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特表2023-519970抗原ターゲティングされた免疫療法における抗原陰性細胞死の増進
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-15
(54)【発明の名称】抗原ターゲティングされた免疫療法における抗原陰性細胞死の増進
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/12 20150101AFI20230508BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230508BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20230508BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20230508BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20230508BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20230508BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20230508BHJP
   C12N 5/0786 20100101ALI20230508BHJP
   C12N 5/0789 20100101ALI20230508BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230508BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230508BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230508BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230508BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230508BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20230508BHJP
【FI】
A61K35/12
C12N5/10 ZNA
C12N5/0783
C12N15/62 Z
C12N15/13
C12N15/12
C12N15/09 110
C12N15/09 100
C12N5/0786
C12N5/0789
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K48/00
A61K35/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559564
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(85)【翻訳文提出日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 US2021025260
(87)【国際公開番号】W WO2021202801
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】63/003,209
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522256406
【氏名又は名称】フレッド ハッチンソン キャンサー センター
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タートル,キャメロン・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】フィオレンツァ,サルバトーレ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AA94Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C084AA13
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA17
4C084MA56
4C084MA60
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C084ZC751
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB65
4C087MA02
4C087MA17
4C087MA56
4C087MA60
4C087MA66
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZC75
(57)【要約】
(i)キメラ抗原受容体(CAR)又は類似分子を発現する免疫細胞、及び(ii)がん細胞に対する腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)のインビボでの作用を維持又は増強する化合物を含む併用療法が記載されている。併用療法は、免疫療法によりターゲティングされる抗原陽性細胞の近くの抗原陰性細胞の殺滅をもたらし、エスケープバリアントの生存率を低下させ、他の利点を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(iii)細胞外成分及び細胞内成分を含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように遺伝子修飾された免疫細胞であって、細胞外成分が、がん細胞によって発現された抗原に結合する結合ドメインを含み、細胞内成分が、エフェクタードメインを含む、免疫細胞、及び
(iv)腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)シグナル増強物質
を含む併用療法。
【請求項2】
TNFαシグナル増強物質が、TNFαシグナル伝達経路メンバーを活性化、増大若しくは支持する腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー(TNFRSF)メンバーの作用を活性化、増大若しくは支持する、並びに/又はTNFαシグナル増強物質が、TNFαシグナル伝達経路メンバーの作用を活性化、増大若しくは支持する、請求項1に記載の併用療法。
【請求項3】
TNFαシグナル増強物質が、TNFαシグナル伝達経路メンバーを不活化、抑制又は破壊するTNFRSFメンバーの作用を不活化、抑制又は破壊する、請求項1に記載の併用療法。
【請求項4】
TNFαシグナル増強物質が、TNFRSFメンバー1A、1B、3、6、8、10A、10B、12A、19及び/若しくは21を活性化、増大若しくは支持する、並びに/又はTNFRSFメンバー6B、10C及び/若しくは10Dの作用を不活化、抑制若しくは破壊する、請求項1に記載の併用療法。
【請求項5】
TNFαシグナル増強物質が、TNFαシグナル増強物質タンパク質の発現をもたらす分子である、請求項1に記載の併用療法。
【請求項6】
TNFαシグナル増強物質が、TNFαシグナル増強物質タンパク質である、請求項1に記載の併用療法。
【請求項7】
TNFαシグナル増強物質タンパク質が、腫瘍壊死因子様弱アポトーシス誘導因子(TWEAK)、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)及び/又は誘導性発現を示し、Tリンパ球で発現される受容体であるヘルペスウイルス侵入メディエーターとの結合についてHSV糖タンパク質Dと競合するリンホトキシンとの相同体(homologous to lymphotoxin, exhibits inducible expression and competes with HSV glycoprotein D for binding to herpesvirus entry mediator, a receptor expressed on T lymphocytes)(LIGHT)を含む、請求項5に記載の併用療法。
【請求項8】
TNFαシグナル増強物質が、TNFαシグナル伝達経路メンバーを不活化、抑制又は破壊するTNFRSFメンバーの発現を破壊する分子である、請求項1に記載の併用療法。
【請求項9】
TNFαシグナル伝達経路メンバーを不活化、抑制又は破壊するTNFRSFメンバーの発現を破壊する分子が、CRISPR/Cas分子、ジンクフィンガーヌクレアーゼ分子、TALEN又はmegaTALを含む、請求項8に記載の併用療法。
【請求項10】
TNFαシグナル伝達経路メンバーを不活化、抑制又は破壊するTNFRSFメンバーの発現を破壊する分子が、塩基エディターを含む、請求項8に記載の併用療法。
【請求項11】
CARを発現する請求項1に記載の免疫細胞がまた、TNFαシグナル増強物質を含む又は発現する、請求項1に記載の併用療法。
【請求項12】
CARを発現する請求項1に記載の免疫細胞がまた、TNFαシグナル増強物質を含む又は発現するように遺伝子修飾されている、請求項1に記載の併用療法。
【請求項13】
TNFαシグナル増強物質が、BV-6、CUDC-427、GDC-0152、LCL161、ロカグラミド、シロリムス、エスシン、エムリカサン、ビリナパント、ASTX660、AZD5582、BI 891065、DEBIO 1143、APG-1387、HGS1029、AEG35156並びにHisタグ及びリンカーペプチドに連結したヒトTRAILの細胞外ドメインを有する組換えタンパク質のうちの1つ以上から選択される小分子を含む、請求項1に記載の併用療法。
【請求項14】
CAR及び/又はTNFαシグナル増強物質の発現が、NFATプロモーターによって制御される、請求項1に記載の併用療法。
【請求項15】
結合ドメインが、T細胞受容体(TCR)であるか、又は抗体のCDRに由来する、請求項1に記載の併用療法。
【請求項16】
結合ドメインが、A33;BAGE;Bcl-2;β-カテニン;BCMA;B7H4;BTLA;CA125;CA19-9;CD3、CD5;CD20;CD21;CD22;CD25;CD28;CD30;CD33;CD37;CD38;CD40;CD52;CD44v6;CD45;CD56;CD79b;CD80;CD81;CD86;CD123;CD134;CD137;CD151;CD171;CD276;CEA;CEACAM6;CLL-1;c-Met;CS-1;CTLA-4;サイクリンB1;DAGE;EBNA;EGFR;EGFRvIII、エフリンB2;ErbB2;HER2;ErbB4;EphA2;エストロゲン受容体;FAP;フェリチン;α-フェトプロテイン(AFP);FLT1;FLT4;葉酸結合タンパク質;FOLR;Frizzled;GAGE;G250;GD-2;GHRHR;GHR;GITR;GM2;GPRC5D;gp75;gp100(Pmel 17);gp130;HLA;HER-2/neu;HPV E6;HPV E7;hTERT;HVEM;IGF1R;IL6R;KDR;Ki-67;ルイスA;ルイスY;LIFRβ;LRP;LRP5;LTβR;MAGE;MART;メソテリン;MUC;MUC1;MUM-1-B;myc;NYESO-1;O-アセチルGD-2;O-アセチルGD3;OSMRβ;p53;PD1;PD-L1;PD-L2;PRAME;プロゲステロン受容体;PSA;PSMA;PTCH1;RANK;ras;Robo1;RORl;サバイビン;TCRα;TCRβ;テネイシン;TGFBR1;TGFBR2;TLR7;TLR9;TNFR1;TNFR2;TNFRSF4;TWEAK-R;TSTAチロシナーゼ;VEGF;又はWT1に特異的に結合する、請求項1に記載の併用療法。
【請求項17】
結合ドメインが、HER2、ERBB2、CD33、PSMA、PD-L1、MUC16、FOLR、CD123又はCLL-1に特異的に結合する、請求項1に記載の併用療法。
【請求項18】
結合ドメインが、FMC63、SJ25C1、HD37、ハーセプチン、ペムブロリズマブ、FAZ053、アベルマブ、アテゾリズマブ又はアマツキシマブのCDRセット、VH又はVLを含む抗体に由来する、請求項1に記載の併用療法。
【請求項19】
細胞外成分及び細胞内成分が、膜貫通ドメインを介して連結している、請求項1に記載の併用療法。
【請求項20】
エフェクタードメインが、4-1BB及び/又はCD3ζを含む、請求項1に記載の併用療法。
【請求項21】
CARが、結合ドメインと膜貫通ドメインとの間にスペーサー領域をさらに含む、請求項19に記載の併用療法。
【請求項22】
CARが、タグカセット、形質導入マーカー及び/又は自殺スイッチを含む制御機構をさらに含む又はそれらと共に発現される、請求項1に記載の併用療法。
【請求項23】
遺伝子修飾された免疫細胞が、T細胞、ナチュラルキラー細胞、単球/マクロファージ、造血幹細胞又は造血前駆細胞である、請求項1に記載の併用療法。
【請求項24】
T細胞が、CD3 T細胞、CD4 T細胞、CD8 T細胞、セントラルメモリーT細胞、エフェクターメモリーT細胞及び/又はナイーブT細胞から選択される、請求項23に記載の併用療法。
【請求項25】
T細胞が、CD4 T細胞及び/又はCD8 T細胞である、請求項23に記載の併用療法。
【請求項26】
1:1の比のCD4 T細胞及びCD8 T細胞を含む、請求項25に記載の併用療法。
【請求項27】
遺伝子修飾された免疫細胞が、エクスビボ又はインビボにおけるものである、請求項1に記載の併用療法。
【請求項28】
選択された併用療法のCARを発現するようにエクスビボで遺伝子修飾された少なくとも2つの細胞種を含む組成物を含む、請求項1に記載の併用療法。
【請求項29】
少なくとも2つの細胞種が、T細胞及びナチュラルキラー細胞、T細胞及び単球/マクロファージ、T細胞及び造血幹細胞、T細胞及び造血前駆細胞、ナチュラルキラー細胞及び単球/マクロファージ、ナチュラルキラー細胞及び造血幹細胞、ナチュラルキラー細胞及び造血前駆細胞、単球/マクロファージ及び造血幹細胞、単球/マクロファージ及び造血前駆細胞、又は造血幹細胞及び造血前駆細胞を含む、請求項28に記載の併用療法。
【請求項30】
併用療法のCAR部分を発現するように細胞のインビボでの遺伝子修飾をもたらすナノ粒子を含む、請求項1に記載の併用療法。
【請求項31】
TNFαシグナル増強物質を発現するか、又は含むように細胞のインビボでの遺伝子修飾をもたらすナノ粒子を含む、請求項1に記載の併用療法。
【請求項32】
請求項1に記載の併用療法を含む又は発現するように遺伝子修飾された細胞。
【請求項33】
CARの発現が、NFATプロモーターによって制御される、請求項32に記載の細胞。
【請求項34】
エクスビボ又はインビボにおけるものである、請求項32に記載の細胞。
【請求項35】
T細胞、ナチュラルキラー細胞、単球/マクロファージ、造血幹細胞又は造血前駆細胞である、請求項32に記載の細胞。
【請求項36】
T細胞が、CD3 T細胞、CD4 T細胞、CD8 T細胞、セントラルメモリーT細胞、エフェクターメモリーT細胞及び/又はナイーブT細胞である、請求項35に記載の細胞。
【請求項37】
T細胞が、CD4 T細胞及び/又はCD8 T細胞である、請求項35に記載の細胞。
【請求項38】
治療有効量の請求項1に記載の併用療法を対象に投与することを含み、それによって、それを必要とする対象におけるがんを処置する、それを必要とする対象におけるがんを処置する方法。
【請求項39】
処置が、抗がん効果をもたらす、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
抗がん効果が、白血病、前立腺がん、乳がん、幹細胞がん、卵巣がん、中皮腫、腎細胞癌黒色腫、膵臓がん、肺がん、HBV誘発性肝細胞癌又は多発性骨髄腫に対する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
請求項1に記載の併用療法、請求項32に記載の細胞及び/又は請求項38に記載の方法を実施するための成分を含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年3月31日に出願された米国仮特許出願第63/003,209号に対する優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の分野
本開示は、(i)キメラ抗原受容体(CAR)又は類似分子を発現する免疫細胞、及び(ii)がん細胞に対する腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)のインビボでの作用を維持又は増強する化合物を含む併用療法を提供する。この化合物は、免疫細胞による遺伝子又はタンパク質発現に影響を与える小分子又は分子であり得る。併用療法は、免疫療法によりターゲティングされる抗原が陽性の細胞の近くの抗原陰性細胞の殺滅をもたらし、エスケープバリアントの生存率を低下させ、他の利点を提供する。
【背景技術】
【0003】
世界保健機関によると、がんは世界で2番目に多い死因であり、2018年には推定960万人の死亡の原因であった。長年にわたり、がんのために選択される処置は、手術、化学療法及び放射線療法であった。近年、がん細胞に主に見られる特定の分子変化を識別し、活用することにより、がん細胞を特異的に標的とする、多くのターゲティングされた療法が出現している。例えば、がん細胞などの望ましくない細胞種を標的として、殺滅するために免疫系のT細胞を遺伝子操作することに関して、大きな進歩が遂げられた。これらのT細胞の多くは、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように遺伝子操作されている。CARは、遺伝子修飾T細胞が、がん細胞を認識し、殺滅することを可能にするいくつかの異なる副成分を含むタンパク質である。この副成分は、少なくとも細胞外成分及び細胞内成分を含む。細胞外成分は、望ましくない細胞の表面に選択的に存在する抗原に特異的に結合する結合ドメインを含む。結合ドメインがそのような抗原に結合すると、細胞内成分が、結合した細胞を破壊するためにT細胞にシグナルを送る。CARはさらに、細胞外成分を細胞内成分に連結することができる膜貫通ドメイン、及びCARの機能を増加させることができる他の副成分を含む。例えば、スペーサー領域などの1つ以上のリンカー配列を含めることにより、CARはさらなる立体構造の柔軟性を有することが可能になり、多くの場合、ターゲティングされる細胞抗原に結合する結合ドメインの能力を増加させ得る。
【0004】
CAR発現T細胞(CAR-T)を用いた臨床試験では、従来の処置が失敗した難治性の大細胞型B細胞リンパ腫を有する患者においてポジティブな応答が示された(Neelapuら、2017年、N Engl J Med 377:2531~2544頁)。しかしながら、遺伝子操作されたCAR-T細胞は、がん細胞の破壊に成功したが、一部の適応症についてインビボで長期の抗がん活性を提供することはできなかった。例えば、抗原陰性の再発は、抗原指向性免疫療法後の処置失敗の一般的な原因である。
【0005】
腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)は、アポトーシス、免疫応答並びに細胞成長及び分化を含む細胞機能を調節する。がん細胞の近くでは、TNFαはがん細胞の死を促進する。TNFα経路は、TNFα誘発細胞死を増強又は阻害するために腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー(TNFRSF)メンバーの他のメンバーによってモジュレートされ得る。アポトーシスタンパク質の細胞インヒビター(cIAP)もまた、がん細胞の近くにあり得、逆にTNFαの細胞殺滅効果からがん細胞を保護する。その結果として、cIAPの作用を低減又は遮断する治療用cIAPアンタゴニストが開発された。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Neelapuら、2017年、N Engl J Med 377:2531~2544頁
【発明の概要】
【0007】
本開示の要旨
本開示は、TNFαのインビボ細胞殺滅作用を増強又は維持する化合物と併用したCAR発現免疫細胞などの免疫療法の投与を提供する。本明細書に示されているように、これらの併用療法は、CAR又は類似分子が結合した抗原陽性細胞の殺滅を可能にする。TNFαの作用を増強又は維持することで、ターゲティングされる抗原陽性細胞の領域において抗原陰性がん細胞を効果的に殺滅させることも可能になるので、他の利点の中でも特にエスケープバリアントの生存率を低下させる。
【0008】
TNFαのインビボ細胞殺滅作用を増強又は維持する化合物は、本明細書ではTNFαシグナル増強物質と称される。特定の実施形態では、TNFαシグナル増強物質は、TNFαシグナル伝達経路メンバーを増強する腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー(TNFRSF)メンバーを活性化する分子を含む。特定の実施形態では、TNFαシグナル増強物質は、TNFαシグナル伝達経路メンバーを阻害するTNFSRFメンバーを阻害する分子を含む。特定の実施形態では、分子は、TNFαシグナル伝達経路メンバーを増強するTNFRSFメンバーをノックインする遺伝子操作分子、又はTNFαシグナル伝達経路メンバーを阻害するTNFRSFメンバーの活性をノックダウン/ノックアウトする、若しくはそうでなければ破壊する遺伝子操作分子を含み得る。
【0009】
特定の実施形態では、遺伝子操作分子は、タンパク質TWEAK(腫瘍壊死因子様弱アポトーシス誘導因子)、TRAIL(腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド)及びLIGHT(誘導性発現を示し、Tリンパ球で発現される受容体であるヘルペスウイルス侵入メディエーターとの結合についてHSV糖タンパク質Dと競合するリンホトキシンとの相同体(homologous to lymphotoxin, exhibits inducible expression and competes with HSV glycoprotein D for binding to herpesvirus entry mediator, a receptor expressed on T lymphocytes))のうちの1つ以上の発現をもたらし得る。
【0010】
特定の実施形態では、CAR又は類似分子を発現するように遺伝子修飾された免疫細胞はまた、TNFαシグナル増強物質のうちの1つ以上を発現するように遺伝子修飾されている。特定の実施形態では、CAR又は類似分子を発現するように遺伝子修飾された免疫細胞はまた、TNFαシグナル伝達経路メンバーを阻害する1つ以上のTNFRSFメンバーをノックダウン、ノックアウト又はそうでなければ破壊するように遺伝子修飾されている。
【0011】
特定の実施形態では、TNFαシグナル増強物質は、例えば、BV-6、CUDC-427、GDC-0152、LCL161、ロカグラミド、シロリムス、エスシン、エムリカサン、ビリナパント、ASTX660、AZD5582、KILLERTRAIL(商標)(Enzo Life Sciences、Farmingdale、NY)、BI 891065、DEBIO 1143、APG-1387、HGS1029及びAEG35156から選択される小分子又はタンパク質である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】抗原陰性殺滅アッセイの概略図である。CD33-pos AML細胞株であるML1細胞、又はCRISPR-Cas9ターゲティングによるCD33欠損ML1細胞は、クロム51(Cr51)で標識され、以下の4つの組合せのうちの1つで培養される:(図1A)=CD33-neg細胞で標識されたCD33-pos-Cr51、(図1B)=CD33-pos細胞で標識されたCD33-neg-Cr51、(図1C)=CD33-pos細胞で標識されたCD33-pos-Cr51、(図1D)=CD33-neg細胞で標識されたCD33-neg-Cr51。細胞は、CD33PROXCAR-T細胞に4時間又は24時間曝露される。次いで、上清中のCr51レベルがシンチレーションカウンターにより測定され、自然細胞溶解(培養培地のみ)から差し引いた最大細胞溶解(洗剤から)に対する細胞傷害性パーセントとして計算される。CAR-T細胞によって溶解された細胞は、頭蓋骨及び横走骨として区別される。矢印はCr51放出を表す。
図1B】抗原陰性殺滅アッセイの概略図である。CD33-pos AML細胞株であるML1細胞、又はCRISPR-Cas9ターゲティングによるCD33欠損ML1細胞は、クロム51(Cr51)で標識され、以下の4つの組合せのうちの1つで培養される:(図1A)=CD33-neg細胞で標識されたCD33-pos-Cr51、(図1B)=CD33-pos細胞で標識されたCD33-neg-Cr51、(図1C)=CD33-pos細胞で標識されたCD33-pos-Cr51、(図1D)=CD33-neg細胞で標識されたCD33-neg-Cr51。細胞は、CD33PROXCAR-T細胞に4時間又は24時間曝露される。次いで、上清中のCr51レベルがシンチレーションカウンターにより測定され、自然細胞溶解(培養培地のみ)から差し引いた最大細胞溶解(洗剤から)に対する細胞傷害性パーセントとして計算される。CAR-T細胞によって溶解された細胞は、頭蓋骨及び横走骨として区別される。矢印はCr51放出を表す。
図1C】抗原陰性殺滅アッセイの概略図である。CD33-pos AML細胞株であるML1細胞、又はCRISPR-Cas9ターゲティングによるCD33欠損ML1細胞は、クロム51(Cr51)で標識され、以下の4つの組合せのうちの1つで培養される:(図1A)=CD33-neg細胞で標識されたCD33-pos-Cr51、(図1B)=CD33-pos細胞で標識されたCD33-neg-Cr51、(図1C)=CD33-pos細胞で標識されたCD33-pos-Cr51、(図1D)=CD33-neg細胞で標識されたCD33-neg-Cr51。細胞は、CD33PROXCAR-T細胞に4時間又は24時間曝露される。次いで、上清中のCr51レベルがシンチレーションカウンターにより測定され、自然細胞溶解(培養培地のみ)から差し引いた最大細胞溶解(洗剤から)に対する細胞傷害性パーセントとして計算される。CAR-T細胞によって溶解された細胞は、頭蓋骨及び横走骨として区別される。矢印はCr51放出を表す。
図1D】抗原陰性殺滅アッセイの概略図である。CD33-pos AML細胞株であるML1細胞、又はCRISPR-Cas9ターゲティングによるCD33欠損ML1細胞は、クロム51(Cr51)で標識され、以下の4つの組合せのうちの1つで培養される:(図1A)=CD33-neg細胞で標識されたCD33-pos-Cr51、(図1B)=CD33-pos細胞で標識されたCD33-neg-Cr51、(図1C)=CD33-pos細胞で標識されたCD33-pos-Cr51、(図1D)=CD33-neg細胞で標識されたCD33-neg-Cr51。細胞は、CD33PROXCAR-T細胞に4時間又は24時間曝露される。次いで、上清中のCr51レベルがシンチレーションカウンターにより測定され、自然細胞溶解(培養培地のみ)から差し引いた最大細胞溶解(洗剤から)に対する細胞傷害性パーセントとして計算される。CAR-T細胞によって溶解された細胞は、頭蓋骨及び横走骨として区別される。矢印はCr51放出を表す。
図2A】CD33指向性CD8+CAR-T細胞が、異なるCAR長及び異なるドナーにわたって強力な抗原陰性バイスタンダー殺滅を示す図である。クロム51標識化CD33陽性(pos)AML細胞株であるML1細胞、又はCRISPR-Cas9ターゲティングによるCD33欠損ML1細胞は、CD33指向性1H7 CAR-T細胞と4時間又は24時間共培養され、細胞上清が回収され、シンチレーションカウンターによって放出された放射線について解析された。シンチレーションからバックグラウンドを差し引いた値を最大放出(洗剤処理によって誘発された)で割って100%を掛けて計算した細胞傷害性パーセント。培養の4時間後、1H7 CAR-T細胞は、CD33pos ML1標的の抗原特異的殺滅をもたらしたが(バーは★及び■として指定されている。)、CD33陰性(neg)ML1標的は殺滅をもたらさなかった(バーは●及び◆として指定されている。)。対照的に、24時間で、CD33-pos ML1標的と培養した場合にのみ、クロム標識化CD33-neg ML1細胞の強力な殺滅(バーは●として指定されている。)が観察され、抗原陰性バイスタンダーAML細胞死が、抗原陽性標的細胞によるCAR-T細胞活性化によって促進されたことを示している。この効果は、長い又は短いスペーサーを有するCAR構築物において観察された。(図2A)~(図2D)健康なドナー04:(図2A)4時間;短いスペーサー;(図2B)24時間;短いスペーサー;(図2C)4時間;中間のスペーサー;(図2D)24時間;中間のスペーサー;(図2E)~(図2H)健康なドナー07:(図2E)4時間;短いスペーサー;(図2F)24時間;短いスペーサー;(図2G)4時間;中間のスペーサー;(図2H)24時間;中間のスペーサー。
図2B】CD33指向性CD8+CAR-T細胞が、異なるCAR長及び異なるドナーにわたって強力な抗原陰性バイスタンダー殺滅を示す図である。クロム51標識化CD33陽性(pos)AML細胞株であるML1細胞、又はCRISPR-Cas9ターゲティングによるCD33欠損ML1細胞は、CD33指向性1H7 CAR-T細胞と4時間又は24時間共培養され、細胞上清が回収され、シンチレーションカウンターによって放出された放射線について解析された。シンチレーションからバックグラウンドを差し引いた値を最大放出(洗剤処理によって誘発された)で割って100%を掛けて計算した細胞傷害性パーセント。培養の4時間後、1H7 CAR-T細胞は、CD33pos ML1標的の抗原特異的殺滅をもたらしたが(バーは★及び■として指定されている。)、CD33陰性(neg)ML1標的は殺滅をもたらさなかった(バーは●及び◆として指定されている。)。対照的に、24時間で、CD33-pos ML1標的と培養した場合にのみ、クロム標識化CD33-neg ML1細胞の強力な殺滅(バーは●として指定されている。)が観察され、抗原陰性バイスタンダーAML細胞死が、抗原陽性標的細胞によるCAR-T細胞活性化によって促進されたことを示している。この効果は、長い又は短いスペーサーを有するCAR構築物において観察された。(図2A)~(図2D)健康なドナー04:(図2A)4時間;短いスペーサー;(図2B)24時間;短いスペーサー;(図2C)4時間;中間のスペーサー;(図2D)24時間;中間のスペーサー;(図2E)~(図2H)健康なドナー07:(図2E)4時間;短いスペーサー;(図2F)24時間;短いスペーサー;(図2G)4時間;中間のスペーサー;(図2H)24時間;中間のスペーサー。
図2C】CD33指向性CD8+CAR-T細胞が、異なるCAR長及び異なるドナーにわたって強力な抗原陰性バイスタンダー殺滅を示す図である。クロム51標識化CD33陽性(pos)AML細胞株であるML1細胞、又はCRISPR-Cas9ターゲティングによるCD33欠損ML1細胞は、CD33指向性1H7 CAR-T細胞と4時間又は24時間共培養され、細胞上清が回収され、シンチレーションカウンターによって放出された放射線について解析された。シンチレーションからバックグラウンドを差し引いた値を最大放出(洗剤処理によって誘発された)で割って100%を掛けて計算した細胞傷害性パーセント。培養の4時間後、1H7 CAR-T細胞は、CD33pos ML1標的の抗原特異的殺滅をもたらしたが(バーは★及び■として指定されている。)、CD33陰性(neg)ML1標的は殺滅をもたらさなかった(バーは●及び◆として指定されている。)。対照的に、24時間で、CD33-pos ML1標的と培養した場合にのみ、クロム標識化CD33-neg ML1細胞の強力な殺滅(バーは●として指定されている。)が観察され、抗原陰性バイスタンダーAML細胞死が、抗原陽性標的細胞によるCAR-T細胞活性化によって促進されたことを示している。この効果は、長い又は短いスペーサーを有するCAR構築物において観察された。(図2A)~(図2D)健康なドナー04:(図2A)4時間;短いスペーサー;(図2B)24時間;短いスペーサー;(図2C)4時間;中間のスペーサー;(図2D)24時間;中間のスペーサー;(図2E)~(図2H)健康なドナー07:(図2E)4時間;短いスペーサー;(図2F)24時間;短いスペーサー;(図2G)4時間;中間のスペーサー;(図2H)24時間;中間のスペーサー。
