(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-15
(54)【発明の名称】パワーモジュール
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20230508BHJP
G01K 7/16 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
G01R31/26 B
G01K7/16 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022557688
(86)(22)【出願日】2021-03-23
(85)【翻訳文提出日】2022-11-01
(86)【国際出願番号】 EP2021057382
(87)【国際公開番号】W WO2021191187
(87)【国際公開日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】102020203918.6
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】シュトラーヒェ,ゼーバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ホモト,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ロザール,トラルフ
(72)【発明者】
【氏名】バルナー,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】グロスマン,オリバー
【テーマコード(参考)】
2G003
【Fターム(参考)】
2G003AA02
2G003AB16
2G003AH05
(57)【要約】
基板(2)と、基板(2)の下面に配置された少なくとも1つのパワートランジスタ(3)とを含むパワーモジュール(1)が記載される。パワーモジュールは、基板(2)と接続された少なくとも1つのパワー端子(4、5、6)を含む。従来技術では、パワートランジスタの温度測定は、不正確であるか、またはパワートランジスタのより複雑な構造を必要とする。本発明によれば、温度測定用の導体ループ(8)が、パワートランジスタ(3)とは反対側の上面、または内側もしくは外側基板層(12)に配置される。これにより、熱源の近くで温度が測定され得、それにより、パワーモジュールの構成を大幅に複雑化することなく、より正確になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(2)と、前記基板(2)の下面に配置された少なくとも1つのパワートランジスタ(3)と、前記基板(2)と接続された少なくとも1つのパワー端子(4、5、6)とを含むパワーモジュール(1)において、
温度測定用の導体ループ(8)が、前記パワートランジスタ(3)とは反対側の上面、または内側もしくは外側基板層(12)に配置されている、
ことを特徴とするパワーモジュール(1)。
【請求項2】
前記導体ループ(8)が、蛇行進路を有する、請求項1に記載のパワーモジュール(1)。
【請求項3】
前記導体ループ(8)が、前記パワートランジスタ(3)のソース(7)の上に配置されている、請求項1または2に記載のパワーモジュール(1)。
【請求項4】
前記導体ループ(8)が、複数の基板層(12)にわたって延びる、請求項1~3のいずれか一項に記載のパワーモジュール(1)。
【請求項5】
前記基板(2)に少なくとも2つのパワートランジスタ(3)が配置されており、それぞれ1つの個別の温度測定用の導体ループ(8)が、それぞれの前記パワートランジスタ(3)の上で、内側基板層(12)または前記基板(2)の前記上面に配置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のパワーモジュール(1)。
【請求項6】
少なくとも1つの導体ループ(8)が、温度依存性抵抗器を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のパワーモジュール(1)。
【請求項7】
少なくとも2つのパワートランジスタ(3)および少なくとも2つの対応する前記導体ループ(8)と接続されている少なくとも1つの特定用途向け集積回路(9)を含む、請求項4または5に記載のパワーモジュール(1)。
【請求項8】
前記特定用途向け集積回路(9)が、前記導体ループ(8)によって測定される温度ができるだけ等しくなるように前記少なくとも2つのパワートランジスタ(3)の負荷量を制御するように設計されている、請求項6に記載のパワーモジュール(1)。
【請求項9】
