空間の二次元直線表現に基づいている。この表現では、様々な歪みが導入され、異なる軸に沿った変位は非可換である(異なる軸を中とする回転の性質と同様)。それにもかかわらず、この形式の図が、説明を簡略化し、システム設計のための有用なツールを提供することが見出されている。円は、導波路の主要外面の臨界角(全内部反射-TIRの境界)を表す。したがって、円の外側の点は、TIRによって反射されるビームの角度方向を表し、一方で円の内側の点は、面を通過し、導波路から伝送されるビームを表す。円9は、導波路の前外面および後外面の臨界角度を表す。円の中心間の「距離」は、180度である。
【0038】
これらの図面は、連続した反射の後に光学システムを通して進行する画像照明の4つの連続した段階を示す。矩形画像14を導波路に注入した後の初期状態を段階10に示す。画像14が円9の外側にあるため、その光線は、それが導波路の主要面における内部反射によって導波路に沿って伝搬するときに、TIRによって誘導される(したがって、2つの結合された矩形14および14′として提示される)。この画像の伝播は、
図3C、段階10に示される導波路16の実空間記述において矢印として提示される。この文書全体を通して、実空間の伝搬方向は、基板の主要面に平行な伝搬方向の面内成分を基準として例示される。矢印は、導波路の前面および後面から反射する内部反射を通した伝搬を表し、概して、画像の主光線の面内成分を示すことが理解されよう。
【0039】
画像が導波路内を伝播すると、それは、それぞれ点線18Aおよび18Bとして角度空間に記述されている、方向転換光学配置の第1および第2の反射器に遭遇する。これらのファセットは、角度空間における矩形15Aおよび15Bで表されるように、画像の方向を変化させ、それらの各々は、LOEの主要外面における内部反射によって、それぞれ独自の共役画像15A′および15B′を生成する。実際の空間(
図3C、段階11)では、方向転換された画像伝播方向は、横方向に伝播する矢印「A」および「B」として表される。
【0040】
この非限定的な実施例では、第1の反射器は、LOEの内部であり、部分反射内面の第1のセットに平行である反射面であり、第2の反射器は、LOEの内部であり、部分反射内面の第2のセットに平行である反射面である。そのような構造がどのように実装され得るかの具体的な実施例は、
図6~
図8を参照して以下で説明する。
【0041】
ファセット平面18Aが、領域20において画像15A′のうちの1つと交差することが明らかである。その結果、画像のこの部分がそれ自体に反射され、画像のこのセグメントが使用できなくなる。この使用できないセグメントは、矩形画像内で陰影が付けられる。同様の処理は、ファセット18Bによって方向転換された画像においても行なわれ、画像15B′がファセットと交差し、破損領域20が生じる。部分的に反射するファセットを実装するために採用される多層誘電体コーティングは、多くの場合、大きな入射角において低い反射率を有するように設計されているが、斜入射における反射率は常に高いため、そのようなコーティングによって、ファセットの平面と交差する画像の破損が防止されることはない。
【0042】
偏向された画像は、ファセットの第1および第2のセット内のさらなる反射によって、画像14および14′に方向転換される。誘導された画像のすべてが互いに結合されるため、ファセット18Aによる使用不可能なセグメントは、ファセット18Bによって生成された使用不可能なセグメントに対して同様に、4つの画像14、14′、15A、および15A′のすべてに再現される。しかしながら、LOEの一方の側で伝播する画像15Aは、段階12で見られるように、画像15Bと比較して反対の使用不可能なセグメントを有し、これは、外部結合画像16Aおよび16Bを生成するための、外部結合ファセット22による画像14′の外部結合を例示している。上面図(
図3B(1)および
図3B(2))は、画像6の使用不可能な部分が眼球運動ボックスの外側にある方向に投影され、したがって、ユーザには見られないが、各サブ画像(AおよびB)が、そのそれぞれの画像の破損していない部分で眼球運動ボックス4を照明する方法を示す。
【0043】
図3Eおよび
図3Fは、