図2D】CD33指向性CD8+CAR-T細胞が、異なるCAR長及び異なるドナーにわたって強力な抗原陰性バイスタンダー殺滅を示す図である。クロム51標識化CD33陽性(pos)AML細胞株であるML1細胞、又はCRISPR-Cas9ターゲティングによるCD33欠損ML1細胞は、CD33指向性1H7 CAR-T細胞と4時間又は24時間共培養され、細胞上清が回収され、シンチレーションカウンターによって放出された放射線について解析された。シンチレーションからバックグラウンドを差し引いた値を最大放出(洗剤処理によって誘発された)で割って100%を掛けて計算した細胞傷害性パーセント。培養の4時間後、1H7 CAR-T細胞は、CD33pos ML1標的の抗原特異的殺滅をもたらしたが(バーは★及び■として指定されている。)、CD33陰性(neg)ML1標的は殺滅をもたらさなかった(バーは●及び◆として指定されている。)。対照的に、24時間で、CD33-pos ML1標的と培養した場合にのみ、クロム標識化CD33-neg ML1細胞の強力な殺滅(バーは●として指定されている。)が観察され、抗原陰性バイスタンダーAML細胞死が、抗原陽性標的細胞によるCAR-T細胞活性化によって促進されたことを示している。この効果は、長い又は短いスペーサーを有するCAR構築物において観察された。(図2A)~(図2D)健康なドナー04:(図2A)4時間;短いスペーサー;(図2B)24時間;短いスペーサー;(図2C)4時間;中間のスペーサー;(図2D)24時間;中間のスペーサー;(図2E)~(図2H)健康なドナー07:(図2E)4時間;短いスペーサー;(図2F)24時間;短いスペーサー;(図2G)4時間;中間のスペーサー;(図2H)24時間;中間のスペーサー。
図2E】CD33指向性CD8+CAR-T細胞が、異なるCAR長及び異なるドナーにわたって強力な抗原陰性バイスタンダー殺滅を示す図である。クロム51標識化CD33陽性(pos)AML細胞株であるML1細胞、又はCRISPR-Cas9ターゲティングによるCD33欠損ML1細胞は、CD33指向性1H7 CAR-T細胞と4時間又は24時間共培養され、細胞上清が回収され、シンチレーションカウンターによって放出された放射線について解析された。シンチレーションからバックグラウンドを差し引いた値を最大放出(洗剤処理によって誘発された)で割って100%を掛けて計算した細胞傷害性パーセント。培養の4時間後、1H7 CAR-T細胞は、CD33pos ML1標的の抗原特異的殺滅をもたらしたが(バーは★及び■として指定されている。)、CD33陰性(neg)ML1標的は殺滅をもたらさなかった(バーは●及び◆として指定されている。)。対照的に、24時間で、CD33-pos ML1標的と培養した場合にのみ、クロム標識化CD33-neg ML1細胞の強力な殺滅(バーは●として指定されている。)が観察され、抗原陰性バイスタンダーAML細胞死が、抗原陽性標的細胞によるCAR-T細胞活性化によって促進されたことを示している。この効果は、長い又は短いスペーサーを有するCAR構築物において観察された。(図2A)~(図2D)健康なドナー04:(図2A)4時間;短いスペーサー;(図2B)24時間;短いスペーサー;(図2C)4時間;中間のスペーサー;(図2D)24時間;中間のスペーサー;(図2E)~(図2H)健康なドナー07:(図2E)4時間;短いスペーサー;(図2F)24時間;短いスペーサー;(図2G)4時間;中間のスペーサー;(図2H)24時間;中間のスペーサー。
図2F】CD33指向性CD8+CAR-T細胞が、異なるCAR長及び異なるドナーにわたって強力な抗原陰性バイスタンダー殺滅を示す図である。クロム51標識化CD33陽性(pos)AML細胞株であるML1細胞、又はCRISPR-Cas9ターゲティングによるCD33欠損ML1細胞は、CD33指向性1H7 CAR-T細胞と4時間又は24時間共培養され、細胞上清が回収され、シンチレーションカウンターによって放出された放射線について解析された。シンチレーションからバックグラウンドを差し引いた値を最大放出(洗剤処理によって誘発された)で割って100%を掛けて計算した細胞傷害性パーセント。培養の4時間後、1H7 CAR-T細胞は、CD33pos ML1標的の抗原特異的殺滅をもたらしたが(バーは★及び■として指定されている。)、CD33陰性(neg)ML1標的は殺滅をもたらさなかった(バーは●及び◆として指定されている。)。対照的に、24時間で、CD33-pos ML1標的と培養した場合にのみ、クロム標識化CD33-neg ML1細胞の強力な殺滅(バーは●として指定されている。)が観察され、抗原陰性バイスタンダーAML細胞死が、抗原陽性標的細胞によるCAR-T細胞活性化によって促進されたことを示している。この効果は、長い又は短いスペーサーを有するCAR構築物において観察された。(図2A)~(図2D)健康なドナー04:(図2A)4時間;短いスペーサー;(図2B)24時間;短いスペーサー;(図2C)4時間;中間のスペーサー;(図2D)24時間;中間のスペーサー;(図2E)~(図2H)健康なドナー07:(図2E)4時間;短いスペーサー;(図2F)24時間;短いスペーサー;(図2G)4時間;中間のスペーサー;(図2H)24時間;中間のスペーサー。
図2G】CD33指向性CD8+CAR-T細胞が、異なるCAR長及び異なるドナーにわたって強力な抗原陰性バイスタンダー殺滅を示す図である。クロム51標識化CD33陽性(pos)AML細胞株であるML1細胞、又はCRISPR-Cas9ターゲティングによるCD33欠損ML1細胞は、CD33指向性1H7 CAR-T細胞と4時間又は24時間共培養され、細胞上清が回収され、シンチレーションカウンターによって放出された放射線について解析された。シンチレーションからバックグラウンドを差し引いた値を最大放出(洗剤処理によって誘発された)で割って100%を掛けて計算した細胞傷害性パーセント。培養の4時間後、1H7 CAR-T細胞は、CD33pos ML1標的の抗原特異的殺滅をもたらしたが(バーは★及び■として指定されている。)、CD33陰性(neg)ML1標的は殺滅をもたらさなかった(バーは●及び◆として指定されている。)。対照的に、24時間で、CD33-pos ML1標的と培養した場合にのみ、クロム標識化CD33-neg ML1細胞の強力な殺滅(バーは●として指定されている。)が観察され、抗原陰性バイスタンダーAML細胞死が、抗原陽性標的細胞によるCAR-T細胞活性化によって促進されたことを示している。この効果は、長い又は短いスペーサーを有するCAR構築物において観察された。(図2A)~(図2D)健康なドナー04:(図2A)4時間;短いスペーサー;(図2B)24時間;短いスペーサー;(図2C)4時間;中間のスペーサー;(図2D)24時間;中間のスペーサー;(図2E)~(図2H)健康なドナー07:(図2E)4時間;短いスペーサー;(図2F)24時間;短いスペーサー;(図2G)4時間;中間のスペーサー;(図2H)24時間;中間のスペーサー。
図2H】CD33指向性CD8+CAR-T細胞が、異なるCAR長及び異なるドナーにわたって強力な抗原陰性バイスタンダー殺滅を示す図である。クロム51標識化CD33陽性(pos)AML細胞株であるML1細胞、又はCRISPR-Cas9ターゲティングによるCD33欠損ML1細胞は、CD33指向性1H7 CAR-T細胞と4時間又は24時間共培養され、細胞上清が回収され、シンチレーションカウンターによって放出された放射線について解析された。シンチレーションからバックグラウンドを差し引いた値を最大放出(洗剤処理によって誘発された)で割って100%を掛けて計算した細胞傷害性パーセント。培養の4時間後、1H7 CAR-T細胞は、CD33pos ML1標的の抗原特異的殺滅をもたらしたが(バーは★及び■として指定されている。)、CD33陰性(neg)ML1標的は殺滅をもたらさなかった(バーは●及び◆として指定されている。)。対照的に、24時間で、CD33-pos ML1標的と培養した場合にのみ、クロム標識化CD33-neg ML1細胞の強力な殺滅(バーは●として指定されている。)が観察され、抗原陰性バイスタンダーAML細胞死が、抗原陽性標的細胞によるCAR-T細胞活性化によって促進されたことを示している。この効果は、長い又は短いスペーサーを有するCAR構築物において観察された。(図2A)~(図2D)健康なドナー04:(図2A)4時間;短いスペーサー;(図2B)24時間;短いスペーサー;(図2C)4時間;中間のスペーサー;(図2D)24時間;中間のスペーサー;(図2E)~(図2H)健康なドナー07:(図2E)4時間;短いスペーサー;(図2F)24時間;短いスペーサー;(図2G)4時間;中間のスペーサー;(図2H)24時間;中間のスペーサー。
図3A】CD33指向性CD4CAR-T細胞が、強力な抗原陰性バイスタンダー殺滅を示す図である。クロム51標識化CD33-pos AML細胞株であるML1細胞、又はCRISPR-Cas9ターゲティングによるCD33欠損ML1細胞は、CD33指向性1H7 CD4CAR-T細胞と4時間又は24時間共培養され、細胞上清が回収され、シンチレーションカウンターによって放出された放射線について解析された。シンチレーションからバックグラウンドを差し引いた値を最大放出(洗剤処理によって誘発された)で割って100%を掛けて計算した細胞傷害性パーセント。(図3A)培養の4時間後、1H7 CD4CAR-T細胞は、CD33-pos ML1標的の抗原特異的殺滅をもたらしたが(バーは★及び■として指定されている。)、CD33-neg ML1標的は殺滅をもたらさなかった(バーは●及び◆として指定されている。)。(図3B)対照的に、24時間で、CD33-pos ML1標的と培養した場合にのみ、クロム標識化CD33-neg ML1細胞の強力な殺滅(バーは●として指定されている。)が観察され、抗原陰性バイスタンダーAML細胞死が、抗原陽性標的細胞によるCD4CAR-T細胞の活性化によっても促進されたことを示している。
図3B】CD33指向性CD4CAR-T細胞が、強力な抗原陰性バイスタンダー殺滅を示す図である。クロム51標識化CD33-pos AML細胞株であるML1細胞、又はCRISPR-Cas9ターゲティングによるCD33欠損ML1細胞は、CD33指向性1H7 CD4CAR-T細胞と4時間又は24時間共培養され、細胞上清が回収され、シンチレーションカウンターによって放出された放射線について解析された。シンチレーションからバックグラウンドを差し引いた値を最大放出(洗剤処理によって誘発された)で割って100%を掛けて計算した細胞傷害性パーセント。(図3A)培養の4時間後、1H7 CD4CAR-T細胞は、CD33-pos ML1標的の抗原特異的殺滅をもたらしたが(バーは★及び■として指定されている。)、CD33-neg ML1標的は殺滅をもたらさなかった(バーは●及び◆として指定されている。)。(図3B)対照的に、24時間で、CD33-pos ML1標的と培養した場合にのみ、クロム標識化CD33-neg ML1細胞の強力な殺滅(バーは●として指定されている。)が観察され、抗原陰性バイスタンダーAML細胞死が、抗原陽性標的細胞によるCD4CAR-T細胞の活性化によっても促進されたことを示している。
図4】抗原陰性殺滅が、フロー細胞傷害性のアッセイにおいても見られる図である。CD33(C2セット)の膜近位成分に対して指向された1H7 CAR-T細胞は、IL-7及びIL-15において10日間にわたって拡大された。次いで、CAR-T細胞は、3つの条件のうちの1つで24時間共培養された:1)クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート-Cas9(CRISPR-Cas9)技術によってCD33が遺伝的に欠損している非蛍光ML1細胞(CD33neg)を伴う内因性レベルのCD33を発現する蛍光標識化ML1細胞(CD33pos GFP);2)非GFP発現CD33pos細胞を伴うCD33neg GFP細胞;3)非GFP発現CD33neg細胞を伴うCD33neg GFP細胞。次いで、細胞死は、アネキシンV及び7AADについて細胞を染色することによって分析された。アネキシンV陽性、アネキシンV及び7AAD陽性又は7AAD陽性細胞の総数が、TrueCountビーズカウンティングによって定量され、細胞死のパーセンテージが、100%細胞死(1200Wで15秒間マイクロ波照射されたML1細胞)に対して測定された。このデータは、抗原陰性細胞殺滅が、クロム51放出アッセイに限定されないことを示す。
図5A】抗原陰性細胞殺滅が、TNFα及びFasLに依存している図である。クロム51標識化CD33-pos AML細胞株であるML1細胞、又はCRISPR-Cas9ターゲティングによるCD33欠損ML1細胞は、10:1のエフェクター:標的比のTNFα(図5A)、IFNγ(図5B)又はFasLインヒビター(図5C)の様々なレベルのインヒビターと共に、CD33指向性1H7 CD8CAR-T細胞と24時間共培養された。シンチレーションからバックグラウンドを差し引いた値を最大放出(洗剤処理によって誘発された)で割って100%を掛けて計算した細胞傷害性パーセント。TNFα阻害は、抗原陰性細胞死をほとんどもたらさなかった。
図5B】抗原陰性細胞殺滅が、TNFα及びFasLに依存している図である。クロム51標識化CD33-pos AML細胞株であるML1細胞、又はCRISPR-Cas9ターゲティングによるCD33欠損ML1細胞は、10:1のエフェクター:標的比のTNFα(図5A)、IFNγ(図5B)又はFasLインヒビター(図5C)の様々なレベルのインヒビターと共に、CD33指向性1H7 CD8CAR-T細胞と24時間共培養された。シンチレーションからバックグラウンドを差し引いた値を最大放出(洗剤処理によって誘発された)で割って100%を掛けて計算した細胞傷害性パーセント。TNFα阻害は、抗原陰性細胞死をほとんどもたらさなかった。
図5C】抗原陰性細胞殺滅が、TNFα及びFasLに依存している図である。クロム51標識化CD33-pos AML細胞株であるML1細胞、又はCRISPR-Cas9ターゲティングによるCD33欠損ML1細胞は、10:1のエフェクター:標的比のTNFα(図5A)、IFNγ(図5B)又はFasLインヒビター(図5C)の様々なレベルのインヒビターと共に、CD33指向性1H7 CD8CAR-T細胞と24時間共培養された。シンチレーションからバックグラウンドを差し引いた値を最大放出(洗剤処理によって誘発された)で割って100%を掛けて計算した細胞傷害性パーセント。TNFα阻害は、抗原陰性細胞死をほとんどもたらさなかった。
図6】抗原ターゲティングされた免疫療法において抗原陰性細胞死を増大するためにモジュレートされ得る腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー(TNFRSF)メンバーの図である。
図7-1】キメラ抗原受容体(CAR)が、抗原陽性細胞の死滅(A)及びTNF受容体スーパーファミリー(TNFRSF)を介して近くの抗原陰性細胞にシグナルを送り得る腫瘍壊死因子アルファ(TNFα、A)の発現(B)を誘導し、それによって本明細書で実証されている「バイスタンダー殺滅」を誘導する図である。しかしながら、この細胞死は、TNF受容体関連因子2(TRAF2)などのTNFα誘導細胞死を通常阻害する、がんにおいて過剰発現したタンパク質によって阻害される。CAR-T細胞療法の開示された増進の1つは、上流のNFATプロモーターを含有するCAR遺伝子を用いて導入遺伝子をシスに導入することを含む。CARを介したシグナル伝達(C)は、NFATプロモーターからの転写(D)、及びそれに続くTNF関連弱アポトーシス誘導の膜結合型(mTWEAK)、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、又は誘導性発現を示し、Tリンパ球で発現される受容体であるヘルペスウイルス侵入メディエーターとの結合についてHSV糖タンパク質Dと競合するリンホトキシンとの相同体(LIGHT)の発現(E)をもたらす。これらのタンパク質の3つ全てが、例えば、TNFα誘導細胞死(F~G)のインヒビターの分解を誘導することによって、TNFα誘導細胞死についての閾値を低下させることは知られている。
図7-2】キメラ抗原受容体(CAR)が、抗原陽性細胞の死滅(A)及びTNF受容体スーパーファミリー(TNFRSF)を介して近くの抗原陰性細胞にシグナルを送り得る腫瘍壊死因子アルファ(TNFα、A)の発現(B)を誘導し、それによって本明細書で実証されている「バイスタンダー殺滅」を誘導する図である。しかしながら、この細胞死は、TNF受容体関連因子2(TRAF2)などのTNFα誘導細胞死を通常阻害する、がんにおいて過剰発現したタンパク質によって阻害される。CAR-T細胞療法の開示された増進の1つは、上流のNFATプロモーターを含有するCAR遺伝子を用いて導入遺伝子をシスに導入することを含む。CARを介したシグナル伝達(C)は、NFATプロモーターからの転写(D)、及びそれに続くTNF関連弱アポトーシス誘導の膜結合型(mTWEAK)、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、又は誘導性発現を示し、Tリンパ球で発現される受容体であるヘルペスウイルス侵入メディエーターとの結合についてHSV糖タンパク質Dと競合するリンホトキシンとの相同体(LIGHT)の発現(E)をもたらす。これらのタンパク質の3つ全てが、例えば、TNFα誘導細胞死(F~G)のインヒビターの分解を誘導することによって、TNFα誘導細胞死についての閾値を低下させることは知られている。
図8】正常な造血を維持しながら、薬物によって増進されたTNFα媒介性抗原陰性殺滅の概略図である。CD33の膜近位ドメインに対して指向されたCAR-T細胞は、腫瘍壊死因子α(TNFα、B)の放出を促進しながら、CD33-pos AML細胞に効率的な殺滅シグナルを送達する(A)。TNFαは、造血幹細胞における静止状態及び細胞生存を誘導する(C)。しかしながら、がん細胞では、TNFαは、AMLにおいて過剰発現される制御された細胞死の内因性インヒビターによって阻止される(E)、細胞死を誘発する(D)。次に、これらの細胞インヒビターは、臨床試験において検証されたか、又は臨床で使用されている薬理学的インヒビターによって阻害され得る(F並びに例えば図9A及び図10)。
図9A】TNFα媒介性細胞死を増大する能力があると主張されているSMAC/Diablo模倣物及びそれにより達成された結果を示す図である。(9A)SMAC/Diablo模倣物は、TNFα媒介性シグナル伝達及び細胞死に対する閾値を減少させる薬物のクラスである。(9B)抗原陰性殺滅が、SMAC/Diablo模倣物によって増大され得る。CD33を欠損している蛍光標識化ML1細胞(CD33neg GFP)及び非蛍光ML1親細胞(CD33pos、上)又はML1 CD33KO細胞(CD33neg、下)は、図9Aに列挙した濃度で様々なSMAC/Diablo模倣物と共培養された。24時間後、ML1細胞は、培地又はCD33指向性CAR-T細胞に曝露された。次いで、細胞死が、アネキシンV及び7AADについて細胞を染色することにより分析された。生細胞の総数が、GFP陽性アネキシンV及び7AAD陰性細胞として分析され、TrueCountビーズカウンティングによって定量された。抗原陰性細胞死のパーセントは、(培地対照ウェル中の全細胞死-CAR-Tウェル中の全細胞死)/培地対照ウェル中の全細胞死×100%として計算された。****p<0.0001、***p<0.001、nsは、post-hocダネット検定を用いた通常の一元ANOVAによりビヒクル(DMSO)対照に対して有意ではない。
図9B】TNFα媒介性細胞死を増大する能力があると主張されているSMAC/Diablo模倣物及びそれにより達成された結果を示す図である。(9A)SMAC/Diablo模倣物は、TNFα媒介性シグナル伝達及び細胞死に対する閾値を減少させる薬物のクラスである。(9B)抗原陰性殺滅が、SMAC/Diablo模倣物によって増大され得る。CD33を欠損している蛍光標識化ML1細胞(CD33neg GFP)及び非蛍光ML1親細胞(CD33pos、上)又はML1 CD33KO細胞(CD33neg、下)は、図9Aに列挙した濃度で様々なSMAC/Diablo模倣物と共培養された。24時間後、ML1細胞は、培地又はCD33指向性CAR-T細胞に曝露された。次いで、細胞死が、アネキシンV及び7AADについて細胞を染色することにより分析された。生細胞の総数が、GFP陽性アネキシンV及び7AAD陰性細胞として分析され、TrueCountビーズカウンティングによって定量された。抗原陰性細胞死のパーセントは、(培地対照ウェル中の全細胞死-CAR-Tウェル中の全細胞死)/培地対照ウェル中の全細胞死×100%として計算された。****p<0.0001、***p<0.001、nsは、post-hocダネット検定を用いた通常の一元ANOVAによりビヒクル(DMSO)対照に対して有意ではない。
図10】マウス及びヒトにおいて試験され、本開示の教示内で使用され得る小分子TNFαシグナル伝達モジュレーターのさらなる例を示す図である。
図11-1】本開示を支持する例示的な配列を示す図である。
図11-2】本開示を支持する例示的な配列を示す図である。
図11-3】本開示を支持する例示的な配列を示す図である。
図11-4】本開示を支持する例示的な配列を示す図である。
図11-5】本開示を支持する例示的な配列を示す図である。
図11-6】本開示を支持する例示的な配列を示す図である。
図11-7】本開示を支持する例示的な配列を示す図である。
図11-8】本開示を支持する例示的な配列を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
世界保健機関によると、がんは世界で2番目に多い死因であり、2018年には推定960万人の死亡の原因であった。長年にわたり、がんのために選択される処置は、手術、化学療法及び放射線療法であった。近年、これらの細胞に主に見られる特定の分子変化を識別し、活用することにより、がん細胞を特異的に標的とする、多くのターゲティングされた療法が出現している。例えば、がん細胞などの望ましくない細胞種を標的として、殺滅させるために免疫系のT細胞を遺伝子操作することに関して、大きな進歩が遂げられた。これらのT細胞の多くは、キメラ抗原受容体(CAR)構築物を発現するように遺伝子操作されている。CARは、遺伝子修飾T細胞が、がん細胞を認識し、殺滅させることを可能にするいくつかの異なる副成分を含むタンパク質である。この副成分は、少なくとも細胞外成分及び細胞内成分を含む。
【0014】
細胞外成分は、望ましくない細胞の表面に選択的に存在する抗原に特異的に結合する結合ドメインを含む。結合ドメインがそのような抗原に結合すると、細胞内成分が、結合したがん細胞を破壊するようにT細胞に指示する。結合ドメインは、典型的に、モノクローナル抗体(mAb)に由来する一本鎖可変断片(scFv)であるが、それは、例えば、抗体様抗原結合部位又はT細胞受容体(TCR)を含む他のフォーマットに基づき得る。
【0015】
細胞内成分は、エフェクタードメインの包含に基づいて活性化シグナルを提供する。第1世代のCARは、CD3ζの細胞質領域をエフェクタードメインとして利用した。第2世代のCARは、分化クラスター28(CD28)又は4-1BB(CD137)と組み合わせてCD3ζを利用したが、第3世代のCARは、細胞内エフェクタードメイン内でCD28及び4-1BBと組み合わせてCD3ζを利用した。
【0016】
CARは一般に、分子内で様々な目的のために使用される1つ以上のリンカー配列も含む。例えば、膜貫通ドメインが、CARの細胞外成分を細胞内成分に連結するために使用され得る。結合ドメインの膜近位にあるスペーサー領域としばしば称される柔軟なリンカー配列が、結合ドメインと細胞膜との間にさらなる距離を生じさせるために使用され得る。これは、膜への近接性に基づいて、結合に対する立体障害を低減させるのに有益であり得る。この目的のために使用される一般的なスペーサー領域はIgG4リンカーである。ターゲティングされる細胞抗原に応じて、より小型のスペーサー又はより長いスペーサーが使用され得る。他の潜在的なCAR副成分は、本明細書の他の場所により詳細に記載されている。
【0017】
CAR発現T細胞を用いた臨床試験では、従来の処置が失敗した難治性の大細胞型B細胞リンパ腫を有する患者においてポジティブな応答が示された(Neelapuら、2017年、N Engl J Med 377:2531~2544頁)。しかしながら、CAR構築物は、がん細胞の破壊をもたらすようにT細胞を首尾良く遺伝子操作し得るが、それらは、一部の適応症についてインビボで長期の抗がん活性を提供することはできなかった。例えば、抗原陰性の再発は、CAR発現T細胞(一般的にCAR-T細胞と称される)による処置などの、抗原指向性免疫療法後の処置失敗の一般的な原因である。本開示は、特定の細胞抗原に対するCAR又は類似分子を発現するように修飾された免疫細胞が、ターゲティングされる細胞抗原の存在による最初のプライミング後に抗原を発現しないがん細胞の殺滅を誘導することもできることを提供する。例えば、骨髄性悪性腫瘍関連抗原であるCD33に対して指向されたCAR-T細胞は、CD33発現標的による最初のプライミングの後(すなわち、CD33陽性細胞の存在下で)、CD33陰性細胞の殺滅を誘導することができる。これにより、CAR-T細胞は最初に標的抗原によって活性化され、次に標的抗原を発現しない腫瘍微小環境内の他の細胞を殺滅することが可能になり、寛解の深さを増加させ、抗原陰性エスケープのリスクを低減させる機会を提供する。
【0018】
この観察された「バイスタンダー殺滅」は、TNFα又はFasLが阻害された場合の抗原陰性細胞死の阻害によって証明されているように、TNFα経路シグナルに依存すると判断されている。したがって、本開示は、TNFαのインビボ細胞殺滅作用を増強又は維持する化合物と組み合わせた、CAR発現免疫細胞などの免疫療法の投与を提供する。本明細書に示されているように、これらの併用療法は、CAR又は類似分子が結合する抗原陽性細胞の殺滅を可能にする。TNFαの作用を増強又は維持することで、ターゲティングされる抗原陽性細胞の領域において抗原陰性がん細胞の効果的な殺滅も可能になり、したがって他の利点の中でも特にエスケープバリアントの生存率が低下する。
【0019】
TNFαのインビボ細胞殺滅作用を増強又は維持する化合物は、本明細書ではTNFαシグナル増強物質と称される。特定の実施形態では、TNFαシグナル増強物質は、TNFαシグナル伝達経路メンバーを活性化、増大又は支持する腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー(TNFRSF)メンバーを活性化、増大又は支持する分子を含む。特定の実施形態では、TNFαシグナル増強物質は、TNFαシグナル伝達経路メンバーを活性化、増大又は支持する分子を含む。活性化とは、分子を不活性状態から活性状態に変化させることを指す。増大とは、分子を活性状態からより活性な状態にすることを指す。支持とは、別様では分子の活性が下方制御される状況で、分子の活性化状態を維持することを意味する。
【0020】
特定の実施形態では、TNFαシグナル増強物質は、TNFαシグナル伝達経路メンバーを不活化、抑制又は破壊するTNFSRFメンバーを不活化、抑制又は破壊する分子を含む。不活化とは、分子を活性状態から不活性状態に変化させることを指す。抑制とは、分子を活性状態から低活性状態にすることを指す。破壊とは、その活性が別様では維持される状況において分子の活性化状態を低減させること、及び/又は分子の機能形態の発現を阻止することを意味する。
【0021】
特定の実施形態では、TNFαシグナル増強物質は、TNFαシグナル伝達経路メンバーを増強するTNFRSFメンバーをノックインするか、又はTNFαシグナル伝達経路メンバーを阻害するTNFRSFメンバーの発現をノックダウン/ノックアウトする、若しくはそうでなければ破壊する遺伝子操作分子を含み得る。
【0022】
特定の実施形態では、TNF関連死シグナルの表面発現の増加などのタンパク質操作修飾が、バイスタンダー殺滅を増大させるためにCAR-T細胞及び他の抗原指向性療法において行われ得る。さらに、これらの増進機構は悪性腫瘍内でのみ発生する傾向があるため、正常な組織を温存し、毒性を低減させる。特定の実施形態では、TNFαシグナル増強物質は、タンパク質TWEAK(腫瘍壊死因子様弱アポトーシス誘導因子)、TRAIL(腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド)及びLIGHT(誘導性発現を示し、Tリンパ球で発現される受容体であるヘルペスウイルス侵入メディエーターとの結合についてHSV糖タンパク質Dと競合するリンホトキシンとの相同体)のうちの1つ以上を含む。これらのタンパク質は、TNFα誘導性細胞死の閾値を低下させる。理論に拘束されるわけではないが、これらのタンパク質は、TNFα誘導性細胞死を阻害する分子の分解を誘導することによってTNFα誘導性細胞死の閾値を低下させる。特定の実施形態では、CAR又は類似分子を発現するように遺伝子修飾された免疫細胞はまた、1つ以上のTNFαシグナル増強物質を発現するか、又は含むように遺伝子修飾されている。
【0023】
特定の実施形態では、CAR又は類似分子を発現するように遺伝子修飾された免疫細胞はまた、TNFαシグナル伝達経路メンバーを阻害する1つ以上のTNFRSFメンバーをノックダウン、ノックアウト、又はそうでなければ不活化するように遺伝子修飾されている。
【0024】
図6は、TNFRSFメンバーの表を提供し、特定のファミリーメンバーが、本開示の文脈内でTNFαシグナル増強物質として分類される分子について増強又は阻害されるべきか否かを提供する。図6に示しているように、TNFαシグナル増強物質は、TNFRSFメンバー1A、1B、3、6、8、10A、10B、12A、19及び/若しくは21の作用を活性化、増大及び/若しくは支持し、並びに/又はTNFRSFメンバー6B、10C及び/若しくは10Dの作用を不活化、抑制若しくは破壊する。
【0025】
さらに、いくつかの臨床的に利用可能な小分子は、TNFα媒介性細胞死のインヒビターを遮断することによって抗原陰性バイスタンダー細胞殺滅を増進することができる。特定の実施形態では、これらの小分子には、BV-6、CUDC-427、GDC-0152、LCL161、ロカグラミド、シロリムス、エムリカサン、ビリナパント、ASTX660、AZD5582、KILLERTRAIL(商標)、BI 891065、DEBIO 1143、APG-1387、HGS1029、エスシン及びAEG35156のうちの1つ以上が含まれる。特定の実施形態では、小分子TNFαシグナル増強物質は、cIAPアンタゴニストである。小分子TNFαシグナル増強物質はまた、SMAC模倣物であり得る。カスパーゼの第2のミトコンドリア由来活性化因子(SMAC)は、cIAPに結合するミトコンドリアタンパク質(DIABLOとも称される)である。この結合により、アポトーシスを活性化するためにカスパーゼの遊離が生じ、cIAPの枯渇が生じる。SMAC模倣物は、cIAPに対するSMACの作用を模倣する。
【0026】
