(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 54/02 20060101AFI20230510BHJP
B60L 13/03 20060101ALI20230510BHJP
H02K 41/03 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
B65G54/02
B60L13/03 M
B60L13/03 Q
H02K41/03 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022549546
(86)(22)【出願日】2021-03-03
(85)【翻訳文提出日】2022-08-17
(86)【国際出願番号】 EP2021055246
(87)【国際公開番号】W WO2021175882
(87)【国際公開日】2021-09-10
(32)【優先日】2020-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518184708
【氏名又は名称】ベーウントエル・インダストリアル・オートメイション・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ハウアー・ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】フリクセーダー・シュテファン
【テーマコード(参考)】
3F021
5H113
5H641
【Fターム(参考)】
3F021AA07
3F021BA02
3F021CA06
5H113CC03
5H113CC04
5H113CD02
5H113CD12
5H113DA06
5H113DB03
5H113DB04
5H113DB13
5H113DB15
5H113GG01
5H113GG10
5H641BB06
5H641BB15
5H641BB16
5H641GG02
5H641GG07
5H641HH03
(57)【要約】
平面モータとしての搬送装置1において、搬送ユニット3iの移動に悪影響を及ぼすことなしに、搬送される物品Oの移動効率を少なくとも一時的に簡単に高めるため、それぞれ少なくとも1つの係合部EAが、少なくとも2つの搬送ユニット3A,3Bに設けられていて、少なくとも2つの搬送ユニット3A,3Bが、搬送面TE内で1つの移動方向BRに前後して1つの係合位置の方向に移動可能であり、複数の搬送ユニット3A,3Bの複数の係合部EAの少なくとも一部が、この係合位置で係合していて、複数の搬送ユニット3A,3Bの移動方向BRの全長寸法LGが、複数の搬送ユニット3A,3Bの移動方向BRの個々の搬送ユニット寸法LTEiの総和よりも小さいように、複数の係合部EAが、係合位置で少なくとも移動方向BRに重なり合っているように形成されていることが、本発明にしたがって提唱されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの搬送面(TE)を形成する少なくとも1つの搬送区間(TSi)と、前記搬送面(TE)内で互いに独立して少なくとも二次元に移動可能である少なくとも2つの搬送ユニット(3A,3B)と、を有する平面モータとしての搬送装置(1)であって、
複数の駆動コイル(6)又は複数の可動永久磁石が、前記搬送区間(TSi)に配置されていて、複数の駆動磁石(4)が、複数の前記搬送ユニット(3A,3B)に配置されているか、又は、複数の駆動コイル(6)又は複数の可動永久磁石が、複数の前記搬送ユニット(3A,3B)に配置されていて、複数の駆動磁石(4)が、前記搬送区間(TSi)に配置されていて、
複数の前記搬送ユニット(3A,3B)を移動させるため、前記複数のコイル(6)又は前記複数の可動永久磁石が、前記複数の駆動磁石(4)と協働する当該搬送装置(1)において、
それぞれ少なくとも1つの係合部(EA)が、前記少なくとも2つの搬送ユニット(3A,3B)に設けられていて、
前記少なくとも2つの搬送ユニット(3A,3B)が、前記搬送面(TE)内で1つの移動方向(BR)に前後して1つの係合位置の方向に移動可能であり、複数の前記搬送ユニット(3A,3B)の複数の前記係合部(EA)の少なくとも一部が、この係合位置で係合していて、
複数の前記搬送ユニット(3A,3B)の移動方向(BR)の全長寸法(LG)が、複数の前記搬送ユニット(3A,3B)の移動方向(BR)の個々の搬送ユニット寸法(LTEi)の総和よりも小さいように、複数の前記係合部(EA)が、前記係合位置で少なくとも移動方向(BR)に重なり合っているように形成されていることを特徴とする搬送装置(1)。
【請求項2】
複数の前記係合部(EA)は、前記係合位置で前記搬送面(TE)に対して垂直にある方向(Z)に重なり合っているように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置(1)。
【請求項3】
複数の前記係合部(EA)は、相補的に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送装置(1)。
【請求項4】
少なくとも2つの係合部(EA)が、前記少なくとも2つの搬送ユニット(3A,3B)のうちの少なくとも1つの搬送ユニットに設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の搬送装置(1)。
【請求項5】
複数の前記係合部(EA)は、それぞれの前記搬送ユニット(3A,3B)の対向し合う側又は互いに隣接する側に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の搬送装置(1)。
【請求項6】
前記少なくとも2つの係合部(EA)は、同一に又は相補的に形成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の搬送装置(1)。
【請求項7】
前記少なくとも2つの搬送ユニット(3A,3B)は、前記搬送面(TE)に面したそれぞれ1つの底面を最小に包囲する矩形面を有する当該底面を備え、
前記少なくとも2つの搬送ユニット(3A,3B)の当該最小包囲矩形の面同士が、前記係合位置で重なり合っていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の搬送装置(1)。
【請求項8】
前記最小包囲矩形の面とそれぞれ1つの搬送ユニット(3A,3B)の底面との比が、最大で2であり、特に最大で1.5であることを特徴とする請求項7に記載の搬送装置(1)。
【請求項9】
前記最小包囲矩形の面とそれぞれ1つの搬送ユニット(3A,3B)の底面との比が、最小で1.1であることを特徴とする請求項7又は8に記載の搬送装置(1)。
【請求項10】
搬送装置(1)の搬送面(TE)内で少なくとも2次元に移動させるための平面モータとしての搬送装置(1)用の搬送ユニット(3A,3B)において、
少なくとも1つの係合部(EA)が、前記搬送ユニット(3A,3B)に設けられていて、1つの前記搬送ユニット(3A,3B)と1つの別の前記搬送ユニット(3A,3B)とが、前記搬送面(TE)内で1つの移動方向(BR)に前後して1つの係合位置の方向に移動される時に、1つの別の前記搬送ユニット(3A,3B)の1つの係合部(EA)の少なくとも一部に係合するように、当該係合部(EA)は形成されていて、
複数の前記搬送ユニット(3A,3B)の移動方向(BR)の全長寸法(LG)が、複数の前記搬送ユニット(3A,3B)の移動方向(BR)の個々の搬送ユニット寸法(LTEi)の総和よりも小さいように、前記搬送ユニット(3A,3B)の前記係合部(EA)が、1つの別の前記搬送ユニット(3A,3B)との係合位置で少なくとも移動方向(BR)に1つの別の前記搬送ユニット(3A,3B)の係合部(EA)と重なり合っているように形成されていることを特徴とする搬送ユニット(3A,3B)。
【請求項11】
前記係合部(EA)は、1つの別の前記搬送ユニット(3A,3B)との係合位置で前記搬送面(TE)に対して垂直にある方向に重なり合っているように形成されていることを特徴とする請求項10に記載の搬送ユニット(3A,3B)。
【請求項12】
少なくとも2つの係合部(EA)が、前記搬送ユニット(3A,3B)に設けられていることを特徴とする請求項10又は11に記載の搬送ユニット(3A,3B)。
【請求項13】
複数の前記係合部(EA)は、前記搬送ユニット(3A,3B)の対向し合う側又は互いに隣接する側に配置されていることを特徴とする請求項12に記載の搬送ユニット(3A,3B)。
【請求項14】
前記少なくとも2つの係合部(EA)は、同一に又は相補的に形成されていることを特徴とする請求項12又は13に記載の搬送ユニット(3A,3B)。
【請求項15】
前記搬送ユニット(3A,3B)は、面した1つの底面を最小に包囲する矩形面を有する当該底面を備え、
前記搬送ユニット(3A,3B)の当該最小包囲矩形の面が、1つの別の搬送ユニット(3A,3B)との係合位置で1つの別の前記搬送ユニット(3A,3B)の前記最小包囲矩形の面と重なり合っていることを特徴とする請求項10~14のいずれか1項に記載の搬送ユニット(3A,3B)。
【請求項16】
前記最小包囲矩形の面とそれぞれ1つの搬送ユニット(3A,3B)の底面との比が、最大で2であり、特に最大で1.5であり、特に最小で1.1であることを特徴とする請求項15に記載の搬送ユニット(3A,3B)。
