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特表2023-519946病原体を殺傷し、肺組織を治癒させるプラズマ発生気管支鏡及び方法
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  • 特表-病原体を殺傷し、肺組織を治癒させるプラズマ発生気管支鏡及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-15
(54)【発明の名称】病原体を殺傷し、肺組織を治癒させるプラズマ発生気管支鏡及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/44 20060101AFI20230508BHJP
   A61B 18/00 20060101ALI20230508BHJP
   A61B 1/267 20060101ALI20230508BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
A61N1/44
A61B18/00
A61B1/267
A61B1/00 620
A61B1/00 716
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559428
(86)(22)【出願日】2021-03-30
(85)【翻訳文提出日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 US2021024902
(87)【国際公開番号】W WO2021202541
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】63/002,256
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522382107
【氏名又は名称】ガイ、フレデリック アール.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガイ、フレデリック アール.
【テーマコード(参考)】
4C053
4C160
4C161
【Fターム(参考)】
4C053MM02
4C053MM04
4C053MM05
4C160MM08
4C161AA07
4C161CC06
4C161FF36
4C161FF37
4C161HH03
4C161HH05
4C161HH56
4C161JJ13
4C161LL02
4C161QQ06
(57)【要約】
例えば、口、洞、喉、胃、結腸、腸、及び肺組織を含むヒト内部軟組織を消毒し、治癒を促進するための生体適合性ガス、温度及び圧力を使用して、大気プラズマを用いることが可能な気管支鏡である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト軟組織を標的とし、消毒するための大気プラズマ発生気管支鏡装置であって
a.可撓性一次チューブと、
b.前記可撓性一次チューブの末端での少なくとも1つのプラズマ発生電極と、
c.前記チューブからのガスが電極のイオン化影響下で通過し、それによってプラズマを形成することができるように配向された、前記可撓性一次チューブの末端で終端するガス供給チューブであって、
前記ガスのイオン化は、温度及び圧力の生体適合性範囲内にある、ガス供給チューブと、
d.前記一次チューブを取り囲み、周囲の身体組織との接触点で封止を作成するように拡張するように構成されている調整可能なリング又はカフと、
を備える、装置。
【請求項2】
前記一次チューブを取り囲む前記調整可能なリング又はカフは、空気圧パルスを介して半径方向に拡張するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記一次チューブを取り囲む前記調整可能なリング又はカフは、前記一次チューブの外側で前記一次チューブを取り囲む接触点で封止する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記調整可能なリング又はカフは、周囲の組織とともに、圧力及び温度を調節することができる前記接触点の前方の閉鎖空間を提供するように拡張するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、修復材料を提供するように構成されていない、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
圧力を調節し、及び/又は前記処置部位からガス、流体、又は遊離組織を抽出する、前記一次チューブに含まれる排出チューブを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記電極から軟組織を保護するように構成された保護フードを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記電極は、それによって生成されるプラズマ場が、形式、形状、場所、及び電荷においてその変化によって修正されるように、延在するか、及び引っ込められるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記調整可能なリング又はカフが、十分な封止を提供し、かつ前記プラズマで処置される密閉空間内の圧力及び温度変化を可能にする、十分に可撓性の材料から作製される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記調整可能なリング又はカフが、前記一次チューブの外部に沿って軸方向に移動するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
