(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-16
(54)【発明の名称】ダイナモ電気回転機械の回転子、回転子を備えたダイナモ電気機械、および、回転子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 17/16 20060101AFI20230509BHJP
H02K 15/02 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
H02K17/16
H02K15/02 J
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022555692
(86)(22)【出願日】2021-02-17
(85)【翻訳文提出日】2022-11-08
(86)【国際出願番号】 EP2021053883
(87)【国際公開番号】W WO2021185522
(87)【国際公開日】2021-09-23
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(71)【出願人】
【識別番号】521219051
【氏名又は名称】ヴァレオ、シーメンス、イーオートモーティブ、ジャーマニー、ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】VALEO SIEMENS EAUTOMOTIVE GERMANY GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ビュットネル,マリオ
(72)【発明者】
【氏名】ビュットネル,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】キルヒナー,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルムート,マティアス
【テーマコード(参考)】
5H013
5H615
【Fターム(参考)】
5H013LL02
5H013MM02
5H615AA01
5H615BB02
5H615BB06
5H615BB14
5H615PP03
5H615SS12
5H615SS19
5H615SS24
(57)【要約】
本発明は、ダイナモ電気回転機械(10)の回転子(11)に関する。この回転子は、回転子軸線(6)に対して同心に配置された1つの回転子コア(4)を有し、回転子コア(4)は複数のスロット(3)を有し、スロット(3)は少なくとも1つの導電性材料で充填されており、スロット(3)の前方の軸端部(8)に、回転子軸線(6)に対して同心に配置された前方リング(2)を有し、前方リング(2)は少なくとも1つの導電性材料を有しており、スロットの後方の軸端部(9)に、回転子軸線(6)に対して同心に配置された後方リング(2)を有し、後方リング(2)は少なくとも1つの導電性材料を有しており、前方リング(2)および/または後方リング(2)の、回転子コア(3)とは反対側は、少なくとも部分的に、軸方向においてリング(2)の外周部(21)から内周部(22)へ向けて傾斜角(α)で傾斜している傾斜部を有しており、少なくとも1つの支持要素(1)を有し、支持要素(1)は、少なくとも部分的にリング(2)と形状固定されて接続されているように、形成されている。本発明は、さらに、ダイナモ電気回転機械(10)、ならびに、回転子の製造方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイナモ電気回転機械(10)の回転子(11)であって、
- 回転子軸線(6)に対して同心に配置された1つの回転子コア(4)を有し、前記回転子コアは複数のスロット(3)を有し、前記スロット(3)は少なくとも1つの導電性材料で充填されており、
- 前記スロット(3)の前方の軸端部(8)に、前記回転子軸線(6)に対して同心に配置された前方リング(2)を有し、前記前方リング(2)は、少なくとも1つの導電性材料を有しており、
- 前記スロット(3)の後方の軸端部(9)に、前記回転子軸線(6)に対して同心に配置された後方リング(2)を有し、前記後方リング(2)は、少なくとも1つの導電性材料を有しており、
前記前方リング(2)および/または前記後方リング(2)の、前記回転子コア(3)とは反対側の面は、少なくとも部分的に、軸方向において前記リング(2)の外周部(21)から内周部(22)へ向けて、傾斜角(α)で傾斜している傾斜部を有しており、
- 少なくとも1つの支持要素(1)を有し、前記支持要素(1)は、少なくとも部分的に前記リング(2)と形状固定されて接続されているように、形成されている、
回転子(11)。
【請求項2】
請求項1に記載の回転子(11)であって、前記支持要素(1)が、前記リング(2)と向かい合う面に、少なくとも1つの、軸方向(7)において外周部から内周部に向けて前記傾斜角(α)に対する錯角である傾斜錯角(α´)で傾斜している傾斜部を有する部分、を有する、回転子(11)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の回転子(11)であって、前記傾斜角(α)が3°~30°の値を有する、回転子(11)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の回転子(11)であって、前記支持要素(1)が、800N/mm
2から1200N/mm
2の間の、特には1000N/mm
2の、引張強度の材料を有する、回転子(11)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の回転子(11)であって、前記支持要素(1)が鋼を有する、回転子(11)。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の回転子(11)であって、前記前方リング(2)および/または前記後方リング(2)の、前記回転子コア(4)とは反対側の面が、軸方向において前記リング(2)の外周部から内周部に向けて第1の部分傾斜角(β)で傾斜する第1の部分傾斜部を有する少なくとも1つの第1の範囲、及び、軸方向において前記リング(2)の外周部から内周部に向けて第2の部分傾斜角(γ)で傾斜する第2の部分傾斜部を有する少なくとも1つの第2の範囲を有し、前記第1の部分傾斜角(β)と前記第2の部分傾斜角(γ)とが異なる、回転子(11)。
【請求項7】
請求項6に記載の回転子(11)であって、前記支持要素(1)は、前記リング(2)と向かい合う面にて、少なくとも1つの第1の範囲を有し、当該第1の範囲は、軸方向において外周部から内周部に向けて、前記第1の部分傾斜角(β)に対する錯角である部分傾斜錯角(β´)で傾斜している傾斜部を有しており、前記支持要素(1)は、前記リング(2)と向かい合う面にて、少なくとも1つの第2の範囲を有し、当該第2の範囲は、軸方向において外周部から内周部に向けて、前記第2の部分傾斜角(γ)に対する錯角である部分傾斜錯角(γ´)で傾斜している傾斜部を有している、ことを特徴とする回転子(11)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の回転子(11)であって、前記支持要素(1)が締まりばめによってシャフト(5)と接続可能である、ことを特徴とする回転子(11)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の回転子(11)であって、前記支持要素(1)が、特にはアンバランスを解消するために、少なくとも1つの切り欠き部および/または少なくとも1つの厚肉部を有する回転子(11)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の回転子(11)を有する、ダイナモ電気回転機械(10)、特には誘導機。
【請求項11】
特には請求項1から9のいずれか1項に記載の、回転子軸線に対して同心に配置された回転子コアを有する、ダイナモ電気回転機械(10)用の、回転子(11)の製造方法であって、前記回転子コア(4)が複数のスロット(3)を有し、以下のステップを有する、すなわち、
-前記回転子コア(3)を準備するステップを有し、
-前記スロット(3)を少なくとも1つの導電性材料で充填するステップを有し、
-前方ないし後方リングを形成するために、前記スロット(3)の前方の軸方向端部(8)および/または後方の軸方向端部(9)に、整形装置を用いて、少なくとも1つの導電性材料を付与するステップを有し、前記整形装置は以下のように設計されており、すなわち、前記前方リング(2)および/または前記後方リング(2)の、前記回転子コア(3)とは反対側の面が、少なくとも部分的に、軸方向において前記リング(2)の外周部から内周部へ向けて傾斜角(α)で傾斜した傾斜部を含むように、設計されており、
-支持要素(1)を圧入するステップを有する、
方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記支持要素(1)が、シャフト(5)に焼き嵌めされる、方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載の方法であって、前記支持要素(1)が、焼き嵌めのために、100~140℃の温度、好ましくは120℃の温度、に加熱される、方法。
【請求項14】
請求項11から13のいずれか1項に記載の方法であって、前記支持要素(1)が軸方向で前記リング(2)に押し付けられる、方法。
【請求項15】
請求項11から14のいずれか1項に記載の方法であって、前記支持要素(1)が、20~40tの接合力、好ましくは30tの接合力、で押し付けられる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイナモ電気回転機械(英:dynamo-electric rotary machine、独:dynamoelektrischen rotatorischen Maschine)の回転子、回転子を備えたダイナモ電気機械(英:dynamo-electric machine、独:dynamoelektrische Maschine)、および、この回転子の製造方法に関する。
