(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-16
(54)【発明の名称】移動コイル及び移動磁石を有する直線振動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
B06B 1/04 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
B06B1/04 S
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535157
(86)(22)【出願日】2019-12-11
(85)【翻訳文提出日】2022-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2019084641
(87)【国際公開番号】W WO2021115585
(87)【国際公開日】2021-06-17
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518008769
【氏名又は名称】ロフェルト・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002974
【氏名又は名称】弁理士法人World IP
(72)【発明者】
【氏名】ベレーザッグ,アミール
(72)【発明者】
【氏名】ガーデリ,プーヤ
(72)【発明者】
【氏名】ダレッド,ハンナ
(72)【発明者】
【氏名】マズール,ジェームス
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107AA08
5D107BB08
5D107CC09
5D107CC10
5D107CC12
5D107DD03
5D107DD12
5D107FF07
5D107FF10
(57)【要約】
2つの異なる振動を生成するための振動アクチュエータであって、少なくとも3つの磁石(320)を含み、磁石(320)が同様の極性を互いに対向させた状態で配置される、第1の移動部分(210)と、少なくとも2つのコイル(410)を含み、コイル(410)が磁石(320)上にわたって巻回される、第2の移動部分(220)と、シャーシ(160)及び第1の移動部分(210)に取り付けられた一対の第1の弾性部材(230;800;1000;1110)と、第2の移動部分(220)に取り付けられて更にシャーシ(160)に取り付けられる又は一対の第1の弾性部材(800;1000)の一部を形成する保持手段(240;830;1030;1120)とを備える振動アクチュエータが開示される。第2の移動部分(220)は管状構造体を形成し、第1の移動部分(210)は管状構造体内を摺動して自由な移動を可能にする。一対の第1の弾性部材(230;800;1000;1110)及び保持手段(240;830;1030;1120)がシャーシ(160)に取り付けられる。コイル(410)に電流が通されると、コイルに電磁界が誘起され、第1の移動部分(210)と第2の移動部分(220)とに直線的な振動運動が生じ、2つの異なる振動が同時に引き起こされる。また、そのような振動アクチュエータの製造方法が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの異なる振動周波数を有する振動アクチュエータであって、
少なくとも3つの磁石(320)を含み、前記磁石(320)が同様の極性を互いに対向させた状態で配置される、第1の移動部分(210)と、
少なくとも2つのコイル(410)を含み、前記コイル(410)が前記磁石(320)上にわたって巻回される、第2の移動部分(220)と、
シャーシ(160)及び前記第1の移動部分(210)に取り付けられた一対の第1の弾性部材(230;800;1000;1110)と、
前記第2の移動部分(220)に取り付けられて更に前記シャーシ(160)に取り付けられる又は前記一対の第1の弾性部材(230;800;1000)の一部を形成する保持手段(240;830;1030;1120)と、
を備える振動アクチュエータ。
【請求項2】
前記一対の第1の弾性部材(230)は、一端が前記シャーシ(160)に取り付けられ、他端が前記第1の移動部分(210)に取り付けられ、
前記保持手段(240)は、一端が前記シャーシ(160)に取り付けられて他端が前記第2の移動部分(220)に取り付けられる一対の第2の弾性部材である、
請求項1に記載の振動アクチュエータ。
【請求項3】
前記一対の第1の弾性部材(230;800;1000;1110)が第1の振動周波数を生成し、前記保持手段(240;830;1030;1120)が第2の振動周波数を生成し、前記第1の振動周波数が前記第2の振動周波数とは異なり、前記第1の移動部分(210)及び前記第2の移動部分(220)が前記長手方向軸に沿って両方向で振動する、請求項1に記載の振動アクチュエータ。
【請求項4】
前記シャーシ(160)は、前記長手方向軸に沿った対角線上の両端に突出要素(162,164)を有し、前記突出要素は、溶接又はネジによる取り付けのいずれかによって前記一対の第1の弾性部材(230;800;1000;1110)及び前記保持手段(240;830;1030;1120)を取り付ける手段を有する、請求項1に記載の振動アクチュエータ。
【請求項5】
前記保持手段(240;830;1030;1120)は、少なくとも1つの弾性部材(240A,240B)上に導電経路を重ね合わせることによって前記コイル(410)に電流を伝えるための装備を有し、前記重ね合わされた経路がフレキシブルプリント回路又は配線から形成される、請求項1に記載の振動アクチュエータ。
【請求項6】
前記保持手段(240;830;1030;1120)は、導電経路として作用することによって前記コイル(410)に電流を伝えるための装備を有する、請求項1に記載の振動アクチュエータ。
【請求項7】
前記第1の移動部分(210)がフレーム(310)と前記磁石(320)とを備え、前記磁石(322,324,326)が等しい横幅を有し、少なくとも2つの磁石(322,326)が等しい縦方向の長さを有する、請求項1に記載の振動アクチュエータ。
【請求項8】
前記磁石(322,324,326)は、前記磁石(320)の交差部に埋め込まれた非磁性材料から形成されるスペーサを有する、請求項7に記載の振動アクチュエータ。
【請求項9】
前記フレーム(310)は、正方形又は長方形であるとともに、非強磁性材料から形成される、請求項7に記載の振動アクチュエータ。
【請求項10】
前記第1の移動部分(210)がフレーム(310)を備え、前記コイル(410)は、前記フレーム(310)上にわたる前記コイル(410)の自由な移動を可能にするべく縦方向の管状構造体を形成するようにフレーム(310)の周囲に横方向で巻き付けられる、請求項1に記載の振動アクチュエータ。
【請求項11】
一対のコイル(412,414)である前記コイル(410)は、前記コイル(412,414)が電流を伝えて両方向で巻回されるように互いに取り付けられる、請求項1に記載の振動アクチュエータ。
【請求項12】
一対のU字形構造体(420)を更に備え、各U字形構造体(420A,420B)は、前記U字形構造体(420A,420B)が互いに対向して整列されるように前記コイル(412,414)に取り付けられる、請求項11に記載の振動アクチュエータ。
【請求項13】
前記U字形構造体(420)及び前記コイル(410)は、前記第2の移動部分(220)及び前記第1の移動部分(210)の自由な移動を可能にするべくフレーム(310)上にわたって摺動する中空管状構造体を形成するように接続され、前記コイル(410)の数が前記磁石(320)の数よりも1つ少ない、請求項12に記載の振動アクチュエータ。
【請求項14】
前記U字形構造体(420)は、前記開放面で閉じられて管状構造体を形成する、請求項12に記載の振動アクチュエータ。
【請求項15】
前記一対の第1の弾性部材(230)は、2つの平坦な突出要素(602,610)を両方向に伴うZ状形状を有するステンレス鋼から形成される、請求項1に記載の振動アクチュエータ。
【請求項16】
前記一対の第1の弾性部材(230;800;1000;1110)が穿孔される、請求項1に記載の振動アクチュエータ。
【請求項17】
前記一対の第1の弾性部材(230)は、丸みを帯びた縁部で90度折り曲げられた、互いに平行な前記2つの平坦な突出要素(602,610)を接続する長いストリップ(606)であり、前記突出要素(602)の一方が他方の突出要素(610)よりも実質的に大きく、前記突出要素(602,610)を接続する平坦なストリップは、前記長いストリップ(606)の中心に沿って対称的な横断窪みを有する、請求項15に記載の振動アクチュエータ。
【請求項18】
前記一対の第2の弾性部材を備える前記保持手段(240)は、前記一対の第1の弾性部材(230)よりもZ軸に沿って広いとともに、両方向に突出する2つの平坦な突出要素(702,710)を有するZ状形状を伴うステンレス鋼から形成される、請求項2に記載の振動アクチュエータ。
【請求項19】
前記保持手段(240)は、前記2つの平坦な突出要素(702,710)を接続する長いストリップ(706)を含むとともに、前記長いストリップ(706)の中心に沿って対称的な横断窪みを有する、請求項18に記載の振動アクチュエータ。
【請求項20】
前記保持手段(240;830;1030;1120)が穿孔される、請求項1に記載の振動アクチュエータ。
【請求項21】
前記一対の第1の弾性部材(800)のそれぞれは、
前記シャーシ(160)に取り付けられるベースプレート(802)と、
前記ベースプレート(802)から突出して前記第1の移動部分(210)に取り付けられる中間ストリップ(806)と、
を備え、
前記保持手段(830)は、前記ベースプレート(802)から突出して前記第2の移動部分(220)に取り付けられる一対の外側ストリップ(804A,804B)を備える、請求項1に記載の振動アクチュエータ。
【請求項22】
前記一対の第1の弾性部材(1000)のそれぞれは、
前記シャーシ(160)に取り付けられるベースプレート(1002)と、
前記ベースプレート(1002)から突出して前記第1の移動部分(210)に取り付けられる第1の弾性部材(1004)と、
を備え、
前記保持手段(1030)は、前記ベースプレート(1002)から突出して前記第2の移動部分(220)に取り付けられる第2の弾性部材(1006)を備える、請求項1に記載の振動アクチュエータ。
【請求項23】
振動アクチュエータを製造するための方法であって、
矩形フレーム(310)内で少なくとも3つの磁石(322,324,326)を組み立てることによって第1の移動部分(210)を組み立てるステップであって、同様の極性を伴う前記磁石(320)が互いに対向する、ステップと、
自己融着銅線の少なくとも2つのコイル(412,414)を前記矩形フレーム(310)の周囲に巻き付けることによって第2の移動部分(220)を組み立てるステップであって、前記コイル(410)の第1の端部が互いに取り付けられるとともに前記コイルの第2の端部が前記U字形構造体(420)に取り付けられるように前記少なくとも2つのコイル(412,414)が前記U字形構造体(420)に取り付けられ、前記U字形構造体(420)が互いに対角線上に対向して配置される、ステップと、
前記第1の移動部分(210)に一対の第1の弾性部材(230;800;1000,1110)を取り付けるステップと、
前記第2の移動部分(220)に保持手段(240;830;1030;1120)を取り付けるステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な用途のための新規な振動アクチュエータ、例えば、複数の共振周波数を有する小型振動触覚アクチュエータに関する。より具体的には、新規な振動アクチュエータは、ビデオ、ゲーム、及び、音楽に関する没入体験、並びに、他の没入体験のための高精細度触覚出力をもたらす。
【背景技術】
【0002】
我々が伝統的に聴く音楽の大部分は、例えば複数の楽器又は音声の混合音楽信号など、幾つかの信号の付加によってもたらされる複雑な信号と見なされ得る。同じことは、混合音楽信号が存在し得るだけでなく、音響効果及び付加的な音声などの他の複雑な信号も存在し得る、ゲーム又はビデオコンテンツに関連付けられたオーディオ信号にも当てはまる。音、特にゲーム信号又はビデオ信号と関連する複雑な音楽又はオーディオを電子的に記録及び再生できることにより、更なる態様、すなわち、音が再生されるときに聴取者によって知覚される音波への電気信号の変換が重要になる。再生中の歪みの問題を低減するために、特許文献1は、2つの導電性部材と、エレクトレット及び導電性材料を含むとともに2つの導電性部材間に支持されるダイヤフラムと、前記ダイヤフラム及び2つの導電性部材に電気的に接続するための機構とを備える電気音響変換器を開示する。
【0003】
一方、音と振動との結合知覚は周知の現象である。音は、気体(空気伝播音)又は固体(構造体伝播音)などの圧縮性媒体を伝播する機械的波であり、この場合、音響エネルギーは、振動分子を介して伝達され、聴取者の蝸牛内で振動する有毛細胞によって受けられる。一方、振動は、接触面を介して知覚者の身体の小部分又は大部分を励起する機械的刺激である。音と振動との結合知覚は、人間の脳が耳を介してだけでなく骨格も介して音を受信するという事実に基づいている-コンサートホール又は教会での測定値は全身振動の存在を確認する。低周波数の身体知覚は、ライブ音楽、愉快であることが望まれる任意の音楽感覚又はビデオゲームと関連するオーディオ、或いは、映画の没入体験にとって特に重要である。
