(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-15
(54)【発明の名称】電子デバイスおよびその形成方法
(51)【国際特許分類】
H03H 3/02 20060101AFI20230508BHJP
H03H 9/17 20060101ALI20230508BHJP
H03H 9/54 20060101ALI20230508BHJP
H03H 9/70 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
H03H3/02 B
H03H9/17 F
H03H9/54 Z
H03H9/70
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548606
(86)(22)【出願日】2022-01-19
(85)【翻訳文提出日】2022-09-30
(86)【国際出願番号】 CN2022072834
(87)【国際公開番号】W WO2022156722
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】202110078579.3
(32)【優先日】2021-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520339091
【氏名又は名称】セミコンダクター マニュファクチュアリング エレクトロニクス(シャオシン)コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェン,シュエリー
(72)【発明者】
【氏名】シアン,シャオホワ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,チョン
(72)【発明者】
【氏名】シャン,ウェイジョン
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108AA07
5J108BB08
5J108EE03
5J108KK01
5J108KK02
5J108MM11
5J108MM14
(57)【要約】
電子デバイスおよびこれを形成する方法が開示される。第1ウェハにおいて第1ウェハ上に送信共振器および受信キャップ空洞が形成され、第2ウェハにおいて第2ウェハ上に送信キャップ空洞および受信共振器が形成される。第1ウェハおよび第2ウェハを互いに接着した後に、送信領域内に送信フィルタが形成され、受信領域内に受信フィルタが形成される。本発明において提供される方法は、デバイスの製造プロセスを簡素化しその精度および安定性を改善するのみならず、同一のチップ内の送信フィルタおよび受信フィルタの集積を容易にし、結果として、デバイスの集積度をより高くし、そのパッケージサイズをよりコンパクトにする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスを形成する方法であって、
前記方法は、
第1ウェハおよび第2ウェハを提供することと、
前記第1ウェハをエッチングすることによって前記第1ウェハの受信領域内に受信キャップ空洞を形成することと、
前記第1ウェハの送信領域内に、そこに第1電極、圧電層、第2電極およびパッシベーション層を順に形成することによって、送信共振器を形成することと、
前記第2ウェハをエッチングすることによって前記第2ウェハの送信領域内に送信キャップ空洞を形成することと、
前記第2ウェハの受信領域内に、そこに第1電極、圧電層、第2電極およびパッシベーション層を順に形成することによって、受信共振器を形成することと、
前記第1ウェハ内の前記受信キャップ空洞が前記第2ウェハ上の前記受信共振器をシールしつつ閉鎖して受信フィルタを形成し、前記第2ウェハ内の前記送信キャップ空洞が前記第1ウェハ上の前記送信共振器をシールしつつ閉鎖して送信フィルタが形成されるように、前記第1ウェハおよび前記第2ウェハを互いに接着することと、
を備える、電子デバイスを形成する方法。
【請求項2】
前記第1ウェハの前記送信領域内にさらに第1中空空洞が形成され、
前記送信フィルタは、前記第1中空空洞と、前記送信共振器と、前記送信キャップ空洞とを備え、これらは前記第1ウェハから前記第2ウェハへと向かう方向に配置され、
前記第2ウェハの前記受信領域内にさらに第2中空空洞が形成され、
前記受信フィルタは、前記第2中空空洞と、前記受信共振器と、前記受信キャップ空洞とを備え、これらは前記第2ウェハから前記第1ウェハへと向かう方向に配置され、
前記受信フィルタは前記送信フィルタに対して反転されている、
請求項1に記載の電子デバイスを形成する方法。
【請求項3】
前記第1ウェハおよび前記第2ウェハを互いに接着した後、前記受信共振器内の各層の配置順序は、前記送信共振器内の各層の配置順序に対して逆となっている、請求項1に記載の電子デバイスを形成する方法。
【請求項4】
前記第1ウェハの前記送信領域において、第1中空空洞の上方に前記送信共振器が形成されるように第1中空空洞がさらに形成され、前記第1ウェハ内の前記第1中空空洞および前記受信キャップ空洞は、同一のフォトマスクを用いる同一のプロセスにおいて同時に形成され、および/または、
前記第2ウェハの前記受信領域において、第2中空空洞の上方に前記受信共振器が形成されるように第2中空空洞がさらに形成され、前記第2ウェハ内の前記第2中空空洞および前記送信キャップ空洞は、同一のフォトマスクを用いる同一のプロセスにおいて同時に形成される、
請求項1に記載の電子デバイスを形成する方法。
【請求項5】
前記送信共振器の前記形成は、前記送信領域内の頂部電極の端部を、第1エッチングパラメータで横方向にエッチングして、前記パッシベーション層の対応する端部が懸架部を形成するようにすることを含み、
前記受信共振器の前記形成は、前記受信領域内の頂部電極の端部を、第2エッチングパラメータで横方向にエッチングして、前記パッシベーション層の対応する端部が懸架部を形成するようにすることを含み、
