(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-15
(54)【発明の名称】鉄道車両および電気機械ブレーキシステム用の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
B60T 8/17 20060101AFI20230508BHJP
B60T 17/18 20060101ALI20230508BHJP
B60T 13/66 20060101ALI20230508BHJP
B61H 1/00 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
B60T8/17 Z
B60T17/18
B60T13/66 A
B61H1/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559855
(86)(22)【出願日】2021-04-02
(85)【翻訳文提出日】2022-11-24
(86)【国際出願番号】 IB2021052764
(87)【国際公開番号】W WO2021198994
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】102020000007003
(32)【優先日】2020-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516351289
【氏名又は名称】フェヴレ・トランスポール・イタリア・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】FAIVELEY TRANSPORT ITALIA S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ティオーネ, ロベルト
【テーマコード(参考)】
3D048
3D049
3D246
【Fターム(参考)】
3D048AA04
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(57)【要約】
鉄道車両用の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ(400、500)が記載され、係る電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータは、緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキの要求を示し、かつ、実際のブレーキ力の第1の電気信号(213)が、所定の最大遅延時間内に、安全ユニット(401、501)によって計算された追加の緊急ブレーキ力値と一致する力値を示さない、または、所定の最大遅延時間内に、安全ユニットによって計算された追加の緊急ブレーキ力値を含む所定の許容範囲内に収まらない力値を示さないときに、第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段(208、304)に貯蔵されたエネルギーを解放するように第1の緊急ブレーキエネルギー解放手段(209、302、306)に示すように、第1の緊急ブレーキ制御信号(402、502)を調整するように構成された安全ユニット(401、501)を有する。また、電気機械式ブレーキシステムについても記載される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のブレーキ力を生成するための第1の電気機械モジュール(201)であって、前記第1の電気機械モジュール(201)は、第1のブレーキ力制御信号(204)を受信し、その値が前記第1のブレーキ力制御信号(204)の関数である第1のブレーキ力を生成するように構成された前記第1の電気機械モジュール(201)と、
前記第1の電気機械モジュール(201)によって生成された前記第1のブレーキ力を測定し、その値が前記第1のブレーキ力の値を示す、実際のブレーキ力の第1の電気信号(213)を生成するように構成された第1の力センサ手段(212)と、
少なくとも1つの緊急ブレーキを作動させるのに十分な量のエネルギーを貯蔵するように構成された第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段(208、304)と、
第1の緊急ブレーキ制御信号(402)を発信するように構成された安全ユニット(401)と、
第1の緊急ブレーキエネルギー解放手段(209、302)であって、
前記第1の緊急ブレーキ制御信号(402)が前記第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段(208、304)に貯蔵された前記エネルギーを解放することを示さないときに、前記第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段(208、304)が貯蔵された前記エネルギーを解放することを防止し、
前記第1の緊急ブレーキ制御信号(402)が、前記少なくとも1つの緊急ブレーキを作動させるために前記第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段(208、304)に貯蔵された前記エネルギーを解放することを示すときに、前記第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段(208、304)が、貯蔵された前記エネルギーを解放し、前記少なくとも1つの緊急ブレーキを作動させることを可能にするように構成された前記第1の緊急ブレーキエネルギー解放手段(209、302)と、
第1のサービスブレーキ制御ユニツト(202)であって、
電気サービスブレーキ要求信号(203)、電気緊急ブレーキ要求信号(210)を受信し、
前記電気サービスブレーキ要求信号(203)の関数としてサービスブレーキ力値を計算し、
前記電気緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示さないときに、前記第1のブレーキ力制御信号(204)を介して前記第1の電気機械モジュール(201)を制御し、
前記サービスブレーキ力値に対応する値を有する前記第1のブレーキ力を生成し、所定の緊急減速度値に基づいて緊急ブレーキ力値を計算し、また、
前記第1の電気緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示すときに、前記第1のブレーキ力制御信号(204)を介して前記第1の電気機械モジュール(201)を制御して、前記緊急ブレーキ力値に対応する値を有する前記第1のブレーキ力を生成するように構成された前記第1のサービスブレーキ制御ユニツト(202)と、を有し、
前記安全ユニット(401)は、さらに、
前記緊急ブレーキ要求信号(210)を受信し、
実際のブレーキ力の前記第1の電気信号(213)を受信して監視し、
前記所定の緊急減速度値の関数として、追加の緊急ブレーキ力値を計算し、
前記緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示さないとき、または、前記緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示し、かつ実際のブレーキ力の前記第1の電気信号(213)が、所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット(401)によって計算された前記追加の緊急ブレーキ力値と一致する力値を示す、または所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット(401)によって計算された前記追加の緊急ブレーキ力値を含む所定の許容範囲内に入る力値を示すときに、前記第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段(208、304)に貯蔵された前記エネルギーを解放しないように前記第1の緊急ブレーキエネルギー解放手段(209、302)に示すように、前記第1の緊急ブレーキ制御信号(402)を調整し、
前記緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示し、かつ、実際のブレーキ力の前記第1の電気信号(213)が、所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット(401)によって計算された前記追加の緊急ブレーキ力値と一致する力値を示さない、または所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット(401)によって計算された前記追加の緊急ブレーキ力値を含む所定の許容範囲内に入らない力値を示さないときに、前記第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段(208、304)に貯蔵された前記エネルギーを解放するように前記第1の緊急ブレーキエネルギー解放手段(209、302)に示すように、前記第1の緊急ブレーキ制御信号(402)を調整する、ように構成されていることを特徴とする鉄道車両用の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ(400、500)。
【請求項2】
前記サービスブレーキ制御ユニット(202)は、前記第1のサービスブレーキ制御ユニット(202)によって計算された前記サービスブレーキ力値と、前記第1のサービスブレーキ制御ユニット(202)によって計算された前記緊急ブレーキ力値とのうちの大きい方に対応する値を有する前記第1のブレーキ力を生成するように、前記第1のブレーキ力制御信号(204)を介して前記第1の電気機械モジュール(201)を制御するように構成され、
前記緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示し、かつ、実際のブレーキ力の前記第1の電気信号(213)が、所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット(401)によって計算された前記追加の緊急ブレーキ力値よりも高い力値を示す、または所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット(401)によって計算された前記追加の緊急ブレーキ力値を含む所定の許容範囲の上限値よりも高い力値を示すときであっても、前記第1のサービスブレーキ制御ユニット(202)によって計算された前記サービスブレーキ力の値が、前記第1のサービスブレーキ制御ユニットによって計算された前記緊急ブレーキ力の値よりも大きいときに、前記安全ユニット(401)は、前記第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段(208、304)に貯蔵された前記エネルギーを解放しないことを前記第1の緊急ブレーキエネルギー解放手段(209、302)に示すように、前記第1の緊急ブレーキ制御信号(402)を調整するように構成される請求項1に記載の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ(400)。
【請求項3】
前記第1のサービスブレーキ制御ユニット(202)は、前記鉄道車両または前記鉄道車両の台車の重量を示す重量信号(404、504)を受信し、前記電気サービスブレーキ要求信号(203)および前記重量信号(404)の関数として前記サービスブレーキ力値を計算し、前記所定の緊急減速度値および前記重量信号(404)に基づいて前記緊急ブレーキ力値を計算するように構成され、
前記安全ユニット(401)は、前記所定の緊急減速度値および前記重量信号(404)の関数として前記追加の緊急ブレーキ力値を計算するように構成される請求項1または2に記載の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ(400)。
【請求項4】
第1のブレーキ力を生成するための第1の電気機械モジュール(201)であって、前記第1の電気機械モジュール(201)は、少なくとも1つの第1のブレーキ力制御信号(204)を受信し、前記第1のブレーキ力制御信号(204)の関数である第1のブレーキ力を生成するように構成された前記第1の電気機械モジュール(201)と、
前記第1の電気機械モジュール(201)によって生成された前記第1のブレーキ力を測定し、その値が前記第1のブレーキ力の値を示す、実際のブレーキ力の第1の電気信号(213)を生成するように構成された第1の力センサ手段(212)と、
少なくとも1つの緊急ブレーキを作動させるのに十分な量のエネルギーを貯蔵するように構成された第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段(208、304)と、
安全ユニット(501)であって、
緊急ブレーキ要求信号(210)を受信し、
所定の緊急減速度値の関数として緊急ブレーキ力値を計算し、
前記安全ユニット(501)によって計算された緊急ブレーキ力値を、第1の電気緊急ブレーキ力要求信号(503)を介して前記第1のサービスブレーキ制御ユニット(202)に送信し、また、
第1の緊急ブレーキ制御信号(502)を発信するように構成された前記安全ユニット(501)と、
第1の緊急ブレーキエネルギー解放手段(209、302)であって、
前記第1の緊急ブレーキ制御信号(502)が前記第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段(208、304)に貯蔵された前記エネルギーを解放することを示さないときに、前記第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段(208、304)が貯蔵された前記エネルギーを解放することを防止し、
前記第1の緊急ブレーキ制御信号(502)が、前記少なくとも1つの緊急ブレーキを作動させるために前記第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段(208、304)に貯蔵された前記エネルギーを解放することを示すときに、前記第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段(208、304)が、貯蔵された前記エネルギーを解放し、前記少なくとも1つの緊急ブレーキを作動させることを可能にするように構成された前記第1の緊急ブレーキエネルギー解放手段(209、302)と、
第1のサービスブレーキ制御ユニツト(202)であって、
電気サービスブレーキ要求信号(203)、電気緊急ブレーキ要求信号(210)を受信し、
前記電気サービスブレーキ要求信号(203)の関数としてサービスブレーキ力値を計算し、
前記電気緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示さないときに、前記第1のブレーキ力制御信号(204)を介して前記第1の電気機械モジュール(201)を制御して、前記サービスブレーキ力値に対応する値を有する前記第1のブレーキ力を生成し、
前記電気緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示すときに、前記第1のブレーキ力制御信号(204)を介して前記第1の電気機械モジュール(201)を制御して、前記緊急ブレーキ力値に対応する値を有する前記第1のブレーキ力を生成するように構成された前記第1のサービスブレーキ制御ユニツト(202)と、を有し、
前記安全ユニット(501)は、
実際のブレーキ力の前記第1の電気信号(213)を受信して監視し、
前記所定の緊急減速度値の関数として、追加の緊急ブレーキ力値を計算し、
