(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-16
(54)【発明の名称】濾過複合材料
(51)【国際特許分類】
B01D 39/16 20060101AFI20230509BHJP
B01D 39/18 20060101ALI20230509BHJP
B32B 5/26 20060101ALI20230509BHJP
B32B 27/02 20060101ALI20230509BHJP
B32B 7/027 20190101ALI20230509BHJP
B32B 27/36 20060101ALI20230509BHJP
B32B 23/02 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
B01D39/16 A
B01D39/18
B01D39/16 E
B32B5/26
B32B27/02
B32B7/027
B32B27/36
B32B23/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526492
(86)(22)【出願日】2021-04-02
(85)【翻訳文提出日】2022-06-08
(86)【国際出願番号】 US2021025674
(87)【国際公開番号】W WO2021203067
(87)【国際公開日】2021-10-07
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】591163214
【氏名又は名称】ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ, デレク オー.
(72)【発明者】
【氏名】ウィリス, クレントン ティー.
【テーマコード(参考)】
4D019
4F100
【Fターム(参考)】
4D019AA01
4D019AA02
4D019AA03
4D019BA12
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4D019BB04
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4D019BC01
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4D019CB06
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4D019DA02
4D019DA03
4D019DA06
4F100AJ04A
4F100AJ04B
4F100AK42A
4F100AK42B
4F100AK42C
4F100AT00D
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4F100BA04
4F100BA10A
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4F100BA10D
4F100BA12
4F100DG01A
4F100DG01B
4F100DG01C
4F100DG15A
4F100DG15B
4F100DG15C
4F100GB56
4F100JA04B
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
(57)【要約】
本開示には、濾過媒体の多重層を含む濾過複合材料が記述されている。いくつかの実施形態では、濾過複合材料は、好ましくは、実質的にガラスフリーであるか又は完全にガラスフリーである。複合材料がガラスフリーであるか、又は実質的にガラスフリーである場合、複合材料は、好ましくは、同様のガラス含有濾過媒体と同等又はそれ以上の濾過容量及び濾過効率を示す。複合材料は、二成分繊維、1ミクロン~5ミクロンの範囲内の繊維直径を有する濾過効率繊維、及びミクロフィブリル化繊維を含む第一の不織布濾過媒体;任意選択の第二の不織布濾過媒体;並びに少なくとも0.1ミクロン且つ1ミクロン未満の繊維直径を有する濾過効率繊維を含む第三の不織布濾過媒体が含まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材料であって、
40重量%~90重量%の、5ミクロン~50ミクロンの範囲内の繊維直径及び0.1cm~15cmの繊維長さを有する第一の二成分繊維;
0重量%~25重量%の、1ミクロン~5ミクロンの範囲内の繊維直径を有する第一の大濾過効率繊維;並びに
10重量%~60重量%の、大部分が最大で4ミクロンまでの横方向寸法を有する、ミクロフィブリル化繊維
を含む、第一の不織布濾過媒体と、
任意選択的に、
40重量%~90重量%の、5ミクロン~50ミクロンの範囲内の繊維直径及び0.1cm~15cmの繊維長さを有する第二の二成分繊維;
0重量%~25重量%の、1ミクロン~5ミクロンの範囲内の繊維直径を有する第二の大濾過効率繊維;並びに
10重量%~60重量%の、大部分が最大で4ミクロンまでの横方向寸法を有する、第二のミクロフィブリル化繊維
を含む第二の不織布濾過媒体と、
少なくとも0.1ミクロン且つ1ミクロン未満の繊維直径を有する小濾過効率繊維を含む、第三の不織布濾過媒体と
を含み、
ガラス繊維を実質的に含まない、複合材料。
【請求項2】
前記二成分繊維の構造ポリマー部分が少なくとも240℃の融点を有し、前記二成分繊維のバインダーポリマー部分が100℃~190℃の範囲内の融点を有する、請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
前記第一の大濾過効率繊維がポリエチレンテレフタレート(PET)を含むか、又は前記第二の大濾過効率繊維がPETを含むか、又はその両方である、請求項1又は2に記載の複合材料。
【請求項4】
前記小濾過効率繊維が、0.6ミクロン~0.8ミクロンの範囲内の繊維直径を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項5】
前記小濾過効率繊維が、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項6】
前記複合材料が、樹脂を実質的に含まない、請求項1~5のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項7】
前記複合材料が、ガラス繊維を含まない、請求項1~6のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項8】
前記第一の不織布濾過媒体、前記第二の不織布濾過媒体、及び前記第三の不織布濾過媒体が、別々の層である、請求項1~7のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項9】
前記不織布濾過媒体が、前記第一の不織布濾過媒体、次いで前記第二の不織布濾過媒体、及び次いで前記第三の不織布濾過媒体を液体が通過するように構成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項10】
前記不織布濾過媒体が、支持層をさらに含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項11】
前記第三の不織布濾過媒体が、前記支持層と接触状態にある、請求項1~10のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項12】
前記ミクロフィブリル化繊維が、ミクロフィブリル化セルロース繊維を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項13】
液体ストリームを濾過する方法であって、
汚染物を含む液体ストリームを、請求項1~12のいずれか1項に記載の複合材料を通して通過させる工程、及び
前記汚染物を前記液体ストリームから除去する工程
を含む方法。
【請求項14】
前記液体ストリームが空気を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1に記載の複合材料を作製する方法であって、前記第一の不織布濾過媒体、前記第二の不織布濾過媒体、及び前記第三の不織布濾過媒体を、独立して作製することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国仮特許出願第63/004,926号(出願日:2020年4月3日)、及び米国仮特許出願第63/081,159号(出願日:2020年9月21日)の利益を主張し、それらの開示を参照することにより、それら全体を本明細書に組み入れたものとする。
【背景技術】
【0002】
濾過媒体、たとえば燃料の濾過のために使用される濾過媒体には、多くの場合、ガラスのミクロ繊維が含まれる。しかしながら、ある種のタイプの濾過の際には、ガラスのミクロ繊維が、濾過媒体から離脱して、環境汚染をもたらしたり、或いは、濾過した燃料の場合では、その内燃エンジンに損傷を与えたりする可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示に記載されているのは、濾過媒体の多重層を含む複合材料、それらの複合材料の作製方法、及びそれらの複合材料の使用方法である。それらの組成物は、好ましくは、実質的にガラスフリーであるか又はガラスフリーであり、そして同様のガラス含有濾過媒体と同等又はそれ以上の濾過容量及び濾過効率を示す。
【0004】
