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特表2023-519809ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテート一水和物、その調製及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-15
(54)【発明の名称】ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテート一水和物、その調製及び使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 239/84 20060101AFI20230508BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20230508BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230508BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
C07D239/84 CSP
A61K31/517
A61P31/12
A61P31/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551563
(86)(22)【出願日】2021-03-01
(85)【翻訳文提出日】2022-08-24
(86)【国際出願番号】 EP2021055065
(87)【国際公開番号】W WO2021170879
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】20159709.3
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522337554
【氏名又は名称】アーイーツェー246 アクチェンゲゼルシャフト ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100182730
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 浩明
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート ブッシュマン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ゴルトナー
(72)【発明者】
【氏名】ホルディ カルレス セロン ベルトラン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC50
4C086GA07
4C086GA12
4C086GA15
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086ZB33
(57)【要約】
本発明は、新規3,4-ジヒドロキナゾリンナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテート一水和物、その調製方法、及び前記3,4-ジヒドロキナゾリンを含む医薬組成物に関する。前記化合物は、サイトメガロウイルス(CMV)、特にヒトサイトメガロウイルス(HCMV)に関連する疾患の治療及び/又は予防に特に有用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I):
【化1】
で表されるナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテート一水和物の調製方法であって、
下記工程:
A-1)ジイソプロピルエーテル中、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテートの懸濁液を提供する工程、
B-1)工程A-1で得られた懸濁液を40℃~60℃の範囲の温度で少なくとも10時間撹拌する工程、及び
C-1)ジイソプロピルエーテルを除去し、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を固体として得る工程、
又は、工程A-1、B-1、及びC-1の代わりに下記工程:
A-2)塩化メチレン中、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテートの溶液を提供する工程、
B-2)工程A-2で得られた溶液を40℃~60℃の範囲の温度で少なくとも30分間撹拌する工程、及び
C-2)塩化メチレンを除去し、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を固体として得る工程を含む方法。
【請求項2】
さらに、前記ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を、真空下で40℃~60℃の範囲の温度に加熱する続く工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工程A-1、B-1、及びC-1を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記工程A-2、B-2、及びC-2を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程A-1では、ジイソプロピルエーテル中のナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテートの固体/溶媒比は10g/L~50g/Lである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
工程B-1では、前記ジイソプロピルエーテル中、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテートの懸濁液が、50℃~55℃の範囲の温度で、好ましくは50℃の温度で少なくとも10時間、好ましくは12~18時間撹拌される、請求項3又は5に記載の方法。
【請求項7】
工程C-1で、ジイソプロピルエーテルが濾過により除去される、請求項3、5又は6に記載の方法。
【請求項8】
さらに、前記ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を、真空下で20℃~60℃の範囲の温度で、好ましくは4時間以上乾燥する続く工程を含む、請求項3又は5~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
工程A-2では、前記ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテートの濃度が、0.5M~2Mである、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
工程B-2では、前記ジイソプロピルエーテル中、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテートの溶液が、40℃~60℃の範囲の温度で、好ましくは45℃~55℃の範囲の温度で少なくとも1時間撹拌され、そして次に室温に冷却される、請求項4又は9に記載の方法。
【請求項11】
工程C-2で、塩化メチレンが蒸発により除去される、請求項4、9又は10に記載の方法。
【請求項12】
さらに、前記ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を、真空下で30℃~60℃の範囲の温度で、好ましくは4時間以上乾燥する続く工程を含む、請求項4又は9~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
下記式(I):
【化2】
で表される結晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテート一水和物。
【請求項14】
7.0、9.1、10.9、13.3、14.0、15.2、17.4、18.4、24.3°の2シータ角度地を含むX線回折パターンを有し、そして前記2シータ角度値は±0.1°の通常偏差を有する、請求項13に記載の結晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテート一水和物。
【請求項15】
請求項1~12のいずれか1項に記載の方法により得られる、請求項13又は14に記載の結晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテート一水和物。
【請求項16】
請求項13~15のいずれか1項に記載の結晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテート一水和物、及び少なくとも1つの医薬的に許容される担体、賦形剤及び/又は希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項17】
疾患、特にウイルス感染症、好ましくはヒトサイトメガロウイルス(HCMV)感染症又はヘルペスウイルス科グループの別のメンバーによる感染症の治療及び/又は予防の方法で使用するための、請求項13~15のいずれか1項に記載の結晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテート一水和物、又は請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
疾患、特にウイルス感染症、好ましくはヒトサイトメガロウイルス(HCMV)感染症又はヘルペスウイルス科グループの別のメンバーによる感染症の治療及び/又は予防のための薬剤の調製のためへの、請求項13~15のいずれか1項に記載の結晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテート一水和物、又は請求項16に記載の医薬組成物の使用。
【請求項19】
ウイルス感染症、好ましくはヒトサイトメガロウイルス(HCMV)感染症又はヘルペスウイルス科グループの別のメンバーによる感染症を必要とする対象における治療及び/又は予防する方法であって、請求項13~15のいずれか1項に記載の結晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテート一水和物、又は請求項16に記載の医薬組成物を、前記対象に投与する工程を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規3,4-ジヒドロキナゾリンナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテート一水和物、及び前記3,4-ジヒドロキナゾリンを含む医薬組成物に関する。前記化合物は、サイトメガロウイルス(CMV)、特にヒトサイトメガロウイルス(HCMV)に関連する疾患の治療及び/又は予防に特に有用である。
【背景技術】
【0002】
サイトメガロウイルス(CMV)は、固形臓器及び同種造血幹細胞移植後に重大な罹患率と予防可能な死亡率を引き起こす一般的な日和見感染症である。
【0003】
(S)-(+)-{8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-トリフルオロメチル)フェニル] -3,4- ジヒドロキナゾリン-4-イル}酢酸又は2-[(4S)-8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル ]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸は既知であり、本明細書以降、レテルモビルと呼ばれる。
【0004】
レテルモビルは、HCMV感染に対処するための非常に活性の高い薬剤として知られており、そして以下に広く説明されている:Lischka et al., In Vitro and In Vivo Activities of the Novel Anticytomegalovirus Compound Letermovir. Antimicrob. Agents Chemother. 2010, 54: p.1290-1297, 及びKaul et al., First report of successful treatment of multidrug-resistant cytomegalovirus disease with the novel anti-CMV compound Letermovir. Am. J. Transplant. 2011, 11:1079-1084; 並びに Marschall et al, In Vitro Evaluation of the Activities of the Novel Anticytomegalovirus Compound Letermovir against Herpesviruses and Other Human Pathogenic Viruses. Antimicrob. Agents Chemother. 2012, 56:1135-1137。HCMVは、ヘルペスウイルス科又はヘルペスウイルスとして知られるウイルスファミリーに属するウイルスの一種である。 これは通常、HCMVと略され、ヒトヘルペスウイルス-5(HHV-5)としても知られている。 ヘルペスウイルス科では、HCMVはベータヘルペスウイルス亜科に属しており、他の哺乳類のサイトメガロウイルスも含まれている。
【0005】