【0004】
したがって、高精細度触覚フィードバックを使用して、ビデオ、ゲーム、及び、音楽に関する没入体験、並びに、振動が連続的な可聴(又は視覚)信号に結合される他の没入体験を作り出すことができる。デバイスが連続的な高精細度触覚フィードバックを達成するための主な要件は以下の通りである。
【0005】
1.特に音楽に関して、広い周波数範囲、理想的には、この範囲にわたって良好な品質の振動を発生させることができるように20~1000Hzの周波数範囲;
【0006】
2.効果的な加速のための重い移動質量;
【0007】
3.デバイスを携帯可能又は着用可能にするための小さい、特に平坦なサイズ;
【0008】
4.連続使用を可能にする高い電力効率;
【0009】
5.音響体験の妨害を回避するための無音振動;
【0010】
6.継続的な使用を可能にする安定した性能;
【0011】
7.手頃な価格のデバイスを提供するための費用効率の高い製造。
【0012】
振動触覚ボイスコイル又は移動磁石型アクチュエータは、通常、産業用途で使用されるとともに、2つの部分から成るボイスコイル又は移動磁石型アクチュエータを使用し、2つの部分のうちの一方が移動し、他方が固定されており、この場合、2つの部分は弾性アタッチメントによって相互接続される。振動は、可動永久磁石とそれを取り囲む固定コイルとの相互作用によって発生され、この場合、ラプラス力に起因して、コイルを通過する交流電流は、磁石の磁場と相互作用して、磁石上で方向が変化する機械的な力を発生する-これは、方向が変化する磁石の直線移動をもたらし、それにより、振動を引き起こす。しかしながら、標準的なリニア共振アクチュエータは、非常に狭い周波数範囲しか有していないため、音響体験の向上を含む多くの用途には適さない。
【0013】
特許文献2は、制御機器、電子機器、機械工具などにおける産業用途のためのそのような移動磁石型アクチュエータを開示する。アクチュエータの性能を向上させるために、固定部分は少なくとも3つのコイルを備え、移動部分は少なくとも2つの永久磁石を備え、2つの永久磁石は、磁石間の平面内に非常に集中した磁場が生み出されるため、磁束がより効果的に使用されるように同じ磁極が互いに対向した状態で配置される。磁石とコイルとを相互接続する弾性アタッチメントは、圧縮バネに存する。しかしながら、磁力線は、それらが周囲のコイルを通過した時点で失われて、元の磁石へと案内されず、その結果、潜在的な磁場の浪費がもたらされる。更に、全ての産業用バイブレータと同様に、このアクチュエータは雑音が多く、そのため、音響体験の向上を含む多くの用途、特に音楽には適さない。
【0014】
特許文献3は、同じ磁極が互いに対向するように配置された永久磁石を備える移動部分も有する産業用途向けの同様の移動磁石型アクチュエータを開示する-しかしながら、弾性アタッチメントが圧縮バネではなく弾性ダイヤフラムに存しており、その結果、磁力線の損失に起因して潜在的な磁場の損失がもたらされ、また、アクチュエータは雑音が多く、そのため、音響体験の向上を含む多くの用途、特に音楽にも適さない。
【0015】
特許文献4は、振動周波数をもたらすための振動発生デバイスを開示する。振動発生デバイスは、第1の振動子と第2の振動子とを備える。第1の振動子は、第1の振動をもたらすべく第1の弾性支持部材に配置される磁石とコイルとの対によって形成される。第2の振動子は、磁石によって形成される磁場内及びコイルによって発生される磁場内で自由に振動することができる。第2の振動子は、第2の振動子の振動を支持するための他の弾性部材を有する。しかしながら、第1の振動子のアセンブリは第2の振動子内に収容され、第1の弾性部材は、他の弾性部材のアセンブリ内で動作し、それにより、第1の振動子の振動を制限する。
【0016】
特許文献5は、ハウジング、ステータ、振動子、及び、弾性支持部材を伴う振動モータを開示する。振動子はマスブロック及び磁石を含む。ステータは、第1の固定基板を伴う第1のコイルと、第2の固定基板を伴う第2のコイルとを含む。第1及び第2のコイルは、マスブロックの両側に位置される。リニア振動モータは、振動フィードバックを実施しながら、磁場の損失を低減し、それにより、磁場をより効率的にする。しかしながら、リニア振動モータは、1つの共振周波数でのみ動作する。
【0017】
特許文献6は、必要な空間が少なく良好な応答性をもたらす他のタイプの振動モータを開示する。リニア振動モータは、一対の長い磁石の縦方向端部側に固定される錘付き可動子を含む。コイルは、一対の磁石の縦方向に長い形状を有するベースに固定される。コイルに電流を流すと、コイルが駆動して可動子を横方向に往復動させて振動を発生させる。しかしながら、振動モータは1つの共振周波数でのみ動作する。
【0018】
広帯域の周波数応答を向上させるための高精細な触覚出力の生成において効率的である振動アクチュエータが依然として必要とされている。更に、この振動アクチュエータは、前述した要件を満たすことによって、ビデオ、ゲーム、及び、音楽と関連するオーディオ用の没入型触覚体験を作り出すために従来技術の欠点を克服することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第3,118,022号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0 580 117号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2014/0346901号明細書
【特許文献4】米国特許第20110266892号明細書
【特許文献5】米国特許第20180278137号明細書
【特許文献6】国際公開第2018079251号パンフレット
【発明の概要】
【0020】
2つの異なる振動周波数を有する振動アクチュエータが開示される。振動アクチュエータは、フレーム(310)と1つ以上の磁石(320)とを備える第1の移動部分(210)を含む。本発明の好ましい実施では、同様の極性が互いに対向している状態で配置される3つの磁石(320)があり、すなわち、第1の磁石のN極が第2の磁石のN極と対向し、第2の磁石のS極が第3の磁石のS極と対向する。振動アクチュエータは、1つ以上のコイル(410)を有する第2の移動部分(220)を含む。好ましい実施態様では、2つのコイル(412,414)がある。代わりの実施において、小型振動アクチュエータは、1つの磁石(320)及び1つのコイル(410)のみを備える。コイル(410)は、エナメル銅線をボビン上にわたって巻回することによって形成される。コイル(410)は磁石(320)上にわたって巻回される。本明細書では、一対の第1の弾性部材(230)と総称される第1の弾性部材(230A)及び第1の弾性部材(230B)が、一端をシャーシ(160)に取り付けられ、他端を第1の移動部分(210)に取り付けられる。第2の弾性部材(240A)及び第2の弾性部材(240B)を備える一対の第2の弾性部材の形態を成す保持手段(240)が、一端をシャーシ(160)に取り付けられ、他端を第2の移動部分(220)に取り付けられる。保持手段(240)は、第2の移動部分(220)のための規制弾性部材として作用する。或いは、この実施の他の変形例では、保持手段(240)が一対の第1の弾性部材(230)の一部を形成する。第1の移動部分(210)は第1の振動周波数を生成し、第2の移動部分(220)は第2の振動周波数を生成する。第1の振動周波数は第2の振動周波数と異なる。第1の移動部分(210)及び第2の移動部分(220)は縦軸(X軸)に沿って両方向で振動する。
【0021】
振動アクチュエータのシャーシ(160)は、縦軸(X軸)に沿う対角線上の両端に、本明細書では突出要素(162,164)と称される突出要素(162)及び突出要素(164)を有する。突出要素(162,164)は、一対の第1の弾性部材(230)及び保持手段(240)を溶接する又はネジにより取り付けることによって一対の第1の弾性部材(230)及び保持手段(240)を取り付けるために利用される。
【0022】
シャーシ(160)は、コイル(410)に電流を伝えるための装備を有する突出要素(162,164)を有する。電流は一対の保持手段(240)によって伝えられる。他の変形例において、電流は、フレキシブルプリント回路である一対の保持手段(240)上の重ね合わされた導電経路によって伝えられる。
【0023】
第1の移動部分(210)は、フレーム(310)と、横方向(Y軸)の幅(W)が等しい少なくとも3つの磁石(320)とを備える。更に、2つの側部磁石(322,326)は、縦方向(X軸)に沿う長さが等しいが、中央磁石(324)は、縦方向(X軸)に沿う長さがより大きい。他の変形例では、3つの磁石(322,324,326)が異なる長さを有することができる。また、各磁石(320)の幅(W)は異なることができる。本発明の一変形例では、複数の磁石が利用される場合、磁石(320)は、磁石(320)間にスペーサを有することができる。スペーサは非磁性材料とすることができる。フレーム(310)は、正方形又は長方形のいずれかであり、ステンレス鋼、真鍮、ニッケル、アルミニウム、銅、プラスチック、固化したポリマー又は何らかの他の非強磁性材料から形成される。
【0024】
第2の移動部分(220)は2つのコイル(412,414)を含む。コイル(412,414)は、第1の移動部分(210)上にわたるコイル(412,414)の自由な移動を可能にするために縦方向の管状構造体を形成するようにフレーム(310)の周囲に横方向で巻き付けられる。一対の第1の弾性部材(230)及び保持手段(240)は、バネのように作用して、第1の移動部分(210)及び第2の移動部分(220)の移動を規制する。第1の振動周波数は、一対の第1の弾性部材(230)の質量及び弾性定数に依存する。質量は、磁石の質量及びフレーム(310)の質量を含む。同様に、第2の振動周波数は、保持手段(240)の質量及び弾性定数に依存する。質量は、U字形構造体(420A)及びU字形構造体(420B)を備える一対のU字形構造体(420)の質量と、コイル(410)の質量とを含む。
【0025】
コイル(410)は、一方のコイル(412)から他方のコイル(414)に電流が通って2つのコイル(412,414)が両方向で巻回されるように互いに取り付けられる。1つの変形例において、2つのコイル(410)は、別個ではなく、コイルの最初の半分が時計回り方向に巻回され且つコイルの他の半分が反時計回り方向に巻回されるように単一のコイルとして形成される。更に、一対のU字形構造体(420)もコイル(412,414)に取り付けられる。一対のU字形構造体(420)は、縦軸(X軸)に沿って矩形の管状構造体を形成するべく閉鎖面とは横軸(Y軸)で反対側の開放面が互いに対向するように整列される。別の実施態様では、管状矩形構造体を形成するべく一対のU字形構造体(420)を一対の中空矩形構造体と置き換えることができる。管状矩形構造体は、直角台形管状構造体又は直角台形平行六面体管状構造体として製造されてもよい。第2の移動部分(220)は、U字形構造体(420A)と、取り付けられたコイル(412)とによって形成され、コイル(412)はコイル(414)に取り付けられ、コイル(414)は、U字形構造体(420A)の開放面とU字形構造体(420B)の開放面とが対角線上で互いに対向するようにU字形構造体(420B)に取り付けられる。アセンブリは、第2の移動部分(220)及び第1の移動部分(210)の自由な移動を可能にするためにフレーム(310)上 及び磁石(320)上にわたって自由に摺動する中空管状構造体を形成するように接続される。本実施態様の変形例では、一対のU字形構造体(420)を開放面で閉じることができる。第2の移動部分(220)に構造的強度を与えてコイル(410)を損傷から保護するべく金属又は非金属の平坦なストリップ又は金属の広いストリップを使用することによって開放面を部分的に又は完全に閉じることができる。
【0026】
一変形例では、コイル(410)及び磁石(320)が1つのみである場合、コイル(410)が両側のU字形構造体(420)に取り付けられる。
【0027】
第1の弾性部材230Aは、丸みを帯びた直交する折り曲げ部によって2つの平坦な突出要素(602,610)を接続する長いストリップ(606)を備える。2つの平坦な突出要素(602,610)は、縦方向(X軸)に沿って互いに対して反対側に突出し、互いに平行である。突出要素(602)は、他方の突出要素(610)よりもX-Y平面と直交する軸(Z軸)に沿って実質的に広い。2つの突出要素(602,610)を接続する長いストリップ(606)は、横方向(Y軸)で長いストリップ(606)の中心に沿って対称である窪み(612)を有する。第1の弾性部材(230A)及び第1の弾性部材(230B)互いに同一である。一対の第1の弾性部材(230)は、ステンレス鋼から形成され、Z状の形状を有する。代わりの実施では、一対の第1の弾性部材(230)が穿孔され得る。
【0028】
