IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-16
(54)【発明の名称】ビタミンAの生成方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 403/12 20060101AFI20230509BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20230509BHJP
   A61K 31/22 20060101ALN20230509BHJP
【FI】
C07C403/12 CSP
A61P3/02 102
A61K31/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554204
(86)(22)【出願日】2021-03-22
(85)【翻訳文提出日】2022-11-04
(86)【国際出願番号】 EP2021057243
(87)【国際公開番号】W WO2021197890
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】20167019.7
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ボンラス, ワーナー
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー, マーク‐アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ウェステンベルグ, ベッティーナ
(72)【発明者】
【氏名】ジマーマン, ヴィクター
【テーマコード(参考)】
4C206
4H006
【Fターム(参考)】
4C206AA04
4C206DB03
4C206DB04
4C206KA01
4C206ZC23
4H006AA01
4H006AA02
4H006AB84
4H006AC25
4H006BB11
4H006BB24
4H006BC10
4H006BC11
4H006BD70
4H006UC12
(57)【要約】
本発明は、ビタミンA及び/又はその誘導体の生成のための新規な方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(III)
【化1】

(式中、Rは、H若しくは-(CO)-(CHCH(ここで、nは、0~14の値を有する)であるか、又は
Rは、-X(C1~4アルキル)若しくは-X(C(ここで、Xは、Si又はGeである)であるか、又は
Rは、テトラヒドロピラン、イソプロピルメチルエーテル若しくは2-メトキシ-ブチルエーテルである)
の化合物の生成のための方法において、第1のステップ(ステップ(i))において、式(I)
【化2】

(式中、Rは、前記式(III)の化合物について定義されたものと同じものを有する)
の化合物は、熱で処理されて、式(II)
【化3】

(式中、Rは、前記式(III)の化合物について定義されたものと同じものを有する)
の化合物を形成し、前記式(II)の化合物は、その後、除去反応(ステップ(ii))によって式(III)の化合物に変換されることを特徴とする方法。
【請求項2】
ステップ(i)における反応温度は、最大で200℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(i)における反応温度範囲は、50℃~200℃にわたる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(i)における反応温度範囲は、60℃~150℃にわたる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(i)における反応は、少なくとも1つの不活性溶媒中で行われる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記溶媒は、ピリジン、トルエン、キシレン、THF、メチルTHF及びエーテルからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(i)の工程は、大気圧で行われ得る、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(ii)における反応温度は、最大で200℃である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(ii)における反応温度範囲は、50℃~200℃にわたる、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(ii)における反応温度範囲は、60℃~150℃にわたる、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(ii)における前記反応は、少なくとも1つの不活性溶媒中で行われる、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記溶媒は、ピリジン、トルエン、キシレン、THF、メチルTHF及びエーテルからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(i)における前記反応は、大気圧で行われる、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(i)及び(ステップ(ii)は、ステップ(i)の反応物を単離することなく、同じ反応条件を使用する1ポット反応として行われる、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
式(II)
【化4】

(式中、
Rは、H若しくは-(CO)-(CHCH(ここで、nは、0~14の値を有する)であるか、又は
Rは、-X(C1~4アルキル)若しくは-X(C(ここで、Xは、Si又はGeである)であるか、又は
Rは、テトラヒドロピラン、イソプロピルメチルエーテル若しくは2-メトキシ-ブチルエーテルである)
の化合物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、ビタミンA及び/又はその誘導体の生成のための新規な方法に関する。
【0002】
ビタミンA又はビタミンアセテートなどのその誘導体
【化1】

は、多数の用途のために重要な成分である。ビタミンAは、例えば、視覚プロセス、遺伝子転写、免疫機能、骨代謝、造血、皮膚及び細胞健康並びに酸化防止機能などの体内での様々な機能において役割を果たす。
【0003】
ビタミンA(及びその誘導体)の重要性及びそれらの合成の複雑さのため、改善された生成方法が常に必要とされている。
【0004】
本発明の目的は、ビタミンA又はその誘導体の新規な興味深い合成を見出すことであった。この目的は、以下に開示及び記載される合成によって達成された。
【0005】
ビタミンA及び/又はその誘導体を得るための新規な合成は、以下のスキームから見ることができる。
【0006】
以下のスキームは、ビタミンA(又はその誘導体)を生成することがどのように得られ得るかを示す。
【化2】

