IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローレンツ・オーディオ・ベー.フェー.の特許一覧

特表2023-519881電気音響変換器及びラウドスピーカー、マイクロフォン及び電気音響変換器を備える電子機器
<>
  • 特表-電気音響変換器及びラウドスピーカー、マイクロフォン及び電気音響変換器を備える電子機器 図1
  • 特表-電気音響変換器及びラウドスピーカー、マイクロフォン及び電気音響変換器を備える電子機器 図2
  • 特表-電気音響変換器及びラウドスピーカー、マイクロフォン及び電気音響変換器を備える電子機器 図3
  • 特表-電気音響変換器及びラウドスピーカー、マイクロフォン及び電気音響変換器を備える電子機器 図4
  • 特表-電気音響変換器及びラウドスピーカー、マイクロフォン及び電気音響変換器を備える電子機器 図5
  • 特表-電気音響変換器及びラウドスピーカー、マイクロフォン及び電気音響変換器を備える電子機器 図6
  • 特表-電気音響変換器及びラウドスピーカー、マイクロフォン及び電気音響変換器を備える電子機器 図7
  • 特表-電気音響変換器及びラウドスピーカー、マイクロフォン及び電気音響変換器を備える電子機器 図8
  • 特表-電気音響変換器及びラウドスピーカー、マイクロフォン及び電気音響変換器を備える電子機器 図9
  • 特表-電気音響変換器及びラウドスピーカー、マイクロフォン及び電気音響変換器を備える電子機器 図10
  • 特表-電気音響変換器及びラウドスピーカー、マイクロフォン及び電気音響変換器を備える電子機器 図11
  • 特表-電気音響変換器及びラウドスピーカー、マイクロフォン及び電気音響変換器を備える電子機器 図12
  • 特表-電気音響変換器及びラウドスピーカー、マイクロフォン及び電気音響変換器を備える電子機器 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-15
(54)【発明の名称】電気音響変換器及びラウドスピーカー、マイクロフォン及び電気音響変換器を備える電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04R 9/00 20060101AFI20230508BHJP
   H04R 9/04 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
H04R9/00 B
H04R9/00 C
H04R9/04 102
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022558332
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(85)【翻訳文提出日】2022-10-24
(86)【国際出願番号】 NL2021050195
(87)【国際公開番号】W WO2021194339
(87)【国際公開日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】2025207
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522377125
【氏名又は名称】ローレンツ・オーディオ・ベー.フェー.
【氏名又は名称原語表記】LORENTZ AUDIO B.V.
【住所又は居所原語表記】Westplein 6,3016 BM Rotterdam The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヴァウター・ディーデーレン
【テーマコード(参考)】
5D012
【Fターム(参考)】
5D012AA02
5D012AA03
5D012BA02
5D012BA03
5D012DA03
5D012GA02
5D012GA03
(57)【要約】
この開示は、中央領域及び外側領域を有するダイアフラム;及びダイアフラムに機械的に結合したダイナミックコイルを備え、ダイナミックコイルは、ダイアフラムの外側領域の少なくとも一部上又は内に設けられ、かつそれに沿って巻かれた電気音響変換器を提示する。少なくとも1つの追加コイルが、ダイナミックコイルと同心に設けられ、これにより、ダイアフラムの少なくとも中央領域上又は内に設けられ、かつそれに沿って巻かれるならば、追加のダイナミックコイル;及びダイアフラムに隣接して巻かれ、かつダイナミックコイルに電磁的に相互作用するように構成されるならば、静止場コイルの一つが画定される。この開示は、更には、ラウドスピーカー、マイクロフォン及び電子機器に関し、各々が、本開示に係る電気音響変換器を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央領域及び外側領域を有するダイアフラム;及び
前記ダイアフラムに機械的に結合したダイナミックコイルを備え、
前記ダイナミックコイルは、前記ダイアフラムの前記外側領域の少なくとも一部上又は内に設けられ、かつそれに沿って巻かれ、
少なくとも1つの追加コイルが、前記ダイナミックコイルと同心に設けられ、これにより
前記ダイアフラムの少なくとも前記中央領域上又は内に設けられ、かつそれに沿って巻かれるならば、追加のダイナミックコイル;及び
前記ダイアフラムに隣接して巻かれ、かつ前記ダイナミックコイルに電磁的に相互作用するように構成されるならば、静止場コイルの一つが画定される、電気音響変換器。
【請求項2】
前記ダイアフラムが実質的に平面状である、請求項1に記載の電気音響変換器。
【請求項3】
前記ダイナミックコイル及び/又は前記追加のダイナミックコイルは、前記ダイアフラムに埋設される、請求項1又は2に記載の電気音響変換器。
【請求項4】
前記ダイナミックコイルは、入力又は出力端子に電気的に接続される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気音響変換器。
【請求項5】
前記静止場コイルは、同一の前記入力又は出力端子に電気的に接続される、請求項4に記載の電気音響変換器。
【請求項6】
前記追加のダイナミックコイルは、同一の前記入力又は出力端子に電気的に接続される、請求項4又は5に記載の電気音響変換器。
【請求項7】
前記追加のダイナミックコイルは、前記ダイナミックコイルを介して前記同一の入力又は出力端子に電気的に接続される、請求項6に記載の電気音響変換器。
【請求項8】
前記ダイナミックコイル及び前記追加のダイナミックコイルが前記ダイアフラムを貫いて電気的に接続され、また、前記ダイアフラムの外周に設けられた共通の入力又は出力端子からの同一の電気音響信号を受け取るように構成される、請求項6又は7に記載の電気音響変換器。
【請求項9】
前記ダイナミックコイル及び前記追加のダイナミックコイルが、別々の入力又は出力端子に電気的に接続される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電気音響変換器。
【請求項10】
前記ダイナミックコイル及び前記追加のダイナミックコイルが、各々、その固有の音響周波数帯に関連付けられる、請求項9に記載の電気音響変換器。
【請求項11】
前記追加のダイナミックコイルは、前記ダイナミックコイルよりも高い音響周波数帯に関連付けられる、請求項9又は10に記載の電気音響変換器。
【請求項12】
前記ダイナミックコイル及び前記追加のダイナミックコイルが、前記ダイアフラム上又は内に同心に設けられ、かつお互いに間隔を空けて前記ダイアフラムに沿って巻かれる、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の電気音響変換器。
