(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-16
(54)【発明の名称】組換えアデノ随伴ウイルス収量を増強させるための方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/864 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
C12N15/864 100Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022555773
(86)(22)【出願日】2021-03-15
(85)【翻訳文提出日】2022-11-11
(86)【国際出願番号】 US2021022396
(87)【国際公開番号】W WO2021188449
(87)【国際公開日】2021-09-23
(32)【優先日】2020-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】513252910
【氏名又は名称】ウルトラジェニックス ファーマシューティカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パンテリ, ジャン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】フルコ, キャメロン テージ
(72)【発明者】
【氏名】アレン, ジョン エバレット
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, ミンヤン
(72)【発明者】
【氏名】ホーガン, レイチェル シー.
(57)【要約】
本発明は、組換えアデノ随伴ウイルスベクター(rAAV)の産生のための方法であって、宿主細胞を、式(I)、(I-A)、(I-B)、(II)、(III)、もしくは(IV)の少なくとも1種の化合物、またはその塩、またはビタミンB、またはこれらの任意の組合せを含む溶液と接触させるステップを含む方法を提供する。宿主細胞によるrAAVの産生を増加させるための方法であって、宿主細胞を、式(I)、(I-A)、(I-B)、(II)、(III)、もしくは(IV)の少なくとも1種の化合物、またはその塩、またはビタミンB、またはこれらの任意の組合せを含む溶液と接触させるステップを含む方法もまた、提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を産生する方法であって、宿主細胞を、式(I)
【化55】
の少なくとも1種の化合物またはその塩を含む溶液と接触させるステップを含み、式中、
【化56】
が、単結合または二重結合を表し、
nが、1~5から選択される整数であり、
それぞれのR
1が、独立して、各出現について、-OH、C
1~6アルキル、C
1~6アルキル-OH、C
1~6アルキル-O-C
1~6アルキル、-O-C
1~6アルキル、-C(O)N(R
a)
2、および-C(O)OR
bからなる群より選択され、
R
aが、独立して、各出現について、水素またはC
1~6アルキルであり、
R
bが、独立して、各出現について、水素またはC
1~6アルキルであり、
Xが、CR
cR
dまたはNであり、
R
cおよびR
dが、独立して、各出現について、水素、C
1~6アルキル、-OH、および-O-C
1~6アルキルからなる群より選択され、R
cが、水素である場合、R
dは、C
1~6アルキル、-OH、および-O-C
1~6アルキルから選択され、R
cが、C
1~6アルキル、-OH、および-O-C
1~6アルキルから選択される場合、R
dは、水素であり、
前記少なくとも1種の化合物が、
【化57】
でもその塩でもない、
方法。
【請求項2】
rAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、式(I)
【化58】
の少なくとも1種の化合物またはその塩を含む溶液と接触させるステップを含み、式中、
【化59】
が、単結合または二重結合を表し、
nが、1~5から選択される整数であり、
それぞれのR
1が、独立して、各出現について、-OH、C
1~6アルキル、C
1~6アルキル-OH、C
1~6アルキル-O-C
1~6アルキル、-O-C
1~6アルキル、-C(O)N(R
a)
2、および-C(O)OR
bからなる群より選択され、
R
aが、独立して、各出現について、水素またはC
1~6アルキルであり、
R
bが、独立して、各出現について、水素またはC
1~6アルキルであり、
Xが、CR
cR
dまたはNであり、
R
cおよびR
dが、独立して、各出現について、水素、C
1~6アルキル、-OH、および-O-C
1~6アルキルからなる群より選択され、R
cが、水素である場合、R
dは、C
1~6アルキル、-OH、および-O-C
1~6アルキルから選択され、R
cが、C
1~6アルキル、-OH、および-O-C
1~6アルキルから選択される場合、R
dは、水素であり、
前記少なくとも1種の化合物が、
【化60】
でもその塩でもない、
方法。
【請求項3】
Xが、Nである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
nが、1である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
それぞれのR
1が、独立して、各出現について、C
1~6アルキル-OH、-C(O)N(R
a)
2、および-C(O)OR
bからなる群より選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
それぞれのR
1が、独立して、各出現について、CH
2OH、-C(O)NH
2、-C(O)OH、および-C(O)OCH
3からなる群より選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
Xが、CR
cR
dである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
R
cが、水素であり、R
dが、-OHである、請求項1、2、および7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
nが、5である、請求項1、2、3、および7から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
R
1が、-OHである、請求項1、2、3、4、および7から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記溶液が、式(I-A)
【化61】
の少なくとも1種の化合物またはその塩を含み、式中、
R
2およびR
3が、独立して、各出現について、水素もしくは-OHであるか、
またはR
2およびR
3が、一緒になって、オキソを形成することができ、
R
4が、水素、-OH、-O-C
1~6アルキル、および-N(R
e)
2からなる群より選択され、
R
eが、独立して、各出現について、水素またはC
1~6アルキルである、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項12】
R
2およびR
3が、一緒になって、オキソを形成する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
R
4が、-NH
2、-OH、および-OCH
3からなる群より選択される、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
R
2およびR
3が、いずれも、水素である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
R
4が、-OHである、請求項11または14に記載の方法。
【請求項16】
前記溶液が、
【化62】
およびこれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む、
請求項1、2、および11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記溶液が、式(I-B)
【化63】
の少なくとも1種の化合物またはその塩を含み、式中、
Xが、CR
cR
dであり、
R
5a、R
5b、R
5c、R
5d、およびR
5eが、独立して、各出現について、-OH、-O-C
1~6アルキル、C
1~6アルキル、C
1~6アルキル-OH、およびC
1~6アルキル-O-C
1~6アルキルであり、
R
cおよびR
dが、請求項1に定義される通りである、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項18】
R
cが、水素であり、R
dが、-OHである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
R
5a、R
5b、R
5c、R
5d、およびR
5eが、-OHである、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記溶液が、化合物
【化64】
を含む、請求項17から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
rAAVを産生する方法であって、宿主細胞を、式(II)
【化65】
の少なくとも1種の化合物またはその塩を含む溶液と接触させるステップを含み、式中、
R
6およびR
7が、独立して、各出現について、水素、-OH、-CN、ハロゲン、およびC
1~6アルキルからなる群より選択され、
R
8およびR
9が、独立して、各出現について、水素、-OH、-CN、ハロゲン、およびC
1~6アルキルからなる群より選択され、
Yが、CまたはNであり、
R
10およびR
11が、独立して、各出現について、水素、-OH、およびC
1~6アルキルからなる群より選択され、
Aが、水素、C
1~6アルキル、および-C(O)N(R
f)
2からなる群より選択され、
R
fが、独立して、各出現について、水素、C
1~6アルキル、C
1~6アルキル-C(O)OH、およびC
1~6アルキル-OHからなる群より選択され、
前記少なくとも1種の化合物が、
【化66】
でもその塩でもない、
方法。
【請求項22】
rAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、式(II)
【化67】
の少なくとも1種の化合物またはその塩を含む溶液と接触させるステップを含み、式中、
R
6およびR
7が、独立して、各出現について、水素、-OH、-CN、ハロゲン、およびC
1~6アルキルからなる群より選択され、
R
8およびR
9が、独立して、各出現について、水素、-OH、-CN、ハロゲン、およびC
1~6アルキルからなる群より選択され、
Yが、CまたはNであり、
R
10およびR
11が、独立して、各出現について、水素、-OH、およびC
1~6アルキルからなる群より選択され、
Aが、水素、C
1~6アルキル、および-C(O)N(R
f)
2からなる群より選択され、
R
fが、独立して、各出現について、水素、C
1~6アルキル、C
1~6アルキル-C(O)OH、およびC
1~6アルキル-OHからなる群より選択され、
前記少なくとも1種の化合物が、
【化68】
でもその塩でもない、
方法。
【請求項23】
R
6およびR
7が、水素である、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
R
8およびR
9が、水素である、請求項21から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
Yが、Nである、請求項21から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
R
10およびR
11が、CH
3である、請求項21から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
Aが、CH
3である、請求項21から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記溶液が、化合物
【化69】
を含む、請求項21から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
rAAVを産生するかまたはrAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、ビタミンB
2、ビタミンB
7、ビタミンB
9、ビタミンB
12、およびこれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1種のビタミンBを含む溶液と接触させるステップを含む、方法。
【請求項30】
前記溶液中の前記少なくとも1種の化合物またはビタミンBの最終濃度が、0.5mMよりも高い、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記溶液中の前記少なくとも1種の化合物またはビタミンBの最終濃度が、0.5mMよりも高いかまたはそれと等しい、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記溶液中の前記少なくとも1種の化合物またはビタミンBの最終濃度が、0.5mM~10mMの間である、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記溶液中の前記少なくとも1種の化合物またはビタミンBの最終濃度が、1mM~10mMの間である、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記溶液中の前記少なくとも1種の化合物またはビタミンBの最終濃度が、前記少なくとも1種の化合物またはビタミンBを含む溶液と接触していない宿主細胞によって産生されるものと比較して、少なくとも1.2倍大きい量の分泌rAAVを産生させるのに十分である、請求項1から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記溶液中の前記少なくとも1種の化合物の最終濃度が、前記少なくとも1種の化合物またはビタミンBを含む溶液と接触していない宿主細胞によって産生されるものと比較して、少なくとも1.2倍大きい量の総rAAVを産生させるのに十分である、請求項1から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記溶液中の前記少なくとも1種の化合物の最終濃度が、前記少なくとも1種の化合物またはビタミンBを含む溶液と接触していない宿主細胞によって産生されるものと比較して、1.2~2.5倍大きい量の分泌rAAVを産生させるのに十分である、請求項1から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記溶液中の前記少なくとも1種の化合物の最終濃度が、前記少なくとも1種の化合物またはビタミンBを含む溶液と接触していない宿主細胞によって産生されるものと比較して、1.2~2.5倍大きい量の総rAAVを産生させるのに十分である、請求項1から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記宿主細胞が、少なくとも2日間、前記少なくとも1種の化合物またはビタミンBを含む前記溶液と接触する、請求項1から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記rAAVを収集および精製するステップをさらに含む、請求項1から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記宿主細胞が、哺乳動物細胞である、請求項1から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記宿主細胞が、HeLa、HEK293、COS、A549、BHK、およびVero細胞からなる群より選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記宿主細胞が、HeLa細胞である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記宿主細胞が、HEK293細胞である、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記宿主細胞が、昆虫細胞である、請求項1から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記宿主細胞が、Sf9、Sf-21、Tn-368、およびBTI-Tn-5B1-4(High-Five)細胞からなる群より選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記宿主細胞が、AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列を含む、請求項1から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記宿主細胞が、repおよびcap遺伝子を含む、請求項1から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記宿主細胞が、ヘルパーウイルス遺伝子を含む、請求項1から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記宿主細胞が、i)AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列、ii)repおよびcap遺伝子、ならびにiii)ヘルパーウイルス遺伝子を含む、請求項1から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記宿主細胞が、前記少なくとも1種の化合物を含む溶液と接触していない宿主細胞によって産生されるものと比較して、少なくとも1.2倍大きい量の分泌rAAVを産生する、請求項1から