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特表2023-519917光スキャナーパッケージ及び製造方法
<図1>
  • 特表-光スキャナーパッケージ及び製造方法 図1
  • 特表-光スキャナーパッケージ及び製造方法 図2
  • 特表-光スキャナーパッケージ及び製造方法 図3
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  • 特表-光スキャナーパッケージ及び製造方法 図18
  • 特表-光スキャナーパッケージ及び製造方法 図19
  • 特表-光スキャナーパッケージ及び製造方法 図20
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  • 特表-光スキャナーパッケージ及び製造方法 図23
  • 特表-光スキャナーパッケージ及び製造方法 図24
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-15
(54)【発明の名称】光スキャナーパッケージ及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/08 20060101AFI20230508BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20230508BHJP
   G01S 7/481 20060101ALI20230508BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20230508BHJP
   B81C 1/00 20060101ALI20230508BHJP
   G01S 17/88 20060101ALN20230508BHJP
【FI】
G02B26/08 E
G02B26/10 104Z
G01S7/481 Z
B81B3/00
B81C1/00
G01S17/88
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558515
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(85)【翻訳文提出日】2022-11-25
(86)【国際出願番号】 KR2021003801
(87)【国際公開番号】W WO2021194316
(87)【国際公開日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0036837
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0039815
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522378948
【氏名又は名称】ウィメムス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】WEMEMS CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】507373508
【氏名又は名称】クヮンジュ・インスティテュート・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【弁理士】
【氏名又は名称】駒井 慎二
(72)【発明者】
【氏名】イ、ジョン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ムン、スン ファン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ジン ホン
(72)【発明者】
【氏名】ジョ、キョン ウ
【テーマコード(参考)】
2H045
2H141
3C081
5J084
【Fターム(参考)】
2H045AB08
2H045BA12
2H045CB63
2H045CB65
2H141MA12
2H141MB24
2H141MD13
2H141ME01
2H141ME22
2H141MF08
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2H141MF14
2H141MF16
2H141MZ30
3C081AA13
3C081AA17
3C081BA07
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3C081CA02
3C081CA14
3C081CA15
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3C081CA42
3C081DA03
3C081DA04
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3C081DA30
3C081EA01
3C081EA08
3C081EA11
5J084AA05
5J084AC02
5J084AD01
5J084BA04
5J084BA36
5J084BA50
5J084BB14
5J084BB28
5J084CA03
5J084EA31
(57)【要約】
本発明は、スキャナー素子、キャビティーを有する下部基板、及び半球形状透過窓で構成される光スキャナーパッケージに関するものである。半球形状透過窓の入射と出射の位置において透過窓の傾きが互いに異なっているため、副反射による干渉を低減することができる。入射角(α)及び最大出射角(β)が小さいため、無反射コーティングの設計が容易であり、光損失を低減することができる。
レーザーの光学スキャン角度(γ)(Optical Scanning Angle、OSA)が大きい場合でも、最大出射角(β)が小さいため、出射レーザー光の特性変化が小さいという長所を有する。また、2軸の両側のいずれにも曲率を有するため、2軸駆動であっても入射方向に対する制限が小さい。透過窓は、正球形の一部である必要はなく、ラグビーボールのような楕円体形状の一部であり得る。透過窓は、2軸で曲率を有する構造であり、下部は四角形状であり得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光スキャナーパッケージであって、
ミラー、スプリング、駆動機、固定体を含むMEMSスキャナー素子;
上記MEMSスキャナー素子の下部に位置し、上記MEMSスキャナー素子と接合された形態で上記MEMSスキャナー素子を支持する下部基板;及び、
外形が半球形状(semi-spherical)又は楕円体形状(ellipsoid)の一部に該当するシェル(shell)形状を有し、下部に連続的に繋がっている接合面を有する透過窓;
を含み、
上記透過窓は、2軸で曲率を有する構造であることを特徴とする、光スキャナーパッケージ。
【請求項2】
入射光と出射光が通過する透過窓の一部領域に、レンズ又は光学要素を含むことを特徴とする、請求項1に記載の光スキャナーパッケージ。
【請求項3】
上記レンズは、上記透過窓と一体に形成されるものであることを特徴とする、請求項2に記載の光スキャナーパッケージ。
【請求項4】
上記透過窓の下部直径Dと高さhとの比が0.3~0.4の範囲にある、浅い半球形状又は楕円体の一部であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光スキャナーパッケージ。
【請求項5】
上記下部基板は、ガラス材からなり、上記下部基板の上部にはキャビティーが存在することを特徴とする、請求項1又は2に記載の光スキャナーパッケージ。
【請求項6】
上記下部基板の上下方向にビアメタルが設けられることを特徴とする、請求項5に記載の光スキャナーパッケージ。
【請求項7】
上記透過窓において、入射光及び出射光の領域を除く領域に、不透明な遮断膜が設けられることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光スキャナーパッケージ。
【請求項8】
結晶性シリコンからなる下部基板の上部に存在する傾斜面の角度が54.7°であるキャビティー;
電極分離のためにスキャナーの外部にトレンチ構造で形成されたシリコン電極;
トレンチ構造の外側に途切れなく形成されるシリコンバリア;
上記バリア上に形成された絶縁膜;及び、
上記シリコン電極及び絶縁膜の上に形成された2種類の金属電極;
をさらに含み、
上記シリコンバリアの金属電極上に封止された透過窓を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の光スキャナーパッケージ。
【請求項9】
上記透過窓の下部は、ガラス封止材で貼り付けられることを特徴とする、請求項8に記載の光スキャナーパッケージ。
【請求項10】
キャビティーが下部に貫通した下部基板に封止するための別のシリコン基板又は回路基板を含むことを特徴とする、請求項8に記載の光スキャナーパッケージ。
【請求項11】
トレンチ構造を埋め込んでバリア上に形成された絶縁膜;及び、
上記絶縁膜上に形成された金属回路パターン;
をさらに含み、
上記金属パターン上に封止された透過窓を有することを特徴とする、請求項8に記載の光スキャナーパッケージ。
【請求項12】
上記下部基板の下部側に行くほど広くなるか、又は同一の断面形状を有するキャビティー;
ミラーの下部に形成された金属反射膜;及び、
スキャナー素子と下部基板の上下位置が入れ替わった状態でソルダーで封止される回路基板を基底層として含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の光スキャナーパッケージ。
【請求項13】
上記スキャナー素子の電極はソルダーで、バリアはガラス封止材で貼り付けられたキャビティーを有するシリコン基板を含む、請求項12に記載の光スキャナーパッケージ。
【請求項14】
上記スキャナー素子の電極と、バリア上にガラス封止材で貼り付けられたキャビティーを有するシリコン基板を含むことを特徴とする、請求項13に記載の光スキャナーパッケージ。
【請求項15】
上記下部基板の下側に取り付けられたチップキャリアを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の光スキャナーパッケージ。
【請求項16】
上記透過窓の下部は、正方形又は長方形形状であることを特徴とする、請求項15に記載の光スキャナーパッケージ。
【請求項17】
上記チップキャリアの内側形状が四角形状である場合、中央部位に円状の大きなホールが穿孔された金属基板を追加して使用することを特徴とする、請求項15に記載の光スキャナーパッケージ。
【請求項18】
上記透過窓に形成された遮断膜は、上記透過窓の内側面と外側面の少なくとも一部の領域に300~600nm波長の一部の範囲で3%以下の光学的反射度を有する無反射コーティング層であることを特徴とする、請求項7に記載の光スキャナーパッケージ。
【請求項19】
上記透過窓は、0.2~0.8mm厚さのガラス材からなり、上記透過窓の下部の接合面部位は、0.4~1.6mm厚さのものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光スキャナーパッケージ。
【請求項20】
上記透過窓、上記MEMSスキャナー素子、及び上記基底層は、接合によって封止される構造をなし、封止された内部の圧力は、10-1~10-4気圧の真空状態を形成することを特徴とする、請求項1又は2に記載の光スキャナーパッケージ。
【請求項21】
光スキャナーパッケージの製造方法であって、
ガラスウェハー(glass wafer)にウェットエッチング(wet etching)を用いてキャビティー(cavity)を形成するステップ(a1);
スキャナー素子との電気的接続のため、上記ガラスウェハーにDRIE又はサンドブラスト(sand blast)を用いてビアホール(via hole)を形成するステップ(a2);
上記ビアホールの位置に整列して別のSiウェハーに金属パターン(seed layer)を形成するステップ(a3);
上記ガラスウェハーとSiウェハーとの陽極接合(anodic bonding)を行うステップ(a4);
上記ビアホールに導電性材料を埋め込むステップ(a5);
上記Siウェハーの上端(top)をCMP加工して高さを低くするステップ(a6);
ミラー表面、電気配線、及びパッド(pad)上に金属パターンを形成するステップ(a7);
DRIE工程で上記Siウェハーの上端に素子構造及び電極を形成するステップ(a8);及び、
外部構造体上に半球形状又は楕円体形状透過窓を接合するステップ(a9);
を含む、光スキャナーパッケージの製造方法。
【請求項22】
上記透過窓を接合するステップ(a9)の後に、表面実装技術(Surface Mounting Technology)を用いてPCB(Printed Circuit Board)に接着するステップをさらに含む、請求項21に記載の光スキャナーパッケージの製造方法。
【請求項23】
光スキャナーパッケージの製造方法であって、
Siウェハーにウェットエッチング又はDRIEを用いてキャビティーを形成するステップ(b1);
酸化膜(Buried Oxide、BOX)が形成された別のSiウェハーとフュージョン接合(fusion bonding)を行った後、CMPで上記Siウェハーの上端の高さを低くするステップ(b2);
スキャナー素子の最外側に設けられるバリア領域に絶縁膜を形成するステップ(b3);
ミラー表面、配線、及びバリアの該当する位置に金属(metal)の蒸着を行うステップ(b4);
DRIE工程で上記Siウェハーの上端の内側にスキャナー駆動及びセンシング用のSi電極を設けると同時に、内部電極からトレンチで分離された別のバリアをチップ(chip)の外縁に設けるステップ(b5);
内部電極と外部バリアとの間にワイヤリング(wiring)を行うステップ(b6);及び、
外部構造体上に真空雰囲気下で半球形状又は楕円体形状透過窓を接着することで封止を行うステップ(b7);
を含む、光スキャナーパッケージの製造方法。
【請求項24】
上記キャビティーを形成するステップ(b1)において、Siウェハーの代わりにキャビティーを有するガラスウェハーの陽極接合(anodic bonding)を行うことを特徴とする、請求項23に記載の光スキャナーパッケージの製造方法。
【請求項25】
上記別のバリアを設けるステップ(b5)におてい、上記バリアは、電気的フローティング(floating)を防止するため、内部電極と、トレンチを形成せずに直接連結するものであることを特徴とする、請求項23又は24に記載の光スキャナーパッケージの製造方法。
