(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-16
(54)【発明の名称】レールシステム
(51)【国際特許分類】
H02K 41/03 20060101AFI20230509BHJP
B60L 13/03 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
H02K41/03 A
B60L13/03 Q
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547062
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(85)【翻訳文提出日】2022-09-29
(86)【国際出願番号】 AU2021050065
(87)【国際公開番号】W WO2021151162
(87)【国際公開日】2021-08-05
(32)【優先日】2020-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522306284
【氏名又は名称】ケリー ヘイズ
(71)【出願人】
【識別番号】522306295
【氏名又は名称】ロバート ケネス キャンベル
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケリー ヘイズ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ケネス キャンベル
【テーマコード(参考)】
5H113
5H641
【Fターム(参考)】
5H113AA07
5H113BB01
5H113CC04
5H113CD02
5H113CD06
5H113CD12
5H113CD16
5H113DC03
5H113DC15
5H113DD01
5H641BB06
5H641GG02
5H641GG07
5H641HH03
5H641JA09
(57)【要約】
レールシステム10は、ガイドレールと、ガイドレールに取り付けられた複数の固定電磁石と、ガイドレールに沿って移動するように構成された複数の車輪を有するキャリッジとを備える。車輪は磁石である。ガイドレールに沿った車輪の移動は、車輪に作用する、固定電磁石により生成される変動磁場によってもたらされる。
【選択図】
図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドレールと、
前記ガイドレールに取り付けられた複数の固定電磁石と、
前記ガイドレールに沿って走行する複数の車輪を有するキャリッジと、を備え、
前記車輪は磁石であり、
前記ガイドレールに沿った前記キャリッジの移動は、前記車輪に作用する前記固定電磁石により生成される変動磁場によってもたらされる、レールシステム。
【請求項2】
前記ガイドレールに沿った前記キャリッジの移動が負荷を移動させるように、前記キャリッジは前記負荷を取り付けるために構成される、請求項1に記載のレールシステム。
【請求項3】
複数の前記ガイドレールと、複数の前記キャリッジと、を備え、
前記複数のガイドレールは、第1のガイドレールと、第2のガイドレールと、を含み、
前記第1のガイドレールと前記第2のガイドレールとは互いに離間しており、
前記複数のキャリッジは、前記第1のガイドレールに取り付けられた1つのキャリッジと、前記第2のガイドレールに取り付けられた1つのキャリッジとを含み、
前記負荷は、前記第1のガイドレール上の前記キャリッジと前記第2のガイドレール上の前記キャリッジとに取り付けられ、
前記負荷は、前記第1のガイドレール上の前記キャリッジと前記第2のガイドレール上の前記キャリッジとの協調移動によって移動される、請求項2に記載のレールシステム。
【請求項4】
各ガイドレールはブレーキ係合面を備え、
各ガイドレールに取り付けられた少なくとも1つのキャリッジは、前記ブレーキ係合面に係合するように構成された形状を有するブレーキを含み、
前記ブレーキは、前記電磁石への電力供給が中断されたときに前記ガイドレールの前記ブレーキ係合面に係合して前記キャリッジの移動を制限する、請求項1~3のいずれか1項に記載のレールシステム。
【請求項5】
前記負荷を更に備える、請求項2~4のいずれか1項に記載のレールシステム。
【請求項6】
前記負荷がパネルである、請求項2~5のいずれか1項に記載のレールシステム。
【請求項7】
前記負荷がドアである、請求項6に記載のレールシステム。
【請求項8】
前記第1のガイドレール及び前記第2のガイドレールに沿った前記キャリッジの移動が前記水平面に対して前記負荷を上昇又は下降させるように、前記第1のガイドレール及び前記第2のガイドレールが水平面に対してある角度で位置合わせされる、請求項3~6のいずれか1項に記載のレールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル、歩行者又は車両アクセスドア、固定及び組立式パネル(fixed and sectional panels)、ローラドア、カーテンなどの物体(object)又は負荷(load)を移動させるために使用することができるレールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
