(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-15
(54)【発明の名称】内臓浮腫の治療用の電界または電気電圧送達電極システム
(51)【国際特許分類】
A61N 1/40 20060101AFI20230508BHJP
A61N 1/05 20060101ALI20230508BHJP
A61N 1/20 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
A61N1/40
A61N1/05
A61N1/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559833
(86)(22)【出願日】2021-03-29
(85)【翻訳文提出日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 EP2021058198
(87)【国際公開番号】W WO2021198203
(87)【国際公開日】2021-10-07
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522384503
【氏名又は名称】ベルリン ヒールズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー ヨハネス
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053CC01
4C053CC10
4C053LL14
(57)【要約】
本発明は、電界を送達することによる電気浸透および/または電気泳動による内臓浮腫の治療用の電極アセンブリシステムであって、第1の電極と、第2の電極と、制御ユニットとを備え、第1の電極および第2の電極は、制御ユニットに電気的に接続され、制御ユニットは、第1の電極を負に、第2の電極を正に充電し、第1の電極および第2の電極によって誘導される電界の強度を、治療固有の磁束を発生させるための予め設定された値に直接的に制御するように適合されることを特徴とする、電極アセンブリシステムに関する。本発明はまた、そのようなシステムの使用、ならびにそのようなシステムを使用する内臓浮腫の治療のプロセスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電界を送達することによる電気浸透および/または電気泳動による内臓浮腫の治療用のの電極アセンブリシステム(20、120)であって、
第1の電極(30;240;440)と、
第2の電極(40、140;340;440’、540)と、
制御ユニット(50)とを備え、
前記第1の電極(30;240;440)および前記第2の電極(40、140;340;440’、540)は、前記制御ユニット(50)に電気的に接続され、
前記制御ユニット(50)は、前記第1の電極(30;240;440)を負に、前記第2の電極(40、140;340;440’、540)を正に充電するよう適合され、
前記制御ユニット(50)は、前記第1の電極(30;240;440)および前記第2の電極(40、140;340;440’、540)によって誘導される電界の強度を、治療固有の磁束を発生させるための予め設定された値に直接的に制御するように適合されることを特徴とする、電極アセンブリシステム(20、120)。
【請求項2】
前記制御ユニット(50)は、充電された前記第1および第2の電極の極性を切り替えるように適合される、請求項1に記載の電極アセンブリシステム(20、120)。
【請求項3】
前記第1の電極はパッチ電極(240、440)であり、前記第2の電極は、負および正に帯電された前記第1および第2の電極によって生成された前記電界が、前記内臓(10、11)に亘る(55、155)ように、前記内臓(10、11)の他方の反対側に配置されるパッチ電極(340、440’)である、請求項1または請求項2に記載の電極アセンブリシステム(20、120)。
【請求項4】
前記第1の電極はコイル電極(30、540)であり、前記第2の電極はパッチ電極(140、440)であり、前記第1の電極(30、540)は、前記内臓(10、11)の液体の管の内側に配置されることになり、前記第2の電極(140、440)は、負および正に帯電した前記第1および第2の電極によって生成された前記電界が前記内臓浮腫部分に亘るように、前記内臓(10、11)の外側に配置されることになる、請求項1または2に記載の電極アセンブリシステム(20、120)。
【請求項5】
前記第1の電極はコイル電極(30)であり、前記第2の電極はコイル電極(40)であり、前記第1の電極(30)は、前記内臓(10)の液体の管の内側に配置されることになり、前記第2の電極(40)は、負および正に帯電した前記第1および第2の電極によって生成された前記電界が前記内臓浮腫部分に亘るように、前記内臓(10)の液体の管の内側に配置されることになる、請求項1または2に記載の電極アセンブリシステム(20、120)。
【請求項6】
前記制御ユニット(50)が、前記内臓浮腫の場所での前記電界の前記強度を制御するために、負および正に帯電した前記第1および第2の電極の前記電荷を制御するように適合される、請求項1から5のいずれか一項に記載の電極アセンブリシステム(20、120)。
【請求項7】
前記制御ユニット(50)は、前記電界の前記強度の予め設定された前記値がユーザによって設定され、かつ/または前記制御ユニット(50)に入力されることを可能にするように構成され、
前記制御ユニット(50)は、前記電界の前記強度を前記電界の前記強度の予め設定された前記値に自動的に制御するように構成され、かつ/または
前記制御ユニット(50)は、外部の影響とは無関係に、前記電界の前記強度を前記電界の前記強度の予め設定された前記値にして維持するように構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の電極アセンブリシステム(20、120)。
【請求項8】
前記第1の電極および前記第2の電極がそれぞれ電気絶縁シースを有し、好ましくは、前記電気絶縁シースが、シリコーン、サーモプラスト、PEEK、PHAおよびPHBを包含する群から取得される材料を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の電極アセンブリシステム(20、120)。
【請求項9】
前記電極が体外に配置され、好ましくは前記電極が前記皮膚外面と物理的に接触して配置され、より好ましくは前記電極が前記皮膚面に取り付けられまたは接着され得る、請求項1から8のいずれか一項に記載の電極アセンブリシステム(20、120)。
【請求項10】
電界を誘導することによって内臓浮腫の治療のために浸透圧様および/または電気泳動様の効果を誘導するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の電極アセンブリシステム(20、120)の使用であって、前記電極アセンブリの前記制御ユニット(50)が、前記第1の電極(30;240;440)および前記第2の電極(40、140;340;440’、540)によって誘導される電界を治療固有の磁束を発生させるための予め設定された前記値に直接的に制御するために、ユーザによって前記電界の前記強度の値に設定され、前記電界の強度の予め設定された前記値は、好ましくは、外部の影響とは無関係に前記制御ユニットによって引き起こされ維持される、使用。
【請求項11】
2つのパッチ電極と制御ユニットとを含む電界送達電極システムを使用して内臓浮腫を治療するプロセスであって、前記2つのパッチ電極は、前記内臓の前記外面の2箇所に配置され、前記2つのパッチ電極は前記制御ユニットに接続され、前記制御ユニットは、電気浸透および/または電気泳動を誘発するために前記電極間に電界をもたらすように適合される、プロセス。
【請求項12】
