(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-16
(54)【発明の名称】ポータブル超音波検査のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01N 29/28 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
G01N29/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022553618
(86)(22)【出願日】2021-03-29
(85)【翻訳文提出日】2022-10-27
(86)【国際出願番号】 US2021024645
(87)【国際公開番号】W WO2021202374
(87)【国際公開日】2021-10-07
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522352579
【氏名又は名称】ヴェリファイ テクノロジーズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】VERIFI TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100175477
【氏名又は名称】高橋 林太郎
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド エイ ジャック
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン エム ブランドフォード
(72)【発明者】
【氏名】ナサニエル ジェイ ブラックマン
(72)【発明者】
【氏名】ケイラ ピー ギャレット
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス イー スミス
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA08
2G047AA10
2G047AB05
2G047BA03
2G047DB14
2G047EA12
2G047GB15
2G047GE04
(57)【要約】
本開示は、垂直角度に対する角度でのハウジングの配置を可能にしながら、球面集束型トランスデューサのための音響結合経路を維持する超音波トランスデューサハウジングアセンブリを有するシステムを提供する。本発明は、球面集束型トランスデューサの使用を、非破壊検査のためのシステムコストおよび運用コストを大幅に削減したポータブルシステムへと拡張するものである。トランスデューサハウジングアセンブリは、ハウジング内の流体の音響特性に類似し、したがってトランスデューサに対して少なくとも半透明であり、最小の信号損失を引き起こす音響窓を画定する交換可能な液密膜で密閉される開口部を有するレンズハウジングを特徴とする。ハウジングは、不適切な使用または漏れがあった場合に清掃するための最小限の流体を含む。トランスデューサハウジングは、任意で表面オフセットと、部材表面に対するトランスデューサの焦点位置を調整する機能も含んでいる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材料の超音波検査システムであって、
前端および後端を有し、内部密閉チャンバを画定する中央ハウジングと、
トランスデューサと、
前記中央ハウジングに取り付けられた流体コネクタと、を含み、
前記トランスデューサが、前記中央ハウジングの前記内部密閉チャンバ内に配置され、
前記流体コネクタが、前記内部密閉チャンバ内にカップリング流体を導入するために流体ポンプと接続するように動作可能であり、
前記トランスデューサが結合素子に結合され、前記結合素子が前記中央ハウジングの前記後端を密閉係合し、
前記結合素子の回転が、前記中央ハウジングの前記後端との密閉係合を維持しながら、前記中央ハウジングに対する前記トランスデューサの位置を調整し、
前記中央ハウジングの前記前端が膜によって密閉され、
前記膜が、前記カップリング流体に対して音響的に半透明であるかまたは音響的に透明であり、そして、
前記トランスデューサが、超音波を放射および受信するように動作可能である、
システム。
【請求項2】
前記トランスデューサが細長い部材に直接結合され、前記細長い部材が前記結合素子を通って延び、前記結合素子と密閉して係合する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記トランスデューサが球面集束型トランスデューサである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記流体ポンプが、前記カップリング流体を導入する前に、前記流体コネクタを通して前記内部密閉チャンバから空気または他の気体を送り出すように動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記中央ハウジングが取付けブラケットを含み、前記取付けブラケットがロボットアームに接続するように動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記中央ハウジングが、前記中央ハウジングの前記前端から長手方向外側に延びる少なくとも一つの表面オフセット素子を含み、前記少なくとも一つの表面オフセット素子が、指定距離だけ引っ込むように動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
複合材料の超音波検査方法であって、
前端および後端を有し、内部密閉チャンバを画定する中央ハウジングと、
トランスデューサと、
前記中央ハウジングに取り付けられた流体コネクタであって、前記流体コネクタは、流体ポンプに接続するように動作可能である、流体コネクタと、を含むトランスデューサハウジングアセンブリを準備することを含み、
前記トランスデューサが、前記中央ハウジングの前記内部密閉チャンバ内に配置され、
前記トランスデューサが結合素子に結合され、前記結合素子が、前記中央ハウジングの前記後端を密閉して係合し、
前記結合素子の回転が、前記中央ハウジングの前記後端との密閉係合を維持しながら、前記中央ハウジングに対する前記トランスデューサの位置を調整し、
前記中央ハウジングの前記前端が膜によって密閉され、
前記膜が、カップリング流体に対して音響的に半透明または音響的に透明であり、
前記流体ポンプが、前記流体コネクタを経由して、前記カップリング流体を前記内部密閉チャンバに導入し、
前記トランスデューサが、超音波を被検査物に放射し、そして、
前記トランスデューサハウジングアセンブリが、前記被検査物から反射された超音波を受信する、
方法。
【請求項8】
前記トランスデューサハウジングアセンブリとネットワーク通信する装置であって、プロセッサおよびグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を含む装置を準備することをさらに含み、前記プロセッサは前記受信した超音波を処理してスキャンデータを生成し、前記GUIが前記スキャンデータをグラフ形式で表示することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記トランスデューサが、細長い部材に直接結合され、前記細長い部材は、前記結合素子を通って延び、前記結合素子と密閉係合する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記トランスデューサが球面集束型トランスデューサである、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記流体ポンプが、前記カップリング流体を導入する前に、前記内部密閉チャンバから空気または他の気体を送り出すことをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記トランスデューサハウジングアセンブリが、前記中央ハウジングに取り付けられた取り付けブラケットをさらに含み、前記取り付けブラケットが、ロボットアームに接続するように動作可能である、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記トランスデューサハウジングアセンブリの前記中央ハウジングが、前記中央ハウジングの前記前端から長手方向外側に延びる少なくとも一つの表面オフセット素子を含み、前記少なくとも一つの表面オフセット素子が、指定距離だけ引っ込むように動作可能である、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記トランスデューサが前記被検査物に前記超音波を放射する前に、前記被検査物の表面に外部カップリング材料を塗布することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
複合材料の超音波検査システムであって、
前端および後端を有し、内部密閉チャンバを画定する中央ハウジングと、
前記中央ハウジングの前記後端に密閉係合され、トランスデューサと結合された結合素子と、
前記中央ハウジングに取り付けられた流体コネクタと、を含み、
前記結合素子の調節が、前記トランスデューサを前記中央ハウジングに対して移動させるものであり、
前記中央ハウジングが、前記中央ハウジングの前記前端から長手方向外側に延びる少なくとも一つの表面オフセット素子をさらに含み、少なくとも一つの表面オフセット素子が、指定距離だけ引っ込むように動作可能であり、
前記流体コネクタが、カップリング流体を前記内部密閉チャンバに導入するために流体ポンプと接続するように動作可能であり、
前記中央ハウジングの前記前端が膜によって密閉され、
前記膜が、前記カップリング流体に対して音響的に半透明または音響的に透明であり、そして、
前記トランスデューサが、超音波を放射および受信するように動作可能である、
システム。
【請求項16】
前記トランスデューサが細長い部材に直接結合され、前記細長い部材が前記結合素子を通って延び、前記結合素子に密閉係合する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記流体コネクタが、前記カップリング流体を導入する前に、前記内部密閉チャンバから空気または他の気体を送り出すように動作可能である、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記中央ハウジングが取付けブラケットを含み、前記取付けブラケットがロボットアームに接続するように動作可能である、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記少なくとも一つの表面オフセット素子の各々は、ピンに取り付けられたバイアス部材を含み、前記バイアス部材は、前記ピンが前記中央ハウジングから離れる方向に伸び、前記中央ハウジングの方向に引っ込むことを可能にする、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記中央ハウジングが、プロセッサおよびグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を含む装置とネットワーク通信しており、前記プロセッサが、前記受信した超音波を処理してスキャンデータを生成するように動作可能であり、前記GUIが、前記スキャンデータをグラフ形式で表示するように動作可能である、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本出願は、以下の米国特許および特許出願に関連し、それらの優先権を主張する。本出願は、2020年11月6日に出願された米国特許第17/091,774号の優先権を主張し、当該米国特許第17/091,774号に関する出願は、2020年3月30日に出願された米国仮特許出願第63/001,608号に対する優先権を主張するものである。本出願は、2020年3月30日に出願された米国仮特許出願第63/001,608号に対する優先権も主張する。上記の各出願は、その全体が本明細書に参考として組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
