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特表2023-520013スライド可能なセプタムを備えるカテーテル組立体並びに関連するシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-15
(54)【発明の名称】スライド可能なセプタムを備えるカテーテル組立体並びに関連するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20230508BHJP
【FI】
A61M25/00 600
A61M25/00 542
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559786
(86)(22)【出願日】2021-03-23
(85)【翻訳文提出日】2022-11-16
(86)【国際出願番号】 US2021023644
(87)【国際公開番号】W WO2021202167
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】63/002,972
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/208,975
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジテンドラ クマル サティヤナラヤナ ナドゥ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267BB04
4C267BB31
4C267BB33
4C267CC08
(57)【要約】
血液流体経路をプライミング溶液流体経路から選択的に分離するように構成されたカテーテル組立体。カテーテル組立体は、カテーテルアダプタを含み得、カテーテルアダプタは、遠位端、近位端、及び、それを通って延びる内腔を含み得る。カテーテルは、遠位端から延び、サイドポートは、遠位端と近位端の間に配置され得る。セプタムは、内腔内に配置され、サイドポートに整列し得る。セプタムは、遠位位置において、サイドポートとカテーテルとの間に密封を提供し得る。セプタムは、遠位位置からサイドポートの近位の近位位置までスライドするように構成され得る。近位位置では、サイドポートは、カテーテルと流体連通し得る。カテーテル組立体は、カテーテルの適切な配置を確認するために、フラッシュバックの迅速かつ明確な指示を得る可能性を増大させ得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル組立体であって、前記カテーテル組立体は、
カテーテルアダプタであって、遠位端と、近位端と、前記遠位端及び前記近位端を通って延びる内腔と、前記カテーテルアダプタの前記遠位端と前記カテーテルアダプタの前記近位端との間のサイドポートとを含む、前記カテーテルアダプタと、
前記カテーテルアダプタの前記遠位端から延びるカテーテルと、
前記サイドポートに整列した遠位位置で内腔内に配置されたセプタムであって、前記セプタムが前記遠位位置にあることに応答して、前記セプタムは、前記サイドポートと前記カテーテルの間に密封を提供し、前記セプタムは、前記遠位位置から前記サイドポートの近位の近位位置にスライドするように構成され、前記セプタムが前記近位位置にあることに応答して、前記サイドポートが前記カテーテルと流体連通する、前記セプタムと、
を含むことを特徴とするカテーテル組立体。
【請求項2】
請求項1に記載のカテーテル組立体であって、さらに、前記内腔内に配置されたプラー部材を含み、前記プラー部材は、前記セプタムに結合された遠位端と、血液採取セットに結合するように構成された近位端を含むことを特徴とするカテーテル組立体。
【請求項3】
請求項2に記載のカテーテル組立体であって、さらに、前記カテーテルアダプタはスロットを含み、前記スロットの近位端は、停止部を含み、前記プラー部材は、さらに、前記スロットを通って延び、前記セプタムが前記遠位位置から前記近位位置へスライドすることに応答して、前記停止部に接触するよう構成された、延長部を含むことを特徴とするカテーテル組立体。
【請求項4】
請求項3に記載のカテーテル組立体であって、前記延長部は、プッシュタブに結合されることを特徴とするカテーテル組立体。
【請求項5】
請求項1記載のカテーテル組立体であって、前記カテーテルアダプタは、空気抜きを含み、前記セプタムの外面は、環状溝を含み、前記セプタムが前記遠位位置にあることに応答して、前記サイドポートが前記環状溝及び前記空気抜きと流体連通することを特徴とするカテーテル組立体。
【請求項6】
カテーテルシステムであって、前記カテーテルシステムは、
カテーテル組立体であって、前記カテーテル組立体は、
カテーテルアダプタであって、前記カテーテルアダプタは、遠位端と、近位端と、前記遠位端及び前記近位端を通って延びる内腔と、前記カテーテルアダプタの前記遠位端と前記カテーテルアダプタの前記近位端との間のサイドポートとを含む、前記カテーテルアダプタと、
前記カテーテルアダプタの前記遠位端から延びるカテーテルと、
前記内腔内の停止部と、
前記サイドポートと整列した遠位位置で前記内腔内に配置されたセプタムであって、前記セプタムが前記遠位位置にあることに応答して、前記セプタムは、前記サイドポートと前記カテーテルとの間に密封を提供する、前記セプタムと、を含む、前記カテーテル組立体、及び、
針組立体であって、前記針組立体は、
前記カテーテルアダプタの前記近位端に結合された針ハブと、
誘導針であって、前記誘導針は、鋭い遠位先端と、近位端と、前記鋭い遠位先端と前記近位端との間に配置された針構造部とを含み、前記誘導針の前記近位端が前記針ハブ内に固定され、前記誘導針の近位方向への第1の量の引き出しに応答して、前記針構造部が前記セプタムに接触して、前記セプタムを前記遠位位置から近位位置へスライドさせるよう構成され、前記セプタムが前記近位位置にあることに応答して、前記サイドポートが前記カテーテルと流体連通し、前記停止部が前記セプタムに接触し、前記誘導針の前記近位方向への前記第1の量以上の引き出しに応答して、前記針構造部は前記セプタムに関して近位方向に移動するように構成される、前記誘導針と、を含む、前記針組立体、を含むことを特徴とするカテーテルシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のカテーテルシステムであって、前記針構造部は、隆起を含むことを特徴とするカテーテルシステム。
【請求項8】
請求項1記載のカテーテル組立体であって、前記カテーテルアダプタは、空気抜きを含み、前記セプタムの外面が環状溝を含み、前記セプタムが前記遠位位置にあることに応答して、前記サイドポートが前記環状溝及び前記空気抜きと流体連通することを特徴とするカテーテル組立体。
【請求項9】