【請求項17】
1つの搬送面(TE)を形成する少なくとも1つの搬送区間(TSi)と、前記搬送面(TE)内で少なくとも二次元に移動される少なくとも2つの搬送ユニット(3A,3B)と、を有する平面モータとしての搬送装置(1)を稼働させるための方法において、
複数の前記搬送ユニット(3A,3B)の移動方向(BR)の全長寸法(LG)が、複数の前記搬送ユニット(3A,3B)の移動方向(BR)の個々の搬送ユニット寸法(LTEi)の総和よりも小さいように、前記少なくとも2つの搬送ユニット(3A,3B)が、少なくとも移動方向(BR)に重なり合っているように、前記少なくとも2つの搬送ユニット(3A,3B)が、前記搬送面(TE)内で1つの移動方向(BR)に前後して移動されることを特徴とする当該方法。
【請求項18】
複数の前記搬送ユニット(3A,3B)の移動方向(BR)の全長寸法(LG)が、複数の前記搬送ユニット(3A,3B)の移動方向(BR)の個々の搬送ユニット寸法(LTEi)の総和よりも小さいように、連続するそれぞれ2つの搬送ユニット(3A,3B)が、少なくとも移動方向(BR)に重なり合っているように、少なくとも3つの搬送ユニット(3A,3B)が、前記搬送面(TE)内で1つの移動方向(BR)に前後して移動され、
1つの物品(O)が、前記少なくとも3つの搬送ユニット(3A,3B)のそれぞれの搬送ユニット(3A,3B)によって搬送され、
複数の前記物品(O)同士の移動方向(BR)の平均物品間隔(OAM)が、最大で前記少なくとも3つの搬送ユニット(3A,3B)の移動方向(BR)の平均搬送ユニット寸法(LTEi)に一致するように、特に前記平均搬送ユニット寸法(LTEi)の3分の2に一致するように、これらの物品(O)が、複数の前記搬送ユニット(3A,3B)上で位置決めされることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
複数の前記物品(O)が、移動方向(BR)に直線状に並んでいるように、複数の前記搬送ユニット(3A,3B)が互いに対向して位置決めされ、これらの物品(O)が、これらの搬送ユニット(3A,3B)に対して相対的に配置されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも2つの搬送ユニット(3A,3B)が、前記移動方向(BR)に対して直角方向に互いにずれて移動されることを特徴とする請求項17~19のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの搬送面を形成する少なくとも1つの搬送区間と、当該搬送面内で互いに独立して少なくとも二次元に移動可能である少なくとも2つの搬送ユニットと、を有する平面モータとしての搬送装置に関する。この場合、複数の駆動コイル又は複数の可動永久磁石が、当該搬送区間に配置されていて、複数の駆動磁石が、複数の当該搬送ユニットに配置されているか、又は、複数の駆動コイル又は複数の可動永久磁石が、複数の当該搬送ユニットに配置されていて、複数の駆動磁石が、当該搬送区間に配置されている。この場合、複数の当該搬送ユニットを移動させるため、当該複数のコイル又は当該複数の可動永久磁石が、当該複数の駆動磁石と協働する。さらに、本発明は、平面モータとしての搬送装置用の搬送ユニットに関し、当該搬送装置を稼働させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
平面モータは、従来の技術で基本的に公知である。主に、平面モータは、通常は1つ又は複数の搬送区間から構成された1つの搬送面を有する。1つ又は複数の搬送ユニットが、当該搬送面内で少なくとも二次元に移動され得る。当該搬送ユニットに作用する駆動力が、当該搬送区間の磁場と当該搬送ユニットの磁場との協働によって生成される。当該搬送ユニットを特定の移動方向に移動させるため、当該搬送ユニットの移動に追従するように、当該搬送区間の磁場及び/又は当該搬送ユニットの磁場のうちの少なくとも1つの磁場を経時変化させる必要がある。しかしながら、多くの場合、ただ1つの磁場、一般に当該搬送区間の磁場が経時変化し、それぞれの別の磁場、一般に当該搬送ユニットの磁場は通常は一定である。米国特許第9202719号明細書は、例えば基本構造及び当該平面モータの機能を開示する。
【0003】
経時変化する磁場は、搬送ユニットにも搬送区間にも配置され得る、例えばコイル(電磁石)又は(例えば回転する)可動永久磁石によって生成され得る。当該コイルは、多くの場合に駆動コイルと呼ばれる。経時変化しない磁場、すなわち一定の磁場は、一般に永久磁石によって生成される。多くの場合、これらの構成要素は、駆動磁石と呼ばれる。これらの構成要素も、平面モータの実施の形態に応じて搬送ユニットにも搬送区間にも配置され得る。より簡単な制御によれば、多くの場合、駆動コイルは、平面モータの搬送区間に配置されていて、駆動磁石は、搬送ユニットに配置されている。
【0004】
可動磁場を望ましい移動方向に生成するため、一般に、駆動コイルは、制御装置によって制御される。複数の駆動磁石が、搬送ユニットに少なくとも二次元に分散して配置されている。予め設定されている力及びモーメントが、当該搬送ユニットの複数の移動自由度(最大で、3つの並進移動自由度及び3つの回転移動自由度)の方向に当該搬送ユニットに任意に印加され得るように、これらの駆動磁石は、当該稼働磁場と協働する。当該搬送ユニットをこれらの移動自由度のうちの1つの移動自由度の方向に移動させる力及びモーメントは、一般に駆動力と呼ばれる。当該搬送区間から当該搬送ユニットに印加され、実際の移動状態を保持する力及びモーメントは、一般に浮力と呼ばれる。当該浮力によって、例えば、空隙が、当該搬送ユニットと当該搬送区間との間に保持され得て、及び/又は、プロセス力又はプロセスモーメント(Prozesskraefte bzw.-momente)が相殺され得る。水平方向に設定されていない搬送面の場合でも、例えば、当該搬送ユニットの位置が、適切な浮力によって一定に保持され得る。
【0005】
平面モータに固有の搬送ユニットの二次元の移動を可能にするためには、当該搬送区間の磁場と当該搬送ユニットの磁場との二次元の協働を必要とする。当該2つの磁場のうちの1つの磁場を少なくとも二次元に経時変化させる必要があるか、又は当該2つの磁場を少なくとも一次元に経時変化させる必要がある。この場合、搬送面によって生成された複数の軸に沿った一次元の移動に加えて、搬送ユニットのより複雑な二次元の移動も、当該搬送面で可能であるように、複数の駆動コイルと複数の駆動磁石とが有益に配置されている。搬送ユニットが、当該駆動力及び浮力によって全ての6つの自由度の方向に誘導され移動され得るように、これらの駆動コイルとこれらの駆動磁石とが有益に配置されている場合に、機械式の誘導が排除され得る。この場合、ベアリングレス平面モータが多くの場合に使用される。
【0006】
平面モータが、例えば搬送装置として製造工程で使用され得る。この場合、非常に適応性のある搬送工程が、複雑な移動軌跡によって実現され得る。欧州特許第3172156号明細書及び欧州特許第3172134号明細書には、例えば、搬送装置としての平面モータのこのような使用が示されている。国際特許出願公開第2018/176137号明細書は、複数の搬送ユニットが比較的複雑な構造によって互いに固定接続されている搬送装置を平面モータとして開示する。当該機械的構造は、一種の操作装置として使用される。これらの搬送ユニットを相対移動させることによって、当該操作装置は、例えば垂直方向の上昇移動を実行するために操作される。互いに接続されている当該複数の搬送ユニットの相対移動は、当該機械結合によって制限されている。その結果、これらの搬送ユニットは、もはや別々に移動され得ない。
【0007】
従来から公知の平面モータの場合、全ての6つの移動自由度で移動され得る(3つの空間軸方向の並進及び3つの空間軸を中心とした回転)。この場合、通常は、ほぼ制限されない移動を可能にする2つの自由度(搬送面内の並進)が、主な移動ルートとして使用される。残りの4つの移動ルートは、専ら限定的に(特定の変位範囲まで)可能である。従来の平面モータの場合、当該2つの主な移動ルートは、同一に制御される。何故なら、当該2つの主な移動ルート内での搬送ユニットの移動は、同等に重要であるとみなされるからである。この事情は、当該搬送ユニットの構成に反映されている。それ故に、公知の平面モータは、大抵は同じ大きさの複数の往復搬送ユニットを使用し、これらの往復搬送装置の底面が、正方形又は長方形である。この場合、当該移動時に外乱となる動的外力又はモーメントを当該搬送ユニットに可能な限り及ぼさないように、搬送される物品が、特に当該搬送ユニットの幾何重心に又はその近くに配置される。
【0008】
しかし、製造工程中に物品を搬送する場合、一般に、予め設定されているメインプロセスフロールートが存在する。搬送される物品が、当該メインプロセスフロールートに移動される。例えば、物品が、複数の作業ステーション間で移動される。当該作業ステーション内では、所定の工程ステップが、当該搬送された物品に対して実行される。それ故に、多くの場合、このメインプロセスフロールートは、上位のプロセスフロールートとみなされる。さらに、下位のサブプロセスフロールートが敷設されてもよい。例えば、当該メインプロセスフロールートから、例えば当該メインプロセスフロールートに対して直角方向に、作業ステーション内の物品が移動されるか、又は、欠陥のある物品が排除される。
