(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(54)【発明の名称】抗がん有効性のための、及び免疫チェックポイント阻害剤に対する応答を増加させるための、カスタラギン又はその類似体の使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/366 20060101AFI20230510BHJP
A61K 36/61 20060101ALI20230510BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230510BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230510BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20230510BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230510BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20230510BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20230510BHJP
【FI】
A61K31/366
A61K36/61
A61K39/395 U
A61P35/00
A61P37/02
A61P43/00 121
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022550877
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(85)【翻訳文提出日】2022-10-21
(86)【国際出願番号】 CA2021050183
(87)【国際公開番号】W WO2021163802
(87)【国際公開日】2021-08-26
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508070769
【氏名又は名称】ザ ロイヤル インスティチューション フォー ジ アドヴァンスメント オブ ラーニング/マギル ユニヴァーシティ
(71)【出願人】
【識別番号】522334302
【氏名又は名称】ヴァル-シュム・リミテッド・パートナーシップ
(71)【出願人】
【識別番号】522040735
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ ラヴァル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ベルトラン・ルーティ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ・マレット
(72)【発明者】
【氏名】メリエム・メサウデーヌ
(72)【発明者】
【氏名】バスティアン・カスタニエ
(72)【発明者】
【氏名】ライリー・ピジョン
【テーマコード(参考)】
4C085
4C086
4C088
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG01
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4C086ZC75
4C088AB57
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4C088BA23
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4C088CA06
4C088CA14
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4C088MA52
4C088NA14
4C088ZB02
4C088ZB07
4C088ZB26
4C088ZC75
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
がん患者において、抗腫瘍応答、例えば、免疫チェックポイント阻害剤によって媒介される抗腫瘍免疫を増強又は回復するための方法及び使用が記載される。これらの方法は、カスタラギン又はその類似体の投与に基づき、免疫チェックポイント阻害剤療法等の免疫療法に耐性のある腫瘍の治療に特に有用である。カスタラギン又はその類似体は、任意の適切な形態で、例えば、Myrciaria dubia抽出物等の粗植物若しくは果実抽出物で、又は医薬組成物で投与され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫療法に耐性のあるがんに罹患している対象者を治療するための方法であって、前記対象者に、治療有効量のカスタラギン又はその類似体を投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記免疫療法が、免疫チェックポイント阻害剤療法を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、プログラム細胞死-1(PD-1)阻害剤、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)阻害剤、又はプログラム死-リガンド1(PD-L1)阻害剤である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記阻害剤が遮断抗体である、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記免疫チェックポイント阻害剤がPD-1阻害剤である、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記カスタラギン又はその類似体が、植物又は果実抽出物中に存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記抽出物が、Myrciaria dubia(カムカム)抽出物である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、カスタラギン又はその類似体、好ましくはカスタラギンを含む医薬組成物を投与することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記抽出物又は医薬組成物が、前記カスタラギン又はその類似体を腸内に送達するために製剤化される、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記抽出物又は医薬組成物が、カプセルとして製剤化される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記がんが、肺がん又は乳がんである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記肺がんが、非小細胞肺がん(NSCLC)である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記乳がんが、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
有効量の前記免疫チェックポイント阻害剤又はカスタラギンを単独で投与することをさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
がんに罹患している対象者において抗腫瘍免疫応答を増強するための方法であって、前記方法が、前記対象者に、治療有効量のカスタラギン又はその類似体を投与することを含む、方法。
【請求項16】
前記抗腫瘍免疫応答が、抗腫瘍T細胞応答である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記方法が、治療有効量の免疫チェックポイント阻害剤を前記対象者に投与することをさらに含む、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、プログラム細胞死-1(PD-1)阻害剤、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)阻害剤、又はプログラム死-リガンド1(PD-L1)阻害剤である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記阻害剤が遮断抗体である、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記免疫チェックポイント阻害剤がPD-1阻害剤である、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記カスタラギン又はその類似体が、植物又は果実抽出物中に存在する、請求項15~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記抽出物が、Myrciaria dubia(カムカム)抽出物である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記方法が、カスタラギン又はその類似体、好ましくはカスタラギンを含む医薬組成物を投与することを含む、請求項15~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記抽出物又は医薬組成物が、前記カスタラギン又はその類似体を腸内に送達するために製剤化される、請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記抽出物又は医薬組成物が、カプセルとして製剤化される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記対象者が、肺がん又は乳がんに罹患している、請求項15~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記肺がんが、非小細胞肺がん(NSCLC)である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記乳がんが、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)である、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
免疫療法に耐性のあるがんに罹患している対象者を治療するためのカスタラギン又はその類似体の使用。
【請求項30】
免疫療法に耐性のあるがんに罹患している対象者を治療するための医薬を製造するためのカスタラギン又はその類似体の使用。
【請求項31】
前記免疫療法が、免疫チェックポイント阻害剤療法を含む、請求項29又は30に記載の使用。
【請求項32】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、プログラム細胞死-1(PD-1)阻害剤、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)阻害剤、又はプログラム死-リガンド1(PD-L1)阻害剤である、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
前記免疫チェックポイント阻害剤が遮断抗体である、請求項31又は32に記載の使用。
【請求項34】
前記免疫チェックポイント阻害剤がPD-1阻害剤である、請求項31~33のいずれか一項に記載の使用。
【請求項35】
前記カスタラギン又はその類似体が、植物又は果実抽出物中に存在する、請求項29~34のいずれか一項に記載の使用。
【請求項36】
前記抽出物が、Myrciaria dubia抽出物である、請求項35に記載の使用。
【請求項37】
前記カスタラギン又はその類似体、好ましくはカスタラギンが、医薬組成物中に存在する、請求項29~34のいずれか一項に記載の使用。
【請求項38】
前記抽出物又は医薬組成物が、前記カスタラギン又はその類似体を腸内に送達するために製剤化される、請求項35~37のいずれか一項に記載の使用。
【請求項39】
前記抽出物又は医薬組成物が、カプセルとして製剤化される、請求項38に記載の使用。
【請求項40】
前記がんが、肺がん又は乳がんである、請求項29~39のいずれか一項に記載の使用。
【請求項41】
前記肺がんが、非小細胞肺がん(NSCLC)である、請求項40に記載の使用。
【請求項42】
前記乳がんが、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)である、請求項40に記載の使用。
【請求項43】
がんに罹患している対象者において抗腫瘍免疫応答を増強するためのカスタラギン又はその類似体の使用。
【請求項44】
がんに罹患している対象者において抗腫瘍免疫応答を増強するための医薬を製造するためのカスタラギン又はその類似体の使用。
【請求項45】
前記抗腫瘍免疫応答が、抗腫瘍T細胞応答である、請求項43又は44に記載の使用。
【請求項46】
前記カスタラギン又はその類似体が、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて使用するためのものである、請求項43~45のいずれか一項に記載の使用。
【請求項47】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、プログラム細胞死-1(PD-1)阻害剤、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)阻害剤、又はプログラム死-リガンド1(PD-L1)阻害剤である、請求項46に記載の使用。
【請求項48】
前記免疫チェックポイント阻害剤が遮断抗体である、請求項46又は47に記載の使用。
【請求項49】
前記免疫チェックポイント阻害剤がPD-1阻害剤である、請求項46~48のいずれか一項に記載の使用。
【請求項50】
前記カスタラギン又はその類似体が、植物又は果実抽出物中に存在する、請求項43~49のいずれか一項に記載の使用。
【請求項51】
前記抽出物が、Myrciaria dubia抽出物である、請求項50に記載の使用。
【請求項52】
前記カスタラギン又はその類似体、好ましくはカスタラギンが、医薬組成物中に存在する、請求項43~49のいずれか一項に記載の使用。
【請求項53】
前記抽出物又は医薬組成物が、前記カスタラギン又はその類似体を腸内に送達するために製剤化される、請求項50~52のいずれか一項に記載の使用。
【請求項54】
前記抽出物又は医薬組成物が、カプセルとして製剤化される、請求項53に記載の使用。
【請求項55】
前記対象者が、肺がん又は乳がんに罹患している、請求項43~54のいずれか一項に記載の使用。
【請求項56】
前記肺がんが、非小細胞肺がん(NSCLC)である、請求項55に記載の使用。
【請求項57】
前記乳がんが、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)である、請求項55に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2020年2月20日に出願された米国仮特許出願第62/979,327号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、一般に、がんの分野に関し、より詳細には、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせたがんの治療に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒト及び動物集団におけるがんの有病率、並びに死亡率におけるその役割は、腫瘍に対して有効である新しい薬物の継続的な必要性が存在することを意味している。腫瘍の除去、又はそのサイズの減少、又は血液若しくはリンパ節系で循環するがん細胞の数を減少させることは、疼痛又は不快感を減少させる、転移を予防する、手術的介入を容易にする、及びより重要なことに、寿命を延ばす等の様々な方法で有益であり得る。
【0004】
免疫系が腫瘍と闘うのを助けるための様々な試みがなされてきている。19世紀後半の1つの初期のアプローチは、例えば、腫瘍に対して向けることもできる一般的な免疫応答を誘発するための細菌(生きているか、又は死んでいるもの)の投与による、免疫系の一般的な刺激を伴っていた。
【0005】
免疫系が特に腫瘍特異的抗原(TSA)(又は腫瘍関連抗原、TAA)を認識することを補助することを目的とする最近のアプローチは、腫瘍特異的抗原(典型的にはアジュバントと組み合わされる)の対象者への投与を伴う。しかしながら、TAAに対する強力な免疫応答の欠如は、がんにおいて観察されることが多い。TAAに対する弱い応答の原因となる因子の1つは、免疫応答を抑制する阻害経路/シグナル(多くの場合「免疫チェックポイント」と称される)の誘導である。このような阻害シグナルは、自己寛容の維持にとって、また、免疫系が病原体感染に応答するときに組織を損傷から保護するために重要であるが、それ以外に腫瘍の発生に対する身体の有用な応答であり得るものも減少させ得る。
【0006】
CTLA-4、PD-L1、及びPD-1等の阻害性T細胞受容体を標的とする免疫チェックポイント阻害剤又は遮断剤(ICB)を用いる新規な療法の時代が到来した(Marabelle,OncoImmunology 2016)。この急成長中の分野は、さらに2018年のノーベル医学賞を受賞している。これらの免疫療法剤は、肺(Reck,NEJM 2016)、黒色腫(Robert,NEJM 2011)、尿生殖器(Motzer,NEJM 2018)、及び頭頸部(Ferris,NEJM 2016)を含むいくつかの進行がんにおいて、前例のない臨床結果を提供する。しかしながら、非小細胞肺がん(NSCLC)を有する患者の一次耐性率は35~44%の範囲であり、一方、二次耐性率は、100%に近づく(Reck,NEJM 2016)。
【0007】
したがって、ICBに対する応答を、より具体的にはICB療法に耐性のあるがんにおいて、上昇させるための新規のアプローチの開発が必要である。
【0008】
本明細書は、いくつかの文献を参照し、それらの内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0009】
本出願は、以下の項目1~55に関する。
1.免疫チェックポイント阻害剤療法等の免疫療法に耐性のあるがんに罹患している対象者を治療するための方法であって、対象者に、治療有効量のカスタラギン又はその類似体を投与することを含む、方法。
【0010】
2.免疫チェックポイント阻害剤が、プログラム細胞死-1(PD-1)阻害剤、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)阻害剤、又はプログラム死-リガンド1(PD-L1)阻害剤である、項目1の方法。
【0011】
3.阻害剤が遮断抗体である、項目1又は2の方法。
【0012】
4.免疫チェックポイント阻害剤がPD-1阻害剤である、項目2又は3の方法。
【0013】
5.カスタラギン又はその類似体が、植物又は果実抽出物中に存在する、項目1~4のうちのいずれか1つの方法。
【0014】
