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特表2023-520296可変速度およびパワーのハイブリッド光源を備えた等方的ステレオリソグラフィ3D印刷のための予測方法および相対装置
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  • 特表-可変速度およびパワーのハイブリッド光源を備えた等方的ステレオリソグラフィ3D印刷のための予測方法および相対装置 図1
  • 特表-可変速度およびパワーのハイブリッド光源を備えた等方的ステレオリソグラフィ3D印刷のための予測方法および相対装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(54)【発明の名称】可変速度およびパワーのハイブリッド光源を備えた等方的ステレオリソグラフィ3D印刷のための予測方法および相対装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/393 20170101AFI20230510BHJP
   B29C 64/129 20170101ALI20230510BHJP
   B29C 64/277 20170101ALI20230510BHJP
   B29C 64/286 20170101ALI20230510BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20230510BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230510BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230510BHJP
   B29C 64/135 20170101ALI20230510BHJP
【FI】
B29C64/393
B29C64/129
B29C64/277
B29C64/286
B33Y50/02
B33Y30/00
B33Y10/00
B29C64/135
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549688
(86)(22)【出願日】2021-02-22
(85)【翻訳文提出日】2022-08-23
(86)【国際出願番号】 IT2021050037
(87)【国際公開番号】W WO2021166005
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】102020000003653
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.DLP
(71)【出願人】
【識別番号】522327810
【氏名又は名称】アクストラスリーディー インコーポレーション
【氏名又は名称原語表記】AXTRA3D INCORPORATION
(71)【出願人】
【識別番号】522327821
【氏名又は名称】ジテッリ, ジャンニ
【氏名又は名称原語表記】ZITELLI, Gianni
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ジテッリ, ジャンニ
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AA44
4F213AJ06
4F213AR08
4F213AR11
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL06
4F213WL12
4F213WL43
4F213WL44
4F213WL49
4F213WL76
4F213WL82
4F213WL85
4F213WL92
4F213WL95
(57)【要約】
ボトムアップ式光硬化型の3D印刷のための装置であって、所定の波長を有するDLP型の光硬化照射線の第1の光源(12)と、前記第1の光源(12)の波長と等しい波長を有するレーザ型の光硬化照射線の第2の光源(13)であって、レーザ偏向手段および偏光結合光学系(19)を有する、第2の光源(13)と、を備え、前記第1の光源(12)は、所定の角度に従って配向された直線偏光を有し、前記第2の光源(13)は、前記第1の光源(12)と直交する角度に従って配向された直線偏光を有し、前記第2の光源(13)は、可変照射フラックス出力を有し、前記レーザ偏向手段は、可変速度を有し、前記レーザ偏向手段の前記照射フラックス出力および前記速度は、前記第1の光源(12)による各層の光硬化に必要な時間の関数として予測ソフトウェアによって制御される。また、本発明は、前記装置を用いたボトムアップ式光硬化型の3D印刷方法に関する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク(10)を備えたボトムアップ式光硬化型の3D印刷装置であって、
前記タンク(10)は、少なくとも1つの抽出板15が内部に浸漬された光硬化液材料を収容し、前記タンク(10)の底部(11)から前記光硬化液材料の光硬化により得られる層の厚さに等しい距離の位置から、前記タンク(10)の底部(11)に垂直な方向に、交互に直線運動する運動手段16を備え、
3D印刷の為の前記装置は、
所定の波長を有するDLP型の光硬化照射線の第1の源(12)と、
DLP型の光硬化照射線の第1の源(12)の波長と等しい波長を有するレーザ型の光硬化照射線の第2の源(13)であって、レーザ偏向手段および偏光ビーム合成器(19)を備えた第2の源(13)と、
を備え、
DLP型の光硬化照射線の前記第1の源(12)は、所定の角度に従って配向された直線偏光を有し、所与の角度に従って配向された直線偏光を有する、DLP型の光硬化放射線の第1の源(12)の照射線の一部分のみを通過させるように構成された偏光器(23)に関連付けられた、所与の角度に従って配向された直線偏光を有する、DLP型の光硬化照射線の第1の源(12)の照射線の一部分のみを通過させるように構成された偏光器(23)に関連付けられ、前記レーザ型の光硬化照射の前記第2の源(13)は、前記DLP型の光硬化照射線の前記第1の源(12)と直交する角度に従って配向された直線偏光を有するか、または、DLP型の光硬化照射線の前記第1の源(12)と直交する角度に従って配向された直線偏光を有するレーザ型の光硬化照射線の前記第2の源(13)の照射線の一部分のみを通過させるように構成された偏光器に関連付けられ、前記タンク(10)の底部(11)は、光硬化に用いられる両方の照射線に対して透過性のある材料で形成され、レーザ型の光硬化照射線の前記第2の源(13)は、可変照射フラックス出力を有し、前記レーザ偏向手段は、可変速度を有し、前記レーザ偏向手段の前記照射フラックス出力および前記速度は、前記DLP型の光硬化照射線の前記第1の源(12)による各層の光硬化に必要な時間の関数として、予測ソフトウェアによって制御されることを特徴とする、3D印刷装置。