前記緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示さないとき、または、前記緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示し、かつ実際のブレーキ力の前記第1の電気信号(213)が、所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット(501)によって計算された前記追加の緊急ブレーキ力値と一致する力値を示す、または所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット(501)によって計算された前記追加の緊急ブレーキ力値を含む所定の許容範囲内に入る力値を示すときに、前記第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段(208、304)に貯蔵された前記エネルギーを解放しないように前記第1の緊急ブレーキエネルギー解放手段(209、302)に示すように、前記第1の緊急ブレーキ制御信号(502)を調整し、
前記緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示し、かつ、実際のブレーキ力の前記第1の電気信号(213)が、所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット(501)によって計算された前記追加の緊急ブレーキ力値と一致する力値を示さない、または所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット(501)によって計算された前記追加の緊急ブレーキ力値を含む所定の許容範囲内に入らない力値を示さないときに、前記第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段(208、304)に貯蔵された前記エネルギーを解放するように前記第1の緊急ブレーキエネルギー解放手段(209、302)に示すように、前記第1の緊急ブレーキ制御信号(502)を調整するように構成されていることを特徴とする鉄道車両用の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ(500)。
【請求項5】
前記第1のサービスブレーキ制御ユニット(202)は、さらに、前記鉄道車両または前記鉄道車両の台車の重量を示す重量信号(504)を受信し、前記電気サービスブレーキ要求信号(203)および前記重量信号(504)の関数として前記サービスブレーキ力値を計算するように構成され、
前記安全ユニット(401)は、さらに、前記重量信号(504)を受信し、前記所定の緊急減速度値および前記重量信号(504)の関数として前記追加の緊急ブレーキ力値を計算するように構成される請求項4に記載の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ(500)。
【請求項6】
前記サービスブレーキ制御ユニット(202)は、前記第1のサービスブレーキ制御ユニット(202)によって計算された前記サービスブレーキ力値と、前記第1のサービスブレーキ制御ユニット(202)によって計算された前記緊急ブレーキ力値とのうちの大きい方に対応する値を有する前記第1のブレーキ力を生成するように、前記第1のブレーキ力制御信号(204)を介して前記第1の電気機械モジュール(201)を制御するように構成され、
前記緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示し、かつ、実際のブレーキ力の前記第1の電気信号(213)が、所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット(501)によって計算された前記追加の緊急ブレーキ力値よりも高い力値を示す、または所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット(501)によって計算された前記追加の緊急ブレーキ力値を含む所定の許容範囲の上限値よりも高い力値を示すときであっても、前記第1のサービスブレーキ制御ユニット(202)によって計算された前記サービスブレーキ力の値が、前記第1のサービスブレーキ制御ユニットによって計算された前記緊急ブレーキ力の値よりも大きいときに、前記安全ユニット(501)は、前記第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段(208、304)に貯蔵された前記エネルギーを解放しないことを前記第1の緊急ブレーキエネルギー解放手段(209、302)に示すように、前記第1の緊急ブレーキ制御信号(502)を調整するように構成される請求項4または5に記載の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ(500)。
【請求項7】
前記安全ユニット(501)は、前記緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキの要求を示さないときに、前記第1の電気緊急ブレーキ力要求信号(503)を介して空(null)の緊急ブレーキ力値を前記第1のサービスブレーキ制御ユニット(202)に送信するように構成される請求項4ないし6のいずれか一項に記載の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ(500)。
【請求項8】
前記電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ(500)は、少なくとも前記第1の電気機械モジュール(201)、前記第1の力センサ手段(212)、前記第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段(208、304)、前記第1の緊急ブレーキエネルギー解放手段(209、302)、前記第1のサービスブレーキ制御ユニット(202)、および前記安全ユニット(501)を含む統合モジュールを有する請求項1ないし7のいずれか一項に記載の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ(500)。
【請求項9】
前記電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータは、前記第1の電気機械モジュール(201)、前記第1の力センサ手段(212)、前記第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段(208、304)、前記第1の緊急ブレーキエネルギー解放手段(209、302)、および前記第1のサービスブレーキ制御ユニット(202)を含む統合モジュールを有し、
前記安全ユニット(401、501、601)は、前記統合モジュールの外部に存在する請求項1ないし7のいずれか一項に記載の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ(400、500)。
【請求項10】
前記電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータは、前記第1の電気機械モジュール(201)、前記第1の力センサ手段(212)、前記第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段(208、304)、および前記第1の緊急ブレーキエネルギー解放手段(209、302)を含む統合モジュールを有し、
前記安全ユニット(401、501、601)および前記第1のサービスブレーキ制御ユニット(202)は、前記統合モジュールの外部に存在する請求項1ないし7のいずれか一項に記載の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ(400、500)。
【請求項11】
前記第1の電気機械モジュール(201)によって生成される前記第1のブレーキ力は、機械的伝達手段(216、680)を介してブレーキ手段に伝達されるように構成される請求項1ないし10のいずれか一項に記載の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ(400、500)。
【請求項12】
前記ブレーキ手段が、少なくとも1つのディスク摩擦パッドまたはホイール摩擦ブロックを備える請求項11に記載の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ(400、500)。
【請求項13】
前記第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段(208、304)は、潜在的な機械エネルギーを貯蔵するための機械的手段を備える請求項1ないし12のいずれか一項に記載の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ(400、500)。
【請求項14】
前記第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段(208、304)は、運動エネルギーを貯蔵するための機械的手段を備える請求項1ないし12のいずれか一項に記載の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ(400、500)。
【請求項15】
前記第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段(208、304)は、電気エネルギーを貯蔵するための機械的手段を備える請求項1ないし12のいずれか一項に記載の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ(400、500)。
【請求項16】
前記安全ユニット(401、501、601)は、第1のサービスブレーキ制御ユニット(202)の安全完全性レベルSILよりも高い安全完全性レベルSILを有する請求項1ないし15のいずれか一項に記載の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ(400、500)。
【請求項17】
前記安全ユニット(401、501、601)は、安全完全性レベルSIL≧3を有する請求項1ないし16のいずれか一項に記載の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ(400、500)。
【請求項18】
前記安全ユニット(401、501、601)は、少なくとも1つのマイクロプロセッサを含むアーキテクチャに従って作られたものである請求項1ないし17のいずれか一項に記載の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ(400、500)。
【請求項19】
前記安全ユニット(401、501、601)は、少なくとも1つのプログラマブルデバイスを含むアーキテクチャに従って作られたものである請求項1ないし18のいずれか一項に記載の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ(400、500)。
【請求項20】
前記所定の緊急減速度値は、電気信号(504)を介して、前記第1のサービスブレーキ制御ユニット(202)および/または前記安全ユニット(401、501、601)に提供される請求項1ないし19のいずれか一項に記載の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ(400、500)。
【請求項21】
前記安全ユニット(401、501、601)が第2の緊急ブレーキ制御信号(602)を発信するように構成されている請求項1ないし3および8ないし20のいずれか一項に記載の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ(400、500)と、
第2のブレーキ力を生成するための第2の電気機械モジュールであって、前記第2の電気機械モジュールは、第2のブレーキ力制御信号(660、661、662、663)を受信し、その値が前記第2のブレーキ力制御信号(660、661、662、663)の関数である前記第2のブレーキ力を生成する前記第2の電気機械モジュールと、
前記第2の電気機械モジュールによって生成された前記第2のブレーキ力を測定し、その値が前記第2のブレーキ力の値である、実際のブレーキ力を示す第2の電気信号(640、641、642、643)を生成するように構成された第2の力センサ手段と、
少なくとも1つの緊急ブレーキを作動させるのに十分な量のエネルギーを貯蔵するように構成された第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段と、
第2の緊急ブレーキエネルギー解放手段であって、
前記第2の緊急ブレーキ制御信号(602)が前記第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段に貯蔵された前記エネルギーを解放することを示さないときに、前記第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段が貯蔵された前記エネルギーを解放することを防止し、
前記第2の緊急ブレーキ制御信号(602)が、前記少なくとも1つの緊急ブレーキを作動させるために前記第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段に貯蔵された前記エネルギーを解放することを示すときに、前記第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段が、少なくとも1回の緊急ブレーキを作動させるために貯蔵された前記エネルギーを解放することを可能にするように構成された前記第2の緊急ブレーキエネルギー解放手段と、を有し、
前記第1のサービスブレーキ制御ユニット(202)は、さらに、
前記電気緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示さないときに、前記第2のブレーキ力制御信号(660、661、662、663)を介して前記第2の電気機械モジュールを制御し、前記サービスブレーキ力値に対応する値を有する前記第2のブレーキ力を生成し、
前記電気緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示すときに、前記第2のブレーキ力制御信号(660、661、662、663)を介して前記第2の電気機械モジュールを制御し、前記緊急ブレーキ力値に対応する値を有する前記第2のブレーキ力を生成するように構成され、
前記安全ユニット(401、501、601)は、さらに、
実際のブレーキ力を示す前記第2の電気信号(640、641、642、643)を受信して監視し、
前記緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示さないとき、または前記緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示し、かつ、実際のブレーキ力を示す前記第2の電気信号(640、641、642、643)が、所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット(401、501)によって計算された前記追加の緊急ブレーキ力値と一致する力値を示すか、または、所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット(401、501、601)によって計算された前記追加の緊急ブレーキ力値を含む所定の許容範囲内に収まる力値を示すときに、前記第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段に蓄えられた前記エネルギーを解放しないことを前記第2の緊急ブレーキエネルギー解放手段に示すように、前記第2の緊急ブレーキ制御信号(602)を調整し、