6.抽出物が、Myrciaria dubia(カムカム)抽出物である、項目5の方法。
【0015】
7.方法が、カスタラギン又はその類似体を含む医薬組成物を投与することを含む、項目1~4のうちのいずれか1つの方法。
【0016】
8.抽出物又は医薬組成物が、カスタラギン又はその類似体を腸内に送達するために製剤化される、項目5~7のうちのいずれか1つの方法。
【0017】
9.抽出物又は医薬組成物が、カプセルとして製剤化される、項目8の方法。
【0018】
10.がんが、肺がん又は乳がんである、項目1~9のうちのいずれか1つの方法。
【0019】
11.肺がんが、非小細胞肺がん(NSCLC)である、項目10の方法。
【0020】
12.乳がんが、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)である、項目10の方法。
【0021】
13.有効量の免疫チェックポイント阻害剤又はカスタラギンを単独で投与することをさらに含む、項目1~12のうちのいずれか1つの方法。
【0022】
14.がんに罹患している対象者において抗腫瘍免疫応答を増強するための方法であって、本方法が、対象者に、治療有効量のカスタラギン又はその類似体を投与することを含む、方法。
【0023】
15.抗腫瘍免疫応答が、抗腫瘍T細胞応答である、項目14の方法。
【0024】
16.方法が、治療有効量の免疫チェックポイント阻害剤を対象者に投与することをさらに含む、項目14又は15の方法。
【0025】
17.免疫チェックポイント阻害剤が、プログラム細胞死-1(PD-1)阻害剤、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)阻害剤、又はプログラム死-リガンド1(PD-L1)阻害剤である、項目16の方法。
【0026】
18.阻害剤が遮断抗体である、項目16又は17の方法。
【0027】
19.免疫チェックポイント阻害剤がPD-1阻害剤である、項目17又は18の方法。
【0028】
20.カスタラギン又はその類似体が、植物又は果実抽出物中に存在する、項目14~19のうちのいずれか1つの方法。
【0029】
21.抽出物が、Myrciaria dubia(カムカム)抽出物である、項目20の方法。
【0030】
22.方法が、カスタラギン又はその類似体を含む医薬組成物を投与することを含む、項目14~21のうちのいずれか1つの方法。
【0031】
23.抽出物又は医薬組成物が、カスタラギン又はその類似体を腸内に送達するために製剤化される、項目20~22のうちのいずれか1つの方法。
【0032】
24.抽出物又は医薬組成物が、カプセルとして製剤化される、項目23の方法。
【0033】
25.対象者が、肺がん又は乳がんに罹患している、項目14~24のうちのいずれか1つの方法。
【0034】
26.肺がんが、非小細胞肺がん(NSCLC)である、項目25の方法。
【0035】
27.乳がんが、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)である、項目25の方法。
【0036】
28.免疫チェックポイント阻害剤療法等の免疫療法に耐性のあるがんに罹患している対象者を治療するためのカスタラギン又はその類似体の使用。
【0037】
29.免疫チェックポイント阻害剤療法等の免疫療法に耐性のあるがんに罹患している対象者を治療するための医薬を製造するためのカスタラギン又はその類似体の使用。
【0038】
30.免疫チェックポイント阻害剤が、プログラム細胞死-1(PD-1)阻害剤、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)阻害剤、又はプログラム死-リガンド1(PD-L1)阻害剤である、項目28又は29の使用。
【0039】
31.免疫チェックポイント阻害剤が遮断抗体である、項目28~30のうちのいずれか1つの使用。
【0040】
32.免疫チェックポイント阻害剤がPD-1阻害剤である、項目28~31のうちのいずれか1つの使用。
【0041】
33.カスタラギン又はその類似体が、植物又は果実抽出物中に存在する、項目28~32のうちのいずれか1つの使用。
【0042】
34.抽出物が、Myrciaria dubia抽出物である、項目33の使用。
【0043】
35.カスタラギン又はその類似体が、医薬組成物中に存在する、項目28~32のうちのいずれか1つの使用。
【0044】
36.抽出物又は医薬組成物が、カスタラギン又はその類似体を腸内に送達するために製剤化される、項目33~35のうちのいずれか1つの使用。
【0045】
37.抽出物又は医薬組成物が、カプセルとして製剤化される、項目36の使用。
【0046】
38.がんが、肺がん又は乳がんである、項目28~37のうちのいずれか1つの使用。
【0047】
39.肺がんが、非小細胞肺がん(NSCLC)である、項目38の使用。
【0048】
40.乳がんが、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)である、項目38の使用。
【0049】
41.対象者において抗腫瘍免疫応答を増強するためのカスタラギン又はその類似体の使用。
【0050】
42.対象者において抗腫瘍免疫応答を増強するための医薬を製造するためのカスタラギン又はその類似体の使用。
【0051】
43.抗腫瘍免疫応答が、抗腫瘍T細胞応答である、項目41又は42の使用。
【0052】
44.カスタラギン又はその類似体が、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて使用するためのものである、項目41~43のうちのいずれか1つの使用。
【0053】
45.免疫チェックポイント阻害剤が、プログラム細胞死-1(PD-1)阻害剤、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)阻害剤、又はプログラム死-リガンド1(PD-L1)阻害剤である、項目44の使用。
【0054】
46.免疫チェックポイント阻害剤が遮断抗体である、項目44又は45の使用。
【0055】
47.免疫チェックポイント阻害剤がPD-1阻害剤である、項目44~46のうちのいずれか1つの使用。
【0056】
48.カスタラギン又はその類似体が、植物又は果実抽出物中に存在する、項目41~47のうちのいずれか1つの使用。
【0057】
49.抽出物が、Myrciaria dubia抽出物である、項目48の使用。
【0058】
50.カスタラギン又はその類似体が、医薬組成物中に存在する、項目41~47のうちのいずれか1つの使用。
【0059】
51.抽出物又は医薬組成物が、カスタラギン又はその類似体を腸内に送達するために製剤化される、項目48~50のうちのいずれか1つの使用。
【0060】
52.抽出物又は医薬組成物が、カプセルとして製剤化される、項目51の使用。
【0061】
53.対象者が、皮膚がん(例えば、黒色腫、扁平上皮がん)、肺がん、腎臓がん(例えば、腎細胞がん腫)、ホジキンリンパ腫、頭頸部がん、結腸がん、肝臓がん、胃がん若しくは骨髄腫、好ましくは、肺がん若しくは乳がんに罹患している、項目41~52のうちのいずれか1つの使用。
【0062】
54.対象者が、肺がん、好ましくは非小細胞肺がん(NSCLC)に罹患している、項目53の使用。
【0063】
55.対象者が、乳がん、好ましくはトリプルネガティブ乳がん(TNBC)に罹患している、項目53の使用。
【0064】
本発明の他の目的、利点及び特徴は、添付の図面を参照しつつ単なる例として与えられる、以下の特定の実施形態の非限定的な記載を読めば、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1A】抗PD-1療法に感受性のあるマウス腫瘍モデルにおける、カムカム抽出物(CC)単独の効果、及び抗PD-1療法と組み合わせた場合の相加効果を研究するために使用されるプロトコルの概略図である。同系C57BL/6マウスに、0.8×10
6個のMCA-205肉腫を皮下移植し、腫瘍が20~35mm
2のサイズに達したときに、200mg/kgのCC(SunFood製のカムカム粉末)の1日1回の強制経口投与を伴うか、又は伴わずに、抗PD-1 mAb(250μg/マウス、クローンRMP1-14)、又はアイソタイプ対照(クローン2A3)で腹腔内(i.p.)で治療した。
【
図1B】CCの1日1回の強制経口投与を伴うか、又は伴わずに、抗PD-1 mAb又はアイソタイプ対照で治療された、MCA-205腫瘍を移植したマウスにおける時間経過に伴う腫瘍サイズを示すグラフである。
【
図1C】CCの1日1回の強制経口投与を伴うか、又は伴わずに、抗PD-1 mAb又はアイソタイプ対照で治療された、MCA-205腫瘍を移植したマウスの安楽死のときの腫瘍サイズを示すグラフである。
【
図2A】抗PD-1療法に耐性のあるマウス腫瘍モデルにおける、カムカム抽出物(CC)単独の効果、及び抗PD-1療法と組み合わせた場合の相加効果を研究するために使用されるプロトコルの概略図である。同系C57BL/6マウスに、0.5×10
6個のE0771乳がん腫瘍モデルを皮下移植し、腫瘍が20~35mm
2のサイズに達したときに、200mg/kgのCC(SunFood)の1日1回の強制経口投与を伴うか、又は伴わずに、抗PD-1 mAb(250μg/マウス、クローンRMP1-14)、又はアイソタイプ対照(クローン2A3)で腹腔内(i.p.)で治療した。
【
図2B】抗PD-1 mAb(αPD-1)又はアイソタイプ対照(IsoPD-1)の順次注射、及び水又はCCの1日1回の強制経口投与の後のE0771腫瘍を移植したマウスにおける時間経過に伴う腫瘍サイズを示すグラフである。
【
図2C】CCの1日1回の強制経口投与を伴うか、又は伴わずに、抗PD-1 mAb又はアイソタイプ対照で治療された、E0771腫瘍を移植したマウスの安楽死のときの腫瘍サイズを示すグラフである。
【
図3A】マウスMCA-205腫瘍モデルにおいて、広域スペクトル抗生物質(ATB)が、CCに対する応答に及ぼす効果を研究するために使用されるプロトコルの概略図である。マウスを、腫瘍移植の2週間前にATBで治療し、実験終了まで抗生物質を継続した。アンピシリン(1mg/ml)、ストレプトマイシン(5mg/ml)、及びコリスチン(1mg/ml)(Sigma-Aldrich)の混合物を滅菌飲料水に添加した。溶液及び瓶を週に3回交換した。抗生物質の活性は、安楽死(拡張)時の盲腸のレベルで観察される巨視的変化によって、また、好気性条件又は嫌気性条件で、血液寒天プレート上で37℃で48時間、滅菌NaCl中に再懸濁させた糞便ペレットを培養することによって確認した。MCA-205の接種及びCC治療を、
図1Aのように行った。
【
図3B】MCA-205腫瘍を移植したマウスにおける、CCの1日1回の強制経口投与を伴うか、又は伴わずに、水(対照、
図3B)(5匹のマウス/グループ)を投与された、時間経過に伴う腫瘍サイズを示すグラフである。
【
図3C】MCA-205腫瘍を移植したマウスにおける、CCの1日1回の強制経口投与を伴うか、又は伴わずに、ATB(
図3C)(5匹のマウス/グループ)を投与された、時間経過に伴う腫瘍サイズを示すグラフである。
【
図4A】マウスMCA-205腫瘍モデルにおける、CC治療したマウスからの糞便微生物叢移動(FMT)が抗PD-1に対する応答に及ぼす効果を研究するために使用されるプロトコルの概略図である。CCで治療されたマウスからの糞便を、-80℃で、Eppendorf(登録商標)チューブ内で凍結させた。MCA-205を皮下移植し、腫瘍が20~35mm
2のサイズに達したときに、NaCl中の希釈した便による1日1回の強制経口投与を伴うか、又は伴わずに、抗PD-1 mAb(250μg/マウス、クローンRMP1-14)、又はアイソタイプ対照(クローン2A3)で腹腔内(i.p.)で治療した。100μgの糞便を、1mLの滅菌NaClに再懸濁させた。
【
図4B】NaCl中の希釈した便による1日1回の強制経口投与を伴うか、又は伴わずに、抗PD-1 mAb又はアイソタイプ対照で治療された、MCA-205腫瘍を移植したマウスの安楽死のときの腫瘍サイズを示すグラフである。
【
図5A】アバターマウス実験の実験設計の概略図である。非レスポンダー(NR)及びレスポンダー(R)非小細胞肺がん(NSCLC)患者からの糞便試料からのFMTを、SPF C57Bl6マウスにおいて、3日間のATB後に個別に行った。2週間後、MCA-205肉腫細胞を接種し、水又はCCによる1日1回の強制投与を、αPD-1又はIsoPD-1 mAbの順次注射と組み合わせて行った。
【
図5B】各々のCCグループ及び水グループについて、2名のNRグループ及び2名のRグループからのFMT後の安楽死(D+17)のときのプールされた平均腫瘍±SEMを示すグラフである。
【
図5C】ATBで治療され、次いで4名のNSCLC患者(n=2のNR、n=2のR)からのFMTを受けた、MCA-205を有するSPF飼育マウス(n=10)におけるベースラインのとき(CC強制投与前及び生着から14日後のR及びNRのアルファ多様性について観察された属の数の表現を示すグラフである。平均±SEMを表す。
【
図5D】属レベルでのNR及びR FMTの生着から2週間後の16s RNAシークエンシングのベータ多様性のBray-Curtis表現である。*p<0.05、***p<0.001。
【
図5E】0日目にNR又はR FMTを受けてから14日後のマウス糞便の16sシークエンシング分析後の差分存在量分析結果のVolcanoプロット表現である。
【
図5F】D+11でのNR及びR FMTグループにおいて観察された属によって表されるアルファ多様性を示すグラフである。平均±SEMを表す。*p<0.05、**p<0.01。
【
図6A】MCA-205実験(
図1A)における4つのグループからのマウスからの16s rRNA糞便試料を示すグラフ、及び各々のグループにおけるShannon指数によって測定されるアルファ多様性の表現である。
【
図6B】MCA-205モデル(n=10匹のマウス/グループ)における16s検出のための特異的プライマーを使用して、6日間の水又はCC強制投与の後のマウス糞便から抽出されたDNAに対するリアルタイムPCRアッセイの結果を示すグラフである。
【
図6C】ベースライン(治療前)と、プールされたCC又は水(αPD1及びIsoPD-1)グループとを比較する、Bray-Curtis指数によって測定されたベータ多様性を示すグラフである。
【
図6D】MCA-205実験(
図1A)からの試料の16s rRNA微生物叢プロファイリング、及び治療から6日後の4つのグループすべてを比較するBray-Curtis指数によって測定されたベータ多様性の表現を示すグラフである。
【
図6E】MCA-205腫瘍において、プールされたCCグループと水グループとを比較する差分存在量分析のVolcanoプロット表現である。各グループにおいて濃縮された細菌は、調整されたp値及びp値を使用して表される。**p<0.01。
【
図6F】MCA-205腫瘍モデルにおいて、CC/IsoPD-1グループに対する、水/IsoPD-1グループにおける差分存在量分析のVolcanoプロット表現である。各グループにおいて濃縮された細菌は、調整されたp値及びp値を使用して表される。**p<0.01。
【
図6G】MCA-205腫瘍モデルにおいて、CC/αPD-1グループに対する、水/IsoPD-1グループにおける差分存在量分析のVolcanoプロット表現である。各グループにおいて濃縮された細菌は、調整されたp値及びp値を使用して表される。**p<0.01。
【
図6H】E0771腫瘍において、水/αPD-1グループとCC/αPD1グループとを比較する差分存在量分析のVolcanoプロット表現である。各グループにおいて濃縮された細菌は、調整されたp値及びp値(FDR:0.1)を使用して表される。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【
図6I】E0771モデルにおいて、CC/IsoPD-1グループに対する、水/IsoPD-1グループにおける差分存在量分析のVolcanoプロット表現である。
【
図7A】抗PD-1及び/又はCCで治療されたマウスMCA-205(
図7A~B)又はE0771(
図7C)腫瘍モデルにおけるフローサイトメトリーによる免疫細胞プロファイリングの結果を示すグラフである。それぞれMCA-205又はE0771腫瘍を有するマウスへの抗PD-1 mAbの1回目の注射から9日後又は19日後に、腫瘍及び脾臓を採取した。切除された腫瘍を小片に切断し、Liberase 25μg/mL(Roche)及び150UI/mLでのDNase1(Roche)を含有するRPMI培地中、37℃で30分間消化し、次いで、100及び70μmの細胞ストレーナー(Becton & Dickinson)を使用して、粉砕し、2回濾過した。RPMI培地中で脾臓を粉砕し、その後、100μmの細胞ストレーナーを通して濾過した。膜染色(CD45、CD3、CD4、CD8、PD1、PDL1、ICOS、CXCR3、CCR9、CD45RB、CD62L、CD44)の前に、200万個の細胞又は脾細胞を、精製された抗マウスCD16/CD32(クローン93、eBioscience)とともに4℃で30分間プレインキュベートした。細胞内染色のために、Foxp3染色キット(eBioscience)を使用した。Live/Dead Fixableアクアブルー死細胞染色キット(Life Technologies)を使用して、死細胞を除外した。
図7A~Bは、CCの1日1回の強制経口投与を伴うか、又は伴わずに、抗PD-1 mAb又はアイソタイプ対照による治療の後のMCA-205腫瘍を有するマウスからのTILにおける、それぞれTCM CD8
+T細胞(CD45RB
-CD62L
+CD8
+T細胞)及び比CD8
+T細胞/Foxp3+CD4+T細胞(Treg)を示すグラフである。
【
図7B】抗PD-1及び/又はCCで治療されたマウスMCA-205(
図7A~B)又はE0771(
図7C)腫瘍モデルにおけるフローサイトメトリーによる免疫細胞プロファイリングの結果を示すグラフである。それぞれMCA-205又はE0771腫瘍を有するマウスへの抗PD-1 mAbの1回目の注射から9日後又は19日後に、腫瘍及び脾臓を採取した。切除された腫瘍を小片に切断し、Liberase 25μg/mL(Roche)及び150UI/mLでのDNase1(Roche)を含有するRPMI培地中、37℃で30分間消化し、次いで、100及び70μmの細胞ストレーナー(Becton & Dickinson)を使用して、粉砕し、2回濾過した。RPMI培地中で脾臓を粉砕し、その後、100μmの細胞ストレーナーを通して濾過した。膜染色(CD45、CD3、CD4、CD8、PD1、PDL1、ICOS、CXCR3、CCR9、CD45RB、CD62L、CD44)の前に、200万個の細胞又は脾細胞を、精製された抗マウスCD16/CD32(クローン93、eBioscience)とともに4℃で30分間プレインキュベートした。細胞内染色のために、Foxp3染色キット(eBioscience)を使用した。Live/Dead Fixableアクアブルー死細胞染色キット(Life Technologies)を使用して、死細胞を除外した。