【請求項26】
上記透過窓を接着することで封止を行うステップ(b7)において、上記透過窓の接着を強化するため、金属上に複数個の孔(hole)又は窪み(dimple)を形成することを特徴とする、請求項23又は24に記載の光スキャナーパッケージの製造方法。
【請求項27】
光スキャナーパッケージの製造方法であって、
Siウェハーにウェットエッチング又はDRIEを用いてキャビティーを形成するステップ(c1);
酸化膜(Buried Oxide、BOX)が形成された別のSiウェハーとフュージョン接合を行った後、CMPで上記Siウェハーの上端の高さを低くするステップ(c2);
DRIE工程で上記Siウェハーの上端に、内部電極とバリアとの間にトレンチを形成するステップ(c3);
絶縁体を上記トレンチに埋め込んで上記バリアの上部まで蒸着するステップ(c4);
内部電極とバリアとの電気的接続及びミラー反射面の形成のため、金属の蒸着を行うステップ(c5);
金属をパッシベーション(passivation)した後、DRIEでスキャナー素子のパターンを形成するステップ(c6);及び、
外部構造体上に真空雰囲気下で半球形状又は楕円体形状透過窓を接着することで封止を行うステップ(c7);
を含む、光スキャナーパッケージの製造方法。
【請求項28】
上記キャビティーを形成するステップ(c1)において、高真空を維持するため、残留ガスを吸着するゲッター(getter)物質を内部空間に追加することを特徴とする、請求項27に記載の光スキャナーパッケージの製造方法。
【請求項29】
上記絶縁体を埋め込んで蒸着するステップ(c4)の後に平坦化工程をさらに行うことを特徴とする、請求項27又は28に記載の光スキャナーパッケージの製造方法。
【請求項30】
光スキャナーパッケージの製造方法であって、
Siウェハーを準備するステップ(d1);
酸化膜(Buried Oxide、BOX)が形成された別のSiウェハーとフュージョン接合を行った後、CMPでSiウェハーの上端の高さを低くするステップ(d2);
配線の該当する位置に金属の蒸着を行うステップ(d3);
DRIE工程でSiウェハーの上端の内側にスキャナー駆動及びセンシング用のSi電極を形成すると同時に、内部電極からトレンチで分離された別のバリアをチップの外縁に形成するステップ(d4);
(100)Siの下部基板に結晶性ウェットエッチングを用いてスルーホール(through-hole)を形成するステップ(d5);
ミラーの内側をスキャナーの反射面として使用するため、金属のコーティングを行うステップ(d6);
別のSiウェハーに絶縁膜パターンを形成するステップ(d7);
上記別のSiウェハーに金属ライン(metal line)を形成した後、パッシベーションされた状態でキャビティーを形成するステップ(d8);及び、
スキャナー素子が配設されたウェハーを裏返した後、フリップチップ接合(flip-chip bonding)で上記別のSiウェハーを取り付けるステップ(d9);
を含む、光スキャナーパッケージの製造方法。
【請求項31】
上記別のSiウェハーを取り付けるステップ(d9)において、上記内部電極は、導電性の溶接で接着し、上記外部バリアは、絶縁体で接着することを特徴とする、請求項30に記載の光スキャナーパッケージの製造方法。
【請求項32】
上記バリアをチップの外縁に形成するステップ(d4)が、上記スルーホールを形成するステップ(d5)の後に行われることを特徴とする、請求項30又は31に記載の光スキャナーパッケージの製造方法。
【請求項33】
光スキャナーパッケージの製造方法であって、
Siウェハーを準備し、酸化膜(Buried Oxide、BOX)が形成された別のSiウェハーとフュージョン接合を行った後、CMPでSiウェハーの上端の高さを低くするステップ(d1);
配線及びバリアの該当する位置に金属の蒸着を行うステップ(d2);
DRIE工程でSiウェハーの上端の内側にスキャナー駆動及びセンシング用のSi電極を形成すると同時に、内部電極からトレンチで分離された別のバリアをチップの外縁に形成するステップ(d3);
(100)Siの下部基板に結晶性ウェットエッチングを用いてスルーホールを形成するステップ(d4);
ミラーの内側をスキャナーの反射面として使用するため、金属のコーティングを行うステップ(d5);
上記Siの下部基板の上面に透過窓を接合するステップ(d6);
上記Siウェハーの上端に半田付けを行うステップ(d7);及び、
金属ラインが形成され、キャビティーを有する別の回路基板を準備し、スキャナー素子が配設されたウェハーを裏返した後、フリップチップ接合で上記別の回路基板を取り付けるステップ(d8);
を含む、光スキャナーパッケージの製造方法。
【請求項34】
上記別の回路基板は、PCB、セラミック回路基板、及びASICのような基板のうちのいずれか1つであることを特徴とする、請求項33に記載の光スキャナーパッケージの製造方法。
【請求項35】
上記別の回路基板を取り付けるステップ(d8)において、上記内部電極及び上記外部バリアは、導電性の溶接で接着することを特徴とする、請求項33又は34に記載の光スキャナーパッケージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光スキャナーパッケージ及びその製造方法に関し、より詳しくは、透過窓で反射された副反射光とミラーで反射された主反射光の干渉を最小化することができる、透過窓を含む光スキャナーパッケージ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ライダー(Light Detection And Ranging、LiDAR)、ピコプロジェクター(pico-projector)のような小型の画像センサー又はディスプレイにおいて、画像領域に光を照射(illumination)する必要がある。なお、対象領域をレーザー光源でスキャン(scan)すると、解像度及びコントラスト(contrast)に優れた画像が得られる。
【0003】
スキャンのために小型、高速、低電力の特性を有するMEMS(Micro Electro Mechanical System)スキャナーが脚光を浴びており、このようなMEMSスキャナーは、ミラー25、スプリング22、駆動機30、固定体21から構成され、下部に基底層40をさらに有することができる(図1参照)。
【0004】
レーザースキャン角度(ミラー駆動角度の2倍)は、画像のサイズと直接的な関連にあり、電圧が同一である条件で、ミラー駆動角度を大きくするためには、空気ダンピング(air damping)を緩和する必要がある。
【0005】
ミラー駆動角度を拡大するため、共振周波数で駆動することができるが、当該領域は、ダンピング制御領域(damping-controlled region)であるため、真空度を高くするほど駆動角が大きくなる。
【0006】
真空を維持するためには、ハーメチックシーリング(hermetic sealing)のための透過窓(window cover)が必要であり、このとき、レーザー通過領域の透過度が高い場合は、反射によるノイズ(noise)干渉及びエネルギー損失が小さくなる。
【0007】
MEMSミラースキャナーは、自律走行の核心センサーであるライダー(LiDAR)において、画像(イメージ)の測定に必須なレーザーの高速スキャンに使用される(図2参照)。
【0008】
図3を参照すると、透過窓50の透過度を高めるために無反射コーティング(Anti-Reflection Coating、ARC)が施されるが、完全な無反射コーティングを得ることはできない。よって、入射光70の大部分がミラー25で反射する主反射(ミラー初期位置では符号71、スキャン時は符号71a、71bで示す)と共に、透過窓の表面で反射する副反射(sub-reflection)(符号72で示す)が発生する。透過窓の厚さは、1mm以内であるため、これによる軌跡変化については省略している。
【0009】
透過窓が水平で入射光とスキャン方向(θ)とが一つの平面(図3中、x-z平面)内にある場合、副反射光72がミラー25で反射された主反射光71、71a、71bと重なりレーザースキャン領域を乱すことになる。副反射の比率は、通常数%に過ぎないが、位置が固定されているため、速い速度で動く主反射より強さ(intensity)が高い場合がほとんどである。この副反射光は、測定位置に位置していない他の物体で反射されながらノイズ信号として作用するため、映像の品質(quality)が低下し、又はヒトが画像領域内にいる場合、角膜などにダメージが生じるというアイセーフティ(eye safety)の問題がある。
【0010】
この問題を解決するため、図4に示されるように、透過窓50を水平に維持する代わりに、スキャナー素子をφだけ傾斜させる方法が提案されている。ここで、副反射光72が、主反射光71の上方の境界(符号71aで示す)から角度上で十分に離れるようにスキャナー素子を十分に傾斜させる必要がある。副反射光72がレーザーに戻ると、レーザーが不安定になるため、入射光70からも角度上で離れている必要がある。このようにスキャナー素子を傾斜させるためには、ピラー(pillar)構造を備えた基板がさらに必要になる。
【0011】
スキャナー素子を傾斜させる代わりに、図5のように平板状透過窓50をφだけ傾斜させる場合でも、副反射光72がスキャン領域から離れるようになるという効果が得られる。しかし、スキャン角度(γ)が大きくなる場合、最大出射角(β)が大きくなって無反射コーティングを設計し難くなり、これによる光損失が発生する可能性がある。図6のように、入射平面(x-z平面)と駆動平面(θ)とが互いに垂直であるとき、副反射光72は、主反射光71のスキャン角度(γ)とは関係がないため、副反射光72との離隔は容易に行われる。
【0012】
上記のような方式で副反射光の問題を解決するための技術として、図7に示すようなスキャナーパッケージング構造が、米国公開特許公報US2006/0176539号(特許文献1)に示されている。
【0013】
しかし、図5図7に示されるように、片方の軸にだけ透過窓が傾斜している場合、透過窓が傾斜した方向に入射しなければならないという制約がある。この問題を解決するためには、透過窓の傾きが、x、yの両軸の方向に傾斜することが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国公開特許公報US2006/0176539(公開日:2006.08.10)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上述のような従来技術における副反射の問題を解決するために案出されたものであり、副反射による干渉を低減することができると共に、入射角(α)及び最大出射角(β)が小さいため、無反射コーティングの設計が容易であり、また、光損失を低減することができる透過窓構造を有するMEMSミラースキャナー及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決するため、本発明による光スキャナーパッケージは、ミラー、スプリング、駆動機、固定体を含むMEMSスキャナー素子;上記MEMSスキャナー素子の上部又は下部に位置し、上記MEMSスキャナー素子と接合された形態で上記MEMSスキャナー素子を支持する下部基板;及び、外形が半球形状(semi-spherical)又は楕円体形状(ellipsoid)の一部に該当するシェル(shell)形状を有し、下部に連続的に繋がっている接合面を有する透過窓;を含み、上記透過窓は、2軸で曲率を有する構造を備えることができる。
【0017】
また、本発明による光スキャナーパッケージは、入射光と出射光が通過する透過窓の一部領域に、レーザービームの断面形状を変化させ得るレンズ又は光学要素を含む。上記レンズは、上記透過窓と一体型であることができる。
【0018】
また、本発明による光スキャナーパッケージにおいて、上記透過窓は、上記透過窓の下部直径Dと高さhとの比が0.3~0.4の範囲にある、浅い半球形状又は楕円体形状の一部であることができる。
【0019】
また、本発明による光スキャナーパッケージにおいて、上記下部基板は、ガラス材からなり、上記下部基板の上部には、キャビティー(cavity)が存在することができる。
【0020】
また、本発明による光スキャナーパッケージにおいて、上記下部基板の上下方向にビアメタル(via metal)で埋め込むことができる。
【0021】
また、本発明による光スキャナーパッケージにおいて、上記透過窓において入射光及び出射光の領域を除く領域に不透明な遮断膜を設けることができる。
【0022】
また、本発明による光スキャナーパッケージは、結晶性シリコンからなる下部基板の上部に存在する傾斜面の角度が54.7°であるキャビティー;電極分離のためにスキャナーの外部にトレンチ(trench)構造で形成されたシリコン電極;トレンチ構造の外側に途切れなく形成されるシリコンバリア(barrier);上記バリア上に形成された絶縁膜;及び、上記シリコン電極及び絶縁膜の上に形成された2種類の金属電極;をさらに含み、上記シリコンバリアの金属電極上に封止された透過窓を配設することができる。
【0023】
また、本発明による光スキャナーパッケージにおいて、上記透過窓の下部は、ガラス封止材で貼合することができる。
【0024】
また、本発明による光スキャナーパッケージは、キャビティーが下部に貫通した下部基板を封止するための別のシリコン基板又は回路基板を含むことができる。
【0025】
また、本発明による光スキャナーパッケージは、トレンチ構造を埋め込んでバリア上に形成された絶縁膜;及び、上記絶縁膜上に形成された金属回路パターン;をさらに含み、上記金属パターン上に封止された透過窓を含むことができる。
【0026】
また、本発明による光スキャナーパッケージは、上記下部基板の下部側に行くほど広くなるか、又は同一の断面形状を有するキャビティー;ミラーの下部に形成された金属反射膜;及び、スキャナー素子と下部基板の上下位置が入れ替わった状態でソルダーで封止される回路基板を基底層として含むことができる。
【0027】
また、本発明による光スキャナーパッケージは、上記スキャナー素子の電極はソルダーで、バリアはガラス封止材で貼り付けられたキャビティーを有するシリコン基板を含むことができる。
【0028】
また、本発明による光スキャナーパッケージは、上記スキャナー素子の電極と、バリア上にガラス封止材で貼り付けられたキャビティーを有するシリコン基板を含むことができる。
