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特表2023-520356人工肺の血液側での二酸化炭素分圧値を判定するための装置および方法
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  • 特表-人工肺の血液側での二酸化炭素分圧値を判定するための装置および方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(54)【発明の名称】人工肺の血液側での二酸化炭素分圧値を判定するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/18 20060101AFI20230510BHJP
【FI】
A61M1/18 525
A61M1/18 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558247
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(85)【翻訳文提出日】2022-11-22
(86)【国際出願番号】 EP2021057962
(87)【国際公開番号】W WO2021191429
(87)【国際公開日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】20166350.7
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507116684
【氏名又は名称】アビオメド オイローパ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニクス クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ツシェリッヒ フェレーナ
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA03
4C077BB06
4C077CC07
4C077EE01
4C077EE05
4C077HH03
4C077HH17
4C077JJ06
4C077JJ16
(57)【要約】
人工肺4の血液側2でのCO分圧値を判定するための装置1であって、- 血液側2と、ガス側6と、半透膜8とを有する人工肺4であって、前記膜8は前記血液側2を前記ガス側6から分離し、前記ガス側6は入口14および出口16を有し、前記人工肺4の動作中、ガス流が前記入口14に入って前記出口16へとある流量で流れる人工肺4と、- 前記ガス側6のCO分圧値を測定するように構成される第1のセンサ10と、- 前記ガス側6の前記測定されたCO分圧値を処理し、前記ガス側6の前記測定されたCO分圧値に基づいて、前記血液側2でのCO分圧値を判定するように構成された制御ユニット12と、を備え、前記制御ユニット12は、前記人工肺4の動作中、前記ガス側6の前記測定されたCO分圧値の変化率を計算し、前記計算された変化率が、所定の変化率値に等しくなるか、所定の測定距離で所定の変化率値の範囲内に入るとき、またはその後に、前記計算された変化率が前記所定の変化率値に等しくなるか、前記所定の測定距離で前記所定の変化率の範囲内に入るとき、またはその後に測定された前記ガス側6の前記CO分圧値から、前記血液側2の前記CO分圧値を推定することによって、前記血液側2での前記CO分圧値を判定する、装置1。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工肺(4)の血液側(2)でのCO分圧値を判定するための装置(1)であって、
- 血液側(2)と、ガス側(6)と、半透膜(8)とを有する人工肺(4)であって、前記膜(8)は前記血液側(2)を前記ガス側(6)から分離し、前記ガス側(6)は入口(14)および出口(16)を有し、前記人工肺(4)の動作中、ガス流が前記入口(14)に入って前記出口(16)へとある流量で流れる人工肺(4)と、
- 前記ガス側(6)のCO分圧値を測定するように構成される第1のセンサ(10)と、
- 前記ガス側(6)の前記測定されたCO分圧値を処理し、前記ガス側(6)の前記測定されたCO分圧値に基づいて、前記血液側(2)でのCO分圧値を判定するように構成された制御ユニット(12)と、を備え、
前記制御ユニット(12)は、前記人工肺(4)の動作中、前記ガス側(6)の前記測定されたCO分圧値の変化率を計算し、前記計算された変化率が、所定の変化率値に等しくなるか、所定の測定距離で所定の変化率の範囲内に入るとき、またはその後に、前記計算された変化率が前記所定の変化率値に等しくなるか、前記所定の測定距離で前記所定の変化率の範囲内に入るとき、またはその後に測定された前記ガス側(6)の前記CO分圧値から、前記血液側(2)での前記CO分圧値を推定することによって、前記血液側(2)での前記CO分圧値を判定することを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の装置(1)であって、前記変化率は経時的変化率であり、前記所定の測定距離は、所定の期間であることを特徴とする装置(1)。
【請求項3】
請求項1に記載の装置(1)であって、前記装置(1)は、前記ガス側(6)のCO分圧値を測定するように構成された第2のセンサ(11)を備え、前記変化率は、位置に関する変化率であり、前記所定の測定距離は、所定の局所的測定距離であり、前記第1のセンサ(10)および前記第2のセンサ(11)は、前記所定の局所的測定距離に配置されていることを特徴とする装置(1)。
【請求項4】
請求項2に記載の装置(1)であって、前記制御ユニット(12)は、前記入口(14)内への前記ガス流を停止するようにさらに構成され、前記制御ユニット(12)は、前記血液側(2)での前記CO分圧値を推定する前に、特に前記ガス側(6)の前記測定されたCO分圧値の前記変化率を計算する前または計算中に、前記入口(14)内への前記ガス流を停止することを特徴とする装置(1)。
【請求項5】
請求項3に記載の装置(1)であって、前記制御ユニット(12)は、前記入口(14)内への前記ガス流の前記流量を適合させるようにさらに構成され、前記制御ユニット(12)は、位置に関する前記変化率が前記所定の変化率値に等しくなるまで、または前記所定の局所的測定距離で前記所定の変化率の範囲内に入るまで、前記入口(14)内への前記ガス流の前記流量を徐々に減少させることを特徴とする装置(1)。
【請求項6】
請求項2または3に記載の装置(1)であって、前記制御ユニット(12)は、前記入口(14)内への前記ガス流の前記流量を適合させるようにさらに構成され、前記制御ユニット(12)は、前記血液側(2)での前記CO分圧値を推定する前に、特に前記ガス側(6)の前記測定されたCO分圧値の前記変化率を計算する前または計算中に、前記入口(14)内への前記ガス流の前記流量を所定の減少したガス流量まで減少させ、前記変化率を計算するために、前記ガス側(6)の前記CO分圧値は、前記装置(1)の、特に前記ガス側(6)の認証された地点で、または認証された部分内で測定され、その認証された地点または認証された部分については、前記ガス側(6)の前記CO分圧が、前記所定の減少したガス流量で飽和値に達することが証明されていることを特徴とする装置(1)。
【請求項7】
請求項1または2に記載の装置(1)であって、
- 前記ガス側(6)は、前記ガスが前記入口(14)から前記出口(16)へ流れる複数の中空繊維(26)によって形成され、前記第1のセンサ(10)は、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の一部のみを介して前記ガス側(6)に、好ましくは、前記複数の中空繊維(26)の前記一部の下流端で、または、前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記下流端の下流で接続され、
- 前記第1のセンサ(10)は、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部のCO分圧値を測定するように構成され、
- 前記制御ユニット(12)は、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記測定されたCO分圧値を処理し、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記測定されたCO分圧値に基づいて、前記血液側(2)でのCO分圧値を判定するように構成され、
- 前記制御ユニット(12)は、前記人工肺(4)の動作中、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記測定されたCO分圧値の変化率を計算し、前記計算された変化率が所定の変化率値に等しくなるか、所定の測定距離で所定の変化率の範囲内に入るとき、またはその後に、前記計算された変化率が所定の変化率値に等しくなるか、所定の測定距離で所定の変化率の範囲内に入るとき、またはその後に測定された前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記CO分圧値から、前記血液側(2)での前記CO分圧値を推定することによって、前記血液側(2)での前記CO分圧値を判定することを特徴とする装置(1)。
【請求項8】
請求項7に記載の装置(1)であって、バルブ(28)は、前記第1のセンサ(10)の下流に設けられ、前記バルブ(28)は、第1の状態では、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部および前記第1のセンサ(10)を通って前記ガス出口(16)に至る前記ガス流を停止または減少させるように構成され、第2の状態では、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部および前記第1のセンサ(10)を通って前記ガス出口(16)に至る前記ガス流を解放または増加させるように構成されることを特徴とする装置(1)。
【請求項9】
請求項8に記載の装置(1)であって、
- 前記変化率は経時的変化率であり、前記所定の測定距離は所定の期間であり、
- 前記制御ユニット(12)は、前記バルブ(28)によって、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部および前記第1のセンサ(10)を通って前記ガス出口(16)に至る前記ガス流を停止するように構成され、前記制御ユニット(12)は、前記血液側(2)での前記CO分圧値を推定する前に、特に前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記測定されたCO分圧値の前記変化率を計算する前または計算中に、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部および前記第1のセンサ(10)を通って前記ガス出口(16)に至る前記ガス流を停止することを特徴とする装置(1)。
【請求項10】
請求項8に記載の装置(1)であって、
- 前記変化率は経時的変化率であり、前記所定の測定距離は所定の期間であり、
- 前記制御ユニット(12)は、前記血液側(2)での前記CO分圧値を推定する前に、特に前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記測定されたCO分圧値の前記変化率を計算する前または計算中に、前記バルブ(28)によって、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部および前記第1のセンサ(10)を通って前記ガス出口(16)に至る前記ガス流の前記流量を所定の減少したガス流量まで減少させるように構成され、前記変化率を計算するために、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記CO分圧値が測定される位置は、前記装置(1)内の認証された位置であり、その認証された位置については、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記CO分圧が前記所定の減少したガス流量で飽和値に達することが証明されていることを特徴とする装置(1)。
【請求項11】
請求項4または5に記載の装置(1)であって、前記制御ユニット(12)は、前記ガス流中の前記COの割合を適合させるようにさらに構成され、前記制御ユニット(12)は、特に前記制御ユニット(12)が前記ガス流を停止させる前に、または、前記制御ユニット(12)が前記流量を減少させる前に、減少させるときに、もしくは減少させる間に、前記ガス流中の前記COの割合を所定のCOの増加割合まで増加させることを特徴とする装置(1)。
【請求項12】
請求項6に記載の装置(1)であって、前記制御ユニット(12)は、前記ガス流中の前記COの割合を適合させるようにさらに構成され、前記制御ユニット(12)は、前記血液側(2)での前記CO分圧値を推定する前に、特に前記制御ユニット(12)が前記流量を前記所定の減少した流量まで減少させる前に、減少させるときに、または減少させた後に、前記ガス流中の前記COの割合を所定のCOの増加割合まで増加させ、前記認証された地点または認証された部分については、前記ガス側(6)の前記CO分圧が、前記所定のCOの増加割合で、前記所定の減少したガス流量で前記飽和値に達することが証明されていることを特徴とする装置(1)。
【請求項13】
人工肺(4)の血液側(2)でのCO分圧値を判定するための装置(1)であって、
- 血液側(2)と、ガス側(6)と、半透膜(8)とを有する人工肺(4)であって、前記膜(8)は前記血液側(2)を前記ガス側(6)から分離し、前記ガス側(6)は、入口(14)および出口(16)を有し、前記人工肺(4)の動作中、ガス流が前記入口(14)に入って前記出口(16)へとある流量で流れる人工肺(4)と、
- 前記ガス側(6)のCO分圧値を測定するように構成される第1のセンサ(10)と、
- 前記入口(14)内への前記ガス流の前記流量を制御し、前記ガス側(6)の前記測定されたCO分圧値を処理し、前記ガス側(6)の前記測定されたCO分圧値に基づいて、前記血液側(2)でのCO分圧値を判定するように構成された制御ユニット(12)と、を備え、
