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特表2023-520153光源及び導光層を備える車両窓ガラス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-16
(54)【発明の名称】光源及び導光層を備える車両窓ガラス
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20230509BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20230509BHJP
   B60Q 3/208 20170101ALI20230509BHJP
   B60Q 3/64 20170101ALI20230509BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20230509BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230509BHJP
【FI】
F21S2/00 439
F21V8/00 100
B60Q3/208
B60Q3/64
F21Y103:10
F21Y115:10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022555850
(86)(22)【出願日】2021-03-30
(85)【翻訳文提出日】2022-09-15
(86)【国際出願番号】 EP2021058307
(87)【国際公開番号】W WO2021198262
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】102020109338.1
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591018763
【氏名又は名称】ベバスト エスエー
【氏名又は名称原語表記】Webasto SE
【住所又は居所原語表記】Kraillinger Strasse 5,82131 Stockdorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パスカレリ ロバート
【テーマコード(参考)】
3K040
3K244
【Fターム(参考)】
3K040AA02
3K040CA05
3K040GA01
3K040GC01
3K244AA05
3K244BA31
3K244CA03
3K244CA08
3K244DA01
3K244EA02
3K244EA16
3K244EA17
3K244FA03
3K244JA03
3K244KA03
3K244KA07
3K244KA16
(57)【要約】
本発明は、車両周囲に面する外側面と、車両内部に面する内側面とを有し、導光層を有する窓ガラス本体アセンブリと、光を前記導光層に結合するよう構成された光源(24)と、を備える車両窓ガラスであって、前記光源(24)によって放出された光を前記導光層に結合する入力結合要素(28)が前記窓ガラス本体アセンブリの前記内側面に設けられていることを特徴とする車両窓ガラスに関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両周囲に面する外側面と、車両内部に面する内側面とを有し、導光層を有する窓ガラス本体アセンブリと、
光を前記導光層に結合するよう構成された光源(24)と、
を備える車両窓ガラスであって、
前記光源(24)によって放出された光を前記導光層に結合する入力結合要素(28)が前記窓ガラス本体アセンブリの前記内側面に設けられていることを特徴とする車両窓ガラス。
【請求項2】
前記入力結合要素(28)は、前記光源(24)の前記光に対して透明であり、好ましくは棒状である、材料の部材であることを特徴とする
請求項1に記載の車両窓ガラス。
【請求項3】
前記入力結合要素(28)は、くさび形又は台形の断面を有することを特徴とする
請求項1又は2に記載の車両窓ガラス。
【請求項4】
前記入力結合要素(28)は、前記窓ガラス本体のアセンブリに面している面上に、追加の偏向構造(52)が備えられていることを特徴とする
