(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-15
(54)【発明の名称】高スループットボリューメトリック3D印刷のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/124 20170101AFI20230508BHJP
B29C 64/371 20170101ALI20230508BHJP
B29C 64/357 20170101ALI20230508BHJP
B29C 64/255 20170101ALI20230508BHJP
B29C 64/277 20170101ALI20230508BHJP
【FI】
B29C64/124
B29C64/371
B29C64/357
B29C64/255
B29C64/277
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559834
(86)(22)【出願日】2021-03-30
(85)【翻訳文提出日】2022-11-15
(86)【国際出願番号】 US2021024878
(87)【国際公開番号】W WO2021202524
(87)【国際公開日】2021-10-07
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522384514
【氏名又は名称】クアドラティック・スリーディー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アーント,エリック・エム
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AA44
4F213AB04
4F213AR12
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL12
4F213WL32
4F213WL43
4F213WL67
4F213WL72
4F213WL74
4F213WL87
4F213WL96
(57)【要約】
三次元物体を印刷する方法は:入口ポートおよび出口ポートを含む密閉容器の中に、ある体積の光重合性液体を提供することであって、入口ポートおよび出口ポートが、それらの間の導管によって接続され、容器が、少なくとも光学的に透明な窓を通じて第1の波長の励起光を印刷区域内へ照射することを促進するように、少なくとも光学的に透明な窓を備える少なくとも1つの印刷区域を含む、ことと、印刷物を形成するための支持構造体なしに、印刷区域内で光重合性液体を選択的に光重合するために、励起光を少なくとも光学的に透明な窓を通じて印刷区域内へ方向付けることと、印刷物を出口ポートへ向けて印刷区域の外へ少なくとも輸送するために、密閉容器の内容物に圧力を印加する、および/または追加の光重合性液体を、入口ポートを通じて密閉容器内へ圧送することとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の三次元物体を印刷するためのシステムであって、
入口ポートおよび出口ポートを含む密閉容器であって、入口ポートおよび出口ポートが、それらの間の導管によって接続され、密閉容器が、印刷区域を含み、印刷区域が、印刷区域において光重合性液体の体積内に三次元印刷物を形成するために少なくとも光学的に透明な窓を通じて励起光を印刷区域内へ方向付けることを促進するように、少なくとも光学的に透明な窓を備える、密閉容器と、
密閉容器の入口ポートと接続状態にあり、光重合性液体の供給源への接続のために構成されるポンプであって、ある量の光重合性液体を、入口ポートを通じて密閉容器内へ圧送することができる、ポンプと
を備える、システム。
【請求項2】
システムが、不活性雰囲気中に維持されることが可能であり、各接続およびポートが、気密である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
導管が、入口ポートと出口ポートとの間のその長さにわたって均一な断面を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
導管が、円形または楕円形の断面を有する円筒形である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
導管が、多角形の断面を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
導管が、長方形または正方形の断面を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
密閉容器が、光学的に透明である、請求項1または3に記載のシステム。
【請求項8】
印刷区域のすべての側面が、光学的に透明である、請求項1または3に記載のシステム。
【請求項9】
印刷区域の1つ以上の側面が、光学的に透明な上面および側面である、請求項1または3に記載のシステム。
【請求項10】
密閉容器が、印刷物を出口ポートへ輸送することを支援するために導管の底に位置するコンベヤをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
コンベヤが、印刷区域において励起光によって衝突され得るコンベヤの側面に反射防止コーティングを備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
コンベヤが、ベルトコンベヤを備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
ベルトコンベヤが、ソリッドベルトを備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
ベルトコンベヤが、メッシュベルトを備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
ベルトコンベヤが、チェーンコンベヤを備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
ベルトコンベヤが、印刷区域において励起光によって衝突され得るベルトの側面に反射防止コーティングを備える、請求項12から15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
密閉容器からの排出内容物を受容するための、密閉容器の出口ポートと接続状態にある分離器ユニットであって、任意の印刷物を排出内容物に含まれる非重合の光重合性液体から分離するためのものであり、任意の分離された印刷物を分離器ユニットから排出するための第1の排出ポート、および分離された非重合の光重合性液体を分離器ユニットから排出するための第2の排出ポートを含む分離器ユニットをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
システムが、分離された非重合の光重合性液体を供給源へ再循環させるための、第2の排出ポートと接続状態にある再循環ループをさらに含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
ポンプが、静水圧ポンプを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
システムが、2つのポンプを含み、第1のポンプが、光重合性液体を印刷区域へ移動させるためのものであり、第2のポンプが、他の流動特性を光重合性液体に付与する、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
密閉容器が、交換可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
分離器ユニットが、任意の印刷物を非重合の光重合性液体から機械的に分離する、請求項17に記載のシステム。
【請求項23】
ポンプが、(i)容器に光重合性液体を充填するために光重合性液体を供給源から密閉容器内へ圧送することができ、(ii)印刷物を出口ポートへ向かう方向に印刷区域の外へ移動させるために、計量された量の光重合性液体を、充填された密閉容器内へ圧送することができ、出口ポートが、計量された量だけ変位される密閉容器の内容物を、出口ポートを通じて密閉容器の外へ排出するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
印刷区域の少なくとも光学的に透明な窓を通じて励起光を照射するように位置付けられ、または位置付け可能である光学システムをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項25】