セクショナルドア及びローラドアの近年の使用は、安全性、利便性及び効率性のために、自動開閉方法を組み込むことが多い。これらの自動化方法は、多くの場合、ケーブル及び/又はチェーンを備えたギア付き回転モータを使用する巻きバネ又はカウンタウェイト支援ウィンチシステムに依存する。
【0003】
本明細書に含まれる文書、行為、材料、デバイス、物品などのいかなる考察も、これらの事柄のいずれか又は全てが先行技術の基礎の一部を形成すること、又は添付の特許請求の範囲の各請求項の優先日前に存在していた本開示に関連する分野における共通の一般的知識であったことを認めるものと解釈されるべきではない。
【0004】
本明細書全体を通して、用語「含む(comprise)」、又は「含む(comprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」などの変形は、述べられた要素、整数もしくはステップ、又は要素、整数もしくはステップの群の包含を意味するが、任意の他の要素、整数もしくはステップ、又は要素、整数もしくはステップの群の排除を意味しないことが理解される。
【発明の概要】
【0005】
本開示によれば、ガイドレールと、ガイドレールに取り付けられた複数の固定電磁石(stationary electromagnets)と、ガイドレールに沿って走行する複数の車輪を有するキャリッジと、を備えるレールシステムが提供される。車輪は磁石である。ガイドレールに沿ったキャリッジの移動は、車輪に作用する、固定電磁石により生成される変動磁場(fluctuating magnetic field)によってもたらされる。キャリッジは、負荷(load)又は物体(object)に取り付けられるように構成されてもよい。
【0006】
レールシステムは、複数のガイドレールと、複数のキャリッジと、を備えることができる。複数のガイドレールは、第1のガイドレールと、第2のガイドレールと、を含むことができ、第1のガイドレールと第2のガイドレールとは互いに離間している。複数のキャリッジは、第1のガイドレールに取り付けられる1つのキャリッジと、第2のガイドレールに取り付けられる1つのキャリッジと、を含むことができる。負荷(load)は、第1のガイドレール上のキャリッジと第2のガイドレール上のキャリッジとに取り付けられ得る。負荷は、第1のガイドレール上のキャリッジと第2のガイドレール上のキャリッジとの協調移動によって移動し得る。
【0007】
複数(2つ以上)のキャリッジが第1のガイドレールに取り付けられてもよい。負荷が第1のガイドレール上の各キャリッジに取り付けられてもよい。複数(2つ以上)のキャリッジが第2のガイドレールに取り付けられてもよい。負荷が第2のガイドレール上の各キャリッジに取り付けられてもよい。
【0008】
各ガイドレールは、ブレーキ係合面を備えることができる。各ガイドレールに取り付けられた少なくとも1つのキャリッジは、ブレーキ係合面に係合するように構成された形状を有するブレーキを含むことができる。各ガイドレールに2つ以上のキャリッジが取り付けられている場合、各キャリッジは、その関連するガイドレールのブレーキ係合面に係合するように構成された形状を有するブレーキを含むことができる。キャリッジのブレーキは、電磁石への電力供給が中断(interrupted)されたときに、ガイドレールのブレーキ係合面に係合してキャリッジの移動を制限することができる。
【0009】
ブレーキ係合面は、鋸歯状プロファイル(serrated profile)を有することができる。キャリッジのブレーキは、ガイドレールのブレーキ係合面と確実に係合するように構成された、適合する鋸歯状プロファイルを有してもよい。キャリッジのブレーキはカム(cam)の形態であってもよく、カムは、鋸歯状の制動面(serrated braking surface)又はそれと関連付けられた足部(foot)を有してもよい。
【0010】
キャリッジのブレーキとガイドレールのブレーキ係合面とが係合してキャリッジの移動が制限されると、係合をもたらした移動とは反対の方向へのブレーキの移動によって係合の解除がもたらされ得る。例えば、キャリッジの下方への移動がブレーキとブレーキ係合面との係合をもたらす場合、キャリッジの上方への移動がブレーキとブレーキ係合面との係合を解除する。
【0011】
負荷(load)は物体(object)であってもよい。負荷はパネルであってもよい。以下において、「パネル」という用語は、歩行者及び/又は車両アクセス用(for pedestrian and/or vehicular access)のものなど、建物の開口部を閉鎖又は被覆するのに適した様々な建築構造物(architectural structures)を参照するために使用される。
【0012】