本開示に関連する以下の態様及び選択肢は、以下のようにさらに詳細にここで記載されている。(I)免疫細胞;(II)細胞試料の採取及び細胞濃縮;(III)キメラ抗原受容体(CAR)及び任意選択的にTNFαシグナル増強物質タンパク質を発現するような細胞集団の遺伝子修飾;(III-A)遺伝子操作技術;(III-B)CAR副成分;(III-B-i)結合ドメイン及びターゲティングされる細胞抗原;(III-B-ii)スペーサー領域(III-B-iii)膜貫通ドメイン;(III-B-iv)細胞内エフェクタードメイン;(III-B-v)リンカー;(III-B-vi)タグカセット、形質導入マーカー及び/又は自殺スイッチを含む制御機構;(III-C)TNFαシグナル増強物質タンパク質;(IV)細胞活性化培養条件;(V)エクスビボで製造された細胞製剤;(VI)TNFαシグナル増強物質-小分子及びタンパク質;(VII)ナノ粒子製剤;(VIII)使用方法;(IX)キット;(X)例示的な実施形態;並びに(XI)最終パラグラフ。これらの見出しは、構成の目的のためにのみ提供されており、本開示の範囲又は解釈を限定するものではない。
【0027】
(I)免疫細胞。本開示は、CARを発現するように遺伝子修飾された免疫細胞、及びTNFαシグナル増強物質を発現するか、又は含むように遺伝子修飾された免疫細胞を記載している。特定の実施形態では、CARを発現するように遺伝子修飾された免疫細胞は、TNFαシグナル増強物質を発現するか、又は含むように遺伝子修飾された免疫細胞と同じである。
【0028】
遺伝子修飾細胞は、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球/マクロファージ、リンパ球、造血幹細胞(HSC)、造血前駆細胞(HPC)並びに/又はHSC及びHSCの混合物(すなわち、HSPC)を含み得る。特定の実施形態では、遺伝子修飾細胞はT細胞を含む。
【0029】
T細胞のいくつかの異なるサブセットが発見されており、各々が異なる機能を有する。例えば、T細胞の大部分は、いくつかのタンパク質の複合体として存在するT細胞受容体(TCR)を有する。実際のT細胞受容体は、独立したT細胞受容体アルファ及びベータ(TCRα及びTCRβ)遺伝子から産生され、α-TCR鎖及びβ-TCR鎖と呼ばれる、2つの別個のペプチド鎖から構成される。
【0030】
γδT細胞は、それらの表面に異なるT細胞受容体(TCR)を有するT細胞の小さなサブセットを表す。γδT細胞では、TCRは、1つのγ鎖及び1つのδ鎖から構成される。T細胞のこの群は、αβT細胞ほど一般的ではない(全T細胞の2%)。
【0031】
CD3は、全ての成熟T細胞上で発現される。活性化T細胞は、4-1BB(CD137)、CD69及びCD25を発現する。CD5及びトランスフェリン受容体もまた、T細胞上で発現される。
【0032】
T細胞はさらにヘルパー細胞(CD4+T細胞)及び細胞溶解性T細胞を含む細胞障害性T細胞(CTL、CD8+T細胞)に分類され得る。Tヘルパー細胞は、B細胞の形質細胞への成熟、並びに細胞傷害性T細胞及びマクロファージの活性化などの機能を含む、免疫学的プロセスにおいて他の白血球を補助する。これらの細胞はまた、それらの表面上にCD4タンパク質を発現するため、CD4+T細胞としても知られている。ヘルパーT細胞は、抗原提示細胞(APC)の表面上で発現されるMHCクラスII分子によりペプチド抗原を提示されると、活性化される。活性化されると、それらは迅速に分裂し、能動免疫応答を調節するか、又は補助するサイトカインと呼ばれる小さいタンパク質を分泌する。
【0033】
細胞傷害性T細胞は、ウイルス感染細胞及び腫瘍細胞を破壊し、移植片拒絶反応にも関与している。これらの細胞はまた、それらの表面上にCD8糖タンパク質を発現するため、CD8+T細胞としても知られている。これらの細胞は、生体のほぼ全ての細胞の表面上に存在するMHCクラスIと会合した抗原と結合することにより、それらの標的を認識する。
【0034】
本明細書で使用される場合、「セントラルメモリー」T細胞(又は「TCM」)とは、抗原を経験したCTLであり、それらの表面上でCD62L又はCCR7及びCD45ROを発現し、ナイーブ細胞と比較してCD45RAを発現しない又は発現が低下しているものを指す。特定の実施形態では、セントラルメモリー細胞は、CD62L、CCR7、CD25、CD127、CD45RO及びCD95の発現が陽性であり、ナイーブ細胞と比較してCD45RAの発現が低下している。
【0035】
本明細書で使用される場合、「エフェクターメモリー」T細胞(又は「TEM」)とは、抗原を経験したT細胞であり、セントラルメモリー細胞と比較してそれらの表面上でCD62Lを発現しない又は発現が低下しており、ナイーブ細胞と比較してCD45RAを発現しない又は発現が低下しているものを指す。特定の実施形態では、エフェクターメモリー細胞は、ナイーブ細胞又はセントラルメモリー細胞と比較してCD62L及びCCR7の発現が陰性であり、CD28及びCD45RAの発現にばらつきがある。エフェクターT細胞は、メモリー又はナイーブT細胞と比較して、グランザイムB及びパーフォリンが陽性である。
【0036】
本明細書で使用される場合、「ナイーブ」T細胞とは、抗原を経験していないT細胞であり、セントラルメモリー細胞又はエフェクターメモリー細胞と比較して、CD62L及びCD45RAを発現し、CD45ROを発現しないものを指す。特定の実施形態では、ナイーブCD8+Tリンパ球は、CD62L、CCR7、CD28、CD127及びCD45RAを含むナイーブT細胞の表現型マーカーの発現を特徴とする。
【0037】
ナチュラルキラー細胞(NK細胞、K細胞及びキラー細胞としても知られている)は、インターフェロン又はマクロファージ由来サイトカインに応答して活性化される。これらは、適応免疫応答により、感染症を排除することができる抗原特異的細胞傷害性T細胞が生成されている間に、ウイルス感染症を抑制するように機能する。NK細胞は、CD8、CD16及びCD56を発現するが、CD3を発現しない。
【0038】
マクロファージ(及びそれらの前駆細胞である単球)は、生体の全ての組織に(ある特定の場合では、小膠細胞、クッパー細胞及び破骨細胞として)存在し、アポトーシス細胞、病原体及び他の非自己成分を飲み込む。単球/マクロファージは、CD11b、F4/80、CD68、CD11c、IL-4Rα及び/又はCD163を発現する。
【0039】
未成熟樹状細胞(すなわち、活性化前)は、末梢において抗原及び他の非自己成分を飲み込んだ後、活性化形態において、リンパ組織のT細胞領域に移動し、T細胞への抗原提示を行う。樹状細胞は、CD1a、CD1b、CD1c、CD1d、CD21、CD35、CD39、CD40、CD86、CD101、CD148、CD209及びDEC-205を発現する。
【0040】
造血幹細胞/前駆細胞又はHSPCとは、造血幹細胞及び造血前駆細胞の組合せを指す。
【0041】
造血幹細胞とは、インビボで自己複製でき、インビトロで本質的に無制限に増殖でき、他の全ての造血細胞種に分化できる未分化造血細胞を指す。
【0042】
造血前駆細胞は、成熟細胞型にさらに分化することができる造血幹細胞又は胎児組織に由来する細胞である。ある特定の実施形態では、造血前駆細胞は、CD24loLinCD117造血前駆細胞である。HPCは、(i)最終的に単球及びマクロファージ、好中球、好塩基球、好酸球、赤血球、巨核球/血小板若しくは樹状細胞を生じさせる骨髄前駆細胞、又は(ii)最終的にT細胞、B細胞及びNK細胞を生じさせるリンパ系前駆細胞に分化することができる。
【0043】
HSPCは、他の型の造血細胞と比べて、HSPC上で増加したレベルで発現される特定のマーカーに対して陽性であり得る。例えば、そのようなマーカーには、CD34、CD43、CD45RO、CD45RA、CD59、CD90、CD109、CD117、CD133、CD166、HLA DR又はそれらの組合せが含まれる。また、HSPCは、他の型の造血細胞と比べて発現マーカーに対して陰性であり得る。例えば、そのようなマーカーには、Lin、CD38又はそれらの組合せが含まれる。好ましくは、HSPCはCD34細胞である。
【0044】
細胞又は細胞集団が、特定のマーカーに対して「陽性」であるか、又は特定のマーカーを発現するという記述は、特定のマーカーの細胞上又は細胞中での検出可能な存在を指す。表面マーカーに言及する場合、この用語は、フローサイトメトリーによって、例えば、マーカーに特異的に結合する抗体で染色し、前記抗体を検出することによって、検出される表面発現の存在を指すことができ、染色は、他の点では同一の条件下でアイソタイプが一致した対照を用いて同じ手順を実行して検出された染色を実質的に上回るレベルで及び/又はマーカーに対して陽性であることが知られている細胞についてのレベルと実質的に同様のレベルで及び/又はマーカーに対して陰性であることが知られている細胞についてのレベルより実質的に高いレベルでフローサイトメトリーによって検出可能である。
【0045】
細胞又は細胞集団が、特定のマーカーに対して「陰性」であるか、又はマーカーの発現を欠いているという記述は、特定のマーカーの細胞上又は細胞中での実質的に検出可能な存在がないことを指す。表面マーカーに言及する場合、この用語は、フローサイトメトリーによって、例えば、マーカーに特異的に結合する抗体で染色し、前記抗体を検出することによって、検出される表面発現の欠如を指すことができ、染色は、他の点では同一の条件下でアイソタイプが一致した対照を用いて同じ手順を実行して検出された染色を実質的に上回るレベルで、及び/又はマーカーに対して陽性であることが知られている細胞についてのレベルより実質的に低いレベルで、及び/又はマーカーに対して陰性であることが知られている細胞についてのレベルと比較して実質的に同様のレベルでフローサイトメトリーによって検出されない。
【0046】
本開示の教示に従って遺伝子修飾された細胞は、患者由来細胞(自己由来)であり得るか、又は適切な場合、同種異系であり得る。
【0047】
(II)細胞試料の採取及び細胞濃縮。試料採取及び濃縮の方法は当業者に公知である。一部の実施形態では、細胞は細胞株に由来する。一部の実施形態では、細胞は、異種源、例えば、マウス、ラット、非ヒト霊長類又はブタから得られる。特定の実施形態では、細胞はヒトに由来する。
【0048】
一部の実施形態では、T細胞は、全血、末梢血単核細胞(PBMC)、白血球、骨髄、胸腺、組織生検、腫瘍、白血病、リンパ腫、リンパ節、腸管関連リンパ組織、粘膜関連リンパ組織、脾臓、他のリンパ組織、肝臓、肺、胃、腸、結腸、腎臓、膵臓、乳房、骨、前立腺、子宮頸部、精巣、卵巣、扁桃腺若しくは他の臓器及び/又はそれらに由来する細胞などの試料に由来するか、又はそれらから単離される。特定の実施形態では、対象の循環血液からの細胞は、例えば、アフェレーシス又は白血球アフェレーシスによって得られる。試料は、特定の実施形態では、T細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球、HSC、HPC、HSPC、赤血球及び/又は血小板を含むリンパ球を含有し、一部の態様では、赤血球及び血小板以外の細胞を含有し、さらに処理が必要である。
【0049】
一部の実施形態では、対象から採取された血液細胞は、例えば、血漿画分を除去し、後続の処理工程のために、細胞を、適切なバッファー又は培地中に入れるように、洗浄される。特定の実施形態では、細胞は、リン酸緩衝生理食塩液(PBS)により洗浄される。一部の実施形態では、洗浄液は、カルシウム及び/若しくはマグネシウム並びに/又は多くの二価カチオン若しくは全ての二価カチオンを欠く。洗浄は、製造元の指示書に従い、半自動式「フロースルー」型遠心分離機(例えば、Cobe 2991 cell processor、Baxter)を使用して達せられ得る。接線流濾過(TFF)もまた、実施され得る。特定の実施形態では、細胞は、洗浄の後に、Ca++/Mg++非含有PBSなどの様々な生体適合性バッファー中で再懸濁され得る。
【0050】
単離は、サイズ、密度、特定の試薬に対する感受性若しくは耐性及び/又は親和性、例えば、抗体若しくは他の結合パートナーに対する免疫親和性などの1つ以上の特性に基づく分離を含む、種々の細胞調製及び分離工程のうちの1つ以上を含み得る。特定の実施形態では、単離は、同じ装置又は機器を使用して、単一のプロセスストリームにおいて順次及び/又は同時に実行される。特定の実施形態では、異なる集団の単離、培養及び/又は操作は、同じ試料からなどの、同じ出発組成物又は材料から実行される。
【0051】
特定の実施形態では、試料は、密度に基づく細胞分離方法及び関連する方法を使用することによって、T細胞について濃縮され得る。例えば、白血球は、赤血球を溶解し、Percoll又はFicoll勾配により試料を遠心分離することによって末梢血中の他の細胞種から分離され得る。
【0052】
特定の実施形態では、特定のT細胞種について濃縮されていないバルクT細胞集団が使用され得る。特定の実施形態では、選択されたT細胞種は、細胞マーカーに基づく陽性及び/又は陰性選択に基づいて濃縮及び/又は単離され得る。陽性選択では、細胞マーカーに結合した細胞が、さらなる使用のために保持される。陰性選択では、抗体などの捕捉剤によって細胞マーカーに結合していない細胞が、さらなる使用のために保持される。一部の例では、両方の画分がさらなる使用のために保持され得る。
【0053】
分離は、特定の細胞集団又は特定のマーカーを発現する細胞の100%の濃縮又は除去をもたらす必要はない。例えば、特定の型の細胞の陽性選択又はそれについての濃縮とは、そのような細胞の数又はパーセンテージを増加させることを指すが、マーカーを発現しない細胞の完全な不在をもたらす必要はない。同様に、特定の型の細胞の陰性選択、除去又は枯渇は、そのような細胞の数又はパーセンテージを減少させることを指すが、そのような細胞の全ての完全な除去をもたらす必要はない。
【0054】
一部の例では、複数ラウンドの分離工程が実行され、ある工程から陽性又は陰性に選択された画分が、後続の陽性又は陰性選択などの別の分離工程に供される。
【0055】
一部の実施形態では、細胞マーカーについての抗体又は結合ドメインは、磁気ビーズ又は常磁性ビーズなどの固体支持体又はマトリックスに結合して、陽性及び/又は陰性選択のための細胞の分離を可能にする。例えば、一部の実施形態では、細胞及び細胞集団は、免疫磁性(又はアフィニティー磁気)分離技術を使用して分離又は単離される(S.A.Brooks及びU.Schumacher(コピーライト)Humana Press Inc.、Totowa、NJによって編集された、Methods in Molecular Medicine、vol.58:Metastasis Research Protocols、Vol.2:Cell Behavior In Vitro and In Vivo、17~25頁に概説されている)。US4,452,773、US4,795,698、US5,200,084及びEP452342も参照のこと。
【0056】
一部の実施形態では、親和性に基づく選択は、磁気活性化細胞選別(MACS)(Miltenyi Biotec、Auburn、CA)による。MACSシステムは、磁化粒子が付着した細胞の高純度選択を可能にする。ある特定の実施形態では、MACSは、外部磁場の印加後に非標的種及び標的種が順次溶出されるモードにおいて動作する。すなわち、磁化粒子に付着した細胞は所定の位置に保持されるが、付着していない種は溶出される。次に、この最初の溶出工程が完了した後、磁場に捕捉され、溶出が阻止された種は、溶出及び回収され得るように何らかの方法で解放される。ある特定の実施形態では、非標的細胞が標識され、不均一な細胞集団から枯渇される。
【0057】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている細胞集団は、フローサイトメトリーによって採取及び濃縮(又は枯渇)され、フローサイトメトリーでは、複数の細胞表面マーカーについて染色された細胞が流体流中で運ばれる。一部の実施形態では、本明細書に記載されている細胞集団は、分取規模(FACS)選別によって採取及び濃縮(又は枯渇)される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載されている細胞集団は、FACSに基づく検出システムと組み合わせた微小電気機械システム(MEMS)チップの使用によって採取及び濃縮(又は枯渇)される(例えば、WO2010/033140、Choら(2010年)Lab Chip 10、1567~1573頁;及びGodinら(2008年)J Biophoton.1(5):355~376頁を参照のこと。)。どちらの場合も、細胞は複数のマーカーで標識され得、明確に定義された細胞サブセットの単離を高純度で可能にする。
【0058】
異なるT細胞亜集団についての細胞マーカーは上に記載されている。特定の実施形態では、T細胞の特定の亜集団、例えば、陽性又は高レベルの1つ以上の表面マーカー、例えば、CCR7、CD45RO、CD8、CD27、CD28、CD62L、CD127、CD4及び/又はCD45RA T細胞を発現する細胞が、陽性又は陰性選択技術によって単離される。
【0059】
CD3+、CD28+T細胞は、抗CD3/抗CD28コンジュゲート磁気ビーズ(例えば、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 T Cell Expander)を使用して陽性選択され、拡大され得る。
【0060】
特定の実施形態では、CD8+又はCD4+選択工程が、CD4+ヘルパー及びCD8+細胞傷害性T細胞を分離するために使用される。そのようなCD8+及びCD4+集団は、1つ以上のナイーブ、メモリー及び/又はエフェクターT細胞亜集団上で発現されたか、又は比較的高度に発現されたマーカーについての陽性又は陰性選択によって亜集団にさらに選別され得る。特定の実施形態では、細胞は、1:1のCD8+対CD4+比を得るために選別される。
【0061】
一部の実施形態では、セントラルメモリーT(TCM)細胞についての濃縮が実行される。特定の実施形態では、メモリーT細胞は、CD8+末梢血リンパ球の両方のCD62Lサブセットに存在する。PBMCは、抗CD8及び抗CD62L抗体を使用するなどして、CD62L、CD8及び/又はCD62L+CD8+画分について濃縮又は枯渇され得る。
【0062】
一部の実施形態では、セントラルメモリーT(TCM)細胞についての濃縮は、CCR7、CD45RO、CD27、CD62L、CD28、CD3及び/又はCD127の陽性又は高表面発現に基づき、一部の態様では、それは、CD45RA及び/又はグランザイムBを発現するか、又は高度に発現する細胞についての陰性選択に基づく。一部の態様では、TCM細胞について濃縮されたCD8+集団の単離は、CD4、CD14、CD45RAを発現する細胞の枯渇、並びにCCR7、CD45RO及び/又はCD62Lを発現する細胞についての陽性選択又は濃縮によって実行される。一態様では、セントラルメモリーT(TCM)細胞についての濃縮は、CD14及びCD45RAの発現に基づいて陰性選択に供される、CD4発現に基づいて選択された細胞の陰性画分、並びにCD62Lに基づく陽性選択から開始して実行される。このような選択は、一部の態様では同時に実行され、他の態様ではいずれかの順序で順次実行される。一部の態様では、CD8+細胞集団又は亜集団を調製する際に使用されるものと同じCD4発現に基づく選択工程もまた、CD4+細胞集団又は亜集団を生成するために使用され、それによって任意選択的に1つ以上のさらなる陽性又は陰性選択工程後にCD4に基づく分離からの陽性画分及び陰性画分の両方が保持される。
【0063】
特定の例では、PBMCの試料又は他の白血球試料は、CD4+細胞の選択に供され、陰性画分及び陽性画分の両方が保持される。次に、陰性画分は、CD14及びCD45RA又はRORlの発現に基づく陰性選択、並びにCCR7、CD45RO及び/又はCD62LなどのセントラルメモリーT細胞に特徴的なマーカーに基づく陽性選択に供され、陽性及び陰性選択はいずれかの順序で実行される。
【0064】
特定の実施形態では、細胞濃縮は、バルクCD8+FACs選別細胞集団をもたらす。
【0065】
他の細胞種は、公知のマーカープロファイル及び技術に基づいて濃縮され得る。例えば、CD34+HSC、HSP及びHSPCは、磁気細胞分離装置、例えば、CliniMACS(登録商標)Cell Separation System(Miltenyi Biotec、Bergisch Gladbach、Germany)に接続された磁性粒子に直接的又は間接的にコンジュゲートされた抗CD34抗体を使用して濃縮され得る。
【0066】
(III)キメラ抗原受容体(CAR)及び/又はTNFαシグナル増強物質を発現するような細胞集団の遺伝子修飾。細胞集団は、キメラ抗原受容体(CAR)及び/又はTNFαシグナル増強物質を発現するように遺伝子修飾されている。
【0067】
(III-A)遺伝子操作技術。本明細書に開示されているCAR及び/又はTNFαシグナル増強物質をコードする所望の遺伝子は、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクション、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション、遺伝子配列を含むウイルス又はバクテリオファージベクターによる感染、細胞融合、染色体媒介遺伝子導入、マイクロセル媒介遺伝子導入、スフェロプラスト融合、インビボナノ粒子媒介送達などを含む、当該技術分野において公知の任意の方法によって細胞に導入され得る。外来遺伝子を細胞に導入するための多数の技術が当該技術分野において公知であり(例えば、Loeffler及びBehr、1993年、Meth.Enzymol.217、599~618頁;Cohenら、1993年、Meth.Enzymol.217:618~644頁;Cline、1985年、Pharmac.Ther.29:69~92頁を参照のこと。)、レシピエント細胞の必要な発達及び生理学的機能が必要以上に破壊されない限り、使用され得る。この技術は、遺伝子が細胞によって発現可能であり、ある特定の場合、好ましくは遺伝性であり、この細胞子孫によって発現可能であるように、遺伝子の細胞への安定な導入を提供する。
【0068】
「遺伝子」という用語は、本明細書に記載されているCAR及び/又はTNFαシグナル増強物質をコードする核酸配列(ポリヌクレオチド又はヌクレオチド配列と交換可能に使用される)を指す。この定義には、このような変化が、コードされたCAR及び/又はTNFαシグナル増強物質の機能に実質的に影響を及ぼさない、様々な配列多型、変異及び/又は配列バリアントが含まれる。「遺伝子」という用語は、コード配列だけでなく、プロモーター、エンハンサー及び終結領域などの調節領域も含み得る。この用語はさらに、選択的スプライス部位から生じるバリアントと共に、イントロンの全て及びmRNAの転写物からスプライスされた他のDNA配列を含み得る。分子をコードする遺伝子配列はキメラ分子の発現を指図するDNA又はRNAであり得る。これらの核酸配列は、RNAに転写されるDNA鎖配列であり得るか、又はタンパク質に翻訳されるRNA配列であり得る。核酸配列は、完全長の核酸配列及び完全長のタンパク質に由来する非完全長の配列の両方を含む。配列はまた、特定の細胞種においてコドン選択を提供するために導入され得る天然配列(単数又は複数)の縮重コドンを含み得る。当業者によって理解されるように、本開示の全体を通して完全な遺伝子配列の一部が参照される。
【0069】
CAR及び/又はTNFαシグナル増強物質をコードする遺伝子配列が本明細書に提供され、また、関連するアミノ酸配列及び本明細書に提供されている他の記述から合成又は組換え方法によって容易に調製され得る。実施形態では、これらの配列のいずれかをコードする遺伝子配列はまた、容易な切り出し及び配列をコードする遺伝子配列の、異なる配列をコードする別の遺伝子配列による置き換えを提供するために、コード配列の5’及び/又は3’末端にて1つ以上の制限酵素部位を有し得る。実施形態では、配列をコードする遺伝子配列は、哺乳動物細胞での発現のためにコドン最適化され得る。
【0070】
「コードすること」とは、アミノ酸の定義された配列などの他の巨大分子の合成のための鋳型として機能する、cDNA又はmRNAなどの遺伝子におけるヌクレオチドの特定の配列の特性を指す。したがって、遺伝子に相当するmRNAの転写及び翻訳が、細胞又は他の生物系においてタンパク質を産生するのであれば、遺伝子はタンパク質をコードしている。「タンパク質をコードする遺伝子配列」は、互いの縮重型であり、実質的に類似の形態及び機能の同じアミノ酸配列(単数又は複数)をコードするヌクレオチド配列全てを含む。
【0071】
発現されたCAR及び/又はTNFαシグナル増強物質の1つより多い部分をコードするポリヌクレオチド遺伝子配列は、互いに及び関連する調節配列に操作可能に連結され得る。例えば、調節配列と外来性核酸配列との間に機能的な結合があり、後者の発現を生じることができる。別の例については、第1の核酸配列が第2の核酸配列と機能的な関係で配置される場合、第1の核酸配列は第2の核酸配列と操作可能に連結され得る。例えば、プロモーターがコード配列の転写又は発現に影響を与える場合、プロモーターはコード配列に操作可能に連結される。一般に、操作可能に連結されたDNA配列は隣接しており、必要又は有益であれば、コード領域を同一のリーディングフレームに接合する。
【0072】
特定の実施形態では、プロモーターはNFATプロモーターである。NFATプロモーターは、操作可能に連結されたコード配列の発現をCa2+依存様式で駆動する。特定の実施形態では、NFATプロモーターは、任意の数の結合モチーフ、例えば、1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも11個又は最大で12個の結合モチーフを含む。特定の実施形態では、NFATプロモーターは、4~8個のNFAT結合モチーフを含む。
【0073】
本明細書に記載されている実施形態のいずれかでは、ポリヌクレオチドは、自己切断ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むことができ、自己切断ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、CAR構築物をコードするポリヌクレオチドと、TNFαシグナル増強物質及び/又は形質導入マーカー(例えば、tEGFR)をコードするポリヌクレオチドとの間に位置する。例示的な自己切断型ポリペプチドには、ブタテスコウイルス-1(porcine teschovirus-1)(P2A)、トセアアシグナウイルス(Thosea asigna virus)(T2A)、ウマ鼻炎Aウイルス(E2A)、口蹄疫ウイルス(F2A)又はそれらのバリアント由来の2Aペプチドが含まれる(図11を参照のこと。)。2Aペプチドのさらなる例示的な核酸及びアミノ酸配列は、例えば、Kimら(PLOS One 6:e18556(2011年)に記載されている。
【0074】
「ベクター」は、別の核酸を輸送することができる核酸分子である。ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス又はファージであり得る。「発現ベクター」は、それが適切な環境に存在する場合、ベクターによって運ばれる1つ以上の遺伝子によってコードされたタンパク質の発現を指図することができるベクターである。
【0075】
「レンチウイルス」とは、分裂細胞及び非分裂細胞に感染することができるレトロウイルスの属を指す。レンチウイルスのいくつかの例には、HIV(ヒト免疫不全ウイルス:1型HIV及び2型HIVを含む);ウマ伝染性貧血ウイルス;ネコ免疫不全ウイルス(FIV);ウシ免疫不全ウイルス(BIV);及びサル免疫不全ウイルス(SIV)が含まれる。
【0076】
「レトロウイルス」はRNAゲノムを有するウイルスである。「ガンマレトロウイルス」とは、レトロウイルス科の属を指す。例示的なガンマレトロウイルスには、マウス幹細胞ウイルス、マウス白血病ウイルス、ネコ白血病ウイルス、ネコ肉腫ウイルス及びトリ細網内皮症ウイルスが含まれる。
【0077】
レトロウイルスベクター(Millerら、1993年、Meth.Enzymol.217:581~599頁を参照のこと。)が使用され得る。そのような実施形態では、発現される遺伝子は、細胞への送達のためにレトロウイルスベクターにクローニングされる。特定の実施形態では、レトロウイルスベクターは、ウイルスゲノムのパッケージング及び組込みに必要なシス作用性の配列の全て、すなわち、(a)ベクターの各末端での長い末端反復(LTR)又はその一部、(b)マイナス鎖及びプラス鎖DNAの合成のためのプライマー結合部位、並びに(c)ゲノムRNAのビリオンへの取込みに必要なパッケージングシグナルを含む。レトロウイルスベクターについてのさらなる詳細は、Boesenら、1994年、Biotherapy 6:291~302頁;Clowesら、1994年、J.Clin.Invest.93:644~651頁;Kiemら、1994年、Blood 83:1467~1473頁;Salmons及びGunzberg、1993年、Human Gene Therapy 4:129~141頁;並びにGrossman及びWilson、1993年、Curr.Opin.in Genetics and Devel.3:110~114頁に見出され得る。アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)及びアルファウイルスも使用され得る。Kozarsky及びWilson、1993年、Current Opinion in Genetics and Development 3:499~503頁、Rosenfeldら、1991年、Science 252:431~434頁;Rosenfeldら、1992年、Cell 68:143~155頁;Mastrangeliら、1993年、J.Clin.Invest.91:225~234頁;Walshら、1993年、Proc.Soc.Exp.Bioi.Med.204:289~300頁;並びにLundstrom、1999年、J.Recept.Signal Transduct.Res.19:673~686頁を参照のこと。遺伝子送達の他の方法には、哺乳動物の人工染色体(Vos、1998年、Curr.Op.Genet.Dev.8:351~359頁);リポソーム(Tarahovsky及びIvanitsky、1998年、Biochemistry(Mosc)63:607~618頁);リボザイム(Branch及びKlotman、1998年、Exp.Nephrol.6:78~83頁);並びにトリプレックスDNA(Chan及びGlazer、1997年、J.Mol.Med.75:267~282頁)の使用が含まれる。
【0078】
ヒトの遺伝子療法への応用のために特定されたものを含む、本開示の範囲内で好適な多数の利用できるウイルスベクターが存在する(Pfeifer及びVerma、2001年、Ann.Rev.Genomics Hum.Genet.2:177頁を参照のこと。)。レトロウイルスベクター及びレンチウイルスベクターを使用し、CAR導入遺伝子を含むウイルス粒子を哺乳動物宿主細胞に形質導入するために細胞をパッケージングする方法は、例えば、US8,119,772;Walchliら、2011年、PLoS One 6:327930頁;Zhaoら、2005年、J.Immunol.174:4415頁;Engelsら、2003年、Hum.Gene Ther.14:1155頁;Frechaら、2010年、Mol.Ther.18:1748頁;及びVerhoeyenら、2009年、Methods Mol.Biol.506:97頁に記載されている。レトロウイルス及びレンチウイルスのベクター構築物及び発現系も市販されている。
【0079】
ターゲティングされた遺伝子操作アプローチはまた、(i)活性が増強されるべきTNFRSファミリーメンバーの発現のための遺伝子を挿入するために利用され得る及び/又は(ii)阻害されるべきTNFRSファミリーメンバーの活性を破壊するために利用され得る。特定の実施形態では、これらのファミリーメンバーの活性を破壊することは、ターゲティングされた遺伝子操作アプローチを利用してそれらのコード配列及び/又は発現を破壊することに基づき得る。
