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特表2023-519883切削工具および切削インサートのインデックス方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-15
(54)【発明の名称】切削工具および切削インサートのインデックス方法
(51)【国際特許分類】
   B23B 27/16 20060101AFI20230508BHJP
【FI】
B23B27/16 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558339
(86)(22)【出願日】2021-03-17
(85)【翻訳文提出日】2022-11-08
(86)【国際出願番号】 EP2021056765
(87)【国際公開番号】W WO2021197846
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】20166931.4
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500005837
【氏名又は名称】セラティチット オーストリア ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ペルクトルド,ヘルムート
(72)【発明者】
【氏名】ホールリーダー,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】フーバー,ロナルト
【テーマコード(参考)】
3C046
【Fターム(参考)】
3C046EE01
(57)【要約】
切削工具(1)が設けられ、その上に、交換可能でインデックス可能な切削インサート(4)を収容するための少なくとも1つの座部(3)が形成されている工具担体(2)と、切削インサート(4)を座部(3)に支持するための締付けねじ(5)とが設けられ、この締付けねじは、切削インサート(4)上の支持のための頭部(50)と、少なくとも一部に雄ねじ(52)を有する軸部(51)とを有する。座部(3)は、切削インサート(4)の底面(40)を支持するための載置面(30)と、切削インサート(4)の側面(41)を支持するための少なくとも1つの側方支持面(31)とを有する。載置面(30)には貫通孔(6)が形成され、これを介して締付けねじ(5)の軸部(51)が延びている。クランプ部材(7)は、工具担体(2)の座部(3)の載置面(30)の背部に配置されており、これには締付けねじ(5)の雄ねじ(52)と協働する雌ねじ(72)が形成されている。締付けねじ(5)とクランプ部材(7)は、変位方向(V)に一緒に変位させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換可能でインデックス可能な切削インサート(4)を収容するための少なくとも1つの座部(3)が形成された工具担体(2)と、前記座部(3)に前記切削インサート(4)を固定するため、前記切削インサート(4)上に支持するための頭部(50)と、少なくとも部分的に雄ねじ(52)を設けられた軸部(51)を有する締付けねじ(5)と、を備えた切削工具(1;1’)であって、
前記座部(3)が、前記切削インサート(4)の底面(40)を支持するための載置面(30)と、前記切削インサート(4)の側面(41)を支持するための少なくとも1つの側方支持面(31)とを有し、
前記載置面(30)に前記締付けねじ(5)の前記軸部(51)が嵌合する貫通孔(6)が形成され、
前記工具担体(2)の前記座部(3)の前記載置面(30)の裏側にクランプ部材(7)が配置され、前記クランプ部材(7)に前記締付けねじ(5)の前記雄ねじ(52)と協働する雌ねじ(72)が形成されており、
前記締付けねじ(5)と前記クランプ部材(7)とは、変位方向(V)に一緒に変位可能にされている、
切削工具(1;1’)。
【請求項2】
前記工具担体(2)が、更に前記締付けねじ(5)と前記クランプ部材(7)の共通変位を制限するストッパ(61、81)を有する、請求項1に記載の切削工具(1;1’)。
【請求項3】
前記変位方向(V)が、前記側方支持面(31)に垂直な方向成分を有する、請求項1または2に記載の切削工具(1;1’)。
【請求項4】
前記座部(3)が、前記切削インサート(4)の別の側面(42)を支持するための少なくとも1つの別の側方支持面(32)を有する、請求項1から3の1つに記載の切削工具(1;1’)。
【請求項5】
前記変位方向(V)が、前記別の側方支持面(32)に垂直な方向成分を有する、請求項4に記載の切削工具(1;1’)。
【請求項6】
前記側方支持面(31)および前記別の側方支持面(32)が、前記載置面(30)に垂直な方向から見て座部側の内角(α)<90°を有する、請求項4または5に記載の切削工具(1;1’)。
【請求項7】
前記貫通孔(6)が長尺の横断面形状の長孔として形成され、前記長尺の横断面形状の長手軸(L)が前記変位方向(V)に走行する、請求項1から6の1つに記載の切削工具(1;1’)。
