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特表2023-520010針ガード付き静脈内デバイスアセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-15
(54)【発明の名称】針ガード付き静脈内デバイスアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20230508BHJP
【FI】
A61M25/06 512
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559783
(86)(22)【出願日】2021-03-23
(85)【翻訳文提出日】2022-11-25
(86)【国際出願番号】 US2021023642
(87)【国際公開番号】W WO2021202166
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】63/003,004
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/208,941
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リンダ クナルディ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267AA21
4C267BB04
4C267BB11
4C267BB12
4C267CC08
4C267HH09
(57)【要約】
静脈内(IV)デバイスアセンブリは、カテーテルアダプタ及びカテーテルアダプタのボア内に存在する針ガードを含んでもよい。針ガードは、ガードボアを通して形成された針を含んでもよい。ガードボアは、第1のボア部分に沿った第1の内径と、第2のボア部分に沿った、第1のボア部分よりも小さい第2の内径とを含んでもよい。クリップは、針ガードの外面に結合されてもよい。クリップは、第1の端部ガードを含む第1のアームと、第2の端部ガードを含む第2のアームとを含んでもよい。クリップは、針ガードの外面に沿って遠位にスライド可能であり、開放構成から閉鎖構成に移動し、それによって針ガード内の針の遠位方向への動きを防止してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静脈内(IV)デバイスアセンブリであって、
遠位端、近位端、及び、内部に軸方向に形成されたアダプタボアを含むカテーテルアダプタと、
前記カテーテルアダプタの前記アダプタボア内に存在する針ガードであって、前記針ガードは、
前記針ガードを貫通して形成され、内部を通過して針を受容するガードボアであって、前記ガードボアは、
前記ガードボアの第1のボア部分に沿った第1の内径と、
前記ガードボアの第2のボア部分に沿って、前記第1のボア部分よりも小さい第2の内径と、
外面と、
を含む前記ガードボア
を含む前記針ガードと、
前記外面に結合されたクリップであって、前記クリップは、
前記カテーテルアダプタのカテーテルアダプタ保持機構と協働して、前記針ガードが前記アダプタボア内の所定の位置に留まるように促すクリップ保持機構と、
第1の端部ガードを備える第1のアームと、
第2の端部ガードを備える第2のアームと、
を含む前記クリップと
を備え、
前記第2の内径は、前記針が前記針ガード内に留まるように促すのに十分に小さく、
前記クリップは前記外面に沿って遠位にスライド可能であり、前記針ガードの前記アダプタボアからの引き抜きに応答して、
前記クリップは、前記針が前記針ガード内で遠位に移動可能である開放構成から、前記第1の端部ガード及び前記第2の端部ガードのうちの少なくとも1つが、前記針ガード内で前記針の遠位方向への動きを防止するように配置される閉鎖構成へとスライドする、
静脈内(IV)デバイスアセンブリ。
【請求項2】
前記針ガード及び前記クリップが前記カテーテルアダプタを通過するときに、前記針ガードのステムが選択的に通過される前記クリップ内に形成された孔をさらに備える、請求項1に記載のIVデバイスアセンブリ。
【請求項3】
前記針ガード内に形成された段付き肩部分をさらに備え、前記段付き肩部分は、前記第1の端部ガード及び前記第2の端部ガードが前記針に接触することを防止する、請求項1に記載のIVデバイスアセンブリ。
【請求項4】
前記針ガードと前記カテーテルアダプタの遠位端との間に配置され、前記針が前記IVデバイスアセンブリの前記遠位端を貫通して抜ける隔壁をさらに備える、請求項1に記載のIVデバイスアセンブリ。
【請求項5】
前記第2の内径で前記ガードボアと相互作用し、前記針ガードを前記IVデバイスアセンブリの近位端に引き出し、前記針ガードの前記アダプタボアからの引き抜きに応答して、前記針ガード内の前記針のベベル端をシース内で覆う前記針に形成された隆起をさらに備える、請求項1に記載のIVデバイスアセンブリ。
【請求項6】
前記針が通過することを可能にするために、前記針ガードの遠位端を通って形成された近位ポートをさらに備える、請求項1に記載のIVデバイスアセンブリ。
【請求項7】
前記アダプタボアからの前記針ガードの引き抜きに応答して、前記アダプタボアからの前記針ガードの回転を制限するために、前記カテーテルアダプタの内面と相互作用して、前記針ガード上に形成された複数のレールをさらに備える、請求項1に記載のIVデバイスアセンブリ。
【請求項8】
前記第1のアーム及び前記第2のアームが前記針ガードに変形できるように、前記針ガード内に形成された段付きチャネルをさらに備える、請求項1に記載のIVデバイスアセンブリ。
【請求項9】
前記閉鎖構成における前記クリップを配置する前記アダプタボアからの前記針ガードの前記引き抜きに応答して、前記第1の端部ガード及び前記第2の端部ガードが内側に付勢される中心開口部をさらに備える、請求項1に記載のIVデバイスアセンブリ。
【請求項10】
静脈内(IV)デバイスアセンブリであって、
遠位端、近位端、及び、内部に軸方向に形成されたアダプタボアを含むカテーテルアダプタと、
前記カテーテルアダプタの前記アダプタボア内に存在する針ガードであって、
前記針ガードを貫通して形成され、内部を通過して針を受容するガードボアであって、前記ガードボアは、
前記ガードボアの第1のボア部分に沿った第1の内径と、
前記ガードボアの第2のボア部分に沿って、前記第1のボア部分よりも小さい第2の内径と、
外面と、
を含む前記ガードボア
を含む前記針ガードと、
前記第2の内径に当接するように成形された留め具を備える針と、
前記外面に結合されたクリップであって、前記クリップは、
前記カテーテルアダプタのカテーテルアダプタ保持機構と協働して、前記針ガードが前記アダプタボア内の所定の位置に留まるように促すクリップ保持機構と、
第1の端部ガードを備える第1のアームと、
第2の端部ガードを備える第2のアームと、
を含む前記クリップと
を備え、
前記第2の内径は、前記留め具が第2の内径と係合するときに、前記針を前記針ガード内に留まるように促すために十分に小さい、
静脈内(IV)デバイスアセンブリ。
【請求項11】
前記クリップは、前記アダプタボアからの前記針ガードの引き抜きに応答して、前記外面に沿って遠位にスライド可能であり、前記針が前記針ガード内で遠位に移動可能である開放構成から、前記第1の端部ガード及び前記第2の端部ガードのうちの少なくとも1つが、前記針ガード内で前記針の遠位方向への動きを防止するように配置される閉鎖構成に移動する、請求項10に記載のIVデバイスアセンブリ。
