(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-16
(54)【発明の名称】ボーリング工具および切削インサート
(51)【国際特許分類】
B23B 29/03 20060101AFI20230509BHJP
B23B 27/14 20060101ALI20230509BHJP
B23B 27/20 20060101ALI20230509BHJP
B23B 29/12 20060101ALI20230509BHJP
B23B 27/10 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
B23B29/03 A
B23B27/14 B
B23B27/20
B23B29/12 Z
B23B27/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542738
(86)(22)【出願日】2021-04-27
(85)【翻訳文提出日】2022-07-12
(86)【国際出願番号】 JP2021016703
(87)【国際公開番号】W WO2022230033
(87)【国際公開日】2022-11-03
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503212652
【氏名又は名称】住友電工ハードメタル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリシュトフ ツァイナー
(72)【発明者】
【氏名】松田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】沖田 淳也
(72)【発明者】
【氏名】堤 湧貴
【テーマコード(参考)】
3C046
【Fターム(参考)】
3C046AA05
3C046BB07
3C046FF35
3C046HH04
3C046KK02
3C046KK11
(57)【要約】
ボーリング工具は、切削インサートと、ホルダと、押圧部材とを有している。切削インサートは、ベース部材と、切削部材とを含む。ベース部材は、第1側面と、第2側面と、第3側面と、第4側面とを含む。ホルダは、前端面と、後端面と、外周面とを含む。ホルダには、第1孔と、第2孔とが形成されている。第1孔は、前端面に開口している。第2孔は、外周面に開口している。ホルダは、ストッパを含む。第2孔を構成する面は、第1内側面と、第2内側面とを含む。押圧部材は、第1孔に配置された状態で第4側面に接している。ベース部材は、第2孔に配置されている。第1側面は、第1内側面に接している。第2側面は、第2内側面に接している。第3側面は、ストッパに接している。第2孔が延びる方向に沿った方向に見て、第1内側面と第2内側面との距離は、前端面から後端面に向かうにつれて小さくなっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削インサートと、
前記切削インサートが取り付けられるホルダと、
前記切削インサートを前記ホルダに固定する押圧部材とを備え、
前記切削インサートは、ベース部材と、前記ベース部材上にある切削部材とを含み、
前記ベース部材は、
第1側面と、
前記第1側面に対して傾斜している第2側面と、
前記第1側面および前記第2側面の各々に対して傾斜しておりかつ前記第1側面および前記第2側面の各々に連なっている第3側面と、
前記第1側面、前記第2側面および前記第3側面の各々に対して傾斜しており、前記第1側面および前記第2側面の各々から離間しておりかつ前記第3側面に連なっている第4側面と、を含み、
前記ホルダは、
前端面と、
前記前端面に連なっている外周面と
前記前端面とは反対側から前記外周面に連なっている後端面と、を含み、
前記ホルダには、
前記前端面に開口しておりかつ前記前端面から軸方向に沿って延びる第1孔と、
前記第1孔に連なっており前記外周面に開口しておりかつ前記軸方向に対して垂直な径方向に沿って延びる第2孔と、が形成されており、
前記ホルダは、前記第2孔の少なくとも一部を覆うストッパを含み、
前記第2孔を構成する面は、第1内側面と、前記第1内側面に対して傾斜している第2内側面とを含み、
前記押圧部材は、前記第1孔に配置された状態で前記第4側面に接しており、
前記ベース部材は、前記第2孔に配置されており、
前記第1側面は、前記第1内側面に接しており、
前記第2側面は、前記第2内側面に接しており、
前記第3側面は、前記ストッパに接しており、
前記第2孔が延びる方向に沿った方向に見て、前記第1内側面と前記第2内側面との距離は、前記前端面から前記後端面に向かうにつれて小さくなっている、ボーリング工具。
【請求項2】
前記切削部材は、立方晶窒化ホウ素により構成されている、請求項1に記載のボーリング工具。
【請求項3】
前記切削部材は、焼結ダイヤモンドにより構成されている、請求項1に記載のボーリング工具。
【請求項4】
前記ホルダには、前記第1内側面および前記第2内側面の間の領域に開口しているクーラント供給孔が設けられており、
前記クーラント供給孔が延びる方向は、前記軸方向および前記径方向の各々に対して傾斜している、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のボーリング工具。
【請求項5】
前記前端面の外径は、2mm以上10mm以下である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のボーリング工具。
【請求項6】
前記第1内側面と前記第2内側面とのなす角度は、70°以上110°以下である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のボーリング工具。
【請求項7】
前記切削部材は、立方晶窒化ホウ素により構成されており、
前記ホルダには、前記第1内側面および前記第2内側面の間の領域に開口するクーラント供給孔が設けられており、
前記クーラント供給孔が延びる方向は、前記軸方向および前記径方向の各々に対して傾斜しており、
前記前端面の外径は、2mm以上10mm以下である、請求項1に記載のボーリング工具。
【請求項8】
外壁面と、前記外壁面の内側にある内壁面とを有する筒状部材を準備する工程と、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のボーリング工具を用いて、前記筒状部材を切削する工程とを備え、
前記筒状部材を切削する工程において、前記切削部材が前記内壁面に接触する、筒状部材の加工方法。
【請求項9】
ベース部材と、
前記ベース部材上にある切削部材とを備え、
前記ベース部材は、
第1側面と、
前記第1側面に対して傾斜している第2側面と、
前記第1側面および前記第2側面の各々に対して傾斜しておりかつ前記第1側面および前記第2側面の各々に連なっている第3側面と、
前記第1側面、前記第2側面および前記第3側面の各々に対して傾斜しており、前記第1側面および前記第2側面の各々から離間しておりかつ前記第3側面に連なっている第4側面と、を含み、