【請求項8】
前記クランプ部材(7)が、前記工具担体(2)の裏面側の凹部(8)に収容されている、請求項1から6の1つに記載の切削工具(1;1’)。
【請求項9】
前記クランプ部材(7)が、回転不能に、前記変位方向(V)には変位可能に、前記凹部(8)内に保持される、請求項8に記載の切削工具(1;1’)。
【請求項10】
前記切削工具(1)が、旋削加工用のピーリングカセットである請求項1から9の1つに記載の切削工具(1;1’)。
【請求項11】
前記切削工具が、交換可能な前記切削インサート(4、4’)を収容するための少なくとも2つの座部(3、3’)を有する、請求項10に記載の切削工具(1;1’)。
【請求項12】
前記座部(3)に配置され交換可能でインデックス可能な切削インサート(4)を備える、請求項1から11の1つに記載の切削工具(1;1’)。
【請求項13】
前記切削インサート(4)が前記締付けねじ(5)の頭部(50)よりも小さな断面を有する貫通孔(46)を有する、請求項12に記載の切削工具(1;1’)。
【請求項14】
切削工具(1;1’)の座部(3)に切削インサート(4)をインデックスするための方法において、
前記切削工具(1;1’)が、前記座部(3)上に前記切削インサート(4)を固定するための締付けねじ(5)を有し、前記締付けねじ(5)が前記切削インサート(4)上に支持するための頭部(50)と、少なくとも一部の領域に雄ねじ(52)を設けられた軸部(51)と、を有し、
前記座部(3)が、前記切削インサート(4)の下面を支持するための載置面(30)と、前記切削インサート(40)の側面(41)を支持するための少なくとも1つの側方支持面(31)とを有し、前記締付けねじ(5)の軸部(51)が、前記載置面(30)の貫通孔(6)を通過し、前記雄ねじ(52)が、前記載置面(30)の反対側で変位可能に配置されたクランプ部材(7)内の雌ねじ(72)と相互作用するようにした、
方法であって、
・前記クランプ部材(7)から前記締付けねじ(5)を完全に取外すことなく、前記締付けねじ(5)の前記雄ねじ(52)と前記クランプ部材(7)の前記雌ねじ(72)とのねじ接続を緩めるステップと、
・前記締付けねじ(5)、前記クランプ部材(7)および前記締付けねじ(5)により保持された交換可能でインデックス可能な前記切削インサート(4)を変位方向(V)に沿って一緒に変位させ、切削インサート(4)が側面で側方支持面(31)に当接しないようにするステップと、
・前記切削インサートを前記締付けねじ(5)のねじ軸(Z)を中心に所定の角度範囲だけ回転させることによって前記切削インサート(4)をインデックスすること;
・前記締付けねじ(5)、前記クランプ部材(7)および前記切削インサート(4)を前記側方支持面(31)に向って一緒に変位させることにより、前記切削インサート(4)が側面(41)で前記側方支持面(31)に当接するようにするステップと、
・前記締付けねじ(5)の前記雄ねじ(52)と前記クランプ部材(7)の前記雌ねじ(72)のねじ込み接続部を締付け、前記切削インサート(4)が前記座部(3)に固くクランプされるようにするステップと、
を有する切削工具(1;1’)の座部(3)に切削インサート(4)をインデックスするための方法。
【請求項15】
前記共通変位が、前記側方支持面(31)に垂直な方向成分を有する前記変位方向(V)で行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記クランプ部材(7)が、ねじれが防止されるように前記切削工具(1)に保持される、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記締付けねじ(5)および前記クランプ部材(7)が、前記貫通孔(6)および/または前記クランプ部材(7)の凹部(8)を一緒に変位する際に、前記凹部(8)は前記切削工具内の前記変位方向(V)に案内される、請求項14から16の1つに記載の方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削工具および切削インサートをインデックスする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特に金属材料の切削加工においては、被加工材に係合する切刃が特に硬質金属(超硬合金)、サーメットまたは切削セラミックのような硬質で耐摩耗性の材料からなる交換可能な切削インサート上に形成され、工具用鋼のようなより強靭な材料から形成される工具担体に着脱自在に取り付けられるようにした切削工具が使用されることが多い。切削インサートは、個々に使用可能な複数の切刃を有し、前のものが磨耗したときに順次に使用できるようにしたいわゆるインデックス可能な切削インサートとして設計されることが多い。この場合切刃は、通常には切削インサートがある程度の対称性を有するように配置され、次の切刃を作動位置に移すためのインデックスまたは切換えは、切削インサートの対称軸を中心とした所定の角度範囲に切削インサートを回転させることによって行われる。