【0080】
CRISPR(クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート)/Cas(CRISPR関連タンパク質)ヌクレアーゼ系は、細菌系に基づく遺伝子操作のために使用される操作されたヌクレアーゼ系である。CRISPR-Cas系及びその成分に関する情報は、例えば、US8697359、US8771945、US8795965、US8865406、US8871445、US8889356、US8889418、US8895308、US8906616、US8932814、US8945839、US8993233及びUS8999641並びにこれらと関連する出願;並びにWO2014/018423、WO2014/093595、WO2014/093622、WO2014/093635、WO2014/093655、WO2014/093661、WO2014/093694、WO2014/093701、WO2014/093709、WO2014/093712、WO2014/093718、WO2014/145599、WO2014/204723、WO2014/204724、WO2014/204725、WO2014/204726、WO2014/204727、WO2014/204728、WO2014/204729、WO2015/065964、WO2015/089351、WO2015/089354、WO2015/089364、WO2015/089419、WO2015/089427、WO2015/089462、WO2015/089465、WO2015/089473及びWO2015/089486、WO2016205711、WO2017/106657、WO2017/127807並びにこれらと関連する出願に記載されている。
【0081】
特定の実施形態は、遺伝子編集剤として、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)を利用する。ZFNは、特異的な位置において、DNAに結合し、それを切断するように操作された部位特異的ヌクレアーゼのクラスである。ZFNは、DNA配列内の特異的な部位において二本鎖切断(DSB)を導入するのに使用され、これは、ZFNが、様々な異なる細胞におけるゲノム内の固有の配列を標的とすることを可能とする。
【0082】
ZFN及び本開示の教示の範囲内の有用なZFNに関するさらなる情報については、例えば、US6,534,261;US6,607,882;US6,746,838;US6,794,136;US6,824,978;6,866,997;US6,933,113;6,979,539;US7,013,219;US7,030,215;US7,220,719;US7,241,573;US7,241,574;US7,585,849;US7,595,376;US6,903,185;US6,479,626;US2003/0232410及びUS2009/0203140並びにGajら、Nat Methods、2012年、9(8):805~7頁;Ramirezら、Nucl Acids Res、2012年、40(12):5560~8頁;Kimら、Genome Res、2012年、22(7):1327~33頁;Urnovら、Nature Reviews Genetics、2010年、11:636~646頁;Millerら、Nature biotechnology 25、778~785頁(2007年);Bibikovaら、Science 300、764頁(2003年);Bibikovaら、Genetics 161、1169~1175頁(2002年);Wolfeら、Annual review of biophysics and biomolecular structure 29、183~212頁(2000年);Kimら、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 93、1156~1160頁(1996年);及びMillerら、The EMBO journal 4、1609~1614頁(1985年)を参照のこと。
【0083】
特定の実施形態は、遺伝子編集剤として、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)を使用することができる。TALENとは、転写活性化因子様エフェクター(TALE)DNA結合タンパク質及びDNA切断ドメインを含む融合タンパク質を指す。TALENは、DNA内に、細胞内の修復機構を誘導する2つのDSBを誘導することにより、遺伝子及びゲノムを編集するのに使用される。一般に、2つのTALENは、DNA切断ドメインが、二量体化し、DSBを誘導するように、標的DNA部位の各側に結合し、これらを挟まなければならない。TALENに関するさらなる情報については、US8,440,431;US8,440,432;US8,450,471;US8,586,363;及びUS8,697,853;並びにJoung及びSander、Nat Rev Mol Cell Biol、2013年、14(l):49~55頁;Beurdeleyら、Nat Commun、2013年、4:1762頁;Scharenbergら、Curr Gene Ther、2013年、13(4):291~303頁;Gajら、Nat Methods、2012年、9(8):805~7頁;Millerら、Nature biotechnology 29、143~148頁(2011年);Christianら、Genetics 186、757~761頁(2010年);Bochら、Science 326、1509~1512頁(2009年);並びにMoscou及びBogdanove、Science 326、1501頁(2009年)を参照のこと。
【0084】
特定の実施形態は、MegaTALを、遺伝子編集剤として利用することができる。MegaTALは、TALEが、メガヌクレアーゼのDNA切断ドメインと融合されたsc希少切断型ヌクレアーゼ構造を有する。ホーミングエンドヌクレアーゼとしても公知のメガヌクレアーゼは、同じドメイン内にDNA認識機能及びヌクレアーゼ機能の両方を有する、単一のペプチド鎖である。TALENとは対照的に、megaTALは、機能的な活性のために、単一のペプチド鎖の送達だけを要求する。
【0085】
標的化細胞種の選択的インビボ遺伝子修飾をもたらすナノ粒子が記載されており、本開示の教示の範囲内で使用され得る。特定の実施形態では、ナノ粒子は、WO2014153114、WO2017181110及びWO201822672に記載されているものであり得る。
【0086】
(III-B)CAR副成分。以前に記載されているように、CAR分子は、遺伝子修飾細胞が、がん細胞などの望ましくない細胞を認識し、殺滅することを可能にするいくつかの異なる副成分を含む。副成分は、少なくとも細胞外成分及び細胞内成分を含む。細胞外成分は、望ましくない細胞の表面上に選択的に存在する抗原マーカーに特異的に結合する結合ドメインを含む。結合ドメインがそのような抗原マーカーに結合すると、細胞内成分は、結合した細胞を破壊するために細胞を活性化する。CARはさらに、細胞外成分を細胞内成分に連結する膜貫通ドメイン、及びCARの機能を増加させることができる他の副成分を含む。例えば、スペーサー領域及び/又は1つ以上のリンカー配列を含めることにより、CARはさらなる立体構造の柔軟性を有することが可能になり、多くの場合、ターゲティングされる細胞マーカーに結合する結合ドメインの能力を増加させることができる。
【0087】
(III-B-i)結合ドメイン及びターゲティングされる細胞抗原。結合ドメインには、細胞抗原に結合して複合体を形成する任意の物質が含まれる。結合ドメインの選択は、標的細胞の表面を定義する細胞抗原の型及び数に依存し得る。結合ドメインの例には、細胞抗原リガンド、受容体リガンド、抗体、ペプチド、ペプチドアプタマー、受容体(例えば、T細胞受容体)又はそれらの組合せ及び操作された断片若しくはフォーマットが含まれる。
【0088】
抗体は、結合ドメインの一例であり、抗体全体又は抗体の結合断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2並びに細胞抗原に特異的に結合する一本鎖(sc)形態及びその断片を含む。抗体又は抗原結合断片は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、合成抗体、非ヒト抗体、組換え抗体、キメラ抗体、二重特異性抗体、ミニボディ及び線状抗体の全て又は一部を含むことができる。それらの機能的断片には、重鎖可変ドメイン(VH)、軽鎖可変ドメイン(VL)及びラクダ由来のナノボディの可変ドメイン(VHH)などの単一ドメイン抗体が含まれる。
【0089】
一部の場合、scFvは、当該技術分野において公知の方法に従って調製され得る(例えば、Birdら、(1988年)Science 242:423~426頁及びHustonら、(1988年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879~5883頁を参照のこと。)。ScFv分子は、柔軟性ポリペプチドリンカーを使用して抗体のVH領域及びVL領域を連結して一緒にすることによって生成され得る。短いポリペプチドリンカー(例えば、5~10アミノ酸)が利用される場合、鎖内フォールディングが阻止される。2つの可変領域が一緒になって機能性のエピトープ結合部位を形成するには鎖間フォールディングも必要とされる。リンカーの配向及びサイズの例については、例えば、Hollingerら、1993年 Proc Natl Acad.Sci.U.S.A.90:6444~6448頁、US2005/0100543、US2005/0175606、US2007/0014794並びにWO2006/020258及びWO2007/024715を参照のこと。
【0090】
scFvは、そのVL領域とVH領域との間に、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50又はそれ以上のアミノ酸残基のリンカーを含み得る。特定の実施形態では、リンカー配列は、任意の天然に存在するアミノ酸を含み得る。一般に、scFvのVH及びVLを接続するために使用されるリンカー配列は5~35アミノ酸長である。特定の実施形態では、VH-VLリンカーは、5~35、10~30アミノ酸、又は15~25アミノ酸を含む。リンカーの長さを変動させることで活性が保持又は増大され、活性試験において優れた効力が生じ得る。
【0091】
一部の実施形態では、リンカー配列は、アミノ酸グリシン及びセリンを含む。特定の実施形態では、リンカー配列は、(GlySerの1~10個の反復などのグリシン及びセリンの反復のセットを含み、ここで、x及びyは独立して0~10の整数であり、ただし、x及びyの両方が0ではなく、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の整数である)、連結したVH-VL領域は、機能性の免疫グロブリン様結合ドメイン(例えば、scFv、scTCR)を形成する。特定の例には、(GlySer)(配列番号1)、(GlySer)(GlySer)(配列番号2)、(GlySer)(GlySer)(配列番号3)、(GlySer)(GlySer)(配列番号4)、(GlySer)(配列番号5)、(GlySer)(配列番号6)又は(GlySer)が含まれる。特定の実施形態では、リンカーは、(GlySer)(配列番号7)又は(GlySer)(配列番号8)である。上記にscTCRへの言及を通じて示されているように、そのようなリンカーは、T細胞受容体Vα/β鎖及びCα/β鎖を連結するためにも使用され得る(例えば、Vα-Cα、Vβ-Cβ、Vα-Vβ)。
【0092】
追加の例には、scFvベースのグラバボディ及び可溶性VHドメイン抗体が含まれる。これらの抗体は、重鎖可変領域のみを使用して結合領域を形成する。例えば、Jespersら、Nat.Biotechnol.22:1161頁、2004年;Cortez-Retamozoら、Cancer Res.64:2853頁、2004年;Baralら、Nature Med.12:580頁、2006年;及びBarthelemyら、J.Biol.Chem.283:3639頁、2008年を参照のこと。
【0093】
一部の場合、結合ドメインを、それが最終的に使用されることになる種と同じ種に由来するものにすることが有益である。例えば、ヒトでの使用については、抗原結合ドメインがヒト抗体、ヒト化抗体又はその断片若しくは操作された形態を含むことが有益であり得る。ヒト起源の抗体又はヒト化抗体は、ヒトでの免疫原性が低下しているか、又は存在せず、非ヒト抗体と比較して非免疫原性エピトープの数が少ない。抗体及びそれらの操作された断片は、一般に、ヒト対象での抗原性が低レベルとなるか、又は存在しないように選択される。
【0094】
特定の実施形態では、結合ドメインは、ヒト化抗体又はその操作された断片を含む。一部の態様では、非ヒト抗体はヒト化され、抗体の1つ以上のアミノ酸残基が、ヒトにおいて天然に産生される抗体又はその断片との類似性を増加するように修飾される。これらの非ヒトアミノ酸残基は、「移入」残基と称されることが多く、この「移入」残基は、典型的には、「移入」可変ドメインから取得される。本明細書で提供されるように、ヒト化抗体又は抗体断片は、非ヒト免疫グロブリン分子由来の1つ以上のCDR及びフレームワーク領域を含み、フレームワークを含むアミノ酸残基は、完全に又はほとんどがヒト生殖系列に由来する。一態様では、抗原結合ドメインはヒト化される。ヒト化抗体は、当該技術分野において公知の様々な技術を使用して産生され得、それらの技術には、CDR移植(例えば、欧州特許第EP239,400号、WO91/09967並びにUS5,225,539、US5,530,101及びUS5,585,089を参照のこと。)、ベニアリング又はリサーフェイシング(resurfacing)(例えば、EP592,106及びEP519,596;Padlan、1991年、Molecular Immunology、28(4/5):489~498頁;Studnickaら、1994年、Protein Engineering、7(6):805~814頁;並びにRoguskaら、1994年、PNAS、91:969~973頁を参照のこと。)、鎖シャフリング(例えば、US.5,565,332を参照のこと。)並びに例えば、US2005/0042664、US2005/0048617、US6,407,213、US5,766,886、WO9317105、Tanら、J.Immunol.,169:1119~25頁(2002年)、Caldasら、Protein Eng.,13(5):353~60頁(2000年)、Moreaら、Methods、20(3):267~79頁(2000年)、Bacaら、J.Biol.Chem.、272(16):10678~84頁(1997年)、Roguskaら、Protein Eng.、9(10):895~904頁(1996年)、Coutoら、Cancer Res.、55(23 Supp):5973s~5977s頁(1995年)、Coutoら、Cancer Res.、55(8):1717~22頁(1995年)、Sandhu J S、Gene、150(2):409~10頁(1994年)及びPedersenら、J.Mol.Biol.、235(3):959~73頁(1994年)に開示されている技術が含まれる。多くの場合、フレームワーク領域中のフレームワーク残基が、細胞抗原結合を改変、例えば、改善するためにCDRドナー抗体由来の対応残基により置換される。これらのフレームワーク置換は、当該技術分野における周知の方法によって、例えば、細胞抗原結合に重要なフレームワーク残基を同定するためにCDR及びフレームワーク残基の相互作用をモデル化すること、並びに特定の位置における異常なフレームワーク残基を同定するための配列比較によって同定される。(例えば、US5,585,089;及びRiechmannら、1988年、Nature、332:323頁を参照のこと。)。
【0095】
特定の細胞抗原に特異的に結合する抗体は、モノクローナル抗体を得る方法、ファージディスプレイ法、ヒト抗体若しくはヒト化抗体を生成させるための方法又は抗体を産生するように操作されたトランスジェニック動物若しくは植物を使用する方法を使用して調製され得、こうした方法は当業者に公知である(例えば、US6,291,161及びUS6,291,158を参照のこと。)。部分合成抗体又は完全合成抗体のファージディスプレイライブラリーが利用可能であり、細胞抗原に結合し得る抗体又はその断片についてスクリーニングされ得る。例えば、結合ドメインは、目的の細胞抗原に特異的に結合するFab断片についてFabファージライブラリーをスクリーニングすることによって同定され得る(Hoetら、Nat.Biotechnol.23:344頁、2005年を参照のこと。)。ヒト抗体のファージディスプレイライブラリーも利用可能である。さらに、簡便な系(例えば、マウス、HuMAbマウス(登録商標)(GenPharm Int’l.Inc.、Mountain View、CA)、TCマウス(登録商標)(Kirin Pharma Co.Ltd.、Tokyo、JP)、KM-マウス(登録商標)(Medarex,Inc.、Princeton、NJ)、ラマ、ニワトリ、ラット、ハムスター、ウサギなど)において目的の細胞抗原を免疫原として使用する従来のハイブリドーマ開発のためのストラテジーが、結合ドメインを開発するために使用され得る。特定の実施形態では、抗体は、特定の望ましくない細胞種が選択的に発現する細胞抗原に特異的に結合し、非特異的な成分又は非関連標的とは交差反応しない。同定されると、抗体のアミノ酸配列及び抗体をコードする遺伝子配列が単離及び/又は決定され得る。
【0096】
結合ドメインの代替の供給源には、無作為ペプチドライブラリーをコードする配列又は代替の非抗体骨格のループ領域中の操作された多様なアミノ酸をコードする配列が含まれ、代替の非抗体骨格は、例えば、scTCR(例えば、Lakeら、Int.Immunol.11:745頁、1999年;Maynardら、J.Immunol.Methods 306:51頁、2005年;US8,361,794を参照のこと。)、フィブリノゲンドメイン(例えば、Weiselら、Science 230:1388頁、1985年を参照のこと。)、クニッツドメイン(例えば、US6,423,498を参照のこと。)、設計されたアンキリンリピートタンパク質(DARPins;Binzら、J.Mol.Biol.332:489頁、2003年及びBinzら、Nat.Biotechnol.22:575頁、2004年)、フィブロネクチン結合ドメイン(アドネクチン又はモノボディ;Richardsら、J.Mol.Biol.326:1475頁、2003年;Parkerら、Protein Eng.Des.Selec.18:435頁、2005年及びHackelら(2008年)J.Mol.Biol.381:1238~1252頁)、システインノットミニタンパク質(Vitaら、1995年、Proc.Nat’l.Acad.Sci.(USA)92:6404~6408頁;Martinら、2002年、Nat.Biotechnol.21:71頁、2002年及びHuangら(2005年)Structure 13:755頁、2005年)、テトラトリコペプチドリピートドメイン(Mainら、Structure 11:497頁、2003年及びCortajarenaら、ACS Chem.Biol.3:161頁、2008年)、ロイシンリッチリピートドメイン(Stumppら、J.Mol.Biol.332:471頁、2003年)、リポカリンドメイン(例えば、WO2006/095164、Besteら、Proc.Nat’l.Acad.Sci.(USA)96:1898頁、1999年及びSchonfeldら、Proc.Nat’l.Acad.Sci.(USA)106:8198頁、2009年を参照のこと。)、V様ドメイン(例えば、US2007/0065431を参照のこと。)、C型レクチンドメイン(Zelensky及びGready、FEBS J.272:6179頁、2005年;Beavilら、Proc.Nat’l.Acad.Sci.(USA)89:753頁、1992年並びにSatoら、Proc.Nat’l.Acad.Sci.(USA)100:7779頁、2003年)、mAb2又は抗原結合ドメインを有するFc領域(Fcab(商標)(F-Star Biotechnology、Cambridge UK;例えば、WO2007/098934及びWO2006/072620を参照のこと。)、アルマジロリピートタンパク質(例えば、Madhurantakamら、Protein Sci.21:1015頁、2012年;WO2009/040338を参照のこと。)、アフィリン(affilin)(Ebersbachら、J.Mol.Biol.372:172頁、2007年)、アフィボディ(affibody)、アビマー(avimer)、ノッチン、フィノマー(fynomer)、アトリマー(atrimer)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質-4(Weidleら、Cancer Gen.Proteo.10:155頁、2013年)又は同様のもの(Nordら、Protein Eng.8:601頁、1995年;Nordら、Nat.Biotechnol.15:772頁、1997年;Nordら、Euro.J.Biochem.268:4269頁、2001年;Binzら、Nat.Biotechnol.23:1257頁、2005年;Boersma及びPluckthun、Curr.Opin.Biotechnol.22:849頁、2011年)である。
【0097】
ペプチドアプタマーは、両末端においてタンパク質骨格に結合したペプチドループ(細胞抗原に特異的である)を含む。この二重の構造的制約によってペプチドアプタマーの結合親和性は抗体と同等のレベルに上昇する。可変ループの長さは、典型的には、8~20アミノ酸であり、骨格は安定、可溶性、小型、かつ無毒な任意のタンパク質であり得る。ペプチドアプタマーの選択は、酵母ツーハイブリッド系(例えば、Gal4酵母ツーハイブリッド系)又はLexA相互作用捕捉系などの異なる系を使用して行われ得る。
【0098】
特定の実施形態では、結合ドメインは、Vα/β鎖及びCα/β鎖(例えば、Vα-Cα、Vβ-Cβ、Vα-Vβ)を含むscT細胞受容体(scTCR)であるか、又は目的の細胞抗原(例えば、ペプチド-MHC複合体)に特異的なVα-Cα対、Vβ-Cβ対、Vα-Vβ対を含むscTCRである。
【0099】
特定の実施形態では、操作されたCARは、既知又は同定されたTCR Vα、Vβ、Cα又はCβのアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%又は100%同一である配列を含み、各CDRは、ターゲティングされる細胞抗原に特異的に結合するTCR又はその断片若しくは誘導体からの変化を含まない、又は1つ、2つ若しくは3つ以下の変化を含む。
【0100】
特定の実施形態では、操作されたCARは、既知又は同定されたTCR(例えば、高親和性TCR)のVα、Vβ、Cα又はCβに由来するか、又は基づくVα領域、Vβ領域、Cα領域又はCβ領域を含み、既知又は同定されたTCRのVα、Vβ、Cα又はCβと比較して、1つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個)の挿入、1つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個)の欠失、1つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個)のアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換又は非保存的アミノ酸置換)、又は上記の変化の組合せを含む。挿入、欠失又は置換は、これらの領域のアミノ末端若しくはカルボキシ末端又は両末端を含む、Vα領域、Vβ領域、Cα領域又はCβ領域中の任意の場所に存在し得るが、ただし、各CDRは、変化を含まない、又は1つ、2つ若しくは3つ以下の変化を含み、修飾されたVα領域、Vβ領域、Cα領域又はCβ領域を含む標的結合ドメインが、野生型と同様の親和性及び作用を伴ってその標的に依然として特異的に結合し得ることが条件である。
【0101】
結合ドメインは、がん細胞マーカーなどの望ましくない細胞種と関連する多数の細胞抗原に結合するように選択され得る。例示的な細胞抗原には、A33;BAGE;Bcl-2;βカテニン;BCMA;B7H4;BTLA;CA125;CA19-9;CD3、CD5;CD20;CD21;CD22;CD25;CD28;CD30;CD33;CD37;CD38;CD40;CD52;CD44v6;CD45;CD56;CD79b;CD80;CD81;CD86;CD123;CD134;CD137;CD151;CD171;CD276;CEA;CEACAM6;c-Met;CS-1;CTLA-4;サイクリンB1;DAGE;EBNA;EGFR;EGFRvIII、エフリンB2;ErbB2;ErbB3;ErbB4;EphA2;エストロゲン受容体;FAP;フェリチン;α-フェトプロテイン(AFP);FLT1;FLT4;葉酸結合タンパク質;FOLR;Frizzled;GAGE;G250;GD-2;GHRHR;GHR;GITR;GM2;GPRC5D;gp75;gp100(Pmel 17);gp130;HLA;HER-2/neu;HPV E6;HPV E7;hTERT;HVEM;IGF1R;IL6R;KDR;Ki-67;ルイスA;ルイスY;LIFRβ;LRP;LRP5;LTβR;MAGE;MART;メソテリン;MUC;MUC1;MUM-1-B;myc;NYESO-1;O-アセチルGD-2;O-アセチルGD3;OSMRβ;p53;PD1;PD-L1;PD-L2;PRAME;プロゲステロン受容体;PSA;PSMA;PTCH1;RANK;ras;Robo1;RORl;サバイビン;TCRα;TCRβ;テネイシン;TGFBR1;TGFBR2;TLR7;TLR9;TNFR1;TNFR2;TNFRSF4;TWEAK-R;TSTAチロシナーゼ;VEGF;及びWT1が含まれる。
【0102】
前立腺がんと関連する特定の細胞抗原には、PSMA、WT1、前立腺幹細胞抗原(PSCA)及びSV40 Tが含まれる。乳がんと関連する特定の抗原には、HER2及びERBB2が含まれる。卵巣がんと関連する特定の細胞抗原には、L1-CAM、MUC16の細胞外ドメイン(MUC-CD)、葉酸結合タンパク質(葉酸受容体)、ルイスY、メソテリン及びWT-1が含まれる。膵がんと関連する特定の細胞抗原には、メソテリン、CEA及びCD24が含まれる。多発性骨髄腫と関連する特定の細胞抗原には、BCMA、GPRC5D、CD38及びCS-1が含まれる。白血病及び/又はリンパ腫と関連する特定の抗原には、CLL-1、CD123、CD33及びPD-L1が含まれる。
【0103】
特定の実施形態では、CARの結合ドメインはCD33に結合し得る。特定の実施形態では、CARの結合ドメインは、細胞抗原CD33に結合する。特定の実施形態では、CD33に結合する結合ドメインは、ゲムツズマブ、アクリズマブ又はHuM195のうちの1つに由来する。特定の実施形態では、CD33結合ドメインは、TASSSVNYIH(配列番号14)を含むCDRL1配列、TSKVAS(配列番号15)を含むCDRL2配列及びQQWRSYPLT(配列番号16)を含むCDRL3配列を含む可変軽鎖、並びにDYVVH(配列番号17)を含むCDRH1配列、YINPYNDGTKYNEKFKG(配列番号18)を含むCDRH2配列及びDYRYEVYGMDY(配列番号19)を含むCDRH3配列を含む可変重鎖を含むヒト結合ドメイン又はヒト化結合ドメインである。
【0104】
特定の実施形態では、CD33結合ドメインは、RASEVDNYGISFMN(配列番号20)を含むCDRL1配列、AASNQGS(配列番号21)を含むCDRL2配列及びQQSKEVPW(配列番号22)を含むCDRL3配列を含む可変軽鎖、並びにDYNMH(配列番号23)を含むCDRH1配列、YIYPYNGGTGYNQKFKS(配列番号24)を含むCDRH2配列及びGRPAMDY(配列番号25)を含むCDRH3配列を含む可変重鎖を含むヒトscFv又はヒト化scFvである。CD33に結合する結合ドメインに関する詳細な情報については、米国特許第8759494号を参照のこと。
【0105】
特定の実施形態では、ヒトCD33に結合する配列は、配列:
【0106】
【化1】
を含む可変軽鎖及び配列:
【0107】
【化2】
を含む可変重鎖を含む。
【0108】
特定の実施形態では、ヒトCD33に結合する配列は、配列:
【0109】
【化3】
を含む可変軽鎖及び配列:
【0110】
【化4】
を含む可変重鎖を含む。
【0111】
特定の実施形態では、CARの結合ドメインは、細胞抗原CD33デルタE2(CD33ΔE2)に結合する。特定の実施形態では、CD33ΔE2に結合する結合ドメインは1H7に由来する。特定の実施形態では、1H7結合ドメインは、RASQDINYYLN(配列番号45)を含むCDRL1配列、YYSSRLHS(配列番号46)を含むCDRL2配列、QQDDALPYT(配列番号47)を含むCDRL3配列、KASGYAFSNYWMN(配列番号48)を含むCDRH1配列、QINPGDGDTN(配列番号49)を含むCDRH2配列及びAREDRDYFDY(配列番号50)を含むCDRH3配列を含む可変軽鎖を含む。このCDRセットはNorthに従う。
【0112】
特定の実施形態では、1H7結合ドメインは、QDINYY(配列番号163)を含むCDRL1配列、YSSを含むCDRL2配列、QQDDALPYT(配列番号47)を含むCDRL3配列、GYAFSNYW(配列番号164)を含むCDRH1配列、INPGDGDT(配列番号165)を含むCDRH2配列及びAREDRDYFDY(配列番号50)を含むCDRH3配列を含む可変軽鎖を含む。このCDRセットはIMGTに従う。
【0113】
特定の実施形態では、1H7結合ドメインは、RASQDINYYLN(配列番号45)を含むCDRL1配列、YSSRLHS(配列番号166)を含むCDRL2配列、QQDDALPYT(配列番号47)を含むCDRL3配列、NYWMN(配列番号167)を含むCDRH1配列、QINPGDGDTNYNGKFKG(配列番号168)を含むCDRH2配列、EDRDYFDY(配列番号169)を含むCDRH3配列を含む可変軽鎖を含む。このCDRセットはKabatに従う。
【0114】
特定の実施形態では、1H7結合ドメインは、RASQDINYYLN(配列番号45)を含むCDRL1配列、YSSRLHS(配列番号166)を含むCDRL2配列、QQDDALPYT(配列番号47)を含むCDRL3配列、GYAFSNY(配列番号170)を含むCDRH1配列、NPGDGD(配列番号171)を含むCDRH2配列、EDRDYFDY(配列番号169)を含むCDRH3配列を含む可変軽鎖を含む。このCDRセットはChothiaに従う。
【0115】
特定の実施形態では、1H7結合ドメインは、配列:
【0116】
【化5】
を含む可変軽鎖及び配列:
【0117】
【化6】
を含む可変重鎖を含む。
【0118】
特定の実施形態では、CARの結合ドメインは、細胞抗原Her2に結合する。特定の実施形態では、HER2に結合する結合ドメインは、トラスツズマブ(ハーセプチン)に由来する。特定の実施形態では、結合ドメインは、KASQDVSIGVA(配列番号53)を含むCDRL1配列、ASYRYT(配列番号54)を含むCDRL2配列及びQQYYIYPYT(配列番号55)を含むCDRL3配列を含む可変軽鎖、並びにGFTFTDYTMD(配列番号56)を含むCDRH1配列、DVNPNSGGSIYNQRFK(配列番号57)を含むCDRH2配列及びLGPSFYFDY(配列番号58)を含むCDRH3配列を含む可変重鎖を含む。
【0119】
