(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-16
(54)【発明の名称】太陽電池それと太陽電池パネル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0224 20060101AFI20230509BHJP
H01L 31/0747 20120101ALI20230509BHJP
【FI】
H01L31/04 264
H01L31/06 455
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548970
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(85)【翻訳文提出日】2022-10-11
(86)【国際出願番号】 KR2020017158
(87)【国際公開番号】W WO2021162216
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】10-2020-0018540
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522401774
【氏名又は名称】シャンラオ ジンコ ソーラー テクノロジー デベロップメント シーオー.,エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハ,ジョンミン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ジュファ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ヨンソン
(72)【発明者】
【氏名】リ,キョンドン
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
5F151AA03
5F151CB24
5F151CB27
5F151DA07
5F151DA10
5F151FA10
5F151GA04
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5F251GA04
(57)【要約】
本実施形態に係る太陽電池は、多結晶半導体層からなる導電型領域に金属及び接着物質を含む電極を形成して太陽電池の電気的特性を向上させ、製造工程を単純化することができる。さらに具体的に、太陽電池は、半導体基板を含み、多結晶半導体層からなる導電型領域が半導体基板の一面上に位置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池であって、
半導体基板;
前記半導体基板の一面上に位置し、多結晶半導体層からなる導電型領域;
前記多結晶半導体層からなる前記導電型領域に接続され、金属及び接着物質を含む電極;を備えてなる、太陽電池。
【請求項2】
前記金属は第1金属を含み、
前記第1金属及び前記多結晶半導体層に含まれる半導体物質からなる金属-半導体化合物を含む化合物層は、前記電極と前記導電型領域との境界部分において第1領域に対応するように部分的に形成される、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記電極と前記導電型領域との境界部分にあって、前記第1領域を除外した第2領域において、前記金属及び前記接着物質は、前記多結晶半導体層に接触して形成される、請求項2に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記第1金属はニッケルを含み、
前記半導体物質はシリコンを含み、
前記化合物層はニッケルシリサイドを含む、請求項2に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記第1領域の面積が前記第2領域の面積より小さい、請求項3に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記金属が前記第1金属より低い比抵抗を有する第2金属を更に含む、請求項2に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記電極における前記金属全体100重量部に対する前記第1金属の重量部は15以下である、請求項2に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記電極は前記金属と前記接着物質を含む単一の印刷層からなる、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記電極又は前記印刷層の厚さは10μm以上である、請求項8に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記導電型領域を覆いながら、コンタクトホールを備える後面パッシベーション膜;を更に備え、
前記電極は、前記コンタクトホールの内部で前記後面パッシベーション膜と離隔して形成されるか、又は、
前記多結晶半導体層の上、及び前記第1及び第2電極のうちの少なくとも一つの少なくとも一部の上、に位置する後面パッシベーション膜;を更に備える、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記導電型領域は、前記半導体基板の前記一面上で互いに離隔して位置する第1導電型領域と、第2導電型領域と、を備え、
前記電極は、前記第1導電型領域に接続される第1電極と、前記第2導電型領域に接続される第2電極と、を備え、
前記第1電極及び前記第2電極のうちの少なくとも1つは、前記金属及び前記接着物質を含む、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項12】
太陽電池パネルであって、
太陽電池;
前記電極に電気的に接続される配線材;
前記電極と前記配線材との間に位置し、前記電極と前記配線材を電気的に接続する接着層を含む半導体基板;を備えてなり、
前記太陽電池は、
半導体基板と、
前記半導体基板の一面上に位置し、多結晶半導体層を備える導電型領域と、
前記多結晶半導体層に接続され金属と接着物質とを備える、太陽電池パネル。
【請求項13】
前記接着層が前記電極に接触して形成され、ビスマスを含むはんだ物質を含む、請求項12に記載の太陽電池パネル。
【請求項14】
前記電極の表面粗さは、前記接着層の表面粗さより大きい、請求項12に記載の太陽電池パネル。
【請求項15】
前記電極は前記配線材の方向にラウンドになるように凸状に突出され、
前記接着層は前記電極のラウンドになった部分を全体的に覆いながら前記配線材に向かいながら幅が徐々に大きくなる、請求項12に記載の太陽電池パネル。
【請求項16】
前記接着層の厚さに対する前記電極の厚さの比は0.5以上である、請求項12に記載の太陽電池パネル。
【請求項17】
太陽電池パネルの製造方法であって、
半導体基板と、前記半導体基板の一面上に位置し、多結晶半導体層とを備える導電型領域と、前記導電型領域に接続される電極と、を備える太陽電池を製造する工程;
前記電極上に接着層を形成する工程;
前記電極及び前記接着層上に配線材を位置させ、熱と圧力を加えて前記接着層を用いて前記電極に前記配線材を接着する接着熱処理工程;を含んでなり、
前記電極は、金属と接着剤を含む電極ペーストを印刷工程で塗布し、硬化熱処理して形成された印刷層からなることを特徴とする、太陽電池パネルの製造方法。
【請求項18】
前記電極は1回の印刷工程によって形成された単一の印刷層からなり、
前記接着層は、ビスマスを含むはんだ物質を含むはんだペーストを前記単一の印刷層の上に塗布して形成される、請求項17に記載の太陽電池パネルの製造方法。
【請求項19】
前記接着層は追加の接着物質を更に含み、
前記接着熱処理工程の前、前記電極ペーストに含まれる前記接着物質の重量部は、前記はんだペーストに含まれる前記追加接着物質の重量部より小さく、
前記接着熱処理工程の後、前記電極に含まれる前記接着物質の重量部は、前記接着層に含まれる前記追加接着物質の重量部より大きい、請求項18に記載の太陽電池パネルの製造方法。
【請求項20】
前記電極の硬化熱処理工程の温度は500度以下であり、
前記接着熱処理工程の工程温度より前記接着層の溶融点が低い、請求項17に記載の太陽電池パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池、それと太陽電池パネル及びその製造方法に関し、さらに詳細には、構造を改善した太陽電池、それとこれを含む太陽電池パネル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池においては、様々な層及び電極を設計に従って形成することによって製造することができる。このような様々な層及び電極の設計によって太陽電池の特性、生産性などが変わり得る。特に、電極の物質、形成工程などが変わると、太陽電池の特性、生産性などが大きく異なることがある。
【0003】
一例として、韓国特許第1541422号に開示されたところのように、めっきを用いて電極を形成すると製造コストが高く、めっきの工程条件を精密に制御することが難しくてめっき不良、コンタクト特性低下などの問題が発生することがある。そしてメッキのための別途のシード層を形成しなければならないので、太陽電池の製造工程が非常に複雑である。
【0004】
別の例として、電極を、スパッタリング工程を用いて形成すると、スパッタリング工程で金属膜からなるスパッタリング電極を形成した後に、印刷工程で保護フィルム(レジスト)を形成し、湿式エッチング工程で金属膜の一部を除去して電極を形成した。これによれば、スパッタリング工程、エッチング工程などにより太陽電池の損傷が発生することがあり、様々な段階の工程を実行しなければならず、工程が複雑で各工程毎に不良が発生する確率が大きかった。そして、スパッタリング電極の厚さが薄くて、比抵抗特性が十分でなく、追加の電極層を形成したり、複数の金属層を積層して形成することで、製造コストが増加し、製造工程が複雑な問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態は、生産性及び信頼性を向上させることができる太陽電池、それと太陽電池パネル及びその製造方法を提供しようとする。
【0006】
さらに具体的に、本実施形態においては、太陽電池の電極構造を改善して太陽電池の電気的特性を向上させ、太陽電池の製造工程を単純化することができる太陽電池を提供する。
【0007】
また、本実施例においては、太陽電池の電極と配線材の付着構造及び工程を改善して電極と配線材の付着特性を向上させながら構造及び製造工程を単純化できる太陽電池パネル及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態に係る太陽電池は、多結晶半導体層からなる導電型領域に金属及び接着物質を含む電極を形成して太陽電池の電気的特性を向上させ、製造工程を単純化することができる。さらに具体的に、太陽電池は、半導体基板を含み、多結晶半導体層からなる導電型領域が半導体基板の一面上に位置する。
【0009】
さらに具体的に、電極に含まれる金属が多結晶半導体層に含まれる半導体物質と反応して金属-半導体化合物を含む化合物層を形成する第1金属を含む(備える;構成する;構築する;設定する;包接する;包含する;含有する)ことができる。化合物層は、電極と導電型領域との境界部分において第1領域に対応するように部分的に形成することができるが、化合物層によって電極が優れた抵抗及び接触特性を有することができる。
【0010】
電極と導電型領域との境界部分において、第1領域を除外した第2領域において、金属及び接着物質が多結晶半導体層に接触して形成され得る。
【0011】
一例として、第1金属がニッケルを含み、半導体物質がシリコンを含み、化合物層がニッケルシリサイドを含むことができる。
【0012】
本実施形態において、第1領域の面積が第2領域の面積より小さいことがある。
【0013】
本実施形態において、電極の金属が第1金属より低い比抵抗を有する第2金属をさらに含みから抵抗特性を向上させることができる。一例として、電極で全金属100重量部に対する第1金属の重量部が15以下であり得る。
【0014】
本実施形態において、電極が金属と接着物質を含む単一の印刷層で構成されて、太陽電池の製造工程を単純化することができる。一例として、電極または印刷層の厚さが10μm以上であり得る。
【0015】
一例として、導電型領域を覆いながらコンタクトホールを備える後面パッシベーション膜をさらに含み、電極がコンタクトホール内部で後面パッシベーション膜と離隔して形成され得る、多結晶半導体層上、及びそれと第1及び第2電極内、少なくとも1つの少なくとも一部の上に位置する後面パッシベーション膜をさらに含み得る。
【0016】
本実施形態に係る太陽電池は後面電極構造を有することができる。例えば、導電型領域が半導体基板の一面上で互いに離隔して位置する第1導電型領域と第2導電型領域とを含み、電極が第1導電型領域に接続される第1電極及び第2導電型領域に接続される第2電極を含み、第1及び第2電極の内、の少なくとも1つが金属及び接着物質を含むことができる。
【0017】
本実施形態に係る太陽電池パネルは、前述した太陽電池と、前述した太陽電池の電極に電気的に接続される配線材と、電極と配線材との間に位置して電極と配線材を電気的に接続する接着層とを含む。
【0018】
