(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(54)【発明の名称】ポータブル型の酸素濃縮器における電力管理
(51)【国際特許分類】
A61M 16/10 20060101AFI20230510BHJP
【FI】
A61M16/10 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559361
(86)(22)【出願日】2021-03-22
(85)【翻訳文提出日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 SG2021050152
(87)【国際公開番号】W WO2021194416
(87)【国際公開日】2021-09-30
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522043172
【氏名又は名称】レスメド・アジア・プライベート・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】RESMED ASIA PTE. LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】500046450
【氏名又は名称】レスメド・プロプライエタリー・リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】522381373
【氏名又は名称】レスメド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】ユエン,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】マウン,キィ・トゥ
(72)【発明者】
【氏名】グウィー,ヨン・サーン
(72)【発明者】
【氏名】チー,レオン・キー
(72)【発明者】
【氏名】ジャガディーサン,プラヴィーン
(72)【発明者】
【氏名】ナヴァロ,レックス・ダエル
(72)【発明者】
【氏名】ローリヒ,ヘンリー
(72)【発明者】
【氏名】マルーフ,ゴードン・ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】タン,テクウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,メイイー
(72)【発明者】
【氏名】ティン,タイリャン
(57)【要約】
酸素濃縮器の電力消費の管理のためのシステムおよび方法が開示される。酸素濃縮システムは、圧縮システムと、キャニスタシステムと、1つ以上のプロセッサと、圧力センサまたは動きセンサのうち少なくとも1つとを含み得る。1つ以上のプロセッサは、酸素濃縮システムを処方動作モードまたはスタンバイ動作モードのうち少なくとも1つへ移行させるように構成され得る。移行のタイミングは、圧力センサによって生成された圧力信号から検出された呼吸数または動きセンサによって生成された動き信号の推定エネルギー容量のうち少なくとも1つに基づき得る。所定の体積または濃度の酸素富化空気は、処方動作モード時にユーザへ供給され得る。スタンバイ動作モード時において、低減された電力が圧縮システムへ提供され得る。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素濃縮システムであって、
周囲空気の加圧ストリームを生成するように構成された圧縮システムと、
ガス分離吸着剤を含むキャニスタを含むキャニスタシステムであって、前記ガス分離吸着剤は、前記周囲空気の加圧ストリームから少なくとも一定の窒素を分離して酸素富化空気を生成するように構成される、キャニスタシステムと、
圧力信号を生成するように構成された圧力センサであって、前記圧力センサは、ユーザに前記酸素富化空気を提供するために送達導管へ空気圧的に連結される、圧力センサと、
前記圧力センサへ通信可能に連結された1つ以上のプロセッサと、
を含み、
前記1つ以上のプロセッサは、 前記圧力センサによって生成された前記圧力信号をトリガ閾値と比較して前記ユーザの呼吸を検出することと、 第1の所定の期間において検出された呼吸数が第1の所定の閾値よりも高い場合に前記酸素濃縮システムを処方動作モードへ移行させることであって、前記処方動作モード時において所定の体積または濃度の酸素富化空気が前記酸素濃縮システムによって前記ユーザへ供給される、ことと、
第2の所定の期間において検出された呼吸数が第2の所定の閾値よりも低い場合に前記酸素濃縮システムをスタンバイ動作モードへ移行させることであって、前記スタンバイ動作モード時において、前記圧縮システムへ提供される電力が低減される、ことと、
を行うように構成されている、酸素濃縮システム。
【請求項2】
前記所定の体積または濃度の酸素富化空気は、前記処方動作モード時において一連のボーラスとして前記酸素濃縮システムによって前記ユーザへ供給される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記処方動作モードは、ハイブリッドモードの送達を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記スタンバイ動作モード時において、前記所定の体積または濃度の酸素富化空気と比較してより低い体積または濃度の酸素富化空気が前記酸素濃縮システムによって前記ユーザへ供給される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記スタンバイ動作モード時において、酸素富化空気は、前記酸素濃縮システムによって前記ユーザへ供給されない、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記圧縮システムは、前記スタンバイ動作モード時において電力がオフにされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記圧力センサは、前記スタンバイ動作モード時において電力がオンにされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記酸素濃縮システムは、内部電源を含むポータブル型の酸素濃縮器である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
酸素濃縮システムであって、
周囲空気の加圧ストリームを生成するように構成された圧縮システムと、
ガス分離吸着剤を含むキャニスタを含むキャニスタシステムであって、前記ガス分離吸着剤は、前記周囲空気の加圧ストリームから少なくとも一定の窒素を分離して酸素富化空気を生成するように構成される、キャニスタシステムと、
動き信号を生成するように構成された動きセンサと、
前記動きセンサへ通信可能に連結された1つ以上のプロセッサと、
を含み、
前記1つ以上のプロセッサは、
第1の所定の期間において前記動きセンサによって生成された前記動き信号の推定エネルギー容量が第1の所定の閾値よりも高い場合に前記酸素濃縮システムを処方動作モードへ移行させることであって、前記処方動作モード時において所定の体積または濃度の酸素富化空気が前記酸素濃縮システムによってユーザへ供給される、ことと、 第2の所定の期間において前記動きセンサによって生成された前記動き信号の推定エネルギー容量が第2の所定の閾値よりも低い場合に前記酸素濃縮システムをスタンバイ動作モードへ移行させることであって、前記スタンバイ動作モード時において、前記圧縮システムへ提供される電力が低減される、ことと、
を行うように構成されている、酸素濃縮システム。
【請求項10】
前記動きセンサは、前記スタンバイ動作モード時において電力がオンにされる、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記動きセンサは、前記ユーザに前記酸素富化空気を提供するために送達導管へ連結された加速度計を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記動きセンサは、前記ユーザに前記酸素富化空気を提供するために送達導管へ連結された歪みゲージを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
圧力信号を生成するように構成された圧力センサであって、前記ユーザに酸素富化空気を提供するために送達導管へ空気圧的に連結される、圧力センサをさらに含み、
前記1つ以上のプロセッサは、前記圧力センサへ通信可能に連結され、
前記1つ以上のプロセッサは、
前記圧力センサから得られた初期圧力信号と前記動きセンサから得られた前記動き信号とに基づいてトリガ閾値を調節することと、
前記調節されたトリガ閾値を前記圧力センサから得られた後続の圧力信号を比較して、前記ユーザに酸素富化空気のボーラスを前記導管を通じて提供するタイミングを決定することと、
をさらに行うように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
圧力信号を生成するように構成された圧力センサであって、前記圧力センサは、前記ユーザに酸素富化空気を提供するために送達導管へ空気圧的に連結される、圧力センサをさらに含み、
前記1つ以上のプロセッサは、前記圧力センサへ通信可能に連結され、
前記1つ以上のプロセッサは、
前記圧力センサによって生成された前記圧力信号をトリガ閾値と比較して前記ユーザの呼吸を検出することと、
(a)前記第1の所定の期間において前記動きセンサによって生成された前記動き信号の推定エネルギー容量が前記第1の所定の閾値よりも高く、かつ、(b)第3の所定の期間において検出された呼吸数が第3の所定の閾値よりも高い場合に、前記酸素濃縮システムを前記処方動作モードへ移行させることと、
(a)前記第2の所定の期間において前記動きセンサによって生成された前記動き信号の推定エネルギー容量が前記第2の所定の閾値よりも低く、かつ、(b)第4の所定の期間において検出された呼吸数が第4の所定の閾値よりも高い場合に、前記酸素濃縮システムをスタンバイ動作モードへ移行させることと、
をさらに行うように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
圧力信号を生成するように構成された圧力センサであって、前記圧力センサは、前記ユーザに酸素富化空気を提供するために送達導管へ空気圧的に連結される、圧力センサをさらに含み、
前記1つ以上のプロセッサは、前記圧力センサへ通信可能に連結され、
前記1つ以上のプロセッサは、 前記圧力センサによって生成された前記圧力信号をトリガ閾値と比較して前記ユーザの呼吸を検出することと、
(a)第3の所定の期間において前記動きセンサによって生成された前記動き信号の推定エネルギー容量が第3の所定の閾値よりも高く、かつ、(b)第4の所定の期間において検出された呼吸数が第4の所定の閾値よりも高い場合に、前記酸素濃縮システムを前記処方動作モードへ移行させることと、
(a)第5の所定の期間において前記動きセンサによって生成された前記動き信号の推定エネルギー容量が第5の所定の閾値よりも低く、かつ、(b)第6の所定の期間において検出された呼吸数が第6の所定の閾値よりも高い場合に、前記酸素濃縮システムをスタンバイ動作モードへ移行させることと、
をさらに行うように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
前記1つ以上のプロセッサは、
第7の所定の期間において検出された呼吸数が第7の所定の閾値よりも高い場合に前記酸素濃縮システムを前記処方動作モードへ移行させることと、
第8の所定の期間において検出された呼吸数が第8の所定の閾値よりも低い場合に前記酸素濃縮システムを前記スタンバイ動作モードへ移行させることと、
をさらに行うように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記酸素濃縮システムは、内部電源を含むポータブル型の酸素濃縮器である、請求項9に記載のシステム。
【請求項18】
酸素濃縮システムを動作させる方法であって、
前記酸素濃縮システムは、
周囲空気の加圧ストリームを生成するように構成された圧縮システムと、
ガス分離吸着剤を含むキャニスタを含むキャニスタシステムであって、前記ガス分離吸着剤は、前記周囲空気の加圧ストリームから少なくとも一定の窒素を分離して酸素富化空気を生成するように構成される、キャニスタシステムと、
(a)圧力信号を生成するように構成された圧力センサであって、ユーザに前記酸素富化空気を提供するために送達導管へ空気圧的に連結される、圧力センサ、または、(b)動き信号を生成するように構成された動きセンサ、のうち少なくとも1つと、
を含み、
前記方法は、
(a)第1の所定の期間において前記圧力センサによって生成された前記圧力信号から検出された呼吸数が第1の所定の閾値よりも高い場合、または、(b)第2の所定の期間において前記動きセンサによって生成された前記動き信号の推定エネルギー容量が第2の所定の閾値よりも高い場合、のうち少なくとも1つにおいて、前記酸素濃縮システムを処方動作モードへ移行させることであって、前記処方動作モード時において所定の体積または濃度の酸素富化空気が前記酸素濃縮システムによって前記ユーザへ供給される、ことと、
(a)第3の所定の期間において前記圧力センサによって生成された前記圧力信号から検出された呼吸数が第3の所定の閾値よりも低い場合、または、(b)第4の所定の期間において前記動きセンサによって生成された前記動き信号の推定エネルギー容量が第4の所定の閾値よりも低い場合、のうち少なくとも1つにおいて、前記酸素濃縮システムをスタンバイ動作モードへ移行させることであって、前記スタンバイ動作モード時において、前記圧縮システムへ提供される電力が低減される、ことと、
を含む、方法。
【請求項19】
前記所定の体積または濃度の酸素富化空気は、前記処方動作モード時において一連のボーラスとして前記酸素濃縮システムによって前記ユーザへ供給される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記圧縮システムは、前記スタンバイ動作モード時において電力がオフにされる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記酸素濃縮システムは、内部電源を含むポータブル型の酸素濃縮器である、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
I.関連出願の相互参照
本願は、米国仮出願第63/000813号(タイトル:「Breath Detection with Movement Compensation」、出願日:2020年3月27日)、豪州仮出願第2020901121号(タイトル:「Methods and Apparatus for Treating a Respiratory Disorder」、出願日:2020年4月8日)および米国仮出願第62/705492号(タイトル:「Power Management in Portable Oxygen Concentrators」、出願日:2020年6月30日)に対する優先権を主張し、その全てを、本明細書中参考のため援用する。
【0002】
II.技術の分野
本技術は、主として、呼吸障害の治療のための方法および装置(例えば、酸素富化空気の生成のために圧力制御スイング吸着を用いたもの)に関する。このような方法は、酸素濃縮器において実行され得る。いくつかの例において、より詳細には、本技術は、ポータブル型の酸素濃縮器の電力消費の管理のためのそのような方法および装置に関連する。
【背景技術】
【0003】
III.関連技術の説明
A.ヒトの呼吸器系およびその障害
身体の呼吸器系は、ガス交換を促進させる。鼻および口は、患者の気道への入口を形成する。
【0004】
これらの気道は、一連の枝管を含み、これらの管は、肺の奥深くに進むほど狭く、短くかつ多数になる。肺の主要な機能はガス交換であり、吸息された空気から酸素を静脈血中へ取り入れさせ、二酸化炭素を流出させる。気管は、右および左の主気管支に分かれ、これらの主気管支はさらに分かれて、最終的に終末細気管支となる。気管支は、誘導気道を構成するものであり、ガス交換には関与しない。気道がさらに分割されると呼吸細気管支となり、最終的には肺胞となる。肺の胞状の領域においてガス交換が行われ、この領域を呼吸ゾーンと呼ぶ。以下を参照されたい:「Respiratory Physiology」, by John B. West, Lippincott Williams & Wilkins, 9th edition published 2012。
【0005】
一連の呼吸障害が存在する。呼吸障害の例には、呼吸不全、肥満過換気症候群(OHS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経筋疾患(NMD)および胸壁障害が含まれる。
【0006】
呼吸不全とは、呼吸障害の総称であり、患者の需要を満たすための充分な酸素吸気または充分なCO2呼息を肺が行うことができていないことを指す。呼吸不全は、以下の障害のうちいくつかまたは全てを包含し得る。
【0007】
呼吸不全(一種の呼吸不全)の患者は、運動時に異常な息切れを経験することがある。
【0008】
肥満過換気症候群(OHS)は、低換気の原因が他に明確に無い状態における、重症肥満および覚醒時慢性高炭酸ガス血症の組み合わせとして定義される。症状には、呼吸困難、起床時の頭痛と過剰な日中の眠気が含まれる。
【0009】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、特定の共通する特性を有する下気道疾患のグループのうちのいずれも包含する。これには空気の動きに対する抵抗の増加、呼吸の呼気相の延長および肺における正常な弾性の減少が含まれる。COPDの例として、気腫および慢性気管支炎がある。COPDの原因としては、慢性喫煙(第一危険因子)、職業被ばく、空気汚染および遺伝因子がある。症状を挙げると、労作時の呼吸困難、慢性咳および痰生成がある。
【0010】
神経筋疾患(NMD)は、内在筋病理を直接介してまたは神経病理を間接的に介して筋肉機能を損なう多数の疾患および病気を包含する広範な用語である。NMD患者の中には、進行性の筋肉損傷によって特徴付けられる者もあり、結果的に歩行不可能、車椅子への束縛、嚥下困難、呼吸筋力低下に繋がり、最終的には呼吸不全による死亡に繋がる。神経筋障害は、急速進行性および緩徐進行性に分けることができる。急速進行性障害は、筋肉損傷が数ヶ月にわたって悪化し、数年内に死に至る点において特徴付けられる(例えば、10代における筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD))。可変障害または緩徐進行性障害は、筋肉損傷が数年にわたって悪化し、平均余命は若干しか低下しない点において特徴付けられる(例えば、肢帯、顔面肩甲上腕型および筋緊張型筋ジストロフィー)。NMDにおける呼吸不全症状を以下に挙げる:全身衰弱の増加、嚥下障害、労作および安静時の呼吸困難、疲労、眠気、起床時の頭痛、および集中および気分の変化の困難。
【0011】
胸壁障害は、胸郭変形の1つのグループであり、呼吸筋肉と胸郭との間の連結の無効性の原因となる。これらの障害は、拘束性障害によって主に特徴付けられ、長期の炭酸過剰性呼吸不全の可能性を共有する。脊柱側弯症および脊柱後側弯症の少なくとも一方は、重篤な呼吸不全を発症することがある。呼吸不全の症状を以下に挙げる:労作時の呼吸困難、末梢浮腫、起座呼吸、反復性胸部感染症、起床時の頭痛、疲労、睡眠の質の低下、および食欲不振。
【0012】
B.呼吸治療
非侵襲的換気(NIV)、侵襲的換気(IV)および高流量治療(HFT)などの多様な呼吸治療が、上記の呼吸障害のうち1つ以上の治療のために用いられている。
【0013】
1.圧力治療
呼吸圧力治療(RPT)とは、(例えば、タンクベンチレータや陽陰圧体外式人工呼吸器(cuirass)などの陰圧治療とは異なり)患者の呼吸サイクル全体にかけて雰囲気に対して通常陽圧である制御された目標圧力において気道の入口へ空気を供給することの適用である。
【0014】
非侵襲的換気(NIV)は、上気道を通じて換気補助を患者へ提供するものであり、呼吸機能の一部または全体を行うことで、患者の呼吸の補助および身体中の適切な酸素レベルの維持の少なくとも一方を行う。換気補助は、非侵襲的患者インターフェースを介して提供される。NIVは、OHS、COPD、NMD、および胸壁障害などの形態の呼吸不全の治療に用いられている。いくつかの形態にでは、これらの治療で快適性および有効性が向上し得る。
【0015】
侵襲的換気(IV)は、自身で有効に呼吸することができなくなった患者に対して換気補助を提供し、気管切開管を用いて提供され得る。いくつかの形態では、これらの治療での快適性および有効性が向上し得る。
【0016】
2.流れ治療
全ての呼吸治療において、処方された治療圧力の送達が意図されているわけではない。いくつかの呼吸治療においては、(恐らくは正のベースライン圧力上に重畳された)吸気流量プロファイルの送達を目標持続時間にわたって行うことによる処方呼吸体積の送達が、企図されている。他の場合において、患者の気道へのインターフェースが「開放」(シール解除)されており、呼吸治療は、調整ガスまたは高濃度空気の流れによって、患者自身の自発呼吸を補助するだけのものとすることができる。一例において、高流量治療(HFT)とは、加熱され加湿された連続的な空気流れを、気道への入口に、シールされていないかまたは開口した患者インターフェースを通じて、呼吸サイクル全体にかけてほぼ一定に保持される「治療流量」で提供することである。治療流量は、患者のピーク吸気流量を超えるようにノミナル設定されている。HFTは、呼吸不全、COPDおよび他の呼吸障害の治療のために用いられている。1つの作用メカニズムとして、患者の解剖学的死腔から呼気されたCO2のフラッシングまたは押し流しが可能になるため、高流量の空気を気道入口へ提供すると、換気効率が向上する。そのため、HFTは、死腔治療(DST)と呼ばれる場合がある。他の恩恵を挙げると、(恐らくは分泌制御の恩恵による)暖かさおよび加湿の向上や、気道圧力の緩やかな上昇の可能性がある。一定の流量の代替例として、治療流量は、呼吸サイクルにわたって変動するプロファイルに追随し得る。
【0017】
別の形態の流れ治療として、長期酸素治療(LTOT)または酸素補充治療がある。医師は、指定酸素濃度(周囲空気中の酸素分率が21%~100%)の酸素富化空気の連続流を、指定流量(例えば、1リットル/分(LPM)、2LPM、3LPM)で患者気道へ送達させる旨を処方し得る。
【0018】
3.補充酸素
特定の患者の場合、加圧空気流れへの補充酸素の追加により、酸素治療が呼吸圧力治療またはHFTと組み合わされ得る。酸素が呼吸圧力治療へ追加される場合、補充酸素を用いたRPTと呼ばれる。酸素がHFTへ追加される場合、その結果得られる治療は、補充酸素を用いたHFTと呼ばれる。
【0019】
C.呼吸治療システム
これら呼吸治療は、呼吸治療システムまたはデバイスによって提供され得る。このようなシステムおよびデバイスは、疾病を治療することなく、スクリーニング、診断、または監視のためにも、用いられ得る。本明細書中に記載のような呼吸治療システムは、酸素源、空気回路および患者インターフェースを含み得る。
【0020】
1.酸素源
この分野の専門家は、呼吸不全患者の運動が、疾患進行を遅らせ、生活の質を高め、患者の寿命を延ばす長期的恩恵が得られると認識してきた。しかし、トレッドミルおよび定置式自転車などの定置型の運動は、これらの患者にとって激し過ぎる。そのため、移動性の必要性が、長く認識されている。最近まで、この移動性は、ドリーホイールを備えたカート上に取り付けられた小型圧縮酸素タンクまたはシリンダーの使用によって促進されている。これらのタンクの不利点として、酸素容量が限られており、取り付け時の重量も、約50ポンドと高重量である。
【0021】
