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特表2023-520375地面から離れた大気中に存在する少なくとも2種類の気体の含有量を表すデータを測定するドローン及び関連する測定方法
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  • 特表-地面から離れた大気中に存在する少なくとも2種類の気体の含有量を表すデータを測定するドローン及び関連する測定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(54)【発明の名称】地面から離れた大気中に存在する少なくとも2種類の気体の含有量を表すデータを測定するドローン及び関連する測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/3504 20140101AFI20230510BHJP
   G01N 21/33 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
G01N21/3504
G01N21/33
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558440
(86)(22)【出願日】2021-03-25
(85)【翻訳文提出日】2022-10-13
(86)【国際出願番号】 EP2021057765
(87)【国際公開番号】W WO2021191360
(87)【国際公開日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】2003027
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522232558
【氏名又は名称】トタルエナジーズ ワンテク
【氏名又は名称原語表記】TOTALENERGIES ONETECH
(71)【出願人】
【識別番号】595040744
【氏名又は名称】サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィク
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
(71)【出願人】
【識別番号】514005766
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ ドゥ ランス シャンパーニュ アルデンヌ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DE REIMS CHAMPAGNE ARDENNE
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】ドナ,リュドヴィック
(72)【発明者】
【氏名】モヌリ,アベル
(72)【発明者】
【氏名】ジョリ,リリアン
(72)【発明者】
【氏名】デカルパントゥリ,トマ
(72)【発明者】
【氏名】ビュルガラ,ジェレミ
(72)【発明者】
【氏名】ショーヴァン,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】アルボラ,グレゴリ
(72)【発明者】
【氏名】デュメリ,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】クーザン,ジュリアン
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB02
2G059EE01
2G059GG01
2G059HH01
2G059HH03
2G059KK01
(57)【要約】
前記ドローン(10)は、大気へと開放する少なくとも1つの測定セルを含む、代表データを測定するセンサ(40)と、測定セル内に検出対象の第一の気体に特徴的な第一の波長の第一のレーザビームを注入できる少なくとも1つの第一のレーザ源及び測定セル内に検出対象の第二の気体に特徴的な第二の波長の第二のレーザビームを注入できる第二のレーザ源と、を含む。測定センサ(40)は、2つのレーザ源に共通の検出器を含み、これは、測定セルへの第一のレーザビームの注入の結果である測定セルからの第一の測定信号と測定セルへの第二のレーザビームの注入の結果である測定セルからの第二の測定信号を取得できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面から離れた大気中に存在する少なくとも2種類の気体の量を表すデータを測定するドローン(10)において、
-シャーシ(12)と、
-前記シャーシ(12)が地面から離れた大気中を移動することを可能にできる少なくとも1つの推進装置(28)と、
-前記代表データを測定する少なくとも1つのセンサ(40)であって、前記シャーシ(12)により担持される少なくとも1つのセンサ(40)と、
-前記代表データを測定する前記センサ(40)を制御する制御システム(18)であって、前記シャーシ(12)により担持される制御システム(18)と、
を含み、
