(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-16
(54)【発明の名称】車両方位に基づく干渉回避用レーダシステム
(51)【国際特許分類】
G01S 7/36 20060101AFI20230509BHJP
G01S 13/931 20200101ALI20230509BHJP
【FI】
G01S7/36
G01S13/931
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560186
(86)(22)【出願日】2021-04-22
(85)【翻訳文提出日】2022-10-02
(86)【国際出願番号】 EP2021060497
(87)【国際公開番号】W WO2021219480
(87)【国際公開日】2021-11-04
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518238850
【氏名又は名称】ヴィオニア スウェーデン エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】クリツナー、ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】モス、ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】レフブル、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ゲルツ、ハンスイエルグ
(72)【発明者】
【氏名】フュークス、マーティン
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB17
5J070AK06
5J070AK35
5J070BH07
5J070BH08
(57)【要約】
本開示は、制御ユニット(203)と少なくとも1つの自レーダ送受信機(204)を有するレーダ送受信機機構(202)とを備える、車両(200)用のレーダシステム(201)に関し、少なくとも1つの自レーダ送受信機(204)について、制御ユニット(203)は、
自レーダ送受信機(204)の現在の方向(D、D
A)を決定し、
現在の方向(D、D
A)に対応する予約周波数帯域(B0)を決定し、
予約周波数帯域(B0)を含み、かつそれを超えて延在する第1の拡張周波数帯域(B1)を決定する、ように適合されており、
制御ユニットは、
第1の拡張周波数帯域内の干渉するレーダ送受信機の存在を検出し、
干渉するレーダ送受信機が第1の拡張周波数帯域で検出されない場合に、第1の拡張周波数帯域(B1)内の自レーダ送受信機(204)を動作させ、そうでなければ予約周波数帯域(B0)内の自レーダ送受信機(204)を動作させるように更に適合されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御ユニット(203)と少なくとも1つの自レーダ送受信機(204)を有するレーダ送受信機機構(202)とを備える、車両(200)用のレーダシステム(201)であって、前記少なくとも1つの自レーダ送受信機(204)について、前記制御ユニット(203)が、
車両方位(H)に応じて、前記自レーダ送受信機(204)の現在の方向を決定し(D、D
A)、
前記方向(D、D
A)に対応する予約周波数帯域(B0)を決定し、
前記予約周波数帯域(B0)を含み、かつそれを超えて延在する第1の拡張周波数帯域(B1)を決定する、ように適合されており、
前記制御ユニット(203)が、
干渉するレーダ送受信機(401、402)の存在を検出し、前記第1の拡張周波数帯域(B1)内の前記自レーダ送受信機(204)の動作中に干渉するレーダ送受信機が検出されない場合に、前記第1の拡張周波数帯域(B1)で前記自レーダ送受信機(204)を動作させ、そうでなければ、前記予約周波数帯域(B0)で前記自レーダ送受信機(204)を動作させるように更に適合されている、レーダシステム(201)。
【請求項2】
前記制御ユニット(203)が、
前記第1の拡張周波数帯域(B1)を含み、かつそれを越えて延在する第2の拡張周波数帯域(B2)を決定し、前記第2の拡張周波数帯域(B2)内の前記自レーダ送受信機(204)の動作中に干渉するレーダ送受信機が検出されない場合に、前記第2の拡張周波数帯域(B2)で前記自レーダ送受信機(204)を動作させ、そうでなければ、前記第1の拡張周波数帯域(B1)又は前記予約周波数帯域(B0)で前記自レーダ送受信機(204)を動作させるように更に適合されている、請求項1に記載のレーダシステム(210)。
【請求項3】
前記第1の拡張周波数帯域(B1)及び前記第2の拡張周波数帯域(B2)が、現在の方向(D、D
A)の反対側の方向(D
B)に対応する予約周波数帯域を除外する、請求項1又は2に記載のレーダシステム(210)。
【請求項4】
前記制御ユニット(203)が、ランダムな結果を生成し、前記ランダム結果に応じて、前記第1の拡張周波数帯域(B1)及び/又は前記第2の拡張周波数帯域(B2)内のレーダ動作中に前記干渉するレーダ送受信機(401、402)の存在を検出するように適合されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のレーダシステム(210)。
【請求項5】
