(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(54)【発明の名称】電気化学装置及び電子装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/052 20100101AFI20230510BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20230510BHJP
H01M 10/0567 20100101ALI20230510BHJP
H01M 10/0569 20100101ALI20230510BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20230510BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20230510BHJP
【FI】
H01M10/052
H01M4/13
H01M10/0567
H01M10/0569
H01M4/525
H01M4/505
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534444
(86)(22)【出願日】2021-07-07
(85)【翻訳文提出日】2022-06-07
(86)【国際出願番号】 CN2021104958
(87)【国際公開番号】W WO2022183648
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】202110242963.2
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513054978
【氏名又は名称】寧徳新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Ningde Amperex Technology Limited
【住所又は居所原語表記】No.1 Xingang Road, Zhangwan Town, Jiaocheng District, Ningde City, Fujian Province, 352100, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張飛
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ02
5H029AJ05
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AL18
5H029AM02
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5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H029AM12
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5H029HJ05
5H029HJ07
5H029HJ08
5H050AA06
5H050AA07
5H050BA17
5H050CA08
5H050CB01
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050CB29
5H050HA02
5H050HA05
5H050HA07
5H050HA08
(57)【要約】
【要約】
【課題】優れた高温サイクル特性及び低温放電特性を兼備する電気化学装置を提供することにある。
【解決手段】本発明の一態様において、正極、負極、セパレータ及び電解液を含む電気化学装置であって、前記正極は、正極集電体及び前記正極集電体の少なくとも一つの表面上に設けられた正極活物質層を含み、前記正極活物質層は、正極活物質を含み、前記正極活物質層の体積はV1 cm3であり、前記正極活物質の真の体積はV2 cm3であり、V1、V2が0.8≦V2/V1≦0.92を満たすことを特徴とする、電気化学装置。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極、負極、セパレータ及び電解液を含む電気化学装置であって、
前記正極は、正極集電体及び前記正極集電体の少なくとも一つの表面上に設けられた正極活物質層を含み、
前記正極活物質層は、正極活物質を含み、
前記正極活物質層の体積はV1 cm
3であり、前記正極活物質の真の体積はV2 cm
3であり、V1、V2が0.8≦V2/V1≦0.92を満たすことを特徴とする、電気化学装置。
【請求項2】
前記電解液は、ニトリル系化合物又はカルボン酸エステル化合物の少なくとも一種を更に含み、
前記ニトリル系化合物が前記電解液の合計質量のmを占めており、かつ前記mが0.5%≦m≦10%を満たし、前記カルボン酸エステル化合物が前記電解液の合計質量のnを占めており、かつnが12%≦n≦40%を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項3】
m、V1、V2が0.006≦m/(V2/V1)≦0.095を満たすことを特徴とする、請求項2に記載の電気化学装置。
【請求項4】
n、V1、V2が0.16≦n/(V2/V1)≦0.5を満たすことを特徴とする、請求項2に記載の電気化学装置。
【請求項5】
前記ニトリル系化合物は、1,3,6-ヘキサントリカルボニトリル、スクシノニトリル、アジポニトリル、スベロニトリル、グルタロニトリル、セバコニトリル、
エチレングリコールビス(プロピオニトリル)エーテル1,3,5-ペンタントリカルボニトリル、p-メチルベンゾニトリル、2,2-ジフルオロスクシノニトリル、トリシアノベンゼン、トランスブテンジニトリル又はトランスヘキセンジニトリルの少なくとも一種を含み、及び/又は、
前記カルボン酸エステル化合物は、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸ペンチル又は酪酸プロピルの少なくとも一種を含むことを特徴とする、請求項2に記載の電気化学装置。
【請求項6】
前記正極活物質はLi
xM1
yM2
zO
2を含み、
x、y、zはそれぞれ、0.90≦x≦1.03、0.9≦y≦1.05、0.002≦z≦0.012を満たし、
M1はNi、Co又はMnの少なくとも一種を含み、
M2はAl、Mg、Ti、Zr、La、Y、Sc又はCaの少なくとも一種を含むことを特徴とする、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項7】
前記正極活物質における前記M2の質量含有量は0.1%~1.5%であることを特徴とする、請求項6に記載の電気化学装置。
【請求項8】
前記電気化学装置における前記電解液の保持係数はk mAh/gであり、且つkが0.001≦k≦0.0022を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項9】
前記正極は、以下の(a)~(c)の少なくとも一つを満し、
(a)前記正極活物質の粒子の粒子径Dv50は5.0μm~20μmであり、
(b)前記正極活物質の比表面積BETは0.07m
2/g~0.4m
2/gであり、
(c)前記正極活物質層の圧縮密度は4.0g/cm
3以上である、
ことを特徴とする、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の電気化学装置を含む、電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学分野に関し、特に、電気化学装置及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学装置(例えば、リチウムイオン電池)は様々な分野に広く適用され、社会の発展に伴い、電気化学装置のエネルギー密度に対する要求が高まっている。