大気プラズマ発生気管支鏡システムであって、
可撓性一次チューブと、
生体適合性ガス及び/又は化学物質の供給源に結合され、前記ガスが前記電極によってイオン化されるように構成されている、前記一次チューブの内部の少なくとも1つの内部チューブと、
前記内部チューブからのガスをイオン化するように構成されているプラズマ発生電極と、
前記装置の直径寸法を選択的に調整して、気管支組織との封止を作成するように構成されている、前記可撓性一次チューブに関連する減衰構成要素と、
温度及び圧力の生体適合性範囲内でイオン化ガスを提供するように電力及びガスを提供する信号発生器及びガス流コントローラと、を備える、システム。
【請求項12】
前記可撓性一次チューブは、前記減衰構成要素を通して軸方向又は半径方向にサイズ調整可能である、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記システムにガスを供給するためのガス容器と、処置領域を排気するため及び/又は前記処置領域で圧力変調を提供するための真空ポンプとを更に備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
イオン化ガスで気管支組織を処置するための方法であって
気管支組織との接触点の周囲に封止を形成することであって、それによって、処置領域が前記接触点の前方にある、形成することと、
ガスを励起して、可撓性チューブの末端で大気圧プラズマストリームを形成することと、
前記プラズマストリームを前記処置領域に指向することと、を含む、方法。
【請求項15】
医療材料を前記プラズマストリームに導入して、堆積ストリームを形成することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記堆積ストリームのプルームを適用部位に放出することによって、前記材料を前記適用部位上に堆積させることを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ガスが、周囲空気である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記医療材料が、500nm~40マイクロメートルの粒径を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記封止は、半径方向に拡張するか又は軸方向に移動して前記接触点で封止を形成する減衰装置を用いて形成される、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記減衰装置が空気圧で作動される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年3月30日に出願され、「A Biocompatible Plasma Generating Bronchoscope For Killing Pathogens and Healing Lung Tissue」と題された米国仮出願第63/002256号に対する優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、患者の肺における大気プラズマの使用及び使用のための装置に関する。
【背景技術】
【0003】
気管支鏡検査は、患者の気道の内側を可視化する内視鏡技術である。これは、診断及び治療目的に利用することができる。プラズマ装置は、創傷治癒、骨修復、歯腔消毒、及び修復のために使用されてきた。物理蒸着又はプラズマ強化化学蒸着などのプラズマ技術が知られている。プラズマ関連技術は、歯科用材料の接着特性を増強するための滅菌及び表面調製のために、歯科において使用されてきた。
【0004】
プラズマ物理学を生命科学及び医学と組み合わせた新しい分野「プラズマ医学」が開発されている(von Woedtke et al.,2014)。新しいプラズマ源及び装置が、異なる用途のために導入されている。
【0005】
プラズマは、「熱/高温」又は「非熱/低温」とすることができる。熱プラズマはほぼ完全にイオン化されるが、非熱プラズマは部分的にしかイオン化されない。プラズマを人工的に発生させると、ガス、例えば、空気、アルゴン又はヘリウムにエネルギーを加えることによって、低圧又は大気圧でプラズマを点火することができる。非熱プラズマ堆積装置は、キャリアガスを受容し、キャリアガスを励起してイオン化プラズマストリームを形成するように構成されているイオン化チャンバを含む。
【0006】
低温プラズマとも呼ばれる非熱大気圧プラズマは、部分的にイオン化されたガスとして定義される。したがって、それは血液からのプラズマと同一視することができない。それは本質的に生物学的ではない。非熱大気圧プラズマは、創傷の処置だけでなく、例えば微生物が関与する他の皮膚疾患の局所処置又はがん疾患の処置などの広範囲の他の用途のための医療における新しい革新的なアプローチである。非熱大気圧プラズマは、その殺菌効果によって、創傷関連皮膚細胞の増殖及び移動の刺激によって、細胞表面上のインテグリン受容体の活性化若しくは阻害によって、又はその血管新生促進効果によって、創傷治癒を支援することができる。
【0007】
いくつかの既存の医療用プラズマ技術は、Nanova社のプラズマ歯科用ワンド(米国特許第10,299,887号参照)、及びFrederick R.Guyの骨及び歯の治癒プラズマ技術(米国特許第10,384,069号参照、これは、参照により本明細書に組み込まれる)の実施形態を含む。
【0008】
ガスの生体適合性混合物の吸入は、著しい健康改善効果を伴って行われてきた。
【0009】
