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特表2023-5201781-オクテンを含有するパージ流の重合
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  • 特表-1-オクテンを含有するパージ流の重合 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-16
(54)【発明の名称】1-オクテンを含有するパージ流の重合
(51)【国際特許分類】
   C08F 10/14 20060101AFI20230509BHJP
   C08F 4/64 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
C08F10/14
C08F4/64
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556186
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(85)【翻訳文提出日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 US2021024380
(87)【国際公開番号】W WO2021202283
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】63/002,503
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】コーニングス、デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】エワート、ショーン ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ナイト、トロイ イー.
【テーマコード(参考)】
4J100
4J128
【Fターム(参考)】
4J100AA19P
4J100CA01
4J100DA01
4J100DA04
4J100FA10
4J100FA22
4J100FA47
4J100GB12
4J128AA01
4J128AB00
4J128AC27
4J128BA01A
4J128BA01B
4J128BB00A
4J128BB00B
4J128BC12B
4J128EA01
4J128EB07
4J128EC01
4J128FA04
4J128GA01
4J128GA06
(57)【要約】

本開示は、プロセスを提供する。一実施形態では、プロセスは、オクテン単量体を含有するパージ流を提供することを含む。このプロセスは、重合条件下で、パージ流をビス-ビフェニルフェノキシ触媒に接触させることと、1,300,000g/molより大きい絶対重量平均分子量(Mw(Abs))及び1.3~3.0のMw(Abs)/Mn(Abs)を有するオクテンポリマーを形成することと、を含む。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オクテン単量体を含むパージ流を提供することと、
重合条件下で、前記パージ流をビス-ビフェニルフェノキシ触媒に接触させることと、
1,300,000g/molより大きい絶対重量平均分子量(Mw(Abs))及び1.3~3.0のMw(Abs)/Mn(Abs)を有するオクテンポリマーを形成することと、を含むプロセス。
【請求項2】
前記パージ流を、以下の式(I)で表されるビス-ビフェニルフェノキシ触媒と接触させることを含む、請求項1に記載のプロセス。
【化1】
(式中、
Mは、ジルコニウム又はハフニウムから選択される金属であり、前記金属が、+2、+3、又は+4の形式酸化状態にあり、
nは、0~3の整数であり、nが0であるとき、Xは存在せず、
各Xは、それぞれ独立して、中性、モノアニオン性、又はジアニオン性である単座配位子であり、又は2つのXが一緒になって、中性、モノアニオン性、又はジアニオン性である二座配位子を形成し、X及びnは、式(I)の金属-配位子錯体が全体として中性であるように選ばれ、
各Zは、それぞれ独立して、O、S、N(C~C40)ヒドロカルビル、又はP(C~C40)ヒドロカルビルであり、
OはO(酸素原子)であり、
Lは、(C~C40)ヒドロカルビレン又は(C~C40)ヘテロヒドロカルビレンであり、ここで、前記(C~C40)ヒドロカルビレンは、式(I)中の2つのZ基(これらにLが結合している)を連結する1個の炭素原子~10個の炭素原子のリンカー骨格を含む部分を有し、又は前記(C~C40)ヘテロヒドロカルビレンは、式(I)中の前記2つのZ基を連結する1個の原子~10個の原子のリンカー骨格を含む部分を有し、前記(C~C40)ヘテロヒドロカルビレンの前記1~10個の原子のリンカー骨格の前記1~10個の原子の各々は、それぞれ独立して炭素原子又はヘテロ原子であり、各ヘテロ原子は、独立してO、S、S(O)、S(O)、Si(R、Ge(R、P(R)、又はN(R)であり、それぞれ独立して各Rは、(C~C30)ヒドロカルビル又は(C~C30)ヘテロヒドロカルビルであり、
各R1~16は、(C~C40)ヒドロカルビル、(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、Si(R、Ge(R、P(R、N(R、OR、SR、NO、CN、CF、RS(O)、RS(O)、(RC=N、RC(O)O、ROC(O)、RC(O)N(R)、(RNC(O)、ハロゲン原子、水素原子、及びそれらの組み合わせから選択される。)
【請求項3】
20~50重量%の1-オクテンと、
10~50重量%の溶媒と、
10~70重量%のオクテン異性体と、から構成されるパージ流を提供することを含む、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記接触させることの前に、前記パージ流中に存在するエチレンを除去することと、
0~0.01重量%未満のエチレンを含むパージ流を提供することと、を含む、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記パージ流を、以下の式(V)で表されるビス-ビフェニルフェノキシ触媒と接触させることを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【化2】