酸素濃縮器は、呼吸治療用の酸素供給のために、約50年間使用されている。酸素濃縮器は、周期的なプロセス(例えば、真空スイング吸着(VSA)、圧力スイング吸着(PSA)または真空圧力スイング吸着(VPSA))を実行し得る。例えば、酸素濃縮器は、スイング吸着プロセス(例えば、真空スイング吸着、圧力スイング吸着または真空圧力スイング吸着(本明細書中、これらをそれぞれ、「スイング吸着プロセス」と呼ぶ))において、減圧(例えば、真空動作)および加圧(例えば、コンプレッサ動作)の少なくとも一方に基づいて機能し得る。圧力スイング吸着においては、1つ以上のコンプレッサの使用により、ガス分離吸着剤の粒子を含む1つ以上のキャニスタの内側のガス圧力が上昇され得る。このようなキャニスタが大規模なガス分離吸着剤(例えば、ガス分離吸着剤の層)を含む場合、シーブベッドと呼ばれ得る。圧力増加と共に、ガス中の特定の分子が、ガス分離吸着剤上に吸着され得る。加圧条件下においてキャニスタ中のガスの一部が除去されると、吸着されなかった分子が吸着された分子から分離される。その後、吸着された分子は、キャニスタの通気によって脱離され得る。酸素濃縮器についてのさらなる詳細が、例えば米国特許出願第12/163549号(タイトル:「Oxygen Concentrator Apparatus and Method」、2009年3月12日に米国公開第2009/0065007 A1号として公開)中に見受けられ得る。本明細書中、同文献を参考のため援用する。
【0022】
周囲空気は、およそ78%の窒素および21%の酸素を一般的に含み、そのバランスの内訳は、アルゴン、二酸化炭素、水蒸気および他の微量ガスである。酸素よりも窒素をより吸着するガス分離吸着剤を含むキャニスタ内を例えば空気などの供給ガス混合物を圧力下において通過させると、窒素の一部または全体は吸着剤によって吸着され、キャニスタから流出したガスは、酸素を豊富に含むようになる。吸着剤の窒素の吸着能力が終端に到達した場合、吸着された窒素は、通気によって脱離され得る。その後、キャニスタにおいて、別の酸素富化空気生成サイクルの準備が完了する。2キャニスタシステム中のキャニスタの加圧サイクルを交互に行うことにより、一方のキャニスタが酸素の分離(または濃縮)を行いながら(「吸着フェーズ」)、他方のキャニスタが通気を行う(その結果、空気からの酸素分離がほぼ連続的に行われる)。このような交互の実施により、窒素からの酸素分離がほぼ連続的に行われる。このようにして、ユーザへの補充酸素の提供などの多様な用途のために、酸素富化空気が、例えば保存コンテナあるいは(キャニスタへ連結された)他の加圧可能なベッセルまたは導管中に蓄積され得る。
【0023】
真空スイング吸着(VSA)により、代替のガス分離技術が得られる。VSAの場合、典型的には真空(例えば、キャニスタ内に真空を発生させるように構成されたコンプレッサ)を用いたキャニスタの分離プロセスを通じてガス引き込みを行う。真空圧力スイング吸着(VPSA)は、真空および加圧技術の組み合わせを用いたハイブリッドシステムとして理解され得る。例えば、VPSAシステムは、分離プロセスのためにキャニスタを加圧し得、キャニスタの減圧のために真空も付加し得る。
【0024】
従来の酸素濃縮器の場合、嵩高かつ高重量であるため、酸素濃縮器を装着しながら通常の歩行活動を行うことは、困難かつ非実際的である。最近、大型の定置型酸素濃縮器の製造会社は、ポータブル型の酸素濃縮器(POC)の開発を開始している。POCの利点として、理論的には酸素をエンドレスに供給でき、患者(ユーザ)に移動性を提供できる点がある。これらのデバイスを移動性のために小型化することを目的として、酸素富化空気生成に必要とされる多様なシステムが高密度化されている。重量、サイズおよび電力消費を最小限にするためには、POCは、生成された酸素の使用をできるたけ効率化する必要が有る。いくつかの実施形態において、これは、酸素を一連のパルスとして送達させることによって達成され得、各パルスまたは「ボーラス」は、吸息開始と同時発生するようにタイミングがとられる。この治療モードは、定置型酸素濃縮器により適している従来の連続流送達と対照的に、パルス型酸素送達(POD)またはデマンドモードとして公知である。PODモードは、保存部と共に実行され得る。この保存部は、本質的にはセンサ付きの活性弁であり、吸息開始を決定するために用いられる。
【0025】
2.空気回路
空気回路は、使用時において空気流れが呼吸治療システムの2つの構成要素(例えば、酸素源および患者インターフェース)間を移動するように、構築され配置された導管または管である。いくつかの場合において、吸息および呼息のための空気回路の別個の肢があり得る。他の場合において、吸息と呼息との両方のために単一の肢空気回路が用いられる。
【0026】
3.患者インターフェース
患者インターフェースは、例えば気道入口への空気流れを提供することにより呼吸装具へのインターフェースを着用者へ提供するために、用いられ得る。空気流れは、鼻および口の少なくとも一方へのマスク、口への管、または、患者気管への気管切開管を介して提供され得る。適用される治療に応じて、患者インターフェースは、(例えば患者の顔の領域との)シールを形成し得、これにより、治療実行のための周囲圧力と共に充分な分散の圧力において(例えば、例えば周囲圧力に対して約10cmH2Oの陽圧において)ガス送達を促進する。酸素送達などの他の治療形態において、患者インターフェースは、約10cmH2Oの陽圧において気道へのガス供給の送達を促進するのに充分なシールを含まない場合がある。鼻HFTなどの流れ治療の場合、患者インターフェースは、鼻孔への送気を行い(かつ完全なシールを明確に回避する)ように構成される。このような患者インターフェースの一例として、鼻カニューレがある。
【発明の概要】
【0027】
IV.本技術の簡単な説明
本技術の例によれば、酸素濃縮器(例えば、ポータブル型の酸素濃縮器(POC))の動作の制御のための方法および装置が提供され得る。詳細には、本技術によれば、POCの電力消費のための方法および装置が提供される。いくつかの実施形態において、POCは、処方動作モードおよびスタンバイ動作モードを有する。処方動作モード時において、POCは、治療圧力、体積および濃度の少なくとも1つが処方された酸素をユーザへ送達するように構成され得る。スタンバイ動作モード時において、POCは、1つ以上の構成要素へ提供される電力をオフにし得るかまたは低減し得る。いくつかの実施形態において、POCは、POCの使用の有無および使用の様態の少なくとも一方に基づいて異なる動作モード間において自動的に切り替えられるように構成され得る。
【0028】
本技術の一態様によれば、圧縮システム、キャニスタシステム、圧力センサおよび1つ以上のプロセッサを含む酸素濃縮システムが開示される。圧縮システムは、周囲空気の加圧ストリームを生成するように構成される。キャニスタシステムは、ガス分離吸着剤を含むキャニスタを含む。ガス分離吸着剤は、周囲空気の加圧ストリームから少なくとも一定の窒素を分離して酸素富化空気を生成するように構成される。圧力センサは、圧力信号を生成するように構成され、ユーザに酸素富化空気を提供するために送達導管へ空気圧的に連結される。1つ以上のプロセッサは、圧力センサへ通信可能に連結され、以下を行うように構成される:圧力センサによって生成された圧力信号をトリガ閾値と比較してユーザの呼吸を検出すること;第1の所定の期間において検出された呼吸数が第1の所定の閾値よりも高い場合に酸素濃縮システムを処方動作モードへ移行させることであって、処方動作モード時において所定の体積または濃度の酸素富化空気が酸素濃縮システムによってユーザへ供給される、こと;第2の所定の期間において検出された呼吸数が第2の所定の閾値よりも低い場合に酸素濃縮システムをスタンバイ動作モードへ移行させることであって、スタンバイ動作モード時において、圧縮システムへ提供される電力が低減される、こと。
【0029】
いくつかの実施形態において、所定の体積または濃度の酸素富化空気は、処方動作モード時において一連のボーラスとして酸素濃縮システムによってユーザへ供給される。いくつかの実施形態において、処方動作モードは、ハイブリッドモードの送達を含む。
【0030】
いくつかの実施形態において、スタンバイ動作モード時において、所定の体積または濃度の酸素富化空気と比較してより低い体積または濃度の酸素富化空気が酸素濃縮システムによってユーザへ供給される。いくつかの実施形態において、スタンバイ動作モード時において、酸素富化空気は、酸素濃縮システムによってユーザへ供給されない。いくつかの実施形態において、圧縮システムは、スタンバイ動作モード時において電力がオフにされる。いくつかの実施形態において、圧力センサは、スタンバイ動作モード時において電力がオンにされる。
【0031】
いくつかの実施形態において、酸素濃縮システムは、内部電源を含むポータブル型の酸素濃縮器である。
【0032】
本技術の別の態様によれば、圧縮システム、キャニスタシステム、動きセンサおよび1つ以上のプロセッサを含む酸素濃縮システムが開示される。圧縮システムは、周囲空気の加圧ストリームを生成するように構成される。キャニスタシステムは、ガス分離吸着剤を含むキャニスタを含む。ガス分離吸着剤は、周囲空気の加圧ストリームから少なくとも一定の窒素を分離して酸素富化空気を生成するように構成される。動きセンサは、動き信号を生成するように構成される。1つ以上のプロセッサは、動きセンサへ通信可能に連結され、以下を行うように構成される:第1の所定の期間において動きセンサによって生成された動き信号の推定エネルギー容量が第1の所定の閾値よりも高い場合に酸素濃縮システムを処方動作モードへ移行させることであって、処方動作モード時において所定の体積または濃度の酸素富化空気が酸素濃縮システムによってユーザへ供給される、こと;および第2の所定の期間において動きセンサによって生成された動き信号の推定エネルギー容量が第2の所定の閾値よりも低い場合に酸素濃縮システムをスタンバイ動作モードへ移行させることであって、スタンバイ動作モード時において、圧縮システムへ提供される電力が低減される、こと。
【0033】
いくつかの実施形態において、動きセンサは、スタンバイ動作モード時において電力がオンにされる。いくつかの実施形態において、動きセンサは、ユーザに酸素富化空気を提供するために送達導管へ連結された加速度計を含む。いくつかの実施形態において、動きセンサは、ユーザに酸素富化空気を提供するために送達導管へ連結された歪みゲージを含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、システムは、圧力信号を生成するように構成された圧力センサをさらに含む。圧力センサは、ユーザに酸素富化空気を提供するために送達導管へ空気圧的に連結される。いくつかのこのような実施形態において、1つ以上のプロセッサは、圧力センサへ通信可能に連結され、以下を行うようにさらに構成される:圧力センサから得られた初期圧力信号と動きセンサから得られた動き信号とに基づいてトリガ閾値を調節すること、および調節されたトリガ閾値を圧力センサから得られた後続の圧力信号を比較して、ユーザに酸素富化空気のボーラスを導管を通じて提供するタイミングを決定すること。
【0035】
上記したように、いくつかの実施形態において、システムは、圧力信号を生成するように構成された圧力センサをさらに含む。圧力センサは、ユーザに酸素富化空気を提供するために送達導管へ空気圧的に連結される。いくつかのこのような実施形態において、1つ以上のプロセッサは、圧力センサへ通信可能に連結され、以下を行うようにさらに構成される:圧力センサによって生成された圧力信号をトリガ閾値と比較してユーザの呼吸を検出すること;(a)第1の所定の期間において動きセンサによって生成された動き信号の推定エネルギー容量が第1の所定の閾値よりも高くかつ(b)第3の所定の期間において検出された呼吸数が第3の所定の閾値よりも高い場合に酸素濃縮システムを処方動作モードへ移行させること;および(a)第2の所定の期間において動きセンサによって生成された動き信号の推定エネルギー容量が第2の所定の閾値よりも低くかつ(b)第4の所定の期間において検出された呼吸数が第4の所定の閾値よりも高い場合に酸素濃縮システムをスタンバイ動作モードへ移行させること。
【0036】
上記したように、いくつかの実施形態において、システムは、圧力信号を生成するように構成された圧力センサをさらに含む。圧力センサは、ユーザに酸素富化空気を提供するために送達導管へ空気圧的に連結される。いくつかのこのような実施形態において、1つ以上のプロセッサは、圧力センサへ通信可能に連結され、以下を行うようにさらに構成される:圧力センサによって生成された圧力信号をトリガ閾値と比較してユーザの呼吸を検出すること;(a)第3の所定の期間において動きセンサによって生成された動き信号の推定エネルギー容量が第3の所定の閾値よりも高くかつ(b)第4の所定の期間において検出された呼吸数が第4の所定の閾値よりも高い場合に酸素濃縮システムを処方動作モードへ移行させること;および(a)第5の所定の期間において動きセンサによって生成された動き信号の推定エネルギー容量が第5の所定の閾値よりも低くかつ(b)第6の所定の期間において検出された呼吸数が第6の所定の閾値よりも高い場合に酸素濃縮システムをスタンバイ動作モードへ移行させること。いくつかのこのような実施形態において、1つ以上のプロセッサは、以下を行うようにさらに構成される:第7の所定の期間において検出された呼吸数が第7の所定の閾値よりも高い場合に酸素濃縮システムを処方動作モードへ移行させること、および第8の所定の期間において検出された呼吸数が第8の所定の閾値よりも低い場合に酸素濃縮システムをスタンバイ動作モードへ移行させること。
【0037】
いくつかの実施形態において、酸素濃縮システムは、内部電源を含むポータブル型の酸素濃縮器である。
【0038】
本技術のさらに別の態様によれば、酸素濃縮システムを動作させる方法が開示される。この酸素濃縮システムは、以下を含む:周囲空気の加圧ストリームを生成するように構成された圧縮システム;ガス分離吸着剤を含むキャニスタを含むキャニスタシステムであって、ガス分離吸着剤は、周囲空気の加圧ストリームから少なくとも一定の窒素を分離して酸素富化空気を生成するように構成される、キャニスタシステム;および(a)圧力信号を生成するように構成された圧力センサであって、圧力センサは、ユーザに酸素富化空気を提供するために送達導管へ空気圧的に連結される、圧力センサ、または、(b)動き信号を生成するように構成された動きセンサのうち少なくとも1つ。方法は、以下を含む:(a)第1の所定の期間において圧力センサによって生成された圧力信号から検出された呼吸数が第1の所定の閾値よりも高い場合または(b)第2の所定の期間において動きセンサによって生成された動き信号の推定エネルギー容量が第2の所定の閾値よりも高い場合のうち少なくとも1つにおいて酸素濃縮システムを処方動作モードへ移行させることであって、処方動作モード時において所定の体積または濃度の酸素富化空気が酸素濃縮システムによってユーザへ供給される、こと;および(a)第3の所定の期間において圧力センサによって生成された圧力信号から検出された呼吸数が第3の所定の閾値よりも低い場合または(b)第4の所定の期間において動きセンサによって生成された動き信号の推定エネルギー容量が第4の所定の閾値よりも低い場合のうち少なくとも1つにおいて酸素濃縮システムをスタンバイ動作モードへ移行させることであって、スタンバイ動作モード時において、圧縮システムへ提供される電力が低減される、こと。
【0039】
いくつかの実施形態において、所定の体積または濃度の酸素富化空気は、処方動作モード時において一連のボーラスとして酸素濃縮システムによってユーザへ供給される。いくつかの実施形態において、圧縮システムは、スタンバイ動作モード時において電力がオフにされる。いくつかの実施形態において、酸素濃縮システムは、内部電源を含むポータブル型の酸素濃縮器である。
【0040】
もちろん、上記態様の一部は、本技術の下位態様を形成し得る。また、下位態様および/または態様のうち多様な1つを多様に組み合わせることができ、本技術のさらなる態様または下位態様も構成し得る。本技術の他の特徴は、以下の詳細な説明、要約、図面および特許請求の範囲中に含まれる情報に鑑みれば明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
V.図面の簡単な説明
本技術の利点は、当業者にとって、以下の実施形態の詳細な説明の恩恵および添付図面の参照により明らかになり、添付図面において、同様の参照番号は、同様の構成要素を示す。
【
図1B】
図1Aの酸素濃縮器の空気圧システムの概略図である。
【
図1D】
図1Aの酸素濃縮器の圧縮システムの斜視側面図である。
【
図1E】熱交換導管を含む圧縮システムの側面図である。
【
図1F】
図1Aの酸素濃縮器の例示的出口構成要素の概略図である。
【
図1I】
図1Aの酸素濃縮器の分解されたキャニスタシステムの斜視図である。
【
図1K】
図1Jに示すキャニスタシステム端部の組立図である。
【
図1M】
図1Lに示すキャニスタシステム端部の組立図である。
【
図1N】
図1Aの酸素濃縮器の例示的なコントロールパネルを示す。
【
図1O】
図1Aの酸素濃縮器を含む接続された呼吸治療システムを示す。
【
図2】本技術の一形態による適応トリガシステムのブロック図である。
【
図4A】
図2のブロック図の変更されたバージョンである。
【
図4B】
図2のブロック図の変更されたバージョンである。
【
図4C】
図2のブロック図の変更されたバージョンである。
【
図4D】
図2のブロック図の変更されたバージョンである。
【
図5】本技術の一態様による、バイレベルの純度の種のハイブリッド送達モードを示すグラフを含む。
【
図6】本技術の一実施形態による、
図1Fの出口システムの改変の概略図である。
【
図7】本技術の一態様による、バイレベルの流量の種のハイブリッド送達モードを示すグラフを含む。
【
図8】本技術の一実施形態による、
図1Fの出口システムの改変の概略図である。
【
図9】酸素濃縮器による酸素富化空気の多様な送達モードを示すグラフを含む。
【発明を実施するための形態】
【0042】
VI.実施形態の詳細な説明
本技術の態様について、図面を参照しつつ詳述する。図中、同様の参照符号は、同様の要素を示している。開示の実施形態は、本技術の例に過ぎず、これらの例は多様な形態で実行され得ることが理解されるべきである。周知の機能または構造については、本開示を不要な詳細によって不明瞭にしないようにするため、詳述を控える。よって、本明細書中の開示の特定の構造および機能についての詳細は、限定的なものとして解釈されるべきではなく、ひとえに特許請求の範囲の根拠を成すものとして、かつ、当業者が本開示の実質的に任意の適切に詳述された構造を多様に用いるための当業者への教示の代表的基礎として、解釈されるべきである。
【0043】
図1A~
図1Nは、酸素濃縮器100の実施形態を示す。酸素濃縮器100は、空気ストリーム中の酸素を濃縮することにより、酸素富化空気をユーザへ提供し得る。酸素濃縮器100は、ポータブル型の酸素濃縮器であり得る。例えば、酸素濃縮器100の重量およびサイズは、酸素濃縮器を手で持ち運びできかつ/またはキャリーケースに入れて持ち運びできるような重量およびサイズになり得る。一実施形態において、酸素濃縮器100の重量は、約20ポンド未満、約15ポンド未満、約10ポンド未満または約5ポンド未満である。実施形態において、酸素濃縮器100の体積は、約1000立方インチ未満、約750立方インチ未満、約500立方インチ未満、約250立方インチ未満、または約200立方インチ未満である。
【0044】
本明細書中に記載のように、酸素濃縮器100は、(周期的な)圧力スイング吸着(PSA)プロセスを用いて、酸素富化空気を生成する。しかし、他の実施形態において、酸素濃縮器100は、周期的な真空スイング吸着(VSA)プロセスまたは周期的な真空圧力スイング吸着(VPSA)プロセスを用いて酸素富化空気を生成するように変更され得る。
【0045】
A.外側ハウジング
図1Aは、酸素濃縮器100の外側ハウジング170の実施形態を示す。いくつかの実施形態において、外側ハウジング170は、軽量プラスチックを含み得る。外側ハウジングは、圧縮システム入口105と、冷却システム受動的入口101と、外側ハウジング170の各端部における出口173と、出口ポート174と、コントロールパネル600とを含む。入口101および出口173により、冷却空気がハウジングに進入し、ハウジングを通過し、ハウジング170内から流出して、酸素濃縮器100の冷却を促進することができる。圧縮システム入口105により、圧縮システム内への空気進入が可能になる。出口ポート174は、酸素濃縮器100によって生成された酸素富化空気をユーザへ提供するための導管を取り付けるために用いられる。
【0046】
B.空気圧システム
図1Bは、実施形態による、酸素濃縮器100などの酸素濃縮器の空気圧システムの概略図である。空気圧システムは、空気ストリーム内の酸素を濃縮させて、酸素富化空気を(以下に述べる)出口システムへ提供し得る。
【0047】
酸素富化空気の生成は、キャニスタ302および304中の周囲空気の加圧によって行われ得る。キャニスタ302および304は、ガス分離吸着剤を含むため、シーブベッドと呼ばれる。酸素濃縮器中において有用に用いられるガス分離吸着剤は、少なくとも窒素を空気ストリームから分離して、酸素富化空気を生成することができる。ガス分離吸着剤の例を挙げると、空気ストリームからの窒素分離が可能な分子篩がある。酸素濃縮器内において用いられ得る吸着剤の例を非限定的に挙げると、高圧下における空気ストリームからの窒素分離を行うゼオライト(天然)または合成結晶質アルミノ珪酸塩がある。利用可能な合成結晶質アルミノ珪酸塩の例を非限定的に以下に挙げる:OXYSIV吸着剤(入手元:UOPLLC、デスプレーンズ、イリノイ州);SYLOBEAD吸着剤(入手元:W.R.Grace&Co、コロンビア、MD);SILIPORITE吸着剤(入手元:CECAS.A.、パリ、フランス);ZEOCHEM吸着剤(入手元:ZeochemAG、ウエーティコン、スイス);およびAgLiLSX吸着剤(入手元:Air Products and Chemicals、Inc.、アレンタウン、PA)。
【0048】
図1Bに示すように、空気は、空気入口105を通じて空気圧システムに進入し得る。空気は、圧縮システム200により空気入口105中へ引き込まれ得る。圧縮システム200は、酸素濃縮器の周囲から空気を引き込み、この空気を圧縮し得、これにより、圧縮空気をキャニスタ302および304の一方または双方の内部へ押し込まれ得る。実施形態において、入口マフラー108は、圧縮システム200によって空気が酸素濃縮器中へ引き込まれる際に発生する音を低減するように、空気入口105へ連結され得る。実施形態において、入口マフラー108により、水分および音が低減され得る。例えば、吸水材(例えば、ポリマー吸水材またはゼオライト材料)は、入来空気からの水の吸着と、空気入口105中へ進入する空気音の低減とをどちらとも行うために用いられ得る。
【0049】
圧縮システム200は、空気を圧縮するように構成された1つ以上のコンプレッサを含み得る。圧縮システム200によって生成された加圧空気は、キャニスタ302および304の一方または双方の内部へ供給され得る。いくつかの実施形態において、周囲空気は、キャニスタ中においておよそ13~20ポンド/平方インチのゲージ(psig)の範囲の目標圧力まで加圧され得る。キャニスタ内に配置されるガス分離吸着剤の種類に応じて、他の目標圧力値を用いてもよい。
【0050】
各キャニスタ302/304には、入口弁122/124および出口弁132/134が連結される。
図1Bに示すように、入口弁122は、キャニスタ302の「フィード端」へ連結され、入口弁124は、キャニスタ304の「フィード端」へ連結される。出口弁132はキャニスタ302へ連結され、出口弁134はキャニスタ304へ連結される。入口弁122/124は、圧縮システム200から各キャニスタへの空気の通過の制御するために用いられる。出口弁132/134は、各キャニスタからの排気ガスを雰囲気へ通気させるために使用される。いくつかの実施形態において、入口弁122/124および出口弁132/134は、シリコンプランジャーソレノイド弁であり得る。しかし、他の種類の弁を用いてもよい。プランジャー弁の場合、静音性があり、かつずれが小さい点において、他の種類の弁よりも有利である。
【0051】
いくつかの実施形態において、2段弁作動電圧が、入口弁122/124および出口弁132/134の制御のために生成され得る。例えば、入口弁を開放させるために、高電圧(例えば、24V)が入口弁へ付加され得る。次に、電圧を(例えば7V)へ低下させると、入口弁の開放状態が維持される。弁開放状態を維持するための電圧が低いほど、使用電力も低くなり得る(電力=電圧*電流)。このように電圧が低下すると、発熱および消費電力が最小化され、電力供給部180(以下に述べる)からのランタイムが延びる。弁への電力が断ち切られると、弁はバネ作用によって閉鎖する。いくつかの実施形態において、電圧は、必ずしも段階的応答ではない時間の関数として付加され得る(例えば、初期24Vから最終7Vへの曲線状の電圧低下)。