パッチ電極、コイル電極および制御ユニットを含む電界送達電極システムを使用して、内臓浮腫を治療するプロセスであって、前記パッチ電極は、前記内臓の前記外面に配置され、前記コイル電極は、前記内臓の液体搬送管内に配置され、前記パッチ電極および前記コイル電極は、前記制御ユニットに接続され、前記制御ユニットは、電気浸透および/または電気泳動を誘発するために前記2つの電極間に電界をもたらすように適合され、任意選択的に、前記パッチ電極は、心臓の心外膜側の前記心臓に対して配置され、前記コイル電極は、前記心室腔内側の前記心臓に対して配置される、プロセス。
【請求項13】
2つのコイル電極を含む電界送達電極システムを使用して内臓浮腫を治療するプロセスであって、前記2つのコイル電極が前記内臓内の異なる液体搬送管内に配置され、前記2つのコイル電極がそれぞれ前記制御ユニットに接続され、前記制御ユニットが前記2つの電極間に電界を送達して電気浸透および/または電気泳動を誘発するように適合され、任意選択的に、前記2つのコイル電極の一方が冠状静脈洞に配置され、前記2つの電極の他方が右心室腔または左心室腔に配置される、プロセス。
【請求項14】
前記内臓浮腫が、心筋浮腫または腎臓の浮腫または肝臓の浮腫であり、前記電気浸透および/または電気泳動が、前記内臓浮腫を除去されるまで減少させるために生成され、前記電気浸透および/または電気泳動の効果が、前記電極から運び去られる前記電極での浮腫流体の蓄積および/または前記電界によって誘発されるリンパ管のリンパの流れの増加を含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の内臓浮腫を治療するプロセス。
【請求項15】
前記制御ユニットが、所定の時間間隔で前記電極の極性を切り替えるように構成され、好ましくは、前記所定の時間間隔が、10分~3ヶ月間、特に12時間~7日間の間隔を含む、請求項11から14のいずれか一項に記載の内臓浮腫を治療するプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気浸透および/または電気泳動のような電気運動法によって、内臓浮腫の治療プロセス内で電界を送達することによって、内臓浮腫を治療用の電界または電圧送達電極アセンブリシステムに関し、電極アセンブリシステムは、2つの電極を備え、2つの電極は、内臓の上または近くの2つの場所、または臓器の一部としてもしくは内臓の液体搬送管内に配置される。本発明はまた、電界を誘導することによって内臓浮腫の治療用の電気運動様効果を誘導するためのそのようなシステムの使用に関する。さらに、本発明は、このようなシステムを用いた内臓浮腫の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
臓器の原発性または続発性疾患、急性または慢性感染症、または臓器への血液供給の減少は、罹患している臓器の浮腫に関連することが多く、これは臓器の機能を重度に損なう可能性がある。心臓では、これは、身体のすべての臓器に影響を及ぼすポンピング機能の制限の形態で特に明らかである。したがって、内臓浮腫は、以下の先行技術文献に記載されているような心筋浮腫に関連するが、特定の内臓を挙げると、腎浮腫または肝浮腫にも関連する。心臓のポンピング機能の低下は、典型的には、他の従属的な臓器(例えば、肝臓、腎臓)における血液の鬱血をもたらし、これは、これらの臓器に浮腫を与える。これらの臓器における浮腫の程度は、心機能障害の重症度に依存する。臓器浮腫はまた、臓器特異的疾患(例えば、腎臓または肝臓の疾患)、例えば腎臓症候群または肝臓の炎症における心臓のポンピング機能の低下とは無関係に起こり得る。
【0003】
http://circres.ahaiournals.org DOI:10.1161/CIRCRESAHA.117.311494のTada YukoとPhillip C.Yangによる記事「Myocardial Edema on T2-Weighted MRI-New Marker of Ischemia Reperfusion Injury and Adverse Myocardial Remodeling」は、心筋梗塞の患者の体内で問題があるとして、心筋浮腫を特定し、そのための新しいマーカーを示唆している。具体的な治療は言及されていない。
【0004】
Matthias G.Friedrichによるhttp://circimaging.ahaiournals.org DOI:10.1161/CIRCIMAGING.117.006062の論文「Why Edema Is a Matter of the Heart」は、(心臓の磁気共鳴のための)浮腫感受性CMRに基づく、心筋浮腫と心筋梗塞との間の重要な関係、および急性心筋梗塞と遠隔心筋梗塞とを区別する可能性を説明している。
【0005】
European Society of Cardiologyによる編集のEuropean Journal of Heart Failure,vol.2018において、Thomas M.Gorterは、827~828ページの編集者へのレター「Myocardial oedema and congestive heart failure:one piece of the puzzle? Reply」において、心不全との関連性を考慮すると、心筋浮腫は研究にとって興味深いトピックであると述べられている。
【0006】
European Heart Journal-Cardiovascular Imaging(2017)18,pp 787-794 doi:10.1093/ehjci/jew131における、Frederik H.Verbruggeらによる「Global myocardial oedema in advanced decompensated heart failure」では、定量的T2マッピングを用いた心臓磁気共鳴(CMR)イメージングを使用して、患者の心筋含水量を同定し、鬱血除去療法による変化を評価することができることが開示されている。
【0007】
RanjeetM.Dongaonkarらは、Cardiovascular Research(2010)87,pp331-339 doi:10.1093/cvr/cvq145の「Myocardial microvascular permeability,interstitial oedema,and compromised cardiac function」において、心臓の不安定性の中の一般的な病態として心筋浮腫の関連性を示している。それは、心筋浮腫の解消が正常な心機能を回復させないと明記している。全身の血液希釈を回避することによる心停止を伴う心筋浮腫の解消が報告されている。
【0008】
Maekawa H,Toda G.Nihon Rinsho(2005);63(1):80-84)は、肝機能に対する肝臓での水の貯蔵(浮腫)の悪影響を記載している。
【0009】
同様に、Siddall ECおよびRadhakrishnan J.(The pathophysiology of edema formation in the nephrotic syndrome.Kidney int.2012;82(6):635-642.doi:10.1038/ki.2012.180)は、腎症候群で起こるため、腎臓における浮腫の重要性を記載している。
【0010】
既知の電極アセンブリシステムの例として、国際公開第2017/021255号パンフレットは、第1および第2の電極が電気的に接続される2つの植込み型電極および制御回路を有する植込み型直流電極アセンブリを記載しており、電極の1つは、三尖弁と、三尖弁間と右心室の心尖部内または心尖部の周りの領域にある右心室腔の内側にある右心室の心尖部との間の距離によって予め決定される最大の長さを有するコイル電極であり、対の電極は、冠静脈洞のコイル電極または左心室の外側(左心室の心外膜)に取り付けることができるプレート電極であり得る。ここで、制御回路は、2つの電極間に直流電流が流れるように2つの電極間に電位差を確立するように特に設計されており、制御ユニットは、電極間の電位差を調整することによって所望の直流電流を直接設定し、フィードバック制御する。