【0029】
また、本発明による光スキャナーパッケージは、上記基底層に代わるチップキャリア(chip carrier)を含むことができる。
【0030】
また、本発明による光スキャナーパッケージにおいて、上記透過窓の下部は、正方形又は長方形形状であることができる。
【0031】
また、本発明による光スキャナーパッケージにおいて、上記チップキャリアの内側形状が四角形状である場合、中央部位に円状の大きなホールが穿孔された金属基板を追加して使用することができる。
【0032】
また、本発明による光スキャナーパッケージにおいて、上記透過窓に形成された遮断膜は、上記透過窓の内側面と外側面の少なくとも一部の領域に300~600nm波長の一部の範囲で3%以下の光学的反射度を有する無反射コーティング層であることができる。
【0033】
また、本発明による光スキャナーパッケージにおいて、上記透過窓は、0.2~0.8mm厚さのガラス材からなり、上記透過窓の下部の接合面部位は、0.4~1.6mm厚さのものであることができる。
【0034】
また、本発明による光スキャナーパッケージは、上記透過窓、上記MEMSスキャナー素子、及び上記基底層は、接合によって封止される構造をなし、封止された内部の圧力は、10-1~10-4気圧の真空状態を形成するものであることができる。
【0035】
また、本発明による光スキャナーパッケージの製造方法は、ガラスウェハー(glass wafer)にウェットエッチング(wet etching)を用いてキャビティー(cavity)を形成するステップ(a1);スキャナー素子との電気的接続のため、上記ガラスウェハーにDRIE又はサンドブラスト(sand blast)を用いてビアホール(via hole)を形成するステップ(a2);上記ビアホールの位置に整列して別のSiウェハーに金属パターン(seed layer)を形成するステップ(a3);上記ガラスウェハーとSiウェハーとを陽極接合(anodic bonding)するステップ(a4);上記ビアホールに導電性材料を埋め込むステップ(a5);上記Siウェハーの上端(top)をCMP加工して高さを低くするステップ(a6);ミラー表面、電気配線(interconnection)、及びパッド(pad)上に金属パターンを形成するステップ(a7);DRIE工程で上記Siウェハーの上端に素子構造及び電極を形成するステップ(a8);及び、外部構造体上に半球形状又は楕円体形状透過窓を接合するステップ(a9);を含むことができる。
【0036】
また、本発明による光スキャナーパッケージの製造方法において、上記透過窓を接合するステップ(a9)の後に、表面実装技術(Surface Mounting Technology)を用いてPCB(Printed Circuit Board)に接着するステップをさらに含むことができる。
【0037】
また、本発明による光スキャナーパッケージの製造方法は、Siウェハーにウェットエッチング又はDRIEを用いてキャビティーを形成するステップ(b1);酸化膜(Buried Oxide、BOX)が形成された別のSiウェハーとフュージョン接合(fusion bonding)を行った後、CMPで上記Siウェハーの上端の高さを低くするステップ(b2);スキャナー素子の最外側に配設されるバリア領域に絶縁膜を形成するステップ(b3);ミラー表面、配線、及びバリアの該当する位置に金属(metal)の蒸着を行うステップ(b4);DRIE工程で上記Siウェハーの上端の内側にスキャナー駆動及びセンシング用のSi電極を設けると同時に、内部電極からトレンチで分離された別のバリアをチップ(chip)の外縁に設けるステップ(b5);内部電極と外部バリアとの間にワイヤリング(wiring)を行うステップ(b6);及び、外部構造体上に真空雰囲気下で半球形状又は楕円体形状透過窓を接着することで封止を行うステップ(b7);を含むことができる。
【0038】
また、本発明による光スキャナーパッケージの製造方法において、上記キャビティーを形成するステップ(b1)において、Siウェハーの代わりに、キャビティーを有するガラスウェハーと陽極接合を行うことができる。
【0039】
また、本発明による光スキャナーパッケージの製造方法において、上記別のバリアを設けるステップ(b5)において、上記バリアは、電気的フローティング(floating)を防止するため、内部電極と、トレンチを形成せずに直接連結されるものであることができる。
【0040】
また、本発明による光スキャナーパッケージの製造方法において、上記透過窓を接着することで封止を行うステップ(b7)において、上記透過窓の接着を強化するため、金属上に複数個の孔(hole)又は窪み(dimple)を形成することができる。
【0041】
また、本発明による光スキャナーパッケージの製造方法は、Siウェハーにウェットエッチング又はDRIEを用いてキャビティーを形成するステップ(c1);酸化膜(Buried Oxide、BOX)が形成された別のウェハーとフュージョン接合を行った後、CMPで上記Siウェハーの上端の高さを低くするステップ(c2);DRIE工程で上記Siウェハーの上端に、内部電極とバリアとの間にトレンチを形成するステップ(c3);絶縁体を上記トレンチに埋め込んで上記バリアの上部まで蒸着するステップ(c4);内部電極とバリアとの電気的接続及びミラー反射面の形成のため、金属の蒸着を行うステップ(c5);金属をパッシベーション(passivation)した後、DRIEでスキャナー素子のパターンを形成するステップ(c6);及び、外部構造体上に真空雰囲気下で半球形状又は楕円体形状透過窓を接着することで封止を行うステップ(c7);を含むことができる。
【0042】
また、反射面の形成のための誘電体薄膜を最先に製造することができる。
【0043】
また、本発明による光スキャナーパッケージの製造方法において、上記キャビティーを形成するステップ(c1)において、高真空を維持するため、残留ガスを吸着するゲッター(getter)物質を内部空間に追加することができる。
【0044】
また、本発明による光スキャナーパッケージの製造方法において、上記絶縁体を埋め込んで蒸着するステップ(c4)の後に、平坦化工程をさらに行うことができる。
【0045】
また、本発明による光スキャナーパッケージの製造方法は、Siウェハーを準備するステップ(d1);酸化膜(Buried Oxide、BOX)が形成された別のSiウェハーとフュージョン接合を行った後、CMPでSiウェハーの上端の高さを低くするステップ(d2);配線の該当する位置に金属の蒸着を行うステップ(d3);DRIE工程でSiウェハーの上端の内側にスキャナー駆動及びセンシング用のSi電極を形成すると同時に、内部電極とトレンチで分離された別のバリアをチップの外縁に形成するステップ(d4);(100)Siの下部基板に結晶性ウェットエッチングを用いてスルーホール(through-hole)を形成するステップ(d5);ミラーの内側をスキャナーの反射面として使用するため、金属をコーティングするステップ(d6);別のSiウェハーに絶縁膜のパターンを形成するステップ(d7);上記別のSiウェハーに金属ライン(metal line)を形成した後、パッシベーションされた状態でキャビティーを形成するステップ(d8);及び、スキャナー素子が配設されたウェハーを裏返した後、フリップチップ接合(flip-chip bonding)で上記別のSiウェハーを取り付けるステップ(d9);を含むことができる。
【0046】
また、本発明による光スキャナーパッケージの製造方法において、上記別のSiウェハーを取り付けるステップ(d9)において、内部電極は、導電性の溶接で接着し、外部バリアは、絶縁体で接着することができる。
【0047】
また、本発明による光スキャナーパッケージの製造方法において、上記バリアをチップの外縁に形成するステップ(d4)は、上記スルーホールを形成するステップ(d5)の後に行うこともできる。
【0048】
また、本発明による光スキャナーパッケージの製造方法は、Siウェハーを準備し、酸化膜(Buried Oxide、BOX)が形成された別のSiウェハーとフュージョン接合を行った後、CMPでSiウェハーの上端の高さを低くするステップ(d1);配線及びバリアの該当する位置に金属の蒸着を行うステップ(d2);DRIE工程でSiウェハーの上端の内側にスキャナー駆動及びセンシング用のSi電極を形成すると同時に、内部電極からトレンチで分離された別のバリアをチップの外縁に形成するステップ(d3);(100)Siの下部基板に結晶性ウェットエッチングを用いてスルーホールを形成するステップ(d4);ミラーの内側をスキャナーの反射面として使用するため、金属をコーティングするステップ(d5);上記Siの下部基板の上面に透過窓を接合するステップ(d6);上記Siウェハーの上端に半田付けを行うステップ(d7);及び、金属ラインが形成され、キャビティーを有する別の回路基板を準備し、スキャナー素子が配設されたウェハーを裏返した後、フリップチップ接合で上記別の回路基板を取り付けるステップ(d8);を含むことができる。
【0049】
また、本発明による光スキャナーパッケージの製造方法において、上記別の回路基板は、PCB、セラミック回路基板、及びASICのような基板のうちのいずれか1つであることができる。
【0050】
また、本発明による光スキャナーパッケージの製造方法において、上記別の回路基板を取り付けるステップ(d8)において、内部電極及び外部バリアは、導電性の溶接で接着することができる。
【発明の効果】
【0051】
上述のように構成される本発明によれば、半球形状透過窓の入射と出射の位置において透過窓の傾きが互いに異なっているため、副反射(sub-Reflection)による干渉を低減することができる。
【0052】
また、入射角(α)及び最大出射角(β)が小さいため、無反射コーティングの設計が容易であり、光損失を低減することができる。
【0053】
また、レーザーのスキャン角(γ)が大きい場合でも、最大出射角(β)が小さいため、出射レーザー光の特性変化が小さいという長所を有する。
【0054】
また、2軸の両側のいずれにも曲率を有するため、2軸駆動においても入射方向に対する制限が小さい。
【0055】
また、半球形状(又は、浅い半球形状)を有するように製造された透過窓は、内部が真空状態である場合、外部圧力に対して凝縮圧力を示し、応力が集中することがないため、厚さを0.4~0.8mm程度に薄く製作することができる。
【0056】
また、透過窓は、ミラーの回転空間を確保するため、元々は段差を設けて形成する必要があるが、同じ高さの突出構造を用いることで目的を達成することができるため、工程を追加して行う必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】ミラー、スプリング、駆動機、固定体、及び下部基板から構成される従来のMEMSスキャナーの構造を示す図である。
図2】自律走行の核心センサーであるLiDARに使用されるMEMSスキャナーの例示を示す図である。
図3】入射光の一部が透過窓の表面で反射してスキャンの範囲内に入る場合を示す図である。
図4】スキャニングミラーを入射角の方向に傾ける場合を示す図である。
図5】入射角方向に透過窓を傾ける場合を示す図である。
図6】入射平面と駆動平面とが互いに垂直であるとき、副反射光が主反射光のスキャン角とは無関係であることを示す図である。
図7】副反射の問題を解決するため透過窓を傾斜させている従来の光スキャナーパッケージ構造を示す図である。
図8】本発明の一実施例に係る、キャビティーを有するガラス下部基板、及び半球形状透過窓から構成される光スキャナーパッケージ構造を示す図である。
図9】本発明のスキャナーにおいて、入射平面と駆動平面とが互いに垂直であるとき、副反射光が主反射光のスキャン角とは無関係であることを示す図である。
図10】本発明の他の実施例に係るレンズ又は光学要素が結合された透過窓が適用される光スキャナーパッケージ構造を示す図である。
図11図8中の光スキャナーパッケージの製造過程を示す図である。
図12】傾斜面のキャビティーを有するシリコン下部基板と電極との分離のためにトレンチが形成された光スキャナーパッケージ構造を示す図である。
図13図12中の光スキャナーパッケージの製造過程を示す図である。
図14】垂直断面のキャビティーを有するシリコン下部基板、封止のための基底層、及び電極分離のためにトレンチが形成された光スキャナーパッケージ構造を示す図である。
図15】貫通したキャビティーを有するシリコン下部基板が回路基板に封止された光スキャナーパッケージ構造を示す図である。
図16図14中の光スキャナーパッケージの製造過程を示す図である。
図17】トレンチに絶縁物質を埋め込んだ光スキャナーパッケージ構造を示す図である。
図18】効果的な封止のために絶縁膜を蒸着した後に平坦化工程を行った光スキャナーパッケージ構造を示す図である。
図19図17中の光スキャナーパッケージの製造過程を示す図である。
図20】円滑な電気的接続のためにスキャナー素子を裏返した状態で傾斜したキャビティーを製造した後、別途の基底層を用いて封止を行った光スキャナーパッケージ構造を示す図である。
図21図20において、キャビティーが含まれたPCB基板を基底層として使用してソルダーで封止した光スキャナーパッケージ構造を示す図である。
図22図20において、下部基板に垂直断面のキャビティーを形成した光スキャナーパッケージ構造を示す図である。
図23図21において、下部基板に垂直断面のキャビティーを形成した光スキャナーパッケージ構造を示す図である。
図24図21中の光スキャナーパッケージの製造過程を示す図である。
図25図21において、別のSiウェハーの代わりに駆動及びセンシング回路を含むCMOSのシリコン基板を使用した光スキャナーパッケージ構造を示す図である。
図26図25において、下部のSi回路基板のスルーホールを介して底面のソルダーパッドと電気的に接続される電気配線を有する光スキャナーパッケージ構造を示す図である。
図27】チップキャリアを用いた光スキャナーパッケージ構造を示す図である。
図28】本発明の一実施例に係る光スキャナーパッケージの3次元形状を示す図である。
