(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(54)【発明の名称】有機材料の安定剤としての置換ケイ皮酸エステルの用途、安定化された有機材料、有機材料の安定化方法と特定のケイ皮酸エステル
(51)【国際特許分類】
C09K 15/08 20060101AFI20230510BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20230510BHJP
C08K 5/134 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
C09K15/08
C08L101/00
C08K5/134
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558217
(86)(22)【出願日】2021-03-19
(85)【翻訳文提出日】2022-11-22
(86)【国際出願番号】 EP2021057101
(87)【国際公開番号】W WO2021191078
(87)【国際公開日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】102020203987.9
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515230084
【氏名又は名称】フラウンホーファー-ゲゼルシャフト ツゥア フェアデルング デア アンゲヴァンドテン フォァシュング エー.ファウ.
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】プフェンダー ルドルフ
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー ヤニック
(72)【発明者】
【氏名】メッチ-ジリンゲン エルケ
【テーマコード(参考)】
4H025
4J002
【Fターム(参考)】
4H025AA16
4J002AA001
4J002AA011
4J002AA021
4J002AC011
4J002AC031
4J002AC061
4J002BB031
4J002BB061
4J002BB071
4J002BB121
4J002BB151
4J002BC031
4J002BC061
4J002BD041
4J002BD101
4J002BE021
4J002BG041
4J002BG051
4J002BN151
4J002BP011
4J002CB001
4J002CC031
4J002CD001
4J002CF061
4J002CF071
4J002CF181
4J002CG011
4J002CH021
4J002CH071
4J002CL011
4J002CL031
4J002CM041
4J002CN011
4J002CN031
4J002CP031
4J002EJ016
4J002EJ066
4J002FD066
4J002FD076
(57)【要約】
本発明は、有機材料の安定剤としての特定のケイ皮酸エステルの用途、特に酸化的、熱的及び/又は化学的分解に対する用途に関する。さらに、本発明は、相応に安定化された有機材料に関する。本発明の更なる側面は、有機材料に特定のケイ皮酸エステルを組み込む、有機材料を安定化する方法に関する。本発明によれば、特定の新規ケイ皮酸エステルも開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1の化合物又は複数の化合物の混合物の用途に関するものであり、
式1
ここで、R
1、R
2、R
3はそれぞれ、1から6個の炭素原子を有するヒドロキシ基、直鎖又は分岐アルコキシ基及び水素からなる群から独立して選択され、R
1、R
2、R
3の少なくとも1つは、ヒドロキシ部及び/又は1から6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルコキシ基であり、
R
4は、少なくとも8個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル部分、及び式2a、2b、2cの以下からなる群から選択され、
式2a 式2b 式2c
ここで、R
5はそれぞれ同じか異なり、ヒドロキシ基及び式3の以下からなる群から選択され、
式3
ここで、R
1、R
2、R
3は、上記の定義に従い、有機材料、特に酸化的、熱的及び/又は化学的分解に対して安定化させるためのものである用途。
【請求項2】
プラスチック、コーティング、潤滑油、作動油、エンジン油、タービン油、ギア油、金属加工液、化学薬品又はモノマーを安定させるためのものである
請求項1に記載の用途。
【請求項3】
式1の前記化合物が以下の化合物からなる群から選択される
上記の請求項のいずれかに記載の用途、
ここで、R
4は請求項1に定義された通りである。
【請求項4】
R
4の少なくとも8個の炭素原子を有する前記直鎖又は分岐アルキル部分は、オクタン-1-オール、ノナン-1-オール、デカン-1-オール、ウンデカン-1-オール、ラウリルアルコール、トリデカン-1-オール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セリルアルコール、ミリシルアルコール、パルミトレイルアルコール、オレイルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコール、リグノセリルアルコール、モンタニルアルコール、リノレイルアルコール、イソトリデシルアルコール、ゲラニオール、ロジノール、シトロネロール及びセロール、特に好ましくはラウリルアルコール及びステアリルアルコールからなる群から選択されるアルコールから誘導される
上記の請求項のいずれかに記載の用途。
【請求項5】
R
5は、以下からなる群から選択される
上記の請求項のいずれかに記載の用途。
【請求項6】
次式の化合物の置換パターンとR
5の置換パターンは同一である
上記の請求項のいずれかに記載の用途。
【請求項7】
前記式1の化合物、又は前記式1の複数の化合物の混合物の場合、前記式1の前記化合物の全てが、有機材料中に0.01から10.00重量%、好ましくは、0.02から5.00重量%、特に好ましくは、0.05又は0.10から2.00重量%で含まれている
上記の請求項のいずれかに記載の用途。
【請求項8】
熱可塑性プラスチック、エラストマー又はデュロマーのプラスチックを安定させるための用途であり、プラスチックは、
a) オレフィンまたはジオレフィンからのポリマー、例えば、ポリエチレン(LDPE、LLDPE、VLDPE、ULDPE、MDPE、HDPE、UHMWPE)、メタロセンPE(m-PE)、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ-4-メチル-ペンテン-1、ポリブタジエン、ポリイソプレン、例えば、天然ゴム(NR)、ポリシクロオクテン、ポリアルキレン-一酸化炭素共重合体、及び例えば、統計的又はブロック構造の形をした共重合体、例えば、ポリプロピレン-ポリエチレン(EP)、例えば、5-エチリデン-2-ノルボルネンをコモノマーとするEPM又はEPDM、エチレン-酢酸ビニル(EVA)、例えば、エチレン-アクリル酸レート、エチレンアクリル酸及びその塩(イオノマー)などのエチレンアクリルエステル、及び例えば、エチレンアクリル酸グリシジル(メタ)アクリル酸などのターポリマー、ポリプロピレン-グラフト-無水マレイン酸などのグラフトポリマー、ポリプロピレン-グラフトアクリル酸、ポリエチレングラフトアクリル酸、ポリエチレンポリブチルアクリレート-グラフト-無水マレイン酸、及び例えばLDPE/LLDPEのようなブレンド、又はα-オレフィンをコモノマーとして例えば1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン又は1-オクタデセンと製造される長鎖分岐ポリプロピレン共重合体、
b) ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリα-メチルスチレン、ポリビニルナフタレン、ポリビニルビフェニル、ポリビニルトルエン、スチレン-ブタジエン(SB)、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン、スチレン-イソプレン、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、スチレン-ブタジエン-アクリロニトリル(ABS)、スチレン-アクリロニトリル(SAN)、スチレン-アクリロニトリル-アクリレート(ASA)、スチレン-エチレン、スチレン-無水マレイン酸重合体、
より適切には、ブタジエン上のスチレン、SBS又はSEBS上の無水マレイン酸、及び、メタクリル酸メチル、スチレン-ブタジエン及びABS(MABS)ならびに、水素化ポリスチレン誘導体からなるグラフト共重合体を含み、及びポリビニルシクロヘキサンなどの水素化ポリスチレン誘導体、
c) ハロゲン含有ポリマー、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリクロロプレン及びポリ塩化ビニリデン(PVDC)、塩化ビニルと塩化ビニリデン又は塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、エピクロロヒドリン単独共重合体及び特にエチレンオキシド(ECO)との共重合体、
d) 不飽和エステルの重合体、例えばポリアクリル酸エステルやポリメタクリル酸メチル(PMMA)のようなポリメタクリル酸エステル、アクリル酸ポリブチル、アクリル酸ポリラウリル、アクリル酸ポリステアリル、アクリル酸ポリグリシジル、メタクリル酸ポリグリシジル、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、共重合体、例えばポリアクリロニトリル-ポリアクリルアクリレート、
e) 不飽和アルコール及び誘導体のポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタレート、ポリアリルメラミン、
f) ポリアセタール、例えば、ポリオキシメチレン(POM)や、例えばブタナールとの共重合体、ポリフェニレンオキシド、及びポリスチレン又はポリアミドとのブレンド、
g) 環状エーテルのポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラヒドロフラン、
h) ヒドロキシ末端のポリエーテル又はポリエステルと芳香族又は脂肪族イソシアネートからなるポリウレタン、例えば、2,4-又は2,6-トリレンジイソシアネート又はメチレンジフェニルジイソシアネート、特に直鎖ポリウレタン(TPU)、ポリウレア、
i) ポリアミド、例えば、ポリアミド-6、6.6、6.10、4.6、4.10、6.12、10.10、10.12、12.12、ポリアミド11、ポリアミド12、及び、例えばポリフタルアミドのような(部分的に)芳香族ポリアミド、例えばテレフタル酸及び/又はイソフタル酸と、例えばヘキサメチレンジアミン又はm-キシリレンジアミンのような脂肪族ジアミン、又は例えばアジピン酸又はセバシン酸のような脂肪族ジカルボン酸と、例えば1、4-又は1、3-ジアミノベンゼンのような芳香族ジアミンから作られるポリアミド、PA-6及びPA6.6のような異なるポリアミドのブレンド、又はPNPPのようなポリアミドとポリオレフィンのブレンド、
j) ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリ(エーテル)ケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンズイミダゾール、ポリヒダントイン、
k) 脂肪族又は芳香族ジカルボン酸及びジオールから、又はヒドロキシカルボン酸から作られるポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフチレート(PEN)、ポリ-1,4-ジメチルシクロヘキサンテレフタレート、ポリヒドロキシ安息香酸、ポリヒドロキシナフタレート、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリヒドロキシ吉草酸(PHV)、ポリエチレンコハク酸、ポリテトラメチレンコハク酸、ポリカプロラクトン、
l) ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、及びブレンド、例えばPC/ABS、PC/PBT、PC/PET/PBT、PC/PA、
m) セルロース誘導体、例えば、硝酸セルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、
n) エポキシ樹脂、例えば、アミン、無水物、ジシアンジアミド、メルカプタン、イソシアネート又は触媒活性硬化剤に基づく硬化剤と組み合わせた二官能性又は多官能性エポキシ化合物からなるもの、
o) フェノール樹脂、例えばフェノール-ホルムアルデヒド樹脂、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、
p) 不飽和ジカルボン酸及びジオールとビニル化合物からの不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、アリル樹脂、
q) シリコーン、例えば、ジメチルシロキサン、メチル-フェニル-シロキサン又はジフェニルシロキサンに基づき、例えばビニル基で終端したもの、
r) 上記ポリマー2つ以上の混合物、組み合わせ又はブレンド、である
上記の請求項のいずれかに記載の用途。
【請求項9】
前記プラスチックは、一次及び/又は二次酸化防止剤、特に亜リン酸塩、ホスホン酸塩、チオール、フェノール性酸化防止剤、立体阻害性アミン、ヒドロキシルアミン及びこれらの混合物からなる群から選択される一次及び/又は二次酸化防止剤、UV吸収剤、光安定剤、ヒドロキシルアミン系安定剤、ベンゾフラノン系安定剤、核形成剤、衝撃調整剤、可塑剤、潤滑剤、レオロジー調整剤、鎖延長剤、加工助剤、顔料、染料、光学増白剤、抗菌剤、帯電防止剤、スリップ剤、遮断防止剤、カップリング剤、分散剤、相溶化剤、脱酸素剤、酸掃去剤、共安定剤、マーキング剤及び曇り防止剤からなる群から選択される少なくとも1つの追加添加剤を含む、及び/又は使用中に添加される
上記の請求項のいずれかに記載の用途。
【請求項10】
前記式1の少なくとも1つの化合物、有機材料及び少なくとも1つの添加剤の合計に基づいて、少なくとも1つの添加剤が0.01から9.99重量%、好ましくは0.01から4.98重量%、特に好ましくは0.02から2.00重量%の合計量で含有又は添加される
上記の請求項のいずれかに記載の用途。
【請求項11】
式1の少なくとも1つの化合物又は複数の化合物の混合物を安定剤として含み、
式1
ここで、R
1、R
2、R
3、R
4は、請求項1及び5のいずれか1つで定義されたものである
有機材料、特にプラスチック組成物。
【請求項12】
式1の化合物又は式1の複数の化合物の混合物の場合には、式1の全化合物の全体に対して、0.01から10.00重量%、好ましくは0.02から5.00重量%、特に好ましくは0.10から2.00重量%、
プラスチック、コーティング、潤滑油、作動油、エンジン油、タービン油、ギア油、金属加工液、化学薬品又はモノマーからなるグループから選択される少なくとも1つの有機材料に対して、99.99から90.00重量%、好ましくは99.89から95.00重量%、特に好ましくは99.90から98.00重量%、及び
少なくとも1つの添加剤を、0から9.99重量%、好ましくは0から4.98重量%、特に好ましくは0.02から2.00重量%、即ち、100重量%になるまで添加される組成を有する
上記の請求項のいずれかに記載の有機材料。
【請求項13】
一次及び/又は二次酸化防止剤、特に亜リン酸塩、ホスホン酸塩、チオール、フェノール性酸化防止剤、立体障害性アミン、ヒドロキシルアミン及びこれらの混合物からなる群から選択される一次及び/又は二次酸化防止剤、UV吸収剤、光安定剤、ヒドロキシルアミン系安定剤、ベンゾフラノン系安定剤、核形成剤、衝撃調整剤、可塑剤、潤滑剤、レオロジー調整剤、鎖延長剤、加工助剤、顔料、染料、光学増白剤、抗菌剤、帯電防止剤、スリップ剤、遮断防止剤、カップリング剤、分散剤、相溶剤、脱酸素剤、酸掃去剤、共安定剤、マーキング剤及び曇り防止剤からなる群から少なくとも1つの添加剤が選択され、
亜リン酸塩、ホスホン酸塩及びチオールからなる群から選択される二次酸化防止剤、ポリオール、酸掃去剤及び立体障害性アミンからなる群から選択される少なくとも1つの共安定剤からなる群から特に選択される
上記の請求項のいずれかに記載の有機材料。
【請求項14】
有機材料、特に酸化的、熱的及び/又は化学的分解に対して安定化させる方法であって、
式1の化合物又は複数の化合物を前記有機材料に組み込み、
式1
ここで、R
1、R
2、R
3、R
4は、請求項1及び5のいずれか1つで定義されたものである
方法。
【請求項15】
式1の化合物であって、
式1
ここで、R
1、R
2、R
3はそれぞれ、1から6個の炭素原子を有するヒドロキシ基、直鎖又は分岐アルコキシ基及び水素からなる群から独立して選択され、R
1、R
2、R
3の少なくとも1つは、ヒドロキシ部及び/又は1から6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルコキシ基であり、
R
4は、少なくとも8個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル部分、及び式2a、2b、2cの以下からなる群から選択され、
式2a 式2b 式2c
ここで、R
5はそれぞれ同じか異なり、ヒドロキシ基及び式3の以下からなる群から選択され、
式3
ここで、R
1、R
2、R
3は、上記の定義に従う
化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機材料の安定剤としての特定のケイ皮酸エステルの用途、特に酸化的、熱的及び/又は化学的分解に対する用途に関する。さらに、本発明は、対応する安定化された有機材料に関する。本発明の更なる側面は、有機材料に特定のケイ皮酸エステルを組み込む、有機材料を安定化する方法に関する。本発明によれば、特定の新規ケイ皮酸エステルも開示される。
【背景技術】
【0002】
プラスチックのような有機材料は、最終的には機械的特性値のような望ましい特性の損失につながる経時劣化の対象となる。このプロセスは自動酸化と呼ばれ、機械化学的プロセス又は酸素の存在下でのUV照射によるラジカル連鎖切断から生じる、分子量や新しい化学基の形成などの高分子鎖の変化をもたらす。したがって、安定剤は、この劣化を防ぐか、少なくとも遅らせるために使用される。安定剤の重要な代表は酸化防止剤であり、これは自動酸化の際に形成されるフリーラジカルを妨害するため、分解プロセスを中断させる。一般に、酸素を含むフリーラジカルやCラジカルと直接反応できる一次酸化防止剤と、中間生成されるヒドロペルオキシド(非特許文献1)と反応する二次酸化防止剤は区別される。一次酸化防止剤の代表的なものは、例えばフェノール性酸化防止剤、アミン類であるが、ラクトン類も含まれる。二次酸化防止剤の種類は、亜リン酸塩やホスホン酸塩などのリン化合物であるが、チオエステルやジスルフィドなどの有機硫黄化合物も含まれる。通常、実際には一次酸化防止剤と二次酸化防止剤が組み合わされ、相乗効果をもたらすことが多い。
【0003】
石油や天然ガスなどの化石原料から生成されるプラスチックは、生化学的プロセスを経て得られる再生可能原料をベースにしたプラスチックによって補完又は代替されることが増えている。持続可能性の問題は、それに使用される一次及び二次酸化防止剤(及び化石原料から作られるプラスチック)についても生じる。そのため、再生可能で入手可能な原料をベースとした、非常に効果的で揮発性が低く、ポリマー基材と適合する安定剤が必要とされている。
【0004】
基本的には、再生可能な原料から作られる一次酸化防止剤が知られており、プラスチックにも時折使用されている。典型的な例はトコフェロール(ビタミンE)である。トコフェロールは、従来の酸化防止剤と同様に、立体障害のあるフェノール構造を有しており、単独又は二次酸化防止剤(例えば、非特許文献2)と組み合わせて使用される。例えば、トコフェロールは、小麦胚芽油、ヒマワリ油、オリーブ油などの天然物質から単離することができる。
【0005】
プラスチックに抗酸化作用を持つフェノールとしては、例えばクエルセチン(非特許文献3)、ジヒドロミレセチン(非特許文献4)、ロスマリン誘導体(非特許文献5)、又はタンニン(非特許文献6)などが知られている。
【0006】
また、フェルラ酸(非特許文献7)やコーヒー酸(非特許文献8)の誘導体も知られている。
【0007】
しかし、ほとんどの天然フェノールは、適切な二次生成物の単離、精製、製造に多大な努力を必要とする。
【0008】
この目的は、有機材料を安定化するための特定のケイ皮酸エステルの用途に関する請求項1の特徴を用いて達成される。この目的は、請求項14の特徴を有する有機材料の安定化方法に関する請求項11、及び請求項15の特徴を有する本発明の目的のための安定剤として用途することができる新しいケイ皮酸エステルに関して、さらに安定化された有機材料によって達成される。それぞれの従属請求項は有利な展開を表す。
【0009】
フェルラ酸とその塩は、例えば化粧品産業や医薬品の有効成分(例:特許文献1~3)として使用されており、原則としてその塩の製造が知られている(例:特許文献4)。また、従来技術では、フェルラ酸(非特許文献9、10)及びコーヒー酸(非特許文献11)の選択されたエステル誘導体によるプラスチックの安定化も知られている。
【0010】
しかし、当該誘導体は比較的複雑な方法で酵素合成によって生産される。同様に、エステル化合物の形で知られているフェルラ酸誘導体には、イソソルビドエステル(特許文献5)、コレスタニルエステル(特許文献6)、フェルラ酸のオリゴマー及びポリマー(特許文献7)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2907338号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第101181256号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第1957433号明細書
【特許文献4】オーストリア国特許発明第317184号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2007/189990号明細書
【特許文献6】国際公開第2018/153917号
【特許文献7】米国特許出願公開第2016/257846号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】C. Krohnke et al. Antioxidants in Ullmann’s encyclopedia of industrial chemis-try, Wiley-VCH Verlag, Weinheim 2015
【非特許文献2】S. Al-Malaika, Macromol. Symp. 2001, 176, 107-117
【非特許文献3】B. Kirschweng et al., Eur. Pol. J. 2018, 103, 228-237
【非特許文献4】B. Kirschweng et al., Pol. Degr. Stab. 2016, 133, 192-200
【非特許文献5】K. Doudin et al., Pol. Degr. Stab. 2016, 130, 126-134
【非特許文献6】W.J. Grigsby et al., Polymers 5 (2013) 344-360
【非特許文献7】A.F. Reano et al. ACS Sustainable Chemistry and Engineering 4:6562-6571
【非特許文献8】V. Ambrogi et al. Biomacromolecules 15:302-310
【非特許文献9】A.F. Reano et al. ACS Sustainable Chemistry and Engineering 4 (2015), 6562-6571
