(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-15
(54)【発明の名称】コーティングされたインプラント及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/38 20060101AFI20230508BHJP
A61L 27/06 20060101ALI20230508BHJP
A61L 27/04 20060101ALI20230508BHJP
A61L 27/10 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
A61F2/38
A61L27/06
A61L27/04
A61L27/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549672
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(85)【翻訳文提出日】2022-09-02
(86)【国際出願番号】 IB2021051431
(87)【国際公開番号】W WO2021165910
(87)【国際公開日】2021-08-26
(32)【優先日】2020-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham MA 02767-0350 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】キンタナ-ポンセ・オスカー・エイ
(72)【発明者】
【氏名】スミス・ブライアン・ジェイ
【テーマコード(参考)】
4C081
4C097
【Fターム(参考)】
4C081AB05
4C081BC04
4C081CF112
4C081CF122
4C081CF142
4C081CG03
4C081CG06
4C081CG07
4C081CG08
4C081DB03
4C081DC04
4C097AA07
4C097CC02
4C097CC03
4C097DD06
4C097DD10
(57)【要約】
整形外科用膝インプラント(10)は、金属基材(60)及び金属コーティング(58)を有する大腿骨コンポーネント(12)を含む。整形外科用膝インプラントの大腿骨コンポーネントを製造するための方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
整形外科用膝インプラントであって、
患者の大腿骨の遠位端に結合されるように構成された大腿骨コンポーネントであって、
(i)チタン合金を含む基材であって、(a)矢状面内で湾曲した顆表面と、(b)前記顆表面の反対側に配置された骨対向面と、を有する、基材と、
(ii)前記顆表面上に配置された関節層であって、(a)ニオブ、ジルコニウム、チタン、タンタル、白金、モリブデン、又はこれらの組み合わせを含む第1の層と、(b)合金又はセラミックを含む第2の層と、(c)窒化チタンジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸窒化ジルコニウム、酸窒化ニオブ、又はこれらの組み合わせを含む第3の層と、を含む、関節層と、を含む、大腿骨コンポーネントを含み、
(i)前記第1の層が、前記第2の層と前記顆表面との間に延在してこれらを相互接続し、(ii)前記第2の層が、前記第1の層と前記第3の層との間に延在してこれらの層を相互接続し、(iii)前記第3の層が、前記大腿骨コンポーネントの外側関節面を形成する、インプラント。
【請求項2】
前記第1の層が、約7.1×10
-6/°K~約7.5×10
-6/°Kの少なくとも1つの方向における熱膨張係数を有する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記第3の層が、少なくとも約90%の単斜晶酸化ジルコニウムを含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項4】
前記第3の層が、約100nm~約5μmの厚さを有する、請求項3に記載のインプラント。
【請求項5】
前記第2の層が、少なくとも約95%のジルコニウムニオブ合金を含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項6】
前記第2の層が、約3μm~約8μmの厚さを有する、請求項5に記載のインプラント。
【請求項7】
前記第1の層が、少なくとも約95%のニオブを含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項8】
前記第1の層が、約0.5μm~約2μmの厚さを有する、請求項7に記載のインプラント。
【請求項9】
前記大腿骨コンポーネントが、前記骨対向面上に配置された骨係合層を含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項10】
前記骨係合層が多孔質である、請求項9に記載のインプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年2月19日出願の米国特許仮出願第62/978539号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の内容を本明細書に参照によって援用するものである。
【0002】
(関連出願の相互参照)
いずれも本明細書に参照によって援用する、発明の名称が「COATED IMPLANT AND METHOD OF MAKING THE SAME」である同時係属中の米国特許出願第##/###,###号、(代理人整理番号265280-333150、DSP6174USNP1)及び国際出願第PCT/AA2021/XXXXXX(代理人整理番号DSP6174USPCT1)を相互参照する。
【0003】