【請求項6】
前記パージ流を、以下の式(VI)で表されるビス-ビフェニルフェノキシ触媒と接触させることを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【化3】
【請求項7】
1,300,000g/molより大きい絶対重量平均分子量(Mw(Abs))及び1.3~3.0のMw(Abs)/Mn(Abs)を有するオクテン単一重合体と、
溶媒と、を含む組成物。
【請求項8】
前記オクテン単一重合体が、0ppm~10ppm未満のチタンを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記オクテン単一重合体が、残留量のジルコニウムを含む、請求項7又は8に記載の組成物。
【請求項10】
前記オクテン単一重合体が、残留量のゲルマニウムを含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、
(i)10~50重量%のオクテン単一重合体と、
(ii)0~70重量%のオクテン異性体と、
(iii)90~10重量%の前記溶媒と、を含み、(i)、(ii)、(iii)の量を合計すると、前記組成物の100重量%になる、請求項7~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
80~95重量%の前記オクテン単一重合体と、
20~5重量%の前記溶媒と、を含む、請求項7~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、
(i)35~45重量%のオクテン単一重合体と、
(ii)65~55重量%の溶媒と、を含み、(i)及び(ii)の量を合計すると、前記組成物の100重量%になり、
前記組成物が、2.901410+0.5m-Pas~3.57310+0.7m-Pasの粘度を有する、請求項7~12のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
エチレン/オクテン共重合体の生成において、エチレンと、オクテンコモノマーと、重合触媒とを、好適な反応条件下で(溶媒及び連鎖移動剤の存在下で)重合反応器に導入して、エチレン/オクテン共重合体の重合生成物流を得る。生成物流を反応器から除去する。その生成物流は、エチレン/オクテン共重合体と、未反応単量体(エチレン)、未反応コモノマー(オクテン)、及び他の関連炭化水素(水素、エタン、メタン、プロパン、ペンタン、ヘキサン、ブタン)の炭化水素種とを含有する。エチレン/オクテン共重合体は、脱揮(devolatilization)によって溶媒、未反応の単量体、及び未反応のコモノマーから分離される。その後、粒状エチレン/オクテン共重合体をペレット化及び冷却後に回収する。エチレン/オクテン共重合体が生成物流から分離された後、炭化水素種は、重合反応器に再循環されるか、又はシステムからパージされるかのいずれかである。
【0002】
パージされた炭化水素種の再生は、大規模なポリオレフィン生成にとって最大の課題の1つである。例えば、エチレン/オクテン共重合体の重合生成におけるオクテンコモノマーの転化率は、一般に非常に低く、例えば、10~20%である。これは、オクテンの80~90%がポリマーに変換されることなく反応器を通過できるということを意味する。
【0003】
このオクテンコモノマーが重合反応器に再循環されるというのが理想である。エチレンのような揮発性単量体の再循環は非常に効率的であるが、オクテンの再循環は、特に他の飽和炭化水素が生成物流中に存在する場合には、困難である。オクテンの沸点は、生成物流中に存在する他の飽和種及び不飽和種の沸点に非常に近く、そのことがオクテンの分離を困難なものにしている。新鮮なオクテン流は、オクテンの他の異性体(オクテンの総重量に基づいて1~5重量%のオクテン異性体)も含む。オクテン異性体は、典型的には、重合プロセスにおいてエチレンと反応しない。結果として、オクテン異性体は、再循環流の連続的再循環において凝集するか、そうでなければ「蓄積」して、供給流としての再循環の効率を低下させる。このようにして、オクテン異性体は、総再循環流の最大70%にまで蓄積する可能性がある。
【0004】
したがって、当該技術分野では、単なる廃棄を回避してパージ流の炭化水素種を利用するための方法が、現在必要とされているということが認識されている。パージ流に存在するオクテン単量体を利用することが更に必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、プロセスを提供する。一実施形態では、プロセスは、オクテン単量体を含有するパージ流を提供することを含む。このプロセスは、重合条件下で、パージ流をビス-ビフェニルフェノキシ触媒に接触させることと、1,300,000g/molより大きい絶対重量平均分子量(Mw(Abs))及び1.3~3.0のMw(Abs)/Mn(Abs)を有するオクテンポリマーを形成することと、を含む。
【0006】
本開示は、組成物を提供する。一実施形態では、組成物は、オクテン単一重合体及び溶媒を含む。オクテン単一重合体は、1,300,000g/molより大きい絶対重量平均分子量(Mw(Abs))及び1.3~3.0のMw(Abs)/Mn(Abs)を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施形態による、重合系の概略図である。
【0008】
定義
元素周期表への任意の参照は、CRC Press,Inc.,1990-1991によって出版されたものへの参照である。この表での元素群への参照は、群に番号を付けるための新しい表記法によるものである。
【0009】
米国特許実務の目的のために、任意の参照される特許、特許出願、又は刊行物の内容は、特に定義の開示(具体的に本開示で提供されるいずれの定義とも矛盾しない範囲)及び当該技術分野での一般知識に関して、参照によりそれらの全体が組み込まれる(か、又はその同等の米国版がそのように参照により組み込まれる)。
【0010】
本明細書に開示されている数値範囲は、下限値及び上限値を含む、下限値から上限値のすべての値を含む。明示的な値(例えば、1又は2、又は3~5、又は6、又は7)を含有する範囲の場合、任意の2つの明示的な値の間のあらゆるサブ範囲(例えば、上記の1~7の範囲には、1~2、2~6、5~7、3~7、5~6など)が含まれる。