【0003】
いくつかの技術において、エネルギーをより多く放出するように電圧を高めることにより、電気化学装置のエネルギー密度を向上させることを試みるが、高電圧系では、電気化学装置には一連の新たな技術的な課題がある。正極材料がコバルト酸リチウムであるリチウムイオン電池を例として、一方では、リチウムイオン電池の低温放電特性が優れていると、高温サイクル特性が低下して、高温サイクル特性が向上すると、低温放電特性が低下するため、高温サイクル特性と低温放電特性とのバランスが取りにくいが、他方では、高電圧系では、コバルト酸リチウムの表面は強酸化力を示し、電解液と反応しやすいため、正極活物質と電解液との界面関係が悪くなり、しかし、上記界面関係の問題を解決しようとすると、低温下での放電特性をバランスさせるだけでなく、高温下のサイクル特性も確保する必要があるため、問題の解決は容易ではない。
【0004】
いくつかの関連技術では、正極活物質の表面を金属酸化物又は他の材料で被覆改質することで上記の問題を解決しようとしているが、被覆物質は、リチウムイオンの輸送に一定の障害作用を与え、直流抵抗(DCR、Directive Current Resistance)の増加をもたらし、レート特性も低下し、そしてリチウムイオン電池の高温放電特性と低温放電特性も劣化する。
【0005】
従って、優れた高温サイクル特性及び低温放電特性を兼備する電気化学装置の提供は当分野で早急に解決すべき技術問題である。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、エネルギー密度を向上させるながら、正極活物質の表面と電解液との反応を減らし、電気化学装置の高電圧高温下でのサイクル特性及び低温放電特性を改善することができる電気化学装置及び電子装置を提供する。
【0007】
本発明は、いくつかの実施例において、電気化学装置を提供し、前記電気化学装置は、正極、負極、セパレータ及び電解液を含み、正極は、正極集電体及び正極集電体の少なくとも一つの表面上に設けられた正極活物質層を含み、前記正極活物質層は、正極活物質を含み、正極活物質層の体積はV1 cm3であり、正極活物質の真の体積はV2 cm3であり、V1、V2は0.8≦V2/V1≦0.92を満たす。
【0008】
いくつかの実施例において、電解液は、ニトリル系化合物又はカルボン酸エステル化合物の少なくとも一種をさらに含み、ニトリル系化合物が電解液の合計質量のmを占めており、上記mが0.5%≦m≦10%を満たし、カルボン酸エステル化合物が電解液の合計質量のnを占めており、nが12%≦n≦40%を満たす。
【0009】
いくつかの実施例において、m、V1、V2が0.006≦m/(V2/V1)≦0.095を満たす。
【0010】
いくつかの実施例において、n、V1、V2が0.16≦n/(V2/V1)≦0.5を満たす。
【0011】
いくつかの実施例において、ニトリル系化合物は、1,3,6-ヘキサントリカルボニトリル、スクシノニトリル、アジポニトリル、スベロニトリル、グルタロニトリル、セバコニトリル、エチレングリコールビス(プロピオニトリル)エーテル、1,3,5-ペンタントリカルボニトリル、p-メチルベンゾニトリル、2,2-ジフルオロスクシノニトリル、トリシアノベンゼン、トランスブテンジニトリル又はトランスヘキセンジニトリルの少なくとも一種を含み、及び/又は、
カルボン酸エステル化合物は、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸ペンチル又は酪酸プロピルの少なくとも一種を含む。
【0012】
いくつかの実施例において、正極活物質はLixM1yM2zO2を含み、
x、y、zが、それぞれ、0.95≦x≦1.03、0.9≦y≦1.05、0.002≦z≦0.012を満たし、
M1はNi、Co又はMnの少なくとも一種を含み、
M2はAl、Mg、Ti、Zr、La、Y、Sc又はCaの少なくとも一種を含む。
【0013】
いくつかの実施例において、正極活物質におけるM2の質量含有量は0.1%~1.5%である。
【0014】
いくつかの実施例において、電気化学装置における電解液の保持係数はk mAh/gであり、且つkが0.001≦k≦0.0022を満たす。
【0015】
いくつかの実施例において、正極は、以下の(a)~(c)の少なくとも一つを満たす。
(a)正極活物質の粒子の粒子径Dv50は5.0μm~20μmであり、
(b)正極活物質の比表面積BETは0.07m2/g~0.4m2/gであり、
(c)正極活物質層の圧縮密度(compaction density)は4.0 g/cm3以上である。
【0016】
いくつかの実施例において、正極活性物質は第1の粒子及び第2の粒子を含み、前記第1の粒子の粒子径は第2の粒子の粒子径より大きい。
【0017】
本発明のいくつかの実施例は上記のいずれかの電気化学装置を含む電子装置を提供する。
【0018】
本発明の実施例に提供される電気化学装置は、正極、負極、セパレータ及び電解液を含み、正極は、正極集電体及び正極集電体の少なくとも一つの表面上に設けられた正極活物質層を含み、正極活物質層は、正極活物質を含み、正極活物質層の体積はV1 cm3であり、正極活物質の真の体積はV2 cm3であり、V1、V2は0.8≦V2/V1≦0.92を満たす。
本発明のいくつかの実施例において、正極活物質層は、より高い堆積効率及び密度を有するため、体積が一定である場合、より多くのエネルギーを貯蔵し、かつ正極活物質へ電解液がしみこむ空間を減らすことができ、それにより、高電圧高温の場合での正極材料と電解液との反応を減らし、電気化学装置の高電圧高温下でのサイクル特性及び低温放電特性を改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例をさらに詳しく説明する。本発明は様々な態様で達成されることができ、そしてここで説明された実施例に限定されると解釈してはならないとともに、これらの実施例を提供するのは、本発明をさらに詳しく、完璧に理解するようにするためである。
【0020】
リチウムイオン電池などの電気化学装置は様々な分野に広く適用される。関連技術では、電圧を高めることでリチウムイオン電池の容量を向上させるが、高電圧系では、沢山の問題がある。一方では、低温放電特性と高温サイクル特性とを両立させることが困難であるが、他方では、高電圧で、正極活物質の表面が比較的に強い酸化性を示し、電解液が酸化されやすい。
【0021】
上記の問題の少なくとも一部を解決するため、本発明のいくつかの実施例において、電気化学装置が提供され、電気化学装置は、正極、負極、セパレータ及び電解液を含み、正極は、正極集電体及び正極集電体の少なくとも一つの表面上に設けられた正極活物質層を含み、正極活物質層は、正極活物質を含み、正極活物質層の体積はV1 cm3であり、正極活物質の真の体積はV2 cm3であり、V1、V2は0.8≦V2/V1≦0.92を満たす。
【0022】