前記第3側面に対して垂直な方向に見て、前記第1側面と前記第2側面との距離は、前記第4側面から離れるにつれて小さくなっており、
前記ベース部材と前記切削部材との界面は、前記第3側面と平行な平面に沿って設けられている、切削インサート。
【請求項10】
前記切削部材は、立方晶窒化ホウ素により構成されている、請求項9に記載の切削インサート。
【請求項11】
前記切削部材は、焼結ダイヤモンドにより構成されている、請求項9に記載の切削インサート。
【請求項12】
前記第1側面、前記第2側面および前記第4側面の各々の算術平均粗さは、0.5μm以上であり、
前記第3側面の算術平均粗さは、前記第1側面、前記第2側面および前記第4側面の各々の算術平均粗さよりも小さい、請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の切削インサート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ボーリング工具および切削インサートに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2005-34911号公報(特許文献1)には、切削ブレードと、ブレードホルダとを有する工具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本開示に係るボーリング工具は、切削インサートと、ホルダと、押圧部材とを備えている。ホルダには、切削インサートが取り付けられる。押圧部材は、切削インサートをホルダに固定する。切削インサートは、ベース部材と、ベース部材上にある切削部材とを含む。ベース部材は、第1側面と、第2側面と、第3側面と、第4側面とを含む。第2側面は、第1側面に対して傾斜している。第3側面は、第1側面および第2側面の各々に対して傾斜しておりかつ第1側面および第2側面の各々に連なっている。第4側面は、第1側面、第2側面および第3側面の各々に対して傾斜しており、第1側面および第2側面の各々から離間しておりかつ第3側面に連なっている。ホルダは、前端面と、後端面と、外周面と、を含む。外周面は、前端面に連なっている。後端面は、前端面とは反対側から外周面に連なっている。外周面は、前端面および後端面の各々に連なっている。ホルダには、第1孔と、第2孔とが形成されている。第1孔は、前端面に開口しておりかつ前端面から軸方向に沿って延びている。第2孔は、第1孔に連なっており外周面に開口しておりかつ軸方向に対して垂直な径方向に沿って延びている。ホルダは、第2孔の少なくとも一部を覆うストッパを含む。第2孔を構成する面は、第1内側面と、第1内側面に対して傾斜している第2内側面とを含む。押圧部材は、第1孔に配置された状態で第4側面に接している。ベース部材は、第2孔に配置されている。第1側面は、第1内側面に接している。第2側面は、第2内側面に接している。第3側面は、ストッパに接している。第2孔が延びる方向に沿った方向に見て、第1内側面と第2内側面との距離は、前端面から後端面に向かうにつれて小さくなっている。
【0005】
本開示に係る切削インサートは、ベース部材と、ベース部材上にある切削部材とを備えている。ベース部材は、第1側面と、第2側面と、第3側面と、第4側面とを含む。第2側面は、第1側面に対して傾斜している。第3側面は、第1側面および第2側面の各々に対して傾斜しておりかつ第1側面および第2側面の各々に連なっている。第4側面は、第1側面、第2側面および第3側面の各々に対して傾斜しており、第1側面および第2側面の各々から離間しておりかつ第3側面に連なっている。第3側面に対して垂直な方向に見て、第1側面と第2側面との距離は、第4側面から離れるにつれて小さくなっている。ベース部材と切削部材との界面は、第3側面と平行な平面に沿って設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るボーリング工具の構成を示す斜視模式図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るボーリング工具を分解した状態を示す斜視模式図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る切削インサートの構成を示す斜視模式図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る切削インサートの構成を示す平面模式図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る切削インサートの構成を示す側面模式図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係るホルダの構成を示す斜視模式図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係るホルダの構成を示す平面模式図である。
【
図9】
図9は、
図8のIX-IX線に沿った断面模式図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係るホルダの構成を示す正面模式図である。
【
図12】
図12は、第1実施形態に係るボーリング工具の構成を示す平面模式図である。
【
図14】
図14は、第1実施形態に係るボーリング工具の構成を示す正面模式図である。
【
図16】
図16は、第1実施形態に係るボーリング工具を用いて筒状部材を加工する方法を示す斜視模式図である。
【
図17】
図17は、第2実施形態に係る切削インサートの構成を示す斜視模式図である。
【
図18】
図18は、第2実施形態に係る切削インサートの構成を示す平面模式図である。
【
図19】
図19は、第3実施形態に係る切削インサートの構成を示す斜視模式図である。
【
図20】
図20は、第3実施形態に係る切削インサートの構成を示す平面模式図である。
【
図21】
図21は、第4実施形態に係る切削インサートの構成を示す斜視模式図である。
【
図22】
図22は、第4実施形態に係る切削インサートの構成を示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[本開示が解決しようとする課題]
本開示の目的は、シンプルな構造でクランプ性能を向上可能なボーリング工具および切削インサートを提供することである。
【0008】
[本開示の効果]
本開示によれば、シンプルな構造でクランプ性能を向上可能なボーリング工具および切削インサートを提供することができる。
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
まず、本開示の実施形態を、列挙して説明する。
【0010】
