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特表2023-520104IN-SITUでのPT固定によるアンモニアスリップ触媒
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-16
(54)【発明の名称】IN-SITUでのPT固定によるアンモニアスリップ触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 35/04 20060101AFI20230509BHJP
   B01J 35/10 20060101ALI20230509BHJP
   B01J 29/80 20060101ALI20230509BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20230509BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20230509BHJP
   B01D 53/90 20060101ALI20230509BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
B01J35/04 301L
B01J35/10 301J
B01J35/10 301F
B01J29/80 A ZAB
B01D53/86 228
B01D53/86 222
B01D53/94 222
B01D53/94 400
B01D53/90
B01D53/94 228
F01N3/10 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022539755
(86)(22)【出願日】2021-03-25
(85)【翻訳文提出日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 US2021070314
(87)【国際公開番号】W WO2021203121
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】63/002,577
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】フェデイコ、ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】バイダル、ヤニック
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ハイイン
(72)【発明者】
【氏名】ハリス、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ルー、チン
(72)【発明者】
【氏名】グリーンハム、ニール
【テーマコード(参考)】
3G091
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
3G091AA12
3G091AA18
3G091AB04
3G091BA01
3G091BA14
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4G169ZF05B
4G169ZF07A
4G169ZF07B
(57)【要約】

本発明は、入口及び出口を有する基材と;(1)担体上の白金と(2)Cu及びMn交換モレキュラーシーブを含む第1のSCR触媒とのブレンドを含む第1のコーティングと;第2のSCR触媒を含む第2のコーティングと;を含み、担体は、ゼオライト又はSiO-Al混合酸化物のうちの少なくとも1つを含む。白金は、溶液中で担体上に固定されてもよい。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒物品であって、
入口及び出口を有する基材と
(1)担体上の白金と(2)第1のSCR触媒とのブレンドを含む第1のコーティングと、
第2のSCR触媒を含む第2のコーティングと、を含み、
前記担体は、モレキュラーシーブ又はSiO-Al混合酸化物のうちの少なくとも1つを含み、
前記第1のSCR触媒は、Cu及びMn交換モレキュラーシーブを含む、触媒物品。
【請求項2】
前記第1のSCR触媒モレキュラーシーブが、小細孔モレキュラーシーブを含む、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項3】
前記第1のSCR触媒モレキュラーシーブが、AEI、CHA、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項4】
前記第1のSCR触媒モレキュラーシーブが、Cu及びMn以外のいかなる遷移金属も本質的に含まない、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項5】
前記第1のSCR触媒モレキュラーシーブが、前記Cu及びMn交換モレキュラーシーブの約0.10~約10重量%の合計量でCu及びMnを含む、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項6】
前記第1のSCR触媒モレキュラーシーブが、前記Cu及びMn交換モレキュラーシーブの約0.05~約5重量%の量でCuを含む、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項7】
前記第1のSCR触媒モレキュラーシーブが、前記Cu及びMn交換モレキュラーシーブの約0.05~約5重量%の量でMnを含む、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項8】
前記第1のSCR触媒モレキュラーシーブが、約0.1~約50の重量比でCu及びMnを含む、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項9】
前記白金が、溶液中の前記担体上に固定されている、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項10】
前記担体が、SiO-Al混合酸化物を含む、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項11】
SiOが、前記混合酸化物の1重量%~約70重量%の量で存在する、請求項10に記載の触媒物品。
【請求項12】
前記担体がモレキュラーシーブを含む、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項13】
前記モレキュラーシーブが、少なくとも50m/gの外部表面積を含む、請求項12に記載の触媒物品。
【請求項14】
前記モレキュラーシーブが、CHA、LEV、AEI、AFX、ERI、SFW、KFI、DDR、ITE、BEA、MFI、及びFERからなる骨格型の群から選択される、請求項12に記載の触媒物品。
【請求項15】
前記白金が、前記ブレンド中の白金の前記担体の重量+白金の重量+前記第1のSCR触媒の重量に対して、0.01~0.3重量%の量で存在する、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項16】
前記第1のSCR触媒の前記担体上の白金に対する重量比が、これらの成分の重量に基づき0:1~300:1の範囲内である、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項17】
前記ブレンドが、パラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag)、ルテニウム(Ru)、又はロジウム(Rh)のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項18】
前記第2のSCR触媒が、CHA、LEV、AEI、AFX、ERI、SFW、KFI、DDR、及びITEからなる骨格型の群から選択される小細孔モレキュラーシーブを含む、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項19】
前記第2のSCR触媒が、促進Ce-Zr又は促進MnOを含む、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項20】
請求項1に記載の触媒物品と、前記触媒物品の上流に還元剤を導入するための手段と、を含む、排気システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ディーゼルエンジン、固定ガスタービン、及び他のシステムにおける炭化水素燃焼により、NO(一酸化窒素)及びNO(二酸化窒素)を含む窒素酸化物(NOx)を除去するために処理する必要のある排気ガスが生成される(形成されるNOxの大部分がNOである)。NOxは、人々に多くの健康問題を引き起こすだけでなく、スモッグや酸性雨の形成などの多くの有害な環境影響を引き起こすことが知られている。排気ガス中のNOによる人と環境の両方の影響を軽減するために、好ましくは他の有害物質又は有毒物質を生成しないプロセスによって、これらの望ましくない成分を除去することが望ましい。
【0002】
リーンバーンエンジン及びディーゼルエンジンで生成される排気ガスは、概して酸化性である。NOxを単体窒素(N)及び水に変換する選択的触媒還元(SCR)として知られるプロセスにおいて、触媒及び還元剤を用いてNOxを選択的に還元する必要がある。SCRプロセスでは、ガス状還元剤、通常、無水アンモニア、アンモニア水溶液又は尿素を排気ガス流に添加した後、排気ガスを触媒に接触させる。還元剤は触媒上に吸収され、NOは、ガスが触媒された基材の中又はその上を通過する際に還元される。NOxの変換を最大化するためには、多くの場合、化学量論量を超えるアンモニアをガス流に加える必要がある。しかし、大気中に過剰なアンモニアを放出すると、人々の健康及び環境に有害である。更に、アンモニアは、とりわけその水性形態で苛性である。排気触媒下流の排気ラインの領域におけるアンモニアと水との凝縮により、排気システムに損傷を与えるおそれのある腐食性混合物が生じ得る。したがって、排気ガス中のアンモニアの放出を無くす必要がある。従来の排気システムの多くにおいて、アンモニア酸化触媒(アンモニアスリップ触媒又は「ASC」としても知られる)が、SCR触媒の下流に設けられており、アンモニアを窒素に変換することによって排気ガスからアンモニアを除去する。アンモニアスリップ触媒を使用することにより、典型的なディーゼル動作サイクルにわたって90%を超えるNO変換率を可能にすることができる。