【0011】
別段その逆が記載されるか、文脈から暗示されるか、又は当該技術分野での慣習ではない限り、すべての部及びパーセントは、重量に基づき、すべての試験方法は、本開示の出願日時点で最新のものである。
【0012】
本明細書で使用される「ブレンド」又は「ポリマーブレンド」という用語は、2つ以上のポリマーのブレンドである。そのようなブレンドは、混和性(分子レベルで相分離しない)であってもなくてもよい。そのようなブレンドは、相分離していても、していなくてもよい。このようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、及び当技術分野において既知の他の方法から決定される、1つ以上のドメイン構成を含んでいても、いなくてもよい。
【0013】
「組成物」という用語は、組成物を含む材料の混合物、並びに組成物の材料から形成された反応生成物及び分解生成物を指す。
【0014】
「含む(comprising)」」、「含む(including)」、「有する」という用語、及びそれらの派生語は、それが具体的に開示されているかどうかにかかわらず、任意の追加の成分、ステップ、又は手順の存在を除外することを意図しない。疑義を回避するために、「含む(comprising)」という用語の使用を通じて特許請求されるすべての組成物は、反対の記載がない限り、ポリマーであろうとなかろうと、任意の追加の添加剤、アジュバント、又は化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、あらゆる続く記述の範囲からあらゆる他の成分、ステップ、又は手順を除く。「からなる」という用語は、明確に描写又は列挙されていない任意の成分、ステップ、又は手順を除外する。「又は」という用語は、特に明記しない限り、列挙されたメンバーを個別に、並びに任意の組み合わせで指す。単数形の使用は複数形の使用を含み、その逆もまた同様である。
【0015】
「エチレン系ポリマー」は、(重合性単量体の総量に基づいて)50重量パーセント(重量%)を超える重合エチレン単量体を含有し、任意選択的に、少なくとも1つのコモノマーを含有し得るポリマーである。エチレン系ポリマーは、エチレン単一重合体、及びエチレン共重合体(エチレン及び1つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)を含む。「エチレン系ポリマー」及び「ポリエチレン」という用語は、交換可能に使用され得る。
【0016】
本明細書で使用される場合、「1-オクテン」という用語は、分子式C16を有する不飽和炭化水素α-オレフィンであり、不飽和はアルファ位置にある。1-オクテンは、以下に示すような分子構造(A)を有する。
【化1】
【0017】
本明細書で使用される場合、「オクテンの異性体」という用語は、分子式C16を有する不飽和炭化水素であり、不飽和(二重結合)は、アルファ位置にはない。言い換えれば、「オクテンの異性体」という用語は、1-オクテンを除外した任意のオクテンである。オクテンの異性体の非限定的な例としては、シス-2-オクテン、トランス-2-オクテン、シス-3-オクテン、トランス-3-オクテン、及びそれらの組み合わせ、並びにシス-4-オクテン、トランス-4-オクテン、分岐状オクテン異性体、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0018】
「オクテン系ポリマー」は、(重合性単量体の総量に基づいて)50重量パーセント(重量%)を超える重合オクテン単量体を含有するポリマーであり、任意選択で、オクテンとは異なる少なくとも1つのコモノマー(C2~7α-オレフィン及び/又はC9~12α-オレフィンから選択されたもの)を含有し得る。オクテン系ポリマーは、オクテン単一重合体、及びオクテン共重合体(オクテン及び1つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)を含む。「オクテン系ポリマー」及び「ポリオクテン」という用語は、交換可能に使用され得る。
【0019】
「ポリマー」は、同一のタイプ又は異なるタイプであるかに関わらず、重合形態でポリマーを構成する複数の及び/若しくは繰り返しの「単位」又は「mer単位」を提供する単量体を重合することによって調製される化合物である。したがって、一般的なポリマーという用語は、ただ1つのタイプの単量体のみから調製されるポリマーを指すために通常使用される単一重合体という用語と、少なくとも2つのタイプの単量体から調製されるポリマーを指すために通常使用される共重合体という用語と、を包含する。それはまた、例えば、ランダム、ブロックなどのすべての形態の共重合体を包含する。「エチレン/α-オレフィンポリマー」及び「オクテン/α-オレフィンポリマー」という用語は、それぞれ、エチレン又はオクテンと、1つ以上の追加の重合性α-オレフィン単量体とを重合することから調製された上述の共重合体を示す。ポリマーは、多くの場合、1つ以上の特定の単量体「で作製され」、特定の単量体又は単量体タイプに「基づいて」、特定の単量体含有量を「含有する」などと称されるが、この文脈では、「単量体」という用語は、特定の単量体の重合残基を指し、非重合種を指すものではないと理解されることに留意されたい。一般に、本明細書におけるポリマーは、対応する単量体の重合形態である「単位」に基づくものを指す。
試験方法
ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography、GPC)
【0020】
クロマトグラフィーシステムは、内部IR5赤外線検出器(IR5)を装備したPolymer Char社(スペイン、バレンシア)製の、GPC-IR型高温GPCクロマトグラフで構成された。オートサンプラのオーブンコンパートメントを160℃に設定し、カラムコンパートメントを150℃に設定した。カラムには、4本のAgilent社製「Mixed A」30cm 20ミクロン線形混合床カラム及び20μmのプレカラムを使用した。使用したクロマトグラフィー溶媒は、1,2,4-トリクロロベンゼンであり、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(butylated hydroxytoluene、BHT)を含有していた。溶媒源は、窒素スパージした。使用した注入体積は、200マイクロリットルであり、流速は1.0ミリリットル/分であった。