この実施では第2の弾性部材(240A)及び第2の弾性部材(240B)である保持手段(240)は、X-Y平面と直交する軸(Z軸)に沿って一対の第1の弾性部材(230)よりも広い。一対の第2の弾性部材(240A,240B)のそれぞれは、前述したように保持手段(240)として作用する。例えば、第2の弾性部材(240A)は、丸みを帯びた直交する折り曲げ部によって2つの平坦な突出要素(702,710)を接続する長いストリップ(706)を備える。2つの平坦な突出要素(702,710)は、縦方向(X軸)に沿って互いに対して反対側に突出し、互いに平行である。2つの突出要素(702,710)を接続する長いストリップ(706)は、横方向(Y軸)で長いストリップ(706)の中心に沿って対称である窪み(712)を有する。第2の弾性部材(240A)及び第2の弾性部材(240B)は、形状、サイズ及び構造が同一である。第2の弾性部材(240A)及び第2の弾性部材(240B)は、ステンレス鋼から形成され、Z状の形状を有する。代わりの実施では、第2の弾性部材(240A)及び第2の弾性部材(240B)が穿孔され得る。
【0029】
他の態様において、2つの異なる振動周波数を有する振動アクチュエータは、フレーム(310)及び少なくとも3つの磁石(320)を含む第1の移動部分(210)を備える。3つの磁石(322,324,326)は、フレーム(310)に埋め込まれるとともに、同様の極性が互いに対向した状態で配置される。すなわち、N極及びS極がそれぞれ互いに対向する。第2の移動部分(220)は、1つ以上のコイル(410)と、少なくとも2つのU字形構造体(420)とを含む。1つ以上のコイル(410)は、磁石(320)上にわたって巻回され、U字形構造体(420)に取り付けられる。U字形構造体(420)の開放面を金属ストリップによって閉じることができる。代わりの実施において、U字形構造体(420)は、フレーム(310)上及び磁石(320)上にわたって自由に移動できる直方体構造体である。一対の第1の弾性部材(230)は、一端がシャーシ(160)に取り付けられ、他端が第1の移動部分(210)に取り付けられる。更に、保持手段(240)は、一端がシャーシ(160)に取り付けられ、他端が第2の移動部分(220)に取り付けられ、振動を生成するために少なくとも1つのコイル(410)を励磁するべく導線が保持手段(240)上に重ね合わされる。第1の移動部分(210)及び一対の第1の弾性部材(230)は、第1の振動周波数を生成する。第2の移動部分(220)及び保持手段(240)は、第2の振動周波数を生成する。第1の振動周波数及び第2の振動周波数は異なり、振動は縦軸(X軸)に沿う。保持手段(240)上に重ね合わされる導線は、ワイヤ、エナメル銅線、絶縁導体又はフレキシブルプリント回路である。他の態様において、一対の第2の弾性部材(240)は、コイル(410)に電流を伝えるための導電経路として作用する。
【0030】
本発明の他の態様において、第1の移動部分(230)及び第2の移動部分(240)の質量は、振動アクチュエータの共振周波数を決定する。更に、一対の第1の弾性部材(230)及び保持手段(240)の弾性定数は、振動アクチュエータの共振周波数を決定する。フレーム(310)、U字形構造体(420)、磁石(320)のための材料、一対の第1の弾性部材(230)及び保持手段(240)の弾性を適切に選択することによって、振動アクチュエータの2つの共振周波数を設計又は決定することができる。
【0031】
本発明の更に他の態様において、2つの異なる振動周波数を有する振動アクチュエータは、第1の移動部分(210)と、第2の移動部分(220)と、一対の第1の弾性部材(800)とを備える。第1の移動部分(210)は3つの磁石(320)を含む。3つの磁石(320)は、同様の極性が互いに対向した状態で配置される。第2の移動部分(220)は、磁石(320)家にわたって巻回される1つ以上のコイル(410)を含む。一対の第1の弾性部材(800)は、第1の弾性部材(800A)と第1の弾性部材(800B)とを備える。第1の弾性部材(800A)及び第1の弾性部材(800B)は、ベースプレート(802)、中間ストリップ(806)、及び、保持手段(830)から形成される。保持手段(830)は外側ストリップ(804A及び804B)を備え、外面(812A及び812B)上に横方向窪みを有する外側ストリップ(804A及び804B)は、上側プレート(808A及び808B)へと終端するようにベースプレート(802)から等しい距離を隔てて直角に突出される。上側プレート(808A及び808B)は、ベースプレート(802)と平行で且つ対向している。更に、上側プレート(808A及び808B)は互いに別個で独立している。更に、第1の弾性部材(800A)及び第1の弾性部材(800B)は中間ストリップ(806)を含み、中間ストリップは、外側ストリップ(804A及び804B)間に位置して、ベースプレート(802)から僅かな距離だけ延在し、その後、ベースプレート(802)から直角に突出される。更に、中間ストリップ(806)は上側中間プレート(810)へと終端し、この場合、上側中間プレートは、ベースプレート(802)と平行であり、ベースプレート(802)とは反対方向に突出される。中間ストリップ(806)は、ベースプレート(802)に対して垂直な中心線に沿う横方向窪みを有する。上側中間プレート(810)は、外側ストリップ(804A及び804B)とは別個である。ベースプレート(802)は、上側プレート(808A)へと終端する外側ストリップ(804A)と共に、また、ベースプレート(802)は、上側プレート(808B)へと終端する外側ストリップ(804B)と共に、2つのZ状の形状を形成し、保持手段(830)として作用する。更に、ベースプレート(802)は、上側中間プレート(810)へと終端する中間ストリップ(806)と共に、第3のZ状の形状を形成する。上側プレート(808A及び808B)及び中間プレート(810)は、上側プレート(808A及び808B)の下方で中間プレート(810)の自由振動を可能にするために、僅かな距離だけ離間される。第1の弾性部材(800A)及び第1の弾性部材(800B)は、形状、サイズ及び構造が同一である。一対の第1の弾性部材(800)のそれぞれの弾性部材に関し、上側中間プレート(810)は第1の移動部分(210)に取り付けられ、上側プレート(808A)及び上側プレート(808B)は第2の移動部分(220)に取り付けられる。一対の第1の弾性部材(800)のベースプレート(802)は、突出要素(162,164)を介してシャーシ(160)に取り付けられる。
【0032】
本発明の他の態様において、2つの異なる振動周波数を有する振動アクチュエータ(100)は、第1の移動部分(210)と、第2の移動部分(220)と、一対の第1の弾性部材(900)とを備える。第1の移動部分(210)は3つの磁石(320)を備え、この場合、3つの磁石(322,324,326)は、同様の極性が互いに対向した状態で配置されるようになっている。第2の移動部分(220)は、磁石(320)上にわたって巻回される1つ以上のコイル(410)を含む。一対の第1の弾性部材(900)は、第1の弾性部材(900A)及び第1の弾性部材(900B)を備える。第1の弾性部材(900A)及び第1の弾性部材(900B)は、中間ストリップ(908)、中央プレート(904)、上側プレート(910)、及び、上側プレート(910)から突出する保持手段(930)を備える。保持手段は、2つの突出する平坦なストリップ(906A、906B)と、丸みを帯びた縁部(920)を伴うベースプレート(902A,902B)とを含む。上側プレート(910)は、丸みを帯びた縁部(920)を伴う少なくとも2つの直交する独立して突出する平坦なストリップ(906A、906B)を突出させ、2つの突出する平坦なストリップ(906A、906B)はベースプレート(902A,902B)へと終端し、ベースプレート(902A,902B)は、上側プレート(910)と平行であり、上側プレート(910)に対して反対方向に突出される。更に、中間ストリップ(908)は、鋭角を成して上側プレート(910)から突出し、中央プレート(904)へと終端する。中央プレート(904)及び上側プレート(910)は、同じ方向に突出され、互いに平行である。第1の弾性部材(900A)及び第1の弾性部材(900B)は、形状、大きさ及び構造が同一である。一対の第1弾性部材(900)のそれぞれの弾性部材に関し、ベースプレート(902A,902B)は突出要素(162,164)を介してシャーシ(160)に取り付けられ、上側プレート(910)は第2の移動部分(220)に取り付けられる。中央プレート(904)は第1の移動部分(210)に取り付けられる。
【0033】
本発明の他の態様において、2つの異なる振動周波数を有する振動アクチュエータ(100)は、第1の移動部分(210)と、第2の移動部分(220)と、一対の第1の弾性部材(1000)とを備える。第1の移動部分(210)は3つの磁石(320)を備え、この場合、3つの磁石(322,324,326)は、同様の極性が互いに対向した状態で配置されるようになっている。第2の移動部分(220)は、磁石(320)上にわたって巻回される1つ以上のコイル(410)を含む。一対の第1弾性部材(1000)は、第1の弾性部材(1000A)と、第1の弾性部材(1000B)とを備える。第1の弾性部材(1000A)及び第1の弾性部材(1000B)は、下側ベースプレート(1002B)と、第1の突出した弾性部材(1004)と、平坦な上側プレート(1008)と、保持手段(1030)とを有する。保持手段(1030)は上側ベースプレート(1002A)を含み、上側ベースプレート(1002A)は、丸みを帯びた縁部を伴う第2の突出した弾性部材(1006)を直角に突出させる。第2の突出した弾性部材(1006)は、丸みを帯びた縁部で平坦な上側プレート(1010)へと終端する。
【0034】
下側ベースプレート(1002B)は、折り曲げ部が丸みを帯びた縁部を有するように平坦な上側プレート(1008)へと直角に終端する第1の突出した弾性部材(1004)へと直角に曲げられる。上側ベースプレート(1002A)及び下側ベースプレート(1002B)を備えるベースプレート(1002)は、シャーシ(160)に取り付けられ又は取着される。第1の弾性部材(1000A)は、上側ベースプレート(1008)によって第1の移動部分(210)に取り付けられる。保持手段(1030)は、平坦な上側プレート(1010)によって第2の移動部分(220)に取り付けられる。
【0035】
本発明の他の態様において、2つの異なる振動周波数を有する振動アクチュエータ(100)は、第1の移動部分(210)と、第2の移動部分(220)と、一対の第1の弾性部材(1110)とを備える。第1の移動部分(210)は3つの磁石(320)を備え、この場合、3つの磁石(322,324,326)は、同様の極性が互いに対向した状態で配置されるようになっている。第2の移動部分(220)は、磁石(320)上にわたって巻回される1つ以上のコイル(410)を含む。一対の第1の弾性部材(1110)は、第1の弾性部材(1110A)と、第1の弾性部材(1110B)とを含む。第1の弾性部材(1110A)及び第1の弾性部材(1110B)は、一端がシャーシ(160)に取り付けられ、他端が第1の移動部分(210)に取り付けられる。更に、振動アクチュエータは、第2の弾性部材(1120A)及び第2の弾性部材(1120B)を有する一対の第2の弾性部材の形態を成す保持手段(1120)も含む。保持手段(1120)として作用する第2弾性部材(1120A)及び第2弾性部材(1120B)は、一端がシャーシ(160)に取り付けられ、他端が第2の移動部分(220)に取り付けられる。
【0036】
本発明の他の態様において、振動アクチュエータの製造方法は、少なくとも3つの磁石(322,324,326)を矩形フレーム(310)内に組み付けることによって第1の移動部分(210)を組み立てることを含む。複数の磁石(320)は同じ極性で互いに対向する。更に、方法は、自己融着銅線によって形成されたコイル(412,414)がその内部で第1の移動部分(210)の自由な移動を可能にするように自己融着銅線の少なくとも2つのコイル(410)をフレーム(310)の周囲に巻き付けることによって第2の移動部分(220)を組み立てることを含む。コイル(412,414)は、コイル(420)の第1の端部が互いに取り付けられるとともにコイルの第2の端部がU字形構造体(410)に取り付けられるようにU字形構造体(420)に取り付けられ、U字形構造体(420)は、U字形構造体がコイル(410)の中心の原点に対して回転対称であるように配置される。第1の弾性部材(230A)の一端は第1の移動部分(210)に取り付けられ、第1の弾性部材(230A)の他端はシャーシ(160)に取り付けられる。同様に、第1の弾性部材(230B)の一端は第1の移動部分(210)に取り付けられ、第1の弾性部材(230B)の他端はシャーシ(160)に取り付けられる。保持手段(240)は、第2の弾性部材(240A)と第2の弾性部材(240B)とによって形成される。第2の弾性部材(240A)は一端が第2の移動部分(220)に取り付けられ、他端がシャーシ(160)に取り付けられる。同様に、第2の弾性部材(240B)は一端が第2の移動部分(220)に取り付けられ、他端がシャーシ(160)に取り付けられる。振動アクチュエータの製造方法は、磁石(320)間に非磁性材料のスペーサを導入することを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図3】振動アクチュエータの第1の移動部分を示す。
【
図4A】振動アクチュエータの第2の移動部分を示す。
【
図4B】U字形構造体の端部を接合する金属ストリップを伴う振動アクチュエータの第2の移動部分を示す。
【