図3Aに記載される角度プロセスを三次元角度表現で示す。ここで、ファセット18および22の平面は、円として例示される。
図3Eは、
図3Aに示されるのと同じ画像を示し、
図3Fは、ファセット18の周囲で互いに折り重なる20A1および20A2として使用不可能なセクションの生成を示しており、組み合わされた使用不可能なセクションは20B、20C、20Dとして伝播し、20Eとして外部結合する。
【0044】
図4Aおよび
図4Bは、本発明の実施態様による、(4:3のフォームファクタ(比率)および70度の対角線を有する画像の非限定的な例において)異なる角度アーキテクチャを例示する。しかしながら、ここで、ファセット角度は、20Aおよび20Dにおいて、2回、画像の角度分布と交差する。両方の使用不可能なセクションは重複しており、したがって、最終的な結果は、
図3A~
図3Dを参照して上述したものと同等である。
【0045】
図5Aおよび
図5Bは、画像15および15’(ファセット18およびその共役体からの偏向画像)が部分的に重なり合っており、それによって使用不可能なセクション20が生成される状況を例示する。これは、第1(または第2)の方向に伝播するコリメート画像の右(または左)側に隣接する視野の一部が、主要外面に平行な平面と交差する場合に相当する。これにより、画像の一部が折り重なる。先の実施例のように、この使用不可能なセクションは、眼球運動ボックス(
図2B)の外側の領域6のみを照明し、一方で眼球運動ボックス4は、セクションAおよびBから、画像の変動していない領域が照らされる。
【0046】
図6、
図7、および
図8は、導波路の様々な構成および対応する構成要素部分を説明する。寸法は、提示を簡潔にするために概略的に示している。各セクションの実際のサイズは、眼球運動ボックスに到達するために必要な光路によって幾何学的に決定される。
【0047】
図6では、導波路31は、4つの別個のセクションから形成され、ビーム分割セクション30は、異なる配向で傾斜したファセットを有する2つの重複セクション30Aおよび30Bから作られる。ファセットの配向は、反対方向に、または対称的に傾斜する必要はなく、それに応じて、第1および第2の反射器(18Aおよび18B)からの方向転換された画像照明は、正確に反対方向である必要はなく、出力画像に対する導波路の傾きまたは2つの画像の異なるトリミングなど、他の検討事項を考慮することができる。
【0048】
画像の均一性を向上させるために、部分反射器(PR)を、導波路の主要外面の平面に平行な、重複セクション間に導入することができる。
【0049】
ここで、側面セクション32は、好ましくは、30Aに平行なファセットを有し、セクション34は、LOEの第2のセクション36に向かって画像反射を実行するために、30Bに平行なファセットを有する。セクション36は、
図3Aおよび
図3Bの段階13に示されるように、ユーザの眼に向かって光を外部結合するために、延長部として取り付けられる。この実施例では、すべてのセクションが並べて取り付けられており、セクション30、32、および34はともに
図1Aまたは
図1Bの第1の導波路セクション116を構成し、セクション36は第2の導波路セクション118に対応する。
【0050】
図7は、導波路50が、セクション54の上に重ねられたセクション52から組み立てられ、方向転換光学配置と部分反射面の第1および第2のセットのビーム分割動作を達成する第1の導波路セクション116を提供する、さらなる任意選択の実施態様を示す。
図1Aまたは
図1Bの第2の導波路セクション118に対応するセクション36は、画像の外部結合のための延長部として置かれる。ここでも、部分反射器(PR)が、重複セクション(ここでは、54の上に向かい合う関係で取り付けられることになる52の下に示されている)の間のコーティングとして実装され得る。
図6と
図7のいずれの場合も、導波路の高品質な平面外面を達成しやすくするために、任意選択的に、構成要素を連続するカバーシートのガラスで挟み込むこともできる。
【0051】