【請求項12】
前記針ガードと前記カテーテルアダプタの遠位端との間に配置され、前記針が前記IVデバイスアセンブリの前記遠位端を貫通して抜ける隔壁をさらに備える、請求項10に記載のIVデバイスアセンブリ。
【請求項13】
前記留め具は、前記第2の内径で前記ガードボアと相互作用するための前記針上の隆起である、請求項10に記載のIVデバイスアセンブリ。
【請求項14】
前記留め具は、前記第2の内径で前記ガードボア上の隆起と相互作用する前記針上の戻り止めである、請求項10に記載のIVデバイスアセンブリ。
【請求項15】
血管アクセスデバイス(VAD)であって、
遠位端、近位端、及び、内部に軸方向に形成されたアダプタボアを含むカテーテルアダプタと、
前記カテーテルアダプタの前記アダプタボア内に存在する針ガードであって、
前記針ガードを貫通して形成され、内部を通過して針を受容するガードボアであって、前記ガードボアは、
前記ガードボアの第1のボア部分に沿った第1の内径と、
前記ガードボアの第2のボア部分に沿って、前記第1のボア部分よりも小さい第2の内径と、
を含む前記ガードボア
を含む前記針ガードと、
前記針ガードの外面に結合されたクリップであって、
第1の端部ガードを備える第1のアームと、
第2の端部ガードを備える第2のアームと、
を含む前記クリップと
を備え、
前記第2の内径は、前記針が前記針ガード内に留まるように促すのに十分に小さく、
前記クリップ及び前記針ガードは、前記アダプタボア内でスライド可能であり、前記針ガードの前記アダプタボアからの引き抜きに応答して、
前記クリップは、前記針及び前記針ガードが前記針ガード内で遠位に移動可能である開放構成から、前記第1の端部ガード及び前記第2の端部ガードのうちの少なくとも1つが、前記針ガード内に形成された中心開口部内に配置され、前記針ガード内の前記針の遠位方向への動きを防止するために前記ガードボアを横切る閉鎖構成に移動される、
血管アクセスデバイス(VAD)。
【請求項16】
前記針ガード及び前記クリップが前記カテーテルアダプタを通過するときに、前記針ガードのステムが選択的に通過される前記クリップ内に形成された孔をさらに備える、請求項15に記載のVAD。
【請求項17】
前記針が前記VADの前記遠位端を貫通して抜けるために、前記針ガードと前記カテーテルアダプタの遠位端との間に配置された隔壁をさらに備える、請求項15に記載のVAD。
【請求項18】
前記針ガードを前記アダプタボアから引き抜くために、前記第2の内径で前記ガードボアに当接するように前記針上に形成された隆起をさらに備える、請求項15に記載のVAD。
【請求項19】
前記針ガードに形成され、前記第1のアーム及び前記第2のアームが前記針ガードの本体に変形されることを可能にする段付きチャネルと、
前記クリップが前記針に接触するのを防止するために前記針ガード内に形成された段付き肩部分と、を備える、請求項15に記載のVAD。
【請求項20】
前記第2の内径で前記ガードボア上の隆起と相互作用するために前記針上に形成された戻り止めをさらに備える、請求項15に記載のVAD。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、針ガード付き静脈内デバイスアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
静脈内(IV)デバイスアセンブリは、様々なタイプの血管アクセスデバイス(VAD:vascular access devices)の1つである。IVカテーテル構成には、オーバーニードルIVカテーテル(over-the-needle IV catheters)が含まれる。オーバーニードルIVカテーテルは、その名が示すように、鋭い遠位先端を有する導入針の上に装着することができる。針は、針アセンブリに結合された皮下注射針であって、針の誘導を助け、カテーテルとの協働を容易にすることができる。少なくともカテーテルの遠位部分の内面は、針の外面と係合して、カテーテルの引き剥がし(peel back)を防止し、それによって、カテーテルの血管内への挿入を容易にすることができる。カテーテル及び針は、針の遠位先端がカテーテルの遠位先端を超えて延びるように組み立てることができる。さらに、カテーテル及び針は、挿入中に、針のベベルが患者の皮膚から離れて上を向くように組み立てることができる。カテーテル及び針は、皮膚を通って血管に浅い角度で挿入することができる。
【0003】
針、及び/又は、カテーテルが血管内に適切に配置されていることを検証するために、使用者は、針アセンブリに関連するフラッシュバックチャンバへの血液の「フラッシュバック(flash back)」が存在することを確認することができる。フラッシュバックは、一般に、針アセンブリ内又は針とカテーテルとの間で目に見える一定量の血液を伴う。血管内へのカテーテルの遠位先端の適切な配置が確認されたことに応じて、使用者は、針及びカテーテルより遠位の血管上の皮膚を押し下げることによって、血管に圧力を加えることができる。この指の圧力は、血管を一時的に閉塞し、針及びカテーテルを通るさらなる血流を減少させる可能性がある。
【0004】
次いで、臨床医又は他の医療提供者(HCP:health care provider)は、針をカテーテルから引き抜くことができ、場合によっては、針アセンブリをカテーテルアセンブリのカテーテル部分から分離することができる。カテーテルアセンブリのカテーテル部分からの針アセンブリの分離は、使用者及びその領域内の他の者に多くの潜在的な危険をもたらす。遠位先端が適切に固定されていないと、偶発的な針刺しの危険性がある。さらに、針が患者の血管系内の血液と接触しているため、血液は、針の管腔の内側だけでなく針の外側にも存在する可能性がある。針がカテーテルから引き抜かれると、血液が遠位先端から垂れる、又は、他の表面と接触して人や器具が血液にさらされる危険性がある。
【0005】
さらに、針をカテーテルアセンブリから引き抜くと、針アセンブリの部分にエネルギーが与えられる場合がある。例えば、イントロデューサの引き抜き中に、針に曲げ力が(意図せずに又は意図的に)加えられる可能性がある。針にかかる曲げ力は、針がカテーテルアセンブリから解放され、蓄積されたエネルギーを放出するにつれて振動し揺れると、血液が針から飛び散る、又は、噴霧する原因となる可能性がある。
【0006】
本明細書で主張する主題は、欠点を解決する実施形態、又は、本明細書で説明されるような環境においてのみ動作する実施形態に限定されない。むしろ、本背景技術は、ここで説明される実施形態が動作できる環境を説明するために提供されるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、一般に、静脈内(IV)デバイスアセンブリに関し、静脈内(IV)デバイスアセンブリは、IVデバイスアセンブリからの針の引き抜き中に、任意の偶発的な針刺し、流体経路の外側への血液の拡散、及び、血液の噴霧の可能性を低減する一方で、IVデバイスアセンブリを通過する流体経路を提供する。いくつかの実施形態では、IVデバイスアセンブリは、遠位端、近位端、及び、その中に軸方向に形成されたアダプタボアを含むカテーテルアダプタを含んでもよい。いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタのボア内に針ガードを配置することができる。いくつかの実施形態では、針ガードは、針ガードを貫通して形成されたガードボアを含み、それを通して針を受容することができる。いくつかの実施形態では、ガードボアは、ガードボアの第1のボア部分に沿った第1の内径と、ガードボアの第2のボア部分に沿った、第1のボア部分よりも小さい第2の内径とを含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の内径は、針が針ガード内に留まるように促すのに十分に小さくてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