(1)本開示に係るボーリング工具10は、切削インサート1と、ホルダ2と、押圧部材3とを備えている。ホルダ2には、切削インサート1が取り付けられる。押圧部材3は、切削インサート1をホルダ2に固定する。切削インサート1は、ベース部材50と、ベース部材50上にある切削部材30とを含む。ベース部材50は、第1側面11と、第2側面12と、第3側面13と、第4側面14とを含む。第2側面12は、第1側面11に対して傾斜している。第3側面13は、第1側面11および第2側面12の各々に対して傾斜しておりかつ第1側面11および第2側面12の各々に連なっている。第4側面14は、第1側面11、第2側面12および第3側面13の各々に対して傾斜しており、第1側面11および第2側面12の各々から離間しておりかつ第3側面13に連なっている。ホルダ2は、前端面74と、後端面75と、外周面76と、を含む。外周面76は、前端面74に連なっている。後端面75は、前端面74とは反対側から外周面76に連なっている。ホルダ2には、第1孔71と、第2孔72とが形成されている。第1孔71は、前端面74に開口しておりかつ前端面74から軸方向に沿って延びている。第2孔72は、第1孔71に連なっており外周面76に開口しておりかつ軸方向に対して垂直な径方向に沿って延びている。ホルダ2は、第2孔72の少なくとも一部を覆うストッパ79を含む。第2孔72を構成する面は、第1内側面91と、第1内側面91に対して傾斜している第2内側面92とを含む。押圧部材3は、第1孔71に配置された状態で第4側面14に接している。ベース部材50は、第2孔72に配置されている。第1側面11は、第1内側面91に接している。第2側面12は、第2内側面92に接している。第3側面13は、ストッパ79に接している。第2孔72が延びる方向に沿った方向に見て、第1内側面91と第2内側面92との距離は、前端面74から後端面75に向かうにつれて小さくなっている。
【0011】
(2)上記(1)に係るボーリング工具10によれば、切削部材30は、立方晶窒化ホウ素により構成されていてもよい。
【0012】
(3)上記(1)に係るボーリング工具10によれば、切削部材30は、焼結ダイヤモンドにより構成されていてもよい。
【0013】
(4)上記(1)から(3)のいずれかに係るボーリング工具10によれば、ホルダ2には、第1内側面91および第2内側面92の間の領域に開口しているクーラント供給孔73が設けられていてもよい。クーラント供給孔73が延びる方向は、軸方向および径方向の各々に対して傾斜していてもよい。
【0014】
(5)上記(1)から(4)のいずれかに係るボーリング工具10によれば、前端面74の外径は、2mm以上10mm以下であってもよい。
【0015】
(6)上記(1)から(5)のいずれかに係るボーリング工具10によれば、第1内側面91と第2内側面92とのなす角度は、70°以上110°以下であってもよい。
【0016】
(7)上記(1)に係るボーリング工具10によれば、切削部材30は、立方晶窒化ホウ素により構成されていてもよい。ホルダ2には、第1内側面91および第2内側面92の間の領域に開口するクーラント供給孔73が設けられていてもよい。クーラント供給孔73が延びる方向は、軸方向および径方向の各々に対して傾斜していてもよい。前端面74の外径は、2mm以上10mm以下であってもよい。
【0017】
(8)本開示に係る筒状部材100の加工方法は以下の工程を備えている。外壁面111と、外壁面111の内側にある内壁面112とを有する筒状部材100が準備される。上記(1)から(7)のいずれか1項に記載のボーリング工具10を用いて、筒状部材100が切削される。筒状部材100を切削する工程において、切削部材30が内壁面112に接触する。
【0018】
(9)本開示に係る切削インサート1は、ベース部材50と、ベース部材50上にある切削部材30とを備えている。ベース部材50は、第1側面11と、第2側面12と、第3側面13と、第4側面14とを含む。第2側面12は、第1側面11に対して傾斜している。第3側面13は、第1側面11および第2側面12の各々に対して傾斜しておりかつ第1側面11および第2側面12の各々に連なっている。第4側面14は、第1側面11、第2側面12および第3側面13の各々に対して傾斜しており、第1側面11および第2側面12の各々から離間しておりかつ第3側面13に連なっている。第3側面13に対して垂直な方向に見て、第1側面11と第2側面12との距離は、第4側面14から離れるにつれて小さくなっている。ベース部材50と切削部材30との界面60は、第3側面13と平行な平面に沿って設けられている。
【0019】
(10)上記(9)に係る切削インサート1によれば、切削部材30は、立方晶窒化ホウ素により構成されていてもよい。
【0020】
(11)上記(9)に係る切削インサート1によれば、切削部材30は、焼結ダイヤモンドにより構成されていてもよい。
【0021】
(12)上記(9)から(11)のいずれか1項に係る切削インサート1によれば、第1側面11、第2側面12および第4側面14の各々の算術平均粗さは、0.5μm以上であってもよい。第3側面13の算術平均粗さは、第1側面11、第2側面12および第4側面14の各々の算術平均粗さよりも小さくてもよい。
【0022】
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面においては、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さない。
【0023】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係るボーリング工具10の構成の概要について説明する。
【0024】
図1は、第1実施形態に係るボーリング工具10の構成を示す斜視模式図である。
図2は、第1実施形態に係るボーリング工具10を分解した状態を示す斜視模式図である。第1実施形態に係るボーリング工具10は、内径加工用の旋削工具である。
図1および
図2に示されるように、第1実施形態に係るボーリング工具10は、切削インサート1と、ホルダ2と、押圧部材3とを主に有している。切削インサート1は、切れ刃34を有している。ホルダ2には、第1孔71と、第2孔72とが設けられている。切削インサート1は、ホルダ2に取り付けられる。切削インサート1は、第2孔72に配置される。押圧部材3は、切削インサート1をホルダ2に固定する。押圧部材3は、第1孔71に配置される。
【0025】
次に、第1実施形態に係る切削インサート1の構成について説明する。
【0026】
図3は、第1実施形態に係る切削インサート1の構成を示す斜視模式図である。
図4は、第1実施形態に係る切削インサート1の構成を示す平面模式図である。
図3および
図4に示されるように、第1実施形態に係る切削インサート1は、ベース部材50と、切削部材30とを有している。切削部材30は、ベース部材50上にある。ベース部材50を構成する材料は、切削部材30を構成する材料と異なっている。ベース部材50を構成する材料は、たとえば超硬合金である。切削部材30を構成する材料は、たとえば立方晶窒化ホウ素である。切削部材30を構成する材料は、焼結ダイヤモンドであってもよい。
【0027】