1つ以上の三次元物体を印刷するためのシステムであって、
光重合性液体の供給を含むための貯蔵器であって、貯蔵器出口および貯蔵器入口を有する貯蔵器と、
ある量の光重合性液体を貯蔵器から密閉容器の入口ポートを通じて密閉容器内へ圧送するための、貯蔵器出口と接続状態にあるポンプと、
入口ポートおよび出口ポートを含む密閉容器であって、入口ポートおよび出口ポートが、それらの間の導管によって接続され、密閉容器が、少なくとも1つの印刷区域を含み、印刷区域が、印刷区域において光重合性液体から三次元印刷物を形成するために光学的に少なくとも1つの透明な窓を通じて第1の波長の励起光を印刷区域内へ方向付けることを促進するように、少なくとも光学的に透明な窓を備える、密閉容器と、
密閉容器から排出される出力物を受容するための、密閉容器の出口ポートと接続状態にある分離器ユニットであって、分離器ユニットが、任意の印刷物を排出内容物に含まれる非重合の光重合性液体から分離するためのものであり、分離器ユニットが、任意の分離された印刷物を分離器ユニットから排出するための第1の排出ポート、および分離された非重合の光重合性液体を分離器ユニットから排出するための第2の排出ポートを含む、分離器ユニットと
を備える、システム。
【請求項26】
システムが、不活性雰囲気中に維持されることが可能であり、接続およびポートの各々が、気密である、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
システムが、分離された非重合の光重合性液体を貯蔵器へ再循環させるための、第2の排出ポートと接続状態にある再循環ループをさらに含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
印刷区域の光学的に透明な窓を通じて励起光を照射するように位置付けられ、または位置付け可能である1つ以上の光学システムをさらに備える、請求項1または25に記載のシステム。
【請求項29】
導管が、入口ポートと出口ポートとの間のその長さにわたって均一な断面を有する、請求項25に記載のシステム。
【請求項30】
導管が、円形または楕円形の断面を有する円筒形である、請求項25に記載のシステム。
【請求項31】
導管が、多角形の断面を有する、請求項25に記載のシステム。
【請求項32】
導管が、長方形または正方形の断面を有する、請求項25に記載のシステム。
【請求項33】
密閉容器が、光学的に透明である、請求項25または29に記載のシステム。
【請求項34】
印刷区域のすべての側面が、光学的に透明である、請求項25または29に記載のシステム。
【請求項35】
印刷区域の1つ以上の側面が、光学的に透明な上面および側面である、請求項25または29に記載のシステム。
【請求項36】
密閉容器が、印刷物を出口ポートへ輸送することを支援するために導管の底に位置するコンベヤをさらに含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項37】
コンベヤが、印刷区域内への励起光の進入ポイントに面するコンベヤの側面に反射防止コーティングを備える、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
コンベヤが、ベルトコンベヤを備える、請求項36に記載のシステム。
【請求項39】
ベルトコンベヤが、ソリッドベルトを備える、請求項36に記載のシステム。
【請求項40】
ベルトコンベヤが、メッシュベルトを備える、請求項36に記載のシステム。
【請求項41】
ベルトコンベヤが、チェーンコンベヤを備える、請求項36に記載のシステム。
【請求項42】
ベルトコンベヤが、印刷区域において励起光によって衝突され得るベルトの側面に反射防止コーティングを備える、請求項38から41のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項43】
密閉容器が、光学的に透明である、請求項25に記載のシステム。
【請求項44】
密閉容器が、交換可能である、請求項25に記載のシステム。
【請求項45】
分離器ユニットが、1つ以上の印刷物を非重合の光重合性液体から機械的に分離する、請求項25に記載のシステム。
【請求項46】
ポンプが、静水圧ポンプを備える、請求項25に記載のシステム。
【請求項47】
システムが、2つのポンプを含み、第1のポンプが、光重合性液体を印刷区域へ移動させるためのものであり、第2のポンプが、他の流動特性を光重合性液体に付与する、請求項25に記載のシステム。
【請求項48】
ポンプが、(i)容器に光重合性液体を充填するために光重合性液体を貯蔵器から密閉容器内へ圧送することができ、(ii)印刷物を出口ポートへ向かう方向に印刷区域の外へ移動させるために、計量された量の光重合性液体を充填された密閉容器内へ圧送することができ、出口ポートが、計量された量だけ変位される密閉容器の内容物を、出口ポートを通じて密閉容器の外へ排出するように構成される、請求項25に記載のシステム。
【請求項49】
1つ以上の三次元物体を印刷する方法であって、
入口ポートおよび出口ポートを含む密閉容器の中に、ある体積の光重合性液体を提供することであって、入口ポートおよび出口ポートが、それらの間の導管によって接続され、容器が、少なくとも光学的に透明な窓を通じて第1の波長の励起光を印刷区域内へ照射することを促進するように、少なくとも光学的に透明な窓を備える少なくとも1つの印刷区域を含み、光重合性液体が、非ニュートン性流動学的挙動を示し、その結果として、印刷区域内で光重合性液体中に形成される物体が、形成中、固定位置に留まり、または非重合の光重合性液体中で最小限に変位される、ことと、
印刷物を形成するための支持構造体なしに、印刷区域内で光重合性液体を選択的に光重合するために、励起光を少なくとも光学的に透明な窓を通じて印刷区域内へ方向付けることであって、印刷物が、形成中、固定位置に留まり、または非重合の光重合性液体中で最小限に変位される、ことと、
印刷物を出口ポートへ向けて印刷区域の外へ少なくとも輸送するために、密閉容器の内容物に圧力を印加し、および/または追加の光重合性液体を、入口ポートを通じて密閉容器内へ圧送し、以て、密閉容器の内容物の少なくとも一部分を、出口ポートを通じて密閉容器の外へ排出することと
を含む、方法。
【請求項50】
不活性雰囲気中で実行される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
任意の印刷物を排出内容物に含まれる非重合の光重合性液体から分離することをさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
任意の印刷物の分離の後の排出された非重合の光重合性液体を貯蔵器へ再循環させることをさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
最小限の変位は、物体を形成するために必要とされる時間間隔の間、印刷されるべき物体の幾何形状を正確に再現するために許容可能である量だけ印刷物を変位させることを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
印刷物が、第1の波長の励起光で印刷区域内の光重合性液体を照射することによって開始されるアップコンバージョン誘起の光重合によって形成される、請求項49に記載の方法。
【請求項55】
光重合性液体が、(i)光重合可能な成分と、(ii)増感剤および消滅剤を含むアップコンバーティングナノ粒子であって、増感剤が、第1の波長の光を吸収し、三重項励起子を発生させるように選択される分子を含み、消滅剤が、増感剤から消滅剤へのエネルギーの移動後、第2の波長の光を放出するように選択され、第2の波長が、第1の波長よりも短い、アップコンバーティングナノ粒子と、(iii)第2の波長の光による励起の際に光重合可能な成分の重合を開始する光開始剤とを含む、請求項49または54に記載の方法。
【請求項56】
アップコンバーティングナノ粒子の少なくとも一部分が、液体中に増感剤および消滅剤を含むコア部分、ならびにコア部分の外表面の少なくとも一部分、好ましくは実質的にすべてを覆う封入シェルを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
導管の断面が、不均一である、請求項1または25に記載の方法。
【請求項58】
光学システムが、励起光源と接続状態にある、請求項28に記載のシステム。