特定の実施形態では、CARの結合ドメインは、細胞抗原PD-L1に結合する。特定の実施形態では、PD-L1に結合する結合ドメインは、ペムブロリズマブ又はFAZ053(Novartis)のうちの少なくとも1つに由来する。特定の実施形態では、結合ドメインは、RASKGVSTSGYSYLH(配列番号59)を含むCDRL1配列、LASYLES(配列番号60)を含むCDRL2配列及びQHSRDLPLT(配列番号61)を含むCDRL3配列を含む可変軽鎖、並びにNYYMY(配列番号62)を含むCDRH1配列、GINPSNGGTNFNEKFKN(配列番号63)を含むCDRH2配列及びRDYRFDMGFDY(配列番号64)を含むCDRH3配列を含む可変重鎖を含む。
【0120】
PD-L1についての例示的な結合ドメインは、アベルマブ又はアテゾリズマブを含み得るか、又はそれらに由来し得る。特定の実施形態では、アベルマブの可変軽鎖は、
【0121】
【化7】
を含む。
【0122】
特定の実施形態では、アベルマブの可変重鎖は、
【0123】
【化8】
を含む。
【0124】
特定の実施形態では、アベルマブのCDR領域は、CDRL1:TGTSSDVGGYNYVS(配列番号67);CDRL2:DVSNRPS(配列番号68);CDRL3:SSYTSSSTRV(配列番号69);CDRH1:SGFTFSSYIMM(配列番号70);CDRH2:SIYPSGGITFYADTVKG(配列番号71);及びCDRH3:IKLGTVTTVDY(配列番号72)を含む。
【0125】
特定の実施形態では、アテゾリズマブの可変軽鎖は、
【0126】
【化9】
を含む。
【0127】
特定の実施形態では、アテゾリズマブの可変重鎖は、
【0128】
【化10】
を含む。
【0129】
特定の実施形態では、アテゾリズマブのCDR領域は、CDRL1:RASQDVSTAVA(配列番号75);CDRL2:SASFLYS(配列番号76);CDRL3:QQYLYHPAT(配列番号77);CDRH1:SGFTFSDSWIH(配列番号78);CDRH2:WISPYGGSTYYADSVKG(配列番号79);及びCDRH3:RHWPGGFDY(配列番号80)を含む。
【0130】
特定の実施形態では、CARの結合ドメインは、細胞抗原PSMAに結合する。特定の実施形態では、結合ドメインは、KASQDVGTAVD(配列番号81)を含むCDRL1配列、WASTRHT(配列番号82)を含むCDRL2配列、QQYNSYPLT(配列番号83)を含むCDRL3配列を含む可変軽鎖を含む。特定の実施形態では、結合ドメインは、GYTFTEYTIH(配列番号84)を含むCDRH1配列、NINPNNGGTTYNQKFED(配列番号85)を含むCDRH2配列及びGWNFDY(配列番号86)を含むCDRH3配列を含む可変重鎖を含む。
【0131】
メソテリンについての例示的な結合ドメインは、アマツキシマブを含み得るか、又はそれに由来し得る。
【0132】
特定の実施形態では、アマツキシマブの可変軽鎖は、
【0133】
【化11】
を含む。
【0134】
特定の実施形態では、アマツキシマブの可変重鎖は、
【0135】
【化12】
を含む。
【0136】
特定の実施形態では、アマツキシマブのCDR領域は、CDRL1:SASSSVSYMH(配列番号100);CDRL2:DTSKLAS(配列番号101);及びCDRL3:QQWSKHPLT(配列番号102);CDRH1:GYSFTGYTMN(配列番号103);CDRH2:LITPYNGASSYNQ(配列番号104);及びCDRH3:GGYDGRGFDY(配列番号105)を含む。
【0137】
以前に示したように、結合ドメインは、例えば、Fab断片、scFv、scFvベースのグラバボディ及び可溶性VHドメイン抗体を含む、様々な操作されたフォーマットを採用することができる。
【0138】
特定の実施形態では、CARの結合ドメインは、軽鎖可変領域(VL)若しくは重鎖可変領域(VH)、又はその両方のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%又は100%同一である配列を含む又はその配列であり、各CDRは、目的の細胞抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体又はその断片若しくは誘導体からの変化を含まない、又は1つ、2つ若しくは3つ以下の変化を含む。
【0139】
特定の実施形態では、本開示の結合ドメインVH領域は、既知のモノクローナル抗体のVHに由来し得るか、又は基づき得、既知のモノクローナル抗体のVHと比較して、1つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個)の挿入、1つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個)の欠失、1つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個)のアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換若しくは非保存的アミノ酸置換)、又は上記の変化の組合せを含み得る。挿入、欠失又は置換は、この領域のアミノ末端若しくはカルボキシ末端又は両末端を含む、VH領域中の任意の場所に存在し得るが、ただし、各CDRは、変化を含まない、又は1つ、2つ若しくは3つ以下の変化を含み、修飾されたVH領域を含む結合ドメインが、野生型結合ドメインと同様の親和性を伴ってその標的に依然として特異的に結合し得ることが条件である。
【0140】
特定の実施形態では、本開示の結合ドメインにおけるVL領域は、既知のモノクローナル抗体のVLに由来し得るか、又は基づき得、既知のモノクローナル抗体のVLと比較して、1つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個)の挿入、1つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個)の欠失、1つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個)のアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換)、又は上記の変化の組合せを含む。挿入、欠失又は置換は、この領域のアミノ末端若しくはカルボキシ末端又は両末端を含む、VL領域中の任意の場所に存在し得るが、ただし、各CDRは、変化を含まない、又は1つ、2つ若しくは3つ以下の変化を含み、修飾されたVL領域を含む結合ドメインが、野生型結合ドメインと同様の親和性を伴ってその標的に依然として特異的に結合し得ることが条件である。
【0141】
所与のCDR又はFRの正確なアミノ酸配列境界は、いくつかの周知スキームのいずれかを使用して容易に決定され得、そのようなスキームには、Kabatら(1991年)「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD.(Kabat番号付けスキーム);Al-Lazikaniら(1997年)J Mol Biol 273:927~948頁(Chothia番号付けスキーム);Maccallumら(1996年)J Mol Biol 262:732~745頁(Contact番号付けスキーム);Martinら(1989年)Proc.Natl.Acad.Sci.、86:9268~9272頁(AbM番号付けスキーム);Lefranc M Pら(2003年)Dev Comp Immunol 27(1):55~77頁(IMGT番号付けスキーム);並びにHonegger及びPluckthun(2001年)J Mol Biol 309(3):657~670頁(「Aho」番号付けスキーム)に記載されているものが含まれる。所与のCDR又はFRの境界は、同定に使用されるスキームによって変わり得る。例えば、Kabatスキームは、構造アラインメントに基づき、その一方でChothiaスキームは、構造情報に基づく。Kabatスキーム及びChothiaスキームの両方についての番号付けは、最も一般的な抗体領域配列長に基づくものであり、挿入には挿入文字、例えば「30a」によって対応し、一部の抗体には欠失が出現する。2つのスキームは、ある特定の挿入及び欠失(「インデル」)を異なる位置に配置するため、結果として異なる番号付けになる。Contactスキームは、複雑な結晶構造の分析に基づくものであり、多くの点でChothia番号付けスキームと類似している。特定の実施形態では、本明細書に開示されている抗体CDR配列は、Kabat番号付けに従う。
【0142】
(III-B-ii)スペーサー領域。スペーサー領域は、他のCAR副成分から適切な距離及び/又は柔軟性を作製するために使用される。示されているように、特定の実施形態では、スペーサー領域の長さは、特定の細胞抗原に結合し、破壊を媒介するためにカスタマイズされる。特定の実施形態では、スペーサー領域の長さは、細胞抗原エピトープの位置、エピトープに対する結合ドメインの親和性及び/又は細胞抗原への結合後の細胞破壊を媒介するターゲティング剤の能力に基づいて選択され得る。
【0143】
スペーサー領域は、典型的に、10~250アミノ酸、10~200アミノ酸、10~150アミノ酸、10~100アミノ酸、10~50アミノ酸又は10~25アミノ酸を有するものを含む。
【0144】
特定の実施形態では、スペーサー領域は、5アミノ酸、8アミノ酸、10アミノ酸、12アミノ酸、14アミノ酸、20アミノ酸、21アミノ酸、26アミノ酸、27アミノ酸、45アミノ酸又は50アミノ酸である。これらの長さは、短いスペーサー領域とみなされる。
【0145】
特定の実施形態では、スペーサー領域は、100アミノ酸、110アミノ酸、120アミノ酸、125アミノ酸、128アミノ酸、131アミノ酸、135アミノ酸、140アミノ酸、150アミノ酸、160アミノ酸又は170個アミノ酸である。これらの長さは、中間のスペーサー領域とみなされる。
【0146】
長いスペーサー領域は、170を超えるアミノ酸を有する。
【0147】
例示的なスペーサー領域は、免疫グロブリンヒンジ領域の全部又は一部を含む。免疫グロブリンヒンジ領域は、野生型免疫グロブリンヒンジ領域又は改変された野生型免疫グロブリンヒンジ領域であり得る。ある特定の実施形態では、免疫グロブリンヒンジ領域は、ヒト免疫グロブリンヒンジ領域である。本明細書で使用される場合、「野生型免疫グロブリンヒンジ領域」とは、CH1ドメイン及びCH2ドメイン(IgG、IgA及びIgDについて)の間に介在して、それらを接続するか、又は抗体の重鎖に見出されるCH1ドメイン及びCH3ドメイン(IgE及びIgMについて)の間に介在して、それらを接続する、天然に存在するアッパーヒンジアミノ酸配列及びミドルヒンジアミノ酸配列を指す。
【0148】
免疫グロブリンヒンジ領域は、IgG、IgA、IgD、IgE又はIgMヒンジ領域であり得る。IgGヒンジ領域は、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4ヒンジ領域であり得る。IgG1、IgG2、IgG3、IgG4若しくはIgDからの配列は、単独で、又はCH2領域の全部若しくは一部、CH3領域の全部若しくは一部又はCH2領域の全部若しくは一部及びCH3領域の全部若しくは一部と組み合わせて使用され得る。
【0149】
特定の実施形態では、スペーサーは、IgG4ヒンジ領域を含む短いスペーサーである。特定の実施形態では、短いスペーサーは、配列番号129であるか、又は配列番号130によってコードされる配列である。特定の実施形態では、スペーサーは、IgG4ヒンジ領域及びIgG4ヒンジCH3領域を含む中間のスペーサーである。特定の実施形態では、中間のスペーサーは、配列番号131によってコードされる。特定の実施形態では、スペーサーは、IgG4ヒンジ領域、IgG4 CH3領域及びIgG4 CH2領域を含む長いスペーサーである。特定の実施形態では、長いスペーサーは、配列番号132によってコードされる。
【0150】
本明細書に記載されているCARに使用され得るヒンジ領域の他の例には、野生型又はそのバリアントであり得る、CD8α、CD4、CD28及びCD7などの1型膜タンパク質の細胞外領域に存在するヒンジ領域が含まれる。
【0151】
特定の実施形態では、スペーサー領域は、II型C型レクチンドメイン間(ストーク)領域又は分化クラスター(CD)分子ストーク領域を含むヒンジ領域を含む。II型C型レクチン又はCD分子の「ストーク領域」とは、II型C型レクチン又はCD分子の細胞外ドメインのうちで、C型レクチン様ドメイン(CTLD;例えば、ナチュラルキラー細胞受容体のCTLDと同様のもの)と疎水性部分(膜貫通ドメイン)との間に位置する部分を指す。例えば、ヒトCD94(GenBank受託番号AAC50291.1)の細胞外ドメインはアミノ酸残基34~179に対応するが、CTLDはアミノ酸残基61~176に対応するため、ヒトCD94分子のストーク領域はアミノ酸残基34~60を含み、このアミノ酸残基34~60は、疎水性部分(膜貫通ドメイン)とCTLDとの間に位置する(Boyingtonら、Immunity 10:15頁、1999年を参照のこと。他のストーク領域の説明については、Beavilら、Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 89:153頁、1992年及びFigdorら、Nat.Rev.Immunol.2:11頁、2002年も参照のこと。)。これらのII型C型レクチン又はCD分子は、ストーク領域と膜貫通領域又はCTLDとの間に連結部アミノ酸(以下に記載のもの)も有し得る。別の例では、233アミノ酸のヒトNKG2Aタンパク質(GenBank受託番号P26715.1)は、アミノ酸71~93の範囲の疎水性部分(膜貫通ドメイン)及びアミノ酸94~233の範囲の細胞外ドメインを有する。CTLDはアミノ酸119~231を含み、ストーク領域はアミノ酸99~116を含み、このストーク領域は追加の連結部アミノ酸と隣接し得る。他のII型C型レクチン又はCD分子並びにそれらの細胞外リガンド結合ドメイン、ストーク領域及びCTLDは、当該技術分野において知られている(例えば、ヒトのCD23、CD69、CD72、NKG2A及びNKG2Dの配列並びにそれらの説明については、それぞれGenBank受託番号NP001993.2、AAH07037.1、NP001773.1、AAL65234.1、CAA04925.1を参照のこと。)。
【0152】
(III-B-iii)膜貫通ドメイン。示されているように、CAR内の膜貫通ドメインは、細胞膜を介して細胞外成分及び細胞内成分を連結するように機能する。膜貫通ドメインは、修飾細胞の膜において発現分子を固定し得る。
【0153】
膜貫通ドメインは、天然源及び/又は合成源に由来し得る。起源が天然である場合、膜貫通ドメインは、任意の膜結合型タンパク質又は膜貫通タンパク質に由来し得る。膜貫通ドメインは、T細胞受容体のα鎖、β鎖又はζ鎖、CD28、CD27、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137及びCD154の膜貫通領域を少なくとも含み得る。特定の実施形態では、膜貫通ドメインは、例えば、KIRDS2、OX40、CD2、CD27、LFA-1(CD11a、CD18)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、GITR、CD40、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD160、CD19、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7R a、ITGA1、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CDl ld、ITGAE、CD103、ITGAL、CDl la、ITGAM、CDl lb、ITGAX、CDl lc、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、ITGB7、TNFR2、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRT AM、Ly9(CD229)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、PAG/Cbp、NKG2D又はNKG2Cの膜貫通領域を少なくとも含み得る。特定の実施形態では、同様にヒトIg(免疫グロブリン)ヒンジ(例えば、IgG4ヒンジ、IgDヒンジ)、GSリンカー(例えば、本明細書に記載されているGSリンカー)、KIR2DS2ヒンジ又はCD8aヒンジを含む、様々なヒトヒンジが利用され得る。
【0154】
特定の実施形態では、膜貫通ドメインは、細胞膜中で熱力学的に安定な三次元構造を有し、一般に、15~30アミノ酸の長さの範囲である。膜貫通ドメインの構造は、αヘリックス、βバレル、βシート、βヘリックス又はそれらの任意の組合せを含み得る。
【0155】
膜貫通ドメインは、膜貫通領域と隣接する1つ以上の追加のアミノ酸、例えば、CARの細胞外領域内の1つ以上のアミノ酸(例えば、細胞外領域の最大で15アミノ酸)及び/又はCARの細胞内領域内の1つ以上の追加のアミノ酸(例えば、細胞内成分の最大で15アミノ酸)を含み得る。一態様では、膜貫通ドメインは、シグナル伝達ドメイン、共刺激ドメイン又はヒンジドメインが由来するタンパク質と同じタンパク質由来である。別の態様では、膜貫通ドメインは、CARの任意の他のドメインが由来するタンパク質と同じタンパク質に由来しない。一部の場合、膜貫通ドメインは、受容体複合体の他の意図しないメンバーとの相互作用を最小化するために同じ又は異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへのこのようなドメインの結合を回避するように選択又はアミノ酸置換により修飾され得る。特定の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD28膜貫通ドメイン(配列番号133~136)をコードする核酸配列によってコードされる。特定の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD28膜貫通ドメイン(配列番号137及び138)のアミノ酸配列を含む。
【0156】
(III-B-iv)細胞内エフェクタードメイン。CARの細胞内エフェクタードメインは、CARが発現される細胞の活性化に関与する。したがって、「エフェクタードメイン」という用語は、活性化シグナルを伝達するのに十分な細胞内ドメインの任意の部分を含むことを意味する。エフェクタードメインは、適切なシグナルを受け取ったときの細胞における生物学的応答又は生理的応答を直接的又は間接的に促進することができる。ある特定の実施形態では、エフェクタードメインは、結合したときにシグナルを受け取るタンパク質若しくはタンパク質複合体の一部であるか、又はエフェクタードメインからのシグナルを誘発する標的分子に直接結合する。エフェクタードメインは、免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)などの1つ以上のシグナル伝達ドメイン又はモチーフを含む場合、細胞応答を直接促進することができる。他の実施形態では、エフェクタードメインは、共刺激ドメインなどの細胞応答を直接的に促進する1つ以上の他のタンパク質と会合することによって、細胞応答を間接的に促進する。
【0157】
エフェクタードメインは、がん細胞によって発現された細胞抗原に結合すると修飾細胞の少なくとも1つの機能の活性化を提供し得る。修飾細胞の活性化は、分化、増殖及び/若しくは活性化又は他のエフェクター機能のうちの1つ以上を含み得る。特定の実施形態では、エフェクタードメインは、T細胞受容体、及び共受容体又は共刺激分子由来の細胞質配列を含み得る共刺激ドメインを含む細胞内シグナル伝達成分を含み得る。
【0158】
エフェクタードメインは、1つ、2つ、3つ又はそれ以上の細胞内シグナル伝達成分(例えば、受容体シグナル伝達ドメイン、細胞質シグナル伝達配列)、共刺激ドメイン又はそれらの組合せを含み得る。例示的なエフェクタードメインには、4-1BB(CD137)、CARD11、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD27、CD28、CD79A、CD79B、DAP10、FcRα、FcRβ(FcεR1b)、FcRγ、Fyn、HVEM(LIGHTR)、ICOS、LAG3、LAT、Lck、LRP、NKG2D、NOTCH1、pTα、PTCH2、OX40、ROR2、Ryk、SLAMF1、Slp76、TCRα、TCRβ、TRIM、Wnt、Zap70又はそれらの任意の組合せから選択されるシグナル伝達ドメイン及び刺激ドメインが含まれる。特定の実施形態では、例示的なエフェクタードメインには、CD86、FcγRIIa、DAP12、CD30、CD40、PD-1、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンド、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、CD127、CD160、CD19、CD4、CD8α、CD8β、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA4、VLA1、CD49a、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、ITGB7、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、GADS、PAG/Cbp、NKp44、NKp30又はNKp46から選択されるシグナル伝達ドメイン及び共刺激ドメインが含まれる。
【0159】
刺激様式において作用する細胞内シグナル伝達成分配列はiTAMを含み得る。一次細胞質シグナル伝達配列を含むiTAMの例には、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD5、CD22、CD66d、CD79a、CD79b並びに一般的なFcRγ(FCER1G)、FcγRlla、FcRβ(Fcε Rib)、DAP10及びDAP12に由来するものが含まれる。特定の実施形態では、CD3ζのバリアントは、少なくとも1つ、2つ、3つ又は全てのITAM領域を保持する。
【0160】
特定の実施形態では、エフェクタードメインは、細胞質シグナル伝達タンパク質と会合した細胞質部分を含み、細胞質シグナル伝達タンパク質は、リンパ球受容体若しくはそのシグナル伝達ドメイン、複数のITAMを含むタンパク質、共刺激ドメイン又はそれらの任意の組合せである。
【0161】
細胞内シグナル伝達成分の追加の例には、CD3ζ鎖の細胞質配列及び/又は結合ドメインエンゲージメント後にシグナル伝達を開始するように協調して作用する共受容体が含まれる。
【0162】
共刺激ドメインは、活性化が細胞抗原結合に対する効率的なリンパ球応答について必要とされ得るドメインである。いくつかの分子は、細胞内シグナル伝達成分又は共刺激ドメインとして互換可能である。共刺激ドメインの例には、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3及びCD83と特異的に結合するリガンドが含まれる。例えば、CD27共刺激は、インビトロでのヒトCART細胞の拡大、エフェクター機能及び生存を増大し、インビボでのヒトT細胞の持続性及び抗がん活性を増進することが実証されている(Songら、Blood.2012年;119(3):696~706頁)。そのような共刺激ドメイン分子のさらなる例には、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD160、CD19、CD4、CD8α、CD8β、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CDlld、ITGAE、CD103、ITGAL、CDlla、ITGAM、CDl lb、ITGAX、CDllc、ITGBl、CD29、ITGB2、CD18、ITGB7、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、NKG2D、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp及びCD19aが含まれる。
【0163】
特定の実施形態では、細胞内シグナル伝達成分をコードする核酸配列は、CD3zコード配列(配列番号139~141)及び4-1BBシグナル伝達コード配列のバリアント(配列番号144~146)を含む。特定の実施形態では、細胞内シグナル伝達成分のアミノ酸配列は、CD3ζのバリアント(配列番号142及び143)及び4-1BBの一部(配列番号147及び48)の細胞内シグナル伝達成分を含む。
【0164】
特定の実施形態では、細胞内シグナル伝達成分は、(i)CD3ζのシグナル伝達ドメインの全部若しくは一部、(ii)4-1BBのシグナル伝達ドメインの全部若しくは一部、又は(iii)CD3ζ及び4-1BBのシグナル伝達ドメインの全部若しくは一部を含む。特定の実施形態では、細胞内シグナル伝達成分は、(i)CD3ζのシグナル伝達ドメインの全部若しくは一部、(ii)4-1BBのシグナル伝達ドメインの全部若しくは一部、(iii)CD28のシグナル伝達ドメインの全部若しくは一部、又は(iv)CD3ζ、4-1BB及びCD28のシグナル伝達ドメインの全部若しくは一部を含む。
【0165】
細胞内成分はまた、Wntシグナル伝達経路のタンパク質(例えば、LRP、Ryk又はROR2)、NOTCHシグナル伝達経路のタンパク質(例えば、NOTCH1、NOTCH2、NOTCH3又はNOTCH4)、ヘッジホッグシグナル伝達経路のタンパク質(例えば、PTCH又はSMO)、受容体チロシンキナーゼ(RTK)(例えば、上皮増殖因子(EGF)受容体ファミリー、線維芽細胞増殖因子(FGF)受容体ファミリー、肝細胞増殖因子(HGF)受容体ファミリー、インスリン受容体(IR)ファミリー、血小板由来増殖因子(PDGF)受容体ファミリー、血管内皮増殖因子(VEGF)受容体ファミリー、トロポマイシン(tropomycin)受容体キナーゼ(Trk)受容体ファミリー、エフリン(Eph)受容体ファミリー、AXL受容体ファミリー、白血球チロシンキナーゼ(LTK)受容体ファミリー、免疫グロブリン様ドメイン及びEGF様ドメインを有するチロシンキナーゼ1(TIE)受容体ファミリー、受容体チロシンキナーゼ様オーファン(ROR)受容体ファミリー、ジスコイジンドメイン(DDR)受容体ファミリー、トランスフェクション中の再編成(RET)受容体ファミリー、チロシン-タンパク質キナーゼ様(PTK7)受容体ファミリー、受容体チロシンキナーゼ関連(RYK)受容体ファミリー又は筋特異的キナーゼ(MuSK)受容体ファミリー)、Gタンパク質共役型受容体、GPCR(Frizzled又はSmoothened)、セリン/トレオニンキナーゼ受容体(BMPR又はTGFR)又はサイトカイン受容体(IL1R、IL2R、IL7R又はIL15R)のうちの1つ以上も含み得る。
【0166】
(III-B-v)リンカー。本明細書で使用される場合、リンカーは、分子の2つの他の副成分を接続するのに機能するCAR分子の任意の部分を含み得る。多くのリンカーが追加の目的を果たす一方で、一部のリンカーは、成分を連結する以外の目的は果たさない。リンカーは、例えば、抗体のVL及びVHに由来するscFvの結合ドメインを連結し、CARの副成分部分間の連結部アミノ酸として機能する。
【0167】
リンカーは、リンカーの所望の機能に応じて、柔軟性、剛性又は半剛性であり得る。リンカーは、連結部アミノ酸を含み得る。例えば、特定の実施形態では、リンカーは、CARの異なる成分間の立体配座移動についての柔軟性及び余地を提供する。一般的に使用される柔軟なリンカーには、Gly-Serリンカーが含まれる。特定の実施形態では、リンカー配列は、(GlySerの1~10個の反復などのグリシン及びセリンの反復のセットを含み、ここで、x及びyは独立して0~10の整数であり、ただし、x及びyの両方が0ではなく、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の整数である)。特定の例には、(Gly4Ser)n(配列番号1)、(Gly3Ser)n(Gly4Ser)n(配列番号2)、(Gly3Ser)n(Gly2Ser)n(配列番号3)又は(Gly3Ser)n(Gly4Ser)1(配列番号4)が含まれる。特定の実施形態では、リンカーは、(Gly4Ser)(配列番号7)、(Gly4Ser)(配列番号8)、(Gly4Ser)(配列番号106)、(Gly4Ser)(配列番号5)、(Gly3Ser)(配列番号107)、(Gly3Ser)(配列番号6)、(Gly2Ser)(配列番号108)又は(Gly2Ser)、GGSGGGSGGSG(配列番号109)、GGSGGGSGSG(配列番号110)若しくはGGSGGGSG(配列番号111)である。
【0168】
特定の実施形態では、リンカー領域は、(GGGGS)n(配列番号1)であり、ここで、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又はそれ以上を含む整数である。特定の実施形態では、スペーサー領域は、(EAAAK)n(配列番号112)であり、ここで、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又はそれ以上を含む整数である。
【0169】
一部の状況では、柔軟なリンカーは、特定の用途に必要とされるCARの距離又は配置を維持することができない場合がある。これらの例では、剛性又は半剛性リンカーが有用な場合がある。剛性又は半剛性リンカーの例には、プロリンリッチリンカーが含まれる。特定の実施形態では、プロリンリッチリンカーは、偶然のみに基づいて予測されるよりも多くのプロリン残基を有するペプチド配列である。特定の実施形態では、プロリンリッチリンカーは、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも48%、少なくとも50%又は少なくとも51%のプロリン残基を有するリンカーである。プロリンリッチリンカーの特定の例には、プロリンリッチ唾液タンパク質(PRP)の断片が含まれる。
【0170】
リンカーは、酸誘導切断、光誘導切断、ペプチダーゼ誘導切断、エステラーゼ誘導切断及びジスルフィド結合切断などの切断を受けやすい可能性がある(切断可能なリンカー)。或いは、リンカーは、切断に対して実質的に耐性であり得る(例えば、安定したリンカー又は切断不可能なリンカー)。一部の態様では、リンカーは、プロチャージリンカー、親水性リンカー又はジカルボン酸ベースのリンカーである。
【0171】
連結部アミノ酸は、スペーサー領域によって提供される距離が必要とされない及び/又は望まれない場合に配列を接続するために使用され得るリンカーであり得る。例えば、連結部アミノ酸は、共刺激細胞内シグナル伝達成分を接続するために使用され得る短いアミノ酸配列であり得る。特定の実施形態では、連結部アミノ酸は、9アミノ酸又はそれ未満(例えば、2、3、4、5、6、7、8又は9アミノ酸)である。特定の実施形態では、グリシン-セリンダブレットが、適切な連結部アミノ酸リンカーとして使用され得る。特定の実施形態では、単一のアミノ酸、例えば、アラニン、グリシンが、適切な連結部アミノ酸として使用され得る。
【0172】
(III-B-vi)タグカセット、形質導入マーカー及び/又は自殺スイッチを含む制御機構。特定の実施形態では、CAR構築物は、1つ以上のタグカセット及び/又は形質導入マーカーを含み得る。タグカセット及び形質導入マーカーは、インビトロ、インビボ及び/又はエクスビボで遺伝子修飾細胞を活性化、増殖促進、検出、濃縮、単離、追跡、枯渇及び/又は除去するために使用され得る。「タグカセット」とは、CARに付加される、CARと融合されるか、又はCARの一部であり、対応結合分子(例えば、リガンド、抗体又は他の結合パートナー)が特異的に結合することできる特有の合成ペプチド配列を指し、この結合特性は、タグ付きタンパク質及び/又はタグ付きタンパク質を発現する細胞を活性化、増殖促進、検出、濃縮、単離、追跡、枯渇、及び/又は除去するために使用され得る。形質導入マーカーも同じ目的を果たし得るが、天然に存在する分子に由来し、CAR分子の残部から形質導入マーカーを分離するスキッピングエレメントを使用して発現されることが多い。
