(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(54)【発明の名称】動物を検知して体重を測定するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A01K 11/00 20060101AFI20230510BHJP
G01G 17/08 20060101ALI20230510BHJP
G01G 9/00 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
A01K11/00 E
G01G17/08
G01G9/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022552205
(86)(22)【出願日】2021-02-18
(85)【翻訳文提出日】2022-08-26
(86)【国際出願番号】 EP2021054063
(87)【国際公開番号】W WO2021170488
(87)【国際公開日】2021-09-02
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522341045
【氏名又は名称】ピクシーズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Pixxize GmbH
【住所又は居所原語表記】Muhlenberg 17, 49699 Lindern Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【氏名又は名称】黒田 泰
(72)【発明者】
【氏名】ベリエス アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ベリエス ベルンハルト ウーリッヒ
(57)【要約】
本発明は、動物(5)の少なくとも1つの3次元画像を生成するように設計されている3Dカメラ・ユニット(14)と、少なくとも1つの3次元画像に基づいて動物(5)の体重を計算するように設計されているコンピュータ・ユニット(12)と、体重データを動物(5)ごとに保存できるデータ・メモリとを使用して動物(5)を検知するシステムおよび方法に関し、3Dカメラ・ユニット(14)、補助ユニットおよび/またはコンピュータ・ユニット(12)は、動物(5)の一群から1頭の動物(5)を識別するように設計されており、出力装置(18)が、動物関連データを出力するために設けられており、前記出力装置(18)は視覚要素(20)を含み、この視覚要素によって、動物(5)について保存されている、またはコンピュータ・ユニット(12)内で生成されているデータを、少なくとも1頭の動物(5)を観察中に補足情報として表示することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物(5)を記録するシステムであって、
動物(5)の少なくとも1つの3次元画像を生成するように設計されている3Dカメラ・ユニット(14)と、
前記少なくとも1つの3次元画像に基づいて前記動物(5)の体重を決定するように設計されているコンピュータ・ユニット(12)と、
体重データを動物(5)ごとに保存できるデータ・メモリと
を備え、
前記3Dカメラ・ユニット(14)、補助手段および/または前記コンピュータ・ユニット(12)が、動物(5)の一群から1頭の動物(5)を識別するように設計されており、
出力手段(18)が、動物関連データを出力するために設けられており、
前記出力手段(18)が視覚要素(20)を含み、前記視覚要素によって、前記動物(5)について保存されている、または前記コンピュータ・ユニット(12)内で生成されているサポート・データを、前記少なくとも1頭の動物(5)を観察する時に表示できる
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
モバイル・システム(10)を構成するために、少なくとも前記3Dカメラ・ユニット(14)が配置されている携帯手段が提供されること、および
前記携帯手段にはエネルギー供給のためのエネルギー貯蔵器が設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記携帯手段がバックパック、ベスト、携帯ストラップ、眼鏡および/またはヘッドギアを有している
ことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記コンピュータ・ユニット(12)によって、前記動物(5)の識別コード、前記動物(5)の特有の特徴および/またはデータ記録のための時間に特に関連する、さらなるデータを生成できる
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
パラメータ・データが記憶されること、ならびに、記録されたデータおよび前記パラメータ・データに応じて、前記コンピュータ・ユニット(12)が、前記動物(5)に関連する取扱い指示を出力するように設計される