前記自レーダ送受信機(204)が、前記干渉するレーダ送受信機(401、402)と同じ周波数及び時刻でのレーダ送信を回避するように構成されており、前記制御ユニット(203)が、前記自レーダ送受信機の受信レーダ信号内の干渉レベルに応じて、前記第1の拡張周波数帯域(B1)及び/又は前記第2の拡張周波数帯域(B2)内の前記干渉するレーダ送受信機(401、402)の存在を検出するように適合されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のレーダシステム(210)。
【請求項6】
前記予約周波数帯域(B0)が、前記方向(D、D
A)に対応する中心周波数(f
c)と、事前に構成された予約帯域幅とに基づいて決定される、請求項1~5のいずれか一項に記載のレーダシステム(210)。
【請求項7】
前記中心周波数(f
c)が、前記方向(D、D
A)の線形関数として与えられる、請求項6に記載のレーダシステム(210)。
【請求項8】
前記中心周波数(f
c)が、前記方向(D、D
A)の区分的な定関数として与えられる、請求項6に記載のレーダシステム(210)。
【請求項9】
前記制御ユニット(203)が、前記自レーダ送受信機(204)の受信レーダ信号を監視することによって、干渉するレーダ送受信機(401、402)の存在を検出するように適合されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のレーダシステム(210)。
【請求項10】
前記制御ユニット(203)が、前記受信信号と関連付けられたノイズフロアレベルを測定することによって、干渉するレーダ送受信機(401、402)の存在を検出するように適合されている、請求項9に記載のレーダシステム(210)。
【請求項11】
前記制御ユニット(203)が、前記受信レーダ信号の連続する時間領域サンプル間の差に基づいて、干渉するレーダ送受信機(401、402)の存在を検出するように適合されている、請求項9又は10に記載のレーダシステム(210)。
【請求項12】
前記制御ユニット(203)が、前記受信レーダ信号の信号修復を実行する、及び/又は前記レーダ送受信機(204)の傾斜偏波方向を有するように適合されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のレーダシステム(210)。
【請求項13】
前記制御ユニット(203)が、GNSS、全地球衛星測位システム、データ、及び/又は前記レーダシステム(201)に含まれる電子コンパスによって、前記現在の方向(D、D
A)を決定するように適合されている、請求項1~12のいずれか一項に記載のレーダシステム(210)。
【請求項14】
少なくとも1つの自レーダ送受信機(204)を有するレーダ送受信機機構(202)を備えるレーダシステム(201)内の制御ユニット(203)によって実行される方法であって、
前記自レーダ送受信機(204)の現在の方向(D、D
A)を決定すること(S100)と、
前記現在の方向(D、D
A)に対応する予約周波数帯域(B0)を決定すること(S200)と、
前記予約周波数帯域(B0)を含み、それを超えて延在する第1の拡張周波数帯域(B1)を決定すること(S300)と、
前記第1の拡張周波数帯域内の干渉するレーダ送受信機(401、402)の存在を検出すること(S400)と、
干渉するレーダ送受信機が前記第1の拡張周波数帯域で検出されない場合に、前記第1の拡張周波数帯域(B1)内の前記自レーダ送受信機(204)を動作させること(S500)と、
前記予約周波数帯域(B0)内の前記自レーダ送受信機(204)を動作させること(S600)と、を含む、方法。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか一項に記載のレーダシステム(210)を備える車両(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動車用途に適合されたレーダシステムに関する。レーダシステムを動作させるための開示されたレーダシステム及び方法がある。
【背景技術】
【0002】
レーダ送受信機は、通常、専用レーダ周波数帯域内のレーダ信号の送受信のために配置されるデバイスである。レーダ送受信機は、車両周囲を監視するための車両に一般的に使用されている。自動走行制御(ACC)機能、緊急制動(EB)機能、先進運転支援システム(ADAS)、及び自律運転(AD)は、レーダデータが、車両制御の基となる重要な情報源を表す用途のいくつかの例である。
【0003】
専用の自動車レーダ周波数帯域の多くは、未連携の送信を許容し、これは、2つ以上のレーダ送受信機が同じ周波数帯域で同時に送信し、よって互いに干渉し得ることを意味する。
【0004】
EP3244229は、干渉が周波数変調連続波(FMCW)レーダシステムに及ぼす一般的な影響、及び干渉レーダ信号を修復する方法を開示している。
【0005】
これまでに提案された修復方法のしばしば目覚ましい有効性にもかかわらず、干渉を低減するため、及び場合によってはレーダの干渉を回避するより低コストの手段を提供するために、車両レーダシステムにおける更なる改善が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示の目的は、未連携のFMCW送信に基づく未連携の自動車レーダなどの既知の車両レーダシステムと比較して、干渉が完全に低減又は除去される改善されたレーダシステムを提供することである。
【0007】