前記第2エッチングパラメータは前記第1エッチングパラメータとは異なる、
請求項1に記載の電子デバイスを形成する方法。
【請求項6】
さらに、前記第1ウェハの前記送信領域内に、各送信コネクタが、前記送信共振器の隣に形成されて前記送信共振器と電気的に接続され、さらに、前記第2ウェハの前記送信領域内に、各送信接着柱が、それぞれ対応する各送信コネクタと位置整合して形成され、前記第1ウェハおよび前記第2ウェハを互いに接着する際に、各前記接着柱と、対応する各前記送信コネクタとが接着され接続されて各送信ピックアップを形成し、および、または、
さらに、前記第2ウェハの前記受信領域内に、各受信コネクタが、前記受信共振器の隣に形成されて前記受信共振器と電気的に接続され、さらに、前記第1ウェハの前記受信領域内に、各受信接着柱が、それぞれ対応する各受信コネクタと位置整合して形成され、前記第1ウェハおよび前記第2ウェハを互いに接着する際に、各前記接着柱と、対応する各前記受信コネクタとが接着され接続されて各受信ピックアップを形成する、
請求項1に記載の電子デバイスを形成する方法。
【請求項7】
前記第1ウェハおよび前記第2ウェハを互いに接着した後に、
前記第1ウェハまたは前記第2ウェハを薄化することと、
薄化された前記ウェハをエッチングして、複数の接触孔を形成することであって、各前記送信ピックアップおよび各前記受信ピックアップは、前記複数の接触孔内に露出する、複数の接触孔を形成することと、
前記接触孔内の導電プラグおよび前記薄化されたウェハ上の接触パッドを形成することであって、前記接触パッドは、前記導電プラグと電気的に接続されるように前記導電プラグをカバーする、導電プラグおよび接触パッドを形成することと、
前記接触パッド上にはんだボールを形成することと、
をさらに備える、請求項6に記載の電子デバイスを形成する方法。
【請求項8】
前記第1ウェハ上にさらに第1接着リングが形成され、
前記第1接着リングは、前記送信領域および前記受信領域の双方を囲み、
前記第2ウェハ上にさらに第2接着リングが形成され、
前記第2接着リングは、前記第1接着リングと位置整合し、
前記第1ウェハおよび前記第2ウェハの前記接着の際に、前記第1接着リングおよび前記第2接着リングが接着され接続される、
請求項1に記載の電子デバイスを形成する方法。
【請求項9】
第1ウェハおよび第2ウェハを備える電子デバイスであって、
前記第1ウェハおよび前記第2ウェハは互いに接着され、
送信領域において、前記第1ウェハ上に送信共振器が形成され、
前記送信共振器は、第1電極と、圧電層と、第2電極と、パッシベーション層とを備え、これらは前記第1ウェハから前記第2ウェハへと向かう方向に順に積層され、
前記第2ウェハ内に送信キャップ空洞が形成され、
前記送信キャップ空洞は、前記送信共振器をシールしつつ閉鎖して送信フィルタを形成し、
受信領域において、前記第1ウェハ内に受信キャップ空洞が形成され、
前記第2ウェハ上に受信共振器が形成され、
前記受信共振器は、第1電極と、圧電層と、第2電極と、パッシベーション層とを備え、これらは前記第2ウェハから前記第1ウェハへと向かう方向に順に積層され、
前記受信キャップ空洞は、前記受信共振器をシールしつつ閉鎖して受信フィルタを形成する、
電子デバイス。
【請求項10】
前記第1ウェハおよび前記第2ウェハの間にさらにシールリングが形成され、
前記シールリングは、前記送信フィルタおよび前記受信フィルタの双方を囲む、
請求項9に記載の電子デバイス。
【請求項11】
前記第1ウェハの前記送信領域において、第1中空空洞の上方に前記送信共振器が形成されるように第1中空空洞がさらに形成され、前記第1ウェハ内の前記第1中空空洞および前記受信キャップ空洞は、同一のフォトマスクを用いる同一のプロセスにおいて同時に形成され、および/または、
前記第2ウェハの前記受信領域において、第2中空空洞の上方に前記受信共振器が形成されるように第2中空空洞がさらに形成され、前記第2ウェハ内の前記第2中空空洞および前記送信キャップ空洞は、同一のフォトマスクを用いる同一のプロセスにおいて同時に形成される、
請求項9に記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体技術の分野に関し、とくに、電子デバイスおよびその形成方法に関する。
【0002】
[背景]
異なる周波数のフィルタを含む電子デバイスの製造は、通常、各フィルタを別々に形成し、その後、これらを電子デバイスの他の部分と一体化することを含む。たとえば、多周波数デュプレクサは、受信信号から送信信号を分離することができ、これによって、受信および送信が相互干渉なく別々に達成できることが確実になる。したがって、それらは移動体通信の分野で広く用いられている。具体的には、デュプレクサは、典型的には、異なる周波数の2つのフィルタ(それぞれ送信フィルタおよび受信フィルタ)からなる。体積弾性波(bulk acoustic wave)(BAW)フィルタは、広範な利点(高い動作周波数、コンパクトなサイズ、低挿入損失、高Q値および半導体プロセスとの互換性を含む)の恩恵により、この目的で広範囲に用いられる。
【0003】
BAWフィルタの動作周波数は、典型的には、その共振器内の薄膜の厚さによって決定される。したがって、電子デバイスに組み込まれる異なる周波数の送信フィルタおよび受信フィルタは、それらの薄膜パラメータの点で異なる。結果として、一方のフィルタの周波数調整が、他方のフィルタの周波数調整の影響を受け、正確に達成できないため、同じウェハに送信フィルタおよび受信フィルタを形成することは困難である。
【0004】
[サマリー]
本発明の目的の一つは、電子デバイス内で異なる周波数の送信フィルタおよび受信フィルタの、別々の正確な周波数調整を可能にする電子デバイスを形成する方法を提供し、これによって、電子デバイスの望ましい全体サイズを実現することを支援することである。
【0005】
この目的のために、本発明は、電子デバイスを形成する方法を提供する。方法は、
第1ウェハおよび第2ウェハを提供することと、