前記代表データを測定する前記センサ(40)は、大気中に存在する少なくとも2種類の気体の量を表すデータを測定でき、前記代表データを測定する前記センサ(40)は、大気へと開放する少なくとも1つの測定セル(50)と、前記又は各測定セル(50)について、前記測定セル(50)内に検出対象の第一の気体に特徴的な第一の波長の第一のレーザビームを注入できる少なくとも1つの第一のレーザ源(52)と、前記測定セル(50)内に検出対象の第二の気体に特徴的な第二の波長の第二のレーザビームを注入できる第二のレーザ源(54)と、を含み、前記代表データを測定する前記センサ(40)は、前記2つのレーザ源(52、54)に共通の検出器(56)を含み、前記検出器は、前記測定セル(50)から発せられた、前記測定セル(50)への前記第一のレーザビームの注入の結果である第一の測定信号と、前記測定セル(50)から発せられた、前記測定セル(50)への前記第二のレーザビームの注入の結果である第二の測定信号を検出できることを特徴とするドローン(10)。
【請求項2】
前記制御システム(18)は、前記測定セル(50)への前記第一のレーザビーム及び、その後の前記測定セル(50)への前記第二のレーザビームの逐次的で連続する注入を行うことができ、それぞれ、前記第一のレーザビームが前記測定セル(50)に注入されるときには前記第二のレーザビームを前記測定セル(50)に注入せず、前記第二のレーザビームが前記測定セル(50)に注入されるときには前記第一のレーザビームを前記測定セル(50)に注入しない、請求項1に記載のドローン(10)。
【請求項3】
前記制御システム(18)は、前記逐次的で連続する注入を行うために、前記第一のレーザ源(52)と前記第二のレーザ源(54)を選択的且つ逐次的に作動させることができる、請求項2に記載のドローン(10)。
【請求項4】
前記測定セル(50)は、対向して相互に離間されるように位置付けられ、それらの間に測定キャビティ(66)を画定する2つのミラー(64A、64B)と、前記2つのミラー(64A、64B)をそれぞれ担持する2つのホルダ(60)と、を含み、前記レーザ源(52、54)と前記検出器(56)はホルダ(60)の前記測定キャビティ(66)とは反対側に結合される、請求項1~3のいずれか1つに記載のドローン(10)。
【請求項5】
前記第一のレーザ源(52)と前記第二のレーザ源(54)は、前記測定キャビティ(66)の中に1mmより大きい、特に3mm~6mmの幅のレーザビームを注入することができる、請求項1~4のいずれか1つに記載のドローン(10)。
【請求項6】
前記第一のレーザ源(52)、前記第二のレーザ源(54)、及び前記検出器(56)の中の少なくとも1つの要素は、前記推進装置(28)が作動されたときに、前記推進装置(28)により生成される気流により掃引される金属熱交換プレート(58)を備える、請求項1~5のいずれか1つに記載のドローン(10)。
【請求項7】
前記制御システム(18)は、ケーシング(96)と、少なくとも1つの金属熱交換プレート及び好ましくは一連の金属板を含む少なくとも1つの熱交換器(94)と、を含み、前記又は各金属熱交換プレートは前記ケーシング(96)から突出し、前記推進装置(28)が作動されたときに、前記推進装置(28)により生成される気流により掃引される、請求項1~6のいずれか1つに記載のドローン(10)。
【請求項8】
前記測定セル(50)内に設置された温度測定センサ(44)及び圧力測定センサ(46)を含む、請求項1~7のいずれか1つに記載のドローン(10)。
【請求項9】
前記シャーシ(12)により担持される高度測定センサ(48)を含む、請求項1~8のいずれか1つに記載のドローン(10)。
【請求項10】
前記シャーシ(12)は、開口フレーム構造を形成する複数の部材(22)を含み、前記シャーシ(12)の第一の領域(24)は前記制御システム(18)を保持し、前記シャーシ(12)の第二の領域であって、前記シャーシ(12)の前記第一の領域から離れた位置にある第二の領域は前記測定セル(50)を保持し、前記部材(22)は有利な態様としてポリマ、特にポリエーテルエーテルケトンで製作される、請求項1~9のいずれか1つに記載のドローン(10)。
【請求項11】
前記シャーシ(12)と前記測定セル(50)との間に取り付けられたダンパ(42)を含み、前記ダンパ(42)は特にスプリングワイヤから形成される、請求項1~10のいずれか1つに記載のドローン(10)。
【請求項12】
データを伝送するシステム(20)を保持し、前記システムは前記シャーシ(12)により担持され、前記検出器(56)により検出された前記代表データは、前記伝送システム(20)により伝送可能である、請求項1~11のいずれか1つに記載のドローン(10)。
【請求項13】
前記検出器(56)により収集された代表データを保存するメモリと、前記シャーシ(12)内に配置され、前記検出器(56)により何れの時点で収集された前記代表データでも、様々な時点で少なくとも2種類の気体の量を計算することを目的として処理できる機上搭載計算ユニット(100)と、を含み、前記データ伝送システムは前記計算ユニット(100)により計算された前記量の数値を伝送できる、請求項12に記載のドローン(10)。
【請求項14】
総質量は10kg未満、特に8kg未満である、請求項1~13のいずれか1つに記載のドローン(10)。
【請求項15】
前記共通の検出器(56)は、前記第一のレーザ源(52)により発せられる前記ビームの前記波長と前記第二のレーザ源(54)により発せられる前記ビームの前記波長の両方を感知できる単一の検出装置を含み、前記共通の検出器(56)は単一のコンポーネントで形成される、請求項1~14のいずれか1つに記載のドローン(10)。
【請求項16】
前記測定セル(50)は直接レーザ吸収分光測定セルである、請求項1~15のいずれか1つに記載のドローン(10)。