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム(10)を用いて動物(5)を記録する方法であって、
3Dカメラ・ユニット(14)を用いて、動物(5)の少なくとも1つの3次元画像が生成され、
前記少なくとも1つの3次元画像に基づいて、前記動物(5)の体重がコンピュータ・ユニット(12)によって決定され、
動物(5)ごとに決定された体重データがデータ・メモリに保存される、方法。
【請求項7】
少なくとも初期段階において、少なくとも個々の動物(5)が計量され、確認された前記体重が前記コンピュータ・ユニット(12)に追加して入力され、前記コンピュータ・ユニット(12)が、計量によって確認された前記体重を計算によって決定された前記体重データと比較し、偏差がある場合には、前記コンピュータ・ユニット(12)は、計算によって決定された前記体重データが計量によって確認された前記体重に近づくか一致するように、前記少なくとも1つの3次元画像に基づいて前記体重データを決定するための記憶されているアルゴリズムを変更する
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
記録された動物(5)の実際のデータが、前記データ・メモリに保存され、または前記コンピュータ・ユニット(12)によって生成される、指定された基準データと比較され、前記コンピュータ・ユニット(12)によって、前記動物(5)の治療に関する情報、たとえば給餌、獣医治療などに関する情報が決定され出力される
ことを特徴とする請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
記録されたデータが、改ざんされないようにして、特に暗号化して保存される
ことを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
記録されたデータが、ブロックチェーンとして分散化して保存される
ことを特徴とする請求項6から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記コンピュータ・ユニット(12)のデータが、規定されたオペレータの権利に応じてインターフェース(19)を介して伝送される
ことを特徴とする請求項6から10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の動物を記録するシステム、および請求項6に記載の動物を記録する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特に家畜を飼育する場合、たとえば豚や牛を肥育する場合に、畜産家は、特定の動物をどの時点でさらなる利用、たとえば売却や屠畜のために譲渡することができるかを決定しなければならない。そのための基準の1つが特に動物の体重である。しかし、特に動物の飼育数が多い場合、動物の体重を計量するのは労力を要する作業であり、時間も費用も多くかかる。加えて、動物の導入部および導出部を備えた専用の計量手段が、この目的のために用意されなければならない。さらに、動物を導入し導出することを伴う計量の過程で、動物にストレスがかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのため、多くの場合で、畜産家は、目視検査に基づく判断もして動物の体重を推定する。畜産家の経験にもよるが、目視検査では体重推定を誤り、その結果、判断が不正確になる可能性がある。
【0004】
本発明は、動物の体重を特に効率的に把握できる、動物を記録するシステムおよび方法を提供する目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この目的は、一方では請求項1の特徴を有するシステムによって、他方では請求項6の特徴を有する方法によって達成される。本発明の好ましい実施形態は、それぞれの従属請求項に記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明によれば、動物の少なくとも1つの3次元画像を生成するように設計されている3Dカメラ・ユニットと、動物の体重を少なくとも1つの3次元画像に基づいて決定するように設計されているコンピュータ・ユニットと、体重データを動物ごとに保存できるデータ・メモリとが装備されている、動物を記録するシステムが提供される。
【0007】
本発明の基本的な考え方は、動物の体重が、計量することによって決定されるのではなく、3Dカメラ・ユニットの1つまたは複数の画像に基づく計算によって決定されるという点に見ることができる。
【0008】
カメラ・ユニットは、電子カメラとすることができ、このカメラによって、動物の少なくとも1つの3次元画像を生成することができる。この場合、電子的に生成された画像は、奥行き画像ならびに点群に変換することができる。この少なくとも1つの3次元画像に基づいて、動物の体積確認、したがって体重確認を行うことができる。このようにして生成されたこれらの体重データは、好ましくは、特定の動物に割り当て、データ・メモリに保存することができる。このシステムは、スマートフォンが3次元画像を生成するように設計されており適切なソフトウェアを備えているならば、スマートフォンによって実現することが可能である。