【0003】
特許文献1は、多角形の基本形状を有する旋削用切削インサートが記載されており、ここでは、上面から側面への移行部に順次使用できる合計6つの切刃が形成されているので、対称軸を中心に60°(=360°/6)回転することによって、後続の切刃へのインデックスまたは切換えが行われる。記載された切削インサートは、工具担体としてピーリングカセットの座部に収容されるように形成され、取付けは締付けねじを介して行われ、その頭部は切削インサートに支持され、その軸部には雄ねじが設けられ、ピーリングカセットの座部のねじ孔の雌ねじと協働するようになっている。切削インサートをインデックスするには、締付けねじを完全に取り外し、切削インサートを座部内で60°回転させ、次に締付けねじの軸部を切削インサートの貫通孔を通して再挿入し、その雄ねじをねじ孔の雌ねじにねじ込むようにされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際特許出願公開第2017/143368号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、改良された切削工具および切削インサートをインデックスするための改良された方法を提供することであり、これにより特に、より簡単でより時間を節約するインデックスを可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1に記載の切削工具によって解決される。有利な実施形態は従属請求項に記載されている。
【0007】
切削工具は、交換可能でインデックス可能な切削インサートを収容するための少なくとも1つの座部が形成された工具担体と、切削インサートを座部に固定するための締付けねじとを有し、この締付けねじは、切削インサート上に支持するための頭部と、少なくとも一部の領域に雄ねじを設けた軸部とを有する。座部は、切削インサートの下面を支持するための載置面と、切削インサートの側面を支持するための少なくとも1つの側方支持面とを有する。載置面には貫通孔が形成されており、これを通して締付けねじの軸部が延びている。工具担体には座部の載置面の裏側にクランプ部材が配置され、これには、締付けねじの雄ねじと協働する雌ねじが形成される。締付けねじとクランプ部材は、変位方向に一緒に変位させることができる。
【0008】
締付けねじと協働作用するクランプ部材が設けられ、締付けねじとクランプ部材とを変位方向に一緒に変位させることができるようにされているので、ねじ結合を若干緩めることによりおよび締付けねじによって保持される切削インサートとともに締付けねじとクランプ部材とを変位させることによって、切削インサートの側面を側方支持面から取外すことができるので、締付けねじを完全に取外すことなく、締付けねじのねじ軸を中心とした回転によって切削インサートをインデックスすることができる。したがって、インデックスは非常に簡単かつ迅速に行うことができ、インデックス中に切削インサートが落下しないように固定される。ねじ結合の容易な緩みは、そのねじ軸を中心とした締付けねじの比較的僅かな回転しか必要としない。切削インサートの下面は、例えば載置面上に直接支持されてもよく、あるいは例えば切削インサートの下面と載置面との間に配置された下敷き板を介して間接的に支持されてもよい。側方支持面は、載置面に対して垂直に延在することが好ましい。
【0009】
一実施形態によれば、工具担体はまた、締付けねじおよびクランプ部材の同時変位を制限するストッパを有する。この場合、特に容易な操作が可能となり、変位をインデックスに必要な程度に低減することができる。ストッパは、例えば締付けねじの動きを制限する貫通孔の側面によって、またはクランプ部材を収容するとともにクランプ部材の動きを制限する凹部の境界壁によって、形成することができる。
【0010】
一実施形態によれば、変位方向は側方支持面に垂直な方向成分を有する。この場合切削インサートはわずかな変位で側方支持面から十分に離されるので、インデックスを可能にすることができる。また、変位方向は、側方支持面に平行な方向成分を付加的に有することができる。
【0011】
一実施形態によれば、座部は、切削インサートのもう一つの側面を支持するための少なくとも1つの別の側方支持面を有する。この場合、切削インサートは、特に確実に形状結合部材でも座部に保持することができるので、切削時に生じる力による締付けねじとクランプ部材との間のねじ結合の意図しない緩みが打ち消される。この側方支持面は、好ましくは側方支持面が延在する平面とは異なる平面内に延在する。この別の側方支持面は、載置面に対して垂直に延在することが好ましい。
【0012】
一実施態様によれば、変位方向は別の側方支持面に垂直な方向成分を有する。この場合、切削インサートはわずかな変位で別の側方支持面から十分に離すこともできるので、インデックスが可能となる。
【0013】
側方支持面および別の側方支持面が、載置面に垂直な方向から見てα<90°の座面側内角を有すると、切削インサートは特に確実に形状結合的部材で座部に保持される。
【0014】