【0003】
SCRによるNOx除去、及び窒素への選択的アンモニア変換の両方を提供する触媒を有することが望ましく、アンモニア変換は、車両の動作サイクルにおいて広範囲の温度にわたって起こり、最小の窒素酸化物及び亜酸化窒素の副生成物が形成される。
【発明の概要】
【0004】
本発明のいくつかの実施形態によれば、触媒物品は、入口及び出口を有する基材と;(1)担体上の白金と(2)Cu及びMn交換モレキュラーシーブを含む第1のSCR触媒とのブレンドを含む第1のコーティングと;第2のSCR触媒を含む第2のコーティングと;を含んでもよく、担体は、モレキュラーシーブ又はSiO-Al混合酸化物のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、白金は溶液中の担体上に固定される。
【0005】
いくつかの態様では、第1のSCR触媒モレキュラーシーブは、AEI、CHA、又はそれらの組み合わせなどの小細孔モレキュラーシーブを含む。いくつかの態様では、第1のSCR触媒モレキュラーシーブは、Cu及びMn以外のいかなる遷移金属も本質的に含まない。いくつかの態様では、第1のSCR触媒モレキュラーシーブは、約1重量%未満の量で追加の遷移金属を含有する。いくつかの態様では、第1のSCR触媒モレキュラーシーブは、Cu及びMn交換モレキュラーシーブの約0.10~約10重量%の合計量でCu及びMnを含む。第1のSCR触媒モレキュラーシーブは、Cu及びMn交換モレキュラーシーブの約0.05~約5重量%の量でCuを含んでよい。第1のSCR触媒モレキュラーシーブは、Cu及びMn交換モレキュラーシーブの約0.05~約5重量%の量でMnを含んでもよい。いくつかの態様では、第1のSCR触媒モレキュラーシーブは、約0.1~約50の重量比でCu及びMnを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、担体は、SiO-Al混合酸化物を含む。いくつかの実施形態では、SiOは、混合酸化物の1重量%~約70重量%、又は約40重量%~約70重量%の量で存在する。
【0007】
いくつかの実施形態では、担体はモレキュラーシーブを含む。好適なモレキュラーシーブは、少なくとも50m/g、少なくとも70m/g、又は少なくとも100m/gの外部表面積を有し得る。いくつかの実施形態では、好適なモレキュラーシーブは、約1μm未満、約0.5μm未満、又は約0.3μm未満の平均結晶サイズを有する。いくつかの実施形態では、好適なモレキュラーシーブは、100超、300超、又は1000超のシリカ対アルミナ比を有するゼオライトを含む。特定の実施形態では、モレキュラーシーブは、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG、ZON、BEA、MFI、及びFER、並びにこれらの混合物及び/又はインターグロースからなる骨格型の群から選択される。いくつかの実施形態では、モレキュラーシーブは、CHA、LEV、AEI、AFX、ERI、SFW、KFI、DDR、ITE、BEA、MFI、及びFERからなる骨格型の群から選択される。
【0008】
いくつかの実施形態では、第2のコーティングは、第1のコーティングと完全に重なり合っている。いくつかの実施形態では、第2のコーティングは、第1のコーティングと部分的に重なり合っている。いくつかの実施形態では、第2のコーティングは、入口端部から出口端部に向かって延び、基材の全長未満を被覆する。いくつかの実施形態では、第1のコーティングは、出口端部から入口端部に向かって延び、基材の全長未満を被覆する。いくつかの実施形態では、第2のSCR触媒は、担体上の白金と第1のSCR触媒とのブレンドを含むコーティングの入口側に位置する。いくつかの実施形態では、第2のSCR触媒は、担体上の白金と第1のSCR触媒とのブレンドを含むコーティングの出口側に位置する。
【0009】
いくつかの実施形態では、白金は、ブレンド中の白金の担体の重量+白金の重量+第1のSCR触媒の重量に対して、(a)0.01~0.3重量%(両端を含む)、(b)0.03~0.2重量%(両端を含む)、(c)0.05~0.17重量%(両端を含む)、及び(d)0.07~0.15重量%(両端を含む)のうちの少なくとも1つの量で存在する。第1のSCR触媒と担体上の白金との重量比は、これらの成分の重量を基準として、(a)0:1~300:1(両端を含む)、(b)3:1~300:1(両端を含む)、(c)7:1~100:1(両端を含む)、及び(d)10:1~50:1(両端を含む)のうちの少なくとも1つの範囲であってもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、ブレンドは、パラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag)、ルテニウム(Ru)、又はロジウム(Rh)のうちの少なくとも1つを更に含む。
【0011】
特定の実施形態では、第2のSCR触媒は、卑金属、卑金属の酸化物、モレキュラーシーブ、金属交換モレキュラーシーブ、混合酸化物、又はこれらの混合物である。卑金属は、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)及びタングステン(W)、クロム(Cr)、セリウム(Ce)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、及び銅(Cu)、並びにこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。このような第2のSCR触媒は、少なくとも1つの卑金属促進剤を更に含んでもよい。
【0012】
第2のSCR触媒がモレキュラーシーブ又は金属交換モレキュラーシーブである場合、モレキュラーシーブ又は金属交換モレキュラーシーブは、小細孔、中細孔、大細孔、又はこれらの混合物であってもよい。いくつかの実施形態では、第2のSCR触媒は、アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブ、金属置換アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブ、アルミノリン酸塩(AlPO)モレキュラーシーブ、金属置換アルミノリン酸塩(MeAlPO)モレキュラーシーブ、シリコアルミノリン酸塩(SAPO)モレキュラーシーブ、及び金属置換シリコアルミノリン酸塩(MeAPSO)モレキュラーシーブ、並びにこれらの混合物からなる群から選択されるモレキュラーシーブを含む。いくつかの実施形態では、第2のSCR触媒は、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG、及びZON、並びにこれらの混合物及び/又はインターグロースからなる骨格型の群から選択される小細孔モレキュラーシーブを含む。いくつかの実施形態では、第2のSCR触媒は、CHA、LEV、AEI、AFX、ERI、SFW、KFI、DDR、及びITEからなる骨格型の群から選択される小細孔モレキュラーシーブを含む。いくつかの実施形態では、第2のSCR触媒は、AEL、AFO、AHT、BOF、BOZ、CGF、CGS、CHI、DAC、EUO、FER、HEU、IMF、ITH、ITR、JRY、JSR、JST、LAU、LOV、MEL、MFI、MFS、MRE、MTT、MVY、MWW、NAB、NAT、NES、OBW、-PAR、PCR、PON、PUN、RRO、RSN、SFF、SFG、STF、STI、STT、STW、SVR、SZR、TER、TON、TUN、UOS、VSV、WEI、及びWEN、並びにこれらの混合物及び/又はインターグロースからなる骨格型の群から選択される中細孔モレキュラーシーブを含む。いくつかの実施形態では、第2のSCR触媒は、AFI、AFR、AFS、AFY、ASV、ATO、ATS、BEA、BEC、BOG、BPH、BSV、CAN、CON、CZP、DFO、EMT、EON、EZT、FAU、GME、GON、IFR、ISV、ITG、IWR、IWS、IWV、IWW、JSR、LTF、LTL、MAZ、MEI、MOR、MOZ、MSE、MTW、NPO、OFF、OKO、OSI、RON、RWY、SAF、SAO、SBE、SBS、SBT、SEW、SFE、SFO、SFS、SFV、SOF、SOS、STO、SSF、SSY、USI、UWY、及びVET、並びにこれらの混合物及び/又はインターグロースからなる骨格型の群から選択される大細孔モレキュラーシーブを含む。特定の実施形態では、第2のSCR触媒は、促進Ce-Zr又は促進MnOを含む。
【0013】
好適な基材としては、コーディエライト、高多孔性コーディエライト、金属基材、押出SCR、フィルタ、又はSCRFを挙げることができる。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態によれば、排気システムは、本明細書に記載の触媒物品と、触媒物品の上流に還元剤を導入するための手段と、を含む。排気システムは、≦100%のNOx変換を提供する第3のSCR触媒を更に含んでもよく、第3のSCR触媒は、CuゼオライトSCR触媒であり、本明細書に記載の触媒物品の上流に排気ガス流が配置されている。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態によれば、約300℃以下の温度で排気ガスのNH変換を改善する方法は、アンモニアを含む排気ガスを、本明細書に記載の触媒物品と接触させることを含む。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態によれば、約300℃以下の温度で排気ガスのNH変換を改善する方法は、アンモニアを含む排気ガスを、本明細書に記載の触媒物品と接触させることを含み、この触媒物品は、溶液中の担体に固定された白金を有する。いくつかの実施形態では、NH変換は、白金を担体上に事前に固定している比較可能な配合物を含む触媒と比較して、約30%~約100%大きい。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態によれば、アンモニア及びNOxを含む排気ガスを処理する方法は、アンモニアを含む排気ガスを、本明細書に記載の触媒物品と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、排気ガス中のアンモニアのNOxに対する重量比は、システムの動作時間の少なくとも一部に対して>1.0である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図8は、(1)担体上の白金と(2)第1のSCR触媒とのブレンドを含む、触媒の構成の概略図である。(1)担体上の白金と(2)第1のSCR触媒とのブレンドを含む触媒の部分は、これらの図において「ブレンド」と呼ぶ。