いくつかの実施例において、正極活物質の真の体積V2とは、正極活物質層における正極活物質が占める体積を指し、0.8≦V2/V1≦0.92は、正極活物質層における正極活物質が占める割合が高いことを示す。正極活物質が占める割合は高いほど、正極活物質層の堆積効率及び密度は高くなり、同じ体積範囲内でより多くのエネルギーを貯蔵することができ、正極活物質の空間を有効的に利用することができる。正極活物質が占める割合は高いため、正極活物質層の孔隙率は低くなり、正極活物質へ電解液がしみこむ空間は小さくなることにより、高電圧(例えば4.45V以上)高温時で正極活物質が電解液と接触して反応することを減らし、高電圧高温下でのサイクル特性を改善させることに有利であり、そして、正極活物質の間の接触面積が大きくなり、輸送経路が短いことにより、電気化学装置の低温放電特性が向上することに有利である。正極活物質層の体積V1 cm3と正極活物質の真の体積V2との比V2/V1は、正極の調製においてロールプレス圧力、ロールプレス時間又はロールプレス回数を制御するなどの方法により、制御されることができる。本発明において、制御の方法は、特に限定されないが、0.8≦V2/V1≦0.92を達成できればよい。
【0023】
いくつかの実施例において、電解液は、ニトリル系化合物又はカルボン酸エステル化合物の少なくとも一種をさらに含む。ニトリル系化合物は電解液の合計質量のmを占めており、mが0.5%≦m≦10%を満たし、カルボン酸エステル化合物は電解液の合計質量のnを占めており、nが12%≦n≦40%を満たす。いくつかの実施例において、ニトリル系化合物は正極活物質の表面に保護膜を形成することができ、それによって、正極活物質の表面を保護し、正極活物質のサイクル特性を向上させ、かつ正極活物質と溶媒との酸化還元反応の発生を防止する。いくつかの実施例において、カルボン酸エステル化合物は電解液におけるリチウムイオンの輸送効率を向上させることができ、それによって、電気化学装置はより優れた高温サイクル特性を維持するながら、優れた低温特性を有する。
【0024】
いくつかの実施例において、m、V1、V2が0.006≦m/(V2/V1)≦0.095を満たす。いくつかの実施例において、m/(V2/V1)は、ある添加量のニトリル系化合物の質量の分配係数を示す。m/(V2/V1)が0.006未満であると、添加されたニトリル系化合物が少なすぎて、正極活物質の表面を十分に保護することができないため、高温サイクル特性が低下する。m/(V2/V1)が0.095超であると、ニトリル系化合物は電解液の導電性を低下させる可能性があり、それによって、電気化学装置の低温放電特性に影響を与える。
【0025】
いくつかの実施例において、n、V1、V2が0.16≦n/(V2/V1)≦0.5を満たす。n/(V2/V1)は、カルボン酸エステル化合物の質量の分配係数を示す。n/(V2/V1)が0.16未満であると、カルボン酸エステル化合物が電解液におけるリチウムイオンの輸送効率を向上させる効果は、顕著ではないため、低温放電特性が低下する。n/(V2/V1)が0.5超であると、カルボン酸エステル化合物が正極活物質の表面のSEI(solid electrolyte interphase、固体電解質界面)膜を破壊する可能性があり、副反応を増加させ、高温サイクル特性に不利である。
【0026】
いくつかの実施例において、ニトリル系化合物は、1,3,6-ヘキサントリカルボニトリル(HTCN)、スクシノニトリル(SN)、アジポニトリル(ADN)、スベロニトリル、グルタロニトリル、セバコニトリル、エチレングリコールビス(プロピオニトリル)エーテル(DENE)、1,3,5-ペンタントリカルボニトリル、p-メチルベンゾニトリル、2,2-ジフルオロスクシノニトリル、トリシアノベンゼン、トランスブテンジニトリル又はトランスヘキセンジニトリルの少なくとも一種を含む。
【0027】
いくつかの実施例において、カルボン酸エステル化合物は、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸ペンチル又は酪酸プロピルの少なくとも一種を含む。
【0028】
いくつかの実施例において、正極活物質はLixM1yM2zO2を含み、x、y、zは、それぞれ、0.90≦x≦1.03、0.9≦y≦1.05、0.002≦z≦0.012を満たし、M1はNi、Co又はMnの少なくとも一種を含み、M2はAl、Mg、Ti、Zr、La、Y、Sc又はCaの少なくとも一種を含む。いくつかの実施例において、電気化学装置は、高電圧で、正極活物質から比較的多くのリチウムイオンを放出して、それは、正極活物質の格子の崩れを起きやすい。従って、正極活物質に一定量のM2をドープすることで、リチウムイオンの放出による格子の歪みを軽減でき、さらに格子の構造を安定させ、電気化学装置の高電圧での放電特性及びサイクル特性を安定させることに有利である。
【0029】
いくつかの実施例において、正極活物質におけるM2の質量含有量は0.1%~1.5%である。いくつかの実施例において、正極活物質におけるM2の質量分率が0.1%未満であると、M2の含有量が比較的低く、改善された効果が顕著ではなくおそれがあり、正極活物質におけるM2の質量含有量が1.5%超であると、正極活物質の容量が低下し、そして正極活物質の高温特性及び低温特定が低下する可能性がある。
【0030】
いくつかの実施例において、電気化学装置における電解液の保持係数はk mAh/gであり、且つkが0.001≦k≦0.0022を満たす。いくつかの実施例において、kがこの範囲にあるのは、電解液の量が電気化学装置を十分に濡すことができる量であり、且つ無駄のものが比較的に少ないことを示す。
【0031】
いくつかの実施例において、正極活物質の粒子の粒子径Dv50は5.0μm~20μmである。いくつかの実施例において、正極活物質の粒子の粒子径Dv50が5.0μm未満であると、サイクル特性が低下する可能性があり、正極活物質の粒子の粒子径Dv50が20μm超であると、レート特性が低下する可能性がある。
【0032】
いくつかの実施例において、正極活物質の比表面積BETは0.07m2/g~0.4m2/gである。いくつかの実施例において、正極活物質の比表面積が0.07m2/g未満であると、レート特性が低下する可能性があり、正極活物質の比表面積が0.4m2/g超であると、電解液の使用が加速する可能性がある。
【0033】
いくつかの実施例において、正極活物質層の圧縮密度は4.0g/cm3以上である。いくつかの実施例において、正極活物質層の圧縮密度が4.0g/cm3未満であると、体積エネルギー密度が低すぎる可能性がある。いくつかの実施例において、正極活物質層の圧縮密度は4.5g/cm3以下である。いくつかの実施例において、正極活物質層の圧縮密度が4.5g/cm3超であると、正極集電体が破断される可能性がある。
【0034】
いくつかの実施例において、正極活性物質は第1の粒子及び第2の粒子を含み、前記第1の粒子の粒子径は第2の粒子の粒子径より大きい。いくつかの実施例において、異なる粒子径を有する第1の粒子と第2の粒子とを混合することで、正極活物質層の空隙を減少し、体積エネルギー密度を向上させることに有利である。
【0035】
いくつかの実施例において、負極は、負極集電体及び上記の負極集電体の少なくとも一つの表面上に設けられた負極活物質層を含み、負極活物質層は負極活物質を含み、負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能なソフトカーボン、ハードカーボン、天然黒鉛、人工黒鉛、ケイ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素、チタン酸リチウム、ケイ素酸素複合物のうちの一種又は多種の混合物を含んでもよい。
【0036】
いくつかの実施例において、正極集電体はAl箔を採用してもよく、当分野で一般的に用いられた他の正極の集電体を採用してもよいことは勿論である。いくつかの実施例において、正極の集電体の厚さは1μm~20μmであってもよい。いくつかの実施例において、正極活物質層は、正極の集電体の一部の領域のみに塗布されてもよい。いくつかの実施例において、正極活物質層の厚さは10μm~200μmであってもよい。正極活物質層の厚さは正極集電体の一つの表面上での正極活物質層の厚さである。理解すべきことは、これらは例示であるに過ぎず、他の適宜な厚さを採用してもよい。