【請求項17】
地面から離れた大気中に存在する少なくとも2種類の気体の量を表すデータを測定する方法であって、
-地面から離れた大気中で請求項1~16のいずれか1つに記載のドローン(10)を飛ばすステップと、
-前記第一のレーザ源(52)を使って、第一の気体を表す第一の波長の第一のレーザビームを前記測定セル(50)内に注入するステップと、
-前記2つのレーザ源(52、54)に共通の前記検出器(56)を使って、前記測定セル(50)から発せられた、前記第一のレーザビームが前記測定セル(50)内に注入された結果である第一の測定信号を検出するステップと、
-前記第二のレーザ源(54)を使って、検出対象の第二の気体を表す第二の波長の第二のレーザビームを前記測定セル(50)内に注入するステップと、
-前記2つのレーザ源(52、54)に共通の前記検出器(56)を使って、前記測定セル(50)内で測定された、前記第二のレーザビームが前記測定セル(50)内に注入された結果である第二の信号を検出するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
-シャーシと、
-シャーシが地面から離れた大気中を移動することを可能にできる少なくとも1つの推進装置と、
-代表データを測定する少なくとも1つのセンサであって、シャーシにより担持される少なくとも1つのセンサと、
-代表データを測定するセンサを制御する制御システムであって、シャーシにより担持される制御システムと、
を含む、地面から離れた大気中に存在する少なくとも2種類の気体の量を表すデータを測定するドローンに関する。
【0002】
測定対象の気体は特に、メタン又は二酸化炭素等の温室効果ガスである。
【背景技術】
【0003】
環境保護への関心が、特に欧州における汚染排出物に対する法規制の強化に寄与してきた。
【0004】
それゆえ、石油又は化学産業内にある産業事業体は、ますます厳しさを増す環境上の制約に適応しなければならない。
【0005】
特に、温室効果ガスは、炭化水素の抽出、輸送、精製、及び貯蔵作業中に発せられる。これらの排出物は事業者により追跡され、定期的に削減策が適用される。
【0006】
特に、これらの温室効果ガスの発生源及びこれらの発生源から発せられる温室効果ガスの量を、それらが確実に制御され、それまでの改善状況を報告することを目的として、特徴付ける必要がある。
【0007】
しかしながら、温室効果ガスの発生源を特定し、拡散及び一時的な排出を定量化するために使用される技術は、依然として完全に満足できるものではない。
【0008】
特に、これらの排出物の測定はきわめて困難であり、なぜならこれらは多くの場合、流路を形成せず、ため池や湖又は到達不能な場所、例えば高所や測定対象ユニットの中心等に存在する可能性があるからである。
【0009】
したがって、十分な測定値を得るために、施設上での気体測定を何度も行う必要がある。
【0010】
そのようにするために、低い高度を飛行し、温室効果ガスを測定するためのセンサを備える飛行機を使用することが知られている。これらの飛行機は、測定値をとるために施設と対向して行ったり来たりする。
【0011】
しかしながら、このような飛行機には、それもまた温室効果ガスを排出するという大きな欠点がある。その運航費用も非常に高く、特定の施設の上で飛行機を飛ばすことには制約があり得る。
【0012】
この問題を緩和するために、ドローンを使用することが可能であるが、ドローンはこのような測定に関しては、全く満足できるものではない。
【0013】
具体的には、既存のドローンのレンジは本来、かなり限定的である。さらに、そのペイロードは小さく、それによって、特に数多くの測定を行うことを目的として機上に搭載できる器材の点数が限定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明の1つの目的は、その排出物が拡散し、一時的である気体の検出活動を実行するのに十分なレンジを有し、それと同時に所望の分析を実行するのに十分な測定能力を有する測定ドローンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このために、本発明の1つの主題は前述のようなドローンであり、これは、代表データを測定するセンサが大気中に存在する少なくとも2種類の気体の量を表すデータを測定でき、代表データを測定するセンサが、大気へと開放する少なくとも1つの測定セルと、その測定セルについて、又は各測定セルについて、少なくとも、測定セルの中に検出対象の第一の気体に特徴的な第一の波長の第一のレーザビームを注入できる少なくとも1つの第一のレーザ源及び測定セルの中に検出対象の第二の気体に特徴的な第二の波長の第二のレーザビームを注入する第二のレーザ源と、を含み、代表データを測定するセンサが2つのレーザ源に共通の検出器を含み、前記検出器が、測定セルから発せられる、測定セルへの第一のレーザビームの注入の結果である第一の測定信号と、測定セルから発せられる、測定セルへの第二のレーザビームの注入の結果である第二の測定信号を検出できることを特徴とする。
【0016】
本発明によるドローンは、下記の特徴の1つ又は複数を単独で、又は技術的に可能なあらゆる組合せを含み得る:
-制御システムは、測定セルへの第一のレーザビーム及び、その後の測定セルへの第二のレーザビームの逐次的で連続する注入を行うことができ、それぞれ、第一のレーザビームが測定セルに注入されるときには第二のレーザビームを測定セルに注入せず、第二のレーザビームが測定セルに注入されるときには第一のレーザビームを測定セルに注入しない;