【0052】
実施形態において、加圧空気は、キャニスタ302または304のうち1つの内部へ送られ、他方のキャニスタは通気される。例えば、使用時に、入口弁122は開放され、入口弁124は閉鎖される。圧縮システム200からの加圧空気は、キャニスタ302中へ押し込まれる一方、キャニスタ304中への進入は入口弁124によって阻止される。実施形態において、コントローラ400は、弁122,124,132および134へ電気的に連結される。コントローラ400は、メモリ420中に保存されたプログラム命令を実行することが可能なプロセッサ410を1つ以上含む。これらのプログラム命令は、本明細書中により詳細に記載の方法のような、酸素濃縮器の動作に用いられる多様な事前定義された方法をコントローラが行うように構成される。プログラム命令は、入口弁122および124を相互に逆位相で動作させる(例えば、入口弁122または124のうち一方が開放しているとき、他方の弁が閉鎖している)ためのプログラム命令を含み得る。キャニスタ302の加圧時において、出口弁132は閉鎖され、出口弁134は開放される。入口弁と同様に、出口弁132および134は、相互に逆位相に動作される。いくつかの実施形態において、電圧、ならびに入力弁および出力弁の開放に用いられる電圧の持続時間は、コントローラ400によって制御され得る。また、コントローラ400に含まれ得るトランシーバ430は、外部デバイスと通信して、プロセッサ410によって集められたデータを送信するかまたはプロセッサ410への命令を外部デバイスから受信し得る。
【0053】
チェック弁142および144は、キャニスタ302および304の「製品端」それぞれへ連結される。チェック弁142および144は、キャニスタの加圧および通気時に発生する圧力差によって受動的に動作する一方向弁であってもよく、または活性弁であってもよい。チェック弁142および144は、キャニスタの加圧時に生成された酸素富化空気が各キャニスタから流出でき、かつ、酸素富化空気または他の任意のガスのキャニスタ内への逆流を阻止できるように、キャニスタへ連結される。このようにして、チェック弁142および144は、加圧時において各キャニスタからの酸素富化空気の流出を可能にする一方向弁として機能する。
【0054】
本明細書中用いられるように、「チェック弁」という用語は、流体(ガスまたは液体)の一方向への流れを可能にしかつ流体の逆流を阻止する弁を指す。「流体」という用語は、ガスまたはガスの混合物(例えば、空気)を含み得る。利用に適したチェック弁の例を以下に非限定的に挙げる:ボールチェック弁;ダイヤフラムチェック弁;バタフライチェック弁;スイングチェック弁;ダックビル弁;アンブレラ弁;およびリフトチェック弁。加圧下において、加圧された周囲空気中の窒素分子は、加圧されたキャニスタ内のガス分離吸着剤によって吸着される。圧力が増加すると、キャニスタ内のガスに含まれる酸素が多くなるまで、より多くの窒素が吸着される。吸着されなかったガス分子(主に酸素)は、圧力が、キャニスタへ連結されたチェック弁の抵抗を充分に越える値に到達すると、加圧されたキャニスタから流出する。一実施形態において、前方方向におけるチェック弁の圧力低下は、1psi未満である。逆方向における破壊圧力は、100psiを超える。しかし、1つ以上の構成要素の変更により、これらの弁の動作パラメータも変化することが理解されるべきである。前方流れ圧力が増加すると、酸素富化空気生成が一般的に低下する。逆流のための破壊圧力が低下した場合または低すぎる値に設定された場合、酸素富化空気圧力も概して低下する。
【0055】
例示的実施形態において、キャニスタ302は、圧縮システム200中において生成されてキャニスタ302中に送られた圧縮空気によって加圧される。キャニスタ302の加圧時において、入口弁122は開放され、出口弁132は閉鎖され、入口弁124は閉鎖され、出口弁134は開放される。出口弁132が閉鎖されると、出口弁134が開放され、これにより、キャニスタ302の加圧時におけるキャニスタ304の雰囲気への実質的な同時通気が可能になる。
【0056】
一定時間の後、キャニスタ302内の圧力は、チェック弁142を開放させるのに十分となる。キャニスタ302中に生成された酸素富化空気は、チェック弁142を通過し、一実施形態において、アキュムレータ106内に集められる。
【0057】
さらに一定時間後、キャニスタ302中のガス分離吸着剤が窒素によって飽和されて、入来空気から有意な量の窒素を分離できなくなる。これは、所定の時間の酸素富化空気生成後に到達することが多い。上記の実施形態において、キャニスタ302中のガス分離吸着剤がこの飽和点に到達すると、圧縮空気の流入が停止され、キャニスタ302が通気されて、窒素が除去される。キャニスタ302の通気時において、入口弁122は閉鎖され、出口弁132は開放される。キャニスタ302の通気時において、キャニスタ304への加圧により、酸素富化空気の生成を上記した方法と同じ方法で行う。キャニスタ304の加圧は、出口弁134の閉鎖および入口弁124の開放によって達成される。一定期間後、酸素富化空気は、チェック弁144を通じてキャニスタ304から流出する。
【0058】
キャニスタ302の通気時において、出口弁132が開放すると、排気ガス(主に窒素)を濃縮器出口130を通じてキャニスタ302から雰囲気へ流出させることが可能になる。実施形態において、通気された排気ガスをマフラー133を通じて方向付けることにより、キャニスタからの加圧ガスの放出に起因して発生するノイズを低減することができる。排気ガスがキャニスタ302から通気されると、キャニスタ302中の圧力が低下するため、窒素がガス分離吸着剤から脱離される。窒素の脱離により、キャニスタ302中の吸着剤は、空気ストリームからの窒素の新たな分離が可能な状態にリセットされる。マフラー133は、酸素濃縮器から流出したガスの音を消音するための連続気泡発泡体(または別の材料)を含み得る。いくつかの実施形態において、空気入力および酸素富化空気出力のための消音構成要素/技術の組み合わせにより、50デシベルを下回る音レベルにおいて酸素濃縮器を動作させることが可能となり得る。
【0059】
キャニスタの通気時において、窒素のうち少なくとも大部分が除去されると有利である。実施形態において、キャニスタが再利用されて空気からの窒素を分離する前に、キャニスタ中の窒素のうち少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または実質的に全てが除去される。
【0060】
いくつかの実施形態において、酸素富化空気ストリームを一方のキャニスタまたは保存されている酸素富化空気から他方のキャニスタ内へ導入させると、窒素脱離が促進され得る。例示的実施形態において、キャニスタ304が通気されているときに、酸素富化空気の一部がキャニスタ302からキャニスタ304へ移送され得る。キャニスタ304の通気時において酸素富化空気をキャニスタ302からキャニスタ304へ移送すると、吸着剤に隣接する窒素の分圧低下により、吸着剤からの窒素脱離が促進される。酸素富化空気の流れにより、脱離された窒素(および他のガス)のキャニスタからのパージも促進される。実施形態において、酸素富化空気は、2つのキャニスタ間の流れ制限器151、153および155を通じて移動し得る。流れ制限器151は、トリクル流れ制限器であり得る。流れ制限器151は、例えば0.009D流れ制限器であり得る(例えば、流れ制限器の半径0.009”は、内部の管の直径未満である)。流れ制限器153および155は、0.013D流れ制限器であり得る。他の種類およびサイズの流れ制限器も企図され、キャニスタの連結に用いられる特定の構成および配管に応じて用いられ得る。いくつかの実施形態において、流れ制限器は、圧入流れ制限器であり得、各導管中の直径を狭くすることにより、空気流を制限する。いくつかの実施形態において、圧入流れ制限器は、サファイア、金属またはプラスチック製であり得る(他の材料も企図される)。
【0061】
キャニスタの間の酸素富化空気の流れは、弁152および弁154の利用によっても制御される。弁152および154は、通気プロセス時において短い持続時間にわたって開放され得(および他の場合に閉鎖され得)、これにより、パージされているキャニスタからの過度の酸素損失を防止する。他の持続時間も、企図される。例示的な実施形態において、キャニスタ302は通気され、キャニスタ304中において生成された酸素富化空気の一部をキャニスタ302中に送ることにより、キャニスタ302をパージすることが望ましい。酸素富化空気の一部は、キャニスタ304が加圧されると、キャニスタ302の通気時において流れ制限器151を通じてキャニスタ302中へ移動する。さらなる酸素富化空気が、キャニスタ304から弁154および流れ制限器155を通じてキャニスタ302中へ送られる。弁152は、移送プロセス中において閉鎖させたままでもよいし、あるいは、さらなる酸素富化空気が必要な場合は開放させたままでもよい。適切な流れ制限器151および155の選択と、弁154の開放制御とにより、制御された量の酸素富化空気をキャニスタ304からキャニスタ302へ送ることが可能になる。実施形態において、制御された量の酸素富化空気とは、キャニスタ302をパージし、かつ、キャニスタ302の通気弁132を通じた酸素富化空気の損失を最小化するのに充分な量である。一実施形態において、キャニスタ302の通気について述べているが、同じプロセスを流れ制限器151、弁152および流れ制限器153を用いたキャニスタ304の通気のために用いることが可能であることが理解されるべきである。
【0062】
一対の均圧/通気弁152/154が流れ制限器153および155と協働することにより、これら2つのキャニスタ間のガス流れバランスが最適化される。その結果、キャニスタのうち一方のパージのための流量制御が、キャニスタのうち他方からの酸素富化空気により向上可能となる。また、これら2つのキャニスタ間の流れ方向も向上する。流れ弁152/154は、2方向弁として動作し得るが、このような弁を通じた流量は、弁を通過する流体の方向によって異なることが分かっている。例えば、キャニスタ304から弁152を通じてキャニスタ302へ流れる酸素富化空気の流量は、キャニスタ302から弁152を通じてキャニスタ304へ流れる酸素富化空気の流量よりも高い。単一の弁が用いられた場合、キャニスタ間において送られる酸素富化空気は最終的に過度に多くなるかまたは少なくなり、時間と共にキャニスタからは異なる量の酸素富化空気が経時的に生成され始める。対向する弁および流れ制限器を平行な空気経路上において用いると、2つのキャニスタ間の酸素富化空気の流れパターンが均等化され得る。このような流れの均等化により、一定量の酸素富化空気を複数のサイクルにわたってユーザへ利用可能にすることが可能になり得、また、他方のキャニスタをパージするための酸素富化空気の体積の予測も可能になり得る。いくつかの実施形態において、空気経路に絞り弁を設けなくてもよいが、あるいは、弁に内蔵抵抗を設けるかまたは空気経路そのものの半径を小さくして抵抗を提供するようにしてもよい。
【0063】
場合によっては、酸素濃縮器を一定期間にわたって停止してもよい。酸素濃縮器を停止した場合、圧縮システムからの断熱損失の結果として、キャニスタの内部温度が低下し得る。温度が低下すると、キャニスタ内でガスにより占められる体積が低下する。キャニスタが低温になると、キャニスタ内が負圧になり得る。キャニスタに繋がる弁およびキャニスタから延びる弁(例えば、弁122,124,132および134)は、気密的にシールされるのではなく、動的にシールされる。そのため、停止後、圧力差に対応するために外部空気がキャニスタに進入し得る。外部空気がキャニスタに進入すると、外部空気中の水分は、ガス分離吸着剤によって吸着され得る。キャニスタ内の水分が吸着すると、ガス分離吸着剤が徐々に劣化し得、ガス分離吸着剤の酸素富化空気生成能力が徐々に低下する。
【0064】
実施形態において、双方のキャニスタを停止する前に加圧することにより、酸素濃縮器の停止後に外部空気がキャニスタに進入する事態を回避することができる。キャニスタを陽圧下において保存することにより、キャニスタ内の空気の内部圧力により、弁を気密的に閉鎖された位置へ押し込むことができる。実施形態において、停止時におけるキャニスタ中の圧力は、少なくとも周囲圧力よりも高くすべきである。本明細書中用いられるように、「周囲圧力」という用語は、酸素濃縮器が配置されている周囲の圧力を指す(例えば、室内の圧力、室外の圧力、飛行機内の圧力)。実施形態において、停止時におけるキャニスタ中の圧力は、少なくとも標準的雰囲気圧力よりも高い(例えば、760mmHg(Torr)、1atm、101,325Paよりも高い)。実施形態において、停止時におけるキャニスタ中の圧力は、少なくとも周囲圧力の約1.1倍であり、少なくとも周囲圧力の約1.5であるか、または少なくとも周囲圧力の約2倍である。
【0065】
実施形態において、加圧空気を圧縮システムから各キャニスタ中へ方向付けて全ての弁を閉鎖させて、加圧空気をキャニスタ中に閉じ込めることにより、キャニスタの加圧を達成することができる。例示的実施形態において、停止シーケンスが開始されると、入口弁122および124が開放され、出口弁132および134は閉鎖される。入口弁122および124は、共通導管によって接合されているため、キャニスタ302および304双方を空気として加圧可能であるか、1つのキャニスタからの酸素富化空気を他方のキャニスタへ移送可能であるか、あるいは、その両方が可能である。この状況は、圧縮システムと2つの入口弁との間の経路においてこのような移送が行われた場合に発生し得る。酸素濃縮器は、交互の加圧/通気モードにおいて動作するため、キャニスタのうち少なくとも1つを任意の所与の時期において加圧状態にする必要がある。代替実施形態において、圧力は、圧縮システム200の動作によって各キャニスタ中において増加され得る。入口弁122および124が開放されると、キャニスタ302および304間の圧力が均等化されるが、いずれかのキャニスタ中の均等化された圧力は、停止時に空気がキャニスタに進入する事態を阻止するのには不十分であり得る。キャニスタへの空気進入を確実に阻止するために、双方のキャニスタ中の圧力を少なくとも周囲圧力を超えるレベルまで増加させるだけの充分な時間にわたって圧縮システム200を動作させることができる。キャニスタの加圧方法に関わらず、キャニスタが加圧された後、入口弁122および124は閉鎖されるため、加圧空気はキャニスタ中に閉じ込められ、その結果、停止期間時においてキャニスタへの空気進入が阻止される。
【0066】
C.圧縮システム
図1Cを参照して、酸素濃縮器100の実施形態が図示される。酸素濃縮器100は、圧縮システム200と、キャニスタシステム300と、外側ハウジング170内に配置された電力供給部180とを含む。入口101を外側ハウジング170内に設けることにより、環境からの空気が酸素濃縮器100に進入することが可能になる。入口101により、区画内への空気流入が可能になるため、区画内の構成要素の冷却が促進される。電力供給部180は、酸素濃縮器100の電力源を供給する。圧縮システム200は、入口105およびマフラー108を通じて空気を引き込む。マフラー108は、圧縮システムによって引き込まれる空気のノイズが低減することができ、また、入来空気から水分を除去するための乾燥剤材料も含み得る。酸素濃縮器100は、出口173を介した酸素濃縮器からの空気および他のガスの通気に用いられるファン172をさらに含み得る。
【0067】
いくつかの実施形態において、圧縮システム200は、1つ以上のコンプレッサを含む。別の実施形態において、圧縮システム200は、キャニスタシステム300の全キャニスタへ連結された単一のコンプレッサを含む。
図1Dおよび
図1Eを参照すると、コンプレッサ210およびモータ220を含む圧縮システム200が図示されている。モータ220は、コンプレッサ210へ連結され、圧縮機構を動作させるための動作力をコンプレッサへ提供する。例えば、モータ220は、回転可能構成要素を提供するモータであり得る。この回転可能構成要素により、空気を圧縮するコンプレッサの構成要素の周期運動が発生する。コンプレッサ210がピストン型コンプレッサである場合、モータ220により、コンプレッサ210のピストンの往復運動を発生させる動作力が得られる。ピストンの往復運動により、圧縮空気がコンプレッサ210によって生成される。圧縮空気の圧力は、コンプレッサの動作圧力(例えば、ピストンの往復運動速度)によって、ある程度推定され得る。そのため、モータ220は、可変速モータであり得、コンプレッサ210によって生成される空気の圧力を動的に制御するために、多様な速度において動作することができる。
【0068】
一実施形態において、コンプレッサ210には、ピストンを有する単一のヘッドウォブル型コンプレッサが含まれる。他の種類のコンプレッサも用いられ得る(例えば、ダイヤフラムコンプレッサおよび他の種類のピストンコンプレッサ)。モータ220は、DCまたはACモータであり得、コンプレッサ210の圧縮構成要素へ動作力を提供する。モータ220は、実施形態において、ブラシレスDCモータであり得る。モータ220は、可変速モータであり得、コンプレッサ210の圧縮構成要素を可変速において動作させるように構成される。
図1Bに示すように、モータ220は、コントローラ400へ連結され得る。コントローラ400は、モータ動作の制御のために、動作信号をモータへ送る。例えば、コントローラ400は、モータをオンにすること、モータをオフにすること、および、モータの動作速度を設定すること、を行うための信号をモータ220へ送り得る。よって、
図1Bに示すように、圧縮システム200は、速度センサ201を含み得る。速度センサ201は、モータ速度変換器であり得、モータ220の回転速度および圧縮システム200の別の往復動作の周波数の少なくとも一方の決定に用いられる。例えば、モータ速度変換器201からのモータ速度信号は、コントローラ400へ提供され得る。速度センサまたはモータ速度変換器201は、例えばホール効果センサであり得る。コントローラ400は、速度信号、および、酸素濃縮器100の他の任意のセンサ信号(例えば、圧力センサ(例えば、アキュムレータ圧力センサ107))の少なくとも一方に基づいて、圧縮システム200をモータ220を介して動作させ得る。よって、
図1Bに示すように、コントローラ400は、センサ信号(例えば、速度センサ201からの速度信号およびアキュムレータ圧力センサ107からのアキュムレータ圧力信号)を受信する。このような信号(単数または複数)により、コントローラ400は、圧縮システム200の動作のために、センサ信号(例えば、アキュムレータ圧力、および、本明細書中により詳細に述べるようなモータ速度の少なくとも一方)に基づいて1つ以上の制御ループ(例えば、フィードバック制御)を実行し得る。
【0069】
圧縮システム200は、本質的にかなりの熱を生成する。熱は、モータ220による電力消費、および、電力から機械的運動への変換によって発生する。コンプレッサ210は、空気圧縮によるコンプレッサ構成要素の動きに対する抵抗増加に起因して熱を発生させる。コンプレッサ210による空気の断熱圧縮によっても、熱が本質的に発生される。そのため、空気の連続的加圧により、封入容器中に熱が発生する。さらに、電力供給部180は、圧縮システム200への給電時において熱を生成し得る。さらに、酸素濃縮器のユーザは、屋内よりも周囲温度が高温となる可能性がある、空調のない環境(例えば、屋外)においてデバイスを動作させ得るため、入来空気は既に加熱状態になる。
【0070】
酸素濃縮器100内において熱が発生すると、問題になり得る。リチウムイオン電池は、長寿命および軽量であるため、主に酸素濃縮器の電力供給部として用いられる。しかし、リチウムイオン電池パックは高温では危険であるため、安全制御が酸素濃縮器100に採用され、危険なほど高い電力供給部の温度が検出された場合にシステムを停止させる。さらに、酸素濃縮器100の内部温度の上昇と共に、濃縮器によって発生される酸素量が低下し得る。その部分的原因として、高温では一定体積の空気中の酸素が減少する点がある。酸素生成量が所定量を下回ると、酸素濃縮器100は自動停止し得る。
【0071】
酸素濃縮器はコンパクトであるため、放熱は困難であり得る。典型的な解決方法を挙げると、1つ以上のファンの使用により封入容器中に冷却空気の流れを発生させる方法がある。しかし、このような解決方法の場合、電力供給部180からさらに電力が必要になるため、酸素濃縮器のポータブル利用時間が短くなる。実施形態において、受動的冷却システムは、モータ220によって生成される機械的動力を利用するために用いられ得る。
図1Dおよび
図1Eを参照して、圧縮システム200は、外部回転電機子(または外部回転可能電機子)230を有するモータ220を含む。詳細には、モータ220(例えば、DCモータ)の電機子230は、電機子を駆動する定常場の周囲を包囲する。モータ220は、システム全体への熱に大きく影響するため、モータから熱を移送し、封入容器から除去すると有用である。外部高速回転では、モータの主要構成要素とその周囲の空気との相対速度が非常に高くなる。電機子の表面積は、内部に取り付けられた場合よりも、外部に取り付けられた場合に大きくなる。熱交換速度は表面積および速度の二乗に比例するため、外部に取り付けられたよりより大きな表面積の電機子を用いた場合、モータ220からの放熱能力が増加する。電機子を外部に取り付けたときの冷却効率の利得により、1つ以上の冷却ファンを無くすことができるため、酸素濃縮器の内部を適切な温度範囲内に維持しつつ、重量および消費電力が低減する。さらに、外部に取り付けられた電機子が回転すると、モータの近隣の空気が動くため、さらなる冷却が行われる。
【0072】
その上、外部回転可能電機子によりモータ効率が促進され得、熱の発生が低減する。外部電機子を有するモータは、内燃機関中において機能するフライホイールと同様に動作する。モータがコンプレッサを駆動させる際、回転に対する抵抗は、低圧力において低くなる。圧縮空気の圧力が高くなると、モータ回転に対する抵抗が高くなる。その結果、モータは、一貫した理想的な回転安定性を維持できなくなり、コンプレッサの圧力要求に応じてサージおよび低速化が発生する。このようなモータのサージおよびその後の低速化の傾向は、非効率であり、そのため熱の原因となる。外部電機子を用いた場合、モータの角運動量が大きくなるため、モータの可変抵抗の補償が促進される。モータの仕事量が大きくなくてすむため、モータから発生する熱が低下し得る。
【0073】
実施形態において、空気移送デバイス240を外部回転可能電機子230へ連結することにより、冷却効率がさらに増加し得る。実施形態において、空気移送デバイス240が外部電機子230へ連結されると、外部電機子230の回転は空気移送デバイス240に空気流を発生させて、この空気流がモータの少なくとも一部を通過する。実施形態において、空気移送デバイス240は、外部電機子230へ連結された1つ以上のファンブレードを含む。実施形態において、空気移送デバイス240が外部回転可能電機子230の運動により回転するインペラとして機能するように、複数のファンブレードが環状リング内に配置され得る。
図1Dおよび
図1Eに示すように、空気移送デバイス240は、モータ220と整列した様態で外部電機子230の外面へ取り付けられ得る。空気移送デバイス240を電機子230に取り付けることにより、空気流を外部回転可能電機子230の主要部分へ方向付けることが可能になり、これにより、使用時における冷却効果が可能になる。実施形態において、空気移送デバイス240により、外部回転可能電機子230の大部分が空気流路中に配置されるように、空気流が方向付けられる。
【0074】
さらに、
図1Dおよび