式中、
Rは、H若しくは-(CO)-(CHCH(ここで、nは、0~14、好ましくは0~10、より好ましくは0又は1、最も好ましくは1の値を有する)であるか、又は
Rは、-X(C1~4アルキル)若しくは-X(C(ここで、Xは、Si又はGeである)であるか、又は
Rは、テトラヒドロピラン、イソプロピルメチルエーテル若しくは2-メトキシ-ブチルエーテルである。
【0007】
したがって、本発明は、式(III)
【化3】

(式中、Rは、H若しくは-(CO)-(CHCH(ここで、nは、0~14の値を有する)であるか、又は
Rは、-X(C1~4アルキル)若しくは-X(C(ここで、Xは、Si又はGeである)であるか、又は
Rは、テトラヒドロピラン、イソプロピルメチルエーテル若しくは2-メトキシ-ブチルエーテルである)
の化合物の生成のための方法(P)において、第1のステップ(ステップ(i))において、式(I)
【化4】

(式中、Rは、式(III)の化合物について定義されたものと同じものを有する)
の化合物は、熱で処理されて、式(II)
【化5】

(式中、Rは、式(III)の化合物について定義されたものと同じものを有する)
の化合物を形成し、式(II)の化合物は、その後、除去反応(ステップ(ii))によって式(III)の化合物に変換されることを特徴とする方法(P)に関する。
【0008】
したがって、本発明は、RがH又は-(CO)-(CHCH(ここで、nは、0~10の値を有する)である方法(P)である方法(P’)に関する。
【0009】
したがって、本発明は、RがH又は-(CO)-(CHCH(ここで、nは、0又は1の値を有する)である方法(P)である方法(P’’)に関する。
【0010】
したがって、本発明は、RがH又は-(CO)-(CH)CHである方法(P)である方法(P’’’)に関する。
【0011】
したがって、本発明は、Rが-X(C1~4アルキル)又は-X(C(ここで、Xは、Si又はGeである)である方法(P)である方法(P’’’’)に関する。
【0012】
したがって、本発明は、Rがテトラヒドロピラン、イソプロピルメチルエーテル又は2-メトキシ-ブチルエーテルである方法(P)である方法(P’’’’’)に関する。
【0013】
式(I)、(II)及び(III)の化合物は、いくつかのジアステレオマー型を有する。また、明白に示されない場合、これらの形態の全てがこれらの化合物のマーカッシュ式によって全て特許請求及び開示される。
【0014】
新規な合成は、2つのステップ(ステップ(i)及びステップ(ii))を含む。
【0015】
以下では、両方のステップについてより詳細に議論する。
【0016】
[ステップ(i)]
第1のステップは、加熱によって行われる式(I)の化合物の開環反応である。
【0017】
ステップ(i)で使用される反応温度は、通常、最大で200℃である。通常且つ好ましくは、ステップ(i)における反応温度範囲は、50℃~200℃、好ましくは60℃~150℃にわたる。
【0018】
したがって、本発明は、ステップ(i)における反応温度が最大で200℃である方法(P)、(P’)、(P’’)、(P’’’)、(P’’’’)又は(P’’’’’)である方法(P1)に関する。
【0019】
したがって、本発明は、ステップ(i)における反応温度範囲が50℃~200℃にわたる方法(P)、(P’)、(P’’)、(P’’’)、(P’’’’)又は(P’’’’’)である方法(P1’)に関する。
【0020】
したがって、本発明は、ステップ(i)における反応温度範囲が60℃~150℃にわたる方法(P)、(P’)、(P’’)、(P’’’)、(P’’’’)又は(P’’’’’)である方法(P1’’)に関する。
【0021】
任意選択的に、DABCO、ピリジン、ピコリン、第三級アミン塩基、例えばEtN、(ブチル)N及びジメチルアミノピリジンなどの窒素含有塩基を添加することが可能である。
【0022】
したがって、本発明は、本発明による方法が窒素含有塩基の存在下で行われる方法(P)、(P’)、(P’’)、(P’’’)、(P’’’’)、(P’’’’’)、(P1’)又は(P1’’)である方法(P2)に関する。
【0023】
したがって、本発明は、窒素含有塩基が、DABCO、ピリジン、ピコリン、第三級アミン塩基からなる群から選択される方法(P2)である方法(P2’)に関する。
【0024】
したがって、本発明は、窒素含有塩基が、DABCO、ピリジン、ピコリン、EtN、(ブチル)N及びジメチルアミノピリジンからなる群から選択される方法(P2)である方法(P2’’)に関する。
【0025】
ステップ(i)の反応は、通常、少なくとも1つの不活性溶媒中で行われる。通常、少なくとも1つの極性の非プロトン性溶媒、例えばピリジン、トルエン、キシレン、THF、メチルTHF又はエーテル(例えば、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン及びクラウンエーテル)である。
【0026】
したがって、本発明は、ステップ(i)における反応が少なくとも1つの不活性溶媒中で行われる方法(P)、(P’)、(P’’)、(P’’’)、(P’’’’)、(P’’’’’)、(P1)、(P1’)、(P1’’)、(P2)、(P2’)又は(P2’’)である方法(P3)に関する。
【0027】
したがって、本発明は、ステップ(i)における反応が、ピリジン、トルエン、キシレン、THF、メチルTHF又はエーテルからなる群から選択される少なくとも1つの不活性溶媒中で行われる方法(P3)である方法(P3’)に関する。
【0028】
したがって、本発明は、ステップ(i)における反応が、ピリジン、トルエン、キシレン、THF、メチルTHF、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン及びクラウンエーテルからなる群から選択される少なくとも1つの不活性溶媒中で行われる方法(P3)である方法(P3’’)に関する。
【0029】
ステップ(i)の工程は、大気圧において且つ昇圧下又は減圧下で行われ得る。
【0030】
したがって、本発明は、ステップ(i)における反応が大気圧で行われる方法(P)、(P’)、(P’’)、(P’’’)、(P’’’’)、(P’’’’’)、(P1)、(P1’)、(P1’’)、(P2)、(P2’)、(P2’’)、(P3)、(P3’)又は(P3’’)である方法(P4)に関する。
【0031】
したがって、本発明は、ステップ(i)における反応が昇圧下で行われる方法(P)、(P’)、(P’’)、(P’’’)、(P’’’’)、(P’’’’’)、(P1)、(P1’)、(P1’’)、(P2)、(P3)、(P3’)又は(P3’’)である方法(P4’)に関する。
【0032】
したがって、本発明は、ステップ(i)における反応が減圧下で行われる方法(P)、(P’)、(P’’)、(P’’’)、(P’’’’)、(P’’’’’)、(P1)、(P1’)、(P1’’)、(P2)、(P2’)、(P3)又は(P3’)である方法(P4’’)に関する。
【0033】
ステップ(i)で得られる反応生成物(式(II)の化合物)
【化6】