前記緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示し、かつ、実際のブレーキ力を示す前記第2の電気信号(640、641、642、643)が、所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット(401、501、601)によって計算された前記追加の緊急ブレーキ力値と一致する力値を示さない、または所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット(401、501、601)によって計算された前記追加の緊急ブレーキ力値を含む所定の許容範囲内に収まらない力値を示さないときに、前記第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段に貯蔵された前記エネルギーを解放することを前記第2の緊急ブレーキエネルギー解放手段に示すように、前記第2の緊急ブレーキ制御信号(602)を調整するように構成されていることを特徴とする少なくとも1台の鉄道車両用の電気機械ブレーキシステム。
【請求項22】
前記安全ユニット(401、501、601)が第2の緊急ブレーキ制御信号(602)を発信するように構成されている請求項1ないし3および8ないし20のいずれか一項に記載の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ(400、500)と、
第2のブレーキ力を生成するための第2の電気機械モジュールであって、前記第2の電気機械モジュールは、第2のブレーキ力制御信号を受信し、その値が前記第2のブレーキ力制御信号の関数である前記第2のブレーキ力を生成する前記第2の電気機械モジュールと、
第2のサービスブレーキ制御ユニットであって、
前記電気サービスブレーキ要求信号(203)、前記電気緊急ブレーキ要求信号(210)を受信し、
第2のサービスブレーキ力値を前記電気サービスブレーキ要求信号(203)の関数として計算し、
前記電気緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示さないときに、前記第2のブレーキ力制御信号(660、661、662、663)を介して前記第2の電気機械モジュールを制御し、前記第2のサービスブレーキ力値に対応する値を有する第2のブレーキ力を生成し、
第2の緊急ブレーキ力値を前記所定の緊急減速度値の関数として計算し、また、
前記電気緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示すときに、前記第2のブレーキ力制御信号(660、661、662、663)を介して前記第2の電気機械モジュールを制御し、前記第2の緊急ブレーキ力値に対応する値を有する前記第2のブレーキ力を生成するように構成された前記第2のサービスブレーキ制御ユニットと、
前記第2の電気機械モジュールによって生成された前記第2のブレーキ力を測定し、その値が前記第2のブレーキ力の値である、実際のブレーキ力を示す第2の電気信号(640、641、642、643)を生成するように構成された第2の力センサ手段と、
少なくとも1つの緊急ブレーキを作動させるのに十分な量のエネルギーを貯蔵するように構成された第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段と、
第2の緊急ブレーキエネルギー解放手段であって、
前記第2の緊急ブレーキ制御信号(602)が前記第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段に貯蔵された前記エネルギーを解放することを示さないときに、前記第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段が貯蔵された前記エネルギーを解放することを防止し、
前記第2の緊急ブレーキ制御信号(602)が、前記少なくとも1つの緊急ブレーキを作動させるために前記第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段に貯蔵された前記エネルギーを解放することを示すときに、前記第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段が、少なくとも1回の緊急ブレーキを作動させるために貯蔵された前記エネルギーを解放することを可能にするように構成された前記第2の緊急ブレーキエネルギー解放手段と、を有し、
前記安全ユニット(401、501、601)は、さらに、
実際のブレーキ力を示す前記第2の電気信号(640、641、642、643)を受信して監視し、
前記緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示さないとき、または前記緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示し、かつ、実際のブレーキ力を示す前記第2の電気信号(640、641、642、643)が、所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット(401、501)によって計算された前記追加の緊急ブレーキ力値と一致する力値を示すか、または、所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット(401、501、601)によって計算された前記追加の緊急ブレーキ力値を含む所定の許容範囲内に収まる力値を示すときに、前記第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段に貯蔵された前記エネルギーを解放しないことを前記第2の緊急ブレーキエネルギー解放手段に示すように、前記第2の緊急ブレーキ制御信号(602)を調整し、
前記緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示し、かつ、実際のブレーキ力を示す前記第2の電気信号(640、641、642、643)が、所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット(401、501、601)によって計算された前記追加の緊急ブレーキ力値と一致する力値を示さない、または所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット(401、501、601)によって計算された前記追加の緊急ブレーキ力値を含む所定の許容範囲内に収まらない力値を示さないときに、前記第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段(208、304)に貯蔵された前記エネルギーを解放することを前記第2の緊急ブレーキエネルギー解放手段に示すように、前記第2の緊急ブレーキ制御信号(602)を調整するように構成されていることを特徴とする少なくとも1台の鉄道車両用の電気機械ブレーキシステム。
【請求項23】
前記安全ユニット(401、501、601)が第2の緊急ブレーキ制御信号(602)を発信するように構成されている請求項4ないし20のいずれか一項に記載の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ(400、500)と、
第2のブレーキ力を生成するための第2の電気機械モジュールであって、前記第2の電気機械モジュールは、第2のブレーキ力制御信号(660、661、662、663)を受信し、その値が前記第2のブレーキ力制御信号(660、661、662、663)の関数である前記第2のブレーキ力を生成する前記第2の電気機械モジュールと、
前記第2の電気機械モジュールによって生成された前記第2のブレーキ力を測定し、その値が前記第2のブレーキ力の値である、実際のブレーキ力を示す第2の電気信号(640、641、642、643)を生成するように構成された第2の力センサ手段と、
少なくとも1つの緊急ブレーキを作動させるのに十分な量のエネルギーを貯蔵するように構成された第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段と、
第2の緊急ブレーキエネルギー解放手段であって、
前記第2の緊急ブレーキ制御信号(602)が前記第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段に貯蔵された前記エネルギーを解放することを示さないときに、前記第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段が貯蔵された前記エネルギーを解放することを防止し、
前記第2の緊急ブレーキ制御信号(602)が、前記少なくとも1つの緊急ブレーキを作動させるために前記第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段に貯蔵された前記エネルギーを解放することを示すときに、前記第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段(208、304)が、少なくとも1回の緊急ブレーキを作動させるために貯蔵された前記エネルギーを解放することを可能にするように構成された前記第2の緊急ブレーキエネルギー解放手段と、を有し、
前記第1のサービスブレーキ制御ユニット(202)は、さらに、
前記電気緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示さないときに、前記第2のブレーキ力制御信号(660、661、662、663)を介して前記第2の電気機械モジュールを制御し、前記サービスブレーキ力値に対応する値を有する前記第2のブレーキ力を生成し、
前記電気緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示すときに、前記第2のブレーキ力制御信号(660、661、662、663)を介して前記第2の電気機械モジュールを制御し、前記第1のサービスブレーキ制御ユニットが前記第1の電気緊急ブレーキ力要求信号(403、503)を介して前記安全ユニット(401、501、601)から受け取った前記緊急ブレーキ力値に対応する値を有する前記第2のブレーキ力を生成するように構成され、
前記安全ユニット(401、501、601)は、さらに、
実際のブレーキ力を示す前記第2の電気信号(640、641、642、643)を受信して監視し、
前記緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示さないとき、または前記緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示し、かつ、実際のブレーキ力を示す前記第2の電気信号(640、641、642、643)が、所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット(401、501、601)によって計算された前記緊急ブレーキ力値と一致する力値を示すか、または、所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット(401、501、601)によって計算された前記緊急ブレーキ力値を含む所定の許容範囲内に収まる力値を示すときに、前記第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段に蓄えられた前記エネルギーを解放しないことを前記第2の緊急ブレーキエネルギー解放手段に示すように、前記第2の緊急ブレーキ制御信号(402、502)を調整し、
前記緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示し、かつ、実際のブレーキ力を示す前記第2の電気信号(640、641、642、643)が、所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット(401、501、601)によって計算された前記緊急ブレーキ力値と一致する力値を示さない、または所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット(401、501、601)によって計算された前記緊急ブレーキ力値を含む所定の許容範囲内に収まらない力値を示さないときに、前記第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段に貯蔵された前記エネルギーを解放することを前記第2の緊急ブレーキエネルギー解放手段に示すように、前記第2の緊急ブレーキ制御信号(602)を調整するように構成されていることを特徴とする少なくとも1台の鉄道車両用の電気機械ブレーキシステム。
【請求項24】
前記安全ユニット(401、501、601)が、さらに前記安全ユニット(401、501、601)によって計算された前記緊急ブレーキ力値を、第2の電気緊急ブレーキ力要求信号を介して第2のサービスブレーキ制御ユニットに送信し、第2の非常ブレーキ制御信号(602)を発信するように構成された請求項4ないし20のいずれか一項に記載の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ(400、500)と、
第2のブレーキ力を生成するための第2の電気機械モジュールであって、前記第2の電気機械モジュールは、第2のブレーキ力制御信号(660、661、662、663)を受信し、その値が前記第2のブレーキ力制御信号(660、661、662、663)の関数である前記第2のブレーキ力を生成する前記第2の電気機械モジュールと、
前記第2の電気機械モジュールによって生成された前記第2のブレーキ力を測定し、その値が前記第2のブレーキ力の値を示す実際のブレーキ力の第2の電気信号(640、641、642、643)を生成するように構成された第2の力センサ手段と、
少なくとも1つの緊急ブレーキを作動させるのに十分な量のエネルギーを貯蔵するように構成された第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段と、
第2の緊急ブレーキエネルギー解放手段であって、
前記第2の緊急ブレーキ制御信号(602)が前記第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段に貯蔵された前記エネルギーを解放することを示さないときに、前記第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段が貯蔵された前記エネルギーを解放することを防止し、
前記第2の緊急ブレーキ制御信号(602)が、前記少なくとも1つの緊急ブレーキを作動させるために前記第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段に貯蔵された前記エネルギーを解放することを示すときに、前記第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段(208、304)が、少なくとも1回の緊急ブレーキを作動させるために貯蔵された前記エネルギーを解放することを可能にするように構成された前記第2の緊急ブレーキエネルギー解放手段と、
第2のサービスブレーキ制御ユニット(202)であって、
前記電気サービスブレーキ要求信号(203)、前記電気緊急ブレーキ要求信号(210)を受信し、
第2のサービスブレーキ力値を前記電気サービスブレーキ要求信号(203)の関数として計算し、
前記電気緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示さないときに、前記第2のブレーキ力制御信号(660、661、662、663)を介して前記第2の電気機械モジュールを制御し、前記第2のサービスブレーキ力値に対応する値を有する第2のブレーキ力を生成し、
前記電気緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示すときに、前記第2のブレーキ力制御信号(660、661、662、663)を介して前記第2の電気機械モジュールを制御し、前記第2のサービスブレーキ制御ユニットが前記第2の電気緊急ブレーキ力要求信号を介して前記安全ユニット(401、501、601)から受け取った前記第2の緊急ブレーキ力値に対応する値を有する前記第2のブレーキ力を生成するように構成された前記第2のサービスブレーキ制御ユニットと、を有し、