図1】第2のSCR触媒が、ブレンドの上の排気ガス流内に位置決めされ、第2のSCRがブレンド全体を被覆する構成を示す。
図2】第2のSCR触媒が、ブレンドの前の排気ガス流内に位置決めされ、第2のSCRがブレンド全体を被覆している構成を示す。
図3】第2のSCR触媒が、ブレンドの前の排気ガス流内に位置決めされ、第2のSCRがブレンド全体ではなく一部を被覆している構成を示す。
図4】第2のSCR触媒が、ブレンドの前の排気ガス流内に位置決めされ、ブレンドを被覆していない構成を示す。
図5】第2のSCR触媒が、ブレンド全体を被覆し、第2のSCRの一部が、ブレンドの後の排気ガス流内に位置決めされている構成を示す。
図6】第2のSCR触媒が、ブレンド全体ではなく、一部を被覆し、第2のSCRの一部が、ブレンドの後の排気ガス流内に位置決めされている構成を示す。
図7】第3のSCR触媒が、基材上の底層であり、第2の層がブレンドを含み、第3のSCR触媒を部分的に被覆し、第3の層が第2のSCR触媒を含み、ブレンド層の上に位置決めされ、ブレンド層の全てを被覆している構成を示す。
図8】第3のSCR触媒が、基材上の底層であり、第2の層が、ブレンドを含み、完全ではないが部分的に第3のSCR触媒を被覆し、第3の層が、第2のSCR触媒を含み、ブレンド層の上に位置決めされ、完全にではないが部分的にブレンド層を被覆している構成を示す。
図9】様々なASCが1000ppmNHの1分間のパルスにさらされたときのNHスリップ、NO形成、及びNOx形成を示す。
図10】様々なASCの一過性NH酸化性能を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の触媒は、より低い温度で改善されたNH変換を提供することができ、より費用効果的に調製することができるアンモニアスリップ触媒に関する。本発明の実施形態の触媒物品は、(1)担体上の白金と(2)Cu及びMn交換モレキュラーシーブを含む第1のSCR触媒とのブレンドを有する第1のコーティングを有する基材を含み、担体は、ゼオライト及び/又はSiO-Al混合酸化物を含む。触媒物品はまた、SCR触媒を含む第2のコーティングを含む。いくつかの実施形態では、白金は、溶液中で、すなわちin-situで担体上に固定される。触媒及び特定の構成は、以下で更に詳細に記載される。
【0020】
担体上の白金/アンモニア酸化触媒
本発明の実施形態は、本明細書に記載される触媒物品中のアンモニア酸化触媒として含まれ得る担体上の白金を含む。好ましくは、担体は、ゼオライト及び/又はSiO-Al混合酸化物を含む。いくつかの実施形態では、白金は、溶液中で、すなわちin-situでPtを固定することによって担体上に固定されてもよい。
【0021】
本発明の触媒物品は、担体上に白金を含み、担体はゼオライト及び/又はSiO-Al混合酸化物を含む。いくつかの実施形態では、白金は、白金及び担体の総重量の約0.5重量%~約10重量%、白金及び担体の総重量の約1重量%~約6重量%、白金及び担体の総重量の約1.5重量%~約4重量%、白金及び担体の総重量の約10重量%、白金及び担体の総重量の約0.5重量%、白金及び担体の総重量の約1重量%、白金及び担体の総重量の約2重量%、白金及び担体の総重量の約3重量%、白金及び担体の総重量の約4重量%、白金及び担体の総重量の約5重量%、白金及び担体の総重量の約6重量%、白金及び担体の総重量の約7重量%、白金及び担体の総重量の約8重量%、白金及び担体の総重量の約9重量%、又は白金及び担体の総重量の約10重量%の量で、担体上に存在する。
【0022】
白金がSiO-Al混合酸化物上に担持されている実施形態では、SiOは、混合酸化物の約1重量%~約80重量%、混合酸化物の約1重量%~約75重量%、混合酸化物の約1重量%~約70重量%、混合酸化物の約5重量%~約70重量%、混合酸化物の約10重量%~約70重量%、混合酸化物の約20重量%~約70重量%、混合酸化物の約30重量%~約70重量%、混合酸化物の約40重量%~約70重量%、混合酸化物の約50重量%~約60重量%、混合酸化物の約1重量%、混合酸化物の約5重量%、混合酸化物の約10重量%、混合酸化物の約20重量%、混合酸化物の約30重量%、混合酸化物の約40重量%、混合酸化物の約50重量%、混合酸化物の約60重量%、混合酸化物の約70重量%、混合酸化物の約75重量%、又は、混合酸化物の約80重量%の量で存在し得る。
【0023】
白金がゼオライト上に担持されている実施形態では、好適なゼオライトは、少なくとも約30m/g、少なくとも約40m/g、少なくとも約50m/g、少なくとも約60m/g、少なくとも約70m/g、少なくとも約80m/g、少なくとも約90m/g、又は、少なくとも約100m/gの外部表面積を有し得る。いくつかの実施形態では、好適なゼオライトは、約2μm以下約1.5μm以下、約1μm以下、約0.5μm以下、約0.3μm以下、約2μm未満、約1.5μm未満、約1μm未満、約0.5μm未満、約0.3μm未満、約0.1μm~約2μm、約0.3μm~約1.5μm、又は約0.5μm~約1μmの平均結晶サイズを有し得る。特に、粒径は、粒子が多くのより小さな結晶の凝集体からなり得るため、ゼオライト結晶サイズとは著しく異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、好適なゼオライトは、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも600、少なくとも750、少なくとも800、又は、少なくとも1000であるシリカ対アルミナ比を有する。ゼオライトは、以下のSCR触媒の項において更に詳細に記載される。いくつかの実施形態では、白金を担持するのに好適なゼオライトは、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG、ZON、BEA、MFI、及びFER、並びにこれらの混合物及び/又はインターグロースからなる骨格型の群から選択される。いくつかの実施形態では、白金を選択するための好適なゼオライトは、CHA、LEV、AEI、AFX、ERI、SFW、KFI、DDR、ITE、BEA、MFI、及びFERからなる骨格型の群から選択される。
【0024】
本発明の触媒物品は、アンモニアスリップ触媒(「ASC」)とも呼ばれる1つ以上のアンモニア酸化触媒を含み得る。好ましいアンモニア酸化触媒は、上述のように、担体上に白金を含むが、本発明の実施形態では、他の又は追加のアンモニア酸化触媒が含まれてもよい。1つ以上のアンモニア酸化触媒は、SCR触媒と共に、又はSCR触媒の下流に含まれて、過剰なアンモニアを酸化し、それが大気に放出されるのを防ぐことができる。いくつかの実施形態では、アンモニア酸化触媒は、SCR触媒と同じ基材上に含まれてもよく、又はSCR触媒とブレンドされてもよい。特定の実施形態では、アンモニア酸化触媒材料は、NO又はNOを形成する代わりにアンモニアの酸化を促進するように選択及び配合されてもよい。概して好ましい触媒材料としては、白金、パラジウム、又はこれらの組み合わせが挙げられる。アンモニア酸化触媒は、金属酸化物上に担持された白金及び/又はパラジウムを含み得る。いくつかの実施形態では、触媒は、アルミナを含むがこれに限定されない、高表面積担体上に配置されている。
【0025】
いくつかの実施形態では、アンモニア酸化触媒は、ケイ質担体上に白金族金属を含む。ケイ質材料は、材料として例えば、(1)シリカ、(2)少なくとも200のシリカ対アルミナ比を有するゼオライト、及び(3)40%以上のSiO含有量で非晶質シリカドープアルミナ、を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ケイ質材料は、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも600、少なくとも750、少なくとも800、又は、少なくとも1000であるシリカ対アルミナ比を有する、ゼオライトなどの材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、白金族金属は、白金族金属及び担体の総重量の約0.5重量%~約10重量%、白金族金属及び担体の総重量の約1重量%~約6重量%、白金族金属及び担体の総重量の約1.5重量%~約4重量%、白金族金属及び担体の総重量の約10重量%、白金族金属及び担体の総重量の約0.5重量%、白金族金属及び担体の総重量の約1重量%、白金族金属及び担体の総重量の約2重量%、白金族金属及び担体の総重量の約3重量%、白金族金属及び担体の総重量の約4重量%、白金族金属及び担体の総重量の約5重量%、白金族金属及び担体の総重量の約6重量%、白金族金属及び担体の総重量の約7重量%、白金族金属及び担体の総重量の約8重量%、白金族金属及び担体の総重量の約9重量%、又は白金族金属及び担体の総重量の約10重量%の量で、担体上に存在する。
【0026】
いくつかの実施形態では、ケイ質担体は、BEA、CDO、CON、FAU、MEL、MFI、又はMWWの骨格型を有する、モレキュラーシーブを含んでもよい。
【0027】
SCR触媒
本発明のシステムは、1つ以上のSCR触媒を含んでもよい。いくつかの実施形態では、触媒物品は、第1のSCR触媒及び第2のSCR触媒を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のSCR触媒及び第2のSCR触媒は、互いに同じ配合物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のSCR触媒及び第2のSCR触媒は、互いに異なる配合物を含んでもよい。いくつかの態様では、第1のSCR触媒は、以下に更に詳細に記載されるように、Cu及びMn交換モレキュラーシーブを含む。
【0028】
いくつかの態様では、触媒物品は、担持白金とブレンドされたSCR触媒を含み得る。いくつかの態様では、触媒物品は、担持白金とブレンドされたSCR触媒を含み得、SCR触媒は、Cu及びMn交換モレキュラーシーブを含む。いくつかの態様では、ブレンドに加えて、触媒物品はまた、SCR触媒を含む第2のコーティングを含み得る。
【0029】