(発明の分野)
本開示は、一般的には、埋め込み型の整形外科用人工装具、より詳細には、埋め込み型の整形外科用人工装具の大腿骨コンポーネントに関する。
【背景技術】
【0004】
関節形成術は、病変した生体関節及び/又は損傷した生体関節を人工関節に置換する、周知の外科手術である。典型的な人工膝関節は、膝蓋骨プロテーゼコンポーネント、脛骨トレイ、大腿骨コンポーネント、及び、脛骨トレイと大腿骨コンポーネントとの間に配置された脛骨ベアリングを含んでいる。大腿骨コンポーネントは、患者の大腿骨の外科的な準備処置が施された遠位端に取り付けられるように設計されている。脛骨トレイは、患者の脛骨の外科的な準備処置が施された近位端に取り付けられるように設計されている。
【0005】
大腿骨コンポーネント及び脛骨トレイは、コバルトクロムの金属合金などの生体適合性材料で形成することができる。大腿骨コンポーネントと脛骨トレイとの間に配置される脛骨ベアリングコンポーネントは、ポリエチレンなどのプラスチック材料で形成することができる。しかしながら、コバルト合金は高価となる傾向があることから、非コバルト金属材料で形成されたコンポーネント及びこうしたコンポーネントを製造する方法が求められている。例えば、非コバルト金属材料から作られた人工膝関節の大腿骨コンポーネント及びこうしたコンポーネントを製造する方法が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、整形外科用インプラントは、大腿骨コンポーネントを含む。大腿骨コンポーネントは、患者の大腿骨の遠位端に結合されるように構成され得る。大腿骨コンポーネントは、チタン合金を含む基材を含むことができる。例示的に、基材は、矢状面内で湾曲した顆表面と、顆表面の反対側に配置された骨対向面と、を有することができる。関節層を顆表面上に配置することができる。関節層は、ニオブ、ジルコニウム、チタン、タンタル、白金、モリブデン、又はこれらの組み合わせを含む第1の層と、合金又はセラミックを含む第2の層と、窒化チタンジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸窒化ジルコニウム、酸窒化ニオブ、又はこれらの組み合わせを含む第3の層と、を含むことができる。第1の層は、第2の層と顆表面との間に延在してこれらを相互接続することができる。第2の層は、第1の層と第3の層との間に延在してこれらの層を相互接続することができる。第3の層は、大腿骨コンポーネントの外側関節面を形成することができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1の層は、約7.1×10-6/°K~約7.5×10-6/°Kの少なくとも1つの方向における熱膨張係数を有することができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、第3の層は、少なくとも約90%の単斜晶酸化ジルコニウムを含むことができる。いくつかの実施形態では、第3の層は、約100nm~約5μmの厚さを有することができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、第2の層は、少なくとも約95%のジルコニウムニオブ合金を含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の層は、約3μm~約8μmの厚さを有することができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1の層は、少なくとも約95%のニオブを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の層は、約0.5μm~約2μmの厚さを有することができる。
【0011】
例示的に、大腿骨コンポーネントは、骨対向面上に配置された骨係合層を含むことができる。いくつかの実施形態では、骨係合層は多孔質であってよい。
【0012】
別の態様によれば、整形外科用膝インプラントの大腿骨コンポーネントを形成するためのプロセスは、基材の顆表面上に、ニオブ、ジルコニウム、チタン、タンタル、白金、モリブデン、これらの組み合わせ、又はこれらのセラミックを含む第1の層を堆積させることを含む。基材は、チタンを含むことができる。顆表面は、矢状面内で湾曲していてもよい。いくつかの実施形態では、プロセスは、第1の層上に、ジルコニウムとニオブの合金を含み得る第2の層を堆積させることを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1の層は、少なくとも約90%のニオブを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の層は、約0.5μm~約2.5μmの厚さを有することができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、第2の層は、少なくとも約95%のジルコニウムとニオブの合金を含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の層は、約3μm~約8μmの厚さを有することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、プロセスは、第2の層の一部を酸化させて、第3の層を形成することを含むことができる。いくつかの実施形態では、第3の層は、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸窒化ジルコニウム、酸窒化ニオブ、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、第3の層は、少なくとも約95%の酸化ジルコニウムを含むことができる。いくつかの実施形態では、第3の層は、約4μm~約5μmの厚さを有することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、酸化させる工程は、約97.5%のアルゴンと約2.5%の酸素を含む環境中で実施することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、酸化させる工程は、約500℃~約600℃の温度で実施することができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、プロセスは、第2の層上に第3の層を堆積させることを含むことができる。