【0002】
誘導機の回転子は、往々にして、かご形回転子として製造される。回転子は、この場合、複数のケージバーを備えた1つのケージ、および、ケージバーの各軸方向端部にそれぞれ1つの短絡リング、を有する。しかし、この短絡リングは、材料強度が小さいので、高い回転速度では変形する。
【0003】
特許文献1は、誘導機のかご型回転子の製造方法について記載しており、その方法は、回転子ケージの複数の導体バーを受容するための複数の開口部を有する積層鉄心を準備するステップと、積層鉄心の1端面に短絡リング用の金型部品を位置決めするステップと、複数のバーおよび短絡リングを鋳込むステップと、を含む。この場合、その金型部品は、積層鉄心上で鋳込まれ、短絡リングを安定させるために、かご形回転子に残る。
【0004】
しかしながら、ここでの欠点は、冷却後にはもはや鋳込まれた金型の支持機能がもたらされないことである。短絡リングの材料は冷却中に著しく収縮するので、短絡リングと金型との間に空洞が形成される。その結果、運転中に、遠心力に基づいて短絡リングの変形が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102013218473A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の1つの課題は、短絡リングの安定性を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題の解決策は、請求項1により、もたらされる、すなわち、ダイナモ電気回転機械の回転子であって、
- 回転子軸線に対して同心に配置された1つの回転子コアを有し、この回転子コアは複数のスロットを有し、これらのスロットは少なくとも1つの導電性材料で充填されており、
- 複数のスロットの前方の軸端部に、回転子軸線に対して同心に配置された前方リングを有し、この前方リングは、少なくとも1つの導電性材料を有しており、
- 複数のスロットの後方の軸端部に、回転子軸線に対して同心に配置された後方リングを有し、この後方リングは、少なくとも1つの導電性材料を有しており、
前方リングおよび/または後方リングの、回転子コアとは反対側の面は、少なくとも部分的に、軸方向においてリングの外周部から内周部へ向けて、傾斜角で傾斜している傾斜部を有しており、
- 少なくとも1つの支持要素を有し、この支持要素は、この支持要素が少なくとも部分的にリングと形状固定されて接続されているように、形成されている。
【0008】
課題の解決策は、さらに、請求項10により、もたらされる、すなわち、このような回転子を有する、特には誘導機といった、ダイナモ電気回転機械、によってもたらされる。
【0009】
回転子コアは、好ましくは複数の材料層を有する構造であり、材料層は互いにリベット締めされているか、溶接されているか、押し抜き積層されているか、接着されているか、および/または、焼き付けられている。
【0010】
材料層は、有利には薄片である。しかし、他の種類の材料層も考えられる。
【0011】
この回転子コアは、有利には積層鉄心である。
【0012】
スロットは、好ましくは閉じられている。しかし、ハーフオープンのスロット、および、オープンのスロット、も可能である。
【0013】
充填されたスロットは、短絡ケージのケージバーである。リングは、短絡ケージの短絡リングである。
【0014】
好ましくは、スロットは、ダイカストによって、導電性材料で充填される。好ましくは、前方リングおよび/または後方リングは、ダイカストによって、導電性材料で形成される。
【0015】
代替的に、スロットは、3D印刷を用いて、導電性材料で充填される。代替的に、前方リングおよび/または後方リングは、3D印刷を用いて、導電性材料で形成される。しかし、他の方法も可能である。
【0016】
代替的に、引き抜きバー、例えば銅バー、はスロットに挿入され得て、それぞれのリングは、例えばダイカストまたは3D印刷によって、形成される。
【0017】
有利には、リングは、充填されたスロットと、材料固定されて接続されている。
【0018】
好ましくは、導電性材料は銅またはアルミニウムである。このことは、結果として非常に高い効率を達成することができるので、有利である。しかし、銅合金やアルミニウム合金も可能である。
【0019】
アルミニウムは、有利には、温度に依存する、20~60N/mm2の引張強度を有している。
【0020】
リングおよび/またはスロットがインサート部を有することも、考えられる。これらのインサート部は、非導電性材料を有していてもよい。
【0021】
端面に関しては、リングは、回転方向に2つ以上の傾斜角を有することができる。
【0022】
有利には、リングは回転子コアに接触しており、隙間がない。すなわち、有利には、リングは最後の材料層に、好ましくは最後の薄片に、接触している、または、複数の材料層を積層することを可能にする締付けリングに、当接している。
【0023】
有利な実施形態では、支持要素は、リングに向かい合う側の面に、少なくとも1つの、以下のような部分、を有する、すなわち、軸方向において外周部から内周部に向けて、傾斜角に対する錯角である傾斜錯角を有する傾斜部を有している部分、を有する。
【0024】
その結果、リングと支持要素とは、形状固定によって、良好に接続可能である。
【0025】
スロットは、スキューしていても、スキューしていなくてもよい。
【0026】
有利な実施形態では、傾斜角の値は3°~30°である。
【0027】
この値は、短絡リングの最適な安定化が達成され得るので、有利である。
【0028】
好ましくは、リング内におよび/またはスロット内に存在する材料は、支持要素内に存在する材料よりも、より大きな導電率を有する。
【0029】
好ましくは、支持要素内に存在する材料は、リング内におよび/またはスロット内に存在する材料よりも、より大きな機械的な引張強度を有する。
【0030】
有利な実施形態では、支持要素は、材料の800N/mm2から1200N/mm2の間の引張強度の、特には1000N/mm2の引張強度の、材料を有する。
【0031】
上述の引張強度は、回転子を、高速回転範囲で、回転子外径が100~200mmの場合、例えば毎分1500~3000回転(回転/分)の範囲で使用することを可能にする。
【0032】
有利な実施形態では、この支持要素は鋼を含んでいる。こののためには、例えば、クロムおよび/またはニッケルおよび/またはモリブデンを含む調質鋼(英:quenched and tempered steel、独:Verguetungsstahl)が適している。さらに、クロムおよび/またはニッケルおよび/またはモリブデンを有する表面硬化鋼(英:case-hardened steel、独:Einsatzstahl)も好適である。
【0033】
支持要素はチタンを含んでいてもよい。
【0034】
鋼は、その高い強度、良好な焼入れ可能性、剛性および破断伸びに基づき、格別に良好に、適している。さらに、鋼は安価であり、熱間または冷間成形が可能である。
【0035】
有利な実施形態では、前方リングおよび/または後方リングの、回転子コアとは反対側の面は、少なくとも1つの第1の範囲および少なくとも1つの第2の範囲を有しており、前者の第1の部分は、軸方向においてリングの外周部から内周部に向けて第1の部分傾斜角で傾斜する第1の部分傾斜部を有しており、後者の第2の部分は、軸方向においてリングの外周部から内周部に向けて第2の部分傾斜角で傾斜する第2の部分傾斜部を有しており、第1の部分傾斜角と第2の部分傾斜角は異なっている。
【0036】
有利な実施形態では、支持要素は、リング側の面に、少なくとも1つの第1の範囲を有し、当該第1の部分は、軸方向において外周部から内周部に向けて、前記第1の部分傾斜角に対する錯角である部分傾斜錯角で傾斜した傾斜部を有しており、支持要素は、リング側の面に、少なくとも1つの第2の部分を有し、当該第2の部分は、軸方向において外周部から内周部に向けて、第2の部分傾斜角に対する錯角である部分傾斜錯角で傾斜した傾斜部を有している。
【0037】
好ましくは、リングおよび支持要素の少なくとも以下の範囲、すなわち、運転中に遠心力が作用する範囲、は係合する。
【0038】
この実施形態は、半径方向成分のより多く受け止めることを可能にする。
【0039】
有利な実施形態では、支持要素は締まりばめ(英:interference fit、独:Presspassung)によってシャフトと接続可能である。
【0040】
このことは、支持要素がバランス調整要素としても働くことができるので、有利である。
【0041】
代替的に、支持要素は固定リングを用いてもシャフトと接続可能である。この場合、例えば、固定リングは、例えば締まりばめにより、シャフトと接続可能であり、また、支持要素は、リングと固定リングとの間で、クランプされる。他の実施形態も考えられる。
【0042】
有利な実施形態では、支持要素は、特にはアンバランスを解消するために、少なくとも1つの切り欠き部および/または少なくとも1つの厚肉部を有する。
【0043】
切り欠き部は、例えば穴であり、厚肉部は、特定箇所での例えば材料付加部である。
【0044】
負の重み付けにより得られる切り欠き部は、調整穴(英:boring out、独:Abbohrung)とも称される。これは格別に有利であり、その理由は、アンバランスを計算し、これに応じた直径および深さを有する穴あけ加工を実施することができることにより、このような回転子のバランス調整を、自動化して行うことができるからである。
【0045】
厚肉部は、例えば溶接プロセスによって、例えば予め製作されたシリンダの摩擦溶接によって、達成される。この場合、好適には、支持要素及び例えば予め製作されたシリンダは、圧力を加えられた状態で、互いに相対的に動かされ、その際、支持要素及びシリンダは、接触面で互いに接触している。発生する摩擦により、材料の加熱と可塑化が生じる。