COVID-19パンデミック及び(伝統的及び反復的に)インフルエンザを含む細菌及びウイルスの両方によって引き起こされる疾患を含む肺疾患、並びに肺炎の原因は、世界中の死亡及び深刻な病気の実質的な原因であり、何百万人もの人々を殺している。これらの病気が重篤な段階にまで進行したときの真に有効な治療法は見出されていない。
【発明の概要】
【0010】
以下は、本明細書でより詳細に説明される主題の簡単な概要である。この概要は、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【0011】
一実施形態では、修正された気管支鏡によるプラズマ処置の方法は、COVID-19をもたらすSARS-COV-2病原体及び感染細胞を殺傷するために使用される。SARS-COV-2は、肺に感染することが知られており、一部の患者において重度で致命的な結果を伴う。この疾患の予防又は処置のための抗ウイルス剤、免疫ブースター、及びワクチンを開発するための世界的なラッシュがあったが、最も重篤に罹患した器官である肺の直接処置は、広く試みられていない。
【0012】
一実施形態では、ヒト軟組織を標的とし、消毒するための大気プラズマ発生気管支鏡装置は、可撓性一次チューブと、
可撓性一次チューブの末端でのプラズマ発生電極と、チューブからのガスが電極のイオン化影響下で通過し、それによってプラズマを形成することができるように配向された、可撓性一次チューブの末端で終端するガス供給チューブであって、ガスのイオン化は、温度及び圧力の生体適合性範囲内にある、ガス供給チューブと、
一次チューブを取り囲み、周囲の身体組織との接触点で封止を作成するように拡張するように構成されている調整可能なリング又はカフと、を備える。
(「末端で」とは、末端で機能的に影響を及ぼすことを意味し、これは、物理的に、例えば、末端の先端からいずれかの方向に2インチ以内にある電極末端であってもよい。)
【0013】
一実施形態では、大気プラズマ発生気管支鏡システムであって、可撓性一次チューブと生体適合性ガス及び/又は化学物質の供給源に結合され、ガスが電極によってイオン化されるように構成されている、一次チューブの内部の少なくとも1つのチューブと、一次チューブ又は内部チューブからのガス及び/又は医療材料をイオン化するように構成されているプラズマ発生電極と、装置の直径寸法を選択的に調整して、気管支組織との封止を作成するように構成されている、可撓性一次チューブに関連する減衰構成要素と、温度及び圧力の生体適合性範囲内でイオン化ガスを提供するように電力及びガスを提供する信号/電力発生器及びガス流コントローラと、を備える。
【0014】
一実施形態では、イオン化ガスで気管支組織を処置するための方法であって、気管支組織との接触点の周囲に封止を形成することであって、それによって、処置領域が接触点の前方にある、形成することと、ガスを励起して、可撓性チューブの末端で大気圧プラズマストリームを形成することと、
プラズマストリームを処置領域に指向することと、を含む。
【0015】
上記の概要は、本明細書において議論されるシステム及び/又は方法のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、簡略化された概要を提示する。この概要は、本明細書において議論されるシステム及び/又は方法の広範な概要ではない。主要な/重要な要素を識別すること、又はそのようなシステム及び/又は方法の範囲を線引きすることは意図されていない。その唯一の目的は、後に提示されるより詳細な説明の前置きとして、いくつかの概念を簡略化された形式で提示することである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】例示的な修正された気管支鏡システム及び処置の斜視図である。
図2】気管支鏡装置の末端の実施形態の斜視断面図である。
図3】気管支鏡装置の末端の別の実施形態の部分切欠斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
プラズマ媒介堆積を使用して歯又は骨の損傷部分を修復することに関する種々の技術が、図面を参照して説明され、同様の参照番号は、全体を通して同様の要素を指すために使用される。以下の説明では、説明の目的で、1つ以上の態様の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が記載される。しかしながら、そのような態様がこれらの特定の詳細なしに実施され得ることは明らかであり得る。他の事例では、1つ以上の態様を説明することを容易にするために、構造及び装置がブロック図の形式で示される。更に、特定の構成要素によって実行されるものとして説明されている機能は、複数の構成要素によって実行され得ると理解されたい。同様に、例えば、ある構成要素が、複数の構成要素によって実行されるものとして説明されている機能を実行するように構成されてもよい。
【0018】
更に、「又は」という用語は、排他的な「又は」ではなく、包括的な「又は」を意味することが意図されている。すなわち、別段の指定がない限り、又は文脈から明らかでない限り、「XはA又はBを用いる」という句は、自然な包括的置換のいずれかを意味することが意図されている。すなわち、「XはA又はBを用いる」という句は、XはAを用いることか、XはBを用いることか、又はXはA及びBの両方を用いることの事例のいずれかによって満たされる。加えて、本明細書で使用される場合、「例示的」という用語は、何かの例示又は例として役立つことを意味することが意図されており、選好を示すことは意図されていない。「a」、「an」、及び「the」という冠詞は、文脈が明確に反対を示さない限り、「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである。「含む」という用語は、「備える」と互換的に使用される。