【0020】
本開示の別の態様によれば、整形外科用インプラントは、大腿骨コンポーネントを含む。大腿骨コンポーネントは、患者の大腿骨の遠位端に結合されるように構成されている。大腿骨コンポーネントは、チタン合金を含む基材を含むことができる。例示的に、基材は、矢状面内で湾曲した顆表面と、顆表面の反対側に配置された骨対向面と、を有することができる。関節層を顆表面上に配置することができる。関節層は、ニオブ、ジルコニウム、チタン、タンタル、白金、モリブデン、又はこれらの組み合わせを含む内側層と、窒化チタンジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸窒化ジルコニウム、酸窒化ニオブ、又はこれらの組み合わせを含む外側層と、を含むことができる。内側層は、顆表面から延在することができる。外側層は、大腿骨コンポーネントの外側関節面を形成することができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、関節層は、合金又はセラミックを含む中間層を含むことができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、外側層中のジルコニウムの原子パーセントは、50At%~80At%であってよい。いくつかの実施形態では、外側層中のジルコニウムの原子パーセントは、30At%~85At%である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
詳細な説明は、具体的には、以下の図面を参照する。
【
図1】上から下に、大腿骨コンポーネント、脛骨ベアリング、及び脛骨トレイを示す、整形外科用人工膝関節の分解斜視図である。
【
図2】概ね
図1の線2-2に沿った、矢状面に沿った、矢印の方向に見た、
図1の大腿骨コンポーネント及び脛骨ベアリングの断面図である。説明を分かりやすくするため、多孔質の金属コーティングは
図2の断面には示されていない点に留意されたい。
【
図3】丸で囲んだ領域によって示される、
図2からの拡大断面図である。
【
図4】
図1~
図3の大腿骨コンポーネントの関節層を形成するためのプロセスの例示的な模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の概念は、様々な修正形態及び代替的形態にしやすいが、その特定の例示的な実施形態を例として図面に示し、本明細書において詳細に説明する。しかしながら、本開示の概念を開示される特定の形態に限定することを何ら意図するものではなく、その逆に、本発明は、添付の「特許請求の範囲」によって定義される発明の趣旨及び範囲に包含されるすべての修正物、均等物、並びに代替物を網羅することを意図するものであることを理解されたい。
【0025】
解剖学的基準を表す、前方、後方、内側、外側、上位、下位などの用語は、本明細書全体を通じて、本明細書において述べられる整形外科用インプラント又は整形外科用プロテーゼに関して使用され、かつ患者の生体解剖学的構造を参照して使用することができる。このような用語は、解剖学の研究及び整形外科学の分野のいずれにおいても十分に理解された意味を有する。記述されている説明及び「特許請求の範囲」におけるこのような解剖学的参照用語の使用は、特に明記しないかぎり、それらの十分に理解された意味と一貫性を有することが意図される。
【0026】
ここで
図1を参照すると、一実施形態では、整形外科用人工膝関節10は、大腿骨コンポーネント12、脛骨ベアリング14、及び脛骨トレイ16を含んでいる。大腿骨コンポーネント12は、脛骨トレイ16と連結されるように構成された脛骨ベアリング14と関節接合するように構成されている。
図1の例示的な実施形態では、脛骨ベアリング14は、回転式又は可動式の脛骨ベアリングとして具現化されており、使用時に脛骨トレイ16に対して回転するように構成されている。しかしながら、他の実施形態では、脛骨ベアリング14は、脛骨トレイ16に対する回転を限定又は制限することができる固定式の脛骨ベアリングとして具現化されてもよい。
【0027】
脛骨トレイ16は、外科的に準備された患者の脛骨の近位端(図示せず)に固定されるように構成されている。脛骨トレイ16は、骨セメント又は他の取付け方法を使用して患者の脛骨に固定することができる。脛骨トレイ16は、上面20と下面22を有するプラットフォーム18を含む。例示的に、上面20はほぼ平面状である。脛骨トレイ16はまた、プラットフォーム18の下面22から下方に延在するステム24も含んでいる。キャビティ又は穴26が、プラットフォーム18の上面20内に画定され、かつ、ステム24内に下方に延在している。穴26は、以下においてさらに詳述されるように、脛骨ベアリング14の相補的なステム36を収容するように形成されている。
【0028】