前記制御ユニット(12)は、前記人工肺(4)の動作中、前記入口(14)内への前記ガス流を停止することと、前記ガス流を停止した後に認証された期間が経過したときに前記ガス側(6)の少なくとも1つのCO分圧値を測定することと、前記認証された期間が経過したときに測定される前記ガス側(6)の前記少なくとも1つのCO分圧値から前記血液側(2)での前記CO分圧値を推定することとによって、前記血液側(2)での前記CO分圧値を判定し、その認証された期間については、前記ガス側(6)の前記CO分圧が飽和値に達することが証明されていることを特徴とする装置(1)。
【請求項14】
人工肺(4)の血液側(2)でのCO分圧値を判定するための装置(1)であって、
- 血液側(2)と、ガス側(6)と、半透膜(8)とを有する前記人工肺(4)であって、前記膜(8)は前記血液側(2)を前記ガス側(6)から分離し、前記ガス側(6)は入口(14)および出口(16)を有し、前記人工肺(4)の動作中、ガス流が前記入口(14)に入って前記出口(16)へとある流量で流れ、前記ガス側(6)は、前記ガスが前記入口(14)から前記出口(16)へ流れる複数の中空繊維(26)によって形成される人工肺(4)と、
- 前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の一部に、好ましくは、前記複数の中空繊維(26)の前記一部の下流端で、または前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記下流端の下流で接続された第1のセンサ(10)であって、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部のCO分圧値を測定するように構成される第1のセンサ(10)と、
- 前記第1のセンサ(10)の下流に設けられたバルブ(28)であって、第1の状態では、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部および前記第1のセンサ(10)を通って前記ガス出口(16)に至る前記ガス流を停止または減少させ、第2の状態では、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部および前記第1のセンサ(10)を通って前記ガス出口(16)に至る前記ガス流を解放または増加させるように構成されたバルブ(28)と、
- 前記バルブ(28)によって、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部および前記第1のセンサ(10)を通って前記ガス出口(16)に至る前記ガス流の前記流量を制御し、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記測定されたCO分圧値を処理し、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記測定されたCO分圧値に基づいて、前記血液側(2)でのCO分圧値を判定するように構成された制御ユニット(12)と、を備え、
前記制御ユニット(12)は、前記人工肺(4)の動作中、前記バルブ(28)によって、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部および前記第1のセンサ(10)を通って前記ガス出口(16)に至る前記ガス流を停止することと、前記ガス流を停止した後に認証された期間が経過したときに前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の少なくとも1つのCO分圧値を測定することと、前記認証された期間が経過したときに測定される前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記少なくとも1つのCO分圧値から、前記血液側(2)での前記CO分圧値を推定することと、によって、前記血液側(2)での前記CO分圧値を判定し、その認証された期間については、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記CO分圧が飽和値に達することが証明されていることを特徴とする装置(1)。
【請求項15】
人工肺(4)の血液側(2)でのCO分圧値を判定するための装置(1)であって、
- 血液側(2)と、ガス側(6)と、半透膜(8)とを有する人工肺(4)であって、前記膜(8)は前記血液側(2)を前記ガス側(6)から分離し、前記ガス側(6)は入口(14)および出口(16)を有し、前記人工肺(4)の動作中、ガス流が前記入口(14)に入って前記出口(16)へとある流量で流れる人工肺(4)と、
- 前記ガス側(6)のCO分圧値を測定するように構成される第1のセンサ(10)と、
- 前記入口(14)内への前記ガス流の前記流量を制御し、前記ガス側(6)の前記測定されたCO分圧値を処理し、前記ガス側(6)の前記測定されたCO分圧値に基づいて、前記血液側(2)でのCO分圧値を判定するように構成された制御ユニット(12)と、を備え、
前記制御ユニット(12)は、前記人工肺(4)の動作中、前記入口(14)内への前記ガス流の前記流量を所定の減少したガス流量まで減少させることと、前記流量を前記所定の減少した流量まで減少させた後に認証された期間が経過したときに、前記装置(1)の、特に前記ガス側(6)の認証された地点で、または認証された部分内で、前記ガス側(6)の少なくとも1つのCO分圧値を測定することと、前記認証された期間が経過したときに、前記認証された地点で、または前記認証された部分内で測定される前記ガス側(6)の前記少なくとも1つのCO分圧値から、前記血液側(2)での前記CO分圧値を推定することと、によって、前記血液側(2)での前記CO分圧値を判定し、その認証された期間および認証された地点または認証された部分については、前記ガス側(6)の前記CO分圧が飽和値に達することが証明されていることを特徴とする装置(1)。
【請求項16】
人工肺(4)の血液側(2)でのCO分圧値を判定するための装置(1)であって、
- 血液側(2)と、ガス側(6)と、半透膜(8)とを有する前記人工肺(4)であって、前記膜(8)は前記血液側(2)を前記ガス側(6)から分離し、前記ガス側(6)は入口(14)および出口(16)を有し、前記人工肺(4)の動作中、ガス流が前記入口(14)に入って前記出口(16)へとある流量で流れ、前記ガス側(6)は、前記ガスが前記入口(14)から前記出口(16)へ流れる複数の中空繊維(26)によって形成される人工肺(4)と、
- 前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の一部に、好ましくは、前記複数の中空繊維(26)の前記一部の下流端で、または前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記下流端の下流で接続された第1のセンサ(10)であって、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部のCO分圧値を測定するように構成される第1のセンサ(10)と、
- 前記第1のセンサ(10)の下流に設けられたバルブ(28)であって、第1の状態では、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部および前記第1のセンサ(10)を通って前記ガス出口(16)に至る前記ガス流を停止または減少させ、第2の状態では、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部および前記第1のセンサ(10)を通って前記ガス出口(16)に至る前記ガス流を解放または増加させるように構成されたバルブ(28)と、
- 前記バルブ(28)によって、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部および前記第1のセンサ(10)を通って前記ガス出口(16)に至る前記ガス流の前記流量を制御し、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記測定されたCO分圧値を処理し、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記測定されたCO分圧値に基づいて、前記血液側(2)でのCO分圧値を判定するように構成された制御ユニット(12)と、を備え、
前記制御ユニット(12)は、前記人工肺(4)の動作中、前記バルブ(28)によって、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部および前記第1のセンサ(10)を通って前記ガス出口(16)に至る前記ガス流の前記流量を所定の減少したガス流量まで減少させることと、前記流量を前記所定の減少した流量まで減少させた後に認証された期間が経過したときに、認証された位置で、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の少なくとも1つのCO分圧値を測定することと、前記認証された期間が経過したときに前記認証された位置で測定される前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記少なくとも1つのCO分圧値から前記血液側(2)での前記CO分圧値を推定することと、によって、前記血液側(2)での前記CO分圧値を判定し、その認証された期間および認証された位置については、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記CO分圧が飽和値に達することが証明されていることを特徴とする装置(1)。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の装置(1)であって、前記制御ユニット(12)は、所定の時間間隔で、および/または所定の動作条件が発生したとき、前記血液側(2)での前記CO分圧値を判定することを特徴とする装置(1)。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項に記載の装置(1)であって、前記第1のセンサ(10)は、前記ガス側(6)の前記出口(16)で、または前記出口(16)の下流で前記人工肺(4)の内部に配置されることを特徴とする装置(1)。
【請求項19】
請求項3、5、6、11、12、17のいずれか1項に記載の装置(1)であって、前記第1のセンサ(10)および前記第2のセンサ(11)のうちの少なくとも1つ、好ましくは、前記第1のセンサ(10)および前記第2のセンサ(11)は、前記人工肺(4)の内部に配置されることを特徴とする装置(1)。
【請求項20】
請求項1~6、11~13、15、17~19のいずれか1項に記載の装置(1)であって、主ガス線(22)は前記ガス側(6)で前記出口(16)の下流に設けられ、支線(24)は前記主線(22)から分岐し、前記第1のセンサ(10)および前記第2のセンサ(11)のうちの1つは、前記支線(24)上に配置されることを特徴とする装置(1)。
【請求項21】
請求項7~10、14、16~18のいずれか1項に記載の装置(1)であって、前記第1のセンサ(10)が接続された前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部は、前記血液側(2)を通る前記血流の流れ方向において、前記血液入口(18)に配置されることを特徴とする装置(1)。
【請求項22】
請求項7~10、14、16~18のいずれか1項に記載の装置(1)であって、前記第1のセンサ(10)が接続された前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部は、前記血液側(2)を通る前記血流の流れ方向において、前記血液出口(20)に配置されることを特徴とする装置(1)。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか1項に記載の装置(1)を備えることを特徴とする体外式膜型人工肺システム。
【請求項24】
請求項23に記載の体外式膜型人工肺システムであって、静脈-静脈体外式膜型人工肺システムであることを特徴とする体外式膜型人工肺システム。
【請求項25】
請求項23に記載の体外式膜型人工肺システムであって、静脈-動脈体外式膜型人工肺システムであることを特徴とする体外式膜型人工肺システム。
【請求項26】
請求項1~22のいずれか1項に記載の装置(1)を備えることを特徴とする心肺バイパスシステム。
【請求項27】
装置(1)の人工肺(4)の血液側(2)でのCO分圧値を判定するための方法であって、前記人工肺は、前記血液側(2)と、ガス側(6)と、前記血液側(2)を前記ガス側(6)から分離する半透膜(8)とを備え、前記ガス側(6)は入口(14)および出口(16)を有し、前記人工肺(4)の動作中、ガス流が前記入口(14)から前記出口(16)へとある流量で流れ、前記方法は、
- 前記装置(1)の第1のセンサ(10)によって、前記ガス側(6)のCO分圧値を測定するステップと、
- 前記ガス側(6)の前記測定されたCO分圧値を処理し、前記装置(1)の制御ユニット(12)によって、前記ガス側(6)の前記測定されたCO分圧値に基づいて、前記血液側(2)でのCO分圧値を判定するステップと、を含み、
前記制御ユニット(12)は、前記人工肺(4)の動作中、以下のさらなるステップ、
- 前記ガス側(6)の前記測定されたCO分圧値の変化率を計算するステップと、
前記計算された変化率が所定の変化率値に等しくなるか、所定の測定距離で所定の変化率の範囲内に入るとき、またはその後に、
- 前記計算された変化率が前記所定の変化率値に等しくなるか、前記所定の測定距離で前記所定の変化率の範囲内に入るとき、またはその後に測定された前記ガス側(6)の前記CO分圧値から前記血液側(2)での前記CO分圧値を推定するステップと、
によって、前記血液側(2)での前記CO分圧値を判定することを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、前記変化率は経時的変化率であり、前記所定の測定距離は所定の期間であることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項27に記載の方法であって、前記変化率は位置に関する変化率であり、前記所定の測定距離は所定の局所的測定距離であり、前記ガス側(6)の前記CO分圧値は、前記装置(1)の前記第1のセンサ(10)および第2のセンサ(11)によって前記所定の局所的測定距離で測定され、前記第2のセンサ(11)は、前記第1のセンサ(10)から前記所定の局所的測定距離に配置されることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項28に記載の方法であって、前記制御ユニット(12)は、