レテルモビルの合成は、米国特許出願公開第2007/0191387 A1号、並びに国際公開番号WO2006 / 133822及び国際公開番号WO2004 / 096778に開示されている。
【0006】
レテルモビルの塩は、国際公開番号WO2013 / 127971に記載されている。 特に、レテルモビルのナトリウム塩及びカルシウム塩のいくつかの溶媒和物は、結晶性及び非晶性の形態で調製されてきた。レテルモビルのナトリウム塩の場合、メタノール又はエタノール水和物などの混合アルコール水溶媒和物が得られ(国際公開番号WO2013127971A1の例1)、これを結晶性ナトリウムレテルモビル三水和物(国際公開番号WO2013127971A1の例2)に変換することができる。
【0007】
しかしながら、残留有機溶媒を含まず、再現性のあるスケーラブルな方法で高収率で調製でき、長期間の保存で安定した状態を維持する、安定した結晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5- (トリフルオロメチル)フェニル] -4H-キナゾリン-4-イル]アセテート型についてのまだ必要がある。
【0008】
薬の開発に塩を使用することを合理的に可能にするためには、結晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5- (トリフルオロメチル)フェニル] -4H-キナゾリン-4-イル]アセテート型はまた、長期間の貯蔵において安定であり続けなければならない。 最後に、結晶性化合物はまた、水性媒体に、特に生理学的pHで容易に溶解しなければならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の側面は、下記式(I):
【化1】
で表されるナトリウムレテルモビルの結晶性一水和物に関する。
【0010】
ナトリウムレテルモビルの結晶性一水和物は、ジイソプロピルエーテル中のナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5- (トリフルオロメチル)フェニル] -4H-キナゾリン-4-イル]アセテートのスラリーから、及び既知のナトリウムレテルモビル又はその溶媒和物の塩化メチレン中の溶液から、高収率で容易に調製することができる。あるいは、ナトリウムレテルモビルの結晶性一水和物は、C1-C6-ジアルキルエーテル及び/又はC5-C9-アルカン及び/又はC5-C9-シクロアルカン及びアセトンの混合物、特にジイソプロピルエーテルとアセトンの混合物中のレテルモビル遊離塩基の溶液から調製することができる。
【0011】
さらに、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5- (トリフルオロメチル)フェニル] -4H-キナゾリン-4-イル]アセテート一水和物は容易に溶解し、特に生理学的pHにおいて、水性媒体中で良好な貯蔵安定性を示すことが発見された。
【0012】
また、結晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5- (トリフルオロメチル)フェニル] -4H-キナゾリン-4-イル]アセテート一水和物は毒性溶媒残留物を含まないため、サイトメガロウイルス(CMV)、特にヒトサイトメガロウイルス(HCMV)に関連する及び/又は引き起こされる疾患の治療及び/又は予防の方法で使用するための医薬組成物の製造に前記化合物を特に有用にする。
【0013】
さらに、本発明に従って得られる結晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5- (トリフルオロメチル)フェニル] -4H-キナゾリン-4-イル]アセテート一水和物は、高度の純度を示す。
【0014】
ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル]-3-[2-メトキシ-5- (トリフルオロメチル)フェニル] -4H-キナゾリン-4-イル]アセテート一水和物は、レテルモビルの任意の一ナトリウム塩から、あるいは、レテルモビル遊離塩基から調製され得る。
【0015】
従って、本発明のさらなる側面は、下記式(I):
【化2】
で表されるナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテート一水和物の調製方法に向けられ、 ここで前記方法は、下記工程:
A-1)ジイソプロピルエーテル中、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテートの懸濁液を提供する工程、
B-1)工程A-1で得られた懸濁液を40℃~60℃の範囲の温度で少なくとも10時間撹拌する工程、及び
C-1)ジイソプロピルエーテルを除去し、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を固体として得る工程、
又は、工程A-1、B-1、及びC-1の代わりに下記工程:
A-2)塩化メチレン中、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテートの溶液を提供する工程、
B-2)工程A-2で得られた溶液を40℃~60℃の範囲の温度で少なくとも30分間撹拌する工程、及び
C-2)塩化メチレンを除去し、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を固体として得る工程を含む。
【0016】
あるいは、本発明による式(I)のナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物の調製方法は、以下の工程を含む:
A-3)第1の溶媒中の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]酢酸の溶液を提供する工程、ここで、前記第1の溶媒は、少なくとも1つのC1-C6-ジアルキルエーテル及び/又は少なくとも1つのC5-C9-アルカン及び/又は少なくとも1つのC5-C9-シクロアルカン及びアセトンを含む;
B-3)工程A-3の溶液に水酸化ナトリウムを加えて、第1の混合物を提供する工程;
C-3)ステップB-3で得られた前記第1の混合物を、25℃~80℃の範囲の温度で少なくとも30分間撹拌する工程;
D-3)前記第1の混合物を0℃~30℃の範囲の温度に冷却し、前記第1の混合物を前記温度で少なくとも30分間撹拌する工程;
E-3)任意には、前記第1の溶媒を蒸発させることにより、前記第1の混合物を濃縮する工程;
F-3)任意には、前記第1の混合物を0℃~30℃の範囲の温度で少なくとも10分間撹拌する工程;
G-3)前記第1の混合物を、少なくとも1つのC1-C6-ジアルキルエーテル及び/又は少なくとも1つのC5-C9-アルカン及び/又は少なくとも1つのC5-C9-シクロアルカンを含む第2の溶媒と接触させて、第2の混合物を提供する工程;
H-3)前記第2の混合物を0℃~30℃の範囲の温度で少なくとも1時間撹拌する工程;
I-3)前記第2の溶媒を除去して固体を提供する工程。
【0017】
本発明の方法は、以下の技術的利点を有する:
レテルモビル一ナトリウム一水和物は、レテルモビル一ナトリウム塩から調製され得る;
この方法の反応時間は比較的短い(約15時間);
この方法により、有毒な溶媒が残留することなく、ナトリウムレテルモビル一水和物(他の遷移形態はない)が直接得られ;
この方法は再現可能でスケーラブルである。
【0018】
本発明の別の側面は、前記結晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を含む医薬組成物の提供である。
【0019】
再び、本発明の別の側面は、前記結晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物、又は前記結晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を含む医薬組成物の、疾患、特にウイルス感染症、好ましくはヒトサイトメガロウイルス(HCMV)感染症又はヘルペスウイルス科グループの別のメンバーによる感染症の治療及び/又は予防のための薬剤の調製のためへの使用である。
【0020】
再び、本発明の別の側面は、前記結晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物、又は前記結晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を含む医薬組成物を、その必要な対象に投与することによる、ウイルス感染、好ましくはヒトサイトメガロウイルス(HCMV)感染又はヘルペスウイルス科グループの別のメンバーによる感染の治療及び/又は予防のための方法である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、ナトリウムレテルモビル一水和物のフォームBの熱重量分析を示す。
【0022】
図2図2は、ナトリウムレテルモビル一水和物のフォームBの示差走査熱量測定研究を示す。
【0023】
図3図3は、ナトリウムレテルモビル一水和物のフォームBの粉末X線回折パターン(PXPD)を示す。
【0024】
図4図4は、DMSO-d中のナトリウムレテルモビル一水和物のHNMRスペクトルを示す。
【0025】
図5図5は、ナトリウムレテルモビル一水和物のフォームAの粉末X線回折パターン(PXPD)を示す。
【0026】
図6図6は、ナトリウムレテルモビルの結晶形AのA)熱重量分析及びB)示差走査熱量測定研究を示す。
【0027】
図7図7は、ナトリウムレテルモビル一水和物(上)とナトリウムレテルモビル混合溶媒和物(下)のPXRDパターンの比較を示す。
【0028】
図8図8は、ナトリウムレテルモビル一水和物とナトリウムレテルモビル混合溶媒和物のDSCピークの比較を示す。
【0029】
図9図9は、国際公開第WO2013127971号で「ナトリウムレテルモビル三水和物」(下)(国際公開第WO2013127971号の図1を参照)と誤って言及されている化合物とナトリウムレテルモビル混合溶媒和物(上)のPXRDパターンの比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
「含む」という用語は、「からなる」という意味も包含し、例えば、前記メンバーを含むメンバーのグループは、これらのメンバーのみからなるメンバーのグループも包含することに留意されたい。
【0031】
本明細書で使用される「室温」という用語は、「標準室温」という用語と同義であり、19℃~26℃の範囲の温度を指す。 例えば、「懸濁液を室温まで冷却する」とは、「懸濁液を19℃~26℃の範囲の温度まで冷却する」ことを意味する。
【0032】
本明細書で使用される場合、「結晶」という用語は、X線を回折する分子の任意の三次元秩序配列を指す。
【0033】
本明細書で使用される場合、「ユニットセル」という用語は、基本的な平行六面体形状のブロックを指す。 結晶の全体積は、そのようなブロックの定期的な組み立てによって構築することができる。 各ユニットセルは、パターンのユニットの完全な表現で構成され、その繰り返しによって結晶が構築される。
【0034】
本明細書で使用される場合、「空間群」という用語は、結晶の対称要素の配置を指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、「非対称単位」という用語は、結晶内の全体の繰り返しを生成するために使用することができる原子座標の最小のセットを指す。
【0036】
本明細書で使用される場合、「ナトリウムレテルモビル一水和物」という用語は、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を指す。
【0037】
「多形」という用語は、固体状態で複数の結晶形で存在することができるナトリウムレテルモビル一水和物の特定の結晶形(すなわち、結晶格子の構造)を指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、「当量」という用語は、「モル当量」を意味すると理解される。
【0039】
本明細書で使用される場合、「溶媒」という用語は、本明細書に記載の成分又は材料を溶解又は溶媒和するのに適した液体又は液体の混合物を指す。
【0040】
本明細書で使用される場合、2つの材料に関する「接触」という用語は、第1の材料の第2の材料への追加、又は第2の材料の第1の材料への追加を指す。
【0041】
本明細書で使用される場合、「濃縮」という用語は、溶液中に溶解又は懸濁された物質の量を実質的に減少させることなく、溶液の体積を減少させるプロセスを指す。 溶液の体積は、例えば、溶液の液体部分を除去することによって、特に前記液体部分を実質的に蒸発させることによって減少する。
【0042】
本明細書で使用される場合、「ジアルキルエーテル」という用語は、式R-O-Rの基を指し、ここで、R基のそれぞれはアルキルである。
【0043】
本明細書で使用される場合、「アルカン」という用語は、指定された数の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖を有する飽和炭化水素を指す(すなわち、C5-C9-アルキルは、5~9個の炭素原子を意味する)。 非限定的な例には、n-ペンタン、イソペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン及びn-ノナンが含まれる。