【請求項2】
光硬化に使用される両方の照射線に対して透過性のある前記材料は、ホウ珪酸ガラスまたは石英であることを特徴とする、請求項1に記載の3D印刷装置。
【請求項3】
前記レーザ偏向手段は、ガルバノメトリックヘッド(18)を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の3D印刷装置。
【請求項4】
レーザ型の光硬化照射の第2の源(13)は、可変出力ダイオード(17)を備えることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の3D印刷装置。
【請求項5】
前記予測ソフトウェアは、CAD-CAM/スライサソフトウェアであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の3D印刷装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の装置によって実施されるボトムアップ式光硬化型の3D印刷方法であって、
a)抽出板(15)を、最後に硬化された層が存在する位置まで、または存在しない場合には抽出板(15)の下面が、タンク(10)の前記底部(11)に対して形成される層の距離にある位置まで降下させるステップと、
b)印刷されるべき物体の1つの硬化層の照射および発生を進めるステップと、
c)タンク(10)の底部(11)が前記硬化層から徐々に剥離しながら、抽出板(15)を持ち上げるステップと、
を含み、
DLP型の光硬化型照射線の第1の源(12)による同層の光硬化に要する時間と同じ時間で形成される層の輪郭を通過するように前記レーザ偏向手段の速度を設定するとともに、前記レーザ偏向手段の設定された速度に応じて前記レーザの照射フラックスの出力を設定して、形成される物体が完成するまでステップa)-c)を反復して行う、3D印刷方法。
【請求項7】
印刷される各層nについて、以下の条件、即ち、
lasern = Lshapen/tlaser = Lshapen/tDLP
lasern = dElaser/dLshape・vlasern
が満たされることを特徴とする請求項6に記載のボトムアップ式光硬化型の3D印刷方法であって、
lasernは、層nに対するレーザ走査速度であり、Lshapenは、層nの側縁の長さであり、tlaserは、層nの縁輪郭を走査するためにレーザによって費やされる時間であり、tDLPは、層nの光硬化のためのDLP画像の持続時間であり、Plasernは、層nに対するレーザ源の出力であり、dElaserは硬化プロセスのために伝達される有用なエネルギ密度である、3D印刷方法。
【請求項8】
印刷される各層nについて、以下の条件、即ち、
dElaser/dLshape=k
が満たされることを特徴とする請求項7に記載のボトムアップ式光硬化型の3D印刷方法であって、
dLshapeは、時間dtlasernでカバーされるLshapenの一部分であり、kは、定数値である、請求項7に記載の3D印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変速度および可変出力を有するハイブリッド光源を備えた、等方性ステレオリソグラフィ3D印刷のための予測方法および相対的装置に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、感光性材料を光硬化させる方法によって三次元物体を製造する革新的な方法に関し、この方法は、三次元物体を逐次形成プロセスに従って製造することを可能にし、従来技術の方法によって得られるものと比較して、最終製品の速度、精度および機械的品質をかなり増大させる。
【0003】
本発明は、一般に3D印刷と呼ばれる3次元印刷の分野に関し、特に光硬化による3D印刷の技術、すなわち、光照射への曝露による特定の型のポリマの硬化に関する。
【0004】
光硬化による3D印刷の分野には、以下の2つの基本技術があることが知られている。
【0005】
ステレオリソグラフィ印刷(SLA,StereoLithography Apparatusとも呼ばれる)であって、約400nmを発光するレーザを用いて、特殊なタンクに収容された光硬化性ポリマを液体状態で発光ビームによって固化させるもの。DLP(Digital Light Processing)印刷であって、同じく液状の光硬化性ポリマ(または光硬化性液状樹脂)をタンク内でプロジェクタと同様のデバイスから発光された光に暴露するもの。DLP印刷の変形例は、LCD(Liquid Crystal Display)という頭字語が一般に使用される、液晶源からの照射によって得られる印刷からなる。
【0006】
これらの技術によれば、印刷プロセスは、支持板(または抽出板)に付着した第1の層を固化させた後、第1の層に付着した第2の層などを順次固化させて完成品を形成することにより進行する。したがって、この技術によれば、生成される3次元物体を表すデータは、物体の横断面を表す一連の2次元層として構成される。
【0007】
SLAおよびDLP機ならびにLCD型の機械の両方に適用されるボトムアッププロセスによれば、物体の抽出板は、層ごとの傾斜運動で、下から上に移動する。
【0008】
本質的に、三次元物体を形成するプロセスは以下の通りである。
【0009】
・ソフトウェアは、印刷への入力として供給される3Dモデルを、採用される技術、ポリマの不透明度、触媒の量、達成されるべき精度、および使用される機械の特性(通常50~200ミクロンであるが、いずれの場合も不連続で有限の数の層の連続)の関数として決定される層の順序付けられた連続に細分する。
【0010】