請求項1-3のいずれか1項に記載の車両窓ガラス。
【請求項5】
前記追加の偏向構造(52)は前記入力結合要素(28)と一体であるか、又は前記入力結合要素のコーティングであることを特徴とする
請求項4に記載の車両窓ガラス。
【請求項6】
前記入力結合要素(28)は、粘着層(30)を介して、前記窓ガラス本体のアセンブリに取り付けられていることを特徴とする
請求項1-5のいずれか1項に記載の車両窓ガラス。
【請求項7】
前記粘着層(30)は、
感圧接着剤及び/又は液体光学透明接着剤及び/又は
エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ポリビニルブチラール(PVB)及び/又は熱可塑性ポリウレタン(TPU)を備える接着剤及び/又は
エポキシ系接着剤及び/又はアクリル系接着剤を備えていることを特徴とする
請求項6に記載の車両窓ガラス。
【請求項8】
前記粘着層(30)は、1.40と1.65との間、及び特に1.48と1.56との間の屈折率を有することを特徴とする
請求項6又は7に記載の車両窓ガラス。
【請求項9】
前記入力結合要素(28)は、キャスティング樹脂から成形され、前記窓ガラス本体のアセンブリ上に成形されていることを特徴とする
請求項1-5のいずれか1項に記載の車両窓ガラス。
【請求項10】
前記光源(24)はキャスティング樹脂の挿入物であり、前記光源(24)は好ましくはLEDバー(62)であることを特徴とする
請求項9に記載の車両窓ガラス。
【請求項11】
前記入力結合要素(28)は、アクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリアミド(PA)、環状オレフィン・コポリマー(COC)及び/又はシクロオレフィンポリマー(COP)を備えている物質から作られることを特徴とする
請求項1-10のいずれか1項に記載の車両窓ガラス。
【請求項12】
前記入力結合要素(28)は、1.40と1.65との間、及び特に1.48と1.56との間の屈折率を有することを特徴とする
請求項1-11のいずれか1項に記載の車両窓ガラス。
【請求項13】
導光体(26,26’)は入力結合要素(28)の幅方向表面上に配置され、前記導光体(26,26’)は前記光源(24)に接続され、好ましくは、前記入力結合要素(28)と一体になっていることを特徴とする
請求項1-12のいずれか1項に記載の車両窓ガラス。
【請求項14】
前記導光体(26’)は出力結合要素(42)を有し、又は出力結合要素に接続され、前記出力結合要素(42)は、光を前記入力結合要素(28)の方向に導くことを特徴とする
請求項13に記載の車両窓ガラス。
【請求項15】
前記光源は、前記入力結合要素(28)の幅方向表面上に配置されていることを特徴とする
請求項1-14のいずれか1項に記載の車両窓ガラス。
【請求項16】
前記光源はLEDバー(62)であることを特徴とする
請求項15に記載の車両窓ガラス。
【請求項17】
前記窓ガラス本体のアセンブリは、接続層(20)を介して外側窓ガラス本体(16)に接続されている前記外側窓ガラス本体(16)と内側窓ガラス本体(18)とを備え、前記内側窓ガラス本体(18)は導光層を形成し、前記入力結合要素(28)は前記外側窓ガラス本体(16)から向きが逸れている前記内側窓ガラス本体(18)の前記側面に取り付けられていることを特徴とする
請求項1-16のいずれか1項に記載の車両窓ガラス。
【請求項18】
前記内側窓ガラス本体(18)は、前記外側窓ガラス本体(16)の面積に対応する面積を有することを特徴とする
請求項17に記載の車両窓ガラス。
【請求項19】
前記外側窓ガラス本体(16)は無機ガラス及び/又は重合体ガラスから作られており、及び/又は前記内側窓ガラス本体(18)は無機ガラス及び/又は重合体ガラスから作られていることを特徴とする
請求項17又は18に記載の車両窓ガラス。
【請求項20】
前記入力結合要素(28)はクラッディング要素(32)を備えており、及び/又は前記窓ガラス本体のアセンブリに接続されているモールド部に収容されることを特徴とする
請求項1-19のいずれか1項に記載の車両窓ガラス。
【請求項21】