図29図28中の光スキャナーパッケージが中央線に沿って切断された形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図8は、本発明の一実施例に係る、キャビティーを有するガラス下部基板113及び半球形状透過窓51から構成される光スキャナーパッケージ構造を示す。図8中の光スキャナーパッケージ構造は、スキャナー素子100、キャビティー311を有する下部基板113、及び半球形状透過窓51から構成されている。透過窓51は、浅い半球形状(shallow semi-spherical)の形態であることから、入射と出射の位置で透過窓の傾きが互いに異なるため、副反射による干渉を低減することができる。浅い半球形状であって直径Dに対する高さhの比が0.3~0.4の範囲にある場合、副反射光がレーザーに戻る光量を低減することができ、これにより、レーザーの不安定さを減らすことができる。浅い半球形状である場合、入射角(α)が直角でなく、鋭角を有する。
【0059】
図8に記載の実施例では、入射角(α)及び最大出射角(β)が小さいため、無反射コーティングの設計が容易であって光損失を低減することができる。レーザーのスキャン角(γ)が大きい場合でも、最大出射角(β)が小さいため、出射レーザー光の特性変化が小さい。また、2軸の両側のいずれにも曲率を有するため、2軸駆動であっても入射方向に対する制限が少なくなる。透過窓は、真球形(sphere)の一部である必要はなく、ラグビーボールのような楕円体(ellipsoid)の一部であることができる。
【0060】
図9は、本発明のスキャナーにおいて、入射平面と駆動平面とが互いに垂直であるとき、副反射光が主反射光のスキャン角と無関係であることを示す図である。図9は、半球形状の特性によって、x、y軸の両方向に曲率を有し、駆動の垂直方向に対しても副反射の問題がはるかに少ないことを示している。透過窓の形態は、2軸で曲率を有する構造であり、下部は、図27に示されるように、チップ形状と似た四角形の形状であることもできる。透過窓の下部が四角形の形状であっても、上方に行くほど球形(spherical)構造を有するようにすることができ、この場合においても、副反射の干渉を効果的に回避することができる。他の光との干渉を回避するため、入射光及び出射光の領域を除いて不透明にして使用される光波場において不透明なコーティング(optical shield)の遮断膜221を形成することができる。
【0061】
半球形状の構造では、外部から圧力が加えられると、圧縮応力が示され、応力が集中することもない。ガラスは、圧縮応力に強いため、1気圧で厚さを0.4~0.8mm程度に薄く製作しても、安全に使用できる。通常、スキャナー部品は、システムケースで保護されており、直接的な衝撃が加えられることはほとんどない。 数十Gの加速度による間接的な衝撃が加えられた場合でも、応力への影響は、外部圧力に比べて1/10以下であるため、無視できる。
【0062】
図10には、本発明の他の実施例に係る、レンズが結合された透過窓が適用された光スキャナーパッケージ構造が示されている。図10に示されるように、入射光70がコリメーション(collimation)である場合、入射光及び出射光の位置にレンズ222、例えば、凸レンズを位置させると、出射光71は再びコリメーションとなる。このとき、ミラー125に到達するビームの断面積が小さくなるため、ミラーのサイズが小さくても良く、従って、高い周波数でスキャンする時に発生するミラーの動的変形(dynamic deformation)も低減する。
【0063】
一方、透過窓が半球形状である場合は、入射角と出射角が常時垂直をなすようになり、これにより、レーザービームの断面形状は大きく変わらないが、透過窓の高さが多少高くなるという問題がある。この高さを低くするためには、透過窓の下部直径Dと高さhとの比が、0.3~0.4の範囲にある浅い半球形状であるか、楕円体の一部を使用することができる。この場合、レーザービームの断面形状の変化が極力抑制されるように、入射光と出射光が通過する透過窓の一部の領域に、レーザービームの形状を補正するための球面レンズ又は非球面光学要素を含むことができる。
【0064】
ミラーの駆動角度は、空気抵抗(air squeeze damping)に大きな影響を受けるが、ミラーのサイズが小さくなると、空気抵抗も小さくなって、駆動角を大きくするか、又は駆動周波数を上げることができる。駆動角度又は駆動周波数を同一に維持する場合は、駆動機(例えば、くし形電極)の一部を、駆動角度の測定のための一体型(integrated)センサーとして活用することもできる。レンズは、透過窓と一体型で製作することができ、結果的に、一体型レンズと一体型センサーを用いてライダー(LiDAR)などの光学システムをコンパクトに製作することができる。一体型レンズを有する透過窓は、射出成形で製作でき、必要に応じて、非球面レンズ及び凹レンズと組み合わせて製作することもできる。
【0065】
図11には、図8中の光スキャナーパッケージの製造過程が示されている。図11を参照して、本発明の一実施例に係る光スキャナーパッケージ、即ち、MEMSミラースキャナーの製造方法について説明すると、後述の通りである。但し、エッチングマスクとして使用される感光膜のパターンを製作する過程は、必須な工程であるため、光スキャナーパッケージの製造過程については説明を省略する。
【0066】
a1)ガラスウェハー(glass wafer)にウェットエッチング(wet etching)を用いてキャビティー(cavity)311を形成する。
a2)Siスキャナー素子との電気的接続のため、ガラスウェハーにDRIE又はサンドブラスト(sand blast)を用いてビアホール(via-hole)を設ける。
a3)ビアホールの位置に整列して別のSiウェハーに金属パターンであるシード層(seed layer)211を設ける。
a4)ガラスウェハーとSiウェハーとの陽極接合(anodic bonding)を行う。
a5)ビアホールに導電性材料を埋め込む。例えば、導電性材料は、電気メッキを用いてビアホールに埋め込まれる。金属で埋め込まれたビアホールは、ビアメタル(via metal)212と呼ばれることもある。
a6)CMPで上端(top)のSiの高さを揃える。Siの高さは、おおよそ30~90umとする。
a7)ミラーの表面、電気配線、及びパッド(pad)上に金属パターンを設ける。
a8)DRIE工程で上端のSiに素子構造及び電極を形成する。この場合、キャビティーにおいてリリーズ(release)工程を行う必要がない。
a9)真空エポキシ(vacuum epoxy)、フリットガラス(frit glass)、又は陽極接合(anodic bonding)を用いて外部構造体上に半球形状透過窓52を接合する。
【0067】
上記工程a9)の後に表面実装技術(SMT)を用いてPCBに接着することができる。
【0068】
上述のような製造過程において、工程a5)を工程a9)の後に行うこともできる。
【0069】
ガラス基板のビアメタルの工程が追加されるが、SMT(Surface Mount Technology)の適用が可能であるため、工程が単純でかつ製品の小型化が可能であるという長所がある。
【0070】
工程a9)において、ウェハーレベル(wafer-level)でSi上に透過窓をガラス陽極接合(glass anodic bonding)で接合すると、スキャナー素子が保護される状態となるため、チップダイシング(chip dicing)を容易に行うことが可能となる。
【0071】
工程a9)の接合過程が真空下で行われる場合、スキャナーの真空パッケージングが行うことが可能となる。
【0072】
本発明において使用されたSiは、結晶性シリコン(crystal Si)であり、これは、既存のポリシリコン(poly-Si)に比べて物性の再現性が良く、降伏応力(yield-stress)が3倍以上高いため、寿命(life-time)が長くなる。
【0073】
なお、ガラス透過窓を別途作成してダイシング(dicing)を行うと、チップレベル(chip-level)パッケージング用として使用することもできる。
【0074】
図12は、傾斜面のキャビティー311を有するシリコン下部基板113と電極との分離のためにトレンチ140が形成された光スキャナーパッケージ構造を示し、図12には、真空パッケージングのための電気配線(interconnection)の一実施例であるワイヤリング(wiring)が示されている。図12に示されたようなスキャナー素子100を単一(single)SOIとして製造する場合、工程が非常に簡単になり、電極分離のためにはトレンチ140を形成すれば良い。
【0075】
しかし、駆動角拡大のために真空パッケージングが必要な場合、上記トレンチは、深刻な漏洩(leak)の要因になり得る。
【0076】
本発明では、トレンチの漏洩及び配線の問題を、以下のような製造方法で解決している。図12及び図13を参照して上記製造方法を説明すると、後述の通りである。
【0077】
b1)Siウェハーにウェットエッチング又はDRIEを用いてキャビティー311を形成する。
b2)酸化膜(Buried Oxide、BOX)が形成された別のSiウェハーとフュージョン接合を行った後、CMPで上端のSiの高さを、おおよそ30~90umにする。
b3)素子の最外側に設けられるバリア142の領域に絶縁膜を形成する。
b4)ミラー表面、配線、及びバリアの該当する位置に金属の蒸着を行う。
b5)DRIE工程で上端のSiの内側にスキャナー駆動及びセンシング用のSi電極を形成すると同時に、内部電極145からトレンチで分離された別のバリア142をチップの外縁に設ける。
b6)内部電極145と外部バリア142との間にワイヤリングを行う。
b7)外部構造体上に真空エポキシ又はフリットガラスを用いて真空雰囲気下で透過窓51を接着することで封止を行う。
b8)透過窓51の外部でワイヤリングをさらに行う。
【0078】
上記工程b1)において、Siの代わりに、キャビティーを有するガラスウェハーを陽極接合で接合することもできる。
工程b5)におけるバリア142は、フローティング(floating)を防止するため、内部電極145と、トレンチを設けることなく直接連結することもできる。
工程b7)において、透過窓の接着を強化するため、金属上に複数個の孔(hole)及び窪み(dimple)を形成することもできる。
【0079】
図14は、垂直断面のキャビティー311を有するシリコン下部基板113、封止のための基底層40、及び電極分離のためのトレンチ140が形成された光スキャナーパッケージの構造を示す。図16は、図14中の光スキャナーパッケージの製造工程を示す。図14及び図16に示されるように、図13中の工程b1)、b2)の代わりに、SOIウェハー114を用いて、まず、スキャナー素子100と下部基板113にスルーホールを形成した後、別の基底層40の接合を行うこともできる。なお、スルーホールをスキャナー素子よりも先に形成する場合、スルーホールにポリマーを臨時的にコーティングしてスキャナー素子を安定的に製作することができる。スキャナー素子を先に製造する場合は、下部基板のスルーホールを製造する前に、スキャナー素子の保護のため、スキャナー素子にポリマーコーティングを施すことができる。
【0080】
また、図15に示されるように、最下部に、Si又はガラス基板の代わりに、PCB又はCCB(Ceramic Circuit Board)、又はASICのような回路基板321を使用することもできる。
【0081】
図17及び図18は、真空パッケージングのための電気配線の実施例であって、トレンチフィリング(trench filling)を用いて電気配線を形成する例が示される。図17及び図18には、トレンチ140に絶縁体141が埋め込まれた状態が示されている。
【0082】
図19には、図17中の光スキャナーパッケージの製造過程が示されており、その製造過程は、後述の通りである。
【0083】
c1)Siウェハーにウェットエッチング又はDRIEを用いてキャビティーを形成する。
c2)酸化膜(Buried Oxide、BOX)が形成された別のSiウェハーとフュージョン接合を行った後、CMPで上端のSiの高さを、おおよそ30~90umとする。
c3)DRIE工程で、上端のSiに、内部電極とバリアとの間にトレンチを設ける。
c4)絶縁体141を上記トレンチに埋め込んでバリアの上部まで蒸着させる。
c5)内部電極とバリアとの電気的接続及びミラー反射面の形成のため、金属の蒸着を行う。
c6)金属をパッシベーションした後、DRIEでスキャナー素子のパターンを形成する。
c7)外部構造体上に真空エポキシ又はフリットガラスを用いて真空雰囲気下で透過窓を接着することで封止を行う。
【0084】
上記工程c1)において、高真空を維持するため、残留ガスを吸着するゲッター(図14中の符号312)物質を内部空間に追加することができる。
【0085】
なお、図19中の製造過程において、反射面の形成のため、誘電体薄膜を最先に製作することもできる。
【0086】
図18に示されるように、透過窓の取り付け時に、通常、底面が平滑であるため、その対応する下部の取り付け面は、同じく段差なしに平滑である必要がある。従って、工程c4)の後に平坦化工程を行うことができる。
【0087】
工程c7)における透過窓の接着を円滑に行うため、工程c4)の後に平坦化工程を行うこともできる。
【0088】
上述のように、図17及び図18に記載の構造を、絶縁体のトレンチへのフィリングを用いて製造すると、ワイヤリングを行う必要がなく無駄な作業を省くことができるため、量産に有利である。
【0089】
図20図23には、PCB基板上にフリップチップ接合される実施例が示されている。図20中の光スキャナーパッケージのフリップチップ接合を用いた電気配線の過程については、後述の通りである
【0090】
d1)Siウェハーを準備する。
d2)酸化膜(Buried Oxide、BOX)が形成された別のSiウェハーとフュージョン接合を行った後、CMPで上端のSiの高さを、おおよそ30~90umとする。
d3)配線の該当する位置に金属の蒸着を行う。
d4)DRIE工程で上端のSiの内側にスキャナー駆動及びセンシング用のSi電極を形成すると同時に、内部電極からトレンチで分離された別のバリアをチップの外縁に設ける。
d5)(100)Siの下部基板113に結晶性ウェットエッチングを用いてスルーホールを形成する。
d6)ミラーの内側をスキャナーの反射面として使用するため、金属のコーティングを行う。
d7)別のSiウェハー(符号40で示す)に絶縁膜のパターンを形成する。
d8)上記別のSiウェハーに金属ラインを形成した後、パッシベーションされた状態でキャビティーを形成する。
d9)スキャナー素子が配設されたウェハーを裏返した後、フリップチップ接合で上記別のSiウェハーを貼り付ける。このとき、内部電極は、導電性溶接(conductive welding)で、外部バリアは、絶縁体で接着する。