一つの実施形態では、本開示には、第一の不織布濾過媒体;任意選択的に、第二の不織布濾過媒体;及び第三の不織布濾過媒体を含む複合材料が記載されている。その複合材料には、ガラス繊維を実質的に含まない。第一の不織布濾過媒体には、40重量%~90重量%の、5ミクロン~50ミクロンの範囲内の繊維直径及び0.1cm~15cmの繊維長さを有する第一の二成分繊維;0重量%~25重量%の、1ミクロン~5ミクロンの範囲内の繊維直径を有する第一の大濾過効率繊維;並びに10重量%~60重量%の、大部分が最大で4ミクロンまでの横方向寸法を有している第一のミクロフィブリル化繊維が含まれる。その任意選択の第二の不織布濾過媒体には、40重量%~90重量%の、5ミクロン~50ミクロンの範囲内の繊維直径及び0.1cm~15cmの繊維長さを有する第二の二成分繊維;0重量%~25重量%の、1ミクロン~5ミクロンの範囲内の繊維直径を有する第二の大濾過効率繊維;並びに10重量%~60重量%の、大部分が最大で4ミクロンまでの横方向寸法を有している第二のミクロフィブリル化繊維が含まれる。第三の不織布濾過媒体には、少なくとも0.1ミクロン且つ1ミクロン未満の繊維直径を有する小濾過効率繊維が含まれる。
【0005】
いくつかの実施形態では、その二成分繊維の構造ポリマー部分は、少なくとも240℃の融点を有し、そしてその二成分繊維のバインダーポリマー部分は、100℃~190℃の範囲内の融点を有している。
【0006】
いくつかの実施形態では、その第一の大濾過効率繊維がポリエチレンテレフタレート(PET)を含み、その第二の大濾過効率繊維がPETを含むか、又は第一の大濾過効率繊維及び第二の大濾過効率繊維の両方がPETを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、その小濾過効率繊維が、0.6ミクロン~0.8ミクロンの範囲内の繊維直径を有している。
【0008】
いくつかの実施形態では、その小濾過効率繊維が、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、その複合材料が、樹脂を実質的に含まない。
【0010】
いくつかの実施形態では、その複合材料が、ガラス繊維を含まない。
【0011】
いくつかの実施形態では、第一の不織布濾過媒体、第二の不織布濾過媒体、及び第三の不織布濾過媒体が、別々の層である。
【0012】
いくつかの実施形態では、液体が、第一の不織布濾過媒体、次いで第二の不織布濾過媒体、そして次いで第三の不織布濾過媒体を通過するように、その不織布濾過媒体が構成されている。
【0013】
いくつかの実施形態では、その不織布濾過媒体には、支持層がさらに含まれる。その第三の不織布濾過媒体が、その支持層と接触状態にあってもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、そのミクロフィブリル化繊維が、ミクロフィブリル化セルロース繊維を含む。
【0015】
また別の態様では、本開示には、液体ストリームを濾過する方法が記載され、その方法には、汚染物を含む液体ストリームを、本明細書に記載の複合材料不織布濾過媒体を通過させて、その液体ストリームからその汚染物を除去することが含まれる。その液体ストリームには、空気が含まれていてもよい。
【0016】
また別の態様では、本開示に記述されているのは、本明細書に記載されたような複合材料を作製する方法であって、その方法には、第一の不織布濾過媒体、第二の不織布濾過媒体、及び第三の不織布濾過媒体を独立して作製することが含まれる。
【0017】
本明細書で使用する場合、ミクロンは、マイクロメートル(μm)と等価である。
【0018】
本明細書で使用する場合、「繊維」は、3:1より大、好ましくは5:1より大のアスペクト比(すなわち、長さ対横方向寸法)を有している。たとえば、繊維ガラスは、典型的には、100:1より大のアスペクト比を有する。この文脈では、その「横方向寸法」は、繊維の幅(二次元)又は直径(三次元)である。「直径」という用語は、繊維の円形の断面の直径、又は繊維の非円形の断面での最大断面寸法のいずれかを指す。繊維長さは、所望の結果に応じて、有限の長さであっても、無限の長さであってもよい。
【0019】
本明細書で使用する場合、「β比」又は「β」は、定常流れ条件下での、上流側粒子対下流側粒子の比率(ISO 16889:2008)であるが、これについては、実施例の項で説明する。フィルターの効率が高いほど、このβ比は高くなる。β比は、次式で定義される:
【数1】
ここで、N
d,Uは、上流側での、d以上の直径の粒子についての単位流体容積あたりの粒子数であり、そしてN
d,Dは、下流側での、d以上の直径の粒子についての単位流体容積あたりの粒子数である。βに対して下付け文字(たとえば、d)がある場合、それは、その比率が報告された、粒径を示している。
【0020】
「実質的に含まない」という用語は、本明細書で使用する場合、その濾過媒体が、取り上げられた成分(たとえば、ガラス繊維又は樹脂)を、その濾過媒体の活性又は作用に、いずれかの実質的に影響するような量では含んでいないということを示している。その用語は、その濾過媒体の濾過性能に実質的な寄与を与えることがない、微々たる量の成分しか含んでいないことを意図している。たとえば、ガラスを実質的に含まない濾過媒体には、1重量%未満のガラス繊維しか含まれないのがよい。
【0021】
「フリーの」という用語は、本明細書で使用する場合、その濾過媒体が、取り上げられた成分(たとえば、ガラス繊維又は樹脂)を、一切含まないということを示している。たとえば、「ガラスフリーの」濾過媒体には、ガラスが一切含まれないし、「樹脂フリーの」の媒体には、樹脂が一切含まれない。
【0022】
標準試験法(たとえば、ASTM、TAPPIなど)に言及した場合には、特に断らない限り、本開示の出願時に入手可能なその方法の最新の版を指しているものとする。
【0023】
「好ましい」、又は「好ましくは」という用語は、ある種の環境において、本発明の実施形態がある種の便益を与えることができるということを指している。しかしながら、同一の環境又はその他の環境で、他の実施形態も好ましいということはあり得る。さらには、一つ又は複数の好ましい実施形態を取り上げたということが、他の実施形態は役に立たないということを意味しているのではなく、そして本明細書の範囲から、他の実施形態を排除しようという意図があるものでもない。
【0024】
「含む」という用語及びその派生形は、これらの用語が本明細書及び特許請求の範囲に現れる場合に限定の意味を有さない。そのような用語は、述べられたステップ若しくは要素又はステップ若しくは要素の群を含むことを意味するが、他のステップ若しくは要素又はステップ若しくは要素の群を除外しないことを意味すると理解される。
【0025】
「からなる」とは、「からなる」という句に続くすべてを含み、それに限定されることを意味する。したがって、「からなる」という句は、列挙される要素が必要又は必須であり、他の要素が存在し得ないことを示す。「本質的にからなる」とは、この句の後に列挙される要素を含むことを意味し、列挙される要素について本開示で指定される活性又は作用を妨害しないか又はそれに寄与しない他の要素に限定される。したがって、「本質的にからなる」という句は、列挙される要素が必要又は必須であることを示すが、他の要素は、任意選択であり、列挙される要素の活性又は作用に重大な影響を与えるかどうかに応じて存在する場合又は存在しない場合がある。
【0026】
特に明記されない限り、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その」及び「少なくとも1つ」は、同じ意味で使用され、1つ又は複数を意味する。
【0027】
本明細書で使用される「又は」という用語は、内容が明らかに別の指示をしない限り、一般に「及び/又は」を含むその通常の意味で使用される。
【0028】
「及び/又は」という用語は、列挙される要素の1つ若しくはすべて又は列挙される要素の任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0029】
本明細書では、端点による数値範囲の記載には、その範囲内に含まれるすべての数値も含まれる(たとえば、1~5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などが含まれる)。
【0030】
本明細書では、「最大である数まで」(たとえば、最大50まで)には、その数(たとえば、50)も含まれる。
【0031】
「~の範囲内(in the range、又はwithin a range)」という用語(及び同様の記述)には、記載された範囲の終端も含まれる。
【0032】
本明細書に開示された、別々な工程を含むいずれかの方法では、それらの工程は、適宜可能な順序で実施してよい。そして、適当であれば、2つ又はそれ以上の工程を組み合わせて、同時に実施してもよい。
【0033】
表題はすべて、読者の便宜のためにあるのであって、特に断らないかぎり、その表題の後に続く本文の意味合いを限定するために使用されていると思ってはならない。
【0034】
本明細書全体を通して、「一実施形態」、「実施形態」、「特定の実施形態」又は「いくつかの実施形態」などへの言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構成、組成又は特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な部分でのそのような句の出現は、必ずしも本開示の同じ実施形態に言及するわけではない。さらに、特定の特徴、構成、組成又は特性は、1つ又は複数の実施形態において任意の適切な要領で組み合わせることができる。
【0035】
特に明記しない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分の量及び分子量などを表すすべての数字は、いかなる場合でも「約」という用語によって変更されると理解されるべきである。測定量に関連して本明細書で使用される「約」という用語は、測定を行って、測定の目的及び使用される測定機器の精度に見合ったレベルのケアを行う当業者によって予期される測定量の変動を指す。したがって、特にそれとは反対の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明によって得られることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、均等の原理を特許請求の範囲に限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも報告された有効桁数に照らして、通常の丸め方を適用することによって解釈されるべきである。