- 前記血液側(2)での前記CO分圧値を推定する前に、特に前記ガス側(6)の前記測定されたCO分圧値の前記変化率を計算する前または計算中に、前記入口(14)内への前記ガス流を停止するさらなるステップによって、前記血液側(2)での前記CO分圧値を判定することを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項29に記載の方法であって、前記制御ユニット(12)は、
- 前記位置に関する変化率が前記所定の変化率値に等しくなるか、前記所定の局所的測定距離で所定の変化率の範囲内に入るまで、前記入口(14)内への前記ガス流の前記流量を徐々に減少させるさらなるステップによって、前記血液側(2)での前記CO分圧値を判定することを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項28または29に記載の方法であって、前記制御ユニット(12)は、
- 前記血液側(2)での前記CO分圧値を推定する前に、特に前記ガス側(6)の前記測定されたCO分圧値の前記変化率を計算する前または計算中に、前記入口(14)内への前記ガス流を所定の減少したガス流量まで減少させるさらなるステップによって、前記血液側(2)での前記CO分圧値を判定し、前記変化率を計算するために、前記ガス側(6)の前記CO分圧値は、前記装置(1)の、特に前記ガス側(6)の認証された地点で、または認証された部分内で測定され、その認証された地点または認証された部分については、前記ガス側(6)の前記CO分圧が前記所定の流量で飽和値に達することを証明していることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項27または28に記載の方法であって、
- 前記ガス側(6)は、前記ガスが前記入口(14)から前記出口(16)へ流れる複数の中空繊維(26)によって形成され、前記第1のセンサ(10)は、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の一部のみを介して、好ましくは、前記複数の中空繊維(26)の前記一部の下流端で、または前記複数の中空繊維(26)の前記下流端の下流で、前記ガス側(6)に接続され、
-前記第1のセンサ(10)によってCO分圧値を測定する前記ステップでは、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記CO分圧値が測定され、
- 前記測定されたCO分圧値を処理し、制御ユニット(12)によって、前記測定されたCO分圧値に基づいて、前記血液側(2)でのCO分圧値を判定する前記ステップでは、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記測定されたCO分圧値が処理され、前記血液側(2)での前記CO分圧値は、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記測定されたCO分圧値に基づいて判定され、
- 前記ガス側(6)の前記測定されたCO分圧値の変化率を計算する前記ステップでは、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記測定されたCO分圧値の変化率が計算され、
- 前記測定されたCO分圧値から前記血液側(2)での前記CO分圧値を推定する前記ステップでは、前記血液側(2)での前記CO分圧値は、前記計算された変化率が前記所定の変化率値に等しくなるか、前記所定の測定距離で前記所定の変化率の範囲内に入るとき、またはその後に測定される前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記CO分圧値から推定されることを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法であって、バルブ(28)は、前記第1のセンサ(10)の下流に設けられ、前記バルブ(28)は、第1の状態では、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部および前記第1のセンサ(10)を通って前記ガス出口(16)に至る前記ガス流を停止または減少させ、第2の状態では、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部および前記第1のセンサ(10)を通って前記ガス出口(16)に至る前記ガス流を解放または増加させるように構成されることを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法であって、
- 前記変化率は経時的変化率であり、前記所定の測定距離は所定の期間であり、
- 前記制御ユニット(12)は、前記血液側(2)での前記CO分圧値を推定する前に、特に前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記測定されたCO分圧値の前記変化率を計算する前または計算中に、前記バルブ(28)によって、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部および前記第1のセンサ(10)を通って前記ガス出口(16)に至る前記ガス流を停止するさらなるステップによって、前記血液側(2)での前記CO分圧値を判定することを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項34に記載の方法であって、
- 前記変化率は経時的変化率であり、前記所定の測定距離は所定の期間であり、
- 前記制御ユニット(12)は、前記血液側(2)での前記CO分圧値を推定する前に、特に前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記測定されたCO分圧値の前記変化率を計算する前または計算中に、前記バルブ(28)によって、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部および前記第1のセンサ(10)を通って前記ガス出口(16)に至る前記ガス流を所定の減少したガス流量まで減少させるさらなるステップによって、前記血液側(2)での前記CO分圧値を判定し、前記変化率を計算するために、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記CO分圧値は、前記装置(1)内の認証された位置で測定され、その認証された位置については、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記CO分圧が前記所定の減少したガス流量で飽和値に達することが証明されていることを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項30または31に記載の方法であって、前記制御ユニット(12)は、
- 特に、前記ガス流を停止させる前に、または前記流量を減少させる前に、減少させるときに、もしくは減少させる間に、前記ガス流中のCOの割合を所定のCOの増加割合まで増加させるさらなるステップによって、前記血液側(2)での前記CO分圧値を判定することを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項32に記載の方法であって、前記制御ユニット(12)は、
- 前記血液側(2)での前記CO分圧値を推定する前に、特に、前記流量を所定の減少した流量まで減少させる前に、減少させるときに、または減少させた後に、前記ガス流中の前記COの割合を所定のCOの増加割合まで増加させるさらなるステップによって、前記血液側(2)での前記CO分圧値を判定し、前記認証された地点または認証された部分については、前記ガス側(6)の前記CO分圧が前記所定のCOの増加割合で、前記所定の減少した流量で、前記飽和値に達することを証明していることを特徴とする方法。
【請求項39】
装置(1)の人工肺(4)の血液側(2)でのCO分圧値を判定するための方法であって、前記人工肺は、前記血液側(2)と、ガス側(6)と、前記血液側(2)を前記ガス側(6)から分離する半透膜(8)とを備え、前記ガス側(6)は入口(14)および出口(16)を有し、前記人工肺(4)の動作中、ガス流が前記入口(14)に入って前記出口(16)へとある流量で流れ、前記方法は、
- 前記装置(1)の第1のセンサ(10)によって、前記ガス側(6)の少なくとも1つのCO分圧値を測定するステップと、
- 前記ガス側(6)の前記少なくとも1つの測定されたCO分圧値を処理し、前記装置(1)の制御ユニット(12)によって、前記ガス側(6)の前記少なくとも1つの測定されたCO分圧値に基づいて、前記血液側(2)でのCO分圧値を判定するステップと、
- 前記制御ユニット(12)によって前記入口(14)内への前記ガス流の前記流量を制御するステップと、を含み、
前記制御ユニット(12)は、前記人工肺(4)の動作中、
- 前記入口(14)内への前記ガス流を停止するさらなるステップと、
- 前記ガス流を停止した後に認証された期間が経過したときに前記ガス側(6)の前記少なくとも1つのCO分圧値を測定するさらなるステップと、
- 前記認証された期間が経過したときに測定される前記ガス側(6)の前記少なくとも1つのCO分圧値から、前記血液側(2)での前記CO分圧値を推定するさらなるステップと、によって、前記血液側(2)での前記CO分圧値を判定し、その認証された期間については、前記ガス側(6)の前記CO分圧が飽和値に達することが証明されていることを特徴とする方法。
【請求項40】
装置(1)の人工肺(4)の血液側(2)でのCO分圧値を判定するための方法であって、前記装置(1)は、
- 前記血液側(2)と、ガス側(6)と、前記血液側(2)を前記ガス側(6)から分離する半透膜(8)とを備える前記人工肺であって、前記ガス側(6)は入口(14)および出口(16)を有し、前記人工肺(4)の動作中、ガス流が前記入口(14)に入って前記出口(16)へと流れ、前記ガス側(6)は、前記ガスが前記入口(14)から前記出口(16)へとある流量で流れる複数の中空繊維(26)によって形成される人工肺と、
- 前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の一部に、好ましくは、前記複数の中空繊維(26)の前記一部の下流端で、または前記複数の中空繊維(26)の前記下流端の下流で接続された第1のセンサ(10)であって、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部のCO分圧値を測定するように構成される第1のセンサ(10)と、
- 前記第1のセンサ(10)の下流に設けられたバルブ(28)であって、第1の状態では、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部および前記第1のセンサ(10)を通って前記ガス出口(16)に至る前記ガス流を停止または減少させ、第2の状態では、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部および前記第1のセンサ(10)を通って前記ガス出口(16)に至る前記ガス流を解放または増加させるように構成されたバルブ(28)と、を備え、
前記方法は、
- 前記装置(1)の制御ユニット(12)によって、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部および前記第1のセンサ(10)を通って前記ガス出口(16)に至る前記ガス流の前記流量を制御するステップと、
- 前記装置(1)の前記第1のセンサ(10)によって、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の少なくとも1つのCO分圧値を測定するステップと、
- 前記ガス側(6)の前記複数の前記中空繊維(26)の前記一部の前記少なくとも1つの測定されたCO分圧値を処理し、前記装置(1)の前記制御ユニット(12)によって、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記少なくとも1つの測定されたCO分圧値に基づいて、前記血液側(2)でのCO分圧値を判定するステップと、を含み、
前記制御ユニット(12)は、前記人工肺(4)の動作中、
- 前記バルブ(28)によって、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部および前記第1のセンサ(10)を通って前記ガス出口(16)に至る前記ガス流を停止するさらなるステップと、
- 前記ガス流が停止した後に認証された期間が経過したとき、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記少なくとも1つのCO分圧値を測定するさらなるステップと、
- 前記認証された期間が経過したときに測定される前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記少なくとも1つのCO分圧値から、前記血液側(2)での前記CO分圧値を推定するさらなるステップと、によって、前記血液側(2)での前記CO分圧値を判定し、その認証された期間については、前記ガス側(6)の前記中空繊維(26)の前記一部の前記CO分圧が飽和値に達することが証明されていることを特徴とする方法。
【請求項41】
装置(1)の人工肺(4)の血液側(2)でのCO分圧値を判定するための方法であって、前記人工肺は、前記血液側(2)と、ガス側(6)と、前記血液側(2)を前記ガス側(6)から分離する半透膜(8)とを備え、前記ガス側(6)は入口(14)および出口(16)を有し、前記人工肺(4)の動作中、ガス流が前記入口(14)に入って前記出口(16)へとある流量で流れ、前記方法は、
- 前記装置(1)の第1のセンサ(10)によって、前記ガス側(6)の少なくとも1つのCO分圧値を測定するステップと、
- 前記ガス側(6)の前記少なくとも1つの測定されたCO分圧値を処理し、前記装置(1)の制御ユニット(12)によって、前記ガス側(6)の前記少なくとも1つの測定されたCO分圧値に基づいて、前記血液側(2)でのCO分圧値を判定するステップと、