選択的触媒還元組成物は、金属酸化物系SCR触媒配合物、卑金属系SCR触媒配合物、モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物、金属交換モレキュラーシーブ、又はこれらの混合物を含んでもよく、又はこれから本質的になってもよい。このようなSCR触媒配合物は、当該技術分野において既知である。典型的な組成物は、一般に、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,010,238号及び同第4,085,193号に記載されている。
【0030】
選択的触媒還元組成物は、金属酸化物系SCR触媒配合物を含んでもよく、又はこれから本質的になってもよい。金属酸化物系SCR触媒配合物は、耐火性酸化物上に担持されたバナジウム若しくはタングステン又はこれらの混合物を含む。耐火性酸化物は、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリア、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0031】
金属酸化物系SCR触媒配合物は、チタニア(例えば、TiO)、セリア(例えば、CeO)、並びにセリウム及びジルコニウムの混合酸化物又は複合酸化物(例えば、CeZr(1-x)、式中、x=0.1~0.9、好ましくはx=0.2~0.5)からなる群から選択される耐火性酸化物上に担持された、バナジウムの酸化物(例えば、V)及び/又はタングステンの酸化物(例えば、WO)を含んでもよく、又はこれから本質的になってもよい。
【0032】
耐火性酸化物がチタニア(例えば、TiO)である場合、好ましくは、バナジウムの酸化物の濃度は、(例えば、金属酸化物系SCR配合物の)0.5~6重量%であり、及び/又はタングステンの酸化物(例えば、WO)の濃度は5~20重量%である。より好ましくは、バナジウムの酸化物(例えば、V)及びタングステンの酸化物(例えば、WO)は、チタニア(例えば、TiO)上に担持される。これらの触媒は、結合剤及び促進剤として作用するSiO及びZrOなどの他の無機材料を含有してもよい。
【0033】
耐火性酸化物がセリア(例えばCeO)である場合、好ましくは、バナジウムの酸化物の濃度は、(例えば、金属酸化物系SCR配合物の)0.1~9重量%であり、及び/又はタングステンの酸化物(例えば、WO)の濃度は0.1~9重量%である。
【0034】
金属酸化物系SCR触媒配合物は、チタニア(例えば、TiO)上に担持された、バナジウムの酸化物(例えば、V)、及び所望によりタングステンの酸化物(例えば、WO)を含んでもよく、又はこれから本質的になってもよい。
【0035】
選択的触媒還元組成物は、卑金属系SCR触媒配合物を含んでもよく、又はこれから本質的になってもよい。好適な卑金属としては、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)及びタングステン(W)、クロム(Cr)、セリウム(Ce)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、及び銅(Cu)、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0036】
SCR触媒が卑金属又は混合卑金属酸化物である場合、触媒物品は、少なくとも1つの卑金属促進剤を更に含むことができる。本明細書で使用するとき、「促進剤」は、触媒中に添加されると、触媒の活性を高める物質を意味すると理解される。卑金属促進剤は、金属、金属の酸化物、又はそれらの混合物の形態となり得る。少なくとも1種の卑金属触媒促進剤は、ネオジム(Nd)、バリウム(Ba)、セリウム(Ce)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、タンタル(Ta)、ストロンチウム(Sr)、及びこれらの酸化物から選択されてもよい。少なくとも1種の卑金属触媒促進剤は、好ましくは、MnO、Mn、Fe、SnO、CuO、CoO、CeO、及びこれらの混合物とすることができる。少なくとも1種の卑金属触媒促進剤は、硝酸塩又は酢酸塩などの塩の形態で水溶液中の触媒に添加されてもよい。少なくとも1種の卑金属触媒促進剤及び少なくとも1種の卑金属触媒、例えば銅は、水溶液から酸化物担持材料上に含浸されてもよく、酸化物担持材料を含むウォッシュコートに添加されてもよく、又はウォッシュコートであらかじめコーティングされた担体に含浸されてもよい。
【0037】
選択的触媒還元組成物は、モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物を含んでもよく、又はこれから本質的になってもよい。モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、所望により遷移金属交換モレキュラーシーブであるモレキュラーシーブを含む。SCR触媒配合物のうち少なくとも1つは、遷移金属交換モレキュラーシーブを含むことが好ましい。
【0038】
概して、モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、アルミノケイ酸塩骨格(例えば、ゼオライト)、アルミノリン酸塩骨格(例えば、AlPO)、シリコアルミノリン酸塩骨格(例えば、SAPO)、ヘテロ原子含有アルミノケイ酸塩骨格、ヘテロ原子含有アルミノリン酸骨格(例えば、MeAlPO、式中、Meは金属である)、若しくはヘテロ原子含有シリコアルミノリン酸塩骨格(例えば、MeAPSO、式中、Meは金属である)、又はこれらの混合を有するモレキュラーシーブを含んでもよい。ヘテロ原子(すなわち、ヘテロ原子含有骨格)は、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、バナジウム(V)、及びこれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択されてもよい。ヘテロ原子は金属であることが好ましい(例えば、上記ヘテロ原子含有骨格の各々は、金属含有骨格であってもよい)。
【0039】
モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、アルミノケイ酸塩骨格(例えば、ゼオライト)又はシリコアルミノリン酸塩骨格(例えば、SAPO)を有するモレキュラーシーブを含むこと、又はこれから本質的になることが好ましい。ゼオライト系モレキュラーシーブは、国際ゼオライト協会(IZA:International Zeolite Association)によって公開されたゼオライト構造のデータベースに列挙される骨格構造のうちのいずれか1つを有する微孔性アルミノケイ酸塩である。骨格構造としては、以下に限定されないが、CHA、FAU、BEA、MFI、MOR型のものが挙げられる。これらの構造を有するゼオライトの非限定的な例としては、チャバザイト、フォージャサイト、Y型ゼオライト、超安定Y型ゼオライト、ベータ型ゼオライト、モルデナイト、シリカライト、X型ゼオライト、及びZSM-5が挙げられる。
【0040】
モレキュラーシーブがアルミノケイ酸塩骨格(例えば、モレキュラーシーブはゼオライトである)を有する場合、典型的には、モレキュラーシーブは、5~200(例えば10~200)、10~100(例えば10~30又は20~80)、例えば12~40、又は15~30のシリカとアルミナとのモル比(SAR)を有する。いくつかの実施形態では、好適なモレキュラーシーブは、>200、>600、又は>1200のSARを有する。いくつかの実施形態では、モレキュラーシーブは、約1500~約2100のSARを有する。
【0041】
典型的には、モレキュラーシーブは、微孔性である。微孔性のモレキュラーシーブは、直径が2nm未満の細孔を有する(例えば、「微孔性」のIUPAC定義に従う[Pure&Appl.Chem.,66(8),(1994),1739-1758)を参照されたい])。
【0042】
モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、小細孔モレキュラーシーブ(例えば、8個の四面体原子による最大環サイズを有するモレキュラーシーブ)、中細孔モレキュラーシーブ(例えば、10個の四面体原子による最大環サイズを有するモレキュラーシーブ)又は大細孔モレキュラーシーブ(例えば、12個の四面体原子による最大環サイズを有するモレキュラーシーブ)、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含んでもよい。
【0043】
モレキュラーシーブが小細孔モレキュラーシーブである場合、小細孔モレキュラーシーブは、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、LTA、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SFW、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG及びZON、又はこれらの2つ以上の混合物及び/若しくはインターグロースからなる群から選択される骨格型コード(FTC)によって表される骨格構造を有し得る。好ましくは、小細孔モレキュラーシーブは、CHA、LEV、AEI、AFX、EM、ERI、LTA、SFW、KFI、DDR及びITEからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有する。より好ましくは、小細孔モレキュラーシーブは、CHA及びAEIからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有する。小細孔モレキュラーシーブは、FTCのCHAによって表される骨格構造を有することができる。小細孔モレキュラーシーブは、FTCのAEIによって表される骨格構造を有することができる。小細孔モレキュラーシーブがゼオライトであり、FTCのCHAで表される骨格を有する場合、ゼオライトはチャバザイトであってもよい。
【0044】