レールシステムは、負荷又はパネルをさらに備えてもよい。本開示では、「パネル」を含む様々な用語は、歩行者及び/又は車両アクセス用のものなどの建物の開口部を閉鎖又は被覆するのに好適であり、かつガイドレールシステムによる移動に好適である様々な建築構造を参照するために使用されている。例えば、カーテン、ドア、ローラドア、セクショナルパネルドア、フルパネルドア、ソリッドパネルドア、ガレージドアなどの用語が使用されている。簡単にするために、本開示では、「パネル」という用語はまた、これら及び類似の建築構造物を集合的に参照するために、一般的かつ包括的に使用されている。キャリッジは、パネル以外の物体又は負荷に取り付けられるように構成されてもよいことが理解できる。キャリッジは、物体又は物体を内部に配置可能な容器(containers)に取り付けられるように構成されてもよい。レールシステムは、物体又は容器をある場所から別の場所に輸送(transport)又は分配(distribute)するように構成され得る。
【0013】
上記システムは、電磁石へのエネルギーの供給を制御するための制御システム(control system)を含んでいてもよい。制御システムは、外部電源(external power source)によって電力供給されてもよい。非常時にバックアップ電力を供給するために、又はパネルを移動させる動作中にバルク電力を提供するために、バックアップバッテリ(backup battery)を設けてもよい。
【0014】
本開示によれば、自動立体又は組立式パネル、ローラドア、又はカーテンの共通構成要素であるガイドレールにリフト機構を組み込むことによって、そのようなパネル(例えば、ドアなど)を操作(例えば、開閉)する方法が提供される。リフト機構は、ガイドレールに取り付けられた複数の固定電磁石と、キャリッジの複数の車輪(磁石である)とを含む。
【0015】
本開示によれば、そのような構成は、設置コンポーネント(installation components)の削減、それによって設置時間の削減を可能にすることができる。それは、保守コストを下げることができ、静かな動作、並びに改善された美観を可能にすることができる。
【0016】
実施形態によれば、本発明は、構成要素の故障又は電力供給の中断の場合に作動する制動システム(braking system)の形態のフェイルセーフ機構(fail-safe mechanism)を含む。このようなシステムは、安全性を高めることができる。
【0017】
レールシステムは、負荷又はパネルを垂直に持ち上げるように構成されてもよい。例えば、一対のガイドレールが垂直に配置されてもよく、それらの間にパネルが垂直に延在してもよい。一対のガイドレールに沿ったキャリッジの移動は、パネルを垂直に上昇させるか、又は、パネルを垂直に下降させることができる。レールシステムは、負荷又はパネルを水平方向に移動するように構成してもよい。例えば、一対のガイドレールに水平方向に配置されてもよく、それらの間にパネルが水平方向に延在してもよい。一対のガイドレールに沿ったキャリッジの移動は、パネルを水平方向に移動させることができる。システムは、ガイドレールに垂直部分及び水平部分を組み合わせるように構成してもよく、これらそれぞれの部分に沿ったキャリッジの移動は、それに応じてパネルを移動させる。レールシステムは、垂直構成及び水平構成のみに限定されない。パネルを任意の方向に移動させることができるシステムを配置するために、ガイドレールを垂直面又は水平面に対してある角度で配置してもよいことが理解される。
【0018】
本明細書に開示される実施形態は、用途に応じて変化する重量、移動速度、及び環境に適合するように、スケール可能な設計で、家庭用、商業用、及び産業用の用途に適用可能であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本開示の実施形態によるガイドレールの概略断面図である。
【
図2】
図2A~
図2Bは、本開示の実施形態による、屈曲構成を有するガイドレールの概略図である。
【
図3】
図3A~
図3Bは、本開示の実施形態による、直線構成を有するガイドレールの概略図である。
【
図4】本開示の実施形態によるキャリッジの概略側面図である。
【
図5】
図5A及び
図5Bは、本開示の実施形態によるガイドレール及びキャリッジの概略断面図である。
【
図6】本開示の実施形態によるガイドレールシステムの構成要素の制御ロジックの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
一実施形態によれば、垂直平面、水平平面、又は垂直平面及び水平平面に対してある角度をなす他の平面におけるパネル(例えば、単一パネルドア及び分割パネルドア、ローラドア、又はカーテン)などの負荷(又は物体)の位置決め及び移動のためのレールシステム(又はアセンブリ)が提供される。レールシステムは、磁気駆動及び位置決めシステム(magnetic drive and positioning system)を組み込む。レールシステムは、少なくとも1つのガイドレールと少なくとも1つのキャリッジとを含む。各ガイドレールは、一連の電磁石アレイ(固定電磁石)を組み込んでおり、これらの電磁石アレイは、ガイドレール内に配置されて、永久磁石を組み込んだキャリッジを、制御システムからの命令に応じた可変の力及び速度でガイドレールに沿って移動させるように、磁気吸引及び磁気反発を順次(逐次的に)提供する。