【非特許文献10】A.F. Reano et al. ACS Sustainable Chemistry and Engineering 3 (2015), 3486-3496
【非特許文献11】V. Ambrogi et al. Biomacromolecules 15 (2014), 302-310
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、高い有効性、高い熱安定性及び低い揮発性を有する再生可能原料に基づくプラスチック用の持続可能な酸化防止剤を提供することであった。
【発明を実施するための形態】
【0014】
第一の側面において、本発明は、式1の化合物又は複数の化合物の混合物の用途に関し、
式1
ここで、R
1、R
2、R
3はそれぞれ、1から6個の炭素原子を有するヒドロキシ基、直鎖又は分岐アルコキシ基及び水素からなる群から独立して選択され、R
1、R
2、R
3の少なくとも1つは、ヒドロキシ部及び/又は1から6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルコキシ基であり、
R
4は、少なくとも8個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル部分、及び式2a、2b、2cの以下からなる群から選択され、
式2a 式2b 式2c
ここで、R
5はそれぞれ同じか異なり、ヒドロキシ基及び式3の以下からなる群から選択され、
式3
ここで、R
1、R
2、R
3は、上記の定義に従い、有機材料、特に酸化的、熱的及び/又は化学的分解に対して安定化させるためのものである。
【0015】
驚くべきことに、本発明に従って使用されたケイ皮酸誘導体は、再生可能な原料に基づく新しい安定剤として使用できることがわかった。従来から知られている安定剤と比較して、高い有効性、環境への配慮、好ましいコスト構造が見出された。
【0016】
プラスチック、コーティング、潤滑油、作動油、エンジン油、タービン油、ギア油、金属加工液、化学薬品又はモノマーは、本発明の目的のための有機材料として特に適している。
【0017】
発明によれば、化粧品は有機物質には数えられない。
【0018】
特に好ましい実施形態では、式1の化合物は以下の化合物からなる群から選択される。
ここで、R
4は請求項1に定義された通りである。
【0019】
例えば、R4の少なくとも8個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル部分は、オクタン-1-オール、ノナン-1-オール、デカン-1-オール、ウンデカン-1-オール、ラウリルアルコール、トリデカン-1-オール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セリルアルコール、ミリシルアルコール、パルミトレイルアルコール、オレイルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコール、リグノセリルアルコール、モンタニルアルコール、リノレイルアルコール、イソトリデシルアルコール、ゲラニオール、ロジノール、シトロネロール及びセロール、特にラウリルアルコール及びステアリルアルコールからなる群から選択されるアルコールから誘導することができる。
【0020】
【0021】
ここで特に好ましいのは、
であり、式1の化合物の置換パターンとR
5部分の置換パターンは同一である。
【0022】
これは、例えば、R5に関して上に示した式2a、2b、2cの部分と、式1のケイ皮酸部分の置換パターンが同一であることを意味する。このような化合物は対称的である。
【0023】
式1の化合物、又は式1の複数の化合物の混合物の場合には式1の化合物の全てが、有機材料中に0.01から10.00重量%、好ましくは、0.02から5.00重量%、特に好ましくは、0.05又は0.10から2.00重量%で存在することが望ましい。
【0024】
さらに好ましい実施形態によれば、式1の化合物又はその混合物は、熱可塑性プラスチック、エラストマー又はデュロマーのプラスチックを安定化するために使用される。特に、プラスチックは次のグループから選択される。
a) オレフィンまたはジオレフィンからのポリマー、例えば、ポリエチレン(LDPE、LLDPE、VLDPE、ULDPE、MDPE、HDPE、UHMWPE)、メタロセンPE(m-PE)、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ-4-メチル-ペンテン-1、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリシクロオクテン、ポリアルキレン-一酸化炭素共重合体、及びランダム又はブロック構造の形の共重合体、例えば、ポリプロピレン-ポリエチレン(EP)、EPM又はEPDM、エチレン-酢酸ビニル(EVA)、エチレン-アクリル酸ブチル、エチレン-アクリル酸及びその塩(イオノマー)などのエチレン-アクリル酸エステル、及びエチレン-アクリル酸-グリシジル(メタ)アクリル酸などのターポリマー、例えば、ポリプロピレン-グラフト-無水マレイン酸などのグラフトポリマー、ポリプロピレングラフトアクリル酸、ポリエチレングラフトアクリル酸、ポリエチレンポリブチルアクリレート-グラフト無水マレイン酸及びこれらのブレンド、
b) ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリα-メチルスチレン、ポリビニルナフタレン、ポリビニルビフェニル、ポリビニルトルエン、スチレン-ブタジエン(SB)、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン、スチレン-イソプレン、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、スチレン-ブタジエン-アクリロニトリル(ABS)、スチレン-アクリロニトリル(SAN)、スチレン-アクリロニトリル-アクリレート(ASA)、スチレン-エチレン、スチレン-無水マレイン酸重合体、
より適切には、例えば、ブタジエン上のスチレン、SBS又はSEBS上の無水マレイン酸、及び、メタクリル酸メチル、スチレン-ブタジエン、ABS(MABS)ならびに水素化ポリスチレン誘導体からなるグラフト共重合体を含み、
c) ハロゲン含有ポリマー、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリクロロプレン及びポリ塩化ビニリデン(PVDC)など、塩化ビニルと塩化ビニリデン又は塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、エピクロロヒドリンの単独重合体及びこれらの共重合体、
d) 不飽和エステルの重合体、例えば、ポリアクリル酸エステル及びポリメタクリル酸エステルであり、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、アクリル酸ポリブチル、アクリル酸ポリラウリル、アクリル酸ポリステアリル、アクリル酸ポリグリシジル、メタクリル酸ポリグリシジル、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、例えばポリアクリロニトリル-ポリアクリルアクリレートなどの共重合体、
e) 不飽和アルコール及び誘導体のポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタレート、ポリアリルメラミン、
f) ポリアセタール、例えば、ポリオキシメチレン(POM)や、例えばブタナールとの共重合体、ポリフェニレンオキシド、及びポリスチレン又はポリアミドとのブレンド、
g) 環状エーテルのポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラヒドロフラン、
h) ヒドロキシ末端のポリエーテル又はポリエステルと芳香族又は脂肪族イソシアネートからなるポリウレタン、特に直鎖ポリウレタン(TPU)、ポリウレア、
i) ポリアミド、例えば、ポリアミド-6、6.6、6.10、4.6、4.10、6.12、10.10、10.12、12.12、ポリアミド11、ポリアミド12、及び、例えばポリフタルアミドのような(部分的)芳香族ポリアミド、例えばテレフタル酸及び/又はイソフタル酸及び脂肪族ジアミンから、又は例えばアジピン酸又はセバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸及び例えば1、4-又は1、3-ジアミノベンゼンなどの芳香族ジアミンから作られたポリアミド、例えばPA-6及びPA6.6などの異なるポリアミドのブレンド又はPA/PPなどのポリアミド及びポリオレフィンのブレンド、
j) ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリ(エーテル)ケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンズイミダゾール、ポリヒダントイン、
k) 脂肪族又は芳香族ジカルボン酸及びジオールから、又はヒドロキシカルボン酸から作られるポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフチレート(PEN)、ポリ-1,4-ジメチルシクロヘキサンテレフタレート、ポリヒドロキシ安息香酸、ポリヒドロキシナフタレート、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリヒドロキシ吉草酸(PHV)、ポリエチレンコハク酸、ポリテトラメチレンコハク酸、ポリカプロラクトン、
l) ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、及びブレンド、例えばPC/ABS、PC/PBT、PC/PET/PBT、PC/PA、
m) セルロース誘導体、例えば、硝酸セルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、
n) エポキシ樹脂、例えば、アミン、無水物、ジシアンジアミド、メルカプタン、イソシアネート又は触媒活性硬化剤に基づく硬化剤と組み合わせた二官能性又は多官能性エポキシ化合物からなるもの、
o) フェノール樹脂、例えばフェノール-ホルムアルデヒド樹脂、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、
p) 不飽和ジカルボン酸及びジオールとビニル化合物からの不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、アリル樹脂、
q) シリコーン、例えば、ジメチルシロキサン、メチル-フェニル-シロキサン又はジフェニルシロキサンに基づき、例えばビニル基で終端したもの、
r) 上記ポリマー2つ以上の混合物、組み合わせ又はブレンド。
【0025】
a)からr)で規定された重合体が共重合体である場合、これらは統計的(「ランダム」)、ブロック又は「テーパー」構造の形で存在することができる。さらに、言及されているポリマーは、線形、分岐、星型、又は超分岐構造の形で存在することができる。
【0026】
a)からr)で規定されたポリマーが立体規則性ポリマーである場合、これらはアイソタクチック、ステレオタクチックの形で存在することができるが、アタクチック形又は立体ブロック共重合体としても存在する。
【0027】
さらに、a)からr)で規定されたポリマーは、非晶質と(部分的に)結晶性の両方の形態を持つことができる。
【0028】
必要に応じて、a)に記載のポリオレフィンも架橋することができ、例えば、架橋ポリエチレンは、その後X-PEと呼ばれる。
【0029】
さらに、本化合物はゴムやエラストマーの安定化に利用できる。天然ゴム(NR)、クロロプレン(CR)、ポリブタジエン(BR)、スチレン-ブタジエン(SBR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(2R)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、ポリエステル又はポリエーテルウレタンゴム、シリコーンゴムなどの合成ゴム材料を使用できる。