【0173】
対応結合分子に結合するタグカセットには、例えば、Hisタグ(HHHHHH;配列番号113)、Flagタグ(DYKDDDDK;配列番号114)、Xpressタグ(DLYDDDDK;配列番号115)、Aviタグ(GLNDIFEAQKIEWHE;配列番号116)、カルモジュリンタグ(KRRWKKNFIAVSAANRFKKISSSGAL;配列番号117)、ポリグルタメートタグ、HAタグ(YPYDVPDYA;配列番号118)、Mycタグ(EQKLISEEDL;配列番号119)、Strepタグ(これは、元のSTREP(登録商標)タグを指す(WRHPQFGG;配列番号120)、STREP(登録商標)タグII(WSHPQFEK;配列番号121(IBA Institut fur Bioanalytik、Germany);例えば、US7,981,632を参照のこと。)、Softag1(SLAELLNAGLGGS;配列番号122)、Softag3(TQDPSRVG;配列番号123)及びV5タグ(GKPIPNPLLGLDST;配列番号124)が含まれる。
【0174】
本明細書に開示されているタグカセット配列に特異的に結合するコンジュゲート結合分子は商業的に利用可能である。例えば、Hisタグ抗体は、Life Technologies、Pierce Antibodies及びGenScriptを含む供給業者から商業的に利用可能である。Flagタグ抗体は、Pierce Antibodies、GenScript及びSigma-Aldrichを含む供給業者から商業的に利用可能である。Xpressタグ抗体は、Pierce Antibodies、Life Technologies及びGenScriptを含む供給業者から商業的に利用可能である。Aviタグ抗体は、Pierce Antibodies、IsBio及びGenecopoeiaを含む供給業者から商業的に利用可能である。カルモジュリンタグ抗体は、Santa Cruz Biotechnology、Abcam及びPierce Antibodiesを含む供給業者から商業的に利用可能である。HAタグ抗体は、Pierce Antibodies、Cell Signal及びAbcamを含む供給業者から商業的に利用可能である。Mycタグ抗体は、Santa Cruz Biotechnology、Abcam及びCell Signalを含む供給業者から商業的に利用可能である。Strepタグ抗体は、Abcam、Iba及びQiagenを含む供給業者から商業的に利用可能である。
【0175】
形質導入マーカーは、トランケートされたCD19(tCD19;Buddeら、Blood 122:1660頁、2013年を参照のこと。)、トランケートされたヒトEGFR(tEGFR;Wangら、Blood 118:1255頁、2011年を参照のこと。)、ヒトCD34の細胞外ドメイン並びに/又はCD34抗原由来の標的エピトープ(Fehseら、Mol.Therapy 1(5 Pt 1);448~456頁、2000年を参照のこと。)及びCD20抗原由来の標的エピトープ(Philipら、Blood 124:1277~1278頁を参照のこと。)を組み合わせたRQR8のうちの少なくとも1つから選択され得る。
【0176】
特定の実施形態では、iカスパーゼ9構築物(iCasp9)をコードするポリヌクレオチドが自殺スイッチとしてCAR構築物に挿入され得る。
【0177】
制御機構は、CAR中に複数のコピーで存在し得るか、又はスキッピングエレメント(配列番号149~152)を使用して異なる分子として発現され得る。例えば、CARは、1つ、2つ、3つ、4つ若しくは5つのタグカセットを有し得る及び/又は1つ、2つ、3つ、4つ若しくは5つの形質導入マーカーも発現され得る。例えば、実施形態は、2つのMycタグカセット又はHisタグ及びHAタグカセット又はHAタグ及びSoftag1タグカセット又はMycタグ及びSBPタグカセットを有するCAR構築物を含み得る。例示的な形質導入マーカー及び対応対は、US13/463,247に記載されている。
【0178】
CAR中に少なくとも1つの制御機構を含めることの1つの利点は、対象に投与されるCARを発現する細胞を、タグカセットに対応結合分子を使用して増加させ得るか、又は枯渇させ得ることである。ある特定の実施形態では、本開示は、タグカセットに特異的な抗体を使用すること、制御機構に特異的な対応結合分子を使用すること、又はCARを発現し、制御機構に対する特異性を有する第2の修飾細胞を使用することによってCARを発現する修飾細胞を枯渇させるための方法を提供する。修飾細胞の除去は、制御機構に特異的な枯渇剤を使用して達成され得る。例えば、tEGFRが使用される場合、細胞毒性試薬(毒素、放射性金属など)に融合又はコンジュゲートした抗tEGFR結合ドメイン(例えば、抗体、scFv)が使用されてもよく、又は抗tEGFR/抗CD3二重特異性scFv若しくは抗tEGFR CAR T細胞が使用されてもよい。
【0179】
ある特定の実施形態では、キメラ分子を発現する修飾細胞は、制御機構に特異的に結合する抗体(例えば、抗Tag抗体)又は制御機構に特異的に結合する他の対応結合分子を使用することによってインビボで検出又は追跡され得、制御機構に対するこの結合パートナーは、蛍光色素、放射性トレーサー、鉄-オキシドナノ粒子又はX線、CTスキャン、MRIスキャン、PETスキャン、超音波、フローサイトメトリー、近赤外造影システム若しくは他の画像診断法によって検出するための当該技術分野において公知の他の造影剤にコンジュゲートされる(例えば、Yuら、Theranostics 2:3、2012年を参照のこと。)。
【0180】
したがって、CARと共に少なくとも1つの制御機構を発現する修飾細胞は、例えば、タグカセットを有しない修飾細胞と比較して、より容易に同定、単離、選別、増殖誘導、追跡及び/又は除去され得る。
【0181】
(III-C)TNFαシグナル増強物質。以前に示されているように、TNFRSファミリーメンバーが図6に提供され、化合物が、TNFαシグナル増強物質として適したものになるようにファミリーメンバーの活性を活性化又は阻害すべきか否かを含む。特定の実施形態では、細胞は、TNFαを増強する1つ以上のTNFRSFメンバーを発現するように遺伝子修飾されている。特定の実施形態では、細胞は、TNFαを阻害するTNFRSFメンバーを阻害又は不活化するように遺伝子修飾されている。TNFαシグナル増強物質タンパク質を発現するように遺伝子修飾された細胞は、CARを発現するように遺伝子修飾された細胞と同じ細胞であり得るか、又は異なる細胞であり得る。
【0182】
TNFαシグナル増強物質として発現され得るタンパク質の特定の例には、TWEAK(腫瘍壊死因子様弱アポトーシス誘導因子)、TRAIL(腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド)及びLIGHT(誘導性発現を示し、Tリンパ球で発現される受容体であるヘルペスウイルス侵入メディエーターとの結合についてHSV糖タンパク質Dと競合するリンホトキシンとの相同体)が含まれる。
【0183】
TNFRSF12Aとしても知られているTWEAKは、1997年に腫瘍壊死因子(TNF)スーパーファミリーのメンバーとして最初に記載された。TWEAKは、細胞表面関連II型膜貫通タンパク質であるが、より小さな生物学的に活性な形態も細胞外環境に放出され得る。生理学的親和性でTWEAKに結合することが現在知られている1つの受容体が存在し、それは、文献ではTWEAK受容体(TweakR)又は線維芽細胞成長因子誘導性14(Fn14)と称されるI型膜貫通タンパク質である。TweakR/Fn14は、現在までに報告されているTNF受容体(TNFR)スーパーファミリーの最小のメンバーであり、いくつかの異なるTNFR関連因子の動員を介してシグナルを送るようである。TWEAKは、細胞成長及び血管新生の刺激、炎症性サイトカインの誘導及びいくつかの実験条件下でのアポトーシスの刺激を含む、複数の生物学的活性を有する。(PMID:12787562)。TWEAKに関するさらなる情報については、WO2011084714A2を参照のこと。
【0184】
TRAIL/Apo2Lは、その死受容体の関与を通じてアポトーシスを開始することができるリガンドの腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーのメンバーである。TRAILは、様々な腫瘍細胞及び形質転換細胞のアポトーシスを選択的に誘導するが、ほとんどの正常細胞では誘導しないため、がん治療についての有望な薬剤として強い関心を集めている。TRAILは免疫系の異なる細胞で発現され、T細胞及びナチュラルキラー細胞を介した腫瘍監視並びに腫瘍転移を抑制することの抑制の両方における役割を果たす。
【0185】
腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14(TNFSF14)としても知られているLIGHTは、TNFスーパーファミリーの分泌タンパク質である。これは、ヘルペスウイルス侵入メディエーター(HVEM)及びデコイ受容体3によって認識される。LIGHTに関する詳細な情報については、EP3105317B1及びUS20050163747を参照のこと。
【0186】
(IV)細胞活性化培養条件。細胞集団は、遺伝子修飾された細胞集団を拡大するために培養開始組成物中でインキュベートされ得る。インキュベーションは、バッグ、細胞培養プレート、フラスコ、チャンバー、クロマトグラフィーカラム、架橋ゲル、架橋ポリマー、カラム、培養ディッシュ、中空糸、マイクロタイタープレート、シリカコーティングガラスプレート、チューブ、チューブセット、ウェル、バイアル又は培養若しくは細胞培養のための他の容器などの培養容器内で実行され得る。
【0187】
培養条件は、特定の培地、温度、酸素含有量、二酸化炭素含有量、時間、作用物質、例えば、栄養素、アミノ酸、抗生物質、イオン及び/又は刺激因子、例えば、サイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体並びに細胞を活性化するように設計された任意の他の作用物質のうちの1つ以上を含み得る。
【0188】
一部の態様では、インキュベーションは、US6,040,177、Klebanoffら(2012年)J Immunother.35(9):651~660頁;Terakuraら(2012年)Blood.1:72~82頁及び/又はWangら(2012年)J Immunother.35(9):689~701頁に記載されている技術などの技術に従って実行される。
【0189】
T細胞を培養するための例示的な培養培地には、(i)非必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム及びペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI;(ii)HEPES、5~15%のヒト血清、1~3%のL-グルタミン、0.5~1.5%のペニシリン/ストレプトマイシン及び0.25×10-4~0.75×10-4Mのβ-メルカプトエタノールを含むRPMI;(iii)10%のウシ胎仔血清(FBS)、2mMのL-グルタミン、10mMのHEPES、100U/mlのペニシリン及び100m/mLのストレプトマイシンを補充したRPMI-1640;(iv)10%のFBS、2mMのL-グルタミン、10mMのHEPES、100U/mlのペニシリン及び100m/mLのストレプトマイシンを補充したDMEM培地;並びに(v)5%のヒトAB血清(Gemcell、West Sacramento、CA)、1%のHEPES(Gibco、Grand Island、NY)、1%のPen-Strep(Gibco)、1%のGlutaMax(Gibco)及び2%のN-アセチルシステイン(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を補充したX-Vivo 15培地(Lonza、Walkersville、MD)が含まれる。T細胞培養培地はまた、Hyclone(Logan、UT)からも市販されている。このような培養培地へと添加され得る、さらなるT細胞活性化成分については、下記において、より詳細に記載されている。
【0190】
一部の実施形態では、T細胞は、非分裂末梢血単核細胞(PBMC)などのフィーダー細胞を培養開始組成物に添加し(例えば、結果として得られる細胞集団が、拡大される初期集団内の各Tリンパ球につき、少なくとも5、10、20又は40個以上のPBMCフィーダー細胞を含有するように)、培養物をインキュベートする(例えば、T細胞の数を拡大するのに十分な時間)ことにより拡大される。一部の態様では、非分裂フィーダー細胞は、ガンマ照射PBMCフィーダー細胞を含み得る。一部の実施形態では、PBMCは、細胞分裂を阻止するように、3000~3600radの範囲のガンマ線により照射される。一部の態様では、フィーダー細胞は、T細胞の集団が添加される前に、培養培地に添加される。
【0191】
任意選択的に、インキュベーションは、EBV形質転換非分裂リンパ芽球様細胞(LCL)を、フィーダー細胞として添加することをさらに含み得る。LCLは、6000~10,000radの範囲のガンマ線により照射され得る。一部の態様では、LCLフィーダー細胞は、少なくとも10:1の比のLCLフィーダー細胞対初期Tリンパ球などの任意の適切な量において提供される。
【0192】
一部の実施形態では、刺激条件には、ヒトTリンパ球の成長に適した温度、例えば、少なくとも25℃、少なくとも30℃又は37℃が含まれる。
【0193】
T細胞についての活性化培養条件には、培養開始組成物のT細胞が増殖又は拡大する条件が含まれる。T細胞活性化条件には、1つ以上のサイトカイン、例えば、インターロイキン(IL)-2、IL-7、IL-15及び/又はIL-21が含まれ得る。IL-2は、1~100ng/μl(例えば、40、50又は60ng/μl)の範囲にて含まれ得る。IL-7、IL-15及び/又はIL-21は、0.1~50ng/μl(例えば、5、10又は15ng/μl)の範囲にて個々に含まれ得る。特定の実施形態は、25及び50IU/μlにてIL-2を利用する。特定の実施形態は、10ng/μlにて個々に含まれるIL-7、IL-15及びIL-21を利用する。
【0194】
特定の実施形態では、T細胞活性化培養条件の条件は、T細胞刺激エピトープを含み得る。T細胞刺激エピトープには、CD3、CD27、CD2、CD4、CD5、CD7、CD8、CD28、CD30、CD40、CD56、CD83、CD90、CD95、4-1BB(CD137)、B7-H3、CTLA-4、Frizzled-1(FZD1)、FZD2、FZD3、FZD4、FZD5、FZD6、FZD7、FZD8、FZD9、FZD10、HVEM、ICOS、IL-1R、LAT、LFA-1、LIGHT、MHCI、MHCII、NKG2D、OX40、ROR2及びRTKが含まれる。
【0195】
CD3は、T細胞受容体の主要なシグナル伝達エレメントである。以前に示されているように、CD3は全ての成熟T細胞上で発現される。特定の実施形態では、CD3刺激分子(すなわち、CD3結合ドメイン)は、OKT3抗体(US5,929,212;US4,361,549;ATCC(登録商標)CRL-8001(商標);及びArakawaら、J.Biochem.120、657~662頁(1996年)を参照のこと。)、20G6-F3抗体、4B4-D7抗体、4E7-C9又は18F5-H10抗体に由来し得る。
【0196】
特定の実施形態では、CD3刺激分子は、少なくとも0.25若しくは0.5ng/mlの濃度又は2.5~10μg/mlの濃度にて培養培地内に含まれ得る。特定の実施形態は、5μg/mlにてCD3刺激分子(例えば、OKT3)を利用する。
【0197】
特定の実施形態では、aviタグに関連する活性化分子が、ビオチン化され、ストレプトアビジンビーズに結合され得る。このアプローチは、例えば、除去可能なT細胞エピトープ刺激活性化システムを作製するために使用され得る。
【0198】
CD28についての例示的な結合ドメインは、TGN1412、CD80、CD86又は9D7抗体を含み得るか、又はそれらに由来し得る。CD28に結合するさらなる抗体には、9.3、KOLT-2、15E8、248.23.2、EX5.3D10及びCD28.3(GenBank受託番号AF451974.1の下で合成一本鎖Fv構築物として寄託されている;Vanhoveら、BLOOD、2003年7月15日、Vol.102、No.2、564~570頁も参照のこと。)が含まれる。さらに、1YJDは、有糸分裂促進抗体(5.11A1)のFab断片と複合体を形成したヒトCD28の結晶構造を提供する。特定の実施形態では、9D7と競合しない抗体が選択される。
【0199】
4-1BB結合ドメインは、Tarabanら、Eur J Immunol.2002年12月;32(12):3617~27頁に記載されているようにLOB12、IgG2a、LOB12.3又はIgG1に由来し得る。特定の実施形態では、4-1BB結合ドメインは、US9,382,328に記載されているモノクローナル抗体に由来する。さらなる4-1BB結合ドメインは、US6,569,997、US6,303,121及びMittlerら、Immunol Res.2004年;29(1~3):197~208頁に記載されている。
【0200】
OX40(CD134)及び/又はICOS活性化も使用され得る。OX40結合ドメインは、US20100196359、US20150307617、WO2015/153513、WO2013/038191及びMeleroら、Clin Cancer Res.2013年3月1日;19(5):1044~53頁に記載されている。ICOSに結合し、活性化し得る例示的な結合ドメインは、例えば、US20080279851及びDengら、Hybrid Hybridomics.2004年6月;23(3):176~82頁に記載されている。
【0201】
可溶型の場合、T細胞活性化剤は、ポリエチレングリコール(PEG)分子などの別の分子とカップリングされ得る。任意の適切なPEG分子が使用され得る。典型的に、最大で1000Daまでの分子量のPEG分子が水又は培養培地に溶解する。一部の場合、このようなPEGベースの試薬は、市販の活性化PEG分子(例えば、NOF North America Corporation、Irvine、Calif.、USAから入手可能なPEG-NHS誘導体、又はCreative PEGWorks、Chapel Hills、N.C.、USAから入手可能な活性化PEG誘導体)を使用して調製され得る。
【0202】
特定の実施形態では、細胞刺激剤は培養培地内の固相上に固定化される。特定の実施形態では、固相は、培養容器(例えば、バッグ、細胞培養プレート、チャンバー、クロマトグラフィーカラム、架橋ゲル、架橋ポリマー、カラム、培養ディッシュ、中空糸、マイクロタイタープレート、シリカコーティングガラスプレート、チューブ、チューブセット、ウェル、バイアル、培養若しくは細胞培養のための他の構造又は容器)の表面である。
【0203】
特定の実施形態では、固相は培養培地に添加され得る。このような固相には、例えば、ビーズ、中空糸、樹脂、膜及びポリマーが含まれ得る。
【0204】
例示的なビーズには、磁気ビーズ、ポリマービーズ及び樹脂ビーズ(例えば、Strep-Tactin(登録商標)Sepharose、Strep-Tactin(登録商標)Superflow及びStrep-Tactin(登録商標)MacroPrep IBA GmbH、Gottingen))が含まれる。抗CD3/抗CD28ビーズは、T細胞拡大用の市販の試薬である(Invitrogen)。これらのビーズは、ヒトT細胞上のCD3及びCD28細胞表面分子に対するアフィニティー精製モノクローナル抗体の混合物でコーティングされた均一な、4.5μmの超常磁性、無菌、非発熱性ポリスチレンビーズである。中空糸は、TerumoBCT Inc.(Lakewood、Colo.、USA)から入手可能である。樹脂には、金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)樹脂(例えば、TALON(登録商標)樹脂(Westburg、Leusden))が含まれる。膜には、紙及びクロマトグラフィーマトリックスの膜基材(例えば、ニトロセルロース膜又はポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜)が含まれる。
【0205】
例示的なポリマーには、多糖マトリックスなどの多糖が含まれる。このようなマトリックスには、アガロースゲル(例えば、Superflow(商標)アガロース又はSepharose(登録商標)材料、例えば、異なるビーズ及び孔径で市販されているSuperflow(商標)Sepharose(登録商標))又は架橋デキストランのゲルが含まれる。さらなる例示的な例は、デキストランが共有結合している、粒子状の架橋アガロースマトリックスであり、これは、(様々なビーズサイズ及び様々な孔径で)Sephadex(登録商標)又はSuperdex(登録商標)として市販されており、両方ともGE Healthcareから入手可能である。
【0206】
使用され得る合成ポリマーには、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレート、多糖及びアガロースのコポリマー(例えば、ポリアクリルアミド/アガロース複合体)又は多糖及びN,N’-メチレンビスアクリルアミドが含まれる。デキストラン及びN,N’-メチレンビスアクリルアミドのコポリマーの例は、Sephacryl(登録商標)(Pharmacia Fine Chemicals,Inc.、Piscataway、NJ)シリーズの材料である。
【0207】
特定の実施形態は、多糖グラフトシリカ、ポリビニルピロリドングラフトシリカ、ポリエチレンオキシドグラフトシリカ、ポリ(2-ヒドロキシエチルアスパルトアミド)シリカ及びポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)グラフトシリカなどの合成ポリマー又は天然ポリマーにカップリングしたシリカ粒子を利用することができる。
【0208】
細胞活性化剤は、共有結合を介して固相に固定化され得るか、又は非共有結合を介して可逆的に固定化され得る。
【0209】
特定の実施形態では、T細胞活性化培養培地は、HEPES、5~15%のヒト血清、1~3%のL-グルタミン、0.5~1.5%のPen/strep、0.25×10-4~0.75×10-4Mのβ-メルカプトエタノールを含むRPMI内で、5~15(例えば、10)ng/μlで含まれるIL-7、IL-15及びIL-21と個々に培養されたFACS選別T細胞集団を含む。培養は、0.1~0.5×10e6個の細胞/ウェルをプレーティングした平底ウェルプレート上で実行される。活性化後3日目に、細胞はTC処理プレートに移される。
【0210】
特定の実施形態では、T細胞活性化培養培地は、HEPES、10%のヒト血清、2%のL-グルタミン、1%のPen/strep、0.5×10-4Mのβ-メルカプトエタノールを含むRPMI内で、5~15(例えば、10)ng/μlで含まれるIL-7、IL-15及びIL-21と個々に培養されたFACS選別CD8+T集団を含む。培養は、0.1~0.5×10e6個の細胞/ウェルをプレーティングした平底非組織培養(TC)処理96/48ウェルプレート上で実行される。活性化後3日目に、細胞はTC処理プレートに移される。
【0211】
HSC/HSPについての培養条件は、Notchアゴニストによる拡大(例えば、US7,399,633;US5,780,300;US5,648,464;US5,849,869;及びUS5,856,441を参照のこと、並びに以下のような培養条件で存在する増殖因子:25~300ng/mlのSCF、25~300ng/mlのFlt-3L、25~100ng/mlのTPO、25~100ng/mlのIL-6及び10ng/mlのIL-3を含み得る。より具体的な実施形態では、50、100又は200ng/mlのSCF;50、100又は200ng/mlのFlt-3L;50又は100ng/mlのTPO;50又は100ng/mlのIL-6;及び10ng/mlのIL-3が使用され得る。
【0212】
(V)エクスビボで製造された細胞製剤。特定の実施形態では、遺伝子修飾された細胞は、培養培地から回収され、洗浄され、治療有効量において、担体へと濃縮され得る。例示的な担体には、食塩水、緩衝食塩液、生理食塩液、水、ハンクス液、リンゲル液、Nonnosol-R(Abbott Labs)、PLASMA-LYTE A(登録商標)(Baxter Laboratories,Inc.、Morton Grove、IL)、グリセロール、エタノール及びこれらの組合せが含まれる。
【0213】
特定の実施形態では、担体は、ヒト血清アルブミン(HSA)又は他のヒト血清成分又はウシ胎仔血清が補充され得る。特定の実施形態では、注入のための担体には、5%のHAS又はデキストロースを伴う緩衝食塩液が含まれる。さらなる等張剤には、グリセリン、エリトリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール又はマンニトールなどの三価以上の糖アルコールを含む、多価糖アルコールが含まれる。
【0214】
担体には、クエン酸バッファー、コハク酸バッファー、酒石酸バッファー、フマル酸バッファー、グルコン酸バッファー、シュウ酸バッファー、乳酸バッファー、酢酸バッファー、リン酸バッファー、ヒスチジンバッファー及び/又はトリメチルアミン塩などの緩衝剤が含まれ得る。
【0215】
安定剤とは、増量剤から、容器壁面への細胞の付着を阻止する一助となる添加剤に至る機能の範囲にわたり得る、広範な類型の賦形剤を指す。典型的な安定剤には、多価糖アルコール;アミノ酸、例えば、アルギニン、リジン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アラニン、オルニチン、L-ロイシン、2-フェニルアラニン、グルタミン酸及びトレオニン;有機糖又は糖アルコール、例えば、ラクトース、トレハロース、スタキオース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、ミオイニシトール、ガラクチトール、グリセロール及びシクリトール、例えば、イノシトール;PEG;アミノ酸ポリマー;硫黄含有還元剤、例えば、尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、アルファ-モノチオグリセロール及びチオ硫酸ナトリウム;低分子量ポリペプチド(すなわち、10残基未満);タンパク質、例えば、HSA、ウシ血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;単糖類、例えば、キシロース、マンノース、フルクトース及びグルコース;二糖類、例えば、ラクトース、マルトース及びスクロース;三糖類、例えば、ラフィノース並びに多糖類、例えば、デキストランが含まれ得る。
【0216】
必要な場合又は有益な場合、組成物又は製剤は、注射部位における疼痛を和らげるように、リドカインなどの局所麻酔剤を含み得る。
【0217】
例示的な保存剤には、フェノール、ベンジルアルコール、メタクレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、ハロゲン化ベンザルコニウム、塩化ヘキサメトニウム、アルキルパラベン、例えば、メチル又はプロピルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール及び3-ペンタノールが含まれる。
【0218】
組成物又は製剤中の細胞の治療有効量は、10個超の細胞、10個超の細胞、10個超の細胞、10個超の細胞、10個超の細胞、10個超の細胞、10個超の細胞、10個超の細胞、1010個超の細胞又は1011個超であり得る。
【0219】
本明細書に開示された組成物及び製剤中において、細胞は、一般に、1リットル以下、500ml以下、250ml以下又は100ml以下の容量である。よって、投与された細胞の密度は、典型的に、10個の細胞/ml、10個の細胞/ml又は10個の細胞/mlより多い。
【0220】
示されているように、組成物は、少なくとも1つの遺伝子修飾された細胞種(例えば、修飾されたT細胞、NK細胞又は幹細胞)を含む。製剤は、異なる型の遺伝子修飾された細胞(例えば、T細胞、NK細胞及び/又は組み合わせた幹細胞)を含み得る。
【0221】
異なる型の遺伝子修飾された細胞又は細胞サブセット(例えば、修飾されたT細胞、NK細胞及び/又は幹細胞)は、異なる比、例えば、1:1:1の比、2:1:1の比、1:2:1の比、1:1:2の比、5:1:1の比、1:5:1の比、1:1:5の比、10:1:1の比、1:10:1の比、1:1:10の比、2:2:1の比、1:2:2の比、2:1:2の比、5:5:1の比、1:5:5の比、5:1:5の比、10:10:1の比、1:10:10の比、10:1:10の比などで提供され得る。これらの比は、同じ又は異なる組換えCAR成分を発現する細胞の数にも適用することができる。細胞種のうちの2つのみが組み合わされる場合又は発現されたCAR成分の2つの組合せのみが製剤内に含まれる場合、比は、上記に提供された3つの数字の組み合わせから作成され得る任意の2つの数字の組み合わせを含み得る。実施形態では、組み合わされた細胞集団は、有効性及び/又は細胞増殖について、インビトロ、インビボ及び/又はエクスビボで試験され、細胞の有効性及び/又は増殖をもたらす細胞の比が選択される。特定の実施形態は、1:1の比のCD4 T細胞及びCD8 T細胞を含む。
【0222】
本明細書に開示された細胞ベースの組成物は、例えば、注射、注入、灌流又は洗浄による投与のために調製され得る。組成物及び製剤は、骨髄、静脈内、皮内、動脈内、結節内、リンパ内、腹腔内、病巣内、腫瘍内、膀胱内及び/又は皮下注射のためにさらに製剤化され得る。
【0223】
(VI)TNFαシグナル増強物質-小分子及びタンパク質。小分子TNFαシグナル増強物質として機能し得る本開示内で使用される化合物には、BV-6、CUDC-427、GDC-0152、LCL161、ロカグラミド、シロリムス、エムリカサン、ビリナパント、ASTX660、AZD5582、BI 891065、DEBIO 1143、APG-1387、HGS1029、AEG35156、エスシン及びKILLERTRAIL(商標)が含まれる。
【0224】
特定の実施形態では、TNFαシグナル増強物質は、ロカグラミド、シロリムス及びエムリカサンから選択される。
ロカグラミド (1R,2R,3S,3aR,8bS)-1,8b-ジヒドロキシ-6,8-ジメトキシ-3a-(4-メトキシフェニル)-N,N-ジメチル-3-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-シクロペンタ[b][1]ベンゾフラン-2-カルボキサミド、
【0225】
【化13】
シロリムス (1R,9S,12S,15R,16E,18R,19R,21R,23S,24E,26E,28E,30S,32S,35R)-1,18-ジヒドロキシ-12-[(2R)-1-[(1S,3R,4R)-4-ヒドロキシ-3-メトキシシクロヘキシル]プロパン-2-イル]-19,30-ジメトキシ-15,17,21,23,29,35-ヘキサメチル-11,36-ジオキサ-4-アザトリシクロ[30.3.1.04,9]ヘキサトリアコンタ-16,24,26,28-テトラエン-2,3,10,14,20-ペントン、
【0226】
【化14】
及び
エムリカサン (3S)-3-[[(2S)-2-[[2-(2-tert-ブチルアニリノ)-2-オキソアセチル]アミノ]プロパノイル]アミノ]-4-オキソ-5-(2,3,5,6-テトラフルオロフェノキシ)ペンタン酸、
【0227】
【化15】