【0021】
GPCカラムセットの較正は、580~8,400,000の範囲の分子量を有する21の狭分子量分布ポリスチレン標準を用いて行い、それらの標準は、個々の分子量の間が少なくとも10倍離れた6つの「カクテル」混合物として準備した。標準は、Agilent Technologies社から購入した。ポリスチレン標準は、1,000,000以上の分子量の場合は溶媒50ミリリットル中に0.025グラムで、1,000,000未満の分子量の場合は溶媒50ミリリットル中に0.05グラムで調製した。ポリスチレン標準は、80℃において、30分間、穏やかに撹拌して溶解させた。それぞれのポリスチレン同等較正点を適合させるために、3次多項式を使用した。
【0022】
GPCカラムセットの合計プレート計数は、デカン(50ミリリットルのTCB中0.04gで調製し、穏やかに撹拌しながら20分間溶解した)を用いて行った。プレート計数(方程式2)及び対称性(方程式3)を、以下の方程式に従って、200マイクロリットル注入に関して測定した。
【数1】
式中、RVはミリリットル単位での保持体積であり、ピーク幅はミリリットル単位であり、ピーク最大値はピークの最大高さであり、1/2高さはピーク最大値の1/2の高さである。
【数2】
式中、RVはミリリットル単位での保持体積であり、ピーク幅はミリリットル単位であり、ピーク最大値はピークの最大位置であり、1/10高さはピーク最大値の1/10の高さであり、リアピークはピーク最大値よりも後の保持体積でのピークテールを指し、フロントピークはピーク最大値よりも早い保持体積でのピークフロントを指す。クロマトグラフィーシステムのプレート計数は、18,000超であるべきであり、対称性は、0.98~1.22の間であるべきである。
【0023】
試料は、Polymer Char社製「Instrument Control」ソフトウェアを用いて半自動の様式で調製した。試料は、2mg/mLを標的重量とし、溶媒(200ppmのBHTを含有)は、Polymer Char社製高温オートサンプラを介して、予め窒素をスパージしたセプタキャップ付きバイアルに添加した。試料を、「低速」振盪しながら160℃で2時間溶解した。
【0024】
Mn(GPC)、Mw(GPC)、及びMz(GPC)は、Polymer Char社製のGPCOne(商標)ソフトウェアと、等間隔の各データ収集点(i)においてベースラインを差し引いたIRクロマトグラムと、方程式1からの点(i)における狭い標準較正曲線から得られたポリスチレン等価分子量とを使用して、方程式4~6に従うPolymer Char社製GPC-IRクロマトグラフの内部IR5検出器(測定チャンネル)を使用して、GPC結果に基づいて計算した。
【数3】
【0025】
経時的な偏差を監視するために、Polymer Char社製GPC-IRシステムで制御されたマイクロポンプを介して、各試料に流量マーカー(デカン)を導入した。この流量マーカー(flowrate marker、FM)は、試料中のそれぞれのデカンピーク(RV(FM試料))を狭い標準較正(RV(FM較正済み))内のデカンピークとRV整合することによって、各試料のポンプ流量(流量(見かけ))を直線的に較正するために使用された。こうして、デカンマーカーピークの時間におけるいかなる変化も、その試験全体の流量(流量(有効))における線形シフトに関連すると推測される。流量マーカーピークのRV測定の最高精度を促進するために、最小二乗フィッティングルーチンを使用して、流量マーカー濃度クロマトグラムのピークを二次方程式に適合させる。次いで、二次方程式の一次導関数を使用して真のピーク位置を求める。流量マーカーのピークに基づいてシステムを較正した後、(狭い標準較正に対する)有効流量は、方程式7のように計算される。流量マーカーピークの処理は、Polymer Char社製のGPCOne(商標)ソフトウェアを介して行う。許容される流量補正では、有効流量が、見かけ流量の±1%以内であるべきである。
【0026】
流量(有効)=流量(見かけ)(RV(FM較正済み)/RV(FM試料)) (方程式7)
トリプル検出器GPC(Triple Detector GPC、TDGPC)
【0027】
クロマトグラフィーシステム、実行条件、カラムセット、カラム較正及び従来の分子量モーメントの計算及び分布は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)に記載されている方法に従って実施された。
【0028】
IR5検出器からの粘度計及び光散乱検出器オフセットの決定に関して、多重検出器オフセットの決定のための体系的手法が、Balke、Moureyらによって公開されたもの(Mourey and Balke,Chromatography Polym.Chpt 12,(1992))(Balke,Thitiratsakul,Lew,Cheung,Mourey,Chromatography Polym.Chpt 13,(1992))と一致した様式で実行され、Polymer Char社製GPCOne(商標)ソフトウェアを使用して、広い単一重合体ポリエチレン標準(Mw/Mn>3)からのトリプル検出器ログ(MW及びIV)結果を、狭い標準較正曲線からの狭い標準カラム較正結果に対して最適化する。
【0029】
絶対分子量データは、Polymer Char社製GPCOne(商標)ソフトウェアを使用して、Zimm(Zimm,B.H.,J.Phys.,16,1099(1948))によって公開されたもの及びKratochvil(Kratochvil,P.,Classical Light Scattering from Polymer Solutions,Elsevier,Oxford,NY(1987))によって公開されたものと合致する様式で得た。分子量の決定において使用される総注入濃度を、好適な線状ポリエチレン単一重合体、又は既知の重量平均分子量のポリエチレン標準のうちの1つから導き出した、質量検出器面積及び質量検出器定数から得た。(GPCOne(商標)を使用して)計算される分子量を、以下に述べるポリエチレン標準物のうちの1つ以上から導き出される光散乱定数と、0.104の屈折率濃度係数(dn/dc)と、を使用して得た。一般に、(GPCOne(商標)を用いて決定される)質量検出器応答(IR5)及び光散乱定数は、約120,000g/モルの分子量を有する直鎖状ポリエチレン標準物質から決定されるべきである。粘度計較正(GPCOne(商標)を使用して決定)は、製造業者によって記載されている方法を使用して、又は代替的に、好適な直鎖状標準の公開値を使用して達成することができる。較正標準に関する特定の粘度面積(DV)及び注入された質量を、その固有粘度に関連付ける(GPCOne(商標)を使用して得られる)粘度計定数を計算する。クロマトグラフィー濃度は、第2ウイルス係数効果(分子量に対する濃度効果)に対処する必要がなくなるのに十分な程度に低いと仮定される。
