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特表2023-5199521,2,4,6-テトラ-O-アセチル-3-アジド-3-デオキシ-D-ガラクトピラノシドを調製するための大規模方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-15
(54)【発明の名称】1,2,4,6-テトラ-O-アセチル-3-アジド-3-デオキシ-D-ガラクトピラノシドを調製するための大規模方法
(51)【国際特許分類】
   C07H 5/04 20060101AFI20230508BHJP
   A61K 31/7004 20060101ALI20230508BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
C07H5/04
A61K31/7004
A61P11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559474
(86)(22)【出願日】2021-03-29
(85)【翻訳文提出日】2022-09-29
(86)【国際出願番号】 EP2021058120
(87)【国際公開番号】W WO2021198160
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】20167113.8
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516369538
【氏名又は名称】ガレクト バイオテック エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニルソン、ウルフ
(72)【発明者】
【氏名】クミンス、ヨナタン
【テーマコード(参考)】
4C057
4C086
【Fターム(参考)】
4C057AA03
4C057BB02
4C057CC03
4C086AA01
4C086EA02
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA59
(57)【要約】
本発明は、式(X)
【化1】

の化合物を調製するための方法に関し、該方法は、大規模合成に適している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(X)
【化1】

を有する化合物を調製するための大規模合成に適した方法であって、式IX
【化2】

の化合物を、塩基の存在下、適切な溶媒及び適切な温度で、前記式Xの化合物を調製するのに十分な反応時間、アセチル化剤と反応させることを含む、方法。
【請求項2】
前記式Xの化合物が、精製され、固体として単離される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アセチル化剤が、無水酢酸;塩化アシル;カルボニルジイミダゾール又はジアルキルカルボジイミドなどの活性化剤の存在下の酢酸;脱水条件下の酸触媒;又はアシルエステルを用いるエステル交換のうちの1つ以上から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記塩基が、トリエチルアミン若しくはジイソプロピルエチルアミンなどの三級アミン;又は、任意で、ジメチルアミノピリジンなどの触媒作用のより強い塩基の存在下のピリジン若しくはイミダゾールなどの芳香族アミン塩基のうちの1つ以上から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記適切な溶媒が、1,4-ジオキサン、2-メチルテトラヒドロフラン又は三級ブチルメチルエーテルなどの1つ以上の環状又は非環状エーテル溶媒、酢酸エチル又は酢酸イソプロピルなどのエステル溶媒、トルエンなどの芳香族溶媒から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記適切な温度が、-5℃~40℃である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
任意で、前記アセチル化剤を前記適切な溶媒に添加することが、30分、例えば3時間超にわたって行われる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記反応時間が1~24時間である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記式IXを有する化合物を調製するための先行の工程を含み、前記先行の工程が、式VIII
【化3】

の化合物を、適切な温度の適切な溶媒で、前記式IXの化合物を調製するのに十分な反応時間、酸と反応させることを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記酸が、1つ以上の酸性陽イオン交換樹脂、例えば、Amberlite IR-120 H、希塩酸又はp-トルエンスルホン酸から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記適切な溶媒が、1,4-ジオキサン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、又はアセトニトリル及び水などの有機溶媒及び水の混合物である、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記適切な温度が、25℃~70℃である、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記反応時間が1~24時間である、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記式VIIIを有する化合物を調製するための先行の工程を含み、前記先行の工程が、式VII
【化4】

の化合物を、適切な温度の適切な溶媒で、前記式VIIIの化合物を調製するのに十分な反応時間、適切なアジドと反応させることを含む、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記アジドが、アジ化ナトリウム又はアジ化カリウムなどのアジド塩から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記適切な溶媒が、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド若しくはアセトニトリルなどの1つ以上の双極性非プロトン性溶媒;又は、テトラブチルアンモニウムブロミドなどの相間移動触媒を伴う、三級ブチルメチルエーテル若しくは2-メチルテトラヒドロフランなどの同様の水不混和性溶媒/水などの二相系から選択される、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記適切な温度が、0℃~30℃である、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記反応時間が30分~22時間である、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
式VIIを有する化合物を調製するための先行の工程を含み、前記先行の工程が、式VI
【化5】