【請求項59】
励起光源が、DMD投射システムを備える、請求項58に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、あらゆる目的のために引用によりその全体が本明細書に組み込まれる、2020年3月31日に出願された米国仮特許出願第63/003,078号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、三次元印刷の技術分野に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/063629号
【特許文献2】国際公開第2015/059179号
【特許文献3】国際公開第2019/025717号
【特許文献4】米国特許出願公開第62/911,125号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】S.Sandersら、「Photon Upconversion in Aqueous Nanodroplets」、J.Amer.Chem.Soc.2019、141、9180-9184
【非特許文献2】Beauti、Sumar、「Search for New Chromophore Pairs for Triplet-Triplet Annihilation Upconversion」という表題の要約、ISEF Projects Database、Finalist Abstract(2017)
【非特許文献3】B.Redwoodら、「The 3D Printing Handbook- Technologies,designs applications」、3D HUBS B.V.2018
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様によると、1つ以上の三次元物体を印刷するためのシステムであって:
入口ポートおよび出口ポートを含む密閉容器であって、入口ポートおよび出口ポートが、それらの間の導管によって接続され、密閉容器が印刷区域を含み、印刷区域が、印刷区域において光重合性液体の体積内に三次元印刷物を形成するために少なくとも光学的に透明な窓を通じて励起光を印刷区域内へ方向付けることを促進するように、少なくとも光学的に透明な窓を備える、密閉容器と、
密閉容器の入口ポートと接続状態にあり、光重合性液体の供給源への接続のために構成されるポンプであって、ある量の光重合性液体を、入口ポートを通じて密閉容器内へ圧送することができる、ポンプと
を備える、システムが提供される。
【0006】
好ましくは、本システムは、不活性雰囲気中に維持されることが可能であり、各接続およびポートは、気密である。
【0007】
好ましくは、本システムは、望ましくない光重合を低減するために、印刷区域を除いて遮光であることが可能である。
【0008】
本発明の別の態様によると、1つ以上の三次元物体を印刷するためのシステムであって:
光重合性液体の供給を含むための貯蔵器であって、貯蔵器出口および貯蔵器入口を有する貯蔵器と、
ある量の光重合性液体を貯蔵器から密閉容器の入口ポートを通じて密閉容器内へ圧送するための、貯蔵器出口と接続状態にあるポンプと、
入口ポートおよび出口ポートを含む密閉容器であって、入口ポートおよび出口ポートが、それらの間の導管によって接続され、密閉容器が、印刷区域を含み、印刷区域が、少なくとも光学的に透明な窓を備え、印刷区域において光重合性液体から三次元印刷物を形成するために光学的に透明な窓を通じて第1の波長の励起光を印刷区域内へ方向付けることを促進する、密閉容器と、
密閉容器から排出される内容物を受容するための、密閉容器の出口ポートと接続状態にある分離器ユニットであって、分離器ユニットが、任意の印刷物を排出内容物に含まれる非重合の光重合性液体から分離することができ、分離器ユニットが、任意の分離された印刷物を分離器ユニットから排出するための第1の排出ポート、および分離された非重合の光重合性液体を分離器ユニットから排出するための第2の排出ポートを含む、分離器ユニットと
を備える、システムが提供される。
【0009】
好ましくは、本システムは、不活性雰囲気中に維持されることが可能であり、接続およびポートの各々は、気密である。
【0010】
好ましくは、本システムは、望ましくない光重合を低減するために、印刷区域を除いて遮光であることが可能である。
【0011】
本発明のさらに別の態様によると、1つ以上の三次元物体を印刷する方法であって:
入口ポートおよび出口ポートを含む密閉容器の中に、ある体積の光重合性液体を提供することであって、入口ポートおよび出口ポートが、それらの間の導管によって接続され、容器が、少なくとも光学的に透明な窓を通じて第1の波長の励起光を印刷区域内へ照射することを促進するように、少なくとも光学的に透明な窓を備える少なくとも1つの印刷区域を含み、光重合性液体が、好ましくは、非ニュートン性流動学的挙動を示し、その結果として、印刷区域内で光重合性液体中に形成される物体が、形成中、固定位置に留まり、または非重合の光重合性液体中で最小限に変位される、ことと、
印刷物を形成するための支持構造体なしに、印刷区域内で光重合性液体を選択的に光重合するために、励起光を少なくとも光学的に透明な窓を通じて印刷区域内へ方向付けることであって、印刷物が、形成中、固定位置に留まり、または非重合の光重合性液体中で最小限に変位される、ことと、
印刷物を出口ポートへ向けて印刷区域の外へ少なくとも輸送するために、密閉容器の内容物に圧力を印加し、および/または追加の光重合性液体を、入口ポートを通じて密閉容器内へ圧送し、以て、密閉容器の内容物の少なくとも一部分を、出口ポートを通じて密閉容器の外へ排出することと
を含む、方法が提供される。
【0012】
本方法は、任意の印刷物を排出内容物に含まれる非重合の光重合性液体から分離することをさらに含み得る。
【0013】
任意選択的に、本方法は、排出内容物からの分離された非重合の光重合性液体をリサイクルすることをさらに含む。
【0014】
好ましくは、本方法は、不活性雰囲気中で実行される。
【0015】
本発明によるシステムおよび方法は、非ニュートン挙動を示す、および支持構造体の追加を必要とすることなく印刷物を形成するために、励起光によって衝突されるボリューメトリック位置において固化され得る光重合性液体から三次元(3D)物体を印刷するのに特に有用である。支持構造体は、典型的には、印刷中の部品を安定させるため、または部品の薄いもしくは壊れやすい突き出た部分の印刷を可能にするために、バット重合技術に関与する大半の3D印刷技術によって必要とされ;印刷後、後処理が、支持構造体を取り除くために必要とされ、このことが、印刷された部品に損傷を及ぼし得るか、または痕跡を残し得る。支持構造体の追加を回避することは、有利には、印刷された部品の後処理を簡略化する。
【0016】
本発明によるシステムおよび方法は、有利には、印刷プロセスの始まりに、印刷されている物体を固定基板(例えば、ビルドプレート)へ固着させることをさらに必要とせず、固定基板から印刷物を分離する後処理ステップを回避する。
【0017】
本明細書に説明される、および本開示によって企図される、先述および他の態様および実施形態はすべて、本発明の実施形態を構成する。
【0018】
本発明の任意の特定の態様および/または実施形態に関して本明細書に説明される特徴のいずれかは、本明細書に説明される本発明の任意の他の態様あるいは/ならびに実施形態の他の特徴のいずれかのうちの1つ以上と組み合わされ得、組み合わせの適合性を確実にするために必要に応じて修正を伴うということが、本発明が関連する分野の当業者によって理解されるものとする。そのような組み合わせは、本開示によって企図される本発明の一部であると見なされる。
【0019】
先述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的および説明的にすぎず、特許請求される本発明を限定するものではないということを理解されたい。
【0020】
他の実施形態は、本明細書および図面の検討から、特許請求の範囲から、および本明細書に開示される発明の実践から、当業者には明白であるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一態様によるシステムの一実施形態の例の図である。
【
図2】本発明の一態様によるシステムの一実施形態の例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