・第1のポリマ層のそれ自体への付着を容易にする材料で作られた支持板(抽出板としても知られる)は、第1の層から所定の距離にもたらされ、光ビーム(SLAまたはDLP/LCD)が第1の層を固化するのを待つ;次に、それは、新たに形成された層がタンクの底部から剥離するのに十分な距離(通常約1mm)だけ上昇され、次に同じ距離から第2の層の形成のために設定された距離を引いた距離だけ下降され、その後、物体全体が形成されるまで同様に続く。
【0011】
その結果生じる前後運動は、傾斜運動としても知られており、2つの主な目的を有する:それは、新たに形成された層がそれ自身をタンクの底部から剥離することを可能にし、同時に、新たに形成された層と容器の底部との間に新たな量の重合されていない液体樹脂がそれ自身を介在させて、硬化および次の層の形成のために、既に固化された層の下でまだ液体状態にある材料を再生させることを可能にする。
【0012】
さらに、公知のように、異なる光源は、それらがレーザ、DLPまたはLCDであるかにかかわらず、印刷された物体に異なる機械的挙動を与え、特に、単一層の異なる硬化モードに起因する3つの空間次元XYZにおける物理的/化学的/機械的挙動の多様化を印刷された物体に導入し、これは形成される化学結合の空間的多様化を伴う。
【0013】
このため、例えば特許WO2017056124に記載されているように、連続的なDLPシステムを有する印刷の場合を除いて、機械的および物理的に等方性の物体は、他の印刷方法では得られない。
【0014】
第一に、形成される物体は、平均して、液体モノマを固体ポリマに変換する化学結合が75~85%である場合、「硬化された」、すなわち、所望の形状を維持することができると考えられることを考慮すべきであり、これは、形成された物体が、一度洗浄されると、最終的な化学的および機械的安定化(結合の約99%)を達成するために、さらなる硬化後処理を受ける理由である。
【0015】
光硬化による3D印刷によって得られる物体の異方性特性に関して、考慮すべき事項は、使用される光源(レーザ、DLP、またはLCD)によって異なる。
【0016】
特に、レーザを使用して個々の層を硬化させることによって、単一層を形成するプロセスは、形成されるべき物体の横断面をラインごとに描き、レーザを鉛筆であるかのように正確に方向付け、所定の密度で所望の表面を時間的に充填するベクトル経路を生成することによって継続する。
【0017】
この型式の技術を使用する場合、硬化は一様であることができないことは明らかである。なぜならば、有限の数のラインが通過し、さらに交差点で重ね合わせて格子を形成するように配置されるからであるだけでなく、重合は瞬間的であることができず、したがって化学鎖はいかなる方向にも均一に結合しないからである。
【0018】
レーザとは異なり、LCDシステムは、形成される全層の同時重合を可能にする。従って、LCDシステムを個々の層の連続的な印刷プロセスと組み合わせる場合には、等方的な物体を製造することが可能であるべきである。しかしながら、液晶ディスプレイアレイの固有の技術的制限のために、得られる物体は、この場合にも等方性ではない。実際、LCD技術を使用することによって、ある種の非発光ゾーンが1つの画素と次の画素との間に発生し、これは、それが励起することができ、次いで、各個々の画素をオンまたはオフに切り替えることができる導電性フィラメントのメッシュに対応する。シェード自体が照明の不均一性を作成し、したがって重合の不均一性を作成するため、どの方向にも等方性物体が作成されることがなくなるさらに、LCDシステムは、エイリアシングと呼ばれる現象の影響を受けるが、この現象は、後で詳細に検討するように、印刷された物体の外側表面に不完全性を発生させる。
【0019】
最後に、DLP技術は全く異なる方法を使用して画像を発生させる。光のストリームは、0度および90度に傾斜した微小ミラーのチップに当たり、画像を一度に1ピクセルずつ光学チューブ上に反射する。一方のミラーと他方のミラーの間のエッジにおける散乱現象の発生は、実際に投影を均質にするので、DLPが機械的に等方性の三次元物体を発生するために現在使用されている技術である。
【0020】
特に、この光源を連続的な印刷プロセスと組み合わせると、3つの空間次元において一貫した挙動を達成することができる。しかしながら、この型式の印刷システムであっても、後述するエイリアシング現象の影響を受ける。
【0021】
エイリアシング現象は、デジタルシステムによって発生された物体が複数の最小単位によって表され、それらが小さいほど解像度が高くなり、物体の表面上で認識され、表面自体の平滑性が損なわれるという事実にある。この現象は、2次元デジタル印刷の分野(より一般的にはテキストまたは画像の2次元デジタル再生)でも知られており、対応する最小単位はピクセルと呼ばれ、印刷解像度はピクセルのサイズに依存し、ピクセルのサイズに等しいサイズのエッジ(すなわち、画像のエッジの近似)が発生される。
【0022】
レーザシステムを使用することによって、物体の製造は、製造される表面の品質に関して特に正確であるが、上述したように、これらの物体は、定義上、(機械的挙動に関して)非等方性であり、製造が非常に遅く、時間的に変化し、物体の高さだけでなく、同じ機械によって同時に印刷される物体の量にも依存する。
【0023】
印刷される物体の全層を瞬時に硬化することを可能にし、その結果、より大きな機械的性能、より高い速度および不変時間を保証するDLPおよびLCD型の投影システムに関して、これらは、しかしながら、実際に投影された画素のサイズに等しい印刷された物体の一種のXY解像度によって特徴付けられる。特に、DLPシステムでは、投影距離(したがって印刷領域)が大きいほど、投影される画素のサイズが大きくなり、その結果、印刷される物体の解像度が低くなる。
【0024】
エイリアシングの現象が重要であると認識されるようになったのはごく最近であるが、3D印刷システムの固有の不正確さのために、この現象を表面に示す重合分解能を達成することができなかったので、以前は認識されていなかった。逆に、最新の3D光硬化印刷システムで達成されたプロセスの高い技術的及び化学的精度と極端な精度の特性化のためにエイリアシング現象が現れた。
【0025】
