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特表2023-519887外科器具に用いられる組立体及び外科用キット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-15
(54)【発明の名称】外科器具に用いられる組立体及び外科用キット
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20230508BHJP
【FI】
A61B17/072
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558413
(86)(22)【出願日】2021-03-30
(85)【翻訳文提出日】2022-09-27
(86)【国際出願番号】 CN2021083993
(87)【国際公開番号】W WO2021197329
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】202010261072.7
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521475381
【氏名又は名称】江蘇風和医療器材股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】FULBRIGHT MEDICAL INC.
【住所又は居所原語表記】D3, No. 6 Dongsheng West Road, Jiangyin City Wuxi, Jiangsu 214437, China
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】孫 宝峰
(72)【発明者】
【氏名】付 建新
(72)【発明者】
【氏名】周 小朋
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC09
4C160CC23
4C160NN02
4C160NN09
(57)【要約】
外科器具に用いられる組立体及び外科用キットであって、組立体は分離部材(200)と、包装箱(300)とを含み、分離部材(200)と外科器具(100)は係合機構により第1状態と第2状態との間で切り替えられ、第1状態では、分離部材(200)は外科器具(100)に接続され、第2状態では、分離部材(200)は外科器具(100)から離脱され、包装箱(300)は分離部材(200)を収容するための収容部を含み、包装箱(300)は、係合機構を駆動して分離部材(200)を第1状態から第2状態に切り替える操作部材(340)をさらに含む。分離部材は目標組織を剥離することに用いられ、包装箱は、分離部材に包装を提供できるだけでなく、分離部材の外科器具に対する着脱工具としても使用できる。
【選択図】13

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離部材と、包装箱とを含む外科器具に用いられる組立体であって、前記分離部材と前記外科器具は係合機構により第1状態と第2状態との間で切り替えられ、前記第1状態では、前記分離部材は前記外科器具に接続され、前記第2状態では、前記分離部材は前記外科器具から離脱され、前記包装箱は前記分離部材を収容するための収容部を含み、前記包装箱は、前記係合機構を駆動して前記分離部材を前記第1状態から前記第2状態に切り替える操作部材をさらに含む、ことを特徴とする外科器具に用いられる組立体。
【請求項2】
前記操作部材は操作部と、駆動部とを含み、前記操作部は操作者によって押圧され、前記駆動部は、前記係合機構を駆動して前記分離部材を前記第1状態から前記第2状態に切り替える、ことを特徴とする請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
前記操作部は、第1移動を行って前記駆動部を駆動して第2移動を行わせることにより分離部材を前記第1状態から前記第2状態に切り替える、ことを特徴とする請求項2に記載の組立体。
【請求項4】
前記第1移動は回動を含み、前記第2移動は回動を含む、ことを特徴とする請求項3に記載の組立体。
【請求項5】
前記包装箱は筐体を含み、前記収容部は前記筐体に設けられ、前記筐体は前記収容部を取り囲む第1側壁及び第2側壁をさらに含み、前記第1側壁と前記第2側壁との間に隙間があり、前記第1側壁は前記操作部を形成する、ことを特徴とする請求項2に記載の組立体。
【請求項6】
前記操作部は自由端と、前記第2側壁に連結された接続端とを含み、前記自由端は、前記接続端と前記第2側壁との接合部位を周りに回動して前記駆動部を移動させる、ことを特徴とする請求項5に記載の組立体。
【請求項7】
前記自由端の回動軸線は前記包装箱の縦向き方向の中心対称平面に垂直している、ことを特徴とする請求項6に記載の組立体。
【請求項8】
前記操作部の少なくとも一部は弾性材料で作られ、前記少なくとも一部は前記接続端を含む、ことを特徴とする請求項6に記載の組立体。
【請求項9】
前記操作部と前記駆動部との延在方向は互いに垂直している、ことを特徴とする請求項2に記載の組立体。
【請求項10】
前記包装箱は筐体を含み、前記筐体には開孔が設けられ、前記開孔と前記駆動部は対向して設けられる、ことを特徴とする請求項9に記載の組立体。
【請求項11】
前記収容部には案内面が設けられ、前記案内面は、前記分離部材が前記案内面に沿って前記収容部に挿入されるように案内することに用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載の組立体。
【請求項12】
前記収容部には縦向き方向に延在する当接面が設けられ、前記当接面は分離部材を制限する、ことを特徴とする請求項1に記載の組立体。
【請求項13】
前記収容部には案内面がさらに設けられ、前記案内面は、前記分離部材が前記案内面に沿って前記収容部に移入されるように案内することに用いられ、前記当接面は前記案内面と交会し、角度をなして設けられる、ことを特徴とする請求項12に記載の組立体。
【請求項14】
前記収容部は開放端と、閉鎖端とを有し、前記開放端は前記分離部材を前記収容部に挿入することに用いられ、前記閉鎖端は前記分離部材を制限する、ことを特徴とする請求項1に記載の組立体。
【請求項15】
前記収容部の表面に突出部が設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の組立体。
【請求項16】
前記係合機構は、前記分離部材に設けられた係合部と、前記外科器具に設けられた係合口とを含み、前記第1状態では、前記係合部と前記係合口は弾性的に嵌着され、前記操作部材は、前記係合部を駆動して前記係合部を前記係合口から離脱させることにより、前記分離部材を前記第1状態から前記第2状態に切り替える、ことを特徴とする請求項1に記載の組立体。
【請求項17】
前記包装箱は透明材料で作られる、ことを特徴とする請求項1に記載の組立体。
【請求項18】
外科用キットであって、請求項1~17のいずれか1項に記載の外科器具と、前記組立体とを含み、前記分離部材は組織を剥離するために外科器具に取り付けられる、ことを特徴とする外科用キット。
【請求項19】
前記分離部材と前記外科器具は合わせ機構により取り外し可能に取り付けられ、前記合わせ機構は、前記分離部材に設けられた挿着部と、前記外科器具に設けられた挿着通路とを含み、前記合わせ機構は、前記分離部材に設けられた係合部と、前記外科器具に設けられた係合口とをさらに含み、前記係合部と挿着部が前記挿着通路に沿って前記係合部に挿入されて前記係合口と係合するときに、前記分離部材は前記外科器具に固定される、ことを特徴とする請求項18に記載の外科用キット。
【請求項20】
前記挿着通路の側壁には遠位端から近位端に向かって延在する通路溝が設けられ、前記操作部材は操作部と、駆動部とを含み、前記駆動部は前記係合部を駆動して前記外科器具から離脱させ、前記駆動部の幅は前記通路溝の幅よりも小さい、ことを特徴とする請求項19に記載の外科用キット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具の技術分野に関し、特に、目標組織を分離するための分離部材と、該分離部材を収納する包装箱とを含む外科器具に用いられる組立体に関する。
【0002】
本発明はさらに、外科器具及び上記組立体を含む外科用キットに関する。
【背景技術】
【0003】
外科手術に適用されたステープラーは、患者の傷口を縫合するとともに余分な組織を切除することができる外科器具であり、腹部外科、婦人科、小児科及び胸部外科などの低侵襲手術における組織の切除及び吻合に広く応用されている。ステープラーは、手術部位に正確に位置決めされた穿刺具のスリーブを通って体内に入り、次に組織中において縦向きに切開を行い、且つ切開口の反対側にステープルを適用することにより、組織を離断して吻合させ、ホチキスと類似している。ステープラーはエンドエフェクタを含み、前記エンドエフェクタはステープルビンシート、ステープルレジストシートとを含み、前記ステープルビンシートはステープルビンを受け入れることに用いられ、ステープラーは切断部材をさらに含み、切断部材はステープルビンシートに対して操作可能に支持される。医師は、エンドエフェクタが組織を適切に把持し、且つ閉位置にあると判断すると、ステープラーをトリガーして組織を切断して縫合することができる。
【0004】