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記宿主細胞が、前記少なくとも1種の化合物またはビタミンBを含む溶液と接触していない宿主細胞によって産生されるものと比較して、少なくとも1.2倍大きい量の総rAAVを産生する、請求項1から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記宿主細胞が、前記少なくとも1種の化合物またはビタミンBを含む溶液と接触していない宿主細胞によって産生されるものと比較して、1.2~2.5倍大きい量の分泌rAAVを産生する、請求項1から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記宿主細胞が、前記少なくとも1種の化合物またはビタミンBを含む溶液と接触していない宿主細胞によって産生されるものと比較して、1.2~2.5倍大きい量の総rAAVを産生する、請求項1から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記溶液が、細胞培養培地を含む、請求項1から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記溶液が、産生培地を含む、請求項1から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記宿主細胞を、懸濁培養において培養するステップを含む、請求項1から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記宿主細胞を、接着培養において培養するステップを含む、請求項1から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記宿主細胞を、1Lのバイオリアクターにおいて培養するステップを含む、請求項1から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記宿主細胞を、2Lのバイオリアクターにおいて培養するステップを含む、請求項1から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記宿主細胞を、3Lのバイオリアクターにおいて培養するステップを含む、請求項1から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記宿主細胞を、250Lのバイオリアクターにおいて培養するステップを含む、請求項1から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記宿主細胞を、500Lのバイオリアクターにおいて培養するステップを含む、請求項1から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記宿主細胞を、2,000Lのバイオリアクターにおいて培養するステップを含む、請求項1から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
宿主細胞と、式(I)の化合物またはその塩とを含む、組成物。
【請求項65】
宿主細胞と、式(I-A)の化合物またはその塩とを含む、組成物。
【請求項66】
宿主細胞と、式(I-B)の化合物またはその塩とを含む、組成物。
【請求項67】
宿主細胞と、式(II)の化合物またはその塩とを含む、組成物。
【請求項68】
宿主細胞と、ビタミンB
2、ビタミンB
7、ビタミンB
9、およびビタミンB
12、ならびにこれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1種のビタミンBとを含む、組成物。
【請求項69】
組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を産生する方法であって、宿主細胞を、
【化70】
およびこれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む溶液と接触させるステップを含み、
前記宿主細胞が、
i)AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列、ならびに
ii)AAV repおよびcap遺伝子
を含む、方法。
【請求項70】
rAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、
【化71】
およびこれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む溶液と接触させるステップを含み、
前記宿主細胞が、
i)AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列、ならびに
ii)AAV repおよびcap遺伝子
を含む、方法。
【請求項71】
宿主細胞と、
【化72】
およびこれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1種の化合物とを含む、組成物であって、
前記宿主細胞が、
i)AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列、ならびに
ii)AAV repおよびcap遺伝子
を含む、組成物。
【請求項72】
組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を産生する方法であって、宿主細胞を、
【化73】
を含む溶液と接触させるステップを含み、
前記宿主細胞が、
i)AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列、ならびに
ii)AAV repおよびcap遺伝子
を含む、方法。
【請求項73】
rAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、
【化74】
を含む溶液と接触させるステップを含み、
前記宿主細胞が、
i)AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列、ならびに
ii)AAV repおよびcap遺伝子
を含む、方法。
【請求項74】
宿主細胞と、
【化75】
とを含む、組成物であって、
前記宿主細胞が、
i)AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列、ならびに
ii)AAV repおよびcap遺伝子
を含む、組成物。
【請求項75】
組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を産生する方法であって、宿主細胞を、
【化76】
を含む溶液と接触させるステップを含み、
前記宿主細胞が、
i)AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列、ならびに
ii)AAV repおよびcap遺伝子
を含む、方法。
【請求項76】
rAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、
【化77】
を含む溶液と接触させるステップを含み、
前記宿主細胞が、
i)AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列、ならびに
ii)AAV repおよびcap遺伝子
を含む、方法。
【請求項77】
宿主細胞と、
【化78】
とを含む、組成物であって、
前記宿主細胞が、
i)AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列、ならびに
ii)AAV repおよびcap遺伝子
を含む、組成物。
【請求項78】
組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を産生する方法であって、宿主細胞を、ビタミンB
2、ビタミンB
7、ビタミンB
9、およびビタミンB
12、ならびにこれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1種のビタミンBを含む溶液と接触させるステップを含み、前記宿主細胞が、
i)AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列、ならびに
ii)AAV repおよびcap遺伝子
を含む、方法。
【請求項79】
rAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、ビタミンB
2、ビタミンB
7、ビタミンB
9、およびビタミンB
12、ならびにこれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1種のビタミンBを含む溶液と接触させるステップを含み、前記宿主細胞が、
i)AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列、ならびに
ii)AAV repおよびcap遺伝子
を含む、方法。
【請求項80】
前記宿主細胞が、ヘルパー遺伝子をさらに含む、請求項69、70、72、73、75、76、78、または79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
宿主細胞と、ビタミンB
2、ビタミンB
7、ビタミンB
9、ビタミンB
12、およびこれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1種のビタミンBとを含む、組成物であって、前記宿主細胞が、
i)AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列、ならびに
ii)AAV repおよびcap遺伝子
を含む、組成物。
【請求項82】
前記宿主細胞が、ヘルパー遺伝子をさらに含む、請求項71、74、77、または81のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項83】
前記溶液が、
【化79】
もその塩も含まない、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記溶液が、
【化80】
もその塩も含まない、請求項21から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記組成物が、
【化81】
もその塩も含まない、請求項64から66、71、または74のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項86】
前記組成物が、
【化82】
もその塩も含まない、請求項67または77に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2020年3月16日に出願された米国仮特許出願第62/990,099号に基づく利益および優先権を主張しており、その全内容は、すべての目的のためにその全体が参照として本明細書によって援用される。
発明の分野
本発明は、全体として、組換えアデノ随伴ウイルスベクター(rAAV)収量を増強させるための方法に関し、より具体的には、本発明は、rAAV収量を増強させるための化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、非病原性の複製欠陥パルボウイルスである。組換えAAVベクター(rAAV)は、多数の固有の特性を有し、それによって遺伝子治療のためのベクターとして魅力的なものとなっている。特に、rAAVベクターは、分裂細胞および非分裂細胞に治療遺伝子を送達することができ、これらの遺伝子は、標的化された細胞のゲノムに組み込まれることなく、長期間存続することができる。rAAVの広範な治療適用を踏まえると、高力価rAAVベクター収量を達成するための方法を含め、改善されたrAAVベクター産生方法に対する継続的な必要性が存在する。様々なウイルスベクターの産生を改善しようとするこれまでの試みには、細胞培養添加物、例えば、金属、微量補充物質、塩などの使用が含まれた(例えば、Williams, J. Gen. Virol., 9(3): 251-5 (1970)、Weinbauer et al., Limnology and Oceanography, 54(3): 774-784 (2009)、Yang et al., Hepatology, 48(5): 1396-403 (2008)、および米国公開第20150353899号を参照されたい)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0353899号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Weinbauerら、Limnology and Oceanography(2009)54(3):774~784
【非特許文献2】Yangら、Hepatology(2008)48(5):1396~403
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本発明は、組換えアデノ随伴ウイルスベクター(rAAV)の産生に使用される宿主細胞が、それらを本明細書に記載される化合物を含む溶液と接触させた場合に、増加した量のrAAVを産生するという発見に部分的に基づく。
したがって、ある態様では、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を産生する方法であって、宿主細胞を、式(I)
【化1】
の少なくとも1種の化合物またはその塩を含む溶液と接触させるステップを含み、式中、
【化2】
が、単結合または二重結合を表し、
nが、1~5から選択される整数であり、
それぞれのR
1が、独立して、各出現について、-OH、C
1~6アルキル、C
1~6アルキル-OH、C
1~6アルキル-O-C
1~6アルキル、-O-C
1~6アルキル、-C(O)N(R
a)
2、および-C(O)OR
bからなる群より選択され、
R
aが、独立して、各出現について、水素またはC
1~6アルキルであり、
R
bが、独立して、各出現について、水素またはC
1~6アルキルであり、
Xが、CR
cR
dまたはNであり、
R
cおよびR
dが、独立して、各出現について、水素、C
1~6アルキル、-OH、および-O-C
1~6アルキルからなる群より選択され、R
cが、水素である場合、R
dは、C
1~6アルキル、-OH、および-O-C
1~6アルキルから選択され、R
cが、C
1~6アルキル、-OH、および-O-C
1~6アルキルから選択される場合、R
dは、水素であり、
前記少なくとも1種の化合物が、
【化3】
でもその塩でもない、
方法が本明細書に提供される。
【0006】
別の態様では、rAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、式(I)の化合物またはその塩を含む溶液と接触させるステップを含む、方法が本明細書に提供される。
【0007】
ある特定の実施形態では、溶液は、式(I-A)
【化4】
の少なくとも1種の化合物またはその塩を含み、式中、
R
2およびR
3が、独立して、各出現について、水素もしくは-OHであるか、
またはR
2およびR
3が、一緒になって、オキソを形成することができ、
R
4が、水素、-OH、-O-C
1~6アルキル、および-N(R
e)
2からなる群より選択され、
R
eが、独立して、各出現について、水素またはC
1~6アルキルである。
【0008】
一部の実施形態では、溶液は、
【化5】
およびこれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む。
【0009】
ある特定の実施形態では、溶液は、式(I-B)
【化6】
の少なくとも1種の化合物またはその塩を含み、式中、
Xは、CR
cR
dであり、
R
5a、R
5b、R
5c、R
5d、およびR
5eは、独立して、各出現について、-OH、-O-C
1~6アルキル、C
1~6アルキル、C
1~6アルキル-OH、およびC
1~6アルキル-O-C
1~6アルキルであり、
R
cおよびR
dは、独立して、各出現について、水素、C
1~6アルキル、-OH、および-O-C
1~6アルキルからなる群より選択され、R
cが、水素である場合、R
dは、C
1~6アルキル、-OH、および-O-C
1~6アルキルから選択され、R
cが、C
1~6アルキル、-OH、および-O-C
1~6アルキルから選択される場合、R
dは、水素である。
【0010】
一部の実施形態では、溶液は、式(III)
【化7】
の化合物を含む。
【0011】
別の態様では、rAAVを産生する方法であって、宿主細胞を、式(II)
【化8】
の少なくとも1種の化合物またはその塩を含む溶液と接触させるステップを含み、式中、
R
6およびR
7が、独立して、各出現について、水素、-OH、-CN、ハロゲン、およびC
1~6アルキルからなる群より選択され、
R
8およびR
9が、独立して、各出現について、水素、-OH、-CN、ハロゲン、およびC
1~6アルキルからなる群より選択され、
Yが、CまたはNであり、
R
10およびR
11が、独立して、各出現について、水素、-OH、およびC
1~6アルキルからなる群より選択され、
Aが、水素、C
1~6アルキル、および-C(O)N(R
f)
2からなる群より選択され、
R
fが、独立して、各出現について、水素、C
1~6アルキル、C
1~6アルキル-C(O)OH、およびC
1~6アルキル-OHからなる群より選択され、
前記少なくとも1種の化合物が、
【化9】
でもその塩でもない、
方法が本明細書に提供される。
【0012】
別の態様では、rAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、式(II)の化合物またはその塩を含む溶液と接触させるステップを含む方法が本明細書に提供される。
【0013】
ある特定の実施形態では、式(II)の少なくとも1種の化合物は、式(IV)
【化10】
の化合物である。
【0014】