ここで、接着層が電極に接触して形成され、ビスマスを含むはんだ物質を含む低温はんだペーストで有り得る。電極の表面粗さが接着層の表面粗さより大きいことがある。電極が配線材の方向にラウンドになるようにまたは凸状に突出し、接着層が電極のラウンドになった部分を全体的に覆いながら、配線材に向かいながら幅が徐々に大きくなることがある。接着層の厚さに対する電極の厚さの割合が0.5以上であり得る。
【0019】
本実施形態に係る太陽電池パネルは、前述した太陽電池を製造するステップと、前述した太陽電池の電極上に接着層を形成するステップと、電極及び接着層上に配線材を位置させ、熱と圧力を加えて接着層を用いて、電極に配線材を接着する接着熱処理ステップを含む。このとき、電極が金属と接着物質を含む電極ペーストを印刷工程で塗布し、硬化熱処理して形成された印刷層で構成され得る。
【0020】
ここで、電極が、1回の印刷工程によって形成された単一の印刷層で構成され、接着層がビスマスを含むはんだ物質を含む低温はんだペーストを単一の印刷層上に塗布して形成することができる。
【0021】
一例として、接着層が追加の接着物質をさらに含み得る。このとき、接着熱処理工程前に電極ペーストに含まれる接着物質の重量部がはんだペーストに含まれる追加の接着物質の重量部よりも小さく、接着熱処理工程後に電極に含まれる接着物質の重量部が接着層に含まれる。接着物質の重量部よりも大きくてもよい。電極の硬化熱処理工程の温度が500度以下であり、接着熱処理工程の工程温度よりも接着層の溶融点が低いことがある。
【発明の効果】
【0022】
本実施形態においては、金属と接着物質を含む低温電極ペーストを用いた印刷層からなる電極を多結晶半導体層からなる導電型領域に形成し、接着物質による優れた接着特性、多結晶半導体層の優れたキャリア移動度それと電極の十分な厚さによって優れた抵抗及び接着特性を有することができる。ここで、金属が多結晶半導体層の半導体物質と結合して化合物層を形成する第1金属と相対的に低い抵抗を有する第2金属を含み、第1金属によって形成された化合物層による優れた抵抗及び接触特性、第2金属による低抵抗により抵抗特性をさらに向上させることができる。これにより、太陽電池の特性及び効率を向上させることができる。
【0023】
一例として、電極が単一の印刷層で構成されて電極形成する工程を単純化して工程個数を減らし、不良率を改善して太陽電池の生産性を向上させることができる。そして、多結晶半導体層に低温電極ペーストを適用して、高温工程で発生し得る熱による損傷を防止することができる。また、それと単一の印刷層上に低温はんだペーストからなる接着層を形成することにより配線材を貼り付けることができるので、太陽電池パネルの生産性を向上させることができる。これにより、太陽電池及びそれを含む太陽電池パネルの生産性及び信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係る太陽電池パネルを概略的に示す分解斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す太陽電池パネルに含まれる第1及び第2太陽電池とそれらを接続する配線部を概念的に示す部分断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す太陽電池パネルに含まれた第1及び第2太陽電池、接着層及び絶縁部材、それと配線部を概略的に示す後面平面図である。
【
図4】
図4は、
図3のIV-IV線に沿って切断して見た断面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す太陽電池パネルに含まれる太陽電池の後面を示す部分後面平面図である。
【
図6】本発明の一変形例に係る太陽電池パネルに含まれる太陽電池の電極を形成するために用いられる金属粒子を示す概念図及びこれを用いて形成された電極を示す断面拡大図である。
【
図7a-7g】本発明の実施形態に係る太陽電池及びそれを含む太陽電池パネルの製造方法を示す断面図である。
【
図8】本発明の他の実施形態に係る太陽電池パネルに含まれる太陽電池、接着層及び絶縁部材、並びに配線材を示す部分断面図である。
【
図9a-9e】本発明の実施形態に係る太陽電池及びそれを含む太陽電池パネルの製造方法を示す断面図である。
【
図10】実施例1及び比較例1に係る太陽電池の後面で光の波長による反射度を測定したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下においては、添付の図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。しかしながら、本発明はそのような実施形態に限定されず、様々な形態に変更することができることは勿論である。
【0026】
図面においては、本発明を明確かつ簡略に説明するために説明に関係のない部分の図示を省略したし、明細書全体を通じて同一または極めて類似する部分については同一の図面参照符号を用いる。なお、図面では説明をさらに明確にするために厚さ、幅などを拡大または縮小して示したが、本発明の厚さ、幅などは図面に示したものに限定されない。
【0027】
また、明細書全体において、ある部分が他の部分を「含む」とするとき、特に反対の記載がない限り、他の部分を排除するものではなく、他の部分をさらに含むことができる。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分「上」にあるとする時、これは他の部分「真上」にある場合だけでなく、その中間に他の部分が位置する場合も含む。層、膜、領域、板などの部分が他の部分「真上」であると言うときは、中間に他の部分が位置しないことを意味する。
【0028】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態に係る太陽電池、それと太陽電池パネル及びその製造方法を詳細に説明する。本明細書における「第1」、「第2」などの表現は、互いに区別するために使用されたものだけであり、本発明がこれに限定されるものではない。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係る太陽電池パネル100を概略的に示す分解斜視図であり、
図2は、
図1に示す太陽電池パネル100に含まれた第1及び第2太陽電池(10a、10b)とこれを接続する配線部140を概念的に示す部分断面図である。本明細書では、明確な説明のために互いに隣接する2つの太陽電池10を第1太陽電池10a及び第2太陽電池10bと称する。
【0030】
図1及び
図2を参照すると、本実施形態に係る太陽電池パネル100は、太陽電池10と、太陽電池10に電気的に接続される配線部140を含み、太陽電池10と配線部140(さらに具体的に、太陽電池10の電極(
図4の参照符号42、44、以下同様)と配線材142との間で太陽電池10と配線部(140)を電気的に接続する接着層(
図4の参照符号LSP、以下同じ)を含むことができる。そして、太陽電池パネル100は、太陽電池10及び配線部140を囲んで封止する封止材130と、封止材130上から太陽電池10の一面(一例として、前面)に、位置する第1カバー部材110と、封止材130上で太陽電池10の他面(一例として後面)に位置する第2カバー部材120とを含むことができる。
【0031】
まず、太陽電池10は、半導体基板(
図4の参照符号12、以下同様)と、半導体基板12の一面(一例で後面)上に位置する第1及び第2電極42,44とを含むことができる。太陽電池10については、後で詳細に説明する。
【0032】
本実施形態において、太陽電池パネル100は複数の太陽電池10を備え、複数の太陽電池10は配線部140によって電気的に直列、並列または直並列に接続され得る。
【0033】
さらに具体的に、配線部140が少なくとも一部が太陽電池10の第1及び第2電極42、44と重畳されて第1及び第2電極42、44に接続される配線材142を含むことができる。各太陽電池10と配線材142の接続構造等については、後でさらに詳細に説明する。一例として、配線部140が太陽電池10間で配線材142と交差する方向に位置して配線材142に接続される接続配線144をさらに含むことができる。配線材142と接続配線144により、複数の太陽電池10が一方向(図面のx軸方向)に接続してひとつの列(すなわち太陽電池ストリング)を形成することができる。そして、配線部140は、太陽電池ストリングの両端に位置し、これをまた別の太陽電池ストリングまたはジャンクションボックス(図示せず)に接続するバスバー配線146をさらに含むことができる。
【0034】
配線材142、接続配線144、バスバー配線146は、それぞれ導電性物質(一例として、金属物質)を含むことができる。一例として、配線材142、接続配線144、またはバスバー配線146が導電性コア(
図4の参照符号1420、以下同様)と、導電性コア1420の表面上に位置し、はんだ物質を含む導電性コーティング層(
図4の参照符号1422、以下同じ)を含むことができる。ここで、導電性コア1420が金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)の内、いずれか1つを含み得、導電性コーティング層1422またははんだ物質が錫(Sn)または錫を含む合金で構成することができる。一例として、導電性コア1420が銅を含むか銅で構成することができ、導電性コーティング層1422が錫を含む合金(一例としてSnBiAg)から構成することができる。
【0035】
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、配線材142、接続配線144、またはバスバー配線146の物質、形状、接続構造などは様々に変形することができる。例えば、接続配線144を別途備えずに配線材142のみに隣接した太陽電池10を接続して太陽電池ストリングを形成することもある。
【0036】
封止材130は、配線部140によって接続された太陽電池10の前面に位置する第1封止材131と、太陽電池10の後面に位置する第2封止材132を含むことができる。第1封止材131と第2封止材132は、水分や酸素が流入するのを防止し、太陽電池パネル100の各要素を化学的に結合する。第1及び第2封止材131、132は、透光性及び接着性を有する絶縁物質で構成することができる。一例として、第1封止材131と第2封止材132としてエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、ポリビニルブチラール、ケイ素樹脂、エステル系樹脂、オレフィン系樹脂などを用いることができる。第1及び第2封止材131、132を用いたラミネート工程等により、第2カバー部材120、第2封止材132、太陽電池10、配線部140、第1封止材131そして、第1カバー部材110が一体化されて太陽電池パネル100を構成することができる。図では、第1封止材131と第2封止材132とが互いに別に位置されたもので示されたが、実際にはラミネート工程によって一体化され、境界を有さず一体化された状態で有り得る。
【0037】
第1カバー部材110は第1封止材131上に位置して太陽電池パネル100の前面を構成し、第2カバー部材120は第2封止材132上に位置して太陽電池パネル100の後面を構成する。第1カバー部材110及び第2カバー部材120は、それぞれ外部の衝撃、湿気、紫外線などから太陽電池10を保護することができる絶縁物質で構成することができる。そして、第1カバー部材110は、光が透過することができる透光性物質で構成され、第2カバー部材120は、透光性物質、非透光性物質、又は反射物質等からなるシートで構成することができる。一例として、第1カバー部材110がガラス基板などで構成されることができ、第2カバー部材120がフィルム、シート、ガラス基板などで構成されることができる。例えば、第2カバー部材120は、TPT(Tedlar/PET/Tedlar)タイプを有するか、またはベースフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))の少なくとも一面に形成されたポリフッ化ビニリデン((poly vinylidene fluoride、PVDF)樹脂層を含むことができる。
【0038】
しかし、本発明がこれに限定されることはない。したがって、第1及び第2封止材131、132、第1カバー部材110、または第2カバー部材120が前述した説明以外の様々な物質を含むことができ、様々な形態を有することができる。例えば、第1カバー部材110または第2カバー部材120が様々な形態(例えば、基板、フィルム、シートなど)または物質を有することができる。
【0039】
図3は、
図1に示す太陽電池パネル100に含まれる第1及び第2太陽電池10a、10b、接着層LSP及び絶縁部材IP、及び配線部140を概略的に示した後面平面図である。
図4は、
図3のIV-IV線に沿って切断して見た断面図である。それと
図5は、
図1に示す太陽電池パネル100に含まれた太陽電池10の後面を示す部分後面平面図である。明確する理解するために、
図5の拡大円は、導電型領域32、34と電極42、44の境界部分に形成された化合物層50を中心として示した。
【0040】
まず、本実施形態に係る太陽電池10を詳細に説明した後に太陽電池10に接続される接着層LSP及び絶縁部材IP、及び配線部140について詳細に説明する。
【0041】
図3~