【0009】
本発明の特に好ましい実施形態は、モバイル・システムを構成するために、少なくとも3Dカメラ・ユニットが配置されている携帯手段が提供されること、および、その携帯手段にはエネルギー供給のためのエネルギー貯蔵器が設けられていることにある。携帯手段は、人が携帯するように特に設計されており、それにより、1頭または数頭の動物の画像をフリーハンドで、遠近法の制限なしに記録し生成することができる。このようにして記録された画像に基づいて、体重データをコンピュータ・ユニットによって動物ごとに決定することができる。携帯手段は、カメラ・ユニットのエネルギー供給用のエネルギー貯蔵器、より具体的には蓄電器を有する。好ましくは、特にコンピュータ・ユニットおよびデータ・メモリを備えた外部手段にカメラ・ユニットを接続できるように、送信および/または受信ユニットも設けられる。基本的に、コンピュータ・ユニットとデータ・メモリはまた、携帯手段に直接配置することもできる。
【0010】
基本的に、携帯手段は、任意の選択された方法で設計することができる。本発明の別の展開によれば、携帯手段がバックパック、ベスト、携帯ストラップ、眼鏡および/またはヘッドギアを有していることが特に有利である。すなわち、この携帯手段は、あまり苦労せずに人が携帯することができ、少なくとも1つのカメラ・ユニットが、好ましくは人の視線方向で画像記録が行われるように配置されている。しかし、基本的には、記録方向が異なるいくつかのカメラ・ユニットもまた設けることができる。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、3Dカメラ・ユニット、補助手段および/またはコンピュータ・ユニットが、動物の一群から1頭の動物を識別するように設計されていることが有利である。補助手段は、たとえば動物の識別コードを読み取るために、たとえば動物に付けて配置されたトランスポンダまたは動物に付けた別の識別手段との通信接続を確立できる送信手段または受信手段とすることができる。これとは別に、またはこれに加えて、動物の識別はまた、カメラ・ユニットおよび/またはコンピュータ・ユニットによって行うこともでき、この場合、動物は、特有の個々の特徴によって見分けることができる。システムは、動物を識別することにより、記録された画像および体重データを確実に特定の動物に自動的に割り当てることができる。
【0012】
本発明の別の実施形態によれば、コンピュータ・ユニットによって、動物の識別コード、動物の特有の特徴および/またはデータ記録のための時間に特に関連する、さらなるデータを生成できることが特に有利である。このようにして、決定された体重データならびにさらなるデータは、ある特定の時点の特定の動物に確実に割り当てることができる。それゆえに、たとえば、ある動物に、その体重データの時間の経過に伴う推移を割り当てることができる。その結果、その動物のさらなる成長について記述することが可能になり、予測することもまた可能になる。
【0013】
本発明の別の変形実施形態によれば、特に動物関連データを入力または出力するための入力手段および/または出力手段が設けられることが好ましい。入力手段および出力手段は、コンピュータ・ユニットとの有線接続または無線接続を有することができる。たとえば、キーボード、スキャナまたは他の手段とすることができる入力手段によって、たとえば、動物の年齢または生年月日、品種などに関する追加のデータを入力することができる。出力手段は、スクリーン、プリンタ、または他の出力ユニットとすることができる。
【0014】
本発明の別の展開によれば、出力手段が視覚要素を含むことが特に有利であり、この視覚要素によって、動物について保存されている、またはコンピュータ・ユニット内で生成されているサポート・データまたはシンボルを、少なくとも1頭の動物を観察する時に表示することができる。この視覚要素は、特に、サポート・データまたはシンボルを見せる、または表示できるようにする携帯用コンピュータ・ユニット、タブレット・コンピュータ、またはスマートフォンのスクリーンもしくはディスプレイとすること、または特に眼鏡とすることができる。視覚要素としては、仮想現実システム用によく知られている、一般に使用されている装置およびユニットを使用することができる。特に、このような眼鏡を通して観察される動物については、たとえば、現在の体重、年齢、さらなるデータおよび/または取扱い指示を表示することができる。
【0015】