【0011】
先行技術のさらなる例として、米国特許出願公開第2008/0195163号明細書は、治癒のプロセスが罹患している臓器で励起されることを可能にすることによって臓器を治療および監視するための電気医療用植込み型または体外適用可能装置を記載しており、装置は、電源ユニットと、微小電流および電磁電力を生成および受信し、電極に導通するように接続されたプログラム可能な発電機および受信機ユニットと、発電機および受信機ユニットに統合され、体外装置とデータを交換するための送信機および受信機を備えたテレメトリユニットとを備える。そこでは、所望の電流の形態および周波数が選択され、発電機および受信機ユニットによって微小電流および電磁電力が直接的に制御される。
【0012】
しかしながら、これらの既知の従来技術の装置および方法のすべては、治療のために罹患した内臓または液体搬送管に印加される電流または微小電流を直接的に制御するが、これらの既知の従来技術の装置および方法のいずれも、罹患した内臓または液体搬送管に電界を印加し、それらを直接制御するという考えを考慮すらしていなかった。
【発明の概要】
【0013】
上記の先行技術文献に基づいて、心筋浮腫を正確に同定するためにいくつかの方法が適用されるが、全身性血液希釈を回避すること、または内臓もしくは液体搬送管に印加される電流を直接制御することによる心停止の使用以外に、合理的な保存的治療は先行技術に開示されておらず、特に心筋の浮腫を特異的に減少させることができる方法は知られていないことが分かる。これに関して、内臓および特に心筋の水溶液含有量は非常に狭い範囲内で調節され、水溶液含有量のわずか数パーセントの増加は心臓の機能を著しく損なう可能性がある。また、分子機構を介して心筋の線維化をもたらす(TGF-βの増加)。
【0014】
したがって、本発明の目的は、非常に簡単な手段で、内臓浮腫、特に心筋浮腫を軽減することができるプロセスおよび電極アセンブリシステムを提供することである。驚くべきことに、内臓に、または内臓の液体搬送管内に設けられた2つの電極間に、数時間に亘って電界を印加すると、すぐに、例えば10分で腫脹(浮腫)が軽減し始め、電界の印加を数日、数週間、またはさらには長期間(慢性的に)、例えば3ヶ月または1年間まで維持すると、さらに有益な結果が現れることが分かった。したがって、10分~3ヶ月間または1年間、特に12時間~7日間の治療期間の幅が企図されている。
【0015】
液体搬送管は、血管またはリンパ系の管であり得る。
【0016】
プロセスが心筋浮腫を軽減するために使用される場合、電極は、右心室の内側、冠静脈洞の内側、左心室の外側、および/または右心室の外側を含む群から得られる位置で、心臓の上または近くまたは中に配置される。電極がどこに配置されているかにかかわらず(例えば、皮膚の接触の有無両者で、皮下または人体の外側であっても)、罹患した臓器を通る電界の線で電界が維持されることのみが関連する。好ましい実施形態では、電極は、その技術的設計を問わず、電極が生成する電界が対応する臓器の浮腫の減少をもたらすように配置される。そのような位置決めは、十分に当業者の技術的技能の範囲内であり、当技術分野で公知の技術によって監視することができる。
【0017】
内臓の外側に据え付けられた2つの電極が使用される場合、これらは平坦な電極(いわゆるパッチ電極)とすることができる。外側に据え付けられた電極と内側に据え付けられた電極とを組み合わせると、それぞれ平板電極およびコイル電極として実現できる。2つの内側に据え付けられた電極を使用する場合、それらは通常、コイル電極、またはコイル電極とパッチ電極との組み合わせ、あるいは2つのパッチ電極である。次いで、治療された臓器の体積部、すなわち電界が広がる領域は、通常、少なくとも1つの平坦な電極が使用される場合よりも小さいが、電界の密度は、円筒形コイル電極の周りでより強い。電界に亘る内臓の浮腫を軽減するための本発明による電極は、電極支持体と、電極支持体に埋め込まれた少なくとも1つの導電性電極の表面とを備え、電極の表面は、コンデンサの電極板に匹敵する電極を充電するために電線を介して制御部および電力供給ユニットに接続され、内臓、ならびに血管およびその内容物としての任意のさらなる介在要素は、プレート電極が身体の外側に設けられている場合、プレートの少なくとも1つが電気的に絶縁された状態で、2つの導電性プレートを分離する誘電体を設ける。
【0018】
電極の任意の所与の距離に対して電圧を制御/調整することによって、電界の所定の強度を維持することができる。したがって、本発明の一実施形態によれば、電界の強度は、2つの電極の互いの所定の距離に基づいて特定の電界の強度を生成するために、電圧を予め設定された値、好ましくは、達成されるべき電気浸透流および/または電気泳動流速に基づいて、例えばヘルムホルツ-スモルチョウスキー関係に従って計算されたまたは少なくとも大まかに推定された予め設定された値に設定することによって、直接制御される。したがって、一実施形態として、制御ユニットは、予め設定された値の電圧を生じさせることによって、電界の強度を直接制御するように、適合される。別の実施形態によれば、電界の強度は、電界の強度を予め設定された値に設定することによって直接制御される。したがって、異なる実施形態として、制御ユニットは、予め設定された値の電界の強度を生じることによって、電界の強度を直接制御するように適合される。電界は、特に、数日から始まる期間、すなわち24時間より長い期間、数週間および数ヶ月間維持することができる。続いて、スイッチの極性、および反対の電極の充電を設けることが可能であるが、必要ではなく、この場合、電極の極性は所定の時間間隔で切り替えることができる。例えば、10分~3ヶ月間、または12時間~7日間の間隔である。
【0019】
電流を調整することによって、または制御ユニットで電流の特定の値を設定することによって、間接的に電圧および/または電界を調整することが可能であり得る。この手法を使用すると、電流の特定の値は、このとき、患者、内臓、使用される医療機器の心筋組織の特定の抵抗(インピーダンス)および電気化学的境界条件、ならびに抵抗(インピーダンス)ならびに/または結果として生じる電圧および電界に影響を及ぼす、可能性のある動的変数に大きく依存する電圧および電界の値を引き起こす。したがって、電界の強度を調整するために電流を使用すると、電流を調整して特定の電界の強度に達する追加のステップが生じる。
【0020】
電界の印加は、電気浸透、電気泳動、または浸透様もしくは電気泳動様効果などの電気運動効果をもたらし、電気浸透流および/または電気泳動流は、溶液中の正味の移動電荷に対する電界によって誘導されるクーロン力によって引き起こされる。固体の表面と電解質溶液との間の化学平衡は、典型的には、正味の固定した電荷を得る界面をもたらすので、電気二重層またはデバイ層として知られる可動イオンの層が、界面付近の領域に形成される。
【0021】
水溶液液滴の分泌は通常カソードで起こるが、除去される液体(液体の電荷担体)の組成に応じて、液体はアノードでも分泌され得る。
【0022】
パッチ電極の場合、好ましくは電極表面によって囲まれたパッチ表面内に一方向弁を設けることが可能である。その結果、流体は、電極表面と有機組織の表面との間の接触に最も大きな悪影響を及ぼす点で排出される。
【0023】
好ましくは、このような一方向弁は、弁ダイヤフラムを有するダイヤフラム弁である。
【0024】
内部浮腫を軽減するプロセスは、本発明による電極間の電界を制御するためのステップを適用し、電極によって生成される電界の強度は、(所与の表面を通る電界の尺度としての)磁束が電極表面付近の所定の表面に対して所定の間隔内に維持されるように調整される。
【0025】
それは、電界の強度が電極の所与の距離における電圧の勾配に比例することから、このような磁束の選択に起因して、電極に所定の電圧を供給することにより、得ることができる。
【0026】
電界が所定の値の前後に調整されると、処理固有の磁束を設定することができ、これは所定の電気浸透および/または電気泳動効果をもたらすので特に有利である。