- 前記制御ユニット(12)によって、前記入口(14)内への前記ガス流の前記流量を制御するステップと、を含み、
前記制御ユニット(12)は、前記人工肺(4)の動作中、
- 前記入口(14)内への前記ガス流の前記流量を所定の減少したガス流量まで減少させるさらなるステップと、
- 前記流量を前記所定の減少したガス流量まで減少させた後に認証された期間が経過したとき、および、前記装置(1)の、特にガス側(6)の認証された地点で、または認証された部分内で、前記ガス側(6)の前記少なくとも1つのCO分圧値を測定するさらなるステップと、
- 前記認証された期間が経過したとき、前記認証された地点で、または前記認証された部分内で測定される前記ガス側(6)の前記少なくとも1つのCO分圧値から、前記血液側(2)での前記CO分圧値を推定するさらなるステップと、によって、前記血液側(2)での前記CO分圧値を判定し、その認証された期間および認証された地点または認証された部分については、前記ガス側(6)の前記CO分圧が飽和値に達することが証明されていることを特徴とする方法。
【請求項42】
装置(1)の人工肺(4)の血液側(2)でのCO分圧値を判定するための方法であって、前記装置は、
- 前記血液側(2)と、ガス側(6)と、前記血液側(2)を前記ガス側(6)から分離する半透膜(8)とを備える前記人工肺であって、前記ガス側(6)は入口(14)および出口(16)を有し、前記人工肺(4)の動作中、ガス流が前記入口(14)に入って前記出口(16)へとある流量で流れ、前記ガス側(6)は、前記ガスが前記入口(14)から前記出口(16)へと流れる複数の中空繊維(26)によって形成される人工肺と、
- 前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の一部に、好ましくは、前記中空繊維(26)の前記一部の下流端で、または前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記下流端の下流で接続された第1のセンサ(10)であって、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部のCO分圧値を測定するように構成される第1のセンサ(10)と、
- 前記第1のセンサ(10)の下流に設けられたバルブ(28)であって、第1の状態では、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部および前記第1のセンサ(10)を通って前記ガス出口(16)に至る前記ガス流を停止または減少させ、第2の状態では、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部および前記第1のセンサ(10)を通って前記ガス出口(16)に至る前記ガス流を解放または増加させるように構成されたバルブ(28)と、を備え、
前記方法は、
- 前記装置(1)の前記制御ユニット(12)によって、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部および前記第1のセンサ(10)を通って前記ガス出口(16)に至る前記ガス流の前記流量を制御するステップと、
- 前記装置(1)の前記第1のセンサ(10)によって、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の少なくとも1つのCO分圧値を測定するステップと、
- 前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記少なくとも1つの測定されたCO分圧値を処理し、前記装置(1)の前記制御ユニット(12)によって、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記少なくとも1つの測定されたCO分圧値に基づいて、前記血液側(2)でのCO分圧値を判定するステップと、を含み、
前記制御ユニット(12)は、前記人工肺(4)の動作中、
前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部および前記第1のセンサ(10)を通って前記ガス出口(16)に至る前記ガス流の前記流量を所定の減少したガス流量まで減少させるさらなるステップと、
- 前記流量を前記所定の減少したガス流量まで減少させた後に認証された期間が経過したとき、および前記装置(1)内の認証された位置で、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記少なくとも1つのCO分圧値を測定するさらなるステップと、
- 前記認証された期間が経過したとき、前記認証された位置で測定される前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記少なくとも1つのCO分圧値から、前記血液側(2)での前記CO分圧値を推定するさらなるステップと、によって、前記血液側(2)での前記CO分圧値を判定し、その認証された期間および認証された位置については、前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部の前記CO分圧が飽和値に達することが証明されていることを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項27~42のいずれか1項に記載の方法であって、前記制御ユニット(12)は、所定の時間間隔で、および/または所定の動作条件が発生するときに、前記血液側(2)での前記CO分圧値を判定することを特徴とする方法。
【請求項44】
請求項33~36、40、42、43のいずれか1項に記載の方法であって、前記第1のセンサ(10)が接続された前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部は、前記血液側(2)を通る前記血流の流れ方向において、前記血液入口(18)に配置されることを特徴とする方法。
【請求項45】
請求項33~36、40、42、43のいずれか1項に記載の方法であって、前記第1のセンサ(10)が接続された前記ガス側(6)の前記複数の中空繊維(26)の前記一部は、前記血液側(2)を通る前記血流の流れ方向において、前記血液出口(20)に配置されることを特徴とする方法。
【請求項46】
体外式膜型人工肺治療における請求項27~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
請求項46に記載の方法であって、前記体外式膜型人工肺治療は、静脈-静脈体外式膜型人工肺治療であることを特徴とする方法。
【請求項48】
請求項46に記載の方法であって、前記体外式膜型人工肺治療は、静脈-動脈体外式膜型人工肺治療であることを特徴とする方法。
【請求項49】
心肺バイパス治療における請求項27~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
請求項1~26のいずれか1項に記載の装置(1)であって、前記装置(1)は、請求項27~49のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成されていることを特徴とする装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人工肺の血液側での二酸化炭素(CO)分圧値を判定するための装置および方法と、前記装置を備える体外式膜型人工肺システムと、前記装置を備える心肺バイパスと、体外式膜型人工肺治療または心肺バイパスにおける前記方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
人工肺、特に膜型人工肺は、心肺バイパス(CPB:cardiopulmonary bypass)システム、または体外式膜型人工肺(ECMO:extracorporeal membrane oxygenation)システムでの使用が一般的に知られている。CPBは、心臓手術の間、例えば冠動脈バイパス心臓手術の間、心臓および肺の機能を引き継ぐためのかなり短期の技術であるが、ECMOは、心臓および肺のさまざまな機能障害の長期の治療のため、および回復のために使用することができる簡略化されたものである。CPBシステムおよびECMOシステムの両方は、患者の肺の機能を模倣または支援するために、患者の血液に酸素(O)を加え、血液から二酸化炭素(CO)を除去するための人工肺を必要とし、すなわち、患者の血液と人工肺の内部の気相との間でOとCOとの交換を可能にして、血液中のOおよびCOのレベルを生理的範囲内に維持する。膜型人口肺では、OとCOとの交換は、人工肺の内部の血液側をガス側から分離する半透膜を介して実現され、膜を横切って/通ってのOおよびCOの拡散が可能となる。血液中に、特に中心動脈血中に溶解されたCOは、呼吸数および反射作用などのさまざまな生理学的機能の調節、ならびに7.4前後の血液の正常なpHの維持において、重要な役割を果たす。したがって、治療中の患者の(中心動脈)血中のCO分圧(pCO)を監視および/または制御することが必須である。
【0003】
手術中にCPBシステムが使用されるとき、人工肺は、患者の心臓および肺の近くに配置される。したがって、人工肺の血液側の出口における人工肺の血液側でのpCOは、患者の中心動脈pCOに対応する。人工肺の血液側の出口における血液側でのpCO値は、人工肺のガス側の出口におけるガス側でのpCO値の測定から推定でき、この推定値は、人工肺のタイプの特性マップに基づく。
【0004】
ECMOのいくつかのタイプが当該技術分野で知られている。ECMOの最も一般的なタイプでは、血液が静脈から排出され、体外式膜型人工肺で酸素化されてから、患者の身体の動脈(静脈-動脈ECMO)または静脈(静脈-静脈ECMO)のいずれかに戻される。ECMOのタイプに応じて、血管アクセスまたはカニューレ挿入の位置は異なる。中心にカニューレ挿入されていないECMOでは、中心動脈pCOは、人工肺のガス側での測定値から推定することができない。したがって、クリニックでのこのようなECMOシステムの動作中、動脈pCOは、通常、患者の動脈血を断続的にサンプリングして、各サンプルのpCOを測定することによって監視される。
【0005】
しかしながら、これらの方法の欠点は、断続的なサンプリングが面倒であり、測定結果に遅れが生じることでもあり、他方で、人工肺の血液側の出口における血液側でのpCOの推定値は、必然的に、患者の健康に悪影響を及ぼす可能性のある不正確さを伴う。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本開示技術の目的は、先行技術の欠点を克服または少なくとも軽減することであり、特に、患者の血液中のCOの分圧(pCO)の迅速で容易な、より信頼性のある、または正確な判定を可能にする装置および方法を提供することである。
【0007】
この目的は、独立した装置クレームによる装置と、独立した方法クレームによる方法とによって解決される。装置および方法の好ましい実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0008】
本開示によれば、患者の全体的な状態の指標としての患者の静脈のpCOは、特にECMO治療中に、中心動脈のpCO値の監視に加えて、または中心動脈のpCO値の監視の代わりに、監視することができる。人工肺の動作中、血液側の入口は患者の静脈系と流体接続され、血液側の出口は、治療システムのタイプに応じて、患者の静脈系または動脈系のいずれかと流体接続される。CPBにおける人工肺の血液側の出口は、通常、患者の動脈系に流体接続されている一方、ECMOにおける血液側の出口は、ECMOのタイプ(静脈-静脈、または静脈-動脈)に応じて、患者の静脈系または動脈系のいずれかと接続することができる。いずれにせよ、本開示技術に従って判定されるpCO値は、人工肺の血液側の入口における患者の血液のpCO値である。上記のすべての場合において、血液側の入口におけるpCO値は、患者の静脈のpCOである。
【0009】
本開示技術の一態様では、人工肺の血液側での血液のCO分圧値(pCO値)を判定するための装置が提供され、その装置は、血液側とガス側と半透膜とを有する人工肺であって、前記膜は血液側をガス側から分離し、血液側およびガス側はそれぞれ入口および出口を有し、人工肺の動作中、ガスがガス側の入口に入ってガス側の出口へとある流量で流れる人工肺と、ガス側の(ガス側での)ガス中のpCO値を測定するように構成される第1のセンサと、ガス側の測定されたpCO値を処理し、ガス側の測定されたpCO値に基づいて、血液側での(または血液側の)血液のpCO値、特に、血液側の入口または血液側の出口における血液のpCO値を判定するように構成された制御ユニットと、を備える。ガス側のpCO値を測定するために、第1のセンサは、人工肺のガス側において、またはガス側の内部のいずれかに、すなわち、ガス側の出口もしくはその上流に、または、ガス側/人工肺に接続されたガス線もしくはガス線の内部に、すなわち、ガス側の出口の下流に直接設けることができる。制御ユニットは、人工肺の動作中、すなわち、ガスがガス側の入口に入ってガス側の出口へと流れ、血液が血液側の入口に入って血液側の出口へと流れる間、ガス側のガス中で測定されたpCO値の変化率もしくは変化率値を計算し、計算された変化率値が所定の変化率値に等しくなるか、所定の(最短の)測定距離で所定の変化率値の範囲内に入るとき、またはその後に、計算された変化率値が所定の変化率値に等しくなるか、前記所定の(最短の)測定距離で所定の変化率値の範囲内に入るとき、またはその後に、ガス側のガス中で測定されたpCO値から血液側での血液のpCO値を推定することによって、血液側の血液のpCO値を判定する。
【0010】
変化率または変化率値を計算することによって、ガス側と血液側との間のCOの拡散平衡に達したかどうか、すなわち変化率または変化率値が(ほぼ)ゼロであるかどうかを判定することが可能である。
【0011】
所定の変化率値は、理想的にはゼロであり得るが、測定の不正確さおよび/または測定許容誤差のために、所定の変化率値は微小値であってもよい。所定の個々の値の代わりに、所定の変化率値の範囲を特定することは、さらに有益であってもよく、所定の変化率の範囲は、目標値付近の許容値、例えばゼロを含み、許容値は特定の測定機器に左右される。
【0012】