図3に示されるように、ベース部材50は、第1側面11と、第2側面12と、第3側面13と、第4側面14と、第5側面15と、第6側面16と、第7側面17と、第10側面20とを有している。第2側面12は、第1側面11に対して傾斜している。第2側面12は、第1側面11から離間している。第3側面13は、第1側面11に連なっている。第3側面13は、第1側面11に対して傾斜している。第3側面13は、第1側面11に対して実質的に垂直である。第3側面13は、第2側面12に連なっている。第3側面13は、第2側面12に対して傾斜している。第3側面13は、第2側面12に対して実質的に垂直である。
【0028】
第7側面17は、第1側面11と第2側面12との間に位置している。第7側面17は、第1側面11および第2側面12の各々に連なっている。第7側面17は、第1側面11および第2側面12の各々に対して傾斜している。第7側面17は、第3側面13に連なっている。第7側面17は、第3側面13に対して傾斜している。第7側面17は、第3側面13に対して実質的に垂直である。
【0029】
第4側面14は、第7側面17の反対側に位置している。第4側面14は、第7側面17と平行であってもよい。第4側面14は、第7側面17から離間している。第4側面14は、第3側面13に連なっている。第4側面14は、第3側面13に対して傾斜している。第4側面14は、第3側面13に対して実質的に垂直である。第4側面14は、第1側面11に対して傾斜している。第4側面14は、第1側面11から離間している。第4側面14は、第2側面12に対して傾斜している。第4側面14は、第2側面12から離間している。
【0030】
第10側面20は、第3側面13の反対側に位置している。第10側面20は、第3側面13から離間している。第10側面20は、第1側面11と、第2側面12と、第4側面14と、第5側面15と、第6側面16と、第7側面17とに連なっている。第10側面20は、第1領域21と、第2領域22と、第3領域23とを有している。第3側面13に対して垂直な方向において、第1領域21は、第2領域22から離間していてもよい。第2領域22は、第3領域23に連なっている。第2領域22は、第3側面13と平行であってもよい。第2領域22は、第1側面11と連なっている。第2領域22は、第2側面12から離間していてもよい。第3領域23は、第2領域22に対して傾斜している。第3領域23は、第5側面15と第1側面11とに連なっていてもよい。
【0031】
ベース部材50は、突出部材40を有している。突出部材40は、第10側面20に位置している。突出部材40は、第1領域21に連なっている。突出部材40は、第3側面13に対して垂直な方向に突出していてもよい。突出部材40は、第1頂面41と、第1底面42と、第1壁面43とを有している。第1頂面41は、第1領域21および第2領域22の各々に連なっている。第1頂面41は、第1領域21および第2領域22の各々に対して傾斜している。第1頂面41は、第3側面13に対して実質的に垂直である。第1頂面41は、第5側面15および第6側面16の各々に実質的に平行である。
【0032】
第1底面42は、第5側面15に対して垂直な方向において、第1頂面41の反対側に位置している。第1底面42は、第1頂面41から離間している。第1底面42は、第1頂面41に対して傾斜している。第1壁面43は、第1頂面41および第1底面42の間に位置している。第1壁面43は、第1頂面41および第1底面42の各々を繋いでいる。
【0033】
図3および
図4に示されるように、切削部材30は、第2頂面31と、第2底面32と、第2壁面33と、切れ刃34とを有している。第2頂面31は、第1頂面41に連なっている。第2頂面31は、第1頂面41に沿って設けられている。第2頂面31は、たとえばすくい面として機能する。第2底面32は、第1底面42に連なっている。第2底面32は、第1底面42に沿って設けられている。第2底面32は、第2頂面31の反対側に位置している。第2底面32は、第2頂面31に対して傾斜している。第2壁面33は、第1壁面43に連なっている。第2壁面33は、外側に凸となる曲面である。第2壁面33は、たとえば逃げ面として機能する。第2壁面33と第2頂面31との稜線は、切れ刃34を構成する。
【0034】
図5は、
図4のV-V線に沿った断面模式図である。
図5に示される断面は、第3側面13に平行である。
図5に示されるように、ベース部材50は、さらに第8側面18と、第9側面19とを有している。第8側面18は、第4側面14と第5側面15との間に位置している。第8側面18は、第4側面14および第5側面15の各々に連なっている。第8側面18は、外側に凸となる曲面である。第9側面19は、第4側面14と第6側面16との間に位置している。第9側面19は、第4側面14および第6側面16の各々に連なっている。第9側面19は、外側に凸となる曲面である。
【0035】
第5側面15は、第6側面16の反対側に位置している。第5側面15は、第6側面16と実質的に平行であってもよい。第5側面15は、第8側面18と第1側面11との間に位置している。第5側面15は、第8側面18および第1側面11の各々に連なっている。第5側面15は、第1側面11、第2側面12、第4側面14および第7側面17の各々に対して傾斜している。第6側面16は、第9側面19と第2側面12との間に位置している。第6側面16は、第9側面19および第2側面12の各々に連なっている。第6側面16は、第1側面11、第2側面12、第4側面14および第7側面17の各々に対して傾斜している。
【0036】
図5に示されるように、第3側面13に対して垂直な方向に見て、第1側面11と第2側面12との距離は、第4側面14から離れるにつれて小さくなっている。第1側面11と第2側面12との距離は、第4側面14に平行な方向の距離である。第1側面11と第2側面12との距離は、第4側面14から第7側面17に向かうに従って単調に減少している。第1側面11および第2側面12の各々は、平面状である。第4側面14、第5側面15、第6側面16および第7側面17の各々は、平面状である。
【0037】
図5に示されるように、第3側面13に対して垂直な方向に見て、第1側面11と第2側面12とのなす角度(第1角度θ1)は、たとえば90°である。第3側面13に対して垂直な方向に見て、第1側面11と第2側面12とのなす角度(第1角度θ1)は、たとえば70°以上110°以下であってもよい。第5側面15と第4側面14とのなす角度は、たとえば90°である。第6側面16と第4側面14とのなす角度は、たとえば90°である。
【0038】
図6は、第1実施形態に係る切削インサート1の構成を示す側面模式図である。
図6に示される側面は、第4側面14に対して垂直な方向に見た面である。
図6に示されるように、ベース部材50と切削部材30との界面60は、第3側面13と平行な平面に沿って設けられている。ベース部材50と切削部材30との界面60が第3側面13と平行な平面に沿って設けられている場合とは、当該界面60が第3側面13と完全に平行な場合と、当該界面60が第3側面13と実質的に平行な場合とを含む。当該界面60が第3側面13と実質的に平行な場合とは、当該界面60と第3側面13とがなす角度が3°以下の場合である。
【0039】