一実施態様によれば、貫通孔は細長い横断面形状を有する長孔として形成され、細長い横断面形状の長手軸は、変位方向に延在する。この場合、貫通孔に起因する有効載置面の減少は小さく抑えられる。さらに変位方向は、この場合貫通孔の形状によって規定することができる。長孔の横断面形状は、例えばほぼ矩形、湾曲した短辺を有する矩形の基本形状等、種々のものが可能である。
【0015】
一実施形態によれば、クランプ部材は工具担体の後方の凹部内に収容される。この場合には、凹部の形状によって変位の方向や変位の程度を簡単な方法で予め決めることができる。更に、締付けねじの操作時におけるクランプ部材の回転防止も凹部の形状によって簡単な方法で達成することができる。好ましくは、クランプ部材が、回転に対して固定され変位方向に変位できるように凹部内に保持される。
【0016】
一実施態様によれば、切削工具はピーリング用のカセットである。この場合切削工具は、交換可能な切削インサートを収容するための少なくとも2つの座部を有することが好ましい。
【0017】
一実施態様によれば、切削工具は、座部に配置された交換可能でインデックス可能な切削インサートを有する。
【0018】
切削インサートが締付けねじの頭部よりも小さな横断面を有する貫通孔を有する場合、切削インサートはインデックス時に落下に対して特に確実に保持される。
【0019】
前記の課題は、請求項14に記載の切削インサートのインデックス方法によっても解決される。有利な実施形態は従属請求項に提示されている。
【0020】
これは切削工具の座部に切削インサートをインデックスする方法であって、切削工具は切削インサートを座部に固定するための締付けねじを有し、締付けねじは切削インサートに支持するための頭部と、少なくとも一部の領域に雄ねじを設けた軸部とを有し、座部は切削インサートの下面を支持するための載置面と、切削インサートの側面を支持するための少なくとも1つの側方支持面とを有し、締付けねじの軸部は載置面の貫通孔を貫通し、雄ねじは載置面の背面に変位可能に配置されたクランプ部材の雌ねじと協働するようにしている。この方法は次のステップを有する。
・クランプ部材から締付けねじを完全に緩めることなく、締付けねじの雄ねじとクランプ部材の雌ねじとのねじ結合を緩めるステップ、
・締付けねじ、クランプ部材および締付けねじによって保持された交換可能でインデックス可能な切削インサートを変位方向に一緒に変位させ、切削インサートの側面が側方支持面に当接しないようにするステップ、
・締付けねじのねじ軸を中心として切削インサートを所定の角度範囲を回転させることにより切削インサートをインデックスするステップ、
・締付けねじ、クランプ部材および切削インサートを側方支持面に向かって一緒に変位させ、それにより切削インサートを側面で側方支持面に固定するステップ、
・切削インサートが座部に固定されるように、締付けねじの雄ねじとクランプ部材の雌ねじとのねじ結合を締付けるステップ。
【0021】
ねじ結合を緩め、締付けねじ、クランプ部材および切削インサートを一緒に変位させ、インデックスを行い、切削インサートの側面が側方支持面に当接するまで再び一緒に変位させることによって、切削インサートは切削エッジ部の摩耗後に次の切削エッジ部を作動位置にもたらすために、特に簡単かつ迅速な方法でインデックスすることができる。この場合、切削インサートはインデックス中にも落下しないように固定されている。
【0022】
一実施形態によれば、同時変位は、側方支持面に垂直な方向成分を有する変位方向で行われる。この場合、インデックスを可能にするために必要な変位区間はわずかである。
【0023】
一実施形態によれば、クランプ部材は回転しないように切削工具に保持される。 これは、例えばクランプ部材を切削工具内の凹部内に形状結合的に収容することによってもたらすことができる。ねじれ防止構造により、特に簡単で便利なインデックスが可能となる。
【0024】
一実施形態によれば、締付けねじおよびクランプ部材は、貫通孔および/またはクランプ部材用の凹部を介して、それらが一緒に変位するときに、切削工具における変位方向に案内される。 これは、例えば貫通孔を長孔として形成することによって、またはクランプ部材がレールのようにその中に案内されるように凹部を形成することによって達成することができる。この場合、インデックスは特に便利な方法で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の更なる利点および合目的的性は、添付された図面を参照しながら実施例の以下の説明から明らかにされる。
【0026】
図1】第1の実施形態に係る切削工具の概略斜視図。
図2】後続の図5のII-II線に沿った部分に対応するが、締付けねじを備えた交換可能でインデックス可能な切削インサートのための座部領域における切削工具の概略断面図。
図3】切削インサートを省略した座部領域の部分概略平面図。
図4】座部背面の工具担体領域の概略図。
図5】クランプ位置で座部に収容された交換可能でインデックス可能な切削インサートを備えた座部背面における工具担体領域の概略図。