【0046】
この切り欠き部は、回転子の後部通風のためのチャネルであってもよい。
【0047】
さらに、上述した課題の解決策は、請求項11により、獲得される、すなわち、回転子軸線に対して同心に配置された回転子コアを有するダイナモ電気回転機械用の回転子の製造方法であって、回転子コアが複数のスロットを有し、以下のステップを有する、すなわち、
-回転子コアを準備するステップを有し、
-スロットを少なくとも1つの導電性材料で充填するステップを有し、
-前方ないし後方リングを形成するために、スロットの前方および/または後方の軸方向端部に、整形装置を用いて、少なくとも1つの導電性材料を付与するステップを有し、整形装置は以下のように設計されており、すなわち、前方および/または後方リングの、回転子コアとは反対側の面が、少なくとも部分的に、軸方向においてリングの外周部から内周部へ向けて傾斜角で傾斜した傾斜部を含むように、設計されており、
-支持要素を圧入するステップを有する、
製造方法によって獲得される。
【0048】
スロットの充填は、有利には、予め製作されたバー、特に銅バー、を使用することにより、または、ダイカスト、例えばアルミニウムダイカスト、により、または、これらの組み合わせにより、達成される。さらに、別のタイプのインサート部を挿入することも考えられる。さらに、3D印刷を使用してのスロットの充填も可能である。
【0049】
リングの形成は、有利には、ダイカスト、例えばアルミニウムダイカスト、により達成される。さらに、例えばアルミニウムまたは他の材料で作られている、インサート部を挿入することも、考えられる。さらに、3D印刷を使用してのリングの形成も可能である。
【0050】
有利な実施形態では、支持要素は、シャフトに焼き嵌めされる。
【0051】
有利な実施形態では、支持要素は、焼き嵌めのために、100~140℃の温度、好ましくは120℃の温度、に加熱される。
【0052】
有利な実施形態では、支持要素は、軸方向でリングへ押し付けられる。
【0053】
有利な実施形態では、支持要素は20~40t、好ましくは30t、の接合力で、押し付けられる。
【0054】
本発明は、かご形回転子(英:squirrel-cage rotors、独:Kurzschlusslaeufer)を有する誘導機(英:asynchronous machines、独:Asynchronmaschinen)に、特に良好に適している。このようなダイナモ電気回転機械は、例えばベンチレータ、ポンプ、コンプレッサ、工作機械、ならびに、電気自動車およびハイブリッド自動車用の駆動装置などの、様々な分野で、使用されている。本発明は、更に、高出力送風機用のモータにも、良好に適している。
【0055】
本発明は、高速回転領域におけるダイナモ電気回転機械に、特に良好に適している。
【0056】
本発明は、純粋な誘導機に適しているが、他のダイナモ電気回転機械、例えばハイブリッド機械、例えば複数の永久磁石を備えた誘導機のようなハイブリッド機械、にも適している。
【0057】
永久磁石を備えた誘導機は、高速回転数までは非同期状態で運転し、その後、同期運転に切り替わる。このことは、これにより高効率および高出力を達成することができるので、有利である。
【0058】
本発明は、短絡リングの変形を危惧する必要なしに90m/sを超える周速で回転子を駆動することができる、という利点を提供する。
【0059】
それどころか、周速150m/sも可能である。回転子の外周部でのこのような周速は、特には産業技術においてならびに電気自動車における駆動において、必要である。
【0060】
以下では、本発明を、図面に示された実施例に基づき、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1】
図1は、本発明による回転子の第1の実施形態を示す。
【
図2】
図2は、当該回転子の第2の実施形態を示す。
【
図3】
図3は、当該回転子の第3の実施形態を示す。
【
図4】
図4は、当該回転子の第4の実施形態を示す。
【
図5】
図5は、当該回転子の第5の実施形態を示す。
【
図7】
図7は、本回転子を備えたダイナモ電気回転機械を示す。
【発明を実施するための形態】
【0062】
図1は、本発明による回転子11の第1の実施形態を示す。
【0063】
図1は、回転子軸線6に対して同心状に配置された回転子コア4を示し、この回転子コア4は複数のスロット3を有し、これらのスロット3は導電性材料で充填されている。
図1は、スロット3の軸方向後方端部9において回転子軸線6に対して同心円状に配置され、導電性材料を有する短絡リング2、を示す。
【0064】
リング2の、回転子コア3とは反対側の面は、同図では、軸方向7においてリング2の外周部21から内周部22へ向かう傾斜角αの傾斜部を有してしている。
【0065】
同図は、少なくとも部分的にリング2と接続されている支持要素1、を示している。回転子コア4並びに支持要素1は、この図ではシャフト5に接している。
【0066】
この支持要素1は、リング2に向かい合う面に、以下のような部分を有している、すなわち、軸方向7において外周部21から内周部22へ向かう、傾斜角αに対する錯角である傾斜錯角α´の傾斜部を有している。傾斜角αはこの図では13°Cの値を有している。好ましくは、傾斜角αの値は、3°Cから30°Cの範囲、特には10°Cから20°Cの範囲、にある。同図は、短絡リング2と支持要素1が半径方向の形状結合部(英:positive engagement、独:Formschluss)があることを示している。
【0067】
本発明は、回転子11、特に誘導機の回転子、に対する速度適合性が増大するという利点を提供する。速度負荷がかかっていても、短絡リングが傾いたり、短絡リング材料が流動したりする恐れはない。
【0068】
支持要素1は、好ましくは軸方向で短絡リング2に押し付けられている。支持要素1は、シャフト5で支持されている。こうして、支持要素1に対する、ひいては短絡リング2に対する、シャフト5の機械的な固定が得られる。
【0069】
図2は、回転子11の第2の実施形態を示す。
図2は、リング2の、回転子コア4とは反対側の面が、少なくとも1つの第1の範囲および少なくとも1つの第2の範囲を有しており、第1の範囲は、軸方向7においてリング2の外周部21から内周部22へ向かう第1の部分傾斜角βの第1の部分傾斜部を有しており、第2の範囲は、軸方向においてリング2の外周部21から内周部22へ向かう第2の部分傾斜角γの第2の部分傾斜部を有しており、この場合、この第1の部分傾斜角βと第2の部分傾斜角γとが、異なる、ことを示している。
【0070】
この図は、部分傾斜角βを有する3つの第1の範囲と、部分傾斜角γを有する2つの第2の範囲とを示している。
【0071】
この図はさらに、支持要素1を示しいる。この図は、支持要素1は、リング2側の面に少なくとも1つの第1の範囲を有し、当該第1の範囲は、軸方向7において外周部21から内周部22へ向かう第1の部分傾斜角βに対する錯角である部分傾斜錯角β′の傾斜部を、有しており、支持要素1は、リング2側の面に少なくとも1つの第2の範囲を有し、当該第2の範囲は、軸方向7において外周部21から内周部22へ向かう第2の部分傾斜角γに対する錯角である部分傾斜錯角γ′の傾斜部を、有している、ことを示している。
【0072】
図中には、部分傾斜角β′を有する3つの第1の範囲、および、部分傾斜角γ′を有する2つの第2の範囲が示されている。
【0073】
本発明のこのような実施形態は、ラジアル力成分(英:radial force component、独:Radialkomponente)をより大きく吸収するのに役立つ。
【0074】
図3は回転子11の第3の実施形態を示す。図示された実施形態は、回転子11の外周部での特に高い周速に適している。180m/sまでの周速が可能である。
【0075】
この図は、支持要素1を示しており、当該支持要素1は、内側の支持ディスク101及び外側の支持装置102を有している。この図では、内側支持ディスク101及び外側支持装置102は、材料接続的に、好ましくは溶接によって、接続されている。
【0076】
好ましくは、支持ディスク101と支持装置102との接続は、外周部にて、または、少なくともその近傍で、行われている。内側の支持ディスク101は、有利には、複数の切り欠き部を有しており、これらの切り欠き部の数は、回転子コア4のスロット3の数に対応している。
【0077】
有利には、内側の支持ディスク101は、リング2の形成時に、取り付けられる。好ましくは、内側の支持ディスク101は、リング2の形成中に、ダイカストを用いて、鋳込まれる。冷却後、外側の支持ディスク102は、特には軸方向の接合力によって、取り付けられる。好ましくは、次いで、溶接が行われる。その結果、回転子11の外周部には溶接シームが存在する。この溶接はオプションである。
【0078】
図4は、回転子11の第4の実施形態を示す。
図1で既に説明した実施形態に加えて、
図4の実施形態は、支持要素1に凹部13を有しており、当該凹部13はアンバランスの解消に利用される。
【0079】
ここでの利点は、バランス調整は、前述のように短絡リングでは行われず、支持要素1で行われることである。したがって、この支持要素1は、バランス調整ディスクとしての機能も、有する。
【0080】
さらに、アンバランスの解消に用いられる支持要素1の厚さを大きくすることも可能である。これはこの図には表されていない。
【0081】
図5は、回転子11の第5の実施形態を示す。この図はチャネル14および15を示しており、当該チャネル14および15は、回転子11の後部通風に用いられる。これを
図6でより詳細に説明する。
【0082】
図6は、端部側から見た
図5の回転子11を示している。これらの2つの図は、チャネル14および15を示しており、当該チャネル14および15は、回転子11の後部通風に用いられる。チャネル14は、例えば鋳造で作ることができる。チャネル15は、支持要素1内に、設けられている。これらの凹部を通って、空気が、回転子11の回転中に、吸い込まれる。これが後部通風に役立つ。