【0009】
製造工程中に物品を搬送する場合、一般に、搬送される複数の物品に対する可能な限り高い搬送効率が、当該メインプロセスフロールートの少なくとも一部で達成され得ることが望ましい。当該高い効率は、(所定の工程ステップ中に、例えば作業ステーションやより遅い速度で搬送される区間で)専ら一時的に要求されてもよい。それ故に、当該搬送工程の搬送効率を高めるためには、当該プロセスフロールートにある搬送される2つの物品間の間隔を可能な限り短くすることが望ましい。しかし、従来の搬送ユニットの正方形の構成では、当該間隔は制限される。何故なら、複数の搬送ユニットが互いに直接に隣接しているときに、(配列された)2つの物品(のそれぞれの中心点)間の最小間隔が、当該1つの正方形の搬送ユニットの側面の長さにほぼ一致するからである。
【0010】
確かに、移動方向に見て直角方向よりも短い長さを有する長方形の底面を有する搬送ユニットによって、物品同士の間隔は、正方形の搬送ユニット同士に比べて低減され得る。しかしながら、この場合、当該物品同士の間隔の低減は制限される。何故なら、当該搬送ユニットは、特定の最小長さを下回ることができないか又は下回ってはならないからである。その理由は、特に(例えば、移動方向の大きい加速度又は減速度を伴う)動的な移動進行時に、垂直方向の(特に、当該搬送ユニットによって搬送される物品を含む)当該搬送ユニットの重心の高い重心距離に起因して、当該搬送ユニットによって吸収されなければならない比較的大きいピッチングモーメントが発生することである。それ故に、当該搬送ユニットの傾きを回避するため、当該ピッチングモーメントに適切に対抗するカウンターモーメントが、平面モータによって生成される必要がある。それ故に、このカウンターモーメントを生成するため、当該重心から移動方向の特定のレバレッジ間隔(Hebelabstand)が必要である。それ故に、特定の最小長さが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第9202719号明細書
【特許文献2】欧州特許第3172156号明細書
【特許文献3】欧州特許第3172134号明細書
【特許文献4】国際特許出願公開第2018/176137号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Jansen, J. W., 2007. Magnetically levitated planar actuator with moving magnets. In: electromechanical ANALYSIS and Design Eindhoven: Technische Universiteit Eindhoven DOI: 10.6100/IR630846
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
それ故に、本発明の課題は、平面モータとしての搬送装置において、搬送ユニットの移動に悪影響を及ぼすことなしに、搬送される物品の移動効率を少なくとも一時的に簡単に高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、この課題は、それぞれ少なくとも1つの係合部が当該少なくとも2つの搬送ユニットに設けられていて、当該少なくとも2つの搬送ユニットが当該搬送面内で1つの移動方向に前後して1つの係合位置の方向に移動可能であり、複数の当該搬送ユニットの複数の当該係合部の少なくとも一部がこの係合位置で係合していて、複数の当該搬送ユニットの移動方向の全長寸法が複数の当該搬送ユニットの移動方向の個々の搬送ユニット寸法の総和よりも小さいように、複数の当該係合部が当該係合位置で少なくとも移動方向に重なり合っているように形成されていることによって解決される。これにより、これらの搬送ユニット同士が、ほぼ全体的に相互に係合して移動され得る。その結果、従来から公知の搬送ユニットと同じ寸法の場合に、これらの搬送ユニットで搬送される2つの物品同士の間隔が低減され得る。これにより、特に、複数の係合部を有する複数の搬送ユニットを1つの係合位置で使用する場合、当該搬送効率が、従来の搬送ユニットに比べて少なくとも一時的に向上され得る。
【0015】
複数の当該係合部は、当該係合位置で当該搬送面に対して垂直にある方向に重なり合っているように形成され得る。これにより、例えば、長方形の底面を有する複数の搬送ユニットが使用されてもよい。これらの搬送ユニットの複数の係合部の一部同士が重なり合っている。
【0016】
特に、複数の当該係合部は、相補的に形成されている。これにより、形同士が補完し合って、これらの搬送ユニットが、その係合位置で非常に接近して隣接し得て、ほぼ一体的に位置決めされ得る。
【0017】
特に、少なくとも2つの係合部が、当該少なくとも2つの搬送ユニットのうちの少なくとも1つの搬送ユニットに設けられている。この場合、特に、複数の当該係合部は、それぞれの当該搬送ユニットの対向し合う側又は互いに隣接する側に配置されている。この場合、当該少なくとも2つの係合部は、同一に又は相補的に形成され得る。これにより、複数の搬送ユニットが、前後して1つの係合位置に移動され得るので、適応性が向上され得る。同一に構成された複数の搬送ユニットを前後して1つの係合位置に移動させるためには、複数の係合部が、対向し合う側にあると有益である。
【0018】
特に、当該少なくとも2つの搬送ユニットは、当該搬送面に面したそれぞれ1つの底面を最小に包囲する矩形面を有する当該底面を備える。この場合、当該少なくとも2つの搬送ユニットの当該最小包囲矩形の面が、当該係合位置で重なり合っている。特に、当該最小包囲矩形の面とそれぞれ1つの搬送ユニットの底面との比が、最大で2であり、特に最大で1.5であり、特に最小で1.1である。これにより、十分に大きい面積が、複数の駆動磁石を配置するために確保され、それにもかかわらず十分に大きい係合部が形成され得ることが保証され得る。
【0019】
さらに、搬送ユニットによれば、当該課題は、少なくとも1つの係合部が当該搬送ユニットに設けられていて、1つの当該搬送ユニットと1つの別の当該搬送ユニットとが当該搬送面内で1つの移動方向に前後して1つの係合位置の方向に移動される時に、1つの別の当該搬送ユニットの1つの係合部の少なくとも一部に係合するように、当該係合部が形成されていて、複数の当該搬送ユニットの移動方向の全長寸法が複数の当該搬送ユニットの移動方向の個々の搬送ユニット寸法の総和よりも小さいように、当該搬送ユニットの当該係合部が1つの別の当該搬送ユニットとの係合位置で少なくとも移動方向に1つの別の当該搬送ユニットの係合部と重なり合っているように形成されていることによって解決される。
【0020】
さらに、方法によれば、当該課題は、複数の当該搬送ユニットの移動方向の全長寸法が複数の当該搬送ユニットの移動方向の個々の搬送ユニット寸法の総和よりも小さいように、当該少なくとも2つの搬送ユニットが少なくとも移動方向に重なり合っているように、当該少なくとも2つの搬送ユニットが当該搬送面内で1つの移動方向に前後して移動されることによって解決される。この方法によれば、複数の物品の搬送効率を少なくとも一時的に向上させるため、従来の正方形の底面を有する従来の搬送ユニットも、搬送面内で有益に移動され得る。
【0021】
好ましくは、複数の当該搬送ユニットの移動方向の全長寸法が、複数の当該搬送ユニットの移動方向の個々の搬送ユニット寸法の総和よりも小さいように、連続するそれぞれ2つの搬送ユニットが、少なくとも移動方向に重なり合っているように、少なくとも3つの搬送ユニットが、当該搬送面内で1つの移動方向に前後して移動され、1つの物品が、当該少なくとも3つの搬送ユニットのそれぞれの搬送ユニットによって搬送され、複数の当該物品同士の移動方向の平均物品間隔が、最大で当該少なくとも3つの搬送ユニットの移動方向の平均搬送ユニット寸法に一致するように、特に当該平均搬送ユニット寸法の3分の2に一致するように、これらの物品が、複数の当該搬送ユニット上で位置決めされる。これにより、従来の正方形又は長方形の底面を有する複数の搬送ユニットの場合でも、これらの物品が、これらの搬送ユニットの中心以外の地点に設置されることによって、搬送効率が向上され得る。
【0022】
特に、複数の当該物品が、移動方向に直線状に並んでいるように、複数の当該搬送ユニットが互いに対向して位置決めされ、これらの物品が、これらの搬送ユニットに対して相対的に配置される。当該構成は、例えば、一定の間隔をこれらの物品と1つの作業ステーションとの間に確保するのに有益であり得る。以下に、本発明を、本発明の好適な実施の形態を例示的に且つ概略的に且つ限定しないで示す
図1~6を参照して詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2a】係合位置で異なる係合部を有する一対の搬送ユニットの正面図である。
【
図2b】係合位置で異なる係合部を有する一対の搬送ユニットの正面図である。
【
図2c】係合位置で異なる係合部を有する一対の搬送ユニットの正面図である。
【
図2d】係合位置で異なる係合部を有する一対の搬送ユニットの正面図である。