【0019】
約30~40℃の温度で大気圧でプラズマを発生させること、すなわち、非熱/低温プラズマは、生きている細胞、組織及び他の熱に敏感な材料を処理するための安全な方法とすることができる。
【0020】
ヒトの皮膚に非常に似ている創傷したブタの皮膚のプラズマ処理は、皮膚に対していかなる毒性効果も引き起こさないことが示されている。効果的かつ迅速な血液凝固が観察された(Dobrynin et al.,2011)。プラズマ処置は、細菌の不活性化に必要とされるよりも数倍高いプラズマ用量で、生きている無傷の皮膚及び創傷した皮膚にとって安全であると結論付けられた。
【0021】
しかしながら、ヒト皮膚生理パラメーターは、皮膚又は皮膚機能を損傷することなく、プラズマによって影響され、インビボ条件下でのプラズマの安全性が示された(Fluhr et al.,2012)。最初の臨床研究は、プラズマ処置が十分に許容され、無痛であり、副作用がないことを確認した(Isbary et al.,2010,2012,2013a、Daeschlein et al.,2012b、Emmert et al.,2013、Brehmer et al.,2014)。
【0022】
創傷治癒は、低温プラズマによって促進することができる。これに関する最初の臨床結果は有望であった(Isbary et al.,2013b)。この研究は、改善された創傷治癒プロセスを示す慢性創傷における細菌負荷の減少を示した。これは、大気圧プラズマジェットMicroPlaSterプラズマトーチを使用することによる無作為化試験において示された(Isbary et al.,2010、2012)。
【0023】
加えて、同じグループの遡及的研究から、創傷治癒は、特に慢性静脈性潰瘍について、プラズマによって加速され得ると結論付けられた(Isbary et al.,2013c)。プラズマジェットkINPen med(登録商標)は、温度上昇、UV放射又はフリーラジカル形成及び細菌負荷の減少に関してヒトに対するリスクを伴わない(Lademann et al.,2013)。誘電体バリア放電によってプラズマを発生させる異なるプラズマ装置、PlasmaDerm(登録商標)VU-2010装置(CINOGY GmbH,Duderstadt,Germany)もまた、慢性静脈性下肢潰瘍を有する患者において細菌負荷を効果的に減少させ、潰瘍サイズを50%超減少させることが示されている(Brehmer et al.,2014)。
【0024】
より最近では、マウスにおける研究(L.Jablonski,et al.,Side effect by Oral Application of Atmospheric Pressure Plasma on the Mucosa in Mice,PLoS ONE 14(4):e0215099)は、頬側頬表面への低温プラズマの経口適用後の結果を示した。表面損傷及び軽度の炎症反応が1日後に示されたが、1週間後には完全な治癒が起こり、重度の体重減少は起こらなかった。これは、哺乳動物の粘膜表面の小領域に対する低温プラズマの相対的安全性を実証した。
【0025】
本明細書では、プラズマ生成気管支鏡と、気管支鏡を使用して低温大気プラズマを肺に適用するための処置方法とが開示される。一実施形態では、プラズマ対応気管支鏡は、減衰構成要素を用いて気管支セグメントを封止し、感染症を殺傷することが可能である。
【0026】
器具(本明細書に開示されるような修正された気管支鏡)は、通常、鼻又は口を通して、又は場合によっては気管切開を通して、気道に挿入される。典型的な気管支鏡は、リアルタイムビデオ機器を有する可撓性光ファイバ器具に照明装置が取り付けられた管を有する剛性又は半剛性部分を備え得る。気管支鏡を用いて、施術者は、異物、出血、腫瘍、又は炎症などの異常について患者の気道を調べることができる。試料は、肺の内側から採取され得る。
【0027】
実際には、可撓性気管支鏡が、座位又は仰臥位の患者に挿入される。気管支鏡が上気道に挿入されると、声帯が検査される。器具を気管に進め、更に気管支系に進め、気管支鏡が通過する際に各領域が検査される。異常が発見された場合、それは、ブラシ、針、又は鉗子を使用してサンプリングされ得る。肺組織の標本(経気管支性生体検査)は、リアルタイムX線(蛍光透視)又は電磁トラッキングシステムを使用してサンプリングされ得る。可撓性気管支鏡検査はまた、集中治療中の患者等の挿管された患者に対して行うことができる。この場合、器具は気管チューブに接続されたアダプタを通して挿入される。
【0028】
本明細書に開示される器具及び方法は、肺の中の特定の部位への低温大気プラズマの局所適用を可能にするように、気管支鏡に対する修正を含む。大気プラズマガスは、数秒から数分で病原体を殺傷し、病原体を内部で殺傷するために使用することができる。イオン化状態で肺組織に損傷を与えないようガスの注意深い測定及び混合が達成され得、プラズマに供される前駆体ガス及び化学物質に由来する生体適合性イオン化ガス及び蒸気の短期間の吸入が、細菌感染及びウイルス感染を含む病原体の迅速な殺傷をもたらす。プラズマの印加は、0.1~120秒、例えば、1~60秒、又は2~10秒継続してもよい。
【0029】