【0021】
一実施形態によれば、車輪を形成する永久磁石を組み込んだキャリッジが提供される。キャリッジは、負荷又は物体に接続するように構成され得る。例えば、一実施形態では、負荷(又は物体)は、パネル、ローラドアなどの形態である。キャリッジは、ガイドレールに取り付けられ、ガイドレールに組み込まれた電磁石を介して駆動される。負荷は、キャリッジの車輪とガイドレール内の電磁石との相互作用を介して位置決め又は移動され得る。
【0022】
一実施形態によれば、レールシステムは、レールシステムの特定の動作又は電力供給の中断がない場合に、キャリッジを維持し、それによって負荷又は物体(パネル、ローラドアなど)を固定位置に維持することができる一体化型自動機械作動式制動システム(integrated automatic mechanically operated braking system)を含む。例えば、負荷がローラドアである場合、制動システムは、一定の駆動信号を必要とせずに、ローラドアが意図された任意の位置に留まることを確実にし、ドア制御又は駆動システムへの電力が失われた場合に、任意の方向へのローラドアの移動を防止する。緊急時には、システムを手動で無効にすることができ、キャリッジの移動を可能にし、ローラドアの開放を可能にすることができる。
【0023】
例えば、負荷がドアである場合、レールシステムは、多くのパネル材料(panel materials)に適することができ、パネル、ローラドア、カーテンなどの様々な幅及び高さに適合可能であり得る。
【0024】
一実施形態によれば、レールシステムは、特定の用途に基づく構成要素の選択及び数量に基づく構成要素である。構成要素は、サイズ以外の物理的特性が、システムの軽負荷、中負荷、及び重負荷バージョンを通して一貫したままであり得る規模で製造され得る。力容量(Force capacity)は特に限定されず、特定の用途に従って設定することができる。例えば、本開示の範囲を限定することを意図するものではないが、500~4000ニュートンの範囲であってもよい。動作速度はまた、特定の用途に応じて変化してもよく、非限定的な例として、0.1m/sec~4m/secの範囲であってもよい。
【0025】
一実施形態によれば、レールシステムは、ガイドレール間の距離がガードレールに沿って一定であるように互いに離間した一対のガイドレールを含む。ガイドレールは、用途及び場所に応じて、直線状であっても湾曲していてもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい。ガイドレールは、湾曲部分又は屈曲部によって接続された直線部分を含んでもよい。例えば、垂直に延びる直線部分は、屈曲部によって接続された水平に延びる直線部分に接続されてもよい(例えば、
図2A及び
図2B参照)。可動パネル又はカーテンに固定されたキャリッジは、用途に必要な数だけ取り付けられ、ガイドレールに挿入される。
【0026】
一実施形態によれば、レールシステムは、実質的に1つの平面内に配置された(例えば、実質的に水平に配置された)単一のガイドレールを含んでもよい。例えば、レールシステムは、カーテンを移動させるように構成されてもよく、レールシステムは、窓、ドア開口部の上方に、又は天井に沿って配置されてもよい。そのような場合、ガイドレールは、直線部分、曲線部分、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0027】
一実施形態によれば、バッテリバックアップを組み込んだ制御システムは、キャリッジの移動を開始するために様々な電流及びシーケンスで通電されるガイドレール電磁石に制御されたエネルギーを提供するために、ガイドレール(複数可)に隣接して設置される。
【0028】
一実施形態によれば、各キャリッジは、負荷又は物体に接続するように構成されたリンク機構(linkage)、ブラケット、取り付け点(point of attachment)など(以下では「リンク機構」と呼ぶ)を有する。
【0029】
一実施形態によれば、各キャリッジは、制動中にガイドレールに係合するブレーキ機構(brake mechanism)を組み込む。例えば、ブレーキ機構は、ガイドレールに組み込まれた鋸歯状プロファイルの形態の対応するブレーキ係合面と確実に係合する鋸歯状カム機構の形態であってもよい(
図4、
図5A及び
図5B参照)。キャリッジのブレーキ機構は、リンク機構に設けられてもよい。例えば、
図3A及び