エイリアシング問題を解決するために、米国特許第2017/326786号に従って、ステレオリソグラフィ3D印刷のための方法および装置が提案されており、ここで、装置は、印刷される物体を一連の層として表し、各層を主要領域とエッジ充填領域とに細分化することができる制御プラットフォームと、制御プラットフォームによって制御され、第1の光ビームを放射することができるデジタル光源の処理ユニットであって、3D印刷される物体を印刷する際に、層の対応する主要領域に使用される、デジタル光源の処理ユニットと、制御プラットフォームによって制御され、3D印刷される物体を印刷するときに層の対応するエッジ充填領域に使用される、第2の光ビームを放射することができるレーザマーキングユニットと、を備える。従って、米国特許第2017/326786号により提案された解決策は、高速で物体のステレオリソグラフィ3D印刷を実現するだけでなく、エイリアシング現象によるエッジの歪みを回避し、それによって物体の表面の3D印刷の精度を向上させることができる。しかしながら、米国特許第2017/326786号によって提案された解決策は、各層の境界の主要領域および充填領域を、これに対するいかなる規定もなしに、2つの異なる型式の光放射に曝し、その結果、2つの領域は異なる機械的特性を有し、最終的な物体の内部に応力が発生する可能性がある。
【0026】
これに関連して、DLP技術の利点をレーザ技術の利点に追加することができるハイブリッド型の光硬化放射の源を使用することによって、一方ではエイリアシング現象による制限がなく、他方では分解能の損失がない等方性の印刷を得ることを提案する本発明による解決策が提案される。
【0027】
しかしながら、米国特許第2017/326786号明細書に記載された解決策の限界によって実証されているように、レーザおよびDLP技術を追加すること、特に、物体の横断面、すなわち、各層の内側部分を充填するためのDLP技術と共に作業すること、および層のエッジの重合のためのレーザ技術と共に作業することは、意図された目的を達成するのに十分ではない。
【0028】
実際、一定の出力および速度でレーザ照射源を使用して各層のエッジを重合させ、DLP源を使用してその内部部分を充填することを想像すると、第1に、連続する層を連続的に印刷することは不可能である。なぜなら、各層に対して、レーザビームのエッジを走査する時間、各層から次の層まで変化するエッジ、その結果、各層および次の層の形成のための可変時間を待つ必要があるからである。
【0029】
さらに、いずれの場合も、等方性特性を有する物体は得られないであろうが、実際には、DLP技術によって硬化された各層の内部画素と、レーザ技術によって硬化されたそれぞれのエッジとの間の化学結合に不連続性が生じるであろう。実際、化学結合の形成は、異なる時間に異なる方法で起こり、その結果、XY次元の空間等方性が失われる。
【発明の概要】
【0030】
これに関連して、本発明による解決手段は、以下のことが可能な可変速度および可変出力を有するハイブリッド光源を備えた等方性ステレオリソグラフィ3D印刷のための予測方法および関連装置を開発することを目的とする。
【0031】
・エイリアシング効果を解決する。
・継続的な印刷を可能にする。
・XY方向に等方性物体を生成する(連続印刷の場合はZ方向にも生成される)。
【0032】
これらの結果および他の結果は、等方性型のステレオリソグラフィ3D印刷のための予測方法および相対的装置を提案することによって、本発明に従って得られるが、これは、規定された波長を有するDLP型の光源と、同じ波長を有するレーザ源との組み合わせを提供するが、DLP型の光源は、以下に説明する一連の式に従って硬化される層の周囲長、したがって硬化出力および硬化速度を計算することができる予測型のハイブリッドCAD-CAM/スライサソフトウェア(コンピュータ支援設計(CAD)およびコンピュータ支援製造(CAM)のためのものであり、製品がスライス、すなわち一度に1つの層で作られるという事実のためにスライサとも呼ばれる)によって管理され、照射フラックスの出力を変化させることができ、可変速度で作動することができる、等方性型のステレオリソグラフィ3D印刷のための予測方法および相対装置を提案することによって得られる。
【0033】
したがって、要約すると、本発明による3D印刷装置は、規定された波長(典型的にはUV)を有する単色DLP源と、可変出力を有し且つDLP源と同じ波長を有するレーザ源と、可変速度ガルバノメトリックヘッドと、印刷ダイナミクスを評価するための予測ソフトウェアとを備える。
【0034】
本発明による解決策は、ハイブリッドソフトウェアが、DLP用の単色画像を発生させるスライサ型の一方で、個々の層の側縁部に対してレーザ経路を発生させるベクトル型の一方で、硬化される周囲を個々の層ごとに評価し、層の内部部分を硬化するためにDLP源によって送達される同じ時間および同じエネルギ密度を使用するために、個々の層ごとにレーザの速度および出力を定義することができるという概念に基づいている。これにより、次のことが可能になる。
【0035】
・全層を同時に重合する。
・等方性重合を保証する。
・レーザ(従来技術では不可能)を使用した連続印刷を確保する。
・エイリアシング効果の問題を解決する。
・XY解像度を印刷領域のサイズに依存しないようにする。
【0036】
したがって、本発明の目的は、従来技術の装置の限界を克服し、上述の技術的結果を得ることを可能にする可変速度および可変出力のハイブリッド光源を備えたステレオリソグラフィ3D印刷のための予測方法および装置を提供することである。
【0037】
本発明の更なる目的は、前記予測方法および前記3D印刷装置を、製造コストおよび動作コストの両方に関して、実質的に低いコストで行うことである。
【0038】
本発明の更なる目的は、簡単で安全かつ信頼できる可変速度および可変出力のハイブリッド光源を用いたステレオリソグラフィ3D印刷のための予測方法および装置を提案することである。
【0039】