【0027】
電気浸透および/または電気泳動の流れは、印加される電圧および/または電界の強度に直接関連し、それに依存する。したがって、個々の患者に望ましい電気浸透流および/または電気泳動流の程度に直接影響を及ぼし、制御することを可能にするために、電圧および/または電界を直接制御することが有利である。これにより、個々の患者ごとに所望の適切な値を判定および計算し、治療の開始から所定の方法で前記値を適用することが可能になる。
【0028】
電流の特定の値を設定することなどによって電気浸透流および/または電気泳動流を制御する間接的な手段は、所望の電圧および/または電界の強度に達するのに必要な時間および追加の適合がいるために不利である。電流を直接制御するようにのみ適合された装置は、使用される医療機器などの外部要因、ならびに重量、保水量または組織内の水分量などの患者の状態に関する要因やその他に適合されなければならず、規定された電気浸透流および/または電気泳動流に到達することができない。そのような適合にはさらなる時間を要し、規定された治療が行われ得る前に実行するのは面倒で困難である。
【0029】
電圧および/または電界の直接的な制御を可能にする本発明のシステムは、したがって、電気浸透流および/または電気泳動流の直接的な制御を可能にする。したがって、本発明は、本発明者らの認識を利用した有利なシステムを提供する。
【0030】
この有利なシステムは、本明細書により出願される独立請求項1の主題であり、また本明細書により出願される請求項9に定義されるその使用である。
【0031】
さらに詳細には、電界を送達することによる電気運動効果、さらに詳細には電気浸透および/または電気泳動による内臓浮腫の治療のための電極アセンブリシステムは、第1の電極と、第2の電極と、制御ユニットとを備え、第1の電極および第2の電極は、制御ユニットに電気的に接続され、制御ユニットは第1の電極を負に、第2の電極を正に充電するよう適合され、制御ユニットは、第1の電極および第2の電極によって誘導される電界の強度を、治療固有の磁束を発生させるための予め設定された値に直接的に制御するように適合される。
【0032】
さらに、制御ユニットは、(a)電界の強度の予め設定された値がユーザによって設定され、かつ/または制御ユニットに入力されることを可能にするように構成され、(b)電界の強度を電界の強度の予め設定された値に自動的に制御するように構成され、かつ/または(c)外部の影響とは無関係に、電界の強度を電界の強度の予め設定された値にして維持するように構成される。
【0033】
最後に、そのような電極アセンブリシステムの既に述べた使用は、電界を誘導することによって内臓浮腫の治療のために電気運動様効果を誘導するためのものであり、電極アセンブリの制御ユニットは、第1の電極および第2の電極によって誘導される電界を治療固有の磁束を生成するための予め設定された値に直接的に制御するために、ユーザによって電界の強度の値に設定され、電界の強度の予め設定された値は、好ましくは、外部の影響とは無関係に制御ユニットによって引き起こされ維持される。
【0034】
セグメント化された電極の場合、例えば、コイル電極の異なる部分が互いに電気的に分離されているか、または平坦な電極が分離されて電気的に分離された電極表面になっている場合、制御ユニットは、磁束を内臓の隣接領域に集中させて、必要な電界を臓器の浮腫領域に維持し得ることを達成することができる。
【0035】
本発明による各電極は、正または負の電荷を受け取る電極として使用することができ、カソードは、最高量の水溶液が集められ、伝導される電極である。したがって、アノードが液体減少領域を設ける所で、内部浮腫の重要な減少効果が起こる。
【0036】
内臓浮腫の治療プロセスは、異なる電極システムを含み得る。それらは常に2つの電極および制御ユニットを備え、2つの電極は、2つのパッチ電極、1つのパッチ電極と1つのコイル電極との組み合わせ、または2つのコイル電極であり得る。2つの電極は、治療される内臓に対して2つの場所に配置されることになり、電極は制御ユニットに接続される。次いで、制御ユニットは、電気浸透および/または電気泳動を誘発するために、電界を発生させる電圧に所定の磁束を与えるように適合される。
【0037】
一実施形態では、2つのパッチ電極が設けられ、これらは片面電極であってもよく、または複数の分離されたセグメントを含む。次いで、パッチ電極は、心臓、腎臓または肝臓であり得る内臓の外面に据え付けられる。据え付けは、位置決めまたは取り付けを含むことができる。パッチ電極を患者の皮下または皮膚に接触する外側にのみ配置することも可能である。
【0038】
別の実施形態では、パッチ電極はコイル電極と組み合わされ、パッチ電極は内臓の外面に配置され、コイル電極は内臓の液体搬送管内に配置される。次いで、電界の磁力線が臓器を通って配置される。
【0039】
内臓が心臓である場合、パッチ電極は、好ましくは、心臓用に心臓の心外膜側に配置され、コイル電極は、心臓用に右心室腔の内側に配置される。電界線が心臓の浮腫部分を通って延びていることが、他に類を見ないほど重要である。純粋な電界の印加の利点は、電極をより柔軟に位置決めすることである。磁力線を強制的に心筋を横切るようにするために、コイル電極を心室の1つ(左または右)に配置することが好ましい。第2の電極は、必ずしも内臓に直接配置される必要はなく、例えば、心膜外もしくは皮下、または(理論的には)皮膚に配置することもできるが、これは、電界が肺も貫通し、電流がそれを好まないためである。
【0040】
内臓が腎臓である場合、パッチ電極は、腎臓のために腎動脈および腎静脈とは反対側の外側に配置され、コイル電極は腎動脈および腎静脈または腎盂の内側に配置される。心臓について述べたように、腎臓が皮膚の下に直接配置されているため、浮腫性腎臓の治療では、コイル電極を腎動脈または腎静脈に配置し、パッチ電極を皮下または皮膚の上にさえも配置することがまた可能である。さらに、腎臓の各々の平坦な面に、2つのパッチ電極を使用することができる。その後、腎臓はパッチ電極によって挟まれる。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、電極は、体外に、好ましくは患者の皮膚に物理的に接触して配置される。本発明の範囲内で、内臓の外表面上の場所は、皮膚の外表面の場所を含んでもよく、および/または内臓の外表面は皮膚の外表面を含んでもよい。
【0042】
前述の状態に加えて、心筋浮腫は、新たな心筋梗塞または急性心筋炎を有する患者における疾患のさらなる経過において重要な役割を果たす。心筋浮腫のために制御することができない心筋梗塞または心筋炎は、致命的な結果の可能性が高い。
【0043】
急性の状態では、罹患した内臓に電極を直接適用することは不可能であるため、これは外科的介入を必要とするので、軽微なものではあるが、電流をその固有の場または電界と共に(皮膚への物理的接触によって)経皮的に適用する電極が本明細書で想定される。
【0044】
体外に配置される電極は、内部(体内)の臓器に配置される電極と構造的に異なることは当業者には明らかである。したがって、本発明の1つの好ましい実施形態によれば、本発明の電極および/または本発明の電極アセンブリシステムは、その体外での適用を可能にするように適合される。一般に、本発明の電極のサイズは、治療される人の寸法に応じて選択され得る。好ましい実施形態では、体外に適用される電極はパッチ電極である。
【0045】
本発明による任意の使用のために、特に本発明による電極の外部または体外使用または適用のために、2×2cm(乳児用)から30×40cm(成人用)までの範囲のサイズ、および/または4cm2~1200cm2の表面積、またはその間の任意のサイズまたは表面積を有するパッチ電極を使用することができる。また、円形、楕円形、正方形、長方形および自由曲面を含む異なる形状または形態の電極を使用することができる。
【0046】