第1側面11、第2側面12および第4側面14の各々の算術平均粗さ(Ra)は、たとえば0.5μm以上である。第1側面11、第2側面12および第4側面14の各々の算術平均粗さの下限は、特に限定されないが、たとえば0.7μm以上であってもよいし、1.0μm以上であってもよい。第1側面11、第2側面12および第4側面14の各々の算術平均粗さの上限は、特に限定されないが、たとえば4.0μm以下であってもよいし、3.5μm以下であってもよい。
【0040】
同様に、第5側面15、第6側面16および第7側面17の各々の算術平均粗さは、たとえば0.5μm以上である。第5側面15、第6側面16および第7側面17の各々の算術平均粗さの下限は、特に限定されないが、たとえば0.7μm以上であってもよいし、1.0μm以上であってもよい。第5側面15、第6側面16および第7側面17の各々の算術平均粗さの上限は、特に限定されないが、たとえば4.0μm以下であってもよいし、3.5μm以下であってもよい。
【0041】
第3側面13の算術平均粗さは、第1側面11、第2側面12および第4側面14の各々の算術平均粗さよりも小さくてもよい。第3側面13の算術平均粗さは、第5側面15、第6側面16および第7側面17の各々の算術平均粗さよりも小さくてもよい。
【0042】
次に、上記各側面の算術平均粗さの測定方法について説明する。上記各側面の算術平均粗さは、株式会社東京精密製の表面粗さ測定装置(SURFCOM NEX 041)によって測定することができる。算術平均粗さの測定条件は、以下の通りとする。測定長さは、3mmとする。測定速度は、0.3mm/秒とする。カットオフ波長は、0.8mmとする。算出規格は、JIS(Japan Industrial Standard)’01/’13とする。
【0043】
次に、第1実施形態に係るホルダ2の構成について説明する。
【0044】
図7は、第1実施形態に係るホルダ2の構成を示す斜視模式図である。
図8は、第1実施形態に係るホルダ2の構成を示す平面模式図である。
図7および
図8に示されるように、ホルダ2は、前端面74と、後端面75と、外周面76とを有している。外周面76は、前端面74に連なっている。後端面75は、前端面74とは反対側から外周面76に連なっている。
図8に示されるように、後端面75は、第1後端面部77と、第2後端面部78とを有している。第2後端面部78は、第1後端面部77に連なっている。第1後端面部77は、第2後端面部78に対して傾斜している。ホルダ2の軸方向において、第1後端面部77は、前端面74と第2後端面部78との間に位置している。
【0045】
図7および
図8に示されるように、外周面76は、第1外周面部81と、第2外周面部82と、第3外周面部83とを有している。第1外周面部81は、前端面74に連なっている。第3外周面部83は、後端面75に連なっている。第2外周面部82は、第1外周面部81と第3外周面部83との間に位置している。第2外周面部82は、第1外周面部81および第3外周面部83の各々に連なっている。第3外周面部83の直径は、第1外周面部81の直径よりも大きくてもよい。第2外周面部82の直径は、第1外周面部81から第3外周面部83に向かうに従って、単調に増加してもよい。
【0046】
第1実施形態に係るボーリング工具10は、小型工具である。ホルダ2の前端面74の外径Dは、たとえば2mm以上10mm以下である。前端面74の外径Dの下限は、特に限定されないが、たとえば3mm以上であってもよいし、3.5mm以上であってもよい。前端面74の外径Dの上限は、特に限定されないが、たとえば8.0mm以下であってもよいし、6mm以下であってもよい。
【0047】
図9は、
図8のIX-IX線に沿った断面模式図である。
図9に示される断面は、ホルダ2の中心軸Xを含み、かつ第2孔72が延びる方向(第2方向102)に平行である。ホルダ2には、第1孔71と、第2孔72とが形成されている。第1孔71は、前端面74に開口している。第1孔71は、前端面74から軸方向(第1方向101)に沿って延びている。第2孔72は、第1孔71に連なっている。第2孔72は、外周面76に開口している。具体的には、第2孔72は、第1外周面部81に開口している。第2孔72は、軸方向に対して垂直な径方向に沿って延びている。第2孔72は、ホルダ2を貫通している貫通孔であってもよいし、ホルダ2を貫通していない有底孔であってもよい。
【0048】
ホルダ2には、クーラント供給孔73と、クーラント導入孔85と、連結孔84とが形成されていてもよい。クーラント供給孔73は、外周面76に開口している。具体的には、クーラント供給孔73は、第1外周面部81に開口している。クーラント供給孔73は、第2孔72に連なっていてもよい。クーラント供給孔73が延びる方向は、第1方向101(軸方向)および第2方向102(径方向)の各々に対して傾斜していてもよい。クーラント導入孔85は、第1方向101に沿って設けられている。クーラント導入孔85は、後端面75の第1後端面部77に開口している。クーラント導入孔85は、クーラントが導入される孔である。連結孔84は、クーラント導入孔85とクーラント供給孔73の各々に連なっている。連結孔84は、クーラント導入孔85およびクーラント供給孔73の間に位置している。クーラント供給孔73は、たとえば液体または気体などの流体が供給される孔である。当該流体は、切れ刃34を冷却してもよいし、切屑を吹き飛ばしてもよい。
【0049】
図9に示されるように、第1方向101および第2方向102の各々に対して垂直な方向に見て、第2方向102に沿った連結孔84の幅は、クーラント導入孔85からクーラント供給孔73に向かうに従って広がっていてもよい。連結孔84を挟んでホルダ2の基端側を超硬合金で製作し、ホルダ2の先端側を鋼で製作して、両者を接合する場合がある。この場合、接合後にクーラント供給孔73を加工する際に、連結孔84が大きいと、ドリルがホルダ2の基端側の超硬合金に接触して折損することを防止することができる。
【0050】
図10は、第1実施形態に係るホルダ2の構成を示す正面模式図である。
図11は、
図10のXI-XI線に沿った断面模式図である。
図11に示される断面は、ホルダ2の中心軸Xを含み、かつ第3方向103に平行である。第3方向103は、第1方向101および第2方向102の各々に対して直交している。
【0051】
図10および
図11に示されるように、ホルダ2は、ストッパ79を有している。ストッパ79は、第2孔72の少なくとも一部を覆っている。ストッパ79は、第2孔72を完全に覆っていてもよい。ストッパ79は、外周面76に沿って設けられている。
【0052】
図11に示されるように、第2孔72を構成する面90は、たとえば、第1内側面91と、第2内側面92と、第3内側面93と、第4内側面94と、第5内側面95とを有している。第5内側面95は、第1内側面91および第2内側面92の各々に連なっている。第5内側面95は、第1内側面91と第2内側面92との間に位置している。第5内側面95は、凹状の曲面である。第2内側面92は、第1内側面91に対して傾斜している。第1内側面91は、第3内側面93に連なっている。第3内側面93は、第1内側面91に対して傾斜している。第2内側面92は、第4内側面94に連なっている。第4内側面94は、第2内側面92に対して傾斜している。第4内側面94は、第3内側面93に対面している。第4内側面94は、第3内側面93と平行であってもよい。第3内側面93および第4内側面94の各々は、中心軸Xに平行であってもよい。