別の態様では、rAAVを産生するかまたはrAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、ビタミンB2、ビタミンB7、ビタミンB9、およびビタミンB12から選択されるビタミンBを含む溶液と接触させるステップを含む、方法が、本明細書において提供される。
【0015】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、rAAVを収集および精製するステップをさらに含みうる。
【0016】
溶液中の本明細書に記載される化合物(例えば、式(I)、(I-A)、(I-B)、(II)、(III)、もしくは(IV)の化合物、またはビタミンB(例えば、ビタミンB2、ビタミンB7、ビタミンB9、もしくはビタミンB12))の濃度は、10mMよりも高いもしくはそれと等しい、12mMよりも高いもしくはそれと等しい、15mMよりも高いもしくはそれと等しい、1mMよりも高いもしくはそれと等しい、0.5mMよりも高いもしくはそれと等しい、0.5mMよりも高い、0.5mM~15mMの間、または1mM~10mMの間でありうることが、企図される。一実施形態では、溶液中の少なくとも1種の化合物(例えば、式(I)、(I-A)、(I-B)、(II)、(III)、もしくは(IV)の化合物、またはビタミンB(例えば、ビタミンB2、ビタミンB7、ビタミンB9、もしくはビタミンB12))の濃度は、少なくとも1種の化合物を含む溶液と接触していない宿主細胞によって産生されるものと比較して、少なくとも1.2倍大きい量の分泌rAAVを産生するのに十分である。別の実施形態では、溶液中の少なくとも1種の化合物(例えば、式(I)、(I-A)、(I-B)、(II)、(III)、もしくは(IV)の化合物、またはビタミンB(例えば、ビタミンB2、ビタミンB7、ビタミンB9、もしくはビタミンB12))の濃度は、少なくとも1種の化合物を含む溶液と接触していない宿主細胞によって産生されるものと比較して、少なくとも1.2倍大きい量の総rAAVを産生するのに十分である。一実施形態では、宿主細胞は、少なくとも2日間、少なくとも1種の化合物を含む溶液と接触する。
【0017】
宿主細胞は、哺乳動物細胞、例えば、HeLa、HEK293、COS、A549、BHK、またはVero細胞でありうることが、企図される。宿主細胞は、昆虫細胞、例えば、Sf9、Sf-21、Tn-368、またはBTI-Tn-5B1-4(High-Five)細胞でありうることもまた、企図される。一実施形態では、宿主細胞は、HeLa細胞である。別の実施形態では、宿主細胞は、HEK293細胞である。宿主細胞は、AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列を含む組換え核酸構築物を含みうることが、企図される。一実施形態では、宿主細胞は、repおよびcap遺伝子(例えば、AAV repおよびcap遺伝子)を含みうる。一実施形態では、宿主細胞は、例えば、ヘルパープラスミドを介してまたはアデノウイルスによる感染を介して供給される、ヘルパーウイルス遺伝子を含みうる。一実施形態では、宿主細胞は、i)AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列、ii)repおよびcap遺伝子、ならびにiii)ヘルパーウイルス遺伝子を含む。
【0018】
一実施形態では、宿主細胞は、少なくとも1種の化合物(例えば、式(I)、(I-A)、(I-B)、(II)、(III)、もしくは(IV)の化合物、またはビタミンB(例えば、ビタミンB2、ビタミンB7、ビタミンB9、もしくはビタミンB12))を含む溶液と接触していない宿主細胞によって産生されるものと比較して、少なくとも1.2倍大きい量の分泌rAAVを産生する。別の実施形態では、宿主細胞は、少なくとも1種の化合物(例えば、式(I)、(I-A)、(I-B)、(II)、(III)、もしくは(IV)の化合物、またはビタミンB(例えば、ビタミンB2、ビタミンB7、ビタミンB9、もしくはビタミンB12))を含む溶液と接触していない宿主細胞によって産生されるものと比較して、少なくとも1.2倍大きい量の総rAAVを産生する。
【0019】
一部の実施形態では、本発明は、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を産生する方法であって、宿主細胞を、
【化11】
およびこれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む溶液と接触させるステップを含み、
宿主細胞が、i)AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列、ii)AAV repおよびcap遺伝子、ならびにiii)必要に応じてヘルパーウイルス遺伝子を含む、方法を提供する。
【0020】
一部の実施形態では、本発明は、rAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、
【化12】
およびこれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む溶液と接触させるステップを含み、
宿主細胞が、i)AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列、ii)AAV repおよびcap遺伝子ならびにiii)必要に応じてヘルパーウイルス遺伝子を含む、方法を提供する。
【0021】
一部の実施形態では、本発明は、宿主細胞と、
【化13】
およびこれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1種の化合物とを含む、組成物であって、
宿主細胞が、i)AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列、ii)AAV repおよびcap遺伝子ならびにiii)必要に応じてヘルパーウイルス遺伝子を含む、組成物を提供する。
【0022】
一部の実施形態では、本発明は、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を産生する方法であって、宿主細胞を、
【化14】
を含む溶液と接触させるステップを含み、
宿主細胞が、i)AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列、ii)AAV repおよびcap遺伝子ならびにiii)必要に応じてヘルパーウイルス遺伝子を含む、方法を提供する。
【0023】
一部の実施形態では、本発明は、rAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、
【化15】
を含む溶液と接触させるステップを含み、
宿主細胞が、i)AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列、ii)AAV repおよびcap遺伝子ならびにiii)必要に応じてヘルパーウイルス遺伝子を含む、方法を提供する。
【0024】
一部の実施形態では、本発明は、宿主細胞と、
【化16】
とを含む、組成物であって、
宿主細胞が、i)AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列、ii)AAV repおよびcap遺伝子ならびにiii)必要に応じてヘルパーウイルス遺伝子を含む、組成物を提供する。
【0025】
一部の実施形態では、本発明は、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を産生する方法であって、宿主細胞を、
【化17】
を含む溶液と接触させるステップを含み、
宿主細胞が、i)AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列、ii)AAV repおよびcap遺伝子ならびにiii)必要に応じてヘルパーウイルス遺伝子を含む、方法を提供する。
【0026】
一部の実施形態では、本発明は、rAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、
【化18】
を含む溶液と接触させるステップを含み、
宿主細胞が、i)AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列、ii)AAV repおよびcap遺伝子ならびにiii)必要に応じてヘルパーウイルス遺伝子を含む、方法を提供する。
【0027】
一部の実施形態では、本発明は、宿主細胞と、
【化19】
とを含む、組成物であって、
宿主細胞が、i)AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列、ii)AAV repおよびcap遺伝子ならびにiii)必要に応じてヘルパーウイルス遺伝子を含む、組成物を提供する。
【0028】
一部の実施形態では、本発明は、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を産生する方法であって、宿主細胞を、ビタミンB2、ビタミンB7、ビタミンB9、およびビタミンB12、ならびにこれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む溶液と接触させるステップを含み、宿主細胞が、i)AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列、ii)AAV repおよびcap遺伝子ならびにiii)必要に応じてヘルパーウイルス遺伝子を含む、方法を提供する。
【0029】
一部の実施形態では、本発明は、rAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、ビタミンB2、ビタミンB7、ビタミンB9、およびビタミンB12、ならびにこれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む溶液と接触させるステップを含み、宿主細胞が、i)AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列、ii)AAV repおよびcap遺伝子ならびにiii)必要に応じてヘルパーウイルス遺伝子を含む、方法を提供する。
【0030】
提供される方法の一部の実施形態では、溶液は、
【化20】
もその塩も含まない。
【0031】
提供される方法の一部の実施形態では、溶液は、
【化21】
もその塩も含まない。
【0032】
一部の実施形態では、提供される組成物は、
【化22】
もその塩も含まない。
【0033】
一部の実施形態では、提供される組成物は、
【化23】
もその塩も含まない。
【0034】
一部の実施形態では、本発明は、宿主細胞と、ビタミンB2、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミンB12、およびこれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1種の化合物とを含む、組成物であって、宿主細胞が、i)AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列、ii)AAV repおよびcap遺伝子、ならびにiii)必要に応じて、ヘルパーウイルス遺伝子を含む、組成物を提供する。
【0035】
他の態様では、本発明は、企図される方法のうちのいずれかによって産生されるrAAV、企図される方法のうちのいずれかによって産生されるrAAVを含む組成物、または宿主細胞と本明細書に記載される少なくとも1種の化合物(例えば、式(I)、(I-A)、(I-B)、(II)、(III)、もしくは(IV)の化合物、またはビタミンB(例えば、ビタミンB2、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミンB12、もしくはこれらの任意の組合せ)、またはこれらの任意の組合せ)とを含む、組成物を提供する。
【0036】
本発明のこれらおよび他の態様および特性は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲に記載される。
【0037】
本発明の前述およびその他の目的、特性、および利点は、添付の図面に図示されるように、以下の好ましい実施形態の説明から明らかとなろう。同様の参照される要素は、対応する図面における共通の特性を識別する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、変動するナイアシンアミド濃度(0.1mM~40mM)においてHeLa産生細胞から産生される様々なクレードEおよびF rAAVの、正規化された容量組換えAAV(rAAV)力価の概略的な棒グラフである。1mL当たりのゲノムコピー数(GC/mL)で測定される力価が、ナイアシンアミドの不在下におけるrAAV産生に対して正規化されている。
【0039】
【
図2】
図2は、様々なナイアシンアミド濃度において異なるHeLa産生細胞クローンから産生されたクレードEおよびF rAAVの、正規化された容量rAAV力価(GC/mL)のデータ点の3次多項式当てはめである。
【0040】
【
図3】
図3は、第IX因子導入遺伝子をコードするクレードE rAAV(AAVrh10-FIX)を産生することができるHeLa産生細胞株からのrAAV産生に対するナイアシンアミドの容器スケーリングの効果を示す、棒グラフである。2つの一般的な容器スケール:3mLのディープウェル(24-DW)および100mLの振盪フラスコ(フラスコ)を使用した。ナイアシンアミドを、示される濃度(1mM~50mM)で添加し、rAAV収量(GC/mL)を測定した。
【0041】
【
図4A】
図4Aは、第IX因子導入遺伝子をコードする組換えクレードE AAV(AAVrh10-FIX)を産生することができるHeLa産生細胞株クローンからのrAAV産生に対するナイアシンアミドの効果を示す、棒グラフである。ナイアシンアミドを、示される濃度(5mM~40mM)で添加し、rAAV収量(GC/mL)を測定した。
【0042】
【
図4B】
図4Bは、グルコース6-ホスファターゼ(G6Pase)導入遺伝子をコードする組換えクレードE AAV(AAV8-G6Pase)を産生することができる第1のHeLa産生細胞株クローンからのrAAV産生に対するナイアシンアミドの効果を示す、棒グラフである。ナイアシンアミドを、示される濃度(5mM~40mM)で添加し、rAAV収量(GC/mL)を測定した。
【0043】
【
図4C】
図4Cは、グルコース6-ホスファターゼ(G6Pase)導入遺伝子をコードする組換えクレードE AAV(AAV8-G6Pase)を産生することができる第2のHeLa産生細胞株クローンからのrAAV産生に対するナイアシンアミドの効果を示す、棒グラフである。ナイアシンアミドを、示される濃度(1mM~40mM)で添加し、rAAV収量(GC/mL)を測定した。
【0044】
【
図4D】
図4Dは、第VIII因子導入遺伝子をコードする組換えクレードE AAV(AAVhu37-FVIII)を産生することができる第3のHeLa産生細胞株クローンからのrAAV産生に対するナイアシンアミドの効果を示す、棒グラフである。ナイアシンアミドを、示される濃度(1mM~40mM)で添加し、rAAV収量(GC/mL)を測定した。
【0045】
【
図5】
図5は、短縮型ATP7B導入遺伝子をコードする組換えクレードF AAV(AAV9-ATP7B)を産生することができる2つのHeLa産生細胞株クローンからのrAAV産生に対するナイアシンアミドの効果を示す、棒グラフである。クローンを、2Lのバイオリアクターにおいて培養した。ナイアシンアミドを、示される濃度(3mM)で添加し、rAAV収量(GC/mL)を測定した。
【0046】
【
図6】
図6は、30mLのフラスコにおいて培養したHEK293細胞からのrAAV産生に対するナイアシンアミドの効果を示す、棒グラフである。HEK293細胞に、オルニチントランスカルバミラーゼをコードする組換えクレードE AAV(rAAV8-OTC)の産生を可能にするプラスミドをトランスフェクトした。ナイアシンアミドを、示される濃度(0.03mM~30mM)で添加し、rAAV収量(GC/mL)を測定した。
【発明を実施するための形態】
【0047】
詳細な説明
本発明は、組換えアデノ随伴ウイルスベクター(rAAV)の産生に使用される宿主細胞が、化合物、例えば、式(I)の化合物、式(I-A)の化合物、式(I-B)の化合物、式(II)の化合物、式(III)の化合物、式(IV)の化合物、もしくはこれらのいずれか1つの塩、またはビタミンBを宿主細胞培養物に添加した場合に、増加した量のrAAVを産生するという発見に部分的に基づく。
I.本方法において使用される化合物
【0048】
一態様では、本発明は、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を産生する方法であって、宿主細胞を、式(I)
【化24】
の少なくとも1種の化合物またはその塩を含む溶液と接触させるステップを含み、式中、
【化25】
が、単結合または二重結合を表し、
nが、1~5から選択される整数であり、
それぞれのR
1が、独立して、各出現について、-OH、C
1~6アルキル、C
1~6アルキル-OH、C
1~6アルキル-O-C
1~6アルキル、-O-C
1~6アルキル、-C(O)N(R
a)
2、および-C(O)OR
bからなる群より選択され、
R
aが、独立して、各出現について、水素またはC
1~6アルキルであり、
R
bが、独立して、各出現について、水素またはC
1~6アルキルであり、
Xが、CR
cR
dまたはNであり、
R
cおよびR
dが、独立して、各出現について、水素、C
1~6アルキル、-OH、および-O-C
1~6アルキルから選択され、R
cが、水素である場合、R
dは、C
1~6アルキル、-OH、および-O-C
1~6アルキルから選択され、R
cが、C
1~6アルキル、-OH、および-O-C
1~6アルキルから選択される場合、R
dは、水素であり、
前記少なくとも1種の化合物が、