【0083】
支持要素1におけるこれらの凹部を通って、空気が、回転中に、吸い込まれ、当該空気は、短絡リング2の外周部にて、排出される。
【0084】
図7は、この回転子11を備えたダイナモ電気回転機械10を示す。この図は、固定子12、シャフト5および回転子軸線6、を示している。軸方向7で見ると、回転子11は、前方の軸端部8に、支持要素1を有している。さらに、この回転子11は、後方の軸端部9に、支持要素1を有している。
【0085】
図8は、回転子11の製造方法を示しており、当該回転子11は回転子軸線に対して同心に配置された回転子コアを有し、この場合、この回転子コアは複数のスロットを有している。
【0086】
方法ステップS1では、回転子コアの準備が行われる。
【0087】
方法ステップS2では、複数のスロット3への導電性材料の充填が行われる。この場合、スロット3は、予め製作されたバーで充填され得る、または、ダイカストによって充填され得る。予め製作されたバーまたは他のインサートと、ダイカストとの組み合わせも可能である。
【0088】
方法ステップS3では、スロット3の前方の軸端部および/または後方の軸端部に導電性材料を取り付けが行われて、前方ないし後方のリング2を形成する。有利には、これはダイカストによって、行われる。
【0089】
方法ステップS4では、支持要素1の圧入が行われる。この支持要素1は、有利には、圧入行程中に、シャフトに案内される。既に説明したリング2および支持要素1の傾斜によって、特には鋳造された、短絡リング2の真円度からのずれ(英:out-of-round、独:Unrundheit)が、この支持要素1によって補正され、短絡リング2全体の、シャフト5に対する、ひいては回転子鉄心に対する、同心度(英:coaxiality、独:Koaxialitaet)が、改善される。
【0090】
有利には、支持要素1は、シャフトへ焼き嵌めされ、力をかけて短絡リング2へ軸方向に押し付けられる。したがって、支持要素1の好適に軸方向内側を向いた面と、短絡リング2の外側面とが、互いに固定的な状態にある。好ましくは、接合力は、完全な接触を確実にするために、約20~30秒間維持される。有利には、直径が130~170mmの、特に150mmの、短絡リングでは、約30tの接合力が適用される。好ましくは、支持要素は、焼き嵌めのために、約120℃まで加熱される。
【0091】
本発明は、短絡リングのダイカストの際に形成される鋳物表皮が短絡リングを強化する、という利点を提供する。
【0092】
本方法により製造される回転子は、その支持要素の強度に基づいて、遠心力荷重に基づく材料変位のリスクを、著しく低減する。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイナモ電気回転機械(10)の回転子(11)であって、
- 回転子軸線(6)に対して同心に配置された1つの回転子コア(4)を有し、前記回転子コアは複数のスロット(3)を有し、前記スロット(3)は少なくとも1つの導電性材料で充填されており、
- 前記スロット(3)の前方の軸端部(8)に、前記回転子軸線(6)に対して同心に配置された前方リング(2)を有し、前記前方リング(2)は、少なくとも1つの導電性材料を有しており、
- 前記スロット(3)の後方の軸端部(9)に、前記回転子軸線(6)に対して同心に配置された後方リング(2)を有し、前記後方リング(2)は、少なくとも1つの導電性材料を有しており、
前記前方リング(2)および/または前記後方リング(2)の、前記回転子コア(3)とは反対側の面は、少なくとも部分的に、軸方向において前記リング(2)の外周部(21)から内周部(22)へ向けて、傾斜角(α)で傾斜している傾斜部を有しており、
前記傾斜角(α)は3°~30°の値を有し、
- 少なくとも1つの支持要素(1)を有し、前記支持要素(1)は、少なくとも部分的に前記リング(2)と形状固定されて接続されているように、形成されて
おり、前記支持要素(1)は、軸方向で前記リング(2)へ押し付けられており、前記支持要素(1)は、シャフト(5)において支持されており、
前記支持要素(1)の軸方向端部は、前記リング(2)の軸方向端部で終端している、
回転子(11)。
【請求項2】
請求項1に記載の回転子(11)であって、前記支持要素(1)が、前記リング(2)と向かい合う面に、少なくとも1つの、軸方向(7)において外周部から内周部に向けて前記傾斜角(α)に対する錯角である傾斜錯角(α´)で傾斜している傾斜部を有する部分、を有する、回転子(11)。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の回転子(11)であって、前記支持要素(1)が、800N/mm
2から1200N/mm
2の間の、特には1000N/mm
2の、引張強度の材料を有する、回転子(11)。
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか1項に記載の回転子(11)であって、前記支持要素(1)が鋼を有する、回転子(11)。
【請求項5】
請求項1から
4のいずれか1項に記載の回転子(11)であって、前記前方リング(2)および/または前記後方リング(2)の、前記回転子コア(4)とは反対側の面が、軸方向において前記リング(2)の外周部から内周部に向けて第1の部分傾斜角(β)で傾斜する第1の部分傾斜部を有する少なくとも1つの第1の範囲、及び、軸方向において前記リング(2)の外周部から内周部に向けて第2の部分傾斜角(γ)で傾斜する第2の部分傾斜部を有する少なくとも1つの第2の範囲を有し、前記第1の部分傾斜角(β)と前記第2の部分傾斜角(γ)とが異なる、回転子(11)。
【請求項6】
請求項
5に記載の回転子(11)であって、前記支持要素(1)は、前記リング(2)と向かい合う面にて、少なくとも1つの第1の範囲を有し、当該第1の範囲は、軸方向において外周部から内周部に向けて、前記第1の部分傾斜角(β)に対する錯角である部分傾斜錯角(β´)で傾斜している傾斜部を有しており、前記支持要素(1)は、前記リング(2)と向かい合う面にて、少なくとも1つの第2の範囲を有し、当該第2の範囲は、軸方向において外周部から内周部に向けて、前記第2の部分傾斜角(γ)に対する錯角である部分傾斜錯角(γ´)で傾斜している傾斜部を有している、ことを特徴とする回転子(11)。
【請求項7】
請求項1から
6のいずれか1項に記載の回転子(11)であって、前記支持要素(1)が締まりばめによってシャフト(5)と接続可能である、ことを特徴とする回転子(11)。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか1項に記載の回転子(11)であって、前記支持要素(1)が、特にはアンバランスを解消するために、少なくとも1つの切り欠き部および/または少なくとも1つの厚肉部を有する回転子(11)。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか1項に記載の回転子(11)を有する、ダイナモ電気回転機械(10)、特には誘導機。
【請求項10】
請求項1から
8のいずれか1項に記載の、回転子軸線に対して同心に配置された回転子コアを有する、ダイナモ電気回転機械(10)用の、回転子(11)の製造方法であって、前記回転子コア(4)が複数のスロット(3)を有し、以下のステップを有する、すなわち、
-前記回転子コア(3)を準備するステップを有し、
-前記スロット(3)を少なくとも1つの導電性材料で充填するステップを有し、
-前方ないし後方リングを形成するために、前記スロット(3)の前方の軸方向端部(8)および/または後方の軸方向端部(9)に、整形装置を用いて、少なくとも1つの導電性材料を付与するステップを有し、前記整形装置は以下のように設計されており、すなわち、前記前方リング(2)および/または前記後方リング(2)の、前記回転子コア(3)とは反対側の面が、少なくとも部分的に、軸方向において前記リング(2)の外周部から内周部へ向けて傾斜角(α)で傾斜した傾斜部を含
み、前記傾斜角(α)は3°~30°の値を有する、ように、設計されており、
-支持要素(1)を圧入するステップを有
し、前記支持要素(1)は、軸方向で前記リング(2)へ押し付けられ、前記支持要素(1)は、シャフト(5)において支持されており、前記支持要素(1)の軸方向端部は、前記リング(2)の軸方向端部で終端している、
方法。
【請求項11】
請求項
10に記載の方法であって、前記支持要素(1)が、シャフト(5)に焼き嵌めされる、方法。
【請求項12】
請求項
10または
11に記載の方法であって、前記支持要素(1)が、焼き嵌めのために、100~140℃の温度、好ましくは120℃の温度、に加熱される、方法。
【請求項13】
請求項
10から
12のいずれか1項に記載の方法であって、前記支持要素(1)が軸方向で前記リング(2)に押し付けられる、方法。
【請求項14】
請求項
10から
13のいずれか1項に記載の方法であって、前記支持要素(1)が、20~40tの接合力、好ましくは30tの接合力、で押し付けられる方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイナモ電気回転機械(英:dynamo-electric rotary machine、独:dynamoelektrischen rotatorischen Maschine)の回転子、回転子を備えたダイナモ電気機械(英:dynamo-electric machine、独:dynamoelektrische Maschine)、および、この回転子の製造方法に関する。
【0002】
誘導機の回転子は、往々にして、かご形回転子として製造される。回転子は、この場合、複数のケージバーを備えた1つのケージ、および、ケージバーの各軸方向端部にそれぞれ1つの短絡リング、を有する。しかし、この短絡リングは、材料強度が小さいので、高い回転速度では変形する。
【0003】