そのため、本発明の第1の特定の目的は、液状光硬化材料を含むタンクを備える3D印刷装置であって、その内部に少なくとも1つの抽出板が浸漬され、液状光硬化材料の光硬化によって得られる層の厚さに等しい前記タンクの底部からの距離の位置から前記タンクの底部に垂直な方向に沿って交互直線運動で移動する手段を備え、前記3D印刷装置は、所定の波長を有するDLP型の第1の光硬化照射源と、前記DLP型の前記第1の光硬化照射源と等しい波長を有するレーザ型の第2の光硬化照射源であって、レーザ偏向手段および偏光結合光学系を有する、第2の光硬化照射源と、を備え、DLP型の光硬化照射の前記第1の源は、所定の角度に従って配向された直線偏光を有し、すなわち、所定の角度に従って配向された直線偏光を有するDLP型の光硬化照射の前記第1の源の照射の一部分のみを通過させるように構成された偏光器と関連付けられ、前記レーザ型の光硬化照射の前記第2の源は、DLP型の光硬化照射の前記第1の源に直交する角度で配向された直線偏光を有し、すなわち、偏向子と関連付けられており、この偏向子は、DLP型の光硬化照射の前記第1の源に直交する角度で配向された直線偏光を有するレーザ型の光硬化照射の第2の源の照射線の一部分のみが通過できるように構成され、前記タンクの底部は、光硬化の為に使用される照射線の両方に対して透過性の材料から成り、レーザ型の光硬化照射の第2の源は、可変照射フラックス出力を有し、前記レーザ偏向手段は可変速度を有し、レーザ偏向手段の前記照射フラックス出力および前記速度は、DLP型の光硬化照射の前記第1の源による各層の光硬化の為に必要な時間に応じた予測ソフトウェアによって制御される。
【0040】
好ましくは、本発明によれば、光硬化に使用される両方の照射線に対して透過性のある前記材料は、ホウ珪酸ガラスまたは石英である。
【0041】
特に、本発明によれば、前記レーザ偏向手段は、ガルバノメトリックヘッド(18)を備えることができる。
【0042】
さらに、本発明によれば、DLP型の前記第1の光硬化照射源は、単色であり、好ましくはUVである。
【0043】
特に、本発明によれば、レーザ型の前記第2の光硬化照射源は、可変出力ダイオードを含む。
【0044】
再び本発明によれば、前記予測ソフトウェアはCAD-CAM/スライサソフトウェアである。
【0045】
本発明の第2の特定の目的は、上述の装置によって実施され、以下のステップを含むボトムアップ式光硬化型の3D印刷方法である。
【0046】
a)抽出板を、最後に硬化された層、またはそれが存在しない場合には前記抽出板の下部表面が、タンクの前記底部に対して形成される層の距離にある位置まで下げるステップ。
b)印刷されるべき物体の照射及び硬化層の発生を進めるステップ。
c)前記硬化層からタンクの底部を徐々に剥離しながら、抽出板を持ち上げるステップ。
【0047】
DLP型の前記第1の光硬化照射源による前記層の光硬化に必要な時間だけ層のエッジを覆うように前記レーザ偏向手段の速度を設定するとともに、レーザの前記偏向手段の設定速度に応じて前記レーザの照射フラックスの出力を設定することにより、前記第2の光硬化照射源による前記液体光硬化材料の正確な光硬化を得ることを特徴とする。
【0048】
特に、本発明によれば、印刷される各n層に対して、以下の条件が満たされなければならない。
【0049】
lasern = Lshapen/tlaser = Lshapen/tDLP
lasern = dElaser/dLshape ・ vlasern
【0050】
ここで、vlasernは層nに対するレーザの走査速度であり、Lshapenは層nのエッジ長であり、tlaserは層nのエッジを走査するためにレーザが要した時間であり、tDLPは層nの光硬化のためのDLP画像の持続時間であり、Plasernは層nに対するレーザ源の出力であり、dElaserは硬化プロセスのために伝達される有用なエネルギ密度であり、dLshapeはdtlasernの時間で移動したLshapenの部分である。
【0051】
さらに、本発明によれば、印刷される各層について、以下の条件も満たされる。
【0052】
dElaser/dLshape = 一定
【図面の簡単な説明】
【0053】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の範囲を限定するものではないが、好ましい実施形態に従って本発明を実施例として説明する。
図1図1は、本発明の第1の実施形態による可変速度および可変出力のハイブリッド光源を有する、等方性ステレオリソグラフィ3D印刷装置の上方からの斜視図を示す。
図2図2は、本発明の第2の実施形態による可変速度および可変出力のハイブリッド光源を有する、等方性型ステレオリソグラフィ3D印刷装置の上方からの斜視図を示す。
【発明の詳細な説明】
【0054】
図1および2を参照すると、本発明による可変速度および可変出力のハイブリッド光源を有する等方性型ステレオリソグラフィ3D印刷のための装置の要素は、本質的に、液体光硬化材料を含むように設計されたタンク10(消耗要素とみなすことができる)を含み、タンクは、前記タンク10の下に配置された、単色DLP光源12の照射線および単色レーザ光源13の照射線に対して透過性の底部11を備える。タンク10は支持板14の上に配置され、支持板14はタンク10の底部11の下の部分に開口部を有し、開口部は開放されたままにすることができ、または単色DLP光源12の照射線および単色レーザ光源13の照射線に対して透過性のある硬質材料のシートで覆うことができる。
【0055】
特に、タンク10の底部11は、非粘着材料の弾性膜から構成されてもよい。
【0056】
装置は、それぞれの取扱い及び支持システム16を備えた抽出板15を更に備え、抽出板15は、以下により詳細に説明するように、単色DLP光源12の照射線および単色レーザ光源13の照射線の効果による液状光硬化材料の光硬化によって得られる印刷される物体の第1層をその下面に収容するように設計され、また、ボトムアップ式光硬化型の3D印刷システムに典型的な代替的な上昇および部分的下降移動によって、タンク10から前記物体を漸進的に抽出するように設計される。
【0057】
焦点および投影距離に関して適切に較正された単色光源DLP12は、各型式の樹脂および層厚のエネルギ密度および滞留時間特性を用いて、作製される物体の各層の内側部分を硬化させるタスクを実行する。
【0058】
特に、本発明によれば、単色レーザ光源13は、可変出力ダイオード17と、ダイオードによって発生されたレーザビームを2次元で偏向するように設計された装置、特に、可変速度ガルバノメトリックヘッド18とを備えており、これらは、DLP源と同時に同じ出力密度およびタイミングで各単一層のエッジのみを硬化するように適切に較正されている。
【0059】
また、等方性の物体を得るために、単色DLP光源12および単色レーザ光源13のも、同じ波長、すなわち、エネルギが等しくなければならない。
【0060】
同じ波長を維持しながら2つの光ビーム(同軸)の空間重ね合わせを達成するために、2つのビームは偏光フィルタを用いて偏光結合されなければならない。
【0061】