【請求項13】
前記追加のダイナミックコイルは、前記ダイアフラムの厚みに沿って前記ダイナミックコイルから離間される、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の電気音響変換器。
【請求項14】
前記ダイアフラムは、前記ダイナミックコイル及び前記追加のダイナミックコイルに関連する音響周波数帯において弾性である、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の電気音響変換器。
【請求項15】
前記静止場コイルは、平面に配置される、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の電気音響変換器。
【請求項16】
前記ダイアフラム及び前記静止場コイルがシャーシに設けられ、前記シャーシは、当該シャーシに対する前記静止場コイルの動きを制限するように構成される、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の電気音響変換器。
【請求項17】
前記シャーシは、3Dプリントされた三角形の構造部を備え、好ましくは、前記少なくとも1つの静止場コイルに対して前記ダイアフラムを支持する前記シャーシのリブを規定する、請求項16に記載の電気音響変換器。
【請求項18】
前記ダイアフラムが、前記ダイアフラムを吊すように構成されたサスペンションにより保持され、前記サスペンションは、好ましくは、前記ダイアフラムを包囲する複数のスリットにより形成される、請求項1乃至17のいずれか一項に記載の電気音響変換器。
【請求項19】
前記シャーシ及び前記サスペンションが単一の構成部品に一体化される、請求項16又は18に記載の電気音響変換器。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれか一項に記載の電気音響変換器を備えるラウドスピーカー。
【請求項21】
請求項1乃至19のいずれか一項に記載の電気音響変換器を備えるマイクロフォン。
【請求項22】
請求項1乃至19のいずれか一項に記載の電気音響変換器を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気音響変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気音響変換器との用語は、電気信号から音響信号へ(ラウドスピーカー)、及び/又は、音響信号から電気信号へ(マイクロフォン)の2つの形態での、信号により搬送されるようなエネルギーの変換を含意する。信号は、時間又は周波数ドメインのいずれかで規定され得る。周波数ドメインで表されるならば、信号は、複数の周波数帯を含み得る。例えば、信号は、低周波数信号の低周波数帯、中間周波数の中域周波数帯、及び高周波数の高周波数帯を含み得る。一般的に、幾つかの電気音響変換器が組み合わされて複数の周波数帯に亘る周波数域(frequency range)をカバーする。
【0003】
電気音響変換器は、一般的に電磁誘導の原理で作動し、ダイアフラムに取り付けられたダイナミックコイルを含む。ダイアフラムは、音波により励振され、永久磁石により生成された静止磁場内でダイナミックコイルを振動させる。逆に、電気信号は、交流磁場を生成するべくダイナミックコイルに適用可能であり、それが静止磁場と相互作用してダイアフラムでの動きを励起し、これによって音波が生成される。
【0004】
慣例の電気音響変換器のダイアフラムは、その全表面で音波を放出又は収集し、他方、ダイナミックコイルは、ダイアフラムの小部分や、さらには単一点に取り付けられる。例えば、慣例のラウドスピーカーでは、ダイアフラムは、先端が開口したコーン(end-opened cone)の形状を有し、ダイナミックコイルは、その小さい開口端の周囲でそのコーンに取り付けられ、また、慣例のマイクロフォンでは、円形のダイアフラムの中心がダイナミックコイルに取り付けられる。
【0005】
上述の電気音響変換器は、忠実に信号を変換するため、ダイアフラムに限定的かつ相互に両立し難い条件を課す不利益を持つ。慣例の電気音響変換器のダイアフラムは、次のものでなければならない。(a)ダイアフラム全体を介して音波を伝搬するように極めて硬い;(b)リンギング(ringing)を回避するために強力に音を減衰し、さもなくば受信又は放出した音波に影響する;及び(c)音波に関してダイアフラムの慣性を低減するために質量が軽い。これらの条件は、既知の複合材、ましてや既知の純粋な材料では簡単には充足できないため、変換の忠実度は、既知の電気音響変換器において悪化し、及び/又は、相対的に狭い周波数帯に限られている。例えば、高い剛性の材料は、また当然に相対的に弱い減衰特性を有する。
【0006】
米国特許第6137891号明細書は、電気的に絶縁性の柔軟な材料のシート上にボイスコイルを形成する導体パターンを有する電気音響変換器を開示する。複数のボイスコイルが、ダイアフラム上で隣接して間隔を空けた配置で示されている。
【0007】
国際公開第02/063922号は、平行な列に設けられた永久磁石との協働のために取り付けられた導体ストリップを有するダイアフラムを備えるシングル・エンド・電気音響変換器を開示する。
【0008】
英国特許出願公開第2071460号明細書は、同心円セグメントにおいてダイアフラム上に設けられたボイスコイルと、一致する磁化パターンを有する磁石板を有する平面状のダイアフラムを備える電気音響変換器を開示する。
【0009】
米国特許第4471173号明細書、特には、その図6~7及び関連の記述は、リブ内に導線が埋設されたリブを有する平面状のダイアフラムを備える変換器を開示する。これらのリブは、磁化ストリップに平行に設けられ、磁化ストリップの間の空間の内外にリブが移動し得る。
【0010】
米国特許第6137891号明細書、国際公開第02/063922号、英国特許出願公開第2071460号明細書及び米国特許第4471173号明細書を先行技術と認め、各々が、ダイアフラム上でダイナミックコイルとして機能するように電気導体が巻かれたダイアフラムを有する電気音響変換器を記述する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
改良された電気音響変換器を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これは、本発明により達成され、電気音響変換器を提示し、中央領域及び外側領域を有するダイアフラム;及びダイアフラムに機械的に結合したダイナミックコイルを備え、ダイナミックコイルは、ダイアフラムの外側領域の少なくとも一部上又は内に設けられ、かつそれに沿って巻かれ、少なくとも1つの追加コイルが、ダイナミックコイルと同心に設けられ、これにより、ダイアフラムの少なくとも中央領域上又は内に設けられ、かつそれに沿って巻かれるならば、追加のダイナミックコイル;及びダイアフラムに隣接して巻かれ、かつダイナミックコイルに電磁的に相互作用するように構成されるならば、静止場コイルの一つが画定される。
【0013】
ダイアフラムの外側領域の少なくとも一部上又は内、かつそれに沿って巻かれたダイナミックコイルを設けることにより、ダイナミックコイルとダイアフラムの間に分散した機械的な接触が得られ、より良好な変換及び制限的な材料要求の解消に帰結する。改良され、かつかなり忠実な電気音響変換器が、今、そのダイアフラムについて簡素化された要求で達成可能であり、ダイアフラムは、せいぜい音を減衰させ、また好ましくは質量において軽い必要があるだけである。ダイアフラムが硬い従来の制限的な要求は、もはや必要ない。実際、より良好な音の減衰や、通常、軽量にも当然に繋がるフレキシブルなダイアフラムは、本発明の電気音響変換器において有益である。フレキシブルなダイアフラムは、到来又は生成される音波による局所的に誘起された動きに忠実に追随する。音の減衰及び軽い質量という2つの特性が、ゴムまたはポリカーボネートといった多くの異なる材料において兼備可能である。これにより音波の放出及び記録の品質が極めて向上する。