図1Eを参照して、コンプレッサ210によって加圧された空気は、コンプレッサ出口212においてコンプレッサ210から流出する。コンプレッサ出口導管250は、圧縮空気をキャニスタシステム300へ移送するように、コンプレッサ出口212へ連結される。上記したように、空気が圧縮されると、空気の温度が上昇する。このような温度上昇は、酸素濃縮器の効率にとって有害であり得る。加圧空気の温度を低下させるために、コンプレッサ出口導管250が、空気移送デバイス240によって生成される空気流路中に配置される。コンプレッサ出口導管250の少なくとも一部は、モータ220の近隣に配置され得る。そのため、空気移送デバイス240によって生成された空気流が、モータ220およびコンプレッサ出口導管250と接触し得る。一実施形態において、コンプレッサ出口導管250の大部分が、モータ220の近隣に配置される。実施形態において、
図1Eに示すように、コンプレッサ出口導管250は、モータ220の周囲にらせん状に巻かれる。
【0075】
実施形態において、コンプレッサ出口導管250は、熱交換金属によって構成される。熱交換金属の例を非限定的に挙げると、アルミニウム、炭素鋼、ステンレス鋼、チタン、銅、銅ニッケル合金またはこれらの金属の組み合わせから形成される他の合金がある。よって、コンプレッサ出口導管250は、本質的に空気圧縮に起因する熱を除去する熱交換器として機能し得る。圧縮空気からの熱除去により、一定圧力における一定体積内の分子数が増加する。その結果、各PSAサイクル時において各キャニスタによって生成可能な酸素富化空気量が増加し得る。
【0076】
本明細書中に記載の放熱機構は、受動的なものであるか、または、酸素濃縮器100に必要な要素を利用する。よって、例えば、さらなる電力を必要とするシステムを用いること無く、放熱の増加が可能になり得る。さらなる電力が不要になるため、電池パックのランタイム増加が可能になるとともに、酸素濃縮器のサイズおよび重量の最小化が可能になる。同様に、さらなるボックスファンまたは冷却ユニットの利用も不要になり得る。このようなさらなる特徴を無くすことにより、酸素濃縮器の重量および消費電力が低下する。
【0077】
上記したように、空気の断熱圧縮に起因して、空気温度が上昇する。キャニスタシステム300中のキャニスタの通気時において、キャニスタから通気される排気ガスの圧力が低下する。キャニスタから流出した排気ガスの断熱減圧に起因して、通気と共にガス温度が低下する。実施形態において、キャニスタシステム300から通気された冷却された排気ガス327は、電力供給部180および圧縮システム200へ方向付けられる。実施形態において、キャニスタシステム300のベース315は、排気ガスをキャニスタから受容する。排気ガス327は、ベース315を通じてベース315の出口325および電力供給部180へ方向付けられる。上記したように、排気ガスは、ガスの減圧によって冷却されるため、結果的に電力供給部180の冷却を提供する。圧縮システム200が動作すると、空気移送デバイス240は、冷却された排気ガス327を収集し、排気ガス327を圧縮システム200のモータ220へ方向付ける。また、ファン172は、排気ガス327が圧縮システム200を横切ってハウジング170の外部へ方向付けられることも促進し得る。このようにして、電池からのさらなる電力を全く必要とすること無く、さらなる冷却を得ることが可能になり得る。
【0078】
D.キャニスタシステム
酸素濃縮器100は、少なくとも2つのキャニスタを含み得、各キャニスタは、ガス分離吸着剤を含む。成形ハウジングから形成された酸素濃縮器100のキャニスタを配置してもよい。実施形態において、キャニスタシステム300は、
図1Iに示すように、2つのハウジング構成要素310および510を含む。多様な実施形態において、酸素濃縮器100のハウジング構成要素310および510により、2つのキャニスタ302および304ならびにアキュムレータ106を画定する2つの部分の成形プラスチックフレームが形成され得る、。ハウジング構成要素310および510は、別個に形成された後、共に連結され得る。いくつかの実施形態において、ハウジング構成要素310および510は、射出成形または圧縮成形され得る。ハウジング構成要素310および510は、熱可塑性ポリマーから構成され得る(例えば、ポリカーボネート、メチレンカーバイド、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリプロピレン、ポリエチレンまたはポリ塩化ビニル)。別の実施形態において、ハウジング構成要素310および510は、熱硬化プラスチックまたは金属によって構成され得る(例えば、ステンレススチールまたは軽量アルミニウム合金)。酸素濃縮器100の重量低減のため、軽量材料が用いられ得る。いくつかの実施形態において、2つのハウジング310および510の締結は、ねじまたはボルトによって行われ得る。あるいは、ハウジング構成要素310および510は、共にレーザー溶接または溶剤溶接され得る。
【0079】
示すように、弁座322,324,332および334と、導管330および346とは、ハウジング構成要素310と一体化され得るため、酸素濃縮器100の空気流全体において必要な密封接続数の低減に繋がり得る。
【0080】
ハウジング構成要素310および510内の異なるセクション間の空気経路/配管は、成形導管の形態をとり得る。空気経路のための成形チャネルの形態をとる導管は、ハウジング構成要素310および510中の複数の面を占有し得る。例えば、成形された空気導管は、ハウジング構成要素310および510内の異なる位置において異なる深さで形成され得る。いくつかの実施形態において、導管の大部分または実質的に全体をハウジング構成要素310および510と一体化すると、潜在的な漏洩点が低下し得る。
【0081】
いくつかの実施形態において、ハウジング構成要素310および510の連結前にOリングをハウジング構成要素310および510の多様な点間に配置することにより、ハウジング構成要素の適切な密封が確保され得る。いくつかの実施形態において、構成要素は、ハウジング構成要素310および510と一体化されるか、または、ハウジング構成要素310および510へ別個に連結されるか、あるいは、その両方が可能である。例えば、配管、流れ制限器(例えば、圧入流れ制限器)、酸素センサ、ガス分離吸着剤、チェック弁、栓、プロセッサ、電力供給部などのハウジング構成要素310および510への連結は、これらのハウジング構成要素の連結前および連結後の少なくとも一方で行われ得る。
【0082】
いくつかの実施形態において、ハウジング構成要素310および510の外部に繋がるアパチャ337は、流れ制限器などのデバイスの挿入の際に用いられ得る。アパチャは、成形性向上のためにも用いられ得る。これらのアパチャのうち1つ以上は、成形後に(例えばプラスチック栓によって)栓され得る。いくつかの実施形態において、流れ制限器を通路内に挿入した後、栓を挿入して通路が密閉され得る。圧入流れ制限器の直径は、圧入流れ制限器とそれぞれのアパチャとの間の摩擦嵌めが可能となるような直径であり得る。いくつかの実施形態において、接着剤を圧入流れ制限器の外部へ追加することにより、圧入流れ制限器が挿入後に適所に保持され得る。いくつかの実施形態において、これらの栓は、各管と摩擦嵌合し得る(か、または外面へ接着剤を塗布してもよい)。圧入流れ制限器および他の構成要素の少なくとも一方は、幅狭の先端ツールまたはロッド(例えば、直径が各アパチャの直径未満のもの)により各アパチャへ挿入または圧入され得る。いくつかの実施形態において、圧入流れ制限器は、管中の特徴部に当接して挿入が停止するまで、各管へ挿入され得る。例えば、特徴部としては、縮径部を含み得る。他のフィーチャも企図される(例えば、配管の側部の隆起、ねじ山など)。いくつかの実施形態において、圧入流れ制限器は、(例えば、幅狭の管セグメントとして)ハウジング構成要素内に成形され得る。
【0083】
いくつかの実施形態において、ばねバッフル139は、ハウジング構成要素310および510の部分を受容する各キャニスタ内へ配置され得バッフル139のばね側は、キャニスタの出口に対向する。ばねバッフル139は、ガス分離吸着剤が出口アパチャへ進入する事態を回避しつつ、ガス分離吸着剤をキャニスタ内へ移動させる力を付加し得る。ばねバッフル139の使用により、膨張(例えば、熱膨張)を許容しつつ、ガス分離吸着剤がコンパクトに維持され得る。ガス分離吸着剤をコンパクトに保持することにより、酸素濃縮器100の動作時においてガス分離吸着剤が破壊される事態が回避され得る。
【0084】
いくつかの実施形態において、フィルタ129は、ハウジング構成要素310および510のそれぞれのキャニスタ受容部に、各キャニスタの入口に臨むように配置され得る。フィルタ129は、キャニスタへ進入する供給ガスストリームから粒子を除去する。
【0085】
いくつかの実施形態において、圧縮システム200からの加圧空気は、空気入口306へ進入し得る。空気入口306は、入口導管330へ連結される。空気は、入口306を通じてハウジング構成要素310に進入し、入口導管330を通じて移動した後、弁座322および324へ移動する。
図1Jおよび
図1Kは、ハウジング構成要素310の端面図を示す。
図1Jは、ハウジング構成要素310への弁の取り付けの前のハウジング構成要素310の端面図である。
図1Kは、ハウジング構成要素310へ弁が取り付けられた状態のハウジング構成要素310の端面図である。弁座322および324は、入口弁122および124それぞれを受容するように構成される。入口弁122はキャニスタ302へ連結され、入口弁124はキャニスタ304へ連結される。ハウジング構成要素310は、出口弁132および134それぞれを受容するように構成された弁座332および334も含む。出口弁132はキャニスタ302へ連結され、出口弁134はキャニスタ304へ連結される。入口弁122/124は、入口導管330から各キャニスタへの空気の通過を制御するために用いられる。
【0086】
実施形態において、加圧空気は、キャニスタ302または304のうち一方の内部へ送られ、他方のキャニスタは通気される。例えば、使用時に、入口弁122は開放され、入口弁124は閉鎖される。圧縮システム200からの加圧空気は、キャニスタ302内へ押し込まれる一方、キャニスタ304内への進入は入口弁124によって阻止される。キャニスタ302の加圧時において、出口弁132は閉鎖され、出口弁134は開放される。入口弁と同様に、出口弁132および134は、相互に逆位相に動作される。弁座322は、ハウジング構成要素310を通じてキャニスタ302内へ延びる開口部323を含む。同様に、弁座324は、ハウジング構成要素310を通じてキャニスタ304内に延びる開口部375を含む。弁122および124それぞれが開放されると、入口導管330からの空気は、開口部323または375を通過し、キャニスタ302および304それぞれに進入する。
【0087】
チェック弁142および144(
図1Iを参照)は、それぞれキャニスタ302および304へ連結される。チェック弁142および144は一方向弁であり、キャニスタの加圧および通気時に発生する圧力差によって受動的に動作する。キャニスタ302および304中において生成された酸素富化空気は、キャニスタからハウジング構成要素510の開口部542および544内へ移動する。通路(図示せず)により、開口部542および544は導管342および344へそれぞれ繋げられる。キャニスタ302中において生成された酸素富化空気は、キャニスタ内の圧力がチェック弁142を開放させるくらいに十分になると、キャニスタから開口部542を通じて導管342内へ移動する。チェック弁142が開放されると、酸素富化空気は、導管342を通じてハウジング構成要素310の端部へ流れる。同様に、キャニスタ304中において生成された酸素富化空気は、キャニスタ内の圧力がチェック弁144を開放させるくらいに十分になると、キャニスタから開口部544を通じて導管344内へ移動する。チェック弁144が開放されると、酸素富化空気は、導管344を通じてハウジング構成要素310の端部へ流れる。
【0088】
いずれかのキャニスタからの酸素富化空気は、導管342または344を通じて移動し、ハウジング構成要素310内に形成された導管346に進入する。導管346は、導管を導管342、導管344およびアキュムレータ106へ連結させる開口部を含む。よって、キャニスタ302または304内において生成された酸素富化空気は、導管346へ移動し、アキュムレータ106内へ送られる。
図1Bに示すように、アキュムレータ106内のガス圧力の測定は、センサによって(例えば、アキュムレータ圧力センサ107によって)行われ得る。(
図1Fも参照されたい。)よって、アキュムレータ圧力センサ107により、蓄積した酸素富化空気の圧力を示す信号が発生する。適切な圧力変換器の一例として、HONEYWELL ASDXシリーズからのセンサがある。代替の適切な圧力変換器として、GENERAL ELECTRICからのNPAシリーズからのセンサがある。いくつかのバージョンにおいて、圧力センサ107は、例えばアキュムレータ106と、(ユーザへ送達される酸素富化空気のボーラス状放出を制御する)弁(例えば、供給弁160)と、の間の出力経路と同様に、アキュムレータ106の外部のガスの圧力を測定してもよい。
【0089】
一定期間後、ガス分離吸着剤は窒素で飽和することになり、有意な量の窒素を入来空気から分離することができなくなる。キャニスタ中のガス分離吸着剤が飽和点に到達すると、圧縮空気の流入が停止され、キャニスタが通気されて、吸着剤からの窒素脱離が行われる。キャニスタ302の通気は、入口弁122の閉鎖および出口弁132の開放によって行われる。出口弁132は、キャニスタ302から排気ガスをハウジング構成要素310の端部によって定義された体積内へ放出する。発泡材料によりハウジング構成要素310の端部を被覆すると、キャニスタからのガス放出に起因する音が低減され得る。同様に、キャニスタ304の通気は、入口弁124の閉鎖および出口弁134の開放によって行われる。出口弁134は、キャニスタ304から排気ガスをハウジング構成要素310の端部によって定義された体積内へ放出する。
【0090】
キャニスタ302の通気時において、キャニスタ304への加圧により、酸素富化空気の生成を上記した方法と同じ方法で行う。キャニスタ304の加圧は、出口弁134の閉鎖および入口弁124の開放によって達成される。酸素富化空気は、チェック弁144を通じてキャニスタ304から流出する。
【0091】
例示的実施形態において、キャニスタ304が通気されているときに、酸素富化空気の一部がキャニスタ302からキャニスタ304へ移送され得る。キャニスタ304の通気時において酸素富化空気をキャニスタ302からキャニスタ304へ移送すると、吸着剤に隣接する窒素の分圧低下により、吸着剤からの窒素脱離が促進される。酸素富化空気の流れにより、脱離された窒素(および他のガス)のキャニスタからのパージも促進される。キャニスタ間の酸素富化空気の流れは、
図1Bに示すように流れ制限器および弁によって制御される。3本の導管がハウジング構成要素510内に形成され、キャニスタ間の酸素富化空気の移送のために用いられる。
図1Lに示すように、導管530により、キャニスタ302がキャニスタ304へ連結される。流れ制限器151(図示せず)は、キャニスタ302とキャニスタ304との間の導管530内に配置されて、使用時において酸素富化空気の流れを制限する。導管532も、キャニスタ302をキャニスタ304へ連結させる。
図1Mに示すように、導管532は、弁152を受容する弁座552へ連結される。流れ制限器153(図示せず)は、キャニスタ302とキャニスタ304との間の導管532内に配置される。導管534も、キャニスタ302をキャニスタ304へ連結させる。
図1Mに示すように、導管534は、弁154を受容する弁座554へ連結される。流れ制限器155(図示せず)は、キャニスタ302とキャニスタ304との間の導管534内に配置される。一対の均圧/通気弁152/154が流れ制限器153および155と協働することにより、これら2つのキャニスタ間の空気流バランスが最適化される。
【0092】
アキュムレータ106中の酸素富化空気は、供給弁160を通過して、ハウジング構成要素510内に形成された膨張チャンバ162内へ移動する。ハウジング構成要素510内の開口部(図示せず)により、アキュムレータ106が供給弁160へ連結される。実施形態において、膨張チャンバ162において、チャンバを通過するガスの酸素純度(分画酸素濃度(典型的には百分率として表される))を推定するように構成された1つ以上のデバイスが設けられ得る。
【0093】
E.出口システム
出口システムは、キャニスタのうち1つ以上へ連結され、酸素富化空気をユーザへ提供するために1つ以上の導管を含む。実施形態において、キャニスタ302および304のいずれかの内部において生成された酸素富化空気は、
図1Bに概略的に示すように、チェック弁142および144それぞれを通じてアキュムレータ106内に集められる。キャニスタから流出した酸素富化空気は、酸素アキュムレータ106内に集められた後、ユーザへ提供され得る。いくつかの実施形態において、導管(例えば管)にアキュムレータ106を連結することにより、酸素富化空気をユーザへ提供することができる。酸素富化空気は、酸素富化空気をユーザの口および鼻の少なくとも一方へ移送する気道送達デバイスを通じてユーザへ提供され得る。実施形態において、気道送達デバイスは、酸素をユーザの鼻および口の少なくとも一方へ方向付ける管を含み得る。この管は、ユーザの鼻へ直接連結されていない場合がある。
【0094】
図1Fを参照して、酸素濃縮器のための出口システムの実施形態の概略図が図示されている。アキュムレータ106からユーザへの酸素富化空気の放出を制御するように、供給弁160が導管へ連結され得る。実施形態において、供給弁160は、電磁駆動プランジャー弁である。ユーザへの酸素富化空気送達を制御するように、コントローラ400により供給弁160が作動される。供給弁160の作動は、圧力スイング吸着法プロセスに対して、タイミングが調整されないか、または、同期しない。その代わりに、作動は、以下に述べるようにユーザの呼吸と同期される。いくつかの実施形態において、供給弁160は、酸素富化空気の提供のために臨床的に有効な振幅プロファイルを確立させるための連続値作動を有し得る。
【0095】
アキュムレータ106内の酸素富化空気は、
図1Fに示すように、供給弁160を通過して膨張チャンバ162内へ移動する。実施形態において、膨張チャンバ162は、膨張チャンバ162内を通過するガスの酸素濃度を推定するように構成された1つ以上のデバイスを含み得る。膨張チャンバ162中の酸素富化空気は、供給弁160によるアキュムレータ106からのガス放出を通じて短時間で蓄積され、その後、小型オリフィス流れ制限器175を通じて、流量センサ185へ、次いで微粒子フィルタ187へと流出する。流れ制限器175は、0.025D流れ制限器であり得る。他の種類およびサイズの流れ制限器が用いられ得る。いくつかの実施形態において、ハウジング中の空気経路の直径は、ガス流れ制限のために限定され得る。流量センサ185は、導管内を流れるガスの流量を示す信号を生成するように構成された任意のセンサであり得る。微粒子フィルタ187は、ユーザへの酸素富化空気送達の前の細菌、埃、細粒微粒子などのフィルタリングのために用いられ得る。酸素富化空気は、フィルタ187を通過してコネクタ190へ移動する。コネクタ190は、酸素富化空気を、送達導管192を介してユーザへ送るとともに、圧力センサ194へ送る。
【0096】
出口経路の流体力学は、供給弁160のプログラムされた作動と相まって、酸素のボーラスが、正確なタイミングで、かつ、ユーザの肺中への迅速な送達を過度な無駄無しに確保する振幅プロファイルで、供給されることを、もたらし得る。
【0097】
膨張チャンバ162は、1つ以上の酸素センサを含み得る。これらの酸素センサは、上記チャンバを通過するガスの酸素濃度を決定するように適合される。実施形態において、膨張チャンバ162を通過するガスの酸素濃度は、酸素センサ165を用いて推定される。酸素センサは、ガス中の酸素濃度を測定するように構成されたデバイスである。酸素センサの例を非限定的に挙げると、超音波酸素センサ、電気酸素センサ、化学酸素センサ、および光学式酸素センサがある。一実施形態態において、酸素センサ165は、超音波酸素センサであり、超音波エミッタ166および超音波レシーバ168を含む。いくつかの実施形態において、超音波エミッタ166は、複数の超音波エミッタを含み得、超音波レシーバ168は、複数の超音波レシーバを含み得る。複数のエミッタ/レシーバを有する実施形態において、複数の超音波エミッタおよび複数の超音波レシーバは、軸方向に(例えば、軸整列に対して垂直であり得るガス流路を横切って)整列され得る。
【0098】
使用時において、(エミッタ166からの)超音波をチャンバ162内の酸素富化空気を通してレシーバ168へ方向付け得る。超音波酸素センサ165は、酸素富化空気を通過する音の速度を検出して当該酸素富化空気の組成を決定するように構成され得る。音の速度は、窒素と酸素との中で異なり、2つのガスの混合物では、混合物を通過する音の速度は、混合物中の各ガスの相対的量に比例する中間値であり得る。使用時において、レシーバ168における音は、エミッタ166から送られた音に対して僅かに位相がずれる。この位相変化は、ガス媒体の音の速度が、ワイヤを通る比較的高速の電子パルスと比べて、相対的に低速であることに起因する。この位相変化は、エミッタとレシーバとの間の距離に比例し、膨張チャンバ162を通過する音の速度に反比例する。このチャンバ中のガスの密度に起因して、この膨張チャンバを通過する音の速度が影響を受け、密度は、膨張チャンバ中の酸素対窒素の比に比例する。そのため、位相変化を用いて、膨張チャンバ中の酸素濃度を測定することができる。このようにして、アキュムレータ内の酸素の相対的濃度を、アキュムレータを通過する検出音波の1つ以上の特性の関数として推定することができる。
【0099】
いくつかの実施形態において、複数のエミッタ166およびレシーバ168が用いられ得る。エミッタ166およびレシーバ168からの読み取り値の平均化により、乱流系に固有であり得る誤差を減少させることができる。いくつかの実施形態において、通過時間を測定することおよび測定された通過時間と、他のガスおよびガス混合物の少なくとも一方の所定の通過時間と、を比較することにより、他のガスの存在検知も可能である。
【0100】
例えばエミッタ166とレシーバ168との間に数個の音波サイクルが可能になるようにエミッタ166とレシーバ168との間の距離を増加させることで、超音波酸素センサシステムの感度の増加が可能になり得る。いくつかの実施形態において、少なくとも2つの音サイクルが存在する場合、2つの時点における固定基準に相対する位相変化の測定により、変換器の構造的変化による影響を低減させることができる。前の位相変化を後の位相変化から差し引かれると、膨張チャンバ162の熱膨張に起因する変化を低減またはキャンセルすることができる。エミッタ166とレシーバ168との間の距離の変化に起因する変化は、測定間隔でほぼ同じであり得る一方、酸素濃度の変化に起因する変化は累積的であり得る。いくつかの実施形態において、後に測定された変化に、介在するサイクル数が乗算されて、隣接する2つのサイクル間の変化と比較可能である。膨張チャンバ中の酸素の感知のさらなる詳細について、例えば米国特許出願第12/163549号(名称:「Oxygen Concentrator Apparatus and Method」)中に記載があり得る。同出願は、2009年3月12日に米国公開第2009/0065007 A1として公開されている。本明細書中、同文献を参考のため援用する。
【0101】
流量センサ185は、出口システム中を流れるガスの流量の決定に用いられ得る。利用可能な流量センサの例を以下に非限定的に挙げる:ダイヤフラム/ベローズ流量計;ロータリ-流量計(例えば、ホール効果流量計);タービン流量計;オリフィス流量計;および超音波流量計。流量センサ185は、コントローラ400へ連結され得る。出口システム中を流れるガスの流量は、ユーザの呼吸体積の指標となり得る。出口システム中を流れるガスの流量の変化を用いて、ユーザの呼吸速度を決定することも可能であり得る。コントローラ400は、供給弁160の作動を制御するための制御信号またはトリガ信号を生成し得る。供給弁のこのような動作制御は、流量センサ185によって推定されるようなユーザの呼吸速度および呼吸体積の少なくとも一方に基づき得る。
【0102】