【0037】
いくつかの実施例において、セパレータは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド又はアラミドの少なくとも一種を含む。例えば、ポリエチレンは、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、又は超高分子量ポリエチレンから選択される少なくとも一種を含む。特に、ポリエチレン及びポリプロピレンは、短絡の防止に対して優れた効果があり、そしてシャットダウン効果により電池の安定性を改善することができる。いくつかの実施例において、セパレータの厚さは約5μm~100μmの範囲内にある。
【0038】
いくつかの実施例において、セパレータは、ポリプロピレン若しくはポリエチレンからなる多孔隔離膜、又はセラミック不織布などの無機材料からなる多孔膜で構成されるものであり、セパレータは、積層構造に積み重ねられた二種以上の多孔膜で構成されてもよい。
【0039】
いくつかの実施例において、セパレータの表面は、さらに、セパレータの少なくとも一つの表面上に設けられた多孔層を含んでもよい。多孔層は無機粒子及びバインダーを含み、無機粒子は酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化チタン(TiO2)、二酸化ハフニウム(HfO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化セリウム(CeO2)、酸化ニッケル(NiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化イットリウム(Y2O3)、炭化ケイ素(SiC)、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム又は硫酸バリウムから選択される少なくとも一種である。いくつかの実施例において、セパレータの孔は約0.01μm~1μmの範囲の直径を有する。多孔層のバインダーは、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンの共重合体、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリメタクリル酸メチル、ポリテトラフルオロエチレン又はポリヘキサフルオロプロピレンから選択される少なくとも一種である。セパレータの表面の多孔層は、セパレータの耐熱性、酸化防止性及び電解質濡れ性を高め、セパレータと極片との接着性を強めることができる。
【0040】
本発明のいくつかの実施例において、電気化学装置は巻回式又は積層式である。
【0041】
いくつかの実施例において、電気化学装置はリチウムイオン電池を含むが、本発明はこれに限定されない。いくつかの実施例において、電気化学装置は、さらに電解質を含んでもよい。電解質は、ゲル電解質、固体電解質及び電解液のうちの一種以上であってもよい。電解液はリチウム塩及び非水溶媒を含む。リチウム塩はLiPF6、LiBF4、LiB(C6H5)4、LiCH3SO3、LiCF3SO3、LiN(SO2CF3)2、LiC(SO2CF3)3、LiSiF6、LiBOB又はジフルオロホウ酸リチウムから選択される一種以上である。例えば、高いイオン導電率を与え、サイクル特性を改善することができるから、リチウム塩はLiPF6が用いられる。
【0042】
非水溶媒は、炭酸エステル化合物、エーテル化合物、他の有機溶媒又はそれらの組み合わせであってもよい。炭酸エステル化合物は、鎖状炭酸エステル化合物、環状炭酸エステル化合物、フルオロ炭酸エステル化合物又はそれらの組み合わせであってもよい。鎖状炭酸エステル化合物の実例は、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、メチルエチルカーボネート(MEC)及びそれらの組み合わせである。前記環状炭酸エステル化合物の実例は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)又はそれらの組み合わせである。前記フルオロ炭酸エステル化合物の実例は、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、1,2-ジフルオロエチレンカーボネート、1,1-ジフルオロエチレンカーボネート、1,1,2-トリフルオロエチレンカーボネート、1,1,2,2-テトラフルオロエチレンカーボネート、1-フルオロ-2-メチルエチレンカーボネート、1-フルオロ-1-メチルエチレンカーボネート、1,2-ジフルオロ-1-メチルエチレンカーボネート、1,1,2-トリフルオロ-2-メチルエチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート又はそれらの組み合わせである。
【0043】
エーテル化合物の実例は、ジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、エトキシメトキシエタン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン又はそれらの組み合わせである。他の有機溶媒の実例は、ジメチルスルホキシド、1,2-ジオキソラン、スルホラン、メチルスルホラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N-メチル-2-ピロリドン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリオクチル、及びリン酸エステル又はそれらの組み合わせである。
【0044】
本発明の実施例は、さらに上記の電気化学装置を含む電子装置を提供する。本発明の実施例の電子装置は、特に限定されなく、先行技術において既知の任意の電子装置に適用することができる。いくつかの実施例において、電子装置は、ノートコンピューター、ペン入力型コンピューター、モバイルコンピューター、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯型ファクシミリ、携帯型コピー機、携帯型プリンター、ステレオヘッドセット、ビデオレコーダー、液晶テレビ、ポータブルクリーナー、携帯型CDプレーヤー、ミニディスク、トランシーバー、電子ノートブック、電卓、メモリーカード、ポータブルテープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、自動車、オートバイ、補助自転車、自転車、照明器具、おもちゃ、ゲーム機、時計、電動ツール、閃光灯、カメラ、家庭用大型バッテリー、及びリチウムイオンコンデンサーなどを含むが、これらに限定されない。
【0045】
以下では、本発明をさらに詳しく説明するために、いくつかの実施例及び比較例を挙げ、ここで、リチウムイオン電池を例とした。
【0046】
正極の調製:
コバルト酸リチウム、アセチレンブラック、及びポリフッ化ビニリデンを重量比95:3:2で均一に混合し、そして混合物を溶媒に分散させ、撹拌し、真空引きした後、正極スラリーが得られた。そして、ドクターブレード法又はスプレーコート法で、スラリーを正極集電体であるアルミニウム箔に均一に塗工し、アルミニウム箔の厚さは8μm~13μmの間にあってもよい。上記の条件下で、正極活物質、バインダー、導電材は、均一に分散されている限り、溶媒と任意の割合で混合しても良い。そして、塗布し、乾燥させ、ローラープレスで圧縮することで、正極活物質層が得られ、そして、ストリップに分割し、タブを溶接して、正極(正極シートとも称される)が得られた。
【0047】
負極の調製:
人工黒鉛、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及びスチレンブタジエンゴムを重量比96:2:2で均一に混合し、負極混合物を調製し、そして負極混合物を溶媒に分散させ、スラリーが形成された。調製されたスラリーを負極集電体に均一に塗工し、集電体の厚さは4μm~9μmの間にあり、ドクターブレード法又はスプレーコート法で、スラリーを集電体上に均一に塗布し、そして、乾燥させ、ローラープレスで圧縮することで、負極活物質層が得られ、そして、ストリップに分割し、タブを溶接して、負極(負極シートとも称される)が得られた。
【0048】
電解液の調製:
含水量<10ppmのアルゴン雰囲気グローブボックスでは、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)を重量比1:1:1で均一に混合し、LiPF6を添加し、均一に撹拌し、ベース電解液を形成した。ここで、LiPF6の濃度は1.15mol/Lであった。電解液の合計重量に対して、3%のフルオロエチレンカーボネート、2%の1,3-プロパンスルトンを添加した。以下の各実施例及び比較例により、電解液を設定した。
【0049】
リチウムイオン電池の調製:
得られた正極、負極、セパレータを規定の巻回方式で巻回し、セルを形成し、そして包装袋に入れた。そして、包装袋のパッケージングを行い、注液し、及び、フォーメーションし、最後に電池の調製を完了した。
【0050】
比較例1:
正極シートにおける正極活物質の真の体積V2と正極活物質層の体積V1との比V2/V1が0.75である場合、圧縮密度は3.75g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル(ADN)及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリル(HTCN)であり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.25であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0051】
比較例2:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.75である場合、圧縮密度は3.75g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.25であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0052】
比較例3:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.75である場合、圧縮密度は3.75g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル(ADN)及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリル(HTCN)であり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0053】
比較例4:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.75である場合、圧縮密度は3.75g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0054】
実施例1:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.25であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0055】
実施例2:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル(ADN)及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリル(HTCN)であり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.25であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0056】
実施例3:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.83である場合、圧縮密度は4.2g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.25であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0057】
実施例4:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.80である場合、圧縮密度は4.0g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.25であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0058】
実施例5:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.89である場合、圧縮密度は4.5g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.25であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0059】
実施例6:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液にはカルボン酸エステルが含まれず、ニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、正極活物質のBETは0.5m2/gであり、Dv50は5μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0060】
実施例7:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が86%である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.005であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は2.5であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0061】
実施例8:
正極シートにおける活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.003であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は2.5であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0062】
実施例9:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が86%である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.025であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.25であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0063】