【0044】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、それ自体で、又は別の置換基の一部として、指定された炭素原子の数を有するアルカンの基を指し(すなわち、C1-C6-アルキルは、1~6個の炭素原子を意味する)、そして直鎖及び分岐鎖を含む。 非限定的な例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ネオペンチル、及びヘキシルが含まれる。 2つのアルキル部分が基に存在するという疑いを避けるために、アルキル部分は同じであっても異なっていても良い。
【0045】
本明細書で使用される場合、「シクロアルカン」という用語は、1~3個の環を含み、3~12個の環炭素原子を有する環状脂肪族炭化水素を指す。
【0046】
本発明の範囲内で、「によって得られる」及び「によって得ることができる」という用語は同じ意味を有し、交換可能に使用される。
【0047】
本明細書で使用される場合、「治療」または「治療」という用語は、HCMV感染、HCMV感染の症状、又はHCMV感染を発症する可能性を治療、治癒、軽減、緩和、変更、治療、改善、改善、又は影響を与えることを目的として、治療薬、すなわち、ナトリウムレテルモビル塩の一水和物(単独または別の医薬品との組み合わせ)の対象への適用又は投与として、又は、HCMV感染、HCMV感染の症状、又はHCMV感染を発症する可能性のある対象から単離された組織又は細胞株への治療薬の適用又は投与として定義される。このような治療法は、薬理ゲノミクスの分野から得られた知識に基づいて、特別に調整または変更することができる。
【0048】
本明細書で使用される場合、「予防する(prevent)」、「予防する(preventing)」又は「予防(prevention)」という用語は、何も起こらなかった場合、障害又は疾患の発症がないこと、又は障害又は疾患の発症がすでにあった場合、さらなる障害又は疾患の発症がないことを意味する。 また、障害又は疾患に関連する症状の一部又は全てを予防する能力も考慮される。 病気の予防には、病気の治療が含まれる。
【0049】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、ヒト又は非ヒト哺乳動物を指す。非ヒト哺乳動物には、例えば、家畜及びペット、例えば、ヒツジ、ウシ、ブタ、ネコ、イヌ及びマウスの哺乳動物が含まれる。好ましくは、対象はヒトである。
【0050】
本明細書で使用される場合、「医薬的に許容される」という用語は、化合物の生物学的活性又は特性を無効にせず、比較的毒性がない担体又は希釈剤などの材料を指し、すなわち、材料は、望ましくない生物学的効果を引き起こしたり、それが含まれる組成物の成分のいずれかと有害な方法で相互作用したりすることなく、対象に投与することができる。
【0051】
ナトリウムレテルモビル一水和物
驚くべきことには、本発明者らは、新規のナトリウムレテルモビル塩である式(I)のナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を、様々な溶媒中でのナトリウムレテルモビル塩の結晶化実験中に提供することができた。スクリーニングされた様々な溶媒の中で、一水和物塩は基本的に以下の方法論を使用して得られた:
-本明細書で工程A-1~D-1と呼ばれる、ジイソプロピルエーテル中のスラリー
-本明細書では工程A-2~C-2と呼ばれる、ジクロロメタン中での結晶化
-本明細書では工程A-3~I-3と呼ばれる、アセトン/ジイソプロピルエーテル中での結晶化
-本明細書では工程X-1~X-4と呼ばれる、フォームA(ジクロロメタンから得られる)の乾燥/熱処理
-貧溶媒添加による結晶化(THF /ジイソプロピルエーテル)。
【0052】
前記結晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物は、異なる多形で存在する可能性がある。多形体は、同じ化合物の異なる結晶形であり、溶解性、安定性、生物学的利用能などの実質的に異なる物理化学的特性を有する可能性がある。 多形性は薬物の挙動に影響を与える可能性があるため、原薬の多形性の評価は製剤研究において重要な役割を果たす。 例えば、原薬の溶解速度は、完成品の生物学的利用能に影響を与える。 次に、溶解度は原薬の多形性に依存する。 異なる多形は異なる溶解度を有する可能性があり、従って対応する医薬品は異なる生物学的利用能を有する可能性がある。
【0053】
多形の検査にはさまざまな方法を使用できる。 このような方法には、顕微鏡法、IR分光法、ラマン分光法、固体NMR、TGA、DSC、XRPD、PDF及びその他の技術が含まれる。 さまざまな手法を組み合わせて適用できる。 特に、PXRDは多形を調べるための強力な手法である。 X線は、ビームと結晶内の平面との間の角度がブラッグ条件を満たす場合にのみ、結晶から反射される。 結晶には無数の可能な平面がある。 各分子の繰り返しは、固有の反射のセットを提供するため、スペクトルとして記録できる固有のパターンを生成する。
【0054】
ただし、従来のXRPD分析では、材料の平均的な構造、例えば平均位置、変位パラメータ、及び占有率が得られ、そして材料の局所的な障害に関する情報を提供することはできない。この目的のために、ペア分布関数(PDF)を使用できる。これにより、特定の原子から特定の距離にある原子を見つける確率が得られる。 PDFは、全散乱回折パターンの正弦フーリエ変換であり、平均原子間距離、構造の乱れ又は歪み、及び平均配位特性に関する情報を提供する。 従って、PDFは、従来のPXRD分析では区別できない同じ化合物の異なる固体形態を区別することができる。 特に、さまざまな程度の無秩序を特徴とするさまざまなアモルファス形態は、PDF分析によって決定することができる(Boetker et al. Pharmaceutics 2012, 4, 93-103)。
【0055】
一水和物表題化合物に加えて、本明細書でフォームAと呼ばれるナトリウムレテルモビルの異なる結晶形が同定された。
【0056】
結晶性フォームAは、以下により得られた:
X-1)塩化メチレン中、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテートの溶液を提供し、
X-2)前記溶液を室温~40℃の範囲の温度で少なくとも1時間撹拌し、そして
X-3)塩化メチレンを除去し、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を固体として得る。
【0057】
結晶性フォームAは、X線回折(XRD)、熱重量分析(TGA)、及び示差走査熱量測定(DSC)によって特徴づけられた(図5、6A及び6Bを参照のこと)。 粉末X線回折パターンは、結晶性フォームAが中~高の結晶化度を示すことを示している。
【0058】
ナトリウムレテルモビル一水和物の前記結晶性フォームAのX線回折パターンは、7.4、10.2、13.7、19.6、23.8及び25.5°の2シータ角度値を含み、そして前記2シータ角度値は、±0.1°の標準偏差を有する。
【0059】
結晶性フォームAの安定性実験及びTGA実験は、それが周囲条件下で安定ではなく、数時間以内により安定な一水和物フォームBに変化することを明らかにした。
【0060】
多形フォームAのフォームBへの変換は、多形フォームAを40℃~60℃の範囲の温度で真空中で加熱することによって達成及び加速することができる。 従って、一水和物フォームBは、以下の工程を含む方法によって得ることができる:
X-1)塩化メチレン中、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテートの溶液を提供する工程、
X-2)前記溶液を室温~40℃の範囲の温度で少なくとも1時間撹拌する工程、
X-3)塩化メチレンを除去し、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を固体として得る工程、及び
X-4)前記ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を、40℃~60℃の範囲の温度で真空中で加熱する工程。
【0061】
ナトリウムレテルモビルの結晶フォームAとは対照的に、一水和物のフォームBは、TGAで判断すると80℃をかなり超える高温で熱的に安定している(ナトリウムレテルモビル一水和物の分解は250℃で起こる)。 さらに、ナトリウムレテルモビル一水和物のフォームBは、周囲条件で6ヶ月以上安定であり、より高い温度及びより高い湿度で老化せず(実施例09を参照のこと)、それにより、ナトリウムレテルモビル一水和物のフォームBを、安定な医薬組成物の調製に特に適したものにする。
【0062】
得られたナトリウムレテルモビル一水和物のフォームBは、H NMR分光法で判断した場合、有毒な溶媒残留物を含んでいない(図4を参照のこと)。
【0063】
さらにより好ましくは、ナトリウムレテルモビル一水和物の前記多形フォームBのX線回折パターンは、7.0、9.1、10.9、13.3、14.0、15.2、17.4、18.4及び24.3°の2シータ角度値を含み、 そして、前記2シータ角度値は、±0.1°の標準偏差を有する。
【0064】
最も好ましくは、ナトリウムレテルモビル一水和物の前記多形フォームBのX線回折パターンは、7.0、9.1、10.9、12.5、13.3、14.0、15.2、15.8、17.4、18.4、20.2、21.1、22.7、24.3、24.9、26.5、27.0、28.4、29.8、及び30.7°の2シータ角度値を含み、そして前記2シータ角度値は、±0.1°の標準偏差を有する。
【0065】
ナトリウムレテルモビル一水和物の調製
本発明は、さらに、下記式(I):
【化3】
で表されるナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテート一水和物の調製方法に関し、 ここで前記方法は、下記工程:
A-1)ジイソプロピルエーテル中、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテートの懸濁液を提供する工程、
B-1)工程A-1で得られた懸濁液を40℃~60℃の範囲の温度で少なくとも10時間撹拌する工程、及び
C-1)ジイソプロピルエーテルを除去し、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を固体として得る工程、
又は、工程A-1、B-1、及びC-1の代わりに下記工程:
A-2)塩化メチレン中、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテートの溶液を提供する工程、
B-2)工程A-2で得られた溶液を40℃~60℃の範囲の温度で少なくとも30分間撹拌する工程、及び
C-2)塩化メチレンを除去し、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を固体として得る工程を含む。
【0066】
1つの実施形態によれば、前記方法は、式(I)で表されるナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物の調製に関し、ここで前記方法は、下記工程を含む:
A-1)ジイソプロピルエーテル中、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテートの懸濁液を提供する工程、
B-1)工程A-1で得られた懸濁液を40℃~60℃の範囲の温度で少なくとも10時間撹拌する工程、及び
C-1)ジイソプロピルエーテルを除去し、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を固体として得る工程。
【0067】
1つの実施形態によれば、前記方法は、式(I)で表されるナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物の調製に関し、ここで前記方法は、下記工程を含む:
A-2)塩化メチレン中、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテートの溶液を提供する工程、
B-2)工程A-2で得られた溶液を40℃~60℃の範囲の温度で少なくとも30分間撹拌する工程、及び
C-2)塩化メチレンを除去し、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を固体として得る工程。
【0068】
1つの実施形態によれば、式(I)で表されるナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物の調製方法は、さらに、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を、真空下で40℃~60℃の範囲の温度で加熱する続く工程を含む。
【0069】
1つの実施形態によれば、前記方法は、式(I)で表されるナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物の調製に関し、ここで前記方法は、下記工程を含む:
A-1)ジイソプロピルエーテル中、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテートの懸濁液を提供する工程、
B-1)工程A-1で得られた懸濁液を40℃~60℃の範囲の温度で少なくとも10時間撹拌する工程、
C-1)前記懸濁液を濾過し、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を固体として得る工程、及び