【0014】
更には、対称なダイアフラムが、慣例の電気音響変換器とは対照的に本発明に係る電気音響変換器では必要ない。ダイアフラムは、平面状であり、本質的に2次元形態から成り、又は、立方体又は湾曲面を含む3次元形状であり得る。これにより電気音響変換器の設計の制約が更に解消される。例えば、ラウドスピーカーのダイアフラムの慣例的に用いられている先端が開口したコーン形状が省略され得る。これにより、そのようなダイアフラムの中央の穴の必要性が解消する。
【0015】
本発明によれば、少なくとも1つの追加コイルは、ダイナミックコイルと同心に設けられる。この少なくとも1つの追加コイルは、ダイアフラム上又は内に設けられ、かつそれに沿って巻かれるならば、別のダイナミックコイルを形成し、ダイアフラムに隣接して巻かれ、かつダイナミックコイルに電磁的に相互作用するように構成されるならば、静止場コイルを形成する。ダイナミックコイルと少なくとも1つの追加コイルの同心配置は、ダイアフラムに沿う及び/又は渡る方向において空間的に離れたものでも同一面でもあり得る。ダイアフラム上又は内に設けられ、かつそれに沿って巻かれる時、少なくとも1つの追加コイルは、別のダイナミックコイルを形成する。ダイアフラムに隣接して巻かれ、かつダイナミックコイルに電磁的に相互作用するように構成される時、少なくとも1つの追加コイルは、静止場コイルを形成する。各場合において、ダイナミックコイル及び少なくとも1つの追加コイルの組み合わせにより電気音響変換器の忠実度が高められ、また、既知の電気音響変換器と比較して、より多様な配置と低減した厚みを提供する。特には、少なくとも1つの追加コイルが静止場コイルである時、永久磁場を生成する磁石又は磁化材料の使用が回避可能である。
【0016】
一般的に、追加コイルが、ダイアフラム上又は内に設けられ、かつそれに沿って巻かれる場合、それにより追加のダイナミックコイルが画定される。また、追加コイルが、ダイアフラムに隣接して巻かれ、かつダイナミックコイルに電磁的に相互作用するように構成されるならば、それにより静止場コイルが画定される。コイル配置の同心性は、ダイナミックコイル及び少なくとも1つの追加コイルが共通の数学軸(mathematical axis)の周りに巻かれる意味において理解されるが、コイルが共通平面にある必要はなく、従って、この数学軸に沿ってオフセットを呈し得る。更には、コイルは、円、螺旋、又は渦巻といった特定のパターンに巻かれる必要はない。追加コイルが追加のダイナミックコイルを画定する時、この追加のダイナミックコイルは、ダイナミックコイルに関して径方向にオフセット又は間隔を空けて配置され得る。ダイナミックコイルに対する径方向のオフセット又は間隔の代替又は追加として、ダイナミックコイルに対するダイアフラムの厚みにおけるオフセット又は間隔で追加のダイナミックコイルを配置することも想定される。
【0017】
ダイアフラムは、ダイナミックコイルのためのフレームとして機能し得る。ダイナミックコイルは、最大の表面積に亘ってダイナミックコイルとダイアフラムの間の機械的な接触を得るべくダイアフラムの有効面の全域に沿って巻かれ得る。ダイアフラムは、その形状に関わらず、ダイアフラム上の全ての場所で作動され得る。
【0018】
永久磁石により慣例的に生成される静止磁場は、慣例の方法で、また代替的に本開示の態様において、本発明の電気音響変換器において実施され得る。
【0019】
好ましくは、ダイアフラムが実質的に平面状(planar)である。実質的に平面状のダイアフラムは、様々な利益を有する。例えば、慣例の電気音響変換器と比較して本発明の電気音響変換器の厚みの低減に帰結する。更には、平面状の形状は、慣例のラウドスピーカーにおいて必要性から存在していたダイアフラムにおける穴を要求しない。そのような穴が無いと、ダイアフラムは、特には高周波数で、より忠実に音波を放出又は受け取り得る。
【0020】
好ましくは、ダイナミックコイルは、ダイアフラムに埋設される。従って、ダイアフラムは、部分的又は完全にダイナミックコイルを封入し得る。ダイナミックコイルがダイアフラムに埋設される時、ダイナミックコイルとダイアフラムの間の機械的な接触が更に改善され、変換の忠実度の改善に帰結する。更には、この構成によって、より薄型の構造が得られる。
【0021】
好ましくは、ダイナミックコイルは、入力又は出力端子に電気的に接続される。入力又は出力端子は、ダイナミックコイルに電気信号を供給するように構成され、及び/又は、ダイナミックコイルから電気信号を受け取るように構成され得る。入力又は出力端子は、接続導線によりダイナミックコイルに電気的に接続され得る。
【0022】
本発明の有利な実施形態では、複数のダイナミックコイルがダイアフラム上又は内に設けられ、各ダイナミックコイルが周波数帯に関連付けられる。即ち、各ダイナミックコイルは、他のダイナミックコイルの音響周波数帯とは別の又は異なるそれ独自の周波数帯に関連付けられ得る。この実施形態では、各ダイナミックコイルは、入力又は出力端子に電気的に接続され得る。従って、複数の入力又は出力端子が採用され得、各々が、音響周波数帯に関連した信号を供給又は受け取る。追加又は代替として、この実施形態では、複数のダイナミックコイルが同心に設けられ得る。更には、この実施形態では、複数のダイナミックコイルは、音響周波数帯の順番で配置され得る。また、若しくは代替として、この実施形態では、最高の音響周波数帯に関連したダイナミックコイルがダイアフラムの中央領域の最も近く又はそこに設けられ得る。複数のダイナミックコイルが同心配置で設けられ、最高の音響周波数帯に関連したダイナミックコイルが中心にある。この配置は、より広い周波数域に亘ってより正確に音波を受け取り、かつ放出することにより電気音響変換器を更に改善する。
【0023】
本開示のいずれの実施形態においても、ダイアフラムは、ダイナミックコイルに関連した音響周波数帯において弾性(伸縮自在(elastic))であり得る。ダイアフラムは、従って、そのような音響周波数を減衰させ、同時に、その弾性(伸縮性)のためにその周波数で低い慣性も持つ。これは、伸縮性というよりも一般的に硬い、特にラウドスピーカーで使用された先行技術のダイアフラムとは異なる。伸縮性のダイアフラムは、電気又は音響信号により誘起された機械的変形に局所的に従順である。一つよりも多くのダイナミックコイルが設けられるならば、同数の関連の帯域が具現化され得る。
【0024】
好ましくは、ダイアフラムは、ゴム状材料、ゴム、シリコーン、ポリイミド、ポリアミド、好ましくは炭素及び/又はガラス繊維で強化されたポリエステル樹脂、及びポリカーボネートを含む群から少なくとも1つの材料を含む。この材料グループによって減衰、低い慣性、変換の忠実度の改善が確保される。
【0025】
有利には、本発明は、透明でなし得る。これは、ダイナミックコイルのために十分に小さいワイヤー径を選択し、ダイアフラムのために透明材料を選択することにより達成される。薄厚及び透明なダイアフラムのため、本発明は、透明な電気音響変換器の可能性を創出し、これは、従って、ディスプレイ技術と組み合わされ得る。
【0026】
好ましくは、ダイアフラムは、0.01GPaと5GPaの間、より好ましくは、0.1GPaと2.4GPaの間のヤング率の材料から成る。この範囲は、慣例の電気音響変換器のダイアフラムとは対照的に、可聴スペクトルの音波を励起又は受け取るために特に適しており、同時に、相対的に低い剛性を有する。