図4C】振動アクチュエータの第2の移動部分の変形例を示す。
【
図4D】本発明の一実施形態におけるU字形構造体の端部を接合する金属ストリップを伴う振動アクチュエータの第2の移動部分を示す。
【
図5A】振動アクチュエータの磁石及びコイルの異なる形態を示す。
【
図5B】振動アクチュエータの磁石及びコイルの異なる形態を示す。
【
図5C】振動アクチュエータの磁石及びコイルの異なる形態を示す。
【
図5D】スペーサを伴う振動アクチュエータの磁石及びコイルの異なる形態を示す。
【
図5E】スペーサを伴う振動アクチュエータの磁石及びコイルの異なる形態を示す。
【
図5F】スペーサを伴う振動アクチュエータの磁石及びコイルの異なる形態を示す。
【
図6A】振動アクチュエータの第1の弾性部材の異なる図を示す。
【
図6B】振動アクチュエータの第1の弾性部材の異なる図を示す。
【
図6C】振動アクチュエータの第1の弾性部材の異なる図を示す。
【
図7A】振動アクチュエータの第2の弾性部材を有する保持手段の異なる図を示す。
【
図7B】振動アクチュエータの第2の弾性部材を有する保持手段の異なる図を示す。
【
図7C】振動アクチュエータの第2の弾性部材を有する保持手段の異なる図を示す。
【
図7D】振動アクチュエータの第2の弾性部材が重ねられた導電経路を有する保持手段を示す。
【
図7E】振動アクチュエータの第2の弾性部材が重ねられた導電経路を有する保持手段を示す。
【
図8A】第1の移動部分及び第2の移動部分を振動アクチュエータのシャーシに接続するための振動アクチュエータの、保持手段を有する異なるタイプの第1の弾性部材の異なる図を示す。
【
図8B】第1の移動部分及び第2の移動部分を振動アクチュエータのシャーシに接続するための振動アクチュエータの、保持手段を有する異なるタイプの第1の弾性部材の異なる図を示す。
【
図8C】第1の移動部分及び第2の移動部分を振動アクチュエータのシャーシに接続するための振動アクチュエータの、保持手段を有する異なるタイプの第1の弾性部材の異なる図を示す。
【
図8D】一対の異なる種類の第1の弾性部材を伴う振動アクチュエータの等角図を示す。
【
図9A】第1の移動部分を第2の移動部分に接続するとともに第2の移動部分を振動アクチュエータのシャーシに接続するための保持手段を有する他の異なるタイプの第1の弾性部材の異なる図を示す。
【
図9B】第1の移動部分を第2の移動部分に接続するとともに第2の移動部分を振動アクチュエータのシャーシに接続するための保持手段を有する他の異なるタイプの第1の弾性部材の異なる図を示す。
【
図9C】第1の移動部分を第2の移動部分に接続するとともに第2の移動部分を振動アクチュエータのシャーシに接続するための保持手段を有する他の異なるタイプの第1の弾性部材の異なる図を示す。
【
図9D】一対の他の異なるタイプの第1の弾性部材を伴う振動アクチュエータの等角図を示す。
【
図10A】第1の移動部分及び第2の移動部分を振動アクチュエータのシャーシに接続するための保持手段を有する、更に他の異なる第1の弾性部材の異なる図を示す。
【
図10B】第1の移動部分及び第2の移動部分を振動アクチュエータのシャーシに接続するための保持手段を有する、更に他の異なる第1の弾性部材の異なる図を示す。
【
図10C】第1の移動部分及び第2の移動部分を振動アクチュエータのシャーシに接続するための保持手段を有する、更に他の異なる第1の弾性部材の異なる図を示す。
【
図10D】第2の移動部分を取り付けるための保持手段を有する一対の更に別の異なる第1の弾性部材を伴う振動アクチュエータの等角図を示す。
【
図11A】振動アクチュエータの一対の異なるタイプの第1の弾性部材及び一対の異なるタイプの第2の弾性部材を示す。
【
図11B】本発明の他の変形例における一対の異なるタイプの第1の弾性部材及び一対の異なるタイプの第2の弾性部材を伴う振動アクチュエータの等角図を示す。
【
図12A】振動アクチュエータの第1の移動部分及び第2の移動部分と共に一対の異なるタイプの第1の弾性部材及び一対の異なるタイプの第2の弾性部材を取り付ける他の手段を示す。
【
図12B】一対の異なるタイプの第1の弾性部材及び一対の異なるタイプの第2の弾性部材を第1の移動部分及び第2の移動部分と共に取り付ける他の手段を伴う振動アクチュエータの等角図を示す。
【
図13A】振動アクチュエータの第1移動部分及び第2移動部分の配置を示す。
【
図13B】振動アクチュエータの第1移動部分及び第2移動部分の配置を示す。
【
図14A】振動アクチュエータの横方向に沿う断面図である。
【
図14B】振動アクチュエータの縦方向に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、広帯域の触覚フィードバックを与えるための振動アクチュエータに関するが、振動触覚フィードバックを与える様々な用途に使用することができる。触覚フィードバックにおける広い帯域幅、例えば40~120Hzの帯域幅は、現実世界の環境で見られる複数の複素周波数を再現するため、重要である。一般に、移動磁石振動アクチュエータ又は移動コイル振動アクチュエータが、1つの共振周波数、例えば110Hzのみを有する。そのような振動アクチュエータは、100~120Hzのみの有用な帯域幅を有することができる。そのような振動アクチュエータは、この100Hz~120Hzの範囲外の周波数範囲、例えば60Hz~80Hzを再現するために利用される場合、110Hzの同調共振周波数から離れる効率の大幅な低下に起因して質の悪いユーザ体験を与える。効率の低下及び電力消費量の増大は、アクチュエータが組み込まれるデバイスの性能を低下させ得る。例えば、モバイルデバイスのバッテリ寿命が短くなり、医療用途では振動の質が著しく低下し、ヘッドセット、ゲーム機などのゲームデバイスの全体的な性能が低下する。現実世界の環境で見られる複素周波数の範囲と同様に、40Hz~120Hzの周波数範囲に適合することができるように、アクチュエータの有用で効率的な帯域幅を広げる技術的解決策が必要とされる。
【0039】
単一周波数振動アクチュエータに伴う上記の問題は、多重波数振動アクチュエータを使用して解決することができる。理想的なシナリオでは、単一周波数共振アクチュエータは周波数の範囲に等しく応答することができるべきであるが、周波数応答曲線の典型的な分布に起因して、振動アクチュエータは共振周波数でのみ効率的に応答する。共振周波数付近の他の周波数は大幅に減衰される。この問題は、広範囲の周波数に効率的に応答する多重共振周波数振動アクチュエータを有することによって解決される。小型デバイスに複数の共振周波数を組み込むことが技術的に困難であるため、単一共振周波数アクチュエータの問題を解決するために少なくとも2つの共振周波数を有することが有利である。新規な振動アクチュエータは、両方の共振周波数、例えば第1の共振周波数H(60Hz)及び第2の共振周波数f2(100Hz)に効率的に応答する。2つの共振周波数が明確であって例えば60Hz~100Hzの広帯域幅を可能にするようにバラバラに広がるとともに、依然として2つの周波数間で良好な応答を可能にするのに十分に近い場合には、それにより、全広帯域周波数範囲にわたって、例えば40~120Hzの周波数ごとに良好な性能が可能となる。革新的な振動アクチュエータは、最適な電流消費で広範囲の周波数を効率的に生成できるようにし、したがって、広帯域用途において振動アクチュエータの性能を高めることができる。
【0040】
新規な振動アクチュエータは、これらに限定されないがゲームパッド、携帯電話などのモバイルデバイス、タブレット、医療機器、自動車システム、及び他の用途分野など、触覚フィードバックを与える全てのデバイス及び用途において利用することができる。革新的な振動アクチュエータは、広帯域アクチュエータの性能及び能力が必要とされる全ての触覚デバイスの性能を高めるために使用することもできるが、これらのデバイスは、線形共振アクチュエータ(LRA)又は偏心回転質量(ERM)アクチュエータなどの単一周波数アクチュエータの使用によって制約されてきた。
【0041】
本発明及びその利点は、添付図面に示される例示の実施形態を参照することによって最もよく理解され、図面中、同様の番号は同様の部分を示す。しかしながら、本発明は、触覚出力を生成するための多数のデバイスで具現化されてもよく、本明細書中に記載される典型的な実施形態に限定されると解釈されるべきでない。以下、図を参照することによって本発明を例示するために典型的な実施形態を説明する。
【0042】
この出願において、「縦」という用語は、X軸に沿って考慮される、振動アクチュエータの移動部分の移動の直線方向を意味し、「横」とは、Y軸に沿って考慮される、縦方向と直交する平面内の方向を意味し、「X-Y平面と直交する」とは、X軸及びY軸の両方に直交するZ軸を意味し、「対角線上の反対」とは、正方形又は長方形の構造体の2つの平行な辺の反対側の角を意味する。
【0043】
本発明は、2つの異なる共振周波数を有する独自の新規な振動アクチュエータを提供する。2つの異なる共振周波数は、第1の移動部分及び第2の移動部分のそれぞれが一対の弾性部材によって動けるように取り付けられた状態で第1の移動部分及び第2の移動部分によって生成される。
【0044】
図1は、振動アクチュエータ100の等角図を示し、
図2は、振動アクチュエータ100の分解図を示す。本発明によれば、振動アクチュエータ100は、
図2に示されるように、第1の移動部分210と、第2の移動部分220と、一対の第1の弾性部材230(一対の第1の弾性部材230と総称される第1の弾性部材230A及び第1の弾性部材230B)と、第2の弾性部材240A及び第2の弾性部材240Bの形態を成すことができる保持手段240と、外側ケーシング150と、シャーシ160とを備える。
【0045】
シャーシ160は、長方形の形状であるが、異なる変形例では正方形、平行四辺形、又は、他の四辺多角形などの他の形状を有することができる。シャーシ160は、その長辺(縦方向)の対角線上の両端に突出要素162及び突出要素164を有する。突出要素162及び突出要素164は、
図1に示されるように、長方形又は正方形の形状であり、シャーシ160のX-Y平面と直交する(Z軸)。突出要素162及び突出要素164は、一対の第1の弾性部材230と、第2の弾性部材240A及び第2の弾性部材240Bである保持手段240とを取り付けるために利用される。突出要素162及び突出要素164が一対の第1の弾性部材230及び保持手段240をネジで取り付けるために利用される場合、突出要素162及び突出要素164は穴を有する矩形ブロックである。外側ケーシング150及びシャーシ160は、好ましくは、ステンレス鋼、ニッケル、銅又は鉄などの金属から形成されるが、外側ケーシング150及びシャーシ160は、他の変形例では、振動アクチュエータ100の重量を低減するためにプラスチック又は他のポリマーから形成することもできる。突出要素162及び突出要素164は、外側ケーシング150及びシャーシ160が第2の移動部分220の内側での第1の移動部分210の自由な移動及びシャーシ160の内側での第2の移動部分220の自由な移動を可能にするように、外側ケーシング150内に嵌合する。要するに、シャーシ160及び外側ケーシング150は、互いに強固に嵌合して、
図1に示されるように、垂直方向(横方向)と比較して水平方向(縦方向)で実質的に長い直方体状の振動アクチュエータ100を形成する。
【0046】
第1の移動部分210は、
図3に示されるように、フレーム310と磁石320とを備える。第2の移動部分220は、コイル410と一対のU字形構造体420とを備える。U字形構造体420は、
図4Aに示されるように、U字形構造体420A及びU字形構造体420Bを備える。
【0047】
フレーム310は、長方形の外周又は中空長方形304を有する正方形の外周302を備える。本発明におけるフレームを説明するために、フレーム310は、長方形、すなわち、長方形外周302であると解釈される。この実施形態において、フレーム310は、長方形又は正方形のいずれかであるが、他の構造体形態では、平行四辺形、台形、他の四辺形などの他の形状も想定し得る。長方形外周302の縁部は、一対の第1の弾性部材230の第1の弾性部材230A及び第1の弾性部材230Bのいずれかに損傷を与えかねない鋭利な縁部を避けるために、丸みを帯び、面取りされ、又は、フィレット加工される。例えば、第1の移動部分210及び第2の移動部分220のオーバードライブ装置により、フレーム310が第1の弾性部材230A又は第1の弾性部材230Bのいずれかに誤って当たる場合がある。フレーム310内の中空長方形304は、磁石320を配置するために利用される丸みを帯びた角を有する。したがって、磁石320は、フレーム310と完全に嵌合するように丸みを帯びた縁部を有する。
【0048】
フレーム310は、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、銅、真鍮、亜鉛、又は任意の他の非磁性材料などの任意の非磁性シートメタルをレーザ切断して折り曲げることによって構成される。他の変形例において、フレーム310は、プラスチックなどのポリマーから射出成形される又は任意の非磁性材料から鋳造され得る。フレーム310がプラスチック又は任意の他のポリマーを使用して構成される場合、フレーム310は、迅速な組み立てのために3Dプリンタを使用して印刷され得る。
【0049】