図7A~Bは、CCの1日1回の強制経口投与を伴うか、又は伴わずに、抗PD-1 mAb又はアイソタイプ対照による治療の後のMCA-205腫瘍を有するマウスからのTILにおける、それぞれTCM CD8
+T細胞(CD45RB
-CD62L
+CD8
+T細胞)及び比CD8
+T細胞/Foxp3+CD4+T細胞(Treg)を示すグラフである。
【
図7C】抗PD-1及び/又はCCで治療されたマウスMCA-205(
図7A~B)又はE0771(
図7C)腫瘍モデルにおけるフローサイトメトリーによる免疫細胞プロファイリングの結果を示すグラフである。それぞれMCA-205又はE0771腫瘍を有するマウスへの抗PD-1 mAbの1回目の注射から9日後又は19日後に、腫瘍及び脾臓を採取した。切除された腫瘍を小片に切断し、Liberase 25μg/mL(Roche)及び150UI/mLでのDNase1(Roche)を含有するRPMI培地中、37℃で30分間消化し、次いで、100及び70μmの細胞ストレーナー(Becton & Dickinson)を使用して、粉砕し、2回濾過した。RPMI培地中で脾臓を粉砕し、その後、100μmの細胞ストレーナーを通して濾過した。膜染色(CD45、CD3、CD4、CD8、PD1、PDL1、ICOS、CXCR3、CCR9、CD45RB、CD62L、CD44)の前に、200万個の細胞又は脾細胞を、精製された抗マウスCD16/CD32(クローン93、eBioscience)とともに4℃で30分間プレインキュベートした。細胞内染色のために、Foxp3染色キット(eBioscience)を使用した。Live/Dead Fixableアクアブルー死細胞染色キット(Life Technologies)を使用して、死細胞を除外した。
図7Cは、CC+/-αPD-1による治療後のE0771腫瘍モデルのTILにおける、腫瘍内CD8
+T細胞の活性化(フローサイトメトリーによるICOS
+CD8
+T細胞のMFIによって評価されるような)を示すグラフである。
【
図7D】マウスMCA-205腫瘍モデルにおける、CCの抗腫瘍効果に対するCD8
+T細胞活性を遮断する効果を示すグラフである。同系C57BL/6マウスに、0.8×10
6個のMCA-205肉腫を皮下移植し、腫瘍接種から3日後に、マウスを150μg/マウスの抗CD8(クローン:53-5.8、BioXCell)又はアイソタイプ対照で治療した。次いで、腫瘍が20~35mm
2のサイズに達したときに、マウスに、200mg/kgのCCによる1日1回の強制経口投与を行うか、又は行わなかった。
【
図7E】MCA-205実験において、正に相関したTILサイトメトリー]を用い、腫瘍サイズを合わせた、水/isoPD-1グループ(n=1)に対してCC/isoPD-1グループにおいて濃縮された有意に異なる細胞間のペアワイズSpearmanランク相関ヒートマップである。左パネルは、TIL内、右パネルは、脾細胞。
【
図7F】E0771実験において、フローサイトメトリー及び腫瘍サイズを合わせることによる、水/αPD-1グループに対してCC/αPD-1グループにおいて濃縮された有意に異なる糞便タクソン間のペアワイズSpearmanランク相関ヒートマップ、並びに示されている細胞型の頻度である。対応のないt検定を使用した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【
図8B】完全なカムカム抽出の高速液体クロマトグラフィーの保持時間、続いて極性画分及び画分P3、並びにオークから抽出されたカスタラギンのHPLD保持時間の図である。
【
図8C】MCA-205を有するSPF飼育マウス(n=5、安楽死のときの平均±SEM腫瘍サイズ)において、抗PD-1の存在下又は非存在下で、
図7Aに示される様々な画分(P、NP、M、INS)の効果を示すグラフである。既に記載した(
図1A)のと同じ実験設計を使用して、マウスに、40.18mg/kgの濃度での各画分(極性画分:P、非極性画分:NP、中程度の極性:M、及び不溶性画分:INS)、又は100mg/kgの用量でのCCの1日1回の強制経口投与を投与したか、又は投与しなかった。対応のないt検定を使用した。*p<0.05、**p<0.01。
【
図8D】マウスMCA-205腫瘍モデルにおいて、抗PD-1の存在下又は非存在下で、
図7Cの画分Pからの異なる部分画分(P1、P2、P3、P4)の効果を示すグラフである。既に記載した(
図1A)のと同じ実験設計を使用して、マウスに、0.85mg/kgの濃度での各画分(P1、P2、P3及びP4)、又は100mg/kgの用量でのCCの1日1回の強制経口投与を投与したか、又は投与しなかった。対応のないt検定を使用した。*p<0.05、**p<0.01。
【
図8E】マウスMCA-205腫瘍モデルにおいて、抗PD-1の存在下で異なる用量のカスタラギンの効果を示すグラフである(平均MCA-205腫瘍サイズは、ミック(mic)の安楽死のときを表していた)。既に記載した(
図1A)のと同じ実験設計を使用して、マウスに、カスタラギンの用量を増加しつつ(0.11mg/kgから2.56mg/kg)、又は100mg/kgの用量でのCCの1日1回の強制経口投与を投与したか、又は投与しなかった。注目すべきは、CCにおいて存在する用量は、約0.85mg/kgに相当する。0mg/kgでの陰性対照のために、マウスは、水を受けた。
【
図8F】E0771を有するSPF飼育マウス(n=5、安楽死のときの腫瘍サイズ)において、抗PD-1の存在下でのカスタラギンの効果を示すグラフである。既に記載した(
図2A)のと同じ実験設計を使用して、マウスに、抗PD-1存在下又は非存在下で、カスタラギン(マウス当たり0.85mg/kg)の1日1回の強制経口投与を投与したか、又は投与しなかった。
【
図9A】マウスMCA-205腫瘍モデルにおいて、無菌状態における標準濃度(マウス当たり0.85mg/kg)でのカスタラギン投与が、腫瘍サイズに及ぼす効果を示すグラフである。
【
図9B】MCA-205モデルにおいてカスタラギン強制投与から5日後(ベースライン)及び11日後の細菌多様性(観察された属の数)を示すグラフである。対応のないt検定を使用した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【
図9C】MCA-205を有するSPF飼育マウス(n=5)において、カスタラギン又は水の強制投与日の16s rRNA微生物叢シークエンシングからのBray-Curtisベータ多様性表現である。各々の線は、マウスグループに対応しており、各々の点は、1匹の動物に対応している。対応のないt検定を使用した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【
図9D】MCA-205を有するSPF飼育マウス(n=5)において、カスタラギン/IsoPD-1グループに対する、水/IsoPD-1グループにおける16sシークエンシング分析の後の差分存在量分析結果のVolcanoプロット表現である。
【
図9E】NR FMT実験において、水グループとカスタラギングループとの間の16sシークエンシング分析の後のRuminococcus、Alistepes、Christensenellaceae R7グループ、Paraprevotella、及びLachnoclostridiumの相対存在量分析を示す。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【
図9F】NR FMT実験において、水グループとカスタラギングループとの間の16sシークエンシング分析の後のRuminococcus、Alistepes、Christensenellaceae R7グループ、Paraprevotella、及びLachnoclostridiumの相対存在量分析を示す。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【
図9G】NR FMT実験において、水グループとカスタラギングループとの間の16sシークエンシング分析の後のRuminococcus、Alistepes、Christensenellaceae R7グループ、Paraprevotella、及びLachnoclostridiumの相対存在量分析を示す。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【
図9H】NR FMT実験において、水グループとカスタラギングループとの間の16sシークエンシング分析の後のRuminococcus、Alistepes、Christensenellaceae R7グループ、Paraprevotella、及びLachnoclostridiumの相対存在量分析を示す。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【
図9I】NR FMT実験において、水グループとカスタラギングループとの間の16sシークエンシング分析の後のRuminococcus、Alistepes、Christensenellaceae R7グループ、Paraprevotella、及びLachnoclostridiumの相対存在量分析を示す。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【
図9J】カスタラギン治療(0mg/kg、1/4倍である0.21mg/kg、1倍である0.85mg/kg、及び3倍である2.55mg/kg)が、糞便中のRuminococcaceaeの量に及ぼす効果を示すグラフである。MCA-205を有するSPF飼育マウス(n=5)において、Ruminococcaceae検出のための特異的なプライマーを使用して、0.21mg/kg、0.85mg/kg及び2.55mg/kgで水又はカスタラギンによる6日間の経口強制投与の後のマウス便から抽出されたDNAに対して、リアルタイムPCRを行った。*p<0.05、**p<0.01。
【
図10A】マウスMCA-205において、カスタラギン治療が免疫細胞プロファイルに及ぼす効果の結果を示すグラフである。安楽死のときに、水に対してCCを比較した、無菌及びSPF実験におけるCD8
+Tセントラルメモリー(TCM)細胞(CD45RB
-CD62L
+)のMCA-205 TILのフローサイトメトリー分析。
【
図10B】水/IsoPD-1グループ及びカスタラギン/IsoPD-1グループの両方における腫瘍のCD4、CD8及びFoxp3免疫蛍光染色の代表的な画像。
【
図10C】免疫蛍光染色により得られた、(n=8/グループ)における腫瘍内の比CD8
+/Foxp3
+CD4
+のボックスプロット。*p<0.05。
【
図10D】マウスE0771において、カスタラギン治療が免疫細胞プロファイルに及ぼす効果の結果を示すグラフである。安楽死のときに、腫瘍におけるメモリーCD8
+T細胞のE0771のフローサイトメトリー分析。
【
図10E】マウスE0771において、カスタラギン治療が免疫細胞プロファイルに及ぼす効果の結果を示すグラフである。安楽死のときに、脾臓におけるメモリーCD8
+T細胞のE0771のフローサイトメトリー分析。
【
図11A】αPD1 mAb又はIsoPD-1と組み合わせてカスタラギン又は水による1日1回の強制投与を行った1名のNR NSCLC患者からのFMT後のATB-アバターモデルにおけるにおける、抗PD-1存在下又は非存在下でのカスタラギン(0.85mg/kg)が腫瘍成長動態に及ぼす効果を示すグラフである。対応のないt検定を使用した。平均±SEMを表す。*p<0.05。
【
図11B】ATB及び無菌条件におけるNR NSCLC患者からの糞便試料を使用したカスタラギンFMT後の治療効果を示すグラフである。非レスポンダー(NR)非小細胞肺がん(NSCLC)患者(n=1名のNR)からの便試料の糞便微生物叢移植(FMT)を、無菌C57BL/6マウス(n=3)において行った。2週間後、MCA-205肉腫細胞を接種し、水又はカスタラギンによる1日1回の強制投与を行った。各々の線は、マウスグループに対応しており、各々の点は、1匹の動物に対応している。対応のないt検定を使用した。平均±SEMを表す。
【
図12A】カスタラギンからエラグ酸及びカスタリンへの加水分解、並びに腸内微生物叢によるエラグ酸からウロリチンへの代謝の概略図である。
【
図12B】既に記載した(
図1A)のと同じ実験設計を使用して、マウスMCA-205腫瘍モデルにおいて、カスタラギン、ベスカラギン、エラグ酸、カスタリン及びウロリチンAが、安楽死のときの腫瘍サイズに及ぼす効果を示すグラフである。
【
図12C】フルオロセインによるカスタラギンのインビトロ標識化を示す図である。
【
図12D】Escherichia Coli、Ruminococcus bromii及びBacteroides thetaiotomicronとの共培養における、フルオレセイン標識されたカスタラギンの1つのフローサイトメトリー実験表現の表現である。上のパネルは、未染色の状態を示し、下のパネルは、37℃でのフルオレセイン-カスタラギンによる染色を表す。
【
図12E】フルオレセインが結合したカスタラギン存在下37℃及び0℃で、また、100倍濃度での結合していないカスタラギン存在下でのR.bromii及びE.Coliの競合アッセイの結果を示すグラフである。各々の点は、1つの実験を表す。
【
図12F】フルオ-カスタラギン後のR.bromii、E.coli、B.thetaiotaomicronの落射蛍光倒立顕微鏡法による画像の表示。
【
図12G】1日1回の1.5mgのCCで治療された2名の非がんHIV患者における多様性(16s)及びRuminococcaceaeのqPCRアッセイの結果を示すグラフである。グラフは、CC投与前及び3週間後の、多様性(16s RNA)の量を示す。
【
図12H】1日1回の1.5mgのCCで治療された2名の非がんHIV患者における多様性(16s)及びRuminococcaceaeのqPCRアッセイの結果を示すグラフである。グラフは、CC投与前及び3週間後の、Ruminococcaceae DNAの量を示す。
【
図13】MCA-205を有するSPF飼育マウス(n=10)において、Ruminococcaceae検出のための特異的なプライマーを使用して、0.85mg/kgでの水又はカスタラギンによる6日間の経口強制投与の後のマウス便から抽出されたDNAに対して行われたqPCRアッセイの結果を示すグラフである。*p<0.05。
【
図14】水と比較して、CC及び/又はカスタラギン投与の後に増加した細菌のリストを示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
本発明を説明する文脈において(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において)、「a」及び「an」及び「the」という用語並びに同様の指示対象の使用は、別様に本明細書に示されるか、又は文脈に明確に矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を網羅するように解釈されるべきである。
【0067】
「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、及び「含有する(containing)」という用語は、別段注釈が付かない限り、オープンエンド用語(すなわち、「含むが、限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。
【0068】
本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別段示されない限り、単に、範囲内に含まれる各個別の値を個々に参照する簡略方法として機能することを意図しており、各個別の値は、本明細書に個々に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。範囲内の値のすべてのサブセットもまた、本明細書に個々に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0069】
本明細書に記載のすべての方法は、本明細書において別段示されない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施され得る。
【0070】
本明細書で提供される任意の及びすべての例、又は例示的な言語(「例えば」、「等の」等)の使用は、本発明をよりよく例示することを意図しているに過ぎず、別段の主張がない限り、本発明の範囲に制限を与えるものではない。
【0071】
本明細書中のいかなる言語も、本発明の実施に不可欠であると主張されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0072】
本明細書では、「約」という用語は、その通常の意味を有する。「約」という用語は、ある値が、その値を決定するために用いられるデバイス若しくは方法の誤差についての固有の変動を含むか、又は列挙された値に近い値、例えば、列挙された値(若しくは値の範囲)の10%以内の値を包含することを示すために使用される。
【0073】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。
【0074】
特許請求の範囲の範囲は、実施例に記載の好ましい実施形態によって限定されるべきではなく、明細書の全体として合致する最も広範囲の解釈がなされるべきである。
【0075】
本明細書に開示される実施形態及び特徴の任意及びすべての組み合わせ及び部分的な組み合わせは、本発明に包含される。
【0076】
本明細書に記載の研究において、本願発明者らは、2つのマウス腫瘍モデルにおいて、Myrciaria dubia(カムカム、CC)ベリーからの粗抽出物が、抗腫瘍応答を誘導し、免疫チェックポイント阻害剤の抗腫瘍応答を増強することができるのみならず、耐性腫瘍における免疫チェックポイント阻害剤の抗腫瘍応答を回復することができることを実証した。本願発明者らはまた、カムカム抽出物の効果が、少なくとも部分的に腸内微生物叢の調節によって媒介され、T細胞媒介性免疫応答を伴うという、説得力のある証拠を提供した。カムカム抽出物のさらなる特性決定が、抽出物が抗腫瘍応答に及ぼす効果を担う主な活性成分としてカスタラギンを同定することにつながった。
【0077】
したがって、第1の態様では、本開示は、免疫療法(例えば、免疫チェックポイント阻害剤療法)に耐性のあるがんに罹患している対象者において、免疫チェックポイント阻害剤療法等のこのような免疫療法に対する応答を誘導又は回復するための方法であって、対象者に、治療有効量のカスタラギン又はその類似体を投与することを含む、方法を提供する。本開示はまた、免疫療法(例えば、免疫チェックポイント阻害剤療法)に耐性のあるがんに罹患している対象者において、抗腫瘍のみを誘導するか、及び/又は免疫チェックポイント阻害剤(ICI)療法等のこのような免疫療法に対する応答を改善若しくは回復するためのカスタラギン又はその類似体の使用を提供する。本開示はまた、免疫療法(例えば、免疫チェックポイント阻害剤療法)に耐性のあるがんに罹患している対象者において、免疫チェックポイント阻害剤療法等の免疫療法に対する応答を誘導又は回復するための医薬を製造するためのカスタラギン又はその類似体の使用を提供する。本開示はまた、このような免疫療法(例えば、免疫チェックポイント阻害剤療法)に耐性のあるがんに罹患している対象者において、免疫チェックポイント阻害剤療法等の免疫療法に対する応答を誘導又は回復する際に使用するためのカスタラギン又はその類似体を提供する。