実施例10:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は3:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.25であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0064】
実施例11:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は4:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.25であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0065】
実施例12:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は1:1.5であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.25であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0066】
実施例13:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル、
エチレングリコールビス(プロピオニトリル)エーテル(DENE)、及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、三者の質量比は2:1:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.25であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0067】
実施例14:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.075であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.25であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0068】
実施例15:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.095であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は2.5であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0069】
実施例16:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.10であり、ニトリル系化合物はスクシノニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は2.5であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0070】
実施例17:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.02であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.25であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0071】
実施例18:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.003であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.1であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0072】
実施例19:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.12であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0073】
実施例20:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.18であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0074】
実施例21:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、カルボン酸エステルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.25であり、プロピオン酸エチルとプロピオン酸プロピルとの質量比は1:1であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0075】
実施例22:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.32であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0076】
実施例23:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.38であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0077】
実施例24:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.42であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0078】
実施例25:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.46であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0079】
実施例26:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.50であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0080】
実施例27:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.52であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0081】
実施例28:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.25であり、正極活物質のBETは0.07m2/gであり、Dv50は20μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0082】
実施例29:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.25であり、正極活物質のBETは0.18m2/gであり、Dv50は16μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0083】
実施例30:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.25であり、正極活物質のBETは0.34m2/gであり、Dv50は8μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0084】