図5を参照すると、本実施形態に係る太陽電池10は、半導体基板12と、半導体基板12の一面(一例で、後面)上に位置し、多結晶半導体層30からなる導電型領域32、34と、導電型領域32、34に接続され、金属40a及び接着物質40bを含む電極42、44とを含む。
【0042】
本実施形態においては、導電型領域32、34が半導体基板12の後面上で互いに離隔して位置する第1導電型領域32及び第2導電型領域32を含み、電極42 44が第1導電型領域32に接続された第1電極42と、第2導電型領域34に接続される第2電極44とを含むことができる。このとき、第1及び第2電極42、44の内、少なくとも一方が、前述したように金属40a及び接着物質40bを含む電極で有り得る。このように、本実施形態においては、太陽電池10が半導体基板12の後面と互いに反対の第1及び第2導電型を有する第1及び第2導電型領域32、34が互いに離隔しながら共に位置し、その上で、第1及び第2電極42、44が互いに離隔しながら共に位置する後面電極構造を有することができる。そすると、半導体基板12の前面には電極が形成されず、シェーディングロス(shading loss)を最小化して太陽電池10の効率を向上させることができる。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、第1及び第2導電型領域32、34の内、少なくとも1つが半導体基板12の前面に位置するなど、様々な変形が可能である。
【0043】
一例として、半導体基板12は、第1または第2導電型ドーパントを含む結晶質半導体(例えば、単結晶または多結晶半導体、一例として、単結晶または多結晶シリコン、特に単結晶シリコン)からなるベース領域12aを含むことができる。このように結晶性が高く欠陥の少ないベース領域12aまたは半導体基板12をベースとした太陽電池10は、電気的特性に優れる。
【0044】
半導体基板12の前面には、前面電界領域12bが位置することができる。一例として、前面電界領域12bは、ベース領域12aと同じ導電型を有し、ベース領域12aより高いドーピング濃度を有するドーピング領域であり、半導体基板12の一部を構成することができる。しかし、本発明はこれに限定されない。したがって、前面電界領域12bが半導体基板12とは別に位置する半導体層であるか、ドーパントを有さないで固定電荷などを有する酸化膜などで構成されるなど様々な変形が可能である。
【0045】
そして、半導体基板12の前面は反射を防止するための反射防止構造(一例として、半導体基板12の111面からなるピラミッド状のテクスチャリング構造)を備えて、反射を最小化することができる。そして、半導体基板12の後面は鏡面研磨された面で構成され、前面より小さい表面粗さを有しパッシベーション特性を向上させることができる。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、半導体基板12の後面に反射防止構造が形成されたり、半導体基板12の前面に反射防止構造が形成されないなど、様々な変形が可能である。
【0046】
半導体基板12の後面上で半導体基板12と導電型領域32、34との間に中間膜20が位置することができる。中間膜20は、半導体基板12の後面上に全体的に位置することができ、一例として、半導体基板12の後面に全体的に接触することができる。
【0047】
中間膜20は、半導体基板12の表面をパッシベーションするパッシベーション膜の役割を果たすことができる。あるいは、中間膜20が導電型領域32、34のドーパントが半導体基板12に過度に拡散することを防止するドーパント制御の役割または拡散バリアとしての役割を実行することができる。このような中間膜20は、前述の役割を果たすことができる様々な物質を含むことができるが、例えば、酸化膜、シリコンを含む誘電膜または絶縁膜、窒化酸化膜、炭化酸化膜、真性非晶質シリコン膜などからなることができる。ある。本実施形態のように、導電型領域32、34が多結晶半導体層30で構成される場合、中間膜20をシリコン酸化膜で形成すれば、中間膜20を容易に製造することができ、中間膜20を介したキャリア送達を円滑に行うことができる。別の例として、導電型領域32、34が非晶質半導体層または微結晶半導体層で構成されると、中間膜20が真性非晶質シリコン膜で構成され得る。
【0048】
中間膜20の厚さは、前面パッシベーション膜24、反射防止膜26及び後面パッシベーション膜40より小さいことがある。一例として、中間膜20の厚さが10nm以下(例えば、5nm以下、さらに具体的には、2nm以下、一例として、0.5nm~2nm)で有り得る。これは、中間膜20の効果を十分に実現するためのものであるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0049】
中間膜20上には、導電型領域32、34を含む多結晶半導体層30が位置(一例として接触)することができる。さらに具体的に、第1導電型領域32と第2導電型領域34が中間膜20上で連続的に形成された多結晶半導体層30内に共に位置して同一平面上に位置することができる。そして、第1導電型領域32と第2導電型領域34との間に、これらと同一平面上にバリア領域36を位置することができる。
【0050】
第1及び第2導電型領域32、34及びバリア領域36、又は多結晶半導体層30は、半導体基板12とは異なる結晶構造である多結晶構造を有する多結晶半導体(一例として、多結晶シリコン)で構成できる。さあに具体的には、第1導電型領域32は、第1導電型ドーパントを含む多結晶半導体層30の部分(第1導電型多結晶部分)から構成され、第2導電型領域34は、第2導電型ドーパントを含む多結晶半導体層30の部分(第2導電型多結晶部分)で構成され、バリア領域36は、第1及び第2導電型ドーパントがドープされていない多結晶半導体層30の部分(真性またはアンドフト多結晶部分)で構成することができる。このように、第1及び第2導電型領域32、34が多結晶半導体層30で構成されると、高いキャリア移動度を有することができる。そして、本実施形態と同様に、単一の印刷層420からなる電極42、44と組み合わせて太陽電池10の様々な特性を向上させることができる。しかし、本発明はこれに限定されない。したがって、第1及び第2導電型領域32、34及びバリア領域36、または多結晶半導体層30が、非晶質半導体または微結晶半導体(一例として、非晶質シリコン、微結晶シリコン)などを含むことができる。
【0051】
このとき、ベース領域12aが第2導電型を有すると、ベース領域12aと異なる導電型を有する第1導電型領域32はエミッタ領域として機能し、ベース領域12aと同じ導電型を有する第2導電型領域34は、後面電界(back surface field)領域として機能する。バリア領域36は、第1導電型領域32と第2導電型領域34を物理的に離隔させ、それらが接触する場合に発生することができるシャント(shunt)を防止することができる。
【0052】
このように、第1及び第2導電型領域32、34が中間膜20を挟んで半導体基板12とは異なる別々の層で構成される。これにより、半導体基板12にドーパントをドープして形成されたドーピング領域を導電型領域として用いる場合より再結合による損失を最小化することができる。そして、バリア領域36を真性またはアンドフト部で構成してバリア領域36の形成工程を単純化することができる。
【0053】
しかし、本発明はこれに限定されない。したがって、中間膜20をそなえないことができる。あるいは、第1及び第2導電型領域32、34の内、少なくとも一つが半導体基板12の一部にドーパントがドープされて形成され、半導体基板12の一部を構成するドーピング領域で構成されることもできる。それと、バリア領域36を備えないか、バリア領域36が半導体物質以外の他の物質で構成されるか、空きスペースで構成され得る。他の様々な変形が可能である。
【0054】
ここで、第1または第2導電型ドーパントがp型である場合には、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などの3族元素を用いることができる。第1または第2導電型ドーパントがn型である場合には、リン(P)、ヒ素(As)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)などの5族元素を用いることができる。一例として、第1及び第2導電型ドーパントの内、1つがボロン(B)であり、他の1つがリン(P)であり得る。
【0055】
本実施形態において、第1導電型領域32が第1方向(図面のy軸方向)に延び、第2方向(図面のx軸方向)で複数備えてストライプ状をなして、第2導電型領域34が第1方向に延び、第2方向で複数備えてストライプ状をなすことができる。第2方向で第1導電型領域32と第2導電型領域34が交互に位置することができ、第1導電型領域32と第2導電型領域34との間にこれらを離隔するバリア領域36が位置することできる。このとき、第1導電型領域32の面積(一例として、幅)が第2導電型領域34の面積(一例として、幅)より大きくなることもある。これによれば、エミッタ領域として機能する第1導電型領域32が後面電界領域として機能する第2導電型領域34より広い面積を有し、光電変換に有利することもある。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、第1及び第2導電型領域32、34及びバリア領域36の配置、面積、幅等は様々に変形することができる。
【0056】
半導体基板12の前面上には、前面パッシベーション膜24及び反射防止膜26が順次位置(一例として接触)することができ、導電型領域32、34又は多結晶半導体層30上にコンタクトホール46を備える後面パッシベーション膜40が位置(一例として、接触)することができる。前面パッシベーション膜24及び反射防止膜26は、半導体基板12の前面上に全体的に形成され、後面パッシベーション膜40は、多結晶半導体層30上のコンタクトホール46を除外した部分に全体的に形成され得る。一例として、前面パッシベーション膜24、反射防止膜26、または後面パッシベーション膜40は、優れた絶縁特性、パッシベーション特性などを有することができるようにドーパントなどを備えないことがある。
【0057】
一例として、前面パッシベーション膜24、反射防止膜26又は後面パッシベーション膜40は、シリコン窒化膜、水素を含むシリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸化窒化膜、アルミニウム酸化膜、シリコン炭化膜、MgF2、ZnS、TiO2及びCeO2からなる群から選択されたいずれか1つの単一膜または2つ以上の膜が組み合わせられた多層膜構造を有することができる。本実施形態において、後面パッシベーション膜40は、反射膜、反射防止膜などのように光路を制御する光学膜で構成することができる。一例として、後面パッシベーション膜40は、太陽電池10の前面に入射され、後面に到達した光を再び太陽電池10の内部に反射する内部反射の役割をする反射膜として機能することができる。また、太陽電池10の後面に入射する光の反射を防止する反射防止膜として機能することもできる。
【0058】
そして、第1電極42がコンタクトホール46を介して第1導電型領域32に電気的に接続され、第2電極44がコンタクトホール46を介して第2導電型領域34に電気的に接続することができる。
【0059】
本実施形態においては、第1電極42が第1方向に延びる第1導電型領域32に対応してストライプ状に形成され、第2電極44が第2方向に延びる第2導電型領域34に対応してストライプ状に形成することができる。一例として、第1電極42の面積は、第1導電型領域32の面積の25%~75%であり得、第2電極44の面積は、第2導電型領域34の面積の25%~75%であり得る。このような範囲内でキャリア収集及び送達の効果を向上させることができる。しかし、本発明はこれに限定されず、様々な変形が可能である。
【0060】
コンタクトホール46が、第1及び第2電極42、44の一部のみを第1導電型領域32及び第2導電型領域34にそれぞれ接続(例えば、接触)するように形成することができる。例えば、1つの第1電極42または1つの第2電極44に対応して複数のコンタクトホール46を形成することができる。これにより、コンタクトホール46の形成面積を減らしてコンタクトホール46の形成工程を単純化し、コンタクトホール46を形成する際に発生することができる特性の低下などの問題を防止することができる。あるいは、コンタクトホール46のそれぞれが、第1及び第2電極42、44に対応して第1及び第2電極42、44の全長に形成され得る。これによれば、第1及び第2電極42、44と第1導電型領域32及び第2導電型領域34の接触面積を最大化してキャリア収集効率を向上させることができる。他の様々な変形が可能である。
【0061】
本実施形態において、第1電極42及び/または第2電極44は、金属40a及び接着物質40bを含むことができる。
図4の拡大円では、第1電極42が位置する部分を拡大して示し、以下ではこれに基づいて参照して説明したが、第2電極44もこれと同一または極めて類似の構造を有すことができる。これにしたがって、以下では、第1及び/または第2導電型領域32、34を導電型領域32、34に、これに接続される第1及び/または第2電極42を電極42、44)と称して説明する。
【0062】