図6】インデックス位置にある交換可能でインデックス可能な切削インサートを有する図5に対応する概略図。
図7】クランプ位置にある交換可能でインデックス可能な切削インサートが収容された座部の概略部分平面図。
図8】インデックス位置にある切削インサートの図7に対応する部分図。
図9】交換可能でインデックス可能な切削インサートをクランプ位置に保持した第2の実施形態による切削工具の概略斜視図。
図10】インデックス位置にある切削インサートを備えた第2の実施形態に係る切削工具の概略斜視図。
図11】クランプ位置における変形例の座部領域の概略断面図。
図12】インデックス位置における変形例の座部領域の概略断面図。
図13】さらなる変形例における座部背面の工具担体領域の概略図。
図14】クランプ位置におけるさらなる変形例における座部背面の工具担体領域の概略図。
図15】インデックス位置における図14の変形例の概略図。
【0027】
第1の実施形態
以下に、図1図8を用いて切削工具の第1の実施形態を説明する。
【0028】
第1の実施形態では、切削工具1は旋削用の旋削カセットとして形成されている。旋削では、ほぼ円筒状の被加工材から表面層が切削により除去され、被加工材の直径がより細くなる。この場合被加工材と切削工具1との間に被加工材の長手軸を中心とした相対運動が行われる。例えば、被加工材はその長手軸を中心に回転することができ、切削工具1は半径方向には所定の切込み深で、軸方向には被加工材の長手方向に沿った軸線方向に所定の送りで動かされるか、または被加工材は切削工具1に対して所定の送りでその長手軸に沿ってその長手軸を中心に回転することなく動かされ、切削工具1は被加工材の長手軸を中心とした円軌道上を半径方向に所定の切込み深さで動かされる。旋削の際には、このような多数の切削工具1を被加工材の周りに分布して同時に使用することもできる。
【0029】
切削工具1は工具担体2を有しており、第1の実施形態では、交換可能でインデックス可能な切削インサート4、4’を収容するために合計2つの座部3、3’が形成される。工具担体2は例えば鋼製とすることができる。
【0030】
図1図8に具体的に示された例において、交換可能でインデックス可能な切削インサート4、4’のうち第1の切削インサート4は、被加工材の荒加工のために設計され、第2の切削インサート4’は、第1の切削インサート4によって作られた被加工材表面の仕上げ加工のために設計される。使用時には、切削工具1と被加工材との間の相対運動は、第2の切削インサート4’が第1の切削インサート4に送り方向に対して追従するように行われる。この実施例では、第1の切削インサート4は好ましくはほぼ六角形の基本形状を有する。しかしながら他の、特に多角形の形状も可能である。第2の切削インサート4’はほぼ三角形の基本形状を有する。しかしながら、第2の切削インサート4’についても他の基本形状が可能である。
【0031】
なお以下では、第1の座部3およびその上に配置された切削インサート4の領域のみについて、図2図8を用いてより詳細に説明する。
【0032】
図1図2図7および図8に特に見られるように、切削インサート4は、上面43、底面40および上面43と底面40との間に延在する複数の側面を有し、そのうち図には側面41および別の側面42が一例として図中に符号で示されている。少なくとも上面43から側面への移行部に切削エッジ44が形成され、これはインデックスまたは切換えによって、順次能動的な切削位置に移させることができる複数の切削エッジ部45を有し、そのうちの1つは図7に例示されている。図面に具体的に示された切削インサート4のほぼ六角形の基本形状の例において、上面43から側面への移行部において、順次使用され得る合計6つの切削エッジ部45が形成される。しかしながら、順次使用できる6つ以上または6つ未満の切削エッジ部45を設けることもでき、特に例えば切削インサート4の基本形態が異なる場合に好適である。切削インサートは、上面43から底面40に延びる貫通孔46を有する。
【0033】
切削インサート4は、例えば切削エッジ44が上面43から側面への移行部においてのみ形成される片側切削インサートとして設計することができる。しかしながら例えば、底面40から側面への移行部に別の切刃も形成される両面切削インサートとして形成することもできる。
【0034】
工具担体2の座部3は、図3を参照して以下により詳細に説明される。
【0035】
図3から分かるように、座部3は切削インサート4の底面40を支持するように形成された載置面30を有する。載置面30は少なくとも主に1つの平面内に延在し、底面40を直接的に支持するためにそれに直接接触するように形成することができる。しかし、例えば切削インサート4の底面40と載置面30との間に下敷き板を配置し、これを介して底面40が間接的に載置面30に支持されるようにすることもできる。
【0036】