請求項8に記載のカテーテル組立体であって、前記空気抜きが停止部を形成することを特徴とするカテーテル組立体。
【請求項10】
方法であって、前記方法は、
カテーテルシステムをプライミング溶液でプライミングすることであって、前記カテーテルシステムは、
カテーテル組立体であって、前記カテーテル組立体は、
カテーテルアダプタであって、前記カテーテルアダプタは、遠位端と、近位端と、前記遠位端及び前記近位端を通って延びる内腔と、前記カテーテルアダプタの前記遠位端と前記カテーテルアダプタの前記近位端の間のサイドポートと、前記カテーテルアダプタの壁を通って延びる空気抜きと、を含む、前記カテーテルアダプタと、
前記カテーテルアダプタの前記遠位端から延びるカテーテルと、
前記サイドポートと整列した遠位位置で前記内腔内に配置されたセプタムであって、前記セプタムが前記遠位位置にあることに応答して、前記セプタムが前記サイドポートと前記カテーテルとの間に密封を提供し、前記セプタムの外面は、環状溝を含み、前記セプタムが前記遠位位置にあることに応答して、前記サイドポートは、前記環状溝及び前記空気抜きと流体連通し、前記セプタムは、前記遠位位置から前記サイドポートの近位の近位位置にスライドするように構成され、前記セプタムが前記近位位置にあることに応答して、前記サイドポートが前記カテーテルと流体連通する、前記セプタムと、を含む、前記カテーテル組立体、及び、
針組立体であって、前記針組立体は、
前記カテーテルアダプタの前記近位端に結合された針ハブと、
誘導針であって、前記誘導針は、鋭い遠位先端と、近位端と、ノッチを含み、前記誘導針の前記近位端が前記針ハブ内に固定される、前記誘導針と、を含む、前記針組立体、を含む、前記プライミングすることと、
前記カテーテルシステムをプライミングした後、前記誘導針及び前記カテーテルを血管系に挿入することであって、前記誘導針が前記血管系に挿入されることに応答して、血液が前記誘導針の前記鋭い遠位端に流入し、前記ノッチを通って、前記誘導針と前記カテーテルとの間の、前記セプタムに近接した空間に流入し、前記血液は前記プライミング溶液と流体連通しない、前記挿入することと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記誘導針は、さらに、前記鋭い遠位先端と前記誘導針の前記近位端との間に配置された針構造部を含み、さらに、前記誘導針及び前記カテーテルを前記血管系に挿入した後、前記誘導針を近位方向に第1の量で引き出すことを含み、前記誘導針を前記近位方向に前記第1の量で引き出すことに応答して、前記針構造部が前記セプタムに接触して、前記セプタムを前記遠位位置から前記近位位置へスライドさせることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、さらに、前記近位方向に前記誘導針を前記第1の量で引き出した後、前記近位方向に前記誘導針を第1の量以上で引き出すことを含み、前記第1の量以上で前記誘導針を引き出すことに応答して、前記針構造部が前記セプタムに関して近位に移動することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、前記針構造部は、隆起を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項10に記載の方法であって、前記カテーテル組立体が、さらに、前記内腔内に配置されたプラー部材を含み、前記プラー部材は、前記セプタムに結合された遠位端と、血液採取セットに結合するように構成された近位端とを含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、前記カテーテルアダプタが、さらに、スロットを含み、前記スロットの近位端は、停止部を含み、前記プラー部材は、さらに、前記スロットを通って延び、前記セプタムが前記遠位位置から前記近位位置へスライドすることに応答して、前記停止部に接触するように構成された、延長部を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、さらに、
前記カテーテルシステムから前記針組立体を取り外すことと、
血液採取セットのハウジングの遠位端を、前記プラー部材の前記近位端に結合することであって、前記血液採取セットは、
ハウジングであって、前記ハウジングは、遠位端、近位端、及び、スロットを含む、前記ハウジングと、
カニューレハブであって、前記カニューレハブは、前記スロットを通って延びる翼部を含み、前記カニューレハブは、前記ハウジングに関して、後退位置と前進位置との間でスライド可能である、前記カニューレハブと、
前記カニューレハブから遠位に伸びるカニューレと、
前記カニューレハブの前記近位端に結合された遠位端を含む、延長チューブと、
前記延長チューブの近位端に結合された血液収集装置と、を含む、前記血液採取セットである、前記結合することと、
前記血液採取セットの前記ハウジングの前記遠位端を、前記プラー部材の前記近位端に結合した後、前記カニューレハブを前記後退位置から前記前進位置にスライドさせるために、前記翼部を把持することであって、前記カニューレハブが前記後退位置にあることに応答して、前記カニューレが前記ハウジング内に配置され、前記カニューレハブが前記前進位置にあることに応答して、前記カニューレが、前記ハウジングの前記遠位端、前記プラー部材、及び、前記セプタムを通って延びる、前記把持することと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、さらに、前記カニューレハブを前記後退位置から前記前進位置にスライドさせるために、前記翼部を把持することの後に、血液採取セット内に血液サンプルを採取することを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、さらに、前記血液採取セット内に前記血液サンプルを採取することの後、前記カニューレハブを前記前進位置から前記後退位置へスライドさせるために、前記翼部を把持することを含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法であって、さらに、前記血液採取セット内に前記血液サンプルを採取することの後、前記延長部が前記停止部に接触するまで、前記ハウジングを近位に移動させることであって、前記ハウジングを近位に移動させることに応答して、前記セプタムが前記遠位位置から前記近位位置にスライドし、前記延長部が前記停止部に接触することに応答して、前記ハウジングが前記プラー部材から取り外される、前記移動させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法であって、前記延長部がタブに結合され、前記延長部が前記停止部に接触するまで前記ハウジングを近位に移動させることは、前記ハウジング及び前記タブを把持することを含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、静脈内カテーテル組立体、並びに、関連する装置、システム、及び、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