第1ウェハをエッチングすることによって、第1ウェハの受信領域内に受信キャップ空洞を形成することと、
第1ウェハの送信領域内に、そこに底部電極と、圧電層と、頂部電極と、パッシベーション層とを順に形成することによって、送信共振器を形成することと、
第2ウェハをエッチングすることによって、第2ウェハの送信領域内に送信キャップ空洞を形成することとと、
第2ウェハの受信領域内に、そこに底部電極と、圧電層と、頂部電極と、パッシベーション層とを順に形成することによって、受信共振器を形成することと、
第1ウェハ内の受信キャップ空洞が第2ウェハ上の受信共振器をシールしつつ閉鎖して受信フィルタが形成され、第2ウェハ内の送信キャップ空洞が第1ウェハ上の送信共振器をシールしつつ閉鎖して送信フィルタが形成されるように、第1ウェハと第2ウェハとを互いに接着することと、
を含む。
【0006】
任意選択で、第1ウェハの送信領域内にさらに中空空洞が形成されてもよく、送信フィルタは、中空空洞と、送信共振器と、送信キャップ空洞とを含み、これらは第1ウェハから第2ウェハへと向かう方向に配置される。加えて、中空空洞は、さらに第2ウェハの受信領域内に形成されてもよく、受信フィルタは、中空空洞と、受信共振器と、受信キャップ空洞とを含み、これらは第2ウェハから第1ウェハへと向かう方向に配置され、したがって、送信フィルタに対して反転されている。
【0007】
任意選択で、第1ウェハおよび第2ウェハが互いに接着された結果、受信共振器内の各層の配置順序は、送信共振器内の各層の配置順序に対して逆となってもよい。
【0008】
任意選択で、第1ウェハの送信領域において、中空空洞の上方に送信共振器が配置されるように、中空空洞がさらに形成されてもよく、第1ウェハ内の受信キャップ空洞および中空空洞は、同一のフォトマスクを用いる同一のプロセスにおいて同時に形成されてもよい。これに加えて、またはこれに代えて、第2ウェハの受信領域において、中空空洞の上方に受信共振器が配置されるように、中空空洞がさらに形成されてもよく、第2ウェハ内の送信キャップ空洞および中空空洞は、同一のフォトマスクを用いる同一のプロセスにおいて同時に形成されてもよい。
【0009】
任意選択で、送信共振器の形成は、送信領域内の頂部電極の端部を、第1エッチングパラメータで横方向にエッチングして、パッシベーション層の対応する端部が懸架部を形成するようにすることをさらに含んでもよく、受信共振器の形成は、受信領域内の頂部電極の端部を、第2エッチングパラメータで横方向にエッチングして、パッシベーション層の対応する端部が懸架部を形成するようにすることをさらに含み、第2エッチングパラメータは第1エッチングパラメータとは異なる。
【0010】
任意選択で、さらに、第1ウェハの送信領域内に、各送信コネクタが、送信共振器の隣に形成されて送信共振器と電気的に接続されてもよく、さらに、第2ウェハの送信領域内に、各送信接着柱が、それぞれ対応する各送信コネクタと位置整合して形成されてもよく、第1ウェハおよび第2ウェハの接着の結果としてそこに接合され、結果として各送信ピックアップを形成してもよい。これに加えて、またはこれに代えて、第2ウェハの受信領域内に、各受信コネクタが、受信共振器の隣に形成されて受信共振器と電気的に接続されてもよく、第1ウェハの受信領域内に、さらに各受信接着柱が、それぞれ対応する各受信コネクタと位置整合して形成され、第1ウェハおよび第2ウェハの接着の結果としてそこに接合され、結果として受信ピックアップを形成してもよい。
【0011】
任意選択で、第1ウェハおよび第2ウェハの接着した後に、本方法はさらに、第1ウェハまたは前記第2ウェハを薄化することと、薄化されたウェハ内に、これをエッチングして複数の接触孔を形成することであって、各送信ピックアップおよび各受信ピックアップが、複数の接触孔内に露出する、複数の接触孔を形成することと、接触孔内に導電プラグを形成し、薄化されたウェハ上に接触パッドを形成することであって、接触パッドは、導電プラグと電気的に接続されて導電プラグをカバーする、導電プラグおよび接触パッドを形成することと、接触パッド上にはんだボールを形成することと、を含む。
【0012】
任意選択で、さらに送信領域および受信領域の双方を囲む第1接着リングが第1ウェハ上に形成されてもよく、第1接着リングと位置整合して、第2ウェハ上にさらに第2接着リングがさらに形成されてもよく、第1ウェハおよび第2ウェハの接着の結果として、第1接着リングが第2接着リングに接合される。
【0013】
本発明の別の目的は、第1ウェハおよび第2ウェハを含む電子デバイスであって、第1ウェハおよび第2ウェハは互いに接着され、送信領域において、第1ウェハ上に送信共振器が形成され、送信共振器は、第1電極と、圧電層と、頂部電極と、パッシベーション層とを備え、これらは第1ウェハから第2ウェハへと向かう方向に順に積層され、第2ウェハ内に送信キャップ空洞が形成され、送信キャップ空洞は、送信共振器をシールしつつ閉鎖して、それらが共に送信フィルタを形成し、受信領域において、第1ウェハ内に受信キャップ空洞が形成され、第2ウェハ上に受信共振器が形成され、受信共振器は、底部電極と、圧電層と、頂部電極と、パッシベーション層とを含み、これらは第2ウェハから第1ウェハへと向かう方向に順に積層され、受信キャップ空洞は、受信共振器をシールしつつ閉鎖して、それらが共に受信フィルタを形成する、電子デバイスを提供することである。
【0014】
任意選択で、送信領域内の送信共振器は、送信フィルタの一部を形成するよう構成されてもよく、受信領域内の受信共振器は、送信フィルタに対して反転された受信フィルタの一部を形成するよう構成されてもよい。
【0015】
任意選択で、第1ウェハおよび第2ウェハの間にさらにシールリングが形成されてもよく、シールリングは、送信フィルタおよび受信フィルタの双方を囲む。
【0016】