【0030】
絶対重量平均分子量(Mw(Abs))は、(GPCOne(商標)を使用して)光散乱(Light Scattering、LS)面積統合クロマトグラム(光散乱定数で因数分解)を質量定数から回収された質量及び質量検出器(IR5)面積で除算し、得られる。分子量及び固有粘度応答は、信号対雑音が低くなるクロマトグラフィーの端部で線形に外挿される(GPCOne(商標)を使用)。他のそれぞれのモーメントであるMn(Abs)及びMz(Abs)は、次の式8~9に従って計算される:
【数4】
【数5】
【0031】
触媒金属の残留量(residual amount)。触媒金属(Ti、Hf、Zr、及びGe)の「残留量」は、0ppm~、又は0ppm超~300ppm未満であり、添加された触媒と、反応中に形成されるポリマーの量とに基づく質量バランスによって決定された。結果を百万分率(parts per million、ppm)で報告する。
【0032】
粘度。粘度は、0.01~100[1/秒]の剪断速度で粘度定常状態法を使用して、CC27シリンダ測定システム及びC-ETD300加熱システムを備えたAnton Paar社製MCR102を使用して測定した。約20mLの試料を測定カップに添加し、次いで100℃に加熱する。次いで、測定システムを、0.0mmに達するまで試料中に下げる。これは、力が15ニュートン(N)に達しないような時間をかけて行う。測定システムが0.0mmに達したら、測定システムとともに試料を100℃で10分間保持して、温度を平衡化させる。結果は、ミリパスカル秒(m-Pas)で報告される。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示は、プロセスを提供する。一実施形態では、プロセスは、オクテン単量体を含むパージ流を提供することを含む。このプロセスは、重合条件下で、パージ流をビス-ビフェニルフェノキシ触媒に接触させることを含む。このプロセスは、1,300,000g/molを超える絶対重量平均分子量(Mw(Abs))及び1.3~3.0のMw(Abs)/Mn(Abs)を有するオクテンポリマーを形成することを含む。
【0034】
本プロセスは、パージ流を提供することを含む。パージ流は、オクテン単量体を含むか、又はそうでなければオクテン単量体を含有する。本明細書で使用される場合、「パージ流」は、重合反応が発生した後に重合反応器を出る流出物から分離されるか、又はその他の方法で回収されるいくつかの画分のうちの1つである。重合反応器を出る液体流出物は、固体(粒状)ポリマー生成物を含有し、この生成物は除去される。流出物からは再循環流も除去されるが、これは更に処理され、重合反応器に戻される。パージ流は、(i)ポリマー生成物が流出物から回収された後、かつ(ii)再循環流が流出物から分離された後、に残る流れである。パージ流は、重合反応中に利用される、未反応のオレフィン単量体及び他の炭化水素(以下、「炭化水素種」と称される)を含有する。パージ流は、その中に固体ポリマー生成物を含まないか、又は実質的に含まないということが理解されよう。
【0035】
一実施形態では、パージ流は、エチレンがオクテンと共重合される重合反応器からの流出物である。パージ流は、未反応のオクテン単量体及び他の炭化水素からなる、炭化水素種を含む。
【0036】
一実施形態では、パージ流は、次のものを含む:
(i)20~50重量%、又は30~40重量%の1-オクテン単量体、
(ii)10重量%~50重量%、又は20~40重量%の炭化水素溶媒、及び
(iii)10重量%~70重量%、又は20重量%~60重量%、又は30重量%~50重量%のオクテン異性体(ただし1-オクテンを除く)。なお、重量%の数字は、パージ流の総重量に基づいたものである。
【0037】
一実施形態では、プロセスは、パージ流中に存在し得るエチレンを除去することを含む。パージ流に窒素ガスをスパージして、パージ流にエチレンが、存在しないようにする。パージ流は、エチレン単量体を含まないか、又は実質的に含まない。すなわち、含有されるエチレンの量は、パージ流の総重量に基づいて、0重量%~、又は0重量%超~0.01重量%未満である。パージ流は、次のものを含む:
(i)20~50重量%、又は30~40重量%の1-オクテン単量体、
(ii)10重量%~50重量%、又は20~40重量%の炭化水素溶媒、
(iii)10重量%~70重量%、又は20重量%~60重量%、又は30重量%~50重量%のオクテン異性体(ただし1-オクテンを除く)、及び
(iv)ゼロ、又は実質的にゼロのエチレン単量体。なお、重量%の数字は、パージ流の総重量に基づいたものである。成分(i)~(iv)を合計すると、パージ流の100重量%になるということが理解されよう。
【0038】
このプロセスは、重合条件下で、パージ流をビス-ビフェニルフェノキシ触媒に接触させることを含む。本明細書で使用される場合、「重合条件」は、温度、圧力、反応物濃度、溶媒選択、連鎖移動剤(chain transfer agent、CTA)、反応物混合/添加パラメータ、及び試薬間の反応と得られる生成物(すなわちオクテンポリマー又はポリオクテン)の形成とを促進する重合反応器内の他の条件、である。重合は、バッチプロセス又は連続プロセスにおいて、管状反応器、撹拌オートクレーブ反応器、連続撹拌槽反応器、気相重合反応器、スラリー相重合反応器、ループ反応器、等温反応器、流動床気相反応器、及びそれらの組み合わせ内で実行することができる。
【0039】