いくつかの実施形態では、針ガードは、クリップが結合される外面を含むことができる。いくつかの実施形態では、クリップは、カテーテルアダプタのカテーテルアダプタ保持機構と協働して、ニードルガードをアダプタボア内の適所に留まらせるクリップ保持機構を含むことができる。いくつかの実施形態では、クリップは、第1の端部ガードを含む第1のアームと、第2の端部ガードを含む第2のアームとを含んでもよい。いくつかの実施形態では、クリップは、針ガードの外面に沿って遠位方向にスライド可能であってもよい。いくつかの実施形態では、アダプタボアからの針ガードの引き抜きに応答して、クリップは、針が針ガード内で遠位方向に移動可能である開放構成から、第1の端部ガード及び第2の端部ガードのうちの少なくとも1つが、針ガード内の針の遠位方向への動きを防止するように配置される閉鎖構成へと移動してもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、IVデバイスアセンブリは、針ガード及びクリップがカテーテルアダプタを通過するときに、針ガードのステムが選択的に通過するクリップ内に形成された孔を含んでもよい。いくつかの実施形態では、IVデバイスアセンブリは、針ガード内に形成された段付き肩部分を含んでもよく、段付き肩部分は、第1の端部ガード及び第2の端部ガードが針に接触することを防止する。いくつかの実施形態では、IVデバイスアセンブリは、針ガードとカテーテルアダプタの遠位端との間に配置され、針がIVデバイスアセンブリの遠位端を貫通して抜ける隔壁を含むことができる。いくつかの実施形態では、IVデバイスは、第2の内径でガードボアと相互作用し、針ガードをIVデバイスアセンブリの近位端に引き出し、針ガードのアダプタボアからの引き抜きに応答して、針ガード内の針のベベル端をシース内で覆うために針に形成された隆起(bump)を含んでもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、IVデバイスアセンブリは、針ガードの遠位端を通って形成された近位ポートを含み、針がそこを通過できるようにするものとしてもよい。いくつかの実施形態では、IVデバイスアセンブリは、針ガード上に形成された複数のレールを含み、カテーテルアダプタの内面と相互作用して、アダプタボアからの針ガードの引き抜きに応答して、アダプタボアからの針ガードの回転を制限することができる。いくつかの実施形態では、IVデバイスアセンブリは、針ガード内に形成された段付きチャネルを含み、第1のアーム及び第2のアームを針ガード内に変形させることができる。いくつかの実施形態では、IVデバイスアセンブリは、クリップを閉鎖構成にするアダプタボアからの針ガードの引き抜きに応答して、第1の端部ガード及び第2の端部ガードが付勢される中心開口部を含んでもよい。
【0011】
本開示は、いくつかの実施形態において、遠位端、近位端、及び、その中に軸方向に形成されたアダプタボアを含むカテーテルアダプタを含むIVデバイスアセンブリをさらに説明する。これら及び他の実施形態では、針ガードは、カテーテルアダプタのアダプタボア内に存在することができる。いくつかの実施形態では、針ガードは、針ガードを貫通して形成されたガードボアを含み、それを通して針を受容することができる。いくつかの実施形態では、ガードボアは、ガードボアの第1のボア部分に沿った第1の内径と、ガードボアの第2のボア部分に沿った、第1のボア部分よりも小さい第2の内径とを含むことができる。いくつかの実施形態では、針ガードは、外面を含むことができる。これら及び他の実施形態では、針は、第2の内径に当接するように成形された留め具を含むことができる。いくつかの実施形態では、クリップは、針ガードの外面に結合することができる。いくつかの実施形態では、クリップは、カテーテルアダプタのカテーテルアダプタ保持機構と協働して、針ガードをアダプタボア内の適所に留まらせるクリップ保持機構を含むことができる。いくつかの実施形態では、クリップは、第1の端部ガードを含む第1のアームと、第2の端部ガードを含む第2のアームとを含んでもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、第2の内径は、留め具(catch)が第2の内径と係合するときに針を針ガード内に留まらせるのに十分に小さくてもよい。いくつかの実施形態では、アダプタボアからの針ガードの引き抜きに応答して、クリップは、外面に沿って遠位方向にスライド可能であり、針が針ガード内で遠位方向に移動可能である開放構成から、第1の端部ガード及び第2の端部ガードのうちの少なくとも1つが、針ガード内の針の遠位方向への動きを防止するように配置される閉鎖構成へと移動してもよい。いくつかの実施形態では、IVデバイスアセンブリは、針ガードとカテーテルアダプタの遠位端との間に配置され、針がIVデバイスアセンブリの遠位端を貫通して抜ける隔壁を含むことができる。いくつかの実施形態では、留め具は、第2の内径でガードボアと相互作用するための針上の隆起であってもよい。いくつかの実施形態では、留め具は、第2の内径でガードボア上の隆起と相互作用するための針上の戻り止め(detent)であってもよい。いくつかの実施形態では、留め具は、第2の内径でガードボア内の対応する構造に当接し、対応する構造と相互作用するように協働することができる隆起及び戻り止めの両方を含むこととができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、本開示は、遠位端、近位端、及び、その中に軸方向に形成されたアダプタボアと、カテーテルアダプタのアダプタボア内に存在する針ガードとを含むカテーテルアダプタを含む血管アクセスデバイス(VAD)をさらに説明する。いくつかの実施形態では、針ガードは、針ガードを貫通して形成されたガードボアを含み、それを通して針を受容することができる。いくつかの実施形態では、ガードボアは、ガードボアの第1のボア部分に沿った第1の内径と、ガードボアの第2のボア部分に沿った、第1のボア部分よりも小さい第2の内径とを含むことができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、VADは、針ガードの外面に結合されたクリップをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、クリップは、第1の端部ガードを含む第1のアームと、第2の端部ガードを含む第2のアームとを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2の内径は、針が針ガード内に留まるように促すのに十分に小さくてもよい。