本発明の電子デバイスおよび方法では、第1ウェハにおいて第1ウェハ上に送信共振器および受信キャップ空洞が形成され、第2ウェハにおいて第2ウェハ上に送信キャップ空洞および受信共振器が形成される。このようにすると、第1および第2ウェハを互いに接着する結果として、送信領域に送信フィルタが形成され、受信領域に受信フィルタが形成される。したがって、本発明の方法は、デバイスの製造プロセスを簡略化できるのみならず、同じチップ内の送信フィルタおよび受信フィルタの集積を容易にし、その結果として、デバイスの、より高い集積度、よりコンパクトなパッケージサイズ、およびより低いパッケージングコストがもたらされる。さらに、本発明によれば、送信フィルタおよび受信フィルタが同じチップに集積されるが、送信フィルタおよび受信フィルタの別々の正確な周波数調整は依然として可能であり、これによって、デバイスはより正確かつより安定なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態による電子デバイスを形成する方法を示す概略フロー図。
【
図2】本発明の実施形態による電子デバイスを形成する方法において形成される中間構造を示す概略図。
【
図3】本発明の実施形態による電子デバイスを形成する方法において形成される中間構造を示す概略図。
【
図4】本発明の実施形態による電子デバイスを形成する方法において形成される中間構造を示す概略図。
【
図5】本発明の実施形態による電子デバイスを形成する方法において形成される中間構造を示す概略図。
【
図6】本発明の実施形態による電子デバイスを形成する方法において形成される中間構造を示す概略図。
【
図7】本発明の実施形態による電子デバイスを形成する方法において形成される中間構造を示す概略図。
【
図8】本発明の実施形態による電子デバイスを形成する方法において形成される中間構造を示す概略図。
【0018】
これらの図において、100Tは送信領域、100Rは受信領域、110は第1ウェハ、120は第2ウェハ、200Tは送信共振器、200Rは受信共振器、210T/210Rは底部電極、220T/220Rは圧電層、230T/230Rは頂部電極、240T/240Rはパッシベーション層、250T/250Rは中空空洞、300Tは送信キャップ空洞、300Rは受信キャップ空洞、410Tは第1送信ピックアップ、410Rは第1受信ピックアップ、420Tは第2送信ピックアップ、420Rは第2受信ピックアップ、500は犠牲層、610T/610Rは第1コネクタ、620T/620Rは第2コネクタ、710は第1接着リング、720は第2接着リング、700はシールリング、810Rは受信接着柱、820Tは送信接着柱、910は接触孔、920は導電プラグ、930は接触パッド、940ははんだボールである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[背景]の章で説明したように、送信フィルタおよび受信フィルタを組み込んだ電子デバイスについては、各フィルタの所望の周波数でそれらが動作できるようにするために、それらのフィルタの薄膜パラメータを個別に設定することが必要である。しかしながら、各フィルタの薄膜パラメータの設定が、他方のフィルタの薄膜パラメータの設定によって影響を受け、正確に達成できないので、送信フィルタおよび受信フィルタの各共振器を同じウェハ上に形成することは困難である。たとえば、送信フィルタおよび受信フィルタの各頂部電極は、異なる厚さを有し得る。この場合には、各空洞を形成するために各頂部電極を横方向にエッチバックする際に(その上方に、各頂部電極にオーバーレイするパッシベーション層の端部が懸架される)、それらの厚さが異なるので、エッチングプロセスの間に除去される各頂部電極の体積を制御することが困難であり、一方で、不正確な制御は、結果として生じるデバイスのQ値に影響する場合がある。
【0020】
これを克服するために、送信フィルタおよび受信フィルタは、2つの分離したウェハ上に形成される場合があり、続いて送信フィルタおよび受信フィルタの各共振器が2つのウェハ上に形成された後に、送信フィルタおよび受信フィルタの各共振器をシールしつつ閉鎖するために追加の2つのウェハが提供される場合があり、これによって、送信フィルタおよび受信フィルタがパッケージされる。このようにすると、送信フィルタおよび受信フィルタの別々の周波数調整は可能であるが、送信フィルタおよび受信フィルタを異なるチップにパッケージするために少なくとも4つのウェハの使用が必要となる。これにより、デバイスの製造がより面倒かつ高価となり、また集積度が低下する。
【0021】
これに鑑み、本発明は、送信フィルタおよび受信フィルタの双方の正確な周波数調整のみならず、デバイスのより高い集積度およびより低い製造コストをも可能にする電子デバイスを形成する方法を提供する。とくに、
図1を参照してもよい。方法は、ステップS10において、第1ウェハおよび第2ウェハを提供することを含み、第1ウェハは送信共振器が形成される送信領域を有し、第1ウェハは受信キャップ空洞が形成される受信領域を有し、第2ウェハは送信キャップ空洞が形成される送信領域を有し、第2ウェハは受信共振器が形成される受信領域を有し、方法は、ステップS200において、第1ウェハ内の受信キャップ空洞が第2ウェハ上の受信共振器をカバーして受信フィルタを形成し、第2ウェハ内の送信キャップ空洞が第1ウェハ上の送信共振器をカバーして送信フィルタを形成するように、第1ウェハおよび第2ウェハを互いに接着することを含む。
【0022】
本発明において提案される電子デバイスおよび方法は、以下に、
図2~
図8および特定の実施形態を参照してより詳細に説明される。
図2~
図8は、本発明の実施形態による電子デバイスを形成する方法において形成される中間構造を示す概略図である。本発明の利点および特徴は、以下の説明からより明らかとなる。各図は、必ずしも正確な縮尺のために描かれてはおらず、記載される各実施形態をより便利かつ明確な方法で説明することを支援するという目的のみのために、非常に簡素化した形態で提供されるということに留意すべきである。「上方」、「下方」、「頂部」、「底部」、「前方」、「後方」、等の相対的用語は、本明細書において、様々な構成要素間の関係を記述するために、添付図面において示される向きに関連して用いられ得る。これらの相対的用語は、図示の向きに加え、様々な向きを包含することを意図される。たとえば、図内のデバイスが反転されると、ある要素の「上方」であると記述されている別の要素は、当該要素の「下方」に向き付けされることになる。