モレキュラーシーブが中細孔モレキュラーシーブである場合、中細孔モレキュラーシーブは、AEL、AFO、AHT、BOF、BOZ、CGF、CGS、CHI、DAC、EUO、FER、HEU、IMF、ITH、ITR、JRY、JSR、JST、LAU、LOV、MEL、MFI、MFS、MRE、MTT、MVY、MWW、NAB、NAT、NES、OBW、-PAR、PCR、PON、PUN、RRO、RSN、SFF、SFG、STF、STI、STT、STW、-SVR、SZR、TER、TON、TUN、UOS、VSV、WEI及びWEN、又はこれらの2つ以上の混合物及び/若しくはインターグロースからなる群から選択される骨格型コード(FTC)によって表される骨格構造を有し得る。好ましくは、中細孔モレキュラーシーブは、FER、MEL、MFI、及びSTTからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有する。より好ましくは、中細孔モレキュラーシーブは、FER及びMFI、特にMFIからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有する。中細孔モレキュラーシーブがゼオライトであり、FTCのFER又はMFIによって表される骨格を有する場合、ゼオライトはフェリエライト、シリカライト、又はZSM-5であってもよい。
【0045】
モレキュラーシーブが大細孔モレキュラーシーブである場合、大細孔モレキュラーシーブは、AFI、AFR、AFS、AFY、ASV、ATO、ATS、BEA、BEC、BOG、BPH、BSV、CAN、CON、CZP、DFO、EMT、EON、EZT、FAU、GME、GON、IFR、ISV、ITG、IWR、IWS、IWV、IWW、JSR、LTF、LTL、MAZ、MEI、MOR、MOZ、MSE、MTW、NPO、OFF、OKO、OSI、-RON、RWY、SAF、SAO、SBE、SBS、SBT、SEW、SFE、SFO、SFS、SFV、SOF、SOS、STO、SSF、SSY、USI、UWY及びVET、又はこれらの2つ以上の混合物及び/若しくはインターグロースからなる群から選択される骨格型コード(FTC)によって表される骨格構造を有し得る。好ましくは、大細孔モレキュラーシーブは、AFI、BEA、MAZ、MOR、及びOFFからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有する。より好ましくは、大細孔モレキュラーシーブは、BEA、MOR、及びMFIからなる群から選択されるFTCによって表される骨格構造を有する。大細孔モレキュラーシーブがゼオライトであり、FTCのBEA、FAU又はMORによって表される骨格を有する場合、ゼオライトは、βゼオライト、フォージャサイト、ゼオライトY、ゼオライトX、又はモルデナイトであってもよい。
【0046】
モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、好ましくは遷移金属交換モレキュラーシーブを含む。金属交換モレキュラーシーブは、外表面上の骨格外部位上に、又はモレキュラーシーブのチャネル、空洞、若しくはケージ内に堆積された、周期表のVB族、VIB族、VIIB族、VIIIB族、IB族、又はIIB族のうちの1つから少なくとも1つの金属を有することができる。金属は、ゼロ価の金属原子若しくはクラスター、孤立したカチオン、単核若しくは多核オキシカチオン、又は拡張金属酸化物を含むがこれらに限定されない、いくつかの形態のうちの1つであってもよい。遷移金属は、コバルト、銅、鉄、マンガン、ニッケル、パラジウム、白金、ルテニウム、レニウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0047】
遷移金属は、モレキュラーシーブの外部表面上の骨格外部位に存在してもよく、又はモレキュラーシーブのチャネル、空洞、若しくはケージ内に存在してもよい。
【0048】
典型的には、遷移金属交換モレキュラーシーブは、遷移金属交換モレキュラーシーブの0.10~10重量%の量、好ましくは0.2~5重量%の量の遷移金属を含む。
【0049】
いくつかの態様では、金属交換モレキュラーシーブは、触媒の総重量の約0.1~約20.0重量%の銅を有するCu交換小細孔モレキュラーシーブであり得る。いくつかの態様では、銅は、触媒の総重量の約0.5重量%~約15重量%で存在する。いくつかの態様では、銅は、触媒の総重量の約1重量%~約9重量%で存在する。
【0050】
Cu及びMn交換モレキュラーシーブ
本発明のブレンドは、Cu及びMn交換モレキュラーシーブを含むSCR触媒を含み得る。加えて、いくつかの態様では、第2のSCR触媒は、Cu及びMn交換モレキュラーシーブを含んでもよい。
【0051】
いくつかの態様では、金属交換モレキュラーシーブは、交換による銅及び交換によるマンガンを有するモレキュラーシーブを含む。いくつかの態様では、モレキュラーシーブは、いずれの追加の遷移金属も含まない、又は本質的に含まない。例えば、いくつかの態様では、モレキュラーシーブは、モレキュラーシーブの重量に基づいて、約1重量%未満、約0.7重量%未満、約0.5重量%未満、約0.3重量%未満、約0.1重量%未満、約0.07重量%未満、約0.05重量%未満、又は、約0.01重量%未満の量で追加の遷移金属(すなわち、交換による銅及び交換によるマンガンに加えて)を含有する。いくつかの態様では、モレキュラーシーブは、2つの遷移金属を含むので、二元金属として記載することができる。
【0052】
いくつかの態様では、遷移金属交換モレキュラーシーブは、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.10~約10重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.1~約7重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.2~約7重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.2~約5重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.5~約6重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約1~約7重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約1~約5重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約2~約5重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約1.5~約3重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約1.5~4重量%、又は、遷移金属交換モレキュラーシーブの約2~約4重量%の合計量で交換による銅及び交換によるマンガンを含む。
【0053】
いくつかの態様では、本発明の遷移金属交換モレキュラーシーブは、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.05~約7重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.5~約5重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.05~約5重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.1~約4重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.1~約3重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.2~約3重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.5~約2.5重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約1~約4重量%、又は、遷移金属交換モレキュラーシーブの約1~約2重量%の量で交換による銅を含む。
【0054】
いくつかの態様では、本発明の遷移金属交換モレキュラーシーブは、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.05~約7重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.05~約5重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.1~約5重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.1~約4重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.1~約3重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.2~約3重量%、遷移金属交換モレキュラーシーブの約0.5~約2.5重量%、又は、遷移金属交換モレキュラーシーブの約1~約2重量%の量で交換によるマンガンを含む。
【0055】
いくつかの態様では、本発明の遷移金属交換モレキュラーシーブは、交換による銅と交換によるマンガンとを、約1:1の重量比で含む。いくつかの態様では、本発明の遷移金属交換モレキュラーシーブは、約0.1~約50、約0.2~約15、又は約0.33~約3の重量比で、交換による銅と交換によるマンガンとを含む。いくつかの態様では、上述の銅とマンガンとの比を利用することに加えて、金属イオンと交換部位との比の観点から、モレキュラーシーブの交換容量を、1未満、0.75未満、又は0.5未満にする必要がある。いくつかの態様では、遷移金属交換モレキュラーシーブは、1未満、0.75未満、又は0.5未満の、遷移金属とアルミニウムとの比を有する。
【0056】
本発明の触媒は、例えば、1ポット、予固定、及び噴霧乾燥をはじめとする、当該技術分野において公知の任意の好適な手段によって調製することができる。
【0057】
概ね、選択的触媒還元触媒は、0.5~4.0g in-3、好ましくは1.0~3.0 4.0g in-3の総濃度で選択的触媒還元組成物を含む。
【0058】
SCR触媒組成物は、金属酸化物系SCR触媒配合物と、モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物との混合物を含んでもよい。(a)金属酸化物系SCR触媒配合物は、チタニア(例えば、TiO)上に担持された、バナジウムの酸化物(例えば、V)、及び所望によりタングステンの酸化物(例えば、WO)を含んでもよく、又はこれから本質的になってもよく、(b)モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、遷移金属交換モレキュラーシーブを含んでもよい。