(式中、Rは、上記の式(III)の化合物について定義されたものと同じものを有する)
を単離することができる。
【0034】
式(II)の化合物は、新規である。
【0035】
したがって、本発明は、式(II)
【化7】

(式中、
Rは、H若しくは-(CO)-(CHCH(ここで、nは、0~14の値を有する)であるか、又は
Rは、-X(C1~4アルキル)若しくは-X(C(ここで、Xは、Si又はGeである)であるか、又は
Rは、テトラヒドロピラン、イソプロピルメチルエーテル若しくは2-メトキシ-ブチルエーテルである)
の化合物に関する。
【0036】
したがって、本発明は、式(II)
【化8】

(式中、
Rは、H若しくは-(CO)-(CHCH(ここで、nは、0~10の値を有する)であるか、又は
Rは、-X(C1~4アルキル)若しくは-X(C(ここで、Xは、Si又はGeである)であるか、又は
Rは、テトラヒドロピラン、イソプロピルメチルエーテル若しくは2-メトキシ-ブチルエーテルである)
の化合物に関する。
【0037】
したがって、本発明は、式(II)
【化9】

(式中、
Rは、H若しくは-(CO)-(CHCH(ここで、nは、0又は1である)であるか、又は
Rは、-X(C1~4アルキル)若しくは-X(C(ここで、Xは、Si又はGeである)であるか、又は
Rは、テトラヒドロピラン、イソプロピルメチルエーテル若しくは2-メトキシ-ブチルエーテルである)
の化合物に関する。
【0038】
したがって、本発明は、式(II)
【化10】