本発明の一実施形態では、皮膚に接触する電極は導電性であり、電流が流れることを可能にする。本発明の一実施形態では、皮膚に接触する少なくとも1つまたはすべての電極は電気的に絶縁されており、いずれの電流も流さずに電界を生成することができる。
【0047】
可能な限り少ないエネルギー損失での皮膚と電極との間の良好な移行を確実にするために、体外に適用された電極と皮膚との間に、外的な除細動に使用される物質と同様に、高い導電率を有するゲルまたは他の液体を適用することができる。
【0048】
抗浮腫療法は電極のより長い適用期間を必要とし得るので、本発明の一実施形態は、皮膚の表面に可逆的かつ直接固定され得る接着性電極を特徴とし、好ましくは接着剤自体が好ましい抵抗挙動を有する。好ましくは、体外電極の導電性表面は、電極が身体の輪郭に適合することができるように変形可能であるように設計される。
【0049】
一般に、導電性の電極表面は、電気エネルギー伝導ケーブルを介して、対応する電流および電圧を生成および送達することができる装置に接続することができる。
【0050】
最後に、内臓浮腫の治療プロセスはまた、2つのコイル電極を使用することができ、2つのコイル電極は、同じ内臓内の異なる液体搬送管内に配置される。次いで、電界は、コイル電極が配置されている臓器のコア部分の間で主に制限される。
【0051】
心臓への適用におけるこの実施形態の範囲内では、2つのコイル電極の一方を冠静脈洞に配置することができ、2つの電極の他方を右心室腔または左心室腔に配置することができる。
【0052】
上述のように、治療される内臓浮腫は、心筋浮腫または腎臓の浮腫または肝臓の浮腫であり得る。
【0053】
電気浸透および/または電気泳動は、内臓浮腫の除去まで減少させるために生成される。心筋浮腫、または心筋間質における体液の過剰な蓄積を伴う他の内臓における浮腫は、冠動脈微小血管系からの濾過、リンパ管を介した間質液の除去、および心外膜漏出の間に不均衡がある場合に生じる。
【0054】
電気浸透効果は、電極から運び去られる(漏出)電極での浮腫流体の蓄積を含む。さらに、電気浸透および/または電気泳動の効果は、リンパ系が過剰な流体をより迅速に除去することができるという点で見出されるべきである。
【0055】
制御ユニットは、所定の時間間隔で電界の極性を切り替えるように構成されるようにすることができる。そのような所定の時間間隔は、10分~3ヶ月の間隔を含むことができる。プロセス全体は、数日から数ヶ月まで、または長期的でさえある治療期間を含むことができる。同様に、電界による治療は、任意の間隔で中断することができる。これは、装置が任意の間隔でオフになり、その後再び自動的にオンになることを意味する。間隔は、数分、数時間、数日、数週間または数ヶ月であり得る。
【0056】
本発明のさらなる実施形態は、従属請求項にて規定されている。
【0057】
電界の印加は、説明したように導電性表面を有する電極が、例えば液体の管または内臓に配置される場合、pHのシフトを生じる電気分解およびガスの生成を伴うことに留意されたい。このような電気分解は、電極の少なくとも1つが絶縁されている場合、例えば絶縁材料で被覆されており、電極間の絶縁および空間が誘電体として作用する場合には起こらないか、大幅に減少する。電界の力は小さく、可能な電流は低く、電極は白金または白金イリジウム合金で作られる(または正の電気化学電圧が高い別の金属で作られる)ことが好ましいため、効果は限定的である。病的な炎症を起こした臓器または心臓がしばしばわずかに低いpHを示すため、pHのアルカリ性へのシフトが患者の再生に正の効果をもたらし得ることさえある。ガスの発生は、アノードで行われ、アノードは、好ましくは流れている血液(血管内)または流れているリンパ液(リンパ管内)にて生じる。液体は、気体を溶解することができる。発生したガスは、特にCl2であり、これは、その形成直後に、生理学的であり、したがって無害な結合を形成する。
【0058】
本発明は、2つの電極と制御回路とを備える電極アセンブリをさらに備え、第1および第2の電極は制御回路に電気的に接続され、制御ユニットは、特に直流または電圧のパワーによって、第1の電極を負に帯電させ、第2の電極を正に帯電させるように適合される。
【0059】
電極アセンブリは、好ましくは、充電された第1および第2の電極の極性を切り替えるように適合された制御ユニットを有する。
【0060】
電極アセンブリは、負および正に帯電した電極によって生成された電界が内臓に亘るように、内臓に互いに対向して配置される2つのパッチ電極を含むことができる。
【0061】
電極アセンブリは、1つのコイル電極およびパッチ電極との混合配置を有することができ、コイル電極は、内臓の液体の管の内部または心臓の内部に配置され、パッチ電極は、負および正に帯電した電極によって生成された電界が内臓浮腫の部分に亘るように、内臓の外部に配置される。
【0062】
電極アセンブリは、心臓の内側または内臓の異なる液体の管の両方に配置される2つのコイル電極を有することができ、それにより、負および正に帯電した第1および第2の電極によって生成された電界が、特に2つの液体の管の間の内臓浮腫の部分に亘る。
【0063】
電極アセンブリの制御ユニットは、負および正に帯電した第1および第2の電極の電荷を制御して、内臓浮腫の場所での電界の強度を経時的に制御するように適合させる、すなわち治療中の電界の強度を適合させることができる。
【0064】
特に好ましい実施形態によれば、電極アセンブリの制御ユニットは、ユーザによって設定された値に従って、治療中の電界の強度または電圧の量を直接制御するように適合され、好ましくは、制御ユニットは、次いで外部の影響とは無関係に制御ユニットによって引き起こされ維持される特定の値が、ユーザによって入力され得るように、電極アセンブリによって引き起こされる電界または電圧の強度を自動的に制御する。
【0065】
外部の影響は、好ましくは、各患者および/または内臓の固有の抵抗(インピーダンス)および電気化学的境界条件に関する差、電界もしくは電圧を生成するために使用される機器、または治療中の抵抗(インピーダンス)値の動的変化を含み得る。
【0066】
電極アセンブリは、導電性表面が周囲組織と接触しているか、または治療される内臓の液体の管にあるという従来の意味で、電極を含むことができる。
【0067】
電極アセンブリは、事実とは無関係に、2つのパッチ電極、2つのコイル電極または1つのコイル/1つのパッチ電極を含む場合、第1の電極および第2の電極を設けることができ、一方または両方が電気絶縁シースを有することができる。電気絶縁シースは、好ましくは、制御ユニットにつながる電線まで電極を完全に取り囲む(およびそれらも包含する)。そのような電気絶縁シースは、シリコーン、サーモプラスト、PEEK、PHAおよびPHBを包含する群から取得される材料を含むことができ、すなわち、これらおよびさらなる材料のうちの1つ以上を使用するが、また例えばシリコーンまたはPEEKなどのこれらのうちの1つのみからなることもできる。次いで、内臓浮腫の治療での効果は、電極に印加される電圧(電界)および電荷、ならびに内臓の依存性、ならびに体液、血管、臓器組織、および場合によっては皮膚単独としての電極間のさらなる身体材料に基づく。絶縁された電極間のこのように直接的に制御された電界は、依然として、改変された電気浸透または電気泳動効果、すなわちリンパ流の増加の効果をもたらし、これは内臓、例えば心臓、肝臓または腎臓の浮腫を減少させる。
【0068】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の言及を含む。同様に、「備える」、「含有する」、および「包含する」という単語は、排他的ではなく包括的に解釈されるべきである。すなわち、「含むが、限定されない」という意味である。同様に、「または」という単語は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、「および」を含むことを意図している。「複数」、「多重」、または「多数」という用語は、2つ以上、すなわち整数倍で2または>2を指し、「単一」または「唯一」という用語は1、すなわち=1を指す。さらに、「少なくとも1つ」という用語は、1つまたは複数、すなわち同じく整数倍で、1または>1として理解されるべきである。したがって、単数または複数を使用する単語は、それぞれ複数および単数も含む。さらに、「本明細書に(herein)」、「上記(above)」、「以前に(previous)」および「以下(below)」という単語および同様の意味の単語は、本願で使用される場合、本願全体を指すものとし、本願のいずれかの特定の部分を指すものではない。