前記安全ユニット(401、501、601)は、さらに、
実際のブレーキ力を示す前記第2の電気信号(640、641、642、643)を受信して監視し、
前記緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示さないとき、または前記緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示し、かつ、実際のブレーキ力を示す前記第2の電気信号(640、641、642、643)が、所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット(401、501)によって計算された前記緊急ブレーキ力値と一致する力値を示すか、または、所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット(401、501、601)によって計算された前記緊急ブレーキ力値を含む所定の許容範囲内に収まる力値を示すときに、前記第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段に貯蔵された前記エネルギーを解放しないことを前記第2の緊急ブレーキエネルギー解放手段に示すように、前記第2の緊急ブレーキ制御信号(402、502)を調整し、
前記緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキ要求を示し、かつ、実際のブレーキ力を示す前記第2の電気信号(640、641、642、643)が、所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット(401、501)によって計算された前記緊急ブレーキ力値と一致する力値を示さない、または所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット(401、501、601)によって計算された前記緊急ブレーキ力値を含む所定の許容範囲内に収まらない力値を示さないときに、前記第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段(208、304)に貯蔵された前記エネルギーを解放することを前記第2の緊急ブレーキエネルギー解放手段に示すように、前記第2の緊急ブレーキ制御信号(602)を調整するように構成されていることを特徴とする少なくとも1台の鉄道車両用の電気機械ブレーキシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、鉄道ブレーキシステムの分野に属する。特に、本発明は、鉄道車両用の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
以下の説明では、次のヨーロッパ規格、EN50129:2018年改訂、EN50159:2010年改訂、EN50126-1:2017年改訂、EN50126-2:2017年改訂、EN50128:2011年改訂を参照する。
・EN50126 [「鉄道アプリケーション。信頼性、可用性、保守性および安全性(RAMS)の仕様とデモンストレーション]、
・EN50128 [「鉄道アプリケーション。通信、信号伝達および処理システム。鉄道制御および保護システム用ソフトウェア」]、
・EN50129 [「鉄道アプリケーション。通信、信号伝達および処理システム。信号伝達用の安全関連電子システム」]、
・EN50159 [「鉄道アプリケーション。通信、信号伝達および処理システム。伝送システムにおける安全関連の通信」]。
特に、規格EN50126は、安全性分析の結果に基づいて、問題のシステムを構成するサブシステムに安全度水準SIL0/1/2/3/4(安全度水準SIL4が最大安全度水準を示す)を割り当てる方法論を定義し、また規格EN50128および規格EN50129は、安全性分析の結果に基づいて割り当てられたSILレベルに基づいて、ソフトウェアおよびハードウェアコンポーネントにそれぞれ適用される設計基準を定義する。
【0003】
当技術分野では、次のことが知られている。
・欧州規格EN50126に従って実行される緊急ブレーキ機能に関連する安全性算定は、安全度水準SIL≧3を緊急ブレーキ機能に体系的に割り当て、その結果、通常はそれらを実装するサブシステムに割り当てる。
・欧州規格EN50126に従って実行されるサービスブレーキ機能に関連する安全性算定は、通常、安全度水準SIL≦2をサービスブレーキ機能に割り当て、その結果、通常はそれらを実装するサブシステムに割り当てる。
・EN50128およびEN50129に準拠した安全度水準SIL≧3に基づく、通常はマイクロプロセッサベースまたはFPGAベースの制御ユニットの開発には、安全度水準SIL≦2による設計よりも約1桁高い設計、検証、および認証のコストが含まれる。
【0004】
前述の最後の点に関しては、安全度水準SIL≧3に従って開発する機能を非常に限定的かつ単純にしておくことが価値を有することは明らかである。
【0005】
鉄道用途、特に旅客列車用の一般的な空気圧ブレーキシステムを
図1に示す。
【0006】
圧縮空気の生成およびろ過システム101は、列車に沿ったブレーキシステムおよびサスペンションシステムに圧縮空気を供給するように構成されたメインダクト102を供給する。供給される圧縮空気は、一般的に6barから10barの間の値の範囲である。
【0007】
メインパイプラインは、逆止バルブ103を介して、補助タンク104、電空モジュール105、空気圧計量バルブ106、およびリレーババルブ107を供給する。
【0008】
補助タンク104の目的は、メインライン102の圧力が突然失われた場合に少なくとも1回の緊急ブレーキを確保するために、一定量の圧縮空気を貯蔵することである。
【0009】
逆止バルブ103の目的は、メインライン102への圧力が突然失われた場合に、補助タンク104からメインライン102への空気の損失を防止することである。
【0010】
その実施形態が従来技術である電空モジュール105は、電気信号グループ109の手段によって制御ユニット108によって制御される。
【0011】
制御ユニット108は電子ユニットである。
【0012】
制御ユニット108は、電気信号109を介してサービスブレーキ要求を受信し、その性質はアナログ信号またはシリアル通信チャネルであり得るが、これらに限定されない。
【0013】
さらに、電子制御ユニット108は、ボギー台車または制動される車体の重量を示す信号110を受信する。
【0014】
電子制御ユニット108は、ブレーキ要求109と、制動されるボギー台車または車体の重量を示す信号110によって想定される値とに従ってサービスブレーキ圧力を計算し、電空モジュール105を制御して、電空モジュール105の出口105におけるサービスブレーキ圧力を計算値に制御する。
【0015】
電空モジュール105の出口111は、ダブルストップバルブ112の2つの入口のうちの1つに接続される。
【0016】
空気圧計量バルブ106は、制動されるボギー台車または車両に関連する空気圧サスペンションに存在する圧力を示す空気圧信号113、すなわち、ボギー台車または車両にかかる重量を示す空気圧信号113を受信する。
【0017】
空気圧計量バルブ106は、その出口114で緊急ブレーキ用の圧力を連続的に生成するように設計されており、その値は、空気圧信号113に関連付けられた任意の重量条件で、設計段階で定義された所定の名目上の緊急減速を生成するために必要な圧力値に継続的に対応する。
【0018】
空気圧計量バルブ106の出口114は、電気的緊急ブレーキ要求信号115によって制御される緊急空気圧ソレノイドバルブ116に供給し、緊急空気圧ソレノイドバルブ116は、電気的緊急ブレーキ要求信号115が緊急ブレーキを要求していない第1の状態にあるとき、その出口117での緊急ブレーキ圧力の伝播を防止する第1の状態をとるように構成され、電気的緊急ブレーキ要求信号115が緊急ブレーキを要求する第2の状態にあるとき、その出口117で緊急ブレーキ圧力の伝搬を可能にする第2の状態をとるように構成される。
【0019】
緊急空気圧ソレノイドバルブ116の出口117は、較正されたオリフィス118を介してダブルストップバルブ112の第2の入口に接続される。
【0020】
ダブルストップバルブ112の出口は、リレーバルブ101のパイロットチャンバに接続されている。
【0021】
リレーバルブ107の出口119は、制動されるボギー台車または車体に関連する少なくとも1つのブレーキシリンダ120を供給する。
【0022】
信号115が緊急ブレーキ要求を示さないときに、緊急空気圧ソレノイドバルブ116の出口117における圧力は公称値0barとなる。
【0023】
したがって、信号115が緊急ブレーキ要求を示さないときに、ダブルストップバルブ112の出口の圧力は、電空モジュール105の出口111のサービスブレーキ圧力と常に一致する、言い換えれば、リレーバルブ107のパイロットチャンバ内の圧力は、電空モジュール105の出口111におけるサービスブレーキ圧力と常に一致する、すなわち、少なくとも1つのブレーキシリンダ120における圧力は、サービスブレーキ圧力に対応する。
【0024】
信号115が緊急ブレーキ要求を示すとき、緊急空気圧ソレノイドバルブ116の出口117の圧力は、空気圧計量バルブ106によって生成される緊急ブレーキ圧力の公称値をとる。
【0025】
この状態では、ダブルストップバルブ112の出口の圧力は、サービスブレーキ圧力と緊急ブレーキ圧力のうち大きい方と一致する。
【0026】
通常、緊急ブレーキ圧は、どのような重量条件でもサービスブレーキ圧以上であることが知られている。
【0027】
このため、ダブルストップバルブ112の出口の圧力は、電気的緊急ブレーキ要求信号115が緊急ブレーキを必要とするとき、緊急ブレーキ圧力と一致する。
【0028】
較正オリフィス118は、緊急ブレーキの適用中に乗客が転倒する危険性を抑制するために、設計段階で緊急ブレーキ圧力の上昇勾配を所定の値に制限する機能を果たす。
【0029】
空気圧式計量バルブ106、緊急空気圧ソレノイドバルブ116、ダブルストップバルブ112、およびリレーバルブ107の統合は、規格EN50126で要求される安全度水準SIL≧3に達することが知られている。
【0030】
メカトロニクス技術に基づく、鉄道用途向けの新しい電気機械ブレーキシステムが開発されている。それらの設計は、特に安全関連機能に関して、鉄道用途の一般的な電空ブレーキについて前に説明されたものを機能的に複製する必要がある。
【0031】
したがって、以下の事項を確認する必要がある。
・少なくとも1回の緊急ブレーキを確保するために、システムに一定量のエネルギーが蓄えられこと、
・車輪に適用される緊急ブレーキ力は、常に所定の減速度に適合するため、ブレーキホイールの瞬間的な重量に適合すること、
・緊急ブレーキの適用中に乗客が転倒するリスクを制限するなど、最大勾配に従って緊急ブレーキ力が適用されること、
・列車全体レベルでの緊急ブレーキは、安全度水準SIL=4に達すること。
【0032】
図2は、従来技術による電気機械ブレーキアクチュエータ200の機能図の第1の非排他的な例である。
【0033】
少なくとも1つの電気モータと、場合によっては減速機、すなわちトルク増倍器とを備える第1の電気機械モジュール201は、緊急ブレーキモジュール207に接続されたアーム206を伸長または収縮させることができる。
【0034】
緊急ブレーキモジュール207は、緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段208、例えばポテンシャル機械エネルギー貯蔵手段を含み、ポテンシャル機械エネルギーを貯蔵するための機械的手段は非限定的な例としてコイルばねである。緊急ブレーキモジュール207は、緊急ブレーキ要求信号210によって制御される、例えば電気機械的保持機構などの緊急ブレーキエネルギー解放手段209をさらに備える。緊急ブレーキエネルギー解放手段209は、緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキの要求を示さないときに、緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段208に以前に貯蔵された潜在的な機械エネルギーを維持する第1の状態を有するように構成される。また、緊急ブレーキエネルギー解放手段209は、緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキの要求を示すとき、緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段208に以前に貯蔵された潜在的な機械的エネルギーを解放する第2の状態を有するように構成される。
【0035】
非限定的な例として、力の伝達が並進型ではなく回転型である場合の平らな螺旋型のばねなど、他の形態の機械的エネルギー貯蔵を使用することができる。
【0036】
さらに、貯蔵エネルギーは、図示しない第2のモータによって適切に回転させられたフライホイールに貯蔵された運動エネルギーであってもよい。
【0037】
以下、線形タイプ、すなわち、つる巻ばねの緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段208について言及するが、本発明を前述の他のすべての形態に適用できることは明らかである。
【0038】
アーム211は、アーム211と214との間に加えられる機械力を示すブレーキ力の電気信号213を生成する力センサ212に接続される。ブレーキ力を示す電気信号213は、サービスブレーキ制御ユニット202の入力に伝送される。
【0039】
アーム214は、力センサ手段212と、パッドホルダーとブレーキパッドアセンブリ217に接続された最後のアーム216に力を伝達するバックラッシュレキュペレータ215との間に接続される。
【0040】
バックラッシュレキュペレータ215は、ブレーキパッドの摩耗を連続的に回復する目的を有する。
【0041】
パッドの摩耗は、制御ユニットによって実行されるソフトウェア手順によって回復することもできるが、この手順はこの特許の対象外である。
【0042】
サービスブレーキ制御ユニット202は、本質的に電子的であり、車両のバッテリからだけではなく、電源電圧205をその入力で受信する。
【0043】
サービスブレーキ制御ユニット202は、供給電圧205を変調して、少なくとも1つの電気制御信号204を通じて電気機械モジュール201に含まれる電気モータを制御するように構成される。
【0044】
サービスブレーキ制御ユニット202は、サービスブレーキ力要求203を示す入力信号を受信し、サービスブレーキ力要求203に対応するサービスブレーキ力を適用するように構成され、電気機械モジュール201を制御して、ブレーキ力を示す電気信号213がサービスブレーキ力要求203に対応するブレーキ力に達したことを示すまで、アーム206を伸ばす。
【0045】
モジュール201、207、212、215が接続される接続順序は、設計および製造上の都合により変更され得ることが知られている。
【0046】
電気機械ブレーキアクチュエータ200の初期化段階では、サービスブレーキ制御ユニット202は、電気機械モジュール201を制御して、緊急ブレーキモジュール207に含まれる潜在的な機械エネルギーを貯蔵するための機械的手段が緊急ブレーキ用のエネルギーで充電されるまで、アーム206を伸ばす。
【0047】
通常、電気機械ブレーキアクチュエータ200の初期化段階では、緊急ブレーキ要求信号210は、緊急ブレーキの要求を示さず、したがって、緊急ブレーキエネルギー解放手段209は、潜在的な機械エネルギーを貯蔵するための緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段208に貯蔵された潜在的な機械エネルギーを保持する第1の状態にある。
【0048】