また座部3は、図3にも見られるように、切削インサート4の側面41を支持するための側方支持面31を有している。この場合、側方支持面31は、座部3の載置面30に対して垂直な面内に延在することが好ましい。また座部3は、切削インサート4の別の側面42を支持する別の側方支持面32を有している。この側方支持面32は、同様に座部3の載置面30に対して垂直な面内に延在することが好ましい。あるいは例えば、側方支持面31が載置面30に対して90°とは異なる角度で延びるようにすることも、例えば切削インサートの側面が底面に対して垂直でない場合には可能である。この場合側方支持面32は、載置面30に対して90°とは異なる同じ角度で延びることも好ましい。
【0037】
図3から分かるように、側方支持面31および別の側方支持面32は、載置面30に垂直な方向から見て、90°以下の座部側の内角を囲んでいる。切削インサート4がほぼ六角形の基本形状を有する図示された具体的な実施形態では、内角は例えば約60°とすることができる。側方支持面31および別の側方支持面32が載置面30に対して垂直に延びていない場合には、内角αは、側方支持面31と別の側方支持面32との間の載置面30に対して平行な平面内で測定されることになる。
【0038】
同様に特に図3に見られるように、座部3の載置面30には貫通孔6が形成されており、これは載置面30からこの載置面30とは反対側の工具担体2の裏面まで延びている。図に示す実施例では、貫通孔6は細長い横断面形状を有する孔として形成されている。この細長い横断面形状は、載置面30と平行な面内に長手軸Lを有する。
【0039】
また、切削インサート4を座部3に確実に固定するための締付けねじ5も設けられている。締付けねじ5はねじ軸Zに沿って延在し、特に図2に見られるように、切削インサート4上に支持するための頭部50と、ねじ軸Zに沿って頭部50から延在する軸部51とを有する。軸部51には、少なくとも頭部50とは反対側端部に雄ねじ52が設けられている。締付けねじ5の頭部50は、締付けねじ5の長手軸と直交する方向に切削インサート4の貫通孔46よりも大きな断面を有する。
【0040】
特に工具担体2の載置面30の背面には図4から分かるように凹部8が形成されている。この実施例では、凹部8は細長い凹みとして形成されており、その長手軸Yは貫通孔6の長手軸Lに平行に延びている。
【0041】
図示の実施例では、凹部8は例えば載置面30とは反対側だけが開いており、そのほかは周囲が囲まれている凹部として形成されている。凹部8は、例えば特にほぼ矩形の断面形状を有することができる。しかしながら、変形例によれば、凹部は例えばカバーによって載置面30とは反対側を閉じることもできる。
【0042】
特に図2図5および図6に見られるように、凹部8にはクランプ部材7が配置されている。クランプ部材7には、締付けねじ5の雄ねじ52と協働する雌ねじ72が形成されている。締付けねじ5は、軸部51で切削インサート4の貫通孔46および工具担体2の貫通孔6を通され、締付けねじ5の雄ねじ52は、クランプ部材7の雌ねじ72に螺合される。締付けねじ5の頭部50は、切削インサート4に支持されている。切削インサート4の貫通孔46の横断面に比べて頭部50の横断面が大きいため、締付けねじ5が完全に締付けられていなくても、切削インサート4が脱落しないように固定される。このため切削インサート4の貫通孔46は、特に頭部50の下面に適応した形状で切削インサート4の上面43に近い領域に設けることができる。
【0043】
この場合クランプ部材7は、凹部8の長手軸Yに沿って変位できるように凹部8の形状に適合されているが、長手軸Yに対する垂直方向およびねじ軸Zに対する垂直方向にはその幅が凹部8の幅に一致するようにされ、ねじ軸Zを中心とする回転が阻止されるように凹部8に保持されている。凹部8の長手軸Yの方向において、クランプ部材7はこの方向に変位できるようにするため凹部8よりも短くなる。
【0044】
締付けねじ5が締付けられていない場合、上述のような構成により締付けねじ5とクランプ部材7は、凹部8の長手軸Yに平行に走る変位方向Vに一緒に変位させることができる。なお上述のように長孔としての貫通孔6の構成により、変位方向Vは貫通孔6の長い横断面形状の長手軸Lにも平行である。
【0045】
変位方向Vへの変位を可能にするために、貫通孔6は、少なくとも変位方向Vにおいて、締付けねじ5の軸部51の直径よりも少なくとも変位路の回りを大きくしなければならない。
【0046】
第1の実施形態では、締付けねじ5およびクランプ部材7の変位方向Vにおける変位の可能性が制限されている。図示の例では、凹部8の一方の側壁は、クランプ部材7の変位を制限するストッパ81を形成している。これに代わるものとしてまたはこれに加えて、締付けねじ5の軸部51に対する貫通孔6の側壁によって形成されるストッパ61を介して変位を制限することもできる。
【0047】
この実施形態において、変位方向Vは側方支持面31に垂直な方向成分と、更に別の側方支持面32に垂直な方向成分とを有する。したがって、変位方向Vは、側方支持面31に対して平行にも、別の側方支持面31に対して平行にも走らない。第1の実施形態では、変位方向Vはねじ軸Zに垂直な断面内を走行し、特に側方支持面31と別の側方支持面32の間の二等分線に沿っている。
【0048】