(1.発明の分野)
本開示は、超音波非破壊検査の分野に関し、より具体的には、浸漬または連続的に流れるウォータージェットを必要としない複合材料の超音波非破壊検査のためのシステムおよび方法に関するものである。
【0003】
(2.関連技術の説明)
非破壊検査(NDT)は、非破壊評価(NDE)または非破壊検査(NDI)としても知られ、その方法が一般に材料または部品をその意図された目的に適さないものにしないので、大型機械の材料および部品の検査において人気を獲得している。従来のNDTの手法には、超音波技術およびサーモグラフィック技術、並びに、渦電流、放射線(ガンマ線、X線、マイクロ波など)、磁性粒子、染料浸透剤などを利用したものが含まれる。NDTは、従来、材料の表面欠陥を検出するため、材料の層の剥離を検出するため、または材料内の他の欠陥の存在を示すために使用されてきた。
【0004】
先行技術特許文献には、以下のものが含まれる。
【0005】
2012年7月9日に出願され、2015年9月1日に発行された、発明者ローチらによる調整可能な水柱を有する超音波検査装置に関する米国特許第9,121,817号は、可変流体柱高さを有する超音波検査装置に関するものであり、開示されたものである。オペレータは、最適な超音波焦点を生成し、関心領域に由来する信号から無関係な、不要なUT信号を分離するために、検査中にリアルタイムで流体柱高さを調整することが可能である。
【0006】
2016年1月19日に出願され、2019年5月28日に発行された、発明者Palmerらによる検査装置ならびに関連システムおよび方法に関する米国特許第10,302,600号は、少なくとも一つの開口を有するノズル部分と、ハウジングの後部チャンバ内に配置されたトランスデューサとを含む検査装置に関するものである。ハウジングは、ハウジング内に画定され、後部チャンバの少なくとも一部分に沿って延在する少なくとも一つの流体チャネルを有する。少なくとも一つの流体チャネルは、トランスデューサに近接するハウジングの前方チャンバに流体を供給するように構成される。関連する方法は、検査装置を操作することを含む。
【0007】
1978年11月14日に出願され、1980年8月5日に発行された、発明者Botscoらによる超音波複雑インピーダンス平面分析による結合検査のための装置および方法に関する米国特許第4,215,583号は、検査中の層状構造体、ハニカム構造体または繊維複合構造体に適用される音波エネルギー発生および受信プローブの信号ベクトルの応答の位相および振幅の両方により表されるインピーダンス変動を利用する非破壊結合検査装置に関するものである。この結合検査装置および方法が使用出来る典型的な結合方法には、接着結合、拡散結合、ろう付け結合、抵抗結合、衝撃・摩擦結合が含まれる。ブラウン管には、被測定物の影響を受けたインピーダンス特性を表すベクトルの先端が(明るいドットとして)表示される。零出力回路は、被測定物の欠陥のない部分(通常の部分)の応答を削除し、被測定物の欠陥のある部分(異常な部分)が中立点からのインピーダンス変動を生じるようにし、その変動をベクトル先端の振幅と角度位置とで極座標表示し、これにより、検出されたボンドラインの状態の場所およびタイプに関する診断情報を提供する。検出可能なボンドラインの状態/欠陥には、ディスボンド、接着剤の厚さ、接着剤の気孔率、接着剤の硬化の程度、接着剤(凝集)強度、および使用中の接着剤またはボンドラインの劣化の形態が含まれる。
【0008】
1978年5月24日に出願され、1980年1月22日に発行された発明者Evansらによる結合を評価するための装置に関する米国特許第4,184,373号は、接着剤の中間層によって結合された第1および第2の構造間の結合を評価するための手段および方法に関するものである。超音波エネルギーのパルスを結合された構造体に送信するための手段を設け、それによって、第1の反射パルスを第1の構造体の第1の表面から反射させ、第2の反射パルスを接着剤の層から反射させ、第3のパルスを接着剤の層に隣接する第2の構造体の表面から反射させてもよい。第1、第2および第3の反射パルスを感知し、反射パルスの振幅を比較し、その比が所定の範囲内にあるかどうかを測定することによって、結合の質の表示を提供するために、回路手段は提供される。
【0009】
2010年5月21日に出願され、2013年1月8日に公開された発明者Questoらによる複合材料の接着結合強度を検査するための音波共振器システムに関する米国特許第8,347,723号は、複合材料の接着結合強度を検査する際に用いる音波共振器システムに関するものである。また、この明細書では、特定の複合材料結合部で動作するように音波共振器システムを較正する方法、および、要求される結合強度に基づいて、結合した複合材料結合強度の「合否」を非破壊で検査する方法についても開示されている。
【0010】
2019年3月22日に出願され、2019年9月26日に発行された発明者Campbellらによる複合材料部材内のキス結合の検出に関する米国特許公開第2019/0293610号は、複合材料部材内のキス結合を検出するシステムおよび方法に関するものであり、これらのシステムおよび方法が提供される。複合材料部材からの反射超音波エネルギーを代表する反射超音波データ、複合材料部材からの反射超音波エネルギーにおける予想される材料ノイズの所定のベースラインノイズ振幅値よりも2%から5%高い第1の閾値振幅値、および第1の閾値振幅値よりも高い第2の閾値振幅値を用いて、閾値振幅値を超え第2の閾値振幅値未満である反射超音波エネルギーの振幅が1つ以上発生することが特定される。反射された超音波エネルギーの振幅の特定された1つ以上の発生に基づいて、複合材料部材においてキス結合が検出される。
【0011】
2006年12月28日に出願され、2009年8月18日に発行された発明者Kollgaardらによる簡易インピーダンス平面結合試験検査に関する米国特許第7,574,915号は、超音波トランスデューサと、光源などの表示器を有する電子装置を含むNDIシステムに関するものである。電子装置は、トランスデューサに通電し、トランスデューサから正弦波信号を受信し、正弦波信号の直交位相分離成分に対応するインピーダンス面座標を決定し、インピーダンス面座標が事前設定の閾値を超えた場合にインジケータを自動的に作動させる。このシステムは、複合材料航空機部材などのような構造体に適用される補修パッチなどの層状構造を検査する方法において使用することができる。
【0012】
2009年7月16日に出願され、2012年8月7日に発行された発明者Saxenaらによる構造体における損傷位置および特定のための装置および方法に関する米国特許第8,234,924号は、構造体中のディスボンドを検出するために超音波が用いられる複合構造体の検査装置および方法に関するものであり、これらの装置および方法が記載されている。この装置は、ファイバーブラッググレーティングなどの音響光学トランスデューサを搭載した柔軟な構造体から構成されている。使用中、装置は、被測定物に機械的およびコンフォーマルに結合される。
【0013】
2004年4月2日に出願され、2006年3月28日に発行された発明者Heymanらによる結合検査システム、方法、および装置に関する米国特許第7,017,422号は、フェーズロッカー、トランスデューサ、結合に応力-負荷を加えることができる負荷装置、負荷装置を制御するコントローラ、データを取得するデータ記録装置、および特定の結合強度パラメータを計算しデータを解析するコンピュータ装置を含む、結合部材の特定の結合強度パラメータを決定する結合強度検査装置および方法に関するものである。
【0014】
2012年8月9日に出願され、2014年8月7日に公開された発明者Martinらによる積層構造体における欠陥の非破壊的測定のための空気結合超音波非接触方法に関する米国特許公報第2014/0216158号は、幅(W)および中間N-1結合プラント(B)を有する多重n薄層を有する積層構造体における欠陥の非破壊的測定のための空気結合超音波非接触方法および設置に関するものであり、その一方、固定送信距離(WTS)にある少なくとも一つの送信機(T)が複数の位置で超音波ビームを放射し、センサ距離(WSR)にある少なくとも一つの受信機(R)が積層構造体(S)に対して複数の位置で再放射された超音波ビームを受信する。この方法は、例えば積層欠陥の位置および形状を画像化し、任意の高さ(H)および長さ(L)の積層構造体(S)の検査、ならびに特定の結合面(例えばB1、B2、B3)の個別評価を、結合面に平行な試料の面へのアクセスが制約された状況でも行うことができるようにする。
【0015】
2014年7月17日に出願され、2016年6月7日に発行された発明者Georgesonによる超音速を用いた非破壊検査に関する米国特許第9,360,418号は、対象物を検査する方法および装置に関するものである。この装置は、波発生器および検出システムからなる。波発生器は、対象物から離れた位置に配置される。波発生器は、超音波が対象物の一部に遭遇するように、対象物上の場所に向かう方向に超音波を放射する。検出システムは、波発生器と同じ側に配置される。検出システムは、超音波が対象物の一部に遭遇することに対する対象物の一部内の特徴の特徴応答を検出する。
【0016】
2020年2月1日に出願され、2020年7月23日に公開された発明者Tysonによる熱成形可能な複合材料のIn-situモニタリングに関する米国特許公報第220/0230899号は、熱可塑性材料または熱硬化性材料、特に熱可塑性複合テープなどの、熱を加えて熱成形可能材料を硬化させて造形する構造体の品質および構成を決定する方法およびシステムに関するものである。構築物の品質は、材料がその上昇した温度から冷却する際の材料における差動熱流束を測定することによって、構造体の構築中にモニタリングされる。また、このシステムおよび方法は、欠陥に対処するために改善策を講じるかまたは生産作業を停止することができるように、構築中の構造体における欠陥の位置を決定することができる。過渡的な熱効果は、適用されている熱成形可能な材料などのモニタリングされている構造体に適用され、これは、熱成形可能な構造体適用プロセスの適用された加熱または追加の加熱から実施されてもよい。
【0017】
2011年5月27日に出願され、2016年11月15日に発行された発明者Linらによる複合構造体の欠陥検出のための方法および装置に関する米国特許第9,494,562号は、音波または超音波を利用した複合構造体の非破壊検査のための方法および装置に関するものである。プローブから複合構造体に送信される広帯域チャープ波音波励起信号に応答して、受信したプローブ信号が所定のプローブ信号のライブラリと相関され、検出された欠陥のグラフ表示が生成される。このグラフ表示は、欠陥の種類、欠陥の位置、および欠陥の形状に関する詳細な情報を提供する。また、各トランスデューサが送信機または受信機として別々に構成可能である3つ以上のトランスデューサと、各トランスデューサに信号を供給し、そこから信号を受信するためにトランスデューサに結合されたコントローラとを含む複合構造体の非破壊検査用プローブが企図され、そこに供給される信号は、各トランスデューサを送信機または受信機のいずれかとして構成するための信号、および送信機として構成された各トランスデューサから励起信号を提供するための信号が含まれるものが企図される。
【0018】