の化合物を、適切な溶媒で、適切な塩基と反応させた後、適切な温度の適切な溶媒で、前記式VIIの化合物を調製するのに十分な反応時間、トリフラート化剤と反応させることを含む、請求項14~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記適切な塩基が、ピリジン又はジイソプロピルエチルアミンなどのヒンダード脂肪族三級アミンである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記トリフラート化剤が、1つ以上のトリフルオロメタンスルホン酸無水物、又はN-フェニル-ビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)などの等価なトリフラート化剤から選択される、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記適切な溶媒が、独立して、三級ブチルメチルエーテル、トルエン又はテトラヒドロフランなどの非プロトン性溶媒から選択される、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記適切な温度が、-5℃~30℃である、請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記反応時間が少なくとも1時間である、請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1,2,4,6-テトラ-O-アセチル-3-アジド-3-デオキシ-α/β-D-ガラクトピラノシド、特に1,2,4,6-テトラ-O-アセチル-3-アジド-3-デオキシ-β-D-ガラクトピラノシドを調製する方法に関し、該方法は、規模を拡大できる。方法パラメータは安定しており、本方法はGMP製造に適している。
【背景技術】
【0002】
特発性肺線維症(IPF)は、世界的に大きな健康上の負担となる。これは原因不明の慢性状態であり、急性肺損傷が繰り返されると、進行性線維症が引き起こされて、肺構造が破壊され、肺機能が低下し、その結果、呼吸不全及び死に至る。特発性肺線維症(IPF)は、アーキタイプであり、肺線維症の最も一般的な原因であるが、多くの呼吸器疾患が肺線維症に進行する可能性があり、これは通常、予後が悪いことを意味する。診断から死亡までの期間の中央値は2.5年であり、IPFの発生率及び有病率は上昇し続けている。これは、効果的な治療法がなく、疾患の進行を予測するための信頼できるバイオマーカーがない、数少ない呼吸器状態の1つであり続けている。肺線維症を生じるメカニズムは不明であるが、未知の原因による反復性上皮損傷の結果としての異常な創傷治癒を中心としている。IPFは、形質転換増殖因子-β1(TGF-β1)などの線維形成性サイトカインに対する活性化応答の増大を示す線維芽細胞/筋線維芽細胞を含む線維芽細胞病巣を特徴としている。特発性肺線維症の治療薬に対して満たされない大きなニーズが存在する。化合物3,3’-ジデオキシ-3,3’-ビス-[4-(3-フルオロフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル]-1,1’-スルファンジイル-ジ-β-D-ガラクトピラノシドは現在、IPF治療の臨床第II相にあり、該化合物を調製する方法は、国際公開第2014/067986号に記載されている。式Xの化合物は、上記化合物を調製するための非常に重要な中間体であり、その結果、規模を拡大できる該化合物を製造する方法が必要である。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、1,2,4,6-テトラ-O-アセチル-3-アジド-3-デオキシ-β-D-ガラクトピラノシド
【化1】

を調製するための新しい方法に関し、
この方法は、30kg以上、例えば80kg以上などの大規模及び/又は工業規模に規模を拡大できる。例えば、2kg~80kg、例えば4kg~80kg、又は10kg~100kg。本方法は、200g~2kgなどの小規模にも使用できる。
【0004】
第1の態様では、本発明は、式(X)
【化2】

を有する化合物を調製するための、例えば大規模合成に適した方法に関し、
該方法は、 式IX
【化3】

の化合物を、塩基の存在下、適切な溶媒及び適切な温度で、式Xの化合物を調製するのに十分な反応時間、アセチル化剤と反応させることを含む。
【0005】
一実施形態では、式Xの化合物は、精製され、固体として単離される。好ましくは、1,2,4,6-テトラ-O-アセチル-3-アジド-3-デオキシ-β-D-ガラクトピラノシドは、白色固体、例えば結晶質又は非晶質として単離される。
【0006】
さらなる実施形態では、アセチル化剤は、無水酢酸;塩化アシル;カルボニルジイミダゾール又はジアルキルカルボジイミドなどの活性化剤の存在下の酢酸;脱水条件下の酸触媒;又はアシルエステルを用いるエステル交換のうちの1つ以上から選択される。
【0007】
さらに別の実施形態では、塩基は、トリエチルアミン若しくはジイソプロピルエチルアミンなどの三級アミン;又は、任意で、ジメチルアミノピリジンなどの触媒作用のより強い塩基の存在下のピリジン若しくはイミダゾールなどの芳香族アミン塩基のうちの1つ以上から選択される。
【0008】
さらなる実施形態では、適切な溶媒は、1,4-ジオキサン、2-メチルテトラヒドロフラン又は三級ブチルメチルエーテルなどの1つ以上の環状又は非環状エーテル溶媒、酢酸エチル又は酢酸イソプロピルなどのエステル溶媒、トルエンなどの芳香族溶媒から選択される。
【0009】
さらに別の実施形態では、適切な温度は-5℃~40℃である。典型的には、-5℃~35℃。
【0010】
さらなる実施形態では、任意で、アセチル化剤を適切な溶媒に添加することは、少なくとも30分、例えば少なくとも3時間にわたって行われる。
【0011】
さらに別の実施形態では、反応時間は1~24時間である。
【0012】
さらなる実施形態では、本方法は、式IXを有する化合物を調製するための先行の工程を含み、先行の工程は、式VIII
【化4】

の化合物を、適切な温度の適切な溶媒で、式IXの化合物を調製するのに十分な反応時間、酸性陽イオン交換樹脂又はp-トルエンスルホン酸などの酸と反応させることを含む。
【0013】
一実施形態では、酸は、1つ以上の酸性陽イオン交換樹脂、例えば、Amberlite IR-120 H、希塩酸又はp-トルエンスルホン酸から選択される。
【0014】
さらなる実施形態では、適切な溶媒は、1,4-ジオキサン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、又はアセトニトリル及び水などの有機溶媒及び水の混合物である。
【0015】
さらに別の実施形態では、適切な温度は、25℃~70℃である。
【0016】
さらなる実施形態では、反応時間は1~24時間である。
【0017】
さらに別の実施形態では、本方法は、式VIIIを有する化合物を調製するための先行の工程を含み、先行の工程は、式VII
【化5】

