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特表2023-520134改善された液体排出でレリーフ版原版を処理するための装置および方法
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  • 特表-改善された液体排出でレリーフ版原版を処理するための装置および方法 図1
  • 特表-改善された液体排出でレリーフ版原版を処理するための装置および方法 図2
  • 特表-改善された液体排出でレリーフ版原版を処理するための装置および方法 図3A
  • 特表-改善された液体排出でレリーフ版原版を処理するための装置および方法 図3B
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  • 特表-改善された液体排出でレリーフ版原版を処理するための装置および方法 図5
  • 特表-改善された液体排出でレリーフ版原版を処理するための装置および方法 図6
  • 特表-改善された液体排出でレリーフ版原版を処理するための装置および方法 図7A
  • 特表-改善された液体排出でレリーフ版原版を処理するための装置および方法 図7B
  • 特表-改善された液体排出でレリーフ版原版を処理するための装置および方法 図7C
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-16
(54)【発明の名称】改善された液体排出でレリーフ版原版を処理するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B41C 1/00 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
B41C1/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022553638
(86)(22)【出願日】2021-03-25
(85)【翻訳文提出日】2022-11-02
(86)【国際出願番号】 EP2021057741
(87)【国際公開番号】W WO2021198012
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】2025238
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518216205
【氏名又は名称】エクシス プリプレス エヌ.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ワッティン, バート マルク ルック
【テーマコード(参考)】
2H084
【Fターム(参考)】
2H084AA25
(57)【要約】
印刷版原版などのレリーフ版原版(P)を液体で処理するための装置(1000)であって、レリーフ版原版を液体で処理するように構成された処理区画(400)と、1つ以上の搬送バー(100)と共に使用するための搬送システム(210)であって、その搬送バーが、レリーフ版原版に結合されるように構成され、前記搬送システムが、レリーフ版原版が結合された前記搬送バーを前記処理区画(400)を通して移動させるように構成され、前記搬送バーには、搬送バーを搬送システムに結合するように構成された結合部分(121、122)が設けられている、搬送システムと、搬送システムが処理区画の液体による濡れから保護されるように、液体を案内し排出するように構成された保護システム(900)とを備える、レリーフ版原版(P)を液体で処理するための装置。
【選択図】 図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷版原版などのレリーフ版原版(P)を液体で処理するための装置(1000)であって、
前記レリーフ版原版を液体で処理するように構成された処理区画(400)と、
1つ以上の搬送バー(100)と共に使用するための搬送システム(210)であって、搬送バーが、レリーフ版原版に結合されるように構成されており、前記搬送システムが、前記レリーフ版原版が結合された前記搬送バーを前記処理区画(400)を通して移動させるように構成されており、前記搬送バーには、前記搬送バーを前記搬送システムに結合するように構成された結合部分(121、122)が設けられている、搬送システムと、
前記搬送システムが前記処理区画の液体による濡れから保護されるように、前記液体を案内し排出するように構成された保護システム(900)と
を備える、レリーフ版原版(P)を液体で処理するための装置。
【請求項2】
前記保護システム(900)が、前記搬送システム(210)に隣接して前記搬送バーの外側端部(101)の下方において長手方向に延びる液体排出部(910)を備え、前記液体排出部(910)には、前記搬送システム(210)に面する側に、上向きに延びる部分(911)が設けられている、請求項1に記載のレリーフ版原版(P)を液体で処理するための装置。
【請求項3】
前記搬送バー(100)には、前記外側端部(101)に、上向きに延びる部分(131)が設けられており、前記液体排出部(910)の前記上向きに延びる部分(911)が、前記搬送システム(210)と前記搬送バー(100)の前記上向きに延びる部分(131)との間において延びている、請求項2に記載のレリーフ版原版(P)を液体で処理するための装置。
【請求項4】
前記処理区画が、前記搬送バーが前記処理区画を通って移動するときに、前記搬送バーの前記外側端部の真上に下縁(411)を有する壁部分(410)を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のレリーフ版原版(P)を液体で処理するための装置。
【請求項5】
前記壁部分(410)が、前記上向きに延びる部分(131)の上縁が前記壁部分(410)の前記下縁(411)よりも高くなるように、前記搬送バー(100)の前記上向きに延びる部分(131)に隣接して延びている、請求項3を引用する請求項4に記載のレリーフ版原版(P)を液体で処理するための装置。
【請求項6】
前記液体排出部(910)が、前記壁部分(410)の前記下縁の下方において延びている、請求項2を直接または間接的に引用する請求項4または5に記載のレリーフ版原版(P)を液体で処理するための装置。
【請求項7】
前記搬送バーが、前記搬送バー(100)の前記上向きに延びる部分(131)から前記液体排出部の前記上向きに延びる部分(911)の上方において延びて前記結合部分(121)と接合するブリッジ部分(141)を備える、請求項3を直接または間接的に引用する場合の請求項4~6のいずれか一項に記載のレリーフ版原版(P)を液体で処理するための装置。
【請求項8】
前記搬送バー(100)には、前記外側端部(101)に、前記結合部分(121)を形成する外側脚部と、前記上向きに延びる部分(131)を形成する内側脚部とを有する逆U字形部分が設けられており、前記液体排出部(910)の前記上向きに延びる部分(911)が、前記逆U字形部分の前記外側脚部と前記内側脚部との間において延びている、請求項3を直接または間接的に引用する場合の請求項4~7のいずれか一項に記載のレリーフ版原版(P)を液体で処理するための装置。