この目的は、車両のレーダシステムによって達成される。レーダシステムは、制御ユニットと、少なくとも1つの自レーダ送受信機を有するレーダ送受信機機構とを備え、少なくとも1つの自レーダ送受信機について、制御ユニットは、車両方位に応じて自レーダ送受信機の現在の方向を決定し、その方向に対応する予約周波数帯域を決定し、予約周波数帯域を含み、かつそれを超えて延在する第1の拡張周波数帯域を決定するように適合されている。制御ユニットは、干渉するレーダ送受信機の存在を検出し、第1の拡張周波数帯域内の自レーダ送受信機の動作中に干渉するレーダ送受信機が検出されない場合に、第1の拡張周波数帯域で自レーダ送受信機を動作させ、そうでなければ、予約周波数帯域で自レーダ送受信機を動作させるように更に適合されている。
【0008】
このようにして、レーダシステムは、自レーダ送受信機の近くで他のレーダ送受信機によって生成された干渉から保護され得る。第1の周波数帯域内で動作する他のレーダ送受信機が検出されると、自レーダ送受信機が予約周波数帯域にバックオフするため、干渉するレーダ送受信機も保護される。
【0009】
態様によれば、制御ユニットは、第1の拡張周波数帯域を含み、かつそれを越えて延在する第2の拡張周波数帯域を決定し、第2の拡張周波数帯域内の自レーダ送受信機の動作中に干渉するレーダ送受信機が検出されない場合に、第2の拡張周波数帯域で自レーダ送受信機を動作させ、そうでなければ、第1の拡張周波数帯域又は予約周波数帯域で自レーダ送受信機を動作させるように更に適合されている。
【0010】
したがって、自レーダ送受信機の動作周波数帯域は、干渉するレーダ送受信機が検出されないときに場合によっては拡張され、第1及び/又は第2の周波数帯域内で動作する自レーダ送受信機が検出されると、自レーダ送受信機は、より小さい周波数帯域にバックオフする。これは、自レーダ送受信機の近くに干渉するレーダ送受信機が存在しない期間中、動作帯域幅が拡張されることを意味する。これは、増加した帯域幅が、例えば、改善された距離分解能をもたらすために有益である。
【0011】
態様によれば、第1の拡張周波数帯域及び第2の拡張周波数帯域は、現在の方向の反対側の方向に対応する予約周波数帯域を除外する。
【0012】
したがって、互いに直接面する2つのレーダ送受信機は常に、他のレーダ送受信機が送信しない予約周波数帯域にバックオフすることができる。したがって、レーダ送受信機が互いに直接面するときに生じる、大抵の場合重大である干渉は、本明細書に開示される技術によって回避される。
【0013】
態様によれば、制御ユニットは、ランダムな結果を生成し、ランダム結果に応じて、第1の拡張周波数帯域及び/又は第2の拡張周波数帯域内のレーダ動作中に干渉するレーダ送受信機の存在を検出するように適合される。
【0014】
したがって、任意選択で、自レーダ送受信機の近くにある別のレーダ送受信機の存在が決定された場合、自レーダ送受信機は自動的にオフに戻らない。代わりに、自レーダ送受信機は、キャリアセンスマルチアクセス(CSMA)原理に基づいて、通信システムで使用されるランダムバックオフ機構と同様に、所与の確率でバックオフする。これは、自レーダ送受信機及び干渉するレーダ送受信機の両方が、必ずしも、拡張周波数帯域動作モードからオフに戻る必要がないことを意味し、有益である。
【0015】
態様によれば、自レーダ送受信機は、干渉するレーダ送受信機と同じ周波数及び時刻でのレーダ送信を回避するように構成される。制御ユニットは、自レーダ送受信機の受信レーダ信号内の干渉レベルに応じて、第1の拡張周波数帯域及び/又は第2の拡張周波数帯域内の干渉するレーダ送受信機の存在を検出するように適合されている。いくつかのレーダ送受信機は、進行中のレーダ感知動作の存在を検出し、他のレーダ送信が終了するまで、送信を停止することができる。
【0016】
態様によれば、予約周波数帯域は、方向に対応する中心周波数と、事前に構成された予約帯域幅とに基づいて決定される。
【0017】
予約周波数帯域を定義するこの方法は、方向を決定することと、例えば、ルックアップテーブルを調べること、又は単純な方向関数を評価することのみを必要とするため、実行が簡単である。
【0018】
態様によれば、制御ユニットは、自レーダ送受信機の受信レーダ信号を監視することによって、干渉するレーダ送受信機の存在を検出するように適合されている。
【0019】
この干渉するレーダ送受信機の存在を検出する方法は堅牢であり、干渉するレーダ送受信機の変調及び他の特性と無関係である。例えば、自レーダ送受信機の受信レーダ信号は、受信レーダ信号の連続する時間領域サンプル間のノイズフロア又は差に関して監視され得る。
【0020】
態様によれば、制御ユニットは、受信レーダ信号の信号修復を実行する、及び/又はレーダ送受信機の傾斜偏波方向を有するように適合されている。これは、干渉の影響を低減し、有益である。
【0021】
態様によれば、制御ユニットは、全地球衛星測位システム(GNSS)データ、及び/又はレーダシステムに含まれる電子コンパスによって、現在の方向を決定するように適合されている。したがって、現在の方向の決定は、低コストだが堅牢な方法で実行することができ、有益である。
【0022】
一般に、特許請求の範囲で使用される全ての用語は、本明細書において別途明確に定義されない限り、技術分野における通常の意味に従って解釈されるべきである。「要素、装置、構成要素、手段、ステップ」などへの全ての言及は、特に明記しない限り、要素、装置、構成要素、手段、ステップなどのうちの少なくとも1つの実例を指すように、公然と解釈されるべきである。
【0023】
本明細書で開示されるいずれの方法のステップも、明示的に述べられない限り、開示された正確な順序で実行される必要はない。添付の請求項及び以下の説明を検討すると、本開示の更なる特徴及び利点が明らかになるであろう。当業者は、本開示の異なる特徴を組み合わせて、本開示の範囲から逸脱することなく、以下に記載される実施形態以外の実施形態を作成することができることを認識する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本開示は、添付の図面を参照してより詳細に説明される。