カテーテルは、一般に、患者の血管系に流体を注入するために使用される。例えば、カテーテルは、通常の生理食塩水、様々な医薬品、又は、非経口完全栄養を注入するために使用され得る。また、カテーテルは、患者から血液を引き出すために使用され得る。
【0003】
いずれの場合も、オーバー・ザ・ニードル末梢静脈(IV)カテーテルは、鋭い遠位先端を含み得る、誘導針上に取り付けられ得る。カテーテルと誘導針は、誘導針の遠位先端がカテーテルの遠位先端を越えて延びるように組み立てられ得、針のベベルは、患者の皮膚から離れる方向に向く。カテーテル及び誘導針は、一般に、皮膚を介して患者の血管系に、浅い角度で挿入される。
【0004】
しかし、カテーテルを患者の血管系に導入する前に、カテーテルシステム内に存在する空気が、患者の血流に空気が入るのを防止するために除去される。この「プライミング」工程は、例えば、生理食塩水で、カテーテルシステムをフラッシングすることによって実行され得る。
【0005】
次に、血管内への導入針及び/又はカテーテルの適切な配置を確認するために、臨床医は、一般に、カテーテル組立体のフラッシュバックチャンバ内に血液の「フラッシュバック」が存在することを確認する。針の配置が確認されたら、臨床医は、血管系内の流れを一時的に遮断して針を除去し、将来の血液の引き出しや流体の注入のために、カテーテルを、その位置に残し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
残念ながら、カテーテルシステム内のプライミング溶液の存在は、カテーテルを通る連続的な血流を損なう傾向があり、それによって、フラッシュバックの迅速かつ明確な指示を得る能力を阻害する。これは、カテーテルが患者の血管系に適切に挿入されているかどうかに関して、混乱又は不確実性をもたらし得る。その結果、カテーテルの適切な挿入が遅れ、プライミング溶液へのカテーテルの長期被曝をもたらし得る。これは、次に、カテーテル材料が軟化することをもたらし得、それによって、カテーテル先端の硬度や柱強度を低下させる。挿入中、カテーテル材料は、静脈の外側で動けなくなり得、カテーテルの剥離と、静脈の損傷の可能性をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書において特許請求される主題は、任意の欠点を解決する実施形態、又は、上記されたような環境でのみ動作する実施形態に限定されない。むしろ、この背景は、本明細書に記載された、いくつかの実施態様が実践され得る、一例の技術領域を説明するためだけに提供される。
【0008】
本開示は、一般に、静脈内カテーテル組立体、並びに、関連する装置、システム、及び、方法に関する。いくつかの実施形態では、カテーテル組立体は、適切なカテーテル配置を確認するためのフラッシュバックの迅速かつ明確な指示を得る可能性を増大させ得る。それにより、いくつかの実施形態では、カテーテル組立体は、適切なカテーテル配置に関する臨床医の混乱又は不確実性に起因する、カテーテル挿入の遅れを回避し得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、カテーテル組立体は、また、カテーテルの、プライミング溶液への長期曝露を防止し得る。カテーテル組立体のいくつかの実施形態は、したがって、カテーテル材料の軟化、低下したカテーテル先端剛性、及び、低下した柱強度の、1つ以上のリスクを低減し得る。プライミング溶液へのカテーテルの長期曝露を低減することは、また、カテーテルの剥離、及び/又は、結果として生じる静脈の損傷のリスクを低減し得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、カテーテル組立体は、カテーテルアダプタ、カテーテル、及び、セプタムを含み得る。いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタは、遠位端、近位端、及び、それを通って延びる内腔を含み得る。いくつかの実施形態では、サイドポートが、カテーテルアダプタの遠位端と近位端との間に配置され得、カテーテルは、遠位端から延び得る。いくつかの実施形態では、セプタムは、サイドポートと整列した遠位位置で、内腔内に配置され得る。遠位位置において、セプタムは、サイドポートとカテーテルとの間に密封を提供し得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、セプタムは遠位位置からサイドポートの近位の近位位置までスライドするように構成され得る。近位位置では、サイドポートは、カテーテルと流体連通し得る。このようにして、カテーテル組立体は、血液流体経路をプライミング溶液流体経路から隔離し得、また、後に、血液流体経路とプライミング溶液流体経路とを結合するために針セプタムの選択的な後退を容易にし得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、プラー部材は、カテーテルアダプタの内腔内に配置され得る。いくつかの実施形態では、プラー部材は、セプタムに結合された遠位端と、血液採取セットに結合するように構成された近位端とを含み得る。いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタはスロットを含み得、スロットは、その近位端に停止部を含み得る。いくつかの実施形態では、プラー部材は、スロットを通って延び、セプタムが遠位位置から近位位置へスライドするときに停止部に接触するように構成された、延長部を含み得る。いくつかの実施形態では、延長部は、プッシュタブに結合され得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタは空気抜きを含み得る。いくつかの実施形態では、セプタムの外面は、環状溝を含み得る。いくつかの実施形態では、セプタムが遠位位置にあることに応答して、サイドポートは、環状溝及び空気抜きと流体連通し得る。いくつかの実施形態では、停止部が、カテーテルアダプタの内腔内に配置され得る。幾つかの実施形態では、停止部は、空気抜きによって形成され得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、カテーテルシステムは、カテーテル組立体、及び/又は、針組立体を含み得る。いくつかの実施形態では、針組立体は、カテーテルアダプタの近位端に結合された針ハブを含み得る。いくつかの実施形態では、針組立体は、誘導針を含み得、これは、鋭い遠位先端と、近位端と、鋭い遠位先端と近位端との間に配置された、隆起などの針構造部を含み得る。