本発明の別の好ましい実施形態は、パラメータ・データが記憶されること、ならびに、記録データおよびパラメータ・データに応じて、コンピュータ・ユニットが、動物に関連する取扱い指示を出力するように設計されることにある。パラメータ・データは、特定の目標体重または目標体重範囲と関連付けることができ、その体重に達すると、たとえば動物の売却または屠畜が推奨されるという表示が、システムによって直ちに表示される。特に、パラメータ・データはまた、ある期間にわたる体重推移の基準データとしての平均値を含むこともでき、したがってシステムは、たとえば、動物が特定の時点で基準データから著しく逸脱したかどうかを認識することができる。この認識によって、たとえば、病気や不適切な治療を暗示することができ、それにより、給餌の変更、獣医学的措置の実施、または動物に別の種類の特別な治療を受けさせることに関しての表示をシステムが行うことができる。
【0016】
本発明による動物を記録するための方法に関して、3Dカメラ・ユニットによって動物の少なくとも1つの3次元画像が生成され、その少なくとも1つの3次元画像に基づいて動物の体重がコンピュータ・ユニットによって決定され、動物ごとに決定された体重データがデータ・メモリに保存される、ということになっている。
【0017】
本発明による方法は、特に、前述のシステムを用いて実施することができる。それによって、既に説明した利点を得ることができる。
【0018】
本発明による方法の好ましい変形実施形態は、少なくとも初期段階において、少なくとも個々の動物が計量され、そうして確認された体重がコンピュータ・ユニットに追加して入力されるということ、ならびに、コンピュータ・ユニットが、計量によって確認された体重を計算によって決定された体重データと比較するということにあり、偏差がある場合には、コンピュータ・ユニットは、計算によって決定された体重データが計量によって確認された体重に近づくか一致するように、データ・メモリに記録された少なくとも1つの3次元画像に基づいて体重データを決定するための記憶されているアルゴリズムを変更する。この場合、動物の記録された幾何学的データが体重確認のためのアルゴリズムで使用される機械学習システムを実現することができる。この機械学習システムに対して、記録された画像に基づいて可能な限り正確な体重確認に到達するように、様々なアルゴリズムを組み合わせて提供することもできる。体重データを出力手段へ出力することは、リアルタイムで行うことができる。
【0019】
本発明の別の方法の変形によれば、記録された動物の実際のデータが、データ・メモリに保存されているかコンピュータ・ユニットによって生成される指定された基準データと比較され、コンピュータ・ユニットによって、動物の治療に関する情報、たとえば給餌、獣医治療などに関する情報が決定され出力されることが特に利点である。このようにして、動物の効率的で穏やかな肥育を実現することができる。
【0020】
本発明の別の展開によれば、高いデータセキュリティを得るために、記録されたデータは、改ざんされないようにして、特に暗号化して保存されることになっている。
【0021】
これと関連して、記録されたデータが、ブロックチェーンとして分散化して保存されることが特に好都合である。ブロックチェーンによってデータは分散化して保存することができ、個人が独占的にアクセスすること、ならびに単独の場所に依存することが回避される。さらに、インフラストラクチャは、セキュリティを損なうことなく様々な場所/参加者全体にわたって分散およびスケール変更することができる。
【0022】
本発明の別の展開によれば、コンピュータ・ユニットのデータが、規定されたオペレータの権利に応じてインターフェースを介して伝送されることが特に有利である。
【0023】
特に、証明書に基づく自己管理された権利管理を行うことができる。暗号化および証明書により、個々の参加者のデータ主権とプライバシーが、より高い権威の、すなわち行政当局の支援または監督がなくても保護される。証明書に基づいて、たとえば、動物を市場または(電子)市場で譲渡することができ、また、データへのアクセスを個別に許可することができる。たとえばこれは、獣医に接続したり、健康データをたとえば食肉処理業者に転送したりするときに有用であり得る。
【0024】
さらに、生産と価値連鎖全体を完全に表現したものが実現可能になる。ブロックチェーンではデータの削除が意図されていなく、かつ不可能であり、また、以前のデータがセキュリティのために後続のデータとリンクされているので、動物の全履歴を完全に、かつ改ざんされないようにして表現することができる。
【0025】
さらに、サードパーティおよび/または内部インターフェース(API)による接続も可能である。加えて、たとえば獣医師または病気および動物福祉に関連し得る、政府機関および/または組織集団と接続することもできる。さらに、企業資源計画(ERP)などのサードパーティ・アプリケーションを接続し、イネーブルにするための内部インターフェースを設けることもできる。オープン接続は、最大限の利益および市場浸透を可能にすることができる(デファクト・スタンダード)。
【0026】
さらに、調整されたアクセス権を様々な関係者(肥育業者、繁殖業者、獣医、最終顧客など)に提供することができる。調整されたアクセス権は、限定された機能が様々な関係者に合わせて調整された状態で提供することができる。加えて、スマート・コントラクトを用いた市場、飼料利用の評価、成長率および他のKPI、および/または有機飼育の証明などの、データを評価および利用するための専用ツールを提供することができる。