【0069】
さらに、特定の用語は、便宜上使用され、本発明を限定することを意図していない。「右(right)」、「左(left)」、「上(up)」、「下(down)」、「下(under)」、および「上方(above)」という用語は、図での方向を指す。用語は、明示的に言及された用語ならびにそれらの派生語および類似の意味を有する用語を含む。また、「真下」、「下方」、「下部」、「上方」、「上部」、「近位」、「遠位」などの空間的に相対的な用語は、図に示すように、1つの要素または特徴と別の要素または特徴との関係を説明するために使用することができる。これらの空間的に相対的な用語は、図に示す位置および向きに加えて、使用中または動作中の異なる装置の位置および向きを包含することを意図している。例えば、図の装置がひっくり返された場合、他の要素または特徴の「下方」または「真下」と記載された要素は、そのとき、他の要素または特徴の「上方」または「上」にあることになる。したがって、例示的な用語「下方」は、上方および下方の両方の位置および向きを包含することができる。装置は、他の方向に向けられ(90度または他の向きに回転され)てもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は適宜解釈される。同様に、様々な軸に沿ったおよびその周りの移動の説明は、様々な特別な装置の位置および向きを含む。
【0070】
様々な態様および例示的な実施形態の図および説明における繰り返しを避けるために、多くの特徴が多くの態様および実施形態に共通であることを理解されたい。本開示の特定の実施形態の説明は、網羅的であること、または本開示を開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。本開示の特定の実施形態および例は、例示目的のために本明細書に記載されているが、当業者が認識するように、本開示の範囲で様々な同等の修正が可能である。任意の前述の実施形態の特定の要素は、他の実施形態の要素と組み合わせるか、または置き換えることができる。さらに、本開示の特定の実施形態に関連する利点をこれらの実施形態の文脈で説明してきたが、他の実施形態もそのような利点を示すことができ、すべての実施形態が、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲に入るために、そのような利点を必ずしも呈する必要はない。説明または図から態様が省かれていることは、その態様が、その態様を組み込む実施形態から欠落していることを意味しない。代わりに、明確にするために、また冗長な説明を避けるために、態様が省かれている場合がある。この文脈において、以下がこの説明の残りの部分に適用される。つまり、図面を明確にするために、図面に参照符号が含まれている場合、その符号は説明の直接関連する部分では説明されておらず、そのため、前または後の説明セクションに参照されている。さらに、明確にするために、図面のセクションにおいて、部分のすべての特徴に参照符号が付されていない場合、同じ図面の他のセクションを参照する。2つ以上の図における同様の番号は、同じまたは同様の要素を表す。
【0071】
以下の例は、本発明の様々な特定の実施形態を説明することを意図している。したがって、以下で論じられる特定の変更は、本発明の範囲に対する限定として解釈されるべきではない。本発明の範囲から逸脱することなく、様々な均等物、変更、および修正を行うことができることは当業者には明らかであり、したがって、そのような均等な実施形態が本明細書に含まれるべきであることを理解されたい。本発明のさらなる態様および利点は、図に示される特定の実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0072】
本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して以下に説明するが、これらは、本発明によるプロセスを実行するための装置のこの好ましい実施形態を例示することを目的としており、本発明を限定することを目的としていない。
【
図1】内臓としての心臓における電極の2つの内部電極の配置(2つの内部コイル電極)を示している。
【
図2】心臓内外の電極の混ざった(1つの内部コイル電極、1つの外部パッチ電極)配置を示す。
【
図3】使用中の本発明による外部心臓表面の電極の2つの外部電極(セグメント化された電極を有する外部パッチ)の配置を示す。
【
図5】使用中の本発明による腎臓外表面の電極の2つの外部電極(単一電極を有する外部パッチ)の配置を示す。
【
図6】腎臓内外の電極の混ざった(1つの内部コイル電極、1つの外部パッチ電極)配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0073】
図1は、本発明の第1の例示的な実施形態による電極アセンブリ20を有する心臓10の概略図を示す。植込み型電極アセンブリ20は、通常、電源用のバッテリが同様に設けられる別個のハウジングに配置された、2つの植込み型電極30および40と、制御回路50とを備える。
【0074】
2つの電極30および40は、2つの単導体ケーブル51および52を介して制御回路50に接続されている。
【0075】
制御回路50は、これらの電極30と40との間に電界が発生するように、2つの電極30と40との間に電位差を確立するように設計されている。
【0076】
一方の電極30は、右心室に位置決めするために設けられた心室の電極であり、コイル電極として設計されている。したがって、それは以下では心室コイル電極30と呼ばれる。シースを画定する一方の導電性金属シース表面またはコイル表面によって画定される心室コイル電極30の長さは約4から10センチメートルであり、右心三尖弁を通過した後に右心室の全長を可能な限り満たすように設計されている。ここで、心室コイル電極30は、右心室へと緩く配置されているが、右心室の壁に接触することができる。電極が右心室(肺動脈弁)の流出路に落ちるのを防ぐために、電極は、その先端で能動的に(スクリューによって)固定されるか、または右心室の小柱状の網目構造に引っ掛かる右心室の先端の突起物で受動的に固定され、したがって電極の先端を固定する。
【0077】
図1および
図2より、電極30は右心室内で自由に浮遊しているように見える。しかしながら、図面が概略的な二次元描写であるため、これが明らかに当てはまっているにすぎない。一般に、電極30は心室の壁に入れ子になる。これは、
図2の描写において、そこでは見えない後壁であり得る。電極30は、長手方向軸に対して30度未満になるこれらの緩やかな曲率を採用するために可撓性である。
【0078】
図1の他方の電極40は、冠静脈洞に配置するために設けられた冠静脈洞電極であり、同様にコイル電極として設計されている。この冠静脈洞コイル電極40は、その後、冠静脈洞の狭窄端領域に位置するようにするために冠静脈洞内にまで前進されることが意図されているため、心室コイル電極30よりも小さい直径を有する。したがって、この電極は、血管壁によって実質的に予め規定された位置にあり、この位置は、外科医がそれを長手方向に前進させることによって別途確立する位置である。
【0079】
