(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(54)【発明の名称】LAG3に結合する操作された抗体
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20230510BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20230510BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230510BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230510BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20230510BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20230510BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230510BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20230510BHJP
C07K 1/14 20060101ALI20230510BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230510BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230510BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
C07K1/14
A61P35/00
A61P35/02
A61K39/395 T
A61K39/395 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559590
(86)(22)【出願日】2021-04-01
(85)【翻訳文提出日】2022-11-17
(86)【国際出願番号】 US2021025423
(87)【国際公開番号】W WO2021202904
(87)【国際公開日】2021-10-07
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517284522
【氏名又は名称】ソレント・セラピューティクス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ブレッソン, ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ミン ソ
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ, ヘユエ
(72)【発明者】
【氏名】グレイ, ジョン ディクソン
(72)【発明者】
【氏名】スワンソン, バーバラ エー.
(72)【発明者】
【氏名】シン, アロック
(72)【発明者】
【氏名】カーウィン, リサ ダイアン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA02
4B064CA05
4B064CA06
4B064CA08
4B064CA10
4B064CA19
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4B065AA01X
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4C085EE01
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA09
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、抗原結合、細胞結合、T細胞活性化およびサイトカイン放出能力を改善するために、重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域にアミノ酸配列を有するように操作された完全ヒト抗LAG3 IgGクラス抗体を提供する。実施形態1は、配列番号4、6、8または10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含み、配列番号5、7、9または11のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む、完全ヒト抗LAG3抗体である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号4、6、8または10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含み、配列番号5、7、9または11のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む、完全ヒト抗LAG3抗体。
【請求項2】
重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含むLAG3結合タンパク質であって、前記重鎖可変領域が、配列番号4、6、8または10に存在するCDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号5、7、9または11に存在するCDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列を含む、LAG3結合タンパク質。
【請求項3】
前記重鎖可変領域が、配列番号4に存在するCDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号5に存在するCDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列を含むか、または、前記重鎖可変領域が、配列番号6に存在するCDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号7に存在するCDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列を含むか、または、前記重鎖可変領域が、配列番号8に存在するCDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号9に存在するCDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列を含むか、または、前記重鎖可変領域が、配列番号10に存在するCDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号11に存在するCDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列を含む、請求項2に記載のLAG3結合タンパク質。
【請求項4】
抗体または抗体断片である、請求項2または3に記載のLAG3結合タンパク質。
【請求項5】
前記重鎖可変領域配列および前記軽鎖可変領域配列が、配列番号4および5(本明細書では1C5-3A6と呼ぶ)、配列番号6および7(本明細書では2D12-2E3-N102Dと呼ぶ)、配列番号8および9(本明細書では5C8と呼ぶ)、または配列番号10および11(本明細書では8D9と呼ぶ)を含む、請求項1に記載の完全ヒト抗LAG3抗体または請求項2~4のいずれか一項に記載のLAG3結合タンパク質。
【請求項6】
重鎖由来の可変ドメイン領域と軽鎖由来の可変ドメイン領域とを含むFab完全ヒト抗LAG3抗体であって、前記重鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号4、6、8または10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含み、前記軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号5、7、9または11のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む、Fab完全ヒト抗LAG3抗体。
【請求項7】
前記重鎖由来の可変ドメイン領域および前記軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号4および5(本明細書中では1C5-3A6と呼ばれる)、配列番号6および7(本明細書中では2D12-2E3-N102Dと呼ばれる)、配列番号8および9(本明細書中では5C8と呼ばれる)、または配列番号10および11(本明細書中では8D9と呼ばれる)を含む、請求項6に記載のFab完全ヒト抗LAG3抗体。
【請求項8】
重鎖由来の可変ドメイン領域と軽鎖由来の可変ドメイン領域とを含む一本鎖ヒト抗LAG3抗体であって、前記重鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号4、6、8または10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含み、前記軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号5、7、9または11のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む、一本鎖ヒト抗LAG3抗体。
【請求項9】
前記重鎖由来の可変ドメイン領域および前記軽鎖由来の可変ドメイン領域がペプチドリンカーと一緒に結合している、請求項2~5のいずれか一項に記載のLAG3結合タンパク質または請求項8に記載の一本鎖ヒト抗LAG3抗体。
【請求項10】
前記重鎖由来の可変ドメイン領域および前記軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号4および5(本明細書中では1C5-3A6と呼ばれる)、配列番号6および7(本明細書中では2D12-2E3-N102Dと呼ばれる)、配列番号8および9(本明細書中では5C8と呼ばれる)、または配列番号10および11(本明細書中では8D9と呼ばれる)を含む、請求項8に記載の一本鎖ヒト抗LAG3抗体。
【請求項11】
前記抗体が、10
-8Mまたはそれ未満のK
DでヒトLAG3に結合する、先行する請求項のいずれか一項に記載のLAG3結合タンパク質または完全ヒト抗LAG3抗体。
【請求項12】
前記抗体が、10
-6Mまたはそれ未満のK
DでカニクイザルLAG3に結合する、請求項1~7のいずれか一項に記載のLAG3結合タンパク質または完全ヒト抗LAG3抗体。
【請求項13】
IgG4クラスの抗体を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載のLAG3結合タンパク質または完全ヒト抗LAG3抗体。
【請求項14】
薬学的に許容され得る賦形剤と、先行する請求項のいずれか一項に記載のLAG3結合タンパク質または完全ヒト抗LAG3抗体とを含む、医薬組成物。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか一項に記載のLAG3結合タンパク質、Fab完全ヒト抗LAG3抗体、一本鎖ヒト抗LAG3抗体、または完全ヒト抗LAG3抗体を含む、キット。
【請求項16】
請求項1~13のいずれか一項に記載のLAG3結合タンパク質または完全ヒト抗LAG3抗体の重鎖可変領域をコードする核酸。
【請求項17】
請求項1~13のいずれか一項に記載のLAG3結合タンパク質または完全ヒト抗LAG3抗体の軽鎖可変領域をコードする核酸。
【請求項18】
(a)(i)請求項1~13のいずれか一項に記載の完全ヒト抗LAG3抗体の重鎖可変領域、および(ii)請求項1~13のいずれか一項に記載の完全ヒト抗LAG3抗体の軽鎖可変領域、または、(b)請求項2~5、9もしくは11~13のいずれか一項に記載のLAG3結合タンパク質、をコードする核酸。
【請求項19】
請求項16に記載の核酸を含むベクター。
【請求項20】
請求項17に記載の核酸を含むベクター。
【請求項21】
請求項18に記載の核酸を含むベクター。
【請求項22】
請求項19に記載のベクターを宿す宿主細胞。
【請求項23】
前記ベクターが発現ベクターを含み、前記宿主細胞が前記重鎖可変領域を発現する、請求項22に記載の宿主細胞。
【請求項24】
請求項20に記載のベクターを宿す宿主細胞。
【請求項25】
前記ベクターが発現ベクターを含み、前記宿主細胞が前記軽鎖可変領域を発現する、請求項24に記載の宿主細胞。
【請求項26】
請求項19に記載のベクターを含む第1のベクターおよび請求項20に記載のベクターを含む第2のベクターを宿す宿主細胞。
【請求項27】
前記第1のベクターが第1の発現ベクターを含み、前記第2のベクターが第2の発現ベクターを含み、前記宿主細胞が前記重鎖可変領域および前記軽鎖可変領域を発現する、請求項26に記載の宿主細胞。
【請求項28】
請求項21に記載のベクターを宿す宿主細胞。
【請求項29】
前記ベクターが発現ベクターを含み、前記宿主細胞が前記重鎖可変領域および前記軽鎖可変領域を発現する、請求項28に記載の宿主細胞。
【請求項30】
LAG3結合タンパク質、あるいは完全ヒト抗LAG3抗体、またはFab完全ヒト抗LAG3抗体、または一本鎖ヒト抗LAG3抗体の重鎖可変領域を調製するための方法であって、請求項23に記載の宿主細胞の集団を、前記完全ヒト抗LAG3抗体、または前記Fab完全ヒト抗LAG3抗体、または前記一本鎖ヒト抗LAG3抗体の前記重鎖可変領域を発現するのに適した条件下で培養することを含む、方法。
【請求項31】
前記宿主細胞から、前記発現されたLAG3結合タンパク質、あるいは前記完全ヒト抗LAG3抗体、または前記Fab完全ヒト抗LAG3抗体、または前記一本鎖ヒト抗LAG3抗体の前記重鎖可変領域を回収することをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
完全ヒト抗LAG3抗体、またはFab完全ヒト抗LAG3抗体、または一本鎖ヒト抗LAG3抗体の軽鎖可変領域を調製するための方法であって、請求項25に記載の宿主細胞の集団を、前記完全ヒト抗LAG3抗体、または前記Fab完全ヒト抗LAG3抗体、または前記一本鎖ヒト抗LAG3抗体の前記軽鎖可変領域を発現するのに適した条件下で培養することを含む、方法。
【請求項33】
前記完全ヒト抗LAG3抗体、または前記Fab完全ヒト抗LAG3抗体、または前記一本鎖ヒト抗LAG3抗体の前記発現された軽鎖可変領域を前記宿主細胞から回収することをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
(i)完全ヒト抗LAG3抗体、またはFab完全ヒト抗LAG3抗体、または一本鎖ヒト抗LAG3抗体の重鎖可変領域と、(ii)完全ヒト抗LAG3抗体、またはFab完全ヒト抗LAG3抗体、または一本鎖ヒト抗LAG3抗体の軽鎖可変領域とを調製するための方法であって、(i)前記完全ヒト抗LAG3抗体、または前記Fab完全ヒト抗LAG3抗体、または前記一本鎖ヒト抗LAG3抗体の前記重鎖可変領域と、(ii)前記完全ヒト抗LAG3抗体、または前記Fab完全ヒト抗LAG3抗体、または前記一本鎖ヒト抗LAG3抗体の前記軽鎖可変領域とを発現するのに適した条件下で、請求項27に記載の宿主細胞の集団を培養することを含む、方法。
【請求項35】
前記宿主細胞から、(i)前記完全ヒト抗LAG3抗体、または前記Fab完全ヒト抗LAG3抗体、または前記一本鎖ヒト抗LAG3抗体の前記発現された重鎖可変領域、および(ii)前記完全ヒト抗LAG3抗体、または前記Fab完全ヒト抗LAG3抗体、または前記一本鎖ヒト抗LAG3抗体の前記発現された軽鎖可変領域を回収することをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
(i)完全ヒト抗LAG3抗体、またはFab完全ヒト抗LAG3抗体、または一本鎖ヒト抗LAG3抗体の重鎖可変領域と、(ii)完全ヒト抗LAG3抗体、またはFab完全ヒト抗LAG3抗体、または一本鎖ヒト抗LAG3抗体の軽鎖可変領域とを調製するための方法であって、(i)前記完全ヒト抗LAG3抗体、または前記Fab完全ヒト抗LAG3抗体、または前記一本鎖ヒト抗LAG3抗体の前記重鎖可変領域と、(ii)前記完全ヒト抗LAG3抗体、または前記Fab完全ヒト抗LAG3抗体、または前記一本鎖ヒト抗LAG3抗体の前記軽鎖可変領域とを発現するのに適した条件下で、請求項29に記載の宿主細胞の集団を培養することを含む、方法。
【請求項37】
前記宿主細胞から、(i)前記完全ヒト抗LAG3抗体、または前記Fab完全ヒト抗LAG3抗体、または前記一本鎖ヒト抗LAG3抗体の前記発現された重鎖可変領域、および(ii)前記完全ヒト抗LAG3抗体、または前記Fab完全ヒト抗LAG3抗体、または前記一本鎖ヒト抗LAG3抗体の前記発現された軽鎖可変領域を回収することをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
LAG3過剰発現に関連する疾患を有する対象を処置するための方法であって、有効量の、請求項1~13のいずれか一項に記載のLAG3結合タンパク質またはヒト抗LAG3抗体を含む治療用組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項39】
LAG3過剰発現に関連する疾患の処置に使用するための、請求項1~13のいずれか一項に記載のLAG3結合タンパク質またはヒト抗LAG3抗体。
【請求項40】
前記疾患が、骨癌、膵癌、皮膚癌、頭頸部癌、皮膚または眼内悪性黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、精巣癌、ファロピウス管の癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、食道癌、小腸癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟部組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、慢性白血病または急性骨髄性白血病などの急性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、小児リンパ球性白血病の固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱の癌、腎臓または尿管の癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、扁平上皮癌、T細胞リンパ腫、環境的に誘導される癌、またはアスベストによって誘導される癌である、請求項38に記載の方法、あるいは請求項39に記載の使用のためのLAG3結合タンパク質またはヒト抗LAG3抗体。
【請求項41】
請求項38のいずれか一項に記載の方法において使用するための、請求項1~13のいずれか一項に記載のLAG3結合タンパク質またはヒト抗LAG3抗体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2020年4月3日に出願された米国仮特許出願第63/004,798号に基づく優先権の利益を主張し、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願を通じて、様々な刊行物、特許および/または特許出願が参照されている。本開示が関連する分野の水準をより完全に記載するために、これらの刊行物、特許および/または特許出願の開示は、参照により、その全体が本願中に組み込まれる。参照により組み込まれる内容が本出願で述べられる内容と矛盾する限りにおいて、本出願で述べられる内容が優先する。
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2021年1月14日に作成された当該ASCIIコピーの名称は2021-01-14_01223-0075-00PCT_Seq_List_ST25.txtであり、サイズは23,793バイトである。
【0003】
技術分野
本開示は、抗原結合、細胞結合、T細胞活性化およびサイトカイン放出能力を改善するために、重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域にアミノ酸配列を有するように操作された完全ヒト抗LAG3 IgGクラス抗体を提供する。
【背景技術】
【0004】
序論および概要
リンパ球活性化遺伝子3またはLAG3(CD223としても知られる)は、免疫グロブリンスーパージーンファミリーのメンバーであり、CD4に構造的および遺伝的に関連している。LAG3は静止期の末梢血リンパ球上に発現されないが、活性化T細胞およびNK細胞上に発現される。LAG3は、CD4遺伝子の近くの12番染色体の短腕の遠位部分に位置する遺伝子によってコードされる膜タンパク質であり、LAG3遺伝子が遺伝子重複によって進化した可能性があることを示唆している(Triebelら(1990)J.Exp.Med.171:1393-1405)。
【0005】
CD4と同様に、LAG3はMHCクラスII分子と相互作用することが明らかにされているが、CD4とは異なり、LAG3はヒト免疫不全ウイルスgp120タンパク質と相互作用しない(Baixerasら(1992)J.Exp.Med.176:327-337)。可溶性LAG3免疫グロブリン融合タンパク質(sLAG3Ig)を使用した研究によって、細胞表面上のMHCクラスIIへのLAG3の直接的かつ特異的な結合が明らかになった(Huard他(1996)、Eur.J.Immunol.26:1180-1186)。
【0006】
抗原特異的T細胞応答のインビトロ研究では、抗LAG3抗体の添加は、T細胞増殖の増加、CD25などの活性化抗原のより高い発現、ならびにインターフェロン-ガンマやインターロイキン-4などのサイトカインのより高い濃度をもたらし、CD4+Tリンパ球の抗原依存性刺激の下方制御におけるLAG3/MHCクラスII相互作用をサポートしている(Huard他(1994)、Eur.J.Immunol.24:3216-3221)。LAG3の細胞質内領域は、CD3/TCR活性化経路の下方制御に関与するシグナル伝達分子であると考えられているLAPと呼ばれるタンパク質と相互作用することが明らかになっている(Iouzalenら(2001)Eur.J.Immunol.31:2885-2891)。さらに、CD4+CD25+制御性T細胞(Treg)は活性化時にLAG3を発現することがわかっており、LAG3に対する抗体は、インビトロおよびインビボの両方で誘導されたTreg細胞による抑制を阻害し、LAG3がTreg細胞のサプレッサー活性に寄与することを示唆している(Huang,C.ら(2004)Immunity 21:503-513)。さらに加えて、LAG3は、T細胞依存性機序および非依存性機序の両方において、制御性T細胞によってT細胞ホメオスタシスを負に制御することがわかっている(Workman and Vignali(2005)J.Immunol.174:688-695)。
特定の状況では、LAG3が免疫刺激効果を有することもわかっている。例えば、同系マウスに移植されたLAG3トランスフェクト腫瘍細胞は、トランスフェクトされていない腫瘍細胞と比較して増殖減少または完全な退縮を示し、腫瘍細胞上のLAG3発現が、MHCクラスII分子を介して抗原LAG3提示細胞を誘発することによって抗腫瘍応答を刺激したことを示唆した(Prigentら(1999)Eur.J.Immunol.29:3867-3876)。さらに、可溶性LAG3 Ig融合タンパク質は、抗原と共にマウスに投与した場合に体液性および細胞性免疫応答の両方を刺激することがわかっており、可溶性LAG3 Igがワクチンアジュバントとして機能し得ることを示している(El Mir and Triebel(2000)J.Immunol.164:5583-5589)。さらに、可溶性ヒトLAG3 Igは、I型腫瘍特異的免疫のインビトロでの発生を増幅することがわかっている(Casati他(2006)、Cancer Res.66:4450-4460)。LAG3の機能活性は、Triebel(2003)Trends Immunol.24:619-622にさらに概説されている。上記を考慮して、LAG3の活性を調節するためのさらなる薬剤が注目されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Triebelら(1990)J.Exp.Med.171:1393-1405