【0030】
新しい商品とは別に、プラスチックは、例えば生産廃棄物や家庭用又はリサイクル可能な収集物からのプラスチックなどの産業収集物からリサイクルプラスチックを使用することができる。
【0031】
プラスチックとしては、熱可塑性プラスチック、特に食品包装などの包装に使用されるプラスチック、特にポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミドが好ましい。ポリプロピレンの単独重合体及び共重合体が好ましく、LDPE、LLDPE、HDPE、MDPE、VLDPE及びポリエチレンテレフタレート(PET)の形態のポリエチレンの単独重合体及び共重合体が特に好ましい。
【0032】
特に特に好ましいのは、再生可能な原料からの脂肪族ポリエステルであり、実質的に脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールから、ヒドロキシカルボン酸又はラクトンから製造されるものである。例えば、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリヒドロキシ吉草酸(PHV)、ポリエチレンコハク酸(PESu)、ポリブチレンコハク酸(PBS)、ポリエチレンアジペート、ポリ(ブチレンコハク酸-co-アジペート)(PBSA)又はポリカプロラクトン(PCL)などである。
【0033】
例えば、プラスチックは、一次及び/又は二次酸化防止剤、特に亜リン酸塩、ホスホン酸塩、チオール、フェノール性酸化防止剤、立体阻害性アミン、ヒドロキシルアミン及びこれらの混合物からなる群から選択される一次及び/又は二次酸化防止剤、UV吸収剤、光安定剤、ヒドロキシルアミン系安定剤、ベンゾフラノン系安定剤、核形成剤、衝撃調整剤、可塑剤、潤滑剤、レオロジー調整剤、鎖延長剤、加工助剤、顔料、染料、光学増白剤、抗菌剤、帯電防止剤、スリップ剤、遮断防止剤、カップリング剤、分散剤、相溶化剤、脱酸素剤、酸掃去剤、共安定剤、マーキング剤及び曇り防止剤からなる群から選択される少なくとも1つの追加添加剤を含むことができ、及び/又は使用中にプラスチックに添加することができる。
【0034】
プラスチック中に添加剤又は複数の添加剤が含有されている場合には、当該添加剤は、使用中に、式1の少なくとも1つの化合物、有機材料及び少なくとも1つの添加剤の合計に基づいて、0.01から9.99重量%、好ましくは0.01から4.98重量%、特に好ましくは0.02から2.00重量%の合計量で含有又は添加されることが望ましい。
【0035】
本発明はまた、式1の少なくとも1つの化合物又は複数の化合物の混合物を安定剤として含む有機材料、特にプラスチック組成物に関する。
式1
ここで、R
1、R
2、R
3、R
4は、請求項1及び5のいずれか1つで定義されたものである。
【0036】
上記で定式化された式1の化合物に関する全ての好ましい記述は、本発明の有機材料に制限なく適用される。
【0037】
有機材料は、以下の組成を有することが望ましい。
式1の化合物又は式1の複数の化合物の混合物の場合には、式1の全化合物の全体に対して、0.01から10.00重量%、好ましくは0.02から5.00重量%、特に好ましくは0.10から2.00重量%、
プラスチック、コーティング、潤滑油、作動油、エンジン油、タービン油、ギア油、金属加工液、化学薬品又はモノマーからなるグループから選択される少なくとも1つの有機材料に対して、99.99から90.00重量%、好ましくは99.89から95.00重量%、特に好ましくは99.90から98.00重量%、及び
少なくとも1つの添加剤を、0から9.99重量%、好ましくは0から4.98重量%、特に好ましくは0.02から2.00重量%、即ち、100重量%になるまで添加。
【0038】
更なる好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの添加剤は、一次及び/又は二次酸化防止剤、特に亜リン酸塩、ホスホン酸塩、チオール、フェノール性酸化防止剤、立体障害性アミン、ヒドロキシルアミン及びこれらの混合物からなる群から選択される一次及び/又は二次酸化防止剤、UV吸収剤、光安定剤、ヒドロキシルアミン系安定剤、ベンゾフラノン系安定剤、核形成剤、衝撃調整剤、可塑剤、潤滑剤、レオロジー調整剤、鎖延長剤、加工助剤、顔料、染料、光学増白剤、抗菌剤、帯電防止剤、スリップ剤、遮断防止剤、カップリング剤、分散剤、相溶剤、脱酸素剤、酸掃去剤、共安定剤、マーキング剤、曇り防止剤からなる群から選択され、特に、亜リン酸塩、ホスホン酸塩及びチオールからなる群から選択される二次酸化防止剤から選択され、少なくとも1つの共安定剤は、ポリオール、酸掃去剤及び立体障害性アミンからなる群から選択される。
【0039】
適切な一次酸化防止剤(A)は、フェノール性酸化防止剤、アミン及びラクトンである。
【0040】
適切な合成フェノール酸化防止剤は、例えば以下の通りである。
アルキル化モノフェノール類、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2-tert-ブチル-4,6-ジメチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-n-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-イソブチルフェノール、2,6-ジシクロペンチル-4-メチルフェノール、2-(α-メチルシクロヘキシル)-4、6-ジメチルフェノール、2,6-ジオクタデシル-4-メチルフェノール、2,4,6-トリシクロヘキシルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシメチルフェノール、2,6-ジノニル-4-メチルフェノール、2,4-ジメチル-6-(1’-メチルウンデク-1’-イル)フェノール、2,6-ジノニル-4-メチルフェノール、2,4-ジメチル-6-(1’-メチルウンデク-1’-イル)フェノール、2,6-ジ-tert-ブ、4-ジメチル-6-(1’-メチルヘプタデク-1’-イル)フェノール、2,4-ジメチル-6-(1’-メチルトリデク-1’-イル)フェノール及びこれらの混合物、
アルキルチオメチルフェノール類、例えば、2,4-ジオクチルチオメチル-6-tert-ブチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6-メチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6-エチルフェノール、2,6-ジドデシルチオメチル-4-ノニルフェノール、
ハイドロキノン類及びアルキル化ハイドロキノン類、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、2,6-ジフェニル-4-オクタデシルオキシフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルステアリン酸塩、アジピン酸ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)、
トコフェロール、例えば、α-、β-、γ-、δ-トコフェロール及びこれらの混合物(ビタミンE)、
水酸化チオジフェニルエーテル、例えば、2,2’-チオビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2’-チオビス(4-オクチルフェノール)、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール)、4,4’-チオビス(3,6-ジ-sec-アミルフェノール)、4,4’-ビス(2,6-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ジスルフィド、
アルキリデンビスフェノール類、例えば、2,2’-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-エチルフェノール)、2,2’-メチレンビス、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-(α-メチルシクロヘキシル)フェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,2’-メチレンビス(6-ノニル-4-メチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(6-tert-ブチル-4-イソブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(6-(α-メチルベンジル)-4-ノニルフェノール)、2’-メチレンビス、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、4,4’-メチレンビス(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール)、1,1-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、2,6-ビス(3-tert-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェノール、1,1,3-トリス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、1,1-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-n-ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコール-ビス[3,3-ビス(3’-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)ブチラート]、ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ジシクロペンタジエン、ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)テレフタレート、1,1-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-4-n-ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5-テトラ(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ペンタン、
O-、N-、S-ベンジル化合物、例えば、3,5,3’、5’-テトラ-tert-ブチル-4,4’-ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル-4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルベンジルメルカプト酢酸エステル、トリデシル-4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルメルカプト酢酸エステル、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)ジチオテレフタレート、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルメルカプト酢酸エステル、
ヒドロキシベンジル化マロン酸エステル、例えば、ジオクタデシル-2、2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシベンジル)マロン酸エステル、ジオクタデシル-2-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)マロン酸エステル、ジドデシルメルカプトエチル-2、2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロン酸エステル、ビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル]-2、2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロン酸エステル、