実施例31:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.25であり、BETは0.4m2/gであり、Dv50は5μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0085】
実施例32:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0008であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.25であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0086】
実施例33:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.001であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.25であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0087】
実施例34:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が86%である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.002であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.25であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0088】
実施例35:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0022であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.25であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0089】
実施例36:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0018であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.25であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0090】
実施例37:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.25であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.15wt%であった。
【0091】
実施例38:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.25であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.25wt%であった。
【0092】
実施例39:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.25であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.4wt%であった。
【0093】
実施例40:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.25であり、正極活物質のBETは0.5m2/gであり、Dv50は8μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は0.6wt%であった。
【0094】
実施例41:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.25であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は1.2wt%であった。
【0095】
実施例42:
正極シートにおける正極活物質の真の体積と正極活物質層の体積との比V2/V1が0.86である場合、圧縮密度は4.3g/cm3であり、正極シート、セパレータ及び負極シートを巻回し、セルにし、そして、電解液を注ぎ、当該電解液の保持係数は0.0014であり、電解液におけるニトリル系化合物の質量の分配係数m/(V2/V1)は0.04であり、ニトリル系化合物はアジポニトリル及び1,3,6-ヘキサントリカルボニトリルであり、両者の質量比は2:1であり、プロピオン酸エチルの質量の分配係数n/(V2/V1)は0.25であり、正極活物質のBETは0.32m2/gであり、Dv50は10μmであり、正極活物質に含まれるAlの含有量は1.5wt%であった。
【0096】
サイクル測定:
各比較例及び実施例で調製された電池をそれぞれ8個取り、45℃で電池を測定し、0.5Cのレートでカットオフ電圧まで定電流充電し、そのカットオフ電圧は4.45V(又はそれ以上)であり、さらに4.45Vの定電圧で電流が0.025C未満になるまで充電し、4.45V(又はそれ以上の電圧)での満充電状態(100%SOC)にして、満充電後、0.5Cのレートで放電し、この時の放電容量D0を記録して基準とした。上述手順を繰り返し、1サイクル、2サイクル……後の放電容量D1、D2……を記録した。そして、下記の公式で容量維持率を算出した。
nサイクル目のサイクル容量維持率=Dn/D0、n=1,2,3,4,5……
サイクル容量維持率が80%の時のサイクル数を算出した。
【0097】
低温容量維持率の測定:
まず、温度を25℃に調整し、そして電池を0.2Cのレートで3.0Vまで放電し、5分間静置した。0.5Cのレートで4.45Vまで定電流充電し、そして電流が0.025Cに下がるまで定電圧充電した。その後、電池を25℃の温度で60min静置し、そして3.0Vまで放電し、この時の放電容量Dを記録し、60min静置した。そして、25℃で、0.5Cのレートにて4.45Vまで定電流充電し、そして電流が0.025Cに下がるまで定電圧充電し、温度を-10℃に調整し、電池を60分間静置し、そして0.2Cにて3.0Vまで定電流放電し、この時の放電容量Daを記録し、これで0.2C、-10℃での放電容量維持率=Da/D×100%が得られた。
【0098】
空白アルミニウム箔ウェーハの重量の測定:
電池から分解した正極シートを、ジメチルカーボネートDMCに浸して洗浄し、そして正極シートを乾燥させた。直径が14mm(ウェーハ面積:154.025mm2)である小型ボタン型電池の打抜き機で、正極シートにおける正極活物質層のない、又は活物質層が除去された空白アルミニウム箔領域にウェーハを20個打抜き、そして合計重量を測り、1枚のウェーハの平均質量(単位:ミリグラム)を算出するとともに、ウェーハの厚さを測り、平均値をh0 μmとして算出した。
【0099】
保持係数k値の算出:
まず、電池を3.0Vまで放電し、電池の放電容量がD0 mAhと得られた。電池全体の質量M1 gを測り、そして電池を分解し、正極、負極、セパレータ、及び外装のそれぞれを、ジメチルカーボネートに浸して、30min洗浄した後、50℃のオーブンに入れて、5h~8h乾燥させ、乾燥した後、正極、負極、セパレータ、及び外装の合計重量M2 gを測ることにより、電解液質量がA g、A=M1-M2、電解液の保持係数k=(M1-M2)/D0が得られた。
【0100】
粒度の測定:
装置はMalvernレーザー粒度測定器を使用し、装置番号はMasterisizer 2000であり、サンプルの量は1gであり、超音波を使用せず、分散剤として水を使用し、ポンプの速度は3000r/minであった。