さらに、この実施形態では、クリップ及び針ガードは、アダプタボア内でスライド可能であってもよく、アダプタボアからの針ガードの引き抜きに応答して、クリップは、針及び針ガードが針ガード内で遠位に移動可能である開放構成から閉鎖構成に移動されてもよい。いくつかの実施形態では、閉鎖構成において、第1の端部ガード及び第2の端部ガードのうちの少なくとも1つは、針ガード内に形成された中心開口部内にガードボアを横切って配置され、針ガード内の針の遠位方向の動きを防止する。いくつかの実施形態では、VADは、針ガード及びクリップがカテーテルアダプタを通過するときに、針ガードのステムが選択的に通過するクリップに形成された孔を含んでもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、VADは、針がVADの遠位端を貫通して抜けるために、針ガードとカテーテルアダプタの遠位端との間に配置された隔壁を含んでもよい。いくつかの実施形態では、VADは、アダプタボアから針ガードを引き抜くために、第2の内径でガードボアと当接するように針上に形成された隆起を含んでもよい。いくつかの実施形態では、VADは、第1のアーム及び第2のアームが針ガードの本体に変形されることを可能にするために、針ガードに形成される段付きチャネルと、クリップが針に接触するのを防止するために針ガードに形成される段付き肩部分とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、留め具は、第2の内径でガードボア上の隆起と相互作用するための針上の戻り止めであってもよい。
【0016】
上述の概略の説明、及び、以下の詳細な説明の両方は、例示であり、また、説明のためのものであり、特許請求された発明を限定するものではないことが理解されるべきである。さまざまな実施形態は、図に示されている配置及び手段に限定されないことが理解されるべきである。また、実施形態は、組み合わされてもよいこと、又は、他の実施形態が利用されてもよいこと、及び、そのように特許請求されていない限り、本発明の様々な実施形態の範囲から逸脱することなく構造上の変更がなされてよいことが理解されるべきである。従って、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されてはならない。
【0017】
例示的な実施形態は、添付の図面を使用することにより、さらに具体的かつ詳細に記載及び説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の一実施形態による静脈内(IV)デバイスアセンブリの斜視図である。
図2】本開示の一実施形態によるIVデバイスアセンブリ100の側面断面図である。
図3A】本開示の一実施形態による針ガードの斜視図である。
図3B】本開示の一実施形態による針ガードの側面図である。
図3C】本開示の一実施形態による針ガードの側面断面図である。
図3D】本開示の一実施形態による、針ガードを90度回転させた、図3Cの針ガードの側面断面図である。
図4A】本開示の一実施形態によるクリップの斜視図である。
図4B】本開示の一実施形態によるクリップの側面図である。
図5】本開示の一実施形態による針の斜視図である。
図6A】本開示の一実施形態によるIVデバイスアセンブリの側面断面図である。
図6B】本開示の一実施形態によるIVデバイスアセンブリの側面断面図である。
図6C】本開示の一実施形態によるIVデバイスアセンブリの側面断面図である。
図6D】本開示の一実施形態によるIVデバイスアセンブリの側面断面図である。
図7】本開示の実施形態によるIVデバイスアセンブリを製造する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書で使用される場合、「近位」という用語は、使用中に、デバイスを使用する臨床医に最も近く、デバイスが使用される患者から最も遠い、記載されている要素上の位置を指す。「遠位」という用語は、使用中に、デバイスを使用する臨床医から最も遠く、デバイスが使用される患者に最も近い、記載されている要素上の位置を指す。
【0020】
本明細書で使用される場合、「上部」、「上方」、又は「上向きに」という用語は、使用中に、静脈内治療システムの長手方向軸から半径方向に離れる方向、及び、患者の皮膚から離れる方向の、静脈内治療システムの針における位置を指す。本明細書で使用される場合、「下部」、「下方」、又は、「下向きに」という用語は、使用中に、装置の長手方向軸から半径方向に離れる方向、及び、患者の皮膚に向かう方向の、静脈内治療システムの針における位置を指す。
【0021】
本明細書で使用される場合、「中に」、又は、「内部へ」という用語は、使用中に、静脈内治療システムの内側に向かう方向の、その静脈内治療システムの針における位置を指す。本明細書で使用される場合、「外に」、又は、「外部へ」という用語は、使用中に、静脈内治療システムの外側に向かう方向の、その静脈内治療システムの針における位置を指す。
【0022】
本明細書に記載の実施形態は、血液サンプルを受け取るか、又は、患者の体内に医薬品を導入するためのIVデバイスアセンブリとしての使用に関連して使用されるが、IVデバイスアセンブリの使用は、他の医療デバイスにも適用可能であることを理解されたい。
【0023】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による静脈内(IV)デバイスアセンブリ100の斜視図である。いくつかの実施形態では、IVデバイスアセンブリ100は、遠位端126及び近位端124を含んでもよい。いくつかの実施形態では、遠位端126において、IVデバイスアセンブリ100は、IVカテーテル(図1に図示せず)に機械的かつ流体的に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、近位端124において、IVデバイスアセンブリ100は、例えば、アメリカ合衆国ニュージャージー州フランクリンレイクスのBecton, Dickinson and Companyによって製造されたBD Vacutainer(登録商標)LUER-LOK(商標)アクセスデバイス等の採血装置に機械的かつ流体的に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、これらのデバイスは、患者の体からの血液の移送、又は、患者への生理食塩水、様々な薬剤、及び/又は、全非経口栄養などの注入流体の導入のための流体経路を形成してもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、IVデバイスアセンブリ100は、IVデバイスアセンブリ100の近位端124及び遠位端126の中間に配置されるカテーテルアダプタ118を含んでもよい。いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ118は、カテーテルアダプタ118の長軸に沿って形成されたアダプタボアを含んでもよい。いくつかの実施形態では、アダプタボアは、隔壁122及び針ガード102をその中に適合させるように形成されてもよい。いくつかの実施形態では、隔壁122は、IVデバイスアセンブリ100内に配置された針120によって貫通されてもよい。