いくつかの実施形態において、超音波酸素センサ165および例えば流量センサ185により、提供される酸素の実際の量の測定値を得ることができる。例えば、流量センサ185は、提供されるガスの体積を(流量に基づいて)測定することができ、超音波酸素センサ165は、提供されるガス量の酸素濃度を提供し得る。コントローラ400は、これらの2つの測定値を共に用いて、ユーザへ提供される酸素の実際の量の概算値を決定することができる。
【0103】
酸素富化空気は、フィルタ187へ向けて流量センサ185を通過する。フィルタ187により、細菌、埃、細粒微粒子などが除去された後、酸素富化空気がユーザへ提供される。フィルタリングされた酸素富化空気は、コネクタ190へ向けてフィルタ187を通過する。コネクタ190は、フィルタ187の出口を圧力センサ194および送達導管192へ連結する「Y字型」コネクタであり得る。圧力センサ194は、送達導管192を通じてユーザへ移動するガスの圧力を監視するように用いられ得る。いくつかの実施形態において、圧力センサ194は、感知面へ付加される陽圧または陰圧の量に比例する信号を生成するように構成され得る。圧力センサ194によって感知される圧力の変化は、以下に述べるように、ユーザの呼吸速度の決定のみならず、吸息開始(トリガ瞬間とも呼ばれる)の検出のために使用され得る。コントローラ400は、ユーザの呼吸速度および吸息の開始の少なくとも一方に基づいて、供給弁160の作動を制御し得る。実施形態において、コントローラ400は、流量センサ185もしくは圧力センサ194のいずれか、または、これら両方から提供される情報に基づいて、供給弁160の作動を制御し得る。
【0104】
酸素富化空気は、送達導管192を通じてユーザへ提供され得る。実施形態において、送達導管192は、シリコーン管であり得る。送達導管192は、
図1Gおよび
図1Hに示すように、気道送達デバイス196によってユーザへ連結され得る。気道送達デバイス196は、酸素富化空気を鼻腔または口腔へ提供することが可能な任意のデバイスであり得る。気道送達デバイスの例を以下に非限定的に挙げる:鼻マスク、鼻枕、鼻プロング、鼻カニューレ、およびマウスピース。鼻カニューレ気道送達デバイス196を
図1Gに示す。鼻カニューレ気道送達デバイス196は、ユーザが周囲からの空気を呼吸することを可能にしつつユーザへの酸素富化空気送達を可能にするように、ユーザの気道の近隣(例えば、ユーザの口および鼻の少なくとも一方の近隣)に配置される。
【0105】
代替実施形態において、酸素富化空気をユーザへ提供するために、マウスピースが用いられ得る。
図1Hに示すように、マウスピース198が、酸素濃縮器100へ連結され得る。マウスピース198を酸素富化空気のユーザへの提供のために用いられる唯一のデバイスにしてもよいし、あるいは、マウスピースを鼻送達デバイス(例えば、鼻カニューレ)と組み合わせて用いてもよい。
図1Hに示すように、酸素富化空気は、鼻カニューレ気道送達デバイス196およびマウスピース198双方を通じてユーザへ提供され得る。
【0106】
マウスピース198を、ユーザの口内に取り外し可能に配置することができる。一実施形態において、マウスピース198を、ユーザの口中の1本以上の歯へ取り外し可能に連結することができる。使用時に、酸素富化空気は、ユーザの口中へマウスピースを介して方向付けられる。マウスピース198は、ユーザの歯に適合するように成型されたナイトガードマウスピースであり得る。あるいは、マウスピースは、下顎再配置デバイスであり得る。実施形態において、少なくともマウスピースの大部分は、使用時においてユーザの口中に配置される。
【0107】
使用時に、マウスピースの近隣において圧力変化が検出されると、酸素富化空気がマウスピース198へ方向付けられ得る。一実施形態において、マウスピース198は、圧力センサ194へ連結され得る。ユーザがユーザの口を通じて空気を吸息すると、圧力センサ194は、マウスピースの近隣の圧力降下を検出し得る。酸素濃縮器100のコントローラ400は、吸息開始時に、ユーザへの酸素富化空気のボーラスの放出を制御し得る。
【0108】
個人の典型的な呼吸時において、吸息は、鼻を通じて、口を通じてあるいは鼻および口双方を通じて行われ得る。さらに、呼吸は、多様な要因により、1つの通路から別の通路へ変化し得る。例えば、より活発な活動時において、ユーザは、鼻を通じた呼吸を口を通じた呼吸(あるいは口および鼻を通じた呼吸)へ切り換え得る。単一の送達モード(鼻または口)に依存するシステムの場合、監視された経路を通じた呼吸が停止した場合に適切に機能できなくなり得る。例えば、ユーザへの酸素富化空気提供のために鼻カニューレが用いられる場合、吸息開始を決定するために、吸息センサ(例えば、圧力センサまたは流量センサ)が鼻カニューレへ連結される。ユーザが鼻を通じた呼吸を停止し、口を通じた呼吸に切り換えると、鼻カニューレからのフィードバックが無いため、酸素濃縮器100は、いつ酸素富化空気を提供すればよいのかわからなくなり得る。このような状況下において、酸素濃縮器100は、吸息センサがユーザの吸息を検出するまで、流量を増加するか、酸素富化空気の提供頻度を増加させるか、あるいは、これらの両方を行い得る。ユーザが呼吸モードの切り換えを頻繁に行うと、デフォルトの酸素富化空気提供モードに起因して、酸素濃縮器100の作動頻度が高くなり、その結果、システムのポータブル利用時間が制限される。
【0109】
実施形態において、
図1Hに示すように、ユーザへの酸素富化空気の提供のために、マウスピース198は、鼻カニューレ気道送達デバイス196と組み合わせて用いられる。マウスピース198および鼻カニューレ気道送達デバイス196はどちらとも、吸息センサへ連結される。一実施形態において、マウスピース198および鼻カニューレ気道送達デバイス196は、同一の吸息センサへ連結される。代替実施形態において、マウスピース198および鼻カニューレ気道送達デバイス196は、異なる吸息センサへ連結される。いずれかの実施形態において、吸息センサ(単数または複数)は、吸息開始を口または鼻から検出し得る。酸素濃縮器100は、近隣において吸息開始が検出された送達デバイス(例えば、マウスピース198または鼻カニューレ気道送達デバイス196)へ酸素富化空気を提供するように構成され得る。あるいは、いずれかの送達デバイスの近隣において吸息開始が検出された場合、酸素富化空気をマウスピース198および鼻カニューレ気道送達デバイス196双方へ提供してもよい。例えば
図1Hに示すような2重送達システムを用いると、睡眠中のユーザにとって特に有用であり得、鼻呼吸/口呼吸間の切り換えを意識的努力無く遂行し得る。
【0110】
F.コントローラシステム
酸素濃縮器100の動作は、本明細書中に記載のような酸素濃縮器100の多様な構成要素へ連結された内部コントローラ400を用いて自動的に行われ得る。
図1Bに示すように、コントローラ400は、1つ以上のプロセッサ410および内部メモリ420を含む。酸素濃縮器100の動作および監視に用いられる方法は、内部メモリ420またはコントローラ400へ連結された外部メモリ媒体に保存された、1つ以上のプロセッサ410によって実行可能なプログラム命令によって実施可能である。メモリ媒体は、多様な種類のメモリデバイスまたはストレージデバイスのうちいずれかを含み得る。「メモリ媒体」という用語には、インストール媒体(例えば、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、フロッピーディスク、またはテープデバイス)、コンピュータシステムメモリもしくはランダムアクセスメモリ(例えば、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、ダブルデータレートランダムアクセスメモリ(DDRRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、拡張データアウトランダムアクセスメモリ(EDORAM)、ランダムアクセスメモリ(RAM))、または、不揮発性メモリ(例えば、磁気媒体(例えば、ハードドライブまたは光学記憶装置))を含むことが意図される。メモリ媒体は、他の種類のメモリまたはその組み合わせも含み得る。加えて、メモリ媒体は、プログラムを実行する主体であるコントローラ400の近隣に配置され得るか、または、後述のネットワークを介してコントローラ400へ接続する外部コンピューティングデバイス内に配置され得る。後者の場合、外部コンピューティングデバイスは、プログラム命令を実行対象としてコントローラ400へ提供し得る。「メモリ媒体」という用語は、異なる場所(例えば、ネットワークを介して接続された異なるコンピューティングデバイス中)に常駐し得る2つ以上のメモリ媒体を含み得る。
【0111】
いくつかの実施形態において、コントローラ400は、プロセッサ410を含む。プロセッサ410には、例えば、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、酸素濃縮器100中に配置された回路基板上に設けられた、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、マイクロコントローラなどが含まれる。プロセッサ410は、メモリ420中に保存されたプログラミング命令を実行するように構成される。いくつかの実施形態において、プログラミング命令は、プロセッサ410の外部のメモリが別個にアクセスされないように、プロセッサ410中に組み込まれ得る(例えば、メモリ420は、プロセッサ410の内部に設けられ得る)。
【0112】
プロセッサ410は、限定するものではないが、圧縮システム200、システム内を流れる流体の制御に用いられる弁のうち1つ以上(例えば、弁122,124,132,134,152,154,160)、酸素センサ165、圧力センサ194、流量センサ185、温度センサ(図示せず)、ファン172、および、電気制御され得る他の任意の構成要素等、酸素濃縮器100の多様な構成要素へ連結され得る。いくつかの実施形態において、別個のプロセッサ(および/またはメモリ)が、これらの構成要素のうち1つ以上へ連結され得る。
【0113】
コントローラ400は、酸素濃縮器100を動作させるように構成され(例えば、プログラム命令によってプログラムされ)るとともに、例えば故障状態または他のプロセス情報について酸素濃縮器100を監視するようにさらに構成される。例えば、一実施形態において、コントローラ400は、システムが動作しているが所定の時間にわたってユーザによる呼吸が検出されない場合にアラームを発生させるように、プログラムされる。例えば、コントローラ400が75秒の期間にわたって呼吸を検出しない場合、アラームLEDが点灯されるか、可聴アラームが鳴るか、あるいは、これらの両方が行われ得る。例えば睡眠時無呼吸エピソード時にユーザの呼吸が本当に止まった場合、このアラームはユーザを覚醒させるのが充分可能であり、これにより、ユーザは呼吸を再開する。この呼吸作用は、コントローラ400がこのアラーム機能をリセットするのを充分可能にする。あるいは、送達導管192がユーザから取り外されてシステムがオンのまま放置されてしまう場合、このアラームは、ユーザに酸素濃縮器100をオフにするよう促すためのリマインダとして機能し得る。
【0114】
コントローラ400は、酸素センサ165へさらに連結されて、膨張チャンバ162を通過する酸素富化空気の酸素濃度の連続的または定期的監視のためにプログラムされ得る。最小酸素濃度閾値は、コントローラがユーザに対し酸素濃度低下について警告するためのLED視覚アラームおよび可聴アラームの少なくとも一方をコントローラが発生させるように、コントローラ400内にプログラムされ得る。
【0115】
コントローラ400は、内部電力供給部180にも連結され、内部電力供給部の充電レベルを監視するように構成され得る。最小電圧閾値および最小電流閾値の少なくとも一方をコントローラ400内にプログラムすることにより、コントローラがユーザに対して電力低下状態について警告するためのLED視覚アラームおよび可聴アラームの少なくとも一方を発生させることができる。これらのアラームは、断続的に発生し、電池の利用可能な充電がゼロに近づくにつれて頻度を上げて発生してもよい。
【0116】
図1Oは、酸素濃縮器100を含む、接続された呼吸治療システム450の一実施形態を示す。酸素濃縮器100のコントローラ400に含まれるトランシーバ430は、コントローラ400が無線通信プロトコル(例えば、グローバルシステムフォーモバイルテレフォニー(GSM)または他のプロトコル(例えば、WiFi))により(例えばネットワーク470を介して)遠隔のコンピューティングデバイス(例えば、クラウドベースのサーバ460)と通信することを可能にするように構成される。ネットワーク470は、広域ネットワーク(例えば、インターネット)またはローカルエリアネットワーク(例えば、イーサネット)であり得る。コントローラ400は、短範囲無線モジュールもトランシーバ430内に含み得る。この短範囲無線モジュールは、コントローラ400が短範囲無線通信プロトコル(例えば、Bluetooth(商標))を用いてポータブルコンピューティングデバイス480(例えば、スマートフォン)と通信することを可能にするように構成される。ポータブルコンピューティングデバイス(例えば、スマートフォン、480)は、酸素濃縮器100のユーザ1000と関連付けられ得る。
【0117】
サーバ460も、無線通信プロトコル(例えば、GSM)を用いてポータブルコンピューティングデバイス480と無線通信し得る。スマートフォン480のプロセッサは、スマートフォン480とユーザ1000、酸素濃縮器100およびサーバ460の少なくとも一方との間の対話(interaction)を制御する、「app」として公知であるプログラム482を実行し得る。サーバ460は、酸素濃縮器100およびユーザ1000についての動作データを保存するデータベース466へのアクセスを有し得る。
【0118】
サーバ460は、以下にさらに述べるような酸素濃縮器100を動作させる方法および酸素濃縮器100を監視する方法を実行し得る分析エンジン462を含む。サーバ460は、有線接続または無線接続された他のデバイス(例えば、パーソナルコンピューティングデバイス(ワークステーション)464))ともネットワーク462を介して通信し得る。パーソナルコンピューティングデバイス464のプロセッサは、パーソナルコンピューティングデバイス464のサーバ460との対話を制御する「クライアント」プログラムを実行し得る。クライアントプログラムの一例として、ブラウザがある。
【0119】
さらなる実施形態において、サーバ460は、ポータルシステムをホストするように構成され得る。ポータルシステムは、記酸素濃縮器100の動作に関連するデータを(ポータブルコンピューティングデバイス480からまたは酸素濃縮器100から直接的に)受信し得る。上記したように、パーソナルコンピューティングデバイス464は、クライアントプログラム(例えば、ブラウザ)の実行により、パーソナルコンピューティングデバイス464のユーザ(例えば、在宅医療機器プロバイダの代表)が(サーバ460によってホストされているポータルシステムを介して)酸素濃縮器100動作データおよび接続先の呼吸治療システム450内の他の酸素濃縮器へアクセスすることを可能にし得る。このようにして、このようなポータルシステムは、酸素濃縮器(例えば、接続先の呼吸治療システム450内の酸素濃縮器100)のユーザの母集団の管理のために、HMEによって利用され得る。ポータルシステムは、これによって受信された動作データに基づき、酸素濃縮器およびそのユーザの母集団に関するユーザまたはデバイス状態に、実用的な知見を提供し得る。このような知見は、動作データへ適用される規則に基づき得る。
【0120】
コントローラ400の使用によりまたはコントローラ400により実行され得るさらなる機能については、本開示の他の部分に詳述する。例えば、酸素濃縮器100のコントローラ400は、システム中の圧力を調整するためにコンプレッサ制御を実行し得る。このようにして、酸素濃縮器100は、圧力センサ(例えば、キャニスタ302および304の下流のアキュムレータ106内の圧力センサ107)を備え得る。酸素濃縮器100中のコントローラ400は、コンプレッサ210の速度の調節を、圧力センサからの信号および例えば1つ以上のモードにおけるモータ速度センサを用いて行い得る。この点について、コントローラ400は、(圧力粗調整モードおよび圧力微調整モードを指定する)二重制御モードを実行し得る。圧力粗調整モードは、酸素濃縮器100の異なる流量設定(または「流れ設定」)間の変更および始動/初回起動のために実行され得る。次に、圧力粗調整モードの各動作の完了後、圧力微調整モードに引き継がれ得る。
【0121】
圧力粗調整モードにおいて、モータ速度は、以前の動作状態に応じて増大または減少するように設定/制御される。増減時において、コントローラ400は、圧力センサからの測定を用いて、キャニスタ中の上流のセンサの推定圧力を生成する。いくつかの実施形態において、推定圧力は、例えば、酸素濃縮器100の選択された流量設定と関連付けられ、製造時において生成された所定の目標圧力にに到達したとき等に、モータ速度の増減を終了するための判定に用いられる。この圧力推定値は、圧力センサからのデータを用いた回帰(例えば、線形回帰)の実行によって計算され、これにより、コントローラ400により、センサ信号サンプルからの回帰パラメータ(例えば、線の勾配パラメータおよび切片パラメータ)が決定される。この圧力推定値は、回帰パラメータおよび公知のシステム応答遅延により計算される。
【0122】
圧力微調整モードにおいて、モータ速度の制御は、圧力センサからの信号を用いてシステムの圧力を目標圧力まで調整するように行われる。圧力粗調整モードが完了すると、モータ速度の増減は停止され、ベースモータ速度は、現在のモータ速度と等しい値に設定される。モータ速度のさらなる変更が、微圧力コントローラ(例えば、PID(比例、積分、微分)コントローラ)によって実行され得る。圧力微調整モード時において、目標圧力を適格な圧力推定と比較することにより、第1のエラー信号を生成する。この第1のエラー信号は、微圧力コントローラへ付加されて、速度調節が生成される。このような速度調節をベースモータ速度と合計することにより、モータの速度設定点が得られ得る。この速度設定点は、モータコントローラ(例えば、PIDコントローラ)を用いたモータ速度の制御のために用いられる。
【0123】
微圧力コントローラの適格な圧力推定の計算は、回帰を用いて行われる。この点について、圧力信号からのサンプルを最適適合アルゴリズム(例えば、線形回帰)へ適用することにより、PSAサイクルの吸着フェーズ時における圧力信号からのデータの回帰パラメータ(例えば、線の勾配および切片)が決定され得る。その後、勾配が正方向である場合、これらのパラメータ(圧力センサからの圧力サンプルではなく勾配および切片)をPSAサイクルの所与の吸着フェーズの特定の時間に適用して、線形回帰からの回帰線のピーク値が決定され得る。勾配が負である場合、切片パラメータが、ピーク値としてとられ得る。次に、回帰情報からのピーク値は、直近のピーク値(例えば、6個以上)の平均を維持する移動平均バッファーに付加され得る。次に、平均ピーク値は、微圧力コントローラのための適格な圧力推定として機能し得る。このようなプロセスのバージョンについて、米国仮第62/904,858号(タイトル:「Methods and Apparatus for Control of Oxygen Concentrator」、出願日:2019年9月24日)中により詳細な記載がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0124】
さらに、酸素濃縮器100のコントローラ400は、システム中のボーラスサイズ(体積)を調整するために供給弁制御を実行するように構成され得、この供給弁制御は、酸素濃縮器100の流量センサの使用無しに任意選択的に実行され得る。例えば、酸素濃縮器100は、圧力センサ(例えば、キャニスタの下流のアキュムレータ106中の圧力センサ107)を備え得、酸素濃縮器100によって生成されたボーラスサイズを圧力の関数として調整する。このようなボーラスサイズの調整は、アキュムレータ圧力の関数であり得る。
【0125】
G.コントロールパネル
コントロールパネル600は、ユーザとコントローラ400との間のインターフェースとして機能して、ユーザが酸素濃縮器100の所定の動作モードを開始することおよびシステムの状態を監視することを可能にする。
図1Nは、コントロールパネル600の実施形態を示す。内部電力供給部180の充電のための充電入力ポート605が、コントロールパネル600内に配置され得る。
【0126】
いくつかの実施形態において、コントロールパネル600は、酸素濃縮器100のための多様な動作モードを活性化するためのボタンを含み得る。例えば、コントロールパネルは、電源ボタン610、流量設定ボタン620~626、活性モードボタン630、睡眠モードボタン635、高度ボタン640、および電池チェックボタン650を含み得る。いくつかの実施形態において、これらのボタンのうち1つ以上は、各LEDを有し得る。このLEDは、各ボタンが押圧されたときに発光し得、各ボタンが再度押圧されたときに電力がオフにされ得る。電源ボタン610は、システムの電力をオンまたはオフにさせ得る。システムをオフにするために電源ボタン610が活性化されると、コントローラ400は、システムを停止状態にさせるための停止シーケンスを開始し得る(例えば、双方のキャニスタが加圧された状態)。
【0127】
流量設定ボタン620,622,624および626により、酸素富化空気の流量の選択が可能になる(例えば、ボタン620によって0.2LPM、ボタン622によって0.4LPM、ボタン624によって0.6LPM、ボタン626によって0.8LPM)。他の実施形態において、流量設定の数値が増減され得る。流量設定の選択後、酸素濃縮器100は、この選択された流量設定に従って酸素富化空気の生成達成のための動作を制御する。
【0128】
ユーザが通常時に酸素濃縮器100を用いる場所よりも高い場所にユーザが行く場合、高度ボタン640が活性化され得る。
【0129】
電池チェックボタン650が電池チェックルーチンを酸素濃縮器100内において開始すると、相対的な残留電池電力LED655がコントロールパネル600上において発光される。
【0130】
検出された呼吸速度または深さを閾値に比較することにより推定されるようにユーザの活動が比較的低い場合(例えば、熟睡時、座位時)において、ユーザの呼吸速度または深さが低くなるときがある。ユーザの活動が比較的高い場合(例えば、歩行時、運動時)において、ユーザの呼吸速度または深さが高くなるときがある。活性/睡眠モードは、検出された呼吸速度または深さから自動的に推定され得、かつ/または、ユーザは、(活性モードのためのボタン630または睡眠モードのためのボタン635それぞれの押圧により)活性モードまたは睡眠モードを手動で指示し得る。いくつかの実施形態において、酸素濃縮器100は、デフォルトして活性モードになる。
【0131】
H.パルス型酸素送達
以下に述べる酸素濃縮器100の動作および監視の方法は、1つ以上のプロセッサ(例えば、コントローラ400の1つ以上のプロセッサ410)によって実行され得る。これらのプロセッサ410は、プログラム命令によって構成される。これらのプログラム命令の例を挙げると、上記したように、1つ以上の機能および(メモリ(例えば、酸素濃縮器100のメモリ420)中に保存された)当該機能に対応する関連データの少なくとも一方がある。あるいは、記載の方法のステップの一部または全てを、上記したように接続された呼吸治療システム450の一部を形成する外部コンピューティングデバイス(例えば、サーバ460)の1つ以上のプロセッサによって同様に実行してもよい。後者の実施形態において、プロセッサ410は、外部コンピューティングデバイスにおいて行われるべきステップの性能に必要な測定およびパラメータを外部コンピューティングデバイスへ送信させるように、酸素濃縮器100のメモリ420中に保存されたプログラム命令によって構成され得る。
【0132】