前記クラッディング要素及び/又は前記モールド部は、前記入力結合要素(28)及び前記窓ガラス本体のアセンブリの間の光学的接触が維持されるように、前記窓ガラス本体のアセンブリの方向に、前記入力結合要素(28)を押すことを特徴とする
請求項20に記載の車両窓ガラス。
【請求項22】
前記入力結合要素(28)は、透明な浸漬剤(31)を介して、前記窓ガラス本体のアセンブリに光学的に結合されることを特徴とする
請求項1-21のいずれか1項に記載の車両窓ガラス。
【請求項23】
前記浸漬剤(31)は、油及び/又はゼリー状の材料を備えることを特徴とする
請求項22に記載の車両窓ガラス。
【請求項24】
前記浸漬剤(31)は、1.47と1.59との間、及び特に1.51と1.52との間の屈折率を有することを特徴とする
請求項22又は23に記載の車両窓ガラス。
【請求項25】
前記浸漬剤(31)は、10と30,000センチポアズ(cP)の間の粘度とを有することを特徴とする
請求項22-24のいずれか1項に記載の車両窓ガラス。
【請求項26】
請求項1-18のいずれか1項に記載の車両窓ガラスを備える
車両ルーフ。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルの特徴を有する車両窓ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両窓ガラスは従来から知られており、特に車両ルーフの分野で使用され得る。ここで、車両窓ガラスは、それによってルーフ開口部が随意に閉じられ得て、又は開けられ得る、ルーフ開口部システムの固定ルーフ要素又はカバー要素を形成し得る。既知の車両窓ガラスは窓ガラス本体を備えており、それは曲線状であってもよく、導光層が設けられている。さらに、既知の車両窓ガラスには、光が導光層に結合され得る光源が設けられている。光は、導光層の端を介して結合される。導光層は、車両の内部から見える車両窓ガラスの可視表面を形成し得て、よって、導光層は車両窓ガラスの光要素を形成し、それによって、光源がアクティブ化されているときに、車両の内部が照らされ得る。既知の車両窓ガラスの導光層は、光源によって放射される光が導光層の端を介して結合され得るように、導光層が内側に配置されている窓ガラス本体より小さい寸法を有する。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、導光層ができるだけ大きい照明領域を提供する、上に記載の種類の車両窓ガラスを提供することである。
【0004】
本発明によれば、この目的は、請求項1の特徴を有する車両窓ガラスによって達成される。
【0005】
よって、本発明は、窓ガラス本体のアセンブリの内側に配置されている入力結合要素によって、光源によって放射される光が大きい表面にわたって導光層に結合され得る車両窓ガラスを提案する。これによって、導光層を、その寸法、すなわちその占有面積(Grundflache)に関して最適化した方法で、要求に適合することができる。さらに、特定の入射角を持つ光のみが導光層に結合される。この範囲外の光線は結合されないので、それらは導光層において伝搬しない。これは、輝度とともに、導光層の表面にわたる光の均一性も改善する。そのため、入力結合要素は、光源によって放射される光を、規定された角度において導光層に導き、それによって、入力結合効率の向上が達成される。
【0006】
入力結合要素が窓ガラス本体のアセンブリの内側に配置されるという本発明の概念は、単層安全ガラス及び合わせ安全ガラスに基本的には適用され得る。
【0007】
もし、本発明が合わせ安全ガラスに適用されるなら、前記窓ガラス本体のアセンブリは、接続層を介して外側窓ガラス本体に接続されている前記外側窓ガラス本体と内側窓ガラス本体とを備える。前記内側窓ガラス本体は、好ましくは導光層を形成する。この場合、前記入力結合要素は、前記内側窓ガラス本体の前記内側に、直接的に取り付けられてもよい。
【0008】
もちろん、光源の光が入力結合要素によって結合され得る追加の導光層が、合わせ安全ガラスの内側窓ガラス本体に適用されることも考えられる。
【0009】
内側窓ガラス本体が導光層を形成する実施形態では、導光層の適用のための追加の費用は発生しない。さらに、機能を統合すれば、重さ及び設置スペースの点で優位性が得られる。よって、入力結合要素を持つ本発明による構成は、大規模な環境光の機能が、例えば、自動車の固定ルーフ要素に関しても、内側窓ガラス本体によって提供されることを可能にする。