【請求項9】
前記搬送バーには、前記外側端部(101)に、下方に延びる内側脚部(136)と、前記上向きに延びる部分(131)を形成する外側脚部とを有する略U字形またはV字形の部分が設けられており、前記液体排出部(910)の前記上向きに延びる部分(911)が、前記略U字形またはV字形部分の前記外側脚部と前記結合部分(121)との間において延びている、請求項3を直接または間接的に引用する場合の請求項4~7のいずれか一項に記載のレリーフ版原版(P)を液体で処理するための装置。
【請求項10】
前記搬送バーの前記外側端部が、前記液体排出部上に支持される、請求項2を直接または間接的に引用する場合の請求項3~9のいずれか一項に記載のレリーフ版原版(P)を液体で処理するための装置。
【請求項11】
前記搬送バー(100)には、第1および第2の外側端部(101、102)に、第1および第2の上向きに延びる部分(131、132)がそれぞれ設けられており、前記保護システム(900)が、前記第1および第2の外側端部(101、102)のそれぞれ下方にあり、かつ前記搬送システムの第1および第2の搬送機構(210、220)にそれぞれ隣接して長手方向に延びている、第1および第2の液体排出部(910)を備え、好ましくは、前記第1の液体排出部(910)には、前記第1の搬送機構(210)と前記搬送バー(100)の前記第1の上向きに延びる部分(131)との間において延びる第1の上向きに延びる部分(911)が設けられており、前記第2の液体排出部(910)には、前記第2の搬送機構(220)と前記搬送バー(100)の前記第2の上向きに延びる部分(132)との間において延びる第2の上向きに延びる部分(911)が設けられている、請求項1~10のいずれか一項に記載のレリーフ版原版(P)を液体で処理するための装置。
【請求項12】
前記搬送システムが、リードスクリュ(210)、好ましくはリードスクリュの対(210、220)、またはチェーンもしくはベルト、好ましくはチェーンもしくはベルトの対を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載のレリーフ版原版(P)を液体で処理するための装置。
【請求項13】
前記処理区画(400)が、前記搬送バーと平行に配置された軸線を有する複数の液体塗布手段(450)を備え、前記搬送システムが、前記液体塗布手段(450)の第1および第2の側のそれぞれに、前記液体塗布手段の前記軸線上を垂直に延びる第1および第2の搬送機構(210、220)を備え、前記搬送バーと前記第1および第2の搬送機構との間の結合箇所が、前記液体塗布手段の上面よりも低く、好ましくは前記液体塗布手段の前記軸線(A)よりも低く配置されている、請求項1~12のいずれか一項に記載のレリーフ版原版(P)を液体で処理するための装置。
【請求項14】
前記液体塗布手段が、ローラ、ブラシ、噴霧ノズル、パイプ、ブラシまたはローラの下のテーブルのうちのいずれか1つ、またはそれらの組み合わせを備える、請求項1~13のいずれか一項に記載のレリーフ版原版(P)を液体で処理するための装置。
【請求項15】
前記液体塗布手段が、シャフトと、前記シャフト上に配置された剛毛などの液体塗布ツールとを備え、前記液体排出部が、前記搬送バーの下方および前記液体塗布手段の前記シャフトの下方において、好ましくは前記液体塗布ツールから距離を置いて延びている、請求項2を直接または間接的に引用する場合の請求項13または14に記載のレリーフ版原版(P)を液体で処理するための装置。
【請求項16】
前記搬送バーには、液体を通して排出するための1つ以上の穴が設けられている、請求項1~15のいずれか一項に記載のレリーフ版原版(P)を液体で処理するための装置。
【請求項17】
前記液体排出部が、金属、合金、前記液体に耐性のあるプラスチック、またはそれらの組み合わせで作られている、請求項2を直接または間接的に引用する場合の請求項3~16のいずれか一項に記載のレリーフ版原版(P)を液体で処理するための装置。
【請求項18】
前記搬送バーには、少なくとも1つの貫入要素(110)、好ましくは複数の貫入要素が設けられている、請求項1~17のいずれか一項に記載のレリーフ版原版(P)を液体で処理するための装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つの貫入要素の形状が、例えば円形、楕円形、三角形、四角形、もしくは多角形断面を有するロッド、ブレード、針、またはそれらの組み合わせを備える群から選択される、請求項18に記載のレリーフ版原版(P)を液体で処理するための装置。
【請求項20】
前記搬送バーの長さが、100mmから10000mmである、請求項1~19のいずれか一項に記載のレリーフ版原版(P)を液体で処理するための装置。
【請求項21】
前記レリーフ版原版を前記搬送バーに結合および/または前記搬送バーから分離するように構成された刷版結合ステーションおよび/または刷版分離ステーションをさらに備える、請求項1~20のいずれか一項に記載のレリーフ版原版(P)を液体で処理するための装置。
【請求項22】
前記搬送システムが、前記少なくとも2つの搬送バーを前記装置を通る閉ループ内で移動させるように構成されている、請求項1~21のいずれか一項に記載のレリーフ版原版(P)を液体で処理するための装置。
【請求項23】
レリーフ版原版(P)を液体で処理するための方法であって、
搬送バーを用意するステップであって、前記搬送バーが、前記搬送バーを搬送システムに結合するように構成された結合部分(121、122)と、前記搬送バーをレリーフ版原版に結合するように構成された少なくとも1つの貫入要素、好ましくは複数の貫入要素とを有する、ステップと、
前記レリーフ版原版を前記搬送バーの前記少なくとも1つの貫入要素に結合するステップと、
前記搬送バーの前記結合部分を前記搬送システムに結合するステップと、
前記レリーフ版原版が結合された前記搬送バーが、前記レリーフ版原版を液体で処理する処理区画(400)を通して移動されるように、前記搬送システムを制御するステップと、
前記搬送バーの上の前記液体を、前記液体が前記搬送システムに到達する前に排出されるように、前記搬送バーが前記処理区画を通って移動している間に液体排出部に向かって排出するステップと
を含む、レリーフ版原版(P)を液体で処理するための方法。
【請求項24】
前記液体排出部(910)が、前記搬送システム(210)に隣接して前記搬送バーの外側端部(101)の下方において長手方向に延びており、前記液体排出部(910)には、前記搬送システム(210)に面する側に、上向きに延びる部分(911)が設けられており、それにより、液体が、前記液体排出部の前記上向きに延びる部分(911)において停止される、請求項23に記載のレリーフ版原版(P)を液体で処理するための方法。
【請求項25】
前記搬送バー(100)には、前記外側端部(101)に、上向きに延びる部分(131)が設けられており、前記液体排出部(910)の前記上向きに延びる部分(911)が、前記搬送システム(210)と前記搬送バー(100)の前記上向きに延びる部分(131)との間において延びており、それにより、液体が、前記搬送バー(100)の前記上向きに延びる部分(131)において停止され、前記液体排出部を介して下側リザーバに排出される、請求項24に記載のレリーフ版原版(P)を液体で処理するための方法。