いくつかの実施形態では、隔壁122は、針120が隔壁122を貫通し、針120が隔壁122から引き抜かれたときに流体シールを生成することを可能にするシリコーン又はゴムでできていてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、針ガード102はまた、アダプタボア内に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、針ガード102は、本明細書に記載されるように、アダプタボアからの針ガードの引き抜きに応答して、アダプタボア内でスライドすることができるプラスチック、金属、又は他の種類の弾性材料で作られてもよい。いくつかの実施形態では、針ガード102は、臨床医又は他のHCPによる力の印加時に針ガード102がアダプタボアを通して引かれるように、針ガード102の外面とカテーテルアダプタ118を通して形成されたボアの内面との間の摩擦を最小限にする材料で作られてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、針ガード102は、針120が通過できるガードボア116を含んでもよい。いくつかの実施形態では、針120は、針120がカテーテルアダプタ118からIVカテーテル内に延在するように、展開状態で配置されてもよい。いくつかの実施形態では、針120の長さは、針120が、カテーテルアダプタ118に機械的かつ流体的に結合されたIVカテーテルのカテーテル端部を通って延在するようにしてもよい。いくつかの実施形態では、この展開状態では、針120は、ガードボア116及び隔壁122を通過し、カテーテルアダプタ118の長さを通過してもよい。いくつかの実施形態では、臨床医又は他のHCPは、この展開状態にある針120を有するIVデバイスアセンブリ100と共に提供されてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるように、針ガード102は、クリップ104を含んでもよい。クリップ104は、金属などの弾性的に弾力のある材料でできていてもよい。本開示及び添付の特許請求の範囲において、用語「弾性的に弾力のある」は、張力を受けた後に中立状態に戻る材料の能力として定義されてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、クリップ104は、第1のアーム106及び第2のアーム108を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のアーム106及び第2のアーム108は、針ガード102の外面に沿って通過してもよい。いくつかの実施形態では、第1のアーム106及び第2のアーム108の遠位端は、力が針ガード102の外面に加えられるように、針ガード102の長手方向軸に向かって弾性的に付勢されてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、クリップ104の針ガード102への機械的結合に対応するために、針ガード102は、クリップ104と相互作用し、針ガード102の長手方向軸に対するクリップ104の軸方向回転を防止するために、針ガード102に形成された段付きチャネルを含んでもよい。いくつかの実施形態では、段付きチャネルは、段付きチャネルにおける針ガード102の近位端124が、針ガード102の長さに沿った中間位置よりも広くなるように、階段状にされてもよい。いくつかの実施形態では、段付きチャネルは、針ガード102の遠位端及び近位端124の中間である針ガード102の長手方向軸に沿った位置で終了してもよい。いくつかの実施形態では、段付きチャネルは、針120がその展開状態にあるときに、第1のアーム106の第1の端部ガード及び第2のアーム108の第2の端部ガードが載る段付き肩部分で終了してもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、クリップ104は、クリップ保持機構112を含んでもよい。いくつかの実施形態では、クリップ保持機構112は、第1のアーム106の遠位端に形成された第1の端部ガードに近い第1のアーム106の屈曲部分であってもよい。いくつかの実施形態では、クリップ保持機構112は、針120がその展開状態にあるときに、クリップ104がカテーテルアダプタ118に対して所定の位置に維持されるように、カテーテルアダプタ118と相互作用してもよい。いくつかの実施形態では、クリップ保持機構112は、カテーテルアダプタ118の壁を通して形成された窓114と相互作用してもよい。いくつかの実施形態では、クリップ保持機構112は、針120がカテーテルアダプタ118を通して近位に移動されるまで、アダプタボアに沿った特定の位置にクリップ104を維持してもよい。いくつかの実施形態では、針120がカテーテルアダプタ118を通して近位に移動されるとき、クリップは、カテーテルアダプタ118内に引かれてもよく、又は、スライドしてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、第1のアーム106及び第2のアーム108の近位端が接するクリップ104の部分は、貫通して形成された孔110を含んでもよい。いくつかの実施形態では、孔110は、針ガード102のステムを通過させるために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、孔110と接するステムは、クリップ104がガードボア116によって形成される長手方向軸から直交して移動することを防止してもよい。さらに、いくつかの実施形態では、針120は、本明細書に記載されるように、針120が針ガード102を通して近位に引き抜かれるように、ステム及び孔110を通過してもよい。
【0032】
記載されるように、いくつかの実施形態では、IVデバイスアセンブリ100は、針ガード102を通って形成されたガードボア116を通過する針120を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ガードボア116は、ガードボア116の第1のボア部分に沿った第1の内径と、ガードボア116の第2のボア部分に沿った、第1のボア部分よりも小さい第2の内径とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2のボア部分は、針ガード102の長手方向軸に沿って第1のボア部分の近位であってもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、針120はまた、針120が針ガード102を通過して近位にスライドするときに、第2のボア部分と相互作用する留め具を含んでもよい。いくつかの実施形態では、留め具は、針上に形成された隆起であってもよい。これら及び他の実施形態では、針上の隆起の直径は、第2の内径よりも大きくてよく、針がガードボア116を通して近位に格納されると、隆起は、針120を針ガード102内に留まるように促す。これは、第2の内径を有するより小さい直径のガードボア116と当接することによって行われてもよい。これにより、針ガード102がカテーテルアダプタ118の近位端124に向かって引かれてもよい。いくつかの実施形態では、針120の留め具は、針120上に形成された戻り止めの形態であってもよい。これら及び他の実施形態では、ガードボア116は、戻り止めと相互作用するための第2のボア部分の内面に形成された隆起を含んでもよく、針120がガードボア116を通して近位に格納されるときに、戻り止め及び隆起が針を針ガード102内に保持するように促すこととなる。これにより、針ガード102がカテーテルアダプタ118の近位端124に向かって引かれてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、針ガード102は、中心開口部をさらに含んでもよく、アダプタボアを通り、及び、IVカテーテル及び隔壁122からの針ガードの引き抜きに応答して、第1のアーム106の第1の端部ガード及び第2のアーム108の第2の端部ガードが、その中心開口部内に付勢される。いくつかの実施形態では、中心開口部は、針ガード102を通って形成された開口部であってもよく、中心開口部は、針ガード102の長手方向軸に垂直な針ガード102を通過することとなる。いくつかの実施形態では、中心開口部は、針ガード102の長手方向軸に沿った位置に配置されてもよく、針ガード102内に針120が格納されることにより、針120が中心開口部を通過して近位方向に移動することとなる。