いくつかの実施形態では、誘導針の近位端は、針ハブ内に固定され得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、誘導針は、カテーテルアダプタから近位方向に第1の量で引き出され得る。これに応答して、針構造部は、セプタムに接触し、セプタムを遠位位置から近位位置にスライドさせるように構成され得、その結果、サイドポートは、カテーテルと流体連通し得、停止部は、セプタムに接触し得る。いくつかの実施形態では、第1の量以上の、近位方向への誘導針の引き出しは、針特徴部が、セプタムに関して近位方向に移動することをもたらし得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、セプタムの外面は、環状溝を含み得る。セプタムが遠位位置にあることに応答して、サイドポートは、環状溝、及び、空気抜きと流体連通し得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、方法は、プライミング溶液でカテーテルシステムをプライミングすることを含み得る。いくつかの実施形態では、空気抜きは、カテーテルアダプタの壁を通って延び得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、針組立体は、鋭い遠位先端、近位端、及び、ノッチを含む、誘導針を含み得る。カテーテルシステムをプライミングした後、誘導針及びカテーテルは、血管系に挿入され得る。これに応答して、血液は、誘導針の鋭い遠位先端に流入し、ノッチを通って、誘導針とカテーテルとの間の、セプタムに近接した空間に流入し得る。いくつかの実施形態では、血液は、プライミング溶液と流体連通しないように隔離され得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、針組立体は、フラッシュチャンバを含み得る。いくつかの実施形態では、血液は、誘導針が血管系に挿入されることに応答して、誘導針を通ってフラッシュチャンバに流れ得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、誘導針は、誘導針の鋭い遠位先端と近位端との間に配置された、隆起などの針構造部を含み得る。いくつかの実施形態では、誘導針及びカテーテルを血管系に挿入した後、誘導針は、第1の量で近位方向に引き出され得、針構造部がセプタムに接触して、セプタムを遠位位置から近位位置へスライドさせる。
【0021】
いくつかの実施形態では、誘導針を、近位方向に、第1の量で引き出した後、誘導針は、第1の量以上に近位方向に引き出され得る。これは、針構造部が、セプタムに関して近位方向に移動することをもたらし得る。いくつかの実施形態では、誘導針を、近位方向に、第1の量で引き出すことに応答して、針構造部は、セプタムに接触し、セプタムを遠位位置から近位位置へスライドさせ得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、カテーテル組立体は、さらに、内腔内に配置されたプラー部材を含み得る。いくつかの実施形態では、プラー部材は、セプタムに結合された遠位端と、血液採取セットに結合するように構成された近位端とを含み得る。いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタは、さらに、スロットを含み得る。いくつかの実施形態では、スロットの近位端は、停止部を含み得る。いくつかの実施形態では、プラー部材は、さらに、スロットを通って延び、セプタムが遠位位置から近位位置へスライドすることに応答して、停止部に接触するように構成された、延長部を含み得る。
【0023】
本方法のいくつかの実施形態は、カテーテルシステムから針組立体を取り外すことを含み得る。いくつかの実施形態では、血液採取セットのハウジングの遠位端は、プラー部材の近位端に結合され得る。いくつかの実施形態では、ハウジングは、遠位端、近位端、スロット、及び、カニューレのうちの1つ又はそれ以上を含み得、カニューレは、スロットを通って延びる翼部を含み得る。いくつかの実施形態では、カニューレハブは、後退位置と前進位置との間で、ハウジングに関して摺動可能であり得、カニューレは、カニューレハブから遠位に延在し得る。いくつかの実施形態では、血液採取セットは、また、延長チューブを含み得、延長チューブは、カニューレハブの近位端に結合された遠位端を含み得る。いくつかの実施形態では、血液採取装置は、延長チューブの近位端に結合され得る。いくつかの実施形態では、血液採取装置は、注射器、真空採血管、小サンプル採取装置、又は、別の適切な血液採取装置を含み得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、血液採取セットのハウジングの遠位端をプラー部材の近位端に結合した後、方法は、翼部を把持して、カニューレハブを後退位置から前進位置にスライドさせることを含み得る。いくつかの実施形態では、カニューレハブが後退位置にあることに応答して、カニューレは、ハウジング内に配置され得る。いくつかの実施形態では、カニューレハブが前進位置にあることに応答して、カニューレは、ハウジングの遠位端、プラー部材、及び、セプタムを通って延在し得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、翼部を把持してカニューレハブを後退位置から前進位置にスライドさせた後、方法は、血液採取セット内に血液試料を採取することを含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、さらに、血液採取セット内に血液サンプルを採取した後、翼部を把持してカニューレハブを前進位置から後退位置にスライドさせることを含み得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、血液採取セット内に血液サンプルを採取した後、ハウジングは、延長部が停止部に接触するまで近位に移動させられ得る。いくつかの実施形態では、ハウジングを近位に移動させることに応答して、セプタムは、遠位位置から近位位置にスライドし得る。いくつかの実施形態では、延長部が停止部に接触することに応答して、ハウジングは、プラー部材から切り離され得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、延長部は、タブに結合され得る。これらの実施形態では、延長部が停止部に接触するまでハウジングを近位に移動させることは、ハウジング及びタブを把持することを含み得る。
【0028】
前述の一般的な説明と以下の詳細な説明の両方は、例であり説明的であり、特許請求される本発明を制限するものではないことが理解されるであろう。様々な実施形態は、図面に示された配置及び器具に限定されないことが理解されるべきである。また、実施形態が組み合わられ得、又は、他の実施形態が利用され得ること、及び、構造的な変更は、そのように特許請求されない限り、本発明の様々な実施形態の範囲から逸脱することなく、なされ得ることが理解されるべきである。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で理解されるべきではない。