の化合物を、適切な温度の適切な溶媒で、VIIIの化合物を調製するのに十分な反応時間、適切なアジドと反応させることを含む。
【0018】
一実施形態では、アジドは、アジ化ナトリウム又はアジ化カリウムなどのアジド塩から選択される。
【0019】
さらなる実施形態では、適切な溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド若しくはアセトニトリルなどの1つ以上の双極性非プロトン性溶媒;又は、テトラブチルアンモニウムブロミドなどの相間移動触媒を伴う、三級ブチルメチルエーテル若しくは2-メチルテトラヒドロフランなどの同様の水不混和性溶媒/水などの二相系から選択される。
【0020】
さらに別の実施形態では、適切な温度は、0℃~30℃である。
【0021】
さらなる実施形態では、反応時間は、30分~22時間である。
【0022】
さらに別の実施形態では、本方法は、式VIIを有する化合物を調製するための先行の工程を含み、先行の工程は、式VI
【化6】

の化合物を、適切な溶媒で、適切な塩基と反応させた後、適切な温度の適切な溶媒で、式VIIの化合物を調製するのに十分な反応時間、トリフルオロメチル化剤と反応させることを含む。
【0023】
一実施形態では、適切な塩基は、ピリジン又はジイソプロピルエチルアミンなどのヒンダード脂肪族三級アミンである。
【0024】
さらなる実施形態では、トリフラート化剤は、1つ以上のトリフルオロメタンスルホン酸無水物、又はN-フェニル-ビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)などの等価なトリフラート化剤から選択される。
【0025】
さらに別の実施形態では、適切な溶媒は、独立して、三級ブチルメチルエーテル、トルエン又はテトラヒドロフランなどの非プロトン性溶媒から選択される。
【0026】
さらなる実施形態では、適切な温度は、0℃~30℃である。23.適切な温度が、-5℃~30℃である、請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
【0027】
さらに別の実施形態では、反応時間は少なくとも1時間である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
式(X)の化合物は、1,2,4,6-テトラ-O-アセチル-3-アジド-3-デオキシ-β-D-ガラクトピラノシドの化学名(IUPAC)を有する。式Xの化合物は、ベータアノマーであるが、アルファ及びベータアノマーの混合物は、Lowary,T.L.and Hindsgaul,O.(1994)Recognition of synthetic O-methyl,epimeric,and amino analogues of the acceptor alpha-L-Fucp-(1,2-beta-D-Galp-OR by the blood group A and B gene-specified glycosyltransferases.Carbohydr.Res.251:33-67で開示されている。アルファ及びベータアノマーは、様々な方法によって、例えば結晶化を経て分離することができる。しかしながら、本方法のために、好ましい目的はベータアノマーを調製することである。
【0029】
本方法のさらなる実施形態は、本明細書の実験セクションに記載されており、個々の方法及び各出発材料は、実施形態の一部を形成し得る実施形態を構成する。
【0030】
上記の実施形態は、実施形態が本発明の特定の態様又は複数の態様に関することが明記されていない限り、本明細書に記載の態様(「治療方法」、「医薬組成物」、「医薬品として使用するための化合物」、又は「方法で使用するための化合物」など)のいずれか1つ及び本明細書に記載の実施形態のいずれか1つを指すと見なされるべきである。
【0031】
本明細書で引用される刊行物、特許出願及び特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が参照により組み込まれることが個別かつ具体的に示され、その全体が本明細書に記載される場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0032】
全ての表題及び副題は、本明細書では単に便宜上使用されており、いかなる方法でも本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0033】
上記の要素の任意の組合せは、その全ての可能な変形において、本明細書に別段の指示がない限り、又は明らかに文脈に矛盾しない限り、本発明に包含される。
【0034】
本発明を説明する文脈で使用される用語「a」及び「an」及び「the」及び同様の指示対象は、本明細書で別段の指示がない限り、又は明らかに文脈に矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を対象にすると解釈されるべきである。
【0035】
本明細書の値の範囲の列挙は、本明細書に別段の指示がない限り、範囲内にある各個別の値を個別に参照する簡略方法として役立つことを単に意図し、各個別の値は、本明細書に個別に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。別段の明記がない限り、本明細書で提供される全ての正確な値は、対応する近似値を表す(例えば特定の因子又は測定値に関して提供される全ての正確な例示的な値は、必要に応じて、「約」によって修正された対応する近似測定値も提供すると見なすことができる)。
【0036】
本明細書に記載の全ての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、又は明らかに文脈に矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施することができる。
【0037】
本明細書で提供されるあらゆる全ての例、又は例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明の理解をより容易にすることを意図しており、別段の指示がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。明細書のいかなる文言も、明示的に述べられていない限り、本発明の実施に不可欠な要素を示すと解釈されるべきではない。
【0038】
本明細書での特許文書の引用及び組み込みは、単に便宜上行われるものであり、そのような特許文書の有効性、特許性、及び/又は実行可能性に関するいかなる見解も反映していない。
【0039】
1つ又は複数の要素に関して「含む(comprising)」、「有する」、「含む(including)」又は「含む(containing)」などの用語を使用する本発明の任意の態様又は実施形態の本明細書の説明は、別段の記載がない限り、又は明らかに文脈に矛盾しない限り、その特定の要素又は複数の要素「からなる」、「から本質的になる」、又は「を実質的に含む」発明の類似の態様又は実施形態についての裏付けを提供することを意図する(例えば特定の要素を含むものとして本明細書に記載される組成物は、別段の記載がない限り、又は明らかに文脈に矛盾しない限り、その要素からなる組成物を説明するものとしても理解されるべきである)。
【0040】
この発明は、適用法によって許可される最大限の範囲で、本明細書に提示される態様又は特許請求の範囲に列挙される保護対象の全ての改変及び均等物を含む。
【0041】
本発明は、以下の例によってさらに説明されるが、これらは、保護の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。前述の説明及び以下の例で開示された特徴は、別々に及びそれらの任意の組合せの両方で、その多様な形態で本発明を実現するための材料であり得る。
【実施例
【0042】
<実験>
【化7】