【0036】
本発明の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータは、近似値であるにもかかわらず、特定の例に示される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、すべての数値には、それぞれの試験測定で見出された標準偏差から必然的に生じる範囲が本質的に含まれる。
【0037】
本発明の上記の要約は、開示される各実施形態又は本発明のすべての実施を説明することを意図するものではない。以下の説明は、例示的な実施形態をより具体的に例示する。本明細書全体のいくつかの部分では、様々な組み合わせで使用できる例のリストによってガイダンスが提供される。いずれの場合にも、列挙されるリストは、代表的な群としての役割のみを果たし、排他的なリストとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1A】実施例1の記載に従って調製した複合材料の担持濾過容量を示す図である。
【
図1B】実施例1の記載に従って調製した細繊維層を含む複合材料の濾過効率を示す図である。
【
図2A】いくつかの実施形態において、実施例1の記載に従って調製することが可能な、例示的な複合材料の模式図である。
【
図2C】いくつかの実施形態において、実施例2の記載に従って調製することが可能な、例示的な複合材料の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本開示に記載されているのは、濾過媒体の多重層を含む複合材料、それらの複合材料の作製方法、及びそれらの複合材料の使用方法である。それらの組成物は、好ましくは、実質的にガラスフリーであるか又はガラスフリーであり、そして同様のガラス含有濾過媒体と同等又はそれ以上の濾過容量及び濾過効率を示す。
【0040】
複合材料
一つの実施形態では、本開示に記載されているのは、複数の不織布濾過媒体を含む複合材料である。いくつかの実施形態では、その不織布濾過媒体のそれぞれが、好ましくは、実質的にガラスフリーであるか又はガラスフリーである。
【0041】
その複合材料には、第一の不織布濾過媒体、任意選択の第二の不織布濾過媒体、及び第三の不織布濾過媒体が含まれる。その第一の不織布濾過媒体には、第一の二成分繊維;第一の大濾過効率1ミクロン~5ミクロンの範囲内の繊維直径を有する繊維;及び第一のミクロフィブリル化繊維が含まれる。その第二の不織布濾過媒体が存在する場合には、それには、第二の二成分繊維;1ミクロン~5ミクロンの範囲内の繊維直径を有する第二の大濾過効率繊維;及び第二のミクロフィブリル化繊維が含まれる。第三の不織布濾過媒体には、少なくとも0.1ミクロン且つ1ミクロン未満の繊維直径を有する小濾過効率繊維が含まれる。本明細書で使用するとき、「大濾過効率繊維」は、1ミクロン~5ミクロンの範囲内の繊維直径を有する繊維である。本明細書で使用するとき、「小濾過効率繊維」は、少なくとも0.1ミクロン且つ1ミクロン未満の繊維直径を有する繊維である。
【0042】
いくつかの実施形態では、その小濾過効率繊維が、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む。いくつかの実施形態では、その第一の大濾過効率繊維が、好ましくは、PETを含む。いくつかの実施形態では、その第二の大濾過効率繊維が、好ましくは、PETを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、その複合材料又はその複合材料の層の繊維の1種又は複数を、その媒体の静電荷を変化させるために、選択又は処理してもよい。その電荷としては、典型的には、そのポリマーの表面若しくはその近傍にトラップされた正電荷若しくは負電荷の層、又はそのポリマーの本体の中に蓄えられている電荷雲が挙げられる。その電荷にはさらに、分子の双極子の配列の中に凍結された分極電荷も含まれる。物質を荷電させる方法は、当業者には周知である。それらの方法としては、たとえば、加熱法、液体接触法、電子ビーム法、プラズマ法、及びコロナ放電法が挙げられる。
【0044】
いくつかの実施形態では、その複合材料には、支持層がさらに含まれる。
【0045】
いくつかの実施形態では、第一の不織布濾過媒体、任意選択の第二の不織布濾過媒体(存在するなら)、及び第三の不織布濾過媒体が、別々の層である。すなわち、その第一の不織布濾過媒体とその第二の不織布濾過媒体との間、或いはその第二の不織布濾過媒体とその第三の不織布濾過媒体との間には、勾配は存在しない。第二の不織布濾過媒体が存在しない場合には、その第一の不織布濾過媒体とその第三の不織布濾過媒体との間には、勾配は存在しない。
【0046】
いくつかの実施形態では、その第一の不織布濾過媒体が、その第二の不織布濾過媒体と接触状態にあり、そしてその第二の不織布濾過媒体が、その第三の不織布濾過媒体と接触状態にある。その複合材料が、支持層をさらに含む場合には、その第三の不織布濾過媒体が、その支持層と接触状態にあってもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、液体が、第一の不織布濾過媒体、次いで第二の不織布濾過媒体、そして次いで第三の不織布濾過媒体を通過するように、その複合材料が構成されている。
【0048】
いくつかの実施形態では、その複合材料に支持層が含まれている場合、その複合材料が、液体が、第一の不織布濾過媒体、次いで第二の不織布濾過媒体、次いで第三の不織布濾過媒体、次いで支持層を通過するように構成されている。
【0049】
いくつかの実施形態では、その第一の不織布濾過媒体が、その第三の不織布濾過媒体と接触状態にある。その複合材料が、支持層をさらに含む場合には、その第三の不織布濾過媒体が、その支持層と接触状態にあってもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、その複合材料が、液体が、第一の不織布濾過媒体、次いで第三の不織布濾過媒体を通過するように構成されている。その複合材料が、支持層をさらに含む場合には、その複合材料は、液体が、第一の不織布濾過媒体、次いで第三の不織布濾過媒体、次いで支持層を通過するように構成されている。
【0051】
いくつかの実施形態では、その複合材料が、樹脂を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、その複合材料が、樹脂を含まない。
【0052】
その複合材料には、ガラス(たとえば、ガラス繊維も含む)を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、その複合材料が、ガラスを含まない。
【0053】
一つの例示的実施形態では、その複合材料には、第一の不織布濾過媒体、任意選択の第二の不織布濾過媒体、及び第三の不織布濾過媒体が含まれる。その第一の不織布濾過媒体には、40重量%~90重量%の、5ミクロン~50ミクロンの範囲内の繊維直径及び0.1cm~15cmの繊維長さを有する第一の二成分繊維;0重量%~25重量%の第一の大濾過効率繊維;及び10重量%~60重量%の第一のミクロフィブリル化繊維(前記ミクロフィブリル化繊維の大部分が、最大で4ミクロンまでの横方向寸法を有している)が含まれている。その任意選択の第二の不織布濾過媒体には、40重量%~90重量%の、5ミクロン~50ミクロンの範囲内の繊維直径及び0.1cm~15cmの繊維長さを有する第二の二成分繊維;0重量%~25重量%の第二の大濾過効率繊維;及び10重量%~60重量%の第二のミクロフィブリル化繊維(前記ミクロフィブリル化繊維の大部分が、最大で4ミクロンまでの横方向寸法を有している)が含まれている。第三の不織布濾過媒体には、小濾過効率繊維が含まれている。
【0054】
【0055】
実施例1において説明するように、フィルター媒体複合材料に1μmの直径の電解紡糸細繊維層を加えることにより、細繊維層無しの複合材料に比較して、その複合材料の濾過効率が向上する。実施例2においてさらに説明し、
図2Cに示すように、細繊維層を、小濾過効率細繊維を含む層に置き換えることも可能であり、そのようにして得られた複合材料は、細繊維層を含む複合材料と同程度の濾過効率を有すると予想される。
【0056】
実施例1の結果は、予想もされなかったことであるが、その理由は、過去の報告では、媒体の層の間に中間層を設けることは望ましくなく、それに代えて勾配構造を追求すべきであるとされていたからである(参照、たとえば、米国特許出願公開第2014/0360145号明細書)。理論に束縛されることなく言えば、媒体層の間に(小濾過効率細繊維を含む層を含む不織布の濾過媒体の層、及び担持層として機能する濾過媒体の層などを含めた)中間層を設けると、勾配構造を使用した場合よりも高い濾過効率が可能となると考えられるが、その理由は、それぞれの層の不均質性が、その媒体の厚み方向全体に行き渡る訳ではないからである。
【0057】
第一及び第二の不織布濾過媒体
第一の不織布濾過媒体及び任意選択の第二の不織布濾過媒体(存在させるのなら)のそれぞれには、二成分繊維、1ミクロン~5ミクロンの範囲内の繊維直径を有する大濾過効率繊維、及びミクロフィブリル化繊維が含まれる。
【0058】
いくつかの実施形態では、第一の不織布濾過媒体及び第二の不織布濾過媒体のいずれか又は両方が、担持層、すなわちその媒体の深さ方向に汚染物が集積される位置を分散させるフィルター媒体として機能する。第一の不織布濾過媒体及び第二の不織布濾過媒体の両方が担持層として機能する例示的実施形態を、
図2Cに示す。第二の不織布濾過が含まれない例示的実施形態を、
図2Bに示す。
【0059】