一般に、互いに直交しかつそれらの各々の伝搬方向に直交する2つの方向に沿った2つの光ビームの偏光状態を識別(または分解)することが可能であると仮定して、本発明は、一般に偏光結合光学系(偏光ビーム結合器)と呼ばれる光学系を使用することを提案するが、この光学系は、前記偏光状態の1つ(典型的にはいわゆる「p」偏光)を透過し、それに直交する状態(典型的にはいわゆる「s」偏光)を反射することができる。
【0062】
本発明によれば、図1を参照すると、所定の波長を有するDLP型の光硬化照射線の第1の源12と、前記DLP型の光硬化照射線の第1の源12のものと等しい波長を有するレーザ型の光硬化照射の第2の源13とを備えたハイブリッド光源の使用に基づいて、等方性型のステレオリソグラフィー3D印刷の為の方法および相対的装置は、偏光結合光学系19を使用することによって、同一の伝搬方向に沿って空間的に重畳され、同時に、前記光源の1つの光ビームの偏光が前記結合光学系上の入射面に垂直であり、光ビームが反射され、他方の光ビームの偏光が同じ面に平行であり、したがって光ビームが透過されるように、前記光源の一方は、所定の角度に従って配向された線形偏光を有し、他方は、直交する線形偏光を有する。図1に実施例として示す実施形態によれば、DLP型の第1の光源12の光ビーム20は、結合光学系19上の入射面に平行であり、透過され、レーザ型の第2の光源13の光ビーム21は、結合光学系19上の入射面に垂直であり、反射され、2つのビームは、偏光結合によって空間的に重ね合わされて、同じ波長を維持しながらビーム22を形成する。
【0063】
図1に示される2つの光ビームの偏光の配向は、純粋に指示的なものであり、すなわち、それらは、逆にされるか、または異なる角度で配向可能である。同様に、偏光結合光学系19に対するDLP型の第1の光源12及びレーザ型の第2の光源13の位置は逆にしてもよく、偏光結合光学系19は、2つの光源からのビームを空間的に重ね合わせる目的で、互いに直交する線形偏光を有するように、それに応じて配向される。
【0064】
典型的には、この出願に使用されるDLP型の光源は、所与の第1の所定の方向に直線偏光されたビーム、またはランダムに偏光されたビームのいずれかを照射し、一方、レーザ型の源は、第2の所定の方向に直線偏光されたビームを照射するレーザダイオードである。レーザとDLPの二つのビームの空間的重ね合わせを得るためには、入射面に垂直な方向(s-偏光)とそれに平行な方向(p-偏光)の直線偏光とを用いて偏光光学系に入射することが必要である。一方または両方のビームの偏光軸が線形でないか、またはこの定義に従って配向されていない場合、いわゆる「偏光」光学系を使用することによって、それらの配向を常に補正することが可能である。
【0065】
ビームの偏光が線形であるが、偏光光学系に衝突するのに十分でない角度で配向されている場合、適切に配向された光軸を有するλ/2フォイル(foil)で配向を回転させることが可能である。ビーム偏光が線形ではなく、円形である場合、適切に配向されたλ/4フォイルを使用することによって線形に変換することが可能である。ビームの偏光がランダムである場合、偏光器、すなわち、結合光学系の原理に類似した原理で動作するが、開始ビームの混合偏光がその直交成分sおよびpに分解され、その一方が光学系によって反射され、他方が透過されるような方法で配向されるデバイスを使用することによって、ビームを線形化および配向することが可能である。利便性に依存して、元の偏光が分割された2つの偏光のうちの1つは、ビーム収集デバイス(ターゲット、センサなど)に向けられ、3D印刷プロセスに寄与しないが、他方は結合光学系に効果的に向けられる。
【0066】
図2は、一例として、実施形態によるハイブリッド光源の使用に基づく等方性型のステレオリソグラフィ3D印刷のための装置を示し、所定の波長を有するDLP型の光硬化照射線の第1の源121は偏光されず、その光源121の光ビーム201は偏光器23によって偏光され、光ビーム201の混合偏光はs-pol偏光を有するビーム203の一部分に分岐され、それはビーム収集デバイス(図示せず)に向かう方向24に偏向され、結合光学系19に向かうビーム202の一部分に偏向される。同様に、図示されていないが常に本発明に従って実現される異なる実施形態によれば、レーザ型の光硬化照射線の源は偏光されていなくてもよく、または両方の光源が偏光されていなくてもよい。
【0067】
偏光ビーム結合技術は、たとえば、光ビームの結合がダイクロイックフィルタを用いて波長で行われる装置のような、従来技術による類似の型式の装置に関して、本発明によるハイブリッド光源を用いた等方性型のステレオリソグラフィ3D印刷装置に対して追加的かつ革新的な利点を提供する。実際、後者とは異なり、偏光結合光学系はいかなる型式のコーティングも必要とせず、それに衝突するビームが同じ波長にあるとき、p偏光に対する最大の透過率およびs偏光に対する最大の反射率を保証することができる。このような型式の偏光結合光学系の一実施例は、いわゆるブルースターフォイルである。
【0068】
コーティングを必要としない光学系を必要に応じて使用する可能性の利点は、ビームの少なくとも1つの波長(より具体的には、それがより高い密度を有するので、レーザ源の波長)がUV範囲内にある場合に明らかになる。実際、UV照射は、それが十分な強度を有する場合、コーティングが付着される表面とのその界面でのコーティングの表面劣化現象(UV誘導光学損傷)を引きことがあり、これは、コーティング自体がそれに当たるUV照射を吸収して強調するので、時間とともに悪化する黒化を実際に生じさせる。
【0069】
同様に、結合光学系におけるビーム重ね合わせの目的で対象の直線偏光成分のみをフィルタリングするために、本発明によるステレオリソグラフィ3D印刷装置のハイブリッド光源の1つまたは両方の光ビームの経路に沿った偏光光学系として、ブルースターフォイルを使用することができる。
【0070】
図2に示される本発明の実施形態によるハイブリッド光源を用いたステレオリソグラフィ3D印刷のための装置の別の利点は、光ビーム201のビーム202の一部のみが偏光器23を通過するので、前記偏光器23は、本発明によるハイブリッド光源を用いたステレオリソグラフィ3D印刷装置の較正に使用することができ、これにより、2つの光源から来る光ビームによってカバーされる作業領域を正確に重ね合わせ、たとえば、システムのリアルタイム検証を妨げるような高価な視覚システムを回避することができるという点実にある。
【0071】