【化26】
でもその塩でもない、
方法を提供する。
【0049】
別の態様では、本発明は、rAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、式(I)の化合物またはその塩を含む溶液と接触させるステップを含む方法を提供する。
【0050】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I)の化合物は、Xが、Nである、化合物である。一部の実施形態では、本明細書に記載される式(I)の化合物は、Xが、Nであり、R1が、独立して、各出現について、-OH、C1~6アルキル、C1~6アルキル-OH、C1~6アルキル-O-C1~6アルキル、-O-C1~6アルキル、-C(O)N(Ra)2、および-C(O)ORbから選択される、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I)の化合物は、Xが、Nであり、R1が、独立して、各出現について、C1~6アルキル-OH、-C(O)N(Ra)2、および-C(O)ORbから選択される、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I)の化合物は、Xが、Nであり、R1が、C1~6アルキル-OHである(例えば、-CH2OH)、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I)の化合物は、Xが、Nであり、R1が、-C(O)N(Ra)2であり、Raが、水素である(例えば、-C(O)NH2)、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I)の化合物は、Xが、Nであり、R1が、-C(O)ORbであり、Rbが、独立して、各出現について、水素またはメチルである(例えば、C(O)OHおよび-C(O)OCH3)、化合物である。
【0051】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I)の化合物は、Xが、CRcRdであり、Rcが、水素であり、Rdが、C1~6アルキル、-OH、および-O-C1~6アルキルから選択され、それぞれのR1が、独立して、各出現について、-OH、C1~6アルキル、C1~6アルキル-OH、C1~6アルキル-O-C1~6アルキル、-O-C1~6アルキル、-C(O)N(Ra)2、および-C(O)ORbから選択される、化合物である。一部の実施形態では、本明細書に記載される式(I)の化合物は、Xが、CRcRdであり、Rcが、C1~6アルキル、-OH、および-O-C1~6アルキルから選択され、Rdが、-OHであり、R1が、独立して、各出現について、-OH、C1~6アルキル、C1~6アルキル-OH、C1~6アルキル-O-C1~6アルキル、-O-C1~6アルキル、-C(O)N(Ra)2、および-C(O)ORbから選択される、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I)の化合物は、Xが、CRcRdであり、Rcが、水素であり、Rdが、-OHであり、R1が、独立して、各出現について、-OH、C1~6アルキル、C1~6アルキル-OH、C1~6アルキル-O-C1~6アルキル、-O-C1~6アルキル、-C(O)N(Ra)2、および-C(O)ORbから選択される、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I)の化合物は、Xが、CRcRdであり、Rcが、水素であり、Rdが、-OHであり、R1が、-OHである、化合物である。
【0052】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I)の化合物は、Xが、Nであり、nが、1であり、R1が、独立して、各出現について、C1~6アルキル-OH、-C(O)N(Ra)2、および-C(O)ORbから選択される(例えば、R1が、独立して、各出現について、-CH2OH、-C(O)NH2、-C(O)OH、および-C(O)OCH3から選択される)、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I)の化合物は、Xが、CRcRdであり、Rcが、水素であり、Rdが、-OHであり、nが、5であり、R1が、-OHである、化合物である。
【0053】
ある特定の実施形態では、本発明は、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を産生する方法であって、宿主細胞を、式(I-A)の少なくとも1種の化合物またはその塩を含む溶液と接触させるステップを含む、方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、rAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、式(I-A)
【化27】
の化合物またはその塩を含む溶液と接触させるステップを含み、式中、
R
2およびR
3が、独立して、各出現について、水素もしくは-OHであるか、
またはR
2およびR
3が、一緒になって、オキソを形成することができ、
R
4が、水素、-OH、-O-C
1~6アルキル、および-N(R
e)
2からなる群より選択され、
R
eが、独立して、各出現について、水素またはC
1~6アルキルである、
方法を提供する。
【0054】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I-A)の化合物は、R2およびR3が、一緒になって、オキソを形成する、化合物である。ある特定の実施形態では、式(I-A)の化合物は、R4が、-OH、-O-C1~6アルキル、および-N(Re)2(例えば、-NH2、-OH、および-OCH3)から選択される、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I-A)の化合物は、R4が、-NH2、-OH、および-OCH3から選択される、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I-A)の化合物は、R2およびR3が、一緒になって、オキソを形成し、R4が、-OH、-O-C1~6アルキル、および-N(Re)2(例えば、-NH2、-OH、および-OCH3)から選択される、化合物である。一部の実施形態では、本明細書に記載される式(I-A)の化合物は、R2およびR3が、一緒になって、オキソを形成し、R4が、-NH2、-OH、および-OCH3から選択される、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I-A)の化合物は、R2およびR3が、一緒になって、オキソを形成し、R4が、-NH2である、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I-A)の化合物は、R2およびR3が、一緒になって、オキソを形成し、R4が、-OHである、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I-A)の化合物は、R2およびR3が、一緒になって、オキソを形成し、R4が、-OCH3である、化合物である。
【0055】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I-A)の化合物は、R2およびR3が、いずれも水素である、化合物である。ある特定の実施形態では、式(I-A)の化合物は、R4が、水素、-OH、-O-C1~6アルキル、および-N(Re)2(例えば、-NH2、-OH、および-OCH3)から選択される、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I-A)の化合物は、R4が、水素、-NH2、-OH、および-OCH3から選択される、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I-A)の化合物は、R2およびR3が、いずれも水素であり、R4が、水素、-NH2、-OH、および-OCH3からなる群より選択される、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I-A)の化合物は、R2およびR3が、いずれも水素であり、R4が、水素である、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I-A)の化合物は、R2およびR3が、いずれも水素であり、R4が、-NH2である、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I-A)の化合物は、R2およびR3が、いずれも水素であり、R4が、-OHである、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I-A)の化合物は、R2およびR3が、いずれも水素であり、R4が、-OCH3である、化合物である。
【0056】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I-A)の化合物は、R2およびR3が、独立して、各出現について、水素もしくは-OHであるか、またはR2およびR3が、一緒になって、オキソを形成することができ、R4が、-OHである、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I-A)の化合物は、R2およびR3が、独立して、各出現について、水素もしくは-OHであるか、またはR2およびR3が、一緒になって、オキソを形成することができ、R4が、-OCH3である、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I-A)の化合物は、R2およびR3が、独立して、各出現について、水素もしくは-OHであるか、またはR2およびR3が、一緒になって、オキソを形成することができ、R4が、-NH2である、化合物である。
【0057】
ある特定の実施形態では、本発明は、rAAVを産生する方法であって、宿主細胞を、
【化28】
およびこれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む溶液と接触させるステップを含む、方法を提供する。
【0058】
ある特定の実施形態では、rAAVを産生する方法であって、宿主細胞を、ナイアシンアミド、ナイアシン、ニコチン酸メチル、ニコチニルアルコール、およびこれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む溶液と接触させるステップを含む、方法が、提供される。
【0059】
ある特定の実施形態では、本発明は、rAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、
【化29】
およびこれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む溶液と接触させるステップを含む、方法を提供する。
【0060】
ある特定の実施形態では、rAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、ナイアシンアミド、ナイアシン、ニコチン酸メチル、ニコチニルアルコール、およびこれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む溶液と接触させるステップを含む、方法が、提供される。
【0061】
ある特定の実施形態では、本発明は、rAAVを産生する方法であって、宿主細胞を、式(I-B)の少なくとも1種の化合物またはその塩を含む溶液と接触させるステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、rAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、式(I-B)
【化30】
の少なくとも1種の化合物またはその塩を含む溶液と接触させるステップを含み、式中、
Xが、CR
cR
dであり、
R
5a、R
5b、R
5c、R
5d、およびR
5eが、独立して、各出現について、-OH、-O-C
1~6アルキル、C
1~6アルキル、C
1~6アルキル-OH、およびC
1~6アルキル-O-C
1~6アルキルであり、
R
cおよびR
dが、独立して、各出現について、水素、C
1~6アルキル、-OH、および-O-C
1~6アルキルから選択され、R
cが、水素である場合、R
dは、C
1~6アルキル、-OH、および-O-C
1~6アルキルから選択され、R
cが、C
1~6アルキル、-OH、および-O-C
1~6アルキルから選択される場合、R
dは、水素である、
方法を提供する。
【0062】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I-B)の化合物は、Rcが、水素であり、Rdが、C1~6アルキル、-OH、および-O-C1~6アルキルから選択される、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I-B)の化合物は、Rcが、C1~6アルキル、-OH、および-O-C1~6アルキルから選択され、Rdが、水素である、化合物である。一部の実施形態では、本明細書に記載される式(I-B)の化合物は、Rcが、水素であり、Rdが、-OHである、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I-B)の化合物は、Rcが、水素であり、Rdが、-O-C1~6アルキルである、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I-B)の化合物は、Rcが、水素であり、Rdが、C1~6アルキルである、化合物である。
【0063】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I-B)の化合物は、R5a、R5b、R5c、R5d、およびR5eが、-OHである、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I-B)の化合物は、Rcが、水素であり、Rdが、-OHである、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I-B)の化合物は、R5a、R5b、R5c、R5d、およびR5eが、-OHであり、RcおよびRdが、独立して、各出現について、水素、C1~6アルキル、-OH、および-O-C1~6アルキルから選択され、Rcが、水素である場合、Rdは、C1~6アルキル、-OH、および-O-C1~6アルキルから選択され、Rcが、C1~6アルキル、-OH、および-O-C1~6アルキルから選択される場合、Rdは、水素である、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I-B)の化合物は、R5a、R5b、R5c、R5d、およびR5eが、-OHであり、Rcが、水素であり、Rdが、C1~6アルキル、-OH、および-O-C1~6アルキルから選択される、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(I-B)の化合物は、R5a、R5b、R5c、R5d、およびR5eが、-OHであり、Rcが、水素であり、Rdが、-OHから選択される、化合物である。
【0064】
ある特定の実施形態では、本発明は、rAAVを産生する方法であって、宿主細胞を、式(III)
【化31】
の化合物またはその塩を含む溶液と接触させるステップを含む、方法を提供する。
【0065】
ある特定の実施形態では、本発明は、rAAVを産生する方法であって、宿主細胞を、ミオ-イノシトールまたはその塩を含む溶液と接触させるステップを含む、方法を提供する。
【0066】
ある特定の実施形態では、本発明は、rAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、式(III)
【化32】
の化合物またはその塩を含む溶液と接触させるステップを含む、方法を提供する。
【0067】
ある特定の実施形態では、本発明は、rAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、ミオ-イノシトールまたはその塩を含む溶液と接触させるステップを含む、方法を提供する。
【0068】
別の態様では、本発明は、rAAVを産生する方法であって、宿主細胞を、式(II)の化合物またはその塩を含む溶液と接触させるステップを含む、方法を提供する。別の態様では、本発明は、rAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、式(II)
【化33】
の少なくとも1種の化合物またはその塩を含む溶液と接触させるステップを含み、式中、
R
6およびR
7が、独立して、各出現について、水素、-OH、-CN、ハロゲン、およびC
1~6アルキルからなる群より選択され、
R
8およびR
9が、独立して、各出現について、水素、-OH、-CN、ハロゲン、およびC
1~6アルキルからなる群より選択され、
Yが、CまたはNであり、
R
10およびR
11が、独立して、各出現について、水素、-OH、およびC
1~6アルキルからなる群より選択され、
Aが、水素、C
1~6アルキル、および-C(O)N(R
f)
2からなる群より選択され、
R
fが、独立して、各出現について、水素、C
1~6アルキル、C
1~6アルキル-C(O)OH、およびC
1~6アルキル-OHからなる群より選択され、
前記少なくとも1種の化合物が、
【化34】
でもその塩でもない、
方法を提供する。