「プラズマ」という用語は、光子、イオン及び自由電子、並びに正味の中性電荷を有する基本状態又は励起状態の原子から本質的に構成される、部分的又は全体的にイオン化されたガスを指す。プラズマは、正電荷キャリアの数が負電荷キャリアの数に等しいため、プラズマは正味中性電荷を保有する。非熱プラズマ(non-thermal plasma、NTP)又は低温プラズマは、大気圧又は減圧下で取得される周囲温度(例えば、20℃~60℃、又は25℃~40℃、又は22℃~30℃)に近いプラズマを指す。例えば、遠隔処置、直接処置、又は電極接触NTPが使用され得、又は残光又は活性プラズマ法が使用され得る。一実施形態では、プロセスを強化するために少なくとも部分的な真空が適用される。処置部位における圧力は、例えば、0.5atm~1.8atm、例えば、0.7~1.3atm、又は0.9~1atmなどであってもよい。一実施形態では、プラズマ堆積プロセスはスパッタリングプロセスを含まない。本明細書で説明される装置及びプロセスの一実施形態では、処置は、添加材料を伴わないイオン化ガスプラズマのみを含む。
【0030】
一実施形態では、修正された気管支鏡によるプラズマ処置の方法は、COVID-19をもたらすSARS-COV-2病原体及び感染細胞を殺傷するために使用される。SARS-COV-2は肺に感染することが知られており、一部の患者において重度で致命的な結果を伴う。
【0031】
この方法では、COVID-19、肺炎、又は肺の任意の感染に罹患している患者を鎮静させ、医師が気管支鏡を肺に挿入し、感染領域を探す。プラズマは、感染が見出された場所で放電され、それによって、その最も致命的な感染部位で感染を直接的かつ即座に攻撃する。
【0032】
一実施形態では、プラズマによる消毒の効果が促進される。これは、数秒から数分の範囲の短い期間にわたって達成することができ、このことで、長時間の処置が呼吸を妨害し得るか、又はこの療法によって許容される適用の簡潔さ及び周期性によって回避される有害な結果を有し得る肺への適用に特に好適となる。
【0033】
人体内、例えば肺の中でのプラズマイオン化ガスの更に改善された使用は、減衰構成要素を用いて処置されるべき領域のセグメントを封止することによって切断される気管及び肺組織の小さな領域を作成することによって達成することができる。一実施形態では、これは、トロイダル(ドーナツ形状)リングのような主カテーテルチューブ(例えば、気管支鏡上の)を取り囲み、チューブの外部に沿って軸方向に調整することができる、膨張可能又は他の方法で拡張可能なリングを使用することによって達成することができる。
【0034】
一実施形態では、プラズマストリーム内に直接ではないが、前縁の近くで封止リングの前方のチューブの前端には、処理されるセグメントの温度、圧力、及び化学物質のような可変メトリックの注意深い監視を可能にするセンサがある。
【0035】
一実施形態では、本明細書において説明される技術の要素は、人工呼吸器に追加され得るか、又は切開及び挿入によって身体領域に挿入され得、同じ効果が、プラズマ処置を必要とする身体内の器官又は領域の標的化を達成する方法で本明細書において説明される気管支鏡の挿入を可能にする切開を通した追加のチューブの配置又は交換によって達成され得るようにすることに留意されたい。言い換えれば、身体への同じ切開又は入口は、気管支鏡及び人工呼吸器に使用することができる。
【0036】
本明細書において説明される気管支鏡に取り付けられる同じ特徴は、胃、結腸、及び/又は腸における使用のために適合されるスコープ上に展開され、それらの器官/組織における標的領域へのプラズマ薬剤の送達のセグメント化、感知、及び制御を提供することができる。装置は、例えば、口、洞、喉、胃、結腸、腸、及び肺組織を含む、ヒト軟組織を標的にし、消毒するように構成されている。
【0037】
特定の状況下では、慎重に指向されたプラズマ場は、ミリメートルスケールで、例えば、0.1~100mm、例えば、1~25mm、又は1~10mmの表面積に集束させることができる。集束されたプラズマは、がん、感染症、及び他の軟組織に対する壊死効果を有するように、表面に指向される。場合によっては、プラズマプルームの集束を調整し、わずかに高い圧力及び温度で使用して、焼灼効果又は更に切断効果を達成する。代替的には、より低い圧力及び温度で、冷却効果が達成される。
【0038】
図1は、例示的な気管支鏡システム10及び手技の構成要素を描写する。これは、患者における気管支鏡20の配置を示す。気管支鏡20は、カテーテルと同様であり、かつ気管支鏡制御ユニット50から患者の口(又は鼻)の中へ延在し、患者の肺の気管支で終端する様々な特徴を備えた末端26を有する、可撓性一次チューブ22を備える。他の実施形態では、他の組織の構成が使用されてもよい。可撓性チューブは、例えば、長さが3~30インチ、例えば、5~24インチ、又は10~20インチなどであってもよい。
【0039】
また、図1には、イオン化のための電力を供給し、処置ガス及び医療材料のイオン化のための電圧を変調し、電極への電力の流れを制御する電気/信号発生器28が示されている。プラズマの発生に使用される電源には、DC、AC、RF、マイクロ波、及びパルスコンデンサ放電が含まれる。Wong C.S.,Mongkolnavin R.(2016)Methods of Plasma Generation.In:Elements of Plasma Technology.SpringerBriefs in Applied Sciences and Technology.Springer,Singapore.(Online ISBN:978-981-10-0117-8)を参照し、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
一実施形態において、医療材料は、抗腫瘍処置剤、抗生物質、抗ウイルス薬を含む。一実施形態では、医療材料は、任意の修復材料、例えば、歯又は骨を構築及び修復するために使用されるヒドロキシアパタイトなどのナノスケール又はマイクロスケール粉末等の材料を含まない。一実施形態では、医療材料は、500nm~40マイクロメートル、例えば、1マイクロメートル~30マイクロメートル、又は5マイクロメートル~10マイクロメートルの粒径を有する。