重合条件下で、パージ流をビス-ビフェニルフェノキシ触媒(又は互換的に「BBP」と呼ぶ)に接触させる。ビス-ビフェニルフェノキシ触媒は、以下の式(I)に示される構造を有する金属-配位子錯体である:
【化2】
式中、
Mは、ジルコニウム又はハフニウムから選択される金属であり、その金属が、+2、+3、又は+4の形式酸化状態にあり、
nは、0~3の整数であり、nが0であるとき、Xは存在せず、
各Xは、それぞれ独立して、中性、モノアニオン性、又はジアニオン性である単座配位子であり、又は2つのXが一緒になって、中性、モノアニオン性、又はジアニオン性である二座配位子を形成し、X及びnは、式(I)の金属-配位子錯体が全体として中性であるように選ばれ、
各Zは、それぞれ独立して、O、S、N(C~C40)ヒドロカルビル、又はP(C~C40)ヒドロカルビルであり、
OはO(酸素原子)であり、
Lは、(C~C40)ヒドロカルビレン又は(C~C40)ヘテロヒドロカルビレンであり、ここで、(C~C40)ヒドロカルビレンは、式(I)中の2つのZ基(これらにLが結合している)を連結する1個の炭素原子~10個の炭素原子のリンカー骨格を含む部分を有し、又は(C~C40)ヘテロヒドロカルビレンは、式(I)中の2つのZ基を連結する1個の原子~10個の原子のリンカー骨格を含む部分を有し、(C~C40)ヘテロヒドロカルビレンの1~10個の原子のリンカー骨格の1~10個の原子の各々は、それぞれ独立して炭素原子又はヘテロ原子であり、各ヘテロ原子は、独立してO、S、S(O)、S(O)、Si(R、Ge(R、P(R)、又はN(R)であり、それぞれ独立して各Rは、(C~C30)ヒドロカルビル又は(C~C30)ヘテロヒドロカルビルであり、
各R1~16は、(C~C40)ヒドロカルビル、(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、Si(R、Ge(R、P(R、N(R、OR、SR、NO、CN、CF、RS(O)、RS(O)、(RC=N、RC(O)O、ROC(O)、RC(O)N(R)、(RNC(O)、ハロゲン原子、水素原子、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0040】
式(I)の構造のビス-ビフェニルフェノキシ触媒は、金属-配位子錯体を活性化助触媒に接触させるか、又は金属-配位子錯体を活性化助触媒に組み合わせることによって、触媒的に活性にされ得る。
【0041】
本明細書で使用するのに好適な活性化助触媒の非限定的な例としては、アルキルアルミニウム、ポリマー、又はオリゴマーアルモキサン(アルミノキサンとしても知られている)、中性ルイス酸、及び非ポリマー、非配位性、イオン形成化合物(酸化条件下でのそのような化合物の使用を含む)が挙げられる。前述の活性化助触媒及び技法のうちの1つ以上の組み合わせもまた企図される。「アルキルアルミニウム」という用語は、モノアルキルアルミニウムジヒドリド若しくはモノアルキルアルミニウムジハライド、ジアルキルアルミニムウヒドリド若しくはジアルキルアルミニウムハライド、又はトリアルキルアルミニウムを意味する。ポリマー又はオリゴマーのアルモキサンの例としては、メチルアルモキサン、トリイソブチルアルミニウムで修飾されたメチルアルモキサン、及びイソブチルアルモキサンが挙げられる。
【0042】
ルイス酸活性化剤(助触媒)の非限定的な例としては、本明細書に記載されるような、1~3個の(C~C20)ヒドロカルビル置換基を含有する第13族金属化合物が挙げられる。一実施形態では、第13族金属化合物は、トリ((C~C20)ヒドロカルビル)-置換アルミニウム、トリ((C~C20)ヒドロカルビル)-ホウ素化合物、トリ((C~C10)アルキル)アルミニウム、トリ((C~C18)アリール)ホウ素化合物、及びそれらのハロゲン化(過ハロゲン化を含む)誘導体である。更なる実施形態では、13族金属化合物は、トリス(フルオロ置換フェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。いくつかの実施形態では、活性化助触媒は、テトラキス((C~C20)ヒドロカルビルボレート又はトリ((C~C20)ヒドロカルビル)アンモニウムテトラキス((C~C20)ヒドロカルビル)ボレート(例えば、ビス(オクタデシル)メチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)である。本明細書で使用される場合、「アンモニウム」という用語は、((C~C20)ヒドロカルビルN(H) 、又はN(H) である窒素カチオンを意味し、なお、(C~C20)ヒドロカルビルが2つ以上存在する場合には、そのそれぞれが同じであっても異なっていてもよい。
【0043】
中性ルイス酸活性化剤(助触媒)の組み合わせの非限定的な例としては、トリ((C~C)アルキル)アルミニウムと、ハロゲン化トリ((C~C18)アリール)ホウ素化合物、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとの組み合わせを含む混合物が挙げられる。他の実施形態は、そのような中性ルイス酸混合物と、ポリマー又はオリゴマーのアルモキサンとの組み合わせ、及び単一の中性ルイス酸、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランと、ポリマー又はオリゴマーのアルモキサンとの組み合わせである。(金属-配位子錯体):(トリス(ペンタフルオロ-フェニルボラン):(アルモキサン)[例えば(第4族金属-配位子錯体):(トリス(ペンタフルオロ-フェニルボラン):(アルモキサン)]のモルの数の比は、1:1:1~1:10:100であり、他の実施形態では、1:1:1.5~1:5:30である。
【0044】
式(I)の構造を有するビス-ビフェニルフェノキシ触媒を、1つ以上の助触媒、例えば、カチオン形成性助触媒、強ルイス酸、又はそれらの組み合わせに組み合わせることによって活性化して、活性触媒組成物を形成することができる。好適な活性化助触媒としては、ポリマー又はオリゴマーアルミノキサン、特にメチルアルミノキサン、並びに不活性、相溶性、非配位性、イオン形成化合物が挙げられる。例示的な好適な助触媒としては、変性メチルアルミノキサン(modified methyl aluminoxane、MMAO)、ビス(水素化タローアルキル)メチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(1<->)アミン(すなわち、[HNMe(C1837][B(C]及び両者の組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0045】