フレーム310の長方形外周302の長辺は、縦方向(シャーシ160の長辺と平行)に沿っており、一対の第1の弾性部材230を接合するための装備を有する。第1の弾性部材230A及び第1の弾性部材230Bの第1の端部は、長方形外周302の対角線上で対向する長辺に取り付けられる。第1の弾性部材230Aの第2の端部は、シャーシ160の突出要素164に取り付けられる。同様に、第1の弾性部材230Bの第2の端部は、シャーシ160の突出要素162に取り付けられる。一対の第1の弾性部材230は、溶接、リベット、接着によって、ネジを用いて、又は機械的に嵌合して強い接合又は結合を形成する折り曲げ部を介して、長方形外周302に取り付けられ得る。
【0050】
磁石320は、本発明では第1の磁石322、第2の磁石324、及び第3の磁石326などの一連の磁石で構成されるが、他の変形例では、3つよりも多い磁石をフレーム310の内側に配置することができる。第1の磁石322、第2の磁石324及び第3の磁石326の4つの縁部はいずれも鋭利な縁部を避けるように丸みを帯びているが、幾つかの変形例において、鋭利な縁部は、他の既知の形状によって除去することもできる。例えば、第1の磁石322、第2の磁石324及び第3の磁石326の縁部は、面取りされた縁部又はフィレット加工された縁部とすることができる。他の変形例では、第1の磁石322、第2の磁石324、及び第3の磁石326が全て非正方形の縁部を有することができる。
【0051】
第1の磁石322及び第2の磁石324の極性は対称に配置され、すなわち、第1の磁石322のN極と第2の磁石324のN極とが互いに対向する。同様に、第2の磁石324及び第3の磁石326の極性は対称に配置され、すなわち、第2の磁石324のS極と第3の磁石326のS極とが互いに対向する。磁石320のこの配置は、同様の極が互いに対向する(N極がN極と対向する)第1の磁石322と第2の磁石324との交差部から径方向外側に移動する及び同様の極が互いに対向する(S極がS極と対向する)第2の磁石324と第3の磁石326との交差部で径方向内側に移動する強い磁場をもたらす。また、第1の磁石322、第2の磁石324及び第3の磁石326は、幅(
図3にWで示す)が同じであるが、縦方向の(X軸に沿う)の長さが異なる。例えば、本実施態様では、第1の磁石322及び第3の磁石326の幅及び長さは等しいが、第2の磁石324は実質的により大きい長さを有する。異なる変形例において、第1の磁石322、第2の磁石324、及び第3の磁石326は全て、フレーム310に応じて等しい又は等しくない幅及び長さを有することができる。更に、磁石320のサイズは、生成されるべき磁場の要件に応じて同じであっても異なっていてもよい。
【0052】
振動アクチュエータは、コイル410の内部に高い集中度の磁場を生成できるようにするべく同じ極性を伴って配置される磁石320を有する。この実施において、コイル410に生成される高集中磁場は、第1の磁石322、第2の磁石324、及び第3の磁石326によって生成される磁場に起因する。高集中磁場は、同様の極が互いに対向するように配置される磁石320に起因する。第1の磁石322、第2の磁石324、及び第3の磁石326の結合は、磁石320の同様の極同士が反発するため、非常に困難となり得る。革新的なフレーム310は、磁石320、例えば、第1の磁石322、第2の磁石324、及び第3の磁石326をフレーム310内に強固に保持するように設計される。X-Y平面と直交する磁石320の2つの開放側は、最大磁束がコイル410を通過するようにフレーム320とコイル410との近接位置決めを可能にする。更に、磁石320は、単一の質量として作用し且つ磁石320をフレーム320内に固定するためにフレーム310内で互いに接着され得る。更に、フレーム310は、付加的な質量を第1の移動部分210に与える。フレーム310及び磁石320の質量を変えることにより、異なる共振周波数及び振動強度を達成することができる。
【0053】
先に論じたように、第2の移動部分220は、コイル410と一対のU字形構造体420とを備える。コイル410は任意の数のコイルとすることができるが、この実施形態では、コイル410は、
図4Aに示されるように第1コイル412及び第2コイル414を備える。コイル410の数は、単純な式n-1によって決定され、ここで、n=lのときに磁石320及びコイル410が1つしかない特別な場合を除き、nは磁石320の数である。
【0054】
コイル410は、横方向(Y軸)で長いボビンの周囲にエナメル銅線を巻回することによって構成される。更に、コイル410の長さは、第1の移動部分210が縦方向(X軸)で自由に移動できるようにフレーム310の長さよりも僅かに大きい。
【0055】
好ましい実施態様では、等しい数の巻線及び同じ寸法を有する第1のコイル412及び第2のコイル414を備える2つのコイル410が存在するが、
図5A~
図5Dに示されるような他の変形例では、コイル410の巻線及び寸法が等しくない異なる組み合わせが存在し得る。第1のコイル412及び第2のコイル414は、第1のコイル412が一方向、例えば時計回りに巻回され且つ第2のコイル414が逆方向、例えば反時計回りに巻回されるように接続される。また、第1のコイル412の中心は、2つの磁石322,324のN極がN極と対向する状態で配置される第1の磁石322と第2の磁石324との交線と位置合わせされる。同様に、第2のコイル414の中心は、2つの磁石324,326のS極がS極と対向する状態で配置される第2の磁石324と第3の磁石326との交線と位置合わせされる。交流電流がコイル410を通過すると、交流電流は磁石320の磁場と相互作用してローレンツ力をもたらす。ローレンツ力は、縦方向(X軸)の振動運動をもたらすべく第1の半周期中に一方向で及び第2の半周期中に反対方向で生み出される。代わりの実施において、第1のコイル412の中心は、第1の磁石322と第2の磁石324とを接合する線と一致しなくてもよく、その付近又は周囲にある、すなわち、中心から外れて一致しない。他の実施において、第2のコイル414の中心は、第2の磁石324と第3の磁石326とを接合する線と一致しなくてもよく、その付近又は周囲にある、すなわち、中心から外れて一致しない。
【0056】
図4A~
図4Dを参照すると、異なるタイプのU字形構造体が示される。
図4Aは一対のU字形構造体420を示す。U字形構造体420A及びU字形構造体420Bは、形状、サイズ、及び構造が同一である。U字形構造体420A及びU字形構造体420Bは、T字形ベースプレート424と、2つの直角台形状プレート422、すなわち、直角台形状プレート422A及び直角台形状プレート422B(直角台形状プレート422A及び直角台形状プレート422Bを総称して直角台形状プレート422と称する)とを備える3つの異なるセクションによって形成される。直角台形状プレート422A及び直角台形状プレート422Bは、大きさ及び寸法が同じである。好ましい実施態様では、直角台形状プレート422A,422Bの幅(W)がフレーム310の幅以上である。直角台形状プレート422Aは湾曲突起430Aを有し、直角台形状プレート422Bは湾曲突起430Bを有する。直角台形状プレート422A及び直角台形状ポート422Bから突出する2つの湾曲突起430A,430Bは、T字形ベースプレート424に取り付けられて、開放面を伴うU字形構造体420A及びU字形構造体420Bを形成する。本明細書中のU字形構造体420A及びU字形構造体420Bの「開放面」とは、直角台形状プレート422Aと直角台形状プレート422Bとの間に形成されてT字形ベースプレート424とは反対側にある中空空間を意味する。
【0057】
U字形構造体420A及びU字形構造体420Bは、非磁性シートメタルから切断及びその折り曲げによって製造される。或いは、U字形構造体420A及びU字形構造体420Bは、T字形ベースプレート424及び直角台形状プレート422A,422Bを溶接することによって形成され得る。
【0058】
第1のコイル412及び第2のコイル414は、接着剤によって又は結合材によって一端が互いに接合される。或いは、第1のコイル412及び第2のコイル414は、コイル巻線の半分が一方向、すなわち、時計回りに巻回され且つ巻線の他の半分が他方向、すなわち、反時計回りに巻回されるように、単一のコイル410に組み込まれ得る。
コイル412,414の他端は、U字形構造体420A及びU字形構造体420Bと接着剤を用いて取り付けられ又は結合材料を使用して取り付けられる。U字形構造体420の開放面が互いに対角線上で対向するように、U字形構造体420Aがコイル412に取り付けられ、U字形構造体420Bがコイル414に取り付けられる。結果として、コイル412、コイル414、U字形構造体420A及びU字形構造体420Bは、縦方向(X軸)に沿って筒状構造体をそれぞれ形成し、第1の移動部分210上にわたって自由に移動する第2の移動部分220を形成する。
【0059】
図4Bを参照すると、一対のU字形構造体420が僅かな変形を伴って示される。この実施において、U字形構造体420A及びU字形構造体420BのT字形ベースプレート424及び直角台形状プレート422A,422Bによって形成された平坦な側面は、金属ストリップ又はロッド440によって接合され、それにより、一端で矩形フレームが形成される。金属ストリップ又は金属ロッド440は、一対のU字形構造体420と同じ材料から形成される。金属ストリップ又は金属ロッド440は、一対のU字形構造体420に構造的強度及び安定性を与える。例えば、U字形構造体420Aは、その開放面に金属ストリップ又は金属ロッド440Aを有する。同様に、U字形構造体420Bは、その開放面に金属ストリップ又は金属ロッド440Bを有する。一実施形態において、一対のU字形構造体420の各U字形構造体は、直角台形状プレート422A,422Bの開放面全体を接合することによって長方形又は管状の構造体に変換され得る。
【0060】
図4Cは、一対のU字形構造体420の他の変形例を示し、この場合、各U字形構造体は、3つの異なるセクション、すなわち、ベースプレート428であって、該ベースプレート428の面と直交する突出要素426を有するベースプレート428と、2つの直角台形状プレート422、すなわち、第1の直角台形状プレート422A及び第2の直角台形状プレート422Bとを備える。第1の直角台形状プレート422A及び第2の直角台形状プレート422Bは、大きさ及び寸法が同様であり、非磁性材料から形成される。第1の直角台形状プレート422A及び第2の直角台形状プレート422Bは、アセンブリ全体が
図4Cに示されるように開放面を伴うU字形構造体420A又はU字形構造体420Bのように見える構造体を形成するように、両側でベースプレート428に接合される。U字形構造体420は、
図4Cに示されるように非磁性シートメタルを切断して折り曲げることにより製造される。或いは、一対のU字形構造体420は、ベースプレート428を2つの別個の直角台形状プレート422A,422Bに溶接することによって形成することもできる。好ましい実施において、一対のU字形構造体420の開放面は、横方向(Y軸)でフレーム310を僅かに超えて延在する。U字形構造体420Aはコイル412に取り付けられ、U字形構造体420Bはコイル414に取り付けられ、その場合、
図4 Cに示されるように、それらのU字形構造体の開放面は、対角線上で互いに対向してフレーム310の縦側面(X軸方向)を実質的に覆うようになっている。突出要素426は、一対の第2の弾性部材240とU字形構造体420とを溶接するために用いられる。
【0061】
第1のコイル412及び第2のコイル414は、接着剤又は結合材料によって互いに接合される。更に、第1の移動部分210上にわたって自由に移動する矩形の管状構造体を形成するように、第1のコイル412が接着剤又は結合材料によってU字形構造体420Aに取り付けられ、第2のコイル414がU字形構造体420Bに取り付けられる。
【0062】
図4Dを参照すると、U字形構造体420を製造する他の変形例が示される。U字形構造体420Bは、第1の直角台形状プレート422Aと第2の直角台形状プレート422Bとを接合する金属ストリップ又は金属ロッド450Bを有し、その場合、
図4Dに示されるように金属ストリップ又は金属ロッド450Bはベースプレート428と平行であるようになっている。U字形構造体420AもU字形構造体420Bと同様の態様で製造される。
【0063】
図5A~
図5Fは、本発明の異なる変形例における磁石320及びコイル410の異なる配置を示す。これらの変形例は全て、異なる実施形態において振動アクチュエータ100に実装され得る。
【0064】
図5Aは、単一のコイル410を伴う2つの磁石320が設けられる形態を示し、この場合、コイル410の中心は磁石320の交線と位置合わせされる。
【0065】
図5Bは、3つの磁石320、すなわち、第1の磁石322、第2の磁石324、及び第3の磁石326と、2つのコイル410、すなわち、第1のコイル412及び第2のコイル414とを伴う好ましい実施を示す。この実施形態において、コイル410のそれぞれの中心は、2つの隣り合う磁石320間の交線と一直線になる。他の変形例では、2つの隣り合う磁石320間の交線と第1のコイル412及び第2のコイル414の中心とが、数ミリメートル、例えば1mm~3mmだけオフセットされる。
【0066】
図5Cは、4つの磁石320及び3つのコイル410における配置を示す。この配置では、コイル410が小さな隙間によって分離され、例えば、小さな隙間は1 mm~2 mmとなり得る。或いは、コイル410は、X軸で細長く、それらの間に隙間なく互いに強固に接着され得る。