上述したように、脛骨ベアリング14は、脛骨トレイ16と連結されるように構成されている。脛骨ベアリング14は、上側軸受面32と下側軸受面34を有するプラットフォーム30を含んでいる。脛骨ベアリング14が回転式又は可動式の脛骨ベアリングとして実施される例示的な実施形態では、ベアリング14は、プラットフォーム30の下面34から下方に延在するステム36を含んでいる。脛骨ベアリング14が脛骨トレイ16と連結されると、ステム36は、脛骨トレイ16の穴26の中に受容される。使用時、脛骨ベアリング14は、ステム36によって規定される軸を中心として脛骨トレイ16に対して回転するように構成されている。脛骨ベアリング14が固定式の脛骨ベアリングとして具現化される実施形態では、脛骨ベアリング14はステム36を有しても有さなくてもよく、かつ/又は、回転しない構成として脛骨ベアリング14を脛骨トレイ16に固定するための他の装置又は機構を含んでもよい。
【0029】
脛骨ベアリング14の上側軸受面32は、内側軸受面42と外側軸受面44とを含んでいる。内側軸受面42及び外側軸受面44は、以下にさらに詳述されるように、大腿骨コンポーネント12の対応する内側顆52及び外側顆54を受容するか又は他の形でこれらと接触するように構成されている。したがって、軸受面42、44のそれぞれは凹状の外形を有している。
【0030】
大腿骨コンポーネント12は、患者の大腿骨(図示せず)の遠位端の外科的な準備処置が施された表面に結合されるように構成されている。大腿骨コンポーネント12は、骨接着剤又は他の取付方法の使用によって患者の大腿骨に固定することができる。大腿骨コンポーネント12は、一対の内側顆52及び外側顆54を有している。顆52、54は、離間してそれらの間に顆間ノッチ56を画定している。使用時、顆52、54は、患者の大腿骨の天然の顆に置き換えられるものであり、脛骨ベアリング14のプラットフォーム30の対応する軸受面42、44に対して関節接合するように構成されている。
【0031】
図1の例示的な整形外科用人工膝関節10(「インプラント」と呼ぶ場合もある)は、後十字保持膝プロテーゼとして具現化されている。すなわち、大腿骨コンポーネント12は、後十字温存型人工膝関節として具現化され、脛骨ベアリング14は、後十字温存型脛骨ベアリング14として具現化されている。しかしながら、他の実施形態では、整形外科用人工膝関節10は、後十字切離型人工膝関節として具現化することができる。
【0032】
ここで
図1及び
図2を参照すると、大腿骨コンポーネント12は、使用時、脛骨インサート14に対して関節接合するように構成されている。大腿骨コンポーネント12の各顆52、54は、矢状面内で凸状に湾曲して、脛骨ベアリング14のそれぞれの軸受面42、44と対向するように構成された外側関節面50を含んでいる。
【0033】
図2に示されるように、大腿骨コンポーネント12は、基材60と関節層58とを含んでいる。例示的に、関節層58は、基材60上に配置され、脛骨ベアリング14と相互作用するように構成されている。いくつかの実施形態では、大腿骨コンポーネント12は、関節層58の反対側に配置された骨係合層62を含んでおり、基材60がそれらの間に配置されている。骨係合層62は、患者の外科的な準備処置が施された大腿骨と相互作用するように構成されている。
【0034】
図2に示されるように、基材60は、顆表面66と骨対向面64とを含んでいる。顆表面66は、矢状面内で湾曲しており、基材60上に関節層58が配置されるように構成されている。骨対向面64は顆表面66の反対側に配置され、患者の大腿骨の外科的な準備処置が施された遠位端に対向して配置されている。
【0035】
図1及び
図2は、骨係合層62が、大腿骨コンポーネント12と患者の大腿骨の外科的な準備処置が施された遠位端との間にセメントなしで埋め込まれるように構成された、大腿骨コンポーネント12のセメントレス実施形態を示す。いくつかの実施形態では、骨係合層62はチタンを含む。骨係合層62は、Warsay,Indiana所在のDePuySynthesより市販されるPorocoat(登録商標)Porous Coatingなどの別に塗布されたコーティングとすることができる点を理解されたい。
【0036】
いくつかの実施形態では、骨係合層62は、複数の相互接続された支柱によって形成された多孔質の三次元構造によって画定することができる。一例では、複数の相互接続された支柱は、例示的な実施形態において菱形三角面のねじれ双角錐である、複数の幾何学的構造を形成する。かかる幾何学的構造は、特定の設計の必要性に適合するように変更可能である点を理解されたい。さらに、骨係合層62は、特定の設計の必要性に適合するうえで適当な任意の他の代替な幾何形状から形成することができる点を理解されたい。
【0037】
いくつかの実施形態では、骨係合層62は、金属粉末で形成される。例示的に、金属粉末には、これらに限定されるものではないが、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、タンタル、ニオブ、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。骨係合層62は、患者の大腿骨の外科的な準備処置が施された遠位端に移植される際に大腿骨コンポーネント12の骨係合層62内への骨の内殖を促進するうえで適当な多孔度を有する。
【0038】
本明細書に記載の例示的な実施形態では、骨係合層62は、大腿骨コンポーネント12の骨対向面64上に直接付加するようにして製造される。かかる実施形態では、2つの構造、すなわち大腿骨コンポーネント12及び骨係合層62は、共通の積層造形プロセスにおいて同時に製造することができる。例えば、これらの2つの構造は、両方の構造を含む共通のモノリシックな金属コンポーネントを与える1回の3D印刷操作で同時に製造することができる。あるいは、骨係合層62は、大腿骨コンポーネント12の骨対向面64に固定された別々の構成要素として製造することができる。
【0039】
代替の実施形態では、大腿骨コンポーネント12は、セメントを使用して患者の大腿骨の外科的な準備処置が施された遠位端に取り付けられるように構成されている。いくつかの実施形態では、大腿骨コンポーネント12は、骨対向面64上に配置されたセメントリザーバ(図示せず)を含む。いくつかの実施形態では、骨接着剤は、骨対向面64上に配置される。いくつかの実施形態では、骨接着剤は、骨セメントを含む。いくつかの実施形態では、骨対向面64は、骨接着剤を受容するように構成される。
