(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-15
(54)【発明の名称】負圧呼吸治療フードシステム
(51)【国際特許分類】
A61G 10/00 20060101AFI20230508BHJP
A61M 15/00 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
A61G10/00 K
A61M15/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559864
(86)(22)【出願日】2021-03-28
(85)【翻訳文提出日】2022-11-25
(86)【国際出願番号】 US2021024545
(87)【国際公開番号】W WO2021202319
(87)【国際公開日】2021-10-07
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522384798
【氏名又は名称】ハイジア ヘルス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ネゼック,エリック
(72)【発明者】
【氏名】マーシー,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】クレメント,ダグラス
【テーマコード(参考)】
4C341
【Fターム(参考)】
4C341KK05
4C341KK07
4C341KL04
4C341KL07
(57)【要約】
人間の医学的患者用の負圧呼吸治療フード。好ましくは透明材料からの一体的製造の剛性フードが、患者の頭の上方に位置決めされる。患者の身体は、フードの前壁の開口部から外に延在する。開き戸がフードの前壁に装着されていてもよく、閉鎖され、及び部分的に開口部を閉鎖しており、覆いが封止状態でフードに接続され、圧力封止を形成するように患者の上方に配置されている。負圧源がフードに接続され、患者の頭の周りで負圧環境を形成している。医療要員及び/又は医療機器による患者へのアクセスを許容するために、アクセス開口部が、弾性材料内の小さな開口部を伴って、自身に跨って弾性材料を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁、前壁内の開口部、並びにサイズ及び形状を有する剛性フードであって、前記壁、前壁内の開口部、並びに、サイズ及び形状は、患者がうつ伏せになっている際に前記フードの内部空間において前記患者の頭を受け入れるように設計されており、前記フードの少なくとも一部分は、前記フード内の患者がその内部において観察され得るように十分に透明である、剛性フードと、
前記フードに装着された覆いであって、前記覆いは、前記患者の頭が前記フード内で位置決めされ、及び前記患者の身体が前記前壁内の前記開口部を通じて延在している際に、患者の身体の上方に配置されるように成形及び寸法設定されており、前記覆いは、前記患者の身体の周りで少なくとも分圧封止を生成する、覆いと、
前記フードの前記内部空間内に医療関係者によりアクセスできるように十分なサイズを有する、前記フードの前記壁内の1つ又は複数のアクセス開口部であって、前記1つ又は複数のアクセス開口部のそれぞれは、その内部に開口部を有する弾性材料によってカバーされており、前記弾性材料開口部及び前記弾性材料は、前記医療関係者が、前記医療関係者の身体又は医療機器の周りの圧力封止を維持しつつ、前記フードの前記内部空間にアクセスできるようにしている、1つ又は複数のアクセス開口部と、
前記弾性材料内の前記開口部に圧接し、これに対して圧力封止を形成するフラップであって、前記弾性材料開口部を通じてアクセスできるようにするために運動可能である、フラップと、
前記フードの前記内部空間への負圧源の装着用の接続と、
を有する、
装置。
【請求項2】
患者は、前記フード内で位置決めされ、負圧源が前記フードに接続された状態で、負圧環境が前記フード内に生成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記前壁内の前記開口部の近傍に取り付けられた開き戸を更に有し、前記開き戸は、第1の閉鎖位置と第2の開放位置との間で運動可能であり、前記第1閉鎖位置における前記開き戸は、前記開口部を部分的に閉鎖する、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記フードの内部に向かって方向付けされた病原体を殺す光を更に有する、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記病原体を殺す光は、UV-C(紫外線C)光である、