芳香族ヒドロキシベンジル化合物、例えば、1,3,5トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6トリメチルベンゼン、1,4-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,3,5,6-テトラメチルベンゼン、2,4,6トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール、
トリアジン化合物、例えば、2,4-ビス(オクチルメルカプト)-6-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニリノ)-1,3,5トリアジン、2-オクチルメルカプト-4,6-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニリノ)-1,3,5トリアジン、2-オクチルメルカプト-4,6-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-1,3,5トリアジン、2,4,6トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-1,2,3トリアジン、1,3,5トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2,4,6トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルエチル)-1,3,5トリアジン、1,3,5トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサヒドロ-1,3,5トリアジン、1,3,5トリス(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、
ベンジルホスホン酸エステル、例えば、ジメチル-2,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸エステル、ジエチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸エステル、ジオクタデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルベンジルホスホン酸エステル、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸のモノエチルエステルのカルシウム、
アシルアミノフェノール、例えば、4-ヒドロキシラウラニリド、4-ヒドロキシステアラニリド、オクチル-N-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)カルバメート、
β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価又は多価アルコールとのエステル、例えば、メタノール、エタノール、n-オクタノール、i-オクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-リン酸-2、6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン、
β-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチル2.2.2フェニル)プロピオン酸と一価又は多価のアルコール、例えば、メタノール、エタノール、n-オクタノール、i-オクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-リン酸-2、6,7-トリオキサビシクロ[2-{3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]オクタン、3,9-ビス-2、4,8、10テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、
β-(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価又は多価アルコールとのエステル、例えば、メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-リン酸-2、6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン、
(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)酢酸と一価又は多価アルコールとのエステル、例えば、メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-リン酸-2、6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン、
β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、例えば、N,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミド、N,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミド、N,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミド、N,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジド、N,N’-ビス[2-(3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオニルオキシ)エチル]オキサミド(Naugard、登録商標:XL-1、Uniroyal発売)、
アスコルビン酸(ビタミンC)。
【0041】
特に好ましいフェノール性酸化防止剤は以下の構造である。
nは、2から10である。
【0042】
特に好ましいフェノール性酸化防止剤は、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸エステルとペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸エステル)である。
【0043】
さらに特に好ましいフェノール性酸化防止剤は、例えばトコフェロール(ビタミンE)、トコトリエノール、トコモノエノール、カロテノイド、ヒドロキシチロソール、例えばクリシン、クエルシチン、ヘスペリジン、ネオヘスペリジン、ナリンギン、モリン、ケンペロール、フィセチンなどのフラボノール、例えばデルフィニジンやマルビジンなどのアントシアニン、クルクミン、カルノソール酸、カルノソール、ロスマリン酸、レスベラトロールなどの再生可能な原料に基づいている。
【0044】
適切なアミン酸化防止剤は例えば以下の通りである。
N,N’-ジ-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1-エチル-3-メチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1-メチルヘプチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジシクロヘキシル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(2-ナフチル)-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1-メチルヘプチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、4-(p-トルエンスルファモイル)ジフェニルアミン、N,N’-ジメチル-N,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N-アリルジフェニルアミン、4-イソプロポキシジフェニルアミン、N-フェニル-1-ナフチルアミン、N-(4-tert-オクチルフェニル)-1-ナフチルアミン、N-フェニル-2-ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、例えば、p’-ジ-tert-オクチルジフェニルアミン、4-n-ブチルアミノフェノール、4-ブチリルアミノフェノール、4-ノナノイルアミノフェノール、4-ドデカノイルアミノフェノール、4-オクタデカノイルアミノフェノール、ビス(4-メトキシフェニル)アミン、2、6-ジ-tert-ブチル-4-ジメチルアミノメチル-フェノール、2,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’、N’-テトラ-メチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、1,2-ビス[(2-メチル-フェニル)アミノ]エタン、1,2-ビス(フェニルアミノ)プロパン、(o-トリル)ビグアニド、ビス[4-(1’、3’-ジメチルブチル)フェニル]アミン、tert-オクチル化N-フェニル-1-ナフチルアミン、モノ-及びジアルキル化tert-ブチル/tert-オクチルジフェニルアミンの混合物、モノ-及びジアルキル化ノニルジフェニルアミンの混合物、モノ-及びジアルキル化ドデシルジフェニルアミンの混合物、モノ-及びジアルキル化イソプロピル/イソヘキシル-ジフェニルアミン類の混合物、モノ-及びジアルキル化tert-ブチルジフェニルアミン類の混合物、2,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-4H-1,4-ベンゾチアジン、フェノチアジン、モノ-及びジアルキル化tert-ブチル/tert-オクチルフェノチアジン類の混合物、モノ-及びジアルキル化tert-オクチルフェノチアジン類の混合物、N-アリルフェノチアジン、N,N,N’、N’-テトラフェニル-1,4-ジアミノブト-2-エン、及びこれらの混合物又は組み合わせ。
【0045】
好ましいアミン酸化防止剤は、N,N’-ジ-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1-エチル-3-メチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1-メチルヘプチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジシクロヘキシル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(2-ナフチル)-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1-メチルヘプチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミンである。
【0046】
特に好ましいアミン酸化防止剤は以下の構造である。
nは、3から100である。
【0047】
さらに好ましいアミン酸化防止剤は、ヒドロキシルアミン又はN-酸化物(ニトロン)であり、例えば、N,N-ジアルキルヒドロキシルアミン、N,N-ジベンジルヒドロキシルアミン、N,N-ジラウリルヒドロキシルアミン、N,N-ジステアリルヒドロキシルアミン、N-ベンジル-α-フェニルニトロン、N-オクタデシル-α-ヘキサデシルニトロン、次式のGenoxEP(SIグループ)などである。
R
1、R
2は、それぞれ炭素数14から24のアルキル基である。
【0048】