2つの電極30および40が、環境から絶縁された取り付けワイヤまたはケーブル51、52を介して制御回路50によって所定の電圧に接続されると、心筋を通る矢印55に従って非常に概略的に示される電界線によって電界が生成される。当然ながら、電界線は一方の電極から他方の電極へと直接延びている。制御回路によって予め決められる方法で、電極30は、数分から長期までの所定の時間、カソードとすることができ、それによって電界の方向が予め規定される。次いで、制御回路は、対応する所定の時間後に電圧の極性を切り替え、電界の方向を変更することができ、それによって電極40がカソードになる。2つの電極30と40との間の体積の誘電特性は電界の方向に依存し得るので、磁束の強度も変化し得る。さらなる例示的な実施形態では、制御装置は、均一な所定の値で電気束を制御する。
【0080】
図2は、本発明の第2の例示的な実施形態による電極アセンブリ120を有する心臓10の概略図を示す。植込み型電極アセンブリ120は、2つの植込み型電極30および140と、制御回路50も備える。
【0081】
同一の特徴には同一の参照符号が付されており、同様の特徴には対応して同様の参照符号が付されている。
【0082】
制御回路50は、
図1で説明したのと同じように設計することができる。2つの電極30および140はまた、2つの単導体ケーブル51および52を介して制御回路50に接続されている。
【0083】
制御回路50はまた、ここでは、2つの電極30と140との間に電界を確立するように設計されており、電気浸透および/または電気泳動効果が、数分、例えば5分から数日、例えば3日間またはさらには長期的に、これらの電極30と140との間に、所定の時間存在することができる。
【0084】
一方の電極30は、ここでも心室の電極であり、右心室に位置決めするために設けられ、コイル電極として設計されている。したがって、それはまた、ここで心室コイル電極30と呼ばれる。シースを画定する一方の導電性金属シース表面またはコイル表面によって画定される心室コイル電極30の長さは約4から10センチメートルであり、右心弁(三尖弁)を通過した後に、長手軸で、右心室の全長を可能な限り満たすように設計されている。ここで、心室コイル電極30は、右心室の中に緩く配置され、遠位端に受動的に固定され、心室または中隔の壁に当接することができる。電極が右心室(肺動脈弁)の流出路に落ちるのを防ぐために、電極は、その先端で能動的に(スクリューによって)固定されるか、または右心室の先端の突起物で受動的に固定される。
【0085】
他方の電極140は、心外膜、心膜、または心外膜に近接して(例えば、皮下でさえも)配置するために設けられた表面電極(パッチ電極)である。これは、例えば、米国特許出願公開第2008/0195163号明細書の教示に従って設計することができる。この表面電極140は、右心室に心外膜的に対向する、心筋の左側に適用される。
【0086】
環境から絶縁された取り付けワイヤまたはケーブル51、52を介して制御回路50によって2つの電極30および140に電位差が与えられると、非常に概略的に、心筋を通る矢印155に従った方向に、磁力線によって、電界が生成される。これらの電界線は、ここでは、磁力線が出現し、コイル電極30の実質的に長手方向に配向された表面の実質的に長手方向の面から、表面電極140に向かって広がり、したがってファンを横切って掃引するので、磁力線のおおよその方向を本質的に示す2つの矢印によって、表されている。物理的に見て、電界線の主要な部分はプリズムの内部にある、すなわち、(プリズムの)縁部からパッチ電極のその基部まで進行する。
【0087】
プリズムは、定義では、その側縁が平行で長さが等しく、多角形を底面とする幾何学的立体である。これは、当平面にない直線に沿った平面の多角形の平行移動から生じ、したがって特殊な多面体である。ここで、直線は、コイル電極30の長手軸によって規定され、多角形は、コイル電極30を頂点とし、表面電極(パッチ電極)140の幅に対応する底辺を有する三角形である。表面電極140のこれらの側縁141がコイル電極の向きと平行にならない場合、それは回転されたプリズムである。すべての場合において、2つの電極30および140は、無視できない空間立体を画定し、これは、電界が同様に、左心筋の無視できない副次的な領域を通り、右心筋のわずかに少ない程度まで及ぶことを保証する。プリズムとして電界が実質的な強度を有する立体の形状を説明すると、近似となる、なぜなら、これから、電極は自由に浮動せず、代わりにその遠位先端に受動的に固定され、次いで心室の壁に当接すると仮定することができるからである。そのとき、立体の境界線は確実に直線ではなく湾曲しており、定義された立体は、そのときプリズムとして大まかにのみ得られる。しかし、重要なのは、コイル電極によって形成される一方の側の「縁部」が狭く、パッチ電極によって形成される他方の側の「幅広の底面」である。
【0088】
図3は、2つのパッチ電極240および340を示し、これらはライン51および52によって制御および電源ユニット50に接続されている。ここでは、パッチ電極240、340自体が分割された電極240、340となっている。これは、各電極240または340が、
図3においてより小さい長方形として示されている複数の電極セグメント241または341であるか、またはそれらを含むことを意味する。
【0089】
臓器10は心臓であってもよいが、臓器10は、電極240および340が適用された腎臓であってもよい。他の実施形態では、それは肝臓であり得る。
【0090】
電極240または340は、任意選択的に、開口部72と、内臓の遠い側の開口部72を覆うダイヤフラム73とを本質的に備える少なくとも1つの一方向弁70を備える。一方向弁70の概略的な断面図を
図4に示す。ダイアヤラムは、例えばシリコーン製である。一方向弁70は、電極表面75内に位置している。
【0091】
図1、
図2または
図3に関連して記載されているような器具は、内臓、ここでは心臓の組織に適用される時間または日数として、所与の時間に亘って定義された極性を有する一定の電界を設ける。この電界は、内臓、ここでは心臓に直ちにまたは少なくとも極めて速く作用する。
【0092】
極めて速いとは、電界が印加されてから数分以内に改善の最初の徴候が現れ始めることを意味する。患者がより高い幸福感を示しているという事実と無関係に、心エコー検査を使用して、最初の陽性徴候として心室の大きさの縮小を非常に迅速に客観化することができる。この短期間では、この即時の改善は、心筋組織における分子生物学的な過程によって説明することができない。改善は、例えば水などの水溶液が浸透的に(例えば、湿った壁を乾燥させるために、または化粧品に使用される)輸送されるプロセスである電気浸透、および/またはタンパク質、電解質、もしくは分子などの荷電成分が輸送されるプロセスである電気泳動に起因する。
【0093】
罹患している臓器は常に、炎症している臓器でもあり、炎症は常に、浮腫に関連すると仮定することができる。心臓に関して、これは、心筋を膨潤させ、それらの圧送機能を制限する流体の細胞内および/または細胞外過剰(浮腫)があることを意味する。電界または電圧を印加することにより、電気運動様効果、すなわち浸透圧様および/または電気泳動様の効果が誘導され、それによって水溶液が心筋から抽出され、これは浮腫によって拡大し膨張し、リンパ系の流れが増加し、心間質が排水される。
【0094】
このような心筋の排液、すなわち心筋浮腫の減少は、生物において監視することが困難であり得るが、本発明の発明者らは、その後の心機能の改善が、電気浸透および/または電気泳動として知られる効果に実質的に基づくことを見出した。
【0095】
この効果は、他の内臓にも伝達可能であり、流体(浮腫)の細胞内および/または細胞外での過剰が細胞の機能の制限をもたらし、したがって全体として臓器の機能を低下させている。一般に、リンパ管は、浮腫を除去し、電気浸透によって刺激される輸送経路の1つ、または最も重要な輸送経路であるので、記載された浮腫に罹患した臓器または管の液体の排出は、リンパ排出とも呼ばれ得ることが指摘される。
【0096】