【0091】
上記工程d4)を、工程d5)の後に行うこともできる。
【0092】
上記のような製造工程は、チップレベル又はウェハーレベルで真空パッケージングを行うことが可能である。
【0093】
図21は、図20において、キャビティーを含むPCB基板を基底層として使用してソルダーで封止した光スキャナーパッケージ構造を示し、図24は、図21中の光スキャナーパッケージの製造過程を示す。図21及び図24を参照すると、工程d7)において、別のSiウェハーの代わりに、キャビティーを有するPCB又はCCB(セラミック回路基板)又はASICのような回路基板321を使用することができる。このような場合は、電気配線の上端のSiの構造は、放射状方向に長くなるように製造される。これは、熱膨張差のある基板と接着する場合において、温度変化による剥離の危険性を最小化するためである。
【0094】
図22及び図23に示されるように、図21中のd5)において、結晶性エッチングの代わりに、DRIEを用いて下部基板113の垂直加工を行うことで、透過窓の大きさを小さくすることができる。図20図23において、下部基板の電気的フローティングを防止するため、さらにワイヤリングを行うことができる。
【0095】
図25は、図21において別のSiウェハーの代わりに駆動及びセンシング回路を含むCMOS用シリコン基板322を用いた光スキャナーパッケージ構造を示す。ミラーの駆動に必要な空間を確保するため、50~300um高さのメタルバンプ(metal bump)又はソルダーボール(solder ball)のようなソルダー352a、352bを用いて電気的接続及びシーリングを行うことができる。内側のソルダー352aは、電気的接続のための電極用であり、外側のソルダー352bは、シーリングのためのものである。このような構造では、ワイヤリングを別途行うことなく直接接合が可能である。図26は、図25において、下部のSi回路基板321のスルーホール353を介して底面のソルダーパッド354と電気的に連結される電気配線を有する光スキャナーパッケージの構造を示す。これによって、チップスケールのパッケージを実現することができる。
【0096】
図27には、チップキャリアを用いたパッケージ構造が示されており、半球形状透過窓が使用されているが、これをチップキャリア上に直接接着する方法で真空パッケージングを行うことができる。チップキャリアの内側形状は、透過窓の形態によって円形又は楕円形であることができる。チップキャリアの内側形状が四角形状である場合は、球面形状である透過窓に合わせるため、中央部位に円状の大きなホールが穿孔されたメタル基板を使用することができる。このような方法で製造された光スキャナーは、ハーメチックシーリング (hermetic sealing)でない場合、真空でなく通常の大気圧条件で使用することもできる。
【0097】
図28は、本発明の一実施例に係る光スキャナーパッケージの3次元形状を示し、図29は、中央線に沿って切断された形状を示す。図28及び図29には、3次元形状の光スキャナーパッケージが、固定体121、スプリング122、ミラー125、固定電極131、駆動電極132を含むスキャナー素子、及び透過窓51を含むものとして示されている。
【0098】
上述の記載は、本発明の技術思想を例示的に説明するものに過ぎず、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内で種々に修正、変更及び置換を行うことができる。従って、上述の実施例は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、これらの実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されない。本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内の全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0099】
100:スキャナー素子
11、111:上部基板
12、112:酸化膜
13、113:下部基板
113a:回路基板
114:SOIウェハー
21、121:固定体
22、122:スプリング
25、125:ミラー
126:金属反射膜
31、131:固定電極
32、132:駆動電極
140:トレンチ
141:絶縁体
142:バリア
145:内部電極
40:基底層
50、51、52:透過窓
70:入射光
71、71a、71b、171:主反射光
72、172:副反射光
211:シード層
212:ビアメタル
221:遮断膜
222:レンズ
311:キャビティー
312:ゲッター
321:回路基板
322:CMOS用シリコン基板
352、352a、352b:ソルダー
353:スルーホール
354:ソルダーパッド

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
【手続補正書】
【提出日】2022-11-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光スキャナーパッケージ及びその製造方法に関し、より詳しくは、透過窓で反射された副反射光とミラーで反射された主反射光の干渉を最小化することができる、透過窓を含む光スキャナーパッケージ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ライダー(Light Detection And Ranging、LiDAR)、ピコプロジェクター(pico-projector)のような小型の画像センサー又はディスプレイにおいて、画像領域に光を照射(illumination)する必要がある。なお、対象領域をレーザー光源でスキャン(scan)すると、解像度及びコントラスト(contrast)に優れた画像が得られる。
【0003】
スキャンのために小型、高速、低電力の特性を有するMEMS(Micro Electro Mechanical System)スキャナーが脚光を浴びており、このようなMEMSスキャナーは、ミラー25、スプリング22、駆動機30、固定体21から構成され、下部に基底層40をさらに有することができる(図1参照)。
【0004】
レーザースキャン角度(ミラー駆動角度の2倍)は、画像のサイズと直接的な関連にあり、電圧が同一である条件で、ミラー駆動角度を大きくするためには、空気ダンピング(air damping)を緩和する必要がある。
【0005】
ミラー駆動角度を拡大するため、共振周波数で駆動することができるが、当該領域は、ダンピング制御領域(damping-controlled region)であるため、真空度を高くするほど駆動角が大きくなる。
【0006】
真空を維持するためには、ハーメチックシーリング(hermetic sealing)のための透過窓(window cover)が必要であり、このとき、レーザー通過領域の透過度が高い場合は、反射によるノイズ(noise)干渉及びエネルギー損失が小さくなる。
【0007】
MEMSミラースキャナーは、自律走行の核心センサーであるライダー(LiDAR)において、画像(イメージ)の測定に必須なレーザーの高速スキャンに使用される(図2参照)。
【0008】
図3を参照すると、透過窓50の透過度を高めるために無反射コーティング(Anti-Reflection Coating、ARC)が施されるが、完全な無反射コーティングを得ることはできない。よって、入射光70の大部分がミラー25で反射する主反射(ミラー初期位置では符号71、スキャン時は符号71a、71bで示す)と共に、透過窓の表面で反射する副反射(sub-reflection)(符号72で示す)が発生する。透過窓の厚さは、1mm以内であるため、これによる軌跡変化については省略している。
【0009】
透過窓が水平で入射光とスキャン方向(θ)とが一つの平面(図3中、x-z平面)内にある場合、副反射光72がミラー25で反射された主反射光71aと重なりレーザースキャン領域を乱すことになる。副反射の比率は、通常数%に過ぎないが、位置が固定されているため、速い速度で動く主反射より強さ(intensity)が高い場合がほとんどである。この副反射光は、測定位置に位置していない他の物体で反射されながらノイズ信号として作用するため、映像の品質(quality)が低下し、又はヒトが画像領域内にいる場合、角膜などにダメージが生じるというアイセーフティ(eye safety)の問題がある。
【0010】
この問題を解決するため、図4に示されるように、透過窓50を水平に維持する代わりに、スキャナー素子をφだけ傾斜させる方法が従来技術に提案されている。ここで、副反射光72が、主反射光71の上方の境界(符号71aで示す)から角度上で十分に離れるようにスキャナー素子を十分に傾斜させる必要がある。副反射光72がレーザーに戻ると、レーザーが不安定になるため、入射光70からも角度上で離れている必要がある。このようにスキャナー素子を傾斜させるためには、ピラー(pillar)構造を備えた基板がさらに必要になる。
【0011】
スキャナー素子を傾斜させる代わりに、図5のように平板状透過窓50をφだけ傾斜させる場合でも、副反射光72がスキャン領域から離れるようになるという効果が得られる。しかし、スキャン角度(γ)が大きくなる場合、最大出射角(β)が大きくなって無反射コーティングを設計し難くなり、これによる光損失が発生する可能性がある。図6のように、入射平面(x-z平面)と駆動平面(θ)とが互いに垂直であるとき、副反射光72は、主反射光71のスキャン角度(γ)とは関係がないため、副反射光72との離隔は容易に行われる。
【0012】
上記のような方式で副反射光の問題を解決するための技術として、図7に示すようなスキャナーパッケージング構造が、米国公開特許公報US2006/0176539号(特許文献1)に示されている。
【0013】
しかし、図5図7に示されるように、片方の軸にだけ透過窓が傾斜している場合、透過窓が傾斜した方向に入射しなければならないという制約がある。この問題を解決するためには、透過窓の傾きが、x、yの両軸の方向に傾斜することが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国公開特許公報US2006/0176539(公開日:2006.08.10)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上述のような従来技術における副反射の問題を解決するために案出されたものであり、副反射による干渉を低減することができると共に無反射コーティングの設計が容易であり、また、光損失を低減することができる透過窓構造を有するMEMSミラースキャナー及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決するため、本発明による光スキャナーパッケージは、ミラー、スプリング、駆動機、固定体を含むMEMSスキャナー素子;上記MEMSスキャナー素子の上部又は下部に位置し、上記MEMSスキャナー素子と接合された形態で上記MEMSスキャナー素子を支持する下部基板;及び、外形が半球形状(semi-spherical)又は楕円体形状(ellipsoid)の一部に該当するシェル(shell)形状を有し、下部に連続的に繋がっている接合面を有する透過窓;を含み、上記透過窓は、2軸で曲率を有する構造を備えることができる。
【0017】
また、本発明による光スキャナーパッケージは、入射光と出射光が通過する透過窓の一部領域に、レーザービームの断面形状を変化させ得るレンズ又は光学要素を含む。上記レンズは、上記透過窓と一体型であることができる。
【0018】
また、本発明による光スキャナーパッケージにおいて、上記透過窓は、上記透過窓の下部直径Dと高さhとの比が0.3~0.4の範囲にある、浅い半球形状又は楕円体形状の一部であることができる。
【0019】
また、本発明による光スキャナーパッケージにおいて、上記下部基板は、ガラス材からなり、上記下部基板の上部には、キャビティー(cavity)が存在することができる。
【0020】
また、本発明による光スキャナーパッケージにおいて、上記下部基板の上下方向にビアメタル(via metal)で埋め込むことができる。
【0021】
また、本発明による光スキャナーパッケージにおいて、上記透過窓において入射光及び出射光の領域を除く領域に不透明な遮断膜を設けることができる。
【0022】
また、本発明による光スキャナーパッケージは、結晶性シリコンからなる下部基板の上部に存在する傾斜面の角度が54.7°であるキャビティー;上部基板上に電極分離のためにスキャナーの外部にトレンチ(trench)構造で形成されたシリコン電極;トレンチ構造の外側に途切れなく形成されるシリコンバリア(barrier);上記バリア上に形成された絶縁膜;及び、上記シリコン電極及び絶縁膜の上に形成された2種類の金属電極;をさらに含み、上記シリコンバリアの金属電極上に封止された透過窓を配設することができる。
【0023】
また、本発明による光スキャナーパッケージにおいて、上記透過窓の下部は、ガラス封止材で貼合することができる。
【0024】
また、本発明による光スキャナーパッケージは、キャビティーが下部に貫通した下部基板を封止するための別のシリコン基板又は回路基板を含むことができる。
【0025】
また、本発明による光スキャナーパッケージは、トレンチ構造を埋め込んでバリア上に形成された絶縁膜;及び、上記絶縁膜上に形成された金属回路パターン;をさらに含み、上記金属パターン上に封止された透過窓を含むことができる。
【0026】
また、本発明による光スキャナーパッケージは、上記下部基板の下部側に行くほど広くなるか、又は同一の断面形状を有するキャビティー;ミラーの下部に形成された金属反射膜;及び、スキャナー素子と下部基板の上下位置が入れ替わった状態でソルダーで封止される回路基板を基底層として含むことができる。
【0027】
また、本発明による光スキャナーパッケージは、上記スキャナー素子の電極はソルダーで、バリアはガラス封止材で貼り付けられたキャビティーを有するシリコン基板を含むことができる。
【0028】
また、本発明による光スキャナーパッケージは、上記スキャナー素子の電極と、バリア上にガラス封止材で貼り付けられたキャビティーを有するシリコン基板を含むことができる。
【0029】
また、本発明による光スキャナーパッケージは、上記基底層に代わるチップキャリア(chip carrier)を含むことができる。
【0030】