-制御システムは、逐次的で連続する注入を行うために、第一のレーザ源と第二のレーザ源を選択的且つ逐次的に作動させることができる;
-測定セルは、対向して相互に離間されるように位置付けられ、それらの間に測定キャビティを画定する2つのミラーと、2つのミラーをそれぞれ担持する2つのホルダと、を含み、レーザ源と検出器はホルダの測定キャビティとは反対側に結合される;
-第一のレーザ源と第二のレーザ源は、測定キャビティの中に1mmより大きい、特に3mm~6mmの幅のレーザビームを注入することができる;
-第一のレーザ源、第二のレーザ源、及び検出器の中の少なくとも1つの要素は、推進装置が作動されたときに、推進装置により生成される気流により掃引される金属熱交換プレートを備える;
-制御システムは、ケーシングと、少なくとも1つの金属熱交換プレート及び好ましくは一連の金属板を含む少なくとも1つの熱交換器と、を含み、その、又は各金属熱交換プレートはケーシングから突出し、推進装置が作動されたときに、推進装置により生成される気流により掃引される;
-それは、測定セル内に設置された温度測定センサ及び圧力測定センサを含む;
-それは、シャーシにより担持される高度測定センサを含む;
-シャーシは、開口フレーム構造を形成する複数の部材を含み、シャーシの第一の領域は制御システムを保持し、シャーシの第二の領域であって、シャーシの第一の領域から離れた位置にある第二の領域は測定セルを保持し、部材は有利な態様としてポリマ、特にポリエーテルエーテルケトンで製作される;
-それは、シャーシと測定セルとの間に取り付けられたダンパを含み、ダンパは特にスプリングワイヤから形成される;
-それは、データを伝送するシステムを含み、前記システムはシャーシにより担持され、検出器により検出された代表データは、伝送システムにより伝送可能である;
-それは、検出器により収集された代表データを保存するメモリと、シャーシ内に配置され、検出器により何れの時点で収集された代表データでも、様々な時点で少なくとも2種類の気体の量を計算することを目的として処理できる機上搭載計算ユニットと、を含み、データ伝送システムは計算ユニットにより計算された量の数値を伝送できる;
-その総質量は10kg未満、特に8kg未満である;
-測定キャビティは、第一のレーザ源及び第二のレーザ源により注入されたレーザビームを複数回反射するように構成される;
-第一のレーザ源と第二のレーザ源の各々のレーザコンポーネントはレーザダイオードからなる;
-測定セルは、その量が測定対象である気体と接触すると、測定キャビティ内のレーザ光の直接吸収を通じて動作するように構成される。
【0017】
本発明の他の主題は、地面から離れた大気中に存在する少なくとも2種類の気体の量を表すデータを測定する方法であり、これは:
-地面から離れた大気中で、上で定義したようなドローンを飛ばすステップと、
-第一のレーザ源を使って、第一の気体を表す第一の波長の第一のレーザビームを測定セル内に注入するステップと、
-2つのレーザ源に共通の検出器を使って、測定セルから発せられた、第一のレーザビームが測定セル内に注入された結果である第一の測定信号を検出するステップと、
-第二のレーザ源を使って、検出対象の第二の気体を表す第二の波長の第二のレーザビームを測定セル内に注入するステップと、
-2つのレーザ源に共通の検出器を使って、測定セル内で測定された、第二のレーザビームが測定セル内に注入された結果である第二の測定信号を検出するステップと、
を含む。
【0018】
本発明による測定方法は、下記の特徴を含み得る:
-制御システムは、測定セルへの第一のレーザビーム及び、その後の測定セルへの第二のレーザビームの逐次的で連続する注入を行い、それぞれ、第一のレーザビームが測定セルに注入されるときには第二のレーザビームを測定セルに注入せず、第二のレーザビームが測定セルに注入されるときには第一のレーザビームを測定セルに注入しない。
【0019】
本発明は、単に例として提供される以下の説明を下記のような添付の図面を参照しながら読めば、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明による第一のドローンの斜視図である。
図2】測定センサと、測定センサを制御する制御システムを担持する、ドローンのシャーシを上から見た図である。
図3図2に示される測定センサの正面図である。
図4】第一のビームの注入中の測定セルの図である。
図5】第二のビームの注入中の、図4と同様の図である。
図6】第一のビームの注入中及びそれに続く第二のビームの注入中の検出かにより検出される信号の図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明による第一のドローン10が図1~3に示されている。ドローン10は特に、ドローン10が移動している大気中に存在する少なくとも2種類の気体の量を計算できるようにするために代表データを測定できる。
【0022】
代表データは、産業施設、例えば石油関連施設、特に炭化水素を抽出、輸送、精製、又は貯蔵するための施設等と対向して測定される。
【0023】
その量が測定される気体は好ましくは、メタン及び二酸化炭素である。
【0024】
変形型において、その他の気体、例えば芳香族気体(特にベンゼン又はさらにはブタジエン)、エタン、又は一酸化炭素も測定可能である。より一般的に、測定される量は、揮発性有機化合物(すなわち、VOCs:volatile organic compounds)群のそれであり、これらの化合物のフットプリントの特定が目的とされる。