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記フードの内部に向かって方向付けされた病原体を殺す光を更に有する、
請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記病原体を殺す光は、UV-C(紫外線C)光である、
請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記フードは、前記患者の上半身の一部分をその内部に更に受け入れるように設計されている、
請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記フードは、前記患者の上半身の一部分をその内部に更に受け入れるように設計されている、
請求項2に記載の装置。
【請求項10】
前記負圧源コネクタに装着された携帯型真空ポンプを更に有する、
請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の閉鎖位置に前記開き戸を固定するための1つ又は複数のラッチと、
前記開き戸と前記フードとの間に位置決めされた封止と、
前記フードの底部表面上に位置決めされた封止と、
を更に有する、
請求項3に記載の装置。
【請求項12】
前記覆いは弾性材料を有し、且つ、前記覆いを前記フードに対して及び前記患者の身体に対して堅固に保持するための留め具を更に有する、
請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記フードは、透明プラスチックから形成されている、
請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記透明プラスチックは、PETG(ポリエチレンテレフタレートグリコール)を有する、
請求項13に記載の装置。
【請求項15】
負圧呼吸治療フードシステムであって、
前壁、後壁、及び側壁を有し、実質的に透明材料から形成された、一体的な構造の剛性フードであって、前記剛性フードは、前記壁に結合する丸められた内側表面を有し、これにより、前記患者がうつ伏せになっている際に内部空間に患者の頭を受け入れるように設計されたサイズ及び形状を有する前記内部空間を形成し、前記前壁内に開口部を有する、剛性フードと、
前記フードに装着された覆いであって、前記覆いは、前記患者の頭が前記フード内に位置決めされ且つ前記患者の身体が前記前壁内の前記開口部を通じて延在する際に、患者の身体の上方に配置されるように成形及び寸法設定されており、前記覆いは、前記フードの前記壁に解放自在に装着可能であり、前記患者の身体の周りで少なくとも部分的な圧力封止を生成する、覆いと、
前記フードの前記内部空間内に医療関係者によりアクセスできるようにするために十分なサイズの、前記フードの前記壁内の1つ又は複数のアクセス開口部であって、前記1つ又は複数のアクセス開口部のそれぞれは、その内部に開口部を有する弾性材料によってカバーされており、前記弾性材料内の前記開口部及び前記弾性材料は、前記医療関係者が、前記医療関係者の身体又は医療機器の周りに圧力封止を維持しつつ、前記フードの前記内部空間にアクセスできるようにする、1つ又は複数の開口部と、
前記弾性材料内の前記開口部に圧接し、且つこれに対して圧力封止を形成するフラップであって、前記弾性材料内の前記開口部を通じてアクセスできるようにするために運動可能であるフラップと、
前記フードの前記内部への負圧源の装着のための接続と、
を有する、
システム。
【請求項16】
前記前壁内の前記開口部の近傍において取り付けられた開き戸を更に有し、前記開き戸は、第1の閉鎖位置と第2の開放位置との間で運動可能であり、前記第1閉鎖位置における前記開き戸は、前記開口部を部分的に閉鎖しており、前記システムは、前記第1閉鎖位置において前記フードに対して封止された状態において前記開き戸を保持する1つ又は複数のラッチを更に有する、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記負圧源接続に装着された携帯型真空ポンプを更に有する、
請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記実質的に透明な材料は、PETG(ポリエチレンテレフタレートグリコール)を有する、
請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記フードの前記内部空間内への及びこれから外への空気の流量の両方を監視するために、並びに前記フードの内部空間と前記フードの外側の周辺圧力との間の圧力差を監視するために、計測及び測定装置を更に有する、