平衡に達すると、ガス側の/ガス側でのガス中で測定されたpCO値は、少なくとも測定点、すなわち第1のセンサの位置における、血液側での血液のpCO値に等しい。つまり、血液側での血液のpCO値は、計算された変化率が前記所定の測定距離で所定の変化率値に等しくなるときもしくはその後に、ガス側の/ガス側でのガス中で測定された特定の単一のpCO値に等しくすることができるか、または、計算された変化率が所定の変化率値に等しいか前記所定の測定距離で前記所定の変化率の範囲内に入るときもしくはその後に、ガス側のガス中で測定されたすべてのpCO値の平均値に等しくすることができるか、または、計算された変化率が所定の変化率値に等しいか前記所定の測定距離で前記所定の変化率の範囲内に入るときもしくはその後に、ガス側のガス中で測定された複数の特定のpCO値の平均値に等しくすることができるか、または、上記の任意のその他の組み合わせと等しくすることができるか、のいずれかである。
【0013】
このようにして、人工肺の血液側での血液のpCO値、特に人工肺の血液側の入口または出口における血液のpCO値の便利で正確および迅速な判定が実現でき、これは、患者の全体的な状態の指標値として使用することができ、患者の治療および健康の改善を可能にする。さらに、人工肺の動作中に血液側でのpCO値を判定することは、特に、患者の治療中に判定を行うことができることを意味する。さらに、上述の装置によって、人工肺のガス交換特性が正確に知られていない場合でも、血液側でのpCO値の判定が可能になる。
【0014】
好ましい実施形態では、変化率は、時間的変化率、すなわち、経時的変化率であり、所定の測定距離は、所定の期間である。つまり、制御ユニットは、測定されたガス側のpCO値の変化率を経時的に計算し、計算された変化率が所定の(最短の)期間の所定の変化率値に等しくなるとき、またはその後に、前記期間中またはその後に測定されたガス側のpCO値から血液側での血液のpCO値を推定することによって、血液側でのpCO値を判定することができる。
【0015】
所定の期間は、ガス側の測定されたpCO値(測定許容誤差/所定の変化率値の範囲を超えた)にさらなる変化が生じないと仮定することができる期間である。所定の期間は、とりわけ、流速、血液の初期pCO値、センサおよび膜の特性に左右され、装置および動作条件のために予め判定されるべきである。ガス中のpCO測定用センサとして、非分散型赤外線センサ(NDIR sensor:nondispersive infrared sensor)を使用することができる。
【0016】
別の好ましい実施形態では、装置は、ガス側の(またはガス側での)CO分圧値を測定するように構成された第2のセンサを備え、変化率は、位置に関する変化率、特にガスの流れ方向の、すなわちガス側の入口とガス側の出口との間の距離にわたる変化率であり、所定の測定距離は、所定の局所的測定距離であり、第1のセンサおよび第2のセンサは所定の局所的測定距離に配置されている。つまり、制御ユニットは、局所的距離にわたってガス側の測定されたpCO値の変化率を計算し、計算された変化率が所定の(最短の)局所的測定距離で所定の変化率値に等しくなるとき、またはその後に、計算された変化率が所定の局所的距離で所定の変化率値に等しくなるときまたはその後に測定されたガス側のpCO値から、血液側での血液のpCO値を推定することによって、血液側でのpCO値を判定することができる。
【0017】
所定の局所的測定距離は、ガス側の測定されたpCO値(測定許容誤差/所定の変化率値の範囲を超えた)にさらなる変化が生じないと仮定することができる局所的測定距離、すなわち、第1のセンサと第2のセンサとの間の十分な局所的距離である。
【0018】
前記十分な局所的距離は、とりわけ、流速、血液の初期pCO値、センサおよび膜の特性に左右され、装置および動作条件のために予め判定されるべきである。
【0019】
好ましくは、制御ユニットは、ガス側の入口内へのガス流を停止するようにさらに構成され、制御ユニットは、例えばガス側の入口で、またはその上流で、および/またはガス側の出口で、またはその下流で、血液側でのCO分圧値を推定する前に、特にガス側の測定されたCO分圧値の変化率を経時的に計算する前または計算中に、少なくとも1つのバルブによって、ガス側の入口内へのガス流、好ましくは、ガス側の出口からのガス流を停止する。好ましくは、血流量は、ガス流量が停止されている間は不変に維持され、より好ましくは、血流量は、治療流量で維持される。
【0020】
ガス側の入口内へのガスの流れが停止されるとき、膜を横切って/通過して血液側からガス側へ拡散するCOは、拡散平衡に達するまで、すなわち、ガス側のpCO値が血液側でのpCO値に等しくなるまで、ガス側に蓄積する。血液側の血液は、ガスがガス側に保持されている間、人工肺の血液側を通って流れ続けるため、ガス側のpCO値は、拡散平衡に達するときに血液側の入口において血液のpCO値に等しい。言い換えれば、COの拡散勾配が一定期間にわたってゼロ/微小になるガス側での/ガス側のpCO値は、人工肺の血液側での血液の最大pCO値であり、血液側の入口における(静脈)血液のpCO値である。これはさらに、血液側の入口におけるpCO値が人工肺内の最大値であるため、人工肺内のCO拡散平衡が、血液側の入口における血液のpCO値によって判定されることを意味し、したがって、ガス側でのpCO値は、一定期間にわたって血液側の入口における血液のpCO値に調整される。
【0021】
さらに、ガスの流れが停止している間、ガス側の入口およびガス側の出口におけるpCO値は、拡散により同じ値に調整される。つまり、pCO平衡値は、ガス側の入口とガス側の出口との間の任意の点で(および、ガスの流れがこの時点まで停止される場合、出口の下流の点でも)ガス側で測定することができ、単一センサによってガス側で測定されたpCO値の変化率の経時的な計算により判定されるpCO平衡値に達するまでガスが停止されるときに、単一のセンサは、血液側でのpCO値を判定するのに十分である。血液側での血液のpCO値の判定後、制御ユニットは、患者の治療を進行または継続するために、ガス流量を増やして正常の(治療)流量に戻すことができる。
【0022】
さらに好ましくは、制御ユニットは、ガス側の入口内へのガス流の流量を適合させるように構成され、制御ユニットは、位置に関する計算された変化率が所定の変化率値に等しくなるまで、または所定の局所的測定距離で所定の変化率の範囲内に入るまで、ガス側の入口内へのガス流の流量を徐々に、すなわち連続的にまたは所定の時間間隔で減少させる。好ましくは、血流量は、ガス流量が減少している間は不変に維持され、より好ましくは、血流量は、治療流量に維持される。血液側での血液のpCO値の判定後、制御ユニットは、患者の治療を進行または継続するために、ガス流量を増やして正常の(治療)流量に戻すことができる。
【0023】
ガス側を通るガス流が、特に血流量よりも低い流量に減少すると、ガス側のガスは、血液側での血液よりも長時間人工肺内に留まり、血液側からガス側へ拡散するCOは、血液側とガス側との間のCOの拡散勾配がゼロ/微小であるpCO値(もしくはCO濃度)まで、すなわち、血液側とガス側との間のCOの拡散平衡に達するまで、または、COの拡散勾配がゼロ/微小よりも大きいpCO値まで、すなわち、血液側とガス側との間のCOの拡散平衡に達しておらず、ガスがpCO平衡値に達するのに十分な長さで人工肺内に保持されていない場合、すなわち、ガス流量が多すぎる場合、および/または膜面積/人工肺の長さが短すぎる場合、のいずれかで蓄積される。第1のセンサおよび第2のセンサが所定の局所的測定距離で固定して配置されている状態では、CO平衡は、特定の十分に低いガス流量でのみ達成される。前記の十分に低いガス流量は、第1のセンサによって測定されたpCO値と、第2のセンサによって測定されたpCO値との間の計算された変化率がゼロ/微小になるまで、ガス流量を徐々に減少させる制御ユニットによって達成/見出される。言い換えれば、ガス流が停止される、すなわち流量がゼロに減少される上記場合と比較して、計算された変化率がゼロ/微小になるまでの待ち時間は、変化率がゼロ/微小になるまでガス流量を徐々に減少させることで代用される。
【0024】
さらに好ましくは、制御ユニットは、入口内へのガス流の流量を適合させるように構成され、血液側でのCO分圧値を推定する前に、特にガス側の測定されたCO分圧値の変化率を計算する前または計算中に、入口内へのガス流の流量を所定の減少したガス流量まで減少させ、変化率を計算するために、ガス側のCO分圧値は、装置の、特にガス側の認証された地点で、または認証された部分内で測定され、その認証された地点または認証された部分については、ガス側のCO分圧が、所定の減少したガス流量で(ガス側の最大値、すなわち平衡値で)飽和値に達することが(予め)証明されている。この実施形態では、第1のセンサおよび第2のセンサの両方は、位置に関する変化率を計算するために、認証された部分内に配置することができる。あるいは、変化率を経時的に計算するために、単一のセンサのみを認証された部分内に設けることができる。
【0025】
前述のように、人工肺のガス側の内部でCOの拡散均衡に達するために、ガス流量および人工肺の長さを適応させる必要があり、ガス流量が多ければ多いほど、人工肺の長さは長くなければならない。したがって、治療前に、所定の減少した流量でCO拡散均衡に達するためには、人工肺がどのくらいの長さで十分であるかを実験的にテストする。十分な長さの下流の部分は、認証された部分であり、ガス側のみの部分(ガス側の出口を含む)または少なくともガス側の出口を含む部分(および好ましくは出口の上流のガス側の一部)ならびに出口の下流のガス線の一部であり得る。
【0026】
好ましい実施形態では、人工肺のガス側は、ガスが入口から出口へ流れる複数の中空繊維によって形成される。第1のセンサは、中空繊維の一部(またはサブセット)のみを介してガス側に接続される。すなわち、センサは、中空繊維のすべてには接続されない。言い換えれば、第1のセンサは、ガス側の一部のみに接続される。第1のセンサが接続される中空繊維の一部は、少量の複数の繊維に限定され得る。ここでは、第1のセンサは、中空繊維の一部の下流端で、または、中空繊維の一部の下流端の下流で、中空繊維の一部に接続することができる。これにより、第1のセンサは、中空繊維のすべてではなく、中空繊維の一部のみのCO分圧値を測定することができる。さらに、制御ユニットは、中空繊維の一部の測定されたCO分圧値を処理し、中空繊維の一部の測定されたCO分圧値に基づいて、血液側でのCO分圧値を判定することができる。制御ユニットは、人工肺の動作中、中空繊維の一部の測定されたCO分圧値の変化率を計算し、計算された変化率が所定の変化率値に等しくなるか、所定の測定距離において所定の変化率の範囲内に入るとき、またはその後に、計算された変化率が所定の変化率値に等しくなるか、所定の測定距離で所定の変化率の範囲内に入るとき、またはその後に測定された中空繊維の一部のCO分圧値から、血液側でのCO分圧値を推定することによって、血液側でのCO分圧値を判定することができる。
【0027】
バルブは、第1のセンサの下流に設けることができ、このバルブは、第1の状態では、中空繊維の一部および第1のセンサを通るガス流を停止または減少させ、第2の状態では、中空繊維の一部および第1のセンサを通るガス流を解放または増加させるように構成される。
【0028】
変化率が経時的変化率であり、所定の測定距離が所定の期間である場合、制御ユニットは、バルブによって、中空繊維の一部を通るガス流を停止するように構成することができる。ここでは、制御ユニットは、血液側でのCO分圧値を推定する前に、特に中空繊維の一部の測定されたCO分圧値の変化率を計算する前または計算中に、中空繊維の一部を通るガス流を停止する。
【0029】
あるいは、変化率が経時的変化率であり、所定の測定距離が所定の期間である場合、制御ユニットは、血液側でのCO分圧値を推定する前に、特に中空繊維の一部の測定されたCO分圧値の変化率を計算する前または計算中に、バルブによって、中空繊維の一部を通るガス流の流量を所定の減少したガス流量まで減少させるように構成することができる。ここでは、変化率を計算するために、中空繊維の一部のCO分圧値が測定される位置は、装置内の認証された位置であり、その位置については、中空繊維の一部のCO分圧が所定の減少したガス流量で飽和値に達することが証明されている。
【0030】
ガス側を構成する繊維の一部のみに第1のセンサが接続されていることにより、ガス側全体でガス流を変えたり中断したりすることなく、血液側でのCO分圧値を判定することが可能である。つまり、血液側でのCO分圧値が判定されている間、患者の治療を中断したり実質的に変更したりせずに維持できる。センサが接続され、測定の目的でガス流が停止または減少されるガス側の繊維は、ガス側のわずかな部分のみを構成しているので、ガス側の残りの大部分(すなわち、センサおよびバルブが接続されていない複数の繊維のすべての繊維)を通るガス流は、CO分圧値の測定中に妨げられず、患者の治療は損なわれない。
【0031】
好ましくは、制御ユニットが徐々にガスの流量を減少させる場合には、制御ユニットは、ガス流中の(またはガス流の)COの割合を適合させるようにさらに構成され、制御ユニットは、特に制御ユニットが流量を減少させるときに、または減少させる間、ガス流中の(またはガス流の)COの割合を所定のCOの増加割合まで増加させる。血液側での血液のpCO値の判定後、制御ユニットは、患者の治療を進行または継続するために、ガス流中のCOの割合を減少させて、ガス流中のCOの正常な(治療の)割合に戻すことができる。
【0032】
さらに好ましくは、両方のセンサまたは単一のセンサのいずれかが認証された部分内に設けられている上記の場合、制御ユニットは、ガス流中の(またはガス流の)COの割合を適合させるように構成され、制御ユニットは、血液側でのCO分圧値を推定する前に、特に制御ユニットが流量を所定の減少した流量まで減少させる前に、減少させるときに、または減少させた後に、ガス流中の(またはガス流の)COの割合を所定のCOの増加割合まで増加させ、認証された地点または認証された部分については、ガス側のCO分圧が、所定のCOの増加割合で、所定の減少したガス流量で(ガス側の内部の最大値で、すなわち平衡値で)飽和値に達することが(予め)証明されている。血液側での血液のpCO値の判定後、制御ユニットは、患者の治療を進行または継続するために、ガス流中のCOの割合を減少させて、ガス流中のCOの正常な(治療の)割合に戻すことができる。