【0029】
例示的な実施形態は、添付の図面の使用を通じて、さらなる具体性及び詳細さをもって説明される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】いくつかの実施形態による、例示的なカテーテルシステムの上方透視図である。
図2】いくつかの実施形態による、図1のカテーテルシステムの分解斜視図である。
図3】いくつかの実施形態による、別の例示的なカテーテルシステムの上方透視図であり、針構造部を有する針と、サイドポートと整列した遠位位置にあるセプタムを示す図である。
図4】いくつかの実施形態による、図3のカテーテルシステムの断面図であり、遠位位置にあるセプタムを示す図である。
図5】いくつかの実施形態による、図3のカテーテルシステムの例示的なカテーテル組立体の上方透視図であり、サイドポートの近位の近位位置にあるセプタムを示す図である。
図6】いくつかの実施形態による、図5のカテーテル組立体の断面図であり、近位位置にあるセプタムを示す図である。
図7】いくつかの実施形態による、図1のカテーテルシステムの例示的なカテーテル組立体の上方透視図であり、プラー部材、及び、サイドポートと整列した遠位位置にあるセプタムを示す図である。
図8】いくつかの実施形態による、図7のカテーテル組立体の断面図であり、プラー部材に結合された例示的な血液収集セット、及び、遠位位置にあるセプタムを示す図である。
図9】いくつかの実施形態による、図7のカテーテル組立体の上方透視図であり、サイドポートの近位の近位位置に配置されたセプタムを示す図である。
図10】いくつかの実施形態による、図9のカテーテル組立体の断面図であり、近位位置にあるセプタムを示す図である。
図11A】いくつかの実施形態による、例示的なカテーテルシステムの上方透視図であり、プライミング工程を示す図である。
図11B】いくつかの実施形態による、図11Aのカテーテルシステムの上方透視図であり、フラッシュバック工程を示す図である。
図11C】いくつかの実施形態による、図11Aのカテーテルシステムの上方透視図であり、血液採取セットの係合を示す図である。
図11D】いくつかの実施形態による、図11Aのカテーテルシステムのカテーテル組立体の上面透視図であり、血液採取工程を示す図である。
図11E】いくつかの実施形態による、図11Aのカテーテルシステムのカテーテル組立体の断面図、及び、図11Dの血液採取工程を示す図である。
図11F】いくつかの実施形態による、図11Aのカテーテルシステムのカテーテル組立体の上方透視図であり、注入工程を示す図である。
図11G】いくつかの実施形態による、例示的な血液採取セットの上方透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
ここで、図1及び図2を参照すると、いくつかの実施形態では、患者の血管系にカテーテル110を導入するために、カテーテル110は、鋭い遠位先端202を含み得る、中空誘導針112上に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、カテーテル110の内面は、誘導針112の外面に堅固に係合し得、カテーテル110の剥離を防止し、血管又は静脈へのカテーテル110の挿入を容易にする。いくつかの実施形態では、誘導針112の鋭い遠位先端202は、カテーテル110の遠位先端を超えて延び得、患者の皮膚を通って静脈へ、浅い角度でのカテーテル110の挿入を容易にする。
【0032】
いくつかの実施形態では、カテーテルシステム100は、カテーテル組立体101を含み得る。いくつかの実施形態では、カテーテル組立体101は、カテーテルアダプタ102を含み得、カテーテルアダプタ102は、その遠位端104と近位端106との間に長手方向に延びる内腔108を含み得る。いくつかの実施形態では、内腔108は、カテーテル110の外径よりも少なくともわずかに大きい内径を有し得、これは、オーバー・ザ・ニードルであり得る。いくつかの実施形態では、カテーテル110は、カテーテルアダプタ102の遠位端104に結合され得る。いくつかの実施形態では、カテーテル110は、例えば、ねじ接続、圧入、くさびを用いて、又は、当業者に知られる他の任意の手段によって、カテーテルアダプタ102に固定され、機械的に密封され得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、内腔108の内径は、カテーテルアダプタ102の遠位端104と近位端106との間で増大し得る。いくつかの実施形態では、遠位端104におけるカテーテルアダプタ102の内径は、関連するカテーテル110の外径と実質的に一致し得、その中に誘導針112をしっかりと係合する。これは、カテーテル110の血管への挿入中に、カテーテル110の剥離を防止し得る。いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ102の近位端106は、他方、血液採取セット又は他の周辺装置を受容し、及び/又は、係合するために、実質的により大きな内径を含み得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、サイドポート132が、カテーテルアダプタ102から延び、内腔108と連通し得る。このように、サイドポート132は、カテーテル110と、サイドポート132に結合された輸液セット又は他の輸液装置との間に、独立した流体経路を提供し得る。いくつかの実施形態では、輸液セットは、ニードルレスアクセスコネクタ136に結合されるか、サイドポート132から延びる延長チューブの近位端に配置されたアダプタに直接結合され得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、サイドポート132は、カテーテルシステム100をプライムするために、生理食塩水、又は、注入を意図される薬剤などの、プライミング流体又は溶液を分配するための、独立した流体経路を提供するために使用され得る。同様に、いくつかの実施形態では、サイドポート132は、患者の血管系に流体を注入するための独立した流体経路を提供し得る。流体は、例えば、生理食塩水、様々な医薬品、非経口完全栄養などを含み得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、セプタム114は、カテーテルアダプタ102の内腔108内に配置され得る。いくつかの実施形態では、セプタム114は、サイドポート132と内腔108との間に、有効な流体シールを形成することを容易にするために、実質的に弾力性があり、流体不透過性の材料を含み得る。いくつかの実施形態では、セプタム114は、シリコーン、発泡体、ゴム、複合体、又はそのようなものなどの材料を含み得る。いくつかの実施形態では、材料は、内腔108の内部空間又は容積に拡がるか、さもなければ実質的に占有するように構成され得る。いくつかの実施形態では、セプタム114及び/又は内腔108は、セプタム114が内腔108内でスライドする能力を促進し、及び/又は、内腔108とサイドポート132との間の流体経路を密封するためにコーティング又は潤滑剤を含み得る。