上述したように、潜在的な機械的エネルギーを貯蔵するための緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段208は、少なくとも1回の緊急ブレーキをかけるのに必要なエネルギーを貯蔵する補助タンク104によって実行される機能と同じ機能を実行する。
【0049】
さらに、緊急ブレーキエネルギーを解放するための手段209は、電空緊急バルブ116によって実行される機能と同じ機能を実行する。
【0050】
電気機械ブレーキアクチュエータ200によって許容される空間における機械的構造の問題により、緊急ブレーキモジュール207を、潜在的な機械的エネルギーの異なる値を特定の所定の範囲内に保持するように、または現在の重量に連続的に比例する緊急ブレーキエネルギー値を保持するように作成することは、複雑で費用がかかる。
【0051】
現在存在する鉄道用途向けの電気機械ブレーキの限られた用途では、通常、満載の車両を制動するのに必要な力の値に対応する単一の緊急ブレーキ力の値を保存して適用することが最新技術であり、したがって、実際の重量が低い場合には、緊急ブレーキのたびにホイールが破損するリスクが高まる。
【0052】
電気機械ブレーキアクチュエータ200によって許容される空間における機械的構造上の問題により、緊急ブレーキ力を適用するための勾配制限システムを提供することは複雑で費用がかかる。
【0053】
潜在的な機械的エネルギー貯蔵手段208の固有の勾配を有する緊急ブレーキのために貯蔵されたエネルギーを解放することは、現在存在する鉄道用途のための電気機械ブレーキの限られた用途のための最新技術である。勾配は、電気機械ブレーキ200の機械的構成要素が浸漬される材料の温度および潤滑剤の粘度への依存などのさらなる要因に強く依存する。
【0054】
図2に示す機能図は、純粋に説明を目的としており、当業者の機械設計者は、いずれの場合も同じ理論上の機能と動作モードを変更せずに維持する、すなわち、緊急ブレーキ用に固定エネルギー値を貯蔵し、不完全に制御された、または制御されていない勾配での緊急ブレーキ用にエネルギーを解放する、さまざまなバリエーションを介して同じ機能を複製することができる。
図3は、従来技術による電気機械ブレーキアクチュエータ200の機能図のさらなる非排他的な例を示している。
【0055】
少なくとも1つの電気モータと、場合によっては減速機またはトルク増倍器からなる第1の電気機械モジュール201は、力センサ手段212に接続されたアーム206を伸長または収縮させることができ、これらは、アーム206と214との間に加えられる機械力を示すブレーキ力を示す電気信号213を生成し、ブレーキ力を示す電気信号213はサービスブレーキ制御ユニット202に入力される。
【0056】
アーム214は、力センサ手段212とバックラッシュレキュペレータ215との間に接続され、バックラッシュレキュペレータ215は、パッドホルダーとブレーキパッドアセンブリ217に接続された最終アーム216に力を伝達する。
【0057】
緊急ブレーキエネルギー解放手段、例えばスイッチング装置302は、緊急ブレーキ要求信号301によって制御される。スイッチング装置は、緊急ブレーキ要求信号301が緊急ブレーキ要求を示さないときに、サービスブレーキのために電気制御信号204を制御ユニット202に接続するように構成される。スイッチング装置は、緊急ブレーキ要求信号301が緊急ブレーキ要求を示さないときに、電気制御信号204を電子緊急ブレーキユニット303に接続するように構成される。
【0058】
サービスブレーキ制御ユニット202は、車両バッテリからだけではなく、入力電圧205を受信する。
【0059】
サービスブレーキ制御ユニット202は、供給電圧205を変調して、電気制御信号グループ204を介して電気機械モジュール201に含まれる電気モータを制御するように設計されている。
【0060】
サービスブレーキ制御ユニット202は、サービスブレーキ力要求203を入力として受け取り、ブレーキ力を示す電気信号213が、サービスブレーキ力要求203に対応するブレーキ力に達したことを示すまでアーム206を伸ばすように電気機械モジュール201に命令することによって、サービスブレーキ力要求203に対応する制動力を適用するように構成される。
【0061】
電気機械モジュール201、力センサ手段212、およびバックラッシュレキュペレータ215が接続される接続シーケンスは、設計および製造上の都合に応じて変化し得ることが知られている。
【0062】
電子緊急ブレーキユニット303は、限定されないが、バッテリまたはスーパーキャパシタなどの電気エネルギー貯蔵ユニット304、電源205からエネルギー貯蔵ユニット304にエネルギーを送るエネルギー充電器305と、緊急要求信号301が緊急ブレーキの要求を示す際に、電気機械モジュール201の一部を形成する電気モータ用のエネルギー貯蔵ユニット304に貯蔵されたエネルギーを変調するように構成された変調回路306を含む。
【0063】
変調回路306は、緊急ブレーキ要求信号301が緊急ブレーキの要求を示さないときに、電気機械モジュール201の一部を形成する電動機用のエネルギー貯蔵ユニット304に貯蔵されたエネルギーを変調しないように構成される。
【0064】
前述によれば、電気エネルギー貯蔵ユニット304は、補助タンク104によって実行される機能と同じ機能を実行し、少なくとも1回の緊急ブレーキをかけるのに必要なエネルギーを貯蔵する。
【0065】
さらに、スイッチング装置302は、電空緊急バルブ116によって実行される機能と同じ機能を実行する。
【0066】
ブレーキをかけるボギー台車の現在の重量に比例し、勾配が制御された緊急ブレーキ力を提供するために、変調回路306は、ブレーキを掛けるボギー台車の重量を示す電気信号307に基づいてその値を計算し、加えられた現在の力値を示すブレーキ力を示す電気信号213を読み取ることによって制御ループを閉じなければならない。
【0067】
実際には、
図3に示す構成では、変調回路306は、EN50129、規格EN50129に関する安全度水準SIL≧3に従って開発しなければならないことに加えて、サービスブレーキ制御ユニット202と同じ回路およびソフトウェアの複雑さを想定している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0068】
したがって、本発明の1つの目的は、最先端の空気圧緊急ブレーキと互換性のあるすべての要件を維持しながら、費用対効果の高い緊急ブレーキを可能にするように作成できる、鉄道車両用の電気機械式サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータを提供することである。
【0069】
上記および他の目的および利点は、本発明の一態様によれば、請求項1または4に規定された特徴を有する鉄道車両用の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータによって、および請求項22または23または24または25に規定された特徴を有する少なくとも1つの鉄道車両用の電気機械ブレーキシステムによって達成される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項で規定され、その内容は、この説明の不可欠な部分として理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
次に、本発明による鉄道車両用の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータのいくつかの好ましい実施形態の機能的および構造的特徴について説明する。添付の図面を参照する。
【
図1】
図1は、鉄道用途、特に旅客列車用の一般的な空気圧ブレーキシステムを示す。
【
図2】
図2は、従来技術による電気機械ブレーキアクチュエータの機能図の第1の非排他的な例を示す。
【
図3】
図3は、従来技術による電気機械ブレーキアクチュエータ200の機能図のさらなる非排他的な例を示す。
【
図4】
図4は、本発明による鉄道車両用の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータの実施形態を示す。
【
図5】
図5は、本発明による鉄道車両用の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータのさらなる実施形態を示す。
【
図6】
図6は、本発明による少なくとも1つの鉄道車両用の電気機械ブレーキシステムの実施形態を示す。
【
図7】
図7は、本発明による少なくとも1つの鉄道車両用の電気機械ブレーキシステムのさらなる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0071】
本発明の複数の実施形態を詳述する前に、本発明は、その適用において、以下の明細書中で述べられ、または図に示される構造の詳細およびコンポーネントの構成に限定されないということが明らかにされるべきである。本発明は、他の実施形態をとることができ、本発明を、種々に異なる方法で、実際に実施または構築し得る。また、表現および専門用語は、説明を目的とするものであって、限定として解釈されるべきではないことも理解されるべきである。「備える(include)」、「含む(comprise)」、またはそれらのバリエーションは、以下に記述される要素やそれらの均等物、並びに、それらの追加要素およびその均等物を包含するものと理解されるべきである。
【0072】
最初に
図4を参照すると、鉄道車両用の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ400が示されている。
【0073】
この電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ400は、第1のブレーキ力を生成するための第1の電気機械モジュール201を含む。第1の電気機械モジュール201は、第1のブレーキ力制御信号204を受信し、第1のブレーキ力を生成するように構成され、その値は、前記第1のブレーキ力制御信号204の関数である。
【0074】
第1のブレーキ力制御信号204は、第1の電気機械モジュール201に電力を送る信号であってもよく、その場合、ブレーキ力制御信号および電源となる。そうでない場合は、別の電力信号を提供してもよい。
【0075】
電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ400は、第1電気機械モジュール201によって生成された第1ブレーキ力を測定し、ブレーキ力を示す第1電気信号213を生成するように構成された第1の力センサ手段212をさらに備える。ブレーキ力213の値は、第1のブレーキ力の値を示す。
【0076】
力センサ手段は、例えば、力センサであってもよい。
【0077】
さらに、電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ400は、少なくとも1つの緊急ブレーキを作動させるのに十分な量のエネルギーを貯蔵するように構成された第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段208、304を備える。
【0078】
さらに、電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ400は、第1の緊急ブレーキ制御信号402を発するように構成された安全ユニット401と、第1の緊急ブレーキエネルギー解放手段209とを備える。
【0079】
第1の緊急ブレーキエネルギー解放手段209は、第1の緊急ブレーキ制御信号402、502が貯蔵エネルギーを解放しないことを示すとき、第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段208、304が貯蔵エネルギーを解放するのを防止するように構成される。緊急ブレーキエネルギー解放手段209はさらに、第1の緊急ブレーキ制御信号402、502が、少なくとも1つの緊急ブレーキを作動させるために蓄えられたエネルギーを解放することを示すとき、第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段208、304が貯蔵されたエネルギーを解放して、少なくとも1つの緊急ブレーキを作動させることを可能にするように構成される。
【0080】
換言すれば、第1の緊急ブレーキエネルギー解放手段209は、第1の緊急ブレーキ制御信号402が緊急ブレーキのためのエネルギーの解放を命令しないとき、緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段208に以前に貯蔵された位置エネルギーを保持する第1の状態と、第1の緊急ブレーキ制御信号402が緊急ブレーキのためのエネルギーの解放を命令するとき、緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段208に以前に貯蔵された位置エネルギーを解放する第2の状態と、を有するように構成される。
【0081】
さらに、電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ400は、第1のサービスブレーキ制御ユニット202を備える。
【0082】
サービスブレーキ制御ユニット202は、電気サービスブレーキ要求信号203および電気緊急ブレーキ要求信号210を受信するように構成される。
【0083】
当然のことながら、サービスブレーキ制御ユニット202は、電源205を受け取るように構成されてもよい。
【0084】
サービスブレーキ制御ユニット202はさらに、電気サービスブレーキ要求信号203の関数としてサービスブレーキ力値を計算し、第1のブレーキ力制御信号204を介して第1の電気機械モジュール201を制御して、電気緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示さないときにサービスブレーキ力値に対応する値を有する第1のブレーキ力を生成するように構成される。
【0085】
さらに、サービスブレーキ制御ユニット202は、所定の緊急減速度の関数として緊急ブレーキ力値を計算し、第1のブレーキ力制御信号204を介して第1の電気機械モジュール201を制御して、第1の電気緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示すときに緊急ブレーキ力値に対応する値を有する第1のブレーキ力を生成するように構成される。
【0086】
換言すれば、第1のサービスブレーキ制御ユニット202は、少なくとも所定の緊急減速度値の関数として緊急ブレーキ力値を連続的に計算してもよく、例えば、さらなる入力信号405によって示されるか、または設計段階で予め決定され、サービスブレーキ制御ユニット202の不揮発性メモリに格納される。
【0087】
上述の安全ユニット401はさらに、緊急ブレーキ要求信号210を受信し、ブレーキ力を示す第1の電気信号213を受信および監視し、所定の緊急減速度値に基づいて緊急ブレーキ力の値を計算するように構成される。
【0088】
さらに、安全ユニット401は、緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示さないとき、または緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示し、ブレーキ力を示す第1の電気信号213が、所定の最大遅延時間内に、安全ユニット401によって計算されたさらなる緊急ブレーキ力値と一致する力値、または低下する力値であること、また安全ユニット401によって計算された前述したさらなる緊急ブレーキ力値を含む所定の許容範囲内で、所定の最大遅延時間内に示すときに、貯蔵されたエネルギーを解放しないように第1の緊急ブレーキエネルギー解放手段209、302に示すように、第1の緊急ブレーキ制御信号402を調整するように構成される。
【0089】