2016年5月5日に出願され、2019年10月15日に発行された発明者Binghamによる構造体の表面近傍不整合の検出に関する米国特許第10,444,195号は、構造体の表面近傍不整合を検出する方法に関するものであり、この方法が提示される。パルスレーザービームは、構造体に向けて照射される。パルスレーザービームの放射が構造体によって吸収されるとき、広帯域超音波信号が構造体において形成される。広帯域超音波信号は、データを形成するために検出される。このデータは、表面近傍の不整合に関連する周波数を特定するために処理される。
【0019】
2018年12月17日に出願され、2019年6月20日に公開された発明者Asadollahiらによる分析的逆時間移行を用いた超音波非破壊検査のための方法に関する米国特許公報第2019/0187107は、ドライポイントコンタクト(「DPC」)トランスデューサまたは水平せん断波を放射する他のトランスデューサなどの超音波トランスデューサを用いた非破壊検査に関するシステムおよび方法について記載されている。超音波トランスデューサを使用して取得されたデータから画像を生成するために、分析的逆時間移行(「RTM」)技術が実施される。
【0020】
2016年10月31日に出願され、2018年5月3日に公開された発明者Georgesonらによる複合構造体のしわ特性評価および性能予測に関する米国特許公報第2018/0120268号は、自動構造解析を用いてしわのある複合構造体のしわ特性評価および性能予測を行う方法に関するものである。いくつかの実施形態に従って、この方法は、Bスキャン超音波データの使用、しわおよび断面形状の自動光学測定、ならびにしわのある複合構造体の有限要素解析を組み合わせて、構造体の意図された性能に対する検出されたしわの実際の重要性を評価する能力を提供する。開示された方法は、参照標準から取得した超音波Bスキャンデータを、それらの参照標準の光学断面(例えば、顕微鏡写真)の測定値と相関させることによって較正された超音波検査システムを用いるものである。
【0021】
2018年3月9日に出願され、2020年3月31日に発行された発明者Grewelらによる複合積層体における面外しわを測定するための方法に関する米国特許第10,605,781号は、複合積層体における面外しわを測定するための方法に関するものであり、これらの方法が記載されている。例示的な方法は、超音波トランスデューサで複合積層体の第1の面をスキャンすることを含む。この方法は、複合積層体の第1の面のスキャンに応答して生成されたBスキャン超音波画像上で複合積層体の面外しわの位置付けをさらに含む。この方法は、Bスキャン超音波画像に第1のマーカを関連付けることを更に含み、第1のマーカは、Bスキャン超音波画像上の面外シワの頂点の位置に基づいて決定される。この方法は、Bスキャン超音波画像に第2のマーカを関連付けることを更に含み、第2のマーカは、Bスキャン超音波画像上の面外しわの焦点の位置に基づいて決定されたものである。この方法は、第1のマーカと第2のマーカとの間の距離に基づいて面外シワの振幅を決定することを更に含む。
【0022】
2016年1月11日に出願され、2018年12月25日に発行された発明者Dehghan-Niriらによる複合材料の非破壊検査および超音波検査の方法に関する米国特許第10,161,910号は、視覚的にアクセスできない構造体を有する部材に対して超音波トランスデューサを位置付け、部材の少なくとも一つのBスキャンからBスキャンデータを集め、部材の少なくとも一つのCスキャンからCスキャンデータを集めることを含む非破壊検査方法に関するものである。この方法はまた、BスキャンデータおよびCスキャンデータをフィルタリングして、視覚的にアクセス可能な構造体に関する所定の幾何学的情報に基づいてランダムノイズおよびコヒーレントノイズを除去し、フィルタリングされたデータを取得することを含む。この方法は、さらに、線形信号処理および非線形信号処理を実行して、フィルタリングされたBスキャンデータおよびフィルタリングされたCスキャンデータから視覚的にアクセスできない構造体を表す複数のボクセルに対する損傷指数を決定し、Vスキャン画像を生成することを含む。また、風力発電機ブレードの非破壊検査方法および超音波診断装置も開示されている。
【0023】
2007年7月23日に出願され、2011年3月1日に発行された発明者Kollgaardらによる部材中の気孔率を定量化する方法および装置に関する米国特許第7,895,895号は、材料中の気孔率を測定するためのコンピュータ実装方法、またはハードウェアろ過装置、およびコンピュータ使用可能プログラムコードに関するものである。超音波測定システム内の送信トランスデューサから材料に超音波信号が放射される。応答信号は、材料から超音波測定システム内の受信トランスデューサで受信される。応答信号は、選択された周波数範囲内の応答信号の周波数のみを通過させるようにフィルタリングされ、フィルタリングされた応答信号が形成される。材料の気孔率レベルは、フィルタリングされた応答信号を用いて特定される。
【0024】
2010年11月30日に出願され、2013年9月3日に発行された発明者Bradyらによる簡略化された直読式気孔率測定装置および方法に関する米国特許第8,522,615号は、構造体の気孔率を測定するための装置に関するものであり、この装置は、構造体に対して押し付けられるように構成された超音波トランスデューサ装置を含み、超音波トランスデューサ装置は、さらに、構造体内に超音波パルスを放出し、エコープロファイルを検出するように構成されている。そして、構造体の気孔率を測定するための装置は電子装置を含み、電子装置は、インターフェースゲート、裏面感知ゲートおよび裏面分析ゲートを有するマネージャー、マネージャーおよび超音波トランスデューサ装置とインターフェースするパルス発生器、超音波トランスデューサ装置およびマネージャーとインターフェースするデータ取得装置、ならびにマネージャーとインターフェースする気孔率インジケータを有するディスプレイを含む。
【0025】
2004年6月28日に出願され、2006年3月14日に発行された発明者Meierによるワークピースの気孔率を決定する方法に関する米国特許第7,010,980号は、ワークピース、特には繊維複合材料からなるワークピースの気孔率を決定することに関するものである。超音波信号がワークピースに入射され、超音波エコー信号がワークピースから受信される。深さに対する超音波エコー信号の振幅の変化は、それぞれの深さにおけるワークピース材料の気孔率の測定値として使用される。
【0026】
2003年3月12日に出願され、2005年11月1日に発行された発明者Petersonらによる多孔質媒体特性の超音波検出に関する米国特許第6,959,602号は、膜などの多孔質媒体内の欠陥の存在を決定するためにプレート波が使用されることに関するものである。音響波は、多孔質媒体を通して伝搬され、媒体内にプレート波を発生させることができる。このプレート波は、媒体の材料特性および構造体特性に関連する高速圧縮波と低速圧縮波とを媒体の中に発生させる。高速圧縮波は、媒体の全気孔率に関する情報を提供する。一方、低速圧縮波は、媒体中の欠陥の存在または媒体を形成する材料の種類に関する情報を提供する。
【0027】
2012年9月20日に出願され、2016年3月29日に発行された発明者Djordjevicらによる差動超音波導波路硬化モニタリングプローブに関する米国特許第9,297,789号は、硬化プロセスのinsituリアルタイムモニタリングを可能にする新しい方法論、検査システム設計および概念に関するものである。装置、システム、および方法は、1つ以上の差動超音波導波路硬化モニタリングプローブを使用して、先端材料の時間依存硬化を非破壊でin situでモニタリングするためのものである。差動超音波導波路硬化モニタリングプローブは、硬化する材料に直接接触し、硬化プロセスをin situでモニタリングすることで、硬化に関連しない信号変動(例えば、温度)に依存しない較正応答方式で硬化の程度または硬化レベルを評価することを可能にする。差動超音波導波路硬化モニタリングプローブは、導波路に結合されたトランスデューサを含み、正確かつ再現可能に硬化プロセスをモニタリングし、超音波反射測定を介して硬化レベルの評価を可能にするための補正および校正方法論を組み込んでいる。プローブ-樹脂界面から反射される補正された界面応答信号の振幅は、硬化中の材料の弾性率の変化を示す。
【0028】
2004年9月28日に出願され、2005年9月20日に発行された発明者Georgesonによる不完全に硬化した接着剤を特定するためのシステムおよび方法に関する米国特許第6,945,111号は、軟質領域または不適切に硬化した領域など、複合構造体における接着剤を検査するシステムに関するものであり、このシステムは、トランスデューサと処理素子とを含んでいる。トランスデューサは、超音波信号の少なくとも一部が接着剤を通って伝搬し、接着剤と別の材料との間の界面で反射し、接着剤を通って伝搬して戻ることができるように、接着剤に超音波信号などの信号を送信することができる。接着剤から出たところで、トランスデューサは超音波信号の反射部分を受信することができる。その後、処理素子は、反射された超音波信号の反射部分の振幅と予め定義された閾値との関係に基づいて、接着剤における軟質領域または不適切に硬化した領域などの欠陥を特定することができる。
【0029】
2013年3月20日に出願され、2020年6月30日に発行された発明者Jackらによる複合材料の非破壊検査の方法およびシステムに関する米国特許第10,697,941号は、方法およびシステムに関するものであり、この方法およびシステムは、複合材料積層構造体の特性化および定量化のために開示されている。この方法およびシステムは、プライスタックの構成および順序が未知の複合積層体を取り込み、プライスタック、配向、微細構造、タイプなど、個々のプライに関する様々な情報を決定する。この方法およびシステムは、同様の平面剛性挙動を示すかもしれないが、異なる破壊メカニズムを生じるであろうウィーブのタイプを区別することができる。次に、個々のプライの情報を使用して、伸長剛性、曲げ-伸長結合剛性、曲げ剛性などを含む、外部から提供された繊維およびマトリックスの構成特性から積層バルク特性を導出することができる。次に、積層バルク特性は、複合積層体の確率的破壊包絡線を生成するために使用されてもよい。これは、個々のラミナレイアップが仕様に従って達成されたことを保証するために非破壊QAを実行する能力を提供し、結果は、純粋に構造体の特性を超えた多数のラミネート特性を特定するために使用されてもよい。
【0030】
2015年7月13日に出願され、2019年7月9日に発行された発明者Holmesらによる非破壊検査装置の自動較正に関する米国特許第10,345,272号は、非破壊検査装置を自動較正する方法に関するものである。いくつかの実施形態によれば、この方法は、(a)被検査物の被検査物座標系における第1の座標セットを決定し、第1の座標が被検査物の表面上のターゲット位置を表すようなステップ、(b)非破壊検査機器のメモリに較正ファイルを格納し、較正ファイルがターゲット位置を含む領域における被検査物の三次元構造体を表す構造体データの関数である較正データを含むようなステップ、(c)較正ファイル内の較正データを使用して非破壊検査装置を較正するステップ、および(d)較正した非破壊検査装置を用いてターゲット位置の情報を得るステップ、を含む。
【0031】