【非特許文献2】Baixerasら(1992)J.Exp.Med.176:327-337
【非特許文献3】Huard他(1996)、Eur.J.Immunol.26:1180-1186
【非特許文献4】Huard他(1994)、Eur.J.Immunol.24:3216-3221
【非特許文献5】Iouzalenら(2001)Eur.J.Immunol.31:2885-2891
【非特許文献6】Huang,C.ら(2004)Immunity 21:503-513
【非特許文献7】Workman and Vignali(2005)J.Immunol.174:688-695
【非特許文献8】Prigentら(1999)Eur.J.Immunol.29:3867-3876
【非特許文献9】El Mir and Triebel(2000)J.Immunol.164:5583-5589
【非特許文献10】Casati他(2006)、Cancer Res.66:4450-4460
【非特許文献11】Triebel(2003)Trends Immunol.24:619-622
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
当技術分野では、LAG3、特に抗LAG3抗体に基づく有効な処置が依然として必要とされている。本開示は、親抗体と比較して、それらの標的抗原に対するより高い親和性結合および改善された殺細胞能力を示すように操作された抗体を提供する。本開示は、以下の実施形態を含む。
実施形態1は、配列番号4、6、8または10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含み、配列番号5、7、9または11のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む、完全ヒト抗LAG3抗体である。
【0009】
実施形態2は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含むLAG3結合タンパク質であって、前記重鎖可変領域が、配列番号4、6、8または10に存在するCDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号5、7、9または11に存在するCDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列を含む、LAG3結合タンパク質である。
【0010】
実施形態3は、前記重鎖可変領域が、配列番号4に存在するCDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号5に存在するCDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列を含むか、または、前記重鎖可変領域が、配列番号6に存在するCDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号7に存在するCDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列を含むか、または、前記重鎖可変領域が、配列番号8に存在するCDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号9に存在するCDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列を含むか、または、前記重鎖可変領域が、配列番号10に存在するCDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号11に存在するCDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列を含む、実施形態2に記載のLAG3結合タンパク質である。
【0011】
実施形態4は、抗体または抗体断片である、実施形態2または3に記載のLAG3結合タンパク質である。
【0012】
実施形態5は、前記重鎖可変領域配列および前記軽鎖可変領域配列が、配列番号4および5(本明細書では1C5-3A6と呼ぶ)、配列番号6および7(本明細書では2D12-2E3-N102Dと呼ぶ)、配列番号8および9(本明細書では5C8と呼ぶ)、または配列番号10および11(本明細書では8D9と呼ぶ)を含む、実施形態1に記載の完全ヒト抗LAG3抗体または実施形態2~4のいずれか一つに記載のLAG3結合タンパク質である。
【0013】
実施形態6は、重鎖由来の可変ドメイン領域と軽鎖由来の可変ドメイン領域とを含むFab完全ヒト抗LAG3抗体であって、前記重鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号4、6、8または10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含み、前記軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号5、7、9または11のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む、Fab完全ヒト抗LAG3抗体である。
【0014】
実施形態7は、前記重鎖由来の可変ドメイン領域および前記軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号4および5(本明細書中では1C5-3A6と呼ばれる)、配列番号6および7(本明細書中では2D12-2E3-N102Dと呼ばれる)、配列番号8および9(本明細書中では5C8と呼ばれる)、または配列番号10および11(本明細書中では8D9と呼ばれる)を含む、実施形態6に記載のFab完全ヒト抗LAG3抗体である。
【0015】
実施形態8は、重鎖由来の可変ドメイン領域と軽鎖由来の可変ドメイン領域とを含む一本鎖ヒト抗LAG3抗体であって、前記重鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号4、6、8または10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含み、前記軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号5、7、9または11のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む、一本鎖ヒト抗LAG3抗体である。
【0016】
実施形態9は、前記重鎖由来の可変ドメイン領域および前記軽鎖由来の可変ドメイン領域がペプチドリンカーと一緒に結合している、実施形態2~5のいずれか一つに記載のLAG3結合タンパク質または実施形態8に記載の一本鎖ヒト抗LAG3抗体である。
【0017】
実施形態10は、前記重鎖由来の可変ドメイン領域および前記軽鎖由来の可変ドメイン領域が、配列番号4および5(本明細書中では1C5-3A6と呼ばれる)、配列番号6および7(本明細書中では2D12-2E3-N102Dと呼ばれる)、配列番号8および9(本明細書中では5C8と呼ばれる)、または配列番号10および11(本明細書中では8D9と呼ばれる)を含む、実施形態8に記載の一本鎖ヒト抗LAG3抗体である。
【0018】
実施形態11は、前記抗体が、10-8Mまたはそれ未満のKDでヒトLAG3に結合する、先行する実施形態のいずれか一つに記載のLAG3結合タンパク質または完全ヒト抗LAG3抗体である。
【0019】
実施形態12は、前記抗体が、10-6Mまたはそれ未満のKDでカニクイザルLAG3に結合する、実施形態1~7のいずれか一つに記載のLAG3結合タンパク質または完全ヒト抗LAG3抗体である。
【0020】
実施形態13は、IgG4クラスの抗体を含む、先行する実施形態のいずれか一つに記載のLAG3結合タンパク質または完全ヒト抗LAG3抗体である。
【0021】
実施形態14は、薬学的に許容され得る賦形剤と、先行する実施形態のいずれか一つに記載のLAG3結合タンパク質または完全ヒト抗LAG3抗体とを含む、医薬組成物である。
【0022】
実施形態15は、実施形態1~13のいずれか一つに記載のLAG3結合タンパク質、Fab完全ヒト抗LAG3抗体、一本鎖ヒト抗LAG3抗体、または完全ヒト抗LAG3抗体を含む、キットである。
【0023】
実施形態16は、実施形態1~13のいずれか一つに記載のLAG3結合タンパク質または完全ヒト抗LAG3抗体の重鎖可変領域をコードする核酸である。
【0024】
実施形態17は、実施形態1~13のいずれか一つに記載のLAG3結合タンパク質または完全ヒト抗LAG3抗体の軽鎖可変領域をコードする核酸である。
【0025】
実施形態18は、(a)(i)実施形態1~13のいずれか一つに記載の完全ヒト抗LAG3抗体の重鎖可変領域、および(ii)実施形態1~13のいずれか一つに記載の完全ヒト抗LAG3抗体の軽鎖可変領域、または、(b)実施形態2~5、9もしくは11~13のいずれか一つに記載のLAG3結合タンパク質、をコードする核酸である。
【0026】
実施形態19は、実施形態16に記載の核酸を含むベクターである。
【0027】
実施形態20は、実施形態17に記載の核酸を含むベクターである。
【0028】
実施形態21は、実施形態18に記載の核酸を含むベクターである。
【0029】
実施形態22は、実施形態19に記載のベクターを宿す宿主細胞である。
【0030】
実施形態23は、前記ベクターが発現ベクターを含み、前記宿主細胞が前記重鎖可変領域を発現する、実施形態22に記載の宿主細胞である。
【0031】
実施形態24は、実施形態20に記載のベクターを宿す宿主細胞である。
【0032】
実施形態25は、前記ベクターが発現ベクターを含み、前記宿主細胞が前記軽鎖可変領域を発現する、実施形態24に記載の宿主細胞である。
【0033】
実施形態26は、実施形態19に記載のベクターを含む第1のベクターおよび実施形態20に記載のベクターを含む第2のベクターを宿す宿主細胞である。
【0034】
実施形態27は、前記第1のベクターが第1の発現ベクターを含み、前記第2のベクターが第2の発現ベクターを含み、前記宿主細胞が前記重鎖可変領域および前記軽鎖可変領域を発現する、実施形態26に記載の宿主細胞である。
【0035】
実施形態28は、実施形態21に記載のベクターを宿す宿主細胞である。
【0036】
実施形態29は、前記ベクターが発現ベクターを含み、前記宿主細胞が前記重鎖可変領域および前記軽鎖可変領域を発現する、実施形態28に記載の宿主細胞である。
【0037】
実施形態30は、LAG3結合タンパク質、あるいは完全ヒト抗LAG3抗体、またはFab完全ヒト抗LAG3抗体、または一本鎖ヒト抗LAG3抗体の重鎖可変領域を調製するための方法であって、実施形態23に記載の宿主細胞の集団を、前記完全ヒト抗LAG3抗体、または前記Fab完全ヒト抗LAG3抗体、または前記一本鎖ヒト抗LAG3抗体の前記重鎖可変領域を発現するのに適した条件下で培養することを含む、方法である。
【0038】
実施形態31は、前記宿主細胞から、前記発現されたLAG3結合タンパク質、あるいは前記完全ヒト抗LAG3抗体、または前記Fab完全ヒト抗LAG3抗体、または前記一本鎖ヒト抗LAG3抗体の前記重鎖可変領域を回収することをさらに含む、実施形態30に記載の方法である。
【0039】
実施形態32は、完全ヒト抗LAG3抗体、またはFab完全ヒト抗LAG3抗体、または一本鎖ヒト抗LAG3抗体の軽鎖可変領域を調製するための方法であって、実施形態25に記載の宿主細胞の集団を、前記完全ヒト抗LAG3抗体、または前記Fab完全ヒト抗LAG3抗体、または前記一本鎖ヒト抗LAG3抗体の前記軽鎖可変領域を発現するのに適した条件下で培養することを含む、方法である。
【0040】
実施形態33は、前記完全ヒト抗LAG3抗体、または前記Fab完全ヒト抗LAG3抗体、または前記一本鎖ヒト抗LAG3抗体の前記発現された軽鎖可変領域を前記宿主細胞から回収することをさらに含む、実施形態32に記載の方法である。
【0041】
実施形態34は、(i)完全ヒト抗LAG3抗体、またはFab完全ヒト抗LAG3抗体、または一本鎖ヒト抗LAG3抗体の重鎖可変領域と、(ii)完全ヒト抗LAG3抗体、またはFab完全ヒト抗LAG3抗体、または一本鎖ヒト抗LAG3抗体の軽鎖可変領域とを調製するための方法であって、(i)前記完全ヒト抗LAG3抗体、または前記Fab完全ヒト抗LAG3抗体、または前記一本鎖ヒト抗LAG3抗体の前記重鎖可変領域と、(ii)前記完全ヒト抗LAG3抗体、または前記Fab完全ヒト抗LAG3抗体、または前記一本鎖ヒト抗LAG3抗体の前記軽鎖可変領域とを発現するのに適した条件下で、実施形態27に記載の宿主細胞の集団を培養することを含む、方法である。
【0042】
実施形態35は、前記宿主細胞から、(i)前記完全ヒト抗LAG3抗体、または前記Fab完全ヒト抗LAG3抗体、または前記一本鎖ヒト抗LAG3抗体の前記発現された重鎖可変領域、および(ii)前記完全ヒト抗LAG3抗体、または前記Fab完全ヒト抗LAG3抗体、または前記一本鎖ヒト抗LAG3抗体の前記発現された軽鎖可変領域を回収することをさらに含む、実施形態34に記載の方法である。
【0043】
実施形態36は、(i)完全ヒト抗LAG3抗体、またはFab完全ヒト抗LAG3抗体、または一本鎖ヒト抗LAG3抗体の重鎖可変領域と、(ii)完全ヒト抗LAG3抗体、またはFab完全ヒト抗LAG3抗体、または一本鎖ヒト抗LAG3抗体の軽鎖可変領域とを調製するための方法であって、(i)前記完全ヒト抗LAG3抗体、または前記Fab完全ヒト抗LAG3抗体、または前記一本鎖ヒト抗LAG3抗体の前記重鎖可変領域と、(ii)前記完全ヒト抗LAG3抗体、または前記Fab完全ヒト抗LAG3抗体、または前記一本鎖ヒト抗LAG3抗体の前記軽鎖可変領域とを発現するのに適した条件下で、実施形態29に記載の宿主細胞の集団を培養することを含む、方法である。
【0044】
実施形態37は、前記宿主細胞から、(i)前記完全ヒト抗LAG3抗体、または前記Fab完全ヒト抗LAG3抗体、または前記一本鎖ヒト抗LAG3抗体の前記発現された重鎖可変領域、および(ii)前記完全ヒト抗LAG3抗体、または前記Fab完全ヒト抗LAG3抗体、または前記一本鎖ヒト抗LAG3抗体の前記発現された軽鎖可変領域を回収することをさらに含む、実施形態36に記載の方法である。
【0045】
実施形態38は、LAG3過剰発現に関連する疾患を有する対象を処置するための方法であって、有効量の、実施形態1~13のいずれか一つに記載のLAG3結合タンパク質またはヒト抗LAG3抗体を含む治療用組成物を前記対象に投与することを含む、方法である。
【0046】
実施形態39は、LAG3過剰発現に関連する疾患の処置に使用するための、実施形態1~13のいずれか一つに記載のLAG3結合タンパク質またはヒト抗LAG3抗体である。
【0047】
実施形態40は、前記疾患が、骨癌、膵癌、皮膚癌、頭頸部癌、皮膚または眼内悪性黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、精巣癌、ファロピウス管の癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、食道癌、小腸癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟部組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、慢性白血病または急性骨髄性白血病などの急性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、小児リンパ球性白血病の固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱の癌、腎臓または尿管の癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、扁平上皮癌、T細胞リンパ腫、環境的に誘導される癌、またはアスベストによって誘導される癌である、実施形態38に記載の方法、あるいは実施形態39に記載の使用のためのLAG3結合タンパク質またはヒト抗LAG3抗体である。
【0048】
実施形態41は、実施形態38のいずれか一つに記載の方法において使用するための、実施形態1~13のいずれか一つに記載のLAG3結合タンパク質またはヒト抗LAG3抗体である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】
図1は、ヒト(配列番号1)、カニクイザル(配列番号2)およびマウス(配列番号3)由来のLAG3標的抗原のアミノ酸配列を示す。
【0050】
【
図2】
図2は、完全ヒト抗LAG3抗体の1C5-3A6(配列番号4および5)、2D12-2E3-N102D(配列番号6および7)、5C8(配列番号8および9)および8D9(配列番号10および11)の重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列を示す。
【0051】
【
図3】
図3は、可溶性ヒトLAG3抗原への用量依存的結合についてのELISAアッセイの結果を示す。この実験は実施例1に記載されている。
【0052】
【
図4】
図4は、抗LAG3抗体の結合動態の一連のSPRセンサーグラムおよびそれらの測定されたK
D値を示す。このBiacore実験は実施例2に記載されている。
【0053】
【
図5】
図5は、ヒト、マウスまたはカニクイザルLAG3タンパク質との様々な抗LAG3抗体の交差反応性についてのELISAアッセイの結果を示す棒グラフである。この実験は実施例3に記載されている。
【0054】
【
図6】
図6は、ヒトLAG3/NFAT-Lucを発現するレポーターJurkat細胞株に対する様々な抗LAG3抗体の結合能を比較するグラフである。この実験は実施例4に記載されている。
【0055】
【
図7A】
図7Aは、ブドウ球菌エンテロトキシン(SEB)で活性化されたカニクイザルPBMCに対する様々な抗LAG3抗体の結合能を比較するグラフである。Y軸に沿った値はΔMFIである。この実験は実施例5に記載されている。
【0056】
【
図7B】
図7Bは、
図7Aに記載された実験から生成された同じデータを使用して、ブドウ球菌エンテロトキシン(SEB)で活性化されたカニクイザルPBMCに対する様々な抗LAG3抗体の結合能を比較するグラフである。Y軸に沿った値は、ΔLAG3+細胞である。この実験は実施例5に記載されている。
【0057】
【
図8A】
図8Aは、ヒトLAG3/NFAT-Lucを発現するレポーターJurkat細胞株およびブドウ球菌エンテロトキシン(SEB)で活性化されたRaji細胞の存在下での様々な抗LAG3抗体の機能的活性を比較する棒グラフである。実験No.1は、実施例6に記載されている。
【0058】
【
図8B】
図8Bは、ヒトLAG3/NFAT-Lucを発現するレポーターJurkat細胞株およびブドウ球菌エンテロトキシン(SEB)で活性化されたRaji細胞の存在下での様々な抗LAG3抗体の機能的活性を比較する棒グラフである。実験No.2は、実施例6に記載されている。
【0059】
【
図9】
図9は、本明細書に記載の抗LAG3抗体と競合剤の抗LAG3抗体との結合を比較するエピトープマッピングアッセイの結果を示す棒グラフである。この実験は実施例7に記載されている。
【0060】
【
図10A】
図10Aは、ドナーNo.1由来のPBMCを使用して様々な抗LAG3抗体によって誘導されるインターフェロン-ガンマ放出を比較する棒グラフである。この実験は実施例8に記載されている。
【0061】
【
図10B】
図10Bは、ドナーNo.2由来のPBMCを使用して様々な抗LAG3抗体によって誘導されるインターフェロン-ガンマ放出を比較する棒グラフである。この実験は実施例8に記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0062】
定義
別段の定義がなければ、本明細書において使用される技術用語および科学用語は、別段の定義がなければ当業者によって一般的に理解される意味を有する。一般的に、本明細書に記載されている、細胞培養および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、トランスジェニック細胞の作製、タンパク質化学および核酸化学およびハイブリダイゼーションの技術に関連する用語は、周知であり、本分野において一般的に使用されている。別段の記載がなければ、本明細書中に提供されている方法および技術は、一般に、本分野において周知の慣用的な手順に従って、ならびに本明細書に引用および論述されている様々な一般的およびより具体的な参考文献に記載されているとおりに実施される。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989)およびAusubelら、Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates(1992)を参照されたい。Borrebaeck(ed) Antibody Engineering,2nd Edition Freeman and Company,NY,1995;McCaffertyら、Antibody Engineering,A Practical Approach IRL at Oxford Press,Oxford,England,1996;およびPaul(1995)Antibody Engineering Protocols Humana Press,Towata,N.J.,1995;Paul(ed.),Fundamental Immunology,Raven Press,N.Y,1993;Coligan(1991)Current Protocols in Immunology Wiley/Greene,NY;Harlow and Lane(1989)Antibodies:A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Press,NY;Stitesら、(eds.) Basic and Clinical Immunology(4th ed.) Lange Medical Publications,Los Altos,Califおよびその中に引用されている参考文献;Coding Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(2nd ed.) Academic Press,New York,N.Y.,1986、およびKohler and Milstein Nature 256:495-497,1975などの多数の基本的な教科書が、標準的な抗体作製方法を記載している。本明細書中に引用されている参考文献の全ては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。酵素の反応および富化/精製技術も周知であり、製造業者の仕様に従って本分野で一般的に達成されるように、または本明細書に記載されているように行われる。本明細書に記載されている分析化学、合成有機化学および医化学および薬化学に関連して使用される用語ならびにこれらの研究室手技および技術は、本分野において周知であり、一般的に使用されている。化学的合成、化学的分析、薬学的調製、製剤化および送達、および患者の処置に対しては、標準的な技術を使用することができる。