【0025】
気体は、それが例えば赤外線(特に700nm~2μmの波長)又は紫外線(特に、10nm~380nmの波長)における所定のスペクトルシグネチャを有していれば測定可能である。
【0026】
ドローン10は、施設の上方及び周囲の大気中を、その施設の上方及び周囲の大気中の様々な点において少なくとも2種類の気体の量を表すデータの測定を行うことを目的として、移動することができる。
【0027】
図1に示されるように、ドローン10は、シャーシ12と、シャーシ12が離陸して地面の上の大気中を飛行することによって移動できるようにすることが可能な推進アセンブリ14を含む。
【0028】
ドローン10は、測定アセンブリ16と、測定アセンブリ16を制御するための制御システム18と、有利な態様として伝送システム20をさらに含む。
【0029】
シャーシ12はここでは、部材22から形成される開口フレーム構造で形成される。図2に示される例では、フレーム構造は長方形である。これは長方形の辺に沿った部材22と長方形の対角線に沿った部材22を有する。
【0030】
部材22は例えば、ドローン10の重量を減らすために、ポリマで製作される。
【0031】
選択されるポリマは好ましくは、固体形態をとるポリマである。
【0032】
ポリマは例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、ポリ(乳酸)、及びポリ(アクリロニトリルスチレンアクリレート)から選択される。
【0033】
図2に示されるように、フレーム構造の部材22は制御システム18を保持するための第一の領域24と測定アセンブリ16を保持するための第二の領域26を画定し、後者の領域は第一の領域24に関して横方向にずれている。
【0034】
図1に関して、推進アセンブリ14は複数の推進装置28を含み、これらはここでは、モータによって回転駆動されるプロペラである。
【0035】
推進アセンブリ14は、ここではバッテリにより形成される電源30と、大気中のドローン10の位置を特定し、その移動を制御するためのシステム32をさらに含む。
【0036】
この例では、ドローン10はマルチロータロータリウィングドローンである。これは固定翼を持たず、その揚力は推進アセンブリ14により生成される。
【0037】
ドローン10は例えば、ロータリウィングクワドコプタ、特にDJIが販売するDJI M200である。
【0038】
推進アセンブリ14はここでは、実質的に縦の軸の周囲で回転する複数のプロペラを含む。「実質的に縦の」とは、概して、プロペラの回転軸の垂直線に関する傾きが30°未満であることを意味する。
【0039】
プロペラのモータにバッテリにより電力が供給されると、プロペラはそれらの軸の周囲で回転駆動され、下方気流を生成し、その一部がシャーシ12の第一の領域24及び第二の領域26を掃引することができる。
【0040】
位置特定及び制御システム32は位置センサ、特にGPS及び/又は慣性計測ユニットを含む。これはドローン10の移動を、飛行前に記録され、システム32にロードされた経路に沿って、又は遠隔的に、及びリモートコントロールを介して手動で制御できる制御ユニットをさらに含む。
【0041】
ドローン10はそれゆえ、自動的に所定の経路を辿ることができ、又は代替的に、オペレータによる手動制御も可能である。
【0042】
測定アセンブリ16は、少なくとも2種類の気体の量を表すデータを測定するセンサ40を含み、これはシャーシ12に、有利な態様としてダンパ42を介して取り付けられる。これは、温度測定及び圧力測定センサ44、46と、有利な態様として高度センサ48をさらに含む。
【0043】
図2~5に関して、代表データを測定するセンサ40は、大気へと開放する測定セル50と、第一の気体を検出できる第一のレーザ源52と、第二の気体を検出することが意図される第二のレーザ源54と、第一の気体及び第二の気体を検出できるようにする信号を受信することが意図される共通の検出器56を含み、信号はそれぞれ第一のレーザ源52及び第二のレーザ源54により生成される。
【0044】
センサ40は、それぞれ各レーザ源52、54上及び検出器56上に取り付けられた熱交換プレート58をさらに含む。
【0045】
測定セル50はここで、同じ体積中の第一の気体及び第二の気体の量を表すデータを測定する単一セルである。
【0046】
測定セル50は、2つの対向するホルダ60A、60Bと、ホルダ60A、60Bを結合する連結バー62を含む。測定セル50は、対向するミラー64A、64Bをさらに含み、これらはそれぞれホルダ60A、60Bにより担持され、ミラー64A、64Bはそれらの間に測定キャビティ66を画定する。
【0047】
この例では、ホルダ60A、60Bは相互に平行に、測定キャビティ66の長さ方向軸A-A’に垂直に取り付けられる。軸A-A’は好ましくは、ドローン10が平坦水平ホルダ上に載っているときには水平である。
【0048】
ホルダ60A、60Bはここで、角柱の形状と多角形、好ましくは正方形の外側輪郭を有する。
【0049】
連結バー62は、ホルダ60A、60B間の距離を設定する。この例では、連結バー62はホルダ60A、60Bの輪郭を画定する多角形の頂点間に延びる。前記連結バーは相互に平行に延び、それによって中間通過空間を画定する。
【0050】
したがって、測定キャビティ66は少なくとも1方向に、好ましくは対向するホルダ60A、60B間及び連結バー62間の少なくとも2方向に開放する。