【0027】
本発明の別の実施形態によれば、コンピュータ・ユニットによって、動物の識別コード、動物の特有の特徴および/またはデータ記録のための時間に特に関連する、さらなるデータを生成できることが特に有利である。このようにして、決定された体重データならびにさらなるデータは、ある特定の時点の特定の動物に確実に割り当てることができる。
【0028】
したがって、たとえば、ある動物に、その体重データの時間の経過に伴う推移を割り当てることができる。その結果、その動物のさらなる成長について記述することが可能になり、予測することもまた可能になる。
【0029】
本発明の別の変形実施形態によれば、特に動物関連データを入力または出力するための入力手段および/または出力手段が設けられることが好ましい。入力手段および出力手段は、コンピュータ・ユニットとの有線接続または無線接続を有することができる。たとえば、キーボード、スキャナまたは他の手段とすることができる入力手段によって、たとえば、動物の年齢または生年月日、品種、調達先などに関する追加のデータを入力することができる。出力手段は、スクリーン、プリンタ、または他の出力ユニットとすることができる。
【0030】
本発明の別の展開によれば、出力手段が視覚要素を含むことが特に有利であり、この視覚要素によって、動物について保存されている、またはコンピュータ・ユニット内で生成されているサポート・データまたはシンボルを、少なくとも1頭の動物を観察する時に表示することができる。この視覚要素は、特に、サポート・データまたはシンボルを見せる、または表示できるようにするスクリーンもしくはディスプレイとすること、または特に眼鏡とすることができる。視覚要素としては、拡張現実システム用によく知られている、一般に使用されている装置およびユニットを使用することができる。
【0031】
特に、このような眼鏡を通して観察される動物については、たとえば、現在の体重、年齢、および取扱い指示を表示することができる。
【0032】
本発明の別の好ましい実施形態は、パラメータ・データが記憶されること、ならびに、記録データおよびパラメータ・データに応じて、コンピュータ・ユニットが、動物に関連する取扱い指示を出力するように設計されることにある。パラメータ・データは、特定の目標体重または目標体重範囲と関連付けることができ、その体重に達すると、たとえば動物の売却または屠畜が推奨されるという表示が、システムによって直ちに表示される。特に、パラメータ・データはまた、ある期間にわたる体重推移の平均基準データを含むこともでき、したがってシステムは、たとえば、動物が特定の時点で基準データから著しく逸脱したかどうかを認識することができる。この認識によって、たとえば、病気や不適切な治療を暗示することができ、それにより、給餌の変更、獣医学的措置の実施、または動物に別の種類の特別な治療を受けさせることに関しての表示をシステムが行うことができる。
【0033】
本発明による動物を記録するための方法に関して、3Dカメラ・ユニットによって動物の少なくとも1つの3次元画像が生成され、その少なくとも1つの3次元画像に基づいて動物の体重がコンピュータ・ユニットによって決定され、動物ごとに決定された体重データがデータ・メモリに保存される、ということになっている。
【0034】
本発明による方法は、特に、前述のシステムを用いて実施することができる。それによって、既に説明した利点を得ることができる。
【0035】
本発明による方法の好ましい変形実施形態は、少なくとも初期段階において、少なくとも個々の動物が計量され、そうして確認された体重がコンピュータ・ユニットに追加して入力されるということ、ならびに、コンピュータ・ユニットが、計量によって確認された体重を計算によって決定された体重データと比較するということにあり、偏差がある場合には、コンピュータ・ユニットは、計算によって決定された体重データが、計量によって確認された体重に近づくか一致するように、記録された少なくとも1つの3次元画像に基づいて体重データを決定するための記憶されているアルゴリズムを変更する。この場合、動物の記録された幾何学的データが体重確認のためのアルゴリズムで使用される機械学習システムを実現することができる。このため、記録された画像に基づいて可能な限り正確な体重確認に到達するように、様々なアルゴリズムを組み合わせて提供することもできる。体重データを出力手段へ出力することは、リアルタイムで行うことができる。
【0036】
本発明の別の方法変形形態によれば、記録された動物の実際のデータが、データ・メモリに保存されているかコンピュータ・ユニットによって生成される指定された基準データと比較され、コンピュータ・ユニットによって、動物の治療に関する情報、たとえば給餌、獣医治療などに関する情報が決定され出力されることが特に利点である。このようにして、動物の効率的で穏やかな肥育を実現することができる。
【0037】