【0037】
さらに、いくつかの実施形態では、セプタム114は、サイドポート132と内腔108との間の流体経路を選択的に閉塞及び密封するのに十分な寸法を含み得る。いくつかの実施形態では、セプタム114は、カテーテルアダプタ102の内腔108の直径に実質的に一致する直径を有する、実質的に円形の断面を含み得る。セプタム114は、さらに、サイドポート132の遠位開口部138を閉塞するのに十分な長さ及び高さを含み得る。もちろん、セプタム114は、サイドポート132と内腔108との間の流体経路を密封するための任意の形状及び/又は寸法を含み得る。
【0038】
以下でより詳細に論じられるように、いくつかの実施形態では、セプタム114は、遠位位置と近位位置との間で、内腔108内をスライドするように、及び/又は、他の方法で移動するように構成され得る。いくつかの実施形態では、遠位位置において、セプタム114は、サイドポート132と実質的に整列され得、その結果、セプタム114は、サイドポート132とカテーテル110との間に密封を提供する。このようにして、カテーテルアダプタ102の遠位端104と近位端106との間の流体経路は、サイドポート132内の流れ又は残留流体からの汚染を防止するために隔離され得る。他方、近位位置では、セプタム114は、サイドポート132とカテーテルアダプタ102との間に通路を形成して、サイドポート132がカテーテル110と流体連通することを容易にし得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、このように、セプタム114の位置を操作することは、ある流体が別の流体を汚染又は希釈することを防止し得る。いくつかの実施形態では、プライミング溶液は、カテーテルシステム100をプライムするために、サイドポート132を介して分配され得る。いくつかの実施形態では、プライミング溶液を分配するために使用される流体経路は、カテーテルアダプタ102の内腔108に対して密封され得る。これは、カテーテルアダプタ102の近位端106に結合され得る血液採取セット(例えば、図8の血液採取セット801を参照)のカニューレから、純粋な、又は、希釈されない血液が引き出されることを可能にし得る。いくつかの実施形態では、血液サンプルを収集した後、セプタム114は、内腔108内で遠位位置から近位位置に移動させられ、カテーテル110及びサイドポート132を通る、注入を意図された流体の流体経路を形成し得る。このようにして、プライミング及び注入に使用される、同じカテーテルであり得る、カテーテル110から、種々の流体のいずれかとの交差汚染の危険性をほとんど又は全く伴わずに、希釈されない血液が採取され得る。いくつかの実施形態では、カテーテル110は、末梢静脈カテーテル(PIVC)、正中線カテーテル、又は、末梢挿入型中心カテーテル(PICC)を含み得る。
【0040】
もちろん、当業者は、全ての流体、及び、任意の数及び/又は向きの流体経路が本明細書で企図されるので、本開示の実施形態が、任意の特定の流体、及び/又は、任意の数又は向きの流体経路に制限されないことを認識するであろう。例えば、セプタム114の長さは、延長され得、又は、セプタム114の寸法は、変更され得、複数のサイドポート132が同時に密封されることを可能にする。他の実施形態では、サイドポート132の向きは、任意の数の流体経路を形成するために変化させられ得る。例えば、2つ以上のサイドポート132が、カテーテルアダプタ102の対向側に配置され得、その結果、内腔108内でのセプタム114を並進させることは、一度に複数のサイドポート132を露出させ得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、プラー部材116は、プラー部材116の遠位端118がセプタム114の近位端に実質的に隣接して配置されるように、内腔108内に配置され得る。いくつかの実施形態では、プラー部材116の近位端120は、例えば、針ハブ134及び/又は血液採取セットに結合するように構成され得る。他の実施形態では、プラー部材116の遠位端118は、セプタム114の近位端と一体化されるか、又は、それに結合され得る。いくつかの実施形態では、プラー部材116及びセプタム114は、単一ユニットとしてモノリシックに形成され得る。いくつかの実施形態では、プラー部材116の遠位端118は、セプタム114の近位端に実質的に隣接して配置され得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ102は、プラー部材116の少なくとも一部を受け入れるためのスロット124を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、プラー部材116は、スロット124を通って延びる延長部126を含み得る。いくつかの実施形態では、プッシュタブ130が延長部126の端部に結合され得、カテーテルアダプタ102の壁を通ってプラー部材116の手動並進を可能にする。
【0043】
いくつかの実施形態では、スロット124の近位端は、狭窄部、縁部、隆起部、又は、スロット124と一体化されるか、又は、それに結合される、任意の他の適切な構造などの、停止部128を含み得る。いくつかの実施形態では、停止部128は、セプタム114が遠位位置から近位位置へ移動させられるときに、延長部126に接触し得る。
【0044】
ここで、図3図6を参照すると、カテーテルシステム100のいくつかの実施形態は、針組立体200を含み得、これは、カテーテルアダプタ102の近位端106に結合された針ハブ134を含み得る。いくつかの実施形態では、誘導針112の近位端206は、例えば、ねじ接続又は圧入によって、針ハブ134内に固定され得る。あるいは、いくつかの実施形態では、誘導針112は、当業者に知られる、任意の手段によって、針ハブ134内に固定され得る。いくつかの実施形態では、誘導針112は、鋭い遠位先端202と、鋭い遠位先端202と近位端206との間に配置された針構造部204とを含み得る。いくつかの実施形態では、誘導針112の長さの少なくとも一部は、セプタム114及び/又はプラー部材116を通って延在し得る。
【0045】