重量、サイズおよび電力消費の低減のため、酸素濃縮器100は、酸素富化空気を一連のパルスとしてユーザへ送達させ得る。このようなパルス型酸素送達(POD)またはデマンドモードの動作において、コントローラ400は、選択された流量設定に従って酸素富化空気の送達を達成させるように、1つ以上の放出されたパルスまたはボーラスのサイズを調整し得る。送達される酸素富化空気による効果の最大化のために、コントローラ400は、酸素富化空気の各ボーラス放出とユーザの吸息とを同期させるようにさらにプログラムされ得る。ユーザの吸息時にユーザへの酸素富化空気のボーラスの放出を行うことにより、例えばユーザの呼息時において酸素放出が控えられるため、酸素の無駄が減少し得る。コントロールパネル600上の流量設定は、微量の送達される酸素(ボーラス体積を毎分あたりの呼吸速度で乗算した値)に対応し得る(例えば、0.2LPM、0.4LPM、0.6LPM、0.8LPM、1LPM、1.1LPM)。
【0133】
酸素濃縮器100によって生成された酸素富化空気は、アキュムレータ106中に保存され、POD動作モードにおいて、ユーザの吸息と共にユーザへ放出される。酸素濃縮器100によって提供される酸素富化空気量は、供給弁160によって部分的に制御される。実施形態において、供給弁160の開放は、コントローラ400によって推定されたような適切な量の酸素富化空気をユーザに提供することができるだけの充分な量の時間の間行われる。酸素の無駄を最小限にするために、ユーザの吸息開始の検出直後に、酸素富化空気がボーラスとして放出され得る。例えば、酸素富化空気のボーラスは、ユーザ吸息の最初の数ミリ秒において放出され得る。
【0134】
いくつかの実施形態において、吸息センサ(例えば、圧力センサ194)は、ユーザによる吸息開始を検出すること(「トリガ」と呼ばれるプロセス)のために用いられ得る。例えば、ユーザの吸息開始は、圧力センサ194の利用によって検出され得る。使用時において、送達導管192は、鼻気道送達デバイス196およびマウスピース198の少なくとも一方を通じて、ユーザの鼻および口の少なくとも一方へ連結される。よって、送達導管192中の圧力は、ユーザの気道圧力を示し、したがって、ユーザ呼吸を示す。吸息開始時において、ユーザは、鼻および口の少なくとも一方を通じて空気を体内へ引き込むことを開始する。空気が引き込まれる際、送達導管192の端部において引き込まれる空気のベンチュリ作用に部分的に起因して、送達導管192の端部において負圧が発生する。コントローラ400は、圧力センサ194からの圧力信号を分析して、圧力の低下を検出し、吸息開始を示す。吸息開始が検出されると、供給弁160が開放されて、酸素富化空気のボーラスがアキュムレータ106から放出される。
【0135】
いくつかの実施形態、圧力センサ194は、ユーザの呼息開始を決定するように、用いられ得る。送達導管192中の圧力が正方向の変化または上昇を示した場合、ユーザによる呼息を示す。コントローラ400は、圧力センサ194からの圧力信号を分析して、(呼息開始を示す)圧力上昇を検出し得る。いくつかの実施形態において、正の圧力変化が感知されると、次の吸息開始が検出されるまで、供給弁160は閉鎖される。他の実施形態において、正方向の圧力変化が感知された場合、供給弁160は、ボーラス持続時間として公知の所定の間隔の後に閉鎖され得る。
【0136】
隣接する吸息開始間の間隔を測定することにより、ユーザの呼吸速度が推定され得る。吸息開始時と後続の呼息開始時との間の間隔を測定することにより、ユーザの吸気時間が推定され得る。いくつかの実施形態において、ボーラス持続時間の調節のために、ユーザの呼吸速度および吸気時間の少なくとも一方が用いられ得る。いくつかの実施形態において、ユーザの活動レベル(例えば、ユーザの現在の呼吸速度)が所定の閾値を超える場合、コントローラ400は、酸素濃縮器100の送達能力を超えている旨をユーザに警告するためのアラーム(例えば、視覚および音声の少なくとも一方)が実装され得る。例えば、閾値は、1分あたり40回(BPM)の呼吸に設定され得る。
【0137】
他の実施形態において、圧力センサ194は、異なる場所に位置決めされ得る。例えば、圧力センサ194は、感知導管内に配置され得る。感知導管は、ユーザの気道と空気圧連通するが、送達導管192から別個に設けられる。このような実施形態において、圧力センサ194からの圧力信号も、ユーザの気道圧力を示す。別の例として、圧力センサ194は、鼻カニューレ気道送達デバイス196内に配置され得る。このような実施形態において、圧力センサ194からの信号は、1つ以上の電気導管あるいは1つ以上の無線送信器、受信器およびトランシーバの少なくとも1つを介してコントローラ400へ提供され得る。いくつかの実施形態において、圧力センサ194の感度は、特に圧力センサ194が酸素濃縮器100内に配置されかつ酸素濃縮器100をユーザへ連結する送達導管192を通じて圧力差が検出された場合、圧力センサ194のユーザからの物理的距離によって影響を受け得る。圧力センサ194を鼻カニューレ気道送達デバイス196内に配置することにより、圧力センサ194の感度向上に繋がり得る。
【0138】
いくつかの実施形態において、トリガプロセスの感度は、トリガ閾値によって支配される。このような実施形態において、圧力センサ194からの信号をトリガ閾値と比較することにより、圧力の有意な低下が発生したかが決定され、これにより吸息開始が示される。トリガ閾値の調節により、トリガプロセスの感度が変更される。いくつかの実施形態において、トリガ閾値は、酸素濃縮器100が(例えば、自動推定されたようなまたはユーザが活性モードボタン630を介して要求したような)非活性モードにあるときと比較して、酸素濃縮器100が(例えば、自動推定されたようなまたはユーザが睡眠モードボタン635を介して要求したような)睡眠モードにあるときにより高感度をトリガプロセスに付与するように設定される。
【0139】
いくつかの実施形態において、酸素濃縮器100が非活性モードにあり、吸息開始が所定の間隔(例えば、8秒間)にわたって検出されていない場合、酸素濃縮器100は睡眠モードに変換し、その結果、トリガ感度が上記したように上昇する。吸息開始がさらなる所定の間隔(例えば、8秒間)にわたって検出されない場合、酸素濃縮器100は、「自動パルス」モードに入る。自動パルスモードにおいて、コントローラ400は、ボーラス送達が定期的な所定の自動パルス間隔(例えば、4秒間)で行われるように、供給弁160の作動を制御する。吸息開始がトリガプロセスによって検出されたかまたは酸素濃縮器100が電力がオフにされた後、酸素濃縮器100は、自動パルスモードを終了する。
【0140】
図2は、適応トリガシステム700を示すブロック図である。適応トリガシステム700は、調節モジュール710と、閾値モジュール720と、トリガモジュール730と、(POD動作モード時において酸素濃縮器100によって実行され得る)監視モジュール740とを有する。システム700の多様なモジュールは、システム700の処理構成要素として実行してもよいし、あるいは、他の様態でプログラム命令としてコード化してもよい。これらのプログラム命令は、メモリ420中に保存され、コントローラ400によって実行される。多様なモジュールの機能は、以下に述べるように設定され得るが、他の実施形態において、多様なモジュールの機能をモジュール間において異なって割りあててもよい。
【0141】
調節モジュール710は、例えば、測定された圧力信号(例えば、圧力センサ194によって生成された信号)、弁制御信号(例えば、供給弁160の制御のためにコントローラ400によって生成された信号)、および、測定された温度信号(例えば、酸素濃縮器100中の温度センサによって生成された信号)の少なくとも1つを受信するように構成され得る。調節モジュール710は、測定された圧力信号を(ユーザの気道圧力をより高精度に示すように)調節するように構成され得る。例えば、調節モジュール710は、弁制御信号を用いて、酸素富化空気のボーラスの放出のたびに発生する測定された圧力信号中に含まれる圧力パルス(単数または複数)または圧力作用(単数または複数)を除去し得る。別の例として、調節モジュール710は、測定された温度信号を用いて温度変動の補償を行い得る。この補償は、当該変動(例えば、圧力センサ194は、温度に対して高感度であり得る)に起因し得る測定された圧力信号における任意のオフセットドリフト(例えば、熱オフセットドリフトなど)の除去によって行われる。さらに別の例として、調節モジュール710は、ノイズ低減フィルタリングを測定された圧力信号に対して行い得る。調節モジュール710から出力されるのは、時間の関数として調節された圧力信号である。
【0142】
閾値モジュール720は、調節モジュール710からの調節された圧力信号を含む監視し、適切なトリガ閾値を時間の関数として繰り返し決定するように構成され得る。閾値モジュール720は、調節された圧力信号から活性信号を生成するように構成された活性推定サブモジュールを有し得る。いくつかの実施形態において、活性信号は、呼吸パラメータ(例えば、ユーザの呼吸速度)に対応し得る。いくつかの実施形態において、活性信号は、他の種類の活性を示し得る。例えば、フィルタ(例えば、ハイパスフィルタ(例えば、二次バタワースハイパスフィルタ))を適切なカットオフ周波数(例えば、10Hz)と共に用いると、呼吸不活性を示す活性信号が生成され得る。
【0143】
閾値モジュール720は、閾値更新サブモジュールも有し得る。この閾値更新サブモジュールは、活性推定サブモジュールからの活性信号に基づいてトリガ閾値を調節するように構成される。例えば、活性信号がユーザの活性の増加を示した場合、閾値更新サブモジュールは、トリガ閾値の大きさを増大させ得る。同様に、活性信号がユーザの活性の低下を示した場合、閾値更新サブモジュールは、トリガ閾値の大きさを低減させ得る。これらの調節により、ユーザの活性が増加する期間における調節された圧力信号中のノイズ増加の補償が促進され得る。
【0144】
いくつかの実施形態において、閾値更新サブモジュールは、活性信号の固定長さの窓(例えば、5秒~15秒の期間)を分析し得る。他の実施形態において、閾値更新サブモジュールは、活性信号の調節可能な長さの窓を分析し得る。このような実施形態において、閾値モジュール720は、窓調節サブモジュールも有し得る。この窓調節サブモジュールは、閾値更新サブモジュールによって用いられる窓の長さを、活性信号、調節された圧力信号およびトリガ閾値の少なくとも1つの関数として調節するように構成される。例えば、窓調節サブモジュールは、窓の長さを一時的に短くすることにより、ノイズ増加という孤立した短時間のエピソードからの迅速な回復を可能にするトリガ閾値を提供し得る(例えば、咳またはカニューレ隆起からの迅速な回復。カニューレ隆起は、カニューレの一部との物理的接触に起因して発生する混乱であり得る)。このような実施形態において、窓調節サブモジュールは、窓の長さの調節を、トリガ閾値がトリガ閾値の最近の移動平均を超えた時間の長さに基づいて行い得る。
【0145】
トリガモジュール730は、閾値モジュール720からのトリガ閾値を調節モジュール710からの調節された圧力信号へ適用して、トリガ信号(例えば、デジタルブール信号または比例制御信号)を生成するように構成され得る。トリガ信号は、酸素富化空気のボーラスの放出をユーザの吸息と同期させるために用いられ得る。例えば、トリガ信号は、供給弁160へ提供され得る。いくつかの実施形態において、トリガモジュール730は、調節された圧力信号をトリガ閾値と比較して、吸息開始を特定し得る。このような実施形態において、調節された圧力信号の大きさがトリガ閾値の大きさよりも大きい場合、トリガモジュール730は、吸息開始を検出し得る。いくつかの実施形態において、トリガモジュール730は、前回検出された吸息開始からの時間と、ブラックアウト期間との比較も行い得る。いくつかの実施形態において、ブラックアウト期間は、吸息開始の検出以降の期間であり、この期間においては、トリガモジュール730による圧力信号とトリガ閾値との比較は行われない。このような実施形態において、トリガモジュール730は、前回検出された吸息開始以降の時間がブラックアウト期間よりも長い場合にのみ、吸息開始の検出を行い得る。いくつかの実施形態において、トリガモジュール730は、前回検出された吸息開始後に呼気開始が検出された場合のみにおいても、吸息開始の検出を行い得る。
【0146】
監視モジュール740は、ユーザの1つ以上の呼吸パラメータ(例えば、ユーザの呼吸速度または吸気時間)の計算を調節モジュール710からの調節された圧力信号およびトリガモジュール730からのトリガ信号に基づいて行うように構成され得る。例えば、監視モジュール740は、ユーザの現在の呼吸速度を、単一の最近の呼吸持続時間または2つ以上の最近の呼吸持続時間の移動平均の逆数として推定し得る。呼吸持続時間は、吸息開始の連続する検出間の時間長さとして推定され得る。別の例として、監視モジュール740は、ユーザの吸気時間を、調節された圧力が所定の閾値(例えば、ゼロ)を連続して下回り続けた時間として推定し得る。監視モジュール740によって計算された呼吸パラメータの1つ以上は、トリガモジュール730へ提供され得る。いくつかの実施形態において、トリガモジュール730は、これらの呼吸パラメータに基づいて、ブラックアウト期間の長さを調節し得る。例えば、トリガモジュール730は、ユーザの呼吸速度の増加に応答して、ブラックアウト期間の長さを低減させ得る。同様に、トリガモジュール730は、ユーザの呼吸速度の低下に応答して、ブラックアウト期間の長さを増加させ得る。監視モジュール740によって計算された呼吸パラメータのうち1つ以上も、システム700の外部の1つ以上のモジュール(例えば、ボーラス調節モジュールまたはユーザデータ報告モジュール)へ提供され得る。
【0147】
適応トリガシステムについてのさらなる詳細について、例えば以下に記載がある:国際特許出願第PCT/AU2019/050302号(タイトル:「Methods and Apparatus for Treating a Respiratory Disorder」)。同文献は、国際公開第WO2019/191814A1号として2019年10月10日に公開されている。本明細書中、同文献を参考のため援用する。
【0148】
いくつかの実施形態において、流量センサ185は、ユーザの吸息および呼息の少なくとも一方の開始の決定のために用いられ得る。例えば、コントローラ400が圧力センサ194からの圧力信号の分析により吸息開始を示す圧力低下を検出し得る様態と概ね同じ様態で、コントローラ400は、流量センサ185からの流れ信号を分析して、吸息開始を示す負の流量を検出し得る。同様に、コントローラ400は、流量センサ185からの流れ信号の分析により、呼息開始を示す正方向の流量も検出し得る。吸息開始が検出されると、供給弁160が開放されて、酸素富化空気のボーラスがアキュムレータ106から放出され得る。同様に、呼息開始が検出されると、供給弁160は、次の吸息開始の検出まで閉鎖され得る。
【0149】
いくつかの実施形態において、ユーザの吸息および呼息の少なくとも一方の開始の決定のために、流量センサ185は、圧力センサ194と共に用いられ得る。このような実施形態において、
図2の適応トリガシステム700は、例えば、調節モジュール710が測定された流れ信号(例えば、流量センサ185によって生成された信号)も受信するように、変更され得る。さらに、このような実施形態において、調節モジュール710は、調節された圧力信号および調節された流れ信号双方を生成するように構成され得る。さらに、このような実施形態において、閾値モジュール720、トリガモジュール730および監視モジュール740の少なくとも1つは、調節された圧力信号および調節された流れ信号双方を用いて上記した動作を行うように、再構成され得る。
【0150】
いくつかの実施形態において、流量センサ185は、ユーザの吸息および呼息の少なくとも一方の開始の決定の際に、圧力センサ194無しに用いられ得る。このような実施形態において、
図2の適応トリガシステム700は、例えば、調節モジュール710が(測定された圧力信号ではなく)測定された流れ信号(例えば、流量センサ185によって生成された信号)を受信するように再構成されるように、変更され得る。さらに、このような実施形態において、調節モジュール710は、調節された圧力信号ではなく調節された流れ信号を生成するように再構成され得る。さらに、このような実施形態において、閾値モジュール720、トリガモジュール730および監視モジュール740の少なくとも1つは、上記した動作を行うために、調節された流れ信号を使用するように再構成され得る。
【0151】
いくつかの実施形態において、前回検出された吸息開始以降の時間が所定の閾値よりも高いとき、酸素濃縮器100は、自動送達モードを開始し得る。自動送達モード時において、酸素富化空気のボーラスのユーザへの送達は、例えば吸息開始の検出の有無に関係無く自動的に行われる。この自動送達モードにより、処方量の酸素富化空気のユーザによる確実な受け取りが促進される。いくつかの実施形態において、ユーザ呼吸の検出後、酸素濃縮器100は、自動送達モードを終了し得、POD動作モードを再開し得る。いくつかの実施形態において、所定の期間(例えば、45秒、1分、2分、3分)後、酸素濃縮器100は、自動送達モードを終了し得、POD動作モードを再開し得る。
【0152】
いくつかの実施形態において、自動送達モードの開始のために用いられる所定の閾値は、固定された値である(例えば、5秒~15秒の期間)。他の実施形態において、所定の閾値は、繰り返し調節される。例えば、所定の閾値は、2つ以上の最近の呼吸持続時間の移動平均に基づいて繰り返し調節され得る。例えば、所定の閾値は、スケーリング定数(例えば、1.25、1.5、2、2.5)と2つ以上の最近の呼吸持続時間の移動平均との積として繰り返し計算され得る。別の例として、所定の閾値は、所定の期間(例えば、2秒、3秒、4秒)と、2つ以上の最近の呼吸持続時間の移動平均との和として繰り返し計算され得る。
【0153】
いくつかの実施形態において、自動送達モード時において送達されるボーラスのサイズおよび周波数の少なくとも一方は、固定される。他の実施形態において、ボーラスのサイズおよび周波数の少なくとも一方は、繰り返し調節される。例えば、ボーラスのサイズおよび周波数の少なくとも一方は、2つ以上の最近の呼吸持続時間の移動平均に基づいて繰り返し調節され得る。別の例として、ユーザへ自動的に送達されるボーラスのサイズは、1つ以上の前回検出された吸息開始に応答してユーザへ前回送達された1つ以上のボーラスのサイズに対応し得る。同様に、ボーラスをユーザへ自動的に送達させる速度は、1つ以上の前回検出された吸息開始に応答して1つ以上のボーラスがユーザへ前回送達された速度に対応し得る。
【0154】
I.動き補償
酸素濃縮器のユーザが動くと、酸素濃縮器の1つ以上の構成要素も動き得る。例えば、ユーザが動くと、送達導管(例えば、送達導管192)および気道送達デバイス(例えば、鼻カニューレ気道送達デバイス196およびマウスピース198の少なくとも一方)の少なくとも一方も動き得る。これらの動きに起因して、酸素濃縮器内の1つ以上のセンサ(例えば、酸素センサ165、流量センサ185、圧力センサ194)の測定に影響が発生し得る。例えば、酸素濃縮器100の送達導管192が動くと、酸素センサ165の酸素濃度信号、流量センサ185の流れ信号および圧力センサ194の圧力信号の少なくとも1つにノイズが発生し得る。そのため、いくつかの実施形態において、ユーザの動きに起因して発生したノイズの補償のために、1つ以上の動きセンサが上記したシステム内に設けられ得る。
【0155】
例えば、
図3Aおよび
図3Bに示すように、動きセンサは、酸素濃縮器100内に設けられ得る。
図3Aに示すように、動きセンサ802Aは、コントローラボード801上にコントローラ400と共に位置決めされる。
図3Bに示すように、動きセンサ802Bは、送達導管192に沿って位置決めされる。いくつかの実施形態において、動きセンサ802Bは、ユーザにより近接して位置決めされ得、他の実施形態において、動きセンサ802Bは、外側ハウジング170により近接して位置決めされ得る。他の実施形態において、動きセンサ802Aおよび802Bは、異なる場所に位置決めされ得る。例えば、これらのセンサは、酸素濃縮器100の内側のいずれかの場所に位置決めされ得る(例えば、外側ハウジング170の壁に沿ってまたはキャニスタシステム300上)。別の例として、動きセンサ802Aおよび802Bは、酸素濃縮器100と別個のデバイス(例えば、ユーザが携行しているかまたは装着しているもの)内に設けられ得る。このような実施形態において、別個のデバイスは、例えばパーソナルセルラーデバイスまたは腕時計であり得る。いくつかの実施形態において、複数の動きセンサが、酸素濃縮器100内に設けられ得る。例えば、動きセンサ802Aおよび802B双方が、酸素濃縮器100内に設けられ得る。
【0156】
多様な異なる動きセンサ(例えば、加速度計、ジャイロスコープ、傾斜スイッチ、歪みゲージ、気圧計または高度計)が、本技術と共に用いられ得る。例えば、いくつかの実施形態において、動きセンサ802Aおよび802Bの少なくとも一方は、1つ以上の方向における加速を測定するように構成された加速度計であり得る(例えば、1軸加速度計、2軸加速度計または3軸加速度計)。別の例として、いくつかの実施形態において、動きセンサ802Bは、送達導管192の1つ以上の部分の屈曲を測定するように構成された歪みゲージであり得る。さらに別の例として、いくつかの実施形態において、動きセンサ802Aおよび802Bの少なくとも一方は、ユーザに起因する高度変化を測定するように構成された気圧計および高度計の少なくとも一方であり得る。
【0157】
動きセンサ802Aおよび802Bによって生成されたデータは、コントローラ400によって受信される。いくつかの実施形態において、動きセンサ802Aおよび802Bは、1つ以上の電気導管を通じてコントローラ400へ通信可能に連結され得る。このような実施形態において、動きセンサ802Aおよび802Bは、生成されたデータの送信を、標準通信プロトコルを用いて行い得る(例えば、集積回路間回路(I2C)、シリアル周辺インターフェース(SPI)、コントローラエリアネットワーク(CAN)、汎用非同期レシーバ/トランスミッタ)(UART)、イーサネットまたはユニバーサルシリアルバス(USB)またはカスタム通信プロトコル)。いくつかの実施形態において、動きセンサ802Aおよび802Bは、1つ以上の無線送信器、受信器およびトランシーバの少なくとも1つを通じて、生成されたデータをコントローラ400へ無線送信させ得る。このような実施形態において、動きセンサ802Aおよび802Bは、生成されたデータの無線送信を標準通信プロトコルを用いて行い得る(例えば、Bluetooth、WiFi、ZigBee、Z-Wave、NEC Infrared(IR)、符号分割多元接続(CDMA)、Global System for Mobile Communications(GSM)またはLong Term Evolution(LTE)またはカスタム通信プロトコル)。
【0158】
コントローラ400は、動きセンサ802Aおよび802Bから受信したデータを用いて、ユーザの動きに起因して発生したノイズを補償し得る。例えば、
図4A~
図4Dに示すように、
図2の適応トリガシステム700は、このようなノイズを補償するように変更され得る。
図4A~
図4Dの実施形態それぞれにおいて、適応トリガシステム700のモジュールのうちの1つ(例えば、調節モジュール710、閾値モジュール720、トリガモジュール730または監視モジュール740)の代わりに、異なるモジュールが用いられている(例えば、調節モジュール910、閾値モジュール920、トリガモジュール930または監視モジュール940)。残りのモジュールは、
図2に関連して上記したような様態で動作する。
【0159】
図4Aに示すように、調節モジュール710の代わりに、調節モジュール910が適応トリガシステム900Aにおいて用いられる。調節モジュール910は、例えば、測定された圧力信号(例えば、圧力センサ194によって生成された信号)、弁制御信号(例えば、供給弁160の制御のためにコントローラ400によって生成された信号)、測定された温度信号(例えば、酸素濃縮器100内の温度センサによって生成された信号)、および、測定された動き信号(例えば、動きセンサ802Aまたは802Bによって生成された信号)の少なくとも1つを受信するように構成され得る。調節モジュール710と概ね同様に、調節モジュール910は、弁制御信号、測定された温度信号およびノイズ低減フィルタリングの少なくとも1つを用いて、測定された圧力信号を(ユーザの気道圧力をより高精度に示すように)調節し得る。さらに、調節モジュール910は、測定された動き信号を用いて、ユーザの動きに起因するノイズを補償し得る。例えば、適応トリガシステム900Aが