1993年7月21日に出願され、1995年4月25日に発行された発明者McKinleyらによる高分子複合材料の非破壊評価のための超音波装置および方法に関する米国特許第5,408,882号は、そこに分布する不連続繊維を有する高分子複合材料の非破壊評価用の超音波測定装置および方法に関するものである。この装置は、くさび形のフォーカサーとリレーとの上に配置された1つ以上の実質的にマッチしたトランスデューサのペアを有し、フォーカサーおよびリレーはそれぞれのインピーダンスを有し、それらのインピーダンスは、分析される高分子複合材料のインピーダンスに実質的にマッチしている。この装置は、フォーカサーおよびリレーの頂点が表面に密着するように複合材料の表面上に置かれる。複合材料を通過した後、第1のトランスデューサによって発生し、第2のトランスデューサによって受信される実質的に縦方向の超音波の速度は、中心点を中心とするいくつかの角度の配向で決定され、超音波の測定速度は、複合材料に存在する繊維の重量パーセント、複合材料のヤング率、せん断率およびポワソン比等の複合材料の物理属性を決定するためにソフトウェアを有するコンピュータを通して処理される。
【0032】
2015年9月8日に出願され、2020年9月1日に発行された発明者Jackらによる曲面複合材料の非破壊検査のための方法およびシステムに関する米国特許第10,761,067号は、2次元および3次元で曲面である表面を有する構造体を含む複合積層構造体の特性化および定量化に関するものである。実施形態は、未知のプライスタックの構成および順序の複合積層体を取り、プライスタック、配向、微細構造、およびタイプなどの、個々のプライに関する様々な情報を決定する。この実施形態では、同様の平面剛性挙動を示すが、異なる破壊メカニズムを生じる可能性のあるウィーブタイプを区別することができる。次に、個々のプライの情報は、伸長剛性、曲げ-伸長結合剛性、曲げ剛性などを含む繊維およびマトリックスの外部から提供される構成特性から積層バルク特性を導出するために使用されてもよい。次に、積層バルク特性は、複合積層体の確率的破壊包絡線を生成するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、プライスタックタイプおよび順序は、回転段階を追加することによって、開示された実施形態を使用する湾曲した炭素繊維複合材料について決定することもできる。
【0033】
2018年8月9日に出願され、2020年2月13日に公開された発明者Jahanbinらによる、超音波誘導波を用いた湾曲複合材料構造体の構造的健全性モニタリングに関する米国特許公報第2020/0047425は、界面誘導波を用いた湾曲複合材料積層構造体の非破壊検査に関するシステムおよび方法に関するものである。特に、湾曲複合積層構造体がヌードルを有する場合、界面誘導波を用いてヌードル領域を検査することができる。システムおよび方法は、検査された湾曲複合積層構造体から取得された検出データを、シミュレートされた湾曲複合積層構造体を用いて得られた予測データと比較することによって、接着結合された湾曲複合積層構造体のヌードル領域の構造的健全性をモニタリングするための再現性および信頼性の高い非破壊的技術を提供する。
【0034】
2007年6月19日に出願され、2011年7月12日に発行された発明者Fetzerらによる曲面を有するワークピースを検査するための方法、装置およびシステムに関する米国特許第7,975,549号は、非破壊検査方法、装置およびシステムに関するものであり、これらの方法、装置およびシステムが、少なくとも一つの所定の曲率半径を有する曲面を持つワークピースを検査するために提供されている。検査プローブなどの装置は、予め決められた曲率半径を有する円弧状構成に配置された複数のトランスデューサ素子と、湾曲した遅延線とを含む。湾曲した遅延線は、トランスデューサ素子の予め決められた曲率半径に一致する予め決められた曲率半径を有する外側の円弧状の表面を有する。湾曲した遅延線はまた、ワークピースの湾曲した表面の少なくとも一つの予め決められた曲率半径に一致する少なくとも一つの予め決められた曲率半径を有する内側の円弧状の表面を有している。検査プローブに加え、システムは、トランスデューサ素子をトリガーしてワークピースに信号を放射するための励起源と、戻り信号を受信するための演算装置とを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
本発明は、超音波トランスデューサを使用する非破壊検査のシステムおよび方法に関するものである。
【0036】
本発明の目的は、浸漬槽またはウォータージェットを使用せずに、トランスデューサが被検査物に接触しない超音波非破壊検査のためのシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0037】
一実施形態では、本発明は、複合材料の超音波検査のためのシステムに関するものであって、このシステムは、中央ハウジングであって、前端および後端を有し、内部密閉チャンバを画定する中央ハウジングと、トランスデューサであって、このトランスデューサが中央ハウジングの内部密閉チャンバ内に配置されるトランスデューサと、中央ハウジングに取り付けられた流体コネクタであって、該流体コネクタが、密閉チャンバにカップリング流体を導入するために流体ポンプと接続するように動作可能である流体コネクタと、を含み、中央ハウジングの前端が膜によって密閉され、該膜がカップリング流体に対して音響的に半透明であり、トランスデューサが超音波を放射および受信するように動作可能である。
【0038】
別の実施形態において、本発明は、複合材料の超音波検査のための方法に関するものであり、この方法は、前端および後端を有し、内部密閉チャンバを画定する中央ハウジングと、トランスデューサが中央ハウジングの内部密閉チャンバ内に配置されるようなトランスデューサと、中央ハウジングに取り付けられた流体コネクタであって、該流体コネクタが、密閉チャンバにカップリング流体を導入するために流体ポンプと接続するように動作可能である流体コネクタと、を含むトランスデューサハウジングアセンブリを準備することを含み、中央ハウジングの前端が、膜によって密閉され、該膜が、カップリング流体に対して音響的に半透明であり、前記トランスデューサが、被検査物に超音波を放射し、前記トランスデューサハウジングアセンブリが、被検査物から反射された超音波を受信する。
【0039】
さらに別の実施形態では、本発明は、複合材料の超音波検査のためのシステムに関するものであり、このシステムは、前端および後端を有し、内部密閉チャンバを画定する中央ハウジングと、中央ハウジングの後端と密閉的に係合し、トランスデューサと結合された結合素子であって、結合素子の調節がトランスデューサを中央ハウジングに対して移動させることであるような結合素子と、中央ハウジングに取り付けられた流体コネクタであって、該流体コネクタが、カップリング流体を密閉チャンバに導入するために流体ポンプと接続するように動作可能である流体コネクタと、を含み、中央ハウジングの前端が膜によって密閉されており、該膜がカップリング流体に対して音響的に半透明であり、トランスデューサが、超音波を放出および受信するように動作可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態によるトランスデューサハウジングアセンブリの直交側面図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態によるトランスデューサハウジングアセンブリの直交側面図を示す。
【
図3】
図3は、
図1に示されるトランスデューサハウジングアセンブリの等角図を示す。
【
図4】
図4は、
図1に示されるトランスデューサハウジングアセンブリの上面図を示す。
【
図5】
図5は、本発明の別の実施形態によるトランスデューサハウジングアセンブリの等角分解図を示す。
【
図6】
図6は、
図5に示されるトランスデューサハウジングアセンブリの部材の直交分解図を示す。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態によるレンズハウジングの等角図を示す。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態による中央ハウジングの直交正面図を示す。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態によるレンズハウジングの直交正面図を示す。
【
図10】
図10は、
図8に示されるハウジングと
図9に示されるレンズハウジングとの対を含むトランスデューサハウジングアセンブリの直交正面図を示す。
【
図11】
図11は、レンズハウジングがハウジング内に固定された、
図10に示されるトランスデューサハウジングアセンブリの直交正面図を示す。
【
図12】
図12は、本発明の一実施形態によるレンズハウジングの直交図を示す。
【
図13】
図13は、本発明の一実施形態による表面オフセット素子の直交側面図を示す。
【
図14】
図14は、ロボットアームに取り付けられたトランスデューサハウジングアセンブリの直交側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
(詳細な説明)
本発明は、一般に、超音波トランスデューサを使用する非破壊検査のシステムおよび方法に関するものである。
【0042】
一実施形態では、本発明は、複合材料の超音波検査のためのシステムに関するものであって、このシステムは、中央ハウジングであって、前端および後端を有し、内部密閉チャンバを画定する中央ハウジングと、トランスデューサであって、このトランスデューサが中央ハウジングの内部密閉チャンバ内に配置されるトランスデューサと、中央ハウジングに取り付けられた流体コネクタであって、該流体コネクタが、密閉チャンバにカップリング流体を導入するために流体ポンプと接続するように動作可能である流体コネクタと、を含み、中央ハウジングの前端が膜によって密閉され、該膜がカップリング流体に対して音響的に半透明であり、トランスデューサが超音波を放射および受信するように動作可能である。
【0043】
別の実施形態において、本発明は、複合材料の超音波検査のための方法に関するものであり、この方法は、前端および後端を有し、内部密閉チャンバを画定する中央ハウジングと、トランスデューサが中央ハウジングの内部密閉チャンバ内に配置されるようなトランスデューサと、中央ハウジングに取り付けられた流体コネクタであって、該流体コネクタが、密閉チャンバにカップリング流体を導入するために流体ポンプと接続するように動作可能である流体コネクタと、を含むトランスデューサハウジングアセンブリを準備することを含み、中央ハウジングの前端が、膜によって密閉され、該膜が、カップリング流体に対して音響的に半透明であり、トランスデューサが被検査物に超音波を放射し、ならびにトランスデューサハウジングアセンブリが被検査物から反射された超音波を受信する。
【0044】
さらに別の実施形態では、本発明は、複合材料の超音波検査のためのシステムに関するものであり、このシステムは、前端および後端を有し、内部密閉チャンバを画定する中央ハウジングと、中央ハウジングの後端と密閉的に係合し、トランスデューサと結合された結合素子であって、結合素子の調節がトランスデューサを中央ハウジングに対して移動させることであるような結合素子と、中央ハウジングに取り付けられた流体コネクタであって、該流体コネクタが、カップリング流体を密閉チャンバに導入するために流体ポンプと接続するように動作可能である流体コネクタと、を含み、中央ハウジングの前端が膜によって密閉されており、該膜がカップリング流体に対して音響的に半透明であり、トランスデューサが、超音波を放出および受信するように動作可能である。
【0045】
複合材料は、その高い強度対重量比のために、特に航空宇宙、自動車、スポーツ用品、鉄道、石油化学、防衛およびその他の産業における構造体的用途のために、ますます一般的になってきている。複合材料の、製造上の欠陥および使用中に生じた損傷は、積層体の構造的性能に大きな影響を与え、時には構造破壊につながることがある。複合材料の損傷は、例えば、ひょう害、落雷、鳥の衝突、部品の誤った取り扱い、または一般的な疲労の結果として頻繁に発生し得る。使用中に複合材料の破損につながり得る欠陥の例としては、材料内の異物、複合材料の層間の不十分な結合、複合材料の層のしわ、複合材料の少なくとも一つの層内の剥離、複合材料の不完全な硬化、製造仕様への不適合、複合材料内の過度に大きな孔が挙げられる。したがって、複合材料の、ボンドライン厚さ、気孔率、プライタイプ、層間剥離、局所破壊点、およびウィーブタイプなどの特性は、複合材料構造体の全体的な材料特性および性能に大きな影響を与え、それらは亀裂発生点として機能さえする可能性がある。