本発明による3D印刷装置は、単色DLP光源12の照射と単色レーザ光源13の照射の正確な動作を保証するために、3次元モデルの同一層に対して、DLP光源で投影される単色画像と、各層のエッジに対するベクトル経路とを発生可能なハイブリッドスライサを有するハイブリッドソフトウェアを備えている。各樹脂および各層の厚さに対して一定であるエネルギ密度が設定されると、ソフトウェアは、後述するように、各個々の層に対する速度(硬化時間および経路のサイズの関数)およびレーザの出力を定義することができる命令のシーケンスを事前に発生することができる。
【0072】
標準的なDLP光源(プロジェクタ)を使用して、tDLPは重合のための画像持続時間として定義され、PDLPは、所定の波長(通常はUV)を有する同じプロジェクタによって発生される出力である。
【0073】
よく知られているように、樹脂の各型式および同じ樹脂に関連する各層の各厚さに対して、次のものがある。
【0074】
DLP = 一定
DLP = 一定
【0075】
すなわち、各層の厚さが固定された物体を形成する全プロセスを通じて、プロジェクタの出力とn層目の画像の持続時間は変わらないので、DLP型3次元プリンタは、印刷される物体の体積に対して時間不変であるといえる。
【0076】
次に、tlaser時間は、レーザが内部を走査して硬化させるのに要する時間として定義され、P laserは、DLPプロジェクタのものに等しい固定波長でのレーザ源の特性出力である。上述したように、等方性という特性を有する物体を得るためには、2つの光源の波長は同じでなければならない。
【0077】
本発明によれば、
DLP=tlaser=一定
【0078】
すなわち、各層に対して、層の側縁を硬化させるためのレーザ移動時間が、DLPプロジェクタによって生成される画像の持続時間に等しいという条件が課せられる。換言すれば、DLPが層の内部を硬化させている間に、レーザが同時に同じ量の時間で同じ層の側縁部を硬化させる条件が作り出される。
【0079】
この条件は、満たされれば、連続モードでも等方性の印刷には必要であるが、十分ではない。この条件を保証するために、vlasernをn層目のレーザ走査速度と定義し、Lshapenを各個別画像nのエッジの長さとする。明らかに、各個々の層について、硬化される層のエッジは、三次元物体の形状が変化するにつれて変化してもよい(すなわち、印刷がコーンである場合、エッジの長さは、連続する各層とともに直線的に減少する傾向がある)。
【0080】
最後に、本発明による解の基礎となる第1の数学的条件を定義する。ここで、速度は次式で定義される。
v = s/t
時間tlaserでn層のエッジLshapenの全長を移動するためには、速度vlasernは次式に等しい。
lasern = Lshapen/tlaser
等方性の印刷の条件で
DLP = tlaser = 一定
したがって、次式が得られる。
lasern = Lshapen/tlaser = Lshapen/tDLP
【0081】
すなわち、各層に対して、エッジの長さの関数として、ガルバノメータヘッド18の速度は、エッジの硬化ステップのためのレーザの走査時間が、DLP源が画像の内側部分を硬化するのに要する時間に等しいことを保証するために、線形に変化する。
【0082】
第1の条件を定義したので、各層ごとにエッジLshapenの経路を変更し、レーザtlaserの走査時間を一定に維持し、印刷プロセス全体を通してプロジェクタtDLPの硬化時間と等しくしなければならないので、ガルバノメトリック走査ヘッドのvlasern速度に取り組む必要があることが分かる。しかしながら、等方性印刷を得るためには、層の内側部分とエッジとの間の化学的架橋の完了の比率は均質なままであり、これは、単位面積当たりに伝達されるべき出力密度が一定であることを意味する。したがって、2番目の条件は次式のようになる。
dPDLP = dPlaser = 一定
上に定義したように、これは、樹脂ごとに層の各厚さに対して変化し、印刷プロセスを通して一定である。したがって、空間および時間の単位で伝達される光子の量として定義されるエネルギの伝達が一定であるという条件が課せられ、これが、次の条件につながる。
E = P ・ t
【0083】
ここで、Eは硬化プロセスのために伝達される有用なエネルギであり、Pは一定の波長における光源の出力であり、tはエネルギ送達時間である。したがって、単位表面積では、密度の概念に目を向けると、次式を得る。
dE = P・dt
この時点で、第1の条件は、走査される経路に線形に依存するものとしてレーザの速度を定義するので、表面ユニット上のレーザの持続時間は反比例的に減少される。等方性条件を満たす場合、次式がある。
dElaser = dEDLP = 一定
これは、印刷プロセス全体の特徴的な条件であり、各樹脂および各層厚に対して一定である。
dElaser = Pn・dtlasern
この式から、それぞれの層ごとに
dtlasern = dLshapen/vlasern
したがって、
dElaser = Pn・dLshapen/vlasern
この式により、本発明に従って提案された解の基礎となる第2の数学的条件が最終的に定義される。
【0084】
従って、レーザによって送達されるエネルギ密度は、各樹脂ン及び各層厚に対して等しく且つ一定であることを課したので、次式が得られる。
lasern = dElaser/dLshape・vlasern
ここで、dElaser/dLshape=k、ここで、kは一定値であり、これから明らかなことは、走査されるべき経路が増大し、したがって、ガルバノメトリックヘッドの速度が増大するにつれて、それは、いかなる場合でも、伝達されたエネルギ密度を変化させないように、走査の時間的不変性の状態を維持するが、レーザ出力は、速度に対して線形に変化することである。
【0085】
たとえば、エッジの一定経路を有する層を硬化させる必要があると仮定すると、第2の層がエッジの長さの2倍である場合、時間を変化させないために、速度は2倍になり、したがって、持続時間は前のものの半分であるため、光源の出力も2倍になる。
【0086】
全方向に連続し、エイリアシング効果がなく、印刷板の寸法に関して解像度が変化しない等方性の印刷を得るために、本発明は、図1を参照して上述したものと同様に、ボトムアップ式光硬化による3D印刷のための装置を提案するが、この装置は、単色DLPプロジェクタと、可変の速度および出力を有する適切に較正されたレーザ源とを備えたハイブリッド光源と、印刷される各層に対して以下の条件を満たすことができる予測ソフトウェアとを備える。
