(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-15
(54)【発明の名称】トルクを検出するためのセンサ
(51)【国際特許分類】
G01L 3/10 20060101AFI20230508BHJP
【FI】
G01L3/10 305
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559902
(86)(22)【出願日】2021-04-06
(85)【翻訳文提出日】2022-10-27
(86)【国際出願番号】 IB2021052859
(87)【国際公開番号】W WO2021199015
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】102020109469.8
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】301042963
【氏名又は名称】ボーンズ・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】BOURNS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1200 COLUMBIA AVENUE,RIVERSIDE,CALIFORNIA 92507,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ウィシュケ マーティン
(57)【要約】
本発明は、トーション要素(10)に加えられ、回転軸(8)の周りに作用するトルク(13)を検出するためのセンサ(9)に関する。センサ(9)は、トランスミッタ素子(16)と、センサチップ(18)と、評価装置(21)と、を備える。
- トランスミッタ素子(16)は、トーション要素(10)の第1軸方向端部に対して固定的に装着することができ、回転軸(8)の周りの周方向(24)に変化させることができる伝達フィールド(17)を出力するように設計される。
- センサチップ(18)は、トーション要素(10)の第1軸方向端部の反対側の第2端部に対して固定的に装着することができ、センサチップ(18)に到達する伝達フィールド(17)に依存する測定信号(20)を出力するように設計される。
- 評価装置(21)は、測定信号(20)に基づいてトルク(13)に依存するセンサ信号(19)を出力するように設計される。
- センサチップ(18)は、トランスミッタ素子(16)から軸方向距離で配置され、トランスミッタ素子(16)と半径方向に重なる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トーション要素(10)に加えられ、回転軸(8)の周りに作用するトルク(13)を検出するためのセンサ(9)であって、トランスミッタ素子(16)と、センサチップ(18)と、評価装置(21)と、を備え、
- 前記トランスミッタ素子(16)は、前記トーション要素(10)の第1軸方向端部に対して固定的に装着することができ、前記回転軸(8)の周りの周方向(24)に変化させることができる伝達フィールド(17)を出力するように設計され、
- 前記センサチップ(18)は、前記トーション要素(10)の前記第1軸方向端部の反対側の第2端部に対して固定的に装着することができ、前記センサチップ(18)に到達する前記伝達フィールド(17)に依存する測定信号(20)を出力するように設計され、
- 前記評価装置(21)は、前記測定信号(20)に基づいて前記トルク(13)に依存するセンサ信号(19)を出力するように設計され、
- 前記センサチップ(18)は、前記トランスミッタ素子(16)内に軸方向に離間され、半径方向に配置されるが、回転軸に対して偏心して配置される、ことを特徴とするセンサ(9)。
【請求項2】
前記トランスミッタ素子(16)は、前記伝達フィールド(17)として磁界を放出する磁石であり、それによって、前記センサチップ(18)は、前記センサチップ(18)に到達する前記磁界(17)の関数として前記測定信号(20)を出力するように設計される、ことを特徴とする請求項1に記載のセンサ(9)。
【請求項3】
前記磁石(16)は、直線形状又は円形状で形成され、前記回転軸(8)に対して接線方向に伸びるか、配置される、ことを特徴とする請求項2に記載のセンサ(9)。
【請求項4】
前記磁石(16)の直線形状は、棒磁石の形状であり、又は前記磁石(16)の円形状は、円形セグメントの形状であり、それぞれが矩形断面を有する、ことを特徴とする請求項3に記載のセンサ。
【請求項5】
前記センサチップ(18)は、前記回転軸(8)を回る円形パス(44)上の前記棒磁石(18)に対して可動に配置され、前記円形パス(44)は、軸方向に見て、前記回転軸(8)に向けられた棒磁石(16)の縁(41)から交点距離(46)をおいて、棒磁石(16)の端縁(38、39)と交差し、前記交点距離(46)は、前記端縁(41、42)の距離の5%と45%の間の間、好ましくは15%と35%の間の間、特に好ましくは20%と30%の間の間にある、ことを特徴とする請求項4に記載のセンサ。