【0069】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、R6およびR7が、水素である、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、R8およびR9が、水素である、化合物である。ある特定の実施形態では、式(II)の化合物は、R6およびR7が、水素であり、R8およびR9が、独立して、各出現について、水素、-OH、-CN、ハロゲン、およびC1~6アルキルから選択される、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、R8およびR9が、水素であり、R6およびR7が、独立して、各出現について、水素、-OH、-CN、ハロゲン、およびC1~6アルキルから選択される、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、R6、R7、R8、およびR9が、水素である、化合物である。
【0070】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、Yが、Cである、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、Yが、Cであり、R6およびR7が、水素であり、R8およびR9が、独立して、各出現について、水素、-OH、-CN、ハロゲン、およびC1~6アルキルから選択される、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、Yが、Cであり、R8およびR9が、水素であり、R6およびR7が、独立して、各出現について、水素、-OH、-CN、ハロゲン、およびC1~6アルキルから選択される、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、Yが、Cであり、R6、R7、R8、およびR9が、水素である、化合物である。
【0071】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、Yが、Nである、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、Yが、Nであり、R6およびR7が、水素であり、R8およびR9が、独立して、各出現について、水素、-OH、-CN、ハロゲン、およびC1~6アルキルから選択される、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、Yが、Nであり、R8およびR9が、水素であり、R6およびR7が、独立して、各出現について、水素、-OH、-CN、ハロゲン、およびC1~6アルキルから選択される、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、Yが、Nであり、R6、R7、R8、およびR9が、水素である、化合物である。
【0072】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、R10およびR11が、C1~6アルキルである、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、R10およびR11が、CH3である、化合物である。
【0073】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、Yが、Cであり、R10およびR11が、C1~6アルキルであり、R6およびR7が、水素であり、R8およびR9が、独立して、各出現について、水素、-OH、-CN、ハロゲン、およびC1~6アルキルから選択される、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、Yが、Cであり、R10およびR11が、C1~6アルキルであり、R8およびR9が、水素であり、R6およびR7が、独立して、各出現について、水素、-OH、-CN、ハロゲン、およびC1~6アルキルから選択される、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、Yが、Cであり、R10およびR11が、C1~6アルキルであり、R6、R7、R8、およびR9が、水素である、化合物である。
【0074】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、Yが、Nであり、R10およびR11が、C1~6アルキルであり、R6およびR7が、水素であり、R8およびR9が、独立して、各出現について、水素、-OH、-CN、ハロゲン、およびC1~6アルキルから選択される、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、Yが、Nであり、R10およびR11が、C1~6アルキルであり、R8およびR9が、水素であり、R6およびR7が、独立して、各出現について、水素、-OH、-CN、ハロゲン、およびC1~6アルキルから選択される、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、Yが、Nであり、R10およびR11が、C1~6アルキルであり、R6、R7、R8、およびR9が、水素である、化合物である。
【0075】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、Yが、Cであり、R10およびR11が、CH3であり、R6およびR7が、水素であり、R8およびR9が、独立して、各出現について、水素、-OH、-CN、ハロゲン、およびC1~6アルキルから選択される、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、Yが、Cであり、R10およびR11が、CH3であり、R8およびR9が、水素であり、R6およびR7が、独立して、各出現について、水素、-OH、-CN、ハロゲン、およびC1~6アルキルから選択される、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、Yが、Cであり、R10およびR11が、CH3であり、R6、R7、R8、およびR9が、水素である、化合物である。
【0076】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、Yが、Nであり、R10およびR11が、CH3であり、R6およびR7が、水素であり、R8およびR9が、独立して、各出現について、水素、-OH、-CN、ハロゲン、およびC1~6アルキルから選択される、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、Yが、Nであり、R10およびR11が、CH3であり、R8およびR9が、水素であり、R6およびR7が、独立して、各出現について、水素、-OH、-CN、ハロゲン、およびC1~6アルキルから選択される、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、Yが、Nであり、R10およびR11が、CH3であり、R6、R7、R8、およびR9が、水素である、化合物である。
【0077】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、Aが、C1~6アルキルである、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、Aが、CH3である、化合物である。
【0078】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、Yが、Cであり、Aが、C1~6アルキルであり、R10およびR11が、CH3であり、R6およびR7が、水素であり、R8およびR9が、独立して、各出現について、水素、-OH、-CN、ハロゲン、およびC1~6アルキルから選択される、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、Yが、Cであり、Aが、C1~6アルキルであり、R10およびR11が、CH3であり、R8およびR9が、水素であり、R6およびR7が、独立して、各出現について、水素、-OH、-CN、ハロゲン、およびC1~6アルキルから選択される、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、Yが、Cであり、Aが、C1~6アルキルであり、R10およびR11が、CH3であり、R6、R7、R8、およびR9が、水素である、化合物である。
【0079】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、Yが、Nであり、Aが、C1~6アルキルであり、R10およびR11が、CH3であり、R6およびR7が、水素であり、R8およびR9が、独立して、各出現について、水素、-OH、-CN、ハロゲン、およびC1~6アルキルから選択される、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、Yが、Nであり、Aが、C1~6アルキルであり、R10およびR11が、CH3であり、R8およびR9が、水素であり、R6およびR7が、独立して、各出現について、水素、-OH、-CN、ハロゲン、およびC1~6アルキルから選択される、化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、Yが、Nであり、Aが、C1~6アルキルであり、R10およびR11が、CH3であり、R6、R7、R8、およびR9が、水素である、化合物である。
【0080】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される式(II)の化合物は、R6、R7、R8、およびR9が、水素であり、Yが、Nであり、R10およびR11が、CH3であり、Aが、CH3である、化合物である。
【0081】
ある特定の実施形態では、本発明は、rAAVを産生する方法であって、宿主細胞を、式(IV)
【化35】
の化合物またはその塩を含む溶液と接触させるステップを含む、方法を提供する。
【0082】
ある特定の実施形態では、本発明は、rAAVを産生する方法であって、宿主細胞を、コリンまたはその塩を含む溶液と接触させるステップを含む、方法を提供する。
【0083】
ある特定の実施形態では、本発明は、rAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、式(IV)
【化36】
の化合物またはその塩を含む溶液と接触させるステップを含む、方法を提供する。
【0084】
ある特定の実施形態では、本発明は、rAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、コリンまたはその塩を含む溶液と接触させるステップを含む、方法を提供する。
【0085】
別の態様では、本発明は、rAAVを産生する方法であって、宿主細胞を、ビタミンB2、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミンB12、またはこれらの任意の組合せから選択される少なくとも1種のビタミンBを含む溶液と接触させるステップを含む、方法を提供する。
【0086】
別の態様では、本発明は、rAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、ビタミンB2、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミンB12、またはこれらの任意の組合せから選択される少なくとも1種のビタミンBを含む溶液と接触させるステップを含む、方法を提供する。
【0087】
II.培養条件
ある特定の実施形態では、本発明は、rAAVを産生するかまたはrAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、本明細書に記載される少なくとも1種の化合物(例えば、式(I)、(I-A)、(I-B)、(II)、(III)、もしくは(IV)の化合物、またはビタミンB(例えば、ビタミンB2、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミンB12、もしくはこれらの任意の組合せ)、またはこれらの任意の組合せ)を含む溶液と接触させるステップを含み、溶液中の少なくとも1種の化合物の最終濃度が、0.5mMよりも高い、方法を提供する。他の実施形態では、溶液中の少なくとも1種の化合物の最終濃度は、0.5mMよりも高いかまたはそれと等しい。
【0088】
ある特定の実施形態では、本発明は、rAAVを産生するかまたはrAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、本明細書に記載される少なくとも1種の化合物(例えば、式(I)、(I-A)、(I-B)、(II)、(III)、もしくは(IV)の化合物、またはビタミンB(例えば、ビタミンB2、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミンB12、もしくはこれらの任意の組合せ)、またはこれらの任意の組合せ)を含む溶液と接触させるステップを含み、溶液中の少なくとも1種の化合物の最終濃度が、0.5mM~15mMの間(例えば、0.5mM~14mMの間、0.5mM~13mMの間、0.5mM~12mMの間、0.5mM~11mMの間、0.5mM~10mMの間、0.5mM~9mMの間、0.5mM~8mMの間、0.5mM~7mMの間、0.5mM~6mMの間、0.5mM~5mMの間、0.5mM~4mMの間、0.5mM~3mMの間、0.5mM~2mMの間、0.5mM~1mMの間、1mM~15mMの間、2mM~15mMの間、3mM~15mMの間、4mM~15mMの間、5mM~15mMの間、6mM~15mMの間、7mM~15mMの間、8mM~15mMの間、9mM~15mMの間、10mM~15mMの間、11mM~15mMの間、12mM~15mMの間、13mM~15mMの間、および14mM~15mMの間)である、方法を提供する。一部の例示的な実施形態では、溶液中の少なくとも1種の化合物の最終濃度は、1mM~10mMの間である。一部の実施形態では、溶液中の少なくとも1種の化合物の最終濃度は、0.5mM、1mM、1.5mM、2mM、2.5mM、3mM、3.5mM、4mM、4.5mM、5mM、5.5mM、6mM、6.5mM、7mM、7.5mM、8mM、8.5mM、9mM、9.5mM、10mM、11mM、12mM、13mM、14mM、または15mM、ならびに0.5mM~15mMの間のすべての少数値および分数値から選択される。
【0089】
ある特定の実施形態では、本発明は、rAAVを産生するかまたはrAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、本明細書に記載される少なくとも1種の化合物(例えば、式(I)、(I-A)、(I-B)、(II)、(III)、もしくは(IV)の化合物、またはビタミンB(例えば、ビタミンB2、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミンB12、もしくはこれらの任意の組合せ)、またはこれらの任意の組合せ)を含む溶液と接触させるステップを含み、溶液中の少なくとも1種の化合物の最終濃度が、少なくとも1種の化合物を含む溶液と接触していない宿主細胞によって産生されるものと比較して、少なくとも1.2倍大きい量の分泌rAAVを産生するのに十分である、方法を提供する。一部の実施形態では、増加は、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、または5倍、ならびに1.2倍~5倍の間のすべての少数値および分数値でありうる。
【0090】
ある特定の実施形態では、本発明は、rAAVを産生するかまたはrAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、本明細書に記載される少なくとも1種の化合物(例えば、式(I)、(I-A)、(I-B)、(II)、(III)、もしくは(IV)の化合物、またはビタミンB(例えば、ビタミンB2、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミンB12、もしくはこれらの任意の組合せ)、またはこれらの任意の組合せ)を含む溶液と接触させるステップを含み、溶液中の少なくとも1種の化合物の最終濃度が、少なくとも1種の化合物を含む溶液と接触していない宿主細胞によって産生されるものと比較して、少なくとも1.2倍大きい量の総rAAVを産生するのに十分である、方法を提供する。一部の実施形態では、増加は、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、または5倍、ならびに1.2倍~5倍の間のすべての少数値および分数値でありうる。
【0091】
ある特定の実施形態では、本発明は、rAAVを産生するかまたはrAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、本明細書に記載される少なくとも1種の化合物(例えば、式(I)、(I-A)、(I-B)、(II)、(III)、もしくは(IV)の化合物、またはビタミンB(例えば、ビタミンB2、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミンB12、もしくはこれらの任意の組合せ)、またはこれらの任意の組合せ)を含む溶液と接触させるステップを含み、溶液中の少なくとも1種の化合物の最終濃度が、少なくとも1種の化合物を含む溶液と接触していない宿主細胞によって産生されるものと比較して、1.2~2.5倍大きい量の分泌rAAVを産生するのに十分である、方法を提供する。
【0092】
ある特定の実施形態では、本発明は、rAAVを産生するかまたはrAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、本明細書に記載される少なくとも1種の化合物(例えば、式(I)、(I-A)、(I-B)、(II)、(III)、もしくは(IV)の化合物、またはビタミンB(例えば、ビタミンB2、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミンB12、もしくはこれらの任意の組合せ)、またはこれらの任意の組合せ)を含む溶液と接触させるステップを含み、溶液中の少なくとも1種の化合物の最終濃度が、少なくとも1種の化合物を含む溶液と接触していない宿主細胞によって産生されるものと比較して、1.2~2.5倍大きい量の総rAAVを産生するのに十分である、方法を提供する。