【0087】
lasern = Lshapen/tlaser = Lshapen/tDLP
lasern = dElaser/dLshape ・ vlasern
ここで、dElaser/dLshape=各層のk、ここでkは定数値である。
【0088】
結論として、上記のようなハイブリッド源およびソフトウェアを使用することによって、本発明の目的を達成することができる。
【0089】
・XY方向の等方性印刷
・Z方向の等方性印刷(連続印刷の場合)
・エイリアシング効果の除去
・Z方向の連続印刷の可能性
【0090】
本発明は、その好ましい実施形態に従って、適用範囲を限定することなく、例示としてのみ説明されるが、本発明は、本明細書中の特許請求の範囲に定義されるように、それによって本発明の概念の範囲から逸脱することなく、当該分野の専門家によって修正および/または適合され得ることが理解されるべきである。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-10-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク(10)を備えたボトムアップ式光硬化型の3D印刷装置であって、
前記タンク(10)は、少なくとも1つの抽出板15が内部に浸漬された光硬化液材料を収容し、前記タンク(10)の底部(11)から前記光硬化液材料の光硬化により得られる層の厚さに等しい距離の位置から、前記タンク(10)の底部(11)に垂直な方向に、交互に直線運動する運動手段16を備え、
3D印刷の為の前記装置は、
所定の波長を有するDLP型の光硬化照射線の第1の源(12)と、
DLP型の光硬化照射線の第1の源(12)の波長と等しい波長を有するレーザ型の光硬化照射線の第2の源(13)であって、レーザ偏向手段および前記DLP型の光硬化照射線の第1の源(12)の照射線とレーザ型の光硬化照射線の第2の源(13)の照射線との偏光ビーム合成器(19)を備えた、レーザ型の光硬化照射線の第2の源(13)と、
を備え、
DLP型の光硬化照射線の前記第1の源(12)は、所定の角度に従って配向された直線偏光を有し、または、所定の角度に従って配向された直線偏光を有する、DLP型の光硬化照射線の第1の源(12)の照射線の一部分のみの通過を可能にするように構成された偏光子に関連付けられ、前記レーザ型の光硬化照射の前記第2の源(13)は、前記DLP型の光硬化照射線の前記第1の源(12)と直交する角度に従って配向された直線偏光を有するか、または、DLP型の光硬化照射線の前記第1の源(12)と直交する角度に従って配向された直線偏光を有するレーザ型の光硬化照射線の前記第2の源(13)の照射線の一部分のみを通過させるように構成された偏光器に関連付けられ、前記タンク(10)の底部(11)は、光硬化に用いられる両方の照射線に対して透過性のある材料で形成され、レーザ型の光硬化照射線の前記第2の源(13)は、可変照射フラックス出力を有し、前記レーザ偏向手段は、可変速度を有し、前記レーザ偏向手段の前記照射フラックス出力および前記速度は、前記DLP型の光硬化照射線の前記第1の源(12)による各層の光硬化に必要な時間の関数として、予測ソフトウェアによって制御されることを特徴とする、3D印刷装置。
【請求項2】
光硬化に使用される両方の照射線に対して透過性のある前記材料は、ホウ珪酸ガラスまたは石英であることを特徴とする、請求項1に記載の3D印刷装置。
【請求項3】
前記レーザ偏向手段は、ガルバノメトリックヘッド(18)を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の3D印刷装置。
【請求項4】
レーザ型の光硬化照射の第2の源(13)は、可変出力ダイオード(17)を備えることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の3D印刷装置。
【請求項5】
前記予測ソフトウェアは、CAD-CAM/スライサソフトウェアであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の3D印刷装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の装置によって実施されるボトムアップ式光硬化型の3D印刷方法であって、
a)抽出板(15)を、最後に硬化された層が存在する位置まで、または存在しない場合には抽出板(15)の下面が、タンク(10)の前記底部(11)に対して形成される層の距離にある位置まで降下させるステップと、
b)印刷されるべき物体の1つの硬化層の照射および発生を進めるステップと、
c)タンク(10)の底部(11)が前記硬化層から徐々に剥離しながら、抽出板(15)を持ち上げるステップと、
を含み、
DLP型の光硬化型照射線の第1の源(12)による同層の光硬化に要する時間と同じ時間で形成される層の輪郭を通過するように前記レーザ偏向手段の速度を設定するとともに、前記レーザ偏向手段の設定された速度に応じて前記レーザの照射フラックスの出力を設定して、形成される物体が完成するまでステップa)-c)を反復して行う、3D印刷方法。
【請求項7】
印刷される各層nについて、以下の条件、即ち、
lasern = Lshapen/tlaser = Lshapen/tDLP
lasern = dElaser/dLshape・vlasern
が満たされることを特徴とする請求項6に記載のボトムアップ式光硬化型の3D印刷方法であって、
lasernは、層nに対するレーザ走査速度であり、Lshapenは、層nの輪郭の長さであり、tlaserは、層nの輪郭を走査するためにレーザによって費やされる時間であり、tDLPは、層nの光硬化のためのDLP画像の持続時間であり、Plasernは、層nに対するレーザ源の出力であり、dElaserは硬化プロセスのために伝達される有用なエネルギ密度であdL shape は、時間dt lasern に覆われるL shapen の部分である、3D印刷方法。
【請求項8】
印刷される各層nについて、以下の条件、即ち、
dElaser/dLshape=k
が満たされることを特徴とするボトムアップ式光硬化型の3D印刷方法であって、
kは、定数値である、請求項7に記載の3D印刷方法。
【国際調査報告】