【
図3】基本方向のうち一方向に向いた車両の概略上面図である。
【
図7】例示的なコンピュータプログラム製品を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の態様は、添付の図面を参照して以下により十分に説明される。しかしながら、本明細書に開示される異なるデバイス及び方法は、多くの異なる形態で実現することができ、本明細書に記載の態様に限定されるものとして解釈されるべきではない。図面中の同様の番号は、全体を通して同様の要素を指す。
【0026】
本明細書で使用される用語は、本開示の態様のみを説明するためのものであり、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書で使用するとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形も含むことが意図される。
【0027】
図1は、車両110、120、130、140が、道路101上を移動する交通シナリオ100を示す。各車両は、共通周波数帯域において未連携に送信する1つ以上のレーダ送受信機を備え、これは、レーダが互いに干渉し得ることを意味する。
【0028】
図1において、車両120及び車両130の前方レーダ送受信機は、互いに干渉を生成する可能性があり、並びに車両110及び車両140の前方レーダ送受信機も干渉を生成する可能性がある。車両120はまた、例えば、車両110の前方レーダ送受信機に干渉し得る後方向き角レーダ送受信機を備える。例えば、車両110と140との間で生成される「正面」干渉のタイプは、干渉が送信側及び受信側の両方での高アンテナゲインに関連する方向に沿っているため、通常重大である。ある角度をもってレーダ送受信機間で発生する干渉は、通常さほど重大ではない。
【0029】
図2に示すように、方位Hに関連付けられた自車両200が存在する。車両200は、レーダ送受信機機構202と制御ユニット203とを含むレーダシステム201を備える。レーダ送受信機機構202は、照準方向Dに関連付けられた少なくとも1つの自レーダ送受信機204を備える。
【0030】
制御ユニット203は、車両方位Hに応じて自レーダ送受信機204の方向Dを決定するように適合されている。車両方位H、よって方向Dは、例えば、全地球衛星測位システム(GNSS)及び/又は車載電子コンパスによって決定され得る。
【0031】
レーダ送受信機機構202は、例えば76~81GHzの周波数帯域などの特定の総レーダ周波数帯域B内で動作するように適合されている。この帯域は更に76~77GHzの部分及び77~81GHzの部分に分割されてもよく、これらの部分は、例えば、等価等方放射電力(EIRP)に関して、送信電力上の異なる限界に関連付けられ得る。レーダ送受信機機構202は、1つ以上のレーダ送受信機204を備え得る。
【0032】
以下では、レーダ送受信機機構202は、照準方向Dを有する、すなわち車両200の方位Hと位置合わせされた、自レーダ送受信機204を含むと仮定される。しかしながら、本技術は、車両方位Hに対して90度オフセットされた照準方向を有する側方向きレーダ、又は車両方位Hの反対側の照準方向を有する後方向きレーダなどの、任意のタイプの車両レーダに適用可能であることが理解される。
【0033】
したがって、車両上に固定的に配置されたレーダ送受信機は、車両方位に応じて決定することができる方向と関連付けられる。レーダ送受信機の方向、すなわち、その照準方向は、車両方位と共に変化する。したがって、車両が北に向いている場合、前方レーダも北に向いているが、車両上の後方向きレーダの方向は南を向いている。
【0034】
異なる車両のレーダ送受信機間の干渉を回避するために、方向Dに応じて、自レーダ送受信機と関連付けられた動作の周波数帯域を調整することが本明細書で提案される。予約周波数帯域B0は、その方向に対応する中心周波数fc、及び予め構成された予約帯域幅に基づいて決定される。予約帯域幅は、例えば、約1GHzであり得る。したがって、レーダ送受信機の方向は、それぞれの中心周波数に関連付けられている。このように、互いに向かい合う2つの前方レーダ送受信機は、反対方向に向けられているため、異なる予約周波数帯域を使用し、それによって上述の正面干渉を回避するように保証することができる。
【0035】
しかしながら、自レーダ送受信機の近くに他のレーダ送受信機がない限り、自レーダ送受信機は、レーダ送受信機の方向に対応する予約周波数帯域を含むが、それを越えて延在する拡張周波数帯域で動作することが許可される。干渉するレーダ送受信機が検出されると、動作の周波数帯域を低減して、少なくとも正面干渉が存在しない予約周波数帯域に戻すことができる。
【0036】
図3も参照すると、一般的な場合において、制御ユニット203は、磁北Nなどの固定基準方向に対して本車両の方位(したがって、自レーダの方向Dも)を定義するように適合されている。車両方位が固定基準方向Nに対して変化すると、予約周波数帯域B0についての中心周波数f
cもそれに応じて変化する。これは、360度の全回転にわたって固定方向Nに対する異なる角度に対して、特定の異なる中心周波数f
cがあることを意味する。
【0037】
いくつかの態様によれば、中心周波数fcは、方向Dの線形関数として与えられる。したがって、例えば、磁北に対するゼロ度の方向は、76.5GHzの中心周波数に対応し、次いで磁北に対する180度の方向では78.5GHzの中心周波数まで線形に増加し、次いで磁北に対する360度の方向まで続き得る。