医師は、手術過程において、特定の目標組織を切断して縫合する必要がある場合があるが、これらの目標組織は他の組織に付着している。例えば、医師は血管を切断して縫合する必要がある場合があるが、血管は通常他の組織に付着しており、血管を切断して縫合するために、医師は、血管を他の組織から剥離して、血管をステープルレジストシートとステープルビンシートの間に入れ、最後にステープラーで血管を切断して縫合する必要がある。
【0005】
医師が既存の外科器具を操作するときに、特定の目標組織を切断して縫合する必要があると、通常、外科器具の角度を繰り返して調整する必要があり、それにより、エンドエフェクタの遠位端を目標組織と位置合わせして、遠位端に向かう方向に沿って外科器具を付勢し、エンドエフェクタの遠位端により目標組織を分離させ、さらに目標組織をステープルレジストシートとステープルビンシートの間に位置させて、目標組織を切断して縫合する。
【0006】
しかしながら、既存のエンドエフェクタの遠位端の設計は、目標組織の剥離に適合しておらず、医師が外科器具のエンドエフェクタを使用して目標組織を分離するには操作の時間と手間がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術の欠陥に対して、本発明の目的は、目標組織を分離するための分離部材と、分離部材を収納する包装箱とを含む外科器具に用いられる組立体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の技術的解決手段により実現される。外科器具に用いられる組立体であって、前記組立体は分離部材と、包装箱とを含み、前記分離部材と前記外科器具は係合機構により第1状態と第2状態との間で切り替えられ、前記第1状態では、前記分離部材は前記外科器具に接続され、前記第2状態では、前記分離部材は前記外科器具から離脱され、前記包装箱は前記分離部材を収容するための収容部を含み、前記包装箱は、前記係合機構を駆動して前記分離部材を前記第1状態から前記第2状態に切り替える操作部材をさらに含む。
【0009】
さらに、前記操作部材は操作部と、駆動部とを含み、前記操作部は操作者によって押圧され、前記駆動部は、前記係合機構を駆動して前記分離部材を前記第1状態から前記第2状態に切り替える。
【0010】
さらに、前記操作部は、第1移動を行って前記駆動部を駆動して第2移動を行わせることにより分離部材を前記第1状態から前記第2状態に切り替える。
【0011】
さらに、前記第1移動は回動を含み、前記第2移動は回動を含む。
【0012】
さらに、前記包装箱は筐体を含み、前記収容部は前記筐体に設けられ、前記筐体は前記収容部を取り囲む第1側壁及び第2側壁をさらに含み、前記第1側壁と前記第2側壁との間に隙間があり、前記第1側壁は前記操作部を形成する。
【0013】
さらに、前記操作部は自由端と、前記第2側壁に連結された接続端とを含み、前記自由端は、前記接続端と前記第2側壁との接合部位を周りに回動して前記駆動部を移動させる。
【0014】
さらに、前記自由端の回動軸線は前記包装箱の縦向き方向の中心対称平面に垂直している。
【0015】
さらに、前記操作部の少なくとも一部は弾性材料で作られ、前記少なくとも一部は前記接続端を含む。
【0016】
さらに、前記操作部と前記駆動部との延在方向は互いに垂直している。
【0017】
さらに、前記包装箱は筐体を含み、前記筐体には開孔が設けられ、前記開孔と前記駆動部は対向して設けられる。
【0018】
さらに、前記収容部には案内面が設けられ、前記案内面は、前記分離部材が前記案内面に沿って前記収容部に挿入されるように案内することに用いられる。
【0019】
さらに、前記収容部には縦向き方向に延在する当接面が設けられ、前記当接面は分離部材を制限する。
【0020】
さらに、前記収容部には案内面がさらに設けられ、前記案内面は、前記分離部材が前記案内面に沿って前記収容部に移入されるように案内することに用いられ、前記当接面は前記案内面と交会し、角度をなして設けられる。
【0021】
さらに、前記収容部は開放端と、閉鎖端とを有し、前記開放端は前記分離部材を前記収容部に挿入することに用いられ、前記閉鎖端は前記分離部材を制限する。
【0022】
さらに、前記収容部の表面に突出部が設けられる。
【0023】
さらに、前記係合機構は、前記分離部材に設けられた係合部と、前記外科器具に設けられた係合口とを含み、前記第1状態では、前記係合部と前記係合口は弾性的に嵌着され、前記操作部材は、前記係合部を駆動して前記係合部を前記係合口から離脱させることにより、前記分離部材を前記第1状態から前記第2状態に切り替える。
【0024】
さらに、前記包装箱は透明材料で作られる。
【0025】
従来技術と比較して、本発明は以下の有益な効果を有する。本発明の組立体は分離部材と、包装箱とを含み、分離部材は目標組織を剥離することに用いられ、医師の操作がより簡単で容易になる。包装箱は、分離部材に包装を提供できるだけでなく、外科器具に対する分離部材の着脱工具としても使用でき、設計が非常に巧みである。
【0026】
本発明は、外科器具及び上記組立体を含む外科用キットをさらに提供する。
【0027】
本発明は以下の技術的解決手段により実現される。外科用キットであって、前記外科用キットは上記いずれか1項に記載の外科器具と、前記組立体とを含み、前記分離部材は組織を剥離するために外科器具に取り付けられる。
【0028】
さらに、前記分離部材と前記外科器具は合わせ機構により取り外し可能に取り付けられ、前記合わせ機構は、前記分離部材に設けられた挿着部と、前記外科器具に設けられた挿着通路とを含み、前記合わせ機構は、前記分離部材に設けられた係合部と、前記外科器具に設けられた係合口とをさらに含み、前記係合部と挿着部が前記挿着通路に沿って前記係合部に挿入されて前記係合口と係合するときに、前記分離部材は前記外科器具に固定される。
【0029】
さらに、前記挿着通路の側壁には遠位端から近位端に向かって延在する通路溝が設けられ、前記操作部材は操作部と、駆動部とを含み、前記駆動部は前記係合部を駆動して前記外科器具から離脱させ、前記駆動部の幅は前記通路溝の幅よりも小さい。
【0030】
従来技術と比較して、本発明は以下の有益な効果を有する。該外科用キットは上記組立体及び外科器具を含み、医師が目標組織を分離し、目標組織を切断して縫合する要求を満たすことができ、操作が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は本発明に係る外科器具の正面図である。
図2図2図1に示される外科器具のステープルレジストシートが分離部材と合わせる斜視図であり、それぞれ正面及び一部の裏面が示されている。
図3図3図2に示される分離部材の斜視図である。
図4図4図2に示される分離部材の斜視図である。
図5図5図4に示される分離部材の斜視分解図である。
図6図6図1に示される外科器具のステープルレジストシートの局所斜視図である。
図7図7はステープルレジストシート、分離部材、包装箱で形成された組み合わせの斜視図である。
図8図8はステープルレジストシート、分離部材、包装箱で形成された組み合わせの斜視図である。
図9図9図8に示される組み合わせの斜視分解図である。
図10図10図8に示される組み合わせの斜視分解図である。
図11図11図10に示される包装箱の斜視図である。
図12図12図7の縦向き方向に沿った断面図である。
図13図13図7の縦向き方向に沿った断面図であり、図12から図13への状態変化は、包装箱を用いて分離部材を取り外す状態変化過程を示している。
図14図14図12におけるA部分の拡大図である。
図15図15図12におけるB部分の拡大図である。
図16図16は本発明の第2実施形態に係る分離部材の斜視図である。
図17図17図16に示される分離部材の斜視分解図である。
図18図18は本発明の第3実施形態に係る分離部材の斜視分解図である。
図19図19は本発明の第4実施形態に係る分離部材の斜視図である。
図20図20図19に示される分離部材の斜視分解図である。
図21図21は本発明の第5実施形態に係る分離部材がステープルレジストシートに取り付けられる斜視図である。
図22図22図21に示される分離部材の斜視図である。
図23図23は本発明の第6実施形態に係る分離部材がステープルレジストシートに取り付けられる斜視図である。
図24図24図23の斜視分解図である。
図25図25図23の斜視分解図である。
図26図26図23に示される分離部材の斜視図である。
図27図27は本発明の第7実施形態に係る分離部材がステープルレジストシートに取り付けられる斜視図である。
図28図28図27に示される分離部材の斜視図である。
図29図29図28に示される分離部材の斜視分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下、図面及び実施例を参照しながら、本発明をさらに詳細に説明する。ここで説明される具体的な実施例は、本発明を解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではないことを理解されたい。本発明の実施例に基づき、当業者が創造的な作業をせずに得たすべての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0033】