前述の活性化助触媒のうち1つ以上は、互いに組み合わせて使用される。一実施形態では、この助触媒は、トリ((C~C)ヒドロカルビル)アルミニウム、トリ((C1~C4)ヒドロカルビル)ボラン、又はホウ酸アンモニウムと、オリゴマー若しくはポリマーのアルモキサン化合物との混合物である。式(I)の1つ以上の金属-配位子錯体の総モル数:1つ以上の活性化助触媒の総モル数の比は、1:10,000~100:1である。いくつかの実施形態では、この比は、少なくとも1:5000であり、他のいくつかの実施形態では、少なくとも1:1000及び10:1以下であり、他のいくつかの実施形態では、1:1以下である。アルモキサンを単独で活性化助触媒として使用する場合、用いられるアルモキサンのモル数は、式(I)の金属-配位子錯体のモル数の少なくとも100倍であることが好ましい。トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを単独で活性化助触媒として使用するとき、いくつかの他の実施形態では、用いられるトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランのモル数:式(I)の1つ以上の金属-配位子錯体の総モル数の比は、0.5:1~10:1、1:1~6:1、又は1:1~5:1である。残りの活性化助触媒は一般に、式(I)の1つ以上の金属-配位子錯体の総モル量におおよそ等しいモル量で用いられる。
【0046】
一実施形態では、式(I)の構造を有するビス-ビフェニルフェノキシ触媒は、ジルコニウムである金属Mを含む。
【0047】
このプロセスは、パージ流を、重合条件下で、式(I)のビス-ビフェニルフェノキシ触媒に接触させることと、1,300,000g/molを超える絶対重量平均分子量(Mw(Abs))及び1.3~3.0のMw(Abs)/Mn(Abs)を有するオクテンポリマーを形成することと、を含む。
【0048】
このプロセスは、接触ステップから、チタン含有触媒及び/又はチタン含有助触媒を回避するか、又は他の方法で除外することを含む。
【0049】
一実施形態では、ビス-ビフェニルフェノキシ触媒は、以下の構造式(V)を有する金属-配位子錯体である:
【化3】
式中、Geはゲルマニウムであり、Meはメチル基であり、tBuはt-ブチル基であり、iPrはイソプロピル基である。このプロセスは、パージ流を、重合条件下で、式(V)のビス-ビフェニルフェノキシ触媒に接触させることと、オクテンポリマーであって、
(i)1,300,000超~12,000,000g/mol、又は1,400,000~10,000,000g/mol、又は1,400,000~9,000,000g/mol、又は1,500,000~8,000,000g/molのMw(Abs)と、
(ii)1.3~3.0、又は1.4~2.9、又は1.5~2.8、又は2.1~2.7、又は2.2~2.6のMw(Abs)/Mn(Abs)と、
(iii)残留量のジルコニウム及び残留量のゲルマニウムと、を有するオクテンポリマーを形成することと、を含む。
【0050】
このプロセスは、接触ステップから、チタン含有触媒及び/又はチタン含有助触媒を回避するか、又は他の方法で除外することを含む。
【0051】
一実施形態では、ビス-ビフェニルフェノキシ触媒は、以下の構造式(VI)を有する金属-配位子錯体である:
【化4】
式中、Meはメチル基であり、tBuはt-ブチル基である。このプロセスは、パージ流を、重合条件下で、式(VI)のビス-ビフェニルフェノキシ触媒に接触させることと、オクテンポリマーであって、
(i)1,300,000超~12,000,000g/mol、又は1,400,000~10,000,000g/mol、又は1,400,000~9,000,000g/mol、又は1,500,000~8,000,000g/molのMw(Abs)と、
(ii)1.3~3.0、又は1.4~2.9、又は1.5~2.8、又は2.1~2.7、又は2.2~2.6のMw(Abs)/Mn(Abs)と、
(iii)残留量のジルコニウムと、を有するオクテンポリマーを形成することと、を含む。
【0052】
このプロセスは、接触ステップから、チタン含有触媒及び/又はチタン含有助触媒を回避するか、又は他の方法で除外することを含む。
【0053】
本開示は、組成物を提供する。一実施形態では、組成物が提供され、その組成物は、(i)1,300,000g/molより大きい絶対重量平均分子量(Mw(Abs))と、1.3~3.0のMw(Abs)/Mn(Abs)と、を有するオクテン単一重合体を含む。オクテン単一重合体は、0ppm~、又は0ppm超~10ppm未満のチタンを含有する。組成物はまた、(ii)溶媒を含む。
【0054】
オクテン単一重合体を溶媒に溶解させる。溶媒は、直鎖状、分岐状、又は環状の、C~C14、又はC~C12脂肪族炭化水素である。好適な脂肪族炭化水素溶媒の非限定的な例としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0055】
一実施形態では、組成物は、溶媒に溶解したオクテン単一重合体を含み、オクテン単一重合体は、式(I)、又は式(V)又は式(VI)の触媒を使用して重合され、オクテン単一重合体は、以下の特性のうちの1つ、いくつか、又はすべてを有する:
(i)1,300,000超~12,000,000g/mol、又は1,400,000~10,000,000g/mol、又は1,400,000~9,000,000g/mol、又は1,500,000~8,000,000g/molのMw(Abs)、及び/又は
(ii)1.3~3.0、又は1.4~2.9、又は1.5~2.8、又は2.1~2.7、又は2.2~2.6のMw(Abs)/Mn(Abs)、及び/又は
(iii)残留量のジルコニウム、又は0ppm超~、若しくは1~300ppm未満、又は10~200ppm、又は15~180ppm、又は20~170ppm、又は30~160ppmのジルコニウム、及び/又は