【0046】
超音波検査は、複合材料の性能と業界標準への適合性を評価するために、現在産業界で使用されている主要なNDT技術の1つである。超音波NDT技術は、構造体の物理的または材料的特性を検出するために、構造体の厚みを通して高周波音波の伝播および測定に依存している。伝統的に、超音波法は接触法と浸漬ベースの方法とに分けられている。接触法では、トランスデューサと被検査物との間にカップリング流体(水、ゲル、グリース、オイルなど)の薄膜を配置し、トランスデューサを被検査物に直接接触させる。浸漬法は、トランスデューサと被検査物とを接触させず、代わりにカップリング流体(通常は水)の入った大きなタンクを利用し、その中に被検査物とトランスデューサとの両方を入れる。カップリング流体により、トランスデューサで発生した波が被検査物に容易に到達し、その結果生じる波の反射および波の屈折からデータを記録することができる。浸漬法に代わる方法には、大型であり大抵は高価であるタンクを使用せずにトランスデューサを材料に結合させるために、検査の間、カップリング流体を被検査物上に連続的に噴射させる方法が含まれる。浸漬型検査中に使用されるトランスデューサは、しばしば球状に集束され、これにより、トランスデューサは、接触型トランスデューサと比較して改善された分解能および感度を達成することができる。
【0047】
接触型トランスデューサと浸漬型トランスデューサとの両方は、従来、動作のために2つの異なる構成のうちの1つを含んでいる。パルスエコー、または反射型超音波構成では、トランスデューサは高周波の超音波エネルギーを生成し、このエネルギーは波として被検査物の表面に導入され、この表面を介して伝達される。このようなシステムを使用するには、一般的に、トランスデューサと被検査物との間のギャップを埋める音響媒体(例えば、水、ゲル)が必要である。波が被検査物の厚みを介して伝搬するとき、被検査物内の不連続性(材料の変化、亀裂、剥離、異物などによる)が波の反射を引き起こし、それをトランスデューサが検出して表示または特性化することができる。一方、透過型超音波構成または減衰型超音波構成では、トランスデューサが高周波の超音波エネルギーを発生させ、そのエネルギーは被検査物の片側を透過し、そして、被検査物の反対側にある対応する受信機で受信される。波は被検査物の厚みを介して伝搬するため、被検査物内の不連続性により、受信機に到達する前に一部の領域の波が減速または完全に減衰する可能性がある。そして、受信機は、超音波の減衰の程度を測定することによって、被検査物を特徴付けることができる。
【0048】
超音波検査システムの選択において、可搬性および堅牢性という制約は、しばしば高解像度および忠実度に反比例する。可搬性および堅牢性の両方を最適化しようとする場合、現在、ほとんどの検査者は接触型トランスデューサを選択する。接触型トランスデューサを使えば、検査者は検査する部品の上に薄いゲルを素早く置き、トランスデューサを部品にぴったりと接触させるように配置することができる。データを素早く収集できると同時に、さまざまな表面および環境条件でシステムを動作させることが可能である。この方法の主な欠点は、取得したデータの分解能である。トランスデューサの平面分解能は、トランスデューサの物理的なフットプリントによって決まる。このフットプリントは、より小型のトランスデューサを製造することで軽減することができる。しかし、トランスデューサの厚み方向の分解能は、トランスデューサの周波数と、それを放出できるパワーとによって決定される。トランスデューサの平面的な寸法が小さくなると、トランスデューサを駆動するために送ることができるパワーと周波数とが同時に減少する。従って、平面分解能の改善は、貫通厚さ分解能の改善と直接的に矛盾する。
【0049】
接触型トランスデューサの代替品は、球面収束型トランスデューサである。これらのトランスデューサは、高周波数(25から50MHz)で動作可能であり、トランスデューサのハウジングレンズに機械加工できる程度の微細な平面分解能(1/10ミリメートル未満であってよい)を有する。しかし、球面収束型トランスデューサは、トランスデューサが検査対象部材の表面に音響的に結合している場合にのみ動作する。トランスデューサを被検査物に音響的に結合させるためには、トランスデューサと被検査物の表面との間にトランスデューサが有効な音響経路を有することを確保しながら、トランスデューサを音響媒体に浸す必要がある。水とトランスデューサのレンズとの間の音響インピーダンスの差がわずかであるため、水は浸漬型トランスデューサの音響媒体として最も広く使用されている。
【0050】
現在、有効な音響結合水路を実現するために、完全浸漬槽検査またはウォータージェットの2つの主要な技術がある。完全浸漬槽は部材を水中に沈める必要があるため、航空機の翼および胴体のような多くの大型部材は、相当な(そしてしばしば非現実的な)インフラ投資なしに検査することができない。一方、ウォータージェットは全方向に水を噴射する必要があるため、スキャンする部材の下に水が溜まってしまう。したがって、ウォータージェットは、噴射された水を集めるための格子、水を循環させるためのポンプ、水によって損傷を受ける可能性がある領域の装置を保護するための枠などの形で、しばしばインフラ投資も必要とする。
【0051】
従来のウォータージェットの使用に対する1つの代替案は、「バブラー」である。バブラーを使用するには、検査のためにスキャンされる部材の領域の周囲に一時的な水密箱を構築する。そして、トランスデューサを収納する柱に水を注ぎ、箱の底面からゆっくりと水を漏れ出させる。この方法では、スキャンする場所を変えるたびに新しい箱を設置する必要がある。バブラーが機能するためには、膜を被検査物にしっかりと押し付ける必要があり、これは、バブラーから水がゆっくりと漏れ出すため、装置を被検査物からオフセットした位置に設置するために必要なブラスト圧を維持することができないからである。このため、バブラーと被検査物とが衝突して破損する恐れがあるだけでなく、装置の分解能も大幅に低下する。バブラーは、ゆっくりと水を漏らす透過性膜に依存しているが、バブラーが作動して膜が検査面にしっかりと押し付けられると、システムは膜内の波と被検査物内の波とを効果的に区別できなくなり、完全に作動しないまでも、装置の効果が低くなってしまうのである。さらに、バブラーは従来のウォータージェットと同様の欠点に影響を受けており、常に水を送り込む必要があり、漏れた水を受け止める手段が必要である。さらに、完全浸漬、従来のウォータージェット、およびバブラーは全て、被検査物が水にさらされることを必要とし、これは状況によっては好ましくない。
【0052】
従来のウォータージェットおよびバブラーも、装置の届きにくい領域をスキャンできないという同様の問題に影響を受けている。届きにくい領域は、検査される装置または成分内に半収容されていることが多く、したがって、従来のウォータージェットの使用は、装置内に水を溜める可能性が高く、この水は、損傷を引き起こすかまたは汲み出すのが困難である可能性がある。さらに、従来のウォータージェットシステムおよびバブラーの両方は、水柱を介して水を継続的に送り込む必要がある。しかしながら、この水柱の必要性は、それらの装置が、検査される装置または部材の届きにくい領域まで効果的に移動する能力をなくすものである。
【0053】
今のところ、水で満たされたチャンバを利用して堅牢な機能的超音波スキャナを製造する他の取り組みは成功してない。いくつかの既存のシステムは、チャンバと測定される表面との間のギャップにまたがるように、転がるボールの周り、浸透性膜を通して、または他の方法で、チャンバを漏らすことを必要とする。このようなシステムでは、音響結合を維持するための水の損失を補充するために、チャンバ内に水を流す必要があり、水と被測定物との接触が必要であることに変わりはない。また、球面収束型トランスデューサを使用しないため、分解能が低下するシステムもある。さらに他のシステムは、固定焦点距離を有し、他のシステムは、レンズハウジングおよびレンズの固定長さを有し、スキャンのために表面の一部に到達することを妨げている。
【0054】
従って、完全浸漬槽から独立して操作することができ、しかも部材表面と音響的に結合するために密閉された液密ハウジングから全方位にスキャンするために使用される超音波球面収束型トランスデューサ用のハウジングを含む、より簡素化され汎用的なシステムを提供する必要性が残っている。
【0055】
さらに、従来の超音波検査装置は、校正ブロックを利用する。検査の前に、検査装置は、典型的には被検査物の例示的な形態または既知の欠陥を有する材料のいずれかである1つ以上の校正ブロック上で使用される。従来の超音波検査システムは、被検査物から反射された信号が校正ブロックの信号と一致するか、異なるかを判断する際の比較手段として、この校正方法を使用する。しかし、校正ブロックに依存すると、被検査物の重要な特性を具体的に示す機能が弱くなる。例えば、気孔率検査において、従来の装置は気孔率0.2、0.4、および0.6の校正ブロックを認識するが、気孔率0.4の校正ブロックに最も近い被検査物は、気孔率が0.3から0.5の間のどこかにある可能性があり、さらなる特異性は制限される。さらに、校正ブロックを用いた検査は、校正ブロックの未知の欠陥または、校正ブロックと実際の被検査物との間で異なる考慮されていない交絡変数によって妨げられることがある。したがって、校正ブロックを参照することなく、プライ配向、気孔率、ボンドラインの厚さ、しわの存在、ボンドラインの凹凸、または複合材料の他の重要な物理特性などの材料の品質を直接決定することができるシステムが必要とされている。
【0056】
本開示は、垂直面に対して任意の角度でハウジングを配置することを可能にしながら、球面集束型トランスデューサに必要な音響結合経路を維持するトランスデューサハウジングアセンブリを有するシステムを提供する。このシステムは、トランスデューサおよびトランスデューサでスキャンされる部材の両方に通常必要とされる完全な水浸漬またはウォータージェットなしに、より高解像度の浸漬型超音波トランスデューサを使用することを可能にする。本発明は、球面集束型トランスデューサの使用をポータブルシステムに拡張し、運用コストおよび複雑さを大幅に低減することができる。
【0057】
トランスデューサハウジングアセンブリを有するシステムは、交換可能な液密膜によって密閉された開口部を有するレンズハウジングを特徴とする。膜は、ハウジング内の流体の音響特性に類似した音響特性を有する音響窓を形成し、従って、トランスデューサに対して音響的に透明であるかまたは少なくとも音響的に半透明であり、最小の信号損失を引き起こす。トランスデューサハウジングは、部材表面に対するトランスデューサの焦点位置を粗くかつ細かく調整する機能も含む。この機能により、トランスデューサのハウジングに対して異なる焦点位置を持つ個々のトランスデューサの調整が可能となり、オペレータは部材内の異なる深さに焦点を合わせることができる。もう一つの特徴は、使用中に膜が損傷した場合、レンズハウジングに結合された液密膜を迅速に交換できることである。作動中のトランスデューサ・ハウジング・アセンブリは、少量の流体を含むので、膜が損傷した場合でも、漏れた流体を受け止めるための不便なまたは高価なセットアップを必要とせず、小さな典型的なショップラグで単に漏れた流体を清掃することが可能である。
【0058】