本発明で使用される用語「近位」、「後」、「遠位」及び「前」は、外科器具のハンドル組立体を操作する臨床医に対するものである。「近位」、「後」という用語は臨床医に近い部分を指し、「遠位」、「前」という用語は臨床医から離れる部分を指す。例えば、ハンドル組立体が近位側及び後側にあり、エンドエフェクタが遠位側及び前側にあり、さらに例えば、ある部品の近位側端はハンドル組立体に比較的近い端を表し、遠位側端はエンドエフェクタに比較的近い端を表す。本発明では、分離部材の各部材の相対的な位置関係、例えば「近位」端又は「遠位」端に相対的に位置する関係は、分離部材が外科器具に取り付けられた状態を参照とする。「上」、「下」という用語は、エンドエフェクタのステープルレジストシートとステープルビンシートの相対的位置を参照とし、具体的には、ステープルレジストシートは「上」にあり、ステープルビンシートは「下」にある。
【0034】
「縦向き方向」は、遠くから近くへの方向又は近くから遠くへの方向として定義される。分離部材の「縦向き方向」は、分離部材を外科器具に取り付けた状態で定義される。包装箱の「縦向き方向」は、分離部材を包装箱に取り付けた状態で定義され、すなわち包装箱の縦向き方向は分離部材の縦向き方向に平行である。また、1つの部材が縦向き方向に延在することは、該部材の長さがその幅よりも大きく、例えば全体が長尺状であることを意味するが、理解されるように、「縦向き方向に延在する」ことは、該部材の具体的な形状及び設置位置を限定するものではない。
【0035】
分離部材の目標組織に近い側の表面が「正面」、目標組織から離れる側の表面が「裏面」として定義される。具体的には、分離部材が作動するときに、作動部の凹面は、目標組織に近づいて、目標組織を他の組織から剥離することができ、凹面が位置する側の表面が正面、凸面が位置する側の表面が裏面として定義される。
【0036】
理解されるように、「近位」、「遠位」、「後」、「前」、「上」、「下」、「正面」、「裏面」というこれらの方位は、説明を容易にするために定義されているが、外科器具は多くの方向及び位置で使用され得るため、相対的な位置関係を表すためのこれらの用語は限定的で絶対的なものではない。「縦向き方向」も説明を容易にするために定義されている。本発明では、他の明確な規定及び限定がある場合、上記定義は上記明確な規定及び限定に従うべきである。
【0037】
本発明では、特に明確な規定及び限定がない限り、「連結」などの用語は広義的に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、可動接続又は一体化であってもよく、直接連結であってもよく、中間媒体を介した間接的連結であってもよく、2つの素子の内部の連通又は2つの素子の相互作用関係であってもよい。「接続」には一体化が含まれないが、それ以外の「接続」の意味は「連結」と同じである。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本発明での具体的な意味を理解することができる。
【0038】
図1は本発明の外科器具100を示す。
【0039】
図1を参照し、本発明に係る外科器具はステープラーであり、好ましくは電動ステープラーである。外科器具100は本体10と、本体10に取り外し可能に取り付けられる電池パック12とを含む。当業者であれば、外科器具が手動ステープラーであってもよいことを想到でき、本実施形態と同じ又は類似するすべての解決手段はいずれも本発明の保護範囲内に含まれる。
【0040】
本体10は、ロッド組立体14と、ロッド組立体14の一端に設けられた筐体16と、ロッド組立体14の他端に設けられたエンドエフェクタ18とを含み、エンドエフェクタ18内に切断部材(図示せず)が設けられる。
【0041】
ロッド組立体14は、スリーブ20と、スリーブ20内に収容されたマンドレル(図示せず)とを含む。筐体16内にモータ及び伝動機構が設けられ、モータは伝動機構を介してエンドエフェクタ18及び切断部材を駆動する。エンドエフェクタ18は、ステープルビンシート28と、ステープルビンシート28に回動可能に接続されたステープルレジストシート30とを含み、ステープルビンシート28は、その中に位置するステープルビン組立体(図示せず)を操作可能に支持することに用いられ、ステープルレジストシート30は、開位置と閉位置との間で選択的に移動することにより、組織を把持するか又は組織を緩めることができる。切断部材はエンドエフェクタ18内に設けられて組織を切断することに用いられ、ステープルビン組立体は組織を縫合することに用いられる。
【0042】
伝動機構はエンドエフェクタ駆動装置を含み、エンドエフェクタ駆動装置は、エンドエフェクタ18のステープルレジストシート30を駆動してステープルビンシート28に対して回動させて閉位置と開位置との間で選択的に移動させる。通常、エンドエフェクタ18の駆動装置はギアと、カムと、スリーブ20とを含み、ギアはカムの変換によってスリーブ20を駆動して直線的に移動させ、スリーブ20は直線的に移動して、変換機構によってステープルレジストシート30を駆動して回動させる。エンドエフェクタ駆動装置の具体的な構造は従来技術と同じ又は類似するため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0043】
伝動機構は切断部材駆動装置をさらに含み、通常、切断部材駆動装置はギアと、ラックと、マンドレルとを含み、ギアは回転してラック、マンドレル、切断部材を駆動して直線的に移動させることにより、切断部材は組織を切断できる。切断部材駆動装置の具体的な構造は従来技術と同じ又は類似するため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0044】
外科器具が使用されるときに、先ず、エンドエフェクタ駆動装置はスリーブ20を駆動し、さらにステープルレジストシート30を駆動回動させてステープルビンシート28と合わして目標組織を把持するようにし、次に、モータは起動して正転し、切断部材駆動装置はマンドレルを介して切断部材を駆動して送り、切断部材は外科器具のエンドエフェクタ18内で初期位置から終了位置へ移動し、切断部材はステープルビン内のステープルプッシャブロックを同期的に推進して初期位置から終了位置へ移動させて、余分な組織を切断するとともに切断後の組織を縫合する効果を実現し、その後、モータは逆転し、切断部材駆動装置はマンドレルを介して切断部材を駆動して初期位置に後退させ、さらにその後、エンドエフェクタ駆動装置はスリーブ20を駆動し、さらにステープルレジストシート30を駆動して開放させて組織を緩め、最後に、エンドエフェクタ駆動装置はスリーブ20を駆動することで、ステープルレジストシート30を駆動して閉鎖させる。もちろん、外科器具の使用前及び使用完了後に、いずれもステープルレジストシート30をステープルビンシート28に対して閉鎖させる必要があり、それにより、エンドエフェクタ18は穿刺具のスリーブを介して患者の体内に挿入されるか又は患者の体内から取り出され、ここでは詳細な説明を省略する。
【0045】
図2図15は本発明の第1実施形態の分離部材を示し、分離部材は外科器具100と組み合わせて使用される。
【0046】
図1及び図2を参照し、本実施形態は外科器具100と組み合わせて使用される分離部材200をさらに提供し、分離部材200は組織を剥離することに用いられ、具体的には、分離部材200は目標組織を他の組織から剥離することに用いられ、外科器具100が目標組織を切断して縫合することが容易になる。例えば、医師は、先ず分離部材200で血管を他の組織から剥離し、次に、外科器具100で剥離後の血管を切断して縫合する。
【0047】
分離部材200は外科器具100に取り外し可能に接続される。すなわち、分離部材200は第1状態と第2状態との間で切り替えられ、第1状態では、分離部材200は外科器具100に接続され、第2状態では、分離部材200は外科器具100から離脱される。
【0048】
これにより、分離部材200を使用する必要があるときに、医師は分離部材200と外科器具100を接続し、医師は、先ず分離部材200で目標組織を他の組織から剥離し、次に、医師は外科器具100を前向きに移動させて、目標組織がステープルビンシート28とステープルレジストシート30との間に入るようにし、外科器具100を操作して目標組織を切断して縫合する。分離部材200を使用する必要がないときに、医師は分離部材200を第1状態から第2状態に切り替え、分離部材200を外科器具100から離脱し、分離部材200が手術空間を占有し、外科器具100が他の組織を切断して縫合する利便性に影響を与えることを回避する。
【0049】
具体的には、分離部材200は外科器具100のエンドエフェクタ18に取り外し可能に接続される。エンドエフェクタ18は、外科器具100の、組織と直接接触して組織を切断して縫合する作動部材であり、分離部材200はエンドエフェクタ18に取り外し可能に接続され、医師の操作習慣に適合し、医師の操作が容易になる。
【0050】
より具体的には、分離部材200はエンドエフェクタ18のステープルレジストシート30に取り外し可能に接続される。既存の外科器具100のステープルレジストシート30にはステープルビンなどの他の部材が取り付けられていないため、分離部材200はステープルレジストシート30に取り外し可能に接続され、他の部材(例えばステープルビン)の取り付け及び取り外しに影響を与えることなくステープルレジストシート30を合理的に用い、設計がより合理的である。より具体的には、分離部材200はステープルレジストシート30の遠位端に取り外し可能に接続され、医師の操作習慣により適合し、医師の操作が容易になる。