式Xを有する化合物を製造するための現在の方法は、以下に詳細に記載されるいくつかの方法工程を含む。
【0043】
一般的手順
核磁気共鳴(NMR)スペクトルを、400MHz Bruker Avance AV400分光計で25℃にて記録した。化学シフトは、残留溶媒を内部標準として用いてppm(δ)で報告される。ピーク多重度は次のように表される。s、一重線、d、二重線、t、三重線、q、四重線、m、多重線、br s、幅広単一線。
【0044】
次の略語が使用される。
Ac アセチル
aq. 水性
DCM ジクロロメタン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
rt 室温
Sat. 飽和
TBME tert-ブチルメチルエーテル
TEMPO (2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル
【0045】
<1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-グルコフラン-3-ウロース水和物、III>
【化8】

酢酸エチル(17.33L)及び水(7.00L)の混合物に20℃で可溶化した1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-グルコフラノースII(3.5kg、13.45mol)に、NaBr(1.08kg、10.5mol)、NaOAc(1.66kg、20.18mol)及びTEMPO(21g、0.13mol)を添加した。反応混合物を30分かけて20℃から12℃に冷却し、次亜塩素酸ナトリウム溶液(14%、12.9L、29.59mol)を添加した。混合物を18℃で30分間撹拌し、次いで2M Na水溶液を、陰性のデンプン-ヨウ化物試験が観察されるまで添加した。相を分離し、有機相を飽和NaCl水溶液(3.5L)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ロータリーエバポレーターを用いて真空で濃縮して、3.72kgの1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-グルコフラン-3-ウロース水和物を油状固体として得た。
【数1】
【0046】
代替手順
酢酸エチル(504L)の混合物に可溶化した1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-グルコフラノースII(112kg、430mol)に、脱塩水(168L)、NaBr(35.0kg、340mol)、NaOAc(53.0kg、646mol)及びさらに脱塩水(56L)を27℃で添加した。反応混合物を0℃に冷却し、次いで、TEMPO(1.0kg、6.45mol)及びさらに酢酸エチル(56L)を添加した。別の容器に次亜塩素酸ナトリウム(9~12重量%、1000L、約1649mol)を添加し、2.5℃で濃硫酸:水(約67L)の1:1混合物を用いてpHを11.5から12.5に調整した。次亜塩素酸ナトリウム溶液を濾過し、7℃で7.5時間かけて反応混合物に添加した。混合物を3℃で1時間撹拌し、次いで20重量%亜硫酸ナトリウム(135kg)水溶液を3℃で添加した。混合物を29℃に加温し、相を分離した。有機相に次亜塩素酸ナトリウムが存在しないことを確認した。水相に固体NaCl(56kg)を加えた後、酢酸エチル(225L)で抽出した。水相に固体NaCl(28kg)を添加し、次いで、酢酸エチル(224L)で抽出した。合わせた有機相を30℃で9重量%塩化ナトリウム水溶液(112kg)で洗浄し、層を分離し、水層を酢酸エチル(112L)で逆抽出した。合わせた有機層をMgSO(56kg)で乾燥させ、濾過し、濾過ケークを酢酸エチル(56L)で洗浄し、合わせた濾液を最高45℃の真空で392Lまで濃縮した。3回のさらなる酢酸エチル添加(225,225及び112L)、蒸留サイクルを実施して、水を≦0.3重量%に制御し、溶液のアッセイを決定した。1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-グルコフラン-3-ウロース水和物IIIを、推定119kg、収率100%の酢酸エチル溶液として方法の次の工程に進めた。
【0047】
<3-O-アセチル-1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-エリトロ-ヘキサ-3-エノフラノース、IV>
【化9】