【0041】
気管支鏡の末端26における圧力を調節するために、真空ポンプ15も設けられている。これらのユニットは、ハンドル制御ユニット50に結合されている。ディスプレイ30もまた、光又はA/Vケーブルによって、ハンドル制御ユニット50に結合されている。ハンドヘルド制御ユニット50上の処理ユニットは、信号がディスプレイ30に送信される前に光信号を前処理し得る。気管支鏡の末端26の様々な特徴のための制御部52が提供される。
【0042】
1つ以上のガス容器60も、気管支鏡システムの一部である。これらは、ハンドヘルドユニット50などにおいて気管支鏡20に結合されている。ガス容器は、イオン化及びプラズマ放電の作成に使用される不活性ガスで充填される。ガスは、周囲の生物学的組織に有害でない生体適合性ガスである。ガスは、例えば、ヘリウム、酸素、窒素、アルゴン、周囲空気、又はそれらの組み合わせを含むことができる。一実施形態では、第1のガスは、非反応性(不活性)ガスであり、任意選択で酸素などの追加のガスと組み合わされる。
【0043】
ハンドヘルド制御ユニット50上の制御部52は、イオン化される処置ガスの速度、体積、及び混合を制御するために使用されるガス流量コントローラを含む。例えば、ガスの流量は、1mL/分~5L/分、例えば、50mL/分~3L/分、又は500L/分~2L/分に制限することができる。キャリアガスの所望の流量は、イオン化プラズマストリームの所望の特性、並びに封止された領域の特性、例えば、処理すべき体積及び表面積に依存し得る。
【0044】
プラズマ形成のための電気インパルスを開始するための制御は、ハンドヘルド制御ユニット50上に別個に存在し得る。一実施形態では、コンピュータは、イオン化及びプラズマ形成のためのガス及び電荷の正確な送達を支援することができる。一実施形態では、制御部は、パルスプラズマ信号を活性化することができ、パルスプラズマ信号は、長期のプラズマ処置が慎重に調節及び評価されない場合に引き起こし得る任意の有害な影響を排除するために有益かつ迅速に用いることができる。
【0045】
封止リング、カフ、保護フード(以下で議論される)などの減衰構成要素を拡張又は移動させるための制御部もまた、ハンドヘルド制御ユニット50上に含まれ得る。電極を延在又は後退させるための制御部もまた、ハンドヘルドユニット上に存在し得る。ガス及びイオン化されるべき任意の医薬化学物質をイオン化する電極は、延在されることが可能であり、追加の電極と組み合わせて舌のように引っ込められることが可能であり、発生させるプラズマ場が、形式、形状、場所及び電荷においてその変化によって修正されるようにする。電極は、接地又は第2の電極と組み合わされ得、アークギャップが調節され得るように構成され得る。プラズマは、本明細書での使用に適合させることができる様々な他の方法/機器、例えば、コロナ放電、グロー放電及びアーク放電を通して発生させることができる。Wong C.S.,Mongkolnavin R.(2016)Methods of Plasma Generation.In:Elements of Plasma Technology.SpringerBriefs in Applied Sciences and Technology.Springer,Singapore.(Online ISBN:978-981-10-0117-8)を参照し、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0046】
センサ出力ディスプレイは、ハンドヘルド制御ユニット50上、又はディスプレイ30上にあり得る。真空のための制御部は、ハンドヘルド制御ユニット50上に存在し得る。一般的な気管支鏡装置上にある他の制御又は観察ポート、例えば、ライト、レンズフォーカスなどもまた、ハンドヘルド制御ユニット50上にあり得る。
【0047】
図3は、気管支内に示された修正された気管支鏡100の末端の実施形態の斜視図を示す。修正された気管支鏡100の末端101は、肺の中の気管支110に挿入することができる可撓性一次チューブ102を備える。1つ以上のライト112、例えば、LEDが、末端101の先端の周囲に配設される。装置の一実施形態では、カメラレンズは、赤外線から紫外線までの範囲の光周波数を放出することができるLEDライト112及びセンサ116を伴うか、又はそれらによって取り囲まれ、それによって、センサは、特定の病原体及び状態の存在を示す光吸収及び反射特性を検出することができる。1つ又は複数のセンサは、温度、圧力、及び化学組成情報、例えば、処置セグメントに分散された各化学物質の相対量、水分などを監視するために、末端101から選択することができる。
【0048】
レンズ又はカメラは、末端101において画像(静止画像又は動画像)を捕捉するように構成されている。ライブ送信画像は、感染領域を識別し、プラズマの適用を指向するためのものである。捕捉された画像は、プラズマ処置から生じる前/後の変化を示すために使用され得、又は診断若しくは患者評価において使用されてもよい。
【0049】
一次チューブ22の内部の1つ以上の排出チューブ113も、末端101の先端の周囲に配設されている。排出チューブは、可撓性一次チューブ22内に収容され、処置部位からガス、流体、又は遊離組織を抽出するように構成される。排気チューブ113は、真空ポンプ15(図1参照)に空気圧で結合されている。一実施形態では、ポンプの真空吸引力(又は圧力)は、遊離物質を除去し、及び/又は影響を受ける領域における熱の蓄積を低減する真空を生成するのに望ましいレベルに調整可能である。一実施形態では、真空力は、適用部位の組織を破壊するであろう力よりも低い圧力に制限される。一実施形態では、真空力は、プラズマ処置プロセスに影響を及ぼすのに十分に高い。これは、特定のプラズマプロセスは、真空環境において強化され得るからである。一実施形態では、真空力はデブリを除去するのに十分であるが、堆積プロセスに影響を及ぼさない。一実施形態では、真空は、大気圧、例えば(1atm)の99%~1%、例えば、大気圧の95%~50%、又は90%~75%の低下を提供する。