【0078】
別の態様では、本開示は、免疫チェックポイント阻害剤療法等の免疫療法に耐性のあるがんに罹患している対象者を治療するための方法であって、対象者に、免疫療法(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)と組み合わせて、治療有効量のカスタラギン又はその類似体を投与することを含む、方法を提供する。本開示はまた、免疫療法(例えば、免疫チェックポイント阻害剤療法)に耐性のあるがんに罹患している対象者を治療するための、免疫療法(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)と組み合わせた、カスタラギン又はその類似体の使用を提供する。本開示はまた、免疫療法(例えば、免疫チェックポイント阻害剤療法)に耐性のあるがんに罹患している対象者を治療するための医薬を製造するための、免疫療法(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)と組み合わせた、カスタラギン又はその類似体の使用を提供する。本開示はまた、免疫療法(例えば、免疫チェックポイント阻害剤療法)に耐性のあるがんに罹患している対象者を治療するための、免疫療法(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)と組み合わせた、カスタラギン又はその類似体を含む併用療法を提供する。
【0079】
別の態様では、本開示は、抗腫瘍免疫応答等の免疫応答を増強することを必要とする対象者においてそれを行うための方法であって、本方法が、対象者に、治療有効量のカスタラギン又はその類似体を投与することを含む、方法を提供する。本開示はまた、対象者において抗腫瘍免疫応答等の免疫応答を増強するためのカスタラギン又はその類似体の使用を提供する。本開示はまた、対象者において抗腫瘍免疫応答等の免疫応答を増強するための医薬を製造するためのカスタラギン又はその類似体の使用を提供する。本開示はまた、対象者において抗腫瘍免疫応答等の免疫応答を増強する際に使用するためのカスタラギン又はその類似体を提供する。
【0080】
ある実施形態では、上述の治療は、腫瘍におけるT細胞(例えば、腫瘍浸潤リンパ球又はTIL)等の免疫細胞のレベルを増加させる。ある実施形態では、T細胞は、CD4+及び/又はCD8+T細胞、例えば、活性化(ICOS+)及び/又はメモリーCD4+及び/又はCD8+T細胞(セントラルメモリー(TCM)CD4+及び/又はCD8+細胞)である。別の実施形態では、上述の治療は、CD8+T細胞/Foxp3+CD4+T細胞(Treg)比を増加させる。別の実施形態では、上述の治療は、ICOS+Foxp3-CD4+T細胞を増加させる。
【0081】
別の態様では、本開示は、有効量のカスタラギン又はその類似体を対象者に投与することを含む、対象者の腸において、
図14に示される科又は属の細菌、例えば、Acetatifactor、Lachnospiraceae FCS020グループ、Acetitomaculum Lachnospiraceae GCA-900066225、Akkermansia、Lachnospiraceae GCA-900066575、Alistipes、Lachnospiraceae UCG-001、Anaeroplasma Lachnospiraceae UCG-004、Anaerosporobacter、Lachnospiraceae UCG-006、Anaerovorax、Lactobacillus、Angelakisella Monoglobus、Asaccharospora、Oscillibacter、Bifidobacteriaceae、Oscillospiraceae UCG-005、Bifidobacterium、Paraprevotella、Bilophila、Parasutterella、Blautia、Peptococcaceae、Butyricicoccus、Peptostreptococcaceae、Candidatus soleaferrea、Porphyromonadaceae、Carnobacteriaceae、Rikenellaceae、Christensenellaceae、Romboutsia、Christensenellaceae R-7グループ、Roseburia、Clostridiales vadinBB60グループ、Ruminiclostridium、Clostridium sensu stricto 1、Ruminiclostridium 5、Coprococcus 3、Ruminiclostridium 9、Eisenbergiella、Ruminococcaceae、Enterobacteriaceae、Ruminococcaceae UBA1819、Enterococcaceae、Ruminococcaceae UCG-005、Enterococcus、Ruminococcaceae UCG-009、Erysipelotrichaceae、Ruminococcaceae UCG-014、Escherichia/Shigella、Ruminococcus、Family XIII、Sporacetigenium、Family XIII UCG-001、Staphylococcaceae、Flavonifractor、Staphylococcus、Herbinix、Tannerellaceae、Isobaculum、Turicibacter、Lachnospiraceae、Tyzzerella 3及び/又はLachnospiraceae A2、好ましくは、Turicibacter、Bilophila、Ruminococcaceae(例えば、Ruminococcaceae UBA1819)、Parasutterella、Clostridium sensu stricto 1、Chrinstensenellaceae、Alistipes、Ruminococcus、Akkermansia、及び/又はAnaeroplasmaのレベルを増加させるための方法を提供する。別の態様では、本開示は、対象者の腸において、Acetatifactor、Lachnospiraceae FCS020グループ、Acetitomaculum Lachnospiraceae GCA-900066225、Akkermansia、Lachnospiraceae GCA-900066575、Alistipes、Lachnospiraceae UCG-001、Anaeroplasma Lachnospiraceae UCG-004、Anaerosporobacter、Lachnospiraceae UCG-006、Anaerovorax、Lactobacillus、Angelakisella Monoglobus、Asaccharospora、Oscillibacter、Bifidobacteriaceae、Oscillospiraceae UCG-005、Bifidobacterium、Paraprevotella、Bilophila、Parasutterella、Blautia、Peptococcaceae、Butyricicoccus、Peptostreptococcaceae、Candidatus soleaferrea、Porphyromonadaceae、Carnobacteriaceae、Rikenellaceae、Christensenellaceae、Romboutsia、Christensenellaceae R-7グループ、Roseburia、Clostridiales vadinBB60グループ、Ruminiclostridium、Clostridium sensu stricto 1、Ruminiclostridium 5、Coprococcus 3、Ruminiclostridium 9、Eisenbergiella、Ruminococcaceae、Enterobacteriaceae、Ruminococcaceae UBA1819、Enterococcaceae、Ruminococcaceae UCG-005、Enterococcus、Ruminococcaceae UCG-009、Erysipelotrichaceae、Ruminococcaceae UCG-014、Escherichia/Shigella、Ruminococcus、Family XIII、Sporacetigenium、Family XIII UCG-001、Staphylococcaceae、Flavonifractor、Staphylococcus、Herbinix、Tannerellaceae、Isobaculum、Turicibacter、Lachnospiraceae、Tyzzerella 3及び/又はLachnospiraceae A2、好ましくは、Turicibacter、Bilophila、Ruminococcaceae(例えば、Ruminococcaceae UBA1819)、Parasutterella、Clostridium sensu stricto 1、Chrinstensenellaceae、Alistipes、Ruminococcus、Akkermansia、及び/又はAnaeroplasmaといった科又は属の細菌のレベルを増加させるためのカスタラギン又はその類似体の使用を提供する。別の態様では、本開示は、対象者の腸における、Acetatifactor、Lachnospiraceae FCS020グループ、Acetitomaculum Lachnospiraceae GCA-900066225、Akkermansia、Lachnospiraceae GCA-900066575、Alistipes、Lachnospiraceae UCG-001、Anaeroplasma Lachnospiraceae UCG-004、Anaerosporobacter、Lachnospiraceae UCG-006、Anaerovorax、Lactobacillus、Angelakisella Monoglobus、Asaccharospora、Oscillibacter、Bifidobacteriaceae、Oscillospiraceae UCG-005、Bifidobacterium、Paraprevotella、Bilophila、Parasutterella、Blautia、Peptococcaceae、Butyricicoccus、Peptostreptococcaceae、Candidatus soleaferrea、Porphyromonadaceae、Carnobacteriaceae、Rikenellaceae、Christensenellaceae、Romboutsia、Christensenellaceae R-7グループ、Roseburia、Clostridiales vadinBB60グループ、Ruminiclostridium、Clostridium sensu stricto 1、Ruminiclostridium 5、Coprococcus 3、Ruminiclostridium 9、Eisenbergiella、Ruminococcaceae、Enterobacteriaceae、Ruminococcaceae UBA1819、Enterococcaceae、Ruminococcaceae UCG-005、Enterococcus、Ruminococcaceae UCG-009、Erysipelotrichaceae、Ruminococcaceae UCG-014、Escherichia/Shigella、Ruminococcus、Family XIII、Sporacetigenium、Family XIII UCG-001、Staphylococcaceae、Flavonifractor、Staphylococcus、Herbinix、Tannerellaceae、Isobaculum、Turicibacter、Lachnospiraceae、Tyzzerella 3及び/又はLachnospiraceae A2、好ましくは、Turicibacter、Bilophila、Ruminococcaceae(例えば、Ruminococcaceae UBA1819)、Parasutterella、Clostridium sensu stricto 1、Chrinstensenellaceae、Alistipes、Ruminococcus、Akkermansia、及び/又はAnaeroplasmaといった科又は属の細菌のレベルを増加させるための医薬を製造するためのカスタラギン又はその類似体の使用を提供する。
【0082】
本開示はまた、対象者の腸における、Acetatifactor、Lachnospiraceae FCS020グループ、Acetitomaculum Lachnospiraceae GCA-900066225、Akkermansia、Lachnospiraceae GCA-900066575、Alistipes、Lachnospiraceae UCG-001、Anaeroplasma Lachnospiraceae UCG-004、Anaerosporobacter、Lachnospiraceae UCG-006、Anaerovorax、Lactobacillus、Angelakisella Monoglobus、Asaccharospora、Oscillibacter、Bifidobacteriaceae、Oscillospiraceae UCG-005、Bifidobacterium、Paraprevotella、Bilophila、Parasutterella、Blautia、Peptococcaceae、Butyricicoccus、Peptostreptococcaceae、Candidatus soleaferrea、Porphyromonadaceae、Carnobacteriaceae、Rikenellaceae、Christensenellaceae、Romboutsia、Christensenellaceae R-7グループ、Roseburia、Clostridiales vadinBB60グループ、Ruminiclostridium、Clostridium sensu stricto 1、Ruminiclostridium 5、Coprococcus 3、Ruminiclostridium 9、Eisenbergiella、Ruminococcaceae、Enterobacteriaceae、Ruminococcaceae UBA1819、Enterococcaceae、Ruminococcaceae UCG-005、Enterococcus、Ruminococcaceae UCG-009、Erysipelotrichaceae、Ruminococcaceae UCG-014、Escherichia/Shigella、Ruminococcus、Family XIII、Sporacetigenium、Family XIII UCG-001、Staphylococcaceae、Flavonifractor、Staphylococcus、Herbinix、Tannerellaceae、Isobaculum、Turicibacter、Lachnospiraceae、Tyzzerella 3及び/又はLachnospiraceae A2、好ましくは、Turicibacter、Bilophila、Ruminococcaceae(例えば、Ruminococcaceae UBA1819)、Parasutterella、Clostridium sensu stricto 1、Chrinstensenellaceae、Alistipes、Ruminococcus、Akkermansia、及び/又はAnaeroplasmaといった科又は属の細菌のレベルを増加させる際に使用するためのカスタラギン又はその類似体を提供する。
【0083】
ある実施形態では、上述の方法又は使用は、Turicibacter科又は属の細菌のレベルを増加させる。ある実施形態では、上述の方法又は使用は、Bilophila科又は属の細菌のレベルを増加させる。ある実施形態では、上述の方法又は使用は、Ruminococcaceae科又は属(例えば、Ruminococcaceae UBA1819)の細菌のレベルを増加させる。ある実施形態では、上述の方法又は使用は、Parasutterella科又は属の細菌のレベルを増加させる。ある実施形態では、上述の方法又は使用は、Clostridium sensu stricto 1科又は属の細菌のレベルを増加させる。ある実施形態では、上述の方法又は使用は、Akkermansia科又は属の細菌のレベルを増加させる。ある実施形態では、上述の方法又は使用は、Anaeroplasma科又は属の細菌のレベルを増加させる。さらなる実施形態では、Akkermansia科又は属の細菌は、Akkermensia muciniphiliaである。
【0084】
別の態様では、本開示は、対象者の腸においてLactobacillus及び/又はPseudoflavonifractor科又は属の細菌のレベルを低下させるための方法であって、有効量のカスタラギン又はその類似体を対象者に投与することを含む、方法を提供する。別の態様では、本開示は、対象者の腸においてLactobacillus及び/又はPseudoflavonifractor科又は属の細菌のレベルを低下させるためのカスタラギン又はその類似体の使用を提供する。別の態様では、本開示は、対象者の腸においてLactobacillus及び/又はPseudoflavonifractor科又は属の細菌のレベルを低下させるための医薬を製造するためのカスタラギン又はその類似体の使用を提供する。本開示はまた、対象者の腸においてLactobacillus及び/又はPseudoflavonifractor科又は属の細菌のレベルを低下させる際に使用するためのカスタラギン又はその類似体を提供する。
【0085】
本開示はまた、カスタラギン又はその類似体と、免疫チェックポイント阻害剤等の免疫療法と、を含む、併用療法を提供する。本開示はまた、がん(例えば、免疫チェックポイント阻害剤単剤療法等の免疫療法に耐性のあるがん)に罹患している対象者を治療するための、カスタラギン又はその類似体と、免疫チェックポイント阻害剤等の免疫療法(例えば、免疫療法剤)と、を含む、併用療法の使用を提供する。本開示はまた、がん(例えば、免疫チェックポイント阻害剤単剤療法等の免疫療法に耐性のあるがん)に罹患している対象者を治療するための医薬を製造するための、カスタラギン又はその類似体と、免疫チェックポイント阻害剤等の免疫療法と、を含む、併用療法の使用を提供する。本開示はまた、がん(例えば、免疫チェックポイント阻害剤単剤療法等の免疫療法に耐性のあるがん)に罹患している対象者を治療するための方法であって、カスタラギン又はその類似体と免疫チェックポイント阻害剤等の免疫療法とを含む併用療法の有効量を対象者に投与することを含む、方法を提供する。
【0086】
カスタラギン(分子量934.63、CAS番号24312-00-3)は、以下の構造を有する。