【0063】
本明細書に記載されている見出しは、本開示の様々な態様の限定ではなく、これらの態様は、本明細書を全体として参照することによって理解することができる。
【0064】
本明細書中の文脈によって別段の要求がされていなければ、単数形の用語は複数を含むものとし、複数形の用語は単数を含むものとする。単数形「a」、「an」および「the」ならびに任意の単語の単数での使用は、明示的かつ明確に1つの指示対象に限定されていなければ、複数の指示対象を含む。
【0065】
本明細書における選択肢(例えば、「または」の使用は、当該選択肢の一方または両方またはその任意の組み合わせを意味するように解釈されることが理解される。
【0066】
本明細書において使用される「および/または」という用語は、それ以外のものとともにまたはそれ以外のものなしに、指定された特徴または構成要素のそれぞれの具体的な開示を意味するように解釈されるべきである。例えば、本明細書において、「Aおよび/またはB」などの語句において使用される「および/または」という用語は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)および「B」(単独)を含むことが意図される。同様に、「A、Bおよび/またはC」などの語句において使用される「および/または」という用語は、以下の態様のそれぞれ:A、BおよびC;A、BまたはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)を包含することが意図される。
【0067】
本明細書において使用される用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」および「含有する(containing)」ならびにこれらの文法的変形は、本明細書において使用される場合、列記中の1つの項目または複数の項目が、列記された項目を置換しまたは列記された項目に追加することができる他の項目を除外しないように非限定的であることが意図される。本明細書において「含む(comprising)」という言語とともに態様が記載されている場合には常に、別途、「からなる(consisting of)」および/または「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語で記載されている類似の態様も提供されることが理解される。
【0068】
本明細書において使用される「約」という用語は、当業者によって決定された場合に特定の値または組成に対して許容され得る誤差範囲内にある値または組成を表し、これは、1つには、その値または組成がどのようにして測定または決定されるかに、すなわち、測定系の限界に依存する。例えば、「約」または「およそ」は、当該分野での慣行にしたがって、1または1を超える標準偏差内を意味することができる。あるいは、「約」または「およそ」は、測定系の限界に応じて、最大10%の範囲(すなわち、±10%)またはそれを超える範囲を意味することができる。例えば、約5mgは、4.5mgと5.5mgの間の任意の数を含むことができる。さらに、生物学的系または過程に関しては特に、これらの用語は、最大1桁の規模または最大5倍の値を意味することができる。本開示中に特定の値または組成が与えられている場合、別段の記載がなければ、「約」または「およそ」の意味は、その値または組成に対する許容され得る誤差範囲内にあると考えられるべきである。
【0069】
本明細書において使用される用語「ペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」ならびに他の関連する用語は互換的に使用され、アミノ酸のポリマーを表し、いずれかの特定の長さに限定されない。ポリペプチドは、天然のアミノ酸および非天然のアミノ酸を含み得る。ポリペプチドには、組換え形態または化学的に合成された形態が含まれる。ポリペプチドはまた、切断、例えば、分泌シグナルペプチドによる切断または特定のアミノ酸残基における非酵素的切断にまだ供されていない前駆体分子を含む。ポリペプチドには、切断を受けた成熟分子が含まれる。これらの用語は、天然および人工のタンパク質、タンパク質断片およびタンパク質配列のポリペプチドアナログ(ムテイン、バリアント、キメラタンパク質および融合タンパク質など)ならびに翻訳後修飾によってまたはその他共有結合的にもしくは非共有結合的に修飾されたタンパク質を包含する。本明細書では、組換え手順を用いて調製したLAG3(例えば、抗LAG3抗体またはその抗原結合部分)に結合する結合タンパク質のアミノ酸配列を含むポリペプチドについて説明する。
【0070】
本明細書において使用される用語「核酸」、「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」ならびに他の関連する用語は互換的に使用され、ヌクレオチドのポリマーを表し、いずれかの特定の長さに限定されない。核酸には、組換え形態および化学的に合成された形態が含まれる。核酸には、DNA分子(cDNAまたはゲノムDNA)、RNA分子(例えば、mRNA)、ヌクレオチドアナログ(例えば、ペプチド核酸および天然に存在しないヌクレオチドアナログ)を用いて生成されたDNAまたはRNAおよびこれらのハイブリッドが含まれる。核酸分子は、一本鎖または二本鎖であり得る。一実施形態では、本開示の核酸分子は、抗体、または、断片もしくはscFv、誘導体、ムテインもしくはそれらの変異体をコードする連続したオープンリーディングフレームを含む。一実施形態では、核酸は、1種類のポリヌクレオチドまたは2もしくはそれを超える異なる種類のポリヌクレオチドの混合物を含む。本明細書では、抗体軽鎖、抗体重鎖、抗LAG3抗体またはその抗原結合部分をコードする核酸について説明する。一実施形態では、核酸は、配列番号4、6、8または10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域をコードする。一実施形態では、核酸は、配列番号5、7、9または11のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域をコードする。
【0071】
「回収する」または「回収」または「回収すること」という用語、および他の関連する用語は、宿主細胞培地または宿主細胞可溶化液からまたは宿主細胞膜からタンパク質(例えば、抗体またはその抗原結合部分)を得ることを指す。一実施形態において、タンパク質は、発現されたタンパク質の分泌を媒介する分泌シグナルペプチド配列に融合された組換えタンパク質として宿主細胞によって発現される。分泌されたタンパク質は、宿主細胞培地から回収することができる。一実施形態において、タンパク質は、宿主細胞可溶化液から回収することができる、分泌シグナルペプチド配列を欠く組換えタンパク質として宿主細胞によって発現される。一実施形態において、タンパク質は、発現されたタンパク質を宿主細胞膜から放出させるために界面活性剤を使用して回収することができる膜結合型タンパク質として宿主細胞によって発現される。一実施形態において、タンパク質を回収するために使用された方法に関係なく、タンパク質は、回収されたタンパク質から細胞残屑を除去する手順に供することができる。例えば、回収されたタンパク質は、クロマトグラフィー、ゲル電気泳動および/または透析に供することができる。一実施形態において、クロマトグラフィーは、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーおよび/またはシリカでのクロマトグラフィーを含む任意の1つまたは任意の組み合わせまたは2つもしくはそれを超える手順を含む。一実施形態において、アフィニティークロマトグラフィーは、プロテインAまたはG(黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)由来の細胞壁成分)を含む。
【0072】
「単離された」という用語は、他の細胞物質を実質的に含まないタンパク質(例えば、抗体またはその抗原結合部分)またはポリヌクレオチドを指す。タンパク質は、当技術分野で周知のタンパク質精製技術を使用して、単離によって、天然に付随する成分(または抗体を生成するために使用される細胞発現系もしくは化学合成法に付随する成分)を実質的に含まないようにすることができる。単離されたという用語はまた、いくつかの実施形態において、同じ種の他の分子、例えば、それぞれ異なるアミノ酸またはヌクレオチド配列を有する他のタンパク質またはポリヌクレオチドを実質的に含まないタンパク質またはポリヌクレオチドを指す。所望の分子の均一性の純度は、ゲル電気泳動などの低分解能方法およびHPLCまたは質量分光測光法(mass spectrophotometry)などの高分解能方法を含む、当技術分野で周知の技術を使用してアッセイすることができる。一実施形態では、本明細書に記載の抗体軽鎖、抗体重鎖、抗LAG3抗体または抗原結合タンパク質のいずれかを単離することができる。
【0073】
本明細書で使用される「抗原結合タンパク質」および関連用語(例えば、LAG3結合タンパク質)は、抗原(例えば、LAG3)に結合する部分と、必要に応じて、抗原結合部分が抗原への抗原結合タンパク質の結合を促進する立体構造をとることを可能にする足場またはフレームワーク部分とを含むタンパク質を指す。抗原結合タンパク質の例としては、抗体、抗体断片(例えば、抗体の抗原結合部分)、抗体派生物および抗体アナログが挙げられる。抗原結合タンパク質は、例えば、代替のタンパク質足場または移植されたCDRもしくはCDR派生物を有する人工の足場を含むことができる。このような足場としては、限定されないが、例えば抗原結合タンパク質の三次元構造を安定化するために導入された変異を含む抗体由来足場の他、例えば生体適合性ポリマーを含む完全合成足場が挙げられる。例えば、Korndorferら、2003,Proteins:Structure,Function,and Bioinformatics,Volume 53,Issue 1:121-129;Roqueら、2004,Biotechnol.Prog.20:639-654を参照されたい。さらに、ペプチド抗体模倣物(「PAM」)の他、足場としてフィブロネクチン成分を利用する抗体模倣物に基づく足場を使用することができる。LAG3に結合する抗原結合タンパク質が本明細書に記載されている。
【0074】
抗原結合タンパク質は、例えば、免疫グロブリンの構造を有することができる。一実施形態において、「免疫グロブリン」は、ポリペプチド鎖の2つの同一の対から構成され、各対が1つの「軽」鎖(約25kDa)と1つの「重」鎖(約50~70kDa)を有する四量体分子を表す。各鎖のアミノ末端部分は、抗原認識に主として関与する約100~110またはそれを超えるアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能に主として関与する定常領域を構成する。ヒト軽鎖は、κまたはλ軽鎖として分類される。重鎖は、μ、δ、γ、αまたはεとして分類され、それぞれ、抗体のイソタイプをIgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEとして規定する。軽鎖および重鎖の中で、可変および定常領域は、約12またはそれを超えるアミノ酸の「J」領域によって連結され、重鎖も、約10を超えるアミノ酸の「D」領域を含む。一般に、Fundamental Immunology第7章(Paul,W.,ed.,2nd ed.Raven Press,N.Y.(1989))参照(あらゆる目的のために、その全体が参照により組み込まれる)。完全な免疫グロブリンが2つの抗原結合部位を有するように、各軽/重鎖対の可変領域が抗体結合部位を形成する。一実施形態において、抗原結合タンパク質は、四量体免疫グロブリン分子とは異なるが、1つの標的抗原をなお結合する、または2もしくはそれを超える標的抗原を結合する構造を有する合成分子であり得る。例えば、合成抗原結合タンパク質は、抗体断片、1~6もしくはそれを超えるポリペプチド鎖、ポリペプチドの非対称的集合体またはその他の合成分子を含むことができる。LAG3に特異的に結合する免疫グロブリン様特性を有する抗原結合タンパク質が本明細書に記載されている。
【0075】
免疫グロブリン鎖の可変領域は、相補性決定領域またはCDRとも称される3つの超可変領域によって連結された相対的に保存されたフレームワーク領域(FR)という同一の一般的構造を呈する。N末端からC末端へ、軽鎖および重鎖はいずれも、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含む。
【0076】
分子を抗原結合タンパク質にするために、1またはそれを超えるCDRが共有結合的または非共有結合的に分子中に組み込まれ得る。抗原結合タンパク質は、より大きなポリペプチド鎖の一部としてCDRを組み込み得、CDRを別のポリペプチド鎖に共有結合的に連結し得、またはCDRを非共有結合的に組み込み得る。CDRは、抗原結合タンパク質が関心対象の特定の抗原に特異的に結合することを可能にする。
【0077】
各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.,US Dept.of Health and Human Services、PHS,NIH,NIH Publication no.91-3242,1991におけるKabatらの定義に従う。免疫グロブリン鎖中のアミノ酸に対する他のナンバリングシステムとしては、IMGT.RTM.(international ImMunoGeneTics information system;Lefranc et al,Dev.Comp.Immunol.29:185-203;2005)およびAHo(Honegger and Pluckthun,J.Mol.Biol.309(3):657-670;2001);Chothia(Al-Lazikaniら、1997 Journal of Molecular Biology 273:927-948;Contact(Maccallumら、1996 Journal of Molecular Biology 262:732-745、およびAho(Honegger and Pluckthun 2001 Journal of Molecular Biology 309:657-670が挙げられる。
【0078】
本明細書において使用される「抗体」および「複数の抗体」および関連する用語は、完全な免疫グロブリンまたは抗原に特異的に結合するその抗原結合部分を表す。抗原結合部分は、組換えDNA技術によってまたは完全な抗体の酵素的もしくは化学的切断によって作製され得る。抗原結合部分としては、とりわけ、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、ドメイン抗体(dAbs)および相補性決定領域(CDR)断片、一本鎖抗体(scFv)、キメラ抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディならびに特異的な抗原結合をポリペプチドに付与するのに十分である免疫グロブリンの少なくとも一部を含有するポリペプチドが挙げられる。
【0079】
抗体としては、組換え的に作製された抗体および抗原結合部分が挙げられる。抗体としては、非ヒト、キメラ、ヒト化および完全ヒト抗体が挙げられる。抗体としては、単一特異的、多重特異的(例えば、二重特異的、三重特異的およびこれより高次の特異性)が挙げられる。抗体としては、四量体抗体、軽鎖単量体、重鎖単量体、軽鎖二量体、重鎖二量体が挙げられる。抗体としては、F(ab’)2断片、Fab’断片およびFab断片が挙げられる。抗体としては、単一ドメイン抗体、一価抗体、一本鎖抗体、一本鎖可変断片(scFv)、ラクダ化(camelized)抗体、アフィボディ、ジスルフィド結合されたFv(sdFv)、抗イディオタイプ抗体(抗Id)、ミニボディが挙げられる。抗体としては、モノクローナルおよびポリクローナル集団が挙げられる。本明細書では、軽鎖および/または重鎖を含む抗LAG3抗体について説明する。
【0080】
本明細書において使用される「抗原結合ドメイン」、「抗原結合領域」または「抗原結合部位」およびその他の関連する用語は、抗原と相互作用し、抗原結合タンパク質の抗原に対する特異性および親和性に寄与するアミノ酸残基(またはその他の部分)を含有する抗原結合タンパク質の部分を表す。その抗原に特異的に結合する抗体に関しては、これは、そのCDRドメインの少なくとも1つの少なくとも一部を含む。本明細書では、抗LAG3抗体由来の抗原結合ドメインについて説明する。
【0081】
抗体または抗原結合タンパク質または抗体断片の文脈で本明細書において使用される用語「特異的結合」、「特異的に結合する」または「特異的に結合している」およびその他の関連する用語は、他の分子または部分と比較した、抗原への非共有結合または共有結合の優先的結合を表す(例えば、抗体は、他の利用可能な抗原と比較して、特定の抗原に特異的に結合する)。一実施形態において、抗体が、10-5Mもしくはそれ未満、または10-6Mもしくはそれ未満、または10-7Mもしくはそれ未満、または10-8Mもしくはそれ未満、または10-9Mもしくはそれ未満、または10-10Mもしくはそれ未満の解離定数KDで抗原に結合すれば、抗体は標的抗原に特異的に結合する。本明細書では、LAG3に特異的に結合する抗LAG3抗体について説明する。
【0082】
一実施形態において、解離定数(KD)は、BIACORE表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイを使用して測定することができる。表面プラズモン共鳴は、例えば、BIACOREシステム(GE HealthcareのBiacore Life Sciences部門、Piscataway、NJ)を用いて、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化を検出することによって、リアルタイムな相互作用の分析を可能にする光学現象を表す。
【0083】
本明細書において使用される「エピトープ」および関連する用語は、抗原結合タンパク質によって(例えば、抗体またはその抗原結合部分によって)結合される抗原の部分を表す。エピトープは、抗原結合タンパク質によって結合される2つまたはそれを超える抗原の部分を含むことができる。エピトープは、1つの抗原のまたは2もしくはそれを超える抗原の非連続部分(例えば、抗原の一次配列中では連続しないが、抗原の三次構造および四次構造という観点では、抗原結合タンパク質によって結合されるのに互いに十分近接するアミノ酸残基)を含むことができる。一般的には、抗体の可変領域、特にCDRがエピトープと相互作用する。本明細書では、LAG3ポリペプチド(抗原)のエピトープに結合する抗LAG3抗体およびその抗原結合タンパク質について説明する。
【0084】
本明細書において使用される「抗体断片」、「抗体部分」、「抗体の抗原結合断片」または「抗体の抗原結合部分」およびその他の関連する用語は、完全な抗体が結合する抗原を結合する完全な抗体の一部を含む完全な抗体以外の分子を表す。抗体断片の例としては、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2;Fd;およびFv断片ならびにdAB;ダイアボディ;直鎖抗体;一本鎖抗体分子(例えば、scFv);特異的な抗原結合をポリペプチドに付与するのに十分である抗体の少なくとも一部を含有するポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。抗体の抗原結合部分は、組換えDNA技術によってまたは完全な抗体の酵素的もしくは化学的切断によって作製され得る。抗原結合部分としては、とりわけ、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、ドメイン抗体(dAb)および相補性決定領域(CDR)断片、キメラ抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディならびに抗原結合特性を抗体断片に付与するのに十分である免疫グロブリンの少なくとも一部を含有するポリペプチドが挙げられる。本明細書では、抗LAG3抗体の抗原結合フラグメントについて説明する。
【0085】
「Fab」、「Fab断片」という用語およびその他の関連する用語は、可変軽鎖領域(VL)、定常軽鎖領域(CL)、可変重鎖領域(VH)および第一の定常領域(CH1)を含む一価断片を表す。Fabは、抗原を結合することができる。F(ab’)2断片は、ヒンジ領域において、ジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片である。F(Ab’)2は、抗原結合能を有する。Fd断片は、VHおよびCH1領域を含む。Fv断片は、VLおよびVH領域を含む。Fvは、抗原を結合することができる。dAb断片は、VHドメイン、VLドメインまたはVHもしくはVLドメインの抗原結合断片を有する(米国特許第6,846,634号および同第6,696,245号;米国特許出願公開第2002/02512号;同第2004/0202995号;同第2004/0038291号;同第2004/0009507号;同第2003/0039958号;およびWardら、Nature 341:544-546,1989)。本明細書では、抗LAG3抗体由来の抗原結合部分を含むFabフラグメントについて説明する。
【0086】
一本鎖抗体(scFv)は、VL領域とVH領域とがリンカー(例えば、アミノ酸残基の合成配列)を介して結合し、連続したタンパク質鎖を形成している抗体である。好ましくは、リンカーは、タンパク質鎖がそれ自体の上に折り返され、一価抗原結合部位を形成することを可能にするのに十分な長さである(例えば、Bird et al.,1988,Science 242:423-26 and Huston et al.,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-83を参照されたい)。本明細書では、抗LAG3抗体由来の抗原結合部分を含む一本鎖抗体について説明する。
【0087】
ダイアボディは、2つのポリペプチド鎖を含む二価抗体であり、各ポリペプチド鎖は、同一鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするには短すぎるリンカーによって連結されたVHドメインおよびVLドメインを含み、その結果、各ドメインは別のポリペプチド鎖上の相補的ドメインと対形成することができる(例えば、Holligerら、1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-48、およびPoljakら、1994,Structure 2:1121-23を参照されたい)。ダイアボディの2つのポリペプチド鎖が同一である場合、それらの対合から生じるダイアボディは、2つの同一の抗原結合部位を有する。異なる配列を有するポリペプチド鎖を使用して、2つの異なる抗原結合部位を有するダイアボディを作製することができる。同様に、トリボディおよびテトラボディは、それぞれ3つおよび4つのポリペプチド鎖を含み、それぞれ3つおよび4つの抗原結合部位を形成する抗体であり、これらは同じであっても異なっていてもよい。ダイアボディ、トリボディおよびテトラボディ構築物は、本明細書に記載の任意の抗LAG3抗体由来の抗原結合部分を使用して調製することができる。
【0088】
「ヒト抗体」という用語は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する1またはそれを超える可変および定常領域を有する抗体を表す。一実施形態において、可変および定常ドメインの全てがヒト免疫グロブリン配列に由来する(例えば、完全ヒト抗体)。これらの抗体は、組換え法を通じて、またはヒト重鎖および/もしくは軽鎖をコードする遺伝子に由来する抗体を発現するように遺伝的に改変されているマウスを目的の抗原で免疫することを通じてなど、様々な方法で調製され得、その例は以下に記載されている。本明細書では、完全ヒト抗LAG3抗体およびその抗原結合タンパク質について説明する。