【請求項26】
前記処理装置の刷版分離ステーション内で、処理された前記レリーフ版原版から前記搬送バーを分離するステップをさらに含む、請求項23~25のいずれか一項に記載のレリーフ版原版(P)を液体で処理するための方法。
【請求項27】
前記搬送バーが、刷版結合ステーションから前記処理区画を通って前記刷版分離ステーションに、そして前記刷版結合ステーションに戻る閉ループ内で移動される、請求項26に記載のレリーフ版原版(P)を液体で処理するための方法。
【請求項28】
少なくとも2つの搬送バーが、前記処理区画内で同時に搬送される、請求項27に記載のレリーフ版原版(P)を液体で処理するための方法。
【請求項29】
前記処理区画内の前記処理が、洗浄、ブラッシング、すすぎ、噴霧を備える群から選択され、任意選択的に現像、加熱、冷却、材料の除去、気体または液体による処理、電磁波による処理のいずれか1つ、およびそれらの組み合わせと組み合わせて、選択される、請求項23~28のいずれか一項に記載のレリーフ版原版(P)を液体で処理するための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、レリーフ版原版、特に印刷版原版を液体で処理するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷版原版用のワッシャ装置が知られている。典型的には、搬送システムを使用して印刷版原版をそのようなワッシャ装置を通して移動させるために、搬送バーが使用される。ワッシャはさらに、原版から材料を部分的に除去するために液体を使用し、ほとんどの場合、効率を高めるためにブラシが使用される。飛散および搬送バーを流れる液体により、この搬送システムは濡れる可能性がある。液体の性質によっては、これは、例えば腐食によって搬送システムの劣化をもたらし得る。別の欠点は、洗浄中に、原版の材料が液体に充填され、それによって乾燥中に搬送システムに付着し、誤動作を引き起こす可能性があることである。
【発明の概要】
【0003】
本発明の実施形態の目的は、搬送システムに対する濡れを回避する装置および方法を提供することである。
【0004】
本発明の第1の態様によれば、印刷版原版などのレリーフ版原版を液体で処理するための装置が提供される。装置は、処理区画と、1つ以上の搬送バーを有する搬送システムと、保護システムとを備える。処理区画は、レリーフ版原版を液体で処理するように構成される。1つ以上の搬送バーは、レリーフ版原版に結合されるように構成される。搬送システムは、レリーフ版原版が結合された搬送バーを処理区画を通して移動させるように構成される。そのために、搬送バーには、搬送バーを搬送システムに結合するように構成された結合部が設けられる。保護システムは、搬送システムが処理区画の液体による濡れから保護されるように、液体を案内し、排出するように構成される。
【0005】
搬送システムから液体を遠ざけるような保護システムを提供することによって、搬送システムの濡れが回避される。したがって、腐食または誤動作などの搬送システムの濡れに関連する問題が、回避または低減される。
【0006】
好ましくは、保護システムは、搬送システムに隣接して搬送バーの外側端部の下方において長手方向に延びる液体排出部を備える。液体排出部には、搬送システムに面する側に上向きに延びる部分が設けられる。このようにして、上向きに延びる部分は、液体排出部の上で搬送システムに向かって流れる液体を停止させる。搬送システムから最も遠い液体排出部の他方の側は、液体排出部の下方のリザーバに液体を排出することができるように、水平または下方に延びることができる。しかし、液体排出部は、上向きに延びる部分のみ、例えば上方に傾斜した部分からなり、この部分のみが液体をリザーバに案内することも可能である。
【0007】
好ましくは、搬送バーには、外側端部に上向きに延びる部分が設けられる。そのような実施形態では、液体排出部の上向きに延びる部分は、搬送システムと搬送バーの上向きに延びる部分との間において延びる。このようにして、搬送バー上に存在する液体は、搬送バーの上向きに延びる部分によって停止され、搬送バーから横向きに液体排出部上に流れることができ、ここで流体は、上記で説明したようにリザーバに排出される。
【0008】
好ましくは、処理区画は、搬送バーが処理区画を通って移動するときに、搬送バーの外側端部の真上に下縁を有する壁部分を備える。より好ましくは、壁部分は、搬送バーの上向きに延びる部分の上縁が壁部分の下縁よりも高くなるように、搬送バーの上向きに延びる部分に隣接して延びる。また好ましくは、液体排出部は、壁部分の下縁の下方において延びる。このようにして、処理区画の壁部分上の液体の飛沫または滴は全て、壁部分に沿って排出部または搬送バー上に滑ることができ、それにより、それらの飛沫または滴は排出され、搬送システムを濡らすことが防止される。壁部分は、シャフトなどの液体塗布手段の構成要素が壁部分を貫通することを可能にするように構成された開口部を備えることができる。壁部分は、典型的には直立壁部分、好ましくは垂直壁部分である。
【0009】
好ましい実施形態では、搬送バーは、搬送バーの上向きに延びる部分から液体排出部の上向きに延びる部分の上方において延びて結合部分と接合する、ブリッジ部分を備える。このようなブリッジ部分は、結合部分との適切な接続を提供する。
【0010】
例示的な実施形態では、搬送バーには、外側の端部に、結合部分を形成する外側脚部と、上向きに延びる部分を形成する内側脚部とを有する逆U字形部分が設けられ、液体排出部の上向きに延びる部分は、逆U字形部分の外側脚部と内側脚部との間において延びる。このようにして、結合部分は、搬送システムによって結合部分に及ぼされる力がレリーフ版原版および搬送バーの平面と大体同じ平面内にあるように、搬送バーの主要部分の大体同じ高さに配置することができ、したがって搬送バーが回転し始めることを回避する。
【0011】
例示的な実施形態では、搬送バーには、その外側端部に、下方向に延びる内側脚部と、上向きに延びる部分を形成する外側脚部とを有する略U字形またはV字形の部分が設けられ、液体排出部の上向きに延びる部分は、略U字形またはV字形の部分の外側脚部と結合部分との間において延びる。そのような実施形態では、搬送バー上の液体は、U字形またはV字形部分内を流れ、そこから排出部上に横向きに排出され得る。このような実施形態においても、結合部分は、搬送システムによって結合部分に及ぼされる力がレリーフ版原版および搬送バーの平面と大体同じ平面内にあるように、搬送バーの主要部分の大体同じ高さに配置することができる。
【0012】
好ましくは、搬送バーの外側端部は、液体排出部に支持される。外側端部は、液体排出部の水平または傾斜部分上、または液体排出部の上向きに延びる部分の上縁上に支持されてもよい。
【0013】
好ましくは、搬送バーの上向きに延びる部分の高さは、5mmを超え、より好ましくは5mmから100mmの間である。好ましくは、液体排出部の上向きに延びる部分の高さは、5mmを超え、より好ましくは5mmから100mmの間である。好ましくは、上方向に延びる壁部分の下縁と液体排出部との間の距離は、10mm未満、より好ましくは0mmから5mmの間である。
【0014】