【0067】
図5Dは、磁石320間にスペーサが設けられた2つの磁石320の配置を示す。スペーサは、コイル410の中心がスペーサの中心と合わさるようにコイル410と位置合わせされる。スペーサは、磁性材料又は非磁性材料となり得る。
【0068】
図5Eは3つの磁石320の配置を示し、この場合、磁石320間にスペーサが設けられる。中間磁石の中心は、2つのコイル410が互いに接合される交線と位置合わせされる。或いは、2つのコイル410の交線は、中間磁石の中心線から数ミリメートルだけオフセットされ得る。スペーサは、磁性材料又は非磁性材料となり得る。
【0069】
図5Fは、4つの磁石320、スペーサ、及び2つのコイル410を伴う他の配置を示す。磁石320の2つの対がスペーサの両側に設けられる。2つのコイル410は、2つのコイル410がスペーサを覆うことなく磁石320を完全に覆うように、磁石320の2つの対の周囲に巻き付けられる。スペーサは、磁性材料又は非磁性材料となり得る。
【0070】
図6Aは、第1の弾性部材230Aの等角図を示す。
図6B及び
図6Cは、第1の弾性部材230Aの側面図及び背面図を示す。一対の第1の弾性部材230は、第1の弾性部材230Aと、第1の弾性部材230Bとを備える。第1の弾性部材230A及び第1の弾性部材230Bは、形状及び大きさが全く同様であるが、他の変形例では、互いに僅かに異なり得る。
【0071】
一対の第1の弾性部材230の構造に移ると、第1の弾性部材230A及び第1の弾性部材230Bは、丸みを帯びた縁部を伴う「Z」形状の構造体を形成するために、5つの異なるセクション、すなわち、六角形ベースプレート602、第1の丸みを帯びた屈曲部604、長いストリップ606であって、横方向(Y軸)で長いストリップ606の中心に沿って対称である窪み612を伴う長いストリップ606、第2の丸みを帯びた屈曲部608、及び、長方形上側プレート610を備える。
【0072】
長いストリップ606から突出する六角形ベースプレート602及び長方形上側プレート610は、それらが平行又は略平行であるように、縦方向(X軸)において反対方向にある。六角形ベースプレート602は長方形上側プレート610よりも比較的大きい。第1の弾性部材230Aの六角形ベースプレート602は、シャーシ160の突出要素164に取り付けられる。同様に、第1の弾性部材230Bの六角形ベースプレート602は、シャーシ160の突出要素162に取り付けられる。同様に、第1の弾性部材230A及び第1の弾性部材230Bの上側プレート610は、フレーム310に対して対角線上の両側で取り付けられている。第1の弾性部材230A及び第1の弾性部材230Bは、上側プレート610と六角形ベースプレート602とが対角線上で互いに反対側にあって第1の移動部分210の移動を規制するバネとして作用するようにフレーム310及びシャーシ160の突出要素162及び突出要素164に取り付けられる。フレーム310及び磁石320の材料及び質量並びに第1の弾性部材230A及び第1の弾性部材230Bの弾性を変化させることによって、振動アクチュエータの第1の共振周波数を制御、変更又は設計することができる。第1の弾性部材230A及び第1の弾性部材230Bの完全なアセンブリは、弾性金属シートを切断して折り曲げることによって製造することができる。製造に使用される金属は、ステンレス鋼、ベリリウム銅、又は高い引張強度を有する他の弾性金属を含むことができる。別の実施において、第1の弾性部材230A及び第1の弾性部材230Bは、ポリアミド(ナイロン)などの耐久性が高いが弾性のポリマーを3Dプリンタによって成形又は印刷することによって形成される。
【0073】
図7Aは、第2の弾性部材240A及び第2の弾性部材240Bの形態を成す保持手段240の等角図を示す。しかしながら、典型的な実施形態では、1つの弾性部材240Aのみが示される。
図7B及び
図7Cは、第2の弾性部材240Aの側面図及び背面図を示す。第2の弾性部材240A及び第2弾性部材240Bは、形状、大きさ及び構造が類似している。第2の弾性部材240A及び第2の弾性部材240Bの形態を成す保持手段240は、
図7Aに示されるように、5つの部分、すなわち、長方形ベースプレート702、第1の丸みを帯びた屈曲部704、長いストリップ706、第2の丸みを帯びた屈曲部708、及び、長方形上側プレート710を備える。長いストリップ706は、横方向(Y軸)で長いストリップ706の中心線に沿って対称である窪み712を有する。長いストリップ706は、一端が第1の丸みを帯びた屈曲部704を介して縦方向(X軸)で長方形ベースプレート702へと終端し且つ他端が丸みを帯びた屈曲部708により縦方向(X軸)で長方形上側プレート710へと終端する直交投影を有する。長方形ベースプレート702及び長方形上側プレート710は、長いストリップ706から反対方向に突出し、互いに平行又は略平行である。第2の弾性部材240A及び第2の弾性部材240Bの長方形上側プレート710は、一対のU字形構造体420の対角線上の両端部に取り付けられる。第2の弾性部材240Aの長方形ベースプレート702は、シャーシ160の突出要素164に取り付けられる。同様に、第2の弾性部材240Bの長方形ベースプレート702は、シャーシ160の突出要素162に取り付けられる。第2の弾性部材240A及び第2の弾性部材240Bは、
図7Aに示されるように、弾性金属シートを切断して折り曲げて「Z」字形の構造体を形成することにより製造される。製造に使用される金属は、ステンレス鋼、ベリリウム銅、又は高い引張強度を有する他の弾性金属を含むことができる。他の実施において、第2の弾性部材240A及び第2の弾性部材240Bによって形成される保持手段240は、ポリアミド(ナイロン)などの耐久性が高いが弾性のポリマーを3Dプリンタによって成形又は印刷することによって形成される。
【0074】
図7D及び
図7Eを参照すると、本発明の他の新規な態様が示される。第2の弾性部材240A及び第2の弾性部材240Bによって形成される保持手段240は、電流の良好な導電体である金属から形成される。更に、コイル410は一端がU字形構造体420に接合される。コイルは、電流を通すことによって励磁され、これは導電経路を必要とする。コイル410を励磁する新規な方法は、
図7Dの第2の弾性部材240Aについて示されるように、保持手段240を通る導電経路を設けることである。第1の配線720Aが、長方形ベースプレート702に半田付け、溶接又は接着することによって第2の弾性部材240Aに取り付けられる。第2ワイヤ720Bが、その後にコイル410の少なくとも一方に接続される終端点として作用するように、半田付け、溶接又は接着によって長方形上側プレート710に取り付けられる。
【0075】
図7Eを参照すると、配線の代わりに、フレキシブルプリント回路730が第2の弾性部材240A上に重ね合わされ、第2の弾性部材240Aは、電流を供給するべくコイル410の少なくとも一方へと終端する前に第2の弾性部材240Aの表面に沿って移動する。典型的な実施では、配線720A及び配線720B又はフレキシブルプリント回路730が第2の弾性部材240A上に重ね合わされるが、他の実施では、配線720A及び配線720B又はフレキシブルプリント回路730を重ね合わせるために第2の弾性部材240Bを利用することもできる。
【0076】
前述したように、第1の移動部分210及び第2の移動部分220をシャーシ160に接続するためには、一対の第1の弾性部材230及び保持手段240が必要である。しかしながら、この実施では、
図8Dに示されるように、一対の第1の弾性部材800のみが必要である。
図8Dは、一対の第1の弾性部材800を伴う第1の移動部分210及び第2の移動部分220を有する振動アクチュエータの等角図を示す。一対の第1の弾性部材800は、第1の弾性部材800Aと、第1の弾性部材800Bとを含む。
図8Aは、第1の弾性部材800Aの等角図を示す。
図8B及び
図8Cは、第1の弾性部材800Aの側面図及び背面図を与える。
【0077】
第1の弾性部材800Aは、ベースプレート802と、中間ストリップ806と、上側中間プレート810と、保持手段830とを備える。保持手段830は、2つの突出する外側ストリップ804A,804Bと、一対の上側プレート808A,808Bとを備える。保持手段830は、外側縁部において、一対の外側ストリップ、すなわち、外側ストリップ804A及び外側ストリップ804Bの形態を成してベースプレート802から突出する。突出する外側ストリップ804A,804Bは、丸みを帯びた縁部820により横方向(Y軸)でベースプレート802から直角に突出し、外面812A,812Bに横方向(Y軸)に沿う窪みを有するが、内面は直線状であって互いに平行である。更に、突出する外側ストリップ804A,804Bは、縦方向(X軸)で上側プレート808A,808Bへと終端する。上側プレート808A,808Bは、折り曲げ部が丸みを帯びた縁部820を有するように2つの突出する外側ストリップ804A,804Bから直角に突出する。更に、2つの突出する外側ストリップ804A,804Bは、ベースプレート802と平行又は略平行であり、ベースプレート802及び上側プレート808A,808Bは反対方向を向いている。更に、上側プレート808A,808Bは、互いに別個で独立している。
【0078】
中間ストリップ806は、外側ストリップ804A,804B間に位置しており、縦方向(X軸)でベースプレート802から2mm~3mmなどの短い距離だけ延在し、その後、丸みを帯びた縁部820で折り曲げられてベースプレート802から横方向(Y軸)に直角に突出する。最後に、中間ストリップ806は、縁部820の折り曲げ部が丸みを帯びるように、縦方向(X軸)で上側中間プレート810へと直角に終端する。要約すると、第1の弾性部材800Aの全ての折り曲げ部は、丸みを帯びた縁部820を有する。ベースプレート802及び上側中間プレート810は、反対方向に突出し、平行又は略平行である。中間ストリップ806は、その中心線に沿って横方向(Y軸)で対称的な窪みを有する。上側プレート808A,808B及び中間プレート810は、上側プレート808A,808Bの下方で中間プレート810の自由振動を可能にするために、横方向(Y軸)で僅かな距離だけ離間される。
【0079】
第1の弾性部材800A及び第1の弾性部材800Bは、形状、大きさ及び構造が同一である。しかしながら、他の変形例において、第1の弾性部材800A及び第1の弾性部材800Bは、形状、サイズ、及び構造が互いに異なっていてもよい。第1の弾性部材800A及び第1の弾性部材800Bは、
図8Aに示されるように、弾性金属シートを切断して折り曲げて2つの独立したZ状形状を形成することによって製造される。製造に使用される金属は、ステンレス鋼、ベリリウム銅、又は高い引張強度を有する他の弾性金属を含むことができる。他の実施において、第1の弾性部材800A及び第1の弾性部材800Bは、ポリアミド(ナイロン)などの耐久性が高いが弾性のポリマーを3Dプリンタによって成形又は印刷することによって形成される。
【0080】
図8Dは、2つの第1の弾性部材800を用いた振動アクチュエータの等角図を示す。第1の弾性部材800Aのベースプレート802は、シャーシ160の突出要素162に溶接又は接着によって取り付けられ、上側中間プレート810は、溶接又は接着によって第1の移動部分210のフレーム310に接続され、一方、保持手段830の上側プレート808A,808Bは、溶接又は接着によって第2の移動部分220のU字形構造体420Aに取り付けられる。第1の弾性部材800Bのベースプレート802は、シャーシ160の突出要素164に溶接又は接着によって取り付けられ、上側中間プレート810は、溶接又は接着によって第1の移動部分210のフレーム310に接続され、保持手段830の上側プレート808A,808Bは、溶接又は接着によって第2の移動部分220のU字形構造体420Bに取り付けられる。
【0081】
図9Dは、本発明の他の実施形態における2つの異なる振動を与えるように構成される一対の弾性部材を伴う振動アクチュエータの等角図を示す。振動アクチュエータは、第1の移動部分210と、第2の移動部分220と、一対の第1の弾性部材900とを含む。一対の第1の弾性部材900は、第1弾性部材900Aと、第1弾性部材900Bとを備える。
図9Aは、第1の弾性部材900Aの等角図を示す。
図9B及び
図9Cは、第1の弾性部材900Aの側面図及び正面図を与える。
【0082】
第1の弾性部材900Aは、中央プレート904と、中間ストリップ908と、保持手段930とを備える。保持手段930は、一対の外側に突出する平坦なストリップ906A,906Bが吊り下げられた上側プレート910と、全ての直交する折り曲げ部に丸みを帯びた縁部920を伴うベースプレート902A及びベースプレート902Bとを含む。
【0083】