【0023】
まず、ステップS100が実行される。具体的には、
図2~
図5を参照して、第1ウェハ110および第2ウェハ120が提供される。
【0024】
とくに
図2を参照して、送信共振器200Tは第1ウェハ110の送信領域100T内に形成される。具体的に、送信共振器200Tは、送信フィルタ(たとえば送信BAWフィルタ)の一部を形成してもよい。さらに、中空空洞250Tも第1ウェハ110の送信領域100T内に形成され、送信共振器200Tは中空空洞250Tの上方に配置される。受信キャップ空洞300Rは、第1ウェハ110の受信領域100R内に形成される。
【0025】
本実施形態では、送信領域100T内の中空空洞250Tおよび受信キャップ空洞300Rは、同一のプロセスで形成可能である。具体的には、中空空洞250Tおよび受信キャップ空洞300Rは、同一のフォトマスクを用いるフォトリソグラフィプロセスによって第1ウェハ110内に同時に形成可能である。形成後、中空空洞250Tおよび受信キャップ空洞300Rは、犠牲層500で充填される。具体的には、中空空洞250Tおよび受信キャップ空洞300Rと犠牲層500とを面一にするため、平坦化プロセスを採用してもよい。これにより、後続の各共振器の形成が容易になる。
【0026】
続けて
図2を参照して、送信共振器200Tが第1ウェハ110上に形成され、送信共振器200Tは、底部電極210Tと、圧電層220Tと、頂部電極230Tと、パッシベーション層240Tとを含み、これらは第1ウェハ110の上方に順に積層される。底部電極210Tおよび頂部電極230Tの材料は、いずれも、たとえばモリブデン(Mo)を含む。圧電層220Tおよびパッシベーション層240Tの材料は、たとえば、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0027】
本実施形態では、送信共振器200Tを形成する方法は、頂部電極230Tの端部を、第1エッチングパラメータで横方向にエッチングして、パッシベーション層240Tの対応する端部が懸架部を形成するようにすることを含み、これによって、フィルタの品質ファクタ(Q値)を増加させることを支援する。送信フィルタの共振器のみが第1ウェハ110上に形成されるので、エッチバックプロセスの間にエッチ除去される頂部電極230Tの体積を正確に制御することが可能となり、これによって、送信フィルタの共振器において頂部電極230Tの厚さに依存するパラメータでこれを単に横方向にエッチングすることによって、結果として得られるフィルタの性能が確保されるということに留意すべきである。
【0028】
送信共振器200Tが形成された後、本方法は、第1ウェハ110の送信領域100T内に送信コネクタを形成することをさらに含む。各送信コネクタは、送信共振器200Tの隣に形成され、送信共振器200Tと電気的に接続される。送信コネクタは、第1コネクタ610Tおよび第2コネクタ620Tを含む。第1コネクタ610Tは、底部電極210Tと電気的に接続され、第2コネクタ620Tは頂部電極230Tと電気的に接続される。本実施形態では、底部電極210Tは、それにオーバーレイする各層を超えて延びる端部を有し、第1コネクタ610Tは、底部電極210Tのこの端部の上に形成される。さらに、第2コネクタ620Tの頂部電極230Tへの電気的接続は、
図2の概略断面図には明示されないが、当業者は、第2コネクタ620Tが別の相互接続特徴によって頂部電極230Tに電気的に接続されてもよいということを理解する。
【0029】
本実施形態では、送信共振器200Tの底部電極210Tの形成と同時に、底部電極210Tから分離した頂部電極ピックアップも、第1ウェハの送信領域100T内に形成され、第2コネクタ620Tはこの頂部電極ピックアップの上に形成される。すなわち、本実施形態では、第1コネクタ610Tおよび第2コネクタ620Tは、それぞれ、同一の導電材料層の相互に分離した部分である底部電極210Tおよび頂部電極ピックアップの上に形成される。このため、第1コネクタ610Tおよび第2コネクタ620Tは、互いに、等しいか、または本質的に等しい高さを有する。これによって、後続のパッケージングプロセスの間に、第1コネクタ610Tおよび第2コネクタ620Tの電気的接続が容易になる。
【0030】
加えて、送信共振器200Tに接続された第1コネクタ610Tおよび第2コネクタ620Tは、互いに送信共振器200Tの反対側に配置され、いずれも金属材料から形成される。たとえば、いずれも、アルミニウム(Al)、金(Au)、銅(Cu)、およびモリブデン(Mo)のうち少なくとも1つから形成可能である。これによって、一方では、第1コネクタ610Tおよび第2コネクタ620Tの導電性が保証される。他方で、後続の接着プロセスの間に、第1コネクタ610Tおよび第2コネクタ620Tは、接着を支援するように追加的に機能して、送信共振器200Tの互いに反対側に支持を提供してもよく、これによって、その後、送信共振器200Tの上方にこれをシールしつつ閉鎖するように堆積される送信キャップ空洞を画定する材料が、下方に崩壊して共振器と接触することを防止する。
【0031】
さらに、受信接着柱810Rが、第1ウェハ110の受信領域100R内に形成される。各受信接着柱810Rは、受信キャップ空洞300Rの隣に配置され、第2ウェハ120上の対応する各受信コネクタと位置整合する。本実施形態では、少なくとも2つの受信接着柱810Rが、互いに受信キャップ空洞300Rの反対側に配置され、それぞれ、受信共振器200Rを接続するよう構成される第2ウェハ120上の第1コネクタ610Rおよび第2コネクタ620Rと位置整合する。後続の接着プロセスにおいて、これら少なくとも2つの受信接着柱810Rは、それぞれ、受信共振器200Rの互いに反対側の第1コネクタ610Rおよび第2コネクタ620Rに接着されるよう構成される。