本実施形態において導電型領域32、34(又はこれを構成する多結晶半導体層30、以下同様)に接続される電極42、44が金属40a及び接着物質40bを含むペーストを印刷工程で塗布して形成された印刷層420で構成することができる。このように電極420がペーストを用いて形成された印刷層420で構成されるので、溶媒、添加剤などが一部残存されることができる。しかし、本発明はこれに限定されない。電極42、44がペーストを用いて形成された印刷層420で構成されたか否かは、顕微鏡を介して電極42、44内に位置した金属40aからなる粒子の形状を確認したり、成分分析などを通じて溶媒、接着物質40b等の一部が残存すること等により容易に分かる。電極42、44の製造方法及びこれを構成する印刷層420については、後でさらに詳細に説明する。一例では、本実施形態においては、電極42、44が金属40aと接着物質40bとを含む単一の印刷層420から構成することができる。
【0063】
本実施形態において、金属40aは、導電型領域32、34を構成する半導体物質と化学的に反応して金属-半導体化合物を形成することができる第1金属を含むことができる。それと金属40aは、第1金属より低い比抵抗を有する第2金属を含むことができる。相対的低い比抵抗を有する第2金属は、電極42、44の抵抗を下げるために相対的に大量に含まれる主成分金属に該当する。ここで、主成分金属とは、金属40a全体100重量部に対して50重量部以上(一例として、50重量部超)で多く含まれる金属を意味することができる。
【0064】
一例では、第1金属がニッケル(Ni)を含むことができる。すると、導電型領域32、34を構成する半導体物質(一例としてシリコン)と化学的に容易に反応し、金属半導体化合物(例えば、NiSi、Ni2Siなニッケルシリサイド)を含む化合物層50)を容易に形成することができる。導電型領域32、34と電極42、44との境界部分において、これらの間にニッケルシリサイドを含む化合物層50が形成されると、電極42、44の接触抵抗を大きく下げることができ、電極(42、44)及び導電型領域32、34と優れた接着特性を有し、電極42、44の剥離を効果的に防止することができる。そして、低い熱応力によって熱的安定性を向上させることができる。そして、第2金属が銅、銀、これらの合金などを含むと比抵抗が低く、電極42、44の電気的特性を向上させることができる。銅は抵抗が低く価格が安く、銀は抵抗が非常に低く、優れた電気特性を示すことができる。
【0065】
ここで、金属40a全体100重量部に対する第1金属の重量部が、金属40a全体100重量部に対する第2金属の重量部より小さいことがある。すなわち、第1金属は、化合物層50を形成できる程度の少ない量だけ含まれるようにし、第2金属は、電極42、44の抵抗特性を効果的に向上させることができるように相対的に多く含まれ得る。例えば、電極42、44において、金属40a全体100重量部に対する第1金属の重量部が15以下(一例として、1~10)であり、金属40a全体100重量部に対する第2金属の重量部が85以上(一例として、85~99)で有り得る。第1金属の重量部が15を超えるか、または第2金属の重量部が85未満であると、電極42、44の抵抗が高くなり、電気的特性が低下することがある。第1金属の重量部が1未満であるか、又は第2金属の重量部が99を超えると、化合物層50が十分に形成されず、導電型領域32、34と電極42、44との間の抵抗、接触特性などが低下されることがある。一例として、電極42、44が単一の印刷層420として備える場合に電極42、44の抵抗をさらに下げることができるように、第1金属の重量部を10以下とすることができる。しかしながら、本発明はこれに限定されず、第1金属と第2金属の重量部が変化され得る。
【0066】
本実施形態においては、金属40aが第1金属を含む第1粒子402と第2金属を含む第2粒子404の形態で備えたものを例示した。この場合、第1粒子402はニッケル粒子で構成され、第2粒子402は銅粒子、銀被覆された銅粒子、銀粒子などで構成することができる。ここで、第1粒子402または第2粒子404は、球状、フレーク状、不規則な形状など、様々な形状を有することができる。
【0067】
一例として、第1粒子402は、第2粒子404の平均サイズまたは最小サイズより小さいサイズを有する粒子を含み得る。あるいは、第1粒子402の平均サイズが第2粒子404の平均サイズより小さいことがある。ここで、粒子の大きさということは、粒子が球状の場合は直径を意味し得、粒子が長軸及び短軸を有する場合には長軸の長さを意味することができる。例えば、第1粒子402の平均サイズが50nm~5μmであり得、第2粒子404の平均サイズが100nm~10μmであり得る。これによれば、電極42、44を形成するための印刷工程において、小さいサイズの第1粒子402が導電型領域32、34にもっと容易に隣接して位置することができ、電極42、44の形成のための熱処理工程で容易に拡散し、導電型領域32、34の半導体物質と容易に化学的に結合することができる。すなわち、本実施形態においては、相対的小さい大きさを有する第1粒子402を相対的に小さい量で含み、電極42、44と導電型領域32、34との境界部分における第1領域A1に部分的に化合物層50が形成されることができるようにする。
【0068】
しかし、本発明はこれに限定されるものではない。したがって、第1金属及び第2金属がそれぞれ別々の第1粒子402及び第2粒子404に含まれないこともある。例えば、
図6の(a)を参照したように第2金属からなるコア粒子404aの表面に第1金属からなるコーティング層402aが形成された粒子を金属40aとして用いることができる。この場合、
図6の(b)を参照したように、第2金属はコア粒子404aの形態で残り、第1金属はコア粒子404aの少なくとも一部の表面上に位置する層状形態のコーティング層402aとして残ることができる。例えば、金属40aがニッケル被覆された銅粒子、ニッケル被覆された銀粒子などを含むことができる。これにより、互いに異なる複数の粒子を混合することなく、一種s類の粒子を用いて所望する特性を実現することができ、製造工程を単純化することができる。その以外にも、様々な形態で第1金属及び第2金属が含み得る。
【0069】
前述の実施形態においては、電極42、44が金属40aとしてはんだ物質(一例として、錫(Sn))を含まないため、材料コストを低減することができ、電極42、44の抵抗特性の低下を防止したものを例示した。しかしながら、本発明はこれに限定されず、電極42、44が金属40aとしてはんだ物質(一例として、錫または錫を含む合金)を一部含むことができる。例えば、第1金属及び/または第2金属、または第1粒子402及び/または第2粒子404、コア粒子404a及び/またはコーティング層402aの一部としてはんだ物質が含まれるかあるいは、第1金属及び第2金属、または第1粒子402及び第2粒子404、コーティング層402aがコーティングされたコア粒子404aとは別の追加の金属としてはんだ物質またははんだ粒子が含み得る。これによると、接着層LSP及び/または配線部140に含まれるはんだ物質と同一または類似のはんだ物質を含み、接着層LSPと電極42、44との接触特性を向上させることができる。このように電極42、44にはんだ物質が含まれると、電極42、44の抵抗特性を低下させないように、はんだ物質の重量部が第1金属の重量部及び第2金属の重量部のそれぞれより小さいことがある。しかし、本発明はこれに限定されることはない。したがって、電極42、44の抵抗特性を低下させないように、はんだ物質の重量部が、第1金属の重量部及び第2金属の重量部の内、いずれか1つと同じかそれより大きいことがある。その他様々な変形が可能である。
【0070】
本実施形態において、電極42、44は、接着物質40bを含み導電型領域32、34または多結晶半導体層30、それと接着層LSPとの接着特性を向上させることができる。接着物質40bは、知られた様々な物質を用いることができる。接着物質40bは、接着層(LSP)または配線材142との接着特性を向上させる役割を果たすことができる物質として、有機バインダー、樹脂、ロジンなどの有機物を含むことができ、非伝導性特性を有することができる。このような接着物質40bは、電極42、44を形成するための硬化熱処理または配線材140を接着するための接着熱処理後にもほとんど残存することができる。これにより、導電型領域32、34または多結晶半導体層30に隣接(一例として、接触)して接着特性を安定的に維持することができる。
【0071】
一例として、金属40aと接着物質40bとの総合を100重量部とするとき、接着物質40bの重量部が5~15であり、金属40aの重量部が85~95で有り得る。接着物質40bの重量部が5未満であるか、金属40aの重量部が95を超えると、接着物質40bによる接着特性向上の効果が十分でないことがある。接着物質40bの重量部が15を超えるか、または金属40aの重量部が85未満であると、金属40aの量が相対的に少なくなり、電気的特性が低下され得る。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、金属40a、接着物質40bなどの量は多様に変化されることもある。
【0072】
前述したように、電極42、44は印刷層420で構成することができる。さらに具体的に、印刷層420は、500度以下の温度で行われる硬化熱処理によって硬化する低温電極ペーストで構成することができる。したがって、硬化熱処理が行われた後にも金属40aを構成する第1粒子402及び第2粒子404(又はコア粒子404a)の形状が一部変化しながら接続されるネッキング(necking)現象等が発生する焼成や焼結が起こらない。すなわち、硬化熱処理により溶媒等が揮発して印刷層420又は電極42、44内で金属40aを構成する第1粒子402及び第2粒子404(又はコア粒子(404a))が、粒子状態を維持しながら互いに接触することによって電気的に接続される形態でそなえることができる。そして、接着物質40bは、金属40aを構成する第1粒子402及び第2粒子404(又はコア粒子404a)等が位置しない空き空間を満たすか、第1粒子402及び第2粒子404(またはコア粒子404a)などの表面を覆いながら位置することができる。電極42、44の形成方法は、後に太陽電池10及びこれを含む太陽電池パネル100の製造方法でさらに詳細に説明する。
【0073】
このように電極42、44が印刷層420で構成され(一例として、単一の印刷層420で構成されて)、1回の印刷工程でおいても電極42、44を十分な厚さに形成することができる。例えば、電極42、44の厚さ(一例として、最大厚さ)T1(一例として、単一の印刷層420の厚さ)が10μm以上であり得る。一例として、電極42、44の厚さT1(一例として、単一の印刷層420の厚さ)が、10μm~30μm(一例として、20μm~30μm)であり得る。このような厚さT1を有すると、電極42、44が十分な体積または断面積を有し、電極42、44の抵抗を十分に低くすることができ、電極42、44を安定的に形成することができる。このように抵抗を下げると、忠密度を改善させることができ、太陽電池10の効率を向上させることができる。
【0074】
このとき、電極42、44は、少なくとも一部が導電型領域32、34に接触する部分を含むか、導電型領域32、34に含まれた半導体物質と電極42、44に含まれた金属(すなわち、第1金属)が結合して形成された化合物層50に接触する部分を含むことができる。
【0075】
一例として、電極42、44と導電型領域32、34の境界部分において第1領域A1に対応するように部分的に化合物層50を形成することができる。すなわち、平面視で、コンタクトホール46内で電極42、44が位置した部分(すなわち、コンタクトホール46内で導電領域32、34と電極42、44との重畳された境界部分)の内、一部である第1領域A1のみに部分的に化合物層50を形成することができる。ここで、化合物層50は、電極42、44に含まれる第1金属(例えばニッケル)と導電型領域32、34に含まれる半導体物質(例えばシリコン)が化学的に反応または結合して形成された金属-半導体化合物(例えば、ニッケルシリサイド)から構成され得る。
【0076】
本実施形態において、化合物層50は、電極42、44を構成する印刷層420の硬化熱処理工程中に、印刷層420に含まれる第1金属が拡散しながら半導体物質と化学的に結合して形成されるので化合物層50が導電型領域32、34と電極42、44との境界部分に全体的に形成されず、不連続的に形成されたり、部分的に形成され、その厚さも不均一であることができる。例えば、1つのコンタクトホール46内で電極42、44の下部に互いに離隔された複数の化合物層50が備えるか、1つの電極42、44の下部に互いに異なる厚さを有する複数の化合物層50を備えることができる。ここで、厚みが不均一するか、又は異なる厚さを有するとは、厚さ差が5%以上の部分が存在することを意味することができる。
【0077】