【0093】
ある特定の実施形態では、宿主細胞は、少なくとも2日間、少なくとも1種の化合物を含む溶液と接触する。
【0094】
ある特定の実施形態では、本方法は、rAAVを収集および精製するステップをさらに含む。
【0095】
ある特定の実施形態では、宿主細胞は、哺乳動物細胞である。一部の実施形態では、宿主細胞は、HeLa、HEK293、COS、A549、BHK、およびVero細胞から選択される。
【0096】
一実施形態では、宿主細胞は、HeLa細胞である。HeLa細胞の意味には、任意のクローン誘導体、例えば、無血清培地ならびに懸濁培養において増殖することができるHeLa細胞株のサブクローンであるHeLa S3細胞が含まれることが、当業者には理解され、容易に認識されるであろう。
【0097】
別の実施形態では、宿主細胞は、HEK293細胞である。HEK293細胞の意味には、任意のクローン誘導体、例えば、HEK293-F細胞、HEK293-T細胞、またはHEK-EXPI293細胞が含まれることが、当業者には理解され、容易に認識されるであろう。
【0098】
ある特定の実施形態では、宿主細胞は、昆虫細胞である。一部の実施形態では、宿主細胞は、Sf9、Sf-21、Tn-368、およびBTI-Tn-5B1-4(High-Five)細胞からなる群より選択される。
【0099】
一部の実施形態では、宿主細胞は、AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、宿主細胞は、repおよびcap遺伝子(例えば、AAV repおよびcap遺伝子)を含む。一部の実施形態では、宿主細胞は、ヘルパーウイルス遺伝子を含む。ある特定の実施形態では、宿主細胞は、i)AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列、ii)repおよびcap遺伝子(例えば、AAV repおよびcap遺伝子)、ならびにiii)ヘルパーウイルス遺伝子を含む。
【0100】
ある特定の実施形態では、本発明は、rAAVを産生するかまたはrAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、本明細書に記載される少なくとも1種の化合物(例えば、式(I)、(I-A)、(I-B)、(II)、(III)、もしくは(IV)の化合物、またはビタミンB(例えば、ビタミンB2、ビタミンB7、ビタミンB9、およびビタミンB12、もしくはこれらの任意の組合せ)、またはこれらの任意の組合せ)を含む溶液と接触させるステップを含み、宿主細胞が、少なくとも1種の化合物を含む溶液と接触していない宿主細胞によって産生されるものと比較して、少なくとも1.2倍大きい量の分泌rAAVを産生する、方法を提供する。
【0101】
ある特定の実施形態では、本発明は、rAAVを産生するかまたはrAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、本明細書に記載される少なくとも1種の化合物(例えば、式(I)、(I-A)、(I-B)、(II)、(III)、もしくは(IV)の化合物、またはビタミンB(例えば、ビタミンB2、ビタミンB7、ビタミンB9、およびビタミンB12、もしくはこれらの任意の組合せ)、またはこれらの任意の組合せ)を含む溶液と接触させるステップを含み、宿主細胞が、少なくとも1種の化合物を含む溶液と接触していない宿主細胞によって産生されるものと比較して、少なくとも1.2倍大きい量の総rAAVを産生する、方法を提供する。
【0102】
ある特定の実施形態では、本発明は、rAAVを産生するかまたはrAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、本明細書に記載される少なくとも1種の化合物(例えば、式(I)、(I-A)、(I-B)、(II)、(III)、もしくは(IV)の化合物、またはビタミンB(例えば、ビタミンB2、ビタミンB7、ビタミンB9、およびビタミンB12、もしくはこれらの任意の組合せ)、またはこれらの任意の組合せ)を含む溶液と接触させるステップを含み、宿主細胞が、少なくとも1種の化合物を含む溶液と接触していない宿主細胞によって産生されるものと比較して、1.2~2.5倍大きい量の分泌rAAVを産生する、方法を提供する。
【0103】
ある特定の実施形態では、本発明は、rAAVを産生するかまたはrAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、本明細書に記載される少なくとも1種の化合物(例えば、式(I)、(I-A)、(I-B)、(II)、(III)、もしくは(IV)の化合物、またはビタミンB(例えば、ビタミンB2、ビタミンB7、ビタミンB9、およびビタミンB12、もしくはこれらの任意の組合せ)、またはこれらの任意の組合せ)を含む溶液と接触させるステップを含み、宿主細胞が、少なくとも1種の化合物を含む溶液と接触していない宿主細胞によって産生されるものと比較して、1.2~2.5倍大きい量の総rAAVを産生する、方法を提供する。
【0104】
ある特定の実施形態では、溶液は、細胞培養培地を含む。一部の実施形態では、溶液は、産生培地を含む。
【0105】
ある特定の実施形態では、本方法は、宿主細胞を、懸濁培養において培養することを含む。ある特定の実施形態では、本方法は、宿主細胞を、接着培養において培養することを含む。ある特定の実施形態では、本方法は、宿主細胞を、1Lのバイオリアクターにおいて培養することを含む。ある特定の実施形態では、本方法は、宿主細胞を、2Lのバイオリアクターにおいて培養することを含む。ある特定の実施形態では、本方法は、宿主細胞を、3Lのバイオリアクターにおいて培養することを含む。ある特定の実施形態では、本方法は、宿主細胞を、250Lのバイオリアクターにおいて培養することを含む。ある特定の実施形態では、本方法は、宿主細胞を、500Lのバイオリアクターにおいて培養することを含む。ある特定の実施形態では、本方法は、宿主細胞を、2,000Lのバイオリアクターにおいて培養することを含む。
【0106】
III.組成物
ある態様では、本発明は、宿主細胞と、式(I)の化合物またはその塩とを含む、組成物を提供する。
【0107】
別の態様では、本発明は、宿主細胞と、式(I-A)の化合物またはその塩とを含む、組成物を提供する。
【0108】
一部の実施形態では、本発明は、宿主細胞と、
【化37】
およびこれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1種の化合物とを含む、組成物を提供する。
【0109】
一部の実施形態では、本発明は、宿主細胞と、ナイアシンアミド、ナイアシン、ニコチン酸メチル、ニコチニルアルコール、およびこれらの任意の組合せからなる群より選択される少なくとも1種の化合物とを含む、組成物を提供する。
【0110】
ある態様では、本発明は、宿主細胞と、式(I-B)の少なくとも1種の化合物またはその塩とを含む、組成物を提供する。
【0111】
ある特定の実施形態では、本発明は、宿主細胞と、式(III)の化合物またはその塩とを含む、組成物を提供する。
【化38】
【0112】
ある特定の実施形態では、本発明は、宿主細胞と、ミオ-イノシトールまたはその塩とを含む、組成物を提供する。
【0113】
別の態様では、本発明は、宿主細胞と、式(II)の化合物またはその塩とを含む、組成物を提供する。
【0114】
ある特定の実施形態では、本発明は、宿主細胞と、式(IV)の化合物またはその塩とを含む、組成物を提供する。
【化39】
【0115】
ある特定の実施形態では、本発明は、宿主細胞と、コリンの化合物またはその塩とを含む、組成物を提供する。
【0116】
ある態様では、本発明は、宿主細胞と、ビタミンB2、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミンB12、またはこれらの任意の組合せから選択される少なくとも1種のビタミンBとを含む、組成物を提供する。
IV.化学的定義
【0117】
特定の官能基および化学用語の定義を、以下により詳細に記載する。化学元素は、CASバージョンのHandbook of Chemistry and Physics, 75th Ed.の内表紙の元素周期表に従って同定され、特定の官能基は、一般に、そこに記載されるように定義される。さらに、有機化学の一般原則、ならびに特定の官能性部分および反応性は、Thomas Sorrell, Organic Chemistry, University Science Books, Sausalito, 1999; Smith and March, March’s Advanced Organic Chemistry, 5th Edition, John Wiley & Sons, Inc., New York, 2001、Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers, Inc., New York, 1989、およびCarruthers, Some Modern Methods of Organic Synthesis, 3rd Edition, Cambridge University Press, Cambridge, 1987に記載されている。
【0118】
「1つの(a)」および「1つの(an)」という冠詞は、1つまたは1つを上回る(すなわち、少なくとも1つの)その冠詞の文法上の目的物を指して本明細書に使用されうる。例として、「1つのアナログ」は、1つのアナログまたは1つを上回るアナログを意味する。
【0119】
値の範囲が列挙されている場合、範囲内のそれぞれの値および部分範囲を包含することが意図される。例えば、「C1~6アルキル」は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C1~6、C1~5、C1~4、C1~3、C1~2、C2~6、C2~5、C2~4、C2~3、C3~6、C3~5、C3~4、C4~6、C4~5、およびC5~6アルキルを包含することが意図される。
【0120】
以下の用語は、以下に一緒に提示される意味を有することが意図され、本発明の説明および意図される範囲を理解するのに有用である。
【0121】
「アルキル」は、1~20個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素基のラジカルを指す(「C1~20アルキル」)。一部の実施形態では、アルキル基は、1~12個の炭素原子を有する(「C1~12アルキル」)。一部の実施形態では、アルキル基は、1~10個の炭素原子を有する(「C1~10アルキル」)。一部の実施形態では、アルキル基は、1~9個の炭素原子を有する(「C1~9アルキル」)。一部の実施形態では、アルキル基は、1~8個の炭素原子を有する(「C1~8アルキル」)。一部の実施形態では、アルキル基は、1~7個の炭素原子を有する(「C1~7アルキル」)。一部の実施形態では、アルキル基は、1~6個の炭素原子を有する(「C1~6アルキル」)。一部の実施形態では、アルキル基は、1~5個の炭素原子を有する(「C1~5アルキル」)。一部の実施形態では、アルキル基は、1~4個の炭素原子を有する(「C1~4アルキル」)。一部の実施形態では、アルキル基は、1~3個の炭素原子を有する(「C1~3アルキル」)。一部の実施形態では、アルキル基は、1~2個の炭素原子を有する(「C1~2アルキル」)。一部の実施形態では、アルキル基は、1個の炭素原子を有する(「C1アルキル」)。一部の実施形態では、アルキル基は、2~6個の炭素原子を有する(「C2~6アルキル」)。C1~6アルキル基の例としては、メチル(C1)、エチル(C2)、n-プロピル(C3)、イソプロピル(C3)、n-ブチル(C4)、tert-ブチル(C4)、sec-ブチル(C4)、iso-ブチル(C4)、n-ペンチル(C5)、3-ペンタニル(C5)、アミル(C5)、ネオペンチル(C5)、3-メチル-2-ブタニル(C5)、第三級アミル(C5)、およびn-ヘキシル(C6)が挙げられる。アルキル基のさらなる例としては、n-ヘプチル(C7)、n-オクチル(C8)などが挙げられる。別途示されない限り、アルキル基のそれぞれの場合は、独立して、必要に応じて置換される、すなわち、置換されない(「非置換アルキル」)または1つもしくは複数の置換基、例えば、1~5個の置換基、1~3個の置換基、もしくは1個の置換基で置換される(「置換アルキル」)。ある特定の実施形態では、アルキル基は、非置換C1~10アルキル(例えば、-CH3)である。ある特定の実施形態では、アルキル基は、置換C1~10アルキルである。一般的なアルキルの略語としては、Me(-CH3)、Et(-CH2CH3)、iPr(-CH(CH3)2)、nPr(-CH2CH2CH3)、n-Bu(-CH2CH2CH2CH3)、またはi-Bu(-CH2CH(CH3)2)が挙げられる。
【0122】
「オキソ基」は、-C(=O)-を指す。
【0123】
「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ(F)、クロロ(Cl)、ブロモ(Br)、およびヨード(I)を指す。ある特定の実施形態では、ハロゲン基は、フルオロまたはクロロのいずれかである。
【0124】
「対イオン」または「アニオン性対イオン」は、電子的な中性を維持するための、カチオン性第四級アミノ基と関連する負に荷電した基である。対イオンの例としては、ハロゲン化物イオン(例えば、F-、Cl-、Br-、I-)、NO3-、ClO4-、OH-、H2PO4-、HSO4-、スルホン酸イオン(例えば、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、p-トルエンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、10-カンファースルホン酸イオン、ナフタレン-2-スルホン酸イオン、ナフタレン-1-スルホン酸-5-スルホン酸イオン、エタン-1-スルホン酸-2-スルホン酸イオンなど)、およびカルボン酸イオン(例えば、酢酸イオン、エタン酸イオン、プロパン酸イオン、安息香酸イオン、グリセリン酸イオン、乳酸イオン、酒石酸イオン、グリコール酸イオンなど)が挙げられる。
【0125】
「薬学的に許容される塩」は、薬学的に許容され、親化合物の所望される薬理学的活性を有する、本発明の化合物の塩を指す。具体的には、そのような塩は、非毒性であり、無機または有機酸付加塩および塩基付加塩でありうる。具体的には、そのような塩としては、(1)無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などを用いて形成されるか、もしくは有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクト-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などを用いて形成される、酸付加塩、または(2)親化合物に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、もしくはアルミニウムイオンによって置き換えられるか、もしくは有機塩基、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルグルカミンなどと配位する場合に形成される塩が挙げられる。塩としては、単なる例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなど、ならびに化合物が塩基性官能基を含む場合には、非毒性有機もしくは無機酸の塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩などが挙げられる。「薬学的に許容されるカチオン」という用語は、酸性官能基の許容可能なカチオン性対イオンを指す。そのようなカチオンは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムカチオンなどによって例証される。例えば、Berge, et al., J. Pharm. Sci. (1977) 66(1): 1-79を参照されたい。
【0126】
これらおよび他の例示的な置換基は、詳細な説明および特許請求の範囲において、より詳細に記載されている。本発明は、決して、上記の例示的な置換基の列挙によって限定することを意図するものではない。
【0127】
V.アデノ随伴ウイルス
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、ディペンドパルボウイルス属およびパルボウイルス科の小型で非エンベロープ型の正十二面体ウイルスである。AAVは、およそ4.7kbの一本鎖線形DNAゲノムを有する。AAVは、血清型AAV-1~AAV-12だけでなく、非ヒト霊長類由来の100を超える血清型を含む、多数の血清学的に識別可能なタイプを含む(例えば、Srivastava, J. Cell Biochem., 105(1): 17-24 (2008)、およびGao et al., J. Virol., 78(12), 6381-6388 (2004)を参照されたい)。任意のAAV型を、本発明の方法において使用することができる。AAVは、いくつかの組織型の分裂細胞および休眠細胞の両方に感染することができ、異なるAAV血清型では、異なる組織向性を示す。AAVは、非自律的に複製し、潜伏期および感染期を有する生活環を有する。潜伏期において、細胞がAAVに感染した後、AAVはプロウイルスとして宿主のゲノムに部位特異的に組み込まれる。AAVの複製を可能にするヘルパーウイルス(例えば、アデノウイルス(AV)または単純ヘルペスウイルス)もまた細胞に感染しなければ、感染期は生じない。
【0128】