少なくとも一つの実施形態において、トランスデューサを有するトランスデューサハウジングアセンブリは、5cm×5cm×15cmの容積内に収まることができる。音響トランスデューサを有するトランスデューサハウジングアセンブリは、ロボットアームを含む様々な並進装置に接続することができる。このシステムでは、典型的な完全浸漬槽検査またはウォータージェットを必要とせず、浸漬型超音波トランスデューサを用いたパルスエコー構成で非破壊スキャンを行うことができる。高分解能の浸漬型トランスデューサを実装することにより、従来、接触型トランスデューサに依存していた現行のポータブルスキャナの分解能の限界を、本技術によって克服することができる。
【0059】
トランスデューサハウジングアセンブリは、炭素繊維、ガラス繊維、コンクリート、および他の複合材料を含む様々な複合材料、特に自動車用途および航空宇宙用途で一般的に使用される複合材料上で動作することが可能である。一実施形態では、トランスデューサハウジングアセンブリは、約1/16インチ(0.16cm)から約1/2インチ(1.27cm)の間の厚さを有する材料を検査するために使用される。別の実施形態では、トランスデューサハウジングアセンブリは、約2インチ(5.08cm)を超える厚さを有する積層体を含む、約1/2インチ(1.27cm)を超える厚さを有する材料を検査するために使用される。
【0060】
本発明は、トランスデューサハウジングアセンブリを利用しており、これにより、材料の気孔率、材料のプライ配向、材料層がウィーブであるか一方向であるか、材料の層におけるしわの存在、ボンドラインの厚さ、ボンドラインにおける不整合、材料における異物の存在、および材料内の内部欠陥の存在などの材料の品質を、校正ブロックを使用せずに決定できる。したがって、トランスデューサハウジングアセンブリは、単にサンプルが以前にスキャンされたいくつかの制御材料と一致するかどうかを決定するのではなく、これらの量を直接測定し、表示手段を介して定量化可能な出力を提供することが可能である。
【0061】
トランスデューサハウジングアセンブリは、より大きな構造体の検査のために他の検査装置と組み合わせて使用することが可能である。一実施形態では、別個の位相アレイスキャナが、被検査物の大面積にわたってスキャンし、材料中の潜在的な問題領域を特定するために使用される。その後、トランスデューサ・ハウジング・アセンブリを使用して、特定された潜在的な問題領域をより正確にスキャンする。別の実施形態では、サーモグラフィックスキャンによって特定された領域をより正確にスキャンするためにトランスデューサハウジングアセンブリを使用する前に、まず材料のサーモグラフィックスキャンが実行される。更に別の実施形態では、サーモグラフィックスキャンが最初に部材に対して行われ、次いで部材のサブエリアの位相アレイスキャンが行われ、最後にトランスデューサハウジングアセンブリが部材のサブエリアの個々の部材をスキャンするために使用される。
【0062】
図1は、本発明の一実施形態によるトランスデューサハウジングアセンブリ4の直交側面図である。トランスデューサ・ハウジング・アセンブリ4は、前部分10および後部分8を有する中央ハウジング6を含む。一実施形態では、前部分10および後部分8は、中空の円筒形片であり、互いに一体的に形成されている。あるいは、前部分10および後部分8は一体的に形成されていないが、別々に形成されており、当技術分野で公知な任意の化学的および/または機械的手段を介して一緒に結合されている。別の実施形態では、前部分10および後部分8は、矩形プリズムなどの別の形状である。一実施形態では、前部分10の直径は後部分8の直径よりも大きく、中央ハウジング6の直径は、中間部9で前部分10と後部分8との間で先細りになっている。中央ハウジング6は、流体コネクタ24に取り付けられている。一実施形態では、流体コネクタ24は、中央ハウジング6の前部分10に取り付けられており、別の実施形態では、流体コネクタ24は、中央ハウジング6の中間部分9または後部分8に取り付けられている。一実施形態において、取付けブラケット26は、中央ハウジング6の前部分10から延びている。別の実施形態では、取付けブラケット26は、中央ハウジング6の中間部9または後部分8から延びている。
【0063】
中央ハウジング6の前部分10は、中央ハウジング6の前端から外側に延びるレンズハウジング20に接続されている。レンズハウジング20の前端は、開口部22を含む。一実施形態では、少なくとも一つの表面オフセット素子28が、中央ハウジング6の前端から延びている。別の実施形態では、表面オフセット素子28は、レンズハウジング20から直接外向きに延びている。トランスデューサは、中央ハウジング6内に配置される。いくつかの実施形態では、トランスデューサは、細長い部材52に直接取り付けられている。細長い部材52は、結合素子16によって中央ハウジング6に取り付けられる。一実施形態では、細長い部材52、したがってトランスデューサの位置は、結合素子16を回転させるかまたは他の方法で調整することによって、中央ハウジング6に対して調整することができる。
【0064】
一実施形態では、細長い部材52および結合素子16は、鋼またはアルミニウムなどの金属材料を含むが、これらに限定されるものではない。別の実施形態では、細長い部材52および結合素子16は、同じ金属材料で形成されている。細長い部材52と結合素子16との両方を同じ金属材料から形成することは、素子の一方が陰極または陽極として作用し、トランスデューサハウジングアセンブリ4内でガルバニ電池活動を可能にし、装置の耐用年数を短くすることを防ぐので、有利である。一実施形態では、中央ハウジング6は、ポリカーボネートまたはポリエチレンなどのプラスチックから形成される。別の実施形態では、中央ハウジング6は、紫外線(UV)硬化性ポリマーを用いて装置の3D印刷を介して形成され、形成後に硬化される。
【0065】
一実施形態では、
図1に示すように、取付けブラケット26は、中央ハウジング6から斜めに離れて延びる第1の平面262と、第1の平面262の端部からトランスデューサハウジングアセンブリ4の中心軸に実質的に平行な方向に延びる第2の平面263とを含む。別の実施形態では、
図5に示すように、取付けブラケット26は、中央ハウジング6の前部分10および後部分8の間に配置されて直交する実質的に長方形の部分である。
図2から分かるように、他の実施形態では、取付けブラケット26は、それが取付けられるべき装置に応じて、異なる形状をとる。
【0066】
図3は、
図1に示されるトランスデューサハウジングアセンブリ4の等角図を示す。
図4は、
図1に示されるトランスデューサハウジングアセンブリの上面図を示す。
図3および
図4から分かるように、一実施形態では、トランスデューサハウジングアセンブリ4は、3つの表面オフセット素子28を含む。一実施形態では、取付けブラケット26は、少なくとも一つの取付けボア261を含む。
【0067】
図5は、本発明の別の実施形態によるトランスデューサハウジングアセンブリ4の等角分解図を示している。一実施形態では、流体コネクタ24は、接続ポート34に接続することによって、トランスデューサハウジングアセンブリ4の中央ハウジング6に取り付けられる。一実施形態では、流体コネクタ24は、流体コネクタ24の外面およびコネクタポート34の内面に位置するねじ切りによって、接続ポート34に接続する。
【0068】
一実施形態では、結合素子16は中空の円筒であり、細長い部材52は結合素子16を通って延びている。細長い部材52および結合素子16は、サーチチューブ52の外表面と結合素子の内表面との間の摩擦接触によって一緒に保持される。
図6に示すように、別の実施形態では、細長い部材52は、固定素子54によって結合素子16に固定される。一実施形態では、固定素子54は、ねじ、ボルト、または圧縮性ピンである。一実施形態では、細長い部材52は、トランスデューサ50が細長い部材52の前端内に摩擦係合されている中空の円筒である。
【0069】
一実施形態では、結合素子16は、結合素子16の表面の一部と、中央ハウジング6の後部分8内の第1の開口部12の内面とにあるねじ切りによって中央ハウジング6に接続する。別の実施形態において、結合素子16が中央ハウジング6と係合されるとき、結合素子16は、結合素子16および細長い部材52を中央ハウジング6に対して長手方向に移動させるように回転させることができる。さらに別の実施形態では、固定素子54は、取り外すか、圧縮するか、または他の方法で変更することができ、これにより、結合素子16および細長い部材52は、中央ハウジング6に対して長手方向に相対的に移動することができる。細長い部材52を中央ハウジング6に対して長手方向に移動させることにより、トランスデューサ50の位置を変更することができ、これにより、トランスデューサ50について様々なサイズの収容が可能になるとともに、トランスデューサへの焦点合わせにおいてより高い精度が実現される。
【0070】
一実施形態では、第1の開口部12は、第1の開口部12を通る流体漏れを防止する、シーリング素子を含む。一実施形態では、シーリング素子は、第1の開口部12の内面をライニングするOリングを含む。別の実施形態では、中央ハウジング6内のチャンバは、動作中に完全には密閉されず、中央ハウジング6の後端または流体コネクタ24との界面のいずれかが密閉されないままとされる。中央ハウジングのチャンバを密閉せずにトランスデューサハウジングアセンブリ4を使用する選択肢は、製造コストの削減を可能にすることを含め、装置を構成するために使用される部材に柔軟性を提供する。しかしながら、トランスデューサハウジングアセンブリ4を斜めに置くことを含むトランスデューサハウジングアセンブリ4の使用については、被検査物に対するトランスデューサの減結合を引き起こす可能性のある流体の漏れを防止するために、内部チャンバを密閉することが望ましい。
【0071】
中央ハウジング6の前部分10は、第2の開口部18を更に含む。レンズハウジング20は、レンズハウジング20を中央ハウジング6に係合させるために、第2の開口部18に挿入される。一実施形態では、レンズハウジング20および中央ハウジング6は、レンズハウジング20の外面上および第2の開口部18の内面上のねじ切り手段によって係合される。別の実施形態では、レンズ開口部20は、環状または螺旋状の溝58を含み、その中にシーリング素子が取り付けられる。レンズ開口部20が第2の開口部18に配置されると、シーリング素子が第2の開口部18の内面と係合し、液密なシールを形成する。一実施形態では、シーリング素子はOリングである。さらに別の実施形態では、
図7に示すように、第2の開口部18は少なくとも一つの係合ノッチ32を含み、レンズハウジング20は少なくとも一つの係合突出部30を含む。
図8から
図11に示すように、レンズハウジング20が第2の開口部18内に配置されるためには、レンズハウジング20の少なくとも一つの係合突出部30が第2の開口部18の少なくとも一つの係合ノッチ32と整合する必要がある。レンズハウジング20が第2の開口部18内に配置された後、レンズハウジング20は、少なくとも一つの係合突出部30が少なくとも一つの係合ノッチ32ともはや整合しないように回転される。一実施形態では、レンズハウジング20は、レンズハウジング20をひねって引き抜くことによって、中央ハウジング6から容易に分離される。これは、レンズハウジング20が損傷して交換する必要がある場合、または部材の異なる部分を検査するために異なるサイズのレンズハウジング20が必要とされる場合に有利である。
【0072】
図6は、
図5に示すトランスデューサハウジングアセンブリの部材の直交分解図を示している。流体コネクタ24は、ホースまたはパイプのような導管36の一端に接続することが可能である。実施形態では、導管36の他端は、流体ポンプまたは流体リザーバに接続され、そこから導管36および流体コネクタ24を通って密閉チャンバ内に流体を導入することができる。別の実施形態では、トランスデューサハウジングアセンブリ4は流体ポンプに接続されておらず、流体は、手動注出のような他の手段によって中央ハウジング6に加えられる。