請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
人間の医学的患者の頭の周囲に負圧環境を生成し、前記負圧環境内で医学的手技を実行する方法であって、
a)テーブル上で前記人間の医学的患者を位置決めするステップと、
b)剛性フードの内部空間内に前記医学的患者の頭を受け入れるように、前記医学的患者の上方に前記剛性フードを配置するステップであって、前記フードの少なくとも一部分は、前記フード内の前記医学的患者がその内部に観察され得るように十分に透明であり、前記剛性フードは壁を有し、且つ、前記医学的患者の身体が開口部を通じて延在する状態において、前壁内において前記開口部を有する、ステップと、
c)前記患者の身体の上方に覆いを配置し、前記覆いを前記フードに固定するステップであって、前記覆いは、前記患者の身体の周りで少なくとも分圧封止を生成する、ステップと、
d)前記フードの前記内部に負圧源を接続し、その内部に負圧環境を生成するステップと、
を有する、
方法。
【請求項21】
e)前記フード内で前記医学的患者にアクセスし、望ましい医学的手技を実行する更なるステップであって、前記アクセスは、前記フードの前記壁内の1つ又は複数のアクセス開口部を通じたものであり、前記1つ又は複数のアクセス開口部のそれぞれは、開口部を有する弾性材料によってカバーされており、前記弾性材料及び前記その内部の開口部は、前記フード内の負圧環境を維持しつつ、前記医学的患者にアクセスできるようにしており、前記フードは、前記弾性材料内の前記開口部に圧接する及びこれに対して圧力封止を生成するフラップを有し、前記フラップは、前記弾性材料内の前記開口部を通じてアクセスできるようにするために運動可能である、ステップを有する、
請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本米国非仮特許出願は、2020年3月30日付けで出願された米国仮特許出願第63/001897号の優先権をすべての目的のために主張するものである。この仮特許出願の開示内容は、引用により、本開示と一貫性を有する範囲において本明細書に包含される。
【0002】
背景-発明の分野
本発明は、医学的手技との関連において使用される装置に関する。任意の1つの治療に伴う使用に限定されることなしに、例として、本発明は、高度な伝染性を有する疾病を有する患者の治療との関連において使用される装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
限定するものではないが、挿管を含むこのような患者を治療するプロセスにおいては、しばしば患者が、汚染された煙霧質を吐き出す又はその他の方法で病原菌を放出することが知られている。このような煙霧質は、COVID-19と呼称されるものなどの高度な伝染性を有し且つ潜在的に非常に危険なウイルスを担持している際に、治療を実行する医療従事者にとって非常に危険な状況を作り出す。医療従事者は、PPEという頭文字で呼称される個人的な保護機器を使用してはいるが、依然として深刻な病気に接触するリスクを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、治療の際に患者によって放出される潜在的に危険な煙霧質、病原菌、などに対する、医療従事者の曝露を低減する装置を有することが望ましい。現時点の装置及び方法は、いずれも様々な制限を有しており、これらの課題に対処する改善された装置及び方法に対する所望が生じている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本発明の原理を実施した負圧呼吸治療フードシステムは、挿管される又はその他の方法で治療される対象の患者の頭、首、及び肩の一部分を受け入れるように設計された壁並びにサイズ及び形状を有する、剛性の、ほぼボックス形状のフードを有する。フードは、前壁内において開口部を有する。患者は、通常、テーブル上において仰向けとなり、フードが患者の身体の上方の位置において配置されるか、或いは、患者は、フード内の所定の位置で運動している。開き戸が、通常は前壁の開口部の上部エッジ近傍でフードに装着されていてもよく、並びに、患者の周りにフードを配置できるようにするための第1の開放位置と、患者の身体に向かって下方に回転され及び定位置においてラッチされる第2の閉鎖位置との間で、運動可能であってもよい。提供されている場合には、開き戸は、好ましくは、身体の周りでぴったりとフィットし且つ封止を提供するように、好ましくは弾性材料から製造された覆いと共に患者の身体の全体的な形状にフィットするために、切り出し形状を有する。覆いは、覆いをフードに固定する楔又は類似の留め具によって患者の身体の周りで封止するように、定位置にぴったりと固定されている。