適切なラクトンは、ベンゾフラノン類及びインドリノン類であり、例えば、る3--5、7-ジ-tert-ブチル-ベンゾフラン-2-オン、5、7-ジ-tert-ブチル-3-[5,7-ジ-tert-ブチル-3-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)]フェニル、5、7-ジ-tert-ブチル-3-ベンゾフラン-2-オン、5、7-ジ-tert-ブチル-3-(4-エトキシフェニル)ベンゾフラン-2-オン、3-(4-アセトキシ-3,5-ジメチルフェニル)-5、7-ジ-tert-ブチル-ベンゾフラン-2-オン、3-(3,5-ジメチル-4-ピバロイルオキシフェニル)-5、7-ジ-tert-ブチル-ベンゾフラン-2-オン、3-(3,4-ジメチルフェニル)-5、7-ジ-tert-ブチル-ベンゾフラン-2-オン、3-(2,3-ジメチルフェニル)-5、7-ジ-tert-ブチル-ベンゾフラン-2-オンであり、
また、以下のような、亜リン酸基も含むラクトン類である。
【0049】
さらに適切な酸化防止剤群は、イソインドロール[2、1-A]キイナゾリンであり、例えば以下の通りである。
【0050】
適切な二次酸化防止剤は、特に、亜リン酸塩又は亜リン酸塩であり、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニルジアルキルホスファイト、トリ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス-(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-クミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジイソデシルオキシペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6トリス(tert-ブチルフェニル)ペンタエリトリトルジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスフォナイト、6-イソオクチルオキシ-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-12H-ジベンズ[d,g]-1,3,2-ジオキサホスホシン、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)メチルホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)エチルホスファイト、6-フルオロ-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-12-メチル-ジベンズ[d,g]-1,3,2-ジオキサホスホシン、2,2’-2’-ニトリロ[亜リン酸トリエチルトリス(3,3’’、5,5’-テトラ-tert-ブチル-1,1’-ビフェニル-2,2’-ジイル)]、2-エチルヘキシル(3,3’、5,5’-テトラ-tert-ブチル-1,1’-ビフェニル-2,2’-ジイル))ホスファイト、5-ブチル-5-エチル-2-(2,4,6トリ-tert-ブチルフェノキシ)-1、3,2-ジオキサホスフィランである。
【0051】
特に好ましい亜リン酸塩/ホスホン酸塩は以下の通りである。
nは、3から100である。
【0052】
【0053】
亜リン酸トリス-(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)亜リン酸塩は二次酸化防止剤として非常に好ましく使用される。
【0054】
適切な二次酸化防止剤は、さらに硫化物やジスルフィドなどの有機硫黄化合物、例えば、ジステアリルチオジプロピオナート、ジラウリルチオジプロピオナートである、ジトリデシルジチオプロピオン酸エステル、ジテトラデシルチオジプロピオン酸エステル、3-[2,2-ビス[[3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロポキシ]メチル]-1,3-プロパンジイル]-,1,1’-プロパン酸エステルであり、以下の構造が好ましい。
【0055】
適切な酸掃去剤(「制酸剤」)は、1価、2価、3価又は4価の金属の塩であり、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム又は亜鉛が好ましく、特にステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸カルシウム、ベヘン酸カルシウム、乳酸カルシウム、ステアロリル-2-乳酸カルシウムなどの脂肪酸で形成される。適切な酸掃去剤のさらなるクラスは、水硬質塩、特にアルミニウム、マグネシウム及び亜鉛をベースとした合成水硬質塩、ハイドロカルマイト、ゼオライト、アルカリ土類酸化物、特に酸化カルシウム及び酸化マグネシウム及び酸化亜鉛、アルカリ土類炭酸塩、特に炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、及び水酸化物、特にブルサイト(水酸化マグネシウム)である。
【0056】
適切な共安定剤はさらにポリオール、特にアルジトール又はシクリトールである。ポリオールは、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、短鎖ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオール、及び例えばアルコール基を有する超分岐ポリマー/オリゴマー又はデンドリマである。
【0057】
少なくとも1つのアルジトールは、スレイトール、エリスリトール、ガラクチトール、マンニトール、リビトール、ソルビトール、キシリトール、アラビトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、アルトリトール、イジトール、マルトトリトール及びポリオール末端基を有する水素化オリゴ糖及び多糖類並びにこれらの混合物からなる群から選択されることが望ましい。少なくとも1つの好ましいアルジトールは、エリスリトール、マンニトール、イソマルトール、マルチトール、及びこれらの混合物からなる群から選択されることが特に好ましい。
【0058】
さらに好適な糖アルコールの例は、ヘプチトール及びオクチトールである。メソグリセロ-D-アルトロヘプチトール、D-グリセロ-D-マンノヘプチトール、メソグリセロ-D-グロヘプチトール、D-グリセロ-D-ガラクト-ヘプチトール(パーセイトール)。D-グリセロ-D-グルコヘプチトル、L-グリセロ-D-グルコヘプチトル、D-エリスロ-L-ガラクトオクチトール、D-スレオ-L-ガラクトオクチトールが挙げられる。
【0059】
特に、少なくとも1つのシクリトールは、イノシトール(ミオ、スキロ、D-キロ、L-キロ、ムコ、ネオ、アロ、エピ及びシス-イノシトール)、1,2,3.4-テトラヒドロキシシクロヘキサン、1,2,3,4,5-ペンタヒドロキシシクロヘキサン、クエルシトール、ビスコミトール、ボルネシトール、コンドリトール、オノニット、ピニット、ピンポリトール、ケブラシトール、シセリトール、クイン酸、シキミ酸及びバリエロールからなる群から選択されてもよい。この場合、ミオイノシトールが好ましい。
【0060】
適切な光安定剤は、例えば、2-(2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-ヒドロキシベンゾフェノン、安息香酸エステル、アクリル酸エステル、オキサミド及び2-(2-ヒドロキシフェニル)-1,3,5トリアジンに基づく化合物である。
【0061】
好適な2-(2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールは、例えば、2-(2’-ヒドロキシ-5’メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’,5’-ジtert-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールである。2-(5’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシ-フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)-5-クロルベンゾトリアゾール。2-(3’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3’-sec-ブチル-5’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシ-フェニル)ベンゾトリアゾール。2-(2’-ヒドロキシ-4’-オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’,5’-ジ-tert-アミル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’,5’-bis(α,α-ジメチルベンジル)-2’-ヒドロキシフェノール)ボンゾトリアゾール,2-(3’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3’-tert-ブチル-5’-[2-(2-エチルヘキシロキシ)カルボニルエチル]-2’-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-(2-メトキシカルボニルエチル)フェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-(2-メトキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’-tert-ブチル-5’-[2-(2-エチルヘキシロキシ)カルボニルエチル]-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール。2-(3’-ドデシル-2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-(2-イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニルベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-ベンゾトリアゾール-2-イルフェノール]、2-[3’-tert-ブチル-5’-(2-メトキシカルボニルエチル)-2’-ヒドロキシフェニル]-2H-ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコール300とのトランスセリフィケーションの生成物、[R-CH2CH2-COO-CH2CH2-]2、ここでR=3’-tert-ブチル-4’-ヒドロキシ-5’-2H-ベンゾトリアゾール-2-イルフェニル、2-[2’-ヒドロキシ-3’-(α,α-ジメチルベンジル)-5’-(1.1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-3’-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-5’-(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾールである。
【0062】
適切な2-ヒドロキシベンゾフェノンは、例えば、2-ヒドロキシベンゾフェノンの4-ヒドロキシ-、4-メトキシ-、4-オクチルオキシ-、4-デシルオキシ-4-ドデシルオキシ、4-ベンジルオキシ、4,2’、4’-トリヒドロキシ-及び2’-ヒドロキシ-4,4’-ジメチルオキシ誘導体である。
【0063】
適切なアクリレートは、例えば、エチル-α-シアノ-β、β-ジフェニルアクリレート、イソオクチル-α-シアノ-β、β-ジフェニルアクリレート、メチル-α-カルボメトキシケイ皮酸塩、メチル-α-シアノ-β-メチル-p-メトキシケイ皮酸塩、ブチル-α-シアノ-β-メチル-p-メトキシケイ皮酸塩、メチル-α-カルボメトキシ-p-メトキシケイ皮酸塩及びN-(β-カルボメトキシ-β-シアノビニル)-2-メチルインドリンである。
【0064】