添付の図は、例証の目的のためだけに提示される簡略表現であり;実際の構造は、特に、描写される物品の相対的な大きさおよびその態様を含む、多数の点において異なり得る。
【0023】
本発明のより良い理解のため、他の利点およびその能力と一緒に、上述の図面と併せて以下の開示および添付の特許請求の範囲に対して参照がなされる。
【0024】
本発明の様々な態様および実施形態は、以下の詳細な説明においてさらに説明されるものとする。
【0025】
本発明は、1つ以上の三次元物体を印刷するためのシステムおよび方法に関する。
【0026】
本発明の1つの態様によると、1つ以上の三次元物体を印刷するためのシステムが提供され、本システムは:入口ポートおよび出口ポートを含む密閉容器であって、入口ポートおよび出口ポートが、それらの間の導管によって接続され、密閉容器が、少なくとも1つの印刷区域を含み、印刷区域が、少なくとも光学的に透明な窓を備え、印刷区域において光重合性液体の体積内に三次元印刷物を形成するために光学的に透明な窓を通じて励起光を印刷区域内へ方向付けることを促進する、密閉容器と、密閉容器の入口ポートと接続状態にあり、光重合性液体の供給源への接続のために構成されるポンプであって、ある量の光重合性液体を、入口ポートを通じて密閉容器内へ圧送することができる、ポンプと
を備える。
【0027】
好ましくは、本システムは、不活性雰囲気中に維持されることが可能であり、各接続およびポートが、気密である。
【0028】
好ましくは、本システムは、望ましくない光重合を低減するために、印刷区域を除いて遮光であることが可能である。
【0029】
使用中、密閉容器は、三次元物体を形成するために印刷区域において選択的に重合されることになる光重合性液体を充填される。
【0030】
図1は、本発明の一態様によるシステムの実施形態の例の図を描写する。図は、密閉容器4の入口ポート3と接続状態にあるポンプ2を含むシステム1を描写する。ポンプは、光重合性液体の供給源(図示せず)への接続のために構成される。密閉容器は、出口ポート5も含む。入口ポート3および出口ポート5は、それらの間の導管6によって接続される。描写されるように、導管は、中に複数の三次元印刷物8を伴う光重合性液体を含み、複数の三次元印刷物8のうちの1つが、印刷区域9内にあり、その他は、ポンプによって密閉容器内へ圧送される新たな量の光重合性液体の一連の別個の追加によって、出口ポートへ向かう印刷区域からの連続的な変位に起因して離間する。
図1に描写される矢印は、液体が密閉容器内へ導入される進入地点から、内容物が密閉容器から排出される出口ポートまでの導管内の光重合性液体の流れの方向を示す。
【0031】
本システムは、好ましくは、不活性雰囲気中に維持されることが可能であり、接続およびポートの各々は、気密である。
【0032】
好ましくは、本システムは、望ましくない光重合を低減するために、印刷区域を除いて遮光であることが可能である。
【0033】
例証目的のため、密閉容器の導管部分は、光学的に透明であるものとして描写される。場合によっては、密閉容器の導管部分または密閉容器全体が完全に光学的に透明であることが望ましい場合があるが、密閉容器内の少なくとも窓は、物体を印刷するために光学システムから印刷区域内の光重合性液体中へ励起を通すことを促進するために光学的に透明である。
【0034】
場合によっては、光重合が所望されない印刷区域の外側の密閉容器のエリア内へ励起光が広がることを防ぐのを助けるために印刷区域に隣接する密閉容器の部分が光学的に透明ではないことが望ましい場合がある。
【0035】
密閉容器およびポンプに関する追加の情報は、以下に提供される。
【0036】
本システムは、密閉容器の印刷区域の外部に光学システム10をさらに含み得る。光学システムは、任意選択的に別個に提供され得るか、または密閉容器およびポンプと組み合わせて本システムの一部として含まれ得る。
【0037】
光学システムは、励起光源と接続状態にあり得る。光学システムは、印刷区域の少なくとも光学的に透明な窓を通じて励起光を照射するように位置付けられ、または位置付け可能である。
【0038】
図1は、密閉容器内の印刷区域の上に位置付けられる光学システムを描写する。
【0039】
任意選択的に、本システムと共に使用される、またはこれに含まれる光学システムは、励起光が印刷区域の1つ以上の側面(例えば、上部、片側、両側、下部、または2つ以上の側面を含む任意の組み合わせ)から印刷区域内へ照射され得るように、印刷区域に対して可動であり得る。可動光学システムが使用されることになる場合、印刷区域は、1つ以上の側面から印刷区域内への励起光の照射を受け入れるために透明な部分を含む。例えば、励起光が照射されることになる印刷区域の各側面または表面は、光学的に透明であるか、または励起光が通ることができる光学的に透明な窓を少なくとも含む。
【0040】
任意選択的に、励起光は、時間的および/または空間的に変調され得る。任意選択的に、励起光の強度は、変調され得る。
【0041】
空間的に変調された励起光は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、デジタルマイクロミラーディスプレイ(DMD)、またはマイクロLEDアレイを含む、知られている空間変調技術によって生成され得る。他の知られている空間変調技術は、当業者によって容易に識別可能であり得る。
【0042】
光学システムは、連続励起光を適用するように選択され得る。光学システムは、断続励起光を適用するように選択され得る。断続励起は、光のランダムなオンおよびオフ適用または光の周期的適用を含み得る。光の周期的適用の例は、パルシングを含む。光学システムは、例えば、連続光による照射が先行するかまたは後に続く断続励起光の適用を含む照射ステップを含む、連続励起光および断続光の両方の組み合わせを適用するように選択され得る。
【0043】
好ましくは、励起光は、可視範囲内の波長を有する。
【0044】
光学システムは、所与の印刷区域に対してx、y、およびz方向のうちの1つ以上において可動であり得る。
【0045】
任意選択的に、印刷区域は、完全に光学的に透明であり得る。
【0046】
本システムは、任意選択的に、2つ以上の印刷区域を含み得る。各印刷区域は、各印刷区域における光重合性液体内への励起光の照射を促進するために、少なくとも光学的に透明な窓を含む。上で論じられるように、印刷区域の他の部分またはすべては、使用されることになる光学システムおよびその可動性を受け入れるために光学的に透明であり得る。
【0047】
本システムが2つ以上の印刷区域を含むとき、本システムは、各印刷区域と関連付けられた光学システムを含み得る。代替的に、本システムが、2つ以上の印刷区域を含むとき、本システムは、1つ1つ、密閉容器内の印刷区域の少なくとも場所に対して可動であり、印刷区域の各々へ励起光を照射するために位置調節可能である、光学システムを含み得る。
【0048】
本システムは、任意選択的に、密閉容器から排出される内容物を受容するための、密閉容器の出口ポートと接続状態にある分離器ユニット(
図1には図示せず)をさらに含み得る。分離器ユニットは、任意の印刷物を排出内容物に含まれる非重合の光重合性液体から分離するためのものであり、分離器ユニットは、任意の分離された印刷物を分離器ユニットから排出するための第1の排出ポート、および分離された非重合の光重合性液体を分離器ユニットから排出するための第2の排出ポートを含む。任意選択的に、分離器ユニットの第2の排出ポートは、分離された非重合の光重合性液体を、密閉容器内へ圧送されるべき光重合性液体の供給源へ再循環させるための戻りラインまたは再循環ループへの接続のために構成される。
【0049】
分離器ユニットは、好ましくは、分離中にユニット内への空気または酸素の導入を防ぐために密閉される。
【0050】
分離器ユニットは、好ましくは、任意の印刷物を、密閉容器から排出される内容物内の非重合の光重合性液体から機械的に分離する。印刷物を排出内容物内の非重合の光重合性液体から機械的に分離するための技術の例は、スクリーニング技術、任意の印刷物を排出内容物から抽出するためのスコップまたはツメの使用、サイクロン式分離器、スパイラル式分離器;および2つ以上の技術の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0051】
分離された非重合の光重合性液体は、任意の印刷物からの分離後に処理され得る。そのような処理の例は、限定しないが、浄化/精製、フィルタリング、脱ガス、または溶剤、モノマー付加を含む。