【0053】
図11に示されるように、第2孔72が延びる方向に沿った方向に見て、第1内側面91と第2内側面92との距離は、前端面74から後端面75に向かうにつれて小さくなっている。第1内側面91と第2内側面92との距離は、第3方向103に沿った方向の距離である。第1内側面91は、中心軸Xに対して第3内側面93側へ傾斜している。第2内側面92は、中心軸Xに対して第4内側面94側へ傾斜している。第1内側面91と第2内側面92とのなす角度(第2角度θ2)は、たとえば90°である。第2角度θ2は、たとえば70°以上110°以下であってもよい。第2角度θ2の下限は、特に限定されないが、たとえば75°以上であってもよいし、80°以上であってもよい。第2角度θ2の上限は、特に限定されないが、たとえば105°以下であってもよいし、100°以下であってもよい。第2角度θ2は、第1角度θ1と同じであってもよいし、第1角度θ1よりもわずかに小さくてもよい。たとえば、第2角度θ2は、第1角度θ1よりも10分以上50分以下の角度だけ小さくてもよい。第2孔72が延びる方向に沿った方向に見て、第3方向103に沿った連結孔84の幅は、クーラント導入孔85からクーラント供給孔73に向かうに従って狭くなっていてもよい。
図8に示されるように、クーラント供給孔73は、第1内側面91および第2内側面92の間の領域に開口している。
図9に示されるように、クーラント供給孔73は、第5内側面95に開口していてもよい。
【0054】
次に、第1実施形態に係るボーリング工具10の構成の詳細について説明する。
【0055】
図12は、第1実施形態に係るボーリング工具10の構成を示す平面模式図である。
図13は、
図12のXIII-XIII線に沿った断面模式図である。
図13に示される断面は、中心軸Xを含み、かつ第2孔72が延びる方向(第2方向102)に平行である。
【0056】
図12および
図13に示されるように、切削インサート1は、第2孔72に配置される。切削インサート1のベース部材50は、第2孔72に配置されている。切削インサート1の切れ刃34は、第2孔72の外側に配置されている。ベース部材50の第3側面13は、ストッパ79に接している。第3側面13の一部がストッパ79に接しており、第3側面13の残部はストッパ79から離間していてもよい。ストッパ79と第5内側面95との間に隙間が設けられていてもよい。当該隙間を通過して、切屑が排出されてもよい。
【0057】
図14は、第1実施形態に係るボーリング工具10の構成を示す正面模式図である。
図15は、
図14のXV-XV線に沿った断面模式図である。
図15に示される断面は、中心軸Xを含み、かつ第3方向103に平行である。
【0058】
図14および
図15に示されるように、押圧部材3は、第1孔71に配置された状態で、切削インサート1の第4側面14に接している。押圧部材3は、頭部4と、雄ネジ部5とを有している。第1孔71を構成する表面には、雌ネジ部6(
図2参照)が形成されている。雄ネジ部5は、雌ネジ部6に係合する。雄ネジ部5は、第1孔71に配置されている。押圧部材3は、第1孔71にネジ止めされる。雄ネジ部5の後端面75側の端部は、第2孔72に位置している。雄ネジ部5は、第2孔72において切削インサート1の第4側面14に接している。
【0059】
押圧部材3は、前端面74から後端面75に向かう方向に、切削インサート1を押す。切削インサート1は、押圧部材3によって、ホルダ2に押し付けられる。切削インサート1の第1側面11は、ホルダ2の第1内側面91に接している。押圧部材3の押圧力によって、第1側面11は、第1内側面91に押し付けられる。切削インサート1の第2側面12は、第2内側面92に接している。押圧部材3の押圧力によって、第2側面12は、第2内側面92に押し付けられる。以上のようにして、切削インサート1は、ホルダ2に強固に固定される。
【0060】
次に、第1実施形態に係るボーリング工具10を用いて筒状部材100を加工する方法について説明する。
【0061】
図16は、第1実施形態に係るボーリング工具10を用いて筒状部材100を加工する方法を示す斜視模式図である。まず、被削材として筒状部材100が準備される。筒状部材100は、たとえばボールネジのナット部分である。
図16においては、筒状部材100の下側半分のみが示されている。
図16に示されるように、筒状部材100は、外壁面111と、内壁面112と、第1側壁面113と、第2側壁面114とを有している。内壁面112は、外壁面111の内側に位置している。第1側壁面113は、外壁面111および内壁面112の各々に連なっている。第2側壁面114は、外壁面111および内壁面112の各々に連なっている。
【0062】
次に、ボーリング工具10を用いて、筒状部材100が切削される。ボーリング工具10は、アダプタ200に取り付けられる。アダプタ200は、本体部201と、固定ネジ202とを有している。ボーリング工具10のホルダ2の一部が、アダプタ200の本体部201に取り付けられる。ボーリング工具10のホルダ2は、固定ネジ202を用いて本体部201に固定される。
【0063】
次に、ボーリング工具10が、筒状部材100の内壁面112に囲まれた空間に挿入される。ボーリング工具10の前端面74の直径は、筒状部材100の内壁面112に囲まれた空間の直径よりも小さい。筒状部材100は、回転軸の周りを回転する。ボーリング工具10は、アダプタ200に固定された状態で回転せず、筒状部材100に対し軸方向に直線移動する。切削部材30の切れ刃34は、筒状部材100の内壁面112に接触する。これにより、筒状部材100の内壁面112が、ボーリング工具10によって旋削される。
【0064】
なお、上記においては、筒状部材100がボールネジのナット部の場合について説明したが、筒状部材100はボールネジのナット部に限定されない。
【0065】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る切削インサート1の構成について説明する。第2実施形態に係る切削インサート1は、主に、第1頂面41および第2頂面31の各々の幅が広い点において、第1実施形態に係る切削インサート1と異なっており、その他の構成については、第1実施形態に係る切削インサート1と同様である。以下、第1実施形態に係る切削インサート1と異なる構成を中心に説明する。
【0066】
図17は、第2実施形態に係る切削インサート1の構成を示す斜視模式図である。
図18は、第2実施形態に係る切削インサート1の構成を示す平面模式図である。
図17および
図18に示されるように、ベース部材50は、突出部材40を有している。突出部材40は、第1頂面41と、第1底面42と、第1壁面43とを有している。切削部材30は、第2頂面31と、第2底面32と、第2壁面33と、切れ刃34とを有している。