【0027】
好ましくは、本発明に係る電気音響変換器は、ダイナミックコイルと電磁的に相互作用するように構成された少なくとも1つの静止場コイルを更に備える。静止場コイルは、慣例の永久磁石を不必要なものにする。これにより変換器の質量が減じられ、電気音響変換器のための永久磁石において一般的に用いられているネオジウムといった希土類金属が省略される。
【0028】
好ましくは、少なくとも1つの静止場コイルは、ダイアフラムに隣接して巻かれる。これにより、少なくとも1つの静止場コイルとダイナミックコイルの間の相互作用が強化され、音の変換の忠実度が高められる。更には、電気音響変換器の厚みが更に低減される。好ましくは、どの静止場コイルもダイアフラムから離間されるものと理解される。
【0029】
少なくとも1つの静止場コイルは、ダイナミックコイル又は複数のダイナミックコイルのそれぞれに供給される又はそれにより供給される信号に対して電気的グランドとして機能し得る。少なくとも1つの静止場コイルのそれぞれは、複数のダイナミックコイルの一つに別々に接続され得、そのダイナミックコイルの音響周波数帯において相互作用する。そのような場合、静止場コイルが参照コイルを形成し、また、機械的に動的なダイアフラムに対して機械的な意味において静止であるものと理解され得る。
【0030】
少なくとも1つの静止場コイルは、好ましくは平面に配置される。好ましくは、ダイアフラムが平面状である時、少なくとも1つの静止場コイルは、ダイアフラムの面に平行に配置される。そのような平行面の間隔は、好ましくは、ダイアフラムの断面よりも小さい。これらの好適な特徴によって、磁気的な相互作用と、従って、音の変換の忠実度が更に高められる。
【0031】
静止場コイルは、剛体面に設けられ、又は、代替としてダイアフラムと比較して同一又は異なる剛性の第2のダイアフラムに設けられ得る。
【0032】
好ましくは、ダイアフラム及び少なくとも1つの静止場コイルがシャーシに設けられ、シャーシは、当該シャーシに対する少なくとも1つの静止場コイルの動きを制限するように構成される。シャーシは、従って、空間において少なくとも1つの静止場コイルにより生成される電磁場の動きを制限する。ダイアフラムは、空間的に固定された電磁場内で動く。
【0033】
シャーシは、好ましくは、3Dプリントされた構造を備える。これにより、一般的に、シャーシが、2つの金属リングと、2つの金属リング間の少なくとも3つの連結脚又はリブから成る先行技術の電気音響変換器と比べて構造体の質量が更に減じられる。3Dプリンティングを用いることにより、三角形の骨組み(triangular framework)といった、より複雑なデザインを創出可能である。このようにして、材料の使用を削減しつつ、硬いシャーシが製造され得る。開示のシャーシは、また、コーン基準のラウドスピーカーといった慣例の電気音響変換器においても採用され得る。
【0034】
開示のいずれの実施形態においても、ダイアフラムは、ダイアフラムを吊すように構成されたサスペンションにより保持され得る。サスペンションは、ダイアフラムの外周部、好ましくは、ダイアフラムの外縁を介してダイアフラムに実装され得る。
【0035】
電気音響変換器がシャーシ及びサスペンションの両方を備える時、シャーシ及びサスペンションが、単一の構成部品に一体化され得る。これにより、電気音響変換器の厚み及び質量が更に減少し、その構造が単純になる。慣例の電気音響変換器では、シャーシは、必然的に硬く、サスペンションは、必然的に従順又は弾性であることに留意されたい。本発明の電気音響変換器では、しかしながら、サスペンションも硬く、従って、シャーシに一体化可能であり得る。なぜなら、ダイアフラムが硬い必要はなく、弾性的に吊される必要もないためである。
【0036】
本発明は、更には、ラウドスピーカー、マイクロフォン及び電子機器に関し、各々が、本発明に係る電気音響変換器を含む。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明は、次の図面を通じて更に説明される。
図1図1は、参考のために慣例の電気音響変換器の断面を模式的に図示する。
図2図2は、本発明に係る電気音響変換器の実施形態を模式的に図示する。
図3図3は、平面状のダイアフラムを有する電気音響変換器の実施形態の斜視図を模式的に図示する。
図4図4は、ダイアフラム及び一つの静止場コイルの好適な配置の斜視図を模式的に図示する。
図5図5は、図3の配置における電気音響変換器を含む電子機器の断面を模式的に図示する。
図6図6は、複数のダイナミックコイルの様々な配置を有するダイアフラムの平面図を模式的に図示する。
図7図7は、複数のダイナミックコイルの様々な配置を有するダイアフラムの平面図を模式的に図示する。
図8図8は、複数のダイナミックコイルの様々な配置を有するダイアフラムの平面図を模式的に図示する。
図9図9は、本開示に係るシャーシを有する本発明に係る電気音響変換器の実施形態の側面図を模式的に図示する。
図10図10は、本開示に係るシャーシを有する慣例の電気音響変換器を模式的に図示する。
図11図11は、ダイアフラムの片側に1つずつの2つのダイナミックコイルの配置を模式的に図示する。
図12図12は、本開示に係るサスペンションの実施形態を模式的に図示する。
図13図13は、本開示に係るサスペンションの実施形態を模式的に図示する。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図面の以下の詳細な説明において、ラウドスピーカーの例に従って、一貫した態様で本発明を説明する。しかしながら、本発明は、電気音響変換器のこの特定の用途に限られるように理解されるべきではない。本発明の限定は、添付請求項によって設定されるだけである。
【0039】
次の参照記号が用いられる:
1 電気音響変換器,
2 ダイアフラム,
2.1 中央領域,
2.2 外側領域,
3 ダイナミックコイル,
3.1 低域コイル,
3.2 中域コイル,
3.3 高域コイル,
4 入力又は出力端子,
5 静止場磁石/コイル,
6 シャーシ,
7 サスペンション,
7.1 内側角スリット,
7.2 外側角スリット,
7.3 径方向スリット,
8 ラウドスピーカー,
9 マイクロフォン,
10 電子機器,
11 コントローラー.
【0040】
図1は、その中心軸を通る断面において慣例の電気音響変換器、特には、ラウドスピーカーを示す。図示の慣例の電気音響変換器は、その軸周りに円対称性を有する。慣例のラウドスピーカーは、先端が開口したコーンの形態のダイアフラム2を有し、それがサスペンション7により吊され、続いて、シャーシ6に取り付けられる。ダイナミックコイル3は、ダイアフラム2の中心でダイアフラム2に機械的に結合され、静止場磁石5の開口内に設けられることにより、永久静止場磁石5に磁気的に結合される。電気信号は、(不図示の)慣例の手段によってダイナミックコイル3から供給され又は受け取られる。交流の電気信号が、ダイナミックコイル3に供給されて交番磁場を生成し、静止場磁石5からの静止場と相互作用し、電気信号がダイアフラム2の機械的な動きに変換され、周囲媒体での音響信号に帰結し得る。逆に、音響信号によるダイアフラム2の機械的な動きが静止場内でダイナミックコイル3を動かし、ダイナミックコイル2において電気信号が誘導される。
【0041】