野生型AAVゲノムは、AAV複製、ゲノムカプシド封入および組み込みを指示するシグナル配列を含有する2つの145ヌクレオチドの末端逆位配列(ITR)を含有する。ITRに加えて、3つのAAVプロモーター、p5、p19およびp40は、repおよびcap遺伝子をコードする2つのオープンリーディングフレームの発現を駆動する。2つのrepプロモーターは、単一のAAVイントロンの差次的スプライシングと組み合わされて、rep遺伝子から4つのrepタンパク質(Rep78、Rep68、Rep52およびRep40)の産生をもたらす。repタンパク質はゲノム複製を担う。cap遺伝子はp40プロモーターから発現し、Cap遺伝子のスプライスバリアントである3つのカプシドタンパク質(VP1、VP2およびVP3)をコードする。これらのタンパク質は、AAV粒子のカプシドを形成する。
【0129】
複製、カプシド封入および組み込みのためのシス作用性シグナルがITR内に含有されるため、一部またはすべての4.3kb内部ゲノムは、外来DNA、例えば目的の外来タンパク質のための発現カセットで置換されうる。この場合、repおよびcapタンパク質(例えば、AAV repおよびcapタンパク質)は、例えばプラスミド上でトランスに提供される。AAVベクターを産生するために、AAV複製を許容する宿主細胞株は、repおよびcap遺伝子、ITR隣接発現カセット、ならびにヘルパーウイルス、例えばアデノウイルス(AV)遺伝子E1a、E1b55K、E2a、E4orf6およびVAによって提供されるヘルパー機能を典型的には発現すべきである(Weitzman et al., Adeno-associated virus biology. Adeno-Associated Virus: Methods and Protocols, pp. 1-23, 2011)。AAVベクターの産生は、一部の実施形態ではAAVベクターの使用前に除去されなければならないまたは不活性化されなければならないヘルパーウイルス粒子の産生ももたらしうる。HEK293細胞、COS細胞、HeLa細胞、BHK細胞、Vero細胞および昆虫細胞を含む多数の細胞型がAAVベクターを産生するのに好適である(例えば米国特許第6,156,303号、第5,387,484号、第5,741,683号、第5,691,176号、第5,688,676号、第8,163,543号、米国公開第20020081721号、PCT公開第WO00/47757号、第WO00/24916号および第WO96/17947号を参照されたい)。AAVベクターは典型的には、これらの細胞型において、ITR隣接発現カセットを含有する1つのプラスミド、ならびに追加的なAAVおよびヘルパーウイルス遺伝子を提供する1つまたは複数の追加的なプラスミドによって産生される。ある特定の実施形態では、AAVベクターは、ITR隣接型発現カセットおよびAAVウイルス遺伝子を含む1つのプラスミド、ならびにヘルパーウイルス遺伝子を提供する1つまたは複数の追加のプラスミドによって、これらの細胞型において産生される。
【0130】
任意の血清型のAAVを本発明において使用することができる。同様に、任意のAVタイプを使用することができることが企図され、当業者はその所望の組換えAAVベクター(rAAV)の産生に好適なAAVおよびAVタイプを特定することができる。AAVおよびAV粒子は、例えばアフィニティークロマトグラフィー、イオジキサノール勾配またはCsCl勾配によって精製されうる。
【0131】
野生型AAVのゲノムは、一本鎖DNAであり、4.7kbである。AAVベクターは、サイズが4.7kbであるか、または5.2kb規模の特大ゲノムもしくは3.0kbほどの小さなゲノムを含む、4.7kbよりも大きいかもしくは小さい一本鎖ゲノムを有しうる。さらに、ベクターゲノムは、ウイルス内でゲノムが実質的に二本鎖であるように、実質的に自己相補性でありうる。すべてのタイプのゲノムを含有するAAVベクターは、本発明の方法における使用に好適である。
【0132】
上で論じたように、AAVは、その生活環の感染期に入るためにヘルパーウイルスとの共感染を必要とする。ヘルパーウイルスとしてはアデノウイルス(AV)および単純ヘルペスウイルス(HSV)が挙げられ、バキュロウイルスを使用して昆虫細胞においてAAVを産生するための系が存在する。パピローマウイルスもまたAAVのためのヘルパー機能を提供しうるということも提唱されている(例えば、Hermonat et al., Molecular Therapy 9, S289-S290 (2004)を参照されたい)。ヘルパーウイルスとしては、AAV複製を生み出し、可能にすることができる任意のウイルスが挙げられる。AVは、およそ36kbの二本鎖DNAゲノムを有する無エンベロープの核DNAウイルスである。AVは、E1a、E1b55K、E2a、E4orf6およびVA遺伝子を提供し、AAV複製およびカプシド封入を可能にすることによって細胞における潜在AAVプロウイルスをレスキューすることができる。HSVは、比較的大きな二本鎖直鎖DNAゲノムが脂質二重層エンベロープに包まれている正二十面体カプシドにカプシド封入されたウイルスのファミリーである。HSVは感染性かつ高度に伝染性である。以下のHSV-1複製タンパク質:ヘリカーゼ/プライマーゼ複合体(UL5、UL8およびUL52)ならびにUL29遺伝子によってコードされるDNA結合タンパク質ICP8は、AAV複製のためのHSV-1ヘルパー機能に典型的には必要なものとして同定され、他のタンパク質はヘルパー機能を増強した。
【0133】
VI. rAAVの産生
本発明は、当該技術分野において公知の任意の好適な方法を使用した、宿主細胞からの組換えアデノ随伴ウイルスベクター(rAAV)の産生を含む。本明細書において使用される場合、用語「宿主細胞」は、rAAVを産生することができる任意の1つまたは複数の細胞を指す。一部の実施形態では、宿主細胞は、哺乳動物細胞、例えば、HeLa細胞、COS細胞、HEK293細胞、A549細胞、BHK細胞、またはVero細胞である。他の実施形態では、宿主細胞は、昆虫細胞、例えば、Sf9細胞、Sf-21細胞、Tn-368細胞、またはBTI-Tn-5B1-4(High-Five)細胞である。別途示されない限り、用語「細胞」または「細胞株」は、示される細胞または細胞株の改変されたまたは操作されたバリアントを含むと理解される。
【0134】
上記のように、rAAVの産生を可能にするために、宿主細胞は、AAVの末端逆位配列(ITR)(例えば、目的の異種性ヌクレオチド配列に隣接していてよい)、AAV repおよびcap遺伝子機能ならびに追加的ヘルパー機能も典型的には含んで提供されるべきである。これらは、任意の数のプラスミドまたはベクターを使用して宿主細胞に提供されうる。追加的ヘルパー機能は、例えばアデノウイルス(AV)感染によって、必要なすべてのAVヘルパー機能遺伝子を保有するプラスミドによって、またはHSVもしくはバキュロウイルスなどのウイルスによって提供されうる。任意の遺伝子、遺伝子機能または宿主細胞によるrAAV産生のために必要な他の遺伝材料は、例えば、宿主細胞内に一過的に存在しうる、または宿主細胞ゲノムに安定に挿入されうる。一部の実施形態では、宿主細胞は、AAV repおよびcap遺伝子機能ならびにrAAVベクターゲノムを含む、産生細胞である。一部の実施形態では、宿主細胞は、産生時に、別個の組換えウイルスによってrAAVベクターゲノムが提供される、AAV repおよびcap遺伝子機能を含む、パッケージング細胞である。本発明の方法とともに使用されるのに好適なrAAV産生方法は、Clarkら、Human Gene Therapy、6巻:1329~1341頁(1995年)、Martinら、Human Gene Therapy Methods、24巻:253~269頁(2013年)、Thorneら、Human Gene Therapy、20巻:707~714頁(2009年)、Fraser Wright、Human Gene Therapy、20巻:698~706頁(2009年)およびViragら、Human Gene Therapy、20巻:807~817頁(2009年)に開示されたものを含む。
【0135】
VII. rAAV粒子の精製
本発明の一部の実施形態では、rAAV粒子は、宿主細胞が、本明細書に記載される化合物(例えば、式(I)、(I-A)、(I-B)、(II)、(III)、もしくは(IV)の化合物、またはビタミンB(例えば、ビタミンB2、ビタミンB7、ビタミンB9、およびビタミンB12))またはその塩を含む溶液と接触した後に、宿主細胞から収集および/または精製される。rAAV粒子は、宿主細胞を溶解することによって、その細胞から得られうる。宿主細胞の溶解は、感染性ウイルス粒子を放出するために細胞を化学的にまたは酵素的に処理する方法により達成されうる。これらの方法は、ベンゾナーゼもしくはDNAseなどのヌクレアーゼ、トリプシンなどのプロテアーゼ、または洗剤もしくは界面活性剤の使用を含む。ホモジナイゼーションもしくは粉砕などの物理的破壊、またはマイクロフルイダイザー圧力セルによる加圧、または凍結融解サイクルも使用されうる。ある特定の実施形態では、操作されたrAAVパッケージングおよび/または産生細胞由来の溶解液は、rAAV粒子を収集するために使用することができる。代替的に、細胞溶解を必要とすることなく、上清を宿主細胞から収集してもよい。本明細書において使用される場合、「総rAAV」は、宿主細胞によって産生される総rAAVを指し、「分泌rAAV」は、細胞溶解を必要とすることなく宿主細胞から収集することができるrAAVを指す。
【0136】
rAAV粒子を回収した後に、例えば、細胞溶解の結果として生じた細胞残屑を除去するために、rAAV粒子を含有する試料を精製することが望ましくあり得る。AAV粒子の最小限の精製の方法は、当分野で公知である。2つの例示的な精製方法は、塩化セシウム(CsCl)およびイオジキサノールに基づく密度勾配精製である。両方法は、Strobelら、Human Gene Therapy Methods、26巻(4号):147~157頁(2015年)に記載されている。最小限の精製は、例えば、AVBセファロース親和性樹脂(GE Healthcare Bio-Sciences AB、Uppsala、Sweden)を使用するアフィニティークロマトグラフィーを使用して達成することもできる。AVBセファロース親和性樹脂を使用するAAV精製の方法は、例えば、Wangら、Mol Ther Methods Clin Dev.、2巻:15040頁(2015年)に記載されている。精製後、rAAV粒子はフィルタリングされ、-60℃以下で保存されうる。
VIII. rAAV粒子の定量
【0137】
rAAV粒子の定量は、AAV感染がin vitroの細胞変性効果をもたらさず、したがって、感染力価を決定するためにプラークアッセイが使用できないという事実により、複雑である。しかしながら、rAAV粒子は、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)(Clarkら、Hum. Gene Ther.、10巻、1031~1039頁(1999年))、ドットブロットハイブリダイゼーション(Samulskiら、J. Virol.、63巻、3822~3828頁(1989年))を含むいくつかの方法を使用して、および高度に精製されたベクター調製物の光学密度により(Sommerら、Mol. Ther.、7巻、122~128頁(2003年))定量可能である。DNase抵抗性粒子(DRP)は、サーモサイクラー(例えば、iCycler iQ 96ウエルブロックフォーマットサーモサイクラー(Bio-Rad、Hercules、CA))におけるリアルタイム定量的遺伝子発現低減ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)(DRP-qPCR)により、定量可能である。rAAV粒子を含有する試料が、DNaseI(100U/ml;Promega、Madison、WI)の存在下、37℃で60分間インキュベートされ、続いて、50℃で60分間のプロテイナーゼK(Invitrogen、Carlsbad、CA)消化(10U/mL)、次いで、95℃で30分間、変性させられる。使用されるプライマープローブセットは、rAAVベクターゲノムの非天然部分、例えば、目的のタンパク質のポリ(A)配列に特異的であるべきである。PCR産物は、プライマー、プローブおよび増幅された配列の長さおよび組成に基づく、任意の適切なサイクリングパラメータのセットを使用して増幅されうる。代替プロトコールは、例えば、Lockら、Human Gene Therapy Methods、25巻(2号):115~125頁(2014年)に開示されている。
【0138】
本明細書全体を通じて、装置、デバイス、およびシステムが、特定の成分を有する、含む(including)、もしくは含む(comprising)と記載されているか、またはプロセスおよび方法が、特定のステップを有する、含む(including)、もしくは含む(comprising)と記載されている場合、追加として、列挙された構成成分から本質的になるかまたはそれからなる本発明の装置、デバイス、およびシステムが存在すること、ならびに列挙されたプロセスことから本質的になるかまたはそれからなる本発明によるプロセスおよび方法が存在することが、企図される。
【0139】
本発明の実施は、例示的目的のためだけに本明細書において提示され、いかなる方法においても本発明を限定すると解釈されるべきでない、前述の例からさらに十分に理解される。
【実施例】
【0140】
(実施例1:HeLa細胞でのrAAV産生に対する異なる濃度のナイアシンアミドの効果)
この例では、rAAV産生に対する、0.1mM~40mMの範囲の様々な濃度のナイアシンアミドの効果を、様々なHeLa産生細胞株において試験した。実験は、3mLの作業体積、細胞培養産生培地において0.2×10
6個の細胞の播種密度、および200vp/細胞のAd5感染多重度(MOI)で、24ディープウェルプレート培養システムにおいて実行した。
図1は、変動するナイアシンアミド濃度(0.1mM~40mM)においてHeLa産生細胞から産生される様々なクレードEおよびF rAAVの、正規化された容量rAAV力価の概略的なグラフを示す。rAAV力価の増加は、0.1mM~10mMで見られ、1mM~10mMの間でもっとも有意な増加が観察された。この分析に含まれたカプシド血清型は、AAV8、AAV9、rh10、およびhu37であった。
【0141】
図2は、変動するナイアシンアミド濃度ごとの正規化された容量rAAV力価(GC/mL)、ならびにデータ点の3次多項式当てはめを使用した場合の予測最大値のグラフを示す。rAAV力価の有意な増加が、1mM~10mMの間で見られ、5mMに予測最大値があった。
【0142】
(実施例2:rAAV産生に対する容器スケールの効果)
この例では、rAAV産生に対する、ナイアシンアミドを有する2つの一般的な容器(3mLのディープウェル(「24-DW」)および100mLの振盪フラスコ(「フラスコ」))を使用したスケールの効果を、試験した。分析は、第IX因子導入遺伝子をコードするクレードE rAAV(AAVrh10-FIX)を産生することができるHeLa産生細胞株を使用して行った。
図3は、異なるスケールにおける変動するナイアシンアミド濃度でのrAAV力価(GC/mL)を示す棒グラフを示す。ナイアシンアミド、スケール、およびそれらの間の相互作用の因子を考察する二元配置ANOVAは、ナイアシンアミドからのみ統計学的に有意な影響を示した(p<0.0001)。スケールおよび相互作用の因子は、有意ではなかった(それぞれ、p=0.3915およびp=0.1353)。ダネットの検定を行ったが、これは、因子としてスケールを除去した場合に、すべての濃度において有意性を示した。
【0143】
(実施例3:クレードE HeLaクローンでのrAAV産生に対するナイアシンアミドの効果)
4つの異なるHeLaクローンを、実施例1に記載される条件を使用して試験した。
図4A~Dは、それぞれ、クローン1(AAVrh10-FIX)フォローアップ上清、クローン2(AAV8-G6Pase)上清、クローン3(AAV8-G6Pase)補充物質なしの広範囲、およびクローン4(AAVhu37-FVIII)補充物質なしの広範囲の懸濁物(すなわち、Triton溶解試料)についての変動するナイアシンアミド濃度あたりのrAAV力価(GC/mL)を示す。1mM~5mMの間のナイアシンアミドを添加した場合に、4つすべてのクローンにおいて、力価の増加が示された。
【0144】
(実施例4:クレードF HeLaクローンでのrAAV産生に対するナイアシンアミドの効果)
この例では、短縮型ATP7B導入遺伝子をコードする組換えクレードF AAV(AAV9-ATP7B)を発現する2つのHeLa産生細胞株クローンに対する3mMナイアシンアミドの効果を、2Lのバイオリアクターにおいて試験した。
図5に示されるように、バイオリアクターに3mMナイアシンアミドを添加することにより、両方のクローンについて、有意な力価の増加が観察された。
【0145】
(実施例5:HEK293細胞でのrAAV産生に対する異なる濃度のナイアシンアミドの効果)
この例では、rAAV産生に対する、0.03mM~30mMの範囲の様々な濃度のナイアシンアミドの効果を、HEK293細胞で試験した。実験は、1.3×10
6~2.0×10
6個の細胞/mLのトランスフェクション密度を使用して、30mLのフラスコにおいて行った。この実験において使用したHEK293細胞には、オルニチントランスカルバミラーゼをコードするrAAV8(rAAV8-OTC)の産生を可能にするプラスミドをトランスフェクトした。
図6に示されるように、0.3mMと3mMのナイアシンアミドの添加により、HEK293細胞で、力価の増加が観察された。また、2Lのバイオリアクタースケールで試行を繰り返したところ、HEK293細胞について、ナイアシンアミドの添加により力価の増加が示された(データは示されない)。
【0146】
(実施例6:HEK293細胞でのrAAV産生に対する追加の化合物の効果)