【0010】
内側窓ガラス本体は、外側窓ガラス本体と同じ寸法を有していてもよく又は外側窓ガラス本体より小さい寸法を有していてもよく、基本的には、導光体のような、使用できる任意の材料で作られてもよい。例えば、内側窓ガラス本体は、ガラス及び/又はポリカーボネート及び/又は別の種類のプラスチックを備えている材料から作られる。
【0011】
もし、窓ガラス本体のアセンブリが合わせ安全ガラスであるなら、個々の窓ガラス本体(群)の間の接続層は、好ましくは、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)及び/又は熱可塑性ポリウレタン(TPU)を備えている材料から作られる。接続層は、透き通っている、つまり完全に透明であってもよいし、又は染色されていてもよい。
【0012】
好ましい実施形態では、本発明による車両窓ガラスの入力結合要素は棒状であり、好ましくは、窓ガラス本体のアセンブリの下面上の端の近くに配置される。この場合、光は、棒状の入力結合要素の長さにわたって、窓ガラス本体のアセンブリの導光層に結合され得る。
【0013】
本発明による車両窓ガラスの特定の実施形態では、上で記載されている種類のうちの2つの入力結合要素が提供され、それらは窓ガラス本体アセンブリの下面上の反対側の端部近くに配置されてもよい。
【0014】
本発明による車両窓ガラスの好ましい実施形態では、入力結合要素は、入力結合要素によって導光層に結合される光の入力結合角度を最適化するために、くさび形又は台形の断面を有する。よって、入力結合要素は、光学プリズムとして作用する。
【0015】
入力結合要素は、好ましくは、アクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリアミド(PA)、環状オレフィン・コポリマー(COC)又はシクロオレフィンポリマー(COP)を備えている材料から作られ、ここで入力結合要素は特に、棒状のプラスチックの部材である。
【0016】
入力結合要素の屈折率は特に、隣接する導光層の屈折率に適合され、好ましくは、1.40と1.65との間、及び特に1.48と1.59との間の数値を有する。
【0017】
入力結合要素は、好ましくは、押出し成形又は射出成形によって製造される。
【0018】
入力結合要素は、内面反射が向上するように、反射コーティングが提供されてもよく、反射コーティングはアルミニウム又は銀のような金属を備えてもよく、それは蒸着又はスパッタリングによって適用され得る。
【0019】
本発明による車両窓ガラスの有利な実施形態では、追加の偏向構造が、導光層への光の入力結合動作がさらに向上するように、入力結合要素と窓ガラス本体のアセンブリとの間に配置される。追加の偏向構造は、適切な屈折によって導光層への光の入射角を変化させ、導光層における内面反射を増加させ得る。追加の偏向構造は、ミリメートルのオーダー又はマイクロメートルのオーダーの寸法を有し、3次元アレイ、又は、例えばフレネルレンズアレイのような線状に配置されるいくつかの非対称プリズムを備えてもよい。
【0020】
追加の偏向構造は、入力結合要素と一体となってもよく、例えば押出し成形プロセス又は射出成形プロセスにおけるその製造の間に、直接的に形成されてもよい。追加の偏向構造が、例えば別個の構造化されたフィルムの形で、入力結合要素のコーティングであることも考えられる。
【0021】
入力結合要素は、好ましくは、粘着層を介して窓ガラス本体に付けられる。粘着層は、任意の光学的に適した接着剤から作られてもよく、それは、好ましくは1.40と1.65との間、及び特に1.48と1.56との間の屈折率を有する。例えば、粘着層は、感圧接着剤、液体光学透明接着剤(LOCA)、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、エポキシ系接着剤又はアクリル系接着剤から作られる。
【0022】
選択された材料は、好ましくは、境界面においては光線の反射を最小にし、理想的な角度の条件においては入力結合効率を最適化する屈折率を有する。