【0038】
他の態様によれば、中心周波数fcは、方向D、DAの区分的定関数として与えられる。この場合、中心周波数は、方向の範囲にわたって一定であり、次いで方向が方向の範囲外となる場合、別の一定値に変化する。中心周波数の急速な変動を回避するために、いくつかのヒステリシスを保証することができる。
【0039】
いくつかの更なる態様によれば、中心周波数fcは、360度の全回転にわたって、総レーダ周波数帯域Bを通過するように適合されている。いくつかの態様によれば、中心周波数fcは、360度の全回転が方向間隔に分割されて段階的に変化するように適合され、全回転間隔0度~360度が区分に分割され、特定の中心周波数fcに特定の方向間隔が割り当てられる。方向間隔は、好ましくは比較的小さく、典型的には1度~5度である。
【0040】
図4Aに示される例では、
図3を引き続き参照すると、ここでは第1の車両200とも呼ばれる自車両は、北方向Nに移動中であり、自レーダ送受信機204は、車両方位と位置合わせされた方向D
Aに向けられる。この方向は、予約帯域B0
Aの中心周波数f
cAに対応する。
【0041】
現在割り当てられている総レーダ周波数帯域B内の周波数帯域は、
図4A及び以下の
図4Bでも対角線でマークされている。
【0042】
ここで、第1の時刻T1において、自レーダ送受信機204には、第2の拡張周波数帯域B2Aが割り当てられる。
【0043】
第2の車両400上に配置された干渉するレーダ送受信機401は、第1の車両200に接近しつつあり、南方向Sに移動中である。干渉するレーダ送受信機401は、車両方位と位置合わせされた照準方向D
Bを有する。この方向は、
図4Aに示されるように、予約帯域B0
Bの中心周波数f
cBに対応する。第1の時刻T1では、第2のレーダ送受信機401には、中心周波数f
cBを含む第2の拡張周波数帯域B2
Bが割り当てられる。
【0044】
第1の時刻T1では、第1のレーダ送受信機204及び第2のレーダ送受信機401に対して共通である第1の拡張周波数帯域B2A、B2Bの一部が存在する。本明細書に開示される方法によって干渉するレーダ送受信機が検出されない限り、本周波数割り当ては維持される。
【0045】
第1の時間のT1に続く第2の時間のT2では、干渉するレーダ送受信機が、レーダ送受信機204、401の両方によって検出され、したがって、周波数割り当てが変更される。特に、両方のレーダ送受信機は、それぞれの第1の拡張周波数帯域B1A、B1Bにバックオフされている。これらの第1の拡張周波数帯域は、もはや重複しておらず、これは、2つのレーダ送受信機201、401がもはや検出可能ではない、すなわち、レーダ送受信機201がレーダ送受信機401を見ることができず、逆もまた同様であることを意味する。したがって、2つのレーダ送受信機は、第1の拡張周波数帯域の動作を維持する。
【0046】
このようにして、2つの車両間の更なる通信なしに干渉を軽減することができる。
【0047】
図4Bを参照すると、レーダ送受信機403を備える干渉する第3の車両402は、西方向Wに移動中である第1の車両200に接近しつつある。第3の車両402上のレーダ送受信機403は、予約帯域中心周波数f
cCに対応する方向D
Cに向いている。
【0048】
第3の時刻T3では、レーダ送受信機403に、第1の拡張周波数帯域B1Cが割り当てられる。第1の拡張周波数帯域B1Cは、第1の拡張周波数帯域B1A及び第1の拡張周波数帯域B1Bの両方と重複する。干渉するレーダ送受信機が制御ユニットのいずれによっても検出されない限り、この周波数割り当てが維持される。
【0049】
第3の瞬間T3に続く第4の時刻T4では、干渉するレーダ送受信機が全ての制御ユニットによって検出される。車両200及び402のレーダ送受信機は、予約周波数帯域B0A、B0Cまで全てバックオフされる一方、レーダ送受信機401は第1の拡張周波数帯域B1Bにバックオフされており、干渉するレーダ送受信機が検出されない。ここで、干渉を引き起こす可能性がある重複する周波数帯域は存在しない。
【0050】
上記の例は、第1のレーダ送受信機204及び第2のレーダ送受信機401の周波数帯域割り当てが第2の時刻T2でどのように変更されるか、及び第2のレーダ送受信機401が周波数帯域割り当てを維持している間、第1のレーダ送受信機204及び第3のレーダ送受信機403の周波数帯域割り当てが第4の時間T4でどのように変更されるかを示している。これは、関与する全ての車両に対して、また関与する一部の車両のみに対して周波数帯域割り当ての適合が、静的規則により、車両間の通信なしでどのように実行され得るかについての例である。
【0051】
例えば、第1のレーダ送受信機204のみが第2の時刻T2で周波数帯域割り当てを適合させる一方、第2のレーダ送受信機401は副帯域割り当てを維持することが考えられる。車両は、当然のことながら、他の周波数帯域割り当てを伴う状況に至る可能性がある。現在使用されている周波数帯域割り当ては、以前の事象に依存する。
【0052】
図5の別の例では、車両200が北に移動中であり、方向D
A(北)に向けられた自レーダ送受信機204を備える。別の車両500が、方向D
B(南)に向けられたレーダ送受信機501と共に南に移動している。この車両500は、本明細書に開示される干渉軽減方法のいずれも実行しない従来車両である。第1の時刻T1では、自レーダ送受信機204は、第1の拡張周波数帯域B1
Aを割り当てられるが、従来の動作レーダ501は、第1の拡張周波数帯域B1