なお以下では、上述した切削工具1の座部3での切削インサート4のインデックス方法について、より詳細に説明する。
【0049】
クランプ位置では、例えば図1図2図5および図7に示すように、切削インサート4は、載置面30の方向に締付けねじ5によってクランプされ、側面41で側方支持面31に、別の側面42では別の側方支持面32に当接する。この場合切削インサート4は、締付けねじ5を介して部分的に摩擦結合により保持され、ねじ軸Zを中心とする回転に対しては座部3上の側方支持面31と付加的な別の側方支持面32を介して部分的に形状結合により保持される。
【0050】
切削インサート4をインデックスするために、すなわち切削エッジ44の後段の切削エッジ部45を作動位置にもたらすには、締付けねじ5を少し緩めればよい。これは例えば、ねじ回しを締付けねじ5の頭部50の対応する箇所(詳細には図示せず)に係合するようにして行うことができる。 締付けねじ5の雄ねじ52とクランプ部材7の雌ねじ72との間のねじ込み接続は、完全には解除されず、締付けトルクだけが緩められる。これにはねじ山の具体的な設計によっては、例えば、締付けねじ5を回わすだけでよい。凹部8内のクランプ部材7のねじれ防止配置は、クランプ部材7が一緒にねじ軸Zを中心に回転するのを防止する。
【0051】
ねじ込み接続を緩めることにより、切削インサート4、クランプ部材7、およびそれらの間にある工具担体2の領域との間の締付けが解除される。この状態で、締付けねじ5、クランプ部材7および切削インサート4を変位方向Vに一緒に図6および図8に概略表示したインデックス位置に移動させることができる。切削インサート4は、締付けねじ5の頭部50を介して脱落しないように固定されている。この変位の間、締付けねじ5の軸部51は貫通孔6内で変位方向Vに移動し、クランプ部材7は凹部8内で変位方向Vに移動する。
【0052】
クランプ部材7と凹部8とが互いに整合した形状のために、クランプ部材7は、レールのように凹部8内を案内される。貫通孔6を長孔として形成することにより締付けねじ5の軸部51も貫通孔6内に案内される。
【0053】
変位方向V内の移動は、ストッパ61および/または81によって制限されるまで行われ得る。この移動の間、切削インサート4の側面41は側方支持面31から離間し、切削インサート4の別の側面42は別の側方支持面32から離間するので、ねじ軸Zを中心とした回転に対する切削インサート4の形状結合による正の係止が解除される。
【0054】
インデックス位置において、切削インサート4はそれをインデックスするためにねじ軸Zを中心として回転させることができ、すなわち後続の切削エッジ部45を能動的な切削位置にもたらすことができる。切削インサート4がほぼ六角形の基本形状を有し、6つの切削エッジ部45が順次使用できるようにされた図示の実施例では、切削インサート4は、例えば60°(=360°/6)、または60°の整数倍だけねじ軸Zを中心に回転される。この場合インデックスに必要な角度範囲は、一般にねじ軸Zを中心とした切削インサート4の回転対称の多重度によって規定されている。
【0055】
切削インサート4を所定の角度範囲だけ回転させてインデックスを行った後、締付けねじ5、切削インサート4およびクランプ部材7は図5および図7に示す締付け位置に再び一緒に移動され、そこで(以前とは異なる)側面41が側方支持面31に当接し、(以前とは異なる)別の側面42が別の側方支持面32に当接するようにされる。この位置では切削インサート4は、ねじ軸Zを中心とする回転に対して再び形状結合的に固定される。
【0056】
続いて締付けねじ5とクランプ部材7との間のねじ接続部を締付けることによって、切削インサート4は、締付けねじ5とクランプ部材7と一緒にはもはや移動することができなくなるように、座部3に再び固定される。凹部8内のクランプ部材7の回転不能な配置により、締付けねじ5が締付けられるときにクランプ部材が回転するのが防止される。
【0057】
第2の実施形態
切削工具の第2の実施形態を、図9および図10を参照して以下に簡単に説明する。この場合繰り返しを避けるため、上述した第1の実施形態との相違点のみを説明し、第1の実施形態と同一の符号を用いた。
【0058】
第2の実施形態に係る切削工具1’は、工具担体2が交換可能でインデックス可能な切削インサート4を収容するための1つの座部3のみを有する旋削用回転ホルダである。第2の実施形態では、例示された工具担体2は、特にいわゆるモノブロック回転ホルダとして形成されている。
【0059】
上述した第1の実施形態との更なる相違点としては、第2の実施形態における切削インサート4が間に配置された下敷き板9を介して座部3の載置面に間接的に支持されていることである。
【0060】
座部3および上述した切削インサート4をインデックスするための機構のそれ以上の特徴は上述した第1の実施形態のものと同一であり、従って繰り返して説明しない。
【0061】
図9において第2の実施形態に係る切削工具1’は、切削インサート4がクランプ位置に保持された状態で示されている。図10において切削工具1’は、切削インサート4がインデックス位置にある状態で示されている。