【0035】
いくつかの実施形態では、IVデバイスアセンブリ100は、アセンブリポート128を含んでもよい。いくつかの実施形態では、アセンブリポート128は、カテーテルアダプタ118に機械的かつ流体的に結合されたカテーテルと流体チャネルを形成するために、それを通して形成されたボアを含んでもよい。いくつかの実施形態では、アセンブリポート128は、生理食塩水、種々の薬剤、及び/又は、完全非経口栄養などの注入流体を患者に導入するために使用されてもよい。
【0036】
いくつかの実施形態に従った、IVデバイスアセンブリ100の動作がここで説明される。本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、臨床医又は他のHCPは、針120がカテーテルアダプタ118から外れ、カテーテルアダプタ118に機械的かつ流体的に結合されたIVカテーテルのカテーテル端部(図示せず)を過ぎて、隔壁122を通って展開及び延在する状態でIVデバイスアセンブリ100を受け取ってもよい。いくつかの実施形態では、IVカテーテルは、針120のベベル端(bevel edge)を利用して患者の体内に挿入されてもよい。いくつかの実施形態では、IVカテーテルが所定の位置にあることに応答して、針は、カテーテルから近位に、隔壁122及び針ガード102を通って引き出されてもよい。いくつかの実施形態では、針120がカテーテルアダプタ118から延在し、IVカテーテルのカテーテル端部を通過することに加えて、クリップ保持機構112は、窓114内に固定されてもよく、それによって、本明細書では開放構成と呼ぶことができるカテーテルアダプタ118内の位置にクリップ104を保持してもよい。いくつかの実施形態では、開放構成は、クリップ104の第1のアーム106の第1の端部ガード及びクリップ104の第2のアーム108の第2の端部ガードが最も遠く離れて配置されるようなクリップ104の構成を説明する。
【0037】
いくつかの実施形態では、針120が患者の体内に挿入された後、針120は、カテーテル内から取り外されてもよい。これを行うために、臨床医は、針120をカテーテルアダプタ118の近位端124に向かって引くことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のガードボア116の第2の内径と係合する針120上に形成された留め具に応答して、針ガード102は、カテーテルアダプタ118の近位端124に向かって引き出されてもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ118の近位端124に向かう針ガード102の移動により、クリップ104のクリップ保持機構112がカテーテルアダプタ118内に維持されている間に、最初に、針ガード102のステムが孔110を通過してもよい。いくつかの実施形態では、針120上に形成された留め具が、カテーテルアダプタ118を通して針ガード102をさらに引くことに応答して、第1のアーム106の第1の端部ガード及び第2のアーム108の第2の端部ガードは、段付き肩部分から持ち上げられてもよく、段付き肩部分と中心開口部との間に形成されたコアステムに沿って追従してもよい。いくつかの実施形態では、このコアステムが中心開口部で終端するため、針ガード102がカテーテルアダプタ118の近位端124に向かってさらに引かれると、第1のアーム106の第1の端部ガード及び第2のアーム108の第2の端部ガードは、第1の端部ガード及び第2の端部ガードがガードボア116の軸と交差するように中心開口部内に延在し、それによって針120がガードボア116を再び通過することを防止してもよい。いくつかの実施形態では、針120の末端からその上に形成された留め具までの針120の長さは、第1のアーム106及び第2のアーム108のいずれかの長さよりも短い。
【0039】
従って、いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるIVデバイスアセンブリ100の動作は、針120の末端を針ガード102内に固定してもよい。いくつかの実施形態では、針ガード102は、カテーテルアダプタ118内から完全に取り外されてもよく、針120の末端は、針ガード102内に残り、第1のアーム106の第1の端部ガード及び第2のアーム108の第2の端部ガードにより、針ガード102の遠位端から針120が通過することを防止するために、ガードボア116を通して露出することを防止してもよい。さらに、いくつかの実施形態では、第1のアーム106の第1の端部ガード及び第2のアーム108の第2の端部ガードは、針120の外面と接触することを防止されてもよい。したがって、コアステム、段付き肩部、及び、針ガード102の残りの部分、並びに、これらの要素の機能は、第1のアーム106及び第2のアーム108によって加えられる圧力によって針120が、曲げられ、又は破壊されることを防止する。
【0040】
図2は、本開示のいくつかの実施形態によるIVデバイスアセンブリ100の側面断面図である。図2は、いくつかの実施形態による、開放構成のクリップ104を示す。すなわち、クリップ104の第1のアーム106及び第2のアーム108は、カテーテルアダプタ118の窓114内に維持されたクリップ保持機構112で拡張される。図2において、いくつかの実施形態によれば、針120は、カテーテルアダプタ118の近位端124に向かって引かれている。針120は、針120上の隆起130がガードボア116の第2の内径と接触するように、カテーテルアダプタ118の近位端124に向かって引かれている。いくつかの実施形態では、この配向では、第1のアーム106の第1の端部ガード132は、段付き肩部分に載っていてもよく、第2の端部ガード134は、針120を取り囲むコアステムに載っていてもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、図2に示される動作の段階で、針120をさらに引き戻して、針ガード102を隔壁122から引き離してもよい。いくつかの実施形態では、この発生に応答して、クリップ104のクリップ保持機構112は、針ガード102がカテーテルアダプタ118の近位端124に向かって移動する間、クリップ104を所定の位置に保持する。いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ118の近位端124に形成されたステムは、針ガード102がカテーテルアダプタ118を通って進むことを可能にする孔110を通過してもよい。