(式中、
Rは、H若しくは-(CO)-(CH)CHであるか、又は
Rは、-X(C1~4アルキル)若しくは-X(C(ここで、Xは、Si又はGeである)であるか、又は
Rは、テトラヒドロピラン、イソプロピルメチルエーテル若しくは2-メトキシ-ブチルエーテルである)
の化合物に関する。
【0039】
好ましい化合物は、式(IIa)及び(IIb)
【化11】

の1つである。
【0040】
したがって、本発明は、式(IIa)の化合物及び式(IIb)の化合物
【化12】

にも関する。
【0041】
[ステップ(ii)]
第2のステップは、式(III)の化合物を導く除去反応である。
【0042】
ステップ(ii)は、通常、高温で行われる。
【0043】
ステップ(ii)で使用される反応温度は、通常、最大で200℃である。通常且つ好ましくは、ステップ(ii)における反応温度範囲は、50℃~200℃、好ましくは60℃~150℃にわたる。
【0044】
したがって、本発明は、ステップ(ii)における反応温度が最大で200℃である方法(P)、(P’)、(P’’)、(P’’’)、(P’’’’)、(P’’’’’)、(P1)、(P1’)、(P1’’)、(P2)、(P2’)、(P3)、(P3’)、(P4)、(P4’)又は(P4’’)である方法(P5)に関する。
【0045】
したがって、本発明は、ステップ(ii)における反応温度範囲が50℃~200℃にわたる方法(P5)である方法(P5’)に関する。
【0046】
したがって、本発明は、ステップ(ii)における反応温度範囲が60℃~150℃にわたる方法(P5)である方法(P5’’)に関する。
【0047】
ステップ(ii)の反応は、通常、少なくとも1つの不活性溶媒中で行われる。通常、少なくとも1つの極性の非プロトン性溶媒、例えばピリジン、トルエン、キシレン、THF、メチルTHF又はエーテル(例えば、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン及びクラウンエーテル)である。
【0048】
したがって、本発明は、ステップ(i)における反応が少なくとも1つの不活性溶媒中で行われる方法(P)、(P’)、(P’’)、(P’’’)、(P’’’’)、(P’’’’’)、(P1)、(P1’)、(P1’’)、(P2)、(P2’)、(P3)、(P3’)、(P4)、(P4’)、(P4’’)、(P5)、(P5’)又は(P5’’)である方法(P6)に関する。
【0049】
したがって、本発明は、ステップ(ii)における反応が、ピリジン、トルエン、キシレン、THF、メチルTHF又はエーテルからなる群から選択される少なくとも1つの不活性溶媒中で行われる方法(P6)である方法(P6’)に関する。
【0050】
したがって、本発明は、ステップ(ii)における反応が、ピリジン、トルエン、キシレン、THF、メチルTHF、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン及びクラウンエーテルからなる群から選択される少なくとも1つの不活性溶媒中で行われる方法(P6)である方法(P6’’)に関する。
【0051】
ステップ(ii)の工程は、大気圧において又は昇圧下若しくは減圧下で行われ得る。
【0052】
したがって、本発明は、ステップ(i)における反応が大気圧で行われる方法(P)、(P’)、(P’’)、(P’’’)、(P’’’’)、(P’’’’’)、(P1)、(P1’)、(P1’’)、(P2)、(P2’)、(P3)、(P3’)、(P4)、(P4’)、(P4’’)、(P5)、(P5’)、(P6)、(P6’)又は(P6’’)である方法(P7)に関する。
【0053】
したがって、本発明は、ステップ(i)における反応が昇圧下で行われる方法(P)、(P’)、(P’’)、(P’’’)、(P’’’’)、(P’’’’’)、(P1)、(P1’)、(P1’’)、(P2)、(P2’)、(P3)、(P3’)、(P4)、(P4’)、(P4’’)、(P5)、(P5’)、(P6)、(P6’)又は(P6’’)である方法(P7’)に関する。
【0054】
したがって、本発明は、ステップ(i)における反応が減圧下で行われる方法(P)、(P’)、(P’’)、(P’’’)、(P’’’’)、(P’’’’’)、(P1)、(P1’)、(P1’’)、(P2)、(P2’)、(P3)、(P3’)、(P4)、(P4’)、(P4’’)、(P5)、(P5’)、(P6)、(P6’)又は(P6’’)である方法(P7’’)に関する。
【0055】
好ましい実施形態として、ステップ(i)及びステップ(ii)は、ステップ(i)の反応生成物を単離することなく、同じ反応条件を使用する1ポット反応として行われる。
【0056】
両方のステップは、連続的又は断続的に行われ得る。
【0057】
したがって、本発明は、ステップ(i)及びステップ(ii)に関して同じ溶媒が使用され、同じ温度及び同じ圧力が適用される、式(III)の化合物の生成の方法に関する。
【0058】
これを1ステップ反応として考えることができる。
【0059】
出発材料(式(I)の化合物)は、以下に記載される方法によって生成することができる。
【0060】
式(I)
【化13】