D-1)任意には、前記ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を、真空下で40℃~60℃の範囲の温度で加熱する工程。
【0070】
本明細書に開示されるナトリウムレテルモビル一水和物の調製方法の工程A-1において、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテートは、40℃~60℃の範囲の温度でジイソプロピルエーテルに懸濁される。好ましくは、好ましくは、懸濁液は、42℃~58℃の範囲、さらにより好ましくは45℃~55℃の範囲、さらにより好ましくは48℃~52℃の範囲、及び最も好ましくは50℃の温度を有する。
【0071】
好ましくは、工程A-1の懸濁液は、非晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート又はナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート三水和物の混合アルコール/水溶媒和物をジイソプロピルエーテルに懸濁することによって提供される。より好ましくは、工程A-1の懸濁液は、非晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート、又はナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテートエタノール一水和物溶媒和物、又はナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート三水和物を、ジイソプロピルエーテルに懸濁することによって提供される。最も好ましくは、工程A-1の懸濁液は、非晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテートを、ジイソプロピルエーテルに懸濁することによって提供される。
【0072】
本発明の方法の一実施形態によれば、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテートは、レテルモビルをエタノールとジイソプロピルエーテルの1:1混合物に溶解し、1.0モル当量の水酸化ナトリウムを添加し、溶液を少なくとも50℃に少なくとも3時間加熱し、そして反応混合物から固形ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテートを分離することによって調製され得る。
【0073】
好ましくは、ナトリウムレテルモビル一水和物の本明細書に記載の調製方法の工程A-1において、 ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート対ジイソプロピルエーテルの固体対溶媒比は、10g / L~50g / Lの範囲であり、より好ましくは20g / L~40g / Lの範囲であり、さらにより好ましくは、 25g/L~30g/Lの範囲である。好ましくは、懸濁液中の固体対溶媒比は28g / Lである。
【0074】
ナトリウムレテルモビル一水和物の本明細書に記載の調製方法の工程A-1において、ステップA-1の懸濁液は、50℃~55℃の範囲の温度で、好ましくは50℃で少なくとも10時間、好ましくは12~18時間撹拌される。 好ましくは、工程A-1の懸濁液は、50℃で10~24時間、より好ましくは10~20時間、より好ましくは12~18時間、そして最も好ましくは15時間撹拌される。 好ましくは、工程A-1の懸濁液は50℃で15時間撹拌され、次に室温に冷却される。
【0075】
好ましくは、工程B-1において、工程A-1の懸濁液は、50℃で12~18時間スラリー化される。 より好ましくは、工程B-1において、工程A-1の懸濁液は、50℃で15時間スラリー化される。
【0076】
本明細書に開示されるナトリウムレテルモビル一水和物の調製方法の工程C-1において、溶媒は、濾過によって、好ましくは真空下での濾過によって除去される。
【0077】
1つの実施形態によれば、本発明の方法は、工程C-1の後に以下の工程D-1をさらに含む:
D-1)ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を、真空下で20℃~60℃の範囲の温度で、好ましくは、4時間以上乾燥する工程。
【0078】
好ましくは、ナトリウムレテルモビル一水和物を調製する本明細書に記載の方法の工程D-1において、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物は、真空下で30℃に加熱される。より好ましくは、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物は、真空下で40℃に加熱される。さらにより好ましくは、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物は、真空下で40℃に少なくとも1時間加熱される。さらにより好ましくは、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物は、真空下で40℃に少なくとも2時間加熱される。さらにより好ましくは、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物は、真空下で40℃に少なくとも3時間加熱される。好ましくは、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物は、真空下で40℃に少なくとも4時間加熱される。
【0079】
1つの実施形態によれば、本発明の方法は、式(I)で表されるナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物の調製に関し、ここで前記方法は以下の工程を含む:
A-2)塩化メチレン中、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテートの溶液を提供する工程、
B-2)前記溶液を40℃~60℃の範囲の温度で少なくとも30分間撹拌する工程、及び
C-2)塩化メチレンを除去し、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を固体として得る工程。
【0080】
さらなる実施形態によれば、本発明の方法は、式(I)で表されるナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物の調製に関し、ここで前記方法は以下の工程を含む:
A-2)塩化メチレン中、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテートの溶液を提供する工程、
B-2)工程A-2で得られた溶液を40℃~60℃の範囲の温度で少なくとも30分間撹拌する工程、
C-2)塩化メチレンを除去し、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を固体として得る工程、及び
D-2)任意には、前記ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を、真空下で40℃~60℃の範囲の温度で加熱する工程。
【0081】
本明細書に開示されているナトリウムレテルモビル一水和物の調製方法の工程A-2において、塩化メチレン中、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテートの溶液は、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル] 酢酸塩又はその溶媒和物を塩化メチレンに溶解することにより提供され得る。ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル] 酢酸塩又はその溶媒和物は、室温~50℃で塩化メチレンに溶解され得る。好ましくは、塩化メチレンは、20℃~50℃の範囲、より好ましくは25℃~50℃の範囲、さらにより好ましくは30℃~50℃の範囲、さらにより好ましくは30℃~45℃の範囲、さらにより好ましくは35℃~45℃の範囲、最も好ましくは40℃の温度を有する。
【0082】
好ましくは、工程A-2の溶液は、非晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテート、又はナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテート又はナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテート三水和物の混合アルコール/水溶媒和物を塩化メチレンに溶解することによって提供される。より好ましくは、工程A-2の溶液は、非晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテート、又はナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテートアルコール一水和物溶媒和物又はナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテート三水和物を塩化メチレンに溶解することによって提供される。最も好ましくは、工程A-2の溶液は、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテート三水和物を塩化メチレンに溶解することにより提供される。
【0083】
本明細書に記載されているナトリウムレテルモビル一水和物の調製方法の工程A-2において、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテートの濃度は、0.5M~2M、より好ましくは0.6M~1.9M、さらにより好ましくは0.7M~1.8Mである。
【0084】
本明細書に開示されるナトリウムレテルモビル一水和物の調製方法の工程B-2において、工程A-2の溶液は、40℃~60℃の範囲の温度で少なくとも30分間撹拌される。好ましくは、工程A-2の溶液は、40℃~60℃の範囲の温度で1~4時間、より好ましくは1~3時間、より好ましくは1~2時間、そして最も好ましくは約1時間撹拌される。好ましくは、工程A-2の溶液は、40℃~60℃の範囲の温度で、好ましくは45℃~55℃の範囲の温度で、少なくとも1時間撹拌され、 その後、室温まで冷却される。
【0085】
従って、1つの実施形態によれば、本発明の方法は、以下の工程を含む:
A-2)塩化メチレン中、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)-ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]アセテートの溶液を提供する工程、
B-2)工程A-2で得られた溶液を40℃~60℃の範囲の温度で、より好ましくは45℃~55℃の範囲の温度で少なくとも1時間撹拌し、そして その後、室温まで冷却する工程、及び
C-2)塩化メチレンを除去し、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を固体として得る工程。
【0086】
本明細書に開示されるナトリウムレテルモビル一水和物の調製方法の工程C-2において、塩化メチレンは、揮発性有機化合物の除去に適した従来の方法で工程B-2の溶液から除去され得る。好ましくは、塩化メチレンは蒸発によって除去される。 好ましくは、塩化メチレンは、室温~40℃までの温度での蒸発によって除去される。 1つの実施形態によれば、塩化メチレンは、室温での蒸発によって除去される。 別の実施形態によれば、塩化メチレンは、40℃での蒸発によって除去される。 別の実施形態によれば、塩化メチレンは、真空中、室温~40℃までの温度での蒸発によって除去される。 別の実施形態によれば、塩化メチレンは、真空中、室温での蒸発によって除去される。 別の実施形態によれば、塩化メチレンは、真空中、40℃での蒸発によって除去される。
【0087】
1つの実施形態によれば、工程C-2で、塩化メチレンは凍結乾燥によって除去される。
【0088】
1つの実施形態によれば、本発明の方法は、工程C-2の後に以下の工程D-2をさらに含む:
D-2)ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を、真空下で30℃~60℃の範囲の温度で、好ましくは、4時間以上乾燥する工程。
【0089】
本明細書に開示されるナトリウムレテルモビル一水和物の調製方法の工程D-2において、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物は、真空下で40℃に加熱される。より好ましくは、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物は、真空下で60℃に加熱される。さらにより好ましくは、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物は、真空下で60℃に少なくとも1時間加熱される。さらにより好ましくは、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物は、真空下で60℃に少なくとも2時間加熱される。さらにより好ましくは、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物は、真空下で60℃に少なくとも3時間加熱される。