【0033】
ガス流中のCOの割合を増加させることにより、人工肺内の最大pCO値である血液側の入口における血液側での血液のpCO値と、ガス側でのガスのpCO値との間の差が減少する。言い換えれば、血液側とガス側との間のpCO勾配が減少するので、(ほぼ)拡散平衡に達するのに必要な期間/流量の減少量も減少する。その結果、血液側の入口における血液側での血液のpCO値をより速く判定することができる。
【0034】
所定のCOの増加割合を有するガス中のpCO値は、患者の静脈pCO値より少し下であるべきであり、その静脈pCO値は、理想的には約46mm/Hgである。したがって、所定のCOの増加割合を有するガスのpCO値は、46mm/Hg未満であり、好ましくは35mm/Hg未満であるべきである。
【0035】
本開示技術の別の態様では、人工肺の血液側でのCO分圧値を判定するための装置が設けられ、その装置は、血液側と、ガス側と、半透膜とを有する人工肺であって、前記膜は血液側をガス側から分離し、ガス側は入口および出口を有し、人工肺の動作中、ガス流が入口に入って出口へとある流量で流れる人工肺と、ガス側の(ガス側での)CO分圧値を測定するように構成される第1のセンサと、入口内へのガス流の流量を制御し、ガス側の測定されたCO分圧値を処理し、ガス側の測定されたCO分圧値に基づいて、血液側での(または血液側の)CO分圧値を判定するように構成された制御ユニットと、を備え、制御ユニットは、人工肺の動作中、入口内への(および好ましくは、例えばバルブによって出口からの)ガス流を停止することと、ガス流を停止した後に認証された期間が経過したときにガス側の少なくとも1つのCO分圧値を測定することと、認証された期間が経過したときに測定されるガス側の少なくとも1つのCO分圧値から血液側でのCO分圧値を推定することとによって、血液側のCO分圧値を判定し、その認証された期間については、ガス側のCO分圧が(ガス側の内部の最大値で、すなわち平衡値で)飽和値に達することが(予め)証明されている。
【0036】
また、このようにして、人工肺の血液側での血液のpCO値、特に人工肺の血液側の入口または出口における血液のpCO値の便利で正確および迅速な判定が実現でき、これは、患者の全体的な状態の指標値として使用することができ、患者の治療および健康の改善を可能にする。
【0037】
本開示技術のさらに別の態様では、人工肺の血液側でのCO分圧値を判定するための装置が設けられ、その装置は、血液側と、ガス側と、半透膜とを備える人工肺であって、前記膜は血液側をガス側から分離し、ガス側は入口および出口を有し、人工肺の動作中、ガス流が入口に入って出口へとある流量で流れ、ガス側は、ガスが入口から出口へ流れる複数の中空繊維によって形成される人工肺と、ガス側の複数の中空繊維の一部に、好ましくは、中空繊維の一部の下流端で、または中空繊維の一部の下流端の下流で接続された第1のセンサであって、中空繊維の一部のCO分圧値を測定するように構成される第1のセンサと、第1のセンサの下流に設けられたバルブであって、第1の状態では、中空繊維の一部を通るガス流を停止または減少させ、第2の状態では、中空繊維の一部を通るガス流を解放または増加させるように構成されたバルブと、バルブによって、中空繊維の一部を通るガス流の流量を制御し、中空繊維の一部の測定されたCO分圧値を処理し、中空繊維の一部の測定されたCO分圧値に基づいて、血液側のCO分圧値を判定するように構成された制御ユニットと、を備える。ここでは、制御ユニットは、人工肺の動作中、バルブによって中空繊維の一部を通るガス流を停止することと、ガス流を停止した後に認証された期間が経過したときに中空繊維の一部の少なくとも1つのCO分圧値を測定することと、認証された期間が経過したときに測定される中空繊維の一部の少なくとも1つのCO分圧値から血液側のCO分圧値を推定することとによって、血液側でのCO分圧値を判定し、認証された期間については、ガス側の中空繊維の一部のCO分圧が飽和値に達することが証明されている。
【0038】
また、このようにして、人工肺の血液側での血液のpCO値の便利で正確および迅速な判定が実現できると同時に、患者の治療は実質的に妨げられない。
【0039】
本開示技術のさらに別の態様では、人工肺の血液側のCO分圧値を判定するための装置が設けられ、その装置は、血液側とガス側と半透膜とを有する人工肺であって、前記膜は血液側をガス側から分離し、ガス側は入口および出口を有し、人工肺の動作中、ガス流が入口に入って出口へとある流量で流れる人工肺と、ガス側の(ガス側での)CO分圧値を測定するように構成される第1のセンサと、入口内へのガス流の流量を制御し、ガス側の測定されたCO分圧値を処理し、ガス側の測定されたCO分圧値に基づいて、(またはCO分圧値の)血液側でのCO分圧値を判定するように構成された制御ユニットと、を備え、制御ユニットは、人工肺の動作中、ガス側の入口内へのガス流の流量を所定の減少したガス流量まで減少させることと、流量を所定の減少した流量まで減少させた後に認証された期間が経過したときに、装置の、特にガス側の認証された地点で、または認証された部分内で、ガス側の少なくとも1つのCO分圧値を測定することと、認証された期間が経過したときに、認証された地点で、または認証された部分内で測定されるガス側の少なくとも1つのCO分圧値から血液側でのCO分圧値を推定することと、によって、血液側でのCO分圧値を判定し、その認証された期間および認証された地点または認証された部分については、ガス側のCO分圧が(ガス側の内部の最大値で、すなわち平衡値で)飽和値に達することが(予め)証明されている。
【0040】
このような方法でも、人工肺の血液側での血液のpCO値、特に人工肺の血液側の入口または出口における血液のpCO値の便利で正確および迅速な判定が実現でき、これは、患者の全体的な状態の指標値として使用することができ、患者の治療および健康の改善を可能にする。
【0041】
本開示技術のさらに別の態様では、人工肺の血液側でのCO分圧値を判定するための装置が設けられ、その装置は、血液側と、ガス側と、半透膜とを有する人工肺であって、前記膜は血液側をガス側から分離し、ガス側は入口および出口を有し、人工肺の動作中、ガス流が入口に入って出口へとある流量で流れ、ガス側は、ガスが入口から出口へ流れる複数の中空繊維によって形成される人工肺と、ガス側の複数の中空繊維の一部に、好ましくは、中空繊維の一部の下流端で、または中空繊維の一部の下流端の下流で接続された第1のセンサであって、ガス側の中空繊維の一部のCO分圧値を測定するように構成される第1のセンサと、第1のセンサの下流に設けられたバルブであって、第1の状態では、中空繊維の一部を通るガス流を停止または減少させ、第2の状態では、中空繊維の一部を通るガス流を解放または増加させるように構成されたバルブと、バルブによって中空繊維の一部を通るガス流の流量を制御し、中空繊維の一部の測定されたCO分圧値を処理し、中空繊維の一部の測定されたCO分圧値に基づいて、血液側でのCO分圧値を判定するように構成された制御ユニットと、を備える。ここでは、制御ユニットは、人工肺の動作中、バルブによって中空繊維の一部を通るガス流の流量を所定の減少したガス流量まで減少させることと、流量を所定の減少した流量まで減少させた後に認証された期間が経過したときに、認証された位置で中空繊維の一部の少なくとも1つのCO分圧値を測定することと、認証された期間が経過したときに認証された位置で測定される中空繊維の一部の少なくとも1つのCO分圧値から血液側のCO分圧値を推定することと、によって、血液側でのCO分圧値を判定し、認証された期間および認証された位置については、ガス側の中空繊維のCO分圧が飽和値に達することが証明されている。
【0042】
このような方法でも、人工肺の血液側での血液のpCO値の便利で正確および迅速な判定が実現できると同時に、患者の治療は実質的に妨げられない。
【0043】
上述のすべての装置では、制御ユニットは、所定の時間間隔で、および/または所定の動作条件が発生したとき、例えば、医学的な異常または重大な治療値の場合に、血液側でのCO分圧値を判定することができる。特に、計算された変化率および/またはガス側の測定されたpCO値が、絶えずまたは断続的に監視され、計算された変化率および/またはガス側の測定されたpCO値が、所定の限界値未満または所定の限界値を超えているとき、制御ユニットは、血液側でのpCO値を判定する。
【0044】
好ましくは、上述のすべての装置では、第1のセンサは、ガス側の出口で、または出口の(すぐ)下流で人工肺の内部に配置される。人工肺膜の端部(流れ方向で見て)に、または人工肺膜の端部の下流に第1のセンサを配置すること、すなわち第1の測定点を配置することにより、人工肺膜の全長が確実に拡散平衡に達するために使用され、人工肺の寸法を可能な限り小さく保つことができる。
【0045】
さらに好ましくは、変化率が局所的距離にわたって測定される場合には、第1のセンサおよび第2のセンサのうちの少なくとも1つ、好ましくは、第1のセンサおよび第2のセンサは、人工肺の内部に配置される。
【0046】
任意選択的に、主ガス線はガス側の出口の下流に設けられ、支線は主線から分岐し、第1のセンサおよび第2のセンサのうちの1つは、支線上または支線に配置される。センサを支線上に配置することで、pCO値の測定中の湿度の問題を解決または少なくとも軽減することができる。
【0047】
好ましくは、ガス側を構成する複数の中空繊維の一部(またはサブセット)のみに接続されたセンサを備える上述の装置では、第1のセンサが接続されたガス側の中空繊維の一部は、血液側を通る血流の流れ方向において、血液入口に配置することができる。これにより、静脈pCO値を判定できる。あるいは、第1のセンサが接続されたガス側の中空繊維の一部は、血液側を通る血流の流れ方向において、血液出口に配置される。これにより、動脈pCO値を判定できる。装置に2つ以上のセンサを設けることも可能であり、センサのそれぞれは、血液側での2つ以上の異なるpCO値を判定するために、血液側を通る血流の方向において、異なる位置で、複数の中空繊維の一部(またはサブセット)のみに接続される。例えば、静脈pCO値および動脈pCO値の両方を判定するために、第1のセンサは血液入口に配置され、第2のセンサは血液出口に配置される。
【0048】
さらに好ましい実施形態では、上述の装置は、体外式膜型人工肺システム(静脈-静脈または静脈-動脈ECMOシステム)の一部を形成する。別の好ましい実施形態では、上述の装置は、心肺バイパスシステムの一部を形成する。
【0049】
本開示技術の一態様によれば、装置の人工肺の血液側での(血液の)pCO値を判定するための方法が提供され、人工肺は、血液側と、ガス側と、血液側をガス側から分離する半透膜とを備え、血液側とガス側とはそれぞれ、入口および出口を有し、人工肺の動作中、ガス流がガス側の入口からガス側の出口へとある流量で流れ、この方法は、
- 装置の第1のセンサによって、ガス側の(またはガス側での)ガス中のpCO値を測定するステップと、
- ガス側の測定されたpCO値を処理し、装置の制御ユニットによって、ガス側のガス中で測定されたpCO値に基づいて、特に血液側の入口または血液側の出口で、血液側での(または血液側の)(血液の)pCO値を判定するステップと、を含み、
- 制御ユニットは、人工肺の動作中、以下のさらなるステップ、
- ガス側のガス中で測定されたpCO値の変化率もしくは変化率値を計算し、変化率もしくは変化率値が所定の変化率値に等しくなるか、所定の測定距離で所定の変化率値の範囲内に入るとき、またはその後に、計算された変化率もしくは計算された変化率値が所定の変化率値に等しくなるか、所定の測定距離で所定の変化率値の範囲内に入るとき、またはその後に、ガス側のガス中で測定されたpCO値から血液側での(血液の)pCO値を推定するステップによって、
血液側での(血液の)pCO値を判定する。
【0050】
好ましくは、変化率は経時的変化率であり、所定の測定距離は、所定の期間である。
【0051】
好ましくは、変化率は位置に関する変化率であり、所定の測定距離は、所定の局所的測定距離であり、ガス側のCO分圧値は、装置の第1のセンサおよび第2のセンサによって所定の局所的測定距離で測定され、前記第2のセンサは、第1のセンサから所定の局所的測定距離に配置される。
【0052】
好ましくは、制御ユニットは、血液側でのCO分圧値を推定する前に、特にガス側の測定されたCO分圧値の変化率を計算する前または計算中に、ガス側の入口内へのガス流を停止するさらなるステップによって、血液側でのCO分圧値を判定する。
【0053】
好ましくは、制御ユニットは、位置に関する変化率が所定の変化率値に等しくなるか、所定の局所的測定距離で所定の変化率の範囲内に入るまで、ガス側の入口内へのガス流の流量を徐々に減少させるさらなるステップによって、血液側でのCO分圧値を判定する。
【0054】
好ましくは、制御ユニットは、血液側でのCO分圧値を推定する前に、特にガス側の測定されたCO分圧値の変化率を計算する前または計算中に、ガス側の入口内へのガス流を所定の減少したガス流量まで減少させるさらなるステップによって、血液側でのCO分圧値を判定し、変化率を計算するために、ガス側のCO分圧値は、装置の、特にガス側の認証された地点で、または認証された部分内で測定され、認証された地点または認証された部分については、CO分圧が所定の流量で飽和値に達することを証明している。
【0055】
好ましい実施形態では、ガス側は、ガスが入口から出口へ流れる複数の中空繊維によって形成され、第1のセンサは、ガス側の中空繊維の一部のみを介して、好ましくは、中空繊維の一部の下流端で、または中空繊維の下流端の下流で、ガス側に接続される。さらに、第1のセンサによってCO分圧値を測定するステップでは、中空繊維の一部のCO分圧値が測定され、測定されたCO分圧値を処理し、測定されたCO分圧値に基づいて、血液側でのCO分圧値を判定するステップでは、ガス側の中空繊維の一部の測定されたCO分圧値が処理され、血液側のCO分圧値は、中空繊維の一部の測定されたCO分圧値に基づいて判定される。さらに、ガス側の測定されたCO分圧値の変化率を計算するステップでは、ガス側の中空繊維の一部の測定されたCO分圧値の変化率が計算され、測定されたCO分圧値から血液側でのCO分圧値を推定するステップでは、血液側でのCO分圧値は、計算された変化率が所定の変化率値に等しくなるか、所定の測定距離で所定の変化率の範囲内に入るとき、またはその後に測定される中空繊維の一部のCO分圧値から推定される。