【請求項6】
前記棒磁石(16)を覆う領域において軸方向に見た前記円形パス(44)は、前記回転軸(8)に向けられた前記棒磁石(16)の縁(41)の視点から、前記回転軸(8)に向けられた前記棒磁石(16)の縁(41)から極点距離(48)だけ離間された極点(47)を有し、前記極点距離(48)は、前記回転軸(8)に向けられた前記棒磁石(16)の縁(16)と前記回転軸(8)から離れた前記棒磁石(16)の縁(42)との間の距離の5%と45%の間の間、好ましくは15%と35%の間の間、特に好ましくは20%と30%の間の間にある、ことを特徴とする請求項5に記載のセンサ(9)。
【請求項7】
前記棒磁石(16)の視点から前記円形パス(44)上の前記センサチップ(18)の移動は、2つの移動制限点(49)の間で制限され、2つの移動制限点(49)の各々は、前記棒磁石(16)の面側縁(38、39)からの面側距離(50)が、前記面側縁(41、42)の距離の5%と45%の間、好ましくは15%と35%の間、特に好ましくは20%と30%の間にある、ことを特徴とする請求項5に記載のセンサ(9)。
【請求項8】
前記トルク(13)がゼロとなるとき、前記回転軸(8)に関連する垂足点(36)が、前記棒磁石(16)の中心に配置される、ことを特徴とする上記請求項5~7の1つに記載のセンサ(9)。
【請求項9】
前記棒磁石(16)の領域内の前記円形パス(44)は、前記垂足点(36)及び前記回転軸(8)を通る直線に対して対称である、ことを特徴とする上記請求項6~8の1つに記載のセンサ(9)。
【請求項10】
- 駆動方向に移動可能なシャシー(5)と、
- 前記駆動方向から見て前記シャシー(5)を前側でサポートする2つの前輪(3)と、
- 前記駆動方向から見て前記シャシー(5)を後側でサポートする2つの後輪(4)と、
- 前記前輪(3)を旋回させるために回転軸(8)の周りに操舵シャフト(7、11)を回転させるための操舵輪(6)と
- 前記操舵輪(6)によって前記操舵シャフト(7、11)に加えられるトルク(13)を検出するための上記請求項の1つに記載のセンサ(9)と、
- 検出されたトルク(13)に応じて前記前輪(3)の旋回を調整するためのモータ(15)と、を備える車両(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トーション要素に加えられ、回転軸の周りに作用するトルクを検出するためのセンサ、及びセンサを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
トーション要素に加えられ、回転軸の周りに作用するトルクを検出するためのセンサは、EP1167936A2から知られている。このセンサは、トランスミッタ素子と、センサチップと、評価装置と、を備える。トランスミッタ素子は、トーション要素の第1軸方向端部に対して固定的に装着することができ、回転軸の周りの周方向に変化させることができる伝達フィールドを出力するように設計される。センサチップは、トーション要素の第1軸方向端部の反対側の第2端部に対して固定的に装着することができ、センサチップに到達する伝達フィールドに依存する測定信号を出力するように設計される。評価装置は、測定信号に基づいてトルクに依存するセンサ信号を出力するように設計される。センサにおいて、トランスミッタ素子及びセンサチップは、軸方向に同じ高さで配置され、半径方向に離間される。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、既知のセンサを改良することである。
【0004】
このタスクは、独立した請求項の特徴によって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0005】
本発明の一態様によれば、トーション要素に加えられ、回転軸の周りに作用するトルクを検出するためのセンサは、トランスミッタ素子と、センサチップと、評価装置とを備える。前記トランスミッタ素子は、前記トーション要素の第1軸方向端部に対して固定的に装着することができ、前記回転軸の周りの周方向に変化させることができる伝達フィールドを出力するように設計される。前記センサチップは、前記トーション要素の第1軸方向端部の反対側の第2端部に対して固定的に装着することができ、前記センサチップに到達する前記伝達フィールドに依存する測定信号を出力するように設計される。前記評価装置は、前記測定信号に基づいて前記トルクに依存するセンサ信号を出力するように設計される。センサチップは、トランスミッタ素子から軸方向距離で配置され、トランスミッタ素子と半径方向に重なり合う。これは、本発明によるセンサにおいて、トランスミッタ素子及びセンサチップが軸方向に同じ高さで配置され、半径方向に離間されることを意味する。
【0006】