(iv)残留量のゲルマニウム、又は0ppm超~、若しくは1~300ppm未満、又は10~200ppm、又は12~150ppm、又は14~130ppm、若しくは14~125ppmのゲルマニウム、及び/又は
(v)0ppm~、又は0ppm超~10ppm未満のチタン。
【0056】
一実施形態では、組成物は、(i)10~50重量%のオクテン単一重合体、(ii)0~70重量%のオクテン異性体、及び(iii)90~10重量%の溶媒を含み、成分(i)、(ii)、及び(iii)の量を合計すると、組成物の100重量%になる。
【0057】
一実施形態では、本組成物は、
(i)10重量%、又は20重量%、又は30重量%~40重量%又は50重量%のオクテン単一重合体と、
(ii)0重量%、又は10重量%、又は25重量%~50重量%又は75重量%のオクテン異性体と、
(iii)90重量%、又は80重量%、又は70重量%~60重量%又は50重量%の溶媒と、を含み、(i)、(ii)、及び(iii)の量を合計すると、組成物の100重量%になる。
【0058】
一実施形態では、本組成物は、
(i)25又は30重量%~35重量%のオクテン単一重合体と、
(ii)30又は35重量%~40、又は45、又は50重量%のオクテン異性体と、
(iii)10又は15重量%~20又は25重量%の溶媒と、を含み、(i)、(ii)、及び(iii)の量を合計すると、組成物の100重量%になる。
【0059】
一実施形態では、組成物は、80又は85重量%~90又は95重量%のオクテン単一重合体、及び20又は15重量%~10又は5重量%の溶媒を含み、オクテン単一重合体及び溶媒の量を合計すると、組成物の100重量%になる。
【0060】
一実施形態では、本組成物は、
(i)35~45重量%のオクテン単一重合体、
(ii)65~55重量%を含み、(i)及び(ii)の量を合計すると、組成物の100重量%になり、
組成物が、2.901410+0.5m-Pas~3.57310+0.7m-Pasの粘度を有する。
【0061】
限定ではなく例として、ここで、本開示のいくつかの実施形態を、以下の実施例で詳細に説明する。
【実施例
【0062】
比較試料(CS)及び本発明の実施例(IE)で使用した触媒を、下記の表1に提供する。
【表1】
A.パージ流を使用する重合
【0063】
図1は、エチレン及びオクテンの重合のためのプロセスの概略図である。エチレン単量体、オクテンコモノマー、溶媒、及び触媒を反応器に供給する。得られたエチレン/オクテン共重合体を回収し、再循環流を反応器に再度導入し、パージ流をエチレン及びオクテン重合プロセスから分離させる。パージ流は、パージ流の総重量に基づいて、20~50重量%の1-オクテン、10~70重量%のオクテン異性体、及び10~50重量%のISOPAR-Eを含有する。ISOPAR-Eは、Exxon Chemical Co.から入手可能なC8~12の脂肪族溶媒である。
【0064】
比較試料(CS)及び本発明の実施例(IE)のいずれかを生成するために使用されるパージ流を以下に提供する:
・パージ流A:パージ流Aの総重量に基づいて、45重量%の1-オクテン、45重量%のオクテン異性体、及び10%のISOPAR-E、並びに
・パージ流B:パージ流Bの総重量に基づいて、37重量%の1-オクテン、46重量%のオクテン異性体、及び17%のISOPAR-E。
【0065】
パージ流を回収し、窒素でパージし、分子ふるいにかけた上で、窒素充填グローブボックス内に保存する。
【0066】
比較試料(CS)の場合、重合は、チーグラー・ナッタ触媒(Ziegler-Natta、ZN)を用いて、12mLのパージ流、4μmolの触媒(ZN)、及び5当量(eq)のEtAl(活性化剤として)を充填した40mLバイアル内で、12時間の時間をかけて23~25℃の温度で行われる。次いで、溶媒及び未反応のオクテン異性体を真空下で除去する。CS5は、重合中に48時間、溶液温度を-35℃に維持したことを除いて、同じ方法で重合された。
【0067】
本発明の実施例(IE1~14)の場合、重合は、ビス-ビフェニルフェノキシ触媒(BBP1又はBBP2のいずれか)を用いて、12mLのパージ流、4μmolの触媒、及び1.2当量の((RN(H)Me B(C(なお、式中、Rは、活性化剤としての水素化タローアルキル(C14~18アルキル)(CAS番号200644-82-2)である)を充填した40mLバイアル内で、12時間の時間をかけて23~25℃の温度で行われる。次いで、溶媒及び未反応のオクテン異性体を真空下で除去する。
【0068】
重合結果を、以下の表2に報告する。
【0069】
結果として得られたオクテン単一重合体の特性を、以下の表2に提供する。
【表2】
オクテン単一重合体の総重量に基づいて、オクテン単一重合体中に存在する残留触媒金属の量(ppm)。
重合は、-35℃で行った。
【0070】
表2は、室温でZN触媒を用いたパージ流から1-オクテンを重合すると(CS1~4)、1,500,000~1,900,000g/molの範囲の分子量と、6.94~8.97の範囲の広い分子量分布(Mw/Mn)を有するポリオクテンが得られたことを示す。重合温度を-35℃に下げた場合(CS5)には、分子量が有意に高くなった。
【0071】
本発明の触媒BBP1及びBBP2を用いた場合(IE1~14)には、ポリオクテンの分子量は、有意に高くなり、その分子量は、1,300,000g/mol超であり、特に、室温で、パージ流から1-オクテンを重合させた場合には、1,400,000~8,600,000g/molの範囲であった。本発明の実施例IE1~IE14のみが、狭い分子量分布(1.3~3.0、特に1.42~2.09)を有する、高分子量ポリオクテン(1,300,000g/mol超)をもたらした。得られた高分子量ポリオクテンは、チタンを含まないか、又はそうでなければチタンを含有せず、本発明の実施例IE1~IE14においては、残留ジルコニウムを含有する高分子量ポリオクテンが得られ、本発明の実施例IE1~IE12においては、残留ジルコニウム及び残留ゲルマニウムを含有する高分子量ポリオクテンが得られた。
【0072】
本開示は、本明細書に含まれる実施形態及び例示に限定されず、実施形態の一部、及び異なる実施形態の要素の組み合わせを含むそれらの実施形態の変更された形態を、以下の特許請求の範囲に該当する範囲で含むことが特に意図されている。
図1
【国際調査報告】