【0051】
図3図5を参照し、分離部材200は取付部220と、作動部230とを含む。取付部220は外科器具100に取り外し可能に接続され、具体的には、エンドエフェクタ18のステープルレジストシート30の遠位端に取り外し可能に接続される。作動部230は組織を剥離することに用いられる。
【0052】
取付部220と外科器具100は合わせ機構を介して取り外し可能に接続される。合わせ機構は挿着機構と、係合機構とを含む。挿着機構は、分離部材200に設けられた挿着部222と、外科器具100に設けられた挿着通路50とを含む。係合機構は、分離部材200に設けられた係合部240と、外科器具100に設けられた係合口60とを含む。挿着通路50は係合口60と連通し、具体的には、係合口60は、挿着通路50の近位端と連通して挿着通路の側壁を貫通する。分離部材200を取り付けるときに、挿着部222と係合部240は挿着通路50に沿って外科器具100に挿入され、所定のストロークで挿入された後、係合部240は係合口60に係止され、分離部材200は外科器具100に固定される。これにより、分離部材200の取付部220と外科器具100は、挿着及び係合によって取り外し可能な接続を実現し、取り付けが確実であり、取り外しが容易になる。
【0053】
取付部220は連結された挿着部222及び係合部240を含む。係合部240と外科器具100は弾性的に合わせられる。すなわち、係合部240は弾性力の作用下で外科器具100に接続され、弾性力の作用に抗して外科器具100から離脱され、接続が確実であり、着脱が容易になる。弾性力の発生源は係合部240自体の弾性であってもよく、他の弾性体が係合部240に当接し、他の弾性体が係合部240に弾性力を提供してもよい。
【0054】
具体的には、係合部240と係合口60は弾性的に合わせられる。すなわち、係合部240は弾性力の作用下で係合口60に係止され、それにより分離部材200は外科器具100に固定される。弾性力の作用に抗して、係合部240は係合口60から離脱でき、それにより分離部材200は外科器具100から離脱される。
【0055】
係合部240は第1端241と、第2端242とを有し、第1端241は挿着部222に連結され、第2端242と外科器具100は弾性的に合わせられる。具体的には、第2端242が第1端241を周りに回動することにより、分離部材200は外科器具100に固定されるか又はそれから離脱され、さらに取り外し可能な接続を実現する。第2端242は第1端241を周りに回動し、すなわち回動軸線は第1端241の位置に位置する。本実施形態では、第2端242の回動軸線は分離部材200の縦向き方向の中心対称平面に垂直している。本実施形態では、第1端241は第2端242に対して遠位端に位置し、当業者であれば、第1端241が第2端242に対して近位端に位置してもよいことを想到できる。
【0056】
具体的には、第1端241は回動軸243を含み、挿着部222には軸孔224が設けられ、回動軸243は軸孔224に取り付けられ、回動軸243は、軸孔224内で回動して係合部240を回動させ、最終的に分離部材200と外科器具100を取り外し可能に接続する。回動軸線はすなわち回動軸243の中心軸線である。
【0057】
軸孔224は部分的に開放され、回動軸243は軸孔224に部分的に収容される。すなわち、軸孔224の周方向の延在角度は360度よりも小さく、例えば、軸孔224の周方向の延在角度は180度である。軸孔224は部分的に開放され、回動軸243を軸孔224に取り付ける操作が非常に容易であり、さらに分離部材200のサイズを小さくすることができ、分離部材200の構造がよりコンパクトになる。
【0058】
係合部240の第1端241は挿着部222の第1側表面229に取り付けられる。なお、第1側表面229とは、挿着部222の裏面側の表面を指し、該表面は符号229で示される平面領域に限定されない。係合部240の第2端242は挿着部222の第2側表面227から突出する。なお、第2側表面227とは、挿着部222の正面側の表面を指し、該表面は符号227で示される平面領域に限定されない。挿着部222には第1側表面229及び第2側表面227を貫通する開口部228が設けられ、第2端242は第1側表面229から開口部228を貫通して第2側表面227から突出する。
【0059】
これにより、開口部228は係合部240の第2端242の移動ストロークに空間を提供し、すなわち、挿着部222自体の厚さは係合部240の第2端242の移動ストロークに空間を提供し、構造が確実であるだけでなく、さらに分離部材200のサイズを小さくすることができ、構造の設計が非常に合理的である。
【0060】
係合部240の第2端242と外科器具100の係合口60は弾性的に合わせられる。本実施形態では、係合部240自体は弾性を有さず、分離部材200は係合部240に当接する支持部250をさらに含み、支持部250は係合部240を弾性的に支持する。支持部250の少なくとも一部は弾性材料で作られ、支持部250は係合部240に弾性力を提供する。すなわち、係合部240は、外科器具100との合わせ又は離脱の機能を実現するだけでよく、支持部250は、弾性力を提供する機能を実現するだけでよく、係合部240と支持部250の2つの部材はそれぞれの役割を果たし、係合部240と支持部250に対する工程要求を低減させ、量産の需要をより満たすことができる。
【0061】
係合部240に第2側表面227に向かう作用力を加えて、係合部240を外力の作用なしで係合口60に維持させ、それにより外科器具100に接続された第1状態に維持させるために、支持部250は、係合部240の第1側表面229に設けられ、係合部240に対して第2側表面227から離れる。
【0062】
具体的には、支持部250は連結された第1部分251及び第2部分252を有し、第1部分251は第1側表面229に接続され、第2部分252は係合部240に当接し、係合部240に弾性力を提供して、係合部240が係合口60に係止される傾向を有するようにする。
【0063】
支持部250を分離部材200に確実に固定するために、取付部220には接続部260が設けられ、支持部250と取付部220は接続部260において溶接して固定される。当業者であれば、支持部250と取付部220の材料に応じて、他の適切な固定方式を用いてもよいことを想到できる。
【0064】
前述したように、回動軸243を取り付けるための軸孔224は部分的に開放され、回動軸243が開放された軸孔224から脱落することを回避するために、支持部250は軸孔224の開放部分を被覆する。具体的には、接続部260は軸孔224に隣接して設けられ、接続部260は軸孔224に対して係合部240の第2端242から離れる。支持部250の第1部分251の遠位端は接続部260に固定され、これにより、遠位端から近位端に向かって延在する支持部250は軸孔224を自然に被覆することができ、構造の設計が非常に合理的である。
【0065】
上記から分かるように、回動軸243の一部の位置は軸孔224によって限定され、他の部分の位置は支持部250によって限定される。支持部250が完全に閉鎖された軸孔224に積層される場合と比較して、分離部材200のサイズを明らかに小さくすることができ、分離部材200の構造がよりコンパクトになる。
【0066】
強調されるように、本発明は、分離部材200のサイズを小さくすることに多面的に取り込んでおり、これらの設計により、サイズを小さくすることを肉眼で認識できない(例えば1mmよりも小さい)可能性があるが、分離部材200のサイズにとっては非常に重要であり、原因としては、外科器具100のエンドエフェクタ18及び分離部材200はいずれも穿刺具のスリーブを貫通して患者の体内に入って操作する必要があり、低侵襲手術の趣旨を実現するために、穿刺具のスリーブは標準的なサイズ(例えば5mm\10mm\12mm\15mm)を有し、エンドエフェクタ18及び分離部材200の幅は穿刺具のスリーブの直径よりも小さくなければならず、従って、設計者がエンドエフェクタ18及び分離部材200を設計するときに、サイズを1mmまで小さくする要求に満たすことができなくとしても、設計者が繰り返して考慮し、構造を繰り返して最適化することにより実現する必要がある。
【0067】
前述したように、係合部240の第1端241は挿着部222の第1側表面229に取り付けられ、支持部250の第1部分251は第1側表面229に接続される。係合部240と支持部250をより良好に配置するために、挿着部222の第1側表面229は内側に凹んで収容空間226を形成し、すなわち取付部220の挿着部222には収容空間226が設けられ、係合部240の一部は収容空間226に収容される。収容空間226は挿着部222を貫通する開口部228を含み、係合部240の第2端242は第1状態で開口部228から突出して係合口60と係合する。分離部材200が第1状態にあるときに、係合部240の一部は収容空間226に収容される。好ましくは、分離部材200が第1状態にあるときに、支持部250の一部も収容空間226に収容される。
【0068】