好ましい実施形態では、搬送システムは、装置の中心軸線に対して略対称であり、搬送バーの第1および第2の外側端部にそれぞれ結合されるための第1および第2の搬送機構を有する。そのような実施形態では、搬送バーは、第1および第2の外側端部に、第1および第2の上向きに延びる部分がそれぞれ設けられ、保護システムは、第1および第2の外側端部のそれぞれの下方にあり、かつ搬送システムの第1および第2の搬送機構にそれぞれ隣接して長手方向に延びる、第1および第2の液体排出部を備える。好ましくは、第1の液体排出部には、第1の搬送機構と搬送バーの第1の上向きに延びる部分との間において延びる第1の上向きに延びる部分が設けられ、第2の液体排出部には、第2の搬送機構と搬送バーの第2の上向きに延びる部分との間において延びる第2の上向きに延びる部分が設けられる。このような対称的な構成が通常好ましいが、搬送バーの第1の外側端部に被駆動搬送機構が設けられ、搬送バーの第2の外側端部に単純なガイド機構が設けられてもよいことに留意されたい。そのようなガイド機構が濡れに対する保護を必要とするかどうかに応じて、ガイド機構は、被駆動搬送機構と同様の方式で、保護システム有りまたは保護システム無しで配置されてもよい。
【0015】
好ましくは、搬送システムは、リードスクリュ、好ましくはリードスクリュの対、またはチェーンもしくはベルト、好ましくはチェーンもしくはベルトの対を備える。そのようなリードスクリュまたはチェーンまたはベルトは、処理区画の片側または処理区画の両側で移動方向に延びる。
【0016】
好ましくは、処理区画は、搬送バーと平行に配置された軸線を有する複数の液体塗布手段を備える。好ましくは、搬送システムは、液体塗布手段の第1および第2の側それぞれにおいて、液体塗布手段の軸線上に垂直に延びる第1および第2の搬送機構を備える。好ましくは、搬送バーと第1および第2の搬送機構との間の結合箇所は、液体塗布手段の上面よりも低く、好ましくは液体塗布手段の軸線よりも低く配置される。このようにして、装置をコンパクトにすることができ、搬送システムを装置内の比較的低い場所に配置することができる。
【0017】
液体塗布手段は、ローラ、ブラシ、噴霧ノズル、パイプ、ローラまたはブラシの下に配置されたテーブル、およびそれらの組み合わせを備えることができる。好ましくは、液体塗布手段は、ローラまたは円筒形ブラシである。ブラシは、例えば、可動(回転または振動)ブラシ(平坦または円筒形)であってもよい。ブラシまたはローラの下方のテーブルは、その外側端部を液体排出部の上にして、特にその略水平な部分の上にして延びることができる。好ましくは、テーブルは、テーブルから液体排出部上に流れる液体が全て液体排出部の上向きに延びる部分によって停止されるように、液体排出部の上向きに延びる部分の上縁よりも低い高さに配置される。
【0018】
好ましくは、液体塗布手段は、シャフトと、シャフト上に配置された剛毛などの、レリーフ版原版に接触するように意図された液体塗布ツールとを備え、液体排出部は、搬送バーの下方および液体塗布手段のシャフトの下方において、液体塗布ツールから距離を置いて延びる。このようにして、液体排出部は、搬送バー上の液体全ての良好な排出を可能にしながら、液体塗布ツールによる処理を妨げない。
【0019】
例示的な実施形態では、搬送バーには、液体を通して排出するための1つ以上の穴が設けられる。これは、搬送システムから液体を排出するのにさらに役立つ。1つ以上の穴は、好ましくは、搬送バーの少なくとも最下部、例えば、下方に延びる内側脚部を有するU字形またはV字形部分の底部に配置される。
【0020】
好ましくは、液体排出部は、金属、合金、液体に耐性のあるプラスチック、またはそれらの組み合わせで作られる。
【0021】
好ましくは、搬送バーは、少なくとも1つの貫入要素、より好ましくは複数の貫入要素が設けられる。少なくとも1つの貫入要素の形状は、例えば、円形、楕円形、三角形、四角形または多角形断面を有するロッド、ブレード、針、またはそれらの組み合わせを含む群から選択されてもよい。少なくとも1つの貫入要素は、金属または合金で作製されてもよい。
【0022】
好ましくは、搬送バーの長さは、100mmから10000mm、より好ましくは200mmから5000mm、最も好ましくは500mmから3000mmである。
【0023】
好ましい実施形態によれば、装置は、レリーフ版原版を搬送バーに結合および/または搬送バーから分離するように構成された刷版結合ステーションおよび/または分離ステーションを備える。刷版結合ステーションは、レリーフ版原版の縁部の近くの領域内で少なくとも1つの貫入要素と係合するように構成されてもよい。より好ましくは、各貫入要素は、レリーフ版原版の材料内に貫入作用を生じさせることができる鋭利な先端または縁部を有し、刷版結合ステーションは、少なくとも1つの貫入要素によって、レリーフ版原版の縁部の近くの未穿孔領域内に少なくとも部分的に、またはそれを通り抜けて貫入させるように構成される。このようにして、貫入要素は、廃棄物を生成することなく印刷版の材料に押し込まれる。しかし、本発明は、刷版結合ステーション内の搬送バーに結合された、予め穿孔されたレリーフ版原版の使用も包含することに留意されたい。
【0024】
好ましくは、搬送システムは、少なくとも2つの搬送バーを、装置を通る閉ループ内で移動させるように構成される。2つ、3つ、またはそれ以上の搬送バーが、装置内で同時に搬送されてもよい。例えば、少なくとも2つの搬送バーのうちの1つは、処理区画を通って搬送されてもよく、別の1つは、刷版結合ステーションに搬送されて戻される。
【0025】
装置は、ポンプ、フィルタ、センサ(温度、固形分、密度、圧力など)、ギア、モータ、噴霧システム、それらの1つ以上の構成要素を制御するように構成された制御ユニット、およびそれらの組み合わせを含む群から選択された追加の構成要素をさらに備えることができる。
【0026】
本発明の別の態様によれば、レリーフ版原版を液体で処理する方法が提供される。方法は、
搬送バーを用意するステップであって、搬送バーが、搬送バーを搬送システムに結合するように構成された結合部分と、搬送バーをレリーフ版原版に結合するように構成された、少なくとも1つの貫入要素、好ましくは複数の貫入要素とを有する、ステップと、
レリーフ版原版を搬送バーの少なくとも1つの貫入要素に結合するステップと、
搬送バーの結合部分を搬送システムに結合するステップと、
レリーフ版原版が結合された搬送バーが、レリーフ版原版を液体で処理する処理区画を通して移動されるように、搬送システムを制御するステップと、
搬送バーの上の液体を、液体が搬送システムに到達する前に排出されるように、搬送バーが処理区画を通って移動している間に液体排出部に向かって排出するステップと
を含む。
【0027】
好ましくは、液体排出部は、搬送システムに隣接して搬送バーの外側端部の下方において長手方向に延び、前記液体排出部には、液体が液体排出部の前記上向きに延びる部分で停止されるように、搬送システムに面する側に上向きに延びる部分が設けられる。より好ましくは、搬送バーには、外側端部に、上向きに延びる部分が設けられ、液体排出部の上向きに延びる部分は、搬送システムと搬送バーの上向きに延びる部分との間において延び、それにより、液体は、搬送バーの前記上向きに延びる部分で停止され、液体排出部を介して下側リザーバに排出される。