いくつかの実施形態では、その第一の不織布濾過媒体及び第二の不織布濾過媒体のいずれか又は両方が、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、又は少なくとも10%のソリディティを有している。いくつかの実施形態では、その不織布濾過媒体が、最大で5%まで、最大で6%まで、最大で7%まで、最大で8%まで、最大で9%まで、最大で10%まで、最大で11%まで、最大で12%まで、最大で13%まで、最大で14%まで、最大で15%まで、最大で16%まで、最大で17%まで、最大で18%まで、最大で19%まで、又は最大で20%までのソリディティを有している。一つの例示的実施形態では、その第一の不織布濾過媒体が、5%~15%の範囲内のソリディティを有している。一つの例示的実施形態では、その第二の不織布濾過媒体が、5%~15%の範囲内のソリディティを有している。いくつかの実施形態では、ソリディティは、実施例で記載されているようにして測定するのが好ましい。
【0060】
いくつかの実施形態では、その第一の不織布濾過媒体及び第二の不織布濾過媒体のいずれか又は両方が、少なくとも20g/m2、少なくとも24g/m2、少なくとも25g/m2、少なくとも30g/m2、少なくとも35g/m2、少なくとも40g/m2、少なくとも50g/m2、少なくとも60g/m2、又は少なくとも70g/m2基本重量を有している。いくつかの実施形態では、その不織布濾過媒体が、最大で25g/m2まで、最大で30g/m2まで、最大で35g/m2まで、最大で40g/m2まで、最大で50g/m2まで、最大で60g/m2まで、最大で70g/m2まで、最大で75g/m2まで、最大で80g/m2まで、最大で85g/m2まで、最大で90g/m2まで、最大で95g/m2まで、最大で100g/m2まで、又は最大で105g/m2までの基本重量を有している。一つの例示的実施形態では、その第一の不織布濾過媒体が、24g/m2~100g/m2の範囲内の基本重量を有している。一つの例示的実施形態では、その第二の不織布濾過媒体が、24g/m2~100g/m2の範囲内の基本重量を有している。いくつかの実施形態では、基本重量は、ASTM D646-13を使用して測定するのが好ましい。
【0061】
いくつかの実施形態では、その第一の不織布濾過媒体及び第二の不織布濾過媒体のいずれか又は両方が、少なくとも0.5ミクロン、少なくとも1ミクロン、少なくとも1.5ミクロン、少なくとも2ミクロン、少なくとも3ミクロン、少なくとも5ミクロン、又は少なくとも10ミクロンの孔径を有している。いくつかの実施形態では、その不織布濾過媒体が、最大で5ミクロンまで、最大で10ミクロンまで、最大で15ミクロンまで、又は最大で20ミクロンまでの孔径を有している。一つの例示的実施形態では、その第一の不織布濾過媒体が、0.5ミクロン~20ミクロンの範囲内の孔径を有している。一つの例示的実施形態では、その第二の不織布濾過媒体が、0.5ミクロン~20ミクロンの範囲内の孔径を有している。また別の例示的実施形態では、その第一の不織布濾過媒体が、2ミクロン~15ミクロンの範囲内の孔径を有している。また別の例示的実施形態では、その第二の不織布濾過媒体が、2ミクロン~15ミクロンの範囲内の孔径を有している。孔径は、本明細書で使用するとき、ASTM F316-03の記載に従って計算した流通孔径を指している。
【0062】
いくつかの実施形態では、その第一の不織布濾過媒体及び第二の不織布濾過媒体のいずれか又は両方が、少なくとも0.1mm、少なくとも0.12mm、少なくとも0.15mm、又は少なくとも0.2mmの厚みを有している。いくつかの実施形態では、その不織布濾過媒体が、最大で0.2mmまで、最大で0.4mmまで、最大で0.5mmまで、最大で0.7mmまで、又は最大で1mmまでの厚みを有している。一つの例示的実施形態では、その第一の不織布濾過媒体が、0.12mm~1mmの範囲内の厚みを有している。一つの例示的実施形態では、その第二の不織布濾過媒体が、0.12mm~1mmの範囲内の厚みを有している。いくつかの実施形態では、濾過媒体の厚みは、TAPPI T411 om-15試験方法に従い、1.5psiの押え圧力(foot pressure)を使用して測定するのが好ましい。
【0063】
いくつかの実施形態では、その第一の不織布濾過媒体及び第二の不織布濾過媒体のいずれか又は両方が、0.5インチの水で少なくとも1ft3/ft2/分、0.5インチの水で少なくとも5ft3/ft2/分、又は0.5インチの水で少なくとも10ft3/ft2/分の透過性を有している。いくつかの実施形態では、その不織布濾過媒体が、0.5インチの水で最大で10ft3/ft2/分まで、0.5インチの水で最大で20ft3/ft2/分まで、0.5インチの水で最大で50ft3/ft2/分まで、0.5インチの水で最大で75ft3/ft2/分まで、又は0.5インチの水で最大で100ft3/ft2/分までの透過性を有している。一つの例示的実施形態では、その第一の不織布濾過媒体が、0.5インチの水で1ft3/ft2/分から、0.5インチの水で100ft3/ft2/分までの範囲内の透過性を有している。一つの例示的実施形態では、その第二の不織布濾過媒体が、0.5インチの水で1ft3/ft2/分から、0.5インチの水で100ft3/ft2/分までの範囲内の透過性を有している。また別の例示的実施形態では、その第一の不織布濾過媒体が、0.5インチの水で10ft3/ft2/分から、0.5インチの水で75ft3/ft2/分までの範囲内の透過性を有している。また別の例示的実施形態では、その第二の不織布濾過媒体が、0.5インチの水で10ft3/ft2/分から、0.5インチの水で75ft3/ft2/分までの範囲内の透過性を有している。いくつかの実施形態では、空気透過性を、ASTM D737-18に従って測定するのが好ましい。
【0064】
いくつかの実施形態では、その第一の不織布濾過媒体及び第二の不織布濾過媒体のいずれか又は両方が、実質的に樹脂を含まない。いくつかの実施形態では、その第一の不織布濾過媒体及び第二の不織布濾過媒体のいずれか又は両方が、樹脂を含まない。
【0065】
いくつかの実施形態では、その第一の不織布濾過媒体及び第二の不織布濾過媒体のいずれか又は両方が、実質的にガラス繊維を含まない。いくつかの実施形態では、その第一の不織布濾過媒体及び第二の不織布濾過媒体のいずれか又は両方が、ガラス繊維を含まない。
【0066】
二成分繊維
第一の濾過媒体及び第二の濾過媒体のそれぞれが、二成分繊維を含んでいる。それぞれの媒体で、いずれかの適切な二成分繊維が使用可能であり、それらの二成分繊維は、その媒体の使用目的に応じて選択することができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、その第一の不織布濾過媒体及び第二の不織布濾過媒体のそれぞれには、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、少なくとも40重量%、少なくとも45重量%、少なくとも50重量%、少なくとも55重量%、少なくとも60重量%、少なくとも65重量%、又は少なくとも70重量%の、二成分繊維が含まれる。いくつかの実施形態では、第一の濾過媒体及び第二の濾過媒体のそれぞれには、最大で30重量%まで、最大で35重量%まで、最大で40重量%まで、最大で45重量%まで、最大で50重量%まで、最大で55重量%まで、最大で60重量%まで、最大で65重量%まで、最大で70重量%まで、最大で75重量%まで、最大で80重量%まで、最大で85重量%まで、最大で90重量%までの二成分繊維が含まれる。一つの例示的実施形態では、その第一の濾過媒体には、40重量%~90重量%の二成分繊維が含まれる。一つの例示的実施形態では、その第二の濾過媒体には、40重量%~90重量%の二成分繊維が含まれる。また別の例示的実施形態では、その第一の濾過媒体には、40重量%~75重量%の二成分繊維が含まれる。一つの例示的実施形態では、その第二の濾過媒体には、40重量%~75重量%の二成分繊維が含まれる。
【0068】
いくつかの実施形態では、その二成分繊維が、少なくとも1ミクロン、少なくとも5ミクロン、少なくとも10ミクロン、少なくとも15ミクロン、又は少なくとも20ミクロンの繊維直径を有している。いくつかの実施形態では、その二成分繊維が、最大で5ミクロンまで、最大で10ミクロンまで、最大で15ミクロンまで、最大で20ミクロンまで、最大で25ミクロンまで、最大で30ミクロンまで、最大で35ミクロンまで、最大で40ミクロンまで、最大で45ミクロンまで、又は最大で50ミクロンまでの繊維直径を有している。一つの例示的実施形態では、その二成分繊維が、5ミクロン~50ミクロンの範囲内の繊維直径を有している。また別の例示的実施形態では、その二成分繊維が、5ミクロン~25ミクロンの範囲内の繊維直径を有している。また別の例示的実施形態では、その二成分繊維が、14ミクロンの繊維直径を有している。
【0069】
いくつかの実施形態では、その二成分繊維が、少なくとも0.1cm、少なくとも0.5cm、又は少なくとも1cmの繊維長さを有している。いくつかの実施形態では、その二成分繊維が、最大で0.5cmまで、最大で1cmまで、最大で5cmまで、最大で10cmまで、又は最大で15cmまでの繊維長さを有している。一つの例示的実施形態では、その二成分繊維が、0.1cm~15cmの範囲内の繊維長さを有している。また別の例示的実施形態では、その二成分繊維が、6mmの繊維長さを有している。
【0070】
いくつかの実施形態では、その二成分繊維には、構造ポリマー部分及び熱可塑性のバインダーポリマー部分が含まれ、その構造ポリマー部分が、そのバインダーポリマー部分の融点よりは高い融点を有している。
【0071】
その構造ポリマー部分及びバインダーポリマー部分は、いずれかの適切な物質から作ることができる。たとえば、その構造ポリマー部分には、PETが含まれていてよく、そしてそのバインダーポリマー部分には、コポリマーのPET(coPET)が含まれていてよい。追加の例では、その構造ポリマー部分にはPETを含んでいてよく、そしてそのバインダーポリマー部分には、以下のものを含んでいてよい:ポリエチレン(PE)、PET、ナイロン、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、メタ-アラミド、又はパラ-アラミド。さらなる例では、そのバインダーポリマー部分には、以下のものを含んでいてよい:ポリエチレン(PE)、ポリ乳酸(PLA)、ナイロン、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)(たとえば、KYNAR)、又はそのコア構造のポリマーよりは低い融点を有するように設計されたいずれかのその他のポリマー若しくは変性ポリマー。