詳述されたセンサは、トルクを検出するためのトーション要素が弾性を持つように設計されるというアイデアに基づいたものである。弾性により、トーション要素は、回転軸の周りをトルクで回転することができ、それにより、周方向のセンサチップに対するトランスミッタ素子の相対位置はトルクに依存する。伝達フィールドは回転軸の周りの周方向にも変化するため、出力される測定信号はトルクに依存する。しかしながら、使用中にトルクがトーション要素に作用するだけではなく、機械的な遊びによる剪断力も作用する。その結果、トランスミッタ素子とセンサチップとの間に相対的な半径方向のずれが生じ、センサチップに到達する伝達フィールドが変化する。この変化は、測定信号の変化につながり、従ってトルクの不正確な検出につながる。
【0007】
したがって、この誤差を回避するために、詳述されたセンサについて、センサチップをトランスミッタ素子に対して半径方向ではなく、トランスミッタ素子に対して軸方向に位置させることが提案される。これにより、前述した剪断力に対するセンサの感度が低下し、従ってトルクの検出中に誤差が減少する。
【0008】
詳述されたセンサの一実施形態では、トランスミッタ素子は、伝達フィールドとして磁界を放出する磁石であり、それにより、センサチップは、センサチップに到達する磁界の関数として測定信号を出力するように設計される。磁界は、外部エネルギーの供給なしに、本願において永久磁石の形態の磁石で主に生成することができるので、この形態の伝達フィールドは、信頼性が高く、エネルギー効率がよく、省スペースで実施することができる。
【0009】
詳述されたセンサの特定の実施形態では、磁石は直線形状で設計され、回転軸に対して接線方向に配置される。このような磁石は、例えば、それらの形状が輸送のための積み重ねを容易にするので、より経済的に獲得することができる。
【0010】
詳述されたセンサの更なる実施形態では、トルクがゼロとなるとき、回転軸に関連する垂足点が、磁石の中心に配置される。このようにして、トーション要素を正の回転方向に回転させる正のトルク、及びトーション要素を負の回転方向に回転させる負のトルクは、等しい大きさの値の範囲にわたって磁石で検出することができる。
【0011】
詳述されたセンサの特に好ましい実施形態では、磁石の直線形状は棒磁石の形状であり、それらの標準形状により経済的に特に費用対効果が高い。
【0012】
詳述されたセンサの別の実施形態では、センサチップは、回転軸を回る円形パス上の棒磁石に対して可動に配置され、円形パスは、軸方向に見て、回転軸に向けられた棒磁石の縁から交点距離をおいて、棒磁石の端縁と交差し、前記交点距離は、端縁の距離の5%と45%の間、好ましくは15%と35%の間、特に好ましくは20%と30%の間にある。
【0013】
詳述されたセンサのまた別の実施形態では、棒磁石を覆う領域において軸方向に見た円形パスは、回転軸に向けられた棒磁石の縁の視点から、回転軸に向けられた棒磁石の縁から極点距離だけ離間された極点を有し、前記極点距離は、回転軸に向けられた棒磁石の縁と回転軸から離れた棒磁石の縁との間の距離の5%と45%の間、好ましくは15%と35%の間、特に好ましくは20%と30%の間にある。
【0014】
詳述されたセンサの追加の実施形態では、棒磁石の視点から円形パス上のセンサチップの移動は、2つの移動制限点の間で制限され、2つの移動制限点の各々は、棒磁石の面側縁からの面側距離が、面側縁の距離の5%と45%の間、好ましくは15%と35%の間、特に好ましくは20%と30%の間にある。
【0015】
詳述されたセンサのまた別の実施形態では、棒磁石の領域内の円形パスは、垂足点及び回転軸を通る直線に対して対称である。
【0016】
本発明の別の態様によれば、車両は、駆動方向に移動可能なシャシーと、前記駆動方向から見て前記シャシーを前側でサポートする2つの前輪と、前記駆動方向から見て前記シャシーを後側でサポートする2つの後輪と、前記前輪を旋回させるために回転軸の周りに操舵シャフトを回転させるための操舵輪と、操舵輪によって前記操舵シャフトに加えられるトルクを検出するための前記センサの1つと、検出されたトルクに応じて前輪の旋回を調整するためのモータと、を備える。
【0017】
本発明の上述の特性、特徴及び利点、ならびにそれらが達成される方法は、図面に関連してより詳細に説明される実施形態の以下の説明に関連して、より明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】操舵システムを備えた車両の概略斜視図である。
【
図2】
図1の操舵システム用のトルクセンサの第1バージョンの概略図である。
【
図3】
図1の操舵システム用のトルクセンサの第2バージョンの概略図である。
【
図4】異なる視点からの
図3のトルクセンサである。
【
図5】
図1の操舵システム用のトルクセンサの第3バージョンのスケッチである。
【
図6】
図5によるトルクセンサの第3バージョンの実施形態のスケッチである。
【0019】