1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-グルコフラン-3-ウロース水和物III(3.5kg、12.7mol)を含む20℃のピリジン(7.17L、88.7mol)の溶液に、無水酢酸(3.60L、38.1mol)を分割して投入した。反応混合物を60℃に加熱し、16時間撹拌した。混合物を20℃に冷却し、TBME(14L)を投入した。2M HCl水溶液(2×10.5L)、水(7L)、5%NaHCO水溶液(10.5L)、及び飽和NaCl水溶液(7L)を用いて20℃+/-5℃で混合物を順次洗浄した。有機相をMgSOで乾燥させ、ロータリーエバポレーターを使用して真空で濃縮して、2.78kgの3-O-アセチル-1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-エリトロ-ヘキサ-3-エノフラノースをオフホワイト色の固体として得た。
【数2】
【0048】
代替手順
1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-グルコフラン-3-ウロース水和物III(119kg、430mol)の酢酸エチル(前工程から移行した約301L)溶液に、ピリジン(85.1kg、1075mol)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)(11.2kg、91.7mol)、酢酸エチル(112L)及び無水酢酸(88kg、862mol)を32℃で添加した。反応物を60℃に4時間加熱し、次いで、27℃に冷却し、メタノール(11.2L)を添加した。混合物を27℃で45分間撹拌し、12℃に冷却し、酢酸エチル(675L)を添加し、次いで、有機溶液を15℃で2M HCl水溶液(3×336L)で洗浄した。水(340L)、5%NaHCO水溶液で3回(560L、次いで2×340L)、次いで5%NaCl水溶液(225L)で有機層を15℃で洗浄した。有機層を分離し、最高45℃で、真空中、約112Lまで濃縮し、次いで、n-ヘプタン(225L)を添加し、蒸留を続けた。さらなるヘプタン(170L)を添加し、真空中、最高45℃で約112Lまで蒸留を継続した。残渣を25℃に冷却し、TBME(900L)を添加した。溶液を10℃に冷却し、1M HCl水溶液(3×294L)、水(340L)、5重量% NaHCO水溶液(3×560L)、次いで5重量% NaCl水溶液(225L)で洗浄した。有機層を分離し、真空中、最高40℃で約112Lまで蒸留しながら、Amberlite IR-96樹脂(4.5kg)で処理した。メタノール(900L)を残渣に添加し、混合物を30℃で活性炭(11.2kg)で処理した。混合物を濾過助剤で濾過し、3-O-アセチル-1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-エリトロ-ヘキサ-3-エノフラノースIV(93.6kg,72%)をメタノール溶液として次の段階に進めた。
【0049】
<3-O-アセチル-1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-グロフラノース、V>
【化10】

10% Pd/C(50%湿潤、142g、0.067mol)を含有する容器に、3-O-アセチル-1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-エリトロ-ヘキサ-3-エノフラノースIV(1.0kg、3.33mol)のメタノール(7.5L)溶液を20℃で投入した。トリエチルシラン(1.60L、9.99mol)を含むメタノール(5.25L)の溶液を、ジャケット付き容器を使用して35℃未満の温度を維持しながら滴下した。混合物を20℃で10分間撹拌し、次いで、メタノール(1.5L)で洗浄しながらcelite(登録商標)の短いパッドで濾過して、3-O-アセチル-1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-グロフラノースのメタノール溶液を得て、これを1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-グロフラノースVIの製造に直接使用した。
【0050】
<1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-グロフラノース、VI>
【化11】

3-O-アセチル-1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-グロフラノースV(3.33mol)を含む室温のメタノールの溶液に、25重量%ナトリウムメトキシドを含むメタノール溶液をpH11まで投入した。反応混合物を室温で1時間撹拌した後、pHが≦7.5になるまで固体二酸化炭素を添加した。混合物をロータリーエバポレーターを使用して真空中40℃で濃縮し、粗残渣を酢酸エチル(3.9L)に懸濁し、60℃に加熱した。混合物を≦40℃に冷却し、次いで、酢酸エチル(1.5L)で洗浄しながら濾過した。混合物を真空中40℃で2.5Lの体積に濃縮し、60℃に加熱した。ヘプタン(4.65L)を添加し、混合物を60℃から5℃に冷却し、30分間撹拌した。生成物をヘプタン(3×0.5L)での濾過洗浄によって単離した。濾過ケークを真空下40℃で乾燥させて、0.60kg(IIから4工程で47%)の1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-グロフラノースをオフホワイト色固体として得た。
【数3】
【0051】
代替手順
【化12】

水及びメタノールで予洗した3-O-アセチル-1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-エリトロ-ヘキサ-3-エノフラノースIV(79.9kg、266mol)のメタノール(約874L)の溶液に、Amberlite IRA-96樹脂(11.2kg)を投入した。混合物を30℃で20分間撹拌し、pHが≧6.0であることを確認した。混合物を濾過し、濾過床をメタノール(28L)で洗浄し、10%Pd/C(2.8kg)を投入した。反応物を水素下、5~6バールにて33℃で1時間置いた後、濾過し、濾過ケークをメタノール(225L)で洗浄した。真空中、最高45℃で濾液を約560Lに蒸留した。残渣に、30%ナトリウムメトキシドを含むメタノール(4.5L)を投入して、pHを≧11.0に調整し、混合物を28℃で2.5時間撹拌した。固体二酸化炭素を5.6kgずつ添加して、pHを≦7.5に調整し、最高45℃の真空で反応混合物を約224Lに蒸留した。酢酸エチル(3×340L)を添加し、最高45℃で約224Lに真空蒸留した。酢酸エチル(225L)を残渣に添加し、メタノールレベルが≦2.0%であることを確認した。溶液を44℃で20分間活性炭(28kg)で処理し、次いで、濾過助剤によって濾過し、フィルターを酢酸エチル(225L)で洗浄した。最高45℃の真空で合わせた濾液を約120Lに蒸留し、45℃でヘプタン(790L)を添加した。混合物を-2℃に冷却し、その温度で1時間保持し、次いで濾過し、濾過ケークを0℃のヘプタンで洗浄した。1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-グロフラノースを最高40℃で真空で乾燥させて、IIから4工程にわたって50.9kg、45%に到達した。
【0052】
<1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-3-O-トリフルオロメタンスルホナート-α-D-グロフラノース、VII>
【化13】