【0090】
最も好ましくは、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物は、真空下で60℃に4時間加熱される。
【0091】
1つの実施形態によれば、この方法は、式(I)で表されるナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物の調製に関し、ここで前記方法は以下の工程を含む:
A-3)第1の溶媒中の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]酢酸の溶液を提供する工程、ここで、前記第1の溶媒は、少なくとも1つのC1-C6-ジアルキルエーテル及び/又は少なくとも1つのC5-C9-アルカン及び/又は少なくとも1つのC5-C9-シクロアルカン及びアセトンを含む;
B-3)工程A-3の溶液に水酸化ナトリウムを添加し、第1の混合物を提供する工程;
C-3)工程B-3で得られた前記第1の混合物を、25℃~80℃の範囲の温度で少なくとも30分間撹拌する工程;
D-3)前記第1の混合物を0℃~30℃の範囲の温度に冷却し、前記第1の混合物を前記温度で少なくとも30分間撹拌する工程;
E-3)任意には、前記第1の溶媒を蒸発させることにより、前記第1の混合物を濃縮する工程;
F-3)任意には、前記第1の混合物を0℃~30℃の範囲の温度で少なくとも10分間撹拌する工程;
G-3)前記第1の混合物を、少なくとも1つのC1-C6-ジアルキルエーテル及び/又は少なくとも1つのC5-C9-アルカン及び/又は少なくとも1つのC5-C9-シクロアルカンを含む第2の溶媒と接触させて、第2の混合物を提供する工程;
H-3)前記第2の混合物を0℃~30℃の範囲の温度で少なくとも1時間撹拌する工程;
I-3)前記第2の溶媒を除去して固体を提供する工程。
【0092】
1つの実施形態によれば、式(I)で表されるナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物の調製方法はさらに、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を、真空下で40℃~70℃の範囲の温度で乾燥する続く工程を含む。
【0093】
1つの実施形態によれば、前記C1-C6-ジアルキルエーテルは、C1-C4-ジアルキルエーテル、好ましくはジイソプロピルエーテルである。
【0094】
1つの実施形態によれば、工程A-3のC1-C6-ジアルキルエーテルとアセトンの体積比は、3:1~1:3の範囲である。好ましくは、工程A-3のC1-C6-ジアルキルエーテルとアセトンの体積比は、2:1~1:2の範囲である。より好ましくは、工程A-3のC1-C6-ジアルキルエーテルとアセトンの体積比は、1:5~1:1.5の範囲である。最も好ましくは、工程A-3のC1-C6-ジアルキルエーテルとアセトンの体積比は、約1:1である。
【0095】
1つの実施形態によれば、工程A-3の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]酢酸は、20℃~60℃の範囲、好ましくは40℃~60℃の範囲、より好ましくは45℃~55℃の範囲の温度、最も好ましくは、50℃の温度で溶解される。
【0096】
好ましくは、本明細書に記載の方法の工程A-3において、前記第1の溶媒中の2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]酢酸の濃度は、0.2M~0.8M、より好ましくは0.25M~0.6M、より好ましくは0.3M~0.5M、そして最も好ましくは0.35M~0.45Mである。
【0097】
1つの実施形態によれば、工程B-3の水酸化ナトリウムは、レテルモビル遊離塩基に対して0.8~5当量の量で添加される。 好ましい実施形態によれば、工程B-3の水酸化ナトリウムは、レテルモビル遊離塩基に関して0.8~3当量の量で添加される。 より好ましい実施形態によれば、工程B-3の水酸化ナトリウムは、レテルモビル遊離塩基に関して0.9~2当量の量で添加される。 ステップB-3で最も好ましい水酸化ナトリウムは、レテルモビル遊離塩基に対して0.9~1当量の量で添加される。
【0098】
1つの実施形態によれば、工程C-3の混合物は、25℃~80℃の範囲、好ましくは30℃~70℃の範囲、より好ましくは40℃~60℃、さらにより好ましくは45℃~55℃の範囲、最も好ましくは50℃の温度で撹拌される。1つの実施形態によれば、工程C-3の混合物は、前記温度で少なくとも30分間、より好ましくは少なくとも40分間、さらにより好ましくは少なくとも50分間、さらにより好ましくは少なくとも1時間、さらにより好ましくは少なくとも2時間、特に3時間、攪拌される。1つの実施形態によれば、工程C-3の混合物は、45℃~55℃の範囲の温度で少なくとも30分間撹拌される。1つの実施形態によれば、工程C-3の混合物は、45℃~55℃の範囲の温度で少なくとも1時間撹拌される。1つの実施形態によれば、工程C-3の混合物は、約50℃の温度で少なくとも2時間撹拌される。1つの実施形態によれば、工程C-3の混合物は50℃の温度で3時間撹拌される。
【0099】
1つの実施形態によれば、工程D-3の混合物は、0℃~30℃の範囲、より好ましくは10℃~30℃の範囲、さらにより好ましくは、20℃~30℃の範囲の温度、最も好ましくは室温に冷却される。1つの実施形態によれば、工程D-3の混合物は、前記温度で少なくとも30分間、より好ましくは少なくとも40分間、さらにより好ましくは少なくとも50分間、さらにより好ましくは少なくとも1時間、さらにより好ましくは少なくとも1時間、さらにより好ましくは少なくとも8時間、さらにより好ましくは少なくとも12時間、特に16時間、撹拌される。1つの実施形態によれば、工程D-3の混合物は、20℃~30℃の範囲の温度に冷却され、そして少なくとも12時間、前記温度で撹拌される。 1つの実施形態によれば、工程D-3の混合物は、20℃~30℃の範囲の温度に冷却され、そして前記温度で16時間撹拌される。
【0100】
本明細書に開示されているナトリウムレテルモビル一水和物の調製方法の工程E-3において、第1の溶媒は、揮発性有機化合物の除去に適した任意の従来の方法で除去することができる。 1つの実施形態によれば、工程D-3の前記混合物は、前記第1の溶媒を蒸発させることによって濃縮される。 好ましくは、前記第1の溶媒は、室温~40℃までの温度での蒸発によって除去される。 1つの実施形態によれば、前記第1の溶媒は、室温での蒸発によって除去される。 別の実施形態によれば、前記第1の溶媒は、40℃での蒸発によって除去される。 別の実施形態によれば、前記第1の溶媒は、真空中、室温~40℃までの温度での蒸発によって除去される。 別の実施形態によれば、前記第1の溶媒は、真空中、室温での蒸発によって除去される。 別の実施形態によれば、前記第1の溶媒は、真空中40℃での蒸発によって除去される。
【0101】
1つの実施形態によれば、工程E-3の混合物は、工程D-3の前記混合物の体積が少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、さらにより好ましくは少なくとも30%、さらにより好ましくは少なくとも40%、最も好ましくは約50%減少するように濃縮される。
【0102】
1つの実施形態によれば、工程F-3の混合物は、0℃~30℃の範囲、好ましくは10℃~30℃の範囲、より好ましくは20℃~30℃の範囲の温度、最も好ましくは室温で撹拌される。1つの実施形態によれば、工程F-3の混合物は、前記温度で少なくとも10分間、より好ましくは少なくとも30分間、さらにより好ましくは少なくとも1時間、特に2時間撹拌される。
【0103】
1つの実施形態によれば、工程G-3の前記第1の混合物は、少なくとも1つのC1-C6-ジアルキルエーテル及び/又は少なくとも1つのC5-C9-アルカン及び/又は少なくとも1つのC5-C9-シクロアルカンを含む第2の溶媒と接触させられる。 1つの実施形態によれば、少なくとも1つのC1-C6-ジアルキルエーテル及び/又は少なくとも1つのC5-C9-アルカン及び/又は少なくとも1つのC5-C9-シクロアルカンを含む前記第2の溶媒が、工程G-3で前記第1の混合物に添加される。 1つの実施形態によれば、前記C1-C6-ジアルキルエーテルは、C1-C4-ジアルキルエーテル、好ましくはジイソプロピルエーテルである。 好ましくは、工程G-3における前記第2の溶媒は、混合物の総体積が1.5~5倍、より好ましくは2~4倍、さらにより好ましくは2.5~3.5倍、最も好ましくは約3倍に増加するように添加される。
【0104】
1つの実施形態によれば、工程H-3の混合物は、0℃~30℃の範囲、好ましくは10℃~30℃の範囲、より好ましくは20℃~30℃の範囲の温度、最も好ましくは室温で撹拌される。 1つの実施形態によれば、工程H-3の混合物は、前記温度で少なくとも1時間、より好ましくは少なくとも2時間、さらにより好ましくは少なくとも5時間、さらにより好ましくは少なくとも12時間、特に1日間、撹拌される。
【0105】
1つの実施形態によれば、工程I-3の前記第2の溶媒は、濾過によって、好ましくは真空中での濾過によって除去される。
【0106】
1つの実施形態によれば、本発明の方法は、工程I-3の後に以下の工程J-3をさらに含む:
J-3)ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を40℃~70℃の範囲の温度で真空中で、好ましくは2時間以上、乾燥させる工程。
【0107】
好ましくは、ナトリウムレテルモビル一水和物の本明細書に記載の調製方法の工程J-3において、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物は、真空下で60℃に加熱される。より好ましくは、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物は、真空下で60℃に、少なくとも1時間加熱される。さらにより好ましくは、ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物は、真空下で60℃に、少なくとも2時間加熱される。
【0108】
本発明の主題はさらに、本明細書に開示される方法の任意の実施形態によって得られる結晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物に関する。
【0109】
医薬組成物
その性質及び特性のために、本発明によるナトリウムレテルモビル一水和物を使用して、疾患、特にウイルス感染を予防及び/又は治療する方法での使用に適した医薬組成物を製造することができる。
【0110】
例として、以下の表示領域について言及することができる:
1)エイズ患者におけるHCMV感染症(網膜炎、非感染性肺炎、胃腸感染症)の治療及び予防。
2)生命を脅かすHCMV非感染性肺炎又は脳炎、並びに胃腸及び全身のHCMV感染症にかかることが多い骨髄及び固形臓器移植対象におけるサイトメガロウイルス感染症の治療及び予防。
3)新生児及び乳児におけるHCMV感染の治療及び予防。
4)妊婦の急性HCMV感染症の治療。
5)癌に罹患し、癌治療を受けている免疫抑制された対象におけるHCMV感染の治療。
6)HCMVを介した腫瘍の進行を抑えることを目的としたHCMV陽性の癌患者の治療(J. Cinatl, et al., FEMS Microbiology Reviews 2004, 28, 59-77を参照のこと)。
【0111】
本発明のナトリウムレテルモビル一水和物は、好ましくは、ヘルペスウイルス科グループ、特にサイトメガロウイルス、特にヒトサイトメガロウイルスによる感染症の予防及び/又は治療に使用するのに適した医薬組成物を製造するために使用される。好ましくは、レテルモビルナトリウム一水和物の多形フォームBを使用して、ヘルペスウイルス科の代表的なグループ、特にサイトメガロウイルス、特にヒトサイトメガロウイルスによる感染症の予防及び/又は治療に使用するのに適した医薬組成物を製造する。
【0112】
従って、別の側面によれば、本発明は、式(I)の結晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を含む医薬組成物を指す。 好ましくは、医薬組成物は、さらに少なくとも1つの医薬的に許容される担体、賦形剤及び/又は希釈剤を含む。
【0113】
その薬理学的性質及び特性のために、本発明による結晶性ナトリウムレテルモビル一水和物、好ましくはナトリウムレテルモビル一水和物の多形フォームBを単独で使用することができ、必要に応じて、他の活性物質、特に抗ウイルス剤と組み合わせて使用することもできる。
【0114】