図3Bに示される垂直構成に関して、キャリッジに接続されたパネルが、キャリッジからの直接的な力なしに下向き方向に移動しようとするとき、鋸歯状カム特徴は、ガイドレールのブレーキ係合面と係合して、いかなる下向き移動も止める。この実施形態によれば、キャリッジによってリンク機構に上向きの力が加えられたときのみ、カムが係合解除する。これにより、負荷(例えば、パネル又はカーテン)の指示されていない下向き移動が生じないことを確実にする。負荷(例えば、パネル又はカーテン)の下方への移動に障害が発生した場合、鋸歯状カム特徴は、ガイドレール上の鋸歯状プロファイルと係合し、さらなる移動を防止する。
【0030】
一実施形態によれば、下方への移動を可能にするために(例えば、
図3A及び
図3Bに示す構成を参照)、キャリッジは最初に上方に移動してカムブレーキ機構を係合解除し、移動速度は、指示下でカムロック(制動機構)が係合解除されたままであるように調整される。
【0031】
一実施形態によれば、制御ユニット内に収容された電子機器のシステムは、電流検知及び電力ループ(current sensing and power loops)を使用して、キャリッジ固定磁石(carriage fixed magnets)に無限可変運動(infinitely variable movements)を誘起するステータ電磁石(静止磁石)の正確な通電を提供する。ループフィードバックシステム(loop feedback system)を使用して、各ガイドレール及びその上を移動するキャリッジは、負荷、パネル又はカーテンのいかなる不整合(misalignment)も回避するように正確に配置されることができ、任意の移動点での相対位置(relative positioning)を維持することができる。
【0032】
一実施形態によれば、電子制御システムは、風、氷及び他の要因などの外部要因(external factors)、並びに経年及び保守による摩擦変数(friction variables)などの異常を考慮に入れる自己較正システム(self-calibration system)を有する。この実施形態では、イベント及びパラメータの不揮発性メモリ(non-volatile memory)は、サービス履歴を提供し、基本ディスプレイを介してアラーム及びサービス要求を生成するために、制御システムの一部を形成する。
【0033】
一実施形態によれば、統合されたドライコンタクトトリガ(integrated dry contact triggering)並びにオンボードRF及びBluetooth(登録商標)通信は、いくつかの外部制御(external control)及び監視ソリューション(monitoring solutions)をシステムのユーザに提供する。
【0034】
一実施形態によれば、制御及び動作システムは、24ボルトDC外部電源で動作するように設計され、電源のサイズは、システムの動作周波数及びユニットのサイズ(小型、中型又は大型モデル)に依存する。
【0035】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。
【0036】
図1は、一実施形態によるレールシステム10のガイドレール12の断面図である。本実施形態では、ガイドレール12は、「L」字形ブラケット16を介して収容構造体(例えば、壁)14に固定され、この「L」字形ブラケット16は、同一平面上又は垂直面上にねじ17を介して取り付けることを可能にする。ガイドレール12は、非鉄金属又はポリマー製の2つのガイドレール部(guide rail sections)12A,12Bを、それらの長さ方向に沿って所定間隔で配置されたねじ18を介して連結することで構成されている。本実施形態では、ガイドレール12の収容構造体14とは反対の側において、ガイドレール部12Aとガイドレール部12Bとの間に間隙(gap)又はクリアランス19が存在する。電磁石(ステータ磁石)20は、ガイドレール部12A,12Bに取り付けられた鉄製ボビン(ferrous bobbins)22から形成され、ボビン22は、ボビン22の周囲に巻かれた銅製誘導コイル(copper induction coils)24の形態の電磁ステータコイル(electromagnetic stator coils)を収容する。各コイル24は、埋め込まれたPCBバックプレーン(図示せず)を通して接続され、このバックプレーンは、マルチピンコネクタ(multi pin connector)26を介して他のレール部又は最終制御部(final controls)に相互接続する。鋸歯状制動プロファイル28及びナイロンガイドインサート(nylon guide inserts)30は、制動システム32の一部を形成する。ガイドレール12は、モジュール式セクション(modular sections)で製造され、端と端とを接続することができ、パネル又はカーテンの移動範囲内のそれらの位置に応じて、各用途によって必要とされるように多くの又はいくつかのステータ電磁石を含んでもよく、又はステータ電磁石を含まなくてもよい。
【0037】
図2A及び