【
図2e】係合位置で異なる係合部を有する一対の搬送ユニットの正面図である。
【
図2f】係合位置で異なる係合部を有する一対の搬送ユニットの正面図である。
【
図2g】係合位置で異なる係合部を有する一対の搬送ユニットの正面図である。
【
図3a】異なる2つの係合位置にある3つの搬送ユニットの正面図である。
【
図3b】異なる2つの係合位置にある3つの搬送ユニットの正面図である。
【
図3c】1つの係合位置にある2つの搬送ユニットの側面図である。
【
図4】搬送工程を実行するための搬送装置の正面図である。
【
図5】本発明の方法を示すための搬送装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1aは、本発明による搬送装置1の代表的な構成の正面図である。
図1bは、搬送装置1の側面図である。搬送面TEを形成する固定子2が、搬送装置1内に設けられている。図示された例では、搬送面TEは、垂直軸Zと長手軸Xと横軸Yとを有する水平面である。しかし、当然に、例えば直角又は所定の角度を成して傾いている別の配置も可能である。当該構成は、主に、搬送装置1の望ましい用途に依存する。ここでは、固定子2は、互いに隣接する複数のi個の搬送区間TSiから構成されている。これにより、1つの固定子2が、モジュール式に構成され得て、様々な大きさの面積を有する搬送面TEiが実現され得る。当然に、このモジュール式の構造はオプションに過ぎず、1つの固定子2が、ただ1つの構成要素だけによって構成されてもよい。固定子2の搬送面TE内では、1つ又は複数の(以下では、共通して3を付記された)搬送ユニットが、互いに独立して少なくとも二次元で移動され得る。図示された例では、搬送ユニット3A,3Bが、互いに独立して少なくとも二次元で移動され得る。例えば、長手軸X又は横軸Yに沿った1つの軸方向だけの移動が可能であるか、又は、搬送ユニット3Bの移動軌跡BPによって示されているように、Y軸とX軸とによる二次元の移動軌跡も可能である。搬送装置1の適切な構成の場合、その他の4つの移動自由度、すなわち並進自由度と、方向Zに対する回転自由又は垂直軸Zを中心とした回転自由度と、X軸を中心とした特定の回転自由度と、Y軸を中心とした特定の回転自由度とが、少なくとも限定的に利用されてもよい。
【0025】
1つ(又は複数の)平面モータ制御装置5(ハードウェア及び/又はソフトウェア)によって制御される複数の駆動コイル6が、複数の搬送区間TSiに設けられている。例えば、巻き付けられた複数のワイヤコイル、又はプリント基板上に配置されたいわゆるPCBコイル(PCB=printed circuit board)が、複数の駆動コイル6として使用される。磁場を発生させるため、電流が、駆動コイル6に通電され得る。このために場合によっては必要なパワーエレクトロニクス機器が、平面モータ制御装置5又は固定子2(例えば、搬送区間TSi)に配置され得る。並設された複数の駆動コイル6を適切に制御することによって、可動の主磁場が生成され得る。搬送ユニット3の適切な移動軌跡を実現するため、当該磁場が、搬送面TE内で任意の方向に及ぶように、これらの駆動コイル6は、好ましくは固定子2に配置されている。搬送面TEは、数学的な意味での平面であると解するのではなくて、搬送ユニット3が移動できる、固定子2によって限定された平坦な搬送面とみなされ得る。これらの駆動コイル6は、固定子2の平面内に、例えばそれぞれ90°だけずれた複数のコイル群状に(
図2参照)、又はフィッシュボーン状に(例えば、Jansen, J. W., 2007. Magnetically levitated planar actuator with moving magnets. In: electromechanical ANALYSIS and Design Eindhoven: Technische Universiteit Eindhoven DOI: 10.6100/IR630846参照)配置され得る。しかし、以下で説明するように、これらの駆動コイル6は、重なり合っている複数の平面内に配置されてもよい。しかし、これらの駆動コイル6の代わりに、公知の方法で、(図示されていない)複数の可動永久磁石が、1つ/複数の搬送区間TSiに設けられてもよい。経時変化する(可動の)磁場を生成するため、これらの永久磁石が、公知の方法で移動されるように、これらの永久磁石が、制御装置5によって制御され得る。ここでは、詳細な説明は省略する。
【0026】
駆動力を搬送ユニット3に及ぼすため、これらの駆動コイル6と協働する複数の駆動磁石、例えば複数の永久磁石が、それぞれの搬送ユニット3上に配置されている。したがって、搬送ユニット3を移動させるため、これらの駆動磁石4と協働する可動の磁場が、これらの駆動コイル6の制御に応じて生成される。稼働中に、空隙が、平面モータ2のこれらの駆動コイル6と搬送ユニット3のこれらの駆動磁石4との間に設けられている。搬送面TE内の二次元の移動に加えて、搬送ユニット3の垂直方向、すなわち搬送面TEに対して垂直方向、ここではZ方向の特定の移動も可能である。したがって、これらの駆動コイル6は、Z方向の(浮)力をももたらす。当該空隙が、これらの駆動コイル6を適切に制御することによって限定的に上昇し得て且つ降下し得る。これにより、搬送ユニット3が、垂直方向に移動され得る。この場合、垂直方向の達成可能な移動ルートは、搬送装置1の構造に依存し、特にこれらの駆動コイル6とこれらの駆動磁石4との生成可能な最大磁場に依存し、且つ当該搬送ユニットの重量及び荷重(例えば、搬送される物体の重量)に依存する。搬送装置1の大きさ及び寸法に応じて、垂直方向の達成可能な移動ルートは、例えば数ミリ~数センチメートルになり得る。Z軸を中心とした搬送ユニット3A,3Bの回転移動も可能であり、Y軸を中心とした回転移動及びX軸を中心とした回転移動も限定的に可能である。
【0027】
図1a及び
図1bに示された例では、複数の駆動コイル6が、Z方向に2つの層状に重なり合って配置されている。第1層では、複数の駆動コイル6yが、搬送ユニット3に対してY方向とZ方向とに力を発生するために使用され得るように、これらの駆動コイル6yは配向されている。第2層では、複数の駆動コイル6xが、搬送ユニット3に対してX方向とZ方向とに力を発生するために使用され得るように、これらの駆動コイル6xは配向されている。可能な限り大きい移動ルートを形成するため、両層は、搬送面TEの全域にわたってほぼ完全に延在する。図示された例では、
図1bにおいて明らかであるように、Z方向において、複数の駆動コイル6yを有する当該第1層が、複数の駆動コイル6xを有する当該第2層よりも、搬送ユニット3の表面の近くに存在し、したがって搬送ユニット3の近くに存在する。当然に、当該例は、例示にすぎず、当該配置は逆にされてもよい。これらの駆動コイル6xとこれらの駆動コイル6yとは、互いに直交に整列されなくてもよい。複数の駆動コイル6から成る1つの層又は別の複数の層がさらに設けられてもよい。さらに、1つの層の複数の駆動コイル6が、隣接した層内の複数の駆動コイル6に対して任意の角度を成して配置されてもよい。しかしながら、これらの駆動コイル6の全体は、X方向とY方向との双方の移動を可能にする。搬送ユニット3と搬送区間TSiとの間の永久磁石の引力を減少又は回避するため、これらの駆動コイル6は、特に鉄芯なしのいわゆる空芯コイルとして構成されている。これにより、搬送ユニット3が、駆動磁石4によって搬送面TEの方向に強く引き付けられない。
【0028】
図示された例では、搬送ユニット3の外部装着は省略され得る。搬送ユニット3は、搬送ユニット3の駆動磁石4と搬送区間TSiの駆動コイル6とから発生したZ方向に作用する磁力(浮力)だけによって浮上する。しかし、駆動コイル6と搬送磁石4との間の望ましい空隙は、必ずしも専ら磁気式に生成され又は保持される必要はなくて、搬送ユニット3が、任意の別の方法で支持されてもよい。このため、例えば、任意の適切な機構、例えば機械機構、電磁機構、空気圧機構等が協働してもよい。図示された例では、平面モータ制御装置5が設けられている。固定子2の駆動コイル6が、平面モータ制御装置5によって制御され得る。例えば、複数の搬送装置1を一緒に制御し、同期させるため、平面モータ制御装置5は、例えば(図示されていない)上位制御装置に接続されてもよい。しかし、当然に、平面モータ制御装置5は、上位制御装置に組み込まれてもよい。それぞれ1つの区間制御装置(ハードウェア及び/又はソフトウェア)が、それぞれの搬送区間TSiごとに、又は複数の搬送区間TSiから成る群ごとに設けられていることも提唱され得る。当該区間制御装置は、平面モータ制御装置5又は当該上位制御装置内に組み込まれてもよく、又は独立した装置として構成されてもよい。平面モータ制御装置5及び/又は当該上位制御装置は、例えば図示されていないユーザインターフェース、例えば搬送ユニット1を制御できるコンピュータに接続され得る。例えば搬送ユニット3同士の衝突を回避するため、又はこれらの搬送ユニット3によって搬送される物品同士の衝突を回避するため、複数の搬送ユニット3の複数の移動軌跡が、平面モータ制御装置5及び/又は当該上位制御装置によって互いに同期され得るか又は相互に調整され得る。搬送ユニット3の望ましい移動プロファイルを実現する制御プログラムが、平面モータ制御装置5上で実行される。しかし、平面モータの構造及び機能は基本的に公知である。それ故に、ここでは、詳細に説明しない。ここで留意すべきは、上記の構成は例示に過ぎず、当然に、逆に構成されてもよい点である。すなわち、駆動コイル6又は可動永久磁石が、搬送ユニット3に配置され、駆動磁石4が、固定子2に配置されてもよい。この場合、エネルギー供給源が、駆動コイル6又は当該可動永久磁石を制御するために搬送ユニット3に設けられる。しかし、この場合、基本的な機能は全く変わっていない。