【0050】
修正された気管支鏡100は、末端101の周りの空間130を密封するために、カテーテルチューブ102に沿って円周方向及び軸方向に移動することが可能な可撓性材料で作成されたサイズ変更可能なリング又はカフ120によって取り囲まれる。これは、選択された気管支領域にプラズマ処置を局所化し、熱又はプラズマが肺の残りの部分に逆流するのを防止する。末端101の前側にプラズマが形成される空間は、処置部位に指向されるガス及び薬剤を含むことができる。
【0051】
電極105(例えば、チューブ状電極)は、末端101に配置され、例えば、後部(ハンドヘルドユニット50)に延在する内部チューブ内の電気コネクタを介して、又は電極を通して導入されるガス150及び薬剤のイオン化を可能にするように電極に対して配置された一次チューブ22の内部のガス供給管140によって、電源に電気的に結合されている。電極及びプラズマ発生とは、第2の電極及び/又は接地を含む少なくとも1つの電極によってイオン化されたガスを意味する。ガス供給チューブ140及び二次ガス供給チューブ142は、ガス容器60(図1)に結合されており、一次供給チューブ22(図1)の内部にある。電極105は電圧源に結合されており、ガス供給チューブ140及び/又は二次ガス供給チューブは、ガスが電極によってイオン化されるように位置決めされている。これは、ガスが電極105を通過することによって、又は密封されたガス充填セグメントのイオン化によって発生することができる。
【0052】
一実施形態では、イオン化源は、高エネルギー紫外光(例えば、180nm~270nmの波長を有する放射)、マイクロ波(例えば、2.4GHz以上の周波数を有する放射)を含み得、又は高電圧差を有する放電が、イオン化プラズマの形成をもたらすことができる。一例では、末端101は、一対の電極、又は電極と接地された接続部とを備え、キャリアガスの両端間に電圧差を作成する。10kHz、20kHz、若しくは40kHzなどの電流源、又は交流電流を使用して、電圧差を駆動することができる。ガスを励起するために必要とされる電圧差は、選択されたガス、放電針の形状、及び修正された気管支鏡に関連するインピーダンス整合ネットワーク、並びに他の要因に依存し得る。一実施形態では、プラズマ源は、鋭い電極の先端で作成される容量結合無線周波数(13.56)MHz放電である。
【0053】
電子温度は励起のために非常に高いことがあるが、イオン化プラズマストリームの巨視的温度は室温に近いままである。これは、低電力消費(例えば、100mW)、対流冷却、及び/又はプラズマの小体積サイズのためである。NTP堆積装置100から放出されるプラズマ、「プルーム」は、小さい体積(例えば、0.01mm~2mm、0.1mm~1mm、又は0.5mm~1.5mm)、及び比較的大きい表面積対体積比を有し、これは、熱拡散によるエネルギーエスケープを促進する。
【0054】
調整可能なリング120は、処置される領域の封止されたセクションを作成する能力を提供し、圧力、温度、及び化学物質は、調整可能なプラズマがストリームにおいて流れるか、又はチャンバ内のような場を含むようにプラズマプルーム及び流れを調整することができるように、制御及び測定することができる。調整可能なリング120によって提供される封止の前方に形成されたチャンバ状セグメント(すなわち、前方とは、末端101に向かって、及びそれを越えてを意味する)は、圧力及び温度が調節され得、病原体殺傷効果及び組織治癒効果が調節され得る、閉鎖空間を提供する。
【0055】
図4は、末端201の内部構成要素の部分切欠図及び保護フード260の部分切欠図とともに、修正された気管支鏡の末端201のみを示す実施形態を開示する。この実施形態では、電極205、及びガスチューブ240、242は、上で開示した通りである。それらのそれぞれの内部結合部206、241、243は、切欠図で見ることができる。
【0056】
加えて、レンズ270が末端201の先端に配設され、ディスプレイ30(図1参照)に電気的又は光学的に結合された光ファイバケーブル271に結合されている。ライト212(例えば、LEDライト)は、末端の先端に配設されている。排出チューブ265がまた、末端201の先端に配設されており、チューブ266を介して真空ポンプ15(図1を参照)に空気圧的に結合される。
【0057】
排気チューブ212は、処置領域からガス及び材料を排気する。真空ポンプ15(図1)は、より低い圧力のプラズマ化学効果が望まれるときに圧力をより低いレベルに調整するために用いられる。特定の低圧効果が使用される場合、上記に議論されたすぼめられた指で支持された保護フードなどの拡張器構成要素が、プラズマが所望の表面カバレッジに達することができるように肺を拡張された状態に保つために使用される。
【0058】
調整可能なリング220は、末端201の外周に結合されている。調整可能なリング220は、ゴムなどの拡張可能な材料から作製され、例えば、電気又はハンドヘルドポンプ(図示せず)に結合されることができる膨張管221を通して供給される空気を用いた膨張によって拡張され得る。膨張チューブ221は、末端201の側部の開口部を通して調整可能リング220に結合されている。調整可能なリング220の内径は、接着剤又は機械的締結具で端部201に固定されている。したがって、拡張されるときに、その外径は拡大されるが、内径は同じままである。
【0059】