【0056】
バルブは、第1のセンサの下流に設けることができ、このバルブは、第1の状態では、ガス側の中空繊維の一部を通るガス流を停止または減少させ、第2の状態では、中空繊維の一部を通るガス流を解放または増加させるように構成される。
【0057】
変化率が経時的変化率であり、所定の測定距離が所定の期間である場合、制御ユニットは、血液側でのCO分圧値を推定する前に、特に中空繊維の一部の測定されたCO分圧値の変化率を計算する前または計算中に、バルブによってガス側の中空繊維の一部を通るガス流を停止するさらなるステップによって、血液側でのCO分圧値を判定することができる。
【0058】
あるいは、変化率が経時的変化率であり、所定の測定距離が所定の期間である場合、制御ユニットは、血液側でのCO分圧値を推定する前に、特に中空繊維の一部の測定されたCO分圧値の変化率を計算する前または計算中に、バルブによって中空繊維の一部を通るガス流を所定の減少したガス流量まで減少させるさらなるステップによって、血液側でのCO分圧値を判定することができ、変化率を計算するために、ガス側の中空繊維の一部のCO分圧値は、装置内の認証された位置で測定され、その認証された位置については、中空繊維の一部のCO分圧が所定の減少したガス流量で飽和値に達することが証明されている。
【0059】
さらに好ましくは、制御ユニットは、血液側でのCO分圧値を推定する前にガス流量を変化させ、すなわち、ガス側の入口内へのガス流を停止させるか、またはガス側の入口内へのガス流の流量を(徐々にあるいは所定のガス流量まで)減少させる場合、ガス側の(またはガス側での)ガス中の(現在の)pCO値は、制御ユニットがガス流量を変化させる前(直前/すぐ前)に測定される。
【0060】
好ましくは、制御ユニットは、特に、ガス流を停止させる前に、または流量を減少させる前に、減少させるときに、もしくは減少させる間に、ガス流中のCOの割合を所定のCOの割合まで増加させるさらなるステップによって、血液側でのCO分圧値を判定する。
【0061】
好ましくは、制御ユニットは、血液側でのCO分圧値を推定する前に、特に、流量を所定の減少した流量まで減少させる前に、減少させるときに、もしくは減少させた後に、ガス流中のCOの割合を所定のCOの増加割合まで増加させるさらなるステップによって、血液側でのCO分圧値を判定し、認証された地点または認証された部分については、CO分圧が所定のCOの増加割合で、所定の流量で、飽和値に達することを証明している。
【0062】
本開示技術の別の態様では、装置の人工肺の血液側でのCO分圧値を判定するための方法が提供され、人工肺は、血液側と、ガス側と、血液側をガス側から分離する半透膜とを備え、ガス側は入口および出口を有し、人工肺の動作中、ガス流が入口に入って出口へとある流量で流れ、この方法は、装置の第1のセンサによって、ガス側の(またはガス側での)少なくとも1つのCO分圧値を測定するステップと、ガス側の少なくとも1つの測定されたCO分圧値を処理し、装置の制御ユニットによって、ガス側の少なくとも1つの測定されたCO分圧値に基づいて、血液側での(または血液側の)CO分圧値を判定するステップと、制御ユニットによってガス側の入口内へのガス流の流量を制御するステップと、を含み、制御ユニットは、人工肺の動作中、ガス側の入口内への(好ましくはガス側の出口からの、例えばバルブによる)ガス流を停止するさらなるステップと、ガス流を停止した後に認証された期間が経過したときにガス側の少なくとも1つのCO分圧値を測定するさらなるステップと、認証された期間が経過したときに測定されるガス側の少なくとも1つのCO分圧値から、血液側でのCO分圧値を推定するさらなるステップと、によって、血液側でのCO分圧値を判定し、その認証された期間については、ガス側のCO分圧が(ガス側の内部の最大値で、すなわち、平衡値で)飽和値に達することが(予め)証明されている。
【0063】
本開示技術のさらに別の態様では、装置の人工肺の血液側でのCO分圧値を判定するための方法が提供され、この装置は、血液側と、ガス側と、血液側をガス側から分離する半透膜とを備える人工肺であって、ガス側が入口および出口を有し、人工肺の動作中、ガス流が入口に入って出口へとある流量で流れ、ガス側は、ガスが入口から出口へと流れる複数の中空繊維によって形成される人工肺と、ガス側の複数の中空繊維の一部のみに、好ましくは、中空繊維の一部の下流端で、または中空繊維の下流端の下流で接続された第1のセンサであって、ガス側の中空繊維の一部のCO分圧値を測定するように構成される第1のセンサと、第1のセンサの下流に設けられたバルブであって、第1の状態では、中空繊維の一部を通るガス流を停止または減少させ、第2の状態では、中空繊維の一部を通るガス流を解放または増加させるように構成されたバルブとを備え、この方法は、装置の制御ユニットによって中空繊維の一部を通るガス流の流量を制御するステップと、第1のセンサによってガス側の中空繊維の一部の少なくとも1つのCO分圧値を測定するステップと、中空繊維の一部の少なくとも1つの測定されたCO分圧値を処理し、制御ユニットによって、ガス側の中空繊維の一部の少なくとも1つの測定されたCO分圧値に基づいて、血液側でのCO分圧値を判定するステップと、を含み、制御ユニットは、人工肺の動作中、バルブによって中空繊維の一部を通るガス流を停止するさらなるステップと、ガス流が停止した後に認証された期間が経過したとき、中空繊維の一部の少なくとも1つのCO分圧値を測定するさらなるステップと、認証された期間が経過したときに測定される中空繊維の一部の少なくとも1つのCO分圧値から、血液側でのCO分圧値を推定するさらなるステップと、によって、血液側でのCO分圧値を判定し、その認証された期間については、ガス側の中空繊維の一部のCO分圧が飽和値に達することが証明されている。
【0064】
本開示技術のさらに別の態様では、装置の人工肺の血液側でのCO分圧値を判定するための方法が提供され、人工肺は、血液側と、ガス側と、血液側をガス側から分離する半透膜とを備え、ガス側は入口および出口を有し、人工肺の動作中、ガス流がガス側の入口に入ってガス側の出口へとある流量で流れ、この方法は、装置の第1のセンサによって、ガス側の(ガス側での)少なくとも1つのCO分圧値を測定するステップと、ガス側の少なくとも1つの測定されたCO分圧値を処理し、装置の制御ユニットによって、ガス側の少なくとも1つの測定されたCO分圧値に基づいて、血液側での(または血液側の)CO分圧値を判定するステップと、制御ユニットによってガス側の入口内へのガス流の流量を制御するステップと、を含み、制御ユニットは、人工肺の動作中、ガス側の入口内へのガス流の流量を所定の減少したガス流量まで減少させるさらなるステップと、流量を所定の減少したガス流量まで減少させた後に認証された期間が経過したとき、および装置の、特にガス側の認証された地点で、または認証された部分内で、ガス側の少なくとも1つのCO分圧値を測定するさらなるステップと、認証された期間が経過したとき、認証された地点で、または認証された部分内で測定されるガス側の少なくとも1つのCO分圧値から血液側でのCO分圧値を推定するさらなるステップと、によって、血液側でのCO分圧値を判定し、その認証された期間および認証された地点または認証された部分については、ガス側のCO分圧が(ガス側の内部の最大値で、すなわち、平衡値で)飽和値に達することが(予め)証明されている。
【0065】
本開示技術のさらに別の態様では、装置の人工肺の血液側でのCO分圧値を判定するための方法が提供され、この装置は、血液側と、ガス側と、血液側をガス側から分離する半透膜とを備える人工肺であって、ガス側は入口および出口を有し、人工肺の動作中、ガス流が入口に入って出口へとある流量で流れ、ガス側は、ガスが入口から出口へと流れる複数の中空繊維によって形成される人工肺と、ガス側の複数の中空繊維の一部のみに、好ましくは、中空繊維の一部の下流端で、または中空繊維の下流端の下流で接続された第1のセンサであって、ガス側の複数の中空繊維の一部のCO分圧値を測定するように構成される第1のセンサと、第1のセンサの下流に設けられたバルブであって、第1の状態では、中空繊維の一部を通るガス流を停止または減少させ、第2の状態では、複数の中空繊維の一部を通るガス流を解放または増加させるように構成されたバルブとを備え、この方法は、装置の制御ユニットによって、中空繊維の一部を通るガス流の流量を制御するステップと、第1のセンサによって中空繊維の一部の少なくとも1つのCO分圧値を測定するステップと、中空繊維の一部の少なくとも1つの測定されたCO分圧値を処理し、制御ユニットによって中空繊維の一部の少なくとも1つの測定されたCO分圧値に基づいて、血液側でのCO分圧値を判定するステップと、を含み、制御ユニットは、人工肺の動作中、中空繊維の一部を通るガス流の流量を所定の減少したガス流量まで減少させるさらなるステップと、流量を所定の減少した流量まで減少させた後に認証された期間が経過したとき、および装置内の認証された位置で、中空繊維の一部の少なくとも1つのCO分圧値を測定するさらなるステップと、認証された期間が経過したとき、認証された位置で測定される中空繊維の一部の少なくとも1つのCO分圧値から、血液側でのCO分圧値を推定するさらなるステップと、によって、血液側でのCO分圧値を判定し、その認証された期間および認証された位置については、ガス側の中空繊維の一部のCO分圧が飽和値に達することが証明されている。
【0066】
好ましくは、上述のすべての態様において、制御ユニットは、所定の時間間隔で、および/または所定の動作条件が発生するときに、血液側でのCO分圧値を判定する。
【0067】
この方法の好ましい実施形態では、第1のセンサは、ガス側の出口で、または出口の下流で、人工肺の内部に配置される。
【0068】
この方法のさらに好ましい実施形態では、主ガス線はガス側の出口の下流に設けられ、支線は主線から分岐し、第1のセンサは支線上に/支線に配置される。
【0069】
好ましくは、センサが、ガス側を構成する複数の中空繊維の一部にのみ接続される上述の方法において、第1のセンサが接続されたガス側の中空繊維の一部は、血液側を通る血流の流れ方向において、血液入口に配置される。あるいは、第1のセンサが接続されたガス側の中空繊維の一部は、血液側を通る血流の流れ方向において、血液出口に配置される。2つ以上のセンサを設けることも可能であり、センサのそれぞれは、血液側を通る血流の方向において、異なる位置で、複数の中空繊維の一部のみに接続される。例えば、第1のセンサは血液入口に配置され、第2のセンサは血液出口に配置される。
【0070】
上述の方法は、体外式膜型人工肺治療、好ましくは、静脈-静脈体外式膜型人工肺治療または静脈-動脈体外式膜型人工肺治療において実行することができる。さらに、上述の方法は、心肺バイパス治療において実行することができる。
【0071】
上述の装置は、上述の方法を実行するように構成され、上述の方法は、上述の装置によって実行されるように設計されている。したがって、上述の装置の利点および変形例は、上述の方法に適用される。
【0072】
前述の概要および以下の好ましい実施形態の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むと、よりよく理解されるであろう。本開示を説明するために、図面を参照する。しかしながら、本開示の範囲は、図面に開示された特定の実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1】本開示技術の第1の実施形態による人工肺の血液側でのpCO値を判定するための装置の概略図である。
図2】本開示技術の第2の実施形態による人工肺の血液側でのpCO値を判定するための装置の概略図である。
図3】本開示技術の第3の実施形態による人工肺の血液側でのpCO値を判定するための装置の概略図である。
図4】ガス側の測定点におけるpCO値を経時的に概略的に示す図である。
図5】本開示技術の第4の実施形態による人工肺の血液側でのpCO値を判定するための装置の概略図である。
図6】2つの異なる流量で人工肺の長さにわたるガス側のpCOの経時的変化率の値を概略的に示す図である。
図7】本開示技術の第5の実施形態による人工肺の血液側でのpCO値を判定するための装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
図1は、本開示技術の第1の実施形態による人工肺4の血液側2での血液のpCO値を判定するための装置1の概略図を示す。装置1は、血液側2と、ガス側6と、血液側2をガス側6から分離する半透膜8とを有する人工肺4を備える。装置1は、ガス側6でのガスのpCO値を測定するように構成されたセンサ10と、特に供給源(図示せず)、例えば病院の医療用ガス出口から人工肺4のガス側6へのガスのガス流量およびガス流中のCOの割合を、例えば、人工肺4の上流のバルブユニット(図示せず)を制御することによって制御するように構成され、センサ10によって測定されたpCO値を受信して処理するように構成された制御ユニット12とをさらに備える。人工肺4のガス側6は、入口14および出口16を有し、血液側2は、入口18および出口20を有する。ガスを導くための主線22は、ガス側6の出口16の下流で人工肺4に接続されている。
【0075】
上述の実施形態の人工肺4は、並流モードで動作する。すなわち、ガス側6の入口14に流入するガスと、血液側2の入口18に流入する血液とが、それぞれの出口16、20へ膜8に沿って同じ方向に流れる。しかしながら、本開示技術に従って使用することができる異なる動作モードを有する他の種類の人工肺が存在する可能性がある。いずれにせよ、人工肺4の動作中、血液側2に流入し、血液側2を通って流れる血液に含まれる/溶解されるCOは、膜8を横断/通過する拡散によって血液から抽出され、ガス側6に流入してガス側6を通って流れるガスの中に入る。血液側からガス側へのCOの拡散を可能にするために、ガス中のCO濃度またはCO分圧(pCO)が血液中よりも低いことを意味するCO拡散勾配が必要である。同時に、ガス側6に流入し、ガス側6を通過するガスに含まれるOは、膜8を横切って、血液側2に流入し、血液側2を通って流れる血液中に拡散すると考えられ、これには、O拡散勾配を必要とする。すなわち、ガス中のO濃度またはO分圧(pO)が血液中よりも高い必要がある。このようにして、ガス側と血液側との間のOとCOとの交換が誘発される。
【0076】