【0067】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る切削インサート1の構成について説明する。第3実施形態に係る切削インサート1は、主に、切削部材30が第4側面14側に片寄っている点において、第1実施形態に係る切削インサート1と異なっており、その他の構成については、第1実施形態に係る切削インサート1と同様である。以下、第1実施形態に係る切削インサート1と異なる構成を中心に説明する。
【0068】
図19は、第3実施形態に係る切削インサート1の構成を示す斜視模式図である。
図20は、第3実施形態に係る切削インサート1の構成を示す平面模式図である。
図19および
図20に示されるように、第3実施形態に係る切削インサート1は、ベース部材50と、切削部材30とを有している。
【0069】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る切削インサート1の構成について説明する。第4実施形態に係る切削インサート1は、主に、切削部材30が第1切削部131と第2切削部132とを有している点において、第1実施形態に係る切削インサート1と異なっており、その他の構成については、第1実施形態に係る切削インサート1と同様である。以下、第1実施形態に係る切削インサート1と異なる構成を中心に説明する。
【0070】
図21は、第4実施形態に係る切削インサート1の構成を示す斜視模式図である。
図22は、第4実施形態に係る切削インサート1の構成を示す平面模式図である。
図21および
図22に示されるように、第4実施形態に係る切削インサート1のベース部材50は、突出部材40を有している。突出部材40は、第1突出部141と、第2突出部142とを有している。第2突出部142は、第1突出部141から離間している。第1突出部141および第2突出部142の各々は、第1頂面41と、第1底面42と、第1壁面43とを有している。第1突出部141は、第4側面14に沿って設けられている。第2突出部142は、第7側面17に沿って設けられている。
【0071】
図21および
図22に示されるように、第4実施形態に係る切削インサート1の切削部材30は、第1切削部131と第2切削部132とを有している。第2切削部132は、第1切削部131から離間している。第1切削部131および第2切削部132の各々は、第2頂面31と、第2底面32と、第2壁面33と、切れ刃34とを有している。第1切削部131は、第1突出部141に連なっている。第2切削部132は、第2突出部142に連なっている。第1切削部131と第1突出部141との界面60は、第2切削部132と第2突出部142との界面60と同一平面に位置していてもよい。
【0072】
次に、上記実施形態に係るボーリング工具10および切削インサート1の作用効果について説明する。
【0073】
上記実施形態に係るボーリング工具10によれば、切削インサート1と、ホルダ2と、押圧部材3とを備えている。ホルダ2には、切削インサート1が取り付けられる。押圧部材3は、切削インサート1をホルダ2に固定する。切削インサート1は、ベース部材50と、ベース部材50上にある切削部材30とを含む。ベース部材50は、第1側面11と、第2側面12と、第3側面13と、第4側面14とを含む。ホルダ2は、前端面74と、後端面75と、外周面76と、を含む。ホルダ2には、第1孔71と、第2孔72とが形成されている。第2孔72を構成する面は、第1内側面91と、第1内側面91に対して傾斜している第2内側面92とを含む。第1側面11は、第1内側面91に接している。第2側面12は、第2内側面92に接している。第3側面13は、ストッパ79に接している。第2孔72が延びる方向に沿った方向に見て、第1内側面91と第2内側面92との距離は、前端面74から後端面75に向かうにつれて小さくなっている。押圧部材3によって、切削インサート1の第1側面11がホルダ2の第1内側面91に押圧され、かつ、切削インサート1の第2側面12がホルダ2の第2内側面92に押圧される。
【0074】
上記実施形態に係るボーリング工具10によれば、シンプルな構造でクランプ性能を向上可能である。具体的には、切削インサート1がホルダ2に精度良くクランプされる。また切削インサート1およびホルダ2の各々はシンプルな構造であるため、高い強度を維持することができる。さらに切削インサート1およびホルダ2の各々はシンプルな構造であるため、製造が容易である。
【0075】
上記実施形態に係るボーリング工具10によれば、ホルダ2には、第1内側面91および第2内側面92の間の領域に開口しているクーラント供給孔73が設けられていてもよい。クーラント供給孔73が延びる方向は、軸方向および径方向の各々に対して傾斜していてもよい。これにより、第1内側面91と第2内側面92との間から、切れ刃34近傍に対して精度良くクーラントを供給することができる。
【0076】
上記実施形態に係るボーリング工具10によれば、前端面74の外径Dは、2mm以上10mm以下であってもよい。ボーリング工具10を小型化する場合、切削インサート1の形状も小さくする必要がある。従来、切削インサート1にネジ穴を設け、当該ネジ穴に締結ネジを挿入し、切削インサート1をホルダ2に固定していた。しかしながら、上記実施形態に係るボーリング工具10によれば、ネジ穴がない切削インサート1であっても、ホルダ2に固定することができる。そのため、ネジ穴が設けられた切削インサート1と比較して、高い強度を維持しつつ切削インサート1を小さくすることができる。結果として、ボーリング工具10を小型化することができる。
【0077】
上記実施形態に係る切削インサート1によれば、ベース部材50と、ベース部材50上にある切削部材30とを備えている。ベース部材50は、第1側面11と、第2側面12と、第3側面13と、第4側面14とを含む。第2側面12は、第1側面11に対して傾斜している。第3側面13は、第1側面11および第2側面12の各々に対して傾斜しておりかつ第1側面11および第2側面12の各々に連なっている。第4側面14は、第1側面11、第2側面12および第3側面13の各々に対して傾斜しており、第1側面11および第2側面12の各々から離間しておりかつ第3側面13に連なっている。第3側面13に対して垂直な方向に見て、第1側面11と第2側面12との距離は、第4側面14から離れるにつれて小さくなっている。ベース部材50と切削部材30との界面60は、第3側面13と平行な平面に沿って設けられている。
【0078】
上記実施形態に係る切削インサート1によれば、シンプルな構造でクランプ性能を向上可能である。上記実施形態に係る切削インサート1においては、クランプ用のネジ穴が形成されていない。そのため、切削インサート1を小型化した場合であっても、高い強度を維持することができる。
【0079】