安息香酸の適切なエステルは、例えば、4-tert-ブチルフェニルサリチル酸、フェニルサリチル酸、オクチルフェニルサリチル酸、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4-tert-ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3、5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ安息香酸、ヘキサデシル-3、5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ安息香酸、オクタデシル-3、5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ安息香酸、2-メチル-4、6-ジ-tert-ブチルフェニル-3、5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ安息香酸である。
【0065】
適切なオキサミドは、例えば、4,4’-ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’-ジエトキシオキサニリド、2,2’-ジオクチルオキシ-5,5’-ジ-tert-ブトキサニリド、2,2’-ジドデシルオキシ-5,5’-ジ-tert-ブトキサニリド、2-エトキシ-2’-エチルオキサニリド、N,N’-ビス(3-ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2-エトキシ-5-tert-ブチル-2’-エトキサニリド及びその2-エトキシ-2’-エチル-5,4’-ジ-tert-ブトキサニリドとの混合物、o-及びp-メトキシ-二置換オキサニリドの混合物、及びo-及びp-エトキシ-二置換オキサニリドの混合物である。
【0066】
適切な2-(2-ヒドロキシフェニル)-1,3,5トリアジンは、例えば、2,4,6トリス-1,3,5トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5トリアジン、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-プロピルオキシフェニル)-6-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(4-メチルフェニル-1,3,5トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-トリデシルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5トリアジン、2-(2,4-ジメチル)-4,6-ビス-1,3,5トリアジン、2-(2,4-ジメチル)フェニル]-4,6-ビス-1,3,5トリアジン、2-(2,4-ジメチルフェニル)-1,6-ビス-4,3,5トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロポキシ)フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル-1,3,5トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ)フェニル-4,6-ジフェニル-1,3,5トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-1,6-ジフェニル-1,3,5トリアジン、2,4,6-トリス[2-ヒドロキシ-4-(3-ブトキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシフェニル)-4-(4-メトキシフェニル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン、2-{2-ヒドロキシ-4-[3-(2-エチルヘキシル-1-オキシ)-2-ヒドロキシプロピルオキシ]フェニル}-1,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル-1,3,5-トリアジン)である。
【0067】
適切な金属失活剤は、例えば、N,N’-ジフェニルオキサミド、N-サリシラル-N’-サリチルイルヒドラジン、N,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、N,N’-ビス(サリチルイル)ヒドラジン、3-サリチルイルアミノ-1、2,4トリアゾール、ビス(ベンジリデン)オキサリルジヒドラジド、オキサニリド、イソフタロイルジヒドラジド、セバコイル-ビス-フェニルヒドラジド、N,N’-ジアセチルアディポイルジヒドラジド、N,N’-ビス(サリチルイル)オキシリルジヒドラジド、N,N’-ビス(サリチルイル)チオプロピオニルジヒドラジドである。
【0068】
金属失活剤として特に好ましいのは以下のものである。
【0069】
適切なヒンダードアミンは、例えば、1,1-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)コハク酸、ビス(1,2,2,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-n-ブチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルマロン酸、1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジンとコハク酸の縮合生成物、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4-tert-オクチルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5トリアジン、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ニトリロ三酢酸、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、1,1’-(1,2-エタンジイル)-ビス(3,3,5-テトラメチルピペラジノン)、4-ベンゾイル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4-モルホリノ-2,6-ジクロロ-1,3,5トリアジンからの直鎖又は環状縮合生成物7,7,9,9-テトラメチル-2-シクロウンデシル-1-オキサ-3,8-ジアザ-4-オキソスピロ-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)デカンとエピクロロヒドリンの反応生成物である。
【0070】
立体障害のあるN-メチルやN-オクチルなどのN-H,N-アルキル、N-メトキシやN-オクチルオキシなどのN-アルコキシ誘導体、N-シクロヘキシルオキシなどのシクロアルキル誘導体、N-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)類似体もここでは上記の構造に含まれる。
【0071】
【0072】
好ましいオリゴマー及びポリマーヒンダードアミンの構造は以下の通りである。
上記化合物において、nはそれぞれ3から100を意味する。
【0073】
さらに適切な光安定剤は、次の一般的な構造を有するHostanox NOW(製造元:Clariant SE)である。
ここで、Rは-O-C(O)-C
15H
31又は-O-C(O)-C
17H
35を意味する。
【0074】
適切な分散剤は、例えば、長鎖側基を有する共重合体、ポリアクリレートブロック共重合体、アルキルアミド、例えば、N,N’-1,2-エタンジイルビスオクタデカンアミドソルビタンエステル、例えば、モノステアリルソルビタンエステル、チタン酸塩及びジルコン酸塩、官能基を有する反応性共重合体、例えば、ポリプロピレン-co-アクリル酸、ポリプロピレン-co-無水マレイン酸、ポリエチレン-co-メタクリル酸グリシジル、ポリスチレン-alt-無水マレイン酸-ポリシロキサン、例えば、ジメチルシランジオール-エチレンオキシド共重合体、ポリフェニルシロキサン共重合体、両親媒性共重合体、例えば、ポリエチレンブロックポリエチレンオキシド、デンドリマ、例えば、ヒドロキシル基を含むデンドリマである。
【0075】
適切な抗核剤は、例えばニグロシンのようなアジン染料である。
【0076】
適切な難燃剤は、特に
a) 無機難燃剤、例えば、Al(OH)3、Mg(OH)2、AlO(OH)、MgCO3、モンモリロナイトやセピオライトなどのシート状ケイ酸塩、Mg-Alケイ酸塩などの非修飾又は有機修飾の複塩、POSS(多面体オリゴマーシルセスキオキサン)化合物、ハンタイトヒドロマグネサイト又はハロイサイト及びSb2O3、Sb2O5、MoO3、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、
b) メラミン、メレン、メラム、メロン、メラミン誘導体、メラミン縮合生成物又はメラミン塩、などの窒素含有防火剤、ベンゾグアナミン、ポリイソシアヌレート、アラントイン、ホスファセン類、特にメラミンシアヌレート、メラミンリン酸塩、ジメラミンリン酸塩、メラミンピロリン酸塩、メラミンポリリン酸塩、メラミンアルミンリン酸塩、メラミン亜鉛リン酸塩、メラミンマグネシウムリン酸塩などのメラミン金属リン酸塩、特にピロリン酸塩及びポリリン酸塩、ポリ-[2,4-(ピペラジン-1,4-イル)-6-(モルホリン-4-イル)-1,3,5トリアジン]、ポリリン酸アンモニウム、ホウ酸メラミン、臭化水素メラミン、
c) ラジカル形成剤、例えば、アルコキシアミン、ヒドロキシルアミンエステル、アゾ化合物、スルフェンアミド、スルフェンイミド、ジクミル又はポリクミル、ヒドロキシイミド及びその誘導体、例えばヒドロキシイミドエステル又はヒドロキシイミドエーテル、
d) リンを含む難燃剤、例えば、赤リン、レゾルシノール二リン酸、ビスフェノールA二リン酸及びこれらのオリゴマーなどのリン酸塩、例えば、リン酸トリフェニル、エチレンジアミン二リン酸、例えば、次亜リン酸の塩及びこれらの誘導体などのリン酸塩、例えば、ホスフィン酸アルキル塩、例えば、ホスフィン酸ジエチルアルミニウム又はホスフィン酸ジエチル亜鉛又はホスフィン酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ホスホン酸エステル、メタンホスホン酸のオリゴマー及びポリマー誘導体、9,10ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスホリルフェナントレン-10-オキシド(DOPO)及びこれらの置換化合物、
e) 塩素及び臭素をベースとするハロゲン化防火剤、例えば、デカブロモジフェニルオキシド、トリス(3-ブロモ-2,2-ビス(ブロモメチル)プロピル-リン酸、トリス(トリブロモノオペンチル)リン酸、テトラブロモフタル酸、1,2-ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、ヘキサブロモシクロドデカン、臭素化ジフェニルエタン、トリス-(2,3-ジブロムプロピル)イソシアヌレート、エチレン-ビス-(テトラブロモフタルイミド)、テトラブロモビスフェノールA、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリブタジエン又はポリスチレン臭素化ポリブタジエン共重合体、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化エポキシ樹脂、ポリペンタブロモベンジルアクリレート、また、Sb2O3及び/又はSb2O5と組み合わせてもよい、
f) ホウ酸亜鉛やホウ酸カルシウムなどのホウ酸塩、任意でシリカなどのキャリア材料上に、
g) 硫黄を含む化合物、例えば、元素硫黄、ジスルフィド及びポリスルフィド、チウラムスルフィド、ジチオカルバメート、メルカプトベンゾチアゾール及びスルフェンアミド、
h) 例えば、ポリテトラフルオロエチレンなどの防滴剤、
i) ポリフェニルシロキサンなどのケイ素を含む化合物、
j) カーボンナノチューブ(CNT)、膨張性グラファイト又はグラフェンなどの炭素修飾
k) 及びその組み合わせ又は混合物。
【0077】