【0052】
分離器ユニットから収集される印刷物は、任意選択的に、後処理され得る。
【0053】
後処理の例は、洗浄、後硬化(例えば、光、熱、非電離放射線、電離放射線、圧力、または技術の同時もしくは逐次組み合わせによる)、度量衡学、凍結乾燥処理、臨界点乾燥、およびパッケージングを含むが、これらに限定されない。
【0054】
本発明の別の態様によると、1つ以上の三次元物体を印刷するためのシステムが提供され、本システムは:光重合性液体の供給を含むための貯蔵器であって、貯蔵器出口および貯蔵器入口を有する貯蔵器と、ある量の光重合性液体を貯蔵器から密閉容器の入口ポートを通じて密閉容器内へ圧送するための、貯蔵器出口と接続状態にあるポンプと、入口ポートおよび出口ポートを含む密閉容器であって、入口ポートおよび出口ポートが、それらの間の導管によって接続され、密閉容器が、少なくとも1つの印刷区域を含み、印刷区域が、少なくとも光学的に透明な窓を備え、印刷区域において光重合性液体から三次元印刷物を形成するために光学的に透明な窓を通じて第1の波長の励起光を印刷区域内へ方向付けることを促進する、密閉容器と、密閉容器から排出される内容物を受容するための、密閉容器の出口ポートと接続状態にある分離器ユニットとを備える。分離器ユニットは、任意の印刷物を排出内容物に含まれる非重合の光重合性液体から分離することができる。分離器ユニットはまた、任意の分離された印刷物を、収集および/または後処理のために第1の排出ポートを通じて分離器ユニットの外へ供給する。分離器ユニットはまた、分離された非重合の光重合性液体を分離器ユニットから排出するための第2の排出ポートを含む。任意選択的に、分離器ユニットは、分離された非重合の光重合性液体を貯蔵器へ再循環させるための、第2の排出ポートと接続状態にある戻りラインまたは再循環ループをさらに含む。
【0055】
好ましくは、本システムは、不活性雰囲気中に維持されることが可能であり、接続およびポートの各々は、気密である。
【0056】
好ましくは、本システムは、望ましくない光重合を低減するために、印刷区域を除いて遮光であることが可能である。
【0057】
使用中、密閉容器は、三次元物体を形成するために印刷区域において選択的に光重合されることになる光重合性液体を充填される。
【0058】
図2は、本発明の一態様によるシステムの実施形態の例の図を描写する。図は、密閉容器23の入口ポート22と接続状態にあるポンプ21を含むシステム20を描写する。ポンプは、光重合性液体を含むための貯蔵器(図では「樹脂タンク」とラベル付けされる)24への接続のために構成される。密閉容器は、出口ポート25も含む。入口ポート22および出口ポート25は、それらの間の導管26によって接続される。描写されるように、導管は、中に複数の三次元印刷物28を伴う光重合性液体を含み、複数の三次元印刷物28のうちの1つが、印刷区域27内にあり、その他は、ポンプによって密閉容器内へ圧送される新たな量の光重合性液体の一連の別個の追加によって、出口ポートへ向かう印刷区域からの連続的な変位に起因して離間する。
図2に描写される矢印は、液体が密閉容器内へ導入される進入地点から、内容物が密閉容器から排出される出口ポートまでの導管内の光重合性液体の流れの方向を示す。変位された内容物は、非重合の光重合性液体、およびそこに含まれる任意の印刷物を含み、この任意の印刷物は、印刷区域から変位され、ポンプによって密閉容器内へ新たな光重合性液体の一連の追加を通じて導管の長さに沿って出口ポートまで輸送されている。排出内容物は、出口ポートを通じて密閉容器を出て、出口ポートと接続状態にある分離器ユニット(図では「分離器」とラベル付けされる)29内へ入る。分離器ユニットは、任意の印刷物を排出内容物に含まれる非重合の光重合性液体から分離することができる。分離器ユニットはまた、任意の分離された印刷物を、収集および/または後処理のために第1の排出ポート30を通じて分離器ユニットの外へ供給する。分離器ユニットはまた、分離された非重合の光重合性液体を分離器ユニットから排出するための第2の排出ポート31を含む。
【0059】
分離器ユニットは、好ましくは、分離中にユニット内への空気または酸素の導入を防ぐために密閉される。
【0060】
分離器ユニットは、好ましくは、任意の印刷物を、密閉容器から排出される内容物内の非重合の光重合性液体から機械的に分離する。印刷物を排出内容物内の非重合の光重合性液体から機械的に分離するための技術の例は、スクリーニング技術、任意の印刷物を排出内容物から抽出するためのスコップまたはツメの使用、サイクロン式分離器、スパイラル式分離器;および2つ以上の技術の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0061】
分離された非重合の光重合性液体は、任意の印刷物からの分離後に処理され得る。そのような処理の例は、限定しないが、浄化/精製、フィルタリング、脱ガス、または溶剤、モノマー付加を含む。
【0062】
任意選択的に、本システムは、分離された非重合の光重合性液体を貯蔵器24へ再循環させるための、分離器ユニットの第2の排出ポート31と接続状態にある戻りラインまたは再循環ループ(図では「樹脂戻り」とラベル付けされる)32をさらに含む。
【0063】
分離器ユニットから収集される印刷物は、任意選択的に、後処理され得る。後処理の例は、洗浄、後硬化(例えば、光、熱、非電離放射線、電離放射線、圧力、または技術の同時もしくは逐次組み合わせによる、度量衡学、凍結乾燥処理、臨界点乾燥、およびパッケージングを含むが、これらに限定されない。
【0064】
例証目的のため、密閉容器の導管部分は、光学的に透明であるものとして描写される。
【0065】
場合によっては、密閉容器の導管部分または密閉容器全体が完全に光学的に透明であることが望ましい場合があるが、密閉容器内の少なくとも窓は、物体を印刷するために光学システムから印刷区域内の光重合性液体中へ励起を通すことを促進するために光学的に透明である。
【0066】
場合によっては、重合が所望されない印刷区域の外側の密閉容器のエリア内へ励起光が広がることを防ぐのを助けるために、印刷区域に隣接する密閉容器の部分が光学的に透明ではないことが望ましい場合がある。
【0067】
密閉容器およびポンプに関する追加の情報は、以下に提供される。
【0068】
本システムは、密閉容器の印刷区域の外部に光学システム35をさらに含み得る。光学システムは、任意選択的に別個に提供され得るか、または密閉容器およびポンプと組み合わせて本システムの一部として含まれ得る。
【0069】
光学システムは、励起光源と接続状態にあり得る。光学システムは、印刷区域の少なくとも光学的に透明な窓を通じて励起光を照射するように位置付けられ、または位置付け可能である。
【0070】
図2は、密閉容器内の印刷区域の上に位置付けられる光学システムを描写する。
【0071】
任意選択的に、本システムと共に使用される、またはこれに含まれる光学システムは、励起光が印刷区域の1つ以上の側面(例えば、上部、片側、両側、下部、または2つ以上の側面を含む任意の組み合わせ)から印刷区域内へ照射され得るように、印刷区域に対して可動であり得る。可動光学システムが使用されることになる場合、印刷区域は、1つ以上の側面から印刷区域内への励起光の照射を受け入れるために透明な部分を含む。例えば、励起光が照射されることになる印刷区域の各側面または表面は、光学的に透明であるか、または励起光が通ることができる光学的に透明な窓を少なくとも含む。
【0072】
任意選択的に、励起光は、時間的および/または空間的に変調され得る。任意選択的に、励起光の強度は、変調され得る。
【0073】
空間的に変調された励起光は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、デジタルマイクロミラーディスプレイ(DMD)、またはマイクロLEDアレイを含む、知られている空間変調技術によって生成され得る。他の知られている空間変調技術は、当業者によって容易に識別可能であり得る。
【0074】
光学システムは、連続励起光を適用するように選択され得る。光学システムは、断続励起光を適用するように選択され得る。断続励起は、光のランダムなオンおよびオフ適用または光の周期的適用を含み得る。光の周期的適用の例は、パルシングを含む。光学システムは、例えば、連続光による照射が先行するかまたは後に続く断続励起光の適用を含む照射ステップを含む、連続励起光および断続光の両方の組み合わせを適用するように選択され得る。
【0075】