特許文献1は、固定子またはかご型回転子を備えた誘導機に関するものであり、かご型回転子は、シャフト及び積層鉄心を有している、そして、積層鉄心内には回転子バーが存在している、当該回転子バーは、各エンドプレートの開口部を通って積層鉄心の両方の端部へ案内されており、そして、短絡リングで終端されている。当該短絡リングは、かご型回転子の片側の回転子バーの端部を導電的に接続する。各エンドプレートは、周りを取り囲む突起部を有しており、当該突起部は短絡リングをその外側で少なくとも部分的に形状固定的に覆っており、また、各エンドプレートは、回転子バーの一部分と短絡リングの一部分を含んでいる。
【0004】
特許文献2は、以下のことを示している。回転子は、回転子コア、二次導体短絡リング、導体バー、および回転シャフト、を備えている。二次導体短絡リングの全外周は、補強リングの環状に突出した軒状部で覆われており、当該軒状部は、回転子コアと同様に、圧入によって回転シャフトに固定されている。短絡リングの外周は、補強リングによって、以下のように、補強される、すなわち、短絡リングの変位が抑制され、コア内の導体バーの変位量が短絡リングの変位量と一致できるように、補強される。この方法では、短絡リングと導体バーの間の接続部分に対して過大な応力が作用することがない。これにより、高速回転時のせん断破壊が防がれ得て、そして、回転子コアに使用される材料の遠心破壊によって決定される回転限界までの高速回転が実行され得る。
【0005】
特許文献3では、閉じた短絡リングを有する電気機械用のかご形回転子が提示される。かご型回転子は、端部領域と閉じた短絡リングを有している。短絡リングはその場合、端部領域に配置されている。さらに、端部領域には、固定要素が設けられており、当該固定要素は、端部領域と短絡リングとの間の形状固定を可能にする。
【0006】
特許文献4によれば、誘導機のかご形回転子を製造する方法は、以下のステップを含む、すなわち、回転子かごのバーを収容するための複数の開口部を備えた積層鉄心を提供するステップ、短絡リング用の鋳物を積層鉄心の端面に配置するステップ、及び、バーと短絡リングを鋳造するステップ、を含む。鋳物はその場合、積層鉄心に鋳造され、短絡リングの安定化のために、かご型回転子に残る。
【0007】
特許文献5は、以下のことを開示している。回転子は複数のスロットを備えた積層コアを含み、当該スロットはその内側に形成されており、回転子は複数の回転子バーを含み、当該回転子バーはスロットに挿入されており、回転子は一対のエンドリングを含み、当該エンドリングは組み付けられており回転子バーの対向する端部に固定されており、回転子はロータバーの対向する外端面に組み付け固定された状態の一対のブラケットを含み、回転子はシャフトを含み、当該シャフトは一対のエンドリング内へ挿入されている。
【0008】
特許文献6は、誘導機のかご型回転子の製造方法について記載しており、その方法は、回転子ケージの複数の導体バーを受容するための複数の開口部を有する積層鉄心を準備するステップと、積層鉄心の1端面に短絡リング用の金型部品を位置決めするステップと、複数のバーおよび短絡リングを鋳込むステップと、を含む。この場合、その金型部品は、積層鉄心上で鋳込まれ、短絡リングを安定させるために、かご形回転子に残る。
【0009】
しかしながら、ここでの欠点は、冷却後にはもはや鋳込まれた金型の支持機能がもたらされないことである。短絡リングの材料は冷却中に著しく収縮するので、短絡リングと金型との間に空洞が形成される。その結果、運転中に、遠心力に基づいて短絡リングの変形が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2007/000413号
【特許文献2】特開平2-273059号公報
【特許文献3】国際公開第2014/124762号
【特許文献4】欧州特許出願公開第2849320号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2015/188397号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第102013218473号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明の1つの課題は、短絡リングの安定性を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
課題の解決策は、請求項1により、もたらされる、すなわち、ダイナモ電気回転機械の回転子であって、
- 回転子軸線に対して同心に配置された1つの回転子コアを有し、この回転子コアは複数のスロットを有し、これらのスロットは少なくとも1つの導電性材料で充填されており、
- 複数のスロットの前方の軸端部に、回転子軸線に対して同心に配置された前方リングを有し、この前方リングは、少なくとも1つの導電性材料を有しており、
- 複数のスロットの後方の軸端部に、回転子軸線に対して同心に配置された後方リングを有し、この後方リングは、少なくとも1つの導電性材料を有しており、
前方リングおよび/または後方リングの、回転子コアとは反対側の面は、少なくとも部分的に、軸方向においてリングの外周部から内周部へ向けて、傾斜角で傾斜している傾斜部を有しており、傾斜角(α)は3°~30°の値を有し、
- 少なくとも1つの支持要素を有し、この支持要素は、この支持要素が少なくとも部分的にリングと形状固定されて接続されているように、形成されており、
支持要素は、軸方向でリングへ押し付けられており、
支持要素は、シャフトにおいて支持されており、
支持要素の軸方向端部は、リングの軸方向端部で終端している。
【0013】
課題の解決策は、さらに、請求項10により、もたらされる、すなわち、このような回転子を有する、特には誘導機といった、ダイナモ電気回転機械、によってもたらされる。
【0014】
回転子コアは、好ましくは複数の材料層を有する構造であり、材料層は互いにリベット締めされているか、溶接されているか、押し抜き積層されているか、接着されているか、および/または、焼き付けられている。
【0015】
材料層は、有利には薄片である。しかし、他の種類の材料層も考えられる。
【0016】
この回転子コアは、有利には積層鉄心である。
【0017】
スロットは、好ましくは閉じられている。しかし、ハーフオープンのスロット、および、オープンのスロット、も可能である。
【0018】
充填されたスロットは、短絡ケージのケージバーである。リングは、短絡ケージの短絡リングである。
【0019】
好ましくは、スロットは、ダイカストによって、導電性材料で充填される。好ましくは、前方リングおよび/または後方リングは、ダイカストによって、導電性材料で形成される。
【0020】
代替的に、スロットは、3D印刷を用いて、導電性材料で充填される。代替的に、前方リングおよび/または後方リングは、3D印刷を用いて、導電性材料で形成される。しかし、他の方法も可能である。
【0021】
代替的に、引き抜きバー、例えば銅バー、はスロットに挿入され得て、それぞれのリングは、例えばダイカストまたは3D印刷によって、形成される。
【0022】
有利には、リングは、充填されたスロットと、材料固定されて接続されている。
【0023】
好ましくは、導電性材料は銅またはアルミニウムである。このことは、結果として非常に高い効率を達成することができるので、有利である。しかし、銅合金やアルミニウム合金も可能である。
【0024】
アルミニウムは、有利には、温度に依存する、20~60N/mm2の引張強度を有している。
【0025】
リングおよび/またはスロットがインサート部を有することも、考えられる。これらのインサート部は、非導電性材料を有していてもよい。
【0026】
端面に関しては、リングは、回転方向に2つ以上の傾斜角を有することができる。
【0027】
有利には、リングは回転子コアに接触しており、隙間がない。すなわち、有利には、リングは最後の材料層に、好ましくは最後の薄片に、接触している、または、複数の材料層を積層することを可能にする締付けリングに、当接している。
【0028】
有利な実施形態では、支持要素は、リングに向かい合う側の面に、少なくとも1つの、以下のような部分、を有する、すなわち、軸方向において外周部から内周部に向けて、傾斜角に対する錯角である傾斜錯角を有する傾斜部を有している部分、を有する。
【0029】
その結果、リングと支持要素とは、形状固定によって、良好に接続可能である。
【0030】
スロットは、スキューしていても、スキューしていなくてもよい。
【0031】
本発明に従い、傾斜角の値は3°~30°である。
【0032】
この値は、短絡リングの最適な安定化が達成され得るので、有利である。
【0033】
好ましくは、リング内におよび/またはスロット内に存在する材料は、支持要素内に存在する材料よりも、より大きな導電率を有する。
【0034】
好ましくは、支持要素内に存在する材料は、リング内におよび/またはスロット内に存在する材料よりも、より大きな機械的な引張強度を有する。
【0035】
有利な実施形態では、支持要素は、材料の800N/mm2から1200N/mm2の間の引張強度の、特には1000N/mm2の引張強度の、材料を有する。
【0036】
上述の引張強度は、回転子を、高速回転範囲で、回転子外径が100~200mmの場合、例えば毎分1500~3000回転(回転/分)の範囲で使用することを可能にする。
【0037】
有利な実施形態では、この支持要素は鋼を含んでいる。こののためには、例えば、クロムおよび/またはニッケルおよび/またはモリブデンを含む調質鋼(英:quenched and tempered steel、独:Verguetungsstahl)が適している。さらに、クロムおよび/またはニッケルおよび/またはモリブデンを有する表面硬化鋼(英:case-hardened steel、独:Einsatzstahl)も好適である。
【0038】
支持要素はチタンを含んでいてもよい。
【0039】
鋼は、その高い強度、良好な焼入れ可能性、剛性および破断伸びに基づき、格別に良好に、適している。さらに、鋼は安価であり、熱間または冷間成形が可能である。