【化1】
【0087】
それは、ベスカラギンの(33ベータ)異性体(分子量934.63、CAS番号36001-47-5)であり、以下の構造を有する。
【化2】
【0088】
カスタラギン及びベスカラギンは、一連の高度に水溶性のC-グルコシドバリアントで構成されるエラギタンニンの特定のグループに属する。
【0089】
したがって、カスタラギンの類似体には、グランジニン(リキソース)及びロブリンE(キシロース)、カスアリニン、及びカスタリン等のカスタラギングリコシドが含まれる。カスタラギン類似体はまた、WO2014/071438に記載されるように、エトキシル化カスタラギンであってもよい。カスタラギン類似体は、カスタラギンの生物学的活性、より具体的には、対象者における免疫応答(抗腫瘍免疫応答)を改善し、免疫チェックポイント阻害剤療法等の免疫療法に対する応答を回復する能力を保持するか、又は共有する。一実施形態では、カスタラギン類似体は、カスタラギン塩、好ましくは薬学的に許容される塩である。「塩」という用語は、本明細書で使用される場合、無機及び/又は有機酸で形成される酸性塩、並びに無機及び/又は有機塩基で形成される塩基性塩を示す。医薬組成物に使用するための塩は、薬学的に許容される塩である。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、カスタラギンの生物学的活性を保持し、生物学的に、又は他の点で望ましくないカスタラギンの塩を指す。
【0090】
例えば、カスタラギンの塩は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、アスコルビン酸、メタンスルホン酸若しくはエタンスルホン酸、又は樟脳酸等の酸付加塩であってもよい。カスタラギンの塩はまた、塩基付加塩、例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、トリエチルアミン又はtert-ブチルアミンであってもよい。かかる塩は、標準的な技術を使用して、当業者によってかなり容易に形成され得る。実際、医薬化合物(すなわち、カスタラギン)を塩に化学修飾することは、製薬化学者にとって周知の技術である(例えば、H.Ansel et.al.,Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(6th Ed.1995)at pp.196及び1456-1457、P.Stahl et al,Camille G.(編集)Handbook of Pharmaceutical Salts.Properties,Selection and Use.(2002)Zurich:Wiley-VCH、S.Berge et al,Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1)1-19、P.Gould,International J.of Pharmaceutics(1986)33 201-217、Anderson et al,The Practice of Medicinal Chemistry(1996),Academic Press,New York、及びThe Orange Book(Food & Drug Administration、Washington,D.C.、それらのウェブサイト上で)を参照されたい)。カスタラギンの塩は、例えば、塩が沈殿するような媒体中、又はその後に凍結乾燥を行う水性媒体中で、カスタラギンを一定量(例えば当量)の酸又は塩基と反応させることにより形成され得る。
【0091】
カスタラギンは、Myrciaria dubia(カムカム)ベリーからの抽出物、lythrum salicariaの抽出物(例えば、WO/2016/102874を参照されたい)、オークからの抽出物(Quercus sp.)、クリからの抽出物(Castanea sp.)、Anogeissus leiocarpus及びTerminalia avicennoidesの幹樹皮からの抽出物(Shuaibu MN et al.,Parasitology Research.103(6):1333-8)、Syzygium samarangense(Blume)の葉からの抽出物(Kamada et al.,Fitoterapia,Volume 129,September 2018,Pages 94-101)等の果実及び/又は植物抽出物を含む様々な供給源から発見されてもよく、又は単離されてもよい。カスタラギン及び/又は他のC-グルコシドエラギタンニンを単離する方法は、当該技術分野において周知であり、上述の参考文献のいくつか、並びにAraujo et al.,Rsc Advances,2015,5,96151-96157及びStine et al.,Methods in Molecular Biology(Clifton,N.J.),2011,670,13-32)に特に記載されている。
【0092】
本明細書に記載される方法、使用、及び療法のために、カスタラギン又はその類似体は、粗抽出物、又はカスタラギン若しくはその類似体を濃縮した部分精製された抽出物を含む、好適な量のカスタラギン若しくはその類似体を含む抽出物(果物及び/又は植物抽出物)の形態で使用されてもよく、あるいは精製された形態(天然供給源から単離されたか、又は合成されたかのいずれか)であってもよい。したがって、ある実施形態では、カスタラギン若しくはその類似体を含む抽出物が使用されるか、又は投与される。別の実施形態では、精製又は単離されたカスタラギン若しくはその類似体が使用されるか、又は投与される。ある実施形態では、精製又は単離されたカスタラギン若しくはその類似体
【0093】
当業者は、抽出物、又は精製されたカスタラギン若しくはその類似体が、1つ以上の担体及び/又は賦形剤(薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤)と混合されて、対象者への投与に好適な組成物を得ることが可能であることを理解するであろう。
【0094】
「賦形剤」は、本明細書で使用される場合、当該技術分野における通常の意味を有し、活性成分(薬物)自体ではない任意の成分である。賦形剤としては、例えば、緩衝液、結合剤、潤滑剤、希釈剤、充填剤、増粘剤、崩壊剤、可塑剤、コーティング剤、バリア層製剤、安定剤、放出遅延剤及び他の構成要素が挙げられる。本明細書で使用される「薬学的に許容される賦形剤」は、活性成分の生物学的活性の有効性を妨げず、対象者に毒性がない、すなわち、賦形剤の一種であり、及び/又は対象者に毒性がない量で使用されるための任意の賦形剤を指す。賦形剤は、当該技術分野において周知であり、本組成物はこれらの点において限定されない。担体/賦形剤は、例えば、静脈内、非経口、皮下、筋肉内、頭蓋内、眼窩内、眼球内、脳室内、嚢内、脊髄内、くも膜下腔内、硬膜外、大槽内、腹腔内、鼻腔内、又は肺(例えば、エアロゾル)投与に好適であり得る。治療用組成物は、所望の純度を有する活性成分を、1つ以上の任意選択的な薬学的に許容される担体、賦形剤及び/又は安定剤と混合することにより、当該技術分野において既知の標準的な方法を使用して調製される(Remington:The Science and Practice of Pharmacy,by Loyd V Allen,Jr,2012,22ndedition,Pharmaceutical Press、Handbook of Pharmaceutical Excipients,by Rowe et al.,2012,7thedition,Pharmaceutical Pressを参照されたい)。
【0095】
ある実施形態では、カスタラギン又はその類似体は、経口投与のために製剤化される。経口投与に好適な製剤には、(a)液体溶液、例えば、水、生理食塩水又はPEG400等の希釈剤中に懸濁された有効量の活性剤/組成物、(b)液体、固体、顆粒又はゼラチンとして各々所定量の活性成分を含有するカプセル、サシェ剤又は錠剤、(c)適切な液体中の懸濁液、並びに(d)好適なエマルションが含まれ得る。錠剤形態は、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、リン酸カルシウム、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、微結晶セルロース、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、並びに他の賦形剤、着色剤、充填剤、結合剤、希釈剤、緩衝剤、保湿剤、防腐剤、香味剤、染料、崩壊剤、及び薬学的に適合性のある担体のうちの1つ以上を含み得る。ロゼンジ形態は、フレーバー中の活性成分、例えば、スクロース、並びに不活性基剤中の活性成分を含むパスティル、例えば、ゼラチン及びグリセリン、又はスクロース及びアカシアエマルション、ゲル等を含むことができ、これらは、活性成分に加えて、当該技術分野において既知の担体を含有する。
【0096】
ある実施形態では、カスタラギン又はその類似体は、非経口投与(例えば、注射)のために製剤化される。非経口投与用の製剤は、例えば、賦形剤、滅菌水、又は生理食塩水、ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコール、植物由来の油、又は水素化ナフタレンを含有し得る。生体適合性、生分解性ラクチドポリマー、ラクチド/グリコリドコポリマー、又はポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーを使用して、化合物の放出を制御し得る。カスタラギン又はその類似体の他の潜在的に有用な非経口送達系としては、エチレンビニルアセテートコポリマー粒子、浸透圧ポンプ、移植可能な注入系、及びリポソームが挙げられる。吸入のための製剤は、賦形剤(例えば、ラクトース)を含有していてもよく、又は例えば、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、グリココレート及びデオキシコレートを含有する水溶液であってもよく、又は鼻薬の形態で投与するための油性溶液であってもよく、又はゲルとしてであってもよい。
【0097】
ある実施形態では、カスタラギン又はその類似体は、腸送達、すなわち、腸への送達のために製剤化される。これは、当該技術分野で周知の方法によって達成され得る。例えば、カスタラギン又はその類似体は、腸溶性剤又は材料でコーティング又はカプセル化されてもよい。腸溶性剤は、例えば、特定のpHでの放出、又は放出が所望されるGI管の特定の位置(例えば、小腸、大腸、若しくはその特定の領域)に特徴的に存在する分解酵素若しくは細菌の存在下での放出を可能にする。ある実施形態では、腸溶性材料は、pH感受性であり、消化管内で遭遇するpHの変化によって影響を受ける(pH感受性放出)。腸溶性材料は、典型的には、胃のpHでは不溶性のままであり、その後、下流の胃腸管(例えば、多くの場合、十二指腸、又は場合により結腸)のより高いpHでは、活性成分の放出が可能になる。別の実施形態では、腸溶性材料は、下部消化管、特に結腸に存在する細菌酵素(例えば、グリコシダーゼ、多糖リアーゼ、及び炭水化物エステラーゼ等の炭水化物処理酵素)によって分解される酵素的に分解可能なポリマーを含む。かかる腸溶性材料としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリット酸セルロース、及びカルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース系ポリマー;アクリル酸ポリマー及びコポリマー、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル及び/又はメタクリル酸エチルから形成されるもの、及びAcryl-EZE(登録商標)(Colorcon、USA)、Eudragit(登録商標)L30D-55及びL100-55(pH5.5以上で可溶性)、Eudragit(登録商標)L-IOO(pH6.0以上で可溶性)、Eudragit(登録商標)S(より大きなエステル化度の結果として、pH7.0以上で可溶性)、及びEudragits(登録商標)NE、RL及びRS(異なる程度の透過性及び拡大性を有する水不溶性ポリマー)を含むEudragit(登録商標)(Rohm Pharma、Westerstadt,Germany)といった商品名で市販される他のメタクリル酸樹脂;ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル、フタル酸酢酸ビニル、酢酸ビニルクロトン酸コポリマー、及びエチレン-酢酸ビニルコポリマー等のビニルポリマー及びコポリマー;アゾポリマー、ペクチン、キトサン、アミロース及びグアーガム等の酵素によって分解可能なポリマー;ゼイン及びシェラックが挙げられる。異なる腸溶性材料の組み合わせも使用され得る。結腸特異的薬物送達のためのアプローチは、当該技術分野において周知であり(例えば、Philip et al.,Oman Med J.2010 Apr;25(2):79-87、Lee et al.,Pharmaceutics.2020 Jan;12(1):68を参照されたい)、pH依存性の系(例えば、pH依存性ポリマーを使用する)、受容体媒介性の系、磁気によって駆動される系、遅延若しくは時間依存性の系、微生物が引き金となる薬物送達系(例えば、グルクロニダーゼ、キシロシダーゼ、アラビノシダーゼ、ガラクトシダーゼ等の結腸微生物叢によって産生される酵素によって分解され得る糖系ポリマーを含む)、圧力制御された結腸送達カプセル(結腸で遭遇する、より高い圧力によって誘導される薬物放出)、浸透圧制御された薬物送達、並びにこれらのアプローチの任意の組み合わせ(例えば、pH依存性及び微生物が引き金となる薬物送達を組み合わせたアプローチを使用する、結腸を標的とする送達系(CODESTM))を含む。
【0098】
ある実施形態では、カスタラギン又はその類似体は、腸溶性材料(腸溶性カプセル)で作製されるカプセルで製剤化される。
【0099】
任意の好適な量のカスタラギン又はその類似体を、対象者に投与してもよい。投与量は、投与様式を含む多くの因子に依存する。典型的には、単回用量内に含まれるカスタラギン又はその類似体の量は、有意な毒性を誘導することなく、がんを効果的に予防し、遅延させ、又は治療する量である。
【0100】
所与の疾患又は状態(がん)の重症度の予防、治療又は減少のために、カスタラギン又はその類似体の適切な投薬量は、治療される疾患又は状態の種類、疾患又は状態の重症度及び経過、カスタラギン又はその類似体が予防目的又は治療目的で投与されるかどうか、以前の療法、患者の臨床経歴、及びカスタラギン又はその類似体に対する応答、並びに主治医の裁量に依存する。カスタラギン又はその類似体は、好適には、一度に、又は一連の治療にわたって患者に投与される。好ましくは、ヒトで試験する前に、インビトロで、次いで有用な動物モデルで用量応答曲線を決定することが望ましい。本開示は、カスタラギン又はその類似体、及びそれらを含む組成物のための投薬量を提供する。例えば、疾患の種類及び重症度に応じて、1日当たり、体重1キログラム当たり約1μg/kg~1000mg(mg/kg)。さらに、有効用量は、0.5mg/kg、1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg/25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、90mg/kg、100mg/kg、125mg/kg、150mg/kg、175mg/kg、200mg/kgであってもよく、最大1000mg/kgまで25mg/kg刻みで増加してもよく、又は上述の値のうちのいずれか2つの間の範囲であってもよい。典型的な1日投薬量は、上述の因子に応じて、約1μg/kg~100mg/kg、又はそれより大きい範囲であり得る。数日間又はそれより長い反復投与のために、状態に応じて、疾患症状の所望の抑制(例えば、腫瘍体積又は腫瘍細胞数の減少)が生じるまで、治療を維持する。しかしながら、他の投薬量レジメンも有用であり得る。この療法の進行は、従来の技術及びアッセイによって容易にモニタリングされる。ある実施形態では、ヒト対象への投与のための投薬量は、マウスにおける少なくとも0.8mgのカスタラギン/kgの投薬量に対応する。
【0101】
本明細書で使用される免疫療法という用語は、腫瘍細胞に対する免疫応答を増強するか、又は上昇させる抗腫瘍治療を指す。免疫療法としては、細胞ベースの免疫療法、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞及びNK細胞、若しくは腫瘍抗原に特異的なTCRを有するT細胞等の腫瘍細胞、又はそれらの表面で腫瘍抗原を発現することができる抗原提示細胞(樹状細胞等のAPC)を認識することができる免疫細胞の投与が挙げられる。免疫療法としては、腫瘍細胞によって発現される抗原を認識し、免疫系による破壊のためにそれらを標的とする特異的抗体の投与、又は免疫応答を刺激するサイトカイン(インターフェロン、インターロイキン)の投与も含まれる。別の種類の免疫療法は、免疫チェックポイント阻害剤の投与を含む。異なる種類の免疫療法の組み合わせ、例えば、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせた免疫細胞(CAR T又はNK細胞)の投与を使用してもよい。
【0102】
本明細書で使用される「免疫チェックポイント阻害剤」(ICI)又は「免疫チェックポイント遮断剤」(ICB)という用語は、免疫応答の負の調節因子の活性を遮断するか、又は阻害する薬剤を指す。免疫応答のかかる負の調節因子(すなわち、免疫チェックポイント)としては、このような免疫応答の負の調節因子(すなわち、免疫チェックポイント)の例としては、アデノシンA2A受容体(A2AR)、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、B及びTリンパ球アテニュエーター(BTLA若しくはCD272)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4、CD152)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG3)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸NADPHオキシダーゼアイソフォーム2(NOX2)、プログラム細胞死1(PD-1)受容体、PD-L1が挙げられる。PD-L2、T細胞免疫グロブリンドメイン及びムチンドメイン3(TIM-3)、T細胞活性化のV-ドメインIg抑制因子(VISTA)、並びにシアル酸結合免疫グロブリン型レクチン7(SIGLEC7若しくはCD328)及びSIGLEC9(CD329)。ある実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4、PD-1又はPD-L1の阻害剤である。ある実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-1抗体等のPD-1の阻害剤である。ある実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-L1抗体等のPD-L1の阻害剤である。ある実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗CTLA-4抗体等のCTLA-4の阻害剤である。