さらに、安全ユニット401は、緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示し、ブレーキ力を示す第1の電気信号213が、所定の最大遅延時間内に、安全ユニット401によって計算されたさらなる緊急ブレーキ力値と一致する力値、または下がらない力値であること、また安全ユニット401によって計算された緊急ブレーキ力の前述したさらなる値を含む所定の許容範囲内で、所定の最大遅延時間内に示さないときに、第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段208、304に貯蔵されたエネルギーを解放するように第1の緊急ブレーキエネルギー解放手段209、302に示すように、第1の緊急ブレーキ制御信号402を調整するように構成される。
【0090】
言い換えると、安全ユニット401は、ブレーキ力を示す第1の電気信号213を監視し、その値が、所定の許容範囲内および所定の最大遅延時間内で、そこから計算された緊急ブレーキ力値に対応することを確認することができる。
【0091】
安全ユニット401が、ブレーキ力を示す第1の電気信号213の値が、そこから計算され、サービスブレーキ用の第1の制御ユニット202によって制御される緊急ブレーキ力の値に対応することを、所定の許容範囲内および所定の最大遅延時間内で確認する限り、安全ユニット401は、緊急ブレーキ制御信号402を、第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段208に貯蔵された緊急エネルギーを解放しない状態に維持し、第1のサービスブレーキ制御ユニット202が緊急ブレーキを実行できるようにする。安全ユニット401が、ブレーキ力を示す第1の電気信号213が、そこから計算され、第1のサービスブレーキ制御ユニット202によって命令された緊急ブレーキ力の値に、所定の許容範囲内および所定の最大遅延時間内で対応しないことを確認したときには、安全ユニット401は、緊急ブレーキ制御信号402を、ブレーキエネルギー蓄積手段208に貯蔵された緊急エネルギーを解放する状態にして、緊急ブレーキを適用することができる。
【0092】
この第1実施形態では、安全ユニット401と第1のサービスブレーキ制御ユニット202の両方が、互いに独立して連続的に緊急ブレーキ力値を計算する。
【0093】
緊急ブレーキ力適用勾配は、第1のサービスブレーキ制御ユニット202によって計算され、緊急ブレーキ要求が発生したときにリアルタイムで適用され得る。もしくは、適用勾配は、第1のサービスブレーキ制御ユニット202の不揮発性メモリに記憶され、緊急ブレーキ力の適用中に適用されてもよい。
【0094】
サービスブレーキ制御ユニット202は、第1のサービスブレーキ制御ユニット202によって計算されたサービスブレーキ力の値と、第1のサービスブレーキ制御ユニット202によって計算された緊急ブレーキ力の値とのうちの大きい方に対応する値を有する第1のブレーキ力を生成するように、第1のブレーキ力制御信号204を介して第1の電気機械モジュール201を制御するように構成することができる。第1のサービスブレーキ制御部202が算出したサービスブレーキ力の値が、第1のサービスブレーキ制御部が算出した緊急ブレーキ力の値より大きいときには、安全ユニット401は、ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示し、実際のブレーキ力の第1の電気信号213が、所定の最大遅延時間内に、安全ユニット401によって計算された追加の緊急ブレーキ力値よりも大きい力値を示したとしても、または安全ユニット401によって計算された前述のさらなる緊急ブレーキ力値を含む前述した所定の許容範囲の上限値よりも大きい、すなわち、前述した許容範囲の上限閾値よりも大きい力値を示したとしても、貯蔵されたエネルギーを解放しないように第1の緊急ブレーキエネルギー解放手段209、302に示すように、第1の緊急ブレーキ制御信号402、502を調整するように構成される。これは、緊急ブレーキ力の値よりも大きなサービスブレーキ力の値でブレーキを発生させる必要がある場合に、安全ユニットが介入しないようにするために必要となる。
【0095】
第1のサービスブレーキ制御ユニット202はまた、鉄道車両または鉄道車両の台車の重量を示す重量信号404を受信するように構成されてもよい。さらに、電気サービスブレーキ要求信号203および重量信号404の関数としてサービスブレーキ力値を計算するように設定することができ、また所定の緊急減速度値および重量信号404の関数として緊急ブレーキ力値を計算することもできる。安全ユニット401はさらに、さらなる緊急ブレーキ力値を、所定の緊急減速度値および重量信号404の関数として計算するように構成される。
【0096】
所定の緊急減速度値は、電気信号によってサービスブレーキ制御ユニット202および/または安全ユニット401に提供されてもよい。
【0097】
この場合、安全ユニット401が、ブレーキ力を示す第1の電気信号213が、そこから計算され、所定の許容範囲内および所定の最大遅延時間内で第1のサービスブレーキ制御ユニット202によって制御される緊急ブレーキ力の値に対応しないことを確認したときには、安全ユニット401は、第1の緊急ブレーキ制御信号402を、第1のブレーキ力エネルギー貯蔵手段208に貯蔵された緊急エネルギーを解放する状態にし、計量および/または適用勾配に関して低下した場合でも、いずれにせよ緊急ブレーキを適用する。
【0098】
図5において、第2実施形態では、鉄道車両用の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ500は、再び、第1の電気機械モジュール201、第1の力センサ手段212、第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段208、および緊急ブレーキエネルギーを解放するための第1の手段209を備える。
【0099】
電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ500は、再び安全ユニット501を備えるが、この第2実施形態では、安全ユニット501は、緊急ブレーキ要求信号210を受信し、所定の緊急減速度値の関数として緊急ブレーキ力値を計算し、そこから計算された緊急ブレーキ力値を、第1の電気緊急ブレーキ力要求信号503を介して第1のサービスブレーキ制御ユニット202に送信し、緊急ブレーキ制御信号502を発信するように構成されている。
【0100】
この第2実施形態では、電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ500は、第1のサービスブレーキ制御ユニット202を再び備えるが、以下のように構成されている:
・電気サービスブレーキ要求信号203、電気緊急ブレーキ要求信号210を受信する。
・電気サービスブレーキ要求信号203の関数としてサービスブレーキ力値を計算する。
・電気緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示さないときに、第1のブレーキ力制御信号204を介して第1の電気機械モジュール201を制御し、サービスブレーキ力値に対応する値を有する第1ブレーキ力を生成する。
・緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示すときに、第1のブレーキ力制御信号204を介して第1の電気機械モジュール201を制御し、第1のサービスブレーキ制御ユニット202が第1の電気緊急ブレーキ力要求信号503を介して安全ユニット501から受信した緊急ブレーキ力値に対応する値を有する第1ブレーキ力を生成する。
【0101】
また、この第2実施形態では、安全ユニット501は、以下のように構成されている。
・ブレーキ力を示す第1の電気信号213を受信し監視する。
・緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示さないとき、または緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキの要求を示し、ブレーキ力を示す第1の電気信号213が、所定の最大遅延時間内に、安全ユニット501によって計算された緊急ブレーキ力値と一致する力値、または低下する力の値を示す、また、安全ユニット501によって計算された緊急ブレーキ力値を含む所定の許容範囲内および所定の最大遅延時間内で示すときに、第1の緊急ブレーキエネルギー解放手段209、302に、貯蔵されたエネルギーを解放しないことを示すように第1の緊急ブレーキ制御信号502を調整する。
・緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキの要求を示し、ブレーキ力を示す第1の電気信号213が、所定の最大遅延時間内に、安全ユニット501によって計算された緊急ブレーキ力値と一致する力値、または所定の最大遅延時間内に収まらない力値を示さず、安全ユニット501によって計算された緊急ブレーキ力値を含む所定の許容範囲内であることを示さないときに、第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段208、304に貯蔵されたエネルギーを解放することを第1の緊急ブレーキエネルギー解放手段209、302に示すように、第1の緊急ブレーキ制御信号502を調整する。
【0102】
第1実施形態で説明したものとは異なり、この第2実施形態では、安全ユニット501は信号503によって緊急ブレーキ力値を通信し、安全ユニット401の複雑さをさらに低減する。
【0103】
また、この第2実施形態の場合、サービスブレーキ制御ユニット202はさらに、鉄道車両または鉄道車両のボギー台車の重量を示す重量信号504を受信してサービスブレーキ力を計算するように構成することができ、その値は電気サービスブレーキ要求信号203および重量信号504の関数である。さらに、安全ユニット501は、重量信号504を受信して、所定の緊急減速度値および重量信号504の関数として緊急ブレーキ力の値を計算するように構成されてもよい。
【0104】
換言すれば、安全ユニット501は、例えばさらなる入力信号505によって示されるか、または設計段階で事前設定され、安全ユニットの不揮発性メモリに格納される、少なくとも所定の緊急減速度値の関数として緊急ブレーキ力値を連続的に計算することができる。
【0105】
安全ユニット501は、計算された緊急ブレーキ力値を、第1の電気緊急ブレーキ力要求信号503を介して第1のサービスブレーキ制御ユニット202に送信することができる。
【0106】
安全ユニット401が、ブレーキ力を示す第1の電気信号213が、そこから計算され、第1の電気緊急ブレーキ力要求信号403を介して第1のサービスブレーキ制御ユニット202から要求された緊急ブレーキ力の値に、所定の許容範囲内および所定の最大遅延時間範囲内で対応することを確認する限り、安全ユニット501は、第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段208に貯蔵された緊急ブレーキエネルギーを解放しない状態で緊急ブレーキ制御信号502を維持し、第1のサービスブレーキ制御ユニット202が、関連するボギー台車または本体の実際の重量に従って、所定の勾配で緊急ブレーキを実行できるようにする。
【0107】
安全ユニット501が、ブレーキ力を示す第1の電気信号213が、そこから計算され、第1の電気緊急ブレーキ力要求信号503を介して第1のサービスブレーキ制御ユニット202から要求された緊急ブレーキ力の値に、所定の許容範囲内および所定の最大遅延時間内で対応しないことを確認したときには、安全ユニット501は、第1の緊急ブレーキ制御信号502を、第1の緊急ブレーキエネルギー蓄積手段208に蓄積された緊急ブレーキエネルギーを解放する状態にし、計量および/または適用勾配に関して低下した場合のいずれについても緊急ブレーキを適用する。
【0108】
また、この第2実施形態の場合、第1のサービスブレーキ制御ユニット202は、第1のサービスブレーキ制御ユニット202によって計算されたサービスブレーキ力の値と、安全ユニット501によって第1のサービスブレーキ制御ユニット202に送信された緊急ブレーキ力の値とのうちの大きい方を生成するように、第1のブレーキ力制御信号204を介して第1の電気機械モジュール201を制御するように構成することができる。この場合も、第1のサービスブレーキ制御ユニット202によって計算されたサービスブレーキ力の値が、第1のサービスブレーキ制御ユニットによって受信された緊急ブレーキ力の値より大きいときには、緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキの要求を示し、かつ、実際のブレーキ力の第1の電気信号213が、所定の最大遅延時間内に、安全ユニット501によって計算された緊急ブレーキ力値よりも大きい力値、または安全ユニット501によって計算された緊急ブレーキ力値を含む所定の許容範囲の上限値よりも大きい、すなわち、この許容範囲の上限閾値よりも高い力値を示していても、安全ユニット501は、第1の緊急ブレーキエネルギー解放手段209、302に貯蔵されたエネルギーを解放しないように示すように第1の緊急ブレーキ制御信号502を調整するように構成される。
【0109】
また、安全ユニット501は、緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示さないときに、第1の電気緊急ブレーキ要求信号503を介して第1のサービスブレーキ制御ユニット202に空(Null)の緊急ブレーキ力値を送るように構成されてもよい。
【0110】
これまでに説明したすべての実施形態について、電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ400、500は、統合モジュール、例えば、少なくとも第1の電気機械モジュール201、第1の力センサ手段212、第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段208、304、第1の緊急ブレーキエネルギー解放手段209、302、第1のサービスブレーキ制御ユニット202、安全ユニット401、501を含む統合メカトロニクスモジュールを備えることができる。
【0111】
あるいは、
図6を参照すると、電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ400、500は、第1の電気機械モジュール201、第1の力センサ手段212、第1の緊急ブレーキ装置エネルギー貯蔵手段208、304、第1の緊急ブレーキエネルギー解放手段209、302、第1のサービスブレーキ制御ユニット202を含む統合モジュールを備えることができる。この場合、安全ユニット401、501、601は、前記統合モジュールの外部にあってもよい。この図では、ボギー台車は、例えば4つの車輪631、632、633、634を備え、また、第1の電気機械モジュール201、第1の力センサ手段212、第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段208、304、第1の緊急ブレーキエネルギー解放手段209、302、第1のサービスブレーキ制御ユニット202を含むこれらの統合モジュールのうちの少なくとも2つを備えてもよく、各車軸にそれぞれ1つ、またはこれらの統合モジュール620、621、622、623のうちの4つ、それぞれが車輪631、632、633、634に関連付けられている。
【0112】
あるいは、
図7を参照すると、統合モジュールは、第1の電気機械モジュール201、第1の力センサ手段212、第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段208、304、および第1の緊急ブレーキエネルギー解放手段209、302を含んでもよい。この場合、安全ユニット401、501、601および第1のサービスブレーキ制御ユニット702は、前記統合モジュールの外部にあってもよい。例えば、この図では、ボギー台車は、4つの車輪631、632、633、634を備え、また、第1の電気機械モジュール201、第1の力センサ手段212、第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段208、304、および第1の緊急ブレーキエネルギー解放手段209、302を含むような統合モジュールのうちの少なくとも2つを備えてもよく、各車軸にそれぞれ1つ、またはこれらの統合モジュール620、621、622、623のうちの4つ、それぞれが車輪631、632、633、634に関連付けられている。