【0040】
いくつかの実施形態では、基材60は、金属製である。いくつかの実施形態では、基材60は、金属合金を含む。一実施形態において、基材60は、チタン合金を含む。いくつかの実施形態では、基材60は、チタン及びバナジウムを含む。いくつかの実施形態では、基材60は、チタン、アルミニウム、及びバナジウムを含む。いくつかの実施形態では、基材60は、Ti-6Al-4Vを含む。いくつかの実施形態では、基材60は、Ti-6Al-4Vから本質的になる。いくつかの実施形態では、基材60は、約8.2×10-6/°K~約9×10-6/°Kの熱膨張係数(CTE)を有する。いくつかの実施形態では、基材60はTi-6Al-4Vを含み、約8.2×10-6/°K~約9×10-6/°Kの熱膨張係数(CTE)を有する。
【0041】
次に
図2及び
図3を参照すると、関節層58は、顆表面66上に配置されている。関節層58は、骨対向面64の反対側に配置され、それらの間に基材60が配置されている。関節層58は、軸受面42、44と相互作用し、脛骨ベアリング14と関節接合するように構成されている。
【0042】
関節層58は、本明細書に記載のいくつかの層を有することができる。関節層58の層は、関節層58を構築するうえでの使用に好ましい機械的特性(例えば、高い耐摩耗性及び/又は耐食性)を有する材料でそれぞれ構成することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、関節層58は、基材60と協働して、外側関節面50の引っかきを最小限に抑える。いくつかの実施形態では、関節層58は、基材60と協働して、大腿骨コンポーネント12の凝集性チッピングを最小限に抑える。いくつかの実施形態では、関節層58は、基材60と協働して、割れを最小化又は回避するのに十分な靭性を提供する。
【0044】
次に
図3を参照すると、関節層58は、内側層68、中間層70、及び外側層72を含む。関節層58の外側層72は、関節層58の構築における使用に好ましい機械的特性(例えば、強化された摩耗及び/又は耐食性)を有する材料で構成される。これに対して、内側層68は、関節層58を基材60に固定するうえでの使用に好ましい機械的特性を有する材料で構成される。いくつかの実施形態では、関節層58は、内側層及び外側層のみを含んでもよい。
【0045】
本明細書で使用される場合、「層」という用語は、別の同様の寸法を有する材料の「厚み」に接して配置される材料の「厚み」に限定されることは意図しておらず、むしろ材料の様々な構造、形態、及び構成を含むことを意図している点を理解されたい。例えば、「層」という用語は、異なる材料の別の部分、領域、又は構造に接して配置された材料の部分、領域、又は他の構造を含み得る。例えば、中間層70と外側層72との間の界面は
図3で均一なものとして示されているが、実施形態によっては、界面は不規則であり、中間層70及び外側層72は均一な厚さを有さない。いくつかの実施形態では、「層」は、既存の層の表面又は一部を改変することによって形成される。例えば、いくつかの実施形態では、外側層72は、中間層70の外側部分を酸化させることによって形成される。代替的な実施形態では、「層」は、既存の表面にさらなる材料を付与することによって形成される。例えば、いくつかの実施形態では、内側層68は、材料を顆表面66上に堆積させることによって形成される。
【0046】
図3に示される例示的な実施形態における関節層58は、内側層68、中間層70、及び外側層72を含む。内側層68は、顆表面66上に配置されている。外側層72は、大腿骨コンポーネント12の外側関節面50を形成するように配置されている。中間層70は、内側層68と外側層72との間に延在してこれらの層を相互接続する。
【0047】
内側層68は、中間層70と顆表面66との間に延在してこれらの層を相互接続する。内側層68は内側表面74及び外側表面76を有している。内側表面74は、外側表面76と顆表面66との間に位置している。内側層68の外側表面76は、内側層68の内側表面74と中間層70との間に位置している。いくつかの実施形態では、内側層68は、大腿骨コンポーネント12からの関節層58の剥離を最小限に抑えるように構成されている。
【0048】
内側層68は、顆表面66から測定される特定の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、内側層68は、ナノスケール~マイクロメートルのスケールの厚さで存在してよい。いくつかの実施形態では、内側層68は、約0.5nm~約10nm、又は約0.5nm~約3nmである。いくつかの実施形態では、内側層68は、約0.10μm~約2μmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、内側層68は、約200nm~約1μmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、内側層68は、少なくとも約0.10μm、少なくとも約0.20μm、少なくとも約0.30μm、少なくとも約0.5μm、少なくとも約1μm、少なくとも約1.5μm、又は少なくとも約2μmの厚さを有する。
【0049】