(式中、
Rは、H若しくは-(CO)-(CHCH(ここで、nは、0~14、好ましくは0~10、より好ましくは0又は1、最も好ましくは1の値を有する)であるか、又は
Rは、-X(C1~4アルキル)若しくは-X(C(ここで、Xは、Si又はGeである)であるか、又は
Rは、テトラヒドロピラン、イソプロピルメチルエーテル若しくは2-メトキシ-ブチルエーテルである)
の化合物は、式(IV)
【化14】

の化合物を出発材料として使用することによって生成され、これは、式(V)
【化15】

(式中、Rは、式(I)の化合物について定義されたものと同じものを有する)
の化合物と反応される。
【0061】
式(IV)の化合物を得る方法は、従来技術(例えば、Desai et al.Tetrahedron,1992,48,481-490又はKienzle et al.Helvetica Chimica Acta,1975,58,27-40)から知られている。
【0062】
式(I)の化合物を生成する方法は、通常、Schlesinger塩基、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、リチウムジイソプロピルアミド、n-ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、tert.-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、金属アミド(Na、K及びCsなどの金属との)、ヘキサメチルジシラザンリチウム、金属水素化物(Na、Mg、K及びCsなどの金属との)、金属水酸化物(Na、K及びCsなどの金属との)、金属アルコキシド(Na、K及びCsなどの金属との)又はヘキサメチルジシラザンナトリウムなどの強塩基の存在下で行われる。
【0063】
式(I)の化合物を生成する方法は、通常、不活性溶媒中で行われる。好ましくは、溶媒は、極性の非プロトン性溶媒である。より好ましくは、溶媒は、ピリジン、トルエン、キシレン、THF、メチルTHF又はエーテル、例えばジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン及びクラウンエーテルからなる群から選択される。
【0064】
1つの溶媒が非極性溶媒(例えば、ヘプタン、n-ペンタン及び他の炭化水素)でもあり得る、溶媒の混合物も可能である。
【0065】
式(I)の化合物を生成する方法は、通常、低温で行われる。通常、-100℃~25℃の温度範囲、好ましくは-95℃~5℃の温度範囲である。
【0066】
式(IV)及び式(V)の化合物である、式(I)の化合物を生成するための出発材料を等モル量で使用することができる。しかし、1つの出発材料を過剰量で使用することも可能である。通常、式(IV)の化合物対式(V)の化合物の等モル比は、1:2~2:1にわたる。
【0067】
以下の実施例は、本発明を例示するのに役立つ。温度は、℃単位で示され、全ての百分率は、重量に関連する。
【0068】
[実施例]
[実施例1:(2E,5E,7E)-4-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ノナ-2,5,7-トリエン-1-イルアセテート(式(II)の化合物)の調製]
(E)-4-ヒドロキシ-3-メチル-4-(4-メチル-1,1-ジオキシド-5-((2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)メチル)-2,5-ジヒドロチオフェン-2-イル)ブタ-2-エン-1-イルアセテート[I](55mg、0.13ミリモル;1.0当量)及びピリジン(3.0mL)をアルゴン雰囲気下において、マグネチックスターラー及び冷却管を備えた乾燥させた二ツ口丸底フラスコ中に配置した。反応混合物を5時間にわたり100℃まで加熱した。全ての揮発性物質を減圧下(50℃、5mbar)で蒸発させ、生成物(43mg)(収率=82%)を得た。
【0069】