【0089】
「ヒト化」抗体は、ヒト化抗体がヒト被験体に投与された場合、非ヒト種抗体と比較して、ヒト化抗体が免疫応答を誘導する可能性がより低く、および/または重度がより低い免疫応答を誘導するように、非ヒト種に由来する抗体の配列と1またはそれを超えるアミノ酸の置換、欠失および/または付加が異なる配列を有する抗体を指す。一実施形態において、ヒト化抗体を作製するために、非ヒト種抗体の重鎖および/または軽鎖のフレームワークおよび定常ドメイン中のある特定のアミノ酸が変異される。別の実施形態において、ヒト抗体由来の定常ドメインが、非ヒト種の可変ドメインに融合される。別の実施形態において、非ヒト抗体の1またはそれを超えるCDR配列中の1またはそれを超えるアミノ酸残基は、非ヒト抗体がヒト被験体に投与されたときに非ヒト抗体の可能性のある免疫原性を低下させるように変更され、ここで、変更されるアミノ酸残基は、抗体のその抗原への免疫特異的結合にとって重要ではないか、または行われるアミノ酸配列への変更は、抗原へのヒト化抗体の結合が抗原への非ヒト抗体の結合より著しく劣らないような保存的変更である。ヒト化抗体を作製する方法の例は、米国特許第6,054,297号、米国特許第5,886,152号および米国特許第5,877,293号に見出され得る。
【0090】
本明細書で使用される「キメラ抗体」という用語および関連する用語は、第一の抗体からの1またはそれを超える領域と、1またはそれを超える他の抗体からの1またはそれを超える領域とを含有する抗体を指す。一実施形態において、CDRの1つまたはそれより多くがヒト抗体に由来する。別の実施形態において、CDRのすべてがヒト抗体に由来する。別の実施形態において、1つより多くのヒト抗体からのCDRが、キメラ抗体において混合され、適合される。例えば、キメラ抗体は、第一のヒト抗体の軽鎖からのCDR1、第二のヒト抗体の軽鎖からのCDR2およびCDR3、ならびに第三の抗体からの重鎖からのCDRを含み得る。別の例では、CDRは、ヒトとマウス、またはヒトとウサギ、またはヒトとヤギなどの異なる種に由来する。当業者は、他の組み合わせが可能であることを理解するであろう。
【0091】
さらに、フレームワーク領域は、同じ抗体の1つに、ヒト抗体などの1またはそれを超える異なる抗体に、またはヒト化抗体に由来し得る。キメラ抗体の一例では、重鎖および/または軽鎖の一部は、特定の種からの抗体もしくは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体と同一であり、相同であり、または特定の種からのもしくは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体に由来するが、鎖の残りは、別の種からの抗体もしくは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体と同一であり、相同であり、または別の種からの抗体もしくは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体に由来する。所望の生物学的活性(すなわち、標的抗原を特異的に結合する能力)を示すこのような抗体の断片も含まれる。キメラ抗体は、本明細書に記載の任意の抗LAG3抗体の部分から調製することができる。
【0092】
本明細書で使用される場合、「バリアント」ポリペプチドおよびポリペプチドの「バリアント」という用語は、参照ポリペプチド配列と比較してアミノ酸配列中に挿入された、アミノ酸配列から欠失された、および/またはアミノ酸配列中に置換された1またはそれを超えるアミノ酸残基を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。ポリペプチドバリアントには、融合タンパク質が含まれる。同様に、バリアントポリヌクレオチドは、別のポリヌクレオチド配列と比較して、ヌクレオチド配列中に挿入された、ヌクレオチド配列から欠失された、および/またはヌクレオチド配列中に置換された1またはそれを超えるヌクレオチドを有するヌクレオチド配列を含む。ポリヌクレオチドバリアントには、融合ポリヌクレオチドが含まれる。
【0093】
本明細書で使用される場合、ポリペプチドの「派生物」という用語は、例えば、ポリエチレングリコール、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)、リン酸化およびグリコシル化などの別の化学部分へのコンジュゲーションを介して化学的に修飾されたポリペプチド(例えば、抗体)である。別段示されない限り、「抗体」という用語は、2つの完全長重鎖および2つの完全長軽鎖を含む抗体に加えて、その派生物、バリアント、断片およびムテインを含み、その例は以下に記載されている。
【0094】
本明細書で使用される「Fc領域」または「Fc領域」という用語は、ヒンジ領域内またはヒンジ領域の後で始まり、重鎖のC末端で終わる抗体重鎖定常領域の部分を指す。Fc領域は、CHおよびCH3領域の少なくとも一部を含み、ヒンジ領域の一部を含んだり、含まなかったりする場合がある。各々が半Fc領域を有する2つのポリペプチド鎖は、二量体化して完全Fcドメインを形成することができる。Fcドメインは、Fc細胞表面受容体および免疫補体系のいくつかのタンパク質を結合することができる。Fcドメインは、補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性食作用(ADP)、オプソニン化および/または細胞結合を含む2つまたはそれを超える活性の任意の1つまたは任意の組み合わせを含むエフェクター機能を示す。Fcドメインは、FcγRI(例えば、CD64)、FcγRII(例えば、CD32)および/またはFcγRIII(例えば、CD16a)を含むFc受容体に結合することができる。
【0095】
本明細書で使用される「標識抗体」という用語または関連する用語は、標識されていないか、検出用の検出可能な標識または部分に連結されている抗体およびその抗原結合部分を指し、検出可能な標識または部分は、放射性、発色性、抗原性、酵素性、検出可能なビーズ(例えば、磁気ビーズまたは高電子密度(例えば、金)ビーズ)、ビオチン、ストレプトアビジンまたはプロテインAである。放射性核種、蛍光物質、酵素、酵素基質、酵素補因子、酵素阻害剤およびリガンド(例えば、ビオチン、ハプテン)などの様々な標識を使用することができるが、これらに限定されない。本明細書に記載の任意の抗LAG3抗体は、標識されていなくてもよく、または検出可能な標識もしくは部分に連結されていてもよい。
【0096】
本明細書で使用される「パーセント同一性」または「パーセント相同性」および関連する用語は、2つのポリペプチド間または2つのポリヌクレオチド配列間の類似性の定量的測定値を指す。2つのポリペプチド配列間のパーセント同一性は、2つのポリペプチド配列のアラインメントを最適化するために導入することが必要であり得るギャップの数および各ギャップの長さを考慮した、2つのポリペプチド配列間で共有される整列された位置における同一のアミノ酸の数の関数である。同様に、2つのポリヌクレオチド配列間のパーセント同一性は、2つのポリヌクレオチド配列のアラインメントを最適化するために導入することが必要であり得るギャップの数および各ギャップの長さを考慮した、2つのポリヌクレオチド配列間で共有される整列された位置における同一のヌクレオチドの数の関数である。配列の比較および2つのポリペプチド配列間または2つのポリヌクレオチド配列間のパーセント同一性の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成され得る。例えば、2つのポリペプチドまたは2つのポリヌクレオチド配列の「パーセント同一性」または「パーセント相同性」は、そのデフォルトパラメータを使用するGAPコンピュータプログラム(GCG Wisconsin Package、バージョン10.3の一部(Accelrys、San Diego、Calif.))を使用して配列を比較することによって決定され得る。試験配列に関して「Yに対して少なくともX%の同一性を有する配列を含む」などの表現は、上記のように配列Yに整列させた場合に、試験配列がYの残基の少なくともX%と同一の残基を含むことを意味する。
【0097】
一実施形態では、試験抗体のアミノ酸配列は、本明細書に記載の抗LAG3抗体またはその抗原結合タンパク質のいずれかを構成する軽鎖ポリペプチドおよび/または重鎖ポリペプチドのアミノ酸配列のいずれかと類似してはいるが同一ではない場合がある。試験抗体とポリペプチドとの間の類似性は、本明細書に記載の抗LAG3抗体またはその抗原結合タンパク質のいずれかを構成する軽鎖ポリペプチドおよび/または重鎖ポリペプチドのいずれかと、少なくとも95%、または少なくとも96%、または少なくとも97%、または少なくとも98%、または少なくとも99%同一であり得る。一実施形態においては、類似のポリペプチドは、重鎖および/または軽鎖内にアミノ酸置換を含有することができる。一実施形態において、アミノ酸置換は、1またはそれを超える保存的アミノ酸置換を含む。「保存的アミノ酸置換」は、あるアミノ酸残基が、類似の化学的特性(例えば、電荷または疎水性)を有する側鎖(R基)を有する別のアミノ酸残基によって置換されるアミノ酸置換である。一般に、保存的アミノ酸置換は、タンパク質の機能的特性を実質的に変化させない。当業者は、抗体の物理的構造、結合能力または細胞死滅能力に悪影響を及ぼすことなく、重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域に最大5%の保存的および/または非保存的アミノ酸置換を導入することができる。抗体結合特性を保持または改善するように設計された可変領域内の保存的アミノ酸置換を同定して行うための周知の方法は、Brummelら、1993 Biochemistry 32:1180-1187、Kobayashiら、1999 Protein Engineering 12(10):879-884、および、Burksら、1997 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:412-417に記載されている。抗原結合を保持または改善するように重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域における非保存的アミノ酸置換を同定して行うための方法も公知である(Nearら、1993 Molecular Immunology 30(4):369-377)。したがって、当業者は、抗体の抗原結合能力を著しく低下させることなく、重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域中のアミノ酸の最大5%を予測して変化させることができる。2つまたはそれを超えるアミノ酸配列が保存的置換によって互いに異なる場合には、置換の保存的性質を補正するために、パーセント配列同一性または類似性の程度は上方に調整され得る。この調整を行うための手段は、当業者に周知である。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPearson(1994)Methods Mol.Biol.24:307-331を参照されたい。類似の化学的特性を有する側鎖を有するアミノ酸の群の例としては、(1)脂肪族側鎖:グリシン、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシン;(2)脂肪族-ヒドロキシル側鎖:セリンおよびトレオニン;(3)アミド含有側鎖:アスパラギンおよびグルタミン;(4)芳香族側鎖:フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファン;(5)塩基性側鎖:リジン、アルギニンおよびヒスチジン;(6)酸性側鎖:アスパラギン酸およびグルタミン酸、ならびに(7)硫黄含有側鎖はシステインおよびメチオニンである、が挙げられる。
【0098】
抗体は、様々な抗原特異性を有する免疫グロブリンを含有する血清または血漿などの供給源から得ることができる。このような抗体が親和性精製に供される場合、このような抗体を特定の抗原特異性について濃縮することができる。このような濃縮された抗体の調製物は、通常、特定の抗原に対する特異的結合活性を有する約10%未満の抗体から作られている。これらの調製物を数回の親和性精製に供することにより、抗原に対する特異的結合活性を有する抗体の割合を増加させることができる。このようにして調製された抗体は、しばしば「単一特異性」と呼ばれる。単一特異性抗体調製物は、特定の抗原に対して特異的結合活性を有する約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%または99.9%の抗体から構成され得る。抗体は、以下に記載されるような組換え核酸技術を使用して作製され得る。
【0099】
本明細書で使用される「ベクター」および関連用語は、外来遺伝物質(例えば、核酸導入遺伝子)に機能的に連結することができる核酸分子(例えば、DNAまたはRNA)を指す。ベクターは、細胞(例えば、宿主細胞)中に外来遺伝物質を導入するための媒体として使用することができる。ベクターは、ベクター中への導入遺伝子の挿入のために少なくとも1つの制限エンドヌクレアーゼ認識配列を含むことができる。ベクターは、ベクター-導入遺伝子構築物を保有する宿主細胞の選択を補助するために、抗生物質耐性または選択可能な特徴を付与する少なくとも1つの遺伝子配列を含むことができる。ベクターは、一本鎖または二本鎖核酸分子であり得る。ベクターは、直鎖または環状核酸分子であり得る。ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALENまたはCRISPR/Casを使用する遺伝子編集方法に使用されるドナー核酸は、ベクターの一種であり得る。ベクターの1つのタイプは、「プラスミド」であり、これは、導入遺伝子に連結することができ、宿主細胞において複製し、導入遺伝子を転写および/または翻訳することができる直鎖または環状の二本鎖の染色体外DNA分子を指す。ウイルスベクターは、典型的には、導入遺伝子に連結することができるウイルスRNAまたはDNA骨格配列を含有する。ウイルス骨格配列は、感染を無効化するが、宿主細胞ゲノム中へのウイルス骨格および共に連結された導入遺伝子の挿入を保持するように改変することができる。ウイルスベクターの例としては、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴、バキュロウイルス、パポバウイルス、ワクシニアウイルス、単純ヘルペスウイルスおよびエプスタインバーウイルスベクターが挙げられる。ある種のベクターは、その中にベクターが導入されている宿主細胞中において自律的な複製をすることが可能である(例えば、細菌の複製起点を含む細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞中に導入されると、宿主細胞のゲノム中に組み込まれ、それにより、宿主ゲノムと一緒に複製される。
【0100】
「発現ベクター」は、誘導性および/または構成的プロモーターおよびエンハンサーなどの1またはそれを超える制御配列を含有することができるベクターの一種である。発現ベクターは、リボソーム結合部位および/またはポリアデニル化部位を含むことができる。制御配列は、宿主細胞中に形質導入された発現ベクターに連結された導入遺伝子の転写または転写および翻訳を指示する。制御配列(複数可)は、導入遺伝子の発現のレベル、タイミングおよび/または場所を調節することができる。制御配列は、例えば、導入遺伝子に対して直接的に、または1もしくはそれを超える他の分子(例えば、制御配列および/または核酸に結合するポリペプチド)の作用を通じてその効果を発揮することができる。制御配列は、ベクターの一部であり得る。制御配列のさらなる例は、例えば、Goeddel,1990,Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,Calif.およびBaronら、1995,Nucleic Acids Res.23:3605-3606に記載されている。発現ベクターは、本明細書に記載の軽鎖、重鎖または抗LAG3抗体のうちのいずれかの少なくとも一部をコードする核酸を含むことができる。
【0101】
本明細書では、抗体軽鎖、抗体重鎖、抗LAG3抗体またはその抗原結合部分をコードする核酸に作動可能に連結されたベクター(例えば、発現ベクター)について説明する。一実施形態では、ベクターは、配列番号4、6、8または10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域をコードする核酸に作動可能に連結される。一実施形態では、核酸は、配列番号5、7、9または11のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域をコードする。
【0102】
ベクター中に含有される導入遺伝子配列の機能または発現を許容する連鎖が導入遺伝子とベクターとの間に存在する場合に、導入遺伝子はベクターに「機能的に連結」されている。一実施形態において、制御配列が導入遺伝子の発現(例えば、発現のレベル、タイミングまたは場所)に影響を与える場合に、導入遺伝子は制御配列に「機能的に連結」されている。
【0103】
本明細書において使用される用語「トランスフェクトされた」または「形質転換された」または「形質導入された」またはその他の関連する用語は、宿主細胞中に外来性核酸(例えば、導入遺伝子)を転移または導入する方法を表す。「トランスフェクトされた」または「形質転換された」または「形質導入された」宿主細胞は、外因性核酸(導入遺伝子)でトランスフェクトされた、形質転換されたまたは形質導入された宿主細胞である。宿主細胞は、初代対象細胞およびその子孫を含む。本明細書に記載の軽鎖、重鎖または抗LAG3抗体のうちのいずれかの少なくとも一部をコードする外因性核酸を宿主細胞に導入することができる。本明細書に記載の軽鎖、重鎖または抗LAG3抗体のうちのいずれかの少なくとも一部を含む発現ベクターを宿主細胞に導入することができ、宿主細胞は、軽鎖、重鎖または抗LAG3抗体のうちの少なくとも一部を含むポリペプチドを発現することができる。
【0104】
本明細書に使用されている用語「宿主細胞」または「宿主細胞の集団」または関連する用語は、外来(外来性または導入遺伝子)核酸がその中に導入されている細胞(または細胞の集団)を表す。外来核酸は、導入遺伝子に作動可能に連結された発現ベクターを含むことができ、宿主細胞は、外来核酸(導入遺伝子)によってコードされる核酸および/またはポリペプチドを発現するために使用することができる。宿主細胞(またはその集団)は培養された細胞であり得、または被験体から抽出され得る。宿主細胞(またはその集団)としては、初代対象細胞および継代の数に全く関係ないその子孫が挙げられる。子孫細胞は、親細胞と比べて同一の遺伝物質を保有してもよく、または保有しなくてもよい。宿主細胞は、子孫細胞を包含する。一実施形態では、宿主細胞は、本明細書に開示されているように、抗体を発現するためにいずれかの方法で改変され、トランスフェクトされ、形質導入され、形質転換され、かつ/または操作されている任意の細胞(その子孫を含む)を表す。一例において、宿主細胞(またはその集団)は、本明細書に記載されている所望の抗体またはその抗原結合部分をコードする核酸に機能的に連結された発現ベクターを導入することができる。宿主細胞およびその集団は、宿主のゲノムに安定に組み込まれた発現ベクターを宿すことができ、または染色体外発現ベクターを宿すことができる。一実施形態において、宿主細胞およびその集団は、いくつかの細胞分裂後に存在するまたは一過性に存在し、いくつかの細胞分裂後に失われる染色体外ベクターを保有することができる。
【0105】
トランスジェニック宿主細胞は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALENSまたはCRISPR/Casなどの周知のデザイナーヌクレアーゼなどの非ウイルス法を用いて調製することができる。導入遺伝子は、ジンクフィンガーヌクレアーゼなどのゲノム編集技術を用いて、宿主細胞のゲノム中に導入することができる。ジンクフィンガーヌクレアーゼは一対のキメラタンパク質を含み、それぞれが、操作されたジンクフィンガーモチーフ由来のDNA結合ドメインに融合された制限エンドヌクレアーゼ(例えば、FokI)の非特異的エンドヌクレアーゼドメインを含有する。DNA結合ドメインは、宿主ゲノム中の特異的な配列を結合するように操作することができ、エンドヌクレアーゼドメインは、二本鎖切断を作る。ドナーDNAは、導入遺伝子、例えば、本明細書に記載されているCARまたはDAR構築物をコードする核酸のいずれかと、宿主細胞のゲノム中の意図された挿入部位のいずれかの側にある領域に対して相同である隣接配列とを保有する。宿主細胞のDNA修復機構は、相同的DNA修復による導入遺伝子の正確な挿入を可能とする。トランスジェニック哺乳動物宿主細胞は、ジンクフィンガーヌクレアーゼを用いて調製されてきた(米国特許第9,597,357号、同第9,616,090号、同第9,816,074号および同第8,945,868号)。トランスジェニック宿主細胞は、正確な導入遺伝子挿入を与えることができるDNA結合ドメインに融合された非特異的エンドヌクレアーゼドメインを含む点でジンクフィンガーヌクレアーゼと類似するTALEN(Transcription Activator-Like Effector Nucleases(転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ))を用いて調製することができる。ジンクフィンガーヌクレアーゼと同様、TALENは宿主のDNA中に二本鎖切断も導入する。トランスジェニック宿主細胞は、CRISPR(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats(クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート))を用いて調製することができる。CRISPRは、標的特異的なドナーDNA組み込みのためのガイドRNAに連結されたCasエンドヌクレアーゼを利用する。ガイドRNAは、標的DNA中のgRNA結合領域の上流にあるプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列を含有する保存されたマルチヌクレオチドを含み、Casエンドヌクレアーゼが二本鎖標的DNAを切断する場所である宿主細胞標的部位にハイブリッドを形成する。ガイドRNAは、特異的な標的部位にハイブリッドを形成するように設計することができる。ジンクフィンガーヌクレアーゼおよびTALENと同様に、CRISPR/Cas系は、挿入部位に対して相同性を有する隣接配列を有するドナーDNAの部位特異的挿入を導入するために使用することができる。ゲノムを改変するために使用されるCRISPR/Cas系の例は、例えば、米国特許第8,697,359号、同第10,000,772号、同第9,790,490号および米国特許出願公開第2018/0346927号中に記載されている。一実施形態では、トランスジェニック宿主細胞は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALENまたはCRISPR/Cas系を用いて調製することができ、宿主標的部位はTRAC遺伝子(T細胞受容体アルファ定常部)であり得る。ドナーDNAは、例えば、本明細書に記載のCARまたはDAR構築物をコードする核酸のいずれかを含み得る。エレクトロポレーション、ヌクレオフェクションまたはリポフェクションを使用して、ドナーDNAを宿主細胞にジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALENまたはCRISPR/Cas系と共送達することができる。