【0103】
がんは、原発性(又は元々の)がん、再発性がん又は転移性がんを含む任意の種類のがんであってもよい。がんの例としては、心臓肉腫、肺がん、小細胞肺がん(SCLC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、気管支原性がん腫(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化巨細胞、線がん)、肺胞(細気管支)がん腫、気管支腺腫、肉腫(例えば、ユーイング肉腫、カポジ肉腫)、リンパ腫、軟骨性過誤腫、中皮腫;胃腸系のがん、例えば、食道(扁平上皮細胞がん腫、線がん、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(stomach)(がん腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、胃(gastric)、膵臓(管状線がん、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(線がん、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(線がん、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫)、尿生殖器管のがん、例えば、腎臓がん(線がん、ウィルムス腫瘍[腎芽腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱及び/又は尿道がん(扁平上皮細胞がん腫、移行細胞がん腫、線がん)、前立腺がん(線がん、肉腫)、精巣がん(セミノーマ、奇形腫、胎児性がん腫、奇形がん腫、絨毛がん腫、肉腫、間質細胞がん腫、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫);肝臓がん、例えば、ヘパトーマ(肝細胞がん腫、HCC)、肝内胆管がん腫、肝芽腫、脈管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫、膵内分泌腫瘍(褐色細胞腫、インスリノーマ、血管作用性小腸ペプチド腫瘍、膵島細胞腫瘍及びグルカゴノーマ等);骨がん、例えば、骨形成性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、悪性リンパ腫(細網細胞肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫瘍脊索腫、骨軟骨腫(osteochronfroma)(骨軟骨性外骨症)、良性脊索腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫及び巨細胞腫瘍;神経系のがん、例えば、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、頭蓋骨がん(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、グリオマトーシス)、脳がん(星細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚腫[松果体腫]、多形性膠芽細胞腫、乏突起膠腫、シュワン細胞腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);生殖系のがん、例えば、婦人科系のがん、子宮がん(子宮内膜がん腫)、子宮頸部(子宮頸部がん腫、前腫瘍子宮頚部異形成)、卵巣がん(卵巣がん腫[漿液性膵嚢胞腺腫、粘液嚢胞腺がん、未分化がん腫]、顆粒膜卵胞膜細胞腫瘍、セルトリー・ライデッグ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰がん(扁平上皮細胞がん腫、上皮内がん腫、線がん、線維肉腫、黒色腫)、膣がん(明細胞がん腫、扁平上皮細胞がん腫、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、卵管がん(がん腫);胎盤がん、陰茎がん、前立腺がん、精巣がん;血液系のがん、例えば、血液がん(急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫];口腔のがん、例えば、口唇がん、舌がん、歯肉がん、口蓋がん、中咽頭がん、鼻咽頭がん、顎洞がん;皮膚がん、例えば、悪性黒色腫、皮膚黒色腫、基底細胞がん腫、扁平上皮細胞がん腫、カポジ肉腫、黒子性異形成母斑(moles dysplastic nevi)、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、及びケロイド;副腎がん:神経芽腫;及び結合組織及び軟組織、後腹膜腔及び腹膜を含む他の組織のがん、眼がん、眼球黒色腫、及び付属器、乳がん(例えば、乳管がん)、頭部及び/又は頸部のがん(頭頸部扁平上皮細胞がん腫)、肛門がん、甲状腺がん、副甲状腺がん;リンパ節の二次及び特定不能の悪性新生物、呼吸器系及び消化器系の二次悪性新生物、及び他の部位の二次悪性新生物が挙げられる。
【0104】
免疫チェックポイント阻害剤は、肺がん(例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)及び小細胞肺がん、扁平上皮細胞肺がん腫)、頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮細胞がん腫、腎細胞がん腫、胃腺がん、鼻咽頭新生物、尿路上皮がん腫、結腸直腸がん、中皮腫(例えば、胸膜中皮腫)、乳がん(例えば、トリプルネガティブ乳がん、TNBC)、食道新生物、多発性骨髄腫、胃及び胃食道接合部のがん、胃腺がん、黒色腫、メルケル細胞がん腫(MCC)、リンパ腫(例えば、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)、肝臓がん(例えば、肝細胞がん腫)、黒色腫、卵巣がん、卵管がん、腹膜新生物、膀胱がん、移行細胞がん腫、前立腺新生物及び胆管新生物を含むいくつかのがんについて、既に承認されているか、又は第III相及び第IV相臨床試験で現在試験されている(例えば、Darvin et al.,Experimental & Molecular Medicine volume 50,Article number:165(2018)を参照されたい)。したがって、ある実施形態では、がんは、免疫チェックポイント阻害剤が既に承認されているか、又は第III相及び第IV相臨床試験で現在試験されている上述のがんのうちの1つである。
【0105】
現在承認されている免疫チェックポイント阻害剤としては、抗CTLA-4イピリムマブ(黒色腫及び肺がん)、抗PD-1ニボルマブ(黒色腫、肺がん、腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、頭頸部がん、結腸がん、及び肝臓がん)、ペンブロリズマブ(黒色腫、肺がん、頭頸部がん、ホジキンリンパ腫、腎細胞がん及び胃がん)、及びセミプリマブ(扁平上皮がん、骨髄腫、及び肺がん)、及び抗PD-L1アテゾリズマブ(NSCLC、小細胞肺がん、TNBC)、アベルマブ(NSCLC、MCC)、及びデュルバルマブ(尿路上皮がん腫、肺がん)が挙げられる。したがって、ある実施形態では、がんは、免疫チェックポイント阻害剤が既に承認されている上述のがんのうちの1つである。さらなる実施形態では、がんは、PD-1阻害剤ベースの療法(抗PD-1療法)に耐性であり、黒色腫、肺がん、腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、頭頸部がん、結腸がん、肝臓がん、胃がん、扁平上皮がん又は骨髄腫である。
【0106】
ある実施形態では、上述の治療は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて(すなわち、併用療法)、活性/治療薬剤、カスタラギン、又はそれらの類似体の1つより多く(すなわち、組み合わせ)の使用/投与を含む。薬剤の組み合わせは、任意の従来の剤形で投与されてもよく、又は共投与(例えば、連続して、同時に、異なる時間で)されてもよい。本開示の文脈における共投与は、改善された臨床転帰を達成するための協調された治療の過程における1つ以上の治療薬の投与を指す。かかる共投与はまた、同延的(coextensive)、すなわち、重複する期間中に発生してもよい。例えば、第1の薬剤は、第2の活性薬剤が投与される前、同時、前及び後、又は後に患者に投与されてもよい。薬剤は、ある実施形態では、単一の組成物中で組み合わされ/製剤化されてもよく、したがって、同時に投与されてもよい。代替的に、それらは、別々の組成物中で製剤化されてもよく、したがって、別々に(同時に又は異なる時間に)投与されてもよい。
【0107】
ある実施形態では、本開示の方法、使用、組成物、併用療法で使用/投与される、カスタラギン若しくはその類似体、及び/又は免疫チェックポイント阻害剤の用量は、最適未満の用量である。本明細書で使用される「最適未満の用量」は、本明細書に記載される組み合わせのうちの化合物(カスタラギン若しくはその類似体、及び/又は免疫チェックポイント阻害剤)の1つの用量であって、その組み合わせの他の化合物の非存在下で使用される場合、50%以下の生物学的効果、ある実施形態では40%以下、さらなる実施形態では30%以下、さらなる実施形態では20%以下、さらなる実施形態では10%以下の生物学的効果を生じる用量である。したがって、本明細書に記載される化合物の組み合わせの使用は、その組み合わせにおける1つ以上の化合物が、最適未満の用量で使用される場合、他の不存在下でのその化合物の使用と比較して、匹敵する最適未満の用量で、増加した有効性/生物学的効果を達成し得る。
【0108】
本明細書で使用される場合、相乗効果は、組み合わされた化合物の効果が、他方の化合物の不存在下での各薬剤の効果の理論的な合計よりも大きい場合に達成される。相乗効果を有する併用療法の潜在的な利点の1つは、低い毒性で高い治療活性を達成するために、薬物又は療法の片方又は両方のより低い用量(例えば、最適未満の用量)を使用してもよいことである。ある実施形態では、併用療法(カスタラギン若しくはその類似体及び免疫チェックポイント阻害剤)は、薬剤の予測される理論的な相加効果と比較して、効果を少なくとも5%増加させる。さらなる実施形態では、併用療法は、薬剤の予測される理論的な相加効果と比較して、効果を少なくとも10%増加させる。さらなる実施形態では、併用療法は、薬剤の予測される理論的な相加効果と比較して、効果を少なくとも20%増加させる。さらなる実施形態では、併用療法は、薬剤の予測される理論的な相加効果と比較して、効果を少なくとも30%増加させる。さらなる実施形態では、併用療法は、薬剤の予測される理論的な相加効果と比較して、効果を少なくとも50%増加させる。組み合わせた薬物を使用するさらなる利点は、いずれかの薬物単独では、例えば免疫チェックポイント阻害剤に耐性のあるがん又は腫瘍に効果を有しない状況で有効性が達成され得ることである。耐性とは、免疫チェックポイント阻害剤の単独投与が、有意な治療効果、例えば、腫瘍体積又は腫瘍細胞数の有意な減少をもたらさないことを意味する。患者及び/又は動物モデルにおいて免疫チェックポイント阻害剤に対する耐性が報告されているがんの例としては、肺がん(例えば、NSCLC)、膵臓がん、前立腺がん、黒色腫、卵巣がん、尿路上皮がん、腎細胞がんが挙げられる(例えば、Fares et al.,American Society of Clinical Oncology Educational Book 39,147-164,2019、Pandey et al.,Cancer Drug Resist 2019;2:178-188を参照されたい)。
【0109】
カスタラギン若しくはその類似体及び/又は免疫チェックポイント阻害剤は、標的となる疾患/状態(がん)の治療のために、又は標的となる疾患/状態の1つ以上の症状の管理のために(例えば、鎮痛剤、吐き気防止剤等)、1つ以上の追加の活性薬剤又は療法(化学療法、放射線療法、手術、ワクチン、免疫療法等)と組み合わせて投与/使用してもよい。ある実施形態では、カスタラギン若しくはその類似体及び/又は免疫チェックポイント阻害剤は、1つ以上の化学療法剤、免疫療法(例えば、CAR T細胞若しくはCAR NK細胞を使用する)、抗体、細胞ベースの療法等と組み合わせて使用される。カスタラギン若しくはその類似体及び/又は免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて使用するのに好適な化学療法剤の例としては、限定されないが、ビンカアルカロイド、微小管形成を妨げる薬剤(コルヒチン及びその誘導体等)、抗血管新生剤、治療抗体、EGFR標的化剤、チロシンキナーゼ標的化剤(チロシンキナーゼ阻害剤等)、遷移金属錯体、プロテアソーム阻害剤、代謝拮抗剤(ヌクレオシド類似体等)、アルキル化剤、白金系薬剤、アントラサイクリン抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、マクロライド、レチノイド(オールトランスレチノイン酸若しくはその誘導体等)、ゲルダナマイシン若しくはその誘導体(17-AAG等)、並びに当該技術分野において認識される他のがん療法剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、カスタラギン若しくはその類似体及び/又は免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて使用するための化学療法剤は、アドリアマイシン、コルヒチン、シクロホスファミド、アクチノマイシン、ブレオマイシン、ドゥアノルビシン(duanorubicin)、ドキソルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、メトトレキサート、ミトキサントロン、フルオロウラシル、カルボプラチン、カルムスチン(BCNU)、メチル-CCNU、シスプラチン、エトポシド、インターフェロン、カンプトテシン及びその誘導体、フェネステリン、タキサン及びその誘導体(例えば、タキソール、パクリタキセル及びその誘導体、タキソテール及びその誘導体等)、トペテカン(topetecan)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、タモキシフェン、ピポスルファン、nab-5404、nab-5800、nab-5801、イリノテカン、HKP、オルタタキセル、ゲムシタビン、オキサリプラチン、Herceptin(登録商標)、ビノレルビン、Doxil(登録商標)、カペシタビン、Alimta(登録商標)、Avastin(登録商標)、Velcade(登録商標)、Tarceva(登録商標)、Neulasta(登録商標)、ラパチニブ、ソラフェニブ、エルロチニブ、エルビタックス、それらの誘導体等のうちの1つ以上を含む。
【0110】
対象は、任意の動物であってもよく、より具体的には、マウス、ラット、イヌ、及びヒト等の哺乳動物であってもよい。ある実施形態では、対象は、ヒトである。
【0111】
本開示は、以下の非限定的な実施例によってさらに詳細に示される。
【0112】
材料及び方法
マウス試験。すべての動物試験は、Institutional Animal Care Committee(CIPA)によって承認され、Canadian Council on Animal Careガイドラインに準拠して実施された。Charles River、Canadaから得られた7週齢の雌C57BL/6マウスを使用して、マウス実験を行った。無菌雌C57BL/6マウスを、International Microbiome Centre Germ-Free Facility(University of Calgary、Canada)から購入し、CR-CHUM Germ-Free Facilityで維持した。
【0113】
細胞培養、試薬及び腫瘍細胞株。MCA-205線維肉腫細胞及びE0771乳腺腺がん細胞、C57BL/6マウスのためのクラスI MHC H-2b同系細胞株をこの試験に使用した。MCA-205細胞を、10%のウシ胎児血清(FBS)(Wisent)、2mMのL-グルタミン(Wisent)、100IU/mlのペニシリン/ストレプトマイシン(Wisent)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Wisent)及びMEM非必須アミノ酸(Gibco-Invitrogen)を含有するRoswell Park Memorial Institute(RPMI)1640(Gibco-Invitrogen)において、5%のCO2存在下、37℃で培養した。E0771細胞を、10%のFBS(Wisent)、2mMのL-グルタミン、100IU/mlのペニシリン/ストレプトマイシン(Wisent)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Wisent)を含有するDulbecco’s Modified Eagle’s Medium(DMEM)(Gibco-Invitrogen)において、5%のCO2存在下、37℃で培養した。
【0114】
MCA-205肉腫及びE0771乳がんの皮下モデル。同系C57BL/6マウスに、0.8×106個のMCA-205又は0.5×106個のE0771を皮下移植した。腫瘍が20~35mm2のサイズに達したときに、マウスを、抗PD-1モノクローナル抗体(mAb)(250μg/マウス、クローンRMP1-14、BioXcell)又はアイソタイプ対照(クローン2A3、BioXcell)により、3日ごとに4回(又はフローサイトメトリー分析のために2回、以下のセクションを参照されたい)腹腔内(i.p.)で治療した。治療開始時に、マウスは、以下の製品とともに、1日1回の強制経口投与を受けた。Myrciaria dubia、カムカム(CC)生抽出物(Sunfood)(マウス当たり200mg/kg)、抽出ラウンド1からの画分(P、INT、NP、Insol)(マウス当たり40.18mg/kg)、抽出ラウンド2からの画分(P1、P2、P3及びP4)(マウス当たり40.18mg/kgの画分Pの用量に相当)、ベスカラギン(CCから抽出された、以下の単離プロセスを参照されたい)(マウス当たり0.85mg/kg)、エラグ酸(マウス当たり0.85mg/kg)(Sigma-Aldrich)、ウロリチンA(マウス当たり0.85mg/kg)(Sigma-Aldrich)、カスタリン(マウス当たり0.5mg/kg)(PhytoProof(C)、Sigma-Aldrich)、及び異なる濃度である標準濃度の1/8、1/6、1/4、1/2、標準濃度(マウス当たり0.85mg/kg)、1.5倍(マウス当たり1.25mg/kg)及び3倍増加濃度でのカスタラギン(マウス当たり2.55mg/kg)(PhytoProof(C)、Sigma-Aldrich、又は食品グレードのオークから単離された、以下の単離プロセスを参照されたい)。対照グループでは、マウスは、水(100μl)による1日1回の強制経口投与を受け、腫瘍面積を、キャリパーを用いることによって3日ごとに定期的にモニタリングした。枯渇実験では、抗CD8 mAb(150μg/マウス、クローン53-6.7、BioXcell)又はアイソタイプ対照(クローン2A3、BioXcellを使用した。