収容空間226は少なくとも一部の係合部240を収容し、さらに少なくとも一部の支持部250を収容することができるため、係合部240と支持部250がすべて挿着部222の第1側表面229外に突出することを回避し、挿着部222自体の空間を合理的に用いることで、挿着部222のサイズを小さくすることができるだけでなく、挿着部222の構造がより規則的になる。収容空間226は係合部240の一部を収容し、さらに係合部240に対する制限を実現することができ、係合部240の第2端242は開口部228に位置し、これにより、第2端242は弾性力の作用下で位置を変更してその機能を果たすことができる。好ましくは、支持部250の一部は収容空間226に収容され、挿着部を挿着通路に挿入するときに、支持部が挿着通路と干渉するのを防止することができる。
【0069】
本実施形態では、挿着部222と係合部240自体は弾性を有さず、分離部材200は係合部240に当接する弾性体をさらに含み、弾性体は係合部240に当接して係合部240を弾性的に支持する。弾性体は支持部250であり、支持部250の少なくとも一部は弾性材料で作られ、支持部250は係合部240に弾性力を提供する。当業者であれば、係合部240自体が弾性を有してもよいことを想到でき、本実施形態と同じ又は類似するものを用いるすべての解決手段はいずれも本発明の保護範囲内に含まれる。
【0070】
本実施形態では、支持部250と係合部240との間に他の弾性体がなく、支持部250のみによって係合部240に弾性力を提供し、すなわち、係合部240に当接して係合部240を弾性的に支持する弾性体は支持部250のみを含む。当業者であれば、支持部250が設けられた上で、支持部250と係合部240との間に第2弾性体などの別の弾性体が設けられ、第2弾性体と支持部250が共同で係合部240に弾性力を提供することを想到できる。又は、支持部250が設けられず、他の弾性体のみによって係合部240に弾性を提供してもよく、本実施形態と同じ又は類似するものを用いるすべての解決手段はいずれも本発明の保護範囲内に含まれる。
【0071】
係合部240の第2端242は係合面244と、係合面244と角度をなして設けられた斜面246とを含む。図3に示すように、係合面244は鉛直に延在し、図2図3図6に示すように、係合面244は係合口60の側壁に当接して分離部材200が外科器具100から脱落することを防止する。図3に示すように、斜面246は近位端から遠位端に向かう方向に上向きに傾斜して延在し、ここでの上向きとは、係合口60の開口部に向かう方向を指す。斜面246の案内で、第2端242は、挿着通路50に挿入される過程で、係合部240が回動するため位置が変更され、これにより、分離部材200の挿着部222と係合部240を遠位端から近位端に向かう方向に挿着通路50にスムーズに挿入することができる。
【0072】
係合部240の第2端242は係合面244と斜面246との間に設けられた上面248をさらに含む。上面248は所定の幅を有し、第2端242の構造がより確実になる。上面248は平坦面であってもよく、傾斜した斜面246であってもよい。上面248が斜面である場合、上面248の傾斜角度が斜面246の傾斜角度よりも小さいことが好ましい。
【0073】
なお、本実施形態では、係合部240は一体成形され、当業者であれば、係合部240の各部分が個別に成形され、特定の接続方式によって一体的に接続されてもよいことを想到でき、本実施形態と同じ又は類似するものを用いるすべての解決手段はいずれも本発明の保護範囲内に含まれる。
【0074】
前述したように、分離部材200の取付部220は係合部240を取り付けるための挿着部222を含む。図4図6を参照し、挿着部222は縦向き方向に延在し、それに対応して、挿着通路50は外科器具100の遠位端面から近位端に向かう方向に沿って延在し、具体的には、挿着通路50はステープルレジストシート30の遠位端面から近位端に向かう方向に沿って延在する。
【0075】
当業者に知られているように、ステープルレジストシート30には縦向き方向に延在するフィード溝33が設けられ、フィード溝33は外科器具100の切断部材の一部を収容し、切断部材の移動を案内し、フィード溝33はステープルレジストシート30の中心位置に設けられて縦向き方向に延在する。挿着通路50、係合口60、フィード溝33は連通し、同軸に設けられ、構造が規則的である。
【0076】
係合口60は挿着通路50の近位端と連通して挿着通路50の側壁を貫通する。具体的には、係合口60はステープルレジストシート30のステープルレジスト面31の側壁を貫通する。
【0077】
これにより、分離部材200を外科器具100に取り付ける必要があるときに、分離部材200の挿着部222を挿着通路50と位置合わせし、遠位端から近位端に向かう方向に沿って分離部材200を推進し、推進過程で、挿着通路50は係合部240の第2端242の斜面246に当接し、係合部240の第2端242と挿着部222を挿着通路50にスムーズに挿入するまで係合部240に支持部250によって提供された弾性力に抗して回動させ、係合部240の第2端242を係合口60と位置合わせするまで分離部材200の推進を継続し、係合部240の第2端242は支持部250によって提供された弾性力の作用下で逆方向に回動し、第2端242は挿着部222の第2側表面227から突出して係合口60に係止され、これにより、分離部材200が所定の位置に取り付けられる。
【0078】
挿着通路50の側壁、具体的には、挿着通路50のステープルレジストシート30のステープルレジスト面31に位置する側壁は、係合口60と連通する第1中空部51及び第2中空部52を含み、第2中空部52は第1中空部51に対して遠位端に位置し、第2中空部52の幅は第1中空部51の幅よりも大きく、係合口60の幅は第1中空部51の幅よりも大きい。
【0079】
分離部材200が挿入される過程で、幅広い第2中空部52は分離部材200の挿入操作をより簡単にすることができ、分離部材200が第2中空部52内で移動する過程で、係合部240は支持部250の弾性に抗して回動する必要がなく、支持部250は変形されず、分離部材200の使用寿命を延ばすことができ、さらに係合部240と第2中空部との接触による抵抗力の増加を回避することができ、分離部材200の第2端242の斜面246が第1中空部51と接触するときに、係合部240の第2端242は支持部250の弾性に抗して回動し、第1中空部51の内部で移動し、分離部材200が係合部240の第2端242に移動して係合口60と位置合わせられるときに、係合口60の幅は第1中空部51の幅よりも大きいため、係合部240の係合面244は係合口60の第1中空部51に隣接する側壁に当接することができ、そして、係合部240の第2端242は支持部250の弾性力の作用下で逆方向に回動して第2側表面227から突出し、それにより、第2端242が係合口60にスムーズに係止され、分離部材200が所定の位置に取り付けられる。
【0080】
上記から分かるように、第1中空部51と第2中空部52の合理的な設計により、分離部材200の使用寿命を延ばすことができるだけでなく、分離部材200の取り付け操作が簡単で容易になる。
【0081】
第2中空部52の長さは第1中空部51の長さよりも大きい。すなわち、係合部240は長い第2中空部52で移動する過程で、係合部240は支持部250の弾性に抗して回動する必要がなく、支持部250は変形されず、分離部材200の使用寿命を延ばす。
【0082】
第1中空部51の幅はフィード溝33の幅と等しい。フィード溝33、係合口60、第1中空部51、及び第2中空部52は同軸に設けられ、分離部材200が取り付けられた後の位置が適切であり、中心軸線から逸脱しないことを確保でき、医師が分離部材を操作することが容易になる。
【0083】
第2中空部52、第1中空部51、係合口60、及びフィード溝33は、挿着通路50の側壁における、遠位端から近位端に向かって延在する通路溝を形成する。
【0084】
ステープルレジストシート30の遠位端には第1楔形部39が設けられ、第1楔形部39は第1斜面38を有し、作動部230の近位端には第2楔形部239が設けられ、第2楔形部239は第2斜面238を有し、分離部材200が前記ステープルレジストシート30に取り付けられた後、第1斜面38は第2斜面238に当接する。
【0085】
第1斜面38が第2斜面238に当接することにより、第1楔形部39と第2楔形部239が積層され、分離部材200をステープルレジストシート30により確実に取り付けることができる。また、第1楔形部39はステープルレジストシート30の遠位端を他の部分よりも薄くすることができ、第2楔形部239は作動部の近位端を他の部分よりも薄くすることができる。すなわち、第1楔形部39と第2楔形部239が積層されたとしても、接合部位のサイズを明らかに大きくすることはない。一方で、積層によって取り付けが確実になり、もう一方で、積層によってサイズを明らかに大きくすることはなく、設計が非常に合理的である。
【0086】
第2中空部52は第1斜面38に設けられる。取付部220は第2斜面238から近位端に向かう方向に沿って延在し、構造がコンパクトであり、設計が合理的である。
【0087】
第1楔形部39と第2楔形部239との組み合わせの厚さは第1斜面38の近位端に隣接するステープルレジストシート30の厚さに相当し、及び/又は、第2斜面238の遠位端に隣接する分離部材の厚さに相当する。
【0088】
「厚さに相当する」は、すなわち厚さがほぼ等しく、分離部材200とステープルレジストシート30との接合部の段差の形成を回避し、それにより組織を傷つけることを回避する。
【0089】