【0028】
好ましくは、方法は、処理装置の刷版分離ステーション内で、処理されたレリーフ版原版から搬送バーを分離するステップをさらに含む。好ましくは、搬送バーは、刷版結合ステーションから処理区画を通って刷版分離ステーションに、そして刷版結合ステーションに戻る閉ループ内で移動される。好ましくは、少なくとも2つの搬送バーが、処理区画内で同時に搬送される。言い換えれば、搬送バーまたは複数の搬送バーは、装置内で自動的に循環することができる。オペレータは、処理されるレリーフ版原版を刷版結合ステーションに運ぶことができ、次に、結合、処理および分離が自動的に実行され、その後、搬送バーが刷版結合ステーションに自動的に戻される。このようにして、オペレータは、搬送バーを分離する、または戻す必要がない。これにより、必要な手動の相互作用の数が減少する。
【0029】
好ましくは、処理区画内の処理は、洗浄、ブラッシング、すすぎ、噴霧を含む群から、任意選択により、現像、加熱、冷却、材料の除去、気体または液体による処理、電磁波による処理の任意の1つ、およびそれらの組み合わせと組み合わせて選択される。
【0030】
方法は、レリーフ版原版に後処理を実行するステップをさらに含むことができ、前記後処理は、洗浄、ブラッシング、すすぎ、噴霧、乾燥、照射、現像、加熱、冷却、材料の除去、気体または液体による処理、サンディング、切断、電磁波による処理、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される。また、方法は、レリーフ版原版上に前処理を実行するステップをさらに含むことができ、前記前処理は、切断、アブレーション、電磁放射線への曝露、およびそれらの組み合わせを含む群から選択される。
【0031】
添付の図面は、本発明の装置および方法の現在好ましい非限定的な例示的な実施形態を説明するために使用される。本発明の特徴および目的の上記および他の利点は、添付の図と併せて読むと、より明らかになり、本発明は以下の詳細な説明からよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】レリーフ版原版を処理するための装置の例示的な実施形態の概略斜視図である。
図2】レリーフ版原版を処理するための装置の例示的な実施形態の斜視図であり、明確にするために壁部分は省略されている。
図3A】壁部分が含まれている、図2の一部分を詳細に示す詳細斜視図である。
図3B図2の一部分を詳細に示す詳細斜視図である。
図4図2の例示的な実施形態の側面図である。
図5】搬送バーの例示的な実施形態の概略斜視図である。
図6】刷版結合ステーションの例示的な実施形態の一部分を示す詳細斜視図である。
図7A】レリーフ版原版を処理するための装置のさらなる例示的な実施形態の側面図である。
図7B】レリーフ版原版を処理するための装置の別のさらなる例示的な実施形態の側面図である。
図7C】レリーフ版原版を処理するための装置の別のさらなる例示的な実施形態の側面図である。
図7D】レリーフ版原版を処理するための装置の別のさらなる例示的な実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、印刷版原版Pなどのレリーフ版原版を処理するための装置1000を概略的に示す。この装置は、例えば、レリーフ版原版を液体で洗浄するための洗浄装置である。しかし、ブラッシング、すすぎ、噴霧、乾燥、照射、現像、加熱、冷却、レリーフ版原版の材料の除去、レリーフ版原版の気体または液体による処理、レリーフ版原版の研磨、レリーフ版原版の切断、電磁波によるレリーフ版原版の処理、またはこれらの組み合わせなど、他の処理も可能である。
【0034】
装置1000は、レリーフ版原版に結合されるように意図された少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、さらにより好ましくは少なくとも3つの搬送バー100を有する搬送システム210、220、230を備える。例えば、図1に示すように、4つの搬送バー100が、搬送システム210、220、230に設けられてもよい。搬送バー100は、レリーフ版原版Pの前縁3に結合され、好ましくは、搬送バー100の端部を搬送システム210、220の搬送機構に結合することができるように、前縁3の全長よりも長く延びる。複数のレリーフ版原版を搬送バー100に結合することも可能であることに留意されたい。好ましくは、搬送バー100の長さは、100mmから1000mmの間、より好ましくは1000mmから4000mmの間である。
【0035】
装置1000は、レリーフ版原版Pを搬送バー100に結合するように構成された刷版結合ステーション300と、レリーフ版原版Pが結合された搬送バー100が処理区画400を通って移動する間にレリーフ版原版を処理するように構成された処理区画400と、処理されたレリーフ版原版Pを搬送バー100から分離するように構成された刷版分離ステーション500とを備える。好ましくは、搬送システム210、220、230は、搬送バー100が装置1000を通る閉ループで移動するように、各搬送バー100を自動的に、これが刷版結合ステーション300内のレリーフ版原版Pに連結された後、刷版結合ステーション300から処理ステーション400を通って刷版分離ステーション500に移動させ、処理されたレリーフ版原版Pから分離された後、刷版分離ステーション500から刷版結合ステーション300に戻すように構成される。図1の図示する例では、4つの搬送バー100が、装置1000内を循環する。しかし、本発明は、搬送バーが刷版分離ステーション500から刷版結合ステーション300に手動で戻される実施形態も包含する。
【0036】
好ましい実施形態では、各搬送バー100には、複数の貫入要素110(ここではピンまたはロッドの形態)が設けられ、刷版結合ステーション300は、レリーフ版原版Pの前縁3の近くの領域内で複数の貫入要素110と係合するように構成される。図1において、レリーフ版原版Pは、装置1000を通るレリーフ版原版Pの前方搬送方向Tfに垂直な前縁3および後縁4と、前方搬送方向Tfに平行な2つの側縁1、2とを有する。レリーフ版原版Pの前縁3の近くの領域は、搬送バー100の複数の貫入要素110に結合される。図5は、搬送バー100のより詳細な例示的な実施形態を示す。複数の貫入要素110は、好ましくは鋭利な先端を有し、刷版結合ステーション300は、好ましくは、複数の貫入要素110を、レリーフ版原版Pの前縁3の近くの未穿孔領域内に少なくとも部分的に、またはこれに通すように貫入させるように構成される。しかし、別の例示的な実施形態によれば、図1の装置1000はまた、鋭い先端を有さない複数の貫入要素110が設けられた搬送バー100と共に使用されてもよいことに留意されたい。例えば、レリーフ版原版Pを刷版結合ステーション300に運ぶ前に、レリーフ版原版Pの前縁3の近くの領域が予め穿孔されてもよく、それにより、複数の貫入要素110を前縁3の近くの領域の予め穿孔された穴を通して配置することができる。
【0037】