ここで、化合物層50を構成する第1金属が相対的少量で含まれ、導電型領域32、34と電極42、44との境界部分に位置した第1金属によって化合物層50が形成されるので、化合物層50は狭い面積に部分的に形成され、電極42、44の全面積に均等に分布して形成することができる。例えば、導電型領域32、34と電極42、44との境界部分において、化合物層50が複数に位置し、第1方向と平行な第1仮想線IL1を複数備えることができ。化合物層50が複数位置し、第2方向と平行な第2仮想線IL2を複数備えることができる。例えば、導電型領域32、34と電極42、44の境界部分の総面積に対する第1領域A1の総面積の割合が50%以下で有り得る。さらに具体的に、第1領域A1の総面積が第2領域A2の総面積より小さいことがある。あるいは、少なくとも1つの化合物層50の面積(一例として、各々の化合物層50の面積)が、第2粒子404(またはコア粒子404a)のサイズと同じかそれより小さいことがある。しかしながら、本発明はこれに限定されず、各化合物層50の面積は、第2粒子404(またはコア粒子404a)のサイズより大きいこともある。
【0078】
特に、本実施形態においては、導電型領域32、34が多結晶半導体層30で構成され、狭い面積を有しながら均一に分布する化合物層50を安定的に形成することができる。多結晶半導体層30は、単結晶半導体基板に比べて化学的に不安定であり、結晶粒界(grain boundary)等を備えるため、第1金属の拡散、半導体物質との反応などが容易に起こり得るため、第1金属が位置した部分で局所的で化合物層50が容易に形成され得る。これにより、多結晶半導体層30に第1金属を備える電極42、44を形成し、各化合物層50を狭い面積に均等に形成し、電極42、44と導電型領域32、34の抵抗特性、接触特性などを効果的に形成することができる。
【0079】
そして、電極42、44と導電型領域32、34との境界部分において、第1領域A1を除外した第2領域A2において、金属40a及び接着物質40bが多結晶半導体層30に接触して形成される。本実施形態においては、第2領域A2で第1金属または第1粒子402、第2金属または第2粒子404、またはコーティング層402aが形成されたコア粒子404a及び/または接着物質40bが多結晶半導体層30に接触して形成することができる。このように化合物層50が備えない第2領域A2においては、金属40aが導電型領域32、34に接触して電気的特性を向上させることができる。そして、接着物質40bが導電型領域32、34または多結晶半導体層30に接触して電極42、44の接着特性を向上させ、電極42、44の剥離等の問題を防止して機械的信頼性を向上させることができる。前述したように、第2領域A2が第1領域A1より大きな面積で形成され、電極42、44が優れた電気的特性及び接着特性を有することができる。
【0080】
本実施形態に係る太陽電池10に光が入射すると、ベース領域12aと第1導電型領域32との間に形成されたpn接合における光電変換により電子と正孔が生成され、生成された正孔及び電子は中間膜20を通過してそれぞれ第1導電型領域32及び第2導電型領域34に移動した後、第1及び第2電極42、44に移動する。これにより電気エネルギーを生成することになる。
【0081】
このような太陽電池10上に配線部140が電気的に接続される。さらに具体的には、電極42、44と配線材142が重畳部LSP及び絶縁部材IPによって電気的に接続されるか、又は絶縁することができる。
【0082】
さらに具体的に、本実施形態において、配線材142は、第1及び第2電極42、44と交差する第2方向に延びる複数の第1及び第2配線142a、142bを含むことができる。さらに具体的に、第1配線142aは第2方向に延びて第1電極42に電気的に接続され、第2配線142bは第2方向に延びて第2電極44に電気的に接続され得る。第1配線142aが複数備え、第2配線142bが複数備え、第1方向において第1配線142aと第2配線142bが交互に位置することができる。すると、複数の第1及び第2配線142a、142bが均一な間隔を有しながら、第1及び第2電極42、44に接続され、キャリアを効果的に伝達することができる。
【0083】
このとき、配線材142と電極42、44の複数の重畳部の内、互いに電気的に接続されるべき重畳部には接着層LSPが位置し、互いに電気的に接続されてはならない重畳部には絶縁部材IPが位置することができる。すなわち、第1配線142aは第1電極42に接着層LSPを挟んで位置して第1電極42に電気的に接続され、第2配線142bは備えられた第2電極44に接着層(LSP)を挟んで位置して第2電極44に電気的に接続することができる。そして、絶縁部材IPが第1配線142aと第2電極44との重畳部、そして第2配線142bと第1電極42の重畳部で配線材142と電極42、44の間に位置して配線材142と電極42、44を電気的に絶縁することができる。
【0084】
絶縁部材IPは様々な絶縁物質を含むことができる。例えば、絶縁部材IPは、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド、ポリエチレンなどを含むことができる。
【0085】
本実施形態においては、接着層LSPが第1電極42と第1配線142aとの間に位置し、第1電極42(またはこれを構成する印刷層420)と第1配線142aにそれぞれ接触できる。これと類似に、接着層LSPが第2電極44と第2配線142bとの間に位置し、第2電極44(またはこれを構成する印刷層420と第2配線142bにそれぞれ接触できる。接着層LSPは、第1または第2電極42、44と配線材142を仮固定する役割を果たし、配線材142を接着する接着熱処理工程(一例として、ラミネート工程)で溶融した後硬化して第1または第2電極42、44と配線材142とを取り付ける役割を果たすことができる。さらに具体的に、接着熱処理工程で低温はんだペーストからなる接着層LSPが溶融して電極42、44と配線材142とを電気的及び物理的に接続することができる。このように、低温はんだペーストからなる接着層(LSP)によって長期信頼性を向上させることができる。一方、接着層LSPがないと、ラミネート工程時に電極42、44と配線材142との間に封止材130が浸透して接合不良が発生することができる。
【0086】
本実施形態において、接着層LSPは、はんだ物質を含む低温はんだペーストを用いて形成された低温はんだ部材で構成することができる。ここで、低温はんだペーストまたは低温はんだ部材とは、ビスマスを含む相対的に低い溶融点を有するはんだ物質を含むことができる。例えば、接着層(LSP)を構成する低温はんだペーストまたは低温はんだ部材が、150~200℃の溶融点(一例として、90~130℃の溶融点)を有することができる。あるいは、接着層(LSP)を構成する低温はんだペーストまたは低温はんだ部材が、ラミネート工程の工程温度より低い溶融点を有することがある。それと接着層(LSP)は、はんだ物質以外に追加の接着物質をさらに含むことができる。
【0087】
例えば、はんだ物質は錫とビスマスを含むことができ、銅をさらに含むことができる。錫ははんだ付けのために含まれる基本物質であり、ビスマスは接着層(LSP)の溶融点を下げるために含まれる物質である。ここで、ビスマスは、接着層LSPに含まれる金属全体100重量部に対して、10重量部以上(例えば、30重量部以上、一例として、50重量部以上)含まれることがある。ビスマスは、高価で一般的に溶融点を下げるための用途以外の用途としては、前述したように多くの重量部で含まれない。したがって、10重量部以上でビスマスを含まれた接着層(LSP)が低温はんだペーストまたは低温はんだ部材と判断することができる。銅は、接着層(LSP)の電気伝導度を向上させるために含まれることができるが、錫及びビスマスのそれぞれより少ない量で含得る。このように、接着層(LSP)が銅を含みから電気伝導度を向上させることにより、接着層(LSP)が電極42、44と共に太陽電池10のキャリアを伝達する広義の意味の電極の一部としての役割を十分に行うことができる。すなわち、接着層LSPは、配線材142との接着のためのはんだペーストの役割と電気的特性向上のための広義の電極の役割を共に行う半田ペースト電極で有り得る。
【0088】
それと、接着層(LSP)に用いられる追加の接着物質としては、様々な物質を用いることができる。例えば、接着層(LSP)に用いられる追加の接着物質としては、有機バインダー、樹脂、ロジンなどの有機物を含むことができる。硬化前の低温はんだペーストには、追加の接着物質が相対的に多量(例えば、100重量部全体に対して40~55重量部)に含まれ得るが、接着熱処理工程の後には接着層LSPの追加の接着物質がほとんど揮発、除去、または外部に流出して大量に残らないことがある。すなわち、接着層LSPの追加の接着物質は、配線材140を接着するための接着熱処理工程の前には多く含まれて、接着熱処理工程の前又は接着熱処理中に優れた接着特性を実現し、配線材140を付着するための熱処理工程後にはほとんど除去されて接着層(LSP)が優れた電気伝導度を有するようにすることができる。
【0089】
前述のように、電極42、44に含まれた接着物質40bは、硬化熱処理または接着熱処理後にもほとんど残存し、接着層LSPの追加の接着物質は、接着熱処理工程後に大部分除去されることができる。これは、電極42、44に含まれる接着物質40bと、接着層LSPに含まれる追加の接着物質の種類、組成、特性などを調整して実現することができる。例えば、電極42、44に含まれる接着物質40bが接着層(LSP)に含まれる追加の接着物質より常温以上の熱処理でさらに容易に揮発することができる(例えば、揮発性がさらに高い)有機物質で構成することができる。しかしながら、本発明はこれに限定されず、電極42、44に含まれる接着物質40bと接着層LSPに含まれる追加の接着物質の様々な特性などを調整して実現することができる。一例として、接着熱処理工程の前には電極42、44の全体100重量部に対する接着物質40bの重量部が接着層(LSP)の全体100重量部に対する追加の接着物質の重量部より小さいことがある。電極42、44の接着物質40bの量が多くなると、電極42、44と接着層LSPの濡れ性を阻害することができ、電極42、44の接着物質40bの量を相対的に減ったからである。一方、接着熱処理工程の後、電極42、44の全体100重量部に対する接着物質40bの重量部が接着層LSPの全体100重量部に対する追加の接着物質の重量部より大きいことがある。接着物質40bが相対的多く残るようにして電極42、44の接着特性を向上させることができ、接着層LSP内の追加の接着物質は大部分を除去されて接着層LSPの電気伝導度を向上させることができる。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、接着熱処理工程後、電極42、44全体100重量部に対する接着物質40bの重量部が、接着層(LSP)全体100重量部に対する追加接着物質の重量部と同じであるか、それより小さいこともある。
【0090】
本実施形態において、接着物質40bを含む電極ペーストを用いて形成された電極42、44と、追加の接着物質を含む低温はんだペーストを用いて形成された接着層(LSP)が優れた接着特性を有することができる。電極ペースト及び低温はんだペーストがそれぞれ金属と接着物質40b及び追加の接着物質とを備え、類似の特性を有するからである。そして、電極42、44に含まれた接着物質40bと接着層LSPに含まれた追加の接着物質が相互反応して接着特性を向上したからである。一例として、電極42、44に含まれた接着物質40bと接着層LSPに含まれる追加の接着物質が、同じまたは類似の極性または特性を有し、接着物質40bと接着層LSPの追加の接着物質の接着特性を向上させることができる。あるいは、電極42、44に含まれる接着物質40bと接着層LSPに含まれる追加の接着物質の量を調節して電極ペーストと低温はんだペーストとの極性差または特性差を最小化して接着物質40bと接着層LSPの接着特性を向上させることができる。
【0091】
本実施形態において、電極42、44は、単一の印刷層420で構成され、配線材142の方向に凸状に突出する形状またはラウンドになった部分を含む形状(全体としてラウンドになった形状)を有することができる。このとき、電極42、44の表面粗さが接着層LSPの表面粗さ(一例として、接着層LSPの側面LSの表面粗さ)より大きいことがある。電極42、44は電極ペーストを塗布して硬化熱処理して形成し、相対的に大きな表面粗さを有し、接着層LSPは配線材142と優れた濡れ性を有し、接着熱処理工程中に圧力を受けて圧縮されながら相対的に小さな表面粗さを有することができる。このように凸状に突出またはラウンドになるように形成され、相対的に大きな表面粗さを有する電極42、44上に接着層LSPが位置するので、電極42、44と接着層LSPの接触面積を最大化することができる。これにより、電極42、44と接着層LSPの接着特性をさらに向上させることができる。
【0092】
このように金属40a及び接着物質40bを有する電極42、44(一例として、単一の印刷層420)と低温はんだペーストからなる接着層(LSP)が優れた接着特性を有するため電極42、44と接着層LSPが別途の接続部材(例えば、従来の高温はんだペースト層)を備えずに接触して位置することができる。これにより、電極42、44と接着層LSPが簡単な構造を有しつつ優れた接着特性を有するように直接接続することができる。すなわち、本実施形態においては、電極42、44が配線材142に向かいながら幅が増加する接着層LSP、ビスマスを含む接着層LSP、または溶融点が一定以下の低温はんだペーストからなる接着層(LSP)に直接接触して形成されるという点で、高温はんだペースト層をさらに備える従来の太陽電池と違いがある。このように高温はんだペースト層を除去すると、コストを削減し、工程を簡素化することができる。そして、高温はんだペースト層は50~60μm程度の大きな厚さを有するが、これを除去して配線材142の付着安定性を向上させることができる。