1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-グロフラノースVI(0.66kg、2.54mol)を含む室温のTBME(3.3L)溶液に、ピリジン(493mL、6.10mol)を加えた。懸濁液を0℃に冷却した。トリフルオロメタンスルホン酸無水物(513mL、3.05mol)を、温度を15℃未満に維持しながら混合物に滴下した。反応混合物を10℃で1時間撹拌し、次いで、2M HCl水溶液(1.32L)、5% NaHCO水溶液(2×1.32L)及び10% NaCl水溶液(1.32L)で連続的に洗浄した。DMF(4.95L)を20℃+/-5℃で有機相に添加し、ロータリーエバポレーターを使用して40℃の真空で濃縮することによってTBMEを除去して、1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-3-O-トリフルオロメタンスルホナート-α-D-グロフラノースのDMF溶液を得て、これを3-アジド-3-デオキシ-1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-ガラクトフラノース、VIIIの製造に直接使用した。
【0053】
<3-アジド-3-デオキシ-1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-ガラクトフラノース、VIII>
【化14】

1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-3-O-トリフルオロメタンスルホナート-α-D-グロフラノース、VII(2.54mol)を含むDMF(4.95L)の溶液を0℃に冷却し、NaN(330g、5.08mol)を少しずつ加えた。混合物を5℃で30分間撹拌し、次いで20℃に加温し、16時間撹拌した。温度を20℃±5℃の範囲に維持しながら水(3.6L)を滴下し、混合物をTBME(2×1.92L)で抽出した。合わせた抽出物を5% NaHCO水溶液(3.6L)及び10% NaCl水溶液(3.6L)で順次洗浄した。有機相をMgSOで乾燥させ、40℃の真空で濃縮して、655g(VIから2工程で91%)の3-アジド-3-デオキシ-1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-ガラクトフラノースを得た。
【数4】
【0054】
代替手順
【化15】

1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-グロフラノース、VI(45kg、173mol)を含むTBME(225L)の溶液に、ピリジン(41.0kg、519mol)を添加し、溶液を1℃に冷却した。0℃に維持しながら、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(73.1kg、259mol)を懸濁液に徐々に添加し、続いてTBME(45L)を添加した。反応混合物を15℃に加温し、1.5時間攪拌し、次いで、5℃に冷却し、水(225L)を≦10℃で添加した。混合物を18℃に加温し、層を分離した。水相をTBME(180L)で抽出し、合わせた有機層を5%NaHCO水溶液(135L)、次いで5%NaCl水溶液(135L)で洗浄した。DMFへの溶媒交換を、最高35℃の真空蒸留によって行い、得られた溶液(約270L)を20℃に冷却した。トリエチルアミンを用いてpHを8.0以上に調整し、溶液を1℃に冷却した後、アジ化ナトリウム(22.5kg、346mol)を1時間かけて5回に分けて添加した。温度を18℃に上げ、混合物を3時間撹拌した。反応物を5℃に冷却し、水(450L)を10℃で添加した。混合物をTBME(2×180L)で抽出し、合わせた有機抽出物を5%NaHCO水溶液(135L)、次いで、水(135L)で洗浄した。有機層を分離し、最高50℃で真空蒸留によって1,4-ジオキサンへの溶媒交換を行った。3-アジド-3-デオキシ-1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-ガラクトフラノース、VIII(43kg、VIから2工程で88%)を、約90Lの総体積で1,4-ジオキサンの溶液として、1,2,4,6-テトラ-O-アセチル-3-アジド-3-デオキシ-β-D-ガラクトピラノース、Xの製造に進めた。
【0055】
代替方法
1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-グロフラノース、VI(200g、0.77mol)を含むTBME(540mL)の溶液に、ピリジン(112mL、1.84mol)を添加し、溶液を5℃に冷却した。5℃に維持しながら、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(262g、0.93mol)を懸濁液に2時間にわたって添加し、続いてTBME(72mL)を添加した。反応混合物を10℃に加温し、1時間撹拌し、次いで、5℃の亜硫酸水素ナトリウム溶液[予め混合した50%NaOH水溶液(22.0g)、水(138mL)及び95%硫酸(56g)から作製]の添加によってクエンチした。水(140mL)を添加し、混合物を20℃に加温した。層を分離し、有機相を水(140mL)、5%NaHCO水溶液(140mL)、次いで18%NaCl水溶液(128mL)で20℃で洗浄した。層を分離し、トリエチルアミン塩酸塩(80g、0.58mol)及びテトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)(24.0g、0.16mol)を有機相に添加した。水(200mL)に溶解したアジ化ナトリウム(74g、1.14mol)を20℃で添加し、次いで、混合物を50℃に加熱した。反応物を20時間保持し、次いで、20℃に冷却し、水(400mL)を添加した。相を分離し、有機相を水(200mL)、次いで18%塩化ナトリウム水溶液(120mL)で洗浄した。2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)への溶媒交換を、最高60℃の真空蒸留によって行った。3-アジド-3-デオキシ-1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-ガラクトフラノース、VIII(206g、VIから2段階で94%)を、約840mLの総体積で2-MeTHFの溶液として、1,2,4,6-テトラ-O-アセチル-3-アジド-3-デオキシ-β-D-ガラクトピラノース、Xの製造に進めた。
【0056】
<3-アジド-3-デオキシ-D-ガラクトピラノース、IX>
【化16】