医薬的に許容される担体、賦形剤及び/又は希釈剤として、以下が使用され得る:担体、例えば好ましくはラクトース、澱粉、スクロース、セルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、タルク、マンニトール、エチルアルコール(液体充填カプセル)のような不活性担体;適切な結合剤、例えば澱粉、ゼラチン、天然糖、トウモロコシ甘味料、アカシア、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどの天然及び合成ガム、ショ糖などの糖、小麦トウモロコシ米及びジャガイモ由来の澱粉、アカシア、ゼラチン、トラガカントなどの天然ガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウムアンモニウムなどの海藻の誘導体、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース材料、ポリビニルピロリドン、及びケイ酸アルミニウムマグネシウムなどの無機化合物;潤滑剤、例えばホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、又はステアリン酸カリウム、ステアリン酸、高融点ワックス、及び他の水溶性潤滑剤、例えば塩化ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール及びD、L-ロイシン; 崩壊剤(崩壊)、例えば澱粉、メチルセルロース、グアーガム、加工澱粉、例えばナトリウムカルボキシメチルスターチ、天然及び合成ガム、例えばイナゴマメ、カラヤ、グアー、トラガカント及び寒天、セルロース誘導体、例えばメチルセルロース及びナトリウムカルボキシメチルセルロース、微結晶性セルロース、及び架橋微結晶性セルロース、例えばクロスカルメロースナトリウム、アルギン酸塩、例えばアルギン酸及びアルギン酸ナトリウム、粘土、例えばベントナイト、及び発泡性混合物;着色剤、甘味料、香料、防腐剤; グリデント、例えば二酸化ケイ素及びタルク;適切な吸着剤、例えば粘土、酸化アルミニウム;適切な希釈剤、例えば非経口注射用の水又は水/プロピレングリコール溶液、ジュース、糖、例えばラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、小麦、トウモロコシ米、ジャガイモ由来の澱粉、及びセルロース、例えば微結晶性セルロース。
【0115】
好ましくは、医薬組成物は、ナトリウムレテルモビル一水和物の多形フォームBを含む。
【0116】
本発明の医薬組成物は、既知の方法で、従来の固体又は液体の担体又は希釈剤、及び従来の薬学的に作製されたアジュバントにおいて、適切な投与量レベルで調製することができる。 好ましい製剤は、経口適用に適合している。 これらの投与形態には、例えば、ピル、錠剤、フィルム錠剤、コーティング錠、カプセル、粉末及び沈着物が含まれる。
【0117】
さらに、本発明はまた、皮膚、皮内、胃内、皮膚内、血管内、静脈内、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、膣内、頬内、経皮、直腸、皮下、舌下、局所、又は経皮適用を含む、非経口適用のための医薬製剤を含み、この製剤は 典型的なビヒクル及び/又は希釈剤に加えてナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を含む。
【0118】
活性成分として本発明のナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を含む本発明の医薬組成物は、典型的には、通常、意図された投与形態に関して、 すなわち、錠剤、カプセル(固体充填、半固体充填又は液体充填のいずれか)、構成用粉末、押出物、沈着物、ゲル、エリキシル、分散性顆粒、シロップ、懸濁液などの形態で選択され、そして従来の製薬慣行と一致している経口投与のための適切な担体材料と一緒に投与されるであろう。例えば、錠剤又はカプセルの形態での経口投与の場合、活性薬物成分は、任意の経口非毒性の薬学的に許容される担体、好ましくはラクトース、澱粉、スクロース、セルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、タルク、マンニトール、エチルアルコール(液体充填カプセル)などの不活性担体と組み合わせることができる。 さらに、適切な結合剤、潤滑剤、崩壊剤及び着色剤もまた、錠剤又はカプセルに組み込まれ得る。粉末及び錠剤は、活性成分として、式(I)の本発明のナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物約5~約95重量%を含み得る。
【0119】
適切な結合剤には、澱粉、ゼラチン、天然糖、トウモロコシ甘味料、アカシア、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、及びワックスなどの天然及び合成ガムが含まれる。 適切な潤滑剤の中には、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられ得る。 適切な崩壊剤には、澱粉、メチルセルロース、グアーガムなどが含まれる。 必要に応じて、甘味料及び香料、並びに防腐剤も含まれ得る。 崩壊剤、希釈剤、潤滑剤、結合剤などについては、以下でより詳細に説明される。
【0120】
さらに、本発明の医薬組成物は、治療効果、例えば抗ヒスタミン作用などを最適化するために、任意の1つ又は複数の成分又は有効成分の速度制御放出を提供するために徐放形態で処方され得る。徐放に適した剤形には、様々な崩壊速度の層を有する錠剤、又は活性成分が含浸され、錠剤形態に成形された制御放出ポリマーマトリックス、又はそのような含浸又はカプセル化された多孔質ポリマーマトリックスを含むカプセルが含まれる。
【0121】
液体形態の調製物には、溶液、懸濁液、及び乳濁液が含まれる。 一例として、非経口注射用の水又は水/プロピレングリコール溶液、又は経口溶液、懸濁液、及び乳濁液用の甘味料及び乳白剤の添加が言及され得る。 液体形態の調製物はまた、鼻腔内投与のための溶液を含み得る。 吸入に適したエアロゾル調製物は、粉末形態の溶液及び固体を含み得、これらは、不活性な圧縮ガス、例えば窒素などの薬学的に許容される担体と組み合わせて存在し得る。坐剤を調製するために、カカオバターのような酪酸グリセリドの混合物などの低融点脂肪又はワックスを最初に溶融し、次に活性成分をその中に、例えば攪拌により均一に分散させる。次に、溶融した均質な混合物を都合のよいサイズの型に注ぎ、放冷し、それによって固化させる。
【0122】
また、使用直前に経口投与又は非経口投与用の液体形態の調製物に変換することを目的とした固体形態の調製物も含まれる。 このような液体形態には、溶液、懸濁液、及び乳濁液が含まれる。
【0123】
ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物は、経皮的に送達することもできる。 経皮組成物は、クリーム、ローション、エアロゾル及び/又はエマルジョンの形態を有し得、この目的のためには当技術分野で知られているように、マトリックス又はリザーバータイプの経皮パッチに含まれ得る。
【0124】
本明細書に記載のカプセルという用語は、活性成分を含む組成物を保持又は含有するための、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、又は変性ゼラチン又は澱粉で作られた特定の容器又はエンクロージャーを指す。 ハードシェルを備えたカプセルは、通常、骨又は豚皮からの比較的高いゲル強度のゼラチンをブレンドして作られている。 カプセル自体には、少量の染料、不透明剤、可塑剤、及び/又は防腐剤が含まれている場合がある。錠剤下で、適切な希釈剤を含む有効成分を含む、圧縮又は成形された固体剤形が理解される。 錠剤は、湿式造粒、乾式造粒によって得られた混合物又は造粒物の圧縮によって、又は当業者によく知られている圧縮によって調製することができる。
【0125】
経口ゲルとは、親水性の半固体マトリックスに分散又は可溶化された有効成分を指す。 構成用の粉末とは、有効成分と、水又はジュースに懸濁できる適切な希釈剤を含む粉末ブレンドを指す。
【0126】
適切な希釈剤は、通常、組成物又は剤形の大部分を構成する物質である。 適切な希釈剤には、ラクトース、スクロース、マンニトール、及びソルビトールなどの糖、小麦、トウモロコシ米、及びジャガイモに由来する澱粉、及び微結晶性セルロースなどのセルロースが含まれる。 組成物中の希釈剤の量は、全組成物の約5~約95重量%、好ましくは約25~約75重量%、より好ましくは約30~約60重量%の範囲であり得る。
【0127】
崩壊剤という用語は、分解(崩壊)をサポートし、薬剤の医薬的に活性な成分を放出するために組成物に添加される材料を指す。適切な崩壊剤は、以下を含む:澱粉、「冷水溶性」修飾澱粉、例えばカルボキシメチル澱粉ナトリウム、天然及び合成ガム、例えばイナゴマメ、カラヤ、グアー、トラガカンス及び寒天、セルロース誘導体、例えばメチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶性セルロース、及び架橋微結晶性セルロース、例えば、クロスカラメロースナトリウム、アルギン酸塩、例えばアルギン酸及びアルギン酸ナトリウム、粘土、例えばベントナイト、及び発泡性混合物。組成物中の崩壊剤の量は、組成物の約2~約20重量%、より好ましくは約5~約10重量%の範囲であり得る。
【0128】
結合剤は、粉末粒子を結合又は「接着」し、顆粒を形成することによってそれらを凝集性にする物質であり、従って、配合物の「接着剤」として機能する。 結合剤は、希釈剤又は増量剤ですでに利用可能な凝集力を追加する。適切な結合剤は、以下を含む:糖、例えばスクロース、小麦トウモロコシ米及びジャガイモ由来の澱粉、天然ガム、例えばアカシア、ゼラチン及びトラガカンス、海藻の誘導体、例えばアルギン酸、アルギン酸ナトリウム及びアルギン酸カルシウムアンモニウム、セルロース材料、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、 ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、及び無機化合物、例えばマグネシウムアルミニウムシリケート。組成物中の結合剤の量は、組成物の約2~約20重量%、好ましくは約3~約10重量%、より好ましくは約3~約6重量%の範囲であり得る。
【0129】
潤滑剤とは、圧縮後に錠剤顆粒などが摩擦又は摩耗を低減することによって型又はダイから放出されることを可能にするために剤形に添加される物質のクラスを指す。 適切な潤滑剤は、以下を含む:金属ステアリン酸塩、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸、高融点ワックス、及び他の水溶性潤滑剤、例えば塩化ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール及びD、L-ロイシン。潤滑剤は、顆粒の表面に存在する必要があるため、通常、圧縮前の最後の工程で追加される。 組成物中の潤滑剤の量は、組成物の約0.2~約5重量%、好ましくは組成物の約0.5~約2重量%、より好ましくは組成物の約0.3~約1.5重量%の範囲であり得る。
【0130】
グリデントは、医薬組成物の成分の固化を防ぎ、顆粒の流動特性を改善して、流動が滑らかで均一になるようにする材料である。 適切なグリデントには、二酸化ケイ素及びタルクが含まれる。 組成物中のグリデントの量は、最終組成物の約0.1~約5重量%、好ましくは約0.5~約2重量%の範囲であり得る。
【0131】
着色剤は、組成物又は剤形に着色を提供する賦形剤である。 そのような賦形剤は、粘土又は酸化アルミニウムなどの適切な吸着剤に吸着された食品グレードの染料を含むことができる。 着色剤の量は、組成物の約0.1~約5重量%、好ましくは約0.1~約1重量%で変化し得る。
【0132】
本発明のナトリウムレテルモビル一水和物は、ヘルペスウイルス科グループ(ヘルペスウイルス)の代表に対して、とりわけサイトメガロウイルス(CMV)に対して、特にヒトサイトメガロウイルス(HCMV)に対して抗ウイルス効果を示す。 従って、それらは、疾患、特にウイルス、特に本明細書で言及されるウイルス及びそれらによって引き起こされる感染による感染症を治療及び予防する方法での使用に適している。 「ウイルス感染」という用語は、ここでは、ウイルスによる感染だけでなく、ウイルスによる感染によって引き起こされる疾患も意味すると理解されている。
【0133】
従って、本発明の別の側面は、サイトメガロウイルス、特にヒトサイトメガロウイルスによって引き起こされる及び/又は関連する感染症の治療及び/又は予防の方法で使用するための結晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物又は結晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を含む医薬組成物を指す。
【0134】
さらに、本発明は、結晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物又は結晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を含む医薬組成物を使用して、疾患、特にウイルス感染症、好ましくはヒトサイトメガロウイルス(HCMV)感染症又はヘルペスウイルス科グループの別のメンバーによる感染症の治療及び/又は予防のための薬剤を調製することに関する。
【0135】
さらに、本発明は、治療有効量の結晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物又は結晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物を含む医薬組成物を対象に投与することを含む、サイトメガロウイルス(CMV)、特にヒトサイトメガロウイルス(HCMV)に関連する及び/又は引き起こされる疾患、又はヘルペスウイルス科グループの別のメンバーによる感染症を治療及び/又は予防する方法を提供する。好ましくは、サイトメガロウイルス(CMV)、特にヒトサイトメガロウイルス(HCMV)に関連する及び/又は引き起こされる疾患を治療及び/又は予防する方法は、式(I)の結晶性ナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物の治療有効量の多形フォームBを前記対象に投与することを含む。