Aと重複する固定帯域B
Fを使用する。自レーダ送受信機204は、第1の拡張周波数帯域B1
Aで動作している間に干渉するレーダ送受信機の存在を検出し、自レーダ送受信機による予約周波数帯域B0
Aへのバックオフを促す。
【0053】
したがって、従来のレーダへ及び従来のレーダからの干渉を低減することができる。
【0054】
いくつかの態様によれば、予約周波数帯域B0A、B0B、B0Cは、任意の更なる周波数帯域の低減を受けることを意図するものではなく、更なる適合を行わない基本周波数帯域割り当てを表す。
【0055】
しかしながら、初期帯域が干渉される場合、拡張帯域の非干渉部分が使用され得る。例示的な
図4A及び
図4Bでは、総レーダ周波数帯域Bは、北、東、南、及び西の各基本方向に対して1つずつの計4つの予約周波数帯域を含むことができ、いくつかの更なる態様によると、各帯域は、例えば、総レーダ周波数帯域Bが4GHzの帯域幅を有する場合に1GHzの帯域幅を有する。
【0056】
総レーダ周波数帯域Bは、当然のことながら、より多くの予約周波数帯域に分割され得る。このようにして、360度の全回転について、総レーダ周波数帯域Bの全てが使用される。上述のように、基本方向以外の固定方向を使用することができる。
【0057】
記載した例では、総レーダ周波数帯域Bは、本開示を説明する目的で、8個のブロックに分割されている。いくつかの態様によれば、総レーダ周波数帯域Bは、周波数ラスタが取得されるように、いくつかの均等な周波数副帯域に分割され、例えば、50×100MHzである。周波数再割り当てが実行されると、任意の開始及び停止周波数を定義するのではなく、どの周波数副帯域を使用すべきかが選択される。
【0058】
いくつかの態様によれば、総レーダ周波数帯域Bの上端部及び下端部は、道路が正確に北を向いている場合を除いて、大抵の場合占有されていない。
【0059】
図4A及び4Bの例では、第1の拡張周波数帯域B1A、B1B、B1Cは、等しい帯域幅であることが示され、第2の拡張周波数帯域B2A、B2Bもまた、等しい帯域幅であることが示されている。これは当然のことながら必要ではなく、本開示は、決定された干渉を考慮して帯域幅を増減させることに関し、特定の帯域幅を有し、かつ上述のように基本周波数帯域を表す予約周波数帯域が存在する。
【0060】
1つの前方レーダ送受信機204を含むレーダ送受信機機構202について、上記のことが説明されている。いくつかの態様によれば、本開示は、2つ以上のレーダ送受信機を含むレーダ送受信機機構202に適用することができる。この場合、予約周波数帯域割り当ては、各レーダ送受信機が上述のように照準方向を有する場所に依存する。例えば、第1のレーダシステム201のレーダ送受信機機構202の後方向きレーダ送受信機は、第2の車両400内の第2のレーダ送受信機401と同じ予約周波数帯域割り当てを有することができ、第2のレーダ送受信機401は、第2の方向DBに対応する照準方向を有する。
【0061】
干渉が存在する場合、この干渉は、従来の干渉除去及び信号修復方法、例えば、EP3244229に記載されている修復方法によって軽減され得る。例えば、傾斜偏波、スケジューリング、及びCDMA(コード分割多重アクセス)技術のうちの少なくとも1つも、干渉を打ち消すために使用することができる。互いに面する45度の傾斜アンテナ偏光を有する2つの前方レーダは、相互に直交する偏波を有する。従来の干渉除去及び信号修復方法が他のレーダセンサの初期帯域内の干渉を軽減するのに十分である限り、大きな周波数帯域が使用される。
【0062】
干渉はまた、本開示に従って装備されていない他の車両によって引き起こされる可能性があり、次いで、干渉は、従来の干渉除去方法、例えば、EP3244229に記載の修復方法によって軽減され得る。
【0063】
要約すると、車両200のためのレーダシステム201が本明細書に開示されている。システムは、制御ユニット203と、少なくとも1つの自レーダ送受信機204を有するレーダ送受信機機構202とを備え、少なくとも1つの自レーダ送受信機204について、制御ユニット203は、車両200の方位に応じて、自レーダ送受信機204の現在の方向D、DAを決定するように適合されている。制御ユニットはまた、現在の方向D、DAに対応する予約周波数帯域B0を決定し、予約周波数帯域B0を含み、かつそれを超えて延在する第1の拡張周波数帯域B1を決定するように適合されている。
【0064】
予約周波数帯域は、方向Dと反対の方向に面する、すなわち、自レーダ送受信機204の照準方向と反対の照準方向を有する、別のレーダ送受信機によって干渉されることなく使用され得る周波数帯域を表す。
【0065】
第1の拡張周波数帯域は、例えば、予約周波数帯域内でのみ動作するときと比較してレーダシステム201の距離分解能を改善するために、より大きな帯域幅でレーダ送受信機を動作させることを可能にする。しかしながら、拡張周波数帯域で動作するときに、重度の干渉のリスクが大きい。
【0066】
制御ユニット203は、干渉するレーダ送受信機401、402の存在を検出し、第1の拡張周波数帯域B1内の自レーダ送受信機204の動作中に干渉するレーダ送受信機が検出されない場合に、第1の拡張周波数帯域B1で自レーダ送受信機204を動作させ、そうでなければ、予約周波数帯域B0で自レーダ送受信機204を動作させるように更に適合されている。
【0067】
したがって、干渉するレーダ送受信機が検出されると、自レーダ送受信機の動作は、拡張周波数帯域から予約周波数帯域にバックオフされる。以下でより詳細に論じられるように、干渉するレーダ送受信機の検出は、ランダムバックオフ機構の動作と同様のランダムな結果の生成など、追加の機構上で任意選択的に調整され得る。検出はまた、干渉するレーダ送受信機として同じ周波数及び時刻でのレーダ送信を回避する自レーダ送受信機の能力についても調整され得る。