図8は、すべてのセクション(62、64、および66)が、導波路60を組み立てるために、一方を他方の上部に置くことによる、さらなる選択肢を例示する。各セクションは、少なくとも導波管の関連領域内に実装され、任意選択的に、示されるように導波路の全寸法にわたって延在するファセットの1つのセットを含む。部分反射器は、画像の均一性を高めるために、インターフェースの一方または両方において実装され得る。
【0052】
誘電体コーティングを実装して、大角度スペクトルに対して、かつすべての色に対して必要な部分反射特性を提供することは、困難であり得る。原則として、多層誘電体コーティングを設計するための標準的なソフトウェアパッケージは、角度の関数として必要な反射率の変動を備えることができ、対応するコーティング設計を生成する。しかしながら、要件がより具体的になるほど、コーティングはより複雑かつ高価になり、および/または所望の性能に関してより多くの妥協を行う必要があり得る。いずれにしても破損する、またはEMBから見える画像に寄与しない画像の領域に対応する角度は、画像の残りの部分に必要な反射率要件を満たす必要がないため、本発明は、設計のこの側面を促進する。
【0053】
例えば、
図9は、
図5の実施態様のためのファセット18の多層誘電体コーティングの典型的な実施態様の角度反射率18Aを例示する。ここで、公称画像14の角度スペクトルを線14Nとして説明し、画像15の角度スペクトルを15Nとして説明する。画像15自体の折り重なりは、ここで、15Nの上への14Nの部分的な重複として提示することができ、重複する角度範囲は20N(20を表す)である。範囲20Nは、眼球運動ボックスに到達する高品質画像を含まないので、この領域は、コーティング設計中に無視することができる(すなわち、強制的な制約なしに)。したがって、ファセット18Aのコーティングによって要求される反射率および透過率の実際の範囲は、ライン14Fおよび15Fに対応し、実質的に短くなる。これは、好適なコーティングの設計を大いに促進する。
【0054】
この短縮された動的スペクトルのプロセスは、示されるすべての他の構成に適用可能であり、それにより、大型FOVのファセットコーティングの実現がより実用的になる。
【0055】
ここまで説明した例では、画像プロジェクタ114からの画像照明は、画像方向転換配置の第1および第2の反射器に到達する前に、LOEの第1の領域116に結合され、それらの反射器は、部分反射内面の第1および第2のセットと統合される。この場合、内部結合は、傾斜面を有する結合プリズム、内部結合反射器、または回折光学素子など、当技術分野で既知の従来の配置のいずれかによって達成され得る。
図10は、この一群のソリューションの導波路に沿った出力分布を概略的に示す。画像照明の全入力強度は、画像14として導波路内に下方(例示の任意の向きに)に注入される。光の一部は、15Aおよび15Bの横方向に結合される。この光は、光70として第2の導波路セクションにさらに結合される。注入された光14の一部は、光71としてファセットにおいて反射されることなく継続する。この光は、典型的には、比較的高い強度を有し、したがって、投影画像の不均一性を生成する。この不均一性は、セグメント30、52、54、62、および64(
図6~
図8)のファセットのいくつかまたはすべてにおいて高い反射率を実施することによって、軽減することができる。
【0056】
図11Aは、画像方向転換配置の第1および第2の反射器が、画像プロジェクタ(図示せず)からの光を導波路内に結合するための内部結合配置の一部である、代替の光学アーキテクチャを導入している。この場合、画像プロジェクタからの画像14は、
図11Aに円14で表されるように、LOEの主要面に対して垂直に注入されることが好ましい。画像方向転換配置の実施態様の2つの非限定的な例が、
図11Bおよび
図11Cに例示されている。
【0057】
図11Bでは、プロジェクタ114は、反射プリズム78上に射出瞳を有する。114からの光は、プリズム78によって2つのビームである、導波路の一方の側に結合された15A、および他方の側に結合された15Bに分割される。この構成では、
図10のビーム71のような高強度中心ビームは存在しない。
【0058】
図11Cは、