【0032】
さらに、受信接着柱810Rの底部分は、第1ウェハ110内に埋め込まれる。具体的には、各受信接着柱810Rが形成される前に、少なくとも1つの溝が、第1ウェハ110の表面に形成されてもよく、これによって、平坦でない表面部分が作られる。続いて、受信接着柱810Rは、溝を充填するように形成されてもよく、これによって、第1ウェハ110内に部分的に埋め込まれる。これによって、受信接着柱810Rの第1ウェハ110への接着力の増大が支援される。
【0033】
続けて
図2を参照して、第1ウェハ110上に、さらに、送信領域100Tおよび受信領域100Tの双方を囲む第1接着リング710が形成される。1つのそのような接着リング710は、1つの電子デバイスを画定し、1つの半導体チップに対応すると考えることができる。すなわち、本実施形態では、電子デバイス内の送信フィルタおよび受信フィルタは、いずれも同一の半導体チップに集積される。
【0034】
本実施形態では、第1接着リング710と、受信接着柱810Rと、送信共振器200Tに接続された第1コネクタ610Tおよび第2コネクタ620Tとは、同一のプロセスにおいて同一の材料から形成することができる。
【0035】
続いて、
図3を参照して、送信共振器200Tおよび他の構成要素(たとえばコネクタ、接着柱、等)が形成された後、中空空洞250Tおよび受信キャップ空洞300Rを解放するために、中空空洞250Tおよび受信キャップ空洞300R内の犠牲層が除去されてもよい。
【0036】
その後、とくに
図4を参照して、第2ウェハ120の送信領域100T内に送信キャップ空洞300Tが形成され、第2ウェハ120の受信領域100R内に受信共振器200Rが形成される。具体的には、受信共振器200Rは、受信フィルタ(たとえば受信BAWフィルタ)の一部を形成してもよい。さらに、第2ウェハ120の受信領域100R内に中空空洞250Rが形成され、受信共振器200Rは中空空洞250Rの上方に配置される。
【0037】
第1ウェハ110と同様に、第2ウェハ120の受信領域100R内の中空空洞250Rおよび送信キャップ空洞300Tは、同一のプロセスにおいて形成されてもよい。具体的には、中空空洞250Rおよび送信キャップ空洞300Tは、同一のフォトマスクを用いるフォトリソグラフィプロセスによって、第2ウェハ120内に同時に形成可能である。形成後、中空空洞250Rおよび送信キャップ空洞300Tは、犠牲層500で充填される。
【0038】
続けて
図4を参照して、第2ウェハ120上の受信共振器200Rは、底部電極210Rと、圧電層220Rと、頂部電極230Rと、パッシベーション層240Rとを含み、これらは第2ウェハ120の上方に順に積層される。底部電極210Rおよび頂部電極230Rの材料は、いずれもたとえばモリブデン(Mo)を含む。圧電層220Rおよびパッシベーション層240Rの材料は、たとえば、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0039】
送信領域100T内に形成される送信フィルタと、受信領域100R内に形成される受信フィルタとは、通常、異なる周波数のものであることに留意すべきである。したがって、送信共振器200T内の各層は、受信共振器200R内の各層とは異なる厚さを有し得る。たとえば、送信共振器200T内の頂部電極230Tの厚さは、受信共振器200R内の頂部電極230Rの厚さとは異なる可能性があり、かつ/または、送信共振器200T内のパッシベーション層240Tの厚さは、受信共振器200R内のパッシベーション層240Rの厚さとは異なる可能性があり、等である。とくに、送信共振器200T内の各層は、受信共振器200R内のそれらよりも厚くすることができる。
【0040】
受信共振器200Rを形成する方法は、頂部電極230Rの端部を、第2エッチングパラメータで横方向にエッチングして、パッシベーション層240Rの対応する端部が懸架部を形成するようにすることを含み、これによって、フィルタの品質ファクタ(Q値)を増加させることを支援する。受信フィルタの共振器のみが第2ウェハ120上に形成されるので、エッチバックプロセスの間にエッチ除去される頂部電極230Rの体積を正確に制御することが可能となり、これによって、送信フィルタの共振器において頂部電極230Rの厚さに依存するパラメータでこれを単に横方向にエッチングすることによって、結果として得られるフィルタの性能が確保されるということに留意すべきである。
【0041】
本実施形態では、送信共振器200T内の頂部電極230Tの厚さは、受信共振器200R内の頂部電極230Rの厚さとは異なる。したがって、第2エッチングパラメータは第1エッチングパラメータとは異なる。たとえば、第2エッチングパラメータは、第1エッチングパラメータのエッチング時間とは異なるエッチング時間を含んでもよく、かつ/または、第2エッチングパラメータは、第1エッチングパラメータのエッチング液濃度とは異なるエッチング液濃度を含んでもよく、等である。特定の例として、送信共振器200T内の頂部電極230Tの厚さが受信共振器200R内の頂部電極230Rの厚さより大きい場合には、第1エッチングパラメータのエッチング時間を、第2エッチングパラメータのエッチング時間よりも長くすることができる。
【0042】
第1ウェハ110と対応して、第2ウェハ120の受信領域100R内に、受信コネクタがさらに形成される。各受信コネクタは受信共振器200Rの隣に配置され、各受信共振器200Rと電気的に接続される。具体的には、受信コネクタは、第1コネクタ610Rおよび第2コネクタ620Rを含む。第1コネクタ610Rは、底部電極210Rと電気的に接続され、第2コネクタ620Rは、頂部電極230Rと電気的に接続される。さらに、いずれも受信共振器200Rに接続される第1コネクタ610Rおよび第2コネクタ620Rは、互いに受信共振器200Rの反対側に配置される。