【0029】
搬送ユニット3は、特定の底面を有する基体9を備える。複数の駆動磁石4が、搬送面TEの稼働中に面している下面に公知の方法で配置されている。例えば搬送すべき物品Oが、基体9の対向する表面上に配置され得る。基本的に、複数の駆動磁石4の配列は、公知の一次元配列と二次元配列とに区分されている。一次元配列の場合、複数の駆動磁石4が、搬送区間TSiにある複数の駆動コイル6と同様に複数の磁石群に分割されている。所定数の矩形状の駆動磁石4が、それぞれの磁石群ごとに設けられている。この場合、これらの駆動磁石4は並設されていて、異なる磁極又は磁化方向の複数の駆動磁石4が、交互に並設されている。1つの磁石群複数の複数の駆動磁石4は、その他のそれぞれの磁石群の複数の駆動磁石4とは幾何学的に異なって配向されている。
【0030】
公知のハルバッハ配列も有益であることが実証されている。当該ハルバッハ配列の場合、隣接する複数の駆動磁石4の磁化方向が、90°ずつ互いに回転されている。しかし、一般に、1つの磁石群ごとに隣接する複数の駆動磁石4の磁化方向は、他のある角度だけ、例えば45°だけ互いに回転されてもよい。当該ハルバック配列には、この磁石群の片面側(特に、搬送面TEに面する面側)の磁束が、対向する面側の磁束よりも大きいという利点がある。1つの磁石群における個々の駆動磁石4の磁石の幅及び磁石の高さが適切に配置される場合に、例えば、この磁石群の最も外側のそれぞれの駆動磁石4が、この磁石群の当該最も外側のそれぞれの駆動磁石4の間にある駆動磁石4よりも短い磁石幅、特にその半分の磁石幅を有する場合に、特に好適な正弦波状の磁場が、この磁石群で形成され得る。
【0031】
特に、隣接する複数の磁石群同士の複数の駆動磁石4が、90°の角度を成している。一方向に配向された複数の磁石群がそれぞれ、
図1a及び
図1bによる構成の複数の駆動コイル6yと協働することによって、これらの磁石群は、例えば、搬送ユニット3をY方向に移動させることを可能にする。同様に、別の方向に配向された複数の磁石群がそれぞれ、搬送ユニット3をX方向に移動させることを可能にする。このため、これらの磁石群は、
図1a及び1bによる構成の複数の駆動コイル6xと協働できる。搬送ユニット3が、90°だけ回転されると、これらの磁石群は、別のそれぞれのコイル群の複数の駆動コイルと協働する。
【0032】
上記の二次元配列の場合、
図1a中の搬送ユニット3Bにハッチングによって示されているように、異なる極性又は磁化方向の個々の駆動磁石4が、市松模様状に配置されている。これにより、搬送ユニット3の適応性のある底面が実現され得る。何故なら、当該二次元配列の複数の駆動磁石4が、非常に柔軟に区分けされ得るからである。しかし、当然に、図示された一次元配列及び二次元配列は、単なる例示と解すべきであって、当該一次元配列及び二次元配列には、多数の異なる可能性が提供できることは明らかである。しかし、本発明にとって、当該駆動磁石の具体的な構成は、重要な役割を果たさない。それ故に、以下では、より詳しい説明を省略する。
【0033】
本発明によれば、少なくとも2つの搬送ユニット3A,3Bが、搬送装置1内に設けられている。この場合、それぞれ少なくとも1つの係合部EAが、搬送ユニット3A,3Bに設けられている。しかし、当然に、さらに別の(図示されていない)搬送ユニット3iが設けられてもよい。同様に、少なくとも1つの係合部EAが、当該搬送ユニット3iに設けられている。当然に、任意に異ならせて構成された搬送ユニット3iが、搬送装置1内にさらに設けられてもよい。当該少なくとも2つの搬送ユニット3A,3Bは、搬送面TE内で移動方向BRに前後して係合位置に移動され得て、これらの搬送ユニット3A,Bの係合部EAの少なくとも一部が、その係合位置で係合する。当該係合位置は、
図1aの上方の範囲内に示されている。この場合、共通の移動方向BRはX方向である。しかし、搬送ユニット3A,3Bは、搬送面TE内で少なくとも二次元の移動が可能であるので、当然に、搬送面TE内でのそれぞれ別の移動方向BRも可能である。
【0034】
搬送ユニット3A,3Bの移動方向BRの全長寸法LGが、これらの搬送ユニット3A,3Bの移動方向BRの個々の搬送ユニット寸法LTEA,LTEBの総和よりも小さいように、係合部EA同士が、当該係合位置で少なくとも移動方向BRに重なり合うように、これらの係合部EAは構成されている。この場合、当該搬送ユニット寸法は、1つの搬送ユニットの移動方向BRの全長であると解することができる。特に、1つの搬送ユニット3Aの少なくとも1つの係合部EAが、それぞれ別の搬送ユニット3Bの少なくとも1つの係合部EAに対して相補に形成されている。図示された例では、搬送ユニット3Aの右の係合部EAが、右の搬送ユニット3Bの左の係合部EAに対して相補に形成されている。この場合、相補は、係合部EA同士が左右反転に形成されていることであると解することができる。したがって、これらの係合部EAのほぼ全体が、例えば凹形/凸形に相補され、又は図示されているように、矢印形の突出部及び矢印形の窪み部として相補される。以下に、他のバリエーションを
図2a-2gに基づいてさらに詳しく説明する。これにより、隙間が、搬送ユニット3Aと搬送ユニット3Bとの間に存在することなしに、これらの搬送ユニット3A,3Bは、当該係合位置で互いに非常に近接して移動され得る。これにより、これらの搬送ユニット3A,3Bのほぼ全体同士が係合して移動され得る。
【0035】
当然に、当該図中の構成は、本発明の原理を説明するための例示に過ぎないと解すべきである。特に、
図1aに破線で示されているように、当然に、2つよりも多い搬送ユニット3A,3B,…3iが、同様に前後して移動される。これにより、搬送される物品の移動方向BRの搬送効率が、正方形の底面と同じ搬送ユニット寸法とを有する従来の搬送ユニットに比べて向上され得る。何故なら、移動方向BRに搬送されるこれらの物品同士の平均間隔(平均物品間隔)が減少するからである。当該平均物品間隔OAMは、
【0036】
【0037】
ここで、OAiは、前後して配置されたそれぞれ2つの搬送ユニット3の複数の物体O間の複数の物体間隔であり、nは、係合位置にある複数の搬送ユニット3の数である。
【0038】
図1aに示された例では、搬送ユニット3Aの側面と搬送ユニット3Bの側面とが揃うように、これらの搬送ユニット3A,3Bが、移動方向BRに部分的に重なり合っていて、且つ移動方向BRに対して垂直方向(ここでは、y方向)に完全に重なり合っている。しかし、当然に、別の種類の重なり合いも可能である。例えば、
図3cに示されているように、複数の相補的な係合部EAが、係合位置で移動方向BRだけで重なり合っているのではなくて、搬送面に対して垂直にある方向、ここではZ方向にも重なり合っているように、これらの相補的な係合部EAが形成されてもよい。代わりに又はさらに、例えば、複数の相補的な係合部EAが、
図3a及び
図3bに示されているように形成されている場合は、ずれた係合位置も可能である。
【0039】
例えば
図2gに示されているように、それぞれただ1つの係合部EAが、搬送ユニット3A,3Bに設けられ得るが、特に、複数の係合部EAが、1つの搬送ユニット3A,3Bに設けられてもよい。
図1a及び
図2a-2fに示されているように、例えば2つの係合部EAが、それぞれの係合部3A,3Bの対向する側面に設けられてもよい。当該構成は、例えば
図4に示されているように、複数の搬送ユニットを移動方向BRに前後して係合位置に移動させるために有益である。複数の係合部EAが、1つの搬送ユニット3Aに配置されている場合、例えば
図1aに示されているように、この搬送ユニット3Aは、特に相補的に形成されている。これにより、複数の同一の搬送ユニット3A,3Bが使用され得る。複数の係合部EAが、1つの搬送ユニット3A,3Bに設けられている場合、例えば、
図2eに示された十字状の底面を有する搬送ユニット3A,3Bの場合のように、これらの係合部EAは、それぞれの搬送ユニット3A,3Bの互いに隣接する側面に、例えば垂直軸を中心にして互いに90°だけずらして配置されてもよい。これらの搬送ユニット3A,3Bの十字状の底面に起因して、これらの搬送ユニット3A,3Bは、全ての4つの側面にそれぞれ1つの係合部EAを有する。
【0040】
しかし、1つの搬送ユニットの複数の係合部EAが、1つの別の搬送ユニットの少なくとも1つの係合部EAに対して同様に、特に相補的に形成されてもよい。例えば、(
図1a中のそれぞれの搬送ユニット3A,3Bの右側と同様に)2つの矢印形の窪み部が、1つの搬送ユニット3Aの移動方向BRに対向する側面に配置され得て、これに応じて、