図2は、本発明に係る電気音響変換器1の実施形態を示し、中央領域2.1及び外側領域2.2を有するダイアフラム2を備える。ダイナミックコイル3は、ダイアフラム2に機械的に結合される。ダイナミックコイル3は、ダイアフラム2の外側領域2.2の少なくとも一部上又は内に設けられる。ダイアフラム2は、慣例のラウドスピーカーの如く先端が開口したコーンとして図示されているが、ダイアフラム2は、各々が、開口を有する又は有しない円錐形、半球形、球形、平面状、円形、楕円形、四角形、ローブ形(lobed)及びそれらの組み合わせといった様々な形態又は形状を持ち得る。この開示において例が提示される。
【0042】
ダイナミックコイル3の機能は、供給された電気信号に応じた交番磁場を生成することによりダイアフラム2を動かすことである。ダイナミックコイル3とダイアフラム2の機械的結合によってダイアフラム2が振動し、従って、音波を生成する。ダイナミックコイル3は、ワイヤーの形態の電気導体から成る。ダイナミックコイル3の回転数は、ダイアフラム2の素材の密度、ダイアフラム2の面積、及び電気導体の密度に依存する。
【0043】
図2の電気音響変換器1が静止場磁石5を更に備え、これは、永久磁石及び/又は電磁石コイルであり得る。本発明の有利な実施形態においては、静止場磁石5が静止場コイル5である。静止場磁石5は、異なる位置に設けられ得、例えば、コーン形状のダイアフラム内又は周囲にあり、薄型構造に帰結する。図示の電気音響変換器1は、更にシャーシ6を備える。しかしながら、慣例の電気音響変換器のサスペンション7が余分である。
【0044】
静止場磁石又はコイル5の機能は、ダイナミックコイル3の磁場に対抗する静止磁場を生成することである。静止場コイル5は、ワイヤー形態の電気導体から成る。静止場コイル5の特性は、ダイナミックコイル3と同一の特性であり得るが、異なることも可能である。ダイナミックコイル3及び/又は静止場コイル5が複数のパーツ(parts)から成り、そのコイルのインダクタンスを制限し得ることに更に留意されたい。
【0045】
図2の電気音響変換器1は、ラウドスピーカー8としての使用に特に適合されるが、この機能に限定されない。例えば、マイクロフォン9として機能することもできる。図示例は、既存システム内での本発明の実施を示すため、意図的に慣例のラウドスピーカーの形態で提示している。この例では、静止場磁石5の開口内に設けられた慣例のボイスコイルが、代替のダイアフラム2の外側領域2.2の少なくとも一部上又は内に設けられたダイナミックコイル2により置き換えられる。
【0046】
本発明の利益は、図1の電気音響変換器と図2の電気音響変換器1を比較する時に特に明確になり、両方が、先端が開口したコーン形状のダイアフラム2、ダイナミックコイル3、静止場磁石5及びシャーシ6を有するラウドスピーカーの機能である。ダイアフラム6は、ダイナミックコイル3の動きによって作動される。図1では、ダイナミックコイル3は、ダイアフラム2の中央領域に設けられ、他方、図2では、ダイナミックコイル3は、ダイアフラム2の外側領域の少なくとも一部上に設けられる。図2に図示した配置のため、ダイナミックコイル3は、ダイナミックコイルがダイアフラム2の小さい開口端の外周に実装された図1の慣例のラウドスピーカーの中央領域とは対照的に、ダイアフラム2の外側領域の少なくとも一部上でダイアフラム2を作動させる。図1のダイアフラム2は、ダイアフラム2を介して忠実に音波を伝播するために硬く、減衰させ、かつ質量が小さい必要がある。更には、フレキシブルなサスペンション7が要求される。しかしながら、図2において、ダイアフラム2は、忠実な音の生成を得るべくコーン全体を介して力を伝達するべく硬い必要がなく、フレキシブルなサスペンション7が必要ない。従って、材料の選択が高められ、構造が単純化され、また音生成の品質が高められる。
【0047】
上述の議論は、音波が生成されるよりも収集されるマイクロフォン9の機能での電気音響変換器1に等しく当てはまる。硬いダイアフラム2は、もはや必要なく、従って、電気音響変換器1の設計をもはや制限しない。
【0048】
図3は、電気音響変換器1の別の形態を示し、ダイアフラム2が実質的に平面状である。図1に図示のものといった慣例の電気音響変換器と比較して、実質的に平面状なダイアフラム2により電気音響変換器1の厚みが減少する。静止場磁石5が設けられ、永久磁石及び/又は電磁石であり得る。
【0049】
図3の電気音響変換器1は、マイクロフォン9としての使用に特に適合されるが、この機能に限定されない。例えば、ラウドスピーカー8としても機能することができる。
【0050】
図4は、円形で平面状なダイアフラム2を示し、ダイナミックコイル3が一体化されている。ダイナミックコイル3は、入力又は出力端子4と電気的グランドに接続される。静止場コイル5の形態の静止場磁石5は、ダイアフラム2に平行に設けられる。静止場コイル5は、また、入力又は出力端子4と電気的グランドに接続される。静止場コイル5は、有利には、図4に図示の渦巻きの如く、平面で巻かれ、及び/又は、空間において固定され得る。
【0051】
図4の実施形態は、有利には改良された電気音響変換器1を構成し、2つのコイル3,5、即ち、ダイナミックコイル3及び静止場コイル5を備え、これらが、コイル3,5間の小さい距離で積層態様で位置付けられる。ダイナミックコイル3は、好ましくは、ダイアフラム2に組み込まれ、従って、ダイアフラム2に機械的に結合される。ダイナミックコイル3は、受信コイル又はボイスコイルとして機能し、静止場コイル5は、静止磁場を生成する。入力又は出力端子4を介して両方のコイル3,5に電気オーディオ信号が適用されることで、相互作用する磁場が生成され、2つのコイル3,5が、適用された電気信号に応じてお互いに吸引又は反発する。ダイナミックコイル3とダイアフラム2の機械的な結合によって、ダイアフラム2が振動を開始し、従って、適用された電気信号に応じた音波を生成する。2つの平坦なコイル3,5の使用によって、より薄型の電気音響変換器となり、従って、様々な他のシステムにより簡単に一体化され得る。
【0052】
上述の特徴は、図4に図示の実施形態に限定されない。本発明の実施形態の電気音響変換器1は、好ましくは、ダイナミックコイル3と電磁的に相互作用するように構成された少なくとも1つの静止場コイル5を更に備える。複数のダイナミックコイル3が採用される場合、静止場コイルの数が等しいことが好ましい。複数の静止場コイル5は、そして、好ましくは、複数のダイナミックコイル3と同様の態様で設けられる。複数のダイナミックコイル3及び/又は複数の静止場コイル5を有する構成が図6乃至8との関係において更に提示される。
【0053】
少なくとも1つの静止場コイル5は、好ましくは、ダイアフラム2に隣接して巻かれる。ダイアフラム2が3次元形状である時、少なくとも1つの静止場コイル5は、ダイアフラム2の3次元形状に平行に設けられ得る。更に好ましくは、少なくとも1つの静止場コイル5は、特に、ダイアフラム2が平面状である時、平面に設けられる。そして、図4に図示の如く、ダイアフラム2及び少なくとも1つの静止場コイル5の平行な構成が好まれる。
【0054】
図5は、電子機器10における図4の電気音響変換器1の組み込みの例を示す。側面図が断面にて示される。電子変換器1のダイアフラム2は、ここでは、サスペンション7に実装されている。サスペンション7は、電子機器10の外部の環境から音波を受け取り、及び/又は、そこに音波を放出するため、例えば、電子機器10の表面で、ダイアフラム2を吊す。シャーシ6が、静止場コイル5を空間に固定するために設けられ得る。代替として、シャーシ6及びサスペンション7が、単一の構成部品に一体化され得る。電子機器は、図5に図示のように、コントローラー11を更に備えることができ、入力又は出力端子4を介して電気音響変換器1に接続され、また、ダイナミックコイル3及び静止場コイル5に電気信号を提供又はそれらから電子信号を受け取るように構成される。
【0055】