【0059】
本発明の実施形態の排気システムは、アンモニア又はアンモニアに分解可能な化合物を排気ガス中に導入するためのインジェクタの下流に位置決めされた、SCR触媒を含んでもよい。SCR触媒は、アンモニア又はアンモニアに分解可能な化合物を噴射するために、インジェクタのすぐ下流に位置決めされてもよい(例えば、インジェクタとSCR触媒との間に介在する触媒が存在しない)。
【0060】
ブレンド
本発明の実施形態は、(1)担体上の白金と(2)Cu及びMn交換モレキュラーシーブを含むSCR触媒とのブレンドを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ブレンド内で、SCR触媒の担体上の白金に対する重量比は、約3:1~約300:1、約3:1~約250:1、約3:1~約200:1、約4:1~約150:1、約5:1~約100:1、約6:1~約90:1、約7:1~約80:1、約7:1~約100:1、約8:1~約70:1、約9:1~約60:1、約10:1~約50:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1、約10:1、約15:1、約20:1、約25:1、約30:1、約40:1、約50:1、約75:1、約100:1、約125:1、約150:1、約175:1、約200:1、約225:1、約250:1、約275:1、又は、約300:1である。
【0061】
用語「活性成分担持量」とは、ブレンド中の白金の担体の重量+白金の重量+第1のSCR触媒の重量を指す。いくつかの実施形態では、白金は、約0.01重量%~約0.25重量%(両端を含む)、約0.04重量%~約0.2重量%(両端を含む)、約0.07重量%~約0.17重量%(両端を含む)、約0.05重量%~約0.15重量%(両端を含む)、約0.01重量%、約0.02重量%、約0.03重量%、約0.04重量%、約0.05重量%、約0.06重量%、約0.07重量%、約0.08重量%、約0.1重量%、約0.12重量%、約0.15重量%、約0.17重量%、約0.2重量%、約0.22重量%、又は、約0.25重量%の活性成分担持量で存在する。
【0062】
いくつかの実施形態では、担体上の白金とSCR触媒とを含むブレンドは、パラジウム(Pd)、金(Au)銀(Ag)、ルテニウム(Ru)、又はロジウム(Rh)のうちの少なくとも1つを更に含む。
【0063】
基材
本発明の触媒は、それぞれ、フロースルー基材又はフィルタ基材を更に含んでもよい。一実施形態では、触媒は、フロースルー基材又はフィルタ基材上にコーティングされてもよく、好ましくは、ウォッシュコート手順を用いてフロースルー基材又はフィルタ基材上に堆積されてもよい。
【0064】
SCR触媒とフィルタとの組み合わせは、選択的触媒還元フィルタ(SCRF触媒)として知られている。SCRF触媒は、SCR及び微粒子フィルタの機能を組み合わせた単一基材デバイスであり、所望に応じて本発明の実施形態に好適である。本出願全体にわたるSCR触媒の説明及び参照は、該当する場合、SCRF触媒も含むと理解される。SCRFの場合、概ね、選択的触媒還元組成物は、ウォールフローフィルタ基材モノリスの壁内に配置されている。加えて、選択的触媒還元組成物は、入口チャネルの壁上に、及び/又は出口チャネルの壁上に配置されてもよい。
【0065】
フロースルー基材又はフィルタ基材は、触媒/吸着剤成分を含有することが可能な基材である。基材は、好ましくはセラミック基材又は金属基材である。セラミック基材は、任意の好適な耐火性材料、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、ジルコニア、マグネシア、ゼオライト、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸マグネシウム、アルミノケイ酸塩、メタロアルミノケイ酸塩(コーディエライト及びスポジュメン(spudomene)など)、又はこれらの任意の2つ以上の混合物若しくは混合酸化物で作製されていてもよい。コーディエライト、マグネシウムアルミノケイ酸塩、及び炭化ケイ素が、特に好ましい。
【0066】
金属基材は、任意の好適な金属、特にチタン及びステンレス鋼などの耐熱性金属及び金属合金、並びにその他の微量金属に加えて鉄、ニッケル、クロム、及び/又はアルミニウムを含有するフェライト合金で作製されていてもよい。
【0067】
フロースルー基材は、好ましくは、基材を通って軸方向に連続しており、かつ基材の入口又は出口から全体にわたって延びている、多くの小さな平行薄壁チャネルを有するハニカム構造を有するフロースルーモノリスである。基材のチャネル断面は、任意の形状であってもよいが、好ましくは正方形、正弦波形、三角形、矩形、六角形、台形、円形、又は楕円形である。フロースルー基材はまた、触媒を基材壁に浸透させる高多孔性のものであってもよい。
【0068】
フィルタ基材は、好ましくはウォールフローモノリスフィルタである。ウォールフローフィルタのチャネルは、交互に遮断される。このことにより、排気ガス流が入口からチャネルに入り、その後、チャネル壁を通って流れ、出口につながる異なるチャネルからフィルタを出ることができる。したがって、排気ガス流中の粒子状物質は、フィルタ内に捕捉される。
【0069】
触媒/吸着剤は、ウォッシュコート手順などの任意の既知の手段によって、フロースルー基材又はフィルタ基材に添加されてもよい。
【0070】
構成
本発明の実施形態は、第1のコーティング及び第2のコーティングを有する触媒物品に関し、第1のコーティングは、(1)担体の白金と(2)Cu及びMn交換モレキュラーシーブを含む第1のSCR触媒とのブレンドを含み、第2のコーティングは、第2のSCR触媒を含む。触媒物品は、様々な構成で調製され得る。いくつかの実施形態では、コーティングは、排気ガスが第1のコーティングに接触する前に、第2のコーティングと接触するように配置されている。いくつかの実施形態では、第2のSCR触媒は、ブレンドの入口側に位置する。いくつかの実施形態では、SCR触媒は、ブレンドの出口側に位置する。
【0071】
第1の構成では、触媒は、(1)担体上の白金と(2)Cu及びMn交換モレキュラーシーブを含む第1のSCR触媒とのブレンドを含む第1のコーティング、及び第2のSCR触媒を含む第2のコーティングを含むことができ、第2のコーティングは、第1のコーティングの上の層に位置し、第2のコーティングは、第1のコーティングの全てを被覆する。図1は、この構成の一例を示しており、ここでは、第2のSCRが、ブレンド上の排気ガス流内に位置決めされ、第2のSCRが、ブレンド全体を被覆する。
【0072】
第2の構成では、触媒は、(1)担体上の白金と(2)Cu及びMn交換モレキュラーシーブを含む第1のSCR触媒とのブレンドを含む第1のコーティング、及び第2のSCR触媒を含む第2のコーティングを含むことができ、第1のコーティングは、出口端部から入口端部に向かって延び、基材の全長未満を被覆し、第2のコーティングは、基材の全長にわたって延び、第1のコーティングと完全に重なり合っている。図2は、この構成の一例を示しており、ここでは、第2のSCRが、ブレンドの前の排気ガス流内に位置決めされ、第2のSCRが、ブレンドと完全に重なり合っている。
【0073】
第3の構成では、触媒は、(1)担体上の白金と(2)Cu及びMn交換モレキュラーシーブを含む第1のSCR触媒とのブレンドを含む第1のコーティング、及び第2のSCR触媒を含む第2のコーティングを含むことができ、第1のコーティングは、出口端部から入口端部に向かって延び、基材の全長未満を被覆し、第2のコーティングは、入口端部から出口端部に向かって延び、第1のコーティングと部分的に重なり合っている。第2のSCR触媒は、約10%~約95%(両端を含む)、好ましくは約50%~約95%(両端を含む)の量で第1のコーティングと重なり合うことができる。図3は、この構成の一例を示しており、ここでは、第2のSCRが、ブレンドの前の排気ガス流内に位置決めされ、第2のSCRが、ブレンドの全てではなく一部を被覆する。図3では、第2のSCRは、ブレンドの約40%を被覆する。
【0074】
第4の構成では、触媒は、(1)担体上の白金と(2)Cu及びMn交換モレキュラーシーブを含む第1のSCR触媒とのブレンドを含む第1のコーティング、及び第2のSCR触媒を含む第2のコーティングを含むことができ、第1のコーティングは、出口端部から入口端部に向かって延び、基材の全長未満を被覆し、第2のコーティングは、入口端部から出口端部に向かって延び、第1のコーティングと重なり合っていない。第1のコーティングと第2のコーティングとの間に空間が存在してもよく、第1のコーティング及び第2のコーティングは、接触しているが重なり合わなくてもよく、第1及び第2のコーティングのわずかで微量の重なりが存在してもよい。図4は、この構成の一例を示しており、ここでは、第2のSCRが、ブレンドの前の排気ガス流内に位置決めされ、第2のSCRが、ブレンドと接触しているが重なり合っていない。
【0075】
第5の構成では、触媒は、(1)担体上の白金と(2)Cu及びMn交換モレキュラーシーブを含む第1のSCR触媒とのブレンドを含む第1のコーティング、及び第2のSCR触媒を含む第2のコーティングを含むことができ、第1のコーティングは、入口端部から出口端部に向かって延び、基材の全長未満を被覆し、第2のコーティングは、基材の全長にわたって延び、第1のコーティングと完全に重なり合っている。図5は、この構成の一例を示しており、ここでは、第2のSCRが、ブレンド全体を被覆し、第2のSCRの一部分が、ブレンドの後の排気ガス流内に位置決めされている。
【0076】
第6の構成では、触媒は、(1)担体上の白金と(2)Cu及びMn交換モレキュラーシーブを含む第1のSCR触媒とのブレンドを含む第1のコーティング、及び第2のSCR触媒を含む第2のコーティングを含むことができ、第1のコーティングは、入口端部から出口端部に向かって延び、基材の全長未満を被覆し、第2のコーティングは、出口端部から入口端部に向かって延び、基材の全長未満を被覆し、第1のコーティングと部分的に重なり合っている。第2のSCR触媒は、約10%~約95%(両端を含む)、好ましくは約50%~約95%(両端を含む)の量でブレンドと重なり合うことができる。図6は、この構成の一例を示しており、ここでは、第2のSCRが、ブレンド全体ではなく一部を被覆し、第2のSCRの一部分が、ブレンドの後の排気ガス流内に位置決めされている。図6では、第2のSCRは、ブレンドの約95%を被覆する。