【0068】
いくつかの態様によれば、制御ユニット203は、自レーダ送受信機204の受信レーダ信号を監視することによって、干渉するレーダ送受信機401、402の存在を検出するように適合されている。
【0069】
いくつかのそのような態様によれば、制御ユニット203は、受信信号と関連付けられたノイズフロアレベルを測定することによって、干渉するレーダ送受信機401、402の存在を検出するように適合されている。
【0070】
他のそのような態様によれば、制御ユニット203は、受信レーダ信号の連続する時間領域サンプル間の差に基づいて、干渉するレーダ送受信機401、402の存在を検出するように適合されている。
【0071】
態様によれば、制御ユニット203は、第1の拡張周波数帯域B1を含み、かつそれを越えて延在する第2の拡張周波数帯域B2を決定し、第2の拡張周波数帯域B2内の自レーダ送受信機204の動作中に干渉するレーダ送受信機が検出されない場合に、第2の拡張周波数帯域B2で自レーダ送受信機204を動作させ、そうでなければ、第1の拡張周波数帯域B1又は予約周波数帯域B0で自レーダ送受信機204を動作させるように更に適合されている。
【0072】
レーダシステムは、任意選択的に、第1の拡張周波数帯域と第2の拡張周波数帯域との間の帯域幅で動作し、予約周波数帯域まで段階的にバックオフすることが許可され得る。当然ながら、3つ以上のレベルの拡張周波数帯域が想定され得る。次いで、干渉するレーダ送受信機が検出されなくなるまで干渉するレーダ送受信機が検出される限り、自レーダ送受信機は、より大きな帯域幅チャネルで動作することが可能であり、次いで、このチャネルは連続的に予約チャネルまで低減される。
【0073】
態様によれば、第1の拡張周波数帯域B1及び第2の拡張周波数帯域B2は、現在の方向D、D
Aの反対側の方向D
Bに対応する予約周波数帯域を除外する。これは、これらのレーダ送受信機が拡張周波数帯域で動作している場合でも、予約周波数帯域内でのみ動作するレーダ送受信機が、レーダ送受信機の方向とは反対の方向に面するレーダ送受信機からの重大なレベルの干渉を受けないことを意味する。このことを、
図4A及び4Bに関連して上述した。
【0074】
干渉するレーダ送受信機の両方がそれぞれの予約周波数帯域にバックオフすることはおそらく不要である。ほとんどの場合、レーダ送受信機のうちの1つが予約周波数帯域へのバックオフを実行している間、他のレーダ送受信機が拡張周波数帯域内の動作を維持することで十分であり得る。システム全体をより効率的にするための可能な解決策は、キャリアセンスマルチアクセス(CSMA)に基づいて多くの通信システムで実装されるランダムバックオフ機構と同様の機構を実装することである。
【0075】
これらのシステムでは、送受信機は、別のレーダ送受信機の存在を感知すると、ランダムな結果を生成し、すなわち、ランダム変数を実現し、ランダムな結果に応じてバックオフを実行する。例えば、ランダムな値が生成され得、ランダムな値が何らかの閾値を超える場合、バックオフのみが実行され得る。したがって、バックオフは、何らかの確率でしか実行されない。
【0076】
言い換えれば、態様によれば、制御ユニット203は、ランダムな結果を生成し、ランダム結果に応じて、第1の拡張周波数帯域B1及び/又は第2の拡張周波数帯域B2内のレーダ動作中に干渉するレーダ送受信機401、402の存在を検出するように適合される。
【0077】
FMCWシステムの場合、干渉は、2つ以上のレーダ信号が一定期間にわたって、具体的には、互いの中間周波数(IF)受信帯域幅内で、周波数が互いに近接する、又は周波数が互いに交差するときに生じる。正味の影響は、時間領域信号、すなわち、受信無線周波数信号の周波数ダウンコンバート後に得られた生データ又はデジタルサンプリングされた信号が、所望のレーダ反響信号と比較して高くなり得る干渉のバーストを経ることである。短時間ウィンドウ内に複数の干渉バーストが存在し得る。
【0078】
2つのFMCWレーダ送信機の場合、別の進行中のチャープの存在を検出し、他のチャープが送信されたチャープを横切るときに、自レーダ送受信機によるレーダ送信を中止することが可能である。このようにして、他方のレーダ送受信機が干渉から保護される。自レーダ送受信機がこの能力を有する場合、干渉するレーダ送受信機は、エンドレーダ送受信機が拡張周波数の動作帯域からバックオフする必要なく保護される。干渉するレーダ送受信機が自レーダ送受信機に対して多すぎる干渉を生成する場合にのみ、第1の拡張周波数帯域又は予約周波数帯域へのバッキングオフが必要とされる。
【0079】
態様によれば、自レーダ送受信機204は、干渉するレーダ送受信機401、402と同じ周波数及び時刻でのレーダ送信を回避するように構成され、制御ユニット203は、自レーダ送受信機の受信レーダ信号内の干渉レベルに応じて、第1の拡張周波数帯域B1及び/又は第2の拡張周波数帯域B2で干渉するレーダ送受信機401、402の存在を検出するように適合されている。例えば、このタイプの動作は、周波数F(t)(FMCWチャープ信号など)でレーダ信号を送信することと、干渉に関して周波数F(t)に隣接する周波数を監視しながら反射レーダ信号を受信することとを含む方法によって達成することができる。隣接周波数で干渉が検出される場合、レーダ送信はクロスオーバー期間の間、停止される。クロスオーバー期間は、干渉信号が中間周波数(IF)帯域幅内に現れる前に干渉信号を観察することによって推定され得る、又は干渉信号がIF帯域幅を横断するときに干渉信号を監視することによって決定され得る。このように、レーダ送受信機及び干渉するレーダ送受信機の両方への干渉が回避され、これは有益である。この方法は、従来のレーダ送信機からの干渉を軽減するため、また、従来のレーダ送受信機が受ける干渉を軽減するために使用することができる。