【0106】
宿主細胞は、原核生物、例えば、大腸菌であり得、または真核生物、例えば、単細胞真核生物(例えば、酵母またはその他の真菌)、植物細胞(例えば、タバコまたはトマト植物細胞)、哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞、サル細胞、ハムスター細胞、ラット細胞、マウス細胞または昆虫細胞)またはハイブリドーマであり得る。一実施形態では、宿主細胞に、所望の抗体をコードする核酸に作動可能に連結された発現ベクターを導入し、それにより、トランスフェクト/形質転換された宿主細胞による抗体の発現に適した条件下で培養されるトランスフェクト/形質転換された宿主細胞を生成し、必要に応じて、トランスフェクト/形質転換された宿主細胞から抗体を回収する(例えば、宿主細胞溶解物からの回収)か、または培養培地から回収することができる。一実施形態では、宿主細胞は、CHO、BHK、NS0、SP2/0およびYB2/0を含む非ヒト細胞を含む。一実施形態において、宿主細胞は、HEK293、HT-1080、Huh-7およびPER.C6などのヒト細胞を含む。宿主細胞の例としては、サル腎臓細胞のCOS-7株(ATCC CRL 1651)(Gluzmanら、1981,Cell 23:175参照)、L細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL 163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞もしくはその派生物、例えば、Veggie CHOおよび無血清培地中で成長する関連細胞系(Rasmussenら、1998、Cytotechnology 28:31参照)またはDHFRを欠損するCHO株DX-B 11(Urlaubら、1980,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216-20参照)、HeLa細胞、BHK(ATCC CRL 10)細胞系、アフリカミドリザル腎臓細胞系CV1由来のCV1/EBNA細胞系(ATCC CCL 70)(McMahanら、1991,EMBO J.10:2821参照)、ヒト胎児由来腎臓細胞、例えば、293、293 EBNAもしくはMSR293、ヒト上皮A431細胞、ヒトColo 205細胞、他の形質転換された霊長類細胞系、正常な二倍体細胞、初代組織のインビトロ培養に由来する細胞株、初代外植片、HL-60、U937、HaKまたはジャーカット細胞が挙げられる。一実施形態において、宿主細胞は、Y0、NS0またはSp20などのリンパ球系細胞を含む。一実施形態では、宿主細胞は、哺乳動物の宿主細胞であるが、ヒト宿主細胞ではない。典型的には、宿主細胞は、次いで、宿主細胞中で発現することができるポリペプチドをコードする核酸で形質転換されまたは形質移入されることができる培養された細胞である。「トランスジェニック宿主細胞」または「組換え宿主細胞」という用語は、発現されるべき核酸を形質転換されたまたは形質移入された宿主細胞を表すために使用することができる。宿主細胞は、上記核酸を含むが、上記核酸と機能的に連結するようになるように制御配列が宿主細胞中に導入されなければ、所望のレベルでその核酸を発現しない細胞でもあり得る。宿主細胞という用語は、特定の対象細胞のみならず、このような細胞の子孫または潜在的な子孫も表すことが理解される。例えば、変異または環境的な影響のために、後続の世代にある種の改変が起こり得るので、このような子孫は、実際には、親細胞と同一でないことがあり得るが、本明細書に使用されている用語の範囲内になお含まれる。
【0107】
本明細書では、抗体軽鎖、抗体重鎖、抗LAG3抗体またはその抗原結合部分をコードする核酸に作動可能に連結されたベクター(例えば、発現ベクター)を宿す宿主細胞または宿主細胞の集団について説明する。一実施形態では、宿主細胞は、配列番号4、6、8または10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域をコードする核酸を作動可能に連結したベクターを宿す。一実施形態では、核酸は、配列番号5、7、9または11のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域をコードする。
【0108】
本開示のポリペプチド(例えば、抗体および抗原結合タンパク質)は、本分野において公知の任意の方法を用いて作製することができる。1つの例において、ポリペプチドは、宿主細胞中に導入され、発現を促進する条件下で宿主細胞によって発現される組換え発現ベクター中に、ポリペプチドをコードする核酸配列(例えば、DNA)を挿入することによって、組換え核酸法によって作製される。
【0109】
組換え核酸操作のための一般的な技術は、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Vols.1-3,Cold Spring Harbor Laboratory Press,2 ed.,1989中に、またはF.Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology(Green Publishing and Wiley-Interscience:New York,1987)および定期的な改訂版中に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。ポリペプチドをコードする核酸(例えば、DNA)は、哺乳動物、ウイルスまたは昆虫遺伝子に由来する1またはそれを超える適切な転写制御エレメントまたは翻訳制御エレメントを担持する発現ベクターに機能的に連結される。このような制御エレメントとしては、転写プロモーター、転写を調節するための必要に応じて存在するオペレーター配列、適切なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列ならびに転写および翻訳の終結を調節する配列が挙げられる。発現ベクターとしては、宿主細胞中に複製能を付与する複製開始点(origin or replication)を含むことができる。発現ベクターは、トランスジェニック宿主細胞の認識を容易にするための選択を付与する遺伝子を含むことができる(例えば、形質転換体)。
【0110】
組換えDNAは、タンパク質を精製するために有用であり得るタンパク質タグ配列の任意の種類をコードすることもできる。タンパク質タグの例としては、ヒスチジンタグ、FLAGタグ、mycタグ、HAタグまたはGSTタグを挙げることができるが、これらに限定されない。細菌、真菌、酵母および哺乳動物細胞宿主とともに使用するための適切なクローニングおよび発現ベクターは、Cloning Vectors:A Laboratory Manual,(Elsevier,N.Y.,1985)に見出すことができる。
【0111】
発現ベクター構築物は、宿主細胞に適した方法を用いて宿主細胞中に導入することができる。宿主細胞中に核酸を導入するための様々な方法は本分野において公知であり、電気穿孔;塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE-デキストランまたはその他の物質を利用する形質移入;ウイルス形質移入;非ウイルス形質移入;微粒子銃;リポフェクション;および感染(例えば、ベクターが感染性因子である場合)を含むが、これらに限定されない。適切な宿主細胞としては、原核生物、酵母、哺乳動物細胞または細菌細胞が挙げられる。
【0112】
適切な細菌としては、グラム陰性またはグラム陽性生物、例えば、大腸菌(E.coli)またはバチルス属種(Bacillus spp.)が挙げられる。酵母、例えば、エス・セレビシエ(S.cerevisiae)などのサッカロミセス(Saccharomyces)種の酵母なども、ポリペプチドの作製のために使用され得る。組換えタンパク質を発現するために、様々な哺乳動物または昆虫細胞培養系も利用することができる。昆虫細胞中で異種タンパク質を産生するためのバキュロウイルス系はLuckow and Summers,(Bio/Technology,6:47,1988)によって概説されている。適切な哺乳動物宿主細胞系の例としては、内皮細胞、COS-7サル腎臓細胞、CV-1、L細胞、C127、3T3、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、ヒト胎児由来腎臓細胞、HeLa、293、293TおよびBHK細胞系が挙げられる。精製されたポリペプチドは、組換えタンパク質を発現するために適切な宿主/ベクター系を培養することによって調製される。多くの用途のために、本明細書中に開示される多くのポリペプチドの小さいサイズは、発現のための好ましい方法として大腸菌において発現を行うであろう。次いで、タンパク質を培養培地または細胞抽出物から精製する。軽鎖、重鎖もしくは抗LAG3抗体、またはその抗原結合タンパク質のいずれも、トランスジェニック宿主細胞によって発現され得る。
【0113】
本明細書に開示されている抗体および抗原結合タンパク質は、細胞-翻訳系を用いて作製することもできる。このような目的のために、ポリペプチドをコードする核酸は、mRNAを産生するためにインビトロでの転写を可能にするように、および特定の無細胞系中でのmRNAの無細胞翻訳が使用できるように(哺乳動物または酵母無細胞翻訳系などの真核生物のまたは細菌の無細胞翻訳系などの原核生物の)修飾されなければならない。
【0114】
本明細書に開示されている様々なポリペプチドのいずれかをコードする核酸は、化学的に合成され得る。細胞中での発現を改善するために、コドン使用頻度を選択し得る。このようなコドン使用頻度は、選択された細胞の種類に依存する。大腸菌(E.coli)およびその他の細菌ならびに哺乳動物細胞、植物細胞、酵母細胞および昆虫細胞に対して、特殊化されたコドン使用頻度パターンが開発されてきた。例えば、Mayfieldら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.2003 100(2):438-42;Sinclairら、Protein Expr.Purif.2002(1):96-105;Connell N D.Curr.Opin.Biotechnol.2001 12(5):446-9;Makridesら、Microbiol.Rev.1996 60(3):512-38;およびSharpら、Yeast.1991 7(7):657-78を参照されたい。
【0115】
本明細書に記載されている抗体および抗原結合タンパク質は、化学合成によって(例えば、Solid Phase Peptide Synthesis,2nd ed.,1984,The Pierce Chemical Co.,Rockford,Ill.に記載されている方法によって)も作製することができる。タンパク質への修飾も、化学合成によって作製することができる。
【0116】
本明細書に記載されている抗体および抗原結合タンパク質は、タンパク質化学の分野において一般的に知られている、タンパク質に対する単離/精製法によって精製することができる。非限定的な例としては、抽出、再結晶、塩析(例えば、硫酸アンモニウムまたは硫酸ナトリウムを用いた)、遠心分離、透析、限外ろ過、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、ゲルろ過、ゲル浸透クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、電気泳動、向流分配またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。精製後に、ポリペプチドは、ろ過および透析を含むがこれらに限定されない本分野で公知の様々な方法のいずれかによって、異なる緩衝液中に交換されおよび/または濃縮され得る。
【0117】
本明細書に記載の精製抗体および抗原結合タンパク質は、好ましくは少なくとも65%純粋、少なくとも75%純粋、少なくとも85%純粋、より好ましくは少なくとも95%純粋、最も好ましくは少なくとも98%純粋である。純度の正確な数値にかかわらず、本ポリペプチドは医薬品として使用するのに十分に純粋である。本明細書に記載される軽鎖、重鎖もしくは抗LAG3抗体、またはその抗原結合タンパク質のいずれも、トランスジェニック宿主細胞によって発現させ、次いで任意の当技術分野で公知の方法を使用して純度約65~98%または高レベルの純度まで精製することができる。
【0118】
ある実施形態において、本明細書の抗体および抗原結合タンパク質は、翻訳後修飾をさらに含むことができる。例示的な翻訳後タンパク質修飾としては、リン酸化、アセチル化、メチル化、ADPリボシル化、ユビキチン化、グリコシル化、カルボニル化、SUMO化、ビオチン化またはポリペプチド側鎖もしくは疎水性基の付加が挙げられる。その結果、修飾されたポリペプチドは、脂質、多糖または単糖およびホスフェートなどの非アミノ酸要素を含有し得る。グリコシル化の好ましい形態は、1またはそれを超えるシアル酸部分をポリペプチドにコンジュゲートするシアル化である。シアル酸部分は、タンパク質の免疫原性の可能性も低減しながら、溶解度および血清半減期を改善する。Rajuら、Biochemistry.2001 31;40(30):8868-76を参照されたい。
【0119】
一実施形態において、本明細書に記載されている抗体および抗原結合タンパク質は、可溶性ポリペプチドとなるように修飾することができ、これは、抗体および抗原結合タンパク質を非タンパク質性ポリマーに連結することを含む。一実施形態において、米国特許第4,640,835号;同第4,496,689号;同第4,301,144号;同第4,670,417号;同第4,791,192号または同第4,179,337号に記載されている様式で、非タンパク質性ポリマーは、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリプロピレングリコールまたはポリオキシアルキレンを含む。
【0120】
PEGは、市販されている水溶性ポリマーであり、または当技術分野で周知の方法(Sandler and Karo,Polymer Synthesis,Academic Press,NewYork,Vol.3,pages 138-161)に従ってエチレングリコールの開環重合によって調製することができる水溶性ポリマーである。「PEG」という用語は、サイズまたはPEGの末端の修飾に関係なく、任意のポリエチレングリコール分子を包含するように大まかに使用され、式:X-O(CH2CH2O)n-CH2CH2OH(1)(式中、nは20から2300であり、XはHまたは末端修飾、例えば、C1~4アルキルである)によって表すことができる。一実施形態では、PEGは一端がヒドロキシまたはメトキシで終端しており、つまり、XはHまたはCH3(「メトキシPEG」)である。PEGは、結合反応に必要なさらなる化学基を含むことができ、これは、分子の化学合成から生じ、または分子の部分の最適な距離のためのスペーサーである。さらに、そのようなPEGは、互いに連結された1またはそれを超えるPEG側鎖からなっていてもよい。2つ以上のPEG鎖を有するPEGは、多腕または分枝PEGと呼ばれる。分岐PEGは、例えば、グリセロール、ペンタエリスリオールおよびソルビトールなどの様々なポリオールにポリエチレンオキシドを添加することによって調製することができる。例えば、四腕分岐PEGは、ペンタエリスリオールおよびエチレンオキシドから調製することができる。分岐PEGは、例えば、欧州特許出願公開第0473084号および米国特許出願公開第5,932,462号に記載されている。PEGの1つの形態は、リジンの第一級アミノ基を介して連結された2つのPEG側鎖(PEG2)を含む(Monfardiniら、Bioconjugate Chem.6(1995)62-69)。
【0121】
PEG修飾ポリペプチドの血清クリアランス率は、未修飾抗体および抗原結合タンパク質結合ポリペプチドのクリアランス率に対して約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、またはさらには90%に調節(例えば、増加または減少)され得る。PEG修飾抗体および抗原結合タンパク質は、未修飾ポリペプチドの半減期と比較して増強された半減期(t1/2)を有し得る。PEG修飾ポリペプチドの半減期は、未修飾抗体および抗原結合タンパク質の半減期と比較して、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、125%、150%、175%、200%、250%、300%、400%もしくは500%、またはさらには1000%延長され得る。いくつかの実施形態では、タンパク質の半減期は、緩衝生理食塩水または血清などのインビトロで測定される。他の実施形態では、タンパク質の半減期は、インビボ半減期、例えば、動物の血清または他の体液中のタンパク質の半減期である。
【0122】
本開示は、本明細書に記載の軽鎖、重鎖もしくは抗LAG3抗体、またはその抗原結合タンパク質のうちのいずれかと、薬学的に許容され得る賦形剤とを含む治療用組成物を提供する。賦形剤は、担体、安定剤および賦形剤を包含する。薬学的に許容され得る賦形剤の賦形剤には、例えば、不活性希釈剤または充填剤(例えば、スクロースおよびソルビトール)、潤滑剤、流動促進剤および抗接着剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シリカ、水素化植物油、またはタルク)が含まれる。さらなる例としては、緩衝剤、安定化剤、保存剤、非イオン性界面活性剤、酸化防止剤および等張化剤が挙げられる。
【0123】
治療用組成物および治療用組成物を調製する方法は本分野において周知であり、例えば、”Remington:The Science and Practice of Pharmacy”(20th ed.,ed.A.R.Gennaro A R.,2000,Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,Pa)に見出される。治療用組成物は、非経口投与用に製剤化することができ、例えば、賦形剤、無菌水、生理食塩水、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、植物起源の油または水素化ナフタレンを含有してもよく、含有することができる。本明細書に記載されている抗体(またはその抗原結合タンパク質)の放出を調節するために、生体適合性、生分解性ラクチドポリマー、ラクチド/グリコリドコポリマーまたはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーが使用され得る。抗体(またはその抗原結合タンパク質)の生体内分布を調節するために、ナノ粒子製剤(例えば、生分解性ナノ粒子、固体脂質ナノ粒子、リポソーム)が使用され得る。他の潜在的に有用な非経口送達系としては、エチレン-酢酸ビニルコポリマー粒子、浸透圧ポンプ、埋め込み可能な注入系およびリポソームが挙げられる。製剤中の抗体(またはその抗原結合タンパク質)の濃度は、投与されるべき薬物の投薬量および投与の経路を含む多数の要因に応じて様々である。
【0124】
抗LAG3抗体(またはその抗原結合部分)のいずれもが、薬学産業において一般的に使用される無毒な酸付加塩または金属錯体などの薬学的に許容され得る塩として投与され得る。酸付加塩の例としては、酢酸、乳酸、パモ酸、マレイン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、コハク酸、安息香酸、パルミチン酸、スベリン酸、サリチル酸、酒石酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸またはトリフルオロ酢酸などの有機酸、タンニン酸、カルボキシメチルセルロースなどのポリマー酸、および塩酸、臭化水素酸、硫酸 リン酸などの無機酸が挙げられる。金属錯体としては、亜鉛、鉄などが挙げられる。1つの例において、抗体(またはその抗原結合部分)は、熱的安定性を増加するために酢酸ナトリウムの存在下で製剤化される。
【0125】
任意の抗LAG3抗体(またはその抗原結合部分)は、非毒性の薬学的に許容され得る賦形剤との混合物中に活性成分を含有する錠剤など、経口使用のために製剤化することができる。経口使用のための製剤はまた、チュアブル錠剤として、または活性成分が不活性固体希釈剤と混合される硬ゼラチンカプセルとして、または活性成分が水もしくは油性媒体と混合される軟ゼラチンカプセルとして提供され得る。
【0126】
本明細書で使用される「被験体」という用語は、脊椎動物、哺乳動物および非哺乳動物を含むヒトおよび非ヒト動物を指す。一実施形態において、被験体は、ヒト、非ヒト霊長類、サル、類人猿、マウス(例えば、マウスおよびラット)、ウシ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ、ヤギ、オオカミ、カエルまたは魚であり得る。
【0127】
用語「投与する」、「投与される」および文法的変形は、当業者に公知の様々な方法および送達系のいずれかを使用した、被験体への作用物質の物理的導入を指す。本明細書中に開示される製剤のための例示的な投与経路としては、例えば注射または注入による静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脊髄または他の非経口投与経路が挙げられる。本明細書で使用される「非経口投与」という語句は、通常は注射による、経腸および局所投与以外の投与の様式を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内の注射および注入ならびにインビボ電気泳動が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、製剤は、非経口経路を介して、例えば経口的に投与される。他の非経口経路としては、局所、表皮または粘膜投与経路、例えば、鼻腔内、膣内、直腸、舌下または局所が挙げられる。投与は、例えば、1回、複数回、および/または1もしくはそれを超える長期の期間にわたって行うこともできる。本明細書に記載される抗LAG3抗体(またはその抗原結合タンパク質)のいずれもが、当技術分野で公知の方法および送達経路を使用して被験体に投与することができる。
【0128】
「有効量」、「治療有効量」もしくは「有効用量」という用語または関連する用語は互換的に使用され得、対象に投与された場合、腫瘍または癌抗原発現に関連する疾患または障害の測定可能な改善または予防をもたらすのに十分な抗体または抗原結合タンパク質(例えば、本明細書に記載の任意の抗LAG3抗体またはその抗原結合タンパク質)の量を指す。本明細書で提供される抗体の治療有効量は、単独でまたは組み合わせて使用される場合、抗体および組み合わせの(例えば、細胞増殖を阻害することにおける)相対活性に応じて、ならびに処置される対象および疾患症状、対象の体重および年齢および性別、対象の疾患症状の重症度、投与様式などに応じて異なり、当業者はこれを容易に決定することができる。
【0129】
一実施形態では、治療有効量は、処置される対象および処置される障害の特定の態様に依存し、公知の技術を使用して当業者によって特定され得る。一般に、ポリペプチドは、約0.01g/kgから約50mg/kg/日、好ましくは0.01mg/kgから約30mg/kg/日、最も好ましくは0.1mg/kgから約20mg/kg/日で投与される。ポリペプチドは、毎日(例えば、1日1回、2回、3回、または4回)または好ましくはより低い頻度(例えば、毎週、2週間ごと、3週間ごと、毎月、または四半期ごと)で投与され得る。さらに、当技術分野で知られているように、年齢ならびに体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時間、薬物相互作用、および疾患の重症度に関して調整が必要になり得る。