【0023】
ガラスで作られた内側窓ガラス本体の屈折率は特に1.52であるが、入力結合要素の屈折率と入力結合要素が内側窓ガラス本体に接続される粘着層の屈折率とは、選択された材料の関数として変化することがある。もし、アクリル樹脂(PMMA)が入力要素のために使用されるなら、屈折率は1.49である。この場合、粘着層は、例えば1.52の屈折率を有する。もし、ポリカーボネートで作られている入力結合要素が使用されるなら、屈折率は、例えば1.58であるが、使用される接着剤の屈折率は1.56である。もし、入力結合要素がシクロオレフィンポリマー(COP)で作られているなら、その屈折率は1.52である。この場合、入力結合要素が内側ガラス本体に接続されるところの接着剤も、好ましくは1.52の数値を有する。
【0024】
本発明による車両窓ガラスの具体的な実施形態では、前記入力結合要素は、キャスティング樹脂(Giessharz)から成形され、それは、好ましくは、窓ガラス本体のアセンブリ上に、キャスティングによって、直接に成形される。この場合、光源は、キャスティング樹脂の挿入物であってもよく、光源は、好ましくはLEDバーであってもよい。すなわち、光源はキャスティング樹脂で封止されてもよい。
【0025】
導光体は、光源に接続され、ロッド又は紐であってもよい。導光体は、光源の光を入力結合要素自体に結合するように、入力結合要素の側面上に配置され得る。ここで光源は特に、高出力のLEDモジュールでである。例えば、導光体は、ポリカーボネート樹脂(PC)及び/又はアクリル樹脂(PMMA)を備えている材料から作られる。導光体は、入力結合要素と一体となってもよい。
【0026】
導光体に面している入力結合要素の側面は、光を集束させるように、平面又は凹面又は凸面であってもよい。
【0027】
光を入力結合要素に結合するプロセスを向上させるように、導光体は、入力結合要素の対応する側面の方向に結合されるべき光を導く、追加の出力結合要素を備えてもよい。出力結合要素は、導光体上のプリント、プリズム構造、ドット構造、又は導光体上に配置されている共押出された散乱材料を備えてもよい。さらに、出力結合要素は導光体と一体に製造されてもよいし、又は別の構造要素であってもよい。それに加えて、導光体の長さにわたる出力結合要素の周期性が考えられる。また、出力結合要素の密度は、導光体の長さにわたる光の均一性が保証されるように、導光体の長さにわたって変化し得る。
【0028】
導光体の一部はまた、例えば、反射コーティングが提供されてもよい。
【0029】
本発明による車両窓ガラスの代替の実施形態では、光源は、入力結合要素の側面上に直接に配置される。例えば、光源は、具体的には高出力のLEDモジュールであるが、入力結合要素に直接にそれら光を放射する複数のLED(群)を持つLEDバー又はLEDストリップである。
【0030】
さらに、入力結合要素を覆うクラッディング要素又はカバーは、窓ガラス本体のアセンブリの内側面に配置され得る。この実施形態では、高い光学的な要求を満たし、光源及び、該当する場合は、光が入力結合要素に結合される導光体は、追加的にカバーの後ろに配置されてもよい。このカバーは、筐体を形成するが、窓ガラス本体のアセンブリに接着されてもよい。
【0031】
入力結合要素が、窓ガラス本体のアセンブリ上に成形され、例えばポリウレタンフォームから作られているモールド部に収容されることも考えられる。この場合、入力結合要素上の反射コーティングによって、モールド部を介しての吸収損失を防ぐことができる。
【0032】
本発明による車両窓ガラスの具体的な実施形態では、クラッディング要素及び/又はモールド部が、入力結合要素及び内側窓ガラス本体のアセンブリの間の最適な光学的遷移を常に保証するように、入力結合要素を、窓ガラス本体のアセンブリの方向に押す。そのため、クラッディング要素又はモールド部は入力結合要素に圧力をかけ、よって、入力結合要素及び窓ガラス本体のアセンブリの間の光学的接触が維持されることを確実にする。
【0033】