図1a中のそれぞれの搬送ユニット3A,3Bの左側と同様に)2つの矢印形の突出部が、1つの搬送ユニット3Bの移動方向BRに対向する側面に配置され得る。この場合、これらの搬送ユニット3A,3Bは、上記と同様に係合位置に移動され得るが、この場合には、これらの搬送ユニット3A,3Bは、同一に形成されていない。同様に、当該事項は、任意に異なって形成された係合部EAの場合にも成立し得る。本発明の範囲内では、同様な係合部EAは、同じ又は異なる大きさである、同様な形状を有する係合部EAであると解することができる。例えば、異なる大きさの2つの矢印形の突出部が、1つの搬送ユニット3に配置され得る。したがって、これらの突出部は、同様なものである。これらの矢印形の突出部が、さらに同じ大きさを有する場合は、これらの矢印形の突出部は、同様なものであるだけではなくて、同一なものである。当然に、当該事項は、係合部EAの全ての別の実施の形態に対しても成立する。
【0041】
図2a-2gには、異なる係合部EAを有する搬送ユニット3A,3Bの様々な実施の形態が、それぞれ正面図で例示されている。移動方向BRは、それぞれX軸の方向に延存する。
図2aに搬送ユニット3Aのハッチングされた面によって例示されているように、これらの搬送ユニット3A,3Bは、搬送面TEに面したそれぞれ1つの底面を有する。それぞれの搬送ユニット3A,3Bの底面は、最小包囲矩形によって範囲を限定され得る。当該最小包囲矩形は、搬送ユニット3A,3Bの底面を包囲する可能な限り小さい軸平行矩形を示す。
図2aには、2つの搬送ユニット3A,3Bの当該最小包囲矩形が、X方向に長さLMURA,LMURBをそれぞれ有し、Y方向に幅BMURA,BMURBをそれぞれ有する。
図2aにクロスハッチングによって示されているように、例外なく、2つの搬送ユニット3A,3Bの最小包囲矩形が、2つの搬送ユニットの係合位置で重なり合っている。当該底面及び当該最小包囲矩形の面は、
図2aだけで詳しく示されている。当該事項は、
図2b-2g中の別の実施の形態に対しても同様に成立する。これらの図では、当該最小包囲矩形の面は、破線又は一点鎖線だけで示されている。特に、当該最小包囲矩形(LMURAxBMUR)と1つの搬送ユニット3A,3Bの底面との比は、最大で2であり、特に最大で1.5である。これにより、十分に大きい駆動力及び浮力を発生させることをできるようにするため、複数の駆動磁石4を配置するために確保可能な面が十分に大きいことが保証される。さらに、十分に大きい係合部EAを形成できるようにするため、当該最小包囲矩形の面と1つの搬送ユニット3A,3Bの底面との比は、特に少なくとも1.1であり、特に好ましくは1.2である。
【0042】
図2a-d及び
図2f-gによる実施の形態の場合、側面が揃うように、搬送ユニット3Aの相補的な係合部EAと搬送ユニット3Bの相補的な係合部EAとが、移動方向BRに部分的に重なり合っていて、搬送ユニット3Aと搬送ユニット3Bとが、移動方向BRに対して垂直方向に、ここではY方向に完全に重なり合っている。
図2eの例では、これらの搬送ユニット3A,3Bはそれぞれ、ほぼ十字状の1つの底面を有する。これにより、例えば
図3a及び
図3bに示されているように、1つの係合位置が可能であるだけではなくて、複数の異なる係合位置が実現可能である。この場合、複数の係合部EAが、(X方向に相当する)移動方向BRに部分的に重なり合っていて、さらに、複数の搬送ユニット3A,3Bが、移動方向BRに対して垂直方向に、ここではY方向に部分的に重なり合っている。その他の実施の形態とは違って、ここでは、これらの搬送ユニット3A,3Bは、Y方向に専ら部分的に、すなわち互いにずれて重なり合っている。
【0043】
図2fによる実施の形態では、複数の相補的な係合部EAは、ほぼ凹形/凸形に形成されていて、係合位置では、特定の遊びSが、移動方向BRに対して直角方向にこれらの係合部EA間に設けられている。これにより、これらの搬送ユニット3A,3Bが、当該係合位置で一緒に移動される時でも、これらの搬送ユニット3A,3B間の特定の相対移動が可能である。これにより、例えば蛇行状の移動パターンが実行され得る。一般には、係合位置に存在する2つの搬送ユニット3iが接触する必要はなくて、移動方向の全長寸法が、当該移動方向の個々の搬送ユニット寸法の総和よりも小さいという条件が満たされているように、これらの搬送ユニット3iが十分に近接しているだけで十分である。
【0044】
図3a及び
図3bには、2つの異なる係合位置にあるそれぞれ3つの搬送ユニット3A,3B,3Cが示されている。
図3aでは、移動方向BRが、X方向とY方向とに対して傾斜して延在する。
図3bでは、当該移動方向は、X方向に延在する。これらの2つの図の場合には、移動方向の全ての搬送ユニット3A,3B,3Cの全長寸法が、これらの搬送ユニット3A,3B,3Cのそれぞれの搬送ユニット寸法LTEA,LTEB,LTECの総和よりも小さいように、それぞれ2つの搬送ユニット3A+3B,3B+3Cの複数の相補的な係合部EAが重なり合っている。
図3cには、2つの搬送ユニット3A,3Bの複数の相補的な係合部EAのバリエーションが例示されている。これらの相補的な係合部EAは、移動方向BRだけで重なり合っているのではなくて、搬送面TEに対して垂直にある垂直方向、ここではZ方向にも重なり合っている。これにより、例えば長方形又は正方形の底面がさらに実現され得る。当然に、ほぼ全体での3次元の重なり合いが、互いに直交する3つの方向で得られるように、例えば、
図2a-2eに示された相補的な係合部EAの実施の形態が、垂直方向にさらに重ね合わせられていることによって、様々なバリエーションが組み合わせられ得る。
【0045】
図3bによる例では、係合位置にある搬送ユニット3Bが、移動方向BRに対して直角方向に、ここでは他の2つの搬送ユニット3A,3Cに対してY方向にずれていることが明らかである。したがって、これらの搬送ユニット3A,3B,3Cの一部が、横方向に並行して移動され得て、例えば
図1a中の構成による場合のように揃える必要はない。すなわち、一般には、複数の搬送ユニット3iが、移動方向BRに対して横方向に互いにずれて移動されてもよい。これにより、特に、ロングステータ・リニアモータとして公知の搬送装置よりも高い適応性が得られる。例えば、
図3bに示された係合位置にある搬送ユニット3A,3B,3Cが、移動方向BRに一緒に移動され得て、当該移動方向BRの一緒の移動中に(又は停止中に)、個々の搬送ユニット3iが、当該係合位置から横方向に移動され得る。同様に、これらの搬送ユニット3A,3B,3Cが、移動方向BRに移動中に、別の1つ又は複数の搬送装置3iが、これらの搬送ユニット3A,3B,3Cと一緒に、横方向の1つの係合位置の方向に移動されてもよい。
【0046】
図4は、平面モータとしての搬送装置1の平面図である。中央の自由空間を有するリング状の1つの搬送面TEが得られるように、複数の搬送区間TSiが、リング状に構成されている。それぞれ1つの物品Oを搬送するため、互いに独立して少なくとも二次元に搬送面TE内で移動され得る複数の搬送ユニット3iが、搬送面TE内に配置されている。物品Oが、幾つかの搬送ユニット3iに配置されていない。何故なら、当該物品Oが、未だ積み込まれていないか又は既に積み下ろされたからである。搬送ユニット3iの移動制御は、搬送区間TSiの駆動コイル6を制御する平面モータ制御装置5によって公知の方法で実行される。2つの作業ステーションAS1,AS2が、搬送装置1内に配置されている。これらの作業ステーションでは、それぞれ1つの所定の作業工程が、搬送される物品Oで実行される。様々な作業工程が、製造工程に応じて考えられる。
【0047】
例えば、物品Oは、作業ステーションASiで充填される容器でもよい。物品Oは、所定の機械加工ステップが作業ステーションASiで実行されたときの製品でもよい。上記のように、多くの場合、物品Oに対する可能な限り高い搬送効率が期待され得るメインプロセスフロールートが存在する。ここでは、当該メインプロセスフロールートは、矢印によって示されているように、閉ループに沿って作業ステーションAS1,AS2に対して平行に延在する。作業ステーションAS1,AS2の領域内では、可能な限り多い物体Oが、密に前後して移動されることが要求され得る。すなわち、その目的は、平均物品間隔OAMを最小にすることである。従来から知られている四角形の底面を有する搬送ユニットの設計では十分でない。何故なら、当該平均物品間隔OAMは、1つの搬送ユニットの長さにほぼ一致するからである。これに対して、本発明の搬送ユニット3iの構成によれば、前後して移動する複数の搬送ユニット3iの平均物品間隔OAMは、同じ搬送ユニット寸法にもかかわらず大幅に低減され得る。何故なら、これらの搬送ユニット3iの少なくとも一部が、少なくとも(ここでは、メインプロセスフロールートに相当する)移動方向BRに重なり合っているからである。
【0048】
図4において明らかなように、複数の搬送ユニット3iが、作業ステーションAS1,AS2の領域内で係合位置に移動される。この係合位置では、連続する複数の搬送ユニット3iの相補的な係合部EAが、移動方向BRに重なり合っている。このとき、これらの搬送ユニット3iは、作業ステーションAS1,AS2の領域にわたってこの係合位置で移動方向BRに一緒に移動され得る。この場合、対応する作業工程が、複数の物品に対してそれぞれ実行され得る。例えば、物品間隔OAが、当該作業ステーションの外側では重要でないので、これらの搬送ユニット3iは、作業ステーションAS1,AS2の前方及び後方で当該係合位置から再び解放され得て、移動方向BRに後方を走行するそれぞれの搬送ユニット3iに対する物品間隔OAiが再び大きくされ得る。当該作業工程を実行するのに十分な時間を確保するため、例えば、複数の搬送ユニット3iが、当該係合位置で比較的遅い速度で作業ステーションAS1,AS2を移動され得る。