処理区画400は、入口側410と出口側420とを有する。レリーフ版原版Pが結合された搬送バー100は、入口側410から出口側420まで処理区画400を通って移動され、搬送バー100は、前方搬送方向Tfに移動する。処理区画400の出口側420と刷版分離ステーション500との間には、刷版放出ゾーン600が設けられる。レリーフ版原版Pは、分離ステーション500内で搬送バー100から分離される前に、搬送システムによって処理区画400から刷版放出ゾーン600内に完全に引き出される。このようにして、レリーフ版原版Pが搬送バー100から分離されると、レリーフ版原版Pを刷版放出ゾーン600内に放出することができる。刷版放出ゾーン600の底部には、刷版分離ステーション500内で搬送バー100から分離された後に処理されたレリーフ版原版Pを取り外すように構成された取り外し手段が設けられてもよい。図示する実施形態では、取り外し手段700は、処理されたレリーフ版原版Pを刷版放出ゾーン600内に受け入れ、刷版放出ゾーン600から移動させるように構成されたトロリーであり、それにより、レリーフ版原版を刷版放出ゾーンから離して容易に搬送することができる。例えば、装置1000がワッシャである場合、オペレータは、洗浄されたレリーフ版原版を乾燥させるために、洗浄されたレリーフ版原版Pを乾燥機に搬送することができる。他の図示していない実施形態では、取り外し手段700は、キャリア、ロボット、移動ベルト、少なくとも1つの回転ドラムなどであってもよい。また、このような装置は、処理されたレリーフ版原版Pが刷版分離ステーション500内で分離された後に刷版放出ゾーン600から移動するように構成することもできる。
【0038】
図1の実施形態では、搬送システムは、装置1000の一方の側の第1の搬送機構210と、装置1000の他方の側の第2の搬送機構220とを備える前方搬送機構を備える。搬送機構210、220は、レリーフ版原版Pが結合された搬送バー100を、少なくとも処理区画400の入口側410から出口側420に、任意選択的に出口側420から刷版分離ステーション500に、前方搬送方向Tfに搬送するように構成される。その目的のために、搬送バー100の第1の外側端部101は第1の前方搬送機構210に結合され、搬送バー100の第2の外側端部102は第2の前方搬送機構220に結合される。図6に示すように、搬送システム210は、搬送バー100、より具体的には搬送バーの第1の外側端部101および第2の外側端部102を第1および第2の前方搬送機構210、220に結合するように構成されたバー結合手段215を備えることができる。図6には第1の外側端部101および第1の搬送機構のみが示されているが、第2の外側端部102および第2の搬送機構220も同様の方法で具現化されてもよいことが理解される。バー結合手段215は、例えば、搬送バー100の外側端部101および102を前方搬送機構210、220に結合させるために、搬送バー100を第1および第2の前方搬送機構の方向に押すか、または移動させるように構成されてもよい。図1の実施形態では、処理区画400は、前方搬送方向Tfに延びる第1および第2の対向する側面430、440を有し、第1および第2の前方搬送機構210、220は、処理区画400の第1および第2の対向する側面430、440のそれぞれにおいて延びる。
【0039】
搬送システムは、搬送バー100を刷版分離ステーション500から搬送して刷版結合ステーション300に戻すように構成された後方搬送機構230をさらに備える。図1の図示する実施形態では、後方搬送機構230は、装置1000の上側に配置される。しかし、他の実施形態では、後方搬送機構230を前方搬送機構210、220の下方の、装置1000の下側部分内に配置することができる。後方搬送機構230は、1つ以上のベルト、1つ以上のチェーン、1つ以上のリードスクリュ、リニアモータ、またはそれらの組み合わせのいずれか1つを備えることができる。図1では、後方搬送機構230は、処理区画400の上方の中央に配置されている。しかし、後方搬送機構230はまた、第1および第2の後方搬送機構が第1および第2の前方搬送機構210、220の上方または下方の処理区画400の対向する側面に配置されることによって実現することもできる。あるいは、後方搬送機構は、処理区画の側面に配置されてもよく、任意選択的に、搬送バーは、回転され、垂直位置で後方に搬送されてもよい。しかし、装置のフットプリントを低減するために、後方搬送機構は、好ましくは、第1および第2の前方搬送機構210、220の上方または下方に配置される。図1に示すように、後方搬送機構230は、処理区画400の上方に部分的に配置され、搬送システムは、刷版分離ステーション500内の分離された搬送バー100を後方搬送機構230に向かって上方に移動させるように構成された上方搬送機構250をさらに備える。例えば、上方搬送機構250は、搬送バー100を後方搬送機構230に向かって上方向Tu、典型的には垂直方向に移動させることができ、これにより搬送バー100を前方搬送方向Tfとは反対の後方搬送方向Tbに移動させて刷版結合ステーション300に戻す。上方搬送機構250は、磁気手段、電磁手段、クランプ手段、真空手段、リニアモータ、チェーン、ベルト、リードスクリュ、ピストン、またはそれらの組み合わせのうちのいずれか1つ以上を備えることができる。後方搬送機構230を前方搬送機構の下方に配置される他の実施形態では、下方搬送機構が設けられてもよい。下方搬送機構は、磁気手段、電磁手段、クランプ手段、真空手段、リニアモータ、チェーン、ベルト、リードスクリュ、ピストンまたはそれらの組み合わせのうちの任意の1つ以上を備えることができ、あるいは単に重力によって生じることができる。
【0040】
図5は、搬送バー100のより詳細な例示的な実施形態を示す。搬送バー100には、第1の外側端部101および第2の外側端部102に、第1の結合部分121および第2の結合部分122が設けられる。この場合、結合部分121、122は、リードスクリュと組み合わせて使用される結合手段を備えて構成される。搬送バー100には、貫入要素110が設けられる。搬送バー100は、整列ピンが搬送バーの下方から搬送バー100を通過することを可能にするチャネル120を備える。
【0041】
図6に示すように、例示的な実施形態では、第1の前方搬送機構210は第1のリードスクリュを備え、第1の結合部分121は第1のリードスクリュ210に結合されるように構成される。同様に、第2の前方搬送機構220には、第2の結合部分122に結合可能な第2のリードスクリュが設けられてもよい。他の実施形態では、第1および/または第2の前方搬送機構210、220は、チェーンまたはベルトなどの他の搬送手段を備えることができ、第1および第2の結合部分121、122はそれに応じて適応されてもよい。
【0042】