図3Aおよび
図3Bの少なくとも一方の出口システムと共に用いられる実施形態において、調節モジュール910は、動きセンサ802Aおよび802Bの少なくとも一方によって生成された測定された動き信号に基づいて、圧力センサ194によって生成された測定された圧力信号を増減させ得る。例えば、動きセンサ802Aおよび802Bの少なくとも一方が加速度計である実施形態において、圧力センサ194の方向付けに関連する加速の測定方向は、測定された圧力信号を増加させるべきかまたは低減させるべきかを示し得る。別の例として、動きセンサ802Bが歪みゲージである実施形態において、送達導管192の1つ以上の部分の測定された屈曲は、測定された圧力信号を増加させるべきかまたは低減させるべきかを示し得る。さらに別の例として、動きセンサ802Aおよび802Bの少なくとも一方が、気圧計もしくは高度計、または、これらの組み合わせである実施形態において、測定された高度変化は、測定された圧力信号を増加させるべきかまたは低減させるべきかを示し得る。
【0160】
図4Bに示すように、閾値モジュール720の代わりに、閾値モジュール920が適応トリガシステム900B内において用いられる。閾値モジュール720と概ね同様に、閾値モジュール920は、調節モジュール710からの調節された圧力信号を監視し、適切なトリガ閾値を時間の関数として繰り返し決定するように構成され得る。さらに、閾値モジュール920は、活性推定サブモジュール、閾値更新サブモジュールおよび窓調節サブモジュールの少なくとも1つを有し得る。しかし、これらのサブモジュールのうち少なくとも1つの機能は、測定された動き信号に基づいて変更され得る。
【0161】
活性推定サブモジュールは、調節された圧力信号、および、測定された動き信号(例えば、動きセンサ802Aまたは802Bによって生成された信号)の少なくとも一方に基づいて活性信号を生成するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、活性推定サブモジュールは、調節された圧力信号から呼吸パラメータ(例えば、ユーザの呼吸速度)および測定された動き信号から動きパラメータ(例えば、ユーザによって毎分あたり行われるステップ数)を導出し得る。その後、活性推定サブモジュールは、呼吸パラメータおよび動きパラメータを組み合わせて、活性信号を生成し得る。例えば、活性信号は、呼吸パラメータおよび動きパラメータの加重和として計算され得る。別の例として、いくつかの実施形態において、活性推定サブモジュールは、調節された圧力信号から非呼吸信号を(例えば、ハイパスフィルタを適切なカットオフ周波数と共に用いて)生成し得る。次に、活性推定サブモジュールは、測定された動き信号に基づいて、非呼吸信号をスケーリングし得る。例えば、測定された動き信号によってユーザの動き量の増加が示された場合、活性信号の生成のためにより大きなスケール係数が非呼吸信号へ付加され得る。同様に、測定された動き信号によってユーザの動き量の低減が示された場合、活性信号の生成のためにより小さなスケール係数が非呼吸信号へ付加され得る。
【0162】
閾値更新サブモジュールは、活性推定サブモジュールからの活性信号、および、測定された動き信号(例えば、動きセンサ802Aまたは802Bによって生成された信号)の少なくとも一方に基づいてトリガ閾値を調節するように構成され得る。例えば、活性信号がユーザの活性の増加を信頼性を以て示した場合、閾値更新サブモジュールは、トリガ閾値の大きさを増大させ得る。同様に、活性信号がユーザの活性の低下を信頼性を以て示した場合、閾値更新サブモジュールは、トリガ閾値の大きさを低減させ得る。閾値更新サブモジュールは、測定された動き信号を用いて、活性信号の信頼性を評価し得る。例えば、適応トリガシステム900Bが
図3Aおよび
図3Bの少なくとも一方の出口システムと共に用いられる実施形態において、酸素濃縮器100の1つ以上の構成要素の動きにより、圧力センサ194の測定に影響が発生し得、その結果、活性信号に影響が発生し得る。よって、動きセンサ802Aおよび802Bの少なくとも一方によって生成された動き信号の大きさもしくは周波数、または、これらの組み合わせが、所定の閾値よりも高い場合、閾値更新サブモジュールは、例えば活性信号を一時的に無視し得、トリガ閾値を現在値に維持し得る。
【0163】
いくつかの実施形態において、閾値更新サブモジュールは、活性信号の固定長さの窓(例えば、5秒~15秒の期間)を分析し得る。他の実施形態において、閾値更新サブモジュールは、活性信号の調節可能な長さの窓を分析し得る。このような実施形態において、閾値モジュール920に設けられ得る窓調節サブモジュールは、閾値更新サブモジュールによって用いられる窓の長さを活性信号、調節された圧力信号、トリガ閾値、および、測定された動き信号(例えば、動きセンサ802Aまたは802Bによって生成された信号)の少なくとも1つの関数として調節するように再構成される。例えば、窓調節サブモジュールは、窓の長さを一時的に短縮させることにより、(例えば、咳またはカニューレ隆起に起因する)ノイズ増加という短時間の孤立したエピソードからの迅速な回復のためにトリガ閾値を提供することができる。このような実施形態において、窓調節サブモジュールは、窓の長さの調節を、トリガ閾値がトリガ閾値の最近の移動平均を超えた時間の長さに基づいて行い得る。いくつかの実施形態において、窓調節サブモジュールは、測定された動き信号の分析によりノイズ増加のエピソードを特定するように構成され得る。例えば、ノイズ増加のエピソードは、測定された動き信号の大きさおよび周波数の少なくとも一方が所定の閾値よりも高い場合に窓調節サブモジュールによって特定され得る。
【0164】
図4Cに示すように、トリガモジュール730の代わりに、トリガモジュール930が適応トリガシステム900Cにおいて用いられる。トリガモジュール730と概ね同様に、トリガモジュール930は、閾値モジュール720からのトリガ閾値を調節モジュール710からの調節された圧力信号へ付加することによりトリガ信号(例えば、デジタルブール信号または比例制御信号)を生成するように構成され得る。トリガ信号は、酸素富化空気のボーラスの放出をユーザの吸息と同期させるために用いられ得る。例えば、トリガ信号は、供給弁160へ提供され得る。いくつかの実施形態において、トリガモジュール930は、調節された圧力信号をトリガ閾値と比較することにより、吸息開始を特定し得る。このような実施形態において、調節された圧力信号の大きさがトリガ閾値の大きさよりも大きくなった場合トリガモジュール930は、吸息開始を検出し得る。トリガモジュール730と概ね同様に、トリガモジュール930は、ブラックアウト期間および呼気開始の検出の少なくとも一方を用いることにより、吸息開始の誤検出の危険性を低減し得る。しかし、トリガモジュール930は、測定された動き信号(例えば、動きセンサ802Aまたは802Bによって生成された信号)も用いることにより、吸息開始の誤検出の危険性を低減し得る。例えば、トリガモジュール930は、測定された動き信号の大きさおよび周波数の少なくとも一方が所定の閾値を下回った場合、吸息開始を検証し得る。
【0165】
図4Dに示すように、監視モジュール740の代わりに、監視モジュール940が適応トリガシステム900Dにおいて用いられる。監視モジュール740と概ね同様に、監視モジュール940は、ユーザの1つ以上の呼吸パラメータ(例えば、ユーザの呼吸速度または吸気時間)の計算を調節モジュール710からの調節された圧力信号およびトリガモジュール730からのトリガ信号に基づいて行うように構成され得る。しかし、監視モジュール940は、ユーザの1つ以上の動きパラメータ(例えば、ユーザによって毎分あたり行われるステップ数)の計算を測定された動き信号(例えば、動きセンサ802Aまたは802Bによって生成された信号)に基づいて行うようにも構成され得る。監視モジュール940は、測定された動き信号を、1つ以上の呼吸パラメータの計算精度の向上のためにも用い得る。例えば、測定された動き信号の1つ以上の対応するセグメントの大きさおよび周波数の少なくとも一方が所定の閾値を超えた場合、監視モジュール940は、調節された圧力信号の1つ以上のセグメントを呼吸パラメータの計算から除外し得る。監視モジュール740によって計算された呼吸パラメータと概ね同様に、監視モジュール940によって計算された呼吸パラメータおよび動きパラメータの少なくとも一方は、トリガモジュール730、および、システム900Dの外部の1つ以上のモジュール(例えば、ボーラス調節モジュールまたはユーザデータ報告モジュール)の少なくとも一方へ、提供され得る。
【0166】
図4A~
図4Dの実施形態において、適応トリガシステム700のモジュールのうち1つのみ(例えば、調節モジュール710、閾値モジュール720、トリガモジュール730または監視モジュール740)の代わりに、異なるモジュール(例えば、調節モジュール910、閾値モジュール920、トリガモジュール930または監視モジュール940)を用いた。しかし、他の実施形態において、複数のモジュールおよび複数のサブモジュールの少なくとも一方を代わりに用いてもよい。例えば、調節モジュール910、閾値モジュール920、トリガモジュール930および監視モジュール940の少なくとも1つが、適応トリガシステム内に2つ以上採用され得る。
【0167】
図4A~
図4Dの実施形態において、測定された圧力信号(例えば、圧力センサ194によって生成された信号)が、ユーザによる吸息および呼息の少なくとも一方の開始の決定のために用いられ得る。しかし、上記において説明したように、他の実施形態において、測定された流れ信号(例えば、流量センサ185によって生成された信号)が、ユーザによる吸息および呼息の少なくとも一方の開始の決定のために用いられ得る。このような実施形態において、測定された流れ信号は、測定された圧力信号(例えば、圧力センサ194によって生成された信号)と共にまたはそのような信号無しに用いられ得る。
【0168】
上記したように、いくつかの実施形態において、前回検出された吸息開始以降の時間が所定の閾値よりも高い場合、酸素濃縮器100は、自動送達モードを開始し得る。自動送達モード時において、酸素富化空気のボーラスのユーザへの送達は、例えば吸息開始の検出の有無に関係無く自動的に行われる。いくつかの実施形態において、ボーラスのサイズおよび周波数の少なくとも一方は、繰り返し調節される。例えば、監視モジュール940によって計算された1つ以上の呼吸パラメータが、ボーラスのサイズおよび周波数の少なくとも一方の調節のために用いられ得る。別の例として、1つ以上の別個に計算された呼吸パラメータは、ボーラスのサイズおよび周波数(例えば、2つ以上の最近の呼吸持続時間の移動平均)の少なくとも一方の調節のために用いられ得る。このような実施形態において、測定された動き信号(例えば、動きセンサ802Aまたは802Bによって生成された信号)は、これらの計算の精度の向上のために用いられ得る。例えば、測定された動き信号の1つ以上の対応するセグメントの大きさおよび周波数の少なくとも一方が所定の閾値よりも高い場合、測定された流れ信号(例えば、流量センサ185によって生成された信号)、および、測定された圧力信号(例えば、圧力センサ194によって生成された信号)の少なくとも一方の1つ以上のセグメントが、呼吸パラメータの計算から除外され得る。
【0169】
いくつかの実施形態において、さらなるセンサが、上記したシステムおよび方法において採用され得る。例えば、心拍数モニターによって生成された測定された心拍数信号が、測定された動き信号(例えば、動きセンサ802Aまたは802Bによって生成された信号)と組み合わされて、ユーザの動きに起因するノイズの補償に用いられ得る。このような実施形態において、測定された心拍数信号は、上記したモジュールのうちいずれかへ供給され得る。心拍数が上昇した場合、ユーザの動きが増加したことを示し得る。同様に、心拍数が低下した場合は、ユーザの動きの低下を示し得る。その結果、調節モジュール910は、例えば測定された心拍数信号を測定された圧力の調節のためにも用い得る。別の例として、閾値モジュール920の活性推定サブモジュールは、心拍数パラメータを測定された心拍数信号から導出し得る。次に、活性推定サブモジュールは、心拍数パラメータを呼吸パラメータおよび動きパラメータと組み合わせて、活性信号を生成し得る。さらに別の例として、閾値モジュール920の閾値更新サブモジュールは、測定された心拍数信号を用いて、活性信号の信頼性を評価し得る。さらに別の例として、閾値モジュール920の窓調節サブモジュールは、測定された心拍数信号の大きさおよび周波数の少なくとも一方に基づいて、窓の長さを調節し得る。さらに別の例として、トリガモジュール930は、測定された心拍数信号の大きさおよび周波数の少なくとも一方に基づいて、吸息開始を検証し得る。さらに別の例として、監視モジュール940は、調節された圧力信号の1つ以上のセグメントを測定された心拍数信号の大きさおよび周波数の少なくとも一方に基づいた呼吸パラメータの計算から除外し得る。さらに別の例として、測定された心拍数信号は、自動送達モード時に送達されるボーラスのサイズおよび周波数の少なくとも一方の調節のために用いられ得る。
【0170】
動き補償のさらなる詳細について、例えば米国仮出願第63/000813号(タイトル:「Breath Detection with Movement Compensation」、出願日:2020年3月27日)に記載がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0171】
J.ハイブリッドモード酸素送達
ハイブリッドモード治療(またはハイブリッドモードの送達)は、呼吸同期型の治療であり、患者への非ゼロのボーラス間ガス流れと、PODモードのように吸息と同期して送達されるボーラスとが存在する。ハイブリッドモードの送達は、バイレベルの純度、バイレベルの流量またはこれらの組み合わせを含み得る。
【0172】
1.バイレベルの純度
図5に含まれるグラフ1060は、一種のハイブリッドモード(バイレベルの純度と呼ばれる)を示す。バイレベルの純度ハイブリッドモードにおいて、酸素富化空気の各ボーラスは、PODモードと同様に吸息と同期して放出され、この放出は、ボーラス流量と呼ばれる流量と、ボーラス純度と呼ばれる酸素純度とにおいて行われる。これを、グラフ1060中の期間1070によって示す。しかし、ボーラス放出間の期間(ボーラス間期間と呼ばれる)(例えば、期間1080)において、患者は、ガス流れを(より低い酸素純度を除く)ボーラス流量においても受容する。
【0173】
ボーラス間流れの酸素純度が低下した場合、(酸素純度が一定である)従来の連続流時よりも酸素の無駄が低下する。これにより、コンプレッサは、現在の流量設定に対する所望の値においてシステム圧力を維持するために(連続流時ほどには)激しく作動する必要は無いため、電池の長寿命化が促進される。加えて、ポータブル型の酸素濃縮器の場合、設計上の制約(サイズ、重量、電力消費、吸着剤の大きさ)に起因して、所与の時間内に生成することが可能な酸素の体積が制限される。酸素送達の節約により、バイレベルの純度ハイブリッドモードにより、その他の設計上の制約において最適化の余裕が増加する。
【0174】
図6は、バイレベルの純度ハイブリッドモードの一実施形態による、
図1Fの出口システムの変更の概略図である。
図6の変更された出口システム1100は、下記の新規要素を除いて
図1Fに示すものと同じである:流れ発生源1101、2路二次弁1110、流れ制限器1120および絞り弁1130。流量センサ185は、
図6に示すように変更された出口システム1100から省略してもよいし、あるいは、
図1Fに示すように流れ制限器175の後に任意選択的に設けてもよい。
【0175】
流れ発生源1101は、二次弁1110および流れ制限器1120を含む二次流路を介して流れ制限器175の下流側へ接続される。二次流路中の流れは、供給弁160から一次経路を介して患者へ放出される酸素富化空気よりも低純度となる。ボーラスが供給弁160から放出されない場合、コントローラ400は、二次弁1110を制御してより低純度の経路に沿った流れを可能にして、ボーラス放出時におけるより低純度の経路に沿った流れを回避する。換言すると、二次弁1110は、供給弁160と非同期で作動され、供給弁160が閉鎖されているときは、開放され、供給弁160が開放されているときは、閉鎖される。バイレベルの純度ハイブリッドモードの実行のための変更された出口システム1100の代替例において、2つの2路弁160および1110の代わりに、単一の三方弁が用いられ得る。この単一の三方弁は、(吸息開始によってトリガされた際に)アキュムレータ106を一次経路へ接続させるかまたはその他のときに二次のより低純度の経路へ接続させるように構成される。この三方弁は、流れ制限器175および1120の下流に設けてもよいし、あるいは、(流れ制限器175および1120の代わりに用いられかつ流れ制限器175および1120の作用を組み合わせた)単一の流れ制限器の上流に設けてもよい。
【0176】
一実施形態において、流れ発生源1101は、コンプレッサ210であり得る。このような実施形態において、流れ制限器1120の選択は、より低純度の経路中の流量がより高純度の一次経路中のボーラス流量とほぼ等しくなるように行われる。いくつかの実施形態において、流れ発生源1101の圧力および二次流路の空気圧インピーダンスに応じて、流れ制限器1120はほとんど省略され得る。
【0177】
代替実施形態において、流れ発生源1101は、二次コンプレッサであり得、より高純度の経路内のボーラス流量とほぼ等しい流量において空気流れを生成するように構成される。このような実施形態において、流れ制限器1120は、省略され得る。
【0178】
いずれかのこのような実施形態において、より低純度の経路中の酸素純度は、概ね周囲空気(21%)の酸素純度である。
【0179】
バイレベルの純度ハイブリッドモードのさらなる実施形態において、流れ発生源1101は、出口130からより低純度の経路へ再度経路設定された通気された排気ガスの一部であり(その酸素純度、典型的には周囲における純度が21%であり得るが、パージ流れの量に応じて35%と高くされ、4%と低くされ得る)。1つのこのような実施形態において、流れ制限器1120は、より低純度の経路内の流量がより高純度の一次経路内のボーラス流量とほぼ等しくなるように選択される。
【0180】
図1Fの出口システムの別の改変として、変更された出口システム1100において、圧力センサ194は差動接続型であり、「感知ポート」がコネクタ190または送達導管192内のいずれかの場所へ接続され、「基準ポート」が、流れ制限器1130の下流側へ接続された
図1F中の周囲(図示せず)へ接続される。流れ制限器1130の上流側は、流れ制限器175の下流側へ接続される。このような差動接続において、変更された出口システム1100は、(圧力センサ194が
図1Fのように接続されている場合よりも)高精度にトリガすることができる。ボーラス間期間における二次経路を通じてより低純度の流れが流れることにより、コネクタ190における圧力およびよって圧力センサ194の感知ポートにおける圧力が、吸息開始の直前の周囲よりも実質的に高い圧力まで上昇する。圧力センサ194の基準ポートが周囲に接続された場合、圧力センサ194のポート間の実質的に正方向の圧力差に起因して、吸息開始の直前に圧力センサ194が飽和され得、これにより、吸息開始に起因するコネクタ190における圧力降下を信頼性良く感知することが困難になり得る。
【0181】
しかし、
図6の差動接続を用いれば、圧力センサ194のポート間の圧力差が吸息開始の直前に大幅に低減され、実際には若干負の値にさえなり得る。よって、圧力センサ194は、不飽和のままである。流れ制限器1130に起因して、動的なまたは適応型の基準圧力は、コネクタ190における圧力を減衰したものまたは遅延させたバージョンといえる。吸息開始に起因して、感知ポート(コネクタ190)における圧力は急降下する一方、流れ制限器1130に起因して、基準ポートにおける圧力は、吸息開始後の短い間隔にわたって一定のままである。よって、圧力センサ194のポートにわたる圧力差は、コントローラ400による検出が可能なほど十分な長さの期間にわたって負の方向に引っ張られる。基準ポートは、動的なまたは適応型の閾値として有効に機能し、吸息開始の検出のためにコネクタ190における圧力との比較相手として用いられる。
【0182】
酸素富化空気は、変更された出口システム1100により、常時バイレベルの純度ハイブリッドモードにおいて送達されない場合がある。いくつかの実施形態において、コントローラ400は、二次弁1110を閉鎖状態に維持し得るため、酸素富化空気の送達は、コントロールパネル600上における制御が活性化されるまで、PODモードにおいて一次経路を介して行われる。例えば、ユーザが呼吸困難または息切れを経験しており、不安を無くすことを必要としているときに、上記制御が活性化され得る。このような制御が活性化されると、コントローラ400は、バイレベルの純度ハイブリッドモードの実行のために、例えば上記したように二次弁1110の開閉を供給弁160と非同期で開始させ得る。このモードは、所定の期間にわたって継続してもよいし、あるいは、コントロールパネル上の制御が不活性化されるまで不定の期間にわたって継続してもよい。次に、コントローラ400は、PODモードにおける酸素富化空気の送達に復帰する。
【0183】
2.バイレベルの流量
図7に含まれるグラフ1235は、第2の種のハイブリッドモード(バイレベルの流量と呼ばれる)を示す。バイレベルの流量ハイブリッドモードにおいて、酸素富化空気の各ボーラスの放出が、PODモードおよびバイレベルの純度ハイブリッドモードのように、ボーラス流量において吸息と同期して行われる。これを、グラフ1235中の期間1240によって示す。しかし、ボーラス間期間(例えば、期間1245)においては、患者は、(より低い流量(ボーラス間流量と呼ばれる)を除いて)ボーラス酸素純度においてもガス流れを受容する。
【0184】
ボーラス間の流れの流量が低下した場合、(流量が呼吸サイクルにわたって一定である)従来の連続流時よりも酸素の無駄が低減していることを意味する。これにより、コンプレッサは、現在の流量設定に対する所望の値においてシステム圧力を維持するために(連続流時ほどには)激しく作動する必要は無いため、電池の長寿命化が促進される。加えて、ポータブル型の酸素濃縮器の場合、設計上の制約(サイズ、重量、電力消費、吸着剤の大きさ)に起因して、所与の時間内に生成することが可能な酸素の体積が制限される。酸素送達の節約により、バイレベルの流量ハイブリッドモードにより、その他の設計上の制約において最適化の余裕が増加する。
【0185】
図8は、バイレベルの純度ハイブリッドモードの一実施形態による、
図1Fの出口システムの変更例の概略図である。
図8の変更された出口システム1300は、(二次弁1110のように流れ発生源1101から流れを受容するのではなく)2路二次弁1310がアキュムレータ106からの流れを受容する点を除いて、
図6に示す変更された出口システム1100に類似する。換言すると、二次弁1310および流れ制限器1320は、任意の順序で配置され得、アキュムレータ106からの酸素富化空気のための二次経路を形成する。流れ制限器1320は、二次のより低流の経路中の流量が一次経路中のボーラス流量よりも実質的に低くなるように、選択される。
【0186】
コントローラ400は、二次弁1310を制御して、(供給弁160からのボーラス放出が行われていない場合に)より低流の経路に沿った流れを可能にして、これにより、ボーラス放出時におけるより低流の経路に沿った流れを回避する。換言すると、二次弁1310は、供給弁160と非同期で作動され、供給弁160の閉鎖時において開放され、供給弁160の開放時において閉鎖される。
【0187】
変更された出口システム1300は、変更された出口システム1100と同様に、差動接続型圧力センサ194も流れ制限器1130と共に利用し得、これにより、トリガがより高精度になる。
【0188】