図3及び図4に示されるように、いくつかの実施形態では、誘導針112の鋭い遠位先端202は、セプタム114及び/又はプラー部材116の遠位に配置され得る。いくつかの実施形態では、セプタム114は、スリットを含み得、このスリットを介して、誘導針112が延び得る。いくつかの実施形態では、隆起、クリンプ、又は、別の適切な構造などの針構造部204は、セプタム114の遠位に配置され得る。
【0046】
特定の実施形態では、空気抜き304が、カテーテルアダプタ102の外面の開口部と一体化されるか、又は、それに結合され得、空気が、カテーテルアダプタ102の内腔108と外部環境との間に流れるのを容易にする。空気抜き304のいくつかの実施形態は、プライミング流体、又は、任意の他の流体又は溶液とのどんな干渉をも避けるために、疎水性膜を含み得る。いくつかの実施形態では、疎水性膜は、空気に対して透過性であるが、プライミング流体、又は、任意の他の流体又は溶液に対しては非透過性であり得る。
【0047】
いくつかの実施形態において、セプタム114の外面は、その遠位端とその近位端との間に配置された環状溝306を含み得る。この設計は、セプタム114が遠位位置と近位位置との間で並進させられるときに、摩擦力を緩和し得る。いくつかの実施形態では、環状溝306はまた、セプタム114の遠位端に遠位縁部308を、セプタム114の近位端に近位縁部310を形成し得る。いくつかの実施形態では、セプタム114が遠位位置にあるとき、サイドポート132は、環状溝306及び空気抜き304と流体連通し得る。特定の実施形態では、空気抜き304は、内腔108内のセプタム114の近位縁部310に接触するための停止部を形成し得る。いくつかの実施形態では、停止部は、セプタム114の位置をそれに対して固定し、遠位方向へのセプタム114のさらなる並進を防止し得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、針構造部204は、セプタム114の遠位端に引っかかるように構成され得る。いくつかの実施形態では、近位方向へ、カテーテルアダプタ102から誘導針112を引き出すことは、針構造部204をセプタム114の遠位端に対して押圧し得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、近位方向に誘導針112に及ぼされる引き出し力は、順に、針構造部204が、セプタム114を受動的に押し進めることをもたらし得、遠位位置から近位位置へスライドさせるか、又は、他の方法で移動させる。
【0050】
いくつかの実施形態では、図5及び図6に示されるように、近位位置において、サイドポート132は、カテーテル110と流体連通し得る。さらに、いくつかの実施形態では、空気抜き304は、内腔108内のセプタム114の遠位縁部308に接触するように停止部を形成し得る。これは、停止部に対するセプタム114の位置を固定し、近位方向への、セプタム114のさらなる並進を防止し得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、近位方向に誘導針112に及ぼされる引き出し力は、セプタム114を近位位置に移動させるのに必要とされる力を超え、針構造部204がセプタム114を介して近位方向に移動し続けることをもたらし得る。このようにして、針構造部204は、セプタム114の近位端を通って並進させられ得、それによって、誘導針112がカテーテルアダプタ102から取り外されることを可能にする。
【0052】
ここで、図7図10を参照すると、いくつかの実施形態では、プラー部材116は、セプタム114に結合され得、遠位位置と近位位置との間のセプタム114の並進を容易にする。いくつかの実施形態では、プラー部材116は、圧入、干渉嵌め、又は、別の適切な結合機構によって、セプタム114の近位端に結合され得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、プラー部材116は、内腔108内のセプタム114に隣接して配置され得る。いくつかの実施形態では、血液採取セット801のハウジング又はアクチュエータ800は、プラー部材116の近位端に係合し、それによって、臨床医によって近位方向に加えられる力に応答して、プラー部材116を遠位方向に押圧し得る。いくつかの実施形態では、遠位方向へのプラー部材116の押圧に応答して、セプタム114の近位端に結合されたプラー部材116の遠位端は、近位位置など、近位に、セプタム114を自動的にスライドさせ得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、プラー部材116の近位端は、雄型又は雌型コネクタ部分を含み得、アクチュエータ800の遠位端は、雄型又は雌型コネクタ部分を含み得る。いくつかの実施形態では、セプタム114の近位端は、雄型又は雌型コネクタ部分を含み得、プラー部材116の遠位端は、雄型又は雌型コネクタ部分を含み得る。図示されるように、例えば、プラー部材116の近位端は、雌型コネクタ部分を含み得、アクチュエータ800の遠位端は、雄型コネクタ部分を含み得る。また、図示されるように、例えば、セプタム114の近位端は、雌型コネクタ部分を含み得、プラー部材116の遠位端は、雄型コネクタ部分を含み得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、動作時に、アクチュエータ800は、カテーテルアダプタ102の近位端106に挿入され得、その結果、アクチュエータ800の雄型コネクタ部分は、プラー部材116の雌型コネクタ部分と係合する。いくつかの実施形態では、アクチュエータ800は、その後、遠位方向に押圧され、プラー部材116の雄型コネクタ部分が、セプタム114の雌型コネクタ部分と係合することをもたらし得る。いくつかの実施形態では、このようにして、遠位方向にアクチュエータを押圧し続けることは、セプタム114が、近位位置から遠位位置までスライドすることをもたらし得る。いくつかの実施形態では、図9及び図10に示されるように、一旦係合されると、アクチュエータ800は近位方向に移動させられ得る。これは、セプタム114が、遠位位置から近位位置へ受動的にスライドすることをもたらし得、それによって、サイドポート132とカテーテル110との間に流体経路を形成する。
【0056】
ここで、図11A図11Eを参照すると、方法は、カテーテル110を患者に挿入する前に、カテーテルシステム100から、存在する空気を取り除くために、プライミング流体又は溶液で、カテーテルシステム100をプライミングすることを含み得る。図11Aに示されるように、生理食塩水、又は、注入を意図される薬物などの、プライミング溶液は、延長チューブ1100を介して、サイドポート132を通して投与され得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、セプタム114は、最初に遠位位置に配置され得、カテーテル組立体101から空気を減少させるための、又は、排除するための、プライミング工程を容易にする。いくつかの実施形態では、遠位位置において、セプタム114は、内腔108を閉塞し得、その結果、プライミング溶液は、内腔108に入ること、又は、内腔108をプライムすることも、カテーテル110に接触することもできない。いくつかの実施形態では、このようにして、プライミング流体へのカテーテル110の曝露を防止することは、挿入中のカテーテル110の軟化を防止し得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、セプタム114は、環状溝306を含み得、プライミング流体が、サイドポート132から環状溝306を横切って流れ、環状溝306に対応する内腔108の遠位部分をプライムすることを可能にする。