好ましくは、励起光は、可視範囲内の波長を有する。
【0076】
光学システムは、所与の印刷区域に対してx、y、およびz方向のうちの1つ以上において可動であり得る。
【0077】
任意選択的に、印刷区域は、完全に光学的に透明であり得る。
【0078】
本システムは、任意選択的に、2つ以上の印刷区域を含み得る。各印刷区域は、各印刷区域における光重合性液体内への励起光の照射を促進するために、少なくとも光学的に透明な窓を含む。上で論じられるように、印刷区域の他の部分またはすべては、使用されることになる光学システムおよびその可動性を受け入れるために光学的に透明であり得る。
【0079】
本システムが2つ以上の印刷区域を含むとき、本システムは、各印刷区域と関連付けられた光学システムを含み得る。代替的に、本システムが、2つ以上の印刷区域を含むとき、本システムは、1つ1つ、密閉容器内の印刷区域の少なくとも場所に対して可動であり、印刷区域の各々へ励起光を照射するために位置調節可能である、光学システムを含み得る。
【0080】
本発明のさらに別の態様によると、1つ以上の三次元物体を印刷する方法が提供される。本方法は、密閉容器の中に、ある体積の光重合性液体を提供することを含む。光重合性液体は、好ましくは、非ニュートン性流動学的挙動を示し、その結果として、印刷区域内で光重合性液体中に形成される物体は、形成中、固定位置に留まり、または非重合の光重合性液体中で最小限に変位される。密閉容器は、入口ポートおよび出口ポートを含み、入口ポートおよび出口ポートが、その間の導管によって接続される。密閉容器はまた、物体が形成される少なくとも1つの印刷区域を含む。各印刷区域は、第1の波長の励起光が印刷区域内へ照射され得る少なくとも光学的に透明な窓を含む。本方法はまた、印刷物を形成するための支持構造体の追加なしに印刷区域内で光重合性液体を選択的に光重合するために、少なくとも光学的に透明な窓を通じて励起光を印刷区域内へ方向付けるステップを含む。印刷物は、形成中、固定位置に留まり、または非重合の光重合性液体中で最小限に変位される。本方法は、印刷物を出口ポートへ向けて印刷区域の外へ少なくとも輸送するために、密閉容器の内容物に圧力を印加し、および/または追加の光重合性液体を、入口ポートを通じて密閉容器内へ圧送し、以て、密閉容器の内容物の少なくとも一部分を、出口ポートを通じて密閉容器の外へ排出するステップをさらに含む。
【0081】
本方法は、任意の印刷物を排出内容物に含まれる非重合の光重合性液体から分離するステップをさらに含み得る。
【0082】
任意選択的に、本方法は、排出内容物からの分離された非重合の光重合性液体をリサイクルするステップをさらに含む。
【0083】
好ましくは、本方法は、不活性雰囲気中で実行される。
【0084】
本方法の1つの例において、1)樹脂は、部品が樹脂中に懸濁されるように、支持構造体なしで光硬化され;2)樹脂は、硬化動作中、部品が、空間内で固定されたままであるか、または最小量の変位を経るように、揺変性(ずり減粘)であるか、または降伏応力を有し;3)圧力の印加の際、硬化した部品(複数可)は、印刷区域の外へ圧送され、印刷区域は、新たな樹脂を再充填され;4)部品は、樹脂から分離され;5)樹脂は、任意選択的に、リサイクルされる。
【0085】
本発明の方法は、非ニュートン性流動学的挙動を示す光重合可能な成分を含む光重合性液体の光誘起固化を利用して1つ以上の印刷物を生産することができる。そのような非ニュートン性流動学的挙動の例は、擬塑性流体、非ビンガム塑性(yield pseudoplastic)、またはビンガム塑性を含む。この挙動は、樹脂内の反応成分(モノマーおよびオリゴマー)の組み合わせに固有であり得るか、または非反応性添加剤(チキソトロープ剤、レオロジー調節剤)によって付与され得る。非ニュートン挙動を示す光重合可能な成分の形成は、関連分野における当業者の技能の範囲内である。例は、本方法における使用のための光重合性液体の形成を含む、GENOMER4259(脂肪族ウレタンアクリレート)86部(part)、N,N-ジメチルアクリルアミド14部、N,N-ジメチルアクリルアミド中の60重量%ナノ粒子分散13.3部、Rheobyk410チキソトロープ剤2部、ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1-ヒドロピロ-1-イル)フェニル)チタノセン光開始剤0.5部、2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ遊離基抑制剤0.0001部を含む。
【0086】
印刷物は、支持構造体の生成なしに、および流動学的挙動(高ゼロずり粘度または降伏応力)に起因して、印刷区域における光の適用によって、ある体積の光重合性液体中で形成され、部品は、部品を形成するために必要とされる時間間隔の間、意図した部品幾何形状を正確に再現するために許容可能である最小量だけ変位する。一旦部品が形成されると、部品は、圧力を印加し、および/またはさらなる光重合性液体を密閉容器内へ圧送し、これにより光重合性液体を流すことによって、印刷区域から変位される。物体は、印刷区域内での形成の間、変位をほとんどまたは全く経験しないが、物体が、圧力を圧送すること、および/または密閉容器へのさらなる光重合性液体の追加によって、印刷区域から変位されるとき、それは、出口ポートへ向かって動かされる際に、内容物内での位置変位を経験し得る。
【0087】
非ニュートン性流動学的挙動を示す光重合性液体の場合、好ましい定常ずり粘度は、10,000cP未満、最も好ましくは、1,000cP未満である。(定常ずり粘度は、チキソトロープ剤網が壊れた後の粘度を指す。)
【0088】
本発明による方法は、追加的に、非ニュートン挙動を示す、およびアップコンバージョン誘起の光重合によって第1の波長の励起光によって衝突されるボリューメトリック位置において固化され得る光重合性液体から3D物体を印刷するのに特に有用である。
【0089】
好ましくは、光重合性液体は、(i)光重合可能な成分と;(ii)増感剤および消滅剤(annihilator)を含むアップコンバーティングナノ粒子であって、増感剤が、第1の波長の光を吸収し、三重項励起子を発生させるように選択される分子を含み、消滅剤が、増感剤から消滅剤へのエネルギーの移動後、第2の波長の光を放出するように選択され、第2の波長が、第1の波長よりも短い、アップコンバーティングナノ粒子と;(iii)第2の波長の光による励起の際に光重合可能な成分の重合を開始する光開始剤とを含み、光重合性液体は、非ニュートン挙動を示す。
【0090】
本明細書に論じられるように、光重合性液体は、好ましくは:光重合可能な成分と;液体中に増感剤および消滅剤を含むコア部分(例えば、オレイン酸)、ならびにコア部分の外表面の少なくとも一部分、好ましくは実質的にすべてを覆う封入コーティングまたはシェル(例えば、シリカ)を含むアップコンバーティングナノ粒子であって、増感剤が、第1の波長の光を吸収し、三重項励起子を発生させるように選択される分子を含み、消滅剤が、増感剤から消滅剤へのエネルギーの移動後に第2の波長の光を放出するように選択され、第2の波長が第1の波長よりも短い、アップコンバーティングナノ粒子と;第2の波長の光による励起の際に光重合可能な成分の重合を開始する光開始剤とを含み得る。アップコンバーティングナノ粒子は、光重合成分におけるナノ粒子の分散を促進するため、その表面においてリガンドをさらに含み得る。リガンドとして有用である界面活性剤および他の物質は、市販されている。リガンドの例は、ポリエチレングリコールを含むが、これに限定されない。
【0091】
消滅剤は、三重項消滅剤とも称され得る。
【0092】
アップコンバーティングナノ粒子は、好ましくは、励起光の波長よりも小さい平均粒子サイズを有する。好ましい平均粒子サイズの例は、100nm未満、80nm未満、50nm未満、30nm未満、20nm未満であるが、よりいっそう大きいまたはよりいっそう小さいナノ粒子も使用され得る。最も好ましくは、アップコンバーティングナノ粒子は、明らかな光散乱を作り出さない平均粒子サイズを有する。
【0093】