【0043】
受信共振器200Rと、第1コネクタ610Rおよび第2コネクタ620Rとの接続における詳細については、送信共振器200Tと、第1コネクタ610Tおよび第2コネクタ620Tとの間の接続に関する上述の記載を参照することができる。受信共振器200Rの各層の材料は、送信共振器200Tの各層の材料と同一であってもよく、それに関するさらなる記載はここでは省略する。
【0044】
続けて
図4を参照して、第2ウェハ120の送信領域100Tに、さらに送信接着柱820Tが形成される。各送信接着柱820Tは、送信キャップ空洞300Tに隣に配置され、第1ウェハ110上の対応する各送信コネクタと位置整合する。本実施形態では、少なくとも2つの接着柱820Tが、互いに送信キャップ空洞300Tの反対側に配置され、それぞれ、送信共振器200Tの接続のために構成される第1ウェハ110上の第1コネクタ610Tおよび第2コネクタ620Tと位置整合する。後続の接着プロセスにおいて、これら少なくとも2つの送信接着柱820Tは、それぞれ、互いに送信共振器200Tの反対側の第1コネクタ610Tおよび第2コネクタ620Tに接着されるよう構成される。
【0045】
同様に、送信接着柱820Tの底部分は、第2ウェハ120に対する送信接着柱820Tの接着力の改善を実現するために、第2ウェハ120に埋め込まれる。これに関する詳細については、第1ウェハ110上の受信接着柱810Rの構造に関する上述の記載を参照することができ、さらなる説明はここでは省略する。
【0046】
続けて
図4を参照して、第1ウェハ110上の第1接着リング710と位置整合させて、第2ウェハ120上に第2接着リング720が形成される。接着プロセスにおいて、第1接着リング710は第2接着リング720に接着される。結果として、第2接着リング720は、送信領域100Tおよび受信領域100Rの双方を囲む。
【0047】
次に、とくに
図5を参照して、受信共振器200Rおよび他の構成要素(たとえばコネクタ、接着柱、等)が形成された後、中空空洞250Rおよび送信キャップ空洞300Tを解放するために、中空空洞250Rおよび送信キャップ空洞300T内の犠牲層が除去されてもよい。
【0048】
その後、ステップS200が実行される。とくに
図6を参照して、第1ウェハ110内の受信キャップ空洞300Rが第2ウェハ120上の受信共振器200Rをカバーして受信フィルタを形成し、第2ウェハ120内の送信キャップ空洞300Tが第1ウェハ110上の送信共振器200Tをカバーして送信フィルタを形成するように、第1ウェハ110および第2ウェハ120が互いに接着される。
【0049】
本実施形態において、送信フィルタは、中空空洞250Tと、送信共振器200Tと、送信キャップ空洞300Tとを含み、これらは第1ウェハ110から第2ウェハ120へと向かう方向に順に配置される。さらに、受信フィルタは、中空空洞250Rと、受信共振器200Rと、受信キャップ空洞300Rとを含み、これらは第2ウェハ120から第1ウェハ110へと向かう方向に順に配置される。すなわち、受信フィルタは、送信フィルタに対して反転されている。
【0050】
続けて
図6を参照して、第1ウェハ110および第2ウェハ120は、受信領域100R内の受信共振器200Rにおける各層の配置順序が、送信領域100T内の送信共振器200Tにおける各層の配置順序に対して逆となるように、互いに接着される。たとえば、本実施形態では、送信共振器200T内の底部電極、圧電層、頂部電極、およびパッシベーション層は、底部から上に向かって順に積層されるが、一方で、受信共振器200R内の底部電極、圧電層、頂部電極およびパッシベーション層は、頂部から下に向かって順に積層される。
【0051】
加えて、第1ウェハ110および第2ウェハ120は、第1ウェハ110上の第1接着リングが第2ウェハ120上の第2接着リングに接合されてシールリング700を形成するように、互いに接着される。このようにして、送信フィルタおよび受信フィルタは、同一の半導体チップ内に封入される。
【0052】
さらに、第1ウェハ110および第2ウェハ120は、第1ウェハ110上の各受信接着柱が、それぞれ、第2ウェハ120上の対応する各受信コネクタに接合されて受信ピックアップを形成し、第2ウェハ120上の各送信接着柱が、それぞれ、第1ウェハ110上の対応する各送信コネクタに接合されて送信ピックアップを形成するように、互いに接着される。具体的には、送信領域100Tにおいて、第1ウェハ110上の第1コネクタおよび第2コネクタは、第2ウェハ120上のそれぞれ対応する送信接着柱に接合されて、第1送信ピックアップ410Tおよび第2送信ピックアップ420Tを形成する。加えて、受信領域100Rにおいて、第2ウェハ120上の第1コネクタおよび第2コネクタは、第1ウェハ110上のそれぞれ対応する受信接着柱に接合されて、第1受信ピックアップ410Rおよび第2受信ピックアップ420Rを形成する。
【0053】
本実施形態では、第1ウェハ110および第2ウェハ120の接着は、第1接着リングを第2接着リングに金属的に接着してシールリング700を形成することによって実現される。加えて、送信領域100Tにおいて、各コネクタはそれぞれ、送信共振器200Tの互いに反対側にある対応する各接着柱に金属的に接着されてもよい。これにより、第1ウェハ110および第2ウェハ120の接着力を増大できるのみならず、接着の結果として得られる送信ピックアップが送信共振器200Tの互いに反対側において支持を提供できるようになり、デバイスの機械的強度が向上する。同様に、受信領域100Rにおいても、各コネクタはそれぞれ、受信共振器200Rの互いに反対側にある対応する各接着柱に金属的に接着されてもよく、これによって各ウェハ間の接着力がさらに向上する。さらに、結果として得られる各受信ピックアップも、受信共振器200Rの互いに反対側で支持を提供する。
【0054】
加えて、方法はさらに、ステップS300において、とくに