【0049】
次の作業ステーションASi又は積み下ろしステーションに可能な限り早く到着するため、一番先頭の搬送ユニット3iが、この搬送ユニット3iでの作業工程の終了後に個別に加速され得る。
図4において明らかなように、個々の搬送ユニット3iが、作業ステーションASiの領域内で当該係合位置に存在する搬送ユニット3iを追い越すことも可能である。欠陥のある物品Oを当該作業工程から排除するため、搬送ユニット3iを移動方向BRに対して横方向に当該係合位置から移動されることも可能である。これにより、特に、複数の搬送ユニットが一方向だけに前後して移動されるロングステータ・リニアモータとして公知の搬送装置と比べて、遥かに適合性のある搬送工程が実現され得る。ここでは、これらの搬送ユニット3iは、
図2aに示された実施の形態にしたがって同一に形成されている。しかし、当然に、別の形が使用されてもよく、又は、複数の異なる実施の形態が組み合わされてもよい。
【0050】
図5には、搬送装置1が示されている。以下に、搬送装置1を稼働させるための本発明の方法を、この搬送装置1に基づいて説明する。搬送装置1は、閉じられている共通の1つの搬送面TEを形成する複数の搬送区間TSiを有する。ここでは、それぞれ正方形の底面を有する8つの搬送ユニット3iが、搬送面TE内に配置されている。しかし、これらの搬送ユニット3iは、任意の別の形を有する底面を有してもよい。また、これらの搬送ユニット3iは、同一に形成される必要はなくて、異なる形を有してもよい。搬送装置1は、(図示されていない)少なくとも1つの平面モータ制御装置又は上位制御装置によって制御される。搬送すべき1つの物品Oが、それぞれの搬送ユニット3iに配置されている。本発明によれば、これらの搬送ユニット3iの移動方向BRの全長寸法LGが、これらの搬送ユニット3iの移動方向BRの個々の搬送ユニット寸法LTEiの総和よりも小さいように、これらの搬送ユニット3iの少なくとも一部が、移動方向BRに重なり合っているように、これらの搬送ユニット3iが、搬送面TE内で移動方向BRに重なり合っている。これらの搬送ユニット3iを本発明にしたがって制御することによって、相補的な係合部EAを有しない搬送ユニット3iの場合でも、平均物品間隔OAMが低減され得る。
【0051】
この場合、好ましくは、移動方向BRの複数の物品O間の平均物品間隔OAMが、最大で移動方向BRの複数の搬送ユニット3iの平均搬送ユニット寸法LTEmであるように、これらの物品Oは、これらの搬送ユニット3i上に位置決めされる。しかしながら、特に、平均物品間隔OAMは、最大で平均搬送ユニット寸法LTEmの3分の2である。この場合、これらの物品Oが、移動方向BRに直線状に並んでいるように、これらの搬送ユニット3iが互いに対向して配置され、これらの物品Oが、これらの搬送ユニット3iに対して相対的に配置されると、特に有益である。これにより、例えば、移動方向BRに対して直角方向に、一定の間隔が、これらの物品Oと1つの作業ステーションとの間に達成され得る。この場合、平均物品間隔OAMが、最大でこれらの搬送ユニット3iの移動方向BRの平均搬送ユニット寸法LTEmに一致するように、これらの物品Oが位置決めされると、特に有益である。
【0052】
図6には、搬送装置1の好適な別の実施の形態が示されている。ここでは、共通の1つの搬送面TEを形成するため、同様に、固定子2は、互いに隣接する複数の搬送区間TSiによって形成されている。互いに独立して少なくとも二次元に搬送面TE内で移動可能である複数の搬送ユニット3が、この搬送面TE内に配置されている。同様に、(図示されていない)少なくとも1つの平面モータ制御装置又は1つの上位制御装置によって、搬送装置1が制御され、特に複数の搬送ユニット3iの移動が制御される。ここでは、これらの搬送ユニット3iは、同一に形成されていて、正方形の底面を有するそれぞれ1つの基体9を備える。当然に、当該搬送ユニット3iは、例示に過ぎず、異なる形を有する様々な搬送ユニット3iが設けられてもよい。公知のように、複数の駆動磁石4がそれぞれ、
図6の右上の搬送ユニット3iに示されている(基体の一部が切り取られて示されている)ように、搬送面TEに面した基体9の下面に配置されている。搬送ユニット3iを移動させるため、これらの駆動磁石4は、固定子2の(図示されていない)複数の駆動コイルと協働する。ここでは、これらの駆動磁石4は、公知の一次元配列で当該搬送ユニットに配置されているが、当然に、
図1aに示されているように、二次元配列も可能である。
【0053】
それぞれの搬送ユニット3iの一部である1つの物品キャリア7が、それぞれの搬送ユニット3iの、複数の駆動磁石4に対向する表面に配置されている。ここでは、この物品キャリア7は、長方形の底面を有し、基体9の底面から横方向に張出長さaだけ突出して延在する。これにより、ハッチングされた範囲によって2つの搬送ユニット3iに例示されている、搬送面TEに面した張出面AFが形成される。これにより、これらの搬送ユニット3iの移動方向BRの全長寸法LGが、これらの搬送ユニット3iの移動方向BRの個々の搬送ユニット寸法LTEiの総和よりも小さいように、移動方向BRに連続するそれぞれ2つの搬送ユニット3iの一部(ここでは、交互する上の1つの搬送ユニット3iの一部と下の1つの搬送ユニット3iの一部と)が、移動方向BRに重なり合っていて、この移動方向BRに対して直角方向(ここでは、Y方向)にも重なり合っているように、これらの搬送ユニット3iが、図示されているように、1つの移動方向BR(ここでは、X方向)に前後して移動され得る。
【0054】
図示された複数の搬送ユニット3iの隊列では、移動方向BRに連続するそれぞれ2つの搬送ユニット3i(ここでは、交互する上の1つの搬送ユニット3iと下の1つの搬送ユニット3iと)の基体9が、Y方向に張出長さaだけ離間している。したがって、張出長さaは、当該両搬送ユニット3iがY方向に重なり合っている間隔である。しかし、基本的には、Y方向の基体9同士が、直接互いに隣接していて、1つの搬送ユニット3iの物品キャリア7の張出面AFの一部が、それぞれの別の搬送ユニット3iの基体9にZ方向にさらに重なり合っているように、当該Y方向の間隔は、さらに低減されてもよい。図示された例では、物品キャリア7の張出面AFの領域内に配置されている1つの物品Oが、それぞれの搬送ユニット3iによって搬送される。これにより、移動方向BRの複数の物品O間の平均物品間隔OAMが、移動方向BRの複数の搬送ユニット3i間の平均搬送ユニット寸法LTEiよりも小さく成り得る。1つの物品キャリア7を長方形又は正方形の底面を有する1つの搬送ユニット3i上に配置することによって、当該基体の形を変更する必要なしに、1つの係合部EAが簡単に実現され得る。
【0055】
1つ又は複数の搬送ユニット3iが、当該係合位置から簡単に取り出され得るので、当該図示された実施の形態は一層有益である。矢印と破線で示された搬送ユニット3yとによって示されているように、例えば、搬送ユニット3yが、Y方向に当該係合位置から移動され得て、その後に搬送面TE内で任意にさらに移動され得る。これにより、例えば欠陥のある物品Oが、製造工程から排除され得る。この場合、当該搬出は、搬送ユニット3iの停止中に又は移動中に実行され得る。これにより、例えば、所定の作業工程を繰り返すため、搬送ユニット3iを同じ位置に又は別の位置に新たに搬入することも可能である。
【0056】
当然に、図示された例では、任意の別のバリエーションも可能である。
図6に破線で示されているように、例えば、もう1つの物品キャリア7aが、1つ又は複数の搬送ユニット3iに、例えば1つの搬送ユニット3iの対向する側に配置されてもよい。この場合には、例えば、2つの物品キャリア7,7aが、基体9の対向し合う側から突出しているただ1つの縦長の物品キャリアによって形成され得る。当然に、この代わりに、
図1a-2gに基づいて示されているように、1つの係合部EAが、
図6中の複数の搬送ユニット3iのうちの1つの搬送ユニット3iに設けられてもよい。当該事項から、搬送工程の適応性が、従来の搬送装置に比べて向上され得ることが明らかである。
【0057】
特に、例えばロングステータ・リニアモータのような公知のリニア搬送装置に比べて、著しい改良が可能である。何故なら、平均物品間隔OAmの低減が、特定の移動方向に限定されていないからである。特に、平面モータとしての搬送装置1の搬送ユニット3iの二次元の移動可能性に起因して、平均物品間隔OAmを低減し、これによって任意の移動方向BRでの物品の搬送効率を高めるため、本発明の重なり合いが、当該任意の移動方向BRで有益に利用され得る。
【符号の説明】
【0058】
1 搬送装置
2 固定子
3,3i,3A,3B,3C,3x 搬送ユニット
3y 破線で示された搬送ユニット
4 駆動磁石
5 平面モータ制御装置
6,6x,6y 駆動コイル
7 物品キャリア
7a もう1つの物品キャリア
9 基体
TE 搬送面
X 長手軸
Y 横軸
Z 垂直軸
LG 全長寸法
LTEA,LTEB,LTEC,LTEi 搬送ユニット寸法