上記実施形態に係る切削インサート1によれば、第1側面11、第2側面12および第4側面14の各々の算術平均粗さは、0.5μm以上であってもよい。第3側面13の算術平均粗さは、第1側面11、第2側面12および第4側面14の各々の算術平均粗さよりも小さくてもよい。第1側面11、第2側面12および第4側面14の各々は、放電ワイヤによって切り出されてもよい。第1側面11、第2側面12および第4側面14の各々は、切り出されて形成されるため、各々の算術平均粗さは大きくなる。第1側面11、第2側面12および第4側面14の各々の研削加工が不要な場合には、切削インサート1を容易に製造することができる。一方、第3側面13は、研削されることによって仕上げられる。そのため、第3側面13の算術平均粗さは小さくなる。結果として、第3側面13に垂直な方向における切れ刃34の位置を精度良く調整することができる。
【0080】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0081】
1 切削インサート、2 ホルダ、3 押圧部材、4 頭部、5 雄ネジ部、6 雌ネジ部、10 ボーリング工具、11 第1側面、12 第2側面、13 第3側面、14 第4側面、15 第5側面、16 第6側面、17 第7側面、18 第8側面、19 第9側面、20 第10側面、21 第1領域、22 第2領域、23 第3領域、30 切削部材、31 第2頂面、32 第2底面、33 第2壁面、34 切れ刃、40 突出部材、41 第1頂面、42 第1底面、43 第1壁面、50 ベース部材、60 界面、71 第1孔、72 第2孔、73 クーラント供給孔、74 前端面、75 後端面、76 外周面、77 第1後端面部、78 第2後端面部、79 ストッパ、81 第1外周面部、82 第2外周面部、83 第3外周面部、84 連結孔、85 クーラント導入孔、90 面、91 第1内側面、92 第2内側面、93 第3内側面、94 第4内側面、95 第5内側面、100 筒状部材、101 第1方向、102 第2方向、103 第3方向、111 外壁面、112 内壁面、113 第1側壁面、114 第2側壁面、131 第1切削部、132 第2切削部、141 第1突出部、142 第2突出部、200 アダプタ、201 本体部、202 固定ネジ、D 外径、X 中心軸、θ1 第1角度、θ2 第2角度。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削インサートと、
前記切削インサートが取り付けられるホルダと、
前記切削インサートを前記ホルダに固定する押圧部材とを備え、
前記切削インサートは、ベース部材と、前記ベース部材上にある切削部材とを含み、
前記ベース部材は、
第1側面と、
前記第1側面に対して傾斜している第2側面と、
前記第1側面および前記第2側面の各々に対して傾斜しておりかつ前記第1側面および前記第2側面の各々に連なっている第3側面と、
前記第1側面、前記第2側面および前記第3側面の各々に対して傾斜しており、前記第1側面および前記第2側面の各々から離間しておりかつ前記第3側面に連なっている第4側面と、を含み、
前記ホルダは、
前端面と、
前記前端面に連なっている外周面と
前記前端面とは反対側から前記外周面に連なっている後端面と、を含み、
前記ホルダには、
前記前端面に開口しておりかつ前記前端面から軸方向に沿って延びる第1孔と、
前記第1孔に連なっており前記外周面に開口しておりかつ前記軸方向に対して垂直な径方向に沿って延びる第2孔と、が形成されており、
前記ホルダは、前記第2孔の少なくとも一部を覆うストッパを含み、
前記第2孔を構成する面は、第1内側面と、前記第1内側面に対して傾斜している第2内側面とを含み、
前記押圧部材は、前記第1孔に配置された状態で前記第4側面に接しており、
前記ベース部材は、前記第2孔に配置されており、
前記第1側面は、前記第1内側面に接しており、
前記第2側面は、前記第2内側面に接しており、
前記第3側面は、前記ストッパに接しており、
前記第2孔が延びる方向に沿った方向に見て、前記第1内側面と前記第2内側面との距離は、前記前端面から前記後端面に向かうにつれて小さくなっている、ボーリング工具。
【請求項2】
前記切削部材は、立方晶窒化ホウ素により構成されている、請求項1に記載のボーリング工具。
【請求項3】
前記切削部材は、焼結ダイヤモンドにより構成されている、請求項1に記載のボーリング工具。
【請求項4】
前記ホルダには、前記第1内側面および前記第2内側面の間の領域に開口しているクーラント供給孔が設けられており、
前記クーラント供給孔が延びる方向は、前記軸方向および前記径方向の各々に対して傾斜している、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のボーリング工具。
【請求項5】
前記前端面の外径は、2mm以上10mm以下である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のボーリング工具。
【請求項6】
前記第1内側面と前記第2内側面とのなす角度は、70°以上110°以下である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のボーリング工具。
【請求項7】
前記切削部材は、立方晶窒化ホウ素により構成されており、
前記ホルダには、前記第1内側面および前記第2内側面の間の領域に開口するクーラント供給孔が設けられており、
前記クーラント供給孔が延びる方向は、前記軸方向および前記径方向の各々に対して傾斜しており、
前記前端面の外径は、2mm以上10mm以下である、請求項1に記載のボーリング工具。
【請求項8】
外壁面と、前記外壁面の内側にある内壁面とを有する筒状部材を準備する工程と、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のボーリング工具を用いて、前記筒状部材を切削する工程とを備え、
前記筒状部材を切削する工程において、前記切削部材が前記内壁面に接触する、筒状部材の加工方法。
【請求項9】
ベース部材と、
前記ベース部材上にある切削部材とを備え、
前記ベース部材は、
第1側面と、
前記第1側面に対して傾斜している第2側面と、
前記第1側面および前記第2側面の各々に対して傾斜しておりかつ前記第1側面および前記第2側面の各々に連なっている第3側面と、
前記第1側面、前記第2側面および前記第3側面の各々に対して傾斜しており、前記第1側面および前記第2側面の各々から離間しておりかつ前記第3側面に連なっている第4側面と、を含み、
前記第3側面に対して垂直な方向に見て、前記第1側面と前記第2側面との距離は、前記第4側面から離れるにつれて小さくなっており、
前記ベース部材と前記切削部材との界面は、前記第3側面と平行な平面に沿って設けられてお
り、
前記第1側面、前記第2側面および前記第4側面の各々の算術平均粗さは、0.5μm以上であり、
前記第3側面の算術平均粗さは、前記第1側面、前記第2側面および前記第4側面の各々の算術平均粗さよりも小さい、切削インサート。
【請求項10】
前記切削部材は、立方晶窒化ホウ素により構成されている、請求項9に記載の切削インサート。
【請求項11】
前記切削部材は、焼結ダイヤモンドにより構成されている、請求項9に記載の切削インサート。
【国際調査報告】