図7を参照して、第1ウェハ110または第2ウェハ120を薄化し、薄化されたウェハをエッチングして、複数の接触孔910をそこに形成することを含む。接触孔910において、送信共振器200Tにおける送信ピックアップ(第1送信ピックアップ410Tおよび第2送信ピックアップ420Tを含む)および受信共振器200Rにおける受信ピックアップ(第1受信ピックアップ410Rおよび第2受信ピックアップ420Rを含む)がそれぞれ露出する。
【0055】
本実施形態では、第2ウェハ120が薄化されエッチングされた結果として、第2ウェハ120内に接触孔910が形成される。しかしながら、他の実施形態では、第1ウェハ110が薄化されエッチングされ、その結果として、第1ウェハ110内に接触孔が形成されてもよい。
【0056】
次に、ステップS400において、とくに
図8を参照して、接触孔910内に導電プラグ920が形成され、処理されたウェハ上に接触パッド930が、それぞれ対応する導電プラグ920をカバーしてこれと電気的に接続されるように形成され、はんだボール940が、それぞれ対応する接触パッド930上に形成される。
【0057】
送信共振器200Tにおけるピックアップの1つ(本実施形態では第1送信ピックアップ410T)と、受信共振器200Rにおけるピックアップの1つ(本実施形態では第1受信ピックアップ410R)は、共通する1つのはんだボール940と電気的に接続され、このはんだボール940(すなわち、送信ピックアップおよび受信ピックアップの双方に接続されたはんだボール)はアンテナポートに対応する。
【0058】
加えて、方法はさらに、シールリング700に沿った接着の結果として得られる構造をダイシングすることにより、電子デバイスの半導体チップを形成することを含む。本実施形態によれば、電子デバイス内の送信フィルタおよび受信フィルタは、同一の半導体チップ内に集積される。
【0059】
上述の方法に基づき、本発明の各実施形態において、電子デバイスも提供される。具体的には、
図7および
図8を参照して、電子デバイスは、第1ウェハ110および第2ウェハ120を含み、これらは互いに接着される。
【0060】
第1ウェハ110の送信領域100T内に送信共振器200Tが形成され、第2ウェハ120内に送信キャップ空洞300Tが形成される。送信キャップ空洞300Tは、送信共振器200Tをシールして閉鎖する。このようにして、たとえば送信フィルタが送信領域100T内に形成可能となる。
【0061】
加えて、第1ウェハ110の受信領域100R内に受信キャップ空洞300Rが形成され、第2ウェハ120上に受信共振器200Rが形成される。受信キャップ空洞300Rは、受信共振器200Rをシールして閉鎖する。このようにして、たとえば受信フィルタが受信領域100R内に形成可能となる。
【0062】
続けて
図7および
図8を参照して、受信フィルタは送信フィルタに対して反転されている。具体的には、受信フィルタは、中空空洞と、共振器と、キャップ空洞とを含み、これらは第2ウェハ120から第1ウェハ110へと向かう方向に順に配置される。一方で、送信フィルタは、中空空洞と、共振器と、キャップ空洞とを含み、これらは第1ウェハ110から第2ウェハ120へと向かう方向に順に配置される。より具体的には、受信フィルタ内の受信共振器200Rは、送信フィルタ内の送信共振器200Tに対して反転されている。
【0063】
本実施形態では、送信フィルタおよび受信フィルタは、それらを互いに反転させることにより、クリエイティブな態様で同一の半導体チップ内に集積されている。これによって、製造プロセスの簡素化と、プロセスコストの低減とが支援され、効率的により改善された集積度、よりコンパクトなパッケージサイズ、および低減されたパッケージングコストが可能となる。さらに、送信フィルタおよび受信フィルタは同一の半導体チップ内に集積されているが、それぞれ異なる周波数の各フィルタの別々の正確な周波数調整は、依然として、送信共振器および受信共振器を形成するための各プロセスの間で、相互干渉なく可能であり、製造プロセスがより柔軟かつより正確なものとなる。
【0064】
本発明は、いくつかの好適な実施形態を参照して説明されたが、上記の説明は本発明を限定することを意図しないということに留意すべきである。上記の教示に照らして、いかなる当業者も、開示された実施形態に対して、その範囲から逸脱することなく、様々な可能な変更および変化を施し、または、それらを均等な代替物へと修正することが可能である。したがって、任意のおよびすべてのそのような簡単な変更、均等な代替物および本発明の範囲から逸脱することなく上記の説明に対して加えられる修正は、その範囲内に該当することが意図される。
【0065】
本明細書において、「第1」、「第2」、「第3」、等の用語は、とくに明記または特定がない限り、様々な構成要素、要素、ステップ、等の論理的または系列的な順序を示すのではなく、それらを互いに区別することのみを意図するということが理解されるべきである。
【0066】
さらに、本明細書において用いた用語法は、特定の実施形態を説明するためのみのものであり、本発明の範囲を限定することを意図しないということを認識すべきである。本明細書および添付の特許請求の範囲において、単数形「a」および「an」は、文脈がそうでないと示さない限り、複数の参照を含む。したがって、たとえば、「ステップ(a step)」または「手段(a means)」への参照は,1以上のステップまたは1以上の手段への参照であり、サブステップまたはサブ手段を含んでもよい。用いられたすべての連結は、可能な限り最も包含的な意味に解釈されるべきである。したがって、用語「または」は、文脈上明らかに他の必要がない限り、論理上の「排他的論理和」ではなく、論理上の「和(or)」の定義を有するものと解釈されるべきである。さらに、本発明の実施形態による方法および/またはデバイスの実装は、選択されたタスクを、手作業で、自動的に、またはそれらを組み合わせて実行することを含み得る。
【国際調査報告】