【0073】
一実施形態では、流体コネクタ24は圧力逃がし弁を含み、この圧力逃がし弁は、流体の体積が密閉チャンバの体積を超えたときに流体を逃がすことができる。したがって、圧力逃がし弁は、有利には、トランスデューサ50と中央ハウジング6の前端との間の距離に応じて、密閉チャンバへの流体の調整可能な体積を提供する。一実施形態では、流体コネクタ24は、ポンプに接続可能であり、密閉チャンバにカップリング流体を充填する前または充填中に密閉チャンバから空気が汲み出される。空気を汲み出すことは、流体中に気泡がないことを保証するのに役立ち、トランスデューサ50と検査される部材との間の音響結合経路を改善する。さらに、検査が完了した後、空気ポンプを使用して密閉チャンバに空気を送り込むことができ、これは、残留流体の除去を助けて、腐食などのトランスデューサハウジングアセンブリの損傷を引き起こす可能性のあるカップリング流体への長時間の曝露を低減させることができる。
【0074】
図12は、本発明の一実施形態によるレンズハウジング20の直交図である。レンズハウジング20の前端を覆って膜38が配置される。膜38は、レンズハウジング20の前端部に液密なシールを形成する。膜38を有するレンズハウジング20が中央ハウジング6内に配置されると、中央ハウジング6内に密閉チャンバが形成される。密閉チャンバは、液密チャンバであり、結合素子16と中央ハウジング6の後部分8の第1の開口部12との間のインターフェース、レンズハウジング20と中央ハウジング6の前部分10の第2の開口部18との間のインターフェース、膜38、および流体コネクタ24の組み合わせによって密閉される。一実施形態では、膜38は、少なくとも一つのリテーナ40によってレンズハウジング20に固定される。一実施形態では、少なくとも一つのリテーナ40は、レンズハウジング20の一部を取り囲み、レンズハウジング20に対して膜38をしっかりと押圧する少なくとも一つのOリングを含む。有利なことに、膜38が穴を開けられたり、さもなければ密閉チャンバを効果的に密閉することができない場合、リテーナ40を取り外し、新しい膜を再装着し、その後リテーナ40を再装着することによって、膜38を容易に交換することができる。
【0075】
膜38は、密閉チャンバ内の流体に対して音響的に透明または半透明である。膜38に使用される材料は、密閉チャンバ内の流体と同様の音響インピーダンス、したがって同様の剛性および密度を有するように選択される。一実施形態では、流体は、水または屈折率がほぼ1に等しい他の流体である。別の実施形態では、膜38の屈折率は、0.9と1.2との間である。さらに別の実施形態では、膜はAQUALENE(登録商標)から作られる。
【0076】
トランスデューサ50の周波数が増加するにつれて、トランスデューサの時間分解能の品質が高まる。しかし、トランスデューサ50の周波数が増加すると、高周波減衰のために、システムから見える材料の深さが減少する。一実施形態では、トランスデューサ50は、1から50MHzの間の周波数で動作可能である。好ましい実施形態では、トランスデューサ50は、5から15MHzの間で動作する。
【0077】
外部伝達媒質は、トランスデューサハウジングアセンブリ4と被検査物との間のギャップを埋めるために使用することができる。一実施形態では、外部伝達媒質は、グリセリン、伝達媒質D12、伝達媒質H、せん断波伝達媒質、または別の適切な音響ゲルのような音響ゲルである。
【0078】
図13は、本発明の一実施形態による表面オフセット素子の直交側面図を示す。一実施形態では、表面オフセット素子28は、バイアス部材282に取り付けられたピン281を含む。バイアス部材282は、被検査物の表面に対して押し付けられたときに、表面オフセット素子28が引っ込むことを可能にする。さらに、ピン281が被検査物に押し付けられると、バイアス部材282は、そうでなければ力またはトランスデューサハウジングアセンブリ4を介して被検査物に与えられるであろう変位の一部を吸収することができ、トランスデューサハウジングアセンブリ4と被検査物との両方に対する潜在的な損傷を防止することができる。一実施形態では、表面オフセット素子28が引っ込むことができる程度は、停止部によって制限される。トランスデューサハウジングアセンブリ4の前部が検査される部材に押し付けられると、表面オフセット素子28が部材に最初に接触し、これは、レンズハウジング20と部材との間の迅速かつ直接的な接触によって引き起こされ得る部材またはトランスデューサハウジングアセンブリ4への損傷を防止する。さらに、表面オフセット素子28が引っ込むことを制限するための停止部を設けることにより、レンズハウジング20は、部材から固定された既知の距離に留まることができ、これにより、検査プロセス中の精度を向上させることができる。別の実施形態では、表面オフセット素子28は、中央ハウジング6の前部分10にねじ式に接続されており、異なる被検査物について使用する前に手動で調整することができる。一実施形態では、トランスデューサハウジングアセンブリ4は、被検査物の厚さの2分の1にほぼ等しい被検査物からのオフセット距離で動作する。
【0079】
一実施形態では、トランスデューサハウジングアセンブリ4が被検査物からオフセットされる距離は、較正波を使用して決定される。初期波がトランスデューサを介して被検査物に送信される。レンズハウジング20の開口部22を覆う膜から反射する超音波、被検査物の前面から反射する波、および被検査物の背面から反射する波に関して飛行時間データが収集される。被検査物の材料特性または寸法を入力する必要がなく、トランスデューサハウジングアセンブリ4は、飛行時間データの結果に基づいて、被検査物から一定の距離だけ自動的にオフセットすることができる。別の実施形態では、音速のような被検査物の材料特性、および厚さのような被検査物の寸法データが手動で入力され、校正波を必要とせずにトランスデューサハウジングアセンブリ4が被検査物から一定の距離だけ自動的にオフセットすることができる。
【0080】
図14は、ロボットアームに取り付けられたトランスデューサハウジングアセンブリの直交側面図である。取付けボア261は、ロボットアーム48に取り付けられたネジ、ボルト、ピン、または他の取付け手段を受けることができる。ロボットアーム48は、トランスデューサハウジングアセンブリ4がより狭い空間に到達することを可能にすること、および、検査の間、装置を安定して保持することを可能にし、検査の精度を向上させることの両方が可能である。別の実施形態では、取付けブラケット26は、並進ステージに取り付けられている。並進ステージは、トランスデューサハウジングアセンブリ4をX-Y平面に沿って異なる位置へ移動させるように動作する。これは、オペレータが比較的平坦な被検査物の大きな部分をスキャンすることを望む状況において特に有利である。
【0081】
一実施形態では、トランスデューサハウジングアセンブリ4は、アレイ素子に取り付けられている。別の実施形態では、アレイ素子は、1つ以上のトランスデューサハウジングアセンブリ4のための取り付けポイントを含み、複数のトランスデューサハウジングアセンブリ4が単一のアレイ素子に取り付けられることを可能にし、トランスデューサのアレイとして機能する。したがって、トランスデューサのアレイは、被検査物の複数の点を同時にスキャンすることができ、個々のトランスデューサハウジングアセンブリ4は、トランスデューサのアレイが凹凸のある表面を有する部材をスキャンし、または複数の異なる材料タイプを有する部材をスキャンできるように、調節可能である。
【0082】
別の実施形態では、トランスデューサハウジングアセンブリ4は、手動で操作される。一例として、トランスデューサハウジングアセンブリ4は、被検査物に取り付けられたアセンブリの中に配置されてもよい。次いで、オペレータは、トランスデューサハウジングアセンブリ4が被検査物から実質的に一定の距離に留まることをアセンブリが保証する間、アセンブリ内でトランスデューサハウジングアセンブリ4を手動でスライドさせることが可能である。さらに別の実施形態では、トランスデューサハウジングアセンブリ4は、コンピュータまたは取付けディスプレイに入力されたプリセット位置データに基づいて、検査体上の複数の異なるポイントに自動的に移動することが可能である。
【0083】
一実施形態では、細長い部材52は、接続受信端に取り付けられている。別の実施形態では、細長い部材52に取り付けられた接続受信端は、ケーブルの第1の端に接続される。ケーブルの第2の端は、出力表示装置に接続される。出力表示装置の例には、パルサー受信機が含まれる。一実施形態では、パルサー受信機は、複数のトランスデューサハウジングアセンブリに同時に接続することが可能である。一実施形態では、接続受信端は、UHFコネクタ、バヨネット・ニール・コンセルマン(BNC)コネクタ、またはユニバーサルシリアルバス(USB)コネクタである。別の実施形態では、接続受信端は無線アダプタであり、トランスデューサハウジングアセンブリ4がパルサー受信機と無線接続することを可能にする。パルサー受信機は、プロセッサおよびメモリを有するコンピュータに接続されている。さらに、コンピュータは、トランスデューサハウジングアセンブリ4を用いて実行される超音波検査のグラフィカルな結果を出力するための表示手段を含む。さらに別の実施形態では、コンピュータは、トランスデューサハウジングアセンブリ4が取り付けられるロボットアーム、並進ステージ、またはアレイ素子とも接続され、ロボットアーム、並進ステージ、またはアレイ素子に制御指示を出すために動作可能である。
【0084】
コンピュータは、パルサー受信機による処理後の検査結果を表示することができるグラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)を表示することができる表示手段に接続されている。別の実施形態では、ディスプレイはトランスデューサ・ハウジング・アセンブリ4に直接取り付けられており、オペレータがコンピュータを確認するために離れる必要がなく、トランスデューサ・ハウジング・アセンブリ4のユーザーに結果を表示することができる。GUIは、オペレータの名前、時間、および、被検査物の音速、被検査物の厚さ、被検査物の剛性、または被検査物の種類などの材料特性を含む、様々な入力素子を各検査前に受け入れることが可能である。一実施形態では、GUIは、ロボットアーム、アレイ素子、または並進ステージが検査のためにそれ自体を位置付けるべき場所を示す、場所の範囲および実行時間を受け入れることも可能である。
【0085】
GUIは、積層体内の異物の位置および深さ、積層体のプライ配向、積層体内のしわの位置、積層体のボンドラインの厚さ、積層体のボンドラインに沿った不完全な結合の領域、積層体の気孔率、ならびに、積層体内の内部欠陥および剥離の領域の位置、深さおよび大きさなどの積層体の種々の素子に関する情報を表示することが可能である。
【0086】
図15は、ネットワーク810、複数のコンピューティング装置820、830、840、サーバ850、およびデータベース870を有する、一般に800として説明されるコンピュータシステムを示す本発明の一実施形態の概略図である。
【0087】
サーバ850は、複数のコンピューティング装置820、830、840とネットワーク810を介して通信できるように構築、構成、および結合されている。サーバ850は、オペレーティングシステム852を有する処理装置851を含む。オペレーティングシステム852は、サーバ850がネットワーク810を介して遠隔の分散したユーザー装置と通信することを可能にする。データベース870は、オペレーティングシステム872、メモリ874、およびプログラム876を収容するように動作可能である。
【0088】