【0051】
ホルダ60A、60B間で測定される測定キャビティ66の長さは例えば、50cm未満、特に5cm~30cmである。
【0052】
測定キャビティ66の長さは、測定対象の気体について予想される量の範囲に合わせて調整される。例えば、測定キャビティ66は、気体が微量である場合、及び/又は測定される波長でそれが有する応答が弱い場合、より長い。
【0053】
それに対して、測定対象の気体が比較的大量に存在する場合、又は測定波長でのその応答が強い場合には、測定キャビティ66はより短い。
【0054】
ミラー64A、64Bは各々、相互に対向して設置されることを目的として、それぞれ1つのホルダ60A、60Bに取り付けられる。ミラー64A、64Bは凹状であり、その凹面が相互に対向する。
【0055】
第一のホルダ60Aと第一のミラー64Aは、第一のレーザ源52から発せられる第一のビームと第二のレーザ源54から発せられる第二のビームがそれぞれ注入されるのを可能にするために、少なくとも2つの穴68、70を含む。
【0056】
第一のミラー64Aと対向する第二のミラー64Bと、第二のホルダ60Bは信号抽出穴72を含み、これは検出器が測定キャビティ66からの信号を受信できるようにするためのものである。
【0057】
第一のレーザ源52と第二のレーザ源54は、測定キャビティ66の外側の第一のホルダ60Aの片面の、キャビティの長さ方向軸A-A’のそれぞれの側に取り付けられる。
【0058】
各レーザ源52、54は、レーザコンポーネント74と、温度制御素子76、例えば熱電素子を含む。
【0059】
第一のレーザ源52のレーザコンポーネント74は例えば、第一の波長λ1を中心とする第一のレーザビームを発出することができる。第二のレーザ源54のレーザコンポーネント74は、波長λ1とは異なる第二の波長λ2を中心とする第二のレーザビームを発出することができる。
【0060】
波長λ1、λ2は好ましくは、有利な態様としては少なくとも5nm、特に少なくとも100nmだけ分離されている。
【0061】
例えば、メタンを検出するために、第一のレーザ源52は3230nm~3250nm、特に3238nm~3242nmの間の波長λ1を中心波長とする第一のレーザビームを発出することができる。二酸化炭素を検出するために、第二のレーザ源54は例えば、1990nm~2020nm、特に2000nm~2005nmの間の波長λ2を中心波長とする第二のレーザビームを発出することができる。
【0062】
より一般的に、標的モジュールに関連する波長は、各標的モジュール分子の、及び何れかの干渉分子のスペクトルシグネチャに応じて選択される。選択される波長は、測定環境(圧力、温度、標的及び干渉分子の濃度等)に依存する。
【0063】
温度制御素子76は、レーザ源52、54の温度を安定させることができる。
【0064】
図に示される例において、熱交換プレート58は第一のレーザ源52、第二のレーザ源54、及び検出器56の背後に、温度制御素子76と熱接触するように取り付けられる。
【0065】
熱交換プレート58は金属、例えばアルミニウムで製作される。これらは、プロペラの回転中に推進装置28により生成される気流により掃引されることを目的として、レーザ源52、54に関して突出する。
【0066】
それゆえ、温度制御素子76により伝えられる熱は熱交換プレート58を用いて除去され、レーザ源52、54の、又は検出器56の温度を制御するための追加のファンを設置する必要がない。これによって、ドローン10が軽量化される。
【0067】
検出器56は、第一のレーザ源52と第二のレーザ源54に共通である。これは、第一のレーザ源52により発せられるビームの波長λ1と第二のレーザ源54により発せられるビームの波長λ2を含む波長で測定キャビティ66から抽出される信号の強度を検出することができる。
【0068】
それゆえ、測定された強度は、下記のベール-ランベルトの法則を使って入射光の強度に関連付けられ得る:
I=I exp(L.N.K)
式中、Iは測定された強度、Iは入射光の強度、Lは測定セル50を通る光路の長さ、Nは経路上の調査対象気体の分子数、及びKはこの気体の吸光係数である。
【0069】
2つのレーザ源52、54に共通の検出器56を使用することにより、測定センサ40内に存在するコンポーネント数が減り、これによってセンサ40が実質的に軽量化し、その他のセンサ及び/又は機器をドローン10に組み込むことが可能となるか、又はその質量を減らすことができる。
【0070】
共通の検出器56は、第一のレーザ源52により発せられるビームの波長λ1と第二のレーザ源54により発せられるビームの波長λ2の両方を感知できる単一の検出装置を含む。
【0071】
共通の検出器56は単一のコンポーネント、例えばJudson(http://www.teledynejudson.com/)、Vigo(https://vigo.com.pl/en/products-vigo/)、又は浜松ホトニクス(https://www.hamamatsu.com)の製品等で形成される。
【0072】
代表データを測定するセンサ40は、有利な態様として、1つの検出器56を用いて、レーザ源52、54の各々に関する測定キャビティ56により出力される信号から得られる強度を測定する。
【0073】
ダンパ42は、これらが存在する場合、シャーシ12をホルダ60A、60Bの各々に接続するスプリングワイヤ80を含む。これらのスプリングワイヤ80は、推進アセンブリ14の、及び空中でのドローン10の移動の振動を部分的に吸収できる。