【0072】
いくつかの実施形態では、その構造ポリマー部分がコアであり、そしてその熱可塑性のバインダーポリマー部分が、二成分繊維のシースである。
【0073】
いくつかの実施形態では、その二成分繊維の構造ポリマー部分は、少なくとも240℃の融点を有し、そしてその二成分繊維のバインダーポリマー部分は、最大で115℃までの融点を有している。その構造ポリマー部分が少なくとも240℃の融点を有し、そしてそのバインダーポリマー部分が最大で115℃までの融点を有する、例示的な二成分繊維は、271Pであるが、このものは、Advansa(Hamm,Germany)から入手可能な14μmの直径の繊維である。
【0074】
いくつかの実施形態では、その二成分繊維の構造ポリマー部分は、少なくとも240℃の融点を有し、そしてその二成分繊維のバインダーポリマー部分は、100℃~190℃の範囲内の融点を有している。一つの例示的実施形態では、その二成分繊維の構造ポリマー部分は、少なくとも240℃の融点を有し、そしてその二成分繊維のバインダーポリマー部分は、120℃~170℃の範囲内の融点を有している。また別の例示的実施形態では、その二成分繊維の構造ポリマー部分は、少なくとも240℃の融点を有し、そしてその二成分繊維のバインダーポリマー部分は、140℃~160℃の範囲内の融点を有している。
【0075】
その構造ポリマー部分が少なくとも240℃の融点を有し、そしてそのバインダーポリマー部分が100℃~190℃の範囲内の融点を有する例示的な二成分繊維としては、以下のものが挙げられる:TJ04CN(110℃の融点のバインダーポリマー部分を有する)、TJ04BN(150℃の融点のバインダーポリマー部分を有する)(いずれも、帝人ファイバー株式会社(日本、大阪から入手可能);271P(110℃の融点のバインダーポリマー部分を有する)(Advansa(Hamm,Germany)から入手可能);並びにT-202又はT-217(それぞれ、180℃の融点のバインダーポリマー部分を有する)(いずれも、Fiber Innovation Technology,Inc.(Johnson City,TN)から入手可能)。
【0076】
いくつかの実施形態では、その第一の二成分繊維及びその第二の二成分繊維が、2種の異なった二成分繊維、又は2種の異なった二成分繊維の組合せを含んでいてもよい。一つの例示的実施形態では、その二成分繊維が、その構造部分が少なくとも240℃の融点を有し、そしてそのバインダーポリマー部分が最大で115℃までの融点を有する第一の二成分繊維と、その構造ポリマー部分が、少なくとも240℃の融点を有し、そしてそのバインダーポリマー部分が100℃~190℃の範囲内の融点を有する第二の二成分繊維とを含んでいてもよい。たとえば、そのような二成分繊維としては、Advansa 271P及びTJ04BNの両方が挙げられる。
【0077】
大濾過効率繊維
その第一の濾過媒体及び第二の濾過媒体がそれぞれ「大濾過効率繊維」を含むが、ここで「大濾過効率繊維」は、本明細書で使用するとき、1ミクロン~5ミクロンの範囲内の繊維直径を有する繊維である。いくつかの実施形態では、その第一の不織布濾過媒体及び第二の不織布濾過媒体の一方又は両方が、大濾過効率繊維を含まない。
【0078】
いくつかの実施形態では、その大濾過効率繊維が、好ましくは、PET繊維である。いくつかの実施形態では、その大濾過効率繊維が、PETから実質的になっていてもよい。いくつかの実施形態では、その大濾過効率繊維が、PETからなっていてもよい。
【0079】
追加又は代替として、その小濾過効率繊維に、以下のものが含まれていてもよい:ナイロン、アクリリック、レーヨン、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリ乳酸(PLA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又はその他適切な溶融性ポリマー。
【0080】
いくつかの実施形態では、その第一の濾過媒体及び第二の濾過媒体のそれぞれが、少なくとも0重量%、少なくとも0.1重量%、少なくとも1重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、又は少なくとも25重量%の大濾過効率繊維を含むいくつかの実施形態では、その第一の濾過媒体及び第二の濾過媒体のそれぞれが、最大で15重量%まで、最大で20重量%まで、又は最大で25重量%までの大濾過効率繊維を含む。一つの例示的実施形態では、その第一の濾過媒体には、0重量%~25重量%の大濾過効率繊維が含まれる。一つの例示的実施形態では、その第二の濾過媒体には、0重量%~25重量%の大濾過効率繊維が含まれる。また別の例示的実施形態では、その第一の濾過媒体には、10重量%~25重量%の大濾過効率繊維が含まれる。また別の例示的実施形態では、その第二の濾過媒体には、10重量%~25重量%の大濾過効率繊維が含まれる。
【0081】
いくつかの実施形態では、その大濾過効率繊維が、少なくとも1ミクロン、少なくとも1.5ミクロン、少なくとも2ミクロン、少なくとも3ミクロン、又は少なくとも4ミクロンの繊維直径を有している。いくつかの実施形態では、その大濾過効率繊維が、最大で1.5ミクロンまで、最大で2ミクロンまで、最大で3ミクロンまで、最大で4ミクロンまで、又は最大で5ミクロンまでの繊維直径を有している。たとえば、一つの例示的実施形態では、その大濾過効率繊維が、2ミクロン~4ミクロンの範囲内の繊維直径を有している。また別の例示的実施形態では、その大濾過効率繊維が、2.7ミクロンの繊維直径を有している。さらなる例示的実施形態では、その大濾過効率繊維が、2.5ミクロンの繊維直径を有している。
【0082】
複数の例では、その大濾過効率繊維がPETを含み、そして2.7ミクロンの繊維直径を有している。
【0083】
いくつかの実施形態では、その大濾過効率繊維が、少なくとも0.5mm、少なくとも1mm、又は少なくとも1.5mmの長さを有している。いくつかの実施形態では、その大濾過効率繊維が、最大で10mmまで、最大で11mmまで、最大で12mmまで、又は最大で15mmまでの長さを有している。一つの例示的実施形態では、その大濾過効率繊維が、1mm~15mmの範囲内の長さを有している。さらなる例示的実施形態では、その大濾過効率繊維が、1mm~12mmの範囲内の長さを有している。
【0084】
いくつかの実施形態では、その大濾過効率繊維がPETを含む場合、そのPETは、少なくとも250℃、より好ましくは少なくとも275℃、さらにより好ましくは少なくとも290℃の融点を有する。
【0085】
ミクロフィブリル化繊維
第一の濾過媒体及び任意選択の第二の濾過媒体のそれぞれが、ミクロフィブリル化繊維を含んでいる。本明細書で使用するとき、ミクロフィブリル化繊維とは、未加工の繊維よりも、表面積が大きく分岐した構造を有する繊維を作り出すために加工した繊維である。
【0086】
いくつかの実施形態では、そのミクロフィブリル化繊維が、たとえば、フィブリル化CFF繊維(Engineered Fiber Technology(Shelton,CT)から入手可能)も含めた、ミクロフィブリル化アクリリック繊維であってもよい。いくつかの実施形態では、そのミクロフィブリル化繊維が、たとえば、Lyocell又はTENCELのようなレーヨンも含めた、ミクロフィブリル化セルロース繊維であってもよい。いくつかの実施形態では、そのミクロフィブリル化繊維が、たとえば、TWARON Pulp(Teijin Aramid,B.V.(The Netherlands))を含めた、ミクロフィブリル化パラ-アラミド繊維であってもよい。いくつかの実施形態では、そのミクロフィブリル化繊維が、たとえば、ミクロフィブリル化VECTRAN繊維(Engineered Fiber Technology(Shelton,CT)から入手可能)も含めた、ミクロフィブリル化液晶ポリマー(LCP)であってもよい。いくつかの実施形態では、そのミクロフィブリル化繊維が、たとえば、フィブリル化ZYLON繊維(Engineered Fiber Technology(Shelton,CT)から入手可能)も含めた、ミクロフィブリル化ポリ-p-フェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維であってもよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、その第一の濾過媒体及び第二の濾過媒体のそれぞれには、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、又は少なくとも55重量%のミクロフィブリル化繊維が含まれる。いくつかの実施形態では、その濾過媒体に、最大で15重量%まで、最大で20重量%まで、最大で25重量%まで、最大で30重量%まで、最大で35重量%まで、最大で40重量%まで、最大で45重量%まで、最大で50重量%まで、最大で55重量%まで、又は最大で60重量%までのミクロフィブリル化繊維が含まれる。一つの例示的実施形態では、その濾過媒体には、10重量%~60重量%のミクロフィブリル化繊維が含まれる。また別の例示的実施形態では、その濾過媒体には、10重量%~40重量%のミクロフィブリル化繊維が含まれる。
【0088】