別の実施形態では、調整可能リング220は、例えば、機械的又は空気圧リンク機構によって、端部リングに沿って軸方向に移動することができる。調整可能なリング220を末端201の先端に向かって下方に移動させることにより、典型的には直径がテーパ状である気管支の端部により近い領域にそのリングを押し込む。これは、封止効果を達成する別の方法を提供する。
【0060】
調整可能なリング220は、代替的にカフで置換することができる。一実施形態では、保護フード260は、軸方向に移動させることができ、封止機構としても兼用される拡大可能なカフとすることができる。一実施形態では、保護フードは、手のすぼめられた指及び開いた指のように開閉することができる。これは、機械的又は空気圧的に制御することができる。
【0061】
保護フード260は、比較的鋭い電極205から体内表面を保護するためのものである。一実施形態では、別個の保護フード265の代わりに、末端201の外側カバーが、電極205及び/又は管240、242を越えて延在する。保護フード260はまた、処置を必要としない周囲の生体物質を保護するように作用することができる。堆積の残留物はまた、排気チューブ212を介して排出又は真空引きされ得る。
【0062】
保護フード260又は末端201の外側カバーは、剛性又は可撓性材料を含み得る。例えば、材料は、軟質エラストマー材料、硬質プラスチック材料、剛性金属材料、又は真空下でその形態を保持するが、適用部位に押し付けられた場合にその部位に適合する、軟質であるが剛直のエラストマーであり得る。
【0063】
一実施形態では、保護フード260は、電極205を中心とする領域と同軸であり、その領域を取り囲む。終端周縁保護フード260は、例えば、0.5mm~5mm、又は1mm~1.5mmである末端201の先端を有する平面を過ぎて10mm以内に延在してもよい。
【0064】
保護フード260の終端周縁は、プラズマプルームが実質的に又は完全に封入されるように、適用部位に対して配置することができる。一実施形態では、保護フード260の周縁は、適用部位に近接して0.001mm~5mm、例えば、0.01mm~2mm、又は0.1mm~1mmである。
【0065】
保護フード260を伴わない実施形態では、電極265は、末端201の先端の中に後退し、処置表面に到達すると、延在することができる。
【0066】
一実施形態では、気管支鏡は、電磁ナビゲーション及び制御能力によって補完され、それによって、気管支内で生成されるプラズマは、体外に位置決めされた磁石によって影響を受け、磁場の影響を受ける薬剤及びガスへの添加物が、それによって標的領域に治療的に指向されることができるようにする。
【0067】
本装置の一実施形態では、本装置によって可能にされるプラズマ関連能力は、従来の気管支鏡の標準的診断及び治療特徴のいずれかを伴う。
【0068】
本明細書において説明される気管支において達成される同じ封止効果は、身体、ヒト又は動物の鼻、喉、食道、及び腸の通路において達成することができる。上記に議論された方法はまた、修正された気管支鏡、又はプラズマ及び末端の封止特徴を有する類似装置を用いて、これらの内空洞における感染を処置するために使用することができる。
【0069】
一実施形態では、システム又はキットは、本明細書に開示されるような非熱プラズマ堆積装置を備える。システム又はキットはまた、生体適合性ガス容器、生体適合性キャリアガス、本明細書に開示されるような修正された気管支鏡、電気/信号発生器、カメラ画像を表示するためのディスプレイ、真空ポンプ、加圧装置、及び本明細書に列挙された構成要素のいずれかを接続するための導管又は配線のうちの1つ以上を備える。キット又はシステムは、本明細書に開示される方法を動作させるために利用され得る。
【0070】
上述したものは、1つ以上の実施形態の例を含む。当然ながら、前述の態様を説明する目的で、上記の装置又は方法論の全ての考えられる修正及び変更を説明することは可能ではないが、当業者は、様々な態様の多くの更なる修正及び置換が可能であることを認識することができる。したがって、説明された態様は、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内に入る全てのそのような変更、修正、及び変形を包含することが意図される。本発明の範囲は、上記に提供された特定の例によって決定されるのではなく、以下の特許請求の範囲によってのみ決定されるべきである。他の事例では、周知の構造、装置、及び動作は、説明の理解を不明瞭にすることを避けるために、ブロック図の形態で又は詳細なしで示されている。適切であると考えられる場合、参照番号又は参照番号の終端部分は、任意選択で同様の特性を有し得る対応する又は類似の要素を示すために図の間で繰り返されている。
【0071】
本明細書全体を通して、例えば、「一実施形態」、「実施形態」、「1つ以上の実施形態」、又は「異なる実施形態」への言及は、特定の特徴が本発明の実施に含まれ得ることを意味することも理解されたい。同様に、説明において、様々な特徴は、開示を合理化し、様々な発明の態様の理解を助ける目的で、単一の実施形態、図、又はその説明において一緒にグループ化されることがあることを理解されたい。しかしながら、この開示方法は、本発明が各請求項に明示的に規定されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の態様は、単一の開示された実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴にあってもよい。したがって、詳細な説明に続く特許請求の範囲は、本明細書によってこの詳細な説明に明示的に組み込まれ、各請求項は、本発明の別個の実施形態として独立している。
図1
図2
図3
【国際調査報告】