図2図3A図3B、および図4は、レリーフ版原版を液体で処理するための装置1000の例示的な実施形態を詳細に示す。装置100は、複数の液体塗布ローラ450を有する処理区画400と、搬送システム210とを備える。処理区画400は、レリーフ版原版を液体で処理するように構成される。搬送システム210は、1つ以上の搬送バー100、例えば、図5に関連して上記で説明したような搬送バーと共に使用するためのものである。搬送システム210は、レリーフ版原版が結合された搬送バー100を処理区画400を通して移動させるように構成される。搬送バーには、例えば図6に関連して上記で説明したように、搬送バー100を搬送システム210に結合するように構成された結合部分121が設けられる。さらに、装置は、搬送システムが処理区画の液体による濡れから保護されるように、搬送バー上の液体を案内し排出するように構成された保護システム900を備える。このようにして、レリーフ版原版を搬送バー100の貫入要素110に結合することができ、搬送バー100の結合部分121を搬送システム210に結合することができる。搬送システム210は、レリーフ版原版が結合された搬送バー100が、レリーフ版原版を液体で処理する処理区画400を通して移動されるように、図1に示すようなコントローラ800を使用して制御される。この処理中、搬送バー100の上の液体が、搬送システム210に到達する前に排出されるように、搬送バー100が処理区画400を通って移動している間に液体排出部900に向かって排出される。
【0043】
図3Bおよび図4に最もよく示されているように、保護システム900は、搬送システム210に隣接して搬送バー100の第1の外側端部101の下方において長手方向に延びる液体排出部910を備える。液体排出部910には、搬送システム210に面する側に、上向きに延びる部分911が設けられ、搬送バー100の側に略水平な部分913が設けられる。この略水平な部分913は、搬送バー100が処理区画400を通って移動する間、搬送バーを支持する。他の実施形態では、略水平な部分913は省略されてもよく、搬送バー100を上向きに延びる部分911上に支持することができる。液体排出部910は、金属、合金、液体に耐性のあるプラスチック、またはそれらの組み合わせで作られてもよい。
【0044】
搬送バー100には、第1の外側端部101に、上向きに延びる部分131が設けられる。液体排出部910の上向きに延びる部分911は、搬送システム210と搬送バー100の上向きに延びる部分131との間において延びる。より具体的には、図2図4の実施形態では、搬送バー100には、第1の外側端部101に、結合部分121を形成する外側脚部と、上向きに延びる部分131を形成する内側脚部とを有する逆U字形部分が設けられる。外側脚部121および内側脚部131は、ブリッジ部分141によって相互接続され、このブリッジ部分は、搬送バー100の上向きに延びる部分131から液体排出部の上向きに延びる部分911の上方において延びて、結合部分121と接合する。液体排出部910の上向きに延びる部分911は、逆U字形部分の外側脚部121と内側脚部131との間において延びる。
【0045】
図3Bに示すように、搬送バー100上の液体塗布ローラ450から滴下する液体は、搬送バー100の上向きに延びる部分131で停止され、液体排出部910上に横向きに流れ、ここで液体は液体排出部910の上向きに延びる部分911で停止される。そこから液体は、下側リザーバ(図示せず)に排出される。また、液体排出部910上に直接落下した液体は、液体排出部910の上向きに延びる部分911により、搬送機構210に到達しない。
【0046】
図3Aに示すように、処理区画400は、搬送バー100が処理区画400を通って移動するとき、搬送バー100の第1の外側端部101の真上に下縁411を有する壁部分410を備える。下縁411は、液体排出部900の水平部分913から、例えばd<5mmのわずかな距離dを離して配置されるように示されている。この壁部分410は、明確にするために図2図3Bおよび図4では省略されている。壁部分410は、ブリッジ部分141の高さに配置される上向きに延びる部分131の上縁が壁部分410の下縁411よりも高くなるように、搬送バー100の上向きに延びる部分131に隣接して延びる。液体排出部910は、壁部分410の下縁411の下方において延びる。
【0047】
図2図4は、搬送バー100の第1の外側端部101における配置のみを示しているが、搬送バー100の第2の外側端部102における配置が同様であってもよいことが理解されよう。より具体的には、図5に示すように、第2の外側端部102には、上向きに延びる部分132が設けられてもよい。保護システム900は、第2の外側端部102の下方において、搬送システムの第2の搬送機構220に隣接して長手方向に延びる第2の液体排出部(図示せず)を備えることができる。好ましくは、第2の液体排出部には、第2の搬送機構220と搬送バー100の第2の上向きに延びる部分132との間において延びる第2の上向きに延びる部分が設けられる。好ましい実施形態では、第1および第2の搬送機構210、200は、第1および第2のリードスクリュであってもよい。
【0048】
処理区画400は、搬送バー100と平行に配置された軸線Aを有する複数の液体塗布ローラ450を備える。特に図4を参照されたい。第1および第2の搬送機構210、220は、液体塗布ローラ450の第1の側および第2の側のそれぞれにおいて、液体塗布ローラ450の軸線Aに対して垂直に延びる。搬送バー100と第1および第2の搬送機構210、220との間の結合箇所は、液体塗布ローラ450の上面よりも低く、図示する実施形態では液体塗布ローラ450の軸線Aよりも低く配置される。このようにして、非常にコンパクトな配置が達成される。
【0049】
液体塗布ローラ450は、シャフト451と、シャフト451上に配置された剛毛などの液体塗布ツール452とを備え、液体排出部910は、搬送バー100の下方および液体塗布ローラ450のシャフト451の下方において延びる。好ましくは、テーブル460が、液体塗布ローラ450の下方に配置される。テーブル460は、図3Aおよび図3Bに示すように、その外側端部が液体排出部910の略水平な部分913の上方において延びることができる。任意選択により、テーブル460の高さは、調整可能であってもよい。高さを調整することにより、異なる動作モードが設定されてもよい。例えば、シャフト451とテーブル460との間の距離をより小さくして高速のプロセスと組み合わせて使用すると、より遅いプロセスと組み合わせたより遠い距離と比べて、品質はより低くなり得る。テーブル460は、テーブル460から液体排出部910上を流れる液体が全て、液体排出部910の上向きに延びる部分911によって停止されるように、液体排出部910の上向きに延びる部分911の上縁よりも低い高さに配置される。
【0050】
任意選択的に、搬送バー100には、液体を通して排出するための1つ以上の穴(図示せず)が設けられてもよい。例えば、液体排出部910の上方またはリザーバ(図示せず)の上方に配置される領域内に、搬送バー100の上向きに延びる部分131と中央部分との間に1つ以上の穴が配置されてもよい。
【0051】
図7A図7Dは、液体でレリーフ版原版を処理するための装置の4つの他の例示的な実施形態を示し、同様の構成要素は、上記と同じ参照番号で示されている。
【0052】
図7Aの実施形態では、液体排出部910は、図2図4に関連して上記で説明したものと同様である。搬送バー100には、第1の外側端部101に、上向きに延びる部分131と、液体排出部910の上向きに延びる部分911の上方において延びるブリッジ部分141と、ブリッジ部分141から上方向に延びる結合部分121とが設けられる。図2図4の実施形態のように、壁部分410が、上向きに延びる部分131に隣接して延びており、その下縁411はブリッジ部分141の高さより下方にある。