適切な可塑剤は、例えば、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、クエン酸エステル、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸エステル、トリメリト酸エステル、イソロビドエステル、リン酸エステル、エポキシ化大豆油などのエポキシド、又は脂肪族ポリエステルである。
【0078】
適切な金型潤滑剤及び加工助剤は、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛などの脂肪酸の塩、又はモンタンワックスの塩、エルカ酸アミド又はオレイン酸アミドなどのアミドワックス、フルオロポリマー、シリコーン、又はネオアルコキシチタン酸塩及びジルコン酸塩である。
【0079】
適切な顔料は無機又は有機である。無機顔料は、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化鉄、ウルトラマリン、ブラックカーボン、例えば、アントラキノン類、アンタントロン類、ベンズイミダゾロン類、チナクリドン類、ジケトプチロロピロール類、ジオキサジン類、イナントロン類、イソインドリン類、アゾ化合物、ペリレン類、フタロシアニン類又はピラントロン類である。さらに適切な顔料は、金属系効果顔料又は金属酸化物系真珠色顔料である。
【0080】
適切な光学増白剤は、例えば、ビス-ベズンゾキサゾール、フェニルクマリン、又はビス(スチリル)ビフェニルであり、特に以下の式で表される光学増白剤である。
【0081】
適切な充填剤失活剤は、例えば、ポリシロキサン、ポリアクリレート、特にポリメタクリル酸-ポリアルキレンオキシド又はポリグリシジル(メタ)アクリレートのようなブロック共重合体及びこれらの共重合体、例えばスチレン、エポキシド、例えば以下の構造のものである。
nは、1から10である。
【0082】
適切な帯電防止剤は、例えば、エトキシル化アルキルアミン、脂肪酸エステル、アルキルスルホン酸塩、及びポリエーテルアミドのようなポリマーである。
【0083】
適切な抗オゾン剤は、N,N’-ジ-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジシクロヘキシル-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1-メチルヘプチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミンなどのアミンである。
【0084】
適切な核形成剤は、安息香酸、コハク酸、アジピン酸、例えば安息香酸ナトリウム、グリセロール酸亜鉛、アルミウムヒドロキシ-ビス(4-tert-ブチル)安息香酸、2,2’-メチレン-ビス-(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)リン酸のような一官能性及び多官能性カルボン酸のタルカム、アルカリ又はアルカリ土類塩、及びトリメシン酸トリシクロヘキシルアミド、トリメシン酸トリ(4-メチルシクロヘキシルアミド)、トリメシン酸トリ(tert-ブチルアミド)、N,N’、N”-1,3,5-ベンゾルトリイルトリス(2,2-ジメチル-プロパンアミド)又は2,6-ナフタレンジカルボン酸シクロヘキシルアミドのようなトリサミド及びジアミドである。
【0085】
重縮合重合体(鎖延長剤)の分子量を増加させるのに適した添加剤は、ジエポキシド、ビス-オキサゾリン、ビス-オキサゾロン、ビス-オキサジン、ジイソシアネート、二無水物、ビス-アシルラクタム、ビス-マレイミド、ジシアネート、カルボジイミドである。さらに適切な鎖延長剤は、例えば、ポリスチレン-ポリアクリレート-ポリグリシジル(メタ)アクリレート共重合体、ポリスチレン-無水マレイン酸共重合体及びポリエチレン-無水マレイン酸共重合体などの高分子化合物である。
【0086】
導電性を高めるのに適した添加剤は、例えば、上述の帯電防止剤、カーボンナノチューブやグラフェンのようなカーボンブラックや炭素化合物、例えば銅粉のような金属粉、例えばポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェンのような導電性高分子である。熱伝導率を高めるのに適した添加剤は、例えば窒化アルミニウムや窒化ホウ素である。
【0087】
適切な赤外線活性添加剤は、例えば、ケイ酸アルミニウム又はフタロシアニンやアントラキノンなどの染料である。
【0088】
適切な離型剤は、例えば、シリコン、石鹸及びワックス、例えばモンタンワックスである。
【0089】
さらに、本発明の添加剤は、油脂及び化学製品の安定化に使用することができる。有機材料が油脂である場合、これらは鉱物油、植物性油脂又は動物性油脂又は合成エステルなどに基づく油脂又はワックスに基づくことができる。植物油脂は、例えば、パーム油、オリーブ油、菜種油、亜麻仁油、大豆油、ヒマワリ油、ヒマシ油、動物性脂肪は、例えば魚油や牛脂である。本発明の化合物は、潤滑油、作動油、モーター油、タービン油、ギア油、金属加工流体の安定剤として、又は潤滑グリースとして使用することもできる。これらの鉱物又は合成潤滑剤は主に炭化水素をベースとしている。化学製品とは、例えば、ポリウレタンの製造に使用されるポリオールの安定化や、スチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどのモノマーの輸送及び保管時の安定化に使用されるものである。
【0090】
本発明はまた、有機材料、特に酸化的、熱的及び/又は化学的分解に対して安定化するための方法であって、式1の化合物又は複数の化合物である。
式1
ここで、R
1、R
2、R
3、R
4は、請求項1及び5のいずれか1項で定義されているとおり、有機材料に組み込まれている。
【0091】
上記で定式化された式1の化合物に関する全ての好ましい記述は、本発明の方法に制限なく適用される。
【0092】
本発明はまた、式1の化合物に関する。
式1
ここで、R
1、R
2、R
3はそれぞれ、1から6個の炭素原子を有するヒドロキシ基、直鎖又は分岐アルコキシ基及び水素からなる群から独立して選択され、R
1、R
2、R
3の少なくとも1つの部分は、ヒドロキシ部分及び/又は1から6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルコキシ基であり、
R
4は、式2a、2b、2cに従って、少なくとも8個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル部分と以下からなる群から選択され、
式2a 式2b 式2c
ここで、R
5はそれぞれ同じか異なり、
式3より、ヒドロキシ基と以下からなる基であり、
式3
ここで、R
1、R
2、R
3は、上記の定義に従う。
上記のようなR
1からR
5の部分に関する全ての好ましい記述は、本発明の化合物に制限されることなく適用される。
【0093】
上記の添加剤及び任意で追加の添加剤は、通常の処理方法によってプラスチックに取り込まれ、ここでは、ポリマーが溶融され、本発明の添加剤組成物及び任意で追加の添加剤と混合され、好ましくはミキサー、混練機又は押出機を使用する。加工機としては、単スクリュー押出機、二スクリュー押出機、遊星ローラー押出機、リング押出機、cci-混練機など、真空脱ガス装置を備えた押出機が好ましい。処理はここに空気下で、又は任意で例えば窒素下などの不活性ガス条件下で行うことができる。
【0094】
さらに、本発明の添加剤組成物は、いわゆるマスターバッチ又は濃縮物の形で製造及び導入することができ、例えば、本発明の添加剤の10-90%をポリマー中に含む。
【0095】
本発明の安定化又は本発明の有機材料の用途分野は、特に射出成形部品、箔又はフィルム、フォーム、繊維、ケーブル及びパイプ、プロファイル、中空体、リボン、例えばジオメンブレンのような膜、又は押出、射出成形、ブロー成形、カレンダー、プレスプロセス、スピニングプロセス、ロトモールディングを介して生産される接着剤の形態のプラスチックであり、例えば、電気及び電子産業、建設産業、運輸産業(車、飛行機、船、列車)、医療用途、家庭用及び電気器具、車両部品、消費財、包装、家具、繊維用である。さらに応用分野としては、塗料、着色剤、塗料、油脂などがある。
【0096】
以下の構成例を参照しながら、本発明を具体的に説明する。
【0097】
A) 本発明のヒドロキシケイ皮酸塩の調製
A1)フェルラ酸メチルの合成
500mLの丸底フラスコに15g(1.00当量、77.24mmol)のフェルラ酸を300mL(95.77等、237.00g、7397.00mmol)のメタノールに穏やかな加熱で溶かす。次に95%硫酸3.1mL(0.75当量、57.99mmol)を加えると、液は黄色に変わる。この溶液を70℃で3時間加熱し、冷却後、クロロホルム375mLに加える。次に、それぞれ300mLの蒸留水で二回、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で一回洗浄する。硫酸ナトリウム100g以上で有機相を乾燥し、クロロホルムを留去する。高真空下で乾燥すると、14.03g(67.39mmol)の白い固体が得られる。収量は87.25%である。
【0098】
A2)フェルラ酸オクタデシルの合成
ここで、DBTOはジブチルスズ酸化物である。
まず、窒素の向流に凝縮ブリッジとコールドトラップを取り付けた加熱済み100mL丸底フラスコに、フェルラ酸メチル3.00g(1.00当量、14.41mmol)とステアリルアルコール4.68g(1.20当量、17.30mmol)を入れる。反応混合物を不活性窒素雰囲気下で穏やかに撹拌しながら95℃で融解する。0.15g(0.04当量、0.60mmol)のジブチルスズオキシド(DBTO)を窒素向流中の透明な融液に加える。反応温度を140℃に上げ、圧力を200から800mbarに設定する。反応時間24時間後、温度を155℃まで上げ、圧力を1×10
-3barまで下げることで、過剰のステアリルアルコールを凝縮させる。窒素を供給することで真空を破壊し、わずかに黄色がかった反応液を室温まで冷却する。これをジクロロメタン中に取り込み、2.80gのフルラーズアース(OPTIMUM21OFF)で処理し、30分間還流する。短いシリカパッドを通してろ過した後、溶媒を真空中で蒸留する。4.11g(9.20mmol、64.84%)の白い固体が残る。
【0099】
A3)フェルラ酸のペンタエリスリトールエステルの合成
ここで、DBTOはジブチルスズ酸化物である。
まず、ペンタエリスリトール2.00g(1.00当量、14.69mmol)とフェルラ酸メチルエステル12.85g(4.20当量、61.76mmol)を、窒素向流で、凝縮ブリッジとコールドトラップを取り付けた加熱済み100ml丸底フラスコに導入する。反応混合物を不活性窒素雰囲気下で穏やかに撹拌しながら100℃で融解する。0.18g(0.05当量、0.72mmol)のジブチルスズオキシド(DBTO)を窒素向流中の透明な融液に加える。反応温度を170℃に上げ、圧力を600から800mbarに設定する。反応時間27時間後、温度を155℃に設定し、圧力を1×10
-3barに下げることにより、過剰のフェルラ酸メチルエステルを凝縮させる。窒素を供給することで真空を破壊し、黄色の反応融液を室温まで冷却する。これをジクロロメタン中に取り込み、2.80gのフルラーズアース(OPTIMUM21OFF)で処理し、30分間還流する。短いシリカパッドを通してろ過した後、溶媒を真空中で蒸留する。微粉末の黄色の固体が10.02g(11.92mmol、81.12%)残る。
【0100】
B) アプリケーションチェック
本発明の安定剤の効果を調べるために、市販のポリプロピレン(MoplenHP501N、LyondellBaselllndustries)を表に記載された安定剤と粉末混合物中で均質化し、200℃、毎分200回転で30分間二軸式マイクロエクストルーダー(MC5、メーカーDSM)中で循環させ、力の減少を記録した。力はポリプロピレンの分子量の直接的な尺度であり、減少が小さいほど安定化効果が高くなる。
【0101】
【0102】
本発明の添加剤は、試験の過程でポリマーの劣化が少ないため、明らかな安定化効果を示す。
【国際調査報告】