内側層68は、関節層58を基材60に固定する際に使用するのに好ましい機械的特性を与えるために金属、合金、セラミック、又は他の適当な材料を含むことができる。例えば、内側層68の組成は、中間層70の酸化工程後の関節層58の凝集性チッピングを最小限に抑えるように選択され得る。例示的な実施形態では、内側層68は、ニオブ、ジルコニウム、チタン、タンタル、モリブデン、白金、ハフニウム、これらの組み合わせ、又は他の任意の適当な金属を含む。例示的に、セラミックは、金属及び窒化物、炭化物、酸化物、又はこれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、内側層68は、ニオブを含む。いくつかの実施形態では、内側層68は、少なくとも約90%のニオブを含む。いくつかの実施形態では、内側層68は、少なくとも約95%のニオブを含む。いくつかの実施形態では、内側層68は、少なくとも約90%のジルコニウム、チタン、タンタル、モリブデン、白金、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、内側層68は、少なくとも約95%のジルコニウム、チタン、タンタル、モリブデン、白金、又はこれらの組み合わせを含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、内側層68は、特定の熱膨張係数(CTE)を有する。いくつかの実施形態では、内側層68のCTEは、基材60のCTEと中間層70のCTEとの間である。いくつかの実施形態では、内側層68のCTEは、約6×10-6/°K~約8×10-6/°K又は約7.1×10-6/°K~約7.5×10-6/°Kである。いくつかの実施形態では、内側層68は、約7.1×10-6/°K、約7.2×10-6/°K、約7.3×10-6/°K、約7.4×10-6/°K、又は約7.5×10-6/°KのCTEを有する。
【0051】
例示的な実施形態では、中間層70は、内側層68と外側層72との間に延在してこれらの層を相互接続する。中間層70は、内側表面78及び外側表面80を含む。中間層70の内側表面78は、中間層70の内側表面68と外側表面80との間に位置している。中間層70の外側表面80は、中間層70の内側表面78と外側層72との間に位置している。他の実施形態では、外側関節面50は外側層72を有さず、中間層70の外側表面80が外側関節面50を形成する。
【0052】
いくつかの実施形態では、中間層70は、約1μm~約8μmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、中間層70は、少なくとも約1μm、少なくとも約2μm、少なくとも約3μm、少なくとも約5μm、少なくとも約6μm、少なくとも約7μm、又は少なくとも約8μmの厚さを有する。
【0053】
中間層70は、耐摩耗性及び耐酸化性を高めるために、金属、合金、セラミック、又は他の適当な材料を含むことができる。例えば、中間層70は、ニオブ、ジルコニウム、チタン、タンタル、モリブデン、これらの組み合わせ、又は他の任意の適当な金属を含んでもよい。いくつかの実施形態では、中間層70は、ニオブ、ジルコニウム、チタン、タンタル、モリブデン、これらの組み合わせ、又は他の任意の適当な金属を含むセラミックを含む。例示的に、セラミックは、金属及び窒化物、炭化物、酸化物、又はこれらの組み合わせを含むことができる。例えば、中間層70は、窒化ニオブ、窒化ジルコニウム、又はこれらの組み合わせなどのセラミックを含むことができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、中間層70は、ジルコニウム合金を含む。いくつかの実施形態では、中間層70は、ジルコニウムとニオブの合金を含む。いくつかの実施形態では、中間層70は、少なくとも約97.5%のジルコニウムを含む。いくつかの実施形態では、中間層70は、少なくとも約2.5%のニオブを含む。いくつかの実施形態では、中間層70は、少なくとも約95%のジルコニウムとニオブの合金を含む。いくつかの実施形態では、中間層70は、Zr-2.5Nbを含む。いくつかの実施形態では、中間層70は、本質的にZr-2.5Nbからなる。いくつかの実施形態では、中間層70の各方向のCTEは、約5×10-6/°K~約5.9×10-6/°Kの範囲であってよい。いくつかの実施形態では、中間層70は、ジルコニウムとニオブの合金を含み、約5×10-6/°K~約5.9×10-6/°Kの各方向のCTEを有し得る。
【0055】
いくつかの例示的な実施形態では、外側層72は、大腿骨コンポーネント12の外側関節面50を形成するように構成される。外側層72は、内側表面82及び外側表面84を含む。外側層72の内側表面82は、中間層70と外側層72の外側表面84との間に位置している。外側層72の外側表面84は、大腿骨コンポーネント12の外側表面84を形成する。例示的に、外側層72の外側表面84は大腿骨コンポーネント12の外側関節面50を形成し、
図2に示されるように、脛骨ベアリング14と相互作用し、脛骨ベアリングを中心として回転するように構成されている。
【0056】
いくつかの例では、外側層72は、外側層を堆積させることによって、又は中間層70の一部の酸化による熱成長によって形成することができる。いくつかの実施形態では、外側層72は、少なくとも約0.2μm、少なくとも約0.5μm、少なくとも約1μm、少なくとも約2μm、少なくとも約3μm、少なくとも約4μm、少なくとも約5μm、又は少なくとも約6μmの厚さを有する。
【0057】