図6の30Aおよび30Bと同様であるが、導波路の外側に取り付けられたファセットプレート80Aおよび80Bの代替の実施態様を例示する。これら2つのセクションのファセットは、上述したように、光を横方向に伝搬する画像15Aおよび15Bに偏向させる。ここでも、高強度中心ビームは生成されない。
【0059】
2つの画像15Aおよび15Bは、プリズム78の面またはプレート80Aおよび80Bのファセットによって反射された後、導波路内に注入される。この注入中、それらはまた、好ましくは、内部結合配置の縁部79によってトリミングされる。このトリミングは、浅いビームに対して最も重要となる。しかしながら、特に、
図5Aおよび
図5Bに例示されるタイプの光学アーキテクチャの場合、これらの最も浅いビームは、典型的には、いずれにせよ、EMBに到達する画像の部分に寄与しない領域20に対応し、そのため、それらは、性能を損なうことなく、内部結合段階でトリミングすることもできる。これにより、画像プロジェクタ114の開口部および画像方向転換配置の反射器78および80の幅を、画像フィールドのすべてを2方向に伝送するために理論的に必要とされるよりも小さくすることが可能になる。これは、より小さなプロジェクタ114およびより集中したエネルギーの使用を可能にする。
【0060】
さらなる選択肢のセットを、
図12A~
図12Cに概略的に例示する。この場合、高強度入力画像ビーム14は、「上方に」、すなわち、外部結合が発生するLOEの第2の領域から離れて偏向される。これはまた、
図10のビーム71を参照して論じたように、不均一性の形成を回避する。結果として生じる幾何学形状を、
図12Aに概略的に示す。入力画像を上方に結合するための2つの特定の非限定的な例示的なソリューションを、
図12Bおよび
図12Cに概略的に例示する。
図12Bの場合、内部結合プリズムは、上方に向けられた画像を内部結合するための適切に配向された表面を提供するが、一方で
図12Cでは、内部結合プリズムは、プロジェクタ(図示せず)からの画像の類似の内部結合のための反射面を提供する。いずれの場合も、ここでは、画像方向転換配置の第1および第2の反射器が、導波路内の内部反射器として実装される。
【0061】
最後に、
図13Aおよび
図13Bを参照すると、本発明の原理は、基板の主要外面に垂直であるファセットの場合にも適用可能であり得る。
図13Aは、分かりやすくするために、出力画像16の伝搬方向に沿って見て、投影が有極である垂直ファセット90A(傾斜ファセット18に相当)の例を角度空間で例示する。注入画像15は、垂直ファセット90Aによって画像14上に折り重なる。14および15の重複は、ゴースト画像セクション20を生成する。
図13Bは、実空間における同じビームの伝播を示す。ここで、90Bは、ファセット90Aに対して等しいが反対の傾斜を有する垂直なファセットである。
【0062】
上記の原則はすべて、「横向き」構成にも適用でき、この場合、画像は、ユーザの目に結合するために、表示面積の横方向外側にあるPODから注入され、ファセットの第1のセットによって垂直方向に、次に、ファセットの第2のセットによって水平方向に拡散される。上記の構成および変形態様のすべては、側注構成にも適用可能であると理解されるべきである。
【0063】
上記の説明全体を通して、示されているようなX軸およびY軸が参照されており、ここで、X軸は水平または垂直のいずれかであり、第1の次元の光学的開口拡大に対応し、Y軸は、第2の次元の拡大に対応する、他方の主軸である。このコンテクストにおいて、XおよびYは、典型的には前述された
図1Aおよび
図1Bの眼鏡フレームなどの支持構成によって規定される配向で、ユーザの頭部に装着されたときのデバイスの配向に関して、規定することができる。典型的には、そのX軸の規定と一致する他の用語には、(a)X軸に平行な方向を規定するために使用することができる、眼球運動ボックスを区切る少なくとも1つの直線、(b)長方形の投影画像の縁部が、典型的には、X軸およびY軸に平行であること、および(c)第1の領域16と第2の領域18との間の境界が、典型的には、X軸に平行に延在すること、が含まれる。
【0064】
上記の説明は、実施例としてのみ役立つことが意図されること、および添付の特許請求の範囲で定義されるような本発明の範囲内で、多くの他の実施形態が可能であることが理解されよう。
【国際調査報告】