本発明の別の展開によれば、高いデータセキュリティを得るために、記録されたデータは、改ざんされないようにして、特に暗号化して保存されることになっている。
【0038】
これと関連して、記録されたデータが、ブロックチェーンとして分散化して保存されることが特に好都合である。ブロックチェーンによってデータは分散化して保存することができ、個人が独占的にアクセスすること、ならびに単独の場所に依存することが回避される。さらに、インフラストラクチャは、セキュリティを損なうことなく様々な場所/参加者全体にわたって分散およびスケール変更することができる。
【0039】
特に、証明書に基づく自己管理された権利管理を行うことができる。暗号化および証明書により、個々の参加者のデータ主権とプライバシーが、より高い権威の、すなわち行政当局の支援または監督がなくても保護される。証明書に基づいて、たとえば、動物を市場または(電子)市場で譲渡することができ、また、データへのアクセスを個別に許可することができる。たとえばこれは、獣医に接続したり、健康データをたとえば食肉処理業者に転送したりするときに有用であり得る。
【0040】
さらに、生産と価値連鎖全体を完全に表現したものが実現可能になる。ブロックチェーンではデータの削除が意図されていなく、かつ不可能であり、また、セキュリティのために以前のデータが後続のデータとリンクされているので、動物の全履歴を完全に、かつ改ざんされないようにして表現することができる。
【0041】
本発明の別の展開によれば、コンピュータ・ユニットのデータが、規定されたオペレータの権利に応じてインターフェースを介して伝送されることが特に有利である。
【0042】
さらに、サードパーティおよび/または内部インターフェース(API)による接続も可能である。加えて、たとえば獣医師または病気、および動物福祉に関連する政府機関および/または組織集団と接続することもできる。さらに、企業資源計画(ERP)などのサードパーティ・アプリケーションを接続し、イネーブルにするための内部インターフェースを設けることもできる。オープン接続は、最大限の利益および市場浸透を可能にすることができる(デファクト・スタンダード)。
【0043】
さらに、調整されたアクセス権を様々な関係者(肥育業者、繁殖業者、獣医、最終顧客など)に提供することができる。調整されたアクセス権は、限定された機能が様々な関係者に合わせて調整された状態で提供することができる。加えて、スマート・コントラクトを用いた市場、飼料利用の評価、成長率および他のKPI、および/または有機飼育の証明などの、データを評価および利用するための専用ツールを提供することができる。
【0044】
本発明によるシステム10の好ましい実施形態は、添付の
図1に概略的に示されている。システム10は、データ・メモリが組み込まれているコンピュータ・ユニット12を含む。コンピュータ・ユニット12は、従来通りのコンピュータ・ユニットとすることができる。1つまたはいくつかの対物レンズを有することができる3次元カメラ・ユニット14は、好ましくは、コンピュータ・ユニット12と無線接続されている。3Dカメラ・ユニット14を用いて、動物5の3次元画像を生成することができる。この3次元画像を、3Dカメラ・ユニット14、または特にコンピュータ・ユニット12で使用して、動物の体重を、記憶された適応アルゴリズムに基づいて決定することができる。決定された体重データは、好ましくはリアルタイムで、本発明によるシステム10によって、特に、ユーザが装着する拡張現実眼鏡または仮想現実眼鏡とすることができる視覚要素20に出力することができる。
【0045】
好みによって、システム10は、ユーザが直接携帯する携帯手段に少なくとも部分的に設けることができる。携帯手段には、特に、3Dカメラ・ユニット14が、対応するデータ通信ユニットおよびエネルギー供給ユニットとともに設けられる。好ましくは、コンピュータ・ユニット12の少なくとも一部もまた、携帯手段に配置することができる。このようにして、決定された体重、ならびに観察されている動物に関するさらなるデータは、ユーザに対して、特にユーザが家畜小屋の中を歩いているときに、直接表示することができる。
【0046】
入力手段16によってさらなるデータを、これらのデータもまた、観察される動物に関して視覚要素20によって表示できるようにシステム10に、特にコンピュータ・ユニット12に入力することができる。加えて、1つまたはいくつかの出力手段18を設けることができ、この手段を用いて、保存および/または決定されたデータをコンピュータ・ユニット12から出力することができる。
【0047】
これとは別法に、またはこれに加えて、別の入力ユニットおよび/または出力ユニット用のインターフェース19を設けることもできる。
【手続補正書】
【提出日】2022-01-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物(5)を記録するシステムであって、
動物(5)の少なくとも1つの3次元画像を生成するように設計されている3Dカメラ・ユニット(14)と、