【0130】
本開示は、LAG3の発現に関連する疾患を有する対象を処置するための方法を提供する。疾患は、腫瘍関連抗原を発現する癌または腫瘍細胞を含む。一実施形態では、癌または腫瘍は、前立腺、乳房、卵巣、頭頸部、膀胱、皮膚、結腸直腸、肛門、直腸、膵臓、肺(非小細胞肺癌および小細胞肺癌を含む)、平滑筋腫、脳、神経膠腫、神経膠芽腫、食道、肝臓、腎臓、胃、結腸、子宮頸部、子宮、子宮内膜、外陰、喉頭、膣、骨、鼻腔、副鼻腔、上咽頭、口腔、中咽頭、喉頭、下咽頭、唾液腺、尿管、尿道、陰茎および精巣の癌を含む。
【0131】
一実施形態において、癌は、白血病、リンパ腫、骨髄腫およびB細胞リンパ腫を含む血液癌を含む。血液癌には、多発性骨髄腫(MM)、バーキットリンパ腫(BL)を含む非ホジキンリンパ腫(NHL)、B慢性リンパ性白血病(B-CLL)、全身性エリテマトーデス(SLE)、BおよびT急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、慢性骨髄性白血病(CML)、有毛細胞白血病(HCL)、濾胞性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、マントル細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫(HL)、形質細胞性骨髄腫、前駆B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、形質細胞腫、巨細胞性骨髄腫、形質細胞骨髄腫、重鎖骨髄腫、軽鎖またはベンスジョーンズ骨髄腫、リンパ腫様肉芽腫症、移植後リンパ増殖性障害、免疫調節性障害、関節リウマチ、重症筋無力症、特発性血小板減少性紫斑病、抗リン脂質症候群、シャーガス病、グレーブス病、ウェゲナー肉芽腫症、結節性多発動脈炎、シェーグレン症候群、尋常性天疱瘡、強皮症、多発性硬化症、抗リン脂質症候群、ANCA関連血管炎、グッドパスチャー病、川崎病、自己免疫性溶血性貧血、および急速進行性糸球体腎炎、重鎖病、原発性または免疫細胞関連アミロイドーシス、および意義不明の単クローン性γグロブリン血症が含まれる。
【0132】
本開示は、LAG3に特異的に結合する操作されたLAG3結合タンパク質、特に抗LAG3抗体、またはその抗原結合部分、およびその使用を提供する。抗LAG3抗体は、改善された特徴を示し、改善された特徴には、LAG3抗原への改善された結合、LAG3発現細胞への改善された結合、および/またはより高いレベルのサイトカイン放出活性が含まれる。抗LAG3抗体は、カニクイザルおよび/またはマウスLAG3抗原と交差反応(結合)することができる。
【0133】
本開示は、免疫チェックポイント阻害剤として作用することができ、癌などの障害を処置するための免疫療法に使用することができる完全ヒト抗LAG3抗体およびその断片を提供する。
【0134】
いくつかの実施形態では、本開示は、LAG3ポリペプチドのエピトープ(例えば、標的抗原)またはLAG3ポリペプチドの断片に結合する抗原結合タンパク質、例えば、IgGクラスの完全ヒト抗体を提供する。一実施形態では、LAG3標的抗原は、野生型または多型または変異型のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。一実施形態では、LAG3標的抗原は、ヒトLAG3ポリペプチド(UniProtKB P18627、配列番号1)、カニクイザルLAG3ポリペプチド(NCBIアクセッション番号XP005570011.1、配列番号2)もしくはマウスLAG3ポリペプチド(UniProtKB Q61790、配列番号3)、または
図1に示すこれらのLAG3ポリペプチドのいずれかの断片を含む。LAG3標的抗原は、組換え法によって調製することができ、または化学的に合成することができる。LAG3標的抗原は、可溶性形態または(例えば、細胞またはファージによって発現される)膜結合形態であり得る。一実施形態では、LAG3標的抗原は、細胞表面LAG3抗原の細胞外部分を含む。一実施形態では、LAG3標的抗原は、細胞、例えば、LAG3を天然に発現する癌もしくは非癌細胞株によって発現されるか、またはCHO、HeLa、HEK293、JurkatもしくはPanoply(商標)(Creative Biogene製、シャーリー、ニューヨーク州)などのLAG3を発現するように操作された細胞株によって発現される。LAG3を天然に発現しない細胞株は、抗LAG3抗体に結合しないと予想される。LAG3標的抗原は、融合タンパク質であり得、または例えばフルオロフォアなどの検出可能な部分とコンジュゲートされ得る。LAG3標的抗原は、ヒスチジンタグなどの親和性タグの有無にかかわらず、組換えポリペプチドであり得る。LAG3標的抗原は、ヒト、マウスまたはカニクイザル由来のビオチン化LAG3タンパク質(例えば、カタログ番号LA3-H82Fb、AcroBiosystemsのビオチン化ヒトLAG3タンパク質)であり得る。
【0135】
一実施形態では、野生型および/または変異ヒトLAG3抗原を、本明細書に記載の任意の抗LAG3抗体の結合能を比較するアッセイおよび/またはエピトープマッピングアッセイに使用することができる。
【0136】
本開示は、IgGクラスの完全ヒト抗体などの抗原結合タンパク質を提供し、この抗体は、LAG3ポリペプチドのエピトープ(標的抗原)に結合し、この抗体は、配列番号4、6、8もしくは10のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせに対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含み、抗LAG3抗体は、配列番号5、7、9もしくは11のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせに対して、95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。抗体1C5-3A6、抗体2D12-2E3-N102D、抗体5C8および抗体8D9の重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列を
図2に示す。
【0137】
本開示は、IgGクラスの完全ヒト抗体などの抗原結合タンパク質を提供し、この抗体はLAG3ポリペプチドのエピトープ(標的抗原)に結合し、この抗体は、配列番号4、6、8もしくは10のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせに対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む。
【0138】
本開示は、IgGクラスの完全ヒト抗体などの抗原結合タンパク質を提供し、この抗体はLAG3ポリペプチドのエピトープ(標的抗原)に結合し、この抗体は、配列番号5、7、9もしくは11のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせに対して、95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。
【0139】
一実施形態では、抗LAG3抗体は単離された抗体である。一実施形態では、抗LAG3抗体は組換え抗体である。
【0140】
一実施形態では、抗LAG3抗体は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4クラスの抗体を含む。一実施形態では、抗LAG3抗体はIgG1またはIgG4クラスの抗体を含む。一実施形態では、抗LAG3抗体のヒンジ領域を変異させて、潜在的なジスルフィド結合形成の数を変化させることができる。一実施形態では、抗LAG3抗体は、アミノ酸配列CPPC、CPSC、SPPCまたはSPSCを有するヒンジ領域を含む。一実施形態では、抗LAG3抗体は、ヒンジ領域を有する重鎖定常領域を含み、アミノ酸配列CPSC、SPPCまたはSPSCは配列CPPCを置き換える。一実施形態では、抗LAG3抗体の重鎖を、異性化することが知られている1またはそれを超えるNGモチーフ(例えば、NGRモチーフの一部)を排除するように変異させることができる。一実施形態では、異性化部位はインテグリンに結合することができる。一実施形態では、抗LAG3抗体は、NGRモチーフに取って代わってSGRモチーフを含む重鎖を含む。一実施形態では、抗LAG3抗体は、SGRモチーフがNGRモチーフに取って代わる重鎖可変領域を含む。一実施形態では、抗LAG3抗体の重鎖および/または軽鎖を変異させることができ、変異抗体は、LAG3抗原および/またはLAG3発現細胞に対して同一または同等の結合能力を示す。
【0141】
一実施形態では、抗LAG3抗体またはその断片は、10
-6Mまたはそれ未満、10
-7Mまたはそれ未満、10
-8Mまたはそれ未満、10
-9Mまたはそれ未満、あるいは10
-10Mまたはそれ未満の結合親和性(K
D)でLAG3ポリペプチド(標的抗原)のエピトープに結合する抗原結合部分を含む(
図4参照)。一実施形態では、抗LAG3抗体またはその断片間の結合は、表面プラズモン共鳴、フローサイトメトリーおよび/またはELISAを使用して検出および測定することができる。
【0142】
本開示は、ヒト由来のLAG3ポリペプチドのエピトープに結合し、マウス、ラット、ヤギ、ウサギ、ハムスターおよび/またはサル(例えば、カニクイザル)などの非ヒト動物のうちの少なくとも1つに由来するLAG3ポリペプチドのエピトープ(例えば、相同抗原)と結合(例えば、交差反応)することができる抗LAG3抗体を提供する。一実施形態では、抗LAG3抗体は、10-5Mもしくはそれ未満、または10-6Mもしくはそれ未満、または10-7Mもしくはそれ未満、または10-8Mもしくはそれ未満、または10-9Mもしくはそれ未満、または10-10Mもしくはそれ未満の結合親和性KDでマウスLAG3に結合する。一実施形態では、抗LAG3抗体は、10-5Mもしくはそれ未満、または10-6Mもしくはそれ未満、または10-7Mもしくはそれ未満、または10-8Mもしくはそれ未満、または10-9Mもしくはそれ未満、または10-10Mもしくはそれ未満の結合親和性KDでカニクイザルLAG3に結合する。
【0143】
本開示は、LAG3ポリペプチドに結合する完全ヒト抗体を提供し、この抗体は、重鎖と軽鎖の両方を含み、この重鎖/軽鎖可変領域アミノ酸配列は、以下のアミノ酸配列セット、すなわち、配列番号4および5(本明細書では1C5-3A6と呼ぶ)、配列番号6および7(本明細書では2D12-2E3-N102Dと呼ぶ)、配列番号8および9(本明細書では5C8と呼ぶ)、または配列番号10および11(本明細書では8D9と呼ぶ)のうちのいずれかに対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する。抗体1C5-3A6、抗体2D12-2E3-N102D、抗体5C8および抗体8D9の重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列を
図2に示す。
【0144】
本開示は、抗体重鎖由来の可変領域および抗体軽鎖由来の可変領域を含むFab完全ヒト抗体フラグメントを提供する。いくつかの実施形態では、重鎖由来の可変領域の配列は、配列番号4、6、8もしくは10のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせに対して、少なくとも95%同一、または少なくとも96%同一、または少なくとも97%同一、または少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一であり、軽鎖由来の可変領域の配列は、配列番号5、7、9もしくは11のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせに対して、少なくとも95%同一、または少なくとも96%同一、または少なくとも97%同一、または少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一である。いくつかの実施形態では、重鎖由来の可変領域の配列は、配列番号4、6、8もしくは10のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせに対して、少なくとも95%同一、または少なくとも96%同一、または少なくとも97%同一、または少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一であり、軽鎖由来の可変領域の配列は、配列番号5、7、9もしくは11のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせに対して、少なくとも95%同一、または少なくとも96%同一、または少なくとも97%同一、または少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一である。抗体1C5-3A6、抗体2D12-2E3-N102D、抗体5C8および抗体8D9の重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列を
図2に示す。
【0145】
本開示は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含むFab完全ヒト抗体フラグメントを提供し、ここで重鎖/軽鎖可変領域アミノ酸配列は、以下のアミノ酸配列セット、すなわち、配列番号4および5(本明細書では1C5-3A6と呼ぶ)、配列番号6および7(本明細書では2D12-2E3-N102Dと呼ぶ)、配列番号8および9(本明細書では5C8と呼ぶ)、または配列番号10および11(本明細書では8D9と呼ぶ)のうちのいずれかと、少なくとも95%同一、または少なくとも96%同一、または少なくとも97%同一、または少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一である。
【0146】
本開示は、完全ヒト重鎖由来の可変領域および完全ヒト軽鎖由来の可変領域を有するポリペプチド鎖と、必要に応じて、可変重鎖領域と可変軽鎖領域とをつなぐリンカー(例えば、ペプチドリンカー)とを含む一本鎖完全ヒト抗体を提供する。いくつかの実施形態では、可変重鎖領域は、配列番号4、6、8もしくは10のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせに対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有し、可変軽鎖領域は、配列番号5、7、9もしくは11のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせに対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、可変重鎖領域は、配列番号4、6、8もしくは10のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせに対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有し、可変軽鎖領域は、配列番号5、7、9もしくは11のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせに対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0147】
本開示は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を有するポリペプチド鎖を含む一本鎖完全ヒト抗体を提供し、ここで重鎖/軽鎖可変領域アミノ酸配列セットが、以下のアミノ酸配列セット:配列番号4および5(本明細書では1C5-3A6と呼ぶ)、配列番号6および7(本明細書では2D12-2E3-N102Dと呼ぶ)、配列番号8および9(本明細書では5C8と呼ぶ)または配列番号10および11(本明細書では8D9と呼ぶ)のいずれかと少なくとも95%同一または少なくとも96%同一または少なくとも97%同一または少なくとも98%同一または少なくとも99%同一である。一実施形態では、一本鎖完全ヒト抗体は、可変重鎖領域と可変軽鎖領域とをつなぐ任意のリンカー(例えば、ペプチドリンカー)を含む。
【0148】
本開示は、本明細書に記載の任意の抗LAG3抗体、またはその抗原結合タンパク質、および薬学的に許容され得る賦形剤を含む治療用組成物を提供する。賦形剤は、担体および安定剤を包含する。一実施形態では、治療用組成物は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む抗LAG3抗体またはその抗原結合断片を含み、この重鎖/軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、以下のアミノ酸配列セット、すなわち、配列番号4および5(本明細書では1C5-3A6と呼ぶ)、配列番号6および7(本明細書では2D12-2E3-N102Dと呼ぶ)、配列番号8および9(本明細書では5C8と呼ぶ)、または配列番号10および11(本明細書では8D9と呼ぶ)のいずれかと、少なくとも95%同一、または少なくとも96%同一、または少なくとも97%同一、または少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一である。
【0149】
本開示は、開示された完全ヒト抗LAG3抗体のいずれか1つ、またはその抗原結合フラグメントのいずれか、または本明細書に記載のFabフラグメントもしくは一本鎖抗体のいずれかを含むキットを提供する。
【0150】
本開示は、配列番号4、6、8もしくは10のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせに対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する抗体重鎖可変領域をコードする核酸を提供する。本開示は、配列番号5、7、9もしくは11のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせに対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する抗体軽鎖可変領域をコードする核酸を提供する。
【0151】
本開示は、配列番号4、6、8もしくは10のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせに対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する抗体重鎖可変領域をコードする第1の核酸を提供する。本開示は、配列番号5、7、9もしくは11のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせに対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する抗体軽鎖可変領域をコードする第2の核酸を提供する。
【0152】
本開示は、配列番号4、6、8もしくは10のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせに対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する抗体重鎖可変領域をコードする核酸を提供し、この核酸は、配列番号5、7、9もしくは11のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせに対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する抗体軽鎖可変領域をコードする。
【0153】
本開示は、重鎖および軽鎖の両方を含む抗体をコードする核酸を提供し、この重鎖/軽鎖可変領域アミノ酸配列は、以下のアミノ酸配列セット、すなわち、配列番号4および5(本明細書では1C5-3A6と呼ぶ)、配列番号6および7(本明細書では2D12-2E3-N102Dと呼ぶ)、配列番号8および9(本明細書では5C8と呼ぶ)、または配列番号10および11(本明細書では8D9と呼ぶ)のうちのいずれかに対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0154】
本開示は、重鎖由来の可変領域および軽鎖由来の可変領域を含むFab完全ヒト抗体フラグメントをコードする核酸を提供し、ここで、重鎖由来の可変領域のアミノ酸配列は、配列番号4、6、8もしくは10のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせと、少なくとも95%同一であるか、または少なくとも96%同一であるか、または少なくとも97%同一であるか、または少なくとも98%同一であるか、または少なくとも99%同一である。本開示は、重鎖由来の可変領域および軽鎖由来の可変領域を含むFab完全ヒト抗体フラグメントをコードする核酸を提供し、ここで、軽鎖由来の可変領域のアミノ酸配列は、配列番号5、7、9もしくは11のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせと、少なくとも95%同一であるか、または少なくとも96%同一であるか、または少なくとも97%同一であるか、または少なくとも98%同一であるか、または少なくとも99%同一である。
【0155】
本開示は、重鎖由来の可変領域および軽鎖由来の可変領域を含むFab完全ヒト抗体フラグメントをコードする第1の核酸を提供し、ここで、重鎖由来の可変領域のアミノ酸配列は、配列番号4、6、8もしくは10アミノ酸配列またはそれらの組み合わせと、少なくとも95%同一であるか、または少なくとも96%同一であるか、または少なくとも97%同一であるか、または少なくとも98%同一であるか、または少なくとも99%同一である。本開示は、重鎖由来の可変領域および軽鎖由来の可変領域を含むFab完全ヒト抗体フラグメントをコードする第2の核酸を提供し、ここで、軽鎖由来の可変領域のアミノ酸配列は、配列番号5、7、9もしくは11のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせと、少なくとも95%同一であるか、または少なくとも96%同一であるか、または少なくとも97%同一であるか、または少なくとも98%同一であるか、または少なくとも99%同一である。
【0156】
本開示は、重鎖由来の可変領域および軽鎖由来の可変領域を含むFab完全ヒト抗体フラグメントをコードする核酸を提供し、ここで、重鎖由来の可変領域のアミノ酸配列は、配列番号4、6、8もしくは10のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせと、少なくとも95%同一、または少なくとも96%同一、または少なくとも97%同一、または少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一であり、この核酸は、軽鎖由来の可変領域をコードし、この軽鎖由来の可変領域のアミノ酸配列は、配列番号5、7、9もしくは11のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせと、少なくとも95%同一、または少なくとも96%同一、または少なくとも97%同一、または少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一である。
【0157】
本開示は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含むFab完全ヒト抗体フラグメントをコードする核酸を提供し、ここで重鎖/軽鎖可変領域アミノ酸配列は、以下のアミノ酸配列セット、すなわち、配列番号4および5(本明細書では1C5-3A6と呼ぶ)、配列番号6および7(本明細書では2D12-2E3-N102Dと呼ぶ)、配列番号8および9(本明細書では5C8と呼ぶ)、または配列番号10および11(本明細書では8D9と呼ぶ)のうちのいずれかと、少なくとも95%同一、または少なくとも96%同一、または少なくとも97%同一、または少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一である。