【0136】
「有効量」という用語は、そのような治療を必要とする対象に投与された場合、以下のための十分な量の化合物を意味する:
(i)特定の疾患、状態、又は障害を治療又は予防するための;
(ii)特定の疾患、状態、又は障害の1つ又は複数の症状を軽減、改善、又は排除するための;又は
(iii)本明細書に記載の特定の疾患、状態、又は障害の1つ又は複数の症状の発症を予防又は遅延させるための。
【0137】
そのような量に対応する式(I)のナトリウム2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン -4-イル]アセテート一水和物の量は、特定の化合物、病状及びその重症度、治療を必要とする対象のアイデンティティ(例えば、体重)などの要因に応じて変化するが、 それにもかかわらず、当技術分野の当業者によって日常的に決定される。
【0138】
略語
h 時間
DSC 示差走査熱量測定
HPLC 高圧液体クロマトグラフィー
min 分
NMR 核磁気共鳴
PDF ペア配信機能
TGA 熱重量分析
XRPD X線粉末回折
【0139】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために含まれる。 以下の実施例に開示される技術は、本発明の実施において良好に機能するために発明者によって発見された技術を表し、従って、その実施のための好ましい様式を構成すると見なすことができることを当業者は理解すべきである。 しかしながら、当業者は、本開示に照らして、開示される特定の実施形態において多くの変更を行うことができ、それでも本発明の精神及び範囲から逸脱することなく同様又は同様の結果を得ることができることを理解すべきである。
【0140】
本発明の様々な態様のさらなる修正及び代替の実施形態は、この説明を考慮して当業者には明らかであろう。 従って、この説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、当業者に本発明を実施する一般的な方法を教えることを目的としている。 本明細書に示され、説明される本発明の形態は、実施形態の例としてとられるべきであることが理解されるべきである。要素及び材料は、本明細書に例示及び記載されているものの代わりに使用することができ、部品及びプロセスを逆にすることができ、そして本発明の特定の特徴は、本発明のこの説明の利益を得た後、当業者には明らかであるように、独立して利用することができる。以下の特許請求の範囲に記載されているように、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載されている要素に変更を加えることができる。
【実施例
【0141】
使用機器
粉末X線回折分析(PXRD):ポリ酢酸ビニルの2つのフォイルを使用して、標準のサンプルホルダーで約20mgのサンプルを調製した。 サンプルは、それ以上の操作なしに受け取ったまま分析された。 粉末回折パターンは、D8 Advance Series 2Theta / Theta粉末回折システムで、室温で透過形状のCuKα1-放射線(1.54060Å)を使用して取得した。このシステムには、VÅNTEC-1シングルフォトンカウンティングPSD、ゲルマニウムモノクロメーター、90ポジションのオートチェンジャーサンプルステージ、固定発散スリット、ラジアルソレルが装備されている。 X線ビームを生成するためのジェネレータ強度は40mA及び40kVに設定されている。使用したプログラム:DIFFRACとXRD Commander V.2.5.1を使用したデータ収集、及びEVA V.14.0.0.0(Bruker-AXS 1996-2007)を使用した評価。 パターンは、2θ(ステップサイズ0.049°)で4~40°の範囲で30分の測定で収集された。
【0142】
プロトン核磁気共鳴分光法(H-NMR):プロトン核磁気共鳴分析は、Bruker Avance 400 Ultrashield NMR分光計の重水素化DMSO(DMSO-d)で記録された。 スペクトルは、0.7 mLの重水素化溶媒に8~10mgのサンプルを溶解して取得した。
【0143】
示差走査熱量測定分析(DSC):DSC分析は、56ポイントのAu-AuPdサーモパイルFRS5センサーを備えたメトラートレドDSC822で記録された。 約2~3 mgのサンプルを(MX5 Mettler Toledoマイクロバランスを使用して)ピンホール蓋付きの40μLアルミニウムるつぼに量り取り、窒素下で10及び/又は20℃/分で30℃から300℃に加熱した(50mL/ 分)。 使用したプログラム:ソフトウェアSTAReによるデータ収集及び評価。
【0144】
熱重量分析(TGA):熱重量分析は、天秤MT1タイプのメトラートレドTGA/SDTA851で記録された。 約3~4mgのサンプルを(MX5 Mettler Toledoマイクロ天秤を使用して)ピンホール蓋付きの40μLアルミニウムるつぼに量り取り、窒素(10mL/分)下で10℃/分で30℃から300℃に加熱した。使用したプログラム:ソフトウェアSTAReによるデータ収集及び評価。
【0145】
単結晶X線回折(SCXRD):測定された結晶は、偏光を使用するZeiss実体顕微鏡を使用して選択され、操作用の保護油としてパーフルオロポリエーテルに浸漬された不活性条件下で調製された。 選択したすべてのサンプルは、多成分結晶に対応していた。 100Kでの結晶構造決定は、APPEX 24KCCDエリア検出器を備えたApexDUOKappa 4軸ゴニオメーター、MoKα放射線を使用するMicrofocus Source E025 IuS、モノクロメーターとしてのQuazar MX多層光学、及びOxford Cryosystems低温装置Cryostream 700 plus(T=100K)を使用して実行された。フルスフィアデータ収集オメガ及びファイスキャン。 使用したプログラム:データ収集APEX II(APEX II version v2009.1-02. Bruker (2007). Bruker AXS Inc., Madison, Wisconsin, USA)、SAINTによるデータ削減(Bruker SAINT version V7.60A. Bruker (2007). Bruker AXS Inc., Madison, Wisconsin, USA)及びSADABSによる吸収補正(SADABS: V2012/1 Bruker (2001). Bruker AXS Inc., Madison, Wisconsin, USA. Blessing, Acta Cryst. (1995) A51 33-38.)。結晶構造ソリューションは、プログラムSHELXT (SHELXT Crystal Structure Solution Version 2014/4, George M. Sheldrick 2010-2014; Sheldrick, G.M. Acta Cryst. 2015 A71, 3-8.)で実現され、そしてプログラムSHELXle(C.B. Huebschle、G.M. Sheldrick&B。Dittrich; J.Appl.Cryst。(2011)44、1281-1284。)を使用して視覚化された。欠落している原子は、その後、差分フーリエ合成から特定され、そして原子リストに追加された。測定されたすべての強度を使用したF02の最小二乗リファインメントは、プログラムSHELXL 2015 (SHELXL Crystal Structure Refinement Version 2014/7, George M. Sheldrick 1993-2014; Sheldrick, G.M. Acta Cryst. 2015 C71, 3-8.) を使用して実行された。異方性変位パラメータを含め、すべての非水素原子が精密化された。
【0146】
実施例01: ナトリウム(S)-{8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-イル}アセテートの調製
表題化合物を、国際公開第WO 2013127971 A1号に記載されている方法に従って、(S)-{8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-イル}酢酸(レテルモビル)から調製した。333.1gのAを、2000mlの3つ口フラスコ中のエタノールとジイソプロピルエーテル(1:1)の混合物1300mlに溶解する。 21.9g(546.84ミリモル)のNaOHを固体として前記溶液に添加する。混合物を25分間50℃の内部温度に加熱すると、透明なオレンジ色の溶液が得られる。 このようにして得られた溶液をこの温度で3時間撹拌し、1時間後にすでに薄い懸濁液が形成されている。 次に、反応混合物を3℃/時の冷却速度で10時間、20℃の内部温度に冷却し、次いで、この温度でさらに5時間撹拌する。反応混合物の総量を真空下で約750mLに減らし、このようにして得られた懸濁液を20℃で2時間撹拌する。 次に、得られた反応混合物に250mLのジイソプロピルエーテルを10分間かけて加え、混合物をさらに2時間撹拌する。 得られた結晶性生成物を吸引装置で真空引きし、それぞれ250mLのジイソプロピルエーテルで2回洗浄し、真空乾燥キャビネット内で20℃、及び160ミリバールで20時間乾燥させる。このようにして得られた結晶性固体を、次に、IR乾燥機で90℃で10分間乾燥し、次に真空乾燥キャビネット内で60℃でさらに16時間乾燥する。 このようにして、合計274.4g(理論収率の86%)のレテルモビルエタノール一水和物の所望の結晶性ナトリウム塩を得る。
【0147】
【表1】
【0148】
実施例02: ナトリウム(S)-{8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-イル}アセテートの代替調製
50gの(S)-{8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-イル}酢酸(レテルモビル)を200mLの1:1エタノール/ジイソプロピルエーテル混合物に溶解した。 3.3gの水酸化ナトリウムを添加し、溶液を50℃に加熱した。 混合物をこの温度で6時間撹拌し、続いて冷却し、室温で60時間撹拌する。 得られた懸濁液を濾過し、レテルモビルエタノール一水和物の結晶性ナトリウム塩24gを得る(収率80%)。
【0149】
実施例03:非晶性 ナトリウム(S)-{8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-イル}アセテートの調製
実施例01又は02に記載の方法による結晶性ナトリウム(S)-{8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-イル}酢酸(レテルモビル)を、真空下で、120℃で15時間乾燥させた。 非晶性表題化合物をほぼ定量的な収率で得た。
【0150】
実施例04:非晶性 ナトリウム(S)-{8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-イル}アセテートの代替調製
実施例01又は02に記載の方法による結晶性ナトリウム(S)-{8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-イル}酢酸(レテルモビル)1gを、水5mlに溶解した。前記溶液を液体窒素を使用して凍結し、そして15時間凍結乾燥した(-80℃、0.03mBar)。 非晶性表題化合物をほぼ定量的な収率で得た。
【0151】
実施例05: ナトリウム(S)-{8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-イル}アセテート一水和物の調製
3.5gの非晶性ナトリウム(S)-{8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-イル}アセテート(実施例03又は04に記載されている手順に従って調製された)を、穏やかに攪拌(Anchor撹拌機、180rpm)しながら50℃で15時間ジイソプロピルエーテル(125 mL)中でスラリー化した。その後、溶液を濾過し、コンパクトな白色固体を得た。 得られた固体を40℃で4時間真空乾燥した。 表題化合物を白色固体として得た(3.2g、89%収率)。
【0152】
実施例06: ナトリウム(S)-{8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-イル}アセテート一水和物の代替調製
2gの非晶性ナトリウム(S)-{8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-イル}アセテート(実施例03又は04に記載されている手順に従って調製された)を、52℃でテトラヒドロフラン(5 mL)に溶解した。次に、添加漏斗(1~1.5mL /分)を使用して50mLのジイソプロピルエーテル(貧溶媒)を添加し、ほとんど全てのジイソプロピルエーテルを添加したときに沈殿物が形成された。 貧溶媒を完全に添加した直後に、懸濁液を濾過して、コンパクトな白色の固体を得た。 得られた固体を40℃で4時間真空乾燥した。 表題化合物を白色固体として得た(0.465g、22%収率)。
【0153】