【0115】
抗生物質治療。抗生物質(ATB)実験のために、既に記載されているように、マウスの滅菌飲料水に添加したアンピシリン(1mg/ml)、ストレプトマイシン(5mg/ml)、及びコリスチン(1mg/ml)(Sigma-Aldrich)を含有するATB溶液でマウスを治療した(Routy et al,Science,2018 Jan 5;359(6371):91-97.Epub 2017 Nov 2)。抗生物質の活性は、好気性条件及び嫌気性条件で、毎週、COS(5%のヒツジ血液を含むコロンビア寒天)プレート上で、ブレインハートインフュージョン(BHI)培地+15%グリセロールに0.1g/mlで再懸濁させた糞便ペレットを37℃で48時間培養することによって確認された。SPF飼育マウスにおける糞便微生物叢移植(FMT)実験のために、マウスは、FMTの前にATBの同じ組み合わせを3日間受けた。
【0116】
糞便微生物叢移植(FMT)実験。FMTは、モントリオールのCentre de recherche du Centre hospitalier de l’Universite de Montreal(CRCHUM)での適切な倫理承認の後の免疫チェックポイント遮断剤(ICI)に適した5名の異なる非小細胞肺がん(NSCLC)患者からの糞便材料を解凍することによって、既に公開されたRouty et al.のとおりに実施した。患者の記録を遡及的に分析して、その応答ステータスを特定した。FMTの2週間後、腫瘍細胞を皮下注射し、マウスを、上述のように抗PD-1 mAb又はアイソタイプ対照+/-CC、カスタラギン又は水で治療した。
【0117】
フローサイトメトリー分析。MCA-205腫瘍を有するマウスへの抗PD-1 mAbの1回目の注射から9日後、及びE0771腫瘍を有するマウスへの抗PD-1 mAbの1回目の注射から11日後に、腫瘍及び脾臓を採取した。切除された腫瘍を小片に切断し、25μg/mLでのLiberase(商標)(Roche)及び150UI/mLでのDNase I(Roche)を含有するRPMI培地中、37℃で30分間消化し、次いで、100及び70μmの細胞ストレーナー(Fisher Scientific)を使用して、粉砕し、2回濾過した。RPMI培地中で脾臓を粉砕し、その後、100μmの細胞ストレーナーを通して濾過した。CD3(145-2C11)、CD4(GK1.5)、CD8(53-6.7)、CD44(IM7)、CD45(30-F11)、CD45RB(C363-16A)、CD62L(MEL-14)、Foxp3(FJK-16s)、CXCR3(CXCR3-173)、CCR9(CW-1.2)、PD-1(29F.1A12)、PD-L1(MIH5)、ICOS(7E.17G9)(BD、BioLegend、R&D and eBioscience)のための抗マウス抗体による膜染色の前に、200万個の細胞又は脾細胞を、精製された抗マウスCD16/CD32(クローン93、eBioscience)とともに4℃で30分間プレインキュベートした。細胞内染色のために、Foxp3染色キット(eBioscience)を使用した。Live/Dead Fixableアクア死細胞染色キット(Life Technologies)を使用して、死細胞を除外した。試料を、BD Fortessa 16色サイトメーター(BD)で取得し、分析をFlowJoソフトウェア(BD)で行った。
【0118】
免疫蛍光染色。最適切断温度(OCT)の化合物中に保存されたマウス腫瘍を切断し(厚み5μmの切片)、顕微鏡スライドに付着させ、-80℃で保管した。実験開始時に、スライドを空気乾燥させ、冷アセトンで洗浄した。ビオチンへの非特異的結合を防止するために、Endogenous Avidin Biotin Blockingキット(ThermoFisher)を使用した。加えて、バックグラウンド染色を減少させるために、組織を10%ロバ血清とともにインキュベートした。使用される一次抗体は、抗CD4、抗CD8、抗Foxp3である。AF-488にコンジュゲートしたロバ抗ヤギ及びロバ抗ラットを二次抗体として使用し、スライドをCy3-ストレプトアビジンとともにインキュベートし、ビオチン化抗体を検出した。DAPI(ThermoFisher)で対比染色することによって、核を可視化した。ホールスライドスキャナーOlympus BX61VS(解像度0.3225mmを有する20×0.75NA対物レンズ)を使用して画像を生成した。Visiomorphソフトウェア(Visiopharm)を使用して画像を分析した。
【0119】
HPLC及びLC-MSシステム。Agilent Technologies製の6120 Quadrupole LC/MS質量分析計に接続した1260 Infinity LCシステムを、逆相クロマトグラフィー(C18)及び質量分析法(MS)にそれぞれ使用した。X-Select SCH及びHSSカラム(Waters)をHPLCに使用した。クロマトグラフィーのために、MilliQ(商標)水(溶媒A)及びアセトニトリル(ACN)(溶媒B)の2成分溶媒系を使用し、各々0.1%ギ酸(FA)で酸性化していた。この極性は、酸性化した溶液中のポリフェノールに対して最適であったため、負のイオン化データのみが報告される。
【0120】
カムカム(CC)抽出。CC中のポリフェノールを、Fracassetti et al.(Food Chem 2013 15;139(1-4):578-88)の手順をわずかに改変したものに従って抽出した。凍結乾燥したCC生抽出物(SunFood)を、50%メタノール(MeOH)水溶液を用い、1:15(g:mL)の比率(分析実験)又は1:8の比率(分取実験)で抽出した。懸濁液をボルテックス撹拌し、超音波処理し、室温で60分間インキュベートした。懸濁液を遠心分離し、上清を回収した。第2の抽出は、90%MeOH水溶液を使用して沈降させた状態で行った。分析の前に、両方の抽出物からの上清を合わせ、濾過した。
【0121】
カムカム(CC)抽出物の分析及びLC-MSピークの同定。CCからポリフェノールを抽出した後、合わせた抽出物を分析のためにLC-MSシステムに注入した。試料中の構成要素を分割するために使用される溶媒勾配を、Fracassetti et al.,2013から適合させた。LC-MS分析からの254nmでの相対保持時間及び負イオン質量スペクトルを、Fracassetti et al.,2013によるCCポリフェノールの特性決定からのものと比較した。ピークの同一性は、本発明のデータと、Fracassetti et al.,2013によって報告されたデータとの一致に基づいて、暫定的に割り当てられた。
【0122】
カムカム(CC)の分画ラウンド1から単離された活性画分Pの同定。CCのどの構成要素が、その活性を担っているかを評価するために、逆相クロマトグラフィー及び連続抽出によって、極性(P)、中間の極性(M)、非極性(NP)、及び不溶性(INS)の4つの画分を生成した。ポリフェノールをCCから抽出し、乾燥するまで濃縮し、次いで、水中の40% ACN:10% MeOHの混合物に再溶解させ、ほとんどのポリフェノールを可溶化させた。濾過により不溶性材料を分離し、廃棄した。CCピーク同定(上述)に使用したのと同じ溶媒勾配を分取HPLCに使用した。10分ごとに合計60分間にわたって画分を手動で集めた。次いで、画分を-80℃で凍結させ、凍結乾燥させた。30~60分からの3つの画分を合わせ、画分NPを生成した。0~10分からのHPLCカラムブレークスルーを開始点として使用し、画分Pを生成した。簡単に述べると、4つのStrata C18-E固相抽出(SPE)カラム(Phenomenex)を並列で設定し、MeOHで調節した。凍結乾燥させた0~10分のHPLCブレークスルーを、10mg/mLの濃度になるまでMilliQ水に溶解した。各カラムに5mLの試料(10mg/mL)を添加し、フロースルーを集めた。次いで、9mLの5% ACNをカラムに添加し、フロースルーを集めた。各カラムから集めたフロースルーを合わせ、凍結乾燥させ、画分Pを生成した。画分M及びINSは、水中のCC生抽出物の連続抽出によって生成し、非常に極性が高い化合物、50%のMeOH、及び90%のMeOHを除去した。画分Mは、50%MeOH抽出物で構成され、これを蒸発させ、次いで凍結乾燥させた。INS画分は、すべての抽出ステップが完了した後の乾燥した沈降物で構成されていた。
【0123】
活性画分P3、分画ラウンド2の同定。画分Pのどの構成要素が、その活性を担っているかを評価するために、4つの画分(P1、P2、P3及びP4)を生成した。画分Pに含まれていた極性ポリフェノールに焦点を当てるために、新しい溶媒勾配を開発した。その勾配法は、以下のとおりであった。0分で0%B、30分で16%B、35分で95%B、36~46分で100%B。画分Pの生成については、MilliQ水に溶解した0~10分間(分画ラウンド1)のHPLCブレークスルーを分画ラウンド2の開始点として使用した。画分を毎分、30分間にわたって手動で集めた。各試行の画分をLC-MSによって分析し、次いで凍結乾燥させ、合わせ、以下のように画分P1、P2、P3及びP4を生成した。0~5分を合わせて画分P1を作製し、5~17分を合わせて画分P2を作製し、18~19分を合わせて画分P3を作製し、20~30分を合わせて画分P4を作製した。
【0124】
画分P3の特性決定。画分P3中のカスタラギンピークの純度は、254nmの分析LC-MSクロマトグラムのピーク積分によって決定した。254nmでの保持時間及び負イオン質量スペクトルの比較のために、MilliQ水に溶解したカスタラギン分析標準を使用した。画分P3及びカスタラギン分析標準の両方を、NMRによる分析のためにD2Oに溶解した。1H、1H-1H相関分光分析(COSY)、及び1H-13C異核種単一量子コヒーレンス(HSQC)NMRスペクトルを、Bruker AVIIIHD 500MHz NMR分光計で記録した。ピークを、Matsuo et al.,2015(Org Lett 2015 Jan 2;17(1):46-9.Epub 2014 Dec 12)によるカスタラギン構造再割り当てと比較した。
【0125】
カムカム(CC)及び食品グレードオークからのカスタラギン及びベスカラギンの単離。20グラムの凍結乾燥したCC粉末を上述のように抽出した。粗抽出物について、Strata C18-E SPEカラムを使用して、前分画を行った。簡単に述べると、再溶解した粗抽出物3mLをSPEカラムにロードし、MilliQ水2mLを添加してアスコルビン酸を除去した。次いで、9mLの5% ACNを各カラムに添加し、フロースルーを3mLのバッチで集めた。その後、カスタラギン及びベスカラギンを、フロースルーからHPLCによって精製した。単離物をLC-MSによって分析し、その純度を評価した。
【0126】
フルオ-カスタラギンの合成、精製、及び特性決定。カスタラギンを、5/6-カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(フルオレセイン-NHS)とのエステル交換反応を介して、フルオレセインで一官能基化した。簡単に述べると、カスタラギンをDMFに溶解し、次いで、トリエチルアミン(2当量)及び4-ジメチアミノピリジン(4-dimethyaminopyridine)の存在下、フルオレセイン-NHS(2当量)と反応させた。DOWEX 50WX8樹脂を用いたワークアップの後、粗混合物をLC-MSによって分析した。一官能基化フルオ-カスタラギンに対応するピークを、HPLCによって単離した。細菌R.bromii、E.coli及びB.thetaoitomicronを、フルオレセインが結合したカスタラギン存在下37℃及び0℃で、また、100倍濃度での結合していないカスタラギン存在下で、染色した。
【0127】
倒立落射蛍光顕微鏡法。落射蛍光のために構成され、高感度CCDカメラ(C14440-20UP、Hamamatsu,Inc.)を取り付けた倒立光学顕微鏡(Ti2、Nikon,Inc.)を使用して、フルオ-カスタラギン染色の画像を取得した。
【0128】
マウス糞便からのゲノムDNA抽出。ZymoBIOMICS DNA Miniprep Kit(Zymo Research Corporation)を使用して、糞便ペレットから全ゲノムDNAを抽出し、すぐに-80℃で保管した。このプロトコルは、細菌DNAの完全な回復を確実にするためのビーズ破砕ステップを伴う。DNA濃度及び品質を、Nanodrop ND-1000(ThermoFisher)を使用して測定した。
【0129】
定量的リアルタイムPCR(qRT-PCR)。定量的リアルタイムPCRを行い、全細菌DNAの相対レベルを評価し、16S rRNA遺伝子のV6領域を、プライマーセット891F(5’-TGGAGCATGTGGTTTAATTCGA-3’、配列番号1)及び1033R(5’-TGCGGGACTTAACCCAACA-3’、配列番号2)を使用して増幅させ(Anhe et al.Diabetologia.2018 Apr;61(4):919-931)、特異的プライマーF(5’-ACTGAGAGGTTGAACGGCCA-3’、配列番号3)及びR(5’-CCTTTACACCCAGTAAWTCCGGA-3’、配列番号4)を使用して、Ruminococcaceae DNAの相対レベルを特異的に評価した(Garcia-Mazcorro JF et al FEMS Microbiol Ecol 2012;80(3):624-36)。抽出したDNA(400ng/ウェル)を、500nMの上述のプライマーミックス、及び1×qPCRBIO SyGreen blue Mix Hi-ROX(PCRBIOSystems)と合わせた。qPCR反応を、Applied Biosystems StepOnePlus Real-Time PCR System(ThermoFisher Scientific)で、95℃で3分間行ってDNAを変性させ、95℃で5秒間、60℃で30秒間の40サイクルで増幅を進め、溶融曲線段階で完了した。生の閾値サイクル(Ct)値を、16s分析のためのEscherichia coli DNAで生成した細菌標準曲線、及び細菌負荷の近似のためのRumniccocaceae分析のためのRuminoccocus bicirculansで生成した細菌標準曲線と比較した。
【0130】
16S rRNA遺伝子配列処理及び分析マウス糞便試料。単離されたDNAを、16SリボソームRNA(rRNA)遺伝子配列を使用して分析し、糞便試料中の微生物組成を調査した。16S rDNA遺伝子のV3-V4領域を、トランスポゾンベースのIllumina Nexteraアダプター(Illumina)及び多重ペアエンドシークエンシングを可能にする試料バーコードを組み込むように適合されたプライマーBakt_341F(5’-CCTACGGGNGGCWGCAG-3’、配列番号5)及びBakt_805R(5’-GACTACHVGGGTATCTAATCC-3’、配列番号6)を使用したPCRによって増幅させた。PCR混合物は、1×Q5緩衝液(NEB)、1×Q5エンハンサー(NEB)、200μMのdNTP(VWR International)、0.2μMの順プライマー及び逆プライマー(Integrated DNA Technologies)、1単位のQ5(NEB)及び1μlのテンプレートDNAを50μlの反応物中に含んでいた。PCRサイクリング条件は、98℃で30秒間の初期変性、続いて第1のセットを15サイクル(98℃で10秒間、55℃で30秒間、及び72℃で30秒間)、次いで、第2のステップを15サイクル(98℃で10秒間、65℃で30秒間、及び72℃で30秒間)、並びに72℃で2分間の最終的な伸長の後、4℃まで時間を定めずに冷却することからなっていた。PCR産物を、50μlのPCR反応物当たり35μlの磁気ビーズ(AxyPrep Mag PCRクリーンアップキット、Axygen Biosciences)を使用して精製した。DNA 7500チップ(Agilent Technologies)を使用して、Bioanalyzer 2100で増幅を制御した。試料を等モル比でプールし、前述のようにプールを再精製し、DNA高感度チップを使用して、Bioanalyzer 2100で品質を確認した。プールを、ピコグリーン(Life Technologies)を使用して定量化し、MiSeqシステム(Illumina)にロードした。高スループットシークエンシングを、IBIS(Institut de Biologie Integrative et des Systemes-Universite Laval)で行った。
【0131】
遺伝子配列処理及び分析を、R v4.0.0を使用して行った。DADA2Rパッケージv1.16.0(Callahan et al.,Nat Methods.2016 Jul;13(7):581-3)を使用して、生のアンプリコン配列から各試料の正確なアンプリコン配列バリアント(ASV)を生成した。配列を、Illuminaアンプリコン配列エラーについて補正し、複製解除し、キメラを除去し、ペアエンドリードを、順方向リードについては260塩基、逆方向リードについては190塩基とマージした。タクソノミーの割り当ては、SILVA参照データベースv138(Quast et al.,Nucleic Acids Res.2013 Jan;41(データベース登録):D590-6)に対して行われた。Archea及びEukaryotaの残存配列を除去した。下流の分析を、phyloseq Rパッケージv1.32.0(McMurdie et al.,PLoS One.2013 Apr 22;8(4):e61217)によって、属レベルで行った。Shannon多様性指数及びInverse Simpson指数を用い、アルファ多様性を推定した。これらの指数を、Mann-Whitney検定を用いてグループ間で比較した。
【0132】
統計的分析。R v4.0.0を用いて統計的分析を行った。Mann-Whitney U検定を使用して、各々の個々の試料測定における多様性を示すアルファ多様性を使用して異なるグループ間の有意差を決定した。DESeq2(Love et al.,Genome Biol.2014;15(12):550)を使用して、属レベルでの差分存在量分析を行った。Spearmanランク相関試験は、Graphpad Prism 8を使用して得られ、これを使用して、フローサイトメトリー分析パラメータ間の連続変数を、MCA-205及びE0771腫瘍モデルのために水対CC、水/αPD-1対CC/αPD-1、水/αPD-1対カスタラギン/αPD-1、水/IsoPD-1対カスタラギン/αPD-1グループにおける差分存在量分析を用いて同定された有意な細菌に対して比較した。特に断りのない限り、問題点が2つより多い実験条件に対処するものである場合、すべてのp値はBonferroni補正後に報告される。p値は、95%信頼区間を有する両側であり、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001であった。
【0133】