例示的な実施形態では、外側層72は、中間層70の少なくとも一部を酸化させることによって形成される。例えば、中間層70の外側表面80を酸化させて外側層72を熱成長させることができる。例示的に、熱成長は、中間層70の部分、例えば外側部分の格子内への酸素の挿入によって酸化物を形成することによって生じさせることができる。いくつかの実施形態では、外側層72はセラミックを含む。例示的な実施形態では、外側層72のセラミックは、中間層70の組成物の酸化物である。いくつかの実施形態では、外側層72は、ニオブとジルコニウム合金の酸化物を含む。いくつかの実施形態では、外側層72は、酸化ジルコニウムを含む。いくつかの実施形態では、外側層72は、窒化チタンジルコニウムを含む。いくつかの実施形態では、外側層72は、酸化ニオブを含む。いくつかの実施形態では、外側層72は、酸化ジルコニウム及び酸化ニオブを含む。いくつかの実施形態では、外側層72は、単斜晶酸化ジルコニウムを含む。いくつかの実施形態では、外側層72は、少なくとも約90%の酸化ジルコニウムを含む。いくつかの実施形態では、外側層中のジルコニウムの原子パーセントは、50At%~80At%であってよい。いくつかの実施形態では、外側層中のジルコニウムの原子パーセントは、30At%~85At%である。いくつかの実施形態では、外側層72は、少なくとも約90%の単斜晶酸化ジルコニウムを含む。いくつかの実施形態では、外側層72は、酸窒化ジルコニウム及び酸窒化ニオブを含むことができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、内側層68はニオブを含み、中間層70はジルコニウムとニオブの合金を含み、外側層72は酸化ジルコニウムを含む。
【0059】
次に
図4を参照すると、整形外科用人工膝関節10の大腿骨コンポーネント12は、プロセス100を通じて形成され得る。いくつかの実施形態では、プロセス100は、内側層68を堆積させる第1の堆積工程110と、中間層70を堆積させる第2の堆積工程120と、酸化工程130と、を含む。いくつかの実施形態では、プロセス100は、例えばチタンなどの金属を含む内側層を堆積させる第1の堆積工程と、例えば窒化チタンジルコニウムなどのセラミックを含む外側層を堆積させる第2の堆積工程と、を含む。いくつかの実施形態では、プロセス100は、第2の堆積工程120の後に酸化工程130を含まない。例示的な実施形態では、プロセス100は、堆積させる工程110のために基材60を準備する工程を含む。いくつかの実施形態では、プロセス100は、酸化させる工程130の後に研磨などの仕上げ工程を含む。いくつかの例示的な実施形態では、プロセス100は、上記の層の堆積のために基材60を準備することを含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、第1の堆積工程110は、内側層68を堆積させて基材60の顆表面66上に内側層68を形成する。いくつかの実施形態では、第1の堆積工程110は物理蒸着(PVD)によって実施されるが、これは、マグネトロンスパッタシステムを使用して実施することができる。他の実施形態では、PVDは、HiPIMS、イオンビーム支援堆積(IBAD)若しくはイオンビーム放出堆積(IBED)、又は他の堆積システムを使用して実施することができる。他の実施形態では、第1の堆積工程110は、例えば、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、又はこれらのセラミックを堆積させる場合には化学蒸着(CVD)によって実施することができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、第2の堆積工程120は、内側層68の外側表面76上に中間層70を形成する。いくつかの実施形態では、第2の堆積工程120は、物理蒸着(PVD)によって実施される。いくつかの実施形態では、堆積工程120は、マグネトロンスパッタシステムによって実施される。他の実施形態では、第2の堆積工程120は、化学蒸着(CVD)によって実施することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、酸化工程130は、中間層70の少なくとも一部を酸化させる。いくつかの実施形態では、酸化工程130は、それぞれの全容を本明細書に参照によって明示的に援用される米国特許第6,447,550号及び同第5,324,009号の記載に従って実施される。いくつかの実施形態では、酸化工程130は、中間層70の外側表面80の少なくとも一部を酸化させる。いくつかの実施形態では、酸化工程130は、中間層70のジルコニウム合金の少なくとも一部を酸化させて酸化ジルコニウムにする。いくつかの実施形態では、酸化工程130は、中間層70のジルコニウム-ニオブ合金の少なくとも一部を酸化させて酸化ジルコニウムにする。いくつかの実施形態では、酸化工程130は、中間層70のジルコニウム-ニオブ合金を酸化させて単斜晶酸化ジルコニウムにする。
【0063】
いくつかの実施形態では、酸化工程130は、酸素を含む環境を加熱することによって実施される。いくつかの実施形態では、環境は、少なくとも500℃又は約540℃の温度である。いくつかの実施形態では、環境は、約500℃~約600℃の温度である。例示的な実施形態では、環境は、アルゴン中、約2.5%の酸素を含む。いくつかの実施形態では、酸化工程130は、約5時間にわたって実施される。いくつかの実施形態では、環境は、部分真空及び約1000℃以下の温度を含み得る。
【0064】
代替的な実施形態では、プロセス100は、酸化工程130の代わりに外側層72(図示せず)を堆積させる工程を含む。外側層72を堆積させる工程は、物理蒸着(PVD)によって実施することができるが、これは、マグネトロンスパッタシステムを使用して実施することができる。他の実施形態では、PVDは、HiPIMS、IBAD、又は他の堆積システムを使用して実施することができる。いくつかの実施形態では、外側層72を堆積させる工程は、セラミック層、例えば酸化ジルコニウムの層を堆積させる。いくつかの実施形態では、外側層72を堆積させる工程は、セラミック層、例えば窒化チタンジルコニウムの層をチタンの内側層上に堆積させる。
【0065】
図面及び上記の説明において本開示を詳細に例証及び説明してきたが、このような例証及び説明は、その性質上、あくまで例示的なものであって限定的なものとは見なすべきではなく、あくまで例示的な実施形態を示して説明してきたにすぎず、本開示の趣旨に含まれるすべての変更及び改変は保護されることが望ましいことが理解される。