1,4-ジオキサン(2.62L)、水(0.65L)及び強酸性陽イオン交換樹脂(262 g)に溶解した3-アジド-3-デオキシ-1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-ガラクトフラノース、VIII(655g、2.30mol)の混合物を60℃で18時間撹拌した。混合物を20℃に冷却し、濾過し、樹脂を4:1の1,4-ジオキサン:水(1.96L)で洗浄した。室温の濾液溶液に、強酸性陽イオン/弱塩基性陰イオンの混合床樹脂(262g)を投入し、混合物を室温で1時間撹拌した。混合物を濾過し、樹脂を4:1の1,4-ジオキサン:水(1.96L)で洗浄した。濾液を、ロータリーエバポレーターを使用して40℃の真空で濃縮し、アセトニトリル(2×0.66L)と共蒸発させて、468g(99%)の3-アジド-3-デオキシ-D-ガラクトピラノースを白色固体として得た。
【数5】
【0057】
<1,2,4,6-テトラ-O-アセチル-3-アジド-3-デオキシ-β-D-ガラクトピラノース、X>
【化17】

3-アジド-3-デオキシ-D-ガラクトピラノース、IX(770g、3.75mol)を含む酢酸エチル(2.31L)及びトリエチルアミン(6.27L、45.0mol)の懸濁液に、35℃以下の温度を維持しながら、無水酢酸(3.54L、37.5mol)の酢酸エチル(1.54L)溶液を滴下した。反応混合物を30℃で18時間撹拌し、次いで、0℃に冷却した。温度を25℃以下に維持しながら、混合物を、2M HCl水溶液(5.0L)、水(1.54L)、5% NaHCO水溶液(1.54L)及び10% NaCl水溶液(1.54L)で連続的に洗浄した。有機相を真空で濃縮し、残渣を室温で酢酸エチル(2.0L)に懸濁した。材料が完全に溶解するまで懸濁液を60℃に加温した。混合物を20℃に冷却し、ヘプタン(2.89L)を投入した。混合物を0℃に冷却し、1時間撹拌し、次いで、濾過し、固体を4:1のヘプタン:酢酸エチル(0.77L)で洗浄した。固体を50℃の真空下で乾燥させて、882g(63%)の1,2,4,6-テトラ-O-アセチル-3-アジド-3-デオキシ-β-D-ガラクトピラノースを白色固体として得た。
【数6】
【0058】
代替手順
【化18】

3-アジド-3-デオキシ-1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-ガラクトフラノース、VIII(43.4kg、152mol)を含む1,4-ジオキサン(約90Lの総体積)の溶液を容器に投入し、続いて1,4-ジオキサン(44L)、活性化Amberlite IR-120樹脂(12.3kg)及び水(87.2L)を投入した。混合物を62℃に24時間加熱し、次いで、32℃に冷却し、濾過した。フィルターをさらに1,4-ジオキサン(105L)で洗浄した。濾液を活性化Amberlite IRA-96樹脂(23kg)で30℃にて1.5時間処理して、pHを6.0以上に調整した。混合物を濾過し、濾過ケークを1,4-ジオキサン(105L)で洗浄した。1,4-ジオキサン(3×217L)の添加及び蒸留により、真空中、最高50℃で合わせた濾液から水を除去して、約107Lの反応体積になった。反応物を32℃に冷却し、トリエチルアミン(216kg、2132mol)及び1,4-ジオキサン(129L)を添加した。無水酢酸(157kg、1533mol)を含む1,4-ジオキサン(44L)を、32.5℃で5時間にわたって容器に投入し、混合物を30℃で22時間撹拌した。ジメチルアミノピリジン(DMAP)(4.34kg、35.5mol)を投入し、続いて無水酢酸(15.5kg、152mol)を1,4-ジオキサン(11L)に39分間にわたって30℃で投入し、混合物を30℃で4時間撹拌した。反応物を10℃に冷却し、水(1032L)を添加した。混合物を濾過し、濾過ケークを水(84L)で洗浄した。湿性ケークを酢酸エチル(304L)に溶解し、活性炭(8.7kg)で1時間処理した。混合物を濾過し、濾過ケークを酢酸エチル(87L)で洗浄した。合わせた濾液を20℃で10% NaCl水溶液(239kg)で洗浄した。層を分離し、有機層を、真空中、最高45℃で少量まで蒸留した。ジイソプロピルエーテル(DIPE)(93L)を35~45℃で30分間にわたって添加した。混合物を28℃で1時間撹拌し、次いで、n-ヘプタン(259L)を24℃で30分間にわたって添加した。得られたスラリーを-2℃まで冷却し、1.5時間撹拌した。混合物を濾過し、濾過ケークを冷n-ヘプタン(43.4L)で洗浄した。濾過ケークを最高45℃の真空で乾燥させて、1,2,4,6-テトラ-O-アセチル-3-アジド-3-デオキシ-β-D-ガラクトピラノース X(34.1kg、VIIIからの2工程で59.9%)を白色固体として得た。
【0059】
代替手順
3-アジド-3-デオキシ-1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-グロフラノースVIII(206g、0.72mol)の2-MeTHF(約900mL総体積)溶液に、パラ-トルエンスルホン酸(27.3g、0.16mol)及び水(104mL)を添加した。反応混合物を50℃に加熱し、18時間撹拌した。トリエチルアミン(21.2mL)を添加し、真空中、40~50℃で、2-MeTHFの共沸蒸留によって溶液を乾燥させた。溶液を40℃に冷却し、トリエチルアミン(906mL、6.5mol)を添加した。無水酢酸(513mL、5.4mol)を3時間にわたって添加し、溶液を40℃で18時間保持した。反応物を0℃に冷却し、さらに2-MeTHF(474mL)及び水(618mL)を0℃で投入した。混合物を20℃に加温し、一時間撹拌し、相を分離した。有機相を水で2回洗浄し(2×618mL)、次いで、さらに2-MeTHFを添加し(762mL)、その後、40~50℃の真空で約1.5Lに蒸留した。残留溶液を40℃で1.5時間活性炭(4.1g)で処理し、濾過し、次いで40~50℃の真空で約750mLまで蒸留した。溶液を42℃に冷却し、種晶(2.1g)を添加した。スラリーを42℃で3時間保持し、20℃まで徐々に冷却し、次いで、シクロヘキサン(507mL)を4時間にわたって添加した。スラリーを2時間保持し、次いで濾過し、濾過ケークを2-MeTHF:シクロヘキサン(95:371mL)の混合物で洗浄した。生成物を最高40℃の真空で乾燥させて、1,2,4,6-テトラ-O-アセチル-3-アジド-3-デオキシ-β-D-ガラクトピラノース(167g、VIIIから2工程で62%)を白色固体として得た。
【0060】
代替手順
【化19】