また、本発明による光スキャナーパッケージにおいて、上記透過窓の下部は、正方形又は長方形形状であることができる。
【0031】
また、本発明による光スキャナーパッケージにおいて、上記チップキャリアの内側形状が四角形状である場合、中央部位に円状の大きなホールが穿孔された金属基板を追加して使用することができる。
【0032】
また、本発明による光スキャナーパッケージにおいて、上記透過窓に形成された遮断膜は、上記透過窓の内側面と外側面の少なくとも一部の領域に300~600nm波長の一部の範囲で3%以下の光学的反射度を有する無反射コーティング層であることができる。
【0033】
また、本発明による光スキャナーパッケージにおいて、上記透過窓は、0.2~0.8mm厚さのガラス材からなり、上記透過窓の下部の接合面部位は、0.4~1.6mm厚さのものであることができる。
【0034】
また、本発明による光スキャナーパッケージは、上記透過窓、上記MEMSスキャナー素子、及び上記基底層は、接合によって封止される構造をなし、封止された内部の圧力は、10-1~10-4気圧の真空状態を形成するものであることができる。
【0035】
また、本発明による光スキャナーパッケージの製造方法は、ガラスウェハー(glass wafer)にウェットエッチング(wet etching)を用いてキャビティー(cavity)を形成するステップ(a1);スキャナー素子との電気的接続のため、上記ガラスウェハーにDRIE又はサンドブラスト(sand blast)を用いてビアホール(via hole)を形成するステップ(a2);上記ビアホールの位置に整列して別のSiウェハーに金属パターン(seed layer)を形成するステップ(a3);上記ガラスウェハーとSiウェハーとを陽極接合(anodic bonding)するステップ(a4);上記ビアホールに導電性材料を埋め込むステップ(a5);上記Siウェハーの上端(top)をCMP加工して高さを低くするステップ(a6);ミラー表面、電気配線(interconnection)、及びパッド(pad)上に金属パターンを形成するステップ(a7);DRIE工程で上記Siウェハーの上端に素子構造及び電極を形成するステップ(a8);及び、外部構造体上に半球形状又は楕円体形状透過窓を接合するステップ(a9);を含むことができる。
【0036】
また、本発明による光スキャナーパッケージの製造方法において、上記透過窓を接合するステップ(a9)の後に、表面実装技術(Surface Mounting Technology)を用いてPCB(Printed Circuit Board)に接着するステップをさらに含むことができる。
【0037】
また、本発明による光スキャナーパッケージの製造方法は、Siウェハーにウェットエッチング又はDRIEを用いてキャビティーを形成するステップ(b1);酸化膜(Buried Oxide、BOX)が形成された別のSiウェハーとフュージョン接合(fusion bonding)を行った後、CMPで上記Siウェハーの上端の高さを低くするステップ(b2);スキャナー素子の最外側に配設されるバリア領域に絶縁膜を形成するステップ(b3);ミラー表面、配線、及びバリアの該当する位置に金属(metal)の蒸着を行うステップ(b4);DRIE工程で上記Siウェハーの上端の内側にスキャナー駆動及びセンシング用のSi電極を設けると同時に、内部電極からトレンチで分離された別のバリアをチップ(chip)の外縁に設けるステップ(b5);内部電極と外部バリアとの間にワイヤリング(wiring)を行うステップ(b6);及び、外部構造体上に真空雰囲気下で半球形状又は楕円体形状透過窓を接着することで封止を行うステップ(b7);を含むことができる。
【0038】
また、本発明による光スキャナーパッケージの製造方法において、上記キャビティーを形成するステップ(b1)において、Siウェハーの代わりに、キャビティーを有するガラスウェハーと陽極接合を行うことができる。
【0039】
また、本発明による光スキャナーパッケージの製造方法において、上記別のバリアを設けるステップ(b5)において、上記バリアは、電気的フローティング(floating)を防止するため、内部電極と、トレンチを形成せずに直接連結されるものであることができる。
【0040】
また、本発明による光スキャナーパッケージの製造方法において、上記透過窓を接着することで封止を行うステップ(b7)において、上記透過窓の接着を強化するため、金属上に複数個の孔(hole)又は窪み(dimple)を形成することができる。
【0041】
また、本発明による光スキャナーパッケージの製造方法は、Siウェハーにウェットエッチング又はDRIEを用いてキャビティーを形成するステップ(c1);酸化膜(Buried Oxide、BOX)が形成された別のウェハーとフュージョン接合を行った後、CMPで上記Siウェハーの上端の高さを低くするステップ(c2);DRIE工程で上記Siウェハーの上端に、内部電極とバリアとの間にトレンチを形成するステップ(c3);絶縁体を上記トレンチに埋め込んで上記バリアの上部まで蒸着するステップ(c4);内部電極とバリアとの電気的接続及びミラー反射面の形成のため、金属の蒸着を行うステップ(c5);金属をパッシベーション(passivation)した後、DRIEでスキャナー素子のパターンを形成するステップ(c6);及び、外部構造体上に真空雰囲気下で半球形状又は楕円体形状透過窓を接着することで封止を行うステップ(c7);を含むことができる。
【0042】
また、反射面の形成のための誘電体薄膜を最先に製造することができる。
【0043】
また、本発明による光スキャナーパッケージの製造方法において、上記キャビティーを形成するステップ(c1)において、高真空を維持するため、残留ガスを吸着するゲッター(getter)物質を内部空間に追加することができる。
【0044】
また、本発明による光スキャナーパッケージの製造方法において、上記絶縁体を埋め込んで蒸着するステップ(c4)の後に、平坦化工程をさらに行うことができる。
【0045】
また、本発明による光スキャナーパッケージの製造方法は、Siウェハーを準備するステップ(d1);酸化膜(Buried Oxide、BOX)が形成された別のSiウェハーとフュージョン接合を行った後、CMPでSiウェハーの上端の高さを低くするステップ(d2);配線の該当する位置に金属の蒸着を行うステップ(d3);DRIE工程でSiウェハーの上端の内側にスキャナー駆動及びセンシング用のSi電極を形成すると同時に、内部電極とトレンチで分離された別のバリアをチップの外縁に形成するステップ(d4);(100)Siの下部基板に結晶性ウェットエッチングを用いてスルーホール(through-hole)を形成するステップ(d5);ミラーの内側をスキャナーの反射面として使用するため、金属をコーティングするステップ(d6);別のSiウェハーに絶縁膜のパターンを形成するステップ(d7);上記別のSiウェハーに金属ライン(metal line)を形成した後、パッシベーションされた状態でキャビティーを形成するステップ(d8);及び、スキャナー素子が配設されたウェハーを裏返した後、フリップチップ接合(flip-chip bonding)で上記別のSiウェハーを取り付けるステップ(d9);を含むことができる。
【0046】
また、本発明による光スキャナーパッケージの製造方法において、上記別のSiウェハーを取り付けるステップ(d9)において、内部電極は、導電性の溶接で接着し、外部バリアは、絶縁体で接着することができる。
【0047】
また、本発明による光スキャナーパッケージの製造方法において、上記バリアをチップの外縁に形成するステップ(d4)は、上記スルーホールを形成するステップ(d5)の後に行うこともできる。
【0048】
また、本発明による光スキャナーパッケージの製造方法は、Siウェハーを準備し、酸化膜(Buried Oxide、BOX)が形成された別のSiウェハーとフュージョン接合を行った後、CMPでSiウェハーの上端の高さを低くするステップ(d1);配線及びバリアの該当する位置に金属の蒸着を行うステップ(d2);DRIE工程でSiウェハーの上端の内側にスキャナー駆動及びセンシング用のSi電極を形成すると同時に、内部電極からトレンチで分離された別のバリアをチップの外縁に形成するステップ(d3);(100)Siの下部基板に結晶性ウェットエッチングを用いてスルーホールを形成するステップ(d4);ミラーの内側をスキャナーの反射面として使用するため、金属をコーティングするステップ(d5);上記Siの下部基板の上面に透過窓を接合するステップ(d6);上記Siウェハーの上端に半田付けを行うステップ(d7);及び、金属ラインが形成され、キャビティーを有する別の回路基板を準備し、スキャナー素子が配設されたウェハーを裏返した後、フリップチップ接合で上記別の回路基板を取り付けるステップ(d8);を含むことができる。
【0049】
また、本発明による光スキャナーパッケージの製造方法において、上記別の回路基板は、PCB、セラミック回路基板、及びASICのような基板のうちのいずれか1つであることができる。
【0050】
また、本発明による光スキャナーパッケージの製造方法において、上記別の回路基板を取り付けるステップ(d8)において、内部電極及び外部バリアは、導電性の溶接で接着することができる。
【発明の効果】
【0051】
上述のように構成される本発明によれば、半球形状透過窓の入射と出射の位置において透過窓の傾きが互いに異なっているため、副反射(sub-Reflection)による干渉を低減することができる。
【0052】
また、入射角(α)及び最大出射角(β)が小さいため、無反射コーティングの設計が容易であり、光損失を低減することができる。
【0053】
また、レーザーのスキャン角(γ)が大きい場合でも、最大出射角(β)が小さいため、出射レーザー光の特性変化が小さいという長所を有する。
【0054】
また、2軸の両側のいずれにも曲率を有するため、2軸駆動においても入射方向に対する制限が小さい。
【0055】
また、半球形状(又は、浅い半球形状)を有するように製造された透過窓は、内部が真空状態である場合、外部圧力に対して凝縮圧力を示し、応力が集中することがないため、厚さを0.4~0.8mm程度に薄く製作することができる。
【0056】
また、透過窓は、ミラーの回転空間を確保するため、元々は段差を設けて形成する必要があるが、同じ高さの突出構造を用いることで目的を達成することができるため、工程を追加して行う必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】ミラー、スプリング、駆動機、固定体、及び下部基板から構成される従来のMEMSスキャナーの構造を示す図である。
図2】自律走行の核心センサーであるLiDARに使用されるMEMSスキャナーの例示を示す図である。
図3】入射光の一部が透過窓の表面で反射してスキャンの範囲内に入る場合を示す図である。
図4】スキャニングミラーを入射角の方向に傾ける場合を示す図である。
図5】入射角方向に透過窓を傾ける場合を示す図である。
図6】入射平面と駆動平面とが互いに垂直であるとき、副反射光が主反射光のスキャン角とは無関係であることを示す図である。
図7】副反射の問題を解決するため透過窓を傾斜させている従来の光スキャナーパッケージ構造を示す図である。
図8】本発明の一実施例に係る、キャビティーを有するガラス下部基板、及び半球形状透過窓から構成される光スキャナーパッケージ構造を示す図である。
図9】本発明のスキャナーにおいて、入射平面と駆動平面とが互いに垂直であるとき、副反射光が主反射光のスキャン角とは無関係であることを示す図である。
図10】本発明の他の実施例に係るレンズ又は光学要素が結合された透過窓が適用される光スキャナーパッケージ構造を示す図である。
図11図8中の光スキャナーパッケージの製造過程を示す図である。
図12】傾斜面のキャビティーを有するシリコン下部基板と電極との分離のためにトレンチが形成された光スキャナーパッケージ構造を示す図である。
図13図12中の光スキャナーパッケージの製造過程を示す図である。
図14】垂直断面のキャビティーを有するシリコン下部基板、封止のための基底層、及び電極分離のためにトレンチが形成された光スキャナーパッケージ構造を示す図である。
図15】貫通したキャビティーを有するシリコン下部基板が回路基板に封止された光スキャナーパッケージ構造を示す図である。
図16図14中の光スキャナーパッケージの製造過程を示す図である。
図17】トレンチに絶縁物質を埋め込んだ光スキャナーパッケージ構造を示す図である。
図18】効果的な封止のために絶縁膜を蒸着した後に平坦化工程を行った光スキャナーパッケージ構造を示す図である。
図19図17中の光スキャナーパッケージの製造過程を示す図である。
図20】円滑な電気的接続のためにスキャナー素子を裏返した状態で傾斜したキャビティーを製造した後、別途の基底層を用いて封止を行った光スキャナーパッケージ構造を示す図である。
図21図20において、傾斜した断面を持つキャビティーを持ち、キャビティーが含まれたPCB基板を基底層として使用してソルダーで封止した光スキャナーパッケージ構造を示す図である。
図22図20において、下部基板に垂直断面のキャビティーを形成した光スキャナーパッケージ構造を示す図である。
図23図21において、下部PCB基板に垂直断面のキャビティーを形成した光スキャナーパッケージ構造を示す図である。
図24図21中の光スキャナーパッケージの製造過程を示す図である。
図25】図20において、別のSiウェハーの代わりに駆動及びセンシング回路を含むCMOSのシリコン基板を使用した光スキャナーパッケージ構造を示す図である。
図26図25において、下部のSi回路基板のスルーホールを介して底面のソルダーパッドと電気的に接続される電気配線を有する光スキャナーパッケージ構造を示す図である。
図27】チップキャリアを用いた光スキャナーパッケージ構造を示す図である。
図28】本発明の一実施例に係る光スキャナーパッケージの3次元形状を示す図である。
図29図28中の光スキャナーパッケージが中央線に沿って切断された形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図8は、本発明の一実施例に係る、キャビティーを有するガラス下部基板113及び半球形状透過窓51から構成される光スキャナーパッケージ構造を示す。図8中の光スキャナーパッケージ構造は、スキャナー素子100、キャビティー311を有する下部基板113、及び半球形状透過窓51から構成されている。透過窓51は、浅い半球形状(shallow semi-spherical)の形態であることから、入射と出射の位置で透過窓の傾きが互いに異なるため、副反射による干渉を低減することができる。浅い半球形状であって直径Dに対する高さhの比が0.3~0.4の範囲にある場合、副反射光がレーザーに戻る光量を低減することができ、これにより、レーザーの不安定さを減らすことができる。浅い半球形状である場合、入射角(α)が直角でなく、鋭角を有する。