【0158】
本開示は、完全ヒト重鎖由来の可変領域および完全ヒト軽鎖由来の可変領域を有するポリペプチド鎖と、必要に応じて、可変重鎖領域と可変軽鎖領域とをつなぐリンカー(例えば、ペプチドリンカー)とを含む一本鎖完全ヒト抗体をコードする核酸を提供する。いくつかの実施形態では、核酸は、配列番号4、6、8もしくは10のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせに対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する可変重鎖領域をコードし、核酸は、配列番号5、7、9もしくは11のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせに対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する可変軽鎖領域をコードする。一実施形態では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)N(配列番号12)を含み、ここで、Nは1~6である。一実施形態では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号13)を含む。
【0159】
本開示は、完全ヒト重鎖由来の可変領域および完全ヒト軽鎖由来の可変領域を有するポリペプチド鎖と、必要に応じて、可変重鎖領域と可変軽鎖領域とをつなぐリンカー(例えば、ペプチドリンカー)とを含む一本鎖完全ヒト抗体をコードする核酸を提供する。いくつかの実施形態では、可変重鎖領域は、配列番号4、6、8もしくは10のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせに対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有し、可変軽鎖領域は、配列番号5、7、9もしくは11のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせに対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する。一実施形態では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)N(配列番号12)を含み、ここで、Nは1~6である。一実施形態では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号13)を含む。
【0160】
本開示は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を有するポリペプチド鎖を含む一本鎖抗体である一本鎖完全ヒト抗体をコードする核酸を提供し、ここで重鎖/軽鎖可変領域アミノ酸配列セットは、以下のアミノ酸配列セット:配列番号4および5(本明細書では1C5-3A6と呼ぶ)、配列番号6および7(本明細書では2D12-2E3-N102Dと呼ぶ)、配列番号8および9(本明細書では5C8と呼ぶ)または配列番号10および11(本明細書では8D9と呼ぶ)のいずれかと少なくとも95%同一または少なくとも96%同一または少なくとも97%同一または少なくとも98%同一または少なくとも99%同一である。一実施形態では、核酸は、可変重鎖領域と可変軽鎖領域とをつなぐ任意のリンカー(例えば、ペプチドリンカー)を含む一本鎖完全ヒト抗体をコードする。一実施形態では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)N(配列番号12)を含み、ここで、Nは1~6である。一実施形態では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号13)を含む。
【0161】
本開示は、配列番号4、6、8または10のアミノ酸配列に対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する重鎖可変領域をコードする第1の核酸に作動可能に連結された第1のベクター(例えば、第1の発現ベクター)、および配列番号5、7、9または11のアミノ酸配列に対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する軽鎖可変領域をコードする第2の核酸に作動可能に連結された第2のベクター(例えば、第2の発現ベクター)を提供する。
【0162】
本開示は、配列番号4、6、8または10のアミノ酸配列に対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する重鎖可変領域をコードする第1の核酸に作動可能に連結された第1のベクター(例えば、第1の発現ベクター)を提供する。一実施形態では、第1のベクターはまた、配列番号5、7、9または11のアミノ酸配列に対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する軽鎖可変領域をコードする第2の核酸に作動可能に連結されている。
【0163】
本開示は、以下のアミノ酸配列セット、すなわち、配列番号4および5(本明細書では1C5-3A6と呼ぶ)、配列番号6および7(本明細書では2D12-2E3-N102Dと呼ぶ)、配列番号8および9(本明細書では5C8と呼ぶ)、または配列番号10および11(本明細書では8D9と呼ぶ)のうちのいずれかに対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域をコードする核酸に作動可能に連結されたベクター(例えば、発現ベクター)を提供する。
【0164】
本開示は、配列番号4、6、8または10のアミノ酸配列に対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含むFab完全ヒト抗体フラグメントをコードする第1の核酸に作動可能に連結された第1のベクター(例えば、第1の発現ベクター)を提供する。本開示はまた、配列番号5、7、9または11のアミノ酸配列に対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含むFab完全ヒト抗体フラグメントをコードする第2の核酸に作動可能に連結された第2のベクター(例えば、第2の発現ベクター)を提供する。
【0165】
本開示は、配列番号4、6、8または10のアミノ酸配列に対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含むFab完全ヒト抗体フラグメントをコードする第1の核酸に作動可能に連結された第1のベクター(例えば、第1の発現ベクター)を提供する。一実施形態では、第1のベクターはまた、配列番号5、7、9または11のアミノ酸配列に対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する軽鎖可変領域をコードする第2の核酸に作動可能に連結されている。
【0166】
本開示は、以下のアミノ酸配列セット、すなわち、配列番号4および5(本明細書では1C5-3A6と呼ぶ)、配列番号6および7(本明細書では2D12-2E3-N102Dと呼ぶ)、配列番号8および9(本明細書では5C8と呼ぶ)、または配列番号10および11(本明細書では8D9と呼ぶ)のうちのいずれかに対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含むFab完全ヒト抗体フラグメントをコードする核酸に作動可能に連結されたベクター(例えば、発現ベクター)を提供する。
【0167】
本開示は、完全ヒト重鎖由来の可変領域および完全ヒト軽鎖由来の可変領域を有するポリペプチド鎖と、必要に応じて可変重鎖領域と可変軽鎖領域とを連結するリンカー(例えば、ペプチドリンカー)とを含む一本鎖完全ヒト抗体をコードする核酸に作動可能に連結された第1のベクター(例えば、第1の発現ベクター)を提供し、ここで、可変重鎖領域は、配列番号4、6、8もしくは10のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせに対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有し、ここで、可変軽鎖領域は、配列番号5、7、9もしくは11のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせに対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する。一実施形態では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)N(配列番号12)を含み、ここで、Nは1~6である。一実施形態では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号13)を含む。
【0168】
本開示は、完全ヒト重鎖由来の可変領域および完全ヒト軽鎖由来の可変領域を有するポリペプチド鎖と、必要に応じて可変重鎖と可変軽鎖領域とを連結するリンカー(例えば、ペプチドリンカー)とを含む一本鎖完全ヒト抗体をコードする核酸に作動可能に連結された第1のベクター(例えば、第1の発現ベクター)を提供し、ここで、可変重鎖領域は、以下のアミノ酸配列セット、すなわち、配列番号4および5(本明細書では1C5-3A6と呼ぶ)、配列番号6および7(本明細書では2D12-2E3-N102Dと呼ぶ)、配列番号8および9(本明細書では5C8と呼ぶ)、または配列番号10および11(本明細書では8D9と呼ぶ)のうちのいずれかに対して、少なくとも95%の配列同一性、または少なくとも96%の配列同一性、または少なくとも97%の配列同一性、または少なくとも98%の配列同一性、または少なくとも99%の配列同一性を有する。一実施形態では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)N(配列番号12)を含み、ここで、Nは1~6である。一実施形態では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号13)を含む。
【0169】
本開示は、宿主細胞または宿主細胞の集団を提供し、ここで、宿主細胞または宿主細胞の集団由来の個々の宿主細胞は、配列番号4、6、8または10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域をコードする第1の核酸に作動可能に連結された第1のベクター(例えば、第1の発現ベクター)を宿し、宿主細胞または宿主細胞の集団由来の個々の宿主細胞は、配列番号5、7、9または11のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域をコードする第2の核酸に作動可能に連結された第2のベクター(例えば、第2の発現ベクター)を宿す。一実施形態では、宿主細胞または宿主細胞の集団において、第1の発現ベクターが重鎖可変領域の発現を指示し、第2の発現ベクターが軽鎖可変領域の発現を指示する。
【0170】
本開示は、第1の宿主細胞、または宿主細胞の第1の集団であって、配列番号4、6、8または10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域をコードする第1の核酸に作動可能に連結された第1のベクター(例えば、第1の発現ベクター)を宿す、第1の宿主細胞または宿主細胞の第1の集団の個々の宿主細胞と、第2の宿主細胞または宿主細胞の第2の集団であって、配列番号5、7、9または11のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域をコードする第2の核酸に作動可能に連結された第2のベクター(例えば、第1の発現ベクター)を保有する、第2の宿主細胞または宿主細胞の第2の集団の個々の宿主細胞と、を提供する。一実施形態では、第1の発現ベクターは、第1の宿主細胞における重鎖可変領域の発現を指示し、第2の発現ベクターは、第2の宿主細胞における軽鎖可変領域の発現を指示する。
【0171】
本開示は、宿主細胞または宿主細胞の集団を提供し、ここで、宿主細胞または宿主細胞の集団由来の個々の宿主細胞は、配列番号4、6、8または10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域をコードする第1の核酸に作動可能に連結されたベクター(例えば、発現ベクター)を宿し、宿主細胞中のベクターはまた、配列番号5、7、9または11のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域をコードする第2の核酸に作動可能に連結されている。一実施形態では、発現ベクターは、宿主細胞における重鎖可変領域および軽鎖可変領域の発現を指示する。
【0172】
本開示は、宿主細胞または宿主細胞の集団を提供し、ここで、宿主細胞または宿主細胞の集団由来の個々の宿主細胞は、重鎖由来の可変領域を含むFab完全ヒト抗体フラグメントをコードする第1の核酸に作動可能に連結された第1のベクター(例えば、第1の発現ベクター)を宿し、ここで、重鎖由来の可変領域のアミノ酸配列は、配列番号4、6、8もしくは10のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせと少なくとも95%同一である。一実施形態では、宿主細胞または宿主細胞の集団由来の個々の宿主細胞はまた、軽鎖由来の可変領域をコードする第2の核酸に作動可能に連結された第2のベクター(例えば、第2の発現ベクター)を宿し、ここで、軽鎖由来の可変領域のアミノ酸配列は、配列番号5、7、9もしくは11のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせと少なくとも95%同一である。一実施形態では、宿主細胞において、第1の発現ベクターが重鎖可変領域の発現を指示し、第2の発現ベクターが軽鎖可変領域の発現を指示する。
【0173】
本開示は、第1の宿主細胞または宿主細胞の第1の集団を提供し、ここで、第1の宿主細胞または宿主細胞の第1の集団由来の個々の宿主細胞は、重鎖由来の可変領域を含むFab完全ヒト抗体フラグメントをコードする第1の核酸に作動可能に連結された第1のベクター(例えば、第1の発現ベクター)を宿し、ここで、重鎖由来の可変領域のアミノ酸配列は、配列番号4、6、8もしくは10のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせと少なくとも95%同一である。本開示はまた、第2の宿主細胞または宿主細胞の第2の集団を提供し、ここで、第2の宿主細胞または宿主細胞の第2の集団由来の個々の宿主細胞は、軽鎖由来の可変領域をコードする第2の核酸に作動可能に連結された第2のベクター(例えば、第2の発現ベクター)を宿し、ここで、軽鎖由来の可変領域のアミノ酸配列は、配列番号5、7、9もしくは11アミノ酸配列またはそれらの組み合わせと少なくとも95%同一である。一実施形態では、第1の発現ベクターは、第1の宿主細胞における重鎖可変領域の発現を指示し、第2の発現ベクターは、第2の宿主細胞における軽鎖可変領域の発現を指示する。
【0174】
本開示は、宿主細胞または宿主細胞の集団を提供し、ここで、宿主細胞または宿主細胞の集団由来の個々の宿主細胞は、重鎖由来の可変領域を含むFab完全ヒト抗体フラグメントをコードする第1の核酸に作動可能に連結されたベクター(例えば、発現ベクター)を宿し、ここで、重鎖由来の可変領域のアミノ酸配列は、配列番号4、6、8もしくは10のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせと少なくとも95%同一であり、宿主細胞中のベクターはまた、軽鎖可変領域をコードする第2の核酸に作動可能に連結され、ここで、軽鎖由来の可変領域のアミノ酸配列は、配列番号5、7、9もしくは11のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせと少なくとも95%同一である。一実施形態では、発現ベクターは、宿主細胞における重鎖可変領域および軽鎖可変領域の発現を指示する。
【0175】
本開示は、宿主細胞または宿主細胞の集団を提供し、ここで、宿主細胞または宿主細胞の集団由来の個々の宿主細胞は、完全ヒト重鎖由来の可変領域および完全ヒト軽鎖由来の可変領域を有するポリペプチド鎖、ならびに、必要に応じて可変重鎖領域と可変軽鎖領域とを連結するリンカー(例えば、ペプチドリンカー)を含む一本鎖完全ヒト抗体をコードする核酸に作動可能に連結された第1のベクター(例えば、第1の発現ベクター)を宿し、ここで、可変重鎖領域は、配列番号4、6、8もしくは10のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせに対して少なくとも95%の配列同一性を有し、ここで、可変軽鎖領域は、配列番号5、7、9もしくは11のアミノ酸配列またはそれらの組み合わせに対して少なくとも95%の配列同一性を有する。一実施形態では、第1のベクターは、アミノ酸配列(GGGGS)N(配列番号12)を含むペプチドリンカーをコードする核酸配列を含み、Nは1~6である。一実施形態では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号13)を含む。一実施形態では、発現ベクターは、宿主細胞における一本鎖抗体の発現を指示する。
【0176】
本開示は、抗体重鎖可変領域を有する第1のポリペプチドを調製するための方法であって、配列番号4、6、8または10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体重鎖可変領域を有する第1のポリペプチドを発現させるのに適した条件下で、第1の発現ベクターを宿す第1の宿主細胞の集団(例えば、複数)を培養することを含む、方法を提供する。一実施形態では、本方法は、第1の宿主細胞の集団から、配列番号4、6、8または10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する発現された第1のポリペプチドを回収することをさらに含む。
【0177】
本開示は、抗体軽鎖可変領域を有する第2のポリペプチドを調製するための方法であって、配列番号5、7、9または11のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体軽鎖可変領域を有する第2のポリペプチドを発現させるのに適した条件下で、第2の発現ベクターを宿す第2の宿主細胞の集団(例えば、複数)を培養することを含む、方法を提供する。一実施形態では、本方法は、第2の宿主細胞の集団から、配列番号5、7、9または11のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する発現された第2のポリペプチドを回収することをさらに含む。
【0178】
本開示は、抗体重鎖可変領域を有する第1のポリペプチドを調製するための方法、および抗体軽鎖可変領域を有する第2のポリペプチドを調製するための方法であって、(第1のポリペプチドをコードする第1の核酸に作動可能に連結されている)第1の発現ベクターおよび(第2のポリペプチドをコードする第2の核酸に作動可能に連結されている)第2の発現ベクターを宿す宿主細胞の集団(例えば、複数)を、配列番号4、6、8または10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体重鎖可変領域を有する第1のポリペプチドの発現に適し、かつ配列番号5、7、9または11のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体軽鎖可変領域を有する第2のポリペプチドの発現に適した条件下で培養することを含む、方法を提供する。一実施形態では、本方法は、宿主細胞の集団から、配列番号4、6、8または10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する発現された第1のポリペプチドを回収すること、および宿主細胞の集団から、配列番号5、7、9または11のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する発現された第2のポリペプチドを回収することをさらに含む。
【0179】
本開示は、抗体重鎖可変領域を有する第1のポリペプチドを調製するための方法であって、配列番号4、6、8または10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体重鎖可変領域を有する第1のポリペプチドを発現させるのに適した条件下で、第1の発現ベクターを宿す第1の宿主細胞の集団(例えば、複数)を培養することを含む、方法を提供する。一実施形態では、本方法は、第1の宿主細胞の集団から、配列番号4、6、8または10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する発現された第1のポリペプチドを回収することをさらに含む。
【0180】
本開示は、抗体軽鎖可変領域を有する第2のポリペプチドを調製するための方法であって、配列番号5、7、9または11のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体軽鎖可変領域を有する第2のポリペプチドを発現させるのに適した条件下で、第2の発現ベクターを宿す第2の宿主細胞の集団(例えば、複数)を培養することを含む、方法を提供する。一実施形態では、本方法は、第2の宿主細胞の集団から、配列番号5、7、9または11のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する発現された第2のポリペプチドを回収することをさらに含む。
【0181】
本開示は、抗体重鎖可変領域を有する第1のポリペプチドを調製するための方法、および抗体軽鎖可変領域を有する第2のポリペプチドを調製するための方法であって、(第1のポリペプチドをコードする第1の核酸に作動可能に連結され、第2のポリペプチドをコードする第2の核酸に作動可能に連結されている)発現ベクターを宿す宿主細胞の集団(例えば、複数)を、配列番号4、6、8または10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体重鎖可変領域を有する第1のポリペプチドの発現に適し、かつ配列番号5、7、9または11のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する抗体軽鎖可変領域を有する第2のポリペプチドの発現に適した条件下で培養することを含む、方法を提供する。一実施形態では、本方法は、宿主細胞の集団から、配列番号4、6、8または10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する発現された第1のポリペプチドを回収すること、および宿主細胞の集団から、配列番号5、7、9または11のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する発現された第2のポリペプチドを回収することをさらに含む。
【0182】
本開示は、LAG3過剰発現またはLAG3偽発現に関連する疾患を有する対象を処置するための方法であって、有効量の、本明細書に記載の完全ヒト抗LAG3抗体のうちのいずれか1つまたはそのうちの2~3からなる任意の組み合わせを含む治療用組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。一実施形態では、疾患は、癌、腫瘍、自己免疫疾患、またはウイルスもしくは病原性ウイルスもしくは病原性細菌もしくは病原性真菌もしくは病原性寄生生物によって引き起こされる感染性疾患である。