特定の実施形態では、TNFαを増幅させる化合物は、以下を含むSMAC模倣物である。ビリナパント (2S)-N-[(2S)-1-[(2R,4S)-2-[[6-フルオロ-2-[6-フルオロ-3-[[(2R,4S)-4-ヒドロキシ-1-[(2S)-2-[[(2S)-2-(メチルアミノ)プロパノイル]アミノ]ブタノイル]ピロリジン-2-イル]メチル]-1H-インドール-2-イル]-1H-インドール-3-イル]メチル]-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル]-1-オキソブタン-2-イル]-2-(メチルアミノ)プロペンアミド、
【0228】
【化16】
LCL161 (2S)-N-[(1S)-1-シクロヘキシル-2-[(2S)-2-[4-(4-フルオロベンゾイル)-1,3-チアゾール-2-イル]ピロリジン-1-イル]-2-オキソエチル]-2-(メチルアミノ)プロペンアミド、
【0229】
【化17】
ASTX660 1-[6-[(4-フルオロフェニル)メチル]-5-(ヒドロキシメチル)-3,3-ジメチル-2H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-1-イル]-2-[(2R,5R)-5-メチル-2-[[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]メチル]ピペラジン-1-イル]エタノン、
【0230】
【化18】
BI 891065;CUDC-427 (2S)-1-[(2S)-2-シクロヘキシル-2-[[(2S)-2-(メチルアミノ)プロパノイル]アミノ]アセチル]-N-[2-(1,3-オキサゾール-2-イル)-4-フェニル-1,3-チアゾール-5-イル]ピロリジン-2-カルボキサミド、
【0231】
【化19】
DEBIO 1143 (5S,8S,10aR)-N-ベンズヒドリル-5-[[(2S)-2-(メチルアミノ)プロパノイル]アミノ]-3-(3-メチルブタノイル)-6-オキソ-1,2,4,5,8,9,10,10a-オクタヒドロピロロ[1,2-a][1,5]ジアゾシン-8-カルボキサミド、
【0232】
【化20】
APG-1387 (5S,8S,10aR)-3-[3-[[(5S,8S,10aR)-8-(ベンズヒドリルカルバモイル)-5-[[(2S)-2-(メチルアミノ)プロパノイル]アミノ]-6-オキソ-1,2,4,5,8,9,10,10a-オクタヒドロピロロ[1,2-a][1,5]ジアゾシン-3-イル]スルホニル]フェニル]スルホニル-N-ベンズヒドリル-5-[[(2S)-2-(メチルアミノ)プロパノイル]アミノ]-6-オキソ-1,2,4,5,8,9,10,10a-オクタヒドロピロロ[1,2-a][1,5]ジアゾシン-8-カルボキサミド、
【0233】
【化21】
HGS1029;AEG35156;AZD5582 (2S)-1-[(2S)-2-シクロヘキシル-2-[[(2S)-2-(メチルアミノ)プロパノイル]アミノ]アセチル]-N-[(1S,2R)-2-[6-[[(1S,2R)-1-[[(2S)-1-[(2S)-2-シクロヘキシル-2-[[(2S)-2-(メチルアミノ)プロパノイル]アミノ]アセチル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル]オキシ]ヘキサ-2,4-ジノキシ]-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]ピロリジン-2-カルボキサミド、
【0234】
【化22】
APG-1387 (5S,8S,10aR)-3-[3-[[(5S,8S,10aR)-8-(ベンズヒドリルカルバモイル)-5-[[(2S)-2-(メチルアミノ)プロパノイル]アミノ]-6-オキソ-1,2,4,5,8,9,10,10a-オクタヒドロピロロ[1,2-a][1,5]ジアゾシン-3-イル]スルホニル]フェニル]スルホニル-N-ベンズヒドリル-5-[[(2S)-2-(メチルアミノ)プロパノイル]アミノ]-6-オキソ-1,2,4,5,8,9,10,10a-オクタヒドロピロロ[1,2-a][1,5]ジアゾシン-8-カルボキサミド、
【0235】
【化23】
GDC-0152 (2S)-1-[(2S)-2-シクロヘキシル-2-[[(2S)-2-(メチルアミノ)プロパノイル]アミノ]アセチル]-N-(4-フェニルチアジアゾール-5-イル)ピロリジン-2-カルボキサミド、
【0236】
【化24】
WX20120108
【0237】
【化25】
SM-122 (3S,6S,10As)-N-ベンズヒドリル-6-[[(2S)-2-(メチルアミノ)プロパノイル]アミノ]-5-オキソ-2,3,6,7,8,9,10,10a-オクタヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]アゾシン-3-カルボキサミド、
【0238】
【化26】
SM-164 (3S,6S,10As)-N-[(S)-[1-[4-[4-[4-[4-[(S)-[[(3S,6S,10aS)-6-[[(2S)-2-(メチルアミノ)プロパノイル]アミノ]-5-オキソ-2,3,6,7,8,9,10,10a-オクタヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]アゾシン-3-カルボニル]アミノ]-フェニルメチル]トリアゾール-1-イル]ブチル]フェニル]ブチル]トリアゾール-4-イル]-フェニルメチル]-6-[[(2S)-2-(メチルアミノ)プロパノイル]アミノ]-5-オキソ-2,3,6,7,8,9,10,10a-オクタヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]アゾシン-3-カルボキサミド、
【0239】
【化27】
BV-6 (S,S,2S,2’S)-N,N’-((2S,2’S)-(ヘキサン-1,6-ジイルビス(アザンジイル))ビス(3-オキソ-1,1-ジフェニルプロパン-3,2-ジイル))ビス(1-((S)-2-シクロヘキシル-2-((S)-2-(メチルアミノ)プロパンアミド)アセチル)ピロリジン-2-カルボキサミド)、
【0240】
【化28】
AZD5582 ((2S)-1-[(2S)-2-シクロヘキシル-2-[[(2S)-2-(メチルアミノ)プロパノイル]アミノ]アセチル]-N-[(1S,2R)-2-[6-[[(1S,2R)-1-[[(2S)-1-[(2S)-2-シクロヘキシル-2-[[(2S)-2-(メチルアミノ)プロパノイル]アミノ]アセチル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル]オキシ]ヘキサ-2,4-ジノキシ]-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]ピロリジン-2-カルボキサミド)
【0241】
【化29】
CUDC-427 ((2S)-1-[(2S)-2-シクロヘキシル-2-[[(2S)-2-(メチルアミノ)プロパノイル]アミノ]アセチル]-N-[2-(1,3-オキサゾール-2-イル)-4-フェニル-1,3-チアゾール-5-イル]ピロリジン-2-カルボキサミド)
【0242】
【化30】
又は
エスシン((2S,3S,4S,5R,6R)-6-[[(3S,4S,4aR,6aR,6bS,8R,8aR,9R,10R,12aS,14aR,14bR)-9-アセチルオキシ-8-ヒドロキシ-4,8a-ビス(ヒドロキシメチル)-4,6a,6b,11,11,14b-ヘキサメチル-10-[(Z)-2-メチルブト-2-エノイル]オキシ-1,2,3,4a,5,6,7,8,9,10,12,12a,14,14a-テトラデカヒドロピセン-3-イル]オキシ]-4-ヒドロキシ-3,5-ビス[[(2S,3R,4S,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)オキサン-2-イル]オキシ]オキサン-2-カルボン酸
【0243】
【化31】
KILLERTRAIL(商標)とは、N末端においてHisタグ及びリンカーペプチドに融合されたヒトTRAILの細胞外ドメイン(aa95~281)を含む組換えタンパク質を指す。
【0244】
示されているように、SMAC模倣物及びTNFスーパーファミリーリガンド調節細胞死の増強物質が使用され得る。さらなるSMAC模倣物の構造及び類似の機能特性を有する誘導体に関する詳細な情報については、US2018155322、US2017037004、US2015158908、US8986993、US8283372、US2019031766、US2019185511、US2019135794、US2018186882、US2018179183、US2018065959、US9783538、US2019151295、US8716236、US8664212、US8278293、WO2020024932、WO2019122941、WO2019122337、WO2015109391、AU2017223233、WO2017117684、WO2019165215、US20160184383、US20170319592、US2010317593、US2018193470、US8883771、US8980837、US8202902、US20120238766、EP1693059、US20100098770、WO2006116727、WO2018017426及びPMID:31316176を参照のこと。本開示はまた、本明細書に記載又は参照されている化合物の薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、互変異性体、鏡像異性体、立体異性体及びジアステレオ異性体の使用も含む。小分子TNFαの小分子に関するさらなる情報については、Traceら、Annu.Rev.Med.1994年;45:491~503頁;WO2017117684;US2018065959;及びUS9783538を参照のこと。
【0245】
(VII)ナノ粒子製剤。本明細書に記載されている細胞及び/又は小分子のインビボ遺伝子修飾をもたらすナノ粒子は、対象への投与のために単独で又は組み合わせて組成物に製剤化され得る。組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体を用いて製剤化されたナノ粒子及び/又は小分子を含む。
【0246】
注射用に、組成物は、水溶液として、例えば、ハンクス液、リンガー液又は生理食塩水を含むバッファー中で製剤化され得る。水溶液は、製剤化剤、例えば、懸濁化剤、安定剤及び/又は分散剤を含み得る。或いは、製剤は、適切なビヒクル、例えば、発熱物質非含有無菌水で使用前に構成するための凍結乾燥形態及び/又は粉末形態であり得る。
異なる溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、トリアセチン、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、フェノール又はそれらの組合せ)の使用により、放出特性をモジュレートするためにナノ粒子のサイズ及び構造を変化させることができる。他の有用な溶媒には、水、エタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、アセトン、メタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、安息香酸エチル及び安息香酸ベンジルが含まれる。
【0247】
例示的な放出修飾剤には、界面活性剤、洗剤、内相増粘剤、錯化剤、界面活性分子、共溶媒、キレート剤、安定剤、セルロースの誘導体、(ヒドロキシプロピル)メチルセルロース(HPMC)、HPMCアセテート、セルロースアセテート、プルロニック(登録商標)(例えば、F68/F127)、ポリソルベート、Span(登録商標)(Croda Americas、Wilmington、Delaware)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、Brij(登録商標)(Croda Americas、Wilmington、Delaware)、スクロースアセテートイソブチラート(SAIB)、塩及びバッファーが含まれ得る。
【0248】
本明細書に開示されている任意の組成物は、投与の利益を越える有意に有害なアレルギー性の又は他の厄介な反応を引き起こさないものを含む任意の他の薬学的に許容される担体を有利に含み得る。例示的な薬学的に許容される担体及び製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Printing Company、1990年に開示されている。さらに、製剤は、米国FDA生物学的標準局(US FDA Office of Biological Standards)及び/又は他の関連する外国の規制当局により要求される無菌性、発熱性、一般的安全性及び純度基準を満たすように調製され得る。
【0249】
(VIII)使用方法。本明細書に開示された方法は、本明細書に開示された組成物及び製剤を用いて、対象(ヒト、獣医科動物(イヌ、ネコ、爬虫類、鳥類など)、家畜(ウマ、ウシ、ヤギ、ブタ、ニワトリなど)及び研究動物(サル、ラット、マウス、魚類など)を処置することを含む。対象を処置することは、治療有効量を送達することを含む。治療有効量は、有効量、予防的処置及び/又は治療的処置を提供する量を含む。
【0250】
「有効量」は、対象において所望の生理学的変化をもたらすのに必要な組成物の量である。例えば、有効量は、免疫原性抗がん効果をもたらし得る。有効量は、多くの場合、研究目的で投与される。本明細書に開示された有効量は、がんの発生又は進行の評価に関連した動物モデル又はインビトロアッセイにおける統計的に有意な効果をもたらし得る。免疫原性組成物は有効量で提供され得、この有効量は免疫応答を刺激する。
【0251】
「予防的処置」は、がんの徴候若しくは症状を示さず、又はがんの初期の徴候若しくは症状のみを示す対象に投与された処置を含み、それにより、処置は、がんをさらに進展させるリスクを低減又は減少させる目的で投与される。したがって、予防的処置は、がんを予防する処置として機能する。特定の実施形態では、予防的処置は、原発性がん腫瘍部位からの転移の発生を低減、遅延又は阻止する。
【0252】
「治療的処置」は、がんの症状又は徴候を示す対象に投与され、がんのそれらの徴候又は症状を軽減又は排除する目的で対象に投与される処置を含む。治療的処置は、がんの存在若しくは活性を低減、制御若しくは排除し、及び/又はがんの副作用を低減、制御若しくは排除し得る。
【0253】
有効量としての機能、予防的処置又は治療的処置は相互に排他的ではなく、特定の実施形態では、投与される用量は2つ以上の処置の種類を達成し得る。
【0254】
特定の実施形態では、治療有効量は抗がん効果をもたらす。抗がん効果は、がん細胞数の減少、転移数の減少、腫瘍体積の減少、平均余命の延長、がん細胞における化学感受性若しくは放射線感受性の誘発、がん細胞近くの血管新生の阻害、がん細胞増殖の阻害、腫瘍成長の阻害、転移の阻止若しくは低減、対象の寿命の延長、がん関連疼痛の低減及び/又は処置後のがんの再燃若しくは再発の低減を含む。特定の実施形態では、本明細書に開示された併用療法は、抗原陰性バイスタンダー細胞の殺滅を増大する。
【0255】
「腫瘍」は、細胞(新生細胞又は腫瘍細胞と呼ばれる)の異常成長により形成される腫脹又は病変である。「腫瘍細胞」は、急速な無制御細胞増殖により成長する異常細胞であり、新たな成長を開始した刺激が停止した後も成長し続ける異常細胞である。腫瘍は、正常組織との構造的組織化及び機能的協調の部分的又は完全な欠如を示し、通常、良性、前悪性又は悪性であり得る明瞭な組織塊を形成する。
【0256】
本明細書に記載されている併用療法を使用して処置され得るがんの種類には、前立腺がん、乳がん、幹細胞がん、卵巣がん、中皮腫、腎細胞癌黒色腫、膵臓がん、肺がん、HBV誘発性肝細胞癌及び多発性骨髄腫が含まれる。処置され得るさらなる例示的ながんには、髄芽腫、乏突起神経膠腫、卵巣明細胞癌、卵巣類内膜癌、卵巣漿液性腺癌、膵管腺癌、膵内分泌腫瘍、悪性横紋筋様腫瘍、星状細胞腫、非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍、脈絡叢癌、脈絡叢乳頭腫、上衣腫、神経膠芽腫、髄膜腫、神経膠腫瘍、乏突起星細胞腫、乏突起神経膠腫、松果体芽腫、癌肉腫、脊索腫、性腺外胚細胞腫瘍、腎外ラブドイド腫瘍、シュワン腫、皮膚扁平上皮癌、軟骨肉腫、軟組織の明細胞肉腫、ユーイング肉腫、消化管間質肉腫、骨肉腫、横紋筋肉腫、類上皮肉腫、腎髄質癌(renal medullo carcinoma)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫及び別段指定されていない(NOS)肉腫が含まれる。
【0257】
急性骨髄性白血病(AML)、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)、骨髄異形成症候群(MDS)、ナチュラルキラー細胞リンパ腫、ヘアリー細胞白血病、急性リンパ性白血病(ALL;急性リンパ芽球性リンパ腫としても知られている)、慢性骨髄性白血病(CML)、他の白血病、血液がん又は腫瘍、ホジキンリンパ腫(HL)、B細胞HL、非ホジキンリンパ腫(NHL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、T細胞リンパ腫、多発性骨髄腫(難治性、再発性など)、全身性肥満細胞症(SM)、好酸球増加症候群(HES)、骨髄線維症、貧血、全身性エリテマトーデス(SLE)、乾癬及び全身性硬化症(強皮症)もまた、本明細書に開示された併用療法を用いて処置され得る。
【0258】
投与に関して、インビトロアッセイ及び/又は動物モデル研究からの結果に基づいて、治療有効量(本明細書において用量とも称される)が最初に推定され得る。そのような情報は、目的の対象における有用な用量をより正確に決定するために使用され得る。特定の対象に投与される実際の投与量は、標的、体重、状態の重症度、がんの種類、がんの病期、過去の又は併用される治療的介入、対象の特発性疾患及び投与経路を含む、身体的及び生理学的要因などのパラメーターを考慮して、医師、獣医又は研究者により決定され得る。
【0259】
投与するための治療有効量は、10個超の細胞、10個超の細胞、10個超の細胞、10個超の細胞、10個超の細胞、10個超の細胞、10個超の細胞、10個超の細胞、1010個超の細胞又は1011個超を含み得る。
【0260】
ナノ粒子及び/又は小分子の有用な用量は、0.1~5μg/kg又は0.5~1μg/kgの範囲であり得る。他の例では、用量は、1μg/kg、15μg/kg、30μg/kg、50μg/kg、55μg/kg、70μg/kg、90μg/kg、150μg/kg、350μg/kg、500μg/kg、750μg/kg、1000μg/kg、0.1~5mg/kg又は0.5~1mg/kgを含み得る。他の例では、用量は、1mg/kg、10mg/kg、30mg/kg、50mg/kg、70mg/kg、100mg/kg、300mg/kg、500mg/kg、700mg/kg、1000mg/kg又はそれ以上を含み得る。
【0261】
ビリナパントの例示的な用量は、0.1~70mg/mを含む。LCL161の例示的な用量は、10~3000mgを含む。AEG35156の例示的な用量は、10~500mg/mを含む。シロリムスの例示的な用量は、2~20mgの負荷用量及び1日当たり1~10mgを含む。CUDC-427の例示的な用量は、21日サイクルで14日間にわたって1日当たり100~600mgを含む。
【0262】
治療有効量は、治療レジメンの過程の間、単一又は複数の用量を(例えば、毎日、隔日、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと、毎週、2週間ごと、3週間ごと、毎月、2か月ごと、3か月ごと、4か月ごと、5か月ごと、6か月ごと、7か月ごと、8か月ごと、9か月ごと、10か月ごと、11か月ごと又は毎年)投与することにより達成され得る。治療有効量はまた、21日又は28日サイクルにわたって1~4週間にわたって用量を投与することによって達成され得る。
【0263】
示されているように、本明細書に開示された組成物及び製剤は、例えば、注射、注入、灌流又は洗浄によって投与され得、より具体的には、1つ以上の骨髄、静脈内、皮内、動脈内、結節内、リンパ内、腹腔内、病巣内、前立腺内、膣内、直腸内、局所、髄腔内、腫瘍内、筋肉内、膀胱内並びに/又は皮下注入及び/若しくはボーラス注射による投与を含み得る。
【0264】
ある特定の実施形態では、細胞若しくはナノ粒子ベース又は小分子ベースの製剤は、任意の数の関連する治療法と併せて(例えば、前、同時、又は後に)患者に投与される。特定の実施形態では、細胞若しくはナノ粒子ベース又は小分子ベースの製剤は、化学療法、放射線、免疫抑制剤、例えば、シクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキセート、ミコフェノレート及びFK506、抗体又は他の免疫除去剤(immunoablative agent)、例えば、CAM PATH、抗CD3抗体又は他の抗体療法、サイトキシン(cytoxin)、フルダリビン(fludaribine)、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコプリエノール酸(mycoplienolic acid)、ステロイド、FR901228、サイトカイン及び放射線治療と組み合わせて使用され得る。
【0265】
(IX)キット。本明細書に開示されたキットは、本明細書に開示された併用療法を実施するための成分を含む。成分は、実施される特定の実施形態に基づいて変化し得る。キットの実施形態は、例えば、(i)CAR若しくは類似分子及び/又はTNFαシグナル増強物質タンパク質を発現するように、又は(ii)TNFαシグナル伝達経路メンバーを阻害するTNFRSファミリーメンバー(図6を参照のこと。)の破壊された活性を有するように、事前に遺伝子修飾及び/又は遺伝子修飾された、免疫細胞(例えば、T細胞(例えば、CD4+、CD8+)、B細胞、NK細胞、単球/マクロファージ、リンパ球、HSC、HPC、HSPC);CAR、TCR、CAR/TCRハイブリッド並びに/又は1つ以上のTNFαシグナル増強物質(例えば、TWEAK、TRAIL、LIGHT及び図6を参照のこと。)、TNFαシグナル伝達経路メンバーを阻害するTNFRSファミリーメンバー(図6を参照のこと。)の発現及び/若しくは活性の破壊をもたらす分子をコードする遺伝子;TNFαシグナル増強物質タンパク質(例えば、TWEAK、TRAIL、LIGHT及び図6を参照のこと。);TNFαシグナル増強物質小分子(例えば、BV-6、CUDC-427、GDC-0152、LCL161、ロカグラミド、シロリムス、エスシン、エムリカサン、ビリナパント、ASTX660、AZD5582、KILLERTRAIL(商標)、BI 891065、DEBIO 1143、APG-1387、HGS1029及びAEG35156);洗浄バッファー;PBS;Percoll及び/又はFicoll勾配;磁性ビーズ;ベクター(例えば、ウイルスベクター)、CRISPR遺伝子編集成分;塩基編集成分;ナノ粒子;バッグ、細胞培養プレート、フラスコ、チャンバー、クロマトグラフィーカラム、架橋ゲル、架橋ポリマー、カラム、培養ディッシュ、中空糸、マイクロタイタープレート、シリカコーティングガラスプレート、チューブ、チューブセット、ウェル、バイアル又は細胞を培養若しくは育てるための他の容器;1つ以上のサイトカイン、例えば、インターロイキン(IL)-2、IL-7、IL-15及び/又はIL-21;CD3刺激分子;CD28刺激分子;4-1BB刺激分子;Notchアゴニスト;生理食塩水、水、ハンクス液、クエン酸バッファー、コハク酸バッファー、酒石酸バッファー、フマル酸バッファー、グルコン酸バッファー、シュウ酸バッファー、乳酸バッファー、酢酸バッファー、リン酸バッファー、ヒスチジンバッファー及び/又はトリメチルアミン塩のうちの1つ以上を含み得る。
【0266】
(X)例示的な実施形態。
【0267】
1.(i)細胞外成分及び細胞内成分を含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように遺伝子修飾された免疫細胞であって、細胞外成分が、がん細胞によって発現された抗原に結合する結合ドメインを含み、細胞内成分が、エフェクタードメインを含む、免疫細胞、及び
(ii)腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)シグナル増強物質
を含む併用療法。
【0268】
2.TNFαシグナル増強物質が、TNFαシグナル伝達経路メンバーを活性化、増大若しくは支持する腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー(TNFRSF)メンバーの作用を活性化、増大若しくは支持する、並びに/又はTNFαシグナル増強物質が、TNFαシグナル伝達経路メンバーの作用を活性化、増大若しくは支持する、実施形態1に記載の併用療法。
【0269】
3.TNFαシグナル増強物質が、TNFαシグナル伝達経路メンバーを不活化、抑制又は破壊するTNFRSFメンバーの作用を不活化、抑制又は破壊する、実施形態1又は2に記載の併用療法。
【0270】
4.TNFαシグナル増強物質が、TNFRSFメンバー1A、1B、3、6、8、10A、10B、12A、19及び/若しくは21を活性化、増大若しくは支持する、並びに/又はTNFRSFメンバー6B、10C及び/若しくは10Dの作用を不活化、抑制若しくは破壊する、実施形態1~3のいずれかに記載の併用療法。
【0271】
5.TNFαシグナル増強物質が、TNFαシグナル増強物質タンパク質の発現をもたらす分子である、実施形態1~4のいずれかに記載の併用療法。
【0272】
6.TNFαシグナル増強物質が、TNFαシグナル増強物質タンパク質である、実施形態1~5のいずれかに記載の併用療法。
【0273】
7.TNFαシグナル増強物質タンパク質が、腫瘍壊死因子様弱アポトーシス誘導因子(TWEAK)、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、及び/又は誘導性発現を示し、Tリンパ球で発現される受容体であるヘルペスウイルス侵入メディエーターとの結合についてHSV糖タンパク質Dと競合するリンホトキシンとの相同体(LIGHT)を含む、実施形態5又は6に記載の併用療法。
【0274】
8.TNFαシグナル増強物質が、TNFαシグナル伝達経路メンバーを不活化、抑制又は破壊するTNFRSFメンバーの発現を破壊する分子である、実施形態1~7のいずれかに記載の併用療法。
【0275】
9.TNFαシグナル伝達経路メンバーを不活化、抑制又は破壊するTNFRSFメンバーの発現を破壊する分子が、CRISPR/Cas分子、ジンクフィンガーヌクレアーゼ分子、TALEN又はmegaTALを含む、実施形態8に記載の併用療法。
【0276】
10.TNFαシグナル伝達経路メンバーを不活化、抑制又は破壊するTNFRSFメンバーの発現を破壊する分子が、塩基エディターを含む、実施形態8又は9に記載の併用療法。
【0277】
11.CARを発現する実施形態1に記載の免疫細胞がまた、TNFαシグナル増強物質を含む又は発現する、実施形態1~10のいずれかに記載の併用療法。
【0278】
12.CARを発現する実施形態1に記載の免疫細胞がまた、TNFαシグナル増強物質を含む又は発現するように遺伝子修飾されている、実施形態1~11のいずれかに記載の併用療法。
【0279】
13.TNFαシグナル増強物質が、
BV-6、CUDC-427、GDC-0152、LCL161、エスシン、ロカグラミド、シロリムス、エムリカサン、ビリナパント、ASTX660、AZD5582、BI 891065、DEBIO 1143、APG-1387、HGS1029、AEG35156、ヒトTRAILの細胞外ドメインを有する組換えタンパク質並びにヒトTRAIL及びリンカーの細胞外ドメインを有する組換えタンパク質(例えば、KILLERTRAIL(商標))のうちの1つ以上から選択される、
BV-6、CUDC-427、GDC-0152、LCL161、ASTX660、AZD5582、ビリナパント並びにヒトTRAILの細胞外ドメインを有する組換えタンパク質並びにヒトTRAIL及びリンカーの細胞外ドメインを有する組換えタンパク質(例えば、KILLERTRAIL(商標))のうちの1つ以上から選択される、
BV-6、CUDC-427、GDC-0152及びLCL161のうちの1つ以上から選択されるか、又は
ロカグラミド、シロリムス、エムリカサン、BI 891065、DEBIO 1143、APG-1387、HGS1029及びAEG35156のうちの1つ以上から選択される、
小分子又はタンパク質を含む、実施形態1~12のいずれかに記載の併用療法。
【0280】
14.CAR及び/又はTNFαシグナル増強物質の発現が、NFATプロモーターによって制御される、実施形態1~13のいずれかに記載の併用療法。
【0281】
15.結合ドメインが、T細胞受容体(TCR)であるか、又は抗体のCDRに由来する、実施形態1~14のいずれかに記載の併用療法。
【0282】
16.結合ドメインが、A33;BAGE;Bcl-2;β-カテニン;BCMA;B7H4;BTLA;CA125;CA19-9;CD3、CD5;CD20;CD21;CD22;CD25;CD28;CD30;CD33;CD37;CD38;CD40;CD52;CD44v6;CD45;CD56;CD79b;CD80;CD81;CD86;CD123;CD134;CD137;CD151;CD171;CD276;CEA;CEACAM6;CLL-1;c-Met;CS-1;CTLA-4;サイクリンB1;DAGE;EBNA;EGFR;EGFRvIII、エフリンB2;ErbB2;HER2;ErbB4;EphA2;エストロゲン受容体;FAP;フェリチン;α-フェトプロテイン(AFP);FLT1;FLT4;葉酸結合タンパク質;FOLR;Frizzled;GAGE;G250;GD-2;GHRHR;GHR;GITR;GM2;GPRC5D;gp75;gp100(Pmel 17);gp130;HLA;HER-2/neu;HPV E6;HPV E7;hTERT;HVEM;IGF1R;IL6R;KDR;Ki-67;ルイスA;ルイスY;LIFRβ;LRP;LRP5;LTβR;MAGE;MART;メソテリン;MUC;MUC1;MUM-1-B;myc;NYESO-1;O-アセチルGD-2;O-アセチルGD3;OSMRβ;p53;PD1;PD-L1;PD-L2;PRAME;プロゲステロン受容体;PSA;PSMA;PTCH1;RANK;ras;Robo1;RORl;サバイビン;TCRα;TCRβ;テネイシン;TGFBR1;TGFBR2;TLR7;TLR9;TNFR1;TNFR2;TNFRSF4;TWEAK-R;TSTAチロシナーゼ;VEGF;又はWT1に特異的に結合する、実施形態1~15のいずれかに記載の併用療法。
【0283】
17.結合ドメインが、HER2、ERBB2、CD33、PSMA、PD-L1、MUC16、FOLR、CD123又はCLL-1に特異的に結合する、実施形態1~16のいずれかに記載の併用療法。
【0284】
18.結合ドメインが、FMC63、SJ25C1、HD37、ハーセプチン、ペムブロリズマブ、FAZ053、アベルマブ、アテゾリズマブ又はアマツキシマブのCDRセット、VH又はVLを含む抗体に由来する、実施形態1~17のいずれかに記載の併用療法。
【0285】
19.結合ドメインがscFvを含む、実施形態1~15のいずれかに記載の併用療法。
【0286】
20.結合ドメインが、
(a)TASSSVNYIH(配列番号14)を含むCDRL1、TSKVAS(配列番号15)を含むCDRL2、QQWRSYPLT(配列番号16)を含むCDRL3、DYVVH(配列番号17)を含むCDRH1、YINPYNDGTKYNEKFKG(配列番号18)を含むCDRH2及びDYRYEVYGMDY(配列番号19)を含むCDRH3、