【0080】
態様によれば、制御ユニット203は、受信レーダ信号の信号修復を実行する、及び/又はレーダ送受信機204の傾斜偏波方向を有するように適合されている。信号修復方法及び傾斜偏波方向の両方が既知であるため、本明細書ではより詳細に説明しない。
【0081】
いくつかの態様によれば、制御ユニット203は、コンパスデバイス211によって取得されたコンパスデータ及び/又は任意の好適な種類の全地球衛星測位システム(GNSS)デバイス212によって、自車両の配向及び方位を追跡するように適合されている。いくつかの態様によれば、制御ユニット203は、任意の好適な種類のGNSSデバイスから取得されたマップデータによって、自車両の配向を追跡するように適合されている。マップデータを使用して、自車両の配向を決定するために使用される道路主要延長を決定することができる。
【0082】
図6は、一実施形態による、電子制御ユニット203の構成要素を、いくつかの機能ユニットの観点から概略的に示す。処理回路610は、コンピュータプログラム製品に記憶されたソフトウェア命令を、例えば、記憶媒体630の形態で実行することができる好適な中央処理装置(CPU)、マルチプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、専用ハードウェアアクセラレータなどのうちの1つ以上の任意の組み合わせを使用して提供される。処理回路610は、少なくとも1つの特定用途向け集積回路(ASIC)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)として更に提供されてもよい。
【0083】
特に、処理回路610は、制御ユニット203に、一連の動作又はステップを実行させるように構成されている。これらの動作又はステップは、様々なレーダ送受信機及び方法に関連して上述した。例えば、記憶媒体1030は一連の動作を記憶することができ、処理回路610は、記憶媒体630から一連の動作を検索して制御ユニット203に一連の動作を実行させるように構成することができる。動作のセットは、実行可能命令のセットとして提供されてもよい。したがって、処理回路610は、本明細書に開示される方法及び動作を実行するように構成される。
【0084】
記憶媒体630はまた、例えば、磁気メモリ、光学メモリ、固体メモリ、若しくは遠隔搭載メモリのいずれか1つ又はその組み合わせであり得る永続的ストレージを備え得る。
【0085】
制御ユニット203は、少なくとも1つの他のユニットと通信するための通信インターフェース620を更に備えてもよい。したがって、レーダインターフェース620は、アナログ及びデジタル構成要素、並びに有線又は無線通信のための好適な数のポートを備える、1つ以上の送信機及び受信機を備えてもよい。
【0086】
処理回路610は、例えばデータ及び制御信号を外部ユニット及び記憶媒体630に送信することによって、外部ユニットからデータ及びレポートを受信することによって、並びに記憶媒体630からデータ及び命令を取り出すことによって、制御ユニット203の一般的な動作を制御する。本明細書で提示される概念を不明瞭にしないために、制御ユニット203の他の構成要素、並びに関連する機能は省略されている。
【0087】
図7は、本明細書に開示される方法のうちのいずれかを実行するために、コンピュータ可読媒体630に配置されたコンピュータ実行可能命令620を含むコンピュータプログラム製品610を示す。
【0088】
図8を参照すると、本開示はまた、少なくとも1つの自レーダ送受信機204を有するレーダ送受信機機構202を備えるレーダシステム201内の制御ユニット203によって実行される方法に関する。本方法は、以下を含む。
自レーダ送受信機204の現在の方向D、D
Aを決定することS100と、
現在の方向D、D
Aに対応する予約周波数帯域B0を決定することS200と、
予約周波数帯域B0を含み、それを超えて延在する第1の拡張周波数帯域B1を決定することS300と、
第1の拡張周波数帯域内の干渉するレーダ送受信機401、402の存在を検出することS400と、
干渉するレーダ送受信機が第1の拡張周波数帯域で検出されない場合に、第1の拡張周波数帯域B1内の自レーダ送受信機204を動作させることS500と、
予約周波数帯域B0内の自レーダ送受信機204を動作させることS600と、を含む。
【0089】
本明細書に開示されるレーダシステム、レーダ送受信機、及び制御ユニットの他の特徴及び能力も、対応する方法として開示されている。したがって、本明細書では、上述の動作のいずれかを実行するように構成されたレーダシステム、レーダ送受信機、及び制御ユニットも開示される。
【0090】
例えば、本明細書に開示される方法はまた、任意選択的に、第1の拡張周波数帯域B1を含み、かつそれを越えて延在する第2の拡張周波数帯域B2を上述するように決定することS700、及び第2の拡張周波数帯域B2内の自レーダ送受信機の動作中に干渉するレーダ送受信機が検出されない場合に、第2の拡張周波数帯域B2で自レーダ送受信機204を動作させ、そうでなければ、第1の拡張周波数帯域B1又は予約周波数帯域B0で自レーダ送受信機204を動作させることを含む。
【国際調査報告】