前述したように、分離部材200は取付部220と、作動部230とを含み、作動部230は組織を剥離することに用いられる。
【0090】
作動部230は近位端231と、遠位端232とを含み、近位端231から遠位端232に向かう方向に沿って、作動部230の幅は徐々に減少する。作動部230が組織を剥離するときに、狭い遠位端232は優先的に組織と接触し、狭い遠位端232が組織に容易に挿入されて目標組織を他の組織から剥離することができ、操作がより容易になる。
【0091】
作動部230の少なくとも一部は近位端231から遠位端232に向かって円弧状に延在し、作動部230は円弧状に延在して内側に凹んだ作動面234を有する。円弧状に延在する作動面234は、作動部230が組織を剥離するときに目標組織と他の組織との間の隙間をスムーズに貫通し、エンドエフェクタ18が目標組織と他の組織との隙間を貫通するようにより良好に案内することができ、分離部材200と外科器具100の操作がより容易になる。
【0092】
作動部230が円弧状に延在し、作動面234が円弧状に延在する場合、作動部の裏面も円弧状に延在する。作動部230は構造が規則的で、外形が美しくなる。
【0093】
分離部材200の作動部230、取付部220の外側輪郭線には明らかな角がなく、すべての輪郭線はいずれもフィレット処理され、角が組織を切るのを防止することができる。
【0094】
前述したように、分離部材200は外科器具100の遠位端に取り付けられる。外科器具100は分離部材200を取り付けるための取付端を有し、分離部材200は弾性部材280をさらに含み、弾性部材280は取付端の端面に当接する。具体的には、弾性部材280はステープルレジストシート30の遠位端の端面に当接する。
【0095】
取付端の遠位端の端面が硬く、弾性部材280が柔軟で変形可能であるため、弾性部材280が取付端の遠位端の端面に当接する場合、取付端の遠位端の端面が組織を傷つけることを回避できるだけでなく、さらに組織が取付端の遠位端の端面と分離部材200との間の隙間に挟まれるリスクを低減させ、組織に対する不要な引っ張りを回避し、それにより組織に対する損傷を回避することができる。
【0096】
弾性部材280の外表面は取付端の外表面から突出するか又は取付端の外表面と同一平面にある。具体的には、ステープルレジストシートはステープルレジスト面31と、裏面32とを有し、本実施形態では、好ましくは、弾性部材280の外表面はステープルレジストシート30の裏面32と同一平面にあるか又は裏面32から突出する。他の組織から目標組織を剥離するときに、ステープルレジストシート30の裏面32の一側の取付端が他の組織を容易に傷つけるため、弾性部材280の外表面はステープルレジストシートの裏面32と同一平面にあるか又は裏面32から突出し、取付端の遠位端の端面が組織を傷つけることを最大限に回避し、組織が取付端の遠位端の端面と分離部材200との間の隙間に挟まれるリスクを最大限に低減させることができる。
【0097】
分離部材200にはスロット290が設けられる。取付端は第1外表面91を有し、分離部材200は第2外表面202を有し、分離部材200が第1状態にあるときに、スロット290は第1外表面91と第2外表面202との隣接部に位置し、弾性部材280はスロット290に設けられる。スロット290は、弾性部材280の機能に影響を与えることなく、弾性部材280をより良好に取り付けることができる。
【0098】
弾性部材280の外表面は第2外表面202から突出するか又は第2外表面202と同一平面にある。スロット290は弾性部材280をより良好に取り付けることができるが、スロット290の近位端及び/又は遠位端が組織を傷つけるリスクが存在し、弾性部材280の外表面が第2外表面202から突出するか又は第2外表面202と同一平面にあるようにすることにより、弾性部材280の取り付けが容易であるだけでなく、組織が傷つけられることも回避できる。
【0099】
弾性部材280の形状はスロット290の形状とマッチングし、組織を傷つけることを最大限に防止できる。弾性部材280はスロット290と締まり嵌めされ、弾性部材280の取り付けが確実になるだけでなく、弾性部材280がそれに隣接する表面から突出し、組織を傷つけることを最大限に防止することが容易である。
【0100】
スロット290は周方向に延在する。弾性部材280の取り付けがより確実になる。
【0101】
スロット290の底面は凸凹であり、具体的には、スロットの底面は凹部及び/又は突起を含み、スロット290と弾性部材280との摩擦力を増加させ、弾性部材280をスロット290に確実に取り付けることができる。
【0102】
スロット290の底面の形状は分離部材200の縦向き方向の中心対称平面に対して対称的に設定される。構造が規則的であり、弾性部材280の受けた力が均一になり、組織を傷つけるのを防止する役割をより良好に果たす。
【0103】
本実施形態では、弾性部材280は独立して成形された部材であり、手動取り付けによって弾性部材280をスロット290に設ける。当業者であれば、スロット290内に弾性部材280を射出成形できることを想到でき、本実施形態と同じ又は類似するものを用いるすべての解決手段はいずれも本発明の保護範囲内に含まれる。
【0104】
図7図13を参照し、本実施形態は分離部材200の包装箱300をさらに提供し、分離部材200は包装箱300に収容され得る。包装箱300は分離部材200に外装を提供し、分離部材200の搬送及び保管が容易になる。分離部材200と包装箱300は組立体を形成し、該組立体は個別に販売及び購入されてもよく、外科器具100と組み合わせて外科用キットを形成するととともに販売及び購入されてもよく、販売及び購入方式にかかわらず、いずれも医師が目標組織を剥離する需要を満たすことができる。もちろん、本実施形態の分離部材200は個別に販売及び購入されてもよい。
【0105】
包装箱300は分離部材200を収容するための収容部320を含み、分離部材200は収容部320に挿入され、すなわち包装箱300に収容され得る。包装箱300は筐体350を含み、筐体350の一側の表面は内側に凹んで開放された収容部320を形成し、収容部320は開放端を有し、分離部材200を開放端から包装箱300に装入するか又は包装箱300から取り出すことが容易になる。
【0106】
収容部320は開放端と間隔をあけて設けられた閉鎖端330を有し、閉鎖端330の形状は分離部材200の遠位端232の形状とマッチングされてもよく、閉鎖端330の形状は分離部材200の遠位端232の形状とマッチングされなくてもよく、閉鎖端330が分離部材200の挿入を制限することができればよい。従って、分離部材200が収容部320に挿入される過程で、分離部材200の遠位端232が収容部320の閉鎖端330に当接するときに、操作者は分離部材200が所定の位置に収容されたことを感知できる。
【0107】
収容部320には凸リブ324が設けられ、凸リブ324には案内面326が設けられ、分離部材200は案内面326に沿って収容部320に滑り込まれる。案内面326は分離部材200を収容部320により簡単で正確に挿入させることができる。
【0108】
凸リブ324には当接面328がさらに設けられ、当接面328は案内面326と交会し、角度をなして設けられ、具体的に鈍角をなして設けられる。当接面328は案内面326に対して収容部320の閉鎖端330に近く、当接面328は分離部材200を制限する。具体的には、分離部材200が収容部320に装入されるときに、当接面328は分離部材200の作動面234の一部に当接し、分離部材200を収容部320により確実に収容させる。
【0109】
上記から分かるように、凸リブ324は、収容部320の大きさを限定できるだけでなく、分離部材200を収容部320に滑り込む操作を案内することができ、分離部材200が収容部320に滑り込まれた後、凸リブ324はさらに分離部材200を制限することができ、構造の設計が非常に合理的である。
【0110】
図11を参照し、収容部320の表面に突出部322が設けられる。突出部322は分離部材200の作動部230を支持できるとともに、作動部230と収容部320との接触面積を小さくすることができ、それにより分離部材200の挿入及び取り出し操作がより簡単になる。本実施形態では、突出部322は実質的に帯状に縦向き方向に延在し、突出部322は縦向き方向に沿って延在する。当業者であれば、他の形状の突出部322であってもよいことを想到できる。
【0111】
前述したように、分離部材200は外科器具100の取付端の端面に当接する弾性部材280を含む。好ましくは、弾性部材280の外表面は分離部材200の作動部230の外表面から突出し、これにより、弾性部材280は収容部320の内表面に弾性的に当接する。
【0112】
分離部材200が包装箱300の収容部320に挿入される過程で、弾性部材280が収容部320の内表面に弾性的に当接するときに、操作者はこの減衰作用を感知でき、この減衰作用は操作者に操作フィードバックを提供し、操作者はこのフィードバックによって分離部材200が所定の位置に収容されるか否かを確認できる。すなわち、前述した閉鎖端330は操作者が分離部材200を所定の位置に挿入したことを感知できるようになることに加えて、弾性部材280は収容部320の内表面に弾性的に当接して操作者にフィードバックをさらに提供し、さらに操作体験を向上させる。そして、弾性部材280と収容部320の内表面との摩擦力は、分離部材200を収容部320から脱落させることを防止できる。