本発明による車両窓ガラスの具体的な実施形態では、前記入力結合要素は、入力結合要素と窓ガラス本体のアセンブリとの間の遷移のさらなる向上のために、透明な浸漬剤を介して、前記窓ガラス本体のアセンブリに光学的に結合される。よって、この実施形態では、例えばフィルムのような、光学的な浸漬剤から作られる薄膜は、入力結合要素と窓ガラス本体のアセンブリとの間に配置される。浸漬剤は、油及び/又はゼリー状の材料を備えてもよいし、又は油及び/又はゼリー状の材料であってもよい。
【0034】
本発明による車両窓ガラスの好ましい実施形態では、浸漬剤は、1.47と1.59との間の、及び特には1.51と1.52との間の屈折率を有し、その屈折率は、窓ガラス本体のアセンブリのガラス窓本体の屈折率に適合されている。
【0035】
浸漬剤の粘度は、10と50,000センチポアズ(cP)との間であってもよい。
【0036】
本発明は、上に記載の種類の車両窓ガラスを備える車両ルーフにも関する。
【0037】
本発明の主題の他の利点及び有利な構成は、明細書、図面、及び請求項から明らかである。
【0038】
本発明による車両窓ガラスを持つ車両ルーフの説明のための例が、図面に概略的に図示され、以下の説明においてより詳細に論じられる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1は、本発明による車両窓ガラスを持つ車両ルーフの概略の上面図である。
図2図2は、図1の車両ルーフの車両窓ガラスにわたる概略の断面図である。
図3図3は、図2に対応する車両窓ガラスの第2の実施形態にわたる断面図である。
図4図4は、車両窓ガラスの第3の実施形態にわたる断面図である。
図5図5は、車両窓ガラスの第4の実施形態にわたる断面図である。
図6図6は、車両窓ガラスの第5の実施形態にわたる断面図である。
図7図7は、車両窓ガラスの第6の実施形態にわたる断面図である。
図8図8は、車両窓ガラスの第7の実施形態にわたる断面図である。
図9図9は、車両窓ガラスの第8の実施形態にわたる断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、必要な部分以外の詳細は示されていない自動車の車両ルーフ10を示す。車両ルーフ10は、移動可能なカバー要素12と固定ルーフ要素14とを有するパノラミックルーフであり、固定ルーフ要素14は動かないように車両本体に固定される。カバー要素12と固定ルーフ要素14とはそれぞれ、車両窓ガラスであり、環境光機能を備える合わせ安全ガラスとして構成されている、ガラス要素を備える。この点で、カバー要素12の構造は、固定ルーフ要素14の構造に対応する。この構造は、図2においてより詳細に図示される。
【0041】
ルーフ要素12及び14は、それぞれ車両窓ガラスであり、それぞれ外側窓ガラス本体16と内側窓ガラス本体18とを備えている積層部材を備える。外側窓ガラス本体16は、曲面状のガラス板から作られ、それは例えば、染色されたソーダ石灰ガラスから作られる。外側窓ガラス本体16が、ポリカーボネート部材のようなプラスチック部材から作られることも考えられる。内側窓ガラス本体18も、ソーダ石灰ガラスのような無機ガラス、又はポリカーボネートのようなポリマーから作られてもよい。さらにこの文脈では、内側窓ガラス本体18は、その容積部分に結合された光が伝搬する導光層を形成する。
【0042】
外側窓ガラス本体16及び内側窓ガラス本体18は、積層、すなわち接続層20を介して接続され、接続層20は、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、又は熱可塑性ポリウレタン(TPU)のような材料から作られ得る。さらに、接続層20は、透き通っている、つまり完全に透明であってもよいし、又は染色されていてもよい。この事例では、接続層20は、0.76 mmの厚さを有しているが、異なる厚さを有していてもよい。
【0043】
外側窓ガラス本体16及び内側窓ガラス本体18は、この事例では、それぞれほぼ2.1 mmの厚さを有しており、窓ガラス本体のアセンブリを形成する。窓ガラス本体のアセンブリは、外側面を有し、その外側面は車両の周囲に面しており、内側面を有し、その内側面は車両の内部に面している。内側面では、窓ガラス本体のアセンブリは、垂直中央ルーフ(vertikale Dachlangsmittel)の両側に、照射器22が備えられており、それによって環境光機能が実現され得る。
【0044】