【0059】
図8に記載の実施例では、入射角(α)及び最大出射角(β)が小さいため、無反射コーティングの設計が容易であって光損失を低減することができる。レーザーのスキャン角(γ)が大きい場合でも、最大出射角(β)が小さいため、出射レーザー光の特性変化が小さい。また、2軸の両側のいずれにも曲率を有するため、2軸駆動であっても入射方向に対する制限が少なくなる。透過窓は、真球形(sphere)の一部である必要はなく、ラグビーボールのような楕円体(ellipsoid)の一部であることができる。
【0060】
図9は、本発明のスキャナーにおいて、入射平面と駆動平面とが互いに垂直であるとき、副反射光が主反射光のスキャン角と無関係であることを示す図である。図9は、半球形状の特性によって、x、y軸の両方向に曲率を有し、駆動の垂直方向に対しても副反射の問題がはるかに少ないことを示している。透過窓の形態は、2軸で曲率を有する構造であり、下部は、図27に示されるように、チップ形状と似た四角形の形状であることもできる。透過窓の下部が四角形の形状であっても、上方に行くほど球形(spherical)構造を有するようにすることができ、この場合においても、副反射の干渉を効果的に回避することができる。他の光との干渉を回避するため、入射光及び出射光の領域を除いて不透明にして使用される光波場において不透明なコーティング(optical shield)の遮断膜221を形成することができる。
【0061】
半球形状の構造では、外部から圧力が加えられると、圧縮応力が示され、応力が集中することもない。ガラスは、圧縮応力に強いため、1気圧で厚さを0.4~0.8mm程度に薄く製作しても、安全に使用できる。通常、スキャナー部品は、システムケースで保護されており、直接的な衝撃が加えられることはほとんどない。 数十Gの加速度による間接的な衝撃が加えられた場合でも、応力への影響は、外部圧力に比べて1/10以下であるため、無視できる。
【0062】
図10には、本発明の他の実施例に係る、レンズが結合された透過窓が適用された光スキャナーパッケージ構造が示されている。図10に示されるように、入射光70がコリメーション(collimation)である場合、入射光及び出射光の位置にレンズ222、例えば、凸レンズを位置させると、出射光71は再びコリメーションとなる。このとき、ミラー125に到達するビームの断面積が小さくなるため、ミラーのサイズが小さくても良く、従って、高い周波数でスキャンする時に発生するミラーの動的変形(dynamic deformation)も低減する。
【0063】
一方、透過窓が半球形状である場合は、入射角と出射角が常時垂直をなすようになり、これにより、レーザービームの断面形状は大きく変わらないが、透過窓の高さが多少高くなるという問題がある。この高さを低くするためには、透過窓の下部直径Dと高さhとの比が、0.3~0.4の範囲にある浅い半球形状であるか、楕円体の一部を使用することができる。この場合、レーザービームの断面形状の変化が極力抑制されるように、入射光と出射光が通過する透過窓の一部の領域に、レーザービームの形状を補正するための球面レンズ又は非球面光学要素を含むことができる。
【0064】
ミラーの駆動角度は、空気抵抗(air squeeze damping)に大きな影響を受けるが、ミラーのサイズが小さくなると、空気抵抗も小さくなって、駆動角を大きくするか、又は可能な駆動周波数を上げることができる。駆動角度又は駆動周波数を同一に維持する場合は、駆動機(例えば、くし形電極)の一部を、駆動角度の測定のための一体型(integrated)センサーとして活用することもできる。レンズは、透過窓と一体型で製作することができ、結果的に、一体型レンズと一体型センサーを用いてライダー(LiDAR)などの光学システムをコンパクトに製作することができる。一体型レンズを有する透過窓は、射出成形で製作でき、必要に応じて、非球面レンズ及び凹レンズと組み合わせて製作することもできる。
【0065】
図11には、図8中の光スキャナーパッケージの製造過程が示されている。図11を参照して、本発明の一実施例に係る光スキャナーパッケージ、即ち、MEMSミラースキャナーの製造方法について説明すると、後述の通りである。但し、エッチングマスクとして使用される感光膜のパターンを製作する過程は、必須な工程であるため、光スキャナーパッケージの製造過程については説明を省略する。
【0066】
a1)ガラスウェハー(glass wafer)にウェットエッチング(wet etching)を用いてキャビティー(cavity)311を形成する。
a2)Siスキャナー素子との電気的接続のため、ガラスウェハーにDRIE又はサンドブラスト(sand blast)を用いてビアホール(via-hole)を設ける。
a3)ビアホールの位置に整列して別のSiウェハーに金属パターンであるシード層(seed layer)211を設ける。
a4)ガラスウェハーとSiウェハーとの陽極接合(anodic bonding)を行う。
a5)ビアホールに導電性材料を埋め込む。例えば、導電性材料は、電気メッキを用いてビアホールに埋め込まれる。金属で埋め込まれたビアホールは、ビアメタル(via metal)212と呼ばれることもある。
a6)CMPで上端(top)のSiの高さを揃える。Siの高さは、おおよそ30~90umとする。
a7)ミラーの表面、電気配線、及びパッド(pad)上に金属パターンを設ける。
a8)DRIE工程で上端のSiに素子構造及び電極を形成する。この場合、キャビティーにおいてリリーズ(release)工程を行う必要がない。
a9)真空エポキシ(vacuum epoxy)、フリットガラス(frit glass)、又は陽極接合(anodic bonding)を用いて外部構造体上に半球形状透過窓51を接合する。
【0067】
上記工程a9)の後に表面実装技術(SMT)を用いてPCBに接着することができる。
【0068】
上述のような製造過程において、工程a5)を工程a9)の後に行うこともできる。
【0069】
ガラス基板のビアメタルの工程が追加されるが、SMT(Surface Mount Technology)の適用が可能であるため、工程が単純でかつ製品の小型化が可能であるという長所がある。
【0070】
工程a9)において、ウェハーレベル(wafer-level)でSi上に透過窓をガラス陽極接合(glass anodic bonding)で接合すると、スキャナー素子が保護される状態となるため、チップダイシング(chip dicing)を容易に行うことが可能となる。
【0071】
工程a9)の接合過程が真空下で行われる場合、スキャナーの真空パッケージングが行うことが可能となる。
【0072】
本発明において使用されたSiは、結晶性シリコン(crystal Si)であり、これは、既存のポリシリコン(poly-Si)に比べて物性の再現性が良く、降伏応力(yield-stress)が3倍以上高いため、寿命(life-time)が長くなる。
【0073】
なお、ガラス透過窓を別途作成してダイシング(dicing)を行うと、チップレベル(chip-level)パッケージング用として使用することもできる。
【0074】
図12は、傾斜面のキャビティー311を有するシリコン下部基板113と電極との分離のためにトレンチ140が形成された光スキャナーパッケージ構造を示し、図12には、真空パッケージングのための電気配線(interconnection)の一実施例であるワイヤリング(wiring)が示されている。図12に示されたようなスキャナー素子100を単一(single)SOIとして製造する場合、工程が非常に簡単になり、電極分離のためにはトレンチ140を形成すれば良い。
【0075】
しかし、駆動角拡大のために真空パッケージングが必要な場合、上記トレンチは、深刻な漏洩(leak)の要因になり得る。
【0076】
本発明では、トレンチの漏洩及び配線の問題を、以下のような製造方法で解決している。図12及び図13を参照して上記製造方法を説明すると、後述の通りである。
【0077】
b1)Siウェハーにウェットエッチング又はDRIEを用いてキャビティー311を形成する。
b2)酸化膜(Buried Oxide、BOX)が形成された別のSiウェハーとフュージョン接合を行った後、CMPで上端のSiの高さを、おおよそ30~90umにする。
b3)素子の最外側に設けられるバリア142の領域に絶縁膜を形成する。
b4)ミラー表面、配線、及びバリアの該当する位置に金属の蒸着を行う。
b5)DRIE工程で上端のSiの内側にスキャナー駆動及びセンシング用のSi電極を形成すると同時に、内部電極145からトレンチで分離された別のバリア142をチップの外縁に設ける。
b6)内部電極145と外部バリア142との間にワイヤリングを行う。
b7)外部構造体上に真空エポキシ又はフリットガラスを用いて真空雰囲気下で透過窓51を接着することで封止を行う。
b8)透過窓51の外部でワイヤリングをさらに行う。
【0078】
上記工程b1)において、Siの代わりに、キャビティーを有するガラスウェハーを陽極接合で接合することもできる。
工程b5)におけるバリア142は、フローティング(floating)を防止するため、内部電極145と、トレンチを設けることなく直接連結することもできる。
工程b7)において、透過窓の接着を強化するため、金属上に複数個の孔(hole)及び窪み(dimple)を形成することもできる。
【0079】
図14は、垂直断面のキャビティー311を有するシリコン下部基板113、封止のための基底層40、及び電極分離のためのトレンチ140が形成された光スキャナーパッケージの構造を示す。図16は、図14中の光スキャナーパッケージの製造工程を示す。図14及び図16に示されるように、図13中の工程b1)、b2)の代わりに、SOIウェハー114を用いて、まず、スキャナー素子100と下部基板113にスルーホールを形成した後、別の基底層40の接合を行うこともできる。なお、スルーホールをスキャナー素子よりも先に形成する場合、スルーホールにポリマーを臨時的にコーティングしてスキャナー素子を安定的に製作することができる。スキャナー素子を先に製造する場合は、下部基板のスルーホールを製造する前に、スキャナー素子の保護のため、スキャナー素子にポリマーコーティングを施すことができる。
【0080】
また、図15に示されるように、最下部に、Si又はガラス基板の代わりに、PCB又はCCB(Ceramic Circuit Board)、又はASICのような回路基板321を使用することもできる。
【0081】
図17及び図18は、真空パッケージングのための電気配線の実施例であって、トレンチフィリング(trench filling)を用いて電気配線を形成する例が示される。図17及び図18には、トレンチ140に絶縁体141が埋め込まれた状態が示されている。
【0082】
図19には、図17中の光スキャナーパッケージの製造過程が示されており、その製造過程は、後述の通りである。
【0083】
c1)Siウェハーにウェットエッチング又はDRIEを用いてキャビティーを形成する。
c2)酸化膜(Buried Oxide、BOX)が形成された別のSiウェハーとフュージョン接合を行った後、CMPで上端のSiの高さを、おおよそ30~90umとする。
c3)DRIE工程で、上端のSiに、内部電極とバリアとの間にトレンチを設ける。
c4)絶縁体141を上記トレンチに埋め込んでバリアの上部まで蒸着させる。
c5)内部電極とバリアとの電気的接続及びミラー反射面の形成のため、金属の蒸着を行う。
c6)金属をパッシベーションした後、DRIEでスキャナー素子のパターンを形成する。
c7)外部構造体上に真空エポキシ又はフリットガラスを用いて真空雰囲気下で透過窓を接着することで封止を行う。
【0084】
上記工程c1)において、高真空を維持するため、残留ガスを吸着するゲッター(図14中の符号312)物質を内部空間に追加することができる。
【0085】
なお、図19中の製造過程において、反射面の形成のため、誘電体薄膜を最先に製作することもできる。
【0086】
図18に示されるように、透過窓の取り付け時に、通常、底面が平滑であるため、その対応する下部の取り付け面は、同じく段差なしに平滑である必要がある。従って、工程c4)の後に平坦化工程を行うことができる。
【0087】
工程c7)における透過窓の接着を円滑に行うため、工程c4)の後に平坦化工程を行うこともできる。
【0088】
上述のように、図17及び図18に記載の構造を、絶縁体のトレンチへのフィリングを用いて製造すると、ワイヤリングを行う必要がなく無駄な作業を省くことができるため、量産に有利である。
【0089】
図20図23には、PCB基板上にフリップチップ接合される実施例が示されている。図20中の光スキャナーパッケージのフリップチップ接合を用いた電気配線の過程については、後述の通りである
【0090】
d1)Siウェハーを準備する。
d2)酸化膜(Buried Oxide、BOX)が形成された別のSiウェハーとフュージョン接合を行った後、CMPで上端のSiの高さを、おおよそ30~90umとする。
d3)配線の該当する位置に金属の蒸着を行う。
d4)DRIE工程で上端のSiの内側にスキャナー駆動及びセンシング用のSi電極を形成すると同時に、内部電極からトレンチで分離された別のバリアをチップの外縁に設ける。
d5)(100)Siの下部基板113に結晶性ウェットエッチングを用いてスルーホールを形成する。
d6)ミラーの内側をスキャナーの反射面として使用するため、金属のコーティングを行う。
d7)別のSiウェハー(符号40で示す)に絶縁膜のパターンを形成する。
d8)上記別のSiウェハーに金属ラインを形成した後、パッシベーションされた状態でキャビティーを形成する。
d9)スキャナー素子が配設されたウェハーを裏返した後、フリップチップ接合で上記別のSiウェハーを貼り付ける。このとき、内部電極は、導電性溶接(conductive welding)で、外部バリアは、絶縁体で接着する。
【0091】
上記工程d4)を、工程d5)の後に行うこともできる。
【0092】