【0183】
一実施形態では、抗LAG3抗体は、サイトカイン処置(例えば、インターフェロン、GM-CSF、G-CSF、IL-2)、または腫瘍抗原の提示を増強する二重特異性抗体療法(例えば、Holliger(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448、Poljak(1994)Structure 2:1121-1123を参照されたい)などの他の形態の免疫療法と組み合わせることができる。
【0184】
一実施形態では、疾患は、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、皮膚または眼内悪性黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、精巣癌、ファロピウス管の癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、食道癌、小腸癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟部組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、慢性白血病または急性骨髄性白血病などの急性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、小児固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓または尿管癌、腎盂の癌腫、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、扁平上皮癌、T細胞リンパ腫、環境的に誘導される癌、およびアスベストによって誘導される癌、からなる群から選択される癌である。
【0185】
一実施形態では、疾患は、非ホジキンリンパ腫(NHL)、バーキットリンパ腫(BL)、多発性骨髄腫(MM)、B慢性リンパ性白血病(B-CLL)、BおよびT急性リンパ性白血病(ALL)、T細胞リンパ腫(TCL)、急性骨髄性白血病(AML)、有毛細胞白血病(HCL)、ホジキンリンパ腫(HL)、慢性骨髄性白血病(CML)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫(MM)、乳癌、卵巣癌、頭頸部癌、膀胱癌、黒色腫、結腸直腸癌、膵臓癌、肺癌、平滑筋肉腫、平滑筋肉腫、神経膠腫、神経膠芽腫、および固形腫瘍からなる群から選択される癌または腫瘍であり、ここで、固形腫瘍は、乳房腫瘍、卵巣腫瘍、肺腫瘍、膵臓腫瘍、前立腺腫瘍、黒色腫腫瘍、結腸直腸腫瘍、肺腫瘍、頭頸部腫瘍、膀胱腫瘍、食道腫瘍、肝臓腫瘍、および腎臓腫瘍からなる群から選択される。
【0186】
一実施形態では、疾患は、アルツハイマー病、アレルギー、喘息、セリアック病、クローン病、グレーブス病、炎症性腸疾患(IBD)、狼瘡、多発性硬化症、重症筋無力症、リウマチ性多発筋痛症、関節リウマチ、I型糖尿病、または血管炎などの自己免疫疾患である。
【0187】
一実施形態では、疾患は、HIV、肝炎(A、BおよびC)、インフルエンザ、ヘルペス、ジアルジア、マラリア、リーシュマニア、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、フラビウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、コロナウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、ロタウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、HTLVウイルス、デングウイルス、パピローマウイルス、軟体動物ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、JCウイルスおよびアルボウイルス性脳炎ウイルスからなる群から選択される感染性疾患である。
【0188】
一実施形態では、疾患は、HIV、肝炎(A、BまたはC)、ヘルペスウイルス(例えば、VZV、HSV-1、HAV-6、HSV-IIおよびCMV、エプスタイン・バーウイルス)、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、フラビウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、コロナウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、ロタウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、HTLVウイルス、デングウイルス、パピローマウイルス、軟体動物ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、JCウイルスおよびアルボウイルス性脳炎ウイルスなどの病原性ウイルスによって引き起こされる。
【0189】
一実施形態では、疾患は、病原性細菌、例えば、クラミジア、リケッチア細菌、マイコバクテリア、ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌、髄膜炎菌および淋菌、クレブシエラ、プロテウス、セラチア、シュードモナス、レジオネラ、ジフテリア、サルモネラ、桿菌、コレラ、破傷風、ボツリヌス症、炭疽、ペスト、レプトスピラ症またはライム病細菌によって引き起こされる。
【0190】
一実施形態では、疾患は、Candida(albicans、krusei、glabrata、tropicalisなど)、Cryptococcus neoformans、Aspergillus(fumigatus、nigerなど)、Genus Mucorales(mucor、absidia、rhizopus)、Sporothrix schenkii、Blastomyces dermatitidis、Paracoccidioides brasiliensis、Coccidioides immitis、または、Histoplasma capsulatumなどの病原性真菌によって引き起こされる。
【0191】
一実施形態では、疾患は、Entamoeba histolytica、Balantidium coli、Naegleriafowleri、Acanthamoeba属の1種、Giardia lambia、Cryptosporidium属の1種、Pneumocystis carinii、Plasmodium vivax、Babesia microti、Trypanosoma brucei、Trypanosoma cruzi、Leishmania donovani、Toxoplasma gondii、またはNippostrongylus brasiliensisなどの病原性寄生虫によって引き起こされる。
【実施例】
【0192】
以下の実施例は、例示であることが意図されており、本開示の実施形態をさらに理解するために使用することができ、いかなる形であれ本教示の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0193】
実施例1 ELISAによる可溶性LAG3タンパク質に対する用量依存的結合
【0194】
ノバルティス525抗体をクローニングし、自社作製した。抗LAG3抗体(1C5-3A6、2D12-2E3-N102D、5C8および8D9)および競合抗体(ノバルティス525)を、1倍リン酸緩衝生理食塩水(1倍PBS)中5μg/mL(20μL/ウェル)で、4℃で一晩、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)プレートにコーティングした。プレートを250μL/ウェルのPBS-T(0.05%のTween(登録商標)20を補充した1倍PBS)で3回洗浄した。その後、プレートを室温(RT)で1時間、PBS中の100μL/ウェルのブロッカーカゼイン(ThermoFisher、カタログ番号37528)でブロッキングした。250μL/ウェルのPBS-Tで3回洗浄した後、精製ヒトLAG3 Hisタグタンパク質(Sino Biological Biological、カタログ番号16498-H08H)をウェルに連続希釈し(最高濃度10μg/mL、希釈率1:3)、室温で1時間インキュベートした。プレートを250μL/ウェルのPBS-Tで3回洗浄し、50μL/ウェルのSureBlue(商標)TMB-1成分マイクロウェルペルオキシダーゼ基質(SeraCare、カタログ番号5120-0075)を塗布することによって結合を明らかにした。25μL/ウェルの0.16M硫酸(H
2SO
4)停止溶液を使用してシグナルを停止し、プレートリーダーで450nMで読み取った。この結果を
図3に示す。
【0195】
実施例2 表面プラズモン共鳴(Biacore)を使用した結合親和性の測定
【0196】
抗LAG3抗体(1C5-3A6、2D12-2E3-N102D、5C8および8D9)および競合剤抗体(ノバルティス525)の結合速度論を、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して測定した。抗ヒトフラグメント結晶化可能領域(Fc領域)抗体を、標準的なN-ヒドロキシスクシンイミド/N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(NHS/EDC)カップリング方法を使用して約8,000RUに至るまでCM5センサーチップに固定化した。抗体(2μg/mL)を流速10μL/分で60秒間捕捉した。組換えヒトLAG3-His(Sino Biological、カタログ番号16498-H08H)を、0.01MのHEPES(pH7.4)、0.15MのNaCl、3mMのEDTA、0.05%v/vの界面活性剤P20(HBS-EP+)からなるランニングバッファーで段階希釈した。全ての測定を、HBS-EP+緩衝液中、流速30μL/分で行った。1:1(ラングミュア)結合モデルを使用してデータをフィッティングした。全てのBIACOREアッセイを室温で行った。この結果を
図4に示す。測定されたK
Dを以下の表1に列挙する。
【0197】
【0198】
実施例3 カニクイザルおよびマウスのLAG3抗原との交差反応性
【0199】
ヒト、マウスまたはカニクイザルのLAG3-His Tag組換えタンパク質を、50μL/ウェルの1倍リン酸緩衝生理食塩水(1倍PBS)中、2μg/mLで、Ni-NTA ELISAプレート(Qiagen、カタログ番号35061)に、4℃で一晩コーティングした。プレートを250μL/ウェルのPBS-T(0.05%のTween(登録商標)20を補充した1倍PBS)で3回洗浄した。その後、プレートを室温で1時間、PBS中の100μL/ウェルのブロッカーカゼイン(ThermoFisher、カタログ番号37528)でブロッキングした。250μL/ウェルのPBS-Tで3回洗浄した後、精製抗体をPBS-T中2μg/mL(50μL/ウェル)で室温で1.5時間インキュベートした。プレートを250μL/ウェルのPBS-Tで3回洗浄し、HRPコンジュゲート化ヤギ抗ヒトFc二次抗体(Sera Care、カタログ番号5220-0279)を50μL/ウェルで1:5,000に希釈して室温で1時間インキュベートした。続いて、プレートを250μL/ウェルのPBS-Tで3回洗浄し、50μL/ウェルのSureBlue(商標)TMB-1成分マイクロウェルペルオキシダーゼ基質(SeraCare、カタログ番号5120-0075)を塗布することによって結合を明らかにした。25μL/ウェルの0.16M硫酸(H
2SO
4)停止溶液を使用してシグナルを停止し、プレートリーダーで450nMで読み取った。この結果を
図5に示す。
【0200】
実施例4 LAG3発現細胞への結合
【0201】
ヒトLAG3/NFAT-LucレポーターJurkat細胞株(BPS Biosciences、カタログ番号71278)を、1mg/mLのG418および200μg/mLのハイグロマイシンBを補充した完全RPMI(RPMI1640+10%FCS+Pen/Strep)中で培養した。野生型(WT)Jurkat細胞を完全RPMI中で培養した。
【0202】
細胞をV底96ウェルプレートに80,000細胞/ウェルで播種し、170μL/ウェルのFACS緩衝液(PBS1X+2%FCS/FBS+0.1%アジ化ナトリウム)を用いて2回洗浄した。抗LAG3抗体およびアイソタイプ対照抗体を様々な濃度(10から0.003μg/mLの範囲、希釈率1:5)でFACS緩衝液に希釈し、100μL/ウェルのヒトLAG3細胞またはWT Jurkat細胞のいずれかと4℃で20分間インキュベートした。170μL/ウェルのFACS緩衝液で2回洗浄した後、細胞を100μL/ウェルのAF647コンジュゲートヤギ抗ヒトIgG二次抗体(Southern Biotech、カタログ番号2040-31、ロットK471X873C、FACS緩衝液中での希釈1:2,000)と共に4℃で20分間インキュベートした。細胞を2回洗浄し、140μL/ウェルのFACS緩衝液に再懸濁し、Attune NxTでフローサイトメトリーによって取得した。FlowJo v10を使用してデータを分析した。ΔMFIを[(LAG3発現Jurkatの幾何平均)-(WT Jurkatの幾何平均)]として算出した。この結果を
図6に示す。
【0203】
実施例5 SEB活性化カニクイザルPBMCへの特異的結合
【0204】
SEB活性化 新鮮なカニクイザル末梢血単核細胞(カニクイザルPBMC)を単離し、200U/mLの組換えヒトIL-2(Miltenyi Biotec、カタログ番号130-097-748)を含有し、Toxin Technology,Inc.製の300ng/mLのブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)(カタログ番号122、ロット1224171)を含む、または含まない、200μLの完全RPMI(RPMI1640+10%FCS+Pen/Strep)中のU底プレートに、2.0E+05細胞/ウェルで播種した。カニクイザルPBMCを37℃、5%CO2の組織培養インキュベーター中で4日間培養した。
【0205】
結合アッセイ 4日目に、ナイーブおよび活性化カニクイザルPBMCの両方を、170μL/ウェルのFACS緩衝液(PBS1X+2%FCS/FBS+0.1%アジ化ナトリウム)を用いて2回洗浄し、80,000細胞でV底96ウェルプレートに移した。抗LAG3およびアイソタイプ対照抗体を様々な濃度(10から0.016μg/mLの範囲、希釈率1:5)でFACS緩衝液に希釈し、100μL/ウェルのナイーブおよび活性化カニクイザルPBMCと共に4℃で20分間インキュベートした。170μL/ウェルのFACS緩衝液で2回洗浄した後、細胞を100μL/ウェルのAF647コンジュゲートヤギ抗ヒトIgG二次抗体(Southern Biotech、カタログ番号2040-31、ロットK471X873C、FACS緩衝液中での希釈1:2,000)と共に4℃で20分間インキュベートした。細胞を2回洗浄し、150μL/ウェルのFACS緩衝液に再懸濁し、Attune NxTでフローサイトメトリーによって取得した。FlowJo v10を使用してデータを分析した。
【0206】
ΔMFIを[(SEB活性化カニクイザルPBMCの幾何平均)-(ナイーブカニクイザルPBMCの幾何平均)]として算出した。
図7Aを参照されたい。
【0207】
ΔLAG3
+細胞を、[(SEB活性化カニクイザルPBMCのLAG3
+細胞%)-(ナイーブカニクイザルPBMCのLAG3
+細胞%)]として計算した。
図7Bを参照されたい。
【0208】
実施例6 レポーターアッセイにおける抗LAG3抗体の機能活性の検出
【0209】
アッセイ原理 RajiおよびLAG3/NFATレポーターJurkat細胞を超抗原(例えば、ブドウ球菌エンテロトキシンE)の存在下で共培養すると、超抗原はエフェクター細胞上のTCR複合体(レポーターJurkat)および標的細胞上のMHCクラスII(Raji)を架橋し、TCR活性化およびNFATルシフェラーゼシグナルをもたらす。
【0210】
LAG3とMHCクラスIIとの相互作用は、この架橋を防ぎ、TCR活性化およびNFATルシフェラーゼシグナルを阻害する。
【0211】
抗LAG-3抗体の存在下、LAG3とMHC-IIとの間の相互作用は遮断され、エフェクター細胞上の超抗原およびNFAT-ルシフェラーゼシグナルによるT細胞活性化を促進する。
【0212】
ヒトLAG3/NFAT-LucレポーターJurkat細胞株(BPS Biosciences、カタログ番号71278)を、1mg/mLのG418および200μg/mLのハイグロマイシンBを補充した完全RPMI(RPMI1640+10%FCS+Pen/Strep)中で培養した。RAJI細胞(ATCC、カタログ番号CCL-86)を完全RPMI中で培養した。
【0213】
LAG3発現細胞の調製 ヒトLAG3/NFAT-LucレポーターJurkat細胞(40,000細胞/ウェル)を完全RPMI中の96ウェル白色透明底アッセイプレート(Costar、カタログ番号3610)に播種し、10、1または0.1μg/mL(最終濃度)の抗LAG3抗体またはアイソタイプ対照抗体とプレインキュベートした(最終容量60μL/ウェル)。プレインキュベーション中、細胞を37℃、5%CO2の組織培養インキュベーター内で30分間維持した。
【0214】
抗原提示細胞-RAJI細胞の調製 RAJI細胞を、0.1ng/mLのToxin Technology,Inc.製のブドウ球菌エンテロトキシンE(SEE)(カタログ番号ET404)を含有する完全RPMI中に0.75E+06細胞/mLで再懸濁した。プレインキュベーション中、細胞を37℃、5%CO2の組織培養インキュベーター内で30分間維持した。
【0215】
アッセイ開始および読み取り SEE活性化RAJI細胞を混合し、プレインキュベートしたヒトLAG3/NFAT-LucレポーターJurkat細胞を含むウェルに40μLを直接移した(総体積100μL/ウェル)。96ウェル白色透明底アッセイプレートを、組織培養インキュベーター中、37℃、5%CO
2で5から6時間インキュベートした。100μL/ウェルのONE-stepルシフェラーゼアッセイシステム(BPS Biosciences、カタログ番号60690-1)を塗布することによってルシフェラーゼシグナルを明らかにした。プレートを室温で15分間ゆっくりと撹拌しながら置いた。Spark(登録商標)TECANリーダーを使用してシグナルを測定した。他のウェルの発光読み取り値から平均バックグラウンド発光(無細胞対照ウェル)を差し引くことによってデータを分析した。NFATルシフェラーゼレポーター発現の誘導倍率を、[(バックグラウンドを差し引いた抗体処置ウェルの発光)/(バックグラウンドを差し引いた未処置対照ウェルの平均発光)]として計算した。レポーターアッセイを2回実施し、その結果を
図8Aおよび
図8Bに示す。
【0216】
実施例7 エピトープマッピング
【0217】
精製された抗LAG3モノクローナル抗体を、ELISA Maxisorp(商標)平底プレート上の50μL/ウェルの1倍リン酸緩衝生理食塩水(1倍PBS)中、5μg/mLで4℃で一晩コーティングした。プレートを250μL/ウェルのPBS-T(0.05%のTween(登録商標)20を補充した1倍PBS)で3回洗浄した。次いで、プレートを室温で1時間、PBS中の100μL/ウェルのブロッカーカゼイン(ThermoFisher、カタログ番号37528)でブロッキングした。250μL/ウェルのPBS-Tで3回洗浄した後、組換えヒトLAG3-Fc Tagタンパク質(Sino Biological、カタログ番号16498-H05H)をPBS-T中2μg/mL(50μL/ウェル)で、室温で1.5時間インキュベートした。プレートを250μL/ウェルのPBS-Tで3回洗浄し、ビオチン化抗LAG3ノバルティス525抗体クローン(NVS525-ビオチンを、自家でクローン化し、生産し、ビオチン化した)をPBS-T(50μL/ウェル)中5μg/mLで、室温で1時間インキュベートした。PBS-Tで3回洗浄した後、ストレプトアビジン-HRP分子(Thermo Fisher、カタログ番号N100)をPBS-Tで1:5,000に希釈し、室温で30分間50μL/ウェルでインキュベートし、結合したNVS525-ビオチンを検出するために使用した。プレートを250μL/ウェルのPBS-Tで3回洗浄した後、50μL/ウェルのSureBlue(商標)TMB-1成分マイクロウェルペルオキシダーゼ基質(SeraCare、カタログ番号5120-0075)を塗布することによって結合を明らかにした。25μL/ウェルの0.16M硫酸(H
2SO
4)停止溶液を使用してシグナルを停止し、プレートリーダーで450nMで読み取った。この結果を
図9に示す。
【0218】
実施例8 サイトカイン放出アッセイ
【0219】
新鮮なPBMC(2人の異なるドナー由来)を単離し、組換えhIL-2(1,000U/mL)を補充した完全RPMI(RPMI1640+10%FCS+Pen/Strep)中、2.0E+06細胞/mLで希釈した。細胞をU底プレート(100μL/ウェル)に2.0E+05細胞/ウェルで播種した。次に、抗LAG-3またはアイソタイプ対照抗体クローンを、100ng/mLの最終濃度のSEB(ブドウ球菌エンテロトキシンB、List Biological laboratories、カタログ番号122)を含有する完全RPMI中、10、1および0.1μg/mL(最終濃度)に希釈した(50μLの抗体調製物と50μLのSEBをいずれも2倍濃度で混合した)。プレートを37℃のインキュベーターに4日間入れた。4日目に、細胞および上清をV底プレートに移し、1,400rpmで5分間スピンダウンした。上清をV底96ウェルプレートに移し、サイトカイン含有量(IFNγまたは他の炎症促進性サイトカイン)の分析まで-80℃で凍結した。
【0220】
サイトカイン検出 Meso Scale Discovery(MSD)製の前炎症性パネル1(ヒト)キット(カタログ番号K15049D)を、製造者の推奨事項に従って使用した。端的に言うと、アッセイサンプルを室温で解凍した。一方、サイトカイン標準は、希釈剤2(カタログ番号R51BB-3、ロットM0020102)を用いてエッペンドルフ(商標)チューブ中で較正物質1の段階希釈を行うことによって調製した。次いで、希釈剤2を使用して、アッセイサンプルを96ウェル超低接着プレート(Corning、カタログ番号7007、ロット18219008)で希釈した(通常、標準曲線範囲内の多数のサンプルを得るためには、1:200から1:2,000の範囲の最終希釈が必要である)。
【0221】
次いで、MSD96ウェルプレートを開封し、300μl/ウェルのKPL緩衝液(Sera Care、カタログ番号5150-0008、ロット10430811)で3回洗浄した。各希釈試料およびキャリブレータを、先に調製したプレートレイアウトに従って50μL/ウェルで(気泡を避けて)MSDプレートに移した。プレートを接着性プレートシール(VWR、カタログ番号60941-120)を用いて密封し、ゆっくり撹拌しながら室温で2時間インキュベートした。プレートを300μl/ウェルのKPL緩衝液で3回洗浄し、希釈液3(希釈1:50)で調製したSULFO-Tag検出抗体を25μl/ウェルで塗布した。プレートを密封し、暗所でゆっくり撹拌しながら室温で2時間インキュベートした。その後、300μl/ウェルのKPL緩衝液で3回洗浄した。シグナルを、150μlの2倍リード緩衝液を加えることによって明らかにし、MSD装置(Meso Sector S600、モデル1201)で検出した。この結果を
図10Aおよび
図10Bに示す。
【配列表】
【国際調査報告】