【0006】
医療関係者により、フードの内部に、従って患者にアクセスできるようにするために、複数のアクセス開口部がフードの壁に提供されている。それぞれの開口部は、その内部に孔を有する覆い又はカフを形成する、弾性材料を有する。医療関係者の手及び腕が(腕を収容するために必要とされる程度に延伸する)孔を通じて挿入された際に、弾性材料カフは、医療関係者の腕の周りでぴったりと封止する。また、医療機器も、同様に、弾性材料内の孔を通じて挿入され得ると共に、その内部に封止され得るであろうことが理解され得る。医療関係者に使用されていない際には、圧力封止の維持を可能にするために、柔軟な材料から製造され得るフラップが孔を圧接状態で封止している。
【0007】
病院の吸引源へ接続するための負圧フィッティング又は接続がフードに固定され、フード内に負圧環境を生成する。携帯型の負圧ポンプマウントが、患者の負圧搬送にフードを使用できるようにしている。
【0008】
全体として、封止されたフードは、医療要員がアクセス開口部の弾性材料の開口部を介してフード内で機能することを依然として可能にしつつ、患者の頭及び上半身の周りに封止された負圧環境を生成できるようにしている。患者から放出された任意の病原体は病院の吸引に引き込まれ、且つ、医療関係者はこれから隔離されている。装置は、負圧に応答してある程度の空気がフードの内部に進入できるようにするが、フードから外への空気の流れを停止する、基本的に緩やかな封止を患者の周りに生成していることを理解されたい。
【0009】
挿管手技に加えて、装置は、例えば、長期の集中治療室(ICU)患者などのその他の医学的呼吸治療のために使用されてもよく、これによれば、PPEが節約され、且つ、汚染の拡散が防止される。人工呼吸器及び供給チューブの通過のために、封止されたサイドポート孔を提供することができる。本発明の範囲は、システムの使用によって実現され得る任意の医学的治療を含むことを理解されたい。
【0010】
患者にとっての鋭いエッジ及び圧力ホットスポットを回避するために、丸みをつけたエッジが必要に応じて提供されている。
【0011】
フード、その少なくとも一部分、は、有利には、限定するものではないが、例えば、必要に応じて成形され得るPETG(ポリエチレンテレフタレートグリコール)などのプラスチックを含む透明材料から形成されている。これにより、フード下方の患者を観察することができる。好ましくは、フードは、特に側部及び上部に結合する内側表面上に丸められた表面を有する一体的な構造を有しており、これにより、クリーニング及び殺菌が困難な、プレキシガラスフードの鋭いコーナーが除去されている。このフードの丸められた表面は、クリーニング及び殺菌が格段に容易である。フードは、当技術分野において既知の方法により成形することができる。
【0012】
好ましくは、システムは、フード内部への及びこれから外へ空気の流れを監視するために、並びにフードの内部と周辺環境との間の圧力差を監視するために、制御装置及び測定装置を有する。圧力封止の喪失、すなわち、フードの内部からの病原体流出の可能性が生じると、圧力及び空気の流れの読取りのいずれか又は両方に基づいて、アラームが発動され得る。
【0013】
好ましくは、限定するものではないがCOVID-19ウイルスを含むウイルスなどの病原体を殺すために、紫外線C(UV-C)光などの複数の病原体を殺す光が、光がフードの内側に方向付けされた状態で、フードの上部に又はその周囲に取り付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図面の簡単な説明
【
図1】定位置にある患者と、患者に対して手技を実行するためにフードの内部に挿入された手及び腕を有する例示用の位置にある医療関係者と、を示す負圧呼吸治療フードシステム(しばしば、「フード」と呼称される)の一実施形態の側面図である。
【
図3】フードの側面図であり、即ち、開き戸から離れた前側(後壁)である。
【
図5】フードの側面図であり、開き戸側(前壁)を示す。
【
図6】装着された開き戸を有していない且つフード覆いを部分図において示すフード20の一実施形態の斜視図である。わかりやすさを目的として、システムの様々なその他の要素が
図6から省略されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
現時点において好適な実施形態の説明
様々な負圧呼吸治療フードが本発明の原理を実施し得るが、図面を参照し、現時点において好適な実施形態のいくつかについて説明することができる。わかりやすさを目的として、図面のすべてに特定の要素が示されているものではないことを理解されたい。