この現在説明されている機能は、人体がいわゆるイオン伝導体であるという洞察に基づいている。電界は、主にイオンの移動(電気運動)、すなわち負に帯電したアニオン(例えば、CI-、CO2-など)のアノードへの移動および正に帯電したカチオン(例えばNa+、Mg++など)のカソードへの移動を引き起こす。電気化学反応は、金属(電極だけでなく金属異物)で起こる。タンパク質画分の移動、すなわち電気泳動、およびカソードの方向への水溶液のシフト、すなわち電気浸透が、印加された電界で起こり、すなわち漏出が引き起こされる。
【0097】
また、知られているように、心筋組織の液体含有量を調節する最小の管は毛細血管である。これに関して、毛細血管および他の管も同様に、管の壁の流体および他の物質への透過性を制御し、健康な状態のときに強い負電荷を示す、グリコカリックスと呼ばれる層で裏打ちされていることが指摘される。
【0098】
しかしながら、例えば疾患などによってこの負電荷が妨害された場合、管の透過性が増加する可能性があり、より多くの流体および他の物質が管から漏出する可能性があり、その結果、心筋の浮腫が発生する。上記の効果に加えて、印加された電界によってグリコカリックスの電荷を回復させることができ、それによって浮腫の減少、ひいては心機能の改善を支援する。
【0099】
上記の効果は、2つの内部コイル電極、1つのコイル電極および1つのパッチ電極、または左心室および右心室のような内臓の対向する部分に適用される2つのパッチ電極による適用とは無関係である。
【0100】
これは、問題の臓器の血管系またはリンパ系の電極を用いて達成することができる。
【0101】
これは、本明細書に記載の任意の電極の構成によって生成された固有の電界を有する適切な電界または電流に、罹患している臓器または臓器の一部および血管系、特に血管系の毛細管をさらすことによって、さらに達成することができる。したがって、罹患している臓器の一部として、リンパ系は、場または電流に同時にさらされ、増加し加速されたリンパの流れにより応答する。
【0102】
図面
図1~4は、適用時の心臓のみを示しているが、同様のコイル電極を肝臓および/または腎臓の治療に使用することができる。それらは血管またはリンパ系で使用することができる。平坦な電極を肝臓または腎臓の上または近くに配置することができ、平坦な電極は臓器の主に反対側にあり、それにより、電界およびその磁力線は臓器を通過する。これは、皮下または人体の外部から行うこともできる。
【0103】
上記の浸透圧様効果および/または電気泳動効果が、浮腫の罹患している臓器または管に印加される電界を直接制御することによって達成される臨床的成功の例として、以下の結果が報告されている(Kosevic,D et al.(2021).Cardio-microcurrent device for chronic heart failure:first-in-human clinical study.ESC heart failure.10.1002/ehf2.13242)。
【0104】
そこに報告されている研究に含まれる患者の平均は、29歳から67歳までの年齢群のニューヨーク心臓協会(NYHA)のクラスIIIの非虚血性患者であり、ボディマス指数が22.5から35.9であり、心不全の病歴を有し、左心室駆出率(LVEF)が特に顕著に減少し、6分間歩行が約250m未満である。「6分歩行試験」または「6MWT」は、米国胸部学会によって、有酸素能力および持久力を評価するための準最大運動試験の形態の信頼できる指標として開発されており、患者の6分という時間に亘った歩行距離が、能力の変化を比較するための転帰として使用される。ここで、平均的な患者(前述)は、入院時に約170~約250m、14日後に約350~約450m、および6ヶ月の装置の使用後に約370~約470mを達成し、さらに、NYHAによる平均的な患者の分類は、この期間の後に大幅にあまり決定的ではないクラスに改善された。
【0105】
図5は、使用中の本発明による外部腎臓表面の電極の2つの外部電極(単一の電極を有する外部パッチ)の配置を示す図である。象徴的な中央大動脈または腎静脈13がある2つの腎臓11が存在する。尿管12は、腎臓11を人の膀胱とつなげる。パッチ電極440は、一方の腎臓11の外側に位置している。第2のパッチ電極440’(第1のパッチ電極440と同じ排出)は、腎臓11の反対側に配置されている。したがって、腎錐体17、腎杯16および腎盂18を伴う腎臓の中核部分は、2つのパッチ440とパッチ440’との間に位置する。
【0106】
平坦な電極パッチ440および440’は、それぞれ接続ライン51および52を介して、
図5では図示しない制御ユニット50に接続されている。供給ライン51および52は、平坦な電極パッチ440と440’との間に電界をもたらし、腎臓の上述の部分を通る磁束は、その後、電気浸透効果および/または電気泳動効果によって浮腫を効果的に低減する。電極パッチ440および440’は、単一の電極として示されているが、
図3に示すようにセグメント化された電極とすることもできる。
【0107】
図6は、腎臓内外の電極の混ざった(1つの内部コイル電極、1つの外部パッチ電極)配置を示す。腎臓11は、その腎錐体17、腎杯16、および腎盂18と共に示されている。同様に、腎大動脈14および腎静脈15が示されている。第1の外部電極440は、ライン51を介して制御ユニット50(図示せず)に接続されている。腎用コイル電極540は、この電極540と前記外部パッチ電極440との間の電界を有効にするために腎静脈15に配置される。腎用コイル電極540の制御ユニット50への接続は、腎用コイル電極540を位置決めするために使用されるカテーテルライン53を介して行われる。コイル電極は、他の実施形態では、腎リンパ系に配置することもできる。
【0108】
電極アセンブリ20、120内で、ライン51、52および/または53は、通常、例えばカテーテルまたは絶縁シース内で電気的に絶縁されている。2つの電極は、事実とは無関係に、特にセグメント化されておらず、各々が単一の電極表面を有する2つのパッチ電極140、240、340、440、440’である場合、2つのコイル電極30、40または1つのコイル/1つの5つのパッチ電極30/140、440/540は、第1の電極および第2の電極を設けることができ、一方または両方が電気絶縁シースを有することができる。電気絶縁シースは、好ましくは、制御ユニット50につながる電線51、52または53まで電極を完全に取り囲む(およびこれらの要素も取り囲む)。そのような電気絶縁シースは、シリコーン、サーモプラスト、PEEK、10のPHAおよびPHBを包含する群から取得される材料を含むことができ、すなわち、これらおよびさらなる材料のうちの1つ以上を使用するが、また例えばシリコーンまたはPEEK単独などのこれらのうちの1つのみからなることもできる。次いで、内臓浮腫の治療効果は、電極に印加される電圧および電荷、ならびに内臓の依存性、ならびに体液、管、臓器組織、および場合によっては皮膚としての電極間のさらなる身体材料に基づく)、すなわち、単離された電極間の電界のみを予め設定し、直接的に制御することにより、所望の電気浸透効果および/または電気泳動効果がもたらされ、これにより、内臓、例えば心臓、肝臓または腎臓の浮腫が軽減される。
【符号の説明】
【0109】
10 心臓(内臓)
11 腎臓(内臓)
12 尿管
13 大動脈または腎静脈
14 腎大動脈
15 腎静脈
16 腎杯
17 腎錐体
18 腎盂
20 電極アセンブリ
30 心室コイル電極
40 冠静脈洞用コイル電極
50 制御回路
51 単一導体供給ライン
52 単一導体供給ライン
53 腎カテーテルライン
55 電界線の一般的な方向を示す矢印
60 人
70 パッチ電極表面
72 開口部
73 ダイヤフラム弁
75 電極表面
77 水溶液の流れ
120 電極アセンブリ
140 外部パッチ電極
141 表面電極の縁部
152 単一導体供給ライン
155 電界線の一般的な方向を示す矢印
240 第1の外部パッチ電極
340 第2の外部パッチ電極
440 第1の外部パッチ電極
440’ 第2の外部パッチ電極
540 腎用コイル電極
【国際調査報告】