【0113】
前述したように、分離部材200と外科器具100は合わせ機構を介して取り外し可能に接続され、分離部材200は第1状態と第2状態との間で切り替えられ、第1状態では、分離部材200は外科器具100に接続され、第2状態では、分離部材200は外科器具100から離脱される。
【0114】
本実施形態では、好ましくは、包装箱300は分離部材200を収容できるだけでなく、分離部材200を第1状態と第2状態との間で切り替えることができる。すなわち、包装箱300は、分離部材200に包装を提供できるだけでなく、分離部材200の外科器具100に対する着脱工具としても使用でき、設計が非常に巧みである。
【0115】
具体的には、包装箱300は操作部材340を含み、操作部材340は合わせ機構に作用して分離部材200を第1状態から第2状態に切り替える。より具体的には、操作部342は係合機構に作用して分離部材200を第1状態から第2状態に切り替える。
【0116】
操作部材340は連結された操作部342及び駆動部348を含み、操作部342は操作者によって押圧され、駆動部348は係合機構に作用して分離部材200を第1状態から第2状態に切り替える。
【0117】
操作部342は、第1移動を行って駆動部348を駆動して第2移動を行わせることにより分離部材200を第1状態から第2状態に切り替える。第1移動は回動を含み、第2移動は回動を含む。
【0118】
包装箱300は筐体350を含み、筐体350は部分的に内側に凹んで収容部320を形成し、筐体350は収容部320を取り囲む第1側壁351及び第2側壁352を含み、第1側壁351と第2側壁352との間に隙間353があり、第1側壁351は操作部342を形成する。隙間353は筐体350の一端から他端に向かう方向に沿って縦向き方向に延在し、隙間353の延在長さは筐体350の延在長さよりも小さい。隙間353が存在するため、第1側壁351は第2側壁352に対して移動でき、それにより駆動部348を移動させて、最終的に分離部材200に作用させて分離部材200を第1状態から第2状態に切り替える。そして、第1側壁351は筐体350の一部であり、筐体350の一部は操作部342を形成し、他の部材を追加的に設けて操作部342を形成する必要がなく、構造が簡単で、設計が合理的である。
【0119】
操作部342は回動して駆動部348を回動させる。具体的には、第1側壁351は接続端344と、自由端346とを含み、駆動部348は自由端346に連結され、自由端346は、接続端344と第2側壁との接合部位を周りに回動して駆動部348を回動させる。さらなる部材を設ける必要がなく、構造が簡単で、操作が容易である。
【0120】
自由端346の回動軸線は包装箱300の縦向き方向の中心対称平面に垂直している。自由端346の回動軸線は係合部240の回動軸線に平行している。分離部材200と包装箱300で形成された組立体の構造が規則的になる。
【0121】
操作部342の接続端344は弾性材料で作られる。好ましくは、操作部342は全体として弾性材料で作られる。これにより、自由端346が押圧されるときに、接続端344は変形して自由端346を接続端344と第2側壁との接合部位を周りに回動させる。これにより、医師は、操作部342自体の弾性力に抗して駆動部348を移動させて分離部材200を第1状態から第2状態に切り替えることができる。操作部342自体の弾性を用い、包装箱300の構造がより簡単になる。図8図11図12に示すように、操作部342自体の弾性により、自由端346は外力を受けることなく、持ち上げられる状態に維持される。
【0122】
操作部342と駆動部348はいずれも縦向き方向に延在し、操作部342と駆動部348の延在方向は互いに垂直している。縦向き方向に延在して延在方向が互いに垂直な操作部342と駆動部348は、駆動部348が係合部240を効果的に駆動できるように十分なストロークを提供し、それにより分離部材200を外科器具100からスムーズに離脱させることができる。
【0123】
操作部342は駆動部348に連結され、両方は合わせられて係合部240に対する当接を実現する。操作部342と駆動部348は2つの独立した部材であり、具体的には、駆動部348はピンであり、ピンは操作部342の孔と合わせて駆動部348と操作部342との連結を実現する。当業者であれば、操作部342と駆動部348が一体成形されてもよいことを想到できる。
【0124】
図11、12に示すように、筐体350には駆動部348が貫通できる開孔354が設けられる。開孔354と駆動部348は対向して設けられ、これにより、駆動部348を取り付けるときに、駆動部348は開孔354を貫通した後に操作部342に連結され、開孔354は取付工具を挿入して駆動部348を付勢することが容易であり、構造の設計が合理的である。駆動部348は操作部342の自由端346に連結され、それに対応して、開孔354は操作部342の自由端346に対向し、レイアウトが合理的である。
【0125】
駆動部348の幅はステープルレジストシート30の通路溝(順番に連通される第2中空部52、第1中空部51、及び係合口60を含む)の幅よりも小さい。分離部材200が外科器具100から離脱される過程で、駆動部348は通路溝内で移動し、係合部240の第2端242を押圧する状態を維持することができる。
【0126】
上記から分かるように、操作部材340は、係合機構に作用して分離部材200を第1状態から第2状態に切り替える。
【0127】
収容部320の遠位端は閉鎖されて閉鎖端330を形成し、分離部材200を外科器具100に取り付けるときに、分離部材200が収容された包装箱300は分離部材200を外科器具100に向かって移動させ、閉鎖端330は分離部材200を推進して外科器具100に挿入し、従って、包装箱300の収容部320の閉鎖端330は、分離部材200を推進して第2状態から第1状態に切り替える。
【0128】
包装箱300は透明材料で作られ、美しくなるだけでなく、包装箱300を用いて分離部材200を着脱するときに、透明な包装箱300は、着脱操作が適切であるか否かを操作者が観察することにも非常に寄与する。
【0129】
以下、本実施形態の分離部材200の応用シナリオについて説明する。
【0130】
分離部材200が出荷された後、使用されていない前に、分離部材200は包装箱300の収容部320に位置し、分離部材200の弾性部材280は収容部320の内側表面に弾性的に当接し、分離部材200は弾性部材280の弾性力の作用下で包装箱300に維持される。
【0131】
医師が外科器具100を使用する過程で、分離部材200で組織を剥離する必要があるときに、医師は、包装箱300の筐体350を手持ちし、分離部材200の取付部220を外科器具100のエンドエフェクタ18のステープルレジストシート30に設けられた挿着通路50と位置合わせさせ、外科器具100に向かう方向に沿って包装箱300を推進し、推進過程で、係合部240の第2端242が係合口60と位置合わせされて係合口60に係止されるまで分離部材200の挿着部222と係合部240が挿着通路50に沿って移動し、このとき、分離部材200が外科器具100に取り付けられている。
【0132】
その後、医師は、弾性部材280の弾性力による収容部320の内側表面との間の摩擦力に抗して、外科器具100から離れる方向に沿って包装箱300を引っ張り、包装箱300を分離部材200から離脱させ、医師は、分離部材200で目標組織を剥離することができる。具体的には、分離部材200の作動部230の幅の狭い遠位端232は目標組織と他の組織との接合部位と位置合わせされ、分離部材200が目標組織と他の組織を剥離するまで、外科器具100及び分離部材200を前向きに推進する。
【0133】
分離部材200は目標組織を他の組織から剥離した後、医師は遠位端232に向かう方向に沿って外科器具100を前向きに移動させて、目標組織をステープルレジストシート30とステープルビンシートの間に入れ、その後、医師は外科器具100で目標組織を切断して縫合することができる。
【0134】
医師は外科器具100を使用する過程で、組織を剥離する必要がなくなるときに、分離部材200を外科器具100から取り外し、分離部材200が空間を占有し、外科器具100が分離部材200を必要としない場合での他の操作に影響を与えることを回避する。具体的には、医師は、包装箱300を分離部材200と位置合わせして移動させて分離部材200を包装箱300の収容部320に収容し、その後、医師は、操作部342の自由端346を押圧し、駆動部348が係合部240の第2端242の斜面246又は上面248に当接するまで、自由端346を接続端344を周りに回動させて駆動部348を回動させ、操作部342の自由端346の押圧を継続し、係合部240の第2端242が係合口60から離脱されるまで、駆動部348は係合部240の第2端242を駆動して支持部250の作用力に抗して回動させ、その後、医師は、外科器具100から離れる方向に向かって包装箱300を引っ張り、包装箱300は分離部材200の挿着部222を挿着通路50から離脱させて、分離部材200を外科器具100から離脱させ、外科器具100から離脱された分離部材200は包装箱300の収容部320に位置し、出荷された後、使用されていない前の状態に戻る。なお、駆動部348は、係合部240の第2端242を係合口から離脱させた後、駆動部348は係合部240の第2端242を押圧する状態を維持し、すなわち分離部材200が外科器具100から離脱される過程で、駆動部348は常に係合部240の第2端242を押圧して第2端242を付勢し、駆動部348は通路溝内で移動し、最終的に包装箱300が分離部材200を外科器具100から離脱させる。