装置1の動作中、血液側2の入口18は、患者の静脈系に接続される。つまり、人工肺4が患者の肺の機能を引き継ぐことを想定しているため、血液側2の入口18で血液側2に流入する血液が、患者の血液循環において最も高い濃度のCOまたは最も高いpCO、および、患者の血液循環において最も低い濃度のOまたは最も低いpOを有し、一方、血液側2の出口20で血液側2から流出する血液は、患者の血液循環において最も低い濃度のCOまたは最も低いpCO、および、患者の血液循環において最も高い濃度のOまたは最も高いpOを有する。血液側2の出口20は、治療の種類に応じて、患者の静脈系または動脈系に接続することができる。
【0077】
患者のCOの全体的な状態を判定するために、本開示技術によれば、血液側2の入口18における静脈血のpCO値は、指標として使用することができる。血液側2の入口18における前記pCO値を判定するために、ガス流は、所定の減少したガス流量まで大幅に減少されるか、または完全に停止される、すなわち、ゼロまで減少される。同時に、血液側2を通る血流は、例えば、通常の治療流量で維持される。血液に溶解したCOは、血液側2を通って進み、膜8を横切ってガス中に拡散し、(通常の治療流量と比較して長時間)ガス側6で保持され、CO拡散勾配がゼロ(または微小)になるまでガス中に蓄積する。ガス側6の入口14内へのガス流が(例えば、入口14もしくはその上流で、および/または、出口16もしくはその下流でバルブによって)完全に停止される場合、一定時間後、CO拡散勾配は、ガス側6全体で、すなわち人工肺4の全長にわたって、言い換えれば、ガス側6の入口14とガス側6の出口16との間の長手方向のセクション全体にわたって、ガス側6の内部での拡散によって、ゼロになる。ガス側6の入口14内へのガス流が、所定の減少したガス流量まで減少された場合、一定時間後、CO拡散勾配は、特定の減少したガス流量に応じて、ガス側6の入口14とガス側の出口16との間の特定の長手方向のセクションにわたってのみゼロになる。所定の減少したガス流量で拡散勾配が一定時間後に確実にゼロになるセクションは、ガス側の認証された部分である。つまり、治療の前に、拡散勾配が一定時間後にゼロになることが前記減少した流量で前記セクションについて実験的に証明されている。認証された部分は、出口16の下流のpCO値が一定であり、ガス側6の出口16と同じ値を有するため、ガス側6の出口16を越えて、接続された主線22内へ延在し得るが、出口16自体は、人工肺4内でCO拡散平衡に達するのに十分な長さの人工肺を確保するために認証された部分内になければならない。
【0078】
したがって、ガス側でpCO平衡に達したことを判定または測定するために、入口14内へのガス流が停止される場合、センサ10は、入口14、出口16、または入口14と出口16との間のどこかに配置することができ、ガス流が所定のガス流量まで減少された場合、センサ10は、ガス側の認証された部分内に配置することができる。次に、ガス流が制御ユニット12によって停止または減少された後、ガス側6での/ガス側6のpCO値はセンサ10によって測定され、制御ユニット12は、センサ10によって測定されたpCO値を受信して処理し、膜8を横切る/通過するCOの拡散平衡が達成されるかどうかを判定するために、センサ10によって測定されたpCO値の変化率を経時的に計算することにより、ガス側6でのセンサ10によって測定されたpCO値から血液側2の入口18のpCO値を推定する。この平衡は、変化率が(ほぼ)ゼロまたは微小であるとき(および、所定の期間変化せず、その後、変化率にさらなる変化が生じないと仮定できるとき)、実現される。つまり、平衡が実現されるとき、または実現された後にガス側6で測定されたpCO値は、血液側2の入口18における血液のpCO値に対応し、逆に、血液側2の入口18における血液の、すなわち患者の静脈血のpCO値は、ガス側6の/ガス側6でのセンサ10によって測定されたpCO値と同一である。
【0079】
平衡が実現された後、および血液側2の入口18におけるpCO値が判定された後、ガス側6の入口14内へのガスの流量は、通常の人工肺治療を継続または進行するために、通常の治療ガス流量まで増加させることができる。血液側2の入口18におけるpCO値の上述の判定は、患者の状態を綿密に監視するために、患者の治療中に、必要に応じて何度も、例えば、一定の間隔で繰り返すことができる。
【0080】
CO拡散平衡を加速するために、ガス側6で測定されたpCOの変化率の計算が開始される前もしくは開始される間に、または血液側2のpCO値の推定が開始される少なくとも前に、制御ユニット12は、ガス側6の入口14に流入するガス中のCOの割合を所定のCOの増加割合まで増加させることができる。
【0081】
好ましい実施形態では、ガス流量が減少または停止される前に、ガス流中のCOの割合が増加される。特に、ガス流中のCOの割合が増加された後、ガス流は、ガスが入口14から出口16に流れるのにかかる時間である特定期間の後にのみ減少または停止される。
【0082】
図1に示すような装置1の第1の形態では、センサ10は、ガス側6での人工肺4の内部で、出口16に直接設けられている。
【0083】
本開示技術による装置1の第2の実施形態は、図2に示されている。図2に示される実施形態は、図1に示す上述の実施形態に対応しており、センサ10は人工肺4の内部ではなく、主線22内または主線22におけるガス側6の出口16の下流に設けられているという違いがあり、それにより、装置1の構築および維持が容易になる。ガス側6の入口14内へのガス流が停止され、バルブが使用される場合、出口16の下流のバルブは、センサ10の下流に配置される。
【0084】
本開示技術による装置1の第3の実施形態は、図3に示されている。図3に示される実施形態は、図2に示す上述の実施形態に対応しており、センサ10は主線22内または主線22上ではなく、主線22から分岐する支線24内または支線24上に設けられているという違いがあり、それにより、高い湿度レベルでのpCOの測定を容易にすることができる。ガス側6の入口14内へのガス流が停止され、バルブが使用される場合、2つのバルブが出口16の下流に配置され、1つは主線22において分岐点に、またはその下流にあり、1つは支線24においてセンサ10の下流にある。
【0085】
図4は、ガス流量が、所定の減少したガス流量まで減少され、または完全に停止された後、時間tを経てセンサ10によって測定されるpCO値を概略的に示す図を示し、ガス流が減少された場合に、センサ10は装置1の認証された部分内に配置される。ガス流量は、時間t0で減少または停止される。時間t1までは、測定されるpCO値は、一定のままである。(ガス流が停止された場合、t0とt1との間の時間間隔は、センサ10の位置およびガス側6の内部の拡散速度に応じて、ほぼゼロであり得る。)時間t1において、pCO値は、時間t2で達する最大値まで上昇する。時間t2の後、測定されるpCO値は、(ほぼ)一定のままであり、これが、時間t3において測定されるpCO値は、時間t2において測定されるpCO値と同じである理由、すなわち時間t2と時間t3との間の計算されたpCOの変化率値がゼロ/微小である理由である。時間t2において、または時間t2の後に測定される一定のpCO値は、ガス側でのpCO平衡値であり、血液側2での入口18におけるpCO値、すなわち、患者の静脈血のpCO値に対応する。
【0086】
図4に示される測定曲線は、純粋に概略的な性質のものであり、時間t0とt3との間の勾配および直線部分は、人工肺のタイプ、および/または血液およびガスの両方の流量に応じて変化し得ることに留意されたい。
【0087】
人工肺のタイプ、特に膜のタイプ、ならびに人工肺4を通る血液およびガスの流量に応じて、時間t2、すなわちCO拡散平衡は、より短いまたはより長い時間で実現される。装置1の認証された部分と同様に、ガス流が停止または減少された後の認証された期間は、人工肺の治療使用前の実験によって判定することができ、認証された期間は、ガス側6でのpCO平衡に達するのに十分と証明された期間である。ガス流が停止され、ガス流が停止した後に認証された期間が経過した場合、認証された期間の後にpCO平衡に達することが証明されているため、変化率を計算する必要はないので、血液側2のpCO値を判定するには、ガス側のpCO値を1回測定するだけで十分である。ガス流が所定の減少したガス流量まで減少される場合、認証された期間は認証された部分について判定されるためのものである。
【0088】
本開示技術による装置1の第4の実施形態は、図5に示されている。図5に示される実施形態は、図1に示す上述の実施形態に対応しており、第1のセンサ10に加えて、第2のセンサ11は、人工肺4のガス側6の内部に設けられるという違いがある。2つのセンサ10、11によって、位置に関するpCO変化率値、すなわち、第2のセンサ11と第1のセンサ10との間のpCOの局所的変化率値を判定することができる。血液側2でのpCO値を判定するために、制御ユニット12は、第2のセンサ11と第1のセンサ10との間のpCOの局所的変化率値がゼロ/微小になるまで、人工肺4の入口14内へのガスの流量を徐々に減少させることができる。この動作モードにより、図6を見ればより明らかになるように、認証された部分を知っている必要はない。
【0089】
図6は、2つの異なる流量f1およびf2における、ガス側のpCOの経時的変化率であるdCO/dt値を、人工肺の長さlにわたって概略的に示す図である。実線で示す流量f1は、破線で示す流量f2よりも多い。一般的に、ガスの流量が、減少した流量まで減少すると、pCOの経時的変化率は、ゼロ/微小になる。すなわち、人工肺4の特定の長手方向のセクションで、またはその下流で、pCO平衡値に達する(人工肺4が十分に長い場合)。しかしながら、人工肺4の前記特定の長手方向のセクションは、特定の流量に左右され、より少ない流量に対してより短く(流れ方向で見て)、より多い流量に対してより長い。したがって、流量f1およびf2に関して、より少ない流量f2でdCO/dt値がゼロ/微小になる人工肺4の長手方向のセクションl1は、より多い流量f2でdCO/dt値がゼロ/微小になる長手方向のセクションl2よりも短いか、またはその上流にある。図5とともに説明したような動作モードと、人工肺4のガス側6の内部に/ガス側6に固定して配置されている2つのセンサ10、11とに関して、特定のガス流量が存在し、その特定のガス流量で、dCO/dt値がゼロ/微小になる人工肺4の特定の長手方向のセクションまたはその上流に2つのセンサ10、11が配置されており、この特定の流量は、センサ10、11の間のpCOの局所的変化率値がゼロ/微小になるまで、徐々にガス流量を減少させることによって見出すことができる。一例として、第1のセンサ10が出口16に配置され、第2のセンサ11が長手方向のセクションl1に配置され、制御ユニット12が、流量f1でガス流量を徐々に減少させ始めるとき、局所的変化率がゼロになる流量は、流量f2である。
【0090】
図5に示される装置1の代替例として、第1のセンサ10は、例えば、図2および図3に示すように、出口16の下流に配置することができ、第2のセンサ11は、入口14の下流の、および出口16の上流の、または出口16のどこにでも配置することができる。しかしながら、第2のセンサ11が出口16の近くに(および、出口16からさらに少なくとも所定の局所的測定距離に)配置されるとき、変化率がゼロ/微小になるまで流量を減少させることが加速される。
【0091】
動作モードの代替例として、入口14内へのガスの流量は、2つのセンサ10、11が両方とも装置1の認証された部分内に配置された状態で、所定の流量まで減少させることができ、認証された部分は、所定の流量に対して認証される。その後、流れを徐々に減少させる必要はない。
【0092】
本開示技術による装置1の第5の実施形態は、図7に概略的に示される。人工肺4のガス側が複数の繊維26によって構成されることが概略的に示されている。繊維26は、半透膜によって形成された中空繊維である。人工肺のガス側は、中空繊維の内部に配置され、人工肺4の血液側は、中空繊維の外部に配置され、中空繊維の周りに延在する。人工肺4の動作中、ガス流(矢印aで示される)は、ガス入口14で人工肺4に入り、繊維26のそれぞれを通ってガス出口16に向かって流れ、ガス出口16で人工肺4から出る。血流(矢印bで示される)は、血液入口18で人工肺4に入り、繊維26の間を流れるので、血流は繊維26の周りを血液出口20に向かって流れ、血液出口20で人工肺4から出る。
【0093】
第5の実施形態は、センサ10が、ガス側を構成する複数の繊維26の一部(またはサブセット)のみに接続されているが、ガス側を構成する繊維26のすべてには接続されていないという点で、前述の実施形態とは異なる。センサ10が接続される繊維26の一部は、選択された繊維束30として示されている。センサ10は、繊維束30の下流側に設けられ、ガス流は、センサ10に流入する前に繊維束30の(流れ方向の)全長を通って流れ、最終的にはガス出口16を介して人工肺4を出る。遮断弁または絞り弁28は、センサ10の下流に設けられ、その結果、繊維束30およびセンサ10を通るガス流を停止または減少させることができる。このようにして、ガス流は、繊維束30内では停止または減少させることができる一方で、停止または減少されることなく、残りの繊維26を通って進む。言い換えれば、繊維束30のみを通るガス流は、バルブ28による測定目的のために停止または減少させることができ、一方、残りの繊維26を通るガス流は、妨げられないままである。
【0094】
血流の方向の繊維束30の特定の位置、すなわち、血液入口18と血液出口20との間の繊維束30の特定の位置は、測定の目的に従って選択することができる。図7に示す実施形態では、繊維束30は、血液側の静脈pCO値を判定できるように、血液入口18またはその近くに配置される。別の実施形態(図示せず)では、繊維束30は、血液側の動脈pCO値を判定できるように、血液出口20またはその近くに配置することができる。上述の方法でセンサおよびバルブにそれぞれ接続された少なくとも2つの繊維束を異なる位置に提供することも可能であり、その結果、血液側のpCO値を、少なくとも2つの異なる位置について判定することができる。例えば、1つの繊維束を血液入口18またはその近くに配置することができ、別の繊維束を血液出口20またはその近くに配置することができ、その結果、血液側の静脈pCOおよび動脈pCOの両方を判定することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】