【0066】
本開示は、本明細書において説明される方法、装置、及びシステムの様々な特徴に基づく複数の利点を有するものである。本開示の方法、装置、及びシステムの代替的実施形態は、説明される特徴のすべてを含むわけではないが、依然として、こうした特徴の利点のうちの少なくとも一部から利益を享受するものであることに留意されたい。当業者であれば、本発明の特徴のうちの1つ又は2つ以上を組み込む、添付の「特許請求の範囲」において定義される本開示の趣旨及び範囲に包含される方法、装置、及びシステムを独自に容易に実施することが可能である。
【0067】
〔実施の態様〕
(1) 整形外科用膝インプラントであって、
患者の大腿骨の遠位端に結合されるように構成された大腿骨コンポーネントであって、
(i)チタン合金を含む基材であって、(a)矢状面内で湾曲した顆表面と、(b)前記顆表面の反対側に配置された骨対向面と、を有する、基材と、
(ii)前記顆表面上に配置された関節層であって、(a)ニオブ、ジルコニウム、チタン、タンタル、白金、モリブデン、又はこれらの組み合わせを含む第1の層と、(b)合金又はセラミックを含む第2の層と、(c)窒化チタンジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸窒化ジルコニウム、酸窒化ニオブ、又はこれらの組み合わせを含む第3の層と、を含む、関節層と、を含む、大腿骨コンポーネントを含み、
(i)前記第1の層が、前記第2の層と前記顆表面との間に延在してこれらを相互接続し、(ii)前記第2の層が、前記第1の層と前記第3の層との間に延在してこれらの層を相互接続し、(iii)前記第3の層が、前記大腿骨コンポーネントの外側関節面を形成する、インプラント。
(2) 前記第1の層が、約7.1×10-6/°K~約7.5×10-6/°Kの少なくとも1つの方向における熱膨張係数を有する、実施態様1に記載のインプラント。
(3) 前記第3の層が、少なくとも約90%の単斜晶酸化ジルコニウムを含む、実施態様1に記載のインプラント。
(4) 前記第3の層が、約100nm~約5μmの厚さを有する、実施態様3に記載のインプラント。
(5) 前記第2の層が、少なくとも約95%のジルコニウムニオブ合金を含む、実施態様1に記載のインプラント。
【0068】
(6) 前記第2の層が、約3μm~約8μmの厚さを有する、実施態様5に記載のインプラント。
(7) 前記第1の層が、少なくとも約95%のニオブを含む、実施態様1に記載のインプラント。
(8) 前記第1の層が、約0.5μm~約2μmの厚さを有する、実施態様7に記載のインプラント。
(9) 前記大腿骨コンポーネントが、前記骨対向面上に配置された骨係合層を含む、実施態様1に記載のインプラント。
(10) 前記骨係合層が多孔質である、実施態様9に記載のインプラント。
【0069】
(11) 整形外科用膝インプラントの大腿骨コンポーネントを形成するためのプロセスであって、
ニオブ、ジルコニウム、チタン、タンタル、白金、モリブデン、これらの組み合わせ、又はこれらのセラミックを含む第1の層を、チタンを含む基材の顆表面上に堆積させることであって、前記顆表面が矢状面内で湾曲している、前記第1の層を堆積させることと、
前記第1の層上に、ジルコニウムとニオブの合金を含む第2の層を堆積させることと、を含む、プロセス。
(12) 前記第1の層が、少なくとも約90%のニオブを含む、実施態様11に記載のプロセス。
(13) 前記第1の層が、約0.5μm~約2.5μmの厚さを有する、実施態様12に記載のプロセス。
(14) 前記第2の層が、少なくとも約95%のジルコニウムとニオブの合金を含む、実施態様11に記載のプロセス。
(15) 前記第2の層が、約3μm~約8μmの厚さを有する、実施態様14に記載のプロセス。
【0070】
(16) 前記第2の層の一部を酸化させて、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸窒化ジルコニウム、酸窒化ニオブ、又はこれらの組み合わせを含む第3の層を形成することを含む、実施態様11に記載のプロセス。
(17) 前記第3の層が、少なくとも約95%の酸化ジルコニウムを含む、実施態様16に記載のプロセス。
(18) 前記第3の層が、約4μm~約5μmの厚さを有する、実施態様16に記載のプロセス。
(19) 前記酸化させる工程が、約97.5%のアルゴンと約2.5%の酸素を含む環境中で実施される、実施態様16に記載のプロセス。
(20) 前記酸化させる工程が、約500℃~約600℃の温度で実施される、実施態様16に記載のプロセス。
【0071】
(21) 前記第2の層上に第3の層を堆積させることを含む、実施態様11に記載のプロセス。
(22) 整形外科用膝インプラントであって、
患者の大腿骨の遠位端に結合されるように構成された大腿骨コンポーネントであって、
(i)チタン合金を含む基材であって、(a)矢状面内で湾曲した顆表面と、(b)前記顆表面の反対側に配置された骨対向面と、を有する、基材と、
(ii)前記顆表面上に配置された関節層であって、(a)ニオブ、ジルコニウム、チタン、タンタル、白金、モリブデン、又はこれらの組み合わせを含む内側層と、(b)窒化チタンジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸窒化ジルコニウム、酸窒化ニオブ、又はこれらの組み合わせを含む外側層と、を含む、関節層と、を含む、大腿骨コンポーネントを含み、
(i)前記内側層が前記顆表面から延在し、(ii)前記外側層が、前記大腿骨コンポーネントの外側関節面を形成する、インプラント。
(23) 前記関節層が、合金又はセラミックを含む中間層をさらに含み、前記中間層が、前記内側層と前記外側層との間に配置されている、実施態様22に記載の整形外科用膝インプラント。
【国際調査報告】