ベースプレート902A及びベースプレート902Bは、好ましくは長方形の形状であり、独立している。ベースプレート902A及びベースプレート902Bは、横方向(Y軸)で、2つの独立した平坦ストリップ、すなわち、平坦ストリップ906A及び平坦ストリップ906Bへと直角に突出する。ベースプレート902Aと平坦なストリップ906Aとの間の折り曲げ部920は丸みを帯びている。同様に、ベースプレート902Bと平坦なストリップ906Bとの間の折り曲げ部920も丸みを帯びている。突出する平坦なストリップ、すなわち、平坦なストリップ906A及び平坦なストリップ906Bの両方は、上側プレート910へと終端する。平坦なストリップ906A及び平坦なストリップ906B並びに上側プレート910は、平坦なストリップ906A,906Bと上側プレート910との間の折り曲げ部920が丸みを帯びるように配置される。更に、平坦なストリップ906Aは、その外側に横方向(Y軸)に沿って窪み912Aを有し、平坦なストリップ906Bは、その外側に窪み912Bを有する。平坦なストリップ906A,906Bの内側は、直線状で平行である。上側プレート910及び一対のベースプレート902A,902Bは、互いに反対方向を向いており、上側プレート910と一対のベースプレート902A,902Bとが平行又は略平行となるように位置合わせされる。
【0084】
中間ストリップ908は、平坦ストリップ906Aと平坦ストリップ906Bとの間に位置し、中央プレート904へと終端するように上側プレート910に対してそれぞれ鋭角に突出する。上側プレート910と中間ストリップ908との間の折り曲げ部920は丸みを帯びており、同様に、丸みを帯びた折り曲げ部920が中央プレート904と中間ストリップ908との間に設けられる。更に、中央プレート904及び上側プレート910は、同じ方向を向き、中央プレート904及び上側プレート910が互いに平行又は略平行になるように位置合わせされる。中間ストリップ908は、その中心線に沿って横方向(Y軸)に対称的な窪みを有する。上側プレート910上の中間ストリップ908及び平坦ストリップ906A,906Bの終端点は、同一直線上にある。
【0085】
第1の弾性部材900A及び第1の弾性部材900Bは、形状、大きさ及び構造が同一である。しかしながら、他の変形例において、第1の弾性部材900A及び第1の弾性部材900Bは、形状、サイズ及び構造が互いに異なっていてもよい。第1の弾性部材900A又は第1の弾性部材900Bは、弾性金属シートを切断して折り曲げることにより製造される。製造に使用される金属は、ステンレス鋼、ベリリウム銅、又は高い引張強度を有する他の弾性金属を含むことができる。別の実施において、第1の弾性部材900A及び第1の弾性部材900Bは、ポリアミド(ナイロン)などの耐久性が高いが弾性のポリマーを3Dプリンタによって成形又は印刷することによって形成される。
【0086】
図9Dは、一対の第1の弾性部材900を用いた振動アクチュエータの等角図を示す。第1の弾性部材900Aの保持手段930のベースプレート902A及びベースプレート902Bは、溶接又は接着によって突出要素162に取り付けられ、保持手段930の上側プレート910は、溶接又は接着によって第2の移動部分220のU字形構造体420Aに接続され、一方、中央プレート904は、溶接又は接着によって第1の移動部分210のフレーム310に接続される。第1の弾性部材900Bの保持手段930のベースプレート902A及びベースプレート902Bは、溶接又は接着によって突出要素164に取り付けられ、保持手段930の上側プレート910は、溶接又は接着によって第2の移動部分220のU字形構造体420Bに接続され、一方、中央プレート904は、溶接又は接着によって第1の移動部分210のフレーム310に接続される。
【0087】
図10Dは、本発明の他の実施形態における他のタイプの弾性部材の新規な対により2つの異なる振動を与える振動アクチュエータの等角図を示す。振動アクチュエータは、第1の移動部分210と、第2の移動部分220と、一対の第1の弾性部材1000とを含む。一対の第1の弾性部材1000は、第1の弾性部材1000Aと、第1の弾性部材1000Bとを含む。
図10Aは、第1の弾性部材1000Aの等角図を示す。
図10B及び
図10Cは、第1の弾性部材1000Aの側面図及び背面図を示す。
【0088】
第1の弾性部材1000Aの構成は、第1の弾性部材230A及び第2の弾性部材240Aによって形成される保持手段240と同様であるが、第1の弾性部材1000Aは、下側ベース板1002Bと、1つの突出弾性部材1004と、平坦な上側プレート1008と、保持手段1030とを形成するために一片の弾性金属を折り曲げることによって製造される。
図10Aを参照すると、典型的な実施形態では、一対の第1の弾性部材1000のうちの第1の弾性部材1000Aのみが示される。
【0089】
したがって、第1の弾性部材1000Aは、下側ベースプレート1002Bと、第1の突出弾性部材1004と、平坦な上側プレート1008と、保持手段1030とを備える。保持手段1030は、上側ベースプレート1002Aと、第2の突出弾性部材1006と、平坦な上側プレート1010とを含む。ベースプレート1002は、第1の突出弾性部材1004及び保持手段1030の第2の突出弾性部材1006を突出させる。第1の突出弾性部材1004は、第1の弾性部材230Aの長いストリップ606と同様である。同様に、第2の突出弾性部材1006は、前述したように、第2の弾性部材240Aの長いストリップ706と同様である。
【0090】
上側ベースプレート1002Aによって形成される保持手段1030は、横方向(Y軸)に沿って直角に第2の突出弾性部材1006を突出させる。上側ベースプレート1002Aと第2の突出弾性部材1006との間には、丸みを帯びた折り曲げ部が形成される。第2の突出弾性部材1006は、中心線に沿って対称な横方向(Y軸)に沿う窪みを有する。第2の突出弾性部材1006は、丸みを帯びた縁部で平坦な上側プレート1010へと直角に終端する。上側ベースプレート1002A及び平坦な上側プレート1010は、平行又は略平行であり、縦方向(X軸)において互いに反対方向を向いている。
【0091】
下側ベースプレート1002Bは、横方向(Y軸)で直角に第1の突出弾性部材1004へと突出する前に、上側ベースプレート1002Aの終端点から2 mm~3 mmなどの小さい距離だけ延在する。第1の突出弾性部材1004と下側ベースプレート1002Bとの間には、丸みを帯びた折り曲げ部が形成される。第1の突出弾性部材1004は、その中心線に沿って対称である横方向(Y軸)に沿う窪みを有する。第1の突出弾性部材1004は、折り曲げ部が丸みを帯びた縁部を有するように平坦な上側プレート1008へと直角に終端する。下側ベースプレート部1002B及び平坦な上側プレート部1008は、平行又は略平行であり、縦方向(X軸方向)において互いに反対方向を向いている。下側ベースプレート1002B、第1の突出弾性部材1004、及び、平坦な上側プレート1008は、1つのZ状構造体を形成する。同様に、上側ベースプレート1002A、第2の突出弾性部材1006、及び、平坦な上側プレート1010は、第2のZ状構造体を形成する。2つのZ状構造体は、互いに独立しており、縦方向(X軸)において、それらの間に数ミリメートル、例えば2mm~4mmの距離を有する。また、平坦な上側プレート1010は、
図10Cに示されるように、平坦な上側プレート1008に対してXY平面と直交する軸(Z軸)での幅が広くなっている。また、平坦な上側プレート1010は、横方向(Y軸方向)で平坦な上側プレート1008よりも1mm~2mm上方にある。
【0092】
第1の弾性部材1000A及び第1の弾性部材1000Bは、形状、大きさ及び構造が同一である。しかしながら、他の変形例において、第1の弾性部材1000A及び第1の弾性部材1000Bは、形状、サイズ、及び構造が互いに異なっていてもよい。第1の弾性部材1000A及び第1の弾性部材1000Bは、弾性金属シートを切断して折り曲げることによって製造される。製造に使用される金属は、ステンレス鋼、ベリリウム銅、又は高い引張強度を有する他の弾性金属を含むことができる。別の実施において、第1の弾性部材1000A及び第1の弾性部材1000Bは、ポリアミド(ナイロン)などの耐久性が高いが弾性のポリマーを3Dプリンタによって成形又は印刷することによって形成される。
【0093】
図10Dは、一対の第1の弾性部材1000を用いた振動アクチュエータの等角図を示す。第1の弾性部材1002Aのベースプレート1002は、溶接又は接着によって突出要素162に取り付けられ、保持手段1030の平坦な上側プレート1010は、溶接又は接着によって第2の移動部分220のU字形構造体420Aに接続され、一方、平坦な上側プレート1008は、溶接又は接着によって第1の移動部分210のフレーム310に接続される。第1の弾性部材1002Bのベースプレート1002は、溶接又は接着によって突出要素164に取り付けられ、保持手段1030の平坦な上側プレート1010は、溶接又は接着によって第2の移動部分220のU字形構造体420Bに接続され、一方、平坦な上側プレート1008は、溶接又は接着によって第1の移動部分210のフレーム310に接続される。
【0094】
図11Aは、異なるタイプの弾性部材を使用する振動アクチュエータ1100の他の実施を示す。この実施において、シャーシ160は、
図11Aに示されるように、構造が長方形である突出要素1130及び突出要素1140を有する。
【0095】
振動アクチュエータ1100は、第1の移動部分210と、第2の移動部分220と、一対の第1の弾性部材1110と、一対の第2の弾性部材、すなわち、第2の弾性部材1120A及び第2の弾性部材1120Bによって形成される保持手段1120とを備える。一対の第1の弾性部材1110は、第1の弾性部材1110Aと、第1の弾性部材1110Bとを備える。第1の移動部分210は、フレーム310及び磁石320を備え、また、第2の移動部分は、第1の移動部分210が第2の移動部分220の中空管状構造体内で自由に移動するように配置されたU字形構造体420及びコイル410を備える。第1の移動部分210及び第2の移動部分220の構成及び形態については、既に説明した通りである。
【0096】
第1の弾性部材1110A及び第1の弾性部材1110Bは、T字形の平坦な金属ストリップである。また、第1の弾性部材1110A及び第1の弾性部材1110Bは、T字形状の長い部分におけるそれらの中心線に沿って対称な横方向(Y軸)に沿う窪みを有する。第2の弾性部材1120A及び第2の弾性部材1120Bは、保持手段1120として作用する平坦な長い金属ストリップである。また、第2の弾性部材1120A及び第2の弾性部材1120Bは、それらの中心線に沿って対称な横方向(Y軸)に沿う窪みを有する。
【0097】
第1の弾性部材1110A、第1の弾性部材1110B、第2の弾性部材1120A、及び、第2の弾性部材1120Bは、弾性金属シートを切断することによって製造される。製造に使用される金属は、ステンレス鋼、ベリリウム銅、又は高い引張強度を有する他の弾性金属を含むことができる。別の実施において、第1の弾性部材1110A、第1の弾性部材1110B、第2の弾性部材1120A、及び、第2の弾性部材1120Bは、ポリアミド(ナイロン)などの耐久性が高いが弾性のポリマーを3Dプリンタによって成形又は印刷することによって形成される。
【0098】
図11Bは、一対の第1の弾性部材1110及び保持手段1120を用いた振動アクチュエータ1100の等角図を示す。T字形の第1の弾性部材1110A及び第1の弾性部材1110Bの幅狭端部は、対角線上の反対側の角で溶接、接着又はリベット留めによって第1の移動部分210のフレーム310に対して取り付けられる。T字形の第1の弾性部材1110Aの幅広端部は、長方形状の突出要素1130に対し、その内側で、すなわち、縦方向(X軸方向)で他の長方形の突出要素1140と対向する側で、取り付けられる。同様に、T字形の第1の弾性部材1110Bの幅広端部は、長方形状の突出要素1130に対し、その内側で、すなわち、縦方向(X軸方向)で他の長方形の突出要素1140と対向する側で、取り付けられる。T字形の第1の弾性部材1110A及び長方形状の突出要素1140、並びに、T字形の第1の弾性部材1110B及び長方形状の突出要素1130は、溶接、接着又はリベット留めによって取り付けられる。
【0099】
U字形構造体420Aの外側突出面1150Aは、横方向(Y軸)にあり、第2の弾性部材1120Aを取り付けるために利用される。同様に、U字形構造体420Bの外側突出面1150Bは、横方向(Y軸)にあり、第2の弾性部材1120Bを取り付けるために利用される。第2の弾性部材1120A及び外側突出面1150A、並びに、第2の弾性部材1120B及び外側突出面1150Bは、溶接、接着、又はリベット留めによって取り付けられる。第2の弾性部材1120A及び第2弾性部材1120Bと外側突出面1150A,1150Bとによって形成される接合部は対角線上で互いに対向している。
【0100】
第2の弾性部材1120Aの反対側の端部は、その外側で、すなわち、シャーシ160の端部に向かう縦方向(X軸)の外側に面する側で、長方形状の突出要素1140に取り付けられる。同様に、第2の弾性部材1120Bの反対側の端部は、長方形状の突出要素1130の外面に取り付けられる。第2の弾性部材1120A及び長方形状の突出要素1140、並びに、第2の弾性部材1120B及び中実の長方形状の突出要素1130は、溶接、接着又はリベット留めによって取り付けられる。
【0101】
図12Aは、一対の第1の弾性部材1110と、一対の第2の弾性部材、すなわち、シャーシ160に取り付けるための穴を有する弾性部材1120A及び弾性部材1120Bによって形成される保持手段1120とを有する振動アクチュエータ1200の他の変形例を示す。一対の第1の弾性部材1110は、弾性部材1110Aと、弾性部材1110Bとを含む。弾性部材1110A及び弾性部材1110Bは互いに同一である。同様に、弾性部材1120A及び弾性部材1120Bは互いに同一である。