(b)RASEVDNYGISFMN(配列番号20)を含むCDRL1、AASNQGS(配列番号21)を含むCDRL2、QQSKEVPW(配列番号22)を含むCDRL3、DYNMH(配列番号23)を含むCDRH1、YIYPYNGGTGYNQKFKS(配列番号24)を含むCDRH2及びGRPAMDY(配列番号25)を含むCDRH3、
(c)
【0287】
【化32】
を含む可変軽鎖及び
【0288】
【化33】
を含む可変重鎖、
(d)
【0289】
【化34】
を含む可変軽鎖及び
【0290】
【化35】
を含む可変重鎖、
(e)RASQDINYYLN(配列番号45)を含むCDRL1、YYSSRLHS(配列番号46)を含むCDRL2、QQDDALPYT(配列番号47)を含むCDRL3、KASGYAFSNYWMN(配列番号48)を含むCDRH1、QINPGDGDTN(配列番号49)を含むCDRH2及びAREDRDYFDY(配列番号50)を含むCDRH3、
(f)QDINYY(配列番号163)を含むCDRL1、YSSを含むCDRL2、QQDDALPYT(配列番号47)を含むCDRL3、GYAFSNYW(配列番号164)を含むCDRH1、INPGDGDT(配列番号165)を含むCDRH2及びAREDRDYFDY(配列番号50)を含むCDRH3、
(g)RASQDINYYLN(配列番号45)を含むCDRL1、YSSRLHS(配列番号166)を含むCDRL2、QQDDALPYT(配列番号47)を含むCDRL3、NYWMN(配列番号167)を含むCDRH1、QINPGDGDTNYNGKFKG(配列番号168)を含むCDRH2及びEDRDYFDY(配列番号169)を含むCDRH3、
(h)RASQDINYYLN(配列番号45)を含むCDRL1、YSSRLHS(配列番号166)を含むCDRL2、QQDDALPYT(配列番号47)を含むCDRL3、GYAFSNY(配列番号170)を含むCDRH1、NPGDGD(配列番号171)を含むCDRH2及びEDRDYFDY(配列番号169)を含むCDRH3、又は
(i)
【0291】
【化36】
を含む可変軽鎖及び
【0292】
【化37】
を含む可変重鎖
を含む、実施形態1~15又は19のいずれかに記載の併用療法。
【0293】
21.細胞外成分及び細胞内成分が、膜貫通ドメインを介して連結している、実施形態1~20のいずれかに記載の併用療法。
【0294】
22.膜貫通ドメインが、T細胞受容体、CD28、CD27、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137又はCD154のα鎖、β鎖又はζ鎖の膜貫通ドメインである、請求項21に記載の併用療法。
【0295】
23.膜貫通ドメインが、CD28の膜貫通ドメインである、請求項21に記載の併用療法。
【0296】
24.エフェクタードメインが、CD3ζ、CD28、4-1BB、CD27、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、LFA-1、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C及び/又はB7-H3の細胞内シグナル伝達ドメインを含む、実施形態1~23のいずれかに記載の併用療法。
【0297】
25.エフェクタードメインが、CD3ζ、CD28及び/又は4-1BBの細胞内シグナル伝達ドメインを含む、実施形態1~24のいずれかに記載の併用療法。
【0298】
26.エフェクタードメインが、CD3ζ及び4-1BBの細胞内シグナル伝達ドメインを含む、実施形態1~25のいずれかに記載の併用療法。
【0299】
27.エフェクタードメインが、CD3ζのバリアント(配列番号142又は143)及び4-1BBの一部(配列番号147又は148)を含む、実施形態1~25のいずれかに記載の併用療法。
【0300】
28.CARが、結合ドメインと細胞内成分との間にスペーサー領域をさらに含む、実施形態1~27のいずれかに記載の併用療法。
【0301】
29.スペーサー領域が、免疫グロブリンヒンジ領域又はその一部を含む、実施形態28に記載の併用療法。
【0302】
30.スペーサー領域が、IgG4ヒンジ領域、IgG4ヒンジ領域及びIgG4ヒンジCH3領域又はIgG4ヒンジ領域、IgG4 CH3領域及びIgG4 CH2領域を含む、実施形態29又は30に記載の併用療法。
【0303】
31.CARが、タグカセット、形質導入マーカー及び/又は自殺スイッチを含む制御機構をさらに含む、実施形態1~30のいずれかに記載の併用療法。
【0304】
32.CARが配列番号176又は177によってコードされる、実施形態1~31のいずれかに記載の併用療法。
【0305】
33.遺伝子修飾された免疫細胞が、T細胞、ナチュラルキラー細胞、単球/マクロファージ、造血幹細胞又は造血前駆細胞である、実施形態1~32のいずれかに記載の併用療法。
【0306】
34.T細胞が、CD3 T細胞、CD4 T細胞、CD8 T細胞、セントラルメモリーT細胞、エフェクターメモリーT細胞及び/又はナイーブT細胞から選択される、実施形態33に記載の併用療法。
【0307】
35.T細胞が、CD4 T細胞及び/又はCD8 T細胞である、実施形態33に記載の併用療法。
【0308】
36.1:1の比のCD4 T細胞及びCD8 T細胞を含む、実施形態35に記載の併用療法。
【0309】
37.遺伝子修飾された免疫細胞が、エクスビボ又はインビボにおけるものである、実施形態1~36のいずれかに記載の併用療法。
【0310】
38.選択された併用療法のCARを発現するようにエクスビボで遺伝子修飾された少なくとも2つの細胞種を含む組成物を含む、実施形態1~37のいずれかに記載の併用療法。
【0311】
39.少なくとも2つの細胞種が、T細胞及びナチュラルキラー細胞、T細胞及び単球/マクロファージ、T細胞及び造血幹細胞、T細胞及び造血前駆細胞、ナチュラルキラー細胞及び単球/マクロファージ、ナチュラルキラー細胞及び造血幹細胞、ナチュラルキラー細胞及び造血前駆細胞、単球/マクロファージ及び造血幹細胞、単球/マクロファージ及び造血前駆細胞、又は造血幹細胞及び造血前駆細胞を含む、実施形態38に記載の併用療法。
【0312】
40.併用療法のCAR部分を発現するように細胞のインビボでの遺伝子修飾をもたらすナノ粒子を含む、実施形態139のいずれかに記載の併用療法。
【0313】
41.TNFαシグナル増強物質を発現するか、又は含むように細胞のインビボでの遺伝子修飾をもたらすナノ粒子を含む、実施形態1~40のいずれかに記載の併用療法。
【0314】
42.実施形態1~41のいずれかに記載の併用療法を含む又は発現するように遺伝子修飾された細胞。
【0315】
43.TNFαシグナル増強物質の発現が、NFATプロモーターによって制御される、実施形態42に記載の細胞。
【0316】
44.エクスビボ又はインビボにおけるものである、実施形態42又は43に記載の細胞。
【0317】
45.T細胞、ナチュラルキラー細胞、単球/マクロファージ、造血幹細胞又は造血前駆細胞である、実施形態42~44のいずれかに記載の細胞。
【0318】
46.T細胞が、CD3 T細胞、CD4 T細胞、CD8 T細胞、セントラルメモリーT細胞、エフェクターメモリーT細胞及び/又はナイーブT細胞である、実施形態45に記載の細胞。
【0319】
47.T細胞が、CD4 T細胞及び/又はCD8 T細胞である、実施形態45に記載の細胞。
【0320】
48.治療有効量の実施形態1~41のいずれかに記載の併用療法を対象に投与することを含み、それによって、それを必要とする対象におけるがんを処置する、それを必要とする対象におけるがんを処置する方法。
【0321】
49.処置が、抗がん効果をもたらす、実施形態48に記載の方法。
【0322】
50.抗がん効果が、白血病、前立腺がん、乳がん、幹細胞がん、卵巣がん、中皮腫、腎細胞癌黒色腫、膵臓がん、肺がん、HBV誘発性肝細胞癌又は多発性骨髄腫に対する、実施形態49に記載の方法。
【0323】
51.実施形態1~41のいずれかに記載の併用療法、実施形態42~47のいずれかに記載の細胞及び/又は実施形態48~50のいずれかに記載の方法を実施するための成分を含むキット。
【0324】
(XI)最終パラグラフ。本明細書に提供されている核酸及びアミノ酸配列は、37 C.F.R.§1.822において規定され、WIPO Standard ST.25(1998年)、付録2、表1及び3の表に示されているヌクレオチド塩基及びアミノ酸残基についての略号を使用して示されている。各核酸配列の1つの鎖だけが示されているが、適切である実施形態では相補鎖も含まれるものとして理解される。
【0325】
本明細書で明示的に提供されていない範囲で、本明細書で開示されているタンパク質についてのコード配列、及び本明細書で開示されているコード配列についてのタンパク質配列は、当業者により、容易に導出され得る。
【0326】
本明細書で開示及び参照されている配列のバリアントも含まれる。生物活性を失わずにどのアミノ酸残基を置換、挿入、又は削除できるかを決定する指針は、DNASTAR(商標)(Madison、Wisconsin)ソフトウェアなどの当該技術分野において周知のコンピュータープログラムを使用して見出すことができる。好ましくは、本明細書に開示されているタンパク質バリアントにおけるアミノ酸変化は、保存的アミノ酸変化、すなわち、同様に帯電したか、又は帯電していないアミノ酸の置換である。保存的アミノ酸変化には、それらの側鎖において関連するアミノ酸ファミリーの1つの置換が含まれる。
【0327】
ペプチド又はタンパク質において、アミノ酸の適切な保存的置換は当業者に公知であり、一般に、得られる分子の生物学的活性を変化させずに行うことができる。当業者は、一般に、ポリペプチドの非必須領域における単一のアミノ酸置換が、生物学的活性を実質的に変化させないことを認識する(例えば、Watsonら、Molecular Biology of the Gene、第4版、1987年、The Benjamin/Cummings Pub.Co.、224頁を参照のこと。)。天然に存在するアミノ酸は、一般に、以下のような保存的置換ファミリーに分類される:群1:アラニン(Ala)、グリシン(Gly)、セリン(Ser)及びトレオニン(Thr);群2:(酸性):アスパラギン酸(Asp)及びグルタミン酸(Glu);群3:(酸性;極性負電荷残基及びそれらのアミドとしても分類される):アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)、Asp及びGlu;群4:Gln及びAsn;群5:(塩基性;極性正電荷残基としても分類される):アルギニン(Arg)、リジン(Lys)及びヒスチジン(His);群6(大きな脂肪族、非極性残基):イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、メチオニン(Met)、バリン(Val)及びシステイン(Cys);群7(非電荷極性):チロシン(Tyr)、Gly、Asn、Gln、Cys、Ser及びThr;群8(大きな芳香族残基):フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)及びTyr;群9(非極性):プロリン(Pro)、Ala、Val、Leu、Ile、Phe、Met及びTrp;群11(脂肪族):Gly、Ala、Val、Leu及びIle;群10(小さな脂肪族、非極性又はわずかに極性の残基):Ala、Ser、Thr、Pro及びGly;並びに群12(硫黄含有):Met及びCys。さらなる情報は、Creighton(1984年)Proteins、W.H.Freeman and Companyに見出され得る。
【0328】
このような変更を行う場合、アミノ酸のハイドロパシー指数が考慮され得る。相互作用的な生物学的機能をタンパク質に付与する上でのハイドロパシーアミノ酸指数の重要性は、当該技術分野において一般に理解されている(Kyte及びDoolittle、1982年、J.Mol.Biol.157(1)、105~32頁)。各アミノ酸には、その疎水性特徴及び電荷特徴に基づいてハイドロパシー指数が割り当てられている(Kyte及びDoolittle、1982年)。これらの値は下記のものである:Ile(+4.5)、Val(+4.2)、Leu(+3.8)、Phe(+2.8)、Cys(+2.5)、Met(+1.9)、Ala(+1.8)、Gly(-0.4)、Thr(-0.7)、Ser(-0.8)、Trp(-0.9)、Tyr(-1.3)、Pro(-1.6)、His(-3.2)、グルタミン酸(-3.5)、Gln(-3.5)、アスパラギン酸(-3.5)、Asn(-3.5)、Lys(-3.9)及びArg(-4.5)。
【0329】
当該技術分野では、ある特定のアミノ酸を同様のハイドロパシー指数又はスコアを有する他のアミノ酸によって置換し、同様の生物学的活性を有するタンパク質を依然として得ることができること、すなわち、生物学的機能的に同等のタンパク質を依然として得ることができることが知られている。そのような変更を行う場合、ハイドロパシー指数が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内であるアミノ酸の置換が特に好ましく、±0.5以内であるアミノ酸の置換がさらに特に好ましい。当該技術分野において、同様のアミノ酸の置換は、親水性に基づいても効率的に行われ得ることも理解される。
【0330】
US4,554,101に詳述されているように、アミノ酸残基には下記の親水性値が割り当てられている:Arg(+3.0)、Lys(+3.0)、アスパラギン酸(+3.0±1)、グルタミン酸(+3.0±1)、Ser(+0.3)、Asn(+0.2)、Gln(+0.2)、Gly(0)、Thr(-0.4)、Pro(-0.5±1)、Ala(-0.5)、His(-0.5)、Cys(-1.0)、Met(-1.3)、Val(-1.5)、Leu(-1.8)、Ile(-1.8)、Tyr(-2.3)、Phe(-2.5)、Trp(-3.4)。アミノ酸を同様の親水性値を有する別のアミノ酸に置換し、生物学的に同等のタンパク質、具体的には免疫学的に同等のタンパク質を依然として得ることができることは理解される。そのような変更では、親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、親水性値が±1以内であるアミノ酸の置換が特に好ましく、親水性値が±0.5以内であるアミノ酸の置換がさらに特に好ましい。
【0331】
上に概要が示されているように、アミノ酸置換は、アミノ酸側鎖置換基の関連類似性、例えば、その疎水性、親水性、電荷、サイズなどに基づくものであり得る。
【0332】
他の箇所に示されているように、遺伝子配列のバリアントには、コドン最適化バリアント、配列多型、スプライスバリアント及び/又は統計的に有意な程度にコードタンパク質の機能に影響を与えない変異が含まれ得る。
【0333】
本明細書に開示されているタンパク質、核酸及び遺伝子配列のバリアントには、本明細書に開示されているタンパク質、核酸又は遺伝子配列に対して、少なくとも70%の配列同一性、80%の配列同一性、85%の配列、90%の配列同一性、95%の配列同一性、96%の配列同一性、97%の配列同一性、98%の配列同一性又は99%の配列同一性を有する配列も含まれる。
【0334】
「配列同一性%」とは、2つ以上の配列を比較することによって決定されるそれらの配列の間の関連性を指す。当該技術分野では、「同一性」は、タンパク質配列の鎖間の一致、核酸配列の鎖間の一致又は遺伝子配列の鎖間の一致によって決定されるそのような配列の間の配列関連度も意味する。「同一性」(「類似性」と称されることが多い)は、公知の方法によって容易に計算され得、こうした方法には、Computational Molecular Biology(Lesk,A.M.、ed.)Oxford University Press、NY(1988年);Biocomputing:Informatics and Genome Projects(Smith,D.W.、ed.)Academic Press、NY(1994年);Computer Analysis of Sequence Data、Part I(Griffin,A.M.及びGriffin,H.G.、eds.)Humana Press、NJ(1994年);Sequence Analysis in Molecular Biology(Von Heijne,G.、ed.)Academic Press(1987年);並びにSequence Analysis Primer(Gribskov,M.及びDevereux,J.、eds.)Oxford University Press、NY(1992年)に記載されているものが含まれる。同一性を決定するための好ましい方法は、被検配列間の一致が最良となるように設計される。同一性及び類似性を決定するための方法は、公的に利用可能なコンピュータープログラムにおいて体系化されている。配列アライメント及び同一性パーセント計算は、LASERGENEバイオインフォマティクスコンピューティングスイート(DNASTAR,Inc.、Madison、Wisconsin)のMegalignプログラムを使用して実施され得る。デフォルトパラメーター(ギャップペナルティ=10、ギャップ長ペナルティ=10)を用いて、Clustalアライメント法(Higgins及びSharp CABIOS、5、151~153頁(1989年))を使用して多重配列アライメントも実施され得る。関連プログラムには、GCGプログラムスイート(Wisconsin Package Version 9.0、Genetics Computer Group(GCG)、Madison、Wisconsin);BLASTP、BLASTN、BLASTX(Altschulら、J.Mol.Biol.215:403~410頁(1990年);DNASTAR(DNASTAR,Inc.、Madison、Wisconsin);及びSmith-Watermanアルゴリズムが組み込まれたFASTAプログラム(Pearson、Comput.Methods Genome Res.、[Proc.Int.Symp.](1994年)、Meeting Date 1992年、111~20頁、編集者:Suhai,Sandor、出版社:Plenum,New York、N.Y.)も含まれる。本開示の文脈内では解析に配列解析ソフトウェアが使用される場合、解析の結果は言及プログラムの「デフォルト値」に基づくものであることが理解される。本明細書で使用される場合、「デフォルト値」は、任意の一連の値又はパラメーターを意味し、こうした一連の値又はパラメーターは、最初の初期化時にソフトウェアに最初に設定されるものである。
【0335】
バリアントには、本明細書に開示された配列にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の下でハイブリダイズし、参照配列と同じ機能を与える核酸分子も含まれる。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例には、50%のホルムアミド、5×SSC(750mMのNaCl、75mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハート溶液、10%の硫酸デキストラン及び20μg/mlの変性断片化サケ精子DNAを含む42℃の溶液中で一晩のインキュベートを行い、その後に50℃の0.1×SSC中でフィルターを洗浄するものが含まれる。ハイブリダイゼーション及びシグナル検出のストリンジェンシーの変更は、ホルムアミド濃度(ホルムアミドのパーセントを下げるとストリンジェンシーが低下する。)、塩条件又は温度を操作することによって主に達成される。例えば、中程度に高いストリンジェンシー条件には、6×SSPE(20×SSPE=3MのNaCl、0.2MのNaH2PO4、0.02MのEDTA、pH7.4)、0.5%のSDS、30%のホルムアミド、100μg/mlのサケ精子ブロッキングDNAを含む37℃の溶液中で一晩のインキュベートを行い、その後に1×SSPE、0.1%のSDSを用いて50℃での洗浄を行うものが含まれる。さらに、ストリンジェンシーをさらに下げるには、ストリンジェントなハイブリダイゼーションの後に実施される洗浄が、塩濃度を高めて(例えば、5×SSC)行われ得る。上記の条件の変形形態は、ハイブリダイゼーション実験でのバックグラウンドの抑制に使用される代替のブロッキング試薬を含め、及び/又はそれで置き換えることによって達成され得る。典型的なブロッキング試薬には、デンハート試薬、BLOTTO、ヘパリン、変性サケ精子DNA及び商業的に利用可能な専売製剤が含まれる。特定のブロッキング試薬を含めるには、適合性に関する問題に起因して上記のハイブリダイゼーション条件を改変する必要があり得る。
【0336】
「特異的に結合する」とは、結合ドメイン(例えば、CAR結合ドメイン又はナノ粒子選択細胞をターゲティングするリガンドのもの)とその対応結合分子とが、関連環境試料中のいずれの他の分子又は成分とも顕著に会合することなく10-1以上の親和性又はK(すなわち、1/Mの単位を有する特定の結合相互作用の平衡結合定数)で会合することを指す。「特異的に結合する」とは、本明細書において「結合する」とも称される。結合ドメインは、「高親和性」又は「低親和性」として分類され得る。特定の実施形態では、「高親和性」結合ドメインとは、Kが少なくとも10-1、少なくとも10-1、少なくとも10-1、少なくとも1010-1、少なくとも1011-1、少なくとも1012-1又は少なくとも1013-1である結合ドメインを指す。特定の実施形態では、「低親和性」結合ドメインとは、Kが最大10-1、最大10-1、最大10-1である結合ドメインを指す。或いは、親和性は、Mの単位を有する特定の結合相互作用の平衡解離定数(K)(例えば、10-5M~10-13M)として定義され得る。ある特定の実施形態では、結合ドメインは、「親和性の増強」が行われたものであり得、これは、野生型(又は親)結合ドメインより対応結合分子への結合が強まるように結合ドメインが選択又は操作されることを指す。例えば、親和性の増強は、参照結合ドメインより対応結合分子に対するK(平衡会合定数)が大きいことに起因し得るか、又は参照結合ドメインのものより対応結合分子に対するK(解離定数)が小さいことに起因し得るか、又は参照結合ドメインのものより対応結合分子に対するoff速度(Koff)が低いことに起因し得る。特定の対応結合分子に特異的に結合する結合ドメインを検出するため、並びに結合親和性を決定するための様々なアッセイ、例えば、ウエスタンブロット、ELISA及びBIACORE(登録商標)分析が知られている(例えば、Scatchardら、1949年、Ann.N.Y.Acad.Sci.51:660頁;及びUS5,283,173、US5,468,614又は同等の文献も参照のこと。)。
【0337】
別段の指定がない限り、本開示の実施は、免疫学、分子生物学、微生物学、細胞生物学及び組換えDNAの従来の技術を用いることができる。これらの方法は、下記の刊行物に記載されている。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版(1989年);F.M.Ausubelら、eds.、Current Protocols in Molecular Biology、(1987年);the series Methods IN Enzymology(Academic Press,Inc.);M.MacPhersonら、PCR:A Practical Approach、IRL Press at Oxford University Press(1991年);MacPhersonら、eds.PCR 2:Practical Approach、(1995年);Harlow及びLane、eds.Antibodies、A Laboratory Manual、(1988年);並びにR.I.Freshney、ed.Animal Cell Culture(1987年)を参照のこと。
【0338】
当業者によって理解されるように、本明細書に開示された各実施形態は、その特定の記載の要素、工程、成分又は構成要素を含む、それから本質的になるか、又はそれからなり得る。したがって、「含む(include)」又は「含む(including)」という用語は、「含む(comprise)、からなるか、又はから本質的になる」を記載するものと解釈すべきである。「含む(comprise)」又は「含む(comprises)」という移行用語は、主要量である場合でさえも、不特定の要素、工程、成分又は構成要素を含むこと、それに限定されないこと、及びをそれ含むことが可能であることを意味する。「からなる」という移行句は、特定されない要素、工程、成分又は構成要素はいずれも除外するものである。「から本質的になる」という移行句は、特定の要素、工程、成分又は構成要素、及び実施形態に実質的に影響を与えないものに実施形態の範囲を限定するものである。実質的な影響があれば、望ましくない細胞(例えば、がん細胞)の抗原非依存性殺滅が統計的に有意に低減されることになる。
【0339】
別段の指定がない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用される成分量、特性、例えば、分子量、反応条件などを表す全ての数は、全ての場合において「約」という用語によって修飾されていると理解されるものとする。したがって、矛盾する指定がない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に示されている数値パラメーターは、本発明によって得ようとする所望の特性に応じて変動し得る近似値である。最低でも、特許請求の範囲への均等論の適用を制限することは意図しないが、少なくとも、報告される有効桁の数を踏まえ、通常の丸め手法を適用することによって、各数値パラメーターを解釈すべきである。さらに明瞭化することが求められる場合、「約」という用語は、記載の数値又は範囲と共に使用される場合、当業者によって合理的に理解される意味を有し、すなわち、記載の値又は範囲よりいくらか多い又はいくらか少ないことを示し、記載の値の±20%の範囲内、記載の値の±19%の範囲内、記載の値の±18%の範囲内、記載の値の±17%の範囲内、記載の値の±16%の範囲内、記載の値の±15%の範囲内、記載の値の±14%の範囲内、記載の値の±13%の範囲内、記載の値の±12%の範囲内、記載の値の±11%の範囲内、記載の値の±10%の範囲内、記載の値の±9%の範囲内、記載の値の±8%の範囲内、記載の値の±7%の範囲内、記載の値の±6%の範囲内、記載の値の±5%の範囲内、記載の値の±4%の範囲内、記載の値の±3%の範囲内、記載の値の±2%の範囲内又は記載の値の±1%の範囲内である。
【0340】
本発明の広い範囲を示す数値範囲及びパラメーターが近似であるかにかかわらず、具体例に示されている数値は可能な限り正確に報告されている。しかしながら、いずれの数値も、そのそれぞれの試験測定において見られる標準偏差に必然的に起因するある特定の誤差を本質的に含む。
【0341】
本発明について記載する文脈において(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において)使用された、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その」という用語及び同様の指示対象は、本明細書に別段の指定がない限り、又は文脈上明確に矛盾しない限り、単数及び複数の両方を含むと解釈されるものとする。本明細書での値の範囲の記載は、単に、そうした範囲に入るそれぞれの個々の値に個別に言及することを簡潔化する方法とすることを意図するものにすぎない。本明細書に別段の指定がない限り、それぞれの個別値は、それが本明細書に個別に記載されている場合と同様に本明細書に組み込まれる。本明細書に別段の指定がない限り、又はその他の状況で文脈上明確に矛盾しない限り、本明細書に記載されている方法は全て、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書で提供されている例又は例示の言葉(例えば、「など」)のいずれか又は全ての使用は、単に、本発明の理解を容易にすることを意図するものにすぎず、そうした言葉を使用せずに請求される本発明の範囲を限定するものではない。本明細書のいずれの言葉も、本発明の実施に必要不可欠ないずれかの非請求要素を示すものとして解釈してはならない。
【0342】
本明細書に開示されている本発明の代替の要素又は実施形態を群化することは、限定とは解釈されない。それぞれの群メンバーは、個別に言及及び請求され得るか、又は他の群のメンバー若しくは本明細書に見出される他の要素との任意の組み合わせで言及及び請求され得る。利便性及び/又は特許性の理由から、群のメンバーの1つ以上が、群に含められ得るか、又は群から除外され得るものと予測される。いずれかのそのような包含又は除外が生じた場合、本明細書は、改変された群を含むものと見なされ、したがって、添付の特許請求の範囲において使用される全てのマーカッシュ群の記述を満たす。
【0343】
本発明の実施に最良の様式であると本発明者らが認識するものを含めて、本明細書には本発明のある特定の実施形態が記載されている。当然のことながら、前述の説明を読めば、こうした記載の実施形態に対する変形形態が当業者に明らかになる。本発明者らは、そのような変形形態を当業者が必要に応じて利用することを予想し、本発明者らは、本明細書に具体的に記載されているものとは異なる様式で本発明を実施することを意図する。したがって、本発明は、本明細書に添付される特許請求の範囲に記載の主題の改変形態及び均等物を全て、適用法によって許容されるものとして含む。さらに、本明細書に別段の指定がない限り、又はその他の状況で文脈上明確に矛盾しない限り、上記の要素の任意の組合せがその可能な全ての変形形態において本発明に含まれる。
【0344】
さらに、本明細書を通じて特許、印刷刊行物、学術論文及び他の文書(本明細書での参照物)への参照が多数なされている。そうした参照物はそれぞれ、それらの全体がそれらの参照教示内容を対象として参照によって本明細書に個別に組み込まれる。
【0345】
最後に、本明細書に開示されている本発明の実施形態は本発明の原理を例示するものであることが理解される。利用され得る他の改変形態も本発明の範囲に含まれる。したがって、例として、限定されないが、本明細書の教示内容に従って本発明の代替構成が利用され得る。したがって、本発明は、明確に提示及び記載されているものに限定されない。
【0346】
本明細書に示されている詳細は例としてのものであり、本発明の好ましい実施形態の例示的な議論を目的とするものにすぎず、本発明の様々な実施形態の原理及び概念的側面の説明として最も有用かつ理解が容易であると考えられるものを提供するために提示される。この点に関して、本発明の基礎的理解に必要なものよりも詳細に本発明の構造詳細を示そうとしているわけではなく、説明を図面及び/又は例と併用することで、本発明のいくつかの形態が実施の際にどのように具体化し得るかを当業者に明らかにしようとするものである。
【0347】
本開示において使用される定義及び説明は、例の中で明確かつ曖昧さを残さずに改変されない限り、又は意味を適用するといずれかの解釈が無意味若しくは本質的に無意味となる場合、任意の将来の解釈において優先される意図及び意向を有するものである。用語の解釈を当てはめると当該用語が無意味又は本質的に無意味になる場合、Webster’s Dictionary、第3版又は当業者に知られている辞書、例えば、Oxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology(Eds.Attwood Tら、Oxford University Press、Oxford、2006年)から定義が取得されるものとする。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7-1】
図7-2】
図8
図9A
図9B
図10
図11-1】
図11-2】
図11-3】
図11-4】
図11-5】
図11-6】
図11-7】
図11-8】
【配列表】
2023519970000001.app
【国際調査報告】