【0053】
図7Bの実施形態では、液体排出部910は、図2図4に関連して上記で説明したものと同様である。搬送バー100には、第1の外側端部101に、ここでは上方向に傾斜し、垂直に向けられていない上向きに延びる部分131と、液体排出部910の上向きに延びる部分911の上方において延びるブリッジ部分141と、ブリッジ部分141から下方向に延びる結合部分121とが設けられる。図2図4の実施形態のように、壁部分410が、上向きに延びる部分131に隣接して延びており、その下縁411はブリッジ部分141の高さより下方にある。
【0054】
図7Cの実施形態では、液体排出部910は、搬送機構210の側の垂直部分911bと内側に突出する傾斜部分911bとを備える上向きに延びる部分911a、911bを備える。搬送バー100には、第1の外側端部101に、下方向に延びる内側脚部136と、上向きに延びる部分131を形成する外側脚部とを有するV字形部分が設けられる。液体排出部910の上向きに延びる部分911bは、V字形部分の外側脚部131と結合部分121との間において延びる。さらに、ブリッジ部分141が、液体排出部910の上向きに延びる部分911bの上方において延びる。図2図4の実施形態のように、壁部分410が、上向きに延びる部分131に隣接して延びており、その下縁411はブリッジ部分141の高さより下方にある。本実施形態では、搬送バー100は、液体排出部910の上向きに延びる部分911b上に支持される。部分911aは、図7Cの実施形態では省略されてもよいことに留意されたい。
【0055】
図7Dの実施形態では、液体排出部910は、搬送機構210の側に垂直部分911bと、内側に突出する傾斜部分911bとを有する上向きに延びる部分911a、911bを備える。搬送バー100は、第1の外側端部101に、下方向に延びる内側脚部136と、上向きに延びる部分131を形成する外側脚部とを有するU字形部分が設けられる。液体排出部910の上向きに延びる部分911bは、U字形部分の外側脚部131と結合部分121との間において延びる。さらに、ブリッジ部分141が、液体排出部910の上向きに延びる部分911bの上方において延びる。図2図4の実施形態のように、壁部分410は、上向きに延びる部分131に隣接して延びており、その下縁411は、ブリッジ部分141の高さより下方にある。この実施形態では、搬送バー100は、液体排出部910の上向きに延びる部分911a上に支持される。
【0056】
任意選択的に、図7Aから図7Dに示す搬送バー100内に、穴が設けられてもよい。例えば、図7Cおよび図7Dの実施形態では、V字形またはU字形部分内に、穴が設けられてもよい。
【0057】
レリーフ版原版は、一般に、第1の材料で作られた支持層と、前記第1の材料とは異なる第2の材料で作られた追加の層とを備える。支持層は、可撓性金属、天然または人工ポリマー、紙またはそれらの組み合わせであってもよい。好ましくは、支持層は、可撓性の金属またはポリマーフィルムまたはシートである。可撓性金属の場合、支持層は、薄膜、ふるい状構造体、メッシュ状構造体、織布もしくは不織布構造体、またはそれらの組み合わせを備えることができる。鋼、銅、ニッケルまたはアルミニウムシートが好ましく、約50から1000μmの厚さであってもよい。ポリマーフィルムの場合、フィルムは寸法的に安定であるが屈曲可能であり、例えば、ポリアルキレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミドおよびポリカーボネート、織布、不織布または層状の繊維(例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ポリマー繊維)で強化されたポリマー、またはそれらの組み合わせから作られてもよい。好ましくは、ポリエチレンおよびポリエステル箔が使用され、それらの厚さは、約100から300μmの範囲、好ましくは100から200μmの範囲であってもよい。
【0058】
レリーフ原版は、追加の層を支持することができる。例えば、追加の層は、直接彫刻可能な層(例えば、レーザによって)、溶媒または水現像可能な層、熱現像可能な層、感光層、感光層とマスク層の組み合わせのいずれか1つであってもよい。任意選択的に、追加の層の上部に、1つ以上のさらなる追加の層が設けられてもよい。そのような1つ以上のさらなる追加の層は、全ての他の層の上部に、画像形成可能層が画像形成される前に除去されるカバー層を備えることができる。1つ以上の追加の層は、レリーフ層と、支持層とレリーフ層との間、またはレリーフ層の反対側の支持層の側にあるハレーション防止層とを備えることができる。1つ以上の追加の層は、レリーフ層と、画像形成可能層と、レリーフ層と画像形成可能層との間の、酸素の拡散を防止する1つ以上のバリア層とを備えることができる。上記で説明した異なる層の間には、異なる層の適切な接着を確実にする1つ以上の接着層が、配置されてもよい。
【0059】
好ましい実施形態では、レリーフ版原版は、ポリマー材料のポリエステルで作られた支持層と、樹脂材料などの直接彫刻可能な材料で作られた追加の層とを備える。次いで、任意選択の層は、レーザアブレーション層であってもよい。例示的な実施形態では、レリーフ版原版は、少なくとも寸法的に安定な支持層と、レリーフ層と、画像形成可能なマスク層とを含むことができる。任意選択的に、さらなる層が存在してもよい。他の全ての層の上部に、画像形成可能なマスク層が画像形成される前に除去されるカバー層があってもよい。支持層とレリーフ層との間にハレーション防止層が存在してもよく、またはハレーション防止層は、レリーフ層の反対側の支持層の側に配置されてもよい。レリーフ層と画像形成可能なマスク層との間には、酸素の拡散を防止する1つ以上のバリア層があってもよい。上記で説明した異なる層の間には、異なる層の適切な接着を確実にする1つ以上の接着層が、配置されてもよい。1つ以上の層が、液体による処理によって除去可能であってもよい。使用される液体は、異なる層に対して同じであっても異なっていてもよい。好ましくは、使用される液体は異なる。
【0060】
好ましい実施形態では、レリーフ版原版は感光層とマスク層とを備える。マスク層は、処理中にアブレーションまたは透明性を変化させることができ、透明および不透明領域を有するマスクを形成する。マスクの透明領域の下で、感光層は、照射中に溶解度および/または流動性の変化を受ける。この変化は、1つ以上の後続のステップにおいて感光層の一部を除去することによってレリーフを生成するために使用される。溶解度および/または流動性の変化は、光誘起重合および/または架橋によって、照射された領域をより溶解しにくくすることによって達成されてもよい。他の場合では、電磁放射線は、照射された領域をより溶解しやすくする結合部の破壊または保護基の分割を生じさせることができる。好ましくは、光誘起架橋および/または重合を使用するプロセスが、使用される。
【0061】
本発明の原理は特定の実施形態に関連して上記に記載されているが、この説明は単なる例としてなされたものであり、添付の特許請求の範囲によって決定される保護範囲の限定としてではないことを理解されたい。

図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
【国際調査報告】