電子機器10は、環境に関して完全に閉じられている利益を持つ。なぜなら、電子機器10に実装された電気音響変換器1のダイアフラムが、電気音響変換器1が実装された電子機器10の開口を封じるためである。これは、電子機器の外部及び内部環境の間で連通を維持する慣例の電気音響変換器とは対照的である。これらの例は、モバイル装置におけるマイクロフォン及びラウドスピーカーである。これは、電子機器及び/又はその電気音響変換器の汚れ、誤動作又は閉鎖という負の結末を有する。本発明に係る電気音響変換器1を有する電子機器10は、より良好に封止され、また、防水及び/又は気密でさえあり得る。
【0056】
更には、電子機器10が、より小さくもなり得る。なぜなら、慣例の電気音響変換器と比較して厚みが減じられるため、本発明に係る電気音響変換器1のためにより小さい空間が要求されるからである。
【0057】
最後に、本発明に係る電気音響変換器1は、マイクロフォン9及び/又はラウドスピーカー8として用いられ、また、加えて、例えば、コントローラー11によって、それらの機能の間で切り替えられ、個別のマイクロフォン9と個別のラウドスピーカー8が必要なく、単一の電気音響変換器1が両方の機能を実行するために使用可能である。
【0058】
図6図7及び図8は、複数のダイナミックコイル5を有するダイアフラム2の平面図を示す。複数のダイナミックコイル5は、ダイアフラム2上又は内に設けられる。各ダイナミックコイル5は、好ましくは、ある音響周波数帯に関連付けられる。これは、例えば、各ダイナミックコイル5に別々に電気信号を供給し、又はそこから別々に電気信号を受信することにより達成可能である。複数のダイナミックコイル5のそれぞれが入力又は出力端子4に電気的に接続され得る。共同で、複数のダイナミックコイル5は、従って、選択された音響周波数スペクトルを忠実にカバーし得る。
【0059】
単一のダイアフラム2上又は内に複数のダイナミックコイル5があり、本発明に係る電気音響変換器1は、より広い周波数域をカバーし得る。更には、慣例の場合の複数の電気音響変換器の組み合わせが回避され得、また本発明に係る単一の電気音響変換器1が、一つの装置で同様の周波数帯をカバーするために採用され得る。
【0060】
図6では、3.1、3.2及び3.3が付与された3つのダイナミックコイル3を有する円形のダイアフラム6が描かれている。コイル3.1、3.2、3.3が同心に設けられ、各々が、それらの個別のコイル3.1、3.2及び3.3に対応して4.1、4.2及び4.3が付与された個別の入力又は出力端子4に電気的に接続される。図示例では、ダイナミックコイル3.1が低域コイル3.1であり、ダイナミックコイル3.2が中域コイル3.2であり、ダイナミックコイル3.3が高域コイル3.3であり得、音響周波数帯の順番で低域コイル3.1、中域コイル3.2及び高域コイル3.3が設けられ得、最高音響周波数帯を持つ高域コイル3.3がダイアフラム2の中央領域に最も近接して又はそこに設けられる。図示のように、ダイナミックコイル3が、径方向にオフセットして、又は、お互いに対して間隔を空けてダイアフラム2上に設けられる。
【0061】
ラウドスピーカーとして、各入力端子4.1、4.2、4.3が、それ独自のオーディオ供給を受け取り、複数のダイナミックコイル3.1、3.2、3.3のそれぞれの周波数帯に応じてより高い周波数の信号がフィルタリングされる。低域コイル3.3について、入力端子4.3が、中域コイル3.2への入力端子4.2よりも低域の音響周波数を供給する。続いて、入力端子4.2が、高域コイル3.1への入力端子4.1よりも中域コイル3.2に低域音響周波数を供給する。従って、ダイナミックコイル3.1、3.2、3.3が大きくなると、そこに供給される周波数帯が低下する。この構成が好適であるが、他の順番、2つ又は4つ又はこれ以上のダイナミックコイル3も検討される。
【0062】
ダイナミックコイル3を複数のパーツに分割することで、ダイアフラム2の中心が、音スペクトル全体の周波数で振動し、ダイアフラム2の外側部分が、音スペクトルの低域で振動するという利益を持つ。異なるエリアで生成された周波数は、音波長及びダイアフラム2のサイズ、この例では、円形のダイアフラム2の直径によって制限される。波長が直径よりも小さければ、波は、ダイアフラム2の表面を介して伝播を開始する。これは、生成される音に欠陥を生じさせる。エリアの数及び対応の直径が、異なるオクターブの波長に基づいて決定可能である。これによって忠実に音を生成するフルレンジラウドスピーカー8が製造される。
【0063】
ラウドスピーカー8と解釈される図6で上述の利益を説明したが、マイクロフォン9でも同様の利益が得られ、ここでは、ダイナミックコイル5が複数のダイナミックコイル5に分割され、各々が、音響周波数帯に関連付けられる。
【0064】
図7は、矩形のダイアフラム2における複数のダイナミックコイル5の代替の配置を示す。ここでは、1つの低域コイル3.1、2つの中域コイル3.2、及び1つの高域コイル3.3が図示されている。複数のダイナミックコイル5は、本発明のどの実施形態においても同一又は同様の周波数帯をカバーするように設けられ得る。明瞭さのために入力又は出力端子4の図示が省略されている。
【0065】
図8は、ローブ形ダイアフラム2における複数のダイナミックコイル3の代替の配置を示す。低域コイル3.1は、ダイアフラム2の最大のローブ上又は内に設けられ、中域コイル3.2は、ダイアフラム2の中間のローブ内に設けられ、高域コイル3.3が、ダイアフラム2の最小のローブ内に設けられる。好ましくは、ダイアフラム2は、サスペンション7及び/又はシャーシ6内でその外周周りに固定される。明瞭さのために入力又は出力端子4の図示が省略されている。
【0066】
上述において、図6、7及び8は、ダイナミックコイル3を有するダイアフラム2として論じた。しかしながら、これらの図は、例えば、図4及び5に沿う有利な電気音響変換器1に到達するべく、対応のダイアフラム2及び複数のダイナミックコイル3に組み合わされ得る複数の静止場コイル5の配置にも関する。例えば、3つのダイナミックコイル3を有する図8のローブ形ダイアフラムは、3つのダイナミックコイル3と同一の配置の3つの静止場コイル5に組み合わされ得る。ここで、各静止場コイル5は、ダイナミックコイル3の対応の一つと磁気的に相互作用するように構成される。
【0067】
図9は、側面図においてシャーシ6を有する本発明の実施形態に係る電気音響変換器1を示す。シャーシ6は、シャーシ6に関して少なくとも1つの静止場コイル5の動きを制限するように構成される。シャーシ6は、更に、オプションとしてダイアフラム2を吊すように構成されたサスペンション7を介して、ダイアフラム5を保持するように構成され得る。図9では、サスペンション7は、明瞭さのために個別に図示されているが、好ましくは、単一の構成部品としてシャーシ6に組み込まれ得る。例えば、サスペンション7及びシャーシ6は、金属の固片からフライス加工(milled)され、又は、3Dプリンティング(3D-printing)により一緒に製造される。
【0068】
シャーシ6の好適な実施形態では、シャーシ6は、3Dプリントされた構造を備える。代替又は追加としては、シャーシ6は、三角形の構造部(群)(triangular structures)を備える。これらは、シャーシ6に強度を提供し、シャーシ6に関して少なくとも1つの静止場コイル5を固定し、従って、少なくとも1つの静止場コイル5に静止場を提供させ、ここで、ダイアフラム2が自由に振動して忠実な電気音響変換が得られる。図9及び10に図示のように、3Dプリント構造は、少なくとも1つの静止場コイル5に対してダイアフラム2を支持するシャーシ6のリブを規定する。
【0069】