照射器22はそれぞれ、車両の長手方向に延び、カバー要素12のそれぞれの幅方向端部上及び固定ルーフ要素14のそれぞれの幅方向端部上に配置される。
【0045】
照射器22はそれぞれ光源24を備え、光源24はLEDアレイを備え、導光体26の端面上に配置されており、導光体26はロッド又は紐から作られ、例えばアクリル樹脂(PMMA)材料及び/又はポリカーボネート材料を備える。導光体26は、押出し成形又は射出成形によって製造され得る。
【0046】
さらに、照射器22はそれぞれ、棒状の入力結合要素28を備え、それは関連する照射器22の長手幅にわたって延び、この事例ではくさび形又は三角形の断面を有する。よって、入力結合要素28はそれぞれ角柱体を形成する。後者は、好ましくは、押出し成形又は射出成形によって、プラスチック材料によって作られる。特に、アクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリアミド(PA)、環状オレフィン・コポリマー(COC)及び/又はシクロオレフィンポリマー(COP)が材料として使用され得て、それらの屈折率は、1.48と1.59との間である。
【0047】
入力結合要素28はそれぞれ、粘着層30を介して、窓ガラス本体のアセンブリに固定される。粘着層30は、入力結合要素28の屈折率のオーダーであるか、又は入力結合要素28の屈折率と内側窓ガラス本体18の屈折率との間であり、特に1.48と1.59との間である屈折率を有する。感圧接着剤、液体光学透明接着剤、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、エポキシ系接着剤又はアクリル系接着剤が、粘着層30のための材料として用いられてもよい。
【0048】
内側窓ガラス本体18は、1.52の屈折率を有する。
【0049】
さらに、照射器22はそれぞれ、クラッディング要素32が備えられ、クラッディング要素32も、窓ガラス本体のアセンブリの下面、すなわち、内側窓ガラス本体18の下面に取り付けられ、入力結合要素28、導光体26及び光源24を覆う。
【0050】
光源24がアクティブ化されているとき、光源24が放射する光は、導光体26に結合されて、導光体から入力結合要素28に結合される。入力結合要素28の境界面における内面反射は、粘着層30を介して、光を内側窓ガラス本体18に結合し、光を境界面における内面反射によって内側窓ガラス本体18に伝搬することができるようになる。ここで内側窓ガラス本体18は導光層である。光は、拡散素子を介して、内側窓ガラス本体18から車両の内部の方向へ結合され得て、その拡散素子は、内側窓ガラス本体18が有している。例えば、光を、車両の内部の方向に拡散させる印刷が、内側窓ガラス本体18の上面に施されている。
【0051】
代替の実施形態では、導光体26と入力結合要素28とは一体である。
【0052】
図3は車両窓ガラス40を示し、それは図2の車両窓ガラスにほぼ対応するが、それは導光体26’を有し、導光体26’は入力結合要素28の幅方向表面上に配置され、追加の出力結合要素42が備えられているという点において図2の車両窓ガラスとは異なる。追加の出力結合要素42は導光体26の長さ方向にわたって延びる。出力結合要素42は、導光体26’から入力結合要素28への方向の光の結合を助ける。出力結合要素42は、導光体26’と一体に製造され得て、又は、プリント、プリズム構造、ドット構造又は類似のものによって形成される追加の構造であり得る。
【0053】
上記以外の点においては、車両窓ガラス40は、図2の車両窓ガラスに対応する。
【0054】
図4は、車両窓ガラス50を示し、それは図3の車両窓ガラスとほぼ対応するが、入力結合要素28が、窓ガラス本体のアセンブリに面している表面上に追加の偏向構造52を備えており、追加の偏向構造52は窓ガラス本体のアセンブリの方向に放射される光の入力結合を最適化し、マイクロメートルのオーダー又はミリメートルのオーダーの寸法を有する非対称プリズムの列又はフレネルレンズアレイのようなレンズアレイにより形成されているという点において異なる。追加の偏向構造52は、入力結合要素28のコーティングであってもよく、又は後者と一体に製造されてもよい。その端部において、入力結合要素28は、粘着ストリップ54を介して、窓ガラス本体のアセンブリの内側窓ガラス本体18の下面に接続される。