【0040】
有利な実施形態では、前方リングおよび/または後方リングの、回転子コアとは反対側の面は、少なくとも1つの第1の範囲および少なくとも1つの第2の範囲を有しており、前者の第1の部分は、軸方向においてリングの外周部から内周部に向けて第1の部分傾斜角で傾斜する第1の部分傾斜部を有しており、後者の第2の部分は、軸方向においてリングの外周部から内周部に向けて第2の部分傾斜角で傾斜する第2の部分傾斜部を有しており、第1の部分傾斜角と第2の部分傾斜角は異なっている。
【0041】
有利な実施形態では、支持要素は、リング側の面に、少なくとも1つの第1の範囲を有し、当該第1の部分は、軸方向において外周部から内周部に向けて、前記第1の部分傾斜角に対する錯角である部分傾斜錯角で傾斜した傾斜部を有しており、支持要素は、リング側の面に、少なくとも1つの第2の部分を有し、当該第2の部分は、軸方向において外周部から内周部に向けて、第2の部分傾斜角に対する錯角である部分傾斜錯角で傾斜した傾斜部を有している。
【0042】
好ましくは、リングおよび支持要素の少なくとも以下の範囲、すなわち、運転中に遠心力が作用する範囲、は係合する。
【0043】
この実施形態は、半径方向成分のより多く受け止めることを可能にする。
【0044】
有利な実施形態では、支持要素は締まりばめ(英:interference fit、独:Presspassung)によってシャフトと接続可能である。
【0045】
このことは、支持要素がバランス調整要素としても働くことができるので、有利である。
【0046】
代替的に、支持要素は固定リングを用いてもシャフトと接続可能である。この場合、例えば、固定リングは、例えば締まりばめにより、シャフトと接続可能であり、また、支持要素は、リングと固定リングとの間で、クランプされる。他の実施形態も考えられる。
【0047】
有利な実施形態では、支持要素は、特にはアンバランスを解消するために、少なくとも1つの切り欠き部および/または少なくとも1つの厚肉部を有する。
【0048】
切り欠き部は、例えば穴であり、厚肉部は、特定箇所での例えば材料付加部である。
【0049】
負の重み付けにより得られる切り欠き部は、調整穴(英:boring out、独:Abbohrung)とも称される。これは格別に有利であり、その理由は、アンバランスを計算し、これに応じた直径および深さを有する穴あけ加工を実施することができることにより、このような回転子のバランス調整を、自動化して行うことができるからである。
【0050】
厚肉部は、例えば溶接プロセスによって、例えば予め製作されたシリンダの摩擦溶接によって、達成される。この場合、好適には、支持要素及び例えば予め製作されたシリンダは、圧力を加えられた状態で、互いに相対的に動かされ、その際、支持要素及びシリンダは、接触面で互いに接触している。発生する摩擦により、材料の加熱と可塑化が生じる。
【0051】
この切り欠き部は、回転子の後部通風のためのチャネルであってもよい。
【0052】
さらに、上述した課題の解決策は、請求項10により、獲得される、すなわち、回転子軸線に対して同心に配置された回転子コアを有するダイナモ電気回転機械用の回転子の製造方法であって、回転子コアが複数のスロットを有し、以下のステップを有する、すなわち、
-回転子コアを準備するステップを有し、
-スロットを少なくとも1つの導電性材料で充填するステップを有し、
-前方ないし後方リングを形成するために、スロットの前方および/または後方の軸方向端部に、整形装置を用いて、少なくとも1つの導電性材料を付与するステップを有し、整形装置は以下のように設計されており、すなわち、前方および/または後方リングの、回転子コアとは反対側の面が、少なくとも部分的に、軸方向においてリングの外周部から内周部へ向けて傾斜角で傾斜した傾斜部を含み、傾斜角(α)は3°~30°の値を有するように、設計されており、
-支持要素を圧入するステップを有し、支持要素は、軸方向でリングへ押し付けられ、支持要素は、シャフトにおいて支持されており、支持要素の軸方向端部は、リングの軸方向端部で終端している、
製造方法によって獲得される。
【0053】
スロットの充填は、有利には、予め製作されたバー、特に銅バー、を使用することにより、または、ダイカスト、例えばアルミニウムダイカスト、により、または、これらの組み合わせにより、達成される。さらに、別のタイプのインサート部を挿入することも考えられる。さらに、3D印刷を使用してのスロットの充填も可能である。
【0054】
リングの形成は、有利には、ダイカスト、例えばアルミニウムダイカスト、により達成される。さらに、例えばアルミニウムまたは他の材料で作られている、インサート部を挿入することも、考えられる。さらに、3D印刷を使用してのリングの形成も可能である。
【0055】
有利な実施形態では、支持要素は、シャフトに焼き嵌めされる。
【0056】
有利な実施形態では、支持要素は、焼き嵌めのために、100~140℃の温度、好ましくは120℃の温度、に加熱される。
【0057】
本発明に従い、支持要素は、軸方向でリングへ押し付けられる。
【0058】
有利な実施形態では、支持要素は20~40t、好ましくは30t、の接合力で、押し付けられる。
【0059】
本発明は、かご形回転子(英:squirrel-cage rotors、独:Kurzschlusslaeufer)を有する誘導機(英:asynchronous machines、独:Asynchronmaschinen)に、特に良好に適している。このようなダイナモ電気回転機械は、例えばベンチレータ、ポンプ、コンプレッサ、工作機械、ならびに、電気自動車およびハイブリッド自動車用の駆動装置などの、様々な分野で、使用されている。本発明は、更に、高出力送風機用のモータにも、良好に適している。
【0060】
本発明は、高速回転領域におけるダイナモ電気回転機械に、特に良好に適している。
【0061】
本発明は、純粋な誘導機に適しているが、他のダイナモ電気回転機械、例えばハイブリッド機械、例えば複数の永久磁石を備えた誘導機のようなハイブリッド機械、にも適している。
【0062】
永久磁石を備えた誘導機は、高速回転数までは非同期状態で運転し、その後、同期運転に切り替わる。このことは、これにより高効率および高出力を達成することができるので、有利である。
【0063】
本発明は、短絡リングの変形を危惧する必要なしに90m/sを超える周速で回転子を駆動することができる、という利点を提供する。
【0064】
それどころか、周速150m/sも可能である。回転子の外周部でのこのような周速は、特には産業技術においてならびに電気自動車における駆動において、必要である。
【0065】
以下では、本発明を、図面に示された実施例に基づき、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1】
図1は、本発明による回転子の第1の実施形態を示す。
【
図2】
図2は、当該回転子の第2の実施形態を示す。
【
図3】
図3は、当該回転子の
、本発明には含まれない、第3の実施形態を示す。
【
図4】
図4は、当該回転子の第4の実施形態を示す。
【
図5】
図5は、当該回転子の第5の実施形態を示す。
【
図7】
図7は、本回転子を備えたダイナモ電気回転機械を示す。
【発明を実施するための形態】
【0067】
図1は、本発明による回転子11の第1の実施形態を示す。
【0068】
図1は、回転子軸線6に対して同心状に配置された回転子コア4を示し、この回転子コア4は複数のスロット3を有し、これらのスロット3は導電性材料で充填されている。
図1は、スロット3の軸方向後方端部9において回転子軸線6に対して同心円状に配置され、導電性材料を有する短絡リング2、を示す。
【0069】
リング2の、回転子コア3とは反対側の面は、同図では、軸方向7においてリング2の外周部21から内周部22へ向かう傾斜角αの傾斜部を有してしている。
【0070】
同図は、少なくとも部分的にリング2と接続されている支持要素1、を示している。回転子コア4並びに支持要素1は、この図ではシャフト5に接している。
【0071】
この支持要素1は、リング2に向かい合う面に、以下のような部分を有している、すなわち、軸方向7において外周部21から内周部22へ向かう、傾斜角αに対する錯角である傾斜錯角α´の傾斜部を有している。傾斜角αはこの図では13°の値を有している。好ましくは、傾斜角αの値は、3°から30°の範囲、特には10°から20°の範囲、にある。同図は、短絡リング2と支持要素1が半径方向の形状結合部(英:positive engagement、独:Formschluss)があることを示している。
【0072】
本発明は、回転子11、特に誘導機の回転子、に対する速度適合性が増大するという利点を提供する。速度負荷がかかっていても、短絡リングが傾いたり、短絡リング材料が流動したりする恐れはない。
【0073】
支持要素1は、軸方向で短絡リング2に押し付けられている。支持要素1は、シャフト5で支持されている。こうして、支持要素1に対する、ひいては短絡リング2に対する、シャフト5の機械的な固定が得られる。
【0074】
図2は、回転子11の第2の実施形態を示す。
図2は、リング2の、回転子コア4とは反対側の面が、少なくとも1つの第1の範囲および少なくとも1つの第2の範囲を有しており、第1の範囲は、軸方向7においてリング2の外周部21から内周部22へ向かう第1の部分傾斜角βの第1の部分傾斜部を有しており、第2の範囲は、軸方向においてリング2の外周部21から内周部22へ向かう第2の部分傾斜角γの第2の部分傾斜部を有しており、この場合、この第1の部分傾斜角βと第2の部分傾斜角γとが、異なる、ことを示している。
【0075】
この図は、部分傾斜角βを有する3つの第1の範囲と、部分傾斜角γを有する2つの第2の範囲とを示している。
【0076】