いくつかの実施形態では、針120がさらに引かれることに応答して、カテーテルアダプタ118の長手方向軸に向けられたクリップ104の第2のアーム108のばねバイアスにより、第2の端部ガード134がコアステムの上に形成された中心開口部に落下してもよい。いくつかの実施形態では、針120が針ガード102の近位端124に向かってさらに引き出されることに応答して、第1のアーム106の第1の端部ガード132は、クリップ104の第1のアーム106のばね付勢により、コアステムの上に形成された中心開口部に落下してもよい。いくつかの実施形態では、図2に示すように、第2の端部ガード134は、第1の端部ガード132が中心開口部に落下する前に中央開口部に落下してもよい。第2の端部ガード134及び第1の端部ガード132のこの交差は、クリップ104を第2の閉鎖構成に配置することができる。いくつかの実施形態では、この閉鎖構成において、第2の端部ガード134及び第1の端部ガード132は、針120の針ガード102及びカテーテルアダプタ118の遠位端に向かう動きを防止するように配置される。
【0042】
図3Aは、本開示のいくつかの実施形態による、針ガード102の斜視図である。図3Bは、本開示のいくつかの実施形態による、針ガード102の側面図である。図3A及び図3Bは、図1及び図2に関連して説明されるように、クリップ104のない針ガード102を図示する。これらの図において、いくつかの実施形態によれば、段付き肩部分142は、ステム144が形成される針ガード102の近位端と、針ガード102の遠位端136との中間に形成されるように示される。
【0043】
図3A及び図3Bは、いくつかの実施形態による、コアステム140が肩部分142と中心開口部138との間に形成されることをさらに示す。本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、肩部分142及びコアステム140は、第1のアーム106の第1の端部ガード132及び第2のアーム108の第2の端部ガード134が、ガードボア116内に配置された針(図3A及び図3Bには図示されていない)と接触するのを防止するように協働してもよい。さらに、いくつかの実施形態では、コアステム140、肩部分142、及び、針ガード102を通るカットアウトの残りは、カテーテルアダプタ118の近位端124に向かって針ガード102が引かれるときに第1のアーム106及び第2のアーム108が変形される段付きチャネルを形成する。
【0044】
図3A及び図3Bは、いくつかの実施形態による、針ガード102が、針ガード102の外面に形成された複数のレール146をさらに含むことを示す。いくつかの実施形態では、レール146は、カテーテルアダプタ118の内面に形成された、いくつかのチャネルと嵌合してもよい。いくつかの実施形態では、レール146をチャネルと嵌合することによって、針ガード102の移動は、単一の軸に沿って維持されてもよく、針ガード102が針ガード102及びカテーテルアダプタ118の長手方向軸の周りを回転することを防止してもよい。
【0045】
図3Cは、本開示のいくつかの実施形態による、針ガード102の側面図である。図3Dは、本開示のいくつかの実施形態による、針ガード102が90度回転された、図3Cの針ガード102の側面断面図である。断面図は、いくつかの実施形態による、ガードボア116の第1のボア部分に沿った第1の内径148と、ガードボア116の第2のボア部分に沿った第2の内径150とを有するガードボア116を示す。いくつかの実施形態では、第2の内径150の直径は、ガードボア116内に配置された針(図示せず)の最小直径よりもわずかに大きくてもよい。その結果、針に形成された隆起130は、隆起130を第2の内径150と第1の内径148との間の界面に当接させることによって、カテーテルアダプタ118の近位端124に向かって引かれるときに、針の進行を停止することができる。図3C及び図3D並びに他の実施形態に示される実施形態では、第2の内径150を有する第2のボア部分の長さは、針ガード102の遠位端から延びるので、ステム144の長さと等しくてもよい。
【0046】
図4Aは、本開示のいくつかの実施形態による、クリップ104の斜視図である。図4Bは、本開示のいくつかの実施形態による、クリップ104の側面図である。図4A及び図4Bに示される図のそれぞれは、本明細書に記載されるような閉鎖構成のクリップ104を示す。いくつかの実施形態では、第1のアーム106及び第2のアーム108は、第1のアーム106と第2のアーム108との分離が、第1のアーム106と第2のアーム108が一緒に弾性的に引き寄せられるような力を生み出すように、互いにばね付勢されてもよい。いくつかの実施形態では、クリップ104が、図1及び図2に示されるように、針ガード102に隣接して配置されるとき、ばねは、第1のアーム106と第2のアーム108との間の付勢に打ち勝つものとしてもよい。いくつかの実施形態では、クリップ104が本明細書に記載されるようにカテーテルアダプタ118の近位端124に引き寄せられるとき、第1のアーム106及び第2のアーム108が再び一緒になってもよく、第1の端部ガード132及び第2の端部ガード134が中心開口部138内で一緒になってもよい。
【0047】
図4A及び図4Bはまた、いくつかの実施形態による、クリップ104の近位端を通して形成された孔110を示す。再び、いくつかの実施形態では、孔110は、IVデバイスアセンブリ100の使用中に針ガード102のステム144がそこを通過できるように形成されてもよい。
【0048】
図4A及び図4Bは、第1のアーム106及び第2のアーム108のうちの単一のアーム上に形成されたクリップ保持機構112を示すが、本開示は、クリップ保持機構112が第2のアーム108上にも形成されてもよいことを企図する。再び、いくつかの実施形態では、クリップ保持機構112は、カテーテルアダプタ118を通して形成される窓114内に配置されてもよい。これら及び他の実施形態では、臨床医による窓114の目視検査は、カテーテルアダプタ118が本明細書に記載される閉鎖構成にあるかどうか、又は、臨床医が針ガード102をアダプタボア内からさらに引き出し、クリップ保持機構112を窓114内から外すために、針120をさらに引き出すかどうかを臨床医に示してもよい。したがって、臨床医は、針120が針ガード102内に固定されているかどうかを知ることができ、IVデバイスアセンブリ100の遠位端126においてIVデバイスアセンブリ100に機械的に結合されたIVカテーテルからカテーテルアダプタ118を安全に取り外してもよい。
【0049】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による、針120の斜視図である。図5は、いくつかの実施形態による、針120に沿った位置に形成された隆起154を示す。本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、隆起154は、カテーテルアダプタ118内のアダプタボア内から針ガード102を選択的に引き出すことを可能にするために、ガードボア116の第2の内径150と相互作用してもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、針120はまた、ベベル端152を含んでもよい。本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、ベベル端152は、針120を患者の体内に挿入するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、針120がこの目的のために使用された後、ベベル端152は、針ガード102によって包まれていない場合、危険となる可能性がある。