【0135】
図16図17は本発明の第2実施形態に係る外科器具と組み合わせて使用される分離部材200aを示す。
【0136】
以下、本実施形態の分離部材200aと第1実施形態の分離部材との相違点を中心に説明する。
【0137】
第1実施形態では、弾性部材は周方向に環状に延在し、環状の弾性部材は分離部材とステープルレジストシートの遠位端面との間のスロットに取り付けられる。
【0138】
本実施形態では、弾性部材280aは袋状であり、作動部230aの少なくとも一部は弾性部材280aに装入され、上記作動部230aの少なくとも一部は弾性部材280aの形状と同じである。具体的には、作動部230aの、遠位端から外科器具の取付端に隣接する部分はいずれも弾性部材280aに装入される。弾性部材280aの近位端に開口された端面は取付端の遠位端面に当接し、取付端の遠位端面が組織を傷つけることを回避する。
【0139】
図18は本発明の第3実施形態に係る外科器具と組み合わせて使用される分離部材を示す。
【0140】
以下、本実施形態の分離部材200bと第1実施形態の分離部材との相違点を周りに説明する。
【0141】
第1実施形態では、係合部の第1端は回動軸を含み、回動軸は係合部の他の部分と一体成形され、挿着部には開放された軸孔が設けられ、回動軸は軸孔に部分的に収容され、支持部は軸孔の開放部分を被覆することにより、係合部の第2端は回動軸を周りに回動できる。
【0142】
本実施形態では、分離部材200bは独立した回動軸243bを含み、係合部240bの第1端には回動軸243bが貫通できるピン孔299bが設けられ、分離部材200bの取付部にはピン孔299bの2つの端部に対応する円孔298bが設けられ、回動軸243bは、第1円孔298b、ピン孔299b、第2円孔298bを順番に貫通して、係合部240bの第1端を取付部に回動可能に取り付ける。回動軸243bは第1円孔298b及び/又は第2円孔298bと密着され、その脱落を防止する。
【0143】
また、本実施形態では、分離部材200bの弾性部材280bの形状、及び弾性部材280bと作動部230bの合わせ機構は第2実施形態と同じであり、ここでは詳細な説明を省略する。
【0144】
図19図20は本発明の第4実施形態に係る外科器具と組み合わせて使用される分離部材を示す。
【0145】
以下、本実施形態の分離部材200cと第3実施形態の分離部材との相違点を中心に説明する。
【0146】
第3実施形態では、分離部材の取付部には、係合部の第1端に隣接する遠位側に接続部が設けられ、支持部の第1部分は接続部に接続され、支持部は接続部から近位端に向かって延在し、支持部は近位端に位置する第2部分に対して係合部を付勢し、係合部が外科器具の係合口に係止される傾向を有するようにする。
【0147】
本実施形態では、支持部250cは係合部240cの近位端に接近して設けられ、支持部250cの近位端と取付部220cは溶接などの方式によって接続され、支持部250cは弾性を有し、支持部250cの遠位端は係合部240cの第2端を付勢し、係合部240cが外科器具の係合口60cに係止される傾向を有するようにする。
【0148】
図21図22は本発明の第5実施形態に係る外科器具と組み合わせて使用される分離部材を示す。
【0149】
以下、本実施形態の分離部材200dと第2実施形態の分離部材との相違点を中心に説明する。
【0150】
第2実施形態では、係合部自体は弾性がなく、支持部は係合部に弾性力を提供し、係合部が外科器具の係合口に係止される傾向を有するようにする。
【0151】
本実施形態では、係合部240d自体の少なくとも一部は弾性材料で作られ、係合部240d自体は外科器具の係合口に係止される傾向を有する。すなわち、係合部240dに弾性力を提供するためのさらなる他の弾性体が設けられず、構造がより簡単である。
【0152】
本実施形態では、係合部240dの近位端は分離部材200dの取付部220dに接続され、係合部240dは変形し、係合部240dの遠位端は近位端を周りに回動することにより、係合部240dが係合口に係止されるか又は係合口から離脱され、最終的に分離部材200dが第1状態と第2状態との間で切り替えられる。なお、近位端にさらなる回動軸が設けられず、遠位端が近位端と取付部220dとの接続部を周りに回動する。
【0153】
上記から分かるように、本実施形態の分離部材200dの構造がより簡単で、コストが低くなる。
【0154】
図23図26は本発明の第6実施形態に係る外科器具と組み合わせて使用される分離部材を示す。
【0155】
以下、本実施形態の分離部材200eと第5実施形態の分離部材との相違点を中心に説明する。
【0156】
第5実施形態では、係合部は分離部材の取付部の正面(第2側表面)に設けられ、係合部は外科器具に設けられた係合口と嵌合する。
【0157】
本実施形態では、係合部240eは分離部材200eの取付部220eの裏面に設けられ、係合口60eはステープルレジストシート30eの裏面32eに設けられ、取付部220eの裏面に設けられた係合部240eは、ステープルレジストシート30eの裏面32eに設けられた係合口60eと嵌合して、分離部材200eと外科器具との取り外し可能な接続を実現する。
【0158】
係合口60eがステープルレジストシート30eの裏面32eに設けられ、ステープルビンシートからの影響を受けないため、包装箱の操作部材はステープルレジストシート30eの裏面32eで操作して分離部材200eの取り付け及び取り外しを実現することができる。操作空間が大きくなり、操作がより容易である。
【0159】
係合部240eの遠位端と分離部材200eは溶接などの方式によって接続され、係合部240e自体は弾性を有し、それにより第1状態と第2状態との間の切り替えを実現し、ここでは詳細な説明を省略する。
【0160】
図27図29は本発明の第7実施形態に係る外科器具と組み合わせて使用される分離部材を示す。
【0161】
以下、本実施形態の分離部材200fと第5実施形態の分離部材との相違点を中心に説明する。
【0162】
第5実施形態では、係合部の近位端は分離部材の取付部に固定され、係合部の遠位端は外科器具の係合口と嵌着される。
【0163】
本実施形態では、係合部240fの遠位端は分離部材200fの係合部240f以外の部分に固定され、係合部240fの近位端は外科器具の係合口と嵌着される。
【0164】
本実施形態では、分離部材200fには収容キャビティ297fが設けられ、収容キャビティ297fは取付部の近位端から作動部に向かう方向に沿って延在し、収容キャビティ297fは作動部に部分的に位置し、収容キャビティ297fの遠位端には垂直に延在する取付軸296fが設けられ、係合部240fには取付軸296fに套設可能な取付孔が設けられる。取付孔は取付軸296fと嵌合して係合部240fの遠位端と分離部材200fとの嵌着を実現する。係合部240fの近位端は遠位端に対して回動して係合口との係合及び離脱を実現することができる。
【0165】
なお、本実施形態では、取付軸296fが円柱軸であり、取付孔が円形孔であるが、係合部240fは取付軸296fの軸線を周りに回動せず、係合部240fの回動軸線は前述した実施形態と同様であり、係合部240fの回動軸線は分離部材200fの作動面に平行である。
【0166】
以上より、本発明では、医師は、先ず分離部材で目標組織を他の組織から剥離し、次に、医師は外科器具を前向きに移動させて、目標組織をステープルビンシートとステープルレジストシートとの間に入れ、外科器具を操作して目標組織を切断して縫合する。分離部材で目標組織を剥離し、医師の操作がより簡単で容易であり、係合機構は、分離部材と外科器具を弾性的に嵌着させ、接続が確実で着脱が容易である。
【0167】
本発明では、弾性体は取付端の端面に当接し、取付端の遠位端の端面が組織を傷つけることを最大限に回避し、組織が取付端の遠位端の端面と分離部材との間の隙間に挟まれるリスクを最大限に低減させることができる。
【0168】
本発明では、包装箱は、分離部材に包装を提供できるだけでなく、分離部材の外科器具に対する着脱工具としても使用でき、設計が非常に巧みである。本発明では、上記弾性体は、組織を傷つけることを回避できるだけでなく、分離部材が包装箱に収容されるときに、分離部材が不意に脱落することも防止できる。
【0169】
本明細書は実施形態に応じて説明されているが、各実施形態は1つの独立した技術的解決手段のみを含むわけではなく、明細書のこの説明方式は明確にするためのものに過ぎず、当業者であれば、明細書を全体とするべきであり、各実施形態における技術的解決手段を適切に組み合わせて、当業者が理解し得る他の実施形態を形成することもできることを理解されたい。
【0170】
上述した一連の詳細な説明は、本発明の実行可能な実施形態を具体的に説明するためのものに過ぎず、本発明の保護範囲を制限するためのものではなく、本発明の技術的精神から逸脱することなく行われたすべての等価な実施形態や変更は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
【国際調査報告】