酸素富化空気は、変更された出口システム1300により常時バイレベルの流量ハイブリッドモードで送達されない場合がある。いくつかの実施形態において、コントローラ400は、コントロールパネル600上の制御が活性化されるまで、二次弁1310を閉鎖状態に保持して、酸素富化空気の送達をPODモードにおいて一次経路を介して行わせる。例えば、ユーザが呼吸困難または息切れを経験しており、不安を無くすことを必要としているときに、上記制御が活性化され得る。この制御が活性化されると、コントローラ400は、二次弁1310の開閉を上記したように供給弁160と非同期で開始させて、バイレベルの流量ハイブリッドモードを実行する。このモードは、所定の期間にわたって継続してもよいし、あるいは、コントロールパネル上の制御が不活性化されるまで不定の期間にわたって継続してもよい。次に、コントローラ400は、PODモードにおける酸素富化空気の送達に復帰する。
【0189】
バイレベルの流量ハイブリッドモードの実行のための代替の変更された出口システムは、二次弁1310を含まない。その代わりに、流れ制限器1320を通じた二次のより低流の経路が、酸素濃縮器100そのものが活性化されている限り、活性化される。
【0190】
バイレベルの流量ハイブリッドモードの実行のためのさらなる代替の変更された出口システムにおいて、2つの2路弁160および1310の代わりに、単一の三方弁が用いられ得る。この単一の三方弁は、アキュムレータ106を(吸息開始によってトリガされた場合に)一次経路へまたはその他の時に二次のより低流の経路へ接続させるように構成される。
【0191】
バイレベルの流量ハイブリッド送達モードの1つの恩恵として、二次のより低流の経路を介して低流量において送達された酸素富化空気が送達導管192内に「プール」されるため、(ボーラス放出のために一次経路の開放前であっても)吸息開始の直後に吸息のために利用可能となる点がある。
【0192】
3.中間種
図9に含まれるグラフ1460は、酸素濃縮器による酸素富化空気の多様な送達モードを示す。横軸は、ボーラス間流量を示し、縦軸は、ボーラス間酸素純度を示す。点1465によって示される連続流送達において、ボーラス間流量はボーラス流量に等しく、ボーラス間純度は、酸素富化空気の純度(例えば、ボーラス純度(例えば、93%)))と同じである。点1470によって示されるPODモードにおいて、ボーラス間流量はゼロである。点1475によって示されるバイレベルの純度の種のハイブリッド送達モードにおいて、ボーラス間流量はボーラス流量に等しいが、ボーラス間純度は、(典型的には、室温の場合に21%まで)大きく低下する。点1480によって示されるバイレベルの流量の種のハイブリッド送達モードにおいて、ボーラス間流量は、ボーラス流量よりも実質的に低いが、ボーラス間純度はボーラス純度と同じである。線1485は、バイレベルの純度の種(点1475)とバイレベルの流量の種(点1480)との間のハイブリッド送達モードの中間種の進展を示す。線1485は、中間種を示す点1490によって例示され、ボーラス間流量はボーラス流量よりも若干低く、ボーラス間純度はボーラス純度よりも若干低く、バイレベルの純度の種の純度よりも高い。
【0193】
中間種は、二次より低純度の経路および二次より低流の経路双方を含む変更された出口システム1100および1300の組み合わせによって実行され得、変更された出口システム1100および1300はそれぞれ、一次経路と非同期で開放される。これら2つの二次経路内の流れの組み合わせにより、ボーラス間流れの全体が構成される。流れ制限器1120および1320それぞれのサイズにより、2つの二次経路中の流量ならびによってボーラス間純度および流量が決定される。
【0194】
差動接続型圧力センサ194は、トリガ精度の向上のために、全ての種のハイブリッドモード送達と共に用いられ得る。
【0195】
ハイブリッドモード酸素送達のさらなる詳細について、例えば豪州出願第2020901121号(タイトル:「Methods and Apparatus for Treating a Respiratory Disorder」、出願日:2020年4月8日)中に記載があり、本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0196】
K.電力管理
いくつかの実施形態において、酸素濃縮器の使用の有無および使用の様態の少なくとも一方に基づいて、酸素濃縮器(例えば、酸素濃縮器100)は、複数の動作モード間において自動的に切り替わるように構成され得る。例えば、ユーザがPOCの使用を停止した後、ポータブル型の酸素濃縮器(POC)は、処方動作モードからスタンバイ動作モードに自動的に移行し得る。同様に、POCは、ユーザのPOCとの対話に応答してスタンバイ動作モードから処方動作モードへ自動的に移行し得る。スタンバイ動作モード時において、POCは、1つ以上の構成要素(例えば、圧力センサ107、弁122,124,132,134,152および154の少なくとも1つ、酸素センサ165、ファン172、圧縮システム200、ならびに、モータ速度変換器201の少なくとも1つ)へ提供される電力をオフにするかまたは低減し得る。例えば、スタンバイ動作モード時において、POCは、その圧縮システムの電力をオフにさせ得る。別の例として、スタンバイ動作モード時において、POCは、(例えば、ボーラス間期間に対応して)より低い酸素純度またはより低い流量を提供し得る。スタンバイ動作モード時における電力消費の最小化により、内部電源(例えば、リチウムイオン電池)のランタイムの増大に繋がり得、POCのサイズおよび重量が最小化され得る。さらに、ユーザがPOCと対話する回数の低減により、ユーザの経験の向上に繋がり得る。例えば、ユーザが(気道送達デバイス(例えば、鼻マスク、鼻枕、鼻プロング、鼻カニューレまたはマウスピース)の取り外しおよびPOCの手動オフ双方を行う代わりに)気道送達デバイスを取り外すだけで、POCは自動的にスタンバイモードになる。ユーザ対話の回数を低減すると、あまり器用ではないユーザにとって特に有利であり得る。
【0197】
処方動作モード時において、POCは、治療圧力、体積および濃度の少なくとも1つが処方された酸素をユーザへ送達させるように構成され得る。上記したように、治療圧力、体積および濃度の少なくとも1つが処方された酸素は、酸素の連続流、一連のパルス(より詳細については、「パルス型酸素送達」というタイトルのサブセクションHを参照されたい)またはこれら2つのハイブリッド(より詳細については、「ハイブリッドモード酸素送達」というタイトルのサブセクションJを参照されたい)として送達され得る。処方動作モードは、例えば上記した活性モードおよび睡眠モードの少なくとも一方を含み得る。
【0198】
いくつかの実施形態において、酸素濃縮器は、所定の期間において検出された呼吸数に基づいて、処方動作モードとスタンバイ動作モードとの間において移行し得る。例えば、所定の期間(例えば、30秒、1分、3分)において検出された呼吸数が所定の閾値(例えば、1回の呼吸、2回の呼吸、5回の呼吸)を下回る場合、POCは、処方動作モードからスタンバイ動作モードへ自動的に移行し得る。同様に、所定の期間(例えば、5秒、10秒、30秒、1分、3分)において検出された呼吸数が所定の閾値(例えば、1回の呼吸、2回の呼吸、5回の呼吸)よりも高い場合、POCは、スタンバイ動作モードから処方動作モードへ自動的に移行し得る。いくつかのこのような実施形態において、異なる動作モードの開始のために、異なる所定の期間が用いられ得る。例えば、スタンバイ動作モードの開始のために用いられる所定の期間(例えば、1分)は、処方動作モードの開始のために用いられる所定の期間(例えば、5秒)よりも高い場合がある。さらに、いくつかのこのような実施形態において、異なる動作モードの開始のために、異なる所定の閾値が用いられ得る。例えば、スタンバイ動作モードの開始のために用いられる所定の閾値(例えば、1回の呼吸)は、処方動作モードの開始のために用いられる所定の閾値(例えば、3回の呼吸)を下回り得る。
【0199】
呼吸の検出のために、多様な異なるシステムおよび方法が用いられ得る。例えば、上記したように、吸息および呼息の少なくとも一方の開始の検出のために、圧力センサ、流れセンサおよび動きセンサの少なくとも1つが用いられ得る(例えば、流量センサ185、圧力センサ194、動きセンサ802A、および、動きセンサ802Bの少なくとも1つ)。例えば、適応トリガシステム700,900A,900B,900Cおよび900D(
図2および
図4A~
図4Dを参照)の少なくとも1つが、ユーザの1回以上の呼吸の検出のために用いられ得る。いくつかのこのような実施形態において、POCは、例えば
図1F、
図3A、
図3B、
図6および
図8の少なくとも1つに示す出口システムのうちいずれか1つを含み得る。さらに、いくつかのこのような実施形態において、トリガモジュール730または930によって生成された信号(例えば、トリガ信号)は、処方動作モードとスタンバイ動作モードとの間におけるPOCの移行タイミングの決定のために用いられ得る。いくつかの実施形態において、スタンバイ動作モードにおいて、POCは、1つ以上の構成要素(例えば、圧力センサ107、弁122,124,132,134,152および154の少なくとも1つ、酸素センサ165、ファン172、圧縮システム200、ならびに、モータ速度変換器201の少なくとも1つ)へ提供される電力をオフするかまたは低減させ得るが、呼吸の検出のために用いられる1つ以上のセンサ(例えば、流量センサ185、圧力センサ194、動きセンサ802Aおよび動きセンサ802Bの少なくとも1つ)へ提供される電力を維持し得る。
【0200】
いくつかの実施形態において、酸素濃縮器の処方動作モードとスタンバイ動作モードとの間の移行は、1つ以上の検出された動きの大きさおよび持続時間の少なくとも一方に基づいて行われ得る。例えば、所定の期間(例えば、30秒、1分、3分)において1つ以上の検出された動きの推定された平均大きさが所定の閾値を下回る場合、POCは、処方動作モードからスタンバイ動作モードへ自動的に移行し得る。同様に、所定の期間(例えば、5秒、10秒、30秒、1分、3分)において1つ以上の検出された動きの推定された平均大きさが所定の閾値よりも高い場合、POCは、スタンバイ動作モードから処方動作モードへ自動的に移行し得る。いくつかのこのような実施形態において、異なる動作モードの開始のために、異なる所定の期間が用いられ得る。例えば、スタンバイ動作モードの開始のために用いられる所定の期間(例えば、1分)は、処方動作モードの開始のために用いられる所定の期間(例えば、5秒)よりも高い場合がある。さらに、いくつかのこのような実施形態において、異なる動作モードの開始のために、異なる所定の閾値が用いられ得る。例えば、スタンバイ動作モードの開始のために用いられる所定の閾値は、処方動作モードの開始のために用いられる所定の閾値を下回り得る。
【0201】
動きの検出のために、多様な異なるシステムおよび方法が用いられ得る。例えば、多様な異なる動きセンサ(例えば、加速度計、ジャイロスコープ、傾斜スイッチ、歪みゲージ、気圧計または高度計)が、本技術と共にPOC内の多様な異なる場所において用いられ得る。例えば、いくつかのこのような実施形態において、POCは、
図3Aおよび
図3Bに示す出口システムのいずれかを含み得る。さらに、いくつかのこのような実施形態において、動きセンサ802Aおよび802Bのすくなくとも一方によって生成された動き信号は、処方動作モードとスタンバイ動作モードとの間におけるPOCの移行のタイミングの決定のために用いられ得る。いくつかの実施形態において、所定の期間にわたって動きセンサによって生成される動き信号の推定エネルギー容量は、所定の閾値と比較されて、処方動作モードとスタンバイ動作モードとの間におけるPOCの移行のタイミングが決定され得る。いくつかの実施形態において、スタンバイ動作モード時において、POCは、1つ以上の構成要素(例えば、圧力センサ107、弁122,124,132,134,152,および154の少なくとも1つ、酸素センサ165、ファン172、圧縮システム200、ならびに、モータ速度変換器201の少なくとも1つ)へ提供される電力をオフにするかまたは低減させ得るが、動きの検出に用いられる1つ以上のセンサ(例えば、動きセンサ802Aおよび802Bの少なくとも一方)へ提供される電力を維持し得る。
【0202】
いくつかの実施形態において、(a)所定の期間において検出された呼吸数、および、(b)1つ以上の検出された動きの大きさおよび/または持続時間、の少なくとも一方に基づいて、酸素濃縮器は、処方動作モードとスタンバイ動作モードとの間において移行し得る。例えば、(a)第1の所定の期間において検出された呼吸数が第1の所定の閾値を下回った場合、および、(b)第2の所定の期間において1つ以上の検出された動きの推定された平均大きさが第2の所定の閾値を下回った場合、POCは、処方動作モードからスタンバイ動作モードへ自動的に移行し得る。同様に、(a)第1の所定の期間において検出された呼吸数が第1の所定の閾値よりも高い場合、および、(b)第2の所定の期間において1つ以上の検出された動きの推定された平均大きさが第2の所定の閾値よりも高い場合、POCは、スタンバイ動作モードから処方動作モードへ自動的に移行し得る。このような実施形態のいくつかは、より高精度に、より有効に、あるいは、その両方で動作し得る。例えば、2つの異なる種類の測定に頼ることにより、正方向の誤り(例えば、ユーザが現在POCを使用していると誤って決定すること)および負方向の誤り(例えば、ユーザが現在POCを使用していないと誤って決定すること)の少なくとも一方が低減され得る。よって、酸素富化空気のボーラスの送達が、ユーザから本当に要求がある場合には行われ、そうではない場合は行われないようにされ得る。
【0203】
別の例として、POCの処方動作モードからスタンバイ動作モードへの自動的移行は、(a)第1の所定の期間において検出された呼吸数が第1の所定の閾値を下回る場合、(b)第2の所定の期間において1つ以上の検出された動きの推定された平均大きさが第2の所定の閾値を下回る場合、または(c)(i)第3の所定の期間において検出された呼吸数が第3の所定の閾値を下回る場合
および(ii)第4の所定の期間において1つ以上の検出された動きの推定された平均大きさが第4の所定の閾値を下回る場合の双方において、行われ得る。同様に、POCのスタンバイ動作モードから処方動作モードへの自動的移行は、(a)第1の所定の期間において検出された呼吸数が第1の所定の閾値よりも高い場合、(b)第2の所定の期間において1つ以上の検出された動きの推定された平均大きさが第2の所定の閾値よりも高い場合、または、(c)(i)第3の所定の期間において検出された呼吸数が第3の所定の閾値よりも高く、かつ、(ii)第4の所定の期間において1つ以上の検出された動きの推定された平均大きさが第4の所定の閾値よりも高い場合において、行われ得る。いくつかの実施形態において、第1の所定の期間および第2の所定の期間ならびに閾値の選択は、関連付けられた測定(例えば、流量センサ185、圧力センサ194、動きセンサ802Aおよび動きセンサ802Bの少なくとも1つからのもの)がユーザが現在POCを使用しているかについてより高い確実性を示した場合にのみ動作モードが変更されるように、行われ得る。同様に、いくつかの実施形態において、第3のおよび第4の所定の期間ならびに閾値の選択は、関連付けられた測定がユーザが現在POCを使用しているかについてより低い確実性を示した場合にのみ動作モードが変更されるように、行われ得る。いくつかのこのような実施形態は、より高精度かつ/または有効に動作し得る。例えば、2つの異なる種類の測定に頼ることにより、正方向の誤り(例えば、ユーザが現在POCを使用していると誤って決定すること)および負方向の誤り(例えば、ユーザが現在POCを使用していないと誤って決定すること)の少なくとも一方が低減され得る。よって、酸素富化空気のボーラスの送達が、ユーザから本当に要求がある場合には行われ、そうではない場合は行われないようにされ得る。
【0204】
処方動作モードとスタンバイ動作モードとの間のPOCの移行のタイミングの決定のために、さらなる種類のセンサが、上記した圧力センサ、流れセンサおよび動きセンサの少なくとも1つの代わりにまたはこれらのセンサに加えて用いられ得る。例えば、温度センサを送達導管(例えば、送達導管192)または気道送達デバイス(例えば、鼻カニューレ気道送達デバイス196およびマウスピース198の少なくとも一方)内に位置決めして、この温度センサを用いて、ユーザが現在POCを使用しているかの決定または検証が行われ得る。いくつかのこのような実施形態において、温度上昇が測定された場合、ユーザが現在POCを使用していることを示し得、温度低下が測定された場合、ユーザが現在POCを使用していないことを示し得る。別の例として、マイクロフォンを送達導管(例えば、送達導管192)または気道送達デバイス(例えば、鼻カニューレ気道送達デバイス196およびマウスピース198の少なくとも一方)内に位置決めすると、ユーザがPOCを使用しているかについての決定または検証に用いられ得る。いくつかのこのような実施形態において、測定された音信号の大きさおよび持続時間の少なくとも一方が増大した場合、ユーザが現在POCを使用していることを示し得、測定された音信号の大きさおよび持続時間の少なくとも一方が減少した場合、ユーザが現在POCを使用していないことを示し得る。
【0205】
いくつかの実施形態において、ユーザと関連付けられた1つ以上のデバイスが、ユーザが現在POCを使用しているかについてのさらなる検証のために用いられ得る。例えば、モバイルデバイス(例えば、スマートフォン)またはウェアラブルデバイス(例えば、スマートウォッチ)が、ユーザがPOCの近隣にいるかについての検証のために用いられ得る。例えば、モバイルデバイスおよびウェアラブルデバイスの少なくとも一方は、短範囲無線通信プロトコル(例えば、Bluetooth、WiFi、ZigBee、Z波またはNEC Infrared(IR))を通じてPOCと通信するように構成され得る。モバイルデバイスおよびウェアラブルデバイスの少なくとも一方から送信される無線信号の強度は、モバイルデバイスおよびウェアラブルデバイスの少なくとも一方がPOCにどれだけ近接しているかを示し得る。
【0206】
上記した実施形態のうち多数において、2つの動作モード(すなわち、処方動作モードおよびスタンバイ動作モード)のみについて記載した。しかし、他の実施形態において、POCは、さらなる動作モード間において移行するように構成され得る。このような実施形態において、POCは、上記した種類の測定(例えば、圧力、流れ、動き、温度、音)のうちいずれかに基づいて、異なる動作モード間において移行し得る。さらに、いくつかの実施形態において、動作モードは、複数のフェーズを含み得る。例えば、スタンバイ動作モードは、(例えば、ボーラス間期間に対応する)より低い酸素純度またはより低い流量が気道送達デバイスへ供給される第1のフェーズと、気道送達デバイスへ補充酸素が供給されない第2のフェーズとを含み得る。POCは、所定の時間の後、これらのフェーズ間において自動的に移行し得る。例えば、スタンバイ動作モード時において、POCは、所定の時間の後に上記した第1のフェーズから上記した第2のフェーズへ自動的に移行し得る。
【0207】
いくつかの実施形態において、POCに含まれ得るコントロールパネル(例えば、コントロールパネル600)は、ユーザとコントローラ(例えば、コントローラ400)との間のインターフェースとして機能して、ユーザが異なる動作モードを手動で切り替えることを可能にする。例えば、
図1Nを参照して上記に説明したように、ユーザは、活性モードの場合にボタン630をまたは睡眠モードの場合にボタン635をそれぞれ押圧することにより、活性モードまたは睡眠モードを手動で示し得る。同様に、ユーザは、コントロールパネルとの対話を(例えば、1つ以上のボタンの押圧によって)行うことにより、処方動作モードまたはスタンバイ動作モードを手動で示し得る。このような手動インターフェースにより、ユーザが上記した自動モードの決定をオーバーライドすることが可能になる。いくつかの実施形態において、コントロールパネルにより、ユーザが(異なる動作モード間の自動切り替えのために)上記した特徴を一時的にまたは恒久的にオフにすることも可能にされ得る。
【0208】
L.用語集
本技術の開示目的のため、本技術の特定の形態において、以下の定義のうち1つ以上が適用され得る。本技術の他の形態において、代替の定義も適用され得る。
【0209】
空気:本技術の特定の形態において、「空気」という用語は、78%窒素(N2)、21%酸素(O2)、および1%水蒸気、二酸化炭素(CO2)、アルゴン(Ar)および他の微量ガスからなる大気を意味するものとして解釈されるべきである。
【0210】
酸素富化空気:大気の酸素濃度(21%)よりも高い酸素濃度(例えば、少なくとも約50%の酸素、少なくとも約60%の酸素、少なくとも約70%の酸素、少なくとも約80%の酸素、少なくとも約87%の酸素、少なくとも約90%の酸素、少なくとも約95%の酸素、少なくとも約98%の酸素、または少なくとも約99%)を有する酸素。「酸素富化空気」を簡略的に「酸素」と呼ぶ場合もある。
【0211】
医療酸素:医療酸素は、酸素濃度が80%以上である酸素富化空気として定義される。
【0212】
周囲:本技術の特定の形態において、「周囲」という用語は、(i)治療システムまたは患者の外部、および(ii)治療システムまたは患者を直接包囲するものを意味するものとしてとられるべきである。
【0213】
流量:単位時間あたりに送達される空気の瞬時の体積(または質量)。流量とは、瞬間の量を指し得る。場合によっては、流量について言及した場合、スカラー量(すなわち、大きさのみを有する量)を指す。他の場合において、流量について言及した場合、ベクトル量(すなわち、大きさおよび方向両方を持つ量)を指す。流量には、符号Qが付与され得る。「流量」を簡略的に「流れ」もしくは「空気流」と呼ぶ場合もある。
【0214】
流れ治療:患者の呼吸サイクル全体において典型的には正方向である制御された流量(治療流量と呼ばれる)の空気流れを気道への入口へ送達させることを含む呼吸治療。
【0215】
患者:呼吸障害に罹患しているかまたはしていない人。
【0216】
圧力:単位面積あたりの力。圧力を表す単位を以下に挙げる:cmH2O、g-f/cm2、ポンド/平方インチ(psi)およびヘクトパスカル。1cmH2Oは、1g-f/cm2に等しく、およそ0.98ヘクトパスカル(1ヘクトパスカル=100Pa=100N/m2=1ミリバール~0.001atm~0.015psi)である。本明細書中、他に明記無き限り、圧力値は、ゲージ圧力(周囲圧力に相対する圧力)として付与される。
【0217】
M.一般的注意事項
本明細書中用いられる「連結される」という用語は、1つ以上の物体または構成要素間の直接的接続または間接的接続(例えば、1つ以上の介在的接続)を意味する。「接続される」という言い回しは、物体または構成要素が直接相互接続されるような物体または構成要素間の直接的接続を意味する。本明細書中において用いられるように、デバイス「を得る」という言い回しは、当該デバイスを購入または構築したことを意味する。
【0218】
本開示において、特定の米国特許、米国特許出願および他の文献(例えば、論文)を参考のため援用する。しかし、このような米国特許、米国特許出願および他の文献の本文を、そのような本文と本明細書中に記載の他の記載および図面との間に矛盾が存在しない範囲内において、参考のためひとえに援用する。そのような矛盾が生じた場合、そのような参考のため援用された米国特許、米国特許出願および他の文献中のそのような矛盾のある記載は全て、本特許中において参考のため特定的に援用されない。
【0219】
本技術の多様な態様のさらなる改変例および代替実施形態は、当業者にとって本記載に鑑みて明らかになり得る。よって、本記載は、あくまで例示的なものとして解釈されるべきであり、本技術を実行する一般的様態を当業者に教示する目的のためのものである。本明細書中に図示および記載された本技術の形態は、実施形態としてとられるべきであることが理解されるべきである。本技術の本記載の恩恵に鑑みれば当業者にとって全て明らかであるように、要素および材料は、本明細書中に例示および記載したものにおいて代替可能であり、部分およびプロセスは逆転され得、本技術の特定の特徴は独立的に利用され得る。添付の特許請求の範囲に記載のような本技術の意図および範囲から逸脱すること無く、本明細書中に記載の要素において変更が可能であり得る。
【国際調査報告】