【0074】
温度測定センサ44は、対向するホルダ60A、60B間に設置される。センサ44は例えば、温度に応じて変化する金属要素の電気抵抗を測定することのできるサーミスタ、又は熱電対である。
【0075】
圧力測定センサ46は例えば、測定キャビティ66へと開放する圧力測定チューブを含む。
【0076】
温度測定センサ44及び圧力測定センサ46が測定セル50内に、好ましくは測定キャビティ66内に直接存在することにより、特に測定キャビティ66内の測定対象気体の濃度が低い場合に、収集されたデータの信頼性が高まる。
【0077】
高度センサ48は、それが存在する場合、例えば地面に向かうレーザを備えてドローン10が位置する高さを測定する高度計を含む。
【0078】
制御システム18は、これらのレーザ源52、54の各々に選択的に電力を供給するユニット90と、検出器56により検出されたデータを収集するユニット92と、特定のファンによる支援を必要とせずにユニット90、92により発せられる熱を除去することのできる少なくとも1つの熱交換器94を含む。これらのユニットは、ケーシング96内に格納される。
【0079】
電力を供給するユニット90は、第一のレーザ源52及び第二のレーザ源54に、第二のレーザ源54等の他のレーザ源により照明されない第一のレーザ源52のみによる測定キャビティ66の照明の第一のフェーズと、それに続く、他のレーザ源、特に第一のレーザ源52により照明されない、第二のレーザ源54のみによる測定キャビティ66の照明の第二のフェーズを得ることを目的として、選択的且つ連続的に電力を供給することができる。
【0080】
それゆえ、第一の気体の第一の量及び第二の気体の第二の量を表すデータの測定の連続的フェーズが、測定セル50の同じ測定キャビティ66内で実行され得て、これらのデータは同じ検出器56によって選択的に収集され、得られた信号間の干渉がない。
【0081】
これらの代表データは波長に応じた光強度のスペクトルを形成し、このようなスペクトルが図6に概略的に示されている。
【0082】
電力を供給するユニット90は、例えば推進装置28の電源30に接続されるか、又はそれ自体の電源を有する。
【0083】
データ収集ユニット92は少なくとも1つのメモリを含み、これは検出器56により様々な時点で測定される波長に応じた光強度のスペクトルを保存できる。
【0084】
データは例えば、10Hzより高い、特に1Hz~100Hzの周波数で保存される。保存されるスペクトルは好ましくは、256より多い点の数を含み、例えば256~4096の点を含む。
【0085】
それゆえ、波長に応じて測定セル50内度測定されるピークの強度の特定に関して非常に高い分解能が得られ、これによって、これらの量がごく少量であっても、そこから2種類の気体の量を測定することができる。
【0086】
データ収集ユニット92は、ドローンの飛行中、取得周波数より低い周波数、例えば1Hz~5Hzでデータを地上の受信ステーションにエクスポートできるようにすることを目的として、伝送システム20に接続される。
【0087】
熱交換器94は、電源供給ユニット90及びデータ収集ユニット92の各々と熱接触する。これらのユニット90、92により生成された熱を、ユニット90、92を収容するケーシング96から突出するプレート98へと取り除くことができる。
【0088】
プレート98は、ユニット90、92により生成される熱の除去を目的として、推進装置28により生成される気流により送信されることが可能である。それゆえ、ケーシング96内でユニット90、92を冷却するためのファンが不要であり、これによってドローン10の重量と電力消費が削減される。
【0089】
伝送システム20はデータを地上ステーションに伝送することのできる送信機を含み、これらのデータは例えば、ユニット92により取集されたデータ又はこれらのデータの一部である。
【0090】
次に、好ましくは産業施設に面する大気中に存在する少なくとも2種類の気体の量を測定する方法を説明する。
【0091】
まず、ドローン10を飛ばす。推進装置28は、制御システム32をドローン10が離陸でき、測定を行わなければならないゾーンに向かって移動できるように位置付けることによって作動させられる。
【0092】
推進アセンブリ14のプロペラは揚力を生じさせる。位置特定及び制御システム32は、手動のリモートコントロールにより、又はシステム32にロードされた自動プログラムに従って、ドローン10の移動を制御する。
【0093】
ドローン10の移動中、測定が行われる。このために、代表データを測定するセンサ40、温度測定センサ44、圧力測定センサ46、及び存在する場合は任意選択による高度センサ48が作動させられる。
【0094】
各種のセンサ40、44、46、48による測定はドローン10の移動中に行われ、ドローン10を止める必要がない。このために、電力を供給するユニット90は電力を第一のレーザ源52に、次に第二のレーザ源54に選択的且つ連続的に供給する。
【0095】
第一のレーザ源52の作動の各フェーズで、第二のレーザ源54のレーザコンポーネント74は動作が停止される。第一のレーザ源52のレーザコンポーネント74は波長λ1の第一のレーザビームを発出し、これは注入穴68を通じて測定キャビティ66の中に注入される。
【0096】
前述のように、第一のレーザビームの厚さは1mmより大きく、特に3mm~6mmである。これによって、本来であれば測定キャビティ66内に浮遊する粒子により生じ得る測定アーチファクトを回避することが可能となる。