本発明の一実施形態では、システム800は、無線通信アンテナ812を介した分散通信のためのネットワーク810と、少なくとも一つの移動通信コンピューティング装置830による処理とを含む。あるいは、本明細書に記載される装置および部材間の無線および有線の通信および接続性は、WI-FI、WORLDWIDEINTEROPERABILITYFORMICROWAVEACCESS(WIMAX)などの無線ネットワーク通信、RF識別(RFID)、NEARFIELDCOMMUNICATION(NFC)、BLUETOOTH(BLUETOOTHLOWENERGY(BLE)を含む)、ZIGBEEなどのRF(無線周波数)通信、赤外線(IR)通信、セルラー通信、衛星通信、ユニバーサルシリアルバス(USB)、イーサネット通信、光ファイバーケーブルを介した通信、同軸ケーブルを介した通信、ツイストペアケーブルを介した通信、および/または任意の他のタイプの無線または有線通信を含む。本発明の別の実施形態では、システム800は、コンピューティング装置820、830、840上で本明細書に提示されたソフトウェアおよび/またはアプリケーション部材の任意のまたはすべての態様を実行することができる仮想化されたコンピューティングシステムである。特定の態様において、コンピュータシステム800は、専用のコンピューティング装置において、または別のエンティティに統合されて、または複数のエンティティまたはコンピューティング装置にわたって分散されて、ハードウェアまたはソフトウェアとハードウェアとの組み合わせを使用して実装されるように動作可能である。
【0089】
例として、限定するものではないが、コンピューティング装置820、830、840は、サーバ、ブレードサーバ、メインフレーム、携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、スマートフォン、デスクトップコンピュータ、ネットブックコンピュータ、タブレットコンピュータ、ワークステーション、ラップトップ、および他の同様のコンピューティング装置などの少なくともプロセッサとメモリとを含む電子装置の種々の形式を表すことが意図される。ここに示される部材、それらの接続および関係、ならびにそれらの機能は、例示的なものでしかなく、本願で説明および/または請求される本発明の実装を限定する意図ではない。
【0090】
一実施形態では、コンピューティング装置820は、プロセッサ860、ランダムアクセスメモリ(RAM)864およびリードオンリーメモリ(ROM)866を有するシステムメモリ862、ならびにメモリ862をプロセッサ860に結合するシステムバス868などの部材を含む。別の実施形態では、コンピューティング装置830は、オペレーティングシステム892および1つ以上のアプリケーションプログラム894を格納するためのストレージ装置890、ネットワークインターフェースユニット896、および/または入出力コントローラ898などの部材をさらに含むように動作可能である。部材の各々は、少なくとも一つのバス868を介して互いに結合されるように動作可能である。入出力コントローラ898は、英数字入力装置、マウス、電子スタイラス、ディスプレイ装置、タッチスクリーン、信号発生装置(例えば、スピーカー)、またはプリンタを含むが、これらに限定されない多数の他の装置899から入力を受信して処理するか、または出力を提供するように動作可能である。
【0091】
例として、限定するものではないが、プロセッサ860は、汎用マイクロプロセッサ(例えば、中央処理装置(CPU))、グラフィックス処理装置(GPU)、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブル論理装置(PLD)、コントローラ、状態機械、ゲートまたはトランジスタ論理、ディスクリートハードウェア部材、または計算、実行命令の処理、および/または情報の他の操作を実行できる他の適切なエンティティまたはそれらの組合せになるように動作可能である。
【0092】
図15に840として示される別の実装では、複数のプロセッサ860および/または複数のバス868が、複数のタイプの複数メモリ862(たとえば、DSPおよびマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1つ以上のマイクロプロセッサ)と共に、必要に応じて、使用されるように動作可能である。
【0093】
また、複数のコンピューティング装置が接続されるように動作可能であり、各装置が必要な動作の一部を提供する(例えば、サーババンク、ブレードサーバのグループ、またはマルチプロセッサーシステムなど)。あるいは、いくつかのステップまたは方法は、所定の機能に特化した回路によって実行されるように動作可能である。
【0094】
様々な実施形態によれば、コンピュータシステム800は、ネットワーク810を介してローカルおよび/または遠隔コンピューティング装置820、830、840への論理接続を用いてネットワーク環境において動作するように動作可能である。コンピューティング装置830は、バス868に接続されたネットワークインターフェースユニット896を介して、ネットワーク810に接続するように動作可能である。コンピューティング装置は、必要に応じてデジタル信号処理回路を含むように動作可能なネットワークアンテナ812およびネットワークインターフェースユニット896と通信するアンテナ897を介して、有線ネットワーク、直接有線接続または音響、RFまたは赤外線などの無線で通信媒体を通信するように動作可能なものである。ネットワークインターフェースユニット896は、様々なモードまたはプロトコルの下での通信を提供するように動作可能である。
【0095】
1つ以上の例示的な態様において、命令は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装されるように動作可能である。コンピュータ可読媒体は、オペレーティングシステム、データ構造体、プログラムモジュール、アプリケーション、または本明細書に記載の方法論または機能のいずれか任意の1つ以上を具体化する他のデータなどの命令の1つ以上のセットのための揮発性または不揮発性のストレージを提供するように動作可能である。コンピュータ可読媒体は、メモリ862、プロセッサ860、および/またはストレージ媒体890を含み、命令900の1つ以上のセットを格納する単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中型または分散型コンピュータシステム)であるように動作可能である。非一過性のコンピュータ可読媒体は、それ自体が一過性の伝搬信号である唯一の例外を伴う、すべてのコンピュータ可読媒体を含む。命令900はさらに、通信媒体としてネットワークインターフェースユニット896を介してネットワーク810上で送信または受信されるように動作可能であり、搬送波などの変調データ信号または他の搬送機構を含むように動作可能であり、任意の配信媒体を含む。なお、「変調データ信号」とは、信号中に情報をコード化するように、その特性の1つ以上が変更または設定された信号を意味する。
【0096】
ストレージ装置890およびメモリ862には、キャッシュ、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、FLASHメモリ、または他の固体メモリ技術などの揮発性および不揮発性媒体、ディスク(例えば、デジタル多用途ディスク(DVD)、HD-DVD、BLU-RAY、コンパクトディスク(CD)、またはCD-ROM)または他の光学ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ、フロッピーディスク、または他の磁気ストレージ装置、あるいはコンピュータ可読命令を格納するために使用され得て、コンピュータシステム800によってアクセスされ得る任意の他の媒体が含まれる。
【0097】
一実施形態では、コンピュータシステム800は、クラウドベースのネットワーク内にある。一実施形態では、サーバ850は、分散コンピューティング装置820、830、および840のための指定された物理サーバである。一実施形態では、サーバ850は、クラウドベースのサーバプラットフォームである。一実施形態では、クラウドベースのサーバプラットフォームは、分散コンピューティング装置820、830、および840のためのサーバレス機能をホストする。
【0098】
別の実施形態では、コンピュータシステム800は、エッジコンピューティングネットワーク内にある。サーバ850は、エッジサーバであり、データベース870は、エッジデータベースである。エッジサーバ850およびエッジデータベース870は、エッジコンピューティングプラットフォームの一部である。一実施形態では、エッジサーバ850およびエッジデータベース870は、分散コンピューティング装置820、830、および840に指定される。一実施形態では、エッジサーバ850およびエッジデータベース870は、分散コンピューティング装置820、830、および840に指定されない。分散コンピューティング装置820、830、および840は、近接性、可用性、レイテンシ、帯域幅、および/または他の要因に基づいて、エッジコンピューティングネットワーク内のエッジサーバに接続する。
【0099】
コンピュータシステム800は、
図15に示される部材のすべてを含まないように動作可能であること、
図15に明示的に示されていない他の部材を含むように動作可能であること、または
図15に示されるものとは全く異なるアーキテクチャを利用するように動作可能であることも企図される。本明細書に開示された実施形態に関連して説明された様々な例示的な論理ブロック、モジュール、素子、回路、およびアルゴリズムは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または両者の組み合わせとして実装されるように動作可能である。ハードウェアおよびソフトウェアのこの交換性を明確に示すために、様々な例示的な部材、ブロック、モジュール、回路、およびステップを、その機能性の観点から一般的に上述してきた。このような機能がハードウェアとして実装されるかソフトウェアとして実装されるかは、システム全体に課される特定の用途および設計上の制約に依存する。熟練した当業者は、説明した機能性を、各特定の用途に対して様々な方法で実装することができるが(例えば、異なる順序で配置したり、異なる方法で分割したり)、そのような実装の決定を、本発明の範囲からの逸脱を引き起こすと解釈するべきではない。
【0100】
上述した本発明の1つ以上の態様を利用する他のおよび更なる実施形態は、出願人の発明の精神から逸脱することなく考案することが可能である。例えば、様々なシールおよびシール構成は、トランスデューサハウジングアセンブリ内のチャンバを形成するために部材をシールすることができ、様々な並進装置は、空間内の部材表面に沿ってトランスデューサハウジングアセンブリを移動するために使用でき、様々な迅速切断構成は、レンズハウジングを取り付けるために使用でき、(結合型のまたは分離型の)様々な超音波信号生成および受信装置は、トランスデューサから信号を送信および/または受信するために使用でき、他の変形と共に、請求項の範囲内で発生できるように、同種のものは、トランスデューサハウジングアセンブリおよび他のシステム装置を形成するために使用することができる。
【0101】
上述した実施例は、本発明の態様を明確にする目的に供するために提供するものであり、当業者には、それらが本発明の範囲を限定するために供するものでないことは明らかであろう。本質的に、本発明は、高度に調整可能であり、カスタマイズ可能であり、適応可能である。上述した実施例は、言及された部材が取り得る多くの構成の一部に過ぎない。すべての変更および改良は、簡潔さおよび可読性のために本明細書では削除されているが、本発明の範囲内に適切にあるものである。
【国際調査報告】