前記基板(2)が、多層低温同時焼成セラミックスを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のパワーモジュール(1)。
【請求項10】
前記温度測定が、少なくとも1つの導体ループ(8)で、4点測定または帯域端調整によって行われる、請求項1~9のいずれか一項に記載のパワーモジュール(1)。
【請求項11】
複数の導体ループ(8)が、異なる基板層(12)に配置されており、直列に接続されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のパワーモジュール(1)。
【請求項12】
少なくとも2つの基板(2、15)を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のパワーモジュール(1)。
【請求項13】
基板層(12)の間に埋め込まれた複数のパワー半導体を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のパワーモジュール(1)。
【請求項14】
2つの基板(2、15)の間に埋め込まれた複数のパワー半導体を含み、前記基板(2、15)の少なくとも一方に温度測定用の導体ループ(8)が配置されている、請求項12または13に記載のパワーモジュール(1)。
【請求項15】
少なくとも1つのパワー半導体を含み、温度測定用のさらなる導体ループ(8)が、前記パワー半導体とは反対側の前記基板(2)の上面に配置されている、請求項1~14のいずれか一項に記載のパワーモジュール(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板と、基板の下面に配置された少なくとも1つのパワートランジスタと、基板と接続された少なくとも1つのパワー端子とを含むパワーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
パワーモジュールは、強く局所的で大きな熱量を産生し、この熱量は、不十分な冷却/下方修正により、パワーモジュールの寿命を大幅に短縮させるおそれがある。同時に、パワーモジュールのより大型のアレイでは、必要に応じて狙い通りの冷却を提供すること、または大きな遅延なく個々のパワートランジスタの温度を測定して、個々のパワーモジュールまたはパワー半導体/パワートランジスタがどれほど強い負荷を受けるかについて概要を把握することは難しい。
【0003】
温度検出は、パワーモジュールにおいて以下のような様々な形で実現される。
- NTC(負温度係数)またはPTC(正温度係数)抵抗器が、パワーモジュール内でパワートランジスタの近くに配置され、それらの温度依存抵抗によって温度が決定される。
【0004】
- 基板上の特別な素子配置(ダイオード/抵抗器)によって温度が検出される。
- 温度感受性があり電気的に測定可能なパワートランジスタの特性を使用して、それぞれのパワートランジスタの温度を直接決定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の解決策は、温度ピークの測定に関して不正確であり、および/もしくは最も高温の点から離れているため、または大きな時間遅延を示し、またはそのような解決策は、パワートランジスタのかなり複雑な構造を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、温度測定用の導体ループが、パワートランジスタとは反対側の上面、または内側もしくは外側基板層に配置されていることを特徴とする、冒頭で述べたタイプのパワーモジュールが提供される。
【0007】
発明の利点
これによる利点は、従来よりも、少なくとも1つのパワートランジスタ、したがって熱損失源のかなり近くで温度が測定されることである。したがって、従来技術においては、距離がより遠いことにより生じるような、熱伝導によって熱が導体ループに到達する前にパワートランジスタが強く加熱されすぎるのを回避することができる。動作温度を大幅に超えると、通常は個々のパワートランジスタの寿命が短縮する。
【0008】
複数のパワートランジスタを備えるパワーモジュールでは、あるパワートランジスタが他のパワートランジスタよりも平均して頻繁にかつ強く加熱され、それにより最初に故障するある程度の可能性がある。さらに、製造公差により、あるパワートランジスタが、同じ負荷の下で同じタイプの別のパワートランジスタよりも高温に加熱されることがある。しかし、多くの場合、1つのパワートランジスタが故障すると、パワーモジュール全体を交換しなければならない。したがって、本発明による解決策は、個々のパワートランジスタの温度負荷を監視し、場合により調整して、パワーモジュールの全体的な寿命を延ばすことをかなり良好に行うことができるようにする。
【0009】