【0016】
本発明の原理を実施した負圧呼吸治療フードシステム10は、例えば、挿管などの治療の対象である患者の頭部と、好ましくは、首及び肩の少なくとも一部分と、を受け入れるために前壁24に開口部22を有する、ほぼボックス形状の剛性フード20を有する。フード20の少なくとも一部分は、フード内の患者がその内部において観察され得るように十分に透明な材料から製造されており、従って、患者の治療を可能にするように、医療要員がフード20の内部を覗き見ることができ、後述するように、好適な一実施形態においては、フード20は、更に詳細に後述するように、例えば、透明なプラスチックのみなどのように、実質的に透明な材料から形成されている。
【0017】
患者は通常、テーブル上に仰向けとなり、且つ、フード20が患者の身体の上方で定位置に配置されている。現時点において好適な一実施形態においては、開き戸26が、開口部22の上部エッジに装着されており、且つ、患者の周りのフード20を容易に配置できるようにするための(
図4において観察され得る)第1の開放位置と、患者の身体に向かって又はその周りで回転された、
図1及び
図2におけるような第2の閉鎖位置との間で運動可能である。但し、開き戸26は、提供されていても提供されていなくてもよいことを理解されたい。提供されている場合には、開き戸26は、好ましくは、患者の身体の周りでぴったりとフィットし且つ封止を提供するように、(
図1、
図2、
図4、及び
図5に示される)覆い28と共に、
図2及び
図5において観察され得るように、好ましくは患者の身体の全体的な形状にフィットするために、切り出し形状を有する。覆い28は、ゴム又はこれに類似したものなどの弾性材料から製造することができる。覆い28は、楔48又は類似の手段などの留め具によって、定位置にぴったりと保持することができる。閉鎖位置に開き戸26を保持するために、ラッチ46を提供することができる。
【0018】
1つ又は複数のアクセス開口部30が、
図1において観察され得るように、医療関係者によるフード20の内部に、従って患者にアクセスできるようにするために、フード20の壁内に提供されている。効率的に患者にアクセスし及び/又はフード20内の器具を操作するために、任意の数のアクセス開口部30が提供され得ることを理解されたい。それぞれのアクセス開口部30は、例えば、その内部に開口部34を有する高度に延伸可能なゴム覆い又はカフなどの弾性材料32によってカバーされている。開口部34は、好ましくは、(アクセス開口部30の直径との関係において)直径が小さく、且つ、弾性材料32内で中心に位置決めされている。医療関係者は、弾性材料32が腕の周りでぴったりと封止し且つ負圧封止を維持している状態において、開口部34を通じて自身の手を、次いで腕をフード20の内部に挿入する。
図3にはフラップ36が示され、好ましくは、開口部34のそれぞれの上方に提供され、且つ、使用されていない際には開口部34をカバーし、これにより、フード20内の負圧封止を維持している。フラップ36は、基本的に逆止弁として機能することを理解されたい。好適な一実施形態においては、フラップ36は、曲がりやすい又は柔軟な材料のシートから製造され得るが、これは、第1位置で開口部34をカバーしており、開口部34を通じてアクセスできるよう、邪魔にならないように簡単に折り返すことができる。
【0019】
図1~
図4に示される接続38、即ち、負圧フィッティングは、フード内に負圧環境を生成するように、病院の吸引又は真空源40への接続のためにフードに固定されている。これに加えて、負圧環境を維持しつつ患者が運動できるように、携帯型負圧ポンプ44を装着することもできる。
【0020】
現時点で好適な一実施形態においては、フード20の内部への、及びこれから外への空気の流量の両方を監視するために、並びにフード20の内部とフード20の外側の周辺圧力との間の圧力差を監視するために、計測及び測定装置が提供されている。望ましくない流れ及び/又は圧力差状態を通知するために、アラームが提供されている。計測、測定、及びアラームは、図面においては要素50として概略的に表されている。
【0021】
フード20の底部表面に底部封止52を追加することが可能であり、且つ、開き戸26とフード20との間に開き戸封止54を追加することができる。
【0022】
図3は、
図1の医療関係者の位置の方向からの図である。
【0023】
図4は、記述されているように、第1の閉鎖位置における及び第2の部分的に開放した位置における、開き戸26及び装着された覆い28を示す側面図である。
【0024】
図5は、開き戸26が閉鎖位置にあり且つ覆い28が平らになった位置にある状態において開口部22内を覗き見たシステムの図である。