【0101】
1g程度の正極活物質の粉末サンプルを取り、そして装置に入れて測定し、装置から二つの曲線を出力して、その一つは粒子の体積分布曲線であり、もう一つは粒子の数量分布曲線であり、両者は対応しており、同じ分布の異なる表現態様だけであった。Dv50とは、サンプルの体積累積粒度分布の百分率が50%になる時に対応する粒子径のことを指す。
【0102】
BET(比表面積)の測定:
装置は比表面積測定装置を採用し、装置番号は米国Micromeritics TristarII3020であった。
【0103】
正極材料に対して、ステップ1:材料(正極活物質が2g~12gの間にある)を測り、サンプルチューブに入れ、そしてサンプルチューブを装置に入れた。ステップ2:真空脱気のために脱気ステーションの電源を入れる脱気を行った。ステップ3:脱気完了後にサンプルチューブを加熱口の外の冷却口に移し、少なくとも10min以上を冷却しながら、続けて真空引きした。ステップ4:サンプルチューブを室温に冷却した後、窒素ガスで約30秒埋戻し、、埋戻してから、サンプルチューブが室温に冷却されたことを確認し、そして脱気口でサンプルチューブを外した後、ゴム栓でサンプルチューブを塞ぎ、天秤室でサンプルの合計質量を測り、上記合計質量から空のチューブの質量を引いて、脱気後の質量が得られた。ステップ5:そして装置のソフトウェアでアナライズし、データが得られた。
【0104】
圧縮密度の測定:
ステップ1:打抜き機で正極シートをウェーハに打抜き、打抜き機のパンチの直径はd mmである。正極シートの両面に正極活物質が塗工された領域にウェーハを20個打抜きた。ここで、ウェーハの空白アルミニウム箔は、重量がm0mgであり(測定の過程は空白アルミニウム箔ウェーハの重量の測定を参照)、及び厚さがh0 μmであった(測定の過程は空白アルミニウム箔ウェーハの重量の測定を参照)。
【0105】
ステップ2:打抜かれたウェーハの重量を測り、ウェーハのそれぞれの重量m1~m20(mg)を記録した。
【0106】
ステップ3:ウェーハのそれぞれの厚さを測り、測定された重量のデータと一対一に対応付けて、h1~h20/(μm)にした。
【0107】
ステップ4:圧縮密度PDを公式:PDn=[(mn-m0)/(π×(d/2)2/(hn-h0)×1000]に基準して算出した。PD=[PD1+PD2+・・・+PDn]/n、ここで、n=(1,20)の間の数値。
【0108】
V1及びV2の測定:V1=S×(H-h)、ここで、Sは、取られた正極シートサンプルの面積、いずれも1540.25mm2であり、Hは極片の厚さであり、hは集電体の厚さである。V2=[M極-(S×アルミニウム箔の面密度ρ1)]/(正極材料の真密度ρ2)、M極はS面積の下での正極シートの重量であり、アルミニウム箔の面密度は、既知のパラメータであり、具体的な加工データより算出される。正極材料の真密度は、材料の固有の特性である。
【0109】
各実施例及び比較例のパラメーターと性能測定の結果は表1に示された。
【0110】
【0111】
実施例2~5から分かるように、他のパラメータが変わらない場合、V2/V1の数値が80%から89%まで増加するのにつれて、リチウムイオン電池の高温サイクル特性及び低温放電特性が比較的に良好なレベルに維持しているが、全体的な特性は、最初に上昇し、次に低下する傾向を呈するため、いくつかの実施例において、0.8≦V2/V1≦0.92と限定することで、リチウムイオン電池が比較的に良好な高温サイクル特性及び低温放電特性を有することを確保した。
【0112】
実施例1及び実施例2から分かるように、他の条件が同じである場合、実施例2の高温サイクル特性及び低温容量維持率は、いずれも実施例1のものより優れている。その原因として、実施例2はニトリル系化合物が用いられたのに対して、実施例1はニトリル系化合物が用いられないからと考えられる。実施例2と比較して、実施例1はニトリル系化合物が用いられないため、正極活物質の表面を十分に保護することができず、それによって、リチウムイオン電池の高温サイクル特性及び低温特性が実施例2のものより低下した。実施例1、7~9、14、15及び17から分かるように、他のパラメータが変わらない場合、m/(V2/V1)の増加につれて、リチウムイオン電池の高温サイクル特性は、最初に徐々に増加し、次に低下するが、m/(V2/V1)の数値が高すぎると、リチウムイオン電池の低温放電特性が低下し始めるため、いくつかの実施例において、0.006≦m/(V2/V1)≦0.095と限定した。
【0113】
比較例3及び比較例4から分かるように、n/(V2/V1)の数値が比較的に小さいと、リチウムイオン電池の低温放電特性が悪い。実施例19~27から分かるように、他のパラメータが変わらない場合、n/(V2/V1)の数値の増加につれて、リチウムイオン電池の高温サイクル特性は、最初に低下し、次に上昇し、リチウムイオン電池の低温放電特性は、比較的に良好なレベルに徐々に上昇してからほぼ変わらなくなる。その原因として、カルボン酸エステル化合物は電解液におけるリチウムイオンの輸送効率を向上させるのに有利であり、それによって、低温放電特性の向上及び一定の範囲内の高温サイクル特性の向上に有利であるからと考えられる。カルボン酸エステル化合物の含有量が高すぎると、高温高電圧の条件下で正極活物質表面のSEI膜を破壊する可能性があり、その結果、高温サイクル特性が低下する。従って、いくつかの実施例において、0.16≦n/(V2/V1)≦0.38と限定した。
【0114】
実施例28~32から分かるように、正極活物質の比表面積BETの増加につれて、リチウムイオン電池の高温サイクル特性及び低温放電特性が一定の範囲内で良好である。実施例24~27に示された比表面積の範囲内にリチウムイオン電池は、いずれも比較的に良好な高温サイクル特性及び低温放電特性を有するため、いくつかの実施例において、正極活物質の比表面積BETが0.07m2/g~0.4m2/gであると限定する。比表面積が正極活物質の粒子の粒子径に反比例するため、いくつかの実施例において、正極活物質の粒子の粒子径Dv50が5.0μm~20μmであると限定した。
【0115】
実施例33~実施例36から分かるように、保持係数kの増加につれて、リチウムイオン電池の高温サイクル特性及び低温放電特性は、いずれも比較的に良好なレベルに徐々に増加してからほぼ変わらなくなる。その原因として、保持係数kが比較的に低いと、電解液の量が足りないことによって、リチウムイオン電池の性能が十分に発揮することができず、保持係数kが比較的に高いと、電解液の量が十分で、この時、電解液を増加しても高温サイクル特性及び低温放電特性に明らかな影響を与えることはなく、かえって単位質量あたりの電気容量を低下させる可能性があるため、いくつかの実施例において、0.001≦k≦0.0022と限定した。
【0116】
実施例37、38、39及び41から分かるように、正極活物質におけるAlの質量含有量の増加は、リチウムイオン電池の高温サイクル特性及び低温放電特性が最初に増加して、次に減少することをもたらすため、いくつかの実施例において、正極活物質におけるM2の質量含有量が0.1%~1.5%であると限定した。
【0117】
以上の記載は、本発明の好ましい実施形態及び適用された技術原理の説明にすぎない。当業者が理解すべきことは、本発明に係る範囲は、上記の技術的特徴の特定の組み合わせからなる技術案に限定されず、上記の技術的特徴又はそれと等同の特徴の任意の組み合わせからなる他の技術案も含まれる。例えば、上記の特徴と本発明に開示された類似した機能を有する技術的特徴とを互いに置換してなる技術案である。
【国際調査報告】