【0055】
上記以外の点においては、車両窓ガラス50は、図3の車両窓ガラスに対応する。
【0056】
図5は、車両窓ガラス60を示し、それは再び図3の車両窓ガラスとほぼ対応するが、車両窓ガラス60は光源としてLEDバー62を備え、LEDバー62は、その光が幅方向表面を介して入力結合要素28に直接的に結合され得る入力結合要素28の長さ方向にわたる複数のLEDを備えているという点において異なる。LEDバー62は、共通の粘着層30を介して、内側窓ガラス本体18の下面に接続される。
【0057】
上記以外の点においては、車両窓ガラス60は、図3の車両窓ガラスに対応する。
【0058】
図6は、車両窓ガラス70を示し、それは図2の車両窓ガラスとほぼ対応するが、照射器22、すなわち導光体26と入力結合要素28とは、筐体状のクラッディング要素32に覆われていないという点において異なる。その代わり、これらの要素は、PU発泡72に収容され、PU発泡72は、モールド部を形成し、外側窓ガラス本体16、内側窓ガラス本体18、及び接続層20を備えている窓ガラス本体のアセンブリの端部の周り又は窓ガラス本体のアセンブリの端部上に気泡注入される。
【0059】
上記以外の点においては、車両窓ガラス70は、図2の車両窓ガラスに対応する。
【0060】
図7は、車両窓ガラス80を示し、それは図6の車両窓ガラスとほぼ対応するが、入力結合要素28は、浸漬剤31を介して、窓ガラス本体のアセンブリの内側窓本体18に接続されるという点において異なる。浸漬剤31は、入力結合要素28と内側窓ガラス本体18との間に薄膜を形成し、1.51の屈折率と、ほぼ30,000センチポアズ(cP)の粘度とを有する。入力結合要素28は、PU発泡72によって、内側窓ガラス本体18上に保たれ、PU発泡72はモールド部を形成し、入力結合要素28を内側窓ガラス本体18に対して押し付けもするので、入力結合要素28と内側窓ガラス本体18との最適な光学の結合を維持する。
【0061】
上記以外の点においては、照射器22を持つ車両窓ガラス80は、図6の車両窓ガラスに対応し、車両窓ガラス80は、入力結合要素28と浸漬剤31とを備える。
【0062】
図8は、車両窓ガラス90を示し、それは図2の車両窓ガラスとほぼ対応するが、圧力要素92が、クラッディング要素32と入力結合要素28との間に配置され、クラッディング要素32が、入力結合要素28及び内側窓ガラス本体18に間の最適な光学的遷移が常に保証されるように、入力結合要素28を、圧力要素92によって内側窓ガラス本体18の方向に押すという点において異なる。
【0063】
上記以外の点においては、車両窓ガラス90は、図2の車両窓ガラスに対応する。
【0064】
図9は、車両窓ガラス100を示し、それは図5の車両窓ガラスとほぼ対応するが、車両窓ガラス100は、その下面上に照射器22を備え、照射器22は入力結合要素28を有し、入力結合要素28は、窓ガラス本体のアセンブリの内側窓ガラス本体18の下面上に直接に成形されているキャスティング樹脂で作られているという点において異なる。入力結合要素28は、その入力結合部102は三角形又はくさび形の断面を有しており、収容部104と一体化して提供されている。ここで収容部104はLEDバー62を挿入物として収容し、このLEDバー62は照射器22の光源である。
【0065】
上記以外の点においては、図9の車両窓ガラスは、図5の車両窓ガラスに対応する。
【符号の説明】
【0066】
10 車両ルーフ
12 カバー要素
14 固定ルーフ要素
16 外側窓ガラス本体
18 内側窓ガラス本体
20 接続層
22 照射器
24 光源
26,26’ 導光体
28 入力結合要素
30 粘着層
31 浸漬剤
32 クラッディング要素
40 車両窓ガラス
42 出力結合要素
50 車両窓ガラス
52 追加の偏向構造
54 粘着ストリップ
60 車両窓ガラス
62 LEDバー
70 車両窓ガラス
72 PU発泡
80 車両窓ガラス
90 車両窓ガラス
92 圧力要素
100 車両窓ガラス
102 入力結合部
104 収容部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】