増感剤および消滅剤としての使用のための物質の例は、2019年11月27日に出願されたCongreveらの国際出願PCT/US2019/063629号、S.Sandersら、「Photon Upconversion in Aqueous Nanodroplets」、J.Amer.Chem.Soc.2019、141、9180-9184、および、https://abstracts.societyforscience.orgにて利用可能な、Beauti、Sumar、「Search for New Chromophore Pairs for Triplet-Triplet Annihilation Upconversion」という表題の要約、ISEF Projects Database、Finalist Abstract(2017)に説明され、先述の各々は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。2019年2月7日に公開されたBaldeckらのWO2019/025717、および2019年11月27日に出願されたCongreveらの国際出願PCT/US2019/063629号はまた、アップコンバーティングナノ粒子の濃縮、および光重合性液体中の増感剤および消滅剤の濃縮に関して有用であり得る情報を提供する。
【0094】
消滅剤は、三重項-三重項エネルギー移動を通じて増感剤の分子から三重項励起子を受容することができる分子を含み、第2の波長の光を放出するより高いエネルギー一重項を発生させるために別の消滅剤分子三重項との三重項融合を経て、光重合可能な成分の重合を開始するために光増感剤を励起することができる。消滅剤の例は、多環芳香族炭化水素、例えば、アントラセン、アントラセン誘導体(例えば、ジフェニルアントラセン(DPA)、9,10-ジメチルアントラセン(DMA)、9,10-ジポリアントラセン(DTA)、2-クロロ-9,10-ジフチルアントラセン(DTACI)、2-カルボニトリル-9,10-dipテトリルアントラセン(DTACN)、2-カルボニトリル-9,10-ジナフチルアントラセン(DNACN)、2-メチル-9,10-ジナフチルアントラセン(DNAMe)、2-クロロ-9,10-ジナフチルアントラセン(DNACI)、9,10-ビス(フェニルエチニル)アントラセン(BPEA)、2-クロロ-9,10-ビス(フェニルエチニル)アントラセン(2CBPEA)、5,6,11,12-テトラフェニルナフタセン(ルブレン)、ピレンおよびまたはペリレン(例えば、テトラ-t-ブチルペリレン(TTBP)を含むが、これらに限定されない。上のアントラセン誘導体はまた、ハロゲンにより官能化され得る。例えば、DPAは、ハロゲン(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)によりさらに官能化され得る。蛍光有機染料が好ましい場合がある。
【0095】
増感剤は、それが第1の波長における励起の光子エネルギーを吸収するときに、エネルギーを一重項状態から三重項状態へ移すことができる少なくとも1つの分子を含み得る。増感剤の例は、メタロポルフィリン(例えば、パラジウムテトラフェニルテトラブチルポルフィリン(PdTPTBP)、プラチナオクタエチルポルフィリン(PtOEP)、オクタエチル-ポルフィリンパラジウム(PdOEP)、パラジウム-テトラトリルポルフィリン(PdTPP)、パラジウム-メソ-テトラフェニルテトラベンゾポルフィリン1(PdPh4TBP)、1,4,8,11,15,18,22,25-オクタブトキシフタロシアニン(PdPc(OBu))、2,3-ブタンジオン(またはジアセチル)、または上の分子うちのいくつかの組み合わせ)を含むが、これらに限定されない。
【0096】
増感剤は、好ましくは、第1の波長における励起を、そのエネルギーを最大限に使用するために、吸収する。
【0097】
光増感剤/消滅剤ペアを選択することにおける考慮事項は、使用されている光開始剤とのペアの互換性を含み得る。
【0098】
より好ましくは、アップコンバーティングナノ粒子の少なくとも一部分は、液体中に増感剤および消滅剤を含むコア部分(例えば、オレイン酸)、ならびにコア部分の外表面の少なくとも一部分、好ましくは実質的にすべてを覆う封入コーティングまたはシェル(例えば、シリカ)を含む。コアは、液体中に増感剤および消滅剤を含むミセルを含み得る。(ミセルは、典型的には、例えば、相対的に親水性の部分および相対的に疎水性の部分を有する、1つ以上の界面活性剤から形成される。)好ましいアップコンバーティングナノ粒子の例は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる、2019年11月27日に出願されたCongreveらの国際出願PCT/US2019/063629号に説明されるナノカプセルを含む。有用であり得るナノカプセルに関する他の情報は、2015年4月30日に公開されたLandfesterらの国際公開第WO2015/059179号、およびS.Sandersら、「Photon Upconversion in Aqueous Nanodroplets」、J.Amer.Chem.Soc.2019,141,9180-9184を含み、これらの各々は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0099】
アップコンバーティングナノ粒子は、光重合成分におけるナノ粒子の分散を促進するため、その表面においてリガンドをさらに含み得る。リガンドとして有用である界面活性剤および他の物質は、市販されている。リガンドの例は、ポリエチレングリコールを含むが、これに限定されない。
【0100】
光開始剤は、重合を開始するために使用されることになるメカニズムへのその適性ならびに重合されることになる樹脂に対するその適性および/または互換性を考慮して、当業者によって容易に選択され得る。有用であり得る光開始剤に関する情報は、2019年2月7日に公開されたBaldeckらのWO2019/025717、および2019年11月27日に出願されたCongreveらの国際出願PCT/US2019/063629号において見出されることができ、これらの各々は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0101】
光重合性液体は、追加の添加剤をさらに含み得る。そのような添加剤の例は、チキソトロープ剤、脱酸素剤などを含むが、これらに限定されない。2019年2月7日に公開されたBaldeckらのWO2019/025717は、添加剤に関して有用であり得る情報を提供する。
【0102】
本発明と共に有用であり得る他の情報は、2019年10月4日に出願されたCongreveらの米国特許出願第62/911,125号である。
【0103】
本明細書に説明される方法における使用のための励起光源の供給源の例は、市販されているものなどのレーザダイオード、発光ダイオード、DMD投射システム、マイクロLEDアレイ、垂直キャビティレーザ(VCL)を含む。いくつかの実施形態において、励起放射源(例えば、光源)は、発光ダイオード(LED)である。
【0104】
本発明によるシステムおよび方法は、非ニュートン挙動を示す、および支持構造体の追加を必要とすることなく印刷物を形成するために、励起光によって衝突されるボリューメトリック位置において固化され得る光重合性液体から三次元(3D)物体を印刷するのに特に有用である。支持構造体は、典型的には、印刷中の部品を安定させるため、または部品の薄いもしくは壊れやすい突き出た部分の印刷を可能にするために、バット重合技術に関与する大半の3D印刷技術によって必要とされ、印刷後、後処理が、支持構造体を取り除くために必要とされ、このことが、印刷された部品に損傷を及ぼし得るか、または痕跡を残し得る。支持構造体の追加を回避することは、有利には、印刷された部品の後処理を簡略化する。
【0105】
本発明によるシステムおよび方法は、有利には、印刷プロセスの始まりに、印刷されている物体を固定基板(例えば、ビルドプレート)へ固着させることをさらに必要とせず、固定基板から印刷物を分離する後処理ステップを回避する。
【0106】
支持構造体を除去する、および/または固定基板から印刷物を除去する後処理ステップは、労働を追加し(例えば、手動除去)、廃棄物を追加し(廃棄された支持構造体)、スループットを低減し(ビルドプレートは、印刷物が除去されるまで再使用されることができない)、それらのすべてが、プロセスに費用を追加する。
【0107】
本発明によるシステムおよび方法は、追加的に、非ニュートン挙動を示す、およびアップコンバージョン誘起の光重合によって第1の波長の励起光によって衝突されるボリューメトリック位置において固化され得る光重合性液体から3D物体を印刷するのに特に有用である。好ましくは、アップコンバージョンは、増感剤または消滅剤を光励起するために使用される光に対してより高いエネルギーの光を生成するために使用され得る三重項アップコンバージョン(または三重項-三重項消滅(TTA:triplet-triplet annihilation))を含む。最も好ましくは、増感剤は、低エネルギー光を吸収し、それを、エネルギーを消滅剤へ移動させることによってアップコンバートし、消滅剤において、2つの三重項励起子が組み合わさって、例えば、消滅アップコンバージョンを介して、高周波またはより短い波長の光を放出し得るより高いエネルギー一重項励起子を生成し得る。