図2Bは、ガレージドア(図示せず)、例えば、複数のパネルを備える組立式ガレージドア(sectional garage door)を移動させるためのレールシステム10におけるガイドレール12の構成の一例を示す。このような構成では、第2のガイドレール12(図示せず)が、対応する構成でドア開口部の反対側に設けられる。
図2A及び
図2Bは、ガイドレール12の第1の部分(first portion)34が垂直であり、ガイドレール12の第2の部分(second portion)36が水平である屈曲構成(bent configuration)を示す。第1の部分34は、屈曲部(bend)38を介して第2の部分36に接続されている。
図2Aは、完全に閉じられた位置にあるガレージドアのためのものであるような、垂直な第1の部分34におけるキャリッジ40の配置を概略的に示す。
図2Bは、完全に開いた配置におけるガレージドアのためのものであるような、水平な第2の部分36におけるキャリッジ40の配置を示す。電磁石20を組み込んだガイドレール12は、屈曲した構成(
図2A及び
図2B参照)で構成されてもよく、または真っ直ぐな構成(
図3A及び
図3B参照)で構成されてもよい。
図2A、
図2B、
図3A及び
図3Bは、ガイドレール12に埋め込まれた電磁石の位置及びサイズを示すとともに、車輪42の形態の永久磁石を含むキャリッジ40を表しており、完全に閉じた位置(
図2A及び
図3B)及び完全に開いた位置(
図2B及び
図3A)を示している。これらの図は、例を示す切り欠き図を示しており、コイル(電磁石)及び/又はキャリッジの位置及び量に関して非特異的(non-specific)であることに留意されたい。ガイドレール12が曲げられている場合(
図2A及び
図2Bのように)、屈曲部38は、キャリッジを案内し電気回路を維持する標準的なガイドレール12の間に嵌め込まれる標準的な構成要素であってもよい。
【0038】
図4は、キャリッジの概略側面図である。本実施形態によれば、レールシステムのロータ機能は、キャリッジ40の車輪42としても機能する円形希土類高強度磁石(circular rare earth high strength magnets)の形態の磁石を含む。用途に応じて、追加の磁石(車輪)42がキャリッジ40に追加されてもよい。この車輪42は、主コネクタ(main connector)46及び延長アーム(extension arms)48を含むドリー(dolly)44によって接続される。主コネクタ46及び延長アーム48は、非鉄材料(non-ferrous material)から形成され、車輪42にも接続するピン及びクリップ構成(pin and clip arrangements)62を使用して接続される。延長アーム48及び追加の車輪42は破線で示されており、それらが任意であってもよく、キャリッジ40のサイズ及び運搬能力(carrying capacity)を増加させるために含まれてもよいことを示す。キャリッジ40の長さ及び運搬能力をさらに増加させるために、さらなる延長アーム48及び車輪42(図示せず)を追加することができる。主コネクタ46は、接続プレート(connecting plates)47を含み、制動システム32の一部としてのカム50及びキー付き中心ピン(keyed central pin)54を組み込んでいる。カム50は、負荷又は物体が取り付けられる取付点(point of attachment)、ブラケット、リンク機構、又はコネクタを有することによって、レールシステム10によって移動される負荷又は物体64(本実施形態ではガレージドア)に取り付けられるように構成され得る。本実施形態では、カム50は、ガイドレール部12A,12Bの間の間隙19を通ってカム50から延びるロッド(rod)56を含む。
【0039】
図5は、一実施形態によるガイドレール12の概略断面図である。
図5Aは、ガイドレール12と、キャリッジ40のドリー44の主コネクタ46のカム50(接続プレート47は図示せず)とを通る断面を示す。
図5Bは、ガイドレール12と、キャリッジ40の車輪42とを通る断面を示す。キャリッジ40の車輪42を形成する磁石(本実施形態では希土類磁石)は、磁石の極がガイドレール上の電磁ステータ20と相互作用するように配置される。磁石車輪(magnet wheels)42は、用途、並びにレールシステム10、ガイドレール12及び磁石車輪42などによって移動される負荷のサイズに従って、サイズが決定される。負荷は、小負荷、中負荷及び大負荷用に構成することができる。車輪42は、ガイドレール12に形成された溝58により案内される。車輪42は、用途に応じてナイロン外側リング(nylon outer ring)60を有することができる。車輪42は、非鉄ピン及びクリップ構成(non-ferrous pin and clip arrangement)62によって保持される。主コネクタ46は、負荷又は物体64(例えば、ローラドア、ドア、カーテンなど)を取り付けるための剛性ロッド(rigid rod)56と、カム機構を組み込んだ本体としてのカム形状鋳造物(cam shaped casting)50と、ロッド56上に形成された制動足部(braking foot)66とを組み込んでいる。