この例では、HEK293細胞におけるrAAV産生に対するナイアシンアミド以外の化合物の効果を、試験した。この例において分析した化合物には、ナイアシン、ニコチン酸メチル、ミオ-イノシトール、パントテン酸、ピリドキシン、コリン、チアミン、グルコサミン、カフェイン、n-アセチルグルコサミン、およびチミジンが含まれた。
【0147】
実験は、実施例5に記載されるものと同じ細胞を使用して、類似のトランスフェクションおよび培養条件下で、24ディープウェルプレートにおいて行った。試験したそれぞれの化合物の濃度は、1mM、3mM、および9mMであった。試験した化合物の中でも、ナイアシンは、1mMにおいて力価の20%の増加をもたらし、ニコチン酸メチルは、3mMにおいて力価の42%の増加をもたらし、ミオ-イノシトールは、3mMおよび9mMにおいて力価のおよそ20%の増加をもたらしたが、コリンは、3mMにおいて力価の65%の増加をもたらした。試験した他の化合物はいずれも、試験した3つの濃度のいずれにおいても、rAAV力価に対して有意な利益をもたらさなかった。
【0148】
この例は、ナイアシン、ニコチン酸メチル、ミオ-イノシトール、およびコリンを含む代替的な化合物が、rAAV力価をブーストすることができるが、試験した他の11種類の化合物よりも実質的かつ驚異的に優れていると見られるナイアシンアミドによってもたらされる利益レベルを提供する化合物はなかったことを示す。
【0149】
番号付き実施形態
本明細書に開示される実施形態は、本開示の番号付き実施形態に提供される実施形態P1~P68を含む。
【0150】
実施形態P1:組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を産生する方法であって、宿主細胞を、式(I)
【化40】
の化合物またはその塩を含む溶液と接触させるステップを含み、式中、
【化41】
が、単結合または二重結合を表し、
nが、1~5から選択される整数であり、
R
1が、-OH、C
1~6アルキル、C
1~6アルキル-OH、C
1~6アルキル-O-C
1~6アルキル、-O-C
1~6アルキル、-C(O)N(R
a)
2、および-C(O)OR
bからなる群より選択され、
R
aが、独立して、各出現について、水素またはC
1~6アルキルであり、
R
bが、独立して、各出現について、水素またはC
1~6アルキルであり、
Xが、CR
cR
dまたはNであり、
R
cおよびR
dが、独立して、各出現について、水素、C
1~6アルキル、-OH、および-O-C
1~6アルキルからなる群より選択され、R
cが、水素である場合、R
dは、C
1~6アルキル、-OH、および-O-C
1~6アルキルから選択され、R
cが、C
1~6アルキル、-OH、および-O-C
1~6アルキルから選択される場合、R
dは、水素であり、
前記化合物が、
【化42】
でもその塩でもない、
方法。
【0151】
実施形態P2:rAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、式(I)
【化43】
の化合物またはその塩を含む溶液と接触させるステップを含み、式中、
【化44】
が、単結合または二重結合を表し、
nが、1~5から選択される整数であり、
R
1が、-OH、C
1~6アルキル、C
1~6アルキル-OH、C
1~6アルキル-O-C
1~6アルキル、-O-C
1~6アルキル、-C(O)N(R
a)
2、および-C(O)OR
bからなる群より選択され、
R
aが、独立して、各出現について、水素またはC
1~6アルキルであり、
R
bが、独立して、各出現について、水素またはC
1~6アルキルであり、
Xが、CR
cR
dまたはNであり、
R
cおよびR
dが、独立して、各出現について、水素、C
1~6アルキル、-OH、および-O-C
1~6アルキルからなる群より選択され、R
cが、水素である場合、R
dは、C
1~6アルキル、-OH、および-O-C
1~6アルキルから選択され、R
cが、C
1~6アルキル、-OH、および-O-C
1~6アルキルから選択される場合、R
dは、水素であり、
前記化合物が、
【化45】
でもその塩でもない、
方法。
【0152】
実施形態P3:Xが、Nである、実施形態P1またはP2に記載の方法。
【0153】
実施形態P4:nが、1である、実施形態P1からP3のいずれか一項に記載の方法。
【0154】
実施形態P5:R1が、C1~6アルキル-OH、-C(O)N(Ra)2、および-C(O)ORbからなる群より選択される、実施形態P1からP4のいずれか一項に記載の方法。
【0155】
実施形態P6:R1が、CH2OH、-C(O)NH2、-C(O)OH、および-C(O)OCH3からなる群より選択される、実施形態P1からP5のいずれか一項に記載の方法。
【0156】
実施形態P7:Xが、CRcRdである、実施形態P1またはP2に記載の方法。
【0157】
実施形態P8:Rcが、水素であり、Rdが、-OHである、実施形態P1、P2、およびP7のいずれか一項に記載の方法。
【0158】
実施形態P9:nが、5である、実施形態P1、P2およびP7からP8のいずれか一項に記載の方法。
【0159】
実施形態P10:R1が、-OHである、実施形態P1、P2およびP7からP9のいずれか一項に記載の方法。
【0160】
実施形態P11:前記化合物が、式(I-A)
【化46】
の化合物またはその塩であり、式中、
R
2およびR
3が、独立して、各出現について、水素もしくは-OHであるか、
またはR
2およびR
3が、一緒になって、オキソを形成することができ、
R
4が、水素、-OH、-O-C
1~6アルキル、および-N(R
e)
2からなる群より選択され、
R
eが、独立して、各出現について、水素またはC
1~6アルキルである、
実施形態P1またはP2に記載の方法。
【0161】
実施形態P12:R2およびR3が、一緒になって、オキソを形成する、実施形態P11に記載の方法。
【0162】
実施形態P13:R4が、-NH2、-OH、および-OCH3からなる群より選択される、実施形態P11またはP12に記載の方法。
【0163】
実施形態P14:R2およびR3が、いずれも、水素である、実施形態P11に記載の方法。
【0164】
実施形態P15:R4が、-OHである、実施形態P11またはP14に記載の方法。
【0165】
実施形態P16:前記化合物が、
【化47】
からなる群より選択される、
実施形態P1、P2、およびP11のいずれか一項に記載の方法。
【0166】
実施形態P17:前記化合物が、式(I-B)
【化48】
の化合物またはその塩であり、式中、
Xが、CR
cR
dであり、
R
5a、R
5b、R
5c、R
5d、およびR
5eが、独立して、各出現について、-OH、-O-C
1~6アルキル、C
1~6アルキル、C
1~6アルキル-OH、およびC
1~6アルキル-O-C
1~6アルキルであり、
R
cおよびR
dが、実施形態P1に定義される通りである、
実施形態P1またはP2に記載の方法。
【0167】
実施形態P18:Rcが、水素であり、Rdが、-OHである、実施形態P17に記載の方法。
【0168】
実施形態P19:R5a、R5b、R5c、R5d、およびR5eが、-OHである、実施形態P17またはP18に記載の方法。
【0169】
実施形態P20:前記化合物が、
【化49】
である、実施形態P17からP19のいずれか一項に記載の方法。
【0170】
実施形態P21:rAAVを産生する方法であって、宿主細胞を、式(II)
【化50】
の化合物またはその塩を含む溶液と接触させるステップを含み、式中、
R
6およびR
7が、独立して、各出現について、水素、-OH、-CN、ハロゲン、およびC
1~6アルキルからなる群より選択され、
R
8およびR
9が、独立して、各出現について、水素、-OH、-CN、ハロゲン、およびC
1~6アルキルからなる群より選択され、
Yが、CまたはNであり、
R
10およびR
11が、独立して、各出現について、水素、-OH、およびC
1~6アルキルからなる群より選択され、
Aが、水素、C
1~6アルキル、および-C(O)N(R
f)
2からなる群より選択され、
R
fが、独立して、各出現について、水素、C
1~6アルキル、C
1~6アルキル-C(O)OH、およびC
1~6アルキル-OHからなる群より選択され、
前記化合物が、
【化51】
でない、
方法。
【0171】
実施形態P22:rAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、式(II)
【化52】
の化合物またはその塩を含む溶液と接触させるステップを含み、式中、
R
6およびR
7が、独立して、各出現について、水素、-OH、-CN、ハロゲン、およびC
1~6アルキルからなる群より選択され、
R
8およびR
9が、独立して、各出現について、水素、-OH、-CN、ハロゲン、およびC
1~6アルキルからなる群より選択され、
Yが、CまたはNであり、
R
10およびR
11が、独立して、各出現について、水素、-OH、およびC
1~6アルキルからなる群より選択され、
Aが、水素、C
1~6アルキル、および-C(O)N(R
f)
2からなる群より選択され、
R
fが、独立して、各出現について、水素、C
1~6アルキル、C
1~6アルキル-C(O)OH、およびC
1~6アルキル-OHからなる群より選択され、
前記化合物が、
【化53】
でない、
方法。
【0172】
実施形態P23:R6およびR7が、水素である、実施形態P21またはP22に記載の方法。
【0173】
実施形態P24:R8およびR9が、水素である、実施形態P21からP23のいずれか一項に記載の方法。
【0174】
実施形態P25:Yが、Nである、実施形態P21からP24のいずれか一項に記載の方法。
【0175】
実施形態P26:R10およびR11が、CH3である、実施形態P21からP25のいずれか一項に記載の方法。
【0176】
実施形態P27:Aが、CH3である、実施形態P21からP26のいずれか一項に記載の方法。
【0177】
実施形態P28:前記化合物が、
【化54】
である、実施形態P21からP27のいずれか一項に記載の方法。
【0178】
実施形態P29:rAAVを産生するかまたはrAAV力価収量を増加させる方法であって、宿主細胞を、ビタミンB2、ビタミンB7、ビタミンB9、およびビタミンB12からなる群より選択されるビタミンBを含む溶液と接触させるステップを含む、方法。
【0179】
実施形態P30:前記溶液中の前記化合物の最終濃度が、0.5mMよりも高い、実施形態P1からP29のいずれか一項に記載の方法。
【0180】
実施形態P31:前記溶液中の前記化合物の最終濃度が、0.5mMよりも高いかまたはそれと等しい、実施形態P1からP29のいずれか一項に記載の方法。
【0181】
実施形態P32:前記溶液中の前記化合物の最終濃度が、0.5mM~10mMの間である、実施形態P1からP29のいずれか一項に記載の方法。
【0182】
実施形態P33:前記溶液中の前記化合物の最終濃度が、1mM~10mMの間である、実施形態P1からP29のいずれか一項に記載の方法。
【0183】
実施形態P34:前記溶液中の前記化合物の最終濃度が、前記化合物を含む溶液と接触していない宿主細胞によって産生されるものと比較して、少なくとも1.2倍大きい量の分泌rAAVを産生させるのに十分である、実施形態P1からP33のいずれか一項に記載の方法。
【0184】
実施形態P35:前記溶液中の前記化合物の最終濃度が、前記化合物を含む溶液と接触していない宿主細胞によって産生されるものと比較して、少なくとも1.2倍大きい量の総rAAVを産生させるのに十分である、実施形態P1からP33のいずれか一項に記載の方法。
【0185】
実施形態P36:前記溶液中の前記化合物の最終濃度が、前記化合物を含む溶液と接触していない宿主細胞によって産生されるものと比較して、1.2~2.5倍大きい量の分泌rAAVを産生させるのに十分である、実施形態P1からP33のいずれか一項に記載の方法。
【0186】
実施形態P37:前記溶液中の前記化合物の最終濃度が、前記化合物を含む溶液と接触していない宿主細胞によって産生されるものと比較して、1.2~2.5倍大きい量の総rAAVを産生させるのに十分である、実施形態P1からP33のいずれか一項に記載の方法。
【0187】
実施形態P38:前記宿主細胞が、少なくとも2日間、前記化合物を含む前記溶液と接触する、実施形態P1からP37のいずれか一項に記載の方法。
【0188】
実施形態P39:前記rAAVを収集および精製するステップをさらに含む、実施形態P1からP38のいずれか一項に記載の方法。
【0189】
実施形態P40:前記宿主細胞が、哺乳動物細胞である、実施形態P1からP39のいずれか一項に記載の方法。
【0190】
実施形態P41:前記宿主細胞が、HeLa、HEK293、COS、A549、BHK、およびVero細胞からなる群より選択される、実施形態P40に記載の方法。
【0191】
実施形態P42:前記宿主細胞が、HeLa細胞である、実施形態P41に記載の方法。
【0192】
実施形態P43:前記宿主細胞が、HEK293細胞である、実施形態P41に記載の方法。
【0193】
実施形態P44:前記宿主細胞が、昆虫細胞である、実施形態P1からP39のいずれか一項に記載の方法。
【0194】
実施形態P45:前記宿主細胞が、Sf9、Sf-21、Tn-368、およびBTI-Tn-5B1-4(High-Five)細胞からなる群より選択される、実施形態P44に記載の方法。
【0195】
実施形態P46:前記宿主細胞が、AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列を含む、実施形態P1からP45のいずれか一項に記載の方法。
【0196】
実施形態P47:前記宿主細胞が、repおよびcap遺伝子を含む、実施形態P1からP46のいずれか一項に記載の方法。
【0197】
実施形態P48:前記宿主細胞が、ヘルパーウイルス遺伝子を含む、実施形態P1からP47のいずれか一項に記載の方法。
【0198】
実施形態P49:前記宿主細胞が、AAV末端逆位配列が隣接した異種ヌクレオチド配列、repおよびcap遺伝子、ならびにヘルパーウイルス遺伝子を含む、実施形態P1からP48のいずれか一項に記載の方法。
【0199】
実施形態P50:前記宿主細胞が、前記化合物を含む溶液と接触していない宿主細胞によって産生されるものと比較して、少なくとも1.2倍大きい量の分泌rAAVを産生する、実施形態P1からP49のいずれか一項に記載の方法。
【0200】
実施形態P51:前記宿主細胞が、前記化合物を含む溶液と接触していない宿主細胞によって産生されるものと比較して、少なくとも1.2倍大きい量の総rAAVを産生する、実施形態P1からP49のいずれか一項に記載の方法。
【0201】
実施形態P52:前記宿主細胞が、前記化合物を含む溶液と接触していない宿主細胞によって産生されるものと比較して、1.2~2.5倍大きい量の分泌rAAVを産生する、実施形態P1からP49のいずれか一項に記載の方法。
【0202】
実施形態P53:前記宿主細胞が、前記化合物を含む溶液と接触していない宿主細胞によって産生されるものと比較して、1.2~2.5倍大きい量の総rAAVを産生する、実施形態P1からP49のいずれか一項に記載の方法。
【0203】
実施形態P54:前記溶液が、細胞培養培地を含む、実施形態P1からP53のいずれか一項に記載の方法。
【0204】
実施形態P55:前記溶液が、産生培地を含む、実施形態P1からP53のいずれか一項に記載の方法。
【0205】
実施形態P56:前記宿主細胞を、懸濁培養において培養するステップを含む、実施形態P1からP55のいずれか一項に記載の方法。
【0206】
実施形態P57:前記宿主細胞を、接着培養において培養するステップを含む、実施形態P1からP55のいずれか一項に記載の方法。
【0207】
実施形態P58:前記宿主細胞を、1Lのバイオリアクターにおいて培養するステップを含む、実施形態P1からP56のいずれか一項に記載の方法。
【0208】
実施形態P59:前記宿主細胞を、2Lのバイオリアクターにおいて培養するステップを含む、実施形態P1からP56のいずれか一項に記載の方法。
【0209】
実施形態P60:前記宿主細胞を、3Lのバイオリアクターにおいて培養するステップを含む、実施形態P1から56のいずれか一項に記載の方法。
【0210】
実施形態P61:前記宿主細胞を、250Lのバイオリアクターにおいて培養するステップを含む、実施形態P1からP56のいずれか一項に記載の方法。
【0211】
実施形態P62:前記宿主細胞を、500Lのバイオリアクターにおいて培養するステップを含む、実施形態P1からP56のいずれか一項に記載の方法。
【0212】
実施形態P63:前記宿主細胞を、2,000Lのバイオリアクターにおいて培養するステップを含む、実施形態P1からP56のいずれか一項に記載の方法。
【0213】
実施形態P64:宿主細胞と、式(I)の化合物またはその塩とを含む、組成物。
【0214】
実施形態P65:宿主細胞と、式(I-A)の化合物またはその塩とを含む、組成物。
【0215】
実施形態P66:宿主細胞と、式(I-B)の化合物またはその塩とを含む、組成物。
【0216】
実施形態P67:宿主細胞と、式(II)の化合物またはその塩とを含む、組成物。
【0217】
実施形態P68:宿主細胞と、ビタミンB2、ビタミンB7、ビタミンB9、およびビタミンB12からなる群より選択されるビタミンBとを含む、組成物。
参照による組み込み
【0218】
本明細書において参照される特許および科学文書のそれぞれの開示全体は、すべての目的について参照により組み込まれる。
均等物
【0219】
本発明は、その精神または本質的特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態において具体化されうる。したがって、前述の実施形態は、本明細書に記載される本発明への制限よりむしろ、あらゆる点で例示的であると見なされるべきである。本発明の範囲は、したがって前述の記載によってよりむしろ添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の等価の意味および範囲内に生じるすべての変化は、それに含まれることが意図される。
【国際調査報告】