1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-グロフラノース、VI(35kg、134mol)を含むTBME(130L)の溶液に、ピリジン(31.9kg、403mol)を25℃で添加した。懸濁液を0℃に冷却し、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(61.6kg、218mol)を20℃以下で1.5時間にわたって混合物に添加した。反応混合物を20℃以下で15分間撹拌し、次いで、25℃に加温し、6時間撹拌した。混合物を15℃に冷却し、次いで、1.5M HCl水溶液でpHを3.0に調整した。混合物を濾過し、濾過ケークをTBME(70kg)で洗浄し、相を分離した。有機相を25℃で5% NaHCO水溶液(73kg)及び10% NaCl水溶液(77kg)で洗浄した。層を分離し、DMF(35L)を有機相に添加した。最高35℃の真空でTBMEを濃縮によって除去し、さらにDMF(133kg)を残渣に添加した。蒸留を継続して、1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-3-O-トリフルオロメタンスルホナート-α-D-グロフラノース(VII)を含むDMF(約250L)の溶液を得た。
【0061】
トリエチルアミン(0.25kg)を添加し、溶液を5℃に冷却し、次いで、NaN(17.5kg、269mol)を1時間にわたって少しずつ添加した。混合物を5℃で30分間撹拌し、25℃に加温し、1時間撹拌した。反応物を10℃に冷却し、温度を10℃に維持しながら水(263kg)を徐々に添加した。混合物をTBMEで20℃で2回(130kg、次いで106kg)抽出した。合わせた有機抽出物を、5% NaHCO水溶液(126kg)及び10% NaCl水溶液(2×116kg)で順次洗浄した。有機相を最高50℃の真空で約100Lに濃縮した。1,4-ジオキサン(74kg)を添加し、蒸留を約100Lまで2回継続した。溶液を25℃に冷却し、次いで、予備洗浄したAmberlite IR-120樹脂(14kg)及び水(35kg)を添加した。混合物を65℃に加熱し、24時間撹拌した。混合物を25℃に冷却し、濾過し、濾過ケークを4:1(重量/重量)の1,4-ジオキサン:水(105kg)で洗浄した。予備洗浄したAmberlite IRA-96樹脂(15.8kg)を合わせた濾液に投入し、混合物を25℃で3時間撹拌した。トリエチルアミン(2.5kg)を投入して、pHを6.5~7.5に調整し、混合物を濾過し、樹脂を4:1の1,4-ジオキサン:水(105kg)で洗浄した。合わせた濾液を最高65℃の真空で濃縮することによって約120Lまで乾燥させ、続いて1,4-ジオキサン(3×84kg)を添加し、蒸留した。残留溶液を25℃に冷却し、トリエチルアミン(151kg、1495mol)を添加した。無水酢酸(126kg、1234mol)を25℃で4時間にわたって溶液に添加した。反応混合物を30℃で24時間撹拌し、20℃に冷却し、次いで、水(228kg)及び2-メチルテトラヒドロフラン(14.7kg)を添加した。5℃の1.5M HCl水溶液(105kg)水溶液で反応混合物のpHを1~2に調整した。混合物を5℃で2時間撹拌し、次いで、濾過し、濾過ケークを水(2×175kg)で洗浄した。濾過ケークを二塩基性リン酸カリウム水溶液(20重量%、175kg)で25℃にて30分間スラリー状にし、次いで濾過し、固体を水(174kg)で洗浄した。固体をn-ヘプタン(47.6kg)で洗浄し、次いで、35℃で乾燥させた。粗物質をさらに2回25℃の水(255kg)で2時間スラリー状にし、次いで35℃で乾燥させて、1,2,4,6-テトラ-O-アセチル-3-アジド-3-デオキシ-β-D-ガラクトピラノース(24.4kg、VIから4工程で49%)を白色固体として得た。
【国際調査報告】