基板は、好ましくは多層基板であり、パワー配線、ロジック配線(パワートランジスタ用の制御線など)、および温度測定に必要な導体ループを集積することができる。基板の下面は、例えば基板の最下層、または少なくとも導電素子を有する最下層であってもよい。これに対応して、基板の上面は、例えば導電素子が配置されている基板の最上層であってもよい。
【0010】
導体ループは、パワートランジスタ全体またはパワートランジスタの一部のみに対向して配置されていてもよい。複数のパワートランジスタが基板と接続されているとき、好ましくは、各パワートランジスタには、それぞれのパワートランジスタの上、例えば基板の内層または上面に独自の導体ループが設けられている。しかし、個々の導体ループは、共通の評価電子回路(例えば、パワーモジュールの特定用途向け集積回路ASIC)と接続されていてもよい。
【0011】
本発明の有利な発展形態は、引用形式請求項に記載され、本明細書で述べられる。
好ましくは、導体ループは蛇行進路を有する。それにより、高温の影響を受ける導体路を増大することができ、したがって、例えば、導体ループの抵抗器へのできるだけ大きい絶対効果を達成することができる。
【0012】
好ましくは、導体ループは、パワートランジスタのソースに対向して配置されている。電界効果トランジスタでは、ソースは通常、トランジスタのアクティブエリアに近いので最も強い熱源であり、したがって最適な感度のために、導体ループはソースのみに対向して配置されていてもよい。局所的なピーク温度は、長期的な損傷箇所をもたらす可能性があるので、これらは問題となる過熱に関する指標として、パワートランジスタの平均温度よりもかなり好適である。したがって、通常は最も高温になるパワートランジスタの位置の温度を狙い通りに測定できることが有利である。
【0013】
一実施形態では、導体ループは、複数の基板層にわたって延びる。これにより、温度測定の精度を向上させることができる。導体ループは、複数の基板層で蛇行進路を有することができる。導体ループは、バイアを介して様々な基板層と接続されていてもよい。
【0014】
基板に少なくとも2つのパワートランジスタが配置されており、それぞれ1つの個別の温度測定用の導体ループが、それぞれのパワートランジスタの上で、基板の内層または上面に配置されていることが好ましい。好ましくは、各パワートランジスタにそれぞれ1つの個別の導体ループが配置されており、すなわち例えば同じパワーモジュールの3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上のパワートランジスタおよび導体ループが配置されている。
【0015】
一実施形態では、少なくとも1つの導体ループが温度依存性抵抗器を有する。ここで、温度依存性抵抗器によって、例えば定電圧での電流測定により、抵抗測定、したがって温度測定が可能である。温度依存性抵抗器は、NTC抵抗器でもPTC抵抗器でもよい。
【0016】
好ましい実施形態では、パワーモジュールは、少なくとも2つのパワートランジスタおよび少なくとも2つの対応する導体ループと接続されている少なくとも1つの特定用途向け集積回路(ASIC)を含む。ASICは、例えば、単一ゲート制御によって個々のパワートランジスタを調整して、パワートランジスタの温度負荷を(瞬間的にまたは経時的に)均一化し、したがってパワーモジュールの全体的な寿命を伸ばす、またはパワー性能を高めることができる。ASICは、基板の下面または上面に配置されていてもよい。後者の場合、導体ループは、例えばバイアを介してASICと接続されていてもよい。
【0017】
一実施形態では、特定用途向け集積回路が、導体ループによって測定される温度ができるだけ等しくなるように少なくとも2つのパワートランジスタの負荷量を制御するように設計されている。どのパワートランジスタにより多く負荷をかけることができるか、または負荷すべきかを決定するために、個々のパワートランジスタに関する「温度履歴」を記憶する必要が必ずしもないので、この解決策は非常に簡単である。温度が上限温度閾値(問題のある温度)を超えているパワートランジスタは、動作中に単純に下方修正することができ、温度が下限温度閾値(問題のない温度)を下回っているパワートランジスタは、上方修正することができる。ここで、2つの異なる閾値の使用により、頻繁な上方修正および下方修正を回避するように調整を安定させることができる。
【0018】
基板が多層低温同時焼成セラミックス(Low Temperature Cofired Ceramics,LTCC)である、またはそれを含むことが好ましい。そのような基板では、製造プロセスを大幅に難しくする必要なく、パワートランジスタを含む下面とは反対側の上面に、または内層に、追加の温度測定用の導体ループを提供することが問題なく可能である。