【0093】
反面、従来では、スパッタリングにより形成されたスパッタリング電極層と低温はんだペーストからなる接着層との間には、高温はんだペースト層が備えられた。このような高温はんだペースト層は、溶融点が280℃以上であるか、280℃以上の温度の熱処理によってはんだ付けされることができる。スパッタリング電極は接着物質または有機物を含まず、低温はんだペーストとの濡れ性が非常に低く、接着特性が低くなり、スパッタリング電極は平坦な表面を有しながら、低温はんだペーストからなる接着層より小さい表面粗さを有した。これにより、低温はんだペーストとの接着特性に優れず、高温はんだペースト層をさらに備えるべきであった。参考までに、高温はんだペースト層はビスマスを含まないか少量で含むため、高温はんだペースト層と低温はんだペースト(または、接着層(LSP))は成分分析によりビスマスの量を確認するものなどにより容易に区別できる。
【0094】
本実施形態においては、十分な厚さを有する電極42、44と接着層LSPを備え、優れた電気的特性を有することができる。例えば、電極42、44の厚さT1が、前述したように10μm~30μm(一例として、20μm~30μm)であり得、接着層LSPの厚さT2(一例では、最小厚さ))が10μm以上(さらに具体的に、10μm~50un)であり得る。例えば、接着層LSPの厚さT2が30μm以下であり得、接着層LSPの厚さT2が20μm以上であり得る。あるいは、接着層LSPの厚さT2に対する電極42、44の厚さT1の割合T1/T2が0.5以上で有り得る。さらに具体的に、接着層LSPの厚さT2に対する電極42、44の厚さT1の割合T1/T2が5以下であり、例えば2以下で有り得る。このように、接着層LSPの厚さT2に対する電極42、44の厚さT1の比率T1/T2が大きくて、電極42、44が別個の電極層を備えず、単一の印刷層420で構成されても優れた電気特性を有することができる。しかし、本発明がこれに限定されず、様々な変形が可能である。
【0095】
本実施形態において、電極42、44は、コンタクトホール46の内部で後面パッシベーション膜40と離隔して形成され、接着層LSPがコンタクトホール46の内部で電極42、44の外側に位置して導電型領域32、34に接触するマージン部分MPをさらに含むことができる。このように電極42、44がコンタクトホール46の内部にのみ位置されると、後面電極構造を有する太陽に電池10の後で面電極42、44が形成される面積を最小化することができる。これにより、材料コストを低減し、太陽電池10の反り現象を防止することができ、後面パッシベーション膜40による光路制御(例えば、内部反射)を効果的に誘導することができる。そして、マージン部MPによってアライメント特性を向上させ、電極42、44の全面を全体的に覆うことができる。一例として、マージン部MPは、電極42、44の外側から一側基準で、20μm以下で備えることができる。これにより、接着層(LSP)の材料コストなどを低減することができる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、マージン部分MPの幅などは多様に変形することができる。
【0096】
一方、従来のスパッタリングで形成された金属膜からなるスパッタリング電極は、パターニングのためのアライメントのために(すなわち、ミスアライメントを防止するために)スパッタリング電極をコンタクトホール内部だけでなく後面パッシベーション膜上にも一部残留させた。これにより、電極の面積を減らすことに限界があり、材料コストが高く、太陽電池の反り現象が発生することがあり、内部反射を効果的に誘導し難い問題があった。これにより、太陽電池の効率向上に困難がある。
【0097】
そしてはんだ物質を含む接着層(LSP)は、はんだ物質を含む配線材142と優れた濡れ性を有する。一例として、接着層LSPは、電極42、44と配線材142との間で電極42、44及び配線材142にそれぞれ接触して形成することができる。このとき、接着層LSPは、配線材142に向かいながら幅が徐々に大きくなることができ、接着層LSPの側面LSが配線材142の方向に凹状の形状を有することができる。これにより、接着層LSPは、凸状に突出したまたはラウンドになるように形成された電極42、44の表面を全体的に覆いながら配線材142に向かいながら幅が徐々に大きくなりながら、側面が凹状の形状を有することができる。一例として、導電型領域32、34に隣接する接着層LSPの第1幅W1に対する配線材142に隣接する接着層LSPの第2幅W2の割合W2/W1が1.2~3であり得る。これにより、接着層LSPと配線材142との接着面積を増やして接着特性を向上させることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第1幅W1、第2幅W2、これらの比率W2/W1等は多様に変形することができる。
【0098】
本実施形態においては、第1金属及び第2金属を含む金属40aと、それと接着物質40bを含む低温電極ペーストを用いた印刷層420とからなる電極42,44を多結晶半導体層30からなる導電型領域32、34に形成する。特に、本実施例においては、低温電極ペーストを用いながらも、第1金属による化合物層50による優れた抵抗及び接触特性、第2金属による低抵抗、接着物質40bによる優れた接着特性、それと電極42、44の十分な厚さによって、電極42、44が優れた抵抗及び接着特性を有することができる。このような低温電極ペーストを用いた電極42、44をキャリア移動度に優れた多結晶半導体層30に適用して優れた電気特性を実現することができる。
【0099】
一例として、本実施形態においては、電極42、44を他の電極層(例えば、シード層、スパッタリング層、めっき層など)なしで単一の印刷層420で構成することができる。そうすると、優れた特性を有する電極42、44を形成する工程を単純化して工程数を減らし、不良率を改善して生産性を向上させることができる。特に、従来使用されていた印刷装備をそのまま用いることができ、設備への負担を防止することができる。例えば、電極42、44を形成するためにスパッタリング、蒸着などのような高価な真空装備を使用しなくてもできるので、設備コストを低減することができ、蒸着によるイオン衝撃率を除去して導電型領域32、34の損傷を最小化することができる。そして、太陽電池に損傷を与えたり、太陽電池の特性を低下させることができる従来のスパッタリング、エッチング工程、ファイアスルー(fire-through)などの工程を行わなくてもよいので、製造工程の安定性を向上させることができる。これにより、太陽電池10の特性低下及び損傷を最小化することができ、太陽電池10の効率及び信頼性を向上させることができ、低価格または既存の設備を使用することができ、製造工程を単純化することができ、生産性を向上させることができる。そして、めっきで形成する場合に現れ得るコンタクト特性の低下、めっき不良等による問題を防止することができる。
【0100】
そして、高温工程(500℃を超える工程)では、電極42、44等に含まれる金属40a等が所望しなく多結晶半導体層30を越えて半導体基板12の内部まで拡散して不純物として作用して開放電圧を大きく低下させることができるが、本実施形態においては、多結晶半導体層30に低温電極ペーストを用いた電極42、44を形成してこれを効果的に防止することができる。また、高温工程で発生し得る熱による損傷も防止できる。これにより、優れた電気的特性を実現しながらも信頼性を向上させることができる。そして、多結晶半導体層30を導電型領域32、34として用いて半導体基板12内に形成されたドーピング領域による特性低下を防止することができ、コンタクトホール46を形成する際に半導体基板12に損傷を与えず、太陽電池10の特性低下を防止することができる。
【0101】
一方、従来の一例として、比晶質半導体層の特性劣化を防止するために用いられた低温ペースト等は、第1金属を適切な量で含まず、前述した化合物層等の形成、抵抗特性等を全く考慮せず、電気伝導度が低く、接着特性もまた良くなかった。特に、非晶質半導体層の特性劣化を防止するために使用された低温ペーストなどは、多結晶半導体層との接着特性に優れず、剥離などの問題が発生することができ、多結晶半導体層に直接使用することには困難があった。そして、非晶質半導体層に低温ペーストを用いた電極を形成すると電気伝導度が低く、透明導電性酸化層からなる透明伝導層、めっき層などを別途形成しなければならなかった。これにより、材料コストが増加し、製造工程が複雑になるなどの問題があった。
【0102】
そして従来の他の例として、導電型領域に多結晶半導体層を備える太陽電池においては、スパッタリング工程で金属膜からなるスパッタリング電極を形成した後、印刷工程で保護フィルム(レジスト)を形成し、湿式エッチング工程で金属膜の一部を除去して電極を形成した。これによると、スパッタリング工程、エッチング工程などによって太陽電池の損傷が発生することがある。そして、様々な段階の工程を実施しなければならず、工程が複雑で、各工程毎に不良が発生する確率が大きかった。
【0103】
本実施形態において、接着層LSPが重畳部に対応するように形成されたものを例示したが、配線材142との接着または仮固定のために配線材142に対応して各配線材142が延びる方向に沿って複数の絶縁部材IP及び複数の電極42、44上に形成することもできる。
【0104】
前述の構造の太陽電池10及びこれを含む太陽電池パネル100の製造方法を、
図1~
図6と共に、
図7a~
図7gを参照して詳細に説明する。
図7a~
図7gは、本発明の実施形態に係る太陽電池10及びこれを含む太陽電池パネル100の製造方法を示す断面図である。前述の説明で既に説明した部分については詳細な説明を省略し、説明しない部分を中心に詳細に説明する。
【0105】
図7aを参照すると、半導体基板12の後面上に中間膜20、第1導電型領域32、第2導電型領域34、バリア領域36(多結晶半導体層30)、後面パッシベーション膜40等を形成し、半導体基板12の前面側に前面電界領域12b、前面パッシベーション膜24、反射防止膜26等を形成して光電変換部10cを形成する。中間膜20、第1導電型領域32、第2導電型領域34、バリア領域36、後面パッシベーション膜40、前面電界領域12b、前面パッシベーション膜24、反射防止膜26等の形成手順、形成方法等は多様に変形することができる。
【0106】
例えば、半導体基板12のテクスチャリングとして知られている様々な工程を使用することができる。中間膜20は、熱的成長法、蒸着法(例えば、化学気相蒸着法(PECVD)、原子層蒸着法(ALD))などによって形成することができる。第1及び第2導電型領域32、34は、熱的成長法、蒸着法(例えば、低圧化学気相蒸着法(LPCVD))等により形成された多結晶半導体層30にドーパントをドーピングして形成することができる。ドーパントのドーピングは、多結晶半導体層30を形成する工程で一緒に実行され得、多結晶半導体層30を形成した後に実行されるドーピング工程によって実行されることもある。前面電界領域12bは、様々なドーピング工程によって形成することができる。多結晶半導体層30を形成した後に行われるドーピング工程または前面電界領域12bを形成するドーピング工程としては、レーザードーピング工程、熱拡散工程、イオン注入工程などの様々な工程を用いることができる。前面パッシベーション膜24、反射防止膜26または後面パッシベーション膜40は、化学気相蒸着法、真空蒸着法、スピンコーティング、スクリーン印刷、スプレーコーティング、スパッタリングなどのような様々な方法によって形成することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第1及び第2導電型領域32、34、前面パッシベーション膜24、反射防止膜26又は後面パッシベーション膜40の形成方法、形成工程、形成順序などは様々に変形されることができる。
【0107】
続いて、
図7bに示すように、後面パッシベーション膜40で電極(
図7cの参照符号42、44、以下同様)が形成される部分に対応してコンタクトホール46を形成することができる。
【0108】
コンタクトホール46は、パッシベーション膜40を全体的に形成した後にエッチングペースト、マスクまたはマスク層などを用いたウェットエッチング工程、レーザーエッチング工程などの様々な工程を行って形成することができる。エッチングペーストまたはエッチング溶液としては、酸性系列物質を用いることができる。このような工程は低温で行うことができ、太陽電池10の製造工程を低温工程で具現することができる。一例として、本実施形態においては、コンタクトホール46を形成する工程をレーザエッチング工程で行うことができる。導電型領域32、34を構成する多結晶半導体層30は、レーザーエッチング工程によるダメージが大きくないため、単純な工程により光電変換部の特性を低下させることなくコンタクトホール46を形成することができる。レーザーエッチング工程に用いられるレーザーとしては、様々な波長(例えば、532nm、1064nmなど)を有するレーザーを用いることができ、様々なパルス(短波パルス(short pulse)、ナノパルス(nano pulse)、ピコパルス(pico pulse)など)のレーザーを用いることができる。レーザエッチング工程により、コンタクトホール46周辺で後面パッシベーション膜40にバリ()が形成されたり、断面視でコンタクトホール46周辺で後面パッシベーション膜40に膨らんだ部分が形成されるか、コンタクトホール46に対応する導電型領域32、34または多結晶半導体層30に結晶度が異なる部分が存在することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、レーザ波長、レーザ形態、これによる後面パッシベーション膜40、導電型領域32、34、多結晶半導体層30の特性、形態などは多様に変形することができる。