【0025】
図6は、開き戸26を有していない、且つ覆い28を部分図において示す、フード20の一実施形態の斜視図である。わかりやすさを目的として、システムの様々なその他の要素が
図6から省略されている。
【0026】
全体として、システム10は、医療要員がアクセス開口部内のゴム覆いを介してフード内で機能することを依然として可能にしつつ、患者の頭及び上半身の周りにおいて封止された負圧環境を生成できるようにしている。空気は、その内部に生成された負圧(真空)に応答してフードの内部に流入し得るが、その内部に担持されている空気及び任意の病原体がフードの内部を離脱することにはならないので、封止された負圧環境は「緩やかに封止された」環境として見なされ得ることを理解されたい。患者から放出された任意の病原体は、病院の吸引に引き込まれ、医療関係者はこれから隔離される。
【0027】
好ましくは、限定するものではないがCOVID-19ウイルスを含むウイルスなどの病原体を殺すように、紫外線C(UV-C)光42などの複数の病原体を殺す光が、光がフードの内側に方向付けされた状態で、フードの上部に又はその周りに取り付けられる。UV-C光(一般的に200~280nmの波長を有する放出光)は、有効な殺菌剤特性を有することが示されている。その他の病原体を殺す光が使用され得ることを理解されたい。
【0028】
システムの使用の方法
人間の医学的患者の頭の周りで負圧環境を生成するための且つ前記負圧環境内において医学的手技を実行するシステム10の使用の例示用な方法は、
a)テーブル上で人間の医学的患者を位置決めするステップと、
b)剛性フードの内部空間内に医学的患者の頭を受け入れるように、医学的患者の上方に剛性フードを配置するステップであって、前記フードの少なくとも一部分は、前記フード内の医学的患者がフードの内側で観察され得るように十分に透明であり、剛性フードは壁を有し、且つ、医学的患者の身体が前記開口部を通じて延在する状態で、前壁に開口部を有する、ステップと、
c)患者の身体の上方に覆いを配置し、且つ、覆いをフードに固定するステップであって、覆いは、患者の身体の周りで少なくとも分圧封止を生成する、ステップと、
d)前記フードの前記内部に負圧源を接続し、フードの内側に負圧環境を生成するステップと、
を有することができる。
【0029】
また、一般的には、使用の方法は、
e)フード内で医学的患者にアクセスし、且つ、患者に対して望ましい医学的手技を実行するステップであって、アクセスは、フードの壁内の1つ又は複数のアクセス開口部を通じたものであり、1つ又は複数のアクセス開口部のそれぞれは、開口部を有する弾性材料によってカバーされており、弾性材料及びその内部の開口部は、フード内で負圧環境を維持しつつ、医学的患者にアクセスできるようにしており、フードは、弾性材料内の開口部に圧接され及びこれに対して圧力封止を形成するフラップを有し、フラップは、弾性材料内の開口部を通じてアクセスできるようにするために運動可能である、ステップ、
を含むことになろう。
【0030】
材料及び製造
フード20は、有利には、透明な又はほぼ透明な材料から形成されており、これは、PETG(ポリエチレンテレフタレートグリコール)などのプラスチックであってよく、これは、半球形態に成形することが可能であり、且つ、剛性フード20を形成している。フード20を製造するために、十分な透明性を有する任意のその他の材料が使用され得ることを理解されたい。好ましくは、フード20は、特に側部及び上部に結合する内側表面上で丸められた表面を有する一体的な構造を有し、これにより、クリーニング及び殺菌が困難な鋭い内部コーナーが除去される。フード20の丸められた表面は、クリーニング及び殺菌が格段に容易である。フード20は、当技術分野において既知の方法により成形することができる。弾性材料(例えば、ゴム又はこれに類似したもの)覆い及びアクセス開口部材料は、医療の技術分野において既知の材料を有することができる。製造の材料及び方法は、必要に応じて変更され得ることを理解されたい。
【0031】
患者にとっての鋭いエッジ及び圧力ホットスポットを回避するために、丸みをつけたエッジが必要に応じて提供されている。
【0032】
結言
以上の説明は、多くの特殊性を含んでいるが、これらは、限定するものではなく、本発明の現時点において好適な実施形態のいくつかを説明するためにのみ提示されていることを理解されたい。本発明の様々な態様に対して、その範囲を逸脱することなしに、変更を実施することができる。
【0033】
従って、本発明の範囲は、上記の例示によってではなく、添付の請求項及びその適法な均等物によって判断されることを要する。
【国際調査報告】