【0051】
針120はまた、いくつかの実施形態では、戻り止め156を含んでもよい。いくつかの実施形態では、戻り止め156は、ガードボア116の第2のボア部分に形成された隆起と嵌合される針120に形成されたノッチであってもよい。これら及び他の実施形態では、隆起154及び戻り止め156は、本明細書に記載されるように、針120のベベル端152がコアステム140内に通過した後に、針ガード102に対する針120の移動を防止するために使用されてもよい。
【0052】
図6Aは、本開示のいくつかの実施形態による、IVデバイスアセンブリの側面断面図である。図6Bは、本開示のいくつかの実施形態による、IVデバイスアセンブリの側面断面図である。図6Cは、本開示のいくつかの実施形態による、IVデバイスアセンブリの側面断面図である。図6Dは、本開示のいくつかの実施形態による、IVデバイスアセンブリの側面断面図である。図6A図6Dは、いくつかの実施形態による、針120及び針ガード102がカテーテルアダプタ118の近位端124に前進されるときのIVデバイスアセンブリ100の進行の異なる段階を示す。本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、IVデバイスアセンブリ100の動作は、針120のベベル端152を針ガード102内に固定する。このプロセスを開始するために、いくつかの実施形態では、臨床医、又は、他のHCPは、針120をカテーテルアダプタ118の近位端124に向かって引き出してもよい。図6Aは、いくつかの実施形態によると、針120のベベル端152が針ガード102内に引き込まれ、針ガード102の遠位端をちょうど通過したことを示す。いくつかの実施形態では、IVデバイスアセンブリ100の動作のこの段階では、隆起154は、ガードボア116の第2の内径150と接触しておらず、したがって、針ガード102は、カテーテルアダプタ118に対して近位方向に移動していない。
【0053】
図6Bは、いくつかの実施形態による、針120上の隆起154が第2の内径150と相互作用していることを示している。図6Bでは、いくつかの実施形態によれば、針120のベベル端152は、コアステム140の終端の下を通過している。いくつかの実施形態によれば、第1のアーム106の第1の端部ガード132は、段付き肩部分142に対して移動しておらず、第2のアーム108の第2の端部ガード134は、コアステム140に対する元の位置から移動していない。さらに、いくつかの実施形態によれば、クリップ保持機構112は、カテーテルアダプタ118を通して形成される窓114内に維持される。
【0054】
図6Cは、いくつかの実施形態によれば、針120が臨床医によってさらに引き出されるとき、針ガード102がクリップ104に対して近位に移動しており、クリップ104は、そのクリップ保持機構112と共に窓114内の所定の位置に留まっていることを示す。さらに、ステム144は、孔110を通過して前進し、この図では静止したままのクリップ104に対して、針ガード102が移動することを可能にしている。
【0055】
図6Dは、いくつかの実施形態による、クリップ104が閉鎖構成にあるIVデバイスアセンブリ100を示す。この図において、いくつかの実施形態によれば、針120は、針ガード102がクリップ104と機械的に係合し、針ガード102の移動がまた、それと共にクリップ104をカテーテルアダプタ118の近位端124に向かって引き出すように、十分に引かれている。閉鎖構成では、いくつかの実施形態によれば、クリップ保持機構112は、窓114内から係合解除されており、第1のアーム106及び第2のアーム108は、中心開口部138に入ることが可能となっている。再び、第1のアーム106及び第2のアーム108のばね付勢により、針120の外面と接触することなく、第1のアーム106の第1の端部ガード132及び第2のアーム108の第2の端部ガード134が段付きチャネルの表面に対して引き出される。このようにして、針120は、針120の遠位方向への移動が生じないように、針ガード102内に固定されてもよい。
【0056】
図7は、本開示の実施形態によるIVデバイスアセンブリを製造する方法700を示すフローチャートである。いくつかの実施形態では、方法700は、ブロック705において、カテーテルアダプタ内に軸方向にボアを形成することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ボアの形成は、任意のタイプの加算又は減算製造プロセスを使用して完了されてもよい。
【0057】
方法700は、ブロック710において、針ガードをカテーテルアダプタのボア内に配置することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、針ガードは、針ガードを貫通して形成されたガードボアを含み、それを通して針を受容するものとしてもよい。いくつかの実施形態では、ガードボアは、針ガードを通る第1の距離に沿った第1の内径と、針ガードを通る第2の距離に沿った第2の内径と、針ガード内に形成された段付き肩部分と、針ガードの近位端に形成されたステムとを含んでもよい。
【0058】
方法700はまた、ブロック715において、針ガードとカテーテルアダプタの内面との間に金属クリップを配置することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、金属クリップは、第1の端部ガードを含む第1のアームと、第2の端部ガードを含む第2のアームとを含んでもよい。方法700はまた、ブロック720において、第2の内径でガードボアと相互作用し、針ガードをIVデバイスアセンブリの近位端まで引き出し、針ガード内の針のベベル端をシース内で覆うために針上に隆起を形成することを含んでもよい。
【0059】
本明細書に記載のIVデバイスアセンブリは、クリップが針と接触するのを防止してもよい。これにより、IVデバイスアセンブリのカテーテルアダプタ内からの針の引き抜き中における、針の損傷、及び、患者の身体への損傷を防止する。いくつかの実施形態では、クリップが金属製であり、針ガードがプラスチック製であるため、これらの2つの力の間に生じる摩擦が減少し、それによって、針ガードをカテーテルアダプタ内から引き抜くときに、針に加えられる力を小さくすることができる。
【0060】
本明細書で記載される全ての例及び条件付き文言は、本発明、及び、技術を促進するために発明者によって提供される概念を理解することの助けとなるような教育的目的を意図しており、その具体的に列挙されている例及び条件に限定されないものとして解釈されるべきである。本開示の実施形態が詳細に説明されているが、開示された実施形態の精神、及び、範囲から逸脱することなく、本明細書に対する、様々な変更、置換、及び、代替を行うことができることを理解されたい。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
【国際調査報告】