【0097】
光路Lの長さを延ばすために、第一のレーザビームはミラー64A、64Bによって連続的に反射され、測定キャビティ66内で行ったり来たりする。
【0098】
図6において曲線(a)により示されるように、第一のレーザ源52により発せられた第一のビームから生じた第一の信号がサンプリング穴72を通じて収集される。
【0099】
この第一の信号は検出器56により検出され、検出器56により検出されたデータは保存されることを目的としてデータ収集ユニット92に送信される。
【0100】
次に、第二のレーザ源54の各作動フェーズ中、第一のレーザ源52のレーザコンポーネント74の動作は停止される。第二のレーザ源54のレーザコンポーネント74は、波長λ1とは異なる波長λ2の第二のレーザビームを発出する。このレーザビームは注入穴70を介して測定キャビティ66の中に導入される。
【0101】
前述のように、第二のレーザビームの厚さは1mmより大きく、特に3mm~6mmである。
【0102】
光路Lの長さを延ばすために、第一のレーザビームはミラー64A、64Bによって連続的に反射され、測定キャビティ66内で行ったり来たりする。
【0103】
図6において曲線(b)により示されるように、第二のレーザ源54により発せられた第二のビームから生じた第二の信号がサンプリング穴72を通じて収集される。
【0104】
この第二の信号は第一の信号を検出した同じ検出器56により検出され、検出器56により検出されたデータは保存されることを目的としてデータ収集ユニット92に送信される。
【0105】
測定は第一のフェーズと第二のフェーズで同じ検出器56を使って連続的に行われるため、これらにより、それぞれ第一の気体の量と第二の気体の量を表す2つの波長λ1、λ2の光強度を特定できる。
【0106】
ドローン10がそのミッションを終えて地上に戻ると、検出器56により測定され、データ収集ユニット92のメモリ内に保存されたスペクトルが伝送システム20によってモニタリングステーションに伝送される。
【0107】
モニタリングステーションでは、これらのスペクトルはドローン10の地理的位置に関するデータ(このデータは位置特定及び制御システム32により測定される)に関連付けて、センサ44、46により測定された温度及び圧力並びに、任意選択的に高度センサ48により測定された高度と、また各測定が行われた時間と共に保存される。
【0108】
したがって、本発明によるドローン10は特に小型軽量である。それでもなお、精密で信頼性の高いデータを取得でき、少なくとも2つの異なるレーザ源52、54に関連する単一の検出器56の存在により、困難な環境で、例えば産業施設の近辺で、大気中に存在する2種類の気体の少なくとも2つの量を推定できる。
【0109】
それゆえ、同じ測定セル50の中で、2種類の気体の各々の量を表すデータをほぼ同時に、選択的且つ実践的に測定することができる。
【0110】
1つの変形型において、ドローン10はシャーシ12内の機上搭載計算ユニット100を含む。計算ユニット100は、何れかの時点で検出器56により収集されたデータ、特に何れかの時点で測定された光強度スペクトルを、少なくとも2種類の気体の量を検出器56により収集された代表データ及び事前較正に基づいて計算することを目的として処理することができる。
【0111】
データ伝送システム20はすると、光強度スペクトルデータの代わりに、計算ユニット100により計算された量の値を伝送することができ、これによってリアルタイムで伝送すべきデータの量が減少し、2種類の気体の量に関するより多くの測定値をリアルタイムで取得できる。
【0112】
他の変形型において、ドローン10は前述の測定セル50と同様の構造の複数の測定セル50を含み、各々は少なくとも2種類の気体の検出に専用である。
【0113】
これまで説明した例では、第一のレーザ源52及び第二のレーザ源54の各レーザコンポーネントは、例えばレーザダイオードである。レーザダイオードは、半導体に基づいて製作される光電子コンポーネントである。これはコヒーレントな単色光を発出する。
【0114】
これは例えば、3つの特徴、すなわちn型閉じ込め層、アクティブ領域、及びp型閉じ込め層を有する半導体接合で形成される。ダイオードは例えば、分布帰還型レーザダイオードである。
【0115】
前述のように、測定セル50は測定キャビティ66内の、その量が測定対象である気体と接触するレーザ光の直接吸収を利用する。したがって、これは直接レーザ吸収分光測定を実行するための測定セル50の問題である。
【0116】
測定キャビティ66により、第一のレーザ源52から、又は第二のレーザ源54から注入されたレーザビームは、光路の長さを延ばすことを目的として、複数回反射させることができる。測定セルはそれゆえ、マルチパス分光測定セル、又はヘリオットセルである。
【符号の説明】
【0117】
10 ドローン
12 シャーシ
18 制御システム
20 データ伝送システム
28 推進装置
40 センサ
42 ダンパ
44 温度測定センサ
46 圧力測定センサ
48 高度測定センサ
50 測定セル
52 第一のレーザ源
54 第二のレーザ源
56 検出器
58 金属熱交換プレート
60 ホルダ
66 測定キャビティ
94 熱交換器
96 ケーシング
100 計算ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】