【0019】
一実施形態では、温度測定が、少なくとも1つの導体ループで、4点測定または帯域端調整によって行われる。これらの測定方法は、構成を大幅に難しくすることなく、測定の精度を向上させる。しかし、場合により、導体ループの別の経路と、評価電子回路(例えば、ローカルASIC)への対応する端子とが必要になる。
【0020】
一実施形態では、複数の導体ループが、異なる基板層に配置されており、直列に接続されている。それにより、高温領域での導体ループの長さを最大にすることができる。これにより、温度変化時の抵抗変化が増加され、したがって温度測定の感度が高められる。
【0021】
一実施形態では、パワーモジュールは少なくとも2つの基板を含む。この場合、パワー配線と温度測定用の導体ループとが、2つの基板の一方に(例えば異なる基板層に)配置されていてもよい。
【0022】
一実施形態では、パワーモジュールは、基板層の間に埋め込まれた複数のパワー半導体を含む。ここでは、パワーモジュールは、好ましくは複数の基板層をもつ1つの基板のみを含む。パワー半導体は、内側基板層に配置されていてもよく、両面でさらなる基板層の間に埋め込まれていてもよく、または挟まれていてもよい。
【0023】
一実施形態では、パワーモジュールは、2つの基板の間に埋め込まれた複数のパワー半導体を含み、基板の少なくとも一方に温度測定用の導体ループが配置されている。これらのパワー半導体は、好ましくは、ソース領域が下側になるように基板に「逆さ」に埋め込まれる。この場合、蛇行構造は、パワートランジスタ(例えばMOSFET)の「下」に配置されているであろう。パワートランジスタに加えて、パワーモジュールは複数のパワー半導体も含み、その温度も同様に1つまたは複数の導体ループで測定され得る。パワー半導体は、例えばパワーダイオード、サイリスタ、またはトライアックであってもよい。
【0024】
一実施形態では、パワーモジュールは、少なくとも1つのパワー半導体を含み、温度測定用のさらなる導体ループが、パワー半導体とは反対側の基板の上面に配置されている。したがって、ここでもまた、パワーモジュールは、パワートランジスタに加えて少なくとも1つのパワー半導体も含み、その温度も同様に導体ループを用いて測定され得る。パワー半導体は、例えばパワーダイオード、サイリスタ、またはトライアックであってもよい。
【0025】
下側基板でパワー半導体に並んでいる導体ループの従来の配置(NTC)と比較して、本発明によれば、導体ループは、冷却路ではなくホットスポットの非常に近くに配置されている。これにより、パワー半導体の最高温度が高い精度で測定され得る。
【0026】
好ましくは、基板の外層とは、基板の最上層および最下層を意味する。したがって、外層は、片側ではさらなる基板層と接触しない。
好ましくは、内側基板層またはいわゆる内層とは、2つの基板層の間にある基板層を意味する。したがって、基板は常に少なくとも1つの外層を有するが、必ずしも内層を有さない。内層を有するには、少なくとも3つの基板層、すなわち2つの外層(最上層、最下層)と、それら2つの外層間の内層とが必要である。
【0027】
本発明の例示的実施形態は、単一の図面および以下の説明に基づいてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】パワーモジュールの上側から見た、本発明によるパワーモジュールの第1の実施形態を示す図である。
【
図2】パワーモジュールの上側から見た、本発明によるパワーモジュールの第2の実施形態を示す図である。
【
図3】本発明によるパワーモジュールの第3の実施形態の断面図である。
【
図4】本発明によるパワーモジュールの第4の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1に、基板2と、基板2の下面に配置された複数(ここでは単に例として2つ)のパワートランジスタ3とを含む、本発明によるパワーモジュール1の一実施形態が示されている。
図1は、基板2の上面図を示し、したがって、反対側の下面または内側基板層内のパワートランジスタ3は破線でのみ示されている。
【0030】
パワーモジュール1は、基板2と接続された5つのパワー端子4、5、6を含む。パワー端子4、5、6は、例えば、それぞれ1つのパワートランジスタ3のそれぞれのソース7およびゲート14(基板の下面にある、または基板に埋め込まれているので、それぞれ破線で描かれている)と接続されていてもよい。パワー端子4は、例えば供給電圧を送達することができ、パワー端子5は、例えば接地を提供することができ、パワー端子6は、位相端子であってもよい。見やすくするために、基板2上の対応する制御電子回路はここでは示されていない。
【0031】
本発明によれば、温度測定用の導体ループ8が、パワートランジスタ3とは反対側の基板2の上面に配置されている。