[実施例2:ビタミンA誘導体レチニルアセテートの合成]
(E)-4-ヒドロキシ-3-メチル-4-(4-メチル-1,1-ジオキシド-5-((2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)メチル)-2,5-ジヒドロチオフェン-2-イル)ブタ-2-エン-1-イルアセテート(実施例1から得られた生成物)(263mg、0.6ミリモル;1.0当量)及び乾燥トルエン(5.0mL)をアルゴン雰囲気下において、マグネチックスターラー及び冷却管を備えた乾燥させた二ツ口丸底フラスコ中に配置した。反応混合物を2時間にわたり、還流するまで加熱した。全ての揮発性物質を減圧下(40℃、5mbar)で蒸発させ、71%の収率で生成物を得た。
【0070】
[実施例3:レチニルプロピオネートの調製]
3-メチル-2-((2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)メチル)-2,5-ジヒドロチオフェン1,1-ジオキシド(310mg、1.1ミリモル;1.0当量)、(E)-3-メチル-4-オキソブタ-2-エン-1-イルプロピオネート(190mg、1.2ミリモル;1.1当量)及び乾燥トルエン(2.0mL)をアルゴン雰囲気下において、乾燥させた二ツ口丸底フラスコ中に配置した。反応混合物を-76℃まで冷却した。リチウムイドドプロピルアミド(1.2mL、1.2ミリモル、1.1当量、テトラヒドロフラン/ヘキサン中1M、d=0.719g/mL)を7分間かけて添加した。反応混合物を7分間にわたり-76℃において撹拌した。その後、冷却浴を取り外し、半飽和塩化アンモニウム溶液(5mL)を添加した。トルエン(10mL)を用いて、反応混合物を希釈及び抽出した。トルエン(10mL)を用いて、水性層を分離及び抽出した。水(2×10mL)及び飽和塩化ナトリウム溶液(1×10mL)を用いて、有機層を洗浄した。脱脂綿栓を通して、組み合わせた有機層を濾過した。全ての揮発性物質を40℃(5mbar)で蒸発させた。
【0071】
アルゴン雰囲気下において、乾燥させた二ツ口丸底フラスコ中に残渣を配置し、マグネチックスターラー、冷却管を用いてトルエン(5mL)中に溶解させた。反応混合物を2時間にわたり、還流するまで加熱した。全ての揮発性物質を減圧下(50℃、5mbar)で蒸発させ、生成物(399mg)(収量=52%)を得た。
【0072】
[実施例4:]
3-メチル-2-((2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)メチル)-2,5-ジヒドロチオフェン1,1-ジオキシド(308mg、1.1ミリモル;1.0当量)、(E)-3-メチル-4-オキソブタ-2-エン-1-イルアセテート(161mg、1.1ミリモル;1.0当量)及び乾燥トルエン(2.0mL)をアルゴン雰囲気下において、マグネチックスターラーを備えた乾燥させた二ツ口丸底フラスコ中に配置した。反応混合物を-76℃まで冷却した。リチウムジイドプロピルアミド(1.2mL、1.2ミリモル、1.1当量、テトラヒドロフラン/ヘキサン中1M、d=0.719g/mL)を8分間かけて滴下して添加した。反応物を7分間、-76℃において撹拌した。その後、冷却浴を取り外し、半飽和塩化アンモニウム溶液(5mL)を添加した。トルエン(10mL)を用いて、反応混合物を希釈した。トルエン(10mL)を用いて、水性層を分離及び抽出した。水(2×10mL)及び飽和塩化ナトリウム溶液(10mL)を用いて、有機層を洗浄した。脱脂綿栓を通して、組み合わせた有機層を濾過した。全ての揮発性物質を40℃(5mbar)で蒸発させた。
【0073】
アルゴン雰囲気下において、乾燥させた二ツ口丸底フラスコ中に残渣を配置し、マグネチックスターラーを用いてトルエン(5mL)中に溶解させた。反応混合物を1時間にわたり、還流するまで加熱した。全ての揮発性物質を減圧下(40℃、5mbar)で蒸発させ、精製によって収率34%で生成物が得られた。
【国際調査報告】