図面において、同じ技術的要素には同じ参照符号が付されており、一度しか記載されていない。図面は純粋に概略的なものであり、特に、実際の幾何学的な比率を反映していない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
操舵システム2を含む車両1の概略斜視図である
図1を参照されたい。
【0021】
本実施形態では、車両1は、2つの前輪3と2つの後輪4によってサポートされるシャシー5を含む。前輪3は、操舵システム2によって旋回することができるので、車両1はカーブで駆動することができる。
【0022】
操舵システム2は操舵輪6を含む。操舵輪6は、第1操舵シャフト7に装着され、次に第1操舵シャフト7は、回転軸8を回転できるように装着される。第1操舵シャフト7は、トルクセンサ9にガイドされ、さらに指定されていない方式でそこでトーション要素10に接続される。第2操舵シャフト11は、回転軸8上の第1操舵シャフト7の反対側の前記トーション要素10に接続され、操舵ギア12で終わる。操舵輪6が操舵トルク13の形式のトルクで旋回すると、操舵トルク13は、それに従って、操舵シャフト7と11を介して操舵ギア12に伝達され、操舵ギア12は、それに応じて車輪角14を有するカーブで前輪3を操舵する。
【0023】
操舵プロセスは、旋回中の第2操舵シャフト11を支援する補助モータ15によってサポートされる。この目的のために、トルクセンサ9は操舵トルク13を検出する。次に、補助モータ15は、とりわけ、検出された操舵トルク13に従って、第2操舵シャフト11を操舵する。
【0024】
操舵トルク13を検出するために、トルクセンサ9は、第1操舵シャフト7に接続されて磁界17を誘導する磁気トランスミッタ素子16を備える。トルクセンサ9は、第2操舵シャフト11に接続されたセンサチップ18をさらに備える。センサチップ18は、第2操舵シャフト11に対する、従って磁気フィルター18に対する第1操舵シャフト7の、従って磁気トランスミッタ素子16の相対角度位置の関数として、磁気トランスミッタ素子16から磁界17を受信し、受信した磁界に依存する測定信号20を評価装置21に転送する。これは、測定信号20に基づいて2つの操舵シャフト7と11の間の角度位置を決定し、これに依存する、従ってトーション要素10の弾力により操舵トルク13にも依存するセンサ信号19を出力する。よって、センサ信号19は、検出される操舵トルク13に直接依存するので、補助モータ15は、第2操舵シャフト11を旋回させるようにこの情報を直接処理することができる。
【0025】
トルクセンサ9の第1バージョンを示す
図2を参照されたい。
【0026】
トルクセンサ9の説明では、軸方向22、半径方向23、及び周方向24に跨る円柱座標系内の空間が想定されている。軸方向22は、回転軸8の方向に揃えられ、周方向24は、回転軸8を中心に円周方向に揃えられる。半径方向23は、回転軸8に対して半径方向に延びる。
【0027】
この円柱座標系では、トルクセンサ9は、第1操舵シャフト7のフォースフィット受けのための回転軸8の周りに延びる第1軸受けブシュ25、及び第2操舵シャフト11のフォースフィット受けのための第2軸受けブシュ26を備える。
【0028】
この場合、第1軸受けブシュ25は、ここではフランジの形式の、例えば接着剤によって磁界トランスミッタ素子16が取り付けられる保持部材27を有する。このようにして、磁界トランスミッタ素子16は、第1操舵シャフト7が第1軸受けブシュ25に押し込まれたときに、第1操舵シャフト7上に静止して保持される。
【0029】
キャリア28が、ここでもフランジの形式で、第2軸受けブシュ26上に形成される。プリント回路基板ホルダ30が、軸方向22に見て反対側の浮動軸受素子31上にサポートされるピン29によってキャリア28上に保持される。プリント回路基板の形態の評価装置21がプリント回路基板ホルダ30に収容され、次に、センサチップ18が、例えばはんだ付けによって、評価装置21に電気的及び機械的に接続される。センサチップ18からの測定トランスデューサ20は、電子部品31によって評価装置21で処理され、
図2ではそれ以上見えないインタフェースを介して、センサ信号19として補助モータ15に転送される。
【0030】
トルクセンサ9の動作中に第1操舵シャフト7が回転し、回転がトーション要素10を介して第2操舵シャフト11に伝達されると、フォースフィットによって第1操舵シャフト7に保持される第1軸受けブシュ25は、磁界トランスミッタ素子16とともに回転し、第2操舵シャフト11に保持される第2軸受けブシュ26は、センサチップ18とともに回転する。第2操舵シャフト11の慣性及びトーション要素10の弾性により、第1操舵シャフト7は、第1操舵シャフト7が旋回するときに、第2操舵シャフト11に対して捻じれる。その結果、磁界トランスミッタ素子16もセンサチップ18に対して捻じれる。
【0031】