【0102】
振動アクチュエータ1200は、第1の移動部分210及び第2の移動部分220、一対の第1の弾性部材1110、及び、一対の第2の弾性部材1120を備える。前述したようにT字形である第1の弾性部材1110A及び第1の弾性部材1110Bは、幅広端部に打ち抜かれた3つの穴1208と、幅狭端部に打ち抜かれた1つの穴1208とを有する。幅広端部は、T接合部に穴1208を有し、互いの側に一方の穴を有する。反対側の幅狭端部は、幅広端部のT接合部上の穴1208と同一直線上にある穴1208を有する。
【0103】
第1の移動部分210のフレーム310には一対のネジ穴1206A,1206Bが設けられる。ネジ穴1206A,1206Bは、一対の第1の弾性部材1110をネジ1202を用いてフレーム310に取り付けることができるように、フレーム310の対角線上の反対側の角に設けられる。
【0104】
この変形例において、シャーシ160と関連付けられる突出要素162及び突出要素164は、押し出された「P」形状を有するとともに、それらの内面にネジ穴1204A,1204Bを有する。ネジ孔1204A及びネジ孔1204Bは、互いに対向しており、縦方向(X軸)において対角線上で対向している。更に、P字形突出要素164の内面は、X-Y平面(Z軸)と直交するネジ穴1204Aの両側に少なくとも2つのプラスチック又は金属の押出成形体1214Aも有する。同様に、P字形突出要素162の内面は、X-Y平面(Z軸)と直交するネジ穴1204Bの両側に少なくとも2つのプラスチック又は金属の押出成形体1214Bを有する。P字形突出要素164の外面、すなわち、シャーシ160の端部に向かって縦方向(X軸)で外側に向く面は、X-Y平面(Z軸)と直交する軸でその外縁部に向かう2つのネジ穴1212Aを有する。同様に、P字形突出要素162の外面は、
図12Aに示されるように、X-Y平面と直交する軸(Z軸)でその外縁部に向かう2つのネジ穴1212Bを有する。
【0105】
先に論じたように、第1の弾性部材1110Aは幅広端部に3つの穴を有する。T接合部の中間穴1208は、ネジ穴1204Aにネジ1202を締結することによって第1の弾性部材1110AをP字形突出要素164の内側に取り付けるために利用される。更に、ネジ穴1204Aの両側の押出成形体1214Aは、第1の弾性部材1110Aの幅広側の2つの外側穴1208と完全に嵌合して、それをP字形突出要素164と固定する。同様に、第1の弾性部材1110Bは、幅広端部に3つの穴を有する。T接合部の中間穴1208は、ネジ穴1204Bにネジ1202を締結することによって第1の弾性部材1110BをP字形突出要素162の内側に取り付けるために利用される。更に、ネジ穴1204Bの両側の押出成形体1214Bは、第1の弾性部材1110Bの幅広側の2つの外側穴1208と完全に嵌合して、それをP字形突出要素162と固定する。
【0106】
前述したように長い金属ストリップである第2の弾性部材1120Aと第2の弾性部材1120Bとによって形成される保持手段1120は、4つの角に打ち抜かれた4つの穴1210を有する。2つの穴1210を有する第2の弾性部材1120Aの一端部は、2つのネジ1202を用いて、U字形構造体420Aの外面のネジ山付き受け穴1222Aに締結される。2つの穴1210を有する第2の弾性部材1120Aの反対側の端部は、2つのネジ1202を用いて、P字形突出要素164の外面のネジ山付き受け穴1212Aに締結される。同様に、2つの穴1210を有する第2の弾性部材1120Bの一端部は、2つのネジ1202を使用して、U字形構造体420Bの外面のネジ山付き受け穴1222Bに締結される。2つの穴1210を有する第2の弾性部材1120Bの反対側の端部は、2つのネジ1202を用いて、P字形突出要素162の外面の2つのネジ山付き受け穴1212Bに締結される。最終的に、組み立てられた振動アクチュエータ1200が製造される。
【0107】
図12Bは、本発明のこの実施された変形例における、打ち抜き穴を伴う第1の弾性部材1110及び打ち抜き穴を伴う保持手段1120を取り付けるためのネジ1202を使用して組み立てられた振動アクチュエータ1200の等角図を示す。
【0108】
図13A及び
図13Bは、第2の移動部分220に対する第1の移動部分210の配置を示す。コイル410が交流電流によって励磁されると、交流電流は磁石320の永久磁場と相互作用して、ローレンツ力の原理に従って2つの対抗する力を生成する。最初に、静止時に、2つの対抗する力は、第1の移動部分210及び第2の移動部分220を反対方向に移動させる。コイル410内で交流電流が反転されると、交流電流は磁石320の永久磁場と相互作用して、逆方向の2つの対抗する力を生成する。第1の移動部分210は、一対の第1の弾性部材230によって制約され、弾性に起因する反跳を生じさせる。一対の第1の弾性部材230に蓄えられた反跳エネルギーが解放されると、それによって、第1の移動部分210の移動が補助され、その結果、振動動作が生じる。同様に、第2の移動部分220は、一対の第2の弾性部材(第2の弾性部材240A及び第2の弾性部材240B)により形成される保持手段240によって制約され、弾性による反跳を生じる。保持手段240に蓄積された反跳エネルギーが解放されると、それにより、第2の移動部分220の移動が補助され、その結果、振動動作も生じる。
【0109】
第1の移動部分210の振動周波数は、少なくとも、フレーム310の質量と、磁石320の質量と、一対の第1の弾性部材230の弾性定数とに依存する。同様に、第2の移動部分220の振動周波数は、少なくとも、U字形構造体420の質量、コイル410の質量、及び、保持手段240の弾性定数に依存する。最後に、第1の移動部分210は、共振周波数FIで縦方向(X軸)に直線状の振動動作をもたらし、第2の移動部分220は、共振周波数F2で縦方向(X軸)に直線状の振動動作をもたらす。第1の共振周波数FI及び第2の共振周波数F2は異なっており離れている。例えば、第1の共振周波数FIを40Hzとすることができ、第2の共振周波数F2を75Hzとすることができる。
【0110】
図14Aは、その中央平面における横方向(Y軸)に沿う振動アクチュエータの断面図を示し、
図14Bは、その中央平面における縦方向(X軸)に沿う振動アクチュエータの断面図を示す。
【0111】
同様の極同士が対向する状態でフレーム310の内部に埋め込まれた磁石320によって指向性の磁界が発生される。磁場は、磁石320のN極が互いに対向する磁石320の交差部において、磁石320から径方向外側(例えば、横方向(Y軸)外側)に流れ、コイル410を横切る。更に、磁場は、磁石320のS極が互いに対向する磁石320の交差部において、内側(例えば横方向(Y軸)内側)に流れ、コイル410を横切り、磁石320に入る。誘導磁場の存在下で交流電流を流すことによってコイル410が励磁されると、ローレンツ力の原理に従って第2の移動部分220に力が生成され、したがって、第1の移動部分210が反対方向の力を受ける。また、2つのコイル410が逆向きに巻回されるため、コイル410に電流が流れると、第2の移動部分220が一方向に一方的に力を受ける。交流電流が反転すると、第2の移動部分220が逆方向の力を受ける。この現象は、第2の移動部分220に振動動作を生じさせる。同様に、第1の移動部分210も、第1の振動動作とは独立した第2の振動動作を生成するローレンツ力の原理に従った力を受ける。第1の移動部分210の動きは、第2の移動部分220に対するものであり、同じ方向又は反対方向とすることができる。
【0112】
2つの異なる振動周波数を有する振動アクチュエータが開示される。振動アクチュエータ100は、少なくとも3つの磁石320を含む第1の移動部分210を備える。3つの磁石320は、同様の極性が互いに対向する状態で配置される。また、振動アクチュエータは、少なくとも2つのコイル410を含む第2の移動部分220を含む。コイル410は、磁石320の磁場がコイル410を垂直に横切るように、磁石320上にわたって巻回される。一対の第1の弾性部材(230;800;900;1000;1120)は、一端部が第1の移動部分210に取り付けられ、他端部がシャーシ160に取り付けられる。保持手段(240;830;930;1030;1120)は、保持手段(240;830;930;1030;1120)が一対の弾性部材(240;1120)である又は第1の弾性部材(800;900;1000)の一部を形成するように第2の移動部分220をシャーシ160に接続する。1つの実施において、保持手段は一対の弾性部材(240;1120)であり、例えば、保持手段は第2の弾性部材(240A;1120A)及び第2の弾性部材(240B;1120B)である。代わりの実施において、保持手段1030は、それぞれの第1の弾性部材(1000A、1000B)が少なくとも1つの保持手段1000を有するように一対の第1の弾性部材1030の一部を形成する。例えば、保持手段1030は、第1の弾性部材1004A及び第1の弾性部材1000Bの第1の突出弾性部材1000の前方に位置される。更に他の代わりの実施において、保持手段(830;930)は、それぞれの第1の弾性部材(800;900)が2つ以上の保持手段(800A,800B;900A,900B)を有するように一対の第1の弾性部材(830;930)の一部を形成する。一例において、保持手段830は、第1の弾性部材800A又は第1の弾性部材800Bの中間ストリップ806の両側に位置される。他の例において、保持手段930は、第1の弾性部材900A又は第1の弾性部材900Bの中間ストリップ908の両側に位置される。保持手段(240;830;930;1030;1120)を製造するためにプラスチック、ゴム、又は他の弾性材料を使用するなど、他の実施及び変形も想定し得る。
【0113】
保持手段240は、一端部がシャーシ160に取り付けられ、他端部が第2の移動部分220に取り付けられる。一変形例において、保持手段830は、一端部がシャーシ160に取り付けられ、他端部が第2の移動部分220に取り付けられる。この実施の他の変形例において、保持手段930は、一端部が第2の移動部分220に取り付けられ、他端部がシャーシ160に取り付けられる。更に他の変形例において、保持手段1030は、一端部がシャーシ160に取り付けられ、他端部が第2の移動部分220に取り付けられる。
【0114】
一実施態様では、振動アクチュエータが一対の第1の弾性部材800を含む。第1の弾性部材800A及び第1の弾性部材800Bは、保持手段830を有するベースプレート802から形成される。保持手段830は、外側ストリップ804A及び外側ストリップ804Bを備える。外側ストリップ804A及び外側ストリップ804Bは、外面(812A及び812B)に横方向の窪みを有し、ベースプレート802から等しい距離で直角に突出して、上側プレート808A及び上側プレート808Bへと終端する。上側プレート808A,808Bは、第2の移動部分220のための取り付け手段として利用される。保持手段830は、第2の移動部分220の自由な懸架を可能にする。
【0115】
他の実施において、振動アクチュエータは、一対の第1の弾性部材900を含む。第1の弾性部材900A及び第1の弾性部材900Bは、上側プレート910を含む保持手段930を備え、上側プレート910は、丸みを帯びた縁部920を有する少なくとも2つの直交する独立して突出する平坦なストリップ906A,906Bを有する。外側の2つの突出する平坦なストリップ906A,906Bはベースプレート902A,902Bへと終端し、ベースプレート902A,902Bは、上側プレート910と平行であり、上側プレート910に対して反対方向に突出する保持手段930は、一端部がベースプレート902A,902Bとともにシャーシ160に取り付けられ、他端部が第2の移動部分220に取り付けられる。保持手段930は、第2の移動部分220の自由な懸架を可能にする。
【0116】
一実施形態では、振動アクチュエータが保持手段(240;830;930;1030;1120)を有し、保持手段は、重ね合わされた導電経路によってコイル(410)に電流を伝える装備を有する。本発明の他の実施において、保持手段(240;830;930;1030;1120)上の重ね合わされた導電経路は、フレキシブルプリント回路である又はコイル(410)に電流を供給するための配線である。配線は、一対の弾性部材(230;800;900;1000,1110)から絶縁され得る。
【0117】
更に他の実施において、保持手段(240;830;930;1030;1120)は、それ自体が、コイル410に電流を供給するための導電経路として作用し得る。
【0118】
本発明の一実施態様では、一対の第1の弾性部材(230;800;900;1000,1110)が穿孔される。
【0119】
本発明の他の実施では、保持手段(240;830;930;1030;1120)が穿孔される。
【0120】
更に他の実施では、第1の弾性部材(230;800;900;1000,1110)及び保持手段(240;830;930;1030;1120)の両方が穿孔される。
【0121】
本明細書に記載の振動アクチュエータは、単なる例示である。本明細書で提供される他の構成及び変形は非限定的であり、任意の修正がこの発明の範囲内に十分に含まれる。振動アクチュエータの機能及び使用は、例示を目的としており、決して限定することを意図するものではない。更に、振動アクチュエータの異なる構成要素は、更なる機能を与えるように適切に変更することができる。
【国際調査報告】