いくつかの実施形態では、そのミクロフィブリル化繊維に、ミクロフィブリル化セルロースが含まれていてもよい。本明細書で使用するとき、本明細書におけるミクロフィブリル化セルロース(MFC)は、G.Chinga-Carrasco,Nanoscale Research Letters,2011;6:417により定義されるような物質を指している:「MFC物質」は、(1)ナノフィブリル、(2)小繊維微細物、(3)繊維断片、及び(4)繊維、から構成されている。このことは、MFCが、ミクロフィブリル、ナノフィブリル、又はいずれかのその他のセルロースのナノ-構造物と同義語である必要は必ずしもないと言うことを示唆している。しかしながら、適切に製造されたMFC物質には、主成分としてナノ-構造物、すなわち、ナノフィブリルが含まれる。これらの構成成分の直径(或いは、ミクロフィブリル化セルロース繊維の場合では、「横方向寸法」)は、同じ文献の表1に再現されていて、それらは以下のものである:(1)ナノフィブリル(<0.1μm);(2)小繊維微細物(<1μm);(3)繊維又は繊維断片(10~50μm)。
【0089】
さらには、「ミクロフィブリル化セルロース」という用語には、本明細書で使用するとき、乾燥摩砕セルロース(ミクロ化セルロース又は極微細セルロースとも呼ばれる)は含まれないし、そして米国特許第5,554,287号明細書に記載されているような、酸加水分解によって非晶質部分を除去することにより得られるミクロクリスタリンセルロースも含まれない。
【0090】
いくつかの実施形態では、そのミクロフィブリル化繊維の大部分(すなわち、半分以上)が、最大で1ミクロンまで、最大で1.5ミクロンまで、最大で2ミクロンまで、最大で3ミクロンまで、又は最大で4ミクロンまでの横方向寸法(たとえば、二次元では幅)を有している。いくつかの実施形態では、そのミクロフィブリル化繊維の大部分が、少なくとも0.5ミクロン、又は少なくとも0.7ミクロンの横方向寸法を有している。一つの例示的実施形態では、そのミクロフィブリル化繊維の大部分が、0.5ミクロン~4ミクロンの範囲内の横方向寸法を有している。また別の例示的実施形態では、そのミクロフィブリル化繊維の大部分が、0.5ミクロン~1.5ミクロンの範囲内の横方向寸法を有している。さらなる例示的実施形態では、そのミクロフィブリル化繊維の大部分が、最大で2ミクロンまでの横方向寸法を有している。
【0091】
いくつかの実施形態では、そのミクロフィブリル化繊維が、その繊維質媒体の内部に組みこまれ(すなわち、全体に分散され)ており、それによって、フィルター媒体(本明細書では、「濾過媒体」又は「フィルター媒体」とも呼ばれている)が形成されている。
【0092】
第三の不織布濾過媒体
第三の濾過媒体には、「小濾過効率繊維」が含まれるが、その「小濾過効率繊維」は、本明細書で使用する場合、少なくとも0.1ミクロン且つ1ミクロン未満の繊維直径を有する繊維である。
【0093】
いくつかの実施形態では、その小濾過効率繊維は、好ましくはPETを含む。いくつかの実施形態では、その小濾過効率繊維が、PETから実質的になっていてもよい。いくつかの実施形態では、その小濾過効率繊維が、PETからなっていてもよい。
【0094】
追加又は代替として、その小濾過効率繊維に、以下のものが含まれていてもよい:ナイロン、アクリリック、レーヨン、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリ乳酸(PLA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又はその他適切な溶融性ポリマー。
【0095】
いくつかの実施形態では、その第三の不織布濾過媒体には、その小濾過効率繊維に加えて、繊維及び成分が含まれていてよい。それらの追加の繊維及び成分には、二成分繊維、一成分の加熱溶融性繊維、樹脂などが含まれていてもよい。
【0096】
その第三の不織布濾過媒体が、小濾過効率繊維に加えて、繊維及び成分を含んでいてよい場合には、その第三の不織布濾過媒体には、好ましくは、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、少なくとも40重量%、又は少なくとも45重量%の小濾過効率繊維が含まれる。いくつかの実施形態では、その第三の不織布濾過媒体に、最大で15重量%まで、最大で20重量%まで、最大で25重量%まで、最大で30重量%まで、最大で35重量%まで、最大で40重量%まで、最大で45重量%まで、又は最大で50重量%までの小濾過効率繊維が含まれる。
【0097】
いくつかの実施形態では、その小濾過効率繊維が、少なくとも0.1ミクロン、少なくとも0.2ミクロン、少なくとも0.3ミクロン、少なくとも0.4ミクロン、少なくとも0.5ミクロン、少なくとも0.6ミクロン、又は少なくとも0.7ミクロンの繊維直径を有している。いくつかの実施形態では、その小濾過効率繊維が、最大で0.7ミクロンまで、最大で0.8ミクロンまで、最大で0.9ミクロンまで、又は1ミクロン未満の繊維直径を有している。たとえば、一つの例示的実施形態では、その小濾過効率繊維が、少なくとも0.4ミクロン且つ1ミクロン未満の繊維直径を有している。また別の例示的実施形態では、その小濾過効率繊維が、0.6ミクロン~0.8ミクロンの範囲内の繊維直径を有している。さらなる例示的実施形態では、その小濾過効率繊維が、0.7ミクロン(700nm)の繊維直径を有している。
【0098】
いくつかの実施形態では、その小濾過効率繊維が、少なくとも0.5mm、少なくとも1mm、又は少なくとも1.5mmの長さを有している。いくつかの実施形態では、その小濾過効率繊維が、最大で10mmまで、最大で11mmまで、最大で12mmまで、又は最大で15mmまでの長さを有している。一つの例示的実施形態では、その小濾過効率繊維が、1mm~15mmの範囲内の長さを有している。さらなる例示的実施形態では、その小濾過効率繊維が、1mm~12mmの範囲内の長さを有している。
【0099】
一つの例示的実施形態では、その小濾過効率繊維が、0.7ミクロンの繊維直径を有するPET繊維である。
【0100】
いくつかの実施形態では、その小濾過効率繊維がPETを含む場合、その小濾過効率繊維のPETは、少なくとも250℃、より好ましくは少なくとも275℃、さらにより好ましくは少なくとも290℃の融点を有している。
【0101】
支持層
いくつかの実施形態では、その複合材料には、支持層(スクリムとも呼ばれる)が含まれる。いずれかの適切な支持層を使用することができる。
【0102】
その支持層は、いずれかの適切な多孔性物質を含むか、それらから作製することができる。その支持層は、いくつかの実施形態では、好ましくはポリマー物質であってもよい。
【0103】
支持層に適した物質の例としては、以下のものが挙げられる:スパンボンド法、ウェットレイド法、カード法、若しくはメルトブローン法の不織布物質、又はそれらの組合せ、たとえばスパンボンド-メルトブローン-スパンボンド法のもの。繊維は、織布の形態であっても、或いは不織布の形態であってもよい。合成品の不織布の例としては、以下のものが挙げられる:ポリエステル不織布、ナイロン不織布、ポリオレフィン(たとえば、ポリプロピレン)不織布、ポリカーボネート不織布、又はそれらのブレンド若しくは多成分不織布。シート状の支持層(たとえば、セルロース系、合成系、及び/又はガラス、又は複合ウェブ)は、フィルター支持層の典型的な例である。その他の適切な支持層の例としては、以下のものが挙げられる:ポリエステル若しくは二成分ポリエステル繊維、又はポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレート、又はスパンボンドの形態のポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート二成分繊維。
【0104】
いくつかの実施形態では、その支持層に、複数の繊維又はストランドが含まれる。その支持層の繊維又はストランドは、連続であっても、或いは不連続であってもよい。連続繊維(たとえば、ストランド)は、「連続の」繊維形成プロセス、たとえば、メルトブローンプロセス、メルトスパン、エクストルージョンプロセス、ウーブンヤーン、レイドスクリム、及び/又はスパンボンドプロセスで作製され、そして典型的には、非連続繊維よりは長いが、これについては、以下で詳しく説明する。非連続繊維は、たとえば、一般的には(たとえば、フィラメントから)切断したステープルファイバーであるか、又は特定の長さ、又はある範囲の長さを有するような、非連続の個別繊維として形成される。
【0105】
ある種の実施形態では、その支持層の複数の繊維又はストランドに、合成の繊維又はストランド(たとえば、合成ポリマーの繊維又はストランド)が含まれる。その支持層の合成の繊維又はストランドは、連続繊維であってもよい。適切な合成の繊維/ストランドの非限定的な例としては、以下のものが挙げられる:ポリエステル、ポリアラミド、ポリイミド、ポリオレフィン(たとえば、ポリエチレンたとえば高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、及び/又は線状低密度ポリエチレン)、エチレン-酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリ乳酸、ポリプロピレン、Kevlar、Nomex、ハロゲン化ポリマー(たとえば、ポリエチレンテレフタレート)、アクリリック、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、熱可塑性エラストマー(たとえば、熱可塑性ポリウレタン)、ポリメチルペンテン、及びそれらの組合せ。
【0106】
いくつかの実施形態では、その支持層の平均孔径は、100ミクロン以下、且つ多くの場合少なくとも0.5ミクロンである。
【0107】
いくつかの実施形態では、その支持スクリムの多孔度は、20%以上、且つ典型的には90%以下である。
【0108】
例示的な支持層としては、商品名FINON C303NW及びFINON C3019NWとして入手可能なもの(Midwest Filtration(Cincinnati,Ohio)製)、又は商品名CEREX 23200として入手可能なもの(Cerex Advanced Fabrics,Inc.(Cantoment,FL))が挙げられる。CEREX 23200にはナイロン6,6が含まれ、厚みが8.4ミル(0.21mm)、基本重量が67.8g/m2、ソリディティが28%、そしてソリディティあたりの透過性が615.1である。その他の例示的なスクリム物質が、たとえば、米国特許出願公開第2009/0120868号明細書に記載されている。