図10は、本発明の開示に係るシャーシ6を有する慣例の電気音響変換器を示す。側面で示されたシャーシ6は、ここでは、図1の慣例のラウドスピーカーを実装し、その構成部品が、断面にて示され、シャーシ6内でのそれらの位置を示す。シャーシ6は、空間において固定された位置で永久静止場磁石5による静止場を維持する。従って、シャーシ6は、慣例の電気音響変換器と同様、本発明に係る電気音響変換器1で採用され得るものと理解される。
【0070】
本開示に係るシャーシ6が3Dプリントされ得、好ましくは、三角形構造部(群)を有するため、シャーシ6は、相対的に単純で硬質の設計から成る。より複雑な設計も可能である。これは、従来のシャーシと比べて少量の材料を用いてより硬いシャーシの製造の可能性を創出する。従来では、シャーシは、一般的に、それらの間のある距離でお互いの上に積層された2つの金属リングから成る。これらのリングは、各ビームの間で120度の間隔で3つの金属ビームにより接続される。
【0071】
図11は、ダイアフラム2上又は内の2つのダイナミックコイル3の有利な配置を示す。ここで図示のように、第1のダイナミックコイル3は、ダイアフラム2の上面又は上面内に設けられ、第2のダイナミックコイル3は、上面の反対側のダイアフラム2の下面又は下面内に設けられる(2つのダイナミックコイル3が、明瞭さのために誇張してお互いに間隔をあけて図示されている)。このようにダイナミックコイル3を配置することにより、ダイナミックコイル3とダイアフラム2の接触が増加して電気音響変換器1の忠実度及び寿命が改善される。2つのダイナミックコイル3は、例えば、ダイアフラム2を介した又は穿孔するように設けられた電気的コンタクトによってダイアフラム2を介して又は渡ってお互いに接続される。ここで、入力又は出力端子4及び電気的グランドは、ダイナミックコイル3の巻線に重畳することなくダイアフラム2の外周に設けられ得る(これは、図3及び図6の場合である)。これにより磁場の歪みが低減され、従って、変換器1の忠実度が更に高められる。その上、ダイアフラム2の片側から見る時、2つのダイナミックコイル3が同一方向(例えば、時計回り又は反時計回り)に巻かれ得る。そのような構成においては、ダイナミックコイル3それぞれが、同様の態様で他方の磁場を強化する(又は他方の外部磁場に敏感である)。代替又は追加として、2つのダイナミックコイル3は、平行面に設けられ、及び/又は、空間的にオフセットしているが同一経路を辿るように構成され得る。2つのダイナミックコイル3の結合した電磁石の相互作用により、電気音響変換器1の感度が更に高められる。
【0072】
図示のように、図11において、第1及び第2のダイナミックコイル3は、お互いに対してダイアフラムの厚みに沿ってオフセットして設けられている。このオフセットは、2つのダイナミックコイル3の間の径方向のオフセットの代替又は追加で採用され得る。2つのダイナミックコイル3は、ダイアフラム2を介して又は渡って電気的に接続され、ダイアフラム2の外周に設けられた共通の入力又は出力端子4から同一の電気音響信号を受け取るように構成され得る。この構成では、ダイアフラム上を延びる導線、又はダイアフラムにおける潜在的な活性領域への固定の端子が回避され、従って、電気音響変換器の忠実度及び電力伝送が更に改善される。
【0073】
2つのダイナミックコイル3が図11に図示されているが、この構成は、例えば、図6,7及び8に図示のような、ダイナミックコイル3の複数のパーツにも適用され得る。ダイアフラム2を穿孔するダイナミックコイル3の各ペアのコンタクトは、また、中心ではなく径方向にオフセットして設けられ得る。ダイナミックコイル3及び/又はそれらの入力又は出力端子(群)4又は電気的グランド(群)用の導線は、様々な深さ位置でダイアフラム2に埋設され得る。
【0074】
図12及び図13は、ダイアフラム2のための有利なサスペンション7を示す。サスペンションは、取り付けられる構造体からのダイアフラム2の音響的な隔離を改善するように構成される。図12に図示のように、サスペンション7の構造は、ダイアフラム2にスリットを配置することにより提供され得る。サスペンション7は、従って、ダイアフラム2と一体であり得る。代替的に、図示の実施形態のサスペンション7は、別個の構成部品として提供され得る。スリットは、サスペンション7に内的及び外的に結合した構成部品(例えば、ダイアフラム2及びシャーシ6)間の機械的な接続の蛇行(tortuous)経路を規定することにより、サスペンション7を渡る機械的な振動の伝達を低減するように構成される。
【0075】
図12及び13に図示のように、サスペンション7は、内側角スリット7.1、外側角スリット7.2及び径方向スリット7.3を備える。ここでは、角(angular)及び径(radial)との用語は、サスペンション7により囲まれた平面又は空間(例えば、ダイアフラム2)の中心に関する方向を示す。内側及び外側角スリット7.1、7.2は、角方向において部分的に重畳するが、径方向において離れて設けられる。径方向スリット7.3は、内側角スリット7.1に接続され、好ましくは、外側角スリット7.3に対応する径方向寸法に向けて突出し、また、2つの外側角スリット7.3の間の位置に向けて突出し得る。角スリット7.1、7.2が同心円セグメントとして図示されているが、楕円、線形、及び傾斜態様といった他の形状が可能である。径方向スリット7.3は、角構成部品でも実施され得る。スリット7.1、7.2、7.3の様々な代替の配置が、従って、想定される。
【0076】
図12及び13のサスペンション7は、従って、機械的な完全性(mechanical integrity)を提供し、また、サスペンション7により囲まれた平面又は空間(例えば、ダイアフラム2)と隣接の構造体(例えば、シャーシ6又は電子機器10)の音響的な隔離を改善する。スリット7.1、7.2、7.3は、従って、サスペンション7を画定し、他方、ダイアフラム2は、結果として、サスペンション7により輪郭付けられる。例えば、サスペンション7は、電子機器10の面といった平坦な対象物に設けられ、例えば、図13に図示のような、サスペンション7により囲まれた部分としてダイアフラム2を画定し得る。サスペンション7を画定するスリット構造は、従って、本発明に係る電気音響変換器1と同様に既知の電気音響変換器で採用され得る。
【0077】
本発明の実施形態のダイアフラム2は、好ましくは、複数のダイナミックコイル3.1、3.2、3.3に関連した音響周波数帯、又は一つのダイナミックコイル3のみがある場合にはダイナミックコイル3の少なくとも周波数帯において弾性である。追加又は代替として、ダイナミックコイル2は、少なくとも1つの材料を群から含み、その群は、好ましくは炭素及び/又はガラス繊維で強化された、ゴム状材料、ゴム、シリコーン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル樹脂、ポリカーボネートを含む。この群の材料は、十分な柔軟性を呈し、入射した音波、及び/又は、1つ又は複数のダイナミックコイル(群)3による作動に起因する局所的な変形に順応する。追加又は代替としては、ダイアフラム2は、好ましくは、0.1GPaと2.4GPaの間のヤング率の非硬質の材料から成る。本発明の実施形態に係る電気音響変換器の試験では、これらの材料及び範囲によって、音響信号への電気信号の効率的な変換が提供されることが分かった。
【0078】
ラウドスピーカー8は、本発明に係る電気音響変換器1を備え得る。実施例が、図面、特に、図2に図示されている。ラウドスピーカー8が本発明に係る電気音響変換器1を備える時、ダイナミックコイル3は、ボイスコイルとして構成され、電子信号を受け取り、また、静止場磁石5との電磁相互作用で音響信号に電気信号を変換するように構成される。静止場磁石5は、永久磁石、又は開示の電気音響変換器1の好適な実施形態の静止場コイル5といった電磁石であり得る。