上記のような製造工程は、チップレベル又はウェハーレベルで真空パッケージングを行うことが可能である。
【0093】
図21は、図20において、キャビティーを含むPCB基板を基底層として使用してソルダーで封止した光スキャナーパッケージ構造を示し、図24は、図21中の光スキャナーパッケージの製造過程を示す。図21及び図24を参照すると、工程d7)において、別のSiウェハーの代わりに、キャビティーを有するPCB又はCCB(セラミック回路基板)又はASICのような回路基板321を使用することができる。このような場合は、電気配線の上端のSiの構造は、放射状方向に長くなるように製造される。これは、熱膨張差のある基板と接着する場合において、温度変化による剥離の危険性を最小化するためである。
【0094】
図22及び図23に示されるように、図21中のd5)において、結晶性エッチングの代わりに、DRIEを用いて下部基板113の垂直加工を行うことで、透過窓の大きさを小さくすることができる。図20図23において、下部基板の電気的フローティングを防止するため、さらにワイヤリングを行うことができる。
【0095】
図25は、図20において別のSiウェハーの代わりに駆動及びセンシング回路を含むCMOS用シリコン基板322を用いた光スキャナーパッケージ構造を示す。ミラーの駆動に必要な空間を確保するため、50~300um高さのメタルバンプ(metal bump)又はソルダーボール(solder ball)のようなソルダー352a、352bを用いて電気的接続及びシーリングを行うことができる。内側のソルダー352aは、電気的接続のための電極用であり、外側のソルダー352bは、シーリングのためのものである。このような構造では、ワイヤリングを別途行うことなく直接接合が可能である。図26は、図25において、下部のCMOSSi回路基板322のスルーホール353を介して底面のソルダーパッド354と電気的に連結される電気配線を有する光スキャナーパッケージの構造を示す。これによって、チップスケールのパッケージを実現することができる。
【0096】
図27には、チップキャリアを用いたパッケージ構造が示されており、半球形状透過窓が使用されているが、これをチップキャリア上に直接接着する方法で真空パッケージングを行うことができる。チップキャリアの内側形状は、透過窓の形態によって円形又は楕円形であることができる。チップキャリアの内側形状が四角形状である場合は、球面形状である透過窓に合わせるため、中央部位に円状の大きなホールが穿孔されたメタル基板を使用することができる。このような方法で製造された光スキャナーは、ハーメチックシーリング (hermetic sealing)でない場合、真空でなく通常の大気圧条件で使用することもできる。
【0097】
図28は、本発明の一実施例に係る光スキャナーパッケージの3次元形状を示し、図29は、中央線に沿って切断された形状を示す。図28及び図29には、3次元形状の光スキャナーパッケージが、固定体121、スプリング122、ミラー125、固定電極131、駆動電極132を含むスキャナー素子、及び透過窓51を含むものとして示されている。
【0098】
上述の記載は、本発明の技術思想を例示的に説明するものに過ぎず、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内で種々に修正、変更及び置換を行うことができる。従って、上述の実施例は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、これらの実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されない。本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内の全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0099】
100:スキャナー素子
11、111:上部基板
12、112:酸化膜
13、113:下部基板
113a:回路基板
114:SOIウェハー
21、121:固定体
22、122:スプリング
25、125:ミラー
126:金属反射膜
31、131:固定電極
32、132:駆動電極
140:トレンチ
141:絶縁体
142:バリア
145:内部電極
40:基底層
50、51、52:透過窓
70:入射光
71、71a、71b、171:主反射光
72、172:副反射光
211:シード層
212:ビアメタル
221:遮断膜
222:レンズ
311:キャビティー
312:ゲッター
321:回路基板
322:CMOS用シリコン基板
352、352a、352b:ソルダー
353:スルーホール
354:ソルダーパッド
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光スキャナーパッケージであって、
ミラー、スプリング、駆動機、固定体を含むMEMSスキャナー素子;
上記MEMSスキャナー素子の下部に位置し、上記MEMSスキャナー素子と接合された形態で上記MEMSスキャナー素子を支持する下部基板;及び、
外形が半球形状(semi-spherical)又は楕円体形状(ellipsoid)の一部に該当するシェル(shell)形状を有し、下部に連続的に繋がっている接合面を有する透過窓;
を含み、
上記透過窓は、2軸で曲率を有する構造であることを特徴とする、光スキャナーパッケージ。
【請求項2】
入射光と出射光が通過する透過窓の一部領域に、レンズ又は光学要素を含むことを特徴とする、請求項1に記載の光スキャナーパッケージ。
【請求項3】
上記下部基板の上部にキャビティーが存在する、上記下部基板の上下方向にビアメタルが設けられることを特徴とする、請求項に記載の光スキャナーパッケージ。
【請求項4】
結晶性シリコンからなる下部基板の上部に存在する傾斜面の角度が54.7°であるキャビティー;
電極分離のためにスキャナーの外部にトレンチ構造で形成されたシリコン電極;
トレンチ構造の外側に途切れなく形成されるシリコンバリア;
上記バリア上に形成された絶縁膜;及び、
上記シリコン電極及び絶縁膜の上に形成された2種類の金属電極;
をさらに含み、
上記シリコンバリアの金属電極上に封止された透過窓を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の光スキャナーパッケージ。
【請求項5】
トレンチ構造を埋め込んでバリア上に形成された絶縁膜;及び、
上記絶縁膜上に形成された金属回路パターン;
をさらに含み、
上記金属パターン上に封止された透過窓を有することを特徴とする、請求項に記載の光スキャナーパッケージ。
【請求項6】
上記下部基板の下部側に行くほど広くなるか、又は同一の断面形状を有するキャビティー;
ミラーの下部に形成された金属反射膜;及び、
スキャナー素子と下部基板の上下位置が入れ替わった状態でソルダーで封止される回路基板を基底層として含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の光スキャナーパッケージ。
【請求項7】
上記スキャナー素子の電極はソルダーで、バリアはガラス封止材で貼り付けられたキャビティーを有するシリコン基板を含む、請求項に記載の光スキャナーパッケージ。
【請求項8】
上記下部基板の下側に取り付けられたチップキャリアを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の光スキャナーパッケージ。
【請求項9】
上記チップキャリアの内側形状が四角形状である場合、中央部位に円状の大きなホールが穿孔された金属基板を追加して使用することを特徴とする、請求項に記載の光スキャナーパッケージ。
【請求項10】
光スキャナーパッケージの製造方法であって、
ガラスウェハー(glass wafer)にウェットエッチング(wet etching)を用いてキャビティー(cavity)を形成するステップ(a1);
スキャナー素子との電気的接続のため、上記ガラスウェハーにDRIE又はサンドブラスト(sand blast)を用いてビアホール(via hole)を形成するステップ(a2);
上記ビアホールの位置に整列して別のSiウェハーに金属パターン(seed layer)を形成するステップ(a3);
上記ガラスウェハーとSiウェハーとの陽極接合(anodic bonding)を行うステップ(a4);
上記ビアホールに導電性材料を埋め込むステップ(a5);
上記Siウェハーの上端(top)をCMP加工して高さを低くするステップ(a6);
ミラー表面、電気配線、及びパッド(pad)上に金属パターンを形成するステップ(a7);
DRIE工程で上記Siウェハーの上端に素子構造及び電極を形成するステップ(a8);及び、
外部構造体上に半球形状又は楕円体形状透過窓を接合するステップ(a9);
を含む、光スキャナーパッケージの製造方法。
【請求項11】
光スキャナーパッケージの製造方法であって、
Siウェハーにウェットエッチング又はDRIEを用いてキャビティーを形成するステップ(b1);
酸化膜(Buried Oxide、BOX)が形成された別のSiウェハーとフュージョン接合(fusion bonding)を行った後、CMPで上記Siウェハーの上端の高さを低くするステップ(b2);
スキャナー素子の最外側に設けられるバリア領域に絶縁膜を形成するステップ(b3);
ミラー表面、配線、及びバリアの該当する位置に金属(metal)の蒸着を行うステップ(b4);
DRIE工程で上記Siウェハーの上端の内側にスキャナー駆動及びセンシング用のSi電極を設けると同時に、内部電極からトレンチで分離された別のバリアをチップ(chip)の外縁に設けるステップ(b5);
内部電極と外部バリアとの間にワイヤリング(wiring)を行うステップ(b6);及び、
外部構造体上に真空雰囲気下で半球形状又は楕円体形状透過窓を接着することで封止を行うステップ(b7);
を含む、光スキャナーパッケージの製造方法。
【請求項12】
上記キャビティーを形成するステップ(b1)において、Siウェハーの代わりにキャビティーを有するガラスウェハーの陽極接合(anodic bonding)を行うことを特徴とする、請求項11に記載の光スキャナーパッケージの製造方法。
【請求項13】
上記別のバリアを設けるステップ(b5)におてい、上記バリアは、電気的フローティング(floating)を防止するため、内部電極と、トレンチを形成せずに直接連結するものであることを特徴とする、請求項11又は12に記載の光スキャナーパッケージの製造方法。
【請求項14】
光スキャナーパッケージの製造方法であって、
Siウェハーにウェットエッチング又はDRIEを用いてキャビティーを形成するステップ(c1);
酸化膜(Buried Oxide、BOX)が形成された別のSiウェハーとフュージョン接合を行った後、CMPで上記Siウェハーの上端の高さを低くするステップ(c2);
DRIE工程で上記Siウェハーの上端に、内部電極とバリアとの間にトレンチを形成するステップ(c3);
絶縁体を上記トレンチに埋め込んで上記バリアの上部まで蒸着するステップ(c4);
内部電極とバリアとの電気的接続及びミラー反射面の形成のため、金属の蒸着を行うステップ(c5);
金属をパッシベーション(passivation)した後、DRIEでスキャナー素子のパターンを形成するステップ(c6);及び、
外部構造体上に真空雰囲気下で半球形状又は楕円体形状透過窓を接着することで封止を行うステップ(c7);
を含む、光スキャナーパッケージの製造方法。
【請求項15】
光スキャナーパッケージの製造方法であって、
Siウェハーを準備するステップ(d1);
酸化膜(Buried Oxide、BOX)が形成された別のSiウェハーとフュージョン接合を行った後、CMPでSiウェハーの上端の高さを低くするステップ(d2);
配線の該当する位置に金属の蒸着を行うステップ(d3);
DRIE工程でSiウェハーの上端の内側にスキャナー駆動及びセンシング用のSi電極を形成すると同時に、内部電極からトレンチで分離された別のバリアをチップの外縁に形成するステップ(d4);
(100)Siの下部基板に結晶性ウェットエッチングを用いてスルーホール(through-hole)を形成するステップ(d5);
ミラーの内側をスキャナーの反射面として使用するため、金属のコーティングを行うステップ(d6);
別のSiウェハーに絶縁膜パターンを形成するステップ(d7);
上記別のSiウェハーに金属ライン(metal line)を形成した後、パッシベーションされた状態でキャビティーを形成するステップ(d8);及び、
スキャナー素子が配設されたウェハーを裏返した後、フリップチップ接合(flip-chip bonding)で上記別のSiウェハーを取り付けるステップ(d9);
を含む、光スキャナーパッケージの製造方法。
【請求項16】
上記別のSiウェハーを取り付けるステップ(d9)において、上記内部電極は、導電性の溶接で接着し、上記外部バリアは、絶縁体で接着することを特徴とする、請求項15に記載の光スキャナーパッケージの製造方法。
【請求項17】
光スキャナーパッケージの製造方法であって、
Siウェハーを準備し、酸化膜(Buried Oxide、BOX)が形成された別のSiウェハーとフュージョン接合を行った後、CMPでSiウェハーの上端の高さを低くするステップ(d1);
配線及びバリアの該当する位置に金属の蒸着を行うステップ(d2);
DRIE工程でSiウェハーの上端の内側にスキャナー駆動及びセンシング用のSi電極を形成すると同時に、内部電極からトレンチで分離された別のバリアをチップの外縁に形成するステップ(d3);
(100)Siの下部基板に結晶性ウェットエッチングを用いてスルーホールを形成するステップ(d4);
ミラーの内側をスキャナーの反射面として使用するため、金属のコーティングを行うステップ(d5);
上記Siの下部基板の上面に透過窓を接合するステップ(d6);
上記Siウェハーの上端に半田付けを行うステップ(d7);及び、
金属ラインが形成され、キャビティーを有する別の回路基板を準備し、スキャナー素子が配設されたウェハーを裏返した後、フリップチップ接合で上記別の回路基板を取り付けるステップ(d8);
を含む、光スキャナーパッケージの製造方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正の内容】
図8
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図29
【補正方法】変更
【補正の内容】
図29
【国際調査報告】