【0077】
第7の構成では、触媒は、第3のSCR触媒を含む第1の層を含むことができる。第1の層は、(1)担体上の白金と(2)Cu及びMn交換モレキュラーシーブを含む第1のSCR触媒とのブレンドを含むコーティングによって、完全にではなく部分的に被覆されてもよい。ブレンドは、約10%~約95%(両端を含む)、好ましくは約50%~約95%(両端を含む)の量で第3のSCR触媒を被覆することができる。ブレンドは、第2のSCR触媒を含むコーティングによって被覆されてもよく、第2のSCR触媒コーティングは、ブレンドコーティング全体を被覆する。図7は、この構成の一例を示しており、ここでは、第3のSCR触媒が、基材上の底層であり、第2の層が、ブレンドを含み、第3のSCR触媒を部分的に被覆し、第3の層が、第2のSCRを含み、第2の層の上に位置決めされ、ブレンド層の全てを被覆している。
【0078】
第8の構成では、触媒は、第3のSCR触媒を含む第1の層を含むことができる。第1の層は、(1)担体上の白金と(2)Cu及びMn交換モレキュラーシーブを含む第1のSCR触媒とのブレンドを含むコーティングによって、完全にではなく部分的に被覆されてもよい。ブレンドは、約10%~約95%(両端を含む)、好ましくは約50%~約95%(両端を含む)の量で第3のSCR触媒を被覆することができる。ブレンドは、第2のSCR触媒を含むコーティングによって被覆されてもよく、第2のSCR触媒コーティングは、ブレンドコーティングを完全にではなく部分的に被覆し、第2のSCR触媒コーティングの一部もまた、ブレンドの下流に位置し、また、ブレンドコーティングの下流にある第3のSCR触媒の一部を被覆する。第2のSCR触媒は、約10%~約95%(両端を含む)、好ましくは約50%~約95%(両端を含む)の量で、第3のSCR触媒を被覆することができる。図8は、この構成の一例を示しており、ここでは、第3のSCR触媒が、基材上の底層であり、第2の層が、ブレンドを含み、第3のSCR触媒を完全にではなく部分的に被覆し、第3の層が、第2のSCR触媒を含み、第2の層の上に位置決めされ、ブレンド層を完全ではなく部分的に被覆している。図8では、ブレンド層は、第1の層の約60%を被覆し、第2のSCR触媒を有する層は、第1の層の約20%を被覆する。用語「被覆」は、異なる層と直接接触する層の部分を意味する。
【0079】
還元剤/尿素インジェクタ
本発明のいくつかの実施形態のシステムは、アンモニアスリップ触媒の上流の排気システムに窒素系還元剤を導入するための手段を含んでもよい。窒素系還元剤を排気システムに導入するための手段は、アンモニアスリップ触媒のすぐ上流にある(例えば、窒素系還元剤を導入するための手段とアンモニアスリップ触媒との間に介在する触媒が存在しない)ことが好ましい場合がある。
【0080】
還元剤は、還元剤を排気ガス中に導入するための任意の好適な手段によって、流れる排気ガスに添加される。好適な手段としては、インジェクタ、噴霧器、又はフィーダーが挙げられる。このような手段は、当該技術分野において周知である。
【0081】
システムで使用するための窒素系還元剤は、アンモニアそのもの、ヒドラジン、又は尿素、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、及びギ酸アンモニウムからなる群から選択されるアンモニア前駆体であってもよい。尿素は特に好ましい。
【0082】
排気システムはまた、NOxを低減するために、排気ガスへの還元剤の導入を制御するための手段を備えてもよい。好ましい制御手段は、電子制御ユニット、所望によりエンジン制御ユニットを含んでもよく、また、NO還元触媒の下流に位置するNOxセンサを更に含んでもよい。
【0083】
製造方法
本発明のいくつかの実施形態の触媒物品は、当該技術分野において既知の任意の好適な手段によって調製することができる。担体上に白金を含む触媒物品の場合、そのような白金は、溶液中で、すなわちin-situで担体上に固定することができ、別個の事前固定プロセスを必要としない。(1)担体上の白金と(2)Cu及びMn交換モレキュラーシーブを含むSCR触媒とのブレンドを含むコーティングを調製するために、以下の工程が行われてもよい。
・担持材料を水と組み合わせてバッチにして混合する。
・白金に還元剤として作用し、かつ/又は後の焼成工程中に還元環境を作り出す有機酸を添加する。好適な有機酸の例としては、クエン酸、コハク酸、シュウ酸、アスコルビン酸、酢酸、ギ酸、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
・有機酸と白金とのモル比が、20:1~1:1、10:1~1:1、又は5:1~1:1になるような量で、バッチに硝酸白金を追加する。
・白金バッチをSCRバッチと組み合わせる。
・組み合わされたバッチのレオロジー及び固形分%を調整し、空気中500℃~550℃でコーティングし、焼成する。
【0084】
使用方法
排気流からの排出を低減する方法は、排気流を、本明細書に記載の触媒物品と接触させることを含み得る。いくつかの実施形態では、約300℃以下の温度で排気ガスのNH変換を改善する方法は、アンモニアを含む排気ガスを、本明細書に記載の触媒物品と接触させることを含み得る。いくつかの実施形態では、アンモニア及びNOxを含む排気ガスを処理する方法は、アンモニアを含む排気ガスを、本明細書に記載の触媒物品と接触させることを含み得る。いくつかの実施形態では、排気ガス中のアンモニアのNOxに対する重量比(ANR)は、システムの動作時間の少なくとも一部に対して>1.0である。
【0085】
効果
本発明の触媒物品は、触媒活性及び選択性の改善をもたらし得る。(1)担体上の白金族金属と(2)SCR触媒とのブレンドを有する層を含むアンモニアスリップ触媒は、NO形成及びNOx再生成の両方において改善をもたらしたが、これらの触媒の特定のものは、欠点及び/又は制限を示す場合がある。特に、このような触媒が、白金族金属を担体上に事前に固定することを必要とする場合、このような触媒は、事前固定工程に関連する追加のコストを伴い、低温(300℃未満など)、及び困難な条件下(高いNHスリップ及び/又は高い空間速度など)で、より低いNH変換を示し得る。
【0086】
驚くべきことに、本発明の触媒物品は、そのような前述の欠点及び制限を最小化又は軽減し得ることが見出された。例えば、溶液中で、すなわちin-situで担体に白金族金属を固定することによって、事前固定工程に関連する追加のコストが排除される。加えて、このような触媒物品は、低温(300℃未満など)、及び困難な条件下(高いNHスリップ及び/又は高い空間速度など)で、改善されたNH変換を示す。
【0087】
いくつかの実施形態では、溶液中の担体上に固定された白金族金属を有する本発明の触媒物品は、担体上に事前に固定された白金族金属を有することを除いて同等である触媒物品と比較して、約300℃以下の温度でのNH変換の同等又は向上した活性を提供し得る。いくつかの実施形態では、溶液中の担体上に固定された白金族金属を有する本発明の触媒物品は、担体上に事前に固定された白金族金属を有することを除いて同等である触媒物品と比較して、約300℃以下の温度でのNH変換の向上した活性を有し得、本発明の触媒物品は、約300℃以下の温度でのNH変換の、約30%~約100%、約35%~約95%、約40%~約90%、約45%~約85%、約50%~約80%、約55%~約75%、約30%~約50%、約35%~約55%、約40%~約60%、約50%~約70%、約60%~約80%、約70%~約90%、約80%~約100%、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、又は、90%超の改善を示す。
【0088】
いくつかの実施形態では、高外部表面積ゼオライト(>50m/g)又はSiO-Al混合酸化物を含む担体上に白金を有する本発明の触媒物品は、高外部表面積ゼオライト(>50m/g)又はSiO-Al混合酸化物以外の担体上に固定された白金族金属を有することを除いて同等である触媒物品と比較して、約300℃以下の温度でのNH変換の同等又は向上した活性を提供し得る。いくつかの実施形態では、高外部表面積ゼオライト(>50m/g)又はSiO-Al混合酸化物を含む担体上に白金を有する本発明の触媒物品は、高外部表面積ゼオライト(>50m/g)又はSiO-Al混合酸化物以外の担体上に固定された白金族金属を有することを除いて同等である触媒物品と比較して、約300℃以下の温度でのNH変換の同等又は向上した活性を提供し得、本発明の触媒物品は、約300℃以下の温度でのNH変換の、約30%~約100%、約35%~約95%、約40%~約90%、約45%~約85%、約50%~約80%、約55%~約75%、約30%~約50%、約35%~約55%、約40%~約60%、約50%~約70%、約60%~約80%、約70%~約90%、約80%~約100%、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、又は、90%超の改善を示す。
【0089】
更に、驚くべきことに、ブレンドの一部としてCu及びMn交換モレキュラーシーブを使用する場合、追加の利点が発見された。具体的には、ブレンド中にCu及びMn交換モレキュラーシーブを使用すると、NO形成及びNOx再生成についてのCu-ゼオライトに付随する利点を維持しながら、改善されたNH変換の利点が提供される。更に、Mn及びCuの添加量及び/又は比を調節することによって、触媒活性対選択性の調整において効果を発揮する。
【0090】
用語
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他を示さないかぎり、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「触媒(a catalyst)」への言及には、2種以上の触媒(catalysts)の混合物などを含む。
【0091】
用語「アンモニアスリップ」は、SCR触媒を通過する未反応のアンモニアの量を意味する。
【0092】
用語「担体」は、触媒が固定されている物質を意味する。
【0093】