磁界トランスミッタ素子16の磁界17は、周方向24に変化する。従って、磁界トランスミッタ素子16がセンサチップ18に対して回転すると、センサチップ18に到達する磁界17が変化する。センサチップ18に対する磁界トランスミッタ素子16の回転は、トーション要素10の弾性により操舵トルク13の大きさに依存するため、センサチップ18に到達する磁界17、測定信号20、及び最後にセンサ信号19も、操舵トルク13の大きさに依存する。
【0032】
図2の実施形態では、磁界トランスミッタ素子16は、半径方向リング距離32で回転軸8の周りに円周方向にガイドされる磁気リングの形式で設計される。センサチップ18はまた、磁界トランスミッタ素子16とセンサチップ18が半径方向に重なるように、半径方向リング距離32で回転軸8から離れて配置される。
図2では、半径方向23の延長におけるこれらの素子の中心は、センサチップ18と磁界トランスミッタ素子16の半径方向リング距離32を決定するための基準点として選択された。
【0033】
半径方向の重なりに加えて、磁界トランスミッタ素子16は、
図2のセンサチップ18から軸方向測定距離33で配置される。
【0034】
機械的公差のため、第1操舵シャフト7が使用中に第2操舵シャフト11に対して半径方向23にオフセットされ、従ってトーション要素10が剪断応力を受ける場合、これは、例えばEP1167936A2に示すように、センサチップ18が軸方向22に同じ高さで配置されるが半径方向23に離間される場合よりも、センサチップ18に到達する磁界17に小さい影響を与えない。
【0035】
以下、
図3と4を参照しながら、トルクセンサ9の代替設計を説明する。
【0036】
図2の実施形態とは対照的に、
図3と4の磁界トランスミッタ素子16は、リング磁石として設計されていないが、直線で、回転軸に対して接線方向に配置されている。この目的のために、
図4の上面図に示され、
図3と4の説明では棒磁石16と呼ばれる、本実施形態の磁界トランスミッタ素子16の形状として、特に安価な棒磁石が選択される。
【0037】
棒磁石16は、極遷移点36で互いに接続された北極34と南極35を有する。回転軸8の視点から、極遷移点36は、回転軸8及び棒磁石16と交差する垂線のための垂足点を表すように配置される。
【0038】
半径方向23に対して横方向に見ると、棒磁石16は第1面側38と、第1面側38の反対側の第2面側39とを有する。2つの面側38、39は、回転軸8に面する第1長手側41及び回転軸8から離れた方を面する第2長手側42によって互いに接続される。
【0039】
第1操舵シャフト7が第2操舵シャフト11に対して上記のように回転すると、棒磁石16から見たセンサチップ18は、
図4の棒磁石16の領域内に破線で示される円形パス44に沿って移動する。
図4の上面図に示すように、円形パス44は、第1面側38及び第2面側39の縁とそれぞれ交点45で交差する。各交点45は、第1長手側41から交点距離46だけ離間される。
【0040】
最後に、
図4の上面図において、棒磁石16は、第1長手側41から見ると、棒磁石16の領域内に円形パス37が極点47を有するように配置される。各極点47は、第2長手側42から極点距離48だけ離間される。
【0041】
センサチップ18は、可能な限り均一な磁界内において、磁界トランスミッタ素子16の下で軸方向にガイドされるべきである。このようにして、円形パス44上の棒磁石16の移動の関数として、センサチップ18によって生成される測定信号20における操舵トルク13は、移動に線形依存し、特に簡単な方式で技術的に評価することができる。
【0042】
このために、交点距離46は、2つの長手側41、42の距離の5%と45%の間、好ましくは15%と35%の間、特に好ましくは20%と30%の間にするべきである。2つの交点距離46は等しく選択することができるが、等しく選択する必要がない。さらに、極点距離48は、2つの長手側41、42の距離の5%と45%の間、好ましくは15%と35%の間、特に好ましくは20%と30%の間にするべきである。交点距離46は、極点距離48の10%と90%の間、好ましくは30%と70%の間、特に好ましくは45%と55%の間で選択するべきである。
【0043】
最後に、前記線形依存性を達成するために、棒磁石16で見て円形パス44に沿ったセンサチップ18の移動は、それぞれの面側38、39から面側距離50だけ離間された2つの移動制限点49の間で制限されるべきである。面側距離50は、2つの面側38、39の間の距離の5%と45%の間、好ましくは15%と35%の間、さらに好ましくは20%と30%の間にある。
【0044】
図5と6は、
図3と4の棒磁石上の移動制限点49間の距離が短く過ぎる場合に使用することができるトルクセンサの第3バージョンを示す。
【0045】
トルクセンサ9の第3バージョンにおいて、磁界トランスミッタ素子は、幾つかの孔34、35が一列に配置されているリングセグメントとして設計されている。ここでの利点は、幾つかのセンサチップ18、18'は、例えば冗長性の目的で配置することができることである。
【国際調査報告】