この図はさらに、支持要素1を示しいる。この図は、支持要素1は、リング2側の面に少なくとも1つの第1の範囲を有し、当該第1の範囲は、軸方向7において外周部21から内周部22へ向かう第1の部分傾斜角βに対する錯角である部分傾斜錯角β′の傾斜部を、有しており、支持要素1は、リング2側の面に少なくとも1つの第2の範囲を有し、当該第2の範囲は、軸方向7において外周部21から内周部22へ向かう第2の部分傾斜角γに対する錯角である部分傾斜錯角γ′の傾斜部を、有している、ことを示している。
【0077】
図中には、部分傾斜角β′を有する3つの第1の範囲、および、部分傾斜角γ′を有する2つの第2の範囲が示されている。
【0078】
本発明のこのような実施形態は、ラジアル力成分(英:radial force component、独:Radialkomponente)をより大きく吸収するのに役立つ。
【0079】
図3は回転子11の
、本発明には含まれない、第3の実施形態を示す。図示された実施形態は、回転子11の外周部での特に高い周速に適している。180m/sまでの周速が可能である。
【0080】
この図は、支持要素1を示しており、当該支持要素1は、内側の支持ディスク101及び外側の支持装置102を有している。この図では、内側支持ディスク101及び外側支持装置102は、材料接続的に、好ましくは溶接によって、接続されている。
【0081】
好ましくは、支持ディスク101と支持装置102との接続は、外周部にて、または、少なくともその近傍で、行われている。内側の支持ディスク101は、有利には、複数の切り欠き部を有しており、これらの切り欠き部の数は、回転子コア4のスロット3の数に対応している。
【0082】
有利には、内側の支持ディスク101は、リング2の形成時に、取り付けられる。好ましくは、内側の支持ディスク101は、リング2の形成中に、ダイカストを用いて、鋳込まれる。冷却後、外側の支持ディスク102は、特には軸方向の接合力によって、取り付けられる。好ましくは、次いで、溶接が行われる。その結果、回転子11の外周部には溶接シームが存在する。この溶接はオプションである。
【0083】
図4は、回転子11の第4の実施形態を示す。
図1で既に説明した実施形態に加えて、
図4の実施形態は、支持要素1に凹部13を有しており、当該凹部13はアンバランスの解消に利用される。
【0084】
ここでの利点は、バランス調整は、前述のように短絡リングでは行われず、支持要素1で行われることである。したがって、この支持要素1は、バランス調整ディスクとしての機能も、有する。
【0085】
さらに、アンバランスの解消に用いられる支持要素1の厚さを大きくすることも可能である。これはこの図には表されていない。
【0086】
図5は、回転子11の第5の実施形態を示す。この図はチャネル14および15を示しており、当該チャネル14および15は、回転子11の後部通風に用いられる。これを
図6でより詳細に説明する。
【0087】
図6は、端部側から見た
図5の回転子11を示している。これらの2つの図は、チャネル14および15を示しており、当該チャネル14および15は、回転子11の後部通風に用いられる。チャネル14は、例えば鋳造で作ることができる。チャネル15は、支持要素1内に、設けられている。これらの凹部を通って、空気が、回転子11の回転中に、吸い込まれる。これが後部通風に役立つ。
【0088】
支持要素1におけるこれらの凹部を通って、空気が、回転中に、吸い込まれ、当該空気は、短絡リング2の外周部にて、排出される。
【0089】
図7は、この回転子11を備えたダイナモ電気回転機械10を示す。この図は、固定子12、シャフト5および回転子軸線6、を示している。軸方向7で見ると、回転子11は、前方の軸端部8に、支持要素1を有している。さらに、この回転子11は、後方の軸端部9に、支持要素1を有している。
【0090】
図8は、回転子11の製造方法を示しており、当該回転子11は回転子軸線に対して同心に配置された回転子コアを有し、この場合、この回転子コアは複数のスロットを有している。
【0091】
方法ステップS1では、回転子コアの準備が行われる。
【0092】
方法ステップS2では、複数のスロット3への導電性材料の充填が行われる。この場合、スロット3は、予め製作されたバーで充填され得る、または、ダイカストによって充填され得る。予め製作されたバーまたは他のインサートと、ダイカストとの組み合わせも可能である。
【0093】
方法ステップS3では、スロット3の前方の軸端部および/または後方の軸端部に導電性材料を取り付けが行われて、前方ないし後方のリング2を形成する。有利には、これはダイカストによって、行われる。
【0094】
方法ステップS4では、支持要素1の圧入が行われる。この支持要素1は、有利には、圧入行程中に、シャフトに案内される。既に説明したリング2および支持要素1の傾斜によって、特には鋳造された、短絡リング2の真円度からのずれ(英:out-of-round、独:Unrundheit)が、この支持要素1によって補正され、短絡リング2全体の、シャフト5に対する、ひいては回転子鉄心に対する、同心度(英:coaxiality、独:Koaxialitaet)が、改善される。
【0095】
有利には、支持要素1は、シャフトへ焼き嵌めされ、力をかけて短絡リング2へ軸方向に押し付けられる。したがって、支持要素1の好適に軸方向内側を向いた面と、短絡リング2の外側面とが、互いに固定的な状態にある。好ましくは、接合力は、完全な接触を確実にするために、約20~30秒間維持される。有利には、直径が130~170mmの、特に150mmの、短絡リングでは、約30tの接合力が適用される。好ましくは、支持要素は、焼き嵌めのために、約120℃まで加熱される。
【0096】
本発明は、短絡リングのダイカストの際に形成される鋳物表皮が短絡リングを強化する、という利点を提供する。
【0097】
本方法により製造される回転子は、その支持要素の強度に基づいて、遠心力荷重に基づく材料変位のリスクを、著しく低減する。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイナモ電気回転機械(10)の回転子(11)であって、
- 回転子軸線(6)に対して同心に配置された1つの回転子コア(4)を有し、前記回転子コアは複数のスロット(3)を有し、前記スロット(3)は少なくとも1つの導電性材料で充填されており、
- 前記スロット(3)の前方の軸端部(8)に、前記回転子軸線(6)に対して同心に配置された前方リング(2)を有し、前記前方リング(2)は、少なくとも1つの導電性材料を有しており、
- 前記スロット(3)の後方の軸端部(9)に、前記回転子軸線(6)に対して同心に配置された後方リング(2)を有し、前記後方リング(2)は、少なくとも1つの導電性材料を有しており、
前記前方リング(2)および/または前記後方リング(2)の、前記回転子コア(
4)とは反対側の面は、少なくとも部分的に、軸方向において前記リング(2)の外周部(21)から内周部(22)へ向けて、傾斜角(α)で傾斜している傾斜部を有しており、前記傾斜角(α)は3°~30°の値を有し、
- 少なくとも1つの支持要素(1)を有し、前記支持要素(1)は、少なくとも部分的に前記リング(2)と形状固定されて接続されているように、形成されており、前記支持要素(1)は、軸方向で前記リング(2)へ押し付けられており、前記支持要素(1)は、シャフト(5)において支持されており、
前記支持要素(1)の軸方向端部は、前記リング(2)の軸方向端部で終端している、
回転子(11)。
【請求項2】
請求項1に記載の回転子(11)であって、前記支持要素(1)が、前記リング(2)と向かい合う面に、少なくとも1つの、軸方向(7)において外周部から内周部に向けて前記傾斜角(α)に対する錯角である傾斜錯角(α´)で傾斜している傾斜部を有する部分、を有する、回転子(11)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の回転子(11)であって、前記支持要素(1)が、800N/mm
2から1200N/mm
2の間
の引張強度の材料を有する、回転子(11)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の回転子(11)であって、前記支持要素(1)が鋼を有する、回転子(11)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の回転子(11)であって、前記前方リング(2)および/または前記後方リング(2)の、前記回転子コア(4)とは反対側の面が、軸方向において前記リング(2)の外周部から内周部に向けて第1の部分傾斜角(β)で傾斜する第1の部分傾斜部を有する少なくとも1つの第1の
リング範囲、及び、軸方向において前記リング(2)の外周部から内周部に向けて第2の部分傾斜角(γ)で傾斜する第2の部分傾斜部を有する少なくとも1つの第2の
リング範囲を有し、前記第1の部分傾斜角(β)と前記第2の部分傾斜角(γ)とが異なる、回転子(11)。
【請求項6】
請求項5に記載の回転子(11)であって、前記支持要素(1)は、前記リング(2)と向かい合う面にて、少なくとも1つの第1の
支持要素範囲を有し、当該第1の
支持要素範囲は、軸方向において外周部から内周部に向けて、前記第1の部分傾斜角(β)に対する錯角である部分傾斜錯角(β´)で傾斜している傾斜部を有しており、前記支持要素(1)は、前記リング(2)と向かい合う面にて、少なくとも1つの第2の
支持要素範囲を有し、当該第2の
支持要素範囲は、軸方向において外周部から内周部に向けて、前記第2の部分傾斜角(γ)に対する錯角である部分傾斜錯角(γ´)で傾斜している傾斜部を有している、ことを特徴とする回転子(11)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の回転子(11)であって、前記支持要素(1)が締まりばめによってシャフト(5)と接続可能である、ことを特徴とする回転子(11)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の回転子(11)であって、前記支持要素(1)が