【0079】
マイクロフォン9は、本発明に係る電気音響変換器1を備え得る。実施例が、図面、特に、図3に図示されている。マイクロフォン9が本発明に係る電気音響変換器1を備える時、ダイナミックコイル3は、音響信号を受け取り、また静止場磁石5との電磁相互作用で音響信号を電気信号に変換するように構成される。静止場磁石5は、永久磁石、又は開示の電気音響変換器の好適な実施形態の静止場コイル5といった電磁石であり得る。
【0080】
電子機器10は、本発明に係る電気音響変換器1を備え得る。実施例が、図面、特に、図5に図示されている。電子機器10が本発明に係る電気音響変換器1を備える時、電気音響変換器1は、別の又は同様の周波数帯においてラウドスピーカー8及び/又はマイクロフォン9として機能するように構成可能である。好適な実施形態では、ダイアフラム2が平面状であり、穴が無く、従って、電気音響変換器1を受容するように構成された電子機器10の開口を有利に封止し得る電気音響変換器1が提供される。
【0081】
本発明の様々な特徴を個別の図面で説明し、また図示してきたが、これらの特徴は、本発明の有利な実施形態を獲得するために組み合わせ可能であるものと理解される。例えば、本発明のどの実施形態でも、シャーシが静止場磁石5を備え得る、及び/又は、静止場磁石5が少なくとも1つの静止場コイル5であり得る。更には、ダイナミックコイル3又は複数のダイナミックコイル3、3.1、3.2、3.3は、各々、入力又は出力端子4、4.1、4.2、4.3に電気的に接続可能であり、又は接続される。本開示は、図示の構成に限られず、また、保護の範囲は、添付請求項だけにより制限される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2022-12-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央領域及び外側領域を有するダイアフラム;及び
前記ダイアフラムに機械的に結合し、かつ前記ダイアフラムの前記外側領域の少なくとも一部上又は内に設けられたダイナミックコイル;及び
共通の数学軸について前記ダイナミックコイルと同心に設けられ、かつ前記ダイアフラムの少なくとも前記中央領域上又は内に設けられた少なくとも1つの追加のダイナミックコイルを備え、
前記ダイナミックコイル及び前記追加のダイナミックコイルは、各々、前記ダイアフラムに沿って巻かれ、
前記ダイナミックコイル及び/又は前記追加のダイナミックコイルは、前記ダイアフラムに埋設される、電気音響変換器。
【請求項2】
前記ダイアフラムが実質的に平面状である、請求項1に記載の電気音響変換器。
【請求項3】
前記ダイナミックコイルは、入力又は出力端子に電気的に接続される、請求項1又は2に記載の電気音響変換器。
【請求項4】
前記追加のダイナミックコイルは、同一の前記入力又は出力端子に電気的に接続される、請求項に記載の電気音響変換器。
【請求項5】
前記追加のダイナミックコイルは、前記ダイナミックコイルを介して前記同一の入力又は出力端子に電気的に接続される、請求項に記載の電気音響変換器。
【請求項6】
前記ダイナミックコイル及び前記追加のダイナミックコイルが前記ダイアフラムを貫いてお互いに電気的に接続され、また、前記ダイアフラムの外周に設けられた共通の入力又は出力端子から同一の電気音響信号を受け取るように構成される、請求項又はに記載の電気音響変換器。
【請求項7】
前記ダイナミックコイル及び前記追加のダイナミックコイルが、別々の入力又は出力端子に電気的に接続される、請求項1乃至のいずれか一項に記載の電気音響変換器。
【請求項8】
前記ダイナミックコイル及び前記追加のダイナミックコイルが、各々、その固有の音響周波数帯に関連付けられる、請求項に記載の電気音響変換器。
【請求項9】
前記追加のダイナミックコイルは、前記ダイナミックコイルよりも高い音響周波数帯に関連付けられる、請求項又はに記載の電気音響変換器。
【請求項10】
前記ダイナミックコイル及び前記追加のダイナミックコイルが、前記ダイアフラム上又は内に同心に設けられ、かつお互いに間隔を空けて前記ダイアフラムに沿って巻かれる、請求項1乃至のいずれか一項に記載の電気音響変換器。
【請求項11】
前記追加のダイナミックコイルは、前記ダイアフラムに沿って径方向にオフセットして前記ダイナミックコイルから離間される、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の電気音響変換器。
【請求項12】
前記追加のダイナミックコイルは、前記共通の数学軸に沿って軸方向にオフセットして前記ダイナミックコイルから離間される、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の電気音響変換器。
【請求項13】
前記ダイアフラムは、前記ダイナミックコイル及び前記追加のダイナミックコイルに関連する音響周波数帯において弾性である、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の電気音響変換器。
【請求項14】
前記ダイアフラムに隣接して巻かれ、かつ前記ダイナミックコイルに電磁的に相互作用するように構成された静止場コイルを更に備える、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の電気音響変換器。
【請求項15】
前記静止場コイルは、前記ダイナミックコイルと同一の入力又は出力端子に電気的に接続される、請求項14に記載の電気音響変換器。
【請求項16】
前記静止場コイルは、平面に配置される、請求項14又は15に記載の電気音響変換器。
【請求項17】
電気音響変換器のためのダイアフラムであって、
前記ダイアフラムに機械的に結合し、かつ前記ダイアフラムの少なくとも一部上又は内に設けられたダイナミックコイル;及び
共通の数学軸について前記ダイナミックコイルと同心に設けられ、かつ前記ダイアフラム上又は内に設けられた追加のダイナミックコイルを備え、
前記ダイナミックコイル及び前記追加のダイナミックコイルは、各々、前記ダイアフラムに沿って巻かれ、
前記ダイナミックコイル及び/又は前記追加のダイナミックコイルは、前記ダイアフラムに埋設される、ダイアフラム。
【請求項18】
前記ダイアフラムが、中央領域及び外側領域を有し、
前記ダイナミックコイルが、前記ダイアフラムの前記外側領域の少なくとも一部上又は内に設けられ、
前記追加のダイナミックコイルが、前記ダイアフラムの少なくとも前記中央領域上又は内に設けられる、請求項17に記載のダイアフラム。
【請求項19】
ダイアフラム;
前記ダイアフラムに機械的に結合したダイナミックコイルにして、前記ダイアフラムの少なくとも一部上又は内に設けられ、かつ前記ダイアフラムの少なくとも一部に沿って巻かれているダイナミックコイル;及び
前記ダイナミックコイルと同心に設けられ、前記ダイアフラムに隣接して巻かれ、かつ前記ダイナミックコイルと電磁的に相互作用するように構成された静止場コイルを備える電気音響変換器。
【請求項20】
前記ダイナミックコイルが前記ダイアフラムに埋設されること;
前記静止場コイルが、前記ダイナミックコイルと同一の入力又は出力端子に電気的に接続されること;
前記ダイアフラムが、平面状であること;及び
前記静止場コイルが平面に配置されることの少なくとも1つを満足し、
前記ダイアフラム及び静止場コイルがシャーシに設けられ、前記シャーシは、前記シャーシに対する前記静止場コイルの動きを制限するように構成される、請求項19に記載の電気音響変換器。
【国際調査報告】