【0108】
好ましくは、光重合性液体は、(i)光重合可能な成分と;(ii)増感剤および消滅剤を含むアップコンバーティングナノ粒子であって、増感剤が、第1の波長の光を吸収し、三重項励起子を発生させるように選択される分子を含み、消滅剤が、増感剤から消滅剤へのエネルギーの移動後、第2の波長の光を放出するように選択され、第2の波長が、第1の波長よりも短い、アップコンバーティングナノ粒子と;(iii)第2の波長の光による励起の際に光重合可能な成分の重合を開始する光開始剤とを含む。より好ましくは、光重合性液体は、非ニュートン挙動を示す。
【0109】
第1および第2の波長は、可視範囲内にあり得る。
【0110】
本発明のシステムおよび方法における使用のための密閉容器は、一要素ユニットであり得るか、2つ以上の要素から構築されてもよい。
【0111】
密閉容器は、例えば、ガラス、石英、フルオロポリマー(例えば、Teflon FEP、Teflon AF、Teflon PFA)、環状オレフィンコポリマー、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリノルボルネン、サファイヤ、または透明セラミックを含むが、これらに限定されない材料から構築され得る。
【0112】
好ましくは、印刷区域の少なくとも光学的に透明な部分はまた、光学的に平坦である。
【0113】
好ましくは、光重合性液体は、密閉容器内へ導入される前に不活性ガスによってパージまたはスパージされ、密閉容器内にある間、不活性雰囲気中に維持される。光重合性液体の供給源、および密閉容器に供給するために使用される貯蔵器に含まれる光重合性液体もまた、好ましくは、本発明のシステムおよび方法における使用の前に、パージされ、不活性条件下に維持される。
【0114】
図1および
図2に示されるように、密閉容器は、細長い形状で描写される。そのような構成は、複数の印刷物が、1つ1つ、印刷され、印刷区域の外へ動かされることを促進するが、これは、ある量のさらなる光重合性液体を密閉容器内へ圧送して、変位された内容物が出口ポートから排出されている状態で、印刷物を印刷区域の外へ移動させ、新たな物体を印刷するために印刷区域内へ新たな量を導入することによって行われる。部品を印刷し、新たな光重合性液体を印刷区域内へ追加するという一連の行為の後、印刷物は、最終的には、排出内容物内に含まれ、排出内容物からの分離後に収集される。分離された物体は、さらに後処理され得る。
【0115】
代替的な設計では、密閉容器内の導管の長さは、印刷区域のサイズに対応し得、印刷区域を充填する新たな光重合性液体の導入、ならびに印刷物および非重合の光重合液体を分離のために印刷区域および出口ポートから排出することを伴う。例えば、限定されるものではないが、印刷区域の数ならびに選択される光学システムのタイプおよび数に基づいて、他の密閉容器設計が望ましい場合がある。
【0116】
密閉容器導管は、入口ポートと出口ポートとの間のその長さにわたって均一な断面を有し得る。
【0117】
密閉容器導管は、代替的に、不均一な断面を有し得る。不均一な断面は、連続した印刷物間の間隔を操作するために使用され得、例えば、断面が大きくなると、部品は互いにより近づいて移動することになり;断面が小さくなると、部品はより離れて移動することになる。いずれかのシナリオが、物体分離にとって潜在的に有利であり得る。
【0118】
導管は、円形または楕円形の断面を有し得る。導管は、多角形の断面を有し得る。導管は、長方形または正方形の断面を有し得る。
【0119】
密閉容器は、任意選択的に、印刷物を出口ポートへ輸送することを支援するために導管の底に位置するコンベヤをさらに含み得る。コンベヤが、印刷区域において励起光によって衝突され得るコンベヤの側面に反射防止コーティングを含むことが有益であり得る。コンベヤの1つの表面(例えば、印刷物を輸送する表面)、または任意選択的に、印刷物を輸送する表面およびコンベヤの反対表面の両方に含まれ得る他のコーティングは、防食または防傷コーティングを含む。他のコーティング材料は、ポリオレフィンおよびフルオロポリマーなどのポリマーを含む。
【0120】
コンベヤは、限定されるものでないが、例として、ソリッドベルト、メッシュベルト、チェーンベルトを含む、ベルトコンベヤであり得る。ベルトコンベヤは、同様に、印刷区域において励起光によって衝突され得るベルトの側面に反射防止コーティングを含むことから恩恵を受け得る。コンベヤは、磁場を使用して容器の外側から作動され得る磁化可能な金属で作製されたトロリーまたはプラットフォームであり得る。
【0121】
本発明のシステムおよび方法における使用のためのポンプは、好ましくは、静水圧ポンプを備える。他の好適なポンプが使用され得る。
【0122】
ポンプは、好ましくは、(i)容器に光重合性液体を充填するために光重合性液体を供給源または貯蔵器から密閉容器内へ圧送することができ、また(ii)印刷物を出口ポートへ向かう方向に印刷区域の外へ移動させるために、計量された量であり得る量の光重合性液体を、充填された密閉容器内へ圧送することができ、出口ポートは、追加された光重合性液体の量だけ変位される密閉容器の内容物の一部分を、出口ポートを通じて密閉容器の外へ排出するように構成される。
【0123】
任意選択的に、本発明のシステムおよび方法は、2つのポンプを含み得、第1のポンプが、光重合性液体を印刷区域へ移動させるためのものであり、第2のポンプが、他の流動特性を光重合性液体に付与する。第2のポンプを含めることは、単一ポンプの有効性の潜在的な損失を距離により補償するのに有益であり得る。
【0124】
印刷前、印刷されることになる物体のデジタルファイルが得られる。デジタルファイルが、物体を印刷するために使用され得る形式のものではない場合、そのデジタルファイルは、物体を印刷するために使用され得る形式へ変換される。印刷のために使用され得る典型的な形式の例は、STLファイルである。典型的には、STLファイルは、次いで、三次元スライサソフトウェアの使用により二次元層へとスライスされ、G-Codeまたは機械コマンドのセットへ変換され、これにより物体を構築することを促進する。B.Redwoodら、「The 3D Printing Handbook- Technologies,designs applications」、3D HUBS B.V.2018を参照されたい。
【0125】
容器または構築チャンバの一部分の特性として使用されるとき、「光学的に透明」とは、使用されている光の波長に対して高い光透過を有することを指し、「光学的に平坦」とは、ゆがんでいない(例えば、容器または構築チャンバの一部分に入る光学波面は、ほとんど影響を受けないままである)ことを指す。
【0126】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が別のことを明白に示さない限り、複数を含む。故に、例えば、放出物質への言及は、そのような物質のうちの1つ以上への言及を含む。
【0127】
出願者は、具体的に、本開示においてすべての引用された参考文献の内容全体を組み込む。さらに、量、濃度、または他の値もしくはパラメータが、範囲、好ましい範囲、または好ましい上限値および好ましい下限値のリストのいずれかとして与えられるとき、これは、範囲が別々に開示されるかどうかにかかわらず、任意の上方範囲限界または好ましい値および任意の下方範囲限界または好ましい値の任意のペアから形成されるすべての範囲を具体的に開示しているものと理解されるべきである。数値の範囲が本明細書において列挙される場合、別途記載のない限り、その範囲は、それらの端点、ならびにその範囲内のすべての整数および分数を含むことが意図される。本発明の範囲が、範囲を規定するときに列挙された特定の値に限定されることは意図されない。
【0128】
本発明の他の実施形態は、本明細書の検討、および本明細書に開示される本発明の実践から、当業者には明白である。本明細書および例は、例示的にすぎないと見なされることが意図され、本発明の真の範囲および趣旨は、以下の特許請求の範囲およびその等価物によって示される。
【国際調査報告】