【0062】
変形例
なお上述した実施形態では、貫通孔6を特に有利なものとして細長い孔として構成することが記載されたが、貫通孔は異なった断面形状を有することもでき、かつ変位方向は例えばクランプ部材7を凹部8に導くことによってのみ特定することができる。しかしながら、貫通孔6は、十分な変位が可能となるように、締付けねじ5の軸部51に対して十分なオーバーサイズを有していなければならないことに留意されたい。
【0063】
旋削用のピーリングカセットおよび旋削加工用のモノブロックホルダーを切削工具の実施例として説明したが、切削工具は異なる構成を有することもできる。例えば、その用途は必ずしも旋削加工に限定されずに、他の切削用途のための切削工具も考えられる。しかしながら、切削インサートをインデックスするために記載された機構は、特に旋削加工用の切削工具の場合に好適である。
【0064】
座部領域における切削工具の形態の変形例を、図11および図12を参照して以下に簡単に説明する。この変形例は、上述の実施例および変形例と組み合わせて使用することができる。図11および図12に示す変形例は、先に説明した実施形態とは、i)切削インサート4が両面切削インサートとして形成され、ii)凹部8’およびクランプ部材7’は切削インサート4をクランプ位置に保持するためにも形状結合要素で形成され、iii)凹部8’はカバー10で裏面も閉じられていることで異なっている。ただし、これらの相違点i)、ii)、iii)は、個別にまたは任意の組合せで使用することもできることに留意されたい。
【0065】
カバー10は、凹部8’の裏面を閉じて汚れが侵入しないようにしている。またカバー10は、締付けねじ5を完全に取外すときに、クランプ部材7’が落下ないしは喪失したりするのを防止する。
【0066】
図11および図12から分かるように、凹部8’は、クランプ部材7’の鼻状の突起73と協働するように設計された付加的に張出した凹部83を有する。凹部83と突起73は、締付けねじ5が締付けられると、図11で明らかなように、切削インサート4、締付けねじ5およびクランプ部材7’がクランプ位置の方向に一緒にクランプされるように、傾斜面の原理に従って相互作用する。突起73と凹部83との間の相互作用は、クランプ位置における付加的な形状結合を生じさせるので、クランプ位置での固定は、上述の実施例のように、表面圧力と摩擦を介して行われるだけではない。
【0067】
図13に概略的に示すさらなる変形例では、ばね要素11が追加的に設けられており、これはクランプ部材したがって間接的に締付けねじ5と切削インサート4とをクランプ位置の方向に締付ける働きをする。このようにして、特に好適なインデックスが可能となる。螺旋ばねは、図13においてばね要素11として概略的に示されているが、クランプ位置の方向に締付け作用を生じさせる異なる設計のばね要素も使用することができる。
【0068】
なお注意すべきことは、これらのさらなる修正例は、上述の2つの実施例においてもまた上述の変形例と組み合わせても使用可能であることである。
【0069】
クランプ位置にさらなる形状結合的ロックが設けられている別の変形例を、図14および図15を参照して以下に簡単に説明する。さらなる変形例は、凹部8が、横断面においてほぼ矩形の基本形状を有せずに、クランプ部8aと、これとはねじ軸Zに対して僅かにずれたインデックス部8bと、を有している点で、上述した構成とは異なる。
【0070】
ここでこの変形例の機能性について簡単に説明する。クランプ部材7が図15に示されるインデックス位置にあるとき、切削インサート(図14および図15には示されていない)は実施形態に関して上述したようにインデックスすることができる。さらにクランプ部材7、締付けねじ5および切削インサート4も、実施形態について前述したようにこの位置で変位方向Vに変位させることができる。クランプ部材7が締付けねじ5と切削インサート4と共に図15に示すクランプ位置に変位方向Vに沿って動かされると、クランプ部材7は、先に説明したように、切削インサート4が側方支持面31と別の側方支持面32に当接するまで、凹部8の側壁を変位方向Vに通って先ずは案内される。締付けねじ5が締付けられると、図14に矢印で概略的に示すように、クランプ部材7に回転トルクMを及ぼす。ねじ軸Zに関してインデックス部8bに対して多少回転するように配置されたクランプ部8aの形態により、クランプ部材7は、締付けねじ5が及ぼす回転トルクにより、ねじ軸Zを中心として図14に示すクランプ位置にわずかに回転する。この回転により、クランプ部材7は、ここでクランプ部8aの側壁によって、形状結合的に変位方向Vに変位しないように固定される。その結果、切削インサート4は、締付けねじ5上に摩擦結合的な固定とともに形状結合的にクランプ位置に固着される。
【0071】
このさらなる変形例は、上述の実施形態および変形例と任意に組み合わせることもできる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】