【0109】
次いで、
図7cに図示したように、導電型領域32、34に接続される電極42、44を形成する。このとき、導電型領域32、34と電極42、44との間に金属-半導体化合物から形成された化合物層50が一緒に形成される。
【0110】
さらに具体的に、金属40a及び接着物質40bを含む低温電極ペーストを印刷工程で塗布して第1及び第2導電型領域32、34に接触する印刷層420を形成し、これを乾燥及び/または硬化熱処理して電極42、44を形成することができる。そして、低温電極ペーストは、溶媒、その他添加剤(一例として、硬化剤、分散剤など)をさらに含むことができる。本実施形態では、コンタクトホール46が形成された後、低温電極ペーストをコンタクトホール46内に位置置させ、硬化熱処理により電極42、44を形成するので、熱処理工程で後面パッシベーション膜40を貫通するファイアスルーが要求されない。これにより、低温電極ペーストが金属化合物などで構成されるガラスフリット(glass frit)を備えない。
【0111】
ここで、金属40aは第1金属を含み、第2金属をさらに含むことができる。このとき、第1金属及び第2金属は、
図4に示すように、それぞれ粒子形状を有する第1粒子402及び第2粒子404の形態で含まれ得、
図6に示すように、第2金属からなるコア粒子404a上に第2金属を含むコーティング層402aが形成された形態で含まれることもある。第1金属、第2金属、第1粒子402、第2粒子404、コア粒子404a、コーティング層402a、接着物質40bなどには、前述の説明で詳細に説明したので、これについて説明を省略する。
【0112】
溶媒としては有機溶媒を用いることができ、一例として、ブチルカルビトールアセテート(butyl carbitol acetate、BCA)、セルロースアセテート(cellulose acetate、CA)などを用いることができる。しかしながら、本発明はこれに限定されず、他の様々な物質を含むこともできる。電極42、44を形成するための電極ペーストには溶媒が含まれるが、焼結工程中に溶媒が揮発して電極42、44には溶媒が含まれないか、非常に微量に含まれることができる。添加剤などとしても知られている様々な物質を使用することができる。
【0113】
前述した低温電極ペーストを導電型領域32、34上に印刷工程で塗布することができる。一例として、低温電極ペーストをコンタクトホール46の内部で導電型領域32、34の上に位置するように(一例として、導電型領域32、34上に接触するように)塗布して電極42、44がコンタクトホール46の内部にのみ位置するようにすることができる。
【0114】
そして塗布された低温電極ペーストを第1温度で乾燥することができる。第1温度は常温より高く、150℃以下であり得る。しかしながら、本発明はこれに限定されず、第1温度は異なる値を有することもある。低温電極ペーストを乾燥して低温電極ペーストが所望しなく流れ落ちるなどの問題を防止することができる。乾燥段階を含まずに直ちに熱処理を行うと、温度差によって亀裂などの問題が発生することがある。これに熱処理温度より低い第1温度で低温電極ペーストの乾燥をして流動性を低減した後に硬化熱処理を行う。しかしながら、本発明はこれに限定されず、乾燥工程を省略することもできる。
【0115】
乾燥した低温電極ペーストに第1温度より高く第1及び第2金属の溶融点の内高い溶融点より低い第2温度で硬化熱処理を行うことができる。このとき、第2温度は、第1及び第2金属の溶融点の内、低い溶融点より高いことがある。例えば、第2温度は500℃以下(例えば、200~500℃、一例で250℃~400℃)であり得る。しかしながら、本発明はこれに限定されず、第2温度が異なる値を有することもある。
【0116】
乾燥された低温電極ペーストに熱処理を実行すると、溶媒は揮発し、第1及び第2金属に熱が加わる。すると、硬化熱処理工程で第1粒子402またはコーティング層402aに含まれた第1電極が導電型領域32、34の半導体物質と反応して金属-半導体化合物からなる化合物層50を形成する。多結晶半導体層30に第1金属を備える低温電極ペーストを用いて電極42、44を形成し、狭い面積を有しながら全体的に均一に形成される複数の化合物層50を形成することができる。一例として、第1金属がニッケルを含み、半導体物質がシリコンを含み、化合物層50がニッケルシリサイドから構成され得る。化合物層50については、前述の説明で詳細に説明したので、その説明を省略する。
【0117】
そして 第2金属を含む第2粒子404またはコア粒子404aが熱を受けながら互いに凝集して粒子接続層を形成することができる。このとき、粒子接続層は、第2粒子404またはコア粒子404aが互いに焼結するのではなく、互いに接触して凝集して単に硬化することによって伝導性を有することになる。このように単純に硬化することによって形成された粒子接続層の粒子間及び粒子の表面には接着物質40bが位置することができる。参照として、粒子接続層を形成した粒子、接着物質40b等は、顕微鏡写真等で断面形状、外面形状等を見て判別したり、成分分析を通じて判別することができる。このとき、第2金属が銅を含むと、銅は熱が加わると容易に凝集し、熱をよく含有して第1金属に伝達する役割を効果的に行うことができる。
【0118】
前述した硬化熱処理工程は、光硬化熱処理工程または熱硬化熱処理工程で有り得る。特に、硬化熱処理工程が光硬化熱処理工程で行われると、光が照射される空間に印刷層420が形成された光電変換部を通過させるといいので、工程を単純化することができる。そして、光硬化熱処理工程により短時間で硬化熱処理工程に必要な温度まで昇温して硬化熱処理工程を行いながら化合物層50を形成し、優れた抵抗特性を確保しながらも低温工程を維持することができる。
【0119】
光焼結工程においては、キセノンフラッシュランプ(xenon flash lamp)を光源として用いることができ、照射時間が0.1ms~10ms、エネルギーが1J/cm2~100J/cm2(一例として、4J/cm2~10J/cm2)有り得る。特に、4J/cm2~10J/cm2で所望する硬化熱処理工程の温度(例えば、500℃以下)を実現することがある。このような光源、照射時間、エネルギーは所望する硬化熱処理工程の温度まで昇温して優れた抵抗特性を有するようにしながらも低温工程を維持できる範囲のために限定されたものであるが、本発明がこれに限定されるものではない。製造工程の他の条件、太陽電池10の物質、構造などを考慮して、前述した光源、照射時間、エネルギーなどは多様に変化されることができる。
【0120】
このように低温電極ペーストを用いた印刷工程及び低温で行われる硬化熱処理を用いて電極42、44を形成すれば、太陽電池10の製造工程を低温工程で実現することができる。これにより、高温工程で発生し得る多結晶半導体層30の損傷、特性変化、所望しない半導体基板12への金属拡散などを効果的に防止することができる。
【0121】
第1電極42を形成するための第1ペーストと第2電極44を形成するための第2ペーストが同じ物質と同じ組成を有する同じ低温電極ペーストで構成することができる。これでは、同じ低温電極ペーストを第1及び第2ペーストとして使用することができ、工程を単純化することができる。あるいは、第1ペーストと第2ペーストが互いに異なる物質または互いに異なる組成を有する互いに異なるペーストで構成され得る。その他様々な変形が可能である。
【0122】
続いで、
図7dに示すように、電極42、44上に絶縁部材IP及び接着層LSPを形成する。絶縁部材IP及び/または接着層LSPは、印刷工程などによって所望のパターンを有するように形成することができる。例えば、マスクを用いたスクリーン印刷(screen printing)によって絶縁部材IPを形成するための絶縁物質または接着層LSPを形成するための低温はんだペーストを塗布することができる。しかし、本発明はこれに限定されない。
【0123】
前述の低温はんだペーストまたは絶縁物質をコンタクトホール46の内部で導電型領域32、34の上に位置するように(一例として、導電型領域32、34上に接触するように)塗布して接着層(LSP)あるいは、絶縁部材IPが内部にのみ位置されるようにすることができる。しかし、本発明はこれに限定されず、様々な変形が可能である。例えば、絶縁部材IPは、コンタクトホール46の外部(すなわち、後面パッシベーション膜40)上に備えることもできる。印刷工程後、低温はんだペーストまたは接着層(LSP)は、電極42、44と同様に外部の方向に凸状に突出する形状を有することができる。
【0124】
ここで、接着層(LSP)は、はんだ物質、追加の接着物質、溶媒、添加剤などを含む低温はんだペーストを用いて形成することができる。低温はんだペーストは、接着熱処理工程の前には、全体の100重量部に対して追加の接着物質を体積比40~55重量部で含むことができる。これにより、電極42、44上に配線材142を安定的に仮固定することができる。接着層LSPに含まれるはんだ物質については、前述の説明で詳細に説明したので、詳細な説明を省略する。
【0125】
はんだペーストには溶媒が含まれるが、熱処理時に溶媒は揮発されて接着層(LSP)には溶媒が含まれないか、非常に微量に含まれ得る。溶媒としては有機溶媒を用いることができるが、一例として、ブチルカルビトールアセテート、セルロースアセテートなどを用いることができる。そして添加剤としては知られた様々な物質を用いることができる。しかし、本発明が溶媒、添加剤等の物質に限定されるものではない。
【0126】
一例として、絶縁部材IPを先に形成した後に接着層LSPを形成することができる。このように絶縁部材IPを先に形成すると、接着層LSPの形成時に不良等が発生しても絶縁部材IPによって電気的接続がなされなければならない部分で電気的接続等が発生しないことがある。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、接着層LSPを形成した後に絶縁部材IPを形成することもある。
【0127】
続いて、
図7eに示すように、電極42、44、絶縁部材IP及び接着層LSP上に配線材142を位置させる。このとき、配線材142は接着層LSPに接触して仮固定され得る。
【0128】
次に、
図7fに示すようにラミネート工程を行って、
図7gに示すように太陽電池パネル100を製造することができる。すなわち、
図7fに示すように、ラミネーション装置の作業台上に太陽電池10と、太陽電池10を囲んで封止する第1及び第2封止材131,132と、第1及び第2カバー部材110、120を積層して積層構造体を形成する。ここで、太陽電池10は、配線部140が接続された複数の太陽電池10の形態で有り得る。
図7fでは、明確に理解するために、第1カバー部材110、第1封止材131、配線材140が仮固定された太陽電池10、第2封止材132、それと第2カバー部材120を互いに離隔して示されたが、実際には互いに接触した状態で位置することができる。そして、第2カバー部材120が下部に位置し、その上に第2封止材132、太陽電池10、第1封止材131、第1カバー部材110が順に位置することを例示したが、逆に位置することもできる。
【0129】
この状態で、積層構造体に熱と圧力を加えるラミネート工程を行い、太陽電池10、封止材130、第1及び第2カバー部材110、120を一体化することにより太陽電池パネル100を形成する。一例として、圧力で空気圧を用いることができる。これにより、太陽電池10等に大きな圧力を加えることなくラミネート工程を行うことができる。一例として、ラミネート工程の工程温度は、250度以下(一例として、100℃~150℃)であり得る。
【0130】
ラミネート工程の温度で第1及び第2封止材131、132が溶融して硬化しながら圧力によって圧着されて太陽電池10を囲むように一体化される封止材130を形成するようになる。このような封止材130が第1カバー部材110と第2カバー部材120との間の空間を完全に満たしながら太陽電池10を囲んで封止することができる。そして、電極42、44と配線材142との間の接着層LSPが溶融された硬化しつつ圧力によって圧着され、電極42、44と配線材142を物理的かつ電気的に固定するようになる。このように、本実施形態においては、ラミネート工程で配線材142を接着する接着熱処理工程を一緒に同時に行って接着熱処理工程を別途実行しなくてもよい。これにより工程を簡素化することができる。しかしながら、本発明はこれに限定されず、ラミネート工程の前に接着熱処理工程を予め行うこともできる。他の様々な変形が可能である。
【0131】