実施例07: ナトリウム(S)-{8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-イル}アセテート一水和物の代替調製
1gの非晶性ナトリウム(S)-{8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-イル}アセテート(実施例03又は04に記載されている手順に従って調製された)を、40℃で2.5mLの塩化メチレンに溶解し、そしてこの温度で1時間撹拌した。その後、溶液を冷却し、溶媒を室温で蒸発させた。 残りの固体を60℃で4時間真空乾燥した。 表題化合物を、ほぼ定量的に白色固体として得られた。 図4は、表題化合物のH NMRスペクトルを示す。
【0154】
実施例08: ナトリウム(S)-{8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-イル}アセテート一水和物の代替調製
5gの結晶性ナトリウム(S)-{8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-イル}アセテート(実施例01又は02に記載されている手順に従って調製された)を、45℃~50℃で5 mLの塩化メチレンに溶解し、そしてこの温度で1時間撹拌した。その後、溶液を冷却し、溶媒を室温で蒸発させた。 残りの固体を60℃で4時間真空乾燥した。 表題化合物を、ほぼ定量的に白色固体として得られた。 図4は、表題化合物のH NMRスペクトルを示す。
【0155】
実施例09: ナトリウム(S)-{8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-イル}アセテート一水和物の代替調製
5gのレテルモビル遊離塩基をアセトンとジイソプロピルエーテルの混合物(1:1、19.5mL)に溶解した。 その後、水酸化ナトリウム(0.3285g、8.2mmol)を添加し、得られた混合物を50℃に加熱し、3時間撹拌した。 混合物を室温に冷却し、一晩撹拌した。 得られた混合物の体積を半分に減らし(ロータリーエバポレーターでの蒸発)、得られた溶液を室温で2時間撹拌した。 ジイソプロピルエーテル(20mL)の追加部分を加え、得られた懸濁液を室温で一晩撹拌した。 結晶化した固体を濾過し、真空下、60℃で2時間乾燥させて、5.05g(97%)のレテルモビルナトリウム一水和物塩を得た。 図4は、表題化合物のH NMRスペクトルを示している。
【0156】
参照実施例10: ナトリウム(S)-{8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-イル}アセテート混合溶媒和の調製
(国際公開第WO2013127971号の実施例1及び2に従った手順に対応する)
333.1gの2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸を、2000mLの3つ口フラスコ内でエタノールとジイソプロピルエーテル(1:1)の混合物1300mLに溶解した。 21.9g(546.84ミリモル)のNaOHを固体として溶液に添加した。 混合物を25分間50℃の内部温度に加熱し、これにより透明なオレンジ色の溶液が得られた。 このようにして得られた溶液をこの温度で3時間撹拌し、1時間後にすでに薄い懸濁液が形成された。 次に、反応混合物を3℃/時間の冷却速度で10時間、20℃の内部温度に冷却し、次いで、この温度でさらに5時間撹拌した。反応混合物の総量を真空下で約750mLに減少させ、このようにして得られた懸濁液を20℃で2時間撹拌した。 次に、得られた反応混合物にジイソプロピルエーテル250mLを10分間かけて加え、さらに2時間攪拌した。 得られた結晶性生成物を吸引装置により真空除去し、それぞれの場合に250mLのジイソプロピルエーテル内で2回洗浄し、真空乾燥キャビネット内で20℃及び160mbarで20時間乾燥させた。 次に、このようにして得られた結晶性固体を、IR乾燥機で90℃で10分間乾燥し、次に真空乾燥キャビネット内で60℃でさらに16時間乾燥させた。 このようにして、合計274.4g(理論収率の86%)の所望の結晶性ナトリウム塩が得られた。
【0157】
得られた2-[(4S)-8-フルオロ-2-[4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4H-キナゾリン-4-イル]酢酸のナトリウム塩約300mgを1mLのエタノール(4%の水を含む)に懸濁し、25℃で1週間振盪した。 得られた結晶を濾過し、残留物を室温及び周囲湿度で乾燥させて、レテルモビルナトリウム混合エタノール溶媒和物を得た。
【0158】
得られたレテルモビルナトリウム混合エタノール溶媒和物の構造は、国際公開第WO2013127971号の実施例2で得られた化合物(国際公開第WO2013127971号において「レテルモビルナトリウム三水和物」と誤って呼んでいる化合物)の構造に対応する。 PXRDパターンの比較を図9に示す。
【0159】
実施例11: ナトリウム(S)-{8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-イル}アセテート一水和物の特徴評価
実施例07及び08から得られたナトリウム(S)-{8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-イル}アセテート一水和物を、X線回折、NMR分光法、熱重量分析、示差走査熱量測定、及び動的蒸気収着を使用して分析した。 結果は以下の表にまとめられている。
【0160】
【表2】
【0161】
レテルモビルナトリウム一水和物のPXRDパターンとDSCプロファイルは、レテルモビルナトリウム混合溶媒和物のそれと明確に区別できる(図7-8)。
【0162】
ナトリウム(S)-{8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-イル}アセテート一水和物の含水量はカールフィッシャー分析により3.1%と決定され、これは一水和物の理論的含水量と一致している(1分子の水は2.9wt%に相当する)。
【0163】
NMRスペクトルでは他の残留溶媒シグナルは観察されなかった。
【0164】
安定性実験により、結晶性固体は周囲条件で4週間以上安定であることが明らかになった。
【0165】
実施例12:ナトリウム(S)-{8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-イル}アセテートの結晶フォームAの調製
1gの非晶性ナトリウム(S)-{8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-イル}アセテート(実施例03又は04に記載されている手順に従って調製された)を、40℃で2.5mLの塩化メチレンに溶解し、この温度で1時間撹拌した。 その後、溶液を冷却し、溶媒を室温で蒸発させた。 表題化合物は、ほぼ定量的に白色固体として得られた。
【0166】
実施例13:ナトリウム(S)-{8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-イル}アセテートの結晶フォームAの代替調製
1gの結晶性ナトリウム(S)-{8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-イル}アセテート(実施例01又は02に記載されている手順に従って調製された)を、35℃~40℃で2mLの塩化メチレンに溶解し、この温度で1時間撹拌した。 その後、溶液を冷却し、溶媒を室温で蒸発させた。 表題化合物は、ほぼ定量的に白色固体として得られた。
【0167】
実施例14:ナトリウム(S)-{8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-イル}アセテートの結晶フォームAの特徴評価
実施例10及び11から得られたナトリウム(S)-{8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-イル}アセテート一水和物の多形フォームAを、X線回折、熱重量分析及び示差走査熱量測定を使用して分析した。 結果は以下の表にまとめられている。
【0168】
【表3】
【0169】
安定性実験は、多形フォームが周囲条件下で安定ではなく、数時間以内に実施例09に記載の安定フォームに変化することを明らかにした。
【0170】
実施例15:ナトリウム(S)-{8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-イル}アセテートの結晶フォームAをより安定な一水和フォーム(フォームB)に変換する
1gのナトリウム(S)-{8-フルオロ-2- [4-(3-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル] -3-[2-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-イル}アセテートの結晶フォームA(実施例10又は11から得られた)を、真空乾燥オーブン中で60℃、2~3mbarで4時間加熱した。 得られた固体は、PXRD、TGA、DSC及びNMRによれば、実施例07及び08で得られた固体と同一であった。
【0171】
実施例16:静脈内溶液の形での医薬組成物の調製
第1のストック溶液を生成するために、実施例07からの塩1.0gを注射目的で10mlの水に溶解し、透明な溶液が得られるまで塩を攪拌する。 この溶液を20mMリン酸緩衝液にゆっくりと加えて、5mg/ml又は10mg/mlの濃度の静脈内投与用の溶液を生成する。 それぞれの溶液のpH値は、約pH7.6(5mg/ ml)及び約pH7.7(10mg/ ml)であった。 最後に、得られた溶液を滅菌濾過し、適切な滅菌容器に充填する。 容器は注入プラグとフランジキャップで密閉されている。
【0172】
必要に応じて、この方法で生成された溶液は、容器を密封する前に保存のために凍結乾燥することができ、使用するために後日再構成することができる。
【0173】
実施例17:錠剤の形態での医薬組成物の調製
経口投与用の固体製剤を製造するために、実施例07からの塩(50%)をスクリーニングし、リン酸水素カルシウム二水和物(48%)、クロスカルメロースナトリウム(5%)、ポリビニルピロリドン(5%)及びコロイドシリカゲル(1%)と混合する。 次に、篩にかけたステアリン酸マグネシウム(1%)を添加する。 次に、このプレス混合物を直接使用して錠剤を製造する。
【0174】
実施例18:生理学的有効性の評価
HCMV(ヒトサイトメガロウイルス)の複製に対する本発明による組成物のインビトロ効果は、以下の抗ウイルスアッセイで見ることができる:
【0175】
HCMV蛍光還元試験
試験組成物は、ジメチルスルホキシド(DMSO)中の50ミリモル(mM)の溶液として使用される。 ガンシクロビル(登録商標)、ホスカルネット(登録商標)又はシドフォビル(登録商標)を参照組成物として使用することができる。 試験開始の1日前に、1.5×10のヒト包皮線維芽細胞(NHDF細胞)/ウェルを、96ウェルプレートのウェルB2-G11(床が透明な黒)の200mLの細胞培養培地に播種する。 各96ウェルプレートのエッジに沿ったウェルは、エッジ効果を防ぐために、200 μLの培地のみで満たされている。 試験当日、各96ウェルプレートのウェルB2-G11の細胞培養培地を吸引装置で真空引きし、100 μLのウイルス懸濁液(感染多重度(MOI):0.1-0.2)と交換する。使用されるウイルスは、ウイルスゲノム(HCMV AD 169 RV-HG [E. M. Borst, K. Wagner, A. Binz, B. Sodeik, and M. Messerle, 2008, J. Virol. 82:2065-2078.])に緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現カセットを組み込んだ組換えHCMVである。 37℃及び5%COで2時間のインキュベーション時間の後、ウイルス接種物を吸引装置で真空引きし、カラム3のウェルを除くすべてのウェルに200μLの細胞培養液を充填する。 カラム2はこれ以上処理されず、ウイルス対照として機能する。 カラム3のウェルには、重複分析のために300μLの試験物質(細胞培養培地で希釈された)がそれぞれ充填されている。カラム3のそれぞれの抗ウイルス物質の濃度は、それぞれの予想されるEC50値の約27倍の濃度である。カラム3の試験物質は、各カラムからそれぞれの右側のカラムに100μLを移し、200μLの細胞培養液と混合することにより、96ウェルプレート全体で1:3の濃度に8段階で希釈され、ここで、すでに存在する200μLの細胞培養液と混合される。このようにして、3つの抗ウイルス物質が重複分析で試験される。 プレートを37℃及び5%COで7日間インキュベートする。続いて、プレート上の全てのウェルをPBS(リン酸緩衝生理食塩水)で3回洗浄し、50μLのPBSで満たす。 次に、96ウェルプレートの各ウェルのGFP強度を、蛍光スキャナー(FluoBox; Bayer Technology Services GmbH;フィルター設定:GFP、Ex 280 nm、Em 520 nm)を使用して決定する。 このようにして得られた測定値を使用して、抗HCMVのEC50を決定することができる:
EC50(GFP-RA)=未処理のウイルス対照と比較してGFP蛍光を50%減少させるμM単位の物質濃度。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】