、少なくとも1つの切り欠き部および/または少なくとも1つの厚肉部を有する回転子(11)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の回転子(11)を有する、ダイナモ電気回転機械(10
)。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか1項に記載の、回転子軸線に対して同心に配置された回転子コアを有する、ダイナモ電気回転機械(10)用の、回転子(11)の製造方法であって、前記回転子コア(4)が複数のスロット(3)を有し、以下のステップを有する、すなわち、
-前記回転子コア(
4)を準備するステップを有し、
-前記スロット(3)を少なくとも1つの導電性材料で充填するステップを有し、
-前方ないし後方リングを形成するために、前記スロット(3)の前方の軸方向端部(8)および後方の軸方向端部(9)に、整形装置を用いて、少なくとも1つの導電性材料を付与するステップを有し、前記整形装置は以下のように設計されており、すなわち、前記前方リング(2)および/または前記後方リング(2)の、前記回転子コア(
4)とは反対側の面が、少なくとも部分的に、軸方向において前記リング(2)の外周部から内周部へ向けて傾斜角(α)で傾斜した傾斜部を含み、前記傾斜角(α)は3°~30°の値を有する、ように、設計されており、
-支持要素(1)を圧入するステップを有し、前記支持要素(1)は、軸方向で前記リング(2)へ押し付けられ、前記支持要素(1)は、シャフト(5)において支持されており、前記支持要素(1)の軸方向端部は、前記リング(2)の軸方向端部で終端している、
方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記支持要素(1)が、シャフト(5)に焼き嵌めされる、方法。
【請求項12】
請求項10または11に記載の方法であって、前記支持要素(1)が、焼き嵌めのために、100~140℃の温
度に加熱される、方法。
【請求項13】
請求項10から12のいずれか1項に記載の方法であって、前記支持要素(1)が軸方向で前記リング(2)に押し付けられる、方法。
【請求項14】
請求項10から13のいずれか1項に記載の方法であって、前記支持要素(1)が、20~40tの接合
力で押し付けられる方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
リング2の、回転子コア4とは反対側の面は、同図では、軸方向7においてリング2の外周部21から内周部22へ向かう傾斜角αの傾斜部を有してしている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
図中には、部分傾斜錯角β′を有する3つの第1の範囲、および、部分傾斜錯角γ′を有する2つの第2の範囲が示されている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0082
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0082】
有利には、内側の支持ディスク101は、リング2の形成時に、取り付けられる。好ましくは、内側の支持ディスク101は、リング2の形成中に、ダイカストを用いて、鋳込まれる。冷却後、外側の支持装置102は、特には軸方向の接合力によって、取り付けられる。好ましくは、次いで、溶接が行われる。その結果、回転子11の外周部には溶接シームが存在する。この溶接はオプションである。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイナモ電気回転機械(10)の回転子(11)であって、
- 回転子軸線(6)に対して同心に配置された1つの回転子コア(4)を有し、前記回転子コアは複数のスロット(3)を有し、前記スロット(3)は少なくとも1つの導電性材料で充填されており、
- 前記スロット(3)の前方の軸端部(8)に、前記回転子軸線(6)に対して同心に配置された前方リング(2)を有し、前記前方リング(2)は、少なくとも1つの導電性材料を有しており、
- 前記スロット(3)の後方の軸端部(9)に、前記回転子軸線(6)に対して同心に配置された後方リング(2)を有し、前記後方リング(2)は、少なくとも1つの導電性材料を有しており、
前記前方リング(2)および/または前記後方リング(2)の、前記回転子コア(4)とは反対側の面は、少なくとも部分的に、軸方向において前記リング(2)の外周部(21)から内周部(22)へ向けて、傾斜角(α)で傾斜している傾斜部を有しており、前記傾斜角(α)は3°~30°の値を有し、
- 少なくとも1つの支持要素(1)を有し、前記支持要素(1)は、少なくとも部分的に前記リング(2)と形状固定されて接続されているように、形成されており、前記支持要素(1)は、軸方向で前記リング(2)へ押し付けられており、前記支持要素(1)は、シャフト(5)において支持されており、
前記支持要素(1)の軸方向端部は、前記リング(2)の軸方向端部で終端している、
回転子(11)。
【請求項2】
請求項1に記載の回転子(11)であって、前記支持要素(1)が、前記リング(2)と向かい合う面に、少なくとも1つの、軸方向(7)において外周部から内周部に向けて前記傾斜角(α)に対する錯角である傾斜錯角(α´)で傾斜している傾斜部を有する部分、を有する、回転子(11)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の回転子(11)であって、前記支持要素(1)が、800N/mm
2から1200N/mm
2の間の引張強度の材料を有する、回転子(11)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の回転子(11)であって、前記支持要素(1)が鋼を有する、回転子(11)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の回転子(11)であって、前記前方リング(2)および/または前記後方リング(2)の、前記回転子コア(4)とは反対側の面が、軸方向において前記リング(2)の外周部から内周部に向けて第1の部分傾斜角(β)で傾斜する第1の部分傾斜部を有する少なくとも1つの第1のリング範囲、及び、軸方向において前記リング(2)の外周部から内周部に向けて第2の部分傾斜角(γ)で傾斜する第2の部分傾斜部を有する少なくとも1つの第2のリング範囲を有し、前記第1の部分傾斜角(β)と前記第2の部分傾斜角(γ)とが異なる、回転子(11)。
【請求項6】
請求項5に記載の回転子(11)であって、前記支持要素(1)は、前記リング(2)と向かい合う面にて、少なくとも1つの第1の支持要素範囲を有し、当該第1の支持要素範囲は、軸方向において外周部から内周部に向けて、前記第1の部分傾斜角(β)に対する錯角である部分傾斜錯角(β´)で傾斜している傾斜部を有しており、前記支持要素(1)は、前記リング(2)と向かい合う面にて、少なくとも1つの第2の支持要素範囲を有し、当該第2の支持要素範囲は、軸方向において外周部から内周部に向けて、前記第2の部分傾斜角(γ)に対する錯角である部分傾斜錯角(γ´)で傾斜している傾斜部を有している、ことを特徴とする回転子(11)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の回転子(11)であって、前記支持要素(1)が締まりばめによってシャフト(5)と接続可能である、ことを特徴とする回転子(11)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の回転子(11)であって、前記支持要素(1)が、少なくとも1つの切り欠き部
(13)および/または少なくとも1つの厚肉部を有する回転子(11)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の回転子(11)を有する、ダイナモ電気回転機械(10)。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか1項に記載の、回転子軸線
(6)に対して同心に配置された回転子コア
(4)を有
し、前記回転子コア(4)が複数のスロット(3)を有する、ダイナモ電気回転機械(10)用の、回転子(11)の製造方法であって
、以下のステップを有する、すなわち、
-前記回転子コア(4)を準備するステップを有し、
-前記スロット(3)を少なくとも1つの導電性材料で充填するステップを有し、
-前方
リング(2)ないし後方リング
(2)を形成するために、前記スロット(3)の前方の軸方向端部(8)および後方の軸方向端部(9)に、整形装置を用いて、少なくとも1つの導電性材料を付与するステップを有し、前記整形装置は以下のように設計されており、すなわち、前記前方リング(2)および/または前記後方リング(2)の、前記回転子コア(4)とは反対側の面が、少なくとも部分的に、軸方向において前記リング(2)の外周部から内周部へ向けて傾斜角(α)で傾斜した傾斜部を含み、前記傾斜角(α)は3°~30°の値を有する、ように、設計されており、
-支持要素(1)を圧入するステップを有し、前記支持要素(1)は、軸方向で前記リング(2)へ押し付けられ、前記支持要素(1)は、シャフト(5)において支持されており、前記支持要素(1)の軸方向端部は、前記リング(2)の軸方向端部で終端している、
方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記支持要素(1)が、シャフト(5)に焼き嵌めされる、方法。
【請求項12】
請求項10または11に記載の方法であって、前記支持要素(1)が、焼き嵌めのために、100~140℃の温度に加熱される、方法。
【請求項13】
請求項10から12のいずれか1項に記載の方法であって、前記支持要素(1)が軸方向で前記リング(2)に押し付けられる、方法。
【請求項14】
請求項10から13のいずれか1項に記載の方法であって、前記支持要素(1)が、20~40tの接合力で押し付けられる方法。
【国際調査報告】