実施例1:カムカム(CC)抽出物の投与は、マウス腫瘍モデルにおける抗PD-1抗腫瘍活性を強化するか、又は回復させる。
抗PD-1抗体等のICBの抗腫瘍活性を強化するか、又は回復させるためのアプローチを発見することを目的として、MCA-205肉腫腫瘍細胞(抗PD-1感受性)を移植された同系C57BL/6マウスにおいて、独自のファイトケミカルプロファイルを有するアマゾン産果実であるカムカム(Myrciaria dubia)からの粗抽出物を、
図1Aに示されるプロトコルに従って、抗PD-1と組み合わせて投与した。本明細書に記載の実験で使用されるカムカム抽出物は、Sunfoodによって市販されているカムカム生粉末であり、低温で乾燥させ、微粉末に粉砕された南アメリカの熱帯雨林産のカムカムベリーから得られる。
【0134】
図1B~1Cに示される結果は、CC抽出物単独の1日1回の強制経口投与が、抗がん活性を示し(抗PD-1単剤療法に類似)、腫瘍サイズの減少によって実証されるように、抗PD-1抗体の抗がん活性を強化することを示す。
【0135】
次に、
図2Aに示されるプロトコルに従って、抗PD-1耐性腫瘍(E0771乳腺がん腫)を移植したマウスにおいて、CCの抗腫瘍効果を試験した。予想されたように、抗PD-1単独の投与は、このモデルにおいて腫瘍サイズの有意な減少を引き起こさず、抗PD-1単剤療法に対するE0771乳腺がん腫細胞の耐性を確認するものである(
図2B~2C)。同様に、CC抽出物単独の投与は、E0771腫瘍サイズを有意に減少させることに失敗した。しかしながら、抗PD-1及びCC抽出物の両方の投与後に、E0771腫瘍サイズの有意な減少が得られ(
図2B~C)、このことは、CC抽出物が、抗PD-1耐性腫瘍に対する抗PD-1抗腫瘍応答を回復させる能力を有するという証拠を提供している。
【0136】
実施例2:カムカム抽出物は、腸内微生物叢の調節を介して作用する。
CC抽出物が、その抗腫瘍効果を発揮する機構をよりよく理解するために、
図3Aに示すプロトコルに従って実験を行った。第1に、
図3B~Cに示される結果は、腸内微生物叢に影響を及ぼす広域スペクトル抗生物質(ATB)の投与が、マウスMCA-205腫瘍モデルにおいてCC抽出物の抗腫瘍効果を完全に抑制することを示す。第2に、特定の病原体を含まない(SPF)マウスにおいて、糞便微生物叢移動(FMT)実験を行った。より具体的には、以前にCC抽出物で治療されたマウスからの糞便を、MCA-205腫瘍を移植されたマウスに移動し、腫瘍サイズに対する効果を測定した(
図4A)。
図4Bに示されるように、以前にCC抽出物で治療されたマウスからの微生物叢の移動は、単剤療法又は抗PD-1と組み合わせた状態でCC活性を回復するのに十分なものであった。CCの治療への可能性を探索するために、ATB治療マウスを、非小細胞肺がん腫(NSCLC)を有する2名のレスポンダー(R)患者及び2名の非レスポンダー(NR)患者からのFMTを行うことによって、再コロニー化した。MCA-205腫瘍を、これらの「アバター」マウスモデルに接種し、マウスを、αPD-1を伴うか、又は伴わずに、CC又は水で治療した(
図5A)。NR患者からのFMTは、αPD-1に対する耐性を付与したが、一方、R患者からのFMTは、αPD-1抗腫瘍効果を回復した(
図5A及び5B)。FMT生着時(CC+/-αPD-1の前)に、FMTを受けたマウスにおけるベースライン微生物叢を特性決定した。RからのFMTは、より大きなアルファ多様性と関連があった(
図5C)。NRグループと比較して、Rのベータ多様性を分析すると、2つのオブジェクティブクラスターも発見された(
図5D)。興味深いことに、Bilophilia及びRuminococcaceae UBA1819は、RからのFMTを受け、水/αPD-1に対して感受性の腫瘍を有していたマウスにおいて大きな比率を占めていた(
図5E)。
【0137】
FMT NRアバターマウスでは、CC/isoPD-1の経口補充によって、CCの抗腫瘍作用が復活した(
図4B)。さらに、CC/αPD-1の併用は、水/αPD-1で治療されたFMT NRマウスにおいて損なわれていたαPD1の有効性を回復した。逆に、FMT Rアバターマウスでは、CC単独、又は抗PD-1との組み合わせでは、水/αPD-1と比較して、抗腫瘍応答のさらなる増強を何ら示さなかった。微生物叢レベルで、CC/isoPD-1は、FMT NRアバターにおけるアルファ多様性を増加させたが、水/isoPD-1におけるFMT Rアバターマウスの多様性に影響を及ぼさなかった(
図5F)。属レベルで、FMT NRに対するCC/isoPD-1の添加は、Ruminococcaceaeの相対存在量の増加と関連があった(p=0.055)。
【0138】
次に、
図1Aに記載される実験からの糞便試料に対して、16s rRNAシークエンシングによる微生物叢プロファイリングを行った。16S rDNA遺伝子のV3-V4領域を、トランスポゾンベースのIllumina Nexteraアダプター(Illumina)を組み込むように適合されたプライマーBakt_341F及びBakt_805Rを使用して、PCRによって増幅させた。ハイスループットシークエンシングを、Institut de biologie integrative et des systemes(IBIS)で行った。データセットフィルトレーション(低-高読み取り)の後、前処理ステップを首尾良く通過し、97%以上のヌクレオチド配列同一性で存在するrRNA配列を、USEARCH 61(バージョン6.1.544)を使用するOperational Taxonomic Units(OTU)にビニングした。これらの実験は、CC治療が、αPD-1療法とは無関係に、水/isoPD-1と比較して増加したアルファ多様性と関連していることを明らかにした(
図6A)。16S rRNA遺伝子ベースの特異的プライマーを用いる定量的リアルタイム(qRT-PCR)PCRは、水と比較して、CCグループにおける細菌存在量の増加を確認した(
図6B)。
【0139】
Bray Curtisによって測定されるベータ多様性は、CCによる強制経口投与が、CCの補充前と比較して、別個の細菌クラスターの発達をもたらし(p<0.001)(
図6C)、一方、水/αPD-1による強制経口投与が、異なるクラスターへの微生物叢の分割を示さなかった(p=0.16)(
図6C~D)ことを明らかにした。
【0140】
差分存在量分析は、属レベルでの特定の細菌が、水グループと比較して、CCグループにおいて特異的に濃縮されていることを示した。Ruminococcus(調整されたp<0.05)は、最も他と異なって豊富な細菌であり、その次がTuricibacter及びOscillospiraceae UCG 005であった(調整されていないp<0.05)(
図6E)。さらに、Ruminococcusは、それぞれの水グループと比較して、CC/isoPD1グループ及びCC/αPD-1グループの両方で一貫して増加した唯一の細菌であった(
図6F~G)。
【0141】
αPD-1耐性E0771腫瘍モデルにおける16s rRNAシークエンシングを使用した腸内微生物叢のプロファイリングは、Turicibacter、Bilophila、Ruminococcaceae UBA1819、Parasutterella、Clostridium sensu stricto 1、Ruminococcus、Akkermansia、Anaeroplasma(調整されたp<0.05)が、水/αPD-1と比較して、CC/αPD-1で治療されたマウスにおいて大きな比率を占めていることを示した(
図6H)。興味深いことに、CC/isoPD-1で治療されたマウスにおいても、Akkermansia及びRuminococcusは、水/isoPD-1と比較して大きな比率を占めていた(
図6I)。まとめると、これらの結果は、細菌種とCCの抗がん効果との間の特異的な関連性を明らかにした。
【0142】
これらの結果は、CC抽出物の抗腫瘍活性が、少なくとも部分的に腸内微生物叢に依存するという、説得力のある証拠を提供する。
【0143】
実施例3:免疫細胞に対するCC投与の効果
マウス腫瘍モデルにおいて免疫代替プロファイリングを行い、免疫細胞に対する治療の効果を評価した。CC抽出物を単独で、又は抗PD-1と組み合わせて投与することにより、セントラルメモリー(T
CM)CD8
+の有意な上方調節をもたらし(
図7A)、抗腫瘍有効性を有する3つのグループ、すなわちCC/isoPD-1、CC/αPD-1、又は水/αPD-1におけるCD8
+/Foxp3
+CD4
+T(Treg)の比が、MCA-205腫瘍モデルにおける水/isoPD-1と比較して有意に増加した(
図7B)。さらに、CC抽出物単独で、又は抗PD-1と組み合わせて投与されたE0771腫瘍モデルにおいても、CD8
+T細胞上のICOS発現の有意な増加が観察された(
図7C)。
【0144】
CCと関連する抗腫瘍活性がCD8
+T細胞によって媒介されたことを検証するために、MCA-205を有するマウスは、CD8
+部分集団を枯渇させるためにCC及び抗CD8
+モノクローナル抗体を受け、CC/isoCD8(対照)と比較して、腫瘍成長の増加を示し、このことは、CCの抗腫瘍効果が、CD8
+T細胞依存性であったことを示している(
図7D)。
【0145】
次に、MCA-205マウスモデルにおける、腫瘍及び脾臓の両方における腸内微生物叢、腫瘍サイズ及び免疫プロファイリングに対するCCの影響を調べた。CC/isoPD-1で濃縮された細菌と、水/isoPD-1グループとの間のノンパラメトリックspearman相関を用いたペアワイズ比較を、腫瘍内サイトメトリー免疫マーカー及び腫瘍サイズを用いて行った。CD3
+T細胞浸潤、CD8
+T細胞PD-L1発現、CD8
+TCM細胞の割合、及びCD8
+/Tregの比の増加は、MCA-205において、Ruminoccocus等のCCによって濃縮された細菌、並びに下方調節されたLactobacillus及びPseudoflavonifractorと関連があった(
図7E)。同様に、CC/isoPD-1グループでは、水/isoPD-1に対して、脾細胞におけるCD8
+細胞及び比CD8
+/Tregが、Ruminoccocus及びOscillospiraceae UCG 005と相関関係にあった。
【0146】
並行して、E0771腫瘍におけるTILを、CC+/-αPD-1後に分析した。CCをαPD-1と合わせることで、水/αPD-1と比較した場合のICOS
+CD8
+T細胞のMFIの増加によって証明されるように、腫瘍内CD8
+T細胞の活性化を誘導した(
図7C)。次いで、水/αPD-1及びCC/αPD-1において上方調節された細菌、CD8/Treg比と、腫瘍サイズの減少を付与するRumincoccus、Bilophila及びAkkermansiaの存在量によるICOS
+Foxp3
-CD4
+T細胞浸潤の上方調節との間の正の相関関係をさらに示した免疫マーカー及び腫瘍サイズの間で実施されたSpearmanランク相関(
図7F)。
【0147】
実施例4:CCの抗腫瘍活性の生体活性化合物としてのカスタラギンポリフェノール抽出物の単離
マウス腫瘍モデルで観察された抗腫瘍活性を付与するCC抽出物中の特定の化合物を同定するために、
図8Aに示す分画ワークフロー図に従って、CC抽出物のHPLC分離を行った。完全なカムカム抽出のHPLCの保持時間、続いて極性画分及び画分P3、並びにオークから抽出されたカスタラギンのHPLD保持時間の代表的な図を
図8Bに示す。この技術を使用して、CC抽出物を、まず4つの画分(P-極性、M-中間/中程度の極性、NP-非極性、INS-不溶性)に分離し、MCA-205腫瘍モデルにおいて各画分を試験した。
図8Cに示す結果は、極性画分(P)のみが、200mg/kgの用量でこの実験で並行して試験したCC抽出物の効果を模倣することができたことを示した。
【0148】
次いで、活性極性画分Pを、保持時間(P1~P4)に従って、異なる部分画分にさらに分離し、HPLC分析を行った。P1画分は、ほとんどアスコルビン酸で構成され、P2は、ポリフェノールベスカラギンと没食子酸(galic acid)で構成され、P3は、ポリフェノールカスタラギンで構成され、P4は、異なる不純物で構成されていた。これらの4つの部分画分をMCA-205モデルで試験すると、主にカスタラギンで構成されたP3が、CCと同様の抗腫瘍効果と関連する唯一の画分であることが分かった(
図8D)。
【0149】
部分画分D中の活性成分が実際にカスタラギンであることを確認するために、商業的供給源から得られた精製カスタラギン(Millipore Sigma製のPhytoproof(登録商標)参照物質)並びにHPLCを用いてCC及びオークから抽出されたカスタラギンを使用して、追加の試験を行った。カスタラギンの様々な供給源に対するHPLCは、保持時間が、CCから抽出されたP3画分と類似していることを確認した。PhytoProof(登録商標)からのカスタラギン又はCC中に存在する同様の濃度でのオークからのカスタラギンを使用して(マウス当たり0.85mg/kg)、同様の腫瘍阻害が、αPD-1と組み合わせたMCA-205及びE0711で得られた(
図8E~F)。カスタラギンの有効性が用量依存的であるかどうかを定義するために、標準用量の1/8~3倍の6つの異なる濃度を使用して、マウスにおいてカスタラギン経口強制投与を行った。1/2用量(0.42mg/kg)である程度の抗がん活性が観察され、抗がん活性は、標準用量(0.85mg/kg、
図8E)でのみ有意となった。一方、3倍の増加濃度(マウス当たり2.55mg/kg)では標準用量ではなかった。まとめると、その結果は、カスタラギンがCCの生体活性化合物であり、潜在的な無変化状態を有する用量依存的な効果を有していることを示した。
【0150】
実施例5:カスタラギン補充は、腸内微生物叢の細菌多様性を増大させ、T細胞媒介性ICI応答を増強する
無菌状態におけるカスタラギンの微生物叢依存的な効果を定義するために原理証明実験を行った。
図9Aに示されるように、無菌条件で実験を行うことで、カスタラギン抗腫瘍効果が抑制された。次に、カスタラギン/isoPD-1で治療されたSPFマウスにおけるカスタラギンの微生物叢の影響を評価した。16S微生物叢プロファイリングは、カスタラギン後のアルファ多様性の増加(
図9B)、及びベータ多様性で観察された有意なクラスター形成(
図9C)を明らかにした。タクソンレベルでは、カスタラギンは、Akkermensia、Ruminococcaceae UBA1819、Ruminococcus、Staphylococcus、Escherichia/shigella、Blautia及びAlistipesの濃縮を引き起こしたが、一方、水グループからの糞便は、Lachnospiraceae UCG-001を濃縮した(
図9D)。さらに、水グループに対して、NR FMT実験におけるカスタラギングループにおいて、Ruminococcus、Alistepes、Christensenellaceae R7グループ、Paraprevotellaの16sシークエンシング分析の後の相対存在量の増加が観察され、一方、NR FMT実験において水グループとカスタラギングループとの間で、Lachnoclostridiumの差は観察されなかった(
図9E~I)。Ruminococcaceae特異的プライマーを用いたqRT-PCRを、用量依存的なカスタラギン実験で、糞便に対して行った(
図9J)。Ruminococcaceaeは、水対照に対して、1/4濃度用量のカスタラギンでは増加せず(抗腫瘍効果を有しておらず)、一方、Ruminococcaceae存在量は、標準カスタラギン用量又は標準の3倍のカスタラギン用量を補充した後、有意に増加した(抗腫瘍効果を有する)(
図9J)。
【0151】
カスタラギンが、全身免疫応答に対してCCと同じ影響を及ぼしたかどうかを判定するために、2つの技術を使用した。第1に、MCA-205実験におけるフローサイトメトリー分析は、再び、T
CMCD8
+T細胞の上方調節を明らかにしたが、一方で、無菌状態ではCCの影響は観察されなかった(
図10A)。第2に、免疫蛍光(IF)染色は、カスタラギン/IsoPD-1グループにおける比CD8
+/Foxp3
+CD4
+が、水/IsoPD-1よりも増加したことをさらに実証した(
図10B~C)。E0771細胞では、カスタラギンは、CCの有無にかかわらずαPD-1と比較した場合、腫瘍微小環境及び脾細胞の両方におけるメモリーCD8
+T細胞(CD44
高CD62L
-CD8
+T細胞)の頻度の増加と関連があった(
図10D及び10E)。
【0152】
以前にアバターマウスを使用して実施したように、ATB及びGF条件でNR NSCLC患者を使用してFMT後のカスタラギンの治療効果を試験した。カスタラギン単独の添加は、αPD-1と合わせたときに、相加効果で抗腫瘍活性を回復することができた(
図11A~B)。
【0153】
カスタラギンが腸内微生物叢組成を変化させ、微生物叢を改変した機構を解明するために、カスタラギン及びその異性体であるベスカラギンの代謝産物を分析した。カスタラギンは、エラグ酸及びカスタリンに加水分解され、次いで、エラグ酸は、腸内微生物叢によってさらにウロリチンに変換される(
図12A~12B)。したがって、これらの代謝産物のいくつか(エラグ酸及びウロリチンA)の潜在的な抗腫瘍効果、並びにベスカラギンの潜在的な抗腫瘍効果を個別に試験した。カスタラギンとは対照的に、下流の代謝産物又は異性体では、抗腫瘍作用は観察されなかった(
図12B)。
【0154】
次に、フルオレセインに結合したカスタラギン(
図12C)を使用して、カスタラギンがRuminococcaceaeと相互作用することができるかどうかを評価した。
図12D及び12Eに示される結果は、フルオレセイン標識されたカスタラギンをRuminococcus bromiiと共培養すると、細菌の大部分(約80%)が標識されるが、一方、それぞれEscherichia Coli及びbacteroides thetaiotaomicronの10%未満及び34%が、同じ条件での共培養後に標識されることを示す。過剰(100倍)の標識されていないカスタラギンの存在下でのインキュベーションは、フルオレセイン標識されたRuminococcus Bromiiの割合を減少させる(
図12E)。
【0155】
図12G及び12Hは、2名の非がんヒト患者において、1.5mgのカムカムを3週間毎日投与することで、多様性(16s)が増加し、糞便試料中のRuminococcaceaeの表現において、マウスで得られた結果と一致することを示す。
【0156】
図13は、カスタラギン治療グループにおけるRuminococcaceae増加を確認する、カスタラギン実験において糞便に対して行われたRuminococcaceae特異的プライマーによる重複qRT-PCR実験の結果を示す(
図13)。
【0157】
本発明は、本明細書において上記の特定の実施形態によって説明されてきたが、添付の特許請求の範囲で定義される主題発明の趣旨及び性質から逸脱することなく、変更され得る。特許請求の範囲では、「含む」という用語は、「含むが、限定されない」という語句と実質的に同等である、オープンエンド用語として使用される。「a」、「an」、及び「the」という単数形は、文脈が別途明らかに指示しない限り、対応する複数の対象物を含む。
【配列表】
【国際調査報告】