【0058】
いくつかの実施形態では、プライミング流体は、また、内腔108に露出した空気抜き304の一部をプライムし得る。いくつかの実施形態では、空気抜き304は、プライミング流体を内腔108内に密封するために、疎水性膜又は他の適切な空気抜きを含み得る。
【0059】
ここで、図11Bを参照すると、カテーテル組立体101をプライミングした後、誘導針112及びカテーテル110は、患者の血管系に挿入され得る。いくつかの実施形態では、血管内への誘導針112及びカテーテル110の適切な配置を確認するために、臨床医は、カテーテル110に沿って、及び/又は、カテーテル組立体101及び/又は針ハブ134内に配置された、フラッシュバックチャンバ1102内に、「フラッシュバック」血液の存在を確認し得る。いくつかの実施形態では、血液フラッシュバック1104は、誘導針112の鋭い遠位先端202に流入し、ノッチを通って、誘導針112とカテーテル110との間の、セプタムに近接した空間1108に流入し得る。有利には、いくつかの実施形態において、セプタム114が遠位位置にあることに応答して、血液は、プライミング溶液と流体連通することを防止され得る。いくつかの実施形態において、カテーテル組立体101は、最小限の抵抗と、カテーテル110内での血液フラッシュバック1104の迅速かつ明確な表示、及び/又は、フラッシュバックチャンバ1102での血液フラッシュバック1104の表示を容易にし得る。
【0060】
ここで、図11Cを参照すると、いくつかの実施形態では、カテーテル110を静脈に挿入した後、臨床医は、カテーテルシステム100から誘導針112を取り外し得る。いくつかの実施形態では、臨床医は、次に、血液採取セット801のアクチュエータ800をプラー部材116の近位端に結合して、採血のためにカテーテルを通して血管に引き続きアクセスすることを容易にし得る。
【0061】
ここで、図11D及び図11Gを参照すると、いくつかの実施形態では、血液採取セット801は、アクチュエータ800を含み得、アクチュエータ800は、遠位端、近位端、及び、スロット1110を含み得る。いくつかの実施形態では、血液採取セット801は、スロット1110を通って延びる翼部1116に結合され得る、カニューレ1115を含み得る。いくつかの実施形態では、カニューレ1115は、カニューレ又は針ハブ134が後退した位置にあるとき、アクチュエータ内に保持され得る。いくつかの実施形態では、カニューレ1115は、後退位置と前進位置との間でスライド可能であり得、前進位置において、カニューレ1115は、アクチュエータ800の遠位端、プラー部材116、及び、セプタム114のうちの1つ以上を通って延在し得る。いくつかの実施形態では、カニューレ1115の遠位端は、内腔108又はカテーテル110内に配置され得る。いくつかの実施形態では、翼部1116は、後退位置と前進位置との間でカニューレをスライドさせることを容易にするために把持され得る。いくつかの実施形態では、カニューレ1115が、セプタム114を通って延びることに応答して、血液サンプルは、血液採取セット801を通して採取され得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、血液採取セット801は、延長チューブ1117(例えば、図11G参照)を含み得る。いくつかの実施形態では、延長チューブ1117は、カニューレ1115の近位端に結合され得、血液採取装置1118は、延長チューブ1117の近位端に結合され得る。いくつかの実施形態では、血液採取装置1118は、注射器、真空採血管、小型サンプル採取装置、又は、別の適切な血液採取装置を含み得る。いくつかの実施形態では、血液採取装置1118は、例えば、図11Gに示されるように、エラストマーシース内に収容された針を含み得る。いくつかの実施形態では、血液採取装置1118は、ニュージャージー州フランクリンレイクのベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニーから入手可能なVACUTAINER(登録商標)、又は、別の適切な装置を含み得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、血液採取装置1118又はセット801内に血液サンプルを採取した後、翼部1116は、把持されて、スロット1110に沿って動かされ、カニューレ1115を前進位置と後退位置の間でスライドさせ得る。いくつかの実施形態では、カニューレ1115の遠位端は、カニューレ1115が後退位置にあることに応答して、アクチュエータ800内に配置され得る。
【0064】
ここで、図11E及び図11Fを参照すると、十分な量の血液を採取した後、及び/又は、カニューレ1115を後退位置にスライドさせた後、アクチュエータ800は、プラー部材116から取り外され得る。いくつかの実施形態では、アクチュエータ800は、近位方向に力を加えることによって取り外され得、プラー部材116は、カテーテルアダプタ102のスロット124の停止部128に接触する。近位方向へのアクチュエータ800への継続した力は、アクチュエータ800がプラー部材116から外れることをもたらし得る。さらに、ここで、図11Eを参照すると、いくつかの実施形態では、このようなアクチュエータ800の近位移動は、セプタム114を遠位位置から近位位置へ受動的にスライドさせ得、図11Fに示されるように、カテーテル110、内腔108の一部、サイドポート132、及び、延長チューブ1100を含む流路を開く。
【0065】
本明細書に記載されたすべての例および条件文は、読者が本発明および技術を促進するために発明者によって貢献された概念を理解するのを助ける、教育的な目的のために意図され、そのような具体的に記載された例および条件に限定されないと解釈されるべきである。本発明の実施形態が詳細に説明されたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換、および、改変が、これに関してなされ得ることが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図11G
【国際調査報告】