制動足部66は、ガイドレール12上の鋸歯状制動プロファイル28に対応して適合する鋸歯状プロファイル68を有する。主コネクタ46は、大きなピン及びクリップ構成(large pin and clip arrangement)70によってカム50に接続される。負荷64への接続は、特定の用途に適した特定のブラケット72を介して行われる。本実施形態では、ブラケット72は、一端でロッド56に接続され、ねじ74によって負荷64に接続される。中心ピン54は、ロッド56を介してキャリッジに接続された物体64の負荷に応じてカム50を数度回転させる。その結果、物体(例えば、ガレージドア)64の負荷が通常動作下でキャリッジ40にかかるとき、カム50は回転され、ロッド56は、キャリッジ40の制動足部66とガイドレール12上の鋸歯状制動プロファイル28とが係合せず、キャリッジ40がガイドレールに対して移動可能であるように位置決めされる。しかしながら、誤動作(malfunction)によりキャリッジが物体の負荷を支持(または支承)していない場合(例えば、キャリッジ及び物体の両方が抵抗なく一緒に落下している場合)、カム50は反対方向に回転し、ロッド56は、キャリッジ40の制動足部66とガイドレール12上の鋸歯状制動プロファイル28とが係合し、それによりキャリッジ40と物体64の両方がガイドレール12に対して移動することを防止するよう作用するように位置決めされる。
【0040】
ガイドレールの電磁石と車輪の永久磁石との間の磁気相互作用の効率を維持するために、システムの他の構成要素(例えば、ガイドレール12、接続プレート47、ピン、クリップ、ねじなど)に非鉄材料又は非磁性材料を使用することが好ましいことが理解されよう。
【0041】
図6は、電子ドライバ(electronic drivers)及び制御部の制御ロジックの実施形態の概略図を示す。本実施形態では、レールシステム10の動作は、負荷64(パネル、ドア、カーテンなど)の円滑な移動を保証するためにステータ20に電力を供給するために、電子制御システム(electronic control system)76によって制御される。これは、環境要因、物理的干渉及び電力変動によって影響され得る。本実施形態では、制御システム76は、外部24ボルト電源(external 24 volt power source)78によって電力供給される。外部24ボルト電源78は、レールシステム設備のサイズ及びデューティに基づいて、サイズ決定される。バッテリ80は、非常時のバックアップ電力81及びレールシステムの機構の動作中のバルク電力(bulk power)82として電力を提供するために設置される。制御回路(control circuit)83は、ドライコンタクト入力(dry contact inputs)、RF信号(遠隔制御)などを含む外部操作信号(external operation signals)84を受信する。制御及び監視機能のためのオンボードBluetooth(登録商標)接続86も可能である。
【0042】
本実施形態では、制御システム76は、キャリッジ40がガイドレール12に沿って移動し、それによってキャリッジ40に接続された負荷64が移動するように、キャリッジの磁石車輪42に作用する変動磁場を生成するために、特定のシーケンス及び可変エネルギーレベルでガイドレール12内の固定電磁石(電磁コイル)20のグループに電気エネルギーを提供する。負荷64を移動させるために一対のガイドレール12が使用される構成(上述のガレージドアの例など)では、一定のフィードバックループ(constant feedback loop)86が、各ガイドレール12の対応するセクションにおけるエネルギー消費を比較して、キャリッジ40が調和して動作することを確実にする。追加のパルスカウンタはまた、各ガイドレール12に関連付けられた位置検知(position sensing)88からの位置データ及び負荷検知(load sensing)90からの負荷データを提供して、位置、負荷、速度及び警告信号を提供することができる。
図6において、ガイドレール12は、左側のガイドレール12を「LHS」で示し、右側のガイドレール12を「RHS」で示す。制御システム76は、初期設定のために使用されるプログラムされた較正シーケンス(programmed calibration sequence)を含み、較正シーケンスは、定期的に(routinely)、又は動作設定点から外れたパラメータが検知されたときに、又は動作が中断又は妨害された場合に実行することができる。負荷64の手動移動(例えば、ガレージドアの上昇、パネル又はカーテンの移動)を防止するために、ソレノイド作動ロック機構(solenoid activated lock mechanism)92を設けることができる。
【0043】
当業者であれば、本開示の広い一般的な範囲から逸脱することなく、上述の実施形態に対して多数の変形及び/又は修正を行うことができることを理解する。
【国際調査報告】