本実施形態に係れば、多結晶半導体層30を有する太陽電池10において優れた特性を有する電極42、44を印刷工程(一例として、1回の印刷工程)で形成し、単純な工程で優れた特性の太陽電池10を形成することができる。そして、電極42、44上に接着層LSP及び配線材142を直接位置させ、接着熱処理工程を行い、優れた特性を有する太陽電池パネル100の製造工程を大幅に単純化することができる。
【0132】
以下においては、本発明の他の実施形態に係る太陽電池、それと太陽電池パネル及びその製造方法について詳細に説明する。前述の説明と同一または極めて類似した部分については詳細な説明を省略し、互いに異なる部分についてのみ詳細に説明する。それと、前述した実施形態またはそれを変形した例と、以下の実施形態またはそれを変形した例を互いに組み合わせたものもまた本発明の範囲に属する。
【0133】
図8は本発明の他の実施形態に係る太陽電池パネルに含まれる太陽電池、接着層及び絶縁部材、並びに配線材を示す部分断面図である。
図8には、
図4に対応する部分が示した。
【0134】
図8を参照すると、本実施形態においては、後面パッシベーション膜40が多結晶半導体層30(すなわち、第1導電型領域32、第2導電型領域34、バリア領域36など))上に形成される第1部分と、電極42、44上に位置する第2部分をさらに含むことができる。さらに具体的に、後面パッシベーション膜40の第1部分は、半導体基板12と反対の多結晶半導体層30の表面で電極42、44が形成されない部分に全体的に形成することができる。そして、後面パッシベーション膜40の第2部分は、半導体基板12と電極42、44の表面で部分的または全体的に形成されることができる。
【0135】
このような後面パッシベーション膜40は、電極42、44が形成された後に形成された膜で有り得る。これにしたがって、本実施形態においては、多結晶半導体層30と電極42、44との間には後面パッシベーション膜40が位置しないことがある。このような後面パッシベーション膜40は、電極42、44上に形成されなければならず、電極42、44と接着層LSPの電気的接続特性を考慮して単一層で構成することができる。一例として、後面パッシベーション膜40が単一層の反射膜、単一層の反射防止膜などで構成することができる。
【0136】
図8においては、後面パッシベーション膜40の第2部分で接着層LSPが形成される部分に対応して電極42、44を露出するコンタクトホール46aが部分的に形成されて電極42、44と接着層(LSP)が直接接触することを例示した。このようなコンタクトホール46aは、別途の形成工程なしに配線材142の接着熱処理工程により形成されたもので有り得る。これにより、コンタクトホール46aを備え、電極42、44と接着層LSPの電気的接続特性及び接着特性を向上させながらもコンタクトホール46aの形成工程を省略することができる。これにより、コンタクトホール46aの形成工程で発生し得た太陽電池10の損傷または特性の低下を防止でき、製造工程を単純化することができる。
【0137】
このような太陽電池10及びこれを含む太陽電池パネル100の製造方法を、
図9a~
図9eを参照して説明すると以下の通りである。
図9a~
図9eは、本発明の実施形態に係る太陽電池及びそれを含む太陽電池パネルの製造方法を示す断面図である。
図9には、
図4に対応する部分を示した。
【0138】
図9aに示すように、半導体基板12の後面上に中間膜20、第1導電型領域32、第2導電型領域34、バリア領域36(又は多結晶半導体層30)等を形成し、半導体基板12の前面側に前面電界領域12b、前面パッシベーション膜24、反射防止膜26等を形成して光電変換部10dを形成することができる。ここで、光電変換部10dは、後面パッシベーション膜40及び電極42、44が形成されない状態である。光電変換部10dの製造方法は、後面パッシベーション膜40の説明を除外しては、
図7aを参照した説明をそのまま適用することができる。
【0139】
次に、
図9bに示すように、導電型領域32、34に接続される電極42、44を形成することができる。このとき、導電型領域32、34と電極42、44との間に金属-半導体化合物からなる化合物層50が一緒に形成される。これについては、コンタクトホール46を除外しては、
図7cを参照した電極42、44及び化合物層50の説明をそのまま適用することができる。
【0140】
続いて、
図9cに示すように、多結晶半導体層30及び電極42、44を覆うように後面パッシベーション膜40を形成することができる。さらに具体的に、多結晶半導体層30及び電極42、44において、半導体基板12から離れて位置する面上を全体的に覆いながら後面パッシベーション膜40を形成することができる。後面パッシベーション膜40の形成方法としては、
図7aを参照した後面パッシベーション膜40の形成方法をそのまま適用することができる。
【0141】
図8及び
図9Cにおいては、後面パッシベーション膜40が電極42、44上に形成されることが示されているが、本発明はこれに限定されない。したがって、後面パッシベーション膜40が電極42、44上に全体的にまたは部分的に形成されないか、電極42、44が形成されない多結晶半導体層30上に形成される部分より電極42、44上に形成された部分の厚さが薄いか厚さが不均一することもある。
【0142】
続いて、
図9dに示すように、電極42、44上に対応するように接着層LSPを形成する。
【0143】
図9dにおいては、電極42、44上に位置した後面パッシベーション膜40上に接着層(LSP)を形成したことを例示した。しかし、本発明はこれに限定されない。一例として、電極42、44上にパッシベーション膜40が形成されていない場合、電極42、44の少なくとも一部に接触して接着層LSPが形成され得る。あるいは、接着層LSPが形成される部分に対応して別途にコンタクトホールを形成する工程を行い、電極42、44の少なくとも一部に接触して接着層LSPを形成されることもある。
【0144】
図9dにおいては、接続するべきではない電極42、44と配線材142の重畳部に絶縁部材IPを形成したことを例示した。これに係れば、絶縁部材IPによる絶縁特性を向上させることができる。しかし、本発明はこれに限定されない。一例として、接続してはならない電極42、44と配線材142の重畳部に絶縁部材IPを形成しないこともある。後面パッシベーション膜40によって絶縁特性を維持することができるからである。これによると、絶縁部材IPを形成する工程を省略してコストを削減し、工程を単純化することができる。
【0145】
接着層LSP及び/または絶縁部材IPについては、
図7dを参照した接着層LSP及び/または絶縁部材IPの説明をそのまま適用することができる。
【0146】
続いて、
図9eに示すように、電極42、44、絶縁部材IP及び接着層LSP上に配線材142を位置(一例として仮固定)させ、接着熱処理工程を行って配線材142を接着層(LSP)に電気的及び物理的に接続することができる。接着熱処理工程として、
図7f及び
図7gを参照したようにラミネート工程を用いることができるが、本発明はこれに限定されない。接着熱処理工程及び/またはラミネート工程については、
図7f及び
図7gを参照した接着熱処理工程及び/またはラミネート工程の説明をそのまま適用することができる。接着熱処理工程後の接着層LSPの形状等も、
図7gを参照した接着層LSPの説明をそのまま適用することができる。
【0147】
接着熱処理工程で接着層LSPと配線材142に加えられる圧力によって接着層LSPと電極42,44との間に位置する部分で、後面パッシベーション膜40の一部にコンタクトホール46aが形成することができる。熱と圧力によって電極42、44上に位置する後面パッシベーション膜40の一部が破裂されながらコンタクトホール46aが形成され得る。電極42、44上に形成された後面パッシベーション膜40の部分は、他の部分に比べて厚さが薄いか不安定に形成されることができるので、コンタクトホール46aが容易に形成され得る。これにより、電極42、44と接着層LSPが接触して電気的に接続することができる。この場合、コンタクトホール46aは、半導体基板12と反対の電極42、44の表面に全体的に形成されずに部分的に形成され得る。これにより、半導体基板12と反対の電極42、44の表面に後面パッシベーション膜40の一部が残留して位置することができる。しかし、本発明はこれに限定されない。電極42、44上に位置した後面パッシベーション膜40にコンタクトホール46aが形成されず、電極42、44と接着層LSPが後面パッシベーション膜40を挟んで位置しすることもある。この場合にも、後面パッシベーション膜40の薄い厚さなどにより電気的接続が可能することがある。あるいは、半導体基板12と反対の電極42、44の表面に全体的にコンタクトホール46aが形成され得る。その他の様々な変形が可能である。
【0148】
前述の実施形態においては、電極42、44が導電型領域32、34に接触して位置することを例示した。しかし、本発明はこれに限定されない。したがって、導電型領域32、34と電極42、44との間に絶縁膜が位置して、電極42、44、絶縁膜及び導電型領域32、34が金属絶縁層-半導体(MIS)構造を形成することもできる。これにより、パッシベーション特性の低下、導電型領域32、34の損傷等を防止し、界面コンタクト特性を向上させることができる。本実施形態において、絶縁膜は、耐火金属と酸素が結合して形成された耐火金属酸化膜(例えば、チタン酸化膜、モリブデン酸化膜)からなることができる。この場合には、前述した実施形態において電極42,44又は接着層LSPが導電型領域32,34に接触して形成されることを電極42,44が絶縁膜を挟んで導電型領域32,34に位置することで理解することができる。
【0149】
以下、本発明の実験例により本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら、本発明の実験例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明がこれに限定されるものではない。
【0150】
実施例1
【0151】
半導体基板の後面に酸化シリコンを含む中間膜と多結晶シリコンを含む多結晶半導体層を順次形成した。多結晶半導体層をドーピングして第1及び第2導電型領域を形成し、半導体基板の前面をドーピングして電界領域を形成した。半導体基板の前面に蒸着を用いて絶縁物質からなる前面パッシベーション膜を形成したし、半導体基板の後面に蒸着を用いて絶縁物質からなる後面パッシベーション膜を形成した。後面パッシベーション膜にレーザを用いてコンタクトホールを形成し、第1及び第2導電型領域に電気的に接続される第1及び第2電極を形成した。第1及び第2電極は、ニッケル、銅、接着物質及び溶媒を含む低温電極ペーストを印刷工程で塗布し、乾燥及び300℃で乾燥熱処理して20μmの厚さを有するように形成した。太陽電池の面積に対する第1及び第2電極の面積比率が50%であった。これにより、複数の太陽電池を製造した。
【0152】
比較例1
【0153】
第1及び第2電極がスパッタリング工程を用いて形成され、500nmの厚さを有するスパッタリング電極であり、太陽電池の面積に対する第1及び第2電極の面積比率が80%であることを除外して、実施例1と同様である方法で複数の太陽電池を製造した。
【0154】
実施例1及び比較例1に係る複数の太陽電池における電極の比抵抗、接触抵抗及び直列抵抗の平均値を相対値として表1に示す。表1においては、比較例1の比抵抗、接触抵抗及び直列抵抗の平均値を100%として、実施例1の比抵抗、接触抵抗及び直列抵抗の平均値を記載した。ここで、比抵抗、接触抵抗、直列抵抗の平均値は低いほど抵抗値が低いものであるから、優れた抵抗特性を有する。
【0155】
【0156】
実施例1に係る電極の接触抵抗は、比較例1に係る電極の接触抵抗と類似で優れたレベルを維持することがわかる。そして実施例1に係る電極の比抵抗が比較例1に係る電極の比抵抗より大きいが、実施例1に係る電極の直列抵抗は比較例1に係る電極の直列抵抗より小さくて、実施例1に係る電極が優れた抵抗特性を有することがわかる。これは、実施例1に係る電極を十分な厚さに形成して十分な断面積を有するように比抵抗は低くてもキャリア収集特性に直接関連する直列抵抗は比較例1より低くできるからである。
【0157】
実施例1及び比較例1に係る太陽電池の後面で光の波長による反射度を測定したグラフを
図10に示した。実施例1及び比較例1に係る太陽電池の後面での反射度を算出してその結果を表2に示した。表2では、比較例1の内部反射度を100%として実施例1の内部反射度を示した。
【0158】
【0159】
図10及び表2を参照すると、実施例1による太陽電池の反射度が比較例1による太陽電池の反射度より高いことがわかる。これは、実施例1において、太陽電池の面積に対する電極の面積比率を下げて後面パッシベーション膜による光路制御(すなわち内部反射)が十分に起こるように誘導したためと予測される。
【0160】
前述の特徴、構造、効果などは、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれ、必ずしも1つの実施形態にのみ限定されるものではない。さらに、各実施形態で例示した特徴、構造、効果などは、実施形態が属する分野の通常の知識を有する者によって他の実施形態に対しても組み合わせまたは変形して実施可能である。したがって、そのような組み合わせと変形に関連する内容は、本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【国際調査報告】