LTEm 平均搬送ユニット寸法
EA 係合部
TSi 搬送区間
BR 移動方向
BP 移動軌跡
ASi,AS1,AS2 作業ステーション
O 物品
OAi 物品間隔
OAm 平均物品間隔
LMURA,LMURB 最小包囲矩形の長さ
BMURA,BMURB 最小包囲矩形の幅
AF 張出面
n 係合位置にある搬送ユニットの数
a 張出長さ
【手続補正書】
【提出日】2022-02-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの搬送面(TE)を形成する少なくとも1つの搬送区間(TSi)と、前記搬送面(TE)
内で少なくとも二次元に移動可能である少なくとも2つの搬送ユニット(3A,3B)と、を有する平面モータとしての搬送装置(1)であって、
複数の駆動コイル(6)又は複数の可動永久磁石が、前記搬送区間(TSi)に配置されていて、複数の駆動磁石(4)が、複数の前記搬送ユニット(3A,3B)に配置されているか、又は、複数の駆動コイル(6)又は複数の可動永久磁石が、複数の前記搬送ユニット(3A,3B)に配置されていて、複数の駆動磁石(4)が、前記搬送区間(TSi)に配置されていて、
複数の前記搬送ユニット(3A,3B)を移動させるため、前記複数のコイル(6)又は前記複数の可動永久磁石が、前記複数の駆動磁石(4)と協働
し、
それぞれ少なくとも1つの係合部(EA)が、前記少なくとも2つの搬送ユニット(3A,3B)に設けられていて、
前記少なくとも2つの搬送ユニット(3A,3B)が、前記搬送面(TE)内で1つの移動方向(BR)に前後して1つの係合位置の方向に移動可能であり、複数の前記搬送ユニット(3A,3B)の複数の前記係合部(EA)の少なくとも一部が、この係合位置で係合していて、
複数の前記搬送ユニット(3A,3B)の移動方向(BR)の全長寸法(LG)が、複数の前記搬送ユニット(3A,3B)の移動方向(BR)の個々の搬送ユニット寸法(LTEi)の総和よりも小さいように、複数の前記係合部(EA)が、前記係合位置で少なくとも移動方向(BR)に重なり合っているように形成されている
当該搬送装置(1)において、
少なくとも2つの係合部(EA)が、前記少なくとも2つの搬送ユニット(3A,3B)のうちの少なくとも1つの搬送ユニットに設けられていて、複数の前記係合部(EA)が、それぞれの前記搬送ユニット(3A,3B)の対向し合う側に配置されていること、及び
複数の前記搬送ユニット(3A,3B)が、前記搬送面(TE)内で互いに独立して移動可能であることを特徴とする搬送装置(1)。
【請求項2】
複数の前記係合部(EA)は、前記係合位置で前記搬送面(TE)に対して垂直にある方向(Z)に重なり合っているように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置(1)。
【請求項3】
複数の前記搬送ユニット(3A,3B)の複数の前記係合部(EA)は、相補的に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送装置(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの搬送ユニットの前記少なくとも2つの係合部(EA)は、同一に又は相補的に形成されていることを特徴とする請求項
1~3のいずれか1項に記載の搬送装置(1)。
【請求項5】
前記少なくとも2つの搬送ユニット(3A,3B)は、前記搬送面(TE)に面したそれぞれ1つの底面を最小に包囲する矩形面を有する当該底面を備え、
前記少なくとも2つの搬送ユニット(3A,3B)の当該最小包囲矩形の面同士が、前記係合位置で重なり合っていることを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載の搬送装置(1)。
【請求項6】
前記最小包囲矩形の面とそれぞれ1つの搬送ユニット(3A,3B)の底面との比が、最大で2であり、特に最大で1.5であること、及び/又は
前記最小包囲矩形の面とそれぞれ1つの搬送ユニット(3A,3B)の底面との比が、最小で1.1であることを特徴とする請求項5に記載の搬送装置(1)。
【請求項7】
少なくとも1つの係合部(EA)が、前記搬送ユニット(3A,3B)に設けられていて、1つの前記搬送ユニット(3A,3B)と1つの別の前記搬送ユニット(3A,3B)とが、前記搬送面(TE)内で1つの移動方向(BR)に前後して1つの係合位置の方向に移動される時に、1つの別の前記搬送ユニット(3A,3B)の1つの係合部(EA)の少なくとも一部に係合するように、当該係合部(EA)は形成されていて、
複数の前記搬送ユニット(3A,3B)の移動方向(BR)の全長寸法(LG)が、複数の前記搬送ユニット(3A,3B)の移動方向(BR)の個々の搬送ユニット寸法(LTEi)の総和よりも小さいように、前記搬送ユニット(3A,3B)の前記係合部(EA)が、1つの別の前記搬送ユニット(3A,3B)との係合位置で少なくとも移動方向(BR)に1つの別の前記搬送ユニット(3A,3B)の係合部(EA)と重なり合っているように形成されている
当該搬送ユニット(3A,3B)において、
少なくとも2つの係合部(EA)が、前記搬送ユニット(3A,3B)に設けられていて、複数の前記係合部(EA)が、前記搬送ユニット(3A,3B)の対向し合う側に配置されていること、及び
前記搬送ユニット(3A,3B)が、前記係合位置の外側でそれぞれ別の搬送ユニット(3A,3B)から独立して前記搬送装置(1)の前記搬送面(TE)内で少なくとも二次元に移動可能である請求項1~6のいずれか1項に記載の搬送装置(1)で使用するための搬送ユニット(3A,3B)。
【請求項8】
複数の前記係合部(EA)は、
前記係合位置で前記搬送面(TE)に対して垂直にある方向に
前記別の搬送ユニット(3A,3B)と重なり合っているように形成されていることを特徴とする請求項
7に記載の搬送ユニット(3A,3B)。
【請求項9】
前記少なくとも2つの係合部(EA)は、同一に又は相補的に形成されていることを特徴とする請求項
7又は
8に記載の搬送ユニット(3A,3B)。
【請求項10】
前記搬送ユニット(3A,3B)は、面した1つの底面を最小に包囲する矩形面を有する当該底面を備え、
前記搬送ユニット(3A,3B)の当該最小包囲矩形の面が、1つの別の搬送ユニット(3A,3B)との係合位置で1つの別の前記搬送ユニット(3A,3B)の前記最小包囲矩形の面と重なり合っていることを特徴とする請求項
7~
9のいずれか1項に記載の搬送ユニット(3A,3B)。
【請求項11】
前記最小包囲矩形の面とそれぞれ1つの搬送ユニット(3A,3B)の底面との比が、最大で2であり、特に最大で1.5であり、特に最小で1.1であることを特徴とする請求項
10に記載の搬送ユニット(3A,3B)。
【請求項12】
請求項1~6のいずれか1項に記載の搬送装置(1)を稼働させるための方法において、
前記少なくとも2つの搬送ユニット(3A,3B)が、前記搬送面(TE)内で互いに独立して移動されること、及び
複数の前記搬送ユニット(3A,3B)の
1つの移動方向(BR)の全長寸法(LG)が、複数の前記搬送ユニット(3A,3B)の
前記移動方向(BR)の個々の搬送ユニット寸法(LTEi)の総和よりも小さいように、前記少なくとも2つの搬送ユニット(3A,3B)が、少なくとも
前記移動方向(BR)に重なり合っているように、
複数の前記搬送ユニット(3A,3B)が、前記搬送面(TE)内で
前記移動方向(BR)に前後して移動されることを特徴とする
請求項1~6のいずれか1項に記載の搬送装置(1)を稼働させるための方法。
【請求項13】
複数の前記搬送ユニット(3A,3B)の移動方向(BR)の全長寸法(LG)が、複数の前記搬送ユニット(3A,3B)の移動方向(BR)の個々の搬送ユニット寸法(LTEi)の総和よりも小さいように、連続するそれぞれ2つの搬送ユニット(3A,3B)が、少なくとも移動方向(BR)に重なり合っているように、少なくとも3つの搬送ユニット(3A,3B)が、前記搬送面(TE)内で1つの移動方向(BR)に前後して移動され、
1つの物品(O)が、前記少なくとも3つの搬送ユニット(3A,3B)のそれぞれの搬送ユニット(3A,3B)によって搬送され、
複数の前記物品(O)同士の移動方向(BR)の平均物品間隔(OAM)が、最大で前記少なくとも3つの搬送ユニット(3A,3B)の移動方向(BR)の平均搬送ユニット寸法(LTEi)に一致するように、特に前記平均搬送ユニット寸法(LTEi)の3分の2に一致するように、これらの物品(O)が、複数の前記搬送ユニット(3A,3B)上で位置決めされることを特徴とする請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
複数の前記物品(O)が、移動方向(BR)に直線状に並んでいるように、複数の前記搬送ユニット(3A,3B)が互いに対向して位置決めされ、これらの物品(O)が、これらの搬送ユニット(3A,3B)に対して相対的に配置されることを特徴とする請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも2つの搬送ユニット(3A,3B)が、前記移動方向(BR)に対して直角方向に互いにずれて移動されることを特徴とする請求項
12~
14のいずれか1項に記載の方法。
【国際調査報告】