導体ループ8は蛇行進路を有し、それにより、高温の影響を受ける導体路を増大することができ、したがって、例えば、導体ループ8の抵抗器へのできるだけ大きい絶対効果を達成することができる。
【0032】
ここで、導体ループ8は、本質的に、それぞれのパワートランジスタ3の全領域に対向して配置されている。しかし、導体ループ8は、測定される絶対抵抗変化を増大するために、それぞれのパワートランジスタ3の領域よりも大きい領域(例えば、10~100%大きい領域)をカバーすることもできる。
【0033】
パワートランジスタ(例えばMOSFET)にわたる高温領域での長さを最大化するために、バイアによって複数の層にわたって導体ループ8は接続されており案内されていてもよい。これにより、導体ループの抵抗変化を高めることができ、したがって本発明の感度が改良され得る。
【0034】
パワーモジュール1は、2つ(全て)のパワートランジスタ3とも、2つ(全て)の対応する導体ループ8とも接続されている特定用途向け集積回路9(ASIC)を含む。ここで、ASIC9は、例えば、単一ゲート制御によって個々のパワートランジスタ3を調整して、パワートランジスタ3の温度負荷を(瞬間的にまたは経時的に)均一化し、したがってパワー半導体の全体的な寿命を延ばすことができる。ASIC9は、基板の下面または上面(ここでは例えば上面)に配置されていてもよい。後者の場合、導体ループ8は、例えばバイアを介してASIC9と接続されていてもよい。
【0035】
導体ループ8は、ここでは単に例として、導体ループ8の両端でASIC9と接続されているが、より高い抵抗測定精度を可能とするために、(例えば4点測定用の)他の接続タイプも可能である。
【0036】
図2は、本発明によるパワーモジュール1の第2の実施形態を示す。この実施形態は、本質的に第1の実施形態に対応するが、導体ループ8によってカバーされる領域が異なる。ここで、導体ループ8は、本質的に、パワートランジスタ3のソース7の領域のみを覆い、すなわち例えばゲート14を覆わない。
【0037】
電界効果トランジスタでは、通常はソース7が最も強い熱源であり、したがって最適な感度のために、導体ループ8はソース7のみに対向して配置されていてもよい。しかしまた代替として、導体ループは、パワートランジスタ3の別の部分に対向して、または本質的にパワートランジスタ全体に対向して配置されていてもよい(
図1)。しかし、導体ループは、複数のパワートランジスタ3をカバーすることもできる。
【0038】
図3は、例えば
図1または
図2の本発明によるパワーモジュール1の第3の実施形態を、2つの導体ループ8および2つのパワートランジスタ3を通る断面で示す。請求項1に対応する基板2の「上面」が、
図3および
図4ではそれぞれ左に配置されている。
【0039】
ここで、導体ループ8はそれぞれ、各パワートランジスタ3に関して2つの異なる基板層12に2つの導体ループ区間10、11を含む。この図では、導体ループ区間10、11の蛇行進路は、各導体ループが(単なる例として)13回切られることにより認識される。ここで、パワーモジュール1は、第1の基板2および第2の基板15を含む。ここで、第1の基板2は、4つの基板層12を含むが、2つ、3つ、5つ、またはそれ以上の基板層12も可能である。パワートランジスタ3は、2つの基板2、15の間に(いわばサンドイッチ構造で)埋め込まれている。
【0040】
導体ループ区間10、11は、バイア13を介して基板層12間で接続されている。パワートランジスタ3はさらにパワー配線16と接続されており、パワー配線16は、特にパワートランジスタに隣接する1~2つの基板層12に配置されている。ここで、パワー配線16は、温度測定用の導体ループ8とは異なる基板層12にある。
【0041】
図4は、(例えばここでも
図1または
図2の一方の)本発明によるパワーモジュール1の第4の実施形態を示す。第4の実施形態は、パワーモジュール1が、(ここでは例として)7つの基板層12をもつ基板2を1つだけ有する点で、第3の実施形態と異なる。パワートランジスタ3は、基板2の基板層12の間に埋め込まれている。ここで、パワートランジスタ3の両側で、それぞれ隣接する2つの基板層にパワー配線16が配置されている。
【0042】
しかし、温度測定用の導体ループ8は、それぞれ
図3および
図4において、最上部の基板層12(それぞれ最左端)およびその下にある第1の内側基板層12(それぞれ左から2番目)に配置されている。
【0043】
本発明を、好ましい例示的実施形態によって詳細に例示して説明したが、本発明は、開示された例によって限定されず、本発明の保護範囲から逸脱することなくそれらの例から他の変形形態を当業者が導出することができる。
【国際調査報告】