前記少なくとも1つの3次元画像に基づいて前記動物(5)の体重を決定するように設計されているコンピュータ・ユニット(12)と、
体重データを動物(5)ごとに保存できるデータ・メモリと
を備え、
前記3Dカメラ・ユニット(14)、補助手段および/または前記コンピュータ・ユニット(12)が、動物(5)の一群から1頭の動物(5)を識別するように設計されており、
出力手段(18)が、動物関連データを出力するために設けられており、
前記出力手段(18)が視覚要素(20)を含み、前記視覚要素によって、前記動物(5)について保存されている、または前記コンピュータ・ユニット(12)内で生成されているサポート・データを、前記少なくとも1頭の動物(5)を観察する時に表示でき
、
少なくとも初期段階において、少なくとも個々の動物(5)が計量され、確認された前記体重が前記コンピュータ・ユニット(12)に追加して入力され、
前記コンピュータ・ユニット(12)が、計量によって確認された前記体重を計算によって決定された前記体重データと比較し、
偏差がある場合には、前記コンピュータ・ユニット(12)は、計算によって決定された前記体重データが計量によって確認された前記体重に近づくか一致するように、前記少なくとも1つの3次元画像に基づいて前記体重データを決定するための記憶されているアルゴリズムを変更する
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
モバイル・システム(10)を構成するために、少なくとも前記3Dカメラ・ユニット(14)が配置されている携帯手段が提供されること、および
前記携帯手段にはエネルギー供給のためのエネルギー貯蔵器が設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記携帯手段がバックパック、ベスト、携帯ストラップ、眼鏡および/またはヘッドギアを有している
ことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記コンピュータ・ユニット(12)によって、前記動物(5)の識別コード、前記動物(5)の特有の特徴および/またはデータ記録のための時間に特に関連する、さらなるデータを生成できる
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
パラメータ・データが記憶されること、ならびに、記録されたデータおよび前記パラメータ・データに応じて、前記コンピュータ・ユニット(12)が、前記動物(5)に関連する取扱い指示を出力するように設計される
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム(10)を用いて動物(5)を記録する方法であって、
3Dカメラ・ユニット(14)を用いて、動物(5)の少なくとも1つの3次元画像が生成され、
前記少なくとも1つの3次元画像に基づいて、前記動物(5)の体重がコンピュータ・ユニット(12)によって決定され、
動物(5)ごとに決定された体重データがデータ・メモリに保存される、方法。
【請求項7】
少なくとも初期段階において、少なくとも個々の動物(5)が計量され、確認された前記体重が前記コンピュータ・ユニット(12)に追加して入力され、前記コンピュータ・ユニット(12)が、計量によって確認された前記体重を計算によって決定された前記体重データと比較し、偏差がある場合には、前記コンピュータ・ユニット(12)は、計算によって決定された前記体重データが計量によって確認された前記体重に近づくか一致するように、前記少なくとも1つの3次元画像に基づいて前記体重データを決定するための記憶されているアルゴリズムを変更する
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
記録された動物(5)の実際のデータが、前記データ・メモリに保存され、または前記コンピュータ・ユニット(12)によって生成される、指定された基準データと比較され、前記コンピュータ・ユニット(12)によって、前記動物(5)の治療に関する情報、たとえば給餌、獣医治療などに関する情報が決定され出力される
ことを特徴とする請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
記録されたデータが、改ざんされないようにして、特に暗号化して保存される
ことを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
記録されたデータが、ブロックチェーンとして分散化して保存される
ことを特徴とする請求項6から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記コンピュータ・ユニット(12)のデータが、規定されたオペレータの権利に応じてインターフェース(19)を介して伝送される
ことを特徴とする請求項6から10のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】