【0109】
複合材料の使用方法
また別の態様では、本開示には、本明細書に記載された複合材料の使用方法が記載されている。
【0110】
いくつかの実施形態では、その複合材料の使用方法としては、液体ストリームの濾過が含まれる。たとえば、そのような方法には、その複合材料を通して汚染物を含む液体ストリームを通過させること、及びその液体ストリームから汚染物を除去することを含むことができる。
【0111】
その液体ストリームとしては、たとえば、以下のものが挙げられる:燃料、作動油、プロセス水、空気、ディーゼルエンジン流体(DEF)、ディーゼルエンジン潤滑油、ブローバイガスなど、及びそれらの組合せ。
【0112】
いくつかの実施形態では、その複合材料の使用方法には、液体ストリームを、第一の不織布濾過媒体、次いで第二の不織布濾過媒体、次いで第三の不織布濾過媒体を通過させることが含まれる。
【0113】
複合材料の作製方法
さらなる態様では、本開示には、複合材料の作製方法が記載されている。
【0114】
いくつかの実施形態では、第一の不織布濾過媒体と第二の不織布濾過媒体とを、独立して作製してもよい。いくつかの実施形態では、第一の不織布濾過媒体と第三の不織布濾過媒体とを、独立して作製してもよい。いくつかの実施形態では、第二の不織布濾過媒体と第三の不織布濾過媒体とを、独立して作製してもよい。いくつかの実施形態では、第一の不織布濾過媒体と、第二の不織布濾過媒体と、第三の不織布濾過媒体とを、独立して作製してもよい。それらの不織布濾過媒体を独立して作製する場合には、それらを同一の方法で形成させる場合であっても、それらを同じプロセスで作製することはない。たとえば、それら3種の濾過媒体のそれぞれを、ウェットレイドプロセスを使用して作製する場合であっても、それらを独立して作製するのなら、それらを別々のウェットレイドプロセスで形成させ、次いで相互に接触した状態とするのであって、単一のウェットレイドプロセスで形成させるのではない。
【0115】
いくつかの実施形態では、その第一の不織布濾過媒体、第二の不織布濾過媒体、及び第三の不織布濾過媒体の内の少なくとも一つが、ウェットレイドプロセスを使用して形成される。いくつかの実施形態では、その第一の不織布濾過媒体、第二の不織布濾過媒体、及び第三の不織布濾過媒体が、ウェットレイドプロセスを使用して形成される。
【0116】
いくつかの実施形態では、その複合材料の作製方法には、第一の不織布濾過媒体を第二の不織布濾過媒体と接触状態に置くこと、又は第二の不織布濾過媒体を第三の不織布濾過媒体と接触状態に置くこと、又はその両方が含まれる。
【0117】
その複合材料が支持層を含む場合には、その方法にさらに、第三の不織布濾過媒体を支持層と接触状態に置くことがさらに含まれてもよい。いくつかの実施形態では、その方法に、支持層の上に第三の不織布濾過媒体を形成させることが含まれていてもよい。
【0118】
いくつかの実施形態では、その複合材料の作製方法には、第一の不織布濾過媒体を第二の不織布濾過媒体と結合状態に置くこと、又は第二の不織布濾過媒体を第三の不織布濾過媒体と結合状態に置くこと、又はその両方が含まれる。たとえば積層などを含め、いずれかの適切な結合手段を使用するのがよい。
【0119】
例示的な複合材料の態様
[態様A1]
複合材料であって、40重量%~90重量%の、5ミクロン~50ミクロンの範囲内の繊維直径及び0.1cm~15cmの繊維長さを有する第一の二成分繊維;0重量%~25重量%の、1ミクロン~5ミクロンの範囲内の繊維直径を有する第一の大濾過効率繊維;並びに10重量%~60重量%の、大部分が、最大で4ミクロンまでの横方向寸法を有する第一のミクロフィブリル化繊維を含む第一の不織布濾過媒体;任意選択的に、40重量%~90重量%の、5~50ミクロンの範囲内の繊維直径及び0.1cm~15cmの繊維長さを有する第二の二成分繊維;0重量%~25重量%の第二の大濾過効率繊維;及び10重量%~60重量%の、大部分が、最大で4ミクロンまでの横方向寸法を有する第二のミクロフィブリル化繊維を含む第二の不織布濾過媒体;並びに少なくとも0.1ミクロン且つ1ミクロン未満の繊維直径を有する小濾過効率繊維を含む第三の不織布濾過媒体を含み、ここで、前記複合材料が、ガラス繊維を実質的に含まない、複合材料。
[態様A2]
前記第一の二成分繊維が、構造ポリマー部分及び熱可塑性のバインダーポリマー部分を含み、前記構造ポリマー部分が、前記バインダーポリマー部分の融点よりも高い融点を有する、態様A1に記載の複合材料。
[態様A3]
前記第二の二成分繊維が、構造ポリマー部分及び熱可塑性のバインダーポリマー部分を含み、前記構造ポリマー部分が、前記バインダーポリマー部分の融点よりも高い融点を有する、態様A1又はA2に記載の複合材料。
[態様A4]
前記二成分繊維の構造ポリマー部分が、少なくとも240℃の融点を有し、そして前記二成分繊維のバインダーポリマー部分が、最大で115℃までの融点を有する、態様A2又はA3に記載の複合材料。
[態様A5]
前記二成分繊維の構造ポリマー部分が、少なくとも240℃の融点を有し、そして前記二成分繊維のバインダーポリマー部分が、100℃~190℃の範囲内の融点を有する、態様A2又はA3に記載の複合材料。
[態様A6]
前記二成分繊維の前記バインダーポリマー部分が、140℃~160℃の範囲内の融点を有する、態様A5に記載の複合材料。
[態様A7]
前記第一の二成分繊維又は前記第二の二成分繊維が、少なくとも2種の異なった二成分繊維を含む、態様A1~A6のいずれかに記載の複合材料。
[態様A8]
前記第一の不織布濾過媒体が、40重量%~60重量%の前記第一の二成分繊維を含む、態様A1~A7のいずれかに記載の複合材料。
[態様A9]
前記第二の不織布濾過媒体が、40重量%~60重量%の前記第二の二成分繊維を含む、態様A1~A8のいずれかに記載の複合材料。
[態様A10]
前記第一の大濾過効率繊維が、2.7ミクロンの繊維直径を有する、態様A1~A9のいずれかに記載の複合材料。
[態様A11]
前記第一の大濾過効率繊維が、PETを含む、態様A1~A10のいずれかに記載の複合材料。
[態様A12]
前記第二の大濾過効率繊維が、2.7ミクロンの繊維直径を有する、態様A1~A11のいずれかに記載の複合材料。
[態様A13]
前記第二の大濾過効率繊維が、PETを含む、態様A1~A12のいずれかに記載の複合材料。
[態様A14]
前記第一の不織布濾過媒体が、少なくとも10重量%の前記第一の大濾過効率繊維を含む、態様A1~A13のいずれかに記載の複合材料。
[態様A15]
前記第二の不織布濾過媒体が、少なくとも10重量%の前記第二の大濾過効率繊維を含む、態様A1~A14のいずれかに記載の複合材料。
[態様A16]
前記第一の不織布濾過媒体の前記ミクロフィブリル化繊維の大部分が、最大で2ミクロンまでの横方向寸法を有する、態様A1~A15のいずれかに記載の複合材料。
[態様A17]
前記第二の不織布濾過媒体の前記ミクロフィブリル化繊維の大部分が、最大で2ミクロンまでの横方向寸法を有する、態様A1~A16のいずれかに記載の複合材料。
[態様A18]
前記第一の不織布濾過媒体の前記ミクロフィブリル化繊維の大部分が、0.5ミクロン~1.5ミクロンの範囲内の横方向寸法を有する、態様A1~A17のいずれかに記載の複合材料。
[態様A19]
前記第二の不織布濾過媒体の前記ミクロフィブリル化繊維の大部分が、0.5ミクロン~1.5ミクロンの範囲内の横方向寸法を有する、態様A1~A18のいずれかに記載の複合材料。
[態様A20]
前記第一の不織布濾過媒体が、10重量%~40重量%のミクロフィブリル化繊維を含む、態様A1~A19のいずれかに記載の複合材料。
[態様A21]
前記第二の不織布濾過媒体が、10重量%~40重量%のミクロフィブリル化繊維を含む、態様A1~A20のいずれかに記載の複合材料。
[態様A22]
前記第一の不織布濾過媒体が、5%~15%の範囲内のソリディティを有する、態様A1~A21のいずれかに記載の複合材料。
[態様A23]
前記第一の不織布濾過媒体が、24g/m2~100g/m2の範囲内の基本重量を有する、態様A1~A22のいずれかに記載の複合材料。
[態様A24]
前記第一の不織布濾過媒体が、0.5ミクロン~20ミクロンの孔径を有する、態様A1~A23のいずれかに記載の複合材料。
[態様A25]
前記第一の不織布濾過媒体が、0.12mm~1mmの範囲内の厚みを有する、態様A1~A24のいずれかに記載の複合材料。
[態様A26]
前記第一の不織布濾過媒体が、0.5インチの水で1ft3/ft2/分から、0.5インチの水で100ft3/ft2/分までの範囲内の透過性を有する、態様A1~A25のいずれかに記載の複合材料。
[態様A27]
前記第二の不織布濾過媒体が、5%~15%の範囲内のソリディティを有する、態様A1~A26のいずれかに記載の複合材料。
[態様A28]
前記第二の不織布濾過媒体が、24g/m2~100g/m2の範囲内の基本重量を有する、態様A1~A27のいずれかに記載の複合材料。
[態様A29]
前記第二の不織布濾過媒体が、0.5ミクロン~20ミクロンの孔径を有する、態様A1~A28のいずれかに記載の複合材料。
[態様A30]
前記第二の不織布濾過媒体が、0.12mm~1mmの範囲内の厚みを有する、態様A1~A29のいずれかに記載の複合材料。
[態様A31]
前記第二の不織布濾過媒体が、0.5インチの水で1ft3/ft2/分から、0.5インチの水で100ft3/ft2/分までの範囲内の透過性を有する、態様A1~A30のいずれかに記載の複合材料。
[態様A32]
前記小濾過効率繊維が、少なくとも0.4ミクロン、且つ1ミクロン未満の繊維直径を有する、態様A1~A31のいずれかに記載の複合材料。
[態様A33]