【0113】
さらなる態様では、第1の電気機械モジュール201によって生成された第1のブレーキ力は、機械的伝達手段216、680によってブレーキ手段に伝達されるように構成される。
【0114】
ブレーキ手段は、少なくとも1つのディスク摩擦パッドまたはホイール摩擦ブロック631、632、633、634を備えてもよい。
【0115】
第1の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段208は、潜在的な機械的エネルギー貯蔵手段または機械的運動エネルギー貯蔵手段または電気エネルギー貯蔵手段を備えることができる。
【0116】
EN50128、EN50129規格によるSIL≦2レベルに従って制御ユニットが開発されることは従来技術である。安全ユニット401、501、601は、第1のサービスブレーキ制御ユニット202、702の安全完全性レベルSILよりも高い安全完全性レベルSILを有することができる。安全ユニット401、501、601は、安全完全性レベルSIL≧3を有することができる。
【0117】
安全ユニット401、501、601をSIL≧3レベルに従って開発することにより、システム全体が、特に緊急ブレーキに関連して、安全ユニット401、501、601に関連するレベルと同じになる。
【0118】
有利なことに、安全ユニットは、第1のサービスブレーキ制御ユニット202よりもはるかに単純な構造である。
【0119】
さらなる態様では、安全ユニット401、501、601は、少なくとも1つのマイクロプロセッサおよび/または少なくとも1つのプログラマブルデバイスを含むアーキテクチャに従って作成され得る。これは、SIL≧3レベルを達成するのに役立つ。
【0120】
実施例を説明するために、再び
図5を参照することができる。この図は、
図3に示され、前述されたように、本発明に従って修正された電気機械ブレーキアクチュエータ300の機能図を示す。
【0121】
安全ユニット501は、第1の緊急ブレーキ制御信号501が緊急ブレーキをかける命令を示さない時に、第1の緊急ブレーキエネルギー解放手段、すなわち、第1の電気制御信号204を第1のサービスブレーキ制御ユニット202に接続するように構成されたスイッチングデバイス302を制御するための第1の電気緊急ブレーキ制御信号502を生成する。スイッチング装置302は、前記緊急ブレーキ要求信号301が緊急ブレーキ要求を示すとき、第1の電気制御信号204を電子緊急ブレーキユニット303に接続するように構成される。
【0122】
さらに、電気緊急ブレーキ制御信号502は、緊急ブレーキ要求信号301が緊急ブレーキ要求を示す時に、第1の電気機械モジュール201の一部を形成する電気モータ用のエネルギー貯蔵ユニット304に貯蔵されたエネルギーを変調するように構成された変調回路306を制御することができる。
【0123】
変調回路306は、緊急ブレーキ要求信号301が緊急ブレーキ要求を示さないときに、電気機械モジュール201の一部を形成する電動機用のエネルギー貯蔵ユニット304に貯蔵されたエネルギーを変調しないように構成される。
【0124】
前述によれば、電気エネルギー貯蔵ユニット304は、補助タンク104によって実行される機能と同じ機能を実行し、少なくとも1回の緊急ブレーキをかけるのに必要なエネルギーを貯蔵する。
【0125】
安全ユニット501は、緊急ブレーキ要求信号210、第1の力センサ手段212によって生成されたブレーキ力を示す第1の電気信号213、およびブレーキをかけるべき台車または車両の重量を示す信号504(存在する場合)をその入力で受信する。
【0126】
前述の第2の実施形態によれば、安全ユニット501は、さらなる入力信号505によって示されるか、または設計段階で予め決定され、前記安全ユニットの不揮発性メモリに記憶された予め決定された緊急減速度値、および信号504(存在する場合)を介して受信される重量値の関数として、緊急ブレーキ力値を連続的に計算することができる。
【0127】
前記第2の実施形態によれば、安全ユニット501は、計算された緊急ブレーキ力値を、第1の電気信号503を介して第1のサービスブレーキ制御ユニット202に送信する。
【0128】
緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示さないとき、第1の制御ユニット210は、第1の電気機械モジュール201を制御して、サービスブレーキ力要求203の関数としてサービスブレーキ力を取得する。
【0129】
緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示すとき、第1のサービス制御ユニット210は、第1の電気機械モジュール201に、第1の電気緊急ブレーキ信号503に対応する緊急ブレーキ力値に等しいブレーキ力を取得するように命令する。
【0130】
緊急ブレーキ力適用勾配は、安全ユニット501によって計算され、リアルタイムで緊急ブレーキ力値503に適用され得る。
【0131】
あるいは、緊急ブレーキ力信号503は、常に目標値を示してもよく、また、適用勾配は、サービスブレーキ制御ユニット202の不揮発性メモリに記憶され、緊急ブレーキ力の適用中に前記第1の電子サービス制御ユニットによって適用されてもよい。
【0132】
同時に、安全ユニット501は、制動力213を示す第1の電気信号を監視し、所定の許容範囲内および所定の最大遅延時間内で、それから計算された緊急ブレーキ力値に対応することを確認することができる。
【0133】
安全ユニット501が、制動力213を示す第1の電気信号が、そこから計算され、信号503を介して第1のサービスブレーキ制御ユニット202から要求された緊急ブレーキ力の値に対応することを、所定の許容範囲内および所定の最大遅延時間内で検証する限り、前記安全ユニット501は、制御信号204をサービスブレーキ用制御ユニット202に接続する状態に信号502を維持し、サービスブレーキ制御ユニット202が、安全モジュール501によって計算されるように、すなわち、関連するボギー台車または車両の実際の重量に、事前に決定された勾配を使用する。
【0134】
安全ユニット501が、ブレーキ力を示す第1の電気信号213が、そこから計算され、信号503を介してサービスブレーキ制御ユニット202から要求された緊急ブレーキ力の値に対応しないことを、所定の許容範囲内および所定の最大遅延時間内で確認したときには、前記安全ユニット501は、電気緊急ブレーキ制御信号502に作用し、スイッチング装置302を状態に切り替える。ここで、制御信号204を変調回路306に接続し、前記変調回路306を起動して、電気機械モジュール201の一部を形成する電気モータ用のエネルギー貯蔵ユニット304に貯蔵されたエネルギーを変調する。
有利なことに、安全ユニット501は、サービスブレーキ制御ユニット202よりもはるかに単純な構造である。
【0135】
安全ユニット501の導入は、変調回路306を大幅に簡素化する。このアーキテクチャ構成では、変調回路306はバックアップ回路になり、非常にまれなケースでは設計の単純さと信頼性が要求される。ここで、第1のサービス制御ユニット202は、第1の電気機械モジュール201の制御を実行することができない。
【0136】
第1の実施形態を考慮すると、第2の実施形態に対する唯一の違いとして、安全ユニット401およびサービスブレーキ制御ユニット202の両方が、継続的かつ独立して、さらなる入力信号405によって示される、または設計段階で予め決定され、前記安全ユニットの不揮発性メモリに格納された緊急減速度値、および重量信号404を介して受信された重量値の関数として緊急ブレーキ力値を計算する。
【0137】
第2の実施形態で説明したものとは異なり、安全ユニット401は、信号503を介して緊急ブレーキ力値を伝達せず、安全ユニット401の複雑さをさらに低減する。
【0138】
さらなる態様では、
図6および7を参照すると、本発明はさらに、前述した実施形態の1つに従って製造されたサービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ400、500を含む少なくとも1つの鉄道車両用の電気機械ブレーキシステムに関する。
【0139】
少なくとも1つの鉄道車両用の電気機械ブレーキシステムの第1の実施形態では、単一の安全ユニットと、そこから計算された緊急ブレーキ値に従っていくつかの電気機械モジュールを制御するサービスブレーキ用の単一の制御ユニットとがある。この実施形態では、安全ユニット401、501、601はさらに、第2の緊急ブレーキ制御信号602を発するように構成される。少なくとも1つの鉄道車両用の電気機械式ブレーキ システムは、
・第2のブレーキ力を生成するための第2の電気機械モジュールであって、前記第2の電気機械モジュールは、第2のブレーキ力制御信号660、661、662、663を受信し、前記第2のブレーキ力を生成するように配置され、その値は、前記第2のブレーキ力制御信号660、…、663の関数である前記第2の電気機械モジュールと、
・前記第2の電気機械モジュールによって生成された前記第2のブレーキ力を測定し、ブレーキ力を示す第2の電気信号640、641、642、643を生成するように配置され、その値は、前記第2のブレーキ力の値を示す第2の力センサ手段と、
・少なくとも1つの緊急ブレーキを作動させるのに十分な量のエネルギーを貯蔵するように構成された第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段と、
・緊急ブレーキエネルギーを解放するための第2の手段と、を有する。
【0140】
第2の緊急ブレーキエネルギー解放手段は、以下のように配置される:
・前記第2の緊急ブレーキ制御信号602が貯蔵エネルギーを解放することを示さないときに、第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段が貯蔵エネルギーを解放することを防止する。
・前記第2の緊急ブレーキ制御信号602が、少なくとも1つの緊急ブレーキを作動させるために貯蔵されたエネルギーを解放することを示すときに、第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段が、少なくとも1つの緊急ブレーキを作動させるために貯蔵されたエネルギーを解放することを可能にする。
【0141】
サービスブレーキ用の第1の制御ユニット202はさらに、以下のように構成される。
・前記電気緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示さないときに、前記第2のブレーキ力制御信号660、・・・、663を介して前記第2の電気機械モジュールを制御し、前記サービスブレーキ力値に対応する値を有する第2のブレーキ力を生成する。
・前記電気緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示すときに、第2のブレーキ力制御信号660、・・・、663を介して前記第2の電気機械モジュールを制御し、前記緊急ブレーキ力値に対応する値を有する第2のブレーキ力を生成する。
【0142】
安全ユニット401、501、601はさらに、以下のように構成される:
・ブレーキ力を示す第2の電気信号640、・・・、643を受信し監視する。
・緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示さないとき、または緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示し、かつ、ブレーキ力を示す第2の電気信号640、・・・、643が、所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット401、501によって計算されたさらなる緊急ブレーキ力値と一致する力値を示すか、または、所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット401、501、601によって計算された前記さらなる緊急ブレーキ力値を含む所定の許容範囲内に収まる力値を示すときに、第2の緊急ブレーキ制御信号602を調整して、第2の緊急ブレーキエネルギー解放手段に蓄えられたエネルギーを解放しないことを示す。
・緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示し、かつ、ブレーキ力を示す第2の電気信号640、・・・、643が、所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット401、501、601によって計算されたさらなる緊急ブレーキ力値と一致する力値を示さない、または所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット401、501、601によって計算された前記さらなる緊急ブレーキ力値を含む所定の許容範囲内に収まらない力値を示さないときに、第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段に貯蔵されたエネルギーを解放することを第2の緊急ブレーキエネルギー解放手段に示すように、第2の緊急ブレーキ制御信号602を調整する。
【0143】
少なくとも1台の鉄道車両用の電気機械式ブレーキシステムの第2の実施形態では、単一の安全ユニットとサービスブレーキ用の複数の制御ユニットがあり、これらは、そこから計算されたそれぞれの緊急ブレーキ値に従ってそれぞれの電気機械モジュールを制御する。この実施形態では、安全ユニット401、501、601はさらに、第2の緊急ブレーキ制御信号602を発するように構成される。少なくとも1台の鉄道車両用の電気機械式ブレーキシステムは、
・第2のブレーキ力を生成するための第2の電気機械モジュールであって、第2のブレーキ力制御信号を受信し、第2のブレーキ力を生成するように構成され、その値が前記第2のブレーキ力制御信号の関数である第2の電気機械モジュールと、
・電気サービスブレーキ要求信号203、電気緊急ブレーキ要求信号210を受信し、第2のサービスブレーキ力値を電気サービスブレーキ要求信号203の関数として計算し、前記電気緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示さないときに、第2のブレーキ力制御信号660、・・・、663を介して第2の電気機械モジュールを制御し、第2のサービスブレーキ力値に対応する値を有する第2のブレーキ力を生成し、第2の緊急ブレーキ力値を所定の緊急減速度値の関数として計算し、また、前記電気緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示すときに、第2のブレーキ力制御信号660、・・・、663を介して第2の電気機械モジュールを制御し、第2の緊急ブレーキ力値に対応する値を有する第2のブレーキ力を生成する、ように構成されたサービスブレーキ用の第2の制御ユニットと、
・前記第2の電気機械モジュールによって生成された前記第2のブレーキ力を測定し、ブレーキ力を示す第2の電気信号640、・・・、643を生成するように配置され、その値は、前記第2のブレーキ力の値を示す第2の力センサ手段と、
・少なくとも1つの緊急ブレーキを作動させるのに十分な量のエネルギーを貯蔵するように構成された第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段と、
・緊急ブレーキエネルギーを解放するための第2の手段と、を有する。
【0144】
第2の緊急ブレーキエネルギー解放手段は、以下のように配置される:
・第2の緊急ブレーキ制御信号602が貯蔵エネルギーを解放することを示さないときに、第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段が貯蔵エネルギーを解放することを防止する。
・前記第2の緊急ブレーキ制御信号602が、少なくとも1つの緊急ブレーキを作動させるために貯蔵されたエネルギーを解放することを示すときに、第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段208、304が、貯蔵されたエネルギーを解放して、少なくとも1つの緊急ブレーキを作動させることを可能にする。
【0145】
安全ユニット401、501、601はさらに、以下のように構成される:
・制動力640、・・・、643を示す第2の電気信号を受信し監視する。
・緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示さないとき、または緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキの要求を示し、かつ、ブレーキ力を示す第2の電気信号640、・・・、643が、所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット401、501、601によって計算されたさらなる緊急ブレーキ力値と一致する力値を示すか、または、所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット401、501、601によって計算された前記さらなる緊急ブレーキ力値を含む所定の許容範囲内に収まる力値を示すときに、第2の緊急ブレーキ制御信号402、502を調整して、第2の緊急ブレーキエネルギー解放手段に蓄えられたエネルギーを解放しないことを示す。
・緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示し、かつ、ブレーキ力を示す第2の電気信号640、・・・、643が、所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット401、501、601によって計算されたさらなる緊急ブレーキ力値と一致する力値を示さない、または所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット401、501、601によって計算された前記さらなる緊急ブレーキ力値を含む所定の許容範囲内に収まらない力値を示さないときに、第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段に貯蔵されたエネルギーを解放することを第2の緊急ブレーキエネルギー解放手段に示すように、第2の緊急ブレーキ制御信号602を調整する。
【0146】
少なくとも1台の鉄道車両用の電気機械ブレーキシステムの第3の実施形態では、単一の安全ユニットと、安全ユニットによって計算され送信された緊急ブレーキ値に従っていくつかの電気機械モジュールを制御する単一のサービスブレーキ制御ユニットとが存在する。この実施形態では、安全ユニット401、501、601はさらに、第2の緊急ブレーキ制御信号602を発するように構成される。
【0147】
少なくとも1台の鉄道車両用の電気機械式ブレーキシステムは、
・第2のブレーキ力を生成するための第2の電気機械モジュールであって、第2のブレーキ力制御信号660、・・・、663を受信し、第2のブレーキ力を生成するように構成され、その値は、前記第2のブレーキ力制御信号660、…、663の関数である前記第2の電気機械モジュールと、
・前記第2の電気機械モジュールによって生成された前記第2のブレーキ力を測定し、ブレーキ力を示す第2の電気信号640、・・・、643を生成するように構成され、その値は前記第2のブレーキ力の値を示す第2の力センサ手段と、
・少なくとも1つの緊急ブレーキを作動させるのに十分な量のエネルギーを貯蔵するように構成された第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段と、
・緊急ブレーキエネルギーを解放するための第2の手段と、を有する。
【0148】
第2の緊急ブレーキエネルギー解放手段は、以下のように配置される:
・第2の緊急ブレーキ制御信号602が貯蔵エネルギーを解放することを示さないときに、第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段が貯蔵エネルギーを解放することを防止する。
・前記第2の緊急ブレーキ制御信号602が、少なくとも1つの緊急ブレーキを作動させるために貯蔵されたエネルギーを解放することを示すときに、第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段208、304が、貯蔵されたエネルギーを解放して、少なくとも1つの緊急ブレーキを作動させることを可能にする。
【0149】
サービスブレーキ用の第1の制御ユニット202はさらに、以下のように構成される。
・前記電気緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示さないときに、前記第2のブレーキ力制御信号660、・・・、663を介して前記第2の電気機械モジュールを制御し、前記サービスブレーキ力値に対応する値を有する第2のブレーキ力を生成する。
・前記電気緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示すときに、第2のブレーキ力制御信号660、・・・、663を介して第2の電気機械モジュールを制御し、サービスブレーキ用の第1の制御ユニットが安全ユニット401、501から前記第1の電気緊急ブレーキ力要求信号403、503を介して受け取った前記緊急ブレーキ力値に対応する値を有する第2のブレーキ力を生成する。
【0150】
安全ユニット401、501はさらに、以下のように構成される:
・ブレーキ力を示す第2の電気信号640、・・・、643を受信し監視する。
・緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示さないとき、または緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示し、かつ、ブレーキ力を示す第2の電気信号640、・・・、643が、所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット401、501、601によって計算された緊急ブレーキ力値と一致する力値を示すか、または、所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット401、501、601によって計算された前記緊急ブレーキ力値を含む所定の許容範囲内に収まる力値を示すときに、第2の緊急ブレーキ制御信号602を調整して、第2の緊急ブレーキエネルギー解放手段に蓄えられたエネルギーを解放しないことを示す。
・緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示し、かつ、ブレーキ力を示す第2の電気信号640、・・・、643が、所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット401、501、601によって計算された緊急ブレーキ力値と一致する力値を示さない、または所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット401、501、601によって計算された前記緊急ブレーキ力値を含む所定の許容範囲内に収まらない力値を示さないときに、第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段に貯蔵されたエネルギーを解放することを第2の緊急ブレーキエネルギー解放手段に示すように、第2の緊急ブレーキ制御信号602を調整する。
【0151】
少なくとも1台の鉄道車両用の電気機械ブレーキシステムの第4の実施形態では、単一の安全ユニットと、安全ユニットによって計算され送信されたさらなる緊急ブレーキ値に従っていくつかの電気機械モジュールを制御する単一のサービスブレーキ制御ユニットとが存在する。この実施形態では、前記安全ユニット401、501、601はさらに、安全ユニット401、501、601によって計算された緊急ブレーキ力の値を、第2の電気緊急ブレーキ要求信号を介してサービスブレーキ用の第2の制御ユニットへ送信し、第2の緊急ブレーキ制御信号602を発するように構成される。
【0152】
少なくとも1台の鉄道車両用の電気機械式ブレーキシステムは、
・第2のブレーキ力を生成するための第2の電気機械モジュールであって、第2のブレーキ力制御信号660、・・・、663を受信し、第2のブレーキ力を生成するように構成され、その値は、前記第2のブレーキ力制御信号660、…、663の関数である前記第2の電気機械モジュールと、
・前記第2の電気機械モジュールによって生成された前記第2のブレーキ力を測定し、ブレーキ力を示す第2の電気信号を生成するように構成され、その値は前記第2のブレーキ力の値を示す第2の力センサ手段と、
・少なくとも1つの緊急ブレーキを作動させるのに十分な量のエネルギーを貯蔵するように構成された第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段と、
・緊急ブレーキエネルギーを解放するための第2の手段と、を有する。
【0153】
第2の緊急ブレーキエネルギー解放手段は、以下のように配置される:
・第2の緊急ブレーキ制御信号602が貯蔵エネルギーを解放することを示さないときに、第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段が貯蔵エネルギーを解放することを防止する。
・前記第2の緊急ブレーキ制御信号602が、少なくとも1つの緊急ブレーキを作動させるために貯蔵されたエネルギーを解放することを示すときに、第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段208、304が、貯蔵されたエネルギーを解放して、少なくとも1つの緊急ブレーキを作動させることを可能にする。
【0154】
サービスブレーキ用の第2の制御ユニットは、以下のように構成される。
・電気サービスブレーキ要求信号203、電気緊急ブレーキ要求信号210を受信する。
・電気サービスブレーキ要求信号203の関数としてサービスブレーキ力値を計算する。
・電気緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示さないときに、第2のブレーキ力制御信号660、・・・、663を介して第2の電気機械モジュールを制御し、第2のサービスブレーキ力値に対応する値を有する第2ブレーキ力を生成する。
・緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示すときに、第2のブレーキ力制御信号660、・・・、663を介して前記第2の電気機械モジュールを制御して、第2のサービスブレーキ制御ユニットが安全ユニット401、501、601から第2の電気緊急ブレーキ力要求信号を介して受け取った緊急ブレーキ力値に対応する値を有する第2のブレーキ力を生成する。
【0155】
安全ユニット401、501、601はさらに、以下のように構成される:
・ブレーキ力を示す第2の電気信号640、・・・、643を受信し監視する。
・緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示さないとき、または緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示し、かつ、ブレーキ力を示す第2の電気信号640、・・・、643が、所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット401、501によって計算された緊急ブレーキ力値と一致する力値を示すか、または、所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット401、501、601によって計算された前記さらなる緊急ブレーキ力値を含む所定の許容範囲内に収まる力値を示すときに、第2の緊急ブレーキ制御信号602を調整して、第2の緊急ブレーキエネルギー解放手段に蓄えられたエネルギーを解放しないことを示す。
・緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求を示し、かつ、ブレーキ力を示す第2の電気信号640、・・・、643が、所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット401、501、601によって計算された緊急ブレーキ力値と一致する力値を示さない、または所定の最大遅延時間内に、前記安全ユニット401、501、601によって計算された緊急ブレーキ力値を含む所定の許容範囲内に収まらない力値を示さないときに、第2の緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段に貯蔵されたエネルギーを解放することを第2の緊急ブレーキエネルギー解放手段に示すように、第2の緊急ブレーキ制御信号602を調整する。
【0156】
電気機械式サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータまたは電気機械式ブレーキシステムの前述の任意の実施形態について、第1のサービスブレーキ制御ユニット202は、実際のブレーキ力の第1の電気信号213を受信するように構成され得る。例えば、これは、サービスブレーキの場合に、サービスブレーキ力要求203に対応するブレーキ力に達したことをチェックするために、第1のサービスブレーキ制御ユニット202によって使用されてもよい。第1のサービスブレーキ制御ユニット202は、実際のブレーキ力の第1の電気信号213が、第1のブレーキ力がサービスブレーキ力要求203に実質的に対応することを示すまで、第1ブレーキ力を調整するように第1の電気機械モジュール210を制御することができる。
【0157】
明らかに、第1のサービスブレーキ制御ユニット202は、実際のブレーキ力の第2の電気信号640、・・・、643(存在する場合)を受信するように構成することもできる。例えば、これは、サービスブレーキの場合に、サービスブレーキ力要求203に対応するブレーキ力に達したことをチェックするために、第1のサービスブレーキ制御ユニット202によって使用されてもよい。第1サービスブレーキ制御ユニット202は、実際のブレーキ力の第2の電気信号640、・・・、643が、第2のブレーキ力がサービスブレーキ力要求203に実質的に対応することを示すまで第2のブレーキ力を調整するために第2の電気機械モジュールを制御することができる。
【0158】
明らかに、サービスブレーキ用の第2の制御ユニットが存在する場合に、実際のブレーキ力の第2の電気信号640、・・・、643も受信することができる。例えば、これはサービスブレーキのための第2の制御ユニット202によって使用されて、サービスブレーキの場合にサービスブレーキ力要求203に対応するブレーキ力に達したことを確認することができる。サービスブレーキ用の第2の制御ユニットは、実際のブレーキ力の第2の電気信号640、・・・、643が、第2のブレーキ力がサービスブレーキ力要求203に実質的に対応することを示すまで、第2の制動力を調整するために、第2の電気機械モジュールを制御することができる。
【0159】
本発明による、鉄道車両用の電気機械サービスおよび緊急ブレーキアクチュエータ、ならびに少なくとも1つの鉄道車両用の電気機械ブレーキシステムの様々な態様および実施形態を説明した。各実施形態は、任意の他の実施形態と組み合わせることができることが理解される。さらに、本発明は、説明された実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲によって定義される範囲内で変更することができる。
【国際調査報告】