用語「焼成する」(又は「焼成」)は、空気又は酸素中で、物質を加熱することを意味する。この定義は、焼成のIUPAC定義と一致する。(IUPAC.Compendium of Chemical Terminology,2nd ed.(the「Gold Book」)。A.D.McNaught and A.Wilkinsonが作成。Blackwell Scientific Publications,Oxford(1997)。XMLオンライン修正バージョン:M.Nic,J.Jirat,B.Kosataによって構築されたhttp://goldbook.iupac.org(2006-);A.Jenkinsによって作成されたアップデート。ISBN0-9678550-9-8.doi:10.1351/goldbook.)。焼成は、金属塩を分解し、触媒内の金属イオンの交換を促進し、やはりまた触媒を基材に付着させるために行われる。焼成に使用される温度は、焼成される材料中の成分に依存し、一般に、約1~8時間、約400℃~約900℃である。一部の場合、焼成は、約1200℃の温度まで焼成を行うことができる。本明細書に記載されているプロセスを伴う用途では、焼成は、一般に、約1~8時間、約400℃~約700℃の温度で、好ましくは約1~4時間、約400℃~約650℃の温度で行われる。
【0094】
様々な数値要素の1つの範囲又は複数の範囲が指定されている場合、特に指定しないかぎり、1つの範囲又は複数の範囲に値を含めることができる。
【0095】
用語「N選択性」は、アンモニアの窒素への変換率を意味する。
【0096】
用語「ディーゼル酸化触媒」(DOC)、「ディーゼル発熱触媒」(DEC)、「NOx吸収剤」、「SCR/PNA」(選択的触媒還元/受動的NOx吸着剤)、「コールドスタート触媒」(CSC)、及び「三元触媒」(TWC)は、燃焼プロセスから排気ガスを処理するために使用される様々な種類の触媒を説明するために使用される、当該技術分野において周知の用語である。
【0097】
用語「白金族金属」又は「PGM」は、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、及びイリジウムを指す。白金族金属は、好ましくは白金、パラジウム、ルテニウム又はロジウムである。
【0098】
用語「下流」及び「上流」は、排気ガスの流れが担体又は物品の入口端部から出口端部に向かう触媒又は基材の配置方向を説明する。
【0099】
以下の実施例は、単に本発明を例示するものである。当業者は、本発明の趣旨及び特許請求の範囲内にある多くの変形例を認識する。
【0100】
実施例
実施例1
SCR触媒とブレンドされた担体上に白金を含むin-situブレンド触媒を調製した。以下の表1に示すように、異なる担体を使用して、様々な触媒を調製した。
【0101】
in-situブレンド触媒を調製するために、in-situで白金を固定することを用いた。すなわち、白金前駆体を溶液中で担体上に固定したため、以下に記載されるように、別個の事前固定プロセスは必要とされない。
・担持材料を水と組み合わせてバッチにして混合する。
・白金に還元剤として作用し、かつ/又は後の焼成工程中に還元環境を作り出す有機酸を添加する。好適な有機酸の例としては、クエン酸、コハク酸、シュウ酸、アスコルビン酸、酢酸、ギ酸、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
・有機酸と白金とのモル比が、20:1~1:1、10:1~1:1、又は5:1~1:1になるような量で、バッチに硝酸白金を追加する。
・白金バッチをSCRバッチと組み合わせる。
・組み合わされたバッチのレオロジー及び固形分%を調整し、空気中500℃~550℃でコーティングし、焼成する。
【0102】
【表1】
注:酸化物には総BET表面積が使用される;ゼオライトにはt-Plot外部表面積が使用される。
【0103】
以下の触媒を調製した。
参照ASC:
参照例として、アルミナ底層及びSCR上層の上にPtを有する二層配合物を使用した。
【0104】
アルミナと露出したゼオライトとのブレンド上に0.17重量%のPtを含むウォッシュコートを使用して、セラミック基材に底層を適用した。ウォッシュコートをセラミック基材に適用し、次いで負圧を用いて、ウォッシュコートを基材に引き伸ばした。この物品を乾燥して、約1時間、約500℃で焼成した。物品上のPtの担持量は、3g/ftであった。
【0105】
Cu-CHAを含む第2のウォッシュコートを使用して、底層でコーティングされた基材に上層を適用した後、真空を用いてウォッシュコートを基材に引き伸ばした。この物品を乾燥して、約1時間、約500℃で焼成した。上層のCuCHAの担持量は、1.8g/inであった。
【0106】
事前固定Pt-ゼオライトブレンドASC:
ZSM-5(SAR=2000を有するMFI骨格)上の4重量%PtとCu-CHAとのブレンドを含むウォッシュコートを使用して、セラミック基材に底層を適用した。ウォッシュコートをセラミック基材に適用し、次いで負圧を用いて、ウォッシュコートを基材に引き伸ばした。この物品を乾燥して、約1時間、約500℃で焼成した。物品上のPt、ゼオライト、及びCuCHAの担持量は、それぞれ3g/ft、0.045g/in、及び0.9g/inであった。
【0107】
Cu-CHAを含む第2のウォッシュコートを使用して、底層でコーティングされた基材に上層を適用した後、真空を用いて基材の長さの約50%の距離まで、基材にウォッシュコートを引き伸ばした。この物品を乾燥して、約1時間、約500℃で焼成した。上層のCuCHAの担持量は、1.8g/inであった。
【0108】
in-situブレンドASC:
前述の手順により、Cu-CHA底層を有するin-situで固定されたPt-担体ブレンドと、Ptのための様々な担持材料を有するSCR上層とを有する二層配合物を調製した。
【0109】
底層は、表1に記載の担体上に3.5重量%のPtを含んでいた。物品上のPt、担持材料、及びCuCHAの担持量は、それぞれ3g/ft、0.05g/in、及び0.9g/inであった。
【0110】
Cu-CHAを含む第2のウォッシュコートを使用して、底層でコーティングされた基材に上層を適用した後、真空を用いてウォッシュコートを基材に引き伸ばした。この物品を乾燥して、約1時間、約500℃で焼成した。上層のCuCHAの担持量は、1.8g/inであった。
【0111】
調製した触媒を以下の条件で試験した。
-エージング条件:650℃、空気中10%HO下、50時間
-試験条件:1分間、1000ppmNHパルス、10%O、4.5%HO、4.5%CO、残部N;SV=120,000h-1
【0112】
図9は、様々なASCが1000ppmNHの1分間のパルスにさらされたときのNHスリップ、NO形成、及びNOx形成の概要を示す。全ての触媒は、3g/ftで同等のPt担持量、同じ担持量でCuCHA上層を有する。参照ASCと比較すると、全てのブレンドASC(事前に固定されたPtゼオライト及びin-situのPt担体の両方の配合物)は、NO及びNOxの形成が少ないという明らかな利点を示した。しかしながら、NH変換効率は、Pt担持材料の選択に大きく依存する。事前に固定されたPtゼオライトブレンドASCと比較すると、Pt担体としてアルミナ、シリカ-アルミナ、又はシリカ-チタニアとのin-situブレンドASCは全て、同様の又は改善されたNH変換を示した。Pt担体として純粋なケイ質材料(ヒュームドシリカ、シリカゲル、及びケイ質ゼオライト)を有する試料は、概ね、NH変換が最も悪い;但し、試験された全てのブレンドASC間で最も高いNH変換活性を示したナノゼオライトだけを除く。
【0113】
実施例2
参照ASC:
参照例として、アルミナ底層及びSCR上層の上にPtを有する二層配合物を使用した。
【0114】
アルミナと露出したゼオライトとのブレンド上に0.17重量%のPtを含むウォッシュコートを使用して、セラミック基材に底層を適用した。ウォッシュコートをセラミック基材に適用し、次いで負圧を用いて、ウォッシュコートを基材に引き伸ばした。この物品を乾燥して、約1時間、約500℃で焼成した。物品上のPtの担持量は、3g/ftであった。
【0115】
Cu-CHAを含む第2のウォッシュコートを使用して、底層でコーティングされた基材に上層を適用した後、真空を用いてウォッシュコートを基材に引き伸ばした。この物品を乾燥して、約0.5時間、約500℃で焼成した。上層のCuCHAの担持量は、1.8g/inであった。
【0116】
Pt-ゼオライトブレンドASC:
ZSM-5(SAR=400を有するMFI骨格)上の3.5重量%Ptと、Cu-CHA、Cu-AEI、MnCu-CHA、又はMnCuAEIのうちの1つとのブレンドを含むウォッシュコートを使用して、セラミック基材に底層を適用した。ウォッシュコートをセラミック基材に適用し、次いで負圧を用いて、ウォッシュコートを基材に引き伸ばした。この物品を乾燥して、約0.5時間、約500℃で焼成した。物品上のPt及びSCRの担持量は、それぞれ3g/ft、0.045g/in、及び0.9g/inであった。
【0117】
Cu-CHAを含む第2のウォッシュコートを使用して、底層でコーティングされた基材に上層を適用した後、真空を用いて基材の長さの約50%の距離まで、基材にウォッシュコートを引き伸ばした。この物品を乾燥して、約0.5時間、約500℃で焼成した。上層のCuCHAの担持量は、1.8g/inであった。
【0118】
配合物を以下のようにラベルした。
-ASC-1:Pt.Z+Cu.CHAブレンド底層
-ASC-2:Pt.Z + Cu.AEIブレンド底層
-ASC-3:Pt.Z+MnCu.CHAブレンド底層
-ASC-4:Pt.Z+MnCu.AEIブレンド底層
【0119】
調製した触媒を以下の条件で試験した。
-エージング条件:650℃、空気中10%HO下、50時間
-試験条件:1分間、1000ppmNHパルス、10%O、4.5%HO、4.5%CO、残部N;SV=120,000h-1
【0120】
図10に示されるように、Pt-ゼオライトブレンドASCをCu.ゼオライト又はMnCu.ゼオライトのいずれかと比較すると、MnCu.ゼオライトを有する触媒は、一般により高いNH変換を示し、これは、参照ASCと同等以上である。MnCu.ゼオライトを含むブレンドASCでのNO形成は、参照ASCよりも著しく低い。NOx再生成に関して、全てのPt-ゼオライトブレンドASCは、参照ASCよりもはるかに低い同等の結果を示した。要約すると、CuMn.ゼオライトは、NO形成及びNOx再生成についてのCu-ゼオライトに付随する利点を維持しながら、改善されたNH変換の利点を提供する。更に、Mn及びCuの添加量及び/又は比を調節することによって、触媒活性対選択性の調整において効果を発揮する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】