前記小濾過効率繊維が、0.6ミクロン~0.8ミクロンの範囲内の繊維直径を有する、態様A1~A32のいずれかに記載の複合材料。
[態様A34]
前記小濾過効率繊維が、0.7ミクロンの繊維直径を有する繊維を含む、態様A1~A33のいずれかに記載の複合材料。
[態様A35]
前記小濾過効率繊維PETが、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む、態様A1~A34のいずれかに記載の複合材料。
[態様A36]
前記複合材料が、樹脂を実質的に含まない、態様A1~A35のいずれかに記載の複合材料。
[態様A37]
前記複合材料が、ガラス繊維を含まない。態様A1~A36のいずれかに記載の複合材料。
[態様A38]
前記第一の不織布濾過媒体、前記第二の不織布濾過媒体、及び前記第三の不織布濾過媒体が、別々の層である、態様A1~A37のいずれかに記載の複合材料。
[態様A39]
前記不織布濾過媒体が、液体が、前記第一の不織布濾過媒体、次いで前記第二の不織布濾過媒体、そして次いで前記第三の不織布濾過媒体を通過するように構成されている、態様A1~A38のいずれかに記載の複合材料。
[態様A40]
前記不織布濾過媒体が、支持層をさらに含む、態様A1~A39のいずれかに記載の複合材料。
[態様A41]
前記支持層が、多孔性のポリマー材料を含む、態様A40に記載の複合材料。
[態様A42]
前記不織布濾過媒体が、液体が、前記第一の不織布濾過媒体、次いで前記第二の不織布濾過媒体、次いで前記第三の不織布濾過媒体、そして次いで前記支持層を通過するように構成されている、態様A40又はA41に記載の複合材料。
[態様A43]
前記第三の不織布濾過媒体が、前記支持層と接触状態にある、態様A40~A42のいずれかに記載の複合材料。
[態様A44]
前記第一の不織布濾過媒体が、前記第二の不織布濾過媒体と接触状態にあり、そして前記第二の不織布濾過媒体が、前記第三の不織布濾過媒体と接触状態にある、態様A1~A43のいずれかに記載の複合材料。
[態様A45]
前記第一の大濾過効率繊維が、PETを含み、そして前記PETが、少なくとも250℃、少なくとも275℃、又は少なくとも290℃の融点を有する、態様A1~A44のいずれかに記載の複合材料。
[態様A46]
前記第二の大濾過効率繊維が、PETを含み、そして前記PETが、少なくとも250℃、少なくとも275℃、又は少なくとも290℃の融点を有する、態様A1~A45のいずれかに記載の複合材料。
[態様A47]
前記第一の不織布濾過媒体の前記ミクロフィブリル化繊維が、ミクロフィブリル化セルロース繊維を含む、態様A1~A46のいずれかに記載の複合材料。
[態様A48]
前記第二の不織布濾過媒体の前記ミクロフィブリル化繊維が、ミクロフィブリル化セルロース繊維を含む、態様A1~A47のいずれかに記載の複合材料。
【0120】
複合材料の態様の例示的な使用方法
[態様B1]
液体ストリームを濾過する方法であって、前記方法が、汚染物を含む液体ストリームを、「例示的な複合材料の態様」(態様A1~A48)のいずれか1項に記載の前記複合材料を通して、通過させる工程、及び前記汚染物を前記液体ストリームから除去する工程、を含む方法。
[態様B2]
前記液体ストリームが、燃料、作動油、プロセス水、空気、ディーゼルエンジン流体(DEF)、ディーゼルエンジン潤滑油、若しくはブローバイガス、又はそれらの組合せを含む、態様B1に記載の方法。
[態様B3]
液体ストリームを、前記第一の不織布濾過媒体、次いで前記第二の不織布濾過媒体、次いで前記第三の不織布濾過媒体を通して通過させる、態様B1又はB2に記載の方法。
【0121】
複合材料の態様の例示的な作製方法
[態様C1]
「例示的な複合材料の態様」(態様A1~A48)のいずれか1項に記載の前記複合材料を作製する方法であって、前記方法が、前記第一の不織布濾過媒体、前記第二の不織布濾過媒体、及び前記第三の不織布濾過媒体を、独立して作製することを含む、方法。
[態様C2]
前記第一の不織布濾過媒体、前記第二の不織布濾過媒体、及び前記第三の不織布濾過媒体が、ウェットレイドプロセスを使用して形成される、態様C1に記載の方法。
[態様C3]
前記方法が、前記第一の不織布濾過媒体を前記第二の不織布濾過媒体と接触状態にすること、及び前記第二の不織布濾過媒体を前記第三の不織布濾過媒体と接触状態にすることをさらに含む、態様C1又はC2に記載の方法。
[態様C4]
前記方法が、前記第一の不織布濾過媒体を前記第二の不織布濾過媒体と結合させること、又は前記第二の不織布濾過媒体を前記第三の不織布濾過媒体と結合させること、それら両方をさらに含む、態様C3に記載の方法。
[態様C5]
結合が、積層を含む、態様C4に記載の方法。
[態様C6]
前記方法が、前記第三の不織布濾過媒体を支持層と接触状態とすることをさらに含む、態様C1~C5のいずれかに記載の方法。
【0122】
以下の実施例により、本発明を説明する。特定の例、物質、量、及び手順は、本明細書で言及される本発明の範囲及び精神に従って、幅広く解釈するべきであるということを理解されたい。
【実施例】
【0123】
以下の実施例で使用されるすべての反応剤、出発物質、及び溶媒は、商業的供給業者(たとえば、Sigma Aldrich(St.Louis,MO))から購入し、特に断らない限り、さらなる精製を加えることなく使用した。
【0124】
媒体の特性評価
液体濾過性能試験
円状のフラットシートを使用し、差圧及び4μm Beta(β4μm)を計算した。ISO 16889:2008(Hydraulic fluid power - Filters - Multi-pass method for evaluating filtration performance of a filter element)の記載に従って、媒体を試験したが、但し、水圧液体(hydraulic fluid)には、ISO Medium Test Dustに代えてISO Fine Test Dustを使用して、負荷をかけた。その媒体の面積は0.0507m2であり、その試験流速は2L/分であり、そしてその試験を、末端要素での差圧が200kPaになるまで実施した。
【0125】
ソリディティ
不織布層(たとえば、非細繊維層、又は細繊維層と非細繊維層とを含む複合層を含む)のソリディティ(c)は、次式を使用して計算する:
c=BW/ρZ
ここで、BWは基本重量であり、ρは繊維の密度であり、そしてZは媒体の厚みである。
【0126】
厚みは、TAPPI T411 om-15、名称「Thickness(caliper)of paper,paperboard,and combined board;」に従って測定したが、1.5psiの押え圧力(foot prssure)を使用した。基本重量は、TAPPI T410を使用して測定した。
【0127】
実施例1
この実施例では、細繊維層を含む複合材料を使用することにより得られる、濾過効率及び寿命の向上について記述する。
【0128】
スクリム(1oz/yd
2ポリエステル、商品名Reemyとして販売されているもの)及びそのスクリムの上に重ね合わせたSynteq(登録商標)10XP(Donaldson Company Inc.(Minneapolis,MN))(
図2A、左パネル)を含むか、又は、その上に層を形成させた1μmの直径の細繊維電解紡糸を有する同一のスクリム及びその細繊維層の上に重ね合わせたSynteq(登録商標)10XP(
図2A、右パネル)を使用して、フラットシートを調製した。
【0129】
図1Aに見られるように、細繊維層を加えることによって、細繊維層を用いないフラットシートに比較して、フラットシートの担持濾過容量(すなわち、寿命)が増大した。
図1Bに見られるように、細繊維層を加えることによって、細繊維層を用いないフラットシートに比較して、フラットシートの濾過効率が増大した。
【0130】
これらの結果は、予想もされなかったことであるが、その理由は、以前に、媒体の層の間に中間層を設けることは望ましくなく、それに代えて勾配構造を追求するべきであるという報告があったからである(参照、たとえば、米国特許出願公開第2014/0360145号明細書)。
【0131】
理論に束縛されることなく言えば、媒体の層の間に中間層を設けることによって、より高い濾過効率が可能となると考えられるが、その理由はそれぞれの層の不均質性が、その媒体の厚み方向全体に行き渡る訳ではないからである。
【0132】
実施例2
実施例1で報告されたのと同じ担持濾過容量及び濾過効率の向上が、スクリム、700nmの直径のPET繊維の層、及び実施例1の記載に従って調製したハンドシート(40%~60%の14μmの直径の二成分繊維、0~25%の2.5μmの直径のPET繊維、及び10~40%の1μmの直径のフィブリル化レーヨン繊維を含む)を含むフラットシートでも期待される(
図2B)。
【0133】
理論に束縛されることなく言えば、700nmの直径のPET繊維の層が、濾過効率層として機能し、そのハンドシートが、担持層として機能していると考えられる。そうではなく、ハンドシート単独で使用したら、観察されるであろう濾過効率の変動が、700nmの直径のPET繊維(濾過効率層として機能する)を組み合わせることによって、排除されると期待される。
【0134】
理論に束縛されることなく言えば、媒体の層の間に中間層を設けることによって、より高い濾過効率が可能となると考えられるが、その理由はそれぞれの層の不均質性が、その媒体の厚み方向全体に行き渡る訳ではないからである。
【0135】
本明細書で引用されたすべての特許、特許出願及び刊行物並びに電子的に入手可能な資料の完全な開示は、参照により組み込まれる。本出願の開示と、参照により本明細書に組み込まれる文献の開示との間にいかなる矛盾が存在する場合にも、本出願の開示が優先するものとする。前述の詳細な説明及び実施例は、理解を明確にするためにのみ提供した。これらから不必要な限定が何らなされることはない。本発明は、図示及び説明された正確な詳細に限定されるものではなく、